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白蛇ロワイアル

1 : ◆Il3y9e1bmo :2020/05/09(土) 22:43:56 cOxPcr5w0

――持っているものはさらに与えられて豊かになる。
持っていないものは持っているものまでも取り上げられる。

【当企画について】
・スタンド能力をジョジョに登場する以外のキャラが得、バトロワをしたら……という企画です。
・コンペ形式で参加者を募集します。
・初心者から経験者まで誰でも歓迎します。

【コンペについて】
・コンペ対象作品は締め切りまでに投稿完了された作品となります。
・締め切り期日は募集開始から2ヶ月後を想定していますが、投稿数の増減により多少変動します。
・期日の2週間前までには本スレの方で発表します。
・採用キャラは企画主が選考させていただきます。
・いわゆる、候補話内の『ズガン』については不可とします。
・候補話内での登場スタンドの被りはありです。

【基本ルール】
・全員で殺し合いをしてもらい、最後まで生き残った一人が勝者となる。
・生き残った一人だけが、元の世界へ帰ることができ、また主催者権限の範囲内で願望が成就。
・ゲームに参加するプレイヤー間でのやりとりに反則はない。
・ゲーム開始時、プレイヤーはスタート地点からテレポートさせられMAP上にバラバラに配置される。
・プレイヤー全員が死亡した場合、ゲームオーバー(勝者なし)となる。
・結界が貼ってあり、会場からの脱出は不可。

【スタート時の持ち物】
・参加者があらかじめ所有していた武器、装備品、所持品は全て没収(ただし義手など体と一体化している武器、装置はその限りではない)。
・武器にならない衣服、帽子は持ち込みを許される。
・ゲーム開始直前に参加者は開催側から以下の物を「デイパック」に入れられ支給される。
「地図」「コンパス」「照明器具」「筆記用具」「水と食料」「名簿」「時計」

「デイパック」→他の荷物を運ぶための小さいリュック。
「地図」→ 大まかな地形の記された地図。禁止エリアを判別するための境界線と座標がひかれている。
「コンパス」→ 安っぽい普通のコンパス。東西南北がわかる。
「筆記用具」→ 普通の鉛筆と紙。A4用紙10枚。
「水と食料」→ 通常の飲料と食料。量数は通常の成人男性で二〜三日分。
「名簿」→全プレイヤーの名前が載っている。顔写真はなし。
「時計」→ 普通の時計。開催者側が指定する時刻はこの時計で確認する。

【スタンド】
・参加者は一人につき一つスタンド能力をDISCを挿入される形で与えられている。
・スタンドの使い方は支給品内のメモに大まかな概要だけ記されている。
・与えられたスタンド能力に必要なものがあれば、それも一緒に支給される(セックス・ピストルズの銃、サーフィスの人形など)。

【放送について】
・放送は六時間ごとに行われる。
・放送毎に、過去六時間の死者の名前、残り人数、次に増える禁止エリアが発表される。
・禁止エリアの増加割合は放送毎に1つ。

【「首輪」と禁止エリアについて】
・このロワに首輪はない。代わりに主催者権限により、脳そのものを爆発できる。
・どのような存在であろうと、爆発されると死亡する。
・爆発すればどのような能力でも修復不可能。
・脳の爆発以外の要因で死亡した場合、以降爆発することはない。誘爆もなし。
・主催者は能力によりプレイヤーの位置を把握可能。ただし会話内容などは把握できない。
・爆発するのは、以下の条件の時である。
●放送で指定した禁止エリア内に、プレイヤーが入った場合(進入後10分経過で爆発)
●24時間で、一人も死者が出なかった場合(全員のものが一斉に爆発)
●参加者が、主催者にとって不利益な行動をとろうとした場合

【制限について】
・全ての参加者はダメージを受け、状況により死亡する(不死の参加者はいない)。
・スタンドは体力・精神力を消費する。
・その他各能力の制限は各自常識の範囲内で。問題があった場合は随時議論を行う。
・全ての登場人物が日本語で思考し、会話し、読み書きすることができる。

まとめwiki:
ttps://wikiwiki.jp/snake_rowa/


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"
2 : ◆Il3y9e1bmo :2020/05/09(土) 22:45:02 cOxPcr5w0
【スタンド能力について】
・オリジナルのスタンドを登場させるのは不可とします。
・ノベライズ版などからの出典であればOKです。
・能力が強すぎるスタンドや射程が広すぎるスタンドは何かしらの制限を付けてください。
・スタンドは一人につき一体でお願いします(セックス・ピストルズなどの特殊なスタンドを除く)。

【参加者の条件】
・ジョジョ以外のアニメや漫画、ゲーム、小説などからであれば構いません。
・スタンドではない、別の異能力を持ったキャラでもOKです。
・現存の人物を参加させるのは不可とします。

【キャラクターテンプレート(候補話)】
【名前】
【出典】
【性別】
【能力・技能】

【スタンド】
【破壊力:/スピード:/射程距離:/持続力:/精密動作性:/成長性:】
【能力詳細】

【備考】

【キャラクターテンプレート(本編)】
【座標/時間(日数、未明・早朝・午前など)】
【名前@出典】
[状態]:体調、精神状態、怪我など
[装備]:手に持っていたりすぐに使える状態の物
[道具]:基本支給品、不明支給品など
[スタンド]:所持しているスタンド
[思考・状況]基本行動方針:ロワ内での基本的指針
1:
2:
3:
現在の状況での行動・思考の優先順位
[備考]参戦時期、その他、SS内でのアイテム放置、崩壊など

【予約期間】
・予約期間は1週間。報告無しでそれ以上経過すると予約は解除されます。
・予約期間中に書ききれない場合はさらにもう1週間の延長が可能です。

【時間表記】
未明(0〜4)
早朝(4〜8)
午前(8〜12)
午後(12〜16)
夕方(16〜20)
夜中(20〜24)

【開始時刻】
・開始時刻は夜中(20〜24)の24時からです。

【MAP内の施設】
・参加作品を決めてから施設を設置する形式にします。
・採用した候補話に既に施設が登場していた場合は、矛盾が出ないようにこちらで調整します。


3 : ◆Il3y9e1bmo :2020/05/09(土) 22:45:28 cOxPcr5w0
続いて、OPを投下します。


4 : ヘビの為に鐘は鳴る ◆Il3y9e1bmo :2020/05/09(土) 22:46:51 cOxPcr5w0
夢を見ている。
とても"奇妙"な夢だ。

暗い大部屋に椅子が四十三個、円状に並べられている。
明かりといえば、一本の蝋燭が部屋の中央に備えられたテーブルの上で心許なげに揺らめいているだけだ。

椅子は四十三個もあるのに、座っているのはたった一人。

浅黒い肌をした男だ。
聖職者のような出で立ちをしたその男は、椅子に深く腰掛け、目を閉じている。

――すると、男は急に立ち上がり、自分以外誰もいない部屋で、演説でも振るうように身振り手振りを交えながら話し始めた。

「やあ、お目覚めかね。――目覚めているといいが。わたしの名前は『エンリコ・プッチ』。
 いま、記憶DISCを通して君たちに話しかけている」

エンリコ・プッチと名乗ったその男は、部屋の中央へと歩を進める。

「今回、君たちに集まってもらったのは、ある"儀式"を行いたいと思ったからだ。
 なに、儀式と言っても複雑な手順や工程を踏むようなものじゃあない」

プッチはテーブルの上に置かれた蝋燭を取り上げ、自身の顔へ近づけた。

「これから行う儀式(ゲーム)では、君たちに殺し合いを行ってもらいたい。
 ルールは単純。今から最後の一人になるまで戦って、生き残った一人の願いを何でもひとつだけ叶えよう。
 おっと、もちろん元のいた世界へと帰した上で、だ」

プッチの銀の短髪に入れられた剃り込みを、炎が舐めるように照らす。

「ただ今回選出した中で、わたしの儀式に協力的ではない存在が何人かいるだろうということも承知している。……悲しいことだが。
 そこで、円滑に殺し合いが進むように、三つほど禁則事項を設けさせてさせてもらった。一度しか言わないからよく覚えておくように。
 ひとつ、会場内に設けた『禁止エリア』に侵入し、十分以上滞在した場合。
 ひとつ、ゲームが開始してから、連続二十四時間で一人も死亡者が出なかった場合。
 そして最後だが、わたしに逆らったとみなす行為があった場合。
 これらの禁則事項を破った場合には――ん?」

すると、それまでアルカイックスマイルを浮かべていたプッチが突然目を見開いた。

「ちょっと待てよ。参加者をきっかり四十三人集めたと思ったが、わたしを除くと四十二人じゃあないかッ!
 これじゃあ『素数』にならないッ! 全然美しくないぞッ!」

徐々にプッチの息が荒くなり始める。
肩で息をし、いかにも苦しそうだ。

――しかし。

「フフフ、失敬。少々取り乱してしまった。そう、何の話をしていたんだっけか……。
 禁則事項を破った場合の処置についてだったな。『こう』なる」

気を取り直したプッチが並んだ椅子の内の一つに手をかざすと、それは着火剤でも塗ってあったかのように、突如として黒煙をあげて燃え始めた。

「君たちに挿入するつもりの記憶DISCに編集を加えて、いま、その女がどうなったのかを見せてあげよう」

急に視界が暗転する。

先ほどとは違う、明るく狭い部屋に少女がいる。
椅子に座っているが、眠らされているのかピクリとも動こうとはしない。

すると、その少女の頭が、たとえるならば子供が休日に家の前で鳴らす爆竹のような音を立てて、爆ぜた。

血飛沫が舞い、肉片が飛び散る。
手足がビクンビクンと痙攣し、神経伝達の行き場を失った脊髄からは脳漿が漏れ出している。

再び暗転。

「どうだろう。理解してもらえただろうか。先ほど述べた禁則事項を破ると、事前に挿入したDISCによって君たちの頭は粉々になり、死亡する。これに例外はない。
 これで参加人数が素数ではないという問題も解消でき、さらに君たちの心に禁則事項を破ることの恐ろしさを刻み込めたことだろう。
 また、六時間ごとに死亡人数と生存人数、死亡者の名前を発表する放送を会場全体にかけることにする。
 禁止エリアもその時に増やしていくから聞き漏らさないことをおすすめする。
 そして、これが説明の最後になるが――」

また件の大部屋へと戻り、プッチの語りが耳に入ってくる。

「君たちには支給品として地図、水と食料などの他に、そばにあらわれ立つもの――"スタンド"を支給した。
 スタンドとは、精神的エネルギーを具現化したものだ。戦闘に扱いやすいものから扱いにくいものまでランダムに支給したからぜひ役立てて欲しい。
 それでは、健闘を祈る」

プッチがそう締めくくると、眠りへと落ちるように、あるいは眠りから覚めるように、意識はどろりと溶けていった。

【残り 41/41】


5 : ヘビの為に鐘は鳴る ◆Il3y9e1bmo :2020/05/09(土) 22:48:25 cOxPcr5w0
OPの投下を終了します。
コンペは今から開始とします。


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6 : ◆Il3y9e1bmo :2020/05/09(土) 22:51:53 cOxPcr5w0
続いて一作投下させていただきます。


7 : "3つ"の願い ◆Il3y9e1bmo :2020/05/09(土) 22:53:02 cOxPcr5w0
「全く……。全くもって大変な事態になったガネ!!」

砂漠の中、大声で喚き散らしているのは奇妙な出で立ちの男だった。
その男ときたら、数字の「3」をあしらった髪型をしている上に囚人服を着ているのだ。

「四十一人で殺し合いなんぞしたら、"能力"を使えん今の私なんぞ真っ先に殺されてお終いだガネ!」

男は名を「ギャルディーノ」、または世を忍ぶ秘密犯罪組織バロックワークスのコードネームとしては「ミスター3」という。

こちらに転送されるまでのミスター3は先程も述べたように犯罪者であり、刑務所にいた。刑務所の犯罪者には手錠をかける必要がある。
そして更に言うと、ミスター3は悪魔の実「ドルドルの実」の能力者――全身から絞り出した蝋を自在に操る蝋燭人間である。
そのため、その能力によって脱獄しないように能力者の力を封じる『海楼石』の手錠を取り付けられている。
よってミスター3は現在、殺し合いに乗った参加者――いわゆるマーダーに遭遇しても、戦うことはおろか、走って逃げることすらままならない。

「うむむ、困った。デイパックには牢屋の鍵なんぞ入っとらんかったし、そうこうしている内に腹が減ってきたガネ……!」

ミスター3はその場にバタリと倒れ込んだ。どうやら手錠のせいで上手くデイパックを持ち上げたり、中を漁ったりすることができないみたいだ。

「パン……。柔らかいパンが食べたいガネ。もうインペルダウンの臭い飯はコリゴリだガネ……」

すると目の前にパンが現れた。

「ああ……。これ知っとるガネ。人が死ぬ前に見る幻だガネ。どーせ触れんし食べようとしても消えるだけだガネ――」

――と言いつつもミスター3は貧乏根性からパンの幻に手を近づけた。

「――って触れるガネ!!!!」

そう、パンは明らかに目の前に"存在"していた。
しかも、何十個も山積みになるように。

「うおおおおおおおおおおおお!! 神に感謝していただきます……!」

ぱくり、と口の中に入れたミスター3だったが、口に含むなりすぐに吐き出した。

「――って、土じゃないかネ!!!!
 誰がこんなところに紛らわしいものを置いたのカネ!!!!」

ペッペッとパン――もといパンの形をした土を吐き出しながら悪態をつくミスター3。

(((願いを叶えようか?)))

今度はミスター3の耳元で誰かのささやき声が聞こえ始めた。

「ああ、今度は幻聴だガネ。とうとう末期だガネ……」

(((願いを、叶えようか……?)))

「ああ、もううるさいガネ! 願いだかなんだかしらんがこの絶望的な状況をなんとかしろ!!」

「HAIL 2U!(君に幸あれ!)」

急にどこからともなくドーンという効果音が鳴り響き、地中から三本指のロボットのような姿をしたなんだかよく分からないものが姿を現した。

「ひ、ひ、ひ! 出たガネーっ! 握り潰されて殺されるガネーっ!!」

「オイオイオイ、アホなこと言わないでくれよ。今のあんたはおれの本体なんだからさ」

ロボット(?)はミスター3に対して手のひらを広げ、敵意がないことを示した。

「ほ、本体……?」

「そうッ! おれの名は『ジャッジメント』! 『敗者復活』を意味する審判の暗示を持つスタンドさ!」

ジャッジメントと名乗ったロボット型スタンドは、辺りを飛び回りながら説明を続ける。

「最初の説明でプッチのクソヤローも言ってただろ。スタンド! "そばにあらわれ立つもの"ッ!
 あんた、おれを引き当てたからには優勝してもらうぜ――ッ!」

「あ……。そういえばそんな感じのことを言っておったガネ!」

「そう、そしておれの『能力』は願いを土に投影して実体化させ、操るというものだ。
 さあ、願いを言ってみなッ!」

「それじゃあ、まずはこの海楼石の手錠を外して欲しいガネ……」


8 : "3つ"の願い ◆Il3y9e1bmo :2020/05/09(土) 22:53:32 cOxPcr5w0
「HAIL 2U!(君に幸あれ!)」

すると、待ってましたというかのように、ジャッジメントは鍵を懐から取り出し、ミスター3の目の前で振ってみせた。

「ほれッ! さっさと自由の身になりな!」

「うおっ! は、外れたガネ〜〜〜〜ッッ!!!!」

ミスター3は手錠が外れるなりデイパックの中を漁ると、中から水と食料を取り出して貪り始めた。

「もちろん、今のはおれが手錠の鍵を土から創り出しただけで、本物の鍵というわけではない。
 だが、時に偽物は本物を凌駕するのだ。特に心に闇を抱えているようなタイプの人間はなッ!」

「――姑息な大犯罪」

「ん?」

「私のモットーだガネ」

ミスター3は一息つくと急に語り始めた。

「フフフフフ……。ジャッジメントと言ったカネ?
 お前の心のスキに付け入る能力と、錠が外れることによって解禁されたこの私の『ドルドルの実』の能力はとても似ているガネ。
 私とお前、この二つが合わされば――勝てない敵なぞ恐らくはおらんガネ……!!」

「ほーお、頼もしいことを言ってくれるな!」

「そうと決まったらまずは作戦を練るガネ……! 残り四十人、どうやって落としてやろうカネ……!」

こうして、ミスター3とジャッジメントの知略に飛んだ、姑息で卑劣な作戦会議が始まった。

【名前】ミスター3(ギャルディーノ)
【出典】ONE PIECE
【性別】男性
【能力・技能】
『ドルドルの実』
全身から絞り出した蝋を自在に操ることができる蝋燭人間。
この蝋は液状の状態で無尽蔵に生み出され、本人の力量の範囲なら体積や質量をはるかに上回る量を一度に絞り出すこともできる。
絞り出された蝋は一度固まると鋼鉄に匹敵するほどの硬度となるが、高熱には弱く、あっさりと溶けてしまう。

【スタンド】ジャッジメント
【破壊力:B/スピード:B/射程距離:C/持続力:B/精密動作性:D/成長性:D】
【能力詳細】
三本指が特徴的なロボットのような外見をしたスタンド。
相手が心から願ったことを土に投影して実体化させ、操る能力を持つ。
実体化させた物体は非常に精巧で見分けがつかない。
物質・生物を問わず実体化でき、死人となった者を生き返ったように見せかけることもできる。

【備考】
支給品の内、食料と水は残り僅かです。
海楼石の手錠を所持しています。


9 : ◆Il3y9e1bmo :2020/05/09(土) 22:53:49 cOxPcr5w0
投下を終了します。


10 : ◆Il3y9e1bmo :2020/05/09(土) 23:20:10 cOxPcr5w0
投下します。


11 : 王には王の ◆Il3y9e1bmo :2020/05/09(土) 23:20:55 cOxPcr5w0
墨汁を垂らしたかのような漆黒の闇の中、今しがた殺し合いを強制されたことすら意に介さないかのように、悠然と歩く青年がいた。

「フハッ、何が殺し合いだ。こんな下らんことに、なぜこの偉大なる俺がわざわざ参加しなければならない?」

青年の名は「都城王土」。常人離れした『異常性(アブノーマル)』を持つ異能者集団である、箱庭学園十三組の中から更に選抜された『十三組の十三人』のボスである。
彼の異常性は『人心支配』。電磁波を発することで対象の駆動系に干渉し、意のままに操ることが出来る、というものだ。
そんな力を持ち、生まれながらの王者である都城王土にとっては、四十一人で一つの椅子を奪い合うこの殺し合いですら、大した問題だとは思えなかった。

「そも、何が"そばにあらわれ立つもの"だ。この偉大なる俺の傍らに付き従うのは行橋一人で十分なのだが。
 ――いや、王(おれ)にふさわしい美しい妻もいることに越したことはないか……?」

だが、言葉とは裏腹に、都城王土はデイパックを取り出して中を確認していた。

「ふむ、これは地図と名簿か。地形と名前は全て頭に入れた。偉大なる俺には必要ないな。
 次に、コンパスと時計。こんなものが何の役に立つのだ? 王(おれ)は王(おれ)に匹敵する大きな星々を見て方角と時間を確認しよう。
 次は……筆記用具か。フハッ、下らん。王(おれ)の言葉が通じぬ民がいるはずもなかろう。いらん。
 ――む。なんだ、これは?」

歩きながらデイパックの中身を躊躇なくポイポイと捨てていた都城だったが、ふと大切そうに封をされた一枚の紙片に目を留めた。

「『あなたのスタンド能力は――"エンペラー"です。銃のスタンド。引き金を引くと銃弾が飛んでいく』だと?
 フハッ、偉大なるこの俺を皇帝(エンペラー)になぞらえるとはいい度胸だ。褒めてつかわそう。
 だが、いらん。王(おれ)の求めているものはどこだ?」

都城は躊躇なくその紙片を捨てた。

「! あった。水と食料だ。これに関しては地形の広さから考えて、残りの四十人全員の攻略に数日を要するため必要だが……。
 節約しても持って三日間か。味に関しては偉大なるこの俺の舌に合うほど美味ではなそうだが、気にしてはいられんな」

どうやら都城が求めているものは水と食料だけだったようだ。

「三日あれば余裕だ。全員を圧政(ぼうりょく)にて屈服させ、あのプッチとかいう男をも跪かせて、偉大なる俺のみが王(おれ)らしく、悠々と箱庭学園へと帰還しよう」

都城は水と食料のみをデイパックにしまうと、再び歩き始めた。

【名前】都城王土
【出典】めだかボックス
【性別】男性
【能力・技能】
異常性『人心支配』
自らの体から電磁波を発することで対象の駆動系に干渉し、電磁波を感知できるものであれば操ることが可能。
人間だけでなく機械も操れる他、脳に干渉して洗脳することもできる。
さらには裏技として、『理不尽な重税』というものも存在する。
対象の心臓に直接手を突っ込み、電磁波の送信と相互干渉によって異常性の周波数を強制的に取り立てる。
なお、この技は異常性を持つものにのみ効果を発揮し、他の種類の異能を持つものには効かない。

【スタンド】エンペラー
【破壊力:B/スピード:B/射程距離:B/持続力:C/精密動作性:E/成長性:E】
【能力詳細】
リボルバー式の拳銃型をしたスタンド。
発現時は瞬時に本体の手の平にピストルが出現する。
出現した時の擬音は「メギャン」。
発射される弾丸もスタンドであるため、弾道を自在に操作出来るという能力を持つ。
リボルバーの弾倉のような意匠があるが弾切れはなく、リロードも必要ない。

【備考】
水と食料以外の支給品を全て捨てました。
自身のスタンド能力を把握していません。
【方針】
優勝を目指す。


12 : ◆Il3y9e1bmo :2020/05/09(土) 23:22:51 cOxPcr5w0
投下を終了します。
なお、キャラクターテンプレートに「方針」を追加しました。
こちらは以降の候補話投下でも使用していただけると幸いです。
既に投下しました、タイトル「”3つ”の願い」に関してはwikiに追記する形とさせていただきます。


13 : ◆ZbV3TMNKJw :2020/05/10(日) 00:23:22 EhzhRk9w0
スレ立て乙です
私も投下します


14 : ◆ZbV3TMNKJw :2020/05/10(日) 00:24:35 EhzhRk9w0

葛西善二郎は考える。

この世の全てはあの方の玩具だ。
知らない奴もいずれは知る。逃げ場なんてどこにもない。
そんな世界で長生きする秘訣はなんだ。
答えは簡単。玩具の歯車に徹することさ。

支配者を満足させ続け、ご機嫌をとり続けていればそれだけ永く生きられる。
小学校とかでもあるだろ?クラスを我が物顔で支配している奴に逆らえば居場所を無くし、逆に迎合し顔色を窺ってれば安全が保障される。
社会人だってそうだ。上司に媚び売って気に入られればそれなりに安全だし、歯向かえば潰される。
それと同じだ。
俺たち人間が長生きするには、健康だの武装だのよりも、尻尾を振って絶対的な強者のゴキゲンをとるのが賢い立ち回りさ。

故に、葛西善二郎は変わらない。
たとえ己に枷を嵌められようとも。謂れのない殺し合いを強要されようとも。
いまの葛西を支配する者が、奴(シックス)からあの神父に変わっただけだ。
とるべき行動はただ一つ。歯車に徹し、今まで通りに犯罪を犯すだけだ。

「それがだんな様の目標なのですね」

傍らに立つ緑の異形が、葛西に問いかける。
異形の名はヨーヨーマッ。彼が配られた自律型スタンドである。

「ああ。こんなモンで死ぬような趣味は無いんでね」
「かしこまりました。ではまずは武器をお探しになられますか?銃などであればスタンド使い相手でも有効ですが」
「いや、銃(ソイツ)は性に合わねえ。俺はコイツを遣う」

葛西は、袖の下に隠された小型の火炎放射器をチラ、と見せた。

「火炎放射器...確かに殺傷力はありますが、しかしそのサイズでは敵を即死させるのは難しいかと」
「火火火ッ、構いやしねえ。仕込みと小細工だけで最高に熱い犯罪(げいじゅつ)を生み出す。そうして葛西善二郎はギネスに乗るほどの犯罪者になったのさ」

葛西善二郎にとって犯罪とは人生であり美学である。
例え先天的な超能力に恵まれても。
後天的に己を強化する代物を手にすることが出来ても。
それらに頼らず、人間の限界を超えることなく、人間としての知恵と工夫のみで『怪物』よりも長く生きることに意義がある。
だから、彼に与えられたスタンドが己で操作する類のものでないのはある種幸運ではあった。
葛西が攻撃を許可しない限りは、ヨーヨーマッは芸術を生み出す為の協力者でしかないからだ。

「さあて、と。おじちゃんはいっちょ長生きしちゃうぞぉ」

葛西は嗤う。
『誰よりも長生きする』。そんな、ちっぽけで、ささやかで、冷めてて、大それた願いを胸に秘めて。


15 : ◆ZbV3TMNKJw :2020/05/10(日) 00:24:56 EhzhRk9w0


【名前】葛西善二郎
【出展】魔人探偵脳噛ネウロ
【性別】男
【特異能力】なし(あくまでも普通の人間であるため)。
[思考・状況]
基本:生き残る。
1:己の美学で参加者を排除していく。ヨーヨッマはあくまでも協力者。


【備考】
シックス率いる「新しい血族」の中でも選りすぐられた五人の腹心、「五本指」の一人。
全国的な指名手配犯であり、放火を主に脱獄も含めて前科1342犯のギネス級の犯罪者。
先祖代々、火を扱う者としての「定向進化」を受け継ぎ、その恩恵により火の全てを司ることができる...が、彼の美学は人間を越えないこと。
彼の手品のような炎の扱い方は、全て小細工と知恵、計算によるものであり、全ての「新しい血族」の中で、唯一「定向進化」に頼らず人間の犯罪者として在りつづけた。
また、葛西の目標は「人間としての知恵と工夫で、人間を超越したシックスよりも長生きすること」であり、「新しい血族」の中でも、唯一シックスに対する絶対な忠誠心を抱いていない。
そのため、自己中極まりないシックスに対して唯一意見ができ、且つシックス自身もそれを不快にも思わない、云わば友人(対等ではないにせよ)とも言える数少ない存在である。

重度のヘビースモーカーであり、一日に8箱ものタバコを消費する。

【技能】

・炎を操る
前述した通り、全ては知恵と工夫の結晶であり、何も無いところから火を放つことなどはできない。
そのため、火を起こす時にはマッチや火炎放射器を使用している。

・身体能力
他の「五本指」と違い、身体能力を飛躍的に上昇させる強化細胞を身体に埋め込んでいないため、純粋に生身の人間である。
しかし、高層ビルの壁をすいすいとよじ登る、強酸を仕込んだ銃弾を何発も受けても割りと余裕ある動きができるなど、かなり高い身体能力を有している。

・火にかけた親父ギャグのレパートリー:1000以上。


「ヒヒヒッ」→「火火火ッ」


【スタンド】ヨーヨーマッ
【破壊力 - C / スピード - D / 射程距離 - A / 持続力 - A / 精密動作性 - D / 成長性 - C】

【能力詳細】
自我を持ち、本体が操作出来ないかわりにどこまでも標的を追跡可能である自動操縦型のスタンド。自動操縦型なのでどんなにスタンドを攻撃しても本体にはダメージは無い。
周囲が気が付かないうちに何食わぬ顔で標的と一緒に居り、どこまでも標的に付いて回る。
体は一殴りで体が飛び散るほど脆いのだが、すぐに修復してしまう。故にスタンドそのものを破壊することは不可能。
召使いのように従順で、他人の名前には「様」を付けるなど、丁寧な口調でしゃべる。一見無害でスタンド紹介の欄にも『イジメやすいやつ』と記述されている。


16 : ◆ZbV3TMNKJw :2020/05/10(日) 00:25:56 EhzhRk9w0
投下終了です
タイトルは 人【にんげん】です。


17 : ◆Il3y9e1bmo :2020/05/10(日) 00:59:18 VZ7IGKNo0
早速の投下ありがとうございます!
私も一作投下します。


18 : 背中見られたら負け。 ◆Il3y9e1bmo :2020/05/10(日) 00:59:52 VZ7IGKNo0
このバトルロワイアルが始まったのは午前0時、つまり真夜中である。
視界が悪く、足元がおぼつかない。深夜特有のひんやりとした空気が慣れない環境での精神力を削っていく。
多くの参加者は苦労を強いられているだろう。

「――だが、少なくとも私は今が深夜で良かったと思っているよ」

そうひとりごちたのは筋骨隆々の大男だ。
前髪を角のように二本立てて金髪をオールバックにし、アメリカンヒーローのような全身スーツを身に纏っている。
――ヒーローのような? いや、彼はまさしくヒーローだった。

「こんな姿を、ファンのみんなに見せるわけには――――とうッ! いかないからね!」

彼の名はオールマイト。
存在そのものが犯罪の抑止力とされる"平和の象徴"だ。

今、彼は跳躍一つで数十メートルの距離を移動してみせた。
その異常ともいえる超パワーとどんな悪にも絶対に負けない強靭な精神力こそが、彼を彼たらしめているのだ。

しかし、彼は現在、一つの悩みを抱えていた。

「――戦おっ? ねっ? 戦って人殺そっ?」

「黙れ、敵(ヴィラン)。私は絶対に無辜の市民を傷つけることはしない!」

それは、彼の背中に取り憑いたスタンドに起因することなのだが――。

時は遡り数十分前。

林の中で目覚めたオールマイトは、自身に語りかける謎の声を聞いた。最初は幻聴の類かと思ったが、どうやら違うようだった。
そして、デイパックのメモに書かれていた『あなたのスタンド能力は――"チープ・トリック"です。取り憑いて話しかける。背後を見られると死ぬ』という文章。
オールマイトは、どうやら自分は『スタンド』というものに取り憑かれてしまったようだと断じた。

問題はメモの最後の『背後を見られると死ぬ』という部分だ。
オールマイトはこれから先、何があってもどんな状況になろうとも背中を見せるわけにはいかなくなってしまった。
自分が死ぬのは……ということもあるが、先程から『チープ・トリック』が自分に他人と会ったり戦ったりすることを仕向けている点から、恐らくは自分が死ぬと他者に乗り移るのだろう。
オールマイトにとって、それは何よりも許しがたいことだった。

(((私が死ぬのは……まあいい。だが、だが! 私のせいで市民の皆さんが不幸な目に遭うのだけは――絶対に阻止せねば!)))

参加者を暴力から守り、なおかつ自分の背中は見せない。それを両立させるためにオールマイトが出した苦渋の決断は――。

――それは、常にブリッジ体勢で行動することだった。

オールマイトほどの筋力があれば、常にブリッジを維持することは容易い。そして、維持するのが容易いのであれば、そのまま行動しても問題ないだろう。
恐ろしいまでに単純明快な思考と、それを可能にする肉体があるからこそできることだった。

「くッ、しかしもうすぐ五十が来るオジサンには意外と辛いな……!」

自嘲的なセリフを吐き、森林地帯を駆けるオールマイト。
もうすぐ森を抜けようという時、彼は妙なことに気づいた。

「ムムッ、狼が集まってきている……?」

気がつくと周囲には無数の狼がオールマイトを囲むようにうろついていた。

「……もしや『チープ・トリック』、お前が呼んだのか?」


19 : 背中見られたら負け。 ◆Il3y9e1bmo :2020/05/10(日) 01:00:10 VZ7IGKNo0
「しっ、知らないよっ? ねっ? だから戦おっ?」

「なるほど。ある程度以上の大きさがある生物に背中を見られても『アウト』ということか。なかなかハードモードになって来たじゃないか!」

「戦おっ? ねっ?」

「いいや! 戦わないね! こんな体勢になったって私はヒーロー! これくらいの危機なら何度も乗り越えて来たさ!」

オールマイトの全身の筋肉が膨張する。
それを見た狼たちが僅かに後退し始めた。

「Plus Ultra!!」

オールマイトが全身からボウッ、と熱気を吐き出す。

「Nevada SMASH!!」

ブリッジをしたまま超高速で地面へ両足を叩きつけ、衝撃波を発生させた。
獲物に食らいつけるタイミングを計り、舌なめずりをしていた狼たちは、その衝撃で全員気絶してしまった。

「さあもうちょっとだ! この殺し合いに参加させられたみんな! もう大丈夫! 何故って――」

オールマイトはブリッジ体勢のままポージングを決める。

「私が来た!!」

英雄は、いつものように笑っていた。

【名前】オールマイト
【出典】僕のヒーローアカデミア
【性別】男性
【能力・技能】
個性『ワン・フォー・オール』
幾人もの努力による「力を蓄積する個性」と「個性を譲渡する個性」の二つが融合して誕生した個性。
性質としては『自らの肉体を強化する』というとてもシンプルな個性。

【スタンド】チープ・トリック
【破壊力:E/スピード:E/射程距離:E/持続力:A/精密動作性:E/成長性:E】
【能力詳細】
本体の背中におんぶする形で取り憑くスタンド。
スタンドのパワーは非常に弱いが、単純なパワーでは決して離れず、無理に引き離そうとすると本体の背中が裂けてしまう。
チープ・トリックに取り憑かれている状態で誰かに背中を見られた場合、その背中を見られた人物は生気を吸い取られて死ぬ。
そして、チープ・トリックはその背中を見た人物に新たに乗り移ってしまう。

【備考】
ブリッジ体勢で行動しています。
【方針】
殺し合いを止める。


20 : ◆Il3y9e1bmo :2020/05/10(日) 01:00:25 VZ7IGKNo0
投下を終了します。


21 : ◆A3H952TnBk :2020/05/10(日) 02:35:20 zFTiXrGw0
投下乙です。
自分も投下させていただきます。


22 : ◆A3H952TnBk :2020/05/10(日) 02:37:54 zFTiXrGw0



「『社会的な価値観』がある
 そして『男の価値』がある
 昔は一致していたが、その2つは現代では必ずしも一致してない
 『男』と『社会』はかなりズレた価値観になっている
 だが『真の勝利への道』には『男の価値』が必要だ
 おまえにもそれがもう見える筈だ
 『光輝く道』を……」

「オレはそれを祈っている
 そして感謝する」


―――孤高/狂気に殉じた、一人の男





寂れた廃倉庫の内部。
ひとつの影が動く。

一振り。
二振り。
三振り。

繰り返される運動。
反復されるスイング。
両手で握り締められた鉄パイプが、何度も振るわれる。
敵が目前に迫っている訳ではない。
振りかざされた棒状の鉄塊は、ただ虚空を切るだけだ。

四振り。
五振り。
六振り。

入念に、執拗に。
自身の身を守る『武器』の手触りを確かめ続ける。
幼さの残る顔立ちとは裏腹に、眼差しを荒ませながら。
儀式(ゲーム)の名の下に始まった殺し合い。
そんな異常事態を前にしても、『正義の心』は動じない。
寧ろ―――怒りで頭が冷えて、冴え渡るような、そんな感覚さえ迸っていた。

頼れるものは、未知の能力と、この棒切れ。
付け焼き刃もいいところだ。
それでも、試し振りを無心に続ける。
戦うために、必要なことだからだ。
心強い『仲間達』は、ここにはいない。
だから、自分がやらなくてはならない。

ふぅ、と少年は一息をついた。
鉄パイプを握る手を下ろし、片手に持ち替える。
大体の使い勝手は掴んだ。
この殺し合いに嬉々として乗るような悪が現れたとしても、少しは戦える筈だろう。
あとは『スタンド』というものが、どういった性質を持つかにもよる。

他にどのような能力があるのか。
どういった種類に分かれるのか。
限界や制約は何処まであるのか。

今までの彼ならば、きっと『繰り返して』『検証』を重ねていただろう。
あの池に飛び込み、朝七時からやり直し。
攻略法を見つけるまで、何度でも、何度でも、何度でも、何度でも、何度でも、何度でも、何度でも、何度でも、『死に続ける』。
それが彼の能力であり、彼の信念の根幹だった。

だが、ここにあの池はない。
否、それどころか―――また繰り返せば、もう身体が持たない。
肉体の果てしないリセットに対し、『その記憶』を引き継ぐ脳の負荷が追い付かなくなる。
その矛盾は彼の命を削り続けた。
これ以上自分の能力を使えば、間違いなく死ぬ。
避けられぬ宣告を下された彼はとある情報を元に、仲間と共にネパールにいる『完全治癒の能力者』を訪ねる筈だった。
その矢先に、この儀式に巻き込まれた。

自分の身体は、あとどれだけ持ってくれるか。
彼が胸に抱いた疑問。
その答えは、その肉体のみが知る。
既に余命は残り少ない。
『死んで繰り返す』能力を使わずとも、いつ限界が来るかは分からない。

それでも。
やらなくてはならないことは、ある。
ここにきてしまった自分には、使命がある。


23 : ◆A3H952TnBk :2020/05/10(日) 02:40:40 zFTiXrGw0



『君たちに挿入するつもりの記憶DISCに編集を加えて、いま、その女がどうなったのかを見せてあげよう』


脳裏に木霊する、あの神父の声。
その直後に焼き付けられた記憶。

爆ぜた。
少女の頭が、容易く吹き飛んだ。
まるで風船が割れるかのように。
呆気なく、簡単に。

辺りを赤く汚す鮮血。
さっきまでは人間の身体だった筈の肉片。
こんなにも気軽に、人が死んだ。
余りにも無慈悲に、侮辱するように、命が踏みにじられた。

『どうだろう。理解してもらえただろうか。先ほど述べた禁則事項を破ると、事前に挿入したDISCによって君たちの頭は粉々になり、死亡する。これに例外はない』

あの聖職者は、悠々とそう語っていた。
――――何を語っているんだ?
――――何が『理解してもらえただろうか』だって?
お前は今、何をしたのかを理解しているか。

『これで参加人数が素数ではないという問題も解消でき、さらに君たちの心に禁則事項を破ることの恐ろしさを刻み込めたことだろう』

あの神父は、のうのうと説明を続けていた。
――――素数が、なんだって?
――――恐ろしさが、なんだって?
――――お前は、お前は。お前は!
最後に記憶していたのは、溶け落ちるように意識が眠っていく瞬間。
混濁する意思の中でも、『怒り』だけは鮮明に染み付いていた。





腕を、振りかぶった。
そして、握っていた鉄パイプを投げた。
それなりの広さを持つ倉庫内の床を、棒切れが跳ねるように転がっていく。
そんな様子を見つめて、少年は息を吸った。



「―――――『マンダム』」



時が、巻き戻る。
きっかりと、6秒だけ。
投げた筈の鉄パイプが、再びその手に握られていた。
「鉄パイプを投擲する」―――時間を逆行し、その事実は「無かったこと」になった。
即席の武器を馴染ませ、自らに与えられた能力も制御した少年は、呼吸を整える。

これは、あの神父に与えられた能力(スタンド)。
虫酸が走るような思いはある。
だが、それでも、使えるものは何でも使う。
利用できるものはすべて利用する。
死んで戻り続け、困難を乗り越えるための手段を何度も模索したように。

マンダム。
彼の能力(オラクル)と同じ、時間を逆行する。
死に戻りに比べれば、その効力は遥かに劣る。
その日の午前七時に必ず戻る逆行と、6秒しか戻れない逆行。
差は歴然、しかし彼は構わなかった。
むしろ、この方が都合が良い。
何時間も巻き戻すというなら、肉体の負荷は相当のものになる。
正義を成す前に、この命が尽きてしまうかもしれない。

    ・・・・・・・・・
だけど、これはたった6秒だ。
つまり、まだ身体は耐えられる。
何度繰り返しても、戦い続けられる。
ならば、幾らでも使ってやる。
この能力で得られる6秒で、道を切り開く。
少年の胸に宿る意志に、炎が灯った。


24 : ◆A3H952TnBk :2020/05/10(日) 02:41:46 zFTiXrGw0

このゲームに巻き込まれる前に、彼は気付きを得ていた。
『世界はまだボクを必要としているんだ』。
それは狂信とも、妄執とも取れる、一つの悟り。
世界から目を背け、幼馴染みを救うために殻を破り、そしてヒーローであり続けることを決意した少年の果て。


「神様の教えを尊ぶ神父が、悪を敷くというのなら――」


例えこの命が削られようとも、構わなかった。
氷頭栄治。アナ・エガートン。
二人の仲間(ともだち)に思いを馳せた。
彼らがいたからこそ、ヒーローとして戦い続けられた。
その恩は、友情は、掛け替えのないものだった。
ごめんね、二人とも。少年は心の中で謝罪する。
此処で命を落とせば、彼らを置いてけぼりにすることになる。
それでも、足を止めることはできなかった。


「――例え神様に背こうと、僕は正義を成す」


最後まで、正しい人生を歩むことを決意したから。
少年―――葛代 斎下(くずしろ サイケ)は、孤高/狂気に殉じるヒーローだった。

【名前】葛代 斎下(くずしろ サイケ)
【出典】サイケまたしても
【性別】男性
[思考・状況]
基本:ヒーローとして戦う。
1:エンリコ・プッチを倒す。
2:正しい人と弱者を助け、悪は挫く。

【能力】
『時間逆行』
サイケの思い出の場所「モグラ池」で溺死することで「その日の午前七時」に逆行することができる。
正確にはどんな場所でも溺死さえすれば発動するが、ロワ参戦時点ではそのことに気付いていない。
ロワ内では制限が課せられている。

【技能】
『正義の心』
弱きを助け、悪を挫く。
正義を貫くためなら、何度でも溺死して「やり直す」。
それを実行できる彼の精神性はもはや超人の域に達している。

【スタンド】マンダム
【破壊力:なし/スピード:A/射程距離:なし/持続力:E/精密動作性:なし/成長性:C 】
【能力詳細】
時を6秒だけ巻き戻す。
その間に起きた出来事は「無かったこと」になるが、巻き戻す前の記憶は残る。
リンゴォ・ロードアゲインは腕時計の針を動かすことを精神的なスイッチとしたが、サイケは妄執的な「正義の心」を燃料に能力を発動させる。

【備考】
現地回収した鉄パイプを装備しています。
参戦時期は7巻 TAKE53でのネパール行き前の回想直後です。


25 : ◆A3H952TnBk :2020/05/10(日) 02:44:48 zFTiXrGw0
投下終了です。
タイトルは『大草原の小さな正義』でお願いします。


26 : ◆A2923OYYmQ :2020/05/10(日) 13:31:41 YbBTPc.A0
投下します


27 : ◆A2923OYYmQ :2020/05/10(日) 13:32:20 YbBTPc.A0
「なんでも願いを叶えてやる………か」

灯りの無い夜の学舎に、右の頬を押さえ、フラフラと歩く男の影が一つ。
適当な教室の扉を開け、椅子に座り込むと、男は今の状況を整理する。

────ここは何処だ?

────あれからどれくらい経った?

全く見当がつかない。非常に厄介な事に、このまま時間が推移すれば、折角築き上げた『王国』を自破壊した意味がなくなってしまう。
男は小さく舌打ちした。

何もわからず、状況は刻一刻と悪化していく
────。たが、やる事はハッキリしている。

「殺し合いをさせるために人を集め、そして俺を選ぶ」

それは、つまり、奴は俺について知っているという事。
俺が『殺人』という行為に忌避感など持たず、手慣れてすらいるという事を知っているという事。

「少なくとも、一人は追加だな」

夢で見たあの神父。奴だけは殺しておかないと。
俺の本質を知られた以上、必ず殺しておく必要がある。

「しかし、なんでも願いを叶えてやる………か。王国の再生でも願おうか」

折角築き上げた『王国』だ。彩る花達と共に復活させられるならそれも良い。

「まあ…不可能だったとしても、この便利な能力は貰っておこう。死体を隠すのに悩む必要がなくなる」


さて、これから先、何人殺す事になるか知らないが、こんな素敵な能力をくれたあの男は、見事、一番最後に死ぬ権利を与えてやろう。
男は改めて、スタンド能力について記されたメモを読み始めた。


28 : ◆A2923OYYmQ :2020/05/10(日) 13:33:00 YbBTPc.A0
【名前】蓮見聖司【出典】悪の教典【性別】男【能力・技能】
高い運動能力を持ち、格闘技も修めている。
アメリカで習得した英語を操り、教師としての能力も高い。
サイコパスであり、他者への共感能力が存在しないが、経験と努力に加え、高い知能により、他者の感情や思考を読み取る事に長けている。
この性質を活かし、高校教師として、自らを頂点とする制度を自分の担当するクラスで築こうとしていた。
邪魔になる人間を手段を選ばず、時には殺人すら行なって排除してきたが。
文化祭前夜に突発的に殺人を行う羽目になり、犯行の隠匿の為に校舎にいた人間すべてを皆殺しにする。

【参戦時期】皆殺しを完遂してから、警察来るのを待ってる間

【備考】殴られたために右頬が大きく腫れています

【方針】
正体を隠して立ち回り、利用できる奴は利用する
邪魔な奴や正体に気づいた奴は殺す
プッチは絶対に殺す



スタンドパラメータ
 破壊力:A
 スピード:B
 射程距離:D
 持続力:B
 精密動作性:B
 成長性:A
能力:触れたものを爆弾に変える


* 爆弾のタイプ
吉良の任意のスイッチ操作で爆発させる「点火型」と、何かに触れると自動で爆発する「接触型」の2種。
点火型の場合、キラークイーンの人差し指の第一関節にあるスイッチを押すことで点火させられ、
スイッチ以外の要因では(爆弾にしたものに)何をしようと爆発することはない。
また、周囲に空気がない場合は、どちらのタイプの爆弾も、例え点火条件を満たしたとしても爆発しない。

* 爆発する対象
「爆弾に変えられたもの自身」が爆発するタイプと、「爆弾になっているものに触れたもの」が爆発するタイプがある。
後者の場合、爆弾にされたもの自身は爆発後も残る。

* 爆発の規模・威力
身体に小さな穴を開ける程度の小規模な爆発から、人間一人を完全に消滅させるほどの大規模まで自由に調整できる。
スタンド故にある程度の指向性もあるのか、大規模な爆発を起こしても爆破対象以外には一切の被害を及ぼさないようにすることも可能。
また、爆炎も爆風も起こさず、静かに対象を爆発させることも可能
爆発の規模はそのまま、威力だけを抑えるという調整も(おそらく)できるようだ。


※制限としてシアーハートアタック及びバイツァ・ダストは使用できない。


29 : ◆A2923OYYmQ :2020/05/10(日) 13:34:47 YbBTPc.A0
投下終了です

タイトルは 【殺人者】でお願いします


30 : ◆Il3y9e1bmo :2020/05/10(日) 14:03:45 VZ7IGKNo0
皆さん投下ありがとうございます。
本当に励みになっています。
それでは私も一作投下させていただきます。


31 : 戦う風紀委員の恋する爆弾 ◆Il3y9e1bmo :2020/05/10(日) 14:04:55 VZ7IGKNo0
「困りましたわ……」

ボロボロに朽ちた廃工場。
赤錆の臭いが鼻をつくその場所で、明らかに場にそぐわない女子中学生が一人、思案にくれていた。

普段の窮屈な学生生活に嫌気がさして、火遊びでもしていたのだろうか。

いや、違う。

彼女は今まさに殺し合いに参加させられ、これからの行動をどうすべきかと悩んでいたのだ。

女子中学生の名前は、白井黒子。
超能力の開発を行っている学園都市の中でも屈指のお嬢様学校、常盤台中学の一年生である。

黒子自身も、もちろん超能力を保持している。彼女の能力は『空間移動(テレポート)』。
名前の通り、自身もしくは自分に触れた物体を、空間の離れた場所へと移送する超能力である。

「本当に困りましたわ……」

ちなみに、先程から彼女は五十回ほど同じ言葉を繰り返している。
それほどまでにこの『殺し合い』という異常な環境は彼女の心を悩ませていたのだ。

「この……私の……なんというんでしたっけ? そう、『スタンド』も脱出に役立つとは思えませんし……」

黒子は支給品に入っていた地図を再び眺める。
そこに描かれていたのは、見事なまでの絶海の孤島だった。

もちろん、地図に嘘が書かれている可能性もある。
だが、黒子はその地図に嘘を書く意味をあまり見いだせなかった。

「……とりあえず、全ては明るくなってから、ですわね」

黒子は足元に落ちていた何かの歯車を取り上げ、手元で弄ぶ。

「夜も遅いようですし、少し仮眠をとりましょうか。こんな時、近くにお姉様がいてくれたら……。
 いや、いけませんわ。黒子、ないものねだりをしてはダメ。それに――――ッ!?」

すると突然、工場二階の鉄骨上を何者かが這うような音がした。

「――そこに誰かいますの? 私は殺し合いには乗っていません。もしあなたもそうなら協力しませんこと?」

返事はない。

「出てこないなら、こちらからいきます――わっ!」

ヒュンという空間を切り裂くような音とともに、歯車が黒子の手元から鉄骨まで移動し、小爆発を起こした。
黒子の手元には手榴弾のピンのようなものが。

触れたものに時限爆弾のピンを取り付け、それが抜けた際に起爆させる。
これが黒子の手に入れたスタンド能力『ボクのリズムを聴いてくれ』だった。

「今のは警告ですわ。出てこないのなら、もっと大きな爆発をお見舞いします」

静寂。

「ふーん、なるほど。あくまでバレていないフリを続ける、と。
 それならばこちらとしてもあなたを警戒しなくてはなりません」

いきなり爆弾を送りつけておいて警戒もクソもないのだが、黒子はあくまで会話の主導権を握ることを意識する。
『風紀委員(ジャッジメント)』での活動で学んだ交渉術だ。

「こうなったら仕方ありませんわ――」

再び空間を切り裂くような音とともに黒子は一瞬にして工場の鉄骨の上に移動する。
もちろん戦闘態勢は崩さない。

「――――って、あれ……?」

鉄骨の上には誰もいない。
ただ、一匹のリスが気絶して、腹を上にしたままひっくり返っているだけだった。

「なるほど、大体理解しましたわ。私は鉄骨の上で走り回るリスを人間だと勘違いして一人でペラペラ話しかけた上に、爆弾で攻撃してしまった、と」

黒子は再び『空間移動』を使って、無言で階下へと移動した。

「――っか〜〜! 恥ずかしいですわっ!」

頭をかかえて悶える黒子。

「っていうか、一人はもう嫌ですわ! うわーん、お姉様ぁ〜〜〜〜!!」

少女の心の底からの呻き声が廃工場にこだました。


32 : 戦う風紀委員の恋する爆弾 ◆Il3y9e1bmo :2020/05/10(日) 14:05:17 VZ7IGKNo0
【名前】白井黒子
【出典】とある科学の超電磁砲
【性別】女性
【能力・技能】
『空間移動(テレポート)』
自身もしくは自分に触れた物体を、空間の離れた場所へと移送する超能力。
一度に飛ばせるのは距離にして最大81.5m、質量にして130.7kgまで。
自身を連続で転移させる際には1秒ほどのタイムラグが発生する。

【スタンド】ボクのリズムを聴いてくれ
【破壊力:B/スピード:C/射程距離:C/持続力:B/精密動作性:E/成長性:C】
【能力詳細】
触れたものに一定の時間で抜ける手榴弾の「ピン」を取り付け、爆発させる能力。
ピンは手などで押さえつけていれば外れない。また、抜けても爆発する前に差し戻せば爆発しない。
固体だけでなく、水やタバコの煙のような流体物も爆弾に変えることが可能。
スタンドヴィジョンは頭の両側に目覚まし時計のベルをくっつけてボロ布をまとったカラスのような姿。

【備考】
少々錯乱しています。

【方針】
殺し合いを止め、脱出したい。
他に協力できる人がいれば協力する。


33 : ◆Il3y9e1bmo :2020/05/10(日) 14:05:30 VZ7IGKNo0
投下を終了します。


34 : 暴君 ◆A2923OYYmQ :2020/05/10(日) 14:50:30 YbBTPc.A0
とうかします


35 : 暴君 ◆A2923OYYmQ :2020/05/10(日) 14:50:53 YbBTPc.A0
響く足音。足音が響く度に周囲に伝わる震動は、足音の主のが持つ、規格外の力強さと重量を雄弁に物語る。
決して走っているわけでは無いにも関わらず、極僅かの間に接近し、遠く遠く離れていく足音は、主が人並外れた巨体であると知らしめる。
巨軀の主は求める。殺害すべき生命を、
巨軀の主は生命を捜す。植え付けられた命令(オーダー)に従って。
漆黒のコートを翻し、無機質な白い肌と、全く変わらぬ表情の為に、巨大な人型彫刻を思わせる巨軀の主は、
何の感情も篭らぬ目線を巡らせながら進軍する。
そう、進軍。ただの一個体でありながらも、歩兵の一個中隊程度ならばら容易く殲滅出来ると確信させるその威容。その力強さ。
 
その正体は生体兵器。東欧の小国で製造された、恐るべき暴力を秘めたB.O.W。

その名はタイラント(暴君)。恐怖と暴力の化身である。


36 : 暴君 ◆A2923OYYmQ :2020/05/10(日) 14:51:44 YbBTPc.A0
【名前】タイラント【出典】バイオハザードダムネーション【性別】男
【装備】耐爆コート(無いとスーパー化する為)【能力・技能】

東スラヴ共和国の大統領スベトラーナ・ベリコバが秘蔵する、量産型タイラント。外見はT-103型に酷似しているが、明確な生物兵器として開発され擬態する必要性がなくなったためか、身長は1m近く大きくなっており、黒いコートを身に纏っている。アンブレラ社製のT-103と比べ、知能が大幅に強化されており、プラーガにより人間にコントロールされ統率の取れた行動が出来るリッカーの集団を単独で壊滅させるほどの戦闘力を有する。劇中では肩に「008」「013」「016」と記された3体が登場し、いずれの個体もスベトラーナの命令通りに行動しており、凄まじい走行力で対象を執拗に追跡する。
スーパータイラント(東スラヴ共和国仕様)
リミッターである黒いコートがなくなり、リミッターを解除され、スーパー化を遂げたタイラント。約4.3メートルもの巨体を誇り、右手が肥大化した鋭い鉤爪を持つが、指の骨が尖鋭化・露出して常に掌を開いた状態になっていたT-103のスーパー化形態と違い、拳を握ってパンチを繰り出したり、人間を掴むことができる。また、心臓は完全に内蔵されて露出していない。戦闘力は向上しており、リッカーを一撃で薙ぎ払い、進行するBMP-3を正面から怪力で押さえ込む。また、スーパー化後も暴走せず命令に従い任務を続行できるほか、戦車砲の仕組みを即座に理解して発射前の時点で回避するなど、知能にも改良が見られる。

【備考】
プッチにより皆殺しをプログラムされています

【方針】皆殺し


スタンド能力

ノトーリアス・B・I・G
【破壊力 - A / スピード - ∞ / 射程距離 - ∞ / 持続力 - ∞ / 精密動作性 - E / 成長性 - A】

カルネのスタンド。
本体が死んだ後に真価を発揮する、変わり種の自動操縦型。生前にも像が出ていたが、その時はどのような能力だったのかは不明。
殺された恨みを糧に起動し、周囲のあらゆるエネルギーを食らってどんどん巨大化する。
本体は既に死んでいるので射程距離はなく、発現時間もほぼ永続的である。

周囲の最も速く動く物を探知し、それと同じスピードで以って無差別に襲う。
故に弾丸だろうと機銃だろうとどれだけ速い攻撃も意味をなさず、10000m上空を時速800kmで飛ぶ飛行機にすらも執拗に食らいついてくる凶悪さを誇る。

唯一の弱点は、自ら静止してる物にぶつかった場合はダメージを負うこと。
また、他の動いてるものに気を取られているうちにそれよりもゆっくりと、超スローで、しかし万力のような力を込めて攻撃した場合もダメージを与えられる。

ただしわずかでも一部が残っていればエネルギーを取り込んですぐに復活してしまうため、完全な殲滅は絶望的といえる、まさに怨霊がごときスタンドである。
もしも、完全な密閉空間に閉じ込めることができれば倒すことが可能かもしれないが・・・

【備考】
タイラントを殺害すると発動します


37 : 暴君 ◆A2923OYYmQ :2020/05/10(日) 14:52:17 YbBTPc.A0
投下を終了します


38 : 氷炎 ◆A2923OYYmQ :2020/05/10(日) 17:02:57 YbBTPc.A0
投下します


39 : 氷炎 ◆A2923OYYmQ :2020/05/10(日) 17:03:18 YbBTPc.A0
「チッ…地獄ってのは随分とシケてやがるな」

夜の森の中に、一人放り出された志々雄真実は、忌々しげに吐き捨てた。

「………………………………」

腕を組んで、空を睨め付けて考える。

時代が俺を選ばなかったのは、まあ別に構わない。
抜刀斎とは決着を着け損なったが、アレは俺の勝ちって事で構わねえだろう。

「で、何なんだ彼奴は?閻魔の野郎、俺に怖気付いたのか」

此処は一体何処なのか?炎と化して燃え尽きた俺の身体が、こうして在るのは何故か?

先程まで夢に見ていた男を思い出す。
胡乱な事を言っていやがったが、彼奴は閻魔の手下か?
ここに集められたとかいう奴等は、皆俺並みの極悪人で、鬼共も持て余したので、極悪人同士殺し合わせようって腹か?

「所詮この世は弱肉強食…まさか地獄も変わらねえとはな」

まあ、良い。
閻魔が何を考えて、こんな事をやらせるのかは知らないが………。

「彼奴が寄越したのは、俺にはお誂え向きだぜ」

無限刃が無いが、替わりに与えられた『モノ』は、俺には丁度良いシロモノだ。
コイツが有れば、体熱が高まり過ぎて死ぬなどということにはならないだろう。

「ご厚意に甘えて、全員喰わせて貰うぜ」

志々雄の身体から立ち昇る熱が、陽炎となって空気を揺らめかせた。

【名前】
志々雄真実【出典】
るろうに剣心
【性別】男

【装備】
無し
【能力・技能】
超人的な打たれ強さと怪力。剣士としての作中最強クラスの実力


スタンド
ホルス神


破壊力:B スピード:B 射程距離:D
持続力:C 精密動作性:E 成長性:C


冷気と氷を操るスタンド。
デザインは翼竜の化石のような姿をしており、6本の腕から冷気を発生させたり氷柱を生成・発射する。
名前の由来は古代エジプトにおける天空の神ホルス。


40 : 氷炎 ◆A2923OYYmQ :2020/05/10(日) 17:04:41 YbBTPc.A0
>>39
書き忘れていました
【備考】原作死亡後からの参戦
【方針】皆殺し

投下を終了します


41 : ◆Il3y9e1bmo :2020/05/10(日) 17:49:18 VZ7IGKNo0
投下します。


42 : 失楽園 ◆Il3y9e1bmo :2020/05/10(日) 17:49:52 VZ7IGKNo0
一面見渡す限りの草原に、一本の鉄塔が建っていた。
それは既に廃棄されたもののようで、送電線は繋がっておらず、あちこちが朽ちかけていた。

塔の頂上付近の骨組みに、一人の少女が座り込んでいた。
少女は物憂げな、それでいてこれから起きる事態に胸踊らせているような複雑な表情を浮かべていた。

小森霧。2のへ組、出席番号23番。
備考、引きこもり。

それが少女のプロフィールである。

彼女が得たスタンド能力は、『スーパーフライ』。
鉄塔に入ったものを中に閉じ込め、出られないようにするというスタンドだ。
もし無理に出ようとすれば、身体中が鉄と化し、そのまま鉄塔の一部になってしまう。

だが、それは元より引きこもり体質の彼女にとってはあまり問題だとは思えなかった。

頂上の地上38メートル部分にはアースが設置しており、霧が苦手な雷も避けれられる。

少々下がって地上30メートルにはソーラーシステム、貯水タンクがある。これでお湯も沸かせるしテレビも(たぶん)見れる。

中層の地上25メートル付近。ここが生活の拠点だろうか。 リビングルームのような場所と台所がある。
また、シャワー、水洗トイレも完備されているため、もし身体が汚れても洗い流せるようだ。

そして、地上0メートル。食用の野草・野菜・香辛料・薬草・キノコが栽培されている。
野草はツユクサ・ヤマウド・ヒメジョオン・オランダガラシなど。
この野草を食べにやってくる野ウサギなどを罠で捕まえて食べるようだ。

これだけの設備が揃っているのだ。
逆に何があるのか分からない外界にむざむざ出ようと考えるほうが愚かではないか。

では、霧の心を悩ませている問題とは何か。

「先生、交くん、みんな、元気かなあ……」

それは、こちらに来る前に置いてきてしまった(と思しき)恩師と学友のことだった。
超ネガティブ思考教師、糸色望およびその甥の糸色交。ひいては霧のクラスメイトたちのことが心配なのだ。

特に糸色望。彼はこの戦いに参加したら、あまりのネガティブ思考から絶望し、真っ先に崖から海へと身を投げてしまうだろう。

「困ったなあ。困ったなあ」

ふと、霧は目を地平線へと向けた。
朝日が微かにその光を見せている。まもなく夜が更けるようだ。

「とりあえず……。んん、お風呂でも入ろっかな……」

霧は貯水タンクの弁を開くとシャワールームへと降り、身体を温めることにした。

【名前】小森霧
【出典】さよなら絶望先生
【性別】女性
【能力・技能】
『引きこもり』
少なくとも高校1年生の頃から一年間は引きこもりを続けていたため、孤独に強い(と思われる)。

【スタンド】スーパーフライ
【破壊力:E/スピード:E/射程距離:なし/持続力:A/精密動作性:E/成長性:E】
【能力詳細】
廃棄された鉄塔に憑依したスタンド。鉄塔の中にいる一人を逃がさない能力を持つ。
無理矢理にでも脱出しようものならその人間は身体が鉄に覆われて、鉄塔の一部分にされてしまう。
また、鉄塔に対する攻撃エネルギーは全て反撃エネルギーとなって反射される。
鉄塔に与えた攻撃の位置・方向・力量がそっくりそのまま元の場所から反撃となって返ってくる。

【備考】
鉄塔の中にいます。

【方針】
引きこもって逃げ切る。
鉄塔のあるところが禁止エリアに指定されたら……どうしようね。


43 : ◆Il3y9e1bmo :2020/05/10(日) 17:50:07 VZ7IGKNo0
投下を終了します。


44 : ◆5A9Zb3fLQo :2020/05/10(日) 23:20:45 V6L/86kE0
投下します。


45 : 邪仙は静かに笑う ◆5A9Zb3fLQo :2020/05/10(日) 23:25:03 V6L/86kE0
 人の気配など存在しない殺風景な街の中に、女が一人立っていた。
 袖の膨らんだ青いワンピースと同じ系統の色をした髪を簪代わりの鑿(のみ)で留め、どのような原理かは不明だが宙に浮く半透明の羽衣を纏うという奇妙な出で立ちの女である。
 女の名は霍青蛾。幻想郷と呼ばれる異世界に住まう邪なる仙女だ。
 青蛾は知性と好奇を湛えた瞳で建築物の壁に向き合うと己の髪を留めていた鑿を引き抜き、先の尖った部分を壁に触れさせたかと思えばツウッと円を描く。
 瞬間、円を描かれた箇所が切り抜かれ丸い穴が空いた。
 木造の建築物であったとはいえ鑿の先端を当てた程度で傷つけられよう筈もないものが、表面をなぞられただけでまるでナイフを差し込まれたバターの様にいとも容易く切り抜かれたのである。
 だが、それで異常な光景は終わらない。

「エニグマ」

 艶のある唇から零れた呟きの同時に、その身から人型をした何かが出現する。
 幾何学な紋様が各所に見られるその人型が向かうのは切り抜かれた壁だ。素早い動作その両の腕が壁の一部分に突き出されたかと思えば、先ほどまで壁であった物が一枚の紙に変わっているではないか。
 自動的に折りたたまれた紙が意思を持つかの様にひらりと彼女の足元に舞い降りた。

「このスタンドとやらの能力は私の能力の対象になったものにも通用するのか。結果は通用するで間違いなさそうね。それじゃあ次は……」

 その言葉と共に翳した青蛾の手の先から燐光を放つ球状の塊が出現する。彼女の力を持って生成した、幻想郷の住人であれば『弾幕』と呼称するエネルギー弾の一端である。
 光弾を前方に向けて放つと同時に先程と同様に人型の腕が伸ばされればこれもまた同様に一枚の紙へと姿を変えて折りたたまれた。

「弾幕の様な実体を持たないエネルギーも紙にできる、と」

 そう呟きながら、喜色を強めた表情で折りたたまれた二枚の紙をつまみあげると、自分の方向へ向けない様に慎重に紙を広げていく。
 壁の一部分から変容した紙は広がった瞬間に切り抜かれた壁へと再び姿を変え、重力に従ってアスファルトの地面へと落下しゴトリと音を立てる。そして弾幕をから変容した紙は開くと同時に紙面を表に見た方向へと弾幕が放たれ霧散した。
 その結果に満足そうに頷きながら、青蛾は転がった元壁に腰をかけた。

「これなら壁は盾代わりに、弾幕は奇襲用に何個かストックしておいてもいいかもしれないわねぇ。荷物の収納や持ち運びにも便利だし、持って帰れないかしらこの能力」

 ここが殺し合いの場とは思えない暢気な口調で青蛾は自身に与えられたスタンド能力『エニグマ』を評価する。
 戦闘力は皆無に等しいが無機物、そして条件さえ満たせば生物ですら紙に封じ込めることの出来る恐るべき能力を持ったスタンドだ。

(こんな常識外れの異能を拉致した参加者に与えて殺し合わせる。趣味の悪い遊興というには手間もコストも大がかり。蟲毒の類似の様な儀式と考えた方がいいかしら)

 この会場に送り込まれ第一に自身に割り当てられた能力を確認した青蛾の思考はこの殺し合いについての考察へとシフトしていく。
 蟲毒、あらゆる毒を持つ生物を殺し合わせ生き残った物を神霊として祀り様々な効能を得るという彼女の故郷の国に古来よりまことしやかに伝わる呪術である。


46 : 邪仙は静かに笑う ◆5A9Zb3fLQo :2020/05/10(日) 23:26:06 V6L/86kE0
(助けは、どうでしょうね。太子様は問題にしてくれるでしょうけれども博麗大結界をどうやってか潜り抜けて私を拉致する様な手合いにあの賢者様が動くかは分からないし)

 青蛾の知る限りでは幻想郷にあの様な特異な力を使う神父も、それを要する勢力も存在しない。ならば、それは外の世界の住人である可能性は高いだろう。
 であるならば、かの神父は外の世界と幻想郷の行き来をほぼ不可能にしている博麗大結界の存在を無視、あるいは無効化して幻想郷に住まう青蛾を拉致してきたということになる。
 つまり、博麗大結界があるにも関わらず外の世界への行き来が可能である神々や大妖怪に等しい力を持っているという仮定が出てくるのだ。
 少なくとも、一朝一夕で助けがくるなどという楽観的観測は出来ないだろうと青蛾は結論づける。

(優勝した一人は元の世界に返し願いを叶えるなどという、あの男の言には信が置けるか。問答無用で人を攫うような悪党に約束を守る義理も理由もないし微妙なところね。かといって殺し合いに逆らおうとしたところで私にはこの枷を外す手立てがない)

 白魚の様に白く繊細な指が己の首に嵌まった武骨な首輪の縁をついっと撫で、溜息を一つ吐く。
 プッチ神父の言葉の信憑性が低いことは推察できたとしても、生殺与奪の権利を当人に握られている以上は従わざるをえないのが現状である。

(まあ、殺し合いに乗るにしても積極的な口減らしは熱心な人にやってもらって、私としてはこの首輪を外す手段を探さなければいけないわね。で、それが無理だと分かったら私の優勝を考える。できれば、あの神父を出し抜く策を準備したうえで)
「それなら一先ずは殺し合いに乗っていないという体で徒党を組むのが一番かしらね」

 思考をまとめ、結論を口に出す。
 第一に優先すべきは己の保身。口先で相手に取り入り丸め込むのは彼女にとって得意分野だ。
 極力恨まれず、極力怪しまれず、そうやってどちらに転んだとしても問題のない立ち位置を維持し続ける。そうやって美味しいあがりを掠め取れれば万々歳といったところだ。
 その為であれば人が死ぬことも、自身が誰かを殺めることにも頓着はない。その酷く利己的な性格が青蛾が邪仙たる由縁である。
 容のいい顔に薄く笑みを浮かべ、青蛾が腰かけていた壁の一部から立ち上がる。その笑顔の裏にはこの殺し合いには不釣り合いな好奇と期待の感情がありありと見て取れた。


47 : 邪仙は静かに笑う ◆5A9Zb3fLQo :2020/05/10(日) 23:26:33 V6L/86kE0
【名前】霍青蛾
【出典】東方Project
【性別】女性
【能力・技能】
・壁をすり抜けられる程度の能力
簪かわりにしている鑿を利用して壁を物理的に切り抜き穴をあける能力。開けた穴は僅かな時間で跡形もなく元に戻る。なお柔らかい壁に対してはこの能力は通用しない。
・仙術
錬丹による身体能力の強化、幻術、キョンシーの作成および操作

【スタンド】チープ・トリック
【破壊力:E/スピード:E/射程距離:C/持続力:A/精密動作性:C/成長性:C】
【能力詳細】
対象を紙にして封印する人型のスタンド。
物質は無条件で封印し、生物であればその生物特有の恐怖のサインを見抜くことで封印が出来る。
封印した紙は開くことで封印された中身を取り出すことが出来、破いた場合は封印された中身も破壊される。
スタンド自体の力は弱く、直接戦闘では人一人すら殺せないほど非力。

【備考】
弾幕や壁を何個かエニグマの能力で封印してストックしています。

【方針】
・保身第一、首輪を外したいので積極的に乗るつもりはないが、首輪解除が絶望的と判断した場合は優勝を目指す。


48 : ◆5A9Zb3fLQo :2020/05/10(日) 23:26:57 V6L/86kE0
投下を終了します。


49 : ◆EPyDv9DKJs :2020/05/10(日) 23:43:10 WqWMKrV60
投下します


50 : ◆EPyDv9DKJs :2020/05/10(日) 23:46:52 WqWMKrV60
「死んでも、血生臭い場所に連れてこられるんだな。」

 ナイトレイドが一人、ラバックは今の状況をすんなりと受け入れた。
 彼は殺し屋、それも暗殺が主とした組織の一人。これは因果応報で、
 悪人や敵とは言え、散々人を殺し続けてきた奴には、お似合いの末路だと。

(とは言え、願いなんて飴渡されてもな。)

 正直、彼の言う願いは信じていなかった。
 死者を生き返らせる帝具がない以上、すでに現実を見てきた。
 シェーレも、ブラートも、チェルシーも。誰も生き返らなかったし、
 当然自分が生き返った上で戻れるなんて、全く思ってなんかいない。
 なので、とても神父の言うことが信じられなかった。

(争わせる為の甘言、ってとこか。)

 加えて、神父曰く乗り気じゃないのは他にもいるらしい。
 最初こそ死後の国だから、儀式による償いをさせるつもりかと思ったが、
 そんな話は神父は一言もないし、償いであれば、その割に武器も用意して気前がいい。
 殺し合いを円滑にするためと言ってた以上、無理矢理参加させられた人もいるようだ。
 無関係な人間が巻き込まれてるなら、放っておくわけにもいかないだろう。
 味方と言う理由があったとはいえ、生前も名前も知らない女性を助ける彼が、
 その方向へ進むのは、ある意味必然とも言うべきか。

「相棒はねえけど、やるだけやるか。」

 アカメも、タツミも、ナイトレイドの皆もその道を選ぶだろう。
 無辜の民を犠牲にし続ける帝国のように、無関係な人間を巻き込む神父。
 どちらも同じだ。許すわけには行かない存在だ。

 自分を支え続けた帝具は自分の手にはない。
 死ぬ時も持ち合わせなかったのだから当然だ。
 幸いなことに、武器は向こうから支給してきてくれた。
 器用なお陰で、少しの操作で大分本質を理解もできている。
 とは言え立ち向かおうにも、生殺与奪の権利は向こうにあるし、
 自分だけでこの殺し合いを止めるには、少々荷が重すぎることだ。
 器用にこなせるとは言え、司令塔を担当することは基本なかった。
 やはり必要なのは協力者。それもブレインのような存在が必要だろう。
 巨悪に立ち向かった青年は、あの神父と対峙したスタンドを手に歩き出す。

 二人の囚人が鉄格子の窓から外を眺めたとさ。一人は泥を見た、一人は星を見た。
 ラバックが見るのは勿論星であり、垂らされた一本の糸をその手に掴む。

【名前】ラバック
【出典】アカメが斬る!
【性別】男
【能力・技能】
アカメが斬るの主人公サイド、殺し屋ナイトレイドの一人。主に索敵や足場など裏方担当
リーダーのナジェンダに一途な割には、女性にかなり弱い上にお調子者
ただし、あくまで身内だけ。色香に惑わされず任務を遂行する、冷徹さも持つ
持ち前の器用さで軍人にも成り上がったので、経験や能力は帝具抜きでも高い

千変万化クローステール
帝都の技術の結晶『帝具』の一つ。消耗品
簡潔に言えば糸だが、非情に強固な材質で作られてるので拘束は勿論、
罠、索敵、移足場、接合、防具、束ねて武器の形にするなど、
表向きで経営する貸本屋の漫画で得た知識で文字通りの千変万化
ただし、これは彼が生前使ってた道具であるため、現在は所持していない
正確にはクローステールで培った技術をスタンドに応用する形になる

【スタンド】ストーン・フリー
【破壊力:A/スピード:B/射程距離:E持続力:A/精密動作性:C/成長性:A】
【能力詳細】
糸で構成された人型のスタンド
手錠、防弾チョッキ、糸電話、縫う、分解して細い隙間に入れるなど器用
本体を糸状に変化させたり、他人も糸状に変化させることが可能
これを応用して、致命傷を自分の身体を糸状に分解して避けるなどの芸当も可能
ただし糸状に変化させる間は本体の肉体も物理的に消費していく(戻せば戻る)

【備考】
死亡後の参戦だが、アニメと原作で微妙に死亡の経緯が異なる
(どちらでも問題ないようにしてる)

【方針】
無関係な人間を助けつつ、脱出の手掛かりを探す


51 : ◆EPyDv9DKJs :2020/05/10(日) 23:47:23 WqWMKrV60
以上で『蜘蛛の糸』投下終了します


52 : ◆5A9Zb3fLQo :2020/05/11(月) 00:02:27 VVNiJgSo0
すいません。拙作ですがスタンド名はチープ・トリックではなくエニグマです。また青娥の名前を青蛾と誤字していました。


53 : ◆7WJp/yel/Y :2020/05/11(月) 00:13:06 y4gV9QQQ0
投下させていただきます


54 : 赤き墓標 ◆7WJp/yel/Y :2020/05/11(月) 00:14:34 y4gV9QQQ0

――――私は、滅びぬ。

初め訪れた変化は、『金』の変化だった。
男の人生にとっては友人とも下僕とも言えるその慣れ親しんだ物体は、徐々に見知らぬ他人へと変化していった。
そう。
ある日、ある時のこと。
ふと。
男はその手に握った『札束』に重さを感じたのだ。
何度となく握ってきた『それ』が、まるで別物になってしまったかのような変化だった。
一度変化が訪れれば、続々と新たな変化が押し寄せってきた。

箸に重みを感じるようになり、咀嚼の動きの顎に痛みを覚えるようになった。
背中に大きな違和感がついてまわるようになり、いつしか杖を握るようになった。

貴様に永遠などないと、お前にも終わりが訪れるのだと耳元で語りかける『それ』。
すなわち、『老い』だ。
『老い』という今までの人生には影も形もなかった何かが、少しずつ、少しずつ、男の人生に忍び寄ってきていた。

――――私は、滅びぬ。

だが、何よりも我慢が出来なかったのは、その変化ではなかった。
貴方が箸に重みを感じ、顎の動きに痛みを覚え、胃に食事を少量しか流し込めなくなった時に。
自分とは比べ物にもならないちっぽけな男が、快活に料理をかき込んでいく。
貴方が背中に違和感を覚え、杖を握り、息を切らして歩いている横を。
自分とは比べ物にもならない凡庸な女が、素知らぬ顔で胸を張り歩いていく。

――――私は、滅びぬ。

何故だというのだろうか。
男は、『太陽』であった。
あらゆる闇を吹き飛ばし、あらゆる光を飲み込む、強烈な『太陽』であった。
だが、その太陽もまた人生という一日において夕暮れを迎えた。
男は、太陽であったからこそ誰よりも高く輝く存在であった。
故に、誰かを羨むなどということを一度もしたことがなかった。
男はその夕暮れ時、すなわち老齢に至って初めて『嫉妬』という感情を覚えた。

――――私は、滅びぬ。

男が雨が振って関節が痛みながらベッドの上で身体を擦るその時も、あのちっぽけな男はなんでもないように傘を持って街を歩く。
男が好物の味の濃い料理を身体が受け付けなくなったことに気づいたその時も、あの凡庸な女は大して美味くもない料理を幸せそうに食べている。
男という真実を影から支配した男が生きられない世界を、何も知らない愚劣な若者たちは生きていく。

『才も智もない塵屑が、この俺よりも長く生きることなど許されて良いはずがない』

そんな事実、耐えられない。
男は、もはや終わりを待つだけの人生となっている。
若き頃に積み上げ続けた成功が、減っていくその過程を見続けることしか出来ない。

『俺が積み上げられない『成功』を、なぜこの愚鈍な人間が達成することが出来るのだ?』

そんな考えに行き着き、出るはずもない答えに苦しむ。
ただ今までに積み上げてきた成功が、これ以上新たに積み上がることはないという事実を男へと襲いかかる。

『なぜ、満ちない?
 なぜ、俺は死ぬ……?』

当然だ。
身体は衰え、頭脳の巡りも悪くなり、あらゆる成功を貪ってきた男に残された『成功』など存在しない。
なんのために、生まれてきたのか。
成功を積み上げるために生まれてきたのならば、なぜ、俺はこれ以上成功を積み上げることが出来ないのか。
なぜ、なぜ、なぜ。


55 : 赤き墓標 ◆7WJp/yel/Y :2020/05/11(月) 00:15:12 y4gV9QQQ0


――――くだらない『成功』しか積み上げれない奴らよりも先に、なぜ、偉大な『成功』を積み上げてきた俺が死んでしまうのだ?


王であった男は老境に居たり、『狂』った。
かつてこの国を振り回し、影から支配した王であった男は、『バケモノ』に堕ちた。
未来ある若者の未来を奪うことを喜ぶ、何も生むことのない人を食らうだけのバケモノとなったのだ。
若者が生み出したであろう可能性を、もはや死を待つだけの老人が食らう。
醜悪に老いさらばえた、しかし、圧倒的な『力』を持つバケモノがそこに居た。

「わしは、滅びぬ……」

男の――――鷲巣巌の唇から、ポツリと言葉が漏れる。
その傍に立つモノが一つ。
白い編み模様が走った真っ赤なタイツを身にまとった、真っ白な男。
襟首、肩、手、腰、脚にだけ白いアーマーを身に纏い、その妖しげな緑の瞳が光る厳しい顔の額に別の顔をつけた怪人。
ひと目でこの世のものではないと分かる存在。

『キング・クリムゾン』

鷲巣巌が手に入れた力。
今あるこの世界を吹き飛ばし、望む世界を手中に収める力。
不都合な現実を透き通し、平穏な未来へと跳ぶ力。

空の雲はちぎれ飛んだことにすら気づかず。
消えた炎は消えた瞬間を炎自身にすら認識できず。
ただ、人は変化を認識できずに、その結果を受け入れるしかない。
誰も知らぬ世界を手にし、望む世界へと導く、まさしく若き日の鷲巣が常として行っていた所業だ。


「滅びぬのだ……」


爛々と光るその目に、全てを焼き尽くすような活力というものは存在せず。
ただ、全てを飲み込むような怪しい光だけが宿っていた。


【名前】鷲巣巌
【出典】アカギ〜闇に降り立った天才〜
【性別】男性
【能力・技能】
・『強運』
若かりし頃は強靭な肉体と優れた知能を併せ持った揺るぎない意思を持つ『超人』であったが、それらは老化により失われている。
強靭な肉体は札束に重みを覚えるほどに衰え、優れた知能は老化により常人よりも優れている程度に巡りが悪くなっており、揺るぎない意思は癇癪持ちの老人へと姿を変えた。
その中で唯一、『神に愛された』としか表現の出来ない『強運』だけが残されている。
鷲巣巌という『王』とそれ以外の『平民』と『奴隷』を分ける、たった一つの絶対的な差である。


【スタンド】『キング・クリムゾン』
【破壊力:A/スピード:A/射程距離:E/持続力:E/精密動作性:?/成長性:?】
【能力詳細】
時を消し飛ばす能力と、十数秒先の未来を予測する能力を持つ人型のスタンド。
消し飛ばされた時間は本人以外はその間の動きを認識せず、記憶することが出来ない。
本人だけが消し飛ばした時間の中を理解し、行動できる。
未来予知で確認した不都合な未来を消し飛ばし、自分に都合の良い結果を手繰り寄せることが出来る能力である。

スタンド自体の力は強力であるが、射程距離と持続力に乏しいため確殺するためには接近する必要があることが唯一の弱点。


【方針】
・他者を喰らって、新たなる『成功』を積み重ねる。
 平たく言えば、殺し合いに優勝する。


56 : ◆7WJp/yel/Y :2020/05/11(月) 00:15:24 y4gV9QQQ0
投下終了です


57 : 英雄の弾 ◆dM45bKjPN2 :2020/05/11(月) 01:06:25 IzGvWHOA0
投下します。


58 : 英雄の弾 ◆dM45bKjPN2 :2020/05/11(月) 01:07:39 IzGvWHOA0
夜闇が支配する、小さな小さな廃病院の中。
 人の気配は無く。そも、かつてこの空間に誰かが住んでいたかどうか危ういほどの寂れよう。
 リノリウムで作られた空間は埃が舞い、床は何処からか運ばれた砂が撒かれている。不衛生極まりなく、廃病院という言葉がこれほど似合う地もあるまい。
 そして。割れたガラスから差し込む月光に照らされた男が、一人。
 色黒。ドレッドヘアー。サングラス。ただでさえ威圧感を与える身体に、それを更に大きく見せるジャケット。
 殺し合いの場でなくとも、通り道でばったり出会ってしまえばどんな強面でも道を開けてしまいそうなその男。
 少し考えれば、当たり前のことだった。
 殺し合い。異能力を与えられると言えど、結局は殺し合いなのだ。最後には力より『経験』がモノを言う。
 一度人を殺したことある人間と。
 一度も人を殺したことのない人間では、土壇場での『覚悟の差』が違う。
 そして、色黒の男がそのどちらに属する男かと聞かれれば答えるまでもない。
 リボルバー式の小型銃を掌の内で回しながら。馴れた手つきで銃弾の数を確認し、腰のホルダーへ戻す。
 幸い銃弾には困らないのか、男はもう一方の掌に多量の銃弾を乗せジャラジャラと鳴らしている。
 蓄え、そして綺麗に整えられた髭を指先でひっそりと撫でながら。

「混沌の中。物騒な世の中。泣きたくなる日もある」

 銃弾を華麗に宙へ投げ。舞う弾は紙吹雪のように。

「そんな時、どうしたらいいか知っているかい?
 そう───ヒーローを呼ぶんだ」

 片腕を地面に突き。カランコロンと、銃弾が地面を舞台に華麗なBGMを奏でる。
 まるで。この世の全てが、男の到来を待っていたかように。

「スピリッツ! ア〜〜〜〜〜ッ!!」

 両の腕を回すこと竜巻の如し。
 巻き込まれれば最後。この回転が竜巻ならば、結果は見えている。

「オーーールウェイッ! ウィズッ」

 ズドン、と何処からか音が鳴った。
 銃声でもない。爆発音でもない。ただ、確かに鳴ったのだ。
 理由など、分かりきっている。
 ───ヒーローの名乗りには、爆発が付き物だ。

「イィィユーーーーーーーッッッ!!!
 首を長ーくして待っていた視聴者の皆さん!
 あなたのドン・観音寺。マイ・ドン・観音寺! ちびっ子たちのみならず、おじさまおばさま国民の皆様のドン・観音寺がこの地に舞い降りまーしーたーよー!!」

 男は。
 お茶の間の、ヒーローであった。

「さあみんな! 怖い時はこう呼ぶんだ!
 悪になんて負けない! 『助けて! ドーン・オゴゥーー!」
『うるせェーんだよォーーッ!! 髭チギルゾッ!』
「や、やめたまえ! マイ・フェアリー!」
『だから妖精ジャネエツッテンダロー!?』
「………ドン・フェアリー…?」
『名前の問題じゃあネエんダヨォーー!』

 ちなみに。
 地に落ちた銃弾は、みんなで仲良く回収した。


59 : 英雄の弾 ◆dM45bKjPN2 :2020/05/11(月) 01:08:40 IzGvWHOA0
 ☆ ☆

 そうして、時は流れ。
 お茶の間のヒーロー、ドン・観音寺は冴え渡る頭脳により、単純明解な答えを導き出した。

 さて。これはドッキリだな? と。

 あり得ない話ではないのだ。ドン・観音寺と言えば一世を風靡し、彼の番組が始まる時刻となればテレビを持つご家庭は皆液晶の前に集まり、腕をクロスさせる特徴的なポーズを取りながら、ボハハハハハーッと高笑いしたものだ。
 そのドン・観音寺をドッキリに嵌める。なるほど、あり得ない話ではない。
 きっとこの収録が終わり、編集され映像がお茶の間に届けられる頃。
 衝撃的なオープニングと共に始まるショッキングな映像(要モザイク。作り物とはいえお茶の間には流せまい)。少年少女は、まさかあのドン・観音寺ですら殺し合いに乗ってしまうの…命欲しさに…と落胆し始めることであろう。
 それはそうだ。誰だって命は惜しい。ドン・観音寺ですらそう思う。
 つまりだ。この状態は───ドン・観音寺の勇気を試しているのではないか?

「そうッ! この私が悪霊を倒し、正義を知らしめるのだ!」

 そこでドン・観音寺は宣言するのだ。悪には屈しないと。
 ドッキリにすら完璧に対応してしまう。それがドン・観音寺なのである。
 
「ピストルなぞナンセンス! 私には観音寺弾…『キャノンボール』があるからねッ!」

 腰のホルダーに収めた、精巧に作られたモデルガン(実銃)を指差し叫ぶ観音寺。
 少し待てと制止する側へと回らずにはいられないマイ・フェアリー。

『ピストルズがピストル無しでどう戦エッテイウンダ』
「ノンノンノン…このドン・観音寺。マイ・フェアリーだけに戦いは任せないさ。
 何故なら…そうッ! 私はドーン・か」
『サッキ聞いたゼ』

 ドン・観音寺の周りをふよふよと浮かぶ、六体の妖精達。名は『セックス・ピストルズ』、そしてそれぞれ番号が振られているらしい。スタンド、という悪霊と認識している。
 しかしそれはマズい。あのドン・観音寺が生き物を番号で呼んでいる、などと噂を流されては困る。良い子たちの健全な成長に悪影響を与えてしまう。

『…ソレデヨー。アンタ、勝ち抜くつもりカヨー?』
「ンンンノウッ!! このドン・観音寺が…ドン・観音寺らしくッ!
 このイベントを止めようではないか!」

 何処にカメラが仕掛けられているかわからないので、少し大袈裟にポーズを決めるドン・観音寺。
 硬直はたっぷり数秒。お茶の間のヒーローは放送用にテロップを差し込む時間すら計算するものだ。
 ドッキリは有名人を驚かせ、そのVTRを眺めて楽しむもの。ならばあくまで自然体に、ドン・観音寺はいつもと同じようにドン・観音寺であり続けるのだ。
 すると。ふよふよと、呆れたようにマイ・フェアリーが観音寺の耳元へとやってくるではないか。

『モウ逃げようゼ、アンタの腕じゃ勝ち残れやしないッテ』
「……そうも行かないのだよ、フェアリー」

 ドン・観音寺の声が、少しだけ小さくなる。
 何処に隠されているかわからないマイクに聞こえないように。
 己の心にある恐怖がひょっこりと顔を出しているのを、抑えるように。
 ドン・観音寺は、かなり間の抜けた男ではあるが、これでも命の危機を何度も味わった男である。
 近寄っただけで物体が塵と化すような男。悪霊。それらとカーチェイスを繰り広げたこともある。
 だからこそ。この危険な空気が、ほんの少しだけ『本物』の気配を漂わせているということも、理解していた。
 そう、心の底でほんのちょっぴり、理解していた。
 故に、と言うべきか。だから、と言うべきか。

「子どもたちは───恐怖から逃げる者を『ヒーロー』とは呼ばんのだよ、マイ・フェアリー」

 これは。
 ただの中年霊能力者である男が───ヒーローであり続けるために、両の足で立ち向かうお話。


60 : 英雄の弾 ◆dM45bKjPN2 :2020/05/11(月) 01:09:14 IzGvWHOA0
【名前】ドン・観音寺(本名 観音寺 美幸雄)
【出典】BLEACH
【性別】男性
[思考・状況]
基本:このドッキリにおいて「ドン・観音寺」であり続ける。
1:マイ・フェアリーと共にお茶の間に勇気を。
2:ちょっと恐い。でもそれを表に出さないのがドン・観音寺なのであった。

【能力】
『霊能力者』
・霊が見え、喋れ、触れる。
 それだけなのだが、運転などの技能は高め。

【技能】
『観音寺弾』
・読みは「キャノンボール」。ピンポン球サイズの弾を飛ばし、天井を破壊する程度の威力はある。フヨフヨと超低速度で飛ぶ、観音寺流最終奥義である。
二連で放つ『二連観音寺弾(ゴールデンキャノンボール)』も存在する。
果たしてピストルズは観音寺弾を蹴ってくれるのだろうか。

【スタンド】セックス・ピストルズ
【破壊力 - E /スピード - C /射程距離 - 弾丸の届く距離まで /持続力 - A /精密動作性 - A /成長性 - B】
【能力詳細】
弾丸に張り付き、発射と同時にある程度の弾道の操作・加速が主な能力。
六人で一つであり、それぞれに性格がある。パワーはないが偵察や小まめなサポートなどその仕事は多岐に渡る
グイード・ミスタはリボルバー式の銃を愛用しているが(弾丸の装填の都合上リボルバー式が相性が良い)、ドン・観音寺には銃の心得は無く、そして使うつもりすらないだろう。
そうなると、弾丸は一つ。
そう、観音寺弾である。

【備考】
参戦時期は小説『BLEACH Spirits Are Forever With You Ⅱ』後、一護が力を失っていた期間です。
ミスタの銃(銃弾セット付き)@ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風


61 : ◆dM45bKjPN2 :2020/05/11(月) 01:09:32 IzGvWHOA0
以上です。


62 : ◆zzpohGTsas :2020/05/11(月) 01:29:09 WjUVI5Ac0
透過します


63 : いぬのきもち ◆zzpohGTsas :2020/05/11(月) 01:29:24 WjUVI5Ac0
「こんな形で自由になれるとはなぁ」

 んー、と伸びをしながら、その少女は言った。
後ろに伸ばした黒い髪、横縞模様のワンピース。歳相応の、低い背丈。
何処にでもいる、9歳の少女だ。……年齢にそぐわぬ、ある種の凶悪さと、老獪さ、そして、大人びた雰囲気を秘めた笑顔を浮べている事を除けば、だが。

 予定してなかった……と言うよりも、予想してなかった形で得た自由だった。
組織を――地球撲滅軍から足抜けし、まさに野良犬の如く、天涯孤独に生きようと、確かに彼女は計画していた。
だが、少なくともそれは、今出来るタイミングじゃなかった。いやもしかしたら、その機会は一生、訪れる事はなかったのかも知れない。
可能性は低かった。いや、低いと言う言葉ですらまだ温い、絶無とすら言っても良かったろう。
少女が、剣藤犬个と言う名の『飼い主』のペットと言う立場から抜け出せる確率は、それ程までに低かった。

「……つっても、どうも逃げた先が自由な場、とは行かなかったみたいだがな」

 笑みのまま、1人少女はゴチる。声音に、喜びと、諦観に似た感情が、交じり合っていた。

 名を、『左在存』と言う少女だった。
主食はドッグフードで飲み物はミルク。そんな生活を続ける程数ヶ月。
流石に嫌気と飽きが来て――尤も飼い主自体にはそれ程否定的な印象は抱いてなかったが、単純に組織が嫌だった――、どうやって脱走しようかとずっと考えていた。
が、これが如何にも……。にっちもさっちも行かない物だから、飼い主が死ぬまではペットごっこに付き合ってやろうと思っていたのだが。
人生解らぬもの。在存からしてみても、およそ超常的としか言いようのない不思議な力で。
某所に存在する超高級マンションの一室から、何処とも知れない無人の街の中にご招待、と来ている。

 これ幸い、と言って逃げ出したかった……のだが。

「結局かけられる奴が首輪から爆弾に代わっただけか……いやそっちのが厄介だな」

 改めて首元を意識するが、やはり間違いじゃない。
共鳴環がない。これは困る。最後の1人になるまで殺しあえという主旨のゲームで、あんな便利なアイテムがないのは致命的だ。
首輪と言う、ペットであるという自分の境遇を露骨に証明した形である事を除けば、あれ程自分に合致した道具はないのだが……。
平等を期す為に没収されたのだろうか。畜生め。それで代わりに与えられた首輪の代替品が、撲滅軍のテクノロジーでも再現不能な、頭の中の不思議な爆弾って訳か。参ったな、首輪よりやだよそれ。

「それでもって……共鳴環の代わりの道具ってのが……」


64 : いぬのきもち ◆zzpohGTsas :2020/05/11(月) 01:29:42 WjUVI5Ac0
 在存が目を瞑って念じてみる――いや、身体に染み付かされた使い方によれば、そんなプロセスなど必要ないのは解りきっている。
が、それでもついついやってしまう。本当に殺し合いの時になったならば、目を瞑るなど愚行も愚行なのでやらないよう改める。

 砂の一粒とて落ちてない、舗装されたコンクリートの道路。
その道路上に、『無』から砂粒が続々と現出。指数関数的に粒の数は増えて行き、遂にはそれは、1つのヴィジョンを形成する。
アメリカの先住民であるインディアン宜しく、無数の羽飾りを取り付けた仮面を被った姿だった。表象は、極めて難しい。
生物的な要素と機械的な要素の融合体だからだ。フォーミュラカーに似た奇妙な姿――スタンド、と言うらしい――である一方、
犬の前脚に似た生物的要素が、本来ならば前輪に相当する場所に取り付けられているのだ。何と言うか、ちぐはぐだ。仮面にしたって、嘴がついていて鳥を連想させる。下半身は車、上半身は犬のそれ、そして顔は鳥の仮面。世にも奇妙なキマイラである。

「『ザ・フール』ってか」

 己に宛がわれたスタンドを見て、在存は笑った。
全てが奇形な取り合わせは、犬として生きる事を強いられた人間である自分みたいであった事もそうだ。
だが――博打が好きで好きで好きで。験担ぎやジンクスを大事にするギャンブラーだからこそ、タロットの類にも通じていた彼女は、愚者のタロットの意味を理解している。

「良いぜ。馬鹿は馬鹿らしく、自由に生きて自由に死んでやる」

 愚者の暗示は、自由な旅路。天才のひらめき。そして、熱狂と、愚行。
本当の自由を得るべく、今、狼は最後の鎖を引きちぎろうとしたのであった。


【名前】左在存
【出典】悲鳴伝
【性別】女性
[思考・状況]
基本:本当の自由を得る

1:自分の死には頓着してない。俺は俺として死にたい。
2:共鳴環がないのは少し困る。

【能力】
『犬』
・正式な名称は不明。地球撲滅軍が、地球陣と呼ばれる美しい怪物の擬態能力を研究した際、実験台として選ばれたのが在存だった。
彼女の姿は不思議な事に、人間には『犬』の姿に見えるらしい。但し、幾ら犬に見えるといっても、普通は犬がする筈のない行動、
例えば人間の言葉を喋ったり、人間にしか出来ないような知性的な行動の数々をして見せた場合は、この限りではない。
また、作中で、科学的な措置如何では犬の擬態が見破られる可能性が示唆されており、高度なテクノロジーで透かされた場合は、本来の在存の姿が露になる。
加えてスタンドによる正体の看破、及び魔術的・超自然的な措置によっても、擬態が見破られる可能性が強い。

【技能】
『ギャンブル』
・ギャンブルに強いらしい。だけどどの程度まで強いのかは不明。だってそれが判明する前に死んじゃったし……。

【スタンド】ザ・フール
【破壊力:B/スピード:C/射程距離:D/持続力:C/精密動作性:D/成長性:C】
【能力詳細】
砂で構成されたスタンド。本文中に記載された姿を基本とするが、形状は砂であるため変幻自在。
翼を形成して滑空する事も出来る上、砂の可塑性を利用する事で精緻な彫像を作る事も可能。
攻撃手段も豊富で、『形』と言う制限を取っ払い、本来の砂としての質量を利用して、暴流として突進したりすると言う荒業も可能。
特筆すべきは防御能力で、基本が砂である為物理攻撃はほぼ無効。本体にダメージがフィードバックされない。
欠点としては身体の構成要素が砂の為、スピードや攻撃が共に鈍重である事。また、射程距離も短い事。

在存は現状、自分が犬に見えると言う擬態能力を駆使し、油断させてからの暗殺と言う手段を考えている。

【備考】
参戦時期は悲鳴伝、空々空と出会う前。


65 : いぬのきもち ◆zzpohGTsas :2020/05/11(月) 01:29:55 WjUVI5Ac0
投下を終了します


66 : ◆ZbV3TMNKJw :2020/05/11(月) 11:38:55 /E9g6xYM0
投下します


67 : 花は生きることを迷わない ◆ZbV3TMNKJw :2020/05/11(月) 11:40:01 /E9g6xYM0
「ヒイイィ、恐ろしい恐ろしい...」

額に生えた一対の角とその間に生えた巨大な瘤。裏返った目。
その小さな老人は酷く怯えているかのように、物陰に身を潜めガタガタと震わせていた。

「恐ろしい恐ろしい...なぜ儂がこのような目に...」

彼の脳裏に蘇る、殺し合いの説明をする銀髪の男と、その彼に殺された名も知らぬ少女。
男は言った。自分に逆らえば、あるいは時間切れまでに優勝者が決まらなければ、この少女のように頭が弾けて死ぬと。

恐ろしい。あんなことをされれば死んでしまう。
嫌だ。死にたくない。
そんな想いが頭を占める彼の背後に迫る影。

それは熊だった。
身の丈が3メートルはあろうほどの、大きな熊だった。
野鼠ほどの大きさしかない老人など人呑みだろう。

「ヒイイイイィィ」

怯える老人に構わず、熊はその巨大な腕を振るう。
目の前の獲物を喰らうために。己の空腹を満たす為に。

ガッ、と音を立て、爪が老人に食い込み血が噴き出す。

が。

「...ッ!」

血を噴き出していたのは老人ではなく、熊その人。
食い込んだはずの爪が、接着部の肉ごと無くなっていた。


68 : 花は生きることを迷わない ◆ZbV3TMNKJw :2020/05/11(月) 11:41:02 /E9g6xYM0
「やめてくれええええ。儂をいぢめないでくれええええ」

老人は涙を流し懇願するも無傷。どころか、その身を這いずる黄色のジェル状の何かを纏っていた。
うじゅるうじゅると蠢くそれに、熊は本能的に危険を察知。秒にも満たぬ早さで振り返り逃げ出そうとする。
が、時すでに遅し。
抉られたつま先に激痛が走り、転倒する。
つま先に目線をやれば、そこには蠢く黄色のジェル。
足元に絡みつく感触を察した時、熊はようやく気が付いた。
獲物は老人ではなく、自分であったのだと。







うじゅるうじゅる。
熊に張り付いていたそれは、たっぷり10分ほどをかけて骨も残さずその身を喰らいつくした。

それの名は【黄の先制(イエローテンパランス)】!
肉を喰らい成長していく肉の鎧!
老人の与えられたスタンド能力である!

「ヒイイイイィィィ」

当面の脅威が去った今でも、老人の震えが止まることはない。
当然だ。
熊はあくまでも野生生物。いくら殺したところで殺し合いが終わるわけではない。

「急がねば急がねば...はようこの催しを終わらせ逃げ出さねば...」

老人には任務があった。
己の主に敵対する者どもの戦力の要である刀鍛冶の里の壊滅。
主は、未だに云百年以上も己を蝕む体質の克服が為されていないことに加え、己の配下が斃されたことにご立腹だった。
今の主を刺激するのは死に等しい。少しでも気を紛らわせる為に任務を迅速に完遂しなければならない。
故に、老人にはこんな殺し合いなどで時間を取られている暇はないのだ。

殺し合いで死ぬのも恐ろしい。主の怒りに触れるのも恐ろしい。

「あの御方はお怒りじゃ...早う、早う。あの御方に楯突く者共を皆殺しにせねば...!!」

老人の名は半天狗。鬼舞辻無惨の生み出した『鬼』、その中でも選び抜かれた強者である上弦の月の肆である。





【名前】半天狗
【出典】鬼滅の刃
【性別】男性
【能力・技能】
『隠密』
気配のとぼけ方が巧い。その精度の高さは、鬼の気配を探知することに長けた鬼殺隊の隊士が、その目で確認しなければ鬼だと認識できないほど。


『分身』
本体が攻撃を受けるなどして強い精神的負荷を受けた場合、それに対抗する形で様々な感情の鬼を精製する。
『喜』『怒』『哀』『楽』の4体までが攻撃に威力を保たせる限界であり、それ以降の分身は攻撃力が著しく低下する。それでも生身の人間からしたら驚異的だが。
本体は一般的な鼠程度の大きさしかなく、逃げ足も速い。というか本体は一切戦わず、戦闘は分身に任せるのみ。自分は見つかったら即座に逃げる。
『鬼』の特性上、この本体の頸を斬らなければ半天狗は死なない上に、その頸も生半可な強さでは斬れない。
また、己の分身を肉の壁として、一時的に弱点である日光から身を護ることもできる。
上記の点から、曲者ぞろいの上弦の鬼の中でも屈指の生き汚さが垣間見え、敵対する者がこの術の真相を知れば憤懣やる方ねえと怒ることは間違いない。

【行動方針】
他者を殺してでもとにかく生き残り、一刻も早く帰還して無惨様の命令を遂行する。



【スタンド】黄の先制(イエローテンパランス)
【破壊力:D/スピード:C/射程距離:E/持続力:A/精密動作性:E/成長性:E】
【能力詳細】
肉の鎧のスタンド。他者の肉を喰らうことで成長し、より大きくなっていく。
スタンドではあるが食らった肉と同化しているため、一般人にも見えるし触れることもできる。
また、自分と同等か大柄でないといけない制約はあるものの、肉を纏って別人に変装することもできる。


69 : ◆ZbV3TMNKJw :2020/05/11(月) 11:41:27 /E9g6xYM0
投下終了です


70 : 狂言回しの戦神 ◆Jnb5qDKD06 :2020/05/11(月) 13:16:14 tXo.vLGw0
投下します


71 : 狂言回しの戦神 ◆Jnb5qDKD06 :2020/05/11(月) 13:17:43 tXo.vLGw0
 帝都で暴れて、殺して、殺されて、気がついたら未知なる戦場へと逆戻り。
 首輪つきでしかも何やらおかしな力を有してしまっている。

「スタンドか……」

 人造惑星(プラネテス)と呼ばれる人型兵器であるマルスにとってこの手の能力は全くの未知なるものだ。
 マルスの持つ星辰光(アステリズム)と呼ばれる異能はいわゆる個人レベルでの環境改造能力であり、しかもマルスの場合は自分のみを対象とする。
 効果は分子間結合分解能力。要は物質を分解するためスタンドには無効というわけだ。
 まあ、ある程度のハンデと見れば悪くない。戦闘に特化したプラネテスである以上、ただの攻防でも他者は圧倒できる自信はある。
 問題は他にもあった。まずは支給品の類。マルスの爪では繊細な物を持つということは到底不可能であり、よって中身を取り出すことはできない。
 なので袋を八つ裂きにして名簿と地図を確認、脳にインプットする。元々水と食料はいらないし、コンパスも時計も内臓されている。

「ほほう、四十三人か。それなりに強そうだ」

 喜悦に満ち独り言を漏らし、自身の異能で支給品を消滅させた。
 記憶した参加者の全ての顔、その一つ一つを思い浮かべる。

「可哀想になあ」

 もしかしたら名簿の面々は自分と同様にただ巻き込まれただけかもしれない。
 何せ俺ですらこの通り。何をされたかわからずこんな場所に送り込む主催者だ。
 その強さは測り知れぬし、この首輪も爆発したら本当に死ぬだろう。
 だが仮に全員が殺人を嫌う高潔な人間だったら?
 巻き込まれただけの人間に一体だれが殺人を強要できるという?
 もし24時間以内に死者が出ないと皆死ぬというのであれば、誰かがその業を背負わなければなるまい。
 そしてそれは兵器である俺の役目だ。
 その上で俺を打倒するというのであれば是非もなし。
 真に英雄たらんものがいるのであれば、この悪逆たる己を下してみせるがいい。

 ───だが、俺にも叶えたい願望がある。

 故にここに鬼面たる人造惑星マルス No-εは高らかに宣戦布告する。

「生き残りたいという切なる願い、あるいは他者を踏み砕いてでも叶えたい願いがあるのならば───この俺を倒してみせろ」

 未だ彼の本性を知る者はいない。


72 : 狂言回しの戦神 ◆Jnb5qDKD06 :2020/05/11(月) 13:18:36 tXo.vLGw0
【名前】マルス No-ε
【出典】シルヴァリオ・ヴェンデッタ
【性別】男
【能力・技能】
・狂言回し(技能)
 周りが感動する、あるいは彼を善良な覚悟ある人物であると錯覚させる狂言回し。
 ただし異能発動時には本性が現れるためこのスキルは発動しなくなる。

・義なく仁なく偽りなく、死虐に殉じる戦神(Disaster Carnage)
分子間結合分解能力。
暗黒の瘴気を纏い触れたものを消滅と思わせるほど早く分解する。
性質上、エネルギーや現象、概念に対して効果は薄い。
スタンドには無効。ただしスタンドを纏った状態では有効。

【スタンド】
クリーム
【破壊力:B/スピード:B/射程距離:D/持続力:C/精密動作性:C/成長性:D】
【能力詳細】
口の中が暗黒空間となっており、呑み込んだものを全て粉微塵に破壊する能力。
ただし本体と自分以外はこの効果の範囲外。
空間を破壊しながら移動を行うため軌道上のものは全てガオンと音を立てて消滅する。
また本体は空間を断絶しているため視覚や嗅覚などで捕捉されなくなる反面、本体も五感で外部を知覚できない。
【備考】
制限1:今回のバトルロワイヤルでは気配遮断&不可視化以外はできない。
    物体とぶつかれば普通に弾かれる。
制限2:本体の異能によって瘴気を纏い消滅攻撃を繰り出すことは可能。
    ただし、瘴気を纏うため原作のように不可視や気配遮断の効果を持たない。
    不可知状態で瘴気を纏えば他者から見ると急にブラックホールの如き暗黒が現れたように見えるだろう。


73 : 狂言回しの戦神 ◆Jnb5qDKD06 :2020/05/11(月) 13:19:00 tXo.vLGw0
投下終了します


74 : ◆Y1cfk9y5p6 :2020/05/11(月) 14:26:08 fBF50EA.0
投下します。


75 : 狛枝凪斗という名のジェフティ ◆Y1cfk9y5p6 :2020/05/11(月) 14:33:05 mHM.piOk0
『あるところに、狛枝凪斗という青年がいました』
『超高校級の幸運として希望ヶ峰学園に入学した筈の彼は、気が付けば南の島でコロシアイをさせられていました』
『でもそんな彼は、いつの間にか別の殺し合いに巻き込まれていました』

「……ハァ」

“NAGITO ADVENTURE”と表紙に記された本を閉じ、本に名前が出て来た青年──狛枝凪斗は、ため息を零す。
現実から離れ、殺し合いなどという大それた出来事に(2度も)巻き込まれたのだから、ため息の1つや2つ許されて然るべきだろう。
そして、そんな状況をわざわざ書き記した本を読んでしまえば、気が滅入るのも無理はないだろう。
ただ……彼の場合は、少し違った。

「……本当に、ゴミみたいな精神だね」

まず、狛枝が持つその本こそが、彼のスタンドであるということ。
スタンドの名前はトト神……少し先の未来を予言するマンガ絵本のスタンドだと、説明書にも書かれていた。
だが、彼の憂鬱は、その能力でも文面でもない。その生い立ちゆえ、異常事態というものには慣れっこな男。
“今回の不運はそういうもの”として理解を示し、この場への適応を試みてはいるのだが……。

「こんなヘタクソで見るに堪えない絵がボクの精神から生まれたと思うと、おぞましさで死んでしまいたいよ」

最初に集められた空間で、プッチと名乗った男。
彼はスタンドのことを“精神的エネルギーを具現化したものだ”と語った。
つまりトト神の挿絵──まだ世間を知らない幼稚園児が鼻水垂らして描いたような──が、自分の心の中から生まれたというのだ。彼の言葉で表すなら。

「絶望的だね」

となる。


76 : 狛枝凪斗という名のジェフティ ◆Y1cfk9y5p6 :2020/05/11(月) 14:34:05 mHM.piOk0
さて。彼にとって絶望的な出来事はもう1つ。
それは、南の島で起きたコロシアイ学園生活がどうなったか分からないことだ。
彼は先のコロシアイにおいて、モノクマと名乗るぬいぐるみから最初の動機を提示された後、ある目的で様々な行動を取っていたのだが。

「折角、希望同士のぶつかり合いが見られると思ったのに……こんなのってあんまりだよ」

最初の事件は起きたのだろうか。自分が蒔いた種はどう作用しただろうか。
その一環として種の中身を教えた彼は……どうしただろうか。
狛枝はそれらを見ることが出来なかった。そうなる前に、舞台はコロシアイから殺し合いへと変わってしまったのだから。
傍から見れば、これを不運と呼ばずして何と呼ぶだろう。

「あははっ……! でも……やっぱりボクはツイてるのかも知れないね」

だが、彼は違った。
自らの置かれた現状を嘆きこそしたが、すぐに薄気味悪さすら混じった笑いをあげた。
世間一般から狂っていると言われようが、狛枝にとってはこれが正常なのだ。
論理的に考えた上で、この結論を出しているのだ。

彼が現状を「ツイてる」と評する根底には「自らの才能」と「希望」への並々ならぬ信奉がある。
狛枝凪斗……希望ヶ峰学園に【超高校級の幸運】として選ばれ、入学する筈だった生徒。
最初は「恐れ多い」と断ったが、希望ヶ峰からのお願いもあり、結果として入学を決定した。
その先──何故か南の島──で見つけたのは、希望の象徴とも言うべき超高校級の人たち。
バカンスもつかの間、それはコロシアイという舞台に変わったが、彼はその状況すらも喜んでいた。
外へ帰るという希望のために、希望の象徴たちが起こすコロシアイが見られる……その先にあるのは、絶対的な希望だと信じていたからだ。

狛枝凪斗という人物を語るにあたって、外すことの出来ない小学生時代のエピソードがある。
飛行機で家族と海外旅行をしていたら、乗っていた飛行機がハイジャックされたこと。
だが、ハイジャック犯の頭に降って来た隕石が当たって事なきを得たこと。
その隕石が、両親の命も奪ったこと。
両親の死で、莫大な遺産と自由を手に入れたこと……。
他にも数えきれないほどのエピソードがあるが、こういった経験を繰り返していった結果。
彼は「不運な目に遭うたびに、それを大きく上回る幸運な出来事が訪れる」と強く信じるようになった。
本来あるべき世界線では、その振れ幅を利用して常人には不可能な離れ業を起こしたのだが……狛枝凪斗は幸運なのだ。それも超高校級の。

そんな身に『コロシアイの最中に別の殺し合いに巻き込まれる』などという不運に見舞われれば。
一体どれほどの、幸運な寄り戻しが訪れるのであろう。
いや。超高校級の幸運には、それが訪れるのだ。

「例えば……今度こそ絶対的な希望が見られる、とかね」

名簿に載った名前はまだ確認していない。超高校級のみんなが居るかどうかも分からない。
プッチは希望ヶ峰学園のことを口にしていなかった。となれば、見知った顔や希望ヶ峰の先輩たちに会える可能性も薄いだろう。
それでも。この殺し合いを続けていれば、絶対的な希望に巡り合えると確信していた。
確信出来るだけの不運が、狛枝凪斗には揃っていたのだ。

「いっそ『絶対的な希望に巡り合えた』なんて予知をしてくれればいいんだけど……流石にそう簡単には行かないよね」

本を閉じ、地図を片手に狛枝凪斗は歩き出す。
『始点』と『結末』だけを予知する書のスタンドと、おぞましい過程と共に幸運の結果を手にする才能の持ち主。
かくして、1人と1冊は巡り合ったのだ。
過程を省みぬ彼らがもたらす結末は、希望か、絶望か。


77 : 狛枝凪斗という名のジェフティ ◆Y1cfk9y5p6 :2020/05/11(月) 14:34:33 mHM.piOk0
【名前】狛枝凪斗
【出典】スーパーダンガンロンパ2 さよなら絶望学園
【性別】男性
【能力・技能】
『超高校級の幸運』
希望ヶ峰学園が研究の一環として、毎年全国の学生から1人を対象に抽選で選ぶ才能。
超高校級の名に恥じず、いずれも運に関して恐るべき何かを持っている。
狛枝の場合は「誘拐されてゴミ袋に詰められたと思ったら、その中で3億円の当たりクジを見つけた」など、不運の後にそれを覆すほどの幸運が訪れるタイプの幸運である。

【スタンド】トト神
【破壊力:E/スピード:E/射程距離:E/持続力:A/精密動作性:E/成長性:E】
【能力詳細】
本の形をした、一般人にも見えるスタンド。
独特なタッチの絵柄をした漫画で、少し未来に起こる出来事を予言する。
予言は決して外れることがないが、「〇〇をすると△△になった」と、始点となる行動と結果だけが書かれるため、
相手の鼻に指を突っ込まないといけないという突拍子もない行動を取らされたり、
「毒の入った紅茶を口に含んだ」ことまでが予言されていても、飲み込む前に吐き出してしまったといった、本に書かれていない「過程」や「その後」がどうなるのかが使用者にもさっぱり予想がつかない。
また、時間には非常に厳しいようで、時計が1、2分ずれていたことに気付かず行動していた場合、思わぬ形で「結果」が返って来ることもある。

【備考】
参戦時期は、Chapter1(非)日常編
親睦パーティが始まる少し前からとなっています。

【方針】
絶対的な希望を見つける。
たとえその希望が、自分や他人に害をなす存在だとしても。


78 : 狛枝凪斗という名のジェフティ ◆Y1cfk9y5p6 :2020/05/11(月) 14:35:29 mHM.piOk0
以上で投下を終了します。


79 : ◆Il3y9e1bmo :2020/05/11(月) 16:31:52 UfkIwzec0
投下します。


80 : 掲げる毒杯 ◆Il3y9e1bmo :2020/05/11(月) 16:32:44 UfkIwzec0
『あなたのスタンド能力は――"マニック・デプレッション"です。生命エネルギーを過剰に引き出す。塩に使えば麻薬を作り出すことも可能』

鬱蒼とした林の中、そう書かれた一枚のメモを見ながら頭をポリポリと掻いている男がいた。

「いきなり"殺し合い"って言われてもなあ……」

モジャモジャ髪を逆立てた長身に丸眼鏡の男――伍行壊は困っていた。
「五行道士」の異名を持つ彼の職業は料理人。美味しい薬膳料理を作り、人々の心と身体を癒すのが彼の使命だからだ。
そもそも仮に殺し合いに乗ったところで、刃物なんて調理包丁以外持ったことがない五行にとってこのゲームを勝ち抜ける自信など皆無に等しかった。

――嘘である。

伍行壊は暗殺者であった。それも料理を使った、だ。
「料理は成仏」というポリシーを掲げている彼にとって、自身の料理を食べる人間などモルモットに過ぎない。
ひとたび匂いを嗅げば、その人間の食欲を支配し、強制的に死ぬまで食べさせることができる料理だって作れる。

それでも伍行壊は困っていた。
人殺しがしたくないからではない。

"食べた者を100%あの世行きにできる料理"を作れるのに、その料理をする器具と材料がないのである。
どうやらこちらに連れてこられる際に携帯していた調理器具や毒膳の調味料などは全て取り上げられてしまったようだ。
材料としては一応デイパックに入っていた携帯食料が該当するが、調理包丁と中華鍋がなく、更にいえば、火を起こす方法が無いのが一番致命的だった。

「ま、悩んでてもしょうがないか。とりあえずはそこらへんに生えている薬草でも探そう」

五行は暗い林を中へ中へと分け入っていった。

数十分後。

「なんだぁ、あれは?」

五行は林の奥で一つの建物を発見した。
大きさから見てもただの家などではない。

「あれは……学校か!?」

どうやらまだ深夜なのもあり、方角を見失って変なところに出てしまったようだ。
薬草に気を取られてコンパスを使わなかったのが仇となったか。

五行は周囲を気にしながら校舎へと近づいた。

鍵は――かかっていない。

誰がいるかも分からないので物音を立てないようにこっそりと侵入する。

「辺ぴなところに建ってはいるが……。中は普通の学校のようだな」

そっと電灯のスイッチに手を伸ばす。
明かりがついた。

「おっ、電気は通っているのか。む、待てよ。……ということは?」

五行はひとつ、ひらめいたことがあった。

「こういうのって大体1階にあるんだよな――オッ、あった!」

家庭科室である。

こちらも鍵はかかっていなかった(仮にかかっていても破壊しただろうが)。

「コンロは――あるッ! 包丁も! 鉄鍋もだ!!」

一通り調理器具の確認をし、そして備え付けの冷蔵庫も開けてみる。

「――ギ、ギ、ギシャシャシャシャシャシャ!」

五行は突然狂ったように笑い声を上げ始めた。

頭がおかしくなったわけではない。原因は冷蔵庫の中身にあった。
彼が狂喜乱舞した原因である冷蔵庫の中に入っていたのは――色とりどりの食材だった。

「これは鶏肉、噛めば噛むほど味が出る中華料理の屋台骨だ!
 そしてこいつは長ネギと朝鮮人参! 滋養強壮にバツグンの効果を発揮する!
 さらにフカヒレ! アワビ! ナマコ! 貝柱ッッ!! こんなものまで学校の家庭科室にあるとは……!!」

膝をつき、両手で食材を持ち上げる五行。

「ギシャシャシャ! プッチも粋なことをしてくれるじゃあないか。これでオレの五行膳も大盤振る舞いできる!
 さらにッ――――」

ボゥ、と五行の傍らに餓鬼のミイラのようなスタンドが"あらわれ立つ"。

「この『マニック・デプレッション』の能力により、オレの料理は120%の力を発揮することができる……!!」

マニック・デプレッションの体中にある棘に刺されると、生命エネルギーを過剰に引き出されてしまうのだ。
たとえば胃にエネルギーを注入すると胃酸過多で潰瘍が発生する。心臓に使用すれば、血液を増やし身体を破裂させることができる。
この能力を、元々危険な五行の料理に使えばどうなるか――。

「いいぜ。やってやる――。これを機会にオレの五行膳を更にパワーアップさせ、最後まで生き残ってやる!!
 願いも叶えてもらえるしな! ギシャシャシャシャシャシャ!!」


81 : 掲げる毒杯 ◆Il3y9e1bmo :2020/05/11(月) 16:32:54 UfkIwzec0
【名前】伍行壊
【出典】鉄鍋のジャン!
【性別】男性
【能力・技能】
『五行膳』
食べる者の肉体に危険や害を及ぼす料理を作ることを得意としている。
主に匂いや香りによって食べる人の意識や食欲を支配し、食材の薬効を限界以上に引き出し発揮させることができる。
食べた者の体調を万全に回復させることもできれば、逆に食べる者に強制的に死ぬまで食事を続けさせることも可能。

【スタンド】マニック・デプレッション
【破壊力:C/スピード:A/射程距離:E/持続力:B/精密動作性:B/成長性:C】
【能力詳細】
餓鬼のミイラのようなヴィジョンをしたスタンド。
体中に棘があり、この棘で刺されたものは生命エネルギーが過剰に引き出される。
たとえばこの能力を使用した塩を水で溶かして注射すると、脳内麻薬が過剰に分泌され麻薬中毒と同じような状態に陥る。
無論これは人間に直接使用することもでき、能力に侵された人間は体の生命エネルギーが過剰に消費され、激しい痛みや傷も治る。
ただし過剰に注入すると、胃に注入すれば胃酸過多で潰瘍を発生させ、心臓を過剰に動かせば人間は高速で動き回る兵器となり、動きを停止すると破裂するようになる。
本体に使用すれば全身が恐ろしい化け物のようになり、通常の人間はおろか近距離パワー型スタンドをも軽く凌駕するほどの身体能力を手に入れる。

【備考】
学校に侵入し、食材を発見しました。

【方針】
料理とスタンドの力で皆殺しを実行する。


82 : ◆Il3y9e1bmo :2020/05/11(月) 16:33:08 UfkIwzec0
投下を終了します。


83 : ◆NIKUcB1AGw :2020/05/11(月) 21:27:32 FyB8f8NY0
投下します


84 : 僕を笑顔にしてよ ◆NIKUcB1AGw :2020/05/11(月) 21:28:44 FyB8f8NY0
「なんや、おかしなことになったなあ」

とある民家の中で、青年が独りごちる。
眼鏡をかけた温厚そうな顔立ちは、そこだけ見れば街中や学校で見かけても違和感がなさそうに思える。
だが彼には、おのれが日常の存在でないことを示すとある身体的特徴がある。
それこそが、頭から生えた左右一対の―もっとも、左側は折れて短くなってしまっているが―角。
彼……アミィ・キリヲは、悪魔なのだ。

「まあ、せいぜいがんばらせてもらおうか……。
 それにしても、40人以上ってずいぶん多いなあ。
 さすがに全員と接触するのは無理やろうけど……。
 何人くらい見られるかなあ」

一瞬の溜めの後、キリヲは続く言葉を吐き出す。

「絶望する顔が……」

キリヲの表情は、まるで愛する異性を見つめているかのようにとろけていた。
彼は悪魔の中で、「元祖返り」と呼ばれる存在だ。
悪魔が現在の社会を形成する中で失っていった、本来の性質。それを色濃く受け継いでいるのが「元祖返り」だ。
キリヲの場合、「他人の絶望する顔を見ることに快楽を覚える」という形でそれが発現している。

「そのために、君にもがんばってもらうで、セト神」

キリヲの声に応えるように、彼の影が姿を変える。
影と一体化したスタンド、セト神。それが彼に支給された能力だ。
はっきり言って、キリヲにとってこのスタンドは当たりとは言いがたい。
防御力だけは魔術により鉄壁なキリヲだが、体力にも魔力にも乏しい。はっきり言って弱い。
そしてセト神も、直接的な戦闘力は高くない。
自分の代わりに戦闘をこなしてくれる近距離パワー型のスタンドこそが、キリヲが生き残るに際して相性のいいスタンドだったと言える。
だが彼は、このスタンドを非常に気に入っていた。
あっさりと殺してしまっては、絶望の表情を充分に楽しめない。
敵をじわじわと追い詰めていくことができるこの能力こそが、自分にはふさわしい。
それが、キリヲの思いだった。

「どんな人たちが参加してるんかなあ……。
 あの子みたいに、僕をワクワクさせてくれる人はおるんやろか……」

いかなる状況でも絶望せず、自分の悪行を完膚なきまでに粉砕した後輩の顔を思い浮かべながら、キリヲは呟く。
その口元からは、ひとしずくの唾液がこぼれ落ちていた。


85 : 僕を笑顔にしてよ ◆NIKUcB1AGw :2020/05/11(月) 21:29:59 FyB8f8NY0


【名前】アミィ・キリヲ
【出典】魔入りました!入間くん
【性別】男
【能力・技能】
『断絶(バリア)』
アミィ家に伝わる家系魔術。
任意の場所に、不可視の壁を瞬時に作り出す。
魔力さえ相応にあれば、はるか遠方にまで壁を張り巡らすことができる。
壁は非常に強固で、力業で破壊するには超上級悪魔クラスの魔力が必要。

【スタンド】セト神
【破壊力:D/スピード:D/射程距離:E/持続力:C/精密動作性:D/成長性:D】
【能力詳細】
本体の影と一体化したスタンド。
他者の影に重ねることにより、対象を若返らせることができる。
発動し続ければ、胎児にまで戻すことすら可能。
いちおう直接攻撃もできるが、ステータスを見ればわかるように戦闘力はかなり低い。

【備考】
参戦時期はバトラパーティーで逮捕されてから、脱獄するまでの間。

【方針】
他の参加者を絶望させる。できれば優勝も狙う。


86 : ◆NIKUcB1AGw :2020/05/11(月) 21:30:54 FyB8f8NY0
投下終了です


87 : 護身完成ッッ! ◆A2923OYYmQ :2020/05/11(月) 22:00:55 vWKcfpbM0
投下します


88 : 護身完成ッッ! ◆A2923OYYmQ :2020/05/11(月) 22:01:33 vWKcfpbM0
────ええ、不思議な事もあったモノです。

────そりゃあね。イロイロと見てきましたよ。現実離れした光景は。

────例えば?そうですねえ。巨大なアナコンダを人間が素手で仕留めたとか。

────信じられないって?そうでしょうね。そこいらの蛇ならともかく。

────まあ、そんな光景より、よっぽど現実離れしてましたよアレは。

────派手さこそは有りませんがね。

────ああ、話が逸れてしまいましたね。

────そう。あの日。闘技場にね、運び込んだんですよ。

────少し前に話題になった死刑囚。電話ボックスに入ったのをね。

────え?逃げ出した。いえいえ、そんな事はありませんよ。

────死刑囚は地下闘技場に降ろされました。

────じゃあ何がどうしたって?

────トラックから降ろそうとしたんですよ。電話ボックス。

────そしたら、ね。全員が目を離した、その一瞬で。

────消えちゃったんですよ。電話ボックス。


89 : 護身完成ッッ! ◆A2923OYYmQ :2020/05/11(月) 22:02:36 vWKcfpbM0



ひっくり返った電話ボックスの中で、男は目を覚ました。
電話ボックスに合わせるかのように、上下逆さまだった身体を起こし、胡座を組んで座る。
顔を左右に振って周辺を見渡すと、おもむろに太腿をつねり出した。

抓り。
指先で肉を掴み、只ひたすらに力を込める行為。
それこそ幼子にすら為せる行為だ。
しかし、侮ってはならない。
その痛みは本物。
如何なる殺人技も、覚悟を決めてしまえば受け切ることのできるプロレスラーが。
五体を錬磨し、凶器と呼べる水準に至る迄に鍛え上げた空手家が。
この痛みの前に根を上げる事は周知の事実。

ギリギリという音が聞こえてきそうなほどに、腿の肉に力を加え続ける。
肉をちぎらんばかりに力を込め続け────。


「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッ!!」

遂に男は、この状況が現実だと受け入れざるを得なくなった。


巨(おお)きな白人と。

更に巨(おお)きな白人の殴り合いに巻き込まれ。

変な夢を見て、気がついたらこんなところに居て。

事態は男の理解を超えて疾走する。

男は只の一般人でしかない。

目が合っただけで垂直圧縮される様なムエタイ戦士では無い。

道を歩いていただけで、デコピンで虐待されりムエタイファイターではない。

只の一般人である。

「一体ナニがどーなってんだよッッ!」

叫ぶのも当然であった。
しかし、男にも希望は有る。
男に与えられた『スタンド』は、誰にも破れないのだから。


90 : 護身完成ッッ! ◆A2923OYYmQ :2020/05/11(月) 22:03:15 vWKcfpbM0
【名前】
ショウちゃん
【出典】
バキシリーズ
【性別】


【装備】
無し
【能力・技能】
只の一般人である。
強いて言えば、ジャックとシコルスキーの殴り合いに巻き込まれても、目立った外傷が無い幸運か。


【スタンド能力】
20th Century BOY
破壊力 - なし / スピード - C / 射程距離 - なし / 持続力 - A / 精密動作性 - D / 成長性 - C

昆虫のような頭部に、肩当てのようなパーツとそこからベルトのようなものが伸びる、鎧のようなスタンド。

「身に纏う」タイプのスタンドで、身に纏っている間はあらゆる攻撃を受け流し、完全に防御する。
周囲の環境の変化にも防御能力は発揮され、水中でも死ぬ事はない。
また、発動中は空腹になる事もない様だ。
究極の個人シェルターどあり、きっとオーガの全力パンチでも壊れない。多分。

ただし、スタンドを身に纏っている時は本体は指一本動かすことはできない。
攻撃は本体が行わなければならず、攻撃するにはその度にスタンドを解除する必要が生じる。


91 : 護身完成ッッ! ◆A2923OYYmQ :2020/05/11(月) 22:03:46 vWKcfpbM0
投下終了ッッ!


92 : ◆5A9Zb3fLQo :2020/05/11(月) 23:16:30 VVNiJgSo0
投下します。


93 : WHITE OUT ◆5A9Zb3fLQo :2020/05/11(月) 23:18:48 VVNiJgSo0
 どこかの灯を失った室内。
 漆黒の暗闇に白が浮かびあがる。
 全てを塗りつぶすかの如き黒の中において、決して染まらぬ白がある。

 その白とは男だ。
 上着からズボンまで白一色の装束、左手に嵌められた手錠、黒革の手袋、逆立った金髪と縁が丸いサングラスという不気味な出で立ちの男である。
 誘惑の白き悪魔の二つ名を持つSWORD地区の”W”、White Rascalsを統べる者、ROCKY。それが男の名前であった。

「あ゛ぁー……」

 ROCKYの革手袋をはめた手がサングラスのブリッジに伸び、僅かに下にずれていた位置を修正する。
 サングラスに隠れる刹那に見えた視線は強く、鋭い。堅く食いしばられていた銀色の前歯が上下に開き、激情と共に漏れ出す唸り声。
 隠しきれぬ程の怒りがROCKYの内に渦巻いていた。

「誰であろうと、何であろうと許せねえ」

 怒気と共に吐き出された言葉に呼応する様に周囲の床が白に染まる。その正体は霜だ。

「女子供を傷つけるどころか、殺し合いなんてもんに巻き込む。許せる訳がねえよなぁ」

 ROCKYの怒りに呼応する様に白装束を新たな白が覆っていく。
 それにつれて広がる霜、漂い始める冷気。
 室内の気温が真冬の室外に等しくなる頃には、ROCKYの全身を真っ白なスーツが覆っていた。

「ホワイト・アルバムっていったか」

 ホワイト・アルバムで作られた頭部を覆うメット越しにしげしげと自分の体を纏うスタンドを眺めてからROCKYはスタンドを解除する。
 気温が上がり、霜が消え、床を侵食していた白が消えて黒が戻っていく。
 ホワイト・アルバムによるスーツが消え、覗いたROCKYの表情は不満気であった。

「よく分からねえがこんなんじゃ抱きしめようとした女が凍えちまう。スーツとしちゃ三流以下だな」

 ぶっきらぼうにそう呟くとROCKYは踵を返し、建物の出口に向かって歩いていく。
 殺し合いの場であろうと彼の目的がブレることはない。
 『強くなる』そして『女性を守る』という確固たる信念を元に、夜の街から呼び出された男は殺し合いの地に己の轍を刻んだ。


94 : WHITE OUT ◆5A9Zb3fLQo :2020/05/11(月) 23:19:43 VVNiJgSo0
【名前】ROCKY
【出典】HiGH& LOW
【性別】男性
【能力・技能】
・運転技能
バイクに乗れる
・喧嘩
成人男性のレベルでは高い実力をもつ

【スタンド】ホワイト・アルバム
【破壊力:A/スピード:C/射程距離:C/持続力:A/精密動作性:E/成長性:E】
【能力詳細】
スーツの様にして身にまと装着型のスタンド。
極低温を操り周囲にあるものを冷却・凍結させる他、圧倒的な堅牢さを誇りうなじの周辺にある空気を取り入れる穴を狙う以外にまともに攻撃を通すことははほぼ不可能である。
また、凍結させた空気の塊を周囲に無数に浮かべて透明な防御壁とする「ホワイト・アルバム ジェントリーウィープス」という能力を使用することも可能

【備考】
特になし

【方針】
・女子供を守る。そして女には決して手を出さない。


95 : ◆5A9Zb3fLQo :2020/05/11(月) 23:20:22 VVNiJgSo0
以上で投下を終了します。


96 : ◆3g7ttdMh3Q :2020/05/12(火) 10:25:55 xUTon2Io0
投下します


97 : 君のための物語 ◆3g7ttdMh3Q :2020/05/12(火) 10:26:27 xUTon2Io0


「ハクジのハクはこれか、狛犬の狛かあ。なるほどな」
――恋雪のちょうしがよく、よくねむっている。
――そのあいだにたんれんをおこなった。

2011年よりも、大正時代よりも遥か前、
江戸城に将軍がいた時代の日本。
男は微笑みかけて、少年にそう言う。
男と少年は道場での稽古を終えたばかりで、
二人で井戸から汲み上げたばかりの水を飲みながらの会話である。
男は師範で少年はただ一人の弟子だった。
男の名は慶蔵、少年の名は狛治と言う。

その時代のことを考えても、狛治が読める文字というのは然程多くはなかった。
自分の名前である狛治、そして、ひらがな。漢字はほとんど読めない。
他者が学習のために使うような時間を、病に臥せる父親のために使っていた。
三本線の入れ墨を刻まれるほどに彼は盗みを働き、
それ以外の時間の全ては父親の看病のためにあてられた。
だから、自分の名前と父親が比較的元気だった幼少期に学んだ程度の文字しか知らない。


「お前はやっぱり俺と同じだな、何か守るものがないと駄目なんだよ。
 お社を守っている狛犬みたいなもんだ」

――なまえのゆらいについてかんがえたことはなかった
――まもるものがないとだめならば、おやじがしんだおれはだめなのだろうか
――そんなことをおもっているとしはんがおおきなこえでわらった
――まあ、いいかとおもった


98 : 君のための物語 ◆3g7ttdMh3Q :2020/05/12(火) 10:26:47 xUTon2Io0


「この道場継いでくれないか、狛治。
 恋雪もお前のことが好きだと言っているし」
――恋雪の顔が真っ赤に染まっていた。
――顔が熱くなる、きっと俺の顔も同じ色をしていたのだろう。

狛治の父親が自殺し、江戸で所払いの刑を受けた末に、狛治は慶蔵の弟子になった。
押しかけ弟子ならぬ押しかけ師匠のようなものだ。
七人の大人を相手に素手で大立ち回りを演じた狛治をやはり素手で殴り倒し、
自身の道場に連行し、屈託のない笑顔で罪人の狛治に娘の看病を頼んでみせた。
逃げる機会など幾らでもあっただろう、
それでも狛治は逃げることもせず、慶蔵の娘――恋雪の看病も、
慶蔵の流派である素流の鍛錬もひたぶるに行った。

「ま、読めないよりは読めた方がいいよな!」
慶蔵はそう言って、余裕がある時に狛治に読み書きを教えた。
狛治が慶蔵の弟子になってから三年。
身体は逞しく成長し、素流の技も使えるようになった。

そして、恋も、雪も、慶も、蔵も読めるし書ける。

今はもう恋人の名前も師匠の名前も父親の名前も書けない、読めない。
何も覚えていない。


99 : 君のための物語 ◆3g7ttdMh3Q :2020/05/12(火) 10:27:06 xUTon2Io0


殺し合いの舞台となる島、そこに一人の鬼がいる。
鬼と言っても、
角があるわけでも、肌が赤かったり青かったり、あるいは金棒があるわけでもない。
ただ、人間を超越した力を持っており、人を食らう。
その身体には罪人のスティグマである入れ墨が全身に刻まれている。
名を猗窩座と言う。
その手には一冊の本がある。題名はない。

「……スタンドか、くだらないな」
猗窩座の言う通り、それは彼にとってひどく下らないものであった。
念じれば茶色い革表紙の本が現れる。消えろと思えば消える。
ページを開く、文字がつらつらと書き連ねられている。
現在進行系で文字が増えている――だが、猗窩座に文字を読むことは出来ない。
鬼に人間の頃の記憶はない。
そして、猗窩座に読み書きをする必要はなく、読み書きを教える者もいない。

――xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx
――xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx

「消えろ」
そう呟くと、それに応じるように本は消えた。

願いを叶える、エンリコ・プッチの言葉を信じるつもりはない。
だが、自身がエンリコ・プッチの能力の影響下にあることは否定できない。
鬼は頂点である鬼舞辻無惨を除けば共食いをするようになっている。
ならば、エンリコ・プッチも俺を殺したいのだろう。

そう猗窩座は考える。
猗窩座はエンリコ・プッチを人間とは考えない。
これほどの大規模に干渉する能力は人間には存在しない。
鬼だけがその力を持つ。

エンリコ・プッチが自分に勝てば、
猗窩座は鬼舞辻無惨直属の部下である十二鬼月、その上弦の参の立場を得る。

自分が勝ったところで得るものはない、だが戦いを楽しむことは出来る。

「四十一……か」
自分を除く全参加者、そしてエンリコ・プッチ。
全員を殺害し、鬼舞辻無惨の元に帰ると自分の主の元へ帰ると猗窩座は決意する。

その場で、猗窩座は突き、蹴りの基本動作を行う。
数多の人間を葬り去ったその技は完全に自身に馴染んでいる。
その流派の名は猗窩座は覚えてはいない。

――狛治さん、もうやめて。

その本に新しく刻まれた文章、猗窩座はそれを読むことが出来ない。

群れない鬼の中で常に彼の傍らにあるもの。
人間の記憶を失った鬼の全てを記憶するもの。

彼に与えられたスタンドの名は『The Book』

狛治のために書かれた本を、猗窩座は読むことが出来ない。

【名前】猗窩座
【出典】鬼滅の刃
【性別】男性
【能力・技能】
・血鬼術 『破壊殺』
相手の闘気を感知し、動きを読み取る。

・鬼の肉体
陽光に当たるか、太陽の力を得たもので首を切り落とさない限り死なない。

【スタンド】The Book
【破壊力:?/スピード:?/射程距離:?/持続力:?/精密動作性:?/成長性:?】
(公式データ不明)
【能力詳細】
本の形をしたスタンド。
本体の経験した事象、感情、思考は全てこの本に記述される。
この本に書かれた内容を自分、もしくは相手に読ませることでその記述内容を相手に追体験させることが出来る。
本体の知識に従って日本語で記載されるため、外国人、盲人――
そして猗窩座はこの本を読むことが出来ない。

【方針】
・皆殺し


100 : 君のための物語 ◆3g7ttdMh3Q :2020/05/12(火) 10:27:23 xUTon2Io0
投下終了します


101 : ◆As6lpa2ikE :2020/05/12(火) 12:20:58 i7cJKAPw0
投下します


102 : ヒューマンダストクルセイダース ◆As6lpa2ikE :2020/05/12(火) 12:22:49 i7cJKAPw0
【野獣先輩空条承太郎説】
24歳、学生です←不良だから留年してる。
高↑校↓←高校生
出そうと思えば←スタンド
ビール! ビール!←ろ、ろーやの中でビールを飲んだ!
生きスギィ!←吸血鬼の生命力に驚愕
逝きスギィ!←死んで行く仲間達を嘆いてる
入って、どうぞ←DIOの世界に入門
肌が黒い←長旅の日差しで焼けたから
枕がデカすぎる←帽子を被ったまま寝てるから
大海近いからね←海洋生物学者


103 : ヒューマンダストクルセイダース ◆As6lpa2ikE :2020/05/12(火) 12:23:35 i7cJKAPw0
「頭来ますよ〜!」

 とある民家の屋上にて。
 殺し合いの舞台に選ばれた島を見下ろす男がいた。

 男の名は田所、鈴木、あるいは野獣先輩。
 ホモビに出ただけでパロロワSSを書かれた男だ。

 口から吐く台詞とインテル長友みたいな表情から察するに、彼は現状に不満を抱いているらしい。
 当然だ。
 突然拉致されて、見ず知らずの相手と殺し合いをさせられるなんて状況をあっさりと受け入れられる人間が、どこにいようか。
 さっさと帰って美味いラーメン屋に行ったり、遠野と愛し合ったりしたい。それが今の野獣の思考であった。
 
「……まあ、でも」

 と、そこで野獣の体が二重にブレる。
 否。
 野獣の体から人型の何かが現れる。
 彼の凄まじく酷い体臭がビジョン化したものかと思われたが、違った。
 それは精神のビジョン、スタンド。
 この島で開かれる殺し合いにおいて、野獣が支給された異能である。
 スタンドの名は『スタープラチナ』。
 ステロイドで得た偽りの肉体では比にならない筋肉を持つそれは、『星の白金』という名の通りに、光輝くようなパワーを見るものに感じさせる。

「こんな力があれば、簡単に優勝できるってはっきりわかんだね」

 野獣はイチロー選手のようなしたり顔を見せた。


104 : ヒューマンダストクルセイダース ◆As6lpa2ikE :2020/05/12(火) 12:24:17 i7cJKAPw0
【名前】野獣先輩
【出典】真夏の夜の淫夢
【性別】?
【能力】
・筋肉
ステロイドで得た偽りの肉体

・演技力
野獣が見せる迫真の演技は見るもの全てを惹きつける。

【スタンド】
スタープラチナ

【破壊力:A / スピード:A / 射程距離:C / 持続力:A / 精密動作性:A / 成長性:A】

【能力詳細】
パワー、スピード、精密な動作、これら全てを高いレベルで保有する。
史上最高、無敵のスタンド。


105 : ◆.DZlGZw4P6 :2020/05/12(火) 14:06:34 byim3fVE0
投下します。


106 : ぼくのパパはパパじゃない ◆.DZlGZw4P6 :2020/05/12(火) 14:07:15 byim3fVE0
「クソッこんなところにいられるか!」

街角で中年の男が毒づいていた。
その男、日之本進はなんの力も持ち合わせていない一介の元高校教師に過ぎない。
故に、殺し合いをしろなどと言われても何かが出来ようはずもないのだ。

「けど…浩司が心配だな…」

進には一人息子がいる。
パチンコで借金を作って別の男と逃げた妻との間に設けた大事な愛息子だ。
300万円を積まれて妻の元に渡した事で恨まれもしたが、それでも息子の浩司に対する愛情は変わらない。
自分から息子を取り上げようとする女性担任教師に夜這いを仕掛け(処女だったのは悪かったと思う)、それをネタにして浩司を取り返そうとした経緯からもそれは確かだ。

それに今は運気が向いている。
息子を取り戻す算段は失敗したかに思えたが、その女性教師からは生理が来なくなったと告げられた。
代々クリスチャンである彼女の家系では娘に堕させる事は許されない。
責を取って結婚の約束を取り付けられたが、彼女は三住グループの一人娘であるため自分に会社を継がせるのだという。
これからどうなるかなど分かりようもないが、少なくとも資金面で困る事は無くなったはずだった。
その矢先にこれだ。

「い…いや!浩司の為にも必ず帰ってみせるぞ!」

気落ちしそうになったが諦めてはいけない。
今まだこうしてここに立っているのは確かだ。
自分に与えられた『スタンド』とやらがなんなのかも理解はしていないが、なんとしても生きて息子にまた会わなければ。
そう進は方針を定めた。

「ん?パチンコ屋だ…」

少し歩いたところでネオンの看板が進の視界に飛び込んできた。
何故殺し合いの場にパチンコ屋が…と疑問が沸くが、すぐに答えは出た。

「馬鹿を引き寄せる誘蛾灯だな」

当然この場においてパチンコをする意味などない。
それどころか一か所に留まり、他者に背を向けて台を見続けるなど殺してくれと言っているようなものだ。
こんなところでもパチンコ中毒から抜け出せない愚か者を誘い込むためのトラップ施設なのだろう。

「ホラ見た事か。誰もいない」

中に入ってみても台こそ稼働しているようだが客の姿など見えない。
当然席に座ってレバーを回したところで打つものが無いのだから何にもならない。
こんな無意味な施設はないだろう。
そう進が結論付けた瞬間、床の上に何か光るものが落ちている事が認識できた。

「あ、玉落ちてる」

こうして進はスタンドの使い方を知った。

「アハ!」

進は今この瞬間が一番幸福であった。


107 : ぼくのパパはパパじゃない ◆.DZlGZw4P6 :2020/05/12(火) 14:07:28 byim3fVE0

【名前】日之本進
【出典】連ちゃんパパ
【性別】男性
【能力・技能】
強運

【スタンド】ハーヴェスト
【破壊力 - E / スピード - B / 射程距離 - A / 持続力 - A / 精密動作性 - E / 成長性 - C】
【能力詳細】
小さな虫型のスタンド。
指示さえ出せば勝手に動き回るので、物を集めることを得意とする。
制限により最大20体までしか出せなくなっている。

【方針】
・パチンコする


108 : ◆.DZlGZw4P6 :2020/05/12(火) 14:07:51 byim3fVE0
投下終了します。


109 : ◆GO82qGZUNE :2020/05/12(火) 14:37:08 olKjkn5U0
投下します


110 : 少女は人類絶滅の夢を見るようです ◆GO82qGZUNE :2020/05/12(火) 14:37:45 olKjkn5U0



 ハンプティ・ダンプティ、塀の上。

 ハンプティ・ダンプティ、おっこちた。

 王さまの馬と、王さまの家来。

 みんな揃っても戻せないもの、なぁんだ?



 おっこちてくるものを見た。
 おっきな人形。ビルの上から降ってきた。
 馬鹿みたいな顔。多分目が合ったと思う。
 卵みたいに割れちゃって、真っ赤なものが顔にかかる。
 みんながみんな大慌てで、お父さんも私を抱きしめて。
 でも、ふふ。へんなの!

「にんげんは鳥さんじゃないからとんだらしんじゃうのに、そんなこともわからないなんてあたまわるいね」



 ハンプティ・ダンプティ、塀の上。

 ハンプティ・ダンプティ、おっこちた。

 王さまの馬と、王さまの家来。

 みんな揃って騒いでも、もう二度と戻せない。





   ▼  ▼  ▼


111 : 少女は人類絶滅の夢を見るようです ◆GO82qGZUNE :2020/05/12(火) 14:38:43 olKjkn5U0





 人には資質がある。
 彼女の両親がそれに気付いたのは、彼女が4歳を迎えて間もない頃だった。

 彼女には人として当然あるべきはずの、他者に共感する機能が備わっていなかった。
 人の痛みが分からない。人の怒りが分からない。
 悲しみが、歓びが、苦しみが分からない。
 けれどそれは他人の感情に対してであって、彼女自身は喜びも楽しみも感じることができた。とりわけ、彼女は他人を傷つける時に強い喜びを感じるようにできていた。

 彼女の両親はそのことに気付いてなお、彼女を見捨てようとはしなかった。
 正しく真っ直ぐに育ってほしい。人の痛みを感じることができずとも、それを理解できるようになってほしい。
 根気強く正義を説き、理屈と感情の双方から人の善性を彼女に教えた。それまで以上の深い愛で彼女を包んだ。

 人とは異なる価値観を持って生まれた少女。
 そんな彼女が危うくもバランスを保って生きてこれたのは、間違いなく彼女の両親の功績だった。

「おとーさん、いつかわたしもヒーローになれるかな!」

 彼女は笑っていた。
 両親も笑っていた。
 そこにあったのは一つの幸せな家族の姿であり、それは変えようのない事実であった。



 彼女自身が"それ"に気付いたのは10歳の頃だった。
 彼女の父親は特異な価値観を持って生まれた彼女とは違い、ごく普通の市井に生きる、ごく当たり前の正義感を備えた善人だった。
 そしてその価値観のままに、道路に飛び出した子供を庇い、命を落とした。
 不慮の事故、家族の突然の死。
 泣き崩れる母親に、彼女は笑ってこう言った。

「ねぇねぇお母さん、お父さんのヒーロー帽もらっていい?」

 まるでカマキリを踏みつぶした時のように、まるで他人事であるかのように。
 少女は、最愛の父の死に心が微塵も揺れない自分を知った。

 なんで、どうして、あのひとはあなたをあいしていたのに。

 自分に縋りついて泣き叫ぶ母を見下ろして、少女はただ「ああそうか」と思った。

「そっか、家族が死んだら泣いて悲しまなきゃいけないんだ」

 悲しみはなかった。
 怒りもなかった。
 絶望なんてしなかった。
 ただ、一つだけ理解した。

 私はきっと生まれた時から、致命的な何かを間違えたのだと。





   ▼  ▼  ▼


112 : 少女は人類絶滅の夢を見るようです ◆GO82qGZUNE :2020/05/12(火) 14:39:22 olKjkn5U0





「馬鹿みたい」

 言葉を切って、視線遠く。
 怒りや憤りさえもどこかへ置き忘れて。
 それは、過去を見るような瞳。過去を進む現在を見るかのように。

 少女は、姫浦瀬良という名の17歳の少女は、表情を変えることなく呟いた。

「円滑に進めたいなら"協力的じゃない人間"なんて最初から入れなきゃいいのに。
 頭を吹き飛ばして自分に従えなんて、パフォーマンスにしてもありきたりで新鮮味がないなぁ」

 事もなげに言う彼女の周囲には、何か小さな、金色に光る小人のようなものがいた。
 いくつもいるそれは、甲高い声で何かを叫び、ミスタがどうこうと煩く飛び回っている。鬱陶しい。

「黙って」

 それは言うなれば、自傷のイメージ。
 飛び回る小人たちを自分の肉体の延長、新しく増えた指先のように捉え、認識する。そしてその上で、手にした包丁を勢いよく突き刺す感覚。
 ぴたり、と。それまで煩く飛び回っていた小人たちは途端に目の光を失い、停止し、沈黙した。
 スタンド、自分の精神的エネルギーとかあのおっさんは言ってたっけ。
 これが自分の精神なら、自分に制御できない理由はない。"力"のことはよく分かったから、それ以外のものはいらない。

「それで、えっと、殺し合わせて最後の一人は願いを叶えるんだっけ。
 ふふ、それこそ馬鹿みたい。矛盾の故事成語を知らないのかな、あの人」

 私の夢は叶わない。
 どう足掻いても生まれ持った資質は変えられない。運命は変えられない。
 嘘を重ねたって、
 恋をしたって、
 人は絶対に変わらない。

 自分を律して取り繕えばいくらでも変われる? ああそうかもね。
 でも人は鳥にはなれないし、私は私以外の誰かになれない。

「だから、そうだね。
 あの人の前に行って、さあ私の夢を叶えてよって言ってみよっかな。
 "私をヒーローにしてみてよ"って。逆説でもパラドックスでもない矛盾を、どうやって叶えるつもりなのか」

 私はヒーローになれない。
 真実や運命、正義だの命だのを論じる以前の問題だ。最低にも程がある。
 矜持がない、配慮がない、他を慈しむ気が欠片もない。
 高度な精神性を備える生命としてどこまで行っても落第点。生まれたこと自体が間違いだったどうしようもない塵屑。

 私には敵がいない。倒すべき誰かがいない。
 だって私は誰より間違っていて、誰よりも非道なのだから。
 誰も間違ってなどいないこの世界で、ただ一人間違ってしまったこの私は。

「どうせ、叶いっこないけどね」

 世界を壊す使い捨ての弾丸。《世界の敵》だ。


113 : 少女は人類絶滅の夢を見るようです ◆GO82qGZUNE :2020/05/12(火) 14:40:08 olKjkn5U0

【名前】姫浦瀬良
【出典】ib-インスタントバレット-
【性別】女
【能力・技能】
破壊のib:世界を壊す20の弾丸の一つ。
世界に存在するあらゆる爆弾を自由に召喚・起爆できる、いわば爆弾に限定した召喚術。あくまで召喚と操作であり自分で創造することはできない。
爆弾の種類は問わず、例えば相対した人間が向ける拳銃の中から「弾丸」だけを抜きだし、自分の手元に召喚するといった使い方も可能。
原作ではその効果範囲は文字通り世界中だったが、制限により会場内、それも自分の周囲1エリアに範囲が縮小している。

【スタンド】セックスピストルズ
【破壊力 - E /スピード - C /射程距離 - 弾丸の届く距離まで /持続力 - A /精密動作性 - A /成長性 - B】
【能力詳細】
小さな小人のような姿をした群体型スタンド。総員6名で額には1〜7の英数字が刻印されているが、「4」の数字だけは飛ばされている。
発射された弾丸に取り付き、ある程度軌道を操作する事が可能。彼らが操った弾丸はスタンドにもダメージを与える事ができる。
弾丸の種類は選ばないが、回転式拳銃との相性が良い。
現在は姫浦瀬良自身の精神力によって意思と感情を完全に奪われているが、自律行動自体には何ら影響はない。

【方針】
殺す


114 : 名無しさん :2020/05/12(火) 14:40:47 olKjkn5U0
投下終了します


115 : ハイハイハイハイ カッコ良いとこ見てみたい♫ ◆A2923OYYmQ :2020/05/12(火) 18:33:44 DeCC8AZ60
投下します


116 : ハイハイハイハイ カッコ良いとこ見てみたい♫ ◆A2923OYYmQ :2020/05/12(火) 18:35:27 DeCC8AZ60
地べたにへたり込む一人の陰鬱な雰囲気の男姿があった

「勘弁してくれ………」

何故、爆弾魔(ボマー)の恐怖から逃れられたと思った矢先に、こんな目に遭わされるのか。
頭を吹き飛ばされる恐怖に、また怯えねばならないのか。

「殺し合え、だって?」

死にたくはない。殺されたくもない。
だが、どうする?殺し合いなんてものに勝ち抜く力が俺にある訳が無い。
じゃあどうする?諦めるのか?
全く、どうしてこんな目に遭っているんだ。
ゲームの中とはいえ、結婚もしたし、定職に立って就いた。
もう何日も家に帰っていない。妻は不安に思っているだろうし、職だって失っているかもしれない。
顔だって変えられちまった。俺だと納得させるだけでも一苦労だ。
いや、待てよ。これはひょっとしたら好機かも知れない。
ここで勝ち抜いて、あの男に一生遊んで暮らせる金を願えば────。その為に人を殺すのか?
そんな事をして、一体どのツラ下げて妻に会えというんだ?

答えは出ない。

「………………そ、そうだ!まずは手持ちの札の確認だ!!」

現実から目を逸らす様に、男は叫ぶと、支給品の中から、自身に宛てがわれた『スタンド』の取説を取り出した


ボーイ・Ⅱ・マン

【破壊力:C スピード:B 射程距離:C 持続力:A 精密動作性:C 成長性:C】

パワーや精密動作や成長性、スタンドとしての射程距離は並の能力だが高い持続力と素早さを持つ。

固有能力としてジャンケン勝負に勝った人間からスタンドを奪うことができる。
この能力は、一度の勝利で3分の1を奪うことが可能で奪った時点で相手の能力の一部を自分も行使することが可能。更にスタンド使い本体の腕まで操り、自分で自分を殴らせるという芸当もできる。
相手がスタンド使いでない一般人ならどうなるのかは不明。


────終わった。


男は白目を剥いて失神した。


117 : ハイハイハイハイ カッコ良いとこ見てみたい♫ ◆A2923OYYmQ :2020/05/12(火) 18:36:09 DeCC8AZ60
【名前】
モタリケ
【出典】
HUNTER×HUNTER
【性別】


【装備】
無し

【方針】
未だ無い………が、死にたくはない

【能力・技能】
念能力者である。繰り返すが念能力者である。
天空闘技場200階までなら無双できるスペックである………多分。
ムエタイチャンプ位なら縦に垂直圧縮出来るッッ!………と思いたい。


【スタンド】

ボーイ・Ⅱ・マン

【破壊力:C スピード:B 射程距離:C 持続力:A 精密動作性:C 成長性:C】

パワーや精密動作や成長性、スタンドとしての射程距離は並の能力だが高い持続力と素早さを持つ。

固有能力としてジャンケン勝負に勝った人間からスタンドを奪うことができる。
この能力は、一度の勝利で3分の1を奪うことが可能で奪った時点で相手の能力の一部を自分も行使することが可能。更にスタンド使い本体の腕まで操り、自分で自分を殴らせるという芸当もできる。
相手がスタンド使いでない一般人ならどうなるのかは不明。


118 : ハイハイハイハイ カッコ良いとこ見てみたい♫ ◆A2923OYYmQ :2020/05/12(火) 18:37:49 DeCC8AZ60
投下を終了します

タイトルを
『ハイハイハイハイ ちょっといいトコ見てみたい♫』に変更します


119 : ◆i8E2NGlreE :2020/05/12(火) 20:31:03 Dxjv/huM0
投下します


120 : ◆i8E2NGlreE :2020/05/12(火) 20:32:43 Dxjv/huM0

【前回までのあらすじ】

 激戦の末ジャスティスマンに敗れ、捲土重来を期すべく次の機会を伺う大魔王サタン。
しかし、つかの間のまどろみの中で、突然得体のしれない神父に総勢41人の殺し合いに呼び出される。
見せしめのごとく少女の命を奪った神父は、すべての参加者それぞれに精神エネルギーによる"像"。
彼が言うところの"スタンド"に与えた!

 悪魔の中の悪魔を呼びつけておいて不躾な態度を取り続ける神父に対し、サタンの威厳を示さんとしたそのとき!
大魔王の実体は現実世界へと転移していた。身体に埋められたスタンドと共に―――!!!


121 : ◆i8E2NGlreE :2020/05/12(火) 20:33:39 Dxjv/huM0





 ゲギョ、と声が漏れていた。音は、聞いたものがひきつった笑みを浮かべるような、露骨に眉を顰めるような、そんな声だった。
もっとも声の持ち主は――まさに大魔王の名にふさわしい堂々した体躯を誇り、見るものは威圧され、飛びのくか震え上がる圧を持っていた。
一目で彼は悪の領袖だと、見たものに理解される。そして全身からは発散するエネルギーの象徴のような突起は、まるで荒神のように彼を形作っている。

「ゲギョ、ゲギョゲギョゲギャーっ!!! 勝てる! この力さえあれば、あの憎たらしき超人、いや、もはやザ・マンでさえも敵ではないーーーーっ!」

そう言って、深く握りこんだ拳から立ち上がりゆく"像"。それは、まさに王が持つに相応しいスタンドであった。

この世すべてをつかみ取らんとする筋骨隆々とした肉体。
煌びやか、支配と豪奢、しかしてまったく野卑ではない黄金の気配。
世界の果てを見渡さんとする冷たく澄み切った、思慮深い目。

この世の王となれる"スタンド" 時を支配する能力。世界そのもの。そして、その名こそ――

「世界(ザ・ワールド)ーーっ! 私はついに、この世界をつかみ取る力を得たのだ!」

 彼はこの世界に降り立った瞬間、いいように神父に呼び出されたことで、わきたった憤怒に全身を支配されていた。
そうして、いつの間にやらそばに立っていた人型に怒りの杭を打ち込まんとする、そのとき、
ひやりとした感覚に、像が自らと存在を共有していることを自覚したのである。

 死ねーっ!と言わんばかりの勢いによって射出された魔王の杭をあろうことか、人型は横に回り込んで、撫でたのだ。
ある程度の実力を持つ超人が万全の状態ならば、避けるのに訳はない杭であるが、その人型の行為は尋常ではない。
時間停止。――ペンタゴンという超人が同じような力を持っていたが、しかし、彼のような手順を踏まなくと気軽に――一呼吸ごとに時を止めることができた。

 そしてペンタゴンとは異なる、圧倒的な点が一つ。
世界(ザ・ワールド)というスタンドの超人強度は、アイドル超人と呼ばれる正義超人たちとは隔絶した高さを持っていること。
もちろん火事場のクソ力のように――圧倒的でありながらも逆転を許しかねないという程度ではある。

 しかし、操り手がほかならぬサタンならば話は変わるのだ。

 人型を身にまとうように展開し、サタンのパワーによって敵と相対したならば疑似的に、至る超人強度一億パワーを繰り出せる可能性がある。
そのうえであらたな依り代、制御しきるに相応しい肉体を得たならば、もはやザ・マンどころか、天上の神々を引きずり下ろすことも可能だ。

それならばこのような殺し合いなど、もはや時間の無駄でしかない。何を思ってこのような精神エネルギーをこのサタンにささげたのかは知らないが――

「大方、あのザ・マンとの手下との戦いのみで判断し、このサタンの力量を見誤ったのであろうがな〜〜〜っ!」

 もしくは神父でありながらも悪魔崇拝者であったのかもしれない。見たところでは実にサタン好みの感情を抱えていそうではあった。

「41人を皆殺しにしたならば、奴が抱えているだろう技術、能力をすべて我が物としてやるぜーーっ! もはや神上も現世もサタンのものよ!」

 そのとき最初の生贄はジャスティスマン、貴様だーーッ! ゲーギョーという叫びとともに、魔王の進撃が始まった!


122 : ◆i8E2NGlreE :2020/05/12(火) 20:34:26 Dxjv/huM0


【名前】
サタン
【出典】
キン肉マン

【方針】
すぐさま優勝し、ザ・マンを叩き潰す。

【能力・技能】
言わずと知れた悪魔の元締め、人々の怨念の集合体。並みの超人ならば相手にならない実力を持ち、謀略に長けるが調子に乗りやすい。
また、その奸佞邪知ゆえにトレーニングには縁遠く、戦闘技術においては超人始祖たちには遠く及ばない。

【スタンド】「世界(ザ・ワールド)」
【破壊力 - A / スピード - A / 持続力 - A / 射程 - C / 精密動作性 - B / 成長性 - B】
人型の近接パワー型スタンド。パワースピードともにスタープラチナに勝るとも劣らず、近接にしては破格の射程距離を持つ。
能力は時間停止。絶大なスタンドパワーを持った、その名の通り、世界を支配するスタンド。

【備考】
憑依等に制限がかかっています。また実体に縛り付けられています。まだサタン様は気が付いていません。


123 : 名無しさん :2020/05/12(火) 20:34:40 Dxjv/huM0
投下終了です


124 : ◆NIKUcB1AGw :2020/05/12(火) 21:24:19 Pe0fh//20
投下します


125 : 味わえ、激辛地獄 ◆NIKUcB1AGw :2020/05/12(火) 21:25:51 Pe0fh//20
男は、ひときわ異様な外見をしていた。
褐色の肌、厚い唇、インドの民族衣装。ここまではいい。
注目すべきは、頭。
スキンヘッドに剃り上げられたその頭部には、なんとカレーライスが乗せられていた。
別に彼は笑いを取りたいわけではないし、狂人でもない。
このカレーには、しっかりとした意味がある。
男は、本名を捨てている。彼は今、カレーを頭に乗せた外道・カレクックを名乗っていた。


◆ ◆ ◆


「許せん……!」

カレクックは、怒りをあらわにしていた。彼の感情に呼応し、頭上のカレーもぐつぐつと煮えたぎる。
このカレーはカレクックのエネルギー源であると同時に、敵への攻撃に使用する凶器でもある。
だが彼自身のシンボルとも言える物品のせいか、没収を免れたようだ。
単に、これを戦闘に使用するなどプッチが思いつきもしなかっただけかもしれないが。

それはさておき、カレクックは怒っていた。
その怒りは無辜の民に殺し合いを強制する、主催者たる神父への怒りだ。

「残虐超人である俺を参加させれば、喜々として殺戮を行うと思ったか?
 残念だったな! 全身を血に染めようとも、俺はあくまで弱きものの味方!
 貴様の思い通りになどならん!」

カレクックはかつて、「世界三大残虐超人」の一角に数えられたほどの残虐ファイターだ。
だが彼は決して、血に餓えた悪鬼ではない。
情け容赦ない戦い方は、弱者を脅かす邪悪を滅ぼすためのもの。
彼の心根は、あくまで「善」なのである。

「今のうちに、せいぜい調子に乗っているがいい!
 必ずや貴様の元までたどり着き、八つ裂きにしてくれる!」
「その意気です、インドの人。一緒に、あのクソ野郎を血祭りに上げてやりましょう」

不意に、カレクックの背後から声が響く。それは、彼に支給されたスタンドのものだった。
桃色を基調とした体色の、女性型スタンド。その名を、スパイス・ガールという。

「ああ、頼りにしているぞ。俺たちのタッグはひと味違うというところを、存分に見せてやろうではないかーっ!」

天に向け、拳を突き上げるカレクック。
その頭上には、湯気に包まれたカレーが鎮座し続けていた。


126 : 味わえ、激辛地獄 ◆NIKUcB1AGw :2020/05/12(火) 21:26:31 Pe0fh//20

【名前】カレクック
【出典】キン肉マン
【性別】男
【能力・技能】
『残虐ファイト』
勝利のためならば、情けは無用。
弱者を照らしはしても暖めはしない、冬の太陽のごときファイトスタイル。
彼独自の戦法として、カレールーを相手の目や傷口に塗り込むというものがある。

【スタンド】スパイス・ガール
【破壊力:A/スピード:A/射程距離:C/持続力:B/精密動作性:D/成長性:C】
【能力詳細】
触れたものを柔らかくするスタンド。
能力の対象となった物体は、物理的に破壊するのがほぼ不可能となる。
柔らかいということは、ダイヤモンドよりも壊れない!

【備考】
参戦時期は完璧超人始祖編終了から、六鎗客襲来までの間

【方針】
主催者の打倒


127 : ◆NIKUcB1AGw :2020/05/12(火) 21:27:19 Pe0fh//20
投下終了です


128 : ◆OmtW54r7Tc :2020/05/12(火) 21:41:40 FI4gnYko0
投下します


129 : スタンドと背後霊って似たようなもんだよね ◆OmtW54r7Tc :2020/05/12(火) 21:43:20 FI4gnYko0
ミタマジョー。
思い返してみれば、あの人との出会いで私の毎日は大きく変わったと思う。
思うんだけども…

「これはさすがに、変わりすぎじゃない?」

私ハゼレナは今、殺し合いの舞台へとやってきていた。

〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

あの女の子の首が吹き飛んだ時は、本当にびっくりしたし怖かった。
それでも今の私は、それなりに落ち着けていた。
その理由は…

「いやあ、お互い大変なことに巻き込まれちまったなあ」
「解説のおじさん…」

殺し合いの舞台に巻き込まれてすぐ、知り合いに出会えたからだ。
解説のおじさん。
私は普段、大勢の背後霊が周りにいるのだけど、おじさんはそんな背後霊の一人だ。
そして理由は、もう一つある。

「本当なのおじさん…みんなが捕まってるって」
「ああ、俺以外の霊はあのエンリコ・プッチって奴に捕らえられてるらしい」

なんでも背後霊たちは私がこの世界に連れてこられる時に引きずられるように一緒についてきてしまったらしく、それがエンリコ・プッチには不都合だということだ。
結局、特例として解説のおじさんのみがハゼレナについていくことを許され、他の霊たちは隔離されてしまったらしい。

「…みんなになにかあったら、許せない」

ハゼレナにとって背後霊たちは、もはや家族といえるほど大切な存在になっていた。
その家族から引き離されたことに、ハゼレナは怒っていた。
要するに、怒りが恐怖を上回ってしまった。
これが、2つ目の理由だった。


130 : スタンドと背後霊って似たようなもんだよね ◆OmtW54r7Tc :2020/05/12(火) 21:44:05 FI4gnYko0
〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

「なあ嬢ちゃん、頼むから早まったことはするなよ?」
「…優勝して、みんなを解放してもらうとか?」
「ああ、そんなのは絶対だめだ!あいつらだって一度死んだ身だ。消えることへの覚悟くらいみんなできてる。あいつらにとっては、消えることよりも、嬢ちゃんが手を汚すことのほうが辛いはずなんだからな」
「うん…分かってる」

頷きながら、ハゼレナは思う。
おじさんが今ここにいて、本当によかったと。
もし背後霊が誰もいなくて、捕まってることだけを知らされたら、今のように冷静でいられたか分からない。
助けるために殺し合いに乗ろうと考えたかもしれないし、乗らなかったとしても、霊たちを見捨てたと勝手に罪悪感を感じて押しつぶされていたかもしれない。
解説のおじさんがこうして霊たちの想いを代弁してくれたから、自分はこうして冷静でいられたし…決意を固めることができた。

「エンリコ・プッチを倒して…私たちの家族を、取り戻す」

私は所詮、ただの女子高生にすぎない。
だけど、私は一人じゃないから。
おじさんがいる。
助けを待ってる霊たちがいる。
そして…

「そのために…行こう、『ハーヴェスト』!」

ハゼレナが呼びかけると、彼女の背後にいた虫たち…総勢200匹がピョンピョンと飛び跳ねていた。
まるで、捕らえられた霊たちの魂が、喜んでいるかのように。


131 : スタンドと背後霊って似たようなもんだよね ◆OmtW54r7Tc :2020/05/12(火) 21:44:49 FI4gnYko0
【名前】羽瀬玲奈(ハゼレナ)
【出典】ミタマセキュ霊ティ
【性別】女
【能力・技能】
超霊媒体質の為、霊を引き寄せやすく、本人の意思と関係なく背後霊がついてくる。
原作では現在までに200弱の背後霊がついてきているが、この場では解説のおじさん1体のみがついてきており、他の背後霊はエンリコ・プッチによって捕らえられている。
なお、解説のおじさんはスタンドではなく幽霊なので、霊感のある者以外には姿が見えない。

【スタンド】ハーヴェスト
【破壊力 - E / スピード - B / 射程距離 - A / 持続力 - A / 精密動作性 - E / 成長性 - C】
【能力詳細】
小さな虫型のスタンド。
指示さえあれば勝手に動き出すので、物を集めることを得意とする。
群体型のスタンドで、原作の所有者である重ちーは(500万山分けの時の話を信じるなら)500体もの虫型スタンドを所有している。
スタンドの数だけ本体へのフィードバックのダメージも分散されるらしく、1体や2体倒した程度ではまともなダメージにならない。
今回、虫の数の上限は200体。
これは制限というよりは、ハゼレナが原作で憑かれていた霊の数が彼女のスタンドパワーとして反映された結果というニュアンスである。
また、移動範囲は本体がいるエリア内のみ。


【方針】
エンリコ・プッチを倒し、霊たちを取り戻す


132 : ◆OmtW54r7Tc :2020/05/12(火) 21:45:40 FI4gnYko0
投下終了です


133 : ◆i8E2NGlreE :2020/05/12(火) 21:59:12 Dxjv/huM0
申し訳ありません >>119からの投下にタイトルをつけ忘れていました
タイトルは 大魔王の世界!の巻 です お手数おかけしてすみません


134 : ◆5A9Zb3fLQo :2020/05/12(火) 23:11:41 IDvEKVk20
投下します。


135 : 砕けず、折れず ◆5A9Zb3fLQo :2020/05/12(火) 23:14:09 IDvEKVk20

 自由に動かなくなった体。鈍くなった思考。
 もう、残された時間は少ないのだという自覚はある。
 私は医療の改革の為といえ私を取り巻く沢山の人を巻き込み死なせてしまった。
 そんな私は、きっと地獄に落ちるのだろう。私の知る地獄といえばクリミア戦争の地獄だけれど。
 意識がゆっくりと闇に落ちていく。ああ、とうとう終わりが来たのだと、そう思った。

 そうして私は地獄に落ちた。だけれども、それは私の想像したものとは全く異なる地獄であった。
 殺し合えと命じる神父様。
 埋め込んだDISCとやらで首から上が弾け飛んだ少女。
 なんて酷いことを。一方的に死を命じた神父にジョン・ホールに向けて銃口を向けた時以来の激しい怒りに襲われる。
 でも、年老いて体を満足に動かす事も出来ない私には何も出来ない。
 そうして我が身の無力に憤りと嘆きを覚えた意識が現実に引き戻された時、新たな驚愕が私を襲う。

 体が動く。いや体が軽い。
 ここのところ感じる事の無かった感覚に戸惑いながら私がいた部屋にあった鏡を見て目を見開き息を呑む。
 後ろで一つにまとめた髪、皺一つない肌、黒い衣服に白いエプロンの看護服姿の女性が映っている。
 そこには若い頃の私の姿があった。忘れる筈もない、あのクリミア戦争に従軍した頃の、”彼”と共にいたころの私の姿が。

 何故、私が若くなったのかは分からない。あの神父の言っていたスタンドとやらの力なのだろうか。
 この異常な状態に混乱するが、だけど一つだけ理解したことがある。
 今の私なら満足に体を動かせる。
 体を動かす事が出来るのならば、この殺し合いの場で助けるべき人達を助ける事が出来る。
 胸の裡に広がっていた無力からくる絶望の靄が晴れていくのを感じた。

 ああ、そうだ。こんなところで絶望している暇なんてない。
 私を取り殺してくれる“彼”がいないところで絶望なんてしてはいけない。
 かつての様に、私は私のすべきことをなす。例え地獄であろうとも、いや地獄だからこそ。あの地獄のクリミア戦争の最中で諦めなかった私が諦める道理なんて存在しない。
 そうと決まればまずは荷物の確認だ。私が出来るのは簡単な護身術と傷病者の手当て程度。何か使えるものがないか傍らにあったデイパックを漁る。すると一枚のメモが姿を現した。

「クレイジー・ダイヤモンド……?」

 それは私に支給されたというスタンドとやらの名称のようだ
 スタンドについての説明の記載されていたメモの内容を頭に入れていく。
 どうやら”彼”の言っていた、そして私が見えていた生霊に近いものだというのが分かった。
 続けて、クレイジー・ダイヤモンドというスタンドの説明に目を通す。その能力を知り私は神に感謝する。
 壊れたものを直し、生物の傷を治す事が出来るのだという。この力があればきっと多くの人を助ける事が出来る。その希望が私の活力へと変わっていく。

 一歩、外へ踏み出した。
 まずは私と思いを同じにしてくれる仲間を見つけなければいけないだろう。
 誰が味方か、敵かなんて分からない。それでも好き好んで人を殺そうとする者が私以外40人も集められたなどということはないだろう。

『そうだフロー。でかいヤツとケンカする時には「味方」が要る』

 私に向けられた悪意と非情な現実に打ちのめされていた時に”彼”から貰ったアドバイスを思い出す。
 やり方なんて選ばない。私は私の出来る事に全力で臨みこの殺し合いに抵抗しよう。
 あの時と同じ様に。私の、フローレンス・ナイチンゲールの戦争が始まる。


136 : 砕けず、折れず ◆5A9Zb3fLQo :2020/05/12(火) 23:15:42 IDvEKVk20

【名前】フローレンス・ナイチンゲール
【出典】黒博物館 ゴースト・アンド・レディ
【性別】女性
【能力・技能】
・生霊
人が人に持つ悪意。人間には近く出来ず人と人が相対する時には互いに互いを傷つけあう。そして生霊が敗れた側は感情の好悪などを問わず相手に逆らう気力がなくなってしまう。
フローレンス・ナイチンゲールは自分以外の生霊を視認することが可能。
・医療知識および応急手当
1800年代後半~1900年代頭頃の医療知識により、看護婦時代の経験による応急手当などの治療行為ができる。

【スタンド】クレイジー・ダイヤモンド
【破壊力:A/スピード:A/射程距離:D/持続力:B/精密動作性:B/成長性:C】
【能力詳細】
近距離パワー型の人型スタンド。
パワーとスピードに優れる他、壊れたものを直し、自分以外の生物の傷を治すという能力を持っている。
治療に使える他、直したものが離れていた場合に直した箇所が本体に引き寄せられる性質を利用した移動などにも使える。また、治すといってもどう治すかは任意であり元通りに治るとは限らない。そして一度死んだものだけは傷を治すことは出来ても生き返らせることはできない。

【備考】
本編最終盤、老衰による死亡直前から呼び出されたものの、クリミア戦争・スクタリ陸軍野戦病院配属時の姿にまで若返っている

【方針】
・一人でも多くの命を助ける。殺し合いには乗らない


137 : ◆5A9Zb3fLQo :2020/05/12(火) 23:16:22 IDvEKVk20
以上で投下終了します。


138 : 痛み知らずの不慮の事故 ◆dM45bKjPN2 :2020/05/13(水) 01:13:29 h/Z/ISXk0
投下します


139 : 痛み知らずの不慮の事故 ◆dM45bKjPN2 :2020/05/13(水) 01:15:10 h/Z/ISXk0
───二人なら喜びは倍に。悲しみは半分に。
 皆口を揃えて、台本でも用意されているかのようにそう語る。
 縋りたくなるような綺麗な言葉。誰しもが夢見る魔法の言葉。
 そう語るのだ。何とも素晴らしく、何とも素敵なのだろう。
 
 わからない。それが、わからない。
 喜びが倍に。それは何とも嬉しい。例えば、自販機で一本ジュースを買うつもりが二本目が当たってしまっただとか、そのようなことを言うのだろうか。
 それは喜ばしい。帰りに学生らしくハンバーガーチェーン店でも寄って安いバーガー片手に間食を楽しむのも良いかもしれない。

 だが。
 悲しみは半分に、とはどういうことなのだろう。
 例えば、自販機で当たった二本目のジュースが暖かいコーンポタージュで、盛大に溢してしまい手に大火傷を負ってしまったとか、そのようなことを言うのだろうか。
 それは熱い。熱く滾り、どろりと粘ついたコーンポタージュが掌を包み大火傷を負ってしまったとなると、とてもとても痛そうで見ていられない。
 経験があるのでわかりますとも。
 
 残念ながら、我々は零より下に在る者。
 完成に近づけば近づくほど堕ちていく欠陥品。欠点だらけの異常者集団。
 誠に悲しいことですが、一般論は肌に合わないのです。
 …ああ、火傷の経験は大丈夫か、痕にはなってないか、ですって?
 ええ、気になさらないで大丈夫です。

 ───このようなもの、不慮の事故ですので。

 ー + ー


140 : 痛み知らずの不慮の事故 ◆dM45bKjPN2 :2020/05/13(水) 01:15:32 h/Z/ISXk0
「…スタンド? これはまた、球磨川さんが好きそうな」

 改造された学生服。燕尾服めいたそれを身に纏った少年が、支給された紙切れをポケットの中に乱雑にしまい込む。
 片眼鏡に手袋。紳士然としたその姿、立ち振る舞いは年相応のものとは思えない。ぴょこんと跳ねた長い毛束が妙に目立つ。
 残念ながら。少年は、現時刻を持って殺し合いに巻き込まれた。月の光さえ遮断する木々満ちる山の中で、土の匂いを優雅に感じながら、少年の殺し合いは始まった。
 
「次は私の出番だった…はずなんですけれど。ボロボロの球磨川さんはどうしている頃でしょうか」

 少年…蝶ヶ崎蛾ヶ丸は、この場へ運ばれる前の出来事に想いを馳せる。生徒会と争い、リーダーである酷く焦燥した球磨川禊に肩を貸し、言われた通りに運んでいる最中だった。
 その辺りから、まるでプツリとテレビの電源が落とされたかのように、記憶が無いのだ。
 そうして、目覚めたら愉快な炸裂肉風船を見せられた挙句、こうして山の中へ放り出されている。
 困った。蝶ヶ崎は素直にそう思う。
 球磨川禊たちのことも勿論心配ではある。しかし彼なら自分がいなくてもやり遂げるだろう、と無意識に思うくらいには信頼していた。
 目下の問題は、一つ。

「…私が山は夏派、バイクでと決めているのですが」

 大変不本意なのだ。こうもポリシーを破られては困る。夏の楽しみが半減してしまう。
 第一、誘拐はともかく場所を選べないというのは如何なものか。殺人の強要はともかく、これではバイクもなし夏でも無しの面白くない山の楽しみ方をさせられている。

「納得いきませんよね…ねえ、『パープル・ヘイズ』」

 蝶ヶ崎が見上げた場所。そこには、大男が立っている。
 紫と白でデザインされた、菱形模様のボディ。拳には何かのカプセル。頭には瞳を防御するためか簡素なバイザーに、その奥には狂気に染まった瞳と涎を垂らしかねないほど歯を食いしばった『何か』がいた。
 『パープル・ヘイズ』。獰猛。彼に触れること自体が死を意味する、狂気の化身。
 そのパープル・ヘイズに、蝶ヶ崎は恐れず話を続ける。怯えた様子もなく、笑顔で。

「君も迷惑でしょう、こんなところに連れてこられて。…と、あなたは能力ですので喋らな───」

 蝶ヶ崎が喋った、次の瞬間だった。
 上から振り下されたパープル・ヘイズの拳が、正確に蝶ヶ崎の顔面を捉えたのだ。

「ブッシャアアアッ!!」

 そのまま大声を上げながら、地面へと蝶ヶ崎を叩きつけるパープル・ヘイズ。頭蓋を地面へ叩きつけられ、地はその場を中心点に蜘蛛の巣状にヒビ割れる。
 そして。
 パープル・ヘイズの拳のカプセルが、一つ。パキャリ、と破裂した。
 中身は猛毒。皮膚や呼吸、感染方法を問わず一度感染すれば、人体は内側から腐るようにして崩壊し死に至る。それが殴られ身動きの取れない蝶ヶ崎に撒き散らされたとなれば、どうなるかなど結果は見えている。
 死体が原型を保っていたならば、奇跡か。

 ───このパープル・ヘイズの持ち主である男、パンナコッタ・フーゴは賢く、それでいて抑えられない暴力性を併せ持つ男であった。
 そしてその暴力性は、パープル・ヘイズにも顕現する。
 獰猛。爆発するかのように襲い、そして消え去るときは嵐のように立ち去る、暴力性の具現。猛毒カプセルを身体に備え、そして使えば最後、周囲を巻き込み死に至らしめる。
 パンデミックすら引き起こしかねない凶悪さ。光に弱く、ウイルスは部屋を軽く照らす程度の光でも数十秒照射すれば死滅するが、その数十秒で何人の人間が死ぬことか、想像に難く無い。
 
「ああ、気にしなくていいですよ。パープル・ヘイズ。
 こんなもの、『不慮の事故』ですから』

 むくり、と。
 爽やかな朝を迎えた学生のような気軽さで、ひょっこりと起き上がる蝶ヶ崎。パープル・ヘイズも思わず二度見しながら、風の吹かれた霧のように消滅した。

「ああ、スタンドの出し入れ程度は私でもできるんですね。それは良かった。
 私たちみたいな『過負荷』に、スタンドのような『天才』の能力が扱えるわけがないでしょうに」

 過負荷。マイナス。それが蝶ヶ崎たちが名乗る称号。
 何処まで行っても人の役に立たず、害にしかならず、自己中心的で傍迷惑な精神性。それが特技・能力にまで発展した救いようの無い最悪の具現。
 その彼らに、いかにも選ばれた者が扱えるようなスタンドが扱えるはずもなく。出し入れこそ自由なものの、ほぼ操作は不可能の半暴走状態と化していた。
 暴力性の具現のパープル・ヘイズ。正しい馬鹿にはなれず、しかし最後には恥知らずと誰に思われようとも、それこそ自分自身でそう思おうとも、己で道を切り開いた男のスタンド。
 そんな眩い光は、過負荷には到底届かない。

「…殺し合い、ですか。偉そうに見下ろして、命令してましたよねえ」


141 : 痛み知らずの不慮の事故 ◆dM45bKjPN2 :2020/05/13(水) 01:15:49 h/Z/ISXk0
蝶ヶ崎はパープル・ヘイズに殴られ、猛毒を浴びせられたというのに、何事もなかったかのように話を続けている。その服には一切の溶けた後や土埃は無く、傷も何も無い。

「───偉そうなやつは、何されても文句言えませんよね」

 簡単な動機だった。偉そうなやつは潰す。偉い人間も潰す。
 過負荷は酷く単純で、悪意に塗れた人間なのだ。
 そうと決まれば、と蝶ヶ崎が行動を開始する。
 暗き山の中を進んでいく。もしかすると、他の過負荷たちもこの場に呼ばれているのかもしれない。
 すたすたと歩いて行った蝶ヶ崎。そこから少し離れた樹木。
 ───怪力で殴られたように凹み、そしてぐじゅぐじゅと熟れ過ぎたトマトより酷く溶けていくそれ。
 幸運だったのは、この場に蝶ヶ崎以外の人間が存在しなかったことか。
 もし存在していたのなら、その人間が溶けていく樹木の代わりになっていたかもしれない。
 幸運だった、と言うべきなのだろう。
 『不慮の事故』は、避けられたのだから。

【名前】蝶ヶ崎蛾ヶ丸
【出典】めだかボックス
【性別】男性
[思考・状況]
基本:球磨川さんたちの場所へ帰る。神父を潰す。
1:偉そうなやつは潰す。偉いやつも潰す。
2:それはそれとして、帰るためにとりあえず現状を知る人を探す。

【能力】
『不慮の事故(エンカウンター)』
「ああ、彼の過負荷だね? ならこの私が解説しよう。
 簡単な話だよ。受けたダメージを他人・物体にそのまま押し付ける能力。物理的・心理的問わずダメージを押し付け、死すらも誰かにプレゼントする破格の過負荷だ。ただし、あくまで『自分に受けたダメージ』だから他人が受けたダメージを肩代わりしてやることはできない。
 過負荷がそんな人に優しい能力を持つわけがないだろう?
 ちなみに。受けたダメージを攻撃した本人に直接返すことはしないそうだ。付け入る隙にはならないが、彼なりの『無傷』に対するスタンスなのかもしれないね」

【技能】
『ストレス耐性』
「その名の通り、彼は『不慮の事故』で些細なストレスすら誰かに押し付けて生きてきた。実の親ですら誰かに押し付けてしまったようだしね。
 だから、と言うべきか、彼はこれまでにストレスを味わったことが殆ど無い。いや、味わったことは山ほどあるがその度に誰かにプレゼントしている。
 故に彼は異常にストレス耐性が低い。軽い煽りは勿論のこと、説教なんて以ての外だ。常軌を逸したキレ方をされること間違いなし。やってしまった時は…まあ、死を覚悟した方がいい。
 一番恐ろしいのは、その時。彼の理性のタガが外れ、自由になった時だ。積極的に『不慮の事故』を悪用する、球磨川くんより恐ろしい化け物の出来上がり。
 対策? ああ、放っておけばいい。彼自身の能力は受け身なものだし、暴力性が無いと言えば嘘になるが、彼の前で偉そうな態度を取るか偉くなければ基本的に無害な子だよ」

【スタンド】パープル・ヘイズ
【破壊力 - A / スピード - B / 射程距離 - C / 持続力 - E / 精密動作性 - E / 成長性 - B】
【能力詳細】
「中距離パワー型のスタンドだ。拳に装着された脆いカプセルの中に猛毒が仕込まれていて、軽い衝撃で破裂し辺りに撒き散らすよ。ちょっとした距離ならカプセルを発射するのも可能みたいだ。それと意外と綺麗好きらしい。
 ウイルスは皮膚や呼吸関係なく感染、三十秒以内に発症し代謝機能をあっという間に破壊し尽くした後、内側から腐るようにしてこの世を去る。
 人から人への感染もあり、獰猛なウイルスだよ。光に弱く簡単なライトでもちょっと当てていれば死に絶えるウイルスだけど、感染予防にはならないね。
 残念ながら、スタンドは精神力だ。選ばれた者の精神だ。残念ながら、選ばれず地のどん底を進み続けた過負荷にスタンドなんて選ばれたものを扱う力はない。
 よって、出し入れこそ可能なものの蝶ヶ崎くんのパープル・ヘイズはほぼ操作を受け付けず半暴走状態だ。気をつけるといい」

【備考】
「参戦時期は…えーっと…どうやらめだかボックス十巻の会計戦終了から球磨川くんに煽られるまでの間だね。それにしてもスタンドを貰えるなんていい環境だ。
 私もスター・プラチナとか実際に見てみたいな。
 ああ、私は誰かって? そうだね、親しみを込めて───と言いたいところだけれど、それはまた今度にしておこうか」


142 : ◆dM45bKjPN2 :2020/05/13(水) 01:16:05 h/Z/ISXk0
以上です。


143 : ◆zzpohGTsas :2020/05/13(水) 01:56:48 q3aqnz/o0
透過します


144 : ◆zzpohGTsas :2020/05/13(水) 01:57:00 q3aqnz/o0

1:

「お前は死を前に……何を望む? 金か? 女か?」

 擦り切れた道袍、垢塗れの肌、虱の見え隠れする髪や髭に、歯石で黄色くなった不揃いの歯。
涙を拭い、鼻をすすりながら、その小汚い風貌の道師は訊ねた。お前の為に泣いてやれるのは、このワシだけだと言いながら。

 訊ねられた男は暫し呆然としていたが――。
口にするべき答えは、初めから一つとでも言う風に、迷いなくこう答えた。

「北斗最強が俺の望み。願うは北斗神拳伝承者との対決」

 それを聞くや、汚い道師は、不気味な笑みを湛えてこう言った。

「しばし楽しむがいい。北斗の……運命の旅を!!」


145 : よき運命の旅を ◆zzpohGTsas :2020/05/13(水) 01:57:29 q3aqnz/o0
2:

「……旅はまだ、終わってないらしい」

 静かに流れる川のせせらぎを聞きながら、その男は言った。

 風体を見るだに、只者ではないと思わせると同時に、この男は強者であると、一目で理解させる。
そんな、肉体的にも気風的にも、圧倒的な質量を伴った巨漢である。そしてそのデカさが、見掛け倒しでない事は。
岩盤を削ったような筋骨隆々の腕や手足、胸筋を見れば窺い知れよう。さながらこの男は、壁。横にも縦にも分厚い、自分で考えて動ける堅牢な石垣であった。

 男の運命は、蘇州河で終わった筈だった。
師を殺してまで戦う事を望んだ、北斗の男。一子相伝たる北斗神拳の伝承者、霞拳志郎との戦いは敗北に終わった。
拳法家として、そして傍流とは言え北斗の名を汲む拳法を修めた男として。殺されるのであれば、拳志郎の拳でその本懐を遂げたかった。
だが違った。蘇州河にて霞拳志郎に看取られて死んだ、『芒狂雲』の運命を奪ったのは、北斗神拳伝承者と戦う為に修得した奥義を得る為に服用した阿片だった。
取るに足らない小物と思っていた、黒幇・紅華会の放った手榴弾の破片であった。拳法家として、恥ずべき死因。語る位なら死を選ぶ程の、恥辱に塗れた最期である。

「今しばらくの北斗の旅、とやらはまだ途中のようだ。拳志郎」

 己を屠った男の名を、狂雲は口にする。
北斗の拳は乱世の拳、神仏の息吹!! 世から調和が失われ、乱と戦が世界の秩序に成り代わろうとした時、その調和を取り戻す為に神が遣わし給う天帝の御使い!!
世界はきっと、混迷を極めて行くだろう。人々の狂奔と欲望、悪意と憎悪と恩讐とが引き起こす時代の波濤は、容易く国家を飲み込み、既存の秩序を砕いて呑むだろう。
狂雲には想像も予想も出来ない、その恐るべき時代の流れを前に、拳志郎は神の拳を正しく用い、時代の流れを整えるのであろう。

 してみると、我が境遇の何たる惨めな事かと、狂雲は自嘲する。
自分の置かれた状況は、何だ? 黒衣黒人の神父からは殺し合いを強要され、そればかりか、我が身にはスタンドなる能力が宿らされていると言うではないか。
拳法家としての誇りたる肉体に他者から勝手に力を埋め込まれている事もそうだが、殺し合いの強要。これこそが、狂雲の怒りの剔抉であった。
狂犬。そうと言われた事もある。殺して来た人間の数など、それこそ両手の指では足りない程だ。だが、その殺しの全てが、自分の意思で行ったもの。
曲がり間違っても、他人によって脅され、強要されて行ったものじゃない。殺しを頼まれても、気に入らない依頼なら蹴った、否定した。

 あの神父は、狂雲に殺しを強制した。己の意思を無視し、あまつさえ勝手に無力なお前達には御誂え向きだろうと言うような態度で、力まで勝手に埋め込んで。
許せん。狂雲は誓った。あれを殺す。必ず殺す。我が北斗孫家拳が奴の身体の秘孔を貫き、この世に嘗て在ったと言う痕跡すら残さずして葬ってくれよう。
阿片によって蝕まれ、死への刻限が迫ったこの身体。北斗の七星の横に輝く死兆星の様に命を燃え上がらせ、せめてこの馬鹿げた舞台を破壊せねば嘘である。

「行けるのなら、俺も元の世界に帰ろう。拳志郎。俺の命が、其処まで持てば、の話だが」

 言って狂雲は、己の服からボタンを一つちぎり、これを人差し指の上で転がした。
すると、どうだろう。そのボタンは軽く軟いとは言え、まるで粘土か熱した飴のようにグニャグニャと変形し始めて行くではないか!!
ボタンは外側にではなく、内側にアルマジロさながらに丸まって行き、一秒経過する頃には誰が見ても明らかな、見事な球状に変形してしまった。
これぞ北斗孫家拳の真髄。気を操る術については北斗三家拳の中で一歩先を行くこの拳法の達者ともなれば、斯様に、金属ですらも飴細工の如く加工してしまうのだ。


146 : よき運命の旅を ◆zzpohGTsas :2020/05/13(水) 01:57:45 q3aqnz/o0
 川の流れを、ジッと睨む狂雲。
――飛沫が、目線の先十二mで上がった。川魚が一匹、跳ねたのである。
この瞬間を狙い、狂雲はボタンを加工して生み出した金属の球体を、指で弾いた。射られた矢を越える程の速度でそれは魚へと飛来。
全長にして三十cmに届くか届くまいか、と言う川魚の頭を金属球は砕いた。血と肉が飛び散ったのを見て、仕留めた事を悟る狂雲。
此処までなら、狂雲にとって出来て当たり前。余技に過ぎない。孫家拳にもない技が繰り広げられたのは、此処からだった。

 金属球に、『目』が生まれた。比喩でも何でもない。
人間の目に似た、しかし遠目から見ても確かに眼球だと解るものが、金属球に生じ始めたのである。
跳ねた魚の頭を砕くだけでは飽き足りなかったか。球はギュルンッ、と独りでに、全く異なる方向に回転を始め、川の中に水没。
三秒程、経過した時だった。川の流れに朱が混じったのと同時に、プカリと何かが浮かび上がったのである。魚だ。
狂雲が放った金属球、それによって頭を砕かれた魚と全く同じ種の死骸が、浮かび上がってきたのだ。ある個体はやはり頭を砕かれ、またある個体は腹を打ち抜かれ……。
死に方こそ一様ではないが、しかし身体の何処かを砕かれた魚が、計二十匹、水面に浮かび上がってきたのである。

「チッ……悪くはない能力なのが、また腹立たしい」

 己の持つ北斗孫家拳との相性が良い能力である事実にムカっ腹を立てながら。
宿らされたスタンド、『スキャン』の試し撃ちに使った球と、殺した魚を回収しに狂雲は川の中に入って行った。今日は一先ず、これを腹の足しにする為に。




【名前】芒狂雲
【出典】蒼天の拳
【性別】男性
[思考・状況]
基本:主催者を殺す

1:元より死んだ身。死ぬのは怖くない

【能力】
『超人的聴覚』
・後述の北斗孫家拳の修得者である事とは別に、狂雲に備わる超人的資質。
有体に言えば、彼は常人では考えられないレベルの聴覚を保有している。具体的には、100m先の人間の内緒話を捉えられるレベル。

【技能】
『北斗孫家拳』
・作中時点で1800年前、つまり日本でも有名な三国志の時代に於いて、呉の国の孫権一族を守る為に産み出された北斗三家拳の一つ。
三家拳の中でも特に、気を操る操気術に長けた拳法であり、掌から発する闘気によって物体の変形及び、銃弾の軌道の操作など、発現可能な現象は多岐に渡る。
また、相手の気を吸い取る術も編み出されており、敵の力を削いで闘いを有利に運ぶことも可能。
狂雲は信条の故に使う事はないが、この流派を学んだ者が銃を持つと極めて危険。何故なら弾道の操作が可能と言う事は、此方が放った銃弾の軌道も変えられるのだ。
孫家拳は気を操って放つ飛び道具の扱いに習熟した拳法とも取れる。作中では拳志郎は狂雲と戦ってヒントを得、北斗神拳の中でも特に強力な奥義である所の、天破活殺を編み出している事からも、孫家拳がどれだけ優れた潜在能力を宿してたのかが伺える。

【スタンド】スキャン
【ステータス不明】
【能力詳細】
ある種の道具に生じると思しきスタンド。人型の形は取らず、物質に眼球が生じたような形を取る。
その眼球は本体の視界とリンクしており、其処からカメラの様に映像を本体にフィードバックさせる事が可能。
また、物体をレントゲンの様に透視する事も出来、これにより相手の弱点を看破する事にも用いられる。

狂雲の持つ北斗孫家拳と合わさる事で、変幻自在の軌道を持ちながら必殺の威力を内在した恐るべき飛び道具にも化ける他、
生み出した鉄球に宿らせた気を用いてソナーの役割を果たさせるなど、狂雲は独自の使い方を編み出している。

【備考】
参戦時期は死亡後から


147 : よき運命の旅を ◆zzpohGTsas :2020/05/13(水) 01:57:59 q3aqnz/o0
投下を終了します


148 : ◆DWDMFPPpRw :2020/05/13(水) 03:02:53 qdhSn.KM0
投下します


149 : ◆DWDMFPPpRw :2020/05/13(水) 03:03:16 qdhSn.KM0

 殺し合いの会場、その一角にひとりの異様な人物が居た。
 明らかに人体にしては不自然な、どこかラッキョウを彷彿とさせる体型に、白の肌に角という悪魔のような人間離れした容姿の巨漢。
 王下七武海の一角、ゲッコー・モリアは参加者としてこの場に居た。

「キシシシシシッ! エンリコ・プッチ、聞いたこともねェ無銘の小物が…… 嘗めた真似しやがって、身の程ってものを知らねェようだなぁ!」

 モリアはこの状況に憤りを感じていた。別に殺人を禁忌してのものではない。かつて四皇の一角であるカイドウと渡り合ったほどの海賊であるモリアにとって、命のやり取りなど馴れたもの。こうした殺し合い自体はさして珍しい事ではないのだ。
 ただ、それを何処のだれかも解らない輩に強要されるのは彼のプライドを傷つけた。
 本物の海賊には死さえ脅しにならない。あの見せしめに関しても、あの程度の脅しで自分を従えられると思っているのかと馬鹿にされているような感覚さえ覚える。
 ただ一点、この状況でもモリアにとって利になる事があった。

「だが……この状況は好都合! ワザワザ殺し合いなんてやるくれェだ。強い影や死体もゴロゴロ手に入るかもな!」

 自らの能力ーー『カゲカゲの実』により、死者をゾンビとして使役できるモリアにとって、バトルロワイアルの舞台は一気に部下を補充できる機会とも言える。
 実に忌々しいことに、モリアはつい最近、麦わらの一味との戦いによって、自らの配下の影を全て失ってしまった。
 頂上戦争の場で一気に戦力の補充を狙うも、折角仕留めたリトルオーズJr.の死体を回収する間もなくこの場に招かれたことも、彼のプッチに対する怒りを増加させた。

(スタンド……聞いたこともねェ能力だが、俺にとっては対した事はねェ。どんな生意気な野郎も “影”にすれば絶対服従! 使われる前に奪えば問題ない!)

 唯一懸念するのはモリアにとって未知の異能であるスタンドだが、それも自らのカゲカゲの能力で充分に対処可能と判断した。
 支給されたスタンドも自らの能力と相性が良いものだったこともあるが、彼のこれまで海賊として培った経験と、それに裏打ちされた実力がそれを肯定した。
 
(ーーだが、まず必要なのは部下だ)

 モリアは理解していた。どれだけ己が強かろうが個には限界がある事を。
 そうした強さは、出る杭が打たれるように、より強い個に潰されて終わる。
 新世界で味わった"悪夢"により、優れた部下の重要性を嫌というほど理解している彼が選択した方針は、勢力の確保であった。
 新鮮な死体、強い影、そして使える部下を求めて、モリアはその場から歩き始めた。

 

【名前】ゲッコー・モリア
【出典】ONE PIECE
【性別】男性
【能力・技能】
『カゲカゲの実』
 「影を実体化させ、操る」という基本動作に加え、能力者本人であるモリアの練度によるものか、かなり多芸。
 自身の影を実体化させて文字通りの「影武者」にする。
 自分と影の位置を入れ替える
 変形させて武器にする
 箱に変えて相手を閉じ込める
 影そのものを変形させて本体を変形させる
 他者の影を切り取って自分に服従させる
 他者の影を取り込んでパワーアップ
 遺体や物に影を取り込ませて「ゾンビ」を生み出す
……などなど、影を巧みに操ることができる。
まさしく「影の支配者」と呼ばれるに相応しい能力

【スタンド】ブラックサバス
【破壊力 - E(押さえつける力はA)/スピード - A /射程距離 - A /持続力 - A /精密動作性 - E /成長性 - E】
【能力解説】
 影の中に潜み、標的を追撃する能力を持つ。
 本体の意思に関係なく一定の法則に基づいて行動し攻撃してくる自動操縦型スタンド。
 ライターの火を再点火した者及びその光景を見た者を自動追跡し攻撃を行う。
 捕まえた生物の魂を引きずり出して攻撃する事ができる。
 影から影へ高速移動し、影の中でのパワーは圧倒的だが「光」に弱く、光のある場所には移動しない。

【備考】
 モリアの参戦時期は頂上戦争でドフラミンゴに襲撃される前。
 ブラックサバスの口内のスタンドの矢は模造品にすり替え済み。
 ポルポのライターは支給品として所持


150 : ◆DWDMFPPpRw :2020/05/13(水) 03:04:06 qdhSn.KM0
投下終了です


151 : 我が生に敗北無し ◆3cZhYXIsgU :2020/05/13(水) 19:47:24 1lptTAsE0
投下します。


152 : 我が生に敗北無し ◆3cZhYXIsgU :2020/05/13(水) 19:47:48 1lptTAsE0
「随分と生意気なことをしてくれるじゃないか」

 男は、誰に問いかけるでもなくそう呟いた。
 全身に目玉の模様が描かれた服を纏い、『心眼』の文字が記される目隠しを施した奇妙な姿。
 人呼んで、“盲剣”の宇水。明治の時代を混乱に陥れるべく集った異能技戦闘集団『十本刀』の一員である。

「四十一人の参加者による殺し合いか……酔狂なことを考えるものだ。いかなる手品を使ったのやら」

 宇水はクク、と喉を鳴らして笑う。
 胡坐をかいて座り込むその出で立ちは、恐怖や動揺とは無縁の落ち着き払ったものである。
 手にした武器を握るその手が震えたのは、武者震いによるものか。

「エンリコ・プッチか。目の前にいればそのまま叩き切ってやったものを。まあ良い、臆病者にはそれに相応しい末路がくるものだ…… それに殺し合いなら話は早い。来る者全てを切り伏せればそれで済む」

 やがて宇水はゆっくりと立ち上がり、軽やかな足取りで歩き出す。
 盲目の身でありながら、その歩調に一切の迷いはなく。
 むしろ、これより遭遇するであろう哀れな獲物を待ちきれぬとばかりに、ますます歩幅は広くなっていく。

「そうとも、どのような相手だろうと不足はないッ! 全てぶった斬ってやる この『俺』はッ!」

 宇水は大口を開けて笑いながら猛る。
 一振りの刀を手に駆けるその姿は、まさしく狂気の暗殺者であった。

「世に名だたる剣豪だろうが、無敵を名乗るスタンド使いであろうがッ! その全てを這いつくばらせてやる 絶対に!! 負けることはないのだッ!! ウシャアアアアアーーーーーッッッ」

 無造作に刀を振るうと、眼前の大樹はいとも簡単に根元から断ち切られた。
 倒れた大樹が放つ轟音さえもまるで聞こえていないかのように、宇水は供物を求めて走る。

 彼が手にした刀は、冥界の神を暗示するカードの名を持つスタンドの宿りし魔剣。
 無銘の刀に宿りしそのスタンドの名を、アヌビス神と言った。



【名前】魚沼宇水
【出典】るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-
【性別】男性
【能力・技能】
『心眼』
天性の異常聴覚。
心臓の鼓動音、筋肉の収縮音など聞き取り、相手の動きや心理状態を把握する。
盲目による不利を一切感じさせない暗殺の達人。

【スタンド】アヌビス神
【破壊力 - B /スピード - B /射程距離 - E /持続力 - A /精密動作性 - E /成長性 - C】
【能力解説】
刀剣に宿ったスタンド。
スタンドそのものが意志を持ち、自らに触れた者……持ち主の精神を支配する。
例え持ち主に剣術の心得がなかろうと、凄腕の剣士として操ることが可能。
また、目の前の障害物を透過し、その先にいる標的のみを斬ることができる。
更に、一度戦った相手の攻撃や動作を記憶し、戦う度にその強さを増していく。
持ち主が死んだとしても、また新たな持ち主を見つければ、その時の経験を活かしたまま戦闘ができる。
しかし、あくまで本体は刀剣である故、持ち主なくして自力で動くことはできない。

【備考】
魚沼宇水の精神はアヌビス神に支配されています。
魚沼宇水の異常聴覚をアヌビス神が利用できるかはお任せします。

【方針】
全ての参加者を叩き切る。


153 : 我が生に敗北無し ◆3cZhYXIsgU :2020/05/13(水) 19:48:19 1lptTAsE0
投下終了です。


154 : ◆DWDMFPPpRw :2020/05/13(水) 20:22:26 Y2Yax42U0
投下します


155 : ◆DWDMFPPpRw :2020/05/13(水) 20:23:20 Y2Yax42U0

「HAHAHAHA!!! HAHAHA!! HAHAHAH…… AHAHAHAHAHAHAH…… AHAHAHAHAHAHAHAHAHA!!!!」

 住宅街の一角、路地裏で大声で笑い続けている奇妙な男がいた。
 ピエロのメイクをした中年男性は、その言動とは裏腹に苦痛の表情を浮かべている。
 男の名はアーサー・フレック。彼の心情は悲しみで溢れていた。
 彼の目の前で、まだ若い、きっと素敵な未来を生きたであろう少女が死んだ。
 ちゃちな玩具みたいに頭が爆発して、それはもう呆気なく。  
 神父が聖書の代わりに殺人を説く。最初の場所で見せられたそれは、まるで安っぽいJOKEのようだ。

「HAHA……HAHAHAHA!!!」

 それでもアーサーの笑いは止まらない。
 楽しいわけがない。それでも彼は笑い続けた。
 (なぜ自分がこんな目に遭うのか。)発作の節々で、ずっとその考えが頭を離れない。
 この場に招かれる前、いや、あるいは最初から、アーサーは人生のどん底にいた。
 同僚から罪を着せられ、仕事をクビになり、挙げ句の果てには酔っぱらいの証券マン達にリンチされかけた。
 殴られた痛みこそ何故か癒えているが、自分を見下す男たちの顔は鮮明に残っていた。
 
 やがて、アーサーはディバックを漁り始めた。
 別に身を守る武器が欲しいとか、そういった現実的な思考はない。ただ、どうしようもない現状を紛らわせたかっただけだった。
 発作と緊張で手先が震え、ディバックが地面に落ち、アーサーの眼前に零れ落ちる。
 慌ててしゃがみこみかき集めると、そのメモ書きに気がついた。 

「HAHA……オ、オール・アロング・ウォッチタワー? HAHA……」

 そのメモに書かれていたのは、参加者に支給されたというスタンドの名称のようだった。
 記載されていたスタンドについての説明を読むにつれて、アーサーの視線はもうひとつの支給品に向けられる。
 『JACK』、『KING』、『Queen』、そしてーー『JOKER』。
 地面にバラバラにばら蒔かれたトランプの中でも、何故だか道化の柄がアーサーに奇妙な感覚を抱かせた。




 いつの間にか、発作は止まっていた。

 

【名前】アーサー・フレック
【出典】JOKER
【性別】男
【能力・技能】
 大道芸人として活動し、ピエロの派遣会社に勤めていたためある程度の芸はできる。
 コメディアンを目指しているが、絶望的に才能がない。
 緊張や興奮を感じると笑いが止まらなくなる障害を持ち、これにより様々なトラブルに巻き込まれることも多い。

【スタンド】オール・アロング・ウォッチタワー
【破壊力 - C / スピード - B / 射程距離 - A / 持続力 - A / 精密動作性 - A / 成長性 - E】
【能力詳細】
 トランプと一体化した、全53体の群体型スタンド。情報収集、暗殺に適している。
 基本性能に加えて「他のスタンドの特殊能力の影響をトランプの1枚だけが肩代わりする」能力を持つ。
 つまりスタンドの特殊能力の効果を53分の1に軽減する非常に優秀な防御性能を誇る。

【備考】
 参戦時期は電車で証券マンたちに絡まれリンチされている最中。
 そのため、まだJOKERには至ってはいない。


156 : ◆DWDMFPPpRw :2020/05/13(水) 20:24:22 Y2Yax42U0
投下終了です


157 : ◆di.vShnCpU :2020/05/13(水) 20:29:41 lWU/vRm.0
投下します。


158 : 天国に至りて ◆di.vShnCpU :2020/05/13(水) 20:30:47 lWU/vRm.0

「フハハハハ! よもやこんな形で……こんな形で我が悲願が叶うとは……!」

闇の中、整った容姿をもつその男は、自らが得た新しい力を前に哄笑していた。
白い髪。赤黒い紋様が裸身を彩り、奇怪なことにそのあちらこちらに生えた口が鋭い牙を鳴らす。
異形の美を体現したような男の前には……こちらも白を基調とした人型の影。
ただしこちらの人影を彩る色は黄金だ。両肩から伸びるバンド状のパーツから何から、全てが金色。

男の名は『鬼舞辻無惨』。
与えられたスタンドの名は『ザ・ワールド・オーバーヘブン』。

自分たち鬼を滅ぼさんとする鬼滅隊を逆に滅ぼそうと、鬼滅隊の首魁・産屋敷の居場所を襲撃した無惨は……
二重三重の罠に捉えられ、『人間化の薬』を打ち込まれ、窮地に陥った。
咄嗟に『無限城』……部下の鬼の作り出す、自在に姿を変える拠点に敵を引きずり込み、分断し迷わせて。
稼いだ時間で肉の繭を作って回復を図り、いざ反撃――というタイミングで、この事態である。

本来であれば、激怒するところだ。
本来であれば、困惑するところだ。
本来であれば、主催への反抗を考えるところだ。

どうやら自分を有象無象と一緒に「殺しあい」とやらをさせるという、あの男。
そんなものに従ってやる義理などない、のだが……

「もはや鬼滅隊などどうでもいい! 青い彼岸花も、太陽を克服した娘も要らぬ!
 この、『天国を超えた世界』があれば! 全てが私の思うままだ!!
 あの男もなかなか気の利いたことをする……否、これを引き当てる天運こそ私の強さか!!」

与えられたスタンドは、ある世界で……いや、世界の枠すら超えて最凶と呼ぶに相応しい、万能だった。
ザ・ワールド・オーバーヘブン。
その能力は……『真実の上書き』。『現実の改変』。

「いまの私には……『太陽光は害とならない』ッ!」

そう、この男。
状況を理解し、与えられた能力を理解したその次の瞬間には……『己自身』を対象に能力を行使していた。
書き換えた内容は、『日光の克服』。
ヒトを遥かに超える力を持つ鬼、それでも長年克服できなかった日光を……彼は、克服した!
試すまでもなく理解できる! もはや日の光は、鬼舞辻無惨を、害することはない!

「フハハハハ……!
 もはや増やしたくもない鬼を増やす必要もない! 私は、自由だ! 私は、不変だ!
 フハハハハハハ……ゲホッ、ゴホッ、ぐぇっ。
 ゲホッ……し、しかし、消耗が強いな、この能力は……」

高らかに笑っていた無惨は、そして急に咳き込むと、その場に膝をついた。
咳き込んだ手の内をみれば、そこには吐血。

鬼舞辻無惨は、酷く消耗していた。
ただ一度の能力の行使だけで、もはや瀕死と言ってもいいほどに消耗しきっていた。


159 : 天国に至りて ◆di.vShnCpU :2020/05/13(水) 20:31:16 lWU/vRm.0

【名前】鬼舞辻 無惨
【出典】鬼滅の刃
【性別】男性
【能力・技能】
『鬼の祖』
人間に自分の血を与えることで鬼を作り出せる。作り出した鬼を感知し、思念を送ることができる。
ただし今回はもはや「作りたくもない鬼」を作る気はない模様。
『最強の鬼』
単純に速度、パワー、再生能力、タフネスが高く、心臓を7つ、脳を5つ保有している。
戦闘時には多数の管を振るい、変幻自在で強烈な攻撃を放つことができる。

参戦時期は無限城において肉の繭から出る、直前。


【スタンド】ザ・ワールド・オーバーヘブン
【破壊力:不明/スピード:不明/射程距離:不明/持続力:不明/精密動作性:不明/成長性:不明】
(参考値:ザ・ワールド【破壊力:A/スピード:A/射程距離:C/持続力:A/精密動作性:B/成長性:B】)
【能力詳細】
天国に到達したDIOの能力。
スタンドが拳で殴った(触れた)ものに、本体の望む真実を上書きする。すなわち現実の改変。
致命傷を無かったことにする。
今回は制限として、時間の経った死者の蘇生は不可とする。洗脳も通常の事実上書きと同等の条件と消耗を要する。
(致命傷が生じた直後にそれを改変して『無かったことにする』ことは可能)
また、元々能力の使用には「魂のエネルギー」の消耗が激しく、再使用までの時間も長くかかる。
消耗はさらに増加しているようだが、これが制限なのか、無惨側の事情によるものかは不明。


【備考】
原作の状態から、ザ・ワールド・オーバーヘブンの能力で太陽光を克服しています。
ただし得られた耐性はピンポイントに自然の太陽光だけで、日輪刀、灼刀はまだ有効です。本人は気づいていません。
その他、「波紋の呼吸」等の日光エネルギーを模した技や能力が著効する可能性があります。
スタート時点で非常に激しく消耗してしまっています。
珠世の用意した薬の効果を受け続けていますが、人間化の薬以外の存在にはまだ気づいていません。


160 : ◆di.vShnCpU :2020/05/13(水) 20:31:39 lWU/vRm.0
投下終了です。


161 : ◆di.vShnCpU :2020/05/13(水) 21:09:23 lWU/vRm.0
>>159
一か所更生ミスに気づきました。
オーバーヘブンの説明において、「致命傷を無かったことにする。」の一行を削除してください。
スレ汚し失礼致しました。


162 : ◆.DZlGZw4P6 :2020/05/13(水) 21:19:56 N1aQgVUk0
投下します。


163 : プラチナ ◆.DZlGZw4P6 :2020/05/13(水) 21:20:47 N1aQgVUk0
「エンリコ・プッチ…てんばつくらわしてやる」

変わった形の帽子を被った男子高校生は静かに怒りを燃やしていた。
彼の名は空条丞太。空条承太郎と花京院典明の間に産まれた子供である。
承太郎の勇気と花京院の優しさを受け継いだ3.5代目JOJOにとってこんな殺し合いを開いたプッチを許せるはずもない。
齢10の丞太ではあるが、父親同様にやる時はやる性格なのだ。
父と母から受け継いだスタンド『魅惑の緑(チャーミー グリーン)』こそ没収されてしまったものの、それで挫けるようなタマではなかった。

今、誰も見たことが無い新しいジョジョの奇妙な冒険が始まろうとしている。

【名前】空条丞太
【出典】ジョジョの奇妙な新婚生活
【性別】男性
【能力・特性】
卵生動物
【スタンド】ストーン・フリー
【破壊力 A / スピード B / 射程距離 1 - 2m / 持続力 A / 精密動作性 C / 成長性 A】
【能力詳細】
第6部「ストーンオーシャン」の主人公空条徐倫のスタンド。
一言でいえば糸のスタンド。
糸は使用者自身の肉体を解いたものであり解きすぎると命にかかわることになる。
この糸は音を通す性質があり、遠くの会話などを聞くことが出来る。
糸を集めて固めれば人型や手錠等にすることができ、編んで防弾チョッキのようにしたり怪我を縫うことで治療も可能である。
また、自分自身を解くという特徴を活かして、狭い所に忍び込んだり、自分の体に「メビウスの輪」を作ることも可能。

【備考】
こいつをコンペ出場資格すら無しと判断した場合、こいつをジョジョのキャラだと認めることになりますがよろしいか


164 : ◆.DZlGZw4P6 :2020/05/13(水) 21:21:13 N1aQgVUk0
投下終了です。


165 : ◆OLR6O6xahk :2020/05/13(水) 22:18:29 fsxzxWAE0
投下します


166 : 魔王の蘇る日 ◆OLR6O6xahk :2020/05/13(水) 22:20:11 fsxzxWAE0


殺し合いを命じた悪の信奉者である神父。彼が作り上げたちっぽけな箱庭の、その一角。
名もなきビルの屋上で、猫田高校二年・安藤少年はたった独りで地上を見下ろしていた。
不思議なものだ、と安藤は考える。
殺し合いなど命じられれば以前の自分ならきっと、かたかたと震えていただろう。
今だって、恐怖はある。けれどその実不気味なほどに頭は冷静で、思考はクリアだ。

「一度死んで、生き返ったって言うのにな…」

そう言って視線を移した右手は、幾重もの深い皺が刻まれていた。
まるで、齢80を超えた老人の様に。
それが安藤に与えられた『腹話術』に続くもう一つの異能―――偉大なる死(ザ・グレイトフル・デッド)の能力だった。
どんな天才にも、凡人にも、平等にやってくる『老い』を与える力。
ファーストフード店で見た老いと貧困に溺れた老人に怯えていた時の安藤なら、決して発現するはずが無かった力だ。

けれど、今の安藤はもう、怯えてはいない。
自分の命の使い方というモノを、孤独な戦いの中で理解したからだ。
何故戦いに敗れ、死んだ自分が此処にいるのかは分からない。
けれど、こうして生きて此処に立っている以上、やるべき事は分かっている。


「あぁ、『覚悟』はできてるさ。殺し合いは…この洪水は必ず止める」


安藤の周囲に漂っていたガスは彼の背後でヒトを形作り、背後に上半身だけの目玉の魔人が現れる。
それと同時に、安藤の右手は元の瑞々しい少年の形を取り戻していて。
グレイトフルデッドの能力が自分にも作用することを確認しながら、安藤は踵を返し下へと向かう。
その時の事だった。


―――――そうだよ、安藤君。自分を信じて対決していくんだ。そうすればきっと、


安藤の耳朶を叩いたその声は、紛れもなく彼の運命を変えた魔王の声だった。
振り返らないまま階段を降りながら、再び不思議なものだ、安藤は考える。
あの男と自分は決して友達ではないし、むしろ宿敵と言ってもいい。

けれど、恐怖に膝を折りそうになった安藤を奮い立たせてきたのは、
何時だって、あの男の言葉だった。


「あぁ。自分を信じて対決していけば、世界だって変えられる。
エンリコ・プッチ。運命は、アンタを選ばない」

紡ぐ言葉は氷の様に冷たい宣戦布告。
瞳に黒く揺らめく漆黒の炎と、スプーン一杯分の狂気を灯して。
クラレッタのスカートを直しに行こう。
あの時逃した勝利を、栄光を、今一度その手に掴むために。


【名前】安藤(兄)
【出典】魔王 JUVENILE RIMIX
【性別】男
【能力・技能】
自分の考えていることを他人に話させる力・「腹話術」を持つ。能力は口に手を当てて発動する。有効範囲は30歩(正確には30〜39歩)。ただし副作用つき。

【スタンド】ザ・グレイトフル・デッド
破壊力 - B / スピード - E / 射程距離 - 列車一本程度は十分 / 持続力 - A / 精密動作性 - E / 成長性 - C
【能力詳細】
不気味な外見をした近距離パワー型のスタンド。
生物を無差別に老化させるガスを発生させる能力を持つ。
女性及び体温の低い者の方が老化が遅く、氷を用いることで老化を抑えることが可能。
スタンドや本体が対象に直接触れることで一瞬で老化させる事も出来る。
また、本体の老化やその解除も自由自在。


167 : ◆OLR6O6xahk :2020/05/13(水) 22:20:38 fsxzxWAE0
投下終了です


168 : ◆IOg1FjsOH2 :2020/05/14(木) 00:30:53 rSasH8hM0
投下します


169 : 復活の蛮野 ◆IOg1FjsOH2 :2020/05/14(木) 00:35:30 rSasH8hM0
私は蛮野天十郎。
ロイミュードの生みの親にして、霧子と剛の父親だ。

私はネットワーク世界の神に等しい。
この世の全ては私のもの。
それを理解出来ない馬鹿が多すぎる。

偉大なる頭脳を持った私に歯向かう愚か極まりないライダー共の妨害によって
私は破壊され、消滅した筈……だった。
だが今、私はこうして生きている。

破壊された筈のドライバーは完全に修復され
ゴルドドライブの姿そのものに戻っていた。
なぜ私が復活してこの場にいるのか、その理由はさほど時間をかける事無く理解できた。

これは確固たる証明であった。。
世界は私に支配されるべきなのだと。
私が神になるべき運命なのだと。

ならばそれに答えねば失礼というもの。
支配してやろうでは無いか。
まずはこの『スタンド』という新たな力を利用して他の人間共を抹殺してやろう。
そして再び、剛達の元へ帰ったその時、私はこの『世界』を支配し
偉大なる神として全ての頂点へと君臨するのだぁ!!

「あぁ〜……あーっはっはっはっはっは!あーーははははは!ひはははははははっ!
 ひはっ!へはぁ!あぁーーーっははへははははははっ!!」

「首を洗って待っているがいいッ!!クリム!!仮面ライダー!!ロイミュード達!!」


170 : 復活の蛮野 ◆IOg1FjsOH2 :2020/05/14(木) 00:38:54 rSasH8hM0
【名前】蛮野天十郎
【出典】仮面ライダードライブ
【性別】男
【能力・技能】
ゴルドドライブの姿で参戦。仮面ライダードライブのシステムを利用した高速の格闘術。
ベルトからの触腕、手から放つ強力なエネルギー波を用いる。
本体はベルトであるバンノドライバーに人格が宿っており、ドライバー単体でも移動、戦闘が可能である。


【スタンド】「世界(ザ・ワールド)」
【破壊力 - A / スピード - A / 持続力 - A / 射程 - C / 精密動作性 - B / 成長性 - B】
【能力詳細】
近距離パワー型スタンド。圧倒的なパワーとスピード、精密動作性に加え、時を止める能力を持つ。


171 : ◆IOg1FjsOH2 :2020/05/14(木) 00:40:29 rSasH8hM0
投下終了です


172 : ◆hqLsjDR84w :2020/05/14(木) 05:18:06 wExWXvNs0
投下します。


173 : ゴールド☆リンリン ◆hqLsjDR84w :2020/05/14(木) 05:18:32 wExWXvNs0
 ◇ ◇ ◇


 いかに深夜とはいえ不自然なほどに、住宅街はしんと静まり返っていた。
 ひしめき合うように建ち並ぶ民家のすべてが照明を点けておらず、また一切の生活音が漏れてこない。
 そんなわざとらしいほどに人が暮らしている気配のない住宅街に、たったひとつ、少女のすすり泣く声だけが響いている。

 だが、奇妙であった。
 住宅街のどこにも少女らしき姿が見当たらないのだ。
 時々しゃくり上げるようにして泣く少女の声は、間違いなく響いているというのに。
 泣き声のもとには、ただ街灯に照らされたオブジェがあるだけだ。路上駐車された軽自動車よりも大きな、微かに震えるドット柄の小山。

 ――――いや、いる。

 いるのである。
 少女はたしかにいるのである。
 この殺し合いに不幸にも巻き込まれた少女は、悲しむべきことにたしかに存在しているのである。

「(みんな、どこへ行ったの? ひとりにしないでよ……)」

 巨大なドット柄の小山こそが、まさしく蹲って泣いている少女であった。
 あくまで身体が人間にしては大きいだけで、その正体はまだ幼い五歳の少女である。
 もうすぐ来たる六度目の誕生日を前に日々胸をときめかせていた彼女は、予期せぬ現状に混乱していた。
 誰もいない。
 みんな、いなくなってしまった。
 とても大好きな仲良しのお友達も。
 とても、とても、大好きな恩人の『聖母(マザー)』も。

「(ねぇ……『マザー』。どうして急に……みんな、いなくなったの?)」

 瞬間、その疑問に応えるかのように、少女に埋め込まれた『記憶』が再生を始めた。
 エンリコ・プッチと名乗る男に見覚えはなかったが、その衣服はマザーがいつも着ているものにどこか似ていて、知らず少女は顔を上げていた。

 ――結局のところ、脳内で再生されたプッチの説明を少女はほとんど理解できなかった。
 わかったことといえば、なにかしらどうにかすれば帰してもらえるらしいことと、そして――そばに立つもの。
 後者の『スタンド』こそが、ひとりぼっちの恐怖に押し潰されてしまいそうだった少女にとってなによりも重要であった。
 黄金に輝くスタンド『ゴールド・エクスペリエンス』は一般的な成人男性ほどの大きさで、少女と比べてあまりにも小さかったが、彼女は自分よりも小さなお友達には慣れている。
 それに、発現と同時に脳内に流れ込んできた『生命力を操る』という能力に、思わず閃くものがあった。

「マザーがやってた手品! やっぱり! おれにもできた!」

 傍らの街灯に『ゴールド・エクスペリエンス』が手をかざすと、ポールの先端の蛍光灯にかわいらしいメルヘンな顔が浮かんで「僕は街灯ー♪ 照らすよー♪ 路上を照らすよー♪」と歌い始めたのである!
 大恩あるマザーに見せてあげれば、どれだけ驚き、そして喜んでくれるであろうか。
 少し想像してみただけで、少女はにまにまと頬が緩むのを抑えられない。

「あれ。もう元の灯りに戻っちゃった……。うーん、マザーはすごいんだなぁ」

 がくんと肩を落とす少女は、しかしながら知る由もない。
 本来の持ち主が操る『ゴールド・エクスペリエンス』は無機物に生命力を与えて動植物を生み出したことはあっても、無機物のままに意志ある存在に変えたことなどないということを。
 ただただ、少女は当たり前にできるものだと認識し、疑うことなく信じ込み、躊躇なく実行し、それゆえに可能にしてしまったのである。

 少女の名は、リンリン。シャーロット・リンリン。
 まだ多数の『ファミリー』の頂点に君臨する『四皇』ビッグ・マムではない、いつか海賊として大海に出る『夢』を抱いているだけのリトル・ガール。
 ようやく泣くのをやめたと思ったら、今度はお腹の鳴る音を響かせてバツが悪そうに頬をかく。そんな彼女はまだまだ五歳で、成長期を迎えるのはこれから。その成長性は――A(超スゴイ)。


174 : ゴールド☆リンリン ◆hqLsjDR84w :2020/05/14(木) 05:19:53 wExWXvNs0
 
 
 
【名前】シャーロット・リンリン
【出典】ONE PIECE
【性別】女性
【能力・技能】
のちの四皇。
のちの寿命喰らい。
のちの天候を従える女。
のちの――ビッグ・マム。

けれど、それは、あくまで未来の彼女。

この殺し合いに参加するのは、歳を数えるのに片手の指で事足りるまだまだ幼いリトル・ガール。

特殊な技能なんか持っていない。
マザーから授かった能力もなければ、海に嫌われてなんかいない。
愛用の刀を仕込んだ帽子もなくて、家族だけで構成された大海賊団なんて知りもしない。

あるのはありったけの夢! そして、無限の可能性! 大好きなマザーや一緒に暮らすみんなへの愛! ちょっとばかし腹ペコに弱いのはごあいきょう。



【スタンド】『黄金体験(ゴールド・エクスペリエンス)』
【破壊力:C/スピード:A/射程距離:E/持続力:D/精密動作性:C/成長性:A】※
【能力詳細】
人型の近距離パワー型スタンド。
触れた物体に生命力を与える能力を持ち、非生物に生命力を与えて動植物を生み出したり、生物に生命力を過剰に与えて暴走させることができる。
生み出した生物に命令を与えて従わせたり、自身の身体の一部を生物に変化させたり、無機物から自身の身体を作ったり――という応用も可能だが、それはあくまでジョルノ・ジョバァーナが編み出した使用方法である。
それらの使用法が可能であるのか、その発想にリンリンが至るのかすらわからない。
そもそも――ジョルノが操るゴールド・エクスペリエンスは、触れた物体を動植物に変化させることなく、その物体のままに意志ある存在に変えたことなど一度としてないのだ。
ただ断言できるのは、ゴールド・エクスペリエンスの成長性はA(超スゴイ)であり、本来の歴史にて四皇の一角にまで成り上がったリンリンの成長性もA(超スゴイ)であるということだけである。

※あくまで、ジョルノ・ジョバァーナが操るゴールド・エクスペリエンスのステータスです。


175 : ◆hqLsjDR84w :2020/05/14(木) 05:21:35 wExWXvNs0
投下完了です。

もう一作投下します。


176 : 断じて逆ギレなどではない極めて真っ当な怒りがあった ◆hqLsjDR84w :2020/05/14(木) 05:22:25 wExWXvNs0
 ◇ ◇ ◇


「成る程。つまり陽が出るまでに誰かが訪れるか、私自身が太陽を克服できなければ、私は――――」



【名前】鬼舞辻無惨
【出典】鬼滅の刃
【性別】内面は男性。身体が男性のものなのか、女性のものなのかは、後続の書き手に任せます。
【能力・技能】
平安時代に生まれ、千年以上を生きる鬼の始祖。
自らの血を与えることで鬼を生み出し、支配することができる。
自分が戦っても超強く、膨張させた身体の部位をぶんぶん振るうと、それだけで鍛え抜かれた剣士の四肢が吹き飛ぶ。
日光には弱いが、いつか克服したいなと思っているし、いずれ克服する自信はある。



【スタンド】『スーパーフライ』
【破壊力:E/スピード:E/射程距離:なし/持続力:A/精密動作性:E/成長性:E】
【能力詳細】
物質同化型スタンド。
物質廃棄された送電鉄塔と同化しており、能力は『鉄塔内に一人の人間を閉じ込める』こと。
鉄塔内に一人残ってさえいれば出入りは自由だが、最後に残った一人が無理に出ようとすると身体は鉄塔と同化してしまう。なお身体の一部が鉄塔化した状態でも、鉄塔内に戻りさえすれば人体に戻る。
また、鉄塔自体を破壊しようと攻撃した場合、そのエネルギーは鉄塔に吸収されて鉄塔自体には傷ひとつつかない上に、攻撃したのと『まったく同じ』攻撃が跳ね返ってくる。


177 : ◆hqLsjDR84w :2020/05/14(木) 05:25:51 wExWXvNs0
以上、二作で今回は投下完了です。


178 : ◆100ZZ542nE :2020/05/14(木) 07:36:07 9L4CvFWY0
投下します


179 : ロンド・ロンド・ロンド ◆100ZZ542nE :2020/05/14(木) 07:57:08 9L4CvFWY0

 眩しいの。

 燃える宝石のようなキラめき。

 輝く虹のような幸福な日々を、もう一度。


 眩しいの。

 今もあの『舞台』が。

 ああ……届かなくて、眩しい……。


 ◆  ◆  ◆


「今回の再演どうしちゃったのかなぁ…初めての事ばっかり……
 やっぱり…台本通りじゃなくっちゃね……あの神父さん。キリンの仲間……なのかな?」

 手にしているのはボロボロになった99回聖翔祭の『スタァライト』の脚本。
 あの日々を、あの一年を、少女は幾度も繰り返してきた。

 同世代の少女に比べると背は高い。
 金色の髪をツインテールに纏め上げた少女。

「同じ舞台じゃつまらないってことかな?」

 少女の名は『大場 なな』。
 聖翔音楽学園99期生 俳優育成科出席番号15番。
 
 ななの今の胸中を一言で戸惑い。
 幾度も繰り返してきた彼女の『運命の舞台』の再演。

  『お持ちなさい あなたの望んだその星を』

 レヴューに勝ち残り、トップスタァの座を繰り返し手に入れ、同じ願いをキリンに願い続けた。
 彼女にとって最高の舞台であるはずの『スタァライト』。
 ……しかし、何度繰り返しても、あの日を超える熱狂は――喜びは――ななの胸のうちに訪れることはなかった。

 その再演はあの日以来変わってしまった。

 ――神楽ひかりが転校してきたあの日から。
 
「それにしても殺し合いですか……物騒すぎるなぁ」 

 神楽ひかりとのレヴューに負け、気付いたら、この場にいた。
 このままでは彼女の再演は途切れてしまう。

「帰らないと、皆の所へ……」

 そんなことはさせない。
 その為に生き残ることが第一優先。
 
 そして、再び繰り返すのだ。
 あの一年をもう一度。いや、何度でも。
 
「スタンド……特別な舞台装置みたいなものかなぁ?」

 彼女に渡されたスタンドの名は『D4C』。
 『Dirty Deeds Done Dirt Cheap(いともたやすく行われるえげつない行為)』である。

「うん! よくわからないけど面白い舞台装置ですね!」

 目の前にいるもう一人、いや、何人か自分(大場なな)がいる。
 剣豪の格好やら騎士の格好やら魔術師の格好やら色々である。
 きっとこれで戦えということなのであろう。 

 目の前にいた自分たちが消えると同時にななはふと何かを考える。
 
 そして、ななは歩みだす。
 軽やかな足取りながら足音もなく。
 
 一先ずは誰かに接触しよう。
 そうしよう、と。

 
 
  『ねぇ、どうして…どうしてこんなことをしてくれるの?』
  『舞台少女がトップスタァになる瞬間。
   奇跡とキラめきの融合が起こす化学反応。永遠の輝き 一瞬の燃焼。
   誰にも予測できない運命の舞台。私は、それが見たいのです』

 
「……誰も予測できない『運命の舞台』か。
 ――――――そんなのいらない、私の再演は私が守るの………何度でも!」

   大切な仲間、大切な舞台、大切な日々の再演。
   私の再演の中に居れば何も怖くない。
   成長することも、大人になることもない。
   自分を追い込む苦しみ、新しい事に挑む辛さ……
   傷ついて、道を諦める悲しみから――――みんなを 守ってあげる。


180 : ロンド・ロンド・ロンド ◆100ZZ542nE :2020/05/14(木) 08:10:21 9L4CvFWY0
【名前】大場 なな
【出典】少女☆歌劇 レヴュースタァライト
【性別】女性
【能力・技能】
・『舞台少女』
 大場ななは舞台に魅了され、舞台に生かされている舞台少女である。
・『調理全般』
 料理全般が得意である。
・『二刀流』
 長短二振りの日本刀を扱い演舞することが出来る。


【スタンド】D4C
【破壊力:A/スピード:A/射程距離:C/持続力:A/精密動作性:A/成長性:A】
【能力詳細】
正確な名前は『Dirty Deeds Done Dirt Cheap』。
巨大な2本の角がウサギの耳のように生えた頭部と全身にある縫い目状の模様が特徴な人型のスタンド。
「同じ場所に隣の世界を同時に存在させられる」と表現される能力。
何らかの物体の隙間に挟まれる、或いは挟み込むことで発動する。

ただし制限により呼び出せる並行世界の大場ななは以下の通り。
『太陽の国の騎士』『ファントム(オペラ座の怪人)』『令嬢エレナ』
『宮本武蔵』『天海もも』『野獣(ビースト)』『クリスマスのお七』『マーリン』
……要はスタリラ(少女☆歌劇 レヴュースタァライト-Re LIVE-)における彼女の姿である。

そして、当然のことだが『D$Cを用いての並行世界への脱出は不可能』。

ちなみに余談ではあるがアニメ版レヴュースタァライト第2話において、ななが教室と保健室に同時に存在している場面がある。
…………おそらくは作画ミスであろう。

【備考】
ななの参戦時期はアニメ版8話終了後です。
エンリコ・プッチをキリンの仲間(もしくは同類)と考えています。
【方針】
生存優先。
だが、帰還のためには手段は択ばない。


181 : ◆100ZZ542nE :2020/05/14(木) 08:12:43 9L4CvFWY0
投下終了です。

もう一作透過します。


182 : しょーがねーだろ赤ちゃんなんだから ◆100ZZ542nE :2020/05/14(木) 08:14:34 9L4CvFWY0

 一人の少年が佇むッ!
 いや、ただ突っ立っているだけかもしれないッ!

 少年の名は『ユウキ』。
 当然のことだが、彼もまたこの殺し合いの参加者であるッ!

 彼はこの殺し合いを良しとはしなかったッ!
 なので絶対に殺しなどよしとしなかったッ!
 『人殺しはよくないことだ』彼の中の良心もそう言っているッ!

 一先ずは状況確認であるッ!
 ユウキはデイパックを手に取ったッ!
 だが! どうだろうかッ!? 
 手にした途端、そのデイパックは消失したッ!
 否ッ! 非常に分かりづらいがそこに存在しているッ!

 おそらくはこれが自分に与えられたスタンド能力であろうッ!
 そう、考えた刹那に自分の手に視線を移すッ!
 
 右手が……否ッ! 全身が消えかかっていたッ!
 恐らくは透明になるスタンド能力ッ! そうであろうなッ!

 『僕はここにいるよ!』

 そう、叫ぼうとしたが、止めておいたッ!
 危険人物を呼び込んでしまう可能性があったからだッ!
 
 だから、彼はここにじっーと、佇んでいるのだッ!

【名前】ユウキ(主人公)
【出典】プリンセスコネクト!Re:Dive
【性別】男性
【能力・技能】
・『プリンセスナイト』
 他者の能力を大きく引き出すことができる。

【スタンド】アクトン・ベイビー
【破壊力:E / スピード:E / 射程距離:なし / 持続力:A / 精密動作性:E / 成長性:A】
【能力詳細】
 自身と周囲の物を透明にする能力を持ったスタンド。
 一度透明にした物は本体からある程度離れても透明化が維持される。

【備考】
記憶を全て失っています。
【方針】
殺し合いはよくないよ。


183 : ◆100ZZ542nE :2020/05/14(木) 08:15:52 9L4CvFWY0
投下終了です、大変時間がかかり申し訳ありません。


184 : 悪魔の子 ◆3g7ttdMh3Q :2020/05/14(木) 11:55:16 CStyW2AQ0
投下します


185 : 悪魔の子 ◆3g7ttdMh3Q :2020/05/14(木) 11:55:33 CStyW2AQ0


男には、ただ憎悪だけがあった。
エンリコ・プッチという男が殺し合いを告げる前、
既に男は殺し合いの最中にあった、戦争である。
数千年も前の古代の世界より、彼は来た。
自国の数倍の戦力を持った敵国が一斉攻撃を仕掛けるという。
激戦になるどころの話ではない、国は一撃で完敗し、踏みにじられるだろう。
それ故に、男は逃げ出したのだ。守りたい者を連れて。

彼が生まれた時、それを祝福するものは誰もいなかった。
皆、焼け焦げて死んでいた。
彼が生まれるのと同時に流星が地面に落ちるのを見た者がいるという。
それを証明するかのように、彼を中心にしたクレーターが生じていた。
だが、それは彼の周りの人間が死んでいる理由になっても、
彼が生きている理由にはならない。

何もわからぬまま、彼は呪われた子と呼ばれ、
呪いを恐れる視線の中で、彼は育った。
孤独の中で、一人憎悪を育てながら。

彼が誰かを憎む度に、彼の肩がひどく疼いた。

成長し、彼は兵隊になった。
敵も味方も、何もかもを彼は憎んだ。
憎しみは彼を強くした、英雄と呼ばれるまでに。

何かを憎めば憎むほどに、肩が快感を伴い疼いた。
彼とは別の意思があるかのように、肩のそれは彼が憎むことを楽しんでいた。

憎悪の人生の中で、彼はある姉弟に出会う。
彼にとって他人とは自分を恐れて罵る者か、
媚びた目でごきげんをうかがう憎むべき敵だった。

その姉妹は、敵ではなかった。
彼を恐れるでもなく、ごきげんをうかがうでもない。
憎悪の人生の中で、彼は初めて優しさというものを知った。

人生で初めて、彼は花を買った。
初めて自分に優しさを与えた少女に贈るための花を。
憎しみと暴力、人生で初めて彼はそれ以外のものを他人に与えた。

花びらが散った。

敵国の一斉攻撃を知った彼がしたことは、逃げ出すことだった。
少女の弟は近くの村に軍装品の買い出しに行っている。
なれば、まずは少女を安全な場所に逃し、次に弟を。

待ち構えていた敵兵の矢が少女を撃ち抜いた。
国は完全に包囲されていた、安全な場所などはなかった。
誰一人として逃がす気はなかったのだ。

――憎いぞ、おまえら。

全身が矢に貫かれていた。
だが、そんなことは関係なかった。
紙をちぎるように、彼は敵兵を殺して回った。
そして――


186 : 悪魔の子 ◆3g7ttdMh3Q :2020/05/14(木) 11:55:50 CStyW2AQ0


今、殺し合いの場にある彼の褐色の肌には傷一つ存在しない。
まるで、矢に貫かれたことが嘘であるかのように。
夢を見ていたのだろうか――ただ、殺し合いの場にいるという事実だけが現実で。
否、違う。
その男――シャガクシャは否定する。

己の腕の中でその少女が徐々に命を失っていくのを、
ただ一言だけその少女が苦痛から言葉を漏らし、それが己の鼓膜を震わせたことを、
その時の絶望も、憎悪も、はっきりと覚えている。

手も振れずに、人間を果物のように破裂させ、
矢に貫かれた己の傷を癒やし――そして、

「エボニーデビル」

シャガクシャは自身に与えられた能力の名前を呼ぶ。
幻覚ではない。
シャガクシャの目の前に、それははっきりとあった。

人形を取り、取り憑けと命じる。

人形をまるで命を持ったかのように動く。

エンリコ・プッチという男が何者であるのかは、
シャガクシャには関係なかった。
神仙か、妖術使いか、妖魔か。誰であろうとも関係ない。
願いを叶えるというのならば、叶えてみせるが良い。

そのためならば、何人でも殺してやろう。

シャガクシャの決意に応じるように、人形が声を上げた。
おぎゃあ、と。

その人形の目は、世界を睨めつけるように、上を向いている。

【名前】シャガクシャ
【出典】うしおととら
【性別】男性
【能力・技能】
異常な生命力を持った古代インドの英雄


【スタンド】エボニーデビル
【破壊力:D/スピード:D/射程距離:A/持続力:B/精密動作性:D/成長性:B】

【能力詳細】
本体が持った「恨み」のエナジーをスタンドパワーに変換できる能力を持っており、強い「恨み」のパワーを注入されたスタンドは遠隔操作型でありながら殺人するに足るパワーと近距離型に匹敵する精密動作性を会得する。
世界のすべてを憎み、その肩に白面の者を有するシャガクシャならば
本編を遥かに上回る性能を発揮するだろう。


187 : ◆3g7ttdMh3Q :2020/05/14(木) 11:56:09 CStyW2AQ0
投下終了します


188 : ◆Jnb5qDKD06 :2020/05/14(木) 12:06:01 lejY9cH.0
投下します


189 : 何度も出てきて恥ずかしくないんですか? ◆Jnb5qDKD06 :2020/05/14(木) 12:06:40 lejY9cH.0

 与えられたのは一つのスタンド能力と一振りの刀。
 刀が妖しく煌き、さあ抜けと魅了する。
 特に何の抵抗もなく、刀を抜いてしまえば頭の中に声が響いた。

───おまえはわたしを抜いた…
───おまえはわたしの本体になるのだ……
───おまえが本体だ……
───おまえは達人になった……
───おまえは剣の達人だ……
───おまえは誰よりも強い…
───わたしを使って殺すのだ…

 そして数分後。

『うおおおおおお貴様あああアアアアアアア』
「うるさい。これも勝利のためだ」

 けたたましい叫びをあげる男とそれを抑える数人の男女、そして剣を石で打つ者にその様子を腕を組んで見守る女。
 彼らこそ中東の暗殺教団の長「ハサン・サッバーハ」。その中でも百の貌を持つとされた百貌のハサンである。
 自らの能力である『妄想幻像』によって人格を存在ごと分割できる彼らは今回のバトルロワイヤルにおいて最も相性の良いスタンド能力を獲得したと言える。
 それは先程から叫んでいる犬の頭部を持つ男でありスタンド能力そのものたる『アヌビス神』。
 本来ならば刀に宿り、抜刀した者の精神を汚染し支配下に置くスタンドだが、百貌のハサンの人格分割能力によってアヌビス神の精神を剥離された状態となってしまった。
 まあ、それならばまだ良い。あろうことかこの山の翁、刀の先端を石でへし折ろうというのだ。
 アヌビス神にとっては自らの肉体をもぐような行為であり、到底容認できるものではない。
 よって叫んでいるのだがハサン数人がかりで拘束されてこの通り。無為に叫んでしまっている。
 そして遂にパキリと音がして剣の先端が欠けてしまう。

『貴様、許さんぞオオオ』
「黙れ。貴様の刀身さえあればいくらでも『アヌビス神』を複製できるのだから文句を言うな」
『がるるるる』

 刀をアヌビス神に返却し、負った刀の先端だけ仕舞い込む。
 刃の破片だけでもあればアヌビス神は活動できる。そしてアヌビス神が活動すればその人格を『妄想幻像』で剥離できる。
 つまり戦力としてハサンたちは常にアヌビス神を確保している状態であり、アヌビス神は受肉したスタンドとして永遠と戦い続けられるのだ。
 それだけでなく、アヌビス神の記憶を本体であるハサンたちに共有させることが可能だ。
 つまりこのバトルロワイヤルにおいてハサンたちは『人数』と『情報』において圧倒的有利な立場を取れるというもの。

「我ら群にして個―――個にして群―――」
「百の貌持つ千変万化の影が群」
「いざ御命頂戴」
『絶対にぶっ殺すッ!』


190 : 何度も出てきて恥ずかしくないんですか? ◆Jnb5qDKD06 :2020/05/14(木) 12:07:00 lejY9cH.0

【名前】ハサン・サッバーハ
【出典】Fate/Zero
【性別】無数
【能力・技能】
・妄想幻像(ザバーニーヤ)
生前の多重人格を原典とした能力。
多重人格の分割に伴い自身をポテンシャル分割して別の個体として活動することを可能とする。
つまり分身するほど弱くなる類の分身能力。ただし一概にも弱体化とは言えず、
人格それぞれに応じた身体で現界するため、老若男女、巨躯矮躯と容姿も様々なものとなる。また人格ごとに使う技能が異なる。
またこの分身能力は全員が『本体』であるため上位個体に還元したり、テレパシーなどで情報を共有したりはしておらず、会話による情報共有が必要。

【スタンド】アヌビス神
【破壊力 - B /スピード - B /射程距離 - E /持続力 - A /精密動作性 - E /成長性 - C】
【能力解説】
刀剣に宿った意志を持つスタンド。
アヌビス神がスタンドの本体に選んだ人間はこの刀を抜刀したくなり、抜刀したら最後、アヌビス神の支配下に置かれる。
能力としては上記の精神汚染に加え物質透過能力、相手の実力に応じて強化される能力を持つ。
物質透過はアヌビス神の任意で障害物を透過する能力。
強化能力は相手の攻撃を受けることで相手の実力を記憶し、それを上回る力を本体に与える。この強化はアヌビス神が持ち主を変えても継続する。
加えてアヌビス神が分断されても各々のパーツで記憶した内容は共有される。

【備考】
・ハサンは分身が一人でも首輪爆発したら全員の首輪が同時に爆発して死にます
・ハサンは受肉した状態であり、霊体化や気配遮断などの能力は有してません。
・アヌビス神はスタンドですが『妄想幻像』によって受肉しています。
・アヌビス神の記憶は刀の破片を通じてハサンたちに共有されます。
・アヌビス神の破片がある限り、何度でもアヌビス神を召喚できますが、ハサン本体のポテンシャルは下がっていきます。


191 : ◆Jnb5qDKD06 :2020/05/14(木) 12:07:22 lejY9cH.0
投下終了します


192 : ◆Il3y9e1bmo :2020/05/14(木) 12:19:45 JiuAt6hE0
皆様、たくさんの候補話の投下、誠にありがとうございます。
現在候補話の総数は41を超えましたが、まだまだ引き続き募集中です。
それでは、当企画をどうかよろしくお願いします。

また、久しぶりの投下となりますが、一作投下させていただきます。


193 : 神の左手悪魔の右手 ◆Il3y9e1bmo :2020/05/14(木) 12:20:42 JiuAt6hE0
――急に視界が暗転する。

「やめろ!」

先ほどとは違う、明るく狭い部屋に少女がいる。
椅子に座っているが、眠らされているのかピクリとも動こうとはしない。

「やめてくれ!!」

すると、その少女の頭が、たとえるならば子供が休日に家の前で鳴らす爆竹のような音を立てて、爆ぜた。

「ああ、頼む……」

血飛沫が舞い、肉片が飛び散る。

「おい、嘘だよな……。嘘だと言ってくれ――――」

そう、少女の名は――。

◆ ◆ ◆

この"夢"を見るのは何度目だろうか――。

少年は繰り返し夢を見ていた。
全て同じ内容だ。椅子に座っていた少女が頭を爆破され、死ぬ。

その夢の中では、彼は身動きを取ることができない。

もがこうにも腕はなく。
駆け寄ろうにも足はなく。
目を閉じようとも瞼すらない。

何度も何度も目の前で"救えなかった"場面だけが繰り返される。

「――――――ッ!」

少年は肩で息をしながら起き上がった。
まだ身体に力が入らない。

「クソッ! クソクソクソ!! ううッ……!」

黒い尖った短髪の少年――上条当麻はむせびながら小屋の薄汚れた壁を殴りつけた。
壁が軋み、手に血がにじむ。だが上条は拳を止めない。

「何が『全員救う』、だよ! 俺は結局『偽善使い(フォックスワード)』のままじゃねえかッ!」

歯を食いしばり、うつむく上条。

「折れるな、俺。ここが踏ん張りどころだろうが……!」

疫病神と呼ばれたこともある。
見世物扱いされ、命の危機に瀕したこともある。
だが、彼の心は折れなかった。

そして、これからも――――。

「とうま、おなかいっぱいご飯を食べさせてくれると嬉しいな!」

そう言ってはいつもお腹を空かせていたあの子のためにも。

「あの神父野郎の思い通りになんかさせてたまるかッ!
 もし、計画通りに行くと思ってんだったら――――」

いつの間にか上条の左手についていた血が右手に移動している。

『ショットキーNo.1』。
それが上条に与えられたスタンド能力だ。
能力内容は至ってシンプル。
左手で触れたものを右手に移動させる。たったそれだけである。
戦闘にはあまりにも心もとない能力だ。

だが、彼にはもう一つ武器がある。
『幻想殺し(イマジンブレイカー)』と名付けられたそれは、右手で触れた異能の力を打ち消す力を持っていた。

上条はいつものように、あの決め台詞を口に出す。"救わなかった"神父を決して許さないために。
上条はいつもとは違い、あの決め台詞を絞り出す。"救えなかった"自らを決して許さないために。

「――その幻想をぶち殺すッ!!」

夜は、もうすぐ更けようとしていた。


194 : 神の左手悪魔の右手 ◆Il3y9e1bmo :2020/05/14(木) 12:20:56 JiuAt6hE0
【名前】上条当麻
【出典】とある魔術の禁書目録
【性別】男性
【能力・技能】
『幻想殺し(イマジンブレイカー)』
右手で触れた異能の力を打ち消す能力。
それが異能の力であれば、超能力・魔術問わず打ち消し、無効化させることができる。
スタンドに関しても、触れることができれば打ち消せる模様。
【人物背景】
学園都市に住む高校1年生の少年。基本的には面倒くさがりだが、根は熱くてお人よし。
右手に生まれつき『幻想殺し(イマジンブレイカー)』という力が宿っている。

【スタンド】ショットキーNo.1
【破壊力:?/スピード:?/射程距離:?/持続力:?/精密動作性:?/成長性:?】
【能力詳細】
固有のヴィジョンは持たない。
左手で触れたものを、右手から瞬時に出現させる能力を持つ。
なお、このスタンド能力はなぜか先述の『幻想殺し』の効果を受けず発動できるようである。

【備考】
参戦時期はアニメ2期終了後(SS1巻まで)です。

【方針】
人を助ける。
プッチを倒す。


195 : ◆Il3y9e1bmo :2020/05/14(木) 12:21:08 JiuAt6hE0
投下を終了します。


196 : ◆EPyDv9DKJs :2020/05/14(木) 14:33:41 JAYmbroc0
投下します


197 : ◆EPyDv9DKJs :2020/05/14(木) 14:34:05 JAYmbroc0

 道端に設置されたベンチに座りこむ、一人の旅人がいた。
 年は十代中頃で、短い黒髪に精悍な顔を持つ。
 黒いジャケットを着て、腰を太いベルトで締めている。
 人間、キノはモトラド(二輪車。空を飛ばないものだけを指す)に乗って旅をする旅人だ。

(慣れたと言えば慣れたけど、慣れたくないな。)

 こういう命がけの状況に陥った回数は、一度や二度ではない。
 だから取り乱すことは余りせず、冷静に状況を判断していた。
 問答無用で殺し合いを強要する奴なんて、既にキノは経験済みだから。
 確かにキノは射撃技術はあり、人を撃ったことも多い。儀式には向いてるだろう。
 一方で、あくまでそれは自分が生きる為に必要で覚えて、行使しているだけの話。
 聖人君子ではないにしても、同時にシリアルキラーに踏み込んでるわけでもない。
 しかし、だ。だからプッチを倒そうと、安易には言えない状況でもあった。

(道具は全部没収、色々まずい。)

 キノは旅の相棒、エルメスと言うモトラドがいるが、そばにはいない。
 ホルスターにしまったハンド・パースエイダー(銃器のこと。この場合は拳銃)もなかったのだ。
 旅の荷物はエルメスに積んであるので、これがないことが非常にまずかった。
 まず、プッチを倒したとしても、それらを確実に取り戻せると言う確証はない。
 それ以前に倒したとして、元いた場所へと戻れる保証もないのが厄介だ。
 もしかしたら、拉致される寸前の場所に放置されていただけならありがたいが、
 今度は誰かに持ち逃げされかねない可能性も出てきて、やはりこれも困る。
 プッチの発言から、否定的な人物はいないわけでもないらしいのが救いだが、
 何かしらで神父は此方の状況も把握はできるようでもあり、これもまた難しい。

(下手な行動は文字通り自爆…今すぐ動くのは、得策じゃあない。)

 キノの選んだ答えは、一先ずは様子を見る。
 荷物の状況が分からない以上、なるべく戻りたいが、
 事態はそんな簡単に終わらせられる状況でもない。
 焦らず、確実に戻れる手段を確立するべきだ。
 エルメスをある宗教から取り戻したときのことを思い出す。
 突入せず、一人一人を撃ち倒して敵の戦力を削ったように慎重に動け、
 優勝以外で帰る手段がないようであるのならば、優勝を狙う。
 そうでないなら、なるべく脱出の手掛かりを探す方を優先する。
 最悪の場合にも優勝狙いは備えておくべきではあるが、
 プッチの言う、スタンドの理解については必要なかった。

『なあキノ! 腹が減ってショーガねえゼッ!』

『俺達ハ本体に関係ナシニ飯が必要ナンダヨ!』

 さっきから考えてる中、小人がキノの周囲で甲高い声で騒ぎ立てている。
 セックス・ピストルズ。キノに渡されたスタンドはこの六体の小人だ。
 この舞台へ来て、間もなく彼らが状況と能力の説明をしてくれたお陰で、
 無駄な時間を使わずに状況整理に至れたのは大きいのだが、

「…分かったから、少し静かにしてほしい。」

 余り食料を消費するわけにはいかないが、
 自律してる以上言うことを聞かない可能性もある。
 極限の状況である中でストライキされたら、それこそ一環の終わりだ。
 仕方ないと割り切って、デイパックの中から適当な食料を取り出す。
 開始から消費していて大丈夫なのかとは、少し不安に思う。
 量から言って持って三日程。ピストルズの食費を除けばの話だ。
 食に関しては強欲になりがちのキノだが、必要な節約はしていく貧乏性でもある。
 六人全員でどれだけの食費になるか次第で、割と笑えない食費になってしまう。
 エルメスよりも燃費が悪ければ、彼(?)と違い操作の権利も完全にあるわけではない。
 かなり頭を抱えそうだが、スタンドにおける基本のルールの把握も、彼らのお陰だ。
 能力も気のなら十分に活かせるし、スタンド相手では彼らは必須。
 基本的には友好的な関係だし。気をつけていきたい。

『ウエ〜ン!』

 そう思った矢先、No.5が背後で何かあったのか泣き出す。
 最初のやりとりで、彼が泣き虫で虐められてるのはよくわかり、恐らくそれだ。
 考えるのを一旦中止して、ピストルズの仲裁へとキノは駆り出された。


198 : ◆EPyDv9DKJs :2020/05/14(木) 14:37:36 JAYmbroc0
【名前】キノ
【出典】キノの旅
【性別】女性
【能力・技能】
キノの旅の主人公で、色んな国を回るのが目的に旅をしている
自分の身の安全を優先で、身の危険があれば躊躇せず人を殺せるし、
そのスタンスなので人をすぐには信じない程度に警戒心も高く、強か
ただ、必要でないなら無理に人や生物も殺さない主義でもあり、
命がけの中、徹底して殺さずに勝利したり、状況によってまちまち
『最後に一人くらいは派手にぶっ殺してやろうと思っているんですよ』と物騒なことも言う
(冗談っぽいので心底ではなさそうだが、実際にその発言後、ある人物を殺している)
身体能力の高さもさることながら、非常に優れた射撃能力を持つ

【スタンド】セックス・ピストルズ
【破壊力:E スピード:C 射程距離:弾丸の届く距離 持続力:A 精密動作性:A 成長性:B】
【能力詳細】
4を除くNo.1〜7の数字が額に描かれた、六体の小人の群体型スタンド
弾丸に乗ったり蹴ったりして、弾丸の軌道を操作をすることができる
ピストルズが関与した弾丸は、スタンド相手にもダメージが通る
六体それぞれが自律した意思を持ち、索敵や報告等サポート性能は高い
群体型スタンドなのでフィードバックは一体だけなら六分の一になる
半面、弾丸なくしては攻撃力は皆無。防御手段もろくに取れないし、
フィードバックも裏を返せば三体やられれば半殺し。結構シビア
自我が強く、食事など扱いが悪いと言うことを聞かない問題もある
一応、弾丸であればマシンガンとかでも弾丸操作はできるらしい

【備考】
元々、原作が時間軸が曖昧で参戦時期も何もないが、
カノン、森の人、フルートを所持していて、
『宗教の国』および『コロシアム』の二つは少なくとも経験済み
スタンドの都合銃器も支給されていて。食料が現在進行形で減ってる
ピストルズ経由でスタンドの原則ルール、ピストルズの能力も理解している

【方針】
様子見。脱出優先だが、無理であれば優勝狙い


199 : ◆EPyDv9DKJs :2020/05/14(木) 14:38:17 JAYmbroc0
以上で『スタンドの話』投下終了です


200 : ◆A2923OYYmQ :2020/05/14(木) 18:01:23 bhF35NYA0
投下します


201 : イェーイ DIO様見てる〜? ◆A2923OYYmQ :2020/05/14(木) 18:02:06 bhF35NYA0
拝啓DIO様。この手紙をお読みになっている頃。私は貴方の剣では無くなっている事でしょう。
もはや私はスタンド『アヌビス神』などでは無く、此の方の剣と堕ちたのですから。


202 : イェーイ DIO様見てる〜? ◆A2923OYYmQ :2020/05/14(木) 18:02:46 bhF35NYA0



「スタンド能力…か」

夢から醒めた後、御主人様は、そうおっしゃられました。

「殺し合い………を、今更拒絶出来る身ではないが、人の命を弄ぶ、この様なものは、な」


そうおっしゃられた御主人様は、鞘に収まった私を手に取られました。

御主人様は比類なき剣士、私を見て、良い巡り合わせと思われたのでしょう。

それは、私の思いでもありますが。

そして、御主人様は、徐に私を鞘から抜き放ち。

私は、愚かにも御主人様に、愚昧な妄言を囁いたのです。


────お前はわたしを抜いた

────お前はわたしの本体になるのだ。

────お前が本体だ。

────お前は達人になった。

────お前は剣の達人だ。

────お前は誰よりも強い。

────わたしを使って殺すのだ。

「殺す?誰を?」

常ならば、この時点で、精神支配は完了しています。
そう、私は新たな身体を得て、この地にいる者共を斬って斬って斬り殺すだけ────。

「此処に居る全員だ!」

それなのに。


203 : イェーイ DIO様見てる〜? ◆A2923OYYmQ :2020/05/14(木) 18:03:36 bhF35NYA0
「断る」

御主人様は意志を保っておいででした。

『な、なああああいにぃいいいいいい!!』

私は狼狽、叫びました。こんな事は初めてでしたから。

「何やら………力が満ちるのを感じた。あれはお主の仕業か」

『おお、そうだ。あれこそが俺の能力。俺を握ればどんなグズも達人よ!!」

剣士なれば逆らえぬ言葉の筈、ですが、しかし。

「ワシには斬りたい相手がいる」

『その為の力なら────』

「業を練り、剣を求め、その果てが他者の力を用いての勝利など意味があるまい」

『………………………………………………』

『修羅』と、そう呼ぶべきものなでしょう。
戦って、斬る。私の知らぬ存在への強い思いが、無差別の殺戮を望む私の支配を跳ね除けたのです。
それも、自分自身の力で成す。私の支配など及ぶ隙がある訳が有りません。

「森守と戦うのも、斬るのも、すべてはワシの意志とワシの力だ」

揺るぎない意志を感じさせせる言葉でした。
きっと御主人様の意志は、DIO様といえども変える事は叶わないでしょう。

「お主にも不満があろう。そこを曲げて頼む、ワシの剣になってくれ、お主程の剣ならば、ワシの業にも耐えられよう」

私は考えました。

────コイツを思い通りに操るのは無理だ。

────いやしかし、コイツに俺を振らせて、徹底的にダメ出しして凹ませてやれば────。

『おう。イイぜ。好きに振るえ、ダメだったらお前の身体を貰う』

「うむ。それで構わん」

そう答えて、御主人様は私を手に取り────。

一振り。上段からの振り下ろしでした。
動きとしては、ありふれたものです。
子供にだって出来るでしょう。


204 : イェーイ DIO様見てる〜? ◆A2923OYYmQ :2020/05/14(木) 18:04:28 bhF35NYA0
その時、私が感じた感情は────悦びでした。
あれ程までに、強く、速く、私を振るえるお方が居ようとは。
私が身体を操るよりも、なおも速く、鋭く、強いと一振りで分からせる剣技。
嗚呼、単純な『剣を振るう』という動き、その中に秘められた、冠絶した技量と経験、至るまでの道のりを支えた精神力。
御主人様の業は、御主人様が宿した『修羅』のなせる業。
私如きには到底振るえるものでは御座いません。

それを知った時の私の感動。
一振りごとに、私は剣であると分からされる絶技。

その後、御主人様が私を振るわれる度に、私は歓喜に震え、感動に咽び泣きました。



私は分からされたのです。私(剣)は、このお方に振るわれる為にこの世に産み出されたのだと。
そう、理解した瞬間から、私は『アヌビス神』ではなく、只の剣と成り果てたのです。



DIO様。私の居場所はもう御主人様の傍しか考えられません。

DIO様────私は今、幸せです。


205 : イェーイ DIO様見てる〜? ◆A2923OYYmQ :2020/05/14(木) 18:05:04 bhF35NYA0
【名前】
トゥバン・サノオ
【出典】
海皇紀
【性別】


【装備】
『アヌビス神』

【方針】
殺し合いの打破。

【能力・技能】
大陸最強の呼び名ぬ相応しい、身体能力と剣技。
僅かな臭いで、食事に仕込まれた毒を察知出来る。

スタンド

アヌビス神
【破壊力 - B /スピード - B /射程距離 - E /持続力 - A /精密動作性 - E /成長性 - C】

500年前に鍛えられた刀に宿ったスタンド。
刀身が本体で有り、自律行動はできない。
能力としては、生物の精神を支配して本体とする能力。魚や蟹程度の大きさまでなら本体にできる。
精神支配されたものは、身体能力が劇的に向上するが、剣技そのものは本体に準拠する

もう一つは透過。
『斬る対象』を選択し、任意の対象のみを斬ることが可能。 

更に戦うごとに、戦った相手の力や速さや技を記憶として蓄積し、戦えば戦うほど強くなる。
この蓄積は、宿主が変わっても持ち越しが可能。


【備考】
トゥバン・サノオの剣に堕ちました。


206 : イェーイ DIO様見てる〜? ◆A2923OYYmQ :2020/05/14(木) 18:05:28 bhF35NYA0
投下を終了します


207 : ◆Ay2lEeXHQ2 :2020/05/14(木) 19:34:26 QRKAMNNc0
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208 : Egyptian Night Club ◆Ay2lEeXHQ2 :2020/05/14(木) 19:36:40 QRKAMNNc0
「やれやれ……私にハ、すべきことがあるのですガ……」

闇の中。ビルの屋上に潜む男がひとり。

浅黒い肌、神父のような出で立ち、銀色の短髪。
長方形のサングラス。秀でた額と白手袋には赤い五芒星。
主催者エンリコ・プッチによく似た姿であるが、彼は神に仕える者ではない。
秘密組織「ファントム・ソサエティ」に所属する、邪悪な悪魔召喚師(ダークサマナー)だ。
胸に下げているのもロザリオではなく、生命を象徴するエジプト十字「アンク」である。

手を握り、開き、魔力を確かめる。多少の制限を感じるが、魔法は問題なく使えるようだ。
与えられた記憶と知識を反芻して、冷静に思考を巡らせる。

押し付けられて殺し合うのは好みではないが、殺人に対する躊躇など微塵もない。乗るしかないだろう。
プッチの目的は、推察するにおそらく「組織」に近い。人間の魂を集め、何者かに捧げること。
ただ狂信者のようであるから、協力関係は結びにくそうだ。逆らえばBOMB、深入りはしない方がよい。

「しかシ、ふぅーム……これハ……」

デイパックを漁って中身を確認したが、聖書型COMPは没収されている。
代わりに与えられたのは―――恐るべき魔力を秘めた、一冊の書物だ。
メモを読み、概要を把握する。まさしく自分に相応しい。彼は禍々しい愉悦の表情を浮かべた。

「ククク……! いいでしょウ。お望み通リ、皆殺しにしてやりまス」


209 : Egyptian Night Club ◆Ay2lEeXHQ2 :2020/05/14(木) 19:38:49 QRKAMNNc0
【名前】シド・デイビス
【出典】真・女神転生デビルサマナー
【性別】男性
【能力・技能】
邪悪な悪魔召喚師にしてカポエイラの達人。
マハ・ブフ、マハ・サイ、魔笛弾、バイスゴスペルなど数々の魔法を使いこなす。

【スタンド】プタハ神(創世の書)
【破壊力:?/スピード:?/射程距離:?/持続力:?/精密動作性:?/成長性:?】
【能力詳細】
ジョジョ三部の小説『熱き砂の墓標』に登場するスタンド。
エジプトの歴史書「創世の書」と同化しており、読み上げた記述を実体化して現世に召喚する。
古代や中世の軍隊、軍船、巨大な石像、スフィンクス、神獣アメミットなどを召喚、使役できる。
一度に出現させられる記述は一つだが、あらかじめ黙読しておけば解除・発現をノーモーションで可能。
ページが少しでも破損すれば、その記述は召喚できなくなる。

【備考】
参戦時期は平崎市に来る前。

【方針】
優勝する。できればこの書物を能力ごと持ち帰りたい。


210 : ◆Ay2lEeXHQ2 :2020/05/14(木) 19:40:20 QRKAMNNc0
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211 : ◆OmtW54r7Tc :2020/05/14(木) 20:04:11 FzUpIG8g0
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212 : 対立する二本の刀 ◆OmtW54r7Tc :2020/05/14(木) 20:05:21 FzUpIG8g0
『ど、どうなってやがる!?』

アヌビス神のスタンドは驚いていた。
彼は、いつものように刀の新たな所有者となった目の前の女の身体を乗っ取ろうとしたのだが…

(な、なんだこの女…乗っ取ってやろうと思ったら、逆にこっちが取り込まれそうな感覚に襲われた。催眠術とか超能力とかそんなチャチなもんじゃねえ…もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ)

アヌビス神が戦慄を覚える中、女はアヌビス神の刀をじっと見ながら「ふんふん、なるほどね」などと呟いていた。

『おい女!ジロジロ見てんじゃねえ!てめえ、なんで俺に身体を乗っ取られねえ!?正気でいられるんだ!?』
「うるさいわね…なんでですって?決まってるじゃない。私が虚刀流『鑢七実』だからよ」

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『虚刀流だと?なんだそれは』
「刀を持たない剣士…いいえ、私自身が『刀』。自分自身を刀として鍛えあげる…それが虚刀流」
『刀を持たない剣士だあ?なんじゃそりゃ…って、そんなことはどうでもいいんだよ!あんたが虚刀流なことと、俺に身体を乗っ取られないのと、何の関係があるんだよ!』
「言ったでしょう?私自身が刀だって。刀が刀を持つなんて、おかしいですよね?」

そういうと七実は、アヌビス神の刀をポイっと地面に捨てた。

『なっ、てめえ、なにしやがる!?』
「あなたがどういう刀なのかは大体わかりました。ですからここでお別れです」
『分かっただと!?嘘ついてんじゃねえ!俺の最強の能力が分かってて、手放すはずなんかねえ!俺はなあ…』


「どんな素人でも身体を乗っ取り、達人級の腕前にしてしまう。そして、敵の攻撃を受けることで、その攻撃の性質を記憶して強くなる。こんなところでしょう?」
『なっ…』
「正直、あなたの能力は私にとってこの世で一番不要な能力なんですよね…だって私、相手の攻撃を一度か二度見れば、覚えて使うことができますし」
『はあ!?見ただけでだと!?』
「攻撃を受けないと覚えられないなんて、不便な能力ですよね…」
『グ、グルルルルルル…』


213 : 対立する二本の刀 ◆OmtW54r7Tc :2020/05/14(木) 20:06:17 FzUpIG8g0
アヌビス神は悔しさに歯軋りする。
なんなんだこの女は。
本当に人間か?
人間の女の分際でこの俺より器用な真似しやがって…

(…と、落ち着け俺。今はなんとかこの女に捨てられないようにしねえよいけねえ。こんな道端に放置なんて、切ないからな)

『と、とりあえずよ、置いていくのはナシにしてくれねえかな?せめて他のパートナーが見つかるまでの間だけでも?な?な?』

媚びた態度で頼み込んでくるアヌビス神に、七実はハア、とため息をつくと、

「仕方ないですね。他のパートナーが見つかるまでは、あなたと共に行きましょう」
『あ、ありがてえ!頼んだぜ嬢ちゃん』(フ〜、助かった)

こうして、虚刀流鑢七実と、アヌビス神のスタンドは、行動を開始し…

「あ、そうだ」
『うん?どうしたお嬢ちゃん』
「一応言っておきますけど、他のパートナーの手に渡った瞬間、私を襲おうなどとは考えない方がいいですよ」
『(ギクッ)な、何言ってるんだよ?そんなこと微塵も考え…』



「だって、あなた程度の刀、何度向かってこようが負ける気がしませんから」



その瞬間、アヌビス神の中で何かが切れた。



『気が変わった、離せ』
「え?」



『俺 の 事 置 い て け っ て 言 っ て ん だ よ !!!』



アヌビス神の剣幕に、七実は一瞬驚いた顔になったが、すぐに真顔に戻ると地面に剣を置き、何も言わずにその場を立ち去った。
お前など眼中にない、と言わんばかりに。


214 : 対立する二本の刀 ◆OmtW54r7Tc :2020/05/14(木) 20:07:12 FzUpIG8g0
△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽

悔しい!
悔しい!
悔しい!
悔しい!
悔しい!

アヌビス神の胸中に宿るのは、たった三文字のシンプルな感情だった。
七実の、自分を見る目。
まるで養豚場の豚を見るような目。
道端の雑草を踏みつけるような目。
あれを思い出すだけで、腸が煮えくり返って仕方がない。

『負けたくねえ…!』

彼、アヌビス神にとって、負けることはそれほど屈辱ではなかった。
勿論悔しさなどはあるが、負けた次の瞬間にはそいつの攻撃を覚えて越えてきたからだ。
負けたとしてもそれが最強に近づくのだから、「負けたっていいや」くらいに考えていた。
そんな彼が、

「あの女…いや、あの『刀』には、一度だって負けたくねえ!」

自分と似たような能力を持ち。
それでいて自分よりも格上の刀に出会い。

初めて、負けたくないと思える相手に、出会った。

『見ていろ、虚刀流鑢七実!俺はこの殺し合いの場で強くなる!強くなってお前という刀を、へし折ってやる!』

△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽

「…言い過ぎたかしら」

アヌビス神を捨てた方向に振り向きながら、七実は考える。
彼にはああ言ったが、自分の虚弱体質では、何度か戦ったらきっと負けているだろう。(今のアヌビス神がそういう勝ち方に満足するかどうかはともかく)
それなのについ、あんな見栄をはってしまった。
同族嫌悪という奴だろうか。


『俺の最強の能力が分かってて、手放すはずなんかねえ!』


「最強…か。『強くなるために憶える』ことができるなんて、羨ましいです」


215 : 対立する二本の刀 ◆OmtW54r7Tc :2020/05/14(木) 20:07:57 FzUpIG8g0
【名前】鑢七実
【出典】刀語
【性別】女
【能力・技能】
刀を持たない流派、虚刀流の使い手。
また、『見稽古』により相手の技を一度みただけでコピーすることができる。
ただし、身体が弱いため連続した戦闘を行うことができない。

【スタンド】アヌビス神
【破壊力 - B /スピード - B /射程距離 - E /持続力 - A /精密動作性 - E /成長性 - C】
【能力解説】
刀剣に宿った意志を持つスタンド。
アヌビス神がスタンドの本体に選んだ人間はこの刀を抜刀したくなり、抜刀したら最後、アヌビス神の支配下に置かれる。
能力としては上記の精神汚染に加え物質透過能力、相手の実力に応じて強化される能力を持つ。
物質透過はアヌビス神の任意で障害物を透過する能力。
強化能力は相手の攻撃を受けることで相手の実力を記憶し、それを上回る力を本体に与える。この強化はアヌビス神が持ち主を変えても継続する。
加えてアヌビス神が分断されても各々のパーツで記憶した内容は共有される。

【七実の方針】
不明

【アヌビス神の方針】
七実を越える強い刀になる。

【備考】
アヌビス神は放置されました。


216 : ◆OmtW54r7Tc :2020/05/14(木) 20:08:36 FzUpIG8g0
投下終了です


217 : ◆YOtBuxuP4U :2020/05/14(木) 21:10:24 ur2SBNOM0
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218 : 優勝していくことにするわね ◆YOtBuxuP4U :2020/05/14(木) 21:11:33 ur2SBNOM0
 
 
 海の上、料理店が揺れている。

「まさか、こんなものが支給されるとはねえ…」

 かつて伝説の三忍と呼ばれたヘビの忍者。
 大蛇丸は支給された料理店の上であてもなくぼーっとしていた。
 名前は、海上レストラン バラティエというらしい。
 料理人ではないのに料理店を支給されてしまった。
 スタンドに必要だからといって。
 どうしろというのか?

「料理で治療、ねぇ……治療は、綱手の専門なのだけれど。
 というか、私、そんなに料理なんて得意じゃないわよ……?」

 支給されたスタンドの効果が書いてある紙を読みながら、
 とりあえず大蛇丸はバラティエに入場した。
 内装は――自分好みではない。
 闇に潜む忍術研究家の蛇である大蛇丸と、
 陽の下で明るく人々を楽しませる料理店であるバラティエ。
 相性が悪くて当然である。
 げんなり。
 しかし、足をそのまま進めた。
 内装は今はスルーしてもよい。
 なぜなら今の大蛇丸は、支給されたスタンドを試したい欲でいっぱいだから。
 やっぱり、研究欲があるからね。

「あら。あるじゃない、レシピ」

 調理場は機能的でしっかりとしており、一通りの料理のレシピも置いてあった。
 支給されたバラティエは荒くれものたちが大忙しで料理する戦場。
 もちろん、レシピも酒に合うレシピがたくさん書き留められている。
 大蛇丸はにんまりと笑って、冷蔵庫から食材を取り出し、料理を始めた……。

 
 ――というわけで今回は、バトルロワイアルで優勝していくことにするわね。

 
【名前】大蛇丸
【出典】NARUTO
【性別】不明
【能力・技能】
薬品や禁術を使うことによって異常な伸縮性と再生能力を持つ体を持つ。
実は、肉体改造の果てに真の姿は蛇の姿になっている。
不老不死の術「不屍転生」により他人の身体を乗っ取ることが可能。
口寄せで蛇などを口寄せすることができたり、封印術が使えたりも。
細かい制限とかの料理は後の人に任せます

【スタンド】パール・ジャム
【破壊力:E/スピード:C/射程距離:B/持続力:A/精密動作性:E/成長性:C】
【能力詳細】
顔と腕のあるプチトマトのような姿をしたスタンド。
料理に混入して、食べた人間の身体の不調を治すことができる。
治り方が若干グロいが、その効果は絶大。
なお、料理する人の腕前と料理する食材によって治せる病気や不調の限界は変わる。


219 : ◆YOtBuxuP4U :2020/05/14(木) 21:12:03 ur2SBNOM0
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220 : ◆NIKUcB1AGw :2020/05/14(木) 21:25:50 t1iozpUY0
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221 : SHADOW SIDE ◆NIKUcB1AGw :2020/05/14(木) 21:26:51 t1iozpUY0
彼は、孤独だった。

両親は仕事にかかりきりで、滅多に家に帰ってこない。
そんな環境では、親の愛など感じることはできない。
学校に行ったところで、友達もいない。
サボっても、誰一人気にしない。

まるで自分は、誰からも存在を認識されない影だ。
彼は、自分のことをそう思っていた。


◆ ◆ ◆


月浪トウマは、深夜の山中にたたずんでいた。
彼の眼前には、瓦礫が無惨な姿をさらしている。
つい先ほどまで、そこには一軒の山小屋が建っていた。
しかしトウマがおのれに支給されたスタンドの力を試すため、それを徹底的に破壊したのだ。

「なるほど……。いいじゃないか」

トウマの整った顔立ちに、邪悪な笑みが浮かぶ。

「この力があれば、もう僕は影じゃない……!
 殺し合い? ああ、やってやるよ。
 最後まで生き残って、僕の存在を刻み込んでやる……!」

本来の彼は、心優しい男だ。
だが多感な思春期に負担の大きい日常を強いられていた彼の心は、すっかり摩耗していた。
そこに降って湧いた、強大な力。
それは、彼の心を歪ませるには十分なきっかけだった。


◆ ◆ ◆


トウマに支給されたスタンドを本来操っていた少年もまた、孤独に悩んでいた。
彼はその心の隙間につけ込まれ巨悪の手下に成り下がったが、黄金の魂を持つ少年によって闇から引き上げられた。
そして二人の少年は友となり、共に巨悪へと立ち向かった。

トウマもまた、運命で結ばれた二人の友によって闇を払われるはずだった。
だがプッチによって殺し合いに参加させられたことで、彼の歩く道は大きく変化してしまった。
果たしてこの場において、トウマは影に覆われた道から抜け出すことができるのか。
「法皇の緑」は何も語らず、ただトウマの側に立つのみである。


222 : SHADOW SIDE ◆NIKUcB1AGw :2020/05/14(木) 21:27:39 t1iozpUY0


【名前】月浪トウマ
【出典】妖怪ウォッチシャドウサイド
【性別】男
【能力・技能】
強い霊力を秘めていると思われるが、現時点ではまったく覚醒していない。
せいぜい、多少霊感があるかもしれないという程度である。
【人物背景】
中学生の少年。
元々は心優しい少年であったが、長く両親とすれ違う生活を送ってきたためすっかりひねくれてしまった。
他人から関心を寄せられないことにコンプレックスを抱いており、潜在的に自分の存在を世の中に誇示したいという願望を持っている。

【スタンド】法皇の緑(ハイエロファントグリーン)
【破壊力:C/スピード:B/射程距離:A/持続力:B/精密動作性:C/成長性:D】
【能力詳細】
緑色に輝く、人型のスタンド。
体をある程度変形させることができ、体を糸状にして張り巡らせることで敵の動きを感知する「結界」とすることが可能。
また、エネルギー弾を飛ばす「エメラルドスプラッシュ」という必殺技を持つ。

【備考】
参戦時期は劇場版「鬼王の復活」冒頭。オグ・トグ・モグに出会う前。

【方針】
皆殺し。


223 : ◆NIKUcB1AGw :2020/05/14(木) 21:28:48 t1iozpUY0
投下終了です


224 : ◆mg.DCgSR.Q :2020/05/14(木) 21:45:13 uf7ecL.60
投下します。


225 : ◆mg.DCgSR.Q :2020/05/14(木) 21:46:45 uf7ecL.60
本文が長すぎると言われたのでちょっと待ってください。
ごめんなさい。


226 : じゆうのくにから ◆mg.DCgSR.Q :2020/05/14(木) 21:48:09 uf7ecL.60
 夜の校舎というのは、どうしてこんなにも恐ろしく見えてしまうのだろうか。
 外からではなく、実際に校舎内に入り込んでしまった状態であれば尚更である。
 そうした相乗効果も相まって、デイパックの中身を確認することも忘れて怯える少女が一人、どこかの学校の職員室で身を隠していた。
 身体を震わせ、目に涙を浮かべ、いわゆる体育座りの体勢でデスクの下に隠れているその少女の名は、森久保乃々。
 アイドルブームという大波をサーファーよろしく乗りこなし、強大な力を持つに至った芸能事務所〝346プロダクション〟に所属するアイドルである。
 そんな彼女は、奇人変人揃いという側面も持つ346プロのアイドルに相応しく、ある特性を持っていた。

 信じられないほどネガティブで、とてつもないほど臆病なのだ。

 元々、彼女はアイドルになるつもりなど毛頭無かった。
 芸能関係の仕事をしている叔父に頼まれ、とある代役を頼まれた折、その叔父によって半ば強引に346プロへと所属させられたのである。
 どう考えてもおかしい話だ。当時の空気感を知らずに話だけを聞いたなら〝身売りではないか?〟と感じる者もいるだろう。
 そういうわけなので、彼女が自分を担当しているプロデューサーに対して辞意を表明したのは数知れず。
 回ってきた仕事に対して「無理」と言って背を向けようとした回数も、英国人が食したパンの枚数にも劣らぬ程であったと言っても構わない。
 だがそんなネガティブで臆病なアイドル、森久保乃々は……それでもアイドルとして多くのファンを虜にしてきた。

 理由は二つ。
 一つ目は、己に秘められていたポテンシャル――森久保本人は否定するだろうが――が、日を追うごとに多方面へと発揮されていったから。
 そして二つ目は、そんな森久保乃々の奥に眠っていた才能の種を見つけ出し、大切に育てて開花させたプロデューサーがそばにいてくれたからだ。

 レッスンが怖くて、逃げた。人と触れ合うのが怖くて、逃げた。失敗が怖くて……逃げた。
 それでもプロデューサーは叱責することなく、森久保の想いを一つ一つ丁寧に聞き、優しく助言をしてくれた。
 時折珍妙な仕事を回してくる悪癖が顔を覗かせたりもする人物ではあったが、それもまた森久保乃々という一人の少女に寄り添っての行動だ。
 故に森久保乃々は煌めくアイドルとなった。時の人で終わらず一発屋でもない、いつまでもファンの心を温めてくれるアイドルへと成長出来たのだ。
 勿論、個人の特性というものはそう簡単に変わるものではない。
 今でも「辞めたい」や「無理」は口癖として残っているし、すぐに隠れようとするし、人と真っ直ぐ目を合わせて話すことが出来ないでいる。
 それでも彼女がアイドルで居続けられているのは、森久保乃々という一人の少女が、プロデューサーのことを信頼しているからだ。
 他でもない、彼女のためだけのプロデューサーが、森久保乃々という一人の少女を信頼してくれているからだ。
 この二人での二人三脚であれば、もしかしたら、もしかしたら……。
 自身でも信じがたいことであろうが、最近の森久保乃々はそんなことまでも思えるようになっていた。

 しかし……今の彼女は、プロデューサーと出会う前の森久保乃々へと逆行してしまっている。

 当然だ。
 信頼するプロデューサーや、同じ346プロに所属するアイドル達から引きはがされて独りぼっちにされた挙句に〝殺し合え〟と言われたのだ。
 そんな言葉にハッキリとした返事――YesだろうがNoだろうが――をして、すぐに動き出せるような人間など……存在するだろうか?
 信じられないほどネガティブで、とてつもないほど臆病な少女、森久保乃々ならば尚更だ。
 故に彼女は、空間移動と呼称すべき何かしらの力によって真夜中の校舎へと立たされた直後、教員が使用しているであろう机の下に潜り込み、


227 : じゆうのくにから ◆mg.DCgSR.Q :2020/05/14(木) 21:49:00 uf7ecL.60
「むーりぃー……」

 べそをかきながら、延々とこう呟いていた。
 覚えたての言葉を連呼する九官鳥のように、震えの止まらぬ声で呟き続ける。
 信じられないほどネガティブで、とてつもないほど臆病で……驚くほど心の優しい森久保乃々には、他者を害することなど不可能だ。
 刃物があったとて柄を握れない。拳銃があったとてグリップを握れない。ミサイル発射用のボタンがあったとて近づけない。
 そして諸悪の根源らしき、浅黒い肌が特徴的な人物が言った――そしてかろうじて聞き取れた――スタンドなるものがあったとしても……。
 彼女はそれを扱って、他者を殺せはしない。それどころか、うっかりコピー用紙で作ってしまうような小さな傷すら与えられない。
 森久保乃々という少女は、自身でそれを理解していた。きっとプロデューサーも理解しているだろう。
 同じユニットに所属しているアイドル達も理解しているだろう。彼女のファン達も理解しているだろう。
 まさに逆チェックメイト。得体の知れない世界に連れ去られた時点で、森久保乃々は詰んだのだ。
 膝を抱える腕に力がこもる。自分の夢想する優しい世界に閉じこもる為に背中を丸める。
 そして、生き物達をはぐくむ優しい土を思わせる茶色の瞳から涙がこぼれるのを抑えられぬまま、再び「むーりぃー……」と呟いた。

『ヨオォ〜。ヨオヨオヨオヨオヨオォォ〜〜! それは本気で言ってンのかァ!? 森久保ォ!』

 するとその直後、何やら幻聴が聞こえてきた。かなり陽気な幻聴である。
 しかも幻と断ずるには妙にリアルだ。さながら耳元で話されたかのようにくっきりと聞こえてきた気すらする。
 よろしくない葉っぱを吸った記憶などないというのに、何故こんな声が聞こえてきたのだろうか……と、しばし森久保は考える。
 結果、恐らくは現実逃避の果てに脳が理解出来ない働きを始めたのだろうと結論づけたのだが、

『確かに気持ちは分かるゼェ〜〜〜〜ッ! なンたッて殺し合いだッ! 物騒さはレースの非じゃねェッ! 俺だって嫌さ!』

 やはり、何かが違う。この〝鬱陶しい〟と紙一重な声はやはり幻ではない。
 リアルに、極めてリアルに耳朶を叩いているッ! 観念した森久保は現実を認め、おそるおそる声のする方向へと顔を向けた。

「ひ……っ、あ、あうぅ……」

 そして、彼女は見てしまった。
 名状しがたい形をした人形が、自身の肩に居座って気持ちよさそうに口を開いているのを。
 その一部始終を……否、言うなれば〝全部始終〟をッ!
 これにはある意味呑気していた森久保も、ジャパニーズホラー顔負けのシチュエーションにはビビった!
 ビビり過ぎて、何か言葉を発しようとしてもままならない。食事中の鯉よろしく口が開閉するだけだ。
 だがこのおぞましい人形は、別にこっちは何も気にしていませんよという勢いでなおも喋くり続けていた。

『森久保ォ! ケンカも殺しもよくないし、そんなことしたくもネェって気持ちはよォ〜く解るッ!
 そんでもって、他でもないこの〝ヘイ・ヤー〟だッてそう思ってる! 命の取り合いなんて、本当によくないゼッ!
 だからあの意味不明な言葉なンか無視しちまえばいいッ! そもそもお前に殺しなんて全く似合ってねぇしなァァァァ!』


228 : じゆうのくにから ◆mg.DCgSR.Q :2020/05/14(木) 21:49:50 uf7ecL.60
 想いは同じ。
 この冒涜的な形状をした何かの言葉を要約すると、どうもそういうことになるらしい。
 パニックに陥った状態でもどうにかこうにかそのように判断した森久保は、肩に乗るおぞましい存在からすぐに目をそらす。
 その後、たっぷりと時間をかけて勇気を振り絞った森久保は……小さく「なんで、もりくぼのことを……知ってるんですか……?」と問いかけた。
 続いて「な、名前は……ヘイ・ヤーさんで、い、いいんですか……?」とも尋ねる。
 すると相手は『そりゃあ、このヘイ・ヤーがお前さんのスタンドだからだぜェ! 森久保ォ!』と答えた。
 心なしか、相手の声色が一段と跳ねた気がする。否、この森久保の見立ては間違ってはいなかった。

『一瞬だが、やっとこっちを見て〝対話〟してくれたな森久保ォ! 振り絞れたじゃねぇかァ〜〜〜〜! 勇気ってやつをよォォォォ!』
「え、え、え……っ? も、もりくぼは、その、ちがくて……」
『違っちゃあいねェゼ森久保ォ! DISCなンてモンのせいで出てきた〝初めまして〟の相手によォ〜〜〜〜!
 しかも人間じゃあない何かに話しかけられる人間が、世界に何人いるってンだァァァァ!? お前は偉いし、凄いんだよォ、森久保ォ!』

 このヘイ・ヤーなるスタンドとやらは、森久保が――どれだけの時間をかけてでも――意を決して話しかけたことを喜んでいるようなのだ。
 それだけではない。行動を褒めてくれている。想いを認めてくれている。太鼓持ちというわけではなく、本当にそうしてくれているらしい。
 身なりこそ狂気じみたそれであるというのに。
 これでは、これではまるで……!

『名前も人柄も知らネェ大勢の野郎共相手にマイクで話しかけられる奴が何人いる!? そいつらに歌や踊りを披露出来る奴が何人いる!?
 俺にはムチャクチャ少ねェとしか思えねェぜェ〜〜〜〜! だからよォ、森久保ォ! お前は勇気のある、才能あふれてる女なんだヨォ!』
「ど、どうして、へ、ヘイ・ヤーさんは、そこまで……」
『だってのによォ〜〜〜〜! 森久保ォ! どうしてお前はこんなところに隠れちまッテるんだァ!? いや、愚問だな! 怖ェからだ!
 でもよォ! ここに居っぱなしじゃァ、いずれお前は怖い奴に襲われて死んじまう! そっちの方がもっと怖くネェかァ!? 怖ェよなァ!』
「もりくぼのことを、ど、どうして……こんな、ダメダメなもりくぼを……もりくぼを……どうして……」
『だからよォ……いつか自堕落に死ぬ前に、この机の下から出てみねェかァ、森久保ォ!? もう一回、もう一回だけ勇気を出してみるのさ!
 レースじゃあないんだから〝さっさと〟とはいわねェぜ。俺はお前を急かさネェ。ゆっくりでいいから、殺されない内に、一歩踏み出そうゼェ!』
「私は、むりくぼなのに……こ、こんなの……こんなの……まるで……」

このスタンド、ヘイ・ヤーさんが……プロデューサーさんの代わりを務めてくれているようではないか!

「ヘイ・ヤー……さん……」

 相手はあらゆる美しきものを嘲笑するために生まれたかのような醜悪な見た目であるというのに、プロデューサーの姿が重なる。
 それどころか、individualsやSweetches、ワンステップスやモルフェウス・チルドレン……その他多くのユニットの皆が重なってくる。
 このヘイ・ヤーを見て想起する彼ら彼女らは、もしも森久保が訳の分からない場所で死んだことを知ったらどうするだろうか?
 プロデューサーに出会う前の自分であれば、即座に〝特に変化など起きないだろう〟という答えへと辿り着いていたに違いない。
 しかし、346プロのプロデューサーに出会い、多くのユニット活動を経て、この異常な世界でヘイ・ヤーと出会った後ならば……話は変わる。
 きっと優しい皆は、悲しみのあまりに涙を流してしまうに違いない。
 ついさっき出会ったばかりのヘイ・ヤーも、そうだろうか?
 もりくぼのせいでそんなことになるのは、絶対に嫌だ。
 森久保は、そう強く思った。


229 : じゆうのくにから ◆mg.DCgSR.Q :2020/05/14(木) 21:50:38 uf7ecL.60
『おォッと! 焦らなくていいんだゼェ、ホントによォ。自分のリズムとビートにノれば良いのさ。繰り返すが、レースじゃねェんだからヨオ』

 まるで森久保のわがままを聞いてくれたプロデューサーのように、ヘイ・ヤーは優しく声をかけてくる。
 ゆっくりで構わないと……森久保が難しいというならば、難しくない方法で始めてみようと……プロデューサーと同じことを言ってくれている。
 ならば、応えられる。プロデューサーの言葉に応えられた自分ならば、プロデューサーと同じ言葉をかけてくれるヘイ・ヤーにも応えられる。
 身体の震えは未だ止まらず、鳥肌は立ちっぱなし。恐怖心からか寒気を感じるし、呼吸は激しくなる一方だ。情けないにも程がある。
 それでも彼女は、色素の薄い髪を整えると……四つん這いになって、少しずつ前進を始めた。
 誰かに手を引かれたわけでもなく、自発的に。

 そして掛け時計の長針がそれなりに動いた頃には……森久保は、二本の脚で真っ暗な職員室に立っていた。
 しっかりと、確かに、床を踏みしめていた。むりくぼではなく、やけくぼでもなく、やるくぼになっていたのだ。

『やッたぜ森久保ォ! こいつは他人から見りゃあよォ、小さな一歩かもしれねぇが……お前にとっちゃあ大きな一歩だァ!』
「あうぅ……でも、暗くて怖い、です……」
『それじゃあよォ、お次はここで目を慣らすトコから始めようぜェ! それからお前のビートで歩けばいいんじゃあねェかァ!?』
「で、でも……ここでぼーっとしてたら、もりくぼは、殺されちゃう、かも……しぬくぼかも……うぅ……」
『ヨオ、ヨオヨオヨオヨオヨオヨオォオオ〜〜〜〜ッ! 森久保ォ、よォォォォ! そう焦るなっつ〜〜のォ〜〜!
 落ち着いて、ゆっくりとしたリズムで、やるくぼになッちまえばいいんダッ! だから肩の力抜きなヨォォォォォ!』

 ヘイ・ヤーに優しく両肩を揉まれた森久保は、彼に〝落ち着け〟と言われたのだと理解したので何度も首肯した。
 確かに目を暗闇に慣らしておかなければ、いざという時に動きが取れない。一理どころか百理ある話だ。
 ならばと、再び座り込みたくならないようにと気をつけながら、森久保はしばし佇むことにした。

『大丈夫だ、森久保ォ。リラックス、リラックスだぜ。お前は四捨五入して80億もいる中でほンのチョッピリしかなれねェ凄ェアイドルだ。
 だからやれる。いつか自由になれる! 都会の公園を走り回るリスみたいによォォ、ビルの屋上を渡りまくるツバメみたいによォォ〜〜!
 虹の光に包まれた輝く世界でッ! 強く、自由になれるッ! 焦らなきゃあ、そんな未来に辿り着けるッ! お前ならなァ! 森久保ォ!』

 ほんのちょっぴり不気味だけれど、優しく背中を押してくれるスタンド、ヘイ・ヤー。
 彼が放つ言葉を何度も租借し、反芻して、その上で静かに目を開き続ける。
 そして再び掛け時計の長針が大きく角度を変えたところで、

「ヘイ・ヤーさん……あ、あ……ありがとう、ございます……」

 遂に森久保は、職員室を出て長い廊下に立った。
 ヘイ・ヤーが引用した言葉通り、これもまた大きな一歩だ。
 もしも見知らぬ誰かが現れた際には、また物陰に隠れてしまうかもしれないが……そこから立ち上がれなくなりはしないだろう。
 ヘイ・ヤーがいる限り……ヘイ・ヤーがプロデューサーやユニットの仲間達の代わりを務めてくれている限り、きっと大丈夫だ。

『こちらこそサンキューだぜ森久保ォ! やッぱりお前は出来る女だァ! お前のそばに〝Stand〟した甲斐があったってもんだヨオ!』
「で、でも……もりくぼは、その……プロデューサーさん達のところに帰る方法が、解ってないんですけど……」
『ヨオヨオヨオヨオヨオヨオォオ〜〜〜〜! そこまで考えるのはまだ早いぜェ〜〜〜〜ッ! 焦りは禁物だからヨォ、森久保ォ!』
「あうぅ……でも、それに……それに……もりくぼは、戦ったりとか、したくないですし……」

 ならば目下の問題はただ一つ。
 どのようにすれば〝誰も傷つけずに、誰からも傷つけられずに帰られるのか〟が皆目見当付かないというところだろう。
 ほんの一瞬だけ、本当にちらりとヘイ・ヤーを見ると、彼もそこのところについては悩んでいる様子だった。
 しかし長針どころか秒針の角度がそう大きく変化しない内に、ヘイ・ヤーは再び口を開いた。


230 : じゆうのくにから ◆mg.DCgSR.Q :2020/05/14(木) 21:51:27 uf7ecL.60
『だったらヨオ! ソイツらを全員、お前のファンにしちまうッてェのはどうよォ! 森久保ォ!』
「え、ええ……?」
『コール&レスポンスさ! イカれた奴でもお前のファンになッちまえば最期……〝森久保がそう言うなら〟ってなるっつー寸法ヨオォォ〜〜ッ!』
「そ、そ、そそ、そんな、漫画みたいなこと……」

 ヘイ・ヤーが口にしたとんでもない作戦を聞いた森久保は途端にむりくぼと化し、首を何度も横に振った。
 その勢いたるや、さながら終わりのない往復ビンタを受けているかの如しだ。
 だがヘイ・ヤーが『出来るッ!』と鼓膜を振るわせてきたために、ビクリと動きが止まった。
 それをチャンスと捉えたか、ヘイ・ヤーは続ける。

『何度も言ってるだろォ〜〜〜〜! 森久保ォ! お前はいざとなれば勇気を振り絞れる、とびっきり最高のアイドルなンだッ!
 だったらそれくらいは出来る! 出来るんだヨォ〜〜〜〜! ヨオヨオヨオヨオヨオヨオ〜〜ッ! だから遠慮無く魅了しちまえヨオッ!』

 根拠のない自信から出た、蛮勇が過ぎる説明……普通の人間であればそう断ずるであろう言葉を、ヘイ・ヤーは語る。
 しかし異常な世界に閉じ込められた少女には、人を魅了するという異常なカリスマ性を持つ〝アイドル〟である森久保には、それが効いた。
 実際に〝ヘイ・ヤーさんがそう言うなら、もしかしたら……〟と思える程度には効いた。
 またもヘイ・ヤーは、森久保の心を確かにほぐしたのだ。

「じ、じじ……実際に、やれるかは……保証、出来ませんけど……」

 そのおかげなのだろう。

「もし、もし、やれるなら……ヘイ・ヤーさんが、そこまで言ってくれるのなら……」

 これまで、ずっと暗闇に囚われ続けていた森久保は、

「や、やるくぼになって、チャレンジしてみます……ヨオォ〜〜……っ!」
『…………〜〜〜〜ッ! その意気だヨオォ! 森久保ォ!!』

 遂に、僅かながらも……笑顔を取り戻したのであった。


【名前】森久保乃々
【出典】〝アイドルマスター シンデレラガールズ〟関連
【性別】女性
【能力・技能】
 人間。アイドル。
 特殊な能力など存在しない。絵本や少女漫画じゃあないんですから。
 強いて言えばファンや仲間が多いので、多くの人達から愛されている。
 また、絵本作家になる夢を諦めていないらしいので、割と語彙が豊富。


【スタンド】ヘイ・ヤー
【破壊力:E/スピード:E/射程距離:E/持続力:B/精密動作性:E/成長性:E】
【能力詳細】
 人によっては不気味に見える人形の形をしたスタンド。
 自我を持ったタイプで、とにかく本体を褒めたり励ましたり、時には有益なアドバイスを与える。
 そうした行動・言動によって、本体にとびっきりの勇気を与える……というのが彼の能力である。
 なお、ヘイ・ヤー自体は戦えない。


【備考】
 ヘイ・ヤーのおかげで、ほんの少しずつ〝やるくぼ(自信100%MAX状態)〟へと近づいている……?
 いっぱいいっぱいだったので、デイパックの中身を確認し忘れています。

【方針】
 傷つけたり傷つけられたりすることなく、元の居場所に帰る。


231 : ◆mg.DCgSR.Q :2020/05/14(木) 21:52:05 uf7ecL.60
投下終了です。失礼いたしました。


232 : ◆di.vShnCpU :2020/05/14(木) 21:59:02 /kdqZ6pw0
投下します。


233 : 無限城ロック ◆di.vShnCpU :2020/05/14(木) 21:59:43 /kdqZ6pw0

森の中、少し開けた広場にて。
奇妙な女がひとり、静かに正座していた。

和装の女である。
髪は長く、顔は前髪に隠れて見えない。
そしてその手には――大きな琵琶。
むしろ座った女の傍らに置かれた近代的なデイパックが違和感を感じさせるほどだ。

おもむろに女は、ベン! と琵琶を鳴らした。
次の瞬間、その音に反応したかのように、女の姿が掻き消える。
否、消えたのではない。女の居た場所に、ぽっかりと真四角の穴が開いている。
女はエレベータにでも乗っているかのように、周囲の地面ごと真下に移動している。

ベン。ベン。ベベベン。
さらに琵琶が鳴らされる。
真下に延ばされた空間はさらに前後左右上下に拡張していく。
いつの間にやらあちこちに明かりが灯る。
見渡せば障子や引き戸、板張りの廊下、畳敷きの小部屋。
一見無秩序にも見える和風の空間が次々と生み出され、広がっていき、奇妙に組み合わさり変化していく。

これぞ、名付けて『無限城』。
人食い鬼たちの首魁・鬼舞辻無惨の本拠地であり、この女、『鳴女』の命と連携した能力でもあった。

ベン。ベベベン。ベベンベ、ベンベン、ベベベベベン。
さらに琵琶が鳴る。琵琶を掻き鳴らす勢いが変化する。いつの間にやら叩きつけるような音に変わっている。
もはや通常の琵琶の演奏ではない、それはまるで、西洋の――

調子の変わった琵琶の音に合わせて、女の前髪が吹き上げられたかのように広がる。
顔の真ん中には大きな単眼。その中央に刻まれたのは『肆』の一文字。
そして――女の背後に立ち上がる、奇っ怪な人影。

首が存在しないかのような、歪なシルエット。
脳が剥き出しになったかのような頭部。
鳴女はそして、自らが今回与えられた新たなる能力の名を口にする。

「『監獄の錠前(ジェイルハウスロック)』――!」

ベベンベ ベンベン ベベベベ ベンベン ベベベベベン!
もはや和風の装いを捨てたかのような激しい旋律の中、奇怪なスタンドは無限城に溶け込む。

やがて遥か頭上となった地上にて。
女の去った森の中の広場に、無限城の一部……どこか和風の装いの四角い箱型のユニットがせりあがる。
木製の引き戸にはご丁寧にも、小さな張り紙が一枚つけられていた。

  『この城の中では、『肆』個以上の物事は――』

筆で書かれたような文章の後半は溶けるように消えており。
戸の内側からは、かすかに激しい、ロックンロール調の琵琶の音だけが聞こえてくる――


234 : 無限城ロック ◆di.vShnCpU :2020/05/14(木) 22:00:09 /kdqZ6pw0

【名前】鳴女
【出典】鬼滅の刃
【性別】女
【能力・技能】
『無限城の琵琶の君』
無限城の構造を作り替え、また、無限城の中で空間を自在に操る。
せりあがるブロックにて圧殺するも、短距離ワープを強いる引き戸を出現させるのも自由自在。
操作には必ず琵琶を鳴らす必要がある。
『肆の眼球』
肆と描かれた眼球だけからなる使い魔を複数作り出せる。
これらは本体と視界を共有でき、また高い隠密性を誇る。
攻撃等には一切使えず、見つかってしまえば簡単に倒される程度だが、高い情報収集能力を持つ。

【スタンド】ジェイル・ハウス・ロック
【破壊力:なし/スピード:C/射程距離:無限城内の壁/持続力:A/精密動作性:なし/成長性:なし】
【能力詳細】
建物の壁などと同化し、それに触れたものに物事を「3つ」までしか記憶できなくさせる。
人型のヴィジョンはあるが、ほとんどそれに意味はない。

【備考】
琵琶および無限城は鳴女の一部としてカウントされ、一緒に参戦しています。
森の中で無限城を展開しました。地上にひとつ入口が用意されています。
ジェイル・ハウス・ロックが無限城と同化しました。
以後、無限城の壁や引き戸などに触れたものは鳴女の任意でその能力の対象となります。
鳴女の能力(鬼を遠くから引き寄せるなど)の一部に制限がかかっている可能性があります。


235 : ◆di.vShnCpU :2020/05/14(木) 22:00:27 /kdqZ6pw0
投下完了です。


236 : ◆ZbV3TMNKJw :2020/05/14(木) 22:04:14 RM6glidw0
投下します


237 : ◆5A9Zb3fLQo :2020/05/14(木) 22:04:46 YCRhB1GE0
投下します。


238 : ◆5A9Zb3fLQo :2020/05/14(木) 22:05:17 YCRhB1GE0
すいません。お先にどうぞ


239 : 病【あくい】 ◆ZbV3TMNKJw :2020/05/14(木) 22:05:28 RM6glidw0

ごろごろごろ。
男―――シックスは、己の膝に乗せた猫の喉を撫でつつ、味わった屈辱の記憶を思い返す。
怨敵、脳噛ネウロに身体を切り刻まれ、遺された上半身は空に投げ出され、終いには自分の逃走手段であった亜音速ステルス機を利用した全身での靴舐めの刑に処されて。
憎悪の断末魔すら上げることなく、自分は無様に殺される―――そのはずだった。

だが、ネウロの靴が己に触れるそのコンマ数秒前。
意識が一瞬遠のいたかと思えば、銀髪の神父の語りが始まり、殺し合いに巻き込まれていた。
つまりは、ネウロは自分を仕留めそこなったということだ。

「...シハシハシハ」

特徴的な嗤い声が、漆黒の空間に染み渡る。
嗤わずにはいられない。
ネウロは既にガス欠状態だった。あのまま落下すれば確実に死ぬ。
だが、自分は生き残った。丁寧にも身体を元通りに再生された上でだ。
結果的には自分の勝利とも言えよう。過程を重視しない自分にとってはそれでも構わなかった。

シックスが椅子から立ち上がると共に、猫もぴょこんと膝から飛び降りる。

―――ぐしゃり。

猫がその足で再び地面を立つことはなかった。彼の両手足が地面に触れるのと同時に崩れ落ちてしまったからだ。


自分に支給されたこの『グリーン・デイ』というスタンド。
これもまたイイ。このスタンドの放出する殺人カビは、人間が食らえばまず間違いなく死ぬ代物であり、量の調節によって意識を保たせたままじわじわと殺す、拷問染みたこともできるらしい。
そして射程範囲も絶大だ。カビで死んだ人間を媒介にすることで、その範囲はネズミ算式に拡大していき、その限界はないというのだから。
素晴らしい。単に物理的な攻撃しかできないよりはこちらの方が面白いというものだ。



あの神父には感謝してもしきれない。自分が彼に頭を垂れるかは別の話だが。

自分を主催に添えるならばいい。あるいは、安全を保障されたジョーカーならばまだ許せよう。
だが、彼はこのシックスをイチ参加者として扱っている。
唯一の新しい血族である自分をだ。
それだけはいただけない。ただそれだけで、彼もまたネウロ同様処刑対象になる。
実に残念だ。己の立場を弁えてさえいればいい友人になれただろうに。

無論、神父も自分がこのような思考をすることは重々承知の上だろう。
その為の対策として、ネウロも回収し己の陣営に引き入れる、あるいは同じ参加者として巻き込んでいる可能性もある。

だがそれがどうした。『シックス』とは悪意の頂点に立つ存在。誰もが思いつくような『悪意』でこのシックスを上回れるはずもない。

自分が安全だと思い込んでいるであろう彼に、本物の悪の手練手管を味わわせてあげよう。


ずぶずぶずぶ。
倒れ伏す猫の身体がカビに包まれていく。

―――真の悪とは特殊な細胞やパワーで決まるものではない。
悪とは己の脳内にある。
磨かれた吐き気を催す思考回路。揺るぎない黒い脳細胞を持つ者こそが選ばれた『絶対悪』なのだ。


かつて人類に災厄をもたらした二つの病気(シックス)が、形を変えていま再び降りかかる。


240 : 病【あくい】 ◆ZbV3TMNKJw :2020/05/14(木) 22:05:53 RM6glidw0

【名前】シックス
【出典】魔人探偵脳噛ネウロ
【性別】男性
【人物背景】

「定向進化」から産まれ、人類から進化した「新しい血族」の長。
悪意の「定向進化」から生まれた、悪のカリスマとでもいうべき究極の卑劣男であり、人の嫌がる、苦しむ、絶望する様を見ることを誰よりも好んでいる。究極のサディストでもある。


・仕事を失敗した部下に自殺を求める際、拳銃自殺ではなくノコギリのようなもので自分の腹を徐々に裂いていくように命令する。理由は「罰なんてどうでもいいが、単に君がそれで死ぬのを見たいだけ」。尚、部下が腹を掻っ捌き始めても、シックスは葛西とのお喋りに夢中で一切目を向けず、部下が死ぬ様子になど興味はなかった。
・「6」という血文字を書かせるためだけにどこかの家族を人質にとり、父には致死性の毒を飲まなければ家族を殺すと脅し自らの吐血で「6」を書かせ、その家族には「きみたちの父親は君たちを見捨てて逃げた」と告げて絶望と憎しみの中でその命を絶たせた。

また、世界屈指の軍需企業の会長でもある。

【能力・技能】
・金属の生成
体内の細胞と合金を結合して、体内から強固な金属を生み出すことができる。足から刃物を生やすことも可能。

・「五本指」の能力。
彼の部下である、「DR」、「テラ」、「ヴァイジャヤ」、「ジェニュイン」、葛西善二郎の五人、通称五本指の力を操ることができる。
「DR」=ありとあらゆる水の流れを一目で見抜くことができる。
「テラ」=土地の状態、強度、構造を見抜くことができる。
「ヴァイジャヤ」=植物の特性、毒性、調合結果など、植物に関してあらゆる情報を本能的に感じ取ることができる。
「ジェニュイン」=群集の心理を弄び、思いのままに扇動することに長けている。
葛西善二郎=炎の流れを含む全てを自在に操ることが出来る。

尚、上記の「五本指」の能力は己の体内から生み出すものではないため、土地の状態、施設の有無などで大いに影響する。


・瞬間記憶能力
見たものを瞬間的に記憶できる力。空を舞う複数のプリントの詳細を正確に読み取るという超人染みた芸当も可。

・悪意
先祖代々から磨いてきた『悪意の定向進化』により、常人の脳では耐えられぬほどの『悪意』を有している。
その『悪意』のプレッシャーを受けた大抵の『人間』はまともに動けなくなってしまう。

・脳
シックスにとって一番重要な器官は脳であり、心臓を破壊されても体内の金属の制御が乱れるだけで死には当たらない。つまり、脳さえ残っていれば死ぬことはない(本人談)。
ただ、自動再生能力は有していないため、バラバラにされれば窮地に陥ることは間違いない。







【スタンド】グリーン・デイ
【破壊力 - A / スピード - C / 射程距離 - A / 持続力 - A / 精密動作性 - E / 成長性 - A】
【能力詳細】
殺人カビを放出するスタンド。このカビは生きているものを無差別で侵食し対象を殺害する。また、カビの感染範囲内では体を下の位置に移動すると侵食のスピードが一気に増す。
グリーン・デイ自身から放出されるカビの射程距離は半径数メートル程度だが、死体から死体に感染していき、ネズミ算式に感染範囲が広がっていく。


241 : ◆ZbV3TMNKJw :2020/05/14(木) 22:06:37 RM6glidw0
投下終了です


242 : ◆5A9Zb3fLQo :2020/05/14(木) 22:09:23 YCRhB1GE0
割り込みすいませんでした。投下します。


243 : 死の行進 ◆5A9Zb3fLQo :2020/05/14(木) 22:10:51 YCRhB1GE0
「バーだというのに酒の一つもないとは、気の効かないホストもいたものだな」

 薄ぼんやりとした明かりが支配するバーに冷たさを感じる男の声が響く。
 バーカウンターには一つの人影、傍らに置かれたグラスから本来であればここに置かれていたであろう酒の類を失敬しようとしていたであろうことが分かる。
 だが、果たしてこの人影の主を人と言えるであろうか。
 それは、金色の芯を軸に水晶かガラスが人の形をとった機械人形といった出で立ちの人間だった。
 無機質な瞳と文字通りの鉄面皮は生命という二文字からは程遠い。
 しかし、この人型は間違いなく人間なのである。
 彼の名はクリスタル・ボーイ。銀河をまたにかける海賊ギルドに所属する冷酷なる暗殺者。超合金による金属質の頭と骨格、特殊偏光ガラスであるライブ・クリスタルで構成されたサイボーグだ。

「金さえもらえればここに呼ばれた40人を殺すのもやぶさかではないが、よもやロハで殺しを強制するとは随分とこちらを嘗めてくれる」

 そう呟きながらクリスタル・ボーイは自身の体と同様に透明なグラスをつまみあげる。
 よく磨き上げられたグラスにクリスタル・ボーイ以外には人のいないバーの内部が映りこむ。
 いや、違う。グラスに移りこんだ彼以外に人は存在しない筈のバーに一つの影があるではないか。
 腕から刃を生やし、頭部などに包帯を巻いた醜悪な怪人がバーカウンターの上に座り込んでいる。
 その存在をグラスより視認したクリスタル・ボーイがバーカウンターの位置に視線を向けるが、そこには何も、誰もいない。
 しかし、グラスの中のバーカウンターには依然としてその怪人はそこに鎮座している。


244 : 死の行進 ◆5A9Zb3fLQo :2020/05/14(木) 22:11:39 YCRhB1GE0
「なるほどな」

 この不気味な現象を見てなおクリスタル・ボーイの態度はいたって冷静であり、動かない口元から得心がいったという調子の平坦な音声が漏れた。
 視線をグラスに戻したクリスタル・ボーイは不意に摘まんでいたグラスを宙へと放り投げる。
 放り投げられたグラスが頂点まで浮かぶ。
 後は重力にしたがって床に落ち、粉々に砕けるだけといったまさにその時だ。
 甲高い破砕音と共に、落下するよりも早くグラスが粉々に砕け散った。
 投げたグラスに向けてクリスタルボーイが何かを投げ破砕させたのか?
 いや、違う。クリスタルボーイはグラスを投げた体勢のままで、何かを投げるなど不可能だ。
 では、グラスに何が起こったというのだろうか。
 その答えは、クリスタルボーイに腕のガラス部分に映し出されたバー内部にて刃を振り払った体勢で固まっている先ほどの異形であった。

「映るもの全てに潜むことが出来、映った映像越しに一方的な攻撃を加える。俺にはお誂え向きの能力という訳だ」

 動体視力に優れた者がこの場にいたとしたら、クリスタルボーイがグラスを放り投げた瞬間に一条の光がグラスからクリスタル・ボーイの腕に移ったことを捉えることが出来ただろう。
 映る場所をグラスからクリスタル・ボーイの腕に変えた異形が、ガラスの腕に映ったグラスに向けてその刃を持って粉砕してみせたのだ。
 ハングドマン。吊られた男の暗示。
 その能力は鏡やガラス、水や瞳など何かを反射して映す物に潜り込み、その潜んだ映像に映ったものに一方的に攻撃を加えられるというものである。
 その性質上、反射された映像が無ければ攻撃が出来ない能力ではあるが、そのスタンドが支給されたクリスタル・ボーイは全身がガラス状。つまり彼と同じ空間にいる限りは例え周囲を反射しない物質で囲んだ密室空間であろうとハングドマンの能力を行使出来るという訳である。

「いい様に利用されるのは癪だが、爆弾のDISCとやらを解除する方法が分からん以上は仕方あるまい。いいだろう、乗ってやるさ。もっとも、俺を利用した報いは必ず受けてもらうがな」

 そう呟くクリスタル・ボーイ。
 彼には自分をいい様に利用しようとするプッチ神父への怒りがある。
 他の参加者を殺しつくし、優勝するだけの実力と自負がある。
 だが、己に埋め込まれた枷を外す手段。それだけは持っていなかった。
 故に、彼の方針は殺し合いに乗り、優勝したうえで神父への報復を行うというものになる。
 無機質な筈のその表情に殺意の炎が宿っている様に見えたのは果たして錯覚だったであろうか。


245 : 死の行進 ◆5A9Zb3fLQo :2020/05/14(木) 22:11:58 YCRhB1GE0
【名前】クリスタル・ボーイ
【出典】コブラ
【性別】男性
【能力・技能】
・特殊偏光ガラスボディのサイボーグ
超合金以上の強度を持ち鉛の弾よりも硬く、女の肌の様に柔らかい材質。あらゆる光線兵器を屈折させ素通りさせる他、自分の体を自分で反射投影することで分身の術も使える
また、サイボーグのため体をバラバラにされても頭部が無事なら復活可能。……ここに特殊偏光ガラスが存在すれば、だが。

【スタンド】ハングドマン
【破壊力:C/スピード:A/射程距離:B/持続力:B/精密動作性:D/成長性:D】
【能力詳細】
包帯のようなものを纏ったの人型スタンド。
鏡をはじめとする風景を反射して映すもの潜り込み、そこに映されたものに対して一方的に攻撃することが出来るスタンド。
反射するものに次から次へと飛び移ることができ光の性質が強い。映っているものが破壊された場合は強制的に近くの反射するものに移動しなければならない制約を持つ

【備考】
6人の勇士編前の参戦のためアーリマンの能力は使用不可。
右腕の鉤爪は没収されている。

【方針】
・優勝狙い。優勝後はプッチ神父にも報復する。


246 : ◆5A9Zb3fLQo :2020/05/14(木) 22:12:25 YCRhB1GE0
投下を終了します。


247 : ◆k7RtnnRnf2 :2020/05/14(木) 22:52:31 NmwMb16Y0
皆さま投下乙です。
それでは自分も投下させて頂きます。


248 : ◆k7RtnnRnf2 :2020/05/14(木) 22:53:51 NmwMb16Y0


「まさか、これも『絶体絶命ゲーム』なのか!?」

 武藤春馬は震えていた。
 エンリコ・プッチと名乗る謎の男から突き付けられた殺し合い……普通の人間ならTVのドッキリと疑うだろうが、春馬は違う。何故なら、春馬は絶体絶命ゲームを何度も経験したのだから。
 いじめ、貧困、虐待、災害……あらゆる悩みを抱える子どもたちを集めて、命を賭けたデスゲームを強制させる絶体絶命ゲームがまた始まったのか。しかも、今度は事前の告知がない強制参加だ。

「……けれど、今回は何かが違いそうだ。まだ、上手く言えないけど……僕が知っている『絶体絶命ゲーム』とは何かが違う気がする」

 今回のゲームで決められたルールは『殺し合いをして生き残る』だけ。これまでの絶体絶命ゲームでは与えられたヒントを元に謎解きをするけれど、今回は純粋な力勝負だ。
 優勝者にはどんな願いでも叶える権利が与えられるとプッチは言っている。絶体絶命ゲームの優勝者には賞金1億円が与えられたように、プッチも願いを叶えるつもりだろう。

「今のところ、ヒントになりそうなものは『スタンド』だけだ。プッチという人は、精神的エネルギーを具現化したものと言っていたけど……まさか、僕は超能力者にでもなったのか?」

 プッチの話は荒唐無稽だが、一方的に切り捨てることはできない。生き残るために必要な手札は圧倒的に少ないのだから、一つでも多くの情報が欲しかった。
 現状、手元にあるのはサバイバルに必要な最低限の支給品だけ。愛用しているスマートフォンは没収されていなかったが、助けを期待することはできない。
 もしかしたら、未奈や秀介やメイサ、それに亜久斗も参加させられているのではないか……そんな不安が脳裏に過るも、あの場にみんなの気配はなかった。
 もちろん、他のみんなが巻き込まれていないのは幸いだけど、たった一人でデスゲームに挑まなければいけないのは不安だ。
 このままでは春馬は一方的に不利になる。サッカーは大得意だが、喧嘩に慣れていないのだから誰かに襲われたら一環の終わりだ。

「きっと、プッチは僕のことを知っているはずだ。だから、僕を参加者に選んだのかもしれない……」

 不本意だが、春馬は絶体絶命ゲームを何度も生き延びている。苦い経験があったからこそ、『絶体絶命・裏ゲーム』の主催者である鬼頭誠にも名前を覚えられてしまった。
 それに、鳥肌タツが案内人を務めた東京迷路を舞台とする絶体絶命ゲームでは、終盤になって動画配信されていることがわかった。プッチはその動画から春馬の存在を知り、こうして参加者にしたのだろう。
 プッチの裏には死野マギワや地獄ユキのような協力者がいるのではないか? ここで繰り広げられているゲームだって動画配信されて、多くの人に見られていることも考えられる。

「とにかく、まずは『スタンド』について知っておかないと。僕の『スタンド』は……?」

 その瞬間、背後に気配を感じた。
 反射的に振り向いた瞬間、春馬の顔は驚愕で染まる。体を金色に輝かせ、くちばしと長い尻尾を生やせた人型の怪物が春馬を睨んでいたからだ。

「……う、うわああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 春馬は腰を抜かしながら大声で叫ぶ。
 持ち前の知恵と勇気で絶体絶命ゲームを攻略し続けた春馬だったが、おばけという大きな弱点がある。その為、金色の怪物……レッド・ホット・チリ・ペッパーもおばけと勘違いしたのだ。

「……あれ?」

 しかし、数秒ほど経過しても何もしてこない。
 鋭い瞳で見つめてくるも、怖がらせようとするどころか指一本触れようとしなかった。バチバチと音を鳴らす電流が金色の体にまとわれているも、春馬を感電させようともしない。

「もしかして、君が『スタンド』なの?」

 レッド・ホット・チリ・ペッパーは何も答えないけど、少なくとも敵意は感じられなかった。

(見たところ、電気を使えそうだけど……使い方には気を付けないとな。使い方次第では電気はとても危険だからね)

 あの鬼頭は危険なスタンガンでメイサや秀介を脅し、更に春馬との一騎打ちでも武器に使っていた。
 だから、このレッド・ホット・チリ・ペッパーも気を付けるべきだろう。

「とにかく、今は君の力を借りることにするよ。あのプッチは最後の一人になるまで戦えって言ったけど……そんなのは嫌だ。きっと、どこかにみんなで帰るための方法があるはずだから、それを探さないと」

 静かで、そして力強い宣言と共に武藤春馬の新しい『絶体絶命ゲーム』が始まった。


249 : ◆k7RtnnRnf2 :2020/05/14(木) 22:54:02 NmwMb16Y0
【名前】武藤春馬
【出典】絶体絶命ゲーム
【性別】男性
【能力・技能】
 サッカーチームに所属し、お人好しで怖いものが苦手な少年。
 運動神経に優れ、また多くのクイズやゲームを攻略できる頭脳も誇る。そのひらめきで仲間たちと力を合わせて多くの『絶体絶命ゲーム』を乗り越えてきた。
 参戦時期は少なくとも原作5巻以降です。


【スタンド】レッド・ホット・チリ・ペッパー
【破壊力:A/スピード:A/射程距離:A/持続力:A/精密動作性:C/成長性:A】
【能力詳細】
 電気を自由自在に操り、通電物質ならばどんな場所でも移動することができるスタンド。電気を蓄えた量に比例してパワーアップをするが、電気がない所では扱うことができない。
 また、電気がなくなればレッド・ホット・チリ・ペッパーも消滅し、スタンド使い本人もダメージを受けてしまう。
 電気を蓄えることができれば有利になるスタンド。

【方針】
 このゲームの謎を解き、みんなで脱出する方法を探す。


250 : ◆k7RtnnRnf2 :2020/05/14(木) 22:54:13 NmwMb16Y0
以上で投下終了です。


251 : ◆i8E2NGlreE :2020/05/14(木) 23:31:40 OI1edSdI0
投下します


252 : お金持ちになりたい ◆i8E2NGlreE :2020/05/14(木) 23:33:03 OI1edSdI0

ミダス王の十日間の豪奢な宴にディオニュソスの師はたちまち上機嫌になり、十一日目に無事に帰りました。
酒の神ディオニュソスは、師の恩を返さんがためにならず者の王ミダス王のもとを訪ねます。
 
 曰く、あなたの願いをなんでも叶えて差し上げます。
 
 ミダス王はディオニュソスに、触れるものを何でも黄金にして欲しいと頼みました。
ディオニュソスはもっといくらでもいい願いがあるのに、と思いながらも、彼の手をそのようにしてあげました。
 
 ──ミダス王

 
 ◆


253 : お金持ちになりたい ◆i8E2NGlreE :2020/05/14(木) 23:33:44 OI1edSdI0


 銭ゲバは闇に立っている。

 後ろには悪魔がいて、彼の後ろからドロドロと何かを滴らせ続けている。

角があって、恐ろしい仮面をつけて、マントを羽織っている――悪魔。中身はがらんどうで、ただ手だけがある。
手だ。たくさんの手がある。もうたくさんあるのに、欲張ってもっとつけるものだから、支えを失って次々と流れ落ちる。
銭ゲバは悪魔に気が付いて、一瞬はひるんだけれど――やがて不敵な笑みを浮かべ、悪魔を凄惨に睨みつけた。
それは彼のプライドを守るためのものであり、どうしようもなく感じてしまった安堵感を隠すためでもあった。

 カチり、と障害物に躓きかけて闇が晴れた。民家の一室、裕福そうな家庭のリビングルームだ。
蒲郡風太郎は部屋を眺める。フローリングの床に、嫌みにならない照明。シックな机と椅子。
金目のものはどこにあるだろう? 銭ゲバは昔のように部屋を漁る。こんなにもいい家なのだからさぞかし蓄えがあるだろう。
何円で買ったのだ。そんな高価な買い物を、好き放題に使える。壁の一点で風太郎の眼は止まる。

 わざとらしい演出だった。クレヨンの絵に、純真だと言わんばかりの題名。ドロドロ私たちはおきれいですにしろ。
部屋の価値は経済的にも銭ゲバにとっても著しく下がった。ドロドロ
キッチンはこんなに通りがよくて、見たこともないような未来の薄型テレビ、ドロドロドロずっと小さい空調。小奇麗な写真立て。
三人家族。笑顔。写真。ベタベタベタ引き受けてしまった新聞原稿。ドロドロドロドロ風太郎が追い求め続けてきたもの。幸福。

 ドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロ
 ドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロ
 ドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロ
 
 ――風太郎の顔はいつもの通りだった。反抗心をむき出しに、どことなく疲れ切った顔で。

そうだ。自分にはほかの者にはない意識がある。仮初を取り去って、ぐちゃぐちゃに腐りきった中身を明らかにする力が。
三枝子の飾った清楚さも、神清行の気取った重厚さも、大学の悟りきったような態度も、厚みも価値も意思も薄っぺらだ。
ただ一つの尺度があって、それさえあれば誰よりも上に立てる。誰よりも偉くなって、欲しいものは何でも手に入る。

 もっと欲しいズラ。まだ足りなかったズラ。

 悪魔がひとしきり手を滴下させ切ったころにも、写真立てはもうぐずぐずに潰れていた。
銭ゲバは財布を取りだして、一万円札を雑に折りたたむと、ゆっくりと割れた写真立てに差し込んだ。
それで写真立てはもう元には戻らなくなった。きっとそれがこの世で唯一の価値だ。

 やっぱり銭ズラ。誰よりも何よりもかき集めるズラ。

 そうして、どこにでもある風景から銭ゲバは背を向け、また歩き始めた。

 ――ズババーン!


254 : ◆i8E2NGlreE :2020/05/14(木) 23:36:05 OI1edSdI0

【名前】蒲郡風太郎
【出典】銭ゲバ
【性別】男性
【能力・技能】
 ・意思
 誰よりも金持ちになりたい。

【スタンド】ビタミンC
【破壊力:A / スピード:B/ 射程距離:C / 持続力:C / 精密動作性:E / 成長性:C】
【能力詳細】
八部に登場する岩人間の田最環、通称ダモカンのスタンド。
角の生えた悪魔のような人型だが、胴体部分には無数の手しかない。
しかし近接性能は高く、八部のキラークイーンのラッシュを受け流している。

能力は指紋をつけた生物をスタンドと共に極限まで柔らかくする。
この指紋は、一定の場所にまき散らすように残すことで、中に入ったものを柔らかくする結界のような運用も可能。
ただし範囲外に脱出されると柔らかくなったものは一瞬で元に戻る。

【備考】
原作終了直前時点からです。

【方針】
優勝して莫大な銭を手に入れる。


255 : ◆i8E2NGlreE :2020/05/14(木) 23:36:34 OI1edSdI0
投下終了です


256 : ◆RTn9vPakQY :2020/05/15(金) 00:48:51 xggncDII0
投下します


257 : 孤独な兵士 ◆RTn9vPakQY :2020/05/15(金) 00:52:28 xggncDII0
 男には仲間がいなかった。
 侵略者により未曾有の危機に瀕した世界で、男は独りで銃を持ち続けた。

 男には仲間がいなかった。
 正確には、同じチームの隊員でさえ、男を仲間とは思っていなかった。
 チームの隊長でありながら、その姿勢は常に独断専行。
 任務の遂行のみを考えて行動する姿は、人間よりも機械に近いもの。
 寡黙でコミュニケーションを取ろうとしないため、周囲からは戦闘用アンドロイドだという噂が流れたほどだ。
 隊員の誰もが、男のことを内心で畏れていた。

 男には仲間がいなかった。
 あえて迂遠に言うなら、侵略者との交戦の中で、何人もの同僚が命を散らしていった。
 新設されたチームで長期間の任務に励むはずだった部下たちも、戦場で弾薬を分けた初々しい青年も、円熟した手練れの老スナイパーも。
 全員が死んだ。
 男は生き残った。
 幾たびの死線を越えて、男だけが生きている。

 男には仲間がいなかった。
 終わらない侵略者との戦争を、男はひとりで戦うことにした。
 軍の本部も、男の単独任務を認めて積極的に支援をした。男には確かな実力があったからだ。
 本部の期待にあやまたず、男は戦果を挙げた。
 かつて列強と呼ばれた、名だたる国々の軍隊が制圧されていく中で、日本だけは均衡状態を保ち続けた。
 それがたった独りの男による結果だと、誰が知るだろう。

 男には仲間がいなかった。
 しかし、決して「仲間を求めていなかった」わけではない。

 侵略者との最後の戦い。
 星船による集中砲火を浴びて倒れ伏した男は、朦朧とする意識の中で、こんなことを考えた。

 --自分に仲間がいたら、この戦争に勝てていただろうか--

 それは男の些細な疑問であり、夢であった。
 仲間と共に果てしない戦場を駆ける。あり得たかもしれない一つの可能性。
 あるいはその夢が祈りとなり、何の因果か神父に聞き入れられたのかもしれない。



 気がつくと、男は奇妙な戦場にいた。
 数十人が最後の一人になるまで殺し合う、悪趣味な儀式。
 男はしばらく思案したのち、殺し合いに乗ることを決意した。
 仲間と共に、敗北を喫した戦争をやり直すために。

 男は自身の仲間--スタンド能力--を確認し終えた。
 この戦場においては、本部からの支援も、銃の弾薬もない。
 しかし、今の男には仲間がいる。
 スタンドという名の、命令に忠実に従う兵士たちが。
 男はこれまでと同じく、率先して戦場に乗り込んでいくつもりだ。
 今の仲間なら、それで十全に働いてくれると確信していた。
 スタンドはバッド・カンパニー。優秀な兵士たちだ。
 弾の尽きたアサルトライフルを持って、男は歩き出した。


258 : 孤独な兵士 ◆RTn9vPakQY :2020/05/15(金) 00:53:51 xggncDII0
【名前】ストーム1
【出典】地球防衛軍3
【性別】男性
【能力・技能】
軍人として鍛え上げられた身体と、射撃の腕前。走るよりも回転して移動する方が速い。
地球に襲来した侵略者(フォーリナー)に対して、ひとりでも立ち向かうことのできる強靱な精神力。
【人物背景】
「地球防衛軍(EDF)」の特殊遊撃隊傘下の一小隊「ストーム1」の隊長。
侵略者(フォーリナー)の脅威から地球を守るべく、生身で巨大生物やロボットに立ち向かった兵士。
作中では言葉を発することはなく、個人情報も全く明かされない。
上述の通りキャラクターとしての設定はほとんど無いため、脚色を加えた。
この話においては「孤独な戦いを続けていたが、心中では仲間と戦場を駆け抜けることを望んでいた男」とした。
この殺し合いには、侵略戦争の最終局面で惜しくも命を落とした世界戦から参戦。

【スタンド】バッド・カンパニー(極悪中隊)
【破壊力:B/スピード:B/射程距離:C/持続力:B/精密動作性:C/成長性:C】
【能力詳細】
群体型、遠隔操作型のスタンド。
主な構成は歩兵60体、戦車7台、戦闘ヘリ「アパッチ」4機。それ以外に作中ではグリーンベレーが1体登場する。
歩兵のスケールは人間の10分の1程度。兵器や武装も相応に縮小されているため、1人の火力はさほどでもないが、一斉射撃での破壊力は、分厚い壁を破壊する程度には高い。
戦車やアパッチによる砲撃も同様。

【備考】
ストーム1が武器を持っていないのでは格好がつかないので、弾薬の切れた状態のアサルトライフルを持っていることとしました。
【方針】
仲間(バッド・カンパニー)と共にこの戦場を勝ち抜き、元の世界で侵略者との戦争をやり直す。


259 : ◆RTn9vPakQY :2020/05/15(金) 00:54:21 xggncDII0
投下終了です。


260 : ◆zzpohGTsas :2020/05/15(金) 01:15:12 whb2Djf20
投下します


261 : ル・アンフェー・デ・フルール ◆zzpohGTsas :2020/05/15(金) 01:15:41 whb2Djf20
「殺し合いをしてくれ、って言われても〜……」

 心底、気乗りのしない、とでも言う風に、その女性は溜息を吐いた。
肌が黒く、しかし、異様に澄んでいて、その上鋭い光を宿す瞳の持ち主だった、あの神父。
彼女は、その神父の催しの意図から、最も遠いとしか言いようがない程、浮いた女性だった。

 緩くふんわりとウェーブの掛かった菫色の髪。
御伽噺か童話かにでも出てくる魔女さながらに、ゆったりとした薄緑色のローブを纏い、これまた教科書通りのとんがり帽子。
その上に、顔立ちだ。美人である事は間違いないが、今から殺し合いを行い最後まで生き残れ。そう言われた人物とは思えない程、顔からは深刻さを感じ取れない。
あらあら、困ったわ。どうしましょう。大変ねぇ。その程度の意気しか、彼女の顔からは読み取れないのだ。本当に、今この瞬間困っているのかどうか解らない。

「そーれー」

 そう言って女性は、気の抜けるような声を上げながら、手にした杖を一振りさせる。
すると、如何か。街路樹の一本も見受けられない、無人の都市のアスファルトの上に、無数の華が咲き誇ったではないか。
まるで魔法を見ているようだ。薫風の様に爽やかな一陣の風が吹いたと見るや、百花繚乱、種々様々な花々が生じ出したのである。
バラ、フクシア、シクラメン。ピアニー、ベゴニア、ライラック。オーキド、パンジー、ヒヤシンス。サルビア、マリーゴールド、ワスレナグサ。
数えてゆけば、キリがない。鮮やかな色彩の乱舞に満足したのか、女性は、うんうん首を縦に振った。

「木も草も、花もない街なんて、寂しいわよね〜」

 全空域を探して見ても、この街以上に優れた文明の街など見当たるまい。
だが、栄えているか如何かではなく、単純に、この街には緑も彩りも何もない。
それが、彼女には悲しくも寂しい。花は見る者を楽しませ、幸せの切欠となる力を秘めている。
花は摘まれればそれまで、手折られたら花自身が悲しむと言うが、そんな事はない。花もまた、摘まれ、手折られる事を何処かで望み――人の心を彩って、その中で咲き誇る彩りになる事を望んでいるのであるから。

「……あの僧侶の人も、もう少しお花を見る余裕があればいいのだけれど」

 あの時、此方側に殺し合いのルールを説明していた時の神父の姿を見て、彼女は思ったのだ。
余裕がないと。鷹揚に、それでいて自分こそがこのゲームを支配するマスターであると振舞っていながら、その実何かに駆られるような、
焦燥めいたイメージを何処かで発散する男。それが、彼女――『レナ』の抱いた、プッチ神父に対するファーストインプレッションである。

 焦っていても――いや、焦っているから、こんな酷いゲームを思いつくのだろう。
思い詰めているにも程がある。それでは、幸せは手に入れられない。運命が、仄暗くジメついた、酷いものになってしまう。
だから、殺し合いはしない。あの神父に、花を、届けてあげたい。ああきっと、落ち着いたラベンダーが似合うだろう。あの香りは、人を安定させるのだ。


262 : ル・アンフェー・デ・フルール ◆zzpohGTsas :2020/05/15(金) 01:16:13 whb2Djf20
「殺し合いをしてくれ、って言われても〜……」

 心底、気乗りのしない、とでも言う風に、その女性は溜息を吐いた。
肌が黒く、しかし、異様に澄んでいて、その上鋭い光を宿す瞳の持ち主だった、あの神父。
彼女は、その神父の催しの意図から、最も遠いとしか言いようがない程、浮いた女性だった。

 緩くふんわりとウェーブの掛かった菫色の髪。
御伽噺か童話かにでも出てくる魔女さながらに、ゆったりとした薄緑色のローブを纏い、これまた教科書通りのとんがり帽子。
その上に、顔立ちだ。美人である事は間違いないが、今から殺し合いを行い最後まで生き残れ。そう言われた人物とは思えない程、顔からは深刻さを感じ取れない。
あらあら、困ったわ。どうしましょう。大変ねぇ。その程度の意気しか、彼女の顔からは読み取れないのだ。本当に、今この瞬間困っているのかどうか解らない。

「そーれー」

 そう言って女性は、気の抜けるような声を上げながら、手にした杖を一振りさせる。
すると、如何か。街路樹の一本も見受けられない、無人の都市のアスファルトの上に、無数の華が咲き誇ったではないか。
まるで魔法を見ているようだ。薫風の様に爽やかな一陣の風が吹いたと見るや、百花繚乱、種々様々な花々が生じ出したのである。
バラ、フクシア、シクラメン。ピアニー、ベゴニア、ライラック。オーキド、パンジー、ヒヤシンス。サルビア、マリーゴールド、ワスレナグサ。
数えてゆけば、キリがない。鮮やかな色彩の乱舞に満足したのか、女性は、うんうん首を縦に振った。

「木も草も、花もない街なんて、寂しいわよね〜」

 全空域を探して見ても、この街以上に優れた文明の街など見当たるまい。
だが、栄えているか如何かではなく、単純に、この街には緑も彩りも何もない。
それが、彼女には悲しくも寂しい。花は見る者を楽しませ、幸せの切欠となる力を秘めている。
花は摘まれればそれまで、手折られたら花自身が悲しむと言うが、そんな事はない。花もまた、摘まれ、手折られる事を何処かで望み――人の心を彩って、その中で咲き誇る彩りになる事を望んでいるのであるから。

「……あの僧侶の人も、もう少しお花を見る余裕があればいいのだけれど」

 あの時、此方側に殺し合いのルールを説明していた時の神父の姿を見て、彼女は思ったのだ。
余裕がないと。鷹揚に、それでいて自分こそがこのゲームを支配するマスターであると振舞っていながら、その実何かに駆られるような、
焦燥めいたイメージを何処かで発散する男。それが、彼女――『レナ』の抱いた、プッチ神父に対するファーストインプレッションである。

 焦っていても――いや、焦っているから、こんな酷いゲームを思いつくのだろう。
思い詰めているにも程がある。それでは、幸せは手に入れられない。運命が、仄暗くジメついた、酷いものになってしまう。
だから、殺し合いはしない。あの神父に、花を、届けてあげたい。ああきっと、落ち着いたラベンダーが似合うだろう。あの香りは、人を安定させるのだ。


263 : ル・アンフェー・デ・フルール ◆zzpohGTsas :2020/05/15(金) 01:16:34 whb2Djf20
 今ならまだ間に合うし、引き返せる。
これに懲りたら、真面目に生きて、穏やかに日々の仕事をこなすようお説教しなくちゃと、レナは意気込む。
……恨みも憎悪も、怒りも悲しみも後悔も。人の生きる上で、何の栄養にもならない。汚泥に、華は咲かないのだ。
だが、時が経てばそんな泥もまた、目に美しい花を咲かせる豊かな土壌となる。神に仕える身であろうに、それを知らないとは……遣る瀬無い。
そうと決まれば、と言わんばかりに、レナが歩を進めると、ズズズ……、と。大層な音が後ろで上がった。
何か途轍もなく重く、そしてデカいものでも引き摺るような……。そんな音である。

「あらあら〜?」

 と、言いながら後ろを振り返るレナ。
……其処に在ったのは、都市の内部には全く似つかわしくもない、『泉』であった。
水溜り、ではない。そのレベルを超えている。直径にして六m、水深にして一mと半ば程はあろうかと言う、透明な泉が、レナの後ろにあるのだ。
レナが試しに十歩歩くと、遅れて泉そのものが十歩分の距離を、水面を波立たせる事なく詰めてくる。自分の意思で、ついてくる。
泉は不可思議な力を持っているのか、泉が動いた後のアスファルトは、削られるでもなく、元の舗装されたアスファルトのまま。
この不思議な霊泉は、神秘的なエナジーを持っているのか。自分で動き、しかも動いた後には何の痕跡も残さない。ただ、レナの後ろをついてくる泉なのだ。

「うふふ、不思議な泉さんね〜」

 そう言ってレナは泉を手勺で掬って見る。冷たい。雪解け水のようだ。

「ちょっと冷たいけど、お花を育てるには良いのかも知れないわ〜」

 ……本当に、此処が殺し合いの場だと、認識しているフシが薄い。そんな、レナなのであった。


【名前】レナ
【出典】グランブルーファンタジー
【性別】女性
[思考・状況]
基本:主催者に、花を

1:余裕がないのはダメね〜
2:この身体の事も、何とかしないと……

【能力】
『魔生花』
・厳密に言えば能力ではなく、レナの身体を蝕む事実上の呪いそのもの。
レナは己の魔法で以って花を咲かせ続けなければ、身体が樹木化して行き、遂には完全な樹木へと変貌してしまう呪いを受けている。
……と言う事になっているが、実態はレナが認識しているのとは全くの真逆で、実は『花を咲かせ続ければ続ける程呪いは加速』する。
本来ならば生み出した花は魔力の塊で、それ自体が魔物を引き寄せる餌になるのだが、このロワでは魔物がいない為事実上死んでいる特徴である。

【技能】
『魔法』
・攻撃に転用出来る魔法も行えるが、レナの場合は特に回復に優れている。

【スタンド】シュガーマウンテンの泉
【破壊力:E/スピード:E/射程距離:E/持続力:A/精密動作性:E/成長性:E】
【能力詳細】
名の通り、小規模の泉のスタンド。
本体であるレナの意思を越えた、自律型・超自然的・現象的なスタンド。
この泉に品物を落とすと『高価』で『大切』なものになって返ってくる。
そして、泉にいる『番人』、つまりレナの『どちらを落としたか』と言う質問に正直に答えると、品物を手に入れる事が出来る。
正直に答えなかった場合、『欲張りの嘘つき』と見做され、大木のツタが舌に突き刺さり、内臓ごと引っこ抜かれて死ぬ。また無言でも殺されるようだ。
今回のロワに於いては大木がない為、レナの体からツタないし枝が伸び、上記の役割を果たす。
手に入れた、泉に入れた時よりも高価かつ高性能の品物は、その日の日没までに全て使いきらなければならない。
もし、使いきれなかった場合は大木に取り込まれて『木の実』にされてしまう。この強制力は恐ろしく強く、ほぼ『絶対』と見て相違ない。

……本来このスタンドは、樹齢数千年の古木を本体とする超自然的なスタンドであり、それに準じた存在しかDISCを受け付けない筈だった。
が、レナの身体が余りにも樹木化が進んでいる為、この原則が適用。結果として泉のスタンドの本体となってしまった。
泉に投げ入れた品物が、何処まで高級な物になるのか、その限界値は不明。
一つ確かな事は、もしもレナが完全に樹木化してしまった場合、原作同様、その場所にあり続ける不思議な自然現象のような形で、エリアの何処かに残るであろうと言う事だ。

【備考】
参戦時期は団長であるグランないしジータと出会う前。


264 : ル・アンフェー・デ・フルール ◆zzpohGTsas :2020/05/15(金) 01:16:52 whb2Djf20
投下を終了します。多重書き込みになってしまい、申し訳御座いません


265 : ◆A3H952TnBk :2020/05/15(金) 02:37:50 N6ZG6dlY0
投下します。


266 : ◆A3H952TnBk :2020/05/15(金) 02:39:52 N6ZG6dlY0




『っていうかさ、浅倉は、なんで――――』


こんな時に、夢を見ている。
何気無い、ある日の帰路。
不安に震える自分を隠す“私”の夢。
そして、いつも傍にいた“彼女”の夢。


『……?』


“彼女”は、きょとんとした顔で私を見つめる。
十数年間見慣れてきたその瞳は、いつだって澄んでいる。
サファイアのように碧い海色が、私を捉えて離さない。
それだけで、私は足踏みをする。
心臓をぎゅっと握られたように、臆してしまう。
“彼女”の目を見るたびに、何かを恐れる自分がいた。

いつも一緒で、なにを考えているのかなんて大体解る。
幼馴染みだから当然、だけど時おり“彼女”を掴めなくなる。
まるで満ち引きを繰り返す波のように、私の手を擦り抜けていく。

“彼女”はアイドルになり、今まで以上に透き通った眼差しを見せるようになった。
此処ではない、もっと何処か、遠くを見据えているような。
私の知らない場所へと、飛んでいこうとしているような。
それを考えるだけで、私の胸中は靄のようななにかに蝕まれていく。
言葉が上手く絞り出せない。しかし“彼女”は、答えを待ち続けている。
だから私は、誤魔化すことしかできない。



『――――コンビニにいたの?』



なんで、■■■■になったの?
それだけの答えを聞く勇気を持てない。
私は、一歩を踏み出せなかった。





意識はぼんやりと宙に浮かぶ。
視界に広がるのは、無機質な部屋の内装。
何処かの建物の内部。警察の取調室か何かを思わせる、こじんまりとした空間。
飾りも何も置いておらず、幾つかのパイプ椅子だけが雑然と放置されている。
見慣れている自室ではないことだけは、すぐに理解できた。

椅子のひとつに座っていた私――樋口円香は、細い両目をパチパチと瞬きさせる。
周囲を改めて確認し、そして記憶を手繰り寄せる。
さっきまで何をやっていたんだっけ。
283プロでの今日の仕事が終わって。
珍しく浅倉や他のみんなと一緒にならず、独りで帰路について。
馴染みの交通機関を下りて、見慣れた閑静な住宅街を歩いて―――。
なんてことのない夕方だった。
それが今、こんなことになっている。


267 : ◆A3H952TnBk :2020/05/15(金) 02:40:42 N6ZG6dlY0
現実味のない状況を前に、すっとんきょうなことを考えてしまう。
まだ私は夢から覚めていないのだろうか。
そんな漠然とした期待を抱いて、頬に触った。
指先に走る、滑らかな肌の感触。
アイドルになってからは、ケアを欠かさなくなった。
その生々しい手触りによって、虚しい希望は水泡に帰した。

夢じゃなかった。
薄々、わかっていたけれど。

意識を取り戻す前、へんな夢を見た。
彼女との―――幼馴染みである浅倉透との記憶とは、また別の夢。
神父の格好をしたエンリコ・プッチという男が“私たち”に語りかけてきた。
支給されるスタンドという能力を駆使して『殺し合い』をするように、と。
勝ち残った者は、望みを叶えられる。
逆らった者には、死が与えられる。
そんな突然の通達は、あまりにも現実味が無さすぎた。
まるで漫画の世界。全く持って意味のわからない状況だ。
それでも、目の前で繰り広げられた凄惨な光景は、未だ脳裏に焼き付いている。

明確で、鮮明な、死というビジョン。
この歳でそんなものを突きつけられるなんて、思う筈もなかった。
胸の内から、吐き気のような感覚が込み上げてくる。
不快感という塵が胃の中でのたうち回る。
脳髄から送られる電流が体と心を強張らせる。
とにかく、気持ち悪い。

少しでも気を紛らわせようと、スカートのポケットに手を突っ込んだ。
中身は―――なし。
没収された鞄の中に入っていたのか、あるいは衣服の荷物まで取り上げられてしまったのか。
答えはわからないけど、珍しく小糸から貰った飴が何処にも無いことだけは理解した。


――いつもお菓子くれる円香ちゃんにお返し。
――頑張ってる私を応援してくれるから。
――だから、今度は円香ちゃんを応援するね。


今日の夕方、夕方のレッスン直後。
幼馴染みの福丸小糸が、そんなことを言って飴玉をくれた。
小糸はいつも直向きで、努力家で、本当に立派な娘。
私よりも、ずっとずっと―――勇敢だ。
だから私は、あの娘の優しい眼差しが何よりも辛い。

挑戦することが怖い。
何かを変えようとするのが怖い。
自分を試されるのが怖い。
本気になることが怖い。
“困難に立ち向かう”ことが、何よりも怖い。

クールで格好いいなんて、小糸から言われても。
私はいつも、空虚なお礼を言うことしか出来ない。
そんな人間じゃない。その言葉は、いつも心の底に押し込めている。
今までずっと、情熱を燃やすことを避け続けてきた。
自分が何者であるのかを知ってしまうのが恐ろしくて、斜に構えて生きようとした。
そうすればきっと、何かに追い立てられる必要なんて無くなるから。
だから私は、『踏み出す』ことが出来なかった。
小糸に慕われるような人間じゃないのに、小糸は慕ってくれるから、私はそれに応えるしかない。


「……何やってるんだろ」


肝心なときには言葉を吐き出せないのに。
何てことのない独り言はぽつりと零れる。
そんな私自身を、自嘲気味に俯瞰していた。
脚を伸ばして、ぼんやりと虚空を見つめる。

自分が臆病な人間だということは、誰よりも分かっている。
だから私は、冷笑的なふりをして“予防線”を張る。
何かが駄目になって、失敗してもいいように。
「どうせ本気じゃなかった」と言い訳できるように。
なのに私は、アイドルになって、揺らいでいる。
幼馴染みの浅倉透を案じて、彼女を追うように始めただけのことなのに。
気が付けば、直向きにレッスンへと取り組んでいる。
潮時だと思ったのに、どんどん深みへと嵌まっていく。
もう引き返せないんじゃないかも思うと。
また、心が『足踏み』を求め始める。

変わっていくことが怖くて。
ささやかな安心が崩れていくことが怖くて。
だから私は、アイドルになった幼馴染みが何を見ているのかさえも、聞くことが出来ない。

こんなことに巻き込まれたのも、天の邪鬼で捻くれた自分に下された裁きなのかもしれない。
成る程。競い合うことも、本気になることも避けてきた私にとって、ある意味で一番相応しい罰だ。
そんなことを思い始めた直後に、負の思考に沈みかけた自分への嫌悪が浮かび上がった。


思考の最中、ふいに背後を見た。
そこには、人影がいた。
私は咄嗟に怯えて、振り返りながら立ち上がった。


268 : ◆A3H952TnBk :2020/05/15(金) 02:41:16 N6ZG6dlY0

「誰……?」

そこに座り込んでいたのは、怪人だった。
バイザーのようなものを被り、紫色の菱形模様で彩られた『それ』は、ゆっくりと私を見つめる。

確か、あのエンリコ・プッチが言っていた。
参加者にはスタンドという能力を支給するということを。
精神のエネルギーの具現。戦闘に長けるものから、そうでないものまで。
この『怪人』こそが、そのスタンドとやらなのだろうか。

獰猛な顔付きでありながら、その眼には理性と凶暴性を同時に孕んだような意思が見える。
矛盾、歪み―――そんな言葉が、私の脳裏に過った。


「……そんな眼、してるんだ」


何気ない一言の、答えは返ってこない。
幼馴染みの浅倉透の澄んだ瞳とは、まるで違う。
濁っていて、複雑で、気難しくて。
鏡で自分の眼を見たときも、似たようなことを感じたっけな。
ふいにそんなことを思い出して、自分を静かに嘲った。





樋口円香に支給されたDISC。
それはギャングの青年、パンナコッタ・フーゴが発現させた『能力』である。
彼はかつて、正しいと信じた道を進むことが出来なかった。
ただ一人だけボートに乗れなかった。
その葛藤に苦しみ続け、迷い続け、しかし麻薬チームとの戦いの果てに『答え』を見出だした。
このスタンドは、フーゴの精神的な成長の証だった。

しかし円香は答えを見出だせず、苦悩に囚われ続けている。
ゼロへと向かう勇気を持ったことで覚醒した青年のスタンドが、ゼロへと向かう勇気を恐れ続ける少女が抱え込む。
それは歪み(ディストーション)と言うべき矛盾。
樋口円香は、未だ狭間に立っていた。


―――これは、一歩を踏み出すことのできなかった者の物語。






【名前】樋口 円香
【出典】アイドルマスター シャイニーカラーズ
【性別】女性
【人物背景】
283プロダクション所属のアイドル。
常にクールでシニカル、プロデューサーには特に辛辣な態度を取る。
ユニット『ノクチル』に在籍しており、他のメンバーとは幼馴染みの関係。
特に同い年の浅倉透とは近所付き合いの仲。

【能力・技能】
アイドルとしての才能がある。
しかし彼女は一歩踏み出すことを恐れている。

【スタンド】パープル・ヘイズ・ディストーション
【破壊力:A / スピード:B/ 射程距離:E / 持続力:E / 精密動作性:C / 成長性:?】
【能力詳細】
『恥知らずのパープルヘイズ』に登場する、パンナコッタ・フーゴのスタンドが進化した姿。
両手に付けられたカプセルを割ることで殺人ウイルスを散布する。
ウイルスに感染した生物はほぼ一瞬で死に至る。
しかし余りにも強い殺傷力を持つため、全力で発動すればウイルス同士が共食いを始めてしまう。
逆に手加減をすればウイルスの共食いは発生せず、結果的に敵を殺傷する能力が増すという奇妙な“歪み”を抱える。

【方針】
今はまだ考えていない。

【備考】
参戦時期はWING編の樋口円香共通コミュ『心臓を握る』直前です。


269 : ◆A3H952TnBk :2020/05/15(金) 02:42:31 N6ZG6dlY0
投下終了です。
タイトルは『恥知らずのノクチルカ』でお願いします。


270 : ◆DWDMFPPpRw :2020/05/15(金) 03:08:44 KAYZ2bJc0
投下します


271 : ◆DWDMFPPpRw :2020/05/15(金) 03:09:46 KAYZ2bJc0

 会場のどこかに、ある参加者がいた。
 彼の特徴を端的に述べるのなら平凡。特に奇抜に整えられた訳でもない白髪。筋肉質とも華奢と言えない体躯に、平凡で目を引くところのない容貌。髪と同じ白を基調とした華美でも貧相でもない服装。そうした特徴をひっくるめても、容易に人ごみに紛れそうな、すぐに記憶からも抜け落ちそうな印象の男であった。
 男の名はレグルス・コルニアス。魔女教大罪司教『強欲』担当である。

「まったく、あのプッチとかいう男。本当に礼儀ってもんがなってないよね。僕を突然こんなところに連れ去って、いきなり女の子も殺しちゃうし。それで? 黙って聞いてたら殺し合えとか言うしさ。こういうのはまず先に説明なりなんなりするのが筋ってもんでしょ。自分の都合で相手の同意を得ずにやりたくもない事をさせるって本当に人間として最低だよね。願いを叶えるとか言ってたけど、仮に僕がその権利を望むとしてもまず先に話を通さないなんて常識的におかしいでしょ。っていうか決定的に間違ってるでしょ。ていうか僕はさ、こういう争いとかさ、元々嫌なんだよね、僕としては。僕はこう、平々凡々とただただひたすら穏やかで安寧とした日々を享受できればそれで十分、それ以上は望まない男なんだ。そんな無欲で謙虚な僕に殺し合えとか、人選ミスという以前にこういう事をさせないのが常識ってもんなんじゃないのかな。これはもうさ、温厚な僕でも怒ってもいい場面だと思うんだよね。もしかしたら、自分が僕とは全く違う常識の中で生きてきたからそういった事を知らないって事もあるかもしれないけどさ、でもそれならそれでまず自分の無知を自覚して、そこから始めるのが人として当然だし、当たり前のことだよね。自分が世界の中心だって考え方はまず当たり前の事だけど、論外だよ。自分の常識が他人と違う事を予め省みるべきだよね。そうした努力もせずに、いきなり意味不明な選択肢をこうして提示するだなんて、相手に歩み寄る気が無いって事だよね? これはもはや、他者への権利の侵害だ。温厚で無欲な僕に対する、僕の権利の侵害だよね。そもそも個人の権利なんて尊重されて当然のものをそう何度も主張したくなんてないけどさ、現時点でそもそもこの状況自体が僕の権利を、数少ない資産を侵害しているって事が解らないのかな。というか最初にさ、その事を理解して自分で自分をおこがましいとか思えないものなのかな? そういう当たり前のことができないなんて、人として卑劣と言われてもしょうがないとさえ思えるよ。というか、僕の福音書を勝手に取り上げてる時点でさ、温厚な僕でも許せる域を越えてるよねぇ!」


272 : ◆DWDMFPPpRw :2020/05/15(金) 03:11:37 KAYZ2bJc0
さながらマシンガンのごとく、プッチに対する怒りと不満、福音書を没収された不快感がレグルスの口から溢れていた。

「というか、僕のこのスタンド、『ラバーズ』だっけ? 僕は争いが嫌いだけどさ、普通殺し合いなんてさせるからには強い能力を用意したりとかするのが普通なんじゃない? こんなノミみたいなもの渡されても、どうにもできないじゃないか。いや、そもそも僕には権能があるから新しい能力を求めるなんて強欲なことを望まないけど、態々こんな大がかりなことをやってまで配ったのがこんなチンケなものなんて意味が解らないじゃないか!」

「……当然、僕は殺し合いなんて野蛮なことはしたくない。でもきっとこの殺し合いに乗ってしまう人間はいる。願いを叶えるなんて人の弱味に漬け込む選択肢に飛び付く奴も居るだろうし、全く、今に満たされていればいいのに、人間というものは身の丈に見合わないものを欲しがって身を滅ぼす。社会にはそんな、どうしようもない愚か者が多いからさ、仮に参加者がさ、そうした選択肢の愚かしさを理解できる真っ当な人ばかりだとしても、そうした他人の権利を侵害する連中がいる可能性が少しでもある限り、温厚な僕でもそんな連中から身を守るために力を行使するのは当然の行いな訳だ。正当防衛だからね、自分の生命を守るのは当たり前のことだし、行使されるべき権利な訳だからね」

 と、ここまで述べて自身が他者を害することを正当化したレグルスは独白を終え、他の参加者を探して移動を始めた。
 

【名前】レグルス・コルニアス
【出典】Re:ゼロから始める異世界生活
【性別】男性
【能力・技能】
・獅子の心臓
 自身や触れたものの時間を停止させる。
 肉体の時間を停止させれば一切の攻撃が通じない無敵となり、 自身が触れたものの時間を止めることで武器とすることもできる。
 ただの砂の時間を止め、相手に投げつければそれはあらゆる物理法則を無視してぶっ飛び、あらゆるものを貫通して破壊する最強の投擲武器と化し、腕を振り上げた際に生じた風圧は全てを切断して吹き飛ばす真空波となり、彼が吐いた息は触れただけでその部位が爆砕する設置型爆弾となる。
 ただし、欠点として行使中は自身の心臓が物理的に止まってしまうため、「心臓の時間だけは止められない」。このため永続的に「無敵」になることは不可能。(もって5秒)

・小さな王
 他人の心臓に小さな自分の「擬似心臓」を寄生させる能力。
 「心臓の時間だけは止められない」という『獅子の心臓』の欠点を排除することができ、この能力によって『獅子の心臓』を永続的に使用することができる。

【スタンド】ラバーズ
【破壊力:E / スピード:D / 射程距離:A/ 持続力:A / 精密動作:D / 成長性:E】
【能力詳細】
 蠍と人の混ざったような姿をした、ミクロサイズの遠隔操作型スタンド。鳴き声は「マギーッ」。人語を話すこともできる。
 髪の毛一本さえ動かすことの出来ない、史上最弱のスタンド。
 相手の耳などから体内に侵入し、脳に居座る事で、本体と相手の感覚を共有できる。この状態で本体がダメージを受けると、相手に何倍にもなって返ってくる。

【備考】
参戦時期は第三章幕間『イタダキマス』にてレムを襲撃する前。
福音書は没収されている
『小さな王』は制限により使用不可能(参戦前のものも無効済み)なため、現在『獅子の心臓』は解除されている。レグルス本人はこの事に気がついていない

【方針】
優勝狙い。優勝後はプッチ神父にも報復する


273 : ◆DWDMFPPpRw :2020/05/15(金) 03:12:28 KAYZ2bJc0
投下終了です


274 : ◆.DZlGZw4P6 :2020/05/15(金) 15:21:57 ohcfUv9k0
投下します。


275 : ざんねん ◆.DZlGZw4P6 :2020/05/15(金) 15:22:54 ohcfUv9k0
・・・・わたしは いま だれもしらない
 はなれこじまの かいじょうの 
 なかに いる。

 ぼうけんをもとめる たびのとちゅう
 わたしを らちした エンリコ・プッチが 
 わたしに つげるのだった。

 「これから おこなう ゲーム では きみたちに ころしあいを おこなって もらいたい。
  ルールは たんじゅん。いまから さいごの ひとりになるまで たたかって
  いきのこった ひとりの ねがいを なんでもひとつだけ かなえよう。
  おっと もちろん もとのいた せかいへと かえしたうえで だ

  きみたちには しきゅうひん として ちず みず と しょくりょう などの ほかに
  そばに あらわれ たつもの スタンド を しきゅうした。
  スタンド とは せいしんてきエネルギー を ぐげんか したものだ。
  せんとうに あつかいやすい ものから あつかいにくい ものまで ランダム に しきゅうしたから ぜひ やくだててほしい。
  それでは けんとう を いのる」

 ・・・いかなる しょうがいをも のりこえ
 エンリコ・プッチを たおすこと・・・。
 それがわたしの はたすべき しめい なのだ!!

 どこからともなく ぶきみな こえが きこえてきた。
 おもったとおり ここには てきが いる!!

 わたしの ゆうしゃとしての ちが さわぐ!!


 しらべる

 →セルフ


 わたしこそ しんの ゆうしゃだ!!


 つかう

 →しょうめいきぐ

 →セルフ


 あちち!! てのひらに かるい やけどを おった。


 つかう

 →しょうめいきぐ

 →セルフ


 つっ!! さっきよりも やけどは ひどくなったぞ!!


 つかう

 →しょうめいきぐ

 →セルフ


【名前】しんのゆうしゃ
【出典】シャドウゲイト
【性別】男性
【能力・機能】
あふれるゆうき

【スタンド】ノトーリアス・B・I・G
【破壊力:A / スピード:∞ (無限)/ 射程距離:∞(無限)/ 持続力:∞ (無限)/ 精密動作性:E / 成長性:A】
【能力詳細】
使用者の死亡後、その怨念のエネルギーによって発動する自動追跡型スタンド。
頭部と両腕部にカバーが付いたスライム状の外観をしている。
攻撃を受けたものは、触れた部分から侵食されるように喰われて吸収される。スタンドで攻撃するとスタンドごと喰われるため、無機物を介した攻撃以外は厳禁である。
付近の『最も速く動くもの』を最優先に追跡し攻撃する習性がある。スピードが速れば速いほどそれと同じスピードで追跡するため、スピードにも実質上限がない。
逆に速く動かない限り攻撃対象にはならないため、パイプなどの無機物を用いてものすごくゆっくりすり潰すように攻撃するとダメージを与えることができる。
ただし細切れにしても劇中ではほんのわずかな体液から復活しており、地の文の説明でも「完全殺害不可能」と謳われている。


276 : ◆.DZlGZw4P6 :2020/05/15(金) 15:23:11 ohcfUv9k0
投下終了です。


277 : ◆qkxwXX6cRk :2020/05/15(金) 23:05:43 J3aXizpQ0
投下します。


278 : ひとりの黒い医者 ◆qkxwXX6cRk :2020/05/15(金) 23:07:31 J3aXizpQ0
「悪い冗談だな」

男はそう呟いた。

銀色の長髪、そして左目の黒い眼帯。
とてもではないが堅気の人間には見えない。

「ずいぶんとお優しいことだ。素晴らしいさ。本当に、素晴らしい」

自分に支給されたスタンドがいかなる能力を持つかを思い返すと、あの神父の悪趣味さに乾いた笑いが込み上げてくる。

「死に神の化身」とも嘲られたこの自分に用意されたスタンドの名は

『クレイジー・ダイヤモンド』

壊れたものをなおすことができる。それは無機物であれ有機物であれ関係はない。
こんなものは自分などよりもあの無免許医の方がよっぽどふさわしいように思える。
もちろん自分とて医者であることには間違いはない。
しかし、おれは安楽死を専門としている。
救える命は救う。
しかし、救いようがなく、苦しみ、生きることを望まない患者は安らかに死なせてやる。
それがおれの仕事だ。

殺し合い。

いくらおれが裏の世界の人間だからといって、こんなふざけた話をすんなりと受け入れる訳にはいかない。
かといっておれにはふざけた超能力めいたものなどありゃしない。
おれにできることといえばせいぜいあがくことぐらいだ。


279 : ひとりの黒い医者 ◆qkxwXX6cRk :2020/05/15(金) 23:08:27 J3aXizpQ0
軍医だった頃の話だ。
兵士たちは腕や脚を吹き飛ばされ、満足な治療も受けられないまま生き地獄を味わっていた。
そしておれは彼らを楽にしてやった。
おれがこのスタンドを持っていたのならば、彼らを生かすことはできたのだろうか。
今更何を言っているのだろうか。
仮定に仮定を重ねても、何も変わりゃしない。


もしもだ。
かつて俺がこのスタンドを使えたのなら、親父を助けることはできたのだろうか。
このスタンドは病気を治すことはできないはずだ。
いや、それでも。
親父は苦しんでいた。
もう手の施しようはないと思っていた。
しかしおれが親父を殺したことには間違いはない。
おれにのしかかってくるこの感情は何なのだろうか。


「フン」
もうよそう。
おれにできることは自分なりにあがくことだけなのだから。

「おれとて医者の端くれさ。命がむざむざとなくなるのを見過ごすわけには、な」

先ほどと同じ調子で呟いた。
あの医者の顔がどこか忌々しくちらつくようだった。


280 : ひとりの黒い医者 ◆qkxwXX6cRk :2020/05/15(金) 23:09:15 J3aXizpQ0
【名前】ドクター・キリコ
【出典】ブラック・ジャック
【性別】男性
【能力・技能】
腕の良い医師であるため医療に関する知識や技術は非常に豊富である。
特に専門とする安楽死の知識に関して並ぶ者はおそらくいないであろう。


【スタンド】クレイジー・ダイヤモンド
【破壊力:A/スピード:A/射程距離:D/持続力:B/精密動作性:B/成長性:C】
「壊れたものを直す、また生物の傷を治す」ことを能力とする。ただし本体には適用されない。病気は治せず、死者を蘇らせることもできない。
スタンド自体が高い破壊力とスピード性能を合わせ持つことから応用範囲は広い。

【方針】
自分なりの「医者」としての役割を果たす。


281 : ◆qkxwXX6cRk :2020/05/15(金) 23:09:51 J3aXizpQ0
投下終了です。


282 : ◆Il3y9e1bmo :2020/05/15(金) 23:13:35 8ctLSj6o0
大変申し訳ありません。
>>1の【スタート時の持ち物】の道具の説明から「照明器具」の説明が抜けておりました。
正しくは、「コンパス」と「筆記用具」の間に「「照明器具」→ 着火器具+携帯ランタン(油は2〜3日分or切れない)。」が入ります。
訂正してお詫び申し上げます。また、まとめwikiにもこちらの説明を付け加えさせていただきましたことをご報告させていただきます。


283 : ◆Il3y9e1bmo :2020/05/15(金) 23:18:54 8ctLSj6o0
>>282
何度もすみません。
「油は2〜3日分。」のミスです。
スレ汚し大変失礼いたしました。


284 : ◆NIKUcB1AGw :2020/05/15(金) 23:51:19 wBUleGeI0
投下します


285 : 微笑めない爆弾 ◆NIKUcB1AGw :2020/05/15(金) 23:52:28 wBUleGeI0
真っ暗な森の中を、一人の青年が歩いている。
アイドルもかくやというその美しい顔には、今は深い苦悩が浮かんでいた。

(早く……帰らなくては……)

彼……蔵馬は、妖怪から人間に転生するという希有な経歴の持ち主である。
残虐で冷酷な妖怪だった蔵馬は、人間社会で生きるうちに母から愛を学んだ。
だがその母は今、重い病に伏している。
このままでは、確実に命を落とすことになる。
彼女を救うため、蔵馬は再び闇の道へと戻った。
使用者の命と引き換えにどんな願いでも叶えるという秘宝・暗黒鏡を閻魔大王の下から盗み出したのである。
だがその直後、彼はこの場に連れてこられてしまった。
母の病状は、いつ取り返しのつかない状態になるかわからないほど重い。
ゆっくり状況を伺っている余裕などない。
蔵馬は一分一秒でも早く、元の世界へ帰らねばならないのだ。

(脱出できる手段があればいいが……。それが難しいなら、全員殺してあの神父の力で帰るしかない……。
 妖怪ならまだしも、人間はむやみに殺したくはないが……。
 それしか方法がないのなら……)

服や髪に仕込んだ植物の種は、ご丁寧にも全て没収されている。
だが、さほど問題はない。
殺し合いの舞台が屋内のみと言うのであればまずかったが、実際には広大な屋外だ。
今いるこの森のように、植物を現地調達できる場所はいくらでもある。
さすがにシマネキ草のような、魔界由来の特殊な植物は調達できないだろうが……。
今の蔵馬には、それを補えるだけの力がある。

「ハーミットパープル……」

静かにその名を口にすると、蔵馬の右腕から数本の茨が出現する。
蔵馬はそれを、腕ごと振るう。
近くの木にたたきつけられた茨は、その幹を粉々に粉砕した。

(ごめん、母さん……。
 俺は、あなたを口実に人を殺すかもしれない……)


286 : 微笑めない爆弾 ◆NIKUcB1AGw :2020/05/15(金) 23:53:44 wBUleGeI0


【名前】蔵馬(南野秀一)
【出典】幽遊白書
【性別】男
【能力・技能】
『植物操作』
植物の成長を自在に操り、また武器へと変化させる。
彼の手にかかれば、道端の雑草も実用に足る武器となる。

【スタンド】隠者の紫(ハーミットパープル)
【破壊力:D/スピード:C/射程距離:D/持続力:A/精密動作性:D/成長性:E】
【能力詳細】
茨の形をした、珍しい植物型のスタンド。
能力は念写で、カメラと組み合わせることで遠く離れた場所を撮影することができる。
当初は能力を使う度にカメラを破壊する必要があったが、後に能力の成長によりその難点は克服された。
殺傷力は低く、戦闘時にはロープのような使われ方をすることが多い。
……のだが、現在は植物操作の力によって本来より強化されている模様。
今回は制限により、念写できる範囲はロワ会場内に限定される。

【備考】
・参戦時期は霊界の秘宝を盗み出した直後。
・「隠者の紫」の補助アイテムとして、カメラが支給されています。

【方針】
脱出を最優先。難しそうなら、気は進まないが優勝を狙う。


287 : ◆NIKUcB1AGw :2020/05/15(金) 23:54:36 wBUleGeI0
投下終了です


288 : ◆EPyDv9DKJs :2020/05/16(土) 00:53:13 XESMdceU0
投下します


289 : ◆EPyDv9DKJs :2020/05/16(土) 00:55:21 XESMdceU0
 彼女は、強すぎた。
 常人には指先すら触れることも叶わない、天賦の才。
 人に恐れられ、人から遠ざけられ、人から嫉妬される。
 私にとっては憧憬の対象で、友人にして、同時に妬みの対象。
 追いつこうと必死に努力した。銃も特注にして、君と並ぼうと。

 結果だけで言えば、私は追いつくことはなかった。
 そればかりか、彼女の本当の力を見せつけられたのだ。
 彼女は空を覆うほどの魔物の群れを、たった一人で掃討してしまう。
 私一人では、死を覚悟しなければならないほどの軍勢を、一人で。
 だからこそ、あの時嫉妬してしまった。言ってはならないことを。

『これが、バケモノの力…』

 余りに醜い嫉妬だと、今でも思う。
 人から距離を置かれるのが臆病な彼女にとって、
 その言葉がどれほど傷つけたかは、想像するに難くない。
 謝るべきだと、ずっと思い続けていた中、
 その後悔の因果は、意外な形で帰ってくる。
 彼女と私は、同じ艇に滞在していたのだから。

 だが、私は逃げた。
 謝りたかったのに、同じ団にいるのに。
 身近にいる彼女を避けるように、ずっと。
 親友であるなら、同じ化け物にでありたいと、研鑽を続けてきた。
 だが、君の前に立った時、その資格を私は持っているのだろうか。
 親友でありたいと願いながら、今も避けて、逃げて、背け続ける矛盾。
 こんな私が、もう一度友になりたいなどと、とても言えなかった。



 青みのある長い銀髪を靡かせながら
 展望台の椅子に座りながら景色を眺める、長身の女性。
 草が生い茂った展望台は、風に揺れて心地よい音を奏でる。
 殺し合いの舞台と言う惨い現実を、かき消すかのように。
 青いコートを羽織り、朝の身支度を終えて立てば、
 彼女、シルヴァはこの展望台へと移動させられていた。
 あの過去の悪夢から目を覚ませば、今度は悪夢のような現実。
 頭の中で知らされた、儀式と言う高尚な言葉で飾られた血生臭い戦い。

 プッチの言ってたことを忘れてることはない。
 ルール、禁足事項、爆発した少女。いずれも鮮明に思い出せる。
 しかし、その割には思いのほか冷静で、自分でも驚いてしまう。
 拉致されても、傭兵と言う仕事上、恨みは知らない場所で買っているから。
 超常現象も、星晶獣と戦うこともある騎空団にいては割と慣れてしまった。
 だが、そういう経験上のものだから冷静なことに、驚いてるわけではない。
 あの少女に思うところはあるはずなのに、憤る言葉も出てこなかったのだ。
 銃を構えてるときのように、波紋を欠片も見せない水面のような冷静さ。
 単純に、過去の夢を見たせいか。彼女には申し訳ないとは思うも、
 それ以上彼女に追求することはなかった。

(スタンド…傍に現れ立つ者、だったか。)

 どうやれば出てくるのかさえも教えてもらってないが、
 精神に関係しているとは言ってたので、試しに念じてみる。
 出てくる気配はない。出ているのかと、辺りを見渡すと、あった。
 空を見やれば、衛星のようなものが、ふよふよと宙を舞っている。
 (彼女のいた空の世界には衛星はないので、衛星と認識はできないが)
 こっちへ来るように指示をすれば、ゆったりとした動きで此方へと向かう。
 戦闘には得手、不得手もあるらしく、これが戦いに向いてるかは分からない。

「…私の心情の表れだろうか。」

 スタンドの動きが、どこか自分のように感じていた。
 向き合うべきことから避け続け、いつまでも曖昧なままでいる。
 きっぱりとそれを絶てず、宙ぶらりんで地につかないでいる自分は、
 ふよふよと浮かぶスタンドが、自分らしくも思えてならない。

 ひとしきり眺めた後、テーブルに置かれた長方形のケースを視線を降ろす。
 余りに見慣れた箱だ。自分が仕事で用いてる、狙撃銃を入れたケース
 何が入ってるのかは分かっているものの、多少の警戒はしながら開ける。
 最強の弓使いへ追いつこうと、特注で注文した銃は…入ってなかった。
 代わりに、先端が黒い筒の、年季が入った焦げ茶色の狙撃銃のパーツが出てくる。
 慣れ親しんだ銃ではないようだが、明確な武器であることに変わりはなく、
 組み立てて、軽く構える。

(あれを撃てばいいのか?)


290 : ◆EPyDv9DKJs :2020/05/16(土) 00:56:14 XESMdceU0
 使い慣れた狙撃銃を渡してこないところは、申し訳程度の公平さを出す為か。
 それでも狙撃銃を渡してくると言うことは、スタンドと併用して使うものだろう。
 撃ってみれば答えは分かるが、撃てば銃声が響いて余計な誤解やトラブルを招く。
 必要になるまでは試さないでおく。組み立てた狙撃銃を担いで、再び座り込む。
 殺し合いを進んでするつもりはない。彼女のように化け物になると言うのは、
 誰も手が届かないような強さを手に入れること。断じて倫理観の問題ではなく。
 プッチの言う願いでそうなるにしても、人の屍の山の頂上で力を手にして、
 彼女と対面したとき、胸を張って向き合えるかと言われると、ありえない。
 …が、同時にどれだけ努力しても、天性の狩人、全空の脅威、最強の弓使い。
 数々の肩書を手にする、正真正銘の人間と言う枠の外にいる彼女を前に、
 どうあがいても追いつくことができない劣等感は、今も残っていた。
 それと、狙撃で優位な場所を、特に理由もない現状に捨てる理由もない。
 名簿を見て、知り合いがいれば動く。いないなら状況次第で考える。

 彼女が進むべき道は、本来はあった。
 気持ちに整理をつけ、今一度彼女と向かうときが。
 その道は閉ざされ、彼女の前にある道はただ只管に続く闇。
 夜の帳のように、瞳が見えぬ盲人のように。
 鋭才の射手は、暗闇の中に一人佇む。

【名前】シルヴァ
【出典】グランブルーファンタジー
【性別】女
【能力・技能】
全空一の狙撃手と呼ばれる程に研鑽し続けた傭兵
同行者が肉眼では殆ど見えない鐘を、鳴らす角度で撃てる程度に精度、視力が高い
魔力を込めた弾丸は大砲のような威力を発揮する(が、基本防御力が著しく低下する)
また、近接戦闘は足技や肘打ちを用いる。狙撃銃で殴打は一切しない

【スタンド】マンハッタン・トランスファー
破壊力 - E / スピード - E / 射程距離 - A / 持続力 - A / 精密動作性 - A / 成長性 - C
【能力詳細】
弾丸を中継する狙撃衛星のスタンド
気流を鋭敏に感知し、あらゆる攻撃を回避する
スプリンクラーから落ちる水も全て回避できる程機敏に動くが、
スタンドの本来の攻撃性能は皆無で、普段は気流に乗って浮いてるだけ
銃の弾道上に漂うため、ある程度の操作は可能

【備考】
最終上限解放のエピソードの途中
ソーンとは仲直りも何もない時期。騎空団はソーンも加入済み
能力の都合、狙撃銃と弾薬はそのまま支給(狙撃銃は光属性の時のものだが、彼女は知らない)
スタンドに対して、なんとなく銃を併用するものとは思ってるが、
スタンドの使用用途メモはデイバックの中で未確認

【方針】
乗るつもりはない、が…


291 : ◆EPyDv9DKJs :2020/05/16(土) 00:57:00 XESMdceU0
以上で【進むべき道は暗いまま】投下終了です


292 : ◆qkxwXX6cRk :2020/05/16(土) 07:10:59 U5.BJjOE0
投下します。


293 : V4回目のコロシアイ ◆qkxwXX6cRk :2020/05/16(土) 07:12:19 U5.BJjOE0
ゲームのキャラになりきってみたい。
ゲームの世界に生きてみたい。
それが小さい頃からの憧れだった。
私の一番好きな作品は『ダンガンロンパ』
「超高校級」の高校生たちが望まぬコロシアイに巻き込まれる。
度重なる絶望、それを打ち破る希望。
将来の夢は「チームダンガンロンパ」に入り、ダンガンロンパシリーズに関わること。
そしてその夢は叶った。

53回目のダンガンロンパ。
私は失敗した。
生き残った参加者たちは希望も絶望も選ぶことはなかった。
私は大好きだったはずのダンガンロンパを侮辱してしまい、つまらなく死んだ。


294 : V4回目のコロシアイ ◆qkxwXX6cRk :2020/05/16(土) 07:13:40 U5.BJjOE0
そして目が覚めたらまた殺し合いとのことだ。
もっとも今度は本当にただの参加者として、無理やり殺し合いを強要される。
まるでダンガンロンパシリーズの一作目のように。
心のどこかでわくわく感がないといえば嘘になる。
チャンスを再び手に入れたからというよりは、ダンガンロンパの世界に
引きずり込まれたような感覚に陥ったからだ。


私にはボヘミアン・ラプソディーというスタンドが付与された。

フィクション世界で死ぬのはむしろ幸福だ。
あのコロシアイに集まったのは私を含めみんなそんな人たちばかりだった。
彼らは一人一人役割を与えられ、そして死んでいった。

でも「最原くん」たちはその役割を放棄した。
私には分からなかった。
永遠に分からないのかもしれない。


295 : V4回目のコロシアイ ◆qkxwXX6cRk :2020/05/16(土) 07:16:02 U5.BJjOE0
だからこそ、私はこのスタンドは偽善に満ちていると感じる。
これを作った人間はフィクションが好きなのではない。
むしろ、嫌いで嫌いでたまらないはずなのだ。

私はフィクションを愛している。
だから本当はこんなものを使いたくない。
永久にその作品を消してしまうことは、作品へのこれ以上ない冒涜であり、万死に値する。
もし使うのであれば、実在化したキャラクターは絶対に殺されてはならない。
相手には絶対に死んでもらわねばならない。
バッドエンドを辿る作品はいくらでも知っている。
そして自分はハッピーエンドにたどり着かなければならない。

「また、関われる。そう、また」

その声には確かな希望が宿っていた。


296 : V4回目のコロシアイ ◆qkxwXX6cRk :2020/05/16(土) 07:17:08 U5.BJjOE0
【名前】白銀つむぎ
【出典】ニューダンガンロンパV3 みんなのコロシアイ新学期
【性別】女性
【能力・技能】
漫画やゲーム、アニメといったフィクションキャラクターの高い再現性をもつコスプレをする「超高校級のコスプレイヤー」
フィクションキャラクターなら男でも女でもほぼ完璧になり切れることができる。ただし「リアルの人間」のコスプレをするとアレルギー反応を起こす。

【スタンド】ボヘミアン・ラプソディー
【破壊力 - なし /スピード - なし /射程距離 - B (原作では∞)/持続力 - A /精密動作性 - なし /成長性 - なし】
絵画や漫画など、世界中(本ロワでは射程範囲内)のキャラクターを実在化させる。
実在化したキャラクターを好きな人間はそれを目撃することで「魂」をキャラクターの世界に引きずり込まれることとなる。
肉体と分離した「魂」はその物語のシナリオに沿って同じキャラクターの結末をたどることになる。
「物語のシナリオ」を変更することはできない。
ゆえにキャラクターは撃退可能な場合と不可能な場合がある。
またキャラクターを殺してしまうと能力が解除されても元に戻ることはなく、その存在自体が消えてしまう。

【方針】
優勝できるのであればまたダンガンロンパに関わりたい。
スタンドは相手を確実に殺せると判断しなければ使わない。


297 : V4回目のコロシアイ ◆qkxwXX6cRk :2020/05/16(土) 07:18:23 U5.BJjOE0
【備考】
メタ的に言うと我々書き手から見た参加者は全て「創作されたキャラクター」ですが、第四の壁を破りでもしない限りは白銀、および他の参加者はそのことを認識することはできません。
たとえば本ロワには「ジョジョの奇妙な冒険」を出典とする人物、例を挙げればプッチ神父が関わっています。
しかし白銀はプッチ神父を見ても「ジョジョの奇妙な冒険」のキャラクターだと認識することはできません。他作品を出典とする参加者についても同様です。
ただしダンガンロンパV3世界内において、少なくとも白銀は「ダンガンロンパ」がフィクションであると認識しているため、ダンガンロンパシリーズに登場するキャラクターに関してはこの限りではありません。
また、原作ではボヘミアン・ラプソディーの射程は無限となっていますが制限をかけてBとします。
加えてうまくコスプレできたキャラクターも実在化の対象とします。


298 : ◆qkxwXX6cRk :2020/05/16(土) 07:19:11 U5.BJjOE0
投下を終了します。


299 : ◆2lsK9hNTNE :2020/05/16(土) 10:45:55 XMx2o.8k0
投下します


300 : 最悪と罪悪 ◆2lsK9hNTNE :2020/05/16(土) 10:47:03 XMx2o.8k0
 ――世界を救うため、16歳の少年はある一家を殺さなければならない。

 という設定の小説を書いたことがある。
 突然、何の罪もない平凡な一家を殺さなければいけなくなった少年の苦悩を書いた話だ。
 世界という大きなものと平凡な一家庭を天秤に掛けたら、誰だって世界を救うことが正しいと考える。それでも自分が殺すとなったら覚悟なんて決まらないし、決まったところで本人たちを目の前にすると、途端に鈍る。そしてなんとか殺害を成し遂げたとしても罪悪感に苛まれる日々を送ることになる。
 いくらやむにやまれぬ事情があろうとも人が人を殺すという行為は簡単なものではない。これは小説の登場人物だけでなく現実の人間にとっても同じことだ。
 私自身を除いた40人の参加者、その中には私がそうであるように、たとえ自分の命を守るためでも人を殺すことに強い罪悪感を持つ者もいるはずだ。
 しかし人というのは多種多様な生き物だ。多くの人間が殺人を忌避する一方で、人の命を奪うことになんの躊躇も持たない者や、逆に快感を感じる者などもいるだろう。40人の中にそんな奴が紛れていてもおかしくはない。むしろ殺し合いをやらせようというのだから、そういう人間のほうが多数派ということもあり得る。まともな人間にしたって、戦場などの異常環境下では罪の意識が一時的に麻痺するという話も聞く。
 つまり何が言いたいかというと。

(最悪だ)

 ぽつんと置かれていたベンチに座り込んで、佐藤忍(私)はつぶやいた。
 ザ・ロック。それが私に与えられたスタンドだった。
 本体、つまり私に対して罪の意識を抱いた者の心に錠前を掛ける。錠前は罪に意識の大きさによって重さと大きさを増し、相手の精神を押しつぶしていく。罪の意識が消えるか、私が解除しない錠前は残り続け、錠前を掛けられたまま私を攻撃した場合、そのダメージを跳ね返す。
 ゆすり屋でもやるならピッタリだろうが、罪悪感を持たない相手にはなんの意味もなく、殺し合い向きとはいえない能力だ。
 他の参加者が持つスタンドとやらがどんなものかはわからないが、少なくとも当たりに属するものではないだろう。
 
(もっとも、使い手が私では殺し合いに適したスタンドが与えられたところで、さほど状況は変わらないだろう)

 そもそも、私に殺し合いを勝ち抜けというのが土台無理な話なのだ。実体験としてわかっている。私に人は殺せない。少し前、ある男を殺してしまったと勘違いした時、私の精神はズタズタになった。当時は嫌悪感しか感じていなった男だというのにだ。少しでも意識が緩むとその男の姿が浮かんで、眠ることも食べることもできず、胃液を吐き続けるだけの日々を数日過ごした。
 誰か一人を殺した時点で、私は殺し合いを勝ち抜けるような精神状態では無くなる。万が一運良く最後の一人に残れたとしても、40人もの死に押しつぶされて、きっと廃人のようになってしまうだろう
 殺し合いを勝ち抜く、という選択肢が私には端から与えられていないと言ってもいい。
 それでも……私はこんなゲームで命を落とすわけにはいかない。私にはやらなければならない別のゲームある。
 ある島で、ある少女とクッキーを食べるというゲーム。その行いによって起こる出来事が巡り巡って、数年後に起きる世界の破滅が回避するという、神様とやらが始めたゲーム。
 世界の破滅なんていうスケールの大きい話は正直未だにピンと来ていない。だが……
 クッキーを一緒に食べる少女であるエリ、ゲームの案内役である太宰、ゲームが巻き込まれてから共に過ごした二人。
 最初の頃はゲームを終わらせて早く別れたいとしか思っていなかった。だが一緒に過ごす内に私の中には彼らに対する強い情が生まれていた。
 二人を残したままこんな訳のわからないゲームで死ぬわけにはいかない。その思いがこんな最悪の状況でも私に活力を与えてくれるほどに。
 殺し合いゲームにも関わらず私は人殺しができず、与えられたスタンドも頼りない。そもそもバッドエンドの小説しか書けない私は肯定的結末も導き出す能力に欠けている。
 だから――想像しろ 
 エンリコ・プッチ。素数に異常なこだわりを見せる、常識で考えられない能力を持つ男。この殺し合い『ゲーム』の主催者であり、この『儀式』の完遂を願う者。
 ――想像しろ。奴の願いが叶わない結末を。
 パチン、パチン
 右手が指が自然と音を鳴らす。思考を巡らせる時の、私の癖。
 ――想像しろ。あの男にとってのバッドエンドを。


301 : 最悪と罪悪 ◆2lsK9hNTNE :2020/05/16(土) 10:47:28 XMx2o.8k0
【名前】佐藤忍
【出典】VANILLA FICTION
【性別】男
【能力・技能】
小説家として培われた人間観察力。誰かのバッドエンドを想像する能力。


【スタンド】
【破壊力 - E / スピード - E / 射程距離 - A / 持続力 - A / 精密動作性 - E / 成長性 - E】
【能力詳細】
 相手の『罪悪感』に反応し、相手の心に錠前をかける。心に掛かった錠前は相手の罪悪感の大きさに比例し て大きく重たくなり、心を押し潰していくことで心身共にじわじわとダメージを与えていく。
 この錠前自体には他のスタンドのような戦闘能力は無く、「罪悪感を一切持たない」相手に対しては効果が無い。
 一旦錠前を取り付けさせられたら罪悪感から解放されるか本体が自分の意思で解除するしか逃れる手段はないの

【方針】
 このゲームの打破


302 : ◆2lsK9hNTNE :2020/05/16(土) 10:47:50 XMx2o.8k0
投下終了です


303 : ◆NIKUcB1AGw :2020/05/16(土) 18:53:03 An4sWU7w0
投下します


304 : プッチと絶対に相容れない女 ◆NIKUcB1AGw :2020/05/16(土) 18:54:08 An4sWU7w0
それは、平時であれば警察に通報が行きかねないほど異様な光景だった。
セーラー服姿の少女が、工事現場で何かをあさっているのだ。


許せない。


少女……木津千里は怒りに燃えていた。
怒りの矛先は当然、エンリコ・プッチと名乗った殺し合いの主催者だ。

「なんで42人っていうきりのいい数字だったのに、そこから一人減らしちゃうのよ!
 41じゃ、二等分も三等分もできないじゃない!
 あー、イライラする!」

常人には理解できない思考を、彼女はわめき散らす。
彼女は、何事もきっちりしていなければ気が済まない性格だ。
そのこだわりはもはや病的であり、自分の思い通りに行かないと奇行に走ることもある。
今は、そんな彼女の悪い面が出てしまっているのだ。

「こうなったら私が優勝して、割り切れる人数で殺し合いをやり直すしかないわ……」

おぞましい台詞を吐きながら、千里はある物をつかむ。
それは、薄汚れたスコップだった。

「よかった、こういうところにならありそうだと思ってたけど、予想が当たったわね。
 やっぱり、武器は使い慣れた物の方がいいもの」

千里はスコップを両手で握り、二、三度素振りする。

「私のスタンド、YESとNOをきっちり判別してくれるのはいいけど、直接攻撃には向いてないみたいだしね……。
 ゲームに勝てば相手の魂を奪えるとか説明に書いてあったけど、殺し合いの場でそんなまどろっこしいことしてられないし……」

やはり暴力。暴力は全てを解決する。
そんな思いを胸に、千里は素振りを再開した。


305 : プッチと絶対に相容れない女 ◆NIKUcB1AGw :2020/05/16(土) 18:55:27 An4sWU7w0


【名前】木津千里
【出典】さよなら絶望先生
【性別】女
【能力・技能】
『几帳面・粘着質』
何事もきっちりしていなければ気が済まず、そうでないものは整えずにはいられない。
きっちりさせるためならば、他人の迷惑や法律違反など些細なこと。

【人物背景】
2のへ組17番。
几帳面すぎて、クラス委員長ではないのに「委員長」と呼ばれる。
外見的特徴は、中分けのロングヘアーと貧乳。

【スタンド】アトゥム神
【破壊力:D/スピード:C/射程距離:D/持続力:B/精密動作性:D/成長性:D】
【能力詳細】
本体との「賭け」に負けた相手から、魂を抜き取る能力を持つ。
今回の調整では、魂を抜かれた相手は1時間以内に何らかの方法で魂を取り戻すか、
アトゥム神の本体が死亡すれば蘇生することができる。
また他者に質問することでその心を読むという能力も持つが、質問は「YES」「NO」の二択で答えられるものでなくてはならない。
人型のビジョンを持つため格闘も可能だが、人間ならともかく他のスタンドとやりあうのは厳しい。

【備考】
スコップを現地調達しました
【方針】
優勝狙い


306 : ◆NIKUcB1AGw :2020/05/16(土) 18:56:14 An4sWU7w0
投下終了です


307 : バトルロワイアルだよ!若おかみ! :2020/05/16(土) 18:58:26 OQ/ppiCQ0
こうした掲示板を利用するのも初心者です。書いてみたので投稿します。


308 : バトルロワイアルだよ!若おかみ! :2020/05/16(土) 19:00:02 OQ/ppiCQ0
「ウリ坊…美代ちゃん…」
真夜中の神社の境内を着物姿でトボトボと歩いている少女。
「お父さん…お母さん…」
少女の名は関織子。春の屋で若おかみとして修行している小学6年生の12歳。
旅館に泊まりに来た客の木瀬文太が自分の両親を奪った交通事故の加害者であること。両親の幻が別れに告げにきたこと。様々な衝撃的な出来事は、おっこに衝撃を与えられた。
部屋を飛び出し、旅館の出入り口を開いた瞬間、目の前が暗転し気づいたら、このゲームに参加させられた。
「ううう…私を一人にしないでぇ…」
気がついたら椅子に座わっている。「殺し合い」という儀式に参加してもらいたいという意味わからない説明。喋っていた神父さんが急に怒り出すと女の人の頭が爆発。と次々と理解できない出来事の連続におっこは混乱している。
「何ヲ…泣イテイル?」
「えっ?…きゃああああっ!?」
声が聞こえて顔を振り向けると、鼻や口などの顔の部位が無い得体のしれない人物が立っていた。
「ゆゆゆ…ゆうれい!?」
「ユウレイデハナイ…「スタンド」ダ」
おっこの言葉を否定するのは、おっこに支給されたスタンド…アンダー・ワールド。
「スタンド…あなたが、あの神父さんがいっていた?」
「ソウダ。トコロデ、ドウシテ泣イテイタ?」
「うん…あのね…」
アンダー・ワールドの疑問におっこは話す。
「ソウカ。デハ、優勝ノ望ミハ、両親ノ蘇リカ。」
「っ!?そんな!人殺しなんてしないわ!」
「ダガ、優勝シナイト両親ハ、蘇ラナイゾ?」
「お母さんとお父さんは私が人を殺してまで蘇らせるなんて望まない。それに私は春の屋の若おかみよ。お客様に笑顔で御もてなしをしなきゃ!」
「デハ、代ワリニ、アワセテヤル」
「?どういうこと?」
アンダー・ワールドの言葉におっこは首をかしげる。
「お・・・お父さん。お母さん…」
そこにいるのは、おっこの両親。そして祭りの踊り。
忘れもしない梅の香神社で行われた神楽を見物したときの記憶だ。
「お父さん!!お母さん!!」
おっこは大声で両親に声をかけ抱き着く。
両親は笑顔を見せると姿を消した…
「満足シタカ?」
おっこの足元に落ちたメモ。それを拾い上げて読む。おっこは先ほどの現象がアンダー・ワールドの能力であることを知った。
「ありがとう。アンダー・ワールド。お父さんとお母さんにもう一度会わせてくれて。おかげでもう私大丈夫!」
「ソウカ…ソレデ?何処ヘ行ク?」
「そうねぇ〜…あっ!?春の屋!!」
デイパックから取り出した地図を見ながら、今後をどうするか考えていたおっこは春の屋の文字が目に留まる。
「オッコノ旅館ダナ?タシカ…」
「ええ。でも…どうして?…気にしてもしょうがないわ!春の屋に向かうよ!アンダー・ワールド」
こうして始まった若おかみのゲーム。
おっこの「運命」はどうなるのか…今はだれも知らない。


309 : バトルロワイアルだよ!若おかみ! :2020/05/16(土) 19:00:27 OQ/ppiCQ0
【名前】関織子(おっこ)
【出典】若おかみは小学生(劇場アニメ)
【性別】女性
【能力・技能】
12歳。小学6年生。明るく元気で、勉強よりも旅館の仕事の方が好きな活発な女の子。
春の屋で若おかみ修業中。褒められたり熱くなったりして一つのことに夢中になるとほかのものが見えなくなることもあるが、いつも客のために一生懸命で、難しい客でも正面から向き合い真剣に考えることができる。
【参戦時期】旅館に泊まりに来た一家の木瀬文太が直接の事故の原因であるトラックの運転手であることを知りかつ両親の幻がおっこに別れを告げ、おっこはそれらに衝撃を受け、部屋を飛び出した瞬間

【スタンド】アンダー・ワールド
【破壊力:なし/スピード:C/射程距離:フロリダ州オーランド付近/持続力:C/精密動作性:なし/成長性:なし】
【能力詳細】
能力は「地面の記憶を再生する」こと。
地面が記録している過去の出来事を、地面から掘り起こして再現する。
【方針】
ゲームには参加しない。
まずは、地図に書かれている旅館「春の屋」へ向かう。


310 : ◆VQATjwpvU2 :2020/05/16(土) 22:43:51 qf6CFL3s0
投下します


311 : ◆VQATjwpvU2 :2020/05/16(土) 22:45:25 qf6CFL3s0


『――先週開花した桜ですが』


生きていると辛いことはけっこうある。
隣の家の親子がケンカしていて寝させてくれなかったり。
お気に入りの服を友達にディスられたり。
駅員が失礼だったり。
センパイはクリスマスに予定があったり。


『週末には満開が予想されます』


生きていると嬉しいことはいっぱいある。
友達とゲームしたり、初日の出を見に行ったり。
ドクターアニマル2が春に公開されたり。
ラーメンが美味しかったり。
……センパイと映画に行けたり。


『ところにより雨ですが』


このままぼんやり生きていていいのかな、と思ったこともあった。
友達はちゃんと働いていて、自分はアルバイト。今は良くても一年後、十年後は?
実家の家族が心配して電話してきたこともあった。
あのときも今もあまり変わってはいないけれど、一つだけ違うことはある。あのときは否定したこと。
今度連絡するときには伝えよう。きっと驚くだろう。
そのためにも仕事を見つけないと。フリーターで報告するのも、カッコ悪いからね。


『おおむね晴れてお花見日和でしょう』


そう、少しずつ変わる。変わっていく。
今日も、明日も、明後日も。同じ日は一日だってない。
だからこそ、毎日は楽しい。
友達と、好きな人と、一緒に過ごすこの毎日が。
明日もきっと、楽しい一日になるだろう。







  死まであと 1 日

.


312 : ◆VQATjwpvU2 :2020/05/16(土) 22:49:30 qf6CFL3s0

  ◇


目の前には石がある。、いや、あったと言うべきか。
数秒前、石はひとりでに、粉々に砕け散った。まるで車に轢かれたように。
しかし、一瞬でその石は元に戻った。砕けた結末をなかったことにするかのように。

叩きつけられた異常な状況、そして女の子の悲惨な映像。
ホラー映画でも見ているのだろうか? 自問するが、頭のどこか冷静な部分がこれは現実だと告げている。
浅黒い肌のプッチという男の、狂的なあの眼差しを覚えているから。

呆然と、彼はその石を見るしかない。
丸さを取り戻し、じっと佇んでいるその石を――自分を見ているような気がする、その石を。





  死まであと   日







【名前】ワニ(正式名称不明)
【出典】100日後に死ぬワニ
【性別】男性
【能力・技能】
ゲームがそこそこ上手い

【スタンド】ローリング・ストーンズ
【破壊力:なし/スピード:B/射程距離:A/持続力:A/精密動作性:E/成長性:なし】
【能力詳細】
「死の運命」にある者が死んだ時の姿になる石。そしてその者を苦しむことなく安楽死させるためにころがって追跡してくる。
本体の意志とは無関係に「運命」というどうすることもできない力がこのスタンドのエネルギー。自動操縦タイプのスタンドといえる。

【備考】
99日目からの参加。


313 : ワニの為に鐘は鳴る ◆VQATjwpvU2 :2020/05/16(土) 22:50:24 qf6CFL3s0
投下終了です


314 : ◆vV5.jnbCYw :2020/05/17(日) 00:23:30 HeMME/nA0
投下しますね。


315 : 全国大会改めバトルロワイヤルへ ◆vV5.jnbCYw :2020/05/17(日) 00:26:20 HeMME/nA0
「絶対に許せない……!!」
この戦いの会場で、料理人姿の少年が憤っていた。

「殺し合いをするなんて、絶対に許さないぞ!!プッチ!!」


彼の名前は、関口将太。
小樽の小さな寿司店、巴寿司の大将の息子であり、ひょんなことから東京の鳳寿司にスカウトされた見習いである。
鳳寿司の先輩や仲間、時としてライバルと切磋琢磨し、ついに新人寿司コンクール全国大会への道を開いた。
そして、会場である房総半島行の列車を降りた瞬間、いつの間にか殺し合いに参加させられていたのだ。


(早く全国大会の会場へ行かなきゃいけない……でも……!!)
彼としては、一刻も早く大会会場へと足を運びたい。
でも、彼としてはもっと心に残ることがあった。


頭が破裂し、見るも無残な姿になって死んでしまった名も知らぬ少女。
今まで彼は笹寿司の親子をはじめ、様々な悪を目にしてきたが、プッチは彼が目にしたどの人間より許しておけなかった。
関口将太は、たとえ自分が大変な時でも困っている人を見過ごせず、また自分さえよければ良いという悪を許せない性格である。


とはいえ、ここでは彼はあくまでただの寿司屋の見習い。
彼一人ではプッチを倒すことは到底不可能なことなのは、自分にも分かっていた。


せめて支給された「スタンド」というものがどういった部類なのか気になった。

「ん!?」
いつの間にか手に持っていたのは、大きな釣り竿。
(見たことないけど、立派な釣り竿だ……。)
ピンとしなる竿は、何匹魚を釣っても変わらず使えそうな頑丈さだ。
弾力に富み、かつ、ふうわりとした手触りの糸も、どんな重い魚を釣っても決して折れなさそうなしなやかさを持っている。


将太が持っていた「それ」がスタンドだということを彼は知らない。
何の縁か、その釣り竿のかつての持ち主もまた、見習いであった。
だが、釣り竿を手にしたことで、彼はすることをもう決めていた。


(魚を釣って、それで寿司を作ろう!!それで皆に食べてもらおう!!)
彼は、東京へ来るまでは一人だったが、寿司を通じて多くの仲間を作ってきた。
この世界でもいる参加者だって、美味しい寿司を作ることで、人の輪を広げていくことを決心した。


地図を見ると、海も川も見える。寿司屋があるのかどうかは分からないが、これだけ辺りに建物があるのだから、一つくらいは調理場があると確信していた。
釣り竿の扱いはそこまで慣れているわけではないが、これほど丈夫な釣り竿なら
どんな魚がだろうと構わないし、もし不味い魚だとしても、自分の実力でどうにかすればよい。


武藤の課題の時や、紺屋の差し金で怪我をした時のように、条件に合わせて料理を変えて行けばいい。
一人の寿司職人見習いは、一本の釣り竿と共に、意気揚々と海岸地帯へ向けて身を乗り出した。


316 : ◆vV5.jnbCYw :2020/05/17(日) 00:54:06 HeMME/nA0

しかし、彼はこの戦いの場が、殺しの場だという実感はなかった。
現にその釣り竿の持ち主は、寿司職人の見習いではなく、ギャングのヒットマンの見習いだった。
その釣り竿が、人を吊り上げたり、上手く使えば人を殺せる武器だということを、彼はまだ知らない。


【名前】関口将太
【出典】将太の寿司
【性別】男性
[思考・状況]
海へ向かい、魚を釣る。
1:美味しい料理を作って参加者に振る舞い、 人の輪を広げる。
2:この世界で作った仲間と協力して、殺し合いから脱出する
備考 全国大会編開始直前からの参戦です。

【技能】

・寿司を握る
その名の通り、寿司を作る技術に長けている。その味は会心の出来ならば、審査員が美味のあまり柏手を打つほど。また寿司ほどではないが、素材の目利きなどにも長けている。
【スタンド】ビーチ・ボーイ
【破壊力 - C / スピード - B / 射程距離 - C(糸の距離) / 持続力 - C / 精密動作性 - C / 成長性 - A】
【破壊力 - C / スピード - D / 射程距離 - A / 持続力 - A / 精密動作性 - D / 成長性 - C】

【能力詳細】
釣り竿のような形状をした装備系のスタンドで、リールの部分が恐竜の頭骨のようになっている。

釣り糸と針は物体を水のように透過し、また針は釣り餌を刺すように物体に仕掛ける事ができ、標的を釣り上げるように攻撃できる。
肉体を潜行して心臓を抉り殺す、竿の強靭な"しなり"を利用して釣った標的を振り回し叩きつけるなどといった攻撃が可能。また、釣り糸に対する攻撃は釣り針にかかっている相手に跳ね返る。


317 : ◆vV5.jnbCYw :2020/05/17(日) 01:05:16 HeMME/nA0
投下終了です。


318 : ◆DWDMFPPpRw :2020/05/17(日) 15:43:42 ctDzAW8U0
投下します


319 : 搾生病棟 ◆DWDMFPPpRw :2020/05/17(日) 15:46:56 ctDzAW8U0

「ああああああ!! 殺し合いとかああああああ!! 意味が解らないんですけどぉおおおおおおおおおおお!!!!」

 絶叫が響き渡った。
 人気がないことを覗けばごく普通の病院。その診療室で不満を叫ぶのは一人の女性だった。
 大変やかましい彼女の名はアマミヤ。
 ご近所から酷く評判の悪い病院に勤務する医者にして薬学博士である。

「私は医者なんですけどおおおおおおおおおおおっ!!! 人選悪趣味じゃありませんかあああああああああっ!! 人殺しはああああああ!! 犯罪ですよおぉおおおおおおお!!!」

 普通なら殺し合いの場でこうも喧しく叫ぶのは自殺行為だが、普段の癖というものは中々に直らないものだ。端から見たら発狂しているのかと思われても仕方がないが、プッチに対する怒りや不安が若干あるものの、実際にはこれが彼女にとって普通のテンションである。
 こうした性格から、同僚からキ○ガイと称されガチな彼女だが、意外なことにプッチの所業に対して真面目に怒っていた。
 普段から患者に認可の出ていない自作の薬を投与したり、勝手に誓約書を代筆して研究に協力させるなど、普段から倫理観など投げ捨てるように好き放題やっているアマミヤだが、医学の進歩に何ひとつ貢献しない殺人には否定的な意見のようであった。
 しかし、ディバックからとあるメモを取り出した辺りから旗色が変わる。

「でもおおおおおおお!!! 『スタンド』でしたっけえええええええええ!!! この特殊な能力はああああああ!! 興味がありまああああああああああああっす!!!!!」

 彼女はメモ書きに記載されていたスタンドの説明に大いに興奮した。
 この能力を新薬開発に用いれば、ただでさえ天才的な発想を、さらに昇華させることができると確信したのだ。
 それこそ対症療法に限らず、彼女の目標である人間の潜在能力を全解放する「神の妙薬」を作り出すことも夢ではない。そう思い至った瞬間、とたんに彼女の脳髄から、洪水のように新薬のアイディアが溢れでてきた。

「この能力を用いればああああああ!! 必ずやああああああ!! 医学の進歩をおおおおおおおお! もたらしまあああぁぁぁっす!!」

 幸いにもここは病院。目ぼしい薬品は簡単に確保できる。状況が状況だ。怪我人も現れるだろうし、医者という肩書きを使えば『治験対象』にも事欠かないだろう。
 普段の完璧な理論で構成された薬品ならば、臨床実験や動物実験など態々やりはしないが、流石にスタンドという未知の能力を使用するならば行っておくべきだ。

「善は急げえええええええ!! ではまずはああああ!! 医療品の確認をしまああああああっす!!」

 アマミヤはまだ見ぬ患者のため、善意100%で新薬開発と人体実験の準備を始めた。


【名前】アマミヤ(フルネーム不明)
【出典】搾精病棟 〜性格最悪のナースしかいない病院で射精管理生活〜
【性別】女性
【能力・技能】

・薬学の知識
 疲労がポンととれるアマミヤリキッド、吸っただけで発情するアマミヤ・アクメガス、飲ませただけで相手を催眠状態にして洗脳できるアマミヤ・ピロピロなど都合の良すぎる薬品を多数開発している他、危険ドラッグの類いも調合できる。
 作中では主人公ヤマダの精子を使って「スペルマ・オーバードライブ」という危険ドラッグを調合していた。

・うるさい
 普段から耳の遠いご老人を相手にしているため、異常に声がでかい。常にテンションが高めで口数が多いのも相まって大変やかましい

・骨法
 アマミヤ流格闘術「骨法」を修得しており、追い詰められると連打を使用するが、あまり威力はない。

【スタンド】マニック・デプレッション
【破壊力:C/スピード:A/射程距離:E/持続力:B/精密動作性:B/成長性:C】
【能力詳細】
 白骨化した餓鬼を思わせるような不気味な容姿のスタンド。
 全身から注射器の様なトゲを出して、刺された対象者の生命力を過剰促進させる能力を持つ。
 この能力は生命体以外にも付加させる事ができ、劇中では塩に浸透させて、この溶液を静脈に注射した者の脳内麻薬を過剰分泌させるようにする事で、麻薬を作り出していた。
 このスタンドの棘に刺された者はドーピングをした様に肉体が過剰反応し、身体能力が肉体の限界を超えて増強される。さらにこの能力で強化された肉体には能力攻撃としての特性も付加され、本来能力同士でしか攻撃することができないスタンドに対しても肉弾戦を展開することができるが、代償に寿命が消耗する。
 また、心臓が破裂したり消化しすぎて内臓を溶かしたりしてしまうなど、相手の身体能力を肉体が耐えられないレベルまで増強させて自滅させることも可能。

【備考】
病院で医療品を確保しています

【方針】
対主催。とりあえずスタンドを使った新薬を試したい


320 : ◆DWDMFPPpRw :2020/05/17(日) 15:51:11 ctDzAW8U0
投下終了です


321 : ◆DWDMFPPpRw :2020/05/17(日) 20:36:17 8ZZqpDQc0
投下します


322 : ◆DWDMFPPpRw :2020/05/17(日) 20:37:09 8ZZqpDQc0

 参加者としてこの場にいるその男は、まず自分の置かれた状況に困惑していた。
 それ自体は、本人の頭が爬虫類のそれであることを除けば普通の反応である。

「なんだコレ?」

 奇妙な風貌に反して、カイマンは至極全うな疑問を呟いた。
 彼の名はカイマン。記憶喪失で、ついでに頭がトカゲの男である。
 
「門を潜ったらここにいた……て事は、ここは魔法使いの世界なのか?」

 カイマンは己の正体を探るため、魔法使いの世界に単身で渡ろうとした瞬間、何故だかこうして殺し合いの場に居た。
 漠然とした動作で周囲を見渡す。
 一見なんの変鉄もない住宅街だが、雑多なホールの住人であるカイマンにとっては新鮮な場所であった。
 ここが魔法使いの世界であるという疑問に関しては、その是非を判別する手段がない。
 とりあえず考えても仕方ない、そう判断して続くのは己の身の振り方の選択だった。
 
「殺し合いねェ……めんどくせェな。41人も殺すなんてどんだけ時間かかるんだよ」

 カイマンに殺人への拒否感はない。ホールにおいてはニカイドウと魔法使い狩りをしていたし、ホールでも治安の悪い場所ではそういうことも日常的だった。
 ただ、たった一人で、しかも素手で40人以上を殺すのは現実的とは思えない。それに女を殺すのも少し抵抗があった。

(そういえばあの男、スタンド、がどうとか言ってたな…… 何かの魔法か?)

 そう思った瞬間、カイマンの側に唐突に奇妙な人形が現れた。
 警戒を怠っていなかったカイマンは、当然その人形に驚愕する。

「うわ!? 誰だお前! 離れろ!」

 慌てて距離をとろうとするも、その人形はぴったりとカイマンに着いてくるだけで特に何もしてこなかった。
 訝しげなカイマンの脳裏に閃きが起こった。

「ーーあ、もしかしてこれが『スタンド』ッて奴なのか?」

 特に人形からリアクションは無かったが、漠然とそれが己の内から現れた何かであることは理解した。
 試しに消えろと念じると、その人形は瞬時に消えた。
 それがスタンドであることは理解したものの、これをどう使えばいいのかが解らない。何か情報がないかディバックを調べてみると、一枚のメモを見つけた。

「えー、なになに、『あなたのスタンドはザ・ハンドです。右手で触れたものを何でも削り取ることができます』ねェ……うーん」

 魔法として考えたら強い能力だろう。だが、どうせなら記憶やら顔やらを何とかする能力だったらなお良かった。

「ダァー! ウジウジ考えてても仕方ねェ! とりあえずとっとと帰る方法でも探してみるか!」

 そんな感想を抱きつつ、カイマンはその場から移動を始めた。





 スタンドを得たカイマンがどうなるのか。
 
 それはまだ混沌の中。

 それがドロヘドロ!




【名前】カイマン
【出典】ドロヘドロ
【性別】男
【能力・技能】
 魔法により頭が爬虫類に変化している。この特性のためか、首をはねられても新たな頭部が自己再生するという不死に近い身体と、魔法が効かない特殊体質を持っている。
 また、口の中にカイマンとは別に謎の男がいる。
 技量としては怪力の持ち主で刃物の扱いに長けており、ニカイドウには“ナイフを持ってこそ強い”と称された。
 記憶喪失で、名前と過去を忘れている。

【スタンド】ザ・ハンド
【破壊力 - B / スピード - B / 射程距離 - D / 持続力 - C / 精密動作性 - C / 成長性 - C】
【能力詳細】
 近距離パワー型のスタンド。
 右手で触れた物を何でもガオンっと削り取る事が出来る。削り取られた切断面は、元通りだったようにぴったりと閉じる。
 射程距離やスピードは大したことはないが、如何なる防御や頑丈さも無視してダメージを与えられるため、非常に強力。爆発性のある危険物でさえ「触れずに削り取る(消し去る)」ため、全く無効化できる。

【備考】
 カイマンの参戦時期はアニメ8話で魔法使いの世界に旅立つ直前。


323 : ◆DWDMFPPpRw :2020/05/17(日) 20:37:43 8ZZqpDQc0
投下終了です


324 : 相田マナの決意!守りたい命! ◆XksB4AwhxU :2020/05/17(日) 23:03:41 oZxbDyVw0
若おかみの候補を投下した者です。もう一作できたので投下します。


325 : 相田マナの決意!守りたい命 ◆XksB4AwhxU :2020/05/17(日) 23:04:01 oZxbDyVw0
「胸が…こんなに痛むんだね…すごく悲しくて悔しい…」
崖の上で目を瞑り呟く少女。
名は相田マナ。
大貝第一中学校の2年生で生徒会長を務めている。
マナの脳裏に浮かぶのは、自分とそれほど年が離れていない少女の頭が爆発したときの記憶。
「命を簡単に奪うなんて…そんなの間違っているよ!」
マナの心は痛む。名も知らぬ失われた少女の命に対して。
「でも…プッチさんのあの目…大切な人を失い、代わりに自分が成し遂げようとする目…」
マナの心は悲しむ…プッチに対して。たとえ、自分を含む41人を殺し合いへと強要する相手だとしても。
「だからといって、皆に殺し合いを強要させるのは間違っている!」
マナの心は決意する!この殺し合いを止めることを!!
「う〜ん…キュアラビーズは没収されているみたい…でも、誰かに支給されているはず。だってプッチさんは儀式と言っていた…おそらくシャルルもこの場のどこかにいるはず。」
マナは考察する。
「今の私は、キュアハートに変身できない…でも私は諦めない!いくよっキッス!皆の命は私たちが守るんだから!!」
マナに支給されたスタンド。キッスは姿を現し笑みを見せる。
マナの意志とプッチ神父の意志…勝つのはどちらになるのか…今は誰もわからない。


326 : 相田マナの決意!守りたい命! ◆XksB4AwhxU :2020/05/17(日) 23:04:29 oZxbDyVw0
【名前】相田マナ
【出典】ドキドキプリキュア
【性別】女性
【能力・技能】
大貝第一中学校2年生の生徒会長。
困っている人を見過ごせない性格で親友の六花曰く「幸せの王子」とのこと。
周囲から拒絶されたときなどに傷つくこともあるが一度泣けば立ち直りは早い。
口癖としてよく「胸がキュンキュンする」と言う。
成績は優秀で(とは言っても六花程優秀ではなく、劇中でのテストの結果は5位より下だった)運動神経もいい。
特に運動神経は通常時ですら東京クローバータワー最上階まで走り切れるほど。
一方人を騙すことは苦手で(全く出来ない訳ではない)嘘をつく際髪の毛をいじるくせがある。またかなりの音痴で乗り物酔いする。
ポジティブ気質を裏付ける論理的思考に反し知識量自体は年相応レベルで、馴染みのない分野に驚いたりすることも。
前述の通り、困っている人がいれば放っておけないヒーロー体質。

【スタンド】キッス
【破壊力 - A / スピード - A / 射程距離 - A / 持続力 - A / 精密動作性 - C / 成長性 - A】
【能力詳細】
シールを貼ったものは二つに分裂し、剥がすと破壊を伴って元に戻る。
分離した物は持ち運んだり遠くへ移動させたりすることが可能で、元に戻る力を利用して移動することもできる。
シールの効果が及ぶ範囲は非常に長い他、貼っていられる時間にも特に制限は無い。また、シールは自身にも使用できるが、元に戻った際の破壊効果も適用される。
【備考】
 マナの参戦時期はアニメ44話で檻に閉じ込められているとき。

※キュアハートに変身するために必要な「キュアラビーズ」「シャルル」は誰かに支給されている。


327 : 相田マナの決意!守りたい命! ◆XksB4AwhxU :2020/05/17(日) 23:05:35 oZxbDyVw0
投下終了しました。


328 : 相田マナの決意!守りたい命! ◆XksB4AwhxU :2020/05/17(日) 23:14:59 oZxbDyVw0
すみません…方針が抜けておりました。
【方針】
①この儀式を止める。
②命を守りながら「キュアラビーズ」と「シャルル」を探す。
②なんとかしてプッチ神父に愛を説く。


329 : ◆ZbV3TMNKJw :2020/05/17(日) 23:56:20 fqqdGPaY0
投下します


330 : Goodbye Nostalgia ◆ZbV3TMNKJw :2020/05/17(日) 23:58:25 fqqdGPaY0
青年は突然の異常事態に混乱した。
だが、彼は殺し合いに乗るのをよしとしなかった。彼にも想う仲間たちがいるからだ。
ひとまず彼は情報を手に入れるためにも他の参加者を探すことにした。
歩き続けて10分ほどだろうか。
彼はついに他の参加者を見つけた。
それも、主催への叛意を宣言する者だった。
彼は右腕を胸の前に添え、歩み寄りながらその口を開いた。


「やはり対主催か...いつ出発する?私も同行する」



【名前】花京淫
【出典】もんむすクエスト!ぱらどっくすRPG
【性別】男
【能力・技能】
そして集いしスターダスト
100年目の目醒めに呼ばれて
男たちは向かう
時の砂を越えるJourney

【人物背景】
18禁同人RPGゲーム、『もんむすクエスト!ぱらどっくすRPG』に登場するサブキャラクター。
決してジョジョの奇妙な冒険の登場キャラクターではない。
変態の集う街、ポルノフにて、スカトロ大尉の家で仲間にできる。
ポケット魔王城においてはスカトロ大尉とパンツ先生との固有会話がある。
重ねて言うが決してジョジョの奇妙な冒険の登場キャラクターではない。

【思考・状況】
基本:つ...伝えなくてはこのことをッ!この恐ろしい事実をなんとかして...なんとかしてルカさんに伝えなくては...!





【法王の緑(ハイエロファントエメラルド)】
【破壊力:C / スピード:B / 射程距離:A / 持続力:B / 精密動作性:C / 成長性:D】
ボディを帯状に変化ことが出来る人型の遠距離操作型。
『エメラルドスプラッシュ』という液体状の破壊エネルギーを固めて超高速で飛ばす必殺技も使える。


331 : この情熱、この衝動は自分を壊して火がつきそうさ ◆ZbV3TMNKJw :2020/05/17(日) 23:59:44 fqqdGPaY0
続けて投下します

突如巻き込まれた奇妙な催し。
俺にはこんなものに構っている暇はないし無関係のイニシャルを巻き込むのも気が進まなかった。

だが頭の中にあるというDISCを外す方法はどうしてもわからなかった。

そこで俺は考えたのさ。だったら全員殺せばいいってね!




【名前】遠野英治
【出典】金田一少年の事件簿
【性別】男
【能力・技能】
狂気的な愛、確かなアナウンス技術、遠隔で火をつけるリモコンを作る技術
【人物背景】
かつて不動高校の生徒会長を務めた学生。ジェイソンこと悲恋湖伝説殺人事件の真犯人でもある。実の妹に恋をしていた。
【思考・状況】
基本:SK(すべからく狩りつくす)

※サバイバーの影響を受けており、行動と思考が過激になっている節があります。



【スタンド】サバイバー
【破壊力 - E/ スピード - E/ 射程距離 - E/ 持続力 -C / 精密動作性 - E / 成長性 - E】
【能力詳細】
地面に出現する円盤状のスタンド。
濡れた地面を通じて微弱な電気信号を送り、周囲の人間の闘争本能を刺激させることで、死ぬまで殺し合いをさせる能力。
このスタンドの影響を受けた人間は相手の「最も強い部分(長所)」が輝いて見え、ダメージを受けた部分は黒ずんでいくように見える。
本来ならば本体には影響がないはずだが、遠野はサバイバーと相性が悪く能力が暴走しており、遠野自身も対象になっているようだ。


332 : ◆ZbV3TMNKJw :2020/05/18(月) 00:00:15 GYcisW720
投下を終了します


333 : ◆DWDMFPPpRw :2020/05/18(月) 02:10:27 ijlAE8OU0
投下します


334 : ◆DWDMFPPpRw :2020/05/18(月) 02:10:46 ijlAE8OU0

 突然始まった殺し合い。参加者であるその女性は歓喜していた。

「はっはっは!やったぞ!自由の身じゃー!」
 
 彼女の名はパワー。血の魔人である。
 パワーは歓喜に震えていた。
 ここには恐ろしいマキマも居ない。何をしようが自由という環境は、彼女にとって好ましいものだった。
 殺し合い?そんなもの悪魔にとって恐れるに足りず!

「パワーが一番最強じゃ!ガハハハハハハ!!」

 自由の身という状況がパワーの機嫌を良くさせているが、さらにそれを後押ししているのが彼女の支給品であった。

「これ、ワシのもっとる車に似とるなあ… これはワシの車じゃないか? うん、ワシの車じゃな。ワシのじゃ」
 
 興奮した様子で彼女が乗り込んだのは凶悪な外見をした車だった。最初ディバックから取り出した時はボロ車だったが、パワーが触れたとたんに外見が変化したのだ。
 キラキラと目を輝かせて内装を弄くり回しているが、つい先程までパワーは「なんじゃこのボロは!バッチいの!」と罵倒していた。その事は彼女の脳裏からすっかり消えている。
 自信満々でエンジンをかける彼女の脳裏に不安は一切ない。
 勿論運転免許など持っていないが、パワーの脳内では持っていることになった。具体的には5秒前くらいに。

「ガハハハハ!ワシのテクニックの見せどころじゃな!」

 勢いよくエンジンを蒸かし、パワーを乗せた『ホウィール・オブ・フォーチュン』は意味もなく爆走を始めるのだった。


【名前】パワー
【出典】チェンソーマン
【性別】女性
【能力・技能】
 血を操る能力を持ち、血を固めて武器を生成することができる。自らの血を遠隔操作することもできるが、使いすぎると貧血になるデメリットもある。
 また、他者の外傷を止血することもできるが、本人曰く「他人の血を操作するのは難儀」。マキマ曰く「血を飲み過ぎると今より傲慢で恐ろしい悪魔になる」らしい。

【スタンド】ホウィール・オブ・フォーチュン
【破壊力 - B / スピード - D / 持続力 - A/ 射程距離 - D / 精密動作性 - E / 成長性 - D】
【能力詳細】
 車と一体化したスタンド。
 戦車並みのパワーを持つ上に、地中を掘り進んできたり、ボディを変形させて岩の隙間に潜り込んだり、タイヤにスパイクを生やして崖を上ることすら可能。
 ガソリンを弾丸のように飛ばすといった芸当もできる。

【備考】
『ホウィール・オブ・フォーチュン』の車が支給されています。

【方針】
とりあえず優勝狙い


335 : ◆DWDMFPPpRw :2020/05/18(月) 02:11:55 ijlAE8OU0
投下終了です


336 : 巨大熊赤カブトの挑戦 ◆XksB4AwhxU :2020/05/18(月) 18:28:55 9oZKZvq60
完成したので投下します。


337 : 巨大熊赤カブトの挑戦 ◆XksB4AwhxU :2020/05/18(月) 18:29:26 9oZKZvq60
ある〜日♪森の〜中♪クマさんにであっ〜た♪
軽快なリズムにほのぼのとした歌詞。
また、ハチミツが大好きで有名な某海外のキャラクター。地方のゆるキャラのモチーフと、「クマ」は愛される動物として取り上げられることもある。
「フボ―ッ!ガハァー!!!!」
しかし、例外もあるようだ…
ドガガガッッッ!!!!!ズド――――――ン!!!!!!!!!!
大きな爪が木を削り倒す。
その熊は体長10m。頭部から背中にかけて赤毛で覆われ、右目を失った熊…名は赤カブト。
別名「鬼首」
人間(プッチ)に命令されたことに赤カブトは怒り狂い、周囲の木々をあらかた一掃すると冷静さを取り戻した。
「忌々しい老いぼれと犬どもにより、俺は、死んだはず…あの人間が蘇らせたのか?」
宿敵、竹田のじっ様の銃弾により右目を失い、脳を損傷した巨熊は止まることない成長と高い知性を得た。
「まぁいい…蘇ったのであれば、やるべき事は復讐…待っていろ銀!」
赤カブトは元の世界に戻るために参加者の皆殺しを決意する。
「人間どもがやっかいだが、幸いにも、ここは俺様の牙城。地の利となによりこの「すたんど」があれば、俺は最強だ…!」
そう、赤カブトが降りたった場所は二子峠。赤カブトのテリトリー。
そして、赤カブトに支給された「すたんど」は…
ガラガラガラドゴーーン!!!
突如、雷が大木を真っ二つにした!
「グフフフ!バオーーーーッ!!!!」
ウェザー・レポート。
「二子峠の魔王」再臨である。


338 : 巨大熊赤カブトの挑戦 ◆XksB4AwhxU :2020/05/18(月) 18:29:44 9oZKZvq60
【名前】赤カブト
【出典】銀牙 -流れ星 銀-
【性別】オス
【能力・技能】
二子峠に「牙城」を築き、一大勢力を誇る巨大熊。種別は明かされていないが、ツキノワグマとヒグマの両方の特徴を併せ持っている。
性格は残虐で狡知に長け、次々と人間を襲い「殺人熊」として恐れられている。
【参戦時期】原作13巻 銀による絶天狼抜刀牙によって斬首され、遂に絶命後。

【スタンド】ウェザー・リポート
【破壊力:A/スピード:B/射程距離:C/持続力:A/精密動作性:E/成長性:A】
【能力詳細】
天候や空気を広範囲にわたり操作できる。
雨を降らしたり、霧を出したり、風を起こしたり、雲を操ったりは朝飯前であり、その気になれば雷やハリケーンを生み出したり、極め付けは毒カエルを降らせたりなど、かなり幅広く応用的な能力を持つ。
【方針】
参加者の皆殺し(優勝)
二子峠をテリトリーにして待ち構える

※プッチの手により赤カブトは人間の言葉がしゃべれるようになった。


339 : 巨大熊赤カブトの挑戦 ◆XksB4AwhxU :2020/05/18(月) 18:30:51 9oZKZvq60
投下終了します。


340 : 太陽を我が手に…!! ◆XksB4AwhxU :2020/05/18(月) 20:34:32 9oZKZvq60
連続となりますが、完成しましたので投下します。


341 : 太陽を我が手に…!! ◆XksB4AwhxU :2020/05/18(月) 20:34:43 9oZKZvq60
「…」
朽ち果てた居城に一人佇む老人。
名はバーン。「魔界の神」を異名とする大魔王。
「…余はダイとの勝負に敗れ死を迎えたはず…」
勇者ダイとの激闘の果て、バーンは真・大魔王そして鬼眼王と全ての力を解放したが敗れた。
「あのプッチとかいう人間が余を蘇らせたのか…?」
バーンは自身の状態を確認しながら考察する。
「ふっ…魔界の神とまでいわれた余が人間に飼いならされるとは…よかろう。今は甘んじてその境遇を受け入れよう」
卑下していた人間に蘇らせられたばかりか儀式に参加させられたバーンは小さくため息をつく。
「光魔の杖がないが…余の絶大な魔力と、この「スタンド」があれば、大丈夫であろう」
それでもバーンは余裕の姿を崩さない。
バーンのはるか頭上に光輝く太陽…「サン」
バーンに支給されたスタンド。
「しかし…余が欲してやまない「太陽」がスタンドとは…プッチとやら大儀である」
バーンは支給されたスタンドに満足なご様子。
「…悪魔の目玉よ」
バーンが呼ぶと、一つ目目玉のモンスターがわらわらと集まってきた。
「参加者の情報を集めるのだ。こちらからは手を出すことは禁ずる…いけ」
バーンの言葉を聞き、悪魔の目玉達は会場の参加者の情報を得ようと散会する。
「…ドラムーンのゴロアよ」
「はっ!バーン様」
バーンに呼び出されたのはドラムーンのゴロア。バーンパレスの魔力炉の管理を任されたモンスター。
「この、バーンパレスが再起動するのに、どれくらいの時間がかかるのだ?」
「ム〜ン…24時間あれば、なんとか浮上することが可能ですム〜ン」
バーンの質問に答えるゴロア。
「よかろう。すぐさま作業に取り掛かるのだ」
「わっ…わかりましたでム〜ン!」
ゴロアはバーンパレスを再起動するために作業に取り掛かる。
「さて…この儀式に余を満足させる強者がいるのか…楽しみだ」
バーンは片手に持つワイングラスに入っているワインを飲みほすと修復した玉座に座る。
「プッチとやら…優勝のあかつきには余の部下にしてやらんでもない。せいぜい余の強さを見ているがいい」
かくしてゲームに大魔王が参戦した。


342 : 太陽を我が手に…!! ◆XksB4AwhxU :2020/05/18(月) 20:35:36 9oZKZvq60
【名前】大魔王バーン
【出典】ダイの大冒険
【性別】男性
【能力・技能】
魔界最強の実力者にして齢数千年余の老魔族の男性。
人間が脆弱であるという理由のみで太陽の恵みを人間だけに与え、魔族と竜族を地底にある暗黒の魔界に閉じ込めた神々を憎む。
「力こそ正義」を信念として掲げる徹底した実力主義者。
カイザーフェニックスをはじめとした多数の呪文が使える。
【参戦時期】原作37巻 ダイとの最終決戦に敗れ死去後

【スタンド】サン
【破壊力:B/スピード:E/射程距離:A/持続力:A/精密動作性:E/成長性:E】
【能力詳細】
能力は「強烈な日光を放つ」こと。
地表の温度を70℃以上にまで上昇させ、レーザー光線のようなビームを放って攻撃することもできる。
【方針】
優勝。
まずは、バーンパレスが再起動するまで待機。(玉座にて参加者を待ち受ける・悪魔の目玉による情報収集)
バーンパレス起動後、浮上させて参加者を自ら討ちに出向く。
優勝後はプッチを自分の配下にならないか勧誘しようと考えている。
※多数の悪魔の目玉達は会場内の参加者の情報を収集に出向いている。参加者への攻撃はしない。
※ドラムーンのゴロアは破壊されたバーンパレスを修復中。バーンパレスは24時間たつと再起動する。
 その前に不測の事態がおきれば、再起動しない。
※バーンは老バーンの姿。真・大魔王及び鬼眼王への変身はできない。


343 : 太陽を我が手に…!! ◆XksB4AwhxU :2020/05/18(月) 20:36:28 9oZKZvq60
投下終了します。


344 : ◆NIKUcB1AGw :2020/05/18(月) 21:26:38 AWwEsFzY0
投下します


345 : インディ・ジョーズと転がる岩 ◆NIKUcB1AGw :2020/05/18(月) 21:27:54 AWwEsFzY0
私の名はインディ・ジョーズ。大大大冒険家だ。
私はある悪人によって人間に変えられてしまった最愛の妹・シンディを妖怪に戻すため、数々の冒険を繰り広げた。
そしてジバニャンやコマさんといった仲間たちと力を合わせ、ついにシンディを妖怪に戻すことができた。
全ての元凶だった悪人たちも報いを受け、これでめでたしめでたし……のはずだった。
なのに……なんでこんなことになってるんだよぉぉぉぉぉ!!

いかん、まずは落ち着こう。
取り乱しては、できることもできなくなる。
心を静めるためにも、現状を確認しておくか。
まず、現在地。
私が立っているのは、広めの公園のど真ん中だ。
見晴らしはよく、誰かが近づいてくればすぐわかる。
逆に言えば、他人からも私がまる見えということだ。
長時間留まるのは、リスクが高いと言える。

次に、持ち物。
妖怪マグナムも愛用する冒険グッズも、手元にはない。
まあ私の最後の記憶は家でくつろいでいたところだったので、持っていなくても不自然ではないが……。
代わりに、食料や照明器具などは主催者から支給されているようだ。
サバイバルをするだけだったら、当分は困らないだろう。
そう、ただ生き残るだけだったら。このイベントは、そんな生やさしいものではない。
参加者同士が命を奪い合う、殺し合いなのだ。
殺し合いを行うか、否か。答は決まっている。

否だ。

なぜなら、こういうデスゲームもので積極的に殺しまくるやつが最後まで生き残れることなど滅多にない!
主催者に反抗するものだけが、生還の資格を手にできるのだ!
いやまあ、デスゲームものはほとんど見たことないんでイメージだけで言っているが。
趣味じゃないんで。
とにかく、私はこの殺し合いに反逆する!
覚悟しろ、エンリコ・プッチとやら!

そういえば……。あのプッチという男は人間なのか?
あの男の見た目は、人間そのものだった。
妖怪にも人間に近い外見のものは少なくないが、たいていは耳がとがっていたり肌が緑だったり人間とは決定的に違う部分があるものだ。
ただの人間にこれほど大がかりなことができるとは思えないが、人間の中にも妖怪のような特殊な力を持った者がいると聞く。
プッチがそういう人間ならば、この殺し合いの条件を整えることも可能かもしれない。
待てよ。主催者が人間ということは……ひょっとして参加者の大多数も人間ではないのか?
それはまずい。なぜなら、私の外見は鮫だからだ。
多数の人間の中に混ざる、鮫男。悪目立ちというレベルではない。
相手が妖怪の存在を知らなければ、問答無用でクリーチャー認定されて襲われかねない。
手持ちの道具ではろくに変装もできないが、せめて少しでも顔を隠せるようにするべきだろうか。
そんなことを考えていたその時、私の視界に何か動くものが入ってきた。

「誰だ!」

とっさにそう叫んだ私だったが、返事はない。
それは、止まることなく近づいてくる。
やがて、私はそれがなんであるかを理解した。
それはなかなかの大きさがある、丸い岩だった。
冒険家にとって転がってくる岩といえば、トラップしか思い浮かばない。
私は地面に置いていたデイパックを急いで手に取り、走り出した。
だが、岩も私を追いかけてくる。
どうなっているんだ。あれは、誰かの攻撃なのか?
その時、私の頭にひらめきが走った。
プッチは参加者にそれぞれ能力を与えると言っていた。
あの岩は他人が操っているのではなく、私自身の能力で動いているのではないか?
たしか荷物の中に、説明書きがあったはずだ。
後でゆっくり読もうと思っていたそれを、急いで取り出す。
急いでその文面を読んだ私は、叫ばずにはいられなかった。

「なんじゃサメェェェェェ!!」

あの岩は、死が迫っている者が触れると安らかな死を与えるのだという。
一見物騒だが、苦しませずに死なせるという意味では温情のある能力といってもいいだろう。
だが、殺し合いを命じられたこの場で「触ると死ぬ岩」なんて連れ歩いてみろ。
どう考えたって危険視されるわ!
しかもあの岩は、私が能動的にコントロールすることはできないらしい。
それはもう、私の能力とは言えないんじゃないのか!?

考えれば考えるほど、絶望したくなるこの状況。
だが私は、生還を決して諦めない。
なぜなら私は大大大冒険家、インディ・ジョーズだからだ!


346 : インディ・ジョーズと転がる岩 ◆NIKUcB1AGw :2020/05/18(月) 21:28:46 AWwEsFzY0


【名前】インディ・ジョーズ
【出典】妖怪ウォッチ(アニメ版)
【性別】男
【能力・技能】
『冒険の心得』
冒険に役立つ数々の知識……といえば聞こえはいいが、実際には単なる冒険映画あるある。
でも、たまにちゃんと役に立つ。

『タフ』
罠にかかってボロボロになっても、すぐに立ち直る。
もっともギャグ補正という色合いが強いので、この場では一般人より多少頑丈な程度。

【人物背景】
「大大大冒険家」を自称する、サメの妖怪。
実際には単なる冒険映画オタクだったが、人間に変えられた妹を元に戻すため本当に数々の冒険を繰り広げることになる。
見栄っ張りで自信過剰な性格だが、情には篤い。
嫌いなものは蛇。

【スタンド】ローリング・ストーン(ズ)
【破壊力:なし/スピード:B/射程距離:A/持続力:A/精密動作性:E/成長性:なし】
【能力詳細】
「凶」の文字が刻まれた、大きな石のスタンド。
本体が一切制御できない自立型スタンドであり、いわば常時暴走状態にある。
近いうちに死を迎える人間の前に突然現れ、対象に触れる(もしくは触れられる)ことでその場での死をもたらす。
このロワにおいては大きく性質に手が加えられており、平時は本体を自動追尾する。
そして本体の視界内に「死が近い人物」が入ったときに、その人物を追尾する。

【備考】
参戦時期はバスターズ編最終回後。

【方針】
主催者の打倒


347 : ◆NIKUcB1AGw :2020/05/18(月) 21:30:02 AWwEsFzY0
投下終了です


348 : 女優と貴族と騎士のハリウッド的スタート ◆XksB4AwhxU :2020/05/18(月) 23:00:05 9oZKZvq60
一日に何度もすみません。投下します。


349 : 女優と貴族と騎士のハリウッド的スタート ◆XksB4AwhxU :2020/05/18(月) 23:00:21 9oZKZvq60
10代後半から20代前半の女性客をターゲットとしている商業施設といえば多くの人が頭に浮かべる、渋谷109。
その屋上に仁王立ちしている女性。
弓弦エレオノーラ。ハリウッド進出を夢見ている北欧系ハーフ若手女優。
「ねぇ…ヴィオール。これドッキリじゃないわよね?」
エリーの問いにヴィオールといわれた両腕が弓状に変化し、肩にワンポイントの薔薇をつけている貴族風な男が現れた。
「残念だけど、これはドッキリではないようだよ。エリー君。」
「そう…よね」
エリーは半ば予想していた。
嘘でも否定してほしかったが、エリーのパートナーであるヴィオールは正直に答えた。
「…麗しい女性の命を弄ぶなんて許せないね。貴族的にも。ところでエリー君。君はどうする?」
「…そんなの決まっているじゃない。こんなふざけたゲームぶっとばしてあげるわ!ハリウッド的にね!!」
「ふふ…貴族的、だよ。エリー君。」
ヴィオールはエリーの答えに満足げな表情を見せる。
「それにしても…スタンドね。ミラージュとは違うのかしら?」
エリーはデイバッグの中身を確認し、「スタンド」について書かれたメモを読む。
「え〜と…私のスタンド名は…シルバーチャリオッツ?…!?きゃあ!」
エリーがスタンド名を読み上げた瞬間。それは現れた。
銀色の甲冑を纏った細身の騎士のような姿で、右手にレイピアを一本携えている。
「ちょっと!ビックリしたじゃない!!」
「ふふふ…騎士とはまさに貴族にふさわしいではないか」
エリーは頬を膨らませ、ヴィオールは両手をパチパチと拍手している。
「ふ〜ん。外見は立派だけれどあなたの実力はどうなのかしら?私のパートナーになるなら、並みの実力じゃ困るわ!ハリウッド的にね!」
「なら、エリー君。彼の実力を試してみよう」
「あっ!ちょっと人のお金を…」
エリーの疑問にヴィオールはエリーの財布から5枚の硬貨を放り投げると、シルバーチャリオッツは一突きで全てを貫いた!
「すごっ!」
エリーはシルバーチャリオッツの技法に驚愕する。
「ふふふ…彼の実力は本物だ。エリ―君。遠距離の私に近接の彼。これは、最高の組み合わせだよ!」
ヴィオールは嬉しそうにエリーに語りかける。
「…そうね。あなたの実力はわかったわ!お願い!私に力を貸しなさい!シルバーチャリオッツ!!」
エリーの呼びかけにシルバーチャリオッツは騎士の誓いの姿勢になりエリ―に忠誠を誓った。
「よれじゃあ!ヴィオール!シルバーチャリオッツ!行くわよ!!…え〜と。まずは下へ降りなきゃね」
「やれやれ…」
「…」
女優と貴族と騎士の行く末は如何に…


350 : 女優と貴族と騎士のハリウッド的スタート ◆XksB4AwhxU :2020/05/18(月) 23:00:35 9oZKZvq60
【名前】弓弦エレオノーラ
【出典】幻影異聞録♯FE
【性別】女性
【能力・技能】
16歳。愛称は「エリー」。北欧系ハーフ若手女優で、ハリウッド女優に憧れている
ミラージュマスターは戦闘時、戦闘服「カルネージフォーム」を纏い、武器に姿を変えたミラージュと共に戦う
戦闘では弓を武器に用い、電撃と火炎属性の技を主に使用する。力と技が高い
【参戦時期】第5章に入った辺り

【スタンド】シルバーチャリオッツ
【破壊力:C/スピード:A/射程距離:C/持続力:B/精密動作性:B/成長性:C】
【能力詳細】
騎士のような姿の人型タイプのスタンド。
装備したレイピアによる斬撃・刺突。目にも留まらぬ早さで繰り出される剣捌きは凄まじく
無造作に放り投げた5枚のコインを一突きで全て貫く
飛んでくる銃弾を剣で容易く切り落とす
移動方向さえ把握していれば光の速さで動くスタンドすら切断する
非実体弾である太陽のビーム攻撃を剣で斬り払ってガードする等がある。
【方針】
ゲームを阻止するハリウッド的に。

※ヴィオールのクラスは初期の「アーチャー」


351 : 女優と貴族と騎士のハリウッド的スタート ◆XksB4AwhxU :2020/05/18(月) 23:01:07 9oZKZvq60
投下終了します。


352 : ◆DWDMFPPpRw :2020/05/19(火) 02:20:10 CT50qjw20
投下します


353 : それを恐怖したら、終わり ◆DWDMFPPpRw :2020/05/19(火) 02:20:51 CT50qjw20

「僕をデリーから移動させるなんて…… エンリコ・プッチィ、興味深いなぁ。何者なんだろうね、彼は」

 そう呟くのは、奇妙な道化師だった。
 真っ白な肌に白一色の道化服。会場の片隅で夜間の闇に佇むその姿には、奇妙なまでに現実感がない。
 踊る道化師ペニーワイズ。デリーに潜む怪異は、参加者としてこの場にいた。

「殺し合い。うん、素敵だ。美味しそうな香りがする。ここは恐怖で一杯だ!」

 ペニーワイズは満面の笑みを浮かべる。背筋をくすぐるような、生理的に嫌悪感を催すような笑い方だった。
 下水道に潜む怪異にとって、ここは素敵な場所だった。
 殺し合い!ここにはきっと、恐怖で満たされた人間が大勢いる。そして、自分を負かしたあの負け犬達(ルーザーズクラブ)は居ない。
 つまり、食事の邪魔は入らない。
 そう思い至ったペニーワイズは、残忍な笑みを浮かべてその場で躍り狂う。
 彼は餓えていた。恐怖で満たされた肉を口一杯に頬張りたい。特にそれが子供なら最高だ。その欲求を満たすのに、この催しは最高のイベントだった。
 懸念があるとすれば『スタンド』。
 自分の中に入れられたDISCとやらも気になるが、人外である彼にとっても未知の異能は興味が引かれた。

「『エニグマ』だっけ? とっても素敵な能力だね。賭けてもいい! 元の持ち主とは気が合いそうだ!」

 自らに支給されたスタンド、その能力を認識し、具現化した者の精神性を想像したペニーワイズは、釘の様に鋭い歯を剥き出しにして、ゲラゲラと大笑いをする。
 これを使えば、より獲物を恐怖で満たせる。喰らうのも容易になるだろう。

「さぁ、浮かぶ時間だ」

 下水道に潜む道化師は、獲物を求めて移動を始めた。
 

【名前】ペニーワイズ
【出典】『IT/イット “それ”が見えたら、終わり』
【性別】ー
【能力・技能】
 相手が恐怖を感じる物の姿に変化する能力を持つ。他に物体を動かす・幻覚を見せる・神出鬼没など超常的な能力を持つ。
 下水道で繋がっている場所なら何処からでも出現できるが、制限により長距離を一瞬で移動したりはできなくなっている。
 特定の人物(子供など)にしか見えないといった特性も無くなっており、大人にも視認可能。

【スタンド】エニグマ
【破壊力 - E / スピード - E / 射程距離 - C / 持続力 - A / 精密動作性 - C / 成長性 - C】
【能力詳細】
 人型のスタンド。対象を紙にして封印する能力を持っている。
 物質なら無条件で封印できるが、生物を封印したい場合、その生物特有の「恐怖のサイン」(恐怖した時に思わずしてしまう行動)を見抜かなければ封印できない。
 スタンド自体の力は弱く、単純な殴り合いの戦闘力は低い。
 が、一度能力が発動してしまえばもうどんな攻撃や妨害も通用しなくなり、封印から逃れることは不可能。
 何かを封印した紙は折りたたまれており、開くことで封印された中身を取り出せる。
封印は本体しか出来ないが、取り出しに関しては本体でなくても可能。

【備考】
 参戦時期は『IT/イット “それ”が見えたら、終わり』終了後。

【方針】
 マーダー。参加者を恐怖させ餌食にする


354 : ◆DWDMFPPpRw :2020/05/19(火) 02:21:50 CT50qjw20
投下終了です


355 : ◆gPUVYu7WM. :2020/05/19(火) 12:41:05 so7VvUP60
投下します。


356 : へタレ刑事の憂鬱 ◆gPUVYu7WM. :2020/05/19(火) 12:43:25 so7VvUP60
視界が遮られる真夜中、辛うじて明かりを灯し目に入るのは自然地帯。見渡す限り、人工らしきものは無い。唯一変化があるとすれば微風が辺り一面の草叢を擦らせる。

「あれぇ? 僕、警察署にいたのに何でこんな事になっちゃったのかな」

 のんびりとした口調、曲がっているネクタイ、冴えないスーツ姿の男性だった。その名は足立透。
 不幸にもプッチに強制的に参加させられ、人生のどん底に嵌っている参加者の一人だ。
しかしながら本人は呑気そうな表情で背伸びをしている。余りの異常事態に実感がないのか、それともプッチに誘拐される前、不味い状況になってたのか、それは本人のみぞ知る。

 ――これってマヨナカテレビとは違うねぇ、別世界でも入れられた感じ? 何だかツイてないねぇ。

 マヨナカテレビ、足立を日常から非日常に引き込んだ原因でもあり、とある市はおろか高校で広まっていた都市伝説。何でもテレビの画面に入れば目の前に『異世界』が存在する。
 足立本人も当初は本気にせず好奇心で試していたが、ある時を境にマヨナカテレビに遭遇した。


357 : へタレ刑事の憂鬱 ◆gPUVYu7WM. :2020/05/19(火) 12:44:21 so7VvUP60
「マガツイイザナギ」

 足立が呟いた瞬間、辺りの空気が震撼する。
 そこに足立よりも上回る人ならざる者、マガツイイザナギが降臨した。表面上、赤黒い色を発し、毛細血管のようなものが全身に行き渡っている。

「さてペルソナの召喚は問題無しっと」

 ペルソナとは心の底に潜むもう一人の自分。それを行使する者達の事をペルソナ使いと言う。足立の頭上で浮かぶ魔人は感情から孕む狂気を凝縮させた心の表れだろう。

「支給品の方は未だマシか、後はスタンドねぇ。まぁ……別にそんなものなくても僕のペルソナで十分だろうに」

 足立は小さいリュックの中身を漁る中、思わず鼻で笑う。事実、マガツイイザナギは此の世の武器より被害を生み出す破壊の権化。
 仮にナイフを持った参加者に襲われようともマガツイイザナギで殺害又は拘束で済む話だ。足立にとってこれが正当防衛だと言い切れるし、何より鬱憤晴らしになる。

「参加者の中に僕の知り合いは勘弁してもらいたいよ。ペルソナ使いだったら面倒になっちゃうし……」

 ふと思い耽っていると視線の先に奇妙なものが浮かんでいた。手持ちの照明器具で其方に灯すと、へらへらと笑っていた足立に動揺が走る。
 浮遊する円盤の上に佇む小型の竜が此方を見ていた。その胸に矢尻のようなものが内側から突き刺さる様に生えるという生物とは思えない外見だ。


358 : へタレ刑事の憂鬱 ◆gPUVYu7WM. :2020/05/19(火) 12:45:19 so7VvUP60
「スタンドってのはオレノ事ダゼ」

 それが喋って見せた。これには足立も驚かざるを得なかった。一目見た彼の脳裏にペルソナが過ったが、それとは別の物だ。

「畜生が……マガツイイザナギ」

 彼の知るペルソナに言語で喋る者など居ない。足立は非常識の存在だと認知し上着の懐に手を入れるが肝心の物が無かった。そして吐き捨てると、あの名を口にする。
鮮血の魔人が主人の元に再び現す。閃光の瞳は円盤の竜を睨み付け、足立を守らんと立ち塞がっていく。

「君がスタンド? へぇ、随分と変わってるんだねぇ。ペルソナと似てる気がするんだけど」

 対話が出来るという点では足立も内心、ほっとしていた。何しろプッチによる誘拐、見た事も無い場所に送り出される、更には珍妙な生物らしき(スタンド)がいるという異常事態の連続だ。

「何時デモ攻撃スルツモリダガ、オレハ中立ダ。敵じゃねェ」

「ごめんごめん、ビクついていてさぁ」

 マガツイイザナギの眼光を浴びてもドラゴンは動じない。自分の敵ではないと言ったが、足立はペルソナを消すつもりはない。
 初めて会った人いや人ではない者の言う事を素直に鵜呑みする程、御人好しでも無い。信用した上で背を向けた瞬間、背中からグサリなんて事も在り得る。


359 : へタレ刑事の憂鬱 ◆gPUVYu7WM. :2020/05/19(火) 12:46:45 so7VvUP60
「イイか、オレはオマエのスタンドダ。取リ敢エズ……現在位置は凶ダナ」

「はぁ? ひょっとして……今してるのって風水の話?」

 足立が目を丸くすると、竜が「ソウダ」と肯定する。急にどんな話になるのかと思いきや風水の話題を持ち出した。

「ラッキカラーはレッドで首に巻くネクタイだ」

「もしかして、これ?」

 足立に心当たりがある。彼はネクタイの端を摘まみながら軽く上に掲げる。

「何ダ、アルじゃねェか。今はツイテルヨ」

 ――ついてるどころか、僕……人生真っ逆さまなんだけどな。

 足立は此処に放り込まれる以前、大学卒業後にエリートの刑事となり社会人生活を送っていた。書類紛失で田舎に左遷させられ、自分と合わなそうな上司と巡り合う。
 上司の名は堂島遼太郎。最初は自分が遅刻し、お互い初対面の印象は最悪だ。仕事する内に段々と悪くない方向に進んでいた。その上、自宅まで招かれ娘の奈々子と出会う。
 警察としての仕事をこなしていく中、堂島遼太郎と奈々子が居る一軒家こそ足立にとって悪くない居場所となっていた。

 ――ボクがいないって事が知れたら堂島さん、カンカンに怒ってるよ。

 足立が苦笑すると自身の心が冷めていくのは何故だろうか。

「ドウシタ? 安心シテルと思っタラ、随分と浮かねェ顔ダナ」

 円盤の竜が足立の顔の異変に気付いていた。自分のスタンドに指摘されたので足立は気を取り直した。


360 : へタレ刑事の憂鬱 ◆gPUVYu7WM. :2020/05/19(火) 12:49:13 so7VvUP60
「何でも無いよ、そんな事より君、中立じゃなくても味方でいいんじゃない? ほら一応、ボクのスタンドなんでしょ?」

 足立は自分の有利さを近付ける為、出会って早々に強請る。円盤の竜がワナワナと震わせながら、

「オマエのスタンドだろうが関係ネェ、ドッチモ偏ッタラ駄目だろうガ!」

「はいはい、中立ね。分かったよ」

 当然ながら叱られてしまった。ましてや自分のスタンドに。足立は溜息を吐くように「君、僕の前に歩いてくんない?」と頼んでいた。
 円盤の竜は「どっちにスル?」と聞かれたので足立はコンパスを見ながら、取り敢えず北でと答えている。

「アソコは凶の方角ダ、オマエのネクタイで守レルとイイナ」

 ――上手くいかないことだらけだ。ホント、プッチってヤツが拳銃を取り上げていただろうし。

 ゲームが開始すると足立は主武装がペルソナ、次に副武装が拳銃だと決めていたが、自分の所持していたものが消えていたのだ。自分の警察手帳、更には拳銃と流石に笑いを通り越し、鬱憤が溜まっていく。
 足立の目的は自分にとって都合の良い世界の創造だ。自身が体験した馬鹿馬鹿しい人間関係、つまらない仕事、腐敗した社会を全てぶち壊す為に。

 ――世の中、クソだな。

 プッチが用意した蠱毒の様な儀式もとい殺戮のゲーム。足立はプレイヤーとして、このゲームに参加した。


361 : へタレ刑事の憂鬱 ◆gPUVYu7WM. :2020/05/19(火) 12:49:51 so7VvUP60
【名前】足立透
【出典】ペルソナ4
【性別】男性
【能力・技能】
異常性『マガツイザナギ』
足立が操るペルソナであり、主人公のペルソナと瓜二つ。

【スタンド】ドラゴンズ・ドリーム
【破壊力:なし/スピード:なし/射程距離:なし/持続力:なし/精密動作性:なし/成長性:なし】
【能力詳細】
外見は東洋風の龍の石像のようで、軽快な口調でしゃべる。
東洋風水学を能力とし、風水の観点から絶対的な「吉の方角」と「凶の方角」を指し示す。
ただし自身はあくまで中立な立場であるらしく、ときには敵にアドバイスをすることさえある。
と言うか「吉凶を教える」だけで「吉凶を操れる」わけではない。なので、示した方角に従えば敵でも利益を得ることはあるし、逆らって行動すれば自身も被害を受ける。
時にはラッキーアイテムなども教えてくれるようだが、それで役に立つかは不明。
またドラゴンズ・ドリーム自身は、一切の攻撃能力を持たない。
もう一つの能力として、ドラゴンズ・ドリームを仲介して行った攻撃は相手にとって「凶の方角」へと自動的に導かれるというものがある。

「違う…… 意味ネェーッテ オレ中立」

【備考】
足立は
このスタンドが敵にアドバイスをするという事は現時点で分かっていません。それが足立にとって幸か不幸か。
【方針】
憂さ晴らし又は生還の為、プレイヤーとして優勝する。


362 : ◆gPUVYu7WM. :2020/05/19(火) 12:50:27 so7VvUP60
投下終了です。


363 : ◆Ay2lEeXHQ2 :2020/05/19(火) 13:07:47 tq9EcujI0
投下します。


364 : Breath of Bless ◆Ay2lEeXHQ2 :2020/05/19(火) 13:09:39 tq9EcujI0
「……」

男は周囲を見回し、耳を澄ませ、においを嗅ぐ。

ここに喚ばれる前の持ち物は、ほぼすべて没収され、配下も皆いない。
問題ない。おのが身と頭脳がある。武器や配下は現地調達すればよい。

支給された品々を背負い袋から出し、改める。
地図、磁針、筆、紙、照明、水と食糧、参加者の名簿、時計。そして、数十本の釘。
説明書きを読むと、男は釘の頭に口をつけ、ふう、と息を吹き込んだ。

すると、見よ。鉄製の釘は風船の如くに膨らみ、太く長く伸びた。
男はそれを指で捻り、形を整え、たちまち犬のような姿に変えた。
その犬は四つ足で駆け回り、しっぽを振り、男の足元に平伏した。生きているのだ。

さらに二本の釘へ、息を吹き込む。たちまち猿と鳥の形になり、同じく平伏する。

三匹のしもべを従えて、男は堂々と立つ。威風があたりを払い、草木も自然と頭を垂れる。
茶筅髷に前髪、狩衣に鎧。額の鉢巻には桃の印。これぞ、神州無双の大英雄。

「さて、狩りの始まりじゃ」


真金吹く 吉備の中山 帯にせる 細谷川の音のさやけさ

―――古今和歌集


【名前】桃太郎卿(大吉備津彦命)
【出典】衛府の七忍
【性別】男性
【能力・技能】
神州無敵の超人にして軍神。鬼を素手で捻り引きちぎる膂力の持ち主。

【スタンド】チューブラー・ベルズ
【破壊力:D/スピード:D/射程距離:D/持続力:A/精密動作性:E/成長性:B】
【能力詳細】
あらゆる金属に息を吹き込み、バルーンアートの犬や鳥を作り出す。
効果中の金属はゴム風船と動物の特性を併せ持ち、ある程度の自律行動も可能。
標的のにおいを自動追跡し、狭い隙間も通り抜け、体内に潜り込むこともできる。
急激に元の金属に戻ることにより、その運動エネルギーで対象を殺傷する。

【備考】
狩衣と甲冑は衣服扱い。弓矢、剣、笛、吉備団子、獣臣、累人などは没収された。

【方針】
優勝する。鬼は優先的に狩る。武器や配下は現地調達する。


365 : ◆Ay2lEeXHQ2 :2020/05/19(火) 13:11:25 tq9EcujI0
投下終了です。


366 : ◆gPUVYu7WM. :2020/05/19(火) 13:19:52 so7VvUP60
再度投下します。


367 : へタレ刑事の憂鬱 ◆gPUVYu7WM. :2020/05/19(火) 13:22:57 so7VvUP60
 視界が遮られる真夜中、辛うじて明かりを灯し目に入るのは自然地帯。見渡す限り、人工らしきものは無い。唯一変化があるとすれば微風が辺り一面の草叢を擦らせる。

「あれぇ? 僕、マヨナカテレビにいたのに何でこんな事になっちゃったのかな」

 のんびりとした口調、曲がっているネクタイ、冴えないスーツ姿の男性だった。その名は足立透。
 不幸にもプッチに強制的に参加させられ、人生のどん底に嵌っている参加者の一人だ。
しかしながら本人は呑気そうな表情で背伸びをしている。余りの異常事態に実感がないのか、それともプッチに誘拐される前、不味い状況になってたのか、それは本人のみぞ知る。

 ――これってマヨナカテレビとは違うねぇ、別世界でも入れられた感じ? 何だかツイてないねぇ。

 マヨナカテレビ、足立を日常から非日常に引き込んだ原因でもあり、とある市はおろか高校で広まっていた都市伝説。何でもテレビの画面に入れば目の前に『異世界』が存在する。
 足立本人も当初は本気にせず好奇心で試していたが、ある時を境にマヨナカテレビに遭遇した。

「マガツイザナギ」

 足立が呟いた瞬間、辺りの空気が震撼する。
 そこに足立よりも上回る人ならざる者、マガツイザナギが降臨した。表面上、赤黒い色を発し、毛細血管のようなものが全身に行き渡っている。

「さてペルソナの召喚は問題無しっと」

 ペルソナとは心の底に潜むもう一人の自分。それを行使する者達の事をペルソナ使いと言う。足立の頭上で浮かぶ魔人は感情から孕む狂気を凝縮させた心の表れだろう。

「支給品の方は未だマシか、後はスタンドねぇ。まぁ……別にそんなものなくても僕のペルソナで十分だろうに」

 足立は小さいリュックの中身を漁る中、思わず鼻で笑う。事実、マガツイザナギは此の世の武器より被害を生み出す破壊の権化。
 仮にナイフを持った参加者に襲われようともマガツイザナギで殺害又は拘束で済む話だ。足立にとってこれが正当防衛だと言い切れるし、何より鬱憤晴らしになる。


368 : へタレ刑事の憂鬱 ◆gPUVYu7WM. :2020/05/19(火) 13:24:47 so7VvUP60
「参加者の中に僕の知り合いは勘弁してもらいたいよ。ペルソナ使いだったら面倒になっちゃうし……」

 ふと思い耽っていると視線の先に奇妙なものが浮かんでいた。手持ちの照明器具で其方に灯すと、へらへらと笑っていた足立に動揺が走る。
 浮遊する円盤の上に佇む小型の竜が此方を見ていた。その胸に矢尻のようなものが内側から突き刺さる様に生えるという生物とは思えない外見だ。

「スタンドってのはオレノ事ダゼ」

 それが喋って見せた。これには足立も驚かざるを得なかった。一目見た彼の脳裏にペルソナが過ったが、それとは別の物だ。

「畜生が……マガツイザナギ」

 彼の知るペルソナに言語で喋る者など居ない。足立は非常識の存在だと認知し上着の懐に手を入れるが肝心の物が無かった。そして思わず吐き捨てると、あの名を口にする。
鮮血の魔人が主人の元に再び現す。閃光の瞳は円盤の竜を睨み付け、足立を守らんと立ち塞がっていく。

「君がスタンド? へぇ、随分と変わってるんだねぇ。ペルソナと似てる気がするんだけど」

 対話が出来るという点では足立も内心、ほっとしていた。何しろプッチによる誘拐、見た事も無い場所に送り出される、更には珍妙な生物らしき(スタンド)がいるという異常事態の連続だ。

「何時デモ攻撃スルツモリダガ、オレハ中立ダ。敵じゃねェ」

「ごめんごめん、ビクついていてさぁ」

 マガツイザナギの眼光を浴びてもドラゴンは動じない。自分の敵ではないと言ったが、足立はペルソナを消すつもりはない。
 初めて会った人いや人ではない者の言う事を素直に鵜呑みする程、御人好しでも無い。信用した上で背を向けた瞬間、背中からグサリなんて事も在り得る。

「イイか、オレはオマエのスタンドダ。取リ敢エズ……現在位置は凶ダナ」

「はぁ? ひょっとして……今してるのって風水の話?」

 足立が目を丸くすると、竜が「ソウダ」と肯定する。急にどんな話になるのかと思いきや風水の話題を持ち出した。

「ラッキカラーはレッドで首に巻くネクタイだ」

「もしかして、これ?」

 足立に心当たりがある。彼はネクタイの端を摘まみながら軽く上に掲げる。

「何ダ、アルじゃねェか。今はツイテルヨ」


369 : へタレ刑事の憂鬱 ◆gPUVYu7WM. :2020/05/19(火) 13:26:11 so7VvUP60
 ――ついてるどころか、僕……人生真っ逆さまなんだけどな。

 足立は此処に放り込まれる以前、大学卒業後にエリートの刑事となり社会人生活を送っていた。田舎に左遷させられ、自分と合わなそうな上司と巡り合う。
 上司の名は堂島遼太郎。最初は自分が遅刻し、お互い初対面の印象は最悪だ。仕事する内に段々と悪くない方向に進んでいた。その上、自宅まで招かれ娘の奈々子と出会う。
 警察としての仕事をこなしていく中、堂島遼太郎と奈々子が居る一軒家こそ足立にとって悪くない居場所となっていた。

 ――ボクがいないって事が知れたら堂島さん、カンカンに怒ってるよ。

 足立が苦笑すると自身の心が冷めていくのは何故だろうか。

「ドウシタ? 安心シテルと思っタラ、随分と浮かねェ顔ダナ」

 円盤の竜が足立の顔の異変に気付いていた。自分のスタンドに指摘されたので足立は気を取り直した。

「何でも無いよ、そんな事より君、中立じゃなくても味方でいいんじゃない? ほら一応、ボクのスタンドなんでしょ?」

 足立は自分の有利さを近付ける為、出会って早々に強請る。円盤の竜がワナワナと震わせながら、

「オマエのスタンドだろうが関係ネェ、ドッチモ偏ッタラ駄目だろうガ!」

「はいはい、中立ね。分かったよ」

 当然ながら叱られてしまった。ましてや自分のスタンドに。足立は溜息を吐くように「君、僕の前に歩いてくんない?」と頼んでいた。
 円盤の竜は「どっちにスル?」と聞かれたので足立はコンパスを見ながら、取り敢えず北でと答えている。


370 : へタレ刑事の憂鬱 ◆gPUVYu7WM. :2020/05/19(火) 13:27:26 so7VvUP60
「アソコは凶の方角ダ、オマエのネクタイで守レルとイイナ」

 ――上手くいかないことだらけだ。ホント、プッチってヤツが拳銃を取り上げていただろうし。

 ゲームが開始すると足立は主武装がペルソナ、次に副武装が拳銃だと決めていたが、自分の所持していたものが消えていたのだ。自分の警察手帳、更には拳銃と流石に笑いを通り越し、鬱憤が溜まっていく。
 足立の目的は自分にとって都合の良い世界の創造だ。自身が体験した馬鹿馬鹿しい人間関係、つまらない仕事、腐敗した社会を全てぶち壊す為に。

 ――世の中、クソだな。

 プッチが用意した蠱毒の様な儀式、もとい殺戮のゲーム。足立はプレイヤーとして、このゲームに参加した。

【名前】足立透
【出典】ペルソナ4
【性別】男性
【能力・技能】
異常性『マガツイザナギ』
足立が操るペルソナであり、主人公のペルソナと瓜二つ。

【スタンド】ドラゴンズ・ドリーム
【破壊力:なし/スピード:なし/射程距離:なし/持続力:なし/精密動作性:なし/成長性:なし】
【能力詳細】
外見は東洋風の龍の石像のようで、軽快な口調でしゃべる。
東洋風水学を能力とし、風水の観点から絶対的な「吉の方角」と「凶の方角」を指し示す。
ただし自身はあくまで中立な立場であるらしく、ときには敵にアドバイスをすることさえある。
と言うか「吉凶を教える」だけで「吉凶を操れる」わけではない。なので、示した方角に従えば敵でも利益を得ることはあるし、逆らって行動すれば自身も被害を受ける。
時にはラッキーアイテムなども教えてくれるようだが、それで役に立つかは不明。
またドラゴンズ・ドリーム自身は、一切の攻撃能力を持たない。
もう一つの能力として、ドラゴンズ・ドリームを仲介して行った攻撃は相手にとって「凶の方角」へと自動的に導かれるというものがある。

「違う…… 意味ネェーッテ オレ中立」

【備考】
このスタンドが敵にアドバイスをするという事について足立は現時点で分かっていません。それが足立にとって幸か不幸か。
【方針】
憂さ晴らし又は生還の為、プレイヤーとして優勝する。


371 : ◆gPUVYu7WM. :2020/05/19(火) 13:27:54 so7VvUP60
投下終了します。


372 : ◆OmtW54r7Tc :2020/05/19(火) 18:25:01 LGpoLbpE0
投下します


373 : もう雑魚とは呼ばせない ◆OmtW54r7Tc :2020/05/19(火) 18:26:55 LGpoLbpE0
アローラ地方。
ここには、通常とは違う独自の進化を遂げたポケモンがいる。
しかし、その独自の進化を辿るに至った経緯は、必ずしも美しいものではない。
例えば、ベトベター。
通常はヘドロを身にまとっている彼らだが、アローラのベトベターは違う。
彼らは、アローラ地方でゴミの処理問題が深刻化した際、他の地方から連れてこられた。
大量のゴミを、食べてもらうために。
そして、処理のためにゴミを食べ続けているうちに、体質が変わってしまったのだ。
要するに、人間の身勝手なエゴにより本来の姿を失ってしまったのだ。

さて、この独自の進化を遂げたポケモンの中の一匹に、コラッタがいた。
そして彼らもまた、人間のエゴによる犠牲者であった…


〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

「シャアア!」

コラッタ(アローラのすがた)は狂喜した。
自分の手に入れた、新たな力―スタンドに。
エンリコ・プッチによって与えられたそのスタンドの名は『ラット』。
触れたものをドロドロに溶かしてしまう毒針を発射する恐るべきスタンドだ。


―これがあればヤングースを…いや、奴らを差し向けた元凶であるアローラの人間達だって滅ぼすことができる


アローラ地方では、かつてコラッタが大量発生したことがあった。
これに対処するため、アローラの住人はヤングースを解き放ち。コラッタを駆除し始めた。
コラッタ達はヤングースの魔の手から逃れるため、生活圏を変え、活動時間を夜とした。
そしてその変わった環境に適応するため、従来の紫色から、黒色へと体色を変え、独自の進化を遂げたのだ。


374 : もう雑魚とは呼ばせない ◆OmtW54r7Tc :2020/05/19(火) 18:27:44 LGpoLbpE0
―俺はもう雑魚じゃない…喰われる側から喰う側になったんだ!


ヤングースの一件だけではない。
彼らは、通常のコラッタだったころから、雑魚ポケモンとして多くのトレーナーによって、時に倒され、時に捕らえられ、そして時に…捨てられた。
この世は弱肉強食。
長年の歴史の中で、弱者という立場故に理不尽を強いられてきた。
しかし、それも今日で終わりだ。


―待っていろ、アローラの人間ども

―俺はこの弱肉強食の殺し合いを勝ち残り

―我らを虐げてきた貴様らに復讐する

―アローラを…コラッタの楽園にしてやる!


「シャアアアアアアア!!」


大いなる野望を胸に、コラッタはより一層大きな声で雄たけびをあげた。


―まずは、この世界にいる人間どもを…皆殺しだ!


【名前】コラッタ(アローラのすがた)
【出典】ポケットモンスター サン・ムーン
【性別】オス
【能力・技能】
使える技は、ひっさつまえば、かみくだく、ふいうち、いかりのまえば。
また、鮮度が良いものや美味しい食事の香りを嗅ぎ分ける能力に優れている。
【思考・状況】
皆殺し


【スタンド】ラット
【破壊力-B/スピード-C/射程距離-D/持続力-B/精密動作性- E/成長性 - C】
【能力詳細】
機械の砲台のような、ロボットみたいな外見のスタンド。
スタンドさえも溶かしてしまう毒針を発射することができる。
触れたものは即座にドロドロに溶かされるが、固いものに当たって跳ね返ったりはする。(作中ではそれを利用して跳弾なども放っている)
毒の回りは早いものの即死するわけではないため、対処が早ければ治療することはできる。
毒針は数発まとめての連射も可能。


375 : ◆OmtW54r7Tc :2020/05/19(火) 18:28:20 LGpoLbpE0
投下終了です


376 : 黄色と黒のクラッシュ ◆XksB4AwhxU :2020/05/19(火) 21:05:21 avfV7EKo0
連日となりますが、投下します。


377 : 黄色と黒のクラッシュ ◆XksB4AwhxU :2020/05/19(火) 21:05:38 avfV7EKo0
深夜の街灯の光がほんのりと灯す公園のベンチに一人座り、思案している小学生。
「灰原哀…どうやら彼等の仕業じゃないようね」
名簿を確認した小学生は自分なりの結論を出す。
小学生の名は灰原哀。
本名は「宮野志保」とある組織にいた時のコードネームは「シェリー」
「もし、彼らが私を殺し合いに参加させるなら名簿の名は「シェリー」のはず。それに私に関わっている人達の名が見当たらない。そのことからも工藤君がいう「黒ずくめの組織」じゃないわ…」
宮野志保ことシェリーは組織の手により姉を殺害されたことから組織に反抗した。そして処刑される前に隠し持っていた、自身が開発した「アポトキシン4869」を飲んだ。
ところが予想に反して体が幼児化したことで無事脱出することができた。唯一の手掛かり工藤新一に会うために放浪しアガサ博士に保護され、「灰原哀」の名で生活をして今にいたる。
「それにしても、この公園はやはり米花公園ね…だけど、地図には米花町ではない施設も記されている…?」
名簿の次に地図を広げた哀は会場の地名に頭を悩ます。
「どういうこと…?そっくりに用意したのかしら?それに…あの神父さんがいっていた「スタンド」…わからないことだらけね」
哀は小さくため息をつく…
「それにしても…「スタンド」。まるで深夜アニメか何かの能力みたいね…イエローテンパランス」
哀が名前を呼ぶと突如、黄色いスライムが哀の周りを取り囲む。
「他人そっくりに変装することも出来るなんて、月下の奇術師も涙目ね…」
先ほど、哀はイエローテンパランスの力で、保護者の博士に必死になって逃げ隠れする人をネチネチ追い回して炙り出すことに悪魔的な才能を持った名探偵と親しい人物に変身できたことで「スタンド」の存在・能力を信じた。
「それじゃあ…まずはDISKとやらの解析ね。協力者も見つけないと…」
哀は方針を立てると移動を開始する。
ふと、哀の脳裏に一人の探偵の言葉が蘇る…
「逃げるなよ灰原…自分の運命から逃げるんじゃねーぞ…」
「…ええ。安心して。もう運命からは逃げないわ…だから、ちゃんと守りなさいよ…工藤君」
灰原のゲームの結末は哀で終わるか、それとも愛で終わるのか、まだわからない…


378 : 黄色と黒のクラッシュ ◆XksB4AwhxU :2020/05/19(火) 21:06:01 avfV7EKo0
【名前】灰原哀(本名 宮野志保)
【出典】名探偵コナン
【性別】女性
【能力・技能】
実年齢は18歳。「黒の組織」の元メンバーで、コードネームは「シェリー」。「APTX4869」の開発に携わった科学者だったということもあって頭の回転が速い。
現在は小学一年生の体となり生活している。
【参戦時期】現在の原作最新話(1054話終了後)

【スタンド】イエローテンパランス
【破壊力:D/スピード:C/射程距離:A/持続力:E/精密動作性:E/成長性:D】
【能力詳細】
相手に同化し、肉を取り込む不定形のスライムのようなスタンド。
全身に纏う事で他人そっくりに変装することもできる。
直接触ると触れた部位に食いつき吸収しはじめる「攻撃する防御壁」としての性質も持ち、食った対象のエネルギーを取り込んでパワーアップする。
【方針】
ゲームには参加せず生きて帰る。
協力者を探しつつ、DISKを解析できれば…と考えている。


379 : 黄色と黒のクラッシュ ◆XksB4AwhxU :2020/05/19(火) 21:06:24 avfV7EKo0
投下終了します。


380 : 金髪碧眼の侍 ◆XksB4AwhxU :2020/05/19(火) 22:46:08 avfV7EKo0
連続となりますが投稿します。


381 : 金髪碧眼の侍 ◆XksB4AwhxU :2020/05/19(火) 22:47:58 avfV7EKo0
「侍」多くの人がその言葉に昔、日本に存在した頭を月代にし、刀を帯刀していた日本人と連想するだろう…
しかし、その「侍」は目は碧眼・頭は月代でもなく、金髪でなんと日本人でない。
名は「ウィリアム」イングランドの元海賊。
「What does it mean? I should have been chasing a Spanish woman ...?」(どういうことだ?俺は、スペイン女を追いかけていたはず・・・?)
ウィリアムは蛇の男「ケリー」により奪われた、相棒の「シアーシャ」を取り戻すために島国日本へ航海した。
そこで出会った服部半蔵と共に関ヶ原の戦いへ参入しケリーの野望を阻止、ついに蘇った安土城にてケリーを討ちとった。
熾烈な戦いをとおして、己が戦う意味を見出しウィリアムはサムライの一人となった。
シュワワワ…光とともにウィリアムの守護霊「シアーシャ」が現れた。
「ウィリアム…」
「Sheasha!?」(シアーシャ!?)
「私がいる限り、あなたは何度でも死に…蘇る。でも、ここでは死んだら蘇らない…もしかしたらプッチとかいう男の能力かもしれない…」
「···all right」(…わかった)
ウィリアムはシアーシャの言葉を胸に刻む。
シアーシャはその姿を見て、安心すると姿を消した。
「Carp, stand!Magician's red!!」(こい、スタンド!マジシャンズレッド!!)
ウィリアムの呼び声に応えるかのごとくマジシャンズレッドが現れる。
「I will kill a priest named Pucci! So help me! !」(俺はプッチとかいう神父を斬る!だから、力を貸してくれ!!)
マジシャンズレッドはウィリアムの言葉にポージングで返す。
ウィリアムはそれを肯定と受け取り歩きだす。
「…First of all, I have to get a sword」(…まずは、刀を手に入れないと)
「鬼」を斬る侍は「神に仕える人」を斬れるのか…まだ、誰もわからない。


382 : 金髪碧眼の侍 ◆XksB4AwhxU :2020/05/19(火) 22:48:15 avfV7EKo0
【名前】ウィリアム
【出典】仁王
【性別】男性
【能力・技能】
日本刀を始めとし、二刀、槍、斧、鎖鎌、大太刀、旋棍、弓、銃、大筒といった武器を使用出来る。
守護霊を宿すことができ、彼らの力を開放して攻撃することもできる。
【参戦時期】仁王1終了後

【スタンド】マジシャンズレッド
【破壊力:B/スピード:B/射程距離:C/持続力:B/精密動作性:C/成長性:D】
【能力詳細】
炎と熱を操る能力を持つ。
炎=生命エネルギーということで、一定範囲内における生物の生命エネルギーを探知するといった芸当も可能。
【方針】
儀式を阻止してプッチを斬る!
まずは、武器を探す。(できたら、刀がいい)
※ウィリアムの英語はきちんと日本語として参加者に伝わる。ウィリアムもきちんと日本語が理解できる。
※制限により落命しても蘇えることはできない。
※守護霊はプッチの手により「シアーシャ」のみ。
シアーシャ
ゲール語で「自由」を意味する名を持つウィリアムの守護霊。人魚に似た姿をしており、人の胴体に魚の尾と鳥の翼を備え、危機とアムリタを察知する能力を持つ。


383 : 金髪碧眼の侍 ◆XksB4AwhxU :2020/05/19(火) 22:48:51 avfV7EKo0
投下終了します。


384 : 黄色と黒のクラッシュ ◆XksB4AwhxU :2020/05/19(火) 23:55:58 avfV7EKo0
すみません!スタンドが被っていました!コンペでは被りもありとのことですが、変更させてください。
イエローテンパランス→スケアリー・モンスターズ
【名前】灰原哀(本名 宮野志保)
【出典】名探偵コナン
【性別】女性
【能力・技能】
実年齢は18歳。「黒の組織」の元メンバーで、コードネームは「シェリー」。「APTX4869」の開発に携わった科学者だったということもあって頭の回転が速い。
現在は小学一年生の体となり生活している。
【参戦時期】現在の原作最新話(1054話終了後)

【スタンド】スケアリー・モンスターズ(DIO)
【破壊力:D/スピード:D/射程距離:B/持続力:A/精密動作性:C/成長性:B】
【能力詳細】
自分を含め、生物を恐竜化する能力。恐竜のデザインは自由自在で、ランプスタンドや背景にあわせた保護色の形態に変身させることが出来る。
小動物を恐竜化させ周囲の索敵を行ったり、自身を恐竜化する事で嗅覚や俊敏さ・動体視力等の身体能力の向上させる事なども可能。しかしこの状態では静止視力が大きく劣り、動いていないものがまったく見えないという欠点がある。
【方針】
ゲームには参加せず生きて帰る。
協力者を探しつつ、DISKを解析できれば…と考えている。(最悪、死体を調査など)


385 : 黄色と黒のクラッシュ ◆XksB4AwhxU :2020/05/19(火) 23:56:30 avfV7EKo0
深夜の街灯の光がほんのりと灯す公園のベンチに一人座り、思案している小学生。
「灰原哀…どうやら彼等の仕業じゃないようね」
名簿を確認した小学生は自分なりの結論を出す。
小学生の名は灰原哀。
本名は「宮野志保」とある組織にいた時のコードネームは「シェリー」
「もし、彼らが私を殺し合いに参加させるなら名簿の名は「シェリー」のはず。それに私に関わっている人達の名が見当たらない。そのことからも工藤君がいう「黒ずくめの組織」じゃないわ…」
宮野志保ことシェリーは組織の手により姉を殺害されたことから組織に反抗した。そして処刑される前に隠し持っていた、自身が開発した「アポトキシン4869」を飲んだ。
ところが予想に反して体が幼児化したことで無事脱出することができた。唯一の手掛かり工藤新一に会うために放浪しアガサ博士に保護され、「灰原哀」の名で生活をして今にいたる。
「それにしても、この公園はやはり米花公園ね…だけど、地図には米花町ではない施設も記されている…?」
名簿の次に地図を広げた哀は会場の地名に頭を悩ます。
「どういうこと…?そっくりに用意したのかしら?それに…あの神父さんがいっていた「スタンド」…わからないことだらけね」
哀は小さくため息をつく…
「それにしても…「スタンド」。まるで深夜アニメか何かの能力みたいね…」
街灯の光に誘われたのか哀の近くへ飛んできた蛾が突如、恐竜に変化した!
「生物を一瞬に恐竜に変化させるなんて、月下の奇術師も涙目ね…」
先ほど、哀はスケアリー・モンスターズの力で、アリやダンゴムシを恐竜に変化させたことで「スタンド」の存在・能力を信じた。
「それじゃあ…まずは体内にあるDISKとやらの解析ね。死体を調査するのは気が進まないけど…協力者も見つけないと…」
哀は方針を立てると移動を開始する。
ふと、哀の脳裏に一人の探偵の言葉が蘇る…
「逃げるなよ灰原…自分の運命から逃げるんじゃねーぞ…」
「…ええ。安心して。もう運命からは逃げないわ…だから、ちゃんと守りなさいよ…工藤君」
灰原のゲームの結末は哀で終わるか、それとも愛で終わるのか、まだわからない…


386 : 黄色と黒のクラッシュ ◆XksB4AwhxU :2020/05/19(火) 23:57:08 avfV7EKo0
変更の投下終了します。本当にご迷惑をおかけしました。


387 : ◆DWDMFPPpRw :2020/05/20(水) 04:11:38 p5ylbtaY0
投下します


388 : ◆DWDMFPPpRw :2020/05/20(水) 04:13:33 p5ylbtaY0
 
 深夜。人工物の影もない森林地帯。人影もないその場所でただ一人、闇に佇む男がいる。

「……」

 混乱、恐怖、怒り、あるいは闘志を吐露することが当然の状況での沈黙。この奇妙な催しにおいて、その男は、ただの一言も喋らずに黙々とデイパックを確認していた。
 男の纏う雰囲気は常人のそれではなく、青色の作業服という装いこそ普通の範疇だったが、異様なのが無表情を型どった白塗りのマスクである。
 所々風化したそれはすっぽりと彼の顔を覆い隠し、一切の素顔を隠している。唯一、露出している瞳の部分からは、この状況への恐怖や不安といった動機や感情は伺えない。それどころか、少しの人間性の欠片も感じられないような異質さがあった。

 人間社会では、時に癌細胞のごとく悪性としか言い様のない人間が生じる。彼らは他者を傷つける事に何の罪悪感も抱かない処か、それこそそれを望んで行い、躊躇いも抱かない。
 この男、マイケル・マイヤーズも、そういった悪性の類であった。

「……」
 
 この催しに招かれる少し前まで、マイケルは凡そ40年間、厳重な監視と警備体制によって精神病院に隔離されていた。
 彼を長年診察していた医師の手引きで脱走を果たした。その最中招かれたこの催しはマイケルにとっても未知の出来事であったが、彼は一切気にしていない。
 重要なのは、一級の危険人物である彼を見張る監視カメラや、行く手を阻む独房、拘束する鎖はここにはないという事だ。
 長い監禁生活で彼に施された数々の医師の治療は一切の効果がなく、彼の内には血を求める不変の邪悪がある。
 そして、ある意味純粋といっても過言ではないその欲求を満たすための力ー『スタンド』が、彼には与えられていた。
 デイパックに入っていたメモ書き。そこから自らのスタンドを理解したマイケルは、参加者を求めて歩き出す。
 半世紀近い時を経て自由になったブギーマンは、衝動のままに己の邪悪を解放しようとしていた。

【名前】マイケル・マイヤーズ
【出典】ハロウィン(2018年版)
【性別】男性
【人物背景】
 『ブギーマン』の異名を持つシリアルサイコキラー。
 性格は残忍を極め、善悪の区別を持たない。精神鑑定を行ったルーミス医師は彼を「純粋な邪悪」と評している。
 劇中では一切言葉を発しないが疾患などではなく「自発的にしゃべろうとしない」だけであり、作中で言及されている限りでは6歳のときから一切言葉を発していない。
 1957年10月19日、イリノイ州ハドンフィールドにマイヤーズ家の長男として誕生。
 6歳の時、姉であるジュディス・マイヤーズ(17歳)をキッチンナイフでめった刺しにして殺害。その後15年間、精神病院の閉鎖病棟に措置入院という形で収容されていた。
 1978年、21歳になったマイケルはハロウィンの前日に精神病院から脱走、ハロウィンで賑わうハドンフィールドへ向かい、殺戮の限りを尽くし、その後40年間精神病院に収容されていたが、医師の手助けによって脱走を果たした。
【能力・技能】
 生身の人間であるにも関わらず異様に強靭な肉体を持ち、拳銃やショットガンを喰らってもなお生存している。
 さらには超人的な怪力も持ち合わせ、分厚いドアを素手でぶちやぶったり大の大人を片手一本で軽々と持ち上げたり握力で頭蓋骨を砕いたりする。
 また、どこで習ったのか不自由なく車を運転できる。

【スタンド】リンプ・ビズキット
【破壊力ーなし / スピードーB / 射程距離ーB / 持続力ーA / 精密動作性ーC / 成長性ーE】
【能力詳細】
 透明なゾンビを作り出し操る能力。スタンド像は無い。ゾンビへのダメージは死体へフィードバックされる。
 作り出したゾンビは上も下も床も壁も関係なく動き回れる。また血を本能的に求めているため非常に凶暴。

【備考】
 参戦時期は移送中に脱走し、マスクを取り戻した直後。

【方針】
 マーダー。理由や動機は一切関係なく、ただ殺すだけ。


389 : ◆DWDMFPPpRw :2020/05/20(水) 04:13:59 p5ylbtaY0
投下終了です


390 : ◆2lsK9hNTNE :2020/05/20(水) 10:25:34 7utmyiYg0
投下します


391 : ◆2lsK9hNTNE :2020/05/20(水) 10:27:33 7utmyiYg0
 殺し合いをやれと言われる前、あたしは自殺しようとしていた。
 というか、一回はした。お医者さんからもらった睡眠薬を一年掛けて溜めて、がぶがぶ飲んで。でも、死ぬ前に病院に運ばれて失敗しちゃった。
 だから、病院から抜け出して、今度は崖から飛び降りて死のうと思った。そんな時に殺し合いをしろと言われました。
 もとから死ぬつもりだったから恐怖で震えたりとかはなかった。でも全く怖くないわけじゃない。死ぬのは怖くなくても殺されるのは怖いから。暴力は怖い。
 あたしは、誰かに見つかる前に、飛び降りに良さそうな場所でも見つけてとっとと自殺しちゃおうって考えた。
 でも、エンリコ・プッチさんが言ってたことにちょっと興味があった。スタンドってやつ。精神エネルギーの具現化、戦闘に扱いやすいものから扱いにくいものまで色々ある、なんて、まるで漫画みたい。
 常識で考えたらそんなものあるわけないんだけど、あたしはあまりに疑う気になれなかった。自分は本当にスタンドとかいうのを出せる、という感じがしていたんです。
 だから、実際に出そうとしてみて、手の中にハードカバーの本が現れてもそんなに驚きも無かった。想像とだいぶ違う形が意外ではあったけど。
 説明書によるとこの『本』にあたしの人生が全部書かれているらしい。
 あたしの人生、ダメ人間だから皆から嫌われて、嫌われるから辛く当たられて、嫌なことばかりの人生。わざわざ嫌な出来事のページなんて読みたくない。あたしはちょっとだけあった良かった出来事のページを読むことにした。
 あたしに意思に合わせて『本』が自動的に捲られて、一瞬で目当てのページが開かれる。あたしは『本』のページを覗き込んだ。
 そこにはその瞬間のすべてがあった。
 
 早く目が覚めてしまったその日のあたしは、なんとなく家の窓から外を眺めた。毎日見ていた家のすぐ近くの岬が、昇り始めたばかりの太陽に照らされて薄いオレンジ色で彩られていた。今となってはただの綺麗な景色。でもこの時のあたしにとっては、それは世界で何よりも美しい光景に映っていた。心が震えた。
 あたしの隣に父が立っている。顔も覚えていない最初の父親。なのにはっきりとその顔が頭に浮かぶ。父は言った。

「家の近くに立派な岬があるからお前の名前は岬だ」

 声は眠そうで、いま聞くと寝ぼけ半分で適当に言っているのだとわかる。でも当時のあたしはそんなことには気づかなかった
 この岬からあたしの岬という名前はつけられたんだ。父の言葉を噛み締め、高揚していた。

 その時の喜びが、感動が、たったいま感じたことかのように私の胸に刻まれる。
 何も考えずバカみたいに走った時の風を切る心地よさ。辛い日々の中で美味しいものを食べた時の一瞬の幸福。佐藤くんと一緒にいる時の、あたしよりダメなこの人ならダメな私とも一緒にいてくれるかもしれない、側にいてくれるかもしれないって、希望を抱いていた気持ち。
 過去のあたしにあった感情。今のあたしには感じられない記憶の中だけの感情。
 『本』は、その時の出来事も感情も全て、いまあたしに起こっていることとして感じさせた。
  
「あたし……こんなに嬉しかったんだ」

 楽しい思い出としては残しているつもりだった。でもいつのまにか嫌な思い出にすり潰されてすっかり色あせてしまっていた。『本』が伝える瞬間瞬間の感情は思い出よりもずっと強くて、鮮烈だった。

「こんなに嬉しい時があったんだ……あたしの人生に」

 いつの間にか目からは涙さえこぼれていた。あたしは『本』を閉じて拭う。
 もう大丈夫。あたしの人生には、あたしの『本』には、嫌なことばかりじゃなくて良いことはいっぱい書かれてるんだから。
 大丈夫。辛いことばっかり頭に浮かべて、逃げるように自殺したりなんてしない。
 大丈夫。
 大丈夫。
 大丈夫だから。
 どうかあたしを思い出と一緒に死なせてください。
 ただずっと静かに死ぬまで『本』を読んで過ごします。
 誰かを殺したりなんてしません。生き残りたいとも思いません。
 だからどうかあたしを殺さないでくだい。あたしに酷いことしないでください。
 お願いですからどうか、どうかあたしを、幸福な人生だったと勘違いさせたまま死なせてください。
 あたしを――幸せな人間にさせてください。


392 : ◆2lsK9hNTNE :2020/05/20(水) 10:27:57 7utmyiYg0
 【名前】中原岬
【出典】NHKにようこそ(原作)
【性別】女
【能力・技能】
ダメなあたしに特別な能力なんてありません

【スタンド】The Book
【破壊力:?/スピード:?/射程距離:?/持続力:?/精密動作性:?/成長性:?】
(公式データ不明)
【能力詳細】
本の形をしたスタンド。
本体の経験した事象、感情、思考は全てこの本に記述される。
この本に書かれた内容を自分、もしくは相手に読ませることでその記述内容を追体験させることが出来る。
中原岬のThe Bookには親に虐待された経験や、睡眠薬の大量服用により発見があと一歩遅れていた死亡していた重体になった経験が書かれている。もしもThe Bookを攻撃を使うとしたらこれらのページを使うことになるかもしれない。

【備考】
自殺のために岬に向かう途中からの参戦


【方針】
『本』に書かれた幸福な思い出に埋もれて死にたい。
 でも殺されたくはないのでとりあえず誰も殺しに来なそうな場所を探す。


393 : ◆2lsK9hNTNE :2020/05/20(水) 10:28:25 7utmyiYg0
投下終了。タイトルは「思い出の中でじっと……」です


394 : ◆DWDMFPPpRw :2020/05/20(水) 16:10:34 p5ylbtaY0
投下します


395 : 燐葉石の奇妙な冒険 ◆DWDMFPPpRw :2020/05/20(水) 16:12:40 p5ylbtaY0

「うわー!スゴいなぁ、こんなの見たことないや!」

 時間帯は深夜。住宅街。そこでフォスフォフィライトは能天気にはしゃいでいた。
 人類が滅びて久しい世界に生きる宝石にとって、この奇妙な催しは未知そのものだった。
 島に存在しない建築物もそうだが、兎に角、目に写る全てが物珍しさでフォスの好奇心を刺激する。

「『殺し合い』かぁ… 良く分かんないけど、月人との戦争みたいなことをしろってことだよね」

 先程見せられたプッチの宣告。『殺し合い』がどういう意味合いをさす言葉なのかは、ぼんやりとは分かった。だが、そこに死の実感はない。
 フォスフォフィライトを含めた全ての宝石たちは不死である。フォス自身も、どこか幼さを感じる外見とは反対に、既に数百年の歳月を生きている。宝石にとっての身近な死は、月人に連れ去られ道具に加工される事だ。それも気を付けていれば対処が可能だったし、破片を取り戻せば復活も狙えた。
 
「あんなことされたら、僕なんて一瞬でバラバラになっちゃうよ」
 
 『DISK』が何なのかは分からないが、あの映像のような事をされたら、宝石達の誰よりも脆いフォスは意図も簡単に粉々になるだろう。この場所で損傷したら、きっと月人に連れ去られることよりも困難な状態になる。それは漠然と察していた。
 先生も居ないし、戦った事は無いけど、自分の身は自分で守らなきゃいけない。
 そう決心したフォスは、起きたときに側に置かれていた黒い入れ物を確認し始めた。が、そこは宝石一の不器用。早速やらかした。
 パキ、と鈍い音がして、あっさり指が欠けてしまった。

「あっ、あちゃー、やっちゃった……」

 慌てて硬度に気を使わなかったのは少し焦りすぎた。そう後悔したが、次に起こった変化をみてすぐに驚愕に変わった。

「え、え、嘘! なにこれ!?」

 『直したいなぁ』。そうフォスが思った瞬間、欠けた指がより細かく砂のようにバラけ、一瞬で元のように修復された。欠けたときについたヒビも綺麗に直っていて、傷一つない。
 確かに自分たち宝石は欠けた部分をくっつけたら治るが、こういう治り方は見たことがない。その疑問は、デイパックの中にあったメモを確認したことで解消された。

「『貴方のスタンドはドクター・ウーです。自身の身体を粒子まで細かくでき、破片を操作できます。体内から他者を操ることも可能』……スゴい! これなら砕けても平気だぞ!」


396 : 燐葉石の奇妙な冒険 ◆DWDMFPPpRw :2020/05/20(水) 16:13:37 p5ylbtaY0

 脆く砕けやすい自分にとって、あまりに相性の良い能力。他者の手を借りずに擬似的に体を修復できるこのスタンドなら、脆い自分でもきっと何とかできる。
 そう希望を抱いたフォスは無邪気に喜ぶのだった。

【名前】フォスフォフィライト
【出典】宝石の国
【性別】ー
【能力・技能】

・宝石
 人型をした宝石生命体のような存在。それぞれ宝石の特徴を備え、一個体の髪も肌に当たる部分も中も同色で成り立っている。フォスは身体は燐葉石で、硬度3半、靭性最下級。色は薄荷色。
 性別がなく無性であり、生殖能力も持たず、男女の概念自体もない。
 体内に微小生物がインクルージョンとして内在されており、割れたり砕けたりしても破片が揃えばインクルージョンの働きで元に戻ることができるが、身体部位を欠損するとその部位に存在していたインクルージョンが保持していた記憶を失う。欠損した場合はインクルージョンを内在していない元の身体に近い構成の鉱物によって補うことも可能だが、接合が上手くいくかどうかはインクルージョンが補った部位にうまく馴染むかによる。砂粒程度に細かくなっても相応量が集まれば接合可能で、人型で復活できるため、死の概念がなく非常に長寿。

 前向きで明るく軽妙な性格だが、考え方に柔軟性がある。好奇心から無鉄砲な行動を取ることがあり、大事になって周囲を消耗させるトラブルメーカー。
 硬度と靭性が低いことから、身体が脆く腕力も低い上に不器用。
  保有しているインクルージョンが自身を構成しているものとは別の鉱物とでも共生がしやすいという、他の宝石たちにはみられない特性を持っている。そのため補完の成功率が高く、欠損部を別の鉱物によって補う事ができる。

【スタンド】ドクター・ウー
【破壊力―? / スピードー? / 射程距離ー? / 持続力ー? / 精密動作性ー? / 成長性ー?】
【能力詳細】
 ビジョンは無く、本体と一体化したスタンド。
 自身の身体を粒子のレベルにまで細かくでき、バラバラになった粒子は集まり戻って元の肉体になる。
 正確には『バラバラになった粒子は集まり戻って元の肉体になる』部分がスタンド能力であり、バラバラになること自体は本体の体質の影響が大きい。
 破片を他人の体内に侵入させることで操ることができる。またその人物がスタンド使いであればそのスタンドも操れる。
 少量の破片であればかなり強いパワーで自在に動かせる。これによって破片同士を擦り合わせて激しい騒音を発生させたり侵入する場所を選んで体内へ侵入したりできる。
 が、あまりに細かくなりすぎるとパワーも弱くなり、粘着テープやセメントなどで固定されると身動きが取れなくなる。
 破片全体を動かす場合は動きが遅く精密な動作はできないが、風を利用して宙に舞う、水道に侵入して水と一緒に移動するといった方法でカバーできる。

【備考】
 フォスの参戦時期はアニメ第一話後

【方針】
 生還。殺し合いに乗る気はない


397 : ◆DWDMFPPpRw :2020/05/20(水) 16:14:11 p5ylbtaY0
投下終了です


398 : ◆qkxwXX6cRk :2020/05/21(木) 17:37:29 kN1LKF7A0
投下します。


399 : これから「正義」の話をしよう ◆qkxwXX6cRk :2020/05/21(木) 17:38:55 kN1LKF7A0
「プッチ、お前は間違っている」
男の言葉は静かな、それでいて確かな怒気を含んでいた。
男の息子は多くの人間を殺した。
だがそれでも男は息子を愛していた。
だからこそ、男は息子に重すぎる罪を生きて償ってほしかった。
しかし男は息子を失った。

"生命は尊貴である。一人の生命は全地球よりも重い”
最高裁が死刑は憲法違反であるとする上告に対して下した、判決文の書き出しである。
大学生のときに講義でこの言葉を聞いたとき、なんと空々しい言葉かと呆れたものである。
この判決は上告を棄却して、死刑が合憲であるとうたったものだ。
だから、裁判官たちのこの言葉はなんら意味を持たないように思えた。
だが、警察官になり、数々の凶悪犯罪に対峙してきて、この言葉の持つ意味を考えることがあった。
我々は神などではない。
我々は完全ではない。
完全ではない人間の作り出した法律は不完全なものにすぎない。
だが、その不完全なものは正しくあろうとした人類の積み重ねだ。
たとえ人間の命を奪うという刑罰であっても—
青臭い「正義」だ。
だが我々はこの判決文の青臭さを常に噛みしめていなければならない。
それが法律により生命を奪い得る我々の責務だ。
目的のために身勝手に生命を奪うことなどあってはならない。


400 : これから「正義」の話をしよう ◆qkxwXX6cRk :2020/05/21(木) 17:39:36 kN1LKF7A0
今まで数々の凶悪犯に出会ってきた。
しかし本当に恐ろしいのは、私利私欲から犯罪を犯す人間ではない。
「善意」から犯罪を犯す人間なのだ。
思い出すのは連合赤軍事件、オウム真理教事件、そしてキラ事件。
プッチがそのような人間であったならば。
眉一つ動かさず、殺人を犯せる人間である。
何よりも恐ろしい相手になるだろう。

自分は愚かな父親だ。
息子は自分よりもはるかに優秀だった。
そして自分よりもずっと正義感が強かった。
だからこそ、あの悪魔のノートに魅入られてしまったのだ。
止めてやれなかったこと、気付いてやれなかったことは悔いても悔やみきれない。
だから、俺はプッチを止める、いや、止めなければならない。

支給されたスタンドを用いることが出来るほど、俺は自分の正義を盲信できない。
目的のために誰かに傷つくことを強いることなど許されるはずがない。
我々の誰も神になどなれない。
我々は常に迷いながら、傷つきながら生きていく。
だからこそ、不完全だからこそ、我々は人間であることができるのだ。
人は誰でも自分の人生を生きる権利がある。

俺は、そう信じる。


401 : これから「正義」の話をしよう ◆qkxwXX6cRk :2020/05/21(木) 17:40:34 kN1LKF7A0
【名前】夜神総一郎
【出典】デスノート(映画)
【性別】男
【能力・技能】非常に強い正義感

【スタンド】D4C-ラブトレイン-
【破壊力-A / スピード-A / 射程距離-C / 持続力- C(原作ではA) /成長性-C】
【能力詳細】
能力の中心として放射状に出来る空間の隙間をD4Cは移動することが出来る。
隙間にいる本体、およびD4Cへの攻撃はその隙間の延長線上にいる誰かに何らかの不幸という形で振りかかり(ヘタをつかまされる)本体に敵対する人物が何らかの形で負った傷も致命傷となる。
攻撃を加えたものは隙間から、ヘタをつかまされた誰かの不幸を目の当たりにすることになる。
本ロワでは以下の制約を加えられている。
1,能力の中心となるものは本体から離れた場所に出現する。
2,持続力はCとなる。
3,ヘタをつかまされる者は会場内にいる者に限られる。

【方針】
プッチとこの殺し合いを止める。スタンドは使わない。


402 : ◆qkxwXX6cRk :2020/05/21(木) 17:41:00 kN1LKF7A0
投下終了です。


403 : ◆Il3y9e1bmo :2020/05/21(木) 20:06:14 pEXQCOpw0
皆様、たくさんの投下ありがとうございます。
さて、この企画のコンペが始まってからもうすぐ二週間が経とうとしています。
候補話も私が思っていたよりもかなり多く投下していただき、本当に嬉しく思っています。
そこで、そろそろコンペの期限を定めさせていただきたく思います。

コンペの期限ですが、6月20日23時59分59秒までとさせていただきます。
それ以降に投下された候補話につきましてはコンペの対象外となりますので、ご了承くださいませ。
よろしくお願いいたします。


404 : ◆DWDMFPPpRw :2020/05/21(木) 21:54:26 7.uewsW.0
期限設定乙です。投下します


405 : 帰ってきた総統 ◆DWDMFPPpRw :2020/05/21(木) 21:55:10 7.uewsW.0

「あのような少女(フロイライン)を手にかけるとは……痛ましいことだ。エンリコ・プッチ、貴様がしたことは許せることではない」

 そう義憤を呟く男がいる。
 第三者がいればきっと驚愕したに違いない。何故なら彼は、義務教育を受けたことのある人物なら、一度は歴史の教科書で見かけたことのある人物であった。
 ゲルマン系の白人男性、上質に仕立てられた黒スーツの装い、そしてーーちょび髭。
 第二次世界大戦、ドイツ第三帝国。史上最悪の独裁者、アドルフ・ヒトラーは参加者としてこの場にいた。

「『現実は小説よりも奇なり』……確か東洋の言葉にそういった諺があったが、実に的を射ている」

 1945年の総統地下壕から2010年のベルリンに転移する、という人知を越えた経験を既に体験したことのあるヒトラーは、プッチの宣告とそれに伴った流血を見て怒りこそすれ、冷静さを保っていた。
 そして自身がどう立ち回るべきなのか、彼は既に知っていた。
 まず必要なのは戦力。それはある程度の目処がある。
 スタンド。未知の異能。ヒトラーには優秀な戦力が与えられていた。己の命令に忠実に従う小柄な兵士たちが。
 名称とデザインこそ気に入らないが、戦力としては中々に優秀であった。
 ならば次に求めるのは情報、そして人間だ。

 個人で出来ることは限界がある。
 団結の力をヒトラーは誰よりも知っている。
 必要なのは誰が責任をとるのかだ。 
 兵士は誰の命令で引き金を引くのか理解していなければならない。
 この野蛮な催しを否定する者は、それを止めるための暴力を行使する義務がある。
 善意からそれを否定する者も居るだろう。
 それは必要なことだ。
 そうした者には、その暴力の責任をもつものが此処に居ると証明すれば良い。

「この地にもザヴァツキのような好意的な人物がいれば良いのだが……」

 プッチを打倒し、ドイツの地に生還することを彼は誓った。
 『バッド・カンパニー』を引き連れた総統は、協力者を求めて歩き出す。
 例え、その仮定で悲劇が起こったとしても、それは仕方のない犠牲だと信じて。


【名前】アドルフ・ヒトラー
【出典】帰ってきたヒトラー(映画)
【性別】男
【能力・技能】
 ドイツ第三帝国総統。70年以上の未来に飛ばされたにもかかわらず、その優れた頭脳で的確に状況を把握できるなど有能。
 カリスマ性があり、演説させれば一級品。
 よくヒトラーになり切っているコメディアンであると誤解される。
 映画版では論破されて激高したり、犬を射殺したりと、やや小器になった。しかしそれでもめげずに自伝を執筆し、その売り上げを動物愛護団体に寄付して反省している姿勢を見せ、紳士的な人物であると民衆に思わせて人気を取り戻すなどのしたたかさも併せ持つ。

【スタンド】バッド・カンパニー
【破壊力-B/スピード-B/射程距離-C/持続力-B/精密動作性- C/成長性 - C】
【能力詳細】
 群体型かつ遠隔操作型のスタンド。
 主な構成は歩兵60体、戦車7台、戦闘ヘリ4機。それ以外にはグリーンベレーが1体登場する。
 歩兵のスケールは人間の10分の1程度。1人の火力はさほどでもないが、戦車やアパッチによる砲撃や、一斉射撃での破壊力は高い。

【備考】
 ヒトラーの参戦時期は本編中盤、番組でスキャンダルが発覚する直前。

【方針】
 対主催。仲間を募り、プッチを打倒する。手段は問わない


406 : ◆DWDMFPPpRw :2020/05/21(木) 21:55:38 7.uewsW.0
投下終了です


407 : ◆NIKUcB1AGw :2020/05/21(木) 22:37:26 LAGrAKp.0
期限把握です
投下します


408 : 死人は過去を求めない ◆NIKUcB1AGw :2020/05/21(木) 22:38:26 LAGrAKp.0
とある民家に、台所を派手に荒らす一人の青年の姿があった。
白いジャケットと前髪に入ったメッシュが特徴的な青年の名は、大道克己。
傭兵集団「NEVER」のリーダーだ。

「まったく、けちくさい主催者だぜ。お楽しみの途中で人を呼び出しておいて、ろくな武器も用意しねえ。
 報酬はそうとうがっつりもらわないと、割に合わねえぜ」

ぶつくさと不満を漏らしながら、克己は見つけ出した食事用のナイフ数本をしまい込む。
軍事用のナイフと比べればあまりに頼りないが、今はこれで我慢するしかない。
本来の武装であるガイアメモリとドライバーが没収されてしまっている以上、武器になるのは身についたナイフ術だけだ。
いちおう、主催者に与えられた「スタンド」なる能力もあるが……。
克己は、あまりそれを使う気にはなれなかった。

「過去のない俺に、過去を再生する能力を与えるとは……。
 本当に偶然か? 皮肉であてがったとしか思えないぜ」

克己に支給されたスタンドは、「ムーディー・ブルース」。
過去にその場であった出来事を知ることができるスタンドだ。
だがこの場で、過去の情報がどれほどの価値を持つというのか。
個人的な感情を抜きにしても、克己は自分のスタンドをハズレとしか思えなかった。

「頼れるのは自分の肉体のみか……。まあ、そんな戦いも一興だ。
 さっさと片付けて、風都に戻るとしよう」

冷たい笑みを浮かべながら、克己は民家を後にする。
出会う者全てを葬り去るために。

「さあ、箱庭に放り込まれた哀れな生け贄たちよ。
 存分に地獄を楽しみな……」


409 : 死人は過去を求めない ◆NIKUcB1AGw :2020/05/21(木) 22:39:38 LAGrAKp.0


【名前】大道克己
【出典】仮面ライダーW
【性別】男
【能力・技能】
『NEVER』
正式名称「ネクロ・オーバー」。
「死体蘇生酵素」によって蘇った死者。
生前より身体能力が大幅に向上しており、一般的な攻撃ではダメージを受けない頑強な肉体と化している。
ただし完全な不死身というわけではなく、体内の酵素が切れたり仮面ライダーの必殺技クラスの攻撃を受けると
体が塵となって崩壊してしまう。
また、生前の記憶や人格が徐々に失われていくという欠点も持つ。
今回は制限により耐久力が低下しており、普通の攻撃でもダメージを受けてしまう。

『ナイフ術』
純粋な鍛錬により習得した戦闘術。
NEVERの身体能力と相まって、一般的な軍人程度では相手にならない。

【人物背景】
傭兵集団「NEVER」の隊長。
幼少期に事故死するが、科学者の母が研究していた酵素により蘇生する。
元々は心優しい少年であったが、NEVERの副作用により徐々に人格が崩壊。
残された人間性もとある事件により完全に失われ、現在は冷酷非情な人物となっている。

【スタンド】ムーディー・ブルース
【破壊力:C/スピード:C/射程距離:A(再生中に限る)/持続力:A/精密動作性:C/成長性:C】
【能力詳細】
鼻や口がなく、のっぺりとした印象を受ける人型のスタンド。
指定された時間にその場にいた人物に変身し、その行動を再現することができる。
再現中はビデオのように、早送り、巻き戻し、一時停止などが可能。

【備考】
・参戦時期は映画「AtoZ 運命のガイアメモリ」劇中のどこか。Wに倒されてはいない。
・食料の代わりに、死体蘇生酵素が三日分支給されています。
・食事用のナイフ5本を現地調達しました。
【方針】
優勝狙い


410 : ◆NIKUcB1AGw :2020/05/21(木) 22:40:45 LAGrAKp.0
投下終了です


411 : ◆DWDMFPPpRw :2020/05/22(金) 04:07:13 mGgBOyGw0
投下します


412 : 無生物のParade ◆DWDMFPPpRw :2020/05/22(金) 04:07:55 mGgBOyGw0

「もはやどれが夢なのか。夢の虚ろの外なのか。考察するのも野暮の大峠。月夜で影が歩きます。明かりは空を照らすのに、月夜は床を砕けずに、有象無象の迷子が思う、正義の道は通せェんぼ!」

 おかっぱ頭に着物姿。どこか童女の日本人形のような装いをした男が、正気の向こう側を覗いたような表情で、幽鬼のように住宅街をさまよっていた。
 その男、氷室は狂っていた。

「未熟性の少女が電光花火を咲かせます。遠き島へと流れ行く、若き左脳は山葵味。夢のうつつに現れる顔写真。もはや常軌に味はなく、渡りに与えるは赤信号」

 プッチ神父の宣告と少女の見せしめ。その映像が氷室の脳内でミキサーのようにシェイクされ、未知の法則で言語に変換される。

「聖書の司会が語るは戦時中。神か仏も宗旨変え、魑魅魍魎の行進に占うは大凶! 
 月夜の民の寝心地は、月夜で照らすだけなのに。シナプスに咲く絶望は、聖書印の葡萄酒。5%が執行中か」

 そうして吐き出される言葉、その全てに正気の欠片も見受けられない。
 ここが殺し合いの場だと理解しているのかいないのか、それすらも不透明なまま、彼は夢に囚われ続ける。
 唐突に、氷室の歩みが止まった。月夜の照らされた顔は憤怒に染まっていた。

「無知蒙昧の悪漢が、聖なる夢に触れたなら、どんな裁きが下るやら」

 氷室は不格好に踊り出す。脳内に響くパレードの楽器に合わせ、脳内で展開される可燃ゴミたちの先頭を追尾するように。
 先頭はポストと冷蔵庫だった。可燃ゴミの掲げる神輿の玉座には誰も座っていない。
 山と積まれた人形たちが、氷室の顔を覗いていた。彼は笑った。人形たちも笑っていた。全員が彼と同じ顔をしていた。

「真昼の聖夜の傲りこそ、月夜の民の思うつぼ、うかつに足を踏み込めば、そうとあれかし下剋上!」

 花吹雪の雨、カエルたちの笛や太鼓に合わせて回収中の不燃ゴミが吹き出してくる様は圧巻で、まるでコンピューター・グラフィックスのようであった。
 そんな狂気の行進を、一匹の小鳥が低空飛行で通りすぎる。
 夢を夢で終わらせないために、より多くを巻き込むためにそのスタンドは飛び立った。

「孤独な鳥の幽波紋、一人じゃ寂しい青い鳥! 島の向こうの白蛇も、夢見ぬ迷子も皆で往こう大渋滞! そうしてなされる憂さ晴らし!」


【名前】氷室啓
【出典】パプリカ
【性別】男
【能力・技能】

・DCミニ
 装着者の夢をデータ的に記録できる開発中の小型サイコセラピー装置。
 悪用すると第三者の夢を操ることができる他、夢を見ていない覚醒した状態でも精神世界に干渉するようになる。
 氷室はこれを盗みだし、テロに使用、誇大妄想患者の夢を見続けた事で精神が錯乱した。
 長時間に及ぶ使用を続けたためか、氷室の頭部と一体化している。

【スタンド】ナイトバード・フライング
【破壊力 - E /スピード - A /射程距離 - A /持続力 - A(症状が続く限り) /精密動作性 - E /成長性 - E 】
【能力詳細】
 小鳥の姿をした半自律型のスタンド。
 人間の魂を探知して追尾し、相手を末期的な麻薬中毒症状に汚染し幻覚を見せる能力。
 幻覚の内容は攻撃対象によって変わるが、今回は氷室の見ている夢の影響により、ほぼ『パレード』に固定されている。
 精神だけでなく肉体にも影響を及ぼし、痛覚を奪ったり平衡感覚を狂わせることによって相手の戦闘力を低下させることも可能。
 さらには人間の魂を探知するという性質から、自分たちに近づいてくる敵の存在を事前に把握したり、本体から離れた場所で能力を使っても「魂の消滅」を感じ取ることで大雑把ながら死者数を感知することもできるなど、応用の幅が広い。

【備考】
 『ナイトバード・フライング』の射程距離は1エリア分に制限されていますが、DCミニの影響もあり無差別に夢をばらまいています。

【方針】
 対主催。しかし正常な判断を喪っているため、夢の赴くままに行動する。


413 : ◆DWDMFPPpRw :2020/05/22(金) 04:09:26 mGgBOyGw0
投下終了です


414 : ◆NIKUcB1AGw :2020/05/22(金) 20:48:46 rXeSIiKU0
投下します


415 : ブラッディ・ファントム ◆NIKUcB1AGw :2020/05/22(金) 20:49:44 rXeSIiKU0
闇に包まれた路地裏を、一人の男が進んでいく。
覆面のように顔にまいた布でも隠せぬその異様な光をたたえた目は、男がまともな人間でないことを雄弁に語っていた。
彼の名はステイン。またの名を「ヒーロー殺し」。
ヒーローが日常のものとなった世界において、おのれの理想にそぐわぬヒーローを「まがい物」と断じて殺害してきた、凶悪犯である。

あれは、許容できない。

プッチの姿を見たとき、ステインの中に浮かんだ感情がそれだった。
あいつの目には、強い信念を感じた。そこは評価しよう。
だがあいつは、おのれの行いを「悪」だとはまったく思っていないようだった。
ステインでも、自分の行いが世間一般からすれば「悪事」であることくらいは理解している。
だがプッチには、それがない。
自分のやっていることは善行であり、そのためにはいかなる犠牲が出ても罪にならない。
プッチの振る舞いからは、心の底からそう思っているというのが伝わってきた。

おのれを悪と気づかぬ悪は、この世に混乱しか生み出さない。
強い信念を持つ者は好ましいが、あいつだけは殺さなければならない。

ステインは、静かにそう決意する。
だが、現状ではそれを達成するのは難しい。
今いるのは、プッチが用意した箱庭の中。
持ち歩いていた武器も、全て取り上げられてしまっている。

確実にあいつに接近する手段は、この殺し合いで勝ち残ることだが……。

それはできない。誰彼かまわず殺すのでは、ヴィラン以下の畜生だ。
もはやヒーロー殺しは、ヒーロー殺したり得ない。
ならば自力でこの場を脱出し、プッチに迫る方法を見つけるしかない。
誰かの協力は期待できない。
一般市民の信頼を得るには、「ヒーロー殺し」の悪名は広がりすぎている。
相手が「ヒーロー殺し」の容貌を知らなかったとしても、こんな怪しい身なりの人間をそうそう信用はしないだろう。
協力できるとしたら、自分と同様に「殺し合いに否定的なヴィラン」くらいだろうが……。
そんな人間に偶然出会える可能性など、高いとは思えない。

なに、いつもどおり……。いつもどおり、一人でやるだけだ。

自分には鍛え上げた肉体と、個性がある。
一人の戦いも、苦にはならない。
そして今は、新たな力も得ている。
殺そうとする相手から与えられた力に頼るのは癪だが、この状況では使えるものは何でも使わなければならない。
幸か不幸か、自分との相性は悪くない。
せいぜい、利用できるだけ利用させてもらうとしよう。

ロォォォォォド

おのれの体内から響く奇声に、ステインは一瞬顔をしかめる。
しかしすぐに表情を戻し、表通りに向かって歩いて行った。


416 : ブラッディ・ファントム ◆NIKUcB1AGw :2020/05/22(金) 20:50:55 rXeSIiKU0


【名前】ステイン(赤黒血染)
【出典】僕のヒーローアカデミア
【性別】男
【能力・技能】
『凝血』
ステインの「個性」。
他人の血液を経口摂取することにより、一定時間相手の体を動かなくする。
効果時間は相手の血液型によって変わり、O<A<AB<Bの順で長くなる。

【人物背景】
「ヒーロー殺し」の別名で恐れられるヴィラン。
元はヒーロー志望の青年だったが、内部から見えたヒーロー業界の腐敗に絶望してドロップアウト。
その後10年以上にわたって鍛練を積み、おのれの意にそぐわないヒーローを襲うヴィランとして活動するようになる。

【スタンド】メタリカ
【破壊力:C/スピード:C/射程距離:C/持続力:A/精密動作性:C/成長性:C】
【能力詳細】
群体型かつビジョンが本体の体内に出現するという、異色のスタンド。
磁力により鉄分を操る能力を持ち、相手の血液に含まれる鉄分から刃物を作成し、体内から切り裂くという攻撃を得意とする。
その他に本体に砂鉄をまとわせて風景に同化したり、切断された肉体を強引にくっつけたりといった芸当も可能。

【備考】
参戦時期は逮捕後。
【方針】
主催者の殺害


417 : ◆NIKUcB1AGw :2020/05/22(金) 20:51:42 rXeSIiKU0
投下終了です


418 : Massacre! ◆XksB4AwhxU :2020/05/22(金) 22:37:39 aIAbcNP.0
できたので、投下します。


419 : Massacre! ◆XksB4AwhxU :2020/05/22(金) 22:39:33 aIAbcNP.0

「・・・・・」
ブブブブブブ!!!!!
「・・・・・」
ブブブブブ!!!!!
真夜中の森の中、一匹の蜂が飛んでいる。
ブン!ブン!ブン!ハチがとぶ♪
しかも、童謡に出てくる歌詞のような蜂ではない・・・
その蜂の外見は顔面右側が赤く焼けただれている。
赤くただれた外見から付けられた名は「赤目」
スズメバチ達のリーダー的存在。
赤目はプッチから命じられた殺し合いにのった。
「願いを何でもひとつだけ叶えよう」
赤目にとって、優先すべきは自分の右目を奪った虫たちの生き残りであるミツバチの「パズー」の命。
願いでパズーを殺すか、右目を元に戻すのか、どっちにしても赤目にとっては乗るに値する報酬。
「・・・・・」
ブッ!ブブッ!!!
赤目が勢いよく羽根を動かすと、なんと「クワガタムシ」が現れた。
それは、ただのクワガタムシではなく、スタンド「タワーオブグレー」
ブォォォォォン!!!!!!
タワーオブグレーは周囲の虫たちの口を貫くと、その血で樹木に「Massacre!(みな殺し)」と書き殴った!
その一連の動きを見ていた赤目は満足そうに頷き、飛ぶ。
参加者たちをMassacre!するために・・・


420 : Massacre! ◆XksB4AwhxU :2020/05/22(金) 22:40:03 aIAbcNP.0
【名前】赤目
【出典】サバイビー
【性別】オス
【能力・技能】
バズーの宿敵となるオオスズメバチ。
みなしごの仲間達を殺戮した際にイップが放ったガスで顔面右側を焼かれて右目をつぶされ(その赤くただれた顔からこの名がついた)、それ以降生き残りであるバズーを執拗に追う。
他のスズメバチに比べ好戦的で体力があり、決戦においてもブレイズとの一騎討ちで負傷させるほど。スズメバチ達のリーダー的存在で、他のスズメバチに指示を出し計画的な狩りもする。
【参戦時期】 原作1話後

【スタンド】タワーオブグレー
【破壊力:E/スピード:A/射程距離:A/持続力:C/精密動作性:E/成長性:E】
【能力詳細】
羽で飛行し主に口から突き出す針「塔針(タワーニードル)」で攻撃、相手の舌を引き千切ることを好む。
特筆すべきはスピード。
【方針】
参加者のMassacre!
優勝の願いは「パズーの命」か「赤くただれた右目の復活」どちらにするか悩み中


421 : Massacre! ◆XksB4AwhxU :2020/05/22(金) 22:40:36 aIAbcNP.0
投下終了します。


422 : Massacre! ◆XksB4AwhxU :2020/05/22(金) 22:45:32 aIAbcNP.0
バズーをパズーと書いていました。
訂正板を載せます。毎度、すみません。


423 : Massacre! ◆XksB4AwhxU :2020/05/22(金) 22:46:01 aIAbcNP.0
「・・・・・」
ブブブブブブ!!!!!
「・・・・・」
ブブブブブ!!!!!
真夜中の森の中、一匹の蜂が飛んでいる。
ブン!ブン!ブン!ハチがとぶ♪
しかも、童謡に出てくる歌詞のような蜂ではない・・・
その蜂の外見は顔面右側が赤く焼けただれている。
赤くただれた外見から付けられた名は「赤目」
スズメバチ達のリーダー的存在。
赤目はプッチから命じられた殺し合いにのった。
「願いを何でもひとつだけ叶えよう」
赤目にとって、優先すべきは自分の右目を奪った虫たちの生き残りであるミツバチの「バズー」の命。
願いでバズーを殺すか、右目を元に戻すのか、どっちにしても赤目にとっては乗るに値する報酬。
「・・・・・」
ブッ!ブブッ!!!
赤目が勢いよく羽根を動かすと、なんと「クワガタムシ」が現れた。
それは、ただのクワガタムシではなく、スタンド「タワーオブグレー」
ブォォォォォン!!!!!!
タワーオブグレーは周囲の虫たちの口を貫くと、その血で樹木に「Massacre!(みな殺し)」と書き殴った!
その一連の動きを見ていた赤目は満足そうに頷き、飛ぶ。


424 : Massacre! ◆XksB4AwhxU :2020/05/22(金) 22:46:46 aIAbcNP.0
【名前】赤目
【出典】サバイビー
【性別】オス
【能力・技能】
バズーの宿敵となるオオスズメバチ。
みなしごの仲間達を殺戮した際にイップが放ったガスで顔面右側を焼かれて右目をつぶされ(その赤くただれた顔からこの名がついた)、それ以降生き残りであるバズーを執拗に追う。
他のスズメバチに比べ好戦的で体力があり、決戦においてもブレイズとの一騎討ちで負傷させるほど。スズメバチ達のリーダー的存在で、他のスズメバチに指示を出し計画的な狩りもする。
【参戦時期】 原作1話後

【スタンド】タワーオブグレー
【破壊力:E/スピード:A/射程距離:A/持続力:C/精密動作性:E/成長性:E】
【能力詳細】
羽で飛行し主に口から突き出す針「塔針(タワーニードル)」で攻撃、相手の舌を引き千切ることを好む。
特筆すべきはスピード。
【方針】
参加者のMassacre!
優勝の願いは「バズーの命」か「赤くただれた右目の復活」どちらにするか悩み中


425 : Massacre! ◆XksB4AwhxU :2020/05/22(金) 22:47:16 aIAbcNP.0
訂正の投下、終了します。


426 : ◆dM45bKjPN2 :2020/05/23(土) 01:14:55 nZ8H7Zjs0
投下します。


427 : ◆dM45bKjPN2 :2020/05/23(土) 01:16:02 nZ8H7Zjs0
 眠るたびに、空を見る。
 遠く遠く、何処までも遠く。手を伸ばしても、いくら登ってもてっぺんには届かない。
 何でだろう。私には届かない場所なのだろうか。
 登り始めたら、降りられない。てっぺんにも届かない。だから、登り続けるしかない。
 登る前は『そんな大きくないな』、なんて思っていたのに。足をかけると、遠く遠く彼方のように思えてくる。
 私の人生はジャングルジム。側から見れば短くて仕方がないのに、いざ登ってみると長くて長くて仕方がない。
 指を伸ばす。てっぺんはまだ見えない。
 指を掛ける。てっぺんはまだ見えない。
 てっぺんが、いつまで経っても見えない。
 いつからだろう。てっぺんが、少し見えたような気がしたのは。

『べつに詳しいってことないけど…昔、この公園でジャングルジムに登ったことがあるよ』

 いつまで経っても見えないのに。
 あなたがいるから、見えた気がした。届く気がした。
 どうしようもなく途方も無いてっぺんが、確かに、見えた気がしたのだ。
 ふと気がつくと、隣で誰かが一緒に登っている。手を取り合うでもなく、言葉を交わすでもなく、ただただ一緒に登っている。
 言葉なんてなくても通じ合っている。そんな自惚れは、もう無いと思う。
 だから、一緒に。
 てっぺんが見えてきた気がしただけだけれど。
 まだまだ指は届きそうに無いけれど。

 ───長いなぁ、これ。

 それでも、登ってみようと思うんだ。
 少しずつでいいよ、私を思い出すのは。
 私も少しずつ───時間をかけて、このジャングルジムを登るから。
 この心を、形にするから。

◯ ◯ ◯ ◯
「…めっちゃ寝てた」

 寝ぼけ眼を擦りながら、少女が目を覚ます。まつ毛は長く、眼は大きく。ショートの頭髪は
 茶のスカートにゆったりとしたシャツ。少し崩れた深緑のジャケットを羽織り直して、きょろきょろと辺りを見渡す。

「変な夢も見たし…映画の見過ぎかな。スプラッタだったけど」

 等間隔に並べられた座席の群れ。明かりがついていない真っ暗な空間。縦長に作られた通路。
 バスだ。街の中をぐるぐると走るタイプの、バス。

「他に人、いないな」

 並べられた座席に人の姿は無く。自分だけの空間に、少女は少し驚いた。
 乗客がいないどころか、運転手すら不在なのだ。これではバスが動かない。
 自動運転がどうとかニュースで見た覚えがあるような気がするが、バスにももう搭載されていたりするのだろうか。少女は適当なことを考えながら、再び一番後ろの座席へ座る。

「うわ、もう夜だ。…ああ、そうだ。連絡しなきゃ」

 バスに乗ったまま寝過ごした。その短文を打つためだけに、少女はポケットに手を伸ばし───

「あれ。スマホ、ない。…何処かで忘れてきたかな」

 もう一度辺りを見渡してみると、見覚えのないデイパックが一つ。背負うタイプのもので、そう奇抜なデザインでもなく、ただ佇んでいた。
 特に考えたわけでもないけれど、プロデューサーのものだろうか。代わりに持った覚えはないけれど。
 開けてみると、地図やら何やら沢山入っている。まるでサバイバル前の準備みたいだ。
 地図はどうせ読んでもわからない。他の書類も後回しにしてスマホを探したが、結局見つからなかった。

「…うーん。仕方ないか、歩いてコンビニでも探そ」

 少女は後部座席から腰を上げると、『座っていた座席にジッパーを取り付け、そのまま開いて』外へ出る。
 うーん、と身体をよく伸ばす。座ったまま寝ているとどうも身体が強張る。
 コンビニとかあるかな、と周囲を見渡し。そこで、やっと。

 背後に立つ、青と白を基調とし身体にジッパー、頭に棘の装飾をつけた未知の存在を確認した。

「…」

 少女と青と白の者の視線が交差する。
 否、交差したような、気がした。棘の装飾で顔が隠されているのだ、目線などわかるはずもない。
 そして。

「───え、誰」

 少女、浅倉透は。
 この時、ようやく『スティッキィ・フィンガーズ』を認識した。


428 : 一つに繋がる透明 ◆dM45bKjPN2 :2020/05/23(土) 01:16:25 nZ8H7Zjs0
 ───そして、しばらく時間が経過した後。
 透は流れで持ってきてしまったデイパックのメモを発見したことにより、『スティッキィ・フィンガーズ』という名を持つものだと理解した。
 総称して『スタンド』。ジッパーを取り付けたり色々出来るらしい。
 無自覚に使用していたスタンドを、透は今度こそ己の感覚で操る。
 地面にジッパーを生やし、潜ったり。ジッパーを閉じる勢いで移動してみたり。少しアトラクションのようで楽しかったのは秘密だ。

「映画みたい。夢かと思った」

 そう、スティッキィ・フィンガーズへと話しかける。彼は何も言わない。
 ただ。側に、立っている。故にスタンドなのだ。

「私、なんか変な夢見たんだけどさ。とりあえず帰らなきゃいけないんだ」

 一週間後。透はプロデューサーの案内でオーディションを受けることになっている。
 だから、それまでには帰らなければいけない。寝過ごして迷っている、暇はない。

「───協力してくれる?」

 透が、手を伸ばす。スティッキィ・フィンガーズがその手を掴む。
 握手に似た、その行動。

「……ふふ、二人なら行けそうな気がする」

 透き通るような、青と白の二人。
 殺し合いの場には不釣り合いなほど、何処か透明で───消え去りそうな、二人だった。

◯ ◯ ◯


429 : 一つに繋がる透明 ◆dM45bKjPN2 :2020/05/23(土) 01:17:50 nZ8H7Zjs0
『運命とは眠れる奴隷だ、オレたちはそれを解き放つ事が出来た』

『それが勝利なんだ』

 スティッキィ・フィンガーズ。
 かつて。父親のために、そして自分のために、自分で道を決めた男のスタンド。
 物体に貼り付けたジッパーは一つのものを二つに分かち。
 異なるものを、一つに繋げる。
 新しく道を進む透明な彼女に、その力は宿った。

『べつに詳しいってことないけど…昔、この公園でジャングルジムに登ったことがあるよ』

 少しずつ。思い出してくれるのなら、それでいい。
 私も少しずつ、この道を進むから。
 決して交わらぬジャングルジムを登る二人でも。
 きっと、てっぺんなら───交わり、一つに繋がると信じているから。

 今日も私はジャングルジムに指を掛ける。てっぺんはまだまだ。しつこいほど何度も言うけれど、遠くて遠くて仕方がない。
 それでも、私はこの指を掛けるのだ。
 この先に。
 見えないてっぺんと、私を探すあの人が、待っていると思うから。

 スティッキィ・フィンガーズ(盗み癖の指)。
 スティッキィ・フィンガーズ(キャッチする指)。
 しっかりとジャングルジムを掴む、スティッキィ。
 私の人生だけは、離さず掴んで、登り続ける。

【名前】浅倉 透
【出典】アイドルマスター シャイニーカラーズ
【性別】女性
【人物背景】
 283プロダクション所属のアイドル。
 オーラがあり、先輩のモデルやスタッフ達に挨拶されるほど。しかしその風格や顔の良さに反してかなり抜けており、特に物事を考えていないことも。
 物事を感覚的に捉えることもしばしば。
 幼馴染で構成されたアイドルユニット『ノクチル』のメンバーであり、担当プロデューサーとは遠い過去に会っていたようで───

【能力・技能】
 アイドルという世界においても飛び抜けたオーラ。
 案外心が強い。

【スタンド】スティッキィ・フィンガーズ
【破壊力:A / スピード:A / 射程距離:E→C / 持続力:D / 精密動作性:C / 成長性:D】
【能力詳細】
 近距離パワー型の人型タイプ。能力は『拳で触れた対象にジッパーを取り付ける』能力。
 屈指の戦闘力、応用力、利便性を兼ね備えた優秀なスタンドである。硬度を無視した対象の切断、ジッパーによる射程距離の延長、閉じるジッパーによる高速移動、ジッパーを利用した空間移動と能力の応用の幅は広い。

【方針】
 バスの中で寝ていたため、寝過ごしてしまった、夢を見ていたと誤解している。
 とりあえず事務所か家に帰りたいが、どうするか。

【備考】
 参戦時期は不明。ある程度プロデュースは進んでいる模様。どの程度コミュが進んでいるかはお任せします。
 スティッキィ・フィンガーズの動かし方を無意識に会得しています。


430 : ◆dM45bKjPN2 :2020/05/23(土) 01:18:07 nZ8H7Zjs0
以上です。


431 : ◆DWDMFPPpRw :2020/05/23(土) 04:26:11 AZ5wj7So0
投下します


432 : パイレーツ・オブ・ストレングス ◆DWDMFPPpRw :2020/05/23(土) 04:27:29 AZ5wj7So0
 深夜の港。海に浮かぶのは巨大な貨物船。その船の甲板で胡座をかくのは、一人の風変わりな風貌をした男だった。
 一言で述べるのならカリブの海賊といった出で立ちの男は、月夜を見上げ、そしてぐるりと海を見渡す。
 男の名はジャック・スパロウ。七つの海で知られる海賊である。

「『ストレングス』だったか? こりゃ凄いな。こんな船はみたことない」

 ジャックは自らの船に感心したかように甲板を撫でる。
 ジャックに与えられた『ストレングス』は、彼にとって理想のスタンドであった。  
 巨大な貨物船であるこの船は、しかし最初はただの古い小舟だった。
 浜辺にて支給されたらしきそれに彼が触れた途端、瞬く間に膨張し、あっという間に貨物船に変化したのだ。
さしものジャックもその光景は唖然としたものの、それが与えられた『スタンド』という能力であると知ると素直に歓喜した。
 何せ、この船には風も帆も必要なく、望めばどのような航海もジャック一人でできるのだ。
 この能力を把握したとき、ジャックは当然のように外洋への脱出を試みた。しかし、如何なる理屈か、どうやら全体が結界のようなもので覆われているらしく、どうやっても出ることができなかった。
 星の位置や潮の流れから、東方のどこか。ということはわかる。態々カリブから自分を誘拐するとは、どうやらあのプッチという男は相当な物好きらしい。

「しかしまあ、俺はこう見えて紳士的な性格でね。暴力沙汰は嫌いなんだ」

 今のところ、ジャックは殺し合いに乗る気はない。海賊とは自由なものだ。戦いを否定する気はないし、願いを叶えるという言葉に興味も引かれるが、強制されるのは性に合わない。
 それに、あのプッチと名乗った男はどうにも信用できない。どこか東インド貿易会社の提督を思い出す。

「さてさて、そうなると必要なのは情報か船員、ラム酒もあれば文句なしだ」

 デイパックに入っていた地図を見ると、港から内陸に向けて川が繋がっていた。浅瀬ならば座礁しかねないが、スタンドであるこの船なら川岸の航海も可能だろう。
 そう判断したジャックは、内陸に向けて舵を取る。片手にもつコンパスを確かめながら、キャプテン・ジャック・スパロウは帆を進めるのだった。

【名前】ジャック・スパロウ
【出典】パイレーツ・オブ・カリビアン
【性別】男
【人物背景】
 映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズの主人公にして、世界一速いと謳われた海賊船「ブラック・パール号」の船長。
 皮肉屋で現金、人を食ったような態度で他人と接する掴みどころのない男。
 その癖おしゃべりでお調子者の上に我儘なため、傍から見れば大口を叩いて人をおちょくる嫌な奴にしか見えない。
 何より重要なこと、特に自身の個人的なことに関してはとことん秘密にする主義で、この癖を原因に劇中でも様々な混乱と災難に見舞われている。
 その一方、海賊でありながら残虐な行いを嫌い、非道になり切れず情に脆い部分もあり、『流血とは縁の無い海賊』という異名があるほど。

【能力・技能】
 小物臭さとは裏腹に、時に友人や縁者のために力を振るい、剣術等の腕っぷしも強く、巧みな話術による交渉で相手を丸め込み、大胆な奇策と天性の勘の鋭さで、自分よりも強い相手を出し抜いて打ち負かしてしまうという策士な一面がある。

【スタンド】ストレングス
【破壊力 - B / スピード - D / 持続力 - A / 射程距離 - D / 精密動作性 - E / 成長性 - E】
【能力詳細】
 挑戦、強い意志、秘められた本能を意味する、タロット大アルカナ8番目のカード「力」の暗示を持つスタンド。
 船と一体化し、巨大な貨物船として顕現する物質同化型スタンド。
 船の中の物はクレーン、扇風機のプロペラ、ガラスの破片に至るまで本体の思うがままに動かすことができる。

【備考】
 ジャックの参戦時期は『ワールド・エンド』終了時。
 港にて『ストレングス』に乗船中。川伝いに内地に移動しています。
 『ストレングス』の元になるボロ舟が支給されています。

【方針】
 対主催。海賊として自由気ままに行動する。


433 : ◆DWDMFPPpRw :2020/05/23(土) 04:28:36 AZ5wj7So0
投下終了です


434 : 名無しさん :2020/05/23(土) 12:23:58 qE1SvJjc0
投下します


435 : 両方やるのは無理 :2020/05/23(土) 12:25:42 qE1SvJjc0

「ええ〜〜!なにそれ!どういうことぉ!?」

目を覚ました松野カラ松は今見た夢の内容を反芻し、普
段の難解で気障ったらしい口調も忘れ、サングラスを震える手でカチャカチャカチャカチャかけたり外したりを
繰り返していた。
だがそこにあるのはシャイなカラ松ガールズでもうんざりするほど見慣れた兄弟の顔でもいつもの川の水面に瞬く光でもない。見ず知らずの土地である。

「ぶ、ブラザー……?」

返事は無い。

「……おそ松?」「チョロ松?」「一松!?」
「十四むあ〜つ!?」「とっ、とど松ゥ〜〜ッ!!!」

兄弟の名を呼んでも虚しい木霊が響くのみだ。

「フッ、これこにそが真の静寂と孤独トゥルーサイレントエーンドロンリネス、か」

平静を保つために格好つけようが元来臆病なタチである。その膝はガクガク震え、革ジャンの中で流れる滝のような汗が自身の顔がプリントされたインナータンクトップをビッショリ濡らしていた。
持っていたデイパックを縋るようにあらためる。必要最低限の食料やサバイバルグッズ、自分の名も記載されているゾッとするリスト、そして奇妙なメモ……。
カラ松はこれまでに何度かさらわれた経験がある。
そのまま火災りのち車に繋かれたりチェーンソーで切り刻まれた事だってある。
しかしこんなパターンは初めてだった。

あの神父らしき男は何と言っただろうか?

「儀式」「殺し合い」「生き残った一人の願いをかなえる」──そして弾けた女の頭部。あまりにも残酷で血生臭い。

「ヤダヤダヤダ〜ッ、死にたくなーい!帰りた一ーい!!アァーーーッ!!!」

カラ松は恥も外聞も無く泣き叫ぶ。
いくら生まれ育った赤塚で起こる理不尽な暴力に慣れていようが、痛いのは嫌だし死ぬのだってもうゴメンだった。

「どうして僕がこんな目にぃ……皆がいれば協力して……」
「……」
「いや〜無いな!無いない」
この間一秒である。

(あいつらがいれば最終的に俺たちで殺し合いが始まるに決まっている!そうさあいつらが俺で俺があいつら!手に取るようにわかるさ何を望むかなんてな。最後の一人になったそいつの願いは──)

そこでふと思い立つ。

「ン〜?そうか、なにも戦わなくても最後の一人になれば!六つ子の中で唯一!この松野家次男松野カラ松の願いのみが果たされるというわけかァ〜!
それにさっきのリスト、女の子の名前もいくつかあったぞ?成程……彼女達に牙を剥く吐き気を催す邪悪ッ!そこに頓爽と駆けつける騎士こと俺!地獄の底で芽生える甘やかな恋……!フフ、吊橋効果というわけか……!
だが……oh、許してくれレディ達、俺は罪な男さ……スデに運命の赤い糸で結ばれたトト子ちゃんという幼馴染が……しかしッ、しかしカラ松ガールズが望むのならばッ!
オ〜ゥケイ、OK、悪くないだろう!ビコーズ俺は!冷静かつ逆境にこそ燃えるクールでホットなナイスガイだからさァ!
ハッハアーー!ドリーム・カム・トゥルーーウッ!!」

カラ松は麗しき乙女の顔を思い浮かべ鼻の下を伸ばした。いつだって松野家の六つ子は欲望に正直である。
すでに兄弟の顔も見知らぬ地からの脱出も彼方へ吹き飛んでいた。

「その為に必要なのは!」

そばにあらわれ立つもの、精神的エネルギーを具現化したもの……カラ松は先程から見ないようにしていたものをサングラス越しに目の端で見る。

「さてさっきは少々取り乱したが……少々な!」

と、いうことはつまり。てっきり幽霊だと思っていたあの人影は。

「ヘイッそこのクールガイ!」

唾を呑み込む。
恐怖を振り払うよう、しかしキツく目を閉じたままカラ松はその影にズビシッと勢い良く指を突き立てる。

「君が俺の守護天使──『スタンド』か?」

返事は帰って来ないがソレが微かに頷いた気がした。
     
カラ松はサングラスの隙間から薄目で覗う。

ソレの精悍な上半身の正中線にあるジッパーの持ち手のような飾りがゆらりと揺れた。


436 : 両方やるのは無理 :2020/05/23(土) 12:28:48 qE1SvJjc0
【名前】松野カラ松
【出典】『おそ松さん』
【性別】男性
【能力・技能】
・ギャグ補正
ギャグ描写だが素手で岩を砕き革ジャンを破る程度の力がある。シリアスな作品と比べ身体が異常に頑丈であり回復も異常に早い。

・演劇部
学生時代演劇部に所属していた。
その実力は不明。卑怯な手を使ったとはいえ主人公に抜擢されたことがあるらしい。
映画版では木の役を演じた。

・参謀設定
ごく初期にあった参謀設定。いつの間にか公式サイトからその文言は消えていた。

【スタンド】スティッキィ・フィンガーズ
【破壊力:A/スピード:A/射程距離:E→C/持続力:D/精密動作性:C/成長性:D】

【能力詳細】
近距離パワー型の人型スタンド。
殴ったものに生物・非生物問わずジッパーを貼り付ける能力。自分自身にも貼り付けられる。
ジッパーによる立体的な高速移動が可能。別のもの同士をくっ付けたり、ジッパーの中に物をしまう、相手の体にジッパーを取り付けて開く事で体をバラバラにしたり口を塞いだりなど能力者本人の機転によって様々な応用がきく能力。


【方針】
・最後の一人になるまで生き残る
・女の子を守る
この矛盾に本人は気がついていない。

【備考】
・サングラス
・手鏡
・櫛
を最初から所持しています。


437 : 名無しさん :2020/05/23(土) 12:29:32 qE1SvJjc0
投下終了です


438 : ◆Ay2lEeXHQ2 :2020/05/23(土) 13:37:33 6dAPU5Xk0
投下します。


439 : Bubble ◆Ay2lEeXHQ2 :2020/05/23(土) 13:39:47 6dAPU5Xk0
「……ハァー……ったく、めんどくせェな」

白髪の青年は、ここに来てから何度目かのため息を深くついた。

唐突にどこかの孤島に放り出されて、脳に爆弾を入れられ、明らかに正気でない神父に殺し合いを強要される。
殺しは随分してきたが、こういうのはあまりやりたくない。「優勝すればなんでも願いを叶える」などという言葉も胡散臭い。

が、ヘタに逆らえば死ぬ。仲間たちもいない。
気が進まないが、悪党や怪物なら始末してもいいだろう。殺し合いたいやつは勝手に殺し合えばいい。
殺し合いに乗り気でない参加者と協力し、生還の方法を探り、プッチ神父を出し抜く。精神衛生上もそれがよさそうだ。

銃や弾丸は没収されたが、どこかで調達すればいい。また自前の能力に加えて、奇妙な能力を支給された。
デイパックを漁って見つけた説明書きを見るに、なかなか「あたり」と言っていいだろう。早めに使い方に慣れておかねば。

青年が顔を上げ、指を一本立てると、指先から「球体」がにじみ出た。
くるくると回しながら、それを観察する。表面には星のマークがついている。

「『アカーシャ球体』……みたいなもんか」


【名前】凡蔵稀男
【出典】胎界主
【性別】男性
【能力・技能】
・バンシー種の目
異界の妖精バンシーの血を引く半妖精としての能力。
左目で次元世界の粒「アカーシャ球体」、脊椎動物の右側頭部に生える「いのちの緒」、人間の左側頭部に生える「こころの緒」を見ることができる。
また「いのちの緒」を指で切断し、相手を生成世界から追い出す(殺す)ことが可能。身体能力は高くないため、触れるほど接近できればであるが。

・運ぶ力
胎界主としての能力。膨大な量のマナ(運)を溜め込んでおり、言葉の力で物事の流れを自分の思う方向に「運ぶ」ことができる。
宣言して使用しなければ効果はなく、必然の事象を変えることはできず、偶然性の入り込む余地のある事象にのみ影響を及ぼすことが可能。
あくまで「運」なので、難易度に対して使用したマナの量が不十分であれば失敗する。

・多重人格
精神世界に複数の人格を持つ。通常は主人格「無我」が表に出ており、痛覚を別人格たちに押し付けて無視できる。
本質的に何も信じておらず、人助けをすることで仮初の人格を保っているが、関係の深い者を失った場合は精神崩壊の危険がある。

【スタンド】ソフト&ウェット
【破壊力:C/スピード:B/射程距離:D/持続力:B/精密動作性:C/成長性:A】
【能力詳細】
スタンドや本体の指先などから、星マークのついた「しゃぼん玉」を発生させる。
しゃぼん玉が物体に触れて割れると、そこから小さな物体や音・視力・水分・摩擦など「物理的ななにか」を一時的に奪う。
奪ったものを中に閉じ込め、割れた場所で開放したり、しゃぼん玉を皮膚の下に潜り込ませて破裂させダメージを与えたりもする。
自分の肉体には能力を発揮できないが、しゃぼん玉で傷を塞ぐ程度の応急処置はでき、複数個のしゃぼん玉で人一人を持ち上げたりもできる。
近接パワー型スタンドであり、岩を殴ると手が痛むが、壁を蹴破るぐらいは可能。

【備考】
参戦時期は第一部後半、「無責任飛行」の前。女性恐怖症は克服済み。

【方針】
生還。殺し合いに乗る気はない。降りかかる火の粉は払う。気グル神父は一発殴る。


440 : ◆Ay2lEeXHQ2 :2020/05/23(土) 13:41:30 6dAPU5Xk0
投下終了です。


441 : ◆DWDMFPPpRw :2020/05/23(土) 17:16:19 AZ5wj7So0
投下します


442 : ◆DWDMFPPpRw :2020/05/23(土) 17:16:37 AZ5wj7So0

 深夜の住宅街、一人の男がいた。
 彼はイケメンであった。夜の闇でもハッキリと分かるほど整った顔立ちをしているが、その顔は怒りで染まり、隠しきれないほどの殺気が全身から放たれていた。
 人を害する「怪人」、それに対抗する「ヒーロー」がありふれた世界において、A級1位の地位を誇るイケメンヒーロー。『イケメン仮面アマイマスク』。それが彼だ。

(ヒーローである僕に一般人を殺せ、だと? プッチ……舐めた真似をしてくれる)

 プッチの抹殺。

 その所業を認識したアマイマスクは、即決でその判断を固めた。 
 ヒーローとして多忙な自身の誘拐、殺し合いの強要、そして少女の見せしめ。
 これらはまごうことなき悪の所業。例え怪人ではない人間であろうと、悪は始末する。
 それはこの下らない催しに乗り気なものも同様である。例え強要された被害者であろうと、悪に唆され加担したものも同罪だ。
 罪なき一般人の保護と、悪の抹殺。両立は難しいだろうが、それが成せるだけの力が彼にはにはある。
 懸念があるとすれば、スタンドと言うらしい未知の能力の存在。似たような特殊能力を持つ怪人とは何度か戦った事があるが、総じて厄介な性質をもつ相手が多かった。
 が、それに対抗する能力がアマイマスクには与えられていた。

ヒュオオオオオオ

 住宅街に霧が蔓延する。それは「正義」の名を関するスタンド。悪に与えられた力ではあるが、その名は気に入っていた。
 このスタンドと自身の身体能力があれば、どれほど強大な悪でも問題なく処刑できる。
 悪に与えられた力ではあるが、力とはどう扱うのかが問題だ。アマイマスクはそうポジティブに捉えている。

「さあーー正義を執行する」

 『ヒーロー』として、あるいは『人間』として、自らの正しさを証明するため、アマイマスクは悪を求めてその場を移動した。


【名前】イケメン仮面アマイマスク(ビュウト)
【出典】ワンパンマン
【性別】男
【能力・技能】
 戦闘スタイルは徒手空拳。
 鬼クラスの強さを持つ怪人を素手でひねり潰し、腕がもげても自力でくっつけるなど、人間離れした能力を持つが、あまりにブサイクな敵に出会うと、震えてしまって戦えなくなる。
 逆に魅了系の精神攻撃に対しては強い耐性を持っている。
 その正体はブサモンと呼ばれる怪人の類であり、怪人としての能力によって頻繁に顔を変えている。
 真の力を解放すると竜クラスの怪人でもタイマンで討伐できるほどの戦闘能力を得るが、同時に怪人としての姿を晒してしまうため、余程のことがない限り変身を解くことはない。


443 : ◆DWDMFPPpRw :2020/05/23(土) 17:17:20 AZ5wj7So0

【人物背景】
 A級1位のイケメンヒーロー。
 A級一位という地位とそれに見合った強さ、ヒーロー名にも取られている甘いマスクで世間からの人気は相当に高い。
 極めて正義感が強いが、それが行き過ぎて「悪」に対しては例え人間であろうと徹底的に容赦がなく、アマイマスクが倒した相手は皆、バラバラ死体や顔面粉砕という悲惨極まりない最期を迎えているのも特徴。この残虐性からも怪人に対する彼の憎悪が垣間見える。
 本名は「ビュウト」。彼は昔から見た目の醜さに劣等感を抱いており、せめて内面だけは綺麗でいたいと品行方正を志して生きていたが、自らの醜さを呪うあまり、怪人化。
 しかし彼はそのことを前向きにとらえ、そのままヒーロー活動を続けることにした。結果、人気は跳ね上がり、各メディアからの出演依頼も殺到した。
 その一方で彼は、顔が醜かった時代に行った善行は何ら評価しなかったくせに、上っ面が良くなったとたんに掌を返して自分を賛美する世間の有様を見たことで美しさは人の目を曇らせるということを理解する。
 そして、現在も怪人化は精神までも蝕んでおり、もはや怪人を虐殺する怪人と成りつつある。

【スタンド】ジャスティス
【破壊力:D/スピード:E/射程距離:A/持続力:A/精密動作性:E/成長性:E】
【能力詳細】
 タロット大アルカナ11番目のカード「正義」の暗示を持つスタンド。
 霧状のスタンドで、王冠を被った巨大な骸骨の顔と両手のヴィジョンを持っている。
 霧なので物理攻撃は効かず、スタンド自身にも基本的には攻撃力はないが、霧を操り幻覚を見せることができる。
 さらに相手(死人を含む)の傷口から身体に侵入することで意のままに操ることも可能。操る際は傷口の血液を蒸発させコイン大の穴を作り、そこに霧の糸を通して操作する。
 スタンドのボディは霧の性質を持つので殴る・斬る・撃つなどの物理攻撃が通らない。

【備考】
 参戦時期は怪人協会編の前。
 ジャスティスの射程距離は1エリア分まで制限されています。採用された場合、細かい制限は書き手に任せます

【方針】
 対主催。ヒーローとして一般人を保護しつつ、悪を抹殺する。


444 : ◆DWDMFPPpRw :2020/05/23(土) 17:17:59 AZ5wj7So0
投下終了です。タイトルは「正義執行」でお願いします


445 : ◆NIKUcB1AGw :2020/05/23(土) 18:56:10 SxEvLqJE0
投下します


446 : 僕の絶対正義 ◆NIKUcB1AGw :2020/05/23(土) 18:57:18 SxEvLqJE0
このバトルロワイアルの会場には、墓地も設置されていた。
もっとも空っぽの墓が並べられているだけであり、その下に眠る遺体まではさすがに用意されていない。
その墓地に、一人の青年の姿があった。
本来ならその容貌は、美男子と称えられるものなのだろう。
だが目の下に色濃く浮かんだ隈と、病的に白い肌がその美しさを不気味さに変貌させている。
墓場に立つその姿は、この世ならざるものにしか見えない。

「うおおおおおお!!」

青年は絶叫していた。
その行為は獲物を探す参加者を呼び寄せ、危険を恐れる参加者を遠ざける、何の得にもならない行いだ。
だが今の彼は、損得で動いていない。
彼はもっとも大事なものを奪われ、逆上していた。

「許さない! 許さない!
 よくも僕のエリザをぉぉぉぉぉ!!」

青年の名は、ファウストVIII世。
かの名作「ファウスト」で主人公として描かれた、ファウスト博士の末裔である。
彼にとって、愛する女性・エリザこそが人生の全てだった。
重い病に冒された彼女を救うために、医者になった。
理不尽に命を奪われた彼女を蘇らせるために、ネクロマンサーとなった。
それでも不完全にしか彼女を蘇らせられなかったため、より強い力を求めてシャーマンキングを目指した。
だがその道のりの途中で、ファウストはこの場に連れてこられてしまった。
そして彼が気づいたとき、愛するエリザの遺骨は彼の元になかった。

「おまえが何者で、目的が何だろうと知ったことか!
 僕からエリザを奪ったこと、絶対に許さない!」

怒り狂うファウストの背後に、不定形の何かが集まり始める。
やがてそれは、巨大なドクロのビジョンを浮かび上がらせた。

「エリザこそが僕の正義……。『正義』は勝つ!!」


447 : 僕の絶対正義 ◆NIKUcB1AGw :2020/05/23(土) 18:58:30 SxEvLqJE0


【名前】ファウストVIII世
【出典】シャーマンキング
【性別】男
【能力・技能】
『ネクロマンシー』
死体に巫力を注ぎ込むことにより、自在に操ることができる。

『医術』
医者としては超一流。

『モルヒネ漬けの体』
痛覚を薬品で麻痺させているため、痛みを感じない。

【人物背景】
ドイツ出身のシャーマン。
強盗に殺された妻・エリザを蘇生するため、先祖が残した資料からネクロマンシーを習得。
しかし彼女の外面は再生できても魂を呼び戻すことはできなかったため、
完全な蘇生を果たすためシャーマンファイトに参加した。

【スタンド】正義(ジャスティス)
【破壊力:D/スピード:E/射程距離:A/持続力:A/精密動作性:E/成長性:E】
【能力詳細】
ドクロのビジョンを持つ、霧状のスタンド。
他者の傷口をコイン大の穴に変化させ、そこへ糸状にした霧を差し込むことで対象を操ることができる。
この能力は、死体にも有効。
また体が霧状であるため物理的な攻撃は効かないが、「正義」の側からも直接的に攻撃することはできない。

【備考】
参戦時期はシャーマンファイト予選で、葉と戦う数日前。
【方針】
主催者を殺し、エリザを奪還する。


448 : ◆NIKUcB1AGw :2020/05/23(土) 18:59:24 SxEvLqJE0
投下終了です


449 : ◆7WJp/yel/Y :2020/05/23(土) 20:18:54 6l25UQEA0
投下させていただきます


450 : 黒き死を牟る ◆7WJp/yel/Y :2020/05/23(土) 20:21:08 6l25UQEA0

それは、月が血よりもなお赤く染まった夜のことだった。
七つ重ねの塔の前で、私は信じられぬものを見た。

かつての縄のように編み込まれた筋肉はすでになく、皺の寄った張りのない皮膚が骨にぶら下がっている。
髪も瑞々しい艷やかな黒さを失い、世間から忘れられたように色彩を失った総白髪へと変わっていた。
ただただ、左額に刻みついた炎のような痣だけが、今宵の満月のように赤々と輝いている。

継国縁壱。
別ちがたくも断ち切ったはずの、双子の弟。
老いさらばえた弟の姿が、そこにはあった。

『────お労しや、兄上』

縁壱の唇から開き、瞳から涙が溢れる。
こぼれ出たものは、憐れみであった。
老化した身でもなお己よりも劣る者へと向ける、慈悲であった。
瞬間、腸が煮えくり返るような想いが湧き上がる。
四百年前に喪われたと思われていたモノが、こうも容易く想起させられるのは不可思議なものであった。

いつかに抱いていたはずの道化めいた動揺も、今はない。
ただ油断なく構え、目の前のかつて隆盛を誇っていた大木の成れの果てを迎え撃つ。

「……ッ!」

縁壱はその腰に携えた刀に手をかける。
ドシリ、と。
滝行でも得られることが出来ないほどの負荷が、私の肩へと覆い被さる。
死神の気配、肩に手をかけてその首を頂くぞという音なき重圧。

『参る』


ただ、その一言で、自身の身体が引き寄せられる。
あの御方ともに身に着けた知識では、この大地はその重量が故に己の周囲へと森羅万象を引き寄せるのだという。
それこそが、何もかも全ての事象が持つ『引力』という概念であり、その重量が巨大であればあるほどに己の身体へと引きつけるのだというではないか。

ならば、道理だ。
あの弟ほどの存在が持つ引力は測りしれぬものだろう。
己以外の全てを飲み込む強大な引力を持つあの御方を討ち払うために天より遣わされたとしか思えぬ弟は、当然、あの御方よりも強大な引力を持っていて然るべきなのだから。

しかし、今度こそは、と私は刀を手に掛ける。
向かって来るとわかっている相手を斬り捨てるため、私はその手に握った刀を抜き去ろうとし。

────ゴパッ、と。

この四百年の長きに渡って耳にこびりついている、忌々しい、情けないほどに間の抜けた音を聴いた。
後方には刀を振るった縁壱がいる。

なにも、見えなかった。
全てを透かすことを可能としたこの目が映すものは、衰えたように見える外見が隠した湧き上がるような血流のうねりだけだった。

技の起こりなど、見るはずもなかった。
赫刀の鮮やかな光など、捉えられるはずもなかった。
あの醜く衰えきった老体すらも、我が目には映りはしなかった。

────ああ、憎い……お前が憎い……!

鮮やかに記憶が蘇る。
四百年前の怨毒の日々、骨まで灼き尽くすような嫉妬心。
お前だけがこの世の理の外側にいる。
神々の寵愛を一心に受けて生きている。


451 : 黒き死を牟る ◆7WJp/yel/Y :2020/05/23(土) 20:22:06 6l25UQEA0

その一閃は、三百五十年近くとなる無味乾燥なる日々を容易く覆い尽くしてしまう。
鮮烈で華麗なる、眩い余りに見ることすら出来ないその太刀筋。
それはこの三百五十年の日々の無意味さを表していた。

『兄上、私たちはそれほど大そうな者ではない。長い長い歴史のほんの一欠片。
 私たちの才覚を凌ぐものがこの瞬間にも産声を上げている。
 彼らがまた、同じ場所までたどり着くだろう。』

私はあの日と変わらずに縁壱の刀を見ることすらも出来ず。
あの御方は二度と追い詰められつこともなく。
私を倒すことを出来る剣士すら現れることもなかった。

私にすら届かぬくだらない『この先の未来』とやらが。
あの御方を君臨させ続ける『長い長い歴史』とやらが。
そうだ、なんの意味もない無価値なものであることの証明であった。

なぜ、私は弱いままなのだ。
なぜ、私はお前ではない。

お前への羨望と嫉妬と憎悪と憤怒で五臓六腑が煮えくり返る。


『ピー、ガー……』


また、出来の悪い笛のような外れた音が響き渡る。
ただ、私は背後へと向き直る。
そこには、やはり出来の悪い人形が立っていた。
神<<継国縁壱>>の紛い物である私に相応しい、人間の紛い物である人形だった。
銀模様の肉体に藤色の塗装が施された、ヌメリとした人形であった。
その顔面には目の位置に虫のような複眼を模した穴が空いており、その額には六桁のアラビア数字が刻まれている奇妙な人型の時計である。

『ムーディー・ブルース』

不機嫌な憂鬱を意味するこの人型の時計は、私に植え付けられた新たなる異能。
その場に存在した人物を再現する、限定的な力である。
あるいは、あの御方の目的である『青い彼岸花の発見』と『太陽を克服する鬼の誕生』には、今の私の血鬼術よりもよほど役に立つであろうが。

そんな異能を前にしても、私はただ、縁壱の言う『長い長い歴史のほんの一欠片』だけを見つめていた。
忘れるはずもないこの地。
どのような手段で生み出されたかも分からぬが、あの日あの瞬間と同じ空間だ。

ムーディー・ブルースは、またその姿を変えた。
私にとって唯一価値のある、唾棄すべきその瞬間だけを再生し続ける。


『────お労しや、兄上』


血に染まってしまったような、真っ赤な月が私を嘲笑っていた。


【名前】黒死牟
【出典】鬼滅の刃
【性別】男性
【能力・技能】
・『上弦の鬼』
人間が、鬼舞辻無惨なる怪人の血に適応した生物。
日光以外では死なない不死性と、超人的な身体能力を持つ。
藤の花を毒とする性質も持つが、藤の花のどのような成分がどのような効果をもたらしているのかは不明。
また、より強く無惨の血に適応した鬼は『血鬼術』なる異能の力も手に入れることとなる。
黒死牟はその鬼の中でも特別に強く無惨の血に適応した『十二鬼月』の中でも序列最上位である『上弦の壱』である。
無惨を除く他の鬼と比べても、四百年という段違いに長い時を生きており、その長い時でも常に剣の腕の研鑽を続けた無情の剣鬼である。


・『血鬼術:月の呼吸』
おぞましい瞳が埋め込まれた刃を作り出す能力であり、黒死牟が携えている日本刀もこの異能によって生成されたものである。
また、剣閃に沿って月輪(がちりん)を思わせる形状の力場(フィールド)を、その瞳から形成させる。
この力場は人体を紙切れの様に容易く斬断するだけでなく、数瞬は"空間"に残り続け、加えて月が満ち欠けするように効果範囲が不規則に揺らぐ特性を有する。
よって、相対する剣士は“月の呼吸”の剣閃に充分以上の回避距離を取らねば、力場に切り刻まれる事となる。
そして最強の剣士たる黒死牟との剣戟においては、全てを紙一重で回避しなくては、無数に襲い来る太刀筋の錆と消える定めである。

漆ノ型以降は三又に枝分かれさせ巨大化させた刀によって、その剣速は落ちることもなく射程距離のみが長大となって放たれるのである。
なお、型の数が最低でも16あるという全集中の呼吸の中でも最多の技の数を誇る。
(4,11,12,13,15は漫画本編では使用されなかったため詳細不明)

また、他種の呼吸術と同じように、身体能力を大幅に強化する作用もある。


【スタンド】ムーディー・ブルース
【破壊力:C/スピード:C/射程距離:A(再生中に限る)/持続力:A/精密動作性:C/成長性:C】
【能力詳細】
鼻や口がなく、のっぺりとした印象を受ける人型のスタンド。
指定された時間にその場にいた人物に変身し、その行動を再現することができる。
再現中はビデオのように、早送り、巻き戻し、一時停止などが可能。
戻ることもないその瞬間を、ひたすらに再生し続ける。


452 : ◆7WJp/yel/Y :2020/05/23(土) 20:22:20 6l25UQEA0
投下終了です


453 : ◆A2923OYYmQ :2020/05/23(土) 20:32:26 CN3WBjmQ0
投下します


454 : その名は死星 ◆A2923OYYmQ :2020/05/23(土) 20:33:28 CN3WBjmQ0
  
  巨(おお)きな、男だった。
  丈高く、肉厚く、骨太く。
  人混みの中を歩いていても、頭一つは高いであろう、屈強な長身を、学ランに窮屈そうに押し込んでいる。

  「言いたい事は、それだけか」

  ゴキゴキと、低く指を鳴らしながら呟く男からは、静かな怒りが感じられた。
  拉致して殺し合いを強要し、見せしめとして無辜の命を奪った外道。許すわけにはいかぬ。
  男は周囲に視線を巡らすと、適当な岩に目をつけた。

  「スタンドか………」

  岩の前で瞑目する事暫し、目を開いた男の背後に、男より更に巨(おお)きな、古代ローマの拳闘士を思わせる人型が出現した!!

  「あたぁ!」

  人型の剛拳が、直径3mはあろう岩を撃ち砕く!!

  「あーたたたたたたたたたた!あたぁ!!」

  更に振るわれた拳の乱打が、四散した岩の破片を微と砕いた。

  「待っているが良い、エンリコ・プッチ」

  男は満足げに頷くと、適当な方向へと歩き出した。



【名前】
北斗くん
【出典】
うる星やつら(アニメ版)
【性別】


【装備】
無し
【能力・技能】
こたつ猫と打ちあえる程度の強さ。


スタンド

星の白金(スタープラチナ)

【破壊力 - A / スピード - A / 射程距離 - C / 持続力 - A / 精密動作性 - A / 成長性 - A→E(完成)】

パワーと精密性に長けた典型的な近距離パワー型のスタンド
密着した状態から放たれた銃弾すら視認し、真っ暗な写真の背景に飛ぶ蠅を精密に見て取れる眼を持つ。


455 : その名は死星 ◆A2923OYYmQ :2020/05/23(土) 20:33:57 CN3WBjmQ0
投下終了です


456 : ◆DWDMFPPpRw :2020/05/23(土) 21:05:34 AZ5wj7So0
投下します


457 : 孤独な宝石 ◆DWDMFPPpRw :2020/05/23(土) 21:06:52 AZ5wj7So0
 闇に包まれた草原。彼はそこで所在なさげに一人で佇んでいた。
 深い赤色のセミロング、切れ長の目には悩ましげな感情が見え透いている。
 彼の名はシンシャ。辰砂の特徴をもつ人型の宝石である。

 なぜ俺なのか。
 あの夢のような光景を見てから、その疑問がシンシャの頭から離れない。
 俺には生きてる価値がない。ずっと彼はそう思っていた。
 望んでもいないのに、この体は毒を垂れ流す。ただ息をしただけで草木を汚染し、仲間を傷つける。
 そんな自分が嫌で、でもどうにもできないから、ずっと夜に閉じ籠って。
 いっそ月に連れ去られば、彼処でなら価値をつけてくれるかも。そんな自暴自棄な願いすらもっていた。
 でも、何時までたっても奴等はこなかった。敵にすら相手にされない。そんな絶望が、ゆっくりとシンシャを蝕んでいた。

 そんな俺をなぜ、アレは選んだんだ。
 プッチと名乗ったアイツ。あれが何なのかは俺は解らない。多分、生き物。自分達と同じ言葉を話す生き物なんて見たことないが、頭が破裂した方も同じ種類だろう。
 殺し合い。月人にしていることと同じことをしろ。そう言っているのは何となく分かる。
 俺は戦いたくない。毒液で全て駄目にする俺の、醜い姿を見られたくないから。
 でも、プッチとやらはそれを俺に望んでいた。それは、初めての経験だ。
 誰かを傷つけてほしい。
 産まれてからずっと、そんなことは頼まれたことすらなかった。
 悪魔の囁きの如く、プッチの宣告はシンシャに衝撃をもたらしていた。

 右手にもつメモに視線を落とす。『ハイエロファントグリーン』。それがシンシャに与えられたスタンドだった。
 念じると、シンシャの隣に出現するヴィジョン。そのスタンドの輝きは、どこかあのお節介なフォスを思い起こさせた。

「ここでなら……俺に価値をつけてくれるかもしれない。なぁ、お前はどう思う?」

 無意識の問いかけ。しかし、そのヴィジョンはシンシャに何も答えない。ただ、じっと此方を見ているだけだった。
 やがて、ほの暗い感情に答えを見いだせぬまま、孤独な水銀は歩みだした。
 己の価値を見つけるために、孤独を脱するために。

【名前】シンシャ
【出典】宝石の国
【性別】ー
【人物背景】
 『宝石の国』の登場人物。宝石の体をもつ人型の生命の一人。
 辰砂。硬度2。ダイヤモンドと同じ年の生まれ。体色は赤。
 体から銀色の毒液を無尽蔵に出して操る能力を持つが、この毒液は仲間の宝石たちにとっても害があるため、周囲と距離を置き、月人の現れない夜に見回りをするという無益な仕事に就いており、自分の存在自体が迷惑であることに心を痛めている。

【能力・技能】

・毒液
 体から銀色の毒液を無尽蔵に出せる能力を持ち、攻撃・防御に転用できる。戦闘能力は非常に高い。
 しかしその毒液は周囲の自然を汚染する上、シンシャ本人も自らの毒液を完全に制御できていない。
 他の宝石たちと異なり、周囲に毒液を浮かばせ採光することで一晩中活動することが出来る。

・博識
 常に野外で過ごしているためか、植物や生態系に詳しい。

【スタンド】ハイエロファントグリーン
【破壊力:C/ スピード:B/ 射程距離:A/ 持続力:B/ 精密動作性:C/ 成長性:D】
【能力詳細】
 ボディを帯状に変化ことが出来る人型の遠距離操作型のスタンド。
 液体状の破壊エネルギーを固めて超高速で飛ばす「エメラルドスプラッシュ」という技が使える他、スタンドを糸状にし周囲に張り巡らせることで結界を張り、センサーとして扱ったり、スタンドを体のなかに潜り込ませて操るという使い方もできる。

【備考】
 参戦時期はアニメ第1話の後。
 シンシャの毒液はある程度制限されています。

【方針】
 生還優先だが、優勝狙いに揺れている


458 : ◆DWDMFPPpRw :2020/05/23(土) 21:07:18 AZ5wj7So0
投下終了です


459 : ◆hqLsjDR84w :2020/05/23(土) 21:10:49 ihYVVIp20
◆VJq6ZENwx6さんが規制に巻き込まれているそうなので、代理投下します。


460 : 出迎え無き旅路の始まり◇VJq6ZENwx6さん代理投下 :2020/05/23(土) 21:11:47 ihYVVIp20
赤い瞳が海面からこちらを見ていた。
芝原海、否、魔法少女キャプテン・グレースは船上で海面を見ていた。
魔法の妖精を自称するトコとかいう奴に魔法少女にされてから、一日もたたないうちに聞かされた、
あのエリンコ・プッチを名乗る男の話に呆然としていたわけではない、いたって冷静だ。
まずは現状把握をしなければならない。魔法少女の視力なら船上からでも水面の像が良く見える。視力に異常はない。
海と同じ青色の大航海時代のそれに似た船長服には問題はない、両手を見るとそこには海面に写すと、やはりそこには何も無い手のひらが映っている。

「ん?左手はフックじゃなかったっけ?」

しかし、改めて己の左手を見ても普通の手のひらしかない。
嫌な予感がして腰を見るとそこに提げているはずの剣もない!

「待って待って!」

キャプテン・グレースが乗っているこの船をぐるりと一周する。船の横についているはずの大砲がどこにも見えない。
念のため、船の倉庫まで探し回ってみたが何もない。

「どうなってんのよこれ!」

当初の余裕はどこに行ったのか、
どこか勝気な猫に似た瞳を爛々と開け、キャプテン・グレースは憤った。

「殺し合いしろって言っておきながら、武器を没収とか聞いてないわよ!」

?
キャプテン・グレースは考える。あのプッチとかいう奴の目的は何か。

1. 実は殺し合いをしてほしくない。
→目の前で少女を殺しておきながらそんなはずがあるか。
真っ先にキャプテン・グレースは否定する。

2. 正義の魔法少女キャプテン・グレースに対する、悪の魔法使いプッチの嫌がらせ。
→確かに(悪の魔法使いに加担して幼馴染の佳代と対立したら困るから)キャプテン・グレースは殺し合いに乗る気はなかったが、嫌がらせが地味すぎる。
第一、 この船そのものがキャプテン・グレースの魔法『すごくかっこいい魔法の海賊船を出せるよ』で出した海賊船だ。
コスチュームや魔法の船の部品を没収できるなら、船そのものを没収してもいいだろう。

3. 他に使って欲しいものがあるから武器を没収した。
→プッチは<そばに立つもの>“スタンド・バイ・ミー”を支給したとか言っていた。
訳が分からないが、それを使って殺し合うゲームみたいなもの、なんだろうか。

「できることを制限して、チマチマ戦わせるなんてサイッテーの催しね」

キャプテン・グレースは山奥から海の向こうまで、行ける場所が増えることは大好きだが、行けない場所が増えるのは大嫌いだ。
魔法少女になった時は熱くなっていたが、今の気分は冷めている。
兎の魔法少女と戦った時や、自分の魔法で海賊船を出した時のような高揚感がここにあるんだろうか?
しばらく考えたがありそうにない。
苛立ちで頭をボリボリと書きながら、キャプテン・グレースは倉庫の出口を開けた。

キャプテン・グレースの心情を表すように、目の前に広がるのは大航海時代を生きる木造の海賊船から、現代のかび臭い鉄の船のそれに代わっていた。古ぼけた電灯が頭上で輝いている

「………は?」

目を擦るが目の前の景色は変わらない。最初に視力のチェックをしたが問題はなかったし、魔法少女の精神はこんなことで幻覚を見るほどヤワじゃない。
後ろを振り返る。さっきまであった倉庫は消滅し、船の乗客室に代っている。
?
目の前の壁を己の拳で打ってみる。
鋭い音で響き渡り、手にも痛みが走る感触は、これがハリボテや幻覚ではないことを表していた。
本日3度目の衝撃である。
まさかあのプッチとかいう奴のところから『また』どこかに移らされてしまったのか!?


461 : 出迎え無き旅路の始まり◇VJq6ZENwx6さん代理投下 :2020/05/23(土) 21:14:33 ihYVVIp20

「ここはどこなのよ!?」

誰もいない通路にキャプテン・グレースの声が響き渡る。
返答はない。

「はあ…ワケが分からなくなって来た…」
流石のキャプテン・グレースも参ってきたところで、何の変哲もない壁がグニャリと曲がった。
子どもの遊ぶ粘土細工のように形を変え、絵具遊びの様に色まで変わった『それ』の存在が固まるまで、キャプテン・グレースは固唾をのんで見守っていた。

「窓…?」
呆然とした表情でぽつりと漏らした。
変形した壁は透明な窓ガラスに代っていた。
叩いてみるとパリンと小さな音を立てて砕ける。
やはり幻覚とは違う。
割れた窓からのぞき込むと見えるのは自分の海賊船から見えたものと同じ海辺だ。
自分が移動したわけではなかった。
ならば、自分の海賊船はどこに行ったんだ?

「だんだん掴めてきたわね…」

キャプテン・グレースは窓の外から目を背け、見慣れぬ通路を走り出した。
通路はキャプテン・グレースの望む見慣れぬものだが、不安もドキドキも何もない。

「曲がり角の左に船員室!」

自分で宣言した通り、曲がり角の左には乗客室がある。
見たことが無いはずなのに船の中が手に取るようにわかる。
?
「開け!」

扉に指をさし、宣言すると扉はひとりでに開いた。
中にはやはり誰もいない。
その中で一つ動いている物体、回る換気扇が目についた。

(こっちに来い!)

今度は宣言せず、頭で念じる。
すると換気扇はひとりでにはずれ、タイヤの様にバランスをとって回転を続け、自分の足元で止まった。

「あたしの船はどこへ行った?<そばに立つもの>?そばってどこ?立つのは何から?」

プッチが言ったことをリピートしながらの、全力ジャンプ、
魔法少女の脚力でそんなことをしたら、天井に頭をぶつけるはずだが、目前に迫った天井に穴が開きそのまま甲板へ出る。
身動きのできない空中、目の前には自分に向かって勢いよく向かってくるクレーンのフックがある。

「“あたしの船”は“ここ”!“そば”は“この船“!立っているのは”あたしの船“からだ!」

フックはキャプテン・グレースの左手に引っ掛かり、巻き取られ、その体をさらに持ち上げる。
キャプテン・グレースは、持ち上げられながら水平線を見た。
右も左も山ばかりの自分の生まれ育った場所では見られない、雄大な景色だ。
下を見ると、もはや木造の海賊船は影もなく、巨大な貨物船となっているのが見える。
昔の海賊は秘密のアジトがあり、その周りの海をチョロチョロしているだけだったらしいが、
この船には七つの海を越え、世界のどこにでも行ける現代の圧倒的なパワーがある!
まさにキャプテン・グレース、芝原海の夢見た能力そのもの!
キャプテン・グレースの魔法はプッチが与えたスタンドにより、圧倒的にチェーンアップされた!
?
フックが限界まで巻き取られ、キャプテン・グレースは船の最上まで着いた。


462 : 出迎え無き旅路の始まり◇VJq6ZENwx6さん代理投下 :2020/05/23(土) 21:14:48 ihYVVIp20

「このスタンド…じゃあ呼びづらいわね
 別の呼び方の方がいいかしらね」

思えば自分の船にも名前は付いていない。
呼び方に悩むキャプテン・グレースの脳裏に一つの単語が過った。

「力<ストレングス>…」
スタンドDICSに宿る記憶か、それとも貨物船の雄大な姿に圧倒された芝原海の感想か。
奇しくもそのスタンドが暗示する単語を呟いた、キャプテン・グレースはうんうん、と頷き宣言した。

「このスタンドは、ストレングスと呼ぶわ!!」

風に揺られ、フックがギコギコと揺れる。
それはまるで、かつての主にも呼ばれたことのない己の名を噛みしめるようであった。

【名前】芝原海/キャプテン・グレース
【出典】魔法少女育成計画limited
【性別】女性
【能力・技能】
木造の海賊船を陸上・海上問わず召喚出来る。見た目は帆船だが魔法の力で動くため、無風でも問題なく疾走する。物凄く巨大で大質量を誇る海賊船は、水上を超高速で疾走可能。そんな常識を遥かに超えた速度を出しても平気で耐え、魔法少女の攻撃を受けてもビクともしない。ただ、それでも水の上でないと全く動かない。

海賊船は全長十メートルほどでキャプテン・グレースの意思により任意で出し入れ可能。召喚する度に爆音を轟かせて呼び出され、密集する場所で呼び出したなら周囲の物を押しつぶし破壊しながら現れる。

また、海賊船には豊富なマジカル武器が備えられているがコスチューム武器ともども没収されている。
ストレングスによって変化した海賊船をそのまま召喚できるかは不明。


【スタンド】ストレングス
【破壊力 - B / スピード - D / 持続力 - A / 射程距離 - D / 精密動作性 - E / 成長性 - E】【能力詳細】
船と一体化し、巨大な貨物船として顕現する物質同化型スタンド。
そのビジョン通り海を渡ることが可能。
船そのものがスタンドであるため、船内は本体が自由にコントロールでき、
吊るされたフックを操るという船通りの動きから、
換気扇が刃物のような切れ味になって飛び回る。クッションの様に物体を取り込み圧殺、或いは本体を自由に移動させるまで物理的な船ではありえない動作が可能。

【方針】
正義の魔法少女としてプッチを倒す。


463 : 名無しさん :2020/05/23(土) 21:16:12 ihYVVIp20
代理投下完了。
合間に「?」が入ってますが、もらったテキストに入っていたのを気づかずそのまま代理投下してしまいました。

1レス目でトリップ外し忘れてたのは見なかったことにしてください。


464 : 彼等はそう、噛まれる為に産まれてきた ◆A2923OYYmQ :2020/05/24(日) 08:42:08 tr5kOJ8Y0
投下しますッッ


465 : 彼等はそう、噛まれる為に産まれてきた ◆A2923OYYmQ :2020/05/24(日) 08:42:59 tr5kOJ8Y0
地上最強の立技の称号を欲しいままにするムエタイッッ
 空手団体のトーナメントにも!中国拳法の最高峰を決める大会にも!東京ドームの近辺にも!
 彼等は当然の様に其処に存在していましたッッ
 何の為に!?
 噛まr ────闘う為にッッ!

 そんなムエタイ戦士ですップッチ神父の呼びかけにも2つ返事で応じましたッッ
 二十五歳。脂の乗った年齢ですッッ
 その身長ッ!その体重ッ!ムエタイ戦士としては破格のヘビー級ッッ!

 遠くインドはカラリパヤットに起源をもつという、タイ国国技ムエタイッッ!
 タイの建国王も用いたという格技は、現代の格闘技界に於いても、多大な名声と地位を獲得していますッッ!!


466 : 彼等はそう、噛まれる為に産まれてきた ◆A2923OYYmQ :2020/05/24(日) 08:43:58 tr5kOJ8Y0
しかしです!




 そのムエタイの実力を我々は目にした事が有ったでしょうかッッ!!


 両手!両肘!両脚!両膝!これらを多角的に、合理的に運用するムエタイの技術を我々
は見たでしょうか!!!

 その永き歴史に裏打ちされた技術が、雄敵を華麗に打ち倒す姿を我々は知っているでしょうかッッ!!!

 否ですッッ!!!

 ある者は噛ませの噛ませに終わり────。

 ある者は控え室で垂直圧縮され────。

 ある者はデコピンで虐待され────。

 ある者は恥辱に満ちた敗北の後、控え室に戻ることすら能わず────。

 最早登場イコール死亡フラグッ!そう称しても、誰も異論を唱えないでしょうッッ!!

 では、ムエタイは弱いのか────。

 これもまた否ですッッ!

 偶々立っていた位置が悪く、オーガと目が合ったが為に垂直圧縮され────。

 偶々出歩いていた場所が悪かった為に、オーガにデコピンで虐待され────。

 タイミング。向き。場所。それら全てが悪かったッッ。

 彼等は決して弱くは無いッッ!

 それを証明できる格好のスタンドを、当バトルロワイアルはご用意いたしましたッッ!


467 : 彼等はそう、噛まれる為に産まれてきた ◆A2923OYYmQ :2020/05/24(日) 08:45:09 tr5kOJ8Y0
 「おーい」
 
 "波紋法” ”幽波紋” ”黄金長方形"
全てまやかしだッッ
 バトルロワイアルと言えども所詮は運動能力を競うもの
いかに合理的に肉体を使うかの世界
そこに魔法は存在しない!

より疾(はや)くッッ。
 より疾(はや)くッッ。
 より疾(はや)くッッ。


 そしてより短時間(スピーディー)に────だ

 「オーーーーイ………」

 ガン無視されたドラゴンズ・ドリームはやるせなさそうに浮遊していた。


【名前】サムワン海王
【出典】バキシリーズ
【性別】男性
【能力・技能】
中国拳法のエッセンスをムエタイに加えた格技を使用する
コンクリートの柱を蹴りで抉れる威力。
郭海皇及びオーガに至極当然の様に突っかかるその姿は、板垣格闘漫画に於けるムエタイイズムの象徴(カリスマ)である。

スタンド

ドラゴンズ・ドリーム
【破壊力 - なし/スピード - なし/射程距離 - なし/持続力 - A/精密動作性 - なし/成長性 - なし】


外見は東洋風の龍の石像のようで、軽快な口調でしゃべる。

東洋風水学を能力とし、風水の観点から絶対的な「吉の方角」と「凶の方角」を指し示す。
ただし自身はあくまで中立な立場であるらしく、ときには敵にアドバイスをすることさえある。
と言うか「吉凶を教える」だけで「吉凶を操れる」わけではない。なので、示した方角に従えば敵でも利益を得ることはあるし、逆らって行動すればケンゾー自身も被害を受ける。
時にはラッキーアイテムなども教えてくれるようだが、それが刑務所で役に立つかは不明。
またドラゴンズ・ドリーム自身は、一切の攻撃能力を持たない。

もう一つの能力として、ドラゴンズ・ドリームを仲介して行った攻撃は相手にとって「凶の方角」へと自動的に導かれるというものがある。

 総じて運と間と場所の悪さで辛酸を嘗め尽くしてきたムエタイの希望の星となれるスタンド。


468 : 彼等はそう、噛まれる為に産まれてきた ◆A2923OYYmQ :2020/05/24(日) 08:47:00 tr5kOJ8Y0
投下終了ッッ!


469 : ◆mg.DCgSR.Q :2020/05/24(日) 11:07:02 vkwDGsNw0
投下いたします。


470 : さよなら、受け身だった僕たち ◆mg.DCgSR.Q :2020/05/24(日) 11:08:14 vkwDGsNw0
 一人の小柄な少女が、船をこいでいた。
 読んで字の如くではない。ソファーに腰を下ろすも、眠気に耐えられずに何度も首を傾けては目覚め、再び微睡むことを繰り返していたのだ。
 それは、彼女がひたすらに努力を続けたが故に起きている出来事である。
 自身が――幼なじみである浅倉透、樋口円香、市川雛菜と共に――所属するアイドルユニット〝ノクチル〟のお荷物とならないために。
 彼女達と離ればなれになるという悪夢を避けるために。四人で一緒に輝くために。信じてくれているファン達とプロデューサーに報いるために。
 そうした想いを胸に、今日も少女は激しいレッスンを――文句や弱音の一つも吐くことなく――こなしていたのだ。
 であれば当然、脳と身体が疲弊するのは当然であり……睡魔に導かれるままに夢と現実を往復することになるのもまた当然の話であった。
 僅かな覚醒を繰り返す度に、時計を眺める。時間を示す三本の針は、定められた門限にはまだ遠いと示してくれていた。
 だったら、もう少し休ませてもらってもいいかな。胸中でそう呟いた少女は、またも微睡みの世界へと誘われる。
 少女が、エンリコ・プッチなる謎の人物によって狂気渦巻く世界へと連れ去られたのは……再び両の瞼が落ちたその直後であった。


◇ ◇ ◇


 ブチャラティィィィィィィィィィ

 行くよッ!
 オレも行くッ!

 行くんだよォーーーーーーーッ!!


◇ ◇ ◇


「ぴぇっ!?」

 それは空調の効いた室内から一転、肌寒さに支配された真夜中の世界へと放り出されたが故か。
 己に延々と甘噛みしていたはずの睡魔はあっという間に吹き飛んでいき、結果……少女は、福丸小糸は、完全な覚醒を果たした。
 とはいえ、突然の出来事を前に彼女の脳はパニックを起こしている。
 補足するならば、番組出演を賭けたオーディションに挑むときとはまた違う感覚だ。
 となれば、しっかりと現実を見つめられるように自身を調節せねばなるまい。
 まずは瑞々しい唇を濡らしていた涎を拭き取り、両の側頭部でまとめた一対の髪束を手鏡なしに整える。
 それから何度も何度も、しつこいほどに深呼吸を繰り返す。
 そうして最後に強く両目を閉じ、ゆっくりと開いたところで……ようやく小糸は、自分がバス停の木造チェアに腰掛けていることを認識した。
 どうやら自身の脳は落ち着きを取り戻してくれたらしい。
 小糸は胸をなで下ろすと、静かに「ああ、よかった……」と呟いた。


471 : さよなら、受け身だった僕たち ◆mg.DCgSR.Q :2020/05/24(日) 11:11:24 vkwDGsNw0
「って、全然よくないよっ!」

 その直後、何が〝ああ、よかった……〟だ、と自身へとツッコミを入れた彼女は、急いでチェアから腰を上げて立ち上がる。
 続いて、素早く周辺を見渡す。白を基調としたブレザー制服のスカートが翻り、下着を晒してしまうのではないかという勢いでだ。
 しかし幸か不幸か、辺りには誰もいなかった。視認し損なった可能性もあるものの、少なくとも人の気配といったものは感じられなかった。
 つまりは眠りこけていた間に説明された〝殺し合い〟なるものに巻き込まれ、無防備な姿を晒しながらも……敵と呼ぶべき者がいないということだ。
 だが転じてそれは、信じられる幼なじみ達も、プロデューサーも、ファン達もいない、孤独な状況下であることを示している。
 独りぼっちというものを酷く恐れる小糸にとって、それは重すぎる精神的負荷であった。
 事実、小糸の胸には早くも不安の種が蒔かれている。このままでは恐怖をまき散らすだけの邪悪な花が次々と咲き乱れるであろう。
 整っていたはずの呼吸が乱れだす。しっかりと大地を踏みしめていた両脚が震えだす。
 このままでは、動けなくなってしまう。

 見渡しの良すぎるバス停からゆっくりと離れるためにゆらゆらと歩を進め始めた小糸は、危険を承知で幼なじみ達の名を呼んだ。
 続いてプロデューサーの名を呼んだ。それから事務を担当する七草はづきの名も呼んだ。283プロの社長である天井努の名も呼んだ。
 最後には、出演した番組などで世話になったスタッフの名までも――覚えている限りではあるが――呼んだ。

 収穫は無かった。
 誰の声も返ってこず、逆に自身が誰かに話しかけられることもない、真の孤独を思い知らされるという結果だけが残った。

 殺し合いの舞台という禍々しい世界に、自分は独り。その事実が、改めて小糸の精神を蝕んでいく。
 結果、ふらつきながらも車道沿いを歩んでいた彼女は遂に立ち止まってしまい、胸の少し下を片手で強く押さえ込んでから……勢いよく吐いた。
 あらかじめ胃に入れていた食べ物の欠片が、ほのかに黄色く染まる胃液と共に足下へとまき散らされる。何度も、繰り返して。
 制服や靴が汚れなくてよかった。己の吐瀉物から距離を置いた小糸は、そう思いながらデイパックを開いて手を突っ込む。
 急いで取り出したのは水だった。震える手で容器を開封し、何度も口をゆすぐ。こんな姿は誰にも見せられないと、そう強く感じながら。
 やがて口内の違和感が消え去ると、再びバス停が視界に入る。駅名こそ違うが、あまりにも早すぎる再会だ。
 この街の住人にとって、バスは電車などよりも重要な足として使われているのだろう。

「くっ、うぅ……」

 事務所のソファで癒やされていたはずの身体が、再び疲弊してしまっている。まるで軋んでいるかのようだ。
 二つのバス停の間を歩くなど、基礎体力を向上させるためのレッスンと比べればなんということもないはずであるというのに。
 それほどまでに彼女の精神は蝕まれていたのだ。
 それほどまでに、彼女は孤独を恐れているのだ。

「……あっ」

 しかし、ここでようやく小糸は〝孤独であること〟が、この場においては幸運であるということに気がついた。
 そう。この殺し合いの舞台である街に大切な誰かがいないということは、それ即ち〝そうした者達は巻き込まれていない〟ということ。
 被害者はたった一人、福丸小糸という少女のみに留まっており……大事な人達は、こんなふざけた催しになど招待されていないというわけだ。
 大きくため息をつくと、両脚が突如として力を失う。膝から崩れ落ちた彼女は乾いた笑い声を上げると、暗い暗い夜空を見上げた。


472 : さよなら、受け身だった僕たち ◆mg.DCgSR.Q :2020/05/24(日) 11:14:28 vkwDGsNw0
「飛びたかった、なぁ……」

 己が大切に思う人達がいないのならば、それはとても良いことだ。
 みんなが誰かを殺したり、誰かに殺されたりしないのだから、本当に良いことだと思う。

「わたしも……わたしも、一緒に……」

 けれど、もう自分は終わりだ。
 何故なら自分に、覚悟などなかった。
 誰かの命を奪ってでも生き残ってみせようという執念が、己には存在しないのだ。
 小糸という少女が抱く執念は、幼なじみ達と共にアイドルを続けることに対するものだけだ。
 たとえオーディションで名も知らぬアイドル達を蹴落とせようとも、誰かの命を奪うという恐ろしいことなど出来るものか。
 故に、自身の物語はここで終わる。死という形で、完結するのだろう。福丸小糸を知る誰かに認識されることもなく、無慈悲にだ。

「あの、輝くステージに……知らなかった世界に……」

 空に煌めく星々が、眩い舞台と重なる。
 決して届かないと理解しながらも、小糸は空へと右手を伸ばす。
 虚しさが、心を覆い始めた。明るい少女の心が、皆既日食よろしく真っ黒に塗りつぶされていく。
 しかしそれでも、四人でノクチルを続けたいという執念や、アイドルとしてのプライドがそうさせたのか。 

「プロデューサーさんに、連れて行って欲しかった……っ!」

 漆黒の影によって心が完全に覆われる直前、彼女は大粒の涙を流しながら叫んだ。

「わたしも、行きたかったよ……」

 初めは、アイドルを志す理由があまりにも弱々しかった。
 けれどもプロデューサーに手伝ってもらいながら、自分の中に眠る〝本当〟を知っていった。
 そのおかげで、ノクチルとしても、幼なじみとしても、もっともっと日々を一緒に過ごすことが楽しくなった。
 そうして遂には、自分のなりたいアイドルがどのようなものなのかという答えに辿り着けそうなところまでやってきた。
 
「四人で一緒に、眩しい世界に飛びたかったよぉっ!」

 そんな、かつては普通の少女であった、とてつもない努力家の福丸小糸が……本音をぶちまけた。
 声に気付いた誰かに殺されてしまっても構わない。そんな想いすら抱いて、咆哮したのだ。


473 : さよなら、受け身だった僕たち ◆mg.DCgSR.Q :2020/05/24(日) 11:15:07 vkwDGsNw0
 故に、だろうか。

「ぴゃあぁっ!?」

 異変が起きた。
 前髪や一対の髪束を……否、それどころではない。
 彼女の制服すら激しくはためかせるほどの突風が、天へと伸ばしたままの右腕から生まれたのだ。
 一体何が放出されているのか……小糸は必死に考えるが、理解が追いつかない。
 だがそんな彼女に優しく答えを教えるように、突風を産む者が正体を現した。

「ら、じこん?」

 右腕の付け根に現れたヴィジョンは、小さなプロペラ戦闘機を模していた。
 スタンド、という単語が脳裏をかすめる。小糸は再びデイパックへと左手を突っ込むと、目的の物が吹き飛ばされないよう注意して取り出す。
 左手に収まったのは説明書だ。自身に支給されたというスタンドなるものの正体を知るための、大まかで薄すぎる一枚の説明書。
 そこに書かれている〝何が出来る力なのか〟を解説する文章を即座に頭にたたき込むと、小糸は……ヴィジョンに与えられた名を呼んだ。

「〝エアロスミス〟っ!」

 刹那、それは飛んだ。
 星空という名のステージへと飛び込んでいくように、小糸の右腕をマスドライバーに見立てて勢いよく飛翔したのだ。
 その姿は鮮やかで、華やかで、艶やかで……主であるはずの小糸を強引にステージへと引っ張り出すかのように荒々しかった。
 片目の近くに出現したレーダー越しに、小糸は夢中になってその姿を眺め続ける。
 気付けば涙は止まっていた。こんな光景を見せられてしまえば当然だ、と小糸は思った。
 やがて彼女は、緩慢ではあったが確かに立ち上がる。そして「帰っておいで」と優しく呟くと、エアロスミスは小糸の元へと急降下を始める。
 今度は主の右腕を滑走路代わりにすると、最後には右肩で急停止した。
 そして小糸が腕を下ろすと、ヴィジョンは――レーダーも含めて――静かに消失する。
 けれども、再び独りぼっちにされたわけではない。
 たとえ姿が消えようとも、エアロスミスというこの小さな存在が己に寄り添ってくれていることを……小糸は確かに感じ取っていた。
 
「ありがとう……エアロスミスちゃん」

 お礼の言葉を贈った小糸は、続いて「いきなり呼び捨てにしちゃってごめんね」と謝罪する。
 そしてスカートについた汚れや砂利を両手で払うと、進行方向へと真っ直ぐ視線を向けた。

「飛んでくれて、ありがとう……」

 ノクチルという一つの世界を構成する自慢の幼なじみ達。
 福丸小糸という少女をノクチルごと支えてくれるプロデューサー。
 自分達に完璧なパフォーマンスをさせる為にと檄を飛ばしてくれるトレーナー達。
 出演する番組やステージを裏からしっかりと支えてくれるスタッフ達。
 ステージに立つ小糸達を光や歓声などで応援してくれるファン達。
 エアロスミスは、これまで小糸を支えてくれていたそれらと一線を画した異形の存在であった。


474 : さよなら、受け身だった僕たち ◆mg.DCgSR.Q :2020/05/24(日) 11:15:47 vkwDGsNw0
 だがそのおかげで、小糸は立ち上がることが出来た。
 極めて奇妙な姿を持つ力は、これまでに見たこともない奇妙な方法で小糸の腕を心ごと掴んでくれたのだ。
 あの小さな戦闘機が、煌めくステージへと飛んで行けたのならば……主である自分が着いていけない道理などないはず。
 極めて異質で強引に過ぎるプロデュースではあったが、だからこそ涙も吐き気も……心を侵略していた影の動きも止まってくれた。

「わたし、もっともっと頑張るから」

 震えが治まった足で、今度はしっかりと前へと進む。

「皆と一緒に、わたしも一緒に飛び立つために……」

 一緒にアイドルを続けるために。
 一緒にノクチルを続けるために。
 自分のなりたい何かになるために。
 福丸小糸は歩を進める。

「わたし、絶対に帰るからっ!」

 誓いの言葉が、小さな口から大きく響く。
 歩みを止めぬ少女の背後で、ジェット気流が小さく噴いた。



【名前】福丸小糸
【出典】アイドルマスター シャイニーカラーズ
【性別】女性
【能力・技能】
 人間。アイドル。異能を持っているはずもない。
 努力家で勉強の出来る秀才型だが、自分が努力している姿を他人に見せたくはないタイプ。
 小学校卒業後に〝大好きな幼なじみ達とは別の学校へと進学した〟ことがきっかけで、孤独を嫌うようになる。
 そして高校で再会した彼女達と共に、283プロダクション所属のアイドルとなり〝ノクチル〟というユニットを結成。
 だが小糸がアイドルになった理由は〝幼なじみ達と一緒にいたい〟という、極めて消極的で受け身なものであった……。


【スタンド】エアロスミス
【破壊力:B/スピードB:/射程距離:B(数十メートル)/持続力:C/精密動作性:E/成長性:C】
【能力詳細】
 本体の意思で自由に操作出来る小さなプロペラ飛行機と、本体の片目近くで浮遊するレーダーがセットになったスタンド。
 いわゆる〝遠隔操作型〟にカテゴライズされ、機銃掃射と爆弾投下という攻撃能力を持つ。その威力・殺傷力は実物も真っ青である。
 レーダーは近辺の生物が生み出す二酸化炭素を探知することで、呼吸している敵の位置を本体に知らせてくれる(喋ったりはしない)。
 出現・消失の際には本体の腕から背中辺りまでを滑走路とし、離陸と着陸を行う。


【備考】
 恐らくだが、W.I.N.Gの準決勝か決勝を目前に控えていると思われる。
 具体的にはシーズン4の終盤辺り。

【方針】
 大切なみんなの元へと帰り、煌めくステージへと立つ。


475 : ◆mg.DCgSR.Q :2020/05/24(日) 11:16:37 vkwDGsNw0
投下終了です。


476 : 純粋なる黒その美、この世のものならぬ ◆XksB4AwhxU :2020/05/24(日) 13:17:09 UPz73aKA0
完成したので投下します。


477 : 純粋なる黒その美、この世のものならぬ ◆XksB4AwhxU :2020/05/24(日) 13:18:02 UPz73aKA0
泉の中心で水浴びをしている女性…その肌は真珠のように白く、柳のようにしなやかな腰に母性を感じさせる夢のゆりかご。
だが、その女性は人ではなく妖怪…名は羽衣狐。
「妖怪でありながら人間世界を支配する唯一の存在」とも評される大妖怪。
「ふむ…どうやら妾の力は制限されておるな。あのプッチとかいう下卑た人間の所作か…」
水浴びを終え、憑依した女子高生の制服に着替えながら羽衣狐は呟く…
漆黒のセーラー服とストッキングは濡烏の長い髪にとてもよく似合う。
「許さぬぞ…人間風情が…ようやく生まれた我が子、晴明に会いにいこうとしていたところを邪魔しおって…!!」
羽衣狐の怒りに応じてか泉の水が乱暴に波を立てる…すると、泉に血だまりができた。
「ふむ…「すたんど」やらの力。これは、本物のようじゃな…」
羽衣狐の視線の先にいるのは醜く骨が見える魚…ゾンビ化している。
支給されたスタンド、ブルー・ハワイの力だ。
「そうだな…優勝した暁にはあの者の生き肝を喰らい、配下とするか…死体としてな」
羽衣狐はプッチの生き肝を喰らい、死体として操ることを決めると、ゾンビ化した魚を始末すると、移動を開始した。


478 : 純粋なる黒その美、この世のものならぬ ◆XksB4AwhxU :2020/05/24(日) 13:18:22 UPz73aKA0
【名前】羽衣狐
【出典】ぬらりひょんの孫
【性別】女性
【能力・技能】
京妖怪を統べる狐の大妖怪。
強靭な尾による攻防一体の戦闘スタイル。尾には敵意に反応するという特性が備わっており、反応速度が高い
【参戦時期】原作15巻 安部晴明出産後

【スタンド】ブルー・ハワイ
【破壊力:?/スピード:?/射程距離:?/持続力:?/精密動作性:?/成長性:?】
※まだ記載されていない。
【能力詳細】
能力は対象をゾンビ化させる。
本体の体液と接触した相手は意識を失い、本体が決めた『標的』に向かって一直線に進み続ける。どれだけダメージを受けても決して止まらない。
一度にゾンビ化させることができる対象は一つだけだが、血液などの体液に接触することで感染対象が切り替わり半永久的に追跡ができる。
【方針】
優勝。人間は生き肝を喰らい、人ならざるものは「ブルー・ハワイ」の力でゾンビ化して使い捨てる。
※制限により憑依して転生することはできない。
※尻尾の装備は「二尾の鉄扇」・「三尾の太刀」・「四尾の槍 "虎退治"」のみ使用可能。


479 : 純粋なる黒その美、この世のものならぬ ◆XksB4AwhxU :2020/05/24(日) 13:18:46 UPz73aKA0
投下終了します。


480 : ◆fYZ5OQREFs :2020/05/24(日) 13:39:49 q6emQLh60
投下します。


481 : 銀河ステーション発、天国への門行 ◆fYZ5OQREFs :2020/05/24(日) 13:41:07 q6emQLh60


「おっかさんは、ぼくをゆるして下さるだろうか。」
 いきなり、カムパネルラが、思い切ったというように、少しどもりながら、急せきこんで云いいました。
 ジョバンニは、
(ああ、そうだ、ぼくのおっかさんは、あの遠い一つのちりのように見える橙だいだいいろの三角標のあたりにいらっしゃって、いまぼくのことを考えているんだった。)
と思いながら、ぼんやりしてだまっていました。
「ぼくはおっかさんが、ほんとうに幸(さいわい)になるなら、どんなことでもする。けれども、いったいどんなことが、おっかさんのいちばんの幸なんだろう。」
カムパネルラは、なんだか、泣きだしたいのを、一生けん命こらえているようでした。
「きみのおっかさんは、なんにもひどいことないじゃないの。」
ジョバンニはびっくりして叫さけびました。
「ぼくわからない。けれども、誰たれだって、ほんとうにいいことをしたら、いちばん幸なんだねえ。だから、おっかさんは、ぼくをゆるして下さると思う。」
カムパネルラは、なにかほんとうに決心しているように見えました。

──宮沢賢治『銀河鉄道の夜』より


☆★


482 : 銀河ステーション発、天国への門行 ◆fYZ5OQREFs :2020/05/24(日) 13:41:55 q6emQLh60

男が一人、寝転んでいた。
切れ長の目にくしゃりと跳ねた髪、そして誰もが引き込まれるような端正な顔立ち。
正しく美青年と形容するに正しい男が寝ているその場所は、ともすれば草原か、あるいはハンモックの上かとも思われるだろうが──生憎と、そんな風情もない場所であった。
アスファルトに舗装された、きわめて一般的な路上。
そこに寝転がって、何をするでもなく空を眺めていた彼が、ようやく口を動かした。

「何処とも知れない場所での殺し合い、か。夜凪が確かそんなのやってたんだっけ。聞いておけば良かったかな」

嘆息して、ついこの間まで舞台の上で鎬を削った共演者のことを思い出す。
正直興味はないし見てもいないけれど、彼女が劇団天球に来るということを知って周囲が騒ぎ立て、ようやく見つけた出演予定の作品からそれを見つけていたのだけは覚えていた。
正直又聞きにしか覚えていないし、覚える価値もないと思っていたが、さて、彼女が『体験』したのはこのような場での撮影だっただろうか?
それを『喰らって』おけば、自分もこの場所を上手く演じることができただろうが。

「まあ、そうでなくとも『殺し合う』演技を求められるだけなら、むしろ歓迎だけど」

それは、役者である彼であるからこその思考であった。
もしもこれが何かの企画であったとして、「殺し合いに巻き込まれた一人の男」という即興の演劇を求められているのであれば、全力で応えようと思っていた。
いや、むしろ。
そうでなかったとしても、事ここに至って尚、彼の役者としての知的好奇心は若干の興味に向いていた。
それこそあの共演者が演じたという一作ではないけれど、自分にも今後もし殺し合いだの何だのといった血腥い仕事が回ってきた時があれば、この場所に放り出された人々を喰らった経験はきっと役に立つ。
殺し合いと言われ、恐慌状態に陥った一般人。あるいは、自分だけが生き残ろうとする狡賢い悪人。あるいは、こんなゲームそのものを破壊すると息巻く正義の人。
それらの人々が、何を以て己の行動を定義し、どのようにしてスタンスを決定して、何のために武器を手に取ったのか。
それらを喰らえばきっと、自分もこの場所で大きく成長して、それらの役を演じられることだろう。


483 : 銀河ステーション発、天国への門行 ◆fYZ5OQREFs :2020/05/24(日) 13:42:33 q6emQLh60

──尤も、これが本物の殺し合いであるなら。
自分がここから、役者を続けられる身体のまま生きて帰れれば、という条件が付くのだが。

「殺す、か」

実際のところ、結局はそこに帰着する問題であった。
一息に飲み込むのは難しい。何処ぞのTV局が勝手にドッキリを仕掛けたといった方が真実実がある、というのはまだ変わらない。
自分が一晩のうちにこんな場所に来ていて、気持ち悪いくらいに鮮明に記憶に残っている悪趣味な夢を見て。
なるほど、奇怪な事しか起こっていないという点においてはある程度の現実味を帯びてはいる。
そして、仮にこれが本物の殺し合いなら、明神阿良也はどうするべきなのか。

別に、殺し合う理由はない。
ここにきて人を殺したりすれば、スキャンダルとかいうやつになるだろう。
そうすれば、きっと役者を続けることはできない。
あの人の作品に、泥を塗ることになる。
己が巌裕次郎の最高傑作だと、誇ることができなくなる。
それだけで、意味がないように思えた。

だとしたら、どうするか。
まあ、ドッキリであるという前提で動きつつも、一応は本当に殺されないように立ち回る、ぐらいであろうか。
死なずに、どうにかして脱出する。
演技力と、あとは以前の役作りで使った猟銃くらいなら心得はあるが、はてさて、他に武器になるようなものはあるだろうか。どこかで調達できるだろうか。

そんなことを考えながら。
彼はそれでも、ぼうっと、夜空を仰ぎ続けていた。
星の瞬く夜空を、ただ、見ていた。

『あんなにも眩しいが、俺達乗客にはもう2度と触れることの許されない光』

頭の中で、声がする。
ぐるぐると、酒を飲んだ時のように、頭の中をやかましく回っている。

『死の景色だ』

銀河鉄道の車窓。
屋形船から見る夜景という人の営みの輝きに、死へ向かう銀河鉄道の乗客が二度と触れられない輝きをなぞらえて。
あの人は確か、そんなことを言っていた。

ああ。
感傷的になっている。
どうにも、この感覚は覚えがある。
ついこの前。あの舞台の上。『僕』と『俺』の境界が揺らいだ瞬間。
ある男の死を、受け容れられなかった瞬間。
──男が語っていた言葉とあの夢から、「死」に触れたからだろうか。
それとも、あの男が謳う奇跡とやらで、その可能性を一瞬でも想起してしまったからか。
どうにも、あの時の感情がやたらと浮かんでは消えていく。
死を認めたくなかった自分が、あの時膝をついた自分がいたことが、嫌が応にも思い出される。
今更な感傷だ。分かっている。
けれど。
背中に伝わる、アスファルトの感覚が。
空を彩る星と月を見上げる、この既視感が。
まるで、あの時、彼の一番になることを誓った、酔い潰れた時のようで──


484 : 銀河ステーション発、天国への門行 ◆fYZ5OQREFs :2020/05/24(日) 13:43:09 q6emQLh60



──不意に。
──視線の先に、誰かがいた。




彼の目の前に、その少年は、いつの間にか立っていた。
寝転んで伸ばした手を、掴むことなく横叩きにして。
その少年のかたちをした幻は、死人のような顔をしながら、ぼうっとそこに立っていた。

「カムパネルラ──」

そう呟いたのは、あの時の『僕』がまだ心の中に残っていたからか。
すぐ消えると思って暫く見ていたが、どうにも消える様子がなく、かといって何も言うてもなくただずっと見下ろしていた。
あの舞台の時と同じ、夜凪景の姿をした幻影が、ただ薄笑いを浮かべて。
そこで、俺を待っていた。

「馬鹿らしい」

思わず、そんな言葉が口をついて出た。
いい加減、都合のいい幻覚だと言い張り続ける気も失せてきた。
生きてそこにいるわけでもないはずなのに、何故かそこに立ち尽くしている様は、まさしくカムパネルラのように見えて。
しばらくそのまま立ち尽くして、その後にようやく思い出した。
精神のヴィジョン。
夢の中で男が言っていた
いつの間にか手に持っていたバッグを今更になってまさぐり、その効果が書かれたメモを見つける。
そこに刻まれていた表題を見て、何故だか、笑ってしまった。

「『天国への扉(ヘブンズ・ドアー)』、か」

別に、天国を信じているという柄でもない。
けれど。
銀河鉄道が、カムパネルラを死の世界に連れて行く列車なのだとしたら。
カムパネルラはきっと、天国へと行っただろうから。

「いや、あんたは地獄行きなのかな」

自分のことを罪人だと嘆いた横顔を、贖罪をしたいと呟いていた声色を、覚えている。
演劇の為に家庭も放り出して、様々な罪を犯して、それでもあんたは芝居をしたから。
そのツケで地獄に行くのだと、あんたは言うだろうか。
尤も、それならそれでいい。
天国だろうと地獄だろうと、銀河鉄道の向かった先にあんたがいるなら、そこで俺を見ていればいい。
あんたを残した作品を、車窓から見ていてくれるのなら。

「どっちでもいいさ。見ててくれれば、それでいい」

俺はただ、自分が巌裕次郎の一番だと証明できればいい。
その為に、生き残る。
この舞台を演じきって。
そして、その上で、まだ俺の人生を続けていく。

だから。

「もう、あんたの手を借りなくても、立てるさ」

傍に立つカムパネルラの差し出す手を、あえて掴まない。
自分の手で、自分の足で、ゆっくりと立ち上がる。
もう、忘れることはない。
立ち方なんて、とっくに思い出している。
彼という人生の頁に、消えぬように刻まれている。残されている。

ああ。
人は死ぬ。
必ず死ぬ。

だけれど。
俺の人生は続く。
誰かの人生は続く。
銀河鉄道の列車に乗って、天国の門に至るまで、きっとずっと。
そんな人々を喰らいながら、俺は高みへ登り続ける。


……だから。
それで、いいだろ?



☆★


485 : 銀河ステーション発、天国への門行 ◆fYZ5OQREFs :2020/05/24(日) 13:44:08 q6emQLh60



カムパネルラの人生が終わり、さりとてジョバンニはまだ生き続ける。
ならばこそ、その幕引きを彼は許せなかった。
他の大多数とは違うところで、何故か怒ってしまっていた。
だからいつも、なんとなく悲しかった。

だって、人生は、それでも続くから。
物語が終わっても、人生は続くから。

そんな男が今手にしたのは、誰かの物語を閲覧するチカラ。
己の表現で誰かを魅了することで、その人間のこれまでを余す所なく見ることができるチカラ。
物語が終わろうと、世界が一巡しようと、死の景色に至らない限りは刻まれ続ける人生の形。それを表した、文字の群れ。
それを見るチカラの、姿かたちは。
男にとっての天国の門(ヘブンズ・ドア)たる、カムパネルラの容貌をしていた。




【名前】明神阿良也
【出典】アクタージュ
【性別】男
【能力・技能】
・舞台俳優
実力派として名高い舞台俳優。劇団天球所属。
自分や他人の経験を学び取る─本人は『喰う』と表現する──ことで、そこから感情を想起させ、その実体験としての感情を纏った演技で観る者を魅了する非常に高い演技スキルを持つ。
猟師の役作りとして実際に熊狩りを行うなど、演技や役作りに対する態度は非常にアグレッシブ。



【スタンド】ヘブンズ・ドアー
【破壊力-D/スピード-B/射程距離-B/持続力-B/精密動作性-C/成長性-A】
【能力詳細】
能力を発動した対象を、それまでの対象の人生が余すところなく書かれている「本」に変化させる。
本となった対象は行動能力が非常に制限される他、ヘブンズ・ドアーの持ち主によって本に書かれたことは実際に発生する。「誰かを攻撃できない」と書けば攻撃されることはなく、「時速80kmで背後へ吹っ飛ぶ」と書けばその通りに吹き飛ぶ。
現在の持ち主である明神阿良也が漫画家ではなく役者である為、発動条件は「彼の演技を見て心を震わせられること」となっている。
なお、本来の持ち主である岸辺露伴が発現したスタンドのヴィジョンは彼が描く『ピンクダークの少年』のものであるが、阿良也が発現したこのスタンドのヴィジョンは彼の敬愛する巌裕次郎の遺作『銀河鉄道の夜』において、彼と共に主演を演じた夜凪景演じるカムパネルラの姿で発現する。

【備考】
参戦時期は『銀河鉄道の夜』の公演初日終了後以降です。
ヘブンズ・ドアーの能力制限については>>1氏にお任せいたします。


486 : ◆fYZ5OQREFs :2020/05/24(日) 13:44:34 q6emQLh60
投下を終了します。


487 : ◆DWDMFPPpRw :2020/05/24(日) 18:49:35 UerYrG1.0
投下します


488 : Civil War ◆DWDMFPPpRw :2020/05/24(日) 18:51:27 UerYrG1.0

 夜。月明かりに照らされた協会。神に祈るために存在する場にひとりの女性が居た。
 銀髪に軍服を来た女性は、祈りを呟く事はなく、ガタガタと体を震わせながら嗚咽を漏らしている。

「ひっ……ひっ!!」

 その女性、シオニー・レジスは追い詰められていた。
 自分の故郷が既に滅び、結果的にその引き金を引いたのは自分であった事。
 反発するように独裁体制を引いたが、それすらも結局崩壊してしまったこと。
 全てはリモネシアのために。そう信じて行ったことが全て裏目に出る。
 あるいはこの奇妙な催しに拉致される前から、彼女は限界だったのだ。
 
「……いや、あんな死に方は嫌……!」

 頭が破裂した女の無残な姿が、脳裏に焼き付いたかのようにフラッシュバックする。
 殺し合い。なぜ私がそんなことをしなければならないのか、こんな目に合う必要があるほど、それほどまでに私は"罪深い"のか。
 その思考を肯定するように、その場に形をもって彼女の罪は現れていた。
 死の恐怖と罪悪感で窒息しそうな彼女を、無数の亡者達が攻め立てている。
 彼らはきっと、滅亡したリモネシアの国民たち。何の罪もない犠牲者。泣きじゃくるシオニーに群がるように取り囲む彼らからは、『なぜお前だけが生きているんだ!』と、そんな怨み言が聞こえてくるようであった。
 この現象は、彼女に与えられたスタンド『シビル・ウォー』の一端であった。
 今のところ、亡者たちは何もしてこない。ただ、そこで恨めしそうにシオニーを見つめてくるだけだ。ただそれだけで、切れ味の鋭いナイフを突き立てたように彼女の心を蝕む。

「な、何なのよ…! もう嫌…! 嫌! みんな、赦して… 誰か…助けて…。リモネシアと私を…助けて…!」

 強制的に向き合わされた自らの罪。その重さに苦しむ若き独裁者。しかし、彼女はまだ知らない。彼女に与えられたスタンドは、罪を清めるための能力であることを。
 見知らぬ第三者におっかぶせるという、最低最悪の方法ではあるが、その救いに気づいた彼女がどんな選択をとるのかは、まだ解らない。


489 : Civil War ◆DWDMFPPpRw :2020/05/24(日) 18:52:09 UerYrG1.0
【名前】シオニー・レジス
【出典】第2次スーパーロボット大戦Z 破界編
【性別】女性
【人物背景】
 リモネシア共和国の外務大臣。25歳という若さながら祖国リモネシアの平和と繁栄のために、日々尽力していた。
 彼女の祖国であるリモネシアは一介の小国に過ぎなかったが、数年前、突如発見されたDEC(ディメンジョン・エナジー・クリスタル)の恩恵で国際的な発言力を急遽持つようになり、自国を守るべく様々な提案をしていた。しかし、リモネシアという国を愛するが故に自身にかかる精神的負担は相当なものであり、加えて、彼女自身もおよそ政治家や官僚に向かない気質の人物であったことが事態をさらに悪化させてしまっていた。
 口車に乗せられる形で「プロジェクト・ウズメ」を実施するが、その内容は彼女が考えていたものとは全く異なっており、破界の王を呼び出すためのものだった。
 そして、リモネシアはアリエティスとグレート・アクシオンが発生させた膨大なエネルギーに巻き込まれ、壊滅してしまった。
 当然、当初はアイムに抗議していたが、新帝国インペリウムの特殊過ぎる環境、圧倒的な力の前に彼女は徐々に変貌していき、月面での決戦時にはもはやガイオウの威を借る傲慢な独裁者のような有様と化してしまっており、リモネシアの外務大臣だった彼女の姿はもう何処にも無かった。

【能力・技能】
 弱冠25歳で一国の外務大臣を務めていたあたり、恐らく相当なエリートだったのではないかとも取れるのだが、現在の彼女にその能力を発揮できるだけの余裕はない。

【スタンド】シビル・ウォー
【破壊力 - なし / スピード - C / 射程距離 - C / 持続力 - B / 精密動作性 - C / 成長性 - なし】
【能力詳細】
 細身のロボットのような外見をしたスタンド。スタンドのヴィジョンをバラバラにすることも可能。
 能力は入り込んだ標的の記憶から過去に『捨てたもの』を質量のある幻影として呼び出す空間「シビル・ウォー」の形成。
 この幻影は標的が過去に犯した罪の象徴でもあり(簡単にいうと嫌な思い出にまつわる品物)、物だけでなく自分が殺してしまった人間や動物も含まれている。
 あくまで当人の罪の意識から投影されるものなので、 不可抗力で死なせてしまったり実際は関係ない事故死であっても『自分のせいで○○を殺してしまった』という罪悪感がある限り悪意ある怨霊として現れる。
 この幻影に少しでも触れるとビニールのような膜に全身を包まれ、 過去の罪悪の記憶を見せ付けられながら完全に行動不能にされてしまう。
 清潔な水をかけることでこの状態は解除される。
 このスタンドの真の恐ろしさは、スタンドの効果範囲内で本体が殺害されると、殺した者が『本体を捨てた』という扱いになり、本体が背負っていた罪を殺した者に押し付けることで、その罪のパワーを元に死んだはずの本体が復活する能力。
 しかも本体が死なせた無数の人々の怨霊までもが芋づる式に殺した相手に襲いかかってくるおまけ付き。

【備考】
 参戦時期は搭乗していたグレート・アクシオンが撃沈される直後。
 デイパックを確認していないため、スタンド能力に関してはまだ把握していません。
 採用された場合、シビル・ウォーの制限に関しては書き手に任せます。

【方針】
 死にたくない


490 : ◆DWDMFPPpRw :2020/05/24(日) 18:52:33 UerYrG1.0
投下終了です


491 : クッパ軍団…ただいま0人 ◆XksB4AwhxU :2020/05/24(日) 20:02:09 UPz73aKA0
完成したので、投下します。


492 : クッパ軍団…ただいま0人 ◆XksB4AwhxU :2020/05/24(日) 20:02:19 UPz73aKA0
「オノレ!プッチとやらワガハイを怒らせたツミはオモイゾ!!」
民家の中、怒りの声を発しているのは人ではなく、大きな亀…巨大なカメで、頭には二本の角が生えている。
大魔王クッパ。ヒゲを生やした配管工と幾度もなく戦っているカメ族の王。
キノコ王国の姫との結婚式を邪魔されると、最後は宿敵に足蹴にされて、落下している最中にこの儀式に呼ばれた…
「ガハハ!ワガハイのムテキなパワーがあれば、プッチとかいう無礼なヤツの企みなんぞ恐れることはないッ!」
クッパは、プッチの企みを阻止することと決めた。
「さて、「すたんど」とやらが、支給されたようだが…この鍵がソウナノカ?」
クッパはデイパックの中に入っていた鍵を片手に持ちながら、首をひねる…
「う〜む…どこか、この鍵を挿しこむ所が…ッ!?」
ふと、部屋に置いてある鏡に目をむけると…
10本のトゲが生えている甲羅に窪みができている。
「!?ワガハイのスーパーな甲羅がっ!?」
クッパが自慢の甲羅に窪みができていることに涙を流す。
「…もしや、甲羅の窪みに嵌める鍵が「すたんど」の発言条件なのか…?」
悲しみながら、クッパは考察する。
「・・・ええい!この「すたんど」とやらのパワーを得たからヨシとする!!」
落ち込んだ気持ちを切り替え、クッパは鍵を甲羅の窪みに嵌める。
「…ん!!??なんだ?そんな変化がみえないゾッ!?」
鏡から甲羅の変化を見ていたクッパは特に大きな変化が見えず困惑する!!
「え〜と…何々…自身の中に居住用の異空間を作り出す能力…?」
クッパは説明書の紙を読み…
「なんだ!その能力は!!しかも、ワガハイはその部屋に入れんではないかッ!!」
クッパに支給されたスタンド…「ミスター・プレジデント」
自身の中に居住用の異空間を作り出す能力。
「…まぁ良い。「すたんど」に頼らずとも、ワガハイのパワーとチシキがあれば十分だ。まずは、部下を集めなくては…新生クッパ軍団を結成するぞ!ガハハ!!」
クッパは新たな軍団を結成してプッチを打倒するために歩みを始める。


493 : クッパ軍団…ただいま0人 ◆XksB4AwhxU :2020/05/24(日) 20:04:38 UPz73aKA0
【名前】大魔王クッパ
【出典】スーパーマリオシリーズ
【性別】オス
【能力・技能】
性格は非常に頑迷かつ横暴で、プライドも人一倍高い。
親分肌な一面もあり、部下たちが苦戦していると見るや自ら先陣を切って状況改善に乗り出し、部下の裏切りや逃亡も許す度量と心の広さも持ち合わせていることから、部下からの忠誠心は強く、クッパ自身も彼らに対して大きな信頼を寄せている。
火炎…口や手から炎をだすことができる。
急降下プレス…大ジャンプして、相手を押し潰す攻撃。
【参戦時期】オデッセイED直後

【スタンド】ミスター・プレジデント
【破壊力:E/スピード:E/射程距離:A/持続力:E/精密動作性:E/成長性:E】
【能力詳細】
能力は「自身の中に居住用の異空間を作り出す」こと。
入るときは『鍵』の宝飾部分、出るときは天井に触ると一瞬で吸い込まれて移動できる。
また、鍵を外すと能力が解除され、生き物だけが強制的に排出されてしまう。
生物のみならず、死者の魂さえも部屋の中に押しとどめておくことが可能という隠れた効果がある。
【方針】
打倒プッチ!
まずは、参加者たちを勧誘してクッパ軍団を結成する。
※制限により身長は2M程度。
※魔法はプッチにより制限されている。


494 : クッパ軍団…ただいま0人 ◆XksB4AwhxU :2020/05/24(日) 20:04:54 UPz73aKA0
投下終了します。


495 : ◆NIKUcB1AGw :2020/05/24(日) 20:49:41 rAoUktgs0
投下します


496 : 凡骨ビート ◆NIKUcB1AGw :2020/05/24(日) 20:50:31 rAoUktgs0
会場内の、とある学校。
かなり規模の大きいその学校には、武術系の部活動が使うための道場が存在していた。
その倉庫で、一人の青年が捜し物をしていた。

「まあ、学校に真剣とか置いてないよな……。
 竹刀が見つかっただけでも御の字か……」

竹刀を手に、青年はため息を漏らす。
やたら髪質がいい以外は特徴のない彼の名は、村田。
社会の影で鬼と戦う、「鬼殺隊」の隊員だ。
だが、その肩書きももうなくなる。
鬼の首領である鬼舞辻無惨が討伐されたことにより、(約1名の例外を除き)鬼は全滅。
役目を終えた鬼殺隊も解散が決まり、残された隊員たちはそれに伴う作業に追われていた。
その矢先に、これである。

「いったい何者なんだよ、あの外国人は……」

意味もなく天井を見上げつつ、村田は呟く。
直接対峙したわけではないので断定はできないが、あの男は鬼ではないように見えた。
ならば、人間の身でありながら血鬼術のような超常の力を操る存在だというのか。
あり得ないと言いたいところだが、何せ世界は広い。
異国には、そういう人間がいるのかもしれない。

「そういや、俺も何か特殊な力が使えるようになってるんだっけ?」

ふと神父の言っていたことを思い出す村田。
特殊な力など自分が鬼に近づいてしまったようでいい気分はしないが、それはそれとして現状把握は必要だ。
殺し合いなど積極的にやるつもりはないが、自分の身は守らねばならない。
日輪刀が手元にない以上、与えられた能力に頼らざるをえない場面が来るかもしれない。

「えーと、ゲブ神……。水と一体化し、自在に操ることができる、か……。
 どれどれ……」

解説を読んだ村田は、早速見慣れぬ容器に入った水を取り出し、それに意識を集中してみる。
すると水は勢いよく飛び出し、床を滑るように移動し始めた。

「おお……。これはすごい……。
 すごいけど……。どうやって戦いに活かせと?」

解説には、本当に最低限の情報しか書かれていない。
そして村田は、自力でこのスタンドの活用法に気づくほど戦闘センスに恵まれてもいない。
すなわち、彼はゲブ神を「ただ水を動かせるだけの能力」と認識しているのだ。
果たして村田は、自分のスタンドの秘められた力に気づくことが出来るのだろうか……。


497 : 凡骨ビート ◆NIKUcB1AGw :2020/05/24(日) 20:51:48 rAoUktgs0


【名前】村田
【出典】鬼滅の刃
【性別】男
【能力・技能】
『全集中・水の呼吸』
身体能力を大幅に向上させる「全集中の呼吸」の一派。
村田の場合あまり才能がないため、型を使用したときに出現する水の幻影が薄すぎて見えない。

【人物背景】
鬼殺隊の一般隊員。
戦闘力はさほど高くないが、気配りのできるいい人。

【スタンド】ゲブ神
【破壊力:C/スピード:B/射程距離:A/持続力:B/精密動作性:D/成長性:D】
【能力詳細】
水などの液体と一体化して行動する、遠距離型スタンド。
手の形を作って爪で切り裂いたり、弾丸のように撃ち貫くことで攻撃を行う。
本来の射程距離は数キロに及ぶが、現在の本体である村田がまったく使いこなせていないため射程は大幅に低下している。

【備考】
・参戦時期は無惨討伐後。
・竹刀を現地調達しました。
・ゲブ神の媒介として、水が他の参加者より多く支給されています。
【方針】
生還


498 : ◆NIKUcB1AGw :2020/05/24(日) 20:52:28 rAoUktgs0
投下終了です


499 : 恐ろしき刃「因幡月夜」 ◆XksB4AwhxU :2020/05/24(日) 22:35:15 UPz73aKA0
完成したので投下します。
書いている最中被っちゃいましたが、キャラ的に今回は変更なしでいきます。


500 : 恐ろしき刃「因幡月夜」 ◆XksB4AwhxU :2020/05/24(日) 22:35:32 UPz73aKA0
「はぁ…剣と剣の斬りあいならともかく、「スタンド」?となるのを使用するなんて…ガッカリです」
草原の切り株に腰を下ろしている少女。
因幡月夜。《天下五剣》 の一人。
「しかも、獲物は取り上げられている…盲目の私にとって不利でしかないじゃないですか」
何時も手元から離さない模擬刀がないことに月夜は憤慨している。
因幡月夜は盲目である。しかし、その代償に驚異的な聴力を持つ。
「ただ…このスタンドは便利です」
目が括目し、月夜の満足に応えるかの如く頭の鈴がカランッと鳴る。
月夜に支給されたスタンドは「ゲブ神」
自在に姿を変化させる水のスタンド。
「大地」を見ることができない少女が「大地の神」のスタンドを支給されたのは、皮肉かそれとも、本来の持ち主同様「盲目」であることから必然なのかはわからない…
「このスタンドなら、私の剣技を生かすことができる」
そう…月夜が腰を下ろしている切り株は先ほど、ゲブ神の力で斬り落としてできたのだ。
「とりあえず…お友達…じゃない、仲間を探しますか…行きますよ。ゲブ神」
月夜の言葉に応じてゲブ神は刀の姿に代わり、月夜の服に差さる。
この儀式を直接、眼で見ることができないのは、幸せか不幸か…まだわからない。


501 : 恐ろしき刃「因幡月夜」 ◆XksB4AwhxU :2020/05/24(日) 22:35:48 UPz73aKA0
【名前】因幡月夜
【出典】武装少女マキャヴェリズム
【性別】女性
【能力・技能】
盲目だが驚異的な聴力を持ち、他人の体内器官の音すら聞き分けるほどである。
薬丸自顕流居合の使い手で、「抜即斬」と謳われる居合術は不可視の「雲耀」の域まで達し、ほぼ同時に三連撃を叩き込む雲耀【瞬光】を操る。
【参戦時期】アニメ最終話後

【スタンド】ゲブ神
【破壊力:C/スピード:B/射程距離:A/持続力:B/精密動作性:D/成長性:D】
【能力詳細】
能力は「自在に形が変化する水」。
その切れ味はすさまじく、人の手首や車のタイヤを瞬く間に切断する破壊力を持つ。
【方針】
対主催。まずは仲間(友達)を探す。
後は獲物(刀)の調達。ゲブ神が刀の役割をしているが戦いの幅を広げるために。


502 : 恐ろしき刃「因幡月夜」 ◆XksB4AwhxU :2020/05/24(日) 22:36:07 UPz73aKA0
投下終了します。


503 : アンラック ◆Z6IqeLNxJg :2020/05/24(日) 23:34:25 KRs.wEq60
投下します。一レスで終わります。

◇ ◇ ◇ ◇

「神父……私が思いっきりひっぱたいて! 特大の不運をお見舞いしてあげるから!」

◇ ◇ ◇ ◇

少女――出雲風子の人生には、いつも不幸がついて回った。
だが、彼女自身が不幸だったわけではない。彼女の周囲の人間が、不幸に――『不運』に襲われたのだ。
始まりは8歳のときだった。風子の両親が飛行機事故に巻き込まれ、死んだ。
別れ際に抱きしめられたこと。すぐに帰ってくるからいい子にしてるんだよとキスをされたこと。
それが風子の、両親との最後の思い出。

だけどそれは、始まりでしかなかった。彼女の近くにいた者は、次々と不運に見舞われていった。
ちょっとしたかすり傷を負っただけの人間もいれば、不幸な事故死として新聞の一面を飾った者までさまざまで、だけど彼らはその直前に必ず風子に「接触」していた。
それが自身の体質によるものだと風子が気付くまで、そう時間はかからなかった。

自分が不運なだけなら、きっとこんなに辛くなかった。
風子は、自分以外の誰かが不幸な目に遭うことが許せなかった。
やがて彼女は周囲の人間すべてを遠ざけ、孤独に生きることを選んだ。

だからこんな殺し合いも、許せない。
これから当たり前に生きて、当たり前に幸せになって、当たり前に死んで――そんな、人として当然の権利を突然に奪われてしまうことの苦しみを、風子は誰よりも知っている。
自分に何が出来るのか、それはまだわからない。だけどこのまま何もしないなんてことだけは、絶対に嫌だ。
だから風子は、一歩を踏み出した。

「フゥゥン……ダガ、ソッチの方角は『凶』ダぜェ」
「えっ……!? な、なんなのアンタ! いや、でも私は……『知ってる』。『記憶』が……ある?
 アンタが私の…………『スタンド』?」

プッチ神父によって挿入された記憶DISCによって、風子は『スタンド』の概念を既に知っている。
方位盤のようなリングと共に空中浮遊する龍は、まるで笑うように顎の端を歪ませ、名乗る。

「ソウダ……オレハ『ドラゴンズ・ドリーム』。オマエの敵ジャアナイが味方デモない……『中立』サ」


【名前】出雲風子
【出典】アンデッドアンラック
【性別】女
【能力・技能】
『不運(アンラック)』
 他者の「運」を否定する能力。風子の肌に触れた対象に、接触範囲と時間に応じた「不運」が降り注ぐ。

『不運』以外はいたって普通の18歳。自らの能力を儚んで自死を考えたこともあったが、自分と同じように否定の能力を持つ否定者たちと出会い、考えを変えていく。


【スタンド】ドラゴンズ・ドリーム
【破壊力 - なし/スピード - なし/射程距離 - なし/持続力 - A/精密動作性 - なし/成長性 - なし】
【能力詳細】
第六部に登場したケンゾーのスタンド。東洋風の龍の石像のような姿をしている。
風水による『吉』『凶』の方角を指し示す能力を持ち、示された『吉の方角』から攻め込めば難なく相手に近づくこともでき、『凶の方角』にいれば攻撃とは関係ない不運による負傷をすることさえある。
『中立』を自称し、ドラゴンズ・ドリームに対する攻撃は無効化され、逆にドラゴンズ・ドリームが攻撃をすることもない。『吉』と『凶』の方角もスタンドの本体だけに示されるのではなく、敵にもベラベラと喋ってしまう。

【備考】風子の参戦時期は未定です。詳細は後続の書き手にお任せします。
【方針】プッチに「不運」をくれてやる。


504 : ◆DWDMFPPpRw :2020/05/25(月) 00:21:09 EzYpKeIQ0
投下します


505 : 無用な働き者 ◆DWDMFPPpRw :2020/05/25(月) 00:21:51 EzYpKeIQ0
「ーーーーこぉれはこぉれは……ふむ、なかなかなかなかにぃー、興味深い状況デス! 実に実に実に実にーー脳が震えるぅぅぅぅッ!」

 そう感心したように呟くのは、一人の奇妙な装いの人物であった。深緑の髪をおかっぱみたいな長さで切り揃え、法衣のような装いの痩せぎすの男は、やや芝居がかった動作で先程の光景に考えを巡らせていた。
 魔女教大罪司教『怠惰』担当、ペテルギウス・ロマネコンティは、参加者としてこの場にいた。

「エンリコ・プッチ…… 何者かは知りませんが、一人の勤勉さによって一人の少女の命が下された! あぁ脳が震える震える震える震える、震えるうぅぅぅッ!!!」

 このように、ペテルギウスがまず抱いたのはプッチへの興味と彼の勤勉さへの称賛であった。
 ペテルギウスは近く執り行う予定の試練のため、決してその真意を悟られぬよう配下の指先とともに潜伏していた。
 その過程に彼自身が嫌う怠惰な油断はなく、一片の隙もない筈であった。 
 そんな自分をどのようにして見つけ出し、そして拉致したのか。そうした疑問に加え、実際に自分を拉致している事を省みると、あのエンリコ・プッチと名乗る人物からは勤勉さが、少なくともペテルギウスにとってのそれが伺えたのだ。

「ーーふー、しかし困りましたねぇ。まさか他の『指先』に移ることもできないとは……」

 不可解な点はもう一つある。最初、ペテルギウスは他の指先に「憑依」することで、この場を脱出しようとした。しかし、如何なる理屈か、今の指先からどうやっても意思の移動が出来ない。
 どうやらプッチとやらは、どうあっても此処で殺し合いをさせたいらしい。
 
 殺し合い自体に特に思うことはない。
 自らの信仰のためにあらゆる犠牲を振り撒いてきた彼にとって、それ自体はさして重要ではないのだ。
 そこでペテルギウスは、この場でどう己が立ち回るべきかを御心に任せることにした。
 自らの『福音書』にそうすべきと記されているのなら、最後の一人に至るまで殺し合う。そうでないのならば、試練の執り行いのため、手っ取り早くプッチを殺し帰還する。
 そう判断した彼は懐をまさぐる。自らの福音書にどのような記述があるのか、実際に確かめるためだ。
 
「さてさてさて、元々ワタシの福音書にこのような催しが起こるという記述は無かった筈ーーは?」

 しかし、指先にある筈の感触がない。一瞬の間の後に震えながら確かめる。法衣の下は勿論、デイパックの中身も。しかし、どこを探しても無い。
 やがて福音書が無くなっている事にはっきりと気がついた時、彼の様子は一変した。

「無いッ!無いッ!無いッ!無いッ!無いッ!!! 無いのデス!!!!」

 さながらムンクの叫びの如く、虫のように無感情な目を目一杯開かせて怒声をあげる。

「福音! 我が愛の導き! 未熟な我が身が正しく寵愛に報いるための福音! それが今、手元に無いのデス!」

 首を傾け、腰を曲げ、奇態な体勢で己の内の感情を吐露する。
 その様は異様の一言。それほどまでに、ペテルギウスにとって、命よりも重要な福音書を奪われた怒りは筆舌に尽くしがたいものだった。
 衝動のままに噛み潰された指からは、血が滴り落ちる。しかしそれを一切気にせず、やがてペテルギウスは卑劣な盗人に思い至った。


506 : 無用な働き者 ◆DWDMFPPpRw :2020/05/25(月) 00:22:56 EzYpKeIQ0
「エンリコ・プッチ…… 貴方が貴方が貴様が貴方が貴方が貴方が貴方が貴方がッ! 盗んだのですかぁぁぁぁぁぁッ!! あぁッ!! 怠惰だ! 怠惰怠惰怠惰怠惰怠惰怠惰怠惰怠惰ァッ!! ああああ寵愛に背いた私をお許しください!愛に、愛に報いなければ!」

 福音書の指示による崇高な試練の執り行いの最中、自分をこの催しに参加させた悪漢への、ドス黒い憎悪が噴出していた。
 赦せるわけがない。愚かにも福音書を盗まれた自身の怠惰も、かの神父も。
 この怠惰への贖罪として、まずはプッチを八つ裂きにする事をペテルギウスは誓った。

「脳がッーー脳が震えるぅぅぅッ!」

 ペテルギウスの怒りに呼応するように、彼の背後に出現する力あるヴィジョン。王冠を被った巨大な骸骨と、仰け反ったペテルギウスの視線が霧越しに交差する。
 勤勉にデイパックを確認していたため、それが自らに与えられたスタンドであると瞬時に理解した。
 『プッチから与えられた能力という点は気に入らないが、『指先』がいない現状、利用できるものは何でも利用した方がいい』。
 激情で狂っていながらも、狂人らしからぬ冷静な思考でそう判断したペテルギウスは、そのスタンドを喝采とともに向かい入れる。

「『スタンド』! 具現化した精神! 実に実に実に興味深い! そう、まさにーー『正義』は勝つ! ということデスねぇ!」

 
【名前】ペテルギウス・ロマネコンティ
【出典】Re:ゼロから始める異世界生活
【性別】男性
【人物背景】
 魔女教大罪司教『怠惰』担当。
 奇態な体勢で話すことを好み、また時折指を噛み潰したりと自らの肉体を自傷することを好んで行う、見間違える心配もないぐらい完全に変質者な狂人。
 最も積極的に活動している大罪司教であり、信仰対象の魔女への思いが他の教徒と比べものにならないほど強く、福音書の記述に従い、他の魔女教徒の誰よりも先駆けて活動することから、魔女教の中でも突出して大きな被害を出しているため『強欲』と並んで世間の知名度が高い魔女教の尖兵である。
 『怠惰』と冠されているのとは裏腹に『勤勉』であることを尊び、他者にもそれを強制するところがある。
 「勤勉を尊ぶ」と言えば聞こえは良いが、実際は悲願成就のために世界中を駆け回り、至る所で殺戮を繰り返す恐ろしくハタ迷惑で無用な働き者であり、彼に抗うために命をかけて戦う者も躊躇なく殺害し、目的を達成できなかった相手を怠惰と罵倒するなど、悪辣さが目立つ。

【能力・技能】

・『見えざる手』
 その名の通り不可視の魔手を操り、攻撃する。
 この魔手の膂力は凄まじく、森だろうと岩だろうと悉く破壊し、人体を触れただけで容易く抉るほどの威力を持つ。
 更に出せる本数も射程距離もなかなかのものであり、あるとわかっていても回避は容易ではない。
 また、手に自らをつかませる事で高速で移動したり、欠損した部位を補わせたりと、攻撃以外にも応用が利く。

・『憑依』
 文字通り別の肉体へ「憑依」を行うことができる。今の肉体が滅びようとも別の肉体に移すことで不死身のように振る舞うことができる。
 誰にでも憑依できるわけではなく、精霊に適性のあるものにしか憑依できない。

【スタンド】正義(ジャスティス)
【破壊力:D/スピード:E/射程距離:A/持続力:A/精密動作性:E/成長性:E】
【能力詳細】
 タロット大アルカナ11番目のカード「正義」の暗示を持つスタンド。
 霧状のスタンドで、王冠を被った巨大な骸骨の顔と両手のヴィジョンを持っている。
 霧なので物理攻撃は効かず、スタンド自身にも基本的には攻撃力はないが、霧を操り幻覚を見せることができる。
 さらに相手(死人を含む)の傷口から身体に侵入することで意のままに操ることも可能。操る際は傷口の血液を蒸発させコイン大の穴を作り、そこに霧の糸を通して操作する。
 スタンドのボディは霧の性質を持つので殴る・斬る・撃つなどの物理攻撃が通らない。

【備考】
 参戦時期はアニメ15話でスバルと接触する前の時期。
 採用された場合、見えざる手、憑依、及びスタンドの制限に関しては書き手に任せます。

【方針】
 福音書の奪還をめざす。己の怠惰の贖罪のため、エンリコ・プッチを抹殺する。


507 : ◆DWDMFPPpRw :2020/05/25(月) 00:24:27 EzYpKeIQ0
投下終了です


508 : ◆DWDMFPPpRw :2020/05/25(月) 09:04:10 EzYpKeIQ0
投下します


509 : 対魔忍アサギ 決戦バトル・ロワイアル ◆DWDMFPPpRw :2020/05/25(月) 09:08:15 EzYpKeIQ0

 深夜の摩天楼。ビルの屋上で街を見下ろす参加者が一人。
 月夜に照らされるのは、奇妙な装いの美しい女性であった。

「エンリコ・プッチ…… 聞いたことが無いけど、あの男、一体何者なのかしら」

 その女性は肌にぴったりと密着した紫のボディスーツという、なんともエロチックな格好をしており、体の線を強調したかのような設計が、その豊満な肉体を際立たせていた。
 彼女の名は井河アサギ。五車町の対魔忍養成機関『五車学園』の学園長にして、史上最強の対魔忍と称される人物ある。

 突如催されたこの奇妙な催しに、アサギは強い義憤を抱いていた。
 あのエンリコ・プッチと名乗る神父は、どうやってかアサギを拉致し、あろうことか見せつけるかのごとく罪もない少女を処刑した。
 人々を悪しき魔から守る対魔忍として、プッチの所業は許せない行いであった。
 任務ではないが、対魔忍の長として、悪しき者は見逃せない。
 アサギはプッチを打倒し、この殺し合いを打破する事を決意した。
 しかし、そうなるとまず必要なのは武器だ。現状、アサギの武装は対魔忍スーツ以外全てが解除されている。
 願いを叶えるという甘言に釣られた参加者の対処や、最終的に実力が未知数であるプッチとの戦闘を見据えた場合、この催しに素手で挑むのはやや無謀である。
 そこまで考えを巡らせた時、アサギはプッチの述べていた『スタンド』に思い至った。
 スタンド。精神的エネルギーを具現化した異能。聞いたこともない能力だが、利用できるものは何でも利用するべきだ。
 スタンドを意識した瞬間、アサギの側に犬のような細長い顔と、逆三角形気味の巨大な上半身を持つヴィジョンが出現した。

「?! これは……これが、私のスタンド?」

 突然の変化に驚いたが、アサギはそれこそが己のスタンドであると直感で感じ取った。
 しかし、これをどう扱うのかが解らない。簡単な動作なら出来るようだが、ビジュアル的にどうも直接戦わせるのには不向きのようだ。
 何か情報が無いかとデイパックを確認すると、基本的な支給品とともに一枚のメモ書きを見つけた。


510 : 対魔忍アサギ 決戦バトル・ロワイアル ◆DWDMFPPpRw :2020/05/25(月) 09:09:13 EzYpKeIQ0

「『貴方のスタンドはドギー・スタイルです。本体の身体をワイヤーのように解いて伸ばし、飛ばす事が出来ます。強度は伸ばした時の太さに依存します』ねぇ… なるほど、中々便利そうじゃない」

 スタンド能力の概念を把握したアサギは、早速それを試してみる。
 軽く念じると、確かに指先から順に腕がまさにワイヤーのようにグルグルと解け落ちた。
 見た目は異様だが、力加減は元の腕と謙遜ない。ワイヤーの状態でも、普通の手足として使えそうだ。
 試しに指先を鞭のように振ってみると、ズバッ!と空気の裂ける心地いい音とともに、的にしたペットボトルが真っ二つに切れた。
 なるほど、戦闘に扱いやすいものから扱いにくいものまで支給すると言っていたが、これは中々に応用が効きそうな能力だ。

 そうしてスタンドの確認を終えたアサギは、即座に行動を開始する。
 危険人物の排除、拉致された一般人の保護、『記憶DISK』とやらの無力化、そして首謀者であるエンリコ・プッチの制圧、やらなければならないことはいくらでもあった。

「エンリコ・プッチ…… 覚悟しなさい。教職に身を置いていても、鍛練を怠った日はないわーー井河アサギ、推して参る!」

 悪を討つため、最強の対魔忍は闇夜を駆ける。


【名前】井河アサギ
【出典】対魔忍RPG
【性別】女性
【人物背景】
 対魔忍を率いる総隊長にして最強の対魔忍と目されている正義のくノ一。
 カオス・アリーナでの死闘で朧を倒すも恋人・沢木恭介を失う。
 自身も死闘の中で朧に囚われ、邪悪な魔界医療技術によって肉体を改造されるも、7年前に捕虜にした魔科医・桐生の手によって元の肉体に治療されている。
 天才的な剣術と体術、人知を超える光速のスピードが武器。
 また東京キングダムの死闘では対魔忍の中に潜む真正の魔の力に覚醒し、その能力を格段に向上させて「隼の術」極意を体得する。
 政府によって設立された対魔忍養成学校・五車学園の校長を務めている。

【能力・技能】

・隼の術
 数秒の間、常人の限界を超えた速度で高速移動する事が出来る。非常に希少な異能系忍法で、アサギには術の発動時の感覚として、自身が早く動作するというより周囲の時がゆっくり流れるように感じる。

・殺陣華
 隼の術による超高速移動を用いた一種の分身の術で、視界の届く範囲に最大数百体の分身を標的に繰り出し、一斉の斬撃で複数の敵を同時に葬ることができる。
 戦闘系の忍術では最強に近い術とされ、彼女を『最強の対魔忍』たらしめる術でもある。

・光陣華
 1秒の間だけ、アサギの五感五体が超強化され通常の6倍の速度で行動し、周囲からは彼女が光のような速さで動いているように見える。 瞬時に相手を斬り捨てる長年の鍛錬で習得した奥義であり、 隼の術の真髄である。

【スタンド】ドギー・スタイル
【破壊力:?/スピード:?/射程距離:?/持続力:?/精密動作性:?/成長性:?】(詳細不明)
【能力詳細】
 犬のような細長い顔と、逆三角形気味の巨大な上半身を持つスタンド(下半身は無い)。
 スタンドそのものに攻撃能力はなく、ビジョンとして存在するだけのようである。
 能力は本体の身体をワイヤーのように解いて伸ばし、飛ばす事が出来るというシンプルなもの。実際の手足のように使う事もでき、その強度は伸ばした時の太さに依存する。
 解いた指先を刃物の如く操り、草木程度なら切断することもできる。
 よく似たスタンド能力にストーン・フリーが存在するが、ドギー・スタイルは帯状に肉体を伸ばすため一本一本の強度が高く活用の仕方が変わってくるほか、ストーン・フリーと違って全身を解いても命と能力の維持ができるという強みを持っている。

【備考】
 採用された場合、アサギの忍法の制限は書き手に任せます。

【方針】
 対主催。プッチを打倒し、殺し合いを止める。


511 : ◆DWDMFPPpRw :2020/05/25(月) 09:10:00 EzYpKeIQ0
投下終了です


512 : ◆7PJBZrstcc :2020/05/25(月) 19:14:12 .JrGqg.g0
投下します


513 : ◆7PJBZrstcc :2020/05/25(月) 19:14:54 .JrGqg.g0
 目の前で見知らぬ少女が死んだ場面を見て、殺し合いの説明を受けた後、数か月前まで住んでいた東京を思い出させるビル街に立っている。
 これほどの急展開を経て、雪の降る町に丁度いい冬服を身に纏った少女、野崎春花が行ったことは、胸に手を当て自分が生きているかどうかの確認だった。

「私、生きてる……」

 彼女にとって、殺し合い云々より自分がここで生きていることが異常事態だ。

 親の転勤についてきて田舎の学校に転校した春花は、そこでよそ者を理由にイジメられた。
 そしてイジメがエスカレートし、ついに彼女の家が燃やされる事態になってしまった。
 両親は死亡、妹は重傷を負い、さらには放火犯であるクラスメイトに放火の隠蔽目的で自殺を強要されてしまう。
 復讐を決意した彼女は、自身をイジメていたクラスメイトたちを次々殺害していく。
 そして最後には、信じていた少年に裏切られたショックもあって、イジメの主犯だった少女と少年二人と相討ちに近い形でこの世を去った。

 はずだったが、野崎春花はここにこうして生きている。
 『なぜか』を、彼女は考えなかった。
 物理的な意味でそれを問うても、スタンドという何かで解決したとしか思えない。
 殺し合いに自身を選んだ理由についてなら、火を見るよりも明らかだ。

 ――エンリコ・プッチは、野崎春花は殺し合いに乗ると考えてここに呼んだ。

 それを彼女は確信していた。
 彼女は家族を救うため、見も知らぬ人間を殺せるとプッチに思われたからここにいるのだ。
 そして彼女は否定できない。
 彼女は家族に生きていてほしい。他の身も知らぬ他人よりもずっと。
 その為に殺し合いに乗ることは、きっと誰もが間違っているというだろう。

 だとしても、家族を愛した少女に罪はあっただろうか。
 春花はただ家族といたかっただけだ。それは悪だったろうか。

「スタープラチナ」

 春花は自分に支給されたスタンドを呼び出し、試しとばかりに近くにあるコンクリートの壁を殴る。
 すると、壁は見事なまでに砕け散った。
 その後、色々試した結果彼女はスタープラチナを当たりと判断する。
 本来の持ち主の叔父に『無敵』と称されたスタンドは、彼女にとっても強力だった。

「待っててね。しょーちゃん、お父さん、お母さん」

 こうして春花は殺し合いの道を歩き始める。
 だが狙いは家族の蘇生ではない。彼女の狙いは過去改変だ。
 父の転勤が決まった日、彼女には東京に残る選択肢があった。
 彼女は家族愛ゆえについていくことを選んだが、今度は一人で暮らすことを選ぼう。
 道は定まった。後はただ進むだけ。


 かくして、黄金の精神が持つスタンドはドス黒い悪により黒く滲んだシミができる。
 野崎春花は辛い過去を背負って願いに抗える『正義』にはなれなかった。
 自らの弱さを攻撃に変えて、世界を思うがままにすることを企むほどの『悪』にもなれなかった。

 なぜなら、野崎春花はただの人間だから。
 家族を愛し、友達もいる、どこにでもいたはずの中学生でしかなかったから。


514 : ◆7PJBZrstcc :2020/05/25(月) 19:15:21 .JrGqg.g0
【名前】野崎春花
【出典】ミスミソウ
【性別】女
【能力・技能】
特になし。
しかし彼女には殺すと決めたら殺せる人間である。
たとえ腹に包丁を刺されても、彼女の殺意は消えない。
【スタンド】星の白金(スタープラチナ)
【破壊力:A/スピード:A/射程距離:C/持続力:A/精密動作性:A/成長性:E】
【能力詳細】
全体的に高スペック。
殴ればコンクリートでも破壊し、細やかな作業もでき、常人の目には捉えられないものすら的確に捕捉する。
だがこれはスタープラチナ本来の持ち主、空条承太郎の並外れた冷静さと観察力あってこそ。
彼女がこのスタンドの力をどこまで引き出せるかは未知数である。

【備考】
参戦時期は死亡後です。
【方針】
優勝して、私一人が東京に残るよう過去を改変する。


515 : ◆7PJBZrstcc :2020/05/25(月) 19:16:13 .JrGqg.g0
投下終了です。
入れ忘れましたがタイトルは『名もない星が空に落ちたら』です。


516 : 雨ニモマケズ ◆XksB4AwhxU :2020/05/25(月) 20:45:18 IUhHaD6M0
完成したので、投下します。


517 : 雨ニモマケズ ◆XksB4AwhxU :2020/05/25(月) 20:45:31 IUhHaD6M0
「下ノ畑二居リマス」
「…」
小さな墨板に書かれている文字を見つめている男性。
「私は…たしかに生を終えたはず。…おそらく、神父の仕業か」
そう、男性は生を終えた。童話作家としていくつもの作品を書いたが、無名に近いまま。
「若い命が散る儀式を認めるわけにはいかない」
男性は農学校の教員として教壇に立ったことがある。
「…とし子」
少女の頭が爆発したことに胸を痛めている…男性が呟くのは、愛する亡き妹の名。
「執行者としての力はないが、代わりに得た「スタンド」で…」
男性は「月光条例」の執行者として仕事を果たした。
男性は報酬で自らの病を治るのを願わず、一人のキャラクターに真新しい人生を与えることを願った。
シュゴォォォォ…
男性は小さいころから「石」集めが好きで、休日は鉱物採集をよくしていた。
ォォォォォォ…シュー
男性に向かってきていた隕石は消滅して消えた。
「これが、スタンド「プラネット・ウェイブス」の力なんだね」
男性に支給されたのは「プラネット・ウェイブス」
隕石を自分に引き寄せ、その軌道上にいる敵を攻撃する。隕石は本体に当たる前に消えてしまう。
「攻撃するには、自分から相手の軌道上にいなければならない…自分を危険にさらしかねない、このスタンドは「彼」に似ているかもしれない」
男性は「彼」に憧れている。
「なら、私は彼のように行動をおこす」
男性がいう彼とは、幸せの王子。自分の役割を忘れた愚かな王子…
センセイは儀式を阻止するため歩む。理想の生き方「デクノボー」として。


518 : 雨二モマケズ ◆XksB4AwhxU :2020/05/25(月) 20:45:53 IUhHaD6M0
【名前】センセイ(宮沢賢治)
【出典】月光条例
【性別】男性
【能力・技能】
黒い丸帽に背広姿、黒い外套、仏のように柔和な顔が特徴。
真面目で面倒見が良いため教え子や自宅周辺の農家からは慕われている。
【参戦時期】原作18巻 死後

【スタンド】プラネット・ウェイブス
【破壊力:A/スピード:B/射程距離:A/持続力:A/精密動作性:E/成長性:E】
【能力詳細】
能力は「隕石を突き落す」こと。
宇宙にある隕石を引っ張るため、宇宙にまで影響を及ぼす。
【方針】
デクノボーとして儀式を阻止する。

※名簿には「センセイ」として記名されている。


519 : 雨二モマケズ ◆XksB4AwhxU :2020/05/25(月) 20:46:09 IUhHaD6M0
投下終了します。


520 : 最悪バトロワ城 ◆XksB4AwhxU :2020/05/26(火) 18:32:03 tAExRqDg0
完成したので、投下します。


521 : 最悪バトロワ城 ◆XksB4AwhxU :2020/05/26(火) 18:32:40 tAExRqDg0
「…何これ?夢?」
深夜の歩道の真ん中でポツンと立つ女子高生。
名は広瀬あゆり。
とある、なりゆきで入部した城址散策部。
あゆりは放課後の部室で、文化祭のお疲れ様会を自分を入部させた美音と新入部員の亜子とでしていた最中、このゲームに招かれた。
「うん。これは夢だ!そうに違いない」
視界が急に暗転したら、変な剃りこみが入った神父が「殺し合い」をしろと喋りはじめ、「素数」がどうとか、急に怒り出し、自分とそれほど年齢が離れていない少女の頭が爆発。
夏休みに補習を受ける本人の学力もあるが、普通の女子高生であるあゆりには、とうてい頭がついていかない。
ーゆえに導き出した結論は「夢」…そこの歩道の近くに人が倒れている?のも「幻」。
「夢じゃないーーーーーッ!」
「わぁッ!?」
あゆりの結論を否定しながら現れた奇妙な人型。
「な…!?なに!?つか、誰!!??」
「「フー・ファイターズ!!」あたしの事を呼ぶならそう呼べ!」
あゆりの質問に勢いよく答える「スタンド」…「フー・ファイターズ」
支給されたスタンド。
「え〜と…つまり、あんたは私の「スタンド」で集合体としての姿がそれなのね?」
「そう!…あんたの知性でもわかるとは、感心、感心。」
「プランクトンの集まりが、なにを言ってるんだ」
フ―・ファイターズの言葉にカッチーンときた、あゆり。
「なら、これでいいか?」
「げっ!?」
あゆりの物言いにフ―・ファイターズは近くに放置してあった人の体を新しい身体にした。
「ちょっと!人の体を勝手に!!」
「ん?あゆり。この女は死んでいた。…だから問題ない」
そう、人が倒れているのではなく、死体だった…女囚エートロの死体。
「そういう問題じゃ…はぁ、それで人間様の「知性」でも得たっていうの?」
「ふん…「知性」という力は ビックバンより先に存在していて 全ての物質や生物は「知性」に導かれ その「知性」をすでに保有しているのだ」
「何をいっているのか全然、わからん」
「知性」に持論を持つフ―・ファイターズにあゆりはツッコむ。
「ところで、あゆり…あんたはこのゲーム、どうするの?」
「ん?そんなの拒否よ拒否」
フ―・ファイターズの質問に特に悩みを出さずに答えるあゆり。
フ―・ファイターズは、自分の主となるあゆりを試す。
「へぇ…なぜ?特殊な能力もなんもない、ただの女子高生なのに」
《おおかた、殺し合いなんて、できない!こわい!!とかでしょ…》
「殺し合いの否定」という、ありきたりの答えにフ―・ファイターズは返答に期待していなかったが…
あゆりは、フー・ファイターズの目を見て…
「ムカついたから」
短く答える。
「……」
数秒の沈黙…
「…気に入ったーーーー!!」
「えっ!?そ、そう…」
フ―・ファイターズは朝、スッキリ目を覚ましたかのようなテンションMAX。ついプランクトンでの口調が出ている。
あゆりは、そんなフー・ファイターズのテンションに若干ヒク。
「ああッ!殺し合いを拒否するのに数ある理由が思いつくが、こんな単純明快。おもしろいやつだ…そしてわたしの負けだ…完璧に」
「…意地だよ」
あゆりはフ―・ファイターズの言葉に照れくさくなり、顔をそっぽ向けながら答える。
「あゆり…あたしはあんたを守りたい」
落ち着きを取り戻したフ―・ファイターズは真剣な表情であゆりに話す。
「急に口調が変わった…まっいいか。はいはい。…よろしくね。フ―・ファイターズ!」
かくして、女子高生とプランクトンのコンビが結成されたッ!!!


522 : 最悪バトロワ城 ◆XksB4AwhxU :2020/05/26(火) 18:33:02 tAExRqDg0
投下終了します。


523 : 最悪バトロワ城 ◆XksB4AwhxU :2020/05/26(火) 18:35:31 tAExRqDg0
失礼しました。

【名前】広瀬あゆり
【出典】東京城址女子高生
【性別】女性
【能力・技能】
高2のイマドキなJK。美音との行動で誤解されがちだが、常識的な感性を持つ。
ちょっぴり怒りっぽい。
【参戦時期】原作3巻 文化祭終了後

【スタンド】フー・ファイターズ
【破壊力:B/スピード:A/射程距離:C/持続力:A/精密動作性:B/成長性:C】
【能力詳細】
知性を持ったプランクトンの集合体。
普段は無数の黒く小さいミジンコのような姿をとっているが、それらがすべて合体する事で人型の近距離パワー型スタンドのような姿となる。
人間の体では水分が存在しない中でも動き回れるが、水分を定期的に
補給しないといけなくなった。
【方針】
ゲームは拒否。
プッチにはムカついているから、なんとかしてヘコませたい。
※フ―・ファイターズは女囚エートロの死体を新しい身体にした。
※スタンドを維持できるよう、他の参加者より「水」が多めに支給されている。


524 : 最悪バトロワ城 ◆XksB4AwhxU :2020/05/26(火) 18:36:26 tAExRqDg0
これで、投下終了です。
毎度すみません…


525 : ◆NIKUcB1AGw :2020/05/26(火) 23:08:47 nMfM2yoY0
投下します


526 : パロる・ロワイアル ◆NIKUcB1AGw :2020/05/26(火) 23:09:39 nMfM2yoY0
ここはショッピングモール。
その中にある衣料品コーナーに設置された試着室にて、一人の青年が鏡に尻を向けていた。
別に彼は変態ではない。
いや、変態ではあるのだが、この行動は彼が変態であることとは関係ない。
彼にとって、尻の状態は死活問題なのだ。
彼の名は、百手太臓。
現実と幻想の狭間にある異世界、「間界」の王子である。

「ちくしょー、やっぱり封印が施されてやがる……。
 これじゃアスタリスク・ゲートが使えねえじゃん……」

自分の尻を確認し、太臓は忌々しげに呟く。
契約を結んだ、間界の住人たちの召喚(ただし契約者は尻から出る)。
それが太臓のもっとも得意とする技である。
しかし現在、太臓の尻には封印の札が貼られ、召喚を阻害していた。
プッチもさぞかし、この作業はいやだっただろう。

「やべーよやべーよ、俺一人で殺し合いを生き抜けっての!?
 悠も宏海もいないのに!? 無理だって!」

おのれが置かれた危機的状況を理解し、太臓は慌てふためく。
だが彼はふと、あることに気づいた。

「そういえばあいつ、参加者にそれぞれ能力を渡すとか言ってたな……。
 よし、それを試してみるか……。目覚めよ! 俺の眠りし力よ!」

別に太臓の中に眠っていたわけではないが、彼の呼びかけに応えスタンドが発現する。
現れたのは、屈強な男のビジョンだった。

「おおおおお!! かっけー! 当たり引いちゃったんじゃないの、俺!
 これを使って悪党に襲われてる女の子を助け、その女の子のハートをいただき……。
 いけるじゃん!」

先ほどまでのおびえようはどこへやら。
都合のいい妄想を膨らませ、太臓ははしゃぎ出す。

「よし、この百手太臓がおまえの名付け親になってやろう!
 『星のように輝くチラリズム』という意味の、『スターブラチラ』というのはどうだ?」

『いや、解説書読めよ』。
スタープラチナがしゃべれたのなら、そうツッコんでいたかもしれない。


527 : パロる・ロワイアル ◆NIKUcB1AGw :2020/05/26(火) 23:10:41 nMfM2yoY0


【名前】百手太臓
【出典】太臓もて王サーガ
【性別】男
【能力・技能】
『スーパーテンション』
テンションを最大まで上げることで変身可能な、全力モード。
正確にはこちらが本来の姿であり、普段の姿は人間界で生活するため力を抑えた状態である。

【人物背景】
異世界・「間界」の王子。
女好きだがまったくモテず、花嫁を探して人間界にやってきた。

【スタンド】スタープラチナ
【破壊力:A/スピード:A/射程距離:C/持続力:A/精密動作性:A/成長性:A】
【能力詳細】
すでにたくさん投下されてるので、他の人の解説を読んでね。

【備考】
・参戦時期は単行本1巻終了時点。
・召喚能力は、プッチをどうにかしない限り使用不能です。
【方針】
モテる


528 : ◆NIKUcB1AGw :2020/05/26(火) 23:11:23 nMfM2yoY0
投下終了です


529 : ◆EPyDv9DKJs :2020/05/27(水) 17:25:54 mLRWp6/w0
投下します


530 : ◆EPyDv9DKJs :2020/05/27(水) 17:29:46 mLRWp6/w0
 何もなかった人生だ。
 兄だけが期待され、僕だけが期待されず。
 兄に成り代わっても、認めて欲しかったのに父は床に臥せて。
 そうして、誰にも認められることない人生を僕は終えた。
 誰かが認めてくれれば、それでよかったのに…僕は空っぽだ。

『お前の人生だって、本物だったはずだろ!!』

 でも、あの人だけは違った。
 何もなかった僕を、認めてくれた。
 僕の存在は、人生は紛い物なんかじゃないと。
 だから、あの人の為に、僕は消えずに尽くすつもりだ。
 その矢先、僕は影のような何かに襲われた。
 全身に纏わりついて、全身に溶け込むように入り込んでくる。
 音無さん(とついでにトイレットペーパー以下の男)が助けようとしてた…が、

『やあ、お目覚めかね。』

 得体のしれない神父が、儀式に僕を招いた。




 月明かりに照らされた、無人の学校。
 誰もいなかった校長室を出る、一人の学生。
 黒い学ランに学生帽と、戦前の学生を彷彿とさせる中性的な少年。
 模範的な生徒の如く整然とされた恰好をした少年の名前は、直井文人と言う。

『そっちはどうだ?』

「誰もいない。NPCも、アホ共も、音無さんも。」

 深夜の学校に一人…いや、二人の声と足音だけが周囲に響く。
 直井と相対しているのは、これまた同じく直井だった。
 互いに後ろ手を組みながら相対し、さながら鏡のようだ。
 勿論、目の前に鏡なんてものはない。紛れもなくそこにいる。

「となると、これは『影』の仕業か?」

『あの『影』に取り込まれると、この儀式に招かれるシステム…か。』

 まるで自問自答のように、
 全く同じ声色の二人が会話を続ける。
 彼が此処へ来る寸前、謎の影に襲撃された。
 影は何の原因によって誕生したのかは不明だが、
 此処へ来る原因なのかも、まだ分からない。

「所詮推測だが、元々あの世界自体が割と何でもありだ。
 土くれから銃器が作れて、そもそも死んだ人間しかいない。
 あっても不思議ではない…と言う軽い考察程度に留めておくか。」

 直井は、既に死んだ人間だ。
 だが、死後の世界にて彼は学園生活を送っていた。
 天使と呼ばれる存在がいて、それに銃器で応戦する学生達がいる世界で。
 ファンタジーにも見慣れたし、今回のことについても適応は早い。
 思い込むつもりはないが、推測の一つとしておく。

『或いは───『神を選ぶための世界』かもしれないな。』

「…どうだろうな。」

 彼は死後の世界を、一度は『神を選ぶための世界』と思っていた。
 理不尽な不幸によって、満足な学園生活を送れなかった生徒を集め、
 その中から神を選出するためのもの…と言う、一つの考え。
 天使と、それと戦う連中を一網打尽し、学園を掌握することで、
 自分が神だと言うことを証明しようとした、嘗ての自分。
 念入りに計画したが、予想外の乱入と音無の言葉によって、
 自称神こそはやめなかったが、敵対するようなことはなくなった。
 もし、この儀式と言う名のゲームが、本当にその為のものなら。
 殺し合いに乗るか…と言われると、正直微妙なところではある。
 正直に言えば、直井にとって誰かに認められた時点で彼は満足なのだ。
 後は慕う音無の目的であろう、学園の生徒が満足する願いを手伝うだけ。
 今更本物の神になって、どうしたいかと言われると、言葉が詰まる。

「だが、まずは人材の確保だ。勝つにしても戻るにしても、僕らは非力だ。」

『確かに…利便性は中々だが、この状況下だと困った性能だ。』

 直井に与えられたスタンドは『サーフィス』。
 人形をベースに、触れた相手の体をコピーするスタンド。
 今目の前にいる直井も、スタンド能力でコピーしたものになる。
 射程距離もそこそこ長いので、広範囲の捜索は楽だが、
 戦闘となると、少しばかり不安要素が出てくる。
 スタンドはどのような能力があるのか、その力は未知数。
 彼が使える催眠術も、サーフィスには継承されていない。
 人を操ることもできるそうだが、これに至っては条件がコピーした相手、
 則ちサーフィスのベースとなる人形に、相手が触れる必要があると言うこと。
 殺し合いと言う場で謎の人形を相手に、不用意に触ろうとする参加者は殆どいない。
 全体的に器用貧乏。できることは多いが、戦闘は非力ではないが、安心とは言い難い微妙さ。
 どちらかと言えば、参謀のような誰かと組み合わせることで発揮できるタイプになる。


531 : ◆EPyDv9DKJs :2020/05/27(水) 17:31:20 mLRWp6/w0
(何より、僕の催眠術…此処でも通用するのかどうかも知りたい。)

 一番の不安は、何よりも自分のその力。
 文字通りの人心掌握ができる、催眠術。
 此処でもそれがそのまま適用されるのかどうか。
 参加者の基準も、ある程度は選定してくるだろうし、
 相手はルールを破れば頭が爆発するなんて、局所的な暗示もしている。
 催眠術はほぼ至近距離限定だが、術中に陥ればそう簡単には解除できない。
 一方的な蹂躙をさせないよう、何かしらの策は考えてるとみていいだろう。
 これでも戦線をほぼ壊滅に追い込んだ、元生徒会会長代理だ。
 警戒すべきことは熟知しており、油断はしない。

『僕についてはどうするつもりだ?』

 人と接触するなら、まずこの双子の状態を尋ねられる。
 瓜二つの相手だと、ある意味どのスタンドよりも警戒されそうだ。

「念には念を入れておこう。
 君には僕の振り…いや、本体の振りをしてもらう。」

 直井の提案は、要するに自分は身を潜めて、
 サーフィスに本体として振る舞ってもらうと言うものだ。
 人形である以上、不意打ちで殺されることは少ないし、
 逆に、こちら側が不意打ちするときには有効な戦術となる。
 額のボルトを見られれば、流石に訝られるだろうが、
 生憎と彼は前髪と学生帽で、額は殆ど見えていない。
 疑われる可能性はかなり少ないだろう。

『問題は、スタンドの開示要求された場合か。』

 全員にスタンドがあれば、それを警戒するのは当然。
 スタンドを出せと言われてしまうと、流石に回避できない。
 素直に出さざるを得ないが、この際どちらが本体を名乗るべきか。

「その場合は、僕が本体を名乗るべきだな。」

 自分が身を潜めて、スタンドが参加者と接触させるのは普通だ。
 しかし、それが露呈したとき、スタンドに本体を名乗らせるのは得策ではない。
 警戒している人物に対して、本体が近い距離にいることを指摘されてしまう。
 アホ共ならまだしも、あの戦線のリーダーのように、
 頭の回る人物ならそのことで訝られる可能性は高い。
 スタンドの開示要求の時点で、信用は落ちている中で、
 更に本体を偽るのは、かなり危険な行為になりかねない。

「此処に銃器はない。体育館からギルドへ行けるか確認もしておこう。」

 この学校は自分が死後の世界の時の学園と瓜二つ。
 どこかしらに拳銃があるかもしれないと、人探しついでに探していた。
 が、戦線の拠点である校長室は、拳銃も入口の罠も仕掛けられていない。
 ギルドと言う、分かる人にしかわからず長時間引きこもれる場所を、
 何の考えもなしに用意してるとは思えないが、確認はしておく必要がある。

『それにしても、皮肉なものだな。』

 ギルドの入り口である体育館へ向かおうと、
 サーフィスの横を通り過ぎると同時に、嘲笑めいた言葉が贈られ、足を止めた。
 何が、とは言わない。あれは自分なのだから、意味は理解している。
 双子の兄によって、自分の存在を認められなかった生前の人生。
 そんな彼に与えられたスタンドが、うわっ面の名前を冠するもので、
 しかも双子のように瓜二つの自分を見ることになるなんて。

 もう一つ。嫌がらせなのかどうかわからないことではあるが。
 神父の声が、厳格だが認めてほしかった父と声が似てた気がする。
 地声なのか、わざとなのかは分からないので、何とも言えないが。

「…あの神父の嫌がらせと思っておくさ。」

 神父らしく、神を名乗り神を冒涜したことへの義憤か。
 ならば、猶更催眠術についても制限されていることだろう。
 把握するべきことが多いことを、改めて理解した直江は再び歩き出す。
 勝利を目指すべきか、慕う音無のようにこの世界からの脱出を試みるべきか。
 自称神の戦いが始まろうとしていた。


532 : ◆EPyDv9DKJs :2020/05/27(水) 17:33:31 mLRWp6/w0
【名前】直井 文人
【出展】AngelBeats!
【性別】男
【能力・技能】
『催眠術』
相手と目を合わせると、掛けたい暗示をかけることができる
暗示の内容は自由度が高く、生徒をロボットのように動かすことも可能
途中で催眠術を妨害されても、対象は僅かな時間だが脱力して倒れる
射程はほぼ至近距離かつ目を見なければ発動できないが、
暗示が始まると分かっていても目を離して回避はできない

『拳銃使い』
死後の世界かつ、元は土くれで作られたものだが、
拳銃を用いた経験がある。使用してたのはH&K USP
二丁拳銃も用いていたが、それはもう少し未来の話

【人物背景】
陶芸の名家に生まれたが、
優れた双子の兄の存在で誰にも期待されない日々を過ごす
ある日の事故で兄が死亡。死んだのを自分にしてすり替わり、兄として努力するも、
師である父が床に臥せ、結局誰からも自分を認められることもないまま亡くなり、
まともな学園生活を送れず死んだ人が集う学園へと招かれた

死後の世界ではその世界を髪を選別するための世界と思い、
催眠術と暗示をかけた生徒を利用し、神になろうと行動をするも、
自分の存在を認めた音無によって戦意喪失(自称で神を名乗るのはやめなかったが)
改心はしたが、捻くれた性格は全く変わっておらず、音無にだけ懐く舎弟に
他のSSS(死んだ世界戦線)とはなれ合わないが、オペレーションの邪魔はしない

【スタンド】サーフィス(うわっ面)
【破壊力:B スピード:B 射程距離:C 持続力:B 精密動作性:C成長性:C】
【能力詳細】
人形(今回はデッサン用のポーズ人形)に触れた対象の姿をコピーする
コピーの精度は極めて高く、口調含めた声、性格、指紋すらコピーが可能
スタンドの視界に入ってるコピーした相手に対して操ることもできる
この状態だと本体に対する強烈な衝撃か、本体が意図的にやめる以外に解除できない
人形はスタンドではないため、破壊されてもダメージはない
本体が気絶するなどで意識を失うと、コピーの状態もリセットされる
後、意外とスピードがあったり意外と射程も長かったり素のスペックも高い

元々の材質自体を変えられるわけではなく、触れれば人形の感触で、
一部欠損すれば破損部位は元の状態に戻る(元が木材なので打撲は強め)
肉体をコピーするだけで、スタンドと言った特殊な力まではコピーできない
加えて性格もコピーするため、本体へ攻撃はしないし基本命令通りに動くが、
相手次第では気にしてるところを遠慮なく言ってきてストレスになることも
射程距離も

【備考】
参戦時期はアニメにおける十一話。
影に襲撃された時に来たせいで、影に襲われた結果か、
プッチによって強引に呼ばれたかどうかの判断がつかない

スタンドの為のデッサン用のポーズ人形(原作の間田が使用したもの)も支給
その為、額にはボルトがあり、これで本物か同課の区別がつけられる
(彼の場合、額が前髪と学生帽によってほぼ見えないに等しい)
現在直井自身をコピー

【方針】
優勝する、しないにしても人を集める
催眠術の制限も確認しておきたい


533 : ◆EPyDv9DKJs :2020/05/27(水) 17:33:59 mLRWp6/w0
以上で『いつも通りの僕がうわっ面で笑う』を投下終了します


534 : ◆mg.DCgSR.Q :2020/05/27(水) 23:38:27 OyEqtf120
>>1さんへ。
いつもまとめWikiの素早い更新など、感謝しております。ありがとうございます。
今回は一つ質問があり(結構今更なものですが)、書き込ませていただいております。

【質問内容】
このロワの舞台に、人間以外の〝常識の範囲内で一般的に見られる生物〟は存在しているのでしょうか?

要するに「鳩とか猫とか鯉とか、いるの?」ということです。
実際にそうした野生動物を絡ませたコンペ作品を書くかどうかは、実際はまだ不明・未定です。
また〝常識の範囲内〟ということで、さすがにライオンや毒蛇、ヒグマやサメなどの猛獣は想定しておりません。

ルールはスレッド主である>>1さんがご自由に、というシステムであると認識しておりますので、いないならいないで全く問題はありません。
(これは完全な主観での考察ですが、他のパロロワ企画でも野生動物は登場しないというケースがほとんどのはずです)
また、急いで答えてほしいわけでもないので、回答が出るまでは野生動物のやの字も出ない話を妄想しておりますのでご安心ください。
最後に、このスレッドが更なるコンペ作品で賑わい、最終的に完結へと導かれることをお祈りしております。


535 : ◆BrXLNuUpHQ :2020/05/27(水) 23:50:40 ZPHBackQ0
投下します


536 : ◆BrXLNuUpHQ :2020/05/27(水) 23:53:36 ZPHBackQ0

「悪い、今日も塾なんだ。」
 そう言うとランドセルを背負い直し後ろ手に手を振りながら校庭を歩く。校庭を出るとその足は自然に早足になった。通学路を外れ学区を出て、病院に着くといつもどおりにカウンターで受付を済ませる。階段で三階に上がると、病棟へ進んだ。
「章吾くん! 今日もお見舞い? 毎日えらいなぁ! ほんと、感心しちゃう。」
「こんなできた息子、わたしもほしいわぁ。うちの子も少しは見習ってくれればねぇ……」
 ナースステーションの前を横切ると、すっかり顔を覚えた看護婦たちが手を振り声をかけてくる。それに会釈しながら廊下を歩くと、突き当りの前の病室で足を止めた。
 扉に手をかける。
 中の暗い大部屋に椅子が四十三個、円状に並べられている。明かりといえば、一本の蝋燭が部屋の中央に備えられたテーブルの上で心許なげに揺らめいているだけだ。
 蝋燭。命の火。寿命。死神。蝋燭。ルール。蝋燭。運命。「いなくなったあと」。友達。「ほんの少しでも希望があるなら」。蝋燭。りんご。鬼。

「これから行う儀式(ゲーム)では、君たちに殺し合いを行ってもらいたい。
 ルールは単純。今から最後の一人になるまで戦って、生き残った一人の願いを何でもひとつだけ叶えよう。
 おっと、もちろん元のいた世界へと帰した上で、だ」

 ゲーム、ルール、願い。
「――なんだよ、いつもどおりじゃん。」
 見知らぬ病院の廊下に置かれたベンチの上で。目元を一度拭った金谷章吾は夢から覚めた。



 ありがちな話をしよう。
 あるところに大切な人を失うことになる人間がいた。その人間はゲームに巻き込まれた。勝てば願いが叶い負ければ死ぬデスゲーム。普通に考えればその人間はどう動くか。
 もちろん、ゲームに乗るだろう。

 章吾も同じであった。
 彼は頭が良く運動神経抜群で女子からモテる、それだけの普通の人間だった。
 勉強はいつも学年二位だし、100メートル走では負けたこともあるし、とりたてパソコンやゲームの知識があるわけでもない。
 なにより、物語の主人公のような友達がいなかった。
 本気を出した彼の横に立てる人間はいなかったし、本気を出しても彼らとわかり合うことなんてきっとできなかった。
 友達はいなかった。利用した同級生がいただけだ。何度も何度も命懸けの状況をくぐり抜けて、時にはそいつの妹を助けたり、夏休みには一緒におじいちゃんの田舎に着いて行ってまた死にかけたり、校外学習で一日に二回デスゲームを仕掛けられて黒幕を二回ぶちのめしたり。
 つまり、章吾にとって大切な人は、たった一人、母親だけであって。
 それ以外の何もかもは――


537 : 夢で終わらせない ◆BrXLNuUpHQ :2020/05/27(水) 23:54:14 ZPHBackQ0

「……くそっ。」
 章吾は星を掴むように伸ばしていた左手を振った。コンクリの天井に遮られた星の光など意味はない。欲しいのは空から降ってくるような運命などではなく掴みとった希望だ。そしてその為の手はある。コンクリの壁を刺し砕いた鋭利な爪と異形の左手。彼がかつて戦った鬼との取引で手に入れた、ここに来るほんの数日前に彼の手となった、そして今からほんの数分前に数多の死神を血祭りに上げ彼の自称ライバルを再起不能にした、彼の願いへのパスポートだ。
「スタンド……俺の横に立てるやつなんかいるのかよ……」
 思い浮かべたプッチの顔目掛けて左手を振る。蝋燭を持ち生き死にを語るその姿はまさに死神。まるで自らが運命であるかのような物言い。
 章吾は一際強く腕を振るった。コンクリの壁には、今度はクレーターが出来る。
 これだ、この力だ。運命に抗うこの力。それこそが一番重要なのだと再確認する。母親の目前に迫った死を知らされて、それを運命のように感じて、しかしそんなふうに感じてしまった自分が運命の奴隷のようで、それでも掴み取りたい幸せがあって。だから、何もかもをなげうっででも手に入れた。それしか縋れるものがなかったから。もう戻るには、遅すぎたから。だから……

「な!?」

 ハッとして上体を起こす。彼の左手は、いつの間にか見慣れた自分の手になっていた。もう一度よく見る。彼の未来への滑走路は、再び変色した異形となっていた。そのことに複雑な感情が無いとは言えない。しかしこれは必要なことであり……そうしてまた自分の内面に潜り込みそうになったところで、彼は今一度自分の手を見た。
 先程の手は、紛れもなく自分の手であった。一瞬だが間違いない。根拠は無いが、あれが未練からくる幻覚などとも思わない。

「攻撃を受けているのか……?」

 真っ先に思いつくのは、自分の力を狙った存在による攻撃。鬼か、死神か、他の参加者か。普段通り逃走経路を探りつつ、同時に敵の分析を進める。相手は何人か、武器は、能力は、そう考えつつ再び自分の左手が元の姿になったと同時に、視界の端に捉えた影に裏拳を振るう。捉えた、そう思ったと同時に章吾の顎に衝撃が入った。
 自分が狙ったところと同じ場所へのカウンター。並の相手ではない、格上だ。脳震盪を起こして意識が飛びそうな頭で考えながら、章吾は力を振り絞って下手人を見た。
 金属質に見える材質不明の外観の、人形、だろうか? 思わず幻覚かと思うほど、今までの人生でも見たことのないデザインをした、なにか。

(そうか、これがスタンドか。)

 だんだんと明瞭さを取り戻した頭で思い直し、足元にあるカバンを開ける。たしかこの中になにか有用なものがあるとあの妙な剃り込みを入れた黒人は言っていた。食料に水に雑貨に……メモ。ペラリと一枚入っていたそれを読んで、章吾は。

「は、ははははは! 最ぃっ高だなぁ!」

 口を大きく開け、大笑しながら、壁を殴り砕いた。
 彼に与えられたスタンド、『シンデレラ』。効果は端的に言えば整形。殺し合いの場で整形。
 なるほど、だから自分の手が元に戻ったりしたのか。そう冷静に考える頭と。こんなハズレでどう生き残ればいいのか。そう冷静に考える頭。普段なら感じる怒りやツッコミを抜きにして、どう戦うかの考察が始まる。このスタンドで変装はできるか? 年齢は? 性別は? 自分以外も変えれるのか? 傷を直したりは? 頭に浮かぶのはそんなことばかりだ。そのことに、また壁を殴る。今度は、痛みがあった。
 手が人間に戻っていた。
「戻せ。」
「――。」
「戻せよ。」
「――。」
「……チっ。」
 消えろと念じると、人形のようなビジョンは消えた。


538 : 夢で終わらせない ◆BrXLNuUpHQ :2020/05/27(水) 23:55:51 ZPHBackQ0



【名前】金谷章吾
【出典】絶望鬼ごっこ
【性別】男
【能力・技能】
小学6年生。元々頭が良くて運動ができてイケメンでクールな性格という完璧超人だったが、鬼としての力を得たことで全ての能力が向上し急成長を始めている。特に左手は異形になる前から握力測定器を破損させるほどの握力になり、鬼としての力を発揮した状態であれば人一人手刀で切断するほど。

【スタンド】シンデレラ
【破壊力:D/スピード:D/射程距離:D/持続力:D/精密動作性:A/成長性:C】
【能力詳細】
体のパーツをモンタージュのようにイメージに変換して、外見や運勢を整形する。変換するためのイメージは本体が記憶しているパーツに限る。
この整形はスタンド消滅後も継続するが、金谷章吾はこのスタンドとの適性が高くなく使いこなせてもいないため、自分以外に使用した場合三十分で元に戻る。また自分に対して使う場合、人間であった頃の章吾にしか整形できない。

【備考】
原作7巻『さよならの地獄病院』終盤で闇落ちして主人公を叩きのめしたあと黒鬼と共に立ち去ったタイミングでの参戦です。
シンデレラにより額の角と左手を人間だった頃のものに戻しました。そのことに本人は気づいていません。なお、これより本人が望んだこと以外での幸運と死に瀕した時の悪運が起こりやすくなっています。


539 : ◆BrXLNuUpHQ :2020/05/27(水) 23:56:15 ZPHBackQ0
投下終了です


540 : ◆Z6IqeLNxJg :2020/05/28(木) 00:36:06 IS0148ko0
投下します


541 : 頑なさ知る柔らかさ ◆Z6IqeLNxJg :2020/05/28(木) 00:38:42 IS0148ko0
◇ ◇ ◇

女の子って、何でできてる?
お砂糖とスパイスと、素敵なものみんな
そんなもので できてるよ

◇ ◇ ◇

「ん〜、なんだかこれって〜〜、雛菜あんまり楽しくないやつかも〜〜?」

そう言って頬を膨らませた少女の名前は、市川雛菜という。
ゆったりとウェーブを描く、ふわふわで色素の薄い髪。
すらりと伸びた長身に、釣り合いの取れた均整なプロポーション。
まるで何かの絵本から飛び出したお姫様のような、美しく整った顔立ち。
『少女』という概念の一つの完成形といえるだろう彼女は、誰に向けるでもない独り言をこぼす。

「はぁ〜、雛菜、こういうお仕事は楽しくな〜いってプロデューサーに伝えてたと思うんだけどな〜〜」

市川雛菜15歳。目下売り出し中の、283プロ期待の新人アイドルである。
浅倉透、樋口円香、福丸小糸ら3人の幼馴染みと共にユニットを組み、トップアイドルとなるべくレッスンや営業、オーディションと忙しい毎日を送っていたのだが――
雛菜は、こんな『ドッキリ企画』のような仕事があるだなんて一言も聞いていなかった。
というか、こんな悪趣味な仕事は入れないようにプロデューサーにはやんわりと伝えていたつもりだった。

市川雛菜が求めるのは、『しあわせ』と『楽しい』だ。
アイドルになった理由だって、先に活動を始めた幼馴染みが『やは〜♡ 透先輩たのしそ〜〜♡』に見えたからだし、『楽しくない』を押し付けられるようならすぐにでも辞めるつもりだった。
だからこの状況には、少しカチンときている。プロデューサーならどんな内容だろうが仕事は仕事だと言いそうだが、ドッキリ番組なんて雛菜にとっては楽しくない。楽しめない。
楽しくないことを無理にやらされているアイドルを見て、ファンは楽しくなれるだろうか。
雛菜にファンの気持ちはわからないが、おそらくそれは、楽しくはないし幸せでもないんじゃないか。

「う〜ん……でも、近くにカメラさんも誰もいないっぽい〜〜?」

雛菜がいるのは、見覚えがない街の一角だ。気づけばここに一人で立っていた。
その直前には、夢のような、現実離れした不気味な光景を見た記憶。喋る神父と、爆発する少女。
まるで映画のワンシーンのようなそれは、それまで雛菜が過ごしていた日常とも、今立っているこの街の風景とも連続していない異物だ。
それをきっかけにして、彼女を取り巻く世界の姿が、大きく変わってしまったような感覚。
雛菜は薄ら寒いものを背筋に感じたが――その不安を振り払うように、笑みを顔に浮かべた。

「まっ、いざとなればどうにでもなるでしょ〜。それより〜、これに甘いものとか入ってないかな〜〜♪」

雛菜は、傍らに置かれていたデイパックの中身を確認し始めた。おそらくこれが自分に配られたアイテムなのだろう。
中には水や食料、照明器具など、ちょっとしたキャンプにそのまま行けるほどの道具が詰められている。残念ながら甘いお菓子や飲み物などは入っていないようだった。(ちぇ〜、けち〜〜)
できれば中身をすべて出して確認したいところだが、デイパックの中身を全部外に出してチェックし、再び詰め直す労力を考えるとかなり億劫だ。
ひとまずはどこか落ち着ける場所に移動して、そこから本格的に行動を開始するほうが間違いないはず。
雛菜はそう考えて、足下を照らす照明器具だけ取り出してデイパックを背負おうとした。
そのとき。雛菜の足下に、一枚の紙が滑り落ちた。デイパックの中から飛び出してきたであろうそれを拾い上げる。

「なにこれなにこれ〜? ……『スタンド』? あはは、なにそれ〜〜」

スタンドとは、そばにあらわれ立つもの。精神が具現化したものだと神父が言っていた。
たしかあの神父は、全員にスタンドを支給したと言っていたはず。
これはつまり『そういう設定』だということにして、ごっこ遊びをやれということだろうか?
やけに血生臭く悪趣味なイントロダクションで始まったくせに、設定はまるで子供向けの漫画みたいだ。

「う〜ん、やっぱりこれ、あんまり楽しくないかも〜……どれどれ、雛菜に支給されたスタンドは〜〜?」

気乗りしないままに、紙に書かれた設定に目を通す。名前、ステータス(!)、能力。
まるで絵空事のような文章の羅列を、雛菜は声に出して読み上げた。


542 : 頑なさ知る柔らかさ ◆Z6IqeLNxJg :2020/05/28(木) 00:40:16 IS0148ko0
「えっと〜、雛菜のスタンドちゃんの能力は〜〜……『触れたものを柔らかくする』だって〜〜♪
 やは〜、ぷにぷにしてそうでかわいー♡ それで名前は〜〜…………」

『スパイス・ガール!』

「…………えっ?」

突如、雛菜のものではない声が――誰もいなかったはずの虚空から、聞こえてくる。
声が告げた、スパイス・ガールという言葉。雛菜に支給されたスタンドの説明用紙にも同じ名前が書かれていた。
ゆっくりと顔を上げる。雛菜の視線の先に、明らかに人間ではない、しかし人間に極めて近いフォルムをした異形が佇んでいた。

思わず悲鳴を上げそうになる口を両手で押さえて、寸前のところで堪える。
相手が何なのかすらわからないとき、無闇に刺激をするものではない。雛菜の直感はそう告げている。
雛菜のリアクションを見た異形は、それ以上近づくことも離れることもせずに、言葉を続けた。

『ワタシ ハ ……アナタ ノ スタンド デス 』
「雛菜の……スタンド? じゃあこの紙に書かれてることって、本当なの?」

雛菜の問いに、スパイス・ガールを名乗ったスタンドはコクリと首肯する。
そして、これを見せるのが一番早いと言わんばかりに――その能力を、『触れたものを柔らかくする』という力を行使した。
スパイス・ガールの拳が、傍らに在った木製の冷たいベンチを殴りつける。突然の暴力行為に雛菜の口はあんぐりと開いたままだ。
だが、凄まじい速度で打ち付けられた拳が固いベンチを破壊することはなかった。代わりに、ベンチの質感が変わる。

「あは〜〜……」

雛菜は変わってしまったベンチへと恐る恐る近づいた。
近くで目を凝らすと、本来ならば固く、微動だにしないはずのベンチがその姿を歪ませ、ぷるぷると震えているのがわかる。
ゆっくりと、指で触れてみる。ざらついた木の感触はそこにはなかった。返ってきたのはゴムのようなぶにぶにとした柔らかさ。
思い切って、その身をベンチに預けてみた。柔らかさが、雛菜の全身をすっぽりと包んだ。なのに見た目は木のままだから、頭がどうにかなりそうだった。

いや、どうにかなってしまったのは雛菜の頭のほうじゃない。雛菜の周りの世界のほうだ。
このベンチが、何よりの証拠だった。スパイス・ガールが作り出した木製ベンチの柔らかい抱擁によって、雛菜はこの世界が自分の常識が通用しない世界だと気付かされてしまった。

だから、あの神父が言っていたこともまったくのデタラメというわけではないのだということにも、気付いてしまった。

「……柔らかいのって、気持ちいいよね〜〜。雛菜、柔らかいのは好き〜〜、あと甘いものも好き〜〜」

雛菜は自分の言動や行動はどちらかといえば柔らかいほうだと自覚していた。
少なくとも先輩の誰かさんのように、固くはない。
けれど、柔らかさと優しさはイコールではない。
雛菜の柔らかさに、優しさは含まれていない。

(あー、どうすれば……いいかなー)

自分は、どうすればいいのだろう。他の人たちは、どうするのだろう。
神父に呼ばれた他の人たちがどんな人なのか雛菜は知らない。
いや、それを抜きにしても雛菜は他の人の気持ちなんかわからない。
だって自分は自分で、他人は他人で。それぞれ違うから。
何もわからないまま、雛菜は急に生まれたもう一人の自分――スパイス・ガールへと視線を向けた。

「……やは〜、スパイス・ガールちゃんのアタマ、かわい〜〜♡」


543 : 頑なさ知る柔らかさ ◆Z6IqeLNxJg :2020/05/28(木) 00:41:06 IS0148ko0
スパイス・ガールの頭部に刻まれていたのは計算記号。+、-、×、÷。
2つの数字の間に挟まって、関係性を定めるもの。
幼馴染みのみんなのことを、考えた。

福丸小糸は、「+」だろう。真面目で、努力家で、誰からも好かれるタイプだ。
樋口円香は、「-」かもしれない。一歩距離を置き、警戒しがちで内面を見せないから。
浅倉透は、「×」だ。不思議な魅力でみんなの中心にいて、彼女がいたから自分たちは繋がった。

だったら市川雛菜は、「÷」だろうか。
当たらずといえども遠からず、と言えるかもしれない。
自分と他者のあいだを割って、自分の心すら割り切ってしまって、境界線を作ってしまう。
ずっと、そんな生き方をしてきた。これからもそんな生き方をするのだと、思っていた。

だけど少しだけ、それが変わってきたかもしれない。
雛菜が変わったわけではない。変わった人間が、雛菜のそばにいるようになった。
境界線の向こう側からこちら側へ、ズカズカ入ってくるようなことはしない。
でもラインのギリギリまで近づいて、じっとこちらを見てくれた。知ろうとしてくれた。

「……この柔らかさも気持ちいーけど……でもやっぱり、事務所のソファのほうが気持ちい〜かも〜〜」

やっぱり、雛菜は変わらない。自分の『しあわせ〜♡』が一番大事で、そこだけは譲れない。
絶対に曲げられない、折れない、壊れない頑なな意思。それが市川雛菜の中にある。
雛菜のしあわせは、事務所のソファで、冷蔵庫のプリンで、ノクチルで、プロデューサーで――

『ソレ ガ アナタ ノ 意思 ナラバ アナタ ノ 【願い】 ナラバッ!
 ワタシ ハ イツダッテ アナタ ノ ソバデ アナタ ノ 命令 デ 闘イマス!』
「うんっ! それじゃ〜スパイス・ガールちゃん、雛菜の『たのし〜♡』と『しあわせ〜♡』のために……一緒にきてくれる〜〜?」
『ヨロコンデッ!!』


◇ ◇ ◇

市川雛菜。スパイス・ガール。頑なさ知る柔らかさ。

◇ ◇ ◇


【名前】市川雛菜
【出典】アイドルマスター シャイニーカラーズ
【性別】女性
【人物背景】
 283プロダクション所属のアイドル。
 自分の『しあわせ』を何よりも優先する、天真爛漫で奔放な女の子。
 ふわふわな外見、のんびりした口調とは裏腹に自分の独自の価値観や行動原理には非常に自覚的。
 幼馴染み4人でアイドルユニット『ノクチル』を結成している。
【能力・技能】
 なんでもそれなりにできる〜(公式プロフィールより)
 かなりのポテンシャルを秘めており、レッスントレーナーからもお墨付きを得ている。

【スタンド】スパイス・ガール
【破壊力:A/スピード:A/射程距離:C/持続力:B/精密動作性:D/成長性:C】
【能力詳細】
 第五部に登場するトリッシュ・ウナのスタンド。
 殴った物質を柔らかくする能力を持ち、柔らかくなった物質は相当な衝撃を与えても破壊されることはない。
 また、柔らかさについても物質に弾力を持たせるレベルから自由自在に形を変えるレベルまで調整が可能。

【備考】参戦時期はWING編共通コミュ「take the cake!」以降。
【方針】雛菜の『しあわせ』のために、みんなが待っている事務所へ帰る。


544 : ◆Z6IqeLNxJg :2020/05/28(木) 00:41:32 IS0148ko0
投下終了です


545 : ◆DWDMFPPpRw :2020/05/28(木) 01:12:44 fTqwpp3Y0
投下します


546 : 撮影の途中に殺し合いに巻き込まれたげんげん ◆DWDMFPPpRw :2020/05/28(木) 01:13:20 fTqwpp3Y0
「どうも、げんげんです。今日は記念すべき動画の初投稿!……の、筈やってんけど……大変なことになってもうてなぁ。
 部屋で撮影しとった筈が、何時の間にか妙な場所に居ってな。そこで外人さんが『最後の一人になるまで殺し合いをしろ』とか言いよるんよ。
 いやその外人さん、見るからにヤバそうな人でなぁ。
 最初冗談やろ思うてたら、急に素数がどうたら言い出して、急に女の子殺しとんねん。バーン!って頭が破裂して、吐きそうになったわ。もうヤバいやんなぁ!」

「そしたら、何かまたいつの間にか知らんデパートに居ってな、『カメユー』言うらしいんやけど、俺撮影の途中で全裸やったし、ちょっと服とか探すついでに物色してな、ビデオカメラ見つけたから、現状の把握も兼ねて、動画を撮ってみる事にしました。
 とりあえず、生還したらこれは証拠としてYouTubeとかに上げようかと思います」

「話を戻すとな、スタンド……ちゅう能力を支給するから、それを使うて殺し合えってことらしいわ。
 俺に支給されたスタンドやけど、えーと、Dirty_de……なんちゃらとかいう名前みたいやで。英語苦手やし長いから『D4C』でええか。
 写っとるかな? ほら、念じたらマネキンっぽいのが出てな、自由に動かせるんや。何か兎みたいでちょっと可愛いやろ。
 デイパックに入っとったメモ書きだと『同じ場所に隣の世界を同時に存在させられます(何かに挟まれたら発動します)』って書いてるんやけど、意味わからんしイマイチどう使うのか解らへんわ。いや人殺す気はないから別にええんやけど」

「……そう、色々考えたんやけど、やっぱ俺、この殺し合いに乗る気はないで。
 万が一優勝しても、人を殺しておいて、そのあとのうのうと生きていける自信がないわ。
 せやから、とりあえず皆にこんな殺し合いやめようって説得してみるつもりやで。
 突然こんな事になって、どうしようか怖くてわからんくなってる人も多いやろうし、 そういう人を勇気づけるためにも、一緒に見つけた『拡声器』を使って皆に呼び掛けようと思います。
 皆で一致団結して、誰一人殺し合いをしようとしなければ、あのプッチとかいう外人さんも、きっと考えを改めてくれる筈やで。
 ……充電も心配やし、誰かが先走ってやらかす前に、さっそくやってみようかなと思います。

 ほな、またな!」


【名前】げんげん(源元気)
【出典】Gengen Channel
【性別】男性
【能力・技能】
 趣味が筋トレのためか、かなり見事な筋肉の持ち主。
 このげんげんは野球部員なので野球が得意なのかもしれない。

【スタンド】Dirty Deeds Done Dirt Cheap(D4C)
【破壊力:A/スピード:A/射程距離:C/持続力:A/精密動作性:A/成長性:A】
【能力詳細】
 巨大な2本の角がウサギの耳のように生えた頭部と全身にある縫い目状の模様が特徴な人型のスタンド。
 平行世界を自在に行き来することができ、さらに他者を異世界へ引きずり込む(又は送り出す)ことができる能力。
 原作では「同じ場所に隣の世界を同時に存在させられる」とも表現される。
 何らかの物体の隙間に挟まれる、或いは挟み込むことで発動する。
 また、本体が致命傷を負っても、並行世界の自分に意思とD4Cを託すことができる。
 ただし、D4Cで呼び出せる並行世界のげんげんは以下のメンバーのみ。
 『共産主義の同志げんげん』『クローズドサークルに囚われたげんげん』『ゲーニッツ=ゲンガッシュバルト29世』
 『AIによりデータ化したげんげん』『投資家げんげん』『無人島で救助を待つげんげん』『謎の怪盗G』『暗黒宇宙帝国のパイロットげんげん』『修学旅行中にバトルロワイアルに参加させられたげんげん』『原始人げんげん』『カウボーイげんげん』
 要は動画で登場したげんげんのみが対象。

【備考】
 会場内のカメユーデパートでビデオカメラ、着替え、拡声器などの物資を確保しています。
 このげんげんは「げんげん初めての動画投稿ヽ( ´▽)ノ」のげんげんです。

【方針】
・殺し合いには乗らない。拡声器で皆に呼び掛け、人を殺さないように説得する。


547 : ◆DWDMFPPpRw :2020/05/28(木) 01:14:52 fTqwpp3Y0
投下終了です


548 : ◆DWDMFPPpRw :2020/05/28(木) 08:10:28 dP2y914I0
投下します


549 : レイン決行 ◆DWDMFPPpRw :2020/05/28(木) 08:11:29 dP2y914I0
 大粒の雨がポツリポツリと降りそそぐ。やがて大降りになるであろう雨雲を木陰から見上げるのは、グラマウスな女性だった。

「殺し合え、か……」

 そう呟く彼女の名はニカイドウ。人間として暮らす事を望む、時を操る魔法使いだ。
 彼女は唯一無二の親友カイマンを探すため、二度と戻らないと誓った魔法使いの世界に再び戻った。そして、自身の魔法に目をつけた煙と無理矢理にパートナーの契約を行わされてしまった。
 悪魔アスの協力によって、その呪縛からどうにか解き放たれたと思ったら、今度は何の因果か、殺し合いなんて悪趣味なものに参加させられている。
 この雨宿りは、考えを落ち着かせるのに最適な時間だった。
 魔法使いは雨が苦手だ。だが、この雨は平気だった。決して彼女の住むホールでは見かけない、ケムリの混じっていない雨粒。しかし、魔法使いの世界では雨は降らない。
 ここは、魔法使いの世界ともホールとも違う場所。少なくとも悪魔や亡者はいないようなので、地獄でもない。
 果たしてそんな世界が本当にあるのかは知らないが、自分が巻き込まれているこの催しは、少なくともニカイドウの知る常識の外にある事。それだけは分かった。

 これからどうするか。それを決めかねていたニカイドウは、とりあえず武器にしろ何かしら役立つものが無いか、デイパックを漁ってみる。中身の質の良い食料や雑貨に混じって、やがて一枚のメモを見つけた。

「そういえばあの男……スタンドとか言っていたな」

 スタンド。精神の具現化と言っていたが、魔法の一種か、それとも別の何かか。聞いたことのない代物だが、ご丁寧にもそのスタンドの使い方がそのメモには記されていた。
 メモを読み終えたニカイドウは、ふと木々から滴る雨に意識をめぐらせる。すると、途端に数多の雨粒がピタリと空中に静止した。

「おおっ、ホントに操れる」

 物珍しげに差し出された手のひらに雨粒が触れる。すると、触れた箇所から溶けるように、あるいは千切れるように体が裂けた。
 見た目に反して苦痛はなく、やろうと思えば雨粒の合間を移動できる。そう感じた。
 『キャッチ・ザ・レインボー』。それがニカイドウに与えられたスタンド。 
 魔法使いの好むような、虹の描かれたマスクのヴィジョンを持つこのスタンドを、ニカイドウは思いの外気に入った。

「雨粒を操る能力、思っていたより強そうだ」
  
 雨天限定とはいえ、これなら一先ず戦える。ひとしきり能力を試し、そう結論付けたニカイドウは、これならまだ魔法を使う必要はないと安心した。

 ニカイドウは魔法使いだ。魔法使いなのだから、当然魔法を使える。
 彼女の『時を操る』魔法を使えば、ここから脱出することはできるだろう。
 だが、それはできない。否、したくない。
 過去の過ちが、彼女にその選択を許さない。

「魔法は使わない……何があっても。だから、使えるものは何でも使わないとな」


550 : レイン決行 ◆DWDMFPPpRw :2020/05/28(木) 08:12:27 dP2y914I0
積極的に殺し合いに乗る気はないが、願いを叶えるなんて話に釣られる参加者は居る。ニカイドウも少しは惹かれた。
 だが、あの男はどうにも信用できない。プッチのどこか余裕のない言動も合わさって、彼女の勘がそう告げていた。

「まずどうにかするべきなのは『DISK』か……頭に入ってるんだよな。うーん、とりあえず誰か宛を知ってそうな人でも探すか」

 やがて方針を固めたニカイドウは、木陰から一歩を踏み出した。

【名前】ニカイドウ
【出典】ドロヘドロ 
【性別】女性
【能力・技能】
 徒手格闘の達人で、自分を縛り付けたロープを引き千切り、手刀で魔法使いの手や首を撥ね、蹴りでキノコマンを真っ二つにし、拳銃の連射を姿が消えたように躱せる。
 定食屋「空腹虫(ハングリーバグ)」を経営しているため、料理が上手い。
 とても希少な「時を操る魔法使い」だが、今回ニカイドウの魔法は制限により使えない。

【スタンド】キャッチ・ザ・レインボー
【破壊力:C / スピード:C / 射程距離:B / 持続力:B / 精密動作性:D / 成長性:D】
【能力詳細】
 雨粒を空中で固定するスタンド。スタンドの外観は虹のデザインが入った仮面。
 この能力で宙空を自在に闊歩したり、水滴の刃で敵を攻撃したりする。また自身の肉体をバラして雨水を媒介に部分別に移動する事も出来る。
 「雨粒」にのみ有効な能力であり、固定化された雨粒も、雨が止むと固定化が解除される。
 つまり豪雨の日は非常に強力だが、快晴の日は役立たずという一長一短のスタンドである。

【備考】
 ニカイドウの参戦時期はアニメ12話、煙との契約を破棄した直後。
 自身の魔法が制限されている事には気がついていません。
 ニカイドウのいるエリアには現在雨が降っています。

【方針】
 今のところ殺し合いには乗らない。プッチに仕込まれたDISKを何とかする。


551 : ◆DWDMFPPpRw :2020/05/28(木) 08:12:51 dP2y914I0
投下終了です


552 : ◆Ay2lEeXHQ2 :2020/05/28(木) 09:36:02 7RdClyI.0
投下します。


553 : Helldiver ◆Ay2lEeXHQ2 :2020/05/28(木) 09:38:13 7RdClyI.0
君は夢を見ている。とても奇妙な夢だ。

自宅に魔法陣を描き、地獄へ降り立とうとしていたら、エンリコ・プッチと名乗る神父に喚び出された。
殺し合いの儀式に乗って最後まで生き残れば、なんでもひとつ願いを叶えてくれるという。
武器として「スタンド」という超能力を与えられた。他の参加者も同様に超能力者というわけだ。

目を覚ますと、君は知らない場所に立っている。どうやら夢ではないらしい。
しかし、夢なら、願いならある。君は啓示を受けたのだ。
まあ、簡単なことではない。命を落とすこともありうる。

「悪魔の娘っ子とイチャつけるんだ、俺のタマくらい安いもんだ。」

と君は言い放った。
これが地獄へ行くための試練というなら、潜り抜けるしかないだろう。


【名前】ヘルテイカー
【出典】Helltaker
【性別】男性
【能力・技能】
ガタイのいい中年男性。パンケーキを焼くのがうまい。
キックで岩を動かしアンデッドを砕く筋力、即断即決で地獄へハーレムを作りに行く意志力を持つ。

【スタンド】ダイバー・ダウン
【破壊力:A/スピード:A/射程距離:E/持続力:C/精密動作性:B/成長性:B】
【能力詳細】
近距離パワー型のスタンド。物体の内側に潜り込む特殊能力を持つ。
物体を内部から組み替えたり、別の物を埋め込んだりすることができ、これを生物や人体に用いるとえぐい破壊となる。
物体を殴ることで、そこにパワーを溜めることができ、時間差で一回のみの遠隔トラップとして解き放つことも可能。
接触している仲間のダメージを肩代わりすることもできる。他にも応用性は多岐に渡る。

【備考】
時系列はゲーム開始前。

【方針】
優勝する。


554 : ◆Ay2lEeXHQ2 :2020/05/28(木) 09:40:09 7RdClyI.0
投下終了です。


555 : ◆Il3y9e1bmo :2020/05/28(木) 10:35:14 zKe7W.Qw0
>>534
質問ありがとうございます。回答させていただきます。
まず、結論から申しまして私は「人間以外の生物は存在している」という認識でおります。
こちらはあくまで古代生物や幻獣などの現実世界に存在していない生物を除く範囲で、ですが。
理由としましては、殆どの参加者が自己防衛手段であるスタンドを持っているということが挙げられます。
またコンペでのズガンを禁止していることから、スタンド能力を見せる、いわゆるやられ役が必要な場合もあるということも理由の一因としてあります。
私自身、初めての企画ということもあり、お恥ずかしながら会場内に野生生物がいないケースが殆どということを知りませんでした。
後出しになって大変申し訳ありませんが、今回はこの「人間以外の生物は存在している」という条件で執筆をしていただければ、と思います。
それでは、よろしくお願いします。


556 : ◆7PJBZrstcc :2020/05/28(木) 16:33:57 oRuWo0kA0
自作「名もない星が空に落ちたら」にて、文章のミスを見つけたので少し修正しました。
スタンドや行動方針は変わっていませんが、一応報告します。


557 : ◆NIKUcB1AGw :2020/05/28(木) 21:28:22 JWaNLQGY0
投下します


558 : カメレオン ◆NIKUcB1AGw :2020/05/28(木) 21:29:18 JWaNLQGY0
スタンドとは、本体の精神から生まれるものである。
つまり、本体の精神構造と密接なつながりがあるわけだ。
ならば他者の生み出したスタンドを与えられた場合、元々の持ち主の精神に影響を受けてもおかしくはない。
現在のところ、そういった具体例は見つかっていない。
だがサンプルが少ないこともあり、そのようなことが絶対にあり得ないと断言するだけの根拠もない。
たとえば根が単純で、周囲の影響を受けやすい人間ならば……。


◆ ◆ ◆


ヨシヒコは激怒した。
カニチャーハンにカニがほとんど入っていなかったから……ではなく、このような非道な催しに巻き込まれたからだ。
自分一人が危険な目に遭うのならば、まだ耐えられる。
だがこの催しには、おそらく無力な人々も少なからず巻き込まれている。
勇者として、絶対に許せない行いだ。
必ずや邪知暴虐の神父を倒さねばならぬ。
だが愛用する剣も、冒険の中で手に入れたアイテムたちも手元にはない。
どうやら、神父に奪われてしまったようだ。
頼れる仲間たちも、この場にいるかどうかわからない。
むろんそれは名簿を見れば一発でわかるのだが、そんなものの存在にヨシヒコが気づくわけがない。

「仲間も武器もなく、一人で強大な悪と戦わなければならないのか……。
 さすがに私でも厳しいな……。
 待てよ……。たしかあの神父は、参加者全員に特殊な能力を与えると……」

それを使いこなすことが、この場を切り抜けるための重要な要素に違いないという考えに至るヨシヒコ。
だが、肝心の使い方がわからない。
もちろん、彼はスタンドの解説書にも気づいていない。

「そうか、新しい特技を覚えるために必要なことと言えば……。
 レベル上げだ!」

やがて見当違いの結論にたどり着き、ヨシヒコは走り出した。
経験値をくれるモンスターを探して。

「しかし、なんだろうな……。
 さっきから、『いい気になってるやつが破滅するのを見たい』という妙な感情が……」

ヨシヒコは知らない。
彼に与えられたスタンドが、「吐き気を催す邪悪」と呼ぶにふさわしい殺人鬼の精神から生み出されたものであることを。


559 : カメレオン ◆NIKUcB1AGw :2020/05/28(木) 21:30:17 JWaNLQGY0


【名前】ヨシヒコ
【出典】勇者ヨシヒコシリーズ
【性別】男
【能力・技能】
勇者の名にふさわしいだけの身体能力を持つ。

【人物背景】
勇者の称号を与えられた青年。
その称号に見合うだけの強さと正義感を持つが、頭の中身は小学生レベルの漢字も読めないアホ。
それ故に目の前の状況に流され、本来の目的を見失ってしまうことが多い。

【スタンド】アクア・ネックレス
【破壊力:C/スピード:C/射程距離:A/持続力:A/精密動作性:C/成長性:E】
【能力詳細】
水と一体化して行動する、人型のスタンド。
他者の体内に入り込み、操ることができる。
体内からの攻撃は一撃必殺だが、逆に言うと体内に入り込めなければ殺傷力は低い。

【備考】
・参戦時期は第1作「魔王の城」終了時点。
・アクア・ネックレスの媒介として、水が他の参加者より多く支給されています。
・現状、スタンドの使い方をまったく理解していません。
【方針】
主催者の打倒


560 : ◆NIKUcB1AGw :2020/05/28(木) 21:31:15 JWaNLQGY0
投下終了です


561 : ◆mg.DCgSR.Q :2020/05/28(木) 23:56:25 UMwXuCrk0
>>555
回答、確認いたしました。ありがとうございます。

個人的にはロワというものは「よそはよそ、うちはうち」で構わないと思っておりますので、
>>1さんが「知識不足でした」ですとか「後出しになりますが〜」などと謝罪する必要は皆無と考えております。
むしろ非常にご丁寧に対応してくださったことに、非常に感謝しております。

同時に、そもそも他でもない>>1さんが野生動物を登場させていたのだということを失念してしまっていたことに、申し訳ないと思うばかりです。
大変失礼致しました。そして繰り返しになりますが改めまして、丁寧な対応と回答に感謝の念を。ありがとうございました!


562 : ◆DWDMFPPpRw :2020/05/29(金) 19:45:29 LAkQTSu.0
投下します


563 : 時は金なり ◆DWDMFPPpRw :2020/05/29(金) 19:46:00 LAkQTSu.0

 街中。人混みのないビルの下、身を潜めることもなく堂々と一人の男がデイパックを漁っていた。
 金髪にフライトジャケットの装いに、常人より頭一つ分以上高い身長と、その装いの上からでも分かる筋骨隆々とした肉体の男が纏う雰囲気は一般人のそれではなく、本能的に近寄りがたい空気を全身から醸し出している。

「ムカつく」

 片手で味気ないレーションをかじりながら、ぼそりと男は呟いた。
 フードの下から覗く眼光は猛禽類のそれで、不気味なほど思考の読めない。咀嚼する口から覗く歯は全てが牙のような鋭さがあった。

 男の名は肉蝮。一度目をつけた獲物に拷問や殺人を平気で行い、資産を全て搾り取る悪魔のような男。ヤクザを含む裏社会のアウトローたちからさえも、キ○ガイとして関わるのを恐れられる筋金入りの犯罪者である。
 出所して早々、自身の前歯を折った男をぶっ殺すため新宿に行き、景気付けにゲーセンで遊んでいた筈が、何故か知らない男に知らない土地で殺し合いをさせられている。

「あの野郎……舐めやがって」

 見せしめのように女を殺したくらいで、自分を顎で使えると思ってる。そうプッチの行動を捉えた肉蝮は、シンプルに怒っていた。

「マジで調子にのってるな」

 腹拵えのレーションを食べ終わり、ぺろりと屑を舐めながら、プッチと名乗った男への不満を呟く。
 その感情を後押ししているのは、デイパックに入っていたある支給品である。

「たったこれっぽっちの金で俺に殺しをさせるつもりか」

 そう吐き捨てる肉蝮。片手に握られているのは、日本国の紙幣である。総額にして50万円になる諭吉の印刷された紙幣が、何故か肉蝮のデイパックには入っていた。
 殺しはしてやっても良い。が、少なくとも一人殺すのに100万は用意するべきだ。そんな身勝手な算段による不満が沸き上がる。
 その上、プッチの語ったスタンドの概念。肉蝮にも与えられていたそれは、『紙幣を使えば使うほど増える』という、この状況においては全く使えないような代物だった。
 とはいえ、特にスタンドに関しては気にしていない。誰が相手でも自分は負けないと彼は信じているし、使えそうな能力を持っている参加者がいれば、適当にぶちのめして舎弟にすれば解決すると判断していた。
 プッチをぶっ殺し、謝礼として全てを搾り取る。デイパックに金を放り込みつつ、肉蝮はそう決めた。

「……歩くのダルぃな」

 まずは車と運転手、そして女が欲しい。
 欲望の赴くままに歩み出した肉蝮はまだ気がついていない。デイパックにしまいこんだ紙幣が、いつの間にか1万円分増えていることに。

 末尾の数字が全て13の紙幣が、ゆっくりと、しかし確実に鞄の底で増殖していた。


564 : 時は金なり ◆DWDMFPPpRw :2020/05/29(金) 19:46:36 LAkQTSu.0

【名前】肉蝮
【出典】闇金ウシジマくん外伝 肉蝮伝説
【性別】男
【人物背景】
 倫理観が著しく欠如している神出鬼没の凶悪犯。巷では「100人の女性を犯したレイプ魔」という犯罪歴が知られている。
 極めて自己中心的であり、誰に対しても傍若無人に振る舞う。強靭な肉体を有しており、その強さは裏社会の人間に広く認知されている。なかには彼を仲間に引き入れようとする者や、うまく利用しようとする者もいるが、ほとんどが返り討ちとなり悲惨な末路を迎える。
 自分の機嫌を損ねた者は決して許さず、一般人・ヤクザ・警察の別なく制裁を加える。さらに、場合によっては「ムカつく顔つきをしている」「自分の前を歩いた」などの理不尽な理由から暴力を振るうこともあり、行動の予測・制御は不可能に近い。
 衣食住を得るのではなく奪うことを良しとしており、自らの行動で他者が傷ついても一顧だにしない。また、短期間で無数の犯罪行為に手を染めながら「俺たちが何か悪いことしたか」と発言するなど、自らの悪事に自覚すらない様子を見せている。
 自身に協力的な者でも気に入らなければ制裁を加え、躊躇なく弾除けとして利用する。ただし、十分な働きを見せた者は認める程度の度量を持ち、嘘や裏切りをしない限り自身も決して裏切らず、時には救出に向かう事もある。

【能力・技能】
 類を見ない凶暴性と圧倒的な腕力を併せ持ち、本人も「タイマンなら自分が最強」と豪語している。
 『ウシジマくん』以上に卓越した身体能力が見せ、フルアクセルで突っ込んできた車両にしがみついたり、素手で鉄の棒を引きちぎるなどしている。
 戦闘の際は腕力で敵を圧倒することが多いが、頭の回転も速い。意外にも博識であり、一般常識から雑学まで幅広い分野に精通している。また、優れた洞察力を有し、嘘や建前を即座に見抜くことができる。


【スタンド】ミラグロマン
【破壊力:?/スピード:?/射程距離:?/持続力:?/精密動作性:?/成長性:?】(詳細不明)
【能力詳細】
 胴体にたくさんの細い二等辺三角形が並び、頭の横に小さな球が付き、腕と脚の付け根に三角形、頭部と掌の中央に大きな円形の穴が開いた人型スタンド。
 本体に憑依する独立型のスタンドであり、紙幣の形となって渡り歩く呪いのようなスタンド。
 ミラグロマンの紙幣を使うとそれ以上に金が増えていき全く金が減らなくなり、例え使わなくとも時間経過で金が増殖しどんどん増えていく。
 この紙幣は他人にあげたり破棄することができず、必ず増額して戻ってくる。
 ミラグロマンの紙幣を燃やすなどして無理に破壊すると、破壊した人物に呪いが移動し、凄まじい勢いで紙幣が増殖する。
 ミラグロマンの紙幣は一応本物ではあるものの、番号の末尾が「13」である。

【備考】
 肉蝮の参戦時期はゲームセンターで有馬と遊んでいた直後。
 ミラグロマンの媒介として50万円が支給されており、現在スタンドの効果で少しずつ増額しています。
 スタンド能力はメモ書きで把握していますが、時間経過で紙幣が増えることには気がついていません。

【方針】
 プッチは殺す。ムカツク奴はぶちのめす。使える奴は舎弟にする


565 : ◆DWDMFPPpRw :2020/05/29(金) 19:47:06 LAkQTSu.0
投下終了です


566 : 仙姿玉質 ◆XksB4AwhxU :2020/05/30(土) 17:13:13 tUeQyZwA0
完成したので、投下します。


567 : 仙姿玉質 ◆XksB4AwhxU :2020/05/30(土) 17:13:42 tUeQyZwA0
「あぁん…今まで築き上げてきた芸術的な悪業の数々が走馬灯のようにかけめぐるわぁん」
デパートの家具売り場の売り物であろうフワフワのソファーに座りながら身を悶える美女。
名は蘇妲己。殷王朝第30代目王、紂王の妃。
しかし、その正体は1500年生きた狐の妖怪仙人。
「他の宝貝はともかく、傾世元禳が没収されているのは少し痛いわねぇ〜ん…」
スーパー宝貝「傾世元禳」は、妲己にとって欠かせない道具。
「誘惑の術の効果は半減されるけど…まっ、いいわ」
ないなら、ないで違う策を考えればいい。太公望以上の策略家であると自負する妲己にとって些細なこと。
「それに、どうやら支給されたのは、わらわに相応しいスタンドのようねぇ〜ん」
妲己の視線の先にいるスタンド…「ハイプリエステス」
その造形は人間の頭部に2本の腕が生えたような不気味な外見。
「と〜っても可愛いわよぉ〜ん。ハイプリエステスちゃん」
妲己は愛でるかの如く、よしよしとハイプリエステスの頭を撫でる。
「それじゃあ、ハイプリエステスちゃん、やっちゃって〜」
バァ〜〜〜ン!!
なんと!ハイプリエステスはカミソリに変化し羽毛枕をズタズタに切裂いた。
「♪〜ハイプリエステスちゃんの変化とわらわの知謀が合わされば最強よねん。本当にあなたは最高のスタンドよ〜♡」
ハイプリエステスは妲己の言葉に喜びを感じている。
《ふふふ、スタンドにも…わらわの誘惑の術の効果が効いているようねぇん。》
妲己は「スタンド」にも己の術が効くことを確認してほくそ笑む。
「それじゃあ…他の参加者へ会いにドライブへ行くわよぉ〜ん♪」
バァ〜〜〜ン!!
妲己の言葉に応じてハイプリエステスはスポーツカーに変化する。
「♪♪♪〜〜〜」
スポーツカーが風を切って走る…
妲己ちゃん優雅に優勝よぉん♡


568 : 仙姿玉質 ◆XksB4AwhxU :2020/05/30(土) 17:13:56 tUeQyZwA0
【名前】妲己
【出典】封神演義(漫画)
【性別】女性
【能力・技能】
絶世の美女。派手好きで明るく可愛らしい振る舞いをしているが、その内面は冷静かつ頭脳明晰。
他人の心理を読み取り思うがままに利用することが得意。
【参戦時期】原作21巻 太公望たちが宇宙船蓬莱島へ乗り込んでくる前。

【スタンド】ハイプリエステス
【破壊力:C/スピード:B/射程距離:A/持続力:A/精密動作性:D/成長性:D】
【能力詳細】
能力は「あらゆる鉱物に化ける」こと。
鉱物であれば機械類やコーヒーカップやカミソリや、果ては海底までと、かなり多くの物に化けることが可能。ゲームでは車や電ノコなど、さらに多彩に化けた。
【方針】
優勝よん♡(始めはか弱い乙女を演じて、他の参加者に守ってもらい、機をみて一掃する)
できたら、他の参加者のスタンドも誘惑の術で僕としたいわねん♪
※宝貝:傾世元禳、五火七禽扇、金霞帽は取り上げられている。
※傾世元禳がないため、誘惑の術の効果は半減。(参加者の心身が弱っていないと効果がない)
※ハイプリエステスは妲己の誘惑の術により妲己にメロメロ。
※制限により魂魄だけで移動し、他の人間の肉体を乗っ取る「借体形成の術」は使用できない。


569 : 仙姿玉質 ◆XksB4AwhxU :2020/05/30(土) 17:14:18 tUeQyZwA0
投下終了します。


570 : ◆mg.DCgSR.Q :2020/05/30(土) 23:29:19 OZUE0BJI0
投下します。


571 : 枯木竜吟 ◆mg.DCgSR.Q :2020/05/30(土) 23:30:03 OZUE0BJI0
 アレフガルド。
 そこはかつて、純粋なる悪の化身〝大魔王ゾーマ〟によって征服され、終末の一途を辿らんとしていた暗黒の地であった。
 太陽は失われ、魔物達が闊歩し、人々は皆おしなべて大魔王を恐れながら日々を暮らす、まさに絶望によって塗りつぶされた世界。
 だが天上より現れた〝勇者ロト〟とその仲間達がゾーマを討ち滅ぼしたことにより、アレフガルドは輝きを取り戻した。
 太陽は再び天へと昇り、魔物達は例外なく〝光の玉〟と名付けられた聖なる宝物へと封印され、人々は再び自由を得た。
 こうしてアレフガルドは、文字通り光を浴びる平和な大地となったのである。

 しかし長き時を経て……突如その平和は、再び崩れ去ってしまった。

 邪悪が、台頭したのだ。
 その悪しき者の名は〝竜王〟……誇り高き竜族の王にして、おぞましき闇の覇者である。
 かつて大魔王ゾーマの本拠地であった魔の島に城を構え、雄叫びを上げたその暴君は……まず始めに光の玉を奪った。
 封じられていた魔物が解き放たれ、いくつもの町や村が滅ぼされ、世界中の人々に慕われていた姫を攫われ、再び世界の天秤は混沌へと傾ききる。
 勇者ロト一行が姿を消してから数百年もの時が経過したアレフガルドには、もはやこの悪の化身の暴虐を止められる力など残ってなどいなかった。
 もはやここまで。人類には未来などないであろう……世界中の誰もがそう思い、数百年前の人々の如く絶望を噛みしめさせられていた。

 竜王による世界征服が完全なものとなる直前、かの勇者ロトの血を引く青年が現れるまでは!

 青年は勇者として、闇の世界を駆けた。
 恐怖をまき散らす魔物達を討伐し、幽閉されていた姫を奪い返してみせた。
 そして遂には魔の島に建つ邪悪な城へと辿り着き、誰もが恐れていた竜王をたった一人で討ち取った。
 光の玉は再び人類の手に戻り、闇が払われた。
 こうしてアレフガルドは、またも勇者によって秩序と平和を取り戻したのである。

 その後、再び新たなる邪悪が世界を覆い着くさんとするのだが……それはまた別の話とさせていただこう。


 ◇   ◇   ◇


 夢を、見ていた。
 浅黒い肌が特徴的な人間が、スタンドやら殺し合いやらと大仰な話を無駄にくどく説明しているという、なんとも言いがたい夢である。
 そんなくだらぬ夢を見る直前に、己の眼が捉えていた景色は……勇者ロトが身につけていたとされる武具を身に纏った人間が、こちらに飛びかかる姿だった。
 人を模した姿を脱ぎ捨てて巨大な竜と化したこの闇の覇者に対し、一歩も引かぬどころか怯える様子すら見せぬ、人間とは思えぬ程の勇気を携えた若者……。
 まさしく勇者と呼ぶべきその者によって切り裂かれた感触は、今でも生々しく刻まれている。確実に致命傷であった。確かに己は、死を迎えたはずであった。
 だというのに、何故だろうか。心臓の鼓動は、未だにしかと感じられる。何故だ……何故だ、何故なのだ……。
 疑問ばかりが泡の如く沸き上がる。だが、自分に酔いしれているようなあの人間による演説じみた説明が終わると、答えを得られぬまま己の瞼が開かれた。
 視界いっぱいに広がるのは、生え渡る太い木々だ。相当に樹齢を重ねていると見える。即ち己は、いわゆる樹海に立っているのだろう。

「辺りは確かに闇ではあるが……わしが生み出したものほどではないな」

 樹海を照らすほのかな月光を眺め、彼は暗闇の完成度の低さをなじる。
 やがて彼は、角を模したかのように左右へと伸びた頭を何処かに向けると、先へと進めそうな獣道へと歩を進めた。
 水色の体表と、身に纏う紫色のローブは、闇へと溶け込むには実に相応しい。

「まぁ、比べてしまうのも酷な話であったな」

 彼の名は、竜王。
 誇り高き竜族の王にして、おぞましき闇の覇者である。


 ◇   ◇   ◇


572 : 枯木竜吟 ◆mg.DCgSR.Q :2020/05/30(土) 23:31:11 OZUE0BJI0
 落ち葉を踏みしめながら前に進み続け、どれほど時間が経っただろうか。
 杖を奪われたために手持ち無沙汰を感じていた竜王が、右手の指を芋虫よろしくうねらせていると、不意に敵意を感じた。
 続けざまに、辺りの落ち葉が蹂躙されていく音が耳朶を叩く。ガサガサとガサガサと、耳障りはよろしくない。
 プッチなる人物が各々に配布したスタンドとやらが、こちらへと迫っているのだろうか……だが、その割には〝安い〟殺気だ。

「ほう」

 しばし様子を見ていると、四足歩行の生物が涎を垂らしながら木々の影から姿を現した。
 野犬だ。それも単独ではない。複数だ。どうやらこの獣共は、闇夜にて狩りを行おうとしているのだろう。
 視線は……デイパックではなく、竜王にのみ向けられている。なんともまぁ、愚かなことか。

「この竜王を知らぬか……」

 腹を空かせた、魔物ですらない獣ごときが一体誰を敵に回しているのか。しっかりと教示してやらねばなるまい。
 竜王は仏頂面のまま、己の体内を駆け巡る竜の力と魔力を右腕に集中させると、

「ベギラ……」

 必殺を約束する呪文で遊んでやろうかと、静かに口を開いたのだが、

「……やめだ」

 顔の近くに掲げていた右手の力を解き、練り上げていた魔力を身体へと戻した。
 とはいえ、決して戦闘を放棄したわけではない。そして当然だが、野犬如きに背中を見せるつもりでもない。
 せっかく遊ぶのであれば、貰った〝玩具〟を試してみようと思っただけの話である。
 依然、圧倒的な力の差を理解していない野犬共は竜王を囲い続けている。
 で、あれば丁度いい。竜王は一度両の瞼を閉じると、さほど間を開けずに目を見開いた。
 するとその瞬間、ただのそれだけで、周囲の落ち葉が蜘蛛の子を散らすように……あるいは暴風に巻き込まれたかのように吹き飛ばされた。
 それだけに留まらず、木々の枝が大きく身体を揺らす。まだまだ緑色に染まっている葉も、その多くが千切れ飛んでいった。
 実際に風を起こしたわけではない。竜王は、己が身体に充ち満ちる負の力を――ほんの少しだけだが――魔力に乗せてドーム状に放出したのだ。

「おや、加減を誤ったな」

 その結果、数匹の野犬が白目を剥いて倒れ込んだ。
 竜王が放った殺意やらに脳をやられ、意識を失ったのである。
 続けざまに、また数匹が泡を吹いて気絶した。
 どうにか意識を保っていられたらしいのは、傷だらけで体格の大きい三匹の個体のみだった。
 この群れの中では強者に位置しているのだろう。この竜王の前では等しく〝それがどうした〟という話ではあるが。
 そんな彼らは、歯茎を見せて唸る。群れの強者である矜恃や意地がそうさせているのだろう。
 竜王は心中で「可愛らしい事よ」と呟き、竜の威嚇に耐えられた選ばれし野犬達の動きを注視する。
 そしてとある一匹が、僅かに後ろ足をずるりと退いた瞬間、

「それが癖か」

 竜王は、初めてこの地で笑みを浮かべた。


573 : 枯木竜吟 ◆mg.DCgSR.Q :2020/05/30(土) 23:31:44 OZUE0BJI0
 その瞬間、野犬の背後に名状しがたい人型の何かが現れた。
 紺色の肌と赤紫色の柔らかなラインが特徴的なそれは、複眼じみた青い両眼を野犬に向ける。
 そうして振り向きざまに噛み付こうとする相手を、得体の知れぬ人工的かつ芸術的なエフェクトと共につかみ取ると、

「よいぞ。やれ」

 竜王の言葉を合図に、いつの間にやら持っていた真っ白い紙で〝野犬を呑み込んでしまった〟のだった。
 紙は即座に畳まれて空中を何度か往復すると、音もなく地面に落ちる。何が起こったのか、他の野犬達には理解出来なかったであろう。
 故に恐慌状態に陥るのは、至極当然と言える。そしてそれを狙っていた竜王は再び「お前は〝それ〟か」と言葉を紡ぐ。
 次に犠牲となったのは、大声で二回ずつ吠える個体だった。それもまた、人型の何かによって紙へと呑み込まれていく。
 最後に攻撃を受けたのは、尾を真っ直ぐに天へと伸ばした野犬であった。やはりまた、同じ被害に遭う。
 こうして場には竜王と、折りたたまれた三枚の紙と、気絶した野犬……そして最後に野犬を封じた人型の何かが残された。

「ふむ、なるほど。割と面白みのある玩具ではあるな」

 人型を引き寄せた竜王は、片手にさげていたデイパックを掲げて手を離す。
 デイパックもまた、地面に衝突する直前に大きな紙へと呑み込まれていった。
 その紙を折りたたみ、ローブの中へと大事にしまい込んだ竜王は、くつくつと笑い出す。
 声はやがて大きくなり、闇夜に「わあっはっはっはっはっ!」と豪快な声が響き渡った。

「プッチとやら! 器こそ浅いが、なかなかに面白いことをしてくれる! この玩具は……気に入ったぞ!」

 竜王が頑なに玩具と呼称するスタンドの名は、エニグマ。
 相手が生物ならば〝相手が恐怖した際に出す癖〟を見破ることで紙へと封じ込め、非生物ならば無条件に封じ込められるという能力を持つヴィジョンである。
 後一歩で世界征服を完遂出来るところまで辿り着き、人々を恐怖のどん底に陥れた竜王にとって……このスタンドは相性が抜群に良かったのだ。
 何より〝封じ込める〟というのが面白い。さながらかつて手にしたあの光の玉のようじゃあないか。意趣返しが出来るとは、実に面白い。

「いいだろう、プッチ。そなたの審美眼に免じて、ここは平民の口車に乗ってやる」

 エニグマのヴィジョンを消失させると、竜王は再び歩を進めた。
 いずれ街や村に辿り着けば、何者かと出会う可能性は著しく高くなるであろう。
 そうなれば、蹂躙の限りを尽くそうではないか。己が気高き力と、エニグマなる玩具によって!

「そうしてわしが最後に残ったならば……プッチよ、そなたに世界の半分を与えよう!」

 再び、落ち葉のこすれる音が生まれてゆく。
 風が吹き、枝葉が揺れてぶつかり合う。

「無論、闇の世界をだがな……! わあっはっはっはっはっはっ!」

 それでもなお、竜王の笑みは止むことを知らなかった。


574 : 枯木竜吟 ◆mg.DCgSR.Q :2020/05/30(土) 23:32:39 OZUE0BJI0
【名前】竜王
【出典】ドラゴンクエストシリーズ
【性別】男
【人物背景】
 初出はドラゴンクエストシリーズの記念すべき第一作目。
 アレフガルドの征服を企み、人類に対し攻撃的かつ傍若無人な振る舞いをしていた。
 しかし数百年前より語られる伝説の勇者ロトの子孫によって野望は砕かれ、自身もまた打ち倒されるのであった。
 軍を率い、また己が気高き竜の中の竜であり、王を名乗るだけあって尊大ながらも冷静沈着。
 そうした一面はあの有名な「世界の半分をお前にやろう」という言葉からも窺えるだろう。
 いたストシリーズに外部出演した際には、お祭りゲー故にコミカルな姿を見せてくれた。

【能力・技能】
 普段は紫色のローブを着て赤い宝石の胸飾りを付けた、人型形態で過ごしている。それでも頭の形が特徴的。
 この状態では主に様々な呪文を唱えて攻撃するという、策謀家とも表現出来る戦法をとる。
 真の姿は〝翼の生えた二足歩行の巨大なドラゴン(紫色)〟で、この姿では直接攻撃や炎を吐く攻撃で敵を滅ぼす。
 また、魔物の軍勢を従えていただけあって、カリスマ性も抜群といったところか。


【スタンド】エニグマ
【破壊力:E/スピード:E/射程距離:C/持続力:A/精密動作性:C/成長性:C】
【能力詳細】
 物を紙の中に封じ込める、という能力を持ったスタンド。
 作中で触れたとおり、生物は〝恐怖した時の癖〟を見破ることで、非生物は無条件で封じ込められる。
 エニグマの本体は例外的に自由に出入りが可能。また、紙に封じ込めた後は折りたたむのが基本である。
 スタンド自体の破壊力はEと非常に弱いが、紙に封じ込める際に発生する力は近距離パワー型スタンドに勝る。

 紙に封じ込めたものは時間が経過せず、例えば熱い食べ物が冷めることはない。
 しかし紙を破くと、封じこめられたものが破壊される。これは生物も非生物も平等である。
 紙を開いて中のものを取り出すのは、本体以外でも可能。
 この特性は原作にて、電気を封じ込めた紙を相手に開かせる、という罠にも用いられた。
 


【備考】
 勇者に敗北し、絶命した直後から登場。
 デイパックを紙に収納して持ち運んでいます。


【方針】
 敢えてプッチの口車に乗る。
 最後の一人となった暁には、プッチに世界の半分(虚無のみが広がる闇の世界)を与える。


575 : ◆mg.DCgSR.Q :2020/05/30(土) 23:32:56 OZUE0BJI0
投下終了です。


576 : ◆mg.DCgSR.Q :2020/05/31(日) 18:04:42 JQ.onK9o0
これより、◆VJq6ZENwx6さんの作品を代理投下させていただきます。


577 : きっと夢は七色◇VJq6ZENwx6 ◆mg.DCgSR.Q :2020/05/31(日) 18:07:06 JQ.onK9o0
 記憶ディスクを通したプッチ神父の説明が終わった直後、市川雛菜は公園のベンチで覚醒した。

 ベンチから起き上がった後、己のウェーブのかかった茶髪に引っ掛かった落ち葉を落とす。
 辺りを見回すが誰もいない、真上で灯る電灯の明かりの白と、その先の暗闇で黒く染まった公園の遊具が広がっているだけだ。

 雛菜には黒色はイマイチだ、カッコいいとは思っているが、自分の色ではない。

 白色はまあまあだ、自分に似合わなくもない。白い光に照らされた雛菜はファンを笑顔にしてきた。
 たとえ目立つとしても、白い電灯の下から動きたくない。

 雛菜に似合う色と言えば黄色、暖かい色だ。

「ん〜、この中においしいプリンとか入ってないかな〜♡」

 デイバックを開け、まさに黄色い物を探した雛菜の目に映ったものは鈍い銅色の光沢だった。
 それをアルミ箔に包まれた飴かチョコだと判断した雛菜は、それを数個手に取って持ち上げる。
 だが、その期待は『引力』によって裏切られる。
 『重い』のだ。ペン先のキャップのような形とサイズのそれは、理科の授業で使った分銅を思わせる重さを示した。

 予想外の重さに手を滑らせ、地面にそれがぶつかる。
 柔らかい地面にぶつかった1つはその円柱状に近い形状ながら砂に取られて転がらず、
 その上から3つ同上のものが降り注ぎ、キンと金属音を鳴らした。
 光沢のある包み紙ではなく、中身まで金属でたっぷりなのは間違いない。

 「ん〜、これ、なんだろ〜」

 散らばったそれを拾おうかと逡巡したが、
 その正体に感づき、手を止めた。

「あ、やっぱいいや!これ必要ないやつだった!」


578 : きっと夢は七色◇VJq6ZENwx6 ◆mg.DCgSR.Q :2020/05/31(日) 18:09:03 JQ.onK9o0
 誰も聞いていないが大げさに宣言する。
『これ』は雛菜の幸せには全く必要ないものだ。

 地面に散らばったそれを無視して、雛菜は再びデイバックを漁り始めた。
 再び、雛菜の手にひんやりとした金属の感触が伝わる。
 今度の引力は前回の比ではない。
 物体の重量も、雛菜の気持ちの重さも。

「………あ〜、やっぱりそういう感じかあ〜」

 力なくデイバックから引き抜かれた手に握られているものは『白』でも『黄』でもなく、冷たい『黒』だった。
 『カッコいい』と聞いて、それを連想する人間はこの地球上に何人いるだろう。
 『不幸』と聞いて、それを連想する人間はその何倍いるのだろう。
 漆黒の拳銃、それも映画でしか見たことのないリボルバー式のものが雛菜の手に握られていた。
 下に落としたものも、形状とサイズから言ってこの拳銃用の弾丸なのだろう。

「ん〜〜、雛菜、カッコいい系に挑戦してみるのもいいかな〜って思ったけど〜」

 雛菜はベンチから立ち上がり、拳銃を構えて見る。
 その手の拳銃は重く、安定しない。
 なにより雛菜のファンシーで柔らかいコーディネートの服装に、厳つい拳銃は似合っていない。

「やっぱナシ!雛菜には似合わな〜い!」

 雛菜は拳銃を放り投げる。
 投げた拳銃は暗闇に紛れ、すぐさま見えなくなってガサガサという音を立てた。

「だって雛菜〜♡楽しくしあわせ〜にいきるんだもん〜♡」


579 : きっと夢は七色◇VJq6ZENwx6 ◆mg.DCgSR.Q :2020/05/31(日) 18:09:57 JQ.onK9o0
 市川雛菜の人生観は単純明快だった、『どんな時でも楽しくしあわせに過ごす』

 プリンを食べることを楽しみ、幼馴染と会うことを楽しみ、電子レンジの鳴る音を楽しむ。

 市川雛菜は『結果』を求めていない。

 雛菜は結果を求めず、ただ「生きる」という『過程』を楽しんでいた。

 みんなも自分と同じように生きればいいと思っていたし、自分の幸せな姿で人を幸せにするアイドルは自分に向いていると思って いた。

 この場においても雛菜は決して変わらない。
 『最後の一人になる』という結果のため、後に黒い影を落とす行動をとるよりも、
 最後まで楽しくしあわせに過ごそうとこの場で決心した。

 それでも、生きていれば幸せになれる、そう言う人はいるかもしれないが、
 雛菜は、雛菜なので他の人の言う幸せにはきっとなれないだろう。

 透先輩、雛菜の大好きな幼馴染だったら、こんな時どうするんだろう、
 その考えが脳裏をよぎったが、わからなかったので考えないことにした。


580 : きっと夢は七色◇VJq6ZENwx6 ◆mg.DCgSR.Q :2020/05/31(日) 18:11:23 JQ.onK9o0
「………プロデューサー、助けに来てくれないかなあ」

 万に一つ、外部から救助されることを願ってそれまで隠れる。
 そう決めた雛菜は真っ白い光を放つ電灯の下を離れ、暗闇の元へ歩き始めた。

(甘いもの、なかったかな)

 雛菜の口は、気持ちの高重力から楽になるため、甘いものを求めていた。
 何かないかとポケットの中を探り、冷たいものが手に触れた時、声が聞こえた。

「雛菜、ソレデイイゼ」

 背後を振り向く、ベンチの上に銃弾と拳銃が転がっている以外には何もない。

「『四ツ』ハ駄目ナンダ、縁起ガ悪イカラナァ〜」

 銃弾と拳銃が転がっている?さっき投げ捨てたのに?
 雛菜はベンチの元に駆け寄り、確かめる。
 黒い拳銃一つと、銅色の銃弾3つが転がっている。

「『五ツ』捨テルノハ良イ!」

 5つ?拳銃と銃弾を合わせても4つしかないのに?
 少しの間、考えた雛菜はポケットに入れていた手のひらを開いた。

「………小人さん?」

 手のひらに収まっていたのは、捨てたはずの銃弾と、
 それに跨った頭の尖った真っ白い小人であった。
 頭部には「No7」と書かれている。

「俺ハセックスピストルズNo7!ヨロシク頼ムゼ雛菜!」


581 : きっと夢は七色◇VJq6ZENwx6 ◆mg.DCgSR.Q :2020/05/31(日) 18:13:06 JQ.onK9o0
「なんのつもりですか〜?」

「エ?」

「雛菜、拳銃持ちたくないんですけど〜」

「持ッテテ損ハナイダロ?」

 雛菜はその問に、ニッコリとした笑顔で答えた。

「物騒だし要りませ〜ん♡」

「危ナイ奴ニ出会ッタラ?」

「逃げま〜す♡雛菜、運動神経良いねってよく言われるの〜♡」

「危ナイ奴ニ追ワレテル奴ニ出会ッタラ?」

「……隠れるから会いませ〜ん」

「ソレハ雛菜ニ向イテナイダロ?」

 そんなことありませ〜ん、そう答えようとした雛菜は、
 No7の次の言葉に、自分の言葉を詰まらせた。

「自分ノ幸セナ姿デ、ミンナヲ幸セニスルノガ“アイドル”ダロ?」

 283プロダクションのアイドルオーディションで、雛菜は同じことを聞かれた。

(そっか〜…、じゃあ雛菜、アイドルに向いてるね?)

 雛菜はあの日、自分がそう答えたことはよく覚えていた。
 それを聞いて、雛菜を選んでくれたプロデューサーの事も好きになっていたし、
 それからしばらく、その時のことを思い返しながら歩いていた。


582 : きっと夢は七色◇VJq6ZENwx6 ◆mg.DCgSR.Q :2020/05/31(日) 18:14:00 JQ.onK9o0
 市川雛菜は、ベンチの上の拳銃に目を落とし、考える。
 この場所で人と接触するつもりなら、間違いなくこれは必要だ。
 殺し合いに乗った人間を追い払うのにも使えるし、
 乗ってない人だって、雛菜がこれを持っていれば、一緒に居て安心してくれるだろう。
 暴発や誤射の恐怖は不思議となかった。
 それは『セックス・ピストルズ』の能力を無意識に自覚していた故だったが、雛菜は知らない。

 殺し合いに乗ってない人と会ったところで、どうやってみんなで笑顔で過ごせばいいんだろう。
 この場からの脱出を目指したり、プッチ神父のところに行って(方法は想像しないが)殺し合いを止めさせるんだろうか。
 それはたぶん辛くて大変だ。
 答えは決まっている。
 市川雛菜は市川雛菜以外にはなれないのだ。

「………そっか〜〜、そうだよね〜」

 雛菜は暗闇から引き返して、
 真っ白い、スポットライトのような電灯の光の中に戻る。
 “アイドルに向いている”そう思った時の雛菜から、雛菜は変わっていない。

「雛菜、雛菜だけどアイドルだからね〜」

 ベンチの上から銃弾を一つ一つ拾い、ポケットに入れながら、
 雛菜ではないけど、雛菜を知ってる人の言葉が脳裏を過る。

(ね〜プロデューサー、雛菜、アイドルにはなれると思う〜)

(……うん、なれるよ。いや、もう雛菜はアイドルだろ?)

 雛菜を雛菜のまま、アイドルとして認めてくれたあの言葉。
 彼がそういう意味で言ってくれたのかは分からないが、
 その言葉を信じたのは、雛菜自身の意志だ。

「雛菜がみんなをしあわせ〜♡、にしてあげないとね〜♡」


583 : きっと夢は七色◇VJq6ZENwx6 ◆mg.DCgSR.Q :2020/05/31(日) 18:15:12 JQ.onK9o0
 辛くて大変だろうけど、それが一番“しあわせ”だと雛菜は思う。
 ベンチの上の弾丸を、全部ポケットに入れた雛菜は拳銃を手に取った。
 さっき手に持った時はずっしりと重かったが、今はそこまで重くない気がした。

「ソウヤッテ過ゴスノガ一番雛菜ガ幸セダロ?」

「やは〜♡そこまでわかってるってことは〜。
 小人さん、雛菜なんだねー♡」

「気ヅクノガ遅イゼ雛菜!」

 No.7が突っ込むのを無視して、雛菜はベンチの上に立った。
 暗い中、明かりに照らされるのはグランプリの優勝発表者を思わせる。

「小人さ〜ん!集まって〜♡」

「ン?」「ナンダナンダ」「ドウシタンダ?」

「やは〜♡いっぱい集まった〜♡」

 雛菜の掛け声に応じ、ゾロゾロとセックス・ピストルズが集まってくる。
 集まったファンの数は、283プロダクションのアイドルオーディションの6倍にも及ぶ、6名だ。

「似合ってる〜?」

 雛菜は拳銃の銃身を両手で握り、持ち手を口に当てて、マイクの代わりにして話す。

「「似合ッテルゼー!!」」

「やは〜♡雛菜ね、たぶん誰も殺せないし〜、ひょっとしたら透先輩にもプロデューサーにも会えなくて〜、最後の一人になんてなれないと思うけど〜」

「みんなで楽しく一緒に脱出しましょ〜とか、逆にあのプッチ神父?のところに行って『こんなことやめなさ〜い』って言って止めさせようと頑張って〜」


584 : きっと夢は七色◇VJq6ZENwx6 ◆mg.DCgSR.Q :2020/05/31(日) 18:16:29 JQ.onK9o0
「みんなも楽しくしあわせ〜にするから〜みんな見ててね〜♡」

「イイゾー!」「ガンバレー!」「ヤッテヤレー!」

 市川雛菜は市川雛菜のまま、アイドルになった。
 深夜の公園は、まばらな星だけが照らす会場になり、
 電灯に照らされたベンチはステージになる。
 スタンドは観客となり、歓声の声が上げる。

 この殺し合いは、最後まで殺し合いのままなのか、それとも他のものにできるのだろうか。
 それはきっと、誰にも分からない。


【名前】市川雛菜
【出典】アイドルマスター シャイニーカラーズ
【性別】女性
【人物背景】
 283プロダクション所属のアイドル。
 自分の「しあわせ」に向かって突き進む、奔放な女の子。
 幼馴染みで先輩の透を慕っている。高校1年生。
 幼馴染み4人で結成されたアイドルユニット『ノクチル』の一員。

【能力・技能】
 なんでもそれなりにできる(自認)
 トレーナーからは歌はイマイチだがダンスは上手と言われているらしい。

【スタンド】セックス・ピストルズ
【破壊力 - E /スピード - C /射程距離 - 弾丸の届く距離まで /持続力 - A /精密動作性 - A /成長性 - B】
【能力詳細】
 第5部「黄金の風」に登場するグイード・ミスタの群体型スタンド。
 発射された弾丸に取り付き、足で蹴り飛ばすことや、腕で曲げることで弾丸の軌道を精密に操作する事が可能になる。彼らが操った弾丸はスタンドにもダメージを与える事ができる。

【方針】
 たのしく幸せに生きる〜♡


585 : ◆mg.DCgSR.Q :2020/05/31(日) 18:17:04 JQ.onK9o0
◆VJq6ZENwx6さんの代理投下を終了します。


586 : ◆DWDMFPPpRw :2020/05/31(日) 22:10:27 dNgapJBc0
投下します


587 : 受付嬢と生存者 ◆DWDMFPPpRw :2020/05/31(日) 22:11:59 dNgapJBc0

 深夜の繁華街。あるべき筈の人気はなく、街頭が寂しく道を照らしている。そこに一人の参加者が居た。

「うーん、…もぐもぐ……、殺し合いですか……大変ですね」

 簡易レーションをかじりながらそう呟くのは一人の女性だ。指先をぺろりと舐めつつ、彼女はこの奇妙な催しについて考えていた。
 彼女は受付嬢。正確な役職は編纂者なのだが、彼女のパートナーや調査班のメンバーからはそう呼ばれていた。
 受付嬢の疑問は沢山ある。そもそも新大陸にいた自分をどうやってこの場に拉致したのか。大陸間の移動は片道と言っても差し支えないほど危険な筈だ。

「それにしても……凄いです。こんなの見たことがない」

 塗装された道や周囲の建物にしても、見たことのない建築技術が使われている。
 一体ここはどこの地域なのか、編纂者としてそれなりの知識を自負していたが、それすら判断がつかない。
 1つだけ明確なのは、自身の命がエンリコ・プッチと名乗る人物に握られているという事実だけ。
 どういう技術なのかは知らないが、あの夢で殺された少女のように、あの男は指先一つ使わずに自分を殺せるのだろう。

 それを踏まえて、この殺し合いでどう行動するべきか。
 レーションを食べ終える頃には、既に受付嬢は方針を決めていた。

「命を奪うのは自然の営み……しかし、これは話が違います」

 受付嬢は殺し合いに乗るつもりはなかった。
 彼女は祖父の夢を叶えるという目的のため、危険な新大陸の調査に志願した。ゆえに自然のなかで命を落とす覚悟は済ませている。
 新大陸に渡った後も、古龍渡りや過酷な環境に接してきた経験から、受付嬢は命の大切さを誰よりも理解している。
 だからこそ、食物連鎖に関係なく人間通しで殺し合うなど正気の沙汰ではない。単純にそう思った。
 エンリコ・プッチと名乗る男の魂胆は解らないが、調査兵団の一員として、この催しを阻止することを彼女は決意した。
 そのために必要なのは協力者である。ハンターではない彼女に直接的な戦闘能力はあまり無い。どちらかというとサポートに向いている身としては、戦闘の心得のある人物の協力が望ましかった。
 己に与えられたスタンドという能力にしても、『人を怒らせる』だけという、ほぼ使い道のない物だった事が尚更その必要性を後押していた。

 人間は単体では弱い生き物だが、皆で協力してその営みを継続してきた。
 この場においても、自身と同じ志の集団を形成すれば、プッチの仕掛けた『DISK』とやらの解除に加え、脱出の目星もつくだろう。

「きっと『相棒』ならそうする筈です! よーし、善は急げ! 早速出発しましょう!」

 受付嬢は参加者を求めて移動を始めた。
 しかし、彼女はまだ気がついていなかった。彼女に与えられたスタンドが、想像よりも遥かに集団を形成するのに向いていないことを。


588 : 受付嬢と生存者 ◆DWDMFPPpRw :2020/05/31(日) 22:13:10 dNgapJBc0

【名前】受付嬢
【出典】モンスターハンターワールド
【性別】女性
【人物背景】
 ボトムズのようなバイザーマスクを持ったそばかすが特徴の女の子。
 本作におけるギルドガールこと受付嬢の立ち位置にいるキャラクター。
 クエストや探索中はベースキャンプに常駐しており、探索の場合は彼女に話しかける事で探索を切り上げたり、クエストを新たに受注する事が可能。
 色々あってプレイヤーからはかなり嫌われている。

【能力・技能】 

・食いしん坊
 拠点となるアステラでは食事場から離れず飯を食い続けているほど食欲旺盛で、好きなものはドキドキノコ。祖父の「迷ったら食ってみろ」という信条を胸に、いつも食材を探している。

・編纂者
 「編纂者」は原作の舞台である新大陸という未開の地を調査するために、「各地域の情報収集、まとめあげによる生態解明を担う」役職である。
 観察眼が優れており、波の音の変化で陸地が近い事に気づき、生態系の成り立ちやモンスターの特質を見抜くなど、かなり優秀。

・かまど焼き
 調理に必要な機材があれば携帯食料を作成できる。素材次第では増強剤や漢方薬、秘薬も焼いて作るという神業をやってのける。

・瞬間移動
 プレイヤーが最初のベースキャンプから別のベースキャンプに移動しても、何故か一瞬で追いついて定位置にいるという不思議な力を持っている。

【スタンド】サバイバー
【破壊力:E / スピード:E / 射程距離:E / 持続力:C / 精密動作性:E / 成長性:E】
【能力詳細】
 地面に出現する円盤状のスタンド。
 敵味方を問わずに乱闘を引き起こす迷惑この上ない能力を持つ。
 7/100ボルトというごく微量な電圧を濡れた地面などを通して与える事で、周囲の人間の大脳の闘争本能「のみ」を極限まで呼び覚まし、互いに戦わせる。
 この力の影響を受けた者は半無意識に死ぬまで殺し合いを続ける事になる。
 この能力の影響下では相手の最も強い部分が光り輝いて見え、逆に弱い部分やダメージを負っている部分は黒く淀んで見えるようになる。

【備考】
 受付嬢の参戦時期はMHW本編終了時。
 スタンド能力は把握していますが、具体的にどういった形で効果が発揮するのかは理解していません。


589 : 受付嬢と生存者 ◆DWDMFPPpRw :2020/05/31(日) 22:13:49 dNgapJBc0
投下終了です


590 : マリーは砕けない ◆XksB4AwhxU :2020/05/31(日) 22:15:30 EgHmpBf20
完成したので、投下します。


591 : マリーは砕けない ◆XksB4AwhxU :2020/05/31(日) 22:16:09 EgHmpBf20
「…最悪」
深夜の街の広場、中心で悪態をつく女性。
名は、マリー・ジョセフ・サンソン。
フランスの死刑執行人を輩出しているサンソン家の四代目「ムッシュー・ド・パリ」の妹。
「マリーはたしかに刺された筈…あの神父の仕業か」
このマリー・ジョセフ・サンソンには夢がある。それは…「貴族鏖」
初恋の人「アラン」を貴族の理不尽で傲慢さにより失い、貴族社会に挑み続けた。
兄の代わりに、同じ名を持つ友人でもあったフランス王妃マリー・アントワネットの刑を執行した直後、マリーは刺される。ロベスピエールの手による者の手で。
「ふっ…死刑執行人に殺し合いを命じるなんて、あの神父は酔狂だな」
「だが、マリーは執行人であって殺人者ではない。誰を殺すのかを決めるのはマリーだ」
「でな!「スタンド」!」
マリーの呼びかけに応じて姿を現したのは、人ではなくコンセント。
そう、マリーに支給されたのは「バステト女神 」
「へぇ、触れたものに「磁力」を帯びさせるか。…ふっ、「刃物」を扱うマリーにピッタリなスタンドだ」
マリーはスタンドの説明書を読み、把握する。
「…まってな。神父、お前はマリーが断罪する」
マリーは「自由」を愛する。誰にも染まらない。それは、この殺し合いの場でも同様なのだ…
マリーが立っている広場…「革命広場」に設置されているギロチンが闇をさらに漆黒に染め上げる…


592 : マリーは砕けない ◆XksB4AwhxU :2020/05/31(日) 22:16:24 EgHmpBf20
【名前】マリー・ジョセフ・サンソン
【出典】イノサン Rouge
【性別】女性
【能力・技能】
金髪碧眼で周囲を魅惑する美しい容姿。男言葉で話す上に口が悪い。
初恋の人アランを、理不尽で傲慢な貴族によって失ってからは、貴族を憎み閉塞感に満ちた社会へ挑むようになる。
【参戦時期】原作12巻 マリー・アントワネットの刑を執行後、暴漢によりナイフで刺された瞬間。

【スタンド】バステト女神
【破壊力:E/スピード:E/射程距離:B/持続力:A/精密動作性:E/成長性:E】
【能力詳細】
能力は「触れた人間に強力な磁力を帯びさせる」こと。
見た目は普通のコンセントに見える設置型スタンド。磁気を帯び、時間と共に磁力はどんどん強くなり、車や切断された電線をも引き寄せる。
【方針】
殺し合いには中立。基本乗らないが、神父はマリーが裁くため、もう優勝しか芽がない場合は優勝へ動く。
参加者は、マリーが見定め、裁くか判断する。


593 : マリーは砕けない ◆XksB4AwhxU :2020/05/31(日) 22:16:37 EgHmpBf20
投下終了します。


594 : ◆aptFsfXzZw :2020/06/01(月) 19:54:27 oNLEh5nM0
皆様投下お疲れ様です。
私も一作投下させて頂きます。


595 : 髑髏は霧夜に動き出す ◆aptFsfXzZw :2020/06/01(月) 19:55:16 oNLEh5nM0

 新しい家。炊きたてのご飯。
 それは自分の家とは違う、家族の――幸せのニオイ。
 あの子が帰りたいと願った……一緒に、帰りたいと言ってくれた。
 もう、思い出の中にしかない、天国のような場所。






 男は、死にかけていた。
 齢八十九を数える老いのためでも、余命を三ヶ月まで削った病魔のためでもなく。六日間に渡って続けられた、監禁と拷問の成果によって。

「……礼を言うぞ、神父さんよ」

 そこから己を脱出させた謎の存在に、藤村銀三は感謝の言葉を漏らした。
 だが、それは、苦痛からの解放を喜んでのことではない。
 自由を――復讐のために動く力を、再び手にすることができたが故の、感謝だった。

「これでワシはもう一度、ヤツを……この手で殺す、チャンスができた」

 喘鳴する喉から吐き出された弱々しい声には、何者にも折れないほどに強く、堅く、そして昏い意志が込められていた。



 ……二ヶ月前の話だ。己の余命を告げられても、慌てるだけの気力もなく、寂しく一人で死ぬ時を待つだけだった銀三が、持田家の人々と出会ったのは。

 優しい家族だった。赤の他人だった自分を、当然のように助け、気遣い、受け入れてくれた。
 幼い頃に両親を亡くし、親しい友も伴侶も得ず、家族というものを知らないまま八十九年生きてきた銀三はその時、初めて己がどれほど孤独であったのかを――そして、暖かな家族の幸せを知った。
 一方的な憧れや願望を重ねていたことはわかっている。それでも持田家の人々は、本当に、この無愛想な老いぼれに良くしてくれた。

 一人暮らしは大変だろうと、夕飯に招いてくれたのを始まりに。共に買い物に出かけて、いろいろな話を聞かせてくれて。一人娘のマコちゃんが、銀三と一緒にいる絵をプレゼントしてくれて……
 夢のような時間だった。半年もない余命を知りながら、この時が永遠に続いて欲しいと心から祈った。それが叶わないならせめて、彼らの与えてくれた幸福の、ほんの一欠片でも返せれば。
 間もなく生まれてくる第二子のために出産祝いを買ったり、もうすぐお姉ちゃんになるんだと笑っていたマコちゃんにアイスを買ってあげたり……迷惑かもしれないが、彼らに受け取って貰えればと、密かに保険にも入ろうとした。
 贅沢はできないと漏らしながらも、銀三に多くのものを恵んでくれた彼ら家族の未来が、いつも笑顔で溢れることを願って。無為になるはずだった己の生涯が残せるものを、何もかも、捧げたかった。

 ……そんな眩い未来は、何の前触れもなく潰えた。
 ある日押し入った強盗によって、持田家は皆殺された。
 間もなく生まれるはずだった赤子ごと、身籠っていた奥さんも。我が子の助命を嘆願し、身を呈して家族を庇ったご主人も。
 その甲斐あって、即死は免れていたマコの命も、結局は持ち堪えられなかった。
 死の間際にも――この赤の他人の老いぼれと、一緒に幸せな家に帰ることを望んでくれた、優しい少女がこの世を去った時。銀三に残された全ては、理不尽への憎悪に染まった。

 家族(いのち)を奪った犯人(あいつら)を、この手で殺してやる。

 警察には任せなかった。法で裁かれる結末を確認するまで、この命が保たないことは知っていたから。
 何より復讐に身を任せなければ、喪われた未来の重さに耐えられなかったから。


596 : 髑髏は霧夜に動き出す ◆aptFsfXzZw :2020/06/01(月) 19:56:01 oNLEh5nM0

 だが、今まで争いとは無縁の生涯を送ってきた年寄りに過ぎない銀三には、実行犯二名を仕留めるまでが限界だった。
 黒幕の存在を知り、その正体を追っていたところで逆に捕まり、六日に渡って痛めつけられた。
 プッチ神父により、殺し合いの参加者として牢から連れ去られたのが、まさにその最中のことだった。

 一か八か、奴らの目を盗んで脱出する心積もりはあった。だが、既に瀕死の銀三にとって、それが分の悪い賭けであったことは間違いない。
 自由を取り戻す、という最初の難関を代わりに解決してくれたのだから、この状況でも事態は好転していると考えられるだろう。

「だが……まずは、もう一度。ヤツのところに、戻らねば……!」

 持田家惨殺事件の黒幕。ムーンドラッグの高杉の前にもう一度、銀三は戻らなければならない。
 そのためには、この儀式の場から生還しなければならない。優勝か、あるいはプッチ神父には悪いが脱出か。
 だがどんな手段を選ぶにせよ、今の銀三の体が問題だった。
 何もせずとも尽きかけていた生命。復讐の最中にも我が身を蝕む病魔。そして執拗に受けた暴行。
 はっきり言って、満足に歩くことすら覚束ないような状態だ。現に、儀式の場となる会場に送り込まれてからずっと、銀三は倒れ込んだままに等しい状態だった。
 不幸中の幸いか、周囲は霧に満たされており、銀三が他の好戦的な参加者に発見されるまで猶予はあるだろうが、しかし。この有様ではどんなに強く願えども、帰還して高杉を殺すことは愚か、この殺し合いを生き延びることすら叶いはしないだろう。

「クソ……ッ!」

 諦念を口から追い出し、震える体を起き上がらせようとした、その時だった――己の傍らに立つものに、気がついたのは。

「――っ!」

 それは時折目にした、輪郭の焼け落ちたあの幻影ではなく。
 犯人どもを襲撃する際、顔を隠すために身に着けていた仮面と同じ、髑髏の意匠を濃く描いた霧の影だった。

「スタンド……?」

 プッチ神父の言っていた特別な支給品。戦闘にも利用可能だという、よくわからない何か。
 あまりにも理解が及ばなかったため、考えるのを後回しにしてしまっていたその概念に至った銀三は、自らのデイパックをまだ、検分していなかったことに気がついた。
 だが、そこに手を回すことも容易ではない――そう考えていた時、背負っていたデイパックの口が、独りでに開くような気配を銀三は感じた。
 訝しむより早く、デイパックから一枚のメモ用紙が銀三の前に舞い降りてきて、その奇妙な現象の正体を教えてくれた。

「正義(ジャスティス)……」

 それが、藤村銀三に支給されたスタンド能力。
 霧状のスタンドであり、生物の体でさえも、そこに空いた穴を通り、霧の糸を介すことで人形のように操ってみせるという。
 先程の現象は、銀三がデイパックを開けたいと思ったことで、精神エネルギーの具現であるスタンドが紐穴を介してデイパックを操作するという応用を見せたものなのだろう。

 多くの対象を同時に操ることも可能とされており、強力なスタンドではあるのだろうが、しかし。周囲に操れるものもない以上、無傷の参加者に対してもどれほどの有効性を発揮できるのか、銀三にはまだ測りかねる能力だ。
 だが――今この時は、それだけでも非常に有り難いと思われる能力だった。

「ぐ……っ!」

 銀三の口から、苦悶の声が上がる。
 度重なる拷問で全身に刻まれた傷から、今も流れ出ていた血が、霧の中に舞い上がって行った。
 無数の傷口が変形し、やがてかっぽりと綺麗な穴が開く。

 ――それが、霧の糸が通る道となった。

 その現象は、他者からの攻撃ではなく、銀三のスタンド『正義』の能力による自傷だった。
 無論、スタンドの暴走でもなく――全ては、銀三自身の意志で選び取った行いだ。
 自らの傷口を拡げるという狂気の沙汰だが、老いた体の痛覚は元より鈍く、既に致死量まで重なった痛みはとうに麻痺していた。

 何より、実体ではなく心に空いた穴に比べれば、こんな痛みなど無に等しい。

 そうして無数の霧の糸で、もはや限界を迎えていた肉体を人形のように吊し上げ、精神エネルギーをそのまま力にして、銀三は立ち上がった。
 少し腕を動かしてみれば、それだけで痛みを覚えるほどの、今の銀三からは失われて久しい速度で。筋肉や関節の限界を越えて、老いさらばえた体が稼働した。


597 : 髑髏は霧夜に動き出す ◆aptFsfXzZw :2020/06/01(月) 19:56:32 oNLEh5nM0

「これで……ワシはまだ、戦える……っ!」

 殺し合いそのものには興味はない。だが法を無視し、警察を寄せ付けず殺人を重ねた身の上だ。目的を完遂するために、今更手段を選ぶつもりもない。
 そんな自分に与えるのは、些か皮肉が効き過ぎているようにも思える名であるが……『正義』の力こそは銀三がその身を任せ、再び立ち上がるのに不可欠の物であった。
 故に。眼の前で王冠を被った骸骨を象る『そばにあらわれたつもの』に向けて、銀三は昏い希望を謳い上げた。

「これで……ワシの手で、あいつを殺せる――っ!!」

 全ては、愛する者を奪われた復讐のために。

 今再び、髑髏は霧夜に動き出す。





【名前】藤村銀三
【出典】髑髏は闇夜に動き出す
【性別】男
【能力・技能】
 特になし。元々余命三ヶ月の、現代日本の一般的高齢者相当の身体能力だが、さらに重傷のため、最早スタンドによる介助を受けなければ素早い動きなど望めない状態。頻繁に吐血し、戦闘中でも行動が途絶することも。
 ただし、その復讐心は六日間の監禁・拷問により、医学的には死後三日経過した状態の肉体をなおも動かし、拘束を脱して徒手空拳から半グレ組織を全滅させるほどに強靭。
 一方、刑事の説得に揺らいだり、巻き込まれて監禁された彼を救う等、一抹の『正義』感も枯れた胸の中に残している。

【人物背景】
 幼少に両親を亡くし、親しい友人もなく結婚もせず、地域にも馴染まないまま、八十九歳になるまでずっと一人で生きてきた独居老人。
 余命五ヶ月を宣告された頃、隣に越して来た持田一家にひょんなことから夕飯に招待され、その暖かさに触れることで自分が今までどれだけ孤独であったのかを知り、そして優しくしてくれた彼らを家族のように大切に想うことで、銀三は初めて生きる喜びを得る。
 しかしある日のこと。何の前触れもなく、持田一家が強盗に惨殺されてしまう。
 希望に満ちた幸福から一転、絶望の果てに復讐を誓った銀三は、警察に任せるのではなく、自らの手で殺人者に裁きを下す決意を固め、そして――


【スタンド】ジャスティス
【破壊力:D/スピード:E/射程距離:A/持続力:A/精密動作性:E/成長性:E】
【能力詳細】
 タロット大アルカナ十一番目のカード『正義』の暗示を持つスタンド。
 霧状のスタンドで、王冠を被った巨大な『髑髏』の顔と両手のヴィジョンを持っている。
 霧なので物理攻撃は効かず、スタンド自身にも基本的には攻撃力はないが、霧を操り幻覚を見せることができる。
 さらに生物(死体含む)の傷口から体内に侵入することで意のままに操ることも可能。操る際は傷口の血液を蒸発させコイン大の穴を作り、そこに霧の糸を通して操作する。
 スタンドのボディは霧の性質を持つため、殴る・斬る・撃つなどの物理攻撃が通らない。

 なお、上記のステータスはエンヤ婆の使用する数値であり、射程距離含め、仮に採用された場合の能力値や制限は後続の書き手氏にお任せします。


【備考】
 参戦時期は第7話(原作1巻最終話)で高杉に監禁されてから拘束を脱するまでの間。


【方針】
 この手で復讐を遂げる。


598 : ◆aptFsfXzZw :2020/06/01(月) 19:56:53 oNLEh5nM0
以上で投下を終了します。


599 : ◆Ay2lEeXHQ2 :2020/06/01(月) 21:19:23 uPWE8Y6g0
投下します。


600 : Longarm of the Law ◆Ay2lEeXHQ2 :2020/06/01(月) 21:21:06 uPWE8Y6g0
月を見上げ、佇む孤影。

目を細め、植え付けられた記憶を反芻する。
エンリコ・プッチ神父。素数。DISC。スタンド。少女の弾け飛ぶ頭。

白髪髭面の小柄な老人ながら、片眼鏡の下の眼光は炯々、背筋は伸びて矍鑠。
その両腕が、だらりと伸びた。

「つまり……罪もない民間人(カタギ)を巻き込んでの"殺し合わせ"で御座います哉」

神父と名乗っているものの、彼にその資格があるようには思えない。
無力な弱者を殺して顧みず、己の野望のために殺し合わせる。これが"悪"でなくて何であろう。
自分が殺技を鍛えて来たのは、まさに彼のような悪党を屠るためではないか。

「悪しき輩は――――」

老人の手の先に、針のような短剣のヴィジョンが現れる。
ふっ、と手が消えると、数メートル先の木々が切り裂かれる。
それらは空気を抜かれた風船のように、見る間に萎んでいく。

「鏖(みなごろし)で御座います」


【名前】璃刃壊左
【出典】忍者と極道
【性別】男性
【能力・技能】
・忍手「暗刃」
音速を超える貫手。銃弾より速く、人体をたやすく貫通・破壊・切断する。
両腕を瞬時自在に伸縮させる異能により遠隔攻撃が可能。

・体術
忍者としての超人的な身のこなし。銃弾を軽く躱し、目にも留まらぬ速度で動く。

【スタンド】ソフト・マシーン
【破壊力:A/スピード:C/射程距離:E/持続力:A/精密動作性:D/成長性:E】
【能力詳細】
近距離パワー型。手にした針状の短剣で刺した物体を、空気を抜かれた風船のように萎ませる。
生物の場合は萎んでも生存可能だが、意識を失い行動不能になる。
本体自身を萎ませることも可能で、この場合は萎んだままでも行動が可能。
姿を隠しながら相手を戦闘不能にするには最適だが、正面きっての格闘戦は苦手。
本体の腕が伸びるため、それにスタンド攻撃を載せることができる。

【備考】
時系列は2話開始前。

【方針】
対主催。悪党は鏖。


601 : ◆Ay2lEeXHQ2 :2020/06/01(月) 21:23:10 uPWE8Y6g0
投下終了です。


602 : ◆NIKUcB1AGw :2020/06/01(月) 21:36:21 7wPLxjBY0
投下します


603 : 愚かな旅人は砂と戯れる ◆NIKUcB1AGw :2020/06/01(月) 21:37:17 7wPLxjBY0
「なるほど……。この世界での俺の役割は、スタンド使いか」

漆黒の闇に包まれた港で、二眼レフのカメラを首から提げた青年が呟く。
彼の名は門矢士。数々の世界を渡り歩いてきた次元の旅人にして、いくつもの悪と戦ってきた「英雄(ライダー)」の一人である。
もっとも、その力の源であるベルトはルールに則り、プッチに没収されてしまっているのだが。

「ドライバーがないってことは……。今回の俺は世界の破壊者ではなく、門矢士という個人として呼ばれたということか」

誰に聞かせるでもなく、士は独り言を続ける。
顔には出ていないが、彼もかつてないケースの次元移動で多少なりとも混乱しているのかもしれない。
ベルトだけではない。帰るべき拠点も、苦楽を共にしてきた仲間たちも今回は一緒ではない。
あるのはただ、「孤独」だけだ。
それをわかっていても、士は決して表面には出さない。

「まあいいだろう。仮面ライダーの力がなかったとしても、やってやるさ。
 俺がこの殺し合いを破壊してやる」

あくまでも士は、傲慢な自信家として振る舞う。それが、彼が身につけた「仮面」なのだ。

「とりあえず、スタンドとやらを実際に見ておくか……。
 ザ・フール!」

高らかに、自分に支給されたスタンドの名を叫ぶ士。
するとどこからともなく砂が集まり、獣とも人工物ともつかぬビジョンを組み上げる。

「ザ・フール……。タロットカードの愚者か……。
 さしずめあの男が俺に求める役割は、あがくだけあがいて惨めに死ぬ道化といったところか。
 まあ、そんな期待に応える俺じゃないがな」

士はあくまで、強気な態度を崩さない。この儀式に反逆するという意志を、表に出し続ける。

「さて、いつまでもここにいても仕方ないな。
 まずは他の参加者と接触しないと……」

呟きながら、士はおのれの脳内に浮かぶイメージをザ・フールに伝える。
それを受けて、ザ・フールは姿を変えていく。
やがてそれは、士の愛車であるマシンディケイダーを形作った。

「ヘルメットは……さすがに見逃してもらいたいな。緊急事態だからな。
 行くぜ、相棒」

颯爽とザ・フールにまたがる士。
彼を乗せ、ザ・フールは華麗に走り出す……ことはなく、士の体重を支えきれずもろくも崩れ去った。
何せ表面積を増やすために中はスカスカだったので、仕方ない。

「……まあ、こういうこともある」

顔中砂まみれになりつつも、あくまでネガティブな感情は見せない士であった。


604 : 愚かな旅人は砂と戯れる ◆NIKUcB1AGw :2020/06/01(月) 21:38:13 7wPLxjBY0


【名前】門矢士
【出典】仮面ライダーディケイド
【性別】男
【能力・技能】
たいていのことは人並み以上にできる。
しかし、写真を撮ることだけは苦手。

【人物背景】
記憶喪失のカメラマン。
しかし彼が撮った写真は被写体が異様にぶれたり別の場所の光景と混ざり合ったりと何らかの異常があり、評判は最悪。
本人は自分の腕の問題ではなく、「世界が俺に撮られたがっていない」とうそぶいている。
ある日、自分の真の役割が「世界の破壊者・仮面ライダーディケイド」であることを告げられ、数々の世界を巡る旅に出ることになる。

【スタンド】愚者(ザ・フール)
【破壊力:B/スピード:C/射程距離:D/持続力:C/精密動作性:D/成長性:C】
【能力詳細】
砂のスタンド。
呪術めいた仮面と犬の体、後ろ足の代わりについた写輪というパーツで構成されるビジョンが基本の姿だが、
砂であるが故に自在に体を変形させられる。
パワーもなかなかのものだが、スピードには欠ける。

【備考】
参戦時期は不明。ただしあくまで「ディケイド」出展であり、後継作品にゲスト出演したときの士ではない。
【方針】
殺し合いの破壊


605 : ◆NIKUcB1AGw :2020/06/01(月) 21:39:02 7wPLxjBY0
投下終了です


606 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/02(火) 01:34:36 NAzJsCag0
投下します


607 : 誠 is dead ◆DWDMFPPpRw :2020/06/02(火) 01:37:01 NAzJsCag0

 深夜。居る筈の住人の影も形もない住宅街を街頭が寂しく照らしている。そんな場所で一人の参加者が踞っていた。

「うわあああああああーーっ!!」

 記憶DISCで事態を把握した伊藤誠は、激しく恐怖していた。
 それはこの催しだけが理由ではなく、誠がここに招かれる直前の状況が原因だった。
 クリスマスの夜、彼は刺され死んだ筈だった。内蔵を掻き分ける包丁の感触、血液が流れ出る感覚もはっきりと覚えている。
 いつの間にか刺された傷も痛みも無くなっている。それでも、自分を泣きながら刺し続ける世界の表情が誠の脳裏から離れない。

「うう……はぁ、げほ、げほ、……何でだよ、俺が何をしたっていうんだよ!」

 強烈な死の感覚から吐き気を催しながらも、ようやく誠は現実と向き合った。

 確かに、世界には悪いことをしたかもしれない。でも殺されるほどではない筈だ。
 そもそも、悪いのは世界だ。あいつが妊娠したなんて皆の前で言わなければ、女の子達に冷たくされることも無かったし、言葉になびくこともなかった。
 そもそも、いきなり子供なんて言われてもどうすれば良いか分かるわけない!

 自分は犠牲者であり、理不尽なのは世界。信じがたいことに、誠は幼馴染みの凶行にそんな感想を抱いていた。

「嫌だ……死にたくない…うぷ」

 プッチと名乗った男によると、自分は殺し合いをしなければならないらしい。頭が爆発した少女の映像がフラッシュバックし、再び嘔吐感が沸き上がる。
 死にたくない。実際に死がどういうものかを経験させられた誠は、純粋にただそう願った。
 だがここは無情にも殺し合いの場。彼が何もしなくても襲ってくる者は居るだろうし、ただの学生である誠に戦う力はない。

「はぁ、はぁ、そうだ、『スタンド』! 能力を与えるって言ってた!」

 スタンド。精神の具現化した能力。プッチ神父の語った概念が天啓のように思い起こされる。普段ならそんなオカルトみたいな話信じなかったが、死んだ自分が五体満足で生きている時点で、既にこの状況が非常識の塊だ。馬鹿にできるわけがない。

 きっと自分にも何か力が与えられている筈だと、慌てて手がかりを探す。やがて、デイパックから一枚のメモを見つけた。

 『貴方の能力はドリー・ダガーです。自分が受けたダメージの約7割を、その刀身に映り込んだ対象に転移させる事ができる(標的に出来るのは短剣に映ったもののみ)能力です』

 メモには簡潔にそう記されていた。一緒に同封されていた古めかしい短剣が、月明かりに照らされて鈍い光を放っていた。
 刀身に写る顔は自分でも実に酷いと感じる顔色だったし、降り下ろされる包丁を思い出して嫌な気持ちにはなるが、その能力を把握した誠は少し安心した。
 若干使いにくいが、自衛手段としては充分。そう判断したのだ。


608 : 誠 is dead ◆DWDMFPPpRw :2020/06/02(火) 01:37:49 NAzJsCag0


「と、とにかく隠れないと……」

 誠は過去を省みることなく、ただ今を生きるために歩き出した。
 その手に短剣という武器を握りながらも、彼はそれをどうするのかすら決めていない。
 その様はどこまでも優柔不断であった。

【名前】伊藤誠
【出典】SchoolDays(アニメ版)
【性別】男性
【人物背景】
 『SchoolDays』シリーズの主人公。10月16日生まれ、血液型はO型。特技は料理。趣味は釣り(IslandDaysでの設定)。伊藤止という可愛い妹がいるが父親に引き取られたため別居しており、普段は看護師をしている母の萌子とマンションで2人暮らし。
 萌子が夜勤で不在がちなため、家では1人でいることも多い。
 その数々の言動により、視聴者から「誠死ね」と言われるのがお約束となっている。

【能力・技能】
 異常な自分勝手ぶりと性癖を兼ね備えたまさに「修羅場量産工場」ともいうべき人物。
 その無責任ぶりは凄まじく、自分がモテることに気づいてからは、基本的に都合が悪くなると付き合っている相手をすぐに見放すといったパターンにはまっている。

【スタンド】ドリー・ダガー
【破壊力 - A / スピード - A / 射程距離 - C / 持続力 - A / 精密動作性 - B / 成長性 - C】
【能力詳細】
 ナポレオン時代の古い短剣と一体化したスタンド。
 「自分は悪くない」「責任転嫁したい」という思いから発現した能力で、本体が受けたダメージの約7割を、その刀身に映り込んだ対象に転移させる事ができる(標的に出来るのは短剣に映ったもののみ)。
 ダメージは自傷によるものでも第三者によるものでも何でもよく、銃弾やウィルス感染でも有効で、映り込んだ物は本体が食らうだけの衝撃が同じ比率で転移する為、ダイヤモンドのように硬質なものでも、ゴムのように柔らかい物でも容易く真っ二つに切り裂かれてしまう。
 ただし、残る3割のダメージは自身に残ってしまう為、場合によっては例えダメージが軽減されても自身の命が危険にさらされてしまう場合がある。

【備考】
 ドリー・ダガーの短剣が支給されています。
 誠の参戦時期は世界に殺された直後。

【方針】
 死にたくない。


609 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/02(火) 01:38:17 NAzJsCag0
投下終了です


610 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/02(火) 08:05:30 NAzJsCag0
投下します


611 : 彡(゜)(゜)「ファッ!?殺し合いやと!?」 ◆DWDMFPPpRw :2020/06/02(火) 08:07:22 NAzJsCag0


彡(゜)(゜)「ありえへん……あの素数とか言うとったキッショイハゲ、マジもんのガイジやんけ。」

彡(゜)(゜)「てかレスバならともかく万年ニートのワイに殺し合いとか無理やんけ。速攻でまけるンゴ。」

彡(-)(-)「どうすればいいンゴ。このままじゃヤバいンゴ…。」

彡(゜)(゜) 「あかん、気分がナイーブになっとるわ。こういう時はなんjでレスバしてすっきりするンゴ!。」

彡(●)(●)「ファ!? スマホ没収されとるやんけ!? プッチお前人のものとるとかほんまカッスやな!。」

彡(゜)(゜) 「……ん、何やパソコンあるやんけ!プッチとか言うの気が利くンゴ。」

彡(゜)(゜)「しっかし変なデザインのパソコンやな。手足ついとるし顔もあるし……ファ!? このパソコン動くやんけ! あ、これがワイのスタンドとかいうのか!?。」

彡(゜)(゜)「デイパックの中にメモがあったンゴ。何々……『ベイビィ・フェイス』?。」

彡(゜)(゜)「『人間の女性を孕ませて子供を作れます(子供の能力は教育次第)』……なんやこの糞能力!? ほんまつっかえ。」

彡(゜)(゜)「うーん、このパソコンみたいなスタンド、色々カスタムしてムスッコを作れるみたいやな。」カチカチ
 
彡(゜)(゜)「やり方は大体わかったけど、でも肝心なマッマが居らんと意味ないやんけ。」

「〜〜〜!!」

彡(゜)(゜)「ん……ファ!? 女の子が縛られてるンゴ!?。」

「!!?〜〜!!」

彡(゜)(゜)(何かメモが貼り付けられとるな……『ベイビィ・フェイスの母体にどうぞ』とか書いとるで。)

彡(-)(-)「…。」

彡(゜)(゜)(なるほど、ワイのスタンドのための生け贄か……ぐう畜やな。)

「〜〜!!!」

彡(゜)(゜)「(猿轡されとるな、可哀想やし助けてやるか)……き、君、大丈夫ンゴ?。」ニチャア

「ヒッ!? ち、近寄らないで化け物!キモいんだよ!」

彡(●)(●) 「……は?。」プチ

彡(●)(●) 「アァ!!! 初対面の癖に舐めとんじゃねーぞこのアマ! ガタガタ抜かしとらんで協力しろやこの○○○! 殺すぞ!。」

「ヒッ、ご、ごめんなさい、殺さないで……」

彡(゜)(゜)「よし、ならとっととキッスの方法教えるンゴ!。」

「……え?」

彡(●)(●) 「はよ答えんかい!犯すぞ糞○○!!。」

「わ、分かったッ!分かったわよッ!」


612 : 彡(゜)(゜)「ファッ!?殺し合いやと!?」 ◆DWDMFPPpRw :2020/06/02(火) 08:08:24 NAzJsCag0

〜〜〜〜〜

彡(^)(^)「よし、ムスッコが出来たンゴ!。」

彡(^)(^)(操作が分かんなかったから適当に設定したけど無事に生まれてよかったンゴ。)

彡(゜)(゜)「何か女死んだけど性格悪そうな糞ビッチやったしままええやろ。ワイのために死んでくれたしその命無駄にはしないで!。」

彡(^)(^)「さて、ムスッコ! お前はワイを守るんや!。」

『守るとは、何ですか?』

彡(゜)(゜)「え?……うーん、とりあえずワイに近づいてくる奴はぶっ殺して欲しいってことンゴ。」

彡(^)(^)「あ、あと可愛い女の子だったら連れてきてもええんやで。ついでに酒と煙草と安全そうな場所も探してこいンゴ。」

『……わかりました』

彡(゜)(゜)(ほー、聞き分けええやんけ。あのアマから産まれたとは思えん。)

彡(^)(^)(ま、これもワイの教育の成果やな!。)

彡(^)(^)「幸先も良いし、この調子で生き残ってやるンゴ!。」


【名前】なんJ民
【出典】なんでも実況j、もしくは「ニートのワイシリーズ」
【性別】男
【人物背景】
 やきう民、もしくは野球民は、2ちゃんねるの板の一つ「なんでも実況J」で生まれたキャラクター。やきう(野球)のお兄ちゃん、なんJ民とも呼ばれる。
 黄色い肌で不自然な後ろ髪の飛び出た目に尖った口という化け物みたいな外見をしている。
 このやきう民の性格は「ニートのワイシリーズ」に準じており、文字通りニートで親の脛をかじる人間の屑。
【能力・技能】
 野球とレスバが好き。よく脱糞する。

【スタンド】ベイビィ・フェイス
【破壊力 - A / スピード - B / 射程距離 - A / 持続力 - A / 精密動作性 - C(教育次第) / 成長性 - C(教育次第)】
【能力詳細】
 自動追跡遠隔操作型の「子」と、子を産む「親」に別れた珍しいタイプのスタンド。

・ベイビィ・フェイス(親)
 パソコン型のスタンドで、人間の女性を『母親』として『息子』を受胎させ、 出産させる。また血液などのDNAサンプルをオプションとして組み込むことで、特定の対象を追跡させることができる。
 『親』の能力で母親から生み出された『息子』は、母体となった女性の性格や健康状態、生活習慣、ターゲットの遺伝子との相性と、本体の施す『教育』によって、性格や能力が決定される。

・ベイビィ・フェイス(息子)
 生物(自分を含む)を分解して組み換え、別の物質に変化させる能力を持つ。
 これを応用し、家具や石に擬態して潜み、そこから奇襲することも可能。
 本体とは『親』を通じメールのようにして意思疎通ができる。
 さらに『息子』は本体の意志とは関係なく『学習』し『成長』する。その成長性はメローネによる教育次第だが、調子がいい時は一瞬のうちに背丈が伸びるほど著しい。
 『親』を通じて画像情報も獲得でき、より簡潔に情報を伝えたり、子供に図鑑や絵本を見せる要領で『息子』を教育することも出来る。
 なお『息子』は自分の意志を持っている為、100%本体の言うことをきくとは限らず、 場合によっては指示に反してしまう恐れがある。

【備考】
 ベイビィ・フェイスの媒介として人間の女性が支給されていました。

【方針】
彡(゜)(゜)「ムスッコを使って楽して生き残るンゴ。」


613 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/02(火) 08:09:20 NAzJsCag0
投下終了です


614 : ◆NIKUcB1AGw :2020/06/02(火) 20:55:12 mIo6.OkQ0
投下します


615 : 一生全力モラトリアム ◆NIKUcB1AGw :2020/06/02(火) 20:56:09 mIo6.OkQ0
とある民家の中で、異様な光景が繰り広げられていた。
その家の中にあった本や雑貨が、重力に逆らって空中で停止しているのだ。
それらは、一定の法則に基づいて並べられていた。
少し離れた場所から見ればわかる。それは、中年男性と思わしき顔だった。

「よし、完成! 聖澤庄之助だ!」

鼻の下をこすりながら、これを作った張本人……松野おそ松は宣言する。
彼に与えられたスタンドの名は、「クラフト・ワーク」。
能力は「物質の固定」。
この能力を無駄遣いし、おそ松は芸術とはほど遠いゴミのような作品を制作したのである。

「さて、と……」

真顔になり、おそ松はその場にごろんと寝転がる。

「やばい……。必死で現実逃避してたけど、そろそろ限界……」

おそ松の顔から、次々と冷や汗が噴き出す。

「うわあああああ!! いやだああああ!! 死にたくないぃぃぃぃぃ!!
 童貞のまま死ぬのはいやだぁぁぁぁ!!
 俺だけが死んで、弟たちがのうのうと生き続けるのもいやだぁぁぁぁ!!
 せめて道連れになれ! 俺が死んだら、おまえら全員爆発しろ!」

一通り叫んだ後、おそ松は激しくむせて床を転がる。
急いでデイパックから水を取り出し、ペットボトル1本分を飲み干してようやく落ち着く。

「あれ、つーかおかしくない? 俺、めっちゃ疲れてない?
 まだ疲れるようなこと何もやってないよ?」

この場において、スタンドは使えば使うほど体力と精神力を消耗するように設定されている。
おそ松は現実逃避のためにそれをずっと使い続けていたのだから、疲れているのも当然である。
だが、本人はその事実にたどり着けない。

「やっぱり、命のかかった状況だから何もしなくても疲れちゃうんだな……。
 よし、寝よう! 体力を温存しよう!」

おそ松は寝室に移動し、すぐさまベッドに潜り込む。
ここは他人の家なのでは、などと考えもしない。
それは生来の厚かましさ故か、あるいはそんなことを考える余裕もないのか。

「あーあ……。寝てる間に、誰かがあの神父をぶっ倒してくれてればいいのになあ……」



前には進めない。後ろに戻ることも許されない。
右にも左にも行きたくない。
地に足つかず、同じ場所で宙ぶらりん。
おそ松のモラトリアムは、ここでも続く。


616 : 一生全力モラトリアム ◆NIKUcB1AGw :2020/06/02(火) 20:57:27 mIo6.OkQ0


【名前】松野おそ松
【出典】おそ松さん
【性別】男
【能力・技能】
なんの取り柄もないダメ人間。
その突き抜けたダメっぷりが、もはや一種の能力といってもいいかもしれない。

【人物背景】
松野家6兄弟の長男。
酒好き、ギャンブル好きのダメ人間。
良くも悪くも長男気質。

【スタンド】クラフト・ワーク
【破壊力:A/スピード:A/射程距離:E/持続力:C/精密動作性:E/成長性:E】
【能力詳細】
本体やスタンドが触れたものをその場に固定する能力を持つスタンド。
能力の対象となったものはいかなる力を受けようとも、解除されるまでその場から動かない。
また固定中に受けた衝撃は蓄積され、解除した瞬間に解放される。
弱点としては能力の発動が自動ではなく任意のため、不意打ちなどへの対処が困難であることがあげられる。

【備考】
参戦時期は不明
【方針】
何も考えたくない


617 : ◆NIKUcB1AGw :2020/06/02(火) 20:58:37 mIo6.OkQ0
投下終了です


618 : ◆Mti19lYchg :2020/06/02(火) 21:02:50 lOgVOsos0
投下の前に一言、何かこのスレの候補作って原作死亡後のキャラが他より多くないですか?
そんな疑問を持つ筆者もまた原作で死亡したキャラで投下します。


619 : 運命も追ってこない遠くへ ◆Mti19lYchg :2020/06/02(火) 21:03:41 lOgVOsos0

 『殺人鬼』と『人殺し』を分かつものは何か?

 その少女は答えを知っていた。



 堂島瀬里は、この場に召喚され意識を取り戻した後、自分の身体を見渡した。
 『私は確かに死んだはず』。それが瀬里が初めに抱いた疑問だった。
 だが、瀬里の身体には傷一つなく、それどころか死んだときの衣装ではなく、メイド服に着替えさせられていた。
 枕元にはデイバック。中を確かめるとあの神父が言ったスタンドの説明用紙。そして、拳銃と大量の弾丸もセットでついてきていた。
 通常の人間なら銃を見て動揺する所だが、瀬里は平然と銃を取り、シリンダーに弾丸を装填した後、銃を腰に差して弾丸を数十発ポケットにしまい、家の表に出た。
 この島のこの場での夜空は、人工的な光が殆ど無いため星がよく見える。
 星々が煌めく様は、今まで富豪の娘として暮らしたきらきらした生活を連想させた。
 瀬里はひときわ明るい星に手を伸ばした。まるでそこに手が届けば元通りの世界に戻れるかのように。だが、そこには永遠にとどかない。決して元には戻れない。
 何故なら瀬里は『殺人鬼』で『人殺し』だからだ。

 瀬里のいた世界で『フェイスレス事件』と呼ばれる連続殺人事件があった。
 遺体はいずれも年若い女性ばかりで、猟銃で判別がつかないほど顔面を粉砕されていた。
 犯人が逮捕された時、世間はその意外性に驚いた。
 犯人は資産家の高校生になる姉妹たち――瀬里とその妹で、動機も不明瞭だったからだ。

 瀬里の世界ではこのような普通の10代の女性が突然殺人を犯す現象が起こり続け、それをマスコミは『メデューサ症候群』と呼んでいた。

 だが、今の瀬里は知っている。ある組織が実在した殺人鬼の人格を手当たり次第に植え付け、その芽の出た人間が殺人鬼――メデューサへと化すことを。
 その中でも特に瀬里の残虐性、殺した人数、銃の腕前はオリジナルのそれを遥かに超えていた。
 
 瀬里は顔を下げ、伸ばした手を胸に当てた。
「これは神様の罰なのかしら。それとも悪魔に魂を売った人が行き着く悪魔の娯楽?」
 どちらにしても、わざわざ死人を生き返らせてまで殺し合いを指せ、最後の一人に願いを叶える儀式など、よく分からない行為だ。
「どっちでもいいか。どうせ生きてた時の羽黒の頃と大して変りないもの」
 そう言って自嘲の笑みを浮かべた。
「面白がって人の顔をぐちゃぐちゃにして殺した私だけど、その遺族まで殺した私だけど誰かに強要されての殺し合いなんて本当は御免よ。
 でも……最後の勝者に願いを叶えるって所だけは……信じたい。それが殺し合いへの誘惑だとしても」
 瀬里は笑みを止め、胸を強く抑えた。


620 : 運命も追ってこない遠くへ ◆Mti19lYchg :2020/06/02(火) 21:04:15 lOgVOsos0
「ってことはこの戦いに乗る気なの?」
 瀬里の耳元で急に声が聞こえ、とっさにその方向を振り向いた。
 そこに居たのは6体のとんがった頭をした、小人の姿の妖精というべきだろうか。
 それにしてはいずれの姿も顔も随分とけばけばしい格好だ。特に背中につけたクジャクの羽根が目立つ。
 それらの正体を瀬里は頭脳ではなく、魂で感じ取った。
「……紙に書いてあったけど、あんた達が私のスタンドね」
「そうよ〜! あたしたちは6人で1体のスタンド『アタック・ナンバーハーフ』! 丁度バレーの1チームになるわ」
 確かにバレーに例えた通り、スタンド達の服のような部位はバレーボール選手のようであった。
「私は瀬里、堂島瀬里よ」
「よろしく〜! あたし達スタンドは基本一人に一体だけど、あたし達みたいに分かれてしかも自意識を持っているのは珍しいの」
「スタンドが傷つけば本体の貴女も傷つくわ。逆もまた同じよ」
「スタンドは近距離型と遠隔操作型に分かれるんだけど、あたし達は遠くまで行けるタイプで、離れていても互いに意思疎通ができるから結構便利だと思うわよ」
「ここまでスタンドの知識を教えたから、ご褒美にご飯頂戴! あたし達は本体とは別にお腹がすくのよ」
「あ〜! バックレフトいやしんぼ〜!」
「ないわ〜、取引なんてないわ〜♡」
「あたし達だって生き残りたいから、教えたのにね」
「ちょっと調子に乗ってんじゃない?」
「なによ〜フロントセンター。みんなだって食べたいくせに〜」
 バックレフト――と呼ばれる胸に『5』と書かれたスタンド――が涙目になった。
「みんな、No.5をいじめるんじゃないの」
 ナンバーハーフの言い合いに、瀬里が口を挟んだ。
「あと、私バレーなんて学校の授業と刑務所でのモンブラン賭け試合でしかやったことないしポジションとか知らないから、これからはあんた達の事ナンバーで呼ぶわ」

 瀬里に与えられたスタンドはこの全6体の『アタック・ナンバーハーフ』。能力は『弾丸操作』。
 ただ、紙にあったスタンドの説明は簡素なもので、スタンドの基本的な知識、ルールを聞き出せたのは瀬里にとってありがたかった。
 もっともナンバーハーフは何故か野太い声で女口調、いわゆるオカマの様でやたらと自由に動きたがり、かしましいやり取りをするのに瀬里は辟易しているが。


621 : 運命も追ってこない遠くへ ◆Mti19lYchg :2020/06/02(火) 21:04:43 lOgVOsos0
 瀬里はナンバーハーフ達に支給された食料を与えた後、家の近くにあった空の一斗缶を持って太い木の柵へと置いた。
 そこから瀬里は拳銃を右手になじませるように手首を振って持ち、一斗缶からかなり遠くへと離れた。
 振り向いた先の一斗缶は、瀬里の目には通常の空き缶より小さく見える。
「なになに、試し打ち!?」
「あたし達の能力を試すの?」
 瀬里は一斗缶に銃口を向け、ナンバーハーフ達に顔を動かさず答えた。
「これは私の銃の試し打ち。ただし、最後の一発であんた達がどれだけの事が出来るか、試させてもらうわ」 
 撃鉄を起こし、引き金を引いて一発。
 銃弾は一斗缶の中央に正確に命中した。
 二発、三発、四発、五発。
 続けざまに撃ち、宙に浮く一斗缶を撃ち抜く。周囲に金属音が木霊する。
 瀬里はスタンドを使っていない。本人の純粋な技量のみで、不規則に動く一斗缶に銃弾を命中させて空中に留めていた。
 最後の六発目を撃つ前、瀬里は銃口を一斗缶の下に向けた。同時に叫ぶ。
「ナンバーハーフ! 全力で撃ち抜きなさい!」
 引き金を引き、弾丸が発射される。その上には6体全てのナンバーハーフたちが乗っていた。
『キャハハハハハ♡♡♡』
 笑い声を上げる6体は、銃弾が地面に届く寸前に。
『いっくわよ~!!』
 6体全員で銃弾を空き缶に向かい蹴り上げた。
 垂直に急上昇した弾丸は見事に命中、複数――そう、複数の射抜かれる音を発した。
 瀬里は銃のシリンダーを振り出し、空薬莢を地面に捨て、改めて銃弾を込め直す。
 弾丸を込め終え、シリンダーを戻した瀬里は撃った一斗缶を確認するため近づいた。
 一斗缶から見える穴は正面に5の底面に6で計『11』。一方撃った弾数は『6発』。
 その辻褄が合わない現象の答えは、一斗缶の近くにある銃弾の欠片で判明する。
 銃弾の欠片は『6つ』。ナンバーハーフが蹴り上げた銃弾は6つに砕け、一斗缶に全て命中していたのだ。
「ちょっ! 瀬里! 今あたしたちパワーが漲って絶好調よ!」
「本当なら今のは二つにしか割れないはずだったのに!」
「相性いいわねあたし達!」
 その言葉に瀬里は微笑んでうなずいた。
 瀬里は本当はショットガンの方が得意なのだが、拳銃も10ヤードの距離でヘッドショットを可能とする腕だ。
 このスタンドは瀬里に実に合っている。
「今なら一発で人の顔を猫ちゃんほっぺにだってできるわ!」
「やるなら猫じゃなくて、子供に自分の顔を食べさせた後の、愛と勇気だけが友達のヒーローみたいにしてもらわないとね」
「やだー! 瀬里残酷〜!」
 その言葉で瀬里の瞳は冷たく光った。
「残酷なのは当然よ。私は『殺人鬼』で『人殺し』なんだから」
 瀬里の台詞にナンバーハーフ達は不思議そうに顔を見合わせた。
「瀬里、その二つって違わなくない?」
「違うわよ。趣味として、快楽のために、殺人そのものを目的として殺すのが『殺人鬼』。
 怒りや憎しみといった感情で人を殺すのが『人殺し』よ。私はその両方なの」

 『殺人鬼』と『人殺し』。その言葉で思い出すのはここに来る前、ヤクザ相手に殺し屋まがいの事をさせられた際の事。
 脱獄するため、予め逃亡防止用に打たれていた毒の解毒剤を奪うよう指揮者兼監視役の連中を人質に取り、監視していた部屋を探したが全く見つからなかった。
『毒を使ったのは脱獄を恐れたからだ。つまりは今のような。逃げた実験動物には死んでもらった方が良いということだ』
 指揮者であるあの女、女医の香澄の冷たい理由で瀬里は絶望と焦りと怒りの余り、監視役の一人を打ち殺した。
 それを目にした香澄は一瞬動揺した後、呆れ、失望を露わにして言った。

『堂島瀬里……君はもう殺人鬼ではない。殺人鬼とは愉悦を以って人を殺す鬼。彼らは殺人そのものを目的として殺すのだ』
『怒りに任せて殺すのは鬼じゃない。ただの人間だ』
『残念だよ、瀬里。キミは今、ただの人殺しになった』

 『殺人鬼』と『人殺し』を分かつものは何か? 瀬里はその答えを知った。
 堂島瀬里は人の顔を破壊して愉悦に浸る『殺人鬼』であり、感情に任せて人を撃つ『人殺し』だ。


622 : 運命も追ってこない遠くへ ◆Mti19lYchg :2020/06/02(火) 21:05:03 lOgVOsos0
「私はこの殺し合いに乗る気よ。だけど、40人全員を私一人で殺せると思えるほど自惚れていないわ。
 だから反対派に入るか、乗った奴らとの共闘で最後まで生き残るつもりよ」
 瀬里はナンバーハーフ達を見つめた。
「ナンバーハーフ。あんた達も色々こき使う気だから覚悟しといてね」
『瀬里〜。だったらもっといいご飯頂戴。トスカーナのサラミとか、プロシュート・クルードとか』
「もしもここにあったらね」
 変にグルメな要求をするナンバーハーフ達に、瀬里は苦笑した。

『私はこの殺し合いに乗って人を殺す。40人なんて大したことない。私が死ぬまで殺した人間の数はそれより多いんだから』
 瀬里は笑いを止め、殺人鬼に『させられてから』死ぬまでの出来事、そしてこれからの自分を思い再び空を見上げた。


623 : 運命も追ってこない遠くへ ◆Mti19lYchg :2020/06/02(火) 21:05:30 lOgVOsos0


 ――だって面白いのよぅ。銃で顔を撃つと形が変わって。

 顔が滅茶苦茶に変形する様に愉悦を覚える殺人鬼の人格。それを自覚し、植え付けられたことを知ったのは刑務所での実験終了時であった。

 ――この私を実験動物にするなんて許せない。このままじゃいずれ私達殺される。その前にここから出るわ、必ずね……。

 だから、脱獄を志し、パパからも別国籍を用意したと告げられたことで決断。実験に乗じ、さらに同じメデューサの連中からも助けられて抜け出せた。

 ――愛してる。でも死んでくれ。

 だけど、脱獄してまで会ったパパからは見捨てられた。殺すために呼び出された。

 ――因果応報。因果応報。

 そうして私はパパが集めた、私が殺した人の遺族から復讐されて死んだ。



 そして死んでなお私は、羽黒の時と同じように首輪に繋がれ、殺し合いを強要されている。

 この状況――"儀式"とやらはまるで悪魔の娯楽の様だ。希望をちらつかせて殺し合いを強要させるあたりが。

 死ぬ前ならここから抜け出す事を考えただろう。だけど刑務所から脱走して、親から殺した遺族達に売られて死んだ私には、もう戻る場所も行ける所もない。

 だから私は、あのプッチという神父の誘惑……何でも願いを叶えるという言葉に頼る気でいる。

 私は喜々として人を殺した。顔を銃で潰して、その様が面白くて笑った。羽黒刑務所に収監されてからも殺し屋扱いにされて人を殺し、監視していた奴も殺して脱走し、復讐を望んだ遺族達も命と魂を引き換えに皆殺しにした。
 
 そんな罪深い私に神様の救いなんてない。

 神にも社会にも親にさえ見放された私は、悪魔の囁きに頷くしかないのだ。だけどそれは私自身の為じゃない。

 真希――私と同じように殺人鬼の人格を植え付けられ人を喜んで殺し、同じく脱獄して追われる身となった、私にたった一人だけ残った大切な存在――妹だけは何とかしてあげたいからだ。

 私は最後に真希に幸せになってと言い残した。でもそれが呪いになっていないだろうか。

 真希も私と同じように快楽のままに人を殺し続けた。そんな残虐な殺人鬼が助けを求めても誰が聞いてくれる? もし聞いてくれる人間がいるなら、それは羽黒の様な殺人鬼の力を悪用しようとする者くらいだろう。

 もしかしたら私の幸せになってという言葉が重みになって、真希は何者かに利用されさらに罪を犯してしまうかもしれない。だから私はこの殺し合いに乗る。

 真希を幸せにできるならなんだってやってみせる。参加者全員を皆殺しにする覚悟はあるし、殺し合いに反対する演技で騙して生き残ってもいい。プッチに身も心も魂も売って、その結果私自身が消えてしまっても構わない。

 私はもう、自分の中の悪魔に魂を捧げているんだから。

 私は真希を、真希の罪や運命から逃れられるくらい遠くの世界――楽園へと連れていく。


【名前】堂島瀬里
【出典】サタノファニ
【性別】女性
【能力・技能】
狙撃、銃撃
 ショットガンでの狙撃と拳銃の銃撃を得意とする。
 ショットガンでは近接戦闘(CQB) 向けのCARシステムという射撃スタイルで体一つ分動けるスペースがあればどんな体勢でも狙撃が出来る。
 拳銃は7~10ヤードまでの距離でヘッドショットを可能とする腕前。
メデューサ症候群
 実在した殺人鬼「ゲイリー・ルウィンドン」の人格を埋め込まれている。
 命の危機などで人格が目覚めると、身体能力や銃の腕が通常時より格段に向上、残忍な性格に変貌する。
 この状態は『夜』の人格、通常時が『昼』の人格と区別されている。

【スタンド】アタック・ナンバーハーフ(The Iron Ladies)
【破壊力:E /スピード:C /射程距離:弾丸の届く距離まで /持続力:A /精密動作性:A /成長性:B】
【能力詳細】
小人のような姿をした全員で6体、自我を持ちそれぞれ胸に番号(1〜3、5〜7)がある群体型スタンド。
発射された弾丸に取り付き、軌道を操作する事が可能。彼らが操った弾丸はスタンドにもダメージを与える事ができる。
『セックス・ピストルズ』と同じタイプのスタンドだが、こちらは全員がオカマである。
バレーボール選手のような恰好で数枚の孔雀の羽を背中につけており、顔は厚化粧風。お互いをバレーボールのポジション名(「バックレフト」「フロントセンター」等)で呼び合っている。

【備考】原作死亡後からの参戦
【方針】誰を利用しようと、誰を殺そうと最後まで生き残り、妹を幸せにする。


624 : 運命も追ってこない遠くへ ◆Mti19lYchg :2020/06/02(火) 21:05:51 lOgVOsos0
投下終了です。
なお、アタック・ナンバーハーフは原作小説でも2ページしか出番ないので、ピストルズをオカマ風の口調にしただけで十分表現できると思います。


625 : ◆Mti19lYchg :2020/06/02(火) 21:06:13 lOgVOsos0
続けて投下します。


626 : 人間失格 ◆Mti19lYchg :2020/06/02(火) 21:07:59 lOgVOsos0
 彼の人生は、常に信頼と裏切りに翻弄されていた。

 彼は母親から捨てられたのち、孤児院で育った。
 院長はみんなの父であり母であり、彼は全てを信頼していた。
 ある日、院長から一人呼び出された彼は、金を店から分けてもらう――盗むように言われた。
 金は平等の物と言われ、院長を信用していた彼は店に入って盗みだし院長に渡した所で、店主から咎められた。
 彼は院長を信用して言われた通りのことを言ったが、院長は彼を杖で叩き『愛情をかけても信頼を裏切る』といって罵った。
 彼は院長から学んだ。『人を信用するな』。

 成長した彼は、人も社会もクズのように思うようになり、ある工場で暴れようとした時、同じ孤児院で育ったというマイクという男に止められた。
 ろくに住む場所も決まっていなかった彼は、マイクの家で世話になることになった。
 それからはトラブルも無く共に働き、共に遊び、半年が過ぎた頃、マイクが養子縁組の書類を彼に差し出した。
 彼は戸惑ったが、マイクの家族にあこがれていたという言葉を信じ、正式に家族となった。
 しかし、マイクを親父と呼ぶことは無く一年を過ごした。
 家族となった一年後の同じ日に、彼はマイクに贈るプレゼントを買った。『オレの…オヤジに…』と言って。
 家に戻ると、マイクにそばに寄るよう言われ、彼はプレゼントを渡そうとした。
 しかし、その時、マイクから巨大な角材で頭部を殴られた。
 意識がもうろうとする中、彼はマイクの嬉しそうな言葉を聞いた。
『一年過ぎねェとよ、金はもらえねェんだとよ。この日を待ちに待ったぜ』
『一年前にお前がサインした紙切れ……ありゃ生命保険の書類だっ』
 彼は呆然として、自分の周りにかけられるガソリンの匂いを嗅いだ。
『おめェみてェなイカレた小僧でも死にゃあ銭になる』
『最後に教えてやる。人ってのは信用するモンでも、共に生きるモンでもねェ……』
 マッチを擦る音。燐が燃える匂い。そしてマイクの嘲笑。それらを彼は感じ取った。
『人は利用するモンだ』

 燃える家の中で、彼は全てに絶望し、この世の全てに対する憎悪を膨らませていった。

『甘かった…この世はゴミ溜め。人も社会もクズだ。
 オレは間違ってなかった……ぶっ壊しちまえばよかったんだ。なにもかも…』

『全てを壊せ…!」

 怒りが弾けた瞬間、焼け落ちた梁が彼の足を押し潰し、切断した。


627 : 人間失格 ◆Mti19lYchg :2020/06/02(火) 21:08:40 lOgVOsos0



「殺し合いか……人の関係は利用し、利用されるものだ。なにもかもぶっ壊すと誓ったオレを見込んで呼んだんだろうな……新しい『力』を身に付けられての実験の類なら乗ってやろうじゃないか」
 その『彼』、スワロウは地べたに座り、殺し合いの現場とは思えぬほど穏やかに呟いた。
 彼が身に付けているのは防弾用の白いロングコートに赤いシャツ、赤いブーツ。白いボトムズは左足の膝から下が無い。
 その左足は巻かれた包帯の隙間から金属の肌が見えており、義足である事が分かる。
 頭部には右額に殴られた大きな傷があり、さらにその上の髪の部分にゴーグルをかけている。

 スワロウはゆっくりと、義足とは思えないほど滑らかな動きで立ち上がった。
「わざわざ呼んどいてこの殺し合いに反対の奴らもいるらしいからな」
 プッチのその言葉は乗った連中にとっては目障りで、反対の人間には心強いだろう。だが、スワロウの考えはそれらから大きくかけ離れていた。
「嬉しいぜ……そいつ等を信用させてから裏切り殺す。それこそが人間失格だが最高の破壊だ」
 そう言ってスワロウは静かな笑みを浮かべた。
 『『人は利用するもの』『信じれば裏切られる』『人間社会はクズの集まり』』。
 その価値観を足を失い文字通り骨身に染みて実感したスワロウは、自分は常に破壊する側に回ろうとしていた。
 その為にスワロウはあえて反対派に身を投じる事に決めている。
「それにあのプッチとかいう神父。たかだか41人の殺し合い程度で支配者気取り……笑わせるぜ。
 この狭い箱庭のわずかな命を破壊して満足するプッチ……オレが最後に残り、儀式の完遂に喜ぶ奴を殺ってこそ、破壊は完成するっ」
 スワロウはプッチに対しそう嘲笑し、瞳に妖しい光を宿した。
「だが、この『スタンド』とやらはいい。『ゼスモス』とは違う能力……利用されるからにはこいつも身に付けた上で戻ってやる」
 スワロウは少し離れた家に近づき、壁に触れた。その手には、糸が縫われたヴィジョンが浮き出ている。
 スワロウがさらに手を押し付けると、壁に穴が開き解け始めた。
 同時に、スワロウの足元が泥のように変わり始め、やはり糸のヴィジョンが浮き出た義足が地面に沈み込む。
 壁の穴はずるりと上に楕円形を描き始める。家が音を立て下方向に動いている。
 地面が沼のように、水のように変わり、家を地面に沈めているのだ。
 スワロウは家がどぷん、と完全に地面に沈む音を聞くまでその場で身じろぎ一つせず眺めていた。 
「こいつはいいなぁ……この場で出来る人間の繋がりも、箱庭も全て沈めてぶっ壊してやれそうだ」
 そう呟くスワロウの目は、表情は、およそ人からかけ離れた冷たく勁烈な意志に満ちていた。


628 : 人間失格 ◆Mti19lYchg :2020/06/02(火) 21:09:01 lOgVOsos0
【名前】スワロウ
【出典】Dämons
【性別】男性
【能力・技能】
ゼスモス
 幻肢症からヒントを得てある科学者が発見した『繋ぎとめる力』。
 念動力の一種に分類され、主に怒りや憎しみで強く発現し、失われた身体部位に失われた部位の形で発生し、力がおよぶ範囲の物を繋ぎ止める。
 極限状態なら人の心、怨念等あらゆるものを繋ぎとめられるが、通常は手足に接合した部分のみである。
 主な能力として動力の無い義手・義足を生身の手足のように動かし、関節の可動域を超えた動きや、本来の筋力を遥かに超えた力を発揮できる。
 スワロウの脚力は十数mは軽く飛び上がり、コンクリートの柱を砕く蹴りを放つほど。
 また、繋ぎとめるという力の本質上、自分の精神を繋ぎとめる事で精神への干渉を防ぐ効力もある。
 ただし、繋ぎとめた物体の本質はそのままで、例えば紙のリボンで腕を構築しても、所詮紙の強度しかないのでハサミで容易く切れてしまう。
 この場でのスワロウは両手足を義肢に換装済みである。
義肢
 フラーレンに金属分子を内包した合金で造られており、普通の鋼鉄よりはるかに高い強度を持つ。
 表面は人造の皮膚で覆われ、生身のように偽装されている。

【スタンド】オアシス
【破壊力:A /スピード:A /射程距離:B /持続力:A /精密動作性:E /成長性:C】
【能力詳細】
 スーツのように身に纏うタイプのスタンド。周囲のあらゆる物質を泥化、液状化させる。
 その能力で地面を液状化し、人や物質を地中に沈められる。泥化、液状化した地面は本体以外にとっては硬いまま柔らかくなる。
 応用として液状化した地面の中を水のように泳ぐこともできる。
 触れた部分を瞬時に液状化させ、人や物質を破壊できる。直接接触しなくても射程距離内であれば、次第に泥化させられていく。
 一定の距離から離れると、液状化した物体は再び固体化する。
 スワロウの場合、スーツではなく義肢を含めた身体に縫い糸が出たヴィジョンになっている。

【備考】12巻でヘイトがスワロウを探している間に呼び出された。義足はナノテクが無いそれ以前に使っていた義足。
【方針】殺し合いに反対の演技をし、相手を信用させた上で殺す。最後にはプッチも殺す。


629 : 人間失格 ◆Mti19lYchg :2020/06/02(火) 21:09:16 lOgVOsos0
投下終了です。


630 : ◆i8E2NGlreE :2020/06/02(火) 22:39:44 E081rC6c0
投下します


631 : 「む……バトロヤか……」 ◆i8E2NGlreE :2020/06/02(火) 22:43:43 E081rC6c0

 「チ、チノサンッ! 卑猥ナ尻尾文字激シクシナイデッ!」

 「うるさいですね……」ズギャンズギャン
 
 「ア、アァ〜ッ!」スリーフリーズ!

 「はい、今日の能力把握は終わり。お疲れ様でした」

 「ウゥ……アリガトウゴザイマシタ……」

 数分前、念願の異能バトルに参加することになったのだが、『無為無策で敵に突っ込むと虐殺されるのでは』という懸念の声があり、
結果チノちゃんが定期的にコウのイチンクンからのスタンドをシコシコしてくれるようになった。
しかし、チノちゃんはどうやら初めての異能に酔いしれているみたいで、
いつもウキウキでスタンド能力を行使しては消費ヒドイヒドイなのだった。

 「ふぅ……こんなものですかね……もっと能力マウントをとれるように頑張らないと……」

 「チ、チノサーン……」スウウ

 「ひゃあッ!?」バターンッ!

 「チ、チノサーン!  S H I Tーッ! チノサンハ毎回糞ミタイナ尻尾文字ノタメニスタンドパワーヲ浪費シテイタノデ幽波紋【スタンド】ガ消エカケテイルコトモ知ラズ二……ッ!
  SHITッ!SHITッ!  fuckin'bitch Waht the hell!」

「ど、ドサクサに紛れて英語でしゃべらないでください!」

 「ス、スミマセンチノサン」

 「べ、別に、スタンドしこしこ練習するくらい普通です……。それが私のついに目覚めた能力なんですから……。それに、私の能力はしょぼくて、あんまり私が気持ちよくなれないから」

 「ソ、ソンナコトアリマセン! チノサンノ──」

 「待てよ、何だかよく考えると腹が立ってきました」

 「エッ」

 「なんで私がチェーン店の泥水をすするときみたいな気持ちでビクビク能力を使わないといけないんですか? 逆なんじゃないんですか? 怯えるのはチェーン店ッ! お前の方だッ!」

 チノちゃんは青春と未来を捨てたヤケッパチのどう猛さで知られる命知らずの悪であるッ!
盗み 強盗 ケンカ 放火 やってない犯罪は殺人だけ……。
そんなチノちゃんの精神的テンションは今ッ! ラビットハウス時代に戻っているッ!

 「ヒャアッ!」スリーフリーズ!

 「くっ、ふぅ……! す、すっごい濃いスタンドパワーが出ましたぁーッ!」

  その後、チノちゃんはACT3を出し続けてすぐに起き上がれないほど疲弊していた。
でもまあ、その時以来結果のためには手段を択ばない漆黒の意志に目覚めることができたので
結果オーライ!

 ★──クズほど強い……


632 : ◆i8E2NGlreE :2020/06/02(火) 22:45:55 E081rC6c0
【名前】チノちゃん
【出典】チノちゃんコピペ
【性別】女
【人物背景】
 流行っていない喫茶店ラビットハウスの店主、基本的に努力の方向音痴であり、その行動は大抵周囲に被害を及ぼす。
また、自分の価値観を絶対視しており、反するものを異様に敵視する。基本的に倫理的に悪とされる行為へのハードルが異常に軽い。
ごちうさの娘とは無関係。
【能力・技能】
・漆黒の意志
・豊富な異常行動の経験


【スタンド】エコーズ
【破壊力 - E / スピード - E / 射程距離 - B / 持続力 - B / 精密動作性 - C / 成長性 - A】(ACT1)
【破壊力 - C / スピード - C / 射程距離 - B / 持続力 - B / 精密動作性 - C / 成長性 - A】(ACT2)
【破壊力 - B / スピード - B / 射程距離 - C / 持続力 - B / 精密動作性 - C / 成長性 - A】(ACT3)

【能力詳細】
 ・ACT1……音を出す能力。音量は自由である他、人間に貼ることで心に働きかけることも出来る。
 ・ACT2……現実に作用する文字を発言させる能力。
 ・ACT3……相手を重くする能力、近接パワー型になった。


633 : ◆i8E2NGlreE :2020/06/02(火) 22:46:17 E081rC6c0
投下終了です


634 : ◆A3H952TnBk :2020/06/02(火) 23:51:08 DimYkoTE0
投下します。


635 : LOOK ON MY WORKS,YE MIGHTY ◆A3H952TnBk :2020/06/02(火) 23:51:35 DimYkoTE0



世界が、静止していた。


海辺の砂浜に立つ私は、その光景を目の当たりにした。
足下に押し寄せていた海水の小さな波は、その場で完全に動きを止めている。
少し離れた位置、石ころの影で蠢いていたヤドカリはぴくりとも動かず。
私の手元に握られた時計の秒針も、止まっていた。

針は11時の位置を指している。
あの“終末の時計”のように、12時の手前を示す……。

瞬間、ほんの5秒後。
時が再び動き出した。
かち、かち、かち、とごく小さな音が刻まれ始める。
時計の秒針が動いたのだ。
私は周囲の様子を確認する。
静止していた波は再び海へと戻っていき、ヤドカリはかさかさと動きながら離れていく。
まるで先程までの事象など、在りもしなかったかのように。
世界は今までと変わらず、時を刻んでいた。


「HM、成る程……これが『スタンド』か……。
 我が社の力を以てしても、このような超能力の存在は確認できなかったが……」


私はその現象を前にし、取り留めもなく呟く。
超能力の実在性を疑うわけではない。
非科学的な超常現象の存在は、既に社会的に“公表”されているのだから。
あの“神の如し力”に加え、私がかつて計画の根幹に利用した“超能力者の脳”……。
スタンドという未知を信じるには十分な材料が揃っている。
故に、己を取り巻く“現実”を受け止めざるを得なくなった。
例えそれが今まで一度も確認されなかった代物だとしても、現に目の前に事象として存在しているのだから。

あの夢のような意識の中、エンリコ・プッチと名乗る神父は我々に「殺し合うこと」を命じた。
最後の一人になるまで争い、勝ち残った者には願いを叶える権利が与えられる。
そして参加者には、傍に立つビション――『スタンド』が支給される。

無様なことだが、私はこうして“拉致”されている。
何の予兆もなく、唐突にこの会場へと送り込まれたのだ。
直前まで何か怪しい気配があった訳でもなければ、周辺での不穏な動きが耳に入ったこともない。
即ちエンリコ・プッチは、私の意識外から突如現れた“未知の存在”なのだ。

何かの陰謀が裏で動いているのか。
これはスタンドという超能力に関わる、何らかの実験なのか。
私もかつて、己の計画を果たすべく孤島に科学者や芸術家を拉致したことがあった。
それは我がヴェイト社の権力があってこそ成し得た所業だ。
数十人もの人間を同時に拉致する―――ましてや、この私さえも―――等、単独の人間に実行できるとは思えない。
そもそも、どうやって全参加者をこの島に送り込んだのか。
これだけの人数を、同時に、無作為に。
テレポートのような手段を無事に用いられるのは――私が知る限りでは、あの“超人”のみ。
あるいは、これもまたスタンドによる術なのか……。
今はまだ判断に足る材料が少なすぎる。
あのエンリコ・プッチという男については、いずれ必ず調査しなければならない。


「あのとき、君は答えなかったが……もしや私が辿る結末を“視ていた”のか?ジョン……」


数々の謎を整理しながら、私は静かに溢した。
私は使命を果たした。その矢先だった。
あの計画を実行し、完遂を見届け、そしてアメリカへと密かに帰還した。

偉大なる王の名を冠するヒーロー、オジマンディアス。
またの名を―――エイドリアン・ヴェイト。





636 : LOOK ON MY WORKS,YE MIGHTY ◆A3H952TnBk :2020/06/02(火) 23:52:05 DimYkoTE0



1945年8月6日、現地時間午前8時15分。
日本の広島市へ向けて人類史初の攻撃が実行された。
ガンバレル型ウラニウム活性実弾L11、コードネーム『リトルボーイ』。
アメリカ合衆国軍による原子爆弾――核兵器の投下である。
その破壊規模はTNT換算で1万5千トン相当。犠牲者は推定9万から16万。
発せられた熱線と爆風は街を悉く焼き尽くした。
あれが全ての始まりだ。
広島と長崎への核攻撃は、戦後の世界へと向けられた星条旗の狼煙だった。

第二次世界大戦終結後、世界は二分された。
西側の資本主義、東側の社会主義。
双方の盟主として君臨するアメリカ合衆国とソビエト連邦は、核軍備の強化へと走る。
覇権主義の衝突、止まらぬ軍拡競争。“冷戦”と呼ばれる対立の時代。
そして1960年3月、“スーパーマンの実在”が公表―――。
それはアメリカ人だった。
あらゆる原子を自在に操る力を持つ超人、Dr.マンハッタンの出現は世界の均衡を破壊した。
覇権国家として勢いを増すアメリカは自らの障害を悉く排除し、焦燥に駆られたソ連は更なる核武装を重ねていく。

世界の終末を指し示す“時計の針”は、刻一刻と動き続ける……。

私はその事実を知りながら、世界が抱える根幹の闇を悟っておきながら、己の弱さに負けて目を逸らした。
ヴィランを退治するスーパーヒーローとして、ちっぽけな犯罪と戦い続けた。


『悪党を倒したって何になる?』
『それで世界は何か変わるか?』
『冗談じゃねえ、変わるもんか』
『やがて水爆が燃やしちまうぜ』
『この世界を、何もかも――――』


だが、かつて私を打ちのめした男がそう言った。
軽薄にして聡明なる道化“コメディアン”は、世界を嘲った。
世の真理を臆することなく皮肉り、惨めなジョークへと変えてのけた。

あのとき、私は己の使命を悟った。
世界を奴の謳う“パロディ”に貶めてはならない。
世界をあのような男の思い通りに進めてはならない。
天才的な素質を持った私が、世界を救わねばならない。
そして私は、ある計画を進めた。

思えば、長かったものだ。
『人として正しき行いをする』。
アメリカ人の常套句だ。
私は、私の信じる“正しき行い”を実行した。





『やった……』


『―――やったぞ!』






637 : LOOK ON MY WORKS,YE MIGHTY ◆A3H952TnBk :2020/06/02(火) 23:53:06 DimYkoTE0



この殺し合い、果たして反抗は可能か。
厳しいと言わざるを得ないだろう。

スタンドという未知の能力に関して、圧倒的に主催側が精通している。
このデスゲームを取り巻くルールもまた、酷く厄介な物だ。
違反行為に対する罰則、時間と共に増えていく禁止エリア、そして24時間死者が出なければ全員死亡となるシステム。
参加者の命は主催者の望むまま。更には状況の停滞すらも許されない。
このゲームが実験の可能性がある以上、付け入る隙はあるかもしれないが――それでも見込みは低いだろう。
我々にすら悟られることなく、これだけの規模の所業を成し得る相手なのだから。
仮に途中で脱出の見込みが立ったとしても、少なくとも当面は“順当とされる手段”を前提に動くべきだろう。


「『THE WORLD』……“世界”を背負った私に課せられし試練か……」


傍に立つ精神ビジョンを横目で見ながら、私は思いを巡らせる。
此処に至るまで、巨大な苦難が待ち受けていた。
核戦争の危機。現実のものとなった世界崩壊の未来。
それを回避するために、私は手段を講じた。
計画実行を実現するための権威確立。陰謀の偽装。Dr.マンハッタンの排除。“共通の敵”の創造。
そして、ニューヨーク市民300万人の犠牲……。
その末にようやく成し遂げた。
アメリカとソ連が手を結んだ。
冷戦は終わった。
全ては上手く運んだ。


私は、避けられぬ破滅から“世界”を救った。
そう、あの“時計の針”を、止めてみせたのだ――。


世界は正しき方向へと進み始めた。
世界最高の頭脳を持つエイドリアン・ヴェイトには、人々をユートピアへと導く義務がある。
多大な犠牲を払って、あのコメディアンの笑い話に勝利して、未来を掴み取ったのだ。
私の手で守られた未来は、私が責任を以て牽引しなければならない。

それだけではない。ここで私が死ねばどうなる。
大富豪エイドリアン・ヴェイト、突然の失踪――そうなれば警察による捜査が始まるだろう。
仮にヴェイト社を調べられるような事態になれば、世界を救った計画の全貌が明るみになる可能性がある。
未だ“後始末”は済んでいないのだ。
世界の均衡は保たれたが、それを磐石にするための職務は終わっていない。

故に私は、生きなければならない。
例え40名の人間の屍を乗り越えることになろうと。
300万のニューヨーカーの犠牲に比べれば、余りにもささやかなものだ。

あのとき、世界唯一の超人“Dr.マンハッタン”は答えなかった。
全てを成し遂げた私の、ただ一つだけ残された蟠りの答えを。
しかし、真理は得られずとも、私は前へと進むしかない。
これが神父――即ち神の御言葉に下されし試練というのなら、甘んじて受けよう。


我が名はオジマンディアス。
王の中の王。
全能の神よ、刮目せよ。
世界を導きし我が業を。
そして見届けよ。
我が傍らに残るのは、果てなき砂漠ではない。
一つに繋がれし、偉大なる王国だ―――。





『私の行いは正しかったのか?最後には……』
『“最後”?何事にも最後など存在しない』
『待ってくれ、それはどういう意味―――』





【名前】エイドリアン・ヴェイト(オジマンディアス)
【出典】ウォッチメン
【性別】男性
【人物背景】
現実とは異なる歴史を辿った冷戦下のアメリカで『クライムバスターズ』に所属していたヒーロー。
自警活動を禁ずるキーン条例の制定前にいち早く引退し、その優れた頭脳によって事業家として成功していた。
ある出来事をきっかけに避けられない核戦争の脅威を痛感し、やがて世界の危機を止めるべくある計画を企てる。
それは余りにも荒唐無稽で、余りにも壮大な陰謀。
しかし彼は、そんな史上最悪のジョークによって世界を救ってしまった。

【能力・技能】
人類最高と称される頭脳に加え、古代の兵法と格闘術を体得している。
更に極限まで研ぎ澄まされた肉体によって、至近距離から放たれた銃弾を掴み取る程の身体能力を持つ。


【スタンド】THE WORLD
【破壊力:A / スピード:A / 射程距離:C / 持続力:A / 精密動作性:B / 成長性:B】
【能力詳細】
平行世界のディエゴ・ブランドーが操るスタンド。
時を止める能力を持つ。一度の発動で止められる時間は5秒。

【方針】
人々をユートピアに導くべく、絶対に生き残る。
この殺し合いを企てたエンリコ・プッチの謎を探る。


638 : ◆A3H952TnBk :2020/06/02(火) 23:53:25 DimYkoTE0
投下終了です。


639 : ◆100ZZ542nE :2020/06/03(水) 01:13:45 z.2f.8KQ0
投下します


640 : 超人ハンターの新たなる使命!!の巻 ◆100ZZ542nE :2020/06/03(水) 01:14:25 z.2f.8KQ0

 親愛なるアリステラよ。

 オレは最大のチャンスを逃したかもしれぬ。

 今しがたまんまとこのオレに超人閻魔から出頭命令が下されたのだが……。

 超人閻魔がいる部屋の扉を開けば、気付けばこのような所にいた。

 全くわけがわからないと思うが、オレも何故このような場にいるのかわからない。

 だが、謎の神父超人エンリコ・プッチから与えられたこのスタンド能力とやら。

 もしかするならば我らの星を救うためのあの力に匹敵するかもしれない。 

 その為にオレはこのゲームに生き残れなければならぬ。

 我が兄アリステラよ このチャンスを是が非でもモノにする。

 次の報告を楽しみに待っておけ。

 フォーーフォフォフォ!


 ◆  ◆  ◆


 森の中。
 ホッケーマスクにプロテクター姿の超人が佇む。
 だが、一般人が一番に目を引くであろうはその背中に生えた巨大な右手であろう。

 男の名は『ジ・オメガマン』。人呼んで『超人ハンター』。
 そして、本名は『オメガマン・ディクシア』である。

 まずはオメガマン周囲に誰もいないことを確認する。
 そして、その背中の巨大な右手を振り降ろした。


    ガ  オ  ン  !


 木々が多く抉り取られるように倒れた。
 オメガマンはそれを見て、少々驚くが平常心を保つ。
 冷静に自分に与えられたスタンド能力『ザ・ハンド』の能力を分析する。

(空間を削り取る能力。いや、右手で掴んだものを削り取る能力か?)

 オメガマンの背中の右手はΩメタモルフォーゼによりザ・ハンドに変化していた。
 何度も試し撃ちをして、威力や射程を確かめる。 
 どれほどまでの距離までを削り取れるのか。
 正確な間合いなどを確かめる。

 その僅かな準備の差が命取りになるであろう。

「なるほどな」

 準備は整った。
 先も言ったがオメガマンは『超人ハンター』の異名を持っている。
 となれば。超人を狩るのは得意である。
 たかだが40人を狩ればいい。造作もない。

 『狩るのはオレで、狩られるのは貴様らだ』

 そして、エンリコ・プッチにスタンド能力を詳細に聞き出す。

 全てはオメガの星を救うために。
 その使命を胸にオメガの救世主の弟が今動き出す。

【名前】ジ・オメガマン(オメガマン・ディクシア)
【出典】キン肉マン
【性別】男
【能力・技能】
『Ωメタモルフォーゼ』
 マスクから照射した光線を当てた物体に全身、もしくは体の部位を変身させる能力。
 対象物は分解されオメガマンに吸収されてしまう。

【スタンド】ザ・ハンド
【破壊力-B/スピード- B/射程距離-D/持続力-C/精密動作性-C/成長性-C】
【能力詳細】
 右手で掴んだあらゆる物や事象を空間ごと削り取ることができる。

【備考】
 参戦時期はキン肉マン新シリーズ273話の1ページ目(キン肉マンJC68巻の27ページ目)。

【方針】
 最後まで勝ち残り、スタンド能力とやらがオメガの星を救える力かどうか確かめる。


641 : ◆100ZZ542nE :2020/06/03(水) 01:14:56 z.2f.8KQ0
投下終了です。


642 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/03(水) 02:42:55 mLKowPTg0
投下します


643 : まだ死んでおられぬぞ! ◆DWDMFPPpRw :2020/06/03(水) 02:43:26 mLKowPTg0
 森林。深い木々に覆われ、月明かりも疎らな場所に一人の男がいた。
 その男は外見こそ青年のようではあるが、その肌には死人のように艶がなく、どこか不気味な印象を抱く。
 男の名は薬師寺天膳。伊賀の副首領にして、唯一無二の不死の術を持つ忍びである。

「ふむ、…事情は解らんが、あのぷっちという
伴天連が儂を生き返らせたようじゃな」

 忍びらしく夜目のきく眼で周囲を見渡しながら、彼はそう言った。
 記憶DISCによってプッチの説明を見た天膳は、冷静な視点で現状を把握していた。
 忍びである彼にとって、少女の見せしめ程度では動揺足り得ない。ましてや不死である彼にとって、命の危機とは無縁であった。
 少なくとも、この場に招かれる直前までは。

「……完全に繋がっておるな」

 頸を撫でる。不死の術を破られ、二度と繋がらぬ筈の負傷が綺麗さっぱり無くなっていた。
 傷痕もない皮膚の感触と、己の内に潜む同胞の鼓動に、天膳は久しく忘れていた生の実感を得ていた。

 朧によって不死の術を破られ、完全な死を迎えた筈が、いつの間にか異国の者に殺し合いを命じられている。
 何もかもが奇天烈の一言。170年以上の歳月を生きた天膳にとっても、この催しは未知の出来事であった。
 しかし、天膳はこの催しに招かれる前から既に甲賀と殺し合っていた身であり、やるべき事は何一つ変わらない。
 敵を殺し、速やかに徳川の地に帰還する。そして、甲賀の抹殺という悲願を成就するのだ。

「許すまじ……朧、甲賀弦之介ェ……!!」
 
 仇敵と嘗ての主への恨みが天膳に沸き起こる。下らない色恋沙汰にかまけ、伊賀を裏切った者に生きる資格なし。
 これまでお幻の血統のため、もしくはいずれ自身が頭領となるための打算もあって目を瞑っていたが、もはや情けは無用。
 そう結論付け、弦之介共々帰還したら速やかに処刑することを誓った。
 そして、そのために必要となる能力も天膳には与えられていた。

「『のーとりあす・びっぐ』……死ねば発動するとは、正しく儂のためにあるような異能じゃな」

 質の良い入れ物(でいぱっく、というらしい)に入っていたメモを読み終えた天膳は、プッチの采配にほくそ笑む。
 死ななければ真価を発揮しないそのスタンドは、殺し合いで常人が持てばほぼ使いようがないと言っても過言ではない。
 何せ、これを使って身を守ろうにもまず死ななければマトモに扱えないのだ。
 しかし、不死の術を持つ天膳はその欠点を克服できる。まさに最良に近い能力であった。

 自らのスタンドを理解した天膳は、参加者を求めて闇夜を駆けた。
 甲賀への憎しみが尽きぬ限り天膳は、あるいは彼の内に潜む者が歩みを止めることは決して無いのだ。


644 : まだ死んでおられぬぞ! ◆DWDMFPPpRw :2020/06/03(水) 02:44:46 mLKowPTg0

【名前】薬師寺天膳
【出典】バジリスク 甲賀忍法帖 (アニメ版)
【性別】男性
【人物背景】
 伊賀の副首領。170年以上生きている筈だが外見は中年のままである。
 不死の術を持ち、首を撥ねられても尚しぶとさを見せる。
 冷徹怜悧であるが、その特異な身のため孤独を抱えている様でもあった。
他の伊賀者からは一目置かれており、当主とは別格の存在のように扱われている。
 怜悧冷徹にして計算高い卑劣な謀略家で、目的のためには手段を選ばない。
 また、サディスティックかつ強欲、好色。任務のついでに我欲に走る行為も少なくない。
 反面、伊賀への愛国心と忠誠心は嘘偽りなく本物で、常に伊賀全体のことを考えて行動しており、伊賀の存続と繁栄のためならば、同胞や当主ですら捨て駒にすることも厭わない。
 しかし、それ以上に長年の宿敵・甲賀に対する敵愾心と憎悪は凄まじく、伊賀と甲賀の和平には表向き賛同しているように見えるものの、実際には大いに不満を募らせていた。

【能力・技能】

・人面の痣
 ほぼ完全な不老不死の術をその身に宿しており、首を撥ねられようが心臓を破壊されようが、短時間で修復して生き返ってしまう化け物じみた生命力を持つ。
 この不死の術の仕組みは彼の肉体に宿っている「人面の痣」の仕業であり、この痣は天膳自身とは独立した命と意思、自我を有しており、本体が死んでも痣が天膳の命を繋ぎ止めつつ肉体の損傷を修復、完全に蘇生させてしまう。
 その性質上、死因が重度だと蘇生までに時間が掛かってしまうという欠点があるが、その分如何なる傷だろうが毒だろう老いだろうが、完全に無効化してしまうことが可能。
 この人面相はかつて甲賀側の恋人に裏切られて命を落とした天膳の母親の怨みが宿ったものであり、甲賀への憎悪の要因にもなっている。
 剣術の達人でもあるものの、この能力による慢心から初手では殺害されることが多い。しかし、これによって相手の手の内を見破り、対抗手段を講じて相手を詰ませる戦いを得意とする。

【スタンド】ノトーリアス・B・I・G
【破壊力 - A / スピード - ∞ / 射程距離 - ∞ / 持続力 - ∞ / 精密動作性 - E / 成長性 - A】
【能力詳細】
 本体が死んだ後に真価を発揮する変わり種の自動操縦型スタンド。
 天膳の場合、蘇生中の肉体は実際に「死んで」いるため、発動条件を満たすと思われる。
 殺された恨みを糧に起動し、周囲のあらゆるエネルギーを食らってどんどん巨大化し、周囲の最も速く動く物を探知し、それと同じスピードで以って無差別に襲う。
 故に弾丸だろうと機銃だろうとどれだけ速い攻撃も意味をなさず、執拗に食らいついてくる凶悪さを誇る。
 本来射程距離はなく、発現時間もほぼ永続的であるが、今回は制限により発動後も天膳からそれほど離れられず、彼が蘇生した場合は無効化されるようになっている。
 弱点は、自ら静止してる物にぶつかった場合はダメージを負うこと。ただし、わずかでも一部が残っていれば周囲のエネルギーを取り込んですぐに復活してしまうため、完全な殲滅は非常に困難。

【備考】
 天膳の不死は制限されており、DISCによる負傷、及び肉体の破壊の度合いによってはそのまま死亡するようになっています。採用された場合、どの程度で死ぬかは書き手に任せます。


645 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/03(水) 02:45:12 mLKowPTg0
投下終了です


646 : ◆0ZaALZil.A :2020/06/03(水) 22:15:15 ???0
投下します


647 : ◆0ZaALZil.A :2020/06/03(水) 22:16:32 ???0
 寸刻前から全身をプルプルと震わせ、キレ散らかしているモノがいた。

「「アメリカ」ってよォ…………
 日本人なら英語で「America」っていうんだが、
 自分たちの国のことを「the States」とか、「the U.S.」とか呼ぶらしい。
 でも日本語訳じゃみんな「米国」って呼ぶんだよォ〜〜〜!
 なんで主食がパンなのに「米」ってつけてるんだよォオオォーーッ!
 それって、納得いくかァ〜〜〜、おい?
 オレはぜーんぜん納得いかねえ…… なめてんのかァーーーッ、このオレをッ!」

 それは、ヒトではなかった。

「主食は! だれがどう考えても! ところ天だろうが!
 チクショオーーームカつくんだよ!コケにしやがって!ボケがッ! 」

 体重は45パック分。年齢は「賞味期限切れ」。
 そいつの名は――ところ天の助。

  ☆

 ところ天の助は激怒した。

 エンリコ・プッチと名乗る男が語った言葉、目的。
 それらが意味するところは天の助にはわからなかったし、理解するつもりもなかった。

 重要なのは二つだけ。

 ひとつは、『エンリコ・プッチがアメリカ人である』ということ。

 ……いや実際のところ、エンリコ・プッチは「褐色肌」なだけで「イタリア系白人」である。
 『肌が黒い人=がいこくじん=アメリカ人』という短絡的な発想は、近年のグローバル化社会に反する発想であり、ともすれば人種差別に繋がりかねない。
 ――といった心配はご無用。

 なぜならところ天の助はところ天であり、人間ではないから。

 そしてもう一つ。
 天の助にとって大事なのは、『アメリカ人の主食がパンである』ということ。

 ……いや実際のところ、『主食』という概念があるのは日本特有で、摂取カロリーのほとんどが米であったことに由来する。
 アメリカ人はメイン、サイドディッシュという概念であり、米やパンのような炭水化物の主食に縛られない。
 ――という、教科書に載っていそうな既成概念は、天の助には通用しない。

 なぜならところ天の助にとっての主食は、ところ天だから。

 そういうわけで、先ほどからところ天たる自身の腕を地面に叩きつけている。
 無論ところ天なので、大地に傷跡残すことなく、プルプルプルプル音を立てるだけの、徒労に過ぎない動作なのだが。

「41人って言ってたな……なら21人以上で過半数!
 アメリカ人だろう悪魔超人だろうと、ところてんが世界に通じる主食だってこのオレが21人に教えてやる!」

 主食はところ天――故に決意した。
 エンリコ・プッチに、主食は断じてパンではなく、ところ天だと証明してみせると。
 このゲームにおけるマジョリティを勝ち取ってみせると。
 ……いや実際のところ、殺し合いにおける勝利条件は唯一の生存、マイノリティなのだが、天の助にそこまでわかるわけない。

「そんでよくわからんが、スタンド? ってもんがこのDISKを差し込むと使えるらしい。
 やだぁ〜便利な世の中になりましたわね〜奥様」

 一通りキレて落ち着いたのか、天の助はデイパック内で怪しく煌めく円盤を、頭部に差し込むことにした。
 ニュルっと挿入。
 しかし――スタンド、という概念を理解していないにしても――何の変化も感じ取れない。

「何も起きない……さては主食の座をところ天に奪われると見て、恐れをなしたな!」

 そんなわけない。

「残念だったなプッチ神父! スタンドとやらが使えなくても、我がプルプル真拳の前に敵はない!
 一足早く祝杯じゃーーー!」

 これもそんなわけはなく、天の助は、酒なんて上等なものは持っていない。
 デイパックにあらかじめ入っていた水、それを美酒のように扱っているだけ。

 ペットボトルの蓋を外し、浴びるように一口――

「あ゛っ゛っ゛っ゛づ゛!」


648 : ◆0ZaALZil.A :2020/06/03(水) 22:17:21 ???0
 奇妙なことに。
 天の助が今しがた摂取した水が、『飲んだ瞬間に熱湯と化した』。
 ちょっと飲むはずの水を盛大に零し、途端、ヒト型を模していた天の助がドロリと液状化。
 まるでスライムのようなフォルムになるまでに融解した。

 熱湯をその身に浴びたなら、身体が溶けるのも道理。

 なぜなら、天の助は身体の95%がところてん、残り5%はゼリーで出来ているから。

「ぎゃああああああ! ナニコレ!? 何が起きてんの!?
 ヤバイヤバイいったん落ち着こう! さっきのDISKを抜けば元に戻るハズだ!」

 愛用する「ぬ」のハンカチがあれば、それで流れ出るところ天を拭っていたであろう。
 しかし、むしろ愛用品がないことで対応策がマシなものになっていた。
 液状化したとはいえ、上半身はかろうじて人型を保ち、頭部や腕はなんとか原形を留めている。
 元に戻るには逆の手順を踏むのが自然であり、道理。

 が。
 祈るように頭部に腕を押し当てても、プルンプルンとやたらに軽い擬音を発するだけ。

「抜けねぇーーー!!」

 なぜなら彼は、ところ天だから。



【名前】ところ天の助
【出典】ボボボーボ・ボーボボ
【性別】ところ天
【人物背景】
元毛狩り隊Aブロック隊長。 Aブロック基地でボボパッチに敗れた後は
スーパーの商品→ボーボボの仲間→スーパーの商品→ハジケブロック雑用→ボーボボの仲間
という経緯をたどる。
なお、ところ天を主食として推す割に、自分自身はところてんを主食として食べているわけではない。

【能力・技能】
・プルプル真拳
体がところ天ゆえ変幻自在で、原作では自身を射出したり、竜を生み出して攻撃するなどしていた。
ただしところ天なので、その柔らかさ故ノーダメージになることもしばしば。
真面目に戦えば強い場面はいくらかあったが、どちらかと言えば他人と協力して強くなるタイプ。

【スタンド】水を熱湯に変えるスタンド
【破壊力:なし/スピード:なし/射程距離:不明/持続力:不明/精密動作性:不明/成長性:不明】
【能力詳細】
本体が触れた水を熱湯に変える。
スタンドを制御できれば、熱湯に変える範囲を決められる…かもしれない。

【備考】
・参戦時期は後の書き手にお任せします。
・自力でDISKを抜くことはできないようです。頭部に強い衝撃を与えれば外れるかもしれません。
【方針】
主食はところ天であると証明する。


649 : ◆0ZaALZil.A :2020/06/03(水) 22:18:09 ???0
投下終了します。
タイトルは「なぜなら彼は」でお願いします。


650 : 天国への迷夢 ◆XksB4AwhxU :2020/06/04(木) 05:33:14 VvR.38zA0
完成したので投下します。


651 : 天国への迷夢 ◆XksB4AwhxU :2020/06/04(木) 05:34:16 VvR.38zA0
「まさか夢の世界に住む私をこのような催しに招待するなんて」
フワフワと空中を浮かびながら、尻尾をぶらんぶらんと動かしながらぼやく少女。
ドレミー・スイート。「夢の支配者」の異名を持つ妖怪。
「それにしても…あの神父は夢を見ているわね。まるで明晰夢のような」
先ほどの神父の語りを聞きながら、ドレミーはあきれている。
「さしずめ、この儀式を完遂すれば「天国」へ辿り着けると信じているいうことかしら?」
数多くの夢を見ては、消したり創ってきた彼女はプッチ神父の狙いを思案した。
「それにしても人間ておかしな生き物ね?「天国」なんて死ねば辿り着くかわかることじゃない?」
そこは「妖怪」プッチ神父が望む「天国」とは認識が違う。
それに、私に支給された…「スタンド」?というものは、あえて狙ったのかしら?」
ドレミーの視線にいるのは、全身がマントで覆い、大鎌を持つピエロの仮面をつけている…
そう、スタンド「デス13」夢の空間に寝ている者の精神を引きずり込む能力を持つスタンド。
ドレミーの認知でデス13は姿を消した…
「次にあなたに出会うときは夢の世界になりますね」
支給された証拠として1度だけ現実世界に姿を現すことが許されたようだ。
「一見、タネが知れたら無力化されるスタンドと、多くの人が思うことでしょう。…ですが使用者が何も抵抗ができない「赤ん坊」ではなく私」
「あらゆる生命が持つ欲求の一つである睡眠欲…それに抗うのをいまだ見たことはありません」
ドレミーの顔がニタァ〜と笑う。
「良いでしょう。その狂夢、私が処理しましょう」
この殺し合いがプッチにとって願望の夢か悪夢に終わるかどうかは、まだわからない…


652 : 天国への迷夢 ◆XksB4AwhxU :2020/06/04(木) 05:37:33 VvR.38zA0
【名前】ドレミー・スイート
【出典】東方紺珠伝
【性別】女性
【能力・技能】
夢を喰い、夢を創る程度の能力
夢の世界の住人である彼女は夢に介入できる。
【参戦時期】本編後

【スタンド】デス13
【破壊力:C/スピード:C/射程距離:B/持続力:E/精密動作性:D/成長性:B】
【能力詳細】
能力は「寝ている者の精神を自身が作り出した夢の空間に引きずり込む」こと。
夢の中でしか発動できないスタンド。
スタンドが作り出した空間から脱出するには現実世界で他人に起こしてもらうしか方法がない。
寝ている時に身につけていた物のみ、夢の中に持ち込むことができる。
【方針】
ゲームに乗る。優勝したらプッチ神父の夢を…
参加者が寝たら夢の世界へ侵入して狩る
出会った参加者は一瞬でもいいから眠らせるか気絶させて自分のテリトリー(夢の世界もしくはスタンドの力)で狩る


653 : 天国への迷夢 ◆XksB4AwhxU :2020/06/04(木) 05:37:56 VvR.38zA0
投下終了します。


654 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/05(金) 02:15:12 1GdsKhuk0
投下します


655 : 真夏のような夜の夢 ◆DWDMFPPpRw :2020/06/05(金) 02:16:46 1GdsKhuk0

 ーー太陽。

 時間帯は深夜。場所は学校。学生や職員もなく、人の気配もないその場に、月に変わって太陽が鎮座している。
 グラウンドの中央、上空数十メートルの位置に静止したそれは、闇を塗り潰すかのように、文字通り燦々と日光を降り注がせる。
 真昼のように、地面を、校舎を、付近の全てを光が照らしていた。

 ーー熱気。

 煌々と降り注ぐ日光により、まるで砂漠かと錯覚するほど場の気温が上昇する。
 夜の涼しい空気は、たちどころに真夏のそれに変化していた。

 何もかもが異様すぎる光景だったが、やがて存在をこれでもかと主張していた太陽は、それこそ瞬きの合間の一瞬で消えた。


「ハァ、ハァ、ハッハァッ、ちと暑いがスッゲェパワーだ! これがスタンドってヤツかァ! ーーこりゃぁ、想像以上にすげェお宝だぜ!」

 グラウンドの隅。滝のような汗をかきながも、立派な顎髭を蓄えた中年が笑う。
 あの小型の太陽は、この男に与えられたスタンド能力であった。
 この大航海時代の船長のような装いをした男の名はコロンブス。クリストファー・コロンブス。そう、歴史の教科書にも載っている『あの』コロンブス本人だ。
 この場ではライダーのサーヴァントとして存在している彼は、『スタンド』、その概念にとてつもない価値を感じていた。

 プッチはスタンドを『与える』といった。人に与えられるということは、同時に奪う事もできるという事だ。きっと何らかの形、あるいは『DISC』とやらで、保管や移動も可能だと見当がつく。
 そしてこの場にはそのスタンドが41個もある。それぞれどんな能力なのか検討もつかないが、これほどの力、間違いなく欲しがる奴はいくらでも居る。
 これを売り捌けば、かの時代の胡椒のように、とてつもない富を得られる。
 それだけのポテンシャルがスタンドにあると践んだのだ。

 そして、そのお宝の存在を知ったこの男が、この場でどう行動するのかは、火を見るより明らかであった。
 スタンドの独占、その市場の開拓。そのためにライダーは方針の舵を切った。
 
(エンリコ・プッチ……。召喚されたからにゃぁ、ある程度はお前さんのスタンスに従うがよォ。同じように、ある程度は俺のスタンスも理解してほしいなァ)

 プッチとの交渉。そのために必要なのはまずど……仲間だ。
 何故かは知らないし知る必要もないが、あの神父は殺し合いをさせたがっている。当然、反発するものも多いだろう。そんな連中を焚き付け、集団を形成するのだ。
 ある程度経てば、無鉄砲な雑魚は淘汰されるだろう。
 すると最後に残るのは『優勝狙い』と『対プッチ派』の二代勢力。状況は停滞する。
 
 呼び出したなら、俺がどんな目的でそうするのか察しはつく筈。殺し合いを円滑に進めたいなら、きっと奴から接触してくる筈だ。
 交渉の余地は十分にあるし、よしんば失敗しても『願いを叶える』権利を目指せばいい。
 なに、生前に散々やった事だ。やりとげる自身はある。


 ーー夢は、諦めなければ必ず叶うのだ。


「ーー今度は何が掴めるのかねェ? くふ、ふははははは、ふはっはっはっは!  考えるだけでワクワクが止まんねェぜ!」

 そう笑う顔は、あの太陽にも負けないほどにドス黒い欲望で輝いていた。
 しかし、能力の確認のためとはいえ、深夜に浮かぶ太陽はやや目立ちすぎた。先ずはここからとっととずらかるべきだろう。

 時は金なり。巨万の富という『夢』に至るため、コンキスタドールはせっせと走りだした。


656 : 真夏のような夜の夢 ◆DWDMFPPpRw :2020/06/05(金) 02:18:07 1GdsKhuk0

【名前】レジスタンスのライダー(クリストファー・コロンブス)
【出典】Fate/Grand Order
【性別】男性
【人物背景】
 騎兵(ライダー)のサーヴァント。不屈の夢追い人にして、情熱の冒険家。そして征服者である。
 自分が悪い事をしているという意識など欠片も無く、目的を達するための己の行動は全て良い事だと認識している狂人的なレベルの自己中心主義者。
 利用できるものはなんでも利用し、生き残るためには恩人をも平然と騙し、勝ち取れるものは根まで引き抜いて奪い去る。
 勝つことができないなら、多少の犠牲が出ようと見切りをつけて機会を待ち続ける。
 その手に届くもの、手段、その全てが念願を叶えるための“道具”という認識に近い。まさに「ドス黒く燃える太陽」のような男。

【能力・技能】
 ライダーのサーヴァントとして以下のスキルを持っている。

・騎乗:B
 大抵の乗り物なら乗りこなせるが、幻想種は乗りこなせない。

・対魔力:D
 詠唱が一工程の魔術を無効化できる。魔力除けのアミュレット程度の対魔力。

・嵐の航海者:B
 船を駆り、船員、船団といった集団を統率するスキル。
 「軍略」と「カリスマ」を兼ね備える。

・不屈の闘志:C
 あらゆる苦痛、絶望、状況に絶対に屈しない極めて強固な意思。 彼の場合、その対象は「自分の夢の実現を阻むあらゆる因難」と定義される。
 問題に対する瞬発的な抵抗力というよりは「決して諦めない」という継続力に通じる在り方。

・コンキスタドール:EX
 大航海時代、航海の果てに未開地を征服した者のスキル。未開の地への侵攻、支配、略奪、奴隷化などの手際を示す。
 「スペインからの征服者」という概念を最初に発生させた者として、彼はこのスキルをEXランクで有する。

【スタンド】太陽(サン)
【破壊力:B / スピード:E / 射程距離:A / 持続力:A / 精密動作性:E / 成長性:E】
【能力詳細】
 タロット大アルカナ19番目の「SUN(太陽)」の暗示を持つスタンド。
 名前通りそのまんま太陽である(厳密には「太陽に似た火球」)。
 異常なスタンドパワーを誇り、出しただけで夜を真昼と勘違いさせるほどの光を放つ。そして辺り一帯の気温をラクダが倒れ込むほどの異常なレベルに上げる事ができる。
 また高威力・高精度のレーザーを放つ事が可能で、レーザーは上空100m以上の位置にある遠距離型の攻撃とは思えないほどの威力を持つ。
 規格外のパワーを持つスタンドだが、スタンド使用者本体もその影響を受ける点が弱点。周囲の気温を上げると本人までその暑さに見舞われるので、クーラー等の冷却手段を用いないと自滅してしまう。
 また横方向への遠隔操作性はあまりないためか、本体は攻撃対象を視認できる程度のわりと近い位置にいなければいけない。

【備考】
 サーベルなどの武装は解除済み。
 制限により霊体化は不可。神秘のない攻撃も通るようになっています。
 スタンド及び宝具の制限は書き手に任せます。

【方針】
・プッチの接触を促すため、対主催の集団を組織し、できるだけ殺し合い自体を停滞させる。できなければ優勝を目指す
・他者のスタンドを奪えないか試してみたい


657 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/05(金) 02:18:39 1GdsKhuk0
投下終了です


658 : ◆NIKUcB1AGw :2020/06/05(金) 21:15:56 XoAiutOY0
投下します


659 : 開戦の銅鑼は打ち鳴らされた ◆NIKUcB1AGw :2020/06/05(金) 21:16:51 XoAiutOY0
「ドラえもーん!!」

森の中に、少年の悲痛な叫びが響き渡る。
地面に座り込んで泣きじゃくっているのは、眼鏡をかけた小学生。
野比のび太である。

「こんな状況に僕一人でいたら、あっという間に死んじゃうよー!
 早く助けに来てー!」

のび太はこれまでの人生で、幾度も命の危機にさらされている。
だがそれを切り抜けられたのは、相棒であるドラえもんがいてくれたからこそ。
彼が持つひみつ道具なしに窮地を切り抜けられるなど、彼にはまったく思えない。
故にのび太は、この状況を自分でどうにかしようなどとは考えない。
ただただ、助けを求めるだけだ。

それでも、ひとしきり泣いてある程度気持ちの整理がついてきたのだろう。
少しでも状況を改善するために、のび太は荷物の確認を始めた。

「武器は何かないの……? 空気砲! ショックガン! 瞬間接着銃! ひらりマント!
 この際こけおどし手投げ弾でもいいからさー!」

こんな大それたことをできるプッチは、おそらく時空犯罪者であろう。
そう考えたのび太は、なじみ深い戦闘用のひみつ道具が荷物に入っていることを期待していた。
だが、彼が思い描いたものは何一つ入ってはいなかった。

「何にもないじゃーん! 武器もなしに、どうやって生き残れっていうのさー!」

わずかに浮かんだ希望を砕かれ、のび太は再び泣きじゃくり始める。
だがその時、自分の声以外の物音がすることに彼は気づいた。

「誰? 誰かいるの?」

震える声で尋ねるのび太だが、返事はない。
やがて、音の主が姿を現した。
それは、立派な体格のイノシシだった。
のび太の大声で気分を悪くしたのか、興奮しているように見える。

「あわわわ……」

のび太は動けない。
脳は「逃げろ」と指令を出すのだが、恐怖にすくんだ足は言うことを聞いてくれない。
なすすべのないのび太に対し、イノシシは突進する。

「うわあーっ!」

もはやこれまでと観念するのび太。
だがその瞬間、彼の前に「何か」が現れた。

『ドラァ!』

それはのび太の無意識の叫びだったのか、それとも「何か」が発した声だったのか。
その声と共に強烈な一撃が放たれ、まともに食らったイノシシは大きく吹き飛んで気絶した。

「君は……」

のび太は、おのれの前に立つ「何か」を見つめる。
それは、銀のプロテクターをまとったような姿のたくましい男だった。
威圧感を覚えてもおかしくないその姿に、のび太は安心感を覚える。
彼の本能が、それを自分に害をなす存在ではないと理解しているのだ。

「君は……味方なんだね……?」

返答はない。だがのび太には、無言でたたずむその姿が肯定の意思表示をしているように感じられた。

「おねがい、力を貸して。僕と、困ってる人たちを守るために」

今、この世のどんなものより優しい能力が、臆病だが心優しい少年へと託された。


660 : 開戦の銅鑼は打ち鳴らされた ◆NIKUcB1AGw :2020/06/05(金) 21:17:59 XoAiutOY0


【名前】野比のび太
【出典】ドラえもん
【性別】男
【能力・技能】
『射撃』
プロの殺し屋すら凌駕する、超人的な早撃ち。
しかし、銃がなくてはそれも活かせない。

『昼寝』
寝ようと思えば即座に寝られる。

【人物背景】
ドラえもんと共に暮らす小学生。
勉強も運動も苦手な怠け者だが、優しい心の持ち主。

【スタンド】クレイジー・ダイヤモンド
【破壊力:A/スピード:A/射程距離:D/持続力:B/精密動作性:B/成長性:C】
【能力詳細】
手で触れたものを正常な状態に治す、もしくは直すスタンド。
ただし「自分自身の治療」「病気の回復」「死者の蘇生」はできない。

【備考】
イメージは大山版ですが、わさび版でも大丈夫です。
【方針】
生還


661 : ◆NIKUcB1AGw :2020/06/05(金) 21:18:40 XoAiutOY0
投下終了です


662 : ◆hqLsjDR84w :2020/06/06(土) 23:06:02 Wv8xv5Uo0
投下します。


663 : そんな伊勢谷でさえ帽子はノーカン……! ◆hqLsjDR84w :2020/06/06(土) 23:06:46 Wv8xv5Uo0
 ◇ ◇ ◇


 つい一週間ほど前のことだ。

 キッカケは大したことではなかった。
 『一日』、すなわち二十四時間だけ許された地上への『外出』中の、酒が入った上でのただただ取るに足らない会話である。
 この楽しい時間が止まればいいのにだとか、いっそ時間が戻ればいいのにだとか、時が過ぎるのが加速したように感じるだとか、吹っ飛んだとさえ思ってしまうだとか――
 そんなありふれたよくある会話で、無類の漫画好きである大槻は当然ながらある有名漫画を連想し、また監視役の黒服・宮本も同じ漫画を連想したのであろう。
 沼川(酒が入ると異様にトイレが近くなる)と石和(誰かがトイレに行くと自分も出そうな気がしてくる)が席を立った途端に、宮本は大槻に切り出したのだ。

「大槻、『ほしいスタンド』を一つだけ選ぶとしたら……お前ならどうする?」
「クク……! だしぬけになんですか、宮本さん……!」

 『ほしいスタンド』談義……!
 漫画好きにとって、取るに足らない、ありふれた、よくある話題の筆頭……! だが、そのたびに新鮮に考えてしまう話題でもある……!

「んーむ、そうですね……。『好きなスタンド』でも『最強だと思うスタンド』でもなく『ほしいスタンド』となれば、この際『スタンド使い』のことはノーカンとして……」

 酒が入って曖昧になっていた大槻が頭を絞ると、しかし意外にも鮮明にいくつもの精神のヴィジョンが蘇ってくる。
 近距離パワー型、遠隔操作型、物質同化型、群体型、そしてどのように分類すればよいのかわからない特殊なスタンド。

 前日までチンチロに勤しんでいたせいか、最初に浮かんだのは『アース・ウィンド・アンド・ファイヤー』であったが、大槻自身がサイコロになったところでなんの意味もない。
 沼川辺りに発現すれば便利そうだが、困ったことに彼は先日の外出で車に酔っていた。車に酔うような人間では役に立ちそうもない。

 続いては『取り立て人(マリリン・マンソン)』と『錠前(ザ・ロック)』。
 地下に落とされている時点で、どいつもこいつも大なり小なり後ろ暗いところがあるのだ。ならばこそこの二つのスタンドは地下の住人に効果てきめんで、地上に外出できる頻度がさらに上昇するかもしれない。

「(が……! これを言うのはNG……!)」

 宮本はあの変則チンチロリンのことは知っていても、その裏で行われている不正までは把握していない。勘ぐられるようなスタンドを上げるのは避けたほうがよい。

「ふふふ、そうですね……。ワシがうっかり『鉄塔』なんかに芽生えて籠城した日には、監視役の宮本さんが大変な目に遭うんじゃないですか……?」

 ゆえにこそのチョイスであり、実際にリアクションもよかった。
 宮本は予期せぬ返答に吹き出したのち、サングラスの上からでもわかるほどに狼狽しながら天を仰いだのだ。


 ――――■■だなあ。■■■■さ。


「(んん?)」

 狙い通りのウケを取れて満足していた大槻は、不意に背後から囁かれたような感覚を覚えた。
 咄嗟に振り返っても誰もおらず、一瞬にして酔いが覚めていくような思いであった。

「俺はどれだけ考えても、どうしても結局『スティッキィ・フィンガーズ』なんだよなー。やっぱ五部世代だから。ジャンプでブチャラティがイタリア語講座とかやってたころ」

 そんな大槻をよそに宮本はなにやら遠くを見つめるような目で語り始めており、そして今度は大槻が宮本のチョイスに吹き出す番であった。

「いやいや宮本さん……、それはまずいでしょう……! 宮本さんともあろう人が、信じる道を行くために大組織を裏切った男のスタンドなんて……! 宮本さんが本当に選ぶべきスタンドは……!」

 大槻の視線の先で、宮本が息を呑んでいた。
 溜めに溜めて「『ノトーリアス・B・I・G』……!」と続けると、宮本は「それだけはカンベンしてくれぇ〜!!」と笑いながら叫んだ。
 ちょうどそのタイミングで沼川と石和が戻ってきて『ほしいスタンド』トークはお開きとなり、大槻は奇妙な囁きのことなどすっかり忘れてしまっていた。


 ◇ ◇ ◇


664 : そんな伊勢谷でさえ帽子はノーカン……! ◆hqLsjDR84w :2020/06/06(土) 23:07:14 Wv8xv5Uo0
 
 
 そして、思い出した。
 この殺し合いに巻き込まれ、六部のラスボスであるエンリコ・プッチ神父による趣旨説明を受けた瞬間に、大槻は思い出したのである。


 ――――ヘタだなあ。ヘタっぴさ。

 
 あのとき、たしかに大槻はそう言われたのである。囁かれたのである。
 そして、それは背後からではなく、あくまで自分自身の内面から出た声であった。

「(最初に浮かんだのが『アース・ウィンド・アンド・ファイヤー』で、二番目が『マリリン・マンソン』と『ザ・ロック』……? よくもまあ言ったものだ、ぬけぬけと……!)」

 頭を抱えながら、大槻は自分自身を責め立てる。
 大槻は嘘を平然と吐いて、他ならぬ自分自身をも騙していたのだ。
 あの日はたしかに『アース・ウィンド・アンド・ファイヤー』で、別の日ならば『ヘブンズ・ドアー』で、また別の日は『マンダム』かもしれない。『ファン・ファン・ファン』の日はたぶんない。

「(が……っ、それらは全部『二番目』だろうが……!)」

 その点で言えば、大槻よりも宮本のほうがはるかに上手であった。
 いつ考えても選んでしまう宮本にとっての『スティッキィ・フィンガーズ』が、本当は大槻にもあったのである。
 あんな与太話のときこそ、妥協なぞせずに胸張って言うべき不動の一位が……!
 最初にあの漫画を読んだときに惹かれた……圧倒的に『ほしいスタンド』……!
 そして、そのスタンドが大槻に支給されている……!
 欲望を解放するべきなのはいま……!
 大槻は前を見据える……! そう……! あの『最強のスタンド使い』のように……!

「オラオラ……オラ……ォ…………」

 大槻の想いに反して、張り上げたはずの声は尻すぼみに小さくなっていき、最後には消えてしまった。
 
「言えるか……っ! こんなもん……っ!」

 そうして、大槻は再び頭を抱えた。

 勘違いしてほしくはないが、大槻は決してシャイな男ではない。
 人目を憚らず、童心に帰って漫画や特撮、アニメやドラマなんかの登場人物になり切ることに躊躇はない。
 限られた自由を誰よりも満喫することに関して、大槻という男は基本的に二の足を踏んだりはしないのである。

 だが、大槻に支給されたスタンドの本来の使い手、大槻が惹かれた『最強のスタンド使い』空条承太郎は――
 歩いているだけで黄色い声が上がるほどの二枚目であり、寡黙にして情に厚く、いつ何時も冷静沈着だが根に熱い正義の炎を燃やした花も実もある男である。

「ふざけるな……っ! やり直せ、スタンドの支給を……っ! ノーカウントにしろ……っ! この『星の白金(スタープラチナ)』抜きで……! 支給を、もう一度……!
 よこせ……っ! 『アース・ウィンド・アンド・ファイヤー』……っ! 『マリリン・マンソン』……っ! 『ザ・ロック』……っ! 『ヘブンズ・ドアー』……っ! 『マンダム』……っ!」

 スタープラチナがふさわしいような人間か……っ! 地下王国E班の班長・大槻が……!
 むしろ逆……! チンチロリンを吹っかけて、イカサマをしかけようとして指を折られる役……!

「そもそも落ちてくるものか、あの承太郎が……! クズどもの巣になぞ……!」

 ついに、自分で考えておいて自分で噛みつき始める大槻。

「仮に……! 仮に『スタープラチナ』を支給するなら……っ、伊勢谷友介くらいの男を用意せんか……っ!」


665 : そんな伊勢谷でさえ帽子はノーカン……! ◆hqLsjDR84w :2020/06/06(土) 23:07:54 Wv8xv5Uo0
 
 
 
【名前】大槻
【出典】1日外出録ハンチョウ(賭博破戒録カイジ)
【性別】男性
【能力・技能】
通称班長。
アニメとか映画だと『大槻太郎』って本名らしい。
クズどもからペリカを巻き上げて地上に外出する権利を買い、1日の外出を誰よりも満喫して地下に帰還する能力。



【スタンド】『星の白金(スタープラチナ)』
【破壊力:A/スピード:A/射程距離:C/持続力:A/精密動作性:A/成長性:A】※
【能力詳細】
人型の近距離パワー型スタンド。
射程距離こそ二メートルと短いが、突っ込んできたトラックをも粉砕するパワー、飛んでくる銃弾をも掴むスピードと精密動作性、暗闇に紛れた蠅をも見逃さぬ視力、町を覆う死の霧を一息で吸い込む肺活量など、圧倒的なスペックを誇る。
あと指を伸ばして相手に刺したり、時の止まった世界を認識して時を止めたりもできる。
ついでに初期は明らかに二メートル以上の距離を動いてたり、めっちゃ喋って煽りまくってたり、そういう時代もあった。スタンドは成長するので、そういうこともある。あると言ったらある。

※三部時点でのステータスです。



【方針】
ノーカンにはならなそうだということくらい、さすがにわかってはいる。


666 : ◆hqLsjDR84w :2020/06/06(土) 23:08:28 Wv8xv5Uo0
投下完了です。

もう一作投下します。


667 : 誰だよ、日の呼吸を最強って言ったヤツは! ◆hqLsjDR84w :2020/06/06(土) 23:09:13 Wv8xv5Uo0
 ◇ ◇ ◇


「こんな能力なら、俺でも十二鬼月殺れるぜ」



【名前】累に細切れにされたヤツ
【出典】鬼滅の刃
【性別】男性
【能力・技能】
鬼殺隊所属の剣士。
出世すれば支給される金額が多くなるため、安全に出世したい。
漫画読みならいわゆる『糸使い』をだいたい知っているが、しかし漫画の登場人物であるため知らぬ竈門炭治郎に、その恐ろしさを伝えることのできる能力を持つ。



【スタンド】『太陽(サン)』
【破壊力:B/スピード:E/射程距離:A/持続力:A/精密動作性:E/成長性:E】
【能力詳細】
本物の太陽を見分けがつかない外見をしたスタンド。
百メートル以上の上空に浮かんで地上を照り付け、ラクダが意識を失うほど異常な暑さにまで地表温度を上昇させ、また光を一点に集中させてレーザー光線を放つこともできる。
並外れたスタンドパワーと持続力を誇っており、夜を昼間と見紛うほどの日光を何時間も照射し続けることができる。
ただし太陽光の照射による熱はスタンド使い自身にも襲い掛かるため、長期戦の場合には水分や冷却手段が必要になる。



【方針】
安全に出世したいんだよ。


668 : ◆hqLsjDR84w :2020/06/06(土) 23:09:32 Wv8xv5Uo0
以上、二作で今回は投下完了です。


669 : ◆di.vShnCpU :2020/06/06(土) 23:54:25 zPQWtWbw0
投下します。


670 : 犬は飛ぶものだろ? ◆di.vShnCpU :2020/06/06(土) 23:55:24 zPQWtWbw0

「グワォ……つまりこれで、飛びながら戦うことも可能に……!」



【名前】間違えて犬に寄生したパラサイト
【出典】寄生獣
【性別】不明
【能力・技能】
通常は人間の頭部を乗っ取るところを、間違えて野良犬の頭部を乗っ取ったパラサイト。
他のパラサイトにない特技として、犬の小柄さを活かし、寄生部分を翼にして空を飛ぶことができる。
ただし寄生部分のほとんどを使用するため飛行中は無防備であり、また飛行速度は遅い。
作中では披露していないが、他のパラサイト同様の刃物状の変形も可能と推測される。

ミギーとの交戦で致命傷を受けた後から参戦。傷は治されている。


【スタンド】『愚者(ザ・フール)』
【破壊力:B / スピード:C / 射程距離:D / 持続力:C / 精密動作性:D / 成長性:C】
【能力詳細】
砂のスタンド。車輪の後足をもつ獣のような形態が基本だが、砂の特性として変幻自在。
特筆すべき変形のひとつとして、翼を作って滑空することもできる。
ただし砂の重みもあって動きは遅い。

【方針】
とりあえず色々試したい。本体で飛びつつ愚者で攻撃/防御、あるいは愚者で飛びつつ本体で攻撃/防御など


671 : ◆di.vShnCpU :2020/06/06(土) 23:55:40 zPQWtWbw0
投下完了です。


672 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/07(日) 05:46:22 /6lN/PwY0
投下します


673 : シャーク・オブ・チェンソー ◆DWDMFPPpRw :2020/06/07(日) 05:47:20 /6lN/PwY0
「殺し合いかぁ。どうすっかなぁ……」

 記憶DISCで現状を把握した後、デンジは悩んでいた。
 この催しで自分はどうするべきか。とりあえず思い付く選択肢は以下の二つ。
 優勝。何となく後味悪いから嫌。
 脱出。帰り方わからん。

 というかここは何処だ。
 辺りを見渡す。何の変鉄もない夜の住宅街だ。住人の影も形もない事を除けばだが。
 知らない場所なので当然土地勘もない。
 結論、よく分からない。
 
(俺ってバカだからなぁ、こういう頭使うの苦手なんだよ)

 頭をボリボリ書きながら知恵を絞り出も、中々良い案が浮かばない。しかし、やがてデンジの脳裏に閃きが起こった。
 
「ん、まてよ。プッチは悪い奴だよなぁ。女の子殺してるなんて酷いことしてるし、じゃあ、ぶっ殺してもよくね?」

 その閃きは革新的だ。少なくともデンジはそう感じた。

「悪魔は殺しても怒られねぇよなぁ。知ってるぜ、悪魔は漢字にもワルってあるからなぁ、つまり悪いんだ。ってことは悪い奴は殺しても大丈夫ってことか! 俺頭いい!」

 悩みは解決した。
 プッチは悪魔みたいに悪い奴で、もしかしたら悪魔かもしれないからとりあえず殺す。
 だがあの神父がどこに潜んでいるのかデンジは知らない。
 そこでプッチの言っていたスタンドの概念を思い出した。

(スタンド? とかよくわかんねぇけど、探偵はこういうヒントから地道に手掛かりを探すんだよな。映画でそんなのあったぜ。タイトルは忘れたけどなぁ)
 
 どこか間の抜けた思考でとりあえずデイパックを漁ってみる。すると一枚のメモを見つけた。どうやらスタンドの説明書のようだ。デンジに配慮してか、漢字にひらがなのルビが降ってあった。

 『貴方のスタンドはクラッシュです。液体から液体へ瞬間移動することが可能です。噛めば他人を沈ませて一緒に移動もできます』

 メモにはそう書かれていた。

(おー、なんか強そう! 液体って水とかだよな。コーヒーとかジャムでも飛べるのか? いやジャムはドロッてしてるけど液体じゃねぇかな。よくわかんねぇけど)

 デンジが己のスタンドを認知した瞬間、彼のデイパックに入っていた飲料水のペットボトルに、サメのようなヴィジョンが出現する。
 サイズ的にミニチュアのようになっているそれに気づき、デンジのテンションが上がった。

「おお、これが『クラッシュ』ってヤツかぁ? 何かビームみてぇだな!」

 そのスタンドは、何処と無く自分を慕う鮫の魔人を思い浮かばせる。試してみると、自分の意思で泳がせることができるようだ。
 ふとデンジが念じると、そのスタンドは別のペットボトルに移動していた。

「おっ、おっ! スゲー! ほんとに瞬間移動してるぜ! まるでマジックみたいだなあ!(マジック見たことねえけど)」

 『クラッシュ』を、まるで新しい玩具を手に入れた子供のような顔で見つめるデンジ。ここが殺し合いの場だと解ってはいるが、その様子はどこか能天気にも感じる。
 単純な馬鹿か、それとも蛮勇か。
 普段と特に変わらず、デンジは良くも悪くもマイペースであった。


674 : シャーク・オブ・チェンソー ◆DWDMFPPpRw :2020/06/07(日) 05:48:43 /6lN/PwY0

【名前】デンジ
【出典】チェンソーマン
【性別】男性
【人物背景】
 漫画『チェンソーマン』の主人公。自称16歳。死別した父親の借金を背負い、自身の臓器を売るほど貧乏な生活を送っており、瀕死の悪魔ポチタと出会い血を与え契約して以来、ヤクザに雇われて主にデビルハンターとして活動して生計を立ててきた。
 ゾンビの悪魔と契約してゾンビ化したヤクザたちに一度は殺害されるが、ポチタが心臓となり身体を再生させたことでチェンソーの悪魔へと変身する能力を手に入れた。
 ゾンビの悪魔とヤクザたちを皆殺しにした後、マキマに拾われて公安所属のデビルハンターとなった。

【能力・技能】

・チェンソーの悪魔
 意識や姿は人間だが、チェンソーの悪魔に変身できる。
 胸から生えたスターターロープを引っ張ることで変身する。変身すると、頭部全体がチェンソーを模した形状になり、両腕からも腕を貫くようにガイドバーとソーチェン(以下”刃”)が生える。
 刃は自分の意志で足からも出せるほか、腕のものは引っ込めることもできる。刃は実際に体を裂いて出現しており、変身後に貧血になることもある。
 戦闘の際は、主に体の各部の刃で切りつけたり貫いたりする。応用として、チェーンだけ取り外して拘束具にすることができる。
 悪魔や魔人と同様に血液が重要なエネルギー源になっている。基本的に不死身で、血液を摂取すれば回復する。
 ただし蘇生には血を供給されるか、変身の動作を代行してもらう必要があるため、誰かの介入がなければ死んだままで無防備である。
 血液が不足していると、再び変身しようとしても途中で変身が止まってしまったり、特定の動作をしても武装が現れなかったり、損傷だけが回復して人間の姿に戻ってしまったりする。
 
【スタンド】クラッシュ
【破壊力 - D / スピード - A / 射程距離 - B / 持続力 - A / 精密動作性 - A / 成長性 - C】
【能力詳細】
 サメの様な姿をした遠距離操作型のスタンド。液体から液体へ瞬間移動することが可能で、この能力を活用しての奇襲攻撃が得意。液体であれば水のみならずスープやワイン、涙、血などにも瞬間移動できる。標的に食らいついた状態ならば、標的ごと瞬間移動する。
 液体の容量により、ある程度スタンド像のサイズが変化し、場所によっては現実の鮫ほどのサイズにまで巨大化できる。
 スタンドパワーが専ら水量に依存するためか、攻撃力は他のスタンドと比べると高くないため、標的の急所を狙わなければ致命傷は与えられない。
 弱点はスプーン一杯程度の液体があれば移動できるが、全く水が無い場所には瞬間移動不可能であることと、間隔は精々2・3メートル程度だということ。

【備考】
 デンジの参戦時期は永遠の悪魔の後
 デンジの制限の匙加減は書き手に任せます

【方針】
 とりあえずプッチを殺せば万事解決じゃね?


675 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/07(日) 05:49:01 /6lN/PwY0
投下終了です


676 : 名無しさん :2020/06/07(日) 13:01:01 gHl3kr4o0
>>664
お前はアトゥム神だ


677 : ◆NIKUcB1AGw :2020/06/07(日) 18:31:34 71mU5MEg0
投下します


678 : ねえ、今から殺れるよ ◆NIKUcB1AGw :2020/06/07(日) 18:32:29 71mU5MEg0
それは事情を知らない者が見れば、天変地異に見えたことだろう。
とある雑居ビルの屋上にだけ、雨が降り注いでいたのだ。
その時点で、すでに常識ではあり得ない現象だ。
だが、不可思議な現象はさらに続く。
降っていた雨が、一瞬にして雪に変化したのである。

「雪もよし……。いよいよ、本命ね」

その光景を、屋上に繋がるドアの向こうから一人見つめる女がいた。
女が念を込めると、雪は瞬く間にやむ。
そして次の瞬間、天から落ちてきた雷光が屋上を直撃した。


◆ ◆ ◆


「雷も落とせる……。これなら……勝ち残れるかも……」

黒焦げになった屋上を見つめながら、女……ナミは呟く。
彼女に支給されたスタンドは、「ウェザー・リポート」。
天候を自在に操作できるという、非常に強いパワーを持つスタンドだ。
そして気候に関して豊富な知識を持つナミにとって、相性は抜群であった。

(落雷をまともに食らえば、普通は即死……。
 運良く死ななかったとしても、しばらく動けなくなるくらいのダメージは受ける……。
 それこそ、あいつみたいなゴム人間でもない限り……。
 って、あいつらのことなんて引きずってる場合じゃないでしょ。
 所詮は一時的に手を組んだだけの連中なんだから)

彼女は、海賊専門の泥棒として活動していた。
だが何の因果か、とある海賊団と行動を共にすることになった。
それは、居心地のいい集団だった。
しかし彼女には、果たさなければならない使命があった。
それ故に彼女は、海賊たちを裏切り船と宝を持って逃げた。
そしてその直後、彼女はこの儀式に参加させられてしまったのだ。

エンリコ・プッチと名乗ったあの男の力は、未知数だ。
まったく察知されることなく洋上の自分を拉致し、さらにスタンドなる悪魔の実の能力とはまた異質の異能を他人に与えることができるらしい。
刃向かったところで、勝てる可能性は低い。
ならばおとなしく従い、優勝による帰還を目指すのがもっとも堅実である。
強者に理不尽な服従を強いられるのは、もう慣れっこだ。

(とはいえ、真っ向勝負は可能な限り避けるべきね……。
 他の参加者が私よりさらに強力なスタンドを持ってる可能性は充分にあるし、
 何より私自身が強くなったわけじゃない。
 頭を使って切り抜けていかないとね)

そんな考えを巡らせながら、ナミは急いで階段を駆け下りる。
能力確認のためだったとはいえ、雷はあまりに目立ちすぎる現象だ。
誰かの能力と考え、様子を見に来る参加者もいるだろう。
そんな相手と遭遇し、自分の能力がばれてしまうのはよろしくない。
せめて「自分も雷を見て、確認に来た」と言い訳できる程度には離れなければならない。

(それにしても……)

ふと、とある思いがナミの脳裏をよぎる。
曲がりなりにも、自分は海賊という荒くれ者を相手にしてきた身だ。
敵意を持って自分を攻撃してくる相手なら、容赦なく命を絶てるだろう。
だが、全ての参加者が好戦的とは限らない。
戦意のない者を殺さねばならない状況になったとき、自分は実行できるのか?
ましてや、それが幼い子供だったりしたら……。

(ああもう、そんなこと考えたってしょうがないじゃない!
 生き残るためには、やるしかないんだから!)

陰鬱な思いを抱えながら、ナミは走る。

「ウェザー・リポート」。あらゆる天気をもたらすスタンド。
しかし、人の心を晴らすことはできない。


679 : ねえ、今から殺れるよ ◆NIKUcB1AGw :2020/06/07(日) 18:33:29 71mU5MEg0


【名前】ナミ
【出典】ONE PIECE
【性別】女
【能力・技能】
『天候予測』
感覚で天気の変化を感じ取り、即座に対応することができる。

『棒術』
棒を武器にして戦うが、あくまで護身術程度。
愛用の棒は没収されているが、代用品を見つけるのは難しくないだろう。

『盗み』
すれ違った相手から財布を掏るくらいは朝飯前。

【人物背景】
海賊に支配された故郷の村を取り戻すため、海賊専門の泥棒として金を稼いでいた少女。


【スタンド】ウェザー・リポート
【破壊力:A/スピード:B/射程距離:C/持続力:A/精密動作性:E/成長性:A】
【能力詳細】
天候を操るスタンド。
能力の応用性が広く、天候に関連付けることができればかなり無茶な現象も起こせる。
今回は制限により、天候を操作できるのは本体の半径10メートル以内となっている。

【備考】
参戦時期はメリー号を奪い、ココヤシ村に向かっている途中。
【方針】
優勝狙い


680 : ◆NIKUcB1AGw :2020/06/07(日) 18:34:27 71mU5MEg0
続けて、もう1本投下します


681 : 有名ザコならこの人は外せない! ◆NIKUcB1AGw :2020/06/07(日) 18:35:32 71mU5MEg0


「恐ろしく速いスタンド、俺じゃなきゃ見失っちゃうね」


【名前】団長の手刀を見逃さなかった殺し屋
【出典】HUNTER×HUNTER
【性別】男
【能力・技能】
めっちゃ目がいい。

【人物背景】
幻影旅団を抹殺するために、マフィアが集めた殺し屋の一人。
クラピカやゾルディック家を除く有象無象の中では、トップクラスの実力者だった模様。
監視カメラの映像から一般人を装っていたクロロの正体を見抜き勝負を挑むものの、あっけなく殺害された。

【スタンド】タワーオブグレー
【破壊力:E/スピード:A/射程距離:A/持続力:C/精密動作性:E/成長性:E】
【能力詳細】
クワガタの姿のスタンド。
スタープラチナをも上回るスピードで飛び回り、口から出す「塔針(タワーニードル)」で攻撃を行う。

【備考】
参戦時期は団長の手刀を見逃さなかった直後
【方針】
優勝狙い


682 : ◆NIKUcB1AGw :2020/06/07(日) 18:36:29 71mU5MEg0
投下終了です


683 : ぬらりくらりと ◆XksB4AwhxU :2020/06/07(日) 18:41:16 Qgr/mrJY0
完成したので投下します。


684 : ぬらりくらりと ◆XksB4AwhxU :2020/06/07(日) 18:41:28 Qgr/mrJY0
ヒタ…ヒタ…ヒタ…
漆黒の静寂な町に足音が響く…
ヒタ…ヒタ…ヒタ…
ところが、キツネかタヌキに化かされているのか、音だけで姿は見えない…
ヒタ…ヒタ…ヒタ…
ガチャ…コポポポポ…ツツ――…
ヒタ…ヒタ…ヒタ…
ストン…ズズ―ーーー…
「フゥー…ワインもいいですが、日本の妖怪としてはやはり「茶」ですかね」
民家に侵入し、座布団に座り、湯呑に注がれたお茶を飲んでいる老人…
名はぬらりひょん。人間の世に憂い、「妖怪復権」のために暗躍していた「妖怪」。
「おそらく、エンリコ・プッチなる人間の手で蘇ったんでしょうね」
ぬらりひょんは人間と妖怪の大戦争を仕掛けたが、失敗に終わり同士の無駄死の責任を取るべく、「自爆」して消滅した。
「それにしても「殺し合い」とは…鬼太郎君。やはり人間という種族はおろかじゃないですか?」
ぬらりひょんは、同じ「妖怪」でありながら自らの願いに賛同しない宿敵の名を呟く…
「さて、私に支給された「すたんど」?とは、これですか」
ぬらりひょんに対峙して立っている緑色の人型…「オシリス神」
「ふむ…「賭け」がこのすたんどの能力なんですね…これで魂を奪い、殺し合いに参加しろというわけですか…」
説明書の紙を読み、能力を把握したぬらりひょん。
「人間どもの魂を奪えるとは最高ではありませんか。ですが…痩せても枯れても、このぬらりひょん!人間の指示になど従いません!!」
人間を殺すことに抵抗はないが、人間の「手のひら」に踊るわけにはいかない!
「ですが、殺し合いに参加しないとはいえ、人間と手を組むなんてありえません」
「人間」と相いれない。それはそう簡単に覆せない想い。
「…ですので、「ぬらりくらり」とまずは、行きましょうか…」
ぬらりひょんは、そう言うと民家を出て、闇夜に溶け込んだ…


685 : ぬらりくらりと ◆XksB4AwhxU :2020/06/07(日) 18:41:40 Qgr/mrJY0
【名前】ぬらりひょん
【出典】ゲゲゲの鬼太郎(6期)
【性別】男性
【能力・技能】
敵味方問わず常に丁寧語で話し、に奸知や話術に長け、言葉巧みに周囲を翻弄し、人心掌握及び扇動や交渉を行うなど老獪さを持つ。
【参戦時期】最終話、自爆して消滅後

【スタンド】オシリス神
【破壊力:E/スピード:D/射程距離:D/持続力:C/精密動作性:D/成長性:D】
【能力詳細】
能力は「賭けに負けた者の魂を奪い、コイン状に変える」こと。
本体が負けを認めない限り奪われた魂は肉体には戻らず、魂が戻らないまま本体が死ぬと奪われた魂は死に向かう。
負けとは文字通り賭け事勝負での負けを指す。
が、例え賭け事自体がまだゲーム決着前であったとしても、本人が心の中で負けを認めてしまうとその時点で魂を抜かれてしまう。
【方針】
ゲームには乗らず、「ぬらりくらり」と行く。
もしものときのため「賭け」の道具を調達する。
殺し合いがさけられない場合はもちろん、スタンドの能力で殺す。


686 : ぬらりくらりと ◆XksB4AwhxU :2020/06/07(日) 18:41:55 Qgr/mrJY0
投下終了します。


687 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/07(日) 20:27:14 8L4wazz60
投下します


688 : 受け継がれる意思 ◆DWDMFPPpRw :2020/06/07(日) 20:29:15 8L4wazz60

 山奥の森林地帯。人工物の灯りもなく、月のみがその光景を照らしている。
 そんなアウトドアな場所にて、のそりと歩き続ける一体の獣。
 熊(グリズリー)だ。
 身の丈5mはありそうな巨大なその獣は、非常に苛立っていた。
 不運にも彼は、その巨体を支えられるだけの餌にありつけておらず、涎を滴ながら血眼で獲物を探している。
 何でもいいから食いたい。柔らかい臓物を口一杯に頬張りたい。
 獣ゆえ単純な動機だが、その必死な祈りに答えたのか、やがて熊は幸運にも獲物を見つけた。 

「や……や…………えん」

 人間の雌だ。髪型はサイドテール、装いは制服。熊は知らないし知るよしもないが、つまりはJK(女子高生)が居た。 
 彼女は接近する熊に気がついていない。恐ろしいものでも見たのか、震えながら泣いており、何やら呟いている。
 獲物の事情など知ったことではない。弱肉強食。それが熊の世界のルール。

「グルルルルァァ!!」

 衝動のままに熊は雄叫びをあげる。漸く背後に迫る熊に気がついた彼女は、眼前に迫る巨体に唖然としていた。あまりにも突然のことで、逃げるそぶりすら見せられなかった。

「ーーーーーや、やば ッ た ッ!」

 断末魔もそこそこに、鋭い爪の一撃が彼女の腹部を切り裂いた。
 小柄な体が人間など比較にならない暴力で吹っ飛ぶ。裂けた腹から内蔵がロープのようにばら蒔かれた。その香ばしい血の香りに酔った熊は、ぐったりとした獲物に駆けつける。

「……や、や」

 まだ辛うじて息があるのか微かに呻く。そんな事に構うことなく、まずは柔らかい腹から食おうとのし掛かった。
 それが熊にとっての不運だった。
 丁度熊と地面の間にJKが『挟まれた』。その瞬間、不思議なことが起こった。

 何が起こったのか、ただの熊である彼には分からない。
 それは、今まさに彼のご馳走になっていたJKに与えられていた『スタンド』によるものであったからだ。
 ぐにゃり、と世界が反転する感覚。
 木々、月、そして獲物。何一つ変わらない光景のなかに、異常なものがひとつ。

「「!?」」

 己の前に同族がいた。自分と同じ大きさで、同じ臭い、何もかもが同じ個体。
 彼は恐怖した。分かってしまったからだ。
 野生の勘とも言うべきか、それが似たような雄ではなく、自分であると!
 そして、それがどうしようもなく不味いことだと直感で理解してしまった。

「「グル!?!ガアアアアア!!!」」

 同じタイミングでの絶叫。二体の獣はお互いを認識した瞬間、まるで二つのスポンジが重なりあうように塵となって消滅してしまった。
 その場に残されたのは、腸を切り裂かれ死にかけたJKと、軽傷こそあるものの彼女と『全く同じ姿』をしたJKのみ。  
 腸を晒し、あと数秒で息絶える寸前の彼女ともう一人の視線が交差する。
 次の変化は迅速だった。
 死にかけた彼女から出現するヴィジョン。
 兎のような耳と全身の縫跡が特徴の人型のスタンド『D4C』が、もう一人の背後に移動する。その記憶と、能力を託して。

「……や……」

 肺に残された微かな空気を吐き出して、彼女は死んだ。その死に顔は苦痛の他に、何かを言い残したい。そんな表情であった。
 自分が死ぬ光景というおぞましいものを見せつけられた無傷の方のJKは、しばし呆然としつつ、やがて一言呟いた。
 偶然か必然か、それは『基本世界』の彼女がこの場で言えなかったことを言い当てていた。


689 : 受け継がれる意思 ◆DWDMFPPpRw :2020/06/07(日) 20:30:00 8L4wazz60




「……や、やばたにえん」




【名前】やばたにえんちゃん
【出典】Twitter
【性別】女性
【人物背景】
 やばたにえんと呟きながら毎回死にそうになっている可哀想なJK。サイドテールの髪型が特徴。
【能力・技能】
 基本的にただのJK。しかし、絶体絶命の状況のイラストが何枚も存在することから、実はどんな危機からも必ず生還する強者とか言われたり(異能生存体扱い)、「やばたにえんのむり茶漬け」という進化形態の言葉が生まれたり、真偽は不明だが永谷園の株価に変動を与えたと噂されたり、よく分からないことになっている。

【スタンド】Dirty Deeds Done Dirt Cheap(D4C)
【破壊力:A/スピード:A/射程距離:C/持続力:A/精密動作性:A/成長性:A】
【能力詳細】
 巨大な2本の角がウサギの耳のように生えた頭部と、全身にある縫い目状の模様が特徴な人型のスタンド。
 平行世界を自在に行き来することができ、さらに他者を異世界へ引きずり込む(又は送り出す)ことができる。
 本体以外に同じ存在が1つの世界に存在することはできず、二つが出会うとスポンジが重なりあうように消滅する。
 発動のトリガーは何かの隙間に挟まれる、或いは挟み込むこと。
 制限として、「基本の世界」はこのロワ中に固定されており、本体が平行世界に移動しても時間経過で強制的に戻されるようになっている。
 また、本体が致命傷を負っても、並行世界の自分に意思とD4Cを託すことができる。

【備考】
 D4Cによって平行世界のJKに能力が引き継がれました。
 引き継げる回数には制限がありますが、具体的な詳細は書き手に任せます。

【方針】
・(殺し合いとか)やばたにえん……


690 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/07(日) 20:57:18 8L4wazz60
投下します


691 : ソーシャル・ディスタンス ◆DWDMFPPpRw :2020/06/07(日) 20:58:46 8L4wazz60

「このスタンドは『密』ですね。みなさん、『三密』にはお気を付けを」

 これが都知事……!


【名前】都知事
【出典】三密使いの都知事
【性別】女性
【人物背景】
 実在する人物とは一切関係ありません

【能力・技能】

・三密使い
 『密』の詠唱で以下の能力を行使できる。判明しているのは二つのみ

 密『接』
 他者との距離を強制的に2m間を開けることができる。

 密『閉』
 密閉空間の窓やドアを遠距離から破壊し、強制的に換気させる。

残り一つは不明

【スタンド】ブレイン・ストーム
【破壊力:?/スピード:?/射程距離:?/持続力:?/精密動作性:?/成長性:?】(詳細不明)
【能力詳細】
 群体型スタンド。
 パズルのようなブロックを組み合わせたような形で、小さい触手が端に生えている。
 対象の表面に触手で取り付き、回転して奥の方へ穴を広げていく、その際に毒素を流し込み体内で倍々に増殖し、溶血(赤血球の崩壊のこと)を引き起こす能力を持ち、最終的には、跡形もなく相手を崩壊させる。ただし、穴が開き始めるまで、少しの時間があり、水で洗い流すことが出来る。
 基本的に木や架線などの媒体を使って対象にスタンドを送り込んでいるが、本体が直接触って移すことも出来る。

【備考】
 三密の制限は書き手に任せます

【方針】
 この催しの『密』を回避する


692 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/07(日) 20:59:28 8L4wazz60
投下終了です


693 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/07(日) 22:57:16 8L4wazz60
投下します


694 : 佐天「相手の能力をコピーする能力かぁ」 ◆DWDMFPPpRw :2020/06/07(日) 22:58:10 8L4wazz60


「でも私、折り紙そこまで得意じゃないんだけど……」


【名前】佐天涙子
【出典】とある科学の超電磁砲
【性別】女性
【人物背景】
 柵川中学に通う、中学一年生。黒髪ロングのスレンダーな美少女。
 男性ミュージシャンのファンだったりスイーツ情報を調べ上げていたり都市伝説と聞くと目を輝かせたりと、物事に対して達観しがちな主要メンバーの中では一番中学生らしい中学生。

【能力・技能】
 能力はレベル0の『空力使い』であり能力開発も進まないため、強い憧れを抱いている能力者達に追いつけずに悩んでいるが、天真爛漫な性格と言動でそれを隠し明るく日々を生きている。
 御坂美琴ら主要4人組の中でも彼女は唯一のレベル0である為、その焦りがトラブルを引き起こした事もあれば、逆に彼女の存在が幸いして思わぬ起死回生の大活躍を見せた事もある。

【スタンド】スモールフェイセズ
【破壊力:E/スピード:C/射程距離:C/持続力:A/精密動作性:?/成長性:A】
【能力詳細】
 具現化した用紙のような姿をしたスタンド。
 能力は「スタンド能力をコピーし、使用できる」こと。
 ただし、コピーには条件があり、「スモールフェイセズ!」と叫び、特定のポージング(ジョジョ立ち)をしなければならない。ポージングは能力により異なる。
 スタンド用紙を折り紙の要領で折り、スタンド像の『顔』を作ることでコピー完了。
 新しい能力をコピーしても、かつてコピーした能力がリセットされることはなく、何度でも使用できる。
 コピーするスタンドの本体の顔を見ている必要がある。視認は直接、ないし映像からでも可能。
 ただし、同時に複数の能力を使用することは出来ず、コピーする対象もスタンドの矢で目覚めたスタンドでないとコピーできない。よって、矢で目覚めた訳ではないスタープラチナやクレイジー・ダイヤモンド等はコピー不可。
 明言されていないが、道具型等の『顔』の無いスタンドもコピーすることが出来ないと思われる。
 また、コピーできるのはあくまでも「能力」であるため、破壊力などがアップする訳ではない。
 上手く使いこなせるかどうかは本体次第。とはいえ、条件さえ揃えばザ・ワールド、キラークイーン等でもコピー出来る強力なスタンドでもある。

【備考】
 採用された場合、参戦時期は書き手に任せます。

【方針】
 この殺し合いから脱出する


695 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/07(日) 22:59:26 8L4wazz60
投下終了です


696 : ◆mg.DCgSR.Q :2020/06/08(月) 00:26:25 dF8xn5o.0
投下いたします。


697 : どこまでも届く俺の腕 ◆mg.DCgSR.Q :2020/06/08(月) 00:28:43 dF8xn5o.0
 暦の呼称が〝コズミック・イラ〟へと変化して七十年が経過した頃。
 地球に住まう者達と、宇宙へと進出した人類の新たな住処であるスペースコロニー群による連合国家プラントによる戦争が幕を開け、即座に激化した。
 遺伝子調整によって生まれた、強靱な肉体と優秀な知能を持つ新人類……コーディネイター。
 彼らの住まう先述の国家プラント有する農業用コロニーが、核ミサイルによって壊滅したのが激化の理由である。
 核を放ったのは、地球連合軍という巨大な組織を立ち上げ、僅か三日前に宣戦布告をしていた地球側だ。
 地球連合軍を構成するのは。逆に遺伝子調整を成されていない、ナチュラルと呼称される人類。
 後に〝血のバレンタイン〟と呼ばれたこの事件により、双方はブレーキが存在しない泥沼の戦を続けることとなった。
 人種間の差別や報復に次ぐ報復などといった忌むべき災厄が、人々を負の熱狂へと駆り立てる。
 果たして戦いは更に激しさを増したが、最後にはこの争いを扇動する悪が討ち取られた事で……双方の人類は、一時的ではあったが平和と安寧を手にすることとなる。
 多くの悲しみと、とある大きな取りこぼしを残して……。


 ◇ ◇ ◇


 人はおろか野生動物すらいない、静けさが支配する巨大な十字路の中央に、黒髪の少年が立っていた。
 彼が身に纏うは、プラントが構成する軍隊〝ザフト〟のエリート軍人であることを示す赤い軍服だ。
 同時にそれは、彼がコーディネイターであることをも意味する。
 少年の名は、シン・アスカ。ナチュラルとコーディネイターによる戦争にて生まれた〝大きな取りこぼし〟だ。

 彼は地球に存在する中立国で、家族と仲睦まじく暮らしていたごく普通の少年であった。
 しかし地球とプラントの戦争の火種が、戦争への介入を拒んでいた自国へと降りかかった時、彼の運命は呆気なく負の方角へとねじ曲げられることとなる。
 
 家族総出で避難のために奔走していた際、悲劇が起きたのがきっかけだった。
 フリーダム、カラミティと名付けられた二機のモビルスーツ――いわゆる人型巨大ロボットの総称である――の間で繰り広げられる戦闘の余波が、アスカ家へと迫り来る。
 そして、どちらが放ったものなのかはついぞ解らなかったが、妹が落とした携帯電話を拾いに場を離れたシンを除く家族三人が、凄絶なる攻撃に巻き込まれ……命を失ったのだ。
 独り取り残されたシンは遺品となってしまった携帯電話を手に慟哭するしかなく、自分達の幸せを蹂躙する戦争へと深い怒りと憎しみを抱いた。
 やがて彼は怒りを胸にザフト軍人となり、エリートであることを示す赤い制服を纏った。
 奇しくも再開された地球とプラントの戦争を終わらせるために。その果てに、争いの起こらない世界を作り出すために。
 シン・アスカは自身の青さや周囲の環境に振り回されながらも、必死に奔走したのである。

 だが、結果は無残なものであった。

 護りたかった少女を失い、共に戦場を駆けた戦友を失い、最後には敗北を喫した。
 世界は混沌が続くことを約束され、シンの望んだ〝争いのない世界〟は更に遠ざかっていった。
 もっと己に力があれば、このような結果は覆されていただろう。
 だが、足りなかった。故に、彼の物語はここで幕を下ろされる。
 果たして未来はどうなってしまうのか。シン・アスカの理想は全て否定されて終わるのか。
 半壊し、月面に墜ちた自身のモビルスーツ〝デスティニー〟は……何も答えてはくれなかった。


698 : どこまでも届く俺の腕 ◆mg.DCgSR.Q :2020/06/08(月) 00:29:46 dF8xn5o.0
 そんな虚無を抱えたシンが悪趣味なゲームの舞台へと招待させられたのは、敗北した僅か数日後のことである。

「戦争に負けて……何もかも終わったと思ったら、今度は〝殺し合え〟か……」

 そんなに争いたいか。そんなにも争わせたいか。
 静寂の中、シンはプッチと名乗ったろくでもない神父に怒りを募らせていた。
 既に爆発寸前だ。両の拳は震え、今にも出血しそうなほどに力が込められている。
 あの神父には何度も何度も拳を振るわなくては気が済まない。
 同時に、今度こそ平和な日々を送りたい人々を護りたいとも強く思う。
 混沌を生み出す火種を消せないなんて、もう沢山だからな。
 シンは心中で、吐き捨てるように呟いた。

「でも、俺には、もう……」

 しかしこの地には、運命の名を冠するモビルスーツが存在しない。
 己が力の象徴であり結晶体とも言えるデスティニーの力を借りられない今、シンには揺らぎが生まれている。
 自分程度の人間が何を護れるのか。シンは自信やアイデンティティの類いを刈り取られていたのだ。

「……くそッ!」

 沸き上がる自己否定の嵐を吹き飛ばすためにと、シンは無人の大通りを疾走した。
 信号が赤色に灯っていようが関係なく、息を切らすまで自分をいじめ抜く。
 そうすれば何も考えなくてもよくなる気がした。自身の背にのし掛かる闇を振り払える気がした。
 しかしどんなに走っても、無力感はつきまとい続けるままで……そのことに気付いたのは、無意識に入り込んだ小道で息を切らし、立ち止まった先で両肩を激しく上下させていたときであった。

「俺に、俺に……ッ!」

 視界に入り込む病院やレストランの看板を睨み付け、独りごちる。
 二の句を継ぐには時間がかかった。だが彼もコーディネイター。
 常人、即ちナチュラルよりも遥かに早く呼吸が整い始めていた。
 そんな彼は、やがて左胸の辺りへと右手を――指を鉤爪の如く折って――構えると、

「今度は、どうしろって言うんだよッ!?」

 目の前の霧を振り払うかの如く、全力で薙いだ。
 そうしなくては、何もかも振り払えぬと思ったが故にだ。
 自暴自棄な叫びを上げた彼は、犬歯を剥き出しにし、顎を噛みしめる。
 奥歯が砕け、歯茎から血が流れ出すのでは……と見紛うほどの勢いだが、止める者はいない。
 そうして行き場のない怒りと苦しみに呑み込まれたまま、シンは腹の底から言語の体を成さぬ叫びを上げた。
 その様、さながら荒ぶる獣の如し。もはや彼を止められる者はこの世界には存在しないであろう。
 と、どこかに見知らぬ何者かがいればそういった感想を浮かべるであろう姿を晒していたときである。
 シンは、突如として違和感を覚えた。


699 : どこまでも届く俺の腕 ◆mg.DCgSR.Q :2020/06/08(月) 00:31:23 dF8xn5o.0
「……なんだ、これ」

 続いて「おかしいぞ……何か、おかしいッ」と目を見開く。
 視線の先には、個人で運営されているらしい小さな病院の看板が鎮座しているが、それは確かに彼が言うようにおかしなことになってしまっていた。
 ほんの数分前……看板には人名と共に〝内科・消化器科〟という文章が続いていた。
 だというのに、シンが右腕を振った瞬間、その文章は思いがけない変化を起こしたのだ。
 己が右手へと視線を向ける。既に彼は、違和感の正体に気付いていた。

「〝内科・消器科〟……どこに行ったんだ、化の一文字はッ! 化はどこだ! これじゃあ文章が成り立たなくなっているじゃあないかッ!」

 言葉通り、文章の一部が〝削り取られたかのように〟消失した看板の前で立ち尽くしたまま叫ぶ。
 すると右腕に覆い被さるように、白い半透明の何かが徐々に現れた。その正体は、奇妙な掌が特徴的な右腕だ。
 それだけではない。一分も経たぬ内に今度は青白い煙のような何かが身体中から湧きだし、まるで身体を鍛え上げた人間を模しているかのようなヴィジョンを形作る。
 例えるならば幽体離脱でもしたかのようにシンの身体全体から出現したそれは、僅かに浮遊したまますぐ隣へと落ち着いた。
 さながら〝最初からここが僕の定位置でしたけども〟とでも言わんばかりにだ。
 これが、スタンド? と心中で呟いたシンは、奇妙なヴィジョンの頭のてっぺんから爪先まで眺めた。
 
「アンタは一体……何なんだ……?」

 銀色のボディに晴れの日を思い起こさせる青の差し色。
 胴体と四肢は鍛え上げた人間にのみ与えられる美しい曲線で構成されているというのに、打って変わって頭だけは無機質な円柱型という奇妙極まりない外見。
 顔面も不可思議で……生命体感が一切皆無な無表情であるというのに、憤怒を抱いているようにも、悲しみを抱えているようにも見えてしまう。
 その顔に、シンは愛機デスティニーを重ねた。何故かは理解出来ないが、重ねていた。

「〝空間を〟……〝削り取る〟……?」

 急いでデイパックから取り出した心許ない説明書の一部を抜粋し、音読する。

「右手で削り取った物体の切断面は……〝元々そうであったかのように〟閉じる……」

 その声は、震えていた。

「削り取られたものがどこにいくのかは、解らない。元通りにも、ならない……!」

 だが恐怖からではない。
 それは、突如として顔を覗かせた僥倖に対する喜びからだった。


700 : どこまでも届く俺の腕 ◆mg.DCgSR.Q :2020/06/08(月) 00:32:29 dF8xn5o.0
「それが……〝ザ・ハンド〟ッ!」

 遂に名を呼ばれたスタンド、ザ・ハンドはシンの叫びに呼応し、今度は右手を縦に振り下ろす。
 肉球が二つ付いているかのような右手が次に削り取ったのは、飲み屋への進路を示す案内板だ。
 再び、刻まれていた文字が削られる。スナック吉良という店名が〝スナック良〟へと変化する。
 覆水盆に返らず。当然これも元に戻らない。元々そうであったのだと、世界が認識したためだ。

「これが、俺の、この街での力……!」

 削り取る。消滅させる。元々そうであったかのように加工する。
 それはまるで己が愛機の如く、シンの願いが形になったかのようであった。
 戦争のない世界が欲しかった。争いというものを滅ぼしたかった。平和と幸福を作りたかった。
 まるでザ・ハンドは、そうした想いの結晶のようじゃあないか。

「これなら……これなら、出来る!」

 ザ・ハンドならば出来る。
 戦争の火種を削り取り、誰かの不幸を消滅させ、世界の平和なものへと加工させられる。
 自身とデスティニーだけでは辿り着けなかった未来へと、辿り着けられる。
 あともう少しで手が届かなかった全てにも、この新たな〝手〟があれば……きっと!

「今度は、俺自身の道を進んでやる! 今度こそ、この〝手〟で運命を切り開くんだッ!」

 次は、この新たな力と共に、理想を叶える手段を模索しよう。
 誰にも縛られず、流されず――時間はかかるだろうが――戦争を根絶するために。
 理想を、今度こそこの〝手〟で現実にするために!

「そのために、エンリコ・プッチ……アンタという悪を消し去ってやるッ!」

 スタンドと共に右腕を天に伸ばしたシンは、力強く拳を作り宣言する。

「このプレゼントは、そのために使ってやるさ!」

 彼の赤い瞳には、消えていたはずの熱い炎が再点火されていた。



【名前】シン・アスカ
【出典】機動戦士ガンダムSEED DESTINY
【性別】男性
【人物背景】
 遺伝子調整によって誕生した新人類〝コーディネイター〟の少年。
 地球の中立国に住んでいたが、戦禍に巻き込まれたばかりか目の前で家族を失う。
 その後、祖国の軍人による勧めで宇宙コロニー群国家〝プラント〟へと身を移し、ザフトという軍へと入隊。
 めきめきと頭角を現し、エリート軍人及びモビルスーツ(人型巨大メカ)の正式パイロットとなった。
 戦争のない平和な世界を現実にするため邁進するが、周囲の人間や環境によって、ある日を境に迷走する羽目に。
 結果、彼は理想を手にすることなく敗北し、混迷の一途を辿る世界を変えられなかった絶望を抱くのだった。

【能力・技能】
 モビルスーツと呼ばれる人型巨大メカを巧みに操作することが出来る。
 劇中で搭乗していたのはインパルス及びデスティニーの二機。
 また、出生前の遺伝子調整によって、生まれつき高い身体能力や知的能力を手にしている。
 更に彼は〝SEED〟と呼ばれる、戦闘能力が飛躍的に上昇する因子的な何かを持つ数少ない存在である。
 とはいえ人間であることには変わりないので、致命傷を受けると普通に死亡する。


【スタンド】エニグマ
【破壊力:B/スピード:B/射程距離:D/持続力:C/精密動作性:C/成長性:C】
【能力詳細】
 白と青が美しい人型スタンド。ボディは人間的だが頭部は人工的。なんとも言えない表情をしている。
 ステータスこそ控えめだが、能力は〝右手で掴んだモノを何でも削り取る〟という恐ろしいもの。
 更には、削り取られたモノの切断面は元通りになるかのようにぴったりと閉じられてしまう。
 物体のみならず空間すら消失させられるため、切断面が閉じられる現象を利用した瞬間移動も出来る。
 同じ理論で、狙った人間や物体を瞬間移動させるという技もやってのけられる。
 削り取るときの擬音は「ガオン!」である。



【備考】
 TVアニメ版最終回を迎えた直後からの参戦です。
 スペシャルエディションや小説・漫画版などは現状では考慮しておりません。


【方針】
 誰かの平穏を壊す存在を倒し、弱者を護る。
 エンリコ・プッチを倒した後は、自身とデスティニーとザ・ハンドの力で理想を現実にする方法を探したい。


701 : ◆mg.DCgSR.Q :2020/06/08(月) 00:32:55 dF8xn5o.0
投下終了です。


702 : ◆mg.DCgSR.Q :2020/06/08(月) 00:41:22 dF8xn5o.0
>>700の状態表に誤りがありました。

【スタンド】エニグマ ×

【スタンド】ザ・ハンド ○

大変失礼しました。


703 : ◆EPyDv9DKJs :2020/06/08(月) 21:51:48 s9hFPCwE0
投下します


704 : ◆EPyDv9DKJs :2020/06/08(月) 21:54:52 s9hFPCwE0
 昭和に、白鳥由栄と言う『脱獄王』と呼ばれる男がいた。
 約七十年と言うの生涯の中で、四回も脱獄に成功している。
 一日に百二十キロと言う、とんでもない距離を走る脚力、
 手錠の鎖をちぎる腕力と、人間離れした能力を有していた。

「おいおい、神父様のすることかよ。」

 ベッドや洗面所との最低限のものだけが置かれ、
 鉄格子によって出ることが叶わない、狭苦しい一室。
 誰が見ても、これは牢屋だと言うことが、中にいる彼でも理解できた。
 紫の半纏を羽織った、坊主頭の男は呆れ気味に記憶に残った神父を野次る。
 一方で、牢屋へと飛ばすと言う発送は、よく分かってる男とも思えた。
 仮にも脱獄王と呼ばれた男だ…もっとも、昭和ではなく明治の脱獄王だが。

「金塊どころの問題じゃあ、ねえよなこれは。」

 彼、白石由竹はただの脱獄囚ではない。
 アイヌから金塊を奪ったのっぺら坊によって、
 金塊のありかを示す入れ墨を掘られた、入れ墨の囚人の一人だ。
 彼もその金塊に肖ろうと、金塊を求める杉元達に協力してたところ、
 そんなことを言っている場合ではない、常軌を逸してる状況に巻き込まれた。
 仲間の一人に神秘的な能力を用いた人がいたので、状況の飲み込みは多少はあったが、
 やはり此処まで大掛かりなことができる奴がいることには、驚かされた。

(こういう戦いは基本杉元の役割だぞ? なんで俺なんだ?)

 白石は脱獄囚と響きは恐ろしいが、戦闘能力は貧弱極まりない。
 殺し合いで勝ち抜くなんてできるとは思ってないし、素直に逃げの一手を選ぶ。
 正面戦闘するよりは、金塊を狙った方がよっぽど生き延びられるというものだ。
 特に戦力は杉元含め手練ればかりを思うと、一人の今と比べれば圧倒的に差が出る。
 ならば、頭を爆破されるのを何とかしなければならない。

「こんなところじゃ情報は集まらねえし、とっとと出るか。」

 となれば、情報が必要になるのは必然。
 白石にとって、情報というものはかなり大事なものだ。
 脱獄できるのは、目聡く施設や警備の穴を知ってるからこそでもある。
 杉元一味では情報収集以外では役に立たないので弄られることも多いが、
 彼が提供した情報が役に立たなかった、と言う展開は殆どないのが証拠だ。
 こんな牢屋にいても人が来るとは思えないし、いつものごとく脱獄の道具を探す。
 この程度の牢獄なら、針金で弄れば簡単に出られるのが彼の見立てなのだが───

「あれ?」

 ない。
 針金を隠したはずの場所に針金がなかった。
 いやな予感がして、全部の小道具を探すが、ない。
 喉の奥と言う、普通考えない場所にさえ、スッカラカンだ。
 原因はどう考えても、あの神父だろう。
 カミソリや釘等の凶器もあることを考えれば、
 ある意味没収は必然ではあるのだが、問題はそこではない。
 このままでは、此処から脱出することができない。そしてそれは死を意味する。
 禁止エリアに居座り続けると頭が爆発してしまう、と言うこの場の一番の危険。
 神父は発言から円滑に進めるつもりだ。となれば、禁止エリアは確実に増えるはず。
 では、神父は何処を重点的に禁止エリアとしていくか? 答えは決まっている。
 ろくに動かず穴熊、或いは籠城を決めて行動してないやつ、即ち今の白石。

(普通にまずい状況じゃねえか!?)

 事の深刻さに改めて気づき、焦りだす白石。
 得意の関節を弄るのも、今の目の前の牢屋では全く通用しない。
 冗談交じりに力押し。当然だが無理だ。この男にそんな力はないのだ。
 彼の焦りを音にしたように、ガシャガシャと喚くだけで、何も変わらず。
 と言うより、そんな力があれば小細工による脱獄はしないだろう。
 此処で白石の取れる選択肢は三つ。

 一つ、伊達男の白石は突如脱獄方法を思いつく。
 二つ、仲間と言うか、誰かが助けに来てくれる。
 三つ、脱獄できない。現実は非常である。

 はっきり言って、この状況で二番を選ぶことはないだろう。
 此処は殺し合いの場だ。勝手に死んでくれる相手に手を伸ばすのは、
 見捨てないであろう杉元達か、あるいは単純に善人ぐらいだ。
 非協力的な人物もいるらしいから、可能性自体はありえなくもないが、
 やはり殺し合いに乗らない奴が来る、と言う希望的観測を持ってはいけない。
 選ぶのは一番。どれか一つぐらい残されてるだろうと、再び確認を始める。
 慈悲の一つぐらいあるだろうと思うも、全身くまなく探して、結果はなし。
 答えは一つ、三…現実は非情なり。殺し合いを要求する時点で相手は無慈悲。
 …に見せかけて、一つだけ救いの手段があった。


705 : ◆EPyDv9DKJs :2020/06/08(月) 21:55:23 s9hFPCwE0
「そうだ、スタンドだ!」

 スタンド。それが何かは分からないが、
 説明によると精神的なものなのは言葉から察している。
 試しにスタンドが出るように念じれば、すぐに目の前に出てきた。
 出てきたのは白石同様に、人のように手足があるスタンドだ。
 両手の人差し指の爪が異様に長く、姿は何処か絡繰りめいた無機物感がある。
 動くように念じてみれば思いのほか動くし、牢屋もすり抜けてしまう。
 物理干渉も可能だと判明し、殴っても反動がないことを確認すると、
 すぐさま折に向かって拳のラッシュを叩きこむ。

「よし、これで脱出…」

 拳の速度は中々に早く、これなららくしょうだとおもったしらいし。
 だが、よく見みると鉄格子は悲鳴を上げながら『拉げてない』。原形は保ったまま。
 多少歪んでるので、続ければいいのだろうが、時間はかかる。
 こういう脱獄するときに限って白石は頭の回転がよいのもあり、
 スタンドを使い続けると疲れると理解しながら一度消し、
 もう一度神父の言葉を振り返った。

「スタンドには戦い以外に得手不得手もあるって言ってたな。
 円滑に進めるってんなら、使い方の一つや二つあるはずだよな?」

 と言うかあってくれ頼む。
 もはや縋るに等しいが、彼の願いは届かのように、
 デイバックの中から出てきた、短冊のような紙が一枚。
 説明書かと思って手に取ってを読み終えると、白石の口角が吊り上がった。





 牢屋の外。デイバックを持った白石が自分がいた場所を見やる。
 まるで白石がそのまま通り抜けたかのように、現場の状態は何も変わってない。
 いや、実際に彼は通り抜けた。この細い鉄格子の隙間を、悠々と歩きながら。

「こいつぁ最高にいいもんだぞ!」

 彼に与えられたスタンドは、リトル・フィート。
 自他、無機物含めて小さくなれる能力を持っていた。
 鉄格子に触れないほどに縮むことも可能で、物も縮められるこの能力。
 脱出できた喜びもあるが彼が喜ばしいのは、それが些細なことと思える程にこの先の事だ。

「これならやりたい放題じゃあねえか!」

 小さくなれる。つまりどんな牢獄だろうと抜け出せてしまう。
 鉄格子も、警備も、鍵も何もかもが無意味になるこの能力。
 それどころか、盗みも容易く行えてしまうものだ。
 脱獄の為、小細工を弛まぬ努力をする男ではあるが、
 楽して解決できる方が、白石の性にあっている。
 そうでなければ、博打にはまる遊び人ではないだろう。
 この能力をくれた神父には、寧ろ感謝するべきとさえ思えた。
 喜びの余り、子供のようにはしゃいでいるが、冷静になって考える。
 普通に殺し合いでも通用する便利なものなのでは? と。

 殺し合いで生き残るにしても、殺すにしても間違いなく使える部類だ。
 小さくなれば暗殺もできる。相手を縮めれば一方的な攻撃もできる。
 武器を運ぶにしても嵩張らない、実に便利な能力。

「…けど、殺し合いは遠慮しとくか。」

 それでも、殺し合いはリスクが大きすぎる。
 小さいと短距離を歩くだけでも時間がかかるし、
 スタンド本体の純粋な戦闘能力も、余り得意とは言えないだろう。
 参加者には、戦闘の経験がある杉元や尾形のような人物もいるはず。
 相手もスタンドと言う対等な立場で、この場合非力なのは間違いなく此方側。
 結局その差を埋めれず、スタンド次第で余計に差が開いてる可能性だってある。
 願いも、はっきり言ってこのスタンドがあれば別に欲しい願いなんて彼にはない。
 金にも酒にも、脱獄の時でさえ困らない能力であることを考えれば必然だ。
 シスターに会いたいと言えば会いたいが、リスクに見合わぬ願いである。
 ならばやるべきことは一つ。たった一つのシンプルな思想。
 脱獄あるのみ。

 此処はある意味、地上の牢獄。
 脱出も、易々とさせてはくれないだろう。
 しかし此処にいるのは、昭和の脱獄王以上に脱獄した明治の脱獄王だ。
 何処であろうと、牢獄で彼を縛り付けることはできない。


706 : ◆EPyDv9DKJs :2020/06/08(月) 21:55:53 s9hFPCwE0
【名前】白石 由竹
【出典】ゴールデンカムイ
【性別】男性
【人物背景】
脱獄王と呼ばれる、上半身に金塊の在処を示した入れ墨を持った脱獄囚の一人
シスター宮沢と言う同房が描いた女性に恋し、探すために服役しては脱獄してを繰り返し、
元は強盗と泥棒の刑期だった筈が、脱獄による罪の方が重くなるほどの脱獄を繰り返した
網走脱獄後、アシリパの取引によって金塊の分け前で杉元一味と行動を共にするようになる
博打、酒、女が好きな典型的遊び人で、脱獄するとき以外はドジで調子に乗るタイプ
戦闘能力も一味の中ではかなり低い等で、基本役に立たないと言うのが共通認識
サバイバルにも弱い。冬の北海道であんな恰好でいる辺り意識の低さが伺える
もっとも、一味の能力自体が作中でもかなりの手練れ揃いか知識豊富であり、
彼らと比べるのは、流石に酷というものだが

【能力・技能】
・明治の脱獄王
生まれつき関節が柔らかく、手先が器用で観察眼も鋭い
また脱獄の際には小細工もしっかりしており、喉の奥やら歯の隙間やら、
身体の至る所に脱獄に使えそうな小道具を仕込んでいる
なお、あくまで脱獄、脱出に関して発揮する能力であるので、
捕まるときは物凄く単純だったり、間抜けなことが殆ど
小道具には凶器たりうるものも多いので没収
後、脱獄は一人でするのが信条

・情報通
脱獄できる能力に加えて、
コミュニケーション能力は杉元一味でも一番
本人の遊び人気質もあってか、いろんなところで情報を得られる
白石が杉元一味で役に立てる、数少ない能力

・動物に好かれない
理由は不明だがあまり動物に好かれない
と言うよりは、関わった動物に基本頭を齧られる
多分ここでも齧られるだろう。白石だし

【スタンド】リトル・フィート
【破壊力:D スピード:B 射程距離:E 持続力:A 精密動作性:D 成長性:C】
【能力詳細】
人差し指に長い刃のついた、人型のスタンド。どこかロボットに見える
刃で切られた相手は時間はかかるが、際限なく縮んでいく(身に着けた物も一緒に縮む)
元のサイズに戻すのは一瞬で、言い換えれば一瞬でも意識を失うと元に戻ってしまう
小さくなると体重やそれに伴うパワーだけでなく、敵スタンド自体の力も落ちていく
元に戻る際は瞬発力が発生し、その衝撃で飛んだりと、できることは多い
小さくなるのは自分や非生物も可能な上に、これらは即座に縮む(数秒でポケットに入るレベル)
弱点として、縮むとパワーが落ちるのはこっちも同じで、普段気にしないレベルの小動物も危険に
破壊力は低いが、その割に小さい状態でタイヤを破裂させることができる程度に強い
スピードもエアロスミスの弾丸を無傷ではじく程度に素早い

縮んで隠れるだけで逃げには余りに強すぎるので、
自分を長時間縮め続けると強制的に戻される制限あり


【備考】
参戦時期は少なくともインカラマッに頼った競馬以降

【方針】
脱獄


707 : ◆EPyDv9DKJs :2020/06/08(月) 21:56:26 s9hFPCwE0
以上で明日を迎えに行こう投下終了し、

続けてもう一作投下します


708 : ◆EPyDv9DKJs :2020/06/08(月) 21:56:51 s9hFPCwE0
「地獄にようこそ♪」

【名前】オフェンダー
【出典】ニンジャスレイヤー(一応フロムアニメイシヨン)
【性別】男性
【人物背景】
ネオサイタマで活動する組織、ソウカイ・シンジケートのニンジャ
ソウカイヤの悪行を目撃した一般人の始末をすると言う、所謂下っ端の立場
典型的なソウカイニンジャであり、性格は残忍なサディスト
人の皮を剥ぐのが趣味で、すぐには剥がさず命乞いなどを聞いて楽しむ
此処に来る前も、マルノウチ・スゴイタカイビルで抗争の後始末をしていた

【能力・技能】
・ニンジャ
作中の半神的存在であるニンジャのソウルを宿した存在
人間離れした能力と、宿したソウルのクランによって、
得意なジツが異なるが、彼にジツはない。
ジッサイサンシタである

・カラテ
所謂作中における白兵戦能力
拳も多いが、イアイド等の武器を用いてもカラテを指す
しかし、彼はカラテもサンシタ。モータルを一方的に虐殺できる程度

・ナイフ使い
ダガーナイフで人の皮を剥ぐのが趣味を察するに、精密動作性は高い

【スタンド】ドリー・ダガー
【破壊力:A スピード:A 射程距離:C 持続力:A 精密動作性:B 成長性:C】
【能力詳細】
古いダガーナイフめいたスタンド
オフェンダーが受けたダメージの七割を、刀身に映った相手へと跳ね返す。
ダメージであれば種類も条件も問わず、相手が硬くても柔軟でもダメージを通す
必ず三割残るので自滅しかねないが、説明書も読まないサンシタには関係がなかった

【備考】
参戦時期は一話、フジキドの言葉にロード画面めいた沈黙の最中
一話開始時点以上にフラストレーションが溜まっている、危険な状態である!
彼は説明書を読んでない。ウカツ! スタンド・ジツもこれでは意味がない!

【方針】
フラストレーションがたまってるので皮を剥ぐ


709 : ◆EPyDv9DKJs :2020/06/08(月) 21:57:16 s9hFPCwE0
以上で『レッドブラック・オブ・デッド・ドッジ・オフェンダー』を投下終了します


710 : ◆NIKUcB1AGw :2020/06/09(火) 00:11:45 O182sTQY0
投下します


711 : ブタの逆はシャケだぜ ◆NIKUcB1AGw :2020/06/09(火) 00:12:52 O182sTQY0
「詰んだ……」

沈んだ声で、豚が呟いた。
むろん、それはただの豚ではなかった。
豚にしては妙に体が角張っているし、人間のような頭髪も生えている。
そして、セーラー服を着ている。
彼女は柊かがみ、今の通称は「かがぶー」。
何の因果か、豚のぬいぐるみになってしまった女子高生である。

さて、なぜ彼女が意気消沈しているのかと言えば、その理由は初期配置にある。
彼女が配置されたのは、よりによって流れの速い川の中州だった。
ぬいぐるみの短い手足では、向こう岸まで泳ぐだけの推力が生み出せない。
というか、材質的に水を吸って沈む。
ぬいぐるみとなったこの体が窒息死するのかは定かではないが、以前海で溺れたときは苦しかったのでたぶんする。
仮にしなかったとしても、川底に沈んだまま動けないということになる可能性が高い。
そんな、どこかの下っ端のクズのような末路は絶対に御免である。

「かといって、ここにずっといたって状況は改善しないし……。
 どうしろっていうのよ! いじめかーっ!」


◆ ◆ ◆


10分後、そこにはスタンドの頭に乗って川を遡っていくかがぶーの姿が!

「このスタンド、気に入ったーッ!!」


712 : ブタの逆はシャケだぜ ◆NIKUcB1AGw :2020/06/09(火) 00:13:45 O182sTQY0


【名前】かがぶー
【出典】ぶーぶーかがぶー
【性別】女
【能力・技能】
頭脳は人間だった頃そのままだが、運動能力は大幅に低下している。

【人物背景】
普通の女子高生だった柊かがみが、なぜかある日突然豚のぬいぐるみになってしまった姿。


【スタンド】暗青の月(ダークブルームーン)
【破壊力:C/スピード:C/射程距離:C/持続力:B/精密動作性:C/成長性:D】
【能力詳細】
半漁人のような外見のスタンド。
その外見に違わず、水中戦に特化した能力を持つ。

【備考】
・デイパックはかがぶーの体格に合わせた大きさになっており、入っている食料なども少なめになっています。
【方針】
生還


713 : ◆NIKUcB1AGw :2020/06/09(火) 00:14:30 O182sTQY0
投下終了です


714 : 鬼鮫という男 ◆XksB4AwhxU :2020/06/09(火) 06:06:07 Q8UFiQ2s0
完成したので投下します。
直後のスタンド被りとなってしまい申し訳ありません。


715 : 鬼鮫という男 ◆XksB4AwhxU :2020/06/09(火) 06:06:38 Q8UFiQ2s0
「さて、どうしましょうか」
闇が覆う大地に大男が立っている。肌は青色、歯は全て尖っており、瞳は可愛く小さな黄色。
名は干柿鬼鮫。霧隠れの里の抜け忍で「霧隠れの怪人」という異名で知られている忍。
「…私は確かに死んだはず。あの、プッチとかいう神父の仕業でしょうか?」
鬼鮫は情報を守るため、自らが口寄せして呼び寄せた鮫に己を喰わせるという壮絶な最後を迎えた。
「まっ、生き返ったのなら、もう一度、生を楽しみますかねぇ…。それにしてもプッチとかいう方、けっこーウルサイですね。殺しましょうか」
鬼鮫は物騒な考えを…
「そのためにはまずDISCとやらをどうにかしないと無理ですね。」
ひとまず保留する。
「ほお…私のスタンドは、どうやら相性がピッタリですねぇ」
説明の紙を読みながら視線を側に立っている半魚人に視線を向ける。
鬼鮫に支給されたスタンドは「ダークブルームーン」水中戦を得意とするスタンドだ。
「私の水遁なら、どんな戦闘の場所もダークブルームーンに最適に変わる」
チャクラを練り忍術を放つ忍。中でも鬼鮫は「水」の水遁の術が得意。
「まずは…他の参加者と出会ってみますか。そこで改めて殺し合いに乗るかどうかを考えましょう」
忍の生き様は死に様で決まる。
ここでの鬼鮫の生き様は「ろくてもない人間」で終わるか「ろくでもない人間ではなかった」で終わるのか。
まだわからない…


716 : 鬼鮫という男 ◆XksB4AwhxU :2020/06/09(火) 06:06:50 Q8UFiQ2s0
【名前】干柿鬼鮫
【出典】NARUTO
【性別】男性
【能力・技能】
口調は慇懃だが性格は冷酷。暁に入る以前には情報が他国に漏れないようにするため、ボディガード兼仲間殺しの任を受けていた経緯から、仲間を殺し続ける自分自身の存在意義について苦悩していた。
最期の瞬間には、かつてイタチと交わした「人間がロクでもないかどうかは死に際にわかる」という会話を想起し、「どうやら自分はロクでもない人間…でもなかったようですよ」と思い返していた。
水遁・爆水衝波
体内で練り上げたチャクラを大量の水に変換、敵を押し流すと共に辺り一面を水で覆ってしまう。
本来は水のないところで水遁使いが本領を発揮するための術。
水遁・大鮫弾の術
巨大な鮫の形の水弾を叩きつける。相手の術のチャクラを吸収して巨大化する性質を持つ。
口寄せの術
契約動物は鮫。地上ではチャクラで水遁を纏って動く。
など、「水」の術を行える。
【参戦時期】原作54巻 自決後
【スタンド】ダークブルームーン
【破壊力:C/スピード:C/射程距離:C/持続力:B/精密動作性:C/成長性:D】
【能力詳細】
水中戦を得意とする、半魚人のようなスタンド。
フジツボを相手に付着させることでエネルギーを吸い取る。
【方針】
殺し合いに乗るかどうかはまず保留。
参加者達と出会い決める。


717 : 鬼鮫という男 ◆XksB4AwhxU :2020/06/09(火) 06:07:05 Q8UFiQ2s0
投下終了します。


718 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/09(火) 11:15:18 4snhvOIM0
投下します


719 : どんと来い!超常現象 ◆DWDMFPPpRw :2020/06/09(火) 11:17:25 4snhvOIM0
 学校。普段なら学生や教員たちで賑わっているその施設も、この催しにおいては人の営みの気配のない沈黙が支配していた。
 深夜の学校とは何とも人の不安を掻き立てる物で、ある種の神秘的な印象も抱かせる。
 そんな場所のとある教室の一室にて、一人の男性が佇んでいた。

「一体なんなんだ。この状況は……」
 
 日本科学技術大学教授、上田次郎はこの催しの参加者としてその場にいた。


「俺は確か……糞、何も思い出せない」

 エンリコ・プッチの常軌を逸したプレゼンを記憶DISCで見させられた上田は、まず状況の把握に勤めた。
 確か自分は、新たな研究対象の取材に助手の山田奈緒子を同行させようと思い、彼女の自宅に向かっていた。そこまでは覚えている。
 そこから先の記憶は、プッチと名乗る神父が現れ、自分達に「殺し合いをしろ」と常軌を逸した命令をしてきた場面に繋がっていた。
 プッチは自分達に『DISC』とやらを仕込んだと話し、素数で割れないという理由で見知らぬ少女の頭を爆発させた。

 そこまで考えて、上田は悪寒を感じた。
 深夜の学校というシチュエーションに、実際に見せられた人の死が合わさり、元来小心者である上田の不安を掻き立てたのだ。
 明確な死の実感が、上田の意識を揺さぶる。

「さ、さて、差し当たっては支給されたものの確認だな。ははは」

 それだけ言うと、上田は側に落ちていたデイパックを漁り始めた。
 そうして何かしら行動を起こすことで、沸き上がる不安を誤魔化そうとしたのだ。
 やがて食料や地図、コンパスといった共通の支給品に混じって、一枚のメモを見つけた。
 其処に書いてある事は、どうやら上田に支給されたという『スタンド』という能力の説明のようだ。
 スタンド、精神の具現化したもの、つまりは超能力のオカルト。
 上田は舌打ちするとそれを隅に放り投げた。

「ふん、『スタンド』だって? 馬鹿馬鹿しい。精神の具現化した能力だと、そんなオカルトが存在すると……うわっ!?」

 スタンド。その概念を狂人の戯言だと一笑しようとした言葉が止まる。
 上田がスタンドを認知した瞬間、彼の右手にマス目状のスイッチが並んだキーボードが装着されたからだ。
 まるで上田から染み出るように、床にマス目も出現していた。
 何の脈絡もなく出現したそれらに、上田は盛大に驚いた。
 そして少し漏らしかけた。

「ま、まさか……こんなものあるわけが……」

 口ではそう言いつつも、慌ててメモを拾い目を通す。
 『チョコレイト・ディスコ』。それがこのキーボードの名前らしい。

(左腕のキーボードでx,y座標を指定することで、物体をその位置へ落下させる事ができる、だと?)

 メモに書かれていた能力は実にシンプルな物だった。
 スタンドを見ても、上田はやはりそれを信じきれない。
 やがて、デイパックから飲料水のペットボトルを取り出すと、恐る恐る床に落とした。
 同時に適当な座標にキーボードを入力する。
 すると、確かに押した座標に向かってそれが移動し、落ちた。
 ガシャン、と音をたてて床に叩きつけられたペットボトルを呆然とみる上田。

 ガシャン、ガシャン、ガシャン、ガシャン!

 黒板のチョーク、黒板消し、他にあるものを試しても全てそうなった。
 どれだけ目を凝らしても、ワイヤーなど何らかの仕掛けは見えない。まさに『瞬間移動』したとしか言いようがないその現象。
 理屈が、全く解らない。

(瞬間移動だと?馬鹿な、有り得ない。物理法則に反している。
 ……だが、もしこれが本当に実在する超能力だとしたら、これは世紀の大発見だ! 
 どうする?上田次郎。なぜベストを尽くさない!?)


720 : どんと来い!超常現象 ◆DWDMFPPpRw :2020/06/09(火) 11:18:10 4snhvOIM0

 明確な超能力らしき存在。それを発見した自分が成すべき事は何か。それは科学によってその謎を解明する事である。
 スタンド能力。その存在を著作に纏めれば、きっとベストセラーも夢ではない。
 そう思い至った上田は、不安から一転、意気揚々と移動を始めた。

【名前】上田次郎
【出典】TRICK
【性別】男性
【人物背景】
 日本科学技術大学で物理学を教える大学教授。自称IQ240。
 座右の銘は「なぜベストを尽くさないのか」
 事件の依頼が来るとすぐに山田奈緒子に頼り、一緒に調査しに行こうと誘う。
 断られても金や食べ物で釣ったりして断れない状況に追い込む。
 こうして彼の粘り強い交渉の末、奈緒子は事件に巻き込まれていく。

【能力・技能】
 通信教育で空手や柔道等の体術を会得しており、かなり腕が立つ。しかしかなりの臆病者で不可思議な現象に遭遇するとすぐに失神する。
 超常現象などのオカルトを否定しているが、頭が固いせいか自称霊能力者が見せる手の混んだトリックはおろか、ちょっとした奇術の類でもすぐに騙される。依頼でオカルトの原因究明を頼まれるもそのトリックを見抜けず、困った挙げ句に山田を引っ張り出して事件に巻き込むのが毎度お約束の展開となっている。
 オカルト絡みの問題には疎いものの、物理学者だけあって数学的な問題やパズル的要素の強い謎解きにはめっぽう強い。その手の内容であれば山田が答えに窮するような謎や難解な計算も瞬時に解くことができる。
 「先祖は天狗」「かつてタイムスリップして平賀源内にエレキテルを教えた」「カール・ルイスに陸上を教えていた」などなど、虚言・妄言と取れるようなことをよく自称する。レパートリーが非常に多い上に本当のこと(空手を習っていたことや謎解きの解説)を交えて語るので、本気で言っているのかジョークのつもりなのかはイマイチわからない。
 「なぜベストを尽くさないのか」と自分に言い聞かせると、超人的な力を発揮する。一度叫べば素手で縄を引きちぎり、服が破れて吹き飛ぶ。人呼んでベストマン。
 ちなみに相当ご立派なモノをぶら下げている。不意にスイッチがONになると「ズボンに棍棒を隠し持っている」と言われるほどの大きさゆえに女性にドン引きされることも多く、コンプレックスにしている。なお、同性が見た場合も戦意喪失するほどサイズであり、その御蔭で窮地を脱する場面も何度かある。

【スタンド】チョコレイト・ディスコ
【破壊力 - なし / スピード - C / 射程距離 - C / 持続力 - B / 精密動作性 - A / 成長性 - D】
【能力詳細】
 腕に装備する、マス目状のスイッチが並んだキーボードのような形をしたスタンド。
 本体の前方にマス目を出現させ、その各座標に対応したスイッチを押すことで、マス目内の指定した物をその場所に落とすことができる。
 自分に向かってくる飛び道具や、本体が落とした釘や酸などを敵のいる位置に落とすことで攻撃が可能。

【備考】
 採用された場合、参戦時期は書き手に任せます。

【方針】
 この催しからの脱出。及びスタンドの科学的解明を目指す


721 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/09(火) 11:18:30 4snhvOIM0
投下終了です


722 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/10(水) 03:49:13 RUWAatHo0
投下します


723 : バトロワとスタンドと私 ◆DWDMFPPpRw :2020/06/10(水) 03:51:22 RUWAatHo0

 闇夜の住宅街。いる筈の住人の気配はなく、人気の無いその場所は、この催しの非現実性を主張しているようでもあった。
 そんな場所にも参加者はいる。
 記憶DISCを視聴し終えたその女性は、暫し肩を震わせていた。

「私はーー」

 やがて顔を上げた彼女の顔は異様だった。グシャグシャに流れ崩れたコスメ、そのメイクで汚れた顔は狂気に歪んでいた。

 人は誰にでも人生の絶頂期がある。しかしそれは永遠ではない。それは過去からの落とし穴で容易く失墜するのだ。
 この女性、明日香もそうして転落した者のひとりであった。

「ーー私は……、まだ、終わってない!」
 
 明日香は、姉より容姿に恵まれており、親からもかなり甘やかされて育てられた。もてはやされる優越感は彼女の価値観を歪め、地味な姉から欲しいものを奪い、簡単に手に入るような人生を歩み続けた。
 それは34歳になっても変わらなかった。可愛い自分は何でも許される。彼女はそう本気で思い込んでいたのだ。

 当然のように彼女は転落した。
 恵まれた容姿に胡座をかき、現実を見ようとしなかったからだ。
 行き遅れの痛いおばさん。そんな同僚の本音を突きつけられ、手玉にとっていたと思っていた取引先には三千円の価値しかないと言い捨てられた。
 それでも、彼女はキラキラ女子をやめられなかった。
 承認欲求を満たすため、次第に膨れ上がる借金。父の病気を切っ掛けに、家族からも見放された。  
 まさに人生のどん底。これまで自分が何も積み上げて来なかったことを突きつけられ、挙げ句の果てに、殺し合いなんて馬鹿げたものに参加させられている。

 だが、この催しはある意味彼女にとって天恵でもあった。
 エンリコ・プッチ。確かにあの男は言っていた。優勝すれば願いを叶えると。
 その言葉が、折れかけていた彼女をどうしようもなく刺激した。
 
 既に失うものは何もない。
 職も家も何もかも無くした自分は、どう転んでも後がないのだ。
 財産もなにもかも食い尽くしても、彼女はキラキラ輝いていたいのだ。ちやほやされたいのだ。認められたいのだ!

 優勝すれば、SNSで羨望を集めていたあの頃に戻れるのだ。 
 そして、それに手が届くだけの能力が、彼女には与えられていた。

 『イエローテンパランス』。自身に与えられた黄色いスライムのようなスタンドが、うじゅるうじゅるとおぞましい感触で彼女の肌を這っている。
 普段なら気持ち悪くて叫んでいただろう。なのに不思議と嫌悪感はない。寧ろ、心の何処かでそれが自分と繋がっていると感じる。
 精神の具現化と言っていたが、あながちそれも馬鹿にできないのかもしれない。
 もしくは、それだけ彼女がおかしくなっているだけなのかもしれないが。

 軽く念じれば、それは手足となって他者に襲いかかるだろう。非力な自分でも簡単に人を殺せる。それが解ってしまった。
 そしてその選択を簡単に考えるほど、彼女は追い詰められているのだ。

「ふふ、ふふふ、あっははははは!!!」

 お金、注目、そしてイケメンで高収入な男。 手にいれたい、いや、自分なら簡単に奪えるというプライドが胸を突き上げる。何故なら私は可愛くて、キラキラ輝いているから。
 輝かなければ、意味がないから。
 下らない見栄と虚栄。そう姉に突きつけられた言葉は、今の彼女に届かない。

「私は、こんなところで終わる人間じゃ無い! お前らとは格が違うのよ!」

 ちっぽけな自尊心と言えばそれまで。しかしどこまでも貪欲なそれを満たすため、明日香は歩みだした。
 彼女がマイナスからプラスに転じられるのかは、まだ解らない。


724 : バトロワとスタンドと私 ◆DWDMFPPpRw :2020/06/10(水) 03:52:11 RUWAatHo0

【名前】明日香
【出典】ゴミ屋敷とトイプードルと私
【性別】女性
【人物背景】
 大手広告会社・電報堂に務めていた元OL。34歳。見栄とプライドで全てを失った。
 姉より容姿が良いことから両親に甘やかされ、雑誌の読者モデルを務め、男性にモテたことから、後輩の面倒見こそ良いものの自意識過剰で我侭な性格をしている。
 SNS映えの為にソラという名前のトイプードルを飼っているが、裏では虐待しており、SNS映えの為にブランドの商品やエステなど自身のセレブな生活をSNSに載せていたが、色々あって400万円の借金を抱えた状態で家を追い出された。

【能力・技能】
 キラキラ女子を自称し、SNSで有名だったため着飾る努力は惜しまない方。
 年齢的にどこまでも痛いおばさんであるものの、続編ではスピリチュアルサロン・アンジェリンクルの広告塔としてしぶとく成功しているため、実力とガッツはある。

【スタンド】イエローテンパランス
【破壊力 - D / スピード - C / 持続力 - A / 射程距離 - E / 精密動作性 - E / 成長性 - D】
【能力詳細】
 タロット大アルカナ14番目のカード「節制」の暗示をもつスタンド。
 相手に同化し、肉を取り込む不定形のスライムのようなスタンド。
 全身に纏う事で他人そっくりに変装することも出来る。スタンド能力を持たない一般人にも視認・接触が可能。
 直接触ると触れた部位に食いつき吸収しはじめる「攻撃する防御壁」としての性質も持ち、食った対象のエネルギーを取り込んでパワーアップする。
 防御力に優れており、全身に纏えば物理攻撃にはほぼ無敵。温度変化にも強く、一たび食いついたイエローテンパランスは、火で焼けば弾けて広がり、凍らせればスパイク状となり更に人体に食い込むといった万能さを誇る。

【備考】
 参戦時期は姉に家を追い出された直後。そのためやや錯乱しています。

【方針】
 優勝して、再びキラキラ女子に返り咲く。


725 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/10(水) 03:52:34 RUWAatHo0
投下終了です


726 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/10(水) 07:54:48 RUWAatHo0
投下します


727 : 金剛石の奇妙な冒険 ◆DWDMFPPpRw :2020/06/10(水) 07:57:27 RUWAatHo0

 一人の参加者がいた。白いシャツにネクタイを締め、黒い上着と一体型のショートパンツという装い。体の線がハッキリしているが、少年のようで少女のようでもある中性的な印象を抱かせる人物だった。
 黒い帯状のロングヘアを風でなびかせ、鋭く険しい顔つきを、さらに苛立ちで染めている彼の名はボルツ。
 人類が遥か古代に滅びた世界で生きる、宝石たちの一人である。
 彼は参加者としてこの場にいた。

「……くだらん」

 記憶DISCでプッチの宣告を聞いたボルツは、忌々しそうにそう一言感想を述べた。
 見せしめの少女を含め、彼らが何者かボルツは知らない。
 自分達と同じ言語を話す、宝石ではない存在。そんなものを見たのは初めての経験だ。宝石は頭が砕けても赤い液体なぞ出ない。なら、あの記憶にいたのは動物という事になる。
 自分達宝石とは違い、動物は砕けると腐る。環境適応の為にそのような方法しかとれないとは、実に下等な奴等だ。そんな連中に好き勝手されるのは実に気にくわない。
 相手が誰であろうが、やろうと思えば、月人にするように戦う事もできる。
 しかし、プッチとやらの企みに加担するのも癪に障る。ならば、こんな場所からはとっとと退散し金剛先生の元に帰るだけだ。

「……む」

 だが、ボルツはここが何処なのかまるで解らない。右を見ても左を見ても見たことの無い光景が広がるばかり。
 ボルツは宝石として生まれてからずっと仲間たちと島で暮らしていた。彼処ではどの場所に赴いても帰りの目星はつけられた。
 そのため、全く土地勘の無い場所に放り込まれた経験が絶望的に無いのだ。
 
「……チッ」

 仕方なくボルツは、側に落ちていたデイパックを確認する。何か地図のようなものでも支給されていないか確認したかったのだ。
 すると一枚のメモを見つけた。記されている文字は見たことの無いものだが、何故か問題なく内容が理解できる。
 ボルツは、プッチが語っていたスタンドの概念を思い出す。メモの内容はボルツに支給されたそのスタンドに関する説明のようだった。
 長きを生きる宝石にとっても未知の異能。下等な連中に与えられた物とはいえ、ボルツの興味を大いに引いた。
 選り好みはしない。使えるものは使う。
 武装は取り上げられている。舞闘派のボルツなら素手でも充分に戦えるが、特に夜間は動きが鈍る。不足の事態に備えておくべきだ。
 相手が下等だと思ってはいても、ボルツは冷静にその判断ができるタイプだった。
 メモを読み終えたボルツは、無意識にその名前を呟く。

「……『アイ・アム・ア・ロック』」

 明確にスタンドを認識した瞬間、側に出現するヴィジョン。
 透明のカプセルを頭にかぶり、体中の棘がカプセルを貫通し外へ突き出ているという奇妙なデザインの像を、ボルツは珍しく呆けた顔で見ていた。
 宝石たちの間で、こういった発想のデザインは見たことがなかったのだ。
  
「お前が僕のスタンドとやらか?」

 ボルツの問いにスタンドは答えない。ただ、黙って側にいるだけだ。
 試しに腕をあげろと念じると、その人型は素直に両腕を掲げる。どうやらボルツの意思で自由に動かせるらしい。

(『重力の愛情のごとく、本体が触れた相手の中心に、指定した周囲の何かを徐々に加速させながら集まらせる事ができる能力』か。例えば妙だが使えなくはない代物だな)
 
 本体、つまり自分が触れなければ発動しないというのは気になるが、肉弾戦もできるボルツならその条件は簡単にクリアできる。
 戦闘に扱いやすいものから扱いにくいものまでランダムに支給すると言っていたが、要はどんな能力も使い方が問題なのだろう。


728 : 金剛石の奇妙な冒険 ◆DWDMFPPpRw :2020/06/10(水) 07:58:40 RUWAatHo0

 暫しスタンドの操作を試したあと、ボルツは一旦ヴィジョンを消した。
 使い方のコツは大体把握できた。後は実戦で修正していけばいい。戦闘に長けたボルツならそれができる。
 脱出の方法を探すため、ボルツはその場から歩き出した。

【名前】ボルツ
【出典】宝石の国
【性別】ー
【人物背景】
 鋭く険しい顔つきと、黒い帯状のロングヘアが特徴の宝石。この髪は攻撃にも防御にも使用されている。
 ダイヤのペアであり、彼女と同じ硬度10を誇る。
 趣味は、仲間の宝石たちの戦闘の癖を見つけることと他の宝石の弱点を指摘し戦闘スタイルを矯正させること。ダイヤには戦い方指導を嫌がられていた。
 実はクラゲが好きで、池でクラゲを何匹髪に包めるかチャレンジが密かな楽しみ。
 冬眠での寝相は非常に悪く、たまに寝惚けて歩き回る。そんな時は、布を掛けると大人しくなるらしい。
【能力・技能】

・宝石
 人型をした宝石生命体。地球上に唯一残された島で生まれ、「先生」と共に「学校」で暮らしている。
 其々が元の宝石に因むように硬度(モース硬度)や靭性を備えている。ボルツは劈開を持ちにくい「多結晶体」であるため、靱性(割れにくさ)も最高ランクの”特級”に類している。
 鉱物から成る体が生物のように活動できるのは、体内に存在する微小生物(インクルージョン)の働きによる。光を動力源としており、摂食や排泄や呼吸を行わない。その為夜間や、特に光の弱まる冬の間は活動力が鈍る。
 「死」の概念がなく身体の成長や老化もないため実質不老不死。今いる中で年齢が明らかになっている者で最年長は3600歳ほど、最年少でも300歳である。
 人のような柔軟さを持っているように見えるが、あくまで彼らの身体は「鉱石」であり、固い物とぶつかれば硬質な音を響かせる。断面が宝石の輝きを持つように本来の姿は宝石の色そのもの。
 人間でいう肌にあたる部分には化粧のように白粉を塗っている。白粉が取れた姿を「見るも無残」と嫌い、水中に入るときなどは対策をする。
 自身の硬度・靭性に耐えられない衝撃を受けるなどすると身体にひびが入ったり砕けたりするが、破片を継ぎ合わせれば再生が可能。破片を永久に失った場合、失ったインクルージョンに応じる量の記憶を失う。
 戦闘などにより体の一部が失われてしまった際は、基本的にインクルージョンの棲んでいない鉱物で補うことになっている。なるべく本来の体と同質の鉱物であるほど可動率は高い。ただし、体内のインクルージョンが新しく補った部分を気に入ってくれなければ上手く接合せず、接合しても自分の意志で動かすこともできない。
 多くが中性的ないし女性的な見た目をしているが、彼らは「宝石」であるため性別は無い。
 ボルツ個人の戦闘力は非常に高く、戦況を見極める冷静さも持ち合わせているが、気難しく冷徹な部分もある。
 役職に就く以前より戦闘そのものが好きなようで、戦闘狂とも言われている。

【スタンド】アイ・アム・ア・ロック
【破壊力:?/スピード:?/射程距離:?/持続力:?/精密動作性:?/成長性:?】(詳細不明)
【能力詳細】
 透明のカプセルを頭にかぶり、体中の棘がカプセルを貫通し外へ突き出ているデザインの人型スタンド。
 能力は本体が触れた相手の中心に向かって、周囲の何かが徐々に加速しながら集まってくる。その何かは本体が指定する。ただし、集まってくるものは一度につき一種類のみ。また能力射程は本体から5〜10m程度。
 この能力は「重力の愛情」とも表現される。

【備考】
 参戦時期はアニメ第3話の前後

【方針】
 この催しから脱出し、先生の元に帰る。向かってくる相手は倒す


729 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/10(水) 07:59:03 RUWAatHo0
投下終了です


730 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/10(水) 09:37:12 fU5bCHkg0
続けて投下します


731 : 嫌われ者のレクイエム ◆DWDMFPPpRw :2020/06/10(水) 09:38:03 fU5bCHkg0

「エンリコ・プッチ……なめやがッて!! 『野球選手』の俺に『サッカーボール』を渡してどうするんだ、このボケがァーッ!!」


【名前】タイ・カッブ
【出典】変人偏屈列伝
【性別】男性
【人物背景】
 アメリカ野球史上初の殿堂入りを果たした伝説の選手にして球界一の嫌われ者。高い実力を持ちながら、常に他者を排斥することしかしてこなかった男。
 傲慢かつ暴力的な性格で、試合でも常に拳銃を携帯する、スパイクの鋲をヤスリで磨いて凶器同然に扱うなど、次々に問題行動を起こす。 野次がきっかけで観客を殴打し、無期限出場停止に処された事もあるヤバい男。

【能力・技能】
 野球選手としての能力は一級品。しかし、キレると何をするか解らない危険人物。

【スタンド】ショット・キーNo.2
【破壊力:?/スピード:?/射程距離:?/持続力:?/精密動作性:?/成長性:?】
【能力詳細】
 小人のようなスタンド。本体が持ち歩くサッカーボールの中に潜んでいる。まともに吸い込めば即死するほどの猛毒を発生させることができるが、本体にも影響を及ぼす。毒ガスの射程はサッカーボールから20cmほど。
 自身に毒ガスの影響が及ばないようにするには本体のテクニックが必要。

【備考】
 スタンドの媒介としてサッカーボールが支給されています。
 採用された場合、参戦時期は書き手に任せます。

【方針】
嘗めた野郎(エンリコ・プッチ)をブチのめす


732 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/10(水) 09:38:38 fU5bCHkg0
投下終了です


733 : ◆SrxCX.Oges :2020/06/10(水) 17:01:51 q2.WKXPU0
投下します。


734 : 失はれる物語 ◆SrxCX.Oges :2020/06/10(水) 17:03:29 q2.WKXPU0

 だれも傷つかない世界が、早くやってくるといい。オレは祈るように目を閉じた……。



 スタンドというのがつまり何なのか、オレにはよくわからない。ただ、強く念じればゆっくりと姿を現した、オレよりずっと大きな銀色の人影がスタンドなんだということはわかったから、それで良いことにした。
 オレに渡された『クレイジー・ダイヤモンド』という名前らしいスタンドには、物を治す力があった。
 立ち寄ったアイスクリーム屋の中で、白い犬のマスコットキャラクターの看板を、バラバラになるくらいに殴り壊してみる。その後でそっと触れてみたら、五秒も経たないうちに看板は元通りになった。
 物だけに限らず、自分の身体でなければ人間の怪我だって治せるらしい。説明書にはそんなことが書かれていた。
 『クレイジー・ダイヤモンド』の拳は、治すための力にも、壊すための力にもなる。
 治せるための力。だれかが負った傷という「マイナス」を、綺麗に治して「ゼロ」にする力。
 壊すための力。つまり、壊すことで守るための力。オレらにとって大切なものを傷つけようとする誰かを倒して、「ゼロ」を「マイナス」にさせない力。
「ははは。なんだよ、こんなのあったのかよ」
 『クレイジー・ダイヤモン』み見上げながら思い出すのは、オレの友達のこと。アサトのことだった。
 アサトには、不思議な力がある。アサトは、他人の傷を自分に移動させることができる。火傷や古い傷跡だって、他人の身体から綺麗に取り除くことができる力だ。
 でも、それは傷そのものが完全に消えるわけじゃない。他人の傷を、全てアサトが代わりに負っているというだけだ。アサトの力は、「マイナス」を「ゼロ」にする力じゃない。
 アサトの力は、自分の傷を他人に移すこともできる。それはつまり、目の前でだれかが一度は痛みを受け止めなければいけないということだ。
 最初から自分が敵に痛め付けられないように殴り返せるだけの強い力なんて、オレと同じただの子供でしかないアサトにはない。アサトの力は、「ゼロ」を「マイナス」にさせない力じゃない。
 神様がアサトに与えたのは、そんな力だった。『クレイジー・ダイヤモンド』と比べてしまえば、あまり役に立たないような力だった。
「……んだよ」
 もしも、あの時『クレイジー・ダイヤモンド』があったなら。
 シホは、オレらと変わらず仲良くしてくれたかもしれない。最初から火傷を完全に消してしまえるなら、顔の火傷をアサトに預かってもらうなんて話をする必要はないから。
 約束の三日が過ぎたからシホに顔の火傷を返すなんてことも、それを嫌がったのだろうシホが街から姿を消してしまうなんてこともなかった。
 もしも、あの時『クレイジー・ダイヤモンド』があったなら。
 アサトの家庭は、殺人事件の現場になんてならなかったかもしれない。少なくとも、ナイフで襲いかかる人間一人くらいは力ずくで防げたはずだから。
 オレの家庭も、壊れたりしなかったかもしれない。親父の暴力から、母さんもオレ自身も守れた。そのくらいの強さがあれば、母さんはオレの前から消えたりしなかったんだろうかとも、思う。
 もしも、あの時『クレイジー・ダイヤモンド』があったなら。
 アサトもオレも、傷なんか負わなかったかもしれない。アサトの口から「これ以上、生きていたくない」なんて言葉を、言わせずに済んだのかもしれない。


735 : 失はれる物語 ◆SrxCX.Oges :2020/06/10(水) 17:04:56 q2.WKXPU0
「……そいんだよ」
 オレらはひどい目にあった。不幸を避ける力は、オレらにはなかった。
 でも、それはきっとみんな同じで、悲しいことに耐えられなくて、どうしても耐えられなくて。
 そう思うことで、オレはこの世界が理不尽だということを受け止めようとした。
 なのに……なのに。
「……何なんだよ…………なんで今更、こんなもんオレによこすんだ!」
 噴き上がったオレの感情に応えるように、『クレイジー・ダイヤモンド』が暴れ回る。
 アイスクリームの入った冷凍ケースが、カラフルな破片を撒き散らす。家族で座るためのテーブル席が、ただの屑の山に変わる。使い方のわからないたくさんの機械が、次々と使い物にならなくなっていく。
 耳障りな破壊音が煩く響いて、それが鬱陶しくて腹の底から出した意味の無い叫びを上げる。何をしたって、オレの気持ちは晴れてくれなかった。
 だれも傷つかない世界を願った途端に連れてこられたのは、だれもを傷つけなければ生きていけない世界だった。そんな世界で生きるために与えられた武器は、『クレイジー・ダイヤモンド』だった。
 オレが欲しかった、『不幸を避ける力』そのものだった。
 ふざけんな、と虚空へ向かって吐き捨てる。
 こんな力、存在してほしくなかった。存在するとしても、知りたくなかった。知ったとしても、永遠に手の届かない場所のおとぎ話であってほしかった。
 そうでなければ……オレらの悲しさも苦しさも、本当は簡単に避けられたものだったことになってしまうじゃないか。
 オレらが辛い目にあったこと自体が、何もかも馬鹿馬鹿しい話じゃないか。
 でも、結局こうして力は手に入ってしまった。願いを叶えるための力が、こんなにも簡単に授けられてしまった。
 そのタイミングは、あまりにも手遅れだったけど。過ぎた時間は、もう戻らないのに。失われたものは、もう治しようがないのに。
 スタンドというやつはきっといくらでも種類があるんだろう。もしもオレに渡されたのが他のスタンドだったなら、オレの気持ちも、もう少し前向きだったかもしれない。
 でも、世界はオレが思っていた以上に簡単で、意地悪で、理不尽で。
 もうこれ以上、オレは耐えたくない。
「……いいよ、だったらみんな潰せばいいんだろ」
 だから、オレはこう祈ることにする。
 オレの過去を変えてくれなんて言わない。オレの人生を、オレだけは否定しない。
 だからせめて、だれも傷つかない世界が無理なら、オレらの未来だけでもだれつかないようにしてください。
 もう、自分じゃないだれかのことなんて知らない。アサトのように、優しくなんてなれるものか。オレらだけの未来を考えるだけで、もうたくさんなんだ。
「待ってろよ、アサト」
 見渡す限りすっかり荒れ果てた店内とは対照的に、オレの身体には傷ひとつ無かった。
 傷も痛みも、アサトと半分ずつ分かち合いたい。そんな小さな希望すら、神様には無視されてしまっていたらしい。
 だからこそ、オレは帰らなければならないんだと思った。アサトの身体をまた綺麗にするために、アサトと二人だけでも生きていけるようになるために、『クレイジー・ダイヤモンド』が必要なんだ。
 辛いことは、この場所で全部最後にしてやるんだ。オレらはもう、損なんかしてたまるか。
 ……なあ、神様。これで、満足か?
「死んじまえ、神様のクソ野郎」
 嘲る声は、すっかり枯れていた。


736 : 失はれる物語 ◆SrxCX.Oges :2020/06/10(水) 17:06:23 q2.WKXPU0



【名前】ケイゴ
【出典】傷
【性別】男
【能力・技能】
他人の身体にある外傷(火傷や古傷等も含む)を、自分の身体に移す能力を持つ少年。
……の、親友である。
ケイゴ自身は特筆するべき能力を持たない、ただの男子小学生でしかない。

【スタンド】クレイジー・ダイヤモンド
【破壊力:A/スピード:A/射程距離:D/持続力:B/精密動作性:B/成長性:C】
【能力詳細】
近距離パワー型の人型スタンド。
スタンドとしての特殊能力は、「破壊された物やスタンドをなおす(直す/治す)」。壊れてしまった物(自ら壊した物も含む)、傷ついた生物にスタンドが触ることで傷跡など残さず破壊前の状態へ戻すことができる。
壊れた部品ひとつさえ直そうとすれば、他の部品がひかれ合って修復できる。ただし、部品が存在しないものは直せない。また、「内科的な病気」「失ってしまった生命」そして「自分自身の傷」は治すことはできない。

【方針】
誰を傷つけてでも、最後まで生き残る。
優勝して、『クレイジー・ダイヤモンド』を持ち帰る。

【備考】
出典作品の「傷 」は、乙一の小説『失はれる物語』(角川文庫)に収録されている。
清原紘のコミカライズ版(角川書店)での把握も可能。
なお、同作を原作とした映画『KIDS』は設定が大きく異なるため、視聴の際には注意。


737 : 名無しさん :2020/06/10(水) 17:07:27 q2.WKXPU0
投下終了します。


738 : 不思議なスタンドでルル… ◆XksB4AwhxU :2020/06/10(水) 20:45:11 rVgUsKZo0
完成したので、投下します。


739 : 不思議なスタンドでルル… ◆XksB4AwhxU :2020/06/10(水) 20:45:41 rVgUsKZo0
「お母さん…私、どうすれば…」
この殺し合いの場に呼ばれ、民家にて嘆いているのは、ふわふわなお下げ髪に桃色のリボンが印象に残る女の子。
名は加賀美あつこ。親しい人達から呼ばれる愛称は「アッコ」ちゃん。
「ないわ…コンパクトは取り上げられているみたい」
あっこは、支給品と自分の持ち物を確認し、コンパクトがないことに落ち込む。
アッコが持つコンパクトは普通のコンパクトではない。
鏡の国の女王様の力で与えられた魔法のコンパクト。
「コンパクトがないと、私は魔法が使えない…」
アッコは俯きながら鏡に手を置く。すると…
「えっ!?きゃあああッ!?」
なんと!アッコの片手が鏡の中へ入りこんだのだッ!
「はぁ…はぁ…何がどうなっているの?」
驚いたアッコはすぐさま手を引っ込めると、鏡の中へ入りこんでいた手はスポッ!と抜けた。
「あっ!あなたが、神父さんが言っていた私のスタンドなのね?」
直ぐ、近くに立っている人型に気づいたアッコは問いかける。
その問いにレザージャケットを纏った人型が「YES!」と言わんばかりに頷く。
マン・イン・ザ・ミラー。「鏡の世界」へ生物を引きずり込むスタンド。
「「鏡の世界」…まるで魔法ね。」
スタンドの説明の紙を読み、アッコは率直な感想を口にする。
「この、マン・イン・ザ・ミラーの力で私は儀式に参加させられて困っている人達を助けたい!」
アッコはこの異常な儀式の場においての自分の方針を決めた。
「テクマクマヤコン テクマクマヤコン…この儀式を止められる人になれ」
アッコはひみつの呪文を口に唱える。
もちろん、コンパクトがないため、変身はできない。しかし、決意を込めて口にした。
賽は投げられた…アッコちゃんの魔法が叶うのかは神のみぞ知る。


740 : 不思議なスタンドでルル… ◆XksB4AwhxU :2020/06/10(水) 20:45:53 rVgUsKZo0
【名前】加賀美あつ子(アッコ)
【出典】ひみつのアッコちゃん(第3作目)
【性別】女性
【能力・技能】
小学5年生。愛称は「アッコ」ちゃん。
母譲りのおっちょこちょいで天真爛漫で陽気で友だち思いの明るい性格。
魔法のコンパクトにかける呪文「テクマクマヤコン テクマクマヤコン ○○になれ〜」で望む姿になれる。
呪文、「ラミパス ラミパス ルルル……」で元に戻れる。
【参戦時期】41話、大将とモコの喧嘩の仲裁する最中。

【スタンド】マン・イン・ザ・ミラー
【破壊力:C/スピード:C/射程距離:B/持続力:D/精密動作性:C/成長性:E】
【能力詳細】
能力は「鏡を入口として、「鏡の中の世界」に選択した存在を引きずり込む」こと。
鏡の中の世界にはルールがあり
スタンド使いが許可したもの以外の存在は出入りできない(内部から外に出ることも許可制)
スタンドだけを鏡の中に取り込むことも可能(メリットがないので自発的にやることはないが)
鏡であるならばどんな小さい破片でも能力が作動する。ただし引きずり込む対象と同サイズの鏡が必要。
体の一部分のみを出し入れすることも可能(その場合鏡に挟まった者は動けない)。
鏡の中の物質は「死の世界」の物で、動かせるのは『マン・イン・ザ・ミラー』のみ。
「鏡の中の世界」にいるスタンド使いは、引きずり込む対象以外は見る事は出来ない。
引きずり込まれたスタンド使いは、その中でスタンドは発動せず外の世界で発動する。
【方針】
儀式には参加しない。
魔法のコンパクトを探して、この殺し合いに参加させられて困っている人を助けたい。


741 : オオカミ少女 ◆XksB4AwhxU :2020/06/11(木) 05:08:50 WieXbvic0
完成したので、投下します。


742 : オオカミ少女 ◆XksB4AwhxU :2020/06/11(木) 05:10:18 WieXbvic0
「え?何?この状況」
先ほどのヤバイ神父の芝居じみた一幕に困惑している少女。
名は篠原 エリカ…「オオカミ少女」
狼ではなくオオカミ。イソップ萬話「オオカミ少年」のオオカミ。
友人グループからハブられないために嘘の彼氏話を繰り返していた。
バレそうになり、とっさに彼氏だと紹介した男との奇妙な恋人関係が始まり、その男の看病からの帰り道。
エリカはプッチ神父の手でこの殺し合いの場に参加させられた。
「はっ!?ケータイ!!ケータイはどこ!?」
我に返ったエリカは持ち物のケータイを制服のスカートのポッケから探す。
「な…ない…嘘でしょ?……ッ!あの神父がッ!?」
エリカはケータイが無いことにショックからか膝から崩れ落ちると原因を察する。
「ってことは、あれは本当なのよ…ね」
エリカの脳裏に蘇るのは「素数」に拘るヤバイ神父の手で少女の頭が爆発したこと。
「じゃあ、私に支給されたスタンドは…うげッ!?」
周囲を見渡たすとサーモンピンク色の人間の顔のような奇妙な生物がいた。
「ちょっとキモイんだけど…ま、まぁ…外見はこの際いいわ!それより能力は…」
あまり強そうに見えないスタンドにエリカは汗を流す。
直ぐに気持ちを切り替えてエリカは説明の紙を読む…
「ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ、これハズレでしょ!こんな能力でどうやって殺し合いの中、生き残れるのよ!?」
トーキング・ヘッドの能力を把握したがよいが、あまりの結果にエリカは頭を抱える。
「…でも、やるしかない…私は殺したくないし、殺されたくない。生き残って恭也君の元へ帰らなきゃ!」
エリカは生き残るために歩きはじめる。
オオカミ少年は最後、周りから信じてもらえず羊を狼に食べられてしまう…
嘘をつくスタンドが支給された篠原エリカの最後はどうなるのか…まだ誰にもわからない。


743 : オオカミ少女 ◆XksB4AwhxU :2020/06/11(木) 05:10:40 WieXbvic0
【名前】篠原 エリカ
【出典】オオカミ少女と黒王子
【性別】女性
【能力・技能】
友達グループの話題についていくために、嘘の彼氏との恋愛話を続ける。嘘がバレそうになったところで街で見かけた恭也を盗撮、偶然にも同じ学校だったことから2人の偽装カップルが始まった。
見栄っ張りだが、単純で騙されやすく、初期の恭也に何度も遊ばれたり木村に騙されたりした。その一方で恭也や怜香が認めるほど根性があり、初対面の相手に啖呵を切るなど思い切った面がある。
【参戦時期】原作4話 佐田の看病後の帰り道

【スタンド】トーキング・ヘッド
【破壊力:E/スピード:E/射程距離:B/持続力:A/精密動作性:E/成長性:E】
【能力詳細】
能力は「人間の舌に取り付き、嘘しか言えなくする」こと。
取り付かれている間は発言だけでなく、筆記内容も嘘のものしか書けなくなる。
【方針】
ゲームには参加しない。(死にたくない)
とりあえず。他の参加者と出会い、生き残りたい。


744 : オオカミ少女 ◆XksB4AwhxU :2020/06/11(木) 05:11:55 WieXbvic0
投下終了します。


745 : ◆Mti19lYchg :2020/06/11(木) 20:04:17 JOqzmB.60
投下します。


746 : 医者はここだ! ◆Mti19lYchg :2020/06/11(木) 20:04:45 JOqzmB.60
『運命とは『眠れる奴隷』だ。オレたちはそれを解き放つ事が出来た……。それが勝利なんだ』

『私たちは星を動かすようなもんだ。星なんて宇宙の中で決められた所で光ってんだろう。
 人の一生だってそうさ……ちゃんと運命にしたがって、生まれ死んでいくんだ……。
 もし人の命を救ってその人の人生をかえたなら、もしかしたら歴史だってかわるかもしれないだろう?』

 エンリコ・プッチ神父により整えられた殺し合いの舞台。その一角である住宅街に男が一人佇んでいた。
 男は黒いコートに黒いパンツ、黒いネクタイと黒ずくめ。だが髪の右半分は白髪であった。
 顔は額から左頬を縦断する手術の縫い跡に、左側の頬の皮膚が黒いという異相である。
 その男は厚いコートを脱ぎ、黒いスーツの左半分をはだけさせ、シャツをまくって腕を露出させた。
 男の右腕から新たに青色の指に白い手甲、そこにジッパーのつまみが付いた腕のヴィジョンが現れた。彼に与えられたスタンドである。
 次の瞬間、何を思ったのか、そのスタンドの手刀で男は自分の腕を切り離した。
 切り離した左腕には断面にジッパーの様な物がくっついている。
 男は左腕を右手で拾い、腕の断面同士を合わせる。
 当然そのままではくっつくはずもないが、先程のスタンドの腕が断面にジッパーのつまみを取り付け、一回転させて断面を閉じた。
 するとジッパーは光になって消滅し、腕は元通り繋がっていた。
 漢はさらに左前腕の皮膚を、スタンドを使ってジッパーを付けて開き、内部の筋肉がきちんと動くか指を曲げ伸ばしして確認する。
 全く問題が見当たらないと見切った時点で、男はジッパーを閉じた。
「ずいぶん便利なものだ。私なら、腕一本繋ぐのに最低500万は頂くところだがね」
 そう呟く彼の名はブラック・ジャック。世界的な天才外科医と呼ばれながら、医師免許を取らず暴利な手術代を患者に請求する無免許医である。

「この分なら手術も問題なくできそうか」
 腕から移動したブラック・ジャックの視線の先には、家の壁と塀がそれぞれ円にくりぬかれ、塀に壁の円、壁に塀の円がジッパーで止められている。
 他にもドアの一部分が窓枠と繋ぎ合わせてあったり、地面にそのドアの一部が縫い付けてあったりと異様な光景がそこにはあった。
 物にジッパーを付け切断し、または別な物同士をジッパーで接続する事が出来る能力を持つスタンド『スティッキィ・フィンガーズ』。
 与えられた能力をブラック・ジャックはどの程度までできるか、手術に応用できるかを実験していたのだ。
「まあ、このスタンドとやらでせいぜい生き残らせてもらうとしようか。ついでに金でも稼ぎながらな、フフフ……」
 服を整えながら、ブラック・ジャックはにやりと笑みを浮かべた。


747 : 医者はここだ! ◆Mti19lYchg :2020/06/11(木) 20:05:52 JOqzmB.60
 表向きは笑っているが、プッチの行為には腹が立っている。素数でないなどという下らない理由で人一人殺した行為には激昂していると言っていい。
 だからといって、この場でブッチに対する悪罵を吐くような無駄なことはしない。
 むしろ心情に反して偽悪的な台詞を言う男なのだ。
『私は無給奉仕なんてしない。だからプッチ神父、おまえさんが医者の私を殺し合いに巻き込むからにはその礼は報いで返してもらうぜ。
 この場に呼ばれた連中を治療し助け共に脱出し、儀式とやらを完遂させないという報いでな』
 それでもブラック・ジャックの中にある熱い心は、プッチに対して宣戦布告した。

 運命に逆らうのも運命の内と誰かが言った。
 だが、従っても逆らっても『死』という現実は誰しも平等に訪れる。
 結末が決まっていても戦う道を選んだ男に、結末が分かっていても運命と立ち向かう道を選んだ男のスタンドが与えられた。

 殺し合いの真っただ中で人を助けるなど、それこそ運命に逆らうような難事。
 それでも彼は恐れ気もなく進む。


【名前】ブラック・ジャック
【出典】ブラック・ジャック
【性別】男性
【能力・技能】
医療技術
 世界一の腕とまで評される手術の腕前を持つ。
 腹部、胸部、臓器移植、心臓、脳、形成、整形手術などほとんど全ての外科手術をこなす。
【スタンド】スティッキィ・フィンガーズ
【破壊力:A /スピード:A /射程距離:C /持続力:D /精密動作性:C /成長性:D】
【能力詳細】
 近距離パワー型の人型スタンド。
 殴ったものに生物・非生物問わずジッパーを貼り付ける能力を持つ。自分自身にも貼り付けられる。
 ジッパーを取り付け開く事で物体の硬度を無視して切断したり、別の物同士をくっ付けたり、開けたジッパーの中に出来た空間へ物をしまうなど様々な応用がきく。
 この場ではブラック・ジャックの医療技術により、応用で内臓手術、臓器移植、形成手術、皮膚移植なども可能。

【備考】医療器具類は没収されています。
【方針】負傷者を(契約書を書かせて)手当てしつつ、脱出を目指す。


748 : ◆Mti19lYchg :2020/06/11(木) 20:06:16 JOqzmB.60
投下終了です。


749 : ◆Mti19lYchg :2020/06/11(木) 20:44:02 JOqzmB.60
拙作「医者はここだ!」はwikiに書き込む際、加筆修正しました。


750 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/12(金) 01:23:00 MD7WdQmA0
投下します


751 : ヤマシタパークからの刺客 ◆DWDMFPPpRw :2020/06/12(金) 01:24:12 MD7WdQmA0

「Fu○k! あの糞○○ー神父の○○○○○○が! オイラをこんな目に合わせやがって!」

 記憶DISCを見終えた後、のっけから差別発言を連発して罵倒する子供がいた。
 小柄で肥満体の体を怒りで震わせている彼の名はエリック・カートマン。アメリカのサウスパークに住む少年である。
 自分の人権を侵害したプッチ神父へ罵倒しつつ、彼が考えているのはいかにしてこの催しを勝ち残るかであった。
 他人が苦しもうが死のうがどうでもいいが、当然カートマンは死にたくない。
 他人を蹴落としてでも、ありとあらゆる手を使って生き残る気である。
 
(この状況じゃ犯罪の立証はできない。オイラが誰を殺しても正当防衛になるさ。
 それにしても人殺しさせたいなら、銃くらい寄越せっての!)

 かなり物騒なことを考えてはいるが、優勝狙いはあくまで最後の手段である。
 こういったゲームでは徒党を組むのがカートマンにとってベストの選択だ。
 本人は決して認めないが、カートマンは喧嘩が苦手だ。口喧嘩や交渉においては大いに勝つ自信があるが、殺し合いに乗った頭のおかしいキチ○イが襲ってきたら、勝てるかどうかは解らない。というかあっさり殺されるだろう。

 その上、この催しの参加者は全員にスタンドとやらが支給されているらしく、相手がどんな手を使ってくるのか想像がつかない。

 ならば、子供という庇護される側の立場を存分にいかして、人の良さそうな参加者に保護してもらうか、そういう連中に自分を売り込む。
 その方法がもっとも生き残る可能性が高いとカートマンは考えていた。
 だが、スタンドに関してはカートマンも条件は同じ。
 自らに支給されたスタンドの詳細を知るため、デイパックを調べ始める。
 やがて、食料や地図、コンパスといった共通の支給品の他に、レゴブロックで出来たホワイトハウスのような模型が出てきた。

「なんだよこれ! こんなミニチュア模型で殺し合えとかランボーでも無理だろ! あの糞○○○! オイラを馬鹿にしてるのか!」

 最初はプッチのセンスに呆れたが、貼り付けられていたメモを読むと旗色が変わる。
 『オゾン・ベイビー』。どうやらこの模型がカートマンのスタンドらしい。
 この模型を地面に埋めれば、射程内の建物内分を加圧させることができると書かれていた。
 カートマン自身が持てば、直接能力を操作することもできるらしい。
 
「なるほど、大勢の参加者が集まってそうな場所に埋めればすげえ使えそうじゃん!」

 充分に人を殺せる威力のあるスタンド能力だと分かり、とりあえず安心するカートマン。
 ついでに生還したらこれをカイルの家の庭に埋めてやろう。そんな素晴らしいアイディアも浮かぶ余裕もできた。
 レゴブロックの模型をひとまずデイパックに仕舞い込むと、カートマンはその場から移動を始めた。
 目指すなら病院だろう。
 そういった施設なら人が集まりそうだ。お人好しの参加者がいたら接触してもいいし、危険そうな連中がいたらスタンドを埋めて一網打尽にすれば良い。

(プッチ、オイラは嘗められるのは嫌いだ! お前のケツの穴にこの模型をぶちこんでやるぜ!)


752 : ヤマシタパークからの刺客 ◆DWDMFPPpRw :2020/06/12(金) 01:26:25 MD7WdQmA0

【名前】エリック・セオドア・カートマン
【出典】サウスパーク
【性別】男性
【人物背景】
 海外アニメ『サウスパーク』に登場するキャラクター。主役4人組の一人。年齢は8か10歳ほど。
 性格は極悪非道であり、作中一と断言していいほどの差別主義者(レイシスト)。差別対象は幅広く、「ほぼ自分以外」と書いてもあまり問題ない。
 悪知恵も働き、不適切な発言を堂々と言いたいがためにトゥレット障害のふりをしたり、パラリンピックの賞金目当てに障害者のふりをしたこともある。
 クラスメイトや親族以外の人間に対しては容赦がなく、過度に馬鹿にすると倍以上の仕返しをされる。例えば、シーズン15では自分のことを「おデブちゃん」と言い、笑ってくる医者の目の前で(電話越しだが)医者の妻を拳銃自殺させたことがある。その際、「オイラはデブじゃなくて骨太だ」と言い放った
 「カートマン・レクターの鬼畜晩餐会"Scott Tenorman Must Die"(ベストDVD版:羊たちのチン毛食う)」では「チン毛は自身で生やすものではなく人から貰うものだ」と騙してエリックにチン毛を売りつけたいじめっ子の上級生・スコット・テナーマンに復讐するため、彼の両親を罠にかけて事故死させた挙句、死体を盗み出してバラバラに解体し、チリに混ぜてスコットに食べさせた。
 その事実を、スコットが件のチリを食べている間に公衆の面前で打ち明けた後、「両親を食べちゃった!」と悲しむスコットの涙を舐めながら「お前の涙はどんな味だ〜?う〜ん甘いよ〜、すんごく甘〜い!計り知れない絶望の味がするよぉ〜!」と、なんの悪意もなく言い放ち、スタンとカイルを「カートマンを本気で怒らせるのはやめよう」と震えさせたほどである。
 その極悪な性格のため、ファーストネームの「エリック」と呼ぶ者はほぼおらず、ほとんどのキャラクターが彼をファミリーネームである「カートマン」と呼ぶ。
 また、S09EP04「ケニーは救世主!?"Best Friends Forever"」では、ケニーの遺言書に「はっきり言って僕は君が嫌いだ。ていうか皆君が嫌いだ」と書かれた(遺言書なのでマジな本音なのかもしれない)。
 だが、主役4人組の中では欲張りでバカで単純な一番子供っぽい性格でもあり、時折視聴者に愛らしい一面を見せることもある。

【能力・技能】
 基本的に学校の宿題はせず、"chair"の綴りも覚えられないほどのバカではあるが、自身の欲が絡む事案が発生すれば誰も考えないような奇抜なアイディアを生み出したり、目的を実現するためのあらゆる努力を惜しまず、すぐに実行に移す行動力の持ち主である。
 カリスマ性もあり、演説などで巧みに人を煽動したり、率いる立場になったりすることが多い。
 尊敬する人物はドイツの総統閣下。彼の演説をドイツ語で話せるほど暗記している。
 腕っぷしは弱いが、口喧嘩や交渉能力は非常に優れており、S06EP05「監禁された赤ちゃん牛"Fun with Veal"」ではFBIの交渉人と何度か交渉を交わした結果、エリックの要求が全てそのまま通ってしまったほどである。
 他のエピソード(S05EP13、S07EP13他)でも、大人と交渉を行う画写が多く描かれているが、交渉の際の決まり文句は必ず「タマ潰れちまうぜ!(You're breaking my balls!)」である。


753 : ヤマシタパークからの刺客 ◆DWDMFPPpRw :2020/06/12(金) 01:27:05 MD7WdQmA0
【スタンド】オゾン・ベイビー
【破壊力:?/スピード:?/射程距離:?/持続力:?/精密動作性:?/成長性:?】(詳細不明)
【能力詳細】
 レゴブロックで出来たホワイトハウスのような形状をしたスタンド。このスタンド像は実体として存在しているようで、生身で直接触ることができる。射程距離は明言されていないものの、作中の描写から最低一つの町全体ぐらいはあると思われる。
 能力が発動すると脚がキャスターのようになった小人型のヴィジョンが現れるが、これは幻影でありダメージを与えることはできない。
 能力は空気を「加圧」させる事。
 スタンドを地面に埋めることで周囲100mが射程内となる。
 スタンドの射程内では、閉鎖された空間(部屋などの)内部の空気が徐々に「加圧」されていき、射程内の生物にジワジワと押し潰すようなダメージを与えていく。
 その空間から逃れれば加圧は止まるが、逆に外に出ることで一気に減圧が発生し、身体血管内の空気が膨張して血管をつまらせて破裂してしまう。
 また本体がスタンドを直接持てば、自動操縦から直接操作に切り替えることができる。この状態では本体を中心に空気を加圧したり、加圧を直接相手に送り込む事ができるようになる。
 欠点は、能力の発動の条件が非常に面倒な事。
 また、直接戦っても強力な能力であるものの、スタンド自体はミニチュアの「家」であるために相手の能力に捕まると「自分か相手のどちらが先に倒れるか」という持久戦を強いられてしまうのが弱点。

【備考】
 カートマンの参戦時期、及びオゾン・ベイビーを埋めた場合の射程の制限などは書き手に任せます。

【方針】
 このゲームを生き残り、(勝てそうなら優勝狙いも検討)プッチに報復する。
 カモになりそうな参加者に自分を売り込み、保護させる。
 人の集まりそうな場所に向かう。


754 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/12(金) 01:27:32 MD7WdQmA0
投下終了です


755 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/12(金) 03:25:38 MD7WdQmA0
投下します


756 : 南京子は働かない ◆DWDMFPPpRw :2020/06/12(金) 03:29:42 MD7WdQmA0

「グ、グゲエ〜〜ッ!」

 記憶DISCで現状を把握したその女性は、激しく嘔吐していた。
 見させられた場所は暗くて、怖くて、重苦しくて、まるであの薄暗いロッカーのようだった。
 彼女の灰色の学生時代、その過去の記憶があの場と重なったのだ。
 彼女の名は南京子。大津馬中学校の教師だ。

 なぜ自分がこんな目に。
 嘔吐物のすっぱい香りに包まれながらも、彼女の心情を埋め尽くすのは理不尽への苛立ちだった。
 自分はやり直したかっただけだ。ただそれだけなのに。
 いじめられていた学生時代を塗り替えたくて、教師にもなった。あの頃にいなかった友達も作った。
 もうすぐ廃校になるあの学校で、友達と一緒に平穏に卒業する。そんな些細な夢すら叶えられないというのか。
 その内心に、彼女が放置していたいじめへの贖罪は一切無かった。

「はぁ、はぁ、ううう……」

 胃の中身を粗方吐き尽くした後、やっと落ち着きを取り戻してきた。
 まだストレスは燻っている。気を抜けばまた戻してしまいそうだった。 
 これが夢ならどれだけ楽だったか。何時もの彼女なら、そうして現実から目をそらしていただろう。
 この場で彼女がそうしないのは、彼女の意思を現実に向けさせている言葉があったからだ。
 
(死にたくない。ーーでも、願いを叶えるって言っていたわよね)

 優勝すれば願いが叶う。プッチの語ったその言葉が、京子の意思を微かに現実に繋ぎ止めていた。
 彼女に人を殺せる度胸は『まだ』ないが、その言葉が魅力的であることは事実。
 正直、他人がどうなろうと京子はどうでも良い。仮に生徒がこの場にいても、彼女は積極的に助けようとはしないだろう。
 京子はそういう人間だ。

(あんな風に死ぬのは嫌……や、殺ってやる……殺られる前に!)

 まず必要なのは、身を守る手段。
 プッチはこうも言っていた。スタンド、という能力を与えると。
 狂人の戯言かもしれないが、現状それしかすがるものがない。
 何か手がかりがないか、側に落ちていたデイパックを漁る。コンパスや食料品に混じりって、やがて一枚のメモが出てきた。
 『ドゥービー・ワゥ!』それが京子に与えられたスタンドとやらの名前らしい。
 メモには、京子が相手に触れると、相手の呼吸に反応して自動で攻撃する能力と書かれていた。
 そんな漫画みたいなものが現実に存在するなんて思えないが、能力的に相手がいなければ試すこともままならない。
 超能力など架空の存在でしかなかった世界に生きる京子には、これが強い能力なのかもわからなかった。

「……」

 やがて、京子は歩き出した。
 誰にも見つからないよう、できるだけ足音を出さないように。
 どこでもいいから、安全そうな場所に行きたかったのだ。
 彼女はまだ気がついていない。己に与えられたスタンドが「人を殺す」という一点において、かなり特化した能力であると。
 京子はマイナスにいる人間だ。
 いじめという過去に縛られ、未来に生きることはないタイプである。
 本来なら意味もなく死ぬ運命であった彼女が、この催しでプラスに転じられるかはまだ解らない。

【名前】南京子
【出典】ミスミソウ
【性別】女性
【人物背景】
 物語の舞台である大津馬中学に勤務する教員(担当科目は不明)。野咲春花、小黒妙子らのクラス担任を務めている。
 明るい色の髪が特徴的な妙齢の女性。喫煙者。
 非常に冷淡かつ排他的な性格。加えて徹底した事なかれ主義者でもあり、教師でありながら春花のいじめを黙認し、彼女の父が抗議に来た際にも素っ気ない態度で追い返した。また自己防衛のために、クラスのリーダー格である妙子を友達と呼んで彼女の言いなりになっている。
 保護者はおろか生徒達からの人望は皆無で、彼女を軽視して授業態度の悪い生徒も多く、特に妙子の取り巻きからは「イカレ教師」と酷評されている。当の京子も、久賀秀利や橘吉絵などの問題を起こす生徒達のことを不快に感じており、内心では疎んじていた。
 作中では、クラスの生徒が相次いで行方不明になっても、上記の性格が変わることもなく、久賀を問題児扱いした挙げ句に彼の母を異常者呼ばわりしたり、事情を聞きに自宅に訪ねてきた橘吉絵の父に「卒業間際に問題を起こす生徒などいなくなって結構」と言って追い返したりしていた。
 実は彼女もかつては大津馬中学校の生徒だった。
 しかし身体が弱かったことに加え、同級生の高橋という女子生徒を筆頭としたクラスメイト達から、嘔吐してしまう脆弱性を面白がられたことがきっかけで過酷ないじめを受けており、それがきっかけで登校拒否に追い込まれていた。
 卒業式にも参加しておらず、卒業証書やアルバムも捨てており、「現在の生徒達をかつてのクラスメイトとして見立て、廃校寸前の学校から共に卒業することで、中学時代の辛い記憶を塗り替える」ために教師となった。


757 : 南京子は働かない ◆DWDMFPPpRw :2020/06/12(金) 03:31:32 MD7WdQmA0
【能力・技能】
 教師ではあるが行動・性格ともに失格そのもの。
 特徴として、少しでも悪口を言われたと感じると、時と場所を選ばず嘔吐してしまう。
 その情緒不安定さから、追い詰められると暴行も辞さない危険人物と言える。


【スタンド】ドゥービー・ワゥ!
【破壊力:?/スピード:?/射程距離:?/持続力:?/精密動作性:?/成長性:?】
【能力詳細】
 竜巻を纏った、王冠状の頭部に一つ目の顔を持った外見を持つスタンド。
 本体が触れた対象の呼吸に反応し、対象が息を吸ったり吐いたりするたびにその呼吸を増幅して竜巻へと変化させ、対象をズタズタに切り裂き攻撃する。
 対象の呼吸の大きさによって攻撃の威力は変わるものの射程距離が無限であり、一度術中にかかったら本体を倒すこと以外に逃れる道はない。
 発動条件は対象との接触であるが、スタンド越しに触るのでもOK。
 精密な動作はできないが、一旦捕捉したらターゲットをどこまでも追い続け、殺害するまで執拗に追跡するという、 まさに相手を殺すためだけの能力。
 作中では明言されていないが、恐らく「呼吸しない」相手には無力化されると思われる。

【備考】
 参戦時期は晴花の家が放火される直後。
 射程距離の細かい制限などは書き手に任せます。

【方針】
 死にたくない。でも願いは叶えたい。


758 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/12(金) 03:31:57 MD7WdQmA0
投下終了です


759 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/12(金) 06:36:09 MD7WdQmA0
投下します


760 : あの花の名を僕たちは知らない ◆DWDMFPPpRw :2020/06/12(金) 06:36:44 MD7WdQmA0

 記憶DISCを読み終えた時、相場晄はしばし生の実感を得ていた。
 彼は死んだ筈だった。
 なのに、今は五体満足でこの催しに参加している。目的はどうであれ、その点はプッチと名乗った男に感謝していた。

 相場晄は野崎晴花を愛している。
 彼女のためなら何でもできる。いじめからも彼だけが庇った。
 だって愛しているから。
 だからこそ、彼女との東京行きを反対した祖母も、彼女の祖父も殴った。拳が裂けるまで、何度も、何度も。

 野崎には俺が必要だ。
 彼はそう信じている。
 なのに、野崎は裏切った。

「野崎……」

 相場晄は思い出す。
 ミスミソウのごとく、儚く美しい彼女をカメラ越しに覗きながら、彼は殺された。
 激痛とともに最後に覚えているのは、去っていく野崎の後ろ姿。
 あの時、確かに自分は命を落とした。降り積もる雪、命がなくなる感触、その実感が確かにあった。
 しかし、それでも彼は変わらない。

「でも俺は許すよ。だって愛してるから」

 野崎春花への愛情は、例えその本人に殺された後でも、未だ彼の中に残り続けている。
 そう、相場晄は野崎春花を愛している。だから、許す。
 だからこそーー彼女を、追い詰める。

「だから、もう俺しか頼ることができないくらい追い詰めてやるよ。野崎」

 『グーグー・ドールズ』、それが彼に与えられたスタンド。
 この力を使えば、彼女を無力にできる。俺が居なければ何もできないくらいに。
 もしも野崎もこの場にいるのなら、彼女を守る。居なければ、参加者を皆殺しにして彼女を迎えにいこう。そして、一緒に暮らそう。
 この掌に大切にしまい込んで、宝物のように保管するのだ。もう二度と俺を置いて逃げないように、祖父も、虫の息の妹も、彼女の大切な人を全て皆殺しにして。

「待っていてくれ、野崎」

 相場晄は歩み出す。
 彼の眼には、目的のために人間性の何もかもを捨て去れる漆黒の意思があった。
 全ては愛のため。
 例えそれがどうしようもなく破綻していても、彼は一切気にしない。
 この催しに招かれる前に、あるいは野崎春花と出会うずっと前、きっと父を切りつけた時から、既にどうしようもないほどに相場晄は狂っていたのだ。

【名前】相場晄
【出典】ミスミソウ
【性別】男性
【人物背景】
 大津馬中学3年の生徒。主人公・野咲春花と交際しているクラスメイト。春花と同じく転校生で、仙台出身。母方の祖母・紀久子と二人で暮らしていた。
 他の男子達とは対照的に美少年で、春花へのいじめには加担せず、春花を精神的に支えていた。
 春花の家が放火された時には、燃え盛る家の中に果敢に飛び込み、瀕死の状態だった春花の妹・祥子を救出。その後は、声を失い復讐鬼と化した春花に以前と変わらず優しく接し、「お前を支える」と宣言する。春花はその時の晄とのキスで声と温かい気持ちを取り戻した。
 ……のだが、その本性は狂暴そのもの。
 非常に思い込みが激しい上に、「相手が自分の思い通りにならなければすぐに手を上げる」「好きな相手を力で支配することが愛情表現だと勘違いしている」など、本作の登場人物の中でも、特に異常な精神の持ち主である。

【能力・技能】
 写真撮影が趣味。カメラを持ち歩いていることもあり、大津馬の風景や野咲姉妹の写真を撮ったりしていた。また自分で現像をする技術も持つ。

【スタンド】グーグー・ドールズ
【破壊力:D/スピード:C/射程距離: - 20 - 30m/持続力:D/精密動作性:B/成長性:B】
【能力詳細】
 頭にトゲが生えた気味が悪い人形のような姿の遠隔操作型スタンド。小さく、名前通り人形のような大きさしかない。
 対象の人物に憑依して小さくする能力。本体は小さくできない。
 一瞬で任意の大きさまで小さくできるが、射程距離外に出ると徐々に元の大きさに戻っていく。
 憑依対象が本体の意に背く、つまり裏切る行動をとると、憑依対象から離れ自動的に対象を殺そうとする。鋭い爪が武器。

【備考】
 参戦時期は死亡した後。

【方針】
 野崎がこの場に居るのなら、彼女を守り生還させるために全力を尽くす。
 居ないのなら、優勝して願いを叶える。


761 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/12(金) 06:37:17 MD7WdQmA0
続けて投下します


762 : The dolls with Surface ◆DWDMFPPpRw :2020/06/12(金) 06:39:17 MD7WdQmA0

 『我慢して笑えば全部丸く収まる』。ずっとそう思っていたし、そうしてきた。
 そうやって、やり過ごしてきた。
 お気に入りの金魚のペットが死んだとき、友達と話すとき、何から何まで笑い続けて、それで上手くいってると思ってた。
 それが間違っていたと気づいた時、もう全て手遅れだった。
 
 『サーフィス』。自身に与えられたスタンド。その使い方を知ったとき、エリはまず最初に自分をコピーした。

「やっぱり、変わらないよね……」

 デッサン人形だったそれは、額のボルトを除けば寸分違わず自分と同じだった。
 二人で向かい合っている様は、まるで鏡合わせのようだ。
 ボブカットの髪型、アイドルのフリフリの衣装、そして少しも変わらない『人形の顔』。
 そう、人形だ。
 どれだけ泣きたくても、怒りたくても、少しも変わらない笑顔。何時もと同じ、笑ってるだけの顔。
 やがてエリは、もう一人の自分に問いかけた。

「ねぇ、私」
「何?」
「優勝すれば、本当の自分に……成れるかな?」

 その問いかけに、サーフィスは答えた。

「慣れるぜ」
「俺は知ってるよ。本当のアンタを」
「全部ぶっ壊す勇気があれば、なんだってできるんだぜ」
 
 本体とは違う口調と言動。
 これはきっと、ずっと笑顔で閉じ込めていたエリの本音の一端。
 彼女の内の声そのものだ。

 エリは、居ても居なくても良い人間だった。
 本当の顔はこの下にあるのに、誰も見てくれない。必要としてくれない。
 なのに、皆は私の顔を真似し出す。こんな、人形の顔を。
 私は欲しい。私だけの顔が。

 そう決意してエリは歩き出す。もう一人の自分とともに。
 彼女はまだ気づいていない。その陶器の下に、本当の顔なんてもう無い事を。
 『本当の自分』がない彼女が、この催しで何を得るのか、あるいは得られないまま終わるのか、それはまだ解らない。

【名前】エリ
【出典】The Dolls with Attitude
【性別】女性
【人物背景】
 主人公の女性。内気な性格。自分を偽って笑っている内に、ある時から顔面が陶器人形のような顔になってしまった。
 辛いことや悲しいことがあっても、笑顔で受け流すだけの人生を生きてきた女。そのため人形の顔になっても誰にも気づいてももらえず、自分が誰からも求められていなかった事に気づき、病んでいる。

【能力・技能】
 芸能事務所にスカウトされるほど器量がよく、成功するほどの才もある。
 しかし、彼女は自分の顔を人形のものとしか認識できない。
 殴れば割れるが、その下に本当の顔はない。

【スタンド】サーフィス
【破壊力:B/スピード:B/射程距離:C/持続力:B/精密動作性:C/成長性:C】
【能力詳細】
 等身大のポーズ人形に憑りつき、人形に触れた者の姿、仕草、指紋・声紋を全てコピーするスタンド。
 性格までコピーされるため、大雑把な命令には従うが、本体に忠実という訳ではない。
 射程距離は数十メートル。パワーは人間並みだが、木製であるため破損を気にせず力を使えるので、結果的に人間以上の破壊力を発揮する。
 コピーした本体との見分け方は、サーフィスの方の額についている「+ねじ」である。
 コピーされた相手は、数メートル以内でサーフィスと向き合うと同じ動作しか取れなくなる。その際の動作は鏡写しとなり、サーフィスの右腕が動けば、コピー元の左腕が動く。また向き合うと言ってもお互いを認識する必要はなく、サーフィスがコピー元の姿を視認していればいい。また動作させる部位はある程度サーフィスが指定可能であり、サーフィスの支配下にあっても一寸も違わぬような動作をするわけではない。
 外見が変わっても中身は木製なのは変わらない為、触った感覚は固い木の感触であり、衝撃で破損することもある。また破損部位は元の木製人形に戻る。
 ポーズ人形自体は実物なため、スタンド使い以外でも見ることができ、人形が破損しても本体にダメージがフィードバックすることはない。逆に言えばスタンドを発動するには等身大ポーズ人形が必ず必要となる。

【備考】
 参戦時期は金魚の幻影に諭されライブに出る直前。
 スタンドの媒介として等身大のポーズ人形が支給されています。
 現在スタンドで自分自身をコピーしています。

【方針】
 優勝して、自分の顔を取り戻したい。


763 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/12(金) 06:40:24 MD7WdQmA0
投下終了です


764 : ◆Ay2lEeXHQ2 :2020/06/12(金) 10:12:31 x6lGrfog0
投下します。


765 : The Great Rock 'n' Roll Swindle ◆Ay2lEeXHQ2 :2020/06/12(金) 10:14:09 x6lGrfog0
ダカダッダッ、ダカダッダッ、ダー、ダカダッダッ、パッパパーパパパパー、パパパパー、パー、パー

KADOOOOOOOM!

(ダミ声)荒野を旅するセクシー美女バンド軍団、我らが女神、ブーブス・セクシー・ストライキング・バンド、BSSB!

ドールハウス!

「まだダメ……まだ降りてこないの……トマトジュースちょうだい」

ソー・エキゾティック・ダークヘアード・ゴシック! ゴス! ゴシカル! ソー・ゴシック・キューティー・スプーキー・ビューティー・ベーシスト!
小さいが年齢はリーガリー・ノープロブレム!

「……あれ?」

彼女は座ったまま、周囲を見回す。幸い真夜中で煩わしい太陽はないが、見たこともない場所だ。

「フォクシー! ブロンディ! ジェーン9! みんなドコ!?」

バン(盗品)もなければ楽器(盗品)もなく、三人の仲間もいない。背後で爆発も起きない。
思い起こせば、ハッパでラリって寝ていた時、なにか奇妙な夢を見ていたような……。

「すべてを思い出したわ。あのクソったれ神父をぶっ殺さなきゃ。きっとナチスね!」

彼女はデイパックを背負い、立ち上がった。与えられたスタンドの使い方は魂で理解した。
黒髪がザワザワと蠢き、絡み合い、ベースギターの形をとる!

「ロックンロールのチャンスだ!」


【名前】ドールハウス
【出典】ブーブス・バンド、AREA4643
【性別】女性
【能力・技能】
深刻なハッパ中毒で肉体的には貧弱。AREA4643版の彼女はベースギターを演奏することでロックンロールのパワーを解き放ち、
ベース超音波攻撃(半径数メートルに殺人的な衝撃波)やベース撲殺攻撃を繰り出す。
ゲージがたまるとロックンロールの自動追尾型悪魔を召喚する(ホーミングミサイル)が、ここでは制限されているかも知れない。
誰かとバンドを組めば真のパワーが解き放たれるだろう。

【スタンド】ラブ・デラックス
【破壊力:B/スピード:B/射程距離:C/持続力:A/精密動作性:E/成長性:B】
【能力詳細】
本体の髪の毛と一体化したスタンド。髪の毛を自在に伸ばして動かす。髪は精神力次第で家一軒を覆い尽くすほどに伸ばせる。
縛りつけたり締め上げたりする単純な攻撃から、標的の頭皮に髪の毛を植え込むことにより強引に引き回すなど応用が利く。

【備考】
髪の毛を編んで作ったベースギターを持っています。

【方針】
対主催。立ちはだかる者には容赦しない。


766 : ◆Ay2lEeXHQ2 :2020/06/12(金) 10:16:14 x6lGrfog0
投下終了です。


767 : ◆Y1cfk9y5p6 :2020/06/12(金) 18:15:53 84tx3bPQ0
投下します


768 : ガール・イン・ザ・ミラー ◆Y1cfk9y5p6 :2020/06/12(金) 18:16:41 84tx3bPQ0
鏡に映る 自分に問いかけてみたの。

「今の私は、魅力的に見えますか?」

☆   ☆    ☆


769 : ガール・イン・ザ・ミラー ◆Y1cfk9y5p6 :2020/06/12(金) 18:18:07 84tx3bPQ0
「ハァ……ハァ……ッ、ハァ……」

東京・お台場にある虹ヶ咲学園──の校舎を、何かを探し求めるように走る少女が一人。
壁にぶつかろうが、つまずいて転ぼうが。お構いなしに、彼女は校舎の中を駆けずり回る。

「しず子……ッ、りな子……、先輩……ッ!」

時折、人を呼ぶ言葉が口からこぼれ落ちる。
彼女と共にスクールアイドル活動をする仲間、それを補佐してくれる大好きな部長。
スクールアイドル活動……そう。少女──中須かすみは、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の一員なのだ。

殺し合いなどという、スクールアイドルからはおよそかけ離れた単語。
プッチという男の名前も、かすみは聞いたことがなかった。
多分これは、この前のμ’sさんたちとの9番勝負の過程で観たホラー映画が原因の、悪い夢……その程度にしか、思わなかった。
だが。目を覚ましたかすみの周囲には、異変が起きていた。

誰も居ない部室。誰も居ない廊下、教室、食堂、校庭──。走っても走っても、人っ子一人居やしない。
おかしい。自分の視界に映っている光景は、紛れもなく虹ヶ咲学園の校舎の中。生徒数も多く、外部からの一般客だって頻繁に訪れる……そんな学校だった筈。
それなのに……。

「どうして、誰も……ッ」

居ないの──?
疑問の締めは、嗚咽によって掻き消えた。

気が付けばかすみは、同好会の部室に戻って来ていた。
やっぱり、これは夢なんじゃないか。夢だとしたら、自分に縁の深い場所の扉を開ければ目が覚める──ベタなお話だが、それでいいじゃないか。
……きっと。こんな夢を見ている私は、寝汗びっしょりでうなされているのだろう。
そうだ、さっきのみんなを呼ぶ声だって、寝言として漏れている筈。
起きたらみんなに笑われるだろうな、ということくらいは分かっている。愛先輩から「ねー、焦ってる夢でも見てた? 寝汗だけに!」と寒いギャグが飛んでくるだろうし、歩夢先輩なんかは凄く心配してくれそうだ。
しず子やりな子は多分苦笑いする。他のみんなにも、うなされているところを見たら笑われる。あ、三船栞子には見られたくないな。

そんなことを考えながら、かすみは部室の扉に手を掛ける。夢なら醒めて──と願いを込めて。

☆  ☆   ☆


770 : ガール・イン・ザ・ミラー ◆Y1cfk9y5p6 :2020/06/12(金) 18:20:07 84tx3bPQ0

「……」

結論から言うと、悪夢が醒めることはなかった。
いや、とっくに目は覚ましている。手の甲をつねって確かめたのだから間違いない。(顔はスクールアイドルの命なのでやってないが)
近くに誰の姿も見当たらない空間、部室に置かれていた見覚えのないデイパックと、その中身。
つまり。殺し合いという悪夢のような世界が、今の中須かすみが置かれた現実だったのだ。

どうしてこんなことに……と言われれば、心当たりがないわけではない。
中須かすみはいわゆる悪戯っ子であり、ライバルである他のスクールアイドルを蹴落とすためにちょっとした悪ふざけを仕掛けることがある。
その報いが、他人を蹴落として生き残るこの物騒な催し──

「いやいや……あの程度のイタズラで、どうしてこうなるの」

かすみの愚痴はもっともなのだが、それを言ったところで、後戻りは出来ないしさせては貰えない。
ふと、テーブルに放置していた手鏡が目に留まった。

「……」

鏡を覗き込もうとして、思わずその手が止まる。

『みんなのファンクラブの会員数が順調に増えてる!』
『みんな先週から今週にかけてかなり増えてるよ』

『なるほど〜。じゃあ、かすみんは100人くらい増えてそうですね!』
『かすみちゃん、ファンレターのお返事や、SNSでもらったメッセージのお返事とか、いっつもすごく丁寧だもんね』
『その通りです。て、ことで先輩。かすみんのファンクラブの皆さんは100人くらい増えました?』

『ん? あれ? おかしいですね……?』
『あはは、かすみん見間違えちゃいました。気を取り直してもう一度っと──』

『そ、そうですよね! かすみんの可愛さが無限大すぎて、みんな尻込みしちゃってるとかありそうです!』
『でも! 別に気になんかしてませんから!』

「……気になんか、してませんから。だって、かすみんはこんなに──」

誰に聞こえるでもない強がりを言葉にしようとして……鏡の向こうに映っている“それ”と、目があった。

「えっ……?」

鏡に映る自分の傍に、特徴的なゴーグル。人型だが、およそ人間には見えない何か。
慌てて振り返るが、そこには誰の姿もない。
そういえば、プッチなる男が語っていた。殺し合いのために支給された存在が居るって……。
慌ててデイパックを漁り、その名を呼ぶ。


771 : ガール・イン・ザ・ミラー ◆Y1cfk9y5p6 :2020/06/12(金) 18:21:14 84tx3bPQ0
「マン……イン・ザ・ミラー……?」

名前を呼ばれたスタンドは「そうだ」と言いたげに頷いた。
支給されていた紙に、改めて目を通す。名前はさっき見た。ステータス……DとかCとか書いているが、正直よく分からない。
ただ、せつ菜先輩あたりがやってそうなゲームに当てはめるなら。AやSなんかの文字が書かれてないあたり、自分のスタンドは凡止まりなのだろう……と理解した。
ただ、一点を除いては。
射程:「鏡の中」の世界では数百メートル。何を意味しているかは、その下に追記されている能力の部分にあった。

「これって……つまり……」

このスタンドの真価は、彼(?)が創り出した世界の中でのみ発揮されるという。
鏡を媒介として許可する・しないを選んでしまえば、相手からスタンドを切り離して鏡の世界に閉じ込められる。
その世界では、私だけがスタンドを持つ王様。私だけが、鏡の世界(ワンダーランド)の王冠をかぶる資格がある。

(これを使えば、生き残れる?)

そんな考えが、私の中をよぎる。
最後の1人になるまで戦ってもらう……プッチはそう言っていた。
私以外にも、帰りたいと思っている参加者が居るということ。
つまり。狙われれば、殺されてしまうかも知れない。元の世界に帰れなくなるかも……。

「……ッ」

ブンブン、と首を振る。
中須かすみは悪戯っ子であるが、負けず嫌いでもある。
私はまだ死にたくない。私はまだ負けていない。
『スクールアイドルかすみん』は、こんなところで終わりたくない。

逃げるにしても、逃げられなくて戦うにしても。
このスタンドと一緒なら、生き残れる……そんな気がした。

「……かすみんは、絶対に先輩たちのところに帰るんです」
「応援よろしくね、マン・イン・ザ・ミラーさん」

スタンドは、頼もしく頷いた。

「……」

少し考えて、彼女はある質問を投げかけてみる。

「今の私は、魅力的に見えますか?」
「……」

鏡に映る自分からも、鏡の中で佇むスタンドからも。
答えはまだ、返って来ないままで──

☆  ☆   ☆


772 : ガール・イン・ザ・ミラー ◆Y1cfk9y5p6 :2020/06/12(金) 18:22:29 84tx3bPQ0
【名前】中須かすみ
【出典】ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会
【性別】女性
【能力・技能】
スクールアイドルをやっているので、相応の体力と運動神経は持ち合わせている。
また、パン作りが得意で、彼女の作るコッペパンは同好会の中でも評判がいい。
【人物背景】
虹ヶ咲学園普通科に学籍を置く高校1年生。
主人公である「あなた」が来るまで、ずっと部員が自分1人になったスクールアイドル同好会の部室を守っていた。
部長となった「あなた」の協力もあり、現在は部長の勧めでファンクラブを立ち上げているが……。
悪戯好きで、ライバルを蹴落とすため下駄箱に怪文書を入れたりするが、決して画鋲とかは仕込んだりしない。
本気の怪文書を思いついた時も、それによって崩壊した同好会のことを想像して取りやめるなど、良心は持ち合わせているようだ。
ちなみに「なかすかすみ」から取って「かすかす」と呼ばれると怒る。

【スタンド】
マン・イン・ザ・ミラー
【破壊力:C/スピード:C/射程距離:鏡の世界では数百メートル/持続力:D/精密動作性:C/成長性:E】
【能力詳細】
鏡を出入り口として、対象を「鏡の中の世界」に引きずり込むことが出来る人型のスタンド。
鏡の中は現実とは左右が逆転しており、中の物を動かせるのは使用者だけ。
その世界に存在出来るのは、マン・イン・ザ・ミラー、マン・イン・ザ・ミラーの使用者、そして使用者が入ることを許可した人のみ。
この能力で引きずり込まれた人がスタンド能力を発動しても、スタンドが出て来るのは鏡の外。
また、鏡が破片になろうとも能力は健在で、むしろ破片1つ1つが出入口になる。
相手の半身だけが入るのを許可することも可能で、そうなった相手は挟まれて身動きが取れなくなってしまう。
鏡の世界を作りだすことにエネルギーを使っているため戦闘力はあまりないが、スタンドや武器を外の世界に置き去りにした相手と戦うことが出来るという利点を持ったスタンドだ。
ただし、鏡を通じてでないと、外の世界の様子を把握するのは困難。

【方針】
絶対に生き残って、先輩たちが待つ同好会の元に帰る。

【備考】
参戦時期はスクスタメインストーリー10章以降のどこか、及び中須かすみのキズナエピソード17話以降


773 : ガール・イン・ザ・ミラー ◆Y1cfk9y5p6 :2020/06/12(金) 18:22:51 84tx3bPQ0
投下を終了します。


774 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/12(金) 23:57:02 0lAQjluI0
投下します


775 : タイマン相手募集中 ◆DWDMFPPpRw :2020/06/12(金) 23:57:57 0lAQjluI0

「殺し合いねぇ、先輩もここに居たら良いのになぁ」

 廃ビル。朽ち果てたロビーにてそうぼやくのは、独特なマスクを装着し、皮ツナギといった装いの身長2mを越える大柄な体格の人物。
 厳ついマスクと長身で勘違いされやすいが、女性である。
 彼女の名は能井。煙ファミリーの掃除屋(クリーナー)の片割れだ。
 記憶DISCで現状を把握した能井は、一先ずどうするか悩んでいた。
 
「しっかし、ドアも出せないってのは……このままじゃ帰れないのは確かか」
 
 魔法使いは皆、魔法使いの世界と人間の世界を繋げる『ドア』を出せる。しかし、この場においては幾ら試しても使えなかった。
 エンリコ・プッチ。何者か知らないし興味もないが、あの男が何らかの細工をしたのか。
 此処から帰るためには、どうやら優勝するか自力で帰る手段を探すしかないようだ。
 能井としては優勝を狙うのもまぁ良いと考えてはいるが、そこまで熱心ではない。
 殺し自体に思うことは特にない。彼女の住む世界では命の価値はかなり軽い。殺し殺される関係なんて吐いて捨てるほどある。
 しかし、一人で40人以上を殺して回るのは流石に時間がかかる。

(こういうの、先輩だったらきっと大喜びでやりそうなんだけどなぁ〜)

 能井も戦うことは好きだが、パートナーの心程はもっと好きだ。優勝すれば願いを叶えるとも言っていたが、今のところ叶えたい事も思い付かなかった。
 なので、ひとまず自分に与えられたらしいスタンドとやらを確認する事にした。
 スタンド。何かの魔法だろうが、能井の知識にそんな魔法を使う魔法使いの知識はない。だからこそ、多少は興味が引かれたのだ。
 手がかりがないか調べてみた所、ご丁寧にも能力に関するメモがデイパックに入っていた。それによると、能井のスタンドは『自身を含めた生物を恐竜(用はドでかいトカゲみたいなものらしい)化させる能力』らしい。少なくともメモにはそう書かれていた。

「『スケアリー・モンスターズ』ねぇ。……トカゲになるのはこの前ので懲りたんだけどな」

 つい最近、恵比寿の魔法によってトカゲになり、大暴れした苦い記憶を持つ能井にとっては微妙な思いをする能力だった。
 しかし、肉弾戦に重点を置く彼女と相性自体は良い。恐竜化すれば動体視力も向上すると書かれていた。
 ……こういうものは、実際に知ると使ってみたくなる。

 能井の方針が決まった。
 魔法の訓練も実戦が一番手っ取り早い、スタンドに関しても同じだろう。
 相手が魔法使いだろうが人間だろうが誰でも構わない。強そうな参加者がいれば戦ってみる。そうしていけばいずれ何とかなるだろう。
 案外この催しも楽しめるかもしれない。そんなポジティブな考えが湧いてきた。

「ヨッシャ! サクッと殺ってみますか!」

 デイパックを肩越しに担ぎ、能井は戦う相手を探すためにその場から歩き出した。 

【名前】能井
【出典】ドロヘドロ
【性別】女性
【人物背景】
 24歳。身長209cm、体重124kg。足のサイズ30cm。バストのサイズ104cm。銀髪で赤い瞳を持つ。
 愛用の革ツナギとごついマスクを着けた姿では男性の巨漢にしか見えないが、実は女子ボディビルダーのような体格をした銀髪赤目の美女。男勝りのカラっとした性格でケンカが大好き。戦闘狂であり、一度負けている相手への対策を嫌がるなど戦いに関してはかなりの慢心が見受けられる。
【能力・技能】

・魔法使い
 魔法使いという種族の特性として、体内に魔法の「ケムリ」を精製する器官とそれを運搬する管とがあり、口や指先から「ケムリ」を噴射して魔法を行使できる。
 能井は非常に貴重とされる治療系の魔法を扱える。たとえ首が千切れていようが体を真っ二つに切り裂かれていようが修復可能だが、死者を生き返らせる事はできない。
 自身の回復速度も非常に速く、頭を撃ち抜かれたり半身が消し飛ぶなどの即死級の重傷でもすぐに再生するが、制限によりケムリの連続使用はできなくなっている。
 戦闘スタイルは主に肉弾戦であり、その腕力はチョップで相手を真っ二つにするほど。ただし、その魔法の特性ゆえ相手の攻撃を避ける癖がなくあっさり負けかけることも多い。

【スタンド】スケアリー・モンスターズ
【破壊力:B/スピード:B/射程距離:D/持続力:A/精密動作性:C/成長性:B】
【能力詳細】
 自分を含め、あらゆる生物を恐竜化し使役できる能力。自分以外の生物を恐竜化させるには対象の体に傷をつける必要がある。
 自身を恐竜化した場合、身体能力を向上させることもできる他、スタンドへの攻撃も可能になる。
 恐竜化した生物に情報偵察をさせたり単純に戦力としても扱えるなど、擬似的に自立型の群体スタンドとしての扱いもできる。

【備考】
 参戦時期はアニメ10話の前後。

【方針】
 積極的に優勝を狙うほどではないが、強そうな奴が居たら戦いたい。


776 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/12(金) 23:58:54 0lAQjluI0
続けて投下します


777 : 人間賛歌は勇気の証 ◆DWDMFPPpRw :2020/06/13(土) 00:00:28 lhoG9VoY0

 住宅街。記憶DISCを読み終えたばかりの参加者がいる。
 帽子をかぶり、デイパックを持った少女はしばし途方にくれていた。

「……サーバルちゃん? ボス? 皆居ないの?」

 やがて彼女は、頼りになる旅の仲間たちの名を呼ぶ。しかし、返事はない。夜の道に寂しく小玉するだけ。
 ここには彼女一人しかいないようだ。
 ふと、体が震える。とても嫌な予感がする。きっと、ここに居たら危ない。
 でも、どうすればいいのか。

「よくわからないよ……何をすればいいの?」

 少女は、プッチの語っていた言葉の意味をよく分かっていない。コロシアイ、とは、きっとサーバルちゃんのやっていた狩りごっこのようなもの、というのは分かる。いや、きっと、それよりもっと悪いものだ。
 プッチというヒトからは、何となくだが、とてつもなく嫌な感じがした。ジャパリパークのどのフレンズからも感じたことのない感じ。
 彼女はその感情の表し方を知らなかった。
 頭が爆発した名前も知らないフレンズ。あの光景も、嫌なものだった。
 最初は、夢かと思った。でも、夢のようで、夢ではない。
 プッチは記憶DISCと言っていた。それが何かはわからないが、あの嫌な事は本当に起こった事だ。それだけはわかる。

「そうだ、『スタンド』……だっけ? 皆に与えるって言ってたよね」

 彼女はデイパックを地面に置くと、中身を調べ始める。見たことのあるものから無いものまで、色々な道具が入っていた。やがて、メモとともに何枚かの紙束を見つける。
 『ペーパー・ムーン・キング』。意味はよく分からないが、それが彼女に与えられたスタンドらしい。
 メモには複数の折り紙の折り方が簡潔に書いてあった。それを読み終えた彼女は、試しにその紙を折り始めた。
 テキパキと手際よく作ったのは、紙飛行機。彼女が「としょかん」への旅を始める前に初めて作った道具だ。

「えいっ」

 その紙飛行機を彼女はそっと投げる。
 飛ばしたそれは、風にのって遠くに飛んでいく。試しに念じると、スィーと右へ、左へ、上へ、風任せではなく自在に動いた。

「すごい……本当に動かせた」

 手元に戻した紙飛行機を持ちながら、彼女は素直に驚いていた。メモによると、こうして作った『折り紙』を相手に触らせると色々とできるらしい。
 『蛙』、『蝉』、『バナナ』、メモに記されていたレシピを順番に折っていく。そうして作った折り紙は、最初の紙飛行機と同じように動かせた。
 全てを理解した訳ではないが、彼女はスタンドの使い方を何となく理解できていた。   
 やがてスタンドの確認を終えた彼女は、ひとつの決心を抱いた。
 ジャパリパークの掟は、自分の力で生きる事。多分、ここはジャパリパークではないし、サーバルちゃんもボスも居ない。でも、だからこそ、自分の力で出来ることをしよう。
 彼女はそう決心した。


778 : 人間賛歌は勇気の証 ◆DWDMFPPpRw :2020/06/13(土) 00:01:57 lhoG9VoY0

「……とにかく、他のフレンズを探そう」

 彼女には他のフレンズのような力はない。空も飛べないし、足も早くない。泳ぎも得意ではないし、苦手なものの方が多いくらいだ。
 それでも、彼女には他のフレンズにはないものがある。
 それは、知恵と勇気。人類の叡知を使える唯一の才能だ。
 とある波紋使いは、人の強さとは勇気だと言っていた。
 人間賛歌は『勇気』の賛歌、人間のすばらしさは勇気のすばらしさと。
 生まれたばかり、無垢の赤子に近い彼女にも、人間賛歌に至れる素質は確かにあるのだ。

【名前】かばん
【出典】けものフレンズ
【性別】女性(諸説あり)
【人物背景】
 アニメ『けものフレンズ』における主人公。アプリ版やコミック版には登場しない。
 名前や出自を含むこれまでの記憶が一切なく、気が付いた頃にはさばんなちほーを宛てもなくさまよい歩いていた。そこをサーバルに発見され、彼女の突然の「狩りごっこ」の末に捕まってしまうが、特に悪気があったわけでもないので直ぐに打ち解ける。
 落ち着いた彼女から事情を聞いたサーバルは、前日の火山の噴火で噴出した「サンドスター」によって新たに生まれた「フレンズ(アニマルガール)」であると推測し、「としょかんで聞けばわかるかもしれない」と提案する。このサーバルの助言に従い、自分が何者なのかを知るために一路「としょかん」を目指し、広大なジャパリパークを旅することになる。
 以降、二人は旅を通してお互いの特性を活かしながら困難を乗り越えていった。

【能力・技能】
 身体能力は他のフレンズに比べ劣る部分が多く、「潜水」や「飛行」といった能力も持たない。一方で、他のフレンズたちとは一線を画した知能と観察力、発想力を持ち、旅の間、行く先々で出会ったフレンズの抱える問題ごとを次々と解決している。

【スタンド】ペーパー・ムーン・キング
【破壊力:E/スピード:E/射程距離:C/持続力:C/精密動作性:B/成長性:E】
【能力詳細】
 折り紙のスタンド。
 折り紙もしくは折り紙状に折った物体を操り、その物体に触れた相手に人相やデザインなどの区別をつかなくさせる能力である。
 折り紙の操作については、蝉の形で飛行させたり、バナナの形で足を滑らせたりと中々の使い勝手。ただし折り紙を攻撃されると本体にそのダメージが通ってしまう。
 認識能力については、友人と痴漢を誤認させて人間不信にするといった程度の攻撃から、仲間と自動車を誤認させて轢殺すると言った凶悪な攻撃まで、応用範囲は幅広い。
 物理的な破壊はできないが、使い方によっては相手に与えるダメージは計り知れない。

【備考】
 かばんの参戦時期はアニメ10話の前後。
 スタンドの媒介として折り紙用の用紙が支給されています。
 説明メモに幾つかのレシピが書かれており、何枚か折り紙を作っています。

【方針】
 この場所に詳しそうなフレンズを探し、協力してジャパリパークに戻る


779 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/13(土) 00:02:37 lhoG9VoY0
続けて投下します


780 : のけものはいない ◆DWDMFPPpRw :2020/06/13(土) 00:03:12 lhoG9VoY0
 森林。虫の囀りや草木のなびく音のみがある静かな場所。
 そこで立ち尽くすしているのは、犬のような耳と尾をつけた少女だった。
 彼女はキョロキョロと辺りを見渡している。知らない場所に困惑しているようだ。
 恐怖からか肩が震えており、耳は垂れ、尻尾は股の間に挟まれ、まさに怯えた犬といった雰囲気だ。

(あ、あのプッチさん……ヒト、ですよね? でも、どうしてこんなことを?)

 彼女はイエイヌ。ジャパリパークに住むフレンズだ。
 何故自分がここに居るのか、イエイヌには分からない。
 友達のキュルルを見送った後、元のお家に帰ったところまでは覚えている。
 そのはずが、いつの間にかこの催しに参加させられていた。

「うう……」

 イエイヌは怯えていた。観させられた光景の全てを理解した訳ではないが、それがどういうものかは本能的に理解していた。
 ここは、自分のいたジャパリパークより、ずっとずっと危ない場所だ。
 とても嫌な感じだ。早くお家に帰りたい。
 でも、どうやって?
 どうすれば良いかわからず、混迷するイエイヌ。やがて、彼女の側に寄り添うように何かが出現した。

「うわっ、な、なんですか?!」

 とても驚いたが、やがてイエイヌは思い出した。プッチと名乗ったヒトが、スタンドとやらを自分に与えると言っていたのを。

「ざ、ふーる? あなたがわたしのスタンドなのですか?」

 デイパックに入っていたメモを読み終えたイエイヌは、素直にそう問いかける。愚者の名を関するスタンドは答えない。ただ、じっとイエイヌに寄り添うだけだ。

「あっ……一緒に居てくれるのですか?」

 イエイヌの言葉に、そのヴィジョンは肯定を返した気がした。
 このスタンドからは、微かだが同族の匂いがする気がする。懐かしいそれにイエイヌの心が落ち着いた。
 やがて、イエイヌは決心した。
 ここにはきっと、もっとヒトが居る筈だ。彼らと会いたい。もう待つだけでは駄目だ。 
 皆で協力すれば、きっとお家に帰れる。プッチというヒトも、お話をすれば考え直してくれる筈だ。
 そのために必要なのは歩き出すための勇気。それは既に頼もしいスタンドが与えてくれた。

「わたしは……イエイヌです。よろしくおねがいします!」

 イエイヌの言葉に、ザ・フールは満足そうな顔をした……気がした。


【名前】イエイヌ
【出典】けものフレンズ2
【性別】メス
【人物背景】 
 イエイヌのフレンズ。正確な名前は『イエイヌ(雑種)』。
 礼儀正しくも活発な性格。飼い犬としての性質が強く表れており、ヒトへの依存性が強く見られるなどフレンズとしてはある意味異質とも言える性格の持ち主。
 ヒトがパークにいた頃から(恐らくはフレンズ化する前から)ヒトと共に暮らしており、突然ヒトがパークから姿を消した後もドーム型の家が建ち並ぶ居住区と思しき場所で一人ヒトの再来を信じて待ち続けていた。 
 
【能力・技能】
 フリスビーの投げ方を伝授したり、紅茶の淹れ方を理解しているなど、ヒトの文化にもそこそこ順応している。
 ヒトに対して非常に献身的。フレンズとしては強くないものの、危機に陥った際は全力で守ろうとする。

【スタンド】ザ・フール(愚者)
【破壊力:B/スピード:C/射程距離:D/持続力:C/精密動作性:D/成長性:C】
【能力詳細】
 自由、旅立ち、未知なる可能性を意味するタロット大アルカナ0番目のカード「愚者」の暗示を持つスタンド。
 外見は後ろ足が車輪状になった犬であり、羽飾りの付いたマスクが特徴的。
 砂のスタンドで、姿形は変幻自在。そのため、あえて砂状のまま砂の暴流と化して突進したり、見た目そっくりの精巧な砂像を作ったり、翼を形成して滑空したりすることができる。
 その性質から高い防御力を誇る優秀なスタンドだが、性質上砂の重みにより、俊敏な動きやスピードのある攻撃が出せないといった欠点も持つ。

【備考】
 イエイヌの参戦時期は本編終了後。

【方針】
 皆と協力してお家に帰る方法を考える。人間を護る。
 プッチというヒトを説得する


781 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/13(土) 00:04:01 lhoG9VoY0
続けて投下します


782 : この駄女神にスタンドを! ◆DWDMFPPpRw :2020/06/13(土) 00:04:35 lhoG9VoY0

「もーーーーー!! 女神の私に殺し合いとか意味わかんないんだけどーーーーー!!! というか私に渡すのならもっと高貴なスタンド?寄越しなさいよーー!! ネーミングはともかくデザイン気持ち悪いじゃないコレーーーーーー!!!!」

【名前】アクア
【出典】この素晴らしい世界に祝福を!
【性別】女性
【人物背景】
 「アクシズ教」のご神体にして若くして死んだ日本人の死後の案内を務めている水を司る女神。
 水色の美しい髪に抜群のプロポーションを持ち、女神としても高い能力を持っている。
 人間性に大きな問題がありカズマの死因及び死後の恥ずかしい失態をバカにし続けたため彼の怒りを買い、その仕返しに異世界転生の「特典(持ち物)」として道連れにされた。
 お調子者で能天気かつ、グータラで空気が読めない。
 威勢が良い割りには打たれ弱く、ベソっかきな泣き虫で寂しがりやの構ってちゃん。
 善かれと思って行った行為や、運の悪さがトラブルの原因になることも多くアクセルの街一番のトラブルメーカーであるが、本人に自覚は一切無い。
【能力・技能】
 女神なので才能は高く、知力が平均以下・運が最悪という事を除けば非常に高ステータス。
職業は上級職の「アークプリースト」。
 プリーストスキルだけでなく素手や杖を用いた近接攻撃も得意であり、必殺技はゴッドブローとゴッドレクイエム。
 いずれも「相手は死ぬ」とのことだが、カエルなど物理攻撃に強いモンスターには効かない。

・アークプリースト
 とても優秀でプリーストスキルは全て習得済み。
 神格の高い女神でもあるので、並の冒険者程度では敵わない上位悪魔やアンデッドの王・リッチーでも瞬殺できるほどの魔力を持ち、地獄の支配者である大悪魔とも一人で渡り合うことができる。
 治癒魔法や蘇生魔法、浄化魔法、支援魔法の効果も強力で何度もパーティーやアクセルの街の冒険者たちを救っている。
 呪いや魔法を解いたり、霊などと会話をしたりと地味に役立つスキルも持っている。
 戦闘で役に立たない「宴会芸」スキルも網羅しており、「芸だけで食っていける」と評される程の腕前だが、謎のポリシーがあり、おひねりは一切貰わない。
 宴会芸の他にも、油絵・水絵・砂絵・彫刻・土木作業・フィギュア製作・折り紙など無駄に多芸である。

・水の女神
 「水」を司る女神なのでこの世の全ての水を自分の眷属として操ることができ、精霊を呼び寄せることもある。
 水中でも呼吸に困らず不快感も一切感じない。

・浄化能力
 触っただけで液体を浄化する力があり、長く水に浸かれば魔力で聖水が出来る。
 浄化作用がとても強力なため、高価な紅茶を淹れても指先が触れただけで浄化され「白湯」になってしまうなど困った面もある。

【スタンド】アクア・ネックレス
【破壊力:C/スピード:C/射程距離:A/持続力:C/精密動作性:C/成長性:E】
【能力詳細】
 水分に混ざり相手の体内に進入して攻撃するスタンド。水蒸気にも同化することが可能。簡単なものになら姿を変えることも出来る。人型で全身には無数の目がある。人間に取り憑いて操ることも出来る。
 弱点とされるのは、物質同化タイプのスタンドなので自由に消すことができず、閉じ込められてもガラスを破るパワーもないという点。

【備考】
 参戦時期は書き手に任せます。
 制限で蘇生魔法は使えません。

【方針】
 「カーーーズーーーマ!!めーーぐーーみーーん!!ダーークーーネーースーーー!!誰か居ないのーーーー!!!」
 センス悪いプッチにゴットブローしたい。


783 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/13(土) 00:05:36 lhoG9VoY0
投下終了です


784 : ◆NIKUcB1AGw :2020/06/13(土) 00:24:11 DSo6Eqbc0
投下します


785 : 多けりゃいいってもんじゃない ◆NIKUcB1AGw :2020/06/13(土) 00:25:11 DSo6Eqbc0
静まりかえったボクシングジム。
そこに設置されたリングの上に座り込み、一人の参加者がおのれに支給されたスタンドの説明を読んでいた。
彼の名はカストロ。格闘技の聖地・天空闘技場で名を馳せる武術家である。
カストロはかつて敗北した因縁の相手、ヒソカとの試合を翌日に控えていた。
そんなタイミングで不本意な戦いに強制参加させられた彼は、当然激怒した。
だが、カストロはすぐに冷静さを取り戻した。
そして現状の把握を始め、現在に至るというわけである。

「キッス……。スタンドに付着したシールを他のものに貼り付けると、そのものは二つに増える。
 シールを剥がすと一つに戻るが、その際破壊を伴う……か。
 実際に試してみるとするか……。キッス!」

カストロが叫ぶと、彼のすぐ側にシールを全身に貼り付けた人型のビジョンが出現した。カストロはそれを、まじまじと見つめる。

「これがスタンド……。たしかに具現化しているのに、オーラはまったく感じられない……。
 念能力とは、根本的に異なる異能ということか……」

軽い驚愕の表情を浮かべつつ、カストロはキッスのシールを1枚手に取る。
そしてリングから飛び降りると、近くに放置されていたボクシンググローブにそれを貼り付けてみた。
すると瞬く間に、グローブが二つに増える。
今度はシールを剥がす。またグローブが一つになる。
だが完全に元に戻ったわけではなく、表面が裂けてしまっている。

「なるほどな……。では、こんなものも増やせるのかな?」

カストロはおもむろに、オーラを練り始める。
程なくして、カストロの隣に彼そっくりの人物が出現した。
これが彼の念能力、「分身(ダブル)」。おのれと寸分違わぬ分身を具現化する能力だ。
その分身に、カストロはシールを貼り付ける。
すると分身がさらに一人増え、その場にいるカストロは3人になった。

「上手くいったな……。
 これでダブル改め、トリプル!
 これを使いこなせるようになれば、ヒソカを圧倒するのも夢ではない!
 早速練習だ!」


◆ ◆ ◆


数十分後、カストロは汗だくでリングに倒れ込んでいた。

「クソ、アイディア倒れか……。
 分身二つを操作しながら自分も戦うのは負担が大きい……。
 それに念とスタンドの併用も、体力の消耗が激しすぎる……。
 残念だが、実戦で使えるような戦法じゃない……。
 だが、この程度で諦めてたまるものか!
 必ず新しい戦い方を……」

彼が、今は殺し合いの真っ最中であることを思い出すのは、さらに5分後のことであった。


786 : 多けりゃいいってもんじゃない ◆NIKUcB1AGw :2020/06/13(土) 00:26:12 DSo6Eqbc0
【名前】カストロ
【出典】HUNTER×HUNTER
【性別】男
【能力・技能】
『虎咬拳』
虎の牙や爪に見立てて攻撃を行う拳法。
念で強化されたカストロの技は、人体をもたやすく切断する。

『分身(ダブル)』
カストロの念能力。本体とうり二つの分身を作り出し、共に戦うことで相手を翻弄する。
非常に高レベルな技ではあるのだがカストロ本人の資質とまったくかみ合っておらず、ヒソカからは酷評された。

【人物背景】
天空闘技場で活躍する、長髪の美男子。
かつてヒソカに敗北し、その際に念能力に覚醒している。
元々の戦闘スタイルである虎咬拳と「分身」を組み合わせた、「虎咬真拳」でヒソカへのリベンジを目指したが……。

【スタンド】キッス
【破壊力:A/スピード:A/射程距離:A/持続力:A/精密動作性:C/成長性:A】
【能力詳細】
キスマークが描かれたシールを全身にまとった、人型のスタンド。
シールを貼ったものは二つに分裂し、剥がすと元に戻る。
ただし元に戻る際に衝撃が発生し、生物なら負傷、非生物なら破損してしまう。
なお作中ではそこまでめちゃくちゃな強さではないが、ステータスはやたら高いことでも有名。

【備考】
参戦時期はヒソカとの試合の前日。
【方針】
とりあえず生還


787 : ◆NIKUcB1AGw :2020/06/13(土) 00:27:05 DSo6Eqbc0
投下終了です


788 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/13(土) 03:34:55 lhoG9VoY0
投下します


789 : JOKER ORIGIN ◆DWDMFPPpRw :2020/06/13(土) 03:36:15 lhoG9VoY0

 路地裏。そこで行われているのはサーカスなのか、打ち捨てられた椅子に座った男を道化たちが囲っている。
 そこで行われているのは愉快なサーカスではなく教育。先輩から後輩への優しいレクチャーといったものだ。
 少なくとも、マトモな人間は誰一人居ないことは明らかな光景である。

「こういうパーティーにオススメなのは、ガソリンと爆薬だな。あれは良い、手軽だし何より安い。文明の利器ってやつさ。
 だが、必要なのは手際の良さだ。まずは手下を集めてみろ……」 

 口元から耳に至るまるで笑っているかのような傷跡に、不気味なピエロメイクをした男はそう言った。
 彼の名は『ジョーカー』。この催しの参加者である。鮮やかな銀行強盗によってデビューを飾ったゴッサム史上最大の犯罪者。
 そのアドバイスを聞いているのは、赤いスーツにこれまたピエロのメイクをした中年男性。
 本明はアーサー・フレック。彼もまた『ジョーカー』である。

「へぇ……」

「HAHAHAHAHAHA!! そんなちゃちな案より、毒ガスをばらまくのはどうだ? 札束も添えて、パァーと派手にバラまくんだ! きっと爽快だぞ」

 そう口を挟む彼は、真っ白な皮膚に引きつったような笑いを常に浮かべている、骨太の体格に仕立ての良い紫のスーツといった装いの男。
 かつてギャングのボスの右腕であった男の成れの果て、彼も『ジョーカー』だ。
 そのアイディアを聞いた『ジョーカー』は、なるほど確かにそれも良いと思った。しかし問題がひとつある。

「……おい、毒ガスや金なんてどこで手に入れるんだ?」

 その問いかけに男は肩を竦めた。ここは彼のホームグラウンドではなく、特注の毒ガスの入手は厳しいのだ。現金もしかり。

「HAHA、いやいや、まず必要なのが他にあるだろう」

 すると、また別の男が口を挟んできた。緑髪をオールバックで固めた、全身にタトゥーをしたギャングスターのような装いの男だ。
 彼もまた『ジョーカー』だった。

「お前に必要なのは象徴だぜ。特注品を用意しろ、エンブレムの入った銃とかな。市販のなんてショボいのはナンセンスだ」

「……まぁ、そのうちな」

 ある男は、裂けた口をメイクで雑なメイクで隠している。
 ある男は、骨太でひきつった顔が延々と固定されている。
 ある男は、身体中にタトゥーをいれたギャングスター。
 それらはすべて、『ジョーカー』だった。

「ありがとう。やってみるよ」

 HAHAHAHAHAHA!!

 やがて意見を聞き終えたアーサーは、重い腰を上げる。解散を察したそれぞれジョーカー達は、思い思いに自分達の世界に戻っていく。
 「頑張れよ新入り」「お前ならやれるさ」「何せお前も『ジョーカー』なんだからなな」。
 それぞれ挟まって消えていく彼らを、アーサーは笑顔で見送った。

 僕の人生は喜劇だ。
 それは正しかった。
 エンリコ・プッチ。彼が与えたスタンドで、僕は他の僕に会えた。
 『平行世界』の僕は、いや『ジョーカー』は皆イカれていた。
 でも、それは僕も同じだ。何が狂ってて何が正しいのか、誰の物差しで図るんだ。
 そんなものはくだらない。だから、僕は皆が求めてくれることをやることにした。
 だって、僕はーー『ジョーカー』だから。

 新たな『ジョーカー』は踊る。息苦しい檻を飛び出し、光に飛び込む感触。
 どこまでも深い解放感が、アーサーを包み込んでいた。

【名前】ジョーカー(アーサー・フレック)
【出典】JOKER、もしくはバットマンシリーズ
【性別】男性
【人物背景】
 アーサー・フレック。コメディアンを目指すも才能無き男。あるいは新しき『ジョーカー』となった者の一人。
 基本世界ではアーサーが『ジョーカー』としてこの催しに参加している。

【能力・技能】
 先人に比べその腕は粗削りだが、史上最悪のヴィランになる素質はある。

【スタンド】Dirty Deeds Done Dirt Cheap(D4C)
【破壊力:A/スピード:A/射程距離:C/持続力:A/精密動作性:A/成長性:A】
【能力詳細】
 平行世界を自在に行き来することができ、さらに他者を異世界へ引きずり込む(又は送り出す)ことができるスタンド。
 発動のトリガーは何かの隙間に挟まれる、或いは挟み込むこと。
 本来ならあり得ない事だが、平行世界に参加者としているジョーカーは、それぞれ別人のようである。
 しかし、側が違えど全てジョーカーなので問題なく能力は使える。

【備考】
 アーサーの参戦時期は暴徒によって助け起こされる前後、少なくともマレーを射殺した後。
 D4Cを用いてそれぞれ『ジョーカー@バットマン(実写)』、『ジョーカー@ダークナイト)』、『ジョーカー@スーサイド・スクワッド』と接触しました。

【方針】
 アドバイスを参考に、ジョーカーとして行動する


790 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/13(土) 03:37:20 lhoG9VoY0
投下終了です


791 : 黒鷲の学級 ◆XksB4AwhxU :2020/06/13(土) 08:14:56 .qI.92uA0
完成したので投下します。


792 : 黒鷲の学級 ◆XksB4AwhxU :2020/06/13(土) 08:15:09 .qI.92uA0
女帝-----女性の皇帝を指す言葉。
「・・・・・」
漆黒の大地に立つ少女もまた「女帝」の地位が約束されている。
次期皇帝の少女の名はエーデルガルト=フォン=フレスベルグ。
「こんなところで、足止めをくらうなんて・・・ッ!」
貴族制度の撤廃に「紋章」が絶対とされる社会の仕組みを変えなければならない。
実現させるために打倒セイロス教壇に向けた準備を行いつつ、エーデルガルドは士官学校の「黒鷲の学級(アドラークラッセ)」の級長を務めている。
どうにかしないと…と思案していると。
「まぁ、そんなにカリカリしていると、可愛いお顔がだいなしよぉ〜ッ!」
唐突に聞こえてきた声。どうやら自身の左手からのようだ。
「…あなたが神父が言っていた「スタンド」ね」
左手に視線を向けると、そこには人の顔をしたものが憑いていた。
「そうよ!あたいが「女帝」よッ!チュミミーン!!」
エーデルガルドに支給されたスタンドは「女帝」。
血液を付着させて憑りつかせる能力。
「可愛いスタンド使いさん♪お名前を教えてちょうだい♪」
「…エーデルガルト=フォン=フレスベルグよ」
「長い名前ねぇ〜…エガちゃんと呼ぶわッ!いいわよね?」
「はぁ…好きにしなさい」
エンプレスの馴れ馴れしい言動にエーデルガルドは頭痛に悩むかの如く手を頭に置く。
「それでッ!エガちゃんはどうするの?この殺し合いに。鏖?友達ごっこ?」
エンプレスは質問をする。自らのスタンド使いに。
「「生き残る」私にはやるべきことがあるから」
確固たる意志の炎がエーデルガルトの瞳に宿る。
「ふ〜ん…まっ、私はエガちゃんのスタンド。スタンド使いの意向には従うわ」
エンプレスの問いにエーデルガルトは一呼吸して…
「ええ。そうしてくれると助かるわ。よろしくね、エンプレス」
次期女帝と女帝の名を司るスタンド。
女帝が進む道は「王道」か「覇道」か-----


793 : 黒鷲の学級 ◆XksB4AwhxU :2020/06/13(土) 08:15:30 .qI.92uA0
【名前】エーデルガルト=フォン=フレスベルグ
【出典】FE風花雪月
【性別】女性
【能力・技能】
アドラステア帝国の皇女。凛とした高貴な雰囲気と威厳を漂わせる才媛。冷静に周囲の状況や他者を見定めて行動する。
元々は10人兄弟姉妹の第8子だったが、怪しげな実験を受けた結果、彼らは死亡。
唯一成功した彼女が唯一の皇位継承者となってしまった。
地下牢での出来事からネズミが苦手。また、実はカナヅチ。
【参戦時期】皇位を継承し、セイロス聖教会および教会に味方する諸侯に宣戦布告する前

【スタンド】エンプレス
【破壊力:C/スピード:E/射程距離:A/持続力:A/精密動作性:D/成長性:D】
【能力詳細】
能力は「相手の肉に寄生する」こと。
寄生するには自分の血を相手に付着させなければならない。
食べ物を摂取して成長し対象を攻撃できて、言葉を話すことができる。口癖は「チュミミ〜ン」
【方針】
生き残って帰還する。
手段は問わない。(仲間を率いてプッチへの反乱ルートもしくは優勝ルート)


794 : あ…あ… ◆XksB4AwhxU :2020/06/13(土) 09:45:09 .qI.92uA0
完成したので投下します。


795 : あ…あ… ◆XksB4AwhxU :2020/06/13(土) 09:45:55 .qI.92uA0
「あ…あ…」
黒い影のような体は10代の少女の裸体。
「あ…あ…」
仮面は焦げ茶色のポニーテールの少女になった。
「あ…あ…!?」
気になる少女の声に驚く。
そして水面に映る姿は気になる少女の顔。
スタンド「クヌム神」の力。
「ふ・・・く」
手から、少女が着ていたクリーム色と黄緑色のTシャツに赤色の半ズボンを出して着る。
「あ…あいたい…」
少女となった彼?は人に会いに歩く。
殺し合いに乗った・乗らないは彼にとって、さほど重要ではないからだ。


796 : あ…あ… ◆XksB4AwhxU :2020/06/13(土) 09:46:22 .qI.92uA0
【名前】カオナシ
【出典】千と千尋の神隠し
【性別】?
【能力・技能】
黒い影のような物体にお面をつけたような存在。
言葉は話せず「ア」または「エ」といったか細い声を搾り出すだけで、表情も無い。
相手が欲しい物を手から出す力を持ち、それを手にした瞬間にその人を飲み込んでしまう。ただし、それは土塊が変化したものに過ぎない。
コミュニケーションが取れないため、他人を呑み込んで声を借りる。その際はお面の下にある口腔から話す。
【参戦時期】橋の欄干で千尋を見かけ、後を付いてきている最中。

【スタンド】クヌム神
【破壊力:E/スピード:E/射程距離:A/持続力:E/精密動作性:E/成長性:E】
【能力詳細】
能力は「本体の姿や声質を自在に変化させる」こと。
体臭・指紋・声帯まで他人そっくりに変身できる。ただし、服はそのまま。
【方針】
あ…あ…(他の参加者と出会い、ついていく)
※荻野 千尋の姿になっている。


797 : あ…あ… ◆XksB4AwhxU :2020/06/13(土) 09:46:41 .qI.92uA0
投下終了します。


798 : 何を省くか、ではなく何をのこすか ◆XksB4AwhxU :2020/06/13(土) 15:41:59 .qI.92uA0
完成したので投下します。


799 : 何を省くか、ではなく何をのこすか ◆XksB4AwhxU :2020/06/13(土) 15:42:41 .qI.92uA0
「…」
シャ!シャ!!シャッ!!!紙にペンを走らせている女性。
「よし、とりあえず書けたかな?」
女性の名は清棲あかり。
かなでの森博物館の鳥類・ほ乳類担当の研究者。
そして、先ほどまであかりが書いていたのは、スカイフィッシュ-----未確認生物とされていた現象。
「スカイフィッシュ…眉唾のような扱いだったけど、実在していたんだ」
研究者にとって未知なる生物との出会いは嬉しいものだ。あかりは目を輝かせながら観察している。
スカイフィッシュ-----羽虫がフレームレートを超えて高速で飛行すると、一コマの内に映る姿が航跡に沿って長く引き伸ばされて、映ることが分かっているため、既にUMA研究者の間では興味の対象から外れているのが現実である。
「う〜ん、解剖してもっと生態を調べたいな〜」
研究者としての性かあかりは今、手元にある道具だけでは、スカイフィッシュを調べきれないことに肩を落とす。
「そして、私の「スタンド」もトカゲの一種なのかしら?」
あかりの右腕に纏まりついているのは支給されたスタンド「スカイ・ハイ」
謎の未確認生物を操る能力を宿している。
「…きっと、この殺し合いで死ぬ人も出るよね…」
あかりは先ほどのプッチ神父によるデモンストレーションを見て、死者が現れることは確実であると推論する。
「私の仕事は、100年後の未来に届けること」
ヴンダーカンマー…昔、ヨーロッパで珍しいものを集めて作った部屋のこと。そして後の博物館に繋がる。
「なら、私はこの殺し合いに集められた人達の生きた証を集める」
この殺し合いが行われたことをなかったことにしないために。
「そうだッ!…ごめんね。安らかに眠って」
あかりは自分がこの殺し合いの場に呼ばれたとき、車に轢かれたカモシカの死体を背負っていた。
本来ならば、博物館へ持ち帰り「生きていたあかし」を残すはずだった-----
当然、背負ったままに移動するわけにはいかず、あかりは身近に咲いていた花を摘み、死者を悼む…
「よしッ!まだまだ発表しなきゃいけない論文がある…絶対に生きて帰らなきゃ!」
清棲あかりはこの殺し合いの場で、自分ができることをするために行動を開始する。


800 : 何を省くか、ではなく何をのこすか ◆XksB4AwhxU :2020/06/13(土) 15:43:10 .qI.92uA0
【名前】清棲あかり
【出典】へんなものみっけ!
【性別】女性
【能力・技能】
博物館の鳥類・ほ乳類担当。若くして次々とユニークな論文を発表する新進気鋭の研究者。「好き!」「知りたい!」だけでどこへでも飛び出し、ハンパなくのめりこむ。
意外にも料理上手でもある。
【参戦時期】原作1話 事故死したカモシカを背負っているところ

【スタンド】スカイ・ハイ
【破壊力:なし/スピード:なし/射程距離:肉眼で届く範囲/持続力:C/精密動作性:なし/成長性:なし】
【能力詳細】
能力は「未確認飛行生物「ロッズ」を操る」こと。
攻撃する目標への方向やタイミング、どの部分の体温を奪うかの指令を出す。
あかりの研究者としての矜持が未確認生物と心を通わせている。
【方針】
殺し合いには参加しない。
研究者として、この殺し合いの記録を残す。


801 : 何を省くか、ではなく何をのこすか ◆XksB4AwhxU :2020/06/13(土) 15:43:28 .qI.92uA0
投下終了します。


802 : 猫はココが好き ◆XksB4AwhxU :2020/06/13(土) 18:09:27 .qI.92uA0
完成したので投下します。


803 : 猫はココが好き ◆XksB4AwhxU :2020/06/13(土) 18:09:57 .qI.92uA0
「…キーフリー先生…みんな…」
深夜の森の洞窟の中、体育座りで師の名と共に学ぶ同門の生徒の名を不安げに呟く少女。
名はココ。魔法使いの弟子。
幼き頃、お祭りで買った魔法の本とペン。それから数年が経ち、偶然知り得た魔法のかけ方を知った。
その夜、家でこっそりと描いていたら、その魔法は禁止魔法だった。
禁止魔法の効果で母と家を石にしてしまったココは母を救うべく、魔法使いの弟子となり勉学に励んでいる。
師であるキーフリーの師ベルダルートはココに説く。
「魔法はなんでもありの奇跡の力じゃない」と…
衝動的にベルダルートの部屋を飛び出して図書の塔へ向かおうとしたとき、ココは神父に呼ばれた。
《じゃあ、私はどうすればいいの-----》
禁止魔法に縋りつばあり帽の道へ進むしかないのか…絶望で心が塗りつぶされようとしているとき…
「あの、神父さんが言っていた願いを一つ叶える-----ッ!?」
ふと、ココはプッチ神父が優勝者に願いを何でも一つ叶えるといったことを想起する。
が、頭をブルブルと振りながら否定する。
「だめ…ッ!人の命を奪って、お母さんを元通りにしたってお母さんが悲しむだけ…」
それじゃあ、自分が進む道は?-----そのとき。
「ココは何処だ?ウニャオ何故、ここにいるのかな?ウニャウニャ」
「きゃッ!!??」
背後からの声に驚いたココは飛び跳ねる。
「な、何か・・俺の身体、いつもと違うぞ!?変な形になってるぞ!おかしいぞ!?どうしてここから動けないんだ!?」
「え!?花が喋っている…?」
「俺は花じゃないッ!可愛らしくて人間に飼いたいランキング不動の1位確定のネコだッ!」
一位かはさておき、どうやら自身をネコだと主張する草にココは両手をブンブン左右に動かしながら謝罪する。
「ネ…ネコさんだったのッ!?ご…ごめんなさい!!」
「わかればいいんだ!…ん…?」
洞窟内にできた水たまりの水面を覗いたネコ?は己の体を見て絶叫する。
「なんじゃ!こりゃ――――――――――ッ!!!!」
…数分がたち。
「え〜っと…どうやらネコさんは私に支給されたスタンド?みたいですね」
リュックサックに入っていたスタンドに関する説明書を読みながらココはネコだといいはる草に伝える。
「二日ほど前、誰かに矢で攻撃されて…それは無事だったんだけど…」
腕の部分の葉っぱを腕組みしながら頭を傾げるネコ。
そう、「ストレイキャット」-----川尻しのぶに誤って殺されてしまい、川尻家の庭に埋葬されたが猫。
実際は仮死状態であり、さらにスタンドの発現により猫草として復活し、今回、支給品としてこの場に呼び寄せられたのだッ!
「じゃあ、お嬢ちゃんが俺のスタンド使いとなるわけか…」
「よ…よろしくお願いしますッ!」
ココは改めて自分のスタンドとなったストレイキャットに頭を下げて挨拶をする。
「…で?ココはどうする?優勝してお母さんを助けるのか?」
「…ううん。人の命を奪って叶えたら、お母さんが悲しむ…」
《-----でも、神父さんの力なら解けるんじゃ-----》
口ではそう言うが、ココの心はプッチ神父の甘美な言葉が楔として打ち込まれている…
「まっ!なら他の参加者と手を組んでプッチ神父をボコッて願いを叶えさせりゃいいんじゃね?ほら!希望があるじゃん」
ストレイキャットの横暴な考えに-----
「プッ…そんな考え方思いつかなかった」
ココは笑う。心の影が薄くなる…
「ンニャンニャ♪ならトロを喰わせてくれ!トロを!」
ストレイキャットは陽気に言う。
ストレイキャット…彼の考えは「本能と欲望のなすがままに生きる」だから-----
「トロ…お魚だよね?う〜ん、じゃあ、行先は湖のある方かな?…ふふ、行こう!ストレイキャット!」」
「ミャオ!」
-----
《ストレイキャットが言ってくれてホッとしたんです》
《希望はあると言ってくれてホッとしたんです》
《だって、もし希望はないのだと言われたら》
《私は絶望を頼りに進まなくてはならなくなってしまうから》
ココの本能と欲望の行く末は-----


804 : 猫はココが好き ◆XksB4AwhxU :2020/06/13(土) 18:10:12 .qI.92uA0
【名前】ココ
【出典】とんがり帽子のアトリエ
【性別】女性
【能力・技能】
「知らざる者」(ふつうの人)
手先がとても器用で服を仕立てられる。発想がとても豊かで機転がきく。
特殊なインクである魔墨とペン、そして魔円手帳で「魔法陣」を描くことで魔法が使える。
【参戦時期】原作7巻 キーフリーの師、ベルダルートから魔法は万能ではないと説かれ、部屋を飛び出した後

【スタンド】ストレイ・キャット
【破壊力:B/スピード:E/射程距離:なし/持続力:A/精密動作性:E/成長性:C】
【能力詳細】
能力は「光合成で作ったエネルギーを使い周りの空気を自由自在に操る」こと。
圧縮した空気を弾丸のように撃ち出すことで攻撃する。
また、周囲を真空状態にすることで対象を窒息させたり、炎や爆発を封じることも。
更に、空気を圧縮することでクッション代わりにしたり、防御に使用するとクレイジーダイヤモンドの攻撃も防げるほど頑丈な盾になる。
他にも、生物の血管に空気を注入して空気塞栓を起こさせたり相手の身体に纏わり付かせて束縛すると汎用性は非常に高い。
しかし、あくまで「空気の塊」なので針のようなもので刺すと風船のようにしぼんでしまう欠点がある。
また、光合成で行われる呼吸により操作するため、強い光を当てれば当てるほど強化されるが、逆に光を当てなければほとんど無力化されてしまう。
ただし、室内で弱い光を当てられた場合でも、分厚い辞書を一撃で貫通するほどの威力を誇る。
【方針】
ゲームには参加しない。
ストレイキャットの提案を指針として動く
(他の参加者と協力してゲームを脱出し、プッチ神父に願いを一つ叶えてもらいたい)


805 : 猫はココが好き ◆XksB4AwhxU :2020/06/13(土) 18:10:55 .qI.92uA0
投下終了します。


806 : はんなり めっちゃ武士道ガール ◆XksB4AwhxU :2020/06/13(土) 21:00:42 .qI.92uA0
完成したので投下します。


807 : はんなり めっちゃ武士道ガール ◆XksB4AwhxU :2020/06/13(土) 21:01:44 .qI.92uA0
「神父さんの儀式は間違っとる。絶対にうちが止めへんと」
真夜中の竹林の中を歩いている女性。
名は花織ことは。
300年以上昔から外道衆と戦ってきた志波家当主に仕えてきた家臣の末裔。
侍戦隊シンケンジャーのシンケンイエロー。
「せやけど…あかん、やっぱりショドウフォンにシンケンマルは神父さんに没収されとる」
ことはは持ち物を確認し、結果に落ち込む…
《これでは、シンケンイエローに変身することができひん》
ショドウフォンがなければ、ことははシンケンジャーとしての力を発揮できない。だが…
「ん?こらロープ?なんで」
ことはが求めていた物は無かったが、代わりに長いロープが一巻あった…
「もしかして…神父さんが言うとったスタンドに関係しておるん?」
ことはは、プッチ神父が言っていたスタンドの説明の紙を探し、読みだす…
「え〜と、肉体をロープと一体化させ、バラバラに分解して操る…」
そう、ことはに支給されたのは「オー! ロンサム・ミー」
ことはは、試しに自分の左手にロープを一体化させてみる。すると…
「ほんまや!?うちの手が離れて動いた!?」
ことはは、オー! ロンサム・ミーの能力に始めは驚愕した表情だったが、顔を引き締めると。
「他の無理やり参加させられている人達を救うには、能力を把握しておかんと…」
ことはは、その後も、自分の体でオー! ロンサム・ミーの能力を試す。
「うん。これは便利やね」
シンケンジャーの一員として戦闘経験を積んでいることはは、何度かの練習で自身のスタンド能力を活用できた。
「まずまずやね…それに、ロープなら相手を殺めずに抑え込むこともできる。うちにピッタリなスタンド」
招集される前は家業の竹細工作りをしていたため、ロープの扱いも上手であった。
「殿様…みんな。心配せえへんでね」
ロープをギュッと握りしめると女侍は歩みを再開する。
仮面の改造人間…光の巨人…それらと異なりチームで平和を守る戦隊。
ことはがこの殺し合いで仲間を見つけて組むことができるのか…
花織ことはの第一幕、まずはこれまで。


808 : はんなり めっちゃ武士道ガール ◆XksB4AwhxU :2020/06/13(土) 21:02:01 .qI.92uA0
【名前】花織ことは
【出典】侍戦隊シンケンジャー
【性別】女性
【能力・技能】
京都の山村で育ち、京都弁を話す。純粋で優しい性格の持ち主で、侍の使命に懸命。
度を超えた天然ボケで良くも悪くも空気が読めないところがある。
姉から教わった笛と剣術が得意。
ショドウフォンで「土」のモヂカラを使うと、シンケンイエローに変身することが出来る。
【参戦時期】第三十六幕後

【スタンド】オー! ロンサム・ミー
【破壊力:E/スピード:C/射程距離:C/持続力:B/精密動作性:C/成長性:E】
【能力詳細】
能力は「自身や他人の肉体をロープと一体化させ、バラバラに分解して操る」こと。
戦闘向きではないが、狭い場所を潜り抜けたり、爆破されても咄嗟に身体をばらけさせて致命傷を避けることが可能。
しかし、本体が意識しなければ発動しない。
【方針】
殺し合いを阻止し、シンケンジャーの一員として他の参加者を守る。
できたら、ショドウフォンやシンケンマルを入手できたら…と思っている。


809 : はんなり めっちゃ武士道ガール ◆XksB4AwhxU :2020/06/13(土) 21:02:15 .qI.92uA0
投下終了します。


810 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/14(日) 06:28:01 nCeIA27s0
投下します


811 : その道に生まれて ◆DWDMFPPpRw :2020/06/14(日) 06:29:13 nCeIA27s0

 記憶DISCを読み終えたとき、タバサは海軍本部という施設にいた。
 どこの国の軍かは解らないが、どうやら彼女が居るのは元帥の書斎らしい。
 見たことの無い材質、使われている建築技術も高度なものだ。
 こうした施設のある土地を無人にし、かつ殺し合いなどに利用できるとは、エンリコ・プッチ……底が知れない。
 スタンドという未知の能力を含め、タバサにとって理外の状況。ただ一つ確かなのは、ここが既に戦場であるということ。

「願いを叶える……」

 タバサはプッチの語っていた報酬に惹かれていた。
 薬で心を壊され、廃人となり人質同然に囚われた母を救いたい。そしてそれを仕組んだ国王ジョゼフへの復讐も含め、叶えたい願いなどいくらでもある。
 エンリコ・プッチがスタンドを含めて未知の力を持つのは確か。なら、願いを叶えるという言葉に賭けるだけの分はある。
 北花壇騎士団の一員として、こういう汚い仕事は馴れている。タバサは必要とあればやるべき事をできるタイプだった。
 しかし、最終的に優勝を目指すにしても圧倒的に情報が足りない。
 そして、懸念事項も一つある。

(…………やはり、杖がない)

 タバサはトリステイン魔術学院の生徒にして「風」のトライアングルメイジでもある。
 実戦経験も豊富なタバサは、同じ系統のメイジの中でも優れた実力と才があった。
 しかし、魔法に必要となる杖は没収されていた。杖が無いとメイジはコモンマジック以外魔法を使えない。
 体術の心得もそれなりに有るが、不確定要素の多すぎるこの催しでは心許ない。
 全ての参加者にスタンドとやらが与えられているのなら尚更である。
 よって彼女が生き残るには、必然的に与えられたスタンドを使うしかない。

「『ボーン・ディス・ヴェイ』」

 その名を呟くと、彼女の側に出現する像。タバサにとって未知の騎乗物であるバイク、鋼鉄の馬のようなそれに乗った人型のスタンドが佇んでいた。

「これが……スタンド」

 ヘルメットで隠された顔から視線を感じる……気がする。
 あの男はスタンドを精神の具現化した物だと言っていたが、確かにどこか繋がりを感じる。
 魔法を使うときとは感触も違う。メイジの扱う魔法とは起源から異なる能力のようだ。
 説明者を読む限り、少々癖があるものの、遠隔からの暗殺に向いている能力を持っていた。「風」の系統である自分とも相性が良い。
 魔法とはかなり勝手が違うが、杖を取り戻すまではこれを使って戦うしか無い。
 当面の目的は、情報収集と自身の杖の捜索。その為の他者との接触か。
 そう方針を定めたタバサは、ひとまずその場から歩き始めた。


812 : その道に生まれて ◆DWDMFPPpRw :2020/06/14(日) 06:30:30 nCeIA27s0

【名前】タバサ(シャルロット・エレーヌ・オルレアン)
【出典】ゼロの使い魔
【性別】女性
【人物背景】
 トリステイン魔術学院の生徒で、トリステインの隣国ガリアからの留学生。
 青い色の髪と瞳を持つ小柄な眼鏡っ娘。二つ名は「雪風」。
 弱冠15歳にして「シュヴァリエ」の称号を得ているエリートである。
 学院では一学生として振る舞っているが、その正体はガリアの王族にして非公式工作員の一人。
 父は王弟であるオルレアン公シャルル。現ガリア王ジョゼフは伯父にあたる。
 父シャルルをジョゼフによって暗殺された上、母もエルフの毒を盛られ心を壊されている。
 その後は母を人質同然に軟禁され、ジョゼフの娘イザベラの配下「北花壇騎士団」の一員とされて危険な任務で使い潰されようとしている。
 任務を黙々とこなしつつも、母の救出とジョゼフへの復讐の機会を狙っている。
 狂った母はシャルロットの持っていた人形「タバサ」をシャルロットと認識するようになってしまったため、彼女は逆に人形につけた名前の「タバサ」を名乗るようになった。

【能力・技能】
 風のトライアングルメイジであり、風に水を足しあわせた氷雪系の魔法を得意としている。
 また体術の心得もそれなりにあり、小柄で体重が軽いため攻撃は相当素早い。
 真正面から戦うことを避け、相手の隙に乗じて一瞬で勝負を決める暗殺者タイプ。
 ただし杖を持っていないと魔法は一切使用することができない。

【スタンド】ボーン・ディス・ウェイ
【破壊力:C/スピード:B/射程距離:A/持続力:A/精密動作性:E/成長性:E】
【能力詳細】
 オートバイに跨った黒ずくめのライダーのようなスタンド。バイクとライダーがセットで1つのスタンドである。
 自動追跡型のスタンドで、あらかじめ指定された標的が何か「閉じてる物」(フタやドア、本のページ等)を「開く」ことで、その傍らに先回りするが如く瞬間移動する能力を持つ。
 但し、出現のきっかけとなった物を「閉じた」場合は本体へと戻ってしまう。
 フタの緩んだペンなどを標的に投げつけて「開かせる」ことで不意討ちを行うといった応用も可能。
 攻撃にはバイクのホイールから発生する突風を用いる他、その風によって周囲を急速冷却しての凍結攻撃やバイク自体での体当たりも行う。
 冷却能力は屋内外を問わず周囲一帯を氷の世界に変えてしまうほどで、さらにバイクは近距離パワー型スタンドを押し返すパワーと頑強さを持つ非常に強力なスタンドである。

【備考】
 タバサの杖は没収されています。採用された場合、魔法に関する制限は書き手に任せます。
 タバサの参戦時期は原作1巻終了後です。

【方針】
 この催しを生き残る。最後の手段に優勝による生還も検討中。


813 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/14(日) 06:30:48 nCeIA27s0
投下終了です


814 : はんなり めっちゃ武士道ガール ◆XksB4AwhxU :2020/06/14(日) 19:38:50 vLAshc2Y0
完成したので投下します。


815 : 惟任日向守 ◆XksB4AwhxU :2020/06/14(日) 19:39:48 vLAshc2Y0
タイトルが変更されていませんでした。
改めて投下します。


816 : 惟任日向守 ◆XksB4AwhxU :2020/06/14(日) 19:40:00 vLAshc2Y0
「プッチと名乗る伴天連の企みを見過ごすわけにはいかぬな…」
畳が敷かれている部屋で一人座っている、老齢の武士。
名は、明智十兵衛光秀-----惟任日向守。
主君、織田信長の元で天下泰平を築き上げるために不動明王として信長の「覇道」を照らし続けてきた。
しかし、敬愛する主君は「唐入り」という「魔道」に魅入られてしまった。
光秀は苦悩しながらも「唐入り」を阻止するために策謀し、天正10年6月2日京「本能寺」にて謀反を起こした。
そう、日本人の多くが知っている「本能寺の変」である。
変の後、光秀は畿内を速やかに制圧するために動いたが、羽柴秀吉による出発日の改竄をして成し遂げた「中国大返し」と信長・信忠父子が生きているという「怪文書」により劣勢となっていた。
光秀は坂本城にて息子光慶に「坂本」の地の安寧を託し、秀吉と「山崎」の地で対峙しようと準備している直後、この殺し合いに呼ばれたのだ。
「伴天連がこのような悪辣な催しをするとは…比叡山にも劣らぬな」
かつて、光秀は大財閥比叡山延暦寺の横柄に怒りを覚え、焼き討ちを進言したことがある。
「南蛮風の服を着た少女の命を奪った罪…お主たちがいう神デウスではなく儂が裁くッ!」
民を愛する光秀だからこそプッチの行いは黙って見過ごすわけにはいかない。
「それにしても、願いを一つ叶える…か」
光秀の脳裏に浮かぶ光景-----日ノ本が天下泰平となり、主君信長の傍で共に民を見守る-----
「ふッ…もう過ぎし夢じゃな。さて、儂に支給された「すたんど」?となるものは…」
光秀はプッチの甘言を振り払うと、支給品を確認する。
「ほう「てぃなー・さっくす」?と申すのか儂のスタンドは」
光秀に支給されたスタンドは「ティナ―・サックス」現実感のある幻覚を見せる能力。
「ふむ…忍びのような技をもつのじゃな」
光秀は己に支給されたスタンドの能力を把握する。
「孫子曰く-----兵は詭道なり」
戦いは欺くこと。光秀は絶対的な不利の状況においてもまだ希望を残しているッ!
《伴天連プッチよ…これはお主との欺き合いの合戦じゃッ!》
「正義」と「公正」の瑞獣・獬豸は「天国」への到達を目論む魔獣・饕餮に打ち勝つことができるのか…
光秀の策謀が張り巡らされる-----


817 : 惟任日向守 ◆XksB4AwhxU :2020/06/14(日) 19:40:25 vLAshc2Y0
【名前】明智十兵衛光秀(惟任日向守)
【出典】信長を殺した男
【性別】男性
【能力・技能】
日本一有名な謀反を起こした男。怨恨説・野望説・黒幕説など様々な議論がされるが、400年以上たってもいまだ謎である。
今回の出典された光秀は変の理由は信長の「唐入り」を阻止するである。年齢は67歳。
孫子の兵法や韓非子など中国大陸の思想に明るい。
【参戦時期】原作7巻 41話 坂本城にて息子「光慶」との会話中。

【スタンド】ティナ―・サックス
【破壊力:E/スピード:E/射程距離:D/持続力:A/精密動作性:E/成長性:なE】
【能力詳細】
能力は「現実感のある幻覚を見せる」こと。
幻覚は視覚のみならず海水に濡れた感覚など、
聴覚や触覚にまで影響を及ぼし、人間とは感覚器官の性能が異なる犬にも変わらず迷路を体感させることができる。
【方針】
この殺し合いを打破して伴天連の企みを阻止する。


818 : 惟任日向守 ◆XksB4AwhxU :2020/06/14(日) 19:40:38 vLAshc2Y0
投下終了します。


819 : はじめましてあたし夢野サリーです ◆XksB4AwhxU :2020/06/14(日) 20:52:44 vLAshc2Y0
完成したので投下します。


820 : はじめましてあたし夢野サリーです ◆XksB4AwhxU :2020/06/14(日) 20:53:03 vLAshc2Y0
「ママ…パパ…」
深夜の大木の枝に腰を下ろしている少女…
名はサリー。ちょっとチャームな女の子。仲の良い子からは「サリーちゃん」と呼ばれていた。
人間界では夢野サリーと名乗って修行していた。
魔法の国の女王となる戴冠式の前夜にサリーは両親と喧嘩をしてしまった。
悲しんだサリーは走り出しながら部屋の扉を開けた瞬間、プッチによる殺し合いの参加者として選定されてしまった。
「あの女の子…とても可哀想だわ」
サリーは先ほどのプッチ神父による非道に胸を痛めている…
「殺し合いなんて、悲しいことわたしはできないし、神父さんはゆるせないわ。それに…」
サリーには夢がある。
「絶対にここから脱出をしてよし子ちゃんとすみれちゃんに会うんだからッ!」
サリーの黄金の精神が輝きを見せるッ!!
サリーが腰を下ろしていた枝にもう一人腰を下ろしている全身青色にダイヤ状の黒が塗られている人が相席していた。
「あなたが、私のスタンドなのね?」
サリーの問いかけにハイウェイ・スターはニコリと微笑み返す。
ハイウェイ・スター…それがサリーに支給されたスタンド。
お披露目といわんばかりか、ハイウェイ・スターは足跡のような形に変形させると勢いよくサリーの周囲を走り出した!
「すごいッ!すごいわッ!!…よ〜し、えいッ!!!」
ハイウェイ・スターの能力に驚きつつもなんと!サリーは変形したハイウェイ・スターに飛び乗った!
「ふふ!魔法の箒みたいね♪」
普段から魔法の箒で移動していたのか、器用にハイウェイスターの足跡に飛び移ったりしてしてみせた。
「うん!わたしはあの神父さんの企みを阻止するわッ!よろしくね、ハイウェイ・スター♪」
サーカスの空中ブランコばりの妙技を終えたサリーは改めてハイウェイ・スターに挨拶する。
こうして、ちょっとチャームな女の子サリーとちょっと体を変形させて時速60kmで飛行できるハイウェイ・スターのコンビが成立した。


821 : はじめましてあたし夢野サリーです ◆XksB4AwhxU :2020/06/14(日) 20:59:28 vLAshc2Y0
【名前】サリー(夢野サリー)
【出典】魔法使いサリー(1989年版)
【性別】女性
【能力・技能】
人間界では小学5年生の少女。11歳。
魔法の国の王女で次期女王。
「呪文を使う」「箒で空を飛ぶ」「魔法のステッキで魔法をかける」などができるちょっとチャームな女の子。
魔法の呪文は「マハリクマハリタヤンバラヤンヤンヤン」
【参戦時期】1話 両親との喧嘩後、扉を開けて飛び出した瞬間。

【スタンド】ハイウェイ・スター
【破壊力:C/スピード:B/射程距離:A/持続力:A/精密動作性:E/成長性:C】
【能力詳細】
能力は「相手の匂いを覚えて標的をどこまでも追跡し、体内に侵入して養分を吸い取る」こと。
基本は人型だが無数のグミ状の足跡のような形に体を変形させて時速60kmで飛行できる。
対象のエネルギーを吸収するのが目的であるためか、スタンドそのもののパワーは低い。生物相手ならばエネルギー吸収で倒す事が可能だが、無生物相手ではシュレッダーも壊す事ができないほど攻撃力が低いと言うのが最大の欠点である。
【方針】
ゲームには参加しない。
魔法の杖をなんとか手に入れたいと思っている。
「カブ」「ポロン」も会場のどこかにいるのでは?と少し考えている。


822 : はじめましてあたし夢野サリーです ◆XksB4AwhxU :2020/06/14(日) 20:59:44 vLAshc2Y0
投下終了します。


823 : 僕は崖っぷち ◆XksB4AwhxU :2020/06/14(日) 22:33:29 vLAshc2Y0
完成したので投下します。


824 : 僕は崖っぷち ◆XksB4AwhxU :2020/06/14(日) 22:33:44 vLAshc2Y0
「う〜〜〜〜!許せないぞォ!プッチ!!」
暗闇に支配されている平地で怒りの声を上げる少年?-----
名は白ボン。ボンバー人の男の子。
ひょんなことから「ジェッターズ」の一員となった白ボンはDr.メカードの野望を阻止してボンバー星の危機を救った。
その後もジェッターズの一員として平和を守っていた最中、この儀式に招待された。
「ボムをこんな使い方をするなんて…僕は許さないッ!」
爆弾を扱うボンバー人にとってプッチが行ったことは、とうてい許せることではない。
「絶対にあの女の子のお墓の前で泣くまで殴って謝らせるッ!」
この殺し合いでの方針を決めた白ボンに…
「コッチヲ見ロォ〜!」
不気味な呼び声がした。
「なッ!?何!?」
白ボンは飛び上がり声の主へ顔を向ける。
そこにいるのは、ドクロの顔をしている戦車。
「わあぁ!?ドクロ!!??」
外見に驚く白ボンをしり目に…
キュル キュル キュル…
タイヤ音が不気味に鳴りながら設置されていた大きな石にぶつかると-----
どかぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!
爆発した…しかし、爆発した爆弾は消えずに、我!消えず!!といわんばかりに存在している。
「まさか、このドクロの変なのは爆弾!?」
そう、白ボンに支給されたスタンドは「シアーハートアタック」キラークイーン第2の爆弾。
どうやら、特別に単体として支給されたようだ…
「爆弾が爆発しているのに残っている!?」
白ボンは爆発の威力もさることだが、シアーハートアタックが無傷でいることに驚く。
…数分が立ち。
「ふんふん!…ちょっと、デザインは怖いけど、これなら僕にも十分扱える!」
説明書の紙を読み、白ボンはシアーハートアタックの能力を把握する。
「こんなふざけたゲームは僕がぶち壊すッ!兄ちゃん…見ててッ!!ボンバーシュート!!!!!!」
白ボンはプッチ神父への反抗といわんばかりに大空へシアーハートアタックを投げる。
ボムの力はボムに在らず、心に在り-----
白ボンは「人を殺さずにはいられない」男が使用していたこのスタンド能力を制御しきれるのか-----
白ボンの黄金の精神が問われるッ!!!!!
ガンッ!!落ちてきたシアーハートアタックが白ボンの頭に直撃した。
「いッ!?た〜〜〜〜〜〜〜ぁぁぁぁ!!」


825 : 僕は崖っぷち ◆XksB4AwhxU :2020/06/14(日) 22:33:58 vLAshc2Y0
【名前】白ボン
【出典】ボンバーマンジェッターズ
【性別】男の子
【能力・技能】
10歳のボンバー人。お調子者でいて意地っ張り、それでいて少々気が弱く優しすぎるところもあったりする頼りない存在だが、いざというときは熱い面も見せる。
「ファイヤーボム」「バーニングファイヤーボム」といったボム技や
牽制用の「コショウボム」に娯楽用の「風船ボム」「花火ボム」などもある。
【参戦時期】アニメ最終話後

【スタンド】シアーハートアタック
【破壊力:A/スピード:C/射程距離:A/持続力:A/精密動作性:E/成長性:A】
【能力詳細】
能力は「戦車の形をした爆弾」※もとはキラークイーンの左手から発射された爆弾。
プッチ神父によりシアーハートアタック単体として支給された。
頑丈故に直接攻撃しても殆どダメージを与えられないが、重力攻撃のように防御力を無視できるタイプの攻撃であれば普通に通用するらしい。
【方針】
プッチを殴って殺した女の子へ謝らせる。
※制限によりボムを生み出すのは体力の消耗が大きい。


826 : 僕は崖っぷち ◆XksB4AwhxU :2020/06/14(日) 22:50:36 vLAshc2Y0
投下終了します。


827 : ◆mg.DCgSR.Q :2020/06/14(日) 22:53:19 p2NwUp/Q0
投下します。


828 : 大嘘憑き ◆mg.DCgSR.Q :2020/06/14(日) 22:54:49 p2NwUp/Q0
 雨の日が好きだ。
 自分で選んだお気に入りの傘を手に歩いて行けるから。


 雨の日が好きだ。
 けれども、時に雨は涙にも例えられる。
 涙は嫌いだ。涙は、自分の弱い部分をつまびらかにさせるから。


 雨の日が好きだ。
 いくら涙を流していても、何でも無いようにごまかせるから。
 自分に潜む〝本当〟を、とっても見えづらくしてくれるから。


 そして何より、自分を輝くアイドルにしてくれたあのプロデューサーと出会ったのも、雨の日だったから。
 プロデューサーが、迷走した自分を見つけ出した上に、私の心を溶かしてくれたのも、雨の日だったから。


 雨の日が好きだ。
 だから、どうか、お願いします。


 てるてる坊主、てる坊主、明日も雨にしておくれ。


 ◇ ◇ ◇


829 : 大嘘憑き ◆mg.DCgSR.Q :2020/06/14(日) 22:56:33 p2NwUp/Q0
「どうして……降ってないのさ……」

 どこかの家の小部屋にて、見目麗しい少女が一人。
 彼女の名は三峰結華。283プロダクションに籍を置く立派なアイドルである。

「こういうときくらい、気を利かせてくれてもいいじゃん。お天道様」

 彼女がこのおぞましい街へと連れ去られたのは、自宅に戻ってからだった。
 自身が所属するユニット〝アンティーカ〟のみんなと共に合同レッスンを行い、心地よい疲労感を覚えた夜。
 食事や風呂、洗い物などを済ませた後、明日も早いからと寝床で瞼を閉じてみれば……この有様であった。
 殺し合い。スタンド。夢の中でぶち込まれた理解しがたい情報によって、三峰の脳は混乱をきたしている。
 結果、彼女はこれからどうするべきなのかを迷ったまま……ただただ静かにしゃがみ込んでいた。
 それはこの三峰結華という少女が、誰かを迷わず害するような精神性を持ち得ていない証左であった。

 泣きたかった。
 だが、空から水滴が降ってくる様子はない。
 故に泣けなかった。泣くわけにはいかなくなってしまった。
 心が強くて飄々として、頼れるアイドル三峰結華の仮面を被る道しか残されていなかった。
 そうしなくては……こんな自分など、ものの数分で殺されてしまっても至極当然と言えるからだ。

「ま、三峰にはどうにもならないってことは解ったし、今はそれでいっか」

 そういうわけで……まず彼女は、順応したかのような言葉を紡いだ。
 言の葉は力だ。独り言でも構わないから、発するだけで強くなれる。
 それは、その実とてつもなくナイーヴな彼女の心へと、他人が入り込めないようにするための処世術。
 自身の心が悲鳴を上げようとも、他人に察されないようにと口八丁手八丁で煙に巻く、忍術の如き何か。
 気付けば身につき、日頃から意識的に使われている三峰結華流の攻勢防御である。

「今は、帰る方法を……帰る方法だけを……」

 それだけを考えなきゃ。
 三峰は心中で言葉を続けると、まずは冷静になれと自身に言い聞かせながらデイパックを開いた。
 食料品やコンパス、地図などといった〝生き延びるための最低限の物〟が目に入る。
 先輩アイドルや芸人が過酷なサバイバル番組に繰り出されたときに、この様な物品を見ただろうか。
 だが生来アイドルを愛する生粋のドルオタである三峰にも見慣れぬ物品が二つ、視界に入る。
 名簿と、スタンドなるものの説明書だ。
 ごくり……と、喉が鳴る。どちらから確認すべきだろうか?
 悩みに悩んだ結果、まず掴んだのは名簿だった。


830 : 大嘘憑き ◆mg.DCgSR.Q :2020/06/14(日) 22:57:15 p2NwUp/Q0
「……」

 そして愛用の眼鏡ごしに目を皿にして眺めると、無言で閉じ、デイパックに戻した。
 続いて、スタンドの説明書を手に取る。
 名と能力を記憶した三峰は、なおも無言のまま紙から目を背けた。
 視線の先では、手入れされている途中であったらしい金属バットが放置されている。
 家具の色や形の選び方からして、きっとこの部屋には爽やかな野球少年が住んでいたのだろう。
 今や、どこにいるのか知るよしもないが。

「……みんな、は」

 今頃どこで、どうしているのだろうか。
 アンティーカの仲間達のことを想い、他のユニットに所属する少女達を想い、そしてプロデューサーを想う。
 彼女らは、そして彼は、もしも三峰が死んだと聞いたらどうするだろうか? どうなってしまうだろうか?
 かつてのドルオタであった三峰であれば、自分が死んだところで本気で悲しむ人はさして多くないと考えたろう。
 だが、今の〝アイドルである〟三峰結華は、そうは思うことが出来なかった。
 みんな、きっと、悲しむはずだ。283プロと出会ったが故に。出会ってしまったが故に。
 そして……自分よりももっと素敵な283プロダクションの仲間が死んでしまえば、更に悲しみは倍増するだろう。
 だって、みんなは優しすぎる。だから何がどうなっても、嘆いてしまうに違いない。

 辿り着いてしまった答えを心中で何度も反芻する。
 冷や汗や脂汗が止まらない。デイパックの中に消臭剤がなかったことが悔やまれる。
 仕方なく汗を手の甲で拭った三峰は、こみ上げた吐き気をぐっとこらえ、ゆっくりと歩を進めた。
 床へと手を伸ばす。彼女の右手におさまったのは、部屋の主が大事にしていたであろう金属バットだ。

「……誰かが……なんだよね」

 ボールを捉えて弾き返すための部分を、まじまじと見つめる。
 時計の針がどんどん角度を変えていくが、そんなのは知ったことではないと言うように。
 長い長い、本当に長い間、何かに取り憑かれたかのように、三峰はじっとバットを睨む。
 そんな彼女の瞳は、もはやアイドルのそれではなかった。

「うん……誰かが、やらなくちゃ……なんだよね」

 それは、残酷なことをする者の瞳であった。
 そう。三峰は経った今、決めた。長考の末に、決めてしまったのだ。
 アンティーカを愛するが故に。プロデューサーへと感謝のみならず様々な感情を抱いているが故に。
 彼女は自分の痛みを隠す雨のカーテンを心に吊り、謎の神父が命じたとおりに動くと決心してしまったのだ。


831 : 大嘘憑き ◆mg.DCgSR.Q :2020/06/14(日) 22:58:19 p2NwUp/Q0
「終わらせない……283プロのみんなを、終わらせるなんてこと、絶対にさせない……」

 それは三峰の優しさが決心させたことだった。
 なまじ彼女が周囲への気配りを得意としていたために、そうさせたのだ。
 大切な仲間の為ならば、自分が汚れ仕事を背負ってやる……と。
 じっとりとした暗い役目は、雨が好きな自分が全て引き受けよう……と。
 そんな、暗く、黒い意思を……三峰結華は固めてしまったのである。

「だから……〝トーキング・ヘッド〟!」

 ガラスの靴で茨の道を前進し、血みどろになる覚悟を胸にスタンドの名を叫ぶ。
 そして出現した己が相棒の姿を確認した彼女は……それを〝自分自身へと〟発動した。
 とても小さく、それ単体では誰かを殴り殺せそうもない相棒が、三峰の舌へと取り憑く。

「……ふぅ」

 するとその瞬間……三峰の表情が、変わった。
 分厚い雨雲によって影が差していたようであったというのに、恐ろしく晴れ晴れとしたものへと変化したのだ。
 まるで……否、まさに仮面を被ったかのような激変に、三峰自身もスタンドの恐ろしさに怖気を覚える。
 しかし態度には出さない。いや、出さないのではない。出せないという表現が正しい。
 それはトーキング・ヘッドの〝取り憑いた者に本心と逆のことをさせる〟という能力が発動している証なのだ。

「『さーてと! この街にいるのは、三峰を除けば40人くらいだったっけー?』」

 今にも自重で潰れてしまいそうなほどだった声色も、今や酷く軽い。
 けれど、これでいい。むしろ、これがいい。まさにこれがベストなのだ。
 弱い心を剥き出しにしたまま他人を害してしまえば、三峰の心は簡単に壊れてしまうから。
 そう、トーキング・ヘッドは、三峰結華の奥底にある〝本当〟を隠すための新たなカーテンとなったのである。

「『おっけーおっけー! それじゃあ不肖三峰が、ちゃちゃっと丸ごと殺っちゃいましょう!』」

 軽率に物騒な言葉を吐きながら、心を殺した三峰は玄関へと歩を進める。
 人を殺すために、罪を犯すために、取り返しのつかないことをするために、前進する。
 バットの先端を床にこすらせながら歩く彼女の表情は、ステージでファンが目にするような笑顔であった。


832 : 大嘘憑き ◆mg.DCgSR.Q :2020/06/14(日) 22:59:06 p2NwUp/Q0
【名前】三峰結華
【出典】アイドルマスター シャイニーカラーズ
【性別】女性
【人物背景】
 283プロダクションに籍を置くアイドルの一人。
 サブカルとファッションに一家言あるドルオタ大学生でもある。
 自身が所属する〝アンティーカ〟というユニットでは、飄々としたムードメーカー的存在に位置する。
 とはいえ天然のそれではなく、計算された軽快なトークなどで周囲に笑いを届けたりする方向性である。

 ……というのは表面的な特徴。
 根は真面目で、アイドルに真摯な姿勢で取り組む仲間達を尊敬し、プロデューサーに幾重もの感謝の念を抱いている。
 ただのドルオタだった自分に負い目を感じている部分もあり、何かと複雑な想いを内に秘めてしまっている。
 だがそうした本音の部分に触れられそうになると、飄々とした態度やトークによって話を逸らしにかかる。

【能力・技能】
 人間。アイドル。異能なんて持ってるわけないじゃあないですか。
 空気を読む能力に長けており、周囲の人間が不安などを抱くと口八丁手八丁で霧散させる。
 自身を〝面倒くさい人間〟と認識しているおかげか、誰かの心が追い詰められていると、すぐに察することも。
 自分自身の心の奥底を他人に見られないよう、おちゃらけた言動や態度で煙に巻くことも得意としている。
(もっとも、人物背景にて既に書かれてはいるが)


【スタンド】トーキング・ヘッド
【破壊力:E/スピード:E/射程距離:B/持続力:A/精密動作性:E/成長性:E】
【能力詳細】
 上半身が人型で、下半身は尻尾のみ。頭からは三本の触手が生えている小さなスタンド。
 目標の舌へと取り憑き、被害者を〝嘘しか喋れない(本心と真逆のことしか言えない)〟状態にしてしまう。
 この嘘は〝行動〟にも作用し、指差しで示すべき方角を偽らせたり、何かを筆記しようとも嘘しか書けなくなる。
 原作を例に出すと、このスタンドの被害に遭った人物が「見てくれー!」と叫びながら小便をしていた。

 ステータスが示すとおり、スタンド自体の攻撃力や移動能力はほぼ無い。
 他人の舌に取り憑かせるにはサポート役の存在や、それなりの策を持って接触することが必要となる。
 また、嘘をつかせたり真逆の行動をさせられるものの、決して〝洗脳をしているわけではない〟のもネック。


【備考】
 トーキング・ヘッドを自身に発動しています。
 金属バットを所持。当面の武器はこれです。


【方針】
 コンペ終了後の結果によって以下の二つから選択。
 シャニマスのキャラがいる:彼女達を生きて帰らせるために、他人を殺害する。
 シャニマスのキャラがいない:全員を殺害し、仲間達の元へと帰る。


833 : ◆mg.DCgSR.Q :2020/06/14(日) 22:59:26 p2NwUp/Q0
投下を終了します。


834 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/15(月) 01:00:03 no5i.wrA0
投下します


835 : 生の喜びを知りやがって ◆DWDMFPPpRw :2020/06/15(月) 01:00:45 no5i.wrA0

 公園。人気はなく、無人の遊具を街頭が寂しく照らしている。
 そこにある多目的トイレから、何やら異音がしていた。

 くちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃ

「ハァ…ハァ…」

 激しい水音。粘りけのある部位を掻き回すような音が響いている。

 くちゃくちゃくちゃくちゃーー

 やがてそのスパンは短くなり、一層大きくなり止まった。

「ハァ……ハァ……。あ、イク! ーーーうひ、うひゃひゃ…!」

 トイレの住人は絶頂した。
 記憶DISCを読み終えたときから、生志摩妄トイレに籠り、こうして自慰に耽っていた。
 オカズとなるのは理不尽に殺された少女の映像。
 自分もあんな風に殺されるかもしれない、そう考えただけで激しく興奮する。
 彼女はそういう人間だった。

「殺し合い……。最っ高じゃん!」

 やがて発散を終えた彼女は多目的トイレから出てきた。
 その表情は清みきっている。
 この催しにおける生志の目的は、どのように破滅するか。
 ただ死ぬだけじゃ意味がない。そこらの雑魚でも駄目だ。生徒会長のような絶対的な相手なら最高。
 見初めた相手と生きるか死ぬか、最高にギリギリの状況でーーイく。
 その時感じるエクスタシーはどれほどの物なのか想像もつかない。
 『ハイウェイ・トゥ・ヘル』、彼女に与えられたスタンドは、その欲求を満たすのに充分な代物だった。
 相手を自殺に道連れにする能力。イカれ野郎の妄言にしても、これならそのギリギリを演出できる。

「どんな方法でヤられちまうのかなぁ、楽しみだぁ……あ、ヤベ、もう一発やるか」

 無惨に死ぬ自分を想像し高まった性欲。彼女は再び多目的トイレへ戻った。
 未だ女神に出会っていない生志は、その欲望を発散することに戸惑いは無かった。

【名前】生志摩妄
【出典】賭ケグルイ
【性別】女性
【人物背景】
 百花王学園高等部2年。生徒会役員であり、美化委員長を務める女子生徒。
 左目の眼帯や多数のピアスに両腕の包帯、そして本物の拳銃を所持するなど、学園の規律と風紀を正す美化委員の長とは思えない人物。
 生死を賭けたリスクとスリルに快感を覚える危険人物で、下手をすれば自分が死ぬようなルールを平気で設けるというヤバい奴。
 かつて桃喰綺羅莉とのギャンブルに敗北して3億円の損失を被った際、手持ちの金がなかったため、左目を3億円で買い取ると言い出した綺羅莉の前で自ら抉り出し、差し出した。
 それ以来、強い相手に征服されたい、負けたいと言う形で自分が傷つくことを望み、死ぬことさえ厭わないという異常な自虐欲求を抱くようになった。
【能力・技能】
 自分が傷つく、死ぬ事に対する快感からマゾヒズムの傾向があるが、本人曰く「単純な痛みや拷問はもう卒業している」らしく、また無視されるのは耐えられない模様。

【スタンド】ハイウェイ・トゥ・ヘル
【破壊力:C/スピード:C/射程距離:A/持続力:C/精密動作性:C/成長性:C】
【能力詳細】
 形状はプロペラ型で、スタンド像単体では発現できず、標的の身体等と一体化する。
 本体が望んだ相手を、本体と同じ方法で自殺の道連れに引きずり込む能力。
 自殺につながる行動を行わないと発動しない特性も問題ありだが、現象そのものを相手の身にも再現されてしまうため、回避がままならないというえげつなさも抱えている。また、射程距離もAと非常に長いのも厄介。

【備考】
 公園の多目的トイレで自慰をしていました。誰かに目撃されたかもしれません。
 参戦時期は蛇喰夢子に出会う前、少なくとも美化委員長となった後。

【方針】
 殺し合いを楽しむ。生徒会長のような素質の人間に殺されるのもアリ。


836 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/15(月) 01:01:28 no5i.wrA0
投下終了です


837 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/15(月) 04:31:18 no5i.wrA0
投下します


838 : 宝石の価値 ◆DWDMFPPpRw :2020/06/15(月) 04:32:36 no5i.wrA0
 住宅街。時間は深夜。そこに月光に煌めく参加者が居た。
 きょろきょろと周囲を見渡し、困った顔をしている彼の名はダイヤモンド。
 人類が古代に滅び、唯一地上に残った島で仲間たちと暮らす宝石の一体である。

「ここは何処かしら。島じゃない……わよね」

 夜間に文字通り宝石の輝きを放つダイヤモンドは、周囲の光景に物珍しさを感じていた。
 記憶DISCによると、自分はこの場に拉致されたらしい。その事を理解したとき、ダイヤモンドは一つの疑問が思い浮かぶ。

「殺し合い…。うーん、月人みたいに戦えってことよね。でも、彼らは何なのかしら」

 ダイヤモンドの抱く疑問。それはあの記憶に出てきた人物たちが何者かである。
 自分達宝石と似てはいるが、赤い液体を流し、同じ言葉を話す存在など見たことも聞いたこともない。
 数百年も少数社会で過ごしてきたダイヤモンドからしてみれば、人間という存在はまさに未知そのものなのだ。

「……こういう場合、どうしたら良いんだろう」

 自分がどう動くべきか、ダイヤモンドは悩んでいる。ここが戦場であるという理解はあるのだ。
 しかし、その様子はどこか能天気で、幾分か口調も軽く、どうも命懸けの状況に置かれている実感が薄い。
 そもそもダイヤモンドを含めた宝石たちは基本的に不老不死。動物は砕けば腐る、という知識はあるものの『死』という感覚は浅い。
 ダイヤモンドもその外見とは裏腹に気の遠くなるような年月を過ごしている。
 宝石たちにとって唯一『死』に近いものは月人による誘拐だが、なまじダイヤモンド属は戦闘に長けているため、それらは充分に対処可能な危機だった。
 つまり彼には、それ以上の危険に対処する経験が絶望的に足りないのだ。

「でも……さすがにあんな風になっちゃったら動けなくなるかも」

 ダイヤモンドの脳裏に、無惨に砕けて動かなくなった少女のイメージが浮かぶ。
 基本的に自分たち宝石も、頭を破壊されると動けなくなる。
 復元してもらえれば話は別だろうが、周囲に仲間がいない状況では危険すぎる。医療担当のルチルが居れば別だが、望みは薄い。
 この場で下手に損傷したら、きっと月人に連れ去られるよりも困難な状態になる。そういう危機感はあった。
 
「ボルツならこんな状況でもへっちゃらなんでしょうけど……でも、自分で何とかしなきゃいけないわよね」

 ダイヤモンドは戦う意思を決める。しかし、月人と戦うための武装は全て没収されている。戦闘担当なので体術でも戦えなくはないが、少々心許ない。
 そういえば、とダイヤモンドはプッチの語っていた言葉を思い出す。
 スタンド、意味は解らないが、そういう名前の何かを与えると言っていた。
 何か手がかりがないか、側に落ちていたバックを開けてみる。
 島では見たことの無い作り。職人によって仕立てられたような高級感のある立派な鞄だ。開けてみると、中には色々な道具が入っている。
 それらを取り出すため、ダイヤモンドは中身に手を入れた。

「ーーーえ」

 瞬間、指先の感覚が無くなった。
 慌てて引き抜くと、右手の人差し指から小指までが綺麗さっぱり無くなっていた。
 まるで元からそこに無かったかのように、綺麗な切断面がキラリと輝いている。


839 : 宝石の価値 ◆DWDMFPPpRw :2020/06/15(月) 04:33:38 no5i.wrA0

「う、嘘。どういうことなの……? どこ? 何処に行ったの!?」

 慌てて鞄を引っくり返す。コンパス、食料、時計。名前もわからないそれらが地面にぶちまけられるが、指はない。
 混乱するダイヤモンドは、やがてその鞄に一枚のメモが貼り付けられている事に気がついた。
 そこに書かれている文を読んだダイヤモンドは表情を曇らせた。

『貴方のスタンドはこのグッチのバックです。このバッグに価値のある物を入れると消えてしまいますが、後々「危機に陥った」ときに金額分の「等価交換」によって助けてくれます』

 メモにはそう書かれていた。

「え……じゃ、じゃあ、わたしの指……交換されちゃったの?」

 途方にくれたダイヤモンドの呟きに答える者は、誰も居なかった。

【名前】ダイヤモンド
【出典】宝石の国
【性別】ー
【人物背景】
 宝石の国に登場する宝石の一人。ダイヤモンド属。白く虹色に輝く髪を持ち、長い睫毛と太眉が特徴。
 ボルツのペアであり、同じ属性として兄弟でもある。
 心優しい性格である一方、悩みやすく抱え込みがち。恋愛偏重主義と言われており、恋話が好き。可愛いものや綺麗なものも好き。
 人望の無い節があるフォスとも仲が良く、彼の兄的な存在ともなっている。
 とはいえ素の性格と、中の人がお姉さん役に定評のある茅野愛衣女史が演じているだけあって、宝石の中では非常に女性的で、もはや兄ではなく姉といって差し支えない。
 実際に女言葉を使うシーンがあってその特色はますます強い。  
 美形揃いの宝石たちの中でもトップクラスの美形であるらしく、よく服のモデルにされている。

【能力・技能】
 
・宝石
 人型をした宝石生命体のような存在。それぞれ宝石の特徴を備え、一個体の髪も肌に当たる部分も中も同色で成り立っている。
 ダイヤモンドは身体は金剛石で硬度は高いが靱性が低く、劈開があり割れやすいため、強い衝撃には弱い体をしている。
 共通の特徴として性別がなく無性であり、男女の概念自体もない。
 体内に微小生物がインクルージョンとして内在されており、割れたり砕けたりしても破片が揃えばインクルージョンの働きで元に戻ることができるが、身体部位を欠損するとその部位に存在していたインクルージョンが保持していた記憶を失う。
 欠損した場合はインクルージョンを内在していない元の身体に近い構成の鉱物によって補うことも可能だが、接合が上手くいくかどうかはインクルージョンが補った部位にうまく馴染むかによる。
 砂粒程度に細かくなっても相応量が集まれば接合可能で、人型で復活できるため、死の概念がなく非常に長寿。

【スタンド】グッチのバック(正式名称不明)
【破壊力:?/スピード:?/射程距離:?/持続力:?/精密動作性:?/成長性:?】(詳細不明)
【能力詳細】
 グッチのバッグに宿ったスタンド。
 このバッグに価値のある物を入れると消えてしまうが、後々持ち主が「危機に陥った」ときに、金額分の「等価交換」をして助けてくれる能力がある。
 バックを修理(もしくは破損)した場合、この能力は消滅するが、直前に等価交換していた場合はしっかり効果を発揮する。
 ダイヤモンドの場合、全身が宝石なので交換対象になるようだ。

【備考】
 デイパックの代わりにスタンドそのものが入れ物として支給されています。
 ダイヤモンドの右手の指を等価交換として取り込みました。取り出せるかどうかは不明です。

【方針】
 この催しから脱出し、先生の元に帰る。
 指が……!?


840 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/15(月) 04:34:19 no5i.wrA0
投下終了です


841 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/15(月) 07:29:51 no5i.wrA0
投下します


842 : 護身とはーーーー ◆DWDMFPPpRw :2020/06/15(月) 07:30:24 no5i.wrA0
深夜ッッ森林ッッ!!
 対峙するのは二頭の雄ッッ!!

 ヒグマッ! 日本ッッ野生ッッ!!

 寂海王ッッ 日本ッッ空拳道ッッ!!

 両者ッ激突ッ!!

 ヒグマッ動くッ! 

 ふり下ろされる爪ッ! 

 ヒグマの腕力は硬い針葉樹の木肌に易々と傷をつけるッ!
 その圧倒的な暴力が寂海王に直撃ッッ!!

 寂海王、これをしゃがみこみガードッ!!

「!?」

 ヒグマ、驚愕ッッ!!
 何足ることかッ!! しゃがみこんだ寂海王の背に傷一つなしッ!!!

「グルルルアッ!!!」

 ヒグマッ咆哮ッ!! 
 野生の獣である彼に理屈はわからないッ!
 重要なのは、人間ごときが己の爪を耐えた事ッ!!!

 それがヒグマの逆鱗に触れたッ!!
 野生の弱肉強食ッ! これまで幾匹の獲物を仕留めてきたヒグマのプライドが傷ついたッ!!

「グオオオオオオッッッ!!!」

 ヒグマッ激怒ッッ!!
 そのまま大口を開け、寂海王の肉に噛みつくッ!!
 熊の歯の数は全部で42本ッ!
 奥歯は人間と同じように、すり潰すための歯になっているッッ!!
 この歯で幾度も獲物の骨ごと喰らってきたまさに彼の獣生の集大成ッッッ!!!

 ゴリ、ゴリ、ゴリリリリ

 しかしッ!!効かないッ!!
 恐るべきヒグマの咬合力をもってしても、寂海王の肉体は傷つかないッ!!

「〜〜〜〜〜〜ッッッ!!?!」

 ヒグマッ呆然ッ!!!
 確かにその牙に肉を加えながら、その感触が一切ないッ!
 やがてその雄は認めたッ!!!
 この人の雄は、一筋縄ではいかないとッ!!!

「グォオオオオオオッ!!!」

 ヒグマッ後退ッ!! 

 やがて充分な距離をとると、全力で地を駆けたッ!!

 ヒグマの走る速度はおよそ50〜60kmと言われている。100m6秒台に匹敵するスピードに、その巨体が合わされば、その威力はまさに暴走トラックに匹敵するッ!!!

 ヒグマッ突っ込むッッッ!!!

 ドッゴオオオオオンッ!!!

 寂海王ッ吹っ飛ぶッ!!
 
 しかし、やはり無傷ッ!!!

「グ、グオオオオオオ!!!」

 ヒグマは諦めないッ! 
 爪、腕力、己のもつ全てを目の前で動かない獲物に叩き込むッ!!!


843 : 護身とはーーーー ◆DWDMFPPpRw :2020/06/15(月) 07:31:08 no5i.wrA0

〜〜〜〜〜〜 


「おや……試合放棄か」

 野生の戦士が立ち去ってゆうに30分ッ! 寂海王、大地に立つッ!!!

「やったアアアアーー!! 熊に勝ッたぞォッ!!」

 熊VS人間ッ!!
 
 勝者ッッ!!! 寂海王ッッ!!!


【名前】寂海王
【出典】刃牙
【性別】男性
【人物背景】
 一言で彼を言い表すなら「掴みどころのない男」。
 日本で唯一「海王」の名を冠することを許された格闘家であり、外見はハゲでヒゲで眼鏡というさえないオッサンだが、その正体は国内に2万4千人の弟子を抱える中国拳法・空拳道の師範。
 組織経営のため、有力そうな人は自分より格上だろうが何だろうがすぐスカウトしようとする。
 中国大擂台賽に出場し、1回戦で陳海王を破る。日米連合VS海王戦では中堅を任されるが、烈海王に敗北してしまう。
 しかしながらその戦いぶり(後述)は烈に「何が勝利なものか」と言わしめ、勝利よりも勝ち誇るに価する敗北となった。

【能力・技能】
 寂の格闘能力は他に比べて突出しているものはない。その能力を最大限に活用するため、相手を油断させ、一瞬の隙をついて的確な技を叩き込むのを得意としている。
 外した関節をまた打ち直すなど、熟練の技術を有している。
 一見「卑劣」「外道」とも取れる彼のファイトスタイルではあるが、「格闘家として間違ってはいない」と刃牙や烈からも一定の評価を受けている
 勝利への執着心は強く、身体を丸め、首の後ろで手を組んだ「護身完成」のポーズは、素手で釣鐘を粉砕できる烈を以てしても撃破に及ばず、無理矢理立ち上がらせて倒すという方法でなければトドメを刺すことはできなかったほどの防御力を有している。

【スタンド】20th_Century_BOY
【破壊力:なし/スピード:C/射程距離:なし/持続力:A/精密動作性:D/成長性:C】
【能力詳細】
 身に纏うタイプのスタンドで、バッタ状の姿をしている。
 このスタンドを発動している間は、自身が受けるダメージを全て周りに散らしてしまうという絶対的な防御能力を得る。
 ただし発動中は一際身動きが取れないため、一長一短の能力といえる。

【備考】
 参戦時期は中国大擂台賽終了時。

【方針】
 殺し合いには乗らず、脱出を目指す。
 才ある人物はスカウトする。


844 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/15(月) 07:31:32 no5i.wrA0
投下終了です


845 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/15(月) 10:14:29 no5i.wrA0
投下します


846 : ゾット帝国騎士団カイトがゆく!(以下略) ◆DWDMFPPpRw :2020/06/15(月) 10:16:28 no5i.wrA0
【前回までのあらすじ】
 ラウル古代遺跡を探して禁断の森の奥にやってきたカイトとネロ。
 そこで見たこともない魔物に襲われるが、間一髪のところでミサに助けられる。
 ミサの魔法で束の間の空中散歩を楽しむが、例の魔物に攻撃されてしまう。
 ミサの魔法が魔物の攻撃に耐えられなくなりカイトは宙に投げ飛ばされる。
 カイトが落ちる中、ミサがホバーボードで駆けつけてくれてなんとか助かる。
 しかし、ミサのホバーボードの燃料切れで、カイトとミサは川に落ちる。
 カイトは滝に落ちるが、いつの間にか見知らぬ場所にいた。
 エンリコ・プッチと名乗る男によって、スタンドの存在も知る。
 己のスタンドがストーン・フリーという名前であり、糸を操る能力を得たと知ったカイト。
 スタンド使いとなったカイトは親友たちの元に帰るため、スタンド使いとして生還することを決意した。

 そこで、カイトが見たモノとは?
 今、物語が動き出す。


「う……ここは」

 オレは目が覚めた。ここはどこだと辺りを見渡す。オレの背中が冷たい汗で濡れ、ごくりと唾液を飲む。オレが辺りを見渡すと、ここは住宅街だった。
 オレは見覚えの無い場所に緊張した。緊張で耳をほじくって辺りを見渡す。
 住宅街なのに人気はなく、住宅街でありながら住宅街の体を成していなかった。オレは怪訝な顔をした。オレの見た限り、ここには人がいないのだ。
 記憶DISCによる弊害か、痛む頭を右手を掲げて右手で頭を軽く撫でる。記憶DISCとやらが何なのか良く解らないが、魔法の一種なのかもしれないとオレは思った。
 右手を動かすと右手で触れた部分の感触が右手に伝わってきた。オレは緊張を落ち着かせるために両手を地面に着けて立ち上がった。オレの触れた地面の感触は冷たくて、これが現実だとオレに伝えてくるようだった。
 やがてオレは自分の異変に気がついた。
 じいちゃんのくれたクリスタルの首飾りのクリスタル。大切なそのクリスタルの首飾りのクリスタルが無くなっていた。
 その事に気がついたオレは怒った。


847 : ゾット帝国騎士団カイトがゆく!(以下略) ◆DWDMFPPpRw :2020/06/15(月) 10:17:09 no5i.wrA0
「……はぁ!? 何なんだよアイツ! 人のものとるなんて最低じゃねーか!」

 オレは怒った。オレは怒りで体が震える。オレの額に変な汗が額に出てきた。拳を握りしめる。オレのじいちゃんの形見をオレの許可なく奪い取るなんてなんてエンリコ・プッチは卑怯な男なんだとオレはプッチを怒ってそう地団駄を踏んだ。
 オレはエンリコ・プッチの言葉を思い出していた。オレの記憶が正しければ、エンリコ・プッチはオレに殺し合いをしろと言っていた。オレはなぜそんな必要があるのかとエンリコ・プッチに怒りを抱いた。
 エンリコ・プッチは知らない男だったが、オレと気は合わないとオレは思った。アイツの様子はおかしかったし、本気で殺し合いをさせる気なんだとオレは思った。
 ここが殺し合いの場なら、オレは身を守る必要があったが、オレは武器がなければ戦えない。オートマチック銃も幼馴染みのネロの発明もオレの手元には無かった。ホルスターにオートマチック銃が無いことに気がついたオレは、オレのオートマチック銃を奪ったエンリコ・プッチへのオレの怒りがオレを怒らせた。オートマチック銃はオレが帝国軍から盗んだものだが、オレのオートマチック銃であることは確かだ。オートマチック銃を盗まれたオレは怒り、オレの肩が怒りで震えた。
 オレはエンリコ・プッチがオレにスタンドとやらを与えるとスタンドに関して喋っていたのを思い出した。スタンドの概念はエンリコ・プッチが語るまでオレは知らなかったが、オレはスタンドを使わなければオレが生き残る可能性は少ないと気がついた。

「スタンド? アルガスタではそんなの聞いたことないぞ」

 オレは疑問を他所に手がかりを探してオレのデイパックに入っていたデイパックの中身を確認すると、デイパックにはスタンドとやらの能力の説明が書かれたメモが入っていた。
 デイパックの中身を確かめたあと、デイパックに入っていたメモを右手に持ったオレはデイパックのメモの内容を確認した。
 オレのもつメモによると、体を糸のように扱える能力と書かれていた。名前は『ストーン・フリー』というらしい。体を糸にする能力なんて聞いたこともないが、こうして書かれている以上、体を糸にする能力がオレに備わったという事なのだろう。デイパックに入っていたメモをデイパックに仕舞うと、早速そのスタンド能力を試してみることにした。
 オレは瞼を閉じ、オレが悪戦苦闘して能力を発動させようとすると、確かに体が糸のようになった。オレが瞼を開けると、確かにオレの目の前でオレの指先からオレの体が糸になっていた。オレはそれがオレの意思で糸になったと実感し、呆然として糸になった右手を見た。


848 : ゾット帝国騎士団カイトがゆく!(以下略) ◆DWDMFPPpRw :2020/06/15(月) 10:17:50 no5i.wrA0
「おお!」

 オレは驚きに拳を握りしめ、ゆっくりと手のひらを広げる。オレは息を飲む。デイパックのメモによるとこの糸を人型にもできると書いてあったことをデイパックのメモで思い出したオレは、早速デイパックに入っていたメモの通りに試してみた。
 オレが瞼を閉じて念じると、オレの体でできた糸が段々と形を変えて、オレの目の前で人型になっていた。
 オレはそのスタンドの姿に驚いて腰に手を回した。オーバーグラスをつけた人型スタンドはミサのようにシャンプーの香りがする。オレは興奮した。オレは興奮を隠すように顔を背けた。
 俺が念じると、ストーン・フリーはオレの側にある壁を殴った。オレの側にある壁に大きな穴が開いた。オレは側にある壁に穴を開けたスタンドの力を確認して満足した。
 どうやらこのストーン・フリーはオレのスタンドなのは確からしい。オレの意思で動かせることを確かめたオレはしゃがみこみ、デイパックを右手で持ち上げた。
 スタンドを使うと精神力を使うのか、少し出しただけでとても疲れてしまった。オレの額から汗が出て、少し疲れてしまった。オレは汗を拭うと気合いをいれた。

「くそっ ミカ、ネロ、待ってろ。俺がすぐに助けに戻るからな!」

 オレはスタンドを認識すると、オレは大きく肩を鳴らして歩き始めることにした。オレはじいちゃんがオレに託してくれたオレの夢を終えるまで死ねないと決意したのだ。

【名前】カイト
【出典】ゾット帝国騎士団カイトがゆく!〜人を守る剣の受け継がれる思い〜
【性別】男性
【人物背景】
 主人公。ネロとミサの幼馴染。
 頭の後ろで小さく結え、両耳に羽ピアス。クリスタルのネックレス。シャツにサスペンダー。両手にパワーグローブ。カーゴパンツにスニーカーといった装い。
 武器は騎士団からくすねた剣とオートマチック銃。
 後さき考えずに行動する癖があるが、好奇心旺盛で仲間思い。
 曲がったことが嫌いで正義感が強い。

【能力・技能】
 
作中屈指の人間の屑。

・友人たちのデートの邪魔をして危険な場所へ連れ込む
・気絶した幼馴染の少女に欲情
・自分を助けた者に友人も助けろと怒鳴り散らす
・友人たちが敵に捕まる中、一人だけゆっくりと食事をする

 など、問題行為に事欠かないが本人に一切の自覚はない。

【スタンド】ストーン・フリー
【破壊力:A/スピード:B/射程距離:1 - 2m/持続力:A/精密動作性:C/成長性:A】
【能力詳細】
 一言でいえば糸のスタンド。
 糸は本体の肉体を解いたものであり解きすぎると命にかかわることになる。
 この糸は音を通す性質があり、遠くの会話などを聞くことが出来る。
 糸を集めて固めれば人型や手錠等にすることができ、編んで防弾チョッキのようにしたり怪我を縫うことで治療も可能である。
 束ねれば人型になり格闘も可能。カイトは適合こそするものの使いこなせていない。

【備考】
 参戦時期はジャンボシャボン玉が割れて川に落ちた後。
 クリスタルの首飾りのクリスタルは没収されています。
 スタンド能力を確認しました。

【方針】
 この殺し合いを生き残り、ミサとネロの元に帰る。


849 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/15(月) 10:18:13 no5i.wrA0
投下終了です


850 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/15(月) 15:55:11 no5i.wrA0
投下します


851 : バトルロイヤル・オブ・グッドラック・スミス ◆DWDMFPPpRw :2020/06/15(月) 15:56:43 no5i.wrA0

「ワッザ!? 殺し合いだって?……ブッダファック!!」
(俺は実際努力をした!財産も薬物中毒更生施設へ寄付したし、足を洗ってボンズにもなった! なのに何故こんな目に遭う!)

 ブッダに不条理を嘆く黒人。彼の名はスミス。ネオサイタマの元黒人リアルヤクザクランのボスにして、現レッサーボンズである。
 エンリコ・プッチと名乗るボンズに殺し合いを命じられてから、気づけばスミスは草原に一人放り出されていた。
 過去に違法行為をしていたとはいえ、ここまでされる謂れはない!
 
『オイオイ、ナァニビビってンだよオマエサンは……』

 そうスミスがショッギョ・ムッジョに嘆いていると、突然謎の声が聞こえてきた。   

「アイエ!?」

 いつの間にか、スミスの膝ほどしかない身長のヨタモノめいたぬいぐるみが、スミスをじっと見上げていた。

「な、何だお前は!」
『ドーモ、スミス=サン。お前さんのスタンド、ヘイ・ヤーです』

「ワッザ? スタンドだと?」
 
 スミスは訝しんだ。
 スタンド。精神の具現化したニンポのような力。スミスは狂人の戯言かと思っていたが、こうして目の前に要る以上信じざるを得ない。
 ヘイ・ヤーは困惑するスミスに構うことなく饒舌に捲し立てる。

『スミス=サンよォ、何ビビってンだァー。おめえサンには幸運の女神がついてンだ。ビビる事はねェぜ! アンタはこれまでも何度もアブねー目にアッても、こうしてチャ〜〜ンと生キ延びてるじゃねェか!』

「アッハイ」

 ヘイ・ヤーの力強い言葉に、スミスは思わず同意してしまう。実際、彼が何度も恐るべきニンジャから生き延びたのは事実なのだ。
 ニンジャにとってモータルの命など塵のようなもの。そんな相手から逃げおおせたスミスは確かにラッキー・ガイなのかもしれない。
 ヘイ・ヤーはスミスの様子を満足そうに見ると、続けて口を開いた。

『良いカァ!確かにお前さんが殺し合いを生き延びるのはキビシイ! 
 ダガヨォ、お前さんにはツキがある! ジッサイ格上のニンジャからも、お前さんはナンドモ生き延びてるダロォ?
 スミス=サンのカラテはニンジャにゃ及ばねぇ。それは事実ダ。ダガ、生き延びる事にカケチャ、オマエさんはスゴイ級、いやヤバイ級なんだゼェ!』

『ここにゃ41名も参加者がイルンだぜ? どんなにタフなヤツも、シマイには疲れきって、最後には同列サ! 
 そうなるとナァ、最後に勝敗を分カツのは幸運だけなんだぜェ!』

『スミス=サン! お前さんはそんな最高のラッキー・ガイになる素質がある!』

 その言葉にスミスは衝撃を受けた。
 ヘイ・ヤーのなんというコトダマ=ジュツ!
 彼の言葉によって、ニンジャによって折れていたスミスのソウルに、まるでバリキドリンクをきめたかのような強い興奮とエネルギーが沸いてくる。
 
「そうか……そうだな!ああ、俺はラッキー・ガイだ!」

『そうだそうだそのイキダゼェ、スミス=サン! YO!YO!YOって言え!』

「アッハイ、ヨ、YO!YO!YOオオオー!!」

『もっと大きな声で!』

「YO!YO!YOオオオーッッ!!!!」

『よっしゃ!その意気だぜっ! 行けッ! とにかく何やったっていいッ!! 
 お前さんの未来には幸運しか待っていねえんだからよ〜〜〜〜』


852 : バトルロイヤル・オブ・グッドラック・スミス ◆DWDMFPPpRw :2020/06/15(月) 15:57:42 no5i.wrA0
「う、うおおおおっ!!」

 ヘイ・ヤーに勇気付けられたスミスは全力で走り出した。
 彼の脳裏には、かつてのヤクザクランのオヤブンとしてのプライドと自負が、不死鳥のごとく復活を遂げようとしていた。

【名前】スミス
【出典】ニンジャスレイヤー
【性別】男性
【人物背景】
 鋭い目つきをしたスキンヘッドの黒人。
 ヨコハマロープウェイクラン時代は、「横浜御縄談合」の文字が銀刺繍されたスタジアムジャンパーをクランのユニフォームとしていた。
 ボンズとなって以降は、ボンジャン・テンプルのレッサーボンズの正装である朱色のバトルサムエ姿と思われる。
 初登場時はネオサイタマの沖合でジェットスキーを乗り回し漁船を襲う恐るべき黒人リアルヤクザクラン「ヨコハマロープウェイクラン(横浜御縄談合)」のオヤブンだった。
 第2部以降はフリーランスのバウンサー→ザイバツ末端の運転手→ボンジャン・テンプルのレッサーボンズ(新入り)と肩書きが変わっていく。
 今のところ、英単語であるニンジャ名に的確な疑問を抱いた数少ない一般人でもある。
 その憎めないキャラクターと特徴的な黒人ヤクザスラングから、ヘッズ間でもそれなりの人気を博している様子。

【能力・技能】
 非ニンジャの身でありながら主人公含むニンジャと四回も相対し、いずれも生き延びている凄まじい強運の持ち主。
 また、闇社会に身を置いていた頃の知識や経験はボンズになった後も健在で、その方面には疎い兄弟子のサポートに回ることもある。

【スタンド】ヘイ・ヤー
【破壊力:E/スピード:E/射程距離:E/持続力:B/精密動作性:E/成長性:E】
【能力詳細】
 小さな人形のような姿をしているスタンド。本体を励ましたり、アドバイスをしてくれる。
 幸運をもたらす能力などは一切なく、ただ言葉で本体を勇気づけるだけのスタンド。

【備考】
 参戦時期は少なくともボンジャン・テンプル で出家した後。

【方針】
 この催しを生き残る


853 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/15(月) 15:58:05 no5i.wrA0
投下終了です


854 : ◆diFIzIPAxQ :2020/06/15(月) 20:36:04 HGzMCkCo0
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855 : 復讐の男 :2020/06/15(月) 20:37:07 HGzMCkCo0
「ふざけるな…!」

誰もいない真夜中の路地裏。一般人なら気付かない程に影と同化している中で一人の青年の男性の声が漏れた。

その男は、肌は褐色、目には彼の民族独特の遺伝による赤い瞳(その目を隠すためにサングラスを普段つけているが、今は外している)といった特徴的な姿をしている。
なにより一番目立つのは、額に刻まれた十字傷の痕。それゆえに彼は『傷の男(スカー)』と呼ばれている。
この発せられた言葉から単純に考えれば、殺し合いに対する怒りに聞こえなくはないが、実際は違う。
自分自身に支給された「スタンド」という能力について記されたメモを読んで思わず口に出してしまった言葉なのだ。

(この俺が…、俺の同胞達が爆発で殺された事を知ってこのスタンドとやらを渡したのか!?)

彼の生まれ育った土地―――イシュヴァールは戦争によって町や村は破壊し尽くされ、アメストリス国家によって併合された。
その過程で、彼の兄や共に戦った仲間はとある国家錬金術師が使用した爆発の錬金術によって結果的に命を落としたのだった。
それ故に、戦後彼は同胞の命を奪った国家を強く憎み、国家錬金術師を殺し回る復讐者となり、その日々を送る中でこの殺し合いに呼ばれたのだ。
その為、自分に与えられたスタンドという存在の能力が「触れたものを爆弾にできる」能力だと知って彼は表情を怒りに顔を歪ませる。

(いいだろう、エンリコ・プッチとやら。お前が殺し合いを望むのなら乗ってやろう。だが、最後に必ずお前もこの「右腕」で葬ってやる)

この殺し合いによるスタンスと決意を固め、自然と右腕に力がこもる。
その彼の右腕には、何も知らなければスタイリッシュを通り越して禍々しく見えるタトゥーが彫られていた。
だがこれはたたのタトゥーにあらず。錬金術の基本ともいえる「理解・分解・再構築」の理論の中で分解を司る錬成陣でもあり、結果自分が知るモノであれば壊せないものはない復讐に用いる最大の武器であるのだ。
……同時に錬金術を学んでいた兄からの、唯一にして最大の、そして望まなかった形見でもあった。

ゆえにこの殺し合いにおいても、一方的に渡された力よりも、殺しなれた右腕で彼は戦っていくつもりでいた。
一方で、紙で描かれた内容でしか知らない未知の力。どんなモノであろうと見ておくだけでも見ておこうを思って、念じてみたのだったが。


「………………猫耳」


スマートな筋肉質ながらも、猫耳のようなモノを頭に生やした、そばに立った全身薄いピンク柄の存在に少し心奪われてしまった事に数分後彼は少し恥じた。


856 : 復讐の男 ◆diFIzIPAxQ :2020/06/15(月) 20:38:14 HGzMCkCo0
【名前】傷の男(スカ―)
【出典】鋼の錬金術師
【性別】男性
【能力・技能】
・「イシュヴァラ教の武僧」
アメストリスの一般兵10人に匹敵すると言われる並外れた体術。

・「『分解』の右腕」
傷の男の右腕全体に彫ってあるタトゥーのような錬成陣で、行使すれば相手の肉体や装備、また周辺の物(壁や床など)を問答無用で破壊できる。

【方針】
最後の一人になるまで殺し合い、最後にプッチを殺す。国家錬金術師がいたら即座に殺す


【スタンド】キラー・クイーン
【破壊力:A / スピード:B / 射程距離:D / 持続力:B / 精密動作性:B / 成長性:A】

【能力詳細】
手で触れた物を「爆弾」にする能力を持つ。
あらゆる物を『爆弾』にすることができ、爆弾化した物はキラークイーンが右手の親指で「スイッチ」を押す動作によって好きな時に爆破できる。
『爆弾』の爆発は、爆弾にした物及び爆弾に触っていた者を内側から粉々になって爆破される。
対象を跡形もなく消滅させるように爆破でき、欠片一つ残らない為、証拠を残さず殺人を行うには最適ともいえる能力である。

【備考】
シアーハートアタック及びバイツァ・ダストは制限により使用出来ません。


857 : ◆diFIzIPAxQ :2020/06/15(月) 20:39:11 HGzMCkCo0
投下終了です


858 : ◆NIKUcB1AGw :2020/06/15(月) 21:18:01 V8/Q1/yA0
投下します


859 : 意外! それは髪の毛! ◆NIKUcB1AGw :2020/06/15(月) 21:18:49 V8/Q1/yA0
人気のない商店街を、背の低い一人の男が歩いていた。

「てやんでえ、バーロー、ちくしょう!
 こんなことやってられるかってんだ!」

怒りに顔をゆがめながら、チビ太は叫ぶ。
この地に呼ばれる直前、彼は復讐劇の準備の真っ最中だった。
大切にしていた最後の髪を抜いた、六つ子への復讐を果たす。
今のチビ太が考えられるのは、それだけだ。
見ず知らずの人間たちとの殺し合いなど、やっている余裕はないのだ。
さりとて、ここから帰る方法もわからない。
仕方なしに当てもなくうろつき続けいたチビ太だったが、あるものに気づき足を止める。

「え……? 嘘だろ……?」

それは手元の光源により店の窓ガラスにわずかに反射した、自分の姿だった。
ガラスに映ったチビ太には、抜けたはずの髪がしっかりと生えていたのだ。

「そんなバカな……」

恐る恐る、チビ太は自分の頭へ手を伸ばす。
そこには、たしかに髪の感触があった。

「生えてる!? なんで!?」

驚くチビ太だったが、さらなる驚きが彼を襲う。
彼の心の動きに連動するように、髪が左右に揺れ始めたのだ。

「なな、なんだぁ!? いったい何が起こってやがる!」

混乱するチビ太の脳裏に、ふと先ほどの神父の言葉が蘇る。
参加者にはスタンドなるものを与える。彼はそう言っていた。

「ひょっとして、この髪がスタンドってやつなのか!?」

手がかりを求め、チビ太は手つかずだった荷物をあさる。
そして程なくして、スタンドの解説を見つけた。

「自分の髪を自在に操れる能力……。なるほど、だからおいらの髪がまた生えたのか……。
 ケケケ、こりゃいいぜ……」

チビ太の顔に、下卑た笑みが浮かぶ。先ほどまでの表情が修羅なら、今の表情は悪鬼だ。

「見てるかい、神父様よぉ。
 せっかくいい能力をくれたんだ。
 目的は知らねえが付き合ってやるぜ、あんたのゲームに!」

チビ太の頭頂部で、長く伸びた一本の毛が鞭のようにうなりをあげた。


860 : 意外! それは髪の毛! ◆NIKUcB1AGw :2020/06/15(月) 21:20:02 V8/Q1/yA0


【名前】チビ太
【出典】おそ松さん
【性別】男
【能力・技能】
『おでん作り』
幼少の頃から作り続けてきたおでんの味は絶品。

【人物背景】
松野家6兄弟の幼なじみ。
少年時代は六つ子にいじめられることもあったが、現在は友人としてそれなりに良好な関係を築いている。
昔からのおでん好きが高じて、現在はおでんの屋台を経営。
ツケばかりでなかなか代金を払わない六つ子には厳しい態度を取ることもあるが、毎度言いくるめられてツケを許してしまう。
基本的な性格はお人好しなのだが、このアニメのキャラの宿命として一度欲に目がくらむと途端にゲス野郎と化す。

【スタンド】ラブ・デラックス
【破壊力:B/スピード:B/射程距離:C/持続力:A/精密動作性:E/成長性:B】
【能力詳細】
本体の髪と一体化したスタンド。
髪を自在に動かし、長さもコントロールできる。
また、髪を他人の頭皮に植えつけることで操ってしまうことも可能。

【備考】
参戦時期は第2期11話「復讐のチビ太」。
【方針】
優勝狙い


861 : ◆NIKUcB1AGw :2020/06/15(月) 21:21:15 V8/Q1/yA0
投下終了です


862 : ◆BrXLNuUpHQ :2020/06/16(火) 00:28:30 VKjFHstA0
投下します。


863 : ◆BrXLNuUpHQ :2020/06/16(火) 00:29:16 VKjFHstA0

 なあ、カカシ。お前ならどうする?
 突然殺し合えと言われた。生き残れば何でも一つ願いが叶うと言われた。お前なら何を願う?
 元の世界に帰されて、一つ願いを叶えて……それでどうするっていうんだ?

 俺は、仮面を被る。
 キャッチ・ザ・レインボー。虹を掴む。俺に与えられたスタンド……封印術か何かで体内に植え付けられただろうそれを頭の中で念じて手の上に出し、着ける。
 雨を操る、火遁が得意なうちはに向けた能力。直接戦闘に役立つというよりかは、火遁を邪魔させないような、そんな力。まあ……

「どうだっていいんだよ……」

 カカシ、俺はこんな偽りの世界なんてどうだっていいんだ。バトルロワイアル形式の殺し合いだとかスタンドだとか、どうだって。
 ただ被れる仮面があれば、いいんだ。それだけでな。
 だから、俺は仮面を着けて地面に寝そべったまま夜空を見上げる。雲一つない、雨なんて降りそうにない空だ。

 なあ、お前なら何を願う。どう動く。ここにもそこにもリンはいない。リンは死んだ。その死すら奪うなんて、命を奪われるのと同じかそれよりも酷いことだろ? リンだって、自分が生き返るために大勢死ぬなんて望まないよな。優しいから。自分から殺されに行くぐらい。あの時もっと早く、俺が間に合えば、俺がリンを殺せてやれてたのか? でも、お前はそれでも、傷ついたよな。

 リン、カカシ、ミナト先生……誰でもいいから教えてくれよ。この地獄から抜け出す方法を。天国に行く方法を。でないと俺、もう立ち上がれそうにないんだよ!


【名前】うちはオビト
【出典】NARUTO
【性別】男
【能力・技能】
木の葉隠れの中忍で13歳。名門うちは一族出身で、特に精神未熟な面も多いが火遁や写輪眼を用いた体術など戦闘力は階級に恥じぬものがある。戦場で瀕死の重症を負ったことをきっかけに右半身の柱間細胞化、万華鏡写輪眼『神威』の開眼に至る。飲まず食わずでも問題無い生命力と自分の体を起点とした転移(クリームの暗黒空間に入るようなもの)で相手の攻撃をすり抜けることができる。

【スタンド】キャッチ・ザ・レインボー
【破壊力:C / スピード:C / 射程距離:B / 持続力:B / 精密動作性:D / 成長性:D】
【能力詳細】
 雨粒を空中で固定するスタンド。スタンドの外観は虹のデザインが入った仮面。
 この能力で宙空を自在に闊歩したり、水滴の刃で敵を攻撃したりする。また自身の肉体をバラして雨水を媒介に部分別に移動する事も出来る。
 「雨粒」にのみ有効な能力であり、固定化された雨粒も、雨が止むと固定化が解除される。
 つまり豪雨の日は非常に強力だが、快晴の日は役立たずという一長一短のスタンドである。

【備考】
カカシがリンを殺すところを目撃し万華鏡写輪眼に開眼、霧隠れの忍を抹殺したタイミングでの参戦です。
精神的・肉体的な摩耗により方針を立てていません。


864 : ◆BrXLNuUpHQ :2020/06/16(火) 01:46:11 VKjFHstA0
投下終了です


865 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/16(火) 10:32:43 QSLmUEuU0
投下します


866 : この世にいるのはよいこだけ ◆DWDMFPPpRw :2020/06/16(火) 10:34:24 QSLmUEuU0
湾岸に位置する岬。地図にはポヨヨン岬と記されている場所。
荒ぶることのない静かな波の音は、此処が殺し合いの場だということを感じさせない風情があった。
そんな岬の崖際に、この催しの参加者が一人佇んでいる。
長い茶髪を左に寄せた一本の三つ編みと、そばかすが特徴のどこか純朴な容姿をした若い女性。
彼女に関して特筆する事はない。どこにでもいる平凡な一般人である。

あえて言うとすれば、彼女はとある過ちを犯した。
生活のため、あるいは騙されたのか、どちらにしても仕方のない選択だったかもしれない。彼女はそんなよくある話の当事者であった。

記憶DISCを読み終えた当初、彼女は大いに動揺していた。
一般人でしかない彼女に、この殺し合いを平然と受け入れられる訳がない。
しかし、その感情もやがて収まる。
今の彼女の心情はこの海の波のように穏やかだ。
岬から海を眺めている彼女の眼には、強い決意が宿っている。それは、何がなんでも生き延びるという強い覚悟。
恐怖という停滞から彼女を一歩踏み出させたのは、手首に身につけている「14」のリストバンドだった。

彼女はかつて、この場所と同じような岬から飛び降りた。もう何もかもが嫌になって、死のうとしたのだ。

そして、彼と出会った。
彼は、見ず知らずの私を命がけで助けようとしてくれた。
私を笑わせようと、いつも体を張ってくれた。
こんな汚れた私を愛してくれた。
最後の最後まで、笑顔にさせようとしてくれた。
そんな彼からのプレゼントが、この催しに立ち向かう勇気を彼女に与えた。

彼と話したい。
汚れた私には資格はないからと、彼からのプロポーズは断ってしまったけど。
もう一度、彼と触れあいたかった。

その願いに呼応して、彼女の側に出現するヴィジョン。
地図を全身にボディペイントしたかのようなその像は、彼女に与えられた能力。名を『ペイズリー・パーク』。
本体に最善の道に示すそのスタンドは、確かに彼女を導こうとしていた。


【名前】十四松の彼女(本名不明)
【出典】おそ松さん
【性別】女性
【人物背景】
アニメ第9話後半のエピソード「恋する十四松」に登場した女性キャラクター。
劇中で本名は明かされておらず、参加者名簿には「十四松の彼女」と表記されている。
本人から見て左の方を三つ編みでサイドテールにしており、鼻の辺りにそばかすがあるのが特徴の女性。
穏やかな性格だが、十四松のパワフルデートにも平然と付いて行けたり、十四松が新たに編み出した「水を飲んでそれを頭・耳・鼻から噴射させる」というギャグで失神してしまう程笑う等、見ていたトド松曰く「変わってる」性格。
公式で「明るい狂人」と呼ばれてしまう十四松に上述のように普通に付いていけてるどころか、相思相愛と呼ぶ仲であった。
しかし、十四松と出会って一か月近くで彼から告白を受けるも、「田舎へ帰るからもう会えない」という理由で悲しげな表情を浮かべて振ってしまう。
その告白を受けた日の夜に新幹線で田舎へ帰ろうとするが、おそ松から背中を押された十四松は駅のホームまで駆けつける。
そんな十四松を前に何かを言おうとする。だが十四松はそれを遮り、別れの言葉ではなく、いつものように精一杯のギャグで彼女を笑わせようとする。ギャグを励ましにしようとする十四松を見て彼女は泣きだし、十四松も「泣かないで」と必死になって自身のギャグで笑わせようとする。発車しても尚新幹線と並走して、ギャグをし続ける十四松が最後に見た彼女の表情は笑顔であった…。


867 : この世にいるのはよいこだけ ◆DWDMFPPpRw :2020/06/16(火) 10:35:18 QSLmUEuU0
【能力・技能】
明言こそされていないが職業はAV女優。劇中ではおそらくこれが原因で投身自殺を計っている。
また手首を隠していることからリストカットもしていると推測されている。
パラレルワールドではイルカショーの調教師をしているが、芸の教え方が悉くスパルタ。この彼女も案外ドSなのかもしれない。

【スタンド】ペイズリー・パーク
【破壊力:なし/スピード:なし/射程距離:A/持続力:A/精密動作性:D/成長性:C】
【能力詳細】
遠隔操作型スタンド。
地図を全身にボディペイントした隻眼の女性のような姿をしている。
自分や他人を行くべき方向や場所に導く能力を持っており、その能力はケータイのナビ機能やネットの地図、第三者の知覚に干渉する等して発現する。
スマホやPCの画面に「選択肢」が現れ、制限時間以内に本体がそれを選択することによって何らかの事象を起こす。
ただし、最短ではなく最『善』、しかも刹那的なもののため、コロコロと指示が変わったり、「3回連続で右折させる」「上方向に進ませる」などといった珍妙な指示をされたりすることもある。
破壊力は無いとされているが、人間の足を捻り折る程度の腕力は持っている。
また、電子機器に介入することで機器を稼働させ操る・その情報を読み取るなど、本体のハッキリとした意思を反映させることも可能。

【備考】
ペイズリー・パークの媒体にスマホが支給されています。
参戦時期は「恋する十四松」の後。
採用された場合、ペイズリー・パークの制限などに関しては書き手に任せます

【方針】
この催しを生き延びて、もう一度彼(十四松)に会いに行く。


868 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/16(火) 10:36:39 QSLmUEuU0
投下終了です


869 : 名無しさん :2020/06/16(火) 19:16:40 WCMQ0dt60
投下します


870 : 名無しさん :2020/06/16(火) 19:17:48 WCMQ0dt60
すみません。見よう見まねでやろうとしたのですが、どの様にすればよろしいでしょうか。


871 : 名無しさん :2020/06/16(火) 19:30:31 WCMQ0dt60
すみません。ROMります。無かったことにしてください……。


872 : ◆2lsK9hNTNE :2020/06/16(火) 23:19:37 DNgtrok20
投下します


873 : 驚愕!巨大生物達の王国! ◆2lsK9hNTNE :2020/06/16(火) 23:20:45 DNgtrok20
 杉元佐一、通称不死身の杉元。
 日露戦争において、どれだけ重傷を負っても生きて戦い続けたことからそう呼ばれた。
 戦場では尊敬されたし、仲間の中には杉元を英雄と呼ぶ者もいた。だがそれはつまりより多くのロシア人を殺したということでもある。
 杉元は人間同士が殺し合う地獄をよく知っている。戦争に比べれば児戯にも等しい四十人程度の殺し合いでもその汚たさは変わらない。そんなものを楽しげに強要するプッチとかいう男は間違いなくクソ野郎だ。
 ――みたいな感じのことを最初は考えていたのだが、現在、杉元の頭の中からそんなことを思考する余裕は完全に消え去っていた。

「うおおおおおおおおお!」

 杉元は叫び声をあげながら全力で走っていた。追われているのだ。犬に。
 数は一匹だけ。凶暴そうな見た目というわけでもない。丸っこい顔についたつぶらな瞳は人懐っこそうですらある。足もまだ短く、その犬が子犬であることが誰の目から見ても明らかだ。杉元を追いかける姿も楽しげで、獲物を狩ろうとしているというより、追いかけっこで遊んでいるといった雰囲気だ。
 そんな愛らしい子犬から、なぜ杉元は全力疾走で逃げているのか。無論彼が大の犬嫌いというわけではない。むしろ、最初に遠くから見つけたときは「可愛いワンちゃんだなぁ」と頬を緩めたくらいだ。
 しかし犬がこっちに走りよってくるにつれて、それがのんきな感想だったと気づいた。
 その犬は異様にデカかったのだ。高さだけでも杉元の数倍、全長なら有に十倍以上。前足で軽く撫でられただけでも命に関わる大きさだ。杉元は一目散に逃げ出した。
 そして走りながら気づいた。デカイのは犬だけではないということに。辺りを覆う背の高すぎる草は、犬の大きさを基準に見れば、どこにでもある雑草だし、城か何かだと思っていた巨大建築物は、よく見れば普通の民家の形だった。ここにあるものは何もかもが巨大なのだ。

「何なんだよここはああああ!」

 差し迫った生命の危機と全てがデカイ異常空間に、殺し合いがどうたらと考える暇は無かった。
 圧倒的な体格差によって犬はグングン距離を詰めてくる。わずかに扉が開いた小屋が目に入り、杉元はその中に飛び込んだ。

「きゃん!」

 犬が扉にぶつかり悲鳴をあげる。衝撃で扉が閉まった。中に入ろうとしているのか扉を引っ掻いたり、辺りを歩き回る音が聞こえるが――やがて諦めたようで、足音が遠ざかっていった。

「フゥーっ」

 息を吐く。
 これまでにも自分よりもデカイ動物は何度か見てきたが、あそこまでデカイのは初めてだった。
 この小屋も――タンスやベッドが置かれており、どうやら居住空間として作られた場所のようだが、こんな場所に住む奴がいたとしたらそいつは巨人だ。

(案外、本当にそうなのかもな)

 少なくとも普通サイズの人間が、こんな杉元が百人は余裕で入りそうな小屋を作る理由は思いつかない。
 外が、あの犬のような巨大生物ばかりだとしたら、殺し合い抜きにしても生き残るのは楽ではなさそうだ。そう考えると小屋に守られた今の状態はかなりの幸運といえた。なにせ自力では扉を開けることも閉めることもできない。偶然空いていた隙間から入れて、偶然犬が閉めてくれたからできた状況だ。
 とはいえ、扉が破られないとも限らないし、ここが禁止エリアに指定されたら別の場所に移動しなければいけない。脱出路は確保しておきたかった。
 小屋の中を見回して、杉元は小さな机(巨人サイズとしてはという意味だが)の上に窓があるのを見つけた。横に動かす型で鍵は掛かっていない。扉よりは開けられる可能性がありそうに思えた。

(問題は机の上までどうやって登るかだな)


874 : 驚愕!巨大生物達の王国! ◆2lsK9hNTNE :2020/06/16(火) 23:21:25 DNgtrok20

 机の足は細く、よじ登ることもできなくは無さそうに見えるが、何しろやったことが無い。できれば下にクッションになるような物を敷いておきたかった。
 しかし、小屋の中にあるもので杉元でも動かせるものは限られている。
 再び小屋の中を見回して、タンスが目に入った。ある案が思いつき、杉元はタンスの横へと回り込んだ。

(お、やっぱりあったぜ)

 どこの家でもタンスの裏というのはほこりが溜まるものだ。ほこりなら一つ一つは軽いし、集めてくっつければクッションになるかもしれない。タンスの裏なんて普通なら指を入れるのも大変な隙間だが、ここは人一人らくらく入れる広さがある。杉元は早速入りこんだ。
 が、少し進んで杉元は足を止めた。気配がしたのだ。
 奥の暗がりで、四つの真っ黒な光が見えた。それは八本の足を器用に動かしながら明かりの中に姿を現した。蜘蛛。人間サイズの蜘蛛。ここは蜘蛛の住み家だったのだ。
 四つの瞳が杉元の姿を映している。近づかれる前にタンスの裏から出ようと後ろに下がった。
 が、その判断は間違いだった。
 跳躍。
 蜘蛛といえば巣を張って待ち伏せする印象が強いが、中には体長の六倍異常の距離をひとっ飛びし、直接獲物に襲いかかるものもいる。近づかれる前――どころではない。ここはすでに蜘蛛の間合いの中だったのだ。
  
「くっうううう!」

 顔面に迫る二本の牙を杉元は両手で掴んで止める。
 大抵の蜘蛛は、人間には効かないまでも、自分の倍くらいの大きさの生物には十分な毒を持っている。刺されたらおそらく命は無い。
 牙を突き立てようと蜘蛛は跳躍にも使った足でさらに押してくる。後ろに下がろうとして態勢を崩した杉元では力負けするのは時間の問題だった。

「おおおおおおおおお!」

 杉元は押し返すのを辞め、逆に後ろに倒れながら背負投た。一度ひっくり返ると蜘蛛は簡単には戻れない。だが、蜘蛛は地面につく前に右半分の足で壁を蹴り、態勢を立て直した。杉元も即座に起き上がる、
 
「俺は不死身の杉元だ!」
 
 叫び、蜘蛛に向かって突っ込んだ。
 杉元と蜘蛛、互いの生命をかけた戦いはまだ始まったばかりだった。
 ――ところで、スタンドを得たばかりの人間というのは、時に無意識にスタンドを使ってしまっていることがある。
 杉元が与えられたスタンドはリトル・フィート。自分や相手を小さくすることができるスタンドだ。
 周囲がデカイのではなく自分が小さくなっているということに杉元が気づくのはもう少し後のことだった。
 

【名前】杉元佐一
【出典】ゴールデンカムイ
【性別】男性
【人物背景】
 元大日本帝国陸軍一等卒。
 日露戦争で亡くなった親友の妻であり、かつて自分と両思いだった女性が、目の病気を患っており、治療費を手に入れるために、アイヌの金塊争奪戦に参加する。
 敵を殺すことに躊躇は無いが、戦場で人を殺したことで自分は変わってしまったとも思っており、戦いの中でも人殺しを忌避するアシリパという少女に救いを感じている一面もある。


【スタンド】リトル・フィート
【破壊力:D スピード:B 射程距離:E 持続力:A 精密動作性:D 成長性:C】
【能力詳細】
 ロボットのような姿をした人型のスタンド
 人差し指に長い刃がついており、切りつけた物を縮小する能力を有している。
 効果が発動するまでに少々時間がかかるが、一度縮小が始まれば、どれほど離れようとその効果は持続するため逃れることは出来ない。逆に、戻すときは一瞬で戻せる。
 自身にも効果は有効で、この場合は一瞬で小さくする事が可能。
 アニメ版では上記の能力を応用し、大質量物を対象に飲み込ませた後に元に戻すことで質量爆弾とする即死攻撃でターゲットを暗殺するシーンが追加されている。


875 : ◆2lsK9hNTNE :2020/06/16(火) 23:21:51 DNgtrok20
投下終了です


876 : ◆mg.DCgSR.Q :2020/06/17(水) 02:26:53 peQ8JNLg0
投下します。


877 : あの翼が、とても大切だから。 ◆mg.DCgSR.Q :2020/06/17(水) 02:29:13 peQ8JNLg0
 一匹のトカゲが、夜の街をするすると走っている。
 いや、本当にそうだろうか? 星空の下を後ろ足のみで駆けるこの生物は、本当にトカゲなのだろうか?
 答えは否である。信じがたいことに、この生物は〝恐竜〟と呼称されている種だ。
 しつこいが、決してトカゲなどではない。恐るべきことに、この街には恐竜が生息しているのだ。
 とはいえ、この街が急激なタイムスリップを行ったわけではない。この恐竜は、スタンドが生み出したものである。
 スタンドの名はスケアリー・モンスターズ。傷つけた生物を〝本体〟の思うがままに恐竜へと変化させるというものだ。
 色や種類は自由自在。加えて、本体から与えられた任務はしっかりと遂行するという高い知能を有している。
 そんなスタンドによって小型の恐竜へと変えられた何かは、脇目も振らず一心不乱に闇夜を疾走する。
 やがて辿り着いたのは、何の変哲もない一軒家だ。僅かに開かれた窓の隙間から室内に入り、階段を上っていく。
 そうして恐竜だった何かは、開きっぱなしのドアをすり抜けると、部屋で座している本体の元へと無事に帰還した。

「割と時間かかってたケド、誰かいたー?」

 すぐさま本体から質問を受けたので、恐竜だった何かは首を横に振る。
 Yesならば縦に、Noならば横に首を振るように、と命じられていたことを覚えていたのだ。

「ふーん。それじゃあお疲れ様ー。休んでいいよー」

 休息する許可を得たため、恐竜だった何かは本体の近くに座り込むとすぐさま瞼を閉じる。
 かなりの時間、街を奔走していたためだろう。すぐに微睡みだすと、やがて寝息を立て始めた。
 その様子を眺めた本体は「ふふー……」と笑みを浮かべると、綿飴のように柔らかい二房の髪を両手でいじる。

「こういうトコ、エンツォとモンドに似てる感じー……」

 紫色に染め上げた髪から指を離した本体の名は、田中摩美々。
 283プロダクションに籍を置き、クール系ユニット〝アンティーカ〟に所属するアイドルである。
 アイドルというのは、即ちアイドルである。決して人知れず活躍、または暗躍する特殊部隊の通称などではない。
 つまりそれは、彼女が他人の命を奪うような人間ではなく、そうした環境下に置かれた経験もないことを意味する。
 そんな中、常人と比べて神経が図太かった彼女は、己に与えられた能力を即座に遺憾なく発揮したのである。
 目的と理由は、283プロダクションに籍を置く人物が、自身と同じ目に遭っているか否かを確認するためだった。
 そのために、彼女はキッチンから拝借した包丁を使い、部屋に鎮座する水槽の中で泳ぐ魚を恐竜に変化させたのだ。
 また一匹、同じルートを辿って元魚の小型恐竜――先程と種類は違っている――が摩美々の元に走ってくる。
 先程の恐竜に対して行った質問を繰り返すと、こちらの個体も首を横に振った。
 ならばとこれもまた同じように休息を与えると、今度は摩美々の正面で寝転がって夢の世界に旅立った。


878 : あの翼が、とても大切だから。 ◆mg.DCgSR.Q :2020/06/17(水) 02:30:15 peQ8JNLg0
「収穫は、なし……ふーん……」

 その様子を見届けた摩美々は、ゆっくりと視線をよそに向ける。
 視界には、先程の二匹よりも先に誕生させていた恐竜――こちらも二匹だ――が、同じように眠っていた。
 即ち摩美々は、四匹の小さな恐竜によって東西南北余すことなく周辺を探索させていたのである。
 理由は当然、何者かが近くでうろついていないかどうかを確認するためだ。
 と、言いたいところだが……本当のところは違う。いや、確かに何者かがうろついていないかと警戒してはいる。
 だが実際には、摩美々は〝特定の人物達〟が周囲にいやしないかと思い、恐竜達へと偵察ミッションを与えたのだ。

「結構走らせたはずなのにー……やっぱり、いないってことでいいわけー?」

 特定の人物達。
 それは〝283プロダクションの関係者達〟を意味している。
 摩美々をアイドルの世界へと導き、自分の態度や自分が考案したイタズラを本気で叱ってくれるプロデューサー。
 マイペースで独特な感性を持つ摩美々を優しく受け入れ、真正面から受け止めてくれるアンティーカの仲間達。
 アンティーカ以外のユニットに所属する、煌めくステージに立つために努力を続けているアイドル達。
 事務仕事などをはじめとする様々な方法で、アイドル達やプロデューサーを支える七草はづき。
 プロデューサーと出会うそもそものきっかけを作ってくれた天井努社長。
 摩美々は、彼ら彼女らまでもがこの悪辣な催しに招かれてはいやしないかと、不安を覚えていたのである。
 故に、自身に与えられた能力を正しく発動することで、彼女はいち早く行動を起こしたのだ。

「まぁ、いないなら、その方が全然いいんだケドー……」

 とはいえ、一流のスタンド使いが彼女の動きを批評したならば〝下の下である〟と断じたであろう。
 まずスタンドには相性というものがあり、通常ならば相手を確実に倒せる状況を作ってから使用するものだ。
 特に攻撃能力に優れていたり、そもそも攻撃にしか使用出来ないというのならば尚更である。
 そも、いわゆる〝初見殺し〟こそがスタンドの真骨頂なのだから、己が能力は秘中の秘とすべきなのだ。
 だというのに、摩美々は何者かが目撃すれば確実に警戒する生物を、既に四方に放ってしまっていた。
 そんな様子を性根の腐ったスタンド使いに目撃されれば、無様に敗北することは必至と言っても過言ではない。
 大体、この催しに招待されてしまった人物の名を確認したいというなら、支給された名簿を見ればいいだけの話だ。
 故に下の下。いくら神経が図太かろうと、やはり彼女は命の奪い合いには向いていない性分なのである。

「でも……」

 とはいえ、摩美々の軽率な行動にもそれなりの理由があった。
 何なら、恐竜を放つリスクは摩美々自身も理解しているし、言われずとも下の下な策であったとも自覚している。
 それでも名簿に手を伸ばさなかったのは……それを前にすると、銀世界に投げ出されたかのように寒気が走るからだ。

 摩美々は恐怖に囚われていた。
 
 実際に名簿を開いた瞬間、もしもプロデューサーや仲間達の名が目に入ってしまったら……。
 そう思うと、とてもじゃあないがそんな支給品へと手を伸ばすことが出来なかったのである。
 一見クレバーに見えながらも下策であった〝恐竜を放つ〟行為は、答えを確定させたくなかったが故の逃げ。
 しっかりとした四字熟語で表現するならば……現実逃避だったのだ。


879 : あの翼が、とても大切だから。 ◆mg.DCgSR.Q :2020/06/17(水) 02:31:58 peQ8JNLg0
「…………」

 しかし、恐竜の帰還を待ち続け、いざ報告を聞いた摩美々は……少しずつだが、恐怖に向き合う決心を固めていた。
 彼女は愚かな人間ではない。面倒くさがりな性格ではあれども、いつまでも問題を先送りにするような少女ではないのだ。
 最初からきちんと理解している。いくら恐竜に偵察をさせたところで、その範囲はたかがしれていると。
 偵察班の目が届かない、どこか遠くの場所に仲間達がいる可能性は……己が思う以上に高いのだと、解っている。
 ちゃんと、ちゃんと、心底理解しているのだ。考えることが、嫌になるほどに。
 
「いるとしたら、どうしてるんだろ……」

 どうするつもりなんだろう? と、心中で続ける。
 仮に283プロダクションの関係者がいたとして、果たして皆はどのような行動に移るのか。
 摩美々はまず、最も自分と近い距離を歩いている人物、即ちプロデューサーと、アンティーカの仲間達の動きを想像する。

 プロデューサーならば、即座に名簿とスタンドを確認し、アイドル達の為に奔走するだろう。これは間違いない。
 何せこんなにも天邪鬼で悪い子の摩美々に、本気かつ全力でぶつかってくれる人物なのだから、当然の話だろう。

 月岡恋鐘ならば、底抜けの明るさとポジティヴ思考が良い方向に働き、いきなり街を脱出する方法を考えるに違いない。
 むしろ既にどこかで暴走中で、誰かと交流し、何者かのために全力を出しているかもしれない。彼女は、そういう人間だ。

 幽谷霧子ならばどうか。彼女はあまりにも優しいから、誰かを害するような行動など決して起こさないだろう。
 むしろ彼女であれば、とてつもなく平和的な能力を与えられていてもおかしくない。それこそ、誰かを優しく癒やすような。

 白瀬咲耶は、人と人との繋がりをとてつもなく慈しんでいるから、恋鐘と同じく既に誰かと接触している可能性が高い。
 そうして相手の想いを尊重しながら、裏ではアンティーカや283プロのためにと水面下で必死にあがく……といったところか。

 三峰結華は……少し雲行きが怪しい。アンティーカの中では咲耶と並んで責任感が強すぎるためだ。
 咲耶にも当てはまる話だが、他人とは上手くやりながらも……心の奥底では自重で潰れそうになっているかもしれない。

 そんな彼女達が、仮に同じ街へと招待されてしまっているとしよう。
 ならば……この田中摩美々が成すべき事はただ一つだ。
 こんなにも健気な少女達を死なせたくないというのであれば、今すぐにでも動き出さねばならない。

「……私が、誰かを」
 
 名も知らぬ誰かを手にかけて、彼女達にかかる火の粉を少しでも多く払うためにだ。
 恐竜を率いるだけではなく、己の姿すらも恐竜へと変化させ、生い立ちも不明な〝参加者〟達を喰らうためにだ。
 アイドルとして磨いてきた美しさや、元々の奇抜でオンリーワンなファッションを捨ててでも、他人を殺める。
 もしも283プロダクションの仲間がいるならば……〝悪い子〟の摩美々が、汚れ仕事を請け負うべきだろう。
 アンティーカの皆は不器用だから。プロデューサーは真っ直ぐすぎるから。だから、自分が動かなくては。

 心配ない。平気だ。いつもよりタチの悪いイタズラをするようなものだから。
 心配ない。平気だ。だって田中摩美々は、叱られてばかりの悪い子だから。


880 : あの翼が、とても大切だから。 ◆mg.DCgSR.Q :2020/06/17(水) 02:33:40 peQ8JNLg0
「……っ」

 ならば、もう〝可能性〟に背を向けつづけるわけにはいかない。
 恐竜達には悪いが、自身の目でしっかりと名簿を注視し、連なる名前を確認せねば。
 手が震えてしまうのを受け入れながら、摩美々はとてもゆっくりとデイパックから名簿を取り出した。
 閉じられたそれを両手でしっかりと掴み、何度も何度も深呼吸を繰り返す。
 そうしていると、不意に名簿の表面が滲んだ。雨漏りでもしたのだろうか……と、摩美々は天井へと視線を向ける。
 しかしシミ一つ見当たらない。そもそも雨が降っている様子もなかった。それは窓越しに外を眺めれば明らかなことだ。
 であれば、何故なのか? 自身に与えられたスタンドとやらは、あくまでも恐竜に関することのみであるというのに。
 摩美々は不思議な現象を前に、一寸の間を置く。そして「あっ」と呟くと、片手をそっと頬に当てた。

「……あっ」

 そして彼女は、不思議な現象を起こしたのが〝他でもない自分であった〟のだと即座に理解した。
 この摩美々という少女は、名簿を前にした途端……不安に押し潰されたことで無意識に涙を流していたのだ。
 気付けば滲んだ箇所が増えている。このままでは名前を確認するときに支障が出てしまう。
 これ以上水滴が落ちないようにと、摩美々は服の袖で両眼を拭った。
 自慢の化粧が崩れぬ程度に。お気に入りの服にシミが付かない程度に。
 何度も何度も、手と吐息の震えを止められぬまま、涙に抗い続ける。

「なんちゃら、プッチ……」

 うろ覚えではあるが、恨みを込めて諸悪の根源の名を呟く。
 そうして覚悟を決めた摩美々は、長い時間を経て遂に名簿を開き……多くの名を目にしたのであった。


881 : あの翼が、とても大切だから。 ◆mg.DCgSR.Q :2020/06/17(水) 02:34:42 peQ8JNLg0
【名前】田中摩美々
【出典】アイドルマスター シャイニーカラーズ
【性別】女性
【人物背景】
 283プロダクションに籍を置くアイドルの一人。18歳の高校3年生。
 ダウナーな雰囲気をまとい、とにかく面倒ごとを嫌うが、いわゆる〝陰キャ〟ではない。
 自分の好きなことや得意なことには割とすぐ乗り気になり、特に趣味のイタズラではそれが顕著。
 しかしながら洒落にならないことだけは決してしない。問題児ではあっても、問題外ではない。
 奇抜で思い切ったファッションを好み、それらを着こなせる程に顔とスタイルが抜群。
 自身が所属する〝アンティーカ〟というユニットのメンバー達が、その独特の感性に膝を打つことも。

 上記のイタズラの被害者は主にプロデューサーだが、それは〝叱ってほしい〟がため。
 両親に甘やかされて育った田中摩美々にとって、プロデューサーは貴重な〝本気で叱ってくれる〟人物である。
 故に構ってほしいという想いから、コミュニケーション手段として常々イタズラを敢行するのだった。
 その裏では、多くの人に知られないよう注意しながら真面目に頑張る面も。

【能力・技能】
 人間。アイドル。異能は持ってないんだよオオォォ! 日常系のキャラかオメーはよォォォォ。
 幼少の頃に習い事に通わされていたからか、音感が鋭い。またトレーナー曰く、ダンスなどの覚えも早いという。
 最初期には仕事時間ギリギリに現れながらも、仕事はしっかりこなすという神経の図太さを見せるエピソードも。
 カメレオン(名前はエンツォ)と、ヒョウモントカゲモドキ(名前はモンド)をペットとして飼っている。
 前者は飼育が難しい生物らしいので、これもまた誰も知らぬところで真面目にしている証左なのかもしれない。


【スタンド】スケアリー・モンスターズ
【破壊力:B/スピード:B/射程距離:D/持続力:A/精密動作性:C/成長性:B】
【能力詳細】
 生物の身体を傷つけることで、対象を恐竜に変化させて使役するスタンド。
 恐竜には偵察任務を与えられるし、増やすことで戦力増強や物量作戦を展開出来る。
 また、自身を恐竜へと変化させることも可能で、それにより身体能力を著しく向上させられる。
 加えて恐竜と化した状態では、スタンドに対する直接攻撃も可能となるため恐ろしい。
 本来の〝本体〟は向上した動体視力や嗅覚や俊敏さなどを活かすことで、有利な立場を崩さずに戦っていた。
 だが恐竜化した際には〝停止した物体や、そのように見える物体の動きを視認出来ない〟という弱点が現れる。


【備考】
 小型恐竜を四匹作成しています。
 劇中にて種類は決めていません。こだわりたい方がいればおまかせします。


【方針】
 コンペ終了後の結果によって以下の二つから選択。
 シャニマスのキャラがいる:彼女達を生きて帰らせるために、他人を殺害する。
 シャニマスのキャラがいない:元の世界に帰る方法を探る。人を殺すかどうかは一旦保留。


882 : ◆mg.DCgSR.Q :2020/06/17(水) 02:35:06 peQ8JNLg0
以上で投下完了です。


883 : ◆NIKUcB1AGw :2020/06/17(水) 21:23:03 VnGmgTnA0
投下します


884 : 神罰を君に ◆NIKUcB1AGw :2020/06/17(水) 21:24:08 VnGmgTnA0
とある民家の和室に、明らかに日本人ではない一人の男が立っていた。
年齢は見た目だけで判断すれば、初老といったところだろうか。
眼鏡とあごひげ、そして神父としての服装が特徴的だ。
男の名は、アレクサンド・アンデルセン。
敬虔なカトリックの神父にして、化物専門の殺し屋である。

「気に入らねえよ!」

突如、アンデルセンが叫ぶ。その叫びと共に、彼の拳が部屋の壁に叩き込まれた。
漆喰の壁には瞬く間にヒビが入り、そして崩壊する。

「プッチとやら……。何の権限があって、俺にこんなことをさせる!」

たとえばこれが、40人の異教徒を殲滅せよという上層部からの命令であれば、アンデルセンも喜々として殺戮を行っただろう。
だがそれならば、本人にその旨を伝えてから戦場に送り出すはずだ。
何の通告もなしに拉致して参加させたところで、いっさいメリットがない。
故にこれはバチカンの意志ではなく、プッチと名乗った神父の独断であると断言できる。
ならば彼は、なぜこんなことをしたのか。
信仰心が暴走し、外法に手を染めたのか。あるいは神父になりすました異教徒なのか。
どちらにせよ、バチカンの汚れ仕事を請け負う「イスカリオテ」の一員であるアンデルセンにとっては抹殺対象だ。

「おまけに人が意識を失っている間に、勝手に異能など与えおって……。
 しかも、名前が悪魔だと? この俺に、悪魔を従えて戦えというのか?」

アンデルセンに与えられたスタンドの名前は、「エボニーデビル」。
神の信徒たるアンデルセンが振るう力の名前としては、ふさわしくないのは一目瞭然だ。
もっとも、殺し合いに参加させられたこと自体に比べれば、このことに対する彼の怒りはたいしたものではない。
「デビル」とはあくまで能力の名前に過ぎず、本物の悪魔の力ではないというのを理解できているからである。
彼もイタリア料理の激辛風味が「悪魔(ディアボロ)風」と呼ばれているからといって目くじらを立てたりはしない。
そういうことだ。

「さて……いつまでもこうして突っ立っているわけにもいかんな」

これからどうするべきかを、アンデルセンは考える。
最終目標はもちろん、プッチの抹殺。
だがそのためには、この箱庭から脱出せねばならない。
おそらく、プッチも脱出されることに関しては最大限の警戒をしているだろう。
一筋縄ではいかないはずだ。
他の参加者の力が必要になる場面もあるかもしれない。

(この場では、何が役に立つかわからん……。
 忌々しいが、化物や異教徒と出くわしてもすぐに殺すのは勘弁してやるか……。
 脱出に利用できるかもしれんからな。
 むろん、攻撃してくるようなら容赦なく殺すが)

いつの間にか、アンデルセンの口元には凶悪な笑みが浮かんでいた。
それに気づいたアンデルセンは、すぐさま口角を下げる。

(何にせよ、まずは武器の調達か……。
 銃剣も聖書も取り上げられてしまっているからな。
 素手であっても生身の人間なら負ける気はしないが、化物相手ではさすがに厳しい。
 いざというときはスタンドとやらに頼るのもやむなしだが……。
 あまり使い勝手はよくなさそうだからな。
 できれば自力で戦えるようにしておきたい)

考えを巡らしながら、アンデルセンは家を出る。

(まずは、教会を探してみるか……。
 さすがに銃剣はないだろうが、俺が武器にできるものがあるかもしれん。
 だが……)

町並みを眺めながら歩くアンデルセンの眉間に、しわが寄る。

(どうやらここは、ジャパンの町がベースになっているようだな……。
 嘆かわしいことだが、ジャパンにカトリックの教徒は少ない。
 教会がない可能性もあるな……)

アンデルセンの口から、小さなため息が漏れた。


885 : 神罰を君に ◆NIKUcB1AGw :2020/06/17(水) 21:25:51 VnGmgTnA0


【名前】アレクサンド・アンデルセン
【出典】HELLSING
【性別】男
【能力・技能】
『再生者(リジェネレーター)』
教会の神秘と現代科学によって、肉体を強化された超人。
その名の通り肉体が損傷しても再生が可能だが、そのスピードは損傷の度合いや疲労の程度によって変化する。

【人物背景】
人外への対処などの戦闘行為を引き受けるバチカンの秘密組織「イスカリオテ」最強の戦士。
普段は温厚な孤児院の先生だが、化物と異教徒に対してはその残虐性をむき出しにして抹殺にかかる。
ただし決して制御不能の狂戦士というわけではなく、時と場合に合わせて闘争心を押さえ込めるだけの理性はある。


【スタンド】エボニーデビル
【破壊力:D/スピード:D/射程距離:B/持続力:A/精密動作性:D/成長性:B】
【能力詳細】
人形と一体化して行動する、遠距離型スタンド。
本体から攻撃対象への「恨み」が強いほど、能力が上昇する。
また人形が手にしたものはスタンドパワーを帯びるため、一般的な武器でもスタンドへの攻撃が可能となる。

【備考】
参戦時期は、アーカードとの初対戦後。
【方針】
主催者の抹殺。化物や異教徒であっても、友好的な態度であれば殺すのは保留。
しかし攻撃してくるようであれば、容赦なく殺す。


886 : ◆NIKUcB1AGw :2020/06/17(水) 21:26:40 VnGmgTnA0
投下終了です


887 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/18(木) 09:21:49 VhZXbg5E0
投下します


888 : 私は失敗しない ◆DWDMFPPpRw :2020/06/18(木) 09:22:28 VhZXbg5E0
住宅街。そこに一匹の犬が居た。犬種は何処にでもいる雑種の小型犬。
 野良犬同士の縄張り争いにでも破れたのか、それとも参加者にいたぶられたのか、兎も角、その犬は死にかけた状態で地面に蹲っていた。
 ハァハァと苦しげな息も少しずつ途切れかけている。
 遠からず骸を晒すであろうその野良犬は、静かにその時を待っていた。

「あっ……」

 そこに一人の参加者がやって来る。白衣を着た妙齢の女性だ。
 彼女はその犬を見つけると、思案顔で思考した後、やがて駆け寄った。
 理由は純粋な善意。専門ではないが、彼女は獣医師免許を取得していた。

「グルル…」

 当然、犬は人間に威嚇する。
 弱みを隠すように唸る姿に女性は眉を潜めたが、やがて落ち着かせるように語り掛けた。

「大丈夫。傷つけないから、ちょっと大人しくしてて」

 それを無視するように暫し唸り続けていたが、やがて犬は再び横になった。
 その様子は彼女の言葉を理解したというより、もう抵抗するだけの体力もないといった所だ。

「あーあ、手酷くやられてるわね」

 犬が大人しくなるのを見計らって、彼女はてきぱきと傷の診断をする。
 そこまで傷は深くないものの、出血が多い。このままでは死ぬだろう。そう診察した彼女は行動を起こした。

「『ドクター・ウー』」

その名を告げた瞬間、彼女の両手が『散った』。
身につけた衣類ごと、砂の粒子のように細かくバラバラになった肉体が、横たわった犬の傷口に入り込む。

「ううん、…これを、そう、こうやって動かして…」

額に汗を流しつつ、彼女は体内に送り込んだ粒子を操作する。
血管や皮膚を傷つけないように慎重に。丁寧に、そして完璧に。

「ーーーよし」

暫くして、犬の中から破片が戻ってきた。
内側から治療したのだ。とはいっても、出血を防いだだけの気休めだが。

「ほら、もう痛くないでしょ?」

彼女の名は大門未知子。フリーランスの女性外科医である。
野良犬は未知子を横たわったまま見上げると、やがて目蓋を閉じた。
聞こえるスヤスヤとした寝息。どうやら眠ってしまったらしい。
未知子はその様子に微かに微笑みを浮かべたが、直ぐに厳しい顔つきに戻る。

「スタンドか。便利だけど、これはちょっと慣れが必要ね……」

 疲労を滲ませた声。それも当然と言える。身につけたばかりのスタンド能力を、治療という高度な集中を必要とする作業に使ったのだ。
 処置自体は簡単だったので精神的な疲労はそこそこ。何か甘いもの、出来ればガムシロップが欲しい。そう思った。

(それにしても、こんな超能力を与えてまで人殺しをさせたいなんて……エンリコ・プッチ。一体何者なの)

エンリコ・プッチ。未知子を拉致し、殺し合いを命じた狂人。
彼とは初対面だが、こんなフィクションのような能力を他者に与えられる力を持つ事は確かだ。底が知れない。

(きっとあの女の子みたいに、あの男に逆らえば私も殺されるんでしょうね)

 頭部が破裂した少女の映像が脳裏にフラッシュバックする。自分も簡単にああなると思うと気が滅入った。
 当然、未知子は死にたくない。なら、大人しく殺し合いを受け入れるか。

(でもしません)

答えは断じて否。
知子は殺し合いに乗る気はない。医者としての矜持が殺人を否定する。
出来ればこんな催しは止めたいとすら思っていた。
きっと、この場で一番必要とされるのは自分のような医者だ。
殺し合いも止めて、負傷者も助ける。
両立は大変だが、それでも彼女は必ずやり遂げる。

何故ならーー



「私、失敗しないから」


889 : 私は失敗しない ◆DWDMFPPpRw :2020/06/18(木) 09:23:23 VhZXbg5E0
【名前】大門未知子
【出典】ドクターX〜外科医・大門未知子〜
【性別】女性
【人物背景】
「Doctor-X」シリーズの主人公であるフリーランスの外科医。「私、失敗しないので」を口癖とし、その口癖通り完璧な施術を行う天才的外科医。
特定の病院に属さない一流の医者達が所属する神原名医紹介所の所長神原晶を師としている。
良く言えばクール。悪く言えば愛想がない性格。自分が心を開いた人間などには子供のようなはっちゃけも見せるが、それ以外の人間に対しては冷淡に接し、物言いもかなり鋭い。
特に、雇用契約を結んだ医療機関(主に大学病院)への態度は辛辣を通り越し無礼の域に達しており、契約成立早々に神原より「厳守事項」と称して自身が行わないこと(医師免許を必要としないあらゆる行為の強要)を一方的に通告し、それを飲んだとしても合意の握手すら「医師免許がいらない行為」として手を出さない。
そのため、大学病院の医師の一部からは名字をもじって「デーモン」などとあだ名される。ただし、患者に対しては言葉遣いこそ素っ気ないが治療に全身全霊を注ぐ。

【能力・技能】

・医療技術
日本とキューバで医師免許を持っている。作中トップクラスの技量を持ち、未知子の施術を初めて見る医療関係者はその正確性と速度によく圧倒される。
知識も非常に広範囲で、基本的な医療知識に加え軍医、船医など特殊な環境下でのみ培われる知識を備える。
また、両国で獣医師免許も持っており、未経験の競走馬の骨折治療をやってのける程に技術力は高い。
なお、未知子は手術に相当な体力を使うようで、術後はガムシロップをコップ一杯分飲み干す。

・手術ジャンキー
「三度の飯より手術が好き」な手術好きで、自身の履歴書の趣味や特技の項目には手術と記載している程。
3日以上メスを持たないと手が震えるらしい。
因みに手術以外の趣味は麻雀、卓球、銭湯巡り、飲食、ギャンブルなどを嗜んでいるが、特段強かったり、グルメだったりという訳ではなく、医療以外の才は皆無のようである。

【スタンド】ドクター・ウー
【破壊力:?/スピード:?/射程距離:?/持続力:?/精密動作性:?/成長性:?】
【能力詳細】
本体と一体化したスタンド。
自身の身体を細胞レベルまで粒子のようにバラバラに分解し操作できる。
 本体に充分な医学的知識があれば、医療行為にも応用できる。
 破片を他人の体内に侵入させることで操る事ができ、相手がスタンド使いであればそのスタンドも操れる。
 少量の破片であればかなり強いパワーで自在に動かせるが、あまりに細かくなりすぎるとパワーも弱くなり、粘着テープやセメントなどで固定されると身動きが取れなくなる欠点がある。
 
【備考】
 スタンドについては把握済み。少なくとも負傷した動物の応急処置に応用できる程度には使いこなせているようです。
 採用された場合、スタンドの制限、及び参戦時期は書き手に任せます。

【方針】
この場から脱出する方法を探りつつ、殺し合いを止める。出来る限り負傷者も助ける。
医療器具が欲しい……ついでに甘いものも。


890 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/18(木) 09:24:07 VhZXbg5E0
投下終了です


891 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/18(木) 10:09:40 VhZXbg5E0
投下します


892 : 通常攻撃がベクトル操作で遠距離攻撃なお母さんは好きですか? ◆DWDMFPPpRw :2020/06/18(木) 10:11:43 VhZXbg5E0

 住宅街。所々立てられた街頭が寂しく闇を照らしている。
 付近の家には夜でもある筈の人気は無く、明かりも灯っていない。
 その様子はまるで写真のような制止感をイメージさせる。
 そんな異様な雰囲気の住宅街で、道のど真ん中で立ち尽くす一人の女性。
 キョロキョロと周囲を見渡す。どうやらこの場には彼女しかいないようだ。
 彼女の名は大好真々子。
 その若すぎる外見に反して、立派な一児の母である。

「あらあら、どうしましょう。 マー君? いないのー?」

 側にいた筈の息子へと呼び掛けるが、勿論返事はない。
 途端に寂しげな表情になる真々子。
 こういう場合、どうすれば良いのか彼女は良くわからない。
 思い出すのはOPの場面。見知らぬ少女の死と、異様な雰囲気をした神父による殺し合いの宣告。

「演出だとしても荒っぽすぎるわ。今の若い子はああいうのが好きなのかしら……」

 脳裏に浮かぶ残酷な場面に表情を曇らせる。しかし、その言動はどこか能天気で、生死に関わる緊張感は無い。
 真々子はあくまで一般人。愛する息子と引き離され、殺人を目撃すれば取り乱すのは必然の筈だった。
 しかし、実際は至って落ち着いている。
 その理由は簡単。彼女はこの催しをそもそも現実(リアル)だとは思っていないのだ。
 エンリコ・プッチによってこの殺し合いに参加する前、彼女は息子と共に開発中のオンラインゲーム「MMMMMORPG(仮)」のテスターをしていた。
 国家規模の技術によって作成されたあのゲームは、ゲーム的な仕様を除けばほぼ現実との区別がつかない代物だった。
 そうした要因から、彼女はこの催しを文字通りゲームのイベントであると勘違いしているのだ。

「とりあえずクリアしないといけないわよね。うーん、他のプレイヤーの人を倒せば良いのかしら」

 ”ゲーム好きのまーくんならきっと優勝を目指す筈。なら、合流するまで私も頑張らないと!”
 そんな緩すぎる動機で彼女は戦うことを決めた。
 しかし、戦闘に必要な装備は全て没収されている。試してみたところ、修得したスキルの殆ども制限されているようだ。

(これじゃマー君の役に立てないわね……どうしましょう)

 困った彼女に閃きが訪れる。それはプッチ神父の語っていたスタンドという概念。
 聞き覚えはないが、きっと今回のために特別に用意された特殊なスキルだ。
 装備が没収されているのは、きっとこのイベントが、そのスタンドとやらを使って戦う仕様だから。
 その考えに思い至った彼女は、スキルを使う要領でスタンドを使ってみようとした。
 すると、彼女の背後に奇抜なデザインのヴィジョンと矢印が出現する。

「あらー、カッコいいわねぇ。えーと、この矢印を使って戦うのよね。……キャッ!?」

 デイパックに入ってたメモによると、このスタンドは矢印を使ってベクトルを操る能力らしい。
 その使い方をマスターするため、試行錯誤している内に発射されたベクトル。 
 弾丸のように放たれた一撃が、コンクリートの壁に風穴を空けた。
 
「すごいわあ! お母さんが遠距離攻撃できるって知ったらマー君、喜ぶかしら?」

 彼女はその結構な破壊力に怯えるどころか、驚きはしつつも歓喜していた。
 ゲームなのだから、強い能力の方がまーくんも喜ぶだろう。そう思ったのだ。

「さて、じゃあそろそろマー君を探しに行きましょうか」

 そうして大雑把にスタンドを確認し終えた真々子は、居るかどうかも分からない息子を探すためにその場から歩き出した。


893 : 通常攻撃がベクトル操作で遠距離攻撃なお母さんは好きですか? ◆DWDMFPPpRw :2020/06/18(木) 10:12:34 VhZXbg5E0

【名前】大好真々子
【出典】通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは 好きですか?
【性別】女性
【人物背景】
 主人公真人の母親にしてヒロイン。年齢不詳(見た目は15歳)。息子の真人を溺愛しており、そのレベルは異性の男性と見ているほど。
 おっとりとした性格だが、息子に危害を加える者や他所の家庭であろうとねじ曲がった教育を施すのは見過ごせない性格であり、正義感が強い。
 反面、息子をダシにした詐欺や精神攻撃などには非常に弱い。
 作者曰く、「愛されるのではなく、あなたを愛するヒロイン」。「子離れできない母親」。それ故に「母としての我侭」を押し通すため「MMMMMORPG(仮)」のテスターになった。

【能力・技能】
 ゲーム世界で運営に依怙贔屓されているのではと疑うほどの異常なまでの強さを誇り、その一環として、大地の聖剣テラディマドレ(右手)&大海の聖剣アルトゥーラ(左手)の二振りの剣による全体攻撃を得意とする。
 ただし、剣は没収されている上、修得済みのスキルも制限されている模様。

【スタンド】アウェイキング・Ⅲリーブス
【破壊力:?/スピード:?/射程距離:?/持続力:?/精密動作性:?/成長性:?】(詳細不明)
【能力詳細】
 矢印の装飾が大量に付いた、頭に防災頭巾を纏ったような人型スタンド。
 全身はマントのような服に包まれており、両足のみで手は存在しない模様。
 能力はベクトル操作。矢印形のスタンド板を貼り付けて発動する。矢印は最大3つまで同時に出すことができる。(作中では矢印が4つ以上出ている描写もあるので、頑張ればそれ以上出せるのかもしれない)
 矢印は物質化しているようで、本体以外の人間も触ることができる。

【備考】
 肉体及び着ている装備はゲーム内基準。制限に関しては書き手に任せます。
 この催しをゲーム内のイベントだと勘違いしています。(なので息子のマー君も居ると思っています)

【方針】
・マー君と合流して、一緒にこのイベントをクリアする


894 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/18(木) 10:13:08 VhZXbg5E0
投下終了です


895 : ◆NIKUcB1AGw :2020/06/18(木) 21:10:21 DumbBFTg0
投下します


896 : 友達百人できるかな ◆NIKUcB1AGw :2020/06/18(木) 21:11:20 DumbBFTg0
会場を一望できる、丘の上。一人の男が、マントを風になびかせながらそこに立っていた。

「……やっぱり、パプワ島じゃありまへんなあ」

景色を眺め、男は呟く。
彼の名は、アラシヤマ。「ガンマ団」という組織に所属する殺し屋だ。

「勘弁しておくれやす。任務の途中で逃げ出したと思われたらわて、総帥に殺されてしまうわあ」

アラシヤマは組織の宝である「秘石」を盗んで逃走したナンバーワンの殺し屋、シンタローから秘石を取り戻すという任務を受けていた。
だが、任務は失敗。おめおめと帰るわけにもいかず、シンタローが暮らすパプワ島に潜伏して汚名返上の機会をうかがっていた。
そんな中で、彼はこの殺し合いに巻き込まれてしまったのだ。

「というか、そもそも任務中にどこかの誰かさんに拉致されてる時点でアウトでは……。
 あかん、総帥が気づかんうちにパプワ島に戻らんと……。
 そのためには、さっさとこんなイベント終わらせんとなあ……。
 一人で40人は多少きついけど、まあなんとかなりますやろ」

ガンマ団は殺し屋集団と自称してはいるが、その実態は私設軍隊に近い。
アラシヤマも、幾度か戦場に送り込まれたことはある。
その時のことを思えば、40人程度はたいした数ではない。

「とはいえ、さすがに40人全員素人っちゅうことはないやろうし……。
 油断せず慎重に……ん?」

アラシヤマはそこで、おのれの足下に何かがいることに気づく。
それは虫のような、奇妙な物体だった。
しかも1体ではなく、一目見ただけでは数え切れないほどの数がいる。

「これは……」

アラシヤマは、瞬時に理解する。これがプッチという男が言っていた、「スタンド」なのだと。

「こんな……こんなぎょうさん友達ができるなんて!
 神父はん、おおきにーっ!!」

明らかにずれた感謝を、プッチに捧げるアラシヤマであった。


897 : 友達百人できるかな ◆NIKUcB1AGw :2020/06/18(木) 21:12:24 DumbBFTg0


【名前】祇園仮面アラシヤマ
【出典】南国少年パプワくん
【性別】男
【能力・技能】
『発火体質』
感情の高ぶりにより、肉体から炎を生じさせる特異体質。
炎を鳥の形にして飛ばす「平等院鳳凰堂極楽鳥の舞」を必殺技とする。
また最後の切り札として、「極炎舞」という自爆技も習得している。

【人物背景】
殺し屋組織「ガンマ団」の中でも上位の戦闘力を誇る殺し屋。京都府出身。
腕は立つが陰気なコミュ障のため、友達がいないのが悩み。
そのため、友情をちらつかされるとホイホイ従ってしまう。

【スタンド】ハーヴェスト
【破壊力:E/スピード:B/射程距離:A/持続力:A/精密動作性:E/成長性:C】
【能力詳細】
昆虫サイズの群体型スタンド。長い顔から直接手足が生えた姿をしている。
最大の特徴はその数で、本体である重ちーは500体以上出せると豪語している。
1体ごとの戦闘力は低いものの頸動脈などの急所を狙えば充分人を殺せるだけのパワーはあり、集団で襲われるとなると対処は非常に困難。

【備考】
・参戦時期はパプワ島滞在時。
・現在、ハーヴェストは数十体出せます。アラシヤマがスタンドになじめば、出せる数が増えるかもしれません。
【方針】
優勝狙い


898 : ◆NIKUcB1AGw :2020/06/18(木) 21:13:22 DumbBFTg0
投下終了です


899 : ◆BrXLNuUpHQ :2020/06/19(金) 02:42:36 mpJQpBtc0
投下します


900 : 十一人の十字軍 ◆BrXLNuUpHQ :2020/06/19(金) 02:44:06 mpJQpBtc0

「どうして……どうしてこんなことに……」

 暗い夜の木陰で、デイパックを抱えて蹲る人影が一つ。明るい茶色の髪と制服、そして顔つきから彼女が中学生ほどの年齢であると伺える。そんな彼女は、苦労してデイパックから水を取り出すと一気に飲み始めた。ゴクゴクと音を立て、息が続かなくなったからか「プハーッ!」と大声を出して離す。そのまま息が整うまで蹲ると、フラフラと立ち上がって、どこか確信めいた口調で言った。

「あの人……すごい悲しみと……それよりも強い希望を持ってた……!」

 少女の名前は磯崎蘭、『能力者』である。つまるところ、いわゆる彼女は超能力者だ。テレパシーやサイコメトラーといった超感覚の他に、サイコキネシスなどができる。その超感覚により彼女は、プッチの感情の一端に触れていた。プッチの強烈な思念は、数百年ものの残留思念のようにハッキリと彼女に語りかけてきたのだ。

「でもどうしてこんなことを……儀式って言ってたけれど。あっ!」

 落ち着いてきたからか一端冷静になり、何かに気づいたのかまた慌て出す。元々活動的な性格もあって、こういう時は動きが大きくなるタイプだ。それでも彼女が判断を間違えることが少ないのは生まれ持った気質かそれとも能力の一端か。彼女はデイパックからメモを取り出すと、文章に目を通した。

「『TATOO YOU!』! これが私のスタンドかぁ。えーっと、『背中に書かれた同じ絵の中を行き来できる』……なるほど。」
「……あれ? これって私一人じゃ使えないんじゃ……?」

 彼女の顔に冷や汗が流れる。メモを何度も見たり裏返して透かして見たり、果ては思念を読み取ったりしてみる。だが残念ながらそれ以上の情報は無い。

翠「超能力持たれて最後の一人まで殺し合えって言われた? ほーん、で、どんな超能力なん?」
蘭「同じ絵が背中に書いてある人の絵の中に入れる超能力だって。」
翠「え、なにそれ……」

 彼女の頭の中で同じ能力者の友人がドン引きしている光景が浮かぶ。彼女もドン引きしている。突然殺し合えと言われるのも武器のように超能力を渡されるのも渡された物が他人と協力することが前提と言うのも全部驚愕と困惑である。一つ一つの意味も目的もわからない。
 
「で、でも、変に危ない力を渡されたりしなくて良かったよね、うん!」

 強引に前向きなことを彼女は言う。自分に言い聞かせるように言うとそういう気になってきたのか段々と冷静さを取り戻したようだ。

「もしかしたら、他の人もこんな感じの力なら、協力できるかもしれない。ううん、しないと!」
(それに、あの人が私にこの力を渡したのには、きっと理由があるはず。それがわかれば――)

 「よし!」と顔をピシャンと叩き蘭は歩き出す。まずは誰かと会わなくちゃと人を求めて行動を開始した。


901 : 十一人の十字軍 ◆BrXLNuUpHQ :2020/06/19(金) 02:44:45 mpJQpBtc0


【名前】磯崎蘭
【出典】テレパシー少女「蘭」事件ノート
【性別】女
【能力・技能】
兄の影響で柔道の心得がある他は普通の女子中学生であったが、ある日超能力に目覚めた。読心などの人の想いを読み取る力が強く、性格の良さと勘の鋭さ、そして行動力で超常的な事件の真実に触れる。得意科目は体育と音楽、苦手科目は数学。友達以上恋人未満の両思いのボーイフレンドがいる。

【スタンド】TATOO YOU!
【破壊力:なし/スピード:E/射程距離:C/持続力:B/精密動作性:E/成長性:E 】
【能力詳細】
後頭部から背中にかけて髪型・刺青・服装などで同じ『絵』が書かれている人間の上に飛び移ることのできるスタンド。同じ絵を持つ者全員で共有するスタンドで、同じ目的・行動・服装などの共通点によって効果の精度が変わる。

【備考】
原作1巻『ねらわれた街』終了後以降のタイミングでの参戦です。


902 : ◆BrXLNuUpHQ :2020/06/19(金) 02:45:23 mpJQpBtc0
投下終了です


903 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/19(金) 02:50:34 p5mU4ubc0
投下します


904 : 白蛇と白笛 ◆DWDMFPPpRw :2020/06/19(金) 02:51:54 p5mU4ubc0
「殺し合いとは、また随分と野蛮で度しがたい行為ですね。
 貴重な人命をあのように粗末に扱うとは……悲しいことです」

 生きる伝説「白笛」の一人、ボンドルドは会場のどこかで目覚めていた。
 彼の言葉には嘘偽りのない義憤がある。
 奈落の解明のため、日夜研究に明け暮れていた黎明卿は、如何なる因果か、こうして地上で殺し合いを強制されている。

(残念ながら、この場にいる私は一人だけ。他の祈手とは繋がりません。
 恐らく何らかの手段で妨害しているのか、単純にこの場所自体が余程アビスから余程遠いのでしょうね)

 ボンドルドは一人ではない。彼のオリジナルと言うべき人物は既に死んでいる。
 今ここに存在している肉体は、彼を慕う祈手と呼ばれる部下の物だ。

「やはりスーツの装備は解除されていますか。残念です。……しかし、五層に居た私をこうも簡単に拉致するとは。
 見たところ上昇負荷の痕跡もありません。実に興味深い」

 ボンドルドは普段からアビスの深界五層「なきがらの海」にある「前線基地(イドフロント)」に居を構えて活動している。
 深界五層。その上昇負荷は全感覚の喪失と、それに伴う意識混濁、自傷行為。この体にその症状は無かった。
 如何に白笛とて、『カートリッジ』を使わなければ、上昇負荷を完全に防ぐことは出来ない。
 地上に戻るだけでも困難極まるアビスの地から、悟られることなくこうして地上に拉致する手法をボンドルドは思い付かなかった。
 エンリコ・プッチ。彼が一体どのような手段を用いたのか興味がつきなかった。
 そこに加えて、ボンドルドが注目している要素がもう一つ。
 プッチの語っていたスタンドという未知の現象は、ボンボルドの好奇心をとても刺激した。

「興味深いといえば、そう、スタンド、
『ホワイトスネイク』でしたっけ?
 これもまた素晴らしい現象です。アビス以外でもこのようなものを目にするとは……世界もまだまだ広いものです」

 ボンドルドの前に立つ人型のヴィジョン。
 塩基配列が描かれた包帯状のラインが全身に走っており、顔の上半分と肩、腰の辺りは紫色の装飾品のようなもので覆われているデザインの像が、じっとボンドルドを見つめている。
 スタンドとは精神の具現化したものと言っていたが、なる程、どこか神秘的で芸術性のあるイメージを感じさせる。

 デイパックに入っていたメモによると、『白蛇』の名を持つこのスタンドは記憶を操作する能力を持つようだ。
 記憶に関する点はボンドルドの所持していた遺物と性質が似ている。
 それだけなら、一先ず使い勝手の良い能力だという印象で終わっていた。
 しかし、不可解な点が一つ。

『貴方のスタンドはホワイトスネイクです。記憶やスタンド能力をDISCとして保管・保持する事が出来ます』

 メモにはそう書かれていた。
 『DISC』とは、殺し合いを宣告していた記憶をボンドルドに植え込んだ手段を示している。
 当の本人が、記憶DISCを使ったと堂々と語っていたのだ。

(解せませんね。恐らくこのスタンドはプッチに与する者か、或いは彼本人の物の可能性が高い。なぜそれを一参加者に支給したのでしょうか?)

 自らの手の内を晒すような行為に、さしものボンドルドもプッチの目的が読めなかった。

(ふむ、何にせよ、今結論を出すには情報が足りません。ここは自分の足で見聞を広げるべきでしょう)


905 : 白蛇と白笛 ◆DWDMFPPpRw :2020/06/19(金) 02:52:51 p5mU4ubc0
 最悪、この場でボンドルドが死んでも、また新たな祈手がボンドルドの人格を引き継ぎ、アビスの探求を続けるだろう。
 替えの効かない白笛を失うのは出来る限り避けたいが、何事にも絶対はない。形あるものはいずれ滅びるのが運命だ。
 脱出は目指すが、生死はそこまで重視しない。
 そんな参加者として異端な思考を持つボンドルドは、己の探求心に身を任せることに躊躇はない。

「しかし、単独で行動するのは随分と久し振りですね。初心を思い出します」

 スタンドの解明、及び情報収集のための他者との接触。
 当面の目的をそう定め、ボンドルドは歩み出した。
 その足取りは軽い。
 アビス程ではないが、未知への憧れというものは、度しがたい程に止められないものなのだから。

〜〜〜〜


(ボンドルド…ジツに興味深イ男ダ)

 ホワイトスネイクはじっとボンドルドを見ていた。
 この新たな本体となった男からは、目的のためなら手段を選ばない意思を感じる。
 少なくとも、彼の前の本体よりは好ましい性格をしていた。

(シカシ…エンリコ・プッチ。我が元本体の計画にコノような催しはナカッタ筈。
 ……一体何を考えている)

 そう、ボンドルドの読み通り、このホワイトスネイクはエンリコ・プッチのスタンドであった。
 『天国への到達』。それがプッチの生涯を賭けた目的の筈。
 そのためにプッチが何をしてきたのかも彼は知っている。
 実のところ、ホワイトスネイクも『あの』エンリコ・プッチが何故このような催しを行っているのか理解していない。
 しかし、現時点で彼の本体はボンドルドだ。プッチではない。
 そのため、特にこの催しに協力する気も起きなかった。
 別にその話を新たな本体に語っても構わなかったが、彼はボンドルドにその情報を話さない。というか話せない。

(ヤハリ…伝えるコトはデキナイようだな)

『エンリコ・プッチに関する情報を明かしてはならない』。そう『書かれた』、もしくは『差し込まれた』気がする。
 その方法に関する記憶は曖昧だ。兎も角、ホワイトスネイクは当のプッチ本人の手によって、元本体の情報を伝える一切の手段を封じられていた。
 やはり自らの情報は伏せておきたいのだろう。なら、なぜよりによって自分を支給したのか。
 ボンドルド同様、元本体の思考がホワイトスネイクには分からなかった。

(ダがヤツが何を考えてイルにしろ、今のワタシには関係のない事だ)

 ホワイトスネイクは元本体への思考をそう淡々と打ち切るのだった。

【名前】ボンドルド
【出典】メイドインアビス
【性別】男性
【人物背景】
 作中世界における生ける伝説「白笛」の一人で、二つ名は「黎明卿」「新しきボンドルド」。
 仮面をかぶりパワードスーツを着こんだロボットのような姿をしており、素顔はおろか素肌すら見せない謎めいた人物。
 劇中においては「大規模な虫害の未然防止」「それまで不可侵だったルートの開拓」「アビス深層での活動拠点の確保」「新薬の開発」そして「上昇負荷の克服手段を発見」などなど前代未聞の偉業をいくつも成し遂げており、人類のアビス攻略を一気に推し進めた正真正銘の偉人と言える。
 彼自身その業績にあぐらをかくような性格ではなく、むしろ物腰のやわらかい子ども好きな博愛主義者。

【能力・技能】

・狂人
 上記の内容に間違いはないのだが、その本性は常人の価値観が通じないエイリアンのような人物。
 誰に対しても温厚に接しこそするものの、ボンドルドに対して激しい恐怖を抱くナナチに何の気なしに「かわいいですね」「是非また私のところに来てください」と語りかける、実験の過程で被験者が苦痛を味わって死ぬことを逃げられない状況になってから明言する、そして凄惨極まりない人体実験を日常的に行っているなど、その行動はどう見ても常軌を逸している。
 決して人の感情や倫理観に対して理解が無い訳ではないのだが、彼の場合は好奇心が抑えきれずにそれを分かった上で無視してしまう人物と言えよう。
 そんなボンドルドを狂人たらしめる最大の点は、「未来」以外の全てに対して無頓着であること。
 研究のためなら法律や倫理観はもちろん、関わる他人の事情を顧みず、時には人(自他問わず)の命さえ平気で使い潰し、それでいて研究成果以外のすべてに執着しない。
 もちろん名誉欲や金銭欲、支配欲らしきものも一切持たない。
 事実、作中ではレグたちの手で何度も研究や資産を損なわれた挙句殺されかかっているにもかかわらず、3人に対して怒るどころか大喜びで3人の知略を讃えるあたりにその異常性が垣間見える。


906 : 白蛇と白笛 ◆DWDMFPPpRw :2020/06/19(金) 02:53:27 p5mU4ubc0

【スタンド】ホワイトスネイク
【破壊力:?/スピード:D/射程距離:?/持続力:A/精密動作性:?/成長性:?】
【能力詳細】
 半径20m以内の遠隔操作型スタンド。自我を持っており、会話することもできる。
 記憶やスタンドDISCを作り出す能力を持ち、人間(生物)の頭部から取出し・挿入することができる。
 1人のスタンド使いからは、「スタンドDISC」と「記憶DISC」の2枚が取り出され、それを他の人間に挿入するとその記憶やスタンド能力を与えることができる。
 視覚など、特定の感覚のみを小型DISCとして取り出すことも可能。スタンドDISCと記憶DISCを両方とも抜かれると、その人物は死んでしまう。
 このDISCは人間の脳や意識に幅広く作用する効果を持っており、応用範囲が非常に広い。幻覚を見せたり、他者に命令を書き込んで操ったり、記憶を閲覧もしくは操作するといった使い方もできる。
 ちなみにDISCではなく市販の音楽CDを人間に挿入することもでき、挿入された者は通常のCDプレイヤーのように内容を歌い出す。
【備考】
 ホワイトスネイクはエンリコ・プッチの情報を話せないようにされています。(通常の会話ができるかは書き手に任せます)
 ボンドルドの参戦時期はミーティーの死亡を確認した時期。
 ホワイトスネイクは緑色の赤ちゃんと融合して消滅した後。
 パワードスーツの武装は解除されていますが、仮面や白笛は没収されていないようです。

【方針】
・殺し合いからの脱出。そのための協力者も募る。
・スタンド能力の検証も行う


907 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/19(金) 02:53:51 p5mU4ubc0
投下終了です


908 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/19(金) 07:57:26 6L4Um.cU0
投下します


909 : 金は命より重い(物理) ◆DWDMFPPpRw :2020/06/19(金) 07:58:49 6L4Um.cU0

「一体どういうことなんザンスか! 殺し合いとか意味がわからないザンス!!」

 記憶DISCを見終えた後、状況に盛大に動揺する出っぱの男。
 彼の名はイヤミ。これまでモンスターのように育った六つ子たちと関わってきて、非常にバラエティーに富んだ経験をしてきた嫌味な男である。   
 さしものイヤミも、まさか直球で殺人をさせられるハメになるとは予想もしていなかった。
 
「くぅーー!! あのクソ神父、ここから出たら訴えてやるザンス!!!
 曲がり無しにもおフランス帰りのミーになめた真似をしてくれるザンスね!
 スタンドだとか願いを叶えるだとかわけのわからない……願いを叶える?」

「ってことは、優勝すればミーが主役に返り咲けるって事ザンスか!?」

 優勝すれば願いを叶える。プッチは確かにそう言っていた。
 スポットライトを浴び、ファンからの黄色い歓声を受ける自分。そんな甘美な姿を想像してイヤミは興奮する。
 平成の世でイヤミは常に不満だった。いつも脚光を浴びるのは自分ではなく、あのクソカスゴミニートの六つ子たち。
 その流れも優勝するだけで払拭できる。
 そう考えるほど、社会の底辺に人気者の座を奪われたイヤミの妬みは凄まじい。

「うっへっへ……じゃあ早速ミーのスタンドとやらを確認するザンス」

 優勝のため、まずはデイパックを手に取るイヤミ。自身のスタンドに関する手がかりを探るため、イヤミは意気揚々と鞄を開けた。


「ーーーーえ?」


ドドドドドドドドドドドド


 次の瞬間、イヤミの眼前を埋め尽くす顔。イヤミが大好きな、いや恐らく嫌いな日本人などいない文豪の印刷物。
 簡潔にいうと、デイパックから滝のように一万円紙幣の塊が飛び出してきたのだ。

「シェエエエエエエエエーーーっ!!!!」

 一万円の濁流が顔面に直撃し、たまらず絶叫するイヤミ。そのまま彼は紙幣に埋もれていく。
 暫くして、その場には億を越える日本国紙幣の山ができていた。
 やがて紙幣の山の頂点がゴソリと動き、ポンッとイヤミが顔を出す。

「ーーープハァッ! し、死ぬかと思ったザンス!!」

 長いパロロワの歴史でも、金で溺死しかけた参加者などイヤミが初めてだろう。
 『ミラグロマン』。無限に増える紙幣のスタンド。それがイヤミに支給されたこの現金の正体である。
 やがて落ち着いたイヤミは、自分が何に呑まれたのか理解した。

「……えっ、ウソ、本物ザンスかコレ!? スゴい!! お金が一杯ザンス! これミーのものザンスよね!? 
 いやミーのザンス! ヤッターーー!!! これで大金持ちザンス!! プッチ最高ーー!!」

 イヤミは逞しかった。

【名前】イヤミ
【出典】おそ松さん
【性別】男性
【能力・技能】
 外国かぶれの口調や、飛び出た三枚の出っ歯が特徴の男。
 「おフランス帰り」を自称するがフランスに行ったことは無い。
 おそ松さん出典なので名前の漢字表記は「伊矢見」である。

【スタンド】ミラグロマン
【破壊力:?/スピード:?/射程距離:?/持続力:?/精密動作性:?/成長性:?】(詳細不明)
【能力詳細】
 本体に憑依するタイプの一人歩き型のスタンドであり、紙幣の形となって渡り歩く呪いのようなスタンド。
 ミラグロマンの紙幣を使うとそれ以上に金が増えていき全く金が減らなくなり、例え使わなくとも時間経過で金が増殖しどんどん増えていく。
 この紙幣は他人にあげたり破棄することができず、必ず増額して戻ってくる。
 なお紙幣を燃やすなどして破壊すると、破壊した人物に呪いが移動し、凄まじい勢いで紙幣が増殖していく。
 過去にはこの呪いに耐えきった猛者も居るらしい。
 ミラグロマンの紙幣は一応本物ではあるものの、番号の末尾が全て「13」。

【備考】
 参戦時期はアニメ一期終了後。
 現時点でミラグロマンの紙幣の総額は軽く億を越えています(今も増額中)。

【方針】
 優勝して主役に返り咲くザンス!


910 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/19(金) 07:59:20 6L4Um.cU0
投下終了です


911 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/19(金) 10:18:44 6L4Um.cU0
投下します


912 : トップを目指せ! ◆DWDMFPPpRw :2020/06/19(金) 10:19:09 6L4Um.cU0

 森林地帯。記憶DISCを読み終えた参加者が一人。紫の髪に濃い目の化粧、毒々しいコスチュームの装いをした女性。
 彼女の名はクララ。職業は元アイドル。現ポケモントレーナー。そして今はこのバトル・ロワイアルの参加者である。
 
「殺し合いとかァ、怖いんですけどォ。クララ困っちゃうゥ」

 普段通りのおちゃらけた口調。しかし、その声は微かに震えていた。
 それも当然。ポケモントレーナーと言っても、一般人の範疇。
 ポケモンバトルと実際の殺し合いは天と地ほどの差がある。
 クララの脳裏には、素数で割れないというふざけた理由で殺された少女の映像が焼き付いていた。
 あんな目に遭うのはゴメンだった。
 どのようにしてこの催しを生き抜くか、クララは思考を巡らせる。
 まず思い付くのは、仲間を集めること。
 この場所に土地勘のある参加者や、スタンドに詳しい人物から情報を聞き出せば、それだけで生き残れる確率は上がる。
 同時に頭数が多ければ、殺し合いにのった参加者が襲ってきても倒せる確率が高くなる。

 殺人に戸惑いはある。が、殺られるくらいならやるつもりだ。
 いざというとき決断できなければ、最悪そのまま殺されて終わる。

(超絶パーフェクトでプリティーなクララちゃんがァ? そんなの絶対ヤダ)

 自分はまだポケモントレーナーとして何も残せていない。こんな訳のわからない催しで埋もれるなんて許せない。
 臆してしまいそうな心をクララはそう奮い立たせる。

(手持ちのポケモンも全部無いしィ、スタンドってのを使わないと戦えないって事だよねェ)

 スタンド。聞いたこともない能力だが、エスパータイプのようなものか。
 戦闘に役立つものもランダムで支給するとあの男は言っていた。
 その言葉がどこまで信用できるのか解らないが、現状ではそれしか手札がない。
 物は試しと、何か手がかりが無いか、側に落ちていたデイパックを漁る。
 やがて彼女は、共通の支給品に混じって奇妙なアイテムを見つけた。

「これ、モンスターボールよねェ。あ、チャックついてるゥ。小物入れかなァ?」

 しげしげと眺めているのは、見慣れたモンスターボール。
 残念ながら本物ではなく、安物のバッグのようだ。

「あ、なんかメモが張りつけてあるけどォ……」

『貴女のスタンドはショット・キー No.2 です。このボールの中に潜んでおり、開ければ猛毒の毒ガスを発生させます。
 注意・本体にも有毒です』

「ヒッ! 毒ガス!? アブねェなおいッ!!!」

 メモの物騒すぎる内容に巣の口調が出る。毒タイプを扱う身として、その危険性はよく知っていた。反射的に手に持ったボールを遠くに放り投げる。
 放物線を描きながら飛ぶモンスターボールが、クララから数メートル離れた位置に着弾。
 モンスターボール型のバッグ。そのチャックが開け放たれ、中から緑色の毒々しい煙が放出され周囲を覆う。


913 : トップを目指せ! ◆DWDMFPPpRw :2020/06/19(金) 10:19:53 6L4Um.cU0
「うわッ ちょっと危ない!」

 慌てて後ろに下がり観察する。
 よく見ると、中心に小人のような奇妙な何かが潜んでいるのが見えた。

「あれが……わたしのスタンドォ?」

 クララの疑問を他所に、バックから放出される煙。範囲は狭いが、それに触れた草木が萎びて枯れていくのが。離れていてもはっきり分かる。自衛には充分すぎるほど、いや過剰なまでに凄まじい毒ガスだ。
 少し触れただけであれなら、人間が吸えばどうなるのか。
 そう戦慄するクララを尻目に、やがて毒ガスは霧散し、小人も再びバッグの中に収まっていった。

「アハハッ、何よォ、全然強いじャん。わたしのスタンド……」

 クララは確信した。このスタンド能力なら、どんな相手が襲ってきても勝てる。
 戦力という保険を得たクララに、途端に沸き上がる自信。

(やってやる……誰が相手だろうと、わたしの本気で、目にもの見せたらァ……!!!)

 クララには夢がある。
 ポケモントレーナーとして成功し、自分のスタジアムを持つ夢が。
 アイドルでは掴めなかった頂点を、今度こそ掴む。そのためにこんな場所で時間を割かれる訳にはいかない。
 決意を固めたクララは歩き出す。
 未だ発展途上だが、クララには漆黒の意思に至る素質があった。

【名前】クララ
【出典】ポケットモンスターソード・シールド
【性別】女性
【人物背景】
 どくタイプのポケモンを得意とし、マスタードの道場で修行に励むトレーナー。
 購買所で購入可能な毒系ユニフォームを独自のスタイルで身に纏いながらも自分のジムとスタジアムを持つために日夜修行に励んでいる。
 カタカナの小さな母音を末尾に付ける特徴的な喋り方をする。
 元はインディーズでアイドル活動をしていたが、デビュー曲のCD売り上げがたったの8枚におわって挫折したことからジムトレーナーとしての道を進むようになった。
 なお、彼女がどくタイプ使いを志した理由は、自分のイメージとマッチしていたからに加え、ライバル(需要)が少なそうで楽にトップを取れると思ったから。
 ジムリーダーになった動機としては、不純にこそ見えるが、ライバルの少ない道を選ぶのは戦略としてはかなり理に適っており、アイドル時代の苦い経験が活きていると言える。
 こうした決断力や戦略性、勝利への執念はポケモントレーナーに求められる能力であるので、彼女はアイドルよりトレーナーに向いているのは確か。

【能力・技能】
 トレーナーとしての素質はあるが、その本性はかなりの腹黒で、時折ヤンキーっぽい独り言を口走るなど口も悪い。
 最後のバトルでは勝ちたいがためにフィールドにあらかじめどくびしを撒いておくという不正も働いていており、追い詰められると手段は選ばないタイプ。

【スタンド】ショット・キーNo.2
【破壊力:?/スピード:?/射程距離:?/持続力:?/精密動作性:?/成長性:?】
【能力詳細】
 緑色の小人のようなヴィジョンのスタンド。
 クララの場合はモンスターボール型のバッグに潜んでいる。
 まともに吸い込めば即死するほどの猛毒を発生させることができるが、この毒ガスは本体にも影響を及ぼす。
 毒ガスの射程はボールから20cmほど。

【備考】
 スタンドの媒介としてポケモンボール型のバッグが支給されています。

【方針】
 どんな手を使っても、このバトルを生き延びる。
 わたしならワンチャン優勝できるんじゃないのォ?(慢心)


914 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/19(金) 10:20:12 6L4Um.cU0
投下終了です


915 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/19(金) 15:07:52 QM2oo0VQ0
投下します


916 : 推しをすこれ ◆DWDMFPPpRw :2020/06/19(金) 15:08:28 QM2oo0VQ0
 拝啓、ママ、パパ、お姉ちゃん。皆お元気ですか?
 ぼくだよ夢見りあむだよ。最近会えてないけど、ぼくなりに一応アイドルになってからちょっぴし頑張ってます。
 突然ですが、ぼくは何故か殺し合いなんてスーパーハードモードのゲームに参加させられています。

 いやいや、こんな雑魚メンタルのクズに殺し合いとかマジ無理だから!
 はー、めっちゃやむ! 外見だけはくっそ健康に見えるかもだけど心はガラスだからね! 泣いちゃうよもう! 最初から人生詰んでるのにこれ以上難易度上げないでよ!

 もうマジムリィ、リスカしよ。

 …………なんて、ふざけてみても状況は変わらないよね。
 最初はテレビのドッキリ企画かと思ったけど、全然そんな雰囲気じゃないし。
 エンリコ・プッチだっけ? 初対面だけどさ、あの人マジでヤバかった。
 ぼくもやむけど、あの人はもっとやんでる感じ。何というか、感覚で分かるんだよね。あれは現実に追い詰められてる人特有の感じというか。

 とにかく、本気で殺し合いをさせたいのはぼくでも分かっちゃった。
 それにあの人の言ってたスタンド。アレも冗談じゃなくてマジで使えるしさ。
 ぼくのスタンド、『クリーム・スターター』って名前みたい。
 このスプレーみたいなので傷を塞いだり変装もできるんだって。

 というかさ、さっき試しにちょっと使ってみたら、ぼくの胸が萎んじゃってビックリしちゃったよ!
 ぼくから胸をとったら何も残らないじゃん! もう! 何とか戻せたから良かったけどさ、ランダムって言ってたけど全然戦闘向きじゃないし、マジでやむ。

 いやクソザコナメクジのぼくに強い能力を渡しても無駄だって思うけどさ、こんな肉スプレーでどうやって戦うの。意味分かんないよ。

 ……でもさ、実はちょっと安心してるんだよねぼく。いやこんなクズでも死にたくないし普通に怖いけど!
 でも、ここに居るのがこのぼくで良かった。ぼくみたいななんちゃってアイドルじゃなくて、ほんとのアイドル。彼女たちじゃなくて、ぼくがこのゲームに参加させられてて安心したよ。
 だってそうじゃない? ぼくみたいなクズとは違ってさ、彼女たちはマジに努力してるわけ。
 ファンの時も凄いって思ってたけど、一応アイドルになってその凄さをほんとに理解できたね。
 ダンスのレッスンだけでもスッゴい大変だし、P様はぼくも充分頑張ってるって言ってたけど、ぼくなんて全然彼女たちの足元にも及ばないよ。
 どれだけ頑張っても、あのステージのきらめきは、ぼくには出せない。
 だからさ、消えるならぼくだけで良いんだよ。
 だってそうじゃなきゃ、あんまりじゃないか。彼女たちは誰一人だってこんな場所で逝っちゃだめなんだよ。
 もしも、本当にもしもだけど、このバトロワにさ、ぼくの憧れるアイドルたちが参加しているなら、絶対守らなきゃ。
 クソザコナメクジのぼくにも、どうしても譲れないものはあるんだ。
 尊い推したちを、こんな意味のわからないゲームでリタイヤさせる訳にはいかない。
 
「そのためなら、ぼくはーー」

 ああ、本当にここは……病む。


917 : 推しをすこれ ◆DWDMFPPpRw :2020/06/19(金) 15:09:35 QM2oo0VQ0
【名前】夢見りあむ
【出典】アイドルマスターシンデレラガールズ
【性別】女の子
【人物背景】
 自称「ゆとり世代かつSNS育ちでドルオタ」。
 『シンデレラガールズ』が初出のボクっ娘は輿水幸子、二宮飛鳥に次ぐ3人目だが、前2名に比べて精神的にもろく、「ザコメンタル」を自称するほど。口癖は「やむ」。  
 チヤホヤされたり頼られたいという承認欲求に飢えているものの、それらを満たせる長所や特技がないことに自覚あり。
 ネットスラングを多用したハイテンションな話し方をする一方で、同僚アイドルから不意に話しかけられると「はい。」としか返答できなかったり、逃亡したりと、いわゆるコミュ障の傾向が見られる。とりあえず喋っとけと思っている一方で言葉選びが下手すぎるため、たとえ無難な話題でも他人を怒らせるような文面になってしまうことが多々あり、SNSで何かと炎上しがち。
 こうした性分からネットで叩かれることにやたらと怯えているものの、場面によっては「炎上でもいい!目立ちたい!」などと開き直っており、とにかく不安定。本人は「ヘラってない」と言うのだが……。
 専門学校に通っていたが挫折し、籍は置いていても行っていない状態。他に夢や目標を見つけられず、自らの境遇を「人生詰んでる」と嘆いている。
 何の専門学校かは特に語られていないが、進学した理由として「誰かに必要とされたい」というのを目的としていたこと、そして「着れなかった白衣が衣装になるなんて」という台詞から、看護学校とする説が有力。
 自らトップアイドルになることで社会復帰し、承認欲求を満たすというワンチャンに賭けており、藁にもすがる思いでプロデューサーを「Pサマ」と呼んで泣きついてくる。しかし自己評価が低いせいで、どこまでもP頼り・神頼みな発言が目立つあたり、やはり性格に問題があるとしか……。
 とはいえ根は単純であり、褒められればすぐ調子に乗るし、同僚アイドルにも甘えまくるし、Pに依存しがちな態度も信頼の裏返しともとれる。
 ザコメンタルと言いつつ、後述のぷちデレラのエピソードやバレンタイン、ホワイトデーでの反応を見る限り、自分の欲や気持ちを正直に漏らしてしまいながらもPやトレーナーたちの飴と鞭に応える辺り、良い意味でずぶとく実際は結構な鋼メンタルの持ち主なのかもしれない。

【能力・技能】

・アイドル好き
 プロフィールの「趣味」の欄にも「現場参戦」とある通り、アイドル好き。
 「アイドルはメンタルに効くんだよ特効薬だよ!」「アイドルってのは尊くないとな?」と、りあむにとってアイドルとは欠かせない存在であるようだ。
 もっとも、りあむ自身の面倒くさい性格と相まって「推し変するしオタクは信用できない(ソースは自分)」だの、「現場参戦するオタクしか信じてない」だの、自らのこだわりを振りかざす厄介勢と化している感も否めないが。

・アイドル観
 ステージより物販に力を入れるアイドルに批判的であるなど、彼女なりの哲学がある模様。
 特に「顔がいいアイドルが…しゅき…」といった発言は初期から繰り返している。
 アイドル好きなだけあり、自分の中に確固たる「アイドルの理想像」を持っている。
 それは「アイドルはたゆまぬ努力をしており、その果てに見えるきらめきこそが尊いものである」というものである。
 この点において彼女は「努力も根性もない…頑張れない…」と自ら発言しており、自身が理想とするアイドルにはまだ遠く、自分自身を「推せない」ことを自覚している。

・バストサイズ
 胸がデカイ。りあむが長所と認識している数少ない特徴。

【スタンド】クリーム・スターター
【破壊力:D/スピード:C/射程距離:C/持続力:A/精密動作性:E/成長性:B】
【能力詳細】
 スプレー型のスタンド。通称肉スプレー。自分もしくは他人の肉体を搾り取って放射する能力を持っている。
 相手の口をふさぐ、人相を変える、怪我を治す、体を分解するなどかなり使い勝手が良い。自らの片腕を分解して不意打ちに使うなどもできる。
 ただし分解した部位を攻撃されると本体にもダメージが行く。
 攻撃手段がスプレーを吹き掛けるというものなので基本は接近戦となる。

【備考】
 スタンド『クリーム・スターター』の能力をある程度把握しています。

【方針】
 アイマスのキャラがいる場合、どんな手を使ってでも推しを生還させるために全力を尽くす。
 いない場合は、ここから脱出する方法を探ってみる。


918 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/19(金) 15:10:07 QM2oo0VQ0
投下終了です


919 : ◆A3H952TnBk :2020/06/19(金) 19:42:15 2uGyG9zU0
◆mg.DCgSR.Q氏のSS代理投下させていただきます。


920 : ケツイ 〜絆地獄たち〜 ◇mg.DCgSR.Q氏代理投下 ◆A3H952TnBk :2020/06/19(金) 19:44:46 2uGyG9zU0
人と人との繋がりというものは美しい。
 縁という糸が結ばれ、重力によって惹かれ合い、やがて一人が二人に、二人が四人に、四人が八人となる。
 そうなれば――人格の歪んだ者が集ってしまうと話が変わってくるが、それについては棚上げさせてもらう――賑やかで楽しい時間が生まれるし、アイドルである自分ならば周囲にそれを提供することも出来る。
 それに、孤独な時間に怯えなくても済むようになる。だから、人との出会いが大好きだ。繋がることが大好きだ。
 だからこそ、許せない。理不尽な理由で少女を殺害し、スタンドなる聞き覚えのない力による殺し合いを強要し、人々の命と絆をぶちぶちと引き千切らせようと目論むエンリコ・プッチは、邪悪極まりない存在だ。
 海沿いに舗装された車道で潮風を浴びる、背の高いグラマーな少女は……心底、怒りを覚えていた。
 少女の名は、白瀬咲耶。今をときめく芸能事務所283プロダクションに籍を置く、見目麗しいアイドルである。
 だがその表情は厳しい。大好きな海を前にしているというのに、眉間には皺が寄り、口角は下がり、眉はつり上がっている。自ら望んでそんな顔をしているわけではない。これは彼女が憤怒しているが故に生まれた副産物だ。
 だがこんな表情をさらしていては、アイドルとして失格だろう。
 それに怒りで目を曇らせていれば、大切な物事を見落としてしまう。
 心中でそう呟いた咲耶は、なるべく正常な自分に近づくためにと何度も何度も深呼吸を繰り返した。
 やがて、表情から険しさが消えた。無意識に作り上げられていた握り拳も、優しく解かれる。
 こうして咲耶という優しすぎる少女は、ようやく正常な感覚をほぼ取り戻した。
 もちろんエンリコ・プッチに対する怒りは未だ心の奥底で煮えたぎっているが、誰かを怯えさせるような立ち居振る舞いを見せてしまうほどの不安定さは消失してくれている。

「大丈夫。私はもう、大丈夫だ」

 言い聞かせるような独り言からも、震えはない。
 一時はあの神父に殺意すら覚えかけたが、感情の暴走も見られない。
 落ち着きを取り戻せたのだと自覚したことでようやく安心感を得た咲耶は、おもむろに歩を進めだす。
 そして歩道に上がり、数メートル先に鎮座している背もたれ付きの丈夫な長椅子へと腰を下ろすと、己に支給されたというスタンドの名を静かに呟いた。

「やぁ、数十分ぶりだね」

 その瞬間、長椅子の中央に座る咲耶を囲うようにして、小さな人間達がぞろぞろと姿を現した。
 まるで無から生まれたかのように登場した小人達の数は、なんと総勢六十名。
 しかもそのどれもが、彼らの体格に合わせたカービンライフルと地雷を装備し、落下傘を背負っている。
 続いて長椅子の下から登場したのは七台の戦車だ。それらは咲耶の長い足をするりと避け、本体の表情を伺うように砲身を咲耶に向けた。当然ながら、砲弾を発射する様子はない。
 そして最後に登場したのは、アパッチと呼ばれる攻撃ヘリ四機だ。背もたれの後ろ、即ち咲耶の背後から出現したそれらもまた、咲耶を観察するかの如く彼女の顔近くを華麗に旋回し、やがて宙に浮いたまま静止した。
 その様はまさにミニサイズの軍隊そのもの。これこそが、咲耶に宿ったスタンド〝バッド・カンパニー〟である。


921 : ケツイ 〜絆地獄たち〜 ◇mg.DCgSR.Q氏代理投下 ◆A3H952TnBk :2020/06/19(金) 19:45:31 2uGyG9zU0
「さっきは悪かった。キミたちを見て、気が動転してしまったんだ……どうか許してほしい」

 咲耶は全ての兵士、戦車、戦闘ヘリに深く頭を下げた。
 謝罪の言葉から解るとおり、彼女がバッド・カンパニーを招集したのは今回が二度目である。
 初めての招集は、全支給品の確認を終えた後にスタンドの説明書を読んだ直後だった。
 しかし説明書のおかげで大まかな特徴とヴィジョンは想像出来ていたものの、自身の置かれている状況に対し酷く混乱していたままだったため、彼らの姿を見た咲耶は狼狽し……即座にスタンドを解除してしまったのだ。

「不愉快だっただろう。不信感も抱かせただろう。全て、半端者だった私の責任だ……本当に、すまない」

 スタンド同士は固い絆で結ばれていながら、その力は誰かの絆を破壊するために使われる。
 一度目は、その事実に嫌悪感や恐怖を抱いてしまった。故に彼らを遠ざけるばかりか、消失させてしまった。
 だが二度目は違う。たっぷりと時間をかけた結果、悔しくはあるが現実を受け入れるに至った。
 エンリコ・プッチに対する正しい怒りを覚え、成すべきことに気付き、心を制御出来ている。
 故に彼女は今、かつて目を背けてしまった力へと、真摯に本音をぶつけているのである。

「……っ!」

 すると、映画などで聞くような〝ザッ!〟という音が耳朶を叩いた。
 息を呑んだ咲耶がおそるおそる顔を上げると、周りを囲む全兵士達が揃って見事な敬礼を向けていた。
 足下の戦車は繊細な動きによって横一列に並び、戦闘ヘリはブルーインパルスよろしく見事な編隊飛行を披露する。
 戦争を知らぬ咲耶にも伝わってくる。おちょくられているわけではない。これは、彼らなりの真摯な返事なのだ。
 だが、それでも……という思いから「失望、していないのかい?」と静かに問いかけると、咲耶の片腕をするすると昇った一人のグリーンベレーが、目と鼻の先で改めて敬礼をする。とてつもなく、力強い動きだった。

「なんてことだ……こんな……」

 咲耶の瞳から、透明な雫が一滴こぼれた。
 彼女が「ありがとう、ありがとう……!」と感謝の言葉を贈ると、グリーンベレーが布で雫を拭う。
 そうして跳躍し、落下傘によって無事に部隊へと帰還した彼を目で追った咲耶は、安堵のため息をついた。
 ここでようやく彼女は、グリーンベレーの腕が届かなかった方の瞳を自分の指で拭い、普段通りの笑みを浮かべる。
 ファンや283プロの仲間達、そしてプロデューサーにいつも届けている凜々しく美しい笑顔をだ。
 やっと、元の自分になれた。みんなのおかげだ。咲耶はバッド・カンパニーの構成員へと、それを伝えようとする。
 だがここで、彼女は「参ったな……」と独りごちた。

「キミたちを、どう呼べばいいのか……」

 咲耶は、バッド・カンパニーを形作る一人一人に対してどう呼びかければいいのだろうかと悩んでしまったのだ。
 通常バッド・カンパニーのような群体型スタンドは、いくら構成員の数が多かろうが一個のスタンドであると認識されているため、本体が一人一人を……もしくは一匹一匹を区別するようなことは――セックス・ピストルズなどといった、咲耶の知らぬスタンドでもない限り――しないものだ。
 当のバッド・カンパニーもそう認識しているため、歩兵達は揃って首をかしげていた。
 だが咲耶にはそれが受け入れられなかった。ファン一人一人へと真摯に向き合い、全てのファンレターに一通ずつ長文での返事をしたためるほどサービス精神と奉仕精神にあふれている彼女にとって、バッド・カンパニーをただただバッド・カンパニーとひとまとめにするなどという〝雑な対応〟をするのは耐えられないのである。


922 : ケツイ 〜絆地獄たち〜 ◇mg.DCgSR.Q氏代理投下 ◆A3H952TnBk :2020/06/19(金) 19:46:08 2uGyG9zU0
「すまない、少し時間が欲しい。敬礼も整列も解いて楽にしていてくれ。戦車たちも、ヘリたちもだ」

 本体が抱いたまさかの悩みに驚いたのか、珍しくバッド・カンパニーの構成員全員が少しうろたえた。
 歩兵も戦車も戦闘ヘリも、顔を見合わせたりゆらゆらと動いたりとどうにも落ち着きのない動きを見せている。
 その間に咲耶はデイパックから照明器具を取り出し、まずは周囲の歩兵全六十名を照らした。

「眩しければ伝えてほしい。すぐに対応しよう」

 続いて筆記用具と紙を取り出すと、目を皿にして歩兵一人一人を注視しながら何かを書き記していく。
 かなりの長文だ。

「よし、キミたちは大丈夫だ。よければ、周囲を警戒しながら待っていてくれ」

 数名の歩兵に声をかけると、彼らは咲耶に従い実戦モードへと移行する。
 そして彼らが全力で警戒を始めたのを確認すると、咲耶は他の歩兵数名に「次だ」と優しく言った。
 すると、本体が何をしているのかという好奇心が湧いてしまったのだろう。
 咲耶に呼ばれた歩兵の内の一名が、紙の裏側に視線を向けた。
 すぐさまその動きに気付いた咲耶は、彼に「気になるかい?」と問いかけると、続いて「構わないよ。だが時間は有限だから……少しだけ、ね」と紙を見せ、文字が読めるようにと光を当てる。
 直後、文章の一部を読み取ったらしい歩兵の両肩が僅かに跳ねた。
 その愛らしい姿を見た咲耶は、フフ……と微笑む。

「そんなに驚くことかい? 人を想うアイドルならば当然だろう? 誰だってこうするさ。私だってこうする」

 何か思うところがあったのか、歩兵はすぐさま姿勢を正すと再び敬礼をした。
 先刻のグリーンベレーと遜色のない力強さだ。礼儀がなっていませんでした、とでも言いたいのだろうか。
 咲耶は「大丈夫だよ。さぁ、身体を楽にして……」と穏やかに言葉を続けると、作業を再開した。

 やがて、結構な時間が経った。

 既に歩兵全員の注視は終えた。七台の戦車もそれぞれしっかりと確認し、戦闘ヘリも三機まで把握している。
 そして戦闘ヘリの最後の一機をまじまじと見つめ、真剣な表情を崩さぬまま筆を走らせると、

「待たせたね……終わったよ」

 咲耶は自分のやりたかったことを無事完了したと全部隊に伝え、続けて「警戒任務、お疲れ様」と礼を述べた。
 そして「バインダー……いや、贅沢は言わないからせめてホチキスが欲しいな」とため息をつく。
 そんな彼女が、ケアレスミスをなくすためにと確認を始めた数枚の紙は……とんでもないことになっていた。


923 : ケツイ 〜絆地獄たち〜 ◇mg.DCgSR.Q氏代理投下 ◆A3H952TnBk :2020/06/19(金) 19:46:51 2uGyG9zU0
 なんと歩兵一人一人、戦車一台一台、戦闘ヘリ一機一機の特徴が、ビッシリと隙間なく書き込まれていたのである。
 それどころか、常人であれば見逃す以前に決して気付かぬであろう微細な違いまでもが、しっかりと記されている。

 そんなに驚くことかい? などと、よくもまぁ簡単に言ってくれる。
 アイドルならば当然? あまりにも求められるハードルが高すぎる。
 誰だってこうする? 絶対にそんなわけがない。誰だってそう思う。
 だが、これが咲耶だ。283プロダクションのアイドル、白瀬咲耶だ。
 こんなことが出来てしまうのが〝アンティーカ〟の白瀬咲耶なのだ。

「さて、後はもう台本を覚えるようなものだ」

 無自覚なままにある種の異常性(アブノーマル)の片鱗を見せつけた咲耶は、機嫌良くペンを回す。
 だが本番は……彼女の真の恐ろしさはここからだった。

「チャーリー」

 不意に、咲耶は歩兵の内の一人を見つめて何かを口走った。
 見つめられているのが自分であることに気付いたらしい歩兵は「え? 僕ですか?」的な反応を示す。
 具体的には、人差し指を自分自身に向けてから顔を前に動かした。
 ペンを片付けた咲耶は、しっかりと首肯する。

「そう。キミだ。キミたちをどう呼ぶべきか迷ったとき、みんなも首をかしげていただろう? だから決めたんだ」

 今日からキミは、チャーリーだ。
 咲耶は紙を持ったままそう続け、今度は別の歩兵に「キミはシャルル。シャルルだよ」と告げる。
 次はその隣で呆然としていた歩兵に掌を差し出すと「キミはミハエルと呼ばせてもらおう」と言った。
 やがてその動きは楽団の指揮者を思わせるそれと化し、掌が踊る度に様々な名が乱舞する。
 だがそれは歩兵に対してのみではない。戦車と戦闘ヘリまでもが、異なった名を授かっていた。
 もちろん、グリーンベレーもだ。

「以上だ。けれど私も覚えるまでは少し時間がかかるから、もしも間違えてしまったら……そのときはすまない」

 そうならないよう、しっかりと努力するよ。
 構成員の特徴と微細な違い、そして名前が刻まれた紙を顔の隣に上げた咲耶は、にっこりと笑った。
 だが紙を持つ手を下ろし、まつげの長い瞼をゆっくりと開くと、

「さて……待たせたね。唐突だけれど、これから私は動こうと思う」

 決意のこもった力強い瞳を全員に向け、先程よりも低い声で言葉を紡ぎだした。


924 : ケツイ 〜絆地獄たち〜 ◇mg.DCgSR.Q氏代理投下 ◆A3H952TnBk :2020/06/19(金) 19:47:57 2uGyG9zU0
「エンリコ・プッチ……彼が開いたこの邪悪な催しを、私は受け入れられない」

 顔を上げ、真剣に耳を澄ます歩兵達。
 若干崩れていた隊列を整え直し、一列に並んだ戦車達。
 アリーナの二階席に座するが如く、空中で静止する戦闘ヘリ達。
 それら全てに、咲耶は力強い声で宣言した。

「だから私は、誰かのために走りたい! 私と同じように、理不尽な目に遭った人たちを護るためにだ!
 けれど私はただの人間で、この場ではとてつもなく無力だから……この街で、キミたちの力を貸してほしい。
 指揮官として、本職に遠く及ばないことはちゃんと自覚しているつもりだ。それでも、着いてきてほしいんだ!」

 思わず立ち上がった咲耶は胸に手を当て、心臓の位置を片手で掴む。
 身体のどこに心が存在しているのかは知らないが、少なくともこのハートは躍動していた。
 283プロの仲間達への思慕も、プッチへの怒りも、バッド・カンパニーへの期待も、全て受け止めて。

「どうか、私のわがままに付き合ってほしい……どうかな、みんな。構わないかい……?」

 紡ぐべき言葉を全てを言い終えた咲耶の眉が、ハの字に下がる。
 死出の旅になるかもしれない。それを重々承知した上で、着いてきてくれと無茶を言ったのだ。
 ならば死への恐怖や、バッド・カンパニーの皆が首を横に振る可能性への不安を抱くのは当然の話である。
 むしろ普通であれば泣き叫びたくなるところを、眉が下がるだけで留めた咲耶の強さは見事と讃えられるべきだ。
 故に、か。

「嗚呼……みんな、ありがとう……っ!」

 当たり前だ。
 そう返事をするかのように、歩兵達は揃って敬礼を行い、戦車達と戦闘ヘリ達は力強い機械音を響かせた。


925 : ケツイ 〜絆地獄たち〜 ◇mg.DCgSR.Q氏代理投下 ◆A3H952TnBk :2020/06/19(金) 19:48:11 2uGyG9zU0
【名前】白瀬咲耶
【出典】アイドルマスター シャイニーカラーズ
【性別】女性
【人物背景】
 283プロダクションに籍を置くアイドルの一人。18歳の高校3年生。女子校に通っている。
 文武両道で容姿端麗。高身長でスタイルも抜群ということで女子からの人気が非常に高い。
 見目麗しい姿を活かし、モデルとして活動していたが、プロデューサーからの勧誘を受けてアイドルへと転身した。
 それからは〝アンティーカ〟というユニットに所属し、四人の仲間達と共に切磋琢磨しあっている。
 特技が〝自分を最大限かっこ良く見せる立ち振舞い〟なのは伊達ではなく、所作や口調はまさに王子様のそれ。
 誰かを喜ばせる・楽しませることが大好きな献身的な性格で、サービス精神や奉仕精神にあふれている。
 だがその精神は、ファンレター一通一通に長文の返事を書くような無茶をしたり、ファンを喜ばせるためにと延々レッスンを続けた末に倒れて意識を失うなどといった危うさと隣り合わせである。

 父子家庭で、幼い頃には仕事で帰りの遅い父(とても優しい)を一人で待ち続ける日々を送っていた。
 幼い娘を気にかけて父はよく電話をしてくれてはいたが、それでも孤独を酷く恐れるようになってしまった。
 人と人との繋がりをとてつもなく大切に思うのも、プロデューサーから父性を感じているのもこのためである。

【能力・技能】
 人間。アイドル。おっと、異能を持っていない少女が一人登場〜〜。
 人物背景でも記したが、王子様のような立ち居振る舞いとファンサービスが得意なエンタテイナー気質。
 容姿端麗、文武両道なのも上記の通り。思い詰めやすいのは、とても真面目で責任感が強い証拠である。


【スタンド】バッド・カンパニー
【破壊力:B/スピード:B/射程距離:C/持続力:B/精密動作性:C/成長性:C】
【能力詳細】
 比喩でもなんでもない〝軍隊〟のスタンド。極悪中隊の異名も持つ。
 歩兵60人、戦車7台、軍用ヘリ「アパッチ」4機、グリーン・ベレー(最低1人いるのは確定)で構成されている。
 サイズは小さく、フィギュアやミニチュアを想起させるが、その実力や破壊力は本物と遜色ない。
 兵士の装備はカービンライフルと地雷と落下傘、戦車とアパッチの装備はおそらく現実のそれと同じ。
 歩兵の一斉掃射や戦車の砲撃、アパッチのミサイル攻撃などの威力はまさに極悪で、下手すれば屋敷が吹っ飛ぶ。
 なお、バッド・カンパニーは軍隊全てが一つのスタンドであるため、数体倒しても本体に影響はない。
 実写版では致命的な弱点が追加されたが、スタンドの質が更に極悪化している。圧巻なので是非見てほしい。


【備考】
 バッド・カンパニーを構成する全てに一つ一つ違う名前を付けました。
 この投下作が通った暁には、好きに名前をつけてあげてください。


【方針】
 困っている人々を護るために動き、よく知る誰かも見知らぬ誰かも幸せにしたい。
 そのためならば、与えられたスタンドによる戦闘行為も辞さない。


926 : ◆A3H952TnBk :2020/06/19(金) 19:48:43 2uGyG9zU0
代理投下終了です。


927 : ◆NIKUcB1AGw :2020/06/20(土) 00:17:22 dHoeXl4Q0
投下します


928 : バカサバイバー ◆NIKUcB1AGw :2020/06/20(土) 00:18:33 dHoeXl4Q0
とある民家の庭先。日常的な風景にはあまりなじまないワイルドな服装の巨漢が、そこに寝転んでいた。

「どうなってやがる……」

夜空を見上げながら呟く男の名は、ウボォーギン。
最強最悪の盗賊団として恐れられる、「幻影旅団」の一員だ。
いや、厳密には「一員だった」と言うべきか。

「俺はたしかに、鎖野郎に殺されたはず……。
 なんで生きてるんだ?」

旅団への復讐者である「鎖野郎」に敗れ、死んだ。
ウボォーギンには、たしかにその記憶がある。
なのに、彼は五体満足でここにいる。
試しに頬をつねってみたが、バッチリ痛かった。

「死者を蘇生できる念……? いや、そんなもん使えるやつがいるなら、どんなに隠そうと噂になるはずだ。
 それにこんなイベントやるなら、他にもいろんな能力が必要だろ。
 裏で、そうとうでけえ組織が糸引いてるのか?」

ウボォーギンの脳内に、様々な考えが浮かぶ。
だが彼は頭を大きく振って、その考えを頭から追い出した。

「やめだやめだ! 俺はシャルじゃねえんだ。
 考えたって答えが出るわけがねえ。
 俺にできるのは、思いっきり暴れることだけだ!」

勢いよく体を起こすウボォーギン。
そのまま、ストレッチで体をほぐす。
外傷はなし。オーラはMAXというわけではないが、戦闘を行うには十分な量がある。

「負けたところで、元々死んでたんだから元に戻るだけ。
 勝ち抜けば、鎖野郎にリベンジしにいける。
 得しかねえじゃねえか、おい!」

豪快に笑いながら歩き始めるウボォーギン。
そこで彼は、自分の足下に円盤のような奇妙な物体が存在することに気づいた。

「あぁ、なんだこりゃ。まあ、別にいいか……」

それがおのれに支給されたスタンドであることなどまったく気づかず、ウボォーギンはその場を去って行った。


929 : バカサバイバー ◆NIKUcB1AGw :2020/06/20(土) 00:19:48 dHoeXl4Q0


【名前】ウボォーギン
【出典】HUNTER×HUNTER
【性別】男
【能力・技能】
『超破壊拳(ビッグバンインパクト)』
念によって強化された、ただのストレート。
ウボォーギンの念が肉体強化に特化しているためその威力はすさまじく、地面に放てば巨大なクレーターを作るほど。
非常に強力なため、ロワ内では威力を制限されているかもしれない。

【人物背景】
盗賊団「幻影旅団」のメンバー。
いかにも力自慢といった外見の、バトルマニア。
強化系能力者の極地と言える存在であり、弾丸を跳ね返し、バズーカ砲の直撃でも「さすがに痛い」で済ませるほどの頑強な肉体を誇る。


【スタンド】
【破壊力:E/スピード:E/射程距離:E/持続力:C/精密動作性:E/成長性:E】
【能力詳細】
円盤形のスタンド。
本体の「怒り」を電気信号として地面に放出し、周囲の人間の闘争本能を暴走させる。
この能力の影響を受けた人間は肉体のリミッターが外れ、また他人の「優れた部分」が光り輝いて見えるようになる。

【備考】
・参戦時期は死亡後。
・スタンドについて、まったく理解していません。
【方針】
優勝狙い


930 : ◆NIKUcB1AGw :2020/06/20(土) 00:21:05 dHoeXl4Q0
投下終了です


931 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/20(土) 19:46:11 oORcDR/U0
投下します


932 : 織田様の高貴なるスタンド、それはーー ◆DWDMFPPpRw :2020/06/20(土) 19:48:17 oORcDR/U0
 
「なるほど……つまりこのスタンドは『下品』な連中を上から『見下して』『支配』する能力!
 この『高貴』な僕に実に相応しい能力じゃあないか!」

【名前】織田敏憲
【出典】バトル・ロワイアル(漫画)
【性別】男性
【人物背景】
 バトル・ロワイアルの登場人物。今回は漫画版からの出展。
 城岩中学校3年B組に所属する男子出席番号4番。
 クラスで1,2を争う低身長と、クラスで1,2を争う大邸宅に住まうお坊ちゃんで、中学生ながら既にバイオリン奏者として一定の名声を得ているが、その顔はガマガエルと称される醜男。
 嫌いなもの:1・顔のいい男 2・背の高い男 3・総じて『下品』な男。
 普段は割とおとなしく、クラスメイトとも特に交流を持っていないが、心の底では自分以外の人間を『下品』と見下し、自分自身は『高貴』と断じる、しかし『下品』の基準も『高貴』の基準も滅茶苦茶で、ナルシズムとコンプレックスの塊のような性格をしている。

【能力・技能】
 音楽の知識に加え、趣味としてモデルガン収集を嗜んでおり、銃の扱いにも詳しい。初めて手にした銃も問題なく発砲できている。
 作中では支給された防弾チョッキを最大限に活用し、だまし討ちで数人の殺害に成功しており、生き残るために発揮される狡猾さは侮れない物がある。

【スタンド】ファン・ファン・ファン
【破壊力:E/スピード:C/射程距離:D/持続力:A/精密動作性:E/成長性:E】
【能力詳細】
 キノコの笠のような頭部、4本の腕のようなもので立ち、胴体の下にはとても短い足が4本付いているスタンド。
 両手両足に傷を負った人間の真上に立つことで、その四肢のコントロールを『支配』することができる。
 支配中は対象の傷を負った箇所に血で「印」が塗られ、四肢を完全に支配するとその模様が大きく浮き出る。
 支配する箇所が「1点」だけでも印が付いた者が気づかないうちに細かく操作したり、ガラス窓を突き破る勢いで動かせるパワーもある。
 ただし、対象の手足のいずれかに傷をつけなければ支配下に置けず、また相手が傷ついても自分が相手の真上にいなければ、能力は発動しない。
 例外として、本体が自ら対象の手足に触れれば傷をつけなくとも支配下に置くことができる。

【備考】
 参戦時期は死亡後から。
 スタンド能力について把握しました。

【方針】
 優勝。できる範囲で参加者を殺す


933 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/20(土) 19:48:48 oORcDR/U0
続けて投下します


934 : 目玉焼きの焼き加減は人それぞれ ◆DWDMFPPpRw :2020/06/20(土) 19:51:30 oORcDR/U0
「殺し合い…… 自分は『乗るか』か『乗らない』のか……。
 えっと……どっちでもいい、といいますか……普通に考えたら、『乗らない』方なのかなと……思いますが……」

 そう独白する少年。彼の名は中沢。下の名前は特に必要ないので伏せる。
 中沢の最後の記憶は、学校を終えて家に帰宅する途中まで。
 その最中、どうやら自分はあのプッチと名乗っていた人物に拉致されたらしい。
 明らかに異常な事態に、中沢は恐怖よりも混乱していた。
 それでも、この意味不明な状態を少しでも整理するため、考えを口に出して纏めようとしているようだ。

「えっと……いや、スタンドとか、……ちょっと意味が……わかんないです、はい」

 やはりそう簡単に受け入れられない。
 中沢は一般人、ごく普通の中学生に過ぎない。
 そんな彼が、この殺し合いにすんなり順応できる訳がないのだ。
 よしんば戦っても、勝ち残れるとは本人も思っていない。

 一応、デイパックに入っていたメモによれば、今の彼にはスタンドという能力が与えられているらしい。
 『ジャンピン・ジャック・フラッシュ』という名前の『無重力空間を作り出す』スタンド。
 これがこのバトル・ロワイアルでアタリのスタンド能力なのかはーー

「えっと……どっちでもいい、といいますか…… 
 危ないから……寧ろいらないかな、と……」

 そう、能力が強かろうが弱かろうが、『どちらでも良い』。
 まさしく無重力のごとく、彼には上も下も正も否も無い。
 それが中沢という男なのだ。

 彼はこれまでの人生で、出来るだけそういう『中立』な生き方を心掛けてきた。
 それが最も無難な選択だったし、事実、
彼の私生活はそれで上手くいっていた。
 この場ですら、無意識に彼は『選択しない』思考をしている。
 しかし、このバトル・ロワイアルでその生き方は通じない。いずれ、彼もまた選択を迫られる時が来るだろう。

 どっち付かずな彼は、今のところ『マイナス』でも『プラス』でもない。
 そんな彼が、このバトル・ロワイアルで何を選択するのか。
 
 それはまだ分からない。

【名前】中沢
【出典】魔法少女まどか☆マギカ
【性別】男性
【人物背景】
 アニメ『魔法少女まどか☆マギカ』に登場する、鹿目まどかたちと同じクラスの男子生徒。
 下の名前は不明。
【能力・技能】
 彼の世界には魔法少女や人に危害を加える魔女などが存在するが、そのいずれとも関わりのなかった彼は勿論異能など所持していない。
 ただ、どこまでもどっち付かずな性格をしているだけ。

【スタンド】ジャンピン・ジャック・フラッシュ
【破壊力:B/スピード:C/射程距離:B/持続力:A/精密動作性:D/成長性:E】
【能力詳細】
 鉄輪で目隠しをした人型のスタンド。本体と一体化することもできる。
 手首についた入れ物は高速回転する。ここに釘やネジなどのガラクタを入れ、回転する遠心力で散弾銃のように撃ち出す事もできる。
 能力は「触れた物を無重力にする」事。直接触れなくても、本体の体液や触れた物に触っても相手を無重力にできる。
 無重力にできる範囲は、最初に支配下においた相手から半径20mほど。
  無重力の状態が長く続くと周囲は空気のない真空状態となり、内部にいる人間は出血多量か呼吸困難で死ぬ。

【備考】
 中沢の参戦時期はアニメ1話の後。
 スタンドについては把握しました。

【方針】
 とりあえず家に帰る方法を探す。


935 : ◆DWDMFPPpRw :2020/06/20(土) 19:51:59 oORcDR/U0
投下終了です


936 : ◆NIKUcB1AGw :2020/06/20(土) 21:27:44 dHoeXl4Q0
投下します


937 : ライアーゲーム ◆NIKUcB1AGw :2020/06/20(土) 21:28:44 dHoeXl4Q0
九条貴利矢は、病院の屋上に立っていた。
屋上の作りは、彼がよく訪れていた聖都大学附属病院のそれによく似ていた。
しかし、その場所から見える光景はまったく異なる(もっとも深夜なので、ごく近くしか見えないが)。
ここは自分の知らない場所だということを、貴利矢は理解せざるをえなかった。

(どういうことだよ、これ……。なんで自分が生き返ってるんだ?)

あのクリスマスの日、貴利矢は仮面ライダーゲンムに敗北し、命を落とした。
そのはずだったのだが、彼は気がつけばこの地にいた。
死者を生き返らせる方法など、貴利矢は聞いたことがない。
何が何だかわからない、というのが正直な思いだ。

「死んだ人間生き返らせておいて殺し合いやらせるって、どうなのよ……。
 とはいえ、あんな苦しみをまた味わうのは御免だからな……。
 しょうがねえ。この殺し合い、乗ってやるぜ」

夜の闇に向かって、貴利矢は呟く。だが、それは真っ赤な嘘だ。
医者としての誇りを持つ彼が、おのれのために他者を殺すなどあり得ない。
だが、参加者たちの命は主催者であるプッチという男に握られている。
表立って反乱の意志を示し、警戒されるのは危険だ。
故に彼は、外面だけ殺し合いに乗った振りをするという手段を選んだのである。

(これでだませてるといいんだけどねえ……。
 殺し合いに乗った振りをしつつ、死者を最小限に抑える。
 難しいけど、やるしかねえよなあ。覚悟はできてるぜ)

死者を「出さない」のではなく、「最小限に抑える」。
貴利矢は、あえてその言葉を選んだ。
それは一人の死者も出さないなど不可能であることを、彼が理解しているからだ。
参加者の中にはおそらく、平気で人を殺せる人間もいる。
善良な人間が恐怖に我を失い、殺人を犯してしまうこともあるだろう。
神ならぬ身である貴利矢には、その全てを止めることなどできない。
その現実を理解しつつも、貴利矢は完全に理想を捨てることはない。
完全に防ぐことはできなくても、その数を少しでも0に近づけたい。
それが医者である、貴利矢の願いだ。

「さて、時は金なりだ。ぼちぼち動き出すとしますか」

わざとらしく呟くと、貴利矢は階段に向かって歩き出す。
その背後に凶悪な顔つきをしたビジョンが一瞬出現し、すぐに消えた。

(しかし、医者の自分に与えられた能力が殺人ウイルスって……。
 これ、ガチの嫌がらせじゃねえの?)

嘘つきなドクターのゲームが今、スタートする。


938 : ライアーゲーム ◆NIKUcB1AGw :2020/06/20(土) 21:29:37 dHoeXl4Q0


【名前】九条貴利矢
【出典】仮面ライダーエグゼイド
【性別】男
【能力・技能】
医者として基本的な知識と技術を習得している。

【人物背景】
仮面ライダーレーザーの変身者である、監察医。
服装や言動は軽薄に見えるが、その性根はゲーム病の真実を突き止めることに執念を燃やす実直な医者。
かつて友人にゲーム病を宣告した結果、錯乱した友人が道路に飛び出し事故死してしまうという悲劇を経験しており、
それ以降「真実を伝えることが必ずしも正しい行動とは限らない」というポリシーを抱くことになる。
「乗せられちゃった?」「ノリノリだぜ」など、「乗る」に関係する語句を多用するのが口癖。

【スタンド】パープル・ヘイズ
【破壊力:A/スピード:B/射程距離:C/持続力:B/精密動作性:E/成長性:E】
【能力詳細】
凶暴な顔つきをした、人型のスタンド。
あらゆる生物を30秒ほどで死に至らしめる殺人ウイルスが入ったカプセルを、両手に三つずつ装備している。

【備考】
・参戦時期は死亡後。バグスターではなく、人間の肉体で蘇生されています。
【方針】
・一人でも多くの参加者を生還させる。


939 : ◆NIKUcB1AGw :2020/06/20(土) 21:30:26 dHoeXl4Q0
投下終了です


940 : ◆i8E2NGlreE :2020/06/20(土) 21:55:42 3t44v6cE0
投下します


941 : あなたが風浦可符香さんですか? ◆i8E2NGlreE :2020/06/20(土) 21:57:27 3t44v6cE0

 「嫌だなぁ、殺し合いなんて現実に起こるわけないじゃないですかぁ」

 一人、女性がいます。年の頃は若くまだ女子高生ほどの年齢でありました。
声は甘く、瞳は澄んでいます。容貌は可愛らしい女学生の域を超えるものではありませんが、
それは返って、彼女から伝わってくる暖かな気持ち、安心感のような、何か心の隙間を埋めてくれるような感覚を強調していました。
ポロロッカ星人が地球との交渉役に選択するとしたら、彼女みたいな人にするのではないでしょうか。

 そう、もしかしたら、プッチ神父はポロロッカ星の教皇であり、この殺し合いの儀式はポロロッカ星への入国試験。
彼女は宗教的権威から授かった聖なる精神的御霊力を用いて、他の皆様方を現実に返して上げなければならない。
使命感は電波のように彼女の身体を行きわたり、今衆生への救済に向けて持てる限りの力を振るったり……、
初めの彼女は、こんな感じのいい子でした。

 「そんなことはありません! これは殺し合いです! でも、殺し合いだって悪いことばかりではないのです!」

 テセウス船のパラドクス、という思考実験があります。
どうにもこういう代物はSNSの発展した近年で比喩に用いると陳腐になる気がしますがそれはおいといて。
壊れた船を少しずつ修理していって、そしてついにすべてが違う材料と入れ替わった時に、それは果たして同じ船だと呼べるのかという……
人間の細胞は毎日少しづつ入れ替わっていて、おおよそ一年で入れ替わってしまうそうです。(私立白蛇ロワ(有)高校調べ)
思考ならばなおさらそう、書留でもしない限り、過程を忘れ、根拠を忘れ、しまいには結論を忘れます。
出力される幻想が、はじめに共有していたものから大きく姿を変えてしまう、そんなことはざらにあることです。

 で、殺し合いです、互いに授けられた守護霊、おそらく肺胞の中の空気を激しくポロロッカさせることによって発生する精神エネルギー。
人によって異なる姿を持つポロロッカ力は、戦いと対話を通して切磋琢磨することにより、人間の次元を一つ上に上昇させます。
つまり、儀式の参加者はすでに教皇たちにより選ばれた者たちであり、結果としての生死は問題ではありません。
彼女はより多くの人々が高次元世界に至るためのお手伝いに尽力していくに違いありません。

 私たちと共に過ごした彼女は、こういう風ないい子でした。

 「いいえ、殺し合いではありません! これは試練です。

 私たちは死線を通じて共に生き残ることにより、内面のつながりを感覚する時が来たのです!」

 超自我は、自我を律する監督者や裁判官の役割を担います。しかし、形あるものというわけではなく、当時の社会規範や共同幻想によって枠さえも変わってしまうものです。
世間とすり合わせることは、どんな人にとっても多かれ少なかれ苦痛が伴うものです。ときには、耐えられずに脱落してしまう人が出ます。
ですが絶望することはありません。どんな人にだって生きたいと思う気持ちがあります。それはポジティブ遺伝子。誰だって持っているものです。
彼女は皆に楽しく学校を過ごしてほしかったのです。皆と生活と思い出を分かち合いたかったのです。

 初めは誰にも理解されない極端な曲解から、少しずつ人の心に漬け込む小憎らしい奸計へ。彼女がとる手法もまた変わって行きました。
それは私たちが少しづつ成長していたから……、他人を理解しようと少しづつ変わって行ったからではないでしょうか。
だから私たちが演じる彼女も、誰にもとどかない神の国から、現実的に皆が理解できる領域に降りてきたのです。
言い換えれば、私たちは彼女という天使から、超然とした何かを奪い、交流し分かり合える女子高生に堕天させたのかもしれません。
ですが、それが普通です。誰もが共有できるものです。皆が他人と過ごすために分かり合える基準、それが普通だったのです。


942 : あなたが風浦可符香さんですか? ◆i8E2NGlreE :2020/06/20(土) 21:59:49 3t44v6cE0

 私たちの知っている風浦可符香は、天使みたいないい子でした。





 そこには、たくさんの風浦可符香がいる。立ったまま動かない彼女もいれば、寝そべっている彼女もいる。とにかく、たくさん存在する。
ただ──

 ──あなたが風浦可符香さんですか?

 ──いいえ、皆さんです。皆さんがすべてです。……私は幸せでした。


 人格たる風浦可符香は一人だ。




【名前】風浦可符香(P.N)
【出典】さよなら絶望先生
【性別】女性
【人物背景】
さよなら絶望先生の登場人物。超ポジティブで人の心の隙間に入り込むのがうまい。絶望少女たちの共有人格。
【能力・技能】
・超ポジティブ少女
あらゆる物事を好意的に解釈する。しかし、曲解がすぎて電波じみた発想に行きつくこともしばしば。
人格と人心掌握術も併せ持って、とにかく人の心に取り入るのがうまい。

【スタンド】ペーパー・ムーン・キング
【破壊力-E / スピード-E / 射程距離-C / 持続力-C / 精密動作性-B / 成長性-E】
【能力詳細】
折り紙、または折り紙のように折り込んだ物体と一体化するスタンド。
触れた相手に人相やデザインなどの区別をつかなくさせる能力を持つ。
そこにある物を別のものに認識させたり、人物の区別をつかなくせることができるほか、
物体を特定の人物のように認識させることも出来る。(作中ではバスを人間と認識させていた)

【備考】
・参戦時期はさよなら絶望先生最終話時点です。
・絶望少女の誰かです。
【方針】
 共に生き残る。


943 : ◆i8E2NGlreE :2020/06/20(土) 22:00:26 3t44v6cE0
投下終了です


944 : わたしの殺し合い…なので ◆XksB4AwhxU :2020/06/20(土) 22:12:49 5zhDPF..0
完成したので投下します。


945 : わたしの殺し合い…なので ◆XksB4AwhxU :2020/06/20(土) 22:13:02 5zhDPF..0
《…どうして、こうなったんだろう…》
深夜の商店街をぽてぽてと歩くショートカットの女の子。
名は沢渡楓。竹原高校3年生。写真部の部長を務めている少女。
「殺し合いなんて…私にはとうてい無理なので」
楓にとって、とうてい理解が追いつかない神父さんによる殺し合いのデモンストレーション。
「お母さん…おばあちゃん…香。…あっ!?ローライ!」
愛する家族の名前を呼びつつ持ち物を確認すると…それは、父親の形見のカメラ・ローライ35Sだった。
「マエストロに修理をお願いしていたのが…どうしてここに?」
ここ最近、調子の悪く、修理をお願いしていたローライがあることに驚く楓。
「…うん。やっぱり私には写真しかないので」
意を決した楓は、ローライで商店街を撮影する。
パシャッ!…ボンッ!!
「えっ!?」
写真を撮影するとなんと!小さな爆音と共に写真が現像された。
「すごい…もしかして、神父さんが言っていた「スタンド」の力?」
恐る恐る床に落ちた写真を拾い上げた楓。
「…うん。しっかりと現像できてええええ!?」
なんとッ!楓の体が写真の中にッ!!
「あわわわわ…これはどういうことなので!?」
余りの超現象に困惑した楓は説明書の紙を読み上げる。
「え〜と…「アトム・ハート・ファーザー」写真の中へ入りこむことができるッ!?」
そう、楓に支給されたスタンド「アトム・ハート・ファーザー」は写真の中に自由に出入りできる。
さらに、写真内での行動が現実世界にも影響されるのだッ!!
「す…凄い能力…これなら、いざという時は写真の中へ逃げ込めばいいのかな?」
どうやら、楓にとってアトム・ハート・ファーザーは他者を攻撃に使うより守りに使うようだ。
「それで、どうしたら出れるのかな…わっ!?」
ドサッ…!!
写真から無事に出れた楓は尻もちをついた。
「いたた…でも、うん。私がこの殺し合いでできることは、写真を撮って撮ること」
沢渡楓はこの殺し合いでの自分の立ち位置を決めたッ!
「私を見守って…お父さん」
楓はローライを両手でギュッ!と抱きしめると、歩みはじめた。
楓が残す写真がこの殺し合いでどう生きるのか…神のみぞ知る。


946 : わたしの殺し合い…なので ◆XksB4AwhxU :2020/06/20(土) 22:13:26 5zhDPF..0
【名前】沢渡楓
【出典】たまゆら〜卒業写真〜第3部 憧-あこがれ
【性別】女性
【能力・技能】
性格はほんわかとしているが、初対面の人と接するのが苦手でよく赤面し、あたふたする。また、語尾に「なので」をつける口癖がある。
父親は5年前に他界しており、父親の形見のカメラ・ローライ35Sで写真を撮るのが趣味。実際に将来は写真家になることを考えている。
彼女の撮影する写真には「たまゆら」と呼ばれる白い光が映り込むことがある。
【参戦時期】3年目の竹灯後

【スタンド】アトム・ハート・ファーザー
【破壊力:E/スピード:E/射程距離:なし/持続力:A/精密動作性:E/成長性:E】
【能力詳細】
能力は「写真の中に自由に出入りできる。ことと写真の中で本体が取った行動を現実世界に与える」こと。
写真自体にダメージを与えると、攻撃した人物にそっくりそのまま返ってくる。例えば写真を破けば、写っている人物の身体も引き裂かれる。
最も厄介なのは、写真に写り込んだ人物は、スタンド使い(写真に入りこんだ)の攻撃を直接防ぐことはできないということ。
ただし、致命的な弱点として「自身が写っている写真内」でしか行動を起こせない為、『写真の上から更に自身を撮られる』ように隔離されてしまうと、簡単にほぼ無力化される。
【方針】
殺し合いには参加しない。
とりあえず、写真を撮影する。
※1フィルム36枚撮影できる 残り1本と35枚撮影できる。


947 : わたしの殺し合い…なので ◆XksB4AwhxU :2020/06/20(土) 22:13:40 5zhDPF..0
投下終了します。


948 : ◆hqLsjDR84w :2020/06/20(土) 22:15:23 zbJUCF3.0
投下します。


949 : 流動食 ◆hqLsjDR84w :2020/06/20(土) 22:16:53 zbJUCF3.0
 ◇ ◇ ◇


「以前ほどの量を受け付けなくなってきた小生でも、噛まなくてよいならばまだまだ喰らえる」



【名前】響凱
【出典】鬼滅の刃
【性別】男性
【能力・技能】
鬼。
身体に埋め込まれた鼓を打つことで、『部屋』を回転させたり斬撃を飛ばす血鬼術の使い手。
かつては十二鬼月・下弦の陸までのし上がった実力者であったが、だんだんと食事量、すなわち人間の肉を受け付ける量が減ってきており、それに伴い力も衰えていき十二鬼月の座を剥奪された。
だが地位を剥奪されてなお、いずれまた十二鬼月復帰するというモチベーションは高い。しかしそこまで戻りたいものかね、十二鬼月。



【スタンド】『ラット』
【破壊力:B/スピード:C/射程距離:D/持続力:B/精密動作性:E/成長性:C】
【能力詳細】
小型の固定砲台型スタンド。
砲台から発射されるのは触れたものならばスタンドさえ溶かす毒針で、数本であれば連射することも可能だが、厚みのある金属を盾にされれば弾かれてしまう。
針に触れたものをドロドロに溶かす毒は、単体で即座に命を奪うものではなく、頭などの重要な部位さえ溶かさなければ生きたままで煮凝りのような保存食にすることも可能。



【方針】
噛まずに飲む。


950 : ◆hqLsjDR84w :2020/06/20(土) 22:17:09 zbJUCF3.0
投下完了です。

もう一作投下します。


951 : 鬼滅の刃 ◆hqLsjDR84w :2020/06/20(土) 22:17:51 zbJUCF3.0
 ◇ ◇ ◇


 彼は、驚愕していた。
 あまりにも予期せぬ事態である。
 疑う目も、抜かす腰も、潰れる肝も、青ざめる顔も、冷や汗の伝う背筋も、飛び出しそうになる心臓も、どれも彼は持ち合わせていない。しかしながら、たしかに彼は驚愕していた。

 ――彼とは、一振りの妖刀に宿りしスタンド『アヌビス神』であった。

 『アヌビス神』をもともと発現したのは五百年前のエジプトを生きた刀鍛冶であり、当然ながらとうのむかしに息絶えている。
 だが刀鍛冶がうちに秘めていた『自分の打った刀を試してみたい』『業物だと証明したい』『人を斬りたい』『自分の刀を血で染めたい』という思いだけが残り、彼の打った一振りの妖刀に憑りついたのである。
 スタンドは元来スタンド使いにしか見えないものだが、『アヌビス神』はスタンドのヴィジョンすら持たない。
 一見すれば、ただの骨董品じみた古い刀でしかない。
 ただし、どれだけ力を籠めようと、常人では鞘から刀を抜くことはできない。
 使い手としてふさわしいと『アヌビス神』に選ばれたものだけが抜刀することが許され、その美しい刀身が露わになった瞬間に、選ばれし使い手は『アヌビス神』に精神を乗っ取られ――血に飢えた人斬りに変わってしまうのだ。

 剣士が刀を選ぶのではない。
 あくまでも、刀が剣士を選ぶのだ。
 こと妖刀『アヌビス神』の場合においては、得物という言葉が指すのは刀ではない。刀を携えた剣士のほうである。

 剣士が切れ味の落ちた刀を使い捨てるように、『アヌビス神』もまた切れ味の落ちた得物は使い捨て、次の得物に乗り換える。
 前の得物の切れ味を落としてくれた相手の技量、流派、クセ、切り札、ウィークポイント――そのすべてを『記憶』した状態で。

 ゆえに、この殺し合いの舞台においても、『アヌビス神』は溢れ出る人斬り欲を解消しようとした。
 妖刀を支給されたと思われる男に鞘から刀を抜くように呼びかけて、見事思い描いた通りに乗っ取ることに成功した。

 ここまでは、驚くことなどなにもない。
 かつて本体であった刀鍛冶が息絶えて以降の四百年あまり、アヌビス神が当たり前にやってきた得物の調達でしかない。
 すなわち、『アヌビス神』が驚いたのは乗っ取った以降であった。

「(…………なんなんだ、こいつは?)」

 二度だ。
 乗っ取った男に『アヌビス神』が妖刀を振るわせたのは、これでたったの二度目。
 そしてその二度で、今回の使い手がもはや今後出逢えるかもわからぬ技量の持ち主であると判断するには充分であった。
 いや。そもそも一度目の時点でとっくに充分ではあったのだが、並外れて充分すぎたせいで俄かに信じることができなかったのだ。
 
 本来、『アヌビス神』の使い手に経験は必要ない。
 剣術の心得なぞない素人であろうと、一度として剣を握ったことのない幼い子どもであろうと、精神を支配して達人の域に到達させてしまうからだ。
 だが、この殺し合いの舞台にて二度振るわれたのは、断じて『アヌビス神』の剣術ではない。
 たったいま乗っ取ったばかりの、今回の使い手の身に染みついている剣術だ。そして技量は、五百年の経験がある『アヌビス神』をすら超越している。

「(お前ほどの男がなぜ俺を、いや私を抜いたのだ……! 継国縁壱!)」

 『アヌビス神』は、そんな疑問を抱くことを禁じ得なかった。
 たしかに刀を抜くよう呼びかけはしたものの、これほどの使い手が不自然なほど命じたままに従順すぎた。

「…………兄上……。鬼舞辻……無惨…………!」

 精神を乗っ取られている使い手・継国縁壱の返答はない。
 ただいくつかのワードが囁くような声になって漏れ、極めて断片的な記憶と強大な無力感だけが『アヌビス神』に流れ込んでくる。
 詳細を掴むことは到底できないが、刀で斬るだけでは殺し切れぬ存在に喫した決定的な敗北が、継国縁壱に妖刀を抜かせる後押しをした程度のことはわかった。

「(――――フン。安心するがいい。
  冥府の神であり墓地の守護神を暗示するカードのスタンド『アヌビス神』は、決して一度戦った相手に負けることはない!!)」

 短く返して、『アヌビス神』は得物とともに獲物を求めて闇夜を歩み始める。
 人斬りをやめる気なぞあるはずもないが、未だかつて巡り合ったことのない最上の使い手に挫折を植えつけた相手がこの地いるのであれば、そのときは今度こそ殺し切ってやろうという程度の思いだけは芽生えた。


952 : 鬼滅の刃 ◆hqLsjDR84w :2020/06/20(土) 22:18:23 zbJUCF3.0



【名前】継国縁壱
【出典】鬼滅の刃
【性別】男性
【能力・技能】
鬼殺の剣士であり、始まりの呼吸『日の呼吸』の使い手。
勢いよく弾け飛んだ千八百の肉片のうち、千五百以上を切り刻む程度の技量。



【スタンド】『アヌビス神』
【破壊力:B/スピード:B/射程距離:E/持続力:A/精密動作性:E/成長性:C】
【能力詳細】
妖刀に宿るスタンド。
『乗っ取り』や『記憶』については、本文に書いた通りなので読んでください。
他には生物無生物問わず邪魔な物体を透過して切断する能力を持っているが、この能力のオンオフは『アヌビス神』自身が意識しないと忘れてしまうこともある。
人を魅せる妖刀でありながら、同時にうっかり屋さんな一面もあるので。



【方針】
人斬り。ついでに、鬼もいるなら殺してやろうかな。


953 : ◆hqLsjDR84w :2020/06/20(土) 22:18:46 zbJUCF3.0
投下完了です。

もう一作投下します。


954 : 甲種? 乙種? 丙種? は? 全部持っとるが??? ◆hqLsjDR84w :2020/06/20(土) 22:19:18 zbJUCF3.0
 ◇ ◇ ◇


「ようわからんが、このワシにずいぶんと物騒な『スタンド』とやらが配られたらしいのう。なぁに安心せい。危険物取扱免許くらい持っておるわ」



【名前】パワー
【出典】チェンソーマン
【性別】女性の外見をしている
【能力・技能】
血の魔人。
血液を操作する能力を持ち、血液を凝固させて武器を作ったり、外傷を止血することもできる。ただし他者の血液の操作は苦手。
また、自分の脳内で都合よく記憶を改竄する能力者でもある。



【スタンド】『グリーン・デイ』
【破壊力:A/スピード:C/射程距離:A/持続力:A/精密動作性:E/成長性:A】
【能力詳細】
人型の近距離パワー型スタンド。
能力は生物に寄生する殺人カビを散布することで、殺人カビは寄生主が『低い位置』に移動すると活発になる性質を持ち、寄生主の肉体を食い荒らして爆発的に繁殖を進める。
『グリーン・デイ』が一度散布した殺人カビは、食い荒らした生物を媒介にして他の生物へと寄生してさらに繁殖をするため、能力を解除するまでその分布域を半永久的に広げ続ける。



【方針】
方針? そんなものは参戦が確定したあとのワシが考えることだが?


955 : ◆hqLsjDR84w :2020/06/20(土) 22:20:25 zbJUCF3.0
以上、三作で今回のコンペは投下完了です。
スタンド支給大喜利企画、とても楽しかったです。


956 : ◆Mti19lYchg :2020/06/20(土) 22:32:18 pT/Oh0Xo0
投下します。


957 : くっ、○○○がたりない! ◆Mti19lYchg :2020/06/20(土) 22:34:12 pT/Oh0Xo0
 色丞狂介は変態仮面である! 彼を変態仮面にしたのは父親譲りの正義感に加えたM気質と母親のドSな二人の変態の血である! 色丞狂介は究極の変態でありながら正義の味方として戦うのだ!

「どうしよう……」
 森の暗闇の中、色丞狂介は頭を抱えていた。
 それは殺し合いに巻き込まれた事で混乱している訳でも恐怖している訳でもない。
 狂介は正義感が強く、殺し合いに乗る気は無いし、悪人がいればお仕置きする気でいる。
 その為に必要な物もある。無理やり与えられたのは癪だがスタンドという能力もある。
 スタンドを使うための縄もある。悪人を縛るのにうってつけだ。
 予め持っていた皮手袋もあるし、網タイツもきちんと履かれたままだ。
 だが、問題が一つあった。

「パンティが無い!」

 そう、変身に必須な肝心のパンティが無いのである。
 このままでは究極の変態である変態仮面ではなく、ただの変態どまりである。
「こんな時にもし殺し合いに巻き込まれたら、襲われてるのが女の子だったら僕はどうすべきなんだ?」
 狂介は想像する。裸コートに体内からスタンドを出す男に、少女が襲われている光景を。
 無論、そんな状況なら狂介は助けに入る。
 だが、この場では誰もが未知の能力であるスタンドを身に付けている。狂介の拳法では太刀打ちできるか怪しい。
 そんな時どうする? 襲われている少女に頼むべきだろうか。
 戦いの最中、少女に土下座して。
『お願いだ! キミのパンティを貸してくれ!』
 
「変態じゃないか!!」
 狂介は木に拳を打ち付けた。

「と、とにかく町とか住宅街に行けば、多分パンティは置いてあるだろうし、お借りすればなんとか……」
 変態そのものの台詞を口にし、狂介は明りの方向を目指して歩き始めた。


【名前】色丞狂介
【出典】究極! 変態仮面
【性別】男性
【能力・技能】
変態仮面
 女性のパンティを被る事で潜在能力を引き出し、変態仮面へと変身する。

【スタンド】オー! ロンサムミー
【破壊力:E /スピード:C /射程距離:C /持続力:B /精密動作性:C /成長性:E】
【能力詳細】
 能力は「自身や他人の肉体をロープと一体化させ、バラバラに分解して操る」こと。
 戦闘向きではないが、狭い場所を潜り抜けたり、爆破されても咄嗟に身体をばらけさせて致命傷を避けることが可能。
 しかし、本体が意識しなければ発動しない。

【備考】原作終了後、文庫版の描き下ろしで愛子との恋に決着を付けた後です。
【方針】殺し合いを止める。


958 : ◆Mti19lYchg :2020/06/20(土) 22:34:31 pT/Oh0Xo0
続いて投下します。


959 : レディ・ライネスの事件簿 ◆Mti19lYchg :2020/06/20(土) 22:35:32 pT/Oh0Xo0
 ライネス・エルメロイ・アーチゾルテは魔術師である。
 宴会の見世物や大規模なショーアップで見せるマジシャンとは違う。正真正銘の超常現象を起こす魔術師なのだ。
 だから、ライネスの掌が全く同じ衣装、同じ背格好、同じ白い肌に強い印象の青色の瞳を持つ顔のそれの実体ある掌と触れ合っているのは魔術師にとって珍しくない、わけではない。
 何もない状態から完全に同じ姿形を作るのは魔術師と言えど困難だ。ましてやその材質が砂と会っては。
 故に、これは魔術ではなく、ライネスに与えられたスタンドによるものだ。

「よし、模倣は完璧だな」
 ライネスが満足そうにうなずくと、もう一体のライネスは砂となって崩れ落ちた。
「次は戦闘の再チェックを」
 そう言うと崩れた砂が本来のスタンド『ザ・フール』本体の姿を取る。
 前半身の顔は仮面に羽飾りを付け、胴体は犬の体をし、後半身はF1の車輪のような姿だ。
 その状態でライネスがザ・フールに触り、呪文を唱えると、周囲からさらに砂がスタンドへと集まっていった。
 砂の終結が終わった時点でライネスが目の前にある木々を睨むと、ザ・フールは急突進し前足で数本の木々をへし折った。
 木が倒れそうになる時、ザ・フールの一部が砂に戻り、断面を掴んで木々を支えた。
「破壊力とスピードは上がったが……うーん、砂ゆえの自在な動きが少し阻害されているかな」
 支えた砂を放して木々が倒れた後、続いてライネスは落ちていた石を数個取り、真上へと投げた。
「Fervor,mei sanguis」
 ライネスの言葉と同時にザ・フールは一瞬でライネスを半球状に隙間なく囲い、砂、というには堅固なコンクリートの様な防御壁を作る。
 落下した石は、砂の壁に弾かれて転がって行った。
 この防御壁を作るヒントになったのは、ライネスの従者兼水銀系魔術礼装であるトリムマウ。その主人を守る自律防御モードをスタンドに術式として組み込み、呪文で起動するようにした。
 ライネス自身成功するかあまり期待していなかったが、スタンドが自身の精神によるもののためか、術は意外な程スムーズになじみ使いこなせるようになった。
 完成した壁の中でライネスは手の甲でコンコンと砂の壁を叩く。
「トリムに比べて反応速度、強度共に劣るが、まあ仕方ないか」
 やや失望した表情で言った。大体呪文で起動する時点で『自律』ではないのだ。その前に殺されてしまっては意味がない。
 クレイモアのような地雷、トラップならともかくとっさの防御には役に立つだろう。そう割り切ってライネスはスタンドを解いた。
 壁が砂となって崩れ落ちる。その際、砂が喉に入りライネスはせきをした。
「スタンドとやらが私のように一人一能力だとすれば、記憶やスタンドのDISCを作り、それを人に埋め込むのがプッチの能力だと考えられる」
 純金の糸のような髪の砂を払いながら、この儀式について考察を始めた。
「だとすれば、人を拉致しこの島を作り出したのは誰だ? プッチが複数のスタンドを使えるとすればそれも可能だろうが……」
 ライネスは顎に指を当て、プッチ以外の何者かの存在を想定した。
「もう一つ……スタンドが一人につき一つとすれば、プッチは誰かからスタンドを引き抜いて私達に与えたと考えられる。
 スタンドを自在に産みだせるのなら、儀式とやらに合わせたスタンドを作り出せばいいのだからな」
 となれば、何者かがスタンドを持つ人間を拉致し、プッチが引き抜いたと推測するのが、プッチ一人で40人以上のスタンドを引き抜いたと考えるより無理が無い。
 やはりプッチだけでなく、この儀式には複数の人間がかかわっていると考えるのが妥当だろう。
 なんにせよ、この儀式とやらは東洋魔術でいう蠱毒だろう。となれば、最後に生き残った者がどうなるか推して知るべしという所だ。
 蠱毒の儀式で生き残った者は術者の何かの目的――本来の蠱毒なら毒殺に使われるだろうが、この場では何とも言えない。
 だが、初めから口約束など守る気などないだろう。
 目的のために手段を選ばず、勝手に肉体を改造し、人を騙してホルマリン漬けにし、体内に蟲や細菌を入れる。
 そういう魔術師はあきれるほど噂で知っているし見てきている。プッチもその類の人間で間違いない。そうライネスは観察していた。
「しかしここに兄上が拉致されたなら、Fワードの連発にゲームのコントローラーを投げ出すような感じだろうな」
 気品ある少女にしては、少々悪辣と言っていい笑みを浮かべた。
「少し独り言が多いな……。私も緊張しているという事か」
 その笑みをライネスは一瞬で止めた。


960 : レディ・ライネスの事件簿 ◆Mti19lYchg :2020/06/20(土) 22:35:52 pT/Oh0Xo0
 ライネスは魔術師ではあるが戦闘者ではない。権謀術数渦巻く魔術師世界の中を上手く泳ぎ切っているとはいえ、戦闘の経験は無い。
 そもそもライネスは戦闘用の魔術の持ち合わせがまるでない。殺し合いとなればトリムマウがいなければあっさり殺されるだろう。
 そのため、自身に与えられたスタンドを自在に使いこなせるよう練習をしていたのだ。

「そうだ、兄上で思い出したが問題は『ホワイダニット』。『どうしてやったか』だ。スタンドという異能力を一般人を含めて与えてまで儀式を始めた動機。
 そこからまず探るべきだろう」
 後はプッチが仄めかした殺し合いに反対の連中、彼らとコンタクトを取り、考察を伝えて記憶DISCを取り除く事だ。
 プッチはどんなスタンドを与えようが排除などできないと考えているのだろうが、ライネスは魔術師だ。
 その魔術や知識と、他の連中に与えられたスタンドを組み合わせれば外せる可能性が出てくるだろう。
 目的の為、ライネスは光ある方向へ歩き始めた。

「それにしても……」
 この殺し合いにプッチの目的以上の意味は無い。願いなど初めから叶える気などない、と自分の考察と共に殺し合いに乗った連中に伝えたらどうなるか。
 その時愕然とする表情を思い浮かべただけで背筋がぞくぞくし、顔が綻んでしまう。
 まあ、それでも殺し合いを止めない選択を取るものの方が大半であろうが。危険すぎるからよほどのことが無い限りしないでおこう。


【名前】ライネス・エルメロイ・アーチゾルテ
【出典】ロード・エルメロイⅡ世の事件簿
【性別】女性
【能力・技能】
魔術師
 エルメロイ家の跡継ぎとして教育されており、魔術の精密操作に稀有な才を持つ。
 殆どの魔術は研究用で攻撃用の魔術には乏しく、弱い魔弾を撃つのが精々。
 それでも常人なら傷つくだろうが、鍛えた人間や人外相手では微妙。恐らくスタンドにも通用しないだろう。
魔眼
 魔力の流れを正確に視るという能力を持つ。
 副作用により魔力の存在する場所では目の色が通常時の鮮やかな青色から燃え立つような焔色へと変わる。
 症状を和らげるには携帯している目薬を差す必要がある。
 一方その過剰反応を利用することで、短時間ながら極めて精密性の高い魔術を行使することができる。
【スタンド】ザ・フール(愚者)
【破壊力:B /スピード:C /射程距離:D /持続力:C /精密動作性:D /成長性:C】
【能力詳細】
 砂で構成されたスタンド。仮面と犬の体、後ろ足に写輪というビジョンが基本の姿だが、砂であるため形状は変幻自在。
 翼を形成して滑空する事も出来る上、精緻な彫像を作る事も可能。
 本来の砂としての質量を利用して、津波として突進したりできる。
 ライネスは魔術との併用で密度を上げ、高強度コンクリート並に固く、さらにしなやかさを失わずにコントロールできる。

【備考】魔眼の症状を抑える目薬は没収されていません。参戦時期はアニメ版に準じます。
【方針】記憶DISCを解除し、脱出を目指す。


961 : ◆Mti19lYchg :2020/06/20(土) 22:36:15 pT/Oh0Xo0
以上で投下終了です。


962 : ◆Mti19lYchg :2020/06/20(土) 22:51:38 pT/Oh0Xo0
wikiに書き込む際、少し修正します。


963 : ◆fYZ5OQREFs :2020/06/20(土) 23:13:30 SUEYaep20
投下します。


964 : ◆fYZ5OQREFs :2020/06/20(土) 23:14:16 SUEYaep20



私が、私に見えないのなら。
今、あなたにはこの「面(わたし)」が、どのように見えているんだろう。



──なんて。





965 : ◆fYZ5OQREFs :2020/06/20(土) 23:16:03 SUEYaep20



「………冗談、きついって」

おどけた振りをして出した声は、絞り出すのが丸わかりの震え声。
辛うじて張り付けている笑顔も、自分でそのぎこちなさが分かるひどい代物。
下手しなくても、アイドル失格の有様だ。もしこんな顔でステージに立ってたら、ペンライトを投げられても仕方がないんじゃなかろうか。
けれど。
起きてすぐ、最低限の自分を取り繕いながらも血眼になって探したカメラは、本当にどこにも見当たらない。
もしも見つけていたら自分だって──「過激なことをして反応を楽しむ」という演出にもまあ思う所こそあれど──それでも、本当にこれが現実であるよりはマシだとその演出に乗っかって、アンティーカの三峰結華として「こなせ」ていただろうのに。
カメラは見当たらない、こうして放り出された後でただ不安を煽られる姿を映すにしてもやりすぎだろう。
それに。

「……それ以前の問題、って、分かってるくせに」

分かっている。
そもそも根本的に、あの「夢」は何だ。
人が死ぬ夢。夢にしてはあまりに鮮明に耳の中に残っている、神父の言葉。そして目が覚めたら知らない場所にいたこと。ついでに、カメラを探す過程で見つかったデイバッグと『それ』。
正夢だとか偶然の一致だとか、そういう可能性の方が余程現実味自体はあるけれど、それでも──

「状況証拠で言えば、逃げられない、って?
 ──分かってる。分かってるんだってば、そんなの」

認めざるを得ない。
自分が巻き込まれたのが、あの夢の中の神父が言っていた殺し合いである可能性が、相当に高いということ。
ああ、なんてリアリティのない。
けれど、底冷えするような現実感が、背筋を確かに撫でている。

「……いやいやいや、今日び流行らないって。殺し合いとかさあ。
 何年前の流行り?って感じだし、それに三峰放り込んでどうするって──」

それでもまだとぼけてみた自分の言葉が、途中でフェードアウトする。
考えたくない、想像したくもないけれど、頭の片隅にどうしても残り続ける可能性が、明るく振舞おうとした自分の頭に逆にこびりついて来た。
こがたん、さくやん、まみみん、きりりん──アンティーカの皆が、いる可能性。
勿論、巻き込まれたのが私だけで、皆がいない、という可能性はこの不幸中において最大の幸運だと言えるだろう。
けれど、私をこの殺し合いとやらに巻き込んだ人間がいるとして。
あくまでアンティーカの一員として活動している私が今ここにいるという事態を踏まえた上で、彼女たちはいないと言い切れる?
…言える訳が、ない。
本気の殺し合いにせよドッキリにせよ、少なくとも確認をしない限りは、心の底から安心を得ることなんてできない。

正直な話を、すれば。
アンティーカすら巻き込まれて、もしも誰かが欠けたりしたら、私はどうなるかわからない。

それなのに。
誰かがもしも一緒にいてくれたらどれだけ楽だろうと、一瞬でも考えてしまう私がいた。
誰かがもしも参戦していたら、その時私はきっとその子の為に誰かを殺すのを是とするのだろうと、そう考えてしまう私がいた。


966 : ◆fYZ5OQREFs :2020/06/20(土) 23:16:46 SUEYaep20
(……冗談じゃない。それに、もし本当に巻き込んでたら、絶対に許さない)

それならまだ──いや、本当に最低限の譲歩にはなるけど──一人で死んだ方が、マシだ。
何一つ前向きな考えじゃないことに溜息が出そうになるが、それでもそう思えるくらいには自分の理性がまだ残っている事に、少し安心した。
ともあれ、急務は「それ」だ──安心したことで一時冷えた頭が、改めて優先順位を告げる。
もしも誰かが私と一緒に巻き込まれているなら、手遅れになる前に皆との合流を急がないといけない。
それを度外視しても、ずっとただ閉じこもっているだけでは、状況は何も好転しない。少しの間は安全かもしれないが、誰か敵意を持った人間が来ればそのままゲームオーバーになるだけだ。

「……なのに」

バッグと、一緒に落ちていた「それ」を手に取りながら、一人ごちる。

「頼れるのはこれだけ、って。それこそ冗談でしょ、って言いたいくらいなんだけどなー……」

散々周囲を調べる過程で、真っ先に見つかった自分用のデイバッグ。
これに頼るしか、ないらしい。
中身も確認した。凡そサバイバルに必要なものは揃えましたと言わんばかりのラインナップは、役にこそ立ちそうなものの人探しに役立つようなものではない。

……本当なら、これ以外にももう一つ、頼れるものはある。
スタンド、とかいう力。あの神父が言っていたそれを使って生き残るのが、本来あるべき姿なのかもしれない。
これでとんでもないパワーが目覚めていたりすれば、少しは違ったのかもしれない。

けれど。
そのもう片割れ、自分に与えられた「それ」を、改めて手に取る。
虹の描かれた、白亜の仮面。
名を、キャッチ・ザ・レインボー。

「……嫌がらせにも、程があるでしょ」

雨の粒を空中に固定し、それを利用して自由に行動、あるいは攻撃する能力──なるほど、或いは使いこなすことさえできれば結構な強さになるのかもしれない。
けれど、裏を返せば、雨が降らなければ何もできない。単に水をぶちまければ使えるという訳でも、
雨という状況でのみ使える──裏を返せば、そうでない時は全く使えない。
確かに、雨は好きだと言った覚えはあるけれど。
だからといって、雨じゃないと使えないものを渡されるのは、少しばかり皮肉が過ぎないだろうか。
そして極めつけに──ああ、よりにもよって。

「『仮面』、だなんて」

仮面。
ああ、思い当たる節は山とありますとも。
アイドル三峰結華としての私。
ドルオタという趣味を晒すこと、誰かの為におどけてみせること──『私自身』に踏み込まれること。
予防線を引いて、撤退して、距離を保とうとし続ける、私の嫌いな私。
それすらも見透かされているような感覚に、どうしようもなく吐き気がした。

「……ああ、もう。ダメダメ!
 これが役に立たないんなら、足まで止めてる場合じゃない!」

せめて、鼓舞するように声を出す。
いつまでもこのまま待っている訳にもいかない。
能力とやらが役に立たない以上、探しに行かなければ始まらない──そう思って外に出る。
僅かな期待を込めて空を見れば、暗い空にはこれ以上ないくらいに輝く星が見えた。
どうやら雲は全く以てないようで、雨もどうにも降りそうにない。
雨が降らないかぎり木偶の坊らしい私の能力が役に立つことは、暫くないらしい。

「……全く、何やらせるんだって話だよね」


967 : ◆fYZ5OQREFs :2020/06/20(土) 23:17:12 SUEYaep20



──もしも。
もしも雨が降ったなら。



私は雨の中を歩いて、彼女達を迎えにいけるだろうか。
雨宿りする彼女達の元へ、傘を届けに行けるだろうか。
雨上がりの空で、皆で虹を掴むことが出来るだろうか。



ああ、そして。
もしも、雨が降ったなら。
もしかしたら、本当にもしかしたら。



雨の中で。
あなたは、また私を見つけてくれるでしょうか。
揺らいでしまいそうな私に、また幸せが訪れることを約束してくれるでしょうか。



「──────いや」

かぶりを降って、否定する。
脳裏に過った願いを、真っ向から叩き伏せる。
存在してはならない想いを、心の中から放逐する。

「『それ』は、本当に、ダメでしょ」

それを望むということは、あの人すらも巻き込むということだ。
助けてほしいと願ってしまっているということだ。
それは、駄目だ。
仮面諸共に剥いで、私を救ってくださいだなんて。
そんな浅ましい願いで、自分から、誰かを、あの人を巻き込んでほしいと、考えるだなんて。
そんな願いを持つ自分を隠すように、私は仮面を被ってみる。

──願わくば。
この仮面を剥がそうとするあの人が、この場所にいないことを。

「──さて!アイドル三峰結華。まずは仲間を探してみようと思います!」

仮面の下。
普段のように、溌剌で接しやすい、三峰結華としての言葉を紡いでみる。
乾ききった空っぽの言葉は、どうしようもないくらいに、しっくりきた。



【名前】三峰結華
【出典】アイドルマスターシャイニーカラーズ
【性別】女
【能力・技能】
・アイドル
283プロダクションに所属するアイドル。所属ユニットはクール系の人気ユニット『L’Antica』。
彼女自身アイドルとして活動するのとは別にアイドルオタクとしての面があるのもあって、ことアイドルに関する知識は多い。


【スタンド】キャッチ・ザ・レインボー
【破壊力 - C / スピード - C / 射程距離 - B / 持続力 - B / 精密動作性 - D / 成長性 - D】
【能力詳細】
虹がペイントされた仮面のような形をしたスタンド。
雨が降っている時、その雨粒を自由に固定することが可能。また、自らの身体を雨粒と融合させるようにして分散させ、身体に負った傷を固定した雨粒で塞ぐ、雨と雨の間を飛ぶことで馬にも勝る速度での移動が可能となる。
ただし、これはあくまでも雨に限った能力である。通常の水や水滴といったアイテムではこの能力は発動しない。


968 : ◆fYZ5OQREFs :2020/06/20(土) 23:18:02 SUEYaep20
投下終了です。


969 : ◆2lsK9hNTNE :2020/06/20(土) 23:18:23 Dnl7vPmg0
投下します


970 : 幻の天国 ◆2lsK9hNTNE :2020/06/20(土) 23:18:56 Dnl7vPmg0
(てっきり除念師でもいるもんだと思ってたんだけどな)

 クロロは内心で呟いた。背中に大きな逆十字が描かれたコートを着た、オールバックの男だ。
 クロロは現在、自分が持つ念の力を封じられていた。念とは平たく言えば体内エネルギーを操り様々な現象を起こす力の総称だ。
 クロロの念を封じているのも別の人間の念によるもの。解除できるのもまた、他人の念を無効化できる力を持った念能力者、除念師だけだった。

 しかし、除念師の数は少なく、手がかりになるものはひとつ、念による占いで書かれた『向かうなら東がいい。きっと待ち人に会えるから』という文章。だが東で向かって待っていたのはこの殺し合いゲームだった。
 この会場に除念師がいるのか、あるいは占いが外れたのか。的中率100パーセントの占いだが、占いを見た後にとった何らかの行動によって未来が変わってしまった可能性はある。

(それとも)

 自分と向かいあわせにスタンドを出現させる。
 一見すると馬に乗った人のような姿だが、人には下半身が無く馬の背中から直接生えており、馬も前足より後ろがほとんど無い。
 ケンタウロスにも似ているが、人の頭も馬の頭も両方あるのが大きく異なっている。もっとも人の頭も本来なら目や鼻があるところに時計が一つある、普通とはだいぶ違う形をしているが。

(念に変わる新しい力の存在を示していたのか)

 メイド・イン・ヘブン。天国という、人が所有するにはあまりに傲慢な名を冠したスタンド。
 
 能力は時間の加速。
 時間の加速した世界では蝋燭についた火はついた瞬間に全ての蝋を燃やし尽くし、穏やかに流れる川すらも激流となる。
 あらゆる生物は加速された時間に追いつけず、唯一、メイド・イン・ヘブンの持ち主だけがついていくことができる。
 時間という世界の法則そのものに干渉する――念能力ではどれほどの達人だろうと至れない領域にある能力だ。
 とはいえ加速を維持できるのは一度に数秒間だけ、それも自分の周辺だけだが。もし範囲の制限も無望む限りの時間使うことができれば、全人類を世界の破滅の瞬間へ連れて行くことも可能だろう。
 
(少し見てみたい気もするな。世界の終わりがどんな景色なのか)

 しかし、実際にはそこまでの力は無いし、クロロもまだ今の世界に未練がある。とりあえずの興味はスタンドDISCだった。
 念とは異なる、未知の力を与える道具。全ての参加者に支給されたというが、他人から奪うことは可能なのか。可能ならばどういう方法があるのか。生きたまま奪えるのか、殺せば奪えるのか。
 クロロは盗賊だ。欲しい物は奪ってきた。どんなものであろうと。誰が持っていようと。
 殺し合いを強制してきたエンリコ・プッチに不快感はある。大人しく従うのも癪だ。だがDISCを手に入れるために殺し合うしかないとしたら。
 それもやぶさかではなかった。


971 : 幻の天国 ◆2lsK9hNTNE :2020/06/20(土) 23:19:20 Dnl7vPmg0
【名前】クロロ=ルシルフル
【出典】HUNTER×HUNTER
【性別】男
【人物背景】
 盗賊団「幻影旅団」のリーダー
 メンバーといるときリーダーらしいカリスマを感じさせる振る舞いが多いが、素の顔はもっとフランクで、何事も楽しめるようにやる性格。

【能力・技能】
 念による肉体強化や他人の念能力を奪う念能力『スキルハンター』を使えるが、現在は『ジャッジメントチェーン』により、念を使うと死亡してしまう。
 とはいえ、念無しでもハンター試験を合格できるくらいの身体能力は、最低限あると思われる。

【スタンド】メイド・イン・ヘブン
【破壊力 - B / スピード - ? / 射程距離 - C / 持続力 - A / 精密動作性 - C / 成長性 - A】
【能力詳細】
 この世の時間を加速させる。
 加速された世界では、生き物以外の全ての物体・現象は加速された時間と同様に時を経るが、生物だけはそれについていく事が出来ず、体感時間で1〜2分の間に時計が1時間を刻むなどと言った事が起こる。
 スタンドの本体だけは例外で、加速された時間についていく事が出来る。
 時の加速についていけない人間から見ると姿を追うのも困難なほどとてつもないスピードをもって移動しているように見える。
 制限として、加速できるのはスタンドの周辺だけ、それも一度に数秒間だけで、再度の加速にはインターバルが必要(ザ・ワールドの時止めとかと同じような感覚)。
 そのためスピートは無限大ではない。

【備考】
 参戦時期は東に向かってからグリードアイランドに着く前。

【方針】
 他の参加者のスタンドDISCが欲しい。必要なら殺し合いに乗ることも考慮


972 : ◆2lsK9hNTNE :2020/06/20(土) 23:19:56 Dnl7vPmg0
投下終了です


973 : 名無しさん :2020/06/20(土) 23:49:33 N77jFzlQ0
投下します


974 : W.O.D ◆HQtwHjvD7Q :2020/06/20(土) 23:51:07 N77jFzlQ0


岸辺露伴。
その表札が架かった住宅の一室に青年はいた。
ボサボサの髪を後ろでまとめ、全身がインクで薄汚れた青年、佐々木哲平。
漫画家である彼の殺し合いにおけるスタート地点が同じく漫画家である岸辺露伴邸というのは、奇妙な運命と言えるだろう。

「こ、殺し合い…」

目じりに涙を浮かべ、部屋にあった人を殺せる凶器になり得るGペンを握りしめて哲平は考える。
なぜ、自分がこんな催しに巻き込まれているのか。
なぜ、ホワイトナイトの連載がスタートする前日なのか。
殺し合い何て血なまぐさくてマイナーなジャンル、自分がこれから描くホワイトナイトにはそぐわないというのに。


(―――やるしか、ないのか?俺が……俺だけが、ホワイトナイトを読者に届けられるんだから。
だから、例え罪の十字架を背負ってでも……!)


殺し合いに生き残り、ホワイトナイトをこれからも読者に届け続ける。
それこそが『代筆』の重責を課された自分の使命ではないか?
そのための能力も、自分には与えられている。


「ヘブンズ・ドアー…」


デイパックに入っていたメモに書かれていたスタンドの名を呟く。
自身の描いた漫画を読ませ、対象者の感銘を得られることで発動するスタンド。
「自分に攻撃できない」「焼身自殺する」などを書き込めば一方的に相手に勝てるスタンド。
そして自分の描く、アイノナツキの「ホワイトナイト」なら、きっと一目見ただけで相手の心を奪えるはずだ。


小心者で、相手を殺人者にするくらいなら自分が一人で死ぬと言って憚らない哲平。
しかし『ヘブンズドアー』と、『ホワイトナイト』。
その二つの武器を使って勝つという誘惑は…麻薬の様に甘い響きを持っていた。


(―――いや駄目だ!佐々木哲平!!お前はホワイトナイトっていう神作品を人殺しの道具にするのか!!?)


ぶんぶんと、首を振って脳裏に過った邪悪な考えを否定する哲平。
その考えのままに、自分のデイパックの中に入っていたホワイトナイトの原稿を机の上に置いて部屋を出ようとする。
しかし。

(……ま、まぁ自衛のために必要なら、持っていこうかな…
置いて行って無くしたら、アイノさんに悪いしな……
殺し合いは…暫く隠れてやり過ごそう……)


自分の先程の決意は本物だ。ホワイトナイトを人殺しの道具にはしない。
しかし、自衛のために必要である。
そう自分に言い聞かせて、彼は部屋を出る。
その手にしっかりとホワイトナイトの原稿を握りしめて。

…そんな流されやすく、考えの甘い彼だからこそ、気づかない。
ホワイトナイトは確かに彼の言う通り神作品なのだろう。しかし、彼の作品では断じてない。
そこがヘブンズ・ドアーの本来の持ち主との決定的な相違点。
もし、本来のホワイトナイトの作者であるアイノナツキなら、このスタンドの能力を十全に発揮し、
更なる成長へと導くことができたかもしれない。
だが現実にこの殺し合いに招かれたのは哲平だ。
未来のホワイトナイトを盗作した、哲平なのだ。
――使用者の精神によって効果が左右されるスタンド能力にとって、この齟齬がどのような結果をもたらすのか、全ては吐き気を催す邪悪の神父の掌の上である。

【名前】佐々木哲平
【出典】タイムパラドクスゴーストライター
【性別】男
【能力・技能】
漫画家としてのスキル。
筆は早く一日で数十ページの原稿を仕上げられる。
しかしスタンドバトル時に使える程の速度かは微妙。

【スタンド】ヘブンズ・ドアー
破壊力 - D / スピード - B / 射程距離 - B / 持続力 - B / 精密動作性 - C / 成長性 - D
人の記憶や能力を本にして読んだり書き換えることが出来る能力を持つ人型のスタンド。 発動条件は自分の描いた作品を相手に見せ、波長を合わせること。
佐々木哲平の場合はデイパックに入っていた自分の描いたホワイトナイトの原稿を相手に見せることで発動する。
本来なら成長性はAだが佐々木自身の作品ではないため(少なくとも彼はそう持っている)成長性がガタ落ちしている。
基本的には、身体のどこかの部位が薄く剥がれるような形で「本」のページになる。「本」には対象の記憶している「人生の体験」が記されており、記述を読むことで相手や相手の知っている情報を知ったり、ページに書き込むことで相手の行動・記憶を露伴の思うとおりに制御することも可能となる。
「本」状態となった者は動くことが制限され、またページを破り取るとその相手はその部分の記憶を失って体重が激減してしまう。


【方針】
生き残りたいが手は汚したくない。暫く隠れてやり過ごす。


975 : ◆HQtwHjvD7Q :2020/06/20(土) 23:51:27 N77jFzlQ0
投下終了です


976 : 越えられない壁なんかない ◆XksB4AwhxU :2020/06/20(土) 23:52:40 5zhDPF..0
完成したので投下します。


977 : 越えられない壁なんかない ◆XksB4AwhxU :2020/06/20(土) 23:52:58 5zhDPF..0
ボルダリングとは-----高さ5メートル程度の壁や岩を最低限の道具(チョークとシューズ)のみで登るフリークライミングの一つである。
「う〜ん…」
両腕を組んで悩み呻る少女。
名は夏目登姫。最年少メダル候補-----天才クライマー。
入学した高校に設置されているボルダリングの練習をしていた最中、屋上から男子が落ちてきた。
とっさに手を伸ばしたが、支えきれず、登姫は男子と共にマットに落下した。
しかし、目が覚めたら椅子に座っていて神父さんの演説が始まり、殺し合いをしろときたものだ。
TVでも取り上げられて知名度はあるが、高校生の登姫にとっては酷な話である。
「とりあえず、支給された「スタンド」とやらを確認しますか」
登姫は神父が言っていた「スタンド」のことを確認するため、説明書を読む。
「なになに〜、私のスタンドはアース・ウインド・アンド・ファイヤー…」
そう、登姫に支給されたスタンド「アース・ウインド・アンド・ファイヤー」は肉体を物体に変身させる能力。
「別の物体ね〜。それじゃあ…よっと」
登姫は自分の体をボルダリング用のシューズに変化させる。
「おおーッ!?本当に変化した〜」
半信半疑でもあったが、自身の体が変化したことに登姫はスタンドの存在と能力を認めた。
そして、変化を解く-----
「…うん。正直この壁【殺し合い】を完登するのは難しいかな…でも、登れたら前の自分を越えられるはず」
なぜ、登るのか-----夏目登姫は新しい自分【その人】に会いたいから-----
色々と肉体変化をしてアース・ウインド・アンド・ファイヤーの能力を試し終わると、登姫は心地よい汗を右腕で拭う。
「お姉ちゃん…私、絶対に完登する。だから、心配しないでね」
登姫は姉、環奈の名前を口にだすと、プッチ神父が用意した壁(殺し合い)にチャレンジするッ!!


978 : 越えられない壁なんかない ◆XksB4AwhxU :2020/06/20(土) 23:53:22 5zhDPF..0
【名前】夏目登姫
【出典】壁ドン!
【性別】女性
【能力・技能】
世界が注目する天才ボルダリング少女。登る壁があったら登らずにはいられない性格でお寺の大仏・某駅の待ち合わせの広場にあるSL機関車にまで登るほど。
壁が困難であればあるほど完登しようと燃える。
独特なネームで他人を呼ぶことがある。会心(ダイノ)猿橋(サルっち)海老澤(えびやん)など。
動物園の山羊を登りの師匠として呼んでいる。
【参戦時期】第一話 ボルダリングの練習中、学校の屋上から落下してきた会心を助けようとしたが、支えきれず、共にマットに堕ちた瞬間。

【スタンド】アース・ウインド・アンド・ファイヤー
【破壊力:C/スピード:C/射程距離:なし/持続力:A/精密動作性:C/成長性:C】
【能力詳細】
能力は「体の一部もしくは全身を変身させる」こと。
様々な道具に変身することが可能。3個組みのサイコロなど複数に分裂することもでき、中々多芸である。
【方針】
壁(殺し合い)を完登する。※優勝じゃない方向で
まずは、地図に書かれている一番高そうな施設へ向かう。※登るため
※服装はボルタリングの練習コスチューム(第一話)


979 : 越えられない壁なんかない ◆XksB4AwhxU :2020/06/20(土) 23:53:43 5zhDPF..0
投下終了します。


980 : ◆fYZ5OQREFs :2020/06/20(土) 23:58:16 SUEYaep20
投下します。


981 : 『世界』を統べる詞 ◆fYZ5OQREFs :2020/06/20(土) 23:58:45 SUEYaep20


世界詞のキアにとっての世界は、彼女に従うものだった。

草木に生えろと言えば、瞬時に生えた。
薪に燃えろと唱えれば、一息に燃えた。
風に動けと命じれば、たちどころに動いた。
石に砕けろと願えば、にわかに砕け散った。

彼女はありとあらゆる権能を、たった一言でやってのけた。

けれど。
如何に世界を統べようとも、彼女はただの少女であった。
世界の片隅の閉じられた村で、戦争も、本物の魔王の恐怖も知らないままに。
天賦の才をいたずらに弄びながら、友と遊び、師と戯れ、そうして生きてきただけの、ただの少女に過ぎなかった。
今度「黄都」という、とてもとても大きな街へ、エレアという師が連れて行ってくれることに少しの期待と不安を抱きながら。
そのエレアという師が、この世界において権力と闘争の坩堝の極点たる六合上覧の参加者へと、自分を擁立しようとしていることなど、知らぬままに。
未だ何も知らないままにただ寝ている、ただの少女に、過ぎなかったのだ。

だから。
世界詞のキアは、駆けていた。
一寸先も見えない暗闇の中を、生み出した炎で照らして。
足元に転がる、ひっかかって転ぶ為に存在しているような木の根の群れを、「どいて!」と一声叫ぶだけで蹴散らして。

それだけのことを、しながら。
生み出した樹木の蔓に運んでもらうようなことも、辺り一帯を平地に還して安全を探るようなこともせずに。
世界詞のキアは、ただ。
己が抱いた恐怖に忠実に従って、怯えて、走っていた。

──脳裏に浮かぶ、少女の死に顔。

夢の中で見た、少女にとって鮮烈が過ぎる、これ以上ない「人の死」の形。
たった一言で誰かを殺せようと、ただの少女に過ぎないキアにとって、それは恐怖と嘔吐感を覚えるに足るものだった。
本来なら、近い将来、彼女は形こそ違えど同じ「死」を見る筈だったけれど──その時に傍らに立ち、彼女を支え、持ち上げ、六合上覧の選手として選び取る筈だった赤い紙箋のエレアは、ここにはいない。
ただの少女以上に成りえない彼女が、ただありのままに死という結果だけをまざまざと見せつけられて、正気を保てるはずも無かった。


「あっ」

──だから。
不意に森が開けて目の前に崖が現れた時、彼女は踏みとどまりきることができなかった。
空に放逐された浮遊感。

──私、落ちてる。

やけに冷静な部分がそう告げるのを、他人の声のように聞いた。
そうして、それに遅れて。
落ちれば、殺し合いなど関係なく死ぬという当たり前の事実と。
先の夢の中で見た、死への具体的な恐怖がやってきて。


「ま──」


殆ど、反射だった。
勿論、その言葉で止まらなければ別の何かで代用していただろう。
あるいは、その前の段階で切羽言葉が詰まった彼女がそのまま墜落死していたかもしれない。
けれど、結局その二つの未来が来ることはなく。
かわりに。
キアは。
本当に、何の気なしに。
その言葉を、口にしていた。


「──『待って』!!」


982 : 『世界』を統べる詞 ◆fYZ5OQREFs :2020/06/20(土) 23:59:07 SUEYaep20


──そして。
その言葉で、世界は凍った。



僅かに揺らめいていた木々が、一斉に光合成も呼吸も止めて、梢の先に至るまでぴたりと固まった。
空に浮いていた涙の水滴が、きっかりその温度も形も変えないままにその場に留まった。
そして、その中で。
キアと。
キアの目の前にいつの間にか浮遊していた、全身が黄色い人型だけが、自在に動いていた。

黄色い男が、足を滑らせたキアを抱きかかえる。
そしてそのまま、崖の上へと戻り、崖から僅かに距離を置いた場所に彼女を安置する。
動けはするものの突然のことに言葉を失っていた彼女が、よろめきつつも地面にまたしっかりと立って。

──そうして、そこまできっかり五秒。
その時間を境に、世界はまた、元通りに動き始めた。

風も木々も水滴も、まるで何もなかったかのように流動している。
当然の摂理に基づいて、世界は時を刻んでいる。
されど、キアの記憶には、その時の狭間、世界が停止した瞬間が確かに焼き付いていた。

きっかり五秒。
キアの体感時間で、たったそれだけ。
それだけの秒数だけれど、それでも、それは有り得る筈のないモノだった。

生術──ありとあらゆる命が数秒だけその行動を止めた?
力術──周囲のエネルギーを数秒間その場に留め続けた?
熱術──エネルギーの発生を完全に停止させた?
工術──何も変化させないように力を与え続けた?

否。
その何れもが、的外れにも程がある。
例えキアがこと詞術に関しては規格外の存在であろうとも、世界そのもの、森羅万象を一息のうちに操作し得る為には、あの一言は余りにも不足が過ぎる。
いや、そもそも──黄都の如何なる詞術士を尋ね、世界詞のキアという可能性を仮定の存在として組み込もうとも、それでも馬鹿らしいと一蹴されるものだ。
だが、ならば一体、何が起こったのか。
詞術で説明できない、彼女が今起こした現実は、一体何であったのか。

──簡単なことだ。
彼女は、『世界』の時間を止めた。
本当に、ただそれだけだ。
世界が、彼女の止まれというその願いに、従属させられただけだ。
『世界詞』に、『世界』そのものが、軍門に下っただけなのだ。
そんな、先に挙げた仮説の方が余程真実味のある荒唐無稽な事実が。
しかしたった今、キアの目の前で起こった真実である。

たったそれだけの、しかし世界を根本から覆すような才を、もうひとつの権能としてその身に宿しながら。
少女は、たった一言。


「なんだ。私、そんなこともできたのね」


それだけを呟いて。
それから、ぶり返した恐怖に駆られて、けれど今度はまたいきなり危険へと陥ることのないよう、おっかなびっくりと森の側へと歩き始めていった。
歩きづらい地面の枝や根に、やはり『どいて』と言葉を投げかけながら。

──世界詞のキア。
彼女にとって、世界を統べているのは今に始まったことではない。
だからこれも、ただ、それが出来るという、それだけの話。
彼女からすれば、筆が折れるように、ただ、『できるからできる』という、それだけの話でしかなかった。
かくして、彼女は尚も歩く。
おっかなびっくり進む彼女のその言葉一つで、『世界』を統べながら。


【名前】世界詞のキア
【出典】異修羅
【性別】女
【能力・技能】
『世界詞』
詞術と呼ばれる、言葉の力によって世界を変化させる術、その中でも異常と呼べる能力。
端的に言えば、彼女が言葉として命じたことであるならばそれはありとあらゆる理論を無視して成立させる能力である。
彼女がそう願いながら言葉を紡ぐことで、大地の隆起、植物の成長・退化、果ては人の死までも招くことができる。


【スタンド】ザ・ワールド
【破壊力 - A / スピード - A / 持続力 - A / 射程 - C / 精密動作性 - B / 成長性 - B】
【能力詳細】
逞しい体つきをした金色かつ人間型のスタンド。近接パワー型の中でも指折りのパワーに咥え非常に長い射程距離を持つなど、基礎スタンド性能が非常に高い。
スタンドの固有の能力としては時間停止があり、スタンド使い本人の主観で五秒間の間時を止めることができる。この静止した時間に割り込めるのは、同じタイプ/能力のスタンド、または相対性理論に及ぶ程の超高速での移動が可能なスタンドのみである。

【備考】
『世界詞』の能力の制限についてはお任せします。


983 : 名無しさん :2020/06/20(土) 23:59:24 u.HSfDTQ0
投下したかったけどこれは投下開始が日付変わっちゃうからだめかな


984 : ◆wKs3a28q6Q :2020/06/20(土) 23:59:54 u.HSfDTQ0
投下します


985 : ◆wKs3a28q6Q :2020/06/21(日) 00:00:27 iRbv4h260
あ、投下終了が23:59でしたっけ(ちょっとそこだけ確認して投下します)


986 : ◆fYZ5OQREFs :2020/06/21(日) 00:02:04 zqBTgMas0
投下終了します。
また、先程の三峰結華&キャッチ・ザ・レインボーのタイトルを失念しておりました。
タイトルは「ねえ、もし雨が降ったら」でお願いします。


987 : ◆wKs3a28q6Q :2020/06/21(日) 00:04:08 iRbv4h260
ルール確認したところ、
>それ以降に投下された候補話につきましてはコンペの対象外となりますので、ご了承くださいませ。
と書いてあったので、逆に考えるとコンペ対象外となるけど投下は出来るようなので、とりあえず投下だけしていきます


988 : 皇帝とあやつられた男 ◆wKs3a28q6Q :2020/06/21(日) 00:05:20 iRbv4h260

ひゅるりひゅるりら。風が吹く。
冷気を纏った風が吹く。

かちゃり。ぎらり。
掲げられた妖刀が、月に照らされ妖しく光る。

これは殺し合いではない。
バケモノによる、ニンゲンへの一方的な殺戮だ。






 ☆  ★  ☆  ★  ☆






結論から言うと、その妖刀はスタンドであるッ!
名はアヌビス神。
手にした者の意識を奪い、意のままに操る恐るべき存在なのだッ!

しかしながら、悪意に満ちたこのスタンドに添えられたメモに、その能力の記載はない。
『物質を透過して相手を切断できる』としか記されていない。
全ては、エンリコ・プッチが殺し合いを円滑に進めるために仕組んだ罠ッ。
アヌビス神を支給された者がその身体を乗っ取られ、この殺し合いの潤滑油となるよう仕組まれた罠なのだッ!

しかし――結論から言うと、その目論見は失敗に終わる。
アヌビス神を支給された男の能力によってッ!


989 : 皇帝とあやつられた男 ◆wKs3a28q6Q :2020/06/21(日) 00:05:37 iRbv4h260

「間抜けめ、鞘を抜いたら乗っ取ってやる……と思ったろう……」

結論から言うと、妖刀を支給されたその男は、妖怪であるッ!
名はさとり。
人のみならず草木等万物の声を聞くことができる、恐るべき妖怪なのだッ!
無論その対象は、スタンドとて例外ではないッ!!

「なんで分かったんだ、この薄汚いクソオヤジ……と思ったろう……」
『なんで分かったんだ、この薄汚いクソオヤジ……ハッ!』

あまりにズバズバ言い当てられて、アヌビス神に動揺が走る。
ついうっかり言葉に出してしまったが、しかしそれは最後だけ。
相手がスタンド使いであることを考慮して、それまでは言葉になんて出していなかったはずだ。
それなのに、何故こうも言い当てられたのか。よもや――

「コイツ、さては心を読むスタンド使いだ……と思ったな……」

一陣の風がアヌビス神の刀身を撫でる。
寒気がしたのは、風のせいではないだろう。

「惜しいなァ……“すたんど”とやらは……知らねェ、なァ……」

小汚い男性という風貌だったさとりが、その姿を変形させる。
そして、にたりと口元を歪ませた。

「オレは……心を読む“妖(バケモノ)”だからなァ……」

まずい、とアヌビス神は思った。
しかしもう遅い。『まずい』の三文字も、とうに読まれてしまっただろう。
そして、ついつい頭をよぎってしまった己の弱点も、すでに――

「鞘を抜かれず埋められたり海に沈められたら不味い……と思ったな……」

OH MY GOD!!
アヌビス神の顔が焦りの色に染まる。
さとりは鞘を抜く様子もなく、ゆっくりとどこかに向かっているようだ。

こうなった以上、もうさとりを操ることはできないだろう。
策を弄そうにも、思いついた策は全て読まれてしまう。

どうにもならない。相性が悪すぎる。

このままでは海の底か土の中で、永劫の時を過ごすはめになる。
それだけは嫌だ、それだけは――――


990 : 皇帝とあやつられた男 ◆wKs3a28q6Q :2020/06/21(日) 00:06:17 iRbv4h260

『わーーーーッ! たんま! 捨てないで! 降参! 降参するから〜〜〜〜ッ!』

意外、それは命乞いッ!
生き残るために必要とあらばカニさんにだろうと媚びへつらえる、それがアヌビス神の強みの一つである。
騙し討ちが絶対に通じないと分かるからこそ、逆に割り切って心の底からペコペコすることが出来た。

『こんな危ないところ、素手でウロウロするわけにもいかないでしょ!? ねっ!?』

さとりが足を止めた。
そういえば、いつの間にか愛用の鎌が手元から消えている。
思い返すと、先程見知らぬ場所で目覚めた時点から、手元になかったような気がする。
正確なことは分からない。あの時は、それどころではないくらい、心が恐怖で埋め尽くされていたので。

『役に立つよ〜〜ッ! だから、ねっ、捨てるなんて言わないで、一緒にバッタバッタと斬りまくろうよぅ! ねぇっ!?』

さとりとて多くのニンゲンを殺害してきた妖怪。
ただ見知らぬニンゲンが命を落とした程度では、動揺などするはずもない。

プッチを名乗った男の心は読めなかったが、そのような輩も初めてではない。
鍛え抜かれた法力僧などは、心を閉ざすことができるという。
厄介だが、それ単体で常に持ち歩いてた武器を失ったことに気が付かない程の動揺はしない。

あの時、さとりの心を恐怖が支配したのは、さとりの脳裏に一匹の妖怪の名がよぎってしまったから。
日本に住む妖怪ならば、その名を聞くと震え上がるような大妖が、浮かび上がってしまったから。

――エンリコ・プッチは、白面の者である。

結論から言うと、勿論これはさとりの勘違いである。
最初に抱いた圧倒的恐怖も、さとりにとって未知の技術で命を握られていることからくる防衛本能によるものだ。

だがしかし、さとりの中では、エンリコ・プッチが白面の者であることへの整合性が取れてしまった。
白面の者は、ニンゲンの脳に取り付く婢妖という妖怪を操ると聞く。
ニンゲンの頭部を破裂させることも、白面の者ならば容易いのだろう。
それに、相手が白面の者なのであれば、心を読み取れないことにも納得がいく。
ニンゲンですら鍛えれば心を閉ざせるのだ、白面の者にそれが出来ないはずがない。
それにヤツは恐怖を喰らう妖だと聞いているので、このような催し物をおこなう動機だってある。

兎に角、さとりにとってエンリコ・プッチは、恐怖の対象白面の者であった。
逆らう気になどなれぬ。


991 : 皇帝とあやつられた男 ◆wKs3a28q6Q :2020/06/21(日) 00:06:49 iRbv4h260

「……出来れば参加者を減らしたい、と思っているな」
『あ、ああ、そうだ! プッチ様には恩義があるッ! 出来ることならご命令通り、参加者減らしに一役買いたいッ!』

プッチ――つまり白面の者の手先ではあるが、どうやら白面の者とは独立した妖怪らしい。
心も問題なく読める。少なくとも現時点で、思考にも違和感はない。
であれば、目的のために利用してもいいかもしれない。

『も、勿論アンタが殺し合い反対とかいうなら協力はするッ! だからさ、ねっ! 捨てたりなんかしないでェ〜〜』
「いや……オレは……全員殺すつもりだァ……」

にたりと笑い、さとりが腰をおろした。
そして、アヌビス神を掴んだ右手と逆の手――左手で掴んでいた風呂敷へと頬ずりをする。

『そういやそれは一体……』

頬ずりにより布がずれ、はらり、と風呂敷がほどける。
武器とみなされず、没収されなかったそれは、ズバリ――――

『ゲェェーーーーーーッ! なんじゃこりゃァァァーーーーッ! め、め、め、目玉じゃないかァァァーーーーーッ!』

意外、それは眼球ッ!
風呂敷いっぱいに包まれた、薄汚れた数多の眼球。
アヌビス神がさとりの狂気を理解するには、十分すぎる内容だった。

「オレは……目ン玉を集めるんだ……そんで……ミノルの目をオレが治すんだァ……」

白面の者の言う“願いを叶える”なんて怪しいものには頼らない。
白面の者の言葉を信用なんて出来ないし、ミノルを引き合わせたくもない。

「オレが……ミノルを助けるンだ……オレはミノルの……父ちゃん、だからなァ……」

そのためには――目元をえぐり、切り取るための武器がいる。
ならば、命乞いに乗っかってもいいだろう。

幸い、アヌビス神は人外を乗っ取る際は少々時間がかかるようだ。
思考を挟まず咄嗟に乗っ取ろうとしてきても、対処は十分可能だろう。


992 : 皇帝とあやつられた男 ◆wKs3a28q6Q :2020/06/21(日) 00:08:07 iRbv4h260

「へっへっへ……見つけたァ……」

にちゃあ、とさとりが笑みを浮かべる。
そう大して時間もかからず、人を見つける事ができた。

「まずは殺る気かどうか見極める……と、思っているな……」

ひゅるりひゅるりら。風が吹く。
冷気を纏った風が吹く。

「悪ィが……ミノルのために、いーっぱい目ン玉集めなくちゃならねェんだ……」

かちゃり。ぎらり。
掲げられた妖刀が、月に照らされ妖しく光る。

「目ン玉ァ、置いてけェ!!」

飛びかかられる少年は、鋭いだけの枝のようなものを持っているだけである。
一方さとりは、乗っ取られないことを確認のうえ、アヌビス神を抜いている。
その威力、雲泥の差。

「あーん?」

これは殺し合いではない。
バケモノによる、ニンゲンへの一方的な殺戮だ。
そのはずだった。

「なるほど奸計じゃねーの」


993 : 皇帝とあやつられた男 ◆wKs3a28q6Q :2020/06/21(日) 00:08:39 iRbv4h260

振り下ろされた切っ先は、しかし少年の皮膚一枚すら切り裂かない。
アヌビス神は虚しく宙を切り、がきん、と地面に叩きつけられた。

「……早ぇなァ、お前」
「あーん、遅いだけだろ、お前が」

少年、跡部景吾は、ただのニンゲンなどではない。
時速180キロのサーブを平然と打ち返すコート上の戦士、テニスプレイヤーである。
ましてや彼のチームメイトには、大会最速である時速215キロを記録した鳳長太郎がいる。
彼と打ち合い鍛えていた跡部にとって、武術の心得もなく力任せに振り下ろされただけの剣など止まっているようなものだ。
ましてやサトリは慣れない獲物を使用している。
反撃を受けなかっただけ、僥倖だったと言えるだろう。

『なんだコイツ……この得体のしれない寒気……コイツもスタンド使いか!?』

跡部の得体のしれない気配に、アヌビス神はたじろぐが、サトリにはそれがない。
跡部の心が読めるからこそ、ためらいなくアヌビス神を振り下ろしてしまう。

「左に避ける……と思ったろう!」
「あーん?」

跡部はテニスプレイヤーであり、肉弾戦のプロフェッショナルではない。
ベテランの戦闘者であれば先手を打つべく動いてくれるため、先読みが有効である。

しかしながら跡部はそうではない。
スプリットステップを用い、サトリの腕のふりを見てから回避する方向を決めている。
鎌ほど小回りがきかないアヌビス神では、思考を読み取れたとしても、軌道を変えるのが間に合わないのだ。

「なるほど、心を読む、か……」
「正解だァ……へ、へへ……驚いたろう……」

改めてアヌビス神を構えるサトリに、跡部が嘲笑で返す。
読心術者や精神干渉能力者なら、テニスプレイヤーにだっている。
そして彼らが、それ一本では天下を取れなかったことも知っている。


994 : 皇帝とあやつられた男 ◆wKs3a28q6Q :2020/06/21(日) 00:09:15 iRbv4h260

『おいおいおいおい、どうなってんだッ! 心読めたら素人剣術でも勝てるんじゃねえのかッ!? こいつ、どんなスタンドを――』
「……いやあ。すたんどじゃあない。てにすぷれいやあ、だかららしいなあ」

跡部景吾はナルシストである。
それ故に、自分の強みなどをアピールすることに躊躇いなどなく、口でベラベラか心でベラベラかの二択である。
また跡部のテニスは殺し合い向けではないため、さすがに不慣れな殺し合いで口でベラベラする余裕はなかったが、
心の中では静かに燃える青い炎を揺らめかせながらベラベラ格好いいモノローグを連発していた。
当然、サトリにはそれが読めている。

「見てから回避……技術だけじゃない……眼がいいんだなァ、オメェ……」

嬉しそうにサトリが笑う。
目の前の男は、ひょっとすると、自分がずっと探し求めていた存在かも知れない。
ミノルにふさわしい、優れた眼を持つ者なのかもしれない。

「へっへっへ……オメェの目ン玉、よこせェェ〜〜〜〜〜!」

右手で大きく振りかぶる。
それを見て、スプリットステップで跡部が回避。

「やっぱり……そっちに避けようと思ったなァ……」

見てから避けられる。
ならば、避けられてから斬り直せばいい。

だが、途中で軌道を変えられるほどの技術はない。
それならどうする。

『お、おおおおおおおッ!』

右手を開く。アヌビス神が宙へと放たれる。
そのアヌビス神めがけ、勢いよくサトリが左手を振るう。
キャッチできなくてもいい、そのままの勢いで軌道を変えれば、跡部に当たる。
幸いキャッチにも上手くいき、完全に意表をつけた。


995 : 皇帝とあやつられた男 ◆wKs3a28q6Q :2020/06/21(日) 00:10:26 iRbv4h260

「スケスケだぜ――!」

――そのはずだった。
だが、跡部は文字通り”見ていたもの”が違った。

跡部は確かに、サトリの動きを見てから動いていた。
だがそれは動作の始動なんてチャチなものではない。
跡部王国の透視により、体のあらゆる動きを読んでいたのだ。
それにより、体に隠れていた左手が先程までと違う動作をしていたことにも気が付ける。

「そうら凍れ――――!」

そして、この勝負を決めに来たサトリの一撃は、跡部の反撃へと繋がる。
耐えて耐えて生まれた好機。テニスコートのときと、やることなど変わらない。

跡部王国で見抜いた“サトリの動ける範囲”から外れる、氷の世界に突き立てられた脇腹の氷柱。
それを、手にした鋭い枝で貫く。
動けなくさえすればいい。どうせ枝では即死はないだろう。

これで、跡部景吾の勝利となる。
殺し合いにもスタンドとやらにも乗らず、己の持つ才能のみで、目の前の妖に打ち勝てる。

「なに――――!?」

はずであった。
枝が体を貫く直前、刺さっていたはずの氷が、溶けて消えた。
それ即ち、そこが隙ではなくなったことを意味していた。

『覚えたぜェ……その動きはァ!』

すぱん、と音がする。
それが勢いよく振られたアヌビス神により、跡部の首が切断された音であることに、跡部は気がつけなかっただろう。

勢いのままボンボンと跡部の首が転がって、崖の下へと落下する。
それを見送り、うげ、と呟くと慌てて体の乗っ取りを解除する。


996 : 皇帝とあやつられた男 ◆wKs3a28q6Q :2020/06/21(日) 00:10:58 iRbv4h260

「……終わったか」
『へへ、本音でちゃんと思った通り、すぐ体は返したでしょ? これでこれからも俺を使ってくれるよな?』

サトリでは跡部景吾に敵わない。
故に、アヌビス神は、己がサトリの体を使うことを提案していた。
本当ならばそのまま体を乗っ取ってしまいたかったが、それをチラつかせては絶対に体を貸してはくれなかっただろう。
とりあえず一時的にでも手を組んでもらい、この殺し合いが終わってからも存分に奮ってもらえるよう友好関係を築こうと心の底から思うことで、なんとか実現できた策だ。

「……オメェ、眼ン玉落っことしたな?」
『ヒイ〜〜! わざとじゃないんだよォォ〜〜!! 逃げようとしなかったことを評価してくれ〜〜〜〜!!』

返事もせず、しかしアヌビス神を握りしめたまま、サトリは崖の下に向かうため走り出した。
それは、目玉集めは絶対であるということと、アヌビス神を今後も利用していくという意思表明でもあった。



【名前】さとり
【出典】うしおととら
【性別】男?(化物なので性別はない可能性有り)
【能力・技能】
・心を読む
相手の考えを読み取ることができる妖。
他に特筆すべき長所はないが、心を読む力を使いこなしており、
鎌で多くの命を殺害し、目玉を奪った実績がある。

【スタンド】アヌビス神
【破壊力:B スピード:B 射程距離:E 持続力:A 精密動作性:E 成長性:C】
【能力詳細】
本体はとうに死んだ刀鍛冶だったが、妖刀として現在も生き長らえているスタンド。
刀を鞘から抜いたものや刀身に触れた者の精神を乗っ取り、新たな本体とすることが可能。
魚や牛であっても乗っ取れるが、牛の乗っ取りに時間がかかっていたことを見るに、人外の乗っ取りは少々時間を要するらしい。
また、物体をすり抜け斬りつけることも、すり抜けず物体そのものを斬ることも可能。
敗北時に「うっかり使ってしまった」と口走っていることから、デフォルト設定は物体透過オフであると思われる。


【備考】
1:アヌビス神がさとりの身体を使ってる時は心を読む能力を使えず、対象を乗っ取ってい無い時のアヌビス神は物質透過を使えません。
2:アヌビス神はジョジョ本編登場時と同じ完璧な刀身での参戦です。
  原作登場前の時間軸でプッチに博物館から連れ出されて恩義を感じているのか、
  本編後海底から引き上げ刀身も治してくれたことに恩義を感じているのかは後続の書き手におまかせします。
【方針】
ミノルのために、目玉を集める。
アヌビス神も、その方針に協力し、参加者を減らしてもらうつもり。


997 : 皇帝とあやつられた男 ◆wKs3a28q6Q :2020/06/21(日) 00:11:44 iRbv4h260




 ☆  ★  ☆  ★  ☆





「ちっ……」

サトリが去ってから小一時間後、跡部景吾はすっ飛ばされた首をようやく体へと繋ぎ直せた。
スタンド能力により、体の一部が切断されても大丈夫な状態にはしておいた。
それでも、そんな与えられた力に頼らずとも何とかできる気でいたが――甘かった。

運良く飛ばされた首が崖の途中で木に引っかかっていなければ、とうに詰んでいただろう。
首が離れていても跡部王国や眼力が健在であり、崖のうえで手探りで立ち上がる体を誘導できたのも大きい。

「……気に入らねえが、まあいい。血筋も、美貌も、与えられたものではあるからな」

考えを修正する。王には矜持が必要だ。
しかしながら、凝り固まった頭で滅びゆくのは愚の骨頂である。

「この与えられたスタンドも、使いこなしてやる。俺はキングだからな」

心を読む相手が存在することも分かっていたのに、心を無にすることはできなかった。
自分にも、できないことはある。
それでも出来ることを突き詰めて、王になったのが自分だ。
今回も、己の強みと、新しい手札を使いこなし、勝利してみせる。
その執念も、己の強みだ。


998 : 皇帝とあやつられた男 ◆wKs3a28q6Q :2020/06/21(日) 00:14:02 iRbv4h260

このスタンドなら、テニスラケットのようなものも作れるだろう。

「ノットだかナットだか知らないが、今日からお前の名は――」

アトベ・キング・コール。
己の隣に立つダブルスパートナーにそう呼びかけると、跡部はゆっくりと歩き始めた。

【名前】跡部景吾
【出典】新テニスの王子様
【性別】男
【能力・技能】
・テニス
その異常なほどの眼力により、
対象をレントゲンのように透過したり(技名・跡部王国)、
イメージビジョンの中で氷柱を突き立てたり(技名・氷の世界)することで、
相手の弱点や死角を的確につくことができる。
一方でテニス自体は物理法則をやや捻じ曲げる程度で、
相手の肉体に直接危害を加える技は有さない、スタミナ値が異常なだけのオールラウンダー。
(氷帝コールという幻聴を広域に響かせることはできるし、
 他のテニス技を見てからコピーできるが、作中では怪我レベルの技までしかトレースを披露していない)

・フェンシング
圧倒的な財力により何でもこなす完璧超人キャラだが、
特にフェンシングと社交ダンスはテニス以外の特技として挙げられている。
多分レイピアとかそういうの作れたら強いんじゃないかな……



【スタンド】ナット・キング・コール
【破壊力 - C / スピード - D / 射程距離 - C / 持続力 - A / 精密動作性 - E / 成長性 - A】
【能力詳細】
攻撃した部分にナットやネジを出現させ、それらを外すことで対象を分解したり、逆に違う物体同士を接続したりすることができる。
跡部様は事前に自分の首や関節をボトルにしておき、回避不能と見るやボルトを回して首チョンパを避けたのである。

【方針】
王として勝利し、氷帝コールを響かせる


999 : 皇帝とあやつられた男 ◆wKs3a28q6Q :2020/06/21(日) 00:14:37 iRbv4h260
ズガンは禁止されてたし、一人に複数スタンドは禁止されてましたが、
二人出したりバトルさせたりは禁止じゃないっぽいので魔が差しました。
投下終了です。


1000 : ◆Il3y9e1bmo :2020/06/21(日) 00:18:06 BhMUmIZA0
すみません、諸用で遅れました。それでは時間になりましたので以上で当企画のコンペを締め切らせていただきます。
皆様、総数235もの候補話の投下、誠にありがとうございました。
これからは名簿決め、及びキャラ・施設の配置に入らせていただきます。
>>1の取れる時間の都合上、1〜2週間は待っていただくことになるかと思いますので気長にお待ちいただければ幸いです。
また、まとめwikiのほうに候補話の投票ページを設置させていただきました。
選考にはおそらく関係しないとは思われますが、もしよろしければ面白いと思った候補話への投票をよろしくお願いいたします。
なお、投票可能数は一人一票で、投票には電話番号によるSMS認証が必要となるようです。

候補話投票ページ
tps://wikiwiki.jp/snake_rowa/%E6%8A%95%E7%A5%A8


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