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善子「Black Sheep」

773名無しさん@転載は禁止:2018/08/31(金) 06:38:22 ID:RGp1IVx2
おつ
善子はもちろん、祝福できるって言い切った梨子も良い子だな
ハッピーエンドも楽しみにしてる

774名無しさん@転載は禁止:2018/09/01(土) 19:37:55 ID:ZQeaQaZs
乙、ノーマル√はビター風味なエンドだったね
バッドエンド√でも思ったけどこの善子とルビィの関係性好きだわ
ハッピーエンド√も待ってます

775名無しさん@転載は禁止:2018/09/05(水) 01:54:19 ID:Y37VIjyo

曜が分裂でもしないとハッピーエンドにならなそうだけどどうなるのかな

776名無しさん@転載は禁止:2018/09/22(土) 20:05:55 ID:gWrDMf7o
ここまで来ると全員に幸せになってもらいたいものだ

777名無しさん@転載は禁止:2018/10/18(木) 20:35:29 ID:2/JGha12
そろそろ続きを……

778名無しさん@転載は禁止:2018/10/21(日) 02:01:11 ID:Q2IbOsdw
待ってるぜ

779名無しさん@転載は禁止:2018/11/09(金) 05:19:44 ID:5Qwzc.2Y
大変お待たせして申し訳ありません
今週中に再開します

780名無しさん@転載は禁止:2018/11/09(金) 07:41:54 ID:unXh9qBA
待ってた

781名無しさん@転載は禁止:2018/11/09(金) 08:30:48 ID:s/V94egc
正座待機

782名無しさん@転載は禁止:2018/11/11(日) 15:35:26 ID:V98tAuiQ
待ってました
期待

783名無しさん@転載は禁止:2018/11/12(月) 04:32:06 ID:U9sxIV4A
大変お待たせしました
ハッピーエンド√になります
>>417からの分岐ですが、更新が空き過ぎてしまいましたので
最初の数レスは既存の文章を修正して再掲しております

784名無しさん@転載は禁止:2018/11/12(月) 04:32:27 ID:U9sxIV4A
――善子の家

善子「ただいま……」

善子母「あらおかえり。今日は早いのね」

善子「晩ごはん、今日はいらない」

善子母「……そう。食べたくなったら言ってね?」

善子「……うん。ありがとう」


――善子の部屋

善子「……」ドサッ

善子「う……うぅ……」グスッ

善子「どうして……どうして……」

785名無しさん@転載は禁止:2018/11/12(月) 04:32:48 ID:U9sxIV4A
どうして、こうなってしまったんだろう。

私はただ、曜さんに幸せになってほしかっただけだった。

本当にそれだけだった。

だって曜さんは、私を人間にしてくれた。

人間になれない、どうしようもなく救いようのない人間モドキの私でも、真っ当に生きられるんだって教えてくれた。

あの人のためならどんなことだってしようって思えた。


「でも、あなたは何もしなかったわ」


真っ暗な私だけの空間。声のする方に振り向くと、私がいた。

私とおんなじ顔をした、不気味な笑みを浮かべる私がいた。


善子?「曜さんを助けたいと思いながら。曜さんを幸せにしたいと思いながら。曜さんを守りたいと思いながら」

善子?「結局あなたは何もしなかった」

786名無しさん@転載は禁止:2018/11/12(月) 04:33:09 ID:U9sxIV4A
善子「ち、違う! 私は……」

善子?「違わないわ。日に日に傷ついて弱っていく曜さんを見て、あなたはただどうにかなるように願っていただけ」

善子?「曜さんからもらうだけもらって、何も返さないままじゃない」

善子「違う私は、本当に……」

善子?「誰かを幸せにできると思った?」

善子「あ……あぁ……」

善子?「たくさんたくさん傷つけてきた。壊してきた。ダメだって思いながら、抗えなかった」

善子?「そして、それで構わないって思った」

善子「違う!!!」

善子?「大好きなものが、大好きな人が壊れていくのがたまらなく好きだった。どうなっていくのか見たくてしょうがなかった」

善子「黙れ!!!」

善子?「私一人だけが、楽しかった!」

善子「黙れ!!!!!!」

善子?「本当は、曜さんが傷ついて壊れていくのを見るのが楽しかったんじゃないの?」

善子「黙れ!!! 殺すぞ!!!」

目の前の私の髪を掴んで、思い切り地面に叩きつけた。

何度も何度も叩きつけた。加減なんて一切しなかった。本気で壊そうとしたから。

久しくこんなことはしていなかった。する必要なんてなかったし、そうしようなんて思いもしなかったから。

だから、久しぶりの何かを壊す感触に、私は、ワタシハ……

787名無しさん@転載は禁止:2018/11/12(月) 04:33:34 ID:U9sxIV4A
……いつからだろうか。

幼い頃。それこそまだ花丸と一緒に幼稚園に通っていた頃。

私は自分が、本当の天使だと思った。

お母さんが私を天使みたいだって言ったから。

みんなが笑顔をくれて、私の周りにいる人はみんな幸せだったから。

みんな私をたくさん愛してくれたから。

だから私もみんなを愛した。

「、私本当は天使なの!」

みんなを愛してみんなに愛される。そんな私は本物の天使なんだと疑わなかった。

788名無しさん@転載は禁止:2018/11/12(月) 04:34:09 ID:U9sxIV4A


「そうじゃないって気づいたのは、いつだったかな」

また背後から声がした。振り向くと幼い姿の、幼稚園の頃の私がいた。

よしこ「私、みんなをたくさん愛したよ」

よしこ「みんなのことが大好きで、喜んでもらえることはなんでもやった」

よしこ「みんな笑ってて、幸せそうで……」

よしこ「でも突然、それら全てを壊してみたくなった」

よしこ「いま愛してくれるみんなを、例えば思いっきり嫌いになってみたらどうなるんだろう」

よしこ「傷つけて傷つけて、思いきり壊してみたらどうなるんだろう」

よしこ「思い始めたら止まらなくて」

よしこ「一度壊してみたら、とてもとても気持ちよくて」

よしこ「私、本当は、壊すために愛していたのかなって……」

789名無しさん@転載は禁止:2018/11/12(月) 04:34:34 ID:U9sxIV4A
よしこ「ねえ、今もそうなの?」

善子「違う! 違う! 私はもうあの頃の私じゃない!」

善子「今度こそ、今度こそ誰も壊さずに、誰も不幸にしないで、みんなを愛して、みんなに愛されるって決めた……」

善子「そう決めた! だから、だから……」


善子?「だから私を押しのけて、あなたが生まれた」


善子「っ……!」


頭を掴んで地面に叩きつけたままだった私が、おもむろに顔を上げて不気味に睨み、そして立ち上がる。

その眼差しにすくんだ私は、よろよろと後ずさった。





よしこ「ねえわたし。覚えてる?」

よしこ「わたしたち、大好きな人たちをたくさん傷つけてきたね」

よしこ「わたし、みんながだいすきだったよね」

よしこ「……ようさんが、だいすきなんだよね」

790名無しさん@転載は禁止:2018/11/12(月) 04:34:46 ID:U9sxIV4A
善子?「……愛されたかった?」

善子「……愛され、たかった」

善子?「おこがましいのね。醜い人間モドキのくせに」

善子「……そう、ね」

よしこ「わたしたち、どこで間違えちゃったのかな……」

よしこ「……それとも、最初から間違いだったのかな」

善子「……わからない」

善子?「わからないまま、みんなを壊して……それで」

善子「なにを、してたのかしらね……はは」

791名無しさん@転載は禁止:2018/11/12(月) 04:35:09 ID:U9sxIV4A
よしこ「……ねえ」

よしこ「これから、どうしたい?」

善子「……?」

よしこ「もう、今度こそわたしは幸せにはなれないよ」

善子?「曜さんが壊れてしまったからね」

善子「……」

よしこ「なにが、できるかな?」

善子?「何を望むのかしら」


善子「私は……」

私はこの学校で曜さんに出会った。

最初は相容れないと思った。私とは正反対の、不幸なことなんか何もなくて、毎日が幸せな人なんだと思った。

でも違った。曜さんは私が考えているような順風満帆な人なんかじゃなくて、必死であがいて、努力していて。

だから、素晴らしくて。

文字通り完璧な人だった。誰よりも人間らしくて美しい。誰もが羨み憧れ心を寄せる、太陽のように眩しい人。

私のような人間モドキがあの人と一緒にいられるなんて奇跡みたいだった。

本当に幸せだった。何もかも輝いて見えた。

こんな私でも、真っ当に生きられるんじゃないかって、この人のそばでならそれができるって思えた。

792名無しさん@転載は禁止:2018/11/12(月) 04:35:39 ID:U9sxIV4A
でも救えなかった。

私は何も出来なかった。



失ってしまった。


もうあの人が私に笑いかけてくれることはないだろう。

だから、今までのことを思いだしていた。

――善子ちゃん

名前を呼んでくれるだけで心が弾んだ。

――善子ちゃん!

一緒にいるだけで胸が高鳴った

――善子ちゃん!!

お話するだけでドキドキが止まらなかった。

――善子ちゃん!!!

その笑顔だけで、私は救われた。

793名無しさん@転載は禁止:2018/11/12(月) 04:35:52 ID:U9sxIV4A
善子「曜さん……」


私のすきなひと。わたしの、たいせつなひと。


善子「……」


また笑ってほしかった。愛されたかった。

今の私に、できること……

794名無しさん@転載は禁止:2018/11/12(月) 04:36:16 ID:U9sxIV4A

善子?「壊してしまいましょう」

善子「……え?」

善子?「壊しちゃうの。Aqoursを、みんなを、ぜーんぶ壊しちゃうのよ!」

善子?「だって、Aqoursなんてものがあるから曜さんは壊れてしまった」

善子?「Aqoursが……千歌さんと梨子さんがいるかぎり曜さんは苦しみ続ける」

善子?「そんなの許せないでしょ? あの二人だけが幸せで、曜さんは不幸なままなんて」

善子?「ね、そう思わない?」


よしこ「……それで、いいかな?」


善子「……」



Aqoursを壊す。千歌さんと梨子さんを、壊す。

簡単だ。ちょっと心を攻撃すれば、優しいあの人たちはすぐに壊れる。

Aqoursの中心であるあの二人が壊れれば、当然Aqoursもなくなる。

曜さんを苦しめた原因。Aqoursの活動。千歌さんと梨子さん。

それがなくなれば、どれだけ気持ちのいいことだろうか。

そうすればもう、曜さんは苦しまなくていい。

いいじゃないか。最高だ。

曜さんを壊した報いを受けさせてやろう。

私ならできる。たやすいことだ。

795名無しさん@転載は禁止:2018/11/12(月) 04:36:55 ID:U9sxIV4A
でも……

じゃあ、そうすれば、曜さんは笑ってくれるだろうか。

また、私の名前を呼んでくれるだろうか。

優しくて素敵な笑顔で、明るくて元気な声で「善子ちゃん」って。


――善子ちゃん


善子「……」


……違う、そうじゃない。

誰も傷つけないって決めた。

真っ当な人間になるって決めた。

もし私がそんなふうに全部壊してしまったら、きっと曜さんは悲しむ。

自分のせいだって、自分がみんなを傷つけたんだって思い込んで自分を傷つける。

そうしたら今度は私が曜さんを壊してしまう。


善子「……そうじゃない」

善子?「……?」

善子「私は、私たちはもうそんなことしない。今度こそ誰も傷つけないで、誰かのために頑張るって決めた」

よしこ 「……」

善子? 「へえ? どうやって」

善子 「……わからない」

善子?「はあ?」

796名無しさん@転載は禁止:2018/11/12(月) 04:37:22 ID:U9sxIV4A

善子「わからない、けど、がんばるの」

善子?「何言ってるの。今までさんざんそうやって耐えようとして、それでも誰かを傷つけずにいられなかったくせに!」

善子?「今だって、憎くて壊したくてたまらないくせに!」

善子「……そうね、きっと私、根っこの部分は何も変わってない。いくら取り繕っても拭おうとしても、絶対になくならない」

善子?「そうよ! 私たちはそうやって生きるしかない! そういうふうにできている!」

善子?「どうしようもないの、決まっているの! だから……!」

善子「でも……」

797名無しさん@転載は禁止:2018/11/12(月) 04:37:37 ID:U9sxIV4A
善子「もう、それを言い訳にしたりしない。たとえどこかで失敗しても、そこから目を背けない。自分がしたことを忘れない」

善子?「だから! そんなことやったって最後には全部壊れちゃうの! どうしようもないのよ!」

善子「大丈夫。どうしようもないって思っても、きっとみんなが助けてくれる」

善子?「何を根拠に! Aqoursだって曜さんだって、きっと最後には私を排斥する! なんでそう言い切れるの!」


善子「だって、そう、信じてる」

善子?「な……」

よしこ「……!」

善子「きっとみんなが、曜さんが、また私を助けてくれる。私をAqoursに誘ってくれた時みたいに。そんな気がするわ」

善子?「……根拠もなにもない、ただの妄想じゃない! 世界はそんなに優しくない!」

善子?「そんな、そんな世界……」

よしこ 「そんな世界は、いや?」

善子?「そんな、そんな世界だったら……」



善子?「どれだけ、よかったか……」

798名無しさん@転載は禁止:2018/11/12(月) 04:37:50 ID:U9sxIV4A
善子「以前の私とはもう違う。本当に大切に思える、思ってくれる仲間がいる」

善子「今度こそうまくいく。私はみんなを信じたい」

よしこ「……いいんじゃないかな」

善子?「ちょっと……!」

よしこ「わたしがそう決めたなら、そうしようよ。がんばってみよう」

善子?「……後悔するわ。絶対に」

よしこ「そうかもね……でも、大好きな人だから。初めての気持ちだから。そのためにがんばりたい」

よしこ「『わたし』も本当は、そう思うでしょ?」

善子?「……」

よしこ「わたしたちは、曜さんが大好き。このままなんて嫌だよね」

善子「本当は怖い。けど、Aqoursのために、曜さんのために、がんばってみたい」

善子?「なんで、そこまで……そんなに前を向こうと思えるの」

799名無しさん@転載は禁止:2018/11/12(月) 04:39:16 ID:U9sxIV4A
善子「どうにかできるとしたら、きっと私しかいない」

善子「……それに」

善子?「……」

善子「曜さんのことが、好きだから」

善子「好きな人に愛する人に幸せになってほしい」

善子「私のしたことで曜さんが笑ってくれるなら……」


善子「それは、素敵なことじゃない?」ニコッ

善子?「……!」

よしこ「……」


善子「行ってくるわ」

800名無しさん@転載は禁止:2018/11/12(月) 04:41:18 ID:U9sxIV4A
大変遅れまして申し訳ありません
上手く時間が取れませんでしたがここからは間が空かないよう心がけます

待っていてくださった方々は本当に申し訳ありません、そしてありがとうございます
たまにレスでケツを蹴り上げてくれればと思います

801名無しさん@転載は禁止:2018/11/12(月) 07:17:37 ID:heh9j1Gw
待ってたぞ

802名無しさん@転載は禁止:2018/11/12(月) 21:29:25 ID:7JszDlhc
待ってました
善子ちゃん……頑張れ……!

803名無しさん@転載は禁止:2018/11/12(月) 23:03:27 ID:7mvBct7o
続ききた!
ハッピーエンド√はそこからの分岐なのか…
ここからどうなるのか楽しみだ

804名無しさん@転載は禁止:2018/11/14(水) 00:57:36 ID:dmWLFa76
めっちゃ楽しみにしてる

805名無しさん@転載は禁止:2018/11/20(火) 02:39:16 ID:T/L/GnoM


806名無しさん@転載は禁止:2018/12/09(日) 16:59:45 ID:2GfYAYZ6
これの更新が楽しみでしたらば覗いてる

807名無しさん@転載は禁止:2019/01/12(土) 22:07:04 ID:.pK.Vos2
もう1ヶ月か……

808名無しさん@転載は禁止:2019/01/15(火) 21:58:47 ID:KKyv/c5s
おうケツ蹴り上げに来たぞ!
待ってるぞ!

809名無しさん@転載は禁止:2019/01/15(火) 23:24:53 ID:z1SKVa5k
久々にBAD√一気読みしたけどやっぱ凄いわこの話……
HAPPY√も待ってるぞい

810名無しさん@転載は禁止:2019/01/15(火) 23:31:27 ID:KKyv/c5s
>>809
俺も同じことして発破かけたくなった
>>584ここの独白とか好きすぎるんだわ

811名無しさん@転載は禁止:2019/02/08(金) 02:19:55 ID:IsGvDhUs
待ってるぞ

812名無しさん@転載は禁止:2019/02/09(土) 20:17:39 ID:dCWLZPEw
初見だったけど、一気に読んでしまった……
仕事多いと大変ですよね
どうかこんな素敵な作品をかける自分の心を病ませることないように
ご自愛ください。続きも楽しみにしています。

813名無しさん@転載は禁止:2019/02/10(日) 05:05:53 ID:bPQEH3c.
同じく初見
バット√もノーマル√も善子の心情が手に取るようにわかってボロボロ泣いてしまった
続きをゆるゆる楽しみにしてます

814名無しさん@転載は禁止:2019/03/05(火) 23:07:58 ID:RKj.4IUA
まだか

815名無しさん@転載は禁止:2019/03/08(金) 11:42:40 ID:4aY873TM
>>1です。ゴミが参りました
本当に申し訳ありません。今更信用も何もないと思いますが4月までには完成させたいと思っております
手始めに明日続きを更新させてください

816名無しさん@転載は禁止:2019/03/08(金) 18:30:28 ID:dl60Gn2s
おお! 待ってました!!!

817名無しさん@転載は禁止:2019/03/08(金) 19:48:49 ID:./uijS9I
待ってましたよ!

818名無しさん@転載は禁止:2019/03/09(土) 12:08:59 ID:UYg0f69I
>>815
ゴミだろうがなんだろうが、最後に立ってた奴が偉くて強いんだよォ!!
待ってる!!

819名無しさん@転載は禁止:2019/03/09(土) 23:12:03 ID:3TK.3jIg
善子「おはようお母さん」

善子母「あら早いのね」

善子「うん……」

善子母「どうしたの? まだ具合悪いの?」

善子「ううん、そうじゃないの。大丈夫」

善子母「そう。元気になったみたいね。良かった」

善子母「……なんだか高校に入ってから楽しそうね」

善子「そう、かな」

善子母「うん。善子がまた楽しそうに笑ってくれて嬉しいわ。素敵なお友達を見つけたのね」

善子「……うん」

善子母「スクールアイドル、頑張ってね」

820名無しさん@転載は禁止:2019/03/09(土) 23:12:30 ID:3TK.3jIg

――

バス停

善子「(素敵なお友達)」

ハッシャシマス――

――善子ちゃん!おはヨーソロー!

――善子ちゃんおはよー!

――おはよう。朝から元気ね

善子「(みんな……)」

善子「……」

善子「(大丈夫。私は、今度こそ……)」


――学校

果南「善子ちゃん!」

善子「……果南さん」

果南「……千歌に聞いたんだ。その、曜のこと」

善子「あぁ……」

果南「……ごめん。私、善子ちゃんに頼まれたのに、結局……」

善子「いいんです。私も果南さんに押しつけて、自分では何もしなかったから」

果南「そんな……」

善子「大丈夫。これからは私がやります」

善子「私が、やるべきでした」

果南「……」

善子「みんなが大事だって思ってたのに逃げてばかりで、どうにかなるように願ってるだけで……」

善子「だからたくさん傷つけちゃった。みんなのこと」

善子「でも、だから頑張りたい。みんながまた、Aqoursとして活動できるように」

善子「私、Aqoursが大切だから」

果南「……一人で頑張りすぎないでね。私でも、ダイヤでも鞠莉でも、善子ちゃんの味方だから」

善子「……はい。 ありがとう果南さん」

821名無しさん@転載は禁止:2019/03/09(土) 23:12:51 ID:3TK.3jIg
昼休みの時間は長いような短いような、不思議な感覚で過ごした。

千歌さんと梨子さんに会って、私に何ができるのか。

本当に曜さんを、Aqoursを元通りにできるのか。

やらなきゃいけない。でも怖かった。

また私のせいで全て壊しちゃうんじゃないかって。

何かのはずみで二人をめちゃくちゃにして、Aqoursを、全てを台無しにしてしまうのが怖かった。

緊張なんて生易しいものじゃなくて、私の気持ちはいろんなものに押しつぶされてしまいそうで。

ルビィと花丸ともまともに会話もできないくらいだった。

でもこれは私がやるべきこと。やらなきゃいけないこと。

絶対に曜さんを助けて、みんなも幸せにする。

絶対、絶対に。

そして…

822名無しさん@転載は禁止:2019/03/09(土) 23:13:05 ID:3TK.3jIg
――昼休み

善子「(……時間だ)」

(私がやらなきゃ、今度こそ、私が……)


「善子ちゃん」


善子「……ルビィ」

ルビィ「どうしたの? 今日はあんまり話してくれないね」

ルビィ「ひどい顔してる。何か良くないことでもあったの?」

善子「ううん。そんなんじゃないわ、大丈夫」

ルビィ「……どこか行くの?」

善子「ええ、ちょっと、ね」

ルビィ「……」

823名無しさん@転載は禁止:2019/03/09(土) 23:13:22 ID:3TK.3jIg
ルビィ「善子ちゃん、行っちゃダメ」

善子「え?」

ルビィ「今の善子ちゃん、すごく苦しそうだよ。心が今にも押しつぶされそうで、壊れちゃいそう」

ルビィ「なのに、なんとかしなきゃって必死でもがいて、傷つきながら無理やり前に進もうとしてる」

ルビィ「…これから善子ちゃんがすること、なんとなくわかるよ。善子ちゃん……ううん、Aqoursの今後を大きく変えるような、とても大事なこと、なんだよね」

善子「……アンタには隠し事できないわね」


ルビィ「……私ね、鞠莉さんに言われてるんだ。善子ちゃんに何か変化があったらすぐに知らせるようにって。私の疾患なら善子ちゃんになにかあったらそれに気づけるからって」

善子「へぇ、じゃあどうするの? 今の私は危ないから、マリーに報告しに行くの? それともアンタが私を止める?」

善子「悪いけどこれはとても大事なことなの。私がやらなきゃいけないこと。いくらルビィでも邪魔するなら……」

ルビィ「違うの」

善子「!」

ルビィ「たしかに鞠莉さんにはそう言われてるよ。善子ちゃんを止めてあげてって。でもね……」

ルビィ「今は私自身が、善子ちゃんに前に進んでほしくないの」

ルビィ「だってそんなに傷ついてボロボロな気持ちで、これからもっともっと辛いことをしなきゃいけないんでしょ?」

ルビィ「これ以上傷つく善子ちゃん、見たくないよ」

善子「ルビィ……」

ルビィ「ごめん。ごめんね? 私、善子ちゃんの味方になるって言ったのに、こんなこと……」

824名無しさん@転載は禁止:2019/03/09(土) 23:13:42 ID:3TK.3jIg
善子「……前から気になってたんだけど、あんたはどうしてそんなに、私に優しいの?」

善子「こんな、私みたいな、最低なヤツに……」

ルビィ「……私たちみたいな人間モドキは、幸せにはなれない」

ルビィ「それは私たちが他人と自分を不幸にする疾患を持ってるからとかじゃなくて……」

ルビィ「……きっと『そうなるようにできている』から」

ルビィ「私たちは絶対に、幸せになれない道を歩かなきゃいけない。そんなふうにできている」

ルビィ「理屈とかじゃない。もっと大きな流れ……運命みたいなもので決まってるの。善子ちゃんなら、なんとなくわかるでしょ?」

善子「……ええ」

ルビィ「でも、善子ちゃんはキレイな心を持ってた」

ルビィ「私と同じで絶対に幸せになれないのに、どうして? って思ったよ」

825名無しさん@転載は禁止:2019/03/09(土) 23:13:56 ID:3TK.3jIg
ルビィ「それは善子ちゃんと関わっていくうちに、すぐにわかった」

ルビィ「善子ちゃんは強い心を持ってる。一度決めたらそこに向かおうとする、強い気持ちがある」

ルビィ「幸せになろうって思ったんだよね? 幸せにしたいって思ったんだよね?」

ルビィ「私はね、それをすごいと思った! 私は諦めたから。幸せになる勇気なんてなかったから」

ルビィ「だからね、私は……」

ルビィ「ルビィは……」

ルビィ「……」

善子「……」

826名無しさん@転載は禁止:2019/03/09(土) 23:14:14 ID:3TK.3jIg
ルビィ「……あのね善子ちゃん。善子ちゃんは、私にとって本当に特別なんだ」

ルビィ「花丸ちゃんとはまた違う、でも同じくらい特別な人なの」

ルビィ「……いなくなってほしくない」

ルビィ「また、善子ちゃんみたいな人に、さよならって言いたくないの」

善子「ルビィ……」

827名無しさん@転載は禁止:2019/03/09(土) 23:14:33 ID:3TK.3jIg
善子「……バカね」コツン

ルビィ「痛ぁい!? 何するの善子ちゃぁ!」

善子「いなくなるとかなんとか、大袈裟なのよアンタは」

善子「いい? 私は何も怖いことしに行くわけじゃない。不幸になりに行くわけでもない」

善子「みんなと一緒に幸せになるために、やらなきゃいけないことがあるだけ」

ルビィ「善子ちゃん……」

善子「でもね、私は臆病だからちょっとだけ勇気がいるの。1人じゃ怖くて、不安でたまらない。だから」

善子「ルビィ、アンタが私を応援してくれる?」

828名無しさん@転載は禁止:2019/03/09(土) 23:14:48 ID:3TK.3jIg
ルビィ「……それは、きっと善子ちゃんが幸せになるために必要なことなんだよね?」

善子「もちろん。そんでもってアンタも幸せになるの」

ルビィ「そっかぁ……」

ルビィ「えへへ、そっかぁ……!じゃあ、ルビィが応援しないわけにはいかないね!」

ルビィ「うん、応援するよ! ルビィは善子ちゃんの1番の味方だもん! だから……」

ルビィ「頑張って、幸せになって。私たちみたいな人間モドキでも幸せになれるって、ルビィに教えて?」

善子「ええ、任せなさい」

ルビィ「うん! 頑張ルビィ、だよ! 善子ちゃん!」

善子「うん!」

善子(……私バカね。みんなのために頑張るって、昨日決めたばっかりなのに)

善子(そうだった。今の私には、私の幸せを願ってくれる人がいる。応援してくれる人がいる)

善子(それはルビィだけじゃない。花丸も、果南さん達もそうで、それが見えなくなっていたみたい)

善子(本当に、浦の星に来て、Aqoursに出会えて良かった)

善子(だから、もう一度取り戻したい。また9人で、スクールアイドルをやりたい)

善子(そして今度は私が曜さんを助けるんだ)

829名無しさん@転載は禁止:2019/03/09(土) 23:16:50 ID:3TK.3jIg
ルビィ「善子ちゃん、落ち着いたみたいだね」

善子「ええ、おかげさまでね。それにしても私が特別なんてねー。嬉しいこと言ってくれるじゃない」

ルビィ「なんだ、知らなかったの? 私けっこう善子ちゃんのこと好きなんだよ。いつか言ったでしょ?」

善子「言ったっけ?」

ルビィ「……うん、言ったよ。きっとどこかで、もう伝えたよ」

善子「そっか。覚えてないけど、あんたが言うならそうなんでしょ。ありがとね」

ルビィ「うん。じゃあ、いってらっしゃい」

ーー

ルビィ「……行っちゃった」

ルビィ「善子ちゃん、Black Sheepって言葉、知ってるかな」

ルビィ「えへへ、きっと、今の善子ちゃんにはもう縁のない言葉だね」

830名無しさん@転載は禁止:2019/03/09(土) 23:17:34 ID:3TK.3jIg
お久しぶりの更新です
次の更新も急ぎますのでよろしくお願いします

831名無しさん@転載は禁止:2019/03/10(日) 02:27:46 ID:y5mqt4eY
お帰り、待ってたぞ!
続きが楽しみだわ、あの惨劇がどう変わるのか!

832名無しさん@転載は禁止:2019/03/10(日) 04:25:40 ID:Aan2lj9Y
善子ちゃんがんばルビィ
そんなに急かずに自分のペースで続けてくださいな

833名無しさん@転載は禁止:2019/03/10(日) 10:51:11 ID:IRsxXawE
続きキタァアアア!!
やっぱりこのSSの善子とルビィの関係が好きすぎてヤバいわ……
どんな結末を迎えるのか凄い楽しみにしてるけど自分のペースでよいからね!

834名無しさん@転載は禁止:2019/03/10(日) 22:49:28 ID:ddImDuLc
待ってた。
ありがとう。楽しみにしてるよ。

835名無しさん@転載は禁止:2019/03/11(月) 14:51:48 ID:3KIDwMI.
うおおおお!!!!!
めっちゃ良い!!!!!

836名無しさん@転載は禁止:2019/03/12(火) 01:52:49 ID:Y1hcFLxQ

次は5ヶ月以内にたのむ

837名無しさん@転載は禁止:2019/04/03(水) 02:31:29 ID:TGuKM3LE
待っとるよ

838名無しさん@転載は禁止:2019/06/14(金) 04:22:16 ID:zWqXJWDM
まだか

839名無しさん@転載は禁止:2019/09/14(土) 12:43:00 ID:ZVkyb/5k
生存報告だけでもいいから更新してくれ

840名無しさん@転載は禁止:2020/02/05(水) 19:00:24 ID:0bUttr9k
まだまだ待ってるぞい

841名無しさん@転載は禁止:2020/04/19(日) 23:43:24 ID:Txfd5NYA
まってるぞ…

842名無しさん@転載は禁止:2020/11/10(火) 17:08:13 ID:MbY0hmfg
私待ーつーわ
いつまでも待ーつーわ

843名無しさん@転載は禁止:2021/03/11(木) 21:28:16 ID:d.y.uJDo
マジでずっと待ってる

844名無しさん@転載は禁止:2021/05/31(月) 00:30:14 ID:WEDuyuA.
ハッピー√心待


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