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穂乃果「龍狩りだよっ!」 Part15

1 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/19(土) 22:01:41 C8JtsF/M
前スレ

【SS】穂乃果「龍狩りだよっ!」
ttp://hope.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1443023253/
【SS】穂乃果「龍狩りだよっ!」 Part2
ttp://hope.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1443864610/
【SS】穂乃果「龍狩りだよっ!」 Part3
ttp://hope.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1444320925/
【SS】穂乃果「龍狩りだよっ!」 Part4
ttp://hope.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1444835503/
【SS】穂乃果「龍狩りだよっ!」 Part5
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【SS】穂乃果「龍狩りだよっ!」 Part6
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【SS】穂乃果「龍狩りだよっ!」 Part7
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【SS】穂乃果「龍狩りだよっ!」 Part8
ttp://hope.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1446368799/
【SS】穂乃果「龍狩りだよっ!」 Part8※(実質9)
ttp://hope.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1446826399/
【SS】穂乃果「龍狩りだよっ!」 Part10
ttp://hope.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1447286111/
穂乃果「龍狩りだよっ!」※(実質11)
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/anime/10627/1447506477/
穂乃果「龍狩りだよっ!」 Part12
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/anime/10627/1448038787/
穂乃果「龍狩りだよっ!」 Part13
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/anime/10627/1448716334/
穂乃果「龍狩りだよっ!」 Part14
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/lite/read.cgi/anime/10627/1449582479/


2 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/20(日) 00:46:32 LtOk.pbc
神、>>1さんは神


3 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/20(日) 00:53:25 vyCTkMGM
長い会話を終え、少し時刻が遅くなってしまったが三人は屋外へ。
風呂の前に鍛錬を積み、少しでも勝利を手元へ引き寄せようという思惑だ。

それぞれやるべきことは異なる。
三人離れた位置へと別れ、まずは開けた草地にことり。


ことり(今日は攻撃術を一つ覚えられた。あとは何が必要?敵はきっと海未ちゃんだけじゃない…絵里ちゃんに、希ちゃん)


【ことりの行動を選択してください】

1 攻撃系の術を練習しようかな ※習得率40%
2 サポート術を増やしたいなぁ ※習得率50%
3 状態異常回復が欲しいかな? ※習得率70%
4 上位回復術を狙ってみよう! ※習得率35%

習得率の低い術ほど強力です。
※昨夜の訓練で状態異常回復に10%の補正が付与されています。

安価下


4 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/20(日) 00:54:16 wm.q7sAI
3


5 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/20(日) 00:54:24 4dVBRaG2

まさか穂乃果が立川のロン毛だったなんて・・・


6 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/20(日) 01:02:53 vyCTkMGM
ことり(迫ってくる力の中に、闇のマナを感じる。村正に憑かれてる海未ちゃんだけじゃなくて…)


闇の魔術には相手を縛る類のものが存在している。
天使、闇に対抗する存在となったことりはそれを本能的に理解していて、それを克服するためには状態異常回復は必須であると考える。


ことり(今度こそ回復術を!)


コンマ
01〜70 スキル習得
71〜00 失敗

判定
>>241


7 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/20(日) 01:14:27 6rJEMgnc
やったぜ!


8 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/20(日) 01:18:58 vyCTkMGM
これまで習得の機会を得られなかったが、状態異常回復はかなり基礎的な白の魔術だ。

数々の戦闘を経て術師として成長し、さらに白術の権化とも呼べるの天使になったことりにとっては習得は容易い。


ことり(昨日は失敗しちゃったけど…)

ことり「光輝、茨縛を滅せ」


術式はシンプル。故に詠唱も短くシンプルなものとなる。
マナを掌へと集め、溢れ出す力は輝く砂の形を成す。
昨日はここで拡散させてしまったが、あとはこれを…


ことり(花陽ちゃんのキンモクセイさん、羽の鱗粉みたいなイメージ…振りまくっ)

ことり『リカバー』


ヒールから始まり『忘却』や『枯渇』などに至るまで、白の魔術はわりに名前がシンプルだ。
パラパラと舞う粉末は毒や麻痺、様々な異常を祓う力を有していて、マナの消費も少なくパーティーに安定をもたらしてくれるだろう。
無事の習得に満足し、ことりは他の二人へと目を向ける。


ことり「二人はどうかな…?」


9 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/20(日) 01:28:28 vyCTkMGM
凛は昨夜に会得した『紫電』の効果に一定の満足を得ている。
敗れはしたが、強力な魔物であったアルケニーへと先制の一打を与えることにも成功した。

例えば、これが人間相手だったならどうだろうか?


凛(ごめんね、イメージしやすいから…頭の中で海未ちゃんを殴るにゃ!)


訓練において仮想敵は重要だ。
絵里に希の襲来も予想されるが、最も手の内を知っているのは海未。
近接同士ということもあり…海未の頬へと紫電の一撃を叩きこむ!!

「何故です!」と憤りと困惑とが混じった声が聞こえたような気がする。
が、それは一旦無視。凛が放つ電速のジャブは鋭く海未の頬を叩き、それは致命傷、重症へと至らずとも意識に空白を生み出せるのは間違いない。


凛(人間相手だと色々使いやすそうな技にゃ)


さて、次の技はどうするべきか。
凛は頭を捻る。


【凛の行動を選択してください】

1 攻撃技を増やそう! ※30%
2 サポート技とかも欲しいよね ※70%
3 防御技を覚えるにゃ! ※40%

安価下


10 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/20(日) 01:29:35 yzL4cuqo
確率低いけど3欲しい


11 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/20(日) 01:37:36 vyCTkMGM
凛「凛がやられたらダメだと思うんだよね」


ぽつりと呟く。

ことりは後衛のため除外し、前衛のツバサと凛。
今日の戦いで露呈したように、ツバサは現在パーティー中で一番の弱者だ。

待ち受ける戦い、ツバサが追い込まれてしまう状況をある程度想定しておくべきだろう。
その場面で重要なのはことりによる迅速な回復であり、凛による高速のフォローだ。

前衛の二人のうち、二人ともが倒れていたのでは話にならない。一気に負けが見えてしまう。
しかし現状、凛も脆い。早く鋭いが脆い。

ならば、克服しなければ…というような内容を、凛なりの思考回路とシンプルな言葉選びで考えている。


凛(防御技を練習しよう!)


コンマ
01〜40 スキル習得
41〜00 失敗

判定
>>242


12 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/20(日) 01:52:47 vyCTkMGM
凛は木の下にいる。

冬の枯れ木には数える程度の落ち葉が付いていて、ちょっと木に悪いなぁと思いながら、軽く幹を蹴って数枚の葉を落とす。

ひらりひらりと舞い落ちてくる葉を一目見て、目を閉じ…
その葉が体へと触れるのを待つ。


凛(例えば刀とか、矢とか…凛の体に攻撃が当たった瞬間。強制的に、勝手に体が逃げるようにしちゃえ!)


反射を雷のマナで支配し、一定域を越える負傷からの自動退避を成してしまおうというのだ。
人体から生み出される攻撃は当然のこと、魔術、ブレス、魔物の攻撃。
その概ねの速度が電速を越えることはない。故に、雷のスピードで逃げられるのならばそれは絶対の防御!

もちろん、電気が尽きるまでだが。

そして葉が体に触れ、凛は反射的に駆け出そうと…!


凛「に゛に゛ゃあ゛ああっ!!?」


まさかの感電!!
雷猫族が感電しないのは、頭部の帯電器官へと害を成す電気の全てを溜めてしまうことができるからだ。
だが、自然な反射での回避を狙おうとしてコントロールを失ってしまった!結果として感電!

しびびびと身を震わせた凛は、そのまま木の下へと目を回して倒れ伏した。
もちろん自身の電力、負傷へと至るほどではない。
が、軽い麻痺状態。早速ことりが寄ってきて、『リカバー』の出番となってしまう。

一方、ツバサは。


13 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/20(日) 01:54:03 vyCTkMGM
>>12追加

【防御技の習得率に10%の補正が付与されました】


14 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/20(日) 01:56:39 yf3vINUI
これはぜひとも習得したいな…


15 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/20(日) 02:07:02 4dVBRaG2
>>14
本命の攻撃当てるためのブラフの攻撃とかが怖いけどね


16 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/20(日) 02:07:57 vyCTkMGM
ブン、ブンと剣を振るう。

ツバサの表情はほのママの話を聞いていた時から一転して不機嫌で、その怒りが誰に向けられているかと言えばもちろん自分自身へと。
挫折を経験し、これまでになく闘志に燃えている。

だというのに!

全てにおいて衰えた体は、数度全力で剣を振り抜くだけで肺から空気を吐き出させ、心臓の鼓動を深刻なほどに早めてしまうのだ。


ツバサ「こんなのじゃ…ロクに戦えやしないじゃない!!」

ほのパパ「………」


ツバサの背後には、腕組みをしたほのパパが立っていた。
その傍らには、兵士でもない中年男性が取り回すにはおよそ似つかわしくない大剣。

両手で扱う大剣ほどのそれを、ほのパパは片手で軽々と!旋風のように振り回してみせるのだ!


ツバサ「お義父様…凄まじいですね。私にもマナさえあれば!」

ほのパパ「………」

ツバサ「えっ?今、マナは使っていない…?」


17 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/20(日) 02:09:46 wm.q7sAI
「えっ?今、言葉は使っていない…?」


18 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/20(日) 02:20:51 .mBJvD4w
ほのママとパパの火と風で、熱の嵐みたいな協力技ありそう


19 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/20(日) 02:28:51 vyCTkMGM
元より、穂乃果の父はそれほどマナの操作に通じていない。
それなりに風を扱えはするが、あくまで主体はその剣技。

彼は強い。優れた剣士だ。

だが和菓子職人であり、戦闘訓練を積んだわけではない。
その戦闘技術はあくまで村へと襲いかかる魔物や野盗の類を打ち払うために得たもの。

では何故、彼は鉄塊のような両手大剣を軽々と振り回すことが可能なのか?


ツバサ「何故です!お義父様!」

ほのパパ「……!」

ツバサ「き、気合い!!」


ツバサは目の前に立つ穂乃果の父から、まるで数キロの高さで聳え立つ壁のような威圧感を感じる。
それは自分を含む四騎士たちの純粋な強さとは異なる“重み”のようなもので、きっとこれが家庭を背負って立つ男の“気概”とでも呼ぶべきものなのだろうとツバサは感じ取る。


ツバサ「見習わせていただきます!!もう一度、穂乃果さんを守れるようになるために!!」


コンマ
偶数 スキル習得
奇数 習得失敗

判定
>>243


20 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/20(日) 02:50:55 vyCTkMGM
ツバサは猛烈な負けず嫌いだ。
加えて、今は精神的に追い込まれた逆境の際にある。

穂乃果の父が見せた、“気合いである程度なんとかなる”という姿勢。
それはツバサの負けん気精神と上手く適合する!


ツバサ「うおおお!!!」

ほのパパ「……!!!!」

ツバサ「もっとですね!うあああ!!!!」

ほのパパ「!!!!!」

ツバサ「穂乃果さあああああん!!!!!!」

ほのパパ「…!」


熱意を前に、言葉など必要ないのだ!
ツバサは肉体の衰えを凌駕する『気合い』を手に入れる。
ほのパパから漢気溢れるサムズアップで合格を示され笑顔を浮かべ、父親という存在の強さを知り、自分の両親にも久々に会いたいなぁ…と。

そこでふと、同じく誰かの“父”である西木野王の姿を思い浮かべる。


ツバサ(あの男にもそんな気概だか強さがあるのかしら?甚だ疑問ね)


馬鹿にしたように小首を傾げ、そしてツバサはゆっくりと剣を収めた。


【ツバサにスキル『気合い』を習得しました】
※一戦につき一度のみ発動可能。3回の判定に10%の補正を付与します。
二刀幻斬のような一度に2回判定のある行動は1回でカウントされます。


21 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/20(日) 03:10:21 vyCTkMGM
>>20
スキル訂正

ツバサは猛烈な負けず嫌いだ。
加えて、今は精神的に追い込まれた逆境の際にある。

穂乃果の父が見せた、“気合いである程度なんとかなる”という姿勢。
それはツバサの負けん気精神と上手く適合する!


ツバサ「うおおお!!!」

ほのパパ「……!!!!」

ツバサ「もっとですね!うあああ!!!!」

ほのパパ「!!!!!」

ツバサ「穂乃果さあああああん!!!!!!」

ほのパパ「…!」


熱意を前に、言葉など必要ないのだ!
ツバサは肉体の衰えを凌駕する『気合い』を手に入れる。
ほのパパから漢気溢れるサムズアップで合格を示され笑顔を浮かべ、父親という存在の強さを知り、自分の両親にも久々に会いたいなぁ…と。

そこでふと、同じく誰かの“父”である西木野王の姿を思い浮かべる。


ツバサ(あの男にもそんな気概だか強さがあるのかしら?甚だ疑問ね)


馬鹿にしたように小首を傾げ、そしてツバサはゆっくりと剣を収めた。


【ツバサにステータス『気合い』を習得しました】
※1戦につき3回まで、コンマの数値を10ずらすことが可能です。
10ずれて判定が改善される場合にのみオートで発動します。
二刀幻斬のような連続判定系スキルに対しては一度のみ発動します。


22 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/20(日) 03:15:24 4dVBRaG2
大魔誅滅のローコスト劣化版から一気に便利になった!?


23 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/20(日) 03:23:29 vyCTkMGM
【二日目終了・現在のステータス】

●ことり
職業:僧侶
装備:祝福のメイス、理のローブ
スキル:ヒール、リカバー
魅了、祓魔、白翼の恩寵、庇護の羽衣、白の聖縫、聖力
召喚・鋭龍トリスタン

ステータス:召喚士の素養、天使化


●凛
職業:忍者
装備:鋼の指、転雷の衣、帯電ブーツ、仕込みクナイ
スキル:雷震、雷勁、散華雷脚、瞬打四連、御雷槌、凛ちゃんサンダー、ビリビリキック、紫電、凛ちゃんレールガン
ステータス:最速行動、投擲武器適正、スネークアイ


●ツバサ(マナ封印中)
職業:魔剣士(四騎士)
装備:七星剣、天羽々斬、龍鱗の鎧(物理10%、魔術15%補正)

スキル:爆熱の檻、黄金雨、爆炎槍、亜空灼火法、爆散せしは死の運命、スーパー翼斬り
二刀幻斬、旋回剣

ステータス:気合い
魔法剣(仲間の魔術属性を自身の剣に付与できます)
※他は封印中


24 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/20(日) 03:30:49 vyCTkMGM
今日はここまでで


25 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/20(日) 03:32:08 F8C2IHDg
>>5
出産場所は馬小屋か…


26 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/20(日) 03:42:40 4dVBRaG2

最終日
どうなるのか楽しみ


27 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/20(日) 03:43:54 xRZBhPWk
おつかれサマンサ


28 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/20(日) 08:05:20 yxrc3ANc
トリスタン使えるようにしたいな〜


29 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/20(日) 11:32:43 xRZBhPWk
割と真面目に、オトノキ村が実は達人集団の住む村でもない限り5人で軍を相手にするのは無理ゲーな予感


30 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/20(日) 11:34:23 m32g4yv.
天使が介入するんだろ


31 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/20(日) 11:45:05 mQrUXCf.
ほのママは相当強そうだし、なんとかなるなる


32 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/20(日) 11:56:44 6b7h3O76
きぃちゃん→エリーチカに負ける
ほのパパ→園田に負ける
三人→希+西木野王、長引けば二人参戦
凛は諦めるかな?


33 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/20(日) 13:09:18 mQrUXCf.
園田を早めに正気にできればいいんだけど


34 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/20(日) 13:15:10 9RMWL4KI
ここで育ての父母を手にかける事になっちゃったりしたら精神崩壊しかねない


35 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/20(日) 13:16:25 ShWpmx6U
凛ちゃん敵になるとコンマで即死する判定がありそう


36 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/20(日) 13:36:13 uEG4RO8U
ツバサさん覚醒来るかな?


37 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/20(日) 13:45:57 mQrUXCf.
色々と海未ちゃん次第な面が大きいかもな


38 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/20(日) 13:55:50 zJ8GWWBQ
てか感想スレどうした


39 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/20(日) 13:56:45 9rlF.Sq.
したらばに感想スレ建て直していいんかな?


40 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/20(日) 14:07:29 7/Z4YN0k
名前はちゃんとしろよ。
感想は、ここでやるんだ。安価愚痴やコンマ叩きはアッチ。いいな?
折角落ちてくれたのに意味がないぞ。


41 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/20(日) 14:34:36 BT7XGil6
そういう自治厨みたいなのはいらん


42 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/20(日) 15:23:20 t/D/I2OI
大澤暴れてるししたらばに立てた方がいい


43 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/20(日) 15:49:08 TF24HH7s
大澤は山口組煽った所為で週の初めに殺されるっぽい
ラブライブ板で大丈夫だろ


44 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/20(日) 19:22:38 D7AGhrdE
建てたからここで(一応したらばです

穂乃果「龍狩りだよっ!」 談論スレ
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/anime/10627/1450606838/

※したらばではリンクを貼れませんのでURLの頭文字に“h”の追加をお願いします


45 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/20(日) 20:11:45 vyCTkMGM
王国軍、そして海未の襲来を予見して三日目の朝。

空はことりたちの抱く不吉など知らぬとばかり、突き抜けるような快晴。
寒さにも負けず、三人は朝食をたっぷりと食べて準備万端!


ことり「今日は頑張ろう!」


開口一番、ことりはいつになくやる気に満ちた表情で凛とツバサへ声を掛ける。
語尾が“♪”という調子でなく“!”で、しっかり力が込められている。
眉はキリリと強められていて、目付きは珍しく鋭く。

が、それは凛とツバサも同様だ。


凛「頑張ろうねっ!」

ツバサ「気合いよ!」


凛は元気に飛び跳ねつつ膝を曲げ伸ばし。
ツバサはほの父の感化を受けて妙に精神力を高めている。

さて、今日は何をすべきか。三人は顔を見合わせ思い悩む。
本格的な戦闘を前に、今まで一度も潜っていない廃墟の探索に時間を掛けるのはあまり合理的とは言えない。
森でスキル習得に専念するか、洞窟の深層で財宝を狙うか、高坂夫妻に挑戦して強者相手の実戦を積むか。


ことり「三択かなぁ」


【修行内容を選択してください】


1 近隣の森で魔物退治(スキル習得に集中)
2 洞窟で財宝探し(魔物と交戦の可能性があります)
3 ほのパパorほのママに挑戦

先に3票集まった選択肢で進行


46 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/20(日) 20:12:25 RNDSdNWw
>>44
さすがに板チでしょ


47 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/20(日) 20:12:57 RNDSdNWw
あ2


48 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/20(日) 20:14:38 9XFDviPg
2


49 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/20(日) 20:15:13 l130KvHg
1
洞窟の魔物は下層だと全滅コースでしょ


50 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/20(日) 20:16:11 mQrUXCf.
3かな


51 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/20(日) 20:16:40 4dVBRaG2
3


52 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/20(日) 20:17:06 0oVoOrHo
3


53 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/20(日) 20:17:17 3xHpZgMQ
3


54 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/20(日) 20:17:27 VmRonZ/o
3


55 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/20(日) 20:19:10 3xHpZgMQ
>>44
1が立てるならともかく勝手に立てても邪魔なだけじゃね
SSじゃないし


56 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/20(日) 20:19:23 MULx8nvI
これ消耗とか夜までに体力全快するのか?
そこは明記してほしかったなー


57 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/20(日) 20:33:27 vyCTkMGM
ツバサ「夜頃に来る、のよね?」

ことり「多分だけど…そうだと思う」

凛「んー、じゃあ帰るまでの時間も考えないとだよね」


三人は考える。
おそらく遠出したところで、ある程度の時間制限は掛かってくるだろう。
例えば洞窟に潜ったとして、空腹と体調の限界まで潜るというのは不可能。
往復の時間、帰ってきてから体調を整える時間も併せて考え、長時間の探索はできない。


ツバサ「それなら、いっそ村で訓練した方がいいんじゃないかしら」

凛「行き帰りに時間かかるもんねー」

ことり「それじゃあ、お父さんとお母さんに挑戦してみる?」


意見は一致。この二日で得た経験を総合的に高めるには、強者との戦いが最も効率的だ。
既に王国軍が襲来するという情報は村の全体に共有されている。
大半の村人たちは近隣の村へと避難を済ませていて、日が昇っているにも関わらず村の中は静かなまま。

穂むらも今日は休業。
数少ない戦闘員にして強大な高坂夫妻は、大切な娘の一人である海未を止めるべく集中を高めている。
調整のための実戦、挑めば間違いなく受けてくれるだろう。


ことり(んん、まずはどっちと戦ってみようかな?)


【先に戦う相手を選択してください】

1 ほのパパ
2 ほのママ

下3レス多数決


58 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/20(日) 20:38:57 VmRonZ/o
1


59 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/20(日) 20:41:22 3xHpZgMQ
1


60 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/20(日) 20:42:40 eDgvfy5s
2


61 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/20(日) 20:45:45 l130KvHg
1


62 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/20(日) 20:50:20 vyCTkMGM
すまん、>>57は一旦取り消しで


63 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/20(日) 21:11:27 vyCTkMGM
いかん、ちょっと今日は疲れてて頭が回らないから休むわ

あとせっかく立ててくれて申し訳ないけど、>>44は立てた人が削除依頼を出しておいてくれると助かる
SSじゃないのを立てるのは流石に迷惑な気がする


64 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/20(日) 21:12:37 9XFDviPg
おつ


65 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/20(日) 21:14:59 4dVBRaG2

ごゆっくりとお休みください


66 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/20(日) 21:16:08 6rJEMgnc
>>63
いえいえ、いつもありがとうございます。
今日くらいは無理せずゆっくりお休みください。


67 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/20(日) 21:18:03 3xHpZgMQ
ゆっくり休んでね
感想スレとか勝手に分けずにここに書こうぜ


68 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/20(日) 21:27:28 xRZBhPWk
たまにはゆっくり君のペースで〜


69 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/20(日) 22:10:18 PQoQ4CxE
>>63
カラダニキヲツケテネ!


70 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/20(日) 22:18:21 FDKfJMu.
義務でもないのに少しでも書いてくれたのがありがたいよ
お大事に


71 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/20(日) 22:58:37 xOW0DJsQ
毎日楽しみなんじゃ^〜


72 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/20(日) 23:12:51 8OICrH.A
ちょっと難易度上げすぎたかな?


73 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/21(月) 00:18:52 UuJbeFvY
あくまで俺の意見だけど、マイナスイベント多いとどうしても萎える人


74 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/21(月) 00:26:43 dQb6ZzDg
おつ
休むのも大事よ


75 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/21(月) 00:27:09 UuJbeFvY
途中送信してしまった

あくまで俺の意見だけど、マイナスイベント多いとどうしても萎える人増えちゃうと思うのよ
しかもこのSS一度きりだから、プラスに寄りすぎるのが丁度いいのかもしれない

まーどうするかは作者さんが決めることだけどね


76 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/21(月) 01:05:28 CWAios5k
最後に予防線貼る指示厨小賢しいな


77 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/21(月) 01:11:21 49KjDRGw
こういうめんどいのが沸いて余計な話でスレ消費するから別スレ作ろうってなったのにね


78 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/21(月) 01:32:48 kIC4BrKU
ストレスのないストーリーはつまらんよ、個人的にはね

半端に目が覚めたから少しだけ続きを


79 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/21(月) 01:36:15 kIC4BrKU
ツバサ「夜頃に来る、のよね?」

ことり「多分だけど…そうだと思う」

凛「んー、じゃあ帰るまでの時間も考えないとだよね」


三人は考える。
おそらく遠出したところで、ある程度の時間制限は掛かってくるだろう。
例えば洞窟に潜ったとして、空腹と体調の限界まで潜るというのは不可能。
往復の時間、帰ってきてから体調を整える時間も併せて考え、長時間の探索はできない。


ツバサ「それなら、いっそ村で訓練した方がいいんじゃないかしら」

凛「行き帰りに時間かかるもんねー」

ことり「それじゃあ、お父さんとお母さんに挑戦してみる?」


意見は一致。この二日で得た経験を総合的に高めるには、強者との戦いが最も効率的だ。
既に王国軍が襲来するという情報は村の全体に共有されている。
大半の村人たちは近隣の村へと避難を済ませていて、日が昇っているにも関わらず村の中は静かなまま。

穂むらも今日は休業。
数少ない戦闘員にして強大な高坂夫妻は、大切な娘の一人である海未を止めるべく集中を高めている。
調整のための実戦練習。向こうにとっても久々の戦闘を前に、悪い話ではないはずだ。

凛は手元でころころと手榴弾を投げ掴みし、懐へと再びしまい直す。
一発きりの貴重な攻撃手段、訓練段階で使うのはなしだ。


凛「二人ともすっごく強いんだよね…腕が鳴るにゃー!!」

ことり「お父さんとお母さん相手なら、殺されたりする心配もないしね」

ツバサ「けれど油断は駄目よ。本気で挑まないと殺される…そんなつもりで挑まないと!」


80 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/21(月) 01:38:46 kIC4BrKU
村から少し離れ、開けた場所。
ことり、凛、ツバサの三人は武器を手に。
相対するは高坂夫妻、ほのパパは鋼の大剣を片手に軽々と構え、ほのママは現役時代からの愛用武器である『熱輪の杖』に紅蓮のマナを輝かせる。


ほのママ「それで、私たちと訓練の仕上げを…ね」

ほのパパ「………」


ほのパパは傍へ、標のように剣を突き立て腕組みを。
言葉は発していないようでいて、明確な意思がそこにはある。

醸し出されているのは殺意!
ことりは驚きに、思わず問いを。


ことり「えっ、お互い殺すつもりで…?」

ほのパパ「………」

ほのママ「もちろん本当に殺したりはしないわよ?でもね…あなたたちを死なせないために。ここで一度、死を見てもらう!!」

ツバサ「っ、いきなり来る!気をつけて!」


あくまで求められるのは本当の実戦。
王国軍が多で来る以上、今求められるのは複数対複数の経験値なのだ。

故に!高坂夫妻は二人並び立つ!

風が逆巻く!
炎が渦立つ!

親密であればマナは融和し、増幅して膨大を成す。
穂乃果らのパーティーでも数々の組み合わせで放たれ、多大な成果を上げてきた連携攻撃。
それは当然、仲の良い夫婦ともなれはマナの親和性は二個にして一…否、絶大の百とさえ化す!!

夫妻、風と炎が織り成され、世界を灰燼へと帰すのではないか!そんな熱量が高まり…!!


【最速行動が発動!】


凛(させないよっ!!いくら強くたって、スピードでは負けないにゃ!!)


【凛の行動を選択してください】

1 いつも通りに!瞬打四連っ!
2 まずは雷震で!
3 いきなりビリビリキックで仕掛けるっ!!
4 ここは…凛ちゃんサンダーにゃ!
5 最強技から行くよ!!凛ちゃんレールガンっ!!!

安価下


81 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/21(月) 01:40:14 49KjDRGw
3


82 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/21(月) 01:40:45 WdQOkFB2
5


83 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/21(月) 01:47:00 kIC4BrKU
凛は身を屈め、右足、大腿部から膝から下へ、そして踝、足底へと!
耳を劈く雷、マナの黄色が可視化するほどの高密度が形成され、そして凛は跳ね上がる!!

空中、高々と舞いつつ…見定める。


凛(二人のどっちを狙うべきかな…?)


凛の速度はここまでの行動に、ほんの一秒と要さない。
この状況下、狙うべきは火術のほのママか。近接剣士のほのパパか!


【凛の行動を選択してください】

1 ほのママ
2 ほのパパ

安価下


84 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/21(月) 01:48:10 z1DwmYKQ
1


85 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/21(月) 01:48:42 XS6toydE
1


86 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/21(月) 01:54:49 kIC4BrKU
凛(穂乃果ちゃんが使ってた焔!あれはお母さんの術だって言ってたよね。あんなのを派手に使われたら一発でおしまいだよ!)


狙いを見定める!
わずかな対空から空中でわずかに身を捻り、そして前への跳躍の勢いを殺さないままに、雷による空気摩擦で爆発的に加速!!


凛「『ビリビリキック』にゃああああッッッ!!!」


圧倒的な加速度、斜め下に位置するほのママへの突撃は雷の化身とばかりの蹴撃だ!!


コンマ
01〜25 攻撃大成功
26〜50 攻撃成功
51〜00 回避される

判定
>>244


87 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/21(月) 02:04:00 kIC4BrKU
ほのママ「凄い技ね、速くて強くて。だけど凛ちゃん?」


歴戦の強者だ。
穂乃果の母は実際の動きでなく予備動作から、凛の動きを見切ってみせる!

荒鷲の如く降下し、だが空振り!
勢い余って夫妻の背後に足を滑らせた凛は、転ばないようにつんのめり、そこにわずかな隙が。

その背へ。大魔術師から訓示の声が掛けられる。


ほのママ「あなたのスピードに付いてこられないのは私たちだけじゃなく、仲間も同じ。フォローを受けられない状態での大技は、あまり褒められた戦術じゃない」

凛「ひ…っ!?」


眼前!!
全身を炎の権化と化したほのママの、圧倒的な火術が凛へと迫る!!


コンマ
01〜45 重症
46〜65 負傷
66〜85 回避
86〜00 吸収 ※防具補正

判定
>>245


88 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/21(月) 02:12:21 kIC4BrKU
凛「……ぁ…!!」

ツバサ「凛っ!!!」
ことり「凛ちゃん!!!」


ほのママの掌が凛へと触れたその瞬間、全身が炎に包まれ火だるまとなった凛は声もなく崩れ落ちる。
秒殺…そう、秒殺だ。
凛は脆い。フォローなしでの単独特攻は死を招く。

死んではいない…
が、ほのパパの大剣攻撃も意識しなければならない!


ことり(どうしよう、どうしよう…!)


【ことりの行動を選択してください】

1 急いで凛ちゃんの回復を…!
2 ごめんね凛ちゃん…まずはお父さんの攻撃に備える!

安価下


89 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/21(月) 02:13:10 dePCHyDY
2かな


90 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/21(月) 02:13:44 z1DwmYKQ
こりゃ無理だな


91 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/21(月) 02:18:17 kIC4BrKU
助けを焦って共倒れは愚策!


ことり(凛ちゃんは重症だけど、死ぬわけじゃない…ごめんね!)


ことりは心を鬼にして、まずはメイスの防御壁を作動させる!
物理魔術の両面への耐性を10%高める防壁だ。道具の効果のため、マナ消費もなし。

これで少しでも…!

同時、ツバサも動き出している。


ツバサ「四騎士を舐めないでよね!」


【ツバサの行動を選択してください】

1 こっちから仕掛けるわ!
2 ここは…待ちね!

安価下


92 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/21(月) 02:21:40 LMedV1fA
1


93 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/21(月) 02:31:54 kIC4BrKU
ツバサから見て、穂乃果の父が手にしている大剣は確かに重く硬い。
それを気合いで、驚異的なまで軽々と振り回しているのだ。その威力は押して知るべし。

だが!

七星剣と天羽々斬。ツバサが有する対の宝剣…
この世界における最高クラスの剣の二本からすれば、ほのパパの鋼の大剣のその切れ味はなまくらにも等しい。


ツバサ「使い手が優れていたって、武器がダメなら付け入る隙もある!!」

ほのパパ「…!!」


来い!と言うのだ。その胸を借りる!


ツバサ『二刀幻斬!!』


コンマ
一撃目
01〜35 攻撃成功
36〜00 攻撃失敗

二撃目
01〜80 攻撃成功
81〜00 攻撃失敗

判定
>>248
>>249


94 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/21(月) 02:44:29 kIC4BrKU
ふらり、そう描写すべき一斬目は鈍く遅く、幽かな剣閃。

ほのパパほどの達人であればほんのわずか、小さく背を反らす程度の動きで回避が可能だ。
体勢が崩れない故にそこから即座に反撃へと転じることも可能だが、しかし読んでいる。


ほのパパ「…」


一斬目はダミーだと。
相手が攻撃へと転じた瞬間、鋭い二斬目で襲い来るつもりだ!
そのため身を躱し、次撃へと備え…

ツバサの二刀幻斬は、その手の剣技に独自の捻りを加えた技術だ!


ツバサ(そう、もう一撃ある。けどそれはすぐさま!)

ほのパパ「!?」


大袈裟に背を捻り、腕を隠すように放つ剣。
その二斬目は影が幻かの如く、一撃目のその影から既に振るわれている!

そして、天羽々斬が胸板へと斬線を刻み込む!!


ツバサ「まずは一発っ!!」


95 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/21(月) 02:51:08 kIC4BrKU
通常であればその一撃だけで、ほのパパは次の動作へと復帰するまで少しの間を要するだろう。
その程度のダメージは与えている。

だが、彼は硬い!揺るがない!
前衛としておよそ望むべき能力の様々を有しているのだ。
ツバサが剣を振り抜き、通常の体制へと戻る前のその間隙を突き!


ほのパパ「!!!」

ツバサ「うっそ…!!もう攻撃が!?」


大剣がまるで棒切れであるかのように、大上段からツバサへと叩き落される!!!
受け損ねれば…!


ことり「気を付けてツバサちゃんっ!!!」


コンマ
01〜45 重症 ※防具と防壁で25%補正
46〜85 回避
86〜00 スキル習得

判定
>>254


96 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/21(月) 03:01:43 h2VCiViE
タンク不足心配してたがほのパパタンク適正ありまくりだった


97 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/21(月) 03:08:32 kIC4BrKU
ツバサ「どああっ!!!」


必死に、無様にツバサは転がり避ける!
元々が天才。そのために持っていなかった泥臭さ…のようなものが、敗北やほのパパから伝授された気合いによって身に付きつつあるのかもしれない。

追撃のもう一撃を豪快に落とそうとするほのパパへとことりが『聖力』を放ち、ツバサが退避するための間を作り出す。

その戦場の端…


凛「う…うう…っ、?」


凛は意識を取り戻し、そして身を包んでいる炎が先とは別種のものであることに気付く。
目の前にはほのママ。
手には杖、マナの輝きは暖かく、凛の身を包むのは回復効果のある炎。穂乃果が使う『癒しの炎』の上位版だ。


凛「なんで…回復してくれるの?」

ほのママ「ふふ。寝てたんじゃ練習にならないでしょ?」


全身の火傷は急速に癒え…
そして凛が立ち上がると同時、ほのママは杖を振るい、治癒の炎をほのパパの傷口へと移す。
与えた剣傷を癒されたツバサが「ああっ…!」と声を上げ、そして火の大悪魔をも焼き尽くす火術の極致、大魔術師きぃちゃんは不敵に笑う。


ほのママ「まだまだ昼前、時間はたっぷりあるわ。ノイローゼになるほど焦がしてあげるから…覚悟してね?」


仲間の元へと跳ね戻った凛、ツバサとことり。
三人は、高坂夫妻の強さと大人の余裕に改めて慄然を覚える!!


98 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/21(月) 03:08:49 kIC4BrKU
今日はここまでで


99 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/21(月) 03:09:43 IYQc4yIg
きぃちゃんカッコよすぎか
>>1無理せず続けてくだされ


100 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/21(月) 03:12:56 z1DwmYKQ
乙!
なんかボロボロだな。逆にこんなんで上手くいっても不満が残る状態だよ。


101 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/21(月) 04:38:26 18yaQTzA
レズじゃないのに強いとかズルい


102 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/21(月) 05:39:41 MKpwlGn2
ダメで元々の修行、熱い!


103 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/21(月) 09:52:09 wauzlles
お、更新あったのか乙
なんとか戦力増強したいな…


104 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/21(月) 18:51:07 Rdn.jtAg
きぃちゃんは思ったより強そうで草。ほのパパやトリスタンの戦力次第では勝てるかもな


105 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/21(月) 19:21:18 XZRdC64k
きぃちゃんひとりでランスロット一体なら抑えられそう


106 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/21(月) 19:47:43 d9ZcHGMo
>>1乙です


107 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/21(月) 20:14:37 kIC4BrKU
ツバサ「いやあ、ちょっと…洒落にならないわね」


参ったとばかり、ツバサの口元には半笑い。
凛はすっかり怯え上がっていて、ことりも似たようなもの。


ことり「二人の本気は初めて見るけど、ここまで…」

凛「やっばいにゃあ…」

ほのママ「あら、本気だなんて誰が言ったかしら?」


灼熱の波動が空間を脈打たせている。
だがその口ぶりと表情を見るに、底はまだまだ。
ほのママは杖先で空中に円を描き、そしてコツンと地を叩いた。


ほのママ「アモンとかいう悪魔が使ってた術だけど…練習用にはちょうどいいかしら。『炎狗陣』っと」


声と同時に数体、炎で身を成した魔犬の群れが現れる。
召喚術ではなく、あくまで火術の一端。だが、生み出された火犬たちはプログラムされた命令に沿って自律攻撃を仕掛けてくる!!


ことり「っ!?食い止めなきゃ…!」


三人はそれぞれに行動を選ぶ!


【ことりの行動を選択してください】

1 お母さんを止めなきゃ!『魅了』!
2 新しい防御術を!
3 上手くいく自信はないけど…召喚してみる?
4 連携技でなんとかならないかな…

安価下


108 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/21(月) 20:17:32 LMedV1fA
2で


109 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/21(月) 20:25:03 kIC4BrKU
ことり(今のままじゃ海未ちゃんたちには勝てない…ここは思い切って練習に集中してみよう!)


既存ではなく新しい力の会得へと意識を傾けることり。
凛は一度全身を焼かれた恐怖に慄きつつ、自分を奮い立たせて電力を走らせる。


【凛の行動を選択してください】

1 敵がたくさんになった!?ぼ、防御技に挑戦にゃ!
2 凛ちゃんサンダーでまとめて吹き飛ばすよ!!
3 間をくぐり抜けて、もう一回接近攻撃にゃー!

安価下


110 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/21(月) 20:26:29 Rdn.jtAg
1


111 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/21(月) 20:34:31 kIC4BrKU
凛(昨日の技をもう一回練習してみよう!全身に電気を溜めて…!)


凛もことりに同じく新たな技の練習を!
残るツバサは迷う。マナがない以上、できることはかなり限定されているのだ。

突貫か、待機か。仲間二人の行動を見極めつつ思考する。


【ツバサの行動を選択してください】

1 攻めが肝心!仲間のフォローを信じて攻撃を仕掛ける!
2 どうにかして魔術攻撃を防ぐ手段を見つけるわ!

安価下


112 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/21(月) 20:35:20 Wf02Yv2A
1


113 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/21(月) 20:44:29 kIC4BrKU
ツバサが特攻の決意を固め、隙を見計らい…

まず動くのはことりだ。
新たな防御の術を覚えるとして、得てきた年月と経験値が段違いの母の魔術にどうすれば抗える?


ことり(同じ立場で勝負したって無理だよ…ことりの強みを活かさなきゃ!)


ことりにあってほのママにないもの、それはシンプルに翼!天使の能力だ!
白の魔術だけで対抗を試みるのではなく、翼の魔術ブースターとしての効力と特異性を存分に活用して戦うべきだ。


ことり(魔術を防ぐ!)


コンマ
01〜50 スキル習得
51〜80 上位スキル習得
81〜00 失敗

判定
>>261


114 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/21(月) 21:05:36 kIC4BrKU
以前、暴走時に使ってみせた『白翼の恩寵』に表されるように、ことりの翼には洗脳と魔力の隷属効果が備わっている。

だが、あれは良心や慈悲、およそ人間らしい感覚を捨て去ってこそ使えた技。
あくまで人間であることを決めた今のことりには再現の難しいスキルだ。


ことり「けど、洗脳はできなくても…魔術を抑える効果だけなら!」


ことりは戦場へと羽を撒き散らす!
高所から降り注ぐ白羽、光の欠片と化した一枚一枚には魔力の遮断効果が込められている。


ほのパパ「……!」

ことり『光羽舞う楽園(ホワイトアウト)』


そう命名した魔術はほのママの魔術である火狗たちを縛り付け、動きを留める効果を発揮する。
人間のスキルで言えば大魔術に値する技だ。長時間ではないが、羽が舞い散る空間のマナ使用を不可能にする天使の御技!


ことり(タイミングを狙って使えば、敵のみんなとツバサちゃんを対等に持ち込める!)



ほのママはそんなことりを眩しそうに、娘の成長を見守る目線を向けていて…

凛はことりの魔術が発動する寸前、火の狼との接触を試みていた!


凛(避ける!避ける!!)


コンマ
01〜50 スキル習得
51〜00 失敗

判定
>>263


115 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/21(月) 21:17:17 BqfR7jw.
有能多いのな


116 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/21(月) 21:18:26 kIC4BrKU
全身、皮膚の一枚下へと鋭く電流を巡らせている。

下肢にはとりわけ強力な電撃を集めていて、狙うは接触即逃走!
行動律はごくごくシンプルに、ひたすら意識を張り詰めている。


凛(敵か攻撃が触れたら逃げるよ!大丈夫、一回成功させちゃえば、凛ならマスターできる!)


凛は自分の天才性を、ぼんやりとではあるが認識している。
同じく天才、ツバサの二つ年下。二年後には封印されていない状態のツバサにも肩を並べられるほどの力を手にすることもきっと可能だろう。

そんな凛は戦場、前線。
目を閉じて火狗が襲い掛かるのを待ち…

顎撃!!!
二頭、三頭と凛へ炎の獣が踊りかかり、その全身を火の塊へと包み込んでしまう!!


ツバサ「凛っ!!」


技の会得に失敗してしまったのか?
凛の位置からかなり後方、戦場を眺めたままに狼狽するツバサの背後、明るく凛の声がする。


凛「凛は無事だよっ!」

ツバサ「げえっ!?いつの間にここまで!?」


117 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/21(月) 21:34:57 kIC4BrKU
凛はピンピンとしている。元気に快活な笑顔。
驚くべきことに、その全身の皮膚どころか服の一片さえも焼け焦げていない。

炎に捉われ火の中に包み込まれるのをはっきり目視したというのに、これは一体…


凛「名付けて『凛カーネイション!』」

ツバサ「生まれ変わる的な意味よね?この前熱心に辞書を見てたのは技名を考えてたのね!」


その回避技の理屈を簡単に言うならば全身雷化!
皮膚への強い刺激に反応し、体全ての組織と雷のマナを結合させることで電速の反射回避を可能としてみせ、完全な被弾から生まれ変わったように無傷での復帰を実現させるのだ!

発動はわずか一瞬。
にも関わらず、一度につきおよそ三割ほどのマナを消費してしまう大技だが、それでも凛の脆さを補うには最適!

技の完成に満足気な凛、その視線の先には会話を打ち切り駆けていくツバサ!
ことりの魔術遮断が発動し、仕掛けるには最適のタイミング!


ツバサ「お義母様を討つなら今!!」

ほのパパ「…!!」

ツバサ「来いと言うのですね!まずはお義父様、あなたを討つ!!」


双方、合わせて三刃が踊る!


コンマ
偶数 攻撃成功
奇数 攻撃失敗

判定
>>264
>>265
>>266


118 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/21(月) 21:48:40 kIC4BrKU
ほのパパの魔力も遮断されている!
久々、完全なる対等の勝負だ。ツバサは自信に満ち溢れた表情で二剣を振るい!!

…ツバサは、圧倒的な挫折を味わうことになる。


ツバサ「……なんで!?」

ほのパパ「……」


最上の二剣、大剣に比べて速く鋭く、その三交差。
しかし、蓋を開けてみればツバサの身には三撃。

肩に裂傷、腹に斬切、膝に圧折。
実戦であれば死が見える完敗…そう、そうだ。“実戦であれば”と、ツバサは認識した。
つまり、ほのパパは手心を加えている。加減して、その上で三撃先んじられてしまった!!

涙がこみ上げる。
痛みではなく、弱く情けない自分に。また昨日と同じだ。
メンタルが弱いツバサは剣を持つ手を下に垂らし、俯き、肩を震わせ…


ほのパパ「喝!!!」

ことり「えっ!?」

ほのママ「ええ!?」

凛「大声にゃ!!?」

ツバサ「………お義父、様?」


ただ一言。
だがその一言がツバサの骨身に、髄にまで染み渡る!


ツバサ「……もう、一度!!」


コンマ
偶数 攻撃成功
奇数 攻撃失敗

判定
>>270
>>271
>>272

2回以上攻撃成功でステータス付与
2回以上攻撃失敗でバッドステータス付与


119 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/21(月) 21:52:06 K0WrAMy2
しゃ、喋ったぁぁ!!?


120 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/21(月) 21:52:28 TA/uV1rc
ほのママ含めて驚いてて草


121 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/21(月) 22:08:56 kIC4BrKU
ツバサ「やああああっっ!!!」

ほのパパ「……」


決定打は三撃、互いがそう目している。
だが、優れた技量の持ち主同士の戦い。当然ながら単純に三度振って防いでそれで終わりという斬り合いには終始しない。

ツバサが腕を畳んで最短距離、七星剣で首筋を狙う!
ほのパパは動じず!それはブラフだと見抜いた上で、空いている左手を拳に、下から刃を突き上げる!

斬軌道が跳ね上げられ、ツバサの右ががら空きになる。
そこへ大剣の柄による打突が放たれ、しかしそれもブラフ。
ツバサは傷を負ったままに、エリートのプライドを捨てて歯を剥き出しに!既に折れている膝を上げてそれを受ける!

斬打突払、交わされる嵐の激闘!
食らいつく!食らいつく!軋む身を押して意地で食らいつく!!

そして!!!


ツバサ(見えた!!)

ほのパパ(…!)


幾重にも織られた剣戟の末、互いが互いの絶対的な隙を見出す!
ここからの速さを決するのは気合い、精神力の勝負だ!!

肩、脇腹、膝、全てがズク…と痛むのを無視。
防御さえ無視!!ツバサは一心不乱に二斬を放つ!!!


ツバサ「だああああああ!!!!!」

ほのパパ「……!!!!!」


そこまでに費やした時間が10秒だとして、決撃の交錯は一瞬にも満たない速度で。

ツバサの胸元には鎧を引き裂き、新たな傷が刻まれていて…
ほのパパの肩から腰へ、対の烈斬が刻まれている!!


ツバサ「私の…勝ちよ、!」


満足気に倒れる。
流れで見ればツバサが与えたのは二斬、受けたのは四撃。

負けだ。

だが、瑣末を無視して価値を名乗れる精神力、絶対の自信!
それは逆境を乗り越える力を手にするための、不動心となる!

ほのパパは満足気に頷き…


ほのパパ「……」


前のめりに倒れ伏した。


122 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/21(月) 22:12:03 kIC4BrKU
>>121
習得ステータスが抜けてたから追加

【ツバサにステータス『不動心』が付与されました】
※軽傷時5%、負傷時10%、重症時15%の補正が付与されます。
重症時も行動が可能となります。(魔術を除く)


123 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/21(月) 22:19:58 1O6dUOWI
ヒデコの上位互換か


124 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/21(月) 22:27:16 kIC4BrKU
ほのママ「お疲れ様、あなた」


倒れた夫へと向けるのは労いの言葉。
ほのパパは無言のままに視線を返し、子供たちからは見えない位置でサムズアップを作っている。

あくまで浴びたのは二斬、体力に優れた彼はまだ動くことが可能だ。
だが、ツバサに自信を付けさせ、成長を促すためにはここで倒れなければならないのだ。

実際、良い斬撃だったとほのパパは満足している。

さあ、残されたのはことりに凛。
対するのはほのママだ。

ことりが発動させた魔力封印は羽が地へと舞い落ちると同時に解け、そしてほのママは再び魔力を高める。


ほのママ「“本物”を見せてあげる」


そう言って、地へと杖を突き立て…


ほのママ「灼火よ、赫赫たる煌炎よ」

ことり(焔!?『光翼の楽園』は間に合わない…!発動の早い術で!)


止めなければ負けだ!
ことりと凛は一刻も早くそれを妨害せんと身構え、素早く行動へ移る!


【ことりの行動を選択してください】

1 魅了!
2 新しい妨害術を…!
3 聖力で邪魔を!
4 白の聖縫で止める!

安価下


125 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/21(月) 22:28:52 RN1ycIdU



126 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/21(月) 22:33:50 DBHXOGfg
(安価はすでに通過したな)
天才ツバサは今まで失敗や挫折、壁があんまなかったから
メンタルが弱いと言う事なのね


127 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/21(月) 22:34:44 kIC4BrKU
それが『焔』の詠唱であるとはっきり認識している危機感の分か、凛よりもことりの行動が速かった。

この状況を打破できる術…!

ことりは全力でイメージを高め、新たな魔術の発動を試みる!


コンマ
01〜35 スキル習得
36〜60 上位スキル習得
61〜00 失敗

判定
>>275


128 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/21(月) 22:40:44 .U7nLsFk
判定用スレどこや


129 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/21(月) 22:42:07 IYQc4yIg
判定用スレ
ttp://yomogi.2ch.net/test/read.cgi/mog2/1448879442/


130 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/21(月) 22:51:26 kIC4BrKU
必要なのは妨害。
魔術封印などではなく、より純然たる妨害を。

脳裏に浮かぶ閃きに従い、ことりはその滑らかな指先で宙空に印を描く。


ことり「忌日、蛇月の深冷。神威の烙印を実白に下せ。『災禍(カラミティ)』」


詠唱中のほのママへと素早く羽を飛ばす!
天使であることりに許された力、ごく限定的な運命操作だ。
支倉かさねがその大鎌で操る必殺撃、『集約する脅威』と技の原理は似通っている。
白く美しく輝く羽は、宙を進む道筋で浮かぶ不幸をかき集め…母の周囲へと不運を撒き散らす!


【ほのママの判定に、次の行動まで20%マイナス補正が付与されます】


ほのママ(…?嫌な感じの術ね)


得体の知れない術の効力を直感的に悟りながらも、詠唱は最後の一文へと差し掛かっている。
そのタイミングであっても、凛の素早さなら割り込んでしまうことが可能だ!


凛「攻撃!!いっくにゃー!!」


【凛の行動を選択してください】

1 瞬打四連!
2 ビリビリキック!
3 紫電!
4 凛ちゃんサンダー!
5 凛ちゃんレールガン!

安価下


131 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/21(月) 22:52:46 SSgH7AdY
3


132 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/21(月) 22:52:50 J6AeL0.E
1


133 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/21(月) 22:52:52 2rcAAeNE
3


134 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/21(月) 22:52:54 Rdn.jtAg
1


135 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/21(月) 23:03:33 kIC4BrKU
なによりも優先すべきは『焔』の迅速かつ確実な発動阻止。
凛は戦いに関する高いセンスから、直感的にそれを理解している。

なら、撃つべきは最速の必中の電撃ジャブである『紫電』!!

凛は選べば迷わない。
そのスピードは身体能力だけに起因せず、思い切りの良さも一役を買っている!

真っ直ぐに真っ直ぐに、決断的に敵前へと歩を進め、そしてほのママと視線を交錯させて笑み。


凛(パンチするけどごめんね!)

ほのママ(あら、そう簡単にいくかしら?)

凛(行くよ。だって凛の『紫電』は…雷より速いんだから!!)


凛『紫電!!!』


コンマ
01〜30 攻撃成功、さらに追撃可 ※『災禍』で20%マイナス補正
31〜00 攻撃成功

判定
>>276


136 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/21(月) 23:07:57 wauzlles
災禍便利だな


137 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/21(月) 23:15:33 TyuLDV1E
これ瞬打でも4回分-20パーセント発動するのかな?


138 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/21(月) 23:17:55 kIC4BrKU
>>137
適用されるよ
災禍自体に成功失敗の判定があるけどね


139 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/21(月) 23:18:22 kIC4BrKU
畳んだ腕が伸ばされる。
その軌道に電光が奔り、しかし凛のイメージ通り!
凛の拳は雷よりも疾く、先を行く!


ほのママ「痛…っ!」

凛「当てたっ!!」


ほのママの頬を凛のジャブが的確に捉え、これで詠唱は中断される!

…はずが。


ほのママ「高坂の名において、爆拡の裁可を与えん!」

凛「なんで詠唱を続けられるの!?」

ことり「っ!凛ちゃん気をつけて!!お母さんは賢者!賢者は詠唱を中断されない特徴があるの!」

凛「聞いてないよおお!!!」

ほのママ「これも勉強よ、凛ちゃん。『焔』!!!」

凛「もう焼かれるのは嫌にゃあああ!!!」


ほのママは地につけていた杖先を掲げ、そしてもう一度!
強く振り下ろし……止める。


ほのママ「……」

凛「……あれ?」

ことり「お母さん?」

ほのママ「……何か来るわ」


140 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/21(月) 23:20:40 wauzlles
ついに本番か


141 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/21(月) 23:27:11 dWLSYVjU
夜まで来ない筈だが?


142 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/21(月) 23:27:29 TyuLDV1E
>>138
答えてくれてありがとう
はまれば強いな


143 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/21(月) 23:32:29 RN1ycIdU
もう夜なのか?他のお客さんだったりして


144 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/21(月) 23:38:03 kIC4BrKU
オトノキ村から平原を隔てて数キロの遠方。
片田舎であるこの地域で上がるはずのない煙が、空に雲かと見紛うほどにもうもうと立ち上っている。

それは排気。
マナ式の駆動機関、内燃する魔力から発される煙であり、西の街で多く出回っていた魔動四輪から排出されるガスと同質のものだ。

だがその量は膨大であり、数が多く、エンジンの駆動音は遥かに凶暴だ。

母に促されて真昼の青空へと舞い上がったことりは、予想だにしない物を目にする事となる。


ことり「なに…あれ…!?」


それは砲を備えた車列。重厚にして威圧に満ちた兵器の群れ。
そんな代物が数十台と並んでいて、そして中心には一際巨大、まるで走行する要塞とでも呼ぶべき巨大戦車が、キャタピラの轍を大地へと刻みつけている。


ことり「お母さん!!せ、戦車みたいなのが、たくさん…!」

ほのママ「戦車…?王国じゃないわね」


砲塔がギギ…と旋回し、巨大な砲身の射角が調整され。
ズズン…と空震が走り、そして。


ことり「え…っ、こっちに撃ってきた!?」


巨大戦車の超長距離砲火がオトノキ村へと迫る!!!


145 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/21(月) 23:42:09 LDHLhhng
第3勢力かな


146 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/21(月) 23:43:18 1O6dUOWI
天使崇めてるとこか?


147 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/21(月) 23:50:15 kIC4BrKU
ことり「ぴいぃっっ!!??」


翼を広げたまま、ことりは目を白黒とさせる。
いくら天使だろうと、あんな仰々しい砲火から村を守る術は有していない。
理事長ほどの神格があればいざ知らず、あの砲撃はおそらく十二卿龍のブレスにも匹敵する威力!!!

が、ほのママは動じず。


ほのママ『絶炎結界』


地に掌を叩きつけると同時、村の四方から圧倒的な炎の壁が立ち上がる!!
高く高く、天まで昇る勢いの炎壁は見事にその砲撃を防いでみせる。

もちろん、村の真上を飛んでいたことりは結界の中だ。
目の前にいきなり現れた極大の炎の壁と、そこにぶつかり弾けた砲弾の大迫力に「ひええ…」と情けない声を発して地上へとフラフラ降りてくる。

ほのパパとツバサも既にほのママが治療を済ませていて、凛も合わせて四人がことりへと一斉に問いかける。


ツバサ「ちょっと、今のは何なの?」
凛「ヤバい爆発だったよ!?」
ほのパパ「………」
ほのママ「ことり、何を見たのか教えて?」

ことり「い、一斉に聞かないで…」


息を整え、けれど動揺から立ち直りきれないままにことりは口を開く。


148 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/22(火) 00:07:40 EnXNJPgY
ことり「い、いっぱい戦車が並んでて…たぶんだけど…前に戦った海運王さんの会社のロゴが入ってたと思う」

凛「まぁぁぁぁた海運王!?凛たちはちょっと船から逃げただけなのに…しつこすぎだよ!うんざりにゃ!!」

ことり「あ、でも、海運王さんは龍皇教団のところであんじゅさんが倒したから…」

ツバサ「……なら、教団の残党と見るべきね。ことり、昨日耳に挟んだ話を覚えてるでしょ?」

ことり「うん…」


洞窟探索からの帰路の道中、旅商たちの会話からこぼれ聞いた話。
龍皇教団が“光翼教団”と名を変え、戦力を整えこちらの地方へ向かっていると…
だが、まさかオトノキ村を目掛けて進んできているとは思わなかった。

その話を両親と凛へ伝え、そして五人は深刻な顔で話し合う。


ほのママ「この結界は王国が攻めてきた時の非常用に仕込んでおいたの。一日…とまではいかないけど、かなりの時間保たれる」

凛「こんな結界初めて見る…すごいにゃ!」

ツバサ「同感だわ。……それにしても節操のない連中よね。龍皇よ!滅びよ!とか言ってた癖して、いざ龍のヤバさに気付いたら天使に鞍替えなんて」

ほのパパ「………、…」

ことり「うん、そうだねお父さん…何かに縋らないと生きていけない人たちもたくさんいるんだよね…」

ほのママ「けど、困ったわね。これで時間稼ぎをできる分、練習時間を長く取れる予定だったんだけど…」


結局、戦闘訓練はここで打ち切りとなる。
そしてほのママから下された厳命は、食べろ!風呂に入れ!ゆっくりくつろいでから寝ろ!の三段活用。


ほのママ「もう少し鍛えてあげたかったけど、こうなったら戦いに備えてマナを回復させるのが最優先よ。
結界が外れる頃には王国軍も来るはず…乱戦になるかもしれない。覚悟して、思いっきり休みなさい!」

ツバサ「はい!」
凛「はーい!」
ことり「はいっ!」


149 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 00:15:48 cuFteD.k
光翼が王国の戦力分担に役立ってくれる可能性は…ないな


150 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/22(火) 00:16:35 EnXNJPgY


命中、確認できず。
オトノキ村の周囲に超高密度のエネルギー反応を感知。
砲弾を迎撃された模様。

そんな無機質な会話が交わされているのは戦車隊の中枢、砲撃を放った移動要塞の司令室だ。
その中央、一目で司令官とわかる人物が鎮座している。

白く壮麗な衣服に身を包んでいて、
それは理事長が枢機卿の頃、儀礼の際に纏っていた衣装にも酷似している。


「次弾は如何なさいますか?」


尋ねられ、掌を煽って否む。


「今は距離を詰めるだけで十分」


その指示を神からの訓示であるかのように、拝命し、さらに同乗の全員が恭しい仕草で恭順を示す。

司令官は女性だ。
宗教の主を感じさせる衣服に、頭の軍帽だけが浮いている。
鋭く前方、炎壁を見つめ、ごく小さく。

「オトノキ村…」と呟いた。


151 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/22(火) 00:29:25 EnXNJPgY


時は過ぎ、夕刻。

順調かつ快速での航空を続ける王国軍の飛空戦艦。
その甲板では西木野王が夕映えに目を細め、赤に染まった雲海を眺めている。


西木野王「空を。高みを征するというのは、実に気分が良い物だ。そうは思わないか?」

絵里「……陛下の仰せの通りです」


跪き、王の言葉を聞く絵里、その後ろには海未と希も。
高空にも魔物はいる。一応の護衛として、王のそばに付き従っているのだ。

三人は洗脳によって忠誠心を植え付けられている。
だがそれは表面的なものであり、闇によって心の底の底へと押し込まれた本当の心は死んでいない。
本来の心、人格を完全に殺してしまう100%の洗脳も可能ではあった。
だが、王はそれを好まなかった。

それは慈悲ではない。
E-ナンバーズの性能が英玲奈本人に劣ることを地下での一戦だけで理解し、機械的に動くだけの戦闘員は主力たりえないと認識を改めた上での判断。
やはり、基本的には優秀な人物なのだ。

しかし、心が死んでいないということは、内心での面従腹背を生む。
裏切ることはできないように洗脳プログラムが組まれているが、内心に毒付く程度は可能なのだ。


希(海未ちゃん聞いた?王様、高みは気分がいいんやって)

海未(ええ。言いましたね)

希(あれやね、ナントカと煙は高いところが好きって…)

海未(の、希。失礼ですよ)

絵里(……二人とも、真面目にしなさい)


152 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 00:37:44 Me7Em8RA
とばっちり園田


153 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/22(火) 00:40:33 EnXNJPgY
西木野王は愚昧ではない。

海未や希の中に真の忠義がないことを理解している。
その上で、気にしていないのだ、

生来、他人を信用していない。
人は裏切るものだという思考を前提にして生きてきた。
ならば生き抜くために必要なことは何か?


西木野王(自身の力だ。自らが絶対的な力を有していれば、絆や信頼などという不安定な物に頼る必要もない)


西木野王にとっての海未、希。狩猟部隊にE-ナンバーズ。
その他全ての配下たちは、部下という名の力の一部だ。
裏切りや何かしらでその多少が剥がれ落ちたとしても、結局自分が優れていれば問題はなく、強者こそが全て。

唯一、自身の研究によって一から造り上げ、そしてランスロットの器として完成させた絵里は裏切らないと踏んでいる。
龍の力によって封印された心が易々と表に出てこられるはずもない。

そう、ガウェインとランスロット。
二龍の力に兵器や部下たちを足せば、天使にさえ敗れる道理はない。

王は眼光を強め、前方に羽ばたくワイバーンの群れを睥睨する。
右腕の義手を作動させ、掌には赤石の光。
最高の火術触媒であるレガリアと同じ機構を腕へ組み込んだのだ。


西木野王「消え失せろ」


掌を前方へ翳し…炎光が迸る!!!
放たれた熱閃によりワイバーンの全てが灰燼へと帰し…

王は自らの“力”に、薄笑みを浮かべるのだった。


154 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 00:43:06 OPjVztD6
王をワイバーンフラグが襲う!


155 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 00:44:40 fW5NWPTE
これはいけない


156 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 00:46:34 dXRt4yiM
王様「腕も足も機械化したほうが良くね?」→最終的に力の源まで交換して雑魚と化して欲しい


157 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 00:54:13 DyK4HCBk
>>131->>134まで何気に10秒にみたない間に4つもかき込まれてる
ちょっとした瞬打四連やね


158 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/22(火) 01:04:27 EnXNJPgY


やがて時刻は夜を迎え、空中戦艦は砲撃を放つこともなく、予想よりも静かにオトノキ村の近郊へと停泊する。

高空から炎壁の堅固な魔力結界を見て、砲撃などで崩せるものではなく、時間経過で消滅する類の物だと。
すぐさまそう判断を下したのは絵里だ。

十二卿龍、高密度マナの権化を身に宿していることで、魔力の質というものに対して鋭敏な感覚を得ている。
プラス、西木野王…ガウェインが夜明けからの時間に本領を発揮するという特質上、戦闘は朝からが好ましいという事情もあった。

そしてもう一つ。村を挟んで反対側には得体の知れない戦車群が車体を並べている。

オトノキ村が揃えた軍隊…というわけではないらしい。
どういう団体なのか、絵里はその判断に首を傾げたが、王が嘲笑う。


西木野王「教団の残党。何かに縋らねば立てぬ、取るに足らない負け犬どもよ。明朝、村と共に焼き払ってやろう」


王国軍、オトノキ村、光翼教団。
三つの勢力は、炎壁に隔てられる形で沈黙を保っている。
戦車に戦艦に、それぞれが機関の駆動を最低限に切り替え。
片田舎、冬の凍夜には静寂が満ちる。


村の中、穂むらの二階。
ことりはベッドの中、ふと目を覚まし…
傍らには、その寝顔を愛しげに見つめる瞳。


海未「……お久しぶりです、ことり」


159 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 01:04:48 5ThBCozM
はよパイナップルはよ


160 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/22(火) 01:18:07 EnXNJPgY
ことりは目を擦る。夢かと考えたのだ。
だが、窓からの光景…炎壁の外には王国軍の章を有した飛空戦艦の影。

なら、本物なのか。
ごしごしと目を擦ることり、その頬を海未の指が優しく抓った。


ことり「んみひゃん…いひゃい」

海未「夢ではないでしょう?」

ことり「ん、みたいだね…久しぶり、海未ちゃん」


ことりは驚かない。
海未は目視できる範囲で水気のある位置へは転移できるのだ。
村の中心部には農水用の溜池があり、それを知っている海未が転移してきたとして、驚くべきことではなかった。

ただ、予想外ではある。
遠くから感じていた禍々しい闇の波動は、今は鳴りを潜めている。
少しの黒は感じるが、表面的にはいつもの落ち着いていて穏やかで、優しい海未のように見える。

ことりは涙腺が緩み…思わず、海未の胸元へと抱きついてしまう。


ことり「海未ちゃん…無事でいてくれて、よかったぁ…!」

海未「ふふ、大袈裟ですよ…ことり」


海未の手がことりの髪を優しく撫でる。
生き別れになる前は穂乃果穂乃果とそれぞれに熱を上げていた二人だが、もちろんながらこの二人の間の絆も鋼糸よりも硬い。
無言のままに抱き合い、海未の目にも少しばかりの潤みが見え…

やがて、ゆっくりとことりを押し剥がした。


161 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/22(火) 01:25:14 EnXNJPgY
海未「……すみません、ことり。これ以上は私の正気が持たないようです」

ことり「海未ちゃん…!」


その身には再び闇が戻ってきている。
渦を巻いて下り、腰に帯びた村正から滲み出る闇が全身、指先までに纏わりつく。
その闇を祓う方法はないかととっさに思考を巡らせるが…良案に思い至らず。

海未は間違ってもことりを斬らないように、範囲外へと立ち退き。
そして部屋の片隅、闇の中からするりと軍服姿の希が姿を現した。


ことり「ど、どこに隠れてたの…?」

希「ウチはスピリチュアルやからね」


そう言って、手元には一枚の札。
『消』と文字が記されている。


海未「希、一時的に闇を鎮める術式…ありがとうございました」

希「ごめんな、もうちょっと落ち着いてお話させてあげたかったけど…ウチの力じゃこの時間が限界みたい」


と、二人分の闇のマナを感じ取ったのだろう。
バタバタと部屋の前に足音がして、パジャマ姿の凛とナイトキャップを被ったツバサが駆け込んできた。


凛「敵!って、海未ちゃんと希ちゃん!?」

ツバサ「まったく!どこから入ったのよ!」


162 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/22(火) 01:42:08 EnXNJPgY
室内に五人もいると手狭に感じる。
海未は再び闇に支配されてしまった目で怜悧に状況を見渡し、双方の間合いへと気を払いながら酷薄に笑んだ。


海未「今は戦いに来たわけではありません。明朝の…宣戦布告に」

ことり「二人とも、闇が…」

希「ふふ、慣れたらなかなか悪くないもんなんよ?特に今日は体調もいいし」

ツバサ「聞いておくけど。そもそも何をしに攻めてきたわけ?」


ツバサの問いを受け、希は口を横に広げるようにしてうひひと悪戯に笑い。
そして、ビシリと凛を指差した!!


希「エリチは別枠として、ウチに海未ちゃん…そこに凛ちゃんを加えて悪の軍団の結成や!」

ことり「え、凛ちゃんを?」

ツバサ「凛が狙いなわけ?」

海未「フフ…力の私、技の希。そこに速の凛を加えればバランスは万端。そうですね…さしずめ、“白百合部隊”とでも名乗りましょうか」

凛「い、嫌にゃ!凛はそんなレトロ臭のする部隊には入りたくない!!」


首をブンブンと横振りに、全身全霊で拒否の姿勢を示す凛。
しかし海未はやたらにニヒルな笑みを浮かべていて、希の手はワシワシと動かされていて、二人の目は凛を狙っている!!


163 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 01:44:30 daKVQOA6
メタ発言大好きwwwww


164 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 01:44:32 h7fl45iE
闇の軍勢なのにリリーホワイトとかこれもうわかんねぇな


165 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 01:44:38 cuFteD.k
ちょっとギャグ入ってないかにゃー?


166 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/22(火) 01:46:54 EnXNJPgY
……が、やはり今はまだ戦うつもりがないらしい。


海未「では、話は以上ですので」

希「入隊待ってるで、凛二等兵」

凛「嫌にゃあああああ!!!!」


そんな調子、海未は希の腕へと手を触れさせる。
そして『転移』で結界内から去ろうと…


ことり「海未ちゃんっ!!!」

海未「……」

ことり「見えたでしょ?海未ちゃんたちだけじゃなくて、光翼教団の戦車まで攻めてきてて…」

海未「………」

ことり「このままじゃ…このままじゃ、オトノキ村がなくなっちゃう…!!」

海未「………今の私には、関係のないことです。『転移』」


二人の姿が掻き消え、そしてことりの部屋には再び夜の静寂が戻った。

ツバサは無言で剣を収め、凛は白百合部隊の恐怖にガタガタと震え…

ことりは、悲しげに睫毛を伏せるのだった。


167 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 01:46:55 DyK4HCBk
貧乳なかま欲しかったって素直に言おうよ


168 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/22(火) 01:47:36 EnXNJPgY
今日はここまで
明日は決戦で


169 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 01:48:33 h7fl45iE
おつかれ!
救わねばならん


170 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 01:48:54 daKVQOA6
おつかれっしたー。


171 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 08:57:05 cuFteD.k
ど根性デコッパチツバサちゃんかわいい!


172 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 09:06:25 fW5NWPTE
色々読めなくて面白い
教団のトップは誰だこれ


173 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 10:05:50 DesvYTFs
白百合部隊すき


174 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 14:52:44 EHdr692Y
凛ちゃん…別の世界では白百合部隊でノリノリで漫才してるんやで…


175 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 16:40:10 IIaeaXv2
願わくばもう少しのんたんに活躍の場を


176 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 17:18:34 Wi.J/M5Y
レトロ臭のする部隊で吹いたw


177 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/22(火) 19:44:05 KOw0q5u2
ちょっと遅れるよ
9時半ぐらいからかも


178 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 19:49:51 AkDhgdME
私待つわ


179 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 19:53:24 8Y6bDKvY
>>175
前回1000分の1の確率引き当てただろ


180 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 20:49:26 eGeiDpeY
四騎士なみ待遇になるはずなのに呼称は凛二等兵。理不尽だにゃぁ


181 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/22(火) 21:26:40 EnXNJPgY
【ステータス一覧】※判定に影響する物のみ


一刀両断:常時発動。刀使用時の基礎判定を上昇。

判断力プラス:戦闘中、稀に不利なイベントが発生。

判断力マイナス:戦闘中、稀に有利なイベントが発生。

戦術眼:戦闘時、三択以上の選択を迫られた際に最悪の選択肢を見抜く事ができます。

ダブルディール:戦闘時のコンマ判定が二重に発生し、良い結果が採用されます。連続判定系スキルに対しては最初の判定にのみ発動します。

シルバーバレット:全ての雑魚戦時、コンマ81〜00が常に即死カウンターへと変化します。※ボス戦ではダメージカウンター。

サバイバー:一度の戦闘につき3回まで負傷を軽傷に抑えます。

スネークアイ:戦闘時のコンマ判定で、ゾロ目の際に判定が一段階良いものへと変更されます。

最速行動:戦闘突入時、一番最初に行動可能です。

告死天使:4の付くコンマが即死判定へ変化します※ごく一部の敵には無効

フラタニティ:ダメージを受けた際に再度コンマ判定を行い、01〜50で回復が発動します。

超感覚:隠れた敵などを瞬時に発見でき、近接防御時のコンマが15%有利になります。

ジャイアントキリング:大型モンスターとの戦闘時、あらゆる局面でコンマ20%有利になります。

不屈:重症でも行動が可能となります。※魔術は使用不可。

警戒:一度だけ負傷以上を軽傷に留めます。

聖伐:魔物への攻撃時に10%補正。人、機械、天使、龍などは対象外です。

クルセイダー:闇耐性が30%上昇します。

気合い:1戦につき3回まで、コンマの数値を10ずらすことが可能です。10ずれて判定が改善される場合にのみオートで発動します。連続判定系スキルに対しては一度のみ発動します。

不動心:軽傷時5%、負傷時10%、重症時15%の補正が付与されます。重症時も行動が可能となります。※魔術は使用不可。


182 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 21:28:21 PZtYV8WI
判断力は逆かな?


183 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/22(火) 21:40:55 EnXNJPgY
しまった、逆だわ
悪いね


184 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/22(火) 21:42:26 EnXNJPgY
時刻は明け方。

炎の壁が一体を赤く照らしているが、まだ空は暗い。
穂むらの前には高坂夫妻、凛、ツバサ、そしてことりの五人が並んでいる。

休息と栄養ある食事に英気を養った面々は、マナも体力も何もかもを全回復、万全の状態へと戻している。

状況を眺め…口を開くのはほのママだ。


ほのママ「もう10分もすれば結界の効果が切れるわ。心の準備はいい?」

ツバサ「今はやる気しかないわ!」

凛「負けられない!白百合部隊なんてごめんにゃ!」

ことり「ことりも…頑張るよ!」

ほのママ「よし、そのままストレッチしながら聞いてね。王国の兵力はまず雑魚がたくさん。龍のマナが二つ、これは王と、あなたたちから聞いた絵里ちゃんでしょうね」

ツバサ「絵里か。やっぱりいるのね」

ほのママ「それに呪術師のマナが一つ。希ちゃんね。それに…海未。この四人が王国の主力」

ことり「海未ちゃん、それに希ちゃんも、絵里ちゃんも。助けてあげたい…」

ほのママ「そうね…でも、まずは勝つことを優先に考えないとダメよ」


185 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 21:45:01 OKDbXGQE
王様の顔面だけは何としても殴りたい


186 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/22(火) 21:51:39 EnXNJPgY
そこで言葉を一度切り、反対の方向へと目を向ける。
光翼教団、鋼の戦車隊だ。


ほのママ「こっちの戦車も、当然だけど放置はできないわね」

凛「両方の相手なんてどうすれはいいのかな…凛わかんないよ」

ほのパパ「……」

ことり「えっ、お父さんが一人で…!?そんな、無理だよ!」


不安の目を向けることりだが、父は動じず。
子供ら三人とは異なり、ほのママはその選択に異を唱えるつもりはないようだ。


ほのパパ「……」

ほのママ「ええ、大丈夫。信じてるわ、あなた」

ツバサ(確かに、お義父様はまだ底を見せてない。応じ切れるだけの実力がある…と)


結局、応対の布陣はこうだ。

王国軍の夥しい数の雑魚、狩猟部隊とE-ナンバーズはほのママが。
光翼教団の戦車隊はほのパパが。
絵里、希、海未にはことり、凛、ツバサが当たり、そして西木野王は動きを見てほのママが抑える。

苦しい布陣だが手勢不足なため仕方がない。
両親が無理をし、ことりたちが勝利を収めて早期に加勢を。
そんな皮算用を立てるしかない状況だ。


187 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/22(火) 22:02:48 EnXNJPgY


炎壁の前。
解除が近いと見た絵里の指示により、王国軍の部隊が着々と展開されていく。
髑髏を模したマスクにショットガン。王直属の狩猟部隊に、英玲奈モドキの機械兵たち。
個々は決して御せない相手ではない。が、その数は怖れて見るべきだろう。

後方には指揮を出す絵里と、傍に希、そして海未。


絵里「これだけの大規模かつ長時間の結界。海未のお母さまは素晴らしい術師なのね」

海未「……ええ、母も父も、素晴らしい方です」

希「……海未ちゃん、大丈夫?」

海未「…大丈夫、大丈夫です」


海未は落ち着きなく、腰の村正へと手を掛けては放し、親しんだ村の光景を視界へと入れないようにしている。
穂乃果やことりと生まれ育った地、たくさんの思い出が詰まった大切な場所。それが今、外敵と自らの手により蹂躙されようとしているのだ。

海未の揺らぎを目敏く見てとり、絵里は静かに声を掛ける。


絵里「辛ければ、下がっていても構わないわ」

海未「………いえ。滅ぶならば、私自身の手で」

絵里「……そう。なら、いいのよ」

希(海未ちゃん…感情が揺さぶられて、境目にいるんやね?
チャンスかもしれない。せめて…せめて海未ちゃんだけでも)


絵里、希、海未。三者の思いが交錯する中…
ついに、縁壁が掠れて軋みを上げる…!


188 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 22:06:52 eGeiDpeY
武器破壊技で村正砕きたい


189 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 22:15:54 OduHHMlM
海未ちゃん…


190 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 22:19:53 CScwzmQU
そのための紫電


191 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/22(火) 22:23:07 EnXNJPgY
ほのママ「備えて!!」

ほのパパ「…!」

ツバサ「いよいよね!」

凛「やるしかないにゃっ!」

ことり「みんな…死なせない!」


それまでの隆盛が嘘のように、結界が消え失せるのは一瞬。
パキ。と薄氷か砕けるような音と共に、破片と飛散し霧消する!


「撃てええっ!!!」

戦車隊の中央、要塞めいた巨大戦車の司令室から全ての自走砲へと令が下される!
総勢12台にも及ぶ戦車、その砲台から一斉に砲火が吐き出され…!!


ほのパパ「………!」(風切り!)


戦車隊の正面、村との間を隔てる仁王立ちから、ヒュ、ヒュと大剣が軽やかに振るわれる。
その剣閃から、可視化された数陣、薙ぎ風が生じ…

割破!!!

全ての砲弾を空中で鋭断し、無為に炸裂させてしまう!!
戦車隊の中は俄かに驚愕と動揺に包まれる。が、動じない者もいる!


「落ち着け!マナを利用した技である以上、限界は来る。撃ち続けるのだ!!」


指示を出した男は司令室の中にいる。
その中央の座、法王か枢機卿かと壮麗な衣服を身に纏っていたリーダー格の女性の姿は…どこかへと消えている。

一方、ほのママ!


192 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 22:24:26 7MauXOYA
紫電で王様の顔面を執拗に責めたい


193 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 22:27:40 O0MFh8Ew
久々に西木野王のギャグ枠っぷりが見られると聞いて。


194 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 22:28:03 PZtYV8WI
砲弾にも限界があるだろうにw


195 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 22:35:32 6ewNUhtI
海未ママかな?


196 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/22(火) 22:40:57 EnXNJPgY
展開した兵士たちの数は百を越す。
人も機械も同様に、彼らの思考は極めてオートマチックに合理的だ。

硬質な鎧を装備した機械兵たちを前面に押し出し、後方から狩猟部隊がショットガンによる斉射を。
個々の技量よりも組織力、数の暴力を極めた戦術!


ほのママ「って時に、便利なのよね…『炎狗陣』」


数には数を。
昨日の訓練で披露した、悪魔アモンから見て盗んだ大魔術。
杖の下端が地を叩くと同時、一斉に現れる炎の疑似生命、術者に忠実な魔犬の群れは総勢二百体をも越える!


ほのママ「よろしくね」


一斉に飛びかかる炎犬たち!
ショットガンによる斉射で数を減らされつつも、素早く接近してしまえば後は入り乱れての死闘だ!

その戦況を観察しつつ、布陣が薄れた箇所へと新たな炎狗を生成して送り込む。
そんな荒技でほのママが大軍を御し、そして。


希「凛ちゃん、お迎えに来たで〜?」

凛「ひぃ…!ち、近寄らないでほしいにゃ!」

絵里「どこにでも、手練れというのはいるものね」

ツバサ「絵里…ハッ、ちょっとは龍の力を使いこなせるようになったかしら?」

海未「……ことり」

ことり「海未ちゃん」


作り出された状況は、純然たる三対三。
戦況を決するのはこの戦いだ。互いがそれを認識していて、油断なく武器を構え…

飛空戦艦の甲板からは、西木野王が慢心もかくや。
暁の空を見つめ、悪辣な笑みを。


西木野王「さあ、私の時間だ…!」


……戦車隊。
光翼教団の中に、女性指揮官の姿はない。


197 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 22:42:55 6ewNUhtI
なんか、んん?フラグめいたふんいきが…


198 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 22:43:35 5socDwvU
また西木野王が何もできずにおもちゃにされそうな感じ


199 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 22:44:47 mE6MiSrA
感動の再会的な?


200 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 22:47:07 3Ps764nU
あ、なるほど、熱い…


201 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 22:50:32 OduHHMlM
お前ら…西木野王は強いんだぞ!(暁だけ)
ただ運も無ければ計略も浅く、傲慢で調子乗っちゃうのがたまにキズなだけだ!


202 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 22:53:17 O0MFh8Ew
つまりチョロイって事を考えたら真姫ちゃんの父親というのも納得できる話って事か。


203 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 22:59:45 OKDbXGQE
一人になると※が出やすくなって危険なんだよな。一対一で戦うみたいだけど


204 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 22:59:46 UUR8jUhI
○使に生き残りがいましたね


205 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/22(火) 23:05:33 EnXNJPgY
どうもどうも、支倉かさねです。
…って、気まぐれ。誰かに挨拶をしてみたよ。

……西の街で負けてから、ずっとずっと考えてた。
三日三晩寝ずに、物語に割り込む方法を。

もう全身ボロボロ。
お気に入りの服も泥だらけの摩り切れで、翼を出すマナさえ尽きかけて。
伸びる線路を辿って辿って、辿り着いたのは大半が焼け野原になった王都だったんだ。

でも人がいなくなったわけじゃなくて、生き残った人間はたくさんいた。
考えたよね、どうにか利用できないかって。

そんな中で見つけたのが龍皇教団の連中。

大切な、今はもういない親友…
天使仲間のクリスは人間の宗教って文化に興味津々な子でさ。

私は興味なしだったんだけど、話を聞かされて。
で、大体知ってたんだ。
龍皇教団のバカ信徒たちがどんな存在か。

「滅びを〜」とか言っちゃってさ。

龍を崇めてれば世界が滅亡するとき、自分たちだけは見逃してもらえると思ってたんだろうね。
でも、教団の地下本部まで大半がガウェイン…自分たちの信じてた十二卿龍の炎で焼かれて、たくさんの信者が殺されて。
自分たちの頭で考えることのできない連中は、新しい拠り所を探す。

ふっふ、棚からモチ。

私が特技の裁縫で豪華な服…理事長が着てたやつみたいなのを作って着て、天使の翼を見せて“救い”をチラつかせればコロリ。
光翼教団とかいって鞍替えしちゃってさ。
教団にいたお金持ちが残した遺産で兵器を整えて。

ここまでたったの四日!我ながら超スピードだよね。


ずっとずっと考えてた。
物語に割り込む方法を。


統堂英玲奈…
あの子みたいに高坂穂乃果と友達になって、参加させてもらう?

冗談!

運命に友達を二人も殺されて、自分はその運命の申し子に縋るなんて…プライドが許さない。

正義の味方、主人公御一行様に参加しないで物語に参加するなら…まあ、悪役だよね?

ってことで戦車隊を揃えて、とりあえず高坂穂乃果の故郷でも焼くかって考えて…
そしたらビックリ!西木野王が来ちゃったよ!

で、思いついちゃったんだよねえ。

あ、ラスボス候補を殺せばいいんだ。ラスボスを目指せばいいんだ!ってさあ!!

これこそ、たった一つの冴えたやり方…なんて。


かさね「死ねえええ!!!」


206 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 23:07:44 PZtYV8WI
あぁ…


207 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 23:09:43 6ewNUhtI
お前かよ!お前かよ!


208 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/22(火) 23:10:50 EnXNJPgY
西木野王は慢心する。

敢えて、慢心している。

王者、絶対たる強者として。
せせこましく小動物のように、常に気を張り巡らせて危機から身を守る?
それでは強者たりえない。

慢心して、不意を打たれて。それでもなお危機を跳ね除けてこそ力。動じずして強者、王者!

そんな独自の価値観が、彼に遥か上空への警戒を怠らせた。

高空、息さえ凍る、目視の能わぬ遥か高空に光の翼。
光翼教団の主、支倉かさねのアンチマテリアルライフルの銃口が西木野王、その頭部へと狙いを定める。

ただの武器ではない。
天使の高度な技術で人の武器を模した、当たれば龍の鱗でさえ穿ってみせる、至高の矢!

ガ、ゴン!!!と重々しい発射音が空から響き渡り、その瞬間!

王は初めて危機を認識する!


かさね「死ねえええ!!!」

西木野王「誰だ貴様は!?」


降るは銃弾!
その直後を高速落下、追って迫るは運命を憎む天使の、運命を司る大鎌!!


かさね『集約する脅威(メナスライザー)!!!!』

西木野王「ッッッ!!?」


コンマ
銃弾
01〜30 ガウェイン死亡
31〜00 回避

大鎌
偶数 ガウェイン死亡
奇数 回避

判定
ttp://yomogi.2ch.net/test/read.cgi/mog2/1448879442/

銃弾>>277
大鎌>>278


209 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 23:11:19 Wi.J/M5Y
この人と西木野王見てるとなんかスタスクとかニューリーダー病という単語が・・・


210 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 23:12:54 6ewNUhtI
大鎌危な過ぎんだろ!w


211 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 23:13:18 /6nsCxFs
宇宙英雄物語みたいだな


212 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 23:13:26 DesvYTFs
西木野王とかいう面白すぎる男


213 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 23:15:27 MQ7zuFTo
西木野王に死なれると顔面殴れないからまぁ良しとしようじゃないか


214 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 23:17:10 7MauXOYA
どこの金ピカだよ


215 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 23:17:42 5socDwvU
西木野王って以前にもかよちんに強制契約させらせそうになってたしどうしてこうネタが尽きないのか


216 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 23:18:01 PZtYV8WI
何だこの女の子!?(驚愕)


217 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 23:18:47 OKDbXGQE
コンマ内容がヤケクソすぎて草。王様はもう退場しそうだな


218 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 23:20:00 UUR8jUhI
実際死亡の場合洗脳はどうなったのか・・・


219 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/22(火) 23:26:44 EnXNJPgY
西木野王「ぐ、うっ!!!!」


理屈ではない!王としての気迫で!
迫る弾丸を紙一重で回避してみせた!

だが、危機はそれだけに終わらない。
この世の不吉を塗り固めたような凶々しい波動を放つ大鎌が王の素っ首を刎ね飛ばさんと斜めに切り落とされる!!

誰かもわからぬ天使の瞳は得体の知れない憎悪、それに八つ当たりめいた怒気に黒く染まっていて…


“死”


明確に見えたそれを面前に、西木野王の脳裏に蘇るのは…妻と娘の笑顔。
思考する間さえなく、ただ反応だけを頼みに義手を前へ!


西木野王「ぐ、おおおおっ!!!!」

かさね「っ…!!」

西木野王「訳のわからぬ…小娘が!!」


既に日が昇っていたのが幸いした…!
今の西木野王、ガウェインは三倍の性能!
辛うじて反射を間に合わせ、刃を掴み、空へと力任せに投げとばす!!
すかさず掌から熱線を発し、得体の知れない天使の胴体を貫いてみせる!!


かさね「がっは…!?」

西木野王「そのまま死ね」

かさね「そうは…いかない!!」


かさねはクリスが遺した力である十字大剣へと武器を持ち替え、自身の回復能力を底上げして急速に治癒!
続けざまにライフルをしずくの遺した結晶槍を顕現させ、水晶弾を撃ち放って王を牽制する!!


かさね「絶対殺す。ここで殺す」

西木野王「侮るな…!」


一方、地上では絵里らが困惑している!


希「誰やあれ!?」

絵里「加勢に戻った方が…?」

凛(隙あり!ことりちゃんツバサちゃん!仕掛けるにゃ!!)


220 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 23:28:00 OduHHMlM
イタかったなー


221 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 23:31:02 O0MFh8Ew
かさねといい西木野王といいシリアスなのかギャグなのかこれもうわかんねぇな


222 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 23:32:15 OKDbXGQE
凛ちゃんサンダーで飛行挺を消し炭にしようぜ


223 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 23:34:04 DesvYTFs
かさねちゃんの迷走っぷり大好き


224 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 23:44:41 6ewNUhtI
西木野王と真姫ちゃん絡ませて同情票を稼ぐのはNG


225 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/22(火) 23:46:41 EnXNJPgY
海未「絵里、希!来ます!」


海未が警句を。
しかしそれよりも迅速!三人は攻撃行動へと移っている!

謎の乱入者はことりたちを有利に導いた。
凛だけでなく、ことりとツバサの二人までもが完全なる先制行動を実現!


ことり(まずは何をしよう!)


【ことりの行動を選択してください】

1 魅了で洗脳を上書きしちゃいます! ※海未は10%、希は5%で洗脳を解くことが可能です。ダメージを与えるほど確率は上昇します。
2 庇護の羽衣でバリアを!
3 聖力で攻撃!
4 メイスの防御壁を貼ろう! ※物理魔術に10%補正
5 白の聖縫で動きを止めてみよう…!
6 災禍で行動を妨害しちゃえ! ※成功率65%
7 『光羽舞う楽園』でマナを禁止します! ※1ターン使用不可

安価下


226 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 23:47:49 zqmf5oeA
6


227 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/22(火) 23:50:50 EnXNJPgY
ことり(三人とも強いし、ここは…『災禍』で妨害しちゃえ!)


ことりは昨日覚えたばかりの妨害魔術、天使としての能力をフルに活かしたデバフ術の準備へと入る。


ことり(誰を狙おう!)


【対象を選択してください】

1 絵里
2 希
3 海未

安価下


228 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 23:51:19 PZtYV8WI
2


229 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/22(火) 23:55:51 EnXNJPgY
ことり(ここは…一番不気味なマナの希ちゃんに!)

凛(凛はどうしよう!)


【凛の行動を選択してください】

1 瞬打四連からのコンボを狙うよ!
2 凛ちゃんサンダーで行くにゃ!!
3 雷震で怯ませるよ!
4 凛ちゃんレールガン!!ぶっ放すにゃあああ!!!
5 ビリビリキィィィック!!!
6 あ、手榴弾投げてみようかな?

安価下


230 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/22(火) 23:56:55 MQ7zuFTo
6


231 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/23(水) 00:00:57 n.vzsv4A
凛は懐からゴソゴソと、虎の子の手榴弾を手に取りニヤリ。
まだ戦況が入り乱れてない今なら敵だけを巻き込める。投擲のチャンスだ!


ツバサ(さあ!私はどうしようかしら!)


相手に先んじた以上、待ちの手はない。
受けの剣技である旋回剣の選択肢は消え、放つべきは二刀幻斬。

問題は誰を狙うかだ。


【ツバサの行動を選択してください】

1 絵里
2 希
3 海未

安価下


232 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 00:01:55 1w4O0CYs
1


233 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 00:04:01 TaJiHdCE
そういえば西木野王も3倍族だったか……


234 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/23(水) 00:06:33 n.vzsv4A
ことり「忌日、蛇月の深冷。神威の烙印を実白に下せ。『災禍』!」


放たれた羽は災いの色を含み、空を飛んで希を狙う!
運命操作の力は希にとっても馴染み深いもの。
飛来するそれをはっきりと視認し、回避すべく身構えて…


希「これは受けたらアカンやつやね!」


コンマ
01〜65 成功
66〜00 失敗

判定 ※ダブルディール
>>283
>>284


235 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 00:08:07 Hxe8GWE.
やったぜ!


236 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 00:09:19 YT6sXEjc
>>233
ナムサン!


237 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 00:14:59 5cyV/tAM
出遅れた。
ガウェイン死亡の判定が2回出たところで声あげて笑っちまったw


238 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/23(水) 00:17:21 n.vzsv4A
希が生まれつきに備える運命操作の力。
自らへと降りかかる不利を覆し、さながら二度引きを実現させてみせる様は本人の弁通りのラッキーガールだ。

が、この状況下で運命のダイスは希に微笑まない!


希「っ、チィ…!」

絵里「希!大丈夫!?」

希「平気や!これだけでどうこうって術やない…けど」

凛「投げるなら今のうち!」


凛は素早く投擲の体制へと移っている!
忍者として会得した、およそ理想的な投擲フォーム。
そしてコントロール、速度ともに完璧!

放られた手榴弾は絵里、希、海未の三人を爆発半径に収め…爆発!!


コンマ
絵里、海未
01〜50 攻撃成功
51〜00 回避される


01〜70 攻撃成功
71〜00 回避される

判定
絵里>>288
海未>>289

>>290>>291


239 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 00:19:05 /RHdFWec
手榴弾もスネークアイ発動するのかな?


240 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 00:19:40 wyra/whM
王様殺す気満々でワロタ


241 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 00:23:39 /RHdFWec
絵里のは大成功?


242 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 00:25:33 l1ed5bxU
絵里も海未もゾロ目コンマか


243 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 00:25:45 Hxe8GWE.
するでしょ


244 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 00:27:02 5cyV/tAM
ゾロ目でも別に特殊判定結果にならないんじゃないの?
大成功あるときは事前に書かれるはずやで。


245 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 00:31:19 Hxe8GWE.
242宛だ
これは成功止まりだろうね


246 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 00:32:35 72Q7xeoM
うみえり二人ともスネークアイ持ってたっけ?


247 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 00:33:18 lG.Vt8g.
西木野王どこの英雄王だよ


248 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/23(水) 00:33:20 n.vzsv4A
絵里「海未!希!退避よ!」

海未「手榴弾!?身も蓋もない攻撃を…!」

希「さすが白百合部隊の一員や!えげつないでぇ!」

凛「勝手に組み込まないでほしいにゃ!!」


炸裂!!!


【スネークアイ発動!】※判定を繰り上げる効果のため、絵里のみ回避→負傷へ変化します。


希はことりの『災禍』を受けながらも運命操作を辛うじて成功させる。

が、海未は躱しきれず!


海未「…っ、」

希「海未ちゃん!」


回避しきれなかった爆弾の破片が突き刺さり、左腕がズタズタに傷付いている。

さらに絵里も!氷の盾を形成したはいいが間に合わず、爆破と破片が足を捉えて手傷を負わせている!

首尾よく攻撃に成功し、そして駆け抜けてツバサ!!


ツバサ「絵里ィ!王宮地下の時みたいに!屈服させてあげる!!」

絵里「マナを封じられたあなたが?笑わせる!!」


コンマ
一撃目
01〜15 攻撃成功 ※絵里15%補正
16〜00 回避される

二撃目
01〜65 攻撃成功 ※15%
66〜00 回避される

判定
>>294
>>295


249 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 00:34:55 XJj0iwOM
時代が来たか


250 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 00:35:21 XJj0iwOM
見間違えてたw


251 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 00:36:38 l1ed5bxU
絵里は重傷まで追い詰めたか


252 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/23(水) 00:46:49 n.vzsv4A
昂ぶっているように見せて、ツバサはあくまで冷静だ。

元は対等な四騎士であり、それが龍の力を得て強化されている。
対してツバサはマナを封印されて弱体化著しく、だからこそ、ここは仲間を頼みに、


ツバサ(一対一ならともかく集団戦、そして先制できた!ことりと凛のフォローも期待できる状態、私はクールに攻撃を叩き込むだけ!」 )


一斬目!!

これはダミーの斬撃。だが、もちろん避けなければ斬り裂くという気魄は込めている。

絵里は聖槍アルタキエラを手に鋭くそれを受け、右腕を畳んで左腕を柄の下に添え、テコの要領でツバサの片腕を上へ弾き上げる!


ツバサ(流石ね…!)

絵里(打ち下ろし、もう一撃を防いで切り払…っ!?)


ズキリと脇腹が痛む!
手榴弾の爆散による手傷が絵里の動作をコンマ秒の単位で遅らせ…


ツバサ「食らえっっ!!!」


天羽々斬が横に一閃!!!
鋭斬を刻み込み、絵里は苦痛に顔を歪めて飛び下がる。


253 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/23(水) 00:52:11 n.vzsv4A
絵里は聖騎士だ。
ヒデコと同様に若干の自己回復を使役することができ、ヒデコよりも職の熟達度は高い。
ただ氷のマナはそれほど回復に適しておらず、瞬時に傷口を氷で塞いで応急処置をするに留まる。

そして後方にうずくまり、海未と希が庇うように前へ。


凛「すごいよツバサちゃん!!」

ツバサ「やってやったわ!!絵里はとりあえず行動を止められたかしら」

ことり「このまま押し切りたいね…!」

海未「簡単にやらせると思いますか?」

希「そうは問屋が卸さないって話や!!『紫罰』!!」


紫の影が地面から立ち上がる。
うねり、ドーム状に広がり。突出して位置の遠いツバサを除き、ことりと凛を捉えようと膨れ上がる!


ことり(闇の力!相性が悪いし、気をつけなきゃ…!)


コンマ
ことり
01〜60 回避
61〜80 軽傷
81〜00 麻痺


01〜70 回避
71〜90 軽傷
91〜00 麻痺

判定
ことり>>301>>302
>>303>>304


254 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 00:56:07 l1ed5bxU
(今更だけどツバサが「気合い」発動するなら二刀幻斬の初撃も成功してるのでは?)


255 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/23(水) 00:59:45 n.vzsv4A
>>254
あ、しまったな
まあどっちにしろ行動不能だから今回は流しといてね


256 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/23(水) 01:01:06 n.vzsv4A
いや、やっぱ>>252書き直すわ
ちょい待ち


257 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 01:01:17 l1ed5bxU
>>255
承知しましたー


258 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 01:03:30 1ZG5SD/Q
生真面目なんだからなぁもう


259 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 01:07:06 5cyV/tAM
判定に使ってるスレで雑談つーか言い争い始めてる奴らなんなの……


260 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 01:11:30 DQKJp2XQ
あっちはID無いから暴れたい放題だからな


261 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/23(水) 01:13:47 n.vzsv4A
昂ぶっているように見せて、ツバサはあくまで冷静だ。

元は対等な四騎士であり、それが龍の力を得て強化されている。
対してツバサはマナを封印されて弱体化著しく、だからこそ、ここは仲間を頼みに、


ツバサ(一対一ならともかく集団戦、そして先制できた!ことりと凛のフォローも期待できる状態、私はクールに攻撃を叩き込むだけ!」 )


まず、一斬目!!


絵里(…その技は知っているわ)

ツバサ(懐かしいでしょ?お互いペーペーの頃に私が使ってた技!)

絵里(初撃はダミー。意識を注ぐべきは二の太刀)

ツバサ(…とでも、思ったかしら!!!)


【気合い発動!!】


いつ如何なる時にも精神集中!
気合いさえあれば万事は好転する。そんなほのパパからの訓戒を受けて、ツバサは目眩しの一撃目にもしっかりと魂を込めている!!

槍を斬撃軌道の下に添え、跳ね上げると同時に穂先を振り下ろしてカウンターを。

そんな絵里の目論見は、ツバサの気迫を前に敗れ去る!!


ツバサ「弾かせないっ!!」

絵里「な、ブラフの斬撃に全力を…!?」


一斬目が胸元を裂く!!
絵里はすかさず傷口を氷で塞ぎ、返す槍で次の剣はなんとしても阻止をと…


絵里「うっ、ぐ…!?」


ズキリと脇腹が痛む!
手榴弾の爆散による手傷、さらに今の斬撃が痛みを重ね、絵里の動作をコンマ秒の単位で遅らせ…


ツバサ「食らえっっ!!!」


天羽々斬が横に一閃!!!
鋭斬を刻み込み…!

絵里はがくりと、その場へと膝を折って崩れ落ちる!


海未「絵里!!」

希「エリチっ…!?」


262 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 01:14:29 atnIjwyw
それにしても災禍って相手の攻撃にも適用されてんのかな?


263 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 01:21:19 xZ1/d34c
二刀幻斬って希に対して超有効じゃね?
怪我が増えれば闇術の負担もきつくなるだろうし


264 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/23(水) 01:23:40 n.vzsv4A
災禍も忘れてたわ、いかんいかん
申し訳ないけど>>253の判定取り直すね


265 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 01:25:09 Q1aEeEYU
コイズミの時ってダブルディール発動してたっけ


266 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 01:26:36 4R87ndgk
攻撃する側・される側の装備やらスキルでもう大変やな


267 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/23(水) 01:26:43 n.vzsv4A
絵里「つ、バサ…!マナもないのに…どうして」

ツバサ「気合いよ!!」

絵里「……嫌になるわね、こんな子に、二度も…!」


ツバサの面前で絵里が昏倒する!!
龍の器として優れた防御力を有している絵里だが、ツバサの宝剣もまた優れた切れ味を有している。
動き出す前に、上質な武器を持つツバサの斬撃で仕留める。

絵里と対するための最善策はこれだったと見て間違いない。
それを成立させてみるツバサは、流石と称する他ない!

と、ツバサは飛び下がる!
絵里を守るように、海未の刃が薙ぎ払われたのだ。


ツバサ「おーっと、危ない危ない…」

海未「貴女、やってくれますね…!」

凛「すごいよツバサちゃん!!」

ツバサ「やってやったわよ!!絵里はリタイア、残りは二人!」

ことり「このまま押し切りたいね…!」

希「そうは問屋が卸さないって話や!!『紫罰』!!」


紫の影が地面から立ち上がる。
うねり、ドーム状に広がり。突出していて位置の遠いツバサを除き、ことりと凛を捉えようと膨れ上がる!


ことり(闇の力!相性が悪いし、気をつけなきゃ…!)


コンマ ※災禍で希に20%下降補正
ことり
01〜80 回避
81〜00 軽傷
91〜00 麻痺


01〜90 回避
91〜95 軽傷
96〜00 麻痺

判定 ※ダブルディール
ことり>>316>>317
>>318>>319


268 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 01:31:55 7a1vsVjo
細かいことだけどことりの軽症と麻痺の判定がおかしい


269 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/23(水) 01:41:17 n.vzsv4A
>>268
すまんな、各自補完しといて


270 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/23(水) 01:41:34 n.vzsv4A
凛「遅いよ!こんなの当たらないにゃ!」

ことり「影で距離感が掴みにくいっ…!?えーいっ!」


凛は素早く範囲外へ。
ことりは目測を誤りつつも飛び出し、影が身を掠めるだけに被害を留める。

物理破壊力はないが、影が掠めた部分の体中マナには悪影響が出る。
闇と相克関係にあることりの場合はそれがより顕著で、一瞬だけ闇に覆われてしまった左足のマナが疼いてズクズクと傷んでいる。


ことり「けど、これくらいなら軽いダメージです!」

希「アカン、さっきの災禍とかいう術が効いてるっぽい。うまく捉えられんかった…」


悔しがる希。ことりと凛は隙を窺い、一方ツバサへは海未が斬りかかっている!!


海未「絵里へと太刀を浴びせた罪、万死に値します」

ツバサ「ふぅん、随分闇と馴染んでるみたいね」

海未「クク…貴女の貧しい胸は斬り甲斐もさほどありませんが、すぐに血祭りにあげて差し上げますよ。この村正でね…」


邪な笑みを浮かべる海未。
右手には村正、左手には童子切安綱。名刀の二振りはツバサの双剣にまるで劣らず。

互いの手の内を探るように、ガ、ガガと三合ほどの戟を交わし…ツバサがぽつりと呟く。


ツバサ「机の中にポエムなんて書き溜めてるから闇に馴染んじゃうのよ」

海未「…!!?ん、な、何故それを!!」


271 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 01:43:26 5cyV/tAM
精神攻撃wwwww


272 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 01:45:21 YT6sXEjc
(^8^)


273 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 01:46:30 7a1vsVjo
貧しい胸って人のこと言えるんですかねぇ…


274 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/23(水) 01:54:57 n.vzsv4A
海未の剣が乱れる。見逃さず、踏み込む!!
突き、突き、払い。袈裟懸けに一撃!!

海未は動揺しつつもそれを受け、辛うじて間合いを取り直してツバサを睨みつける。


海未「答えなさい綺羅ツバサ!!何故、どうして貴女が机の中身を…!!」

ツバサ「私、あなたの部屋に泊まってるもの。本当は穂乃果さんの部屋が良かったんだけど、ことりがね…」

海未「な、な…!」

ツバサ「鍵を掛けた引き出しの中にさらに隠しスペースを作って、書き溜めた量は10冊を軽くオーバー。ま、センスが悪いとは言わないけどちょっと恥ずかし…」

海未「殺します!!!!」


海未は村正の一刀流へと持ち替え、そして闇の剣技である『破壊剣(ダスク)』を発動させる。
刀身が夕闇色に覆われ、悪意に満ちた波動が辺りを満たし…


ツバサ「ダスク?とかいうネーミングもそっち系よねえ…」

海未「殺します!!他の誰かに知られる前に!!」

ツバサ「ちなみにことりもご両親は元々知ってたみたいよ。凛にも教えたし、穂乃果さんも前から知ってて触れずにいたってことりが…」

海未「うぐあああああ!!!『無明剣』!!!!」

ツバサ「っ!」


闇を纏わせた刀から放たれる神速の突剣がツバサを襲う!!!


コンマ
01〜45 重症 ※物理15%補正
46〜70 負傷
71〜90 軽傷
91〜00 回避

判定
>>321


275 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 02:02:27 zTqGvwyY
そんなエロ本みたいな隠し方したものをみんなどうやってみつけたんだww


276 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 02:03:06 YT6sXEjc
これはキツい(海未ちゃんが)


277 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 02:04:22 7a1vsVjo
デスノート机に隠してた月と同じ仕掛けかな


278 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 02:04:31 atnIjwyw
エロ本どころかデスノートレベルだろ


279 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/23(水) 02:08:11 n.vzsv4A
ツバサ「う、っぐあ!!」

海未「チ…!!殺り損ねましたか!!」


三度の突を一瞬にすかさず放つ恐るべき剣技、無明剣。
そこに闇のマナを乗せれば威力は推して知るべし!

だが、ツバサは豊富な経験でそれを見切る。
一、二と必死の反応、双剣で防ぎ、三度目の突きを避けきれずとも致命から逃れる!


ツバサ「なるほど、黒と青を併せた剣技でマナを遮断する…と。だけど、お生憎。こちとらとっくにマナは遮断されてんのよ!!」

海未「ふううぅぅ…!冷静に、冷静になりましょう、私…!」


二人の剣士は油断なく向き合いつつ、隙を見計らい牽制し合う。
ツバサの肩に刻まれた突きの傷は治癒を遅らせる効果があるが、同時にツバサの不動心を呼び起こしてもいる。

海未は海未で、凛の手榴弾により受けた左腕の傷に気を払っている。
村正の一刀流に持ち替えたのは無明剣を放つためだけでなく、左腕一本で刀を振るい続けるには少しばかりダメージが重いという事情もあった。

凛が電撃を放ち、ことりが光の羽を撒き散らし、希は闇と符でそれに応じている。

ほのママと兵士たちの戦いは均衡を保ったままに進んでいて、西木野王は甲板の上で謎の闖入者との激闘を繰り広げている。

戦場の逆側では…


ほのパパ「…………!!!」


延々、飛来する砲弾を斬り防ぎ続けていたほのパパのマナが、今にも尽きようとしていた。


280 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 02:08:30 .tBKXcME
あーこれは洗脳解除がとおざかったなー(棒


281 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 02:08:42 1ZG5SD/Q
1���2冊ならともかく10冊も机の引きだしに隠してたらバレるだろ・・・てかもしかしてノートを処分するために・・・?


282 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 02:13:55 YT6sXEjc
>>281
昨夜の潜入時に回収済みです!


283 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/23(水) 02:22:37 n.vzsv4A
戦車隊からの攻撃は砲撃だけではない。

発射のタイミングを故意にずらし、絶え間なく放たれる砲弾を切り捨て続けるその合間。
巨大戦車に備えられた小銃がほのパパを目掛けて幾度となく発砲を繰り返す!!

大剣による斬撃を風に乗せ、遠距離かつ広範囲の斬閃を放ってみせる『風切り』が彼の主力技だ。
加えて、自身へ飛来する弾丸は全て風の盾で防ぎ続けている。

幾ら軽々剣を振り回せるとはいえ、一人で10台以上の砲撃を斬り、攻撃を防ぎ続ける?
そんな離れ業、特殊な訓練を受けたわけでもない和菓子職人に可能なのか…

可能だ。気合いさえあれば!

合間、合間を見つけては装甲の脆そうな戦車から順に斬り壊し、残るは相手は巨大戦車を含む5台。
鬼神めいたその姿に、指揮官であったかさねのいない光翼教団の軍勢は畏怖と恐慌に呑まれつつある。

だが。ついに、マナが枯渇する寸前だ。
そして疲労の限界が…


ほのパパ「………!」


小銃の弾丸が、ほのパパの右腕と左足を射抜いた。


ほのママ「あなた…!」

ことり「お父さんっっ!!!」

海未「……あっ…!」


動じず、揺るがず。
大剣を左腕に持ち帰るも、利き腕でない以上は振る速度が鈍る。
ほのママは大軍を防いでいて、加勢に動くわけにはいかない。
一撃、二撃と砲弾を防ぐも、徐々に砲弾が斬られて爆破する距離が村へと近付いて…


凛「ことりちゃん!行ってあげて!」

ツバサ「ここは私たちだけでどうにかするから!!」

ことり「…っ、ごめん二人とも!お願い!」

海未「う、あ…私は…」


284 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/23(水) 02:35:39 n.vzsv4A
海未は今は亡き両親を深く慕い、敬愛している。
残されているのは幼い頃の記憶だけ。
陳腐な言い回しだが人は忘れる生き物であり、その思い出は薄れつつある。

それでも、今でも。園田の父と母を愛している。

そして、同じだけ!
闇に思考を染められた今でも、高坂家の面々。
両親、穂乃果、ことり、雪穂を深く愛している。
思い出そうとすれば闇との反発で心が引き裂かれそうになるほど愛している。

そんな家族愛の強い海未にとって大切な人の一人である育ての父が手傷を負って危機に追い込まれているのは見るに耐えがたい光景。
そして、ことりがただ一人で加勢に向かっている…父を回復させようにも、次の砲撃までに間に合わない。

このままでは父とことり、二人が死んでしまう。
そうすれば母は悲しみ、雪穂も悲しみ、そして最も大切な…穂乃果に顔向けができない。

闇は海未の感情に反発する。
敵は二人に減った。回復術師は消えた。
好機、好機!好機!!目障りな綺羅ツバサを斬って捨て、星空凛を捕らえれば万事集結。

絵里を連れて王の元へと戻り、希と共によくわからない天使を撃退し、帰還して王国の隆盛を!


海未「私は…私は…!!」

絵里「……ぐ、…う、海未…行きなさい」

海未「…!?絵里…」


285 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/23(水) 02:41:40 n.vzsv4A
希「うん…行ってええよ、海未ちゃん。あの二人はウチがなんとかするから」

海未「しかし…!」

希「王様はあの通り、なんかよくわからん天使の子とバトってるやろ?で、あの子はどうも戦車隊を率いてきたっぽい」

海未「………」

希「つまり、あの戦車隊も王国にとっての敵や。ウチらに下されてる命令は凛ちゃんの捕獲と、“敵の排除”。じゃ、王様に攻撃を仕掛けてるあの戦車隊も排除せんとね?」

絵里「……そういう、こと…」

海未「……希!絵里!」

希「終わったらちゃんと戻ってくるんよ?ウチもエリチも、海未ちゃんおらんと寂しいし」

絵里「……希なんか、寂しくて泣いちゃうわ」

海未「……すみません、すみません。行ってきます!!!」


洗脳プログラムはかなり大雑把だ。
希が提示した抜け穴の通りに思考すれば、それまでの反発が嘘のようにすんなりと体が動いた。

満身創痍の絵里が、餞別とばかりに地に掌をあてがい…
戦車隊の方向へと青のマナを一面に張り巡らせる。


海未『転移!!!』


海未が姿を消し、絵里はそこで力尽きたようで、意識を失し…


希「あとは寝ててね、エリチ……
さて、と。なんかごめんな?空気読んで待っててくれたみたいで」

ツバサ「お義父様とことりを助けてくれるなら止める理由もないし」

凛「やっぱり海未ちゃんも希ちゃんも絵里ちゃんも、三人とも優しいにゃ。絶対助けてみせるから」

希「……上等。ウチの闇、たっぷり味わってもらうで!!」


286 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 02:45:51 5V2v7Ogc
早く三人を解放してやってくれぇ…


287 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/23(水) 02:53:34 n.vzsv4A
崩れ落ちた父の前に、ことりはその身を呈する。

天使の翼、光の翼は遠距離攻撃からの自動防御機能を有している。
降り注ぐ弾丸を防ぎ、防ぎ…


ことり「お父さん…今治療するから…!」

ほのパパ「…!!!」

ことり「嫌!逃げない!絶対に嫌なの、穂乃果ちゃんとお父さんが、もう二度と会えなくなるなんて…絶対にそんなのはダメ!!!」


ことりの治癒の光が力強さを増し、新たな治癒術の会得へと段階を踏み入れ。

しかし…間に合わない。

砲弾が数発迫り、弾丸を防いで損耗したことりの翼ではそれを防ぐことは…!


ことり(……っ、穂乃果ちゃん!海未ちゃんっ!)


……

…目を開ければ。


破壊的な闇と、静かな水の気を纏った海未が立っている。
数発の砲弾は闇でリーチを伸ばした海未の斬撃によって安全圏で裂かれ、そして海未は格好を付けて斜に構え。


海未「二人とも、助けますので…ポエムのことは忘れてください」

ことり「海未ちゃん…!!」


父の傷は癒えた。
ことりは立ち上がって。翼を展開し直して。
海未の隣に並び立ち、武器を構える。


(^8^) 「ダーメ。みんなでからかって、恥ずかしがる海未ちゃんを楽しむって決めてるもん」

海未「ああ、その笑顔です。可愛い顔をして随分と嗜虐的な…久しぶりの、共闘といきましょうか!!」


二人、戦車へと挑む!!!


288 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/23(水) 02:53:48 n.vzsv4A
今日はここまでで


289 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 03:02:04 aZQxUjKM
乙!
乙!かさねちゃん!


290 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 03:02:17 1ZG5SD/Q
おつ


291 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 03:03:34 kKA9ndA2
運命もまだガウェインで遊べと言っているな


292 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 08:12:49 lG.Vt8g.
(^8^)


293 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 08:16:01 vx596KaE
すごく………アネモネハートです……


294 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 09:05:49 iDKSxS7Y
西木野危機一髪ほんとすき


295 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 10:20:08 .e9oYAsw
王も絵里も不意打ちに弱すぎるな。教団の横槍がなくても勝てたっぽいね


296 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 10:53:23 Aaf98Eqo
王はまだ生きてるから…(震え声)


297 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 11:07:24 N9.kfgRE
物語において行動が主人公たちの頼れる仲間になっちゃってるかわいい


298 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 11:11:52 pqnEuJfY
さすがに教団の介入なかったら今頃全員寝転んでいると思うぞ


299 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 11:41:43 qnVfQ2HQ
王はともかく絵里も毎回瞬殺されているのがなんとも


300 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 11:44:01 XSRHiNcw
ヒデコもだけど聖騎士とタイマンは瞬殺しないと押し負ける感じ


301 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 12:17:29 iDKSxS7Y
敵の三人組にちゃんとした回復役がいないのが助かるな
この世界はヒーラーがかなり貴重だよね


302 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 12:19:45 3zxbaR6g
希も賢者だから詠唱は止められない点には注意かな


303 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 12:22:01 2zpBnqZk
かさねちゃん仲間になんねえかな
回復できるし


304 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 12:54:14 .e9oYAsw
三倍王とタイマン張れる程度には強くて回復もできるかさねは有能だな。王が弱いだけかもしれんが


305 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 17:27:52 6cCRawuA
今ののんちゃんの職業は賢者じゃなくて呪術師なのかな。


306 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 19:41:17 XSRHiNcw
づづつしは言いにくい


307 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/23(水) 20:25:36 n.vzsv4A


飛空戦艦の上、かさねは翼を鋭利に尖らせて甲板を滑空している。

ことりの使役する光翼はかなり生物的、一般にイメージされる翼そのものに近いフォルムをしている。それは理事長の六翼にも同様だ。
対して、かさねの翼は独自の方向性へと進化を遂げている。
刃であるかのように研ぎ澄まされた形状、鳥の翼ではなくコウモリの翼に近いフォルムへと変化していて、弾丸や魔術から身を守る防御力よりも速度と攻撃性へその特性を寄せつつあった。
グライダーのように滑り、勢いままに十字大剣を薙ぐ、かと思わせ、直前で甲板を蹴って跳ね上げの軌道で斬撃!
英玲奈の牙狼斬を自己流に真似た一撃だ!!


かさね「はあああッッ!!!」

西木野王「甘い!!!」


王は奇襲から生還し、落ち着きを取り戻してそのポテンシャルを遺憾なく発揮している。
元より能力の高いガウェインの、その三倍。理事長や山田先生のような熾天使クラスならいざ知らず、天使が単独で易々と対せる相手ではない。

レガリアが大剣の刃を受け止める!
分類としては杖。本来は近接に適した武器でないレガリアだが、王の証たるそれは威圧的な大刃を受けられるだけの硬質を有している。


308 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 20:26:51 FRIkSil6
ttp://i.imgur.com/6XzzDzn.jpg


309 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 20:30:08 EqJvkT6.
>>308
お義父様!?


310 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/23(水) 20:36:15 n.vzsv4A
ギキ!と激しい音、龍人の王と反逆の天使は突き刺すような視線を交わし合い、鍔迫り合いで睨み合う。

間隙!かさねは左手に水晶の礫を生成し、きずくの得意技であった『水晶嵐(ジリオラ)』を放つべく魔力を高め…!


かさね「ぐはアっ!!?」


西木野王は右手の義手でかさねの腹を殴り上げた!!
穂乃果の機械義手よろしく、王の義手も猛烈な怪力を誇っている。
かさねの皮膚から肉へ、肉から血管の隅々、骨、内臓、心臓に至るまで、津波のように衝撃が拡散して体組織を微塵に爆裂させる!!!

体の前面の血肉が弾け飛び、肋骨が折り開かれ、ひしゃげた心臓が露出。
手ずから縫った壮麗な衣服もズタズタに引き裂けて血潮に染まる…!


かさね「ァ……うッ…!!(エクスヒール!!)」

西木野王「これで五度目。まだ癒えるか、小娘」


かさねの所持しているエクスヒールは重傷からの完治を可能とする回復術の最高峰。
そこにクリスが使っていた十字大剣で回復力を底上げしているため、致命傷からさえゾンビのように復帰してみせる。


311 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 20:39:23 7a1vsVjo
強い西木野王に違和感あるのはなぜだろうか


312 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 20:40:48 DQKJp2XQ
もういい加減西木野王ディスは飽きた
最初からつええだろ


313 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 20:43:15 /65q0oRc
正直最初の奇襲外したのは痛いよな。かさねちゃん敗北もありうるよ。


314 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 20:43:51 Hxe8GWE.
>>308
うまいな


315 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 20:47:08 .e9oYAsw
モブに不意打ちで2度も殺されかけてるし単純に強いとは言えないんじゃないかな…


316 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/23(水) 20:49:34 n.vzsv4A
>>308
これは良いほのパパ


317 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/23(水) 20:50:23 n.vzsv4A
かさねの力は仲間二人の遺した力を得て、大幅に強化されている。
が、それでも三倍ガウェインこと西木野王との間にはまだ、戦闘力に大きな隔たりがある。

熱線に体を焼かれ、義手に砕かれ…
だが、それでもかさねの憎悪と闘志は揺るぎない。


かさね「あーもう、服の前がはだけちゃったよ。えっへっへ…王様ったらなかなかエッチだね」

西木野王「ほざけ、気狂い娘が」


かさねは衣服の下端、豪奢なローブの膝から下を引き裂き、体の前面へと巻き付けて応急処置的に体を隠す。

……しぶとい。

王はかさねの粘りに、若干ながら辟易している。
圧倒こそしているが、こう幾度も幾度も立ち上がってこられたのでは鬱陶しくてたまらない。
そして攻撃を交わすごとに、この無軌道な小娘は力を増している。
そしてその力は妄念に囚われるまま、加速度的に光から傾きを堕としつつあり…
今以上の厄介を招く前に、殺してしまわなければ。

かさねは二人の友人のマナをも全て受け継いでいて、まだまだエクスヒールの残弾は残されている。


かさね「絶対絶対!!殺してやる!!!」

西木野王「消し飛べ!!!」


再度、甲板で炎が炸裂する!!!


318 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 20:51:23 FRIkSil6
>>315
勝負に勝てない強いキャラってやつだろ


319 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 20:56:40 1ZG5SD/Q
西木野王はあれだよ、マーベルコミックの笑いの神とかそんな感じ


320 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/23(水) 21:03:12 n.vzsv4A


地上、飛空戦艦のその下方ではほのママの魔術と兵士たちの乱戦、一進一退の戦いが繰り広げられている。

そこからさらに村へと寄った位置、絵里が倒れている場から少し離れ、そこでは希の闇が圧倒的に荒ぶっている!!!


希「闇ぃ!!闇闇闇やみぃ!!存分に暴れてええよ!!!」


足元から無尽。
闇が細い帯のように織り成され、音もなく数十の束がしなり、鞭のように繰り出されている!!
紫罰をより柔軟性の高い形状へと変化させている。
その高速の薙ぎに一度囚われれば立て続けに闇のリボンが絡み付いてそのまま意識を黒へ沈めてしまうだろう。

が、凛は拳で!蹴りで!
高速の連撃でそれを撃ち、はね退け続けている!!


321 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/23(水) 21:13:13 n.vzsv4A
凛(スピード!スピード!!スピード!!!)

ツバサ「なんて速さ…!」


ツバサが歩を進め、凛が守りつつ後追い。
影の特質を持つ希の術に対し、炸裂発光を伴う凛の電撃は相性が悪くない。

足元から螺旋と渦巻く闇!
凛は震脚の要領で地を踏み鳴らし、同時に雷光が弾けて闇を払う!
頭上から8、正面から14、足元から9、同時に迫る闇の帯を、凛が電速の拳で払う払う払う払う!!蹴り払う!!!!


希「うっひゃ…!想像以上や!凛ちゃん!!」

凛「スピードでは絶対!誰にも誰にも負けないって決めてるから!!」

ツバサ「上等!そしてここまで近寄れば…!」


二刀幻斬!!
絵里を地に伏せたその技のフォームに、希は警戒から攻撃を向ける!
が、今度は技自体が撒き餌だ。すかさず構えを解き、見切ると共に身を回転させて…


ツバサ『旋回剣!!!』

希「……!っ、危なっ!!」

凛「うああ!惜しいにゃ!」


ツバサの斬撃が懐を掠めた!
ダブルディールの力で紙一重の回避をしてみせるも、希の頬には一筋の冷や汗が。


322 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 21:34:16 VOmxlCQE
龍狩りだよっ!感想、愚痴、展開予想スレ [無断転載禁止]���2ch.net
ttp://hope.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1450872607/


323 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/23(水) 21:36:45 n.vzsv4A
何事もなく、無事に勝てる相手ではない。
希はそれをはっきりと改めて理解し…闇の、一段先へと足を踏み入れる。


希(大丈夫、大丈夫や。今のウチなら、ここまでは制御できる)

ツバサ「……何か、仕掛けてきそうよ」

凛「気をつけなきゃ…!」

希「ご明察。ギア上げてくで!!」

希「黒鬼、赤霊、青魔、白厄…四端の柱、六臂の姫幕。奔れ脈径、死室に噎せべ」


ツバサと凛はそれぞれに攻撃を仕掛け、詠唱の阻止を試みる!
だが希は闇の力を防御へと傾けていて、迂闊に近づくこともできずに攻撃の全てを防がれてしまう。

そして希は詠唱を終え、歪な笑みを浮かべ…


希『異端結界(ゼノキュール)』」

凛「えっ…!?なにこれ!!」


希、凛、ツバサ。
三人の立つ場所は瞬時にして、紫の影に染められた広大な箱庭へと変貌を遂げている。
空には不吉な月影が浮かび、神秘性と不吉が同居した、さながら今の希の精神世界をそのままに顕現させたような…

ツバサは状況に舌打ちをし、緊張を高める。


ツバサ「……空間支配魔術、ね。四騎士の後釜ってだけあるわ」


あんじゅの泥濘奈落や絵里の聖零の世界のように、自身の有利へと空間を塗り替えてみせる空間支配系魔術。
それを希もまた、使役できるまでに力を高めているのだ。


希「そう、ここはウチのホームグラウンド。そして…『病毒の塔(イルビル)』」


四方、影の中から得体の知れない塔が立ち昇る。
そして瘴気を撒き散らし始め…


希「ふっふ、デスゲームと行こか?」

ツバサ「……無理心中?ロクでもない魔術ね」

希「ま、安心し。あの瘴気をたっぷり吸い込めば動けなくなる…ってだけで、死にはしないから」

凛「それでもヤバいにゃ…早めに決めなきゃ!」


324 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/23(水) 21:51:45 n.vzsv4A


戦車隊の面前。
ことりは決然とした瞳、マナを迸らせて翼を広げ、海未は狂気と正気の間の瞳、村正と菊一文字を左右に構える。
海未の左腕は癒えている。ことりが治癒術を施したのだ。
この局面を凌げば、再び敵同士へと戻ってしまうのかもしれない。
それでも治癒をためらわないほど、二人の絆は固い。


ほのパパ「………」


立場を違えた娘たちが、再び並び立つ。
その姿に父は思わず感極まり、癒えた体で再び立つ。
マナは残り少なくとも、気合いで村を守るのだ。

ことりと海未はそれぞれに、父へと一瞬だけ笑みかけ、そして戦車へと顔を向ける。


ことり「回復とサポートは任せてね」

海未「絵里が青のマナを満たしてくれています。脇の四台は、すぐにでも仕留めてみせましょう。けれど…」

ことり「真ん中の大きな戦車、だよね」


巨砲を有する要塞戦車を面前に、ことりは自身の切り札…鋭龍トリスタンの召喚を決意する!


325 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/23(水) 22:05:47 n.vzsv4A
まずは海未だ。

フ…と、ことりの隣から霧のように姿が搔き消える。
かと思えば、最も右端に位置している戦車の面前へとその姿を現す!!


海未『黒水弾(バラクーダ)』


ヒュ、と村正を振り抜くと共に刀身へと闇混じりの水が渦巻き、そして漆黒の液弾が戦車の覗き窓から操縦席へと飛び込み、瀑布の如く炸裂する!!!


海未『転移』


海未の姿は左端の戦車、その上部へ。
村正に破壊的な闇を纏わせた『破壊剣』で出入口を叩き壊し、乗組員を視認。
そして迷わず、菊一文字を払う!!


海未『血霧の太刀』


乗組員までの間にはまだ距離がある。
入口は壊して中を覗き込んだが、飛び込んだわけではなく剣の間合いではない。

だが!
海未が剣を振ったその軌道に沿って、乗組員たちの体が裂けて血が噴き出す!!

水を操る力を発展させ、人間の体を構成する水分を斬撃のイメージで操作することにより、あたかも遠距離で体を斬り裂いたかのように!


326 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/23(水) 22:20:33 n.vzsv4A
ことりは自らへと『庇護の羽衣』を施し、砲弾に銃弾を自身へ引きつけつつ飛び舞う。
『聖力』を砲身へと数度叩きつけて捻じ曲げ、一台を無力化して海未のサポートを。

『白の聖縫』で砲塔の回転を阻害し、海未の脚を銃弾が貫いたのを視認した瞬間にヒールで回復!

幼馴染、二人のコンビネーションは完璧だ。
高火力に重厚な装甲を誇る戦車隊の四台までを、たちまち破壊し尽くしてしまう!!


海未(ことり、完璧なフォローです)

ことり(海未ちゃんこそ…強くなったんだね)


視線を交わすだけで意思は通じる。

盤石の戦いぶり!
だが、残る一台の戦車の戦闘力は他とは桁が違う。
他の戦車隊が壊滅したのを受け、乗組員たちはついに全ての兵装を二人に開放することを決意する!


海未「小型ミサイルの雨ですか」

ことり「気をつけて海未ちゃん!」


コンマ
ことり
01〜40 負傷 ※20%補正
41〜80 軽傷
81〜00 回避

海未
01〜37 負傷 ※23%補正
38〜77 軽傷
78〜00 回避

判定
ことり>>322
海未>>323


327 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 22:23:08 k2J7CXJ2
おしい


328 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 22:27:56 72Q7xeoM
ことりちゃんだけ惜しいなあ…
反対だったらよかったのにwww


329 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 22:31:19 xOAQHy0o
回避しないほうがいいってなんかモヤモヤするな


330 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 22:36:14 .e9oYAsw
今は敵でしかないからな。できるだけ弱らせて戦車を潰すのが望ましい


331 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/23(水) 22:36:54 n.vzsv4A
二人はまるで鏡写し。
左右対称に息の合った動作で左右へ別れ、降り注ぐミサイルを回避する!

が、直撃は避けたものの爆風と地面の破片がことりを襲う!


海未「ことり!」

ことり「大丈夫!『庇護の羽衣』が切れただけだよ!」

左に駆けた海未と右へ翔んだことり、距離を離しながらも互いの思考は無言のままに伝わる。


ことり(トドメはことりが頑張って、トリスタンさんに力を貸してもらう!)

海未(ですが、まずはある程度装甲を剥ぎ、ことりに召喚に集中してもらうために攻撃の手を緩めておきたい)

ことり(次の攻撃の波を耐えて…)

海未(そこから反撃開始です!)


弾丸の嵐が二人を襲う!それはあまりに大量、ことりの翼でも防ぎきれるかは定かではない。
さらに榴弾までもが襲いかかり、盛大な炸裂が地を轟かせる!!


コンマ
ことり
銃弾
01〜20 負傷
21〜40 軽傷
41〜00 回避 ※20%補正

榴弾
01〜30 負傷
31〜60 軽傷
61〜00 回避 ※20%補正

海未
銃弾
01〜17 負傷
18〜37 軽傷
38〜00 回避

榴弾
01〜27 負傷
28〜57 軽傷
58〜00 回避


判定
ことり
銃弾>>325
榴弾>>326

海未
銃弾>>327
榴弾>>328


332 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 22:39:33 diBHlwl2
仲良過ぎやろw


333 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/23(水) 22:50:28 n.vzsv4A
ことり「きゃあっ…!!」

海未「っ、ぐ…!」


銃弾は避けた。
が、二人揃って榴弾の炸裂を身に受けてしまう!

ことりは足に、海未は背に傷を負い、だが戦車の攻撃の波に一旦のインターバルが訪れる。
二人とも重症ではない。まだまだ動ける状態だ。

主砲は小回りが利かず、ほのパパが睨みを利かせているために二人へ攻撃は向かない。
そのため、機関砲、榴弾の発射口、ミサイルの発射口。
この三箇所がことりたちへと攻撃を向けてくる箇所であり、潰すべき部位となる。


ことり(ここは回復を優先する?それとも攻撃を優先する?)

海未(私の役割は攻撃、迷う必要はなし。どこから潰すか…ですね)


【ことりの行動を選択してください】

1 ここはヒールで回復を! ※対称指定
2 庇護の羽衣で防御をしよう! ※対象指定
3 メイスの防御壁を張ろうかな?
4 聖力で攻撃します!
5 トリスタンさんを召喚!! ※現在の発動率30%。戦車の装備を潰すたびに集中できるようになり成功率が上昇します。

安価下


334 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 22:51:23 thcptIfg
1
海未ちゃんに


335 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 22:51:48 VOmxlCQE
1


336 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 22:52:04 Xk0hJ4Bk
5


337 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/23(水) 22:57:45 n.vzsv4A
ことり(海未ちゃん、回復するね!)

海未(ヒールの構え…感謝しますよ、ことり!私の狙いは…)


海未は敵の装備に目を配る。
機関砲、榴弾、ミサイルと並び順、右に行くほど威力が高くなり、その部位を守る装甲も堅固になっている。

着実に薄い部位から崩すべきか、危険性の高い武装から破壊にかかるべきか。海未は瞬時の決断を迫られる!


【海未の行動を選択してください】

1 機関砲から破壊します! ※破壊確率80%
2 榴弾へと攻撃を! ※破壊確率60%
3 ミサイルを狙いましょう! ※破壊確率40%

安価下


338 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 22:58:19 Hxe8GWE.
2


339 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 22:58:49 FSeiSz3w
1


340 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/23(水) 23:04:35 n.vzsv4A
海未(榴弾、あれは予想以上に避けにくい。ここから攻めましょう!)


海未が決断し、転移の動作へと入るより先んじて。
ことりは手にしたメイスに魔力を集め、海未の傷を癒すためのヒールの術式を完成させかけている。

ここで、ことりの脳裏に閃きが訪れる。

海未が救援に現れる前、父の傷を癒していたその時、感情の昂りから上位の治癒術式の手応えを得ていたのだ。
回復の力を海未へと向けつつ、感性の赴くままにスキルの発展を狙う!


ことり(試してみて損はないよね…!)


コンマ
01〜60 スキル習得
61〜00 ヒール

判定
>>332


341 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/23(水) 23:13:27 n.vzsv4A
ことり(癒しの力よ、もっともっと高まって。どんな傷でも癒せるほどに、強く!)

海未(ことり、その力は一体…?)


強まる光に海未は戸惑いを覚える。
そしてことりは術式を放つ!


ことり『エクスヒール!!』

海未「…これは!」


理事長やかさねが使ってみせる、治癒術式の最高峰。光を奉じる天使にのみ使役の許された術式だ。
重症までを瞬時に癒しきってみせる聖なる光、『エクスヒール』が海未の体を包み込む。

ことりの愛と慈しみが全身を包んでいる…そんな感覚。
海未は体の隅々に至るまでを完全に癒され、そして決断的に空間を翔ぶ!!


海未「まずは榴弾の発射口!破壊させていただきます!!」


装甲板を破壊せんと、剣を突き立てる!!


コンマ
01〜60 破壊成功
61〜00 失敗

判定
>>334


342 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/23(水) 23:31:30 n.vzsv4A
海未「飛廉、刹那の虹天。無無斬系を樹の夕星に薙ぎ馳せよ。『連塵破壊(ダスク・アンプリファ)』」


装甲板へと剣を突き立てると同時、闇の波濤を榴弾の発射口とその周辺へ行き渡らせる!!
隠れ里コイズミでボールスやデュラハーンの連続攻撃に追い込まれた際に使ってみせた大技だ。
あの時は闇の負担にダウンしてしまったが、今はことりのエクスヒールを受けた直後。


海未「余裕ですっ!!」

ことり「海未ちゃんかっこいいっ♪」


キリリと格好を付けた表情の海未と、愛の喝采を送ることり。ますますかつての調子を取り戻していく!

現状、海未は全回復。ことりは榴弾の傷を受けていたが、その状態からわずかに癒えている。
エクスヒールの特徴は回復量だけでなく、術者本人にも癒しの余波が影響を与えるという点にある。
他人を癒しつつ、本人もごくわずかではあるが回復が可能なのだ。

と、ここで攻撃の第二波だ!!


海未「気をつけて!」

ことり「海未ちゃんも!」


コンマ
ことり
ミサイル
01〜40 負傷
41〜80 軽傷
81〜00 回避

銃弾
01〜20 負傷
21〜40 軽傷
41〜00 回避

海未
ミサイル
01〜37 負傷
38〜77 軽傷
78〜00 回避

銃弾
01〜17 負傷
18〜37 軽傷
38〜00 回避

判定
ことり
ミサイル>>335
銃弾>>336

海未
ミサイル>>337
銃弾>>338


343 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 23:38:53 TaJiHdCE
3倍族めっちゃ強調してて笑う


344 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 23:46:38 khOJYQ3k
ミサイル有能すぎやろ……


345 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/23(水) 23:51:28 n.vzsv4A
ミサイルと弾丸が雨霰と降り注ぎ…


ほのパパ「……!!!」


見守っていた父が、思わず持ち場を離れて二人の前へと身を呈したくなるほどの危機…!
ことりがミサイルの爆風に飲まれ、海未は銃弾の雨に身を掠めつつ同様にミサイルの爆炎を身に受けてしまった。

海未は半身を弾が掠めて血が流れ、爆風にまたしても腕を焼かれて重症の一歩手前まで。
ことりは負傷状態からエクスヒールの余波で少し癒えて、そこから負傷を受けて、やはり同様に重症の一歩手前。

倒れ伏した状態から…辛うじて、一歩。
二人立ち上がり、息も絶え絶えに苦笑を交わす。


ことり「わざわざ同じくらいの怪我をしなくたっていいんだよ?海未ちゃん…」

海未「フフ、なんというか…仲がいいですね。私たちは」


主砲はひっきりなしに砲弾を放っていて、ほのパパは釘付けだ。
動けばすぐに村が壊滅してしまう!

が、次のミサイルと弾丸までには一旦のインターバル。
二人はよろめきつつ、この二人ならば負けないと信じている。闘志に揺るぎはない!


ことり「穂乃果ちゃんもいたら、もっと完璧だったんだけど…」

海未「場合によりますよ。穂乃果の場合は余計なピンチを招くこともありますし…」

ことり「うふふ、そうだね♪」


二人の共通にして最大の趣味であるほのトークは活力を生み出す。が、軽口を交わす間にもダラダラと血は流れ落ちている。

このターン、どう動くかはしっかり考えなくては…!!


【ことりの行動を選択してください】

1 ここはヒールで回復を! ※対称指定
2 庇護の羽衣で防御をしよう! ※対象指定
3 メイスの防御壁を張ろうかな?
4 聖力で攻撃します!
5 トリスタンさんを召喚!! ※現在の発動率45%

先に2票集まった選択肢で進行します。

※重要な選択肢です。


346 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 23:53:51 guBSusSU
選択肢的には5が正解そうだけどコンマが怖いな
5


347 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 23:55:46 T4RfgBzA
2海未
賭ける
今後戻ってくるかとかもありそうだし


348 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 23:56:56 vDgUbtqA
あんまりモタモタしてるのもあれだし5で


349 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 23:57:02 .e9oYAsw
2 海未ちゃん


350 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 23:57:33 DQKJp2XQ
頭抱えて悩んでたら決まってた…頼むぜ


351 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 23:57:56 2zpBnqZk
45は怖いな…


352 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/23(水) 23:59:01 .e9oYAsw
1の海未にしたつもりが2になってたけど安価終わってたしいいか。トリスタン楽しみ


353 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 00:01:27 zgrupzj.
海っ未欠損する予感がする


354 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/24(木) 00:08:29 nP7.tCoI
ことり(トリスタンさん…トリスタンさん!お願いっ!!)


ことりが未だロクに応えてくれたことのないトリスタンへと呼びかけるため、集中を始める。
これは一つの賭けだ。自身の力と運命と、失敗すれば…

が、それを見てすぐさま。
海未は当然のように親友の意図を汲み、そしてサポートへ算段を立てる!


海未(結局のところ、私のやるべきことは変わりません。ことりが召喚を発動させる前にいずれか、武器を壊してしまえばそれだけことりが集中できるようになる!)


剣を杖のように立て、満身創痍の体に脱力を。
そして…転移の一瞬に全てを賭けるのだ!!


【海未の行動を選択してください】

1 機関砲を切って捨てます!! ※破壊確率80%、トリスタンの発動率が10%上昇します。
2 ミサイルを叩き壊します!! ※破壊確率40%、トリスタンの発動率が20%上昇します。

下3レス多数決


355 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 00:08:56 yzstIqHE
1やな


356 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 00:09:39 U3tRsOqw
1で


357 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 00:09:59 zgrupzj.
1


358 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 00:11:16 CLSh9N9k
だね、手数を減らしておけば召喚ミスってもミサイル回避の目もあるし…


359 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 00:15:33 mtTtzWRU
80%当たる前提なのか…
エッジと同じ命中率やん


360 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 00:17:58 ZGVvIhwA
エッジと命中率一緒とか言われると急に失敗する気がしてきた


361 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 00:18:16 0O4HJTuw
やめてエッジとか言わないで


362 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/24(木) 00:21:36 nP7.tCoI
深く深く息を吐き、心を深海へと沈め…転移を発動!!

現れたのは機関砲の目の前。見事に瞬間移動を成功させる。
どんなに負傷していようが確実に、それだけ海未の主力として愛用し続けているスキルだ。

攻撃を!
しかし、今の状態では破壊剣の負担には体が耐えきれない。

ならば!全身から青のマナを絞り出す!!


海未「はああああっっっ!!!『水アローシュート』!!!」


連射、連射連射連射!!!!
闇を混ぜて威力を高め、超高圧に固めた水の矢で機関砲を防護している魔術装甲へと幾重幾重にも水の攻撃を浴びせかける!!

さらに上空へと水の矢尻を向け、撃ち放つ!!


海未「発想が月並みですが…『ラブアローレイン』!!!」


後先考えず、手当たり次第に放った水の矢が上空で制動され、そして名の如く驟雨と降り注ぐ!!!

防護壁が揺らぎ…!


コンマ
01〜80 破壊成功
81〜00 失敗

判定
>>343


363 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/24(木) 00:22:31 nP7.tCoI
あ、ミス
判定>>344


364 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 00:26:24 yzstIqHE
gj!


365 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 00:27:36 FycWbmTE
本番はこの後
頼むから55%引いてくれ


366 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 00:30:09 ZOjQgpkA
催眠術以下の確率ねぇ…


367 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 00:30:22 ZGVvIhwA
55%…くさぶえ・うたう


368 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/24(木) 00:33:33 nP7.tCoI
徹底した連撃が防護壁へと穴を穿つ!!

そして穴が空いたそこへ、海未は刀を高々と振り上げ!
水と闇が渦巻く刃を唐竹割りに振り落とす!!!


海未『黒水弾(バラクーダ)!!!』


闇水の濁流が塊となって機関砲の部位へ撃ち込まれ、そしてそのまま弾ける!!!
闇の奔流が戦車の一部を叩き壊し、ふらつく
ままに海未は再度の転移で撤退。


海未(精一杯です!頼みます…ことり!)


海未の戦果を目の当たりに、ことりは内心に強く強く念じる!


ことり(トリスタンさん…お願いします、お願いします!)

≪あっはは!ボロボロじゃないか!いいザマだ…私が貴様に力を貸す道理がどこにある?≫

ことり(お願い…私は海未ちゃんを、お父さんを…みんなを助けたい)

≪フン、家族に友人。十二卿龍である私からは理解に遠い感覚だね≫

ことり(それでも…あなたも元は人だったなら、忘れてしまっただけで愛や優しさを持ってたはずだって、ことりにはわかります。だからお願い…今だけでいい!力を!)

≪………≫


コンマ
01〜55 召喚成功
56〜00 失敗

判定
>>345


369 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 00:33:48 FycWbmTE
そう言われると俺だと外す気しかしないから震えて待ってよう


370 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 00:36:45 byRP9MVc
王様の回避に運を使い果たしたな


371 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 00:39:17 Kwxo6Epc
こうも命中率100の技がないといかにダブルディールが壊れかわかる
こういうのも悪いけど調整ミス感ある


372 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 00:41:14 ON4UjJF6
スピードスピードスピード
でカブトボーグ思い出した


373 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 00:42:11 t0ojBR8Y
戦車なんかに負けたくないな


374 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 00:42:29 XQ54G502
ゲームオーバーとかありそう


375 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 00:42:50 byRP9MVc
重要な選択肢と言われてるのに低確率の博打選んだ俺らが悪い


376 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 00:43:59 K3fpvfao
まあミサイル避けて回復すればいいだけの話でしょ


377 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 00:44:11 CLSh9N9k
ちょっとでも苦戦すると文句が出る、楽勝でも文句が出る
1も大変やね
1が面倒になったらそこで更新が終わりって認識しろよお前ら


378 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 00:46:09 toTF3ZRU
まあ軽傷までならまだ死にはしないし…


379 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/24(木) 00:46:51 nP7.tCoI
……が、ことりの祈りも虚しく、トリスタンからの返事はない。


ことり「……っ、ごめん、海未ちゃん…!」


二ヶ月の間、トリスタンとの対話を繰り返してきた。
当初は罵詈雑言を浴びせかけてくるだけだったのが、会話に応じてくれるようにはなっている。
きっと力を貸してくれるはず…そう、思っていたのだが。


海未「大丈夫…大丈夫ですよ、ことり。次の一撃を避ければいい。ただそれだけの話です!」

ことり「……うんっ、そうだね。こんなところで負けるわけにはいかない!」

海未(いざとなれば…)


コンマ
ことり
01〜40 負傷
41〜80 軽傷
81〜00 回避

海未
ミサイル
01〜37 負傷
38〜77 軽傷
78〜00 回避

判定
ことり>>353
海未>>354


380 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 00:46:58 t5qYluH6
まだチャンスはあるはず…


381 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 01:02:31 C7TrZkUk
ミサイルしかないんだし別に一回ミスっても大丈夫なんじゃね


382 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/24(木) 01:03:03 nP7.tCoI
爆撃に晒されるという生命の危機において、最後に物を言うのは身体能力だ。

数度の爆撃を目に、海未は満身創痍ながらも辛うじての回避を成功させる。
だが、ことりは…天使として高い魔力を手にしているが、身体能力が大きく高まっているわけではない。
高速で移動するため翼を制御しようにも、負傷、激痛、失血。負の連鎖の三拍子で意識が揺らぐ。

上手く逃げられず…
爆発半径にその身を留めたまま、動けずに。

思考、視界が低速に。
放たれた小型ミサイルの弾頭が付近の地を穿ち、炸裂する直前の一瞬をことりは明確に見捉える。


ことり(海未ちゃん…穂乃果ちゃん…)


脳裏、最後によぎるのは二人の…

否、眼前に現れたのは海未だ。


海未「死なせませんよ」

ことり「海未ちゃんっ!!?」


マナの残量を絞り出すようにしての転移。
ことりを庇うように身を呈して、爆風から守り…愛する幼馴染の死を目前にして、海未の精神力は圧倒的な昂りを見せていた。

作戦行動を無視して、自身を犠牲にしても的敵であることりを守る行為。
それは村正の支配に完全に抗う行動であり、おそらくは…人生に最後の輝き。
海未は、悠久の時を経てきた妖刀の邪心を叩き潰し克服するほどに、強くあってみせたのだ。

ことりを庇い、抱きしめて守り、「愛していました」と呟いて、そして…


ことり「海未ちゃん!!駄目ぇっ!!!」


爆炎が上がる。


383 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 01:05:22 KToFFX4Q
負傷と書いてるのが死亡に繋がるかどうか


384 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 01:05:57 t5qYluH6
おいおい…嘘よな?


385 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 01:06:41 ON4UjJF6
ことりの白いのをたっぷり注ぎこまれたしな


386 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 01:07:13 Pz0XuGxQ
なんかコンマスレの方で技とクソ安価選ぶ宣言してるやつおるし、また外野が鬱陶しくなってきたな


387 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 01:09:31 eua8ZSNY
ほのパパいるしヘーキヘーキ


388 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 01:10:29 S.DXGsOM
無視でいい
もう>>1に余計な負担かけんな


389 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 01:14:43 KToFFX4Q
1次第だけど、ああいう悪意のある手合いに対するスタンスは教えて欲しい思いはあるな


390 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/24(木) 01:18:32 nP7.tCoI
海未とことりが炎に包まれた、その直後。

巨大戦車の主砲が火を噴き、砲弾を止める者はなく。
穂乃果、ことり、海未…雪穂やヒデコたち。
生まれてから長い時間を過ごしてきたオトノキ村の全てが炎に包まれる。

砲弾から村を守っていたほのパパの姿は…?


ほのパパ「……!!」


愛すべき村と、自らの大切な和菓子屋。
手塩にかけて実子と変わらず育ててきた愛娘二人。
比べて、どちらを選ぶか…考えるまでもなく、体が動いていた。

避難している村人たちに心で強く詫びつつ、一切の躊躇なく駆ける!

ことりは天使という出生を知ってなお、人間としての道を選んでくれた。
海未は闇に身を堕としてしまったが、最後の土壇場…ことりを守るために身を投げ出す優しさを見せてくれた。

心の底から大切な娘たちだ。
村を守れず、自らの命を投げ出して、それでも守る価値がある。

二人を背で庇い、爆風の前に仁王立ち…!
自身の身から発する暴風の壁で、炎の全てを遮断する!!

が、自分の身を守ることはできず…


ほのパパ「」

海未「あ…ああ……!」

ことり「そんな…お父さん…?嘘…!お父さん!お父さん!!」


どんな時も強く、漢気に溢れていた父は…
全身にエクスヒールでさえ癒しきれないほどの傷を負い、焼け焦げた土、血だまりの中にその身を伏していた。


391 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 01:22:18 t5qYluH6
パパ・・・・


392 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 01:22:33 u8idGCbQ
ピッコロさあああああああああああん!!!


393 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 01:22:36 J8uNxKTw
パパああ…


394 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 01:23:17 3SPjH9po
海未ちゃん正気に戻ったら自害しかねんぞ


395 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 01:24:37 tAC/mKs2
きぃちゃんを止めろ


396 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 01:30:55 C7TrZkUk
現代兵器が一番強いなぁ


397 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 01:37:59 t5qYluH6
エクスヒールでも癒せないってことはもう・・・・


398 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 01:38:49 K3fpvfao
ガラフと同じってことよね


399 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 01:38:58 Ybpe8DRY
オームの杖あるでしょ(錯乱)


400 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 01:44:51 gvi4kq1U
そうだ!あの怪しい薬が・・・って今誰が持ってるんだろ・・・


401 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 01:46:58 zgrupzj.
>>400
忘れてた、穂乃果かな


402 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/24(木) 01:48:06 nP7.tCoI
魔力は精神の力だ。

倒れた父を目の前に、ことりと海未は激しい動揺に駆られ…
しかし、ほぼ同時に気付く。父はまだ、ごく浅く微かな呼吸をしている。脈もある。

けれど頭部に傷を負っている。治癒術だけでは癒しきれないかもしれない。
傷が治ったところで、目を覚まさないかもしれない。
幾多の戦場を経てきたことりのヒーラーとしての感覚がそう告げている。


ことり「それでも」

海未「ええ、生きています」


強く立つ。

自分たちは傷だらけ。村は焼かれ、父は倒れ…
結果は既に、二人の戦いは敗北に終わったと示している。
それでも、ここで屈するわけにはいかないのだ。

戦場の逆端では、母が戦い続けている。
彼女ほどの術師が夫の生命が消えかけていることに気付いていないはずがない。
それでも、気丈に。

海未もことりも傷だらけ。気力で立ったところで、長期戦は不可能だ。
だがそもそも長引かせるのは論外。一刻も早く眼前の兵器を叩き壊し、父の命を保つために治癒を。

必然、海未は左手。ことりは右手を差し出し、指を絡めて繋ぎ合い、互いの魔力を融合させる。


403 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/24(木) 01:58:16 bY3Qo33o
白と黒、反発し、本来であれば決して混ざらない魔力だ。
しかし海未の持つ生まれつきの、青のマナがバランスを調整し、反発を押さえ込み、反動を霧消させて威力だけを保つ。
いや、青のマナがあれば良いというものではない。
これだけ見事な調和を見せるのは、

力を宿す、そのベースは海未が右に持つ村正。
邪念を叩き折られ、妖力と斬れ味だけを遺した名刀へとことりの光の力、翼の力が流れ込み、そして神々しく輝く剣が海未の手元へと現れる。

ことりと海未、二人の連携だ。


ことり『輝翼剣(クラウソラス)』


強く強く、破邪の光を放つ剣。
しかしその内々には荒ぶる闇の力も秘められていて、斬れ味は推して知るべし。

海未はそれをゆっくりと、水平に構える。

その間にもミサイルと砲火が飛来しているのだが、刀身から溢れる極光がそれらを爆散させて防御している。

輝翼剣から漏れ出す光は虹のように、いつの間にか海未の背にまで翼が生えているかのような錯視をもたらす。

そして…


海未『斬花一華』


静かに薙ぐ。
連携で生成された翼剣、そこから放たれる剣技は恐ろしいまでの威力を発揮し、剣が薙ぎ払われると同時、光の帯が戦車を包み込み。

爆ぜる…爆ぜる爆ぜる爆ぜる…!

装甲板が溶解し、光の熱量に耐え切れず内部へと豊富に積み込まれた火薬類が誘爆を引き起こす。
海未の村正が斬撃の末尾へと辿り着き、残心。

……無音。

巨大戦車はその車体を真横一文字、完全完璧なる斬断を受け、そして、


爆散!!!!


404 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 02:03:24 S.DXGsOM
光と闇が備わり最強に見える


405 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 02:03:56 XZIZSeyY
あれ、海未ちゃん洗脳解除成功じゃね?


406 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 02:05:37 Wx0wouok
間に合うか…


407 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/24(木) 02:05:57 nP7.tCoI
戦車が爆破に飲まれ、その機能の全てを停止すると同時。
連携により生み出された光の剣は空へと消滅し…

海未とことりは状況の全てを忘れ、父の元へと駆け寄る。
いつもなら、いつもの頼れる父ならここで何事もなかったかのように目を開け、少し照れながら、二人の頭を撫でてくれる…

けれど、そんなことはなく。
勝利を収めたところで父の意識が戻ることはなく、エクスヒールを施して傷は癒えても、その意識は戻らない。
焼けた村も現実のもので、穂むらも、他の民家の大半も、幼い頃に登って遊んだ木も、全てが炎に包まれている。

目を開けない父へ、一心不乱にヒールを繰り返すことり。
敗北。戦車を壊そうが、この一戦は紛れもない敗北だ。
全てがいたたまれず、海未は目を伏せ…


戦闘はまだ続いている。希と、ツバサと凛の戦いは異空間で。
双方決め手がないまま、しかし瘴気は凛とツバサの身を時間経過と共に蝕んでいく。

やはりというか、当然と言うべきか、術者である希には若干正気の影響が薄いようだ。
息苦しそうな様子はあるのだが、それでも凛とツバサよりは動きがいい。


凛(ツバサちゃん、凛…もう、長く保たないよ!)

ツバサ(奇遇ね!私もよ!)

希「そろそろ捕まってくれんかな、凛ちゃん。ウチもかなり疲れてきたわ…」


408 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/24(木) 02:11:17 nP7.tCoI
次の手で攻撃に全精力を注ぎ、決戦を仕掛ける。
さもなくば…時間切れだ。
凛とツバサは目配せを交わし、互いの意思を統一する。

希は希でマナの消費と精神の損耗が募りつつあるようで、瘴気で凛とツバサが倒れるのを待ちつつ、守備的な戦いに終始している。

取り得る手段は高火力に限る!
あとはチョイスの問題だ。どう仕掛けていくべきか…!


凛(凛はどうしよう!)


【凛の行動を選択してください】

1 ここは…瞬打四連からのコンボで行くにゃ!!
2 凛ちゃんサンダーでドカーンと行くよ!!
3 凛ちゃんレールガンをぶっ放しちゃえ!!

安価下


409 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 02:13:05 tf8lqL6E
3


410 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 02:14:33 t0ojBR8Y
3


411 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 02:15:47 Wx0wouok
デコデココンビいけ!!


412 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 02:16:26 cGgUrGhw
エッジの命中率常時64%になるダブルディールやべぇな…


413 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/24(木) 02:19:46 nP7.tCoI
凛(もうどうせ後先考える必要なんてないもんね!必殺中の必殺!!)


ストンとクナイを手元へ滑らせ、当たれば決殺!!

…いや、希を殺すのはまずい。
ということで即死しない部位を抉るに留める。その程度のコントロールは凛には容易い。
とりあえず、当てれば人間一人、易々と即時に無力化してしまえるだけの威力が凛のオリジナル技、『凛ちゃんレールガン』には秘められている。

これほどの才がなければ王国に目を付けられることもなかったのだろう…と考えれば皮肉なものだが、とにかく凛はレールガンの準備を!

そしてツバサ…ツバサは、この状況で二択を迫られる。


ツバサ(凛がアレを撃つなら、陽動に徹する手もある。けど、二刀幻斬で手数を増やすのも効果的に思える…どっちにするべきかしら)


【ツバサの行動を選択してください】

1 陽動に徹するわ!
2 いや、私も攻撃よ!二刀幻斬!!

安価下


414 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 02:21:06 17bh1kzQ
1かな


415 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 02:21:27 t5qYluH6
1


416 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/24(木) 02:34:10 nP7.tCoI
ツバサ(凛!陽動してあげるから、しっかりタイミングを見計らって投げなさい)

凛(わかったにゃ!)


目配せを交わすと同時、ツバサは二刀を構えて突進する!


希「む、そろそろ動けなくなる時間にその突撃。ラストアタックってわけやね!」

ツバサ「その通り…よっ!!!」


ツバサは力任せに剣を振るう!
希は『斥』の符で弾き、そして『炸』を胸元へと繰り出す!

ト、トとそれを後歩して回避。
希は呪術師としての戦いに慣れ、かつての武器である符で近接もカバーし、あんじゅと比べて殲滅力には劣るが、全局面においての対応力に関しては上回っている。

厄介げに舌打ちをするツバサへ、希は片手をワシワシと動かしてニヤリ。


希「ウチ、発展途上の胸を見るとついつい『炸』で狙いたくなっちゃうんよね」

ツバサ「なに?豊胸効果でもあるの?」

希「や、ペタリと貼り付けてる感が単に楽しくて」

ツバサ「フン…おかげで動作を見切りやすかったわよ!!でえいっ!!!」


ツバサは剣を投げつける!!
宝剣であろうがそれほど大事に扱わない。このあたりの大雑把は実に彼女らしさで、そして希の意表をわずかに突く。


希「おおっと!?そんなお宝投げたらアカンやろ!」

凛「今にゃっ!!!」


コンマ
01〜75 撃破 ※陽動で防具補正を相殺
76〜00 失敗

判定
>>377


417 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 02:41:47 7bZkCORQ
運悪すぎ


418 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/24(木) 02:44:40 nP7.tCoI
凛『凛ちゃんレールガンっっっ!!!!!』


絶対的な威力を有するクナイの一投!!!
手元から弾き出された刃が空気を掻き鳴らしながら秒以下の世界、視認できないスピードで希へと迫る!!
圧倒的な弾速に加え、ツバサの陽動。わずかに意識を逸らされていた希は運命操作、ダブルディールを発動することさえ叶わない!!

だが。


希「え…!?な、何?今のすごいスピードのは何やったん?」

凛「は、外れたにゃー!!?」

ツバサ「な、なんて運の良さ…一瞬躓いて、偶然避けるだなんて…!」


凛は慌てて手元へとクナイを引き戻す。
こうなればヤケだ、ことりの忠告には背くことになるが、もう一投…!!


凛「う、…あ…?」


ぐらりと視界が揺らぐ。
手から足、末端までに痺れが走り、染み渡った闇が四肢の全てを麻痺させる。
舌にまで痺れが回るが…辛うじて声は出せる。首を動かし、ツバサを見る。


凛「つ、ばさ…ちゃ…」

ツバサ「か、…は…っ、まひ…!」

希「なぁんか危なかったみたいやけど…タイムアップやね?」


そう呟き、希は世界を元に戻すと…
凛の体を闇の帯で包み込み、動きを完全に封じてしまう。


419 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 02:46:01 qOf99R.E
まあ、そんなこともある。仕方ない


420 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 02:46:27 a07fgsMs
絵里倒したのに全く有利になってなくてワロタ


421 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 02:47:15 KToFFX4Q
1:1交換なのか…?


422 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 02:54:23 AFzdP/5A
※ついてないから連れ去られるのは流石にないよな…?


423 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 02:57:55 t5qYluH6
今日は重要な部分ですこぶる運が悪いな…


424 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 03:01:34 MekDdCJU
凛連れてかれて海未が戻ったとしても次はあのレズ悪魔もいるわけだろ?
なんかドンドンこっちの戦力を奪われてく未来しか見えない


425 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/24(木) 03:01:36 nP7.tCoI
飛行戦艦、その甲板で閃熱が弾けた。


西木野王「これで…十三度目だ!!」

かさね「う、あ…あ…!!」


十三度。
それは王がかさねへと致命傷、または行動不能になるほどの重症を与えた回数だ。

今、かさねは全身に火傷を負っている。

その綺麗な顔、頬の皮膚までが爛れ、赤く引き攣れ、それでもなお王へと対物ライフルの一撃を放つ。
が、王はほくそ笑み、義手から発生させた熱の力場で弾丸を防ぎ落とした。


西木野王「ようやくエクスヒールとやらも種切れか」

かさね「負け…られない…!クリス、しずく…!二人のためにも…!!」

西木野王「くどい。そのまま…落ちて死ね!」


王はかさねの面前で爆炎を起こし、その直撃を浴びたかさねは意識を失い、数十メートル下の地上へと投げ出される。
粘りもここまで。意識なく、翼も消えた状態で叩きつけられれば、いかな天使だろうとその命は…

と、その身を受け止めたのは大軍を退けて満身創痍のほのママだ。
身を焼かない柔らかな火炎をクッションに、敵か味方かもよくわからない少女をとりあえずで保護する。

西木野王はその様子を見て…しかし、興味を失ったようで追撃はせず。
実際のところ、支倉かさねの執念に底冷えするものを感じ、いかなる形でもそれ以上の関わり合いを嫌った故だったのかもしれない。


西木野王「十分だ。星空凛の確保には成功したようだからな」


戦況は大きく変化している。

父に治療の限りを尽くし、一命だけは取り留めさせることに成功し、そしてことりは状況の全てを急ぎで確認する、

まず地上、絵里は倒れたまま。
希とツバサ、凛の戦闘は…希の勝利に終わったらしい。
ツバサは麻痺に倒れ、希が凛を縛り上げ、今にも退却しようとしている。

狩猟部隊と機械兵たちは…全滅!
だが、母もまた傷だらけであり、マナの大半を消耗している。

甲板の上で繰り広げられていた戦いは西木野王の勝利に終わったらしい。
謎の天使は重傷を負い、地上で失神している。
対して西木野王は未だ健在。その身に多くのマナも残しているようだ。暁の時刻に強いというのは伊達ではないらしい…

父は以前意識を取り戻さぬままで、そして…


海未「…ことり、提案があります」

ことり「海未ちゃん…」


海未は、その洗脳から自我を取り戻している!


426 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 03:05:27 t5qYluH6
海未in凛Outか…


427 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 03:07:19 fiSsfBUc
えぇ…
それなら※つけてほしかったな…


428 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 03:08:44 17bh1kzQ
まだ海未ちゃん達は諦めてないっていうのに


429 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/24(木) 03:08:54 nP7.tCoI
ことり「海未ちゃん、提案っていうのは…?」

海未「この場面…一旦、凛を諦めてください」

ことり「えっ…!?ダメ!そんなこと絶対にできない!!」


予想だにしなかった意見に、ことりは思わず海未を睨みつけてしまう。
長期間をオトノキ村で共に過ごし、凛には妹のような感覚を抱いている。
もちろん元々可愛いとは思っていたが、寝食を共にした期間というのは愛情を深めるものだ。

その凛を見捨てろと!受け入れられるはずもない!

だが海未はその反応を予想していたか、冷静を保ったままに話を続ける。


海未「ことりは本当に優しいですね。人のためにだけ本気で怒れるところ、大好きですよ」

ことり「だ、大好き…照れちゃうよぉ…じゃなくて、凛ちゃんは絶対に守らなきゃ」

海未「いえ、提案にはまだ続きがあります」


一度言葉を切り、そして海未は決意を秘めた瞳で切り出す。


海未「私も、このまま王国へ戻ろうと思うのです」


430 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 03:13:44 O7Q65emo
なるほど


431 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 03:14:35 O7Q65emo
埋伏の計か


432 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 03:15:40 fG5otffk
よっしゃ、白百合部隊の完成や
凛ちゃんは簡単に洗脳されそう可愛い
そしてかよちんがいれば簡単に洗脳解除できそうなとこも可愛い


433 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/24(木) 03:20:23 nP7.tCoI
つまり。

海未は洗脳を保った状態を装ったままに、王国へ入り込もうと言うのだ。
生死の淵で村正を完全に御した海未は、自在に体のマナの状態をベースの青と、村正の黒と、スイッチを切り替えるように使い分けられるようになっている。

闇のマナを纏っていれば、傍目には確実に洗脳状態のままと見えるのだ。

さらに凛には闇の資質がない。仮に洗脳されたとしてもそれは浅く、海未の青マナで解除が可能なレベルに留まるはずだと言う。

海未がいれば隙を見て凛を助け出すことも可能であり、何より…


海未「私は…希と絵里を助けるための糸口を見つけ出したいのです。私一人では厳しい…ですが、凛と力を併せられれば!」

ことり「……ううっ…」


ことりは悩む。深く悩む。

絵里と希は確かに救いたい。けれどその選択は海未と凛の二人を多大な危険に晒してしまうことを意味している。

だが現状…
この場で凛を取り戻す選択をするならば、既にボロボロのことりと海未、同じく満身創痍のほのママ、麻痺を癒せばツバサ。

万全には程遠いこの四人で、王と希の二人を相手取らなければならないのだ。

それは全滅さえ見えてくる道であり…


ことり(どうすれば…)


【行動を選択してください】

1 海未に潜入を頼む
2 この場で凛を取り戻す

下5レス多数決

※重要な選択肢です


434 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 03:20:47 gvi4kq1U
この手の潜入工作って大概ろくなことになった試しがないのが不安だけど・・・しかも海未ちゃんだし


435 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 03:21:39 bY3Qo33o
1


436 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 03:21:50 s3VoFJgQ
1


437 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 03:22:10 t5qYluH6
1しかないな


438 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 03:22:45 gvi4kq1U
とかいいつつ全滅は怖いから1


439 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 03:22:49 MekDdCJU
1


440 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 03:22:56 bY3Qo33o
途中送信ミス
1は海


441 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 03:23:29 qOf99R.E



442 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 03:23:53 KToFFX4Q
1だな。
2やるには西木野王(笑)とガチる必要あるだろうし


443 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 03:25:24 bY3Qo33o
追記

1は海未ちゃん操作パートが穂乃果編の合間に挿入されます


444 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 03:27:01 V7tvVfWw
?あれ?443をIDで絞り込むと……


445 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 03:28:11 LJPrYabE
あっ…ふーん(察し)


446 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 03:28:53 4CpcuW4M
>>1
>>435あたりからトリップ外れてますぜ


447 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 03:29:27 t0ojBR8Y
あれれ?


448 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 03:30:32 17bh1kzQ
露見するのpart1以来か
まあしれっと続けてくれ


449 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 03:30:34 5XLSJWkU
1スレ目以来久々のヤラカシかw


450 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 03:30:36 ehVI7OBs
ん?
>>1>>433のIDじゃないの?


451 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 03:31:15 5dV.OnK2
これは選択肢1で正解ですわ


452 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 03:31:37 MekDdCJU
単に追記を途中送信しちゃっただけだろ


453 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 03:31:49 QkRAHl8w
ヒント:WiFiとケータイ回線の二刀流、トリップ


454 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 03:32:23 bY3Qo33o
すまんな
判定スレで悪い選択肢を選ぶって言ってるのがいるもんだから、面倒でつい


455 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 03:33:15 bY3Qo33o
とりあえず1が圧倒的にオススメだから見なかったことにしてよろしく


456 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 03:34:01 ZfFoa9tI
ええんちゃう?
毒には毒を、じゃないけどああいう面倒な手合いを押さえ込む良い方法もなかなか無さそうだし。


457 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 03:37:17 t5qYluH6
俺のログには何もないな。


458 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 03:37:18 KToFFX4Q
悪意ある連中に対して>>1がそれを良しとしないのが解っただけでも価値ありますぜ


459 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 03:39:19 MekDdCJU
そういうことね


460 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 03:45:38 eqBc/M4.
あらま、普通に送信ミスかと補完したんだが


461 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/24(木) 03:48:42 nP7.tCoI
現状の戦力と味方の状況。
全てを鑑みて…
ことりは苦渋の決断を下す。


ことり「海未ちゃん…凛ちゃんを、絵里ちゃんと希ちゃんを、お願いっ…!」

海未「ええ、任せてください。私は…様々な人に迷惑を掛けすぎました。償うべきなんです」


コイズミの里での大量捕縛、一部には死者も出した。
そしてオトノキ村が火に包まれ、父は倒れ…

別勢力、教団の戦車のせいだと割り切ってしまうのは容易い。
だが、元を正せば海未自身が村正を手放さなかったことが洗脳へと陥った遠因であり、悲劇の引き金だと考えている。

……自分を責めすぎなのかもしれない。

王宮の地下、村正がなければ穂乃果が龍か天使かと誘われ拒んだあの時に、割って入る事も出来なかった。
けれど、責任感の強い海未は償いを望む。そうしなければ、自身の心に決着が付けられないのだ。

そして海未はことりに握られた手を優しく解き、転移で絵里、希、そして凛を回収して飛空戦艦へと戻る。

あくまで闇のままを装い、王の面前へと傅き…


海未(必ず、やり遂げてみせます…!)


戦火の爪痕を残して、飛空戦艦は冬の青空へと飛び去っていった。

残されたことりは…無性に。


ことり(穂乃果ちゃん…会いたいよ)



……



穂乃果「……んん、よく寝た…!」



まどろみから、穂乃果が目を覚ます。


462 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 03:49:04 gvi4kq1U
次からは気をつけてね


463 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/24(木) 03:49:26 nP7.tCoI
今日はここまでで


464 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 03:51:20 t5qYluH6
乙!
さぁ真姫ちゃんの好感度はどうなってるかな


465 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/24(木) 03:55:12 nP7.tCoI
諸々すまんな
まあ大事な場面の選択肢は票数多めの多数決にして対策するからよろしくね

それとちょうどいい機会だからもう一回念押ししておくけど、コンマだけで生死が決まることはない
※なしの選択肢で死亡や離脱は絶対に発生しないよ
判定スレで運ゲー運ゲー連呼してる奴はいい加減目障りだから黙れ


466 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 03:56:22 gvi4kq1U

ついに修業編最終章か
この手の醍醐味は離れてた仲間達が合流していくとこだと思うから楽しみ


467 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 04:01:51 KToFFX4Q
おつかれさん。執筆以外の所でストレス溜まっちゃうこともあるかもしれんが大半の読者は味方なのでこれからもよろしくな。


468 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 04:03:58 1ZZVK2n2
黒青モードチェンジできる海未ちゃんは格ゲーだと上級者向けキャラだな


469 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 04:12:38 sL5lg9tw
このssが完結するのが怖くなってきた


470 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 04:14:00 HN.6953Q
今更だけど

>>403
>いや、青のマナがあれば良いというものではない。
>これだけ見事な調和を見せるのは、

>力を宿す、そのベースは海未が右に持つ村正。

ここの部分の文が少しつながり不自然に感じた。
ここだけ見ると白マナ黒マナ調和のキーが村正ってことに読めるけどそういうことなのん?


471 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 04:16:22 s3VoFJgQ
なんだこれ
安価の意味ないじゃん


472 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 04:20:28 s3VoFJgQ
選択肢選ばせるつもりがないところは選択肢なしでいいと思う


473 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 04:21:07 QqK0uQCc
復帰で判定力マイナス消えるかと思ったら消えないのね


474 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 04:22:37 HN.6953Q
この流れだとことり編のエピローグは無しかしら?


475 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 05:54:39 w6KPENiQ
散々だったけど結果面白い方向になったから良しじゃないかな。


476 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 05:57:48 evX1bwy6
>>1さん乙です
まあああいう奴らはガキのそれだからなぁ…
純粋に楽しんでいる人もいるので楽しみにしていますし頑張って下さい。


477 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 06:19:01 kJB4pJBA
>>470
村正の邪心(巨乳切りたい衝動)を抑えて使いこなせるようになったからうまくいったって事じゃろ


478 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/24(木) 06:54:06 nP7.tCoI
>>470
あ、そこ一文抜けてるわ

いや、青のマナがあれば良いというものではない。
これだけ見事な調和を見せるのは、家族であり幼馴染であり、姉妹にして親友。そんな二人の絆という礎があってこそ。

に訂正でお願い


>>472
基本的には選択肢はどっち選んでもらっても詰みはしないんだけどね
判定スレに変なのが沸いてる時にリスクのある選択肢に進むとスレが荒れそうだなぁ、とか考えちゃって

すまんな


479 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 07:02:54 XZIZSeyY
乙です。ガキは無視しましょうぜ


480 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 07:04:58 CLSh9N9k
諸々の装備とスキルの数値を管理しながら長文を10分から20分で書いて、わざわざ別スレで判定確認
キャラがちょっとでもピンチになれば耐性のないやつからすぐ文句が出るし、楽勝でも文句が出る
まだ文章の途中なのにケチを付ける>>472みたいなのもちょくちょくいる

これを毎日やってくれてる1には感謝しかないぞ


481 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 07:07:48 U4RrKNzo
俺TUEEEEEEしか嫌なんだろなぁとは思う

方針は変えずに作者さんの好きなようにして欲しい。極一部の人間が大きく喚いているだけなんだから。余り見えずとも大多数は楽しんでる


482 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 07:15:55 /syqfC2E
田中みたいな所に判定スレ移行はどうでしょう


483 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 07:17:34 9aYLIAZE
伸びてると思ったらほとんどお前らかよ…


484 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 07:22:11 tZxpAhuE
>>465
お前さ、自演で自分の思い通り進めてる分際で他人にそんな偉そうに言える立場か?
お前の自演のが目障りやからもう書くのやめたら?


485 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 07:24:54 U4RrKNzo
>>484
SSだろ?
嫌なら見るなよ


486 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 07:26:05 jvCGlyaw
スルースキルのレベ上げしようぜ
一人に合わす必要もない。


487 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 07:26:43 XZIZSeyY
>>484
嫌なら見るな それだけだ


488 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 07:29:57 tZxpAhuE
お前ら安価の意味わかってない信者にそんなこと言われる筋合いない
あっ、それともムキになって即返してくる辺りまた1の自演か
懲りないな


489 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 07:44:31 byRP9MVc
>>488
ガス止められてるみたいだけど大丈夫?


490 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 07:46:43 kTo1oX9M
2選んでたらどーなってたか少し気になる
>>1非推奨ってどんなレベルなんだろ・・・


491 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/24(木) 07:57:27 bY3Qo33o
>>490
戦闘→勝てば王国軍逃走で凛を奪還(難易度高め)

劣勢の場合は途中で選択肢
1ほのママが捨て石になってパーティー逃走(逃走確定、ほのママはアスモデウス枠で敵に)
2 そのまま継戦(ここで初めてメンバー死亡の可能性が出てくる)

って流れだね


492 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 07:59:39 y9elyS.Q
ほのママ敵はやばいw


493 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 08:04:14 Ee81wnAQ
のんたん倒せなかったの痛いな
コンマとはいえ此処一番の時に75%引けないか


494 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/24(木) 08:06:31 bY3Qo33o
あとコイズミの時と同じで麻痺は状態異常回復で復帰できる
希ちゃんに軽傷以上のダメージ→コマンドでことりちゃんのリカバーを選択の流れで凛ちゃんも戦線復帰可能
そこは地の文でヒントとして示唆する予定で、凛ちゃん復帰に成功すると王に不意打ちのチャンスが生まれて突破口にできる

一応の勝ち筋はこんな感じで予定してたよ


495 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/24(木) 08:08:24 bY3Qo33o
>>494ミス
希に軽傷以上→負傷以上のダメージね


496 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 08:10:56 u8rF9wEg
ラスボス枠いないしほのママ敵になるのも見たかったな


497 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 08:22:05 S.DXGsOM
全部俺らの運の悪さが悪い
それよりほのパパがめっちゃ気になる


498 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 08:32:32 CLSh9N9k
そっちはそっちで面白そうだったな
また早とちりで死ぬ死ぬ騒ぐのが出てきてただろうけど


499 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 08:32:32 psgPo/yI
ほえ〜
1で正解だったんやな


500 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 08:33:54 RN4iuPAc
朝早くから乙
かさねちゃんの今後が気になる


501 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 08:35:31 Hv.Tl77o

毎日楽しませてもらってるしこれくらいの自演なんか気にせんぞ


502 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 08:40:44 dAvFjNeE
どうしてこうも洗脳関係のコンマ運は悪いんや…
海未ちゃんパートも嫌な予感しかしない


503 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 09:44:40 fG5otffk
とりあえず真姫ちゃんの好感度が気になる
2ヶ月も一緒にいたら66兆2000億くらいになってそう


504 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 09:51:31 uPPfyI5I
逃走編で2,3日居てちょろってるから2,3ヶ月ならもう∞に発散してそう


505 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 10:00:42 1XSHO8E2
いち乙
普段レスしないけど毎日楽しく見てるぜ
無理せず完走してくれ


506 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 10:13:11 n2nbjys.
洗脳解除できてるじゃん


507 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 10:20:08 h4andNxc
いち乙!
誘拐された凛とコイズミから連れ去られた組の絡みに興味あるから少し楽しみ
是非!是非レズ魔王に諭されて花陽への愛に目覚める凛ちゃんお願いします!
なんでもするから!!


508 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 11:13:51 tZ9fHvm2
とりあえず隔離スレ作った方がいいと思うわ
アホに構うアホが多すぎ


509 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 11:28:11 oApg.mqw
でもあれだな、加入と離脱繰り返してなかなか揃わないスパロボみたいだな


510 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 11:51:34 eqBc/M4.
そら人物関係が不透明だった初期に比べて圧倒的敵側戦力不足ですもの(イメージ的な意味で)
平成ライダーみたく身内で争わなきゃ
すぐに戦隊に5対1でボッコボコにされる悪の図が出来上がる

>>1の采配で上手くやってるとはいえ、μ’sとA-RISEが揃ってたら傍目には負けるイメージが湧かないでしょ?


511 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 12:19:11 gvi4kq1U
>>510
つ戦隊側の戦闘員&敵方巨大戦力
つ仮面ライダーとともに生身で怪人に立ち向かえるサポートメンバー達
つてか最近は2号ライダーともすぐ和解して頼もしい仲間になってる


512 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 12:29:30 q3PEUD/o
言い方悪いがスクフェスモブはカサ増しに貢献してるな


513 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 12:44:47 DeElgSLo
一緒に冒険したことのある子だっているんですよ


514 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 12:48:01 5led7Maw
俺は16人(μ's9人+神モブ3人+A-RISE3人+理事長の力を取り込んで正義に目覚めたスーパーかさねちゃん)に立ち向かう西木野王が観たいです。


515 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 13:13:32 uPPfyI5I
RPGってやり込んでいくと序盤のワクワク感に懐かしみを覚えるよなー


516 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 15:20:29 q3PEUD/o
最近の展開はRPGよりも能力バトル物に寄りつつあるからなのか初期とのギャップはどうしても感じてしまう。
まぁ面白いという点は変わんないけどさ。


517 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 15:51:03 4uJgTnp6
あーネトゲしてた時の話ね
これもかなり進んだよなー
オトノキ村でたのが1,2か月前だっけ?
驚きだわ


518 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 15:57:47 mNkR38gQ
てす


519 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 15:57:59 w9O.THMo
てす


520 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 15:58:33 ioF8nQBs
ごめん何か連投になってしまった


521 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 19:50:35 xLSDacz2
今日は1はクリスマスかね


522 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 20:03:02 S.DXGsOM
俺の横で寝てるよ


523 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/24(木) 20:37:15 ZhpuIffk
クリスマスだけど特に用事はないから後で更新するぞ

あと、方式変えるわ
しばらくは選択肢と判定なしの地の文SS方式でストーリーを進めるよ
終盤にまた戻すと思う

大幅に変わるけど、よかったら引き続き読んでね


524 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 20:40:01 K3fpvfao
まあしかたないね
楽しみにしてます


525 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 20:41:21 dw2Z5m9w
あらら…
残念だけど仕方ないのかな


526 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 20:45:52 ON4UjJF6
判定は考える余地ないからね、選択のみのゲームブック方式でもよかったのに


527 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 20:47:24 d7pkPkqY
いつも本当にありがとう
思い切り好きなように物語を綴って欲しいな


528 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/24(木) 20:49:01 ZhpuIffk
あ、選択肢はたまに出すかも
まあ探り探りやるからよろしくね

9時頃から投下するよ


529 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 20:50:08 yzstIqHE
>>1の好きなように書いてくれてええんやで


530 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 20:50:50 .Qe2FwKQ
>>1のやりたいようにやって欲しい
毎日楽しみにしてる


531 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 20:53:51 0li3evNY
>>523
泣いた


532 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 20:55:57 lC21ZKGI
正直、判定や選択肢ない方がサクサク進むだろうから嬉しい


533 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/24(木) 20:59:53 nP7.tCoI
>>532
正直テンポの問題はあったよ
戦闘にどうしても時間かかってストーリーが進まんからね


534 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/24(木) 21:00:58 nP7.tCoI
穂乃果はベッドの中にいる。

暖かで柔らか、上質な羽毛布団の中で、「んんー…」と伸び。
全身の末端にまで血を巡らせて体を覚まし、布団の縁に手を掛けて。


穂乃果「もうちょっとだけ〜…」


穂乃果の朝は遅い。
最初に目を覚ましてから、ぐうたらと二度寝を決め込むこの時間が大好きなのだから仕方ない。

同室で寝床を並べているにこと真姫よりも、おおよそ一時間と半だけ多く眠って目を覚ます。

何人もの子どもたちの寝起きと朝支度に騒々しい孤児院の朝、朝食の準備などの手伝いから目を覚ます習慣のにこ。
大国の姫君にして、父は教育に熱を上げていた西木野王。日々、まだ暗い時刻からの勉学に一日が始まっていた真姫。

そんな二人と穂乃果を比較したとして、果たしてにこと真姫の朝が平均よりも早いのか、穂乃果の朝が平均よりも遅いのか…答えはきっと両方だろう。


535 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/24(木) 21:04:07 nP7.tCoI
オトノキ村にいた頃ならばそろそろ、海未が部屋のドアを破りそうな調子で入ってきて大声を上げる頃だ。

「穂乃果ァ!いつまで寝ている気です!起きなさい!」と。

あるいは雪穂が少し気怠げに、
「お姉ちゃーん、起きなきゃ朝ごはん食べちゃうよー」と。

ことりが来るパターンもある。けれどその場合、穂乃果は動じない。
一人でいればきっちりしていることりだが、快楽主義的な面が大いにある。

「穂乃果ちゃん、起きてぇ…」と少し困り眉で、起こす気がどの程度あるのかわかりにくい優しい手つきで布団を揺さぶってきたのなら…
ガシリと!!布団の隙間から手を伸ばし、さながら水中の貝類が獲物を捕食する時のように引きずり込んでしまえばいいのだ。

「ふふふ…二度寝の魔力からは逃れられないのさことりちゃん」
「ハノケチェンの温もりと寝汗…やんやん♪」

そんなぬるま湯のようなやり取りでことりを惰眠へと誘い、やがて業を煮やして乗り込んできた海未の怒声が目覚まし代わりとなる。


536 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/24(木) 21:11:19 nP7.tCoI
けれど、今は自分で起きる。
にこと真姫が起きる一時間半後、体感でだいたいそれくらいの頃に起きる。

起こしにくる者はいない。
“ここ”では、満足いくまで眠ればいいのだ。
けれど、キリがないのでそれくらいで目を覚ます。


穂乃果「寝るのにも飽きが来るもんなんだね…」


そう呟いてベッドから身を起こす。
既に開け放たれているカーテンの端に手を掛けつつ、気まぐれに窓の外を覗く。

そこは一面の白。果てなく延々と続く雲海だ。
穂乃果の語彙と知識で例えるならば、雲海というより、“わたあめみたいな”というフレーズが先に出る…そんな現実離れした光景。

そのわたあめみたいな大地の上、家から少しだけ離れた位置にはそこそこの規模でガーデニングスペースがある。
実体があるのかも怪しい不安定な土地の上に植物とは不思議な話だが、しかし間違いなくあるのだ。

植えられているのはハナミズキや沈丁花、朝顔にヒマワリ、コスモスにアネモネ…
季節はデタラメ、春夏秋冬を問わずの花々が咲き乱れている。

場所を区切り、家庭菜園も。
ニンジンや大根、キャベツにナス、ピーマン、冬瓜やセロリまで。
そして一番広々とした区画には、一面の赤。トマトの海!

真姫ママの、真姫ママによる、真姫ちゃんのためのトマト園。

母の愛をこれでもかと感じさせる光景、鮮烈な色味。赤!
赤色が穂乃果の目をいよいよ覚まし、穂乃果は私服、愛用のローブへと袖を通す。


537 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/24(木) 21:12:24 nP7.tCoI
ゆっくりと寝室から歩み出て、それほど長くない廊下を歩く。
邸宅は上質だがこぢんまりと。真姫ママが一人で住んでいる…否。
“存在を留めている”場所であり、お手伝いなどがいるわけでもなく、全てを自給自足でゆったりと過ごしているからには広すぎても狭すぎても良くないのだ。


穂乃果「おはよ〜」

真姫ママ「おはよう、穂乃果ちゃん」


リビングの扉を開き、最初に優しい笑みで迎えてくれたのは真姫ママだ。
流石はニシキノ王国の王妃だった女性、その笑みはいつ見ても慈しみと気高さとを両立させていて、母娘の年齢差を隔てた穂乃果であっても、思わず見惚れてしまうほどで。

そんな真姫ママは、いつの間にやら魔法のように。遅起きな穂乃果のために、食卓へととびきり上質な朝食を仕立ててくれている。

まず目に止まるのはホテルで出るようなフカフカぱりぱりのパン。クリームみたいに滑らかなバターが添えられていて、パン党の穂乃果からすればこれだけで垂涎ものの逸品だ。

けれどそれは序の口。
色鮮やかなフルーツサラダに、塩気のバランスが程よいスクランブルエッグ。
朝からでも肉っ気が欲しい穂乃果のために厚切りのベーコンも添えられていて、極め付けはかすかに湯気を上らせているクラムチャウダーだ。

ミネストローネと並ぶ真姫ママの得意料理であり、ミルクの優しい味わいの中に貝の旨味が濃厚に凝縮された…と、そこで眺めるのはやめ。もう我慢の限界だ!


穂乃果「いただきまーす!!」

真姫ママ「ふふ、慌てず食べてね」


538 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 21:15:27 2yXr5ka2
僕も穂乃果ちゃんとやんやんしたいです


539 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 21:17:37 K3fpvfao
飯食ったはずなのに腹減った


540 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/24(木) 21:19:04 nP7.tCoI
ぱくぱくむしゃむしゃと、穂乃果は食欲旺盛によく食べる。
パンを口に押し込み、卵を頬張り、サラダへとフォークを突き立てながら牛乳をゴクリ。
野菜を口に運んでパンをもう一口齧り、クラムチャウダーの皿を空にして一声。


穂乃果「おかわりください!」

にこ「アンタ、ほんと遠慮ってもんがないわね…」

穂乃果「どわあ!?にこちゃんいつの間に!」


突然のにこ。
隣の椅子に腰掛けていて、呆れた視線を穂乃果へと向けていて。
声の調子は小馬鹿にしたような…けれど、眼差しには穂乃果への親しみがたっぷりと込められている。
好意をあからさまにはしないよう心掛けているタイプ。だが、慣れ親しんでしまえば割にわかりやすい。

にこは体操かランニングでもしてきたのだろうか、トレーニングウェアに少しだけ汗ばんでいて、真姫ママお手製のアップルパイを幸せそうに頬張っている。
パクリと一口、「んん〜っ!!」と、これでもかと美味しそうに食べている…ので。
穂乃果は横からフォークを伸ばし、その一片を頂戴することにする。


穂乃果「一口もらいっ!」

にこ「どぅああっ!?アンタ自分の食事中でしょうが!!人のおやつに手ぇ出すんじゃないわよ!!」

穂乃果「うんま〜っ。穂乃果、食事中に甘いものを一緒に食べるのも割と好きなんだよね」

にこ「ふっざけんじゃないわよ!返しなさいアホ乃果!」

穂乃果「む…アホは酷いよ。それに、とっくに胃の中だよーっと」

にこ「ぎいいい…!!」


541 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/24(木) 21:20:16 nP7.tCoI
にこの手が穂乃果の頬を抓り、痛い痛いと顔をしかめ。
二人して、そんなやりとりを楽しんでいる。ここで過ごした時間の間に、王宮地下が初対面だった二人はすっかり仲良くなっている。

真姫ママはそんな二人のやり取りをテーブルの向かいから楽しげに眺め、パチンと指を一鳴らし。
たったそれだけで、穂乃果のクラムチャウダーは並々と注がれ直し、にこのアップルパイは穂乃果が齧った箇所を元通りに修復している。

穂乃果らが用いるマナを使役した魔術とは趣きのまるで異なる、おとぎ話の魔法のようで。
穂乃果とにこは諍いもそこそこに、美味しい食事の続きへと戻る。

そんな二人を背後から眺め、赤毛の毛先を指に絡ませクルクルと。


真姫「はぁ…二人して、バカみたい」

にこ「む、バカとは何よ!真姫!」

穂乃果「こんな短時間にアホとバカを両方言われるなんて!ひどいよ真姫ちゃん!」

真姫「ちょっ、ヴェェ…!二人とも顔が近…!」


ナチュラルにくさして反論を招き、接近されて顔を赤らめる。
あまりに華麗なチョロさのセルフコンボに、真姫ママは母として苦笑せざるを得ない。


542 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/24(木) 21:20:59 nP7.tCoI
真姫ママ「真姫ちゃんは穂乃果ちゃんとにこちゃんのことが大好きだものね」

真姫「ママ!?いっ、イミワカンナイ!!」

穂乃果「ふっふ、真姫ちゃんってば可愛いんだからさ〜」

にこ「あっれぇ〜?真姫ちゃんってそうなの〜?ま、にこにーの可愛さに惚れちゃうのも仕方ないけどぉ〜」

真姫ママ「二人のどっちかが男の子だったら、安心して真姫を任せられたのにね?」

真姫「ママ!あんまり変なことばっかり言わないで!」

真姫ママ「それとも…真姫ちゃんは女の子でも大丈夫なタイプなのかしら?ママは理解のある方だから、もしそうなら早めに教えてね?」

真姫「ヴェヴェェェ!!!」


穂乃果に抱きしめられ、にこにニヤニヤとした笑みを向けられ、母からはからかわれ。真姫の顔はもはやトマト同然に赤く染まっている。

信用のできる人間という存在をおよそ知らずに生きてきた真姫は、一度気を許した相手にはやたらめったらと弱い。
そんな真姫が長期間、信頼のおける二人と寝食を共にしたのだ。既に好感度は計測する意味のないほどにインフレしている。


543 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 21:26:52 gvi4kq1U
つまりすでにレズと・・・


544 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/24(木) 21:29:52 nP7.tCoI
三人がここで過ごした日数は…何日だろうか。
実のところ、三人の誰もが把握していない。

なんでもあるこの家の中に、ないものが二つ。時計とカレンダーだ。

ここへ来て二日目…
あくまで体感でだが、おそらく二日目くらいの頃。
何故その二つがないのかと尋ねたのはにこ。
穂乃果は物珍しい諸々や美味しい食事にすっかり気を取られていて、真姫は死別した大好きな母との再会にボロボロと涙を流し、二日目になっても母に抱きついたままで。

唯一冷静、三人組の中で一番の年上らしい面を見せ、にこが真姫ママへと尋ねたのだ。


にこ「時間に関係するもの二つ…それがないのはどうしてですか?」


真姫ママが答えて曰く。


真姫ママ「ここは現実と虚構の狭間、生と死の境目、世界の内側と外側のボーダーライン」

穂乃果「へ?」

真姫ママ「わかりにくいだろうけど…とにかく、そんな場所。とても残念だけど、時間という概念はないの」

にこ「ええ…?」

真姫ママ「ついでに言えば、私は幽霊よ」

真姫「ヴェッ…?」


545 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/24(木) 21:30:28 ZhpuIffk
その言葉に理解が及んだかといえばノー。
さらに噛み砕いて説明してもらったが、結果はあまり変わらない。
聡明な真姫でさえ、理解できたのはただ一点。
真姫ママは幽霊…らしいが、自分たち三人は死んでいない。
『世界火』の炎、噴き上がる溶岩に飲まれ、死後の世界へと追いやられた…のではない、らしい。ということだけだった。

けれど、ここに時間の概念がないという事実に関しては四日…
体感でだが、四日も過ごす頃には明白に理解できていた。

食べたいと思った時が食事の時間であり、起きたいと思った時が朝であり、そろそろ寝ようかなと考えると夜になるのだ。
そんな場所だから菜園には季節を問わずの花々や野菜が入り乱れていて、昼夜も曖昧。
唯一定まっているのは気温で、うららかな春の陽気が常に保たれている。

そんな空間に対するせめてもの抵抗か、にこは眠った回数を掌に油性ペンでメモしていたのだが、途中で曖昧になってやめた。

穂乃果が過ごした日数、真姫、にこと。
三人がそれぞれここで過ごした日数が同じなのかさえ、あまり定かではないのだ。

と、綴ればどこかホラーめいているが、しかし決して悪意や不吉、凶兆を感じさせる空間ではない。
あくまで真姫の母だけが暮らす空間で、優しさと慈愛に満ちている。
その感覚だけは、三人の中に共通の認識として存在していた。


546 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/24(木) 21:31:40 nP7.tCoI
他の場所…

花陽らは召喚獣たちとの契約を結び、
英玲奈らは闘技場で技量を高め、
ヒデコらは自らの力と向き合い、
ことりらは大敵と対峙し、動乱の最中にあり…

そんな中、穂乃果たち三人も、のほほんとだけ過ごしていたわけではない。

昼か夜か、今ひとつ曖昧だが…
おそらくは毎日、昼食後ほどの時刻。

穂乃果は魔術師の服装に袖を通し、真姫はフランベルジェを担ぎ上げ、にこは双銃をホルスターへと収め。
家から出て、三人並んで雲の大地を歩く。


穂乃果「触るとふわふわしてるけど、足場としてはしっかりしてるんだよねぇ」

真姫「なんだかメルヘンよね…ちょっと落ち着かないかも」

にこ「キュートなにこにーに馴染みすぎてて怖いっていうかぁ〜?もうエンジェルにしか見えないよねぇ〜?」

穂乃果「ねえねえ真姫ちゃん、あっちの遠〜くに見える赤いのってなんだろ?」

にこ「ちょーっと、無視すんじゃないわよ」

真姫「赤いの?んー…あれは、花?真っ赤な花に見えるけど」


547 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 21:34:43 GgXwXFsA
グゥレイトォ…


548 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/24(木) 21:40:17 nP7.tCoI
遥か遠方、地平線…いや雲平線とでも呼ぶべきなのだろうか。
距離があっても視認できるほどに、一面に赤が広がっている。
真姫が言った通りにそれは花で、「彼岸花じゃない?」とにこが口にする。

真姫ママの言う通りにここが現世と幽世の狭間ならば、きっとあそこが境界線なのかもしれないね、と。穂乃果はそれらしく内心に呟いてみる。


とりとめもなくフラフラと歩き、やがて三人は示し合わせたように同じ位置で足を止める。
何か目印があるわけでなく、話し合っていたわけでもなく。
三人が共通して、この場所が訓練にはちょうどいいかな?と感じ、一致している場所。

すると目の前にはいつの間にか真姫ママが。
幽閉のように、いや、本当に幽霊なのだという。
そんな彼女は優しく微笑んで、口を開く。


真姫ママ≪それじゃ、始めるわね?≫

穂乃果「今日こそ勝つ…!」

にこ「怪盗スマイル様が、そうそう何度も何度も負け続けてられないっての!」

真姫「ママ…ううん、桜龍モルドレッド!勝負よ!!」


549 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/24(木) 21:45:07 nP7.tCoI
真姫ママが静かに目を閉じ…

その体、皮膚が一瞬にして乾いた質感へと変貌し、そして髪の端々に至るまで、神気と生命力が漲る!
膨張する、体細胞が別の組織へと変性し、しなやかに力強く!

茨、樹木、花弁に茎、芝草が繁茂し、若木が長い歳月を経て大樹の幹を為すように。

母の体が植物をベースとして織り成された、艶やかで華やかな巨龍へと変貌する。
それを目の当たりに、真姫は炎を燃え盛らせる大剣の柄を強く強く握り締める。

四脚のはっきりとした、巨大なトカゲに翼をつけたタイプの龍ではない。
どちらかといえば長い形状の体に、目立たぬ手足が付随しているタイプ。

けれど、そんな例え方は無粋だと思わせるほどに麗しく、鮮やかな緑に極彩色の花々をあしらった姿は艶さえ感じさせ…

背に、大樹の幹から伸ばされる枝が如く、瀟洒かつ威厳ある翼が広げられ、そして桜色のマナが翼一面に展開される。
それは満開の桜が咲き乱れるように、広がり、美しくも威圧的に!


にこ「……何度見ても綺麗ね、モルドレッドは」

穂乃果「村の近くにおっきくて綺麗で、大好きな桜の木があったんだ。けど…何倍も凄いや」

真姫「やっぱり私のママは世界ナンバーワンね」


550 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 21:45:18 ON4UjJF6
ふとんがふっとんだ!


551 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/24(木) 21:46:37 nP7.tCoI
鮮やかな薄紅、桜の色というのは古今、人々を魅了してやまない。
それは年にほんの短い季節に限られた、風物詩だからこそ。儚さゆえの美しさ。

そんな意見もあるが、眼前の龍はどうだ!

十二卿龍モルドレッド。
四季を問わず、決して散ることのない永劫の桜。
迸るマナの魔性を差し引いても、諸人を魅了してしまうだけの美麗を有している!

挑むのは何度目だろう?
確か、両手の指折りで数えられるだけの回数は既に経た。
とうに30、いや、もっと戦ったかもしれない。はっきりとしているのは、その挑戦の全てにおいて、穂乃果たち三人は一蹴されてしまっているという事実だけ。


穂乃果「植物なら火には弱いはずだよねっ!真姫ちゃん!」

真姫「その台詞何度目?わかってるわ!」

穂乃果『鴉火ぃ!!』

真姫『炎閃っ!!』


552 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/24(木) 21:47:51 nP7.tCoI
植物は火に弱い。と、穂乃果らしい至極単純な思考。
実際にはユーカリなど、火に強い植物も多数存在しているのだが、しかし目論見通り。
黒煙を伴う高速の火弾が先んじて着弾し、ごくわずかに生じた隙を逃さず。
真姫の断ち切る炎が枝葉を裁って炎を残す!

穂乃果と真姫が連続して放った炎は一定のダメージを与えることに成功し、そこへ!


にこ『ラぁブにこストームゥ!!!』


小柄と身軽を活かし、いつの間にか龍の懐へと入り込んでいた!
気合いが入っているのだろうか?
やたらに抑揚を強調しつつ、スキル名を言い放ったにこは、傍目にはデタラメにさえ見える高速の手捌きで、二丁拳銃の弾丸を発破四散と撃ち放つ!!

真姫ママ、モルドレッドの体へと無属性のマナで螺旋回転を強化した弾丸が無数叩き込まれ、樹木の体へしっかりとした損壊を刻み込む!!

と、大体この辺までは安定しているのだ。

だが…


真姫ママ≪翡翠の隷属≫


にこ「き、来たっ!避けなさいアンタたち!!」

真姫「う゛ぇええ!!」

穂乃果「そんな簡単に避けられるもんじゃ…わぎゃっ?!捕まったぁ!」

にこ「ぬぁぁああにやってんのよ!?火力馬鹿のアンタは一番捕まっちゃいけないのに!!」


553 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 21:50:12 ON4UjJF6
この辺が普段ならコンマ判定か


554 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/24(木) 21:52:15 nP7.tCoI
触手のように四方から伸ばされた蔦に、今日は穂乃果が囚われてしまう。
そして翡翠色に光る蔦は、捕らえた者の体を自在に操る魔力を有していて…!


穂乃果「にこちゃん避けてえええ!『亜空灼火法』!!!」

にこ「避けてって言われて避けられるモンじゃ…!に゛ごぉ゛ぉ゛ぉぉぉ!!!!」

真姫「にっ、にこちゃあああん!!!!」


にこが収束から爆縮する火炎の渦に飲まれて倒れる横、まともな戦力として唯一残された真姫は母の変異体であるモルドレッドと向き合い、ヤケクソに大剣を掲げて突進!!


真姫「てやあああああっっ!!!」

真姫ママ≪真紅の桜火≫


翼に張り巡らされたマナが桜色からより色濃く。
ルビーさながらの紅へと彩りを変え、どこか非現実、幻想的な陽光に照らされながら、一斉に散り…

桜吹雪のように!!


真姫「ヴェェ…」


555 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/24(木) 21:54:13 nP7.tCoI
嵐と吹き荒れ、散る紅桜の一片一片が高密度のマナの結晶体。
触れれば、炸裂して破壊をもたらす!!!
たちまちのうち、戦場一帯は絨毯爆撃を受けたかのように壊滅的な有様に。

穂乃果は蔦に囚われたまま爆撃を受けて白目を剥いていて、にこは黒焦げで伸びている。
真姫はしゃがみこんで全身をズタボロに、小声で「ヴェェェ…」と悲鳴を上げていて…


真姫ママ「今日はここまでにしましょうね」


パチンと、やたら上手に指弾きを一つ。
三人の傷も衣服もすっかり元通りになっていて、まるで出来事の全ては夢幻であったのかと疑ってしまうほど。

けれど最後の大技、
『真紅の桜火』が穿った綿雲の地表は未だに凸凹と派手に抉れたままになっていて、その戦闘の全てが事実であったと理解するには十分だった。


真姫「ま、まるで勝てる気がしないんだけど…」


556 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 21:56:32 91KXx.0U
やり方変わっても楽しみなんは変わらないしガンガン続けてほしい


557 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 21:56:46 byRP9MVc
王様の過去も語られそうだな。昨日は生死の危機にあったわけだが


558 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 21:58:14 K3fpvfao
昨日死んでたら西木野王もここにいたのかな


559 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 21:59:02 wKbrFzGU
あのどうなるかわからない感がよかったんだけどな


560 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/24(木) 22:00:18 nP7.tCoI
おそらくは、その訓練と同日の夜。
真姫は夕食の時、ずっと気になっていた一つの質問を母へと投げ掛ける。


真姫「ねえママ」

真姫ママ「なぁに?真姫ちゃん」

真姫「ママは、あの愚かな男のどこが良くて結婚したの?」


穂乃果とにこは全くの同時、頬張っていたかぼちゃのキッシュをブフゥと吐き出しそうになる。
まさかそんな家庭のデリケートな問題を、穂乃果とにこがいる状態、それも楽しい憩いの夕食タイムにぶち込んでくるとは思ってもみなかったのだ。


穂乃果(に、にに、にこちゃん!)

にこ(お、落ち着きなさい穂乃果!)

穂乃果(穂乃果はこんな時、どういう顔をすればいいのかわからないよ?!)

にこ(と、とりあえず笑っときなさい!口角上げてラブにこスマイルで乗り切るのよ!)


食卓が重苦しいムードに包まれることを予見しての二人の動揺。
だが、真姫ママは三人それぞれの様子が可笑しかったのか、くすくすと笑って気安い調子で答えを返す。


真姫ママ「真姫ちゃんったら、おかしな子ね。仮にも王子の結婚相手よ。お見合いに決まってるじゃない」

真姫「あ…それもそうよね。ってことは!ママはあの男の事なんて好きでもなんでもなかったってこと?」


561 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/24(木) 22:09:25 nP7.tCoI
大好きな母と、唾棄すべき父。
二人の結婚が恋愛結婚でなく見合いであったことが、真姫はたまらなく嬉しいらしい。
滅多に見せない年相応に幼い笑顔で、母へと質問を続ける。

穂乃果とにこは緊張の面持ち、ラブにこスマイルなんて言葉はどこへやら。
俯き加減に、一気に味のしなくなった食事をモソモソと口へ詰め込んでいる。

二つ目の問いには真姫ママは少し考え込む。
真姫によく似た理知的な眼差しを瞬かせ、夫との様々な記憶に思いを馳せる。
そして、微笑を伴い顔を上げた。


真姫ママ「確かに、とっても癖のある人だけど…私は好きだったわよ」

真姫「はあ…?あんな極悪男のどこがいいの」

穂乃果(言うなぁ、真姫ちゃんってば)

にこ(ま、その点はにこも同感だけど)


562 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/24(木) 22:11:12 nP7.tCoI
母は柔らかい笑顔を真姫へ向け、ついでに内心を読み取っているかのように穂乃果とにこへも微笑みかけ。
目を閉じ、どう説明すればいいかしら…と考えを巡らせ…


真姫ママ「まず、家族想いなところかしらね」

真姫「………ママ、男を見る目がないのね」


呆れた調子で。
その声色にはほんのわずかではあるが、心の底から大好きな母への失望すら混じっている。
それはそうだろう。離反し、城から飛び出してもなお、真姫の心のどこかには父親への想いが残されていた。
だが、その想いは…真姫を龍皇の器としてしか見なしていなかったという最悪の形で裏切られたのだから。

けれど、母は言葉を続ける。
もちろん、王宮地下での出来事の一部始終を知った上で。


真姫ママ「あら、本当よ?あの人私にベタ惚れだったんだもの。
私が病に倒れた時なんて泣いて取り乱して、「お願いだから私を一人にするな!」なんて叫んでね?フフ…可哀想なことしちゃったな」


563 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 22:11:55 byRP9MVc
ハノケは人狼実験の事知らないしマイルドだな


564 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 22:12:32 YQTMoDwE
西木野王の好感度を上げるなよ!いいな!


565 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/24(木) 22:13:10 nP7.tCoI
穂乃果とにこは、あの西木野王が泣いて駄々をこねる光景を想像して思わず笑いそうになる。
その後に真姫ママが病没したわけで、笑い話ではないのだが、死んだ当人が軽い口調で語っているのだから軽い気分で聞いてしまうのも仕方がない。
しかし真姫は一人浮かない顔で、今度は母から娘へと問いが。


真姫ママ「真姫ちゃん。あの人を父親として、一言で例えるならどんな言葉がいいと思う?」

真姫「俗物…いや、愚物よ」


即答してみせる。
そこにはもはや、父への憎悪すら混じっている。
対して真姫ママ。


真姫ママ「私から見れば…そうね、“猛烈な親バカ”かしら」

穂乃果「えええ?」

にこ「お、親バカ?」

真姫「………バカ親の間違い?でなきゃ、冗談にしても笑えないわ。ママ」


穂乃果とにこが思わず静観の構えを崩して口を挟んでしまうほどに斜め角度からの回答。
そして、真姫の目には鋭い怒気。例え大好きな母であっても、アレを親バカと呼ぶなんてあまりに的外れで…

が、説明は続く。


566 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 22:14:21 vUSca.dc
テンポはやくてええな


567 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 22:15:42 S.DXGsOM
そもそも天使から人類守るために戦力集めてたやんな


568 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/24(木) 22:16:37 nP7.tCoI
真姫ママ「ねえ真姫ちゃん。どうしてお父さんは、自分の身にガウェインを宿したか…わかる?」

真姫「……力が欲しかったんでしょ?短絡的。反吐が出る」

真姫ママ「そうね。あの人は十二卿龍を身に入れても自我を失わない自信があった。そして実際に自我を保ってみせた」

真姫「……」

真姫ママ「それじゃどうして、あの人は龍皇アークトゥルスを自分の身に入れようとしなかったのかしら?」

真姫「……十二卿龍には耐えられても、龍皇のマナには耐えられる自信はなかったんでしょ」

真姫ママ「本当にそう思うかしら?」

真姫「……」(思わない。あの傲慢男が自分の力を疑う?そんなイメージ想像もつかない)

真姫ママ「天使が人類を滅ぼそうとしている。そんな状況で、生き残る可能性が一番高いのは…」

真姫「……やめて」


聡明な真姫は、この時点で母が言わんとしている事の概ねに気付く。
天使に滅ぼされる世界の中、娘に生き残って欲しくて龍皇アークトゥルスのマナを残したと?


569 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/24(木) 22:19:11 nP7.tCoI
真姫「…馬鹿げてるわ。いくら強くなろうが生き残ろうが、私自身の人格が消え去ったんじゃ意味がないじゃない」

真姫ママ「あの人は頭でっかちでね。なんでも思い込みで考える癖がある。
自分がやってみせたみたいに、真姫なら龍皇の自我に負けるはずがないと本気で信じているのよ」

真姫「………なにそれ…意味、わかんない」


いつもなら若干雑に言い放つお決まりの口癖。けれど今は、本気で困惑している。
言われてみれば、得心のいく点が多い。
人心の機微がまるでわからない父王だが、それでも龍皇として利用しようと考えている娘に対して“器”と言い放つ必要があるだろうか?
いや、いくら人として愚かであれ、頭脳は明晰な王だ。
あの場面で悪言を口にする理由は何もない。

では、何故“器”と口にしたのか。

答えは単純、その言葉に悪辣な意図を込めていないから。
悪意を込めた言葉として言い放っていないから。
龍皇でさえ当然の如く受け入れるだけの器量が娘にはあると確信していたから。

王自身が自らを器としたままに自身を保っていて、ならば手塩にかけて育てた娘、自分を上回る傑物だと信じている娘が龍皇の精神に負ける道理などないと、完全なる確信を有していたからこそだ。


570 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 22:20:13 91KXx.0U
テンポ早いしのびのび書けて負担も少ないだろね


571 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/24(木) 22:20:24 nP7.tCoI
ならば…
王が真姫へと向けた行動を単純化したとして。

滅びに向かう世界の中。
万事に優先してでも、“愛娘に世界にただ一つの、生存のための最高の力を与えたかった”

それはつまり“猛烈な親バカ”ということで、そして母の言が正しいことは、真姫が最後に見た父の姿が物語っている。

奈落へと穂乃果を追い、飛び込んだ瞬間、父と視線が交錯した。
その瞳は驚きと焦りに見開かれていて、反射的に届くはずもない手を差し伸べようと片腕を動かしていて…

見たのはそこまで。
何かの見間違いだろうと思っていた。けれどとっさの瞬間に人間の真実は現れる。
顔と動作に浮かべられていた娘を心配するその姿は、一つの重要な事実を真姫へと教えてくれる。


真姫「私は…ちゃんと、愛されてたのね」

真姫ママ「そう。彼を庇うつもりはないけれど…あなたのために、それだけは知っていて欲しかった」


572 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/24(木) 22:25:06 nP7.tCoI
母の導きで初めて父の意図を理解して、真姫の心を覆い続けていた暗雲が晴れる。
愛されていたか、いなかったか。
思春期の子供にとっては世界の色彩さえ左右するほどの違いだ。

悪意に満ちた先入観を払ってみれば、父の行動は悪辣で強引ながらも全て人類のため…
少なくとも、本人は人類のためと思ってやっていること。

だが…手段を選ばず、多くを殺めすぎているのもまた事実。

様々な認識を改め、真姫の心の晴天は新たな決意を呼び覚ます。


真姫「だけど、全部ママの言う通りだったとして、私の思っていたような“最低の父親”ではなかったとして。
それでもあの人は…パパは、許されないことをたくさんしすぎてる。龍皇教団、人狼の村…英玲奈のこともそう」

真姫ママ「そうね。あの人は数多く、取り返しのつかないことをしてしまった。そして今も不幸を振りまき続けている」

真姫「……なら、誰かが罰さなきゃいけない、止めなきゃいけない。それはきっと、娘である私の役目ね」

にこ「真姫ちゃん…」

穂乃果(………止める、か)


573 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 22:25:08 byRP9MVc
本来ならここで家族会議する予定だったのかな


574 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/24(木) 22:25:58 nP7.tCoI
穂乃果は真姫の心の動きを見逃さない。

心の曇天が晴れると共に、真姫が父へと抱いていた怒りと、昏く小さな殺意。
それが消えて失せ、「止める」という明確で強く…優しい目標へと切り替わったのを認識している。

殺意の感知能力は未だに健在。
ツバサの奮闘で表から裏へと追いやられたが、龍皇アークトゥルスは穂乃果の中に今も潜んでいるのだ。
そして穂乃果は…大切な仲間たちへと危機と災厄を振りまく西木野王に、鋭牙の如く殺意を研ぎ澄ます。


穂乃果(止める、それじゃ駄目だよ真姫ちゃん。西木野王、あの人だけは…絶対に殺さなきゃ)


そんな穂乃果へと、真姫の母は優しい目を向けている。
顔を上げ、ふと視線が合い。
この優しい人の夫を殺そうとしているという事実を認識して、気まずさを覚え。


穂乃果(それでも、穂乃果は…)


575 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 22:29:02 ON4UjJF6
空気のマナをあやつるにこっち


576 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/24(木) 22:31:50 nP7.tCoI
やがて、この曖昧な空間にも一日の区切りが訪れる。
なんとなく眠ろうかな、と三人が考え始める頃合いだ。

穂乃果とにこはあくび交じりに寝室へと足を向け、真姫は母の頬におやすみのキスをしてから一足遅れて寝室へ。

パジャマに各々着替え、穂乃果たちは一つの寝室に、ベッドを並べて眠っている。

最初の頃は三台のベッドが、ホテルのように離れた位置で置いてあった。

だが、穂乃果はそれを良しとしない。

あくまで無意識に、天然に。女たらしの気を持つ穂乃果は真姫とにこの二人を新たなターゲットと見定め、そして二人が存外押しに弱いことをすぐさま看破し、強引に三台のベッドがぴったりと隣り合うように家具を配置換えしてしまった。


真姫「イミワカンナイ!」

にこ「ぬぁによ!これは!」

穂乃果「いいからいいから〜。穂乃果が真ん中ね!そして二人を両腕で抱きしめる!」

にこ「ギャッ!?苦しいんだけど!」

真姫「ほ、穂乃果、顔が近…!」


577 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 22:42:14 YQTMoDwE
チョロ…


578 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/24(木) 22:50:22 nP7.tCoI
結局。にこは賑やかな孤児院から離れて長く、ちょうどホームシック気味のところを穂乃果の温もりに押し切られ。
真姫は当然のように、穂乃果が適当にベタベタとスキンシップを取るだけで、やたらめったらと好感度を上げてしまう。

二人がベッドを並べることに異を唱えなくなるまで、およそ三日と要さなかった。


穂乃果「真姫ちゃぁ〜んにこちゅぁ〜ん」

にこ「毎日毎日くっついてきて…暑苦しいわね」

真姫「そう言ってもにこちゃん、全然嫌そうに見えないけど?」

にこ「なによ、生意気な…穂乃果、真姫をくすぐるわよ!」

穂乃果「オッケー!」

真姫「ひゃ!やめ、ふぁあ!!」


穂乃果とにこから全身をくすぐられ、しつこく笑わされ続け、やがて調子に乗った穂乃果の指先が敏感な部位にヒットし、真姫が艶っぽい一声を漏らし。


穂乃果「おっ」

真姫「死になさい!!!」


真姫はサイドボードに置いていたハードカバーの分厚い本で穂乃果の頭を殴打し、そこで穂乃果は強制就寝。
にこは危機を感じて一足先に睡眠へと避難していて、怒りの矛先の向けどころを失した真姫が憮然としたまま布団を被った。

やがて、寝息が並び…

にこは眠っていない。
照明の落ちた室内で、穂乃果と真姫。年下二人の寝顔を眺めている。

希たちと旅していた頃にも和を取り持つ潤滑油めいた働きを見せていたにこは、穂乃果と真姫の深層、表面化までに時間がかかるだろう対立を察知している。

王を止めるか、殺すか。その二択。


にこ(穂乃果は…まだわからない。明るくていいやつだけど、龍皇だかの力はまだ体の中に…)


そして真姫。
真姫の中では父への感情が揺らいでいる。
拒絶から許容へ。いざ父が死に臨すれば、助けようと動いてしまうのではないか。

そうなれば二人の対決は免れない。

穂乃果と真姫の寝顔を見つめながら、にこは…どうにかその未来図を回避できないかと、思索をひたすらに巡らせ…

やがて、眠りに落ちていた。


579 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/24(木) 22:51:44 nP7.tCoI
昨日遅かった分かなり寝不足だから今日はここまでで
こんな感じのペースで話進めてくからよろしくね


580 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 22:53:23 /dN2U2B2
おつー


581 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 22:54:12 XZIZSeyY
おつ こんな感じで進めてくれて全然構わない


582 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 22:54:47 K3fpvfao
おつおつ
今までと変わらず面白いので問題ないです


583 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 22:54:57 S.DXGsOM
おつかれさま〜
コンマ無いとちょっと寂しいけど、平和でいいね


584 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 22:56:53 KYSUg5JA
おつです

今日の話特に好きだわ
チョロってしまった…//��


585 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 23:00:43 YQTMoDwE
乙!
にこちゃんも海未っぽい存在なんやなぁ


586 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 23:08:29 xLSDacz2
いいねいいね
テンポよく進むのも楽しいわ


587 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 23:16:30 KS39BJs.
スキル、ステータス習得関連も自動なんだろうか?


588 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 23:50:23 0li3evNY
にこちゃんも基本的には真面目だし


589 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/24(木) 23:58:18 JtwLa/U6
おつおつ


590 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/25(金) 00:11:24 e326to6s
これはこれで>>1がのびのび書いてる感があって楽しい乙


591 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/25(金) 00:35:17 Fkb5xASk
おつ
この穂乃果やっぱり好きだわ


592 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/25(金) 01:36:10 8S0JN3r.
おつ
体調には気を付けて


593 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/25(金) 02:40:02 rUvGOZHA
最後まで貫けよ


594 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/25(金) 02:40:55 Jows0ddc
村の現状は海未パートに組まれるのかな


595 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/25(金) 03:09:54 AVvaoF9U
メリークリスマ乙


596 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/25(金) 06:43:54 qlS72PdM
コンマ無しは寂しいけど読みやすいです。
穂乃果はちゃんとレズになるのだろうか


597 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/25(金) 10:29:30 /XYPlk2g
真姫ちゃんは王宮にいれば殺される、出所不明な万能薬とか王様が足下救われそうな要素が満載なんだよな


598 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/25(金) 12:33:29 SHCwZz3Q
こういう犠牲が出る展開泣いてしまう


599 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/25(金) 12:53:32 sqYk0MAw
コレ、事の初めにのんたんが「王宮に居たら真姫ちゃん殺される」って心配して人攫いしたんだけど
西木野王は「まきちゃん最強!死ぬわけない!」って自信満々やったんだろうね(´・ω・`)


600 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/25(金) 14:08:47 tiGVv1oc
楽しく書いてるのを楽しく読むだけだ。
毎日の楽しみになってるから是非やりやすいやり方で頑張ってほしいな


601 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/25(金) 19:21:34 ZBIKesog
>>1

外野なんてほっときましょ


602 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/25(金) 20:36:36 YRXhWsPE
真姫の母の邸宅には幾つかの部屋がある。
一つはリビング、一つは母の自室で、一つは穂乃果たちが寝泊まりしている寝室。

さらにもう一つ、王宮にあるのと同じ型のグランドピアノが置かれた部屋が。
それは自身の死により永別した愛娘との思い出を留めるための部屋であり、そして今、真姫の演奏が部屋へ、家全体へ、隣で聴いてくれている母へと奏でられている。

白黒を指が走り、リズミカルに跳ね、力強く叩いては楽しげに髪を揺らす。
もう一度聴いてほしい。心からそう願っていた母が、傍で微笑んでくれている。
かつて王宮で、悲しみを紛らわすように、悲しみを深めながら、目を伏せて弾いていた姿とは真逆。

純粋に、演奏を楽しむ!

ねえ見てママ、こんなに上手に弾けるようになったのよ?
弾きながら歌だって歌えちゃうんだから!
上手かな?褒めて…褒めてママ!大好き!

全身で音と踊るように、培った技巧と表現力の全てを母へと披露する。
一曲ごとに母から送られる拍手と喝采に満面の笑みで返し、その姿は幼い子供が母から褒められようと頑張っている様に同一だ。

受け足りなかった母の愛を取り戻す機会、一欠片と取りこぼさないように。
いつもの大人びた表情を脱ぎ捨て、すっかりと子供返りした様子は微笑ましく、少しだけ物悲しい。


603 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/25(金) 20:41:32 YRXhWsPE
二十曲、三十曲…いや、もっと披露しただろうか。
観客はたった一人。けれど充実のリサイタルを終え、ようやく真姫は満足した様子。心地よい疲労に息を吐く。

母からの賞賛をくすぐったそうに聞き、ふと尋ねる。


真姫「ねえママ、ママは本当に死んでるの?」

真姫ママ「ええ、そうよ。あなたが小さかった頃に…寂しい思いをさせてごめんね」

真姫「ううん…いいの。もちろん寂しかったけど、こうしてもう一度ピアノを聴いてもらう…その夢は、今叶ってるから」


そこで真姫は一度言葉を切り、少し考える。
この曖昧で漠然とした空間について、気になっていることはごまんとある。
だが、整然とした思考を好む真姫は長々と質問を続けることも好まない。ので、簡潔に。


真姫「ママは死んでいるのに、どうやって私を助けてくれたの?今回もだし、王宮から逃げ出そうとした時も」

真姫ママ「私が死んでしまう少し前…心残りは何かしらって考えて、それはやっぱり、あの人とあなたのことだったの」

真姫「パパと私…」


604 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/25(金) 20:47:29 YRXhWsPE
真姫は父を再び、“あの男”ではなくパパと呼ぶようになっている。

考えてみれば、母を失ってから今まで、父は再婚をしていない。
ならば、きっと母を愛していたという話は本当なのだろう。
そして妻を愛せる人なら、愛という感情を知っている人であるなら、歪な形とはいえ、きっと娘である私のことも愛してくれていたのだろう。
そう、自分なりの解釈を得ていた。

その様子に母は少しだけ目を細め、言葉を続ける。


真姫ママ「けど、あの人はもう大人。私がいなくなっても自分でしっかりしてもらわないと。だから、一番の心残りはやっぱり真姫ちゃんだったの」

真姫「…うん」

真姫ママ「だから…残っていたわずかな命の全て。十二卿龍としてのマナも血も、全てを燃やして、あなたに魔法を掛けたの」

真姫「魔法って?」

真姫ママ「あなたの本当のピンチに現れて、助けてあげられる魔法よ」

真姫「ヴェッ…そ、そんな魔術があるの?魔術書とかでも読んだことないけど…」

真姫ママ「ふふ、母の愛は魔術よりも強いのよ?真姫ちゃんがお母さんになる時が来たら、きっとわかるわ」

真姫「うーん…」


605 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/25(金) 20:54:45 YRXhWsPE
わかったような、わからないような。
けれど助けられたのは事実で、言われてみれば今までずっと…
母のマナがそばにいてくれたような、そんな気もする。
そして、最後の質問を。


真姫「私は、いつまでここにいられるの?」

真姫ママ「強くなるまで。私に勝てるようになるまで、かしら」


そう言って、茶目っ気たっぷりの笑顔を見せてくる。
母がたまに見せるその表情は、幼い頃から大好きだった。
母に、モルドレッドに勝つと、ここから離れなくてはいけなくなる?

そうすれば、もう二度と…

真姫の中には一つの確信があった。助けてもらえるのは今回が最後。
今まで真姫に寄り添ってくれていた母のマナを、今は感じなくなっている。

それはこの空間にいるためとかではなく、真姫を大きな危機から救い、残されていた母の力はきっと尽きたのだ。
つまり、ここから去る時が大好きな母との二度目にして永遠の別れで…


真姫(嫌…ずっとここにいたい)


その言葉だけは辛うじて飲み込み、もう一度演奏へと没頭するのだった。


606 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/25(金) 20:57:37 YRXhWsPE
穂乃果とにこは外にいる。
母子が水入らずで過ごせるよう、適当にぶらぶらと散歩をして時間を潰しているのだ。

幸い、非現実的かつメルヘン気味な光景は二人を飽きさせない。
燦々と降り注ぐ柔らかな陽射しを浴びながら、畑の隅に生えていた野いちごをちぎって口へ運ぶ。

小鳥がさえずっていて、小川のせせらぎも聞こえていて、二人は雲の上へと背を預けて仰向けに横たわる。


穂乃果「うあ〜ふかふか…ベッドも最高だけど、これはこれでいくらでも眠れちゃうね」

にこ「あんまり長居すると風邪引くわよ。…けど、菌とかいなさそうね。ここ」


にこの想像通り、この空間はさながら無菌室めいている。
現世の憂いを全て捨て去ったような楽園で、生者としての役目、自らの運命を終えた人が安らぎを得るにはおよそ理想的な場所だ。

けれど、穂乃果とにこの二人はまだ今を生きている。
やるべきことも、たくさんの気がかりも残されている。

曖昧な時の流れはにこの心配を呼び起こしたようで、穂乃果はそれを察する。


607 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/25(金) 21:02:16 YRXhWsPE
穂乃果「にこちゃん。お母さんたちの事が気になってるんだね」

にこ「……そりゃあ、ね」


あの日、王宮の地下。
真姫を失ったと誤解し、フミコとミカの突然の離反から思わぬ反撃に遭い、自棄と憤怒に王が放った『世界火』の術式。
穂乃果たちは落下して以降の一連の流れを知らないが、湧き上がったマグマが王都に被害を及ぼす規模のものだったという認識はある。

また、にこは教団が引き起こした混乱に荒れる王都の様子も見ている。
そこへマグマの噴火が重なり… 母を信じてはいるが、孤児院の子供たちもいる。心配が募るのも無理はない。


にこ「……アンタは?オトノキ村は大丈夫なのかしら」

穂乃果「オトノキ?うーん、ド田舎だし大丈夫じゃないかなぁ」

にこ「ご両親、強いんだっけ?」

穂乃果「うん、お父さんもお母さんも、穂乃果よりよっぽど強いよ。だからあんまり心配してないかな」

にこ「ふぅん。親に歴史あり、ってとこね」


だけど。
いくら強くたって、龍だの天使だの…何があるかはわからない。

にこはそんな言葉を口に出しかけて、飲み込む。いたずらに仲間の不安を煽る必要もないだろう。


608 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/25(金) 21:06:42 /LcvDjiw
それぞれの親の事思うと泣けてきた(´;ω;`)


609 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/25(金) 21:09:28 YRXhWsPE
そこで会話が途切れ。おもむろに…
勢いよく!

穂乃果はゴロゴロと横に転がり、にこへと体当たりを敢行する!
不意打ちに「ぐへぇ!」と呻き、にこは一旦距離を置こうと逆へ転がっていく。


穂乃果「待て!」

にこ「なんで追ってくんのよ!」

穂乃果「逃げるからだよー」

にこ「そもそもなんで体当たりしてきたのよ!?」

穂乃果「にこちゃんって抱き心地いいし、ついつい」

にこ「抱き心地って…年上をナチュラルに舐めくさってるわね」

穂乃果「舐めてなんかないよ?穂乃果、にこちゃんのこと本気で好きだし」

にこ「なっ…、あのねえ穂乃果。アンタそういう言い回しには気をつけないと、あらぬ誤解を招くわよ」

穂乃果「誤解じゃないよ?」

にこ「は?」

穂乃果「穂乃果はにこちゃんのことが大好き」

にこ「え。ちょっ、待っ…」


唐突な真顔。飾らない愛情表現。
ひねくれ者かつ分別のあるにこには、逃げの余地を残さないこれが最も刺さる。
とはいえ、穂乃果のこれは天性のセンス。プラス、後天的に得たジゴロの気。誰にでも真似できるものではない。

完全に怯んでしまったにこへ、穂乃果は狩人の目で迫る。
じり、じりと距離を詰め…


穂乃果「にこちゃん!!」

にこ「お、落ち着きなさい穂乃果!!」


動揺のままに逃げるにこ!!
飢えた瞳で追う穂乃果!!

そんな調子でじゃれ合っているうちに時間は過ぎ、やがて真姫も家から出てきた。
バタバタと走り回る二人へと呆れ気味の視線を向け、手にはフランベルジェ。

今日も真姫ママへ、挑戦の時間がやってくる。


610 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/25(金) 21:20:44 bvHGTEnk
戦闘開始からおよそ10分は経たない頃。

雲の大地に薔薇と茨が蔓延り、穂乃果、真姫、にこの四肢を絡め取っている。
三人はすっかり目を回していて、もう反撃は望めそうもない。
真姫ママ、モルドレッドはその樹木の巨体に小首を傾げるような仕草を見せ、逆かさ宙吊りになった穂乃果たちを地面へと下ろして人へと戻った。


真姫ママ「今日はここまでね」

穂乃果「うぐ…また負けたぁ〜」

にこ「ぐぬぬ…!ちょっといいセン行ってたのに…!」


結果は変わらず敗北。
だが、戦闘の内容は若干の進歩を見せていた。
今まで火力役としか捉えていなかった穂乃果を待機させ、『火球』や『鴉火』で伸ばされる蔦を焼き払い、大技には『焔』をぶつけることで相殺を。
守備的な役割を担わせることで、戦線を崩されるのを防いだのだ。

そしてにこと真姫が攻撃役を担い…


真姫「………」

にこ「真姫、動きが鈍かったけど。体調でも悪いの?」

真姫「別に、そんなことないわ」


611 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/25(金) 21:21:36 bvHGTEnk
真姫は顔を背ける。
くるりくるりと毛先を弄り、そっけない返しはいつもの通り。
…の、ように見えるのだが、長期間を共に過ごしているにこは真姫の様子がおかしいことに気付いている。

穂乃果が守備をこなし、にこが弾丸を乱撃。
そして真姫が決定打を叩き込む役割、その手筈だった。
だが、攻撃タイミングのズレから真姫の『炎閃』は空を切ってしまう。
そこから戦況は一変。怒涛の反撃を受け、穂乃果の防御が徐々に間に合わなくなり、じわじわと押され、その結果が敗北。

もちろん相手は絶対強者たる十二卿龍。
真姫の攻撃が決まっていれば必ず勝てていたと、そう簡単な話ではない。

だが、にこには…
真姫がわざと攻撃を外したように、負けを望んだように見えたのだ。
察しの良いにこは、その理由にも思い至っている。

この世界の端、視界の彼方に見える彼岸花の境界線。
その先には光が見えていて、それはきっと此岸。現世。
生者である三人はモルドレッドに勝てるだけの力を手にし、いずれ此岸へと帰らなければならないのが道理。

けれどそれは真姫にとって、彼岸の住人である母との別れを意味している。


612 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/25(金) 21:25:29 bvHGTEnk
にこ「……真姫、私の目を見なさい」

真姫「……」

にこ「目を見なさいって言ってるの!」

穂乃果「に、にこちゃん。まぁまぁ、調子の悪い時は誰だってあるよ〜」


猛然と、にこが真姫へ食ってかかる。
胸倉を掴みあげる剣幕だが、穂乃果が間に入って二人を引き剥がしつつとりなす。

慌て気味の笑顔を浮かべる穂乃果を挟み、にこは睨み、真姫は目を反らし。

そんな諍いを静観しつつ、真姫ママはあくまで微笑。大人の余裕を浮かべている。

三人の修行が最後の段階へと移行したことを理解し…

愛する娘との永遠の別れに、心を備える。


613 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/25(金) 21:35:30 bvHGTEnk
食卓を挟み、にこは笑顔の真姫ママと向き合っている。

卓上にはクッキーやチョコレート、プレッツェルにケーキ、程よい塩気のポテトスナックなどなど、にこがこよなく愛するお菓子の盛り合わせ。
甘いジュースや口をリセットするための紅茶も並べてあって至れり尽くせりだ。

にこはゴクリと生唾を飲み、しかし手を出さずに動きを止めている。
ついさっき真姫と険悪になったところを見せた手前、その母親と二人きりというのは気まずさを感じてしまうのだ。

だが、真姫ママはまるで気にしていない様子。
にこが菓子に手をつけないのを不思議そうに、「他に食べたいものがあれば言ってね?」と気品ある笑顔で訪ねてくる。


にこ「あの…にこと二人で話をって、どういう?」

真姫ママ「ふふ、たまにはいいでしょ?」

にこ「や、全然いいですけど…」


そう、今はにこと真姫ママの二人きり。
「ちょっとにこちゃんとお話ししてくるわね?」
と真姫ママが告げ、穂乃果と真姫は寝室で時間を潰している。


614 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/25(金) 21:40:22 bvHGTEnk
真姫ママ「うふふ、遠慮せずにどうぞ?」


ふわりと華が咲き誇るような笑顔に促され、にこはおずおずとクッキーを口へ運ぶ。
上質で芳醇なバターの香りが口に広がり…


にこ「んうぅぅ…っ!」

真姫ママ(本当に美味しそうに食べてくれるわね)


にこは菓子に目がない。

それは元々の嗜好も勿論のこと、実の妹が二人、弟が一人、さらに年下の孤児たちに囲まれて育った環境も影響している。
大人数に対しておやつの量は限られていて、面倒見の良いにこは下の子たちを優先して自分は我慢する。

怪盗として自力で稼ぎ始めてからは多少の買い食いもするようにはなったが、それでも基本的には家に稼ぎを入れることを優先していた。
そのため、元々よりも菓子好きは高じている。

だがここに来てからというもの、真姫ママはそれぞれの好物を好きなだけ食べさせてくれる。
しかも、諸々の概念が曖昧なこの場所では体調を崩すこともないし太ることもない。
それはつまり栄養バランスを気にする必要がないということで、好きなものを好きなだけ食べて構わないということなのだ。

にこは毎日のように菓子を存分に味わい、穂乃果は気の赴くままにパンを食べ、真姫は母の手料理とトマト料理を楽しんでいる。

と、そんな調子。
にこは菓子を頬張るうちにすっかり緊張を解いていて、そこを見計らって真姫ママは本題へと入る。


真姫ママ「にこちゃん、いつも真姫のことを気にかけてくれていてありがとう」

にこ「…いえ、にこは……あの、お話ってのは?」

真姫ママ「ええ。あなたが抱えてる悩みの相談に乗ってあげられたら、と思って」

にこ「え…っ」


615 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/25(金) 21:48:52 bvHGTEnk
にこは王妃の慧眼に驚かされ、思わず返答に窮する。
真姫ママの言う通りに、にこは悩みの最中にいた。
それは現世の母や家族のことではない。心配ではあるが悩みとは別。


にこ「にこの悩みは…」

真姫ママ「戦い方、よね?」


どうやら完全に見透かされているらしい。
確かに、数十戦もの回数、敵としてにこの姿を見続けてきているのだ。その思考や悩みもわかるものなのかもしれない。

にこはホルスターから二丁拳銃を、さらに腕に装着したチェーン射出装置を取り外し、共に机の上へと置いた。


にこ「さっき、真姫ちゃんと喧嘩をしちゃったの…見てましたよね」

真姫ママ「ええ、あの子も今悩んでる。にこちゃんが叱ったのは間違いじゃないわ」


しかし、にこは首を振る。


にこ「にこは、私は…自分に苛立ってて、八つ当たりしちゃったんだと思います」

真姫ママ「……成長が頭打ち」

にこ「っ、全部お見通し…ってわけですか?」


616 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/25(金) 21:51:03 Up0hMqbE
71cm…


617 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/25(金) 21:52:05 /XYPlk2g
怪盗って戦闘が本職じゃないしな


618 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/25(金) 21:52:07 vQgO77mM
やめてさしあげろ


619 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/25(金) 21:57:03 bvHGTEnk
唇を噛む。

にこの悩みは自身の能力不足。
そして…自身に伸び代を見出せずにいる現状。
仲間たちの多くは特殊な血統だったり、奇妙な力を身に宿していたりと強さに深みを有している。
が、にこはあくまで並の人間。
母は強者たる伝説の傭兵だが、あくまで兵器の扱いに長けていて生存能力が高いという存在。
その才覚はマナのように明確に血で受け継がれるものではない。

さらに、にこの有する無属性のマナは汎用性こそあるが強くはない。
様々存在するマナの属性の中で、ハズレと言ってしまっても過言ではないものだ。

射撃技術を磨き、体を鍛え、体術も会得し、恵まれぬマナで弾丸の螺旋回転を強めて威力強化を図り、チェーンをマナで制動して三次元戦闘を可能とした。

だが、銃の威力には限界がある。
小さな体躯で今以上の運動性能を手にすることも難しい。
マナでカバーしようにも基礎魔力値が低くできることは限られていて、鎖の射出による移動は体への負担が重く乱発できない。

絶対的に火力が足りない。


にこ「才能が足りない…」


620 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/25(金) 22:07:48 bvHGTEnk
そもそもマナによる身体強化と魔術が隆盛しているこの世界において、銃という武器はそれほど有用性の高いものではない。

英玲奈のような重砲を扱い回せる知性と身体能力を兼ね備えていればそれは絶対の個性となるが、拳銃などはマナに恵まれぬ弱者の選択という側面が強い。

あくまで汎用武器、もしくは狩猟部隊のショットガンのように数の暴力で攻め立てるための武器であり、個人がいくら射撃技術を磨いたところで限界がある。

……希。
今までの戦いでその問題点が露呈してこなかったのは、希の存在が大きい。

にこと似た思考タイプ、弁舌に長けた稀代の企み屋。
やたらに戦闘時の相性がよく、にこが阿の行動を取れば即座に吽の行動で補ってきてくれた。
そんなパートナーがいて、さらに絶対の実力者たる英玲奈がいて、そこに火力のある真姫がいて。
自在に立ち回ることができたからこそ、工夫で乗り切ってくることができていた。

だが、いざメンバーが変わってみて。
真姫と共に攻撃に徹し、真姫が調子を崩していて、そんな時に自分一人の攻撃では何もできず…
貧弱さ、攻撃性能の低さを嫌という程に思い知らされてしまったのだ。

さらに目の当たりにする穂乃果の絶大な火力、潤沢なマナの量、恵まれた魔力と才能、そして内には龍皇を秘めていて、あまりにも自分と差があって。

その苛立ちが募り、つい真姫へと当たってしまった。
そして、そんな自分が余計に嫌になる。


621 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/25(金) 22:09:24 bvHGTEnk
にこ「比べて…比べちゃって、わからなくなったんです。この先の戦いについて行けるだけの伸び代が、自分にあるのか…」


ここへ来て以来、ずっと内心に打ちひしがれていた。
その悩みをを初めて他人に…それも親の世代、うんと大人の実力者へと聞いてもらえて少しだけ胸が軽くなる。

同時に、漠然とした不安を人へと語り、明確に言語化したことで問題の認識が深まり、さらなる不安も募る。
いくら考えても自分を強くするための妙案が出てこない。センスがない…


真姫ママ「そうね…にこちゃん自身にはもう伸び代がないかもしれない」

にこ「……っ、…やっぱり、そう思いますか」


にこは呻き、うなだれ。
昔から、小さい頃からいつだって、周りに迷惑をかけたくなくて、自分でなんとかしようと頑張ってきた。工夫してきた。
だけど今は限界で、情けないと感じつつも無策に問う。


にこ「にこは、どうすれば…」

真姫ママ「そうね…重砲士に転職してみるのはどうかしら?」

にこ「あ…いや、それは駄目なんです」


622 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/25(金) 22:09:51 /ZUJraoQ
まるで一期の4話みたいだね…


623 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/25(金) 22:15:04 HBvTOctM
このにこの状態kyoに出てくるアキラに似てるな
侍の血筋じゃない凡人やから残り1%の壁にぶち当たって感じ


624 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/25(金) 22:15:18 Rwh4Tb42
GuRaやるならRaHuやれっていう


625 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/25(金) 22:16:19 YRXhWsPE
帰ってきた答えはにこを落胆させるだけだった。
上位職への転職。
それは月並みな発想で、にこが幾度も考慮しては切り捨てた可能性。

確かに、にこは元々の技量の高さに加えて旅路の中で技能を高め、既に重砲士へ転職できるだけの条件を満たしている。

だが、重砲…あの武器の系統は酷く重い。
非力なにこにとっては取り回しの難しい武器であり、英玲奈のように射角計算や威力調整などを自在にこなすほどの演算力にも長けていない。

プラス、砲弾精製をするためのマナが決定的に不足している。

弾切れした重砲など無用の産物、重いだけの置物。
そもそも本来は軍などで人間サイズの移動砲台を作ろうという発想の武器であり、あれを装着したままにビュンビュンと動き回れる英玲奈がおかしいのだ。

故に、にこが重砲士へと転職することは不可能に等しいのだ。

十二卿龍にして聡明な王妃。
そんな彼女からでさえヒントは得られず、ならば本当に、もう尽くす手はないのではないかと…


真姫ママ「あら、どうして重砲士は駄目なのかしら?」

にこ「それは…」


説明させられる羽目になり、そして理由を列挙するたびに余計に凹む。
全てを言い終える頃にはすっかりグロッキーな顔色へと化したにこに、真姫ママは優しく微笑んだ。


626 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/25(金) 22:22:54 YRXhWsPE
真姫ママ「そうね、重砲は確かににこちゃんの体には合わないかもしれない。でも、重砲を使わなければいいんじゃない?」

にこ「……??」

真姫ママ「にこちゃんの伸び代は確かにないわ。それは射撃に関しての技術を素晴らしく高い域まで高めているからで、それなら扱える武器を増やせばいいじゃない?」

にこ「……重砲にこだわらなくても、重砲士に…」


その発想はなかった。

わりに普通の発想だと思うかもしれないが、この世界において重砲士の数はそれほど多くはなく、そして重砲士になった者は全員が大なり小なり重砲を使って戦うようになる。
それほどに、扱えれば大戦力となる武器種なのだ。

逆を返せば、体格やマナの面で重砲を扱える資質がないのに重砲士になろうという人間は皆無。
そんな人間はそもそも戦いに向いておらず、戦闘者とならずに普通に社会へと出るのが普通なのだ。

だが、にこはその稀有な例だ。家族を守るため、必然に駆られてではあったが、ここまでやってきた。

常識に囚われ重砲士を目指さなかったが、前例を気に留める必要はどこにもない。

重砲士となれば少ない魔力なりにマナ回路の整理が行われ、今よりは装備重量が上がってもある程度は機動に耐えられる体になるだろう。
その状態で可能な限り、戦闘力を高められる武器の組み合わせ、最良のカスタマイズを脳内で設計し始める。


627 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/25(金) 22:27:43 M6ZiRuik
初めは敵の武具を確率で盗むポジションになるのかと思っていた


628 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/25(金) 22:29:42 YRXhWsPE
しかし…途中で青ざめる。
重大な問題点に気付いてしまったのだ。


にこ「けど、このやり方ってめちゃくちゃお金がかかるから…」

真姫ママ「大丈夫。王家の人間ってね、金運が強いの。だから真姫に思いっきりたかりなさい?」

にこ「た、たかるって…いいんですか?」

真姫ママ「ふふ、世界の危機だもの」


にこは手応えを得る。
なら行ける、行ける。あの装備とアレで、チェーンで培ったバランス能力も活かしつつ、重砲のパーツだけを転用して…

そうだ、いいんだ。
魔術が大活躍して、魔物がいて、龍が暴れてて、天使が降りてきて…
そんな混沌とした世界で、人間の文明をフルに使って泥臭く戦うのが一人くらいいたっていいじゃないか。


にこ「誰かの模倣じゃない、オンリーワンにしてナンバーワン…それってアイドル的かも…?このにこにーにこそピッタリじゃない!」


目に力を取り戻し、新たな戦い方へと算段を高め始めたにこ。
その姿に真姫ママは安堵し、「もう大丈夫そうね」と声を掛ける。

力強く返ってきた感謝の言葉を受け止め…
さて、残る二人にも個人面談が必要だ。


真姫ママ「それじゃあ、穂乃果ちゃんを呼んできてもらえるかしら?」


629 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/25(金) 22:32:30 Up0hMqbE
この世界でもまきちゃんはたかられるのか


630 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/25(金) 22:33:10 znfqBNmM
真姫ちゃん!お金貸して!


631 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/25(金) 22:37:49 /ZUJraoQ
真姫ママの落ち着きっぷりから産まれる一つの仮定
真姫ちゃんのチョロさ加減は、もしかしたら父親譲りからという可能性


632 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/25(金) 22:40:51 YRXhWsPE
にこ「穂乃果ぁー、次はアンタが呼ばれ……て…」


寝室へ入ったところで、にこは目の前の光景に完全に硬直してしまう。

穂乃果がベッドの上にいる。同じくベッドの上、穂乃果の下に真姫がいる。
いわゆるマウントポジションを取っていて、右手、数本の指を真姫の口へと突っ込んでいる。
よくよく見れば人差し指と中指で真姫の舌をやわらかく挟んでいて、指の間からはみ出した舌先を親指の腹で弄んでいる。

にこが来たのに気づいていないようで、穂乃果は真姫の舌を解放すると次は口中、頬の裏などを指でなぞり始めた。

二本、三本と指を入れるので真姫は苦しそうなのだが、頬を紅潮させて目を潤ませ、なぜだか艶めいた吐息交じりに穂乃果の指を舌で舐めている。

加えて、にこは気づいてしまう。
互いに服こそ着ているが、真姫のシャツの胸元は少しはだけている。
そして首筋には幾つか赤い跡が残されていて、それは間違いなく穂乃果が吸った跡。キスマークというやつだ。

さらにさらに。
穂乃果の左の義手は真姫の胸元へとあてがわれ、しきりにまだ幼さの残る膨らみの周囲から円を描くように中心、蕾へと収束し…


633 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/25(金) 22:42:58 vQgO77mM
パンツが光速で消し飛んだ


634 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/25(金) 22:43:11 /ZUJraoQ
エクセレント!


635 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/25(金) 22:46:31 YRXhWsPE
真姫「ふぁ…っ!」

穂乃果「大丈夫、真姫ちゃん…力を抜いて?」

真姫「穂乃果…ぁ…!」


ズドンと発砲!!!!

にこは、にこは思わず発砲していた。

にこ本人は決して自分に対して認めようとしないが、本音で言えば真姫のことは可愛いと、憎からず思っている。
やたらに反発しあいながらも、なにか運命的なものを感じることさえある。

そして穂乃果にも、ついさっき愛を囁かれたばかりだ。
あの太陽のような笑顔、天性の朗らかさはにこにはないものであり、自分にないものを持っている人物に惹かれるのが人間というもの。
逃げて誤魔化してしまったが、想いを受け止めるべきなのか…わりと真剣に考えていた。

それが!!!


にこ「ぬぁぁぁぁに乳繰りあってんのよぉぉおおおお!!!!!??」


636 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/25(金) 22:51:20 A0oEJ0Kw
ちょっとクズすぎないですかね


637 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/25(金) 22:51:33 YdDceh8.
これはいけない


638 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/25(金) 22:55:34 YRXhWsPE
怒鳴る!!

にこが真姫ママと話していた、たかだか30分の間で!
よくここまで籠絡した、されたものだ!手が早すぎる!&チョロすぎる!!
しかもよく見れば場所はにこのベッドの上だ!!
なんだか余計に腹立たしい!!!

真姫は痴態を見られたのが恥ずかしいのか、にこに見られたのが余計に恥ずかしいのか、「ヴェ…」と呻いて石の如く固まっている。

だが穂乃果は悪びれもせず、「室内で撃っちゃ駄目だよにこちゃん…」と至極真面目に正論を返してくる。
視線はにこの方へと向けられているがまだ左手は真姫の胸に添えられたままで、おまけにまだ撫でている。

なにもかもが苛立たしく、にこは諸々の思考を一先ず脇へと投げ捨てて、とりあえず全力で穂乃果へと指を突きつける!


にこ「アンタ…!穂乃果、アンタぁ!!」

穂乃果「ど、どうしたのにこちゃん!血管浮いてるけど…」

にこ「さっき言ったでしょうが!!にこのことを本気で大好きって!!結構まじめに返事を考えてたのに、アレはなんだったの!?遊び!?殺すわよ!!?」


と、これにはチョロさを全開にしていた真姫も流石に思考が冷めたか、途端眼差しを鋭くし、下から穂乃果を見上げる。


真姫「ちょっと穂乃果、どういうこと?」

穂乃果「へ、なにが?」

真姫「今にこちゃんが言ったこと、私にも言ったじゃない。本気で好きだ、愛してるって」

穂乃果「うん、言ったよ」

にこ「こ、コイツ…悪びれもせずに…!!」

真姫「……あと一言だけ釈明の機会をあげる。その言葉次第では…!」


639 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/25(金) 22:57:27 Up0hMqbE
修羅場みたいになっててワロタ


640 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/25(金) 23:00:37 YRXhWsPE
にこと真姫は目線を合わせ、互いが被害者同士であると認識したらしい。
声の調子はぴったりで、力を合わせてこの軽薄極まりない浮気女へと然るべき罰を与えてやろうという意思を感じる。

が、穂乃果はあくまで平静だ。


穂乃果「穂乃果はにこちゃんのことも、真姫ちゃんのことも。どっちも最高に大好きだよ!あれ、それって変なことかな?」

にこ「あっりえない」

真姫「論外ね」

穂乃果「えー?だってさ、真姫ちゃんは穂乃果の告白を受け入れてくれたし、にこちゃんだって多分いい返事をくれるつもりだったよね?」

真姫「それは、さっきはこのことを知らなかったからよ」

にこ「今は世界一見たくない顔かもしれないわ」


二人揃ってすげない反応、憤怒すら通り越して冷静へと感情の針が揺れ戻りつつある。
ただし冷静とは言っても、穂乃果への視線は冷め切った軽蔑の類だが。

しかし穂乃果はまるでめげず、さらに言葉を継ぐ。


穂乃果「でもさ、にこちゃんと真姫ちゃんはお互いのこと好きじゃん」

にこ「ちょ、穂乃果アンタなにを!」

真姫「ヴェェッ!?な、何言い出すのよ穂乃果!」

穂乃果「それでも穂乃果の好きを受け入れてくれて、じゃあ二人はそこでおしまいだったの?そんなの駄目だよ!悲しいよ!
たがら二人は穂乃果と付き合って、そして二人も付き合うべきなんだよ!!」

にこ「はああああ!?」
真姫「ヴェェェエ?!」


641 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/25(金) 23:02:53 DLPgGUeU
どこの士郎君ですかねぇ


642 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/25(金) 23:03:52 M6ZiRuik
ユニコーンが設定を無視して飛んでくるレベル


643 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/25(金) 23:04:04 /ZUJraoQ
完全にサイコパス♪


644 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/25(金) 23:05:07 oxByAvW.
ジゴロってか誠死ねってレベル


645 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/25(金) 23:13:16 YRXhWsPE
詭弁!!詭弁!!詭弁!!

倫理も道徳も彼方へ置き去り、全てがトチ狂った理論を穂乃果は真顔でぶち上げる!

あまりに当然の如く、自明の理であるかのように言うものだから、にこと真姫の二人は圧倒されて思考が回らない。


穂乃果「穂乃果はにこちゃんと真姫ちゃんのことが大好きだよ!だから二人がくっついて、自分が取り残されるのは悲しい!
でも穂乃果が二人のどっちかとくっついて、どっちかが取り残されるのも嫌だ!」

にこ「あ、アンタ、本気で頭おかしいの?」

穂乃果「穂乃果は二人と仲良くなりたいのに、ほっとくと二人でにこまき会話し始めるんだもん!
油断すると「ほんとにね」とかしか言えなくなっちゃいそうだから、ちょっと強引に行かせてもらったよ!
三人で仲良くしようよー!そしたら全員ハッピーだよ!」

真姫「ぜ、全員ハッピー………」

にこ「なに騙されかけてんのよおおおお!!!チョロすぎるでしょ!!!
ありえない…そんなデタラメな関係で幸せになれるわけが…!!」

穂乃果「穂乃果はもう海未ちゃんとことりちゃんと付き合ってるけど、三人で仲良しだし幸せだよ?」

にこ「」
真姫「」


646 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/25(金) 23:14:09 YRXhWsPE
なんと、もう彼女持ちだった。
しかも二人も。さらに三人で上手くやっていると。
あまりにも異次元理論を連発され、にこと真姫はすっかり思考が停止していて声も出ず。

レズサイコパスモンスター穂乃果を作り上げてしまったのは誰か一人の責任ではない。
村にいたころからレズっ気のある海未とことりに囲まれ、旅立ってあんじゅのキスを受け、ツバサに狙われ続け、海未に告白し、ことりにも告白してしまい…
そして海未とことりがその関係性を受容してしまった瞬間、あまりにも奔放な性格が完成されてしまったのだ。


穂乃果「三人でハッピー」

にこ「…」
真姫「…三人で」

穂乃果「三人でハッピー」

にこ「…さ、三人で」
真姫「三人で…ハッピー」

穂乃果「三人でハッピー!!」

にこ「三人でハッピー」
真姫「三人でハッピー」

穂乃果「二人とも大好きだよー!!」

にこ「み、認めないわよ…ぜぇったい認めないから…」
真姫「穂乃果ぁ…」


真姫はあっさりと陥落!!
にこは認めないと言いながらも、穂乃果の抱擁を拒めずにいる。実質陥落!!

そして二人を残し、「じゃ、行ってくるねー」と真姫ママの待つ部屋へ。

残された二人は呆然と佇みつつ……
穂乃果のせいで互いを意識してしまい、顔を赤らめるのだった。


647 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/25(金) 23:15:07 YRXhWsPE
一旦ここまで
また後で書くかも


648 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/25(金) 23:15:29 AVvaoF9U
あかんレズっ気ないのがフミコとミカしかおらんくなってもうた・・・


649 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/25(金) 23:15:34 pAXkgpP.
あれ?まだ66%レズだよね?(白目)


650 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/25(金) 23:16:43 YdDceh8.

このハノケ、メンバー全員落とす気や…


651 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/25(金) 23:16:45 M6ZiRuik

今のはコンマ98〜99くらいで回避できたな


652 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/25(金) 23:17:40 ap0vBQpw
やっぱ主人公が出ると話が締まるな(白目)


653 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/25(金) 23:18:57 /XYPlk2g
フミコとミカもずっと一緒だったし怪しいんだよなぁ。アスモディウスに勝った絵里ちが鬼門になりそう


654 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/25(金) 23:19:19 Up0hMqbE
えっと、これどんな話だっけ?


655 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/25(金) 23:20:57 oxByAvW.
個別ルートあると見せかけてハーレム一卓じゃないですか


656 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/25(金) 23:23:21 /ZUJraoQ
一先ず乙です。
物語的にヒデコ陥落が痛過ぎる
もう誰であれレズになる可能性が存在してしまった…


657 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/25(金) 23:27:51 s68GRixw
>>654
穂乃果「ノンケ狩りだよっ!」Person3


658 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/25(金) 23:30:38 ap0vBQpw
あんじゅ様もほぼ陥落済み
ツバサちゃんはこっちからモーション掛けるまでもなし
既に実質6人落としてるんだよなぁ


659 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/25(金) 23:33:09 vQgO77mM
うーん素晴らしい…素晴らしいが、穂乃果ちゃんは一遍全員に求められて蹂躙されるべきだわw


660 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/25(金) 23:41:27 8S0JN3r.
普通に笑ってしまった
乙!


661 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/25(金) 23:43:39 zVFn59Mk
>>659
ボスラッシュならぬレズラッシュやね


662 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/26(土) 00:11:42 WnDLEQFk
クライマックスで組んず穂ずレズの全員組手ですね(白目)


663 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/26(土) 00:47:10 7SOfpc/w
クレイジーサイコレズ…


664 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/26(土) 00:54:52 UsQqx.1I
よし!目標は達成できたな!


665 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/26(土) 02:57:27 bqKKENAs
世界救う気ないだろw


666 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/26(土) 03:19:30 2c37EUCM
結局こうなったか


667 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/26(土) 03:52:53 DGP0Ut46
最強のモンスターか


668 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/26(土) 05:31:36 UnfI8YdU
>>642
ワロタ


669 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/26(土) 06:33:04 fWVixpzU
     ∧w/)
    彡・ ∧
    彡ヽ__)つ
ドドド (つ  /
⌒))  /  ⌒)  ((⌒
))⌒ヽ(ノ ̄しノ⌒(⌒
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


670 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/26(土) 11:59:10 0hbywU8w
りんぱなの時の反省を生かして両方の好感度を上げてから落としにいったのが大きいな


671 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/26(土) 14:14:08 30IYxylo
いきそうになってもサバイバー発動して高火力の一発食らわせるからな


672 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/26(土) 18:05:16 LgBr73e2
真姫ママ「それにしても…この杖でよくここまで乗り切ってきたわね」


個人面談の二人目、穂乃果だ。
生来誰とでも仲良くなるタイプの穂乃果は真姫ママとも日頃からよく話しているため、わりにすぐ本題へと入る。

話題とするべきは二つ。まず一つ目は、今後の成長方針だ。
そして真姫ママは穂乃果の愛用している杖を手に、少しばかり呆れた様子でその状態を確かめている。

使っているのは“大火の杖”、火力偏重タイプで魔術の出が遅いデメリットを有する市販品。
これを使い始めたのは西の街への列車でパーシヴァルと交戦した後、闘技場へ挑む前。
要はごくごく旅の序盤であり、連戦連戦の日々を汎用品、それも度重なる仕様に損耗している触媒で乗り切ってきたことになる。

恐るべき魔物たちや十二卿龍などとの戦いをこれと、あとは義手一本を武器にこなすのはなかなかの困難な道。
幾度かあった上位武器入手の機会も仲間へと譲ってきている。
真姫ママに指摘されて初めて、そういえば使い始めて随分長いなぁと穂乃果は苦笑い。


穂乃果「いやぁ、物にこだわりのないタイプで」

真姫ママ「そうみたいね、ふふ…」


673 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/26(土) 18:05:49 LgBr73e2
穂乃果は自らの成長方針について、悩みらしきものを持っていない。
にことは違い、溢れる才気に恵まれていて、それは確固たる自信へと繋がっている。

王宮地下での戦い、得意魔術の連発で西木野王を圧してみせたのも、その天才性をよく表していると言えるだろう。

真姫ママはそれを理解した上で、導くとすれば一点。
あまり深く考えないタイプの穂乃果が曖昧にさせている選択肢を提示し、方針を明確化させること。


真姫ママ「魔剣士と賢者。穂乃果ちゃんの実力なら上級職の二つ、どちらも目指せるわ。そろそろ決めておくべきだと思うの。目指すべき方向を」

穂乃果「うーん、そっかぁ…どうしよ」


魔剣士となれば触媒剣を用い、近接性能を大幅に向上させて幅広い局面への対応力を手に入れ、魔力も底上げすることが可能となる。

賢者となれば魔力値と魔術威力の向上はもちろん、治癒術に関する力も増し、魔術の発動を妨害される心配もなくなる。

穂乃果は二つの職の実例イメージとして、前者はツバサ、後者は母を思い浮かべ…


穂乃果「どっちがいいかなー…」


【成長方針を選択してください】

1 魔剣士
2 賢者

下5レス多数決


674 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/26(土) 18:06:14 LgBr73e2
続きは夜に


675 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/26(土) 18:08:18 isAulNsg
1かなー


676 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/26(土) 18:08:23 yHY4knJo
俺が3人に分かれた時に
穂乃果ちゃんが「ほんとにね。」しか言えない!って危惧した事を逆手に取られるとは…
ニンジャスレイヤ○=サン並の冴え渡る状況判断によって的確に繰り出される無慈悲なレズ・モノガタリ・カラテだぜ>>1


677 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/26(土) 18:08:30 0hbywU8w
賢者。コンマ運弱いし近接は怖い


678 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/26(土) 18:08:54 c0zvxP1A
2


679 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/26(土) 18:10:11 yHY4knJo
賢者というより狂人なので1


680 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/26(土) 18:10:52 0bWQwWf2
2かな


681 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/26(土) 18:11:10 gxsjhQnY
2


682 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/26(土) 18:23:24 yHY4knJo
賢者かぁ
にこvsヒデコみたいな闘いになったらいいけど
悪コンマ連続のタイムアップ負けが殆んどなのに
今更保守的になってどうするのよ?
強い判定の技で強引に瞬殺するのが一番って理解してないのかな?


683 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/26(土) 18:25:59 7rCdnXDk
近接多すぎだからなw


684 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/26(土) 18:34:59 K1U.N0QA
選択肢出した途端荒れそうになって草


685 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/26(土) 18:44:41 T03/qHTk
ヒーラー足りてないからいいと思うけどね
というかどっちも面白いと思うけどね


686 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/26(土) 18:47:04 7rCdnXDk
最初の最初で穂乃果ちゃんが拳闘士や銃士になってたらどういうストーリーになってたんだろう


687 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/26(土) 18:48:36 liiHLyMw
賢者でも杖でメタクソに殴れば近接で戦えないことはない


688 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/26(土) 18:49:12 WnDLEQFk
異世界ものだと穂乃果はたいてい超近接戦闘が得意な剣士型だし
たまにはこういう選択肢もありなのではないかと言ってみるテスト


689 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/26(土) 19:00:02 SblmYFXs
ここの穂乃果なら賢者の方が能力発揮できそう


690 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/26(土) 20:06:14 JH8Vrh6w
負けんしは親二人の合体だな


691 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/26(土) 20:23:17 edbW4rl6
???「ふふ、前衛は私がいるから大丈夫です。穂乃果とことりは私に任せてください」


692 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/26(土) 20:29:02 81Rx7nss
ンミチャンは時間稼…前衛頑張ってね!
ことりとハノケチェンは愛の合体魔法(意味深)するのに忙しいし、仕方ないよね?(^8^)


693 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/26(土) 20:31:53 uuE.Y6T2
てかジョブチェンジより先に問題にすべきところがある気が・・・具体的にいうと娘さんの貞操とか


694 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/26(土) 21:09:12 9himZEWU
なんかこのスレ見てると最近のオンラインゲームが面白くない理由がわかるわ


695 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/26(土) 21:09:57 bKEO3R2U
>>693
真姫ママ傑物だから笑って認めそう


696 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/26(土) 21:56:40 LgBr73e2
考えるべき要因は多い。

仲間たちの能力を考えて、前衛と後衛のバランス、火力とサポート、自分の性格、回復術師の不足、etc.

脳内に様々な条件がぐるぐると巡り、穂乃果の目もぐるぐると回り始めるような感覚に襲われ…
あまり深く考えるのは得意でない。真面目に考えるほどに思考はドツボへと嵌まり、「ううー」と呻いて頭を抱え…


穂乃果(だ、ダメだー!シンプルに考えようっと…)


憧れの問題だ。
ツバサと母と、どっちを目指したい?

ツバサの人間性は色々とアレな部分もあるが、強さは完全無欠の本物だった。
絵里、王、そして暴走した自分を徹底的に叩きのめした強さ。
あの時の穂乃果は龍皇が前面に出た状態で、はっきりと目撃した記憶はない。
だが、それでも漠然とした視覚イメージは脳内へと鮮烈に刻み込まれている。

対して賢者。
母の強さもまた本物だ。
オトノキ村で人々から慕われ、頼られ。
僻地の村へと稀に襲いくる強盗団の類であったり魔物の群れへと炎を放って焼き払う。
幾度か見せてくれた本家の『焔』は視界一帯を焦土へと化すほどで、穂乃果の中に存在している強さの定義、憧憬は母にあると言って過言ではない。


697 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/26(土) 22:04:56 LgBr73e2
そう、憧れの。
ツバサさんもすっごく凄いけど、やっぱり子供の頃からずっと憧れてるのはお母さんの強さで…


穂乃果「賢者にします!」

真姫ママ「ええ、わかったわ」


決断に笑顔で応え、真姫ママは穂乃果の杖へと掌を添え、そして目を閉じる。

何をするのかな?
穂乃果が見守っていると、腕だけをモルドレッドの龍体、樹木や花で形成されたそれへと変化させ、同様に木製である大火の杖と腕が融和する。


穂乃果「わぁ…!」

真姫ママ「私の力を…流し込む」


桜龍モルドレッド、その身を成している高密度のマナが大火の杖へと注がれるのが目視でわかる。
杖の身が一瞬だけ桜色に輝き、眩さに穂乃果は思わず目を瞑り…

恐る恐る瞼を開くと、真姫ママの手は元のすらりとした美しい人肌へと戻っている。
そして握られている大火の杖だったものは、力強い生命の脈動と、マナの鼓動を感じさせる姿へ。
樹木や植物が幾重にも巻き連なって形成された形へと変貌を遂げていた。


698 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/26(土) 22:09:46 LgBr73e2
穂乃果「すごい…!この杖すごい力を感じる!」

真姫ママ「炎樹の杖…ってところかしら。あくまでベースは火を操るための触媒のまま。魔力を高めて、治癒術にも対応させてあるわ」

穂乃果「ありがとうございます!やったぁ!」


手に取り喜び素朴な笑顔。
ストレートな感情表現は、この子のために何かをしてあげたいと感じさせる。
幸いにして愛用品が木製の触媒だったため、力を添えてあげることができた。
若干雑にとはいえ、長く使った武器だったのも功を奏した。
海未のレザーマントがことりの加工で守りの力を付与されたブレスレットへと変じたように、長く使った物には想いと力が宿る。

炎樹の杖、仮にも十二卿龍の力を封じ込んだの。
元が市販の汎用杖だとは想像すべくもない逸品へと仕上がっているはず。
賢者を目指すとして、これで当面の武器には困らないはずだ。

あとは大魔術をもう一つ覚えればいい。それで賢者としての条件は満たされる。
今の穂乃果の実力なら、まともな触媒さえ持てば難しいことではないだろう。

大喜びの穂乃果へと笑いかけ、もう一つ話しておくべき事柄へと話題を移す。


真姫ママ「あなたの中の龍皇はどんな様子かしら?」


699 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/26(土) 22:19:13 LgBr73e2
真姫ママからの問いに、穂乃果はううんと難しい顔で唸る。
むむむ…と集中を高める様子を見せていて、どうやら龍皇へと接触を試みているらしい。

だが数秒の後、少し眉を下げ、困ったような表情へと変わる。


穂乃果「毎日心の中で話しかけてみてるんだけど、全然反応がなくって…無視されてるのかな」

真姫ママ「うーん、やっぱりそうなのね」

穂乃果「やっぱりって?」

真姫ママ「あなたの場合、宿ってるって言うよりも完全に一体化してるみたい」

穂乃果「??」


疑問符を浮かべた表情の穂乃果へ、真姫ママは丁寧に説明を。

十二卿龍の魂は基本的に、宿主の精神を完全に食い潰す。
また、宿主が優れている場合は西木野王や真姫ママのように、宿主が表に出る形での共存となる場合もある。

概ねがこの二択なのだが、穂乃果の場合は別なのだという。


700 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/26(土) 22:23:44 LgBr73e2
真姫ママ「穂乃果ちゃんは完全に一体化してるみたいなのよね」

穂乃果「へ?どういうこと?」

真姫ママ「子供の頃からを思い起こして、どこかでアークトゥルスが入ってきた…みたいな記憶はないのよね?」

穂乃果「はい、全然…」

真姫ママ「だとすれば、生まれた時から一体化しているか…」

穂乃果「うええ…そんなぁ」

真姫ママ「それか、あなた自身がアークトゥルス本体かのどっちかね」

穂乃果「どへぇ…」


とんでもないことを言われているのだが、既に穂乃果の理解力のキャパシティを越えているために呻くことしかできない。
そして穂乃果と真姫ママの二人は知らないが、生まれた際の経緯も処女懐胎と非人間的。
まともな人間であるかは疑わしく…


真姫ママ「だとすれば、乗っ取られていると言うよりも二重人格みたいに思った方がいいのかもしれないわね」

穂乃果「な、なるほどぉ…」


701 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/26(土) 22:24:39 Ak2PPAng
ヤンデレ穂乃果とレズ穂乃果


702 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/26(土) 22:26:26 81Rx7nss
幼馴染二人も二面性持ち過ぎなのでセーフ


703 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/26(土) 22:28:28 WnDLEQFk
炎樹=槐(薬木とも霊木ともされる、昔の中国では権威の象徴らしい)、か
なるほど


704 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/26(土) 22:30:59 LgBr73e2
伏し目がちに、穂乃果は珍しく思い悩む表情を見せる。
自分の掌を表、裏と見つめ、その肌の質感は人外の龍などではなくみずみずしい少女のそれなのだが…


穂乃果「うーん…どうすればいいのかな。また何かあったらみんなに迷惑を掛けちゃうかもしれないし」

真姫ママ「そうねえ…」


少しの間、二人して考える。

同じく龍、十二卿龍モルドレッドを宿しながらに自我を保っている真姫ママであれど、龍皇アークトゥルスに関する知識は決して多くない。
伝説的な存在であるアークトゥルスは他の十二卿龍とは毛色を異にしていて、龍からしてさえ実在を訝しまれていたほどの年月現れていなかった存在。

十二卿龍同士のようにテレパスでの交信なども不可能。
だからこそ西木野王、ガウェインが、既に穂乃果に宿っていることを知らず皮算用を繰り広げるという失態を犯してしまったわけで…

真姫ママをして良策へと思い至らず、やがて与えられたアドバイスはこうだ。


真姫ママ「あんまり悩まなくても、なるようになるんじゃないかしら?」

穂乃果「か、軽い!?」


705 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/26(土) 22:37:02 LgBr73e2
あの傲慢尊大かつ神経質な西木野王と、夫婦としてうまくやれていた理由がここにある。
聡明さと上品な物腰に隠れているが、真姫ママは実は底抜けの楽天家なのだ。穂乃果が驚くほどの!

が、根拠もなしにそう言ったわけではない。
穂乃果が生まれてから17年以上を過ごしていて、未だ世界は滅んでいない。
龍皇が完全な一体化をしているにせよ、穂乃果自信が龍皇であるにせよ、少なくとも今目の前にいる穂乃果は善良な人間性で、こっちが穂乃果の本質だと真姫ママは目しているのだ。

もちろん、多少の苦難や危機は訪れるだろう。
だが、真姫とにこの二人から聞いた穂乃果の龍皇としての覚醒時の様子や言動、綺羅ツバサの猛撃を受けてウソをついて逃れようとする様。
諸々が人間じみていて、どうしようもない怪物という印象を真姫ママは受けていない。

穂乃果自身の成長と、真姫やにこを含めた仲間たちとの絆。
それさえあれば、きっと良い方向へと物事は転ぶはずだと思えるのだ。

だから穂乃果の頭へと手をあてがい、軽く撫でて微笑む。


真姫ママ「きっと全部大丈夫よ。めげずに頑張ってね」

穂乃果「……はいっ!」


シンプルな助言は穂乃果の性格にぴったりのものだ。
身中に龍の力の拍動を感じる。けれど、当面は解決法が見出せそうもない。
なら、悩んでも仕方がないのは事実なのだ。

穂乃果は表情に明るさを取り戻し、首を縦に力強く振った。


706 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/26(土) 22:46:14 LgBr73e2
穂乃果との会話も終わり、三人目に残された面談相手は真姫だ。

真姫が何に葛藤しているかは明白で、それを乗り越えさせるのは、娘にとっても自分にとっても辛い話になるだろう。

(……しっかりしなさい、私)

真姫ママは心に決意を固め、やがて穂乃果に呼ばれた真姫が部屋へと姿を現し…真姫ママは目を疑う。


真姫ママ「ま、真姫ちゃん?その首の跡は…」

真姫「ま、ママ!違うの!これは…」


表情に仕草にしどろもどろ。
真姫は慌てた様子で弁解の様子を見せ、首筋に掌を当てて隠そうとしてみせる。
が、すぐにわかる。愛娘の綺麗な肌に残された内出血の痕跡は…


真姫ママ(キスマーク…よね?)


707 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/26(土) 22:47:05 LgBr73e2
真姫が恥ずかしさで死にそうな顔をしているので、その問いかけは口にせずに内心に留めた。
そもそも、聞くまでもなく間違いない。

この空間には四人以外の誰がいるわけでもなく、であれば二人のどっちかがそれを刻み付けたわけで、必然気になるのは一点。


真姫ママ「ど、どっちなの?」

真姫「………」


母に知られてしまった恥ずかしさに、真姫は顔をトマトのようにして俯いている。
真姫ママは寛容な人だ。娘がその手のアブノーマルな道へ走ってしまったとして、頭ごなしに叱りつけたり否定するような狭量な人物ではない。

穂乃果とにこ。
二人はどちらも、真姫が若気の至りに走ってしまったとしても当面口出しをせずにいようかしらと思えるほどに良い子だ。

けれど、やはりショックがないわけではない。
一時的な気の迷いならともかく本格的にそっち側の子だったとすれば子孫はもちろん望めず、真姫は一人っ子であり西木野の血は途絶えるわけだ。
とりわけ夫、親バカの西木野王からすれば孫が永遠に望めないというのは衝撃だろうし、悲しむでしょうね…と、色々なことを考えていると。
真姫がおずおずと返答を。


真姫「………どっちも」

真姫ママ「ふ、二股…!?」

真姫「ち、違うのママ!穂乃果が!穂乃果が三人で付き合おうって!だからにこちゃんと穂乃果も付き合ってるの!」

真姫ママ「そ、そうなのね…?」


708 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/26(土) 22:54:30 LgBr73e2
ママが大好きな良い子の真姫ちゃんは、母に対して嘘をつかない。
気恥ずかしさに顔を燃やしつつ、素直に返してきた回答は異次元。
懐の広い真姫ママでさえ思わず天を仰ぐ。最近の若者はこうも進んでいて乱れているのか。
にこと真姫をその道へ引きずり込んだのは穂乃果のようで、受けたのは真姫なのだから別に咎め立てをする気はない。

ただ、ここに至って思い知る。


真姫ママ(穂乃果ちゃん…龍皇、恐ろしい子…!)


衝撃に少しばかり目が眩み、深呼吸で意識を立て直す。
良い方に、良い方に考えよう。
まあ、穂乃果だけ、にこだけよりも、二人で真姫の面倒を見てくれると考えればある意味安心できるのではないか。

真姫が二人に二股をかけているという話ではなく、三人がそれぞれをシェアしているという話らしい。
…と、一生懸命に理解してみようとするがよくわからない。

シェア?
愛娘が二人の女の子に一斉に“シェア”されている光景を一瞬思い浮かべ、真姫ママは頭を左右に振ってそれを振り払う。

……若者のことは若者に任せよう。


709 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/26(土) 22:58:22 LgBr73e2
不幸中の幸い、同性である以上は子を成すというリスクはないわけで、若気の至りだとすればきっと戻ってこられる。
もし本当にそっちの道の子だったとして、穂乃果とにこなら真姫のことを大切にしてくれるはず…

強引に自分を納得させ、頭を切り替えて話も替える。


真姫ママ「ま、真姫ちゃん。フランベルジェの使い心地はどうかしら?」

真姫「ヴェ…?あ、ああ…フランベルジェね!とっても使いやすいわ」


この場面において母子の呼吸は見事一致。
破戒的な恋愛トークをなかったことにして戦術面の会話へと話を引き戻す。

会話の主題は戦闘アドバイスとわかっていたため、真姫は大剣を持ってきている。
机の上にゴトンとフランベルジェが置かれ、真姫ママは懐かしそうにそれを手に取った。


真姫ママ「……うん、曇り一つなし。綺麗に手入れして使ってくれてるのね」

真姫「ふふ、ママが昔使ってたのよね?しっかり大事に磨いてるんだから」


710 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/26(土) 23:05:55 SblmYFXs
さすがの真姫ママも混乱してる


711 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/26(土) 23:10:26 81Rx7nss
西木野王が見たら無言でポロポロ泣いてそう


712 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/26(土) 23:14:31 LgBr73e2
そう、王家の宝剣フランベルジェは真姫ママのかつての装備品であり形見の品。
重く大振りな剣を扱いこなしていた辺り、真姫ママは見た目にそぐわずなかなかの豪傑だったようだ。

本来は触媒としても優れた機能を持っていて、しかし真姫が習得している魔術は『炎閃』のみ。
フランベルジェの優れた性能を、真姫は引き出し切れていない?

否、そうではない。
この炎剣は今、その性能に封印が施されているのだ。


真姫ママ「本当は、あの人のレガリアと対になる武器なの」

真姫「パパの?そうなんだ。……でも、それなら…私が『世界火』を使えなかったのは、才能がないってこと…?」


不安げな真姫の横顔へ、そっと掌を添える。
ふわりとした質感。横から持ち上げるように手を添え、よく似た赤毛に指を通らせてから下へ落としていく。
慈しむ仕草に、真姫はくすぐったそうに笑みを浮かべ…

そして、母の次の言葉を察して青ざめる。


真姫ママ「フランベルジェの封印を解くわ。私の思念を留めている残りのマナを使って…」

真姫「ママ、嫌…!」

真姫ママ「それが最期にあなたに遺してあげられるもの。真姫ちゃん…もうすぐ、お別れしなくちゃいけないわ」


713 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/26(土) 23:26:17 SybsHb7s
辛いな


714 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/26(土) 23:34:11 0hbywU8w
英玲奈の出自は王様に聞くしかなさそうだな


715 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/26(土) 23:35:15 LgBr73e2
穂乃果、にこ、そして真姫。

三人に助言や新たな武器を与えてあげることは、ここに来た当初からいつでも可能だった。
聡明にして熟練、大人の視点を持つ真姫ママから見れば、三人それぞれの弱点や問題点ははっきりとしていた。

けれど、助言を効率よく活かしてもらうためには自らの気付きが必要。

そのため、修行をさせた。

龍体を成して幾度もの戦闘訓練を繰り返してきた。弱点を抉る戦いを繰り返してきた。
三人は気付いた部分も気付いていない部分も、導かれるように強化を施されて成長を遂げている。

そして壁に突き当たる。

穂乃果は防御的な戦い方もあると覚え、しかしそれを成立させるためには手数が不足。
なので、術の出の遅さが欠点である大火の杖に代えて新たな武器を与えた。

にこは自身の成長限界へと突き当たり、現有の武器と職では行き止まり。
そのため、転職の可能性を提示する。そして武器を整えるためなら真姫の財布を頼っても構わないと母としての許可を。

真姫は精神面、愛されていなかったという誤解を乗り越え、そして今は武器の限界を迎え…
残るはフランベルジェの解放。
三人の強さは新たな段階へと踏み入れるだろう。

それを終えればマナは尽き、残される時間はごくわずか。

十二卿龍モルドレッドとして最後の一戦を交わし、元より火術師が二人と属性の不利はある。
そこに強さの磨きがかかったのなら、間違いなく三人は勝利を収めるはず、

そして…


真姫ママ「一緒に過ごせて、嬉しかったわ。真姫ちゃん」

真姫「ママ!嫌だ!私はママとずっとずっと…!!」

真姫ママ「フランベルジェよ…力の継承を」


716 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/27(日) 00:04:15 sqz59rnQ
真姫は椅子を蹴飛ばし、テーブルを回り込んで母へとしがみつく。
普段のプライドの高さは見る影もなく、顔からはみっともなく涙をこぼしてぐしゃぐしゃだ。

そんな真姫のこれからを、未来を支えられるように。
母は万感の想いを込めて、フランベルジェへとマナを注ぎ込む。

フランベルジェ。
王家に伝わる炎の触媒剣は、その代ごとにただ一人のための専用武器となる。
本来であれば使用者が一線から身を引く際にこうして継承の儀を行い、次代の使用者へと引き継いでいく物なのだ。

けれど真姫ママは突然の病から、それほどの間を置かずに病没してしまった。
故に、継承を行うことができなかった。

とはいえ、使用者の急逝は珍しいことではない。
武器である以上は使っての戦闘中に命を落とすこともあるわけで、その場合は使用者が完全に白紙の状態となる。

しかし、真姫ママの場合は特殊だった。
病に落命しながらも、娘への強い想いにマナと思念を現世へと遺していた。
そのためにフランベルジェは真姫ママを使用者と定めたままであり、真姫が使っても単に優れた切れ味を誇る、そこそこの触媒としてしか効果を発揮していなかったのだ。

しがみついて泣きじゃくる真姫を抱きしめ、見られないように涙を零し…
フランベルジェは紅く、真姫のマナの色へと強く輝いた。

これで役目は終えた。
後は戦い、娘たちが自分を乗り越えるのを待つのみ。

時間はあまり残されていない。
けど、それでも…少しだけ。

母娘は最後の一時、互いを強く抱きしめ合うのだった。


717 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/27(日) 00:14:35 l8.7/jVc
グッバイママ…


718 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/27(日) 00:16:30 sqz59rnQ
穂乃果「真姫ちゃん…」

にこ「……大丈夫?」

真姫「………」


三人は真姫ママに導かれ、戦いの場へと足を運んでいる。
穂乃果もにこも、空間が揺らぎ始めたのを感じている。
ここで過ごす時間の終わりが迫っていることを感じ取り…

涙の跡を隠そうともせず、今もなおポロポロと雫をこぼし続けている真姫の姿に全てを察し、穂乃果は頭を撫で、にこは手を握って元気付けようとしている。

少し先を歩く真姫ママはその様子を眺め、柔らかに微笑む。
多少の心配はあれど、この二人なら真姫を支えてくれるだろうと考える。

穂乃果が内心に、夫…西木野王への殺意を残しているのも理解している。
真姫はきっと、父を守ろうとするだろう。それは対立を呼びかねない。
だが、にこを始めとしてたくさんの仲間たちがいる。きっとなるようになる。楽天的にそう捉え、そして立ち止まる。


真姫ママ「さあ、卒業試験と行きましょう」


719 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/27(日) 00:21:14 6Q6LnppA
アディオスマンマ


720 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/27(日) 00:50:26 00z3cHoo
合格が最優先事項ですね


721 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/27(日) 00:51:27 eHyHPeN2
さすがにママレズ堕ちは無理か


722 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/27(日) 01:03:38 sqz59rnQ
空間の魔力が凝縮されていく。
美しい女性の体のマナが高まり、パキパキと乾いた音と共に肌が硬質化、樹木化していき…

にこは真姫の涙を強引に拭う。
背を叩き、気合を入れさせる。


にこ「最後よ!!泣いててどうすんの!!」

穂乃果「心配かけないように、頑張ろう。真姫ちゃん!」

真姫「う、…ぐすっ…!ママ…っ!!」


翠緑の樹々、赤々の花華が巨身を成す。
広げられた枝に薄紅のマナが火か星かと灯り、満開の桜花、大翼が空を覆い…!


真姫ママ≪黒茨の庭園≫

にこ「来るわ!!」

真姫「……!」

穂乃果「穂乃果が守備を担当するよ!!」


723 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/27(日) 01:04:13 sqz59rnQ
足元からは無尽、十二卿龍の誇る膨大なマナを源とした茨の渦が雲の大地から突き上げる!
ただの植物などではない。徹底して硬質化に魔力を注いであり、岩や鉄でさえ食い破ってしまうほどの威力を有している。
それは例えるならば、桜龍モルドレッドの牙にも等しい!

が、穂乃果は動じず。
真姫ママから与えられた新たな武器『炎樹の杖』は、まるで全身のマナが軽くなったかなような感覚を穂乃果へと与えていた。

今までの汎用品、大火の杖との違いは明白。
皮膚末端の隅々まで、マナの流動を詳細に把握した上で、ちょうど必要なだけの魔力を触媒へと結集させて杖で地を叩く!

詠唱は手慣れたもの。発動させるのは地を焼き払う…


穂乃果『焔!!!』

にこ「うっひゃあ!!?」

真姫「…!?」


724 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/27(日) 01:18:48 sqz59rnQ
圧倒的な炎の波が噴き上げる!!
それは術者本人、穂乃果でさえ驚くほどの威力を発揮してみせ、それでいて魔力消耗は飛躍的に減少している。
爆熱の風が一帯に吹き荒れ、にこと真姫は思わず火炎の勢いに目を覆う。

その隙を見計らい、モルドレッドは大量の葉を刃の如く飛来させる!
しかし穂乃果はなおも冷静、早くも体に馴染む炎樹の杖を軽やかに薙いで黒弾を飛ばす!


穂乃果「撃ち落とせ!『鴉火っ!!』」


瞬時に十を超える黒煙と炎の鋭弾が放たれ、恐るべき切断力を誇る葉の刃を相殺!
魔術始動の速さを手にした穂乃果はその戦闘スタイルから隙を減じている。

盤石の対応を見せ、そこで動き出すのはにこ!
隣の真姫の腰をポンと一つ叩き、視線を交わして勇気付け。


にこ「真姫、決めるのはアンタよ」

真姫「……にこちゃん」

にこ「アンタじゃなきゃいけない。お母さんのためにも…ねっ!!」


725 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/27(日) 01:26:57 sqz59rnQ
駆け出す!!

穂乃果へと一声を発して援護を要請。
嵐と吹き荒れる樹々の攻撃、その合間を体を低くして駆け抜けていく!
モルドレッドの瞳がにこを見据える。瞬間、白雲を綿と引き裂きながら幾本もの枯木が突き上げる!

頑強かつ枝分かれした樹木は刃の鋭さを有していて、一見すれば七支刀のようにも見える。
単純な物理攻撃とは異なり、魔力生成された樹は回避の難しさに特化している。

しかし穂乃果が火球を放つ!
大火球、鴉火と撃ち分け、樹木の強度に応じた魔術で炎の塊へと変え、援護を受けつつにこは転がるように駆けていく。


穂乃果「行けえっ!にこちゃん!!」

にこ「でりゃああああっ!!!」


穂乃果の魔術が及ばない攻撃へは足元へと弾丸を撒き散らして応じ、その集中力と生存能力をフルに発揮して回避!回避!!

上から槌の如く撃ち落とされた茨の塊が叩きつけられる!!
が、にこはチェーンを射出!モルドレッドの翼へと絡みつけ、地を滑るようにして一撃を潜り抜けた!!


726 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/27(日) 01:47:08 sqz59rnQ
にこ「抜けたぁっ!!」

真姫ママ≪流石に身軽ね≫

にこ「そしてぇっ!『ラブにこストライク』ッッ!!!」


回避を通じて危機から転じ、絶好の好機を掴む。にこが得意とする“シルバーバレット”の名を冠するテクニックだ。
眼前!至近距離から怒涛のペースで引き金を引く。
武器が変わったわけではない。威力が上がったわけでもない。
けれど、これだけの至近で放てば多少のダメージは刻まれる。

モルドレッドの硬質な樹皮が少しずつ削られ、しかし致命撃には至らない。


にこ(これでいいのよ!)


強くなるためのヒントは得られた。
挫折からも立ち直れた。けれどにこはまだ、明確な強化を得ていない。
ならば頼るべきは穂乃果と真姫の成長で、にこは陽動と囮に徹するべき。

にこは真姫ママからの助言に本来の冷静さを取り戻していて、圧倒的な連撃を浴びせたかと思えば即座に退避する!

追って放たれる攻撃を器用に凄まじい勢いで掻い潜りながら、「に゛ごぉ゛ぉぉ!!!」とちょっとした虫のように転がり這い回りつつ戻ってくる!


727 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/27(日) 01:50:05 bHPHwulE
やはり最後はごきにこw


728 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/27(日) 01:52:16 Vgkbbrvw
に゛ごぉ゛って入るだけで途端にギャグになるw


729 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/27(日) 02:01:15 g0e/hFLo
さすがにこね


730 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/27(日) 02:04:53 uloiJ07s
なんでこれがかっこ良く感じるのか…


731 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/27(日) 02:05:04 jVBub.Oo
ギャグ補正による生存率の高さよ


732 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/27(日) 02:05:59 sqz59rnQ
にこ「真姫ちゃん!」

真姫「私は…私はっ!!」


フランベルジェ、その柄を真姫が握り締める。
解放された力と母の愛が、掌を通じて全身へと流れ込み…
真姫は決意を固める。決別しなければ。母の想いに応えるためにも!

が、十二卿龍モルドレッドはあくまで本気の実戦の中に三人の成長を引き出そうとしている。
娘の決意を黙して待つ道理はない!


真姫ママ≪翡翠の隷属≫

穂乃果「来たっ!!」


全身の蔦を広く強く繁らせ、一帯の地表がエメラルドの輝きに覆われた。
十二卿龍モルドレッド。その美しさは単なる植物ではなく、宝玉の輝きをも放っている。

そして『翡翠の隷属』と呼ばれるこの技を前に、その輝彩は一際強さを増す!

四方から一斉に伸ばされる蔦に捉われれば体の制御を奪い取られ、一人一人の強さが仲間へと牙を剥くこととなる。
幾度となく穂乃果らを敗北へ追い込んできた技であり、穂乃果、にこ、真姫の三人に緊張が走り…!


にこ「どうにか凌ぐわよ!気合い入れなさいっ!!」

真姫「……穂乃果!防御をお願いっ!!」

穂乃果「…!わかったよ真姫ちゃん!」


穂乃果は真姫の瞳に決意の光を見る。
最愛の母へと引導を渡すため、フランベルジェにはマナが高まりつつある。


穂乃果「なら!ここは穂乃果が二人を守らなくっちゃね!」


733 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/27(日) 02:10:59 g0e/hFLo
ふときになったんだけど>>1っていまどうやって執筆してるの?
前は安価、コンマみてライブで書いてるのわかったけど今はライブ?書き溜め?


734 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/27(日) 02:11:12 uloiJ07s
真姫ちゃん!ファイアだよっ!!


735 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/27(日) 02:26:57 bHPHwulE
真サルーインのゴッドハンド→アニメートを彷彿とさせる技


736 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/27(日) 02:27:04 sqz59rnQ
>>733
基本的にその時書いてるね


737 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/27(日) 02:27:16 sqz59rnQ
穂乃果(吹っ飛ばす!全部焼いて炭にしちゃえ!!)


穂乃果は幾度となく、新たな術式の練習を繰り返してきた。
けれどマナの収束に失敗、拡散に失敗、細かな失敗を繰り返して集中を欠いて失敗。
試行錯誤を繰り返し繰り返し、幾度と繰り返そうとも上手くいかず、凹むような性格ではないものの首を傾げていた。

だが、原因は武器にあったのだ!
それを理解し、新たな触媒を手にした今、問題の全ては解消されている!


穂乃果「秩序と神祗、混濁と終焉。焔の眼に歪曲を正せ!!!」


イメージは幾度となく繰り返した!
穂乃果の中にある力のイメージ…火、炎。
暖かさと光、それは燦々と降り注ぐ陽光!

自らを星と成し、地上へと再現するのだ。太陽の光を!

真姫は目を閉じ、集中に徹している。
にこは一人…穂乃果の体から放たれる赫赫の光、太陽そのものかとさえ見紛う光を前に、眩げに目を細める。


にこ(才能ってやつ?ったく、嫌んなるわね…)

穂乃果(行けるっ…!!)

にこ「行きなさい!穂乃果っ!!」

穂乃果『陽の紅焔(プロミネンス)!!!』


738 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/27(日) 02:35:55 sqz59rnQ
穂乃果を中心に、放射状に炎の波が拡がっていく。
それは焔の激しい噴火ではなく、亜空灼火法のようは変則的な爆破でもない。
ただ静かに、無音のままに炎の輪が一帯へと拡散する。

真姫やにこも巻き込まれているのだが、しかし向上したマナ操作力は仲間だけを精密に効果の対象外としている。

そして超高温、ごく瞬間的に宇宙規模の高熱を発した炎環は、モルドレッドが爆発的に発生させた蔦の海を一斉に灰燼へと帰してみせる。

白雲の地から翠緑の海へ、そして赤の炎環が一帯を舐め、残ったのは雪のように舞い落ちる、降り積もる灰吹雪。

その才覚の牙を遺憾なく発揮し、危機を脱してみせ、そして穂乃果は膝を屈する。


にこ「穂乃果!」

穂乃果「……さすがに、消費がっ…けどっ!」

真姫「……準備は、できたわ!!」


739 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/27(日) 02:39:32 bHPHwulE
ップロミネンスは大魔法なのかな?


740 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/27(日) 02:43:00 g0e/hFLo
そのとき書いててこの速度ってすごいな

改めて>>1に感服


741 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/27(日) 02:45:37 sqz59rnQ
真姫は双手、フランベルジェを捧げ持ち、見据えるのは母の姿。
もう泣かない。刀身には灼熱の炎が揺らぐ。
永遠の別れを前に、母の姿を一瞬たりと見逃さない。
想いは母も同様で、モルドレッドはその美しい瞳に真姫の姿を映し…


真姫ママ≪真紅の桜火≫


最強最大の大技、翼に灯る桜色のマナを四散させ、一帯全てを薙ぎ払わんと咆哮を上げる…!!

長く長く、美しく。龍声が空間を揺らし、穂乃果の、にこの、真姫の鼓膜へと振動を、感情を伝える。
それは娘との別れを告げる悲しみのようにも、娘の未来を祝福するための祝声にも聞こえ、穂乃果とにこは思わず涙を流していた。

けれど、真姫は泣かない。
もう涙は十分に流した。フランベルジェを握れば…母のマナは、心はそこに添っている。

母娘の心は響き合い、共鳴し合い。

剣に灯る炎、その色は美しい桜!
巻き上がった灰は陽光を隠し、一帯はさながら夜のように暗く。

母娘、マナの性質は似るものだ。
幾度も目の当たりにしたモルドレッドの最強技を参考に、高め、練り上げ。

刀身が力強く脈動する!!!


真姫「さよなら…ママ…!『桜火繚乱』!!!」


742 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/27(日) 02:56:05 A28MGju.
レス減った?


743 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/27(日) 02:58:23 eHyHPeN2
読むのに集中してる


744 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/27(日) 02:58:39 cX6tCxkQ
見入ってるんだろ


745 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/27(日) 03:10:43 sqz59rnQ
性質としては剣技。

魔剣士が操るそれに近く、しかし重要なのは理屈ではない。
そこに宿るのは想い。死してなお守り続けてくれた、世界一の母親に応えるため…安心して眠ってもらうための力!

灰色の夜を払う薄紅の光は、例えるならば夜桜のように。

翔ける光はモルドレッドが放った桜火の砲撃を圧倒、爆散させ、そして母娘の同質のマナは共振を起こして強く煌めいて舞う。

炎圧が炸裂、爆発が爆発を呼ぶ。
フランベルジェが振り抜かれた軌道に沿って、モルドレッドの巨身は見事に斬り裂かれている…!


真姫「……ママ!これが…私の答え!」

真姫ママ「立派よ…本当に」


龍体から人間体へ。
その体からは残されたわずかなマナが流出し、空へと昇って消えていく。
主の消滅を間近に、空間は揺らぎ、掠れ、ゆっくりと消えていく。
家が、菜園が、真姫のためのトマト畑が、真姫のためのピアノが、全てが砂のように崩れ去っていき、母娘は最後の抱擁を。


真姫ママ「ずっと…ずっと見守ってるわ。一緒にいてあげられなくてごめんね…」

真姫「ママ…ママ…!大好き!大好きっ…!!ママっ…」


泣かない。意地でも泣かない。
真姫は歯を食いしばり、胸の奥から突き上げる慟哭に抗い、ただひたすらに母へとすがりつく。
髪を、頬を撫でられ、空が闇に覆われ…
静かに、おやすみのキスを。


真姫ママ「愛してるわ、真姫ちゃん」

真姫「おやすみ…ママ…」


瞬間!空間が縮退する!!

穂乃果、にこ、真姫、三人の体が浮き、悲鳴を上げる間もないままに視界の彼方、彼岸花の咲き誇る場所へ、その先へ。現世へ!!

意識がごちゃごちゃに混濁し…

……



頬に冷たい水滴。
穂乃果はゆっくりと目を開き…隣には、真姫とにこが横たわっている。

そこは雲の地面ではなく、足元は硬い石床。


穂乃果「……ここは、王宮?」


746 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/27(日) 03:11:22 uloiJ07s
レズ増えた?


747 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/27(日) 03:32:13 sqz59rnQ
穂乃果は立ち上がる。

体に傷などはなく、まだ気絶したままのにこと真姫も同様だ。

けれど真姫の母から授けられた炎樹の杖などはそのままで、全て夢などではなかったのだと知らせてくれる。
真姫の頬には一筋だけ涙の跡が残されていて、それを指で拭って穂乃果は立つ。

少し歩き回り、煤けてはいるが白亜の壁。
地下から炎が噴き上げた跡と覚しき大穴も存在していて、淵に手を掛け下を覗き込んでみれば底の見えない奈落。
天井まで炎が吹き上げたのか、空が見えて雨が落ちてきている。

すっかり廃墟の様相だが、ここは王宮と見て間違いがないようだ。

“こちら側”での最後の記憶はにこのチェーン一本で大穴にぶら下がっていた状態で、穴の外、それも地下ではなく地上で目を覚ましたのは真姫ママからの最後のサービスといったところだろうか。


にこ「……っ、ぐう…ここは…」

真姫「………穂乃果、にこちゃん…?」


748 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/27(日) 03:33:40 sqz59rnQ
二人も起き上がってきた。
穂乃果は振り向き、二人へと軽く手を振り、足元に落ちている新聞を拾い上げる。
まだ雨風に風化しておらず、おそらくはここ数日の真新しい物。
日付はあの日から二ヶ月と数週間が経過していて、まともに目を通せばキリがないほどに世界の情勢は移り変わっているようだ。

けれどそんなことより何よりも、今の穂乃果にとって気になるのはみぞれ混じりの冷たい雨を降らせる暗い空。
悲しい別れを経たばかりの真姫に、こんな空模様で暗い気分を感じさせたくない。

その一心、穂乃果は一際天井が大きく開けている位置へと走り、雨露に打たれるのにも構わず決然と天を仰ぐ!!

突然の奇行に、二人が「穂乃果!?」と疑問の声を上げるのにも構わず、大声で!!


穂乃果「雨やめえええ!!!!『火龍哮(ほのファイア)』!!!!」


盛大に吐き出された炎は高く!高く!!
龍皇の名に恥じぬ猛烈な勢いで天を焦がし、雲を穿ち、そして陽光を差し込ませてみせる…!!

暖かな陽の光は、世界を覆う長い冬の終わりを告げるようで…


穂乃果「よしっ!晴れた!!」


にこと真姫は、振り返って笑う穂乃果の笑顔が太陽そのものであるかのように錯覚する。

主人公の帰還と共に、物語は雪解けへと向かって動き出す。


749 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/27(日) 03:34:08 sqz59rnQ
今日はここまでで


750 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/27(日) 03:35:31 Prgdka/s
最後の抱擁っていう単語だけで泣けてくる……


751 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/27(日) 03:38:01 /8DvZojY
おつ
次は仲間集めの旅になるのかな


752 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/27(日) 03:40:59 F8J5e8gs
乙、いよいよ修行終わりか
真姫ちゃんて職業は何になるんだっけ?プリンセス的な特種職?


753 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/27(日) 03:42:12 QNLFPm5w
の前に海未ちゃん潜入編…


754 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/27(日) 03:46:47 XltwdbEw
ほのパで仲間集めしつつ海未パが挟まるんやろ?


755 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/27(日) 03:50:42 a31tCO.g
海未ちゃん編が一番気になるしなー


756 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/27(日) 04:38:14 00z3cHoo
雨やめえ(物理)にくすっときた


757 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/27(日) 08:02:53 rg0pYXDM
プリンセス的な特殊職?
姫騎士だな!!!


758 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/27(日) 10:00:57 JOaaWxrs
まきちゃん…
これで一年組の母親は全滅か


759 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/27(日) 10:18:58 Jdr7XhK6
真姫ちゃん見てると西木野王を殺していいかちょっと迷うから困る


760 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/27(日) 13:03:03 N8kNgYQA
絵里は絶対に裏切らないって西木野王言ってるけど
名前の時点でフラグにしか見えない


761 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/27(日) 13:08:15 BvQGuJ3Q
>>760
これ


762 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/27(日) 13:18:04 wQeEUZtM
命令しなければ守ってくれないのによく信じられるな


763 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/27(日) 14:22:29 8HDZtKr2
他人は信じてないって言ってたやろ


764 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/27(日) 14:25:23 bP7wEqeA
>>760
頭もぎ取ってくれる事に期待


765 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/27(日) 14:29:09 5X1PrSxE
>>764
パイナップルことドクター西木野の話はNG


766 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/27(日) 20:14:35 00z3cHoo
離反されると困る以上
なんらかの形でいわゆる安全装置を用意してるのだろ


767 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/27(日) 20:49:37 wQeEUZtM
モブに殺されかけてるし王はさほど重要なキャラではないんだろ。年越せるかどうかも怪しい


768 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/27(日) 21:04:19 sqz59rnQ
9時半頃から
今日は書き溜めしてるから一気にサクサク投下するよ


769 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/27(日) 21:14:06 Iy6dt/WQ
一気投下はレス挟まれないから見やすくていいね


770 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/27(日) 21:15:27 6Q6LnppA
死ななかったから重要キャラに再浮上したかもよ


771 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/27(日) 21:29:32 8HDZtKr2
というか、かさねはモブじゃなさげだしな


772 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/27(日) 21:33:12 sqz59rnQ


オトノキ村から数キロ離れた位置、同じ程度の規模の小村が存在している。
元々オトノキ村とは交友が盛んで、村人同士にも知り合いが多い村だ。
そこにはヒデコ、フミコ、ミカらの家族を始めとしてオトノキの村人たちが避難していて、各民家や宿屋に滞在させてもらっている形だ。

その中、小さな診療所の一室には目覚めぬ患者が一人。ほのパパだ。

先日の戦いの中で娘たちを庇い重い傷を負い、傷は癒えたが意識は未だ戻る気配がない。
傍にはほのママの姿。村は焼かれてしまったが、大事な娘たちを守った夫に誇りを持っている。

日夜付きっ切りで目覚めを待ち、マナが尽き果てるまで回復魔術を施し続ける姿はなんとも痛ましい。

オトノキ村の人々の中に、村が焼かれてしまったことで夫妻を責める者は誰もいない。
当たり前だが、戦えぬ村人たちの代わりに村を守る役目を負ってくれただけでも十分というもの。
それで昏睡状態に陥ってしまったのだから、人々は悲しみに包まれている。


773 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/27(日) 21:33:51 sNTwhCto
それでも、死んではいない。
一番希望を捨てずにいるのはほのママで、そして共に病室に佇むことりも同様だ。

目覚めぬ父へ、母と共に治癒術を施し、けれどそうばかりしてはいられない。
そっと病室から歩み出て、診療所の外へ。
そして空気を肺いっぱいに吸い込む。


ことり「すぅ…っ…はぁ…ぁ…」


冷たい空気を取り入れると、停滞していた思考がやにわに動き始める。
村の中には簡易ではあるが、ここの村の住人たちの好意により仮設の住居が建てられ始めている。

ことりは前を向いている。
父こそ倒れてしまったが、村人に死者は出なかった。それは胸を張っても良いことだろう。

そして、きっと自分の天使としての力を高めることが父の治療にも繋がるはずだと。
癒せるはずだと確信がある。だから下は向かない。

それよりも、今最も気掛かりなのは二人のこと。
連れ去られた凛、そして正気を取り戻しながらも虎口に飛び入った海未のことだ。

要塞の位置する南の空には暗雲が立ち込めている。
たかが天気の話ではあるが、それがことりの心中に不安を募らせる。


ことり(お願い、二人とも無事で…)


774 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/27(日) 21:34:35 sNTwhCto
村の中、小高い丘の上では、ツバサがぎりりと唇を噛み締めている。


ツバサ「情けない、情けない情けない!」


一心不乱に剣を振る。
会心の剣で絵里を打ち倒した。そこまでは良かった。
けれど戦況が変わり、途端に希の呪術を受けて無様にも地へと転がり。
結果、凛をさらわれてしまい。

挙句…愛する穂乃果の家族をも守れず。

もはや挫折に悩むだとか力不足を悔やむだとかそういう次元ではなく、負けん気の強いツバサは何もかもが悔しくてたまらないのだ!

納得いかない!この絶対強者たる綺羅ツバサ様に、世界はどれだけの不遇を与えるつもりなの!!

一陣の風を裂く!
剣を縦横に振るい、舞い上がる草を微塵に立つ!
ここまで。私の底は今ここ!
見てろ世界、待ってろ高坂穂乃果。這い上がり、掴んでみせる。
平和を!あなたの愛を!!


ツバサ「ラブ&ピース!!!」


775 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/27(日) 21:35:00 sNTwhCto
高坂夫妻が寝泊まりしているのと同じ診療所、隣の一室。

暴走天使、支倉かさねは目を覚まして起き上がる。
数日、昏睡していた。
格上の相手へと奇襲を掛け、自身の運命を賭し、体力もマナも根性も限界の先までを費やした戦いだった。そして敗れた。

ベッドから身を起こし、ゆったりとしたベージュ色の病衣を脱ぐ。
そしてベッドへと全体が見えるように広げ、手元にはマナで形成された針と糸を顕現させる。
ことりの『白の聖縫』と似た技術だ。
同じく天使、同じく裁縫が趣味。似た発想に行き着くのは自然の理で、天使として過ごした期間の長さからこの技術はかさねに一日の長がある。
器用に素早く、ただ針と糸で手作業をしただけだというのに、病衣をたちまちのうちに外行きのインナーとスカートに作り変えてしまった。
それを身に付けると、続けて魔術でどこからかピーコートを取り出して羽織る。

寒さに負けない格好を手に入れ、ここから離れようと…
ふと気になり、隣の病室を覗き込む。


かさね(……高坂穂乃果の両親)


壮年の男性、父親の目は閉じられていて、治癒術にも通じるかさねには一目で意識のない状態だとわかる。
ベッドの隣に座している女性、穂乃果の母親は疲れているのか、夫のそばに顔を伏して寝息を立てている。


776 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/27(日) 21:35:27 sNTwhCto
かさねがオトノキ村を訪れたそもそもの目的は高坂穂乃果への嫌がらせで、結果的にはかさねが連れてきた戦車隊が父親の意識を奪ったわけで…
悪に徹しきれないかさねの内心には苦い感情が宿る。

曖昧な意識の中の記憶ではあるが、穂乃果の母親は自分に治療を施してくれた覚えがある。
このまま立ち去るには気が咎める。
しかし高坂穂乃果を敵視している現状、素直に礼を言うのもなんだか嫌だ。

ので、足音を殺して病室へ忍び入り、試しに穂乃果の父へと治癒術を施す。


かさね(……『エクスヒール』)


光が広がり、包み込み…
しかし、ことりが既に何度も同じ治癒術を使っている。
術者が代わったところでそれほど効果が変わるわけでもなく、現状どうすることも出来なさそうだ。


かさね(ダメか。でもこれでノーカンだからね)


内心でそう呟き、病室からそろりと出た。
と、その前に、空腹なので見舞い品からバナナを一本だけ拝借した。

むぐむぐとかじりながら診療所から歩み出て、次は何をしてやろうか、もう一度西木野王を狙うか…


ことり「あっ」

かさね「げ…」


ばったりと鉢合わせたのはあの理事長の実子、ことりだ。
同じ聖なる力を持つ天使、同じ裁縫が趣味。けれどかさねはモブで、ことりは天使の長の娘にして運命の主役級。
かさねからすれば高坂穂乃果と同レベルに気に食わない存在。

けれどことりはにこにこと人の好い笑みを浮かべて、あまつさえかさねの快癒を喜んでみせる。


777 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/27(日) 21:35:58 sNTwhCto
ことり「意識が戻らなくて心配だったけど、治ったんだね…よかったね♪」

かさね「どうも、ありがと」

ことり「私の名前は…」

かさね「知ってるよ。南ことりでしょ?私は支倉かさね」

ことり「南…?あ、そっか。お母さんの名字…」


南という名字にすぐにはピンとこなかったようで、この世界では“高坂ことり”だったねとかさねは考える。
ことりはそんなかさねに対して興味津々の様子で、顔を覗き込むようにして問いを。


ことり「あなたも、天使なんだよね?どうして西木野の王様と戦ってたの?」

かさね「……気まぐれかなっ!」


それだけを答え、かさねは翼を広げて空へと舞い上がる。
長々と会話を交わすつもりはない。仮にも倒そうという相手、まかり間違って仲良くなれば面倒だ。

この場で仕掛けてもよかったが、あくまで狙うべきは高坂穂乃果と目している。
行先を決めずに飛び去り…残されたことりは呆然と空を見上げている。
そこへふらふらとツバサが歩いてきて、隣で空を見上げる。


ツバサ「何あれ、慌ただしい子ね。治るなり逃走って何かやましいことでもあるんじゃないの?」

ことり「うーん…悪い子じゃなさそうだと思うんだけど……、?」

ツバサ「どうしたの?ことり」


遥か遠方の空が、一瞬赤く煌めいたような気がした。
それは本当に一瞬で、視覚だけなら錯覚だと感じていたかもしれない。

しかしことりの天使としての感知能力は、そして何より幼馴染への深すぎる愛は、鋭敏にその光の正体を捉えている。


ことり「穂乃果ちゃんが帰ってきた…!」


778 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/27(日) 21:37:57 sNTwhCto


場所は変わり、南部に位置する西木野王の要塞。
かつての古城を改築した要塞のそばには古風な煉瓦造りの城下町が広がっている。

かつては古城への観光客にそこそこ栄えた城下町という程度だったのだが、今は要塞の軍人、武器や物資など諸々の搬入業者で人口が大幅に増加している。
しかし反して、街に活気はない。

西木野王は足場を強固に固めることを望み、都市としての発展よりも厳しい統制を敷いたのだ。
よって夜間の外出は禁止、昼間も絶え間なく憲兵らによる身分確認が行われ、少しでも不審な者がいれば即座に牢へ。
かつての観光都市は今や、暗い沈黙の中へと沈み込んでいた。

そんな都市の夕暮れ時、軍人以外の人々が自宅へと足早に向かう時刻。
閑散とした街並みの中、足音が二つ並んでいる。

一人は海未。
村正の支配を下し、正気を取り戻しながらも闇のマナを身に纏って洗脳状態を装っている。
今のところ王や配下たちの誰にばれた様子もなく、絵里や希にも念のために洗脳継続を装っていた。


海未(敵を騙すにはまず味方から…と言いますからね)


今は夜の警らだ。戦闘を予期したものではなく、腰には一本、村正だけを帯びている。
それほどの緊張感はないが、背筋を伸ばして全身に気を張り詰め、軍靴の音を鳴らして歩く。


779 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/27(日) 21:38:53 sNTwhCto
その隣、すたすたと軽やかに歩いているのは…
すらりと細身、しなやかな肢体に纏うのは海未や希と同じく特級軍服。
そう、闇に染められてしまった凛だ。


凛「フフフ、拳が疼くよ。今宵の獲物はどこにゃ…!」

海未(ああっ…この痛々しい言動…目も当てられません!そして他人事とは思えない…!)


海未には洗脳されていた最中の諸々の言動の記憶がしっかりと残されている。
刀を舐めてみたり、闇が疼くと嗤ってみたり、 ポエムノートの存在を暴露されてみたり…


海未「う、ぐ…あああ…!」

凛「海未ちゃんどうしたの?闇が疼くのかにゃ…?ククク」

海未「い、いえ…なんでもありませんよ」

凛「……?いつものポエムはないの?」

海未「さ、最近雨不足ですからね。私の村正で血の雨を降らせてあげましょう!」

凛「………んー。キレがないような…」

海未「き、気にしすぎです。くだらないことを言っていないで、行きますよ!!」

凛「はーい」


780 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/27(日) 21:39:38 sNTwhCto
海未に軽く叱られ、手足をぷらりと振りつつ付き従う凛。
凛には希と異なり、元々闇の素養がない。
そして海未の村正のように強い闇を秘めた武器を持っていたわけでもなく、王国が洗脳を施す際の汎用品であるチョーカーを首に装着させられている。
全身に闇のマナが回り、思考を染められているのだが…
その度合いが薄いのか、それとも生まれつきの明るさのためか。いまひとつ緊張感や圧迫感を発していない。

とはいえ、好戦性は増している。
時折憲兵とすれ違う他には人気のない街の中、くるくると視線を巡らせては怪しい敵を探している。
敵がいればすぐさま飛びかからんとステップを踏む様子は猫というよりは獅子か豹か…


凛「あっ!!」

海未「む、敵ですか!?」

凛「猫ちゃん!待つにゃー!」


凛のご機嫌は野良猫を見つけたというだけ。
足取りも軽やか、猫を追いかけて路地へと入り込んでいく。
楽しそうな姿に海未はため息を一つ。やはり、どうにも緊張感がない。

けれど、凛に切羽詰まった様子がないのは少し助かる。
希と絵里を救うためには凛の洗脳を解除するタイミングが重要。
その凛が闇の負担に苦しんでいるようであれば焦せらざるを得なかったところだが、この明るい様子であればしばらくは大丈夫なようにも見える。


781 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/27(日) 21:40:18 sNTwhCto
海未(と、しても。希の限界が迫りつつある以上、悠長にはしていられないのですが)


追って、海未も路地へと入る。

凛は路地にべたりと腹ばいになり、微妙に距離のある位置から野良猫を眺めている。
性質を闇に染められようと猫アレルギーであることに変わりはなく、これ以上接近すると症状が出てしまう。
好きなのに近付けないというのはなんとも気の毒な話だ。


海未(もし私が穂乃果アレルギーになってしまったとしたら…?ああっ!あああっ!!血反吐を吐きながらでも近付くしか…!)


そんな馬鹿な事を考えている海未をまるで放置し、凛はマイペースに猫との交流を楽しんでいる。
掌で地面をぺしぺしと叩いてモーションをかけ、反応を見て遊ぶのだ。猫アレルギーには猫アレルギーなりの楽しみ方というものがある。


凛「ふふ、可愛いにゃー。海未ちゃんもほらほら!」

海未(魔術とかで治してあげられないんでしょうか、アレルギーって)


と、あまり遊んでばかりもいられない。
絵里を筆頭に、希、海未、凛は新たなる四騎士の位置付けだ。
正式な拝命こそまだだが、軍内部では既にその認識が広まっている。
それがこうも堂々も警らをサボっている姿を他の兵士に見られたのでは、威厳も何もあったものではない。


782 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/27(日) 21:41:01 sNTwhCto
海未「そろそろ行きますよ、凛」

凛「んー、しょうがないね。猫ちゃんばいばい!」


野良猫へと手を振り、腹ばいの状態からバネだけでピョンと跳ね起きる。
流石の身体能力、雷猫族の血は伊達ではない。


海未「さて、せっかくですからこのまま裏路地を見回りましょうか」

凛「了解にゃ!はぁ〜、誰でもいいから血祭りにあげてやりたい気分!」

海未「そ、そうですね…」


明るい表情から稀に飛び出す残虐発言。
なんともアンバランスで、海未はその都度反応に困らされる。

ともあれ、二人は順に路地へと立ち入りながら見回りを続けていく。
今や国内屈指に警備の固い街ではあるが、それでも油断は禁物。住民や出入り業者の中に天使が紛れ込んでいるという噂が絶えないのだ。

最も強く天使との対決姿勢を押し出しているのは西木野王。ならば、偵察の人員が入り込んでいても不思議はないのだ。

そして天使らにしてみれば、王に次いで疎ましいのは絵里。その次に来るのが希、海未、凛の三人だろう。
であれば、こうやって人目のない路地を歩いていれば襲ってきてくれる可能性があるのではないか?
と、期待値は高くはないが、試してみている。

海未は真面目だ。たとえスパイとしての立場であろうと、任務は着実かつ完璧に遂行すべし。
天使が現れれば狩ってみせようと静かに視線を巡らせて…

ドサリ。


海未「…む、これは?」

凛「んー?……って!死体だよ!?」


そう、頭上から降ってきたのは遺体が一つ。
そして、その背には消えかけの光翼…天使の翼が。


凛「しかも天使にゃ!?」

海未「上で一体何が!」


783 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/27(日) 21:42:16 sNTwhCto
死体が降ってきた方向、頭上には六階建ての建物。
格式高い古びた煉瓦の街並みでは比較的新しめ、必要最低限の設備だけが供えられた安ホテルだ。

見上げ、一通りの窓を見渡すもその全ては閉じられている。ということは…


凛「屋上っ!」


短く一言叫ぶや否や、凛は脚へと電撃を漲らせ、雷速の跳躍!
ざらつく煉瓦の壁へと手を着くこともなく、靴裏だけを頼みに垂直に駆け上がっていく!

壁を駆け上ってみせる凛の運動能力はまさしくニンジャ。
その凄まじさに若干呆れつつ、海未は素早く手元へ水の矢を現し、壁面の最上部へと放つ!!


海未「『水アローシュート』そして『転移』ですっ!」


飛んだ水矢は壁面へとぶつかり弾ける!
そして撒き散らされた水の気を追っての瞬間移動を見せ、屋上の縁へと手をかけてヒラリと舞い上がってみせた。
なかなかどうして、海未も傍目には十分に人外の動きだ。

さて、屋上へと辿り着いてみれば…


784 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/27(日) 21:42:48 sNTwhCto
海未「こ、これは……どういうことです」

凛「天使と、兵士たちがたくさんやられてるね…」


死屍累々。
天使らしき者が2人、兵士が10人以上。
その全員が絶命していて、その全てに鈍器で体を打ち砕かれた痕跡がある。

そしてその犯人は、明らかに…


凛「真っ黒な鎧…あなたがやったの!?」

海未「……一体、何者です?」

「………」

海未「答える気はなし。武器を捨てて投降するつもりは?」

「………」

海未「当然、ありませんよね」


漆黒の甲冑。
形状はシャープな全身鎧、頭部はフルフェイスのヘルメットを思わせる凹凸の少ない形状。
随所に烈烈と燃える赤の意匠があしらわれた鎧は地獄を思わせる異様な空気を放っていて、印象的なのはその手に持たれた棒状の武器だ。
長さは身長よりも長い六尺ほど。甲冑と同じく黒塗りだ。


海未(おそらくはあの得物で、天使と兵士たちを)

凛(気を付けなきゃだね!)


785 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/27(日) 21:43:11 uloiJ07s
ツバサちゃん
ラブアンドピースってそういう意味だったっけ?


786 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/27(日) 21:43:38 sNTwhCto
海未と凛は小声で会話を交わし、戦闘へと意識を傾け始め…
黒騎士はさっさとかかってこいとばかり、武器を手にしていない側の掌でクイクイと二人を煽る。

それを皮切り、凛の姿がフッと搔き消える。
と、既に黒騎士の面前に到達している!

神速のローキックを下段へ、重みを込めた中段蹴りを腹部へ、鋭い足刀を首筋へ!
目にも留まらぬ三連蹴りを、身を沈めた体勢から一撃ごとに浮き上がりつつ旋風のように!

けれど黒の甲冑はその三撃を器用にいなす。
上下の蹴りは棒を斜めにして逸らし、中段の蹴りは肘膝で挟むようにして受け止めてみせる。


凛(受けられた!?)


黒騎士は防御から一転、棒を横に払って攻撃を放つ。
おそらくは天使に兵士を殺害した得体からの攻撃、まともに受けるのはリスクが大きい!
凛は防御をせず、バック転を繰り返して即座に距離を置く。

それを見た黒騎士は棒を両手、水平に持つ。
すると両端へと黒光が刃のように鋭く光り、さながらダブルセイバーの形状へと変化する。
逃れていった凛へと追撃を仕掛けようと踏み込みを…!


海未「私をお忘れなく」


787 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/27(日) 21:44:10 sNTwhCto
村正一刀流、刀身に闇を纏わせての戦闘だ。

一、二歩と大股に鋭く踏み込み、切先を下段から擦り上げる!
石床を削り火花が散る。刃と刃が触れ合い、黒騎士は受けつつ右足を引き、そのまま反転して逆斬!


海未(ふむ、これがダブルセイバーの斬撃。重いですね…!)

「ふふ…」

海未(声にノイズが掛かっている…けれど、この響きは女性でしょうか?)


刃で受けるも、海未の足が後ろへと押し込まれる。
黒騎士から繰り出される攻撃は左右、縦からの斬り下ろし、浅く引いて逆刃で下段からの薙ぎへ。

夜闇の屋上は暗い。闇の中で繰り出される黒の刃は間合いを取り辛く、ならばと海未は密接接近をひたすらに心掛ける。
視界を保つ光は月明かりと、周囲を駆け回り介入のタイミングを見計らう凛の雷光。

闇のマナで形成された双頭の刃は触れるだけで切断をもたらすようで、掠めた床が鈍い摩擦音と共に抉れて穴を開ける。

同質、闇のマナの村正なら受けることは可能。けれど気は抜けない!


凛(海未ちゃん!)

海未(…!)

凛『凛ちゃんサンダー!!!』


788 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/27(日) 21:47:44 sNTwhCto
一瞬の目配せ、とっさに海未が飛び退いたところへと雷柱が降り注ぐ!!!
屋上に設置された貯水タンクを蹴り上空へと飛び上がった凛が、両手をクロスさせた状態から勢いよく開き…瞬間!
極大の雷光を撃ち放ったのだ!!!

一帯を昼に染める光!石床を黒焦がすほどの電熱の塊だ!!

だが…黒騎士は眩く降る雷の中から、確とした足取りで歩み出てきた。


凛「そんなぁ!効いてないの!?」

海未「馬鹿な…『黒水弾!!』」


凛のあの雷を受けて、倒れないだけならまだしも無傷!?
凛はもちろん、海未もそれを信じることができずに青黒の斬弾を瞬時に放つ!

高圧の水に闇の破壊力を付与し、空気を裂いて迫る一撃!
戦車を沈黙させてみたことからもその威力は折り紙付きだ!

けれど黒騎士は小首を傾げ、表情こそ見えないものの、どこか楽しんでいるような仕草で…
ダブルセイバーさえ使うことなく!
鎧の籠手のみで水の弾丸を受け止めてみせたではないか!!


海未「まるで効いていないとは…」

凛「ちょっと硬すぎないかにゃー…」


唖然とする二人へ、黒騎士はゆっくりと。
どこか艶然とした態度で迫り…両剣を構え!


789 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/27(日) 21:48:33 sNTwhCto
希「おおっと、そこまでや」

絵里「止まりなさい」

凛「絵里ちゃん!希ちゃん!」

海未「……やれやれ、助かりましたよ」


二人が加勢に現れたことで形勢は四対一。それも現在の四騎士とも呼べる面子が勢揃いだ。
絵里の強さはもちろんのこと、希と海未に凛を加えた三人の組み合わせは元よりの戦闘力を向上させるコンビネーションを発揮する。

これには得体の知れない黒騎士も不利を感じたか、棒に刃を成していた闇のマナを霧消させて戦闘の構えを解く。


「………くすっ」

希「ありゃ、余裕綽々って感じ?」

絵里「逃げるつもりかしら。そう易々とはいかないわよ?」


有言実行、絵里の氷は既に黒騎士の下肢を捉え始めている。
同時に希の影が音もなく伸ばされつつあり、捉えて縛り上げようと…!

その瞬間!
黒騎士の体がボロボロと崩れ、黒い塊となってどこかへと飛び去っていった。


凛「ば、バラバラになったにゃ!?」

希「うわ、何やろアレ」

絵里「残念、捕らえたかったけれど…」

海未「黒騎士…一体何者です」


天使が街に入り込んでいた。
天使と国軍兵士を見境なしに殺める黒騎士が現れた。
希と絵里の救出に集中しなければならないのに、気にしなければならない事柄が増え…

海未は腰へと村正を納め、深々と息を吐いた。


790 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/27(日) 21:50:07 sNTwhCto
とりあえずここまで


791 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/27(日) 21:52:09 Iy6dt/WQ



792 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/27(日) 21:52:37 7WasERGY
おつ


793 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/27(日) 21:55:44 cX6tCxkQ

謎の白いライオン・・・じゃなくて黒い騎士・・・一体何者なんだ・・・ネタ抜きに


794 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/27(日) 22:06:25 NAYHE1rM

あんじゅに溺れし性騎士ヒデコかな?


795 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/27(日) 22:07:23 00z3cHoo
なんというダー〇・モール


796 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/27(日) 22:23:29 7QKUHDmI
ニンジャ?!なんでニンジャ?!アイエェェェェ・・・


797 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/27(日) 22:53:18 uloiJ07s
おっきくて固い黒い棒を使いこなす…


798 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/27(日) 22:53:30 8HDZtKr2
両刃をダブルセイバー呼びということはやはりハンターズかアークスなのか…


799 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/27(日) 23:31:38 /VrZTVVg
ダブルセイバー……修正………乗らない潜在…………うっ頭が


800 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/27(日) 23:40:04 Jdr7XhK6
今日は早めだったのな、乙
黒鎧に棒はアバドンと似てるしあんじゅ様かな


801 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/27(日) 23:42:22 sTIbVLC.
言うほど闇堕ちしてない凛ちゃんまじえんじぇー


802 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/27(日) 23:42:41 DnAwZzv6
感想スレいらないって言われてたし展開予想ってもうここでやっていいんだよね?実は死んでなかった海ママだと思う、同じ剣士だったらしいし


803 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/27(日) 23:47:45 GjxAI/os
展開予想は個人的に見たくない派なんだが…
書き込むなとも言えんしなぁ


804 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/27(日) 23:52:00 Vgkbbrvw
スレタイはアレだが一応こんなスレがある
ttp://hope.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1450236671/


805 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/27(日) 23:56:28 iNaqMGTA
ここで書いていいんだよね?って書かないわけにはいかないのか?w


806 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/28(月) 00:00:37 cRMdbvAE
展開予想も含めて楽しむぐらいのスタンスでいいじゃない


807 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/28(月) 00:02:34 qIPyeOlo
中には嫌な人もいるんだからやめたら?
前々から荒れる原因だろそれ


808 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/28(月) 00:11:56 ZUc8JsgY
作者が自由に語ってオッケーっていってたろ


809 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/28(月) 00:15:44 bT64ccd6
厨二病凛ちゃん可愛いww


810 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/28(月) 01:32:16 sxK/q72Q
てか海未ちゃん中二病は治まったけどホノキチが悪化してね?例えとはいえ血反吐吐きながらでも近づくって・・・


811 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/28(月) 01:46:35 L8lQ6aeQ
むしろホノキチが治った海未ちゃんこそ
とてもヤバい病気にかかってるってレベルじゃね


812 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/28(月) 02:33:28 OjkqJ7fo
ずっと我慢してたのに展開予想ここでしていいのか!?
ほのにこまきが暴れたり脱出するタイミングで新四騎士の洗脳解いて合流が妥当そうだけど、絵里の洗脳解けない気がする
そこで大元の王を殺して「王に服従」大元から無くするか、海未ママなら同じ打ち消しの青マナ使うとかかな
王を倒したとしたら次は人間対天使の構図になるけど、最後は和解エンドとかだろうし、強化したパーティで天使の幹部クラスとのみ戦争になるのかな?
もしかして召喚できる状態のと剣にマナ宿してる真姫ママと王と絵里除いた7体を他のメンバーに入れる展開も王道だけど、蟲龍とか入れて欲しくない気もするなあ


813 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/28(月) 02:35:21 qVpRAQts
程度ってもん考えろよ長文クソ邪魔


814 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/28(月) 03:05:14 2H2hi0Yc
何故荒れそうな事をわざわざするのか


815 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/28(月) 05:43:07 G4tX4/OU
荒らしたいだけなのでは


816 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/28(月) 06:33:56 Jg7mtsq6
展開予想は死ね


817 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/28(月) 06:39:52 7y9t3TVU
展開予想とか執拗なユニコーンの真似とかレズレズ連呼とか、荒れそうなレスはやはり自重したほうがいい


818 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/28(月) 07:39:56 xEBvJZSU
ユニコーンの真似やってんの一人?


819 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/28(月) 07:46:47 UFollhzg
一人だと思いたい


820 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/28(月) 09:09:27 f6n6u79M
リリホワでチーム組むと戦闘で相性補正かかるのか
世界が変わってもリリホワの絆が繋がってるようで喜ばしい限り


821 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/28(月) 09:45:46 ZUc8JsgY
今は敵だし早めに切り離したいな


822 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/28(月) 11:39:15 62E0GM46
せっかく装備集めたのに洗脳されたら没収かよw


823 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/28(月) 11:43:40 E1gq469k
まーた文句か
これ本物のゲームじゃなくてSSだぞ


824 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/28(月) 12:05:58 lAh0tpfs
この流れ何回目だよ


825 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/28(月) 12:10:06 NOlVQmKI
ゲームブック要素これでもかと詰め込んでるのにゲームじゃないって意見もどうかと


826 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/28(月) 12:22:35 E1gq469k
あくまで「ゲーム風」であって、最終的にはSSであることを忘れて暴れるやつも多い問題
萎えるかもだが、装備もスキルも究極どうとでもなる


827 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/28(月) 12:51:10 2KqZVmzI
また洗脳云々で荒れてんのか
毎回荒れてるし>>1はどう処理するんだろう


828 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/28(月) 12:54:19 6ZQVfK.E
荒れ具合やその対応策、予想やアイデア投下して作者を誘導するゲームだよな


829 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/28(月) 13:04:58 P8DN.wGs
荒れる度に>>1が調整したりしてんのにお前らはまだまだ文句言いそうだな


830 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/28(月) 13:08:46 MSfg4h5k
いくら文句言おうがどうせ最後まで見るんだろう


831 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/28(月) 13:47:24 mWYePbuA
ラブライブ要素は?


832 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/28(月) 13:47:59 sSfjlIig
明らかに喚いてるのは同じ人

みんなスルーして更新の時に愉しめばいいだけ


833 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/28(月) 14:35:37 sWBvxyOk
やっぱりまとめて投下が正解だな


834 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/28(月) 15:59:16 hSbwE7HA
ほのあんの再会のキスはよ


835 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/28(月) 18:51:49 PYMCZep.
とある性騎士見習いさんは、人の彼女を(レズ)バケモノ呼ばわりしたのにも関わらず、彼女より早くにレズ堕ちしたようなのです。ヒデコ、誰かご存知でしょうか?早く会って聞いてみたいですね。


836 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/28(月) 20:15:16 GRcOYbuo
凛知ってるにゃ


837 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/28(月) 21:04:16 Nqk56Ing
伸びてると思ったら……


838 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/28(月) 21:37:27 hW4V1Tpg
年末年始でどこもかしこも忙しいやろし無理せんでええで


839 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/28(月) 21:45:13 KGLsbDHg
聖騎士におれはしょうきにもどったが勝てるわけないだろ!


840 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/28(月) 21:54:13 DYmOdVMg
今日は一気投下で


841 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/28(月) 21:54:49 y1XsEDJc
まってました!


842 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/28(月) 21:54:55 DYmOdVMg


一面の瓦礫の山、焦土と化した王都。

龍皇教団の発生させたテロ、そして西木野王が発動させた『世界火』と。
二つの悲劇により、王都の面積の実に七割が焔に飲まれて崩壊。
犠牲者になった人々と事後に他の都市へと避難した人々を合わせ、人口は四分の一ほどにまで減少していた。

それでも、人々の目から希望の光は失われていない。

長い長い救助作業、そして焼け残った居住区エリアの瓦礫の撤去がつい先日完了し、ようやく王都民の生活がささやかながら取り戻されつつある。
と、言ってもそれ以外の大半のエリアの片付けは手付かずのままで、瓦礫の中に埋もれた死者たちがその無念からアンデッド化したり、家族を失い生き残った孤児たちをどうするかなどの懸念はあるのだが…
それでも聖水などで居住区に厳重な結界を張り、生き残りの生活基盤の立て直しは着々と進められている。

そんな王都の夜。
居住区に灯る明かりの中に、ひときわ明るく輝く一軒の大きな屋敷がある。

その邸宅の中に、穂乃果、にこと真姫の三人は招かれて夕食を堪能していた。


穂乃果「いやー良かったなぁ、貴族さんが無事で!」

「こちらこそ驚いたよ。命の恩人の一人であるあなたと、それに真姫姫様が生き残っていてくれたとは!」


843 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/28(月) 21:55:40 DYmOdVMg
貴族…
そう、穂乃果たちが怪しげな回復薬を与えて死の病から救ってみせたあの貴族だ!

あの治癒の後、彼は言葉通りに後日穂乃果らへと報いるため、無駄な土地や屋敷といった資産を片端から売り払っていた。
そうして固定資産の大半を現金化し、再びの来訪に備えて待っていた。

と、その最中にあの未曾有の大災害が発生する!

幸運にも貴族の邸宅がある一帯はテロにも噴火にも巻き込まれることなく、彼は広い屋敷や庭を避難民たちへと解放した。

そして騒動が終息を見せると、潤沢な資金を活用し、救助作業や焼け出された人々への炊き出し、医療用品の提供などなど、政務を放棄し南部へと移った王の役目を埋めるかのように八面六臂の活躍を見せたのだ。

今や彼は王都に残された人々の中の実質的な指導者とさえ目されていた。
けれど長らく死に瀕していた彼は傲ることもなく、今も邸宅の自室以外は全て人々の仮住まいとして開放されている。


「あの災害で土地や建物が焼かれて価値を失い、富豪たちの多くはその富を失ってしまったんだ。直前に現金化していたのが幸運だったよ」

穂乃果「はえ〜。難しいことはよくわかんないけど、よかったです!」

にこ「アホ丸出しね」

真姫「それにしても驚きね。穂乃果が貴族と知り合いだったなんて」

「知り合い、命を救われた経緯は先にお話しした通りです。真姫姫様、よくご無事で…」

真姫「……ええ、ありがとう」


844 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/28(月) 21:56:14 DYmOdVMg
あの噴火は西木野王、真姫の父が引き起こした物だとは、貴族を始めとして王都の誰もが知らない。
いわば多くの人々の命を奪った仇なわけで、それを知っていれば娘である真姫へと恭しい態度を取ることなどとてもできないだろう。

けれどそれを黙っていることは穂乃果とにこと相談して決めたことだ。
天災では仕方がないと一定の諦めもついているところへ犯人がいましたと教えたのでは、暴徒と化した人々に真姫が磔にされることさえ考えられる。


にこ(いくら父親だからって、そんな負債を真姫が背負わされる道理はどこにもないわ)

穂乃果(当たり前だけど、王様はやっぱり許されないよ)

真姫(私は……)


黙り込んでしまった三人の姿に、貴族は口を挟まず静かに見守るだけ。
人格者である彼は、穂乃果らにも色々な事情があるのだろうと考える。
下手な詮索はせず、生きていてくれたのであればまず今夜の食事と宿を提供するまでだ。

貴族の生活水準はあくまで焼け出された人々と同一を保っている。
脂滴る分厚いステーキや高価なフルーツの山、そんないかにもなもてなしはできないが、炊き出しでも提供している野菜たっぷりの温かなシチューとパン。それに少しばかりの缶詰を。

決して豪華ではないが、空腹を満たせる量はある。
貴族はその食事に満足を得ていたし、穂乃果も、前回はいなかったにこという友達の子も、さらには真姫姫までもが質素な食事にパクパクと美味しそうに口へと運んでいる。

彼が作っているわけではないが、それでも貴族は嬉しさを覚える。
そしてもう一つ、貴族は律儀に約束を果たす。


845 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/28(月) 21:56:45 DYmOdVMg
「以前に言った通り、旅の資金は全面的に提供させていただきますよ」

穂乃果「えっ、いいんですか!?」

にこ「ぜ、全面的にぃ…!?」

真姫「ちょっと二人とも…そこは遠慮してよ。お金があるって言っても、街のために随分使ってしまったんでしょ?」

「真姫様、ご心配には及びませんよ。復興のためにも財力を維持する努力もしています。さすがに数百万をポンと提供…とはいきませんが、旅の資金の範囲内なら何も問題はありません」

真姫「それならいいんだけど…」

穂乃果「とっても助かります!」

にこ「あ、あの〜。にこは装備を整えるのに、かな〜りたくさんお金が入用なんですけどぉ…」

穂乃果「にこちゃん…物乞いみたいな真似はやめなさいよ」

にこ「本当にいるのよ!重砲士になって使えそうな武器を片っ端から装備する。それがにこの新しい戦術なんだから!」


にこの主張はあくまで事実。
真姫の金運を頼るという当初の思惑とは少し異なるが、チャンスを逃すべきではない。
今後のパーティーの戦力を左右する勝負所と見て、恥を忍んで頼んでいるのだ。

けれど傍目にはここぞとばかりにせびりに来たと見られかねないのも事実。
真姫は困り眉に顔を赤らめ、穂乃果は苦笑しながらにこと一緒に頭を下げる。
そんな三人の様子に笑いながら、貴族は金庫から札束を取り出した。


846 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/28(月) 21:57:09 DYmOdVMg
「それでは…とりあえず30万Gほど」

にこ「さっ、さささ30万んん〜っ!??」

穂乃果「おおー!リッチだね!」

真姫「なによ、目が飛び出そうな顔しちゃって。かな〜りたくさん必要って言ったのはにこちゃんじゃない」

「足りなければまだまだ大丈夫ですよ?ご遠慮なさらずに」

にこ「だだだだ、大丈夫ですぅ…!これだけあれば十分足りる…はず?」

穂乃果「あれ、ちょっと疑問系なの?」

にこ「や、相場がわかんないから…でも流石にイケるはずよ!」


結局にこの煮え切らない様子に貴族が快く20万を追加。
さらに出してくれようとするも流石にと固辞。
そして三人は翌日の昼、少しずつだが復興へと向けて動き出した王都の中を散策し、武器屋などを探し回ることにする。


847 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/28(月) 21:57:41 DYmOdVMg
穂乃果「うーん、昨日も思ったけど、本当に街が全部ぐっしゃぐしゃだね」

真姫「そうね…。だけど、人々はそれなりに元気にやってるように見える。あの貴族には感謝しなくちゃね」

にこ「このにこにー様にピッタリくる武器はどこにあるかしら」


街並みへ、人々の様子へと視線を巡らせる穂乃果と真姫。
対してにこは、あくまで自分の強化にしか興味がないといった態度を示している。

だが、穂乃果と真姫はそんなにこの様子に痛ましいものを感じてしまう。
にこの生家、たくさんの家族が暮らしていた孤児院は、完全に壊滅している地区の中に位置していたのだ。

にこの母は強いらしい。避難が間に合っていればいいが、もしものことがあれば…

そんな事情もあり、にこは街並みを直視できないのだろうと穂乃果は察している。
真姫の場合、この惨状を引き起こしたのは父である西木野王なのだから胸中は一層複雑だ。


真姫(にこちゃんの家族だけじゃない。何千、何万の人たちを、パパは…)


考えるほどに悲しみとやりきれない想いが募る。
背負ったフランベルジェを通じて、母のマナが慰めてくれているような気がする。
それでも胸がキリキリと痛み、呼吸が浅くなる。
穂乃果は真姫へもいたわしげな目を向け、どうにか二人を元気付けられないかと…

……と、にこが振り返る!
そして元気よく、精一杯の虚勢と共に薄い胸を張ってみせる!


848 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/28(月) 21:58:50 DYmOdVMg
にこ「にこの家族は大丈夫よ。絶対!だから穂乃果、余計な気遣いはいらないから」

穂乃果「にこちゃん…うん、わかった!」

にこ「それと真姫ちゃん。色々なことを悩むのはいい。だけど、責任感じる必要はないから。
父親に会って、その時どうするか決めるのは真姫…アンタよ。やらかした父親にどう責任を取らせるか。それだけ考えときなさい」

真姫「……わかったわ」


決めるのは真姫。

そんなにこの言葉は真姫の思考を整理させるだけでなく、王への殺意をひたすらに募らせている穂乃果への牽制の意も込められている。

王がどう出るか、真姫の父の結末がどうなるかはわからないが、少なくとも穂乃果一人で決めるべき事柄ではない。
もちろん真姫一人で決めるべきでもないが、少なくとも権利の一端は真姫にもあると、そう伝えたかったのだ。

穂乃果に伝わったかはわからないが…


穂乃果「あ!見て見て二人とも!」


街並みの一角を指差してはしゃぐ穂乃果。
と、そこにはにこもテンションを上げざるを得ない光景があった。


にこ「武器の発掘品市!よーしよく見つけたわ穂乃果、褒めてあげる!」

穂乃果「えへへー」

真姫「すごい物の量ね…見るだけで一日かかりそう」

にこ「ん、まともに見ればね。でも頭ん中で大体の目星は付けてあるわ。メモ渡すから、二人とも探すの手伝いなさい!」


849 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/28(月) 22:00:03 DYmOdVMg
貴族曰く、瓦礫の中から持ち主のわからなくなった武器や防具などの様々な物品が日々発掘され、経済を回すための資金源となっているという。
見てみればなるほど、質も価格もピンからキリまでの品揃えだ。
バーナー、耐衝撃スーツ、強化スプリング、超小型エンジン、ワイヤー、形状記憶プレート、各種武器、その他諸々…
およそ34万Gを費やしてにこのお眼鏡にかなう品々を手元に揃える頃には、時刻はすっかり夜へと変わっていた。

駆け込みで臨時の施設で営業している転職所へと向かい、穂乃果が賢者、にこが重砲士。それぞれ上級職への転職を遂げる。

とはいえ大きな変化はなし。
穂乃果の装備品は全てそのまま引き継がれ、にこもそのまま。
ただしにこは、これから一晩かけて装備のセッティングを作り上げるのだ。


穂乃果「全部自分でやるんだねー、手伝おっか!」

にこ「遠慮しとくわ。アンタに触らせたら大事な部品をどっかに消されそうだし」

穂乃果「ちぇ、ひどいや。せっかく親切に言ってあげたのにさ」

真姫「これはにこちゃんに同意かも」

穂乃果「ええー」


850 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/28(月) 22:01:10 DYmOdVMg


海未は精神を集中している。
手には村正と正宗の二振りを握り、二刀を高く構えたままに目を閉じ、急速に冷え切っていく空気とその流れを肌で感じ、見切らんとする。

数十本の古風なエンタシスに囲まれた、広い円形の舞台。
それを挟んで向かいに立つのは絵里だ。
空間は絵里が発動させた『聖零の世界(ラグナレイ)』により青く蒼く、空気中のマナと分子の振動が限りなくゼロへと近付いていく。

海未はスゥ…と呼吸、浅く留めて吐き出す。
もはや空間の全ては絵里の支配下。迂闊に深く息を吸えば肺腑の隅までを氷霜に覆われてしまう。
けれど青に染まった空間で真価を発揮できるのは海未も同様で、変わらず動作を最低限に、絵里の動き出しを黙して待ち……

ヒュ…と冷気を割き、柄のしなりを伴い聖槍アルタキエラが穂先を上げる。
まずは挨拶代わり、絵里が手首の動きだけで微動させた槍に冷気が宿り、それを払うと共に冷ややかな斬閃が海未へと迫る!!


海未『転移』


霧と化し消え、絵里の背後に気配!


絵里「…!」


応じて槍を払うが、しかし海未はいない。

絵里から見て右前、左後ろ、正面、右後ろ、左…
海未は格上の絵里を相手に、海未はそのマナを激しく消耗させつつも連続テレポートを仕掛けている!

以前は連続での転移に制限があったが、度重なる戦闘経験は海未のスキルに限界突破をもたらしていた。

これには攻守が反転、集中しなければならないのは絵里の方へと変わる。


851 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/28(月) 22:01:59 DYmOdVMg
背後、前、背後、右。忙しなく現れては消え続ける気配の全てはフェイク。
真に仕掛けの一瞬、必然的に地へしっかりと足を付けなければならないタイミングが訪れるはず。
床の全面に行き渡った凍結のマナへと意識を集め、そのステップに反撃の一瞬を選択するのだ。


絵里(そう、完璧な戦術よ。来るなら来なさい、海未!)


しかし海未の連続転移は、絵里にそう読ませることまでを含めて計算されている。
わざとらしくフェイクじみた連続転移の間断、絵里の注視が途切れた一瞬の隙に遥か頭上、天井へと向けて『水アローシュート』を放っていたのだ。

上方で小さく弾ける水塊を見て、観戦している希と凛はごく小さく声を交わす。


凛(あ、海未ちゃん上からの攻撃を狙ってるにゃ!)

希(いない…?上だ!ってなやつやね。古典的っちゃ古典的やけど、エリチは慌てグセがあるから有効かも?)


そして二人の読み通り、海未は天井すれすれの位置、高空へのテレポートを発動!
そこは一帯を覆い尽くした冷気の空間支配がわずかに及んでいない領域。絵里の感知から、海未の気配が完全に消える!


絵里「えっ!海未はどこ!?」

海未(上ですよ!『連塵破壊(ダスク・アンプリファ)』!!)

凛(うまいにゃ!落ちるまでの間で大技を発動したよ!)

絵里「あっ!上ね?」

希(エリチ、なんか得意げやけど気付くんがだいぶ遅いよ…)


852 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/28(月) 22:03:04 DYmOdVMg
海未が二刀に発現させた闇のオーラは響き合う破壊の波動!
斬撃と打撃の両方の性質を持ち、壊すことに特化した闇の剣技!

隠れ里コイズミでの一戦ではあの聖龍ボールスやデュラハーンといった実力者を弾き飛ばしてみせたスキルであり、そこに落下の勢いまでを乗せればさらに強力無比!!


海未(これは訓練、模擬戦闘に過ぎません。けれど私が絵里にどこまで迫れるかは、二人を助け出すために必要な要素!もちろん勝てるのが最善!)

海未「受けなさい!絵里っ!!」


凍結。


絵里「………ふう、危なかったわね」

海未「なっ…!?」


上から仕掛けていたのは海未のはずなのに、地へと伏しているのは海未だった。
剣は取り落とされ、うつ伏せに肩を押さえて組み敷かれる形。
首筋にはアルタキエラの冷たい刃が当てられていて、身動きすれば頸動脈が引き裂かれる姿勢で…


海未「こ、降参です…」

絵里「ふふっ、惜しかったわね」


少しドヤ顔でそう告げると、絵里は槍を引いて海未へと手を差し出した。
その手を握って立ち上がりつつ、今味わった絵里の力の深奥に畏怖を覚える。


海未(そうですか…凍結の能力、もうその域にまで高められているのですね)


853 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/28(月) 22:05:00 DYmOdVMg
“一瞬”などではなく、本当にまるで何一つの知覚がないままに逆転されていた。
つまり絵里が凍らせたのは海未や空気だけでなく、もっと大きな枠組みではないだろうか?


希「海未ちゃんどんまーい。はいタオル」

凛「絵里ちゃんはやっぱり強いにゃー」

海未「ああ、希に凛。ありがとうございます」


絵里の冷気が解除されると同時、空間の温度が一気に元へと戻っていく体感に汗が吹き出る。
歩み寄ってきた二人から受け取ったタオルで拭い、完敗に励ましを受けながら海未はシャワールームへと向かっていく。

絵里は一人、立ち止まって海未の背を見つめながら…


絵里(あの一撃には殺意がなかった。闇の狂気がなかった。訓練と割り切っている分別があって、だから切り返しが間に合った。


絵里(海未、貴女まさか)


絵里の目線には疑惑が宿っていて、海未の背を訝しげに見つめ…
と、海未を引っ張っている希と凛が振り返った。


希「エリチ〜、どしたん?一緒に行こうよ」

凛「早く来ないと置いてっちゃうよー」

絵里「……ええ、行くわ!待ってね」


呼ばれ、応じて絵里が駆け出す。
瞳からは疑念が消えていて、追いつきざまに海未の肩へと優しく手を添えて笑いかけた。
それが本心からの笑みかは、絵里にしかわからないが。


854 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/28(月) 22:05:37 DYmOdVMg
訓練を終え、食事や風呂なども終え、海未は自室のテラスで外を眺めている。

自室、とは言っても以前と変わらず、絵里と希と海未、そこへ凛も加えた四人で過ごしている部屋だ。
元々三人には広すぎるほどの部屋だったので、凛が増えたところで窮屈さはない。

昼間に模擬戦をこなして疲れ果てたのか、凛はベッドに手足を大の字にして寝息を立てている。

海未が共に付いているとはいえ、凛を連れ去らせるという判断は苦渋のものだった。

しかし蓋を開けてみれば、闇の洗脳を受けても天真爛漫な凛の姿は希と絵里の張り詰めた精神を和らげてくれているように見える。

今もベッドの上、眠る凛の両側に寄り添い、絵里と希もうつらうつらと意識を揺らしている。
二人の眠りは今までよりも安らかな雰囲気で、それにはきっと凛が醸す明るい空気が良い影響を催しているのだろう。


海未(まるでアニマルセラピー…と、動物呼ばわりは凛に失礼ですね。ふふ…)


855 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/28(月) 22:06:49 DYmOdVMg
最高戦力である四騎士の部屋、その設備と居住性は最高峰だ。
テラスへの出入り口を境目として魔術により不可視の幕が張られていて、室内の気温と湿度を最適な状態へと保っている。
厳しい寒さの残る晩冬ではあるが、体に布団を掛けずに眠ってしまっても体調を崩さない室温。疲れた体でその中にいると、すぐさま眠気に襲われてしまうほどに快適な部屋なのだ。

それ自体は良いことなのだが、今の海未には考えなければならない事柄が多い。
なので、今は眠くならないようにテラスにいる。


海未(絵里は…ますます強くなっている。オトノキ村で綺羅ツバサに敗北したことが悔しかったのか、より力が強まったような気がします)


凛、希、絵里、三人を助ける順は挙げた並びの通りだろう。

まず凛の洗脳解除は簡単。
首のチョーカーを外し、海未の青マナで闇を打ち消す。その手順だけで正気に戻せる深度だ。

そうして凛を戦力に加え、次に希をどうにかして弱らせて気絶させる。
闇との結び付きが弱まっている状態で青マナを浴びせればあるいは上手くいくかもしれない。

もしくは気絶させたまま拘束し、連れ去ってことりたちと合流するのも理想的だ。
海未の青マナに加えてことりの闇祓いの力があれば、希の洗脳解除にも期待が持てる。

と、ここまで算段を立て…


海未(凛は実質首輪を壊すだけ。時間も掛からないので大丈夫として…
次はクセ者の希、すぐに拘束できるとは思えません。そうなれば確実に、救援に現れた絵里と対することになる)


856 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/28(月) 22:07:47 DYmOdVMg
それはまずい。
自分と凛と、仮に希の洗脳解除が間に合い三人で当たれたとしても、絵里の相手は厳しいかもしれない。

何故なら、訓練で絵里が見せたあの力は…


海未(同じ青に類するマナの使い手として確信があります。ほんの一瞬…時を凍らせていた!)


それができるのは一秒にも満たない時間かもしれない。
しかし、空間の分子やマナに至るまでの全てを完全停止させることで時間の凍結までもを可能としているのだ。
恐るべき絵里の…ランスロットの力。相応の人数を確保しなければ勝てる保証はなし。

テラスの淵へと手を掛け、思い悩み…
その手の隣に、一匹の黒い虫が止まった。


海未「……虫?」


真っ黒なバッタ…いや、蝗だ。
海未もまだまだ年若い少女、完全に不意を突かれた形であればビクリと身を震わせていたかもしれないが、しかしその蝗が発しているマナには覚えがあった。


海未「……貴女、先日の黒騎士ですね。何か御用で?」

「………」


闇のように黒かろうと蝗は蝗。
虫に過ぎず、人語に何も答えない。
けれど意味は理解しているのか、ブブと少し不快な羽音を鳴らして宙を舞い、ついてこいとばかりに海未の面前で滞空してから城下町の方向へと飛んでいく。


857 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/28(月) 22:09:21 DYmOdVMg
その様子から敵意は感じない。
実のところ、海未は既に黒騎士に対する警戒心も解いていた。
人類に仇なす存在である天使を殺したのは元より問題なしとして、王国の兵士たちを無惨に殺めたのを見るに悪意ある存在なのか…

しかし殺された兵士たちを調べてみれば、いずれも王国兵であるという立場を利用し、隠れて略奪や暴行、さらには殺人までを犯した経歴のある面々だった。

王は要塞の防御を固めるにあたり、人格よりも戦力としての有用性を考慮して兵士を選別していた。故にこの手の連中も紛れ込んでいる。
やり口こそ荒々しくはあるが、殺されるだけの理由がある者のみを仕留めていたのだ。


海未(ふむ…追ってみますか)


振り向き、眠る三人の様子を見る。
凛、希…そして絵里。その眠りは深まっているように見える。
大丈夫なはず。
夜間に一人外出して訝しまれるリスクを踏んででも、状況に何かの変化が必要だった。

水の矢を放ち、視界範囲の建物にぶつけては転移。
それを三度ほど繰り返し、海未はたちまちのうちに夜の城下町へと降り立っていた。





凛は眠っている。希も眠っている。

絵里も眠っている。

けれど研ぎ澄まされたランスロットの意識は、海未が放った水矢の微かな音に、その目をゆっくりと見開いていた。


858 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/28(月) 22:10:14 DYmOdVMg
顔の前をふらふらと飛ぶ蝗に誘われ、海未は城下の片隅にある安宿へと辿り着いていた。

黒騎士に敵意がないというのはあくまで楽観的な仮定に過ぎない。
海未は油断なく、菊一文字と村正の二刀を腰へ提げてきている。

宿の中へと立ち入ると、受付の男性が海未の顔をチラリと見る。
深夜、佩刀した軍人の突然の来訪。宿としてはトラブルの気配に慌てるところだろうが、しかし受付の男は慌てた様子もなく口を開く。


「あんたが海未さんかい」

海未「ええ、そうですが」

「212号室で人が待ってるよ。二階の突き当たりの部屋だ」

海未「それはどうも」


859 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/28(月) 22:10:58 DYmOdVMg
二階へと上がる。
奥の部屋へと近付くたびに感じられるマナの気配は強まっていき、この黒いマナは仲間の一人…
いや、もう一人。輝きを増しているが、この穏やかなマナも知っている!

逸る気持ちに自然と海未の足取りが早まる。行き詰まりの気配、ここで仲間に出会えるとは僥倖だ。
212の前に辿り着くとすぐさまノックを!


「ふふ、開いてるわ」
「え!?」


聞き覚えのある二人の声。
海未は仲間との再会に、勢いよく扉を開ける!


海未「お久しぶりです!ヒデコ!あんじゅ!
………ッッ!!?」


扉を開ける、扉を開けて……硬直する。

ああ、確かに室内にいたのは海未の予想通りにヒデコとあんじゅ、懐かしい仲間の二人だ。

ヒデコはマナの輝きを強く増していて、髪も少しだけ伸びただろうか。
あんじゅは身に宿していた不幸の陰を克服したように、明るい笑みを浮かべている。

ただ、海未の理解が追いつかないのは二人の格好。

一つのベッドの上、睦まじく一つの毛布にくるまった二人。
毛布の隙間から見えるその姿は、海未の目が突然おかしくなったのでなければ…


海未「な、何故、裸で?」

ヒデコ「うっ、うう、海未ちゃん!?どうしてここに…っていうか、えっとこれは!そういうのじゃなくて!」

あんじゅ「いいえ、“そういうの”よ。私とヒデコちゃん、お付き合いしてるの。ふふっ…」


860 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/28(月) 22:11:56 DYmOdVMg
妖艶な微笑。
恍惚とヒデコの唇に指先を添わせ、ツツ…となぞり。
ヒデコは海未の登場に面食らったようで硬直していて、なすがままにあんじゅの甘美なキスを受ける。

海未もまた硬直していて、

(ヒデコ、一番真面目な貴女がなぜ!)
(けれど優木あんじゅと一緒では仕方ないかもしれませんね)
(私も穂乃果やことりと…)
(はっ!何を考えているのです海未!)
(と、言うか…)
(ヒデコ、貴女…私に対して大声で黙れレズと言ってくれましたよね)
(貴女もとんでもないレズ!しかもガチレズではないですか!)
(ああもう!真面目な話をしに来たのにこれは一体なんなのです!)
(そもそも私が来ることがわかっているのならどうしておっぱじめたのです!?)
(は、恥ずかしい!!!)

そんな思考がコンマ秒のうちに神速で脳内を駆け巡り…
息を吸い込み、それら全てをひっくるめ、一声で主張するための便利なフレーズを。


海未「破廉恥ですっっ!!!!!」


861 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/28(月) 22:13:30 DYmOdVMg
海未は古くからの友人の痴態を目撃し、なんだかもうよくわからないレベルの気恥ずかしさに両手で顔を覆っている。
ヒデコが必死にしどろもどろに弁解しつつ謝り、あんじゅはそれを楽しげに眺め…

そしてしばらくの時間が経ち、三人は室内のテーブルで向かい合っていた。
もちろんヒデコとあんじゅも服を着た状態で。


あんじゅ「うふふ…ごめんなさい?洗脳が解けているのが私の勘違いだと危なかったから、不意を突くためだったんだけど…」

海未「ほ、他にいくらでも方法があったでしょうに…」

ヒデコ「せめて教えておいて欲しかった…うああ、海未ちゃんからの目が冷たい」

海未「ヒデコ…あ、いけません。しばらくはヒデコの顔を見るたびにさっきの姿がフラッシュバックしそうです」

ヒデコ「わ、忘れて!!」


と、ふざけるのもそこまで。
海未とヒデコたちは別れてからここまで、互いの経てきた旅路を説明し合う。

海未は王国に洗脳を受け、コイズミからオトノキ村へと転戦した流れを。
ヒデコらは古騎士の街で能力の強化とアバドンを撃破、そして都市圏同士を繋ぐ馬車便を何本も乗り継ぎ、この都市へ辿り着いたのだと言う。


ヒデコ「仲間と合流したかったけど手がかりも少なかったし、それなら人の多そうで王国軍のあるこの街に来てみようってことでさ」

あんじゅ「そしたら、あなたたちが洗脳されてるじゃない?とりあえず適当に誘拐して、洗脳解除を試してみようとしんだけど…」

海未「私が正気なことに気付いて路線変更、という流れですね」


海未と凛と交戦した“黒騎士”は、あんじゅの『アバドン召喚』による能力なのだという。
アバドン本体は二人との戦闘により力を失ってしまったが、その残滓をあんじゅが身に纏うことで接近戦に特化したあの姿に変化できるのだという。
近接能力の慣らし運転と海未らの釣り出しを兼ねて天使などを狩っていたのだが、まさかそれを初めた初日に成果が出るとは思わなかったと。


ともあれ、二人と合流できたのはなによりの僥倖。
ヒデコもあんじゅも力を増していて、残る三人の洗脳解除にもやりようが出てくる。


海未「二人に手を貸してもらいたい策があります」


海未がそう切り出した。


862 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/28(月) 22:13:46 DYmOdVMg
今日はここまでで


863 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/28(月) 22:15:09 y1XsEDJc
おつおつ 次も待ってる


864 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/28(月) 22:15:13 hSbwE7HA
おつ


865 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/28(月) 22:17:30 sWBvxyOk



866 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/28(月) 22:17:44 Nqk56Ing
おつおつ。
起きてたランスロットさんが気になるところやね


867 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/28(月) 22:23:13 GRcOYbuo
おつ〜
エリチカまさかのエスデス様化


868 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/28(月) 22:28:41 ZUc8JsgY

黒騎士あんじゅちゃん安定のエロさやで


869 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/28(月) 22:32:04 FUVQ.Okc
こりゃ貴族助けといてよかったな


870 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/28(月) 22:45:33 PYMCZep.
乙です!
まさかのあんじゅさん近距離対応化
すばら


871 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/28(月) 23:00:15 hW4V1Tpg
おつおつ
絵里が目を覚ますシーンすげー良かった


872 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/28(月) 23:46:50 JnHeU7AQ
破廉恥って便利ワードだったんだね…



873 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/28(月) 23:58:07 sxK/q72Q

何回か出てたガチレズになったヒデコに対して海未ちゃんが冷ややかに思うというネタまさか気に入ってたのか・・・
あとあんじゅがてつを、あるいはハーフボイルドな探偵になるとは・・・


874 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/29(火) 00:13:12 XBxM3Oh6
白黒の騎士絵になるなあ


875 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/29(火) 00:17:46 XBxM3Oh6
希のランダムワープはほんと運命を操る術として最高の結果を出したわ


876 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/29(火) 00:45:38 S78IxS/2
にこにーの装備はなんかボバフェットになりそうだな


877 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/29(火) 00:49:59 s3JgEJ1I
スタイルチェンジで遠近いけるのは熱いわ


878 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/29(火) 00:59:28 QwsXPKHA
近接戦闘でうみりんを纏めて圧倒するチートぶり


879 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/29(火) 03:43:21 yFX7u1WU
ヒデコのレズ化が深まってていい傾向


880 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/29(火) 04:23:55 NIn/VWCw
こいつら狂っとるな


881 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/29(火) 11:57:12 TLIpinsQ
絵里に気づかれそうだからコンマなくてよかったわ


882 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/29(火) 18:24:54 UHQaIncc
かさねちゃんは穂乃果にオトノキ滅ぼしたことがバレたら真っ先に殺されそうだな


883 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/29(火) 18:53:48 9hXedW4.
>>882
かさねはかさねで穂乃果を目の敵にしてるし対決楽しみ


884 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/29(火) 21:38:23 bF4UNgm2
今日は11時頃に


885 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/29(火) 21:40:53 ou5dq.X6
待ってる


886 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/29(火) 21:45:44 S78IxS/2
年末も平常運転おつかれさまです


887 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/29(火) 22:08:52 EoVQ2gdI
のんたんが助かりますように


888 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/29(火) 23:44:36 bF4UNgm2
ヒデコ「策か。いいね、乗った」

あんじゅ「私もよ」


一も二もなく返事をする二人。面喰らうのは海未だ。
穂乃果や凛ならともかく、仲間内でかなり理知的な方の二人がこうも気の早い様を見せるとは。


海未「あの…説明がまだですが」

あんじゅ「もちろん説明は聞くわ?けど、仲間だもの。信頼しているし、策に乗ることは確定してる」

ヒデコ「そういうこと」

海未「二人とも…」


互いに絶対の信頼を預け合える仲間関係。
それはなんだか久しぶりの感覚で、海未はいくらかのくすぐったさを覚える。
あんじゅとはパーティー分断の直前から行動を共にしただけなのだが、しかし死線を共にした経験は結びつきを強めるものだ。
口にした信頼に偽りはないとわかるし、海未もまた彼女を信頼している。


海未「それでは、説明をさせていただきま……」


海未はそこで口籠る。言葉を切り、静かに立ち上がる。
ヒデコとあんじゅも同様で、三人は目配せを交わして武器へと手を伸ばし、扉一枚を隔てた廊下へと意識を向ける。


889 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/29(火) 23:45:36 bF4UNgm2
あんじゅ(……扉の前、誰かの気配があるわね)

ヒデコ(うん。中の様子を窺ってるみたいだ)

海未(まさか、後をつけられて…?)


緊張が走る。

海未の洗脳が解かれているのに気付いていて、泳がせた上で…
考えても仕方がない。扉の先にいる相手も警戒しているようで、マナは上手く包み隠されている。
どんな相手なのかがわからない…が、魔力の数は三つ。


あんじゅ(三人…まずいんじゃないかしら?)

海未(絵里と希と凛…!?それはまずい、大変まずいです!)

ヒデコ(し、仕方ない。とりあえず私が対応を。二人は武器を構えてて!)


そろり、そろりと気配を殺し、ヒデコはゆっくりと扉へ近付く。
片手には泥塑の斧を握ったまま、ドアノブへと手を掛け、音を立てずに握り。

一気に開ける!!!


ヒデコ「誰だっ!!」

花陽「ピャアアア!!??」
ヒデコ「うわああああ!!!?」

フミコ「って、ヒデコ?ヒデコー!!」
ミカ「本当だヒデコだ!会いたかったよぉぉ!!」

ヒデコ「え、あれ!フミコとミカ!久しぶりー!!」

海未「おや?花陽ではありませんか」

花陽「う、海未ちゃん。あれ?洗脳は?」

あんじゅ「あらあら、状況が混沌としてるわね」


890 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/29(火) 23:46:24 bF4UNgm2
随分と状況が散らかってしまった。

聞けば、花陽たちは連れ去られたコイズミの住人たちを追って国軍の本拠地、南部要塞の付近へと訪れていたのだという。
三人の目的は住民の奪還なのだから、この城下町へと潜んでいたのは考えてみれば自然な話だ。

そして要塞の内部を探るため、花陽の召喚獣などを使って軍の動向へと気を配っていたのだ。
そこへ、夜分に一人で海未が現れたため後を追ったと。

ヒデコたちと花陽たちは互いの存在に気づいていなかったようで、ここでの合流は完全なラッキーだ。運が向いてきている!

ともあれ、突然の再会に海未と花陽は互いに困惑している。
ヒデコフミコミカの三人は笑顔満面に再会を喜び合っていて、あんじゅはそのゴタゴタした光景を楽しんでいる。
やがて会話の流れで自然、あんじゅとヒデコが付き合っているという事実が明るみに出る。


フミコ「ひ、ヒデコ、いつからそっちの気が…!」

ヒデコ「いやぁ…いつの間にか…」

ミカ「し、ショックだわ…!」

ヒデコ「や、やっぱ引くかな…」

ミカ「引くとかじゃなくて、私たちのヒデコを取られたことがショックなのよ!!」

フミコ「ヒデコ!彼女ができても私たちにも構ってね…!!」

ヒデコ「当たり前だよ二人とも!!」

あんじゅ「ふふっ、仲がいいわね?」


891 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/29(火) 23:47:08 bF4UNgm2
謎の寝取られ気分を味わったフミコとミカをヒデコが抱きしめ、傍であんじゅが微笑しつつ見守っている。
その笑みにはどこか含みがあり…今はヒデコと純愛関係にあるが、元を正せば泣く子も黙るレズクイーン。


あんじゅ(仲がいいって素敵ね。ずっと一緒にいたいのでしょう?なら、私が“三人まとめて”というのも…ふふっ。
もちろんヒデコちゃんが許可をくれれば、だけれどね?)


と、そんな内心をおくびにも出さずの上品な笑顔。
自分たちが新たなロックオンを受けたことを、フミコとミカは知らない。

その隣。
海未はヒデコたちのやり取りを苦笑ながらに見つめ、花陽は色々と衝撃を受けて目をパチパチと瞬かせつつ聞いている。

だが、海未には花陽へと言わなければならないことがあった。
ヒデコらのやり取りから目を切り、意を決して声を発する。


海未「……花陽!コイズミの里で、私の起こした悪事の限り…!すみませんでした…申し訳ありませんでした…っ!!」

花陽「へ…?ど、土下座…!海未ちゃん!だ、大丈夫。大丈夫だから顔を上げて?ね?」

海未「いえ…私の、私たちのせいで多くの里の方々が…」

花陽「………」


床に額がめり込みそうな勢いで土下座をする海未。
対して花陽、“里の方々”と聞いた瞬間にその表情が曇る。
被害は連れ去られた者だけではない。その家族の悲しみは深く、一部には命を落とした者もいる。
俯き加減、花陽のその顔には憂いが浮かんでいて…海未の顔へと手を伸ばし。


花陽「えいっ!!」

海未「あ痛ぁっ!?」


892 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/29(火) 23:47:52 bF4UNgm2
ピシリと音を立て、海未の額に一撃!花陽渾身のデコピンだ!
その一打に思わず顔を上げた海未へと花陽はにっこりと笑み。


花陽「洗脳されてたんだし、海未ちゃんのせいじゃないよ」

海未「花陽…ですが、私は…」

花陽「……うん、わかってる。海未ちゃんのせいじゃないけど、悲しい思いをしちゃった人はたくさんいる…」

海未「………」

花陽「だから、希ちゃんと絵里ちゃん。それに…今は、凛ちゃんもいるんだよね?
それと連れ去られたみんなも、絶対に助けて!そして里に謝りに行こう?私も一緒に謝るから!」

海未「はい…ありがとうございます…!花陽!」


ヒデコとあんじゅに加え、花陽らまでもが合流。戦力は確保できた。
一通りの情報を共有し終え、そしてするべきことの手順を確認。

人数が増え、幸運にも必要な人材を確保できた。
海未は場の仲間たちへ、自身の持つ策の概要を語る。


海未「近々“魔術都市”と呼ばれる都市へ、とある目的で侵攻を掛けます。
そこでは絵里、希、凛、私が分散して行動する場面が確実に訪れる。順次、各個撃破です!」


893 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/29(火) 23:48:41 bF4UNgm2


にこ「見なさい!完成体にこにーの勇姿を!!」


街中の広場。
一晩かけて装備を完成させたにこは、穂乃果たちへと得意げにその姿を披露している。
しかし穂乃果は首を傾げ、真姫は興味なさげに素っ気ない顔だ。


穂乃果「んん〜?あ、その戦闘用ジャケットかっこいいね」

真姫「あんまり代わり映えしないわね」

にこ「はん、これだから素人は。見る目ないわね〜!」


衣服は街中でも悪目立ちしない程度の迷彩柄、腰には今までと同じように銃が装備されていて、それ以外にも細かな付属品の類が色々付いたようには見えるのだが違いはその程度。
しかしその実態は大きく変化を遂げていて、目立たないよう下に着込んだ各種装備は手首のデバイス一つで展開と制御が可能。


にこ「ま、実戦で見せてあげるわ。せいぜい驚いて腰を抜かしなさい!」

真姫「はいはい」

穂乃果「にこちゃんも何か食べる?」

にこ「ん、何食べてんの?美味しそうね」


894 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/29(火) 23:49:37 bF4UNgm2
路上の飲食店、簡易の白テーブルで穂乃果と真姫はとろみのある餡がかかった堅焼きそばに舌鼓を打っていた。
にこも徹夜の作業後、とびきりに空腹だ。椅子に腰を下ろしたのを見て穂乃果が手を挙げる。


穂乃果「蘭花ちゃーん!もう一人前追加で!」


「了解アルよ」と屋台から返事。
以前に旅を共にした蘭花もあの噴火を無事に生き延び、ついさっき穂乃果との再会を果たしていたのだ。
あの大繁盛していた店は焼失してしまったものの、めげることなく焼け跡から持ち主のいなくなった屋台を引っ張り出し、既に逞しくも簡易店舗で営業を再開していた。


蘭花「はいお待ちネ」

にこ「いただきます!」


勢いよく頬張り、「ん〜!」と笑顔のにこ。
それを見届けて満足げに、蘭花は調理へと戻っていった。
流石の腕前、早くも繁盛店の賑わいを呈している。


真姫「色々と顔が広いのね、穂乃果は」

穂乃果「あはは、そういうわけでもないけどね。でも無事で良かったなぁ」

にこ「もぐ…お腹を満たしたら、もぐもぐ、やることを決めなきゃいけないわね」

真姫「ちょっと、飲み込んでから喋りなさいよ」


895 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/29(火) 23:50:21 bF4UNgm2
よほど腹が減っていたようで、にこはやたらにがっついている。
それはともかく、にこの装備が完成したことで戦力は整え終えた。
貴族や蘭花といった顔見知りの無事も確認でき、王都でやるべきことの一通りは済ませたように思える。

となれば、次にするべきことは仲間との合流だろう。
穂乃果は前の客が置き忘れていった新聞を手に取り、深刻な顔で目を通している。


真姫「……えっ」

にこ「いやいや…」


真姫は水を飲む手をピタリと止め、にこは焼きそばの咀嚼を中断して麺を口からはみ出させている。
穂乃果が活字、それも新聞を読む姿がよほど珍しかったのだろう。
それらしいしかめ面まで浮かべているのだから余計に違和感!

そんな二人の様子に意図を汲み取り、穂乃果は不機嫌に顔をしかめる。


穂乃果「酷いよー、穂乃果だって新聞くらい読むよ!」

にこ「嘘でしょ?どうせ番組欄と四コマくらいのもんよね?」

穂乃果「そんなことないよ!他にも天気予報とか…色々」


結局は気まぐれに手に取っただけだったようで、しっかり読んでいたわけではないと知りにこと真姫は妙な安堵を覚える。
知的な穂乃果というのはどうにも落ち着かないのだ。


896 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/29(火) 23:51:21 bF4UNgm2
溜息を一つ…ふと、番組欄を目にした真姫が呟く。


真姫「テレビやラジオの放送も随分減っちゃったわね」

穂乃果「だねぇ…」


魔術による国土全域への電波発信。
それを行う放送局の多くは、主に国内最大の都市だった王都と、第二位の都市である西の都に位置していた。
しかし王都はこの有様、放送局や電波塔も炎に飲まれて今はなし。

貴族から聞いて知ったが、西の都は天使の軍勢に攻め落とされてしまったのだと言う。
今や意思なき人々が天使に管理され、何をすることもなくただ生きているだけの絶望郷と化していて、そこからの発信など望むべくもなし。

番組欄に残されているのは残り数局。
政治にも天使にも屈さぬ徹底抗戦を方針にブチ上げ、報道にバラエティにと気骨のある姿勢で映像を届けている。
そんな放送局が位置しているのは国内第三位の大都市である“魔術都市”だ。

王都は格式高い正統派の大都市。
西の都が機械文明を発達させた大都市。
そして“魔術都市”は名のそのままに、マナ技術による大発展を遂げた都市なのだ。

その成り立ちが功を奏したか、都市の中枢に位置する魔力回路の要、“メインコア”による大魔術障壁を形成し、天使の侵入を防ぎつつ生活を保っているのだと言う。


にこ「けど、その魔術都市もそろそろヤバくなってきてるみたいよ」

穂乃果「そうなの?」

にこ「ほら、アンタの持ってる新聞の裏っかわ。見てみなさいよ」

穂乃果「どれどれ…現在天使の軍勢からの大規な侵攻を受けていて、魔術障壁がどこまで持つかが鍵…と。ほんとだ」

真姫「水際で凌げるのも時間の問題ってことね」


897 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/29(火) 23:52:13 bF4UNgm2
非常に悪いニュースだ。魔術都市が落ちてしまえばいよいよ人間の文明も終わりへと近付いていく。
ニシキノ王国は経済、軍事共に世界最大規模の国家であり、この国が落ちてしまえば他の諸国が落とされるのも時間の問題だろう。

と、穂乃果が決意を固めた様子で立ち上がる!


穂乃果「よしっ!ここを助けに行こう!」


あまりにも唐突な宣言!
しかし、にこと真姫も長期に渡り一緒に過ごしたことで穂乃果のペースに慣れている。
慌てた様子もなく、にこは掌をひらりひらりと左右に振った。


にこ「ちょっと。あんまり思い付きで喋んじゃないわよ」

穂乃果「でもさ、仲間のみんなと合流したいでしょ?
人がたくさんいて、今のところまだ無事で…そんな場所なら、誰かいるんじゃないかな?」

にこ「ん…」

真姫「………ううん、そう言われてみれば」

穂乃果「でしょでしょ?」


現在進行形で天使による攻撃を受けている街、リスクを考慮すれば近付きたくない地だが、穂乃果の思考は至ってシンプルだ。
仲間がいる可能性が高い場所へ向かう!それも、そこにいるのならば間違いなく窮地に陥っている状態。助けに行かなければ!


898 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/29(火) 23:52:53 bF4UNgm2
にこ「でも、天使に包囲されてる都市にどうやって近付くのよ」

穂乃果「あ、そういえばそうか」

にこ「やぁっぱり何も考えてないのね〜」

真姫「……多分、それは大丈夫。魔術都市へは各都市から地下鉄道が伸びているの」

穂乃果「地下鉄?」

にこ「何よそれ」

真姫「そのまんまよ、地面の下を走る列車。王族とかの避難用で、王都からも線路は伸びてるわ」

穂乃果「へぇ〜っ!そんなのあるんだ!」

にこ「なんかこうセコいわね〜王族って」

真姫「まあそれは否定しないけど、とにかく地下トンネルで天使と遭遇せずに迎えるはずよ」

穂乃果「よーし、それだっ!」


光明は見えた。
穂乃果はにこと真姫へと強い眼差しを見せ、勢い込んで笑みを見せる。

テーブルに置かれた新聞。
滅亡した街や村の名が書き連ねられた報告記事が載せられている。
にこと真姫は気付いていないが、その片隅には、“オトノキ村焼失”の文面が。

さっき読んでいた時、穂乃果は…その記事に目を通していた。
故郷を焼かれ、両親は無事なのか。胸が詰まる想い。

けれど、穂乃果は憂いを見せずに振り払う!


穂乃果(きっとみんな大丈夫!)


そして高らかに宣言する!!


穂乃果「魔術都市を目指そうっ!!!」


899 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/29(火) 23:53:51 bF4UNgm2


穂乃果らが旅立ちを決意したのと同じ頃…

高空、一面に飛翔するのは白金の鎧兜。
堅牢な防具に身を固め、背には光翼。
そんな天使の軍勢に、魔術都市は包囲されている。

都市の周囲は水でぐるりと囲われていて、その水には各種属性マナを濃縮したエネルギーが秘められている。
そして堀に沿うような形でドーム状の魔術障壁が展開されていて、今のところは天使の侵入をなんとか防げている格好だ。

しかし天使たちも無為な攻めばかりを繰り返しているわけではない。
代わる代わる、それぞれが高空から力の波動をバリアへと叩きつける!ことりが習得した『聖力』と同じ仕組みのごくシンプルな技だ。
それの一撃一撃に障壁を揺るがすような威力はまるでないのだが、一点集中。
障壁のうちただ一点へ、軍勢の数を頼みにひたすら負荷を掛け続けている。

原始的な戦術だが、だからこそ効果的。徐々に、徐々にではあるが、魔術障壁を維持するためのエネルギーは消費されつつある。
とは言っても、まだ数ヶ月は保たれる…魔術都市の人々はそう目している。
決して悲観するべきではない、対策を練るだけの時間はまだ残されているのだ。

けれど、天使側からすればまるで問題はない。
そもそもの時間感覚が違う。
悠久を生きる天使たちからすれば数ヶ月など人にとっての数日…あるいはそれ以下にも等しく、根くらべにさえなっていないのが現実だった。


900 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/29(火) 23:54:51 bF4UNgm2
と、都市から数十本の塔が一斉にせり上がる。
魔術都市の反撃だ!塔の上部のみが障壁外へと姿を見せ、その天辺には人影。

そして猛然の砲火が天使へと浴びせかけられる!!!

爆撃!爆撃!爆撃!!爆撃!!!

天使の翼、絶望の白に染まった昼空に紅蓮の大火が広がり、人類は未だ屈するつもりはないと知らしめる!

同時。
数本の矢が同一のタイミングで放たれ、微細なコントロールとともに天使を射落してみせる。
優れた射手は窮地においても冷静。風を操る精緻の射撃!

さらに一体どうやったのか、巨大な岩塊が砲弾の如く宙を舞う!
それはシンプルな質量攻撃、豪腕任せの大投擲!
避け損ねた天使を地へと落とし、塔の上に小柄な人影がガッツポーズを作る。

それぞれ英玲奈、雪穂、亜里沙だ!!


英玲奈「あまり頭に乗ると痛い目を見ると教えてやろう!」

雪穂「よし、コントロール完璧。高い位置は風があるからいいね」

亜里沙「二人ともハラッセオ!私も負けてられません!」


901 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/29(火) 23:56:11 bF4UNgm2
そんな三人の攻撃を皮切りに、他の戦闘要員たちも幾本と立ち並んだ塔の上からそれぞれに遠距離攻撃を放つ!
炎に雷、風に弾丸に矢にと攻撃が飛び、膨大な数の軍勢を少しでも減らそうと人間の底力を見せつけていく。

当然ながら、天使たちも反撃をしてくる。
白い光や羽の雨が塔を打ち、戦士たちは続々と精神を破壊されていく。
それでも戦わなければ!障壁を削られるペースを遅らせるためには、敵勢力の減衰が必須なのだ!


英玲奈「重砲隊、構え!!撃てっ!!!」


英玲奈の合図に従い、10数名の重砲士たちが砲撃を天使へ叩き込む。
固定砲台に比べてスペースを取らず小回りが利く、生きた高火力兵器。それが重砲士の基本的な役割だ。
英玲奈一人でも地形を変えるほどの威力を発揮するところを、一斉に攻撃を放てばさらに覿面!天使たちは翼を散らして地へと墜ちていく。


英玲奈「五番から十二番塔はシールドを展開!それ以外は攻撃へ移れ!」


英玲奈の役割は重砲隊の指揮だけではない。
攻撃と防御のタイミング、シールドの管理など、前線における実質的な最高指揮官の役割を見事にこなしてみせている。

魔術都市は天使との戦いにより、前線で指揮を取れるだけの人材を数多く失っていた。
そこへ現れたのが、西の都から脱出してきた英玲奈だ。
四騎士として数々の戦場を踏み経験豊富。
高潔な人格と麗美な容姿の両面でのカリスマ性を持ち、そして何よりも強い!
そんな英玲奈が信頼を得るまでに多くの時間は要さなかった。


902 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/29(火) 23:56:53 bF4UNgm2
頼られるなら応えるまで。
人々の期待に重圧を受けるほど、元四騎士はヤワではない!

都市の民からの人気と信頼は絶大だ。
新顔が急な出世をした時にありがちな妬み嫉みや悪評なども湧く前に叩き潰すだけの戦果を残し続けている。

…いや、悪評がただ一つ。
雪穂と亜里沙の二人を片時も離さずそばに置いていることから、一部ではロリコンの誹りを受けている。
年齢差は三つ。実際はロリコン呼ばわりされるほどには離れていないのだが、英玲奈の大人びた容姿と落ち着いた物腰は自然とその印象を強めるらしい。

と、まあ悪評というほどのものでもない。
なんだかんだで三人揃って仲睦まじく、可愛いものだ。
とにかく、英玲奈は防衛戦の要として絶大な働きを見せている!


雪穂「英玲奈さん!二番塔がやられた!」

英玲奈「ち…しまったな」

亜里沙「あ、あの天使が出てきました!山田先生さん!」

英玲奈「まずいっ、攻撃終了!全塔城壁内に退避だ!!」


903 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/29(火) 23:59:46 bF4UNgm2
西の街で猛威を振るった青ジャージの天使、“山田先生”ことウリエルが、魔術都市の攻防における天使側の最高指揮官だ。
向こうも西の街で交戦した英玲奈らのことは印象に残しているようで、ちらりと一瞥。

そして炎を降らせる!!!

都市全域を焼き払うほどの火勢!
バケツをひっくり返したような勢いで白炎の雨が降り注ぎ、障壁の全域を激しく揺らす。
そのまま破れるのではないかと恐ろしくなるが、どうにかバリアはそのまま保たれた。山田先生は焦るつもりもないようで、無造作に束ねた髪を掌でくしゃりと軽く触り、他の天使の指揮へと戻っていった。

英玲奈の退避命令が辛うじて間に合い、攻撃に出ていた大半の人員が無事にバリアの中へと逃げ込むことに成功した。

だが、英玲奈たち三人は揃って暗澹とした表情を浮かべている。


雪穂「あ、危なかったぁ…!」

亜里沙「やられちゃうかと思った…」

英玲奈「山田先生、ウリエル…か」


この街を守るためには、あの天使を倒さなければならないのだ。
それは途方もなく高い壁のように思えて…無性に、仲間たちに会いたくなる。

両脇から、英玲奈の腕がぎゅっと握られる。
雪穂に亜里沙、幼い二人が抱えている不安と怖さは英玲奈よりも深いものだろう。
けれど、気丈に戦いへと参加している。

英玲奈は(しっかりしなければ)と気を改めると同時、二人とそれぞれの姉を会わせてあげたい…
そう強く願うのだった。


904 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/30(水) 00:00:43 dAuGNfBc
ロリコン…事実なんだよなぁ


905 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/30(水) 00:01:26 8/TMJO0A


オトノキ村から避難した人々が集う村。
そこには既に、ことりとツバサの姿はなかった。
ことりは穂乃果の帰還を感じ取り、ツバサはことりのその感覚を信じた。


ことり「穂乃果ちゃんが帰ってきた…!」

ツバサ「……ことり、あなたがそう言うのなら、間違いないわね!」

ことり「信じてくれるの?ツバサちゃん」

ツバサ「私は今、マナを感じ取れないし。これでも穂乃果さんに対するあなたの嗅覚は評価してるのよ。ライバルとして!!」

ことり「へ、へえ…」

ツバサ「もっとノリなさいよ!!」


そんなどこか能天気なやり取りを経て、二人が目指した先は…ことりが穂乃果のマナを一瞬感じ取った王都の方向、ではなく。


ことり「王都に穂乃果ちゃんが戻ってきたとして、その場でじっとしてるわけがないよね」

ツバサ「一言一句違わず同感よ。そして、そうね…現状で最も大きな戦いのある地に引き寄せられるんじゃないかしら?」

ことり「ふふ、仲間を見つけるためには人の多い場所へ。穂乃果ちゃんらしい発想かもね♪」

ツバサ「と、なれば。穂乃果さんが向かう先はつまり…」

ことり「魔術都市!!」
ツバサ「魔術都市!!」


穂乃果フリークというよくわからない絆で思考を通わせた二人。
台詞の一致に、ようやくことりもツバサを穂乃果ちゃんファンクラブ会員の末端にしてやってもいいかな?ほどには認めるに至る。


ツバサ「行きましょう!世界平和と穂乃果さんのために!ほの&ピース!!」

ことり「そ、そのキャッチフレーズはどうかと思うけど…おー!!」


激戦の地である魔術都市へ向かうという選択肢。
奇しくも離れた地にいる仲間同士、全員の方針は同じ方向を向いた。

そしてもう一人…


906 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/30(水) 00:04:52 8/TMJO0A


大都市というものが概してそうであるように、魔術都市へと向かう道路はあらゆる方向から伸びている。

そんな道の一つから繋がる、とある山の奥、小村…

住民の全てが天使の尖兵により意思を刈り取られたその村には、人間管理のために六人ほどの天使が留まっていた。
無機質な静寂に包まれたその村の中、響くのは悲鳴、そして命乞いの声!!

倒れているのは…そう、天使たち。
うち五体は既に無惨に地へと伏し、背の翼は毟り取られたように根元でちぎれ、輝きが失われつつある。

残る一人、その天使が持つ剣は叩き折られている。
壁際に追い詰められ、迫る敵へ“理解できない”という目線を向けている。


「あ、あなたは…一体何がしたいの!」


言葉を受け、首を傾げたのは…支倉かさねだ。

大鎌や銃、その他の武器を駆り天使たちを屠ったのはかさねその人であり、それは人を救うための善行などではなく“天使狩り”が目的だ。
親友…しずくとクリスの二人は自らの意思でかさねに力を託した。

それと同じことを、強制的に!!
天使を薙ぎ倒し、無差別に力を簒奪して回っているのだ!!


かさね(……だけど、私は何がしたいのかな?)


問われ、首を傾げたかさね。
真っ白だった背の光翼は…無軌道な行動の影響だろうか、黒へと染まりつつある。
この世界の天使たちにそういった概念があるのかは定かではないが、“堕天”という言葉で表すのが最も適しているように思える。

力を増しつつも、目的意識は散漫になりつつあって…問われたことをきっかけに定め直す。


かさね「高坂穂乃果を倒すのと。あと、山田先生も倒そう。しずくとクリスの仇だし…師匠越え!それっぽいと思わないかな?」


実に良い笑顔でそう告げ、目の前の天使の体を素手で貫く。
すぐさま力の吸収が行われ…かさねの輝きはより濃く、黒へと染まる。

そして翼は二枚から、二対四枚へ。
増大した力に清々しい笑顔を浮かべ、崩れ落ちる天使を放り捨て、そしてかさねは空高く舞い上がる!!

飛んで、飛んで…向かう先は魔術都市!
狩れる天使の群れも、目的の師もそこにいる!


かさね「あとは高坂穂乃果!そこにいてくれたら一石三鳥なんだけどなぁ!!」


端役を拒み、運命を憎み、迷走のままに業を積み重ねるかさね。
そんな彼女の意志もまた、“魔術都市”へ。
因縁が集い、重なり、散らばった物語が一箇所に交錯を迎える。


907 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/30(水) 00:05:32 8/TMJO0A
今日はここまでで


908 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/30(水) 00:07:29 LwaHVDG.
おつ
テンポ早くていいね


909 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/30(水) 00:08:01 LBGLzlqM
おつかれさま!一気に話が動いたな!


910 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/30(水) 00:08:12 dAuGNfBc
乙乙!
にこはネブカドネザル=サンかな?


911 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/30(水) 00:11:39 3dhXx0pw
蘭花はおいしい役所だな


912 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/30(水) 00:13:37 PuiwCU92
かさねがエージェントスミス化しとる…


913 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/30(水) 00:29:43 BiPVZeX.



914 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/30(水) 00:32:44 0KfL8ZPo
物語の役者が集結する感じでわくわくする


915 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/30(水) 00:32:46 mGrVdcZM
仲間の集結は最高に盛り上がるイベントだなぁ。
かさねちゃんだけに罪を重ねちゃん


916 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/30(水) 00:33:10 35YuqMSQ
乙乙
あんじゅ様ヒフミまとめて食う気でワロタ


917 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/30(水) 00:34:16 fHmCAs3w
よし、今回は西木野王は死なないな!


918 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/30(水) 00:54:16 ujnRJ9HI
>>917
一応ラスボス候補の一人なのになんであんなに途中退場しそう何だろうね、あの眼鏡(漫画版SID準拠)・・・


919 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/30(水) 00:59:11 MSWZaXX2
かさねがラスボス化するのは熱くていいね
ラスボスかはしらないけど


920 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/30(水) 01:01:49 Xgk2znzs
FF9ならクジャとガーランドみたいなもんだ


921 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/30(水) 02:54:16 1wRfwrmg
かさねはガロウ


922 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/30(水) 05:54:35 Z.tWX.Qs
結局1はダークなの書きたかったのかそうでないのか


923 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/30(水) 10:16:43 ujnRJ9HI
術者にとって相性の悪い凛ちゃんはヒデコと海未ちゃに頑張ってもらうとして
希の中にいる"なにか"も今回は人数がいる分アバドンよりはまし
・・・問題はエリチの中にいるランスロットと主人公なのに状況知らないので引っ掻き回しそうな穂乃果チームと
ある程度状況分かってるけど穂乃果優先して引っ掻き回しそうなことツバと
なんか状況?そんなの知るか!なはた迷惑系ライバルになりそうなかさねか・・・あとジャージ


924 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/30(水) 10:37:35 hBHII9ik
最後は西木野王も含めてみんな生き返ってハッピーエンドね


925 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/30(水) 11:22:43 C1ucChYc
長文予想くっさ


926 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/30(水) 11:57:11 1wRfwrmg
>>923
どんな顔して書いてるの


927 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/30(水) 12:12:26 xGiUc4Nc
ルシフェル枠か…


928 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/30(水) 12:26:20 dFyYvdMk
長文は即NG


929 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/30(水) 12:28:46 ujnRJ9HI
ごめんなさい


930 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/30(水) 12:43:06 hvevDceY
ピリピリしすぎワロタ


931 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/30(水) 14:40:17 7Dylh82.
ちゃんと謝れて偉いと思います


932 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/30(水) 15:13:04 LbdBIuKw
こちらこそごめん


933 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/30(水) 15:40:16 dAuGNfBc
>>923
本日の西木野王


934 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/30(水) 15:44:40 .sHmeumk
>>933
それもう飽きたよ


935 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/30(水) 15:52:34 Xgk2znzs
同じネタ安易に繰り返してごめんなさい


936 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/30(水) 15:59:11 LiZMlQn6
昨日も長文で予測を書いてた奴いたけど同じ奴かな


937 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/30(水) 16:27:26 fR4VmUYk
方式変えても結局荒れててワロタ


938 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/30(水) 16:44:30 hBHII9ik
以前から内容と関係ないレスで無駄に消費してるんだよなぁ


939 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/30(水) 16:51:07 3FQXTm0I
ごめん


940 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/30(水) 16:53:15 VOZMAM1w
荒れないのが第一と考えてから書き込んで
それからかな


941 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/30(水) 17:10:29 zykLzYhA
○��してごめんなさい!って笑えてこらえて思い出した


942 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/30(水) 22:00:18 LiZMlQn6
そろそろ終盤だろうしコンマ判定戻るのかな


943 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/30(水) 22:05:42 dHREm1uY
<<923 あのときは、あんじゅの替えの命があったから…次もあると思えないし


944 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/30(水) 22:08:33 dHREm1uY
>>934 年越し前日の西木野王


945 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/30(水) 22:13:28 bSYtwlTI
>>944
安価もまともに付けれないガキがしつこく書き込んでごめんなさい


946 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/30(水) 22:15:14 dsHNxJP.
>>942
戻らないで欲しいな


947 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/30(水) 22:18:28 8/TMJO0A
まだ戻らんよ
投下はもうちょっと後で


948 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/30(水) 22:19:54 ERkn1OY2
流石に前日の更新以降50レス近く雑談で潰すのは正直いかがなものか


949 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/30(水) 22:32:15 8/TMJO0A


魔術都市、堀に沿って張り巡らされている外周部の防壁は、王都や西の都に張られている保護障壁と比較しても堅牢だ。
かつて疫龍パーシヴァルが西の都の保護障壁を突き破ってみせたが、それが魔術都市のバリアであったなら易々と破壊されるようなことはなかった。

そしてこの都市には最も外部の防壁だけでなく、幾重にも防御機構が張り巡らされている。
無数に備えられた迎撃砲台、豪腕を誇る魔動機兵、魔術兵装で身を固めた兵士に、魔術都市の名に恥じぬ多数の魔術師たち。
その防備は盤石、相手が並の人間や魔物であれば、まともに攻め込むことさえ能わないだろう。

けれど、今の相手は天使。
上位存在を自称する彼らの力は想定されていた全てを超越していて、街を守るためのあらゆるリソースは着々と削られていっていた。

抗うには、それこそ人外の力でもなければ…


950 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/30(水) 22:32:40 8/TMJO0A
英玲奈「………っ、くそ…」


都市の深層、最も安全性の高い位置には住人たちの居住区がある。
その中の広めの一室、英玲奈は丸ソファーに寝そべり、手の甲で目を覆い隠していた。

防衛戦へは途中からの参加であり、今はその指揮を執っている。
そんな立場だからこそ、状況の全容を知りつつも冷静な視点で観察することができている。

……保たない。

残りの物資や防壁の状態で見れば数ヶ月の猶予がある。
だが、人心の疲弊は深い。
英玲奈は知っている。長期戦において何より難しいのは士気を保つことであると。

それを理解しているからこそ英玲奈の心労は募り、自室へと戻るたびにシャワーも浴びずに倒れ込んでしまう日々を送っていた。


951 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/30(水) 22:33:17 8/TMJO0A
雪穂「英玲奈さん…」

亜里沙「よしよし」


雪穂に膝枕をされ、亜里沙に頭を撫でられている。
常にそばにいて英玲奈の苦労を知っているからこそ、雪穂と亜里沙は少しだけでも英玲奈の癒しになればと身を添わせている。
そんな二人の優しさに、英玲奈は…


英玲奈「ううっ、雪穂…亜里沙ぁ…」

雪穂「大丈夫、今だけはキリッとしなくてもいいんだよ」

亜里沙「亜里沙たちがたっぷり甘やかしちゃいます!」

英玲奈「太ももにスリスリしてもいいだろうか?」

雪穂「うん、いいよ?」

英玲奈「はぁ…落ち着く。キスしてくれないか…?」

亜里沙「ちゅっ♪」

英玲奈「あぁぁ…癒される、癒されるぞ…」


952 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/30(水) 22:33:57 8/TMJO0A
怜悧にして毅然、そんな普段の姿勢はどこへやら。
今はだらりとしたスウェット姿、全身の筋肉を緩ませ、撫でられるたびに犬耳がピクピクと動く。
二人から甘やかされているのがよほど気持ち良いのか、犬の尻尾は左右にぶんぶんと振られ続けている。

雪穂と亜里沙は顔を見合わせ笑い合う。


雪穂(可愛いね)

亜里沙(ハラッセオ!)


朝からロクに食事をしていない英玲奈へ、亜里沙が「あーん」とパンを食べさせてあげつつ、雪穂が髪を梳かしてあげている。
もぐもぐと口を動かしつつ、英玲奈は二人の腹部へと頬ずりを。
今の英玲奈にとっては二人だけが癒しだ。
張り詰めたギリギリの精神状態を保つためには、こんな情けない姿での休息も必要なのだ。
雪穂と亜里沙としても、いつも頼れる英玲奈が自分たちだけへとこんな姿を見せてくれるというのは嬉しいものだ。
こんな姿を他人に見られればいよいよロリコンの誹りは免れないが、まあ、自室のみなのでご愛嬌。

やがて、ぐったりと力を抜いたまま雪穂と亜里沙に浴室へと引きずられていく。


雪穂「ほら英玲奈さん、シャワー浴びなきゃ」

亜里沙「はい、手を上げて〜。服脱ぎましょうね?」

英玲奈「わかった…」


二人から引きずられ、どちらかといえば英玲奈が面倒を見られているような格好だ。
疲労困憊、脱力のままに服を脱がしてもらっている最中…部屋の中に据え付けられた通話機の呼び出し鈴が鳴った。


953 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/30(水) 22:34:25 8/TMJO0A
英玲奈「……本部からの呼び出しか」


途端、表情に緊張が戻り、姿勢は正される。
半脱ぎになっていたスウェットを脱ぎ捨て、戦闘へ向かえる格好へと着替える。
剣と重砲を装備し、オフの時間は唐突に終わりを迎えることとなる。


英玲奈「それじゃあ、行ってくる」

雪穂「私たちも行くよ!」

英玲奈「いや、大丈夫だ。何か戦略上の話さ、戦いに行くわけじゃない」

亜里沙「だけど、疲れてるのに…」

英玲奈「だからこそ、二人にただいまと迎えて欲しいんだ」


そう言い、英玲奈を案じて悲痛な面持ちの二人の頭を撫でて微笑みかけ、そして部屋を出た。


954 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/30(水) 22:34:48 8/TMJO0A
魔術都市の内部は、他の都市とは随分と毛色が異なる発展を遂げている。
全体に近未来的というか、建物や車といった様々な物が円や流線型を基調として設計されている。
また都市機構の全てを魔術に拠っているため、マナ伝導率の高い銀、またはスケルトン調の素材があらゆる箇所に利用されている。

個人の邸宅は別として、公共の施設や店舗などは中が透けて見えるスケルトン造り。もしくは銀色だらけ。
木や石にレンガ、コンクリートで建造されたまっとうな都市である王都で育った英玲奈からすれば、なかなかに落ち着かない光景だ。

特色と言えるのは都市内の各箇所を連結しているエレベーターやリフトの数々で、複雑な構造の都市内を短時間で移動することが可能となっている。
公共インフラの一部であり、その全ての利用は無料だ。


英玲奈(この辺りは王都も大いに見習うべきだな)


と、真面目にそんなことを考えながら、10分とかからず目的地へと到着する。


955 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/30(水) 22:35:12 8/TMJO0A
支給されている上位武官としてのIDカードを警備員へと提示し、踏み入れるのは状況に頭を抱えた司令官たちの集う司令部だ。

都市中枢に位置する司令部も他の様々な場所と同様に透化素材で建造されていて、その遥か直下には強い強いマナの光、都市全ての動力源である“メインコア”が見えている。


「おお、来てくれたか統堂くん」

「待っていたぞ!大変なことになった!」

「今すぐにこれを見てくれ…」


慌てふためく大人たち。
司令官とは名ばかり、壮年と老年の集った彼らは軍人ではなく政治屋であり、実戦経験に乏しい素人の集まりだ。
だが、英玲奈に前線指揮権を与えるとすぐに決めたあたりはまだ無能でないと言えるのかもしれない。
ともかく、彼らに何かを期待しても仕方がない。
天使が侵入したか?
バリアが想定よりも早く破れそうか?
あらゆる悪状況を想定しつつ、英玲奈は司令官たちが示した映像へと素早く目を通す。


英玲奈「………ふむ、これは?」


見せられた映像には、一台の車両が地下のプラットホームへと近付いている姿が映し出されていた。
英玲奈たちが西の街から逃れてきた時と同じ、避難用の地下鉄だ。

ただしこの列車が来た線路の方角は別。線路を辿っていくと、先にあるのは…


956 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/30(水) 22:35:34 8/TMJO0A
英玲奈「王都からの避難民、ということですか」


司令官たちは一様に頷き、そして青ざめる。
どうやら、それはとてもまずいことであるらしい。英玲奈は説明を求める。


英玲奈「何がいけないのです?」

「王都の地下鉄の存在は、王族にしか知らされていないのだ!」

「今生存している王族は西木野王だけ。つまり…」

「王国軍が魔術都市へと目を付け、進行してきたのかもしれん!!」


なるほど、顔を真っ青にしていた理由はそれか。
確かに今の王国軍は悪名高い。
風の噂によれば、絵里を筆頭に、海未と、そして…希。
ランスロットを宿してしまった絵里と洗脳されてしまった二人を新たな軸として、様々な街や村へと侵攻を掛けているらしい。
今生存が確認されている王族が西木野王だけとなれば、王都からの地下鉄が動いたとし焦る気持ちもわかる。

が、英玲奈は地下鉄での侵攻という可能性を考えない。
地下鉄で乗り付けるとなれば、必然少人数での作戦になる。しかし隠密性は皆無に等しく、いかに少数精鋭で攻め込もうと水際で封じ込められてしまうのがオチだ。
地下鉄のホームなど、最悪爆破で封鎖してしまえばいいのだ。

地下鉄で攻め込んでくる、そんな可能性はない。馬鹿げている。

そして英玲奈は…

大きな希望と、可能性と、そして確信に瞳を輝かせていた。
王都から、王族しか知らない地下鉄が動いている。とすれば、考えられるのは!


957 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/30(水) 22:36:10 8/TMJO0A
英玲奈「真姫…」

「どうした、‎‎統堂くん?」

英玲奈「真姫…!にこ!それに穂乃果!三人なのか!?お前たちなのか!」

「一体‎‎なんだと…説明をするんだ統堂英玲奈!」

英玲奈「ええい、そんな時間はない!!私はホームへ行く!止めないでくれ!!」


走り出す!!
エレベーターを乗り継ぎ、人狼と化して走る走る!風のように走る!!
未知の地へ、戦地へと訪れる三人に不安を味わってほしくない。出迎えが、顔見知りによる出迎えが必要だ!

ついにエレベーターを待つことさえ億劫になり、係員が止めるのにも関わらずシャフトを飛び降りる!
緊急時だと上位武官のIDを見せた。これくらいの無茶をする権限は与えられている。
数分エレベーターが停止してどこかの誰かが面倒を被るだろうが、普段町を守っているのだからこれくらいのわがままは許してほしい!!

壁を蹴り蹴り、チェーンを滑り降り、そして間に合う!
地下ホームへ、自動運転の列車がゆっくりと滑り込んでくる…!

摩擦。重く甲高いブレーキ音が響き、耳が痺れ、風がふわりと耳を揺らし…


英玲奈「真姫…!!」

真姫「英玲奈っ!!」


958 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/30(水) 22:37:00 8/TMJO0A
抱き締める…!!
扉が開く前から、視線が交錯していた。
誰よりも、きっと自分が誰よりも心配していた。
古くからの友人であり、城を抜け出し親友となり、そして剣を捧ぐべき相手と定めた真姫!
地中へと消え、生き別れになり、生存を信じてはいたが不安でならなかった。

どうか無事で、無事でいてくれと…

今、再会が果たされる!!


英玲奈「無事でよかった…本当に、本当に…!」

真姫「ふふ、大袈裟なんだから…。英玲奈こそ、よく無事で…!」

にこ「姫と騎士の再会?はっ、ベタすぎて今時おとぎ話でもやらな」

英玲奈「にこ!!よく無事でいてくれた!!よく真姫を守ってくれた…!」

にこ「ちょ!いきなり抱きしめんじゃないわよ!!っ、こういうやつだったわね…ストレートで…」


再会の照れに憎まれ口を叩こうとしたにこも、戦友に抱きしめられてようやく互いの無事に奇跡を感じ、ほんの一瞬瞳をうるませる。
それを誤魔化すかのように硬く目を閉じ、それから軽く笑みを作って英玲奈へと手を回した。


にこ「アンタも、無事で良かったわ。英玲奈!」


959 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/30(水) 22:38:31 NtSmHMGA
みんなかわいいよお!!


960 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/30(水) 22:39:30 8/TMJO0A
三人の再会を一歩後ろで、満面の笑顔で嬉しそうに眺めているのは穂乃果だ。
英玲奈とは真姫やにこのように旅路を共にしたわけではないが、知己であり戦友には変わりなし。
英玲奈は穂乃果とも抱擁を交わそうとし…ふと思い直し、笑顔を浮かべる。
そして、硬く力強い握手へと切り替えた。


英玲奈「二人を連れてきてくれてありがとう!そしてよく無事で…穂乃果!」

穂乃果「英玲奈さんと会えて穂乃果も嬉しいよ!」

英玲奈「私もだ!抱きしめようかと思ったんだが…ここは遠慮しておこう」


そこで言葉を区切り、英玲奈はいたずらっぽくウインクをしてみせる。


英玲奈「私よりよほど君に抱きつきたい者がいるんだ」

穂乃果「他にまだ仲間がいるんだね!」

英玲奈「ああ、案内しよう!今すぐに!!」


英玲奈に先導され、穂乃果たちは駆け出した!


961 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/30(水) 22:40:47 8/TMJO0A


変わって、南部の要塞。
絵里、希、海未、凛。新たな四騎士たちによる、魔術都市での作戦に関するブリーフィングが行われていた。


絵里「作戦概要は以上。質問はあるかしら?」

凛「ええっと…も、もう一回…」

絵里「ま、またなの?もう三度目よ?」


絵里の説明が下手なのか、凛の理解が混乱しているのか。
作戦説明は数度繰り返されるはめとなり、希と海未の頭には詳細を含めてしっかりと刻み込まれていた。


希「んー、いいよエリチ。ウチが凛ちゃん向けに簡単な説明をしてあげるね?」

凛「助かるにゃ〜!」

希「まず、ウチらの目的は“メインコア”。魔術都市の全ての動力の源となっている巨大なマナ結晶体。これはいいかな?」

凛「うん!その“めいんこあ”ってのを盗めばいいんだよね!」

希「そう!そして今あの都市は天使との戦いの真っ最中で、他の警備が疎かになってる」

凛「ふむふむ」

希「だからシンプルに!この前の作戦でやつたように…って、凛ちゃんはおらんかったけど。
とにかく高空から部隊を率いて落下、内部の司令官に内通者がいるからバリアを一部分だけ解除してもらって、それで侵入成功や!」

凛「なるほど!簡単そうにゃ!」

希「あとは決めた通り、それぞれで選んだ部下を連れて二手に分かれ侵攻。エリチがいる方を本命に、メインコアを強奪や!」

凛「わかったよ!絵里ちゃんよりわかりやすかったにゃ!」

絵里「……落ち込むわ。何が違ったのかしら…」

海未「絵里はきっと、細かく丁寧に説明してあげようとしすぎなのではないでしょうか」

絵里「そうなのかしら…なんだかショックだわ…」


962 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/30(水) 22:42:30 8/TMJO0A
会話を交わしつつ、海未は内心に自分たちの作戦を再確認していた。
あの日、ヒデコや花陽たちと再会を果たした後。
恐る恐る部屋へと戻ったが、誰からも指摘や脅しの類などはなかった。

幸運にもばれなかったようで、ならばと計画を推し進めている。


海未(部下の選定を自分でできるというのが最大の肝。そこにリスク承知でヒデコとあんじゅを紛れ込ませるつもりでしたが…)


状況が変わった。
かつて狩猟部隊だったフミコとミカとの合流により、二人は同行メンバーに確定。
さらにヒデコも二人に行動を合わせるのは容易。
そのため、ヒデコ、フミコ、ミカの三人を部下に紛れさせて行動することに決めた!

あんじゅと花陽は別行動で魔術都市へと侵入してもらう。
あんじゅ曰く、「二人だけなら私に手があるわ?」とのこと。内部で合流すれば問題はないだろう。

海未らは洗脳されているという前提があるため、部下の面通しなどは行われない。
なればこそ、突入の当日に三人を部下に紛れさせることが可能となる。


海未(行けます。ヒデコにフミコにミカ。ヒフミトリオが揃ったらならば、これほどに心強い味方はなし!)


……絵里は、微笑を浮かべて海未の横顔を伺っている。
その表情は、まるで海未の出方を窺い楽しんでいるかのようだ。
あの晩、海未が街へと出たことに絵里は気付いている!

けれど、今ここで咎め立てする気はないらしい。

危機の予感を漂わせつつ…
四人の話し合いはそこでお開きとなった。


963 : ◆i6psIO2dKs :2015/12/30(水) 22:44:08 8/TMJO0A
ちょっと短いけど今日はここまで

明日と明後日は更新できるかわからないけど、まあ出来たら書くよ


964 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/30(水) 22:47:28 fHmCAs3w
乙!
ロリコン狼すき


965 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/30(水) 22:58:09 dsHNxJP.



966 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/30(水) 23:49:26 sjr2mx4A
乙!
ダメ英玲奈も最高やな!


967 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/30(水) 23:58:19 oegWjJig
スウェットでだらけてるの可愛いなw


968 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/31(木) 00:00:45 jcbVdwlc
妹二股の罪で英令奈の土下座タイムが待ってる


969 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/31(木) 00:17:21 jyZO/p3g
決戦前の集結シーンってわくわくするなあ


970 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/31(木) 00:34:41 RFSi976U

ちょっと早いけどよいお年を


971 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/31(木) 00:35:29 3NGtFZbM
あけましておめでとうございます


972 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/31(木) 00:59:29 9nd0Fc2A
あかざわREDの単行本にでてきそうなありゆきだな


973 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/31(木) 01:09:33 n.m/8/fg
街並み描写でFF8のエスタ思い出した
終盤っぽくていいな


974 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/31(木) 12:14:32 LPcc/Imo
毎日楽しく読ませてもらっていたよ
本当乙でした
完結まで付き合うから来年もよろしくな


975 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/31(木) 23:17:36 6By1Vuo.
面白いssをありがとう!
来年もよろしくお願いします!


976 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/31(木) 23:23:14 F5FwapAM
来年もよろしくおねがいします。


977 : 名無しさん@転載は禁止 :2015/12/31(木) 23:51:59 sUv7y1gk
良いお年を!


978 : 名無しさん@転載は禁止 :2016/01/01(金) 00:25:36 wWfPbATw
王様は初日の出を拝めて良かったですね


979 : 名無しさん@転載は禁止 :2016/01/01(金) 00:31:02 kW0.bZvw
年末以外毎日?続けたのは素直に凄いわ
今年もガンバ


980 : 名無しさん@転載は禁止 :2016/01/01(金) 09:00:58 QVs3oTvI
更新なくて あれ? って思ったけど実際は>>1の普段のペースが凄かっただけなんだよな
毎日毎日ありがとうございました。2016年も楽しみにして待ってます


981 : 名無しさん@転載は禁止 :2016/01/01(金) 19:26:17 ucv6p/xQ
年末年始くらい作者さん休ませてやってくれよ…


982 : 名無しさん@転載は禁止 :2016/01/01(金) 19:31:20 K2.2FM4M
別に催促するようなレスないやんけ


983 : 名無しさん@転載は禁止 :2016/01/01(金) 20:01:29 QVs3oTvI
おれのやつ催促っぽかったか、すまん。
おれも>>1にはゆっくり休んでほしいと思っとるよ(その流れでエタらないでくださいお願いします)


984 : 名無しさん@転載は禁止 :2016/01/01(金) 21:23:35 CxtaJJqo
いつ頃投下するかぐらいは知りたいな


985 : 名無しさん@転載は禁止 :2016/01/01(金) 21:43:02 li5wgP4M
お客さま


986 : 名無しさん@転載は禁止 :2016/01/01(金) 23:42:41 yejWeo5U
書け書け言っちゃいないんだからいいだろ
逆に何でそんなへつらってんの?


987 : ◆i6psIO2dKs :2016/01/01(金) 23:51:27 WKwFX8Rk
穂乃果「龍狩りだよっ!」 Part16
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/anime/10627/1451659816/

続きはこっちで


988 : 名無しさん@転載は禁止 :2016/01/10(日) 04:01:43 IrGz7XSI
うめなきゃ


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