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フリーゲーム・バトルロワイアル- 1 : ◆FreeEP00/U:2013/01/06(日) 18:00:00 ID:GxRDBvZQ0
- 7/7【寄生ジョーカー】
○藤堂晴香○水瀬優○柏木翔子○国府千尋○葉山弘司○茂木冴子○松山那雄宏
6/6【D.】
○主人公○セス=ケイオス○ニケ=ニィ○皿井戸菊○ローゼン=クランツ○キリエ・フューラー
5/5【E.】
○カイン=ガリアン○エキドナ=エニアック○ヨハン=ジューダス○ベロニカ=ナンバーナイン○ミハエル=マクベイ
5/5【カノウセイ】
○水野誠○風見隼人○相川綾乃○綿原加奈○神林亜深
5/5【Gu-l】
○赤橋圭介○七瀬隆也○神崎栄次○鈴木月絵○隆
4/4【絶対的人狼】
○アビス○ユヴネ○わかな○かみこ
3/3【Ib】
○イブ○ギャリー○メアリー
2/2【奥様は惨殺少女】
○さゆり○大志
10/10【書き手枠】
○○○○○○○○○○
47/47
wiki
ttp://www51.atwiki.jp/freegamebr/
- 2 :オープニング ◆FreeEP00/U:2013/01/06(日) 18:01:03 ID:GxRDBvZQ0
- 暗黒、それ以外に表現する言葉が見当たらない。
見渡す限り一面の黒黒黒黒黒、思考までも染めていくようだ。
周りからは一切音も聞こえない。
完全隔離された場所、『無』の世界とでもいうのだろうか。
さて、何時の間にこんな場所にいたのか。
少なくとも先ほどまで俺ことアビスはすべての村を攻略し、すべてを打ち破ったところだったはず。
だが、それだけでは終わらなかったようだ。
俺をこのようにした奴に、心当たりがある。
ソイツをどうにかしないといけないのだろう。
きっとこの世界は『妄想』で、俺はその『一部』となっているのだろう。
だから、このような状況が作られているのだ。
『妄想』だからあり得る完全なる『無』の世界……そしてこの世界を作れるような人間は少なくとも、一人しか知らない。
「ハッ……あの腐れ【hidden】か、まったくブチ殺したくなる」
無損失疎通路による妄想の共有、それを奴が使ったとしか思えない。
奴の他に使える奴を知らないが現状ではあの糞女のせいと考えるのが妥当だろう。
『新しき敵』や『裏で牛耳っていた黒幕』などの存在の可能性もあるが、あくまで可能性を考えるだけだ。
「――――ん?」
暗闇の先に、一筋の光が見えた。
その場所に向かい足を踏み出した瞬間、体に悪寒が走った。
それはあの時、糞女――――チェルシーに告白をされたときと酷似していた。
論理的根拠のない不吉な予感、前の自分ならばそんなことがありるのかと否定した。
だが、今の俺は変わったのだ。
僅かながら心に変化が生まれた。
この先に進むのは、危険を伴う。
だから進まないか? いいや、そんなことはあり得ない。
このままいたところで精神に何か仕掛けてくるだろう。
あの糞女の事だ、その可能性を考えておいた方がいい。
この場所においては考えておくことは悪手ではない。
むしろ、『考えなければ』いけないのだから。
まぁ、あくまでそれはここがあの女の妄想世界であればの話だが。
「上等だ……乗ってやるよ、その手に」
その不吉な予感を振り切り、光が差す場所へと向かう。
一歩歩くごとに、光の面積が増えていく。
その徐々に増大していく光が目から視力を一時的ながら奪っていく。
一面が真っ白になったあたりだろうか。
その音は、間違いなく耳に、鼓膜に、脳に、『声』となって響いた。
「――――どうも、アビスくん」
間違いなく、その声はチェルシー、あの糞女だった。
もう間違えることはない、因縁づけられた相手……。
面と向かって対話するのは、何時ぶりだろうか。
時間的にはそれほど経っていないのだが、やはり長らく対面していない錯覚を覚える。
「よぉ、二度と会いたくなかったぜ。 くたばってくれりゃあよかったのによ」
「フフフ――――そうですねぇ」
相も変わらず気味の悪い笑いだ。
吐き気を催すというレベルを超えている。
まったく、ぶち殺したくなる。
- 3 :オープニング ◆FreeEP00/U:2013/01/06(日) 18:01:32 ID:GxRDBvZQ0
-
「それで、俺にフラれた挙句俺を殺そうとした馬鹿女が俺に何のようだ?
まさか今から直接俺を殺そうだなんて笑えるようなことを考えてるんじゃないだろうな。
短絡的思考しかできないお前みたいな糞女じゃあそういう考えしかできねえか?」
「いやいや、私がそんなことをするわけがないじゃないですか。
根拠もなく人を疑うなんてアビスくんらしいですが、そういう風に言うのは貴方らしくないですよ☆」
「ハッ、笑わせてくれるな。 お前は俺を笑いすぎで窒息死させたいのか。
こちとらお前の下僕に殺されかけているんだからよ、否定しても無駄だぞ?
この時点で否定するという選択肢はないからな。 あったとしても俺が選ばせない」
「へぇ……アイツ失敗したんだ、これはお仕置きなりなんなり対処が必要になるじゃないの」
「そういうことはもうこの際どうだっていいんだよ、さっさと俺をここに呼んだ理由を話せ。
話をずらそうだなんて少しでも思ったらその瞬間お前を殺すぞ、とっとと言えよ。
それともお前は俺が今言っている意味も分からないほど頭まで腐ってんのか。
とっとと俺に殺したいという気を起こさせないように客観的に述べろ」
「――――そうね、もうわかったわ。 お前はもう掌握するには知りすぎた。
もう一度試そうとしてもやっぱり駄目、駄目、駄目、駄目、駄目!
どうしてお前は私をここまで不愉快にさせるの!? いい加減にしろよ!!」
「やっぱり猫被ってやがったか、だがそれが俺を呼んだ理由なのか?
そうだと言うのならばお前は思考が腐っていると俺は断言できるぞ。
それはお前の主観による理由だろうが、俺は客観的理由を述べろと言った。
お前の個人的な私怨なんざ聞きたくもないんだよ気持ち悪い」
そう言うと糞女はいつもの吐き気がするようなニヤケ顔をしながら俺を見た。
言っていることが本格的に理解できないのか。
それとも説明するのが不可能な事象だとでも言うのだろうか。
いいや、この世界にはそんな事象があってはたまるか。
無損失疎通路なんていう常識から超越しているトンデモ理論ですら急に話すような奴だ。
説明をできないだなんてあり得るはずがない。
ならば何かを企んでいるのだろうか、それならばあり得るというものではある。
「さて、準備がそろそろ揃いますね」
「――――準備、とは何のことだ」
「アビスくんならばわかるんじゃないんですか? 私がしたいことを」
「それはお前の思考レベルが俺と同等だとでも言いたいのか?
場合によっては今この場でお前をぶち殺してやってもいいくらいには不愉快だな。
お前の腐ってる思考が読めないからわざわざ聞いてやってるんだよ。
それくらいも理解できないのならやっぱお前は腐れ【hidden】だな」
「それならば説明してあげるから耳をかっぽじってよーく聞きなさい。
誰でもわかるように超簡単に説明してあげるわ、感謝しなさい」
「そうか、だったらさっさと説明しろ」
糞女が指を鳴らすと、一面真っ白だった世界に色がついた。
だが単色ではない、空は青く地面は緑の草木で彩られている。
「どうですか? だいぶ変わったでしょう?」
「――――ここは、お前のあのメルヘン妄想世界の中だとでも言うのか。
それにしては随分現実的な世界になったもんだな、お前のその腐った妄想が痛すぎるとわかったのか?」
「いいえ、またそのうち元の世界に戻る予定です……。 さて、では本題に入りましょうか」
「言ってみろよ、コッチはお前のその茶番に付き合わされてお前どころが他に数人殺したいレベルにまでイライラしてたんだ。
ちゃんと俺に分かるように客観的に説明をしろ、もう茶番に付き合うのも面倒だしな」
「そうですね、それでは超簡易的に結論だけを言わせてもらいますね」
「貴方には、この世界で殺し合いをしてもらいます」
- 4 :オープニング ◆FreeEP00/U:2013/01/06(日) 18:02:11 ID:GxRDBvZQ0
- 「……ハッ、何を言うかと思えばやっぱり気でも狂ってるようだな。
殺し合いをしてもらうっていつの時代の小説だよ、お前が言うに相応しい野蛮な言葉だな。
思考回路が常識を逸している奴が主催者、そういえば元々の小説もそんな感じだったな」
「あら、怖がらないんですね。 少しくらい焦ると思ったんですが」
「焦る? どこにそんな意味があるっていうんだよ。
そこら辺のガキにもわかるような理由ですぐさま説明しろよ。
焦りを生んだ奴から死んでいく、どんな物でもそういう定石があるんだよ。
運が良くてもミスを繰り返せば死ぬ、だが運が悪くても順序を踏めば生存は可能だ。
お前が俺にやらせたあのゲームで俺が少なくとも得た教訓だよ」
「チッ、まぁいいとしましょう。 別に怖がらないのならばそれでいいですしね。
ただ面白いものが一個見れなくなっただけですし。
でも殺し合いには何があろうが参加してもらいますよ?」
「……今からお前をブチ殺してそれで万事解決ということだってできるはずだ。
ここはお前の妄想世界だからと言ってすべてが思い通りにいくわけじゃあない。
つまり俺が今この時点でお前を殺すことだってできるんだよ。
ユヴネの奴がいれば無理かもしれないが、俺一人でもお前くらいなら殺せる」
「残念でしたね、アビスくん……それはできないんですよ」
「ハッ、お得意のハッタリか? 俺はお前にもう精神掌握はされてない。
テメェを殺したところでもうオレの精神に支障をきたすことは一切ない。
何ならお前をこの場で殺すことで証明してやろうか? 無能女が」
「残念ながら、それは絶対的不可能なんですよ。 今のあなたでは私を殺すことは絶対にできない。
というか、私が今本当にこの場にいるだなんて考えちゃいましたか?
そんな訳ないに決まってるだろうが! バカはお前の方なんだよ!!
いつから『本物のチェルシー』がここにいると思っていた! ここは私の妄想の中なんだよ、一時的に私の形状をした通信端末を置くことはできるんだよ!
それに、お前を今から即刻殺すことだってできるんだよ!!」
「へぇ、じゃあやってみろよ。 お前にそれができるというのならな」
ここが奴の妄想世界の中だということは把握できた。
元々予想して、そうであると仮定して話していたが奴の口から確証を得れた。
だが、あくまでそれは面倒になっただけだ。
なんでも思い通りになるわけではないが、この殺し合いは奴の手中に完全にあるということだ。
俺に対するハンデ的な物もあるのだろう。
「フフフ、大丈夫ですよアビスくん……殺し合いは絶対平等、貴方だけ何もなしだなんてあるわけないじゃないですか」
そう言うと糞女……の幻覚かなんかは俺の目の前にバックを置いた。
それがいったいどんなものなのか、と言うのは大方理解した。
殺し合いをするために必要な武器や道具などだろう。
「ルールなどは、そのバックの中に入っている端末がありますからそれでも見ておいてくださいね。
私が説明するよりわかりやすいでしょうし」
「あぁ、そうだな……だがこれだけは言っておいてやろう」
糞女が言っていた『恐怖』、なんてものはなく。
ただその時の俺にあったのは。
「テメェは、殺す」
ただこれだけだった。
糞女は相変わらずのニヤケ顔で俺を直視する。
「それでこそアビスくんです。 でも……これを見て言えますかね?」
そう言うと、先ほどまで一面自然で埋まっていた周りが真っ暗になる。
あの糞女の姿もなくなった。
奴の口ぶりだと今から俺に対して何らかの精神的な衝撃でも与えるつもりなのだろう。
- 5 :オープニング ◆FreeEP00/U:2013/01/06(日) 18:03:32 ID:GxRDBvZQ0
-
「――――あ?」
などと考えていると、いつの間にか背後に見知った顔がいた。
だが少なくとも、予想に若干ながら反していた。
いや、ある意味予想通りだったのかもしれない。
これは奴の妄想の中であり、その中に再びこいつが来るとは思わなかったからだ。
「なんでテメェがここにいやがる」
「それに関してはお前にしても私にしてもどうでもいいことではないか?
結論として私は今この場にいてお前と会話をしている、それだけのことさ」
エデン、俺を創り出した存在にして俺の姉に当たる人物。
俺を試すために、あのゲームで敵を演じた。
あの時は俺を試すという少なからず正当な理由が存在したが今回に関してはこの場に登場する意味がないはずだ。
「だが私はもうすぐこの場から立ち去ることになるだろうよ、その前にお前に一言伝えておこうと思ってな」
「ハッ、死に際の言葉みたいなことを言いやがるな」
「どちらでもいいさ、最後であろうが最後でなかろうがな」
少なくとも、俺はこの時すでにわかっていたのだろう。
なぜこの場に奴がいるのかということを。
そして、どうなるのかということを。
それは奴もわかっているのかもしれないが、そんなことは俺には分からない。
わかるつもりも微塵もないがな。
「お前はやはり最高傑作だったよ――――」
グチャッ!
そんな音が俺の目の前で鳴った。
その瞬間にアイツの体はグチャグチャになった。
内蔵の一部と思わしきものが足元に転がっている。
少し遠くに転がっている頭が見えた。
目は髪に隠れて見えない。
だが、口は見にくいほど歪み、笑っていた。
「どうですか? これで私に逆らう気は無くなったでしょう?」
「――――ハァ、お前の馬鹿さに呆れるな、これで俺が怒りに任せて暴走でもするとかでも考えたのか?
そう言う思考だったなら、それこそ笑いものだな……さぁ、始めろよ……そのゲームをよ」
少なくとも、これは奴の妄想世界の中だ。
死体を急遽俺の前に作ることも可能なはず。
これは奴の俺への精神掌握の一部であると取るのが一番だ。
「フフッ、そうですか……ではせいぜい無様に生き残って、無様に死んでいってくださいね?
すぐに死んでしまってはつまらないですから、それでは」
「よろしく、」
「やって」
「ください、」
「ね☆」
【Stage26 起終点の村(フリーゲームバトルロワイアル) 開始】
【エデン@絶対的人狼 死亡確認――――?】
【現状生存人数 47名】
[備考]
※これはアビス@絶対的人狼のOPです。
※他のキャラクターにはそれぞれ違うOPがありますがそれはSS内で補完してくださっても完全すっ飛ばしでも構いません。
※そのキャラによって見せしめに目の前で殺されるキャラが変わるかもしれません。
- 6 :オープニング ◆FreeEP00/U:2013/01/06(日) 18:04:07 ID:GxRDBvZQ0
-
◆ ◆
「さぁ、この村の真実を知りに行こう」
- 7 :ルール ◆FreeEP00/U:2013/01/06(日) 18:04:45 ID:GxRDBvZQ0
- 【ルール】
1:47人の参加者で殺し合いをする。
2:優勝者は元の生活に帰ることができる、そしてその生涯を保証する。
3:参加者に四次元構造ディパックと決められた支給品と武器などのランダム支給品が1〜3個与えられる。
4:死者・禁止エリアを発表する放送は六時間単位で行われる。
支給品について
基本的支給品は
・食糧一日分(水二リットル一本は固定、食料はどんなものかは不明)
・懐中電灯
・時計・地図・名簿・メモなどの機能が入っているタブレット端末
・救急箱(簡易治療のためのもの)
・方位磁針
【書き手向けルール】
1:非リレー企画ではありまっせん。予約していただける方はトリップ付きでお願いします。
2:予約期限は七日(+三日)です、延長は二作投下していただいた方から可能とさせていただきます。
3:予約なしのゲリラ投下は現時点では禁止です。
4:自己リレーは構いませんが、投下してすぐに同じキャラを予約、などはやめてください。
状態表テンプレ
【一日目/時間帯/現在地】
【キャラ名@出展作品】
[状態]キャラの状態を書く
[装備]所持している装備を書く
[所持品]所持品を書く
[思考・行動]
基本:ロワに対するスタンスなどを書く
1:現状の行動や思考を書く
[備考]
※参加時期など備考を書く
支給品リストテンプレ
【支給品名@出展先】
○○に支給。
あとはその支給品の説明を。
書き手枠について
1:参戦外からの作品を二作品まで参戦許可とします。
ただし、投下する際にその作品を把握するために必要なもの(ゲームのDL先、把握できる動画ページ、あれば両方)を記載してください。
把握する方法がない作品の参戦は認めません。
あとフリーでもR-18の作品は禁止とさせていただきます。
2:もともとの参戦作品のキャラを追加しても構いません。
3:SS一作品につき書き手枠は二人までとします。
4:ただし、総じての書き手枠使用数に上限はありません。
5:書き手枠のキャラは名簿に記載されませんが、第一回放送終了後に端末の名簿機能がアップデートされます。
・備考
【D.】から参戦している主人公の名前は初めて予約した人が好きに決めていいです。
ただし、名前として相応しくないものは却下させていただきます。
- 8 : ◆FreeEP00/U:2013/01/06(日) 18:08:11 ID:GxRDBvZQ0
- 地図など他のことについてはwiki掲載していきます。
質問などがある方は書いてくだされば出来る限り対応します。
本編投下開始は1/11(金)からとしたいと思います。
それまでに予約してくださってもかまいません。
最初は早く予約しても、投下期限は1/18(金)0:00までとします。
それでは、フリーゲーム・バトルロワイアルをよろしくお願いします。
- 9 : ◆FreeEP00/U:2013/01/06(日) 18:09:20 ID:GxRDBvZQ0
- では何故前レスで言わなかったとなってしまいますが、
皿井戸菊、水野誠 で予約します。
- 10 : ◆/V8bBq73EA:2013/01/06(日) 18:22:10 ID:j5k1gAYM0
- イヴ、さゆりで予約します
- 11 : ◆fRBHCfnGJI:2013/01/06(日) 22:33:40 ID:bwtFVRs2O
- D.の主人公、及びクリシュナ@夜明けの口笛吹きを書き手枠で予約させていただきます
また、クリシュナの把握資料はこちらになります。
ttp://kiiiichi.sakura.ne.jp/yoake.html DL
ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm2108479 動画
- 12 : ◆Wue.BM1z3Y:2013/01/10(木) 17:12:29 ID:2VZNY.jc0
- 七瀬隆也、かみこ、メアリーで予約します
- 13 : ◆wb/kX83B4.:2013/01/11(金) 00:09:16 ID:soBiYw/.0
- もう投下していいのかな?
勇者@戦友(ともだち)100人できるかなを書き手枠で予約します
- 14 : ◆wb/kX83B4.:2013/01/11(金) 00:18:46 ID:soBiYw/.0
- ある世界での話…
そこでは魔王の手によって人々は怯え、悲しみ、苦しんでいました。
彼はそんな世界の危機を救うべく立ち上がりました。
ですが彼は他者と比べて武術が優れているわけでもなく
強力な魔法も使えるわけでもありません。
いたって非力な少年なのです。
それでも人々は彼のことを伝説の勇者と呼び、讃えました。
それはなぜか?実は彼には特別な能力をもっていたからなのです。
彼は『触れた者と仲良くなる』そんな不思議な力を持っていました。
冒険に出た彼はその力を使い、人、魔物、動物、植物、宝箱、家具、柱、階段、etc
有機物、無機物関係無く、ありとあらゆる者と戦友(ともだち)になり
魔王の元へ到着する頃には合計99人の戦友(ともだち)が集まっていました。
そして魔王との決戦では彼は苦戦を強いられていました。
だけど彼は諦めることなく戦友(ともだち)と力を合わせて
ついに魔王に勝つことが出来たのです。
その後、彼と戦った魔王は戦友(ともだち)になり
彼は100人の戦友(ともだち)と共に
争いの無くなった世界で平和に暮らしたのでした。
突然、この世界に連れてこられバトルロワイアルを強要された彼ですが
彼のやることに変わりはありません。
なぜなら彼は勇者だからです。
この世界でも戦友(ともだち)を集め、争いを止める為に勇者は再び立ち上がりました。
勇者の目の前にいるこの世界の最初の戦友(ともだち)である
勇者の支給品 デイ・バッグと共に
【一日目/深夜/G5草原】
【勇者@戦友(ともだち)100人できるかな】
[状態]健康
[装備]無し
[所持品]無し
[思考・行動]
基本:戦友(ともだち)を集めて殺し合いを止める
1:周囲を捜索して戦友(ともだち)を探す
【デイ・バッグ】
[状態]健康
[装備]無し
[所持品]基本支給品一式、不明支給品1〜3
[思考・行動]
基本:戦友(ともだち)として勇者の後ろについていく
戦友(ともだち)100人できるかな DL
ttp://www.silversecond.com/WolfRPGEditor/Contest/entry.shtml
- 15 : ◆wb/kX83B4.:2013/01/11(金) 00:24:19 ID:soBiYw/.0
- 投下終了
タイトルは「愛と勇気と戦友(ともだち)」です
- 16 :名無しさん:2013/01/11(金) 00:51:21 ID:U1IUy5R20
- 投下乙です!
その発想はなかったwwwwまさかのデイ・バッグwwww
これで書き手枠の作品追加は終了かな?
- 17 : ◆/V8bBq73EA:2013/01/11(金) 17:13:15 ID:2qlbTZm20
- 投下乙です。
デイ・バッグwwww
では自分もイヴ、さゆりで投下します
- 18 :Day Dream ◆/V8bBq73EA:2013/01/11(金) 17:15:00 ID:2qlbTZm20
- ――――わたしの”夢”の話をしよう。
わたしはついこの間、美術館へと家族で行った。
確か、画家の名前はゲルテナ。
難しい漢字が多くて全部の作品の名前を覚えたりとかは出来なかったけれど、なかなか新鮮な経験が出来たな、と思っている。
おかあさんと。
おとうさんと。
そして、大事なもう1人の家族のメアリ―。
結局わたしは1人で美術館を回ってしまって、そのせいでおかあさんにはちょっぴり寂しい思いをさせてしまった。
たくさんの作品があった。
大きな、深海の光景を描いた絵画。
それよりもっと大きな、絵空事の光景を描いた絵画。
散っていく薔薇の花の彫刻。
どうやったらこんなアイデアが出るのだろうと、不思議に思ったりもした。
見ている人たちも、それぞれ違う感想を持ちながら真剣に作品の世界へと入り込んでいた――もちろん、比喩だけれど。
おかあさんやメアリ―と一緒に回っていたら、もしかするともっと作品の意味とかを深く知ることが出来たのかもしれない。
それはそれで、ちょっと残念だったなぁと思う。
あの何ともいえない雰囲気を、きっとわたしは一生忘れないだろう。
でも、分からないこともある。
自分でもどうしてこんなつまらないことで悩んでいるのか分からない。
なのに、わたしの頭の中で時―、不思議な世界が生まれるのだ。
それは、壁から突き出てくる手だった。
それは、絵画から上半身だけを突き出した女の人だった。
それは、首から上のないどこか無個性な彫刻だった。
わたしの夢だとは思うんだけど、我ながらすごい夢を見たものだ。
映画にして発表でもしてみたら、きっと結構な怖い映画に仕上がる。
そういうこともあってか、わたしはもう美術館にはあまり行きたくない。
行きたくない――のだけど。
わたしはどうしても、気になっていることがあるのだ。
もちろん夢の中の話だから、全部を正確に思い出すなんて出来ない。
ときどき、おもむろに頭の中に――そう、パズルのピ―スみたいに少しずつ怖い光景が蘇ってくる。
もう一つの美術館。
動く作品のさまよう美術館。
けれど、わたしはたまに、何かを忘れているような錯覚をする。
それはとても大切なことで、忘れちゃいけないことだといつも思う。
対応していないテレビのチャンネルに変えたときに画面に映る砂嵐のようなぐちゃぐちゃに紛れて、『誰か』の姿が見えるのだ。
1人は分かる。
1人は、メアリ―だ。
夢の中の彼女は恐ろしかった。
どこかの部屋に入った瞬間、あの明るくて人懐っこいメアリ―からは想像もできないような迫力で、襲いかかってくる映像。
だから、わたしはこの話をメアリ―にはしていなかったりする。
だって、自分が悪い存在になる夢なんて見たくないでしょ?
…………ちがう。
ちがう、そうじゃなくて。
そうじゃないんだ。
そうじゃない。そうじゃ、ない。
夢の中のわたしは、赤い薔薇を持っていた。
花びらの数は五枚。
なら、夢の中でメアリ―が持っていたあの青い薔薇は?
彼女は花占いをしていた。
子供らしい、メアリ―らしい遊びだ。
なのにどうしてか、わたしにはそれを邪魔しなきゃいけないように思えてしまう。
そんな意地悪を、正しいと思ってしまう。
――ちがう。
正しいとかじゃなくて、そうしなきゃいけないと思ってしまう。
そうしないと、わたしの大切ななにかが無くなるから。
失わないために、止めないといけないって、思ってしまう。
これが、わたしの見る夢の話だ。
わたしにはこの夢がなんなのか分からない。
寝ている時じゃなくて、昼間にも見える夢なんて聞いたことがない。
そしてわたしは――こんな時にも、その夢のことを考えている。
あの美術館の悪夢を、思い出している。
まるでアルバムでもめくるかのように、思い出している。
- 19 :Day Dream ◆/V8bBq73EA:2013/01/11(金) 17:15:36 ID:2qlbTZm20
- 「――――……どうして?」
わたしが、いちばん分からないことを最後に言おう。
わたしはどうして――この夢を見ると、こんなに悲しくなるのか。
こんなにも切なくて、寂しくなるのか。
大切な大切なメアリ―のことより先に、どうしてあの悪夢を想うのか。
わたしの前で。
わたしの前で無惨に殺された。
わたしの前で無惨に殺されたおかあさん。
わたしの前で無惨に殺されたおかあさんとおとうさん。
大切な二人の家族のことを悲しむよりも先に想ったのは、あの悪夢のことだった。
それがいったいどうしてだか、わたしにはわからない。
わからないまま――――
わからないまま――――
わたしは、自分の手の中の青い薔薇をじっと見つめていた――――。
◇ ◇
――――わたしの”夢”の話をしよう。
わたしには、大好きな人がいる。
優しくて格好良くて、出会ったその時に人目で恋に落ちた人がいる。
最初の出会いは、中学校の入学式。入学式なのにいきなり盛大に転んでしまったところを、あの人が手を差し伸べてくれた。
それからいろいろあって、わたしたちは付き合うことになった。
幸せだった。
お母さんが死んでしまってから、初めて心から笑ったかもしれない。
たくさんの邪魔があった。
わたしの義姉となった1人の女が、いつだって理不尽な暴力でわたしを従わせてきた。
それでも、あの人を渡すことだけは出来なかった。
下僕同然の扱いばかりを強いられてきたわたしがあの女に反旗を翻したのは、紛れもなくあの時が初めてだったと言えると思う。
何度も何度も殴られて、何度も何度も蹴りつけられた。
地獄のような苦痛と天国のような甘い幸福が同居する、そんな毎日。
歪なバランスの上ではあったものの、確かにそれは成り立っていた。
――――”あの日”までは。
あの日、わたしはただ一つ抱いた願いさえも踏みにじられた。
彼さえ居てくれるのなら、他のすべてがわたしを憎み、虐げ、痛めつけたって耐えられる、だから彼をわたしから奪わないで下さい。
ささやかな願いだった筈だ。
それさえもわたしには許されず、剥奪された。
あの人はわたしのところから消えた。
帰ってこない伴侶を待ち続けて、いつからか勿体ないので食事は最初から彼の分しか作らないようになっていった。
冷めたご飯を、彼が褒めてくれたご飯を、1人で食べる。
日に日に瞳は紅く紅く変化していった。
わたしの心を蝕む狂気と同じ色が、わたしを染めていった。これがすべてを染めきった時、わたしはきっと終わってしまう。
あの人を、あの女を、どちらも×してしまう。
だからわたしは最後に願った。
せめて最後だけは、愛するあの人との幸せなユメを―――。
- 20 :Day Dream ◆/V8bBq73EA:2013/01/11(金) 17:16:12 ID:2qlbTZm20
- そこにはすべてがあった。
一番幸せだった中学生の時のわたしと、愛するあの人との暮らし。
それでもあの女の呪縛はいつまでもあの人を縛り付けた。
それは帰宅後のやり取りだった。
それは夕暮れの観覧車だった。
それは――結婚記念日だった。
みゆき――――みゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆき――――――――
その名前が出る度にわたしは彼を刺した。
真っ赤な湖の真ん中で、わたしは刃を振り下ろす。
殺し屋という職業は、熟練になると指先と脳が完全に切り離されて罪悪を感じなくなると聞いたことがある。
でもそれは嘘だった。
何度も何度も彼を×した。
×しただけじゃだめだった。
もう一度幸せな夢を繰り返すためには、彼を『分け』なければならない。
切り分ける。何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も。切って、分ける。
それから、人類の禁忌を犯す。
愛する彼を食べる。
食べることで、わたしの一部とする。
そうしなければ、もう幸せな夢は戻らないから。
何度も繰り返した。
何度も彼を食べた。
カニバリズム――タヴ―を犯して。
終わらない螺旋をぐるりぐるりと回って廻って。
そしてその幻想の終わりは、あの人が持ってきてくれた。
「二度と――――浮気なんてしない、か」
いま、わたしは確かに此処にいる。
ここは夢じゃない。武器の入ったデイパックもちゃんとある。
質の悪い夢だったなら良かったのだけど。
しかし、わたしは不思議と穏やかだった。
以前のわたしなら、迷わず他人を殺していただろう。
ほんの一瞬さえ迷うことなく、愛するあの人の為に全員を斬って刺して叩いて潰して絞めて―――
「ううん、それはだめ」
―――否定する。
わたしは否定する。
殺すのはもうやめだ。
あの夢の中で、わたしは数え切れないくらいの禁忌を犯した。
でも、これからは未来を見よう。
白く輝く未来の世界を。
わたしの物語はここから始まる。
――――――未来への、白の目覚めから。
- 21 :Day Dream ◆/V8bBq73EA:2013/01/11(金) 17:16:59 ID:2qlbTZm20
- ◇ ◇
白い女がいた。
長く艶やかな黒髪を伸ばしていて、服はそれとは対照的に白い。
その手には、いつも持っている銀の包丁はない。
彼女は不思議そうな表情で、何かを思うような表情で、一枚の肖像画をぼうっと見つめていた。
時を忘れる、という感覚を久―に味わったような気がする。
女の名前はさゆり。
さゆりのこれまでの人生で、思えばこうやって1人でゆっくりと美術品を鑑賞したことなどなかった。
その絵画の名前は――”忘れられた肖像”。
描かれているのは紫色の髪をした、男性の姿だった。
こういった肖像画など別に珍しいわけでもないし、それこそ学校で使った美術の教科書でも見ればいくらでも鑑賞できる。
だが、この絵にさゆりは見入っていた。
”ゲルテナ”なる画家によって描かれたらしいこの作品から感じるのは、やはり底抜けに香る寂しさだ。
ただの肖像なのに、どうしてこんなに目が離せなくなるのか。
そう、理由付けをするなら、まるで魂が宿っているようだった。
絵の中にいる男性が偽りのそれに見えないというか、何というか。
絵画とはこんなにも魅力的なものだったろうかと考え直させるくらいには特別な意味を持っているような。
「……とと、こうしてもいられない」
さゆりは慌てて絵から離れる。
美術の可能性に気付かされた有意義な時間だったが、ここは殺し合い。
まさか呑気に美術展を見ていたら後ろから刺されてしまいました―、なんてことになったら笑い事では済まない。
彼女は1人では非力だ。
いやまあ、確かに夢の中での経験則がある程度頭の中にはある。
けれどもう誰かを殺したりするのは御免だったし、同じことを延―と繰り返していてはいつまでたっても未来へ進めない。
だからまずは、誰か参加者を捜すことにしたのだ。
初期地点の美術館の中を巡りつつ参加者を捜すことにしたのだが、いざこうして見ると、誰もいない美術館とはなかなかに不気味なものがあった。
下手なお化け屋敷なんかよりも、ずっと雰囲気がある。
(それにしても、凄い作品……どうやったら、こんなものが)
作者であるゲルテナという人物の才覚は、美術には精通していないさゆりでさえも十二分に感じ取れるほどのものだった。
床に広げられている”深海の世”といい、さっきの”忘れられた肖像”といい、いったい何をどうしたらこんな世界が考えつくのだろうか。
探索の傍らで作品に一通り目を通しながら、さゆりは人を捜す。
無事に帰ることができたら、あの人と美術館に行ってみるのも悪くないかなぁ――なんてことを考えながら。
幸せな光景を幻視しながら歩いていると、一枚の大きな絵画の前に出た。
大きい。
さっきの”深海の世”も大概だったが、これはまるで絨毯のようなサイズで、それでいて絵の全面にぎっしりとエネルギ―が詰まっている。
タイトルは”絵空事の世界”。
絵空事――確かに、そんな光景だ。
これは現実じゃない。
(けど、”絵空事の世界”から見たらこっちの世界だって”絵空事の世界”に見えているのかしら)
なんだか哲学者の気分になってくる。
そんなことを考えているせいで、気付くのが少し遅れた。
絵の前で、1人の少女が俯いていた。
背丈は小さい。小学校中学年くらいだろうか――まだ子供のようだ。
なのにその佇まいはどこか大人びて見える。
なんと言えばいいのだろう。
そう、あれは”知っている”ような存在感。
彼女の二倍は確実に長い人生を生きているだろう自分であっても、未だ知らないだろう何かを知っている。
そういうものが、その少女にはあった。
- 22 :Day Dream ◆/V8bBq73EA:2013/01/11(金) 17:17:31 ID:2qlbTZm20
- 「………っく、っ」
小さく嗚咽を漏らす少女の手には、一本の美しい薔薇が握られていた。
人間が苦悩の果てに作り出したといわれるその青き薔薇はとても美しく、この美術館に相応しい雰囲気を持ち合わせていた。
大事そうに薔薇を抱える少女へと、さゆりは駆け寄っていく。
見たところ怪我はしていないようだし、きっと殺し合いの重圧に耐えられなくなってしまったのだろう。
こういう悪質なやり方には、さゆりの宿敵である女の姿が重なる。
自分と夫・大志の幸せな日―を引き裂き、あまつさえ年端もいかない子供までも巻き込む主催者へ、さゆりは確かな怒りを抱いていた。
「……ねえ、大丈夫?」
なんと声をかけるべきか迷ったが、怖がらせないように努めて優しく、笑顔を浮かべて話しかけることがちゃんとできた。
すると少女は、三秒ほどの間を置いてさゆりへと振り向く。
嗚咽を漏らしてこそいたものの、大泣きをしていたというわけではなく、瞳から静かに液体を流している様子だった。
その表情は恐怖ではない。不安でもない。
悲しみだった。悲しみと寂しさが、彼女の瞳には同居していた。
(――……この子は)
さゆりはこの目を知っている。
これは、あの頃の自分の目だ。
愛する人を奪われて、毎晩のように泣き続けていたあの頃の自分だ。
たかが十歳前後の少女がするには、あまりにも辛すぎる目。
思わず言葉を失っていると、少女は静かに口を開いた。
その声もまた、齢二桁に満たない少女のそれにしては落ち着いていた。
「おかあさんとおとうさんが、死んじゃったの」
「…………」
それはこの殺し合いの主催者に殺された、という意味だろう。
さゆりに用意された見せしめは見知らぬ男で、だから不謹慎ではあるがそれほど大きなショックを受けるようなことはなかった。
だが、この少女は大切な両親を目の前で殺されたのだ。
幼い彼女にとって、両親の死をまざまざと見せつけられる絶望感は一体どれほど大きなものだったろうか。
さゆりにも、覚えがある。
彼女の母親は、自分があることを願ったせいで死んだ。
首を吊って、自ら此の世から去った。
しかし少女は更に続ける。
「でも、分からない。
――わたしは、おかあさんたちのことよりも、自分の夢のことを考えてる。それが分からない。この美術館に来た日から、おかしいの。
なにかすごく大切なことを忘れているような気がする」
”夢”。
その単語はさゆりにとっても、決して覚えのない語ではない。
あの幸せだけを再現した幻想を思い出す。
結局、あの幻想の中で幸せになることは出来なかったけれど。
「夢はね、いつか醒めるものなのよ」
残酷なようだが、それが真実だ。
夢へと逃れ続けたところで、それは決して現実にはならない。
それをさゆりはよく知っている。
「……あれは、ゆめだったのかな、ほんとうに」
少女はぼうっと、手の中の青い薔薇を見て呟く。
十枚の花弁を持ったその薔薇は、とてもとても綺麗だった。
- 23 :Day Dream ◆/V8bBq73EA:2013/01/11(金) 17:18:08 ID:2qlbTZm20
- ◇ ◇
「ごめんね、さゆり。その……変なこと言って」
少女の名前は、イヴというらしかった。
このゲルテナ美術展にも来たことが一度あって、それから時たま蘇る悪夢の欠片によって悩まされてきた――と彼女は語ってくれた。
美術館の作品が牙を剥いて襲ってくるだなんて、確かにそれはトラウマものの悪夢だ。
「ううん、いいの。で、え―と……メアリ―ちゃんだったっけ、イヴちゃんの家族の名前って」
イヴはもう大分落ち着きを取り戻していて、現在はさゆりと簡素ながら情報交換を行っているところだった。
イヴの姉妹である、メアリ―という少女。
主催者に受けた説明の中で、イヴはメアリ―もこの殺し合いへと招かれていることを告げられた。
あざ笑うようにして、告げられた。
目の前で両親を殺されただけでなく、その後すぐにもうたった1人しかいなくなった家族の存在まで告げられた。
主催者の悪辣なやり口も、ここまで来ると最早清―しくさえある。
怒りを通り越して明確な嫌悪を抱きながら、さゆりは参加者の名前が記された名簿を読んでいき――その名前を見つけた。
「……ある。残念だけど、メアリ―ちゃんもやっぱりいるみたい」
「…………――――」
イヴはさゆりの名簿をのぞき込んで、沈黙していた。
やはり、大人びていてもイヴは幼い。
親の死を受けても泣きわめいたりせずにいるだけでも立派というものだ。
続けて大事な家族の存在まで突きつけられて、ショックを受けたとしてもそれは責められることではなく、至極当然のこと。
どう言葉をかけるべきかさゆりが迷っていると、イヴはメアリ―ではなく、違う名前を凝視しているのに気付いた。
さゆりも彼女の視線を追ってみると、そこには四文字の、イヴやメアリ―と同じく外国人と見られる名前があった。
”ギャリ―”。
「――――……わたし、この名前、知ってる……」
「え?」
ギャリ―。
その名前は、イヴにとって見知ったものではない筈だった。
にも関わらず、とても懐かしい名前。
「夢の中で……一緒にいた」
青い薔薇へと視線を落とす。
メアリ―は黄色い薔薇だった。
ギャリ―。その人物こそが、この青い薔薇の持ち主……!
メアリ―によって散らされたこの薔薇の、本当の持ち主。
記憶がつながる。
虫食いだらけでまだ完全とは言い難いが、思い出せた。
どうして忘れていたのだろう。
一緒にあの怖い美術館の中を冒険したオカマ言葉の青年、ギャリ―。
どうして彼のことを忘れていたのかは分からない。
どうして彼の名前がここにあるのかも分からない。
もしかしたら、同姓同名の人違いかもしれない。
それでも、イヴにとって此の名前は特別だった。
- 24 :Day Dream ◆/V8bBq73EA:2013/01/11(金) 17:18:57 ID:2qlbTZm20
- 「……じゃあ、捜そうか」
「…………いいの!?」
イヴは、さゆりの言葉にぱぁっと笑顔を見せる。
さゆりにしても、彼女の気持ちは痛いほど分かるものだった。
会いたい人と会えない苦しみは、どんな痛みよりも辛く苦しい。
それを知っていてもなお、こんな小さな女の子にその苦しみを押しつけるようなことができるほど、さゆりは冷血ではない。
「ギャリ―さんにメアリ―ちゃん。さっさと見つけて、早いとここんなゲ―ム終わりにしちゃいましょ」
それこそ、絵空事のような叶わぬ夢かもしれない。
現実がそんなに甘くないことも、壮絶な人生を送ってきたさゆりは知っている。
でも、やれることをやるのは悪いことじゃない筈だ。
「…………うん」
照れたように笑うイヴを見て、さゆりも穏やかに微笑む。
そこに、どこかの並行世界で恋敵を惨殺したような狂いの色はまったく見られない。
(待っててね、大志。必ず、二人で――ううん、みんなで帰ろうね……!)
絵空事の世界が飾ってあった間を抜ける。
どうしてか、もう二度とあの絵は見られない気がした。
それでいい。
絵空事に希望を求めるのはもうやめだ。
決意を新たにして、惨殺少女は立ち上がる。
傍らに小さな少女を連れて、彼女もまた戦うのを決めたのだ。
◇
青い薔薇の花言葉は――――”奇跡”。
◇
- 25 :Day Dream ◆/V8bBq73EA:2013/01/11(金) 17:19:50 ID:2qlbTZm20
- 【一日目/朝/E-7・美術館】
【イヴ@Ib】
[状態]健康
[装備]なし
[所持品]基本支給品一式、青い薔薇@Ib、ランダム支給品1〜2
[思考・行動]
基本:殺し合いには乗らない。脱出を目指す
1:さゆりと行動する。
2:……待ってて、ギャリ―、メアリ―。
3:おかあさん、おとうさん……
[備考]
※ED『いつまでも一緒』後からの参加です
※彼女の場合、見せしめはイヴの両親だったようです
※美術館での記憶を、断片的にですが所持しています
【さゆり@奥様は惨殺少女】
[状態]健康
[装備]なし
[所持品]基本支給品一式、ランダム支給品1〜3(武器はある模様)
[思考・行動]
基本:殺し合いはしない。”みんな”で帰る。
1:イヴちゃんと行動する。
2:大志を捜す。彼の為であっても、罪は犯したくない
3:メアリ―ちゃん、ギャリ―さんを捜す
※ED『未来への白の目覚め』からの参加です
※美術館ではゲルテナ美術展と同じ作品が展示されています
※忘れられた肖像@Ibの存在が確認されました
※絵空事の世界@Ibの展示場所へ他の参加者が入れるかどうかは後の書き手さんにお任せします
【支給品説明】
【青い薔薇@Ib】
イヴに支給。
作中でギャリ―が所持していたもので、作中ではこの花びらがHP代わりとなっていた。
余談だが、青い薔薇の花言葉は”奇跡”である。
- 26 : ◆/V8bBq73EA:2013/01/11(金) 17:20:25 ID:2qlbTZm20
- 投下終了です。
- 27 : ◆/V8bBq73EA:2013/01/11(金) 22:57:46 ID:2qlbTZm20
- 茂木冴子、松山那雄宏、書き手枠でみゆき@奥様は惨殺少女の三名を予約します
- 28 : ◆/V8bBq73EA:2013/01/12(土) 16:03:42 ID:e624tcDw0
- 投下します
- 29 : ◆/V8bBq73EA:2013/01/12(土) 16:05:27 ID:e624tcDw0
- 茂木冴子は、ただの一般人ではない。
年こそまだ二十歳にも満たない、少女と呼んでもいいくらいの年齢だが、その人生は下手な大人よりも余程濃密だ。
とある組織に加入している彼女は、組織が行った生物兵器の実験場に観察者の立場で送り込まれた。
観察者――なんてのは、所詮ただの言葉のあやに過ぎない。
本当の意味は、組織が選別した裏切り者候補、つまりは不利益をもたらしかねない人間の処遇を決定する措置である。
島へと送り込まれた組織の人間は彼女を含め四人。
結局最終的には二人の観察者と協力して責任者の女を倒し、島からの脱出を果たしたのだが。
(くっ………どこで、間違えた………!?)
冴子は奥歯を噛み砕かん勢いで噛みしめ、自分の迂闊さを悔やむ。
あの実験場から脱出を果たした自分たちは、エージェントの男の所属する機関にて事実上の拘束状態にあった筈だ。
拘束状態といっても待遇はかなり良かったし、黙って捜査に協力していればいずれは苦もなく自由になれる。
だから油断していたのかもしれない。
藤堂奈津子という女の企みを打ち砕き、人類の存亡さえ左右しかねない怪物『マザー』も仲間の1人が完全に駆逐してくれた。
忌々しい組織は関係者が次々と摘発され壊滅、あの恐るべき計画も白日の下へ晒され、一通りの事件は終わった。
その事実は冴子の心を解すに十分事足りるものだったし、何より機関の保護がある以上危険はないと高を括っていた。
そのせいか否かは知らないが、茂木冴子は現在こうして、あの実験が軽く見えるほどに悪質なゲームへと参加させられている。
今度の事件は、あの組織と関わりはないようだ。
確固たる証拠はないものの、少し考えれば分かることである。
社会的にも実体的にも死滅を余儀なくされたあの組織に、もう一度これだけの騒ぎを起こす余力があるとは到底思えない。
よくて、自分たちへの個人的な報復だ。
組織に関与していたしがらみはそう簡単に消えるものではないだろうし、汚れた履歴は一生ついて回ることも覚悟している。
だから、逆恨みをした元組織の人間の報復があるかもとは思っていた。
しかし、ここまでの規模はどう考えたって無理。
ならばこれは、恐らく社会の混乱に乗じた異常者が起こした事件ということになる――まだ、安息は望めそうにない。
冴子は努めて冷静に、参加者名簿をチェックした。
そして、やはり、と静かに呟いた。
藤堂晴香、葉山広司。
自分と同じく組織の一員で、自由を得るために反旗を翻した仲間たち。
機関に更迭されている自分を拉致するほどの連中だ、まさかあの二人のような美味しい人材を逃すとも思えない。
(でも、これは好都合……二人とも、このふざけたゲームを潰すのにきっと大きく貢献してくれる)
広司の射撃の腕はかなりのものと聞いているし、晴香に至っては単騎であの『マザー』を駆逐した凄腕だ。
まさかそんじょそこらの馬の骨にやられるようなことはないだろう。
殺し合いに乗った参加者であっても大抵は無力化が出来るだろうし、主催者へたどり着く為にも彼らの頭脳は役に立つ。
――が、いい話だけでは終わらない。
名簿には、晴香の友人の名前もあった。
無事日常へと少しずつ回帰の道を歩めている筈の彼らが再び巻き込まれることには、正直怒りを禁じ得ない。
何より、自分の――もう二度と会うことのない――二人の親友がいないことに安堵している自分がまた、なんとも醜く見える。
更に、松山那雄弘。
この男の存在こそが、実のところもっとも予想外だった。
松山は組織の人間で、藤堂奈津子に粛正された。
そしてその後体内に宿した寄生体を暴走させ、人外の存在となって蘇るも、最期は葉山広司に蹴り落とされて死んだはずなのだ。
(あの崩落を生き延びていた……? ううん、それはあり得ない)
仮に生きていたとして、どうやって脱出出来るというのか。
確かに寄生体の再生力は未知数だ。
冴子もよく知っているが、人体に適合した寄生体は宿主を保護する役割に回ることがある。
完全に自我を喪失していたところを見るに松山は適合者ではなかったようだが、それでも銃撃を撃ち込んでも死なないしぶとさはあった。
不覚にも、ライフルでの銃撃を喰らってしまったし、よく覚えている。
寄生体は未だ未知の事柄が多い生物。
でも、本当にそうなのだろうか。
冴子はどう考えても、『松山那雄弘が生存していた』と考えることに納得がいかない。
何かが引っかかる、というのだろうか。
奇妙な違和感を抱えながらも、冴子は思考を即座に切り替える。
今真に考えるべきは、どうやってこの事態を鎮めるかということ。
- 30 : ◆/V8bBq73EA:2013/01/12(土) 16:06:37 ID:e624tcDw0
- (まず、松山は危険すぎる)
松山が理由はどうあれ参加しているのなら、あの組織に関わっていた人間の1人として責任を持って彼を殺さなければならない。
寄生体はあまりにも危険な生物だ。
放置しておけば多くの犠牲が出ることにもなりかねない――情などは捨てた。ヤツはもう、生きている人間ではないのだから。
松山を殺し、1人でも多くの参加者の保護を第一に考える。
今回の事件は、未だ記憶に新しい実験場でのサバイバルよりも更に悪質で救いようがないものだと断言できる。
あの実験の責任者は研究の為に人を平気で踏みつけるような輩だったし、許せるとは今でも思えない。
それでもまだ彼女には研究という理由があった。
今回は違う。
そんな建前も何もない、純粋に人の命を弄ぶだけの暴挙。
ようやく組織との関わりを断てたところを邪魔された私怨を抜きにしても、流石に堪忍袋の緒が切れるというもの。
どうやって主催者の元へ行くか、如何にしてこの会場を出るかはひとまず後回しだ。
優先すべきは命の保護――そう思ってディパックの中身を改めようと手を入れかけた、ちょうどその瞬間だった。
ぱぁん
「ぐ――――……ッッ!!??」
冴子の胸元から紅い華が咲いていた。
茂木冴子のものだった欠片が飛び散り、地面を汚す。
完全な不意の一撃だったが、頭は冷静だ。
立ち上がり、ひとまずは狙撃の届かない場所まで移動する。
息が苦しいと思ったら、どうも肺を撃ち抜かれているようだった。
走ろうとした時に、再びあの軽い音がした。
ぱぁん
今度は腹部から華が咲く。
腸を撃たれたようだ。
欠片が飛沫となる。
実にショッキングな光景だったが、どうにか狙撃の範囲からはずれることには成功した。
あまりに突然のことだったため、荒事にはそれなりに慣れている筈の冴子ですらも、狙撃手の顔を拝もうとするまでの余裕はなかった。
激痛を訴える身体を引きずって、ある程度の距離まで逃げたところで、冴子はだらしなく肉体を地面に投げ出した。
常人なら失血死は免れないだろう致命傷だ。
そもそもまともな人間なら、最初の一撃の時点で動けない。
「ぐ、っ。足を撃たれなかったのは、幸いでしたね……」
茂木冴子は誰の目から見ても明らかな致命傷を抱えているが、それでもとりあえず命に別状はないだろう、と判断を下した。
――冴子が普通の一般人でない、二つ目の理由。
彼女も一度は寄生体を体内へ埋め込まれた人間だ。
藤堂晴香と葉山広司は抗体を打つことで難を逃れたし、松山那雄弘は寄生体により死してなお暴走させられる末路を辿った。
冴子の場合は、松山に近い。
彼女は件の実験が始まってすぐに、首謀者の藤堂奈津子に射殺されているのだ。
しかし彼女は、前述した例外――『適合者』である。
寄生体に適合し、寄生体の力を自己防衛として用いることが出来るようになった、いわば半分人間をやめたような存在。
それが、今の茂木冴子なのだ。
死にたくても簡単に死ねないという意味では不便なのかもしれないが、こういった命のやり取りの場では助かるといっていい。
冴子がもし普通の肉体のままだったら、既に彼女は死んでいるだろう。
「助かりました――……が、これは」
ダメージが大きすぎる。
当然だ、肺を撃たれた上に腸までやられている。
意識を保つことさえも難しくなってくる。
(少し、休まないと――――)
そのまま、冴子は緩やかに眠りへと落ちた。
寄生体は彼女の傷を少しずつ、だが確実に癒していく。
鮮血の真ん中に沈む少女の姿だけが、残されていた。
- 31 :Crazy Murders ◆/V8bBq73EA:2013/01/12(土) 16:08:22 ID:e624tcDw0
- 【一日目/朝/E-2・病院周辺】
【茂木冴子@寄生ジョーカー】
[状態]出血(大)、胸と腹に銃創(再生中)、気絶
[装備]なし
[所持品]基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・行動]
基本:主催者を打倒して、このゲームを終わらせる。
1:…………
2:松山那雄弘には要注意。見つけたら殺す。
[備考]
※ED12『自由』からの参戦です
※寄生体の再生能力は健在ですが、頭部を破壊されると死亡します。また、全身を吹き飛ばすような威力の攻撃にも同様です
◆ ◆
「ははははははッ! ナイスヒーット、ってなぁ!!」
病院の一室にて、金髪の柄の悪い青年が気分良さげに爆笑していた。
その手にあるのは、つい数十秒前に茂木冴子を撃ち抜いた凶器・ワルサーWA2000だ。
彼こそが、冴子が他の参加者を守るために殺さなくてはならないと決めた男・松山那雄弘その人である。
彼はこの病室の窓から、間抜けなほど無防備な姿を晒している忌々しい女に向けて、一切躊躇うことなく狙撃を行ったのだ。
二発撃ったが、二発ともクリーンヒット。
あれでは生きてはいられないだろう。
自分を差し置いて生き残ろうとしたいわば仇の1人にしてはいやに呆気ない結末だったが、復讐の課程をまずは一つ終えた。
松山は自分の手腕に心から高揚する。
我ながら惚れ惚れするような手際の良さだった。
こんな当たり武器に恵まれたのももちろん幸運だったが、何よりこの殺し合いゲームそのものが彼にとっては誂え向きのものだった。
冴子の記憶は正しい。
松山は一度死んだが蘇り、最期は広司に止めを刺された。
自我はほぼ奪われていたが、記憶は覚えている。
藤堂晴香、葉山広司、茂木冴子。
三人の復讐対象を殺し、更に優勝まで漕ぎ着ければ万々歳だ。
体内の寄生体も一度死んだことで死滅したようだし、首尾良く生き残れば何のリスクもなしに二度目の人生にありつける。
こんな都合のいい話があるだろうか。
ねぇよなぁ――松山は笑いながら振り返る。
そこには、小さくなってその身体を恐怖に震わせる女の姿があった。
顔はそこそこな美人だし、胸もある。
それなりに上物の女だったが、如何せん状況が状況だ。
憎たらしい相手を見つけたから後回しにしていたが、次に命を奪うのはこの女と松山は既に決めていた。
「さぁ―て。最後のお祈りは済んだかなァ――――……あぁ?」
見れば、女はコップに入った水を松山へ差し出していた。
あのコップはこの病院にあったものではないようだし、支給品だろう。
「お前……それを俺に飲めってのか?」
こくりと女は頷く。
瞬間、松山は盛大に爆笑した。
「っく、はぁ!? バッカじゃね―の、お前! そんな見え見えの罠に誰が引っかかるってんだよ、ッハハハハハ!!」
このタイミングでこんなものを差し出す理由がまず存在しない。
どう考えたって怪しすぎる。
疑う余地すらないというのは、まさしくこういうことを言うのだろう。
あれは間違いなく毒入りだ。
実力で勝てないから道具に頼ろうというのは分かるが、こんな馬鹿正直な方法をしてくる奴がいるとは――とことん傑作ではないか。
無論、そんな怪しい液体を飲んでやる気などさらさらない。
飲まずに自分が何か不利益を被るわけでもないのだし、見ず知らずの女の怪しすぎる頼みなどに耳を貸す理由がまず、無い。
- 32 :Crazy Murders ◆/V8bBq73EA:2013/01/12(土) 16:09:37 ID:e624tcDw0
- 「……飲んで」
それでもコップを差し出し続ける女の姿は、滑稽とか無様とかを通り越して最早健気に見えてくるほどだ。
こんな間抜けは見たことがねえ――松山は心底愉快になった。
そして1人の人間にこんな馬鹿なことをやらせるまで追いつめられている、その事実は優越感となって松山を満たす。
殺されたことに苛ついているのも事実だ。
生き返ったからといって、すぐに怒りが消える訳じゃない。
冴子を狙撃したことで多少気分は晴れたが、こうやってなかなかの美人を追いつめることだって気晴らしにはちょうどいい。
他人を殺すという行為は既に経験しているものの、欲望に忠実になることがこんなにも心地よいものだと松山は知らなかった。
カーッハハッハハハ! と、松山は爆笑する。
誰かに聞かれないかなど、最早彼の頭の中にはない。
完全に有頂天になった現在の松山の不覚を突くくらいのことなら、幼い子供にだって可能だっただろう。
「ハッハハハハハハ――――――――がほっ!!??」
――毒入りの液体を持った人間の前で、大きく口を開けて笑うような真似をする危険性にすら、気付けないのだから。
なにが起きたのか、一瞬分からなかった。
異物をすぐに吐き出そうという考えに至るのも、僅かに遅かった。
喉を通り抜けていく液体。
目の前には――空っぽになったコップを自分へと向けている、先程まであれほどちっぽけに見えた女の姿があった。
その目はさっきまでとはまるで異なっている。
汚らわしいものを見るような目で松山を睨みつけ、口元を嗜虐的にゆがめて見せた。
「て、めェッ! 何を、飲ませ…………ゲァッ!?」
松山の顔面に、微塵の容赦もない蹴りが打ち込まれる。
バランスを崩した松山は、受け身も取れずに冷たい床へと転がった。
蹴られた痛みよりも、吐き気がこみあげてくる。
毒が既に効いてきている――まずいまずい、早くどうにかしないと!
しかし行動の自由は許されない。
這って無様に移動しようにも、その頭を勢いよく蹴り飛ばされた。
「私が飲めって言ってんだよ……大人しく飲めよ、クソがッ!」
さっきまでの面影などまるで残っていない。
自業自得とはいえ苦しむ松山を、一瞬たりとも足を止めずに蹴り続けた。
「が、ァ」
呻くことしか出来なくなっても、まだ蹴り続ける。
いつもある少女にしていたように、蹴って蹴って蹴って蹴って、蹴る。
自分を殺そうとした汚らわしい男を、踏みつける。
「随分と偉そうに喋ってくれたなッ! クズの分際で、クズの分際で! 私は女王なんだよ、お前なんかとは違うんだよッ!
そんなことも分からないのか、このクズ野郎がッ!!」
松山那雄弘はもう息絶えていた。
死因は当然、口から直に流し込まれた毒物による中毒死である。
青酸カリをかなり濃い濃度で溶かした毒水なのだ、松山の飲み込んだ分量はとっくに致死量を超えていた。
死んでからも暫く、彼女は死体を蹴り続けた。
数十回ほど蹴ってようやくある程度気が晴れたのか、肩で息をしながらも女は手近なベッドへと腰を下ろす。
汚らわしい男の死体が転がっているのが実に気に食わないが、死んだ男を蹴り続けていても体力の消耗にしかならない。
苛立ちは未だ募っているが、ひとまず合理的な思考に基づいた。
(ムカつくんだよ…………!)
ああ、腹が立つ。
あれほど邪魔をしてやった。
出来損ないの義妹が、身の程を弁えずに彼氏を作った。
思えばそこから、自分の苛立ちが始まったのだ。
いつもはちょっと命令すれば大人しく従うあの下僕が、あの男のことになるとムキになって反論してくる始末。
認められない。
- 33 :Crazy Murders ◆/V8bBq73EA:2013/01/12(土) 16:10:46 ID:e624tcDw0
- 誰が認めてなるものか。
あの手この手で下僕の彼氏を誘惑したが、あの男は全てを断った。
何度誘惑しても何度誘惑しても、絶対に落ちなかった。
男なんてみんなちょろい生き物だ。
ちょっと誘惑して甘い顔を見せれば、あっさり落ちてくれる。
使える奴になれば、言うとおりに貢いでくれる。
それが自分の常識だった。
だからこそ、遊び相手程度の顔しかしていないあの男がそれを全て無碍にすることがひどく屈辱的だった。
何より、見下し続けてきた下僕より自分が劣っている事実だ。
母も父も、妹をどうにかしたいといえば自分を気違い扱いする始末。
おかしい。
おかしいのは自分じゃなくて、あの下僕なのに。
何もかもが劣っているあいつがのうのうと生きていて、評価されるような現実があることが、すべてが許せなかった。
仕方ないから薬に訴えて、それでやっとあいつから彼氏を奪った。
最高だった。
あんなに幸せそうだった下僕が絶望する姿が、最高にそそった。
ざまあみろと、いつだって心の中で笑っていた。
それなのに――――それなのに、ついこの間のことだ。
奪った筈の男が、突然あいつのところへ帰ると言い出したのだ。
止めようにも止められなかった。
ふざけるな。
これではまるで、自分があんな下僕に劣っているようではないか。
ふざけるな。
殺してやりたい。いっそ、あの女をこの世から消してしまいたい。
自分にこんな思いをさせたあいつを、殺したい。
そう思っていたところで、彼女――みゆきは、このゲ―ムへと拉致された。
殺し合えと言われた時にはふざけるなと思いもした。
人道とかそんなものはどうでもよくて、ただ自分のような存在がこんな低俗な遊戯に付き合わされることがとにかく許せなかった。
でも、いざ参加してみればだ。
名簿に、忌々しい二人の名前があった。
さゆり――下僕の分際で自分へ屈辱を味合わせた女。
大志――自分よりも下僕を選んで自分を裏切った男。
あいつらを殺して生き残るのも悪くはない。
これは正義の鉄槌だ。
低俗な存在の分際で、女王たる自分へ逆らうからこうなるのだ。
(私は――――女王だ)
だから他の命なんて、道ばたに散らばるゴミクズにも等しい。
殺してしまえ。
生き残る為だ。
みゆきは嫌悪することもなく、他人を殺して生き残る方向を選んだ。
支給品には青酸カリのたっぷり入った薬品瓶があったし、さっきは使わなかったが手榴弾も三つほどある。
装備は万全だ。
(待ってなさいよ)
にぃっと、悪魔のような笑顔で悪女は笑う。
人を殺したことへの罪悪感など――彼女には、ない。
【松山那雄弘@寄生ジョーカー 死亡】
- 34 :Crazy Murders ◆/V8bBq73EA:2013/01/12(土) 16:11:13 ID:e624tcDw0
- 【一日目/朝/F-2・病院3F個室内】
【みゆき@奥様は惨殺少女】
[状態]健康
[装備]ワルサ―WA2000
[所持品]基本支給品一式、青酸カリ、手榴弾×3、コップ、松下那雄弘のディパック(基本支給品一式、ランダム支給品1〜2、ワルサ―WA2000予備弾薬(30/30))
[思考・行動]
基本:優勝する
1:さゆり、大志の二名を捜して殺す。
2:場合によって手段は選ぶ。なるべく交戦になるのは避けたい
[備考]
※ED『未来への白の目覚め』後からの参加です
支給品説明
【ワルサ―WA2000@現実】
松山那雄弘に支給。
ドイツワルサ―社製のオ―トマチック式狙撃銃。
装弾数は六発。
【青酸カリ@現実】
みゆきに支給。
正式名称はシアン化カリウムで、瓶に入って支給されている。
僅か150mg程度で人を死に至らしめる猛毒。
【手榴弾@現実】
みゆきに支給。
銘柄などは不明。ピンを外して暫くすると爆発する小型の爆弾で、主に投擲することで使われる
【コップ@現実】
みゆきに支給。
ガラス製の普通のコップ。もちろん強い衝撃を与えると割れる。
- 35 : ◆/V8bBq73EA:2013/01/12(土) 16:12:29 ID:e624tcDw0
- 投下終了です。
綿原加奈、ギャリーの二名を予約します
- 36 : ◆Wue.BM1z3Y:2013/01/12(土) 19:54:30 ID:rhShTeew0
- 投下します。
- 37 :1W1〇1F ◆Wue.BM1z3Y:2013/01/12(土) 19:56:32 ID:rhShTeew0
- 「うぉぉおおおおおおおおおん!!!」
葉擦れの音をかき消して、雄叫びが轟き響く。
天地を貫く餓狼の咆哮。
涎をまき散らし、腹の底から絞り出したとしか思えぬ叫びに、それ以外の形容詞が存在し得るだろうか。
否。
それはまさしく、人を食い足りぬ狼の叫びであった。
怒りを孕んだ声を耳にすれば、涎をまき散らす獣を想像しない者などいない。
誰もが我先にと逃げ出すだろう。
不幸な少年、七瀬隆也のように、間近で聞いて腰を抜かしてしまわなければ。
隆也の眼が声の主を捉える。
己は無傷ながら、赤い液体を周囲に点々と零し。
牙を紅に染めてなお、憎々しげに空を仰ぎ。
食い足りぬという怒り以上に、何者かへの恨みを瞳に込めて。
喰いしばった歯の隙間から涎をこぼし、耳と髪と尾の毛を逆立てたソレは、少女の姿をしていた。
――さて、少しばかり時を巻き戻そう。
かみこは人狼である。
彼女の一族は人の頭脳と狼の本性を併せ持ち、夜毎に人を喰らって命を繋ぐ。
時には『いっつづっきまあああああす』と牙を剥きだし肉を食み血を啜りながら、
時には『ぷるぷる、わたしは悪い狼じゃありません! ただの素村ですよ!』と無害な存在を装う。
仮面と本性を使い分け、ひたすら生き延びるのが、彼女の属する種族の生き方であり、存在理由であり、定義だ。
だから、舞台となるゲームが絶対的人狼からバトルロワイアルに代わったとしても、彼女のやる事は変わらない。
『要は人を喰べていいってことですよね、はいはいわおんわおん』とチェルシーの説明を聞き流し、
そのくせ見せしめとなったなおきを食べていいか尋ね、怒った魔女に会場へと蹴り出されて、尚。
彼女のやる事は、普段となんら変わらない。
故に、森の中に放り出された彼女が最初にしたことは、現在地を確かめる地図を見る事――ではなく。
邪魔なデイバックを放り出し、獲物を探す事だった。
「さて、誰を最初に噛みましょうかねぇ」
人狼に武器はいらない。爪と牙で引き裂き喰らうからだ。
人狼に食料はいらない。人間の血肉でなければ飢えを癒せないからだ。
人狼に機械はいらない。単純に使い方がわからないからだ。
さよならデイ・バッグ。おまえの事は忘れないよ、三秒ぐらいは。
そう心に刻んで、宣告通り三秒で支給品の存在を脳内から消したかみこは、鼻をピスピスと鳴らし獲物の臭いを探った。
けれども――臭いが哀れな犠牲者を捉える前に、二つの眼が映したのだ。
生い茂る木々の間から煌めく金髪を覗かせた、愛らしい少女の姿を。
「わぉん! 初日犠牲者――君に決めた!」
かみこは尻尾を激しく振りながら、木立を駆け抜けた。
野性を隠さぬ人外の足は、瞬く間に少女との距離を詰める。
ざわめきに気づいた少女が振り向いた時には、もう遅い。
- 38 :1W1〇1F ◆Wue.BM1z3Y:2013/01/12(土) 19:59:41 ID:rhShTeew0
- *●*〇*〇*
七瀬隆也は不幸である。
十数人の級友をバス事故で失い、望まぬ再会を果たした父と兄弟を同日に失い、その一週間後に拉致された。
そして、笑顔を浮かべる金髪の女性に、共に惨劇の夜を生き延びた友人を目前で殺された後、殺し合いを命じられた。
「どうして俺達なんだ」と食い掛ってみたところで、逃れられるはずもなく。
「せっかくのプロジェクト・Battle−royaleですから、『G』や『F』がいた方が話も盛り上がるでしょう?」
――そんな、用語説明という概念が頭から抜け落ちているとしか思えない答えだけを返されて、彼はこの会場に放り出された。
七瀬隆也は不幸である。
スタート地点は見通しの悪い森の中で、デイバックに入っていた支給品は5枚の花弁を持つ白いバラ。
付属のメモには『全ての花弁が散る時、貴方の命もまた散る』と不気味な文言が記されているだけだった。
(こんなバラで誰をどう倒せっていうんだ?!
おまけに森の中だなんて、いきなり不意打ちされたら……!)
現状の危険性をいち早く理解した彼は、まず、森を抜けることを目標とした。
だが、彼はどこまでも不幸であった。
行く手に二つの人影を見つけ、その片割れが走り去ったと気付いた時にはもう遅い。
木々と言う木々を揺るがすかのような獣の咆哮が上がり――
――そして、冒頭に戻る。
「そういうこと、なんですね?」
隆也の視線の先で、人狼の少女は、ゆらりと振り向き、
「でもねえ、初日犠牲者を食べてないのに」
凍てつくような憎悪と燃えさかる激怒に顔を歪め、
「狩人が、村人を、守るなんてぇぇえええええ」
牙を向きだし、涎と舌を垂らし、
「ルール違反じゃあああぁああああ、ないですか」
研ぎ澄まされた爪をかざし、
「ねぇええええええええええええ!!?」
隆也へと、迫る――!!
「うわああああああああああああああああああ!!!」
- 39 :1W1〇1F ◆Wue.BM1z3Y:2013/01/12(土) 20:00:39 ID:rhShTeew0
- *〇*●*〇*
金色の髪をなびかせて、少女は走る。
噛まれた腕からとろりと流れる赤い液体は、特徴的な臭いを発していた。
絵画に精通している者ならば、それが油絵具の臭いだと気付いただろう。
彼女の名はメアリー。
天才画家ゲルテナが遺した絵の一つ。
他の参加者同様に殺し合いを命じられた彼女は、しかし、現状を理解する事などない。
命を持たない絵が、どうして『殺す』という概念を、『命を奪う』という行動を理解できるだろうか。
確かに他人に向けてパレットナイフを振りかざしたことはある。――だがそれは、相手の動きを止めて自分の傍に居てもらう為だ。
命の化身である薔薇をちぎったこともある。――だがそれは、ただの花占いだ。
可憐な絵には、命の価値も、命の在り処もわからない。
幾ら殺し合いを強いられた所で、空想から生まれた少女が抱く願望は二つだけ。
一つは既に叶った。メアリーの前には憧れていた『外』の光景が広がっている。
残るは一つ。自分を見てくれた少女に、人として愛してもらう事。
「外の世界には怖い怪物がいるのね、気を付けなくちゃ」
隆也の悲鳴を聞きながら、少女は困ったように独り言をこぼす。
助けに行こうとは思わない。
命の重みをわからない彼女にとって、大事なのは一人だけ。
重要なのは、一刻も早く大切な彼女を探し出すという事。
「イブ、イブ、早く会いたいなあ」
身勝手な愛情と独占欲を胸に、木立の中を少女は駆ける。
その姿は文字通り、絵画のように美しかった。
- 40 :1W1〇1F ◆Wue.BM1z3Y:2013/01/12(土) 20:03:59 ID:rhShTeew0
- 【一日目/朝/B-3・森】
【かみこ@絶対的人狼】
[状態]かみこは激怒した。かみこは村の(ry
[装備]なし
[所持品]なし
[思考・行動]
基本:人間を喰えるなら人狼でもバトロワでもばっちこい
1:来いよ狩人(=隆也)! 村人(=メアリー)なんか捨ててかかってこい!
2:勝つると思ったら相手を襲って喰います
3:勝ち目がない時は村人COして切り抜けよう(キリッ
※見せしめはなおき@絶対的人狼でした。食べることはできませんでした。
【七瀬隆也@Gu-L】
[状態]健康
[装備]白いバラ(最大5枚/残り5枚)
[所持品]基本支給品一式
[思考・行動]
基本:生き延びる、殺し合いには否定的
1:狩人ってなんだよ!?
2:かみこの襲撃を切り抜けて逃げる
3:森を出て自衛用の武器を探したい
[備考]
※全員生存エンド後からの参戦です
※見せしめは参加者でないGu-Lの仲間キャラの誰かです
【メアリー@Ib】
[状態]健康
[装備]なし
[所持品]基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・行動]
基本:イブと一緒にいたい。
殺し合いやイブ以外の人間には興味ないが、邪魔なら排除する。
1:森を出てイブを探す。
[備考]
※ED分岐前(イブが絵空事の世界を脱出する前)からの参戦です。
※見せしめは覚えていません。イブ以外の人間はどうでもいいので。
※森の中にかみこのデイバッグ(基本支給品一式、ランダム支給品1〜3)が落ちています
支給品説明
【白いバラ(最大5枚)@Ib原典のオリジナル】
隆也に支給。
隆也の身体的損傷を全て引き受けるが、一度の損傷につき一枚、花弁が散って萎れていく。
また、バラ自体の耐久力は本物の薔薇となんら変わらず、物理的に花弁をむしることも可能。
花弁が減ると対象者=隆也の体調が悪化し、0になると死亡する。
花弁が1枚でも残っていれば、特別な花瓶に挿すことで初期状態に戻るが、
会場内にその花瓶があるかどうかは不明。
- 41 : ◆Wue.BM1z3Y:2013/01/12(土) 20:04:33 ID:rhShTeew0
- 投下終了です
- 42 : ◆FreeEP00/U:2013/01/14(月) 20:12:53 ID:lLrNkcaI0
- 皆様投下乙です。
まだ完成してないので感想だけでも。
愛と勇気と戦友(ともだち)>原作把握してきたけれどこの勇者はいい対主催だな。
ともだちを集めれば強くなってくれそうですし。
Day Dream>自分的にかなり不安要素だったここが大丈夫で安心、そしてイヴもブレなさそう。
表現の仕方もうまくてキャラの表現もすごいです。
Crazy Murders>これは出オチ型松山!?(違う)
みゆき参戦でもう安定のクズさだなぁ……w大志次第で惨殺少女勢は変わりそうだな。
1W1〇1F>かみこはどこに行こうとかみこ、そして狼なんだなぁw
隆也は隆との接触もあるかもだし、この先が見ものだな。
ということで感想を、あと現在地がわかる地図CGI作りました。
wikiの地図のところにリンクがあると思うので活用してください。
- 43 :名無しさん:2013/01/14(月) 22:22:40 ID:Z2bPpjfk0
- >愛と勇気と戦友
これかよww確かにこの勇者は対主催として強そうなんだけど、それにしてもデイ・バッグww
>Day Dream
綺麗なさゆりちゃんじゃないですかー!
イヴに青い薔薇支給とか最高だな
>Crazy Murders
みゆき「毒殺はいいぞ」
……こいつはほんとに平常運転なんだよなあ。
>1W1○1F
こいつはまたww
- 44 : ◆/V8bBq73EA:2013/01/15(火) 12:02:38 ID:sFSrChW20
- 投下します
- 45 : ◆/V8bBq73EA:2013/01/15(火) 12:04:12 ID:sFSrChW20
- ここはどこなのだろう――――
茶髪の女子高生・綿原加奈は、不安というよりも困惑に近い面持ちで起床したばかりの眼を擦る。
呑気に欠伸なんかを漏らしている姿はどこから見ても普通なことこの上なかったし、現に彼女はごく普通の女子高生だった。
ちょっとばかし内気で臆病な、どこにでもいるような逸材。
スポ―ツが万能というわけでもなければ不思議な力を持っているわけでもない、ただちょっと日常から遠ざかってしまっただけの少女。
加奈は未だ寝ぼけた様子で周囲を見渡す。
どうやら、彼女のいる場所は神社らしかった。
大きな赤色の鳥居を見えるし、自分が凭れ掛かって寝ていた場所を改めて確認してみれば、それは賽銭箱だった。
木の素朴な感触が心地よくて、もしもこれが本格的な睡魔との闘争だったなら、迷わず二度寝を選んでいたろう。
ふあ、ともう一度欠伸をする。
どうやら現在は朝らしいけれど、いやに目覚めがいい。
寝起きは目がひりひりと痛んだり、妙な気だるさがあるのが常である筈なのに、今の彼女にそういった障害は何もなかった。
あまりにもクリ―ンな目覚め。
しかしだ。
自分の置かれている状況への疑問さえ抱かないほど、彼女は間抜けな人間ではなかった。
臆病であったからこそ、現実逃避が出来なかったのだ。
(あれ……? 確か、私電車の中に……)
思い出すだけでも身体が震えてくる。
一瞬悪夢だったのではないかと思ったが、いくら何でもそれは都合が良すぎるというものだ。
あんな夢を脳内で描けるのなら、それこそ作家にだってなれるだろう。
思い出す。思い出さなくてもいいことを、思い出す。
いつもの帰宅途中に自分は電車に乗った。
いつも一緒にいる友人と、その元クラスメイトに、帽子を被ったまだ子供らしさが抜けていない腕白な少年がいた。
しかし電車は人身事故のために止まり、そこから――
(そうだ、私たちは電車の中に閉じこめられてたんだ)
――電車の中で、ホラ―映画さながらの事態に陥った。
消えた乗客たち。
目の前で黒焦げになって死んだ乗務員。
正体不明の、おおよそ人間とは思えない数々の化け物。
背筋が粟立つのを感じた。
こうして記憶を掘り起こすだけでも歯が小さく震えるのだ、あの電車にあのまま居続けたら発狂していたかもしれない。
いや、それどころか――自分だって、死んでいたかもしれない。
大切な友達の安全が保障されていないのが気掛かりとしては気掛かりだったが、やはりどうしても助かったことへの安堵が勝ってしまう。
(でも、ここどこだろう……?)
問題は、ここがどこなのか分からないことだ。
少なくともこんな神社に見覚えはない。
加奈の住む町に確か神社なんて――あったかもしれないが、それでもこんな風体ではなかっただろうと確信さえ出来る。
これでは、一難去ってまた一難。
面倒事が一つ消えたと思ったら、また面倒が舞い込んできたようなものだ。
ついてないなあ、と加奈はため息を漏らす。
それでも加奈はあの電車の中にいる時と比べて、格段に精神を安定させることが出来ていた。
閉じこめられているという極限状況下での緊張や不安が、広い外の世界に放たれたことによって一気に和らいだからだ。
知らない場所とはいっても、ちょっと探せば交番か公衆電話くらいなら簡単に見つけることが出来るはず。
そこからお家に電話を掛けてみるなり、お巡りさんに相談してみるなりすればいいや。
何か忘れているような気もするけど、思い出せないくらい些末なことなら別に後回しにしたって損はするまい。
電話があったら、まずは友人の綾乃に電話をかけよう。
彼女たちの安否も気に掛かっていることだし――まぁ、自分だけが助かったとは考えにくいし、多分大丈夫だとは思うが。
(それにしても、怖かったなあ――……)
人とはあんなに簡単に死んでしまうものであることを、これまで綿原加奈はまるで知らないまま生きてきた。
だから怖かった。
自分や他人が死ぬのが怖かった。
助かって良かった。
家に帰るまでが遠足というわけではないが、自分の家にたどり着くまでは決して安堵することは出来ないだろう。
それでも安堵する。
自分は死ななくて済むのだから。
- 46 :巣食う崩壊 ◆/V8bBq73EA:2013/01/15(火) 12:05:10 ID:sFSrChW20
- 生きて帰れるのだから。
帰れる。
だってあの電車の悪夢はどういうわけかこうして終わっているし、あとは大人の人でも捜して助けを求めればそれでいい。
学校にだってもう一度行ける。
決していい思い出の場所ではないけれど、一度は死の淵すれすれまで追い詰められたからか、ひどく恋しくさえ思えた。
何か忘れている?
――いいや、何も忘れてはいない。
思い出せないくらいどうでもいいことなら、あとでゆっくり考える。
お風呂に入りながら、テレビを見ながら、部屋で音楽でも聴きながら、ベッドに寝っ転がりながら、考えてやる。
今はどうでもいいことだ。
今はどうでもいいことだ。
今はどうでもいいことだ。
今はどうでもいいことだ。
加奈は自らのディパックを持たないまま、自分を助けてくれる大人を捜して歩き出した。
交番がなければ何ならコンビニだっていい。
人を捜そう。
電話をかけよう。
帰ろう。帰ろう。帰ろう。
怖いものなんてもう何もない。
悪い夢のお話はもう終わったんだ。
あの電車からも解放されているし、怖いものはどこにもない。
空も明るいし、お化けが出るにはちょっとばかし早すぎる時間帯だ。
朝帰りなんてしたら怒られるだろうけど、理由をちゃんと説明すればきっと分かってくれる。
そういえばあの電車はあれからどうなったんだろう。
人が死んでるんだから、たぶんニュ―スにはなっているはず。
思い出したくないけど。
加奈は様々な想いを胸に秘めながら、鳥居をくぐって目当てのものを探しに行こうとした、しかしそんな彼女を、呼び止める声があった。
「ちょっと、そこのアンタ!」
男性の声だった。
どこか女性らしさを演じようとしている、俗に言う『オネエ系』と呼ばれるような雰囲気があった。
心臓がどきりとしたが、恐怖から開放されたとはいえ独りぼっちで心細い状況だったのだ、素直にここは喜ぶべきだろう。
くるりと身を翻すと、向こうから走ってくる紫髪の青年の姿があった。
手にはディパックを持っている。
神社に置いてきたそれを、わざわざ持ってきてくれたらしい。
「良かった。とりあえず他の参加者と会おうと思ってたんだけど、まさかこんなにすぐ会えるなんてね」
参加者――?
覚えのない単語に、加奈は首を傾げる。
その動作に青年も訝しげな表情を浮かべ、僅かではあるが困惑するような様子を示した。
参加者って、なに?
加奈は脳内でその単語を何度か反芻して、それでも疑問符を浮かべた。
参加者という単語そのものの意味は分かるが、自分は別に何かのイベントに参加を表明していたような覚えはない。
そのディパックだってそうだ。
それは私の物じゃない。私はそんなもの持っていない。
だから持って行く理由がなかったし、神社に置いてある物を勝手に持って行ったら罰が当たるような気もしたし。
この人は何を言っているんだろう。
ここは普通の世界なのに。
化け物なんていない世界なのに。
人は死なない世界なのに。
広い世界なのに。
殺し合いなんて起きるはずもない――平和な平和な――
「――――?」
今、なにかおかしくなかったか?
どうして殺し合いなんて言葉がそこで出てくるんだ?
どう考えたって殺し合いなんて物騒なことをしていた覚えはないし、今のタイミングで出てくるのは絶対におかしいのに。
…………なにか、わすれている?
違う、忘れているのではない。
- 47 :巣食う崩壊 ◆/V8bBq73EA:2013/01/15(火) 12:06:25 ID:sFSrChW20
- 無理矢理頭の中の隅っこへ追いやって、その上から沢山のものを乗っけて見えなくしているだけだった。
―――ああ、知っている。
でも思い出したくはない。思い出したが最後、本当に自分は死んでしまうような気がして、怖くて怖くてたまらない。
そのくらいなら思い出さない方がいい、と加奈は思う。
ずっと目を背けていれば、怖いことなんて何もないんだから。
ずっと目を背けていれば、無視していれば、いやなことなんてどこにもないんだから。
”学校のみんな”が私にそうしてきたように――見なければ、なにもいやな思いをしなくて済むんだから。
「ねぇ、もしかして――覚えてないの?」
紫髪の青年は困ったような顔をして問いかけるが、加奈はそれに答えない。
答えたら、必死に取り繕ってやっと手に入れた平穏の幻想が打ち砕かれてしまう――また、怖いことがやってくる。
だから答えない。
しかしながら、沈黙とは時に肯定をも表すのだ。
「いい、よく聞いて?」
青年に悪気はなかった。
ただ、知らなかっただけなのだ。
そう、知らなかった。
今自分が目の前にしている少女が、人よりもずっと脆くて繊細な心を持っていることを、知らなかっただけなのだ。
「ここはね、殺し合いなのよ」
瞬間、もう堪えることなんて出来やしなかった。
「い、やぁぁあああああああああああ――――――――――――――――――――――あああああああっっ!!!!」
視界がぐにゃりと歪んで、がつんと鈍い痛みを感じた。
最後に、慌てて駆け寄ってくる青年の姿を視界に捉えながら、綿原加奈は恐怖に堪えきれずに意識を手放していた。
◇ ◇
「どうやら、目立った怪我もなさそうね」
最初に加奈が目を覚ました賽銭箱の前で、すぅすぅと寝息を立てる少女の姿を観察しながら青年・ギャリ―は安堵の吐息を漏らした。
目の前で眠っている彼女は、どうやら殺し合いが行われているという現実そのものから目を背けていたらしい。
だから真実を知らされて、ショックのあまりそのまま失神してしまった。
別に悪いことではないと、ギャリ―は思う。
むしろまだ十代半ばの女の子が突然こんなことに巻き込まれて、平然とした顔をしている方がおかしいのだから。
何にせよ、少しこの場を離れている間に目を覚ましでもしたら本当に彼女は壊れてしまうかもしれない。
彼女が目を覚ますまでは、動けないわね――ギャリーは加奈の寝顔を見つめながら思う。
(イヴ……それに、メアリー)
ギャリーもまた、綿原加奈と同じく日常から非日常の世界へと道を踏み外してしまった人間だ。
彼の場合は美術館の展覧会を訪れていて、気が付けば周りの来館者たちが一人残らず消えていて、終いには得体の知れない空間へと迷い込んだ。
結局、一生分を遥かに越えるくらいの怖い思いをしながら無事美術館を出ることができたが――まさかこんな仕打ちがあるとは。
自分だけならまだいいが、あの美術館から一緒に出た少女と、自分が事実上殺した『作品』までも、名簿に記載されている。
イヴ、僅か九歳にも関わらずしっかりした強い少女。
彼女にはハンカチを返す約束もあるし、マカロンを食べさせてやる約束もしている。
ここで死なせるわけにはいかない。
もう一人の見知った人物に、メアリーという少女もいるが、彼女が此処に存在している事実が、既に相当不可解なものだ。
メアリーは人間ではない。
画家ゲルテナが描いた一つの作品だ。
そしてメアリーそのものである絵画は他ならぬギャリーがライターで燃やし、彼女を完全に消滅させた筈なのだ。
- 48 :巣食う崩壊 ◆/V8bBq73EA:2013/01/15(火) 12:06:54 ID:sFSrChW20
- 「とりあえず、この子が起きたらイヴを捜さないとね……」
その前に、眠る少女を落ち着かせるのも大変そうだが。
やれやれ、とギャリーはため息をついた。
殺し合いは、まだ始まったばかりだ。
【一日目/朝/D-1・神社】
【綿原加奈@カノウセイ】
[状態]健康、精神恐慌、気絶
[装備]なし
[所持品]基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・行動]
基本:――――――――
1:…………
[備考]
※少なくとも、常盤(偽)の感電死の後からの参戦です。また、仲間は誰も死んでいないと記憶しています
【ギャリー@Ib】
[状態]健康
[装備]なし
[所持品]基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・行動]
基本:殺し合いには乗らない。イヴを連れて帰る。
1:女の子(加奈)が起きるまで待つ
2:メアリー……?
[備考]
※ED『再会の約束』後からの参加です
- 49 : ◆/V8bBq73EA:2013/01/15(火) 12:07:11 ID:sFSrChW20
- 投下終了です
- 50 :sorry, I'm leaving now ◆fRBHCfnGJI:2013/01/17(木) 14:01:29 ID:18dx69UE0
- D.の主人公、クリシュナ投下します
- 51 :sorry, I'm leaving now ◆fRBHCfnGJI:2013/01/17(木) 14:01:43 ID:18dx69UE0
-
◆
天使にも悪魔にも神にもなれないまま、僕の肉体が崩壊していく。
結局のところ、何も――何もすることは出来なかった。
終わっていく、僕が終わっていく、結局は僕は僕のまま――惨めで哀れな僕のまま。
愛されたかった――愛されなかった。
求めた――得るものは無く。
ならば、全てを壊して―‐ただ、自分の肉体が朽ちていくだけ。
嗚呼、終わりが近い。
トトが、僕を見た。
「今度生まれ変わった時は……」
「/【介入】
黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒
黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒
黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒
黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒
黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒
黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒
黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒
黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒
黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒
黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒
黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒
黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒
黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒
黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒
黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒
黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒
黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒
黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒
黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒
黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒
黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒
黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒
黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒
黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒
黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒
黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒
黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒
黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒
【転送完了】/
「今度生まれ変わった時は…………何です?
「…………君を殺してやりたいよ」
- 52 :sorry, I'm leaving now ◆fRBHCfnGJI:2013/01/17(木) 14:01:56 ID:18dx69UE0
-
◆
眼前に広がるは街の墓場。
とっくの昔に命を失い、最早墓守すらも失ってしまった哀れな哀れな人生の果て。
だが、彼にとってはその光景こそが馴染み深い。
B-6――廃墟、まるで彼以外の世界の全てが滅んでしまったかのように、
いや、彼もまた滅んだ世界に組み込まれたオブジェであるかのように、
ただ、微動だもせずに廃墟の中央部に立ち、天を仰いでいる。
命の奪い合いという異常事態に彼は恐怖に凍りついてしまったのだろうか――否、彼は元いた廃墟の世界でも命の奪い合いは日常茶飯事であった。
では何故、彼は止まってしまっているのだろうか。
周囲には狙撃に適したビルが建ち並ぶ、そこからならば中央に立つ彼は的のようにあっさりと命を撃たれてしまうだろう。
否、そうでなくても、こちらから行動を起こすのでなければわざわざ目立つような位置に立たず、
隠れていたほうがこの殺し合いの場に於いては、優れた行動ではないか。
「…………何してるの?」
理由を問うたのは、廃ビルの中から現れた少女である、
ビル間から吹き荒む風に、彼女の桃色のアホ毛がゆらゆらと揺れていた。
「何もしていないよ」
彼女の問いに返答する彼、
表情はガスマスクに覆われ――否、表情どころか彼の生身に当たる部分は全て隠されている。
そんな非人間的様相を呈した彼の声は、隠しようのない諦観が見えていた。
「君も……僕と同じなんだね、この殺し合いとは無関係な部分で絶望している……
いや、こんな殺し合いに巻き込まれたのがトドメを刺しちゃったとか?」
「…………」
彼女の言葉に、同意も否定もせずに彼はただ沈黙を続ける。
だが、その沈黙こそが何よりも雄弁に答えを物語っていた。
「まぁ、どうでもいいけど…………
そんなことより寒いし、ビルの中に入ろうよ。お茶ぐらいはあるしさ」
躊躇なく男に背中を向けて、ビルの中に入っていく少女。
そんな彼女を、彼は夢遊病者を思わせる落ち着きのない足取りでゆらゆらと追う。
「そうだ、名前聞かせてよ。僕はクリシュナ」
扉を失ったビルの入口、振り返り様に彼女は言った。
「俺か……俺の名前は………………ヨシュア」
「ヨシュア……ね」
「カイン」
「カイン?」
「アダム」
「あのさぁ……」
「マルコ」
「君ってやつは…………」
「ミシェル」
「何個名前を持っているのさ」
「人生を繰り返した分だけさ」
- 53 :sorry, I'm leaving now ◆fRBHCfnGJI:2013/01/17(木) 14:02:08 ID:18dx69UE0
-
廃ビルの中、コンクリートの塊を机代わりに、冷たい床に二人は座り込んでいる。
数分間の沈黙の中、ただ机の上に乗った1つだけのティーカップから立ち上る湯気が、
ゆらゆらと冷たい廃ビルの中で踊っていた。
「別に君の分があるとは一言も言ってないし…………
そもそも、こんな所で他人に出されたお茶なんて飲まないでしょ?」
沈黙を切り裂いて、クリシュナがティーカップへと手を伸ばす。
「まぁ、君が紅茶を飲むところを見てみたいとは思うけどね。
ガスマスクは外すんだろ?それとも…………そのままに飲むのかい?だとしたら、ちょっと面白いな。」
鼻孔をくすぐる紅茶の香りに目を細めながら、取っ手から伝わる熱で冷えた体を温める。
熱と香りを堪能したならば、後はゆっくりと紅茶を飲み込む。
紅茶の温もりが、舌を伝わり、喉を伝わり、そしてクリシュナの胃へとゆっくりと染みこんでいく。
「……うん、美味しい。」
飲み込んだ後もしばらく消えない紅茶の美味しさを、
ゆっくりと舌で転がしながらクリシュナはふと思いついたように、口を開く。
「お茶請けにさ、君の話を聞かせてよ。
何だっけ…………そう、君が人生を何度も繰り返したって話だよ」
「面白い話じゃあない」
「面白いかどうかは僕が決めることさ」
「…………」
「じゃあ、君が話してくれたのならば…………
そうだな、この殺し合いに関する面白い情報を教えてあげるよ…………どうする?」
熱を帯びているのは先程飲んだ紅茶の故か、あるいは――
うっすらと頬を紅く染めて、小悪魔の微笑みで見つめるクリシュナに対し、
彼が何を思ったのかはガスマスクに覆われた彼の表情から伺うことは出来ない。
「オーケー、つまらない話だけど…………精一杯話させてもらうよ」
ただ、心を決めたのだろう。
彼の放つ言葉に迷いはなかった。
「こういう場合何処から話せばいいのか、そうだな…………」
- 54 :sorry, I'm leaving now ◆fRBHCfnGJI:2013/01/17(木) 14:02:19 ID:18dx69UE0
-
◆
俺の人生は、ゴミ捨て場から始まった。
以前までの記憶は…………そもそも以前なんて物があったのかどうかはわからないが、
とにかく何もかも無くなって、そして…………セスに拾われた。
「セスって?」
…………わからない。
「わからないって何さ?」
……俺はアイツにとっての何かになれたんだろうか、仲間だとか親友だとかそういう…………
「まぁどうでもいいし、とっとと続き話してよ」
あぁ…………すまない。
それから俺はクリシュナに、自分の人生を語っていった。
セス=ケイオス
ニケ=ニィ
ダミアン=ロウ
レメク=ガリアン
チャカ
ミネルバ=エニアック
サライド=キク
ローゼン=クランツ
ケイト=グロリア
エルジン=エニアック
キリエ・フューラー
イヴマリア
俺は…………俺自身の人生は空白だった。
仲間達が……敵対した人間達が…………俺の人生の空白を埋めてくれた。
俺は、俺自身は何かになれたのだろうか?
「だから、興味ないって」
あぁ、すまない。
それで俺は……セスを倒し…………
人生の二周目が始まった。
「二周目?」
強くてニューゲーム。
「ああ、成程。長いプロローグだったね」
- 55 :sorry, I'm leaving now ◆fRBHCfnGJI:2013/01/17(木) 14:02:29 ID:18dx69UE0
-
◆
「何故、そうなったのか……俺には理解できない、
だが……俺にはセスを倒す度に、人生をあのゴミ捨て場からやり直すことが出来た。
やり直すといっても……運命の些細な部分しか、介入できなかったけどな」
「些細な部分……ねぇ、例えば君の名前とか?」
彼の告白に、クリシュナはさほど動じることはなかった。
「ああ、人生を繰り返す度に……俺は名乗ったよ、新しい名前を」
「面倒くさいことするね、全部同じ名前でいいじゃん」
「…………一度だけなんだ」
「え?」
「何度繰り返しても、それでも…………俺の人生は一度だけなんだ」
「ああ……面倒くさい性格だね。それで…………何度も繰り返してさ、何が目的なの?」
「…………ハッピーエンド」
「は?」
「セスと一緒に帰る終わり方…………それを探し続けているんだ」
「その為に人生を何度も繰り返して、セスを殺し続けるって…………君、そうとう業が深いね」
「狂っていることはわかる、それでも…………」
「まぁ、いいよ。面白い話だったし…………で、君は人生のどの辺から呼び出されたの?」
「新しい名前を名乗る……その前に」
「あの女に攫われたってわけだね、僕はぶっ殺された後にわざわざ蘇らされた感じだけど」
「蘇らされた……?」
「まっ、それこそつまらない話だよ。それよりもさ…………今から名乗る名前は決めてあるの?」
「…………アベル」
「アベル……アベルね、いい名前なんじゃない?」
「……クリシュナ」
「何?」
「初めて…………初めてなんだ、ここまで俺の人生が変化したのは」
「…………」
「もしかしたら…………今度こそ、俺は皆を助けられるかもしれない」
「だから…………手伝ってって言いたいの?」
「違う、君も含めて守れるだけ……守らせてくれ。もう…………何も失わないように」
「馬鹿なんじゃないの?」
「馬鹿なんだよ、何度も人生を繰り返す程に」
「本当に馬鹿だよね」
「本当に馬鹿なんだ、救いたい人間を何度も殺す程に。
それでも……それでも…………俺は」
「いいよ」
「え?」
「君に僕を守らせてあげるよ、アベル」
「…………ああ」
「好きだった人に殺されたばっかりで、ほんのちょっぴりセンチメンタルな気分になってたんだ。
だから…………ほんのちょこっとだけ、君に浮気させてあげるよ」
- 56 :sorry, I'm leaving now ◆fRBHCfnGJI:2013/01/17(木) 14:02:40 ID:18dx69UE0
-
「…………」
今までの彼の物語の中、たった一つだけアベルがクリシュナに対し話さなかったことがある。
それは見せしめ、彼がこの殺し合いに参加するにあたっての生贄となったものの存在……
それは、彼自身。
前周回での、彼の――
「アベル、僕の話聞いてた?」
「……ああ、ごめん。もう一度言ってくれないか?」
「やれやれ、じゃあもう一度だけ言ってあげるよ。
僕達を呼んだあの女、多分神様に近いよ」
【一日目/深夜/B-6 廃墟】
【アベル(主人公)@D.】
[状態]健康
[装備]無し
[所持品]不明支給品1〜3
[思考・行動]
基本:守りたいものを守る
【クリシュナ@夜明けの口笛吹き】
[状態]健康
[装備]無し
[所持品]基本支給品一式、不明支給品0〜2
[思考・行動]
基本:???
1:アベルに守られる
- 57 : ◆fRBHCfnGJI:2013/01/17(木) 14:02:52 ID:18dx69UE0
- 投下終了します
- 58 : ◆FreeEP00/U:2013/01/17(木) 20:43:22 ID:5JTEE7uY0
- 巣食う崩壊>加奈ちゃんはいい人に拾われたようで。
ギャリーさんはなんだかんだ言って頼りになるからなぁ。
sorry, I'm leaving now>ある意味メタだけど、確かにこんな感じなんだよなぁ主人公は。
最初に自分がカインと名付けようとしたのも思い出されましたw
それではギリギリになりましたが自分も 水野誠、皿井戸菊で投下します。
- 59 :カノウセカイ-possible world- ◆FreeEP00/U:2013/01/17(木) 20:43:59 ID:5JTEE7uY0
- 過ちは、取り戻すことはできない。
そんなことは、自分が一番わかっているはずだ。
あの日、僕は皆を助けることができなかった。
隼人は下敷きになって、綾乃さんを一人にして、加奈さんを追わず、殺した。
それだけじゃない、僕はこの手で、亜深さんを殺した。
間違いなく、僕は人を殺したんだ。
正当防衛とかそんなことは関係ない。
僕は取り返しがつかないことをしたんだ。
どうしようという気にもならない。
このまま死んでしまってもいいとも思える。
もうどうとでもなればいい。
これ以上、僕に何をしろというのだ。
助けはもう求められない。
自分以外、みんなみんな死んでいった。
そして今僕はここに立っている。
「何が頑張ってくださいねだよ、まったく訳が分からないしさ……。
テレビのドッキリかなんかだったら、どれだけいいのか」
チェルシー、そう名乗る女性から突如言われた殺し合いをするという宣言、僕はそれを聞いて何も思わなかった。
今までの自分だったらどう思うだろうか。
殺し合いなど許せないと言って逆らおうとでもしただろうか。
それとも、人殺しをボクは許容したのだろうか。
まぁ、どちらにしろ僕には関係ない。
だって僕はもう、この世に絶望しきってるのだから。
殺し合いも何も関係ない。
「……さてそれじゃあ「喋るな」、え?」
首筋に、何か冷たいものが触れる。
気配とか、そういうのはなかった。
いつの間にか僕の首には鉄の塊のようなもの、刃が、僕の命を奪える場所にあった。
「安心しい、そう殺そうだなんとは思ってへん……ちょいと質問に答えてくれればいいだけの話や」
安心しろとかいうのは馬鹿げた話だ。
こんな下手すれば即死の状況で落ち着ける人間がいてたまるか。
そんなのがいたらよほど死線を潜り抜けてきた奴か命知らずの馬鹿だ。
残念ながら、僕はどちらでもない。
せいぜいできるのは、動揺をできる限り隠すことだ。
下手に相手に不快感をもたらすと、殺されるかもしれない。
(――――あれ?)
何で僕は、死ぬのを怖がったんだろう。
もう死のうと思ってたのに。
そう、僕はあの時……カッターナイフを自分の喉につきたてようとしてた。
それは自分でも意識してやったことだから覚えている。
「――――どしたん?」
「いいえ、何でもありませんけど……」
「ま、ええわ……銀髪にガスマスク被った奴見ぃへんかったか?」
「――――僕が会ったのは貴方が初めてですが」
「そうか、ならええわ……それじゃあ最後に一つ聞くけれど」
「何でしょうか?」
- 60 :カノウセカイ-possible world- ◆FreeEP00/U:2013/01/17(木) 20:45:19 ID:5JTEE7uY0
-
「ウチが今この場で、アンタを殺す言うたらどうする?」
本当に、なんというか面倒だった。
これが俗にいうあれか、知らないならば用済みだとかいう映画でも見る奴か。
そうか、僕はこれで死ぬのか。
なんというか、やっぱり人生短かったな。
「――――いや、殺すわけちゃうで……? あくまでどうするって聞いただけや」
というわけではないらしい。
考えすぎるのが僕の悪い癖だからか。
いや、でもさっきの言い方だとマジで殺されそうだったからな。
まるで殺し屋から言われてるような、そんな気分だった。
……まぁ、さすがに殺し屋なんてこのご時世にはいないだろうけどさ。
「そうですね、殺すなら殺してくれていいですよ」
「――――ほぉ、面白いこと言う餓鬼じゃあないの」
「まぁ、死のうと思ってたところでここに呼ばれたわけですし」
「――――――――そか、なるほどな」
ぞくり
今までに感じたことがない、寒気、威圧感、恐怖、それが僕に襲いかかった。
抵抗しなければそのまま押し潰されてしまいそうなほどに。
「巫山戯るな、この餓鬼が――――死にたいなんて、ウチの前で二度と言うな」
「なんだよ、僕のことを何も知らないのに……」
「知らんよ――――知る気もあらへん、でもな……まだ先があるのに、そんなこと言うやつが許せんかっただけや」
「――――?」
なんだ、この引っかかる感じは。
自分にはもう先が無いような、そんな言い方だ。
――――そう、まるで自分にはこの先がないかのような。
◆ ◆
- 61 :カノウセカイ-possible world- ◆FreeEP00/U:2013/01/17(木) 20:46:22 ID:5JTEE7uY0
- 自分らしくない、そう思ったのは先ほどからだった。
目の前の正面が言い放った言葉、それに自分は強く反応してしまった。
死のうとしていた、という言葉に。
生きたくても生きることができない人間もいるのに、なのに死ぬ。
少し前の自分なら、きっとこの場で彼を殺したのだろう。
「……それ、寄越しぃ」
いつの間にか自分は、突き当てていたナイフをしまい、少年のデイバッグを奪う。
何か言いたげではあったが、無視でええやろ。
食料や何かの機械のようなもの、自分のバッグの中に入ってたものが同じく入っていた。
――――だが
「――――ッ」
バッグの中に入っていたのは、刀だった。
それも、ただの刀ではない。
奴と特訓をする際に作った、「捨丸」という刀だ。
神、そう言われた少年と対峙した際も彼が使っていた。
言ってしまえば、遺品のようなもの。
「これ、貰うけどええ?」
「――――いいですよ、別に……僕にはどうだっていですし」
「そか……ありがとな、それじゃあ依頼料は貰ったよ」
「依頼、料?」
本当に自分らしくないと思った。
1ヶ月も経たない、短い間に変わった。
誰が原因かなど考えずともわかる。
「アンタを守ってやるっちゅー話や、もう一度生きる気を起こさせたる」
少年は唖然としていた。
何を言っているんだ、そういう顔だった。
正直自分も何を言っているんだと思ってはいる。
他人を助けようとするなど、自分らしくない。
だからこそ、依頼料としてこれを貰ったのだ。
だから、理由としては十分以上である。
「――――わかりました、よろしくお願いします」
「思ったより承諾が早くて助かるわ、ウチはサラ……よろしゅうな」
「諦めただけですよ……水野誠、よろしくお願いします」
水野誠、そう名乗った少年はウチが持ってた彼のバッグからよくわからない機械を取り出した。
「――――なんやそれ?」
「説明受けてませんでしたか? ルールとか参加者とか乗ってるらしいですよ」
そう言いながら操作を続ける。
機械などまったくわからない自分からすればある意味心強いものだ。
ミネルバくらいしか機械関連に詳しい人間はいなかったから。
だがこの少年は上層階級ではないはずだ。
黒い髪からしても、下層階級で間違いない。
こんな機械を操る技術などどこで手に入れたのか。
そう考えていると、少年の顔色が悪くなっているのに気づく。
- 62 :カノウセカイ-possible world- ◆FreeEP00/U:2013/01/17(木) 20:47:24 ID:5JTEE7uY0
- 「――――え?」
「どしたんや、そんな腑抜けた声出して」
「う、嘘だ……こんなことが、あって……」
どういうことか、そう思いその画面を覗く。
字だ、よくわからないが彼はこれを読んだのだろう。
残念ながら自分は字を読めるわけではない。
「どうしたんや、簡単に言ってくれへん?」
少年が、真っ青な顔をこちらに向ける。
震える唇から放たれた音は、確かにこう聞こえた。
「――――――――死んだ皆が、いる」
◆ ◆
冗談だろ、それが最初に感じたことだった。
隼人は下敷きになって死んだはずだ。
綾乃さんを一人で行かせた結果死んだ。
一人で走っていってしまった加奈さんを追わず、死なせた。
狂った亜深さんを、この手で殺した。
全員間違いなく死亡したはずだ。
(これが、罰だっていうのか?)
同姓同名の別人、なのだろうか。
いや、そんな偶然があり得るのだろうか。
でも彼らは死亡したはずだ。
この場にいていいはずがない。
「――――なぁ、アンタはどうしたいんや」
「え?」
「その同じ名前の奴に会いたいか、聞いたんや」
だが、もしもだ。
彼らが偽物でもなんでもなく本物の彼らならば。
僕は――――どうすべきなのか。
謝っても、許してもらえるはずがない。
僕だけが悠々と生き延びているんだから。
でも、それでも……。
「会えるなら、会いたい……本当に隼人たちだったら、言わなければいけないことがあるんだ」
許してもらえなくてもいい。
それでも、謝らなくてはならないから。
「なら、ウチはそれに協力する……それからはアンタの好きにしぃ。
目的を果たしても死にたいのならウチはもうどうもせぇへんよ」
「――――ありがとうございます」
サラさんは歩き出した。
僕はそれを追いかける。
生きる気はまだない――――だけど。
皆で、また平和な日常に戻りたい気が、僕の心にある。
その小さな小さな『カノウセイ』を僕は追いかけたいのかもしれない。
【一日目/朝/B-3・森】
【水野誠@カノウセイ】
[状態]皿井戸菊に対する若干の恐怖、生きる意味を見失い中
[装備]なし
[所持品]基本支給品の端末
[思考・行動]
基本:どうだっていい、けど……
1:サラさんと行動する
2:本当に皆かはわからないけど、会いたい。
[備考]
※DEATHEND2「疑心暗鬼」にて自殺寸前の時からの参戦です。
※名簿に載っているカノウセイ勢については一応本物と考えました。
※見せしめは両親のようです
【皿井戸菊@D.】
[状態]健康
[装備]捨丸@D.
[所持品]基本支給品×2、不明支給品0〜4、ナイフ@寄生ジョーカー
[思考・行動]
基本:自分の好きにさせてもらう
1:マコトと行動する、彼を変える――――?
2:本物ならば、もう一度彼(主人公)に会いたい
[備考]
※主人公がいなくなってから、個別エンドまでのどこかからの参戦です。
※水野誠が下層階級の人間なのかどうか疑問を抱いています。
※見せしめは不明ですが、彼女にとってはあまり動揺するに値しなかったようです。
- 63 : ◆FreeEP00/U:2013/01/17(木) 20:51:08 ID:5JTEE7uY0
- 投下終了です。
葉山弘司、わかなで予約します。
あとルールについて変更を。
追加参戦作品枠を3枠に増やします。
枠を増やすだけですので、把握するためのDL先や動画は必要ですので、お願いします。
追加された作品次第では最大4まで増えるかもしれませんが、基本的にこれ以上は増やすつもりはないです。
と言うことで、改めてフリーゲームロワをよろしくお願いします。
- 64 : ◆FreeEP00/U:2013/01/17(木) 20:58:26 ID:5JTEE7uY0
- いきなりですが現在位置間違えたのでwikiにて修正します。
- 65 : ◆FreeEP00/U:2013/01/23(水) 21:43:49 ID:TntqtnCk0
- 自分の遅筆に絶望を感じながら一度破棄します。
- 66 :名無しさん:2013/01/27(日) 01:35:51 ID:1fLAje9M0
- 書き手枠について質問なのですが、
ジョジョやポケモンのような版権を基にした
フリーゲームの参戦は可能なのでしょうか?
- 67 : ◆FreeEP00/U:2013/01/27(日) 11:17:34 ID:oHVeXM2o0
- >>66
把握できる動画があるor作品自体のDLができるのなら基本はOKです。
ただし、基にした原作を把握しないと書けないような場合はできればやめてほしいです。
そのフリーゲーム自体でキャラを把握でき書くことが可能であれば参戦可能としたいと思います。
そして再び 葉山弘司、わかな で予約します。
- 68 : ◆k3fZfnoU9U:2013/01/27(日) 23:57:49 ID:1fLAje9M0
- それではOKのようですので、風見隼人、書き手枠でサラス@この翼に誓いを
を予約します。
この翼に誓いをの把握はこちらからどうぞ
ttp://www.hayasoft.com/sbs/tsubachika/ ダウンロード
ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm14035911 動画
- 69 : ◆k3fZfnoU9U:2013/01/31(木) 00:16:57 ID:JJfOR8Vk0
- 風見隼人、サラスを投下します
- 70 :このボウガイに贖罪を ◆k3fZfnoU9U:2013/01/31(木) 00:19:15 ID:JJfOR8Vk0
- 全て俺のせいだ。
あの時俺が急かしていなければ、親友の誠やあいつの友達を巻き込むことはなかったはずだ。
そう言って乗った電車が人身事故を起こし俺たちは閉じ込められた。
最初のうちは先頭車両に行けば死体が見れるなんてはしゃいでいたけれど、
眼を離した数秒の隙に浮かび上がっていた血文字のをきっかけに、
好奇心は恐怖へと変わっていった。
窓ガラスを割ろうとした駅員が黒コゲになって、
座って休もうとした誠の中学の時の同級生の友達、加奈が爆発に巻き込まれ、
その間にも沢山のわけの分からない化け物に襲われた。
それでも脱出できると信じ電車の最後尾まで進み現実を突きつけられる。
―――出られないという事実を
誠はもう一回前の車両から調べなおそうと言ってきたが、
面倒くさくて嫌だった。
そして俺は梃子でも動きたくないとその場に座り込んだ。
誠はそんな俺に一緒に行こうと言ってくれた。
だけど、俺は意地を張ってその手をはねのけてしまった。
そして俺を置いたまま誠たちは前の車両へと行ってしまう。
思えばあの時一人で扉があいているかを見に行ったのも、
プライドを捨てたくないために一人でトイレに向かったのも、
全ては悪口を言われたくない、『お前のせいだ』と責められるのが嫌なだけだった。
責められる方がマシだったとどこか頭の中では分かっていたのに……。
そんな思いを誰に言うともなく吐き出した後に聞こえた言葉
――ボウガイは……罪である
- 71 :このボウガイに贖罪を ◆k3fZfnoU9U:2013/01/31(木) 00:20:00 ID:JJfOR8Vk0
- 気がついたら目の前に見知らぬ女がいて、今から殺し合いをしてもらうとか言われた。
ルールはバッグの中の端末を見ろと言われた後、見せしめとして尾崎の奴が殺された。
いつの間にか俺にもつけられている首輪、
それをあの女は迷いなく爆発させ、いとも簡単に…。
この状況に俺の足は震え、その場にへたり込む。
今の俺の顔、真っ青になってるんだろうな…
(確かにあいつは嫌な奴だけど、目の前でこう死なれたら…)
そうこう考えているうちに気がつけば、見知らぬ山の麓にいた。
あの女はいなくなっている。
余りにつながりがない場所にワープしまくっているので夢だと思いたかった。
しかし、首輪とデイパックが夢ではないと告げている。
「……!!」
何を思ったのか俺はデイパックを開け、その中から端末を取り出し電源を入れていた。
どうして最初にこんな事をしたかは分からないけど、何故か嫌な予感がした。
機械を操作し『名簿』のところを見る。
「な、みんなも……どうしてだよ」
嫌な予感は当たっていた。
名簿には俺だけではなく誠の名前もあったからだ。
それどころか綾乃、亜深、あの時死んだはずの加奈までいる。
そうなれば俺のやることは一つ…
「謝ろう、誠に…」
未だに震える足で何とか立とうとした時、後ろから声が掛けられる。
「どうした!お前、大丈夫か?」
「え、…あ、……ぁぁ」
振り向いた先にいたものを俺は信じたくなかった。
……そいつが何者であるかということは分かる。
だけどあいつは……『ゲームの中のキャラクター』のはずなのに…
俺の目の前にいるのは赤い翼に青い体を持つ凶暴な性格のドラゴン
ボーマンダと呼ばれるポケモンだった。
◇
- 72 :このボウガイに贖罪を ◆k3fZfnoU9U:2013/01/31(木) 00:20:52 ID:JJfOR8Vk0
- 突然のことに俺は戸惑っていた。
確かウリアに犯されてたヘヴゼウスを倒した後、
フロールと共に保育園の仕事をしながらリオウに再び会うため水晶の研究をしていた。
確か昨日のことは覚えている。
フロールと一緒に夕陽を見ながら、一緒にリオウに会いに行こうと約束した。
その後、まだまだ遊び盛りな子供たちを寝かしつけ、
キリのいいところまで水晶の研究をした後に寝たんだっけ。
ふと目を覚ますと人間の女が底抜けに明るい笑顔で俺を見ている。
周りはウリアを連想させるには十分すぎるほど黒が広がっていた。
その人間の女、チェルシーは俺をからかいたいのか見下したいのか分からない口調で
最後の一人になるまで殺し合いをするように言ってきた。
当然俺はもうそんな殺し合いなんかはしたくない。
そう言うとチェルシーは……
ベルナール、保育園を作ろうと言いその願いをかなえた彼女から……
いとも簡単に命を奪い去っていった。
「なっ、ベルナール、……お前、生きて帰れると思うなよ」
俺は爪を紅色に光らせチェルシーを引き裂こうとする。
フロールが今の俺を見たらボーマンダとしての真の姿を現したというだろう。
しかし彼女にはあたることがなく身体が黒へと落ちる感覚に襲われる……
…気がつけば俺は見覚えのない山の麓にいた。
これは夢ではない、彼女は確実に俺たちに殺し合いをさせようとしている。
とにもかくにも俺はそばにあったデイバッグを開け、
その中から端末を取り出し名簿を確認しある違和感に気づく。
「ん、なんで俺の名前が載ってないんだ?」
名簿に俺の名前はどこにもない。
ふと嫌な予感がよぎる。
もしここに俺の知り合いがいても俺がいることが分からないのではないか?
それに俺自身も他に誰がいるかなんて分からない。
…いや、むしろここに俺の知り合いはいないのではないのか?
俺だけであればありがたいが、俺の知り合い
……特にリオウやフロール、シュラー、スフォール、ナレイズが巻き込まれている可能性は高い。
となると俺がやるべきことはいる可能性が高い知り合い達を探すこと
――な、みんなも……どうしてだよ
ん?何処からか叫び声がする
声のした方へ行くと赤い帽子をかぶっている人間の男の子がいた。
ということは、最低でもここはシスティアではないみたいだな。
とりあえず今俺がすべきことは…
「どうした!お前、大丈夫か?」
「え、…あ、……ぁぁ」
俺は少年の方に向かい声をかけた。
俺の方を向いた人間の男の子は俺を見て怯えているようだった。
まあ、俺はボーマンダだし仕方ないか…
◇
- 73 :このボウガイに贖罪を ◆k3fZfnoU9U:2013/01/31(木) 00:21:38 ID:JJfOR8Vk0
- 「……ぁ…ぁぁ…ぁ」
目の前に突然現れたゲームの中のキャラクターに少年、風見隼人は怯えきっていた。
声にならない声をあげ動けなくなっている。
さしずめ蛇に睨まれた蛙といったところだろう。
そのまま数分はたっただろう。
彼はおかしいことに気づく。
(なんで……襲いかかろうとしないんだ?)
彼の知る限りボーマンダは無差別に獲物を攻撃するほど凶暴なポケモンだ。
それなのに目の前の奴は襲いかかる気配すら見せない。
「立てるか?」
彼をずっと見つめていたボーマンダ、サラスは隼人に尋ねる。
その声はボーマンダには似合わないほど優しい声だった。
「え、ボーマンダが……喋った!」
「あ、ポケモンが喋るのはそんなに珍しいのか?」
隼人は首を大きく縦に振る。
「そうか。まあ、そんなことよりも1人で立てるか?」
「ああ、なんとかな。おわっと」
「おっと、大丈夫か?」
隼人は何とか立ちあがろうとするが、
まだ足が震えていたためかよろめいて再び倒れそうになる。
サラスはそんな隼人に腕を差し出し、身体を支える。
咄嗟に自分を支えてくれたこともあり、気づいたら彼の足の震えは止まっていた。
「あ、……えっと、…あ、ありがとな。なあところで…」
「なんだ?」
「なんでボーマンダなのに俺をすぐ襲わなかったんだ?」
「え?まあ、そう思われるのも仕方ないかもしれないが……最低でも俺はそんなことはしたくない」
サラスは目を点にして少したじろいだ後、少し悲しそうに呟く。
その様子に隼人も戸惑っている様子だった。
「じゃ、じゃあ、お前は信用してもいいんだな?」
「ああ、お前を殺すつもりはない」
サラスは爽やかな笑顔で答えた。
◇
- 74 :このボウガイに贖罪を ◆k3fZfnoU9U:2013/01/31(木) 00:22:29 ID:JJfOR8Vk0
- 「なんでお前これに載ってないんだよ」
「俺だってそれは誰かに聞きたいんだ。それに他に知り合いが連れて来られてるカノウセイもあるわけだし…」
その後、軽い自己紹介として知り合いの確認をすることになったのだが、
当然のごとくサラスは名簿に名前が載ってないことを突っ込まれる羽目になった。
「じゃあさ、ここにいる可能性の高い知り合いって誰だよ?」
「えっと、リオウ、フロール、シュラー、スフォール、ナレイズだな」
サラスは5人の大まかな特徴を伝える。
出来ればここにいて欲しくないという言葉と共に…
「大体こんなところかな。隼人、俺も聞きたいことがあるんだが」
「何だ?」
「死んだ人が名簿に載ってるっていうのは本当なのか?」
「ああ、この加奈って奴は俺の目の前で確かに…うぷっ」
隼人の脳裏のあの時の光景がよぎる。
焼けついた空気、飛び散った肉片、むせかえる血の匂い、
惨状を思い出した隼人は思わず吐きそうになる。
「おい、大丈夫か?」
「……む、無理」
思い出した光景が強烈だったためか、
隼人はその場にうずくまり胃の中にあるものを吐き出す。
サラスはそんな隼人の背中を不器用ながらにさすっている。
「…なあサラス、頼みがあるんだ」
「ん、何だ?」
何とか吐き終えた隼人は唐突に頼みごとをしてくる。
「俺を乗せて飛んでくれ。早く誠を見つけて謝りたいんだ。」
「謝りたいって……どういうことだ?」
「俺、責任を問われたくなくて意地張ったんだ。
あんなことになったのは俺のせいなのに…
俺が死体を見に行ってなければ、
化け物だらけの電車に閉じ込められるなんてことにはなってなかった……
だけど俺はそれを認めたくなくて……」
「落ち着いてくれ、俺の一緒に探してやるから、な?」
「だけど何処にいるかなんてすぐ分かるのか?」
「そ、それは…」
サラスは今にも泣き出しそうな隼人をなだめようとする。
それでも感情を爆発させていたため、
落ち着かせるのに20分ほどの時間を要することとなった。
「落ち着いたか?」
「ああ、なんかすまん」
「いやいや、隼人が謝ることじゃないって、
あとさっきの話の続きなんだが……すまん、俺は飛べないんだ」
「え、サラスはボーマンダだからそれくらい余裕なはずだろ?」
「……俺の翼の付け根のところを見てくれ」
隼人はサラスの言われるままに付け根を除くと、
痛々しい傷痕を見つけ思わず息をのむ。
「なっ、この傷一体何なんだよ!?」
「大きな戦争から逃げ出す時にやられたんだ…。」
「お、大きな戦争?」
「話すのはつらいが仕方ない。確か俺はあの時……」
サラスの話によると、戦場の中1人でうろついていたフロールと共に
戦争を棄て別の大陸に逃げるときにつけられたものだそうだ。
「とまあ、そんなわけだ。歩いて探すしかないな」
「そうするしかないか。ところでさ、こん中に入っている支給ひ……」
「ぅぐふっ」
「はぁ!?」
バッグの中の支給品について聞こうとした隼人は
歩き出そうとしていたサラスの横っ腹をつんつんと突く。
その途端呻き声にも似た笑い声がサラスの口から漏れる。
隼人が口をポカーンと開けたのは言うまでもない。
- 75 :このボウガイに贖罪を ◆k3fZfnoU9U:2013/01/31(木) 00:23:05 ID:JJfOR8Vk0
- 【一日目/朝/C6・山麗】
【風見隼人@カノウセイ】
[状態]健康、責任から逃げたことによる罪悪感、口内の苦み
[装備]なし
[所持品]基本支給品、ランダム支給品(1〜3、未確認)
[思考・行動]
基本:殺し合いには乗らない
1:誠にあって謝りたい
2:自分やサラスの知り合いを探す
3:なんで加奈は生きているんだ?
[備考]
※「座り込み」での死亡直前からの参戦です
※見せしめは尾崎でした
※サラスの知り合いの情報を聞きました
※彼の視点では加奈は「優先席」で死んでいます
【サラス@この翼に誓いを〜フライゴンの羽〜】
[状態]健康
[装備]なし
[所持品]基本支給品、ランダム支給品(1〜3、未確認)
[思考・行動]
基本:殺し合いには乗らない
1:隼人と一緒に誠を探す
2:知り合いがいれば合流したいけど…
3:なんで俺の名前が名簿にないんだ?
[備考]
※本編終了後からの参戦です
※見せしめはベルナールでした
※カノウセイ勢の情報を聞きました
- 76 : ◆k3fZfnoU9U:2013/01/31(木) 00:24:43 ID:JJfOR8Vk0
- 投下完了です。
自己解釈で隼人がゲームとしてポケモンを知っていることにしましたが
問題ないでしょうか?
他にも指摘があればお願いします。
- 77 : ◆FreeEP00/U:2013/02/02(土) 11:18:42 ID:eioXbv4Q0
- 投下乙です。
カノウセイはかなり現実に近い話であるので、問題はないと思います。
そして参戦時期の違いでかなり問題が起きそうになったなカノウセイ陣は。
内容については問題ないと思います。
そして、明日投下できそうですが念のために延長しておきます、一応できるのを忘れていた……。
- 78 : ◆/V8bBq73EA:2013/02/03(日) 22:05:42 ID:Ia8CCFWA0
- 大志を予約します
- 79 : ◆/V8bBq73EA:2013/02/05(火) 18:44:38 ID:cBKK6OrU0
- 投下します
- 80 : ◆/V8bBq73EA:2013/02/05(火) 18:45:14 ID:cBKK6OrU0
- こんなところで何をしているんだ、と思った。
自分にはもっとやるべきことがあるだろうと、憤った。
こうしている間にも、”アイツ”が待っている。
今すぐ行かないといけない。
”アイツ”は寂しがり屋なんだ。
どこの誰とも知れない異常者のせいで、彼女に会いに行けない。
そうしなきゃいけないのに。
そうしないと、彼女が悲しんでしまうのに。
こんなところでうつつを抜かしている場合ではないのに。
俺は混乱する頭の中を必死に纏め、現在置かれている状況を整理する。
バトルロワイアル。同じタイトルと趣向のゲームを題材にした小説を学生時代に読んだことがあるような気がした。
結構有名だったと思うし、きっとあの女もそれを元にこんなゲームを俺たちにやらせようと考えたのだろう。
まったく、はた迷惑なことだと思う。
ゲームで人が凶行に走るだとか、暴力映画は子供に悪影響だとか、そういう話は話半分に聞いてきた俺だが、まさか現実に遭遇するとは。
そうだ、俺は見た。
知らない人間だったが、手品だとかCGとかじゃなくて、本当に人間の命が失われる光景を、見た。
……思い出すだけでも吐き気がする。
あんなことを平然とやってのける輩がこの世にいるなんて、信じたくないし、今でも信じられないくらいだ。
でもこれはドッキリじゃない。
こんな悪質なドッキリがあったら、きっとテレビ局は苦情殺到だろう。
ただでさえ視聴者様の五月蠅い時代なんだ。
――そう。これは、現実だ。
現実にこんなわけのわからないことが起こっている。
勘弁してくれよ、と思う。
俺には帰るところがある。
”アイツ”のところへ戻らないと。
”アイツ”が俺を待ってる。
こんなところで死んでなんかいられない。
じゃあ、どうする?
誰かを殺して最後の一人までのし上がるか……いや、バカを言え。
確かに彼女の場所へ戻ることは大切なことだが、そのために罪のない人々を何人も殺すなんてできるわけがない。
それじゃあ、あの女と同じじゃないか。
かつて俺が付き合っていたあの女と。
虫酸が走った。
あの女はやるだろう。
そのくらいのことは平気な顔でやってのけ、自分の幸せのためになら他人を蔑ろにすることを一切厭わない、最低の人間。
俺はあの女とは違う。
だから殺し合うなんて馬鹿げたことはしない。
そんなことをしたら、俺の彼女への想いまで薄れてしまいそうだから。
やれるかは分からないけど、どうにかして参加者同士で結託して主催者の女を捕まえることが出来れば、きっとここから出られる。
警察にバレれば、たぶん一生刑務所暮らしは免れないだろう。
当然だ。人の命を奪ったのだから、そのくらいはむしろ軽いくらい。
人の当たり前の日常を台無しにしてくれたんだ、きっちり痛い目を見て貰わないと割に合わないはずだ。
俺は意気揚々と、ディパックに手をかけた。
殺し合いに乗らないにしろ、なにか護身用の武器くらいは持っていないと厳しいだろうと思ったからだ。
銃や刀じゃなくて、金属バットでもいい。
使わないに越したことはないのだし、大したモノじゃなくて構わないとディパックを開けた時、一枚の紙が目に入った。
「……参加者名簿?」
――それは、参加者の名前がずらりと羅列された名簿だった。
見れば、この殺し合いには国籍を問わずに人が集められているらしい。
中には明らかに偽名としか思えないモノも混じっていたが、探してみると当たり前だが俺――大志の名前もあった。
やはりこれは現実だ。
心のどこかで、俺が参加させられているのは何かの間違いではないかと疑い続けていたが、そんな逃げ道がないことを思い知らされた。
一人だけズルってわけには、やっぱりいかないか。
そう思いながら名簿を眺めていて、唐突に心臓を握り潰された。
正確には、心臓を握り潰されたかと思うほどの暴力的悪寒があった。
ぞわりと背筋を包まれて。
ぐしゃりと身体が潰されて。
さらりと残骸が解けて。
ひゅるりと溶けて消える、そんな悪魔じみた感覚があった。
- 81 : ◆/V8bBq73EA:2013/02/05(火) 18:46:15 ID:cBKK6OrU0
- 「…………マジかよ…………」
頭を押さえて空を見上げる。
慰めてくれるものはどこにもなかった。
これは現実だった。
冷たくて理不尽で、やっぱり悪魔じみていた。
「さゆり…………ッ!!」
さゆり。
俺が帰るべき場所に、必ずいてくれる妻。
バカな俺があの悪女に陥れられて、彼女を傷つけて、彼女との夢の中でも何度も何度も、何度も何度も裏切った。
それでも彼女はこんな俺を愛してくれた。
夢でもいいと、健気に愛し続けてくれた。
ようやくやってきたんだ。
”ユメ”から覚めて、”リアル”の目覚めへ。
やっと俺たちの夫婦生活が帰ってきたばかりだってのに、よりによってこんなことになるなんて――
本当に、許せねえと思った。
戦う理由なんて、もう十分に揃っている。
さゆりを危険に曝した。
俺たちの幸せを奪った。
これ以上に、拳を握る理由なんて必要ない。
「なら、俺がやることは一つだ」
まずはさゆりを見つける。
考えたくはないし、想像するのも嫌だが、さゆりは決して強くない。
格闘技のプロだというわけでもないし、別に特別な技能も持たない。
早く見つけてあげないと、取り返しのつかないことになってしまったらもう遅いのだ。
考えるだけでもゾッとする。
「さゆり――」
俺はさゆりを愛している。
新しい明日を迎えて、もう惑わないことを決めた。
みゆきのヤツにはもう微塵だって靡いてやらない。
贖罪のためにも、ずっと彼女の側にいよう。
一緒に歩んでいこう。
そのためにもまずはここから帰るんだ。
そしたら、また幸せを始めよう。
心配しなくても、俺たちには幸い時間が腐るほどある。
一緒に、手を繋いでどこまでも行こう。
「――愛してるぜ。そりゃあもうどうしようもなく」
そう、ゆっくり歩くような速さで。
【一日目/朝/B-2・路上】
【大志@奥様は惨殺少女】
[状態]健康
[装備]なし
[所持品]基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・行動]
基本:殺し合いを潰す。さゆりとの幸せを取り戻す。
1:さゆりを探す
[備考]
※ED『未来への白の目覚め』からの参加です
- 82 : ◆/V8bBq73EA:2013/02/05(火) 18:47:20 ID:cBKK6OrU0
- 投下終了です
国府千尋、神林亜深を予約します
- 83 : ◆FreeEP00/U:2013/02/06(水) 19:10:48 ID:Uk/x4pe20
- 投下乙です!
このボウガイに贖罪を>隼人はここからの参戦か。 まぁポケモンとあったらこういう反応だよなぁ。
カノウセイは現実に近い感じのためポケモンを知ってても問題ないと思います。
◆/V8bBq73EA氏>大志の参戦はここからかー、参戦時期が違ったらさゆりが最悪の状況になるだろうしそういう意味では安心か……?
あと、タイトルがないためタイトルをレスしてください。
では自分も投下します。
- 84 :K.G.ヤンデレに彼は縁があるのか? ◆FreeEP00/U:2013/02/06(水) 19:11:37 ID:Uk/x4pe20
- 「ッ、何だってんだよ! 殺し合いだと、ふざけやがって!」
店内に自分の声が響く。
誰かに聞かれるとか、そういう心配もあるが今はそんなことを気にしている場合ではない。
何故だ、何故どうしてこうなった。
悪夢はもう、あの日で終わったんじゃないのか。
「なんなんだ、あのチェルシーって女は……組織の人間じゃあないみたいだが……」
組織の残党が俺達を狙った、と言うわけではないのか。
それともあの女が嘘を吐いているのかはわからない。
だが少なくとも、嘘を言っているようには見えなかった。
「――――とりあえず、名簿だったかを見よう……俺以外にも、誰か呼ばれてる可能性はある」
タブレット、と言うのか機械を起動させる。
名簿機能を開き、名前を見ていく。
まず目に入ったのは国府千尋――――端的に言ってしまえば、俺が傷つけた人間だ。
彼女に殺されそうになったが、それも自分が原因である。
もしあったならば、謝らなければならないだろう。
茂木冴子、藤堂晴香もここにいるらしい。
白河大輔の所属する組織に入ったと思われる二人だ。
この二人は即刻合流するべきだ。
戦闘能力、状況に対する処理能力を考えれば合流して損はない。
だが、ここで俺はあり得ない名前を見た。
「――――松山、だと?」
松山那雄宏、『観測者』だった一人であり、生物兵器へと身を堕とした男だ。
だがあの時コイツは処理したはずだ。
この世に生きているはずがない。
「なんでだ……? 同姓同名――――とは考えられない、こんな名前の奴はそうはいない」
生き返ったとでも言うのか。
だがもしそうだとするのならば、コイツは即刻殺さねばならない。
被害者が増えるのは目に見えている。
だったら、先に殺す方が得策だ。
「――――よし、名簿はこんなもんでいいだろ……次は、支給品だっけか」
デイバックの中を探る。
なんかいろいろと入っててゴチャゴチャしている。
とりあえず手に取った固いものがあったので引っ張り出す。
「――――なんだこれ」
ピンク髪の女の子の等身大(?)の人形だった。
なぜこんなものが支給されたのか。
というかこれが武器とでも言いたいのだろうか……。
「――――つーか、おかしいだろこれ」
『あなたの運勢わ、『どうでもいい』です。
話しかけないでください。』
「話しかけてもねぇのになんかひでぇこと言われた!」
畜生ッ――――! 何故こうにも精神が削られるのか。
というか他に支給品は入っていないのか。
一応探したほうがいいパァーンよな。
- 85 :K.G.ヤンデレに彼は縁があるのか? ◆FreeEP00/U:2013/02/06(水) 19:12:00 ID:Uk/x4pe20
-
「え?」
何か今、音が聞こえたんだが。
恐る恐る顔を上に向ける。
ついさっきまで、人形がそこにはいたはずだ。
いや、今も存在はしている。
――――破壊された状態で。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」
「あら? 早速一人殺れたと思ったのに……」
後ろを見ると、銃を構えた女の子が立っていた。
その様子からすると、俺を殺そうとしてるのが一発で分かる。
「ッ、テメェ……危ないだろう(パァン ってストップ! 待て!!」
「待つ理由なんて私にはないわよ、一切得もしないし……とっとと死になさい、邪魔をするなら殺されなさい」
「なんだその選択する意味のない選択肢みたいなの! 俺だって死ぬわけにはいかねぇんだよ!
つーか、テメェはあの主催の金髪女の言いなりになるって言うのか!」
「――――――――あ?」
そう聞いた瞬間、女の目の色が変わった。
なんつーか、地雷を踏んだ感じがした。
「ふざけんなよ……? 私があんな激ウザクソビッチなんかの言いなりになったって言うのよ。
私はアビスさんのためにしか動く気は無いんだよ! 私があんたを狙ったのは、使えそうになく見えたからよ。
あの女なんか一瞬でも生かしておけるわけないじゃない……!
私が動く理由はアビスさんだけなんだから!
あぁ、アビスさん……私は貴方のために頑張ります……!」
「 」
絶句、というか言葉が出てこなかった。
「この女は……間違いなくヤンデレだ」
とかいうレベルを超えてやがる。
つーか、武器的に押さえること不可能じゃねーのかこれ。
(――――どうするか)
現状じゃ、支給品を調べるとかできない。
調べてる間にズガンがオチだろう。
何かで気をそらすって言うのも手だが。
そこら辺の商品じゃあんまり効果が無いような気がする。
(いや、でもやってみないとっつーかやらねーと――――死ぬ)
意を決して、デイバックに手を伸ばす。
そして、手に触れた瞬間――――。
「うおらぁあああああああああああ!」
何故出したかわからない奇声を上げ、横にある商品を取り投げつける。
そして全力で窓の方向へ走り出す。
後ろから銃声が聞こえ、横の窓が割れる。
「ッ――――!」
そのまま俺は、突撃する形で窓を割って外に出る。
- 86 :K.G.ヤンデレに彼は縁があるのか? ◆FreeEP00/U:2013/02/06(水) 19:12:13 ID:Uk/x4pe20
- 全力で走り続けると、いつの間にか周りに誰もいなかった。
助かった、のだろうか。
少なくともあの女は追いかけてきてないようだ。
「ハァ……マジで早いところ仲間を探さねぇと、な」
不安だけを募らせ、再び歩き出す。
彼のこの先は、どちらに向かうのか。
【一日目/朝/G-7】
【葉山弘司@寄生ジョーカー】
[状態]身体的疲労(大)
[装備]なし
[所持品]基本支給品、不明支給品0〜2
[思考・行動]
基本:この殺し合いから一刻も早く脱出する
1:とりあえず知り合いを探す
2:松山が本物だとするなら、一刻も早く殺す
[備考]
※END12終了後からの参戦です。
◆ ◆
あぁ、アビスさん……あなたはどこにいるの。
私が守らないといけないのに。
あの金髪クソビッチ女のせいだ。
私とアビスさんを離れ離れにするだなんて……!
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
絶対殺す、ぐちゃぐちゃにしてこの世に存在したことを後悔させてやる。
「あぁ……アビスさん、待っていてください。 私が今迎えに行きます。
そしてあのクソ女を一緒にぶっ殺しましょう……!」
【一日目/朝/G-7スーパー】
【わかな@絶対的人狼】
[状態]健康
[装備]拳銃(残弾13)(弾は銅弾@孤独なアルファ)
[所持品]基本支給品
[思考・行動]
基本:アビスさんとクソビッチをブッ殺す
1:使えそうにない奴は邪魔だから殺す
[備考]
※25個目の村終了後、チェルシーを尾行中からの参戦です。
[備考]
※1/1ニケ人形@D.は破壊されてG-7スーパーに放置されています。
【支給品説明】
【1/1ニケ人形@D.】
葉山弘司に支給。
等身大のニケそっくりな人形、占い機能搭載。
ミニゲームである鬼ごっこの最初の景品である。
【銅弾入り拳銃@オリジナル&孤独なアルファ】
わかなに支給。
たった一発で獣を撃ち殺せる。
しかし当たらなければどうと言うことはない。
- 87 : ◆FreeEP00/U:2013/02/06(水) 19:13:07 ID:Uk/x4pe20
- 投下終了です。
何度も展開を書き直してたらとてつもなく遅れたうえこの短さでした。
あと、追加参戦作品は終了と言うことにしたいと思います。
- 88 : ◆FreeEP00/U:2013/02/06(水) 19:15:32 ID:Uk/x4pe20
- あと、追加で言っておきます。
参戦作品に関連のある作品であれば参戦外作品からの支給品登場を可能にしたいと思います。
例でいえばカノウセカイ(続編)、孤独なアルファ(関連作品)と言ったものです。
- 89 : ◆/V8bBq73EA:2013/02/06(水) 19:29:32 ID:sfdbrjnc0
- 失礼。タイトルは「Andante」でよろしくお願いいたします
- 90 : ◆k3fZfnoU9U:2013/02/07(木) 00:23:08 ID:kCPaTld60
- お二方とも投下乙です。
>/V8氏
惨殺少女勢は全員白ルートからの参戦か
大志とさゆりは果たして出会えるのか?
>Free氏
わかなぶれなさ過ぎww
こりゃアビス胃痛確定だろwww
アビスが人狼勢唯一の良心にみえてくるわ
あと一点だけ気になったところを
わかなの状態表に関して
>基本:アビスさんとクソビッチをブッ殺す
これだとアビスも殺害対象に入っているように取れかねません。
できれば修正をお願いします。
それでは神崎栄次、書き手枠でシュラー@この翼に誓いを
で予約します。
- 91 : ◆FreeEP00/U:2013/02/07(木) 20:12:42 ID:SgFH96Ns0
- すみません、
基本:アビスさんと合流してクソビッチをブッ殺す
に変更をします。
- 92 : ◆FreeEP00/U:2013/02/11(月) 19:38:29 ID:99XcDgbk0
- ヨハン=ジューダスで予約します。
- 93 : ◆k3fZfnoU9U:2013/02/12(火) 02:04:31 ID:2iWVNwPM0
- 投下開始します
- 94 :Mission Interfere ◆k3fZfnoU9U:2013/02/12(火) 02:05:38 ID:2iWVNwPM0
- 「……この状況、どうすればいいのでしょうか?」
飛行帽をかぶりボロボロのマントを羽織った
水色がかった蜻蛉のようなポケモン、シュラーは
誰に言うわけでも無く呟いた。
「早くスカイゲートを直さなければ、
リオウやフロール、師匠が天空宮殿に向かえないと言うのに……」
彼は大きな水晶をはめるためスカイゲートを直している最中に、
突如視界がブラックアウトしチェルシーと名乗った人間の女に
殺し合いを命じられたのだ。
(早く戻らなければいけないのですが……
こんな殺し合いに乗るわけにはいきませんね。
まずは……)
シュラーはそんなことを考えながら、バッグの中身を確かめていく
出てきたのは食料に水、地図などがインプットされている機械、そして…
「包丁ですか、一応武器にはなりそうですね。」
それはごく普通の包丁だった。
普段は武器として使うことはないが、
殺し合いと言う状況では貴重な武器となりえるだろう。
そう考え、いつでも取り出せるようにその包丁を懐へとしまう。
(これ以外には……)
「おい、少し話を聞きたいのだが……」
「む、誰です。」
残りの支給品を確認しようとしたシュラーは、
突然かけられた声に驚きそちらの方に振り向く。
そこには学生服を着た男がいた。
シュラーはさっと身を引き、さっきの包丁を構え警戒の態勢をとる。
「……俺はこんな趣味の悪い殺し合いなんかに乗るつもりはない」
「その言葉は信用していいのでしょうか?」
「確かに信用する根拠はないが……
そんなことを言ったところで堂々巡りになるだけだ」
「確かに……とりあえずは信じるしかありませんね」
その言葉にシュラーは警戒を解かないものの、
構えていた包丁を懐へとしまった。
「(まだ警戒してるようだな)……とりあえず自己紹介と行こうか、俺は神崎栄次だ」
「カンザキエージですね。僕はシュラーといいます」
- 95 :Mission Interfere ◆k3fZfnoU9U:2013/02/12(火) 02:06:24 ID:2iWVNwPM0
- ◇
「……お前ダニエルと言う奴とは知り合いか?」
「ダニエル?誰ですかそれ」
「……知らないか。ならいいや」
お互い自己紹介した後、しばらく沈黙が続いたが
ふと神崎が話を切り出す。
「えっと、そのダニエルと言うのはどういう方なのです?」
「俺が巻き込まれた事件に協力してくれているウサギの科学者だ」
「事件?」
「あぁ、長田とかいうマッドサイエンティストがゲームと称して、
俺達を自分の作り出した化け物の実験台にしたんだ」
「そんなことが……」
「幾度となく命の危険にさらされながらもその事件の首謀者である
長田がいる部屋にいよいよ突入しようとした矢先
こんなくだらない殺し合いに巻き込まれたというわけだ」
「へぇ、そうなのですか」
「こんな事をしている場合ではないのに……」
「何か言いましたか?」
「あ、いやなんでもない。ところで名簿は確認したのか?」
神崎は状況を説明し終えると、知り合いの確認をしようと端末を取り出す。
名簿を少し眺めたところで口を開く。
「俺のクラスメイトが巻き込まれている」
「クラスメイト?」
「あぁ、この圭介と隆也、月絵と言う奴だ。それに……隆までいる」
「隆はクラスメイトではないのですか?」
「あぁ、それにこいつは危険人物だ。
友達になろうよと言いつつ襲いかかってくるようなやつだ。
ただ問題なのは外見が隆也にそっくりなことだ……。
だが、隆はどちらかと言えば言動が無邪気だから分かりやすいはずだ」
「えぇ、気をつけることにします。」
「ところで……君の名前が載ってないが一体どういうことだ?」
「え?…………僕に聞かれても分かりません。」
シュラーは神崎の横から名簿を覗き込む。
確かに彼の名前は載って無く首をかしげるしかない。
「名簿に載ってない僕が怪しまれるようにするためでしょうか?」
「もしかしたら、疑心暗鬼を生みだすためかもしれないな」
しばらく考え込んだ2人は同時に考え付いた結論を述べる。
それは言葉こそ違うものの本質としては同じ結論であった。
「やはりそうなりますか、
となると他にも名簿に載っていない方がいると考えたほうがよさそうですね。
その中に僕の知り合いがいる可能性の十分あり得ますし……」
「そいつらが偽名を使ったと思う奴も出てくるかもしれないし」
「……まさか僕が偽名を使っていると思っているのですか?」
「いや、そうは思ってない。ま、あくまで俺の推測だけどな」
「推測……ですか?」
「あぁ、お前みたいな人外が偽名なんて使うはずがない。
……と言うことにでもしておこう」
「なんで失礼な推測にしておこうとするのですか?
あと僕にはフライゴンという立派な種族があります」
「まぁ、落ち着け、ここで言い争ってもお互いメリットはないだろ」
「確かにそれは一理ありますし、仕方ありませんね」
偽名に関する推測を出した神崎にシュラーは食って掛かる。
それを神崎はのらりくらりと曖昧にしつつも納得できそうな形でかわした。
シュラーはどこか納得していない様子で頷いた。
「さて、そろそろどこか落ち着ける場所に移動したほうがいいな。さすがにここは目立ち過ぎる」
「確かにどこかの建物で情報交換を再開したほうがよさそうですね」
2人は名簿から地図に切り替えて自分達がいるであろう現在位置の黒点、
D−3エリアから一番近そうな建物をピックアップしていく。
「ここからおおよそ近いのは……神社ですね」
「そのようだな、それじゃ行こうか」
いくつか候補のある中から神社を選び、歩を進めていく。
- 96 :Mission Interfere ◆k3fZfnoU9U:2013/02/12(火) 02:07:14 ID:2iWVNwPM0
- ◇
とりあえず頼りになりそうな奴を仲間にすることはできた。
しかし、一体彼は何者なんだろうか?
長田博士が作り出したGu−Lとは違うようだし、
ダニエルのように人間から動物になったわけでもなさそうだ。
彼はフライゴンと言う種族だと言っていた。
どこかで聞いたことがあるような名前だが……
まあ、これに関しては神社に着いてから詳しく聞くことにしよう。
しかし不可解なことがある。
俺が『南澤』ではなく『神崎』としてここに呼ばれているということだ。
現にチェルシーという女は俺への見せしめとして『本物の神崎』を殺している。
だがあの女は確実に俺が『神崎』で無いことを知っている
そうでなければ幻影焔なんて俺に支給しないだろう。
だが、俺に支給されたあの赤ん坊の亡骸は一体何なんだろう。
これを他の参加者に見せたら、あらぬ誤解を招いてしまう。
お互い支給品を確認しあうことになってもこれだけは見せないほうがいいな。
幸いもう一つ支給品はあることだし……
そして俺はシュラーに話していないことがある。
俺は長田のゲームに巻き込まれたと言ったが……
巻き込まれるきっかけとなったあのバス事故は俺が起こしたものだ。
その事故で俺と数人の学生を残して大量の犠牲者を出してしまった。
奇しくもこの場にはその学生達のうちの数人もいる
彼らと合流するなら友人として合流したほうが望ましいな。
……ま、これを他の奴に話すことはないだろうがな。
- 97 :Mission Interfere ◆k3fZfnoU9U:2013/02/12(火) 02:07:57 ID:2iWVNwPM0
- 【一日目/朝/D−3】
【シュラー@この翼に誓いを〜フライゴンの羽〜】
[状態]健康
[装備]さゆりの包丁@奥様は惨殺少女
[所持品]基本支給品、ランダム支給品(0〜2、未確認)
[思考・行動]
基本:殺し合いには乗らない
1:とりあえず神社に向かう
2:自分の知り合いと神崎のクラスメイトを探す
3:隆は警戒する
[備考]
※スカイゲートを修理している最中からの参戦です
※見せしめは不明ですが、極端に動揺する人ではありませんでした。
※Gu−L勢の情報を得ました
【神崎栄次@Gu−L】
[状態]健康
[装備] 幻影焔@Gu−L
[所持品]基本支給品、赤ん坊の亡骸@料理、ランダム支給品(1、確認済み)
[思考・行動]
基本:『神崎栄次』として殺し合いから脱出する
1:とりあえず神社に向かう
2:『クラスメイト』やシュラーの知り合いを探す
3:隆は警戒する
[備考]
※長田の部屋に突入する直前からの参戦です
※見せしめは『本物』の神崎です
※リオウ、フロール、サラスの情報を得ました
※自分の正体やバス事故の真相等を誰かに話す気はありません
【支給品説明】
【さゆりの包丁@奥様は惨殺少女】
シュラーに支給。
さゆりがいつも手放さずに持っている包丁
状況によって大きさが変わるとか
【幻影焔@Gu−L】
神崎栄次に支給。
死人を炎として写し出し
それを纏ってその人間になりきる道具
【赤ん坊の亡骸@料理】
神崎栄次に支給。
『あなたに一番近いもの』
彼に料理として振る舞われた赤ん坊
- 98 : ◆k3fZfnoU9U:2013/02/12(火) 02:08:57 ID:2iWVNwPM0
- 投下終了です。
地味に神崎書くの難しかった……
- 99 : ◆fRBHCfnGJI:2013/02/12(火) 20:59:17 ID:mKP.FQpU0
- 書き手枠で
夜明けの口笛吹きよりエリナー
E.よりマリア
そしてカイン=ガリアンを予約します。
- 100 : ◆/V8bBq73EA:2013/02/15(金) 19:07:31 ID:R2d9NXx20
- すいません、一度予約を破棄します
- 101 : ◆FreeEP00/U:2013/02/17(日) 18:41:29 ID:WYw61bh60
- 延長します。
感想は投下の時に書きます。
- 102 : ◆fRBHCfnGJI:2013/02/17(日) 20:47:44 ID:RSu66CSk0
- すいません、延長します
- 103 : ◆k3fZfnoU9U:2013/02/18(月) 01:04:46 ID:ZRH3uYcQ0
- 少々業務連絡
>/V8氏
破棄したキャラを含む予約をしてよろしいでしょうか?
- 104 : ◆/V8bBq73EA:2013/02/19(火) 19:20:57 ID:0Diy7Trw0
- 構いませんよ。
ちょっと展開がどう考えても無茶があるので、完全破棄するつもりでしたし
- 105 : ◆k3fZfnoU9U:2013/02/20(水) 00:23:34 ID:G86jFaw20
- 許可ありがとうございます
それでは鈴木月絵、神林亜深を予約します
- 106 : ◆fRBHCfnGJI:2013/02/20(水) 16:46:59 ID:5UpcV3Ls0
- すいません、今日中の投下が無理そうなので
一旦予約破棄とさせて頂きます
- 107 : ◆FreeEP00/U:2013/02/21(木) 18:50:31 ID:Hfp6pJvg0
- 予約破棄します。
すみません、感想だけでも。
k3氏>
栄次というのかあの人というのか……対主催としてはかなり強力だからいきなりいい相手と組めたという感じかな。
これからどうなるのか……。
- 108 : ◆k3fZfnoU9U:2013/02/26(火) 01:22:42 ID:O4oLF2pk0
- 投下を開始します
- 109 :狂人の手記 第1節〜Cannibalism〜 ◆k3fZfnoU9U:2013/02/26(火) 01:24:10 ID:O4oLF2pk0
- くそっ、誰も信用できない
みんなして俺を殺そうとしている
あの野郎だって優しそうな顔して自分のクラスメイトを
何のためらいもなく殺してきた
だから俺はそいつを殺ったんだ
そして気が付けば真っ黒な空間にいてなんか金髪の女が現れた
ちっ、これもあいつの仕業かよ
なんか殺しあえとか言ってたけど、俺は騙されねぇぞ
どうせ怪物ばっか出して俺を殺すに決まってる
そこまでして俺を殺したいのかよ
そこまで言うならと俺はその女の首を絞めようとして……
気がつくとヘリポートにいた
俺は周りを見ながらゆっくり歩く
余りにひらけ過ぎている
怪物はどこからか俺を見ていて舌なめずりをしていると言うのか
ふと学生服を着た女が目に入る
彼女は一種の美しさをもっている黒くて長い髪をたなびかせながら
戸惑っている辺りを見渡している
心臓が高鳴った
あの女……
あの金髪の女とは違うが……
あの女は……あの女は……
人間?
近づこうとしてふと足をとめる
もしかしたら戸惑っているふりをして
俺を油断させようとする怪物もいる可能性が……
いや、可能性ではない
確実に紛れ込んでいる
あの女はそういう怪物に違いない
くそっ、危うくだまされるところだった
でもいずれあいつは俺に気が付く
その時すぐ襲いかかるかもしれないし、
油断させたところで一気に襲いかかるかもしれん
そうなったら俺に勝ち目は万に一つもない
幸いなことにあいつはまだ俺に気が付いてない
しかし、逃げたところで勘付かれてしまう
得てして怪物は逃げる者には敏感なものだ
ならば………油断している今のうちに……
- 110 :狂人の手記 第1節〜Cannibalism〜 ◆k3fZfnoU9U:2013/02/26(火) 01:24:56 ID:O4oLF2pk0
- 俺は一気に距離を詰め、肩に手をかけそいつを押し倒す
足音に気付いたあいつが俺を見る頃には既に手を首にかけていた
驚いた顔で動けなくなっているあいつの首にかけた手に力を込める
込める
痕が付くくらいに力を込める
込める……込める……
青筋が付くくらいに力を込める
あいつの美しい顔はどんどん恐怖へと崩れていき
それと共に生気を失っていく
やがて震えていた唇は動かなくなっていた
はぁ……はぁ……怪物は………くたばったか
まだ心臓が高鳴っている
何とか鼓動を落ち着かせようとして……
……空腹を感じる
ん?あの怪物の近くに
なんとなくだが俺はそれを開ける
なんか機械とかナイフとか……
いくらかの食料や水が入っていた
…
……
………
いや、待て
これは罠ではないのか
きっとこれには毒が含まれてるに違いない
でもこのまま食うものがなければ
力も出ねぇし、いずれ野垂れ死にだ
俺はいったいどうすりゃいいんだよ
ん?いや、待て……
目の前に立派な『食料』があるではないか
さっきまで動いてたんだし毒なんて持ってるはずがない
念には念を入れそのナイフを服で拭った後、
俺はそいつの体にナイフを突き立て肉を割く
- 111 :狂人の手記 第1節〜Cannibalism〜 ◆k3fZfnoU9U:2013/02/26(火) 01:25:34 ID:O4oLF2pk0
- 手始めに腕、太股の肉を割く
臍の中心にナイフを立て、
一気に引き裂く
複雑にうねり絡み合う小腸、
小腸と対称的に絡み合うことなく真っ直ぐな大腸、
肝臓、胃、膵臓
そして生きる者の核となる心臓と
何度も何度もナイフを突き立て切り分けていく
俺は死にたくない
……だから怪物を殺さなきゃいけない
俺は死にたくない
……だから力を出さないといけない
俺は死にたくない
……だから腹を満たさなきゃいけない
俺は死にたくない
……だから食べ物がなきゃいけない
俺は死にたくない
……だから食べ物を集めなければいけない
俺は死にたくない
……だから
………だから
肉を切り分けなければいけない
そして切り分けた『食料』をそのバッグに放りこみ
影を伝いながら俺はヘリポートを後にした
- 112 :狂人の手記 第1節〜Cannibalism〜 ◆k3fZfnoU9U:2013/02/26(火) 01:26:21 ID:O4oLF2pk0
- 【鈴木月絵@Gu−L 死亡】
【一日目/朝/F−3 ヘリポート】
【神林亜深@カノウセイ】
[状態]狂人、極度の疑心暗鬼、思考力低下
[装備] アーミーナイフ@現実
[所持品]鈴木月絵のデイバッグ(基本支給品)、切り分けた人肉
[思考・行動]
基本:誰も信じるもんか!
1:殺れる前に殺る
2:俺が狂ってる?そんなわけ無いだろ!
[備考]
※疑心暗鬼END(誠死亡)からの参戦です
※殺し合いのルールを把握していません
※参加者全員が自分を殺しに来る怪物だと思い込んでいます
※地図や名簿は確認していません、というより確認する発想には至りません
※切り分けた人肉の量は後続の書き手にお任せします
※神林亜深のデイバッグ(基本支給品 ランダム支給品(1〜3))がヘリポートに落ちています
- 113 : ◆k3fZfnoU9U:2013/02/26(火) 01:27:01 ID:O4oLF2pk0
- 投下完了です
指摘があればお願いします
- 114 : ◆FreeEP00/U:2013/02/26(火) 20:07:17 ID:XwDnKn.E0
- 投下乙です!
亜深さんこれは……本格的な狂人に。
内容については矛盾などは無いので問題ないかと。
- 115 : ◆FreeEP00/U:2013/03/03(日) 10:06:10 ID:VmI1vWZo0
- ある程度余裕ができたので再び、ちょっと予約を変えますが。
ヨハン=ジューダス、風浪永久@カノウセイを書き手枠で予約します。
- 116 : ◆FreeEP00/U:2013/03/09(土) 10:57:20 ID:REKoqp6o0
- 予約延長しておきますー
- 117 : ◆FreeEP00/U:2013/03/12(火) 20:08:03 ID:4wPSCbEA0
- 再び間に合わず申し訳ないです。
予約破棄します。
- 118 : ◆FreeEP00/U:2013/03/14(木) 21:48:34 ID:V9BSYM2.0
- 12話(+ 7) 45/47 (- 1) 95.8 (- 2.1)
月報用のものを貼っておきます。
- 119 : ◆k3fZfnoU9U:2013/04/01(月) 01:22:13 ID:b2FrqWxQ0
- 突然ですが書き手枠2つで
ピューマ@Red Release、たけし@青鬼を投下します
- 120 :マナーモードは大切です ◆k3fZfnoU9U:2013/04/01(月) 01:24:16 ID:b2FrqWxQ0
- 「殺し合いなんて怖いよ……」
大きな大きな城の中、虎人の子供、ピューマは一人寂しくトボトボと歩いていた
「確かあの時兄ちゃんに竜巻のカードで吹き飛ばされて…気づいたら真っ暗なところにいて……見たこともない種族の人がきて……」
彼はこれまでの記憶を辿る
世界中を吸血鬼にしようとしていた彼の兄サイリスを説得するために、コゥルやその仲間たちと共にアクヴァ高山に向かったものの彼の意思は強く聞き入れてもらえなかった。
それどころか力を取り戻してしまった竜巻のカードの力により仲間は別々の方向に吹き飛ばされてしまった
そして気がつけば金色の毛を頭から生やしているがそれ以外は毛が生えていない女がいた
彼に取って未知ともいえるその種族の女は殺し合いをしろと言ってきた
そして見知らぬ獣人が目の前で殺された
勢いよく噴き上げる血は、いかに吸血鬼である彼であっても脅えさせるには十分だっただろう
そして気がついたらこのお城のような建物にいたのだ
「でも、ここにいたところで襲われる可能性があるんだよね、確かこの中に食べ物とかが入ってるって……」
そう言いながらピューマはデイバッグを開け中身を確認する
入っていたのは小型の機械、食料であろうパンや水、そして見知らぬ道具が3つ
そのうちの一つを手に取りよく見る
「これ……武器なのかな?……あまり使いたくないし、しまっとこ」
そう呟くとそれを再びバッグにしまう
そして再び歩き出そうとする彼の耳に妙な音が入ってくる
「え?何の音?」
それは彼のすぐ目の前の部屋の中から聞こえてくる
「な、何?」
彼は正体不明の音に脅えながらも部屋の中をのぞく
それは城の主に使える従者や兵士が待機場所であろう普通の部屋だった
そしてその中にあるタンスの中からその音は聞こえていた
「なんか、怖い……」
正体不明の音にピューマの恐怖心は上がっていく
このまま逃げたい
そう思ったが逃げ出すことが出来ない
それどころかその物音がするタンスの方へと自ら向かっている
そして気がつけば目の前にタンスがある
未だに物音は鳴りやまない
「これ、開けるしかないのかな……?」
ピューマは思い悩む
タンスを開けるべきなのだろうかと……
開けた途端襲われてしまうのではないのかと
しかし、ここまで来たからには開けるしかない
覚悟を決めたピューマはタンスの取っ手に手をかけ……
勢い良く開けると同時に襲われないように頭に手を当てしゃがみこむ
- 121 :マナーモードは大切です ◆k3fZfnoU9U:2013/04/01(月) 01:24:50 ID:b2FrqWxQ0
- ……
………
…………
「……………え?」
何も起こらない
いや、さっきよりも音が大きくなっている
顔をあげ恐る恐るタンスの中を見ると……
ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ
ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ
ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ
ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ
ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ
中で金色の毛を頭から生やした男が体操座りで震えていた
(えっと……、これは話しかけるべきなのかな?)
それは先程まで恐怖心を抱いていたピューマでさえ呆れされる光景だった
【一日目/朝/A−5・城内】
【ピューマ@Red Release】
[状態]健康
[装備]なし
[所持品]基本支給品、ランダム支給品(3、確認済み、一つは武器、Red Release出典の物はなし)
[思考・行動]
基本:殺し合いには乗らない
1:コゥルや兄ちゃんがいれば合流したい
2:タンスの中にいる人、怖い
[備考]
※竜巻のカード吹き飛ばされた直後からの参戦です
※最低でも見せしめはコゥル、アレックス、ヒーグ、レイオン、サイリス、エイハンではありません
【たけし@青鬼】
[状態]マナーモード
[装備] なし
[所持品]基本支給品、ランダム支給品(1〜3)
[思考・行動]
基本:ガタガタガタガタガタガタガタガタガ(ry
1:ガタガタガタガタガタガタガタガタガ(ry
[備考]
※『追加作品枠はもうないのでは?』とか『ゲリラ投下は禁止では?』とか思った方は今日の日付を確認しましょう
- 122 : ◆k3fZfnoU9U:2013/04/01(月) 01:25:46 ID:b2FrqWxQ0
- 投下完了です
そして大事なことなのでもう一度
『今日の日付を確認しましょう』
- 123 : ◆FreeEP00/U:2013/04/01(月) 12:32:31 ID:WDlc3YWA0
- 投下乙です!
たけしはマナーモードのまま地味に最終戦らへんまで生きてなんか放置されそうですね!
カイン=ガリアン、マツヤマ@寄生ジョーカー、エルジン@D.、加納清二@カノウセイ、ぴよらっと@絶対的人狼、チェルシー@絶対的人狼 を予約します
- 124 :え?間に合ってない?こまけぇこたぁいいんだよ! ◆FreeEP00/U:2013/04/01(月) 12:33:59 ID:WDlc3YWA0
- 最終話 希望を胸に すべてを終わらせる時…! フリゲロワ第13話は、投下未定です。 ◆FreeEP00/U
カイン「チクショオオオオ!くらえサイアーク!黒の衝動!」
マツヤマ「さあ来いカインンン!オレは実は一回攻撃されただけで死ぬぞオオ!」
(ズドーン)
マツヤマ「グアアアア!こ このザ・バーローと呼ばれる四天王のマツヤマが…こんな小僧に…バ…バカなアアアアアア」
(ズドドドドド)
マツヤマ「グアアアア」
エルジン「マツヤマがやられたようだな…」
加納清二「フフフ…奴は四天王の中でも最弱…」
ぴよらっと「人間ごときに負けるとは四天王の面汚しよ…」
カイン「くらええええ!」
(ズサ)
3人「グアアアアアアア」
カイン「やった…ついに四天王を倒したぞ…これでチェルシーのいる主催本拠地の扉が開かれる!!」
チェルシー「よく来ましたね復讐者カイン…待っていました…」
(ギイイイイイイ)
カイン「こ…ここが主催本拠地だったのか…!感じる…チェルシーの気配を…」
チェルシー「カイン…戦う前に一つ言っておくことがあります 貴方は私のこの幻想を倒すのに『銀の弾丸』が必要だと思っているようですけど…別になくても倒せます」
カイン「な 何だって!?」
チェルシー「そして見せしめだった貴方の恋人はなんか2度殺すのもしのびなかったので生き返らせて最寄りの町へ解放しておきました あとは私を倒すだけですよフフフ…」
(ゴゴゴゴ)
カイン「フ…上等だ…オレも一つ言っておくことがある このオレに生き別れた娘のような存在がいるような気がしていたが別にそんなことはなかったぜ!」
チェルシー「そうですか」
カイン「ウオオオいくぞオオオ!」
チェルシー「さあ来なさいカイン!」
カインの厨二力が世界を救うと信じて…! ご愛読ありがとうございました!
- 125 : ◆FreeEP00/U:2013/04/01(月) 12:35:31 ID:WDlc3YWA0
- 投下終了です。
四月馬鹿は午前中までなんですが、間に合わなかったですね。
投下しておいてなんですが破棄します、当然ですね。
この努力を何故普段のSS書く方に回さなかったのかが不思議でならなかった。
- 126 :名無しさん:2013/04/20(土) 18:11:02 ID:AP7ddbVc0
- おもしろいな
- 127 :名無しさん:2013/04/26(金) 23:49:32 ID:1PUatokE0
- 書いてみたいけどまだネタが浮かばないので現在地まとめ
【一日目/OP/???】
アビス
【一日目/深夜】
【B-6 廃墟】
アベル(D.主人公)、クリシュナ
【G-5・草原】
勇者、デイ・バッグ
【一日目/朝】
【B-2・路上】
大志
【B-3・森】
かみこ、七瀬隆也、メアリー
【B-3・森】
水野誠、サラ
【C-6・山麗】
風見隼人、サラス
【D-1・神社】
綿原加奈、ギャリー
【D-3】
シュラー、神崎栄次
【E-7・美術館】
イヴ、さゆり
- 128 :名無しさん:2013/04/26(金) 23:52:18 ID:KLxZrgOo0
- 【E-2・病院周辺】
冴子
【F-2・病院3F個室内】
みゆき、松山(死亡)
【F-3・ヘリポート】
神林亜深、鈴木月絵(死亡)
【G-7】
弘司
【G-7・スーパー】
わかな
たぶんまだ未出の人達
4/7【寄生ジョーカー】
○藤堂晴香○水瀬優○柏木翔子○国府千尋
4/6【D.】
○セス=ケイオス○ニケ=ニィ○ローゼン=クランツ○キリエ・フューラー
5/5【E.】
○カイン=ガリアン○エキドナ=エニアック○ヨハン=ジューダス○ベロニカ=ナンバーナイン○ミハエル=マクベイ
2/5【Gu-l】
○赤橋圭介○隆
1/4【絶対的人狼】
○ユヴネ
5/10【書き手枠】
残り枠:5
消化済み:〇勇者〇みゆき〇クリシュナ〇サラス〇シュラー
- 129 : ◆FreeEP00/U:2013/07/08(月) 22:20:49 ID:Jb9z9LfQ0
- 再びヨハン=ジューダス、風浪永久@カノウセイ で予約します。
多分、これで投下できてもできなくても、来年2月あたりまで投下できないことが確定するので。
- 130 : ◆FreeEP00/U:2013/07/15(月) 12:06:26 ID:TCP6GGxs0
- それでは、投下します。
- 131 :裏切りの朝焼け ◆FreeEP00/U:2013/07/15(月) 12:06:53 ID:TCP6GGxs0
- 「――――少なくとも、殺し合いに先ほどまでの状況……正気の沙汰じゃないな。
それに、アイツまでもが殺されるたぁ……許すわけにはいかねぇよなぁ、チェルシー」
あのチェルシーとか言った女は俺に対し言った。
殺し合いをして、優勝しろと。
そしてその起爆剤だと言わんばかりに、物部まで目の前で殺して。
「だが……あんなことをして警察がただで見過ごすとは思えない……きっと殺し合いが終わった後だろうが、警察は気付く。
そうすれば、逮捕は免れない……それどころが死刑になるだろう。 それもで、あの女がここまでする原因はなんだ……?」
少なくとも、名簿を見た限りでは知った名前はなかった。
外国人の名前から日本人まで勢ぞろいと言った感じだ。
中には名前しか載っていない参加者もいる。
色々おかしさは残るが、少なくとも自分との関係者はいなさそうだ。
物部あたりがいれば何か分かったかもしれないが、アイツはいない。
いや、自分のように名簿に載っていないだけかもしれない。
俺のように、名簿に載っていなく参加している人間は他にもいるはずだ。
「しかし、本当に謎だらけな殺し合いだ……あの事件と似通ったところがあるな」
加納清二のあの殺人事件……信じられないようなことだったが、少なくとも自分はアレを見ている。
この世の常識をすべてぶち壊すような、そんな事件だった。
目的が見えないという点では、あの事件より謎が深いだろう。
「とりあえず……この殺し合いを打破することが先だ……警察がすぐに気づけるとは思えない。
だったならば、俺が少しでもこの殺し合いを潰すために動かなければな」
「――――少しよろしいでしょうか?」
動き出そうとした瞬間、後ろから声が聞こえる。
「……誰だ?」
「ああ、申し訳ありません……。 驚かすつもりはなかったのですが」
「そんな事はいい……お前は誰だと聞いている」
「ヨハン=ジューダス……と申します、少し聞きたいことがありましてね」
「――――ああ、何だ。 悪い話でなければ聞いてやろう、俺は風浪永久と言う」
その男は、ヨハン=ジューダスと言うらしい。
どう見ても外国人だが……日本語を知っているのか?
人のよさそうで、まさに博識って感じの雰囲気を醸し出しているが……。
「いきなりで不躾とは思いますが……カイン=ガリアン、という人に会いませんでしたか?」
「いや、会ったのはアンタが最初だよ」
「そうですか……それは良かった」
「――――何故だ?」
そう聞くと、男は深刻そうな顔をする。
すると先ほどとは違った、憎しみのようなものがこもった声で話し始めた。
「彼は、大事な人が殺され……殺人鬼と化したのです。 私の家族も、殺されてしまったのです」
「…………」
「だからこそ言わせてほしい……彼は危険だと、そしてこの殺し合いでも人を殺して回るでしょう。
気をつけてください、彼は無害な人間を装い近づいて、油断したころに殺してきます。
油断をしないように、お願いします」
「なるほどな……まぁ、問題ないさ。 アンタに心配されるほど軟じゃねえ」
「――――それでは、その言葉を信頼させてもらいます。 僕は引き続き彼を探したいと思います。
ああ、それと……ミハエル=マクベイという人間も注意しておいた方がいいですね。
彼もカインを止めようとする人間ではありますが、少々手荒が過ぎましてね。
下手をすると、こっちまで殺そうとしてきます……では、お気をつけてカザナミさん」
- 132 :裏切りの朝焼け ◆FreeEP00/U:2013/07/15(月) 12:07:07 ID:TCP6GGxs0
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そう言うと、ヨハンと名乗った男は消えて行った。
「……なんだ、あの男は」
そして、いなくなったと同時に感じた気持ち悪さ。
あの時の――――加納誠二が殺されたあの瞬間の時に酷似していた。
忘れていた、いや……『忘れようとしていた』あの感覚を思い出させられた。
あくまでそれは勘である、といえばそれまでなのだが、この殺し合いと言う状況だ。
あのヨハンと言う男が危険人物である可能性も十分ある。
だが、彼が言っていた『カイン=ガリアン』という男についても考える必要がある。
少なくとも現状は危険人物と見るべきだろうが……あの男の情報が正しいとは限らない。
「……まぁいい、現状整理すべきはこの殺し合いについてだ。
誰が参加しているのか、警察の関連者がいるかどうかだな……」
そう思いながら、デイバックに入っていた端末を起動する。
そして名簿を開き見ていくとともに、風浪に違和感が生まれるのだった。
「俺の名前が、無い?」
彼の名前が、その端末にかかれていなかったのだった。
【一日目/朝/G−4】
【風浪永久@カノウセイ】
[状態]肉体的には健康、精神的疲労(小)
[装備]なし
[所持品]基本支給品、ランダム支給品(1〜3)
[思考・行動]
基本:チェルシーを逮捕する
1:名簿に俺の名前が……無い?
2:味方になってくれるような人物を探す
※見せしめは物部和洋@カノウセイでした。
「く、くく……ははははははははははは! 罪深きヒト同士での殺し合い、なんということでしょう。
なんて醜く滑稽なのでしょうね……フフフ」
ヨハン=ジューダス……いや、ヨアヒム=エイブラハムは嗤う。
この殺し合いの状況、それは彼にとって最高の舞台だった。
イヴ=マリアを地上へ戻し、愚かな人類を殺す。
元々、自分はカインに殺され、志半ばで死んだはずだった。
だが、今自分はここに生きているのだ。
これも何かの因果か、ヨハンは再び自分の志を目指すことにしたのだ。
そのためにまず邪魔の存在、カイン=ガリアンを抹殺する。
だが、抹殺すると言ってもそれがまず自分だけでは不可能というのはわかっている。
だからこそ、この殺し合いの場を利用するのだ。
カイン=ガリアンの悪評を広め、カインの敵を増やし、少しづつだろうがカインを死に追いやる。
先ほどの男のように、人間を騙すことなど容易いのだから。
「さぁ……もう少しだ、もう少しで達成される――――1度潰えかけた計画が。
僕なりの『E計画』が…………!」
【一日目/朝/G−4】
【ヨハン=ジューダス@E.】
[状態]健康
[装備]なし
[所持品]基本支給品、ランダム支給品(1〜3)
[思考・行動]
基本:愚かな人類を皆殺しにする
1:そのためにまず、邪魔者を消す
2:カイン=ガリアンやミハエル=マクベイの悪評を流す
※見せしめは不明ですが、いなかった可能性もあります(少なくともイヴ=マリアなど彼にとって重要な人物ではありません)
- 133 : ◆FreeEP00/U:2013/07/15(月) 12:07:22 ID:TCP6GGxs0
- 投下終了です。
- 135 :名無しさん:2013/10/06(日) 12:41:45 ID:kdPEfy3Y0
- てす
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