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【ss】侑「北海道に行くよ!」※ホラー注意

1名無しで叶える物語◆Ar2UvHKC★:2025/01/17(金) 17:45:09 ID:???Sd
歩夢「自然を交えた曲作り?」

侑「うん!次はエマさんみたいな大自然豊かなイメージの曲を作ろうと思っているんだ」

侑「だから今度の休みに北海道に行ってくる!」

しずく「北海道ですか!?」

侑「うん、よりリアリティに作りたいからね。北海道の川上郡ってところに行ってくるよ!」

かすみ「どこですかそれ」

侑「釧路の近くのすごい田舎なんだ〜。きっとお魚も美味しいんだろうな」

かすみ「羨ましいです!」

しずく「作品に対するリアリティを追求する姿勢…見習わなくては!」

歩夢「けど北海道って危ないんじゃ…熊とか出るし」

侑「そんなの滅多に会わないって笑」

歩夢「心配だなぁ、気をつけてね」

侑「うん!」

227名無しで叶える物語◆m8n4WBu5★:2025/03/22(土) 13:24:10 ID:???00
ヤバいな

228名無しで叶える物語◆Wo3P19GK★:2025/03/22(土) 19:03:00 ID:???Sd
かすみ「こんな所で無くなったらかすみんたち終わりですよ!」

愛「標茶町までは行けると思うよ。けどそこから帰ってくるまではきついかも」

璃奈「向こうでガソリンを拝借しよう。町は機能してると良いんだけど」

エマ「だと良いね……」





30分後、標茶町に着いた一行。

エマ「住民の人たちが見えないね」

愛「とりまガレージ見つけて止めますか」

かすみ「あれ、あの建物見てくださいよ」

歩夢「どうしたの?」

かすみが少し興奮したように傍にあった建物……というより大きな施設を指差す。

愛「ん………あはは、天王寺研究所って書いてあるじゃん」

璃奈「私の苗字珍しいのにこんな所で見かけるなんて」

歩夢「そんな事言ってる場合じゃないよ!町の人を取りあえず探そう」

229名無しで叶える物語◆Wo3P19GK★:2025/03/22(土) 19:06:11 ID:???Sd




ツゥーン……

かすみ「うえっ!なんか臭いませんか?」

歩夢「この町に入ってからだよね。何か腐った臭い」

5人が標茶町に入ってから肉の腐った臭いが彼女らを不快にさせていた。
その元凶に璃奈が一番早く気づいた。

璃奈「あ……前見て」

かすみ「へ?」

愛「うわぁ……!」

璃奈「うっぷ」

歩夢「な……な………」

エマ「………」

そこにはかつて侑が見た人間の死体の山が築かれていた。
人の死体を初めて見る「4人」は嫌悪から嘔吐感と懸命に戦っていた。

エマ「この町はヒグマに支配されてるらしいね」

歩夢「な、んでこんな事を………?」

エマ「ヒグマの習性でこんなことありえない。明らかに楽しんでやってる」

璃奈「………」

璃奈が嗚咽を堪えながらタブレットを見ていた。

230名無しで叶える物語◆Wo3P19GK★:2025/03/22(土) 19:20:46 ID:???Sd
璃奈「300m先にヒグマが2体」

歩夢「!!」

エマ「今鉢合わせたくないな……」

かすみ「ど、どうします!?」

愛「一旦降りるという手もある」

かすみ「危険じゃないですか?」

エマ「今のガソリンの残量じゃ闇雲に移動しても燃料が勿体無い。一度降りて建物の中に引き篭もるのもいい手だと思う」

愛「よし…そこの民家に逃げ込もうか」

愛はレンタカーを180度回転させ、いつでも標茶町から出られるように駐車した。

そして5人は最大限注意を払いながらレンタカーを降りて近くの民家に移動する。

231名無しで叶える物語◆Wo3P19GK★:2025/03/22(土) 19:27:35 ID:???Sd
璃奈「……!」

住居の持ち主は年寄りなのか居間には丸テーブルが置かれており新聞紙も上に置いてあった。

かすみ「これ2日前の新聞ですよ!」

エマ「2日前までは普通の日常だった……」

愛「何が原因でヒグマが暴走し始めたんだろう」

璃奈「あの異常個体のヒグマが2日前から活動し始めた?ありえない。歩夢さんは5歳の時にアイツに出会ってる」

かすみ「その時は見間違いとかありませんか?あまりの恐怖で……」

歩夢「ありえないよ。アイツは確実にあの時笑ってた」

エマ「……確かに色々気になるけど今は侑ちゃんを優先しよう。璃奈ちゃん、ドローンの様子はどう?」

232名無しで叶える物語◆9VZk6QvB★:2025/03/23(日) 00:02:19 ID:???00
怖い

233名無しで叶える物語◆dKCVYvp0★:2025/03/30(日) 12:07:11 ID:???Sd
璃奈「この周りは大丈夫だよ。2頭のヒグマもあの場所から動いていない」

歩夢「侑ちゃん……」

愛「大丈夫だって。ゆうゆなら安全な所で隠れていると思うよ」

かすみ「そうですよ!あの侑先輩なんですから!」

歩夢「け、けど夏休みの時かくれんぼですぐ彼方さんに捕まってたし……」

エマ「あったね〜そんな事も」

愛「あの時果林が血走った目でエマッちを追いかけてたのが凄い笑ったよ」

璃奈「……愛さんも人のこと言えない」

かすみ「りな子ばっかり追ってましたもんね愛先輩」

愛「ちょ、かすかす変なこと言わないでよ!」

かすみ「かすかすじゃなくてかすみんです!!」

234名無しで叶える物語◆dKCVYvp0★:2025/03/30(日) 12:07:53 ID:???Sd
愛「と、とにかくゆうゆはまだ無事だって!皆で生きてまたニジガクに戻るんだ!」

歩夢「そう……だよね。皆ありがとう」


「あ……あ゛り゛がどう゛」


エマ「ッッッ!!??」

木の扉の向こうから不気味な声が聞こえてきた。
全員の顔が蒼白に変化する中エマだけは動こうとしたが……。
バキィ!!!と木の扉が恐ろしい速さで「倒された」
ドアの倒れた先にはエマがおり、30キロの塊が頭上に降りかかる。

エマは咄嗟に腕で防ぐも地面に押し倒された。
ドアの向こうからは体長1.5mほどの小柄なヒグマが姿を現した。


かすみ「ひ……あ…………」


皆恐怖で固まる中、愛が動いた。

愛「おらぁぁぁぁぁ!!!!!!」

渾身の力でヒグマにタックルしたのだ。
だがヒグマは岩のように頑丈でピクリとも動かない。
しかし愛に注意を向けたヒグマは彼女に向かって突進した。

愛「はっ!!」

愛は壁を蹴りバク転し回避した。


「あ゛お゛!!!」


ヒグマは続けて硬直するかすみに近づき爪を振りかざした。
ザシュッ!!!と人智を超えた筋肉から繰り出される引っ掻きがかすみの肉を容易く抉る。


かすみ「ぎゃあああああああ!!!!!!」

235名無しで叶える物語◆aTQhhHLD★:2025/03/30(日) 12:10:01 ID:???00
愛さんすげー

236名無しで叶える物語◆euiQ0O1o★:2025/03/31(月) 00:09:12 ID:???00
かすみちゃんが

237名無しで叶える物語◆1tiTegXN★:2025/03/31(月) 20:21:45 ID:???00
希望が見えない……

238名無しで叶える物語◆dKCVYvp0★:2025/04/02(水) 18:12:51 ID:???Sd
歩夢「かすみちゃああああん!!!!!!」

歩夢が今まで聞いたことないような悲鳴をあげる。
右肩から腹の部分まで服ごと裂かれかすみは悶えていた。

ヒグマは追撃の手を緩めない。
悲鳴を上げるかすみにのしかかったのだ。

かすみ「かっっ!!!?」

小柄なヒグマとはいえ体重は100キロを超える。かすみの小さな体はいとも容易く押し倒される。

それからは自然の摂理か……ヒグマはかすみの喉元に喰らい付いた。

ヌヂャッとした音と共にかすみの皮膚が食いちぎられていく。

かすみ「がぁぁぁぁ!!!!!!」

いつもの可愛らしいかすみから発せられているとは思えないまさに断末魔のような叫び声に歩夢と璃奈は呆然と震えることしかできなかった。


愛「やめろ!!!!」


愛だけはヒグマを後ろから蹴ったり叩いたりしているが岩のような皮膚に全く歯が立たない。

239名無しで叶える物語◆dKCVYvp0★:2025/04/02(水) 18:20:59 ID:???Sd
ズガァンズガァン!!!!!


2発銃声が鳴る。
エマが苦悶の表情を浮かべながらヒグマに銃撃したのだ。
ヒグマは頭と心臓にそれぞれ1発ずつ被弾し、ぐったりと倒れた。


愛「か、かすみん…」

璃奈「ま、待ってて、今応急キットを出す………」

歩夢「……あ」

エマ「(これは……)」

エマはかすみの傷の深さに絶句していた。
ヒグマはかすみの喉をしっかりと噛みちぎっており、中の血管まで見えてしまっていた。

当然出血も止まらない。

エマ「っっ!!」ズキッ

エマの右腕に激痛が走る。
先ほど降り注ぐドアから頭を守るために使った右腕が折れていたのだ。

だが今はかすみの方が優先度が高い。

エマ「バスタオル持ってくる!愛ちゃんも一緒に探して!」

愛「う、うん!」

240名無しで叶える物語◆aTQhhHLD★:2025/04/02(水) 18:23:12 ID:???00
かしゅみん😭

241名無しで叶える物語◆euiQ0O1o★:2025/04/02(水) 22:54:06 ID:???00
か、、、、かすみちゃん

242名無しで叶える物語◆dKCVYvp0★:2025/04/03(木) 18:32:41 ID:???Sd
璃奈「あ」

愛「どしたりなりー!!」

璃奈がタブレットを見て硬直していた。
すぐにかすみを助けるために動かなければならなかったが、璃奈の青ざめた顔を見て愛は反射的に声をかけたのだ。

璃奈「ドローンからの情報。200m以内にいるヒグマが3体明らかにこちらに向かってきている」

愛「3体!?」

歩夢「そんな……」

エマ「……」

璃奈「おそらく先ほどの銃声が原因だと……」

エマ「(残り弾数は9発…やれなくなないけど)」


かすみ「ヒュ~…ヒュ~」


かすみは朦朧としながらもまだ呼吸している。
病院が機能していれば助かもしれない。

エマ「(かすみちゃんを連れてすぐに釧路に戻るか……けどあのガソリン量じゃ)」

243名無しで叶える物語◆dKCVYvp0★:2025/04/03(木) 18:50:44 ID:???Sd
歩夢「病院に連れて行こうよ!確か東に大きな病院があったよ!」

愛「お医者さんなんてもう居ないって!車全力で飛ばして釧路まで戻った方がいいよ!」

璃奈「けどかすみちゃんはこのままだと死んじゃう。ガソリンも持つか分からない状態だし……せめて治療器具さえあれば私でも何とかなるかもしれない」

愛「りなりー……」

エマ「(もちろんその方法もかなりリスクが高い。院内にもヒグマはいるかもしれないし何しろ辿り着けるかも不明)」

エマ「(どうしよう……)」

ここからは分岐になります。
安価で5人の運命が決まります。

1.病院に行く

2.車に戻り釧路を目指す

>>246

244名無しで叶える物語◆aTQhhHLD★:2025/04/03(木) 19:34:57 ID:???00
1

245名無しで叶える物語◆KPAqmsKA★:2025/04/03(木) 19:54:26 ID:???00


246名無しで叶える物語◆T7yB6jov★:2025/04/04(金) 07:45:01 ID:???00
1

247名無しで叶える物語◆dKCVYvp0★:2025/04/04(金) 09:16:11 ID:???Sd
エマ「病院へ行こう」

愛「エマっち……」

エマ「やっぱり釧路まではガソリンが足りないと思う。かすみちゃんがそれまでもつかも分からないし30分以内に病院に連れて行こう」

愛「あいあいさー!そうと決まれば歩夢と私でかすみんを出来るだけ揺らさずに運ぼう」

歩夢「分かった!」

エマ「私が先頭に立つから璃奈ちゃんはドローンで周りの様子を伺って」

璃奈「来る!」

歩夢「へ?」

バリィィィィィィン!!!!

愛「うわっ!?」

横の窓からヒグマがタックルするように部屋に雪崩れ込んできた。

「ご、ごン゛にぢワ゛…」ニヤニヤ

璃奈「ひっ……」

エマ「……」ガチャン

エマは冷静にその個体の頭部を撃ち抜く。
ズガァン!!と銃声が響きヒグマは笑顔のまま横たわった。

エマ「行こう!!」

248名無しで叶える物語◆dKCVYvp0★:2025/04/04(金) 09:26:17 ID:???Sd
歩夢「ハァハァ……」

愛「ハァ…ハァ…かすみんもうちょっと耐えてね!」

璃奈「………」

エマ「璃奈ちゃん?」

璃奈「タブレットを見てた。こちらに来ていた後二体が私達の乗っていた車を襲撃してる」

愛「な……!?」

愛がタブレットを横目で見ると二体の大柄なヒグマがレンタカーのタイヤを爪でパンクさせていたのだ。

エマ「帰りは別の車を探さなきゃ……」

璃奈「っ!!そこの電柱の右から2mサイズのクマが来る!」

エマ「下がってて」

249名無しで叶える物語◆dKCVYvp0★:2025/04/04(金) 12:16:17 ID:???Sd
「あばぁ!!!」

ヒグマは涎を垂らしながら角から現れた。
距離は4m。
普段のエマであれば当たる距離であったが……。

エマ「っ!!!」ズキッ!

右腕に激痛が走る。
先ほどヒグマが薙ぎ倒してきたドアから身を守った影響で骨折していたのだ。

ズガァン!!!

ヒグマを目掛けて発砲するも外してしまった。

愛「エマっち!?」

「わ゛ぁ!」

ヒグマは発砲音に驚いたのか凄まじい速度で逃げていった。

歩夢「もしかして腕痛いんですか?」

歩夢が心配そうに尋ねる。

エマ「うん、多分さっきので折れちゃったんだと思う」

璃奈「……病院に急ごう」

愛「だね、かすみんとエマっち治さないと」

歩夢「(願わくば侑ちゃんも病院にいるといいんだけど……)」

250名無しで叶える物語◆RRfOS6yj★:2025/04/10(木) 20:06:39 ID:???Sd
〜標茶町立病院入り口〜

愛「よし、着いた!」

璃奈「えーと、外科は……2階だ」

歩夢「(大きい病院……)」

プス……プス………ガシャン!!

璃奈「!!」

エマ「ドローンが落ちてきたよ!?」

璃奈「むむ……充電はまだ保つと思ったのにおかしいな」

愛「ガソリンの件と言いおかしな事ばかりだね」

璃奈「仕方ない……一応回収して中で充電できるか試そう」

251名無しで叶える物語◆RRfOS6yj★:2025/04/10(木) 20:07:22 ID:???Sd
一行は足音をなるべく立てずに院内を移動する。
内部はやはり荒らされ、場所によっては血溜まりになっているところもあった。
しかし運良くヒグマには出くわさず外科手術室に辿り着けた。

愛と歩夢はかすみを手術台に置く。

かすみ「………」

愛「起きろかすみん!!!」

歩夢「ど、どうしよう……かすみちゃんがほとんど呼吸していない」

璃奈「……兎に角輸血しよう」

璃奈も自分で言っていて内心パニックになっていた。
かすみの反応が先ほどより明らかに悪くなっている。
かすみの血液型は知っていたため急いでエマと血液保管室を探す。
だがかすみのタイムリミットが刻々と近づいてくる。

252名無しで叶える物語◆RRfOS6yj★:2025/04/10(木) 20:07:43 ID:???Sd
璃奈「(ダメだ……仮に血液を探せたとしてその次は?)」

璃奈「(動脈は無事だと願ってたけど血が止まらない。皮膚移植も必要だし神経も繋ぎ合わせないとダメだ)」

璃奈「(そんな器具を後数分で探してかすみちゃんを助ける?)」

璃奈「(死んじゃう、かすみちゃんが死んじゃう)」

璃奈「どうしよう……」ポロポロ

エマ「Non piangere! !」

璃奈「っっ!!」ビクッ

エマ「諦めたらダメ…最期まで」

253名無しで叶える物語◆RRfOS6yj★:2025/04/10(木) 20:08:22 ID:???Sd
「なんの騒ぎ?」

歩夢「っっ!!」

愛「わっ!!」

一向にもうダメだという絶望感が走った時、入り口から女性の声が発せられた。

四人は驚き振り返る。

そこには20代後半程の赤髪の女が立っていた。
医者だろうか白衣を着ており髪をクルクルと回しながらかすみを見た。

「ふーん、なるほどね」

璃奈「お医者さん?お願い、かすみちゃんを助けてほしい」

「えぇもちろん」

璃奈「え」

「何を驚くの?私は医者だもの。ほらそこをどいて」

愛「う、うん……」

254名無しで叶える物語◆RRfOS6yj★:2025/04/10(木) 20:10:05 ID:???Sd
医者の女は部屋の中を無駄なく動き璃奈の欲しかった機械や薬を必要な分すぐにかき集めた。

エマ「………」

突然の来訪者に皆は驚きはしたが相手が医者ということもあり、かすみを救ってくれると信じぶっきらぼうな女に心を委ねていた。

女はかすみに注射を打ったり喉に管を入れ始める。

歩夢「凄い……」

赤髪の女は数分かすみを処置をした後、小走りで別の部屋に移動した。

エマ「何だろう?」

愛「忘れもんかな」

「お待たせ。オペの続きを行うわ」

愛「うわ!」

女が持って来た薬品を見て愛が悲鳴をあげた。
その液体は原色に近い禍々しい「紫」色をしていたからだ。
注射器にその紫の液体を入れてかすみの首元に注射する女。

ここまで10分もかかっていない、まさに神業であった。


「さぁ、あとはこの子次第よ。とにかく私たちは別室に行きましょう?」

255名無しで叶える物語◆FRoGg80b★:2025/04/10(木) 20:24:46 ID:???00
レジェンド来た!

256名無しで叶える物語◆gok2xnY1★:2025/04/11(金) 08:03:43 ID:???00
安心感がすごい

257名無しで叶える物語◆rxadWwes★:2025/04/11(金) 08:29:59 ID:???MM
まきちゃん

258名無しで叶える物語◆RRfOS6yj★:2025/04/11(金) 11:46:46 ID:???Sd
「ふんふん♩」

璃奈「……」

赤髪の女はかすみが寝ている隣の部屋に4人を集めて紅茶を淹れていた。
それぞれの下に紅茶が行き渡る。

愛「あ、ども」

歩夢「ありがとうございます」

「気にしないで。長旅で疲れたでしょう?」

エマ「……何故長旅だと?」

璃奈「!」

「あなた達虹ヶ咲のスクールアイドルでしょう?」

歩夢「私たちのこと知ってるんですか!」

「もちろん。ラブライブには出てなかったけどお台場を巻き込んでアイドルイベントやったりと有名だもの」

愛「北海道の人にも知れ渡ってるなんて嬉しいね」

璃奈「うん」

真姫「紹介が遅れたわね…私は西木野真姫。見ての通り医者をしてるわ。この標茶町には三年滞在中よ」

璃奈「真姫さん、かすみちゃんを治療してくれてありがとう。ところで……」

真姫「今のこの町がどうなってしまってるか……よね。いいわ、話してあげる」

259名無しで叶える物語◆0qWA9FAL★:2025/04/12(土) 01:49:18 ID:???Sa
メキチェン!

260名無しで叶える物語◆vWUgdltR★:2025/04/20(日) 17:25:32 ID:???Sd
真姫「この町がパニックになったのは2日前からね」

エマ「!」

真姫「突然キモチワルイ笑顔のヒグマが何十頭と徒党を組んで町を襲い始めたの。普通のヒグマではあり得ない異常な行動に住民はほとんど対応できなかった」

真姫「もちろん猟師も多いから迎え撃った人もいたけど……アイツらは事前にそういった家を知っていたのかそこを襲う際は何匹も引き連れて向かったらしいわ」

真姫「外部に助けを求めようとも何故か通信ができない。車で逃げようにもどの車もガス欠で動かない。イミワカンナイ」

璃奈「私のドローンもすぐに充電が切れた」

愛「レンタカーもガス欠したよ」

真姫「そう。それに生身で外に出ようとした人間は悉くヒグマに殺されたわ」

真姫「人がどの道から逃げるかも知っているようだった。出入り口付近に待ち伏せてるヒグマが誰も逃さなかった」

真姫「今も生き残りはいるでしょうけど……みんな食料が尽きるまで施設に引き篭もるしかない感じよ」

261名無しで叶える物語◆vWUgdltR★:2025/04/20(日) 17:26:04 ID:???Sd
歩夢「助けとか来ないんですか?」

真姫「いずれは来るでしょう。一応釧路や弟子屈方面の道が塞がれてるわけじゃないし。けどヒグマに襲われてる異常事態とは思わない。多分次来る集団も同じ様にやられるでしょうね」

エマ「随分アナタは冷静ですね」

真姫「う〜ん?そう見えるかしら。これでも怯えているわよ」

歩夢「あ、あの!こういう子見ませんでしたか!?」

歩夢はスマホで侑の写真を真姫に見せる。

真姫「…………」

璃奈「………!!」

真姫「ごめんなさい。見てないわね」

歩夢「そう、ですか………」

愛「ゆうゆも何処かで避難していると良いんだけど……」

璃奈「………」

262名無しで叶える物語◆vWUgdltR★:2025/04/20(日) 17:26:42 ID:???Sd
歩夢「あれ、充電がもう10%しかない!」

愛「この地区はバッテリーが減るのが早いのかな」

真姫「今年の6月くらいから異様にバッテリーもそうだけどガソリンとかエネルギー関係の消費が早いのよね。ここ最近特によ」

エマ「そんなことあるの?」

真姫「さぁ?クマが笑って人を襲うんだから何が起きても驚かないけど」

璃奈「……」

真姫「で、アナタ達はどうするの?ここにいてもいずれヒグマは来ると思うけど」

愛「どうするって……」

璃奈「エマさん。銃弾は残り何発あるの?」

エマ「7発。結構使っちゃったな……」

璃奈「むむむ」

263名無しで叶える物語◆W487rDwz★:2025/04/20(日) 17:34:42 ID:???00
これあとどれくらいかかるの

264名無しで叶える物語◆vWUgdltR★:2025/04/20(日) 17:37:44 ID:???Sd
真姫「その子を町中探すのはあまりおすすめしないわね。そもそもアナタ達は標茶町入り口付近のこの病院に来るだけでへとへとなんだし」

歩夢「けど……」

愛「真姫さんはどうするの?」

真姫「私は医者だからね。最後の1人が助けを求めて病院の門を叩くまで院内にいるわよ」

歩夢「真姫さん……」

エマ「どのみちかすみちゃんが動けないんだからここを拠点にするしかない」

愛「確かに…なら」

璃奈「動きやすいように一部のメンバーだけで侑さんを探そう」

エマ「銃を扱える私は行かないとだね……」

愛「けどエマっち腕折れてるじゃん!!」

歩夢「銃の撃ち方を教えてエマさん!私達も戦えます!」

エマ「けど……」

璃奈「行くならツーマンセルがいいと思う。組み合わせどうしよっか?」

1エマ、愛
2エマ、璃奈
3エマ、歩夢
4璃奈、愛
5璃奈、歩夢
6愛、歩夢

選ぶメンバーによって生死が決まります。

>>265

265名無しで叶える物語◆m9x4AYjo★:2025/04/20(日) 18:33:36 ID:???Sd
1

266名無しで叶える物語◆8RaefDYS★:2025/04/20(日) 19:02:19 ID:???00
ひえっ…😨

267名無しで叶える物語◆vWUgdltR★:2025/04/20(日) 20:08:39 ID:???Sd
エマ「ダメ。今教える時間は無いし、始めたてでヒグマを相手に撃てるか分からない」

歩夢「そんな!」

エマ「銃弾も少ないからやっぱり私が行くよ。真姫さん、痛み止めとかありますか?」

真姫「初診の方ですか?保険証とお薬手帳をお持ちでしょうか?」

エマ「……」

真姫「冗談よ。湿布も貼ってあげるからこっちに来なさい」

エマ「はい」

愛「あと1人……は愛さんが行くよ」

歩夢「な、なんで!?侑ちゃんは私が……」

愛「歩夢の気持ちも分かるよ、最愛の幼馴染だもんね。けどエマを除いたメンバーでヒグマ相手にも動けるのは私だと思わない?」

歩夢「う……」

璃奈「歩夢さん、侑さんの帰りを待とう。歩夢さんにもしもがあったら侑さんが……」

歩夢「分かったよ…お願い愛ちゃん。侑ちゃんを助けてあげて」

愛「任せなさい!」

268名無しで叶える物語◆vWUgdltR★:2025/04/20(日) 20:09:16 ID:???Sd
璃奈「愛さん、少し良い?」チョイチョイ

愛「どしたー」

璃奈「あの…落ち着いて聞いて欲しいんだけど」

愛「?」

璃奈「あの真姫さんって人。何か隠してるかもしれない」

愛「なんでそう思うの?」

璃奈「歩夢さんがさっき侑さんの写真を見せた時。真姫さんの瞳孔が開いた」

愛「マジか。愛さんは全く気づかなかったよ」

璃奈「私は自分の表情は上手く作れないけどその分周りの人の顔をよく見てきた。だから些細な顔色の変化に気が付きやすいんだ」

愛「瞳孔開いただけでしょ。ゆうゆの事がタイプだったんじゃない?」

璃奈「た、確かに侑さんは可愛いけど」

愛「あっはは!分かったよ。頭に入れておく」

269名無しで叶える物語◆vWUgdltR★:2025/04/20(日) 20:10:11 ID:???Sd
璃奈「愛さんはこんな状況でもいつも通りだね」

愛「こんな状態だからこそだよ。困難な状況でで気分がブルーなままだと物事うまく行かないよ!かすみんが死んでたら流石に言えないけどさ……まだゆうゆも、かすみんも頑張ってるんだ。前向きに行こうぜ!」

璃奈「分かった。私は私で真姫さんについて探ってみるよ」

愛「……無理すんなよりなりー」

璃奈「うん、愛さんこそ気をつけてね」


璃奈「こんな状況だからこそジョークを言う、か……」

歩夢「璃奈ちゃんどうかした?愛ちゃんと話してたけど」

璃奈「実は……」
.
.
.
歩夢「真姫さんが怪しい?」

璃奈「う、うん」

歩夢「仮にそれが本当だとして……侑ちゃんの事知ってるならどんな手使ってでも吐かせるよ」

璃奈「(い,言わない方が良かったかも)」

歩夢「で、まずどんな方法で真姫さんに探りを入れよっか?」

璃奈「(困難な状況こそジョークを飛ばす……)」

璃奈「あ、歩夢さんが色仕掛けするとか」

歩夢「は?」

璃奈「ご、ごめんなさい……」

270名無しで叶える物語◆vWUgdltR★:2025/04/20(日) 20:19:11 ID:???Sd
その後璃奈はエマにも真姫を怪しく思っている話をした。

エマ「うーん……なら闇雲に探すよりここで張った方が」

璃奈「私の勘違いの可能性もある。私の勘違いで侑さんをこれ以上危険に晒すわけには…」

エマ「分かったよ。ま、個人的に気になってた場所もあるしね……」

璃奈「そうなの?」

愛「エマ!もう行けるよ」

エマ「了解!じゃあ璃奈ちゃん。行ってきます!」

璃奈「行ってらっしゃい」

271名無しで叶える物語◆8f6fxBb4★:2025/04/20(日) 20:20:51 ID:???Sd
死なないで😭

272名無しで叶える物語◆8RaefDYS★:2025/04/20(日) 20:28:07 ID:???00
がんばえー

273名無しで叶える物語◆vWUgdltR★:2025/04/21(月) 16:36:32 ID:???Sd
エマ「ふぅ〜、行こっか」

愛「エマっちさ、何か調べたいところあるんだっけ?」

エマ「うん……流石にこの町中を闇雲に探すわけにもいかないからね」

愛「多分、ここ来るまでに見た研究所でしょ?」

エマ「!!」

愛「やっぱり!こんな異常なヒグマなんて祟か人の手で作られたとしか思えないもんね」

エマ「勿論そこに侑ちゃんがいるかは分からないけど……」

愛「ゆうゆもバイクで釧路から標茶に行くとか言ってたし、多分この町に来てすぐにガス欠になってると思うんだ」

エマ「確かに……」

愛「ならこの町に入る入口付近の建物に隠れてる可能性が高いと思う!研究所も入口近くだし隠れててもおかしくないと思うよ!」

エマ「そうだね!まずは研究所に向かおうか」

愛「ゆうゆは隠れんぼ下手だしすぐ見つかるって!」

エマ「ニジガクに帰ってまた隠れんぼしたいね」

274名無しで叶える物語◆vWUgdltR★:2025/04/21(月) 16:37:57 ID:???Sd
璃奈のドローンが使えない現状、最新の注意を払いながら五感を駆使して進んでいくしかない。

2人はなるべく低い姿勢で物陰から物陰へ素早く移動していく。

エマ「そういえば愛ちゃん腰に刺してるそれは……」

愛「短刀だよ。院内にあったのを拝借してきたんだ。まぁ無いよりはマシかと」

エマ「ヒグマの口の中から喉にナイフを刺して討伐した例もある。役には立つよ」

愛「それマジのギリギリの状況じゃん」

バサバサ!!!

愛「っ!!!」

2人の近くで羽音が聞こえてきた。
音源に視線を向けるとカラスが二頭屋根の上からこちらを見ていた。

愛「か、カラスか……」

エマ「今は些細な音にも敏感になっちゃうね」


「カァァァァ!!!!カァァァァ!!!!」

カラスは2人を見てやけに大きな鳴き声で威嚇してきた。

エマ「……?」

275名無しで叶える物語◆vWUgdltR★:2025/04/21(月) 16:39:13 ID:???Sd
何もしていないというのに威嚇してくるカラスに疑問を抱くエマ。
次の瞬間2匹のカラスが2人に襲いかかって来た。


「カァァァァ!!!!」バサバサ


愛「な、何々!?」

エマ「いたた!!攻撃して来た……!」

カラスは嘴で2人の肉を突き始める。
エマは引き金に手をかけるがカラス相手には銃弾を使いたくは無い。
それに銃声はヒグマに位置を教えてしまう。

愛「………やってやる!」

愛は腰から短刀を引き抜くと近くのカラスに刃を振り下ろした。

短刀は切れ味がよくカラスの頭を一瞬で切り落とす。
もう一頭はエマが素手で握りコンクリートに叩きつけた。

べキィ!!!と鈍い音と共にカラスの頭がトマトの様にひしゃげる。


エマ「何なのこのカラスたち…」

愛「はぁ……はぁ……」ガタガタ

愛は恐怖と初めてここまで大きな生き物を殺してしまった事実に手を振るわせていた。

エマは短刀を握ったまま震える愛の手を握った。

276名無しで叶える物語◆vWUgdltR★:2025/04/21(月) 16:53:57 ID:???Sd
愛「エマ……」

エマ「初めて生き物を殺した時ってそうなるよね。私も初めて鹿を狩猟した時に同じ様になったよ」

愛「エマっちも?」

エマ「うん、大きな鹿をライフル銃で撃ったんだ。けどその鹿は即死しなくて本当に哀れな声で鳴き続けていたの」

愛「……」

エマ「撃ったのは私なのに『助けてあげなきゃっ』って何故か思ったんだよね。けどその鹿はすぐに死んじゃった」

愛「そんな……」

エマ「その日は一睡もできなかったよ。あの鹿の鳴き声が今でも鮮明に思い出せる……けどスイスでは生きるためには生き物を殺さなきゃいけなかった」

愛「!!」

愛「そっか……そうだよね」

愛「今は躊躇してたらこっちがやられちゃう。しかもかすみんとゆうゆを連れて帰らなきゃダメなんだ……愛さん挫けない。ありがとうエマっち、もう大丈夫だから」

エマ「うんうん」

愛「にしても何でカラスは襲って来たんだろう」

エマ「ヒグマと無関係じゃ無いかもしれないね……引き続き慎重に行こう」


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