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善子「Black Sheep」

1名無しさん@転載は禁止:2017/05/10(水) 01:37:40 ID:JFf8Mvsk
ああ、この手の人間か。


最初に思ったのはこんなことだった。

運動ができて勉強ができて、人付き合いも上手で友達もたくさん。

いわゆる典型的なリア充というやつで、それは私とは正反対の人種だった。

どうせ私のようなインドアで社交性のない人間とは馬が合わないのだろう。

そして得てして私のような人間はこのタイプの人間を嫌悪する。

こういう人のありかたが人間のあるべき姿だとわかっているし、この人自身とてもいい人だと思う。

でもだからこそ自分の人間としての不完全さが浮き彫りにされているような気分にもなった。

私みたいな社会に適合できない人間モドキとは住む世界が違うのだ。

だから私は、この人とはある程度仲良くはなれても、深い友好関係を築くことはないだろうと思った。

しかしこの人のそれは度を越していた。

263名無しさん@転載は禁止:2017/10/20(金) 05:19:14 ID:H6Th6OaY
――医務室

千歌「曜ちゃん!」

曜「あっ、千歌ちゃん! それに善子ちゃんも……」

善子「ちょっと大丈夫なの!?」

曜「ああ、ちょっと着水失敗しちゃってね、足首を捻挫しちゃったみたいで……」

千歌「そんな……どれくらいひどいの?」

曜「1、2週間くらいで治るから、そんなにひどいものじゃないよ」

千歌「そうなの? それならよかった、のかな……?」

曜「不幸中の幸いだね。心配してくれてありがとう二人とも」

千歌「でも曜ちゃんが失敗するなんて……」

曜「あはは、まあこういうこともあるよ。ちょっと集中力足りなかったかな?」

千歌「……」

264名無しさん@転載は禁止:2017/10/20(金) 05:19:32 ID:H6Th6OaY
千歌「……曜ちゃん、なにか心配事とか困ってることとかあったりする?」

曜「え? ……どうして?」

千歌「やっぱり曜ちゃんが失敗するなんて考えられないもん。なにか原因があるんじゃないかなって」

善子「…………」

千歌「アイドル部との兼部が大変なら休んだっていいんだからね? 衣装作るのだって言ってくれれば手伝うし……」

曜「千歌ちゃん」

千歌「?」

曜「ありがとね」ナデナデ

千歌「曜ちゃん……」

曜「大丈夫だよ。本当に無理だったらちゃんと言うし、それに水泳とアイドルどっちも楽しいから、心配しないで」

千歌「曜ちゃんが、そう言うなら……」

曜「もう、大げさだよ千歌ちゃん!」

千歌「じゃあせめて、治るまではしっかり休んでよ!」

曜「うん、そうするよ」

265名無しさん@転載は禁止:2017/10/20(金) 05:19:57 ID:H6Th6OaY

曜「善子ちゃんも、今日はわざわざ来てくれてありがとね」

善子「いえ、曜さんの飛び込みは興味あったし、千歌さんにも誘われちゃったしね。お邪魔かなーとも思ったんだけど……」

曜「そんなことないよ! 応援来てくれて嬉しい!」

善子「今度は本調子の時の曜さんを見せてよね」

曜「うん! 頑張るよ! あと千歌ちゃんも、いつも来てくれてありがとね」

千歌「えへへ、小さいころからずっと来てるからね! これからも応援しに来るよ!」

曜「ほ、本当!? 嬉しいよ!」

千歌「曜ちゃんも大げさだよ〜」

曜「だって本当にうれしいもん!」

千歌「あはは!」

266名無しさん@転載は禁止:2017/10/20(金) 05:20:15 ID:H6Th6OaY
曜「〜〜〜〜〜〜〜」

千歌「〜〜〜〜〜〜」

善子「(……この二人がこんなに楽しそうに話してるの、久々に見た気がする。曜さんも楽しそう)」

善子「(やっぱり曜さんは千歌さんと一緒にいるのが一番いい。私では曜さんをこんなふうに笑顔にできないもの)」

善子「(ルビィはそれでいいの?、なんて言ってたけど、私は間違ってない。曜さんが本当に幸せになることが、私の願いなんだから)」

善子「…………」

267名無しさん@転載は禁止:2017/10/20(金) 05:20:35 ID:H6Th6OaY

曜「善子ちゃん、もう行っちゃうの?」

善子「すみません、この後用事があって……」

曜「そっか……」

善子「千歌さん、曜さんのことお願いね?」

千歌「うん! まっかせて!」

善子「それじゃあ、また!」

―――

善子「(まあ用事なんて嘘なんだけど……)」

善子「(二人きりで一緒になれる時間なんてそうないんだから邪魔しちゃ悪いわよね)」

善子「(……結局、千歌さんの気持ちは聞きそびれちゃったな)」

善子「(まあ別の機会に聞いてみよう。それに今日の千歌さんを見る限り、曜さんのことは変わらず大事に思ってるはず)」

善子「(うん。大丈夫。私は曜さんを応援するって決めたんだから)」

善子「(だから、どうか、あの人の長年の想いが報われますように)」

268名無しさん@転載は禁止:2017/10/20(金) 05:23:15 ID:H6Th6OaY
更新小出しな上にめっちゃ遅れてすみません
そろそろ終盤に入ります
いつも読んでくださっている方々ありがとうございます

269名無しさん@転載は禁止:2017/10/20(金) 15:35:15 ID:GZDZgwig
乙です
このよっちゃんの気持ちがどう歪むのか…

270名無しさん@転載は禁止:2017/10/21(土) 01:33:32 ID:mW3Wvo7w
善子マジ善い子

271名無しさん@転載は禁止:2017/10/27(金) 03:00:04 ID:6JVJgNUI
ダイヤ「合宿ですわ!」

善子「(夏が始まった)」

善子「(メンバーのパフォーマンスと団結の向上、という名目で合宿を行おうという話になった)」

善子「(しかし千歌さんたちが海の家の手伝いをしなくてはならない、ということでそれも兼ねて行うことに)」

善子「(ということで午前は海の家で手伝い、涼しい夕方に練習、ということになった)」

善子「(部活のメンバーと合宿、といういかにもリア充なイベントに私もワクワクしていた……けど)」

272名無しさん@転載は禁止:2017/10/27(金) 03:00:19 ID:6JVJgNUI
善子「(あれ以降の曜さんはといえば、特に何事もなく怪我を治して練習に復帰してきた)」

善子「(怪我をきっかけに多少でも千歌さんとの関係が深くなる機会がつくることができれば、とも思ったけど……)」

善子「(この二人は幼馴染み。良くも悪くもそう簡単に関係は変わらないみたい)」

善子「(千歌さんの方は相変わらず梨子さんと楽しそうに話しているし、梨子さんの方もうれしそうで)」

善子「(そんな二人を曜さんは遠くから羨ましそうに、悲しそうに見つめている)」

273名無しさん@転載は禁止:2017/10/27(金) 03:00:36 ID:6JVJgNUI

善子「(……あの海岸での出来事以来、曜さんはずっとこうだった)」

善子「(それまでは普通に仲のいい親友として千歌さんと、そして梨子さんとも普通に話せていたのに)」

善子「(すっかり自信をなくして千歌さんとの会話も少なくなり、二年生は3人でいることが少なくなった)」

――きっと私、邪魔者なんだ。私なんかスクールアイドルやらなかった方が……

善子「(曜さんは自分をそういうふうに考えていて、だからスクールアイドルの活動が続くほどに曜さんの心も傷ついていく)」

善子「(千歌さんのそばにいるためにスクールアイドルを続けたい。だけど千歌さんは曜さんの傷を癒してはくれない)」

善子「(癒すどころか気づくこともなく悪化させるばかりで、状況も相まって曜さんの心は沈んでいくばかり)」

274名無しさん@転載は禁止:2017/10/27(金) 03:00:51 ID:6JVJgNUI
善子「(それでも曜さんは何もないように笑ってスクールアイドルを続けている)」

善子「(そんな状況を分かっていながらも、私にできることはない)」

善子「(せいぜいそんな曜さんの空元気に付き合って、一瞬でも気を紛らわせるだけ)」

善子「(心の傷を隠して明るく振る舞う曜さんを見ているのは、まるで自分のことのように苦しかった)」

善子「(あの日、曜さんが泣いてしまったことを忘れた日なんて一度もない。どころか、毎日のように思い出されて)」

善子「(その度に私の心も締め付けられて、醜い中身が出てしまいそうになる)」

善子「(眠ろうとするたびにそんなことばかりを考えて、曜さんも同じように、いやそれ以上に傷ついているのだろうかと考えると怖くなって)」

善子「(私の眠れない夜は続いていた……)」

善子「……」

275名無しさん@転載は禁止:2017/10/27(金) 03:01:07 ID:6JVJgNUI
鞠莉「善子、最近調子はどう?」

善子「……まあまあよ」

鞠莉「というわりにはあまり顔色良くないわね? ちゃんと寝てるのかしら?」

善子「もともと寝つき悪い方なので」

鞠莉「でも初めてあった時はそんな顔してなかったわ」

善子「……」

鞠莉「無理に話せなんて言わないけど、もうちょっと頼ってくれてもいいのよ? なんてったって理事長なんだから!」

善子「ええ、あの時は助けてくれてどうも」

鞠莉「……善子、少しでも抑えきれなくなったらすぐに言うのよ? 私はそのためにいるんだし、みんなだって心配してる」

鞠莉「手遅れになって全てを台無しにしてしまったら、あなただって悲しいでしょ?」

善子「……はい」

鞠莉「あなたは真っ当な学生生活を送りたい。そのために私を利用していいの」

276名無しさん@転載は禁止:2017/10/27(金) 03:01:23 ID:6JVJgNUI
善子「利用だなんて……」

鞠莉「ま、かわいい後輩がこうしてがんばって幸せになろうとしてるんだもの。協力くらいさせてね?」

善子「うん。ありがとうマリー」

鞠莉「それで……なーに悩んでるのかしら♪」ダキッ

善子「わっ!? ちょっと今料理してるんだからいきなり抱きつかないでよっ!」

鞠莉「っていうか、あなたそれ何作ってるの?」

善子「クックックッ。よくぞ聞いてくれました……! ヨハネ特製たこ焼き。名付けて『堕天使の泪』! ひとつどう?」

鞠莉「やめとくわ……色も変だし、その中身辛そうだし」

善子「つれないわねえ。というかマリーこそなに? この……なに?」

鞠莉「小原家の力を使って集めた高級食材を駆使した、名付けて『シャイ煮』! 一口どうぞ♪」

善子「……普通においしい」

鞠莉「当然デース!」

277名無しさん@転載は禁止:2017/10/27(金) 03:01:47 ID:6JVJgNUI
ルビィ「こんにちは〜……ってあれ、二人だけ? 曜さんは?」

善子「あらルビィ。曜さんならちょっと食材を貰いに行ってるわ」

ルビィ「そっか」

鞠莉「ルビィは何しに?」

ルビィ「えっと休憩がてら、ちょっとつまみ食いに……」エヘヘ

善子「ったく、しょうがないわね。はいこれ」

ルビィ「え、よ、善子ちゃんなにこの黒いの……」

善子「『堕天使の泪』」

ルビィ「そうじゃなくて、何の料理かなって……まあいいや」パクッ

鞠莉「思い切りがいいわね」

善子「ふふふ。いかがかしら?」

278名無しさん@転載は禁止:2017/10/27(金) 03:02:08 ID:6JVJgNUI
ルビィ「えっとぉ、一応たこ焼きかなこれ……しかもちょっと辛い」モグモグ

善子「(ちょっと、か。ならまだ辛くしてもいいわね)」

鞠莉「ところでルビィ。最近善子何か隠してない?」

ルビィ「え? 隠すって?」

善子「ちょ、ちょっと!」

鞠莉「マリーが相談にのってあげるって言ってるのに全く話してくれないのよ」

善子「だから悩みなんて……」

ルビィ「確かに最近善子ちゃん、調子悪そうだね。学校でもボーっとしてるし練習もあまり集中できてないし」

鞠莉「ルビィなら善子のこともお見通しなんじゃないかな〜って思って」

279名無しさん@転載は禁止:2017/10/27(金) 03:02:27 ID:6JVJgNUI
ルビィ「んー……」チラ

善子「……」

ルビィ「……」

ルビィ「鞠莉さん、私は相手の気持ちに敏感なだけで何を考えてるかまではわからないよ。エスパーじゃないんですから」

鞠莉「それもそっか。ざ〜んねん」

ルビィ「まあまあ、いざとなったら善子ちゃんは頼ってくれますよ。ね? 善子ちゃん」

善子「……それは」

曜「ただいまー! ってあれ、ルビィちゃん来てたんだ? つまみ食い?」

ルビィ「えっとぉ、その通りです……」

曜「ふふっ、じゃあそこの『ヨキソバ』味見してみてよ! たぶんいい感じのはずだよ!」

ルビィ「ほんとですかぁ! いただきます!」パクッ

ルビィ「……わぁー! おいしい!」

曜「良かった! そうだ善子ちゃん、ちょっと入り口にまだ荷物あるから運ぶの手伝ってくれない?」

善子「わかったわ」

曜「ありがと! ついてきて!」

280名無しさん@転載は禁止:2017/10/27(金) 03:03:43 ID:6JVJgNUI
鞠莉「……」

ルビィ「……」モグモグ

鞠莉「ルビィ、実際のところどうなの。あの子は」

ルビィ「……以前よりは不安定。私たちの知らないところでいろいろあったのかもしれないね」

鞠莉「色々? 何か知ってるの?」

ルビィ「さあ、単純に症状の悪化なのかそれとも別の要因なのか……いずれにせよ最後は善子ちゃん次第です」パクッ

鞠莉「私よりもあなたの方があの子を理解できるから。できる限り力になってあげてね」

ルビィ「もちろん」ゴクンッ

ルビィ「私は何があろうと絶対に、善子ちゃんの味方ですからね」

鞠莉「……」

ルビィ「これおいしい♡さすが曜さん」

ルビィ「(何があろうと、ね♡)」パクッ

281名無しさん@転載は禁止:2017/10/27(金) 04:00:05 ID:6JVJgNUI
今回はここまで
いつもありがとうございます

282名無しさん@転載は禁止:2017/10/27(金) 04:00:18 ID:6JVJgNUI
今回はここまで
いつもありがとうございます

283名無しさん@転載は禁止:2017/10/27(金) 05:08:19 ID:TdGZXvdM
おつおつです
ルビィちゃんがどう影響してくるのか……

284名無しさん@転載は禁止:2017/10/27(金) 19:38:50 ID:dqil2l96
おつ。どうなるんだ…。

285名無しさん@転載は禁止:2017/10/30(月) 04:27:15 ID:E7crKerY
ルビィ「ひぃぃ……辛い……からいよぉ」

善子「悪かったわよ」

善子「(夜になり、みんなで海の家の余りものを夕食にしていた)」

善子「(曜さんの『ヨキソバ』以外はあまり売れず、必然的に『シャイ煮』と『堕天使の泪』がテーブルに並んだ)」

善子「(『シャイ煮』は普通においしいのだが私の『堕天使の泪』は昼よりも辛くしたせいか、一番最初に食べたルビィが……)」

ルビィ「ひぉいよよひこひゃぁ……」

善子「(……こうなった)」

善子「(本当に辛かったらしく食べた瞬間外に走りだしてしまい、今ようやく落ち着いてきた)」

善子「ごめんってば。 悪気があったわけじゃないのよ」

ルビィ「じゃあなんでこんなに辛くなってるのぉ……」

善子「……堕天使の味覚にはついてこれなかったようね」

286名無しさん@転載は禁止:2017/10/30(月) 04:27:33 ID:E7crKerY
ルビィ「もう……ちょっと水飲んでくる」

善子「あ、私も戻るわよ」

ルビィ「いいよ待ってて。ちょっと海でも見ながらお話しよ」

善子「なんでよ」

ルビィ「なんか、青春みたいでよくない……?」

善子「……わかったわかった。待ってるわ」

ルビィ「えへへ、花丸ちゃんも呼んでくるね!」

善子「ん」

287名無しさん@転載は禁止:2017/10/30(月) 04:27:56 ID:E7crKerY
善子「……楽しいな」

善子「(Aqoursに入った時は中学時代から仲良しだったルビィと花丸に上手く溶け込めるか心配だった)」

善子「(私と花丸が幼馴染みだったから必要以上に仲良くなりすぎて、二人を引き離してしまうんじゃないかって)」

善子「(でも二人とも私が上手く間に入れるように接してくれたし、私も気負わないで二人の輪に入れた)」

善子「(二人にとって"異物"にならず、仲良し1年生3人組として毎日を過ごしていられる)」

善子「(こういう形に落ち着けたのは、私が何かをしたわけじゃなくて、紛れまなく二人のおかげ)」

善子「(もし私が二人の間に割って入るような"異物"になっていたとしたら……)」

善子「(私は、ルビィは、花丸は、どうなっていたんだろう……)」

288名無しさん@転載は禁止:2017/10/30(月) 04:28:16 ID:E7crKerY
善子「異物……か」

善子「(人は、同じ時間を過ごすことで関係が生まれる)」

善子「(同級生、先輩、友達、そして恋人)」

善子「(けれど関係が深まるほど、誰かと誰かが惹かれ合うほど、軋轢が生まれてしまうこともある)」

善子「(きっとそこに悪気なんてなくて、でも人が人に惹かれるのは止められない)」

善子「(惹かれ合う人達はもちろん幸せだ。大好き、愛してるという同じ気持ちを渡し合えるのだから)」

善子「(じゃあ、そうなれなかった人は?)」

善子「(そうなりたいと願って、でもなれなくて、選ばれなかった人は?)」

善子「(そこに生まれる痛みは、心は、どうなるの? どこへ行けばいいの?)」

善子「(大好きだけど報われない。それでも好きを持ち続けなければならない、そんなふうにさまよう心を)」

善子「(そして、痛みを)」

289名無しさん@転載は禁止:2017/10/30(月) 04:28:31 ID:E7crKerY
梨子「あれ、善子ちゃん?」

善子「梨子さん……」

善子「(あなたは、知っているの?)」

290名無しさん@転載は禁止:2017/10/30(月) 04:28:51 ID:E7crKerY
短くてすみません
なるべく次早くできるようにします

291名無しさん@転載は禁止:2017/10/30(月) 04:56:03 ID:a6KIc6aw
ゆっくりでいいですよ
待ってます

292名無しさん@転載は禁止:2017/10/31(火) 15:39:46 ID:7p/gyiTU
追いついた
楽しみに待ってる

293名無しさん@転載は禁止:2017/11/01(水) 08:10:20 ID:pSj9rW5c
ようやくおいついた
続きが楽しみ

294名無しさん@転載は禁止:2017/11/05(日) 05:54:55 ID:p.yIIoUs
善子「どうしたの? 梨子さん」

梨子「ううん、ただちょっと風にあたろうかなって。善子ちゃんは?」

善子「ルビィがずら丸呼びに行ってるから待ってるの。海を見ながらお話したいんですって」

梨子「ふーん? 青春だね」

善子「うん、そう言ってたわ」

梨子「ほんとに3人とも仲良いよね。羨ましい」

善子「……梨子さんにも千歌さんと曜さんがいるじゃない」

梨子「あー、うん。そうだね」

295名無しさん@転載は禁止:2017/11/05(日) 05:56:14 ID:p.yIIoUs
善子「……なにかあったんですか?」

梨子「ううん違うの。二人とも私がここにきてから仲良くしてくれてるし感謝してるよ」

梨子「曜ちゃんはいっつも明るくて、お話してて楽しいし、困ってたら気遣ってくれるし助けてくれる」

梨子「千歌ちゃんも最初は勧誘でしつこかったけど、ふさぎ込んでた私をひっぱってくれて本当に助けられた」

梨子「浦の星に来て、二人と友達になれて本当によかったって思う」

善子「……」

梨子「善子ちゃんだってそうでしょ? 千歌ちゃんと曜ちゃんに救われた」

善子「……うん」

296名無しさん@転載は禁止:2017/11/05(日) 05:56:40 ID:p.yIIoUs
梨子「……善子ちゃんもさ、あるんでしょ? 疾患」

善子「え、な、なんで知って……」

梨子「鞠莉さんから聞いた。安心して? 誰にも言ってないし」

梨子「――私もそうだから」

善子「……!」

梨子「ふふ、おどろいた?」

善子「そりゃ、知らなかったし、マリーも何も言わなかったから」

梨子「まぁ、私の場合ここにきてからすぐ治っちゃったからね。善子ちゃんと同じ」

297名無しさん@転載は禁止:2017/11/05(日) 05:58:05 ID:p.yIIoUs
善子「詳しく聞いてもいい、ですか?」

梨子「……私がピアノのコンクールで失敗して、環境を変えようと思ってここに来たって話は聞いてるよね?」

善子「ええ」

梨子「コンクールで私は自信を持てなくて、ステージに上がったもののピアノを弾くことができなかった」

梨子「指を動かすことすらできなくて、観客の視線が怖くなってそこから逃げた」

梨子「それから人の多い場所が怖くなったの。特に多くの人の視線が自分に向くのが恐ろしくなった」

梨子「東京なんて人が多くてね、街を歩くだけで気が気じゃなかった」

梨子「みんな私を見下している、ステージに上がってもピアノを弾けない腰抜けだ、失敗して逃げた臆病者だ、って」

梨子「そう思い始めると怖くてたまらなくて、学校にも行けなくなって、誰にも会いたくなくて、一時期は施設通いだった」

梨子「それでしばらくしてから環境を穏やかな場所に変えようって話になってここに来たの」

298名無しさん@転載は禁止:2017/11/05(日) 05:58:39 ID:p.yIIoUs
善子「なるほど……外にも出れない人とも話せない、か。大変ね」

梨子「……でもね、施設には私と同じか、それ以上に大変な人がたくさんいた」

梨子「一人が耐えられない人。暗い場所でうずくまってしまう人。チャイムの音で泣きだしてしまう人」

梨子「規律に厳しすぎる人。潔癖すぎる人。血を見ると暴走してしまう人」

梨子「会話が成り立つ人もいたけど、みんな心のどこかが壊れてて、なにかの拍子に全てをめちゃくちゃにしちゃいそうな人たちだった」

善子「ええ、あそこにはそういう人ばっかりですよ」

梨子「きっと私も、ここに来ることがなかったらああなっていたんだろうなって思う」

299名無しさん@転載は禁止:2017/11/05(日) 05:59:30 ID:p.yIIoUs
梨子「内浦は東京とは違って、喧噪もない穏やかな場所で優しい人も多いからかな、外に出ることも多少の人目も大丈夫になった」

梨子「でも相変わらずピアノは弾けないままで、弾こうとするとコンクールのことを思いだしちゃって震えが止まらなかった」

梨子「一生懸命やってきたピアノが恐ろしいものになって、それからは何やっても楽しくなくて、変われなくて」

梨子「どうしたらいいか、全然わからなくって……」

善子「……」

梨子「でもね、千歌ちゃんとスクールアイドルの話をしてみたら不思議と怖くなくなって」

梨子「『諦めることないよ』って。『スクールアイドルやってみて、変わってみて、笑ってみよう』って」

梨子「『そうしたらまたピアノやってみようよ。梨子ちゃんの力になりたい』。そう言ってくれたの」

梨子「ほんとに変な人だよね。まだ会ったばかりの転校生にそこまで普通そこまで言う?」

善子「確かにそうだけど、千歌さんらしいかも」

梨子「ふふっ、そうね。私はそれに救われた。だからまたこうしてピアノを弾けてるし、こんなに楽しくスクールアイドルやってる」

300名無しさん@転載は禁止:2017/11/05(日) 06:00:40 ID:p.yIIoUs
梨子「もし千歌ちゃんに会えなかったら、私はきっと人として終わってしまっていた。だからね、あの子は私の恩人」

梨子「次は私が千歌ちゃんの力になる。千歌ちゃんの夢を叶えるために、Aqoursに最高の曲を作るの」

善子「……」

梨子「善子ちゃんも私の気持ちわかるよね。どうにもならないと思っていた自分が救われた時の、あの気持ち」

善子「……はい」

梨子「私は今嬉しいよ。あの子の夢に私が一番協力できていることがなにより嬉しい」

梨子「千歌ちゃんは私と会えたことが奇跡とか言うけど、それは私にとっても同じ」

梨子「ううん。千歌ちゃんが思っている以上に、私は千歌ちゃんに会えたことが奇跡だと思ってる」

梨子「でももし奇跡なんかじゃなくて、この出会いが運命だったとしたら。私がこの街に来た意味があるんだとしたら」

梨子「私は千歌ちゃんに会うために、千歌ちゃんの力になるためにここに来たんだって思うの!」

301名無しさん@転載は禁止:2017/11/05(日) 06:02:21 ID:p.yIIoUs


ルビィ「善子ちゃーん」

花丸「善子ちゃん、はい飲み物ずら」

善子「……ありがと」

花丸「ちょっとご飯持ってきたけど善子ちゃんも……善子ちゃん?」

善子「ど、どうしたの?」

花丸「いや、善子ちゃんなんか元気ないずら? というか青ざめてるような……」

ルビィ「具合悪いの? 無理しないで休んだ方が」

善子「そんなことないわ。具合悪かったら無理なんてしないって。それより青春するんでしょ? はやく座りなさいよ」

花丸「善子ちゃんがそう言うなら……でも休みたくなったら言ってね?」

ルビィ「明日も練習あるんだし」

善子「大丈夫だってば」

花丸「……そっか。じゃあ、すこしお話しよっか」

善子「ええ、そうしましょ」

ルビィ「そういえばさっき戻ったらお姉ちゃんがね……」

302名無しさん@転載は禁止:2017/11/05(日) 06:04:03 ID:p.yIIoUs
善子「……」

――私は千歌ちゃんに会うために、千歌ちゃんの力になるためにここに来たんだって思うの

どうしてかわからない。わからないけど

あの時の梨子さんの幸せそうな顔が何故かとても恐ろしいと思った。

梨子さん自身が危ない人だとかじゃなくて、もっと別の恐ろしさ……

あの笑顔はすべて満たされていた。私のような人間では絶対に作れない笑顔だった。

……そうか、だから怖かったんだ。私はきっと、ああはなれないから。

……明確に予感がした。

私がここで、Aqoursで積み上げてきた幸福は、いずれ崩れ去ってしまうだろう。

そしてそれはきっと、私自身の手で行われるだろう。

私は不完全で欠落した人間モドキであることを、忘れていたのだ。

303名無しさん@転載は禁止:2017/11/05(日) 06:05:13 ID:p.yIIoUs
今回はここまで
次はようやく大きく話が動くと思います
読んでくれてる方ありがとうございます

304名無しさん@転載は禁止:2017/11/05(日) 08:04:29 ID:peGn5arE
おつ。待ってる。

305名無しさん@転載は禁止:2017/11/05(日) 08:40:29 ID:RJThJjuE
乙です
よっちゃんも梨子ちゃんのように心の底から笑顔になれるようになってほしい…

306名無しさん@転載は禁止:2017/11/05(日) 11:49:51 ID:qqXIPGVA
>>300
ここの梨子のセリフカッコいい
続きが楽しみ

307名無しさん@転載は禁止:2017/11/06(月) 06:08:03 ID:YKtRVySQ
元ネタ知ってると>>298の大変な人達でニヤリとできるね
ここまで不穏さが見え隠れするおとなしい展開だったけど爆発するのが楽しみ

308名無しさん@転載は禁止:2017/11/06(月) 13:34:05 ID:bp.V1HTQ
>>307
これで自分が大切すぎる人とか居たらもっとニヤリだった

309名無しさん@転載は禁止:2017/11/06(月) 19:21:12 ID:ARToiahU
こういうこと言うクズマジで死なねえかなあ
いい作品なのに

310名無しさん@転載は禁止:2017/11/06(月) 20:47:12 ID:klT/2yCU
待ってる

311名無しさん@転載は禁止:2017/11/20(月) 06:01:00 ID:SH88sAnY
善子「(次の日も朝から海の家を手伝い夕方から練習)」

善子「(海の家も昨日よりすこし賑わってみんな忙しそうにしてる)」

善子「(特に曜さんなんかはヨキソバが一番売れているし、なまじ器用だからそれ以外の仕事もこなしてしまっていて、一番大変そうだった)」

善子「曜さん働き過ぎじゃない? 無理しないでよ?」

曜「大丈夫! ありがと善子ちゃん!」ニコッ

善子「(どんなに大変でも平気そうな顔してみんなのために動く。自分のことは後回しにして)」

善子「(スクールアイドルだってそうやって自分を犠牲にして始めて……きっとそれ以前もそうやってずっと生きてきたんだろう)」

善子「(でもその犠牲の報酬は曜さんには払われない)」

善子「(周りの人はいつだって曜さんの献身を受けとりながら、それを当たり前のものと思って上辺だけの感謝をするだけ)」

善子「(どころか「なんでもできるから」と疎まれ排斥され居場所を奪われる。誰にも大切にされなかった)」

善子「(だから、誰かの「大切」にはなれなかった。千歌さんの「大切」にはなれなかった)」

善子「(いつだって失いながら、この人はこうやって笑ってきて……)」

312名無しさん@転載は禁止:2017/11/20(月) 06:01:20 ID:SH88sAnY
曜「よーしこちゃん!」

善子「ひゃあ! な、なによぉ……」

曜「どうしたのボーっとして。具合でも悪い?」

善子「い、いや、考え事してて……」

曜「そっか。善子ちゃんも無理しないでね!」

善子「……はい」

善子「(いつだって、この人は優しい)」

善子「(でも私に向けるこの優しさも、他の人に向ける優しさときっと同じ)」

善子「(それでも、それでもこの優しさは私にとっては何よりも「大切」で、ここで手に入れた幸福で)」

善子「(……曜さん。優しい曜さん)」

善子「(その優しさが報われなくてもきっとあなたは誰より優しいままで)」

善子「(だから私は、あなたのことが……)」

善子「(……)」

313名無しさん@転載は禁止:2017/11/20(月) 06:01:37 ID:SH88sAnY
果南「よし! 今日の練習はここまでだね!」

千歌「はぁー……疲れたぁ」

曜「ち、千歌ちゃん、おつかれ……」

梨子「千歌ちゃんお疲れさま! 大丈夫?」

千歌「うん、ありがとう梨子ちゃん」

梨子「ふふっ」ニコ

千歌「えへへ」ニコ

曜「……」シュン

善子「……!」

314名無しさん@転載は禁止:2017/11/20(月) 06:01:59 ID:SH88sAnY
善子「よ、曜さんっ!」

曜「……あっ、善子ちゃん、どうしたの?」ニコッ

善子「あ……」

善子「(ど、どうしよ。咄嗟に声かけちゃったけど……)」

善子「えっと……」

ルビィ「曜さん!」

曜「ルビィちゃん?」

ルビィ「善子ちゃんね、曜さんの料理がおいしかったから、今日の夜も作って欲しいんだって!」

花丸「昨日の夜おいしいおいしい言ってたんだよ〜」

善子「は、はぁ!? アンタたちなにを……」

ルビィ「えへへっ」チラッ

善子「……!」

315名無しさん@転載は禁止:2017/11/20(月) 06:02:23 ID:SH88sAnY
曜「そ、そうなんだ! 嬉しいな!」

ルビィ「善子ちゃん面と向かって言うの恥ずかしいみたいで」

花丸「素直じゃないずら」

善子「余計なこと言わないでいいの!」

曜「じゃ、今日は善子ちゃんのために頑張っちゃおうかな!」

善子「え、いや、そんなわざわざ……」

曜「いーのいーの! どうせ元々作るつもりだったし。料理は好きだしね!」

花丸「マルも曜さんの料理楽しみずら〜」

曜「うん! 曜ちゃんに任せなさい! 善子ちゃんも楽しみにしててね!」ナデナデ

善子「あぅ///はい……」

曜「じゃ! 私準備してくるから!」タタッ

316名無しさん@転載は禁止:2017/11/20(月) 06:02:46 ID:SH88sAnY
花丸「それにしても、善子ちゃんもかわいいとこあるずらね♪」

ルビィ「ね♪」

善子「う、うるさい///」

善子「……でも、ありがと」

ルビィ「うん……」

花丸「曜さん、たまに元気ないよね。心配だよ」

善子「そうね……」

ルビィ「仕方ないよ。私たちにできることで、曜さんのこと元気づけてあげよ?」

花丸「マル、ちょっと手伝ってくるずら!」タタタ

善子「……ルビィはともかく、ずら丸もこういうの気づくのね」

ルビィ「曜さん面倒見がいいからね。ルビィたち一年生には特に優しいし。善子ちゃんだけじゃなくてルビィと花丸ちゃんも、曜さんのこと結構好きなんだよ?」

善子「……そっか。そうよね、そういう人だものね」

ルビィ「……私たちも手伝いに行こっか」

善子「ええ……」

317名無しさん@転載は禁止:2017/11/20(月) 06:03:04 ID:SH88sAnY
――夜

ダイヤ「で、結局今日も『ヨキソバ』以外はあまり売れなかったのですね……」

鞠莉・善子「はぁ……」

果南「二人のはちょっと癖が強いからね」

曜「なので、その二つを合わせてカレーにしてみました!」

梨子「こ、これは……」

千歌「ほぇ〜……」

果南「大丈夫なの? これ……」

ルビィ「ルビィ死んじゃうかも……」

曜「大丈夫だよ! じゃ、梨子ちゃんからどうぞ!」

梨子「え!? うぅ、い、いただきます……」パクッ

梨子「……! おいしい! すごいよ曜ちゃん!」

曜「えへへ! ありがとう!」

鞠莉「ホント! ん〜デリシャス!」

318名無しさん@転載は禁止:2017/11/20(月) 06:03:26 ID:SH88sAnY
ダイヤ「ふふ、これなら明日は完売ですわ……!」

ルビィ「お姉ちゃん……」

花丸「おかわりずら!」

善子「はや!?」

曜「あはは、焦らなくてもちゃんとあるから大丈夫だよ! はい、どうぞ!」

花丸「いただきます!」

善子「でも本当においしいわね……」

花丸「うん! もう一杯くらいいけちゃいそうずら!」

曜「そう言ってくれると作った甲斐があるよ、ありがとう!」ニコッ

善子「(……しばらくまともに見てなかったけど、笑った顔、やっぱり素敵だな)」

ルビィ「……曜さん、少しは元気になってくれたかな?」

善子「そうだといいけどね。というかアンタもおかわりするの?」

ルビィ「おいしいし♪ ねっ花丸ちゃん♪」

花丸「うん♪」

善子「ったく……あれ、曜さんさっきまで目の前にいたのに」

善子「……ん?」

319名無しさん@転載は禁止:2017/11/20(月) 06:03:45 ID:SH88sAnY
千歌「……」

曜「千歌ちゃん!」タタタ

千歌「曜ちゃん」

曜「どうしたの? 元気、なさそうだけど」

千歌「……ううん、なんでもないよ、ありがとう」

曜「……そっか」

善子「(……まただ。また曜さん悲しい顔をして……)」

善子「(でも千歌さんもどうしたんだろう。何か浮かない顔してるけど……)」

善子「……!」

320名無しさん@転載は禁止:2017/11/20(月) 06:04:29 ID:SH88sAnY
千歌「……」ジッ

梨子「……」チラッ

千歌「!」

梨子「……」ニコッ

千歌「……!」ニコッ



善子「……!」

321名無しさん@転載は禁止:2017/11/20(月) 06:04:55 ID:SH88sAnY
曜「…………」スタスタ

善子「よ、曜さん、どこへ……」

曜「ちょっと、トイレに」

善子「待って曜さん!」ガシッ

曜「……」グスッ

善子「……!」

曜「い、急いでるから……ゴメンね」ダッ

善子「曜さん……」

善子「(あぁ……私、なんてことを……)」

善子「(もうあんな顔、させたくないって……思ってたのに)」

善子「……」

322名無しさん@転載は禁止:2017/11/20(月) 06:05:17 ID:SH88sAnY
――夜

善子「(眠い)」

善子「(眠れない)」

善子「(寝たくない)」

善子「(寝たくない眠れない眠い寝ない眠れない眠たくない!)」

善子「(ダメダメダメダメ寝たらダメだってば!)」

善子「……っ!」ガバッ

善子「(頭の中ぐちゃぐちゃだ……まともに考え事も出来ない……)」

善子「(昔みたいだ……私が私でなくなってしまうような感覚)」

善子「(私を私じゃなくさせるような、制御できない感情の高まり、強烈なエゴ)」

善子「(今深く寝てしまったら、きっとこの感情に支配される)」

善子「(そうしたらきっと、全部壊してしまう。全部台無しになって、そうなったらAqoursのみんなも、曜さんも悲しませて……)」

323名無しさん@転載は禁止:2017/11/20(月) 06:05:33 ID:SH88sAnY
善子「(……曜さん)」チラッ

曜「すー……すー……」

善子「ぁ……」

善子「(安らかな寝顔。だけど、すこし目元が赤い)」

善子「(私はあの日から、この人に何もできないままだ。この人に何も返せていない)」

善子「(でも私にできることなんてたかが知れてる。今日みたいに気を紛らわせるくらいしかできない)」

善子「(そんなことでもこの人は笑ってくれるけど、それだっていつまで続くか……)」

善子「(きっといつか限界がくる。この人の心が耐えられなくなって壊れてしまう日が来る)」

善子「……曜さん」ナデ

曜「んぅ……」

善子「(どうして曜さんのような人が幸せになれないの? 誰よりも優しくて、みんなを幸せな気持ちにするこの人が)」

善子「……」

324名無しさん@転載は禁止:2017/11/20(月) 06:05:50 ID:SH88sAnY
善子「(やっぱり寝れない。少し風にあたって……あれ?)」

善子「(千歌さんと梨子さんが、いない)」

善子「(こんな時間に二人だけでどこかに行ってるってこと?)」

善子「(一体どこに……いや、それはどうでもいいか)」

善子「(二人だけで、秘密のお話ってワケね……)」

善子「……」

325名無しさん@転載は禁止:2017/11/20(月) 06:06:21 ID:SH88sAnY
――外

善子「ふぅ……」

善子「(二人のことは気になるけど落ち着こう……)」

善子「(この時間のこの景色、以前曜さんが泣いていたのを見つけて以来か。朝焼けがキレイだけど複雑ね)」

善子「(あの日曜さんの弱さを知って、それからは曜さんが日に日に弱っていくのがわかってしまって、でもそれを見ていることしかできなくて)」

善子「(……決めたのにな。守らなきゃって)」

――私が、いなければよかったんだ

善子「(二度とあんなこと言わせたくないって、思わせたくないって、そのために私があの人を支えてあげようって思ってたのに)」


――これからも応援しに来るよ!

――ほ、本当!? うれしいよ!


善子「(私ではあの人をあんな風に喜ばせることなんてできない)」

善子「(私はあの人の大切には、なれないんだから……)」

326名無しさん@転載は禁止:2017/11/20(月) 06:06:38 ID:SH88sAnY
善子「はは……」

善子「(なに悲しくなってるんだか)」

善子「(曜さんのそばにいられるだけで、私は幸せなんだ)」

善子「(だって私はあの人のそばで、真っ当な人間になれたんだから)」

善子「(だから私は……)」

善子「……? 誰かいる。こんな時間に……」

善子「!」

327名無しさん@転載は禁止:2017/11/20(月) 06:07:04 ID:SH88sAnY

千歌「梨子ちゃんのピアノ、本当にすごかったよ。綺麗だった」

梨子「うん、ありがとう千歌ちゃん」

善子「(千歌さんに、梨子さん? どうして……)」

千歌「ねぇ梨子ちゃん。私、梨子ちゃんにピアノコンクール出てほしい」

善子「(ピアノコンクール……? そんな話……)」

梨子「でも私は、Aqoursのみんなと一緒に……」

千歌「私も一緒がいい。でも梨子ちゃんはそれでいいの?」

千歌「梨子ちゃんたくさん悩んでたよね? どうしたらいいかなって。それでスクールアイドルやってみて、今こうしてすごい演奏ができるようになってる」

千歌「Aqoursを大事に思ってくれる気持ちは嬉しいよ。でも、それだって梨子ちゃんにとって大切なものだったんじゃないの?」

梨子「千歌ちゃん……」

千歌「だからね梨子ちゃん、私は……」

328名無しさん@転載は禁止:2017/11/20(月) 06:07:26 ID:SH88sAnY
梨子「千歌ちゃん!」ギュ

千歌「……!」

梨子「本当に、千歌ちゃんは変な人ね」

千歌「り、梨子ちゃん……」









梨子「大好きだよ」

329名無しさん@転載は禁止:2017/11/20(月) 06:07:44 ID:SH88sAnY
善子「(その後のことはよく覚えていない)」

善子「(その言葉を聴いた瞬間、お腹の真ん中あたりから何かが逆流してきそうな気持ちになって)」

善子「(気づいたら、みんなが寝ている千歌さんの部屋の前でうずくまっていた)」

善子「はーっ、はーっ、はー……あ……」

善子「(なんだ今のなんだ今のなんなんだ今の)」

善子「(だって、そんな、これじゃあ、あんまりだ、あんまりじゃないか)」

善子「(それに、あの場所は……! 私と曜さんの思い出の場所だ!)」

善子「(その場所で! あんな、あんなこと……)」

善子「(こんなの、こんなのこんなの……!)」

善子「ひっ……あぁ……ぐすっ、えぐ、ぁぅ……」

330名無しさん@転載は禁止:2017/11/20(月) 06:08:31 ID:SH88sAnY
「よ、善子ちゃん……?」

善子「あっ……」

曜「どうしたの? そんなところで……」

曜「すっごく顔色悪いよ? 大丈夫?」

善子「あぁぁ、曜さん、私、私……」

曜「大丈夫。落ち着いて?」ギュッ

善子「……!」

曜「怖い夢でも見たのかな? 大丈夫だよ」ナデナデ

善子「うぅ、ひぐっ、ぐすっ……」



怖い夢だったら、どれだけ良かったか。ここにあるのは不都合で残酷な現実だった。

本当は、誰よりも辛いのは曜さんだってわかってたのに。

弱い私は、目の前の現実に打ちひしがれることしかできなくて、ただ泣きじゃくった。

次に気づいたときにはもうお昼で、私はベッドに寝かされていた。

楽しい思い出を作ろうと思っていたAqoursの合宿は、私にとって最悪の形で終わりを迎えた。

その日から私の心は、一気に崩れていくことになる。

それは同時にAqoursの崩壊のはじまりでもあった。

331名無しさん@転載は禁止:2017/11/20(月) 06:09:22 ID:SH88sAnY
更新遅れてごめんなさい
感想たくさんうれしいです。読んでくれてる方ありがとうございます

332名無しさん@転載は禁止:2017/11/20(月) 12:19:29 ID:HmDVycz.
乙です
善子ちゃんが善い子すぎてこの先の展開を考えると辛い…

333名無しさん@転載は禁止:2017/11/20(月) 16:01:49 ID:EUmWrVlY

誰も悪いことしてないのに崩壊していくのが辛いな

334名無しさん@転載は禁止:2017/11/27(月) 01:19:28 ID:T48PhGFc
盛り上がってまいりました

335名無しさん@転載は禁止:2017/12/04(月) 05:22:10 ID:uhVwwfaM

梨子「それじゃあみんな、行ってきます!」

善子「(合宿から数日、千歌さんによってAqoursのメンバーが部室に集められた)」

善子「(梨子さんは東京のピアノコンクールに出場するため、予備予選には出られない。8人で予選を突破すると)」

善子「(梨子さん自身も、もう一度ピアノに向き合いたい。だから自分のわがままを許してほしいと私たちに頭を下げた)」

千歌「私は梨子ちゃんを応援したい! みんなはどうかな?」

善子「(もちろん反対する人なんかいるはずもなく。皆は梨子さんへエールを送り沼津駅へ見送りに来ていた)」

善子「(……始めて聞いたときは驚いたけど、私だって梨子さんのやりたいことなら頑張ってほしい)」

善子「(千歌さんが後押ししてくれて、自分のトラウマに向き合う勇気をもらって前に進もうとしている)」

善子「(それは私ができなかったこと。いまだに過去の罪を誤魔化し、目をそらし続けている私とは大違いで)」

善子「(そんな強さが私にもあれば、向き合う強さがあればと思いながら梨子さんを見送った)」

336名無しさん@転載は禁止:2017/12/04(月) 05:22:29 ID:uhVwwfaM

ダイヤ「さ、私たちは練習に戻りましょう」

鞠莉「梨子がいない分もっと頑張らなきゃね!」

ルビィ「善子ちゃん花丸ちゃん、行こっ」

花丸「はーい」

善子「ええ……」


千歌「……梨子ちゃん」

曜「千歌ちゃーん! 私たちも……」

千歌「……」ボーッ

曜「千歌ちゃん……」



善子「……」

ルビィ「善子ちゃーん!」

善子「あ、い、今行く!」

337名無しさん@転載は禁止:2017/12/04(月) 05:22:48 ID:uhVwwfaM
――――



果南「……大丈夫? 善子ちゃん」

善子「(梨子さんが抜けてから数日、私たちは新フォーメーションで練習を開始。したんだけど)」

善子「……すみません」

善子「(私は練習中に倒れて果南さんに運ばれ、保健室に寝かされていた)」

善子「(先生いわく、軽い貧血だろうとのことで、しばらく果南さんについてもらっている)」

果南「やっぱりまだ体調悪いの? 合宿のときから良くなってないんじゃない?」

善子「……」

338名無しさん@転載は禁止:2017/12/04(月) 05:23:03 ID:uhVwwfaM
果南「本番までまだ少し時間はあるんだし、焦らなくていいんだよ?」

善子「でも、梨子さんも抜けたから新フォーメーションも煮詰めなきゃいけないし……」

果南「善子ちゃん」

善子「……」

果南「万全の状態で練習しないとしっかり身につかないよ。休むことも練習のうちだからね」

果南「悪化したら元も子もないし、それこそ本番で力を出せなくなっちゃう」

果南「それに善子ちゃんは一年生なんだから、そんなに思いつめなくていいの。もっと先輩を頼って?」

善子「……」

339名無しさん@転載は禁止:2017/12/04(月) 05:23:18 ID:uhVwwfaM
果南「それとも、休みたくない理由でもあるのかな?」

善子「それは……」

果南「私でよければ、何か力になるよ」

善子「果南さんは……」

果南「ん?」

善子「果南さんは、最近の曜さんを見てなにか思いませんか?」

果南「曜か……」

340名無しさん@転載は禁止:2017/12/04(月) 05:23:34 ID:uhVwwfaM
果南「……正直言うとね、よくわからない」

善子「……」

果南「私は千歌と曜とは長い付き合いで、まぁ姉貴分みたいなもんなんだけどさ、曜のことはいまだにわからないことがある」

果南「曜は本当になんでもできるからね。何か大変なことがあっても周りには頼らないで、一人で解決できちゃうから」

果南「自分の手に余ることでも、周りの人も『曜ちゃんなら大丈夫でしょ』みたいな雰囲気があるから言いだし辛いのもあると思う」

果南「それでも私や千歌には頼ってほしいとは思うけど……曜は優しいからね。周りに迷惑かけたくないって思ってるんじゃないかな」

善子「曜さんは、どうしてそんなに誰にも頼らないの……」

果南「頼れないんだ、あの子は。ずっとそういうふうに生きてきたから」

果南「……いや、そういうふうにさせてしまった、私たちに責任があるのかもね。だから今だって無理させてるのかも」

341名無しさん@転載は禁止:2017/12/04(月) 05:23:48 ID:uhVwwfaM

果南「……まあわからないとは言っても最近の曜はちょっとおかしいなってのはわかる。空元気してるけど誤魔化しきれてない」

善子「一年生もそう思ってます」

果南「善子ちゃんは何か知ってるの? こんなこと聞いてくるくらいだし」

善子「……曜さんを、助けてあげてほしいんです」

果南「……」

善子「詳しくは言えません。けど、今曜さんはとても苦しんで、悲しんでいて……」

善子「私がそばにいなきゃって思うけど、きっと私じゃあの人は助けられないから」

果南「……そっか」

342名無しさん@転載は禁止:2017/12/04(月) 05:24:03 ID:uhVwwfaM
果南「あのね善子ちゃん、曜がいつか言ってたよ。かわいい後輩ができたって」

善子「え……」

果南「私が今のAqoursに入る前かな、嬉しそうに報告してきた。『真面目でかわいらしくて、私のこと本気で慕ってくれる子で先輩し甲斐がある』って」

果南「『いろいろ悩みがちで自分も大変なのに、いつも私の心配をしてくれる、本当にいい子なの』って、嬉しそうに言ってたよ」

善子「曜さんがそんなこと……」

果南「曜の言う通りだ。善子ちゃんはいい子だね」ナデナデ

善子「そんなこと……私は曜さんにはなにも……」

果南「きっと曜はさ、善子ちゃんがそばにいてくれるだけですっごく安心してくれると思う。だから自信もって、これからも曜を支えてあげて」

善子「……はい」

果南「曜のこと、私も気にかけておくよ。一応姉貴分だし、それにかわいい後輩にお願いされちゃったからね」

善子「お願いします、果南さん」

果南「うん。だから善子ちゃん、今はしっかり休んで、曜に元気な顔見せてあげて」

善子「……はい」

343名無しさん@転載は禁止:2017/12/04(月) 05:24:37 ID:uhVwwfaM
遅くなってすみませんちょっと展開に悩みました
できれば明日も更新予定

344名無しさん@転載は禁止:2017/12/04(月) 19:42:57 ID:Ij./a8f6
乙です
どうなるかすごく気になる……

345名無しさん@転載は禁止:2017/12/05(火) 02:53:50 ID:qCtfQPA.
待ってた
ここ独特のようよしが楽しみ

346名無しさん@転載は禁止:2017/12/05(火) 03:37:32 ID:0J23pKTI


善子「(幸い私はすぐに練習に復帰できてみんなにも心配かけずに済んだ)」

善子「(約束通り果南さんは曜さんを気にかけてくれて、かといって不自然に心配し過ぎないくらいのちょうどいい距離感で接してくれていた)」

善子「(『曜は鋭いから、いきなり心配し過ぎても余計に気負わせちゃうからね』ということらしい。果南さんに相談してよかった)」

善子「(曜さんの方は、本来千歌さんと梨子さんのダブルセンターの穴を埋める形で千歌さんとのダブルセンターになった)」

果南「1,2,3,4,5,6,7,8! ……いい感じだね」

千歌「曜ちゃん、バッチリだね!」

曜「うん、千歌ちゃんもね」

千歌「ううん、曜ちゃんが合わせてくれたからだよ! いきなり梨子ちゃんの代役なんて頼んじゃったけどさすが曜ちゃんだね!」

千歌「なんていうのかな、もう完璧に梨子ちゃんみたいな動きだよ!」

曜「……そっか、うまくできて、良かったよ」

善子「(さすがの器用さというべきか、最初の方はステップが合わなかったけれど、私が休んでいる間にできるようになったらしい)」

善子「(この二人のフォーメーションの完成をもって新曲『想いよひとつになれ』の振り付けは完璧、あとはダンスの完成度を上げるのみとなった)」

347名無しさん@転載は禁止:2017/12/05(火) 03:37:49 ID:0J23pKTI
善子「最初は全く合ってなかったのに、すごく良くなってますね」

果南「うん。そうだね」

善子「成り行きとはいえせっかく曜さんと千歌さんのダブルセンターになったんだし、うまくいってよかった」

果南「……うん」

善子「……? 果南さん、どうしたの?」

果南「いや、何かあるってわけじゃないんだ……けど」

善子「けど?」

果南「ごめんね、自分でもうまく言葉にできないけど……違和感というか、これでいいのかなって」

善子「二人になにか問題でもあるんですか?」

果南「ううん、ダンスはできてる。振りもタイミングも完璧。これは表現の問題かな」

善子「……というと?」

果南「そうだね、そもそもこの二人の振り付けはこれがベストなのかってこと。この形が二人に合ったダンスなのかどうか、ちょっとわからなくなってね」

善子「……」

348名無しさん@転載は禁止:2017/12/05(火) 03:38:05 ID:0J23pKTI

果南「ま、ともかくダンスはひとまず完成。この問題については私で考えておくよ」

果南「でも善子ちゃんもなにか気づいたら教えてね」

善子「(ってことで今日の練習は解散、曜さんと二人でバスに乗っている)」

善子「(というか、なんだか久々な感じがして変に緊張しちゃうわね……)」

曜「いやー善子ちゃんがダウンしちゃってたときは一人で寂しかったんだよー」

善子「心配かけてすみません」

曜「んーん! 体調よくなってよかったよ! 最近善子ちゃんつらそうだったから」

善子「え、そうですか?」

曜「うん。ほら、東京のイベントの後で私を慰めてくれた時からかな、なんか元気なさそうっていうか、険しい顔してることが多かったから」

善子「そ、そんなつもりはなかったけど……」

曜「善子ちゃんも何か悩んでるんだったら遠慮なく相談してね! これでも先輩なんだからさ!」

善子「……ええ」

善子「(逆に気を遣われてしまった……)」

349名無しさん@転載は禁止:2017/12/05(火) 03:38:41 ID:0J23pKTI

善子「あ、そ、そういえばダブルセンター、うまくいってるみたいね」

曜「あー、うん。なんとかね」

善子「……?」

善子「(なんか歯切れが悪いわね……上手くいったならそれでいいはずなんだけど)」

善子「何か気になることでも?」

曜「あ、いや! そんなことないよ! うまくいってホッとしただけ」

曜「せっかく千歌ちゃんと二人でダブルセンターになったけど、最初はうまくいかなくて不安だったからさ」

曜「それに梨子ちゃんの代わりを任されたんだもん。しっかりやり遂げたいし!」

善子「……そっか。本番もがんばってね」

曜「うん! 善子ちゃんもがんばろうね!」

350名無しさん@転載は禁止:2017/12/05(火) 03:39:23 ID:0J23pKTI
善子「(曜さんの笑顔に違和感が拭えないままその日は別れた)」

善子「梨子さんの代わり、か」

善子「(その言葉に言いしれない不安を感じだけど、具体的なことはわからない)」

善子「(果南さんの言っていたこともよくわからないまま数日が過ぎ、不安な気持ちのまま予備予選を迎えた)」

善子「(……が、そんな不安とは裏腹に何事もなく、私たちいつも通り今できる最大限のパフォーマンスを披露した)」

善子「(結果Aqoursは予備予選を突破、地区予選への進出を決めた)」

善子「(果南さんのおかげもあったのか曜さんも以前よりは元気みたいだし、千歌さんとのダブルセンターも上手くいった)

善子「(あれこれ気を張っていたけど、案外心配することはないのかも)」

351名無しさん@転載は禁止:2017/12/05(火) 03:40:33 ID:0J23pKTI

千歌「これで次は9人でステージに立てる! 梨子ちゃんと一緒に歌えるよ!」

善子「(と千歌さんも大喜びしていて、地区予選が待ち遠しい様子だった)」

善子「(……と、いうよりは梨子さんと一緒のステージに立てることが嬉しいみたいで)」

善子「(そんな姿を曜さんは寂しそうに笑って見つめていた)」

千歌「曜ちゃんもがんばろうね!」

曜「うん、がんばるよ……」


振り返ってみれば、私がなんとかできるとしたらこの時が最後のチャンスだったのかもしれない。

でも後悔があるとしたらこの時ではなくて、曜さんのそばにいて、守りたいと願いながら何もしなかった、ここまでのすべて。

もっと言えば、私が曜さんと出会って、真っ当な人間になりたいと願ったあの瞬間からかもしれない。

……誰も悪いわけがなかった。ただ、私が弱くて臆病だったから。

だから、私自身も曜さんも、そしてAqoursを壊さなければならなくなった。

重ねて言うが、私はどうしようもなく救いようのない

不完全で欠落した人間モドキだったのだ。

352名無しさん@転載は禁止:2017/12/05(火) 03:44:05 ID:0J23pKTI
短いけど今回はここまで
読んでくれてる方々ありがとうございます
バッドルートは年内を目標に書いていきます
その後ノーマル、ハッピーと続ける予定です

353名無しさん@転載は禁止:2017/12/05(火) 04:27:36 ID:6ZBRBMdM
乙です
みんないい子過ぎて辛い…

354名無しさん@転載は禁止:2017/12/05(火) 11:28:19 ID:4CAH5CDY
おつ
待ってる

355名無しさん@転載は禁止:2017/12/08(金) 01:02:57 ID:LXIFBwD.
楽しみにしてる

356名無しさん@転載は禁止:2017/12/15(金) 03:30:39 ID:Tc05GMPo
すみません、急に立て込んでしまいまして次の更新遅れてしまいそうです
進みが遅くて申し訳ありません

357名無しさん@転載は禁止:2017/12/15(金) 04:41:34 ID:Zqho35SM
お疲れ様です
待ってますよ

358名無しさん@転載は禁止:2017/12/15(金) 04:44:27 ID:BYRxSq6M
気長に待てるのがここのいいところ

359名無しさん@転載は禁止:2017/12/29(金) 04:14:07 ID:YGfLYbKc
今日、遅くとも明日深夜に更新します

360名無しさん@転載は禁止:2017/12/29(金) 04:45:28 ID:YdZZidiU
待ってます

361名無しさん@転載は禁止:2017/12/29(金) 17:54:24 ID:c2d0EGJQ
おお

362名無しさん@転載は禁止:2017/12/29(金) 20:02:40 ID:maU/F7cw
年内にもう一回最新話が更新されるとは嬉しい


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