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春香「アメリカ皇帝列伝だよ、千早ちゃん!」
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(前回のあらすじ)
亜美真美が目撃した、ヒゲでゴテゴテした軍服みたいなのを着たアメリカ皇帝の正体とは?
そして、だいたいナポレオンが悪い
(※春香「千早ちゃんはエンペラーじゃないじゃん!」http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read_archive.cgi/internet/20196/1420983439/-100)
【ルール無用の修羅の国ハイチ】
春香「そして19世紀、カリブ海の島国ハイチにも二人の皇帝がいたんだよ、実は!」
千早「いや、ハイチもアメリカ大陸かと言われればそうかもしれないけど・・・」
春香「九州以下、最盛期でイスパニョーラ島全土支配してても北海道以下の面積なのに帝国を称するガッツ!
しかも二人とも、王族でも名門貴族でもないただの黒人奴隷出身なのに皇帝を自称しちゃうチャレンジングスピリット!」
千早「それ、絶対褒めてないでしょ・・・」
(※イスパニョーラ島の地図・西1/3がハイチ、東側がドミニカ→
https://www.google.co.jp/maps/@18.8961568,-71.1403118,8z?hl=ja)
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春香「えっとまぁ、キッカケは例によってナポレオンです
18世紀末、ハイチはサンドマングと呼ばれ、50万人近い黒人奴隷が砂糖を生産しているフランスの植民地だったんだ
でもフランス革命をきっかけに、全土で黒人奴隷の反乱が勃発、その中でトゥーサンという黒人がリーダーとして台頭、
94年の奴隷解放宣言後はスペイン・イギリスの大軍も撃破して全イスパニョーラ島を把握して、ついに自由と自治を勝ち取る!
・・・というところでナポレオンが登場、砂糖を大量に生産する植民地を回復するために、
再征服の為の大軍を送り込み、トゥーサンも騙し討ちで殺されちゃうんだよね」
千早「トゥーサン・ルベルチュールは歴史の授業で習った気がする、ハイチ独立の父だっけ」
春香「それが、違うんだなぁ!
トゥーサンの腹心の一人だったジャン・ジャック・デサリーヌさんことハイチ初代皇帝ジャン1世陛下がハイチ独立を宣言したんですよん!
トゥーサン死後も抵抗を続けたデサリーヌは、風土病の猛威の力も借りてフランス軍の撃退に成功
三色旗から白人の『白』を抜いた赤と黒の二色旗を国旗として1804年に独立国家ハイチ帝国の建国を宣言します」
真美「三色旗から白抜いたら赤と青じゃん・・・(※現在の国旗は赤青、ペシャンが変更した)」
亜美「だから何故、そこで皇帝名乗るのかなぁ?」
春香「だから言ったじゃん、人民の代表者=皇帝、みたいなイメージが19世紀にはあったんだって」
(※皇帝ジャン1世→
http://voices.nationalgeographic.com/files/2010/04/dessalines-image.jpg)
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春香「そんな戦争では圧倒的に強かったジャン1世、一時期は東部のドミニカまで占領するほどの勢いも見せますが!
しかしその実態は、ただの白人絶対殺すマン!土地は全部没収!でも農園の奴隷労働は継続!
無茶苦茶ぶりに、もともと自由民だったムラート(白黒混血民)たちは危機感を覚え、南部で反乱を起こします」
千早「ブラジルやメキシコの皇帝たちと違って、ある意味わかりやすい人ね・・・」
真美「すげぇラスボスの皇帝っぽい!そんで、主人公に倒されたあと、後悔の涙を流してから死にそう!」
春香「まあ、当然こんな人が長生きできる理由もなく、在位二年であっさり暗殺
南部はムラートの独裁者ペションが、土地解放・奴隷の自作農化、公共教育の無償化など開明的な政策で近代化を成功させる一方・・・
北部ではジャン1世の後継者クリストフがハイチ国王アンリ1世として即位!
農民は大農園で奴隷労働!あと、山奥に巨大宮殿サンスーシーと、巨大要塞シタデル※作るから死ぬまで働け!
南部が繁栄してて悔しいから侵略すんぞ!ヒャッハー!」
千早「なんというか・・・世界史上初の黒人独立共和国ってイメージが欠片も無い・・・」
亜美「むしろここまで清々しい悪役は最近貴重だね、スクエニも見習おう!」
春香「それでも9年は頑張ったアンリ1世も、結局は反乱軍に追い詰められて自殺
王の死後、北部は南部に併合されてハイチは無事に統一されます
伝説によれば銀でできた銃に装填した黄金の弾丸で頭打ち抜いて自殺したとか・・・」
真美「テンプレ過ぎて、漫画なら編集さんにダメ出しされるレベルだね」
(※現在、ともに世界遺産
こんな感じ→http://www.isabeaudoucet.org/wp-content/uploads/IMG_2976.jpg)
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亜美「ハイチはもう十分堪能したよ・・・っていうか、黒人じゃないよ、亜美たちの言ってるの」
春香「(無視)ところが、ここで終わらないのがハイチのすごいところ!
何と1849年、第二代ハイチ皇帝ファウスティン1世が登場しちゃうんだね」
千早「え、何それは・・・(ドン引き)」
(※皇帝ファウスティン1世
→http://img818.imageshack.us/img818/4615/soulouque.jpg
その王冠→http://pbs.twimg.com/media/BNiiYu2CUAAzsLX.jpg:large)
春香「1847年、経済的繁栄を独占するムラートたちに反発した軍部は、元奴隷の軍司令官
ファウスティン・エリ・スウルーク(65歳)を担ぎ出してクーデターを起こすんだけど・・・
ここで大統領に就任したスウルーク爺ちゃん、何を思ったのか突如、二代皇帝として即位!」
真美「奴隷少年は、皇帝になることしか考えないのか・・・(偏見)」
春香「首都ポルトープランスでは反対派のムラートたちを大量虐殺!ライバルみんな粛清!
やっと独立を果たした隣国ドミニカへの度重なる侵略戦争と敗北!秘密警察『ジングリン』を組織して反対派は徹底弾圧!」
亜美「この人、頭おかしい・・・(小声)」
春香「とまあ、老境に入ってから突き抜けちゃったファウスティン1世だけど、10年に及ぶ暴政の末、
ついに結束したムラートの革命委員会により打倒されジャマイカに亡命、そこで84歳で亡くなります」
真美「しゃ、釈然としないラストだ・・・そこは革命軍の数十人も道連れに派手に自爆で散ろうよ!」
千早「なんとなく今のハイチの惨状の原因の一つを見た気がする・・・」
春香「その後も黒人とムラートの終わりなき対立、19年に及ぶ米軍による占領統治、デュバリエ一族による独裁と来て、
トドメが2010年のハイチ大地震でいまだに無政府状態が続いてるんだよね・・・」
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【アメリカ合衆国皇帝ノートン1世陛下の幸福なる治世】
春香「と、前フリはいいとして、いよいよ真打の登場ですよ!」
千早「(前フリが長すぎる・・・)」
春香「南北戦争前夜、内戦への不安と恐怖に暗く沈む1859年9月17日のサンフランシスコ
ここに真の人民の味方、平和の使者、アメリカ合衆国初代皇帝ノートン1世陛下が颯爽と登場します!」
千早「アメリカ合衆国・・・皇帝・・・!?」
春香「しかも即位にあたっては、布告文を陛下自ら新聞各社にわざわざ配布して歩くというフレンドリーさ!」
『皇帝宣言
合衆国市民の大多数の熱望により、余、ジョシュア・ノートンは合衆国皇帝たることを宣言する
余は皇帝の権限によって、来年2月1日に、各州の代表者が、サンフランシスコ音楽堂に参集することを命ずる
その集会において、余はこの国の従来の悪法を改め、国家の安泰と繁栄を達成せんとするものである
1859年9月17日
合衆国皇帝にしてメキシコの擁護者 ノートン1世』
(※皇帝ノートン1世陛下御真影
→https://moreorlessbunk.files.wordpress.com/2010/06/nort1.jpg)
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も!
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亜美「ヒャッハー!変なおじさんだぁ!(歓喜)」
千早「これ・・・ただのアレな人なんじゃ・・・」
春香「内戦の危機を回避できない無能な議会と政党の解散を命じて無視されても、
招集した音楽堂での集会に誰ひとり参加者がいなくても、やんわりと臣民を叱責するに止める優しさに全米が泣いた!(嘘気味)」
真美「ノートンさんの優しさはホンマ天井知らずやでぇ!!」
春香「そして内戦の回避に全力で乗り出すノートン陛下、ついに北部のリンカーン大統領と
南部のデイヴィス代表に、和平会談に参加するよう勅令を出し、親書を送ります、が・・・」
デイヴィス「皇帝陛下、私がちゃんとした服装で、陛下の前に伺候することをお望みでしたら至急、500ドル御下賜願います
私は乗馬ズボンを1つ持っているのみの貧乏人ですので・・・」
リンカーン「陛下、お便りでささいな話を思い出しました
このことは今度ご拝謁賜った折りにお話ししますが、私はデイヴィスなる胸糞の悪くなるような逆臣
と会談する気はございません、何とぞあしからず
(※暗殺により、不忠の臣リンカーンは、ついに拝謁の機会を逃した)」
千早「ちゃんと返事書いてるんだ、一国の代表が、しかもちゃんとジョークで返してる・・・」
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春香「帝都サンフランシスコでは通用するノートン紙幣(※市内の印刷屋が無料で発行、カリフォルニア州銀行も公認、市民も喜んで受け取った。
現在かなりのプレミア価値アリ)は山ほど持っている陛下も、いかんせん外貨ドルの準備高は5ドル以下・・・
帝室財政がもっと豊かだったならば南北戦争の悲劇も回避できたのにね、歴史って残酷だね」
真美「デイヴィス君も、一国を代表するなら服くらい自分で買おうよ!」
(※ノートン陛下の皇帝服は、貰い物の軍服をもとに、皇帝自ら手縫いしたハンドメイド
なお、古びてくると皇帝は毎回布告を出し、サンフランシスコ市役所が予算で軍服を献上差し上げていた)
春香「誠実で勤勉な庶民派皇帝ノートン1世陛下、毎日のご公務も精力的にこなされています
侍従のバマーとラザルス(※野良犬)を連れて帝都サンフランシスコを毎日巡回なさり、
白人たちと中国人労働者たちが乱闘しているのを見かければ間に入って仲裁し、帝都内のインフラや警官たちの服装・身だしなみを
隅々まで自らの目で厳しくチェックなさり、即座に的確な勅令を下されるというチートっぷり。例えば・・・」
・「余はオークランドとサンフランシスコ間に吊橋を建設する計画を立てた
この吊橋には鉄道が敷設され、別にオークランドを終着駅とする路線はヤーバ・ブエナから(中略)ファラローネに至る」
(※20世紀に、そのままのルート計画で実現するという先見の明)
・いち早く諸国平等な関係での国際連盟の樹立を宣言なさる
・巨額の債務と列強の介入に苦しむメキシコに、無償・無利子でノートン通貨による巨額の財政支援を申し出る
・新米のバービア巡査による大逆事件(※ホームレスとして保護)に市民が激昂するが、
署長自らの謝罪に、笑って恩赦と訓示を賜られる
・「クリスマスは帝都市民一丸となって街を装飾するように」との勅令に、市を上げての一代キャンペーンに
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春香「かと言って歳入ほぼゼロの帝室財政でしたが、市内の高級レストラン、酒場、図書館、劇場、全部フリーパス
レストランは『皇帝御用達』の看板を掲げる権利を下賜されて大喜び、劇場では陛下のご来臨を観客全員が起立でお迎え・・・」
千早「そこまで市民に愛されるのって、かなり凄いことなんじゃないかしら・・・」
春香「1880年に街頭で老衰で崩御されるまで、陛下は臣民に愛され平和で平穏な治世をなされました
市当局主催の葬儀には帝都内外の臣民数万人が集まり参列、崩御を嘆き悲しんだとか」
『彼は誰も殺さず、誰からも奪わず、誰も追放しなかった
彼と同じ称号を持つ人物で、この点で彼に立ち勝る者は1人もいない』(NYタイムズの追悼記事)
千早「・・・確かに、他の6人のアメリカの皇帝たちと比べると、色々と考えさせられる話ね・・・」
春香「ホンモノの皇帝よりも偉大で、妄想で多くの人々に幸福をもたらしたニセモノの皇帝のお話、どうよ?」
亜美「うんうん、面白かった!ただ・・・」
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小鳥「お前たち、もう寝なさい」
千早「あ、小鳥さん、お帰りなさい」
真美「誰このジジイ」
春香「ノートン陛下の妄想はみんなを幸せにしたというのに、小鳥さんときたら・・・」
小鳥「えっ!?帰ってきていきなりDisられた!?」
亜美「はるるんの話は面白かったけど、でも、この爺ちゃんでもないんだよね→
軍服ってももっとゴテゴテしてたというかメタリックで仮面付きの未来的なカッチョいい奴で・・・」
真美「そうそう、ヒゲもマクシミリアンみたいな金髪だけどもっと短くて・・・そう言えば逆モヒカンだった!」
千早「・・・え?仮面?逆モヒカン?・・・皇帝、なのに・・・?」
春香「・・・あっ(察し)」
ここで例のBGM(※アイズ・オブ・ザ・ワールド)スタート。甲冑コスの雪歩、キャラの方向性を間違える
甲冑コスの雪歩「猪木!俺と戦え!怖いか猪木、出てこい、猪木!(迫真のマサ斎藤の声マネ)」
亜美「あ!これだよこれ!このカッチョいい宇宙っぽい軍服!」
春香「よーし、ビックバンベイダー、このヤロウ!受けてやる、このヤロウ!
どうですかお客さん!(※後に定番セリフとなるが、この時「お客さん」とは言ってない)」
千早「えっ、何これは・・・(困惑)」
小鳥「皇帝戦士ビックバンベイダー・・・
たけしプロレス軍団の刺客として1987年12月27日の、新日の両国国技館大会に送り込まれた最強外人レスラーだピヨ・・・」
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春香「・・・シャア、このヤロウ!(コス外し中に仕掛けるはる猪木)」
真「おおっとここで雪歩のパンチパンチ、パンチ攻撃だ!・・・ここでリフトアップ!」
亜美「春香、しっかりしろ!いいとこ見せてくれ!」
真「春香危ない、春香危ない!・・・雪歩の強烈なラリアット!・・・いとも簡単に春香を持ち上げてパワースラム!
・・・ここでフォール!・・・カウントが1、2、3・・・!驚きました、春香いいところなし!」
亜美「2試合連続でしょっぱい試合見せやがって!(テーブルバキー)」
真美「ふざけんな、金返せ!(イスボコー)」
小鳥「お願いですから今日のところは帰ってください・・・!事務所が使えなくなってしまいます!(土下座)」
千早「・・・イイハナシダッタノニナー」
(※ビートたけし率いるたけしプロレス軍団による新日への殴り込みで鮮烈デビュー、
という脚本=アングルだった新日のアメリカ人レスラー・ビックバンベイダー
しかし噛ませ犬役の藤波辰爾が負けブックを拒否。急遽、長州力との因縁の対決の予定だった猪木が代行することに
しかし、当然だがこのシナリオを知らずに会場に来た観客は、長州VS猪木でなく、
長州・斎藤VS藤波・健吾を見せられることになり、大ブーイング
予想外の観客の荒れ方に慌てた新日は、おそらく即興で5分間の長州VS猪木戦を入れるも、
グダグダな展開のまま、その日デビューの馳浩の乱入で反則負けという塩試合っぷり
続くベイダー戦でも3分であっさり猪木がフォールされて終わりというしょっぱさに、ついに観客が大爆発
物を投げ椅子や備品を破壊しまくる暴動へと発展、田中アナの涙の説得もむなしく国技館は破壊し尽くされ、
新日本プロレスは相撲協会から損害賠償と国技館使用禁止を宣告されることとなった
この日本プロレス史上に残る大事件がデビューだったものの、ベイダーはその後
日本でもっとも活躍した外人レスラーの一人となり、馳浩は国会議員になった
ベイダーさま御真影とインタビュー→http://allabout.co.jp/gm/gc/212931/
歴史的な国技館戦→https://www.youtube.com/watch?v=VFiq7G2xVks)
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歴史ハルカッスすき
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ノートン陛下で綺麗に落とすかベイダーオチにするか、元々悩んでいたんですが、昨日
ノートンオチを素早く見抜かれてしまったのでベイダーオチで
ノートン陛下の正体については、奇跡的にアンサイクロペディアと内容が大差ないウィキペディアを読んでみてください
そして入れ替わるように現れる葦原天皇。東スポ的なノリは戦前も戦後も一緒だというお話
長くなってスンマセン・・・
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昨日久しぶりに質問?したらすぐスレが落ちたゾ…
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ベイダーが出る頃の親日は猪木錯乱の象徴なのでNG
坂口パパに謝って、どうぞ
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