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��千歌「Code:Cへようこそ!」
126
:
◆nDhcp.GYyc
:2019/03/03(日) 00:50:32 ID:14m.Yvkw
ミラ「何の話?」
アスカ「部隊の通信が途切れていた間のことだ」
ミラ「……特に何もしてないわ」
アスカ「私が整備係だってこと、忘れたのか?」
アスカ「PEには走行距離を計測するメーターがついてる。整備係は、毎回出撃前後の数値を記録しているんだ」
アスカ「ミラ、お前の平均走行距離は、1回の出撃で300kmだ。私も300km、高海隊長は平均500km、渡辺副隊長は平均550km」
アスカ「今回の出撃に限って、副隊長は1000kmを超えていた。死神と戦闘したからだ」
アスカ「私は200km……無線もレーダーも効かない状況では、動かないのが得策だと判断した」
ミラ「何が言いたいわけ? さっぱり見えてこないわ」
アスカ「ミラ、今回お前の走行距離は、1200kmだった」
アスカ「お前は一体、何と戦っていたんだ?」
127
:
◆nDhcp.GYyc
:2019/03/03(日) 00:51:34 ID:14m.Yvkw
ミラ「……そんなの、ドローンに決まってるじゃない」
アスカ「いいや、それは違う。レーダーの反応が消える直前、お前の周囲にはドローンの反応は無かったはずだ。記録にも残ってる」
ミラ「……」
アスカ「これだけじゃない。これだけだったら、私はお前を疑わない。Code:Cで共に戦った仲間だからな」
アスカ「でも、以前にも同じことがあった。第一小隊の隊員が、死神に殺された日のことだ」
アスカ「あの日も、今回同様に無線とレーダーの効きが悪かった。今回ほどではなかったが」
アスカ「そして……同じ時刻に、Code:Cも出撃して――」
ミラ「残念だわ」
ミラ「貴方を殺さなければいけないだなんて」
128
:
◆nDhcp.GYyc
:2019/03/04(月) 20:18:13 ID:Lsdut5z6
―――
―
千歌「ミラとアスカ来ないなあ、ご飯の時間なのに」
ルビィ「呼んできますよ」
千歌「ううん、いいんだ。いつものことだから」
千歌「よーちゃんは果南ちゃんのところだし。人が少ないと寂しいねえ」
梨子「……」
千歌「先に食べてよっか。せっかくのビーフシチューが冷めたら勿体ないし」
ルビィ「曜さんの分はどうしますか?」
千歌「多分向こうで食べてるだろうから大丈夫」
ルビィ「わかりました、ちょっと残念ですけど」
千歌「よし、じゃあ食べよう! いただきまーす!」
ルビィ「いただきます」
129
:
◆nDhcp.GYyc
:2019/03/04(月) 20:18:36 ID:Lsdut5z6
千歌「モグモグ……んっ、このお肉美味しい!」
ルビィ「上質な赤ワインが届いたので、使ってみました」
千歌「なるほど、だからこんなにお肉が柔らかいんだね〜」
ルビィ「……あの、梨子さん。お口に合いませんでしたか?」
梨子「……え?」
ルビィ「いえっ、その……あまり進んでいないみたいなので」
梨子「……違う、よ? ただ……」
千歌「ただ?」
梨子「曜ちゃんが、いない、から……」
千歌「へ?」
ルビィ「ピギッ……///」
130
:
◆nDhcp.GYyc
:2019/03/04(月) 20:20:19 ID:Lsdut5z6
千歌「んん? どういうこと?」
ルビィ「千歌さんっ///」コソコソ
千歌「ふぇ?」
ルビィ「ダメですよ……乙女の心は傷つきやすいんです、そっとしておくのが一番ですよ……!///」コソコソ
千歌「なんで?」
ルビィ「ええっ……!? と、とにかく、これ以上突っ込んだらダメです……!」コソコソ
千歌「う、うん……わかった……」
千歌「えっと……ビーフシチュー美味しいねー(棒)」
ルビィ「そ、そうですかーそれはよかったです(棒)」
梨子「二人とも、変」
千歌「あ、アハハ……」
ルビィ「そんなことないですよぉ」
ちかりこ「「――っ」」
131
:
◆nDhcp.GYyc
:2019/03/04(月) 20:20:37 ID:Lsdut5z6
ルビィ「えと、喉が乾いたので、何か飲むものを――」
千歌「シッ」
ルビィ「へ?」
千歌「何かいる」
梨子「……」
千歌「今、私たちに殺気をぶつけてきた奴が」
ルビィ「え……どういう……」
千歌「この建物の中……いや」
千歌「あの扉の向こうに……!」
132
:
名無しさん@転載は禁止
:2019/03/04(月) 22:25:20 ID:57Ykp7OE
更新多くて嬉しい
緊迫してきたな
133
:
◆nDhcp.GYyc
:2019/03/04(月) 22:52:22 ID:Da9XlyMo
オリキャラ不要だったと今更ながら後悔
134
:
名無しさん@転載は禁止
:2019/04/01(月) 00:49:31 ID:vQvp0Iqc
年号変わっても待ってるよ
135
:
名無しさん@転載は禁止
:2019/05/05(日) 13:59:55 ID:WrGd3P9I
まってる
136
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/12/31(金) 22:59:18 ID:ZQx8hvVA
千歌「……っ!」
千歌「…………?」
千歌「殺気が……消えた」
梨子「……逃げた」
千歌「でも、仮に侵入してきたとしたら、そう簡単に出られないと思うけど」
梨子「それか、気配を消して隠れてる」
千歌「なるほど。その可能性もあるね」
千歌「とりあえず、こっちから仕掛けてみるか」
ルビィ「あっ、あの! 装備無しで対峙するのは危険です!」
千歌「でも、この部屋に武器はないんだよねえ」
梨子「……」スッ
千歌「……ま、ステーキナイフでもないよりはマシか。ありがとね、梨子ちゃん」
梨子「気をつけて」
千歌「うし。じゃ、開けるよ」
137
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/12/31(金) 22:59:46 ID:ZQx8hvVA
千歌(やっぱり、気配は感じられないや)
千歌(最大限注意しなきゃ。音を消して開けよう)
千歌「……」ソッ
スーッ
千歌(……いない、か?)
ヒュッ コロコロ
千歌「え?」
梨子「ーーっ!!」
千歌「ーーうそっ!」
千歌(手榴弾!!!)
千歌「伏せてーーーーー!!!!!」
ピカッーーッ
ドゴォォォォォォオオオオーー!!!!!!
138
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/12/31(金) 23:00:26 ID:ZQx8hvVA
曜「ーーっ」
果南「なにっ、この音!?」
曜「爆発音……C基地の方から」
曜「千歌ちゃんたちに何かあったんだ!」
曜「……行かなきゃ!」
果南「待った」
曜「なんで!?」
果南「前にも言ったよ。千歌がいれば何とでもなる。どうにもならないなら、私たちが行っても意味はない」
曜「不意打ちだったら、いくら千歌ちゃんでも関係ないでしょ……!」
ダダッ
果南「わっ、ちょ! 待ってってば!」ダダッ
139
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/12/31(金) 23:00:56 ID:ZQx8hvVA
果南「一対多数でも、千歌は負けたことないんだって」
曜「それも聞いた! あそこにはルビィちゃんがいる! 守りながらの戦いなら別でしょ!」
果南「だーかーらー、察しが悪い!」
ダダダダ
果南「私も行くって、そう言ってんの!」
曜「……!」
曜「……ありがとう、果南ちゃん」
果南「うぇっ……?」
曜「なにさ」
果南「曜がお礼いうなんて、珍しいこともあるもんだね」
140
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/12/31(金) 23:01:49 ID:ZQx8hvVA
ーーー
ー
バラパラ…
千歌「ぐっ」
千歌「カハッ……」
千歌(とっさに扉を閉めて、テーブルをひっくり返して簡易シールドにしたけど)
千歌(流石に、こんなんじゃ防ぎきれなかったか)
千歌(背中が痛い。まあ、動けないほどではないけど)
千歌「……ルビィちゃん、梨子ちゃん、無事?」
141
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/12/31(金) 23:02:39 ID:ZQx8hvVA
ルビィ「ぅ……うぅ……」
ルビィ「千歌、さん?」
梨子「……けほ」
ルビィ「り……梨子さん!? なんでっ!」
梨子「ここにいる人……みんな……仲間」
梨子「……そう、曜ちゃんが、言ってた……から」
ルビィ「梨子……さん……!」
ルビィ「ごめん……なさい……ごめんなさい……!」
梨子「……」フルフル
千歌「梨子ちゃんが、守ってくれたんだ。ありがとう」
千歌「梨子ちゃんは大丈夫?」
梨子「……」コクリ
千歌「そっか、よかったー。後で治療しないと……」
??「まさか、あんな近距離でも防がれるなんてね」
142
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/12/31(金) 23:03:49 ID:ZQx8hvVA
千歌「ーーっ」
千歌「なん、で」
千歌(全然、気配がなかった。無人機でさえ、こんな傍で完全に気配を消すことなんてできないのに)
千歌「このっ……!」シュッ
シュンッ
千歌「くぅっ……化け物みたいな身のこなしだねっ!」
??「貴方に言われたくないけれど」
梨子「……っ」
??「……どきなさい」
梨子「……」ジッ
??「生意気な目。"変わってない"わね、そういうとこ」
143
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/12/31(金) 23:04:38 ID:ZQx8hvVA
千歌「うらぁっ!」ブンッ
千歌「って、なんで躱すかなぁ。背中に目ついてるの?」
??「人間と一緒にしないで。私は……」
??「ーー死神よ」
コロッ
千歌「わわっ!」
千歌(また手榴弾っ!?)
千歌(窓の外に!!)
??「邪魔よ」シュッ
千歌「っーー」
千歌(投げナイフ!!)
千歌「ーーっぶな!」
??「フン……避けたのは凄いけれど」
??「時間切れよ」
千歌「チィッーー!!」
ピカッーーー
144
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/12/31(金) 23:05:03 ID:ZQx8hvVA
プシューーー
千歌(……!? これは……催涙弾!!)
千歌「ルビィちゃんっ! 梨子ちゃんっ! 逃げて!」
千歌「ケホッ……コホッ……」
千歌「ルビ……ちゃ……り……ち……」
千歌(やば……まともに吸い込んじゃった)
千歌「ゲホッ……ゴホッ……カハッ……ヒューッ……」
千歌(これは、マズイなぁ)
千歌(殺されるかも)
145
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/12/31(金) 23:05:26 ID:ZQx8hvVA
ダダダダッ
曜「千歌ちゃん!」
果南「待ってって!」
曜「これはっ……コホッ……催涙……!」
果南「だから、無闇やたらと突っ込むなってば」
曜「千歌ちゃんっ! 梨子ちゃんっ!」
果南(言ったそばから……でも、多少薄くなってるか)
果南(煙の動きが外に向かってる。これは逃げられたかな)
146
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/12/31(金) 23:05:49 ID:ZQx8hvVA
曜「千歌ちゃん! 千歌ちゃん!」ダキッ
千歌「ん……ぅ……」
千歌「コホッ……ケホッ……」
曜「吸い込んだのか……果南ちゃん! 水持ってきて!」
果南「はいよー」
梨子「……コホッ」
曜「梨子ちゃんも! あ、起き上がっちゃダメだってば!」
梨子「……私は、大丈夫」
曜「ほんと? ガス吸ってない?」
梨子「私は……殴られて、気を失っただけ」
曜「骨、折れてない?」
梨子「平気」
曜「……そっか」
147
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/12/31(金) 23:06:12 ID:ZQx8hvVA
果南「曜、ほい」ポイッ
パシッ
曜「千歌ちゃん! 水だよ! うがいできる?」
果南「とりあえず、目に入った分洗い流した方がいいんじゃない?」
千歌「 」ブンブン
果南「あ、入ってないんだ」
千歌「 」コクコク
果南「ま、吸い込んだ時点でやらかしてるけどさ」
曜「果南ちゃんはだまってて。千歌ちゃん、うがい」
千歌「っ……ガラガラッ……ペッ……ガラガラッ……ペッ……」
千歌「アー……コホッ……アー、アー……うし!」
千歌「よーちゃん! ありがと!」ギュウッ
曜「わわっ! だ、大丈夫?」
千歌「うん! もう平気だよ!」
曜「そっか……よかった……」
148
:
名無しさん@転載は禁止
:2021/12/31(金) 23:06:28 ID:ZQx8hvVA
梨子「……千歌、ちゃん」
千歌「梨子ちゃんも、聞いてたよ。すごいなぁ、あの場面で吸わなくて済むなんて」
梨子「ルビィちゃんが」
千歌「……え?」
曜「ルビィちゃんが、どうかしたの?」
梨子「連れて、かれた」
149
:
名無しさん@転載は禁止
:2022/01/01(土) 00:21:43 ID:ipOj4vBM
続き来ててびっくりした
読み返してくるわ
150
:
名無しさん@転載は禁止
:2022/01/01(土) 17:45:12 ID:FOYu7hTY
―――
―
ルビィ「……ん……うぅ」
ルビィ「ここは……」
??「隠れ家よ」
ルビィ「っ!」
??「……起きたのね」
ルビィ「っ……え?」
ルビィ「……も、もしかして」
ルビィ「よし……こちゃん、なの……?」
善子「久しぶり。元気してた?」
151
:
名無しさん@転載は禁止
:2022/01/01(土) 17:45:40 ID:FOYu7hTY
ルビィ「どうして……あ、もしかして。そっか、そうだよね! 助けてくれたんだ!」
善子「……」
ルビィ「ありがとう、善子ちゃん! 私が攫われたところを、助けてくれたんだよね!」
善子「……そうね。堕天使ヨハネがリトルデーモンを救うのは、当然のことよ」
ルビィ「やっぱり! えへへ、やっぱり善子ちゃんは、昔から変わってな……」
善子「――なんて、言うとでも思った?」
152
:
名無しさん@転載は禁止
:2022/01/01(土) 17:46:20 ID:FOYu7hTY
ルビィ「……へ?」
善子「貴方を攫ったのは、この私」
善子「それと。私は善子じゃない……"死神"よ」
ルビィ「……な、何言ってるの? 善子ちゃんは善子ちゃんだよ」
善子「善子なんて、もういないわ。純粋無垢な、貴方のお友達は、とうの昔に死んだのよ」
ルビィ「……で、でも」
善子「私は、余りにも人を殺しすぎた」
善子「今更、誰かと馴れ合うことなんて、許されてはいけないの」
153
:
名無しさん@転載は禁止
:2022/01/01(土) 17:46:54 ID:FOYu7hTY
ルビィ「……もし、貴方が死神だというのなら」
ルビィ「どうして、ルビィを殺さないの?」
善子「……」
ルビィ「花丸ちゃんから聞いたの。死神は、人殺しの天才で、今はG国のために戦ってるんだって」
ルビィ「ルビィはA国の軍人だよ。貴方にとっては、私は敵でしかないはず」
ルビィ「ねえ、死神さん。どうして私を殺さないの?」
善子「……さあね。気が変わったんじゃない?」
ルビィ「違うよ。そんな理由で、わざわざ敵をこんなところに連れてくるはずがない」
ルビィ「さっき、隠れ家って言ってたよね。ここはどこ? G国の領地なのかな」
善子「そんなこと、敵に教えるわけないじゃない」
善子「とにかく。あんたはそこで大人しくしていればいいの。そうすれば、生かしておいてあげる」
ルビィ「……わかった。善子ちゃんのいうとおりにするよ」
善子「だから、私は――」
ルビィ「なら、お話しよーよ」
善子「……は?」
154
:
名無しさん@転載は禁止
:2022/01/01(土) 17:49:19 ID:FOYu7hTY
―――
―
曜「死神……本当に、そう言ってたんだね」
千歌「うん」
曜「……そっか。アイツが、来たんだ」
千歌「前に戦ったんだっけ」
曜「うん。手も足も出なかった」
千歌「……」
果南「その死神さんに、アスカが殺されて、ルビィちゃんとミラが行方不明……か」
果南「Code:Cを潰すことが、敵さんの狙いだったわけだね」
曜「……くそっ! 私がここにいれば……!」
千歌「よーちゃんのせいじゃないよ」
果南「千歌の言う通りだよ。敵がこんなところに現れるなんて、イレギュラー中のイレギュラーなんだから」
果南「……にしても、ちょっと、間が悪すぎた」
155
:
名無しさん@転載は禁止
:2022/01/01(土) 17:49:53 ID:FOYu7hTY
千歌「ふぃー」
曜「……っ」ゾク
曜(この、感覚)
曜(子どもの頃と、同じだ)
曜(隣町の悪ガキたちを、殺しかけた時と)
曜「……千歌ちゃん」
千歌「ん?」
曜「大丈夫……?」
千歌「何が?」
曜「一旦、落ち着いて」
千歌「んー、落ち着いてるよ?」
曜「そうは、見えないよ」
千歌「あはは、そっかー。でもさ、仕方ないじゃん」
千歌「ここまでされて、ブチギレないわけないでしょ?」ビリッ
曜「っ……!」ゾワッ
156
:
名無しさん@転載は禁止
:2022/01/01(土) 17:50:14 ID:FOYu7hTY
果南「千歌。殺気出しすぎだよ」
千歌「……ふぅ。ごめん、よーちゃん」
曜「いや、こっちこそ……ごめん」
千歌「よーちゃんのせいじゃないって。私が、力不足だった」
果南「いいや。本拠地のど真ん中に、いきなり敵が出現したんだ。主力が潰されなかった分、むしろよくやった方だよ」
曜「……基地、内部」
曜(そういえば、前にも……)チラッ
梨子「……?」
曜「……!」
曜(いやいや、何考えてんだ。梨子ちゃんが関係あるわけないじゃん)
果南「……」
157
:
名無しさん@転載は禁止
:2022/01/01(土) 17:50:44 ID:FOYu7hTY
果南「千歌も梨子ちゃんも、ミラの行方はわからないんだよね」
千歌「うん、知らない」
梨子「 」フルフル
果南「……ルビィちゃんは、攫われたのを梨子ちゃんが見てるから、多分そうなんだろうけど」
曜「ミラも攫われた……?」
果南「どうだろう。そもそも、拉致の理由がわからない」
果南「仮に私が敵だったら、情報収集のために捕虜として連れてくるけどな」
曜「単なる人質、とか」
果南「なくはないけど。敵さんが、わざわざここに乗り込んでまですることかな」
曜「人質の可能性は低い、か」
曜「情報収集だとしても、それこそルビィちゃんやミラを連れていく理由がわからない」
曜「ルビィちゃんはともかく、ミラはただの戦闘員だよ」
果南「……アスカがここで殺されている以上、殺す以外の目的があった可能性は高いよね」
曜「じゃあ、何があるってのさ」
果南「考えうるのは、諜報員……スパイとか?」
曜「……! まさか、ルビィちゃんがスパイ? 有り得ないよ」
果南「そう思わせるのがスパイの仕事だよ」
158
:
名無しさん@転載は禁止
:2022/01/01(土) 17:51:43 ID:FOYu7hTY
果南「そもそも、おかしな話なんだ。どうやって本拠地に侵入できたのか――」
千歌「どうでもいいよ、そんなことは」
果南「……千歌」
千歌「なんにせよ、ルビィちゃんは私が連れ戻す」スッ
果南「どうするつもり?」
千歌「もちろん出撃するよ。で、死神をぶっとばす」
果南「どこにいるのかもわからないのに?」
千歌「それは……」
果南「無理だよ、千歌」
千歌「やってみなきゃわかんないじゃん」
果南「今動くのは、得策じゃないってこと」
千歌「だって、ルビィちゃんが……!」
曜「千歌ちゃん。悔しいけど、果南ちゃんの言う通りだよ」
曜「情報が、圧倒的に足りないんだ」
千歌「くっ……!」
果南「今は、待つしかない。反撃の機会は必ずあるはずだよ」
千歌「……わかった。よーちゃんと果南ちゃんが、そう言うなら」
159
:
名無しさん@転載は禁止
:2022/01/01(土) 17:52:17 ID:FOYu7hTY
―――
―
善子「お話って何よ」
ルビィ「んー、たとえば……善子ちゃんが、これまで何をしてきたのかとか」
善子「それはさっき言ったわ。人殺しよ」
ルビィ「そうじゃなくて。どうして今、そんなことをしているのかだよ」
善子「……」
ルビィ「昔話、しよっか」
ルビィ「10歳くらいの頃だったかな」
ルビィ「私たちは、孤児院で出会った」
善子「……そうだったかしらね」
ルビィ「そこには、お姉ちゃんと、花丸ちゃん、果南ちゃん……あと、鞠莉ちゃんがいた」
善子「……そうね」
160
:
名無しさん@転載は禁止
:2022/01/01(土) 17:52:39 ID:FOYu7hTY
ルビィ「6人で、一緒に遊んだよね。善子ちゃん、普段は素っ気なかったけど、鬼ごっこの時とか張り切っちゃって」
善子「地上の人間どもに合わせてたのよ。あと、その子の名前はヨハネ」
ルビィ「遊ぶ時も、ご飯食べる時も、寝る時も一緒だった。楽しかったなあ」
善子「無視するんじゃないわよ」
ルビィ「……でも、戦争が始まって、バラバラになった」
善子「……」
ルビィ「孤児院は、向こうの国の兵隊さんに焼かれちゃったし、善子ちゃんと鞠莉ちゃんは、捕まって連れていかれて……」
善子「もう、いいわよ」
ルビィ「ルビィたちが逃げられたのは、善子ちゃんたちが逃がしてくれたから」
ルビィ「そのあと、善子ちゃんたちがどうなったのか、知らないんだ」
善子「だから、いいってば」
161
:
名無しさん@転載は禁止
:2022/01/01(土) 17:52:57 ID:FOYu7hTY
ルビィ「……善子ちゃん」
ルビィ「どうして、ルビィたちは」
ルビィ「どうっ……して……助けられなかったのかなぁ……」
ルビィ「どうして……逃げちゃった……のかなぁ……」
ルビィ「どうして……のうのうと生きてられる……のかなぁ……」
善子「ルビィ、もういいの」
善子「そんなに辛そうな顔、させたかったわけじゃないから」
ルビィ「ごめん……ごめんね……」グスッ
善子「あんたたちが生きているなら、それで十分よ」
162
:
名無しさん@転載は禁止
:2022/01/01(土) 23:12:57 ID:FOYu7hTY
―――
―
曜「Code:Cが、解散……?」
果南「うん。それと同時に、C基地を放棄する。司令官殿のお達しだよ」
千歌「ダイヤさんの……」
果南「千歌と曜は、本部に戻ってきて。明日、再配置の打ち合わせをするから」
千歌「再配置……?」
果南「2人には、私の部隊で戦ってもらうことになると思う」
曜「なんで……って、聞くまでもないか」
果南「突如として基地内に部外者が現れる現象が、短期間に2度も続いたんだよ。ここに何かが仕掛けられている可能性を考慮するのは当然でしょ」
千歌「……2度、ね」
果南「そう。これが何を意味するか、わかるよね」
梨子「……!」
曜「梨子ちゃんは関係ないよ」
果南「どうしてそう言いきれるの。疑う要素は揃ってるのに」
163
:
名無しさん@転載は禁止
:2022/01/01(土) 23:14:46 ID:FOYu7hTY
果南「2回目は、基地内に何者かが出現し、アスカが殺害され、ルビィとミラが行方不明になった」
果南「仮に、最悪の事態を想定して、ルビィとミラがスパイだったとするよ」
果南「1回目、梨子ちゃんが現れた時。最初、事態に対応したのはミラだった」
果南「何らかの繋がりがあるって考えるのが普通でしょ」
曜「梨子ちゃんは、嘘をついてない。本当に何も知らないんだ」
果南「曜。まさか、心が読めるなんて、突拍子もないこと言うわけじゃないよね」
曜「くっ……そんなの、ずっと過ごしてればわかるよ!」
果南「根拠なしに言っても、命令は覆らない」
164
:
名無しさん@転載は禁止
:2022/01/01(土) 23:15:18 ID:FOYu7hTY
曜「そんな……待ってよ」
果南「待たない。梨子ちゃん、ついてきて」
千歌「……連れていって、どうするの?」
果南「梨子ちゃんには、しばらく監視施設に入ってもらう」
曜「なんでっ! 梨子ちゃんは、私を助けてくれたんだよ!!」
曜「梨子ちゃんがいなかったら、私は今ここにいない!!」
果南「……で? だからどうしたってのさ」
曜「……っ!」
果南「助けられたから、何? それで事実が変わるわけじゃないでしょ」
曜「それ、は……」
165
:
名無しさん@転載は禁止
:2022/01/01(土) 23:18:30 ID:FOYu7hTY
果南「行くよ、梨子ちゃん」
梨子「……」
果南「二度は言わないよ。従わないなら、君を拘束しないといけなくなる」
梨子「……わかった」
曜「梨子ちゃん……ごめん」
梨子「曜ちゃん。大丈夫、だよ」
曜「……必ず、助けるから。だから、待ってて」
千歌「……行っちゃったね」
曜「……梨子ちゃん、無事で済むかな」
千歌「どうだろう。多分、普通の捕虜として扱うんじゃないかな」
曜「梨子ちゃんは、なんにも悪いこと、してないのに」
曜「おかしいよ……こんなの……」
千歌「仕方ないよ。この世界は、どうしようもなく理不尽なんだ」
166
:
名無しさん@転載は禁止
:2022/01/03(月) 01:18:55 ID:v6rlqdP2
面白いな
167
:
名無しさん@転載は禁止
:2022/01/03(月) 18:16:57 ID:5u6gn7Z2
―――
―
ルビィ「グスッ……ズビッ……」
善子「まったく、あんたは昔から泣き虫よね」ダキッ
ルビィ「だって……だってぇ……」
善子「はいはい。仕方ないリトルデーモンね」ヨシヨシ
ルビィ「……ねえ、善子ちゃん」
善子「ん?」
ルビィ「Code:Cのみんなは……どうしたの」
善子「……」
ルビィ「善子ちゃん、死神なんだよね。いっぱい、人を殺めてきたんだよね」
善子「……そうよ」
ルビィ「じゃあ、Code:Cのみんなも……殺しちゃうの?」
善子「ええ。私には、そういう命令が課せられている」
168
:
名無しさん@転載は禁止
:2022/01/03(月) 18:17:58 ID:5u6gn7Z2
ルビィ「やめてよ……お願い」
善子「ダメよ」
ルビィ「どうして? あそこには、お世話になった人たちがたくさんいるの。死んで欲しく、ないよ」
ルビィ「善子ちゃんが、その人たちを殺しちゃうなんて……想像したくないよ」
善子「これは取引なの。A国の主力を潰す代わりに、2人まで、捕虜を連れてきてもいいってね」
善子「1人は、あんた。だからここに連れてきたのよ」
ルビィ「……そんなの、おかしいよ。ルビィなんて、何の役にも立たないのに……ルビィなんかより、もっと助けるべき人が、いっぱいいるよ」
善子「役に立つ、立たないの問題じゃないの」
善子「私にとって、どうでもいいか、そうじゃないか……それだけよ」
ルビィ「でも……でもぉ……」
169
:
名無しさん@転載は禁止
:2022/01/03(月) 18:18:35 ID:5u6gn7Z2
善子「それに……もう、遅いわよ」
善子「私は、とっくに2人殺している」
ルビィ「ふた、り?」
善子「1人はアスカ。あんたを攫う直前に殺したわ」
善子「もう1人は……ミラ」
ルビィ「……いつ?」
善子「いつ頃だったかしらね。そう、丁度……」
善子「――あんたたちが、"梨子"を保護した時よ」
170
:
名無しさん@転載は禁止
:2022/01/03(月) 18:19:17 ID:5u6gn7Z2
―――
―
果南「ここだよ、梨子ちゃん」
梨子「……」スッ
ガチャン
梨子「っ!」ビクッ
果南「ごめんねー、脅かしちゃって。この部屋、小綺麗にしてるけど、これでも独房なんだよね」
梨子「……」
果南「大丈夫大丈夫、大人しくしてくれるなら、何も危害は加えないから」
梨子「……知らない。何も」
果南「それは曜から聞いたよー。別に疑ってないって」
梨子「……?」
果南「あ、そうそう。その怪我治療しないとだよね。衛生兵呼ぼうか?」
梨子「……」フルフル
果南「まま、遠慮しないでさ。傷口からバイ菌入ったら、後が怖いよ〜」
171
:
名無しさん@転載は禁止
:2022/01/03(月) 18:20:54 ID:5u6gn7Z2
梨子「……目的、何?」
果南「だからさ〜、そんなに警戒しないで。一応私、千歌と曜の味方なんだよ?」
梨子「……」ジッ
果南「あはは。今の言い方だと、梨子ちゃんの味方ではない……って感じに聞こえちゃうかな」
果南「そう思う? 梨子ちゃん」
梨子「……」
果南「沈黙は、肯定ってこと?」
果南「タハハ……マイッチャウナー……」
果南「大正解」
172
:
名無しさん@転載は禁止
:2022/01/03(月) 21:26:43 ID:dnxEqUKI
梨子「……っ!」
果南「あはは。警戒しなくても大丈夫だよ。今すぐどうこうしようってんじゃないからね」
果南「ところでさ、傷口見せてよ。はやく治療しないと、化膿しちゃうかもよ?」
梨子「……」
果南「ほら、見せて。大した傷じゃなければ、私でも処置できるから。えーっと、救急箱は……これか。うん、揃ってるね」
梨子「……」スッ
果南「……うん、かすり傷だね。出血も少ないし、放っておいても死ぬわけじゃない。まあ、できる限り綺麗に治って欲しいよね〜、女の子だもん」
カチャカチャ トクトク
果南「じゃあ、染みるよ〜。ほい」
トントン
梨子「いっ……!」
果南「ごめんごめん。一応私、そこそこ上手い方だと思うんだけどなー」
果南「はい、もう1回」
トクトク トントン
梨子「っ……」
果南「うん、偉い偉い」
チョキ グルグル
果南「はい、おしまい」
梨子「……どう……も」
173
:
名無しさん@転載は禁止
:2022/01/03(月) 21:27:25 ID:dnxEqUKI
果南「さっきも言ったけどさ、大人しくしてくれれば危害は加えないから」
梨子「……私には、何も、できない」
果南「さあ、どうだろうね。できないかもしれないし、できるかもしれない」
果南「あるいは……誰かが手引きしているかもしれない」
梨子「あなたたちの敵が、どんな人たちなのか……私は、本当に……」
果南「しゃべるねえ、今日は。ま、自分の身が危険となれば当然か」
梨子「あ……ぅ……」
果南「あー、言い方が悪かったか……怯えさせるつもりないんだけどな。昔から言い回しがへったくそなんだよね、私」
果南「安心しな。ここにいる限り、君の安全は保障する」
梨子「……」
174
:
名無しさん@転載は禁止
:2022/01/03(月) 21:27:38 ID:dnxEqUKI
果南「見ての通り窓はなくて、出入りできる扉はここだけ。しかも、生体認証でしか開かない仕組みになってる。で、登録してるのは、戦闘部隊の大隊長である私と、司令官であるダイヤだけ」
果南「たとえ死神が本部に侵入してきたとしても、この部屋だけは干渉できない。すごいっしょ」
梨子「……」ジッ
果南「……生活に必要なものは揃ってる。ご飯も3食配給するし、他に欲しいものがあれば、私が届けに来るからさ。ま、気楽に過ごしてよ」
果南「じゃあね。もう夜遅いし、今日はゆっくり休みな」
ガチャン
梨子「………………」
梨子「…………は……」
梨子「……ぁ」ペタン
梨子「ぅ……ぅ……」
梨子「……曜、ちゃん」
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