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猪熊陽太「えっと……あ、綾?」 綾「……え?」
-
綾「そ、その、猪熊くん?」 猪熊陽太「ん?」
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read_archive.cgi/internet/20196/1434731615/-100
これの続きになります。
思いついてしまったネタです。
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――昼休み・1年B組
忍「アリスもカレンも、ホントに綺麗な金髪ですねぇ……」
アリス「もう、シノったら」
カレン「照れちゃいマスッ!」
アリス「カレン、照れるどころか嬉しそう……」
綾「……このやり取り、何度目かしら?」
陽太「お、まだ4人とも食べてるのか」
綾「あら、猪熊くん」
忍「おかえりなさい、陽太くん」
陽太「おう、ただいま」
陽太「はぁ、疲れた……」
忍「ど、どうかしましたか?」
陽太「いや……」
陽太「一緒に飯食べてたヤツらに散々からかわれて」
アリス「わ、ヨータの顔が……」
カレン「ズーンって感じデスね……」
-
綾「ど、どんな風にからかわれたの?」
陽太「……」チラッ
綾「な、なによ?」
陽太「いや」
陽太「きっと……小路が一番イヤがるんじゃないかなぁって」
綾「イ、イヤがらないから。多分」
忍「ふふっ、綾ちゃん? 陽太くん、ホントはそのことを言いたくないので……」
アリス「アヤを言い訳に使ってるってこと?」
カレン「ヨータ? それでも男デスカ?」
陽太「……うわ」
陽太(今までからかってくるのは忍だけだったのに……3人に増えた)
陽太「――わかったよ、言うよ」
陽太「実は……」
――数分後
陽太「――って感じだった」
綾「」
忍「まぁ……」
アリス「ワ、ワタシたちが……」カァァ
カレン「カワイイってことになっちゃってマス……」カァァ
忍「『カワイイ子たちと仲良しだなぁ……』ですか」
陽太「し、忍……頼むから繰り返すのはやめてくれ」カァァ
-
綾「ど、どうして、そう詳しく話しちゃうのよっ!」
綾「そ、その……『カワイイ』って所、省いても良かったわよね?」カァァ
陽太「い、言わなかったら言わなかったで多分、後で小路は怒るだろ?」
綾「……う」
忍「さすが陽太くん。綾ちゃんのことをよくご存知です」
陽太「け、経験上だから」
忍「……そうですか」
陽太「忍、何か言いたそうだな……?」
忍「いえいえ」
アリス「ね、ねえ、ヨータ?」
陽太「ん? どうかしたか、アリス?」
アリス「そ、その……さ、最後の方で」
カレン「『誰がタイプデスか?』って言ってマシタ」
陽太「カ、カレン……頼むから繰り返さないでくれ」
カレン「それで誰がタイプなんデス?」
陽太「うわ、まさかの直球……」
アリス「そ、そうだよ、カレン!」
アリス「日本で人気の野球だと、そんな球は打たれちゃうんだよ?」
陽太「いや、アリス……別に、ストレートだからって弱いわけじゃないぞ?」
陽太「――えっと」
陽太「いや……たしかに小路の言う通り、全部は言わないほうが良かったかもな」
綾「今更、遅いわよ……もう」
忍「でも、教えられなかったら後で綾ちゃんは……」
陽太「な。忍も、そう思うよな」
綾「……あ、あなたたち」
-
カレン「……フムフム」
カレン「何となくデスが……ヨータのタイプは、シノデスか?」
アリス「カ、カレン!?」
綾「……!」
忍「え、わ、私ですか?」
陽太「……忍が?」
カレン「ハイ!」
カレン「何だか……二人は凄く自分と相手のこと理解してる感じがしマス」
アリス「……く、悔しいけど。認めないといけないかもしれないね、ヨータ?」
陽太「い、いや。別にアリスとは競ってないからな……?」
カレン「それにデス!」
カレン「ヨータは、シノだけ名前で呼んでマスッ!」
陽太「いや、それは二人にもだろ?」
アリス「『外国人は少し慣れないから名前で呼んでいいか?』って」
アリス「ヨータ、そう言ってたよね?」
陽太「……アリス」
カレン「そうデス!」
カレン「だからワタシたちはいいんデス……デモ」
カレン「ワタシの知ってる限り、ヨータが名前で呼んでるのは……シノだけデスッ!」
忍「まぁ……」
綾「……!」
陽太「そ、それは……」
陽太「忍は、ずっと昔からの幼なじみだから……な、何となくだよ」
忍「そうですね……言われてみれば、私も名前でお呼びするのは陽太くんだけでした」
陽太「し、忍? 似合わないから真剣に考えるのはやめた方が……」
忍「陽太くん、何かお困りなんですか?」
陽太「……分かってるだろ?」
忍「どうでしょう?」
陽太「ええ……」
綾「……ずっと昔からの幼なじみ、ね」
陽太「小路? どうかしたか?」
綾「い、いえ! 何でもないわ」
陽太「……?」
-
もう始まってる!
-
アリス「と、ということは……」
アリス「シノとヨータは……やっぱり、スペシャルってことに」
カレン「仕方ないデス、アリス」
カレン「幼なじみっていうのは、こういうものデス」
アリス「……ワタシとカレンみたいに?」
カレン「ハイッ!」ダキッ
アリス「ちょ、ちょっと!? い、いきなり抱きつかないでぇ……」
忍「……ねえ、陽太くん?」
陽太「なんだ?」
忍「今、ここで……後ろから二人を抱きしめれば」
忍「『両手に花』ならぬ『両手に金髪少女』ということになるんでしょうか?」
陽太「……忍の好きにしてくれ」
忍「ええ! それでは、行ってきますっ」
陽太「……はぁ」
綾「よ、良かったわ。何となく、ウヤムヤになってくれちゃったみたいだし」
陽太「同感」
綾「……ちょっと残念そう?」
陽太「な、なにが?」
綾「いや」
綾「ほら。もしかしたら……猪熊くんって、しのに、えっと」
陽太「小路?」
綾「な、なんでもないわ……うん」
陽太「……」
陽太「俺は別に、誰がタイプってわけでもないから」
綾「……あ」
陽太「そ、それだけだから……」
綾「……そ、そうなのね」
綾「そっか」
陽太(……小路?)
-
――放課後
カレン「それでは、また明日デスッ!」
忍「ええ、カレン。また明日」
アリス「バイバイ」
陽太「帰り道、気をつけるんだぞ」
カレン「……ヨータ、ワタシにはいつもそう言いマス」
カレン「何か理由あるんデスか?」
陽太「……何しでかすか分からないから」
カレン「ワッ! 仮にも女の子に向かって、そう言っちゃいマスカ……」
カレン「きっとヨータは、モテないデスね」
陽太「……」
カレン「図星デス?」
陽太「ああ。そういうことにしておいてくれ」
カレン「……怪しいデスね」
綾「それじゃあね、カレン。また明日」
カレン「アヤヤ! また明日デスッ!」
カレン「……ところで、アヤヤ?」
綾「な、なに?」
カレン「……今日の、お昼休みのことデスが」
綾「……!」
カレン「イエ。やっぱり、言わないでおきマス」
綾「……何か言いたいことがあったりする?」
カレン「ありマス」
カレン「アヤヤ? 素直になった方がいい時もあると思いマス」
綾「……カ、カレン」
カレン「それでは、また明日デスッ!」
-
忍「――それでは、私たちもここで」
陽太「おう、また明日」
アリス「……また明日」
陽太「アリス? どうかしたか?」
アリス「う、ううん、何となく」
アリス「もしかしたらヨータと、その……ラ、ライバルみたいなものになっちゃったのかなって」
陽太「……忍。アリスの誤解みたいなの、明日までに解いておいてくれないか?」
忍「ああ、陽太くんにヤキモチをやくアリスも可愛いですねぇ……」ニコニコ
陽太「……だめだこりゃ」
綾「ええ。それじゃあね、二人とも」
忍「……綾ちゃん」
綾「な、なに、しの?」
忍「いえ、なんでもありません」
忍「ただ……気になるのであれば、聞いてみるのもいいのかもしれませんね」
綾「……しの?」
忍「さっ、アリス? 帰りましょうか」
アリス「うん、シノッ」
アリス「またね、二人ともっ」
陽太(そう言いながら、二人は帰っていった……)
陽太(カレンが一番先に別れて、その次に忍とアリスが別れる……というのが、いつもの流れなんだけど)
陽太「小路」
綾「な、なに?」
陽太(今日は、いつもと少し違うのかもしれない……)
陽太「……なんだか」
陽太「カレンと忍と、色々話してたな」
綾「……べ、別に」
綾「大した話じゃないわよ」
陽太「……何か、気になってることとかあるのか?」
綾「い、いや、何もないわ」
陽太「そっか」
綾「うん」
陽太「……そっか」
綾「そ、そこでいきなり沈まないでよ」
-
陽太「いや」
陽太「忍相手なら大体、アイツが何を思ってるのか分かる気がするんだけど」
陽太「まだまだ、小路相手だと……俺の勘も外れちゃうんだなって。そう思ったから」
綾「……あ、あなたね」
陽太「何かあるなら言ってほしい」
綾「……猪熊くん?」
陽太「……これ、勘だから。もし違ったらごめん」
陽太「忍とはたしかに一番、付き合いが長い幼なじみだけど……」
陽太「俺は小路も、大事な幼なじみだって思ってるから」
綾「……!」
陽太「だ、だから……」
綾「もう、猪熊くんったら」
綾「私、何も気にしてないわよ?」
陽太「……小路」
綾「猪熊くんは、ちょっと気にしすぎ」
陽太「……それなら、いいんだけど」
綾「うん」
陽太「……」
陽太(――どうしよう)
陽太(小路が何かを気にしてるのはホントだと思う)
陽太(これも経験上、小路がホントに何かを隠したい時……ただムキになって否定してこない)
陽太(何もなかったかのように流す。で、今もそうだった)
陽太(でも一体、何を気にして……)
-
――ワタシの知ってる限り、ヨータが名前で呼んでるのは……シノだけデスッ!
陽太(……あ)
――忍は、ずっと昔からの幼なじみだから……な、何となくだよ
――そうですね……言われてみれば、私も名前でお呼びするのは陽太くんだけでした
陽太(ま、まさか――)
陽太(小路が気にしてるのって……)
綾「い、猪熊くん、どうかした?」
陽太「えっ?」
綾「さっきから、落ち着きなさそうだったから……」
陽太「い、いや……それは」
綾「もう。落ち着きないのはいいんだけど」
綾「気をつけてね? 人にぶつかったりしたら、私が大変なんだから」
陽太「……小路は、俺の保護者か?」
綾「べ、別に、猪熊くんの保護者ってわけじゃ」
綾「私たち、そんなに繋がりあるわけじゃないし」
陽太「……そっか」
綾「……あ」
陽太(やっぱり、そういうことか)
綾「い、今のは別にっ!」
綾「私が気にしてたことってわけじゃ……あ、あれ?」カァァ
陽太(うわ、慌ててる……)
-
陽太(――さて)
陽太(どうしよう)
綾「べ、別に、付き合いの長い幼なじみが、しの一人だからって……」
陽太(小路が気にしてることは分かった。ただ……)
陽太(俺が「そういうこと」をしたからって……小路は納得するのか?)
綾「猪熊くんがしのを大切に思ってるのは、私にもよく分かるから」
陽太「……え?」
綾「猪熊くんとしのが話してる時、凄く……仲良さそうというか」
綾「お互いのことが、本当によく分かり合ってるって。そう思って……だ、だから」
綾「しのが大事なのは当たり前、よね」
陽太「……小路」
綾「そ、それじゃ! 私、そろそろこの辺だからっ!」
陽太「……いつもの場所までは、もう少しあるけど」
綾「じゃ、じゃあっ! また明日っ!」
陽太(そう言って、小路は走っていこうとする)
陽太(でも、渡ろうとした交差点の信号は赤だった。そこで、小路は止まる)
陽太(俺は、自分でもビックリするくらいのスピードで――)
陽太「えっと……あ、綾?」
綾「……え?」
陽太(その「名前」を、呼んだ……)
-
陽太「……」
綾「……」
陽太「し、信号、青になったぞ?」
綾「……あ」
綾「そ、そうね。うん……」
綾「ね、ねえ、猪熊くん?」
陽太「ど、どうした?」
綾「さっき……何か言った?」
陽太「……」
綾「目、逸しちゃうんだ……」
陽太「いや――恥ずかしくて」カァァ
綾「……もう」カァァ
綾「あっ! また、信号が赤に……」
綾「い、猪熊くんのせいで……」
陽太「……ごめん」
-
綾「まったく、猪熊くんったら……」
陽太「ごめん」
綾「ど、どうしてさっきから謝ってるの?」
陽太「いや……何となく?」
綾「あ、謝るくらいなら、しないでよかったのに……」
陽太「……そうしたら」
陽太「あ――こ、小路が悩んだままかもって思ったら、つい……」
綾「……猪熊くん」
綾「……あ」
綾「そろそろ、青になったわ。それじゃ、またね」
陽太「あ、ああ……またな」
綾「……」
陽太(交差点を渡る途中、小路はこっちを振り返った)
陽太(顔だけを俺に向けながら、小路は――)
綾「ま、また明日……よ、陽太」カァァ
陽太(瞬間、俺の身体はピクリとも動かなくなって)
陽太(それはもしかしたら、顔を真っ赤にしてる小路も同じで)
陽太(――明日から、色んな意味で大変かもなぁ、なんて思ったりした)
-
ここまでになります。
続きは書けないかも、と書いた後で、ふと思いついてしまったもので……
これからこの5人がどうなっていくのか、これもうわかんねぇな
ありがとうございました。
-
陽太「……ただいまー」
空太「陽太お兄ちゃん、お帰り」
美月「お帰りー」
陽太「おお、二人とも」
陽太「……今日は疲れた」
空太「な、何だか珍しい……」
美月「普段あんなに単純で、何の悩みもなさそうな陽太お兄ちゃんが……」
陽太「お、俺って……そんなに単純か?」
空太「うん」
美月「うん」
陽太「さ、さすが息ぴったり……」
陽太「俺だって、悩むことくらいあるんだぞ?」
空太「たとえば?」
陽太「……」カァァ
美月「わ、顔真っ赤……」
空太「な、何か、こっちまで照れちゃうね……」
陽太「……あー、もうっ!」
陽太「凄く恥ずかしいから、とにかく走ってくるっ!」
美月「い、行ってらっしゃい……」
空太「……陽太お兄ちゃん、どうして部活入らなかったの?」
陽太「い、いや。運動部とか興味あったけど……そうしたら」
陽太「あいつらと一緒に、いられないし」
――2時間後
陽太「……は、走りすぎた」ハァハァ
美月「お兄ちゃん? 陽太お兄ちゃんの着替えは?」
空太「大丈夫。用意してる」
美月「それじゃ、お兄ちゃん? お風呂できてるよ」
陽太「……ホ、ホント、出来た弟たちだな」
美月「べ、別に、陽太お兄ちゃんのためってわけじゃ……」
空太「そ、そう。別に、陽太お兄ちゃんの――」
陽太「……まだまだ、ツンデレにはなれそうにないな」
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――30分後
陽太「ああ、さっぱりした……」
陽太「……ん? 着信?」
陽太「もしもし?」
綾「わっ!?」
綾「ホ、ホントに出るとは思わなかったわ……」
陽太「偶然だな。今、風呂から上がったところなんだ」
綾「……猪熊くん、疲れてない?」
陽太「いつもの倍近く走っちゃったからな」
綾「あ、朝も走ってたわよね……?」
陽太「まあ、誤差の範囲内だ」
綾「誤差を通りすぎて、別物になってる気がするけど……」
綾「ま、まあ、いいわ」
綾「私も、さっき、お風呂から上がったところだし」
陽太「……似てるな」
綾「に、似てないからっ!」
陽太「それで? 何か用事とかあるのか?」
綾「……えっとね」
綾「明日の宿題を、ちゃんとやったのかの確認というか……」
陽太「……小路と俺の宿題?」
綾「……も、もう、それでいいわ」
綾「え、えっと……その」
綾「呼び方、の話なんだけど」
陽太「……何のことだ?」
綾「さ、さすがに、そこから始めたらまとまらないからっ!」
陽太「……しょ、しょうがないな。認めるしかないのか」
綾「……わ、私だって恥ずかしいんだけど」
綾「い、猪熊くんは、どうなのか分からないけど」
綾「わ、私は……やっぱり『猪熊くん』のままがいいというか」
綾「そ、そういう感じ」
陽太「……俺からしたら」
陽太「それは、小路の好きにしたらいいと思う」
綾「……猪熊くん」
陽太「ああ。別に、その……な、名前で呼んでも俺はいいけど」
陽太「忍たちはともかく、カレンにからかわれることには注意な?」
綾「……うう」
陽太「あのさ、小路?」
陽太「カレンに釣られる形で、その……さ、さっきみたいなことになっちゃったけど」
陽太「呼び方だけで、仲良さっていうのは決まらないって思うから」
綾「……そうかしら」
陽太「そうだよ、多分……」
-
ここまでです。
陽太「それじゃ、小路。またな」
綾「え、ええ……またね」
陽太「ん」
綾「……ありがと、猪熊くん」
陽太「え?」
綾「そ、それじゃっ!」
陽太「……」
陽太「――ああ」
陽太「やっぱり女子って、分からないのかもなぁ」
陽太(高校になってから小路って、何となく分かりにくくなってきた気がするし)
陽太(カレンもそうだし。忍とアリスは……まあ、例外としても)
陽太「――綾」
陽太「……」
陽太「や、やっぱ、これはナシだな。うん」カァァ
陽太「……はぁ」
――その頃
綾「……はぁ」
綾(猪熊くんが何を考えているか、分からなくなってきた……)
綾(中学の頃は、しのが間に入ってくれたおかげで分かりやすかったけど……)
綾(高校に入ってからは、そういうわけにもいかなくて……だから)
綾「……陽太」
綾「……!」
綾「や、やっぱりナシね。これは……」カァァ
-
sage進行しよう!
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いいじゃないですかSSは自由ですから
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