[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
1-
101-
201-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
【SS】蓮ノ空ファンタジーⅡ Part.2
1
:
名無しで叶える物語◆7gZ551B1★
:2025/08/03(日) 22:05:03 ID:???00
前スレ
【SS】蓮ノ空ファンタジーⅡ
https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/anime/11224/1743405569/
219
:
名無しで叶える物語◆n9i2NnMP★
:2025/08/31(日) 22:35:19 ID:???00
カチマチ『コズエさん落ち着いてください!』
コズエ「どきなさい!あなたは記憶を見てないから知らないだろうけど、その子はもうルリノさんじゃないの!」
カチマチ『それはわかってます!!でも、この人からは敵意は感じません!』
コズエ「──え?そんなはずは……だって、あんなに人間を恨んで……」
ルリエル「そのワンワンの言う通りだよ。ルリは別に、あなた達と戦う気は無い」
ギンコ「でも、ルリエルさんなんですよね?さっきの記憶に出てきた……」
ルリエル「まあ、それはそうなんだけど。痛てて……」ズキズキ
カホ「怪我、治さないの?ルリエルさんは再生を司る天使なんでしょ?」
ルリエル「その権能は、今は別の天使に渡ってるからね。気づいてるかもだけど」
ギンコ「あ、もしかして──」
ルリエル「うん。ルリの権能はメグちゃんのものになってる」
カホ「メグリカバーだ!」
ルリエル「そうだよ。あの日、ルリは権能と一緒に、"あるもの"をメグちゃんに預けた」
コズエ「あるもの?」
ルリエル「それは、今メグちゃんの中にいる──」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
220
:
名無しで叶える物語◆n9i2NnMP★
:2025/08/31(日) 22:38:13 ID:???00
メグミ(まさか、私が封印されたあとに、あんな事が起きてたなんて……)
メグミ(ていうか、めっちゃ私に責任あるじゃん!!あの時怪しい人からお酒なんてもらわなければ……)
メグミエル「……」
メグミ(──ううん。今はそれより、確認しないといけないことがある)
メグミ(もしかしてあなた、ママじゃなくて、"るりちゃん"なの?)
メグミエル「…………」
メグミエル「……そうだよ。久しぶり、メグちゃん」
メグミ(!!!)
メグミ(ごめん!!ごめん!るりちゃん!私が封印されちゃったせいで、辛い時そばに居てあげられなくて!)
メグミエル「ううん。メグちゃんは悪くないよ。悪いのは人間だから……」
221
:
名無しで叶える物語◆n9i2NnMP★
:2025/08/31(日) 22:43:09 ID:???00
メグミ(っ!でも、なんでママの振りなんてしてたの?しかも……今のるりちゃんの魂は、私でもわからないくらい……)
メグミエル「"穢れてる"、でしょ?」
メグミ(いや、その……)
メグミエル「別にいいよ。事実だから」
メグミエル「私がお母様を騙ってメグちゃんと話してたのは、その方が都合が良かったのと……私自身、もう自分をルリエルだとは思ってないから」
メグミ(それは、どういう意味?)
メグミエル「ルリエルの魂は、あの時既に半分くらい浄化されて、輪廻の中に帰ってた」
メグミエル「浄化されると、記憶を全て無くしちゃう。たとえラッパの力で思い出すとしても、あの時の私の"感情"までもが完全に復活するかはわからない」
メグミエル「だから私は自分の権能と一緒に、人間への憎悪を切り離して、メグちゃんの封印されてる宝石に入れたの」
メグミエル「ラッパが宝石の中に入るのに便乗してね」
222
:
名無しで叶える物語◆n9i2NnMP★
:2025/08/31(日) 22:47:14 ID:???00
メグミ(憎悪で歪んじゃった魂だけを、私の中に埋め込んだってことか……)
メグミエル「うん。だから私は、メグちゃんが知ってるルリエルじゃない。そうだなぁ、わかりずらいし『エリ』って呼んでよ」
エリ「再生の権能、エリクサーのエリ。今の私は、権能にくっ付いて来たオマケみたいなものだから」
メグミ(いや、そんなこと言われても……るりちゃんは、るりちゃんだし)
エリ「違うんだよ。私はメグちゃんに、今の自分をルリエルだと思って欲しくないの」
エリ「こんな風に憎悪を募らせて、人間を殺すことしか考えられなくなった醜い私で、メグちゃんの中のルリエルとの思い出を汚したくはない──」
メグミ(関係ない!どんなに変わっても、私はるりちゃんを嫌わないし!失望もしないよ!)
エリ「っ!だから……ルリって呼ばないでよ!私はルリエルじゃない!別の存在になったの!」
223
:
名無しで叶える物語◆n9i2NnMP★
:2025/08/31(日) 22:55:20 ID:???00
メグミ(そんなことない!最初は気づけなかったけど……今ははっきりとわかる!るりちゃんはるり──)
エリ「止めて!次にルリって呼んだら、本当にあなたを消すから!!」
メグミ(っ……!)
エリ「ほら、ルリエルはこんな事言わないでしょ?私はルリエルの負の感情そのもの。ルリエルから切り離された、穢れた魂の一部なの」
メグミ(る……あなたは、この後どうするつもりなの?)
エリ「人間に復讐する。神様を騙ってたのは、本当にそうなるつもりだったから」
エリ「お母様が居なくなった今、私がお母様の代わりになって、天使達を先導する」
エリ「そうして、あの時の仕返しをするんだよ。それが私の願い」
メグミ(…………)
メグミ(もうひとつ聞いていい?ルリノちゃんはなんなの?)
メグミ(まさか、るりちゃんに激似なだけの無関係の人間じゃないよね?)
エリ「そうだね。あの子は──」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
224
:
名無しで叶える物語◆n9i2NnMP★
:2025/08/31(日) 22:59:15 ID:???00
ルリエル「──ルリは、二つに別れた魂の片割れなの」
カホ「つまり……あなたはルリエルさんの魂の半分で、人間を憎んではいない方の人格」
カホ「今メグちゃんの体を乗っ取ってる、神様を名乗ってた方が、人間を憎んでるもう半分の魂ってこと??」
ルリエル「だいたい合ってるよ。でも、一つだけ修正するね」
ルリエル「ルリも、人間のことは恨んでる」
ギンコ「!」
コズエ「!」
ルリエル「ルリは一回浄化されて、記憶をリセットされてる。その分少しだけ、客観的にあの出来事を見ることができた」
ルリエル「今ルリが落ち着いていられてるのは、そのおかげかな」
225
:
名無しで叶える物語◆n9i2NnMP★
:2025/08/31(日) 23:05:42 ID:???00
コズエ「なら、さっき私達と戦う気がないと言ったのは……権能がなくて戦う手段がないから?」
ルリエル「あーそれも確かにあるんだけど、一番の理由は──」
ルリエル「あなた達が、メグちゃんの友達だからかな!」
ルリエル「あなた達には、結構本気で感謝してるんだ。異種族である天使のメグちゃんと、あんなにも仲良くしてくれて」
ルリエル「だから、あなた達だけは特別!」
ギンコ「ルリエルさん……」
カチマチ『……すみません、カチマチまだ着いていけてないんですが……』
カチマチ『今お話してるのはルリエルさんっていう天使なんですよね?たまにメグミさんが話してた』
ルリエル「メグちゃん、ルリのことも話してくれてたんだ。嬉しいな……」
226
:
名無しで叶える物語◆n9i2NnMP★
:2025/08/31(日) 23:08:34 ID:???00
カチマチ『じゃあ、元々の体の持ち主であるルリノさんは何処に?』
カホ「!!ま、まさか……ルリエルさんが蘇ったせいで、ルリノちゃんは消えちゃたなんてことは……」
ルリエル「…………ごめん」
ギンコ「そんな!ルリノさん……」
コズエ「……」
ルリノ「ちょいちょーーい!勝手に殺すな!」
ギンコ「…………え?」
カホ「ル、ルリノちゃんなの!?」
コズエ「どうして……」
ルリノ「どうしてって言われても、ルリにもわからな──うおっ!?」
ルリエル「はい。わからないなら黙っててね〜」
ルリノ(こら〜!ルリの体だぞー!)
227
:
名無しで叶える物語◆n9i2NnMP★
:2025/08/31(日) 23:10:59 ID:???00
ギンコ「ルリエルさんに戻った……?」
ルリエル「今のはちょっとしたサプライズってことで。オオサワルリノの魂はまだ消えてないよ」
カホ「ほっ……よかった」
ルリエル「でも、これはただの例外。ルリが二つに別れた不完全な魂だから、オオサワルリノの人格が残れただけ」
ルリエル「"他"の天使達は、完全に切り替わってるかもね」
コズエ「他の天使……?」
ルリエル「そう。さっきのラッパは、人々に記憶を植え付けて、転生した天使達の魂を目覚めさせるもの」
ルリエル「今頃、ルリ以外の天使達も目覚めてる頃だと思う」
カホ「!」
ルリエル「覚悟してね。これから地上は、きっと『地獄』になるよ──」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
228
:
名無しで叶える物語◆OFrNc9Bq★
:2025/09/01(月) 22:32:59 ID:???00
メグミエルとルリエルが他のキャラよりもイメージしやすい理由に今更だけど気づいたわ
去年のDRのEAだ
229
:
名無しで叶える物語◆n9i2NnMP★
:2025/09/02(火) 22:09:07 ID:???00
🎺プオ────────────ン
男「なんだ?今の音」
女「警報……じゃないわよね?」
ジジジ……
男「うっ!頭が……!」ズキン
女「何これ……知らない記憶が頭に入り込んでくる!」ズキズキ
女「──あれ?知らない記憶……のはず……」
シーン──
男「治まった……何だったんだ今の……胸糞悪い話だった……」
女「……」ボー
男「おい、大丈夫か?」ユサユサ
女「思い……出した」
男「?」
女「人間……よくも私たちを!」ギロッ
男「何言ってるんだ……さっきのはお前の記憶じゃないぞ!正気に戻れ!」
230
:
名無しで叶える物語◆n9i2NnMP★
:2025/09/02(火) 22:10:26 ID:???00
女「」✨キラキラ
男「え」
🌟ピカーーン!
女「……」バサッ
男「!?は、羽?これじゃまるで、記憶の中で見た天使……」
天使「今こそ復讐の時。人間らに然るべき"罰"を与えます」
天使『エンジェルブロー』✊🔥ポン
男「痛っ──くない?」
✝ブン…
男「何だこれ……殴られた場所に変な印が……」
天使「これは烙印。消すことのできない罪人の証」
天使「まもなく罰が下されます。あなたはもう、逃げられません」フワー
男「あ、待て!どこに行くんだ!おーい!」
🌟ピカーーン!
🌟ピカーーン!
男「!!」
男「あちこちで光が……まさか、同じことが起きてるのか?」
231
:
名無しで叶える物語◆n9i2NnMP★
:2025/09/02(火) 22:13:46 ID:???00
🌟ピカーーン!
子供「……」バサッ
母親「コウタ!?どうしたのその羽?」
天使「子どもの体か〜ハズレかも」
母親「な、何を言ってるの──」
天使「あ、もしかしてこの子のママ?ごめんね。この子の人格、もう消えちゃったから〜☆」
母親「は?え?人格が消えた……?ちょっと!変な冗談は止めて!本当に怒るわよ!コウタ!」
天使『エンジェルブロー』✊🔥ポン
母親「!?」✝️ブン…
天使「それじゃあね、マ〜マ♡」フワー
母親「やめて、そんな呼び方……コウタはいつも、私ことを"お母さん"って……コウターー!!」
232
:
名無しで叶える物語◆n9i2NnMP★
:2025/09/02(火) 22:15:37 ID:???00
🌟ピカーーン!
シスター「……」バサッ
神父「!!!」
シスター「ここは、建物の中か……ん?何故俺は服を着ていないんだ?」
神父「お、おぉ……!やはり、今のラッパの音は、天使復活の呼び笛だったのか!」
シスター「……ちっ、そういう事か。汚らわしい」
神父「やはり、メグミさんのことを放置したのは正解だった!こうして地上に天使が顕現する場面に立ち会えるなんて!」
シスター「メグミ?なるほど、メグミエルが復活させてくれたのか」
シスター「つまり、あれから1000年も経ったということか……」
233
:
名無しで叶える物語◆n9i2NnMP★
:2025/09/02(火) 22:18:12 ID:???00
神父「天使様」
シスター「ん?」
神父「どうか、私めに聖痕を授けてくださらないでしょうか……天使様からいただけるのであれば、神父としてこの上ない光栄──」
🗡三ピュン
神父「がっ!」グサッ
神父「な……ぜ──」バタン
シスター「気安く話しかけるな。人間」
シスター「あと、悪いが俺は烙印を押さなくてもお前らに罰を与えられる」
ミカエル「今度こそ、根絶やしにしてやるぞ。ルシファーの末裔ども!」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
234
:
名無しで叶える物語◆n9i2NnMP★
:2025/09/02(火) 22:22:17 ID:???00
記憶を見ていた間に、日は完全に落ち、辺りは薄暗くなっている。
そんな中、街ではピカピカと光が点滅しては消えてゆくのが見て取れた。
カホ「街の方に見える光って、さっきルリノちゃんに羽が生えた時と同じ光?」
ギンコ「だとしたら、みんな天使に成り代わられてるってこと?そんなの……」
ギンコ(ルシファーが天使を騙すためにやったのと同じことじゃん……)
思わず口を衝きかけた言葉を、ギンコはギリギリのところで飲み込んだ。
それを言ってしまったら、絶妙なバランスで成り立っているルリエルとの関係が、完全に決壊してしまうと思ったから。
コズエ「ルリエルさん、さっき地上が地獄になると言っていたけれど……それは天使が人の体を奪うことを言っていたの?」
ルリエル「違うよ。これは始まりに過ぎない」
ルリエル「今頃、目覚めた天使達は目につく人間に手当り次第『烙印』を押してるはず」
235
:
名無しで叶える物語◆n9i2NnMP★
:2025/09/02(火) 22:29:02 ID:???00
カチマチ『らくいん?』
ルリエル「罪人の証。罰を与えるための目印みたいなものかな」
ルリエル「それは、一度付けられたら死ぬまで決して消えないもの。もしも最初の厄災を乗り越えたいなら、絶対に付けられちゃいけない印」
カホ「厄災って、もしかして神父さんの話にあった……」
ルリエル「昔、お母様が作った7つのラッパのことだよ。ルリは直接見た事はないけど、吹くと地上に厄災が降り注ぐんだって」
ギンコ「ラッパって、さっきメグミさんも吹いてたよね......あれが1個目なの?」
ルリエル「ううん、あれは特別。メグちゃんが持ってたのは8つ目のラッパだよ」
ルリエル「本当は、天使達の魂を目覚めさせる為だけに作られたものだけど……ルリが弄ったせいで、憎しみも一緒に思い出させるものに変わっちゃったんだ」
コズエ「だから、天使は起きて早々に人間を襲っているのね……」
236
:
名無しで叶える物語◆n9i2NnMP★
:2025/09/02(火) 22:31:13 ID:???00
ルリエル「──ねぇ、あなた達に相談なんだけどさ。ルリと取引しない?」
ギンコ「取引?まぁ、内容によっては……というか、拒否したら何されるかわからんし」
ルリエル「取引って言うのはね、あなた達を厄災から守る代わりに、メグちゃんを救うのを手伝って欲しいの」
カホ「え?」
ルリエル「メグちゃんの体は今、ルリの片割れに制御を奪われてる。仮にもルリの魂なんだから、メグちゃんを傷つけるとは思えないけど……」
ルリエル「穢れた魂をいつまでも抱えてたら、メグちゃん自身どうなるかわからない。だから、一刻も早く切り離したいんだ!」
カチマチ『そんなの──言われなくてもそうするに決まってます!メグミさんはカチマチの大切な仲間です!』
カホ「そうだよ!それに、メグちゃんには何度も助けてもらったもん!今度はあたし達が助ける番!」
ルリエル「ありがとう。カチマチちゃん。カホちゃん」
237
:
名無しで叶える物語◆n9i2NnMP★
:2025/09/02(火) 22:33:31 ID:???00
コズエ「待って、どうしてわざわざ取引を?私達はメグミのいる場所に手が届かないけれど、あなたなら飛んでいけるでしょう?」
ギンコ「確かに、浮遊魔法でもあんなに高い所までは飛べません。それこそ、天使の羽がないと」
ルリエル「もちろん、ルリもできるなら直接助けに行きたいよ。でも、ルリはメグちゃんに近づけない」
ルリエル「感じるんだ。もしもルリがメグちゃんに触れたら、ルリはメグちゃんの中にあるルリの魂に取り込まれちゃうって」
ルリエル「そうしたら、メグちゃんを助けることも、あなた達を守ることもできなくなる」
コズエ「なるほど。そういう事ね」
カホ「それじゃあさっそく、メグちゃんを助ける手段を考えましょう!まずは上空から下ろす方法から!」
238
:
名無しで叶える物語◆n9i2NnMP★
:2025/09/02(火) 22:35:49 ID:???00
ギンコ「でも、結局は空を飛べないと何もできませんよね?」
カチマチ『コズエさん!いつもみたいに魔法の力でドバーン!って飛べませんか?』
コズエ「できなくは無いけれど……足が破裂するでしょうから、メグミを引きずり下ろしたあとは何もできなくなるわ」
カチマチ『あぅ……それは困ります……』
カホ「う〜ん……ルリエルさんに連れて行ってもらいたいけど、それだと本末転倒だし……」
ルリエル「ゆっくり考えていいよ──って言ってあげたいけど、あんまり時間はかけられみたい」
カホ「へ?」
🎺プオ────────────ン
「「!?」」
ギンコ「またラッパの音!もしかして……」
ルリエル「始まったよ──『第一のラッパ』」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
239
:
名無しで叶える物語◆n9i2NnMP★
:2025/09/05(金) 22:09:15 ID:???00
======================
【報告】
カナザワ市内にて人間が天使に変化する現象を確認。
天使は市民を襲っており、早急な対応を求められる。
事態の解決を図るため、王国軍に『AHB』の使用、および『ユウギリツヅリ』騎士の派遣を要請する。
======================
240
:
名無しで叶える物語◆n9i2NnMP★
:2025/09/05(金) 22:10:38 ID:???00
【カナザワ】
カホ達が悠長な話し合いをしている間にも、街の混乱は広がり続けていた。
家族や友人、愛する人が天使へと変貌し、手当たり次第に人々に『烙印』を押してまわっている。
ワーーーー! キャーーーー!
天使「……」三ピュン!
「危ねぇ!?」スカッ
「クソっ!さっき見えたビジョンといい、天使は俺たちの敵なのか!?」
「こうなったら、戦うしかない……!」🗡スッ
「やめてください!」ガシッ
「!?何するんだ!離せ!」
「あれは私の妻なんです!傷つけないでください!」
「そんなことを言われても……だったらあんたが人を襲わないよう言い聞かせろ!」
「そ、それは──」
241
:
名無しで叶える物語◆n9i2NnMP★
:2025/09/05(金) 22:11:22 ID:???00
天使『エンジェルブロー』✊🔥
「!!」✝️ブン…
「あ……」✝️ブン…
天使「裁きの時は、近い」フワー
「ちっ!お前のせいで変な印つけられたじゃねぇか!」✊ゴッ
「ぐはっ……!」バタン
「君達やめなさい!今は人間同士で争ってる場合じゃないだろう」
「っ……それもそうか。悪かった、つい頭に血が上って……あんたも奥さんが天使になって混乱してたんだよな?」
「あ、はい……私の方こそすみません……」
「それよりもさっき見えた記憶、メグちゃんがいたよな?この騒動はあの子が起こしたものなのか?」
「そうは思えませんが……今日だって会って話をしましたが、こんな恐ろしいことを考えてるようにはとても……」
「でも、だからと言って無関係ということもないですよね……?この街で天使なんて彼女しか見たことがありませんし……」
「……」
「……」
242
:
名無しで叶える物語◆n9i2NnMP★
:2025/09/05(金) 22:13:39 ID:???00
天使「……」🎺フワー↑
天使達が人々に印を付けていく中、一人の天使が上空に浮かんでいく。
それは第一のラッパ、『光の矢』を持つ天使。
彼女は冷たい眼差しで、地上を逃げ回る人間達を見下ろしていた。
天使「愚かな人間よ。神に代わって、私が天罰を与えます」
天使「最初の厄災は、罪の印を持つものを裁く光。自らの罪を数えながら、炎に焼かれ続けなさい」
天使「すぅ……」🎺
🎺プオ────────────ン
「またラッパの音!?今度はなんだ!」
「!!おい、上を見ろ!」
✨キラン…
✨✨✨✨✨✨キラキラキラ
まだ薄暗くなったばかりの空に、突然、眩いばかりの大量の星が煌めき出す。
しかし、それは本物の星ではない。
それは光を束ねて作られた『矢』。
罪ある者を裁く、断罪の輝き。
243
:
名無しで叶える物語◆n9i2NnMP★
:2025/09/05(金) 22:17:04 ID:???00
✨ピカーン!
「さっきから何が起き────」🔥ジュボ
「ひっ……!なんだ!?突然人が燃え」
✨ピカーン!
「て──」🔥ジュボ
✨ピカーン!✨ピカーン!✨ピカーン!
上空に輝いていた光が、一斉に地上へ降り注ぐ。
光の帯はただ闇雲に落ちるのではなく、人間──特に印の付いた者を狙い撃つかのように、的確にその身体を光で包み込む。
「屋根────」🔥ジュボ
「助────」🔥ジュボ
文字通り、光速で放たれる光の矢は、人々に逃げる暇を与えない。
高密度の光線を頭から浴びた人間は、服も体毛も皮膚も全てが一瞬にして発火し、全身が炎で包まれる。
「あ"あ"あ"あ"!!」🔥
「あ"つ"い"ぃ"!み"ず"!み"す"!」🔥
✨ピカーン!✨ピカーン!✨ピカーン!
数百──あるいは千をも超える光の矢は、その全てが外れることなく、的確に人間を撃ち抜いていく。
「ぎ────」🔥ジュボ
「お願い開けて!中に入れ──」🔥ジュボ
✨ピカーン!✨ピカーン!✨ピカーン!
🔥🔥🔥🔥🔥🔥ボー
244
:
名無しで叶える物語◆n9i2NnMP★
:2025/09/05(金) 22:18:49 ID:???00
エリ「綺麗だね。まるで光の梯子みたい」
メグミ(これが、ラッパの力……)
エリ「正直、私も実際に見るのは初めてだから、少しワクワクしてたんだ」
メグミ(この光、全部人間に向かって降ってるの……?)
エリ「そうだよ。ほら、見える?下の方でゆらゆら燃えてるやつ。あれ全部人間だよ」
メグミ(全部!?嘘でしょ!炎で道が埋まって見える……たった一回で何百人が犠牲になったの──)
メグミ(!!みんなは……コズエやカホちゃん達は!?)
エリ「さあ?今頃他の人間と同じように、光に焼かれてるんじゃない?」
エリ「あそこには私の片割れが居たから。きっとすぐに印を付けられてたと思うよ」
メグミ(っ!あの子達は、そう簡単にやられたりしないもん……!)
エリ「ふーん?それじゃあ逆に、ルリエルが殺されちゃってるかもね」
メグミ(ぐっ……それは……)
245
:
名無しで叶える物語◆n9i2NnMP★
:2025/09/05(金) 22:22:22 ID:???00
メグミ(……お願い、もうやめて。やっぱりこんな事しても何にもならないよ!)
メグミ(みんな復活したなら、一緒に天国に帰ろう!復讐しろなんて、ママも望んでなかったじゃん!)
エリ「メグちゃん、何か勘違いしてない?」
メグミ(え?)
エリ「私がやったのは、記憶と一緒にみんなの魂を目覚めさせたところまで。その後の天使達の行動は、私は操ってないよ」
メグミ(じゃあ、みんなが勝手にやってるってこと……?)
エリ「そう。各々が自主的に、人間に復讐しようと行動してる。誰か一人を止めればいいとか、もうそういう問題じゃなくなってるんだよ」
エリ「これは戦争。どちらかが滅びるまで、戦いは終わらない」
メグミ(そんな……せっかく、街のみんなとも仲良くなれたのに……)
エリ「それは思い込みだよ。天使と人間は相容れない。メグちゃんだって、お母様や私の記憶を見たならわかるはずでしょ?」
メグミ(違う……人間と仲良くなれないなんて、そっちの方こそ思い込みだって!!)
メグミ(過去とか、因縁とか……色々あるのかもしれないけど!ちゃんと話して心を通わせれば、必ず──)
246
:
名無しで叶える物語◆n9i2NnMP★
:2025/09/05(金) 22:25:02 ID:???00
🎺プオ────────────ン
メグミ(え──嘘、もう二回目?)
エリ「次はどんな風に人間が死ぬのかな?楽しみだね、メグちゃん」
メグミ(っ!やめて…!るりちゃんはそんな事言わない────あ)
エリ「……だから言ったじゃん。私はルリエルじゃないって……」
メグミ(ごめん……)
エリ「私も、少しおしゃべりになってたみたい。あなたと会話してると、なんだか懐かしい気持ちになっちゃって……」
メグミ(…………!)💡ピコン!
メグミ(なら、もっと聞かせてよ)
エリ「え?」
メグミ(人間への恨みでもなんでもいい。あなたの抱えてる気持ちを、私に聞かせて)
メグミ(もっと沢山──"話"をしよう)
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
247
:
名無しで叶える物語◆n9i2NnMP★
:2025/09/05(金) 22:26:32 ID:???00
カホ「まるで……星が降ってるみたい……」
カチマチ『少しだけ、キレイだって思っちゃいます……』
コズエ「……でも、どうして私達には降ってこないの?」
ルリエル「あの光は、烙印を目印にしてるの。ルリはあなた達に印をつけてないから、降ってくることはないよ」
ギンコ「とりあえず、これに関しては安全ってことですね」ホッ…
カチマチ『……?』ピクッ
コズエ「とは言え、こんな規模の攻撃があと6つも残ってるなんて……早く何とかしないと、本当に全滅──」
✨キラキラ
カチマチ『コズエさん危ない!』ドンッ!
コズエ「え──」グラッ
✨ピカーン!
🔥ボッ!
コズエ「!?」
248
:
名無しで叶える物語◆n9i2NnMP★
:2025/09/05(金) 22:28:55 ID:???00
カチマチ『ぎりぎりセーフです!』
カホ「今の光、コズエちゃんを狙ってた!?なんで!?」
ルリエル「わ、わからない……ルリ、あなた達に印なんて付けてないし……前にメグちゃんに付けられたりした?」
コズエ「そんな物騒なのも付けられてないわよ!」
ギンコ「……もしかして、ルリエルさんが言ってる印って、『エンジェルブロー』のことですか?」
ルリエル「え、知ってるの?」
カホ「それって、よくメグちゃんが使ってる、見た目と勢いだけがすごいパンチのことだよね?」
ルリエル「勢いがすごいのはメグちゃん流だと思うけど……そうだよ。エンジェルブローは魂に烙印を押す魔法。普通の天使にとっては唯一の攻撃手段」
ギンコ「それ、前にコズエさんが魔物に体を乗っ取られた時に、メグミさんが使ったって言ってませんでしたか?」
カチマチ『そういえば!カチマチ見てました!』
249
:
名無しで叶える物語◆n9i2NnMP★
:2025/09/05(金) 22:33:16 ID:???00
ルリエル「そうなの!?よく今日まで生き残れたね……」
ギンコ「確か、一度亡くなった後にメグミさんが蘇生してたはずです」
ルリエル「なるほど、ルリの権能を使ったのかぁ。一回死んじゃったけど、すぐに生き返ったから印がうっすら残ってたのかも」
コズエ「あの時はそれしか方法がなかったとは言え、厄介なものを付けられたわね……」
カホ「でもでも!さっきの光を避けたからもう大丈夫だよね!?」
ルリエル「ごめん。ルリも詳しくは知らないから……もしかしたら、印が付いてる限り何度も降ってくるかも」
カホ「そんな……!」
コズエ「……仕方ないわね。念の為、いつ来てもいいように保存魔法を維持しておきましょう──」
✨ピカーン!
コズエ「!?」✨
ギンコ「コズエさん!!」
250
:
名無しで叶える物語◆n9i2NnMP★
:2025/09/05(金) 22:35:37 ID:???00
コズエ「あ、危なかったわ……あと少し魔法の発動が遅れてたら、火だるまになってたところよ……」
カホ「ほっ……ギリギリでしたね……」
カチマチ『ルリエルさん!コズエさんの印?を消すことはできないんですか?』
ルリエル「一度完全に死ぬまでは、天使でも消せないかな……」
コズエ「くっ……これからメグミを助けようって時に、こんな行動制限をかけられるなんて!」
カチマチ『これじゃあコズエさんは肉壁にしかなりませんね……』
コズエ「カチマチさん?もう少し他の言い方はないかしら?というか誰からそんな言葉教わったの……」
カチマチ『メグミ大先生からです!』
コズエ「メグミ……!やっぱり助けるの止めようかしら」💢
カホ「あわわ!カチマチちゃん!今はメグちゃんの印象が悪くなること言わないで!」
カチマチ『ごめんなさい……!』💦
251
:
名無しで叶える物語◆n9i2NnMP★
:2025/09/05(金) 22:39:45 ID:???00
🎺プオ────────────ン
ギンコ「!!3回目……」
カホ「さっきのが第一のラッパだったから……次は第二のラッパだよね?今度は何が起こるの?」
ルリエル「確か、お姉様から聞いた話だと、火の玉が降るとか何とか……」
コズエ「火の玉……さっきの光の、炎版ってことかしら?」
カホ「また上から来るの!?ずっと見上げてたら首痛くなっちゃうよ!」
ギンコ「なんか、カホさん意外と余裕そうですね」
カホ「まぁルリエルちゃんが守ってくれるって言うし、火の玉ならさっきの光よりは避けやすそうじゃん!」
カチマチ『いざとなったらカチマチがみなさんを乗せて逃げ回ります!』
カホ「わっ!頼もしい〜〜!」
カチマチ『えへへ〜〜』
252
:
名無しで叶える物語◆n9i2NnMP★
:2025/09/05(金) 22:42:16 ID:???00
コズエ「…………」
ギンコ「コズエさん?どうかして────!?」
カホ「ん?二人ともどうしたの?」
コズエ「……カホ、もしかしたら、私達はここで死ぬかもしれないわ……」
カホ「え、それってどういう──」
カホ「!?!?」
カチマチ『な、何ですかあれーー!!』
空を見上げたカホ達の目に飛び込んできたのは、確かに火の玉だった。
想定外だったのは、その大きさが視界に収まらないほど巨大であったこと。
まるで太陽が落ちてきたのかと錯覚する程の火球が、ゆっくりとカナザワの街に向かって落下する。
カホ「ル、ルリエルちゃん……この火の玉からも守ってもらえるのかな?」
ルリエル「」
カホ「ルリエルちゃん?」
ルリエル「あ、ごめん。あまりの規模に意識が飛びかけてた。えっと、みんなを守れるかだっけ?」
ルリエル「──いや、無理でしょ……てかこれ天使も死なない?」
253
:
名無しで叶える物語◆n9i2NnMP★
:2025/09/05(金) 22:44:53 ID:???00
カホ「コズエちゃ〜ん……!」💧ウルウル
コズエ「ごめんなさい、今は話しかけないでちょうだい。辞世の句を考えてるところなの」
カチマチ『あのコズエさんが諦めモードに!?』
ギンコ「私、何となく7つ目のラッパが鳴ったら負けだと思ってました」
ギンコ「でも、本当は1つでも使われた時点で負けだったんですね……」
コズエ(記憶の中で見たもうひとつの保存魔法。あれが使えれば、せめてみんなだけでも守れるかもしれないのに!)
火の玉はゆっくりゆっくりと落下し、ついに街のすぐ真上まで降りてきた。
街は真昼のように明るくなり、炎の熱はジリジリと空気を焦がしている。
カホ「うわぁぁぁん!もうおしまいだよー!!」💧
コズエ(本当に、打つ手はないの?何か、生き延びる手立ては──)
🔥
🔯バチバチバチバチ!
コズエ「!!」
火球が目の前まで迫った瞬間、街を守るようにドーム状の光が炎を食い止めた。
ルリエル「光の……幕?」
ギンコ「これ……街に張ってあった結界魔法だよ!!」
カホ「そういえば!普段は透明だから忘れてたけど、前にメグちゃんが引っかかってたっけ!」
コズエ「っ!お願い……どうか持ち堪えて!!」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
254
:
名無しで叶える物語◆n9i2NnMP★
:2025/09/05(金) 22:48:07 ID:???00
【冒険者ギルド】
ミカエル「結界魔法……ルシファーが我々を嵌めるために作った魔法か。実に忌々しい」
ミカエル「ここに結界を制御しているものがあると踏んでいたんだが……」
受付嬢「はぁ……はぁ……」ポタポタ
ミカエル「さっさと場所を教えろ。そうすれば、楽に殺してやる」
受付嬢「……絶対に、教えません……」
ミカエル「そうか。なら苦しんで死ね」🔯バチバチ
🗡🗡🗡🗡三ピュン!
受付嬢「っ!」
⏱カチ
🗡🗡🗡ズボズボ!
ミカエル「!!消えた?」
255
:
名無しで叶える物語◆n9i2NnMP★
:2025/09/05(金) 22:49:44 ID:???00
ツヅリ「大丈夫?」
受付嬢「ユウギリさん……ありがとう、ございます……」 グタ…
ミカエル(後ろ!いつの間に……)
ミカエル「今のは空間操作の魔法か?」
ツヅリ「……」
ミカエル「無視か、まぁいい」
ミカエル「どちらにせよ、人間は殺すだけだ!」🔯バチバチ
🗡🗡🗡🗡三シュン!
ツヅリ「……」🗡スゥ
⏱カチ
🗡🗡🗡🗡バリン!
ミカエル「なに!?」
ミカエル(一瞬で全て弾いた?目では全く追えなかった……空間操作の魔法じゃない!これは──)ツー
ミカエル「!?」ブシャー!
ミカエル「っ!時間操作か!!」
256
:
名無しで叶える物語◆n9i2NnMP★
:2025/09/05(金) 22:57:28 ID:???00
ツヅリ「……君は、ラッパを持ってる?」
ミカエル「そんなもの、俺には必要ない!」🔯バチバチ
🗡🗡🗡🗡🗡🗡🗡🗡シュン!シュン!
⏱カチ
🗡🗡🗡🗡🗡カラカラカラン!
ミカエル「クソ!厄介な魔法だ!」🔯バチバチ
ツヅリ「……ラッパ持ってないならいいや」🗡スチャ
ミカエル「────は?」
ツヅリ「じゃあね」スタスタ
ミカエル「待て!貴様、服装からして騎士だろう。俺を放っておけば多くの人間を殺すぞ?」
ツヅリ「別にいいよ。命令は『ラッパを持っている天使の排除』だから。他はどうでもいい」
ミカエル「命令?言われたことしかしないなんて、まるで操り人形だな」
257
:
名無しで叶える物語◆n9i2NnMP★
:2025/09/05(金) 23:02:58 ID:???00
ツヅリ「そうだね。でも、それでいいんだ」
ツヅリ「ボクはもう、自分の判断を信じられない。だったら、人の言うことだけ聞いていればいい」
ミカエル「?」
ミカエル(言っている意味がわからない……強力な魔法は精神に悪影響を与えるのか?)
ツヅリ「……」スタスタ…
ミカエル「……生きているのに死んでいるような奴だったな……」
ミカエル「まぁいい。あの女に構っていては、時間を無駄に浪費するだけだろう。こちらに興味を示さなかったのは好都合だった」
ミカエル「それよりも結界魔法だ。これがあるとラッパが最大限の力を発揮できない」
ミカエル「それどころか、先程の記憶で見たのと同じ結界なら、俺達自身もこの街に閉じ込められてしまうことになる」
ミカエル「これだけ大きな結界……制御装置が街の中心部にあるのは間違いない。ここに無いとすると──」
ミカエル「あの丘の上か」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
258
:
名無しで叶える物語◆Wbr8PaHq★
:2025/09/07(日) 22:04:44 ID:???00
🔥
🔯バチバチバチ!
カホ「頑張って!耐えて!!」
ギンコ「ああもう!祈ることしかできんのがもどかしい!」
結界はピカピカと点滅しながらも、落下する炎から街を守っている。
炎は質量を持っているのか、結界に覆い被さるように広がり、街に赤い帳を下ろす。
コズエ「結界さん……お願い……!」
カチマチ『うぉぉぉ!ちぇすとー!!』アオーン!
🔥🔥🔥ズズズ……
カホ「はっ!見てください!一番上!空が見えてきました!」
ギンコ「炎が外側に流れてるんだ……!あともう少し!」
ゴゴゴ……ボワッ🔥🔥🔥
結界を丸ごと覆っていた炎は、とうとう街の縁に流れ落ちる。
空の色は再び黒に戻り、ポツポツと星が光っているのが見て取れた。
259
:
名無しで叶える物語◆Wbr8PaHq★
:2025/09/07(日) 22:07:03 ID:???00
カホ「た、耐えきった……」ペタン
コズエ「ふぅ……人類の魔法技術の進歩に助けられたわね……」
ギンコ「そう、ですね……」チラッ
ルリエル「…………」
ギンコ(やっぱり、ルリエルさんとしては複雑だよね……結界魔法は、ルリエルさんの仲間を実験台にして作られた魔法だし……)
ルリエル「…………ぷはぁ!た、助かった〜〜!」
ギンコ「え?」
ルリエル「いや〜ほんと、結界が耐えてくれて良かったよ!どうやってあんなのからみんなを守ればいいんだって話だし」
ギンコ「結界魔法に対して、思うところは無いんですか……?」
ルリエル「そりゃあるよ!でも、今はメグちゃんの救出を最優先にしようって決めてるから!」
ルリエル「今のルリに再生の権能は無いし、あなた達が死んじゃったらメグちゃんを助ける手段が減っちゃうもん!」
ルリエル「他の天使達は、人間に復讐することに躍起になって手伝ってくれそうにないし……う〜んやっぱり最初のラッパのせいかな?」
ルリエル「ルリがラッパに込めた怨念みたいなものが、みんなにも伝播しちゃったとか?」
260
:
名無しで叶える物語◆Wbr8PaHq★
:2025/09/07(日) 22:09:33 ID:???00
ギンコ「……多分、特殊なのはルリエルさんの方だと思います。あんな酷いことをされたのに、私達に対してフラットに接してくれるなんて……」
ルリエル「それはきっと、ルリノちゃんの記憶がルリの中に共存してるからかな」
ルリエル「この子はシスターとして、たくさんの人間の懺悔を聞いてる」
ルリエル「人間の弱さも醜さも知った上で、それを広い心で受け入れてきた。そんな記憶のお陰で、ルリも少しは人間を受け入れやすくなったのかも」
ギンコ「ルリエルさん……」
カホ「あっ!!!」
ギンコ「びっくりした……!なんなん?」
カチマチ『カホさん、どうしたんですか?』
カホ「街の周りが、炎で囲まれちゃってる……!」
コズエ「!!」
結界のお陰で、炎は街の中にこそ入らなかったものの、外との境界には数十メートルにも渡る分厚い炎の壁ができ、街を360度取り囲っている。
カホ「これじゃあ街から逃げることも、外からの援軍も入って来れないよ!」
コズエ「っ!ドラゴンとの戦いで街の冒険者はほとんど亡くなってしまったのに……そんな状況で、私達だけで対処しないと行けないなんて──」
261
:
名無しで叶える物語◆Wbr8PaHq★
:2025/09/07(日) 22:10:44 ID:???00
✨キラキラ
コズエ「!!」✨ピカーン!
カチマチ『わっ!?』ビクッ
カホ「またさっきの光!?」
コズエ「大丈夫よ。保存魔法は常に発動してるから」🔥シュー
ギンコ「服は燃えてますけど……」
コズエ「それは仕方がないわね。でも、ギンコさんが作ってくれた耐火スーツを中に着ているから、問題ないわ」🔥パンパン
カホ「問題ありますよ!コズエちゃんの服、いつもボロボロになるからもう残り少ないんですよ!」
コズエ「ん……それは、ごめんなさい……」
コズエ「でも、それを考えるのは今日という日を生き残ってからよ!」
コズエ「ラッパはまだあと5つもある。結界がある程度守ってくれることはわかったけれど、一刻も早く天使達を止めないと──」
???「残念だが、お前ら人間が最後のラッパまで拝むことは無い」
「「!!!」」
ルリエル「ミカエル……さん……」
ミカエル「……」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
262
:
名無しで叶える物語◆Wbr8PaHq★
:2025/09/07(日) 22:12:55 ID:???00
天使「ありゃりゃ〜第二のラッパは防がれちゃったか。あれが決まってれば一発だったのに……」
美しい金髪を短く切りそろえた天使が、残念そうに空を見上げている。
それは第三のラッパ吹き。
律儀に順番を待っていた彼女は、虚空から自らに授けられた神器を召喚する。
天使「でもいっか!あたしのやつの方が、人間の苦しむ姿はたくさん見れそうだし♡」
天使「第三のラッパ『毒の霧』。あたし達が味わった苦しみ、100倍にして返してやる」🎺
天使「そして、転生することすらできなかったお姉ちゃんたちの分まで……」
ツヅリ「あ、見つけた」
天使「!!人間……」
263
:
名無しで叶える物語◆Wbr8PaHq★
:2025/09/07(日) 22:15:01 ID:???00
ツヅリ「それ、ラッパだよね?」
天使「正解〜あんた達に天罰を与えるために作られた、天使の最終兵器で〜す」
天使「死にたくなければ、今からしばらく息を止めてた方がいいよ〜7日間くらい♡」
ツヅリ「それは難しい……ボクは魚じゃないから」
天使「あは♡じゃあ次は魚に生まれ変われるように祈っとくんだね〜」
ツヅリ「え、魚……魚は好きだけど、生まれ変わるなら猫がいいな……」
ツヅリ「──あれ?なんで猫がいいんだろう?ボク、猫なんて飼ったことないのに」
ツヅリ「でも、猫ってかわいいよね。君もそう思う?」
天使「……」
天使(なに、コイツ……これから殺すって言ってるのに、まるで危機感がない。変なやつ)
天使「ま、せいぜい猫になれるように願っておきなよ。じゃあね〜♡」🎺フワー
ツヅリ「うん。そうする──ん?何か忘れてるような……」
264
:
名無しで叶える物語◆Wbr8PaHq★
:2025/09/07(日) 22:17:40 ID:???00
ツヅリ「あ、そうだ」
⏱カチ
ツヅリ「ラッパ持ってるから殺すんだった」🗡
天使「────え」ツー
ブシャーー!!!
🎺カラン…
それは、余りにも一瞬の出来事だった。
突然、天使の首がボールのように転がり落ち、彼女が持っていたラッパも同時に地面に落下した。
空中には、首のない天使の体がゆっくりと空に向かって浮上していく。
ツヅリ「えっと、命令はラッパを持ってる天使の排除だよね?ラッパはどうするんだっけ?」
ツヅリ「あーあー聞こえますか。ラッパはどうすればいいですか?」🔯
ツヅリ「かいしゅう?壊さないの?」
ツヅリ「……わかりました。終わったら持ち帰ります」
ツヅリ「……」🎺
ツヅリ「結構大きい……どうやって持ち歩こう……」
ツヅリ「ん?」🎺ポワー
ツヅリ「急に光だした……もしかして、他のラッパに反応してる?」
ツヅリ「これならラッパ探しが楽になりそうだ」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
265
:
名無しで叶える物語◆Wbr8PaHq★
:2025/09/07(日) 22:19:30 ID:???00
メグミ(びっくりした……まさかドラゴンのブレスが可愛く思える日が来るなんて……)
エリ「結局防がれちゃったけどね。結界魔法、天使を実験台にして作った魔法で……」グッ…
メグミ(るりちゃん……)
エリ「ルリじゃないってば。それで、話をしようってどういうこと?」
エリ「言っとくけど、変なこと考えても無駄だよ。今のあなたは精神体、思考は全部私に筒抜けだから」
メグミ(え〜メグちゃんの頭の中が丸裸ってこと?恥ずかしい〜☆)
エリ「…………」
メグミ(……別に、悪巧みしてるわけじゃないよ。あなたが考えてること、抱えてるものを、ちゃんと知りたいと思っただけ)
エリ「嘘……ではないみたいだね」
メグミ(聞かせて。あなたはどうして人間を憎むの?)
エリ「そんなの、さっき記憶で見てわかったはずだよ」
メグミ(確かに、私が封印された後のこと、色々知れたよ。るりちゃんや仲間が酷い目にあってたことも)
エリ「だったら、今更話すことなんて──」
266
:
名無しで叶える物語◆Wbr8PaHq★
:2025/09/07(日) 22:22:00 ID:???00
メグミ(それでも、ちゃんとあなたの言葉で聞きたい。起きた出来事じゃなくて、それを受けてあなたがどう感じたのか。何が辛かったのかを)
エリ「……話して何になるの?」
メグミ(言ったでしょ。私が聞きたいだけだって。どうせ私いま何もできなくて暇だから、話し相手になってよ)
エリ「はぁ……仕方ないなぁ」
エリ「辛かったことなんて、そんなの決まってる。お城の地下で見たお姉様達の姿……目を逸らしたくなるくらい、酷い状態だった」
エリ「人間があんなことすると思わなかった!住む場所は違っても、人間と同じ姿をした天使を、平然と殺すなんて……」
メグミ(あなたにとっては、その後にされたことよりも、仲間を傷つけられたことの方が辛かった?)
エリ「そうだよ。石を投げられようと、体を燃やされようと、そんなのどうでもよかった」
エリ「お姉様が傷つけられて、天国にいた他の仲間も、同じような目にあってるかもしれない。それが一番辛かった」
メグミ(……やっぱり、るりちゃんは優しいね。自分のことより、他人が傷つくことに心を痛めてたんだ)
エリ「だから、人間は全員殺す──」
メグミ(そう!そこなんだよ!)
エリ「え?」
267
:
名無しで叶える物語◆Wbr8PaHq★
:2025/09/07(日) 22:25:38 ID:???00
メグミ(急に飛躍しすぎじゃない!?天使を騙して攻撃してきたのって、当時の王国の人……もっと言えば、あのルシファーとかいう男でしょ?)
メグミ(それなのに、急に恨みの矛先が全人類になってるのおかしいでしょ!)
エリ「……人間なんて、どうせみんな同じだし……」
メグミ(嘘だね!私が目覚めてからは、私と同じものを一緒に見てたんでしょ?だったら、人間も十人十色だってわかったはず)
エリ「……」
メグミ(あなたがそんなにヤケになって人間を嫌うのは、仲間を傷つけられたからだけじゃない。他にも理由はあるんだよ!)
エリ「別に、そんなのないよ……」
メグミ(いいやあるね!メグちゃんの直感があると言ってる!)
エリ「っ!あったところで何!?さっきも言ったけど、私を改心させたって、他の天使たちは止まらないよ!」
メグミ(そんなこと考えてない!私はあなたを救いたいの!)
エリ「私を……救う?」
メグミ(あなたはずっと、復讐の二文字に囚われて苦しんでる。きっと、自分でも何でそんなに人間が憎いのか、ちゃんとわかってないんじゃない?)
エリ「!そんなことは──」
メグミ(別にいいんだよ。自分の感情を上手く言葉にするのって、難しいから)
メグミ(でもね、だからこそモヤモヤした感情を言葉にできると、少しだけ心が軽くなるの)
エリ「感情を、言葉に……」
メグミ(さあ、一緒に探そう?あなたの感情を表現できる言葉を)
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
268
:
名無しで叶える物語◆yp99kcM7★
:2025/09/07(日) 23:19:10 ID:???00
まさかの説得
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板