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「あなたは昔から男の子だよ?」√栞子

1名無しさん@転載は禁止:2021/02/08(月) 17:40:17 ID:DNGC4HfQ
春。
出会いと別れの季節、春。

それはここ、虹ヶ咲学園にも当然訪れる。
三年生は卒業して、新入生が新たに加わる。

それは今までもあったことだし、今更戸惑うこともない。

たった一つだけ、あることを除けば。

歩夢「──どうしたの? 今日は朝からなんだか調子が悪そうだけど……」

侑「あ、あぁ……いや、なんでもないよ、歩夢」

歩夢「ならいいんだけど……何か困ってることとか、悩みごとがあったら、なんでも相談してね!」

幼馴染みの上原歩夢。
自分で言うのもなんだけど、可愛い女の子だと思う。そんな子が幼馴染みだと……羨ましがられるんだ。

そう──特に、今は。

歩夢「そういえば、今日は身体測定があるんだって。『女子』は更衣室使うみたいだけど、間違って入っちゃだめだよ〜」

自分が──女の子から、男の子に変わってしまっている今は。

☆☆☆

侑「はぁ〜〜〜なにがなんだか……」

まさか眠りから覚めたら男の子になっちゃってるなんて……いや、わけわかんないよ。
わけわかんないけど、仕方ないから順応する。

わかっていることは、歩夢とは変わらず幼馴染みであること、自分のことは僕と呼ぶ事、そして一番驚いたのは、ここではスクールアイドル同好会が存在しないこと。

スクールアイドルという文化自体はあるようだけど……。

先生「はい、身長169センチ、体重は57キロね」

侑「ご、57……」

先生「ん? どうしたの?」

侑「いえ……」

女の子の体のときを、かんがえるとちょっとショックだったけど、別にこれくらいが普通、というかちょっと軽いらしい。

むしろ身長はもう少し欲しいくらいだね、なんて言われた。

(むしろ、視線が高くなって変な感じ)

まさか歩夢を見下ろす日が来るとは思わなかった。

(でも、なにはともあれ、だよね)

どんな理屈、ファンタジーで私が男の子になってしまったのかはわからないけど、普通に日常を送らないと。

もしかしたら、そのうち元に戻れるかも……しれないし。

「え〜と、となると気を付けないといけないことは……」

うっかり女子トイレにはいらない、男子のちんちん見えても動揺しない、僕っていうこと、男の子っぽく過ごすこと。

379名無しさん@転載は禁止:2021/04/22(木) 09:07:20 ID:RBbPrjfw
ニーアレプリカントに全ての空き時間を捧げる予定なので、とりあえずは金曜日に。次回更新でくっつくとこまではやりたいですね。

380名無しさん@転載は禁止:2021/04/22(木) 23:59:33 ID:jBd6Fo56
ドラッグオンドラグーンの後の世界のアレね

381名無しさん@転載は禁止:2021/04/26(月) 00:11:19 ID:RTCjYpD2
何か、確信めいたものが欲しかった。
はっきりとした、理由が。

自分からそうだと言うことが、なんだか気恥ずかしくて。

でも、一つだけ気になったことがある。

侑「栞子ちゃん」

栞子「はい?」

侑「僕たちの関係って、なんなのかな」

382名無しさん@転載は禁止:2021/04/26(月) 00:16:11 ID:RTCjYpD2
栞子「……私たちは」

栞子ちゃんが言う。

栞子「学校の、先輩後輩、です」

侑「友達、ではないの?」

栞子「……ともだち」

★★★

そうだと、言ってしまえばいい。
だけど、そうしたらなんだか……もう、それ以上はないような気もして。

栞子「……そうかも、しれませんね」

そんな曖昧な返事をしてしまった。

383名無しさん@転載は禁止:2021/04/26(月) 00:26:07 ID:RTCjYpD2
侑「……だね」

高咲さんも、それを聞いて微笑みました。

★★★

お出かけも、もう終わり。

侑「今日は楽しかったよ」

栞子「それなら良かったです。誘った身でしたので」

侑「……うん。それじゃあね」

栞子「はい……また、学園で」

★★★
帰宅後。

栞子「ふぅ……」

ゆっくりと、お風呂に入る。
心のリラックスは重要です。

栞子「……」

昼間、高咲さんに握られた手の感触を思い出す。
固くて、私の手よりも、一回りも大きくて。

栞子「……あつい」

それはきっと、のぼせてしまったからでし〜。

384名無しさん@転載は禁止:2021/04/26(月) 00:27:22 ID:RTCjYpD2
侑「……だね」

高咲さんも、それを聞いて微笑みました。

★★★

お出かけも、もう終わり。

侑「今日は楽しかったよ」

栞子「それなら良かったです。誘った身でしたので」

侑「……うん。それじゃあね」

栞子「はい……また、学園で」

★★★
帰宅後。

栞子「ふぅ……」

ゆっくりと、お風呂に入る。
心のリラックスは重要です。

栞子「……」

昼間、高咲さんに握られた手の感触を思い出す。
固くて、私の手よりも、一回りも大きくて。

栞子「……あつい」

それはきっと、のぼせてしまったからでしょう。

栞子(高咲さんは、今頃、なにをしているのかな……)

★★★

385名無しさん@転載は禁止:2021/04/26(月) 00:31:31 ID:RTCjYpD2
──オナニーをしていた。

侑「ぅ、ぅ……」

年頃の高校生らしく──心は女子だけれど──ムラムラすれば、することもする。

ただ一つ気がかりがあったのは。

侑(やーば……栞子ちゃんのこと考えながらシちゃった……)

妄想。
栞子ちゃんとのあんなことやこんなことを、勝手に。

飛び散った精子を拭き、賢者モードの頭で反省しつつも。

侑(今日めっちゃ出た……)

どうしてかは、考えなかった。

386名無しさん@転載は禁止:2021/04/26(月) 00:31:50 ID:RTCjYpD2
今回はここまで。また明日。

387名無しさん@転載は禁止:2021/04/26(月) 00:51:15 ID:3uRTpL8A
そりゃ異性とデートしたようなもんだから、相手問わず出るだろう

388名無しさん@転載は禁止:2021/04/26(月) 01:03:01 ID:P7hw/SRw
侑くんが今までの√でオナニーしてる描写がない方が健全な思春期男子としてはおかしかったくらいよな
100%してるだろうけど(歩夢ちゃんのこともオカズにしたこと絶対ある)

389名無しさん@転載は禁止:2021/04/26(月) 01:40:21 ID:RwcezQ/o
栞子の内心も侑の内心もよい
たまらん

390名無しさん@転載は禁止:2021/04/26(月) 08:34:37 ID:dhpZDvqo
手の大きさで男の子を意識するのいいな

391名無しさん@転載は禁止:2021/04/26(月) 23:57:24 ID:RTCjYpD2
侑(……栞子ちゃんも、オナニーとかするのかな)

侑「……」

侑(あ、やべ……また……)

今日は一回じゃ、治まらないや……。

★★★

三船栞子はオナニーをしたことがない。
けれどそれは、決して知識がないからだとか、オナニーがなんなのかわからないという、あまりにも思春期の高校生離れした理由ではなく。

ただただ純粋に、それを恥ずべきことだと思っているからだ。

栞子「……」

正直、性欲はある。
自分で触りそうになったことは何度もある。
だけどその直前で、いつも手を止める。

栞子(……)

392名無しさん@転載は禁止:2021/04/27(火) 00:02:29 ID:gEbVe0lg
たまに、スマホでAVを見るときがある。
どこかの誰かが投稿する、粗い画質の個人動画。
モザイク無しの、男性器。

栞子「……」

興奮もする。
そして想像、妄想もする。

栞子「……!」

何かを考えかけて、頭を振る。

栞子「……寝よう」

明日も、学校なのだから。

★★★

393名無しさん@転載は禁止:2021/04/27(火) 00:08:07 ID:gEbVe0lg
翌朝。

侑(あーあ……結局3回もオナニーしちゃった)

侑(……)

いま会うと気まずいなぁ……。

侑(生徒会行きたくないな……)



栞子「高咲さん、おはようございます」

侑「わぁっ!?」

栞子「ど、どうかしましたか?」

侑「あ、ぁあ、いや。……お、おはよう栞子ちゃん」

394名無しさん@転載は禁止:2021/04/27(火) 00:17:32 ID:gEbVe0lg
なんだか顔を合わせにくい。
それもそうだ、昨日散々オカズにした子だ……気不味くもなる。

栞子「……」

★★★

栞子(……高咲さん、顔を合わせてくれませんでした……)

……私、なにか気に触ることをしてしまったのでしょうか。

栞子「……はぁ……」



かすみ「しーお子っ」

栞子「あ……かすみさん。どうしました?」

しずく「ため息なんてついて、珍しいですね」

璃奈「なにか悩み事?」

栞子「あ……いえ、なんでもないんです」

かすみ「……さては」

栞子「?」

かすみ「高咲先輩と喧嘩でもした?」

栞子「ど、どうして高咲さんが出てくるのですか……?」

かすみ「しお子って高咲先輩と付き合ってるんじゃないの?」

栞子「へ?」

395名無しさん@転載は禁止:2021/04/27(火) 00:20:53 ID:gEbVe0lg
★★★

かすみ「──えっ! じゃあ別に付き合ってないの?」

栞子「そ、そうです! びっくりさせないでください……!」

しずく「じゃああれは、仲良く遊んでただけだった、ってこと?」

栞子「そうです……というか、隠れて見ていたのですか?」

栞子「……あっ、じゃあ……」

璃奈「うん。隠し事にしたかったんだよね」

栞子「ご、ごめんなさい。私、璃奈さんに嘘を……」

璃奈「ううん、いいの。でも、栞子ちゃん。やっぱり高咲先輩のこと、好きなんじゃない?」

栞子「えっ、それは……」

かすみ「あれは間違いなく恋する乙女! かすみんの目は誤魔化せないよ!」

396名無しさん@転載は禁止:2021/04/27(火) 00:25:46 ID:gEbVe0lg
栞子「ちっ、ちが……!」

しずく「栞子さん。悪いけど、あれは私から見てもそうだと思う」

璃奈「同感。それに隠した時点で、そういうこと」

栞子「だ、だから私は……!」

かすみ「しお子、かすみんたち、協力するよ!」

栞子「……な、なにをですか?」

かすみ「しお子と先輩が、くっつくのを!」

★★★

397名無しさん@転載は禁止:2021/04/27(火) 00:32:53 ID:gEbVe0lg
★★★

栞子「……」

かすみさんの、作戦はこうだった。

かすみ『かすみんたちが先輩をこの空き教室に来るように誘い出すから、しお子はそこで待ってればいいの!』

栞子『待って、それからは……?』

かすみ『決まってる! こ・く・は・く!』

栞子『えっ、ええ!?』

しずく『栞子さん、ここはかすみさんの言うとおりかもよ? 勢いをつけて、いっきに行かないと』

栞子『で、ですが……私……』

璃奈『大丈夫、絶対うまくいく』

……なんて、言っていたけど。

栞子(……本当に、来るのでしょうか)

いや、それよりも。

栞子(私……本当に告白を?)

398名無しさん@転載は禁止:2021/04/27(火) 00:38:03 ID:gEbVe0lg
……こんな、誰かに頼ったタイミングで……。

栞子(……協力、か)

栞子(……わたしは、良い友達を持っていたようですね)

……そう思っていた時だった。

侑「……あれ? 栞子ちゃん?」

栞子「!」

きた……!

栞子「た、高咲さん……」

侑「どうしてここに……かすみちゃんたちに呼ばれてたんだけど」

栞子「そ、それは……」

侑「……というかここ、今立ち入り禁止のところ、だよね? 物置とかに使う〜とかで……」

栞子「あ、あの!」

399名無しさん@転載は禁止:2021/04/27(火) 00:41:39 ID:gEbVe0lg
侑「う、うん」

栞子「……わ、私がここにいるのは、高咲さんに……伝えたいことが、あるからです」

★★★

私は確信した。

侑(こ、告白だこれ……!)

この状況、間違いなくそうだ。
いや、そうでしょ!?

侑(や、やった……)

やった?

侑(何喜んで……)

いやそんなことはわかってる。わかってるから……!

侑(もうわかってるよ! 私だって栞子ちゃんのこと好きだよ!)

好きなんじゃないなら、この感情に誰か名前をつけてよ!

侑(……あとは、受け入れるだけ)

……いや、これで告白じゃなかったら、私相当恥ずかしい奴になる……。

400名無しさん@転載は禁止:2021/04/27(火) 00:46:29 ID:gEbVe0lg
栞子「私、高咲さんの事が──」

侑(あぁ……!)

栞子「す──」





「コラ! 中須たち、そこでなにしてる!」

栞子「!?」

侑「え? な、中須?」



かすみ「わっー!? な、なにもー!」

しずく「も、もう! だからのぞき見なんてやめようって言ったのに……!」

璃奈「とにかく逃げないと……!」


い、一年生ズ?

というかいまの声、生徒指導のゴリケン(愛称)だ!?

侑「えっ、ちょ」

栞子「あ、あわわ……」

401名無しさん@転載は禁止:2021/04/27(火) 00:52:35 ID:gEbVe0lg
★★★

「ったく、なんでこんなところに……」

……咄嗟に隠れたのは、掃除用具入れ。

栞子「た、高咲さ……」

侑「しっ……」

ゴリケンは些細なことでも厳しく指導する。
……ましてや今ここにいるのは生徒会、さらに生徒会長なんだ。

見つかったら、まずい。

かすみちゃんたちがこの教室を覗いていたから、誰かがいると踏んでいるのだろう。……中に入ってきていた。

……それにしても。

侑(こ、この状況はダブルでやばい……)

当然、掃除用具入れなんかに、男女二人が入れば窮屈この上ない。

完璧に密着し、お互いの吐息の音さえよく聞こえる。

侑(あ……なんか……甘い香り)

栞子ちゃんの香り。
これだけ密着すると、それと強烈で……。

侑(──あ)

私の下半身は、反応しだしてしまう。

402名無しさん@転載は禁止:2021/04/27(火) 00:57:23 ID:gEbVe0lg
栞子(……?)

侑(やばいやばいやばい治まれ治まれ治まれ………!)

──無理だよ、そんなの。

侑(あ、ぁあ……)

私の想いは届かず……私のソレは、完全に立ち上がってしまった。

当然、栞子ちゃんが気づかないわけもなく……自身のお腹に当たる、それをみて……。

栞子「……………………」

──見たことない顔してる。
怒りや、戸惑い。そういう類いじゃ、ない。

ガン見して、動けなくなってしまっている。

まるで、……見惚れているかのように。

403名無しさん@転載は禁止:2021/04/27(火) 01:01:19 ID:gEbVe0lg
そして、私も……勃起をみられてしまっていることに興奮しているのか、カウパーまですこし滲む。

……気づけばゴリケンはもういない。
私たちも、ここから出るべきだ。 

侑「で、でよう、栞子ちゃん……」

栞子「は、はい……」

すぐにでた。
私はとにかく、背を向けた。
……見られるのは、ハズカシいから。

侑「……ごめん」

栞子「い、いえ……」

404名無しさん@転載は禁止:2021/04/27(火) 01:11:02 ID:gEbVe0lg
侑「……いやなもの見せたね……ほんと、ごめん」

栞子「だ、大丈夫です……せ、生理現象は……仕方ない、です……」

侑「……そう言ってくれると、助かるよ」

栞子「はい……」

侑「……こんな状況で訊くのも、なんだけど、さっき何を伝えようとしたの?」

栞子「……」

栞子「……忘れてください」

★★★

その日の夜。
またオナニーをした。

あの視線と、香りを思い出しながら。

侑(マジで最低だ……私……)

でも……。

侑「ぅ、あ……っ」

手が止められないんだ。

★★★

寝付けない。

栞子「……」

どれだけ忘れようとしても、お腹にあたっていた、アレが。

栞子「っ……!」

一瞬でも。
私に興奮したから……?
なんて考えてしまった、自分のいやらしさに嫌気が差す。

栞子(これじゃまるで、むっつりすけべ……)

でも、でも。仕方ないじゃないですか。

栞子(もう頭の中で……何も考えられない!)

私はもう……!

栞子「……いえ」

そうじゃない。

こんなのは……三船栞子らしくない。

栞子「やり遂げなければ……」

もう、吹っ切れた。

栞子「私が、一番したいやり方で……」 

明日、高咲さんに、今度こそ伝えよう。
もうじれったいのは嫌!

栞子「好きだと……伝えよう」

405名無しさん@転載は禁止:2021/04/27(火) 01:12:11 ID:gEbVe0lg
今回はここまで。
直前まで処理フェラ抜きをぶっこもうかとも思いましたが、さすがに拗れるのでやめました。

また明日に。

406名無しさん@転載は禁止:2021/04/27(火) 01:27:32 ID:Qte16PoA
動画の見よう見まねのフェラで鎮めようとする栞子ちゃんも見たいけど、じっくり進んでから乱れる姿も見たい

407名無しさん@転載は禁止:2021/04/27(火) 01:51:49 ID:BAHzDE/k
正直それも見たかったけど順番は守る子だよね

408名無しさん@転載は禁止:2021/04/27(火) 09:56:06 ID:DS30HExo
やらなくて良かったと思うよ

やっても淡々としてるように装って事務的な手での処理とか…?

409名無しさん@転載は禁止:2021/04/28(水) 00:32:53 ID:EfdDyM0Y
──そうして私は、机に座り。
紙とペンを、手にとった。

栞子「高咲侑さんへ──」

★★★

侑「は〜……」

侑(ほんと、どんな顔して会えばいいんだろう……)

ため息を付きながら教室へ。

侑「はぁ……ん?」

教室の、自分の机の中。
一つの手紙があった。

侑「……ねぇー」

「お? なんだよ」

侑「今日はこういうのだりぃから」

「は? なんのこと?」

侑「誰かでしょ、これ。偽ラブレター……」

半ばイライラしながら中身を見た。

侑「え〜、なになに……」

『高咲侑さんへ』
『突然のお手紙ですみません』
『ですが、今回私が手紙を書いた理由は、たった一つです』
『あなたに、伝えたいことがあります』
『今日の放課後、屋上で待っています』

侑「今日の放課後、屋上で待ってます、三船栞子って……は?」

2度見した。

410名無しさん@転載は禁止:2021/04/28(水) 00:47:35 ID:EfdDyM0Y
侑(え? 栞子ちゃん?)

侑「……」

★★★

放課後。

栞子「……」

夕陽が、少しづつ沈んでいく。
雲の流れも、はやい。
こんなにずっと、空を眺めていたのは、いつぶりだろう。
いや、今までに一度もなかったかもしれない。

栞子「……」

栞子「好きです、付き合ってください、好きです、付き合ってください……」

練習をする。
一度だけのために、失敗しないために。

栞子「ロマンチックに、完璧に……」

そして……。

栞子「!」

……ドアがガチャり、と音をたてた。

栞子「……高咲さん」

侑「栞子ちゃん」

栞子「……遅いですよ」

侑「うん……ごめんね」

侑「……ちょっと、野暮用があったからさ」

★★★
──数十分前。

侑「よし…ください」

411名無しさん@転載は禁止:2021/04/28(水) 00:47:50 ID:EfdDyM0Y
侑(え? 栞子ちゃん?)

侑「……」

★★★

放課後。

栞子「……」

夕陽が、少しづつ沈んでいく。
雲の流れも、はやい。
こんなにずっと、空を眺めていたのは、いつぶりだろう。
いや、今までに一度もなかったかもしれない。

栞子「……」

栞子「好きです、付き合ってください、好きです、付き合ってください……」

練習をする。
一度だけのために、失敗しないために。

栞子「ロマンチックに、完璧に……」

そして……。

栞子「!」

……ドアがガチャり、と音をたてた。

栞子「……高咲さん」

侑「栞子ちゃん」

栞子「……遅いですよ」

侑「うん……ごめんね」

侑「……ちょっと、野暮用があったからさ」

★★★
──数十分前。

侑「よし……いこう」

412名無しさん@転載は禁止:2021/04/28(水) 00:48:55 ID:EfdDyM0Y
栞子ちゃんが待つ、屋上に。

侑「……ん?」





歩夢「……」

侑「歩夢? どうしたの?」

歩夢「……どこに、行くの?」

侑「どこって……」

413名無しさん@転載は禁止:2021/04/28(水) 00:56:33 ID:EfdDyM0Y
歩夢「……あの手紙、絶対誰かのいたずらだよ。後で馬鹿にされちゃうのがオチだよ?」

侑「いやでも……名前まであるし」

歩夢「っ……三船、栞子……ちゃん」

歩夢「もし本当だとしても! 全校集会であんなふうに、不純異性交遊禁止って言ってた本人が……!」

侑「それは、あくまで学業に差し支えがある場合だよ。……あの子は、そういう風にはならないよ」

歩夢「そんなの……言ってないもん……」

歩夢「……じゃあ、それなら……」

歩夢「……私……なんのために……我慢して……」

侑「歩夢?」

歩夢「──私、侑くんのことが好き」

侑「えっ……」

歩夢「この前、連絡したのも、本当は告白しようと思ってたから」

歩夢「……侑くん……私じゃ、だめ……?」

414名無しさん@転載は禁止:2021/04/28(水) 01:00:21 ID:EfdDyM0Y
侑「……」

歩夢「おねがい、今なら……侑くんは……私を選べる」

歩夢「屋上に、行っちゃったら……もう……!」

もう歩夢は泣き出していた。

侑「歩夢、僕は……」

歩夢「だって見ちゃったんだもん……」

侑「え……?」

歩夢「二人が……一緒に歩いてるところ」

侑「!」

歩夢「もうね……私、もうわかってるよ? でも……今ならまだ、そうならないの。……だから、お願い、侑くん」

歩夢「『今度は』、私を選んで……?」

侑「……」

415名無しさん@転載は禁止:2021/04/28(水) 01:00:50 ID:EfdDyM0Y
https://youtu.be/j4XsCJHfplg

クリープハイプ 『栞』

416名無しさん@転載は禁止:2021/04/28(水) 01:06:04 ID:EfdDyM0Y
侑「……ごめん」

侑「今なら、なんて、ないんだ」

歩夢「……」

侑「……僕は、もう栞子ちゃんのことが好きなんだ」

歩夢「……」

歩夢「……敵わないなぁ……」

歩夢「私、誰にも……」

侑「……ごめん」

歩夢「謝らないで……」

歩夢「……栞子ちゃんと、幸せにね」

侑「歩夢っ、僕は歩夢のことは、どんな関係でも……大切に思ってるよ」

歩夢「……ありがとう、侑くん。でも、今はその言葉は……あの子に、言ってあげてね」

★★★
──現在。

栞子「野暮用?」

侑「まぁ、いろいろとね」

417名無しさん@転載は禁止:2021/04/28(水) 01:06:46 ID:EfdDyM0Y
今回はここまで。
次回ようやくくっつきます。だいぶかかりましたね。また明日に。

418名無しさん@転載は禁止:2021/04/28(水) 01:17:33 ID:.mMgYhgw
歩夢ちゃんからしたら面白くないわな
作中でも真に受けてる子が少ない中真面目なのが裏目に出てて悲しい

419名無しさん@転載は禁止:2021/04/28(水) 04:18:57 ID:pqoCSdBs
歩夢ちゃん……

420名無しさん@転載は禁止:2021/04/28(水) 06:49:34 ID:TIBHRXs2
ラブレターという方法を取るのは栞子ちゃんっぽいかも。歩夢ちゃんは今度はとか誰にも敵わないとか、負の方向のパワーがどんどん貯まってそう…

421名無しさん@転載は禁止:2021/04/28(水) 06:54:24 ID:/kPPPAMI
最低でもあと3回はフラれるんだよな…

422名無しさん@転載は禁止:2021/04/28(水) 14:35:14 ID:KQDjnkxE
セガコラボスタンプで意外な一面の栞子×歩夢

423名無しさん@転載は禁止:2021/04/28(水) 23:56:45 ID:EfdDyM0Y
侑「それで……伝えたいこと、って」

栞子「それは──」

さっきまで練習していた言葉が出てこない。
具体的に、どうして好きになったのか、どんなところが好きなのかを伝えたいのに。

言葉にできない。

424名無しさん@転載は禁止:2021/04/29(木) 00:01:01 ID:CxqH/kV2
何度も伝えたかった言葉が、胸の奥につっかえて。
勇気が臆病風にふかれる。

栞子「わたし、は……」

侑「……」

それでも……。

栞子「私は……!」

産まれて初めての、この感情を、あなたに伝えたいから。

425名無しさん@転載は禁止:2021/04/29(木) 00:01:32 ID:CxqH/kV2
https://youtu.be/FtGrJkXuC60

FUNKY MONKEY BABYS 『告白』

426名無しさん@転載は禁止:2021/04/29(木) 00:09:28 ID:CxqH/kV2
栞子「あなたの事が……大好きなんです!」

侑「……っ」

栞子「一生懸命なところが好きです」

溢れた想いは、止まることを知らず。

栞子「優しいところが好きです」

なんだ、拍子抜けです。

栞子「おっちょこちょいだけど、たまに見せるかっこいいところが好きです……」

伝えてしまえば、言いたいだけ言ってしまえば。

栞子「小さな変化に気付いてくれるところが好きです!」

もっと、たくさん伝えたい。

栞子「私を、栞子ちゃんって呼んでくれるところが好きです!」

そんな子供みたいなことじゃなくて、もっと上手な言葉を言いたい。だけど、今の私には無理です。
もう、こんな言葉しか、出てこないんです。

栞子「あなたの全部が大好きです……! だから……私の、恋人になってほしいです」

427名無しさん@転載は禁止:2021/04/29(木) 00:15:39 ID:CxqH/kV2
呼吸が乱れる。
信じられないくらい、顔も熱い。
胸が苦しい。
心が押しつぶされそうで、高咲さんの返事を待つ、このたった数秒でさえ、永遠に感じた。

けれど、やはりそれは……刹那でしかない。

侑「本当に……可愛いね、栞子ちゃんは」

栞子「た、高咲さん……?」

侑「僕も、栞子ちゃんのこと、好きだ」

栞子「へ──」

頭の先まで、何かが伝う。

いま、なんて──

侑「僕も、栞子ちゃんと……恋人になりたい」

栞子「ぅ──」

叫びだしそうになる。
口を抑えて、こらえる。その代わりに、涙がとめどなく溢れる。

栞子「た……高咲さん!」

侑「おっと」

たまらず、高咲さんの胸の中に飛び込んでしまった。
高咲さんは、そんな私を抱きしめてくれる。

侑「……これからは、もっとよろしくね」

栞子「っ、はい……!」

★★★

428名無しさん@転載は禁止:2021/04/29(木) 00:40:35 ID:CxqH/kV2
こうして、私と栞子ちゃんは付き合う事に。

……いやぁ。それにしても、栞子ちゃんがあんなに情熱的に告白してくるなんて、思わなかった。 

侑(ふふ、こりゃあ日頃の栞子ちゃんも、すっごく甘々でデレデレになってたりして──)

★★★

栞子「高咲さん! この書類はなんですか! ここと、ここも誤字、期日のミス! もう生徒会に入ってからしばらくが経つのですから、これくらいしっかりしてください!」

全然そんなことなかった。

侑「い、いやはぁ〜、その……」

栞子「そのもなにもありません! まったく……」

他のメンバーも「まあまあ……」とか「そのへんで……」とか収めてくれる。

──生徒会メンバーには、付き合っていることは話していない。

面倒事を避けるために、あまり言いふらさない方が良いだろうという理由からだ。

……この調子じゃ、バレそうにもないけど。

429名無しさん@転載は禁止:2021/04/29(木) 00:48:02 ID:CxqH/kV2
栞子「内容もわかりにくいですから、これは作り直しです」

侑「えー! 今日?」

栞子「な・に・か?」

侑「なんでもないです……」

A宮「……じゃあ、私達は先に帰りますね」

栞子「はい。お疲れ様でした」

A宮「……」

栞子「……」

A宮(二人きり!)

栞子(……ですね)

★★★

私と栞子ちゃん以外は帰り、生徒会室には私達二人に。

侑「ふう……」

栞子「……」

栞子ちゃんが黙って立ち上がる。
まずい! 今のため息が不満に感じ取られたか?!

……と、思っていたら。
栞子ちゃんは、私の隣の椅子に腰掛けた。

栞子「……あの、さっきはごめんなさい。強く言い過ぎて……」

侑「えっ? あぁいや、でも悪いの僕だし……」

栞子「……私、可愛くないですよね。いつも怒ってばかりで……」

侑「そんなことないよ! 栞子ちゃんは怒っててもかわいいよ!」

430名無しさん@転載は禁止:2021/04/29(木) 00:57:31 ID:CxqH/kV2
栞子「……ありがとう、ございます」

そういうと、栞子ちゃんは私の肩に頭を預けてきた。

栞子「手……」

侑「ん……」

栞子ちゃんの両手が、私の左手を包む。
指先を揉んだり、指の間に挟んだり。

栞子「……少し前までは、いえ……初めて会ったときは、こんな関係になるなんて、思いもしませんでした」

侑「実は僕も……めぐり合わせって、不思議だよね。……あの頃は、栞子ちゃんはもっとツンツンしてたなぁ」

栞子「や、やめてください……昔の話です」

侑「まぁね。……でも、栞子ちゃんはさ、まだ……そうだな、頼ることはもうしてくれるけど……そう、甘えるって事、しないじゃない?」

栞子「甘える……?」

431名無しさん@転載は禁止:2021/04/29(木) 01:00:59 ID:CxqH/kV2
侑「うん。もしかしたら、誰にも甘えられない状況とかだったのかもしれないけど……今はさ! 僕がいるんだから、なんでも言ってみてよ! してほしい事とか、お願いしたい事」

栞子「してほしい、事……ですか」

侑「うんうん」

栞子「高咲さんに、ですか?」

侑「そうそう!」

栞子「……」

侑「そんな難しく考えなくていいからさ、栞子ちゃんが、自分の思うまま、僕がこんなことしてくれたら嬉しいな〜、ってことを言ってくれたら、僕は頑張るよ!」

栞子「……そう、なんですね……じゃあ、一つ……いいですか?」

侑「お、なになに?」

栞子「あの……あ……でも、やっぱり……」

432名無しさん@転載は禁止:2021/04/29(木) 01:03:17 ID:CxqH/kV2
侑「遠慮しないでいいんだよ」

栞子「……」

栞子「じゃあ……高咲さん」

侑「うん!」


栞子「毎日、おはようと、おやすみのキス……してほしいです……」

侑「……」

侑「ぅえ?」

433名無しさん@転載は禁止:2021/04/29(木) 01:06:06 ID:CxqH/kV2
ちょっと待て。

侑(流石に予想外だよ!)

まだ私達、キスしてないから!
今してほしい……なら、すごくよくわかる!
飛ばしてくるね! 栞子ちゃん、案外!

栞子「あっ、あの! やっぱり今のは……」

侑「いや、いいよ」

栞子「なかったことに、へっ、ええっ……!」

もう頭の中で情報が飛びすぎてわけわからなくなっている様子の栞子ちゃん。

侑「……もうおはようのは出来ないけど」

栞子「あ……」

侑「おやすみのなら、出来るよ」

434名無しさん@転載は禁止:2021/04/29(木) 01:14:26 ID:CxqH/kV2
しん、と音が消えるようだった。
さっきまでの空気とは違う。

栞子「高咲、さん……」

侑「……」

栞子ちゃんの肩に手を置く。

侑「ほら、目、閉じて」

栞子「あっ……!」

すると、ぎゅうっ、と目をつぶる。
緊張しているのが丸わかりだった。

それをみると、なんだかこっちは落ち着きを手に入れられた。

侑「ん……」

栞子「んぅっ……!」

唇に触れる。
触れるだけだ。
でも、それでも。
私達にとっての、ファーストキス。
あまりにも、刺激的なんだ。

侑「……どう?」

栞子「……」

ぽわ、とした顔。
よくわからない……と言いたげだ。

栞子「……まだ」

侑「ん?」

栞子「毎日、朝と帰りで2回ですから……あと一回、朝の分として……もう一回……」

侑「ん、いいよ……」

もう一度キスをした。
今度は少しだけ、栞子ちゃんの唇を食む。
栞子ちゃんも、それに返してくれる。

唇が離れると、耳たぶまで真っ赤になっていた。

栞子「……こんなのを、毎日してもいいんですか?」

侑「いいよ。……生徒会室で、二人きりになれたら、ね」

435名無しさん@転載は禁止:2021/04/29(木) 01:15:55 ID:CxqH/kV2
今回はここまで。
栞子でやりたかったことは出来ました。
あとは終わりに向かって行きます。次の√は今度こそエマです。

また明日に。

436名無しさん@転載は禁止:2021/04/29(木) 02:51:26 ID:qlOqJeVg
大胆なおねだり可愛い

437名無しさん@転載は禁止:2021/04/29(木) 04:35:08 ID:WCgX1RbM
やっべぇ!
可愛すぎる!!

438名無しさん@転載は禁止:2021/04/29(木) 07:57:21 ID:KHd1t6C.
ンンンンンたまらん…破壊力高すぎるぜ……

439名無しさん@転載は禁止:2021/04/29(木) 08:13:14 ID:oCApaI4E
恋愛に疎いから逆に大胆なことをしちゃうっていうのはありそう

440名無しさん@転載は禁止:2021/05/01(土) 01:04:45 ID:lCu128X6
明日再開。

441名無しさん@転載は禁止:2021/05/01(土) 19:09:49 ID:lCu128X6
★★★
 
家に帰ってから、冷静になってみると。

侑「明日から毎日栞子ちゃんにキスできるのか……」

しかも2回。

侑「……」

毎日が遠足前みたいな気分だ……。
そわそわして眠れない。

442名無しさん@転載は禁止:2021/05/01(土) 21:38:29 ID:oN4zTSMQ
歩夢もしかして他ルートの記憶引き継いでる?

443名無しさん@転載は禁止:2021/05/01(土) 22:24:26 ID:5LjWCw5A
「私、誰にも」ってところはそれっぽいよね

444名無しさん@転載は禁止:2021/05/01(土) 22:38:11 ID:fIH9yzfI
1のssシリーズ見始めてから推しが決められなくなってつらい
3rd誰の色振ろう

445名無しさん@転載は禁止:2021/05/02(日) 00:39:42 ID:HG1poBK.
侑「大事に、しないとね……」

可愛い彼女を……。

★★★

栞子「……」

唇に触れる。
もうそれは、私だけの唇じゃない。
まだ少し、高咲さんの温もりが残っている気がする。

446名無しさん@転載は禁止:2021/05/02(日) 00:51:39 ID:HG1poBK.
これが毎日……。

栞子「すごいです、すごいです……」

これが、彼氏、彼女の特権。
私、ものすごい世界に入ってしまいました。

栞子「うふ、ふふふ……」

★★★

侑「ふぁあ〜あ……」

いつも通りの通学路。
変わらない朝。
一つ違うとすれば、一つ変わったことがあるとするならば。

栞子「高咲さん、おはようございます」

侑「おはよう、栞子ちゃん」

朝は待ち合わせをして、一緒に行くことにした。

447名無しさん@転載は禁止:2021/05/02(日) 01:45:39 ID:HG1poBK.
バレないように隠していくんじゃなかったのか、って?
それはそうだけど、やっぱり私達には、こういうことが必要だから。

侑「そういえばもうすぐクリスマスも近付いてくるね。……やっぱり僕としては、その日デートとかしたいんだけど……」

栞子「私も同じ気持ちです。……クリスマスは予定を開けておきます」

侑「そっか! 良かった」

栞子「……あの、高咲さん」

侑「うん?」

栞子「その……朝の分……」

侑「あ……あー……こ、ここで?」

栞子「……今がいいです」

侑「……」

周りを見渡す。
誰もいない……なんて都合のいいことはなく、通学、通勤中の人たちがそれなりにいる。

隙を見て、一瞬でやるしかない。

448名無しさん@転載は禁止:2021/05/02(日) 20:50:54 ID:wJdUlfb.
もう抑えが効かなくなってるのが可愛い。周囲にバレるの時間の問題そう

449名無しさん@転載は禁止:2021/05/03(月) 15:32:23 ID:H89Hw3L2
侑「……こっち向いて」

栞子「あ……」

頭に手をおいて、触れるだけのキス。
それだけでも、朝からの栞子ちゃんの唇は強烈だった。

栞子「……」

侑「……、おはよう」

栞子「……おはよう、ございます」 

私達はお互いに赤面して、またあるき出す。

★★★

それからは授業中も悶々とした。

侑(さっきあの子とキスしたんだよね……)

その事実だけで、集中できない理由としては十分だった。

450名無しさん@転載は禁止:2021/05/03(月) 17:30:33 ID:QKKNM1Mk
振られたからもう絡んではこなさそうだけど歩夢はこういうの目撃しちゃう可能性あるんだよな
しかも一度の失恋じゃなく今までの失恋の記憶もあるかもしれないというね

451名無しさん@転載は禁止:2021/05/04(火) 00:50:34 ID:3wrnYtck
侑(やばいよねぇ……)

そんな贅沢が許されるなんてさ……。

★★★

栞子「……では、本日はここまでにします。みなさん、お疲れ様でした」

本日の生徒会活動、終了。
そして当たり前のように、私達二人は残る。

侑「なんだか、今日は一日が長かった気がするよ」

栞子「私もです」

452名無しさん@転載は禁止:2021/05/05(水) 23:26:15 ID:OHA4zN7Q
もう残るような理由はない。
私達二人も、下校するだけ……なんだけど。

侑「ほら、おいで、栞子ちゃん」

栞子「は、はい……」

ソファに腰掛ける。

栞子「……あの」

侑「うん。わかってる……」

顔を合わせると、栞子ちゃんは目を閉じる。
私も同じく目を閉じて、唇に神経を集中させる。

栞子「んっ……!」

まだ声が出てしまうようで、そんな高い声が漏れる。

453名無しさん@転載は禁止:2021/05/05(水) 23:44:27 ID:OHA4zN7Q
侑(わぁ〜……甘い香り……)

もっと、もっとそれを味わいたい。

侑(……舌入れたら、怒るかな……?)

もっと栞子ちゃんのことを味わいたい。
そんな欲望に逆らえず、私は唇の隙間から、栞子ちゃんの口内へと舌を侵入させる。

栞子「んぅっ!?」

体がビクッとはねる。
何が起きているのかわからない、そんな様子を感じ取れた──

★★★

これは。
こ、これは……。

栞子(し、舌、が……!)

454名無しさん@転載は禁止:2021/05/06(木) 21:16:15 ID:7mz5jF9E
びっくりして引いちゃうのか、ますますのめり込んじゃうのか、どちらでもかわいい

455名無しさん@転載は禁止:2021/05/07(金) 01:34:56 ID:q4d2fRuo
明日再開。
卒業の話あたりで多分終わります。

456名無しさん@転載は禁止:2021/05/07(金) 02:50:11 ID:vUQaW0Q6
楽しみ
えっちも楽しみ

457名無しさん@転載は禁止:2021/05/07(金) 06:08:10 ID:Cbe.yVzc
ないよ

458名無しさん@転載は禁止:2021/05/09(日) 01:18:22 ID:KVlNewAE
力が、抜ける。
指先、舌先、頭の先。
全てが痺れる。

まるで口から流されたのは、その手の毒かのように。

栞子「ぅん、ん……」

私はただ受け入れるがままになってしまう。
口内を侵略されて、白旗宣言を。

459名無しさん@転載は禁止:2021/05/09(日) 01:44:09 ID:KVlNewAE
栞子「んぅ、んっ……!」

★★★

侑「……!」

最初は舌を這わせているだけだった。
だけどそれは、次第に絡み出した。

侑(栞子ちゃんも……舌……)

栞子「んぅ、ぅん……」

ビリビリくる。
頭に血がのぼる感じ、たまらない。
興奮してる。

唇が離れると、お互いの口から伸びた唾液が糸を引いていて、橋のようだった。

栞子「は、は、激しすぎです……」

侑「ごめん、つい……ん?」

栞子「ど、どうしました?」

侑「いや、ふふ。いや笑っちゃだめなんだろうけどさ」

私はとりあえず、栞子ちゃんにハンカチを渡した。

侑「鼻血、でてるよ」

460名無しさん@転載は禁止:2021/05/09(日) 01:47:10 ID:KVlNewAE
栞子「えっ、え?!」

栞子ちゃんはまさに血が登っていたようだった。

栞子「す、すみません!?」

侑「はは、何に謝ってるの。ほら、はやく拭きなよ」

私は笑うけど、栞子ちゃんは本当に恥ずかしいみたいで、顔を見せてくれない。

栞子「こんなところ……見ないでください」

侑「どうして?」

栞子「は、恥ずかしいからですよ!」

461名無しさん@転載は禁止:2021/05/09(日) 07:36:17 ID:/PPp3fw6
可愛い…

462名無しさん@転載は禁止:2021/05/09(日) 22:34:49 ID:B2HbkeqM
この栞子ちゃんはキス以上に進んだらどうなってしまうんだ

463名無しさん@転載は禁止:2021/05/10(月) 00:50:30 ID:IcZwMLp.
白いハンカチが赤く染まっていく。

侑「……」

いや、いかん。
そこに興奮するのはちょっと危ないぞ。

栞子「すみません、これは……新しいものを後日お渡しします」

侑「いいよ、気にしないから」

栞子「私が気にします……」

まあそれはそれとして。

侑「鼻血がおさまったら帰ろうか」

464名無しさん@転載は禁止:2021/05/10(月) 01:04:02 ID:IcZwMLp.
★★★

侑「もうこの時間にもなると、寒いねぇ」  

栞子「そうですね。耳たぶが冷たくなります」

吐く息が白い。
少し遅れて、隣から別の白い息が流れてくる。

侑「じゃあ、また明日、だね」

栞子「はい、また……明日」 

栞子「……いえ、待ってください」

侑「ん? な、んにぃ……?!」

栞子「ん……」

不意打ちだった。
背伸びをして、私の唇に触れてきた。

栞子「……さ、さよならっ」

侑「ぇ、あ、ぁあうん、また、明日……」

……びっくりした。

侑(意外と大胆なところ……あるんだな……)

465名無しさん@転載は禁止:2021/05/11(火) 03:45:11 ID:qjROvsMk
初々しさと大胆のあいだ

466名無しさん@転載は禁止:2021/05/11(火) 13:55:12 ID:G1Ikx592
★★★

さて、ここで一つ自問自答です。
キスを達成した次、私が栞子ちゃんとしたい事は?

侑「エッチしたい……」

当然の欲求だった。
……元々付き合う前から栞子ちゃんで抜いてたんだから、そりゃ浮かび上がるだろう。

侑「いやでもまだ順序ってものもあるか……」

まだ付き合い出してから、そこまでの日が経っていない。
そんなすぐしたがったら、ちょっと嫌がりそうだし……。

侑(でも普通、どれくらいで誘ったりして良いのかな)

467名無しさん@転載は禁止:2021/05/11(火) 16:11:16 ID:G1Ikx592
……クリスマスとか。

侑(いや、狙い過ぎかな……)

クリスマスにエッチできたら、その、なんだ。
雰囲気も相まってそれはそれは最高なんだろうけど。

侑(いや、うぅ〜ん……)

どう考えたところで、結局私はあの子とそういう事がしたいんだ。

侑(はぁ〜しんど……)

468名無しさん@転載は禁止:2021/05/11(火) 16:40:59 ID:LYNTnHF6
ダメです、絶対に認めません

469名無しさん@転載は禁止:2021/05/11(火) 17:09:50 ID:G1Ikx592
★★★

かすみ「え〜! じゃあクリスマスはデートってこと!」

栞子「ま、まぁそうなります」

しずく「クリスマスに……とってもロマンチックですね」

璃奈「あと1ヶ月」

栞子「ま、まあ特に深い意味はありませんけど」

かすみ「あ〜でもこれで……」

栞子「?」

かすみ「しお子も『卒業』か……」

栞子「卒業?」

しずく「たぶん……」

しずくさんが耳打ちで、かすみさんが何を言いたかったのかを教えてくれた。

しずく「……って事かと」

栞子「なっ、ななな……!」

470名無しさん@転載は禁止:2021/05/11(火) 17:28:10 ID:G1Ikx592
栞子「わ、私は……そんな……」

かすみ「……いや、ぶっちゃけだよしお子」

かすみ「興味ない? その、えー……せ……ックス」

栞子「そ、それは……」

しずく「確かに栞子さんはその気になれば……」

栞子「だ、だめです! そんな……破廉恥な……」

璃奈「でも栞子ちゃん。高咲先輩は栞子ちゃんとそういうことしたいかもしれない。その時はどうするの?」

栞子「その時は……私は……」

471名無しさん@転載は禁止:2021/05/11(火) 17:48:41 ID:G1Ikx592
どうするのでしょう……。

★★★

それでも、毎日のキスだけは必ずする。

栞子「んぅ……ん……」

これでは、その手の事に興味がないだなんてとてもじゃないけれど言えない。

いえ、ほんとうはわかっている。
興味は、ある。
だけど……。

栞子(私の方から、してみたいなんて言えない……)

それにキスだけでもうこんな……。

栞子「ぷは……はぁ……はぁ……」

侑「……今日は鼻血出なかったね」

栞子「そ、そんな何度も何度も出ません……」

472名無しさん@転載は禁止:2021/05/11(火) 17:58:03 ID:G1Ikx592
今回はここまで。
また明日に

473名無しさん@転載は禁止:2021/05/11(火) 18:01:18 ID:V9BiTpdM
ラ板で壊されがちな脳が回復する
本当にありがとう
可愛い栞子ちゃん助かる

474名無しさん@転載は禁止:2021/05/11(火) 19:10:15 ID:F9kmwSL.
キスで鼻血が出るほど興奮するならちょっと言い方あれだけど下着が少し湿ったりしてる時もありそう

475名無しさん@転載は禁止:2021/05/12(水) 00:12:49 ID:gnT2q6AA
破廉恥です、いけません
男女の関係を持つなんて淑女たるもの結婚するまで許されませんわ

476名無しさん@転載は禁止:2021/05/12(水) 07:48:53 ID:qaz.Xuh.
侑「ふぅん……じゃ、もうちょっと……」

栞子「ぁ……」

互いの唾液がねちっこく混ざり合う音が頭に響く。
……もはや中毒に近い。
朝起きる度、これを望む私がいる。

果てしなく肉欲を望んでいる……!

栞子「はぁっ……!」

侑「……?」

★★★

その日は、なんだかいつもよりも。
キスが激しかった。

栞子「……高咲、さん」

まっすぐ、私の目を見つめている。
赤く火照った顔、いじらしいほど潤んだ瞳。

侑「……な、に」

栞子「私──変なんです」

侑「……変?」

477名無しさん@転載は禁止:2021/05/12(水) 07:49:29 ID:qaz.Xuh.
侑「ふぅん……じゃ、もうちょっと……」

栞子「ぁ……」

互いの唾液がねちっこく混ざり合う音が頭に響く。
……もはや中毒に近い。
朝起きる度、これを望む私がいる。

果てしなく肉欲を望んでいる……!

栞子「はぁっ……!」

侑「……?」

★★★

その日は、なんだかいつもよりも。
キスが激しかった。

栞子「……高咲、さん」

まっすぐ、私の目を見つめている。
赤く火照った顔、いじらしいほど潤んだ瞳。

侑「……な、に」

栞子「私──変なんです」

侑「……変?」

478名無しさん@転載は禁止:2021/05/12(水) 07:49:41 ID:qaz.Xuh.
侑「ふぅん……じゃ、もうちょっと……」

栞子「ぁ……」

互いの唾液がねちっこく混ざり合う音が頭に響く。
……もはや中毒に近い。
朝起きる度、これを望む私がいる。

果てしなく肉欲を望んでいる……!

栞子「はぁっ……!」

侑「……?」

★★★

その日は、なんだかいつもよりも。
キスが激しかった。

栞子「……高咲、さん」

まっすぐ、私の目を見つめている。
赤く火照った顔、いじらしいほど潤んだ瞳。

侑「……な、に」

栞子「私──変なんです」

侑「……変?」


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