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春香「千早ちゃんはエンペラーじゃないじゃん!」

1 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/01/11(日) 22:37:19 NKzRZiE2
春香「セックス・ピストルズじゃん!ちなみにワキガのミスタはプロデューサーさんが・・・」
千早「いや、確かに皇帝の話をしてたけど、いきなりやって来てエンペラーじゃないとか言われても・・・」
亜美「そうだよ、はるるん!相変わらず唐突に話に割り込んできて意味わかんないこと言うのやめてよ→」
黒井社長「最高に『ハイ!』ってやつだアアアアア!!」
高木社長(若)「『銃は剣よりも強し』ンッン〜、名言だなこれは、なぁJ・ガイルの旦那ぁ!」
千早「・・・話がややこしくなるから社長たちはお帰り下さい、あと鏡割らないで下さい」
真美「ちなみに涼ちんが16×55=28のナランチャだよん」

春香「で、皇帝がどうしたって?」
亜美「はるるんはアレだね、きっと前フリしないと死んじゃう病気なんだね
亜美んちの病院、来る?」
千早「・・・亜美と真美がね、TVでアメリカに皇帝がいたんだよって言い出して
アステカかインカの皇帝の話かと思ったけど、写真に写ってるのを見たって」
真美「そだよ→収録のちょっとの合間に控え室で見てたから内容よく判んなかったけど、
なんかゴテゴテした軍服みたいなの着たオッチャンが写真に写ってた」
亜美「亜美もチラッとしか見てないんだけどさ、気になんじゃん!だって、アメリカに皇帝だよ!?」
千早「それで私に質問されてて、ちょっと困っていたのだけれど・・・春香、何か知ってる?」
春香「う〜ん19世紀だけでも7人はいるからなぁ、アメリカ大陸の皇帝・・・誰だろ?」

【ブラジル皇帝ドン・ペドロの栄光と挫折】
春香「えっと、まずブラジルに皇帝が二人いるね
って、ブラジルが半世紀以上も帝国だったのは知ってるよね、千早ちゃん
一緒にリオ郊外のブラジル皇帝の宮殿ペドロポリス見に行ったもんね?※」
(※『千早「その急斜面は私じゃないわよ、春香?」』
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read_archive.cgi/internet/20196/1412598866/-100

千早「確か、リオデジャネイロの郊外なのに、中世風の小城や教会が立ち並んでる光景があって、
スイスかドイツの別荘地みたいでビックリしたのは覚えてる」
春香「まぁ、あそこは2代目皇帝ドン・ペドロ2世の離宮みたいなもんなんだけどね」
亜美「ブラジル、すげぇ!アーサー王や神様だけじゃなくて、皇帝もいたのか!?」
真美「ジーコサッカーとかいうクソゲー界のレジェンド」


2 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/01/11(日) 22:37:48 NKzRZiE2
春香「1807年のフランス皇帝ナポレオン1世の侵攻で本土を占領されちゃったポルトガル王室が、
一族揃って植民地のブラジルに逃げてきて樹立したのがブラジル王国
植民地から一気に本国に昇格して狂喜乱舞のブラジル市民も、一丸となって打倒ナポレオンのための富国強兵・近代化に爆走!
・・・し始めたのはいいんだけど、数年でナポレオン軍を破ってイギリス軍が本土を解放、
今度はイギリス軍が、いろいろ理屈つけてはポルトガルに居座り、保護国化し始めるという・・・」
真美「マジかよ、リネット最低だな!」
亜美「その復讐が2006年のワールドカップなんだね!ロナウド is GOD」

春香「で、1820年、スペインと時を同じくして自由主義者の軍人たちがポルトガルで蜂起、
いわゆる護憲革命でイギリス軍を追い出し、国王一家の本国帰還を呼びかけます」
真美「白豚(ジョアン6世)、帰ってこ〜〜〜〜〜〜〜い!」
千早「てことは、王様はポルトガルとブラジルの二つの王国の国王になるってこと?」
春香「ところが、壊滅した本土復興に死ぬほどお金のいるポルトガル革命政府は、ブラジルから搾り取るために、
主権も権限も独立も取り上げて元の植民地に戻すことを画策するんだよね
まぁ、自由主義者たち=新興の商工業者たちなので、ブラジルが勝手に自国で製造業起こしたり、
世界と自由貿易されたりすると、資源も市場もブラジル頼みの経済が成り立たなくなって困るってのもある」
千早「事情はわかるけど、それはそれで自分本位な理由ね・・・」
春香「で、当然納得のいかないブラジル市民たちは本国に帰った国王の代行としてブラジルに残っていた、
開明的な23歳の王太子ドン・ペドロを皇帝として担ぎ出し、1822年ブラジル帝国の独立を宣言するわけですね」


3 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/01/11(日) 22:38:28 NKzRZiE2
亜美「ん〜、わかんね。なんで『王様いらね!共和国万歳!』にならなかったんだろ?」
春香「そう、その辺が色々複雑なんだよ。
本来、王政に批判的な人達はポルトガルの革命政府に同調的だったってのもあるし、独立派の中心は、
奴隷農園を経営する保守派が多かったってのもあるしで、他の中南米の旧スペイン植民地諸国みたいな共和国になんなかったの」
千早「王国から帝国が独立するって、なんだか変な感じね」
春香「まあ、領土面積的には帝国って言っても問題ないくらい広いって他、色々理由あるんだけどね
ナポレオンが『フランス人民の皇帝』に即位してから、人民の代表者=皇帝、貴族の代表者=国王、
みたいな先入観が19世紀の人々の頭にあったんじゃないかって気がする、特にアメリカ大陸では」

(※ドン・ペドロ1世→
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/f/f3/Pedro_I_por_Henrique_Jos%C3%A9_da_Silva.jpg

真美「あ〜でも、この人じゃないなぁ〜、もっとジジィだった気がする」
春香「在位10年経たずに退位して30代で結局ポルトガルに帰っちゃったし、じゃあ違うね」
千早「退位早いわね・・・」
春香「自ら反乱軍の先頭に立って『独立か死か!』って叫ぶくらい最初はカッコよかったんだけどね
皇帝絶対の中央集権体制を強引に進めたり、最大の庇護者イギリスの外圧で奴隷解放やろうとしたり・・・
結局、自分の娘が女王に即位したポルトガルで内戦が勃発したのもあって、その後見をするために、
12歳の息子ドン・ペドロ2世に後を継がせて帰国しちゃうのでした」

(※皇帝ドン・ペドロ2世→
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/a2/Victor_Meirelles_-_Pedro_II.jpg


4 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/01/11(日) 22:39:05 NKzRZiE2
千早「じゃあ、その息子の方かしら。そっちは長続きしたの?」
春香「まあ、重度の糖尿病でヘロヘロになるまではね
皇族や半島出身者(ペニンスラール)中心の皇帝独裁に近い統治だったし、反乱も多かったけど、
最もブラジルを近代化し繁栄させた名君って意見も最近有力だね
まあ結局、要介護状態になった上にアメリカ大陸で最後の奴隷解放令出しちゃったのが致命的で、
大農園主たちの多い軍部将校団の無血クーデターで失脚、1889年に皇帝一族はヨーロッパに亡命して帝政は終わっちゃうのでした」
亜美「よーするに何?ブラジルの皇帝は、二人ともヨーロッパに逃げ帰っちゃったってこと?」
真美「いや、ヒゲは生えてたけど、こんな立派なヒゲじゃなかったような気がするなぁ」
春香「生きて帰れただけまだマシな方だって、例えばメキシコだと・・・」


5 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/01/11(日) 22:39:45 NKzRZiE2
【処刑された二人のメキシコ皇帝】
春香「メキシコも、ナポレオンが本国スペインに侵攻・占領したことによる大混乱がきっかけなのは一緒だね
ただ、こっちは、何せスペインが何世紀にも渡って一方的に銀を収奪するだけの圧政してたからね
1810年に、クリオーリョ(植民地出身の白人)のイダルコ神父の蜂起を期に、
メスティーソ(混血)やインディオを含めた、ぺニンスラールへの反乱が各地で勃発して泥沼の内乱が何年も続くんだ」
亜美「そーいや前、ファンの兄Cたちに、『ぺニンスラホテルって10回言って!』ってお願いされた。あれ何だろうね?」
真美「真美も『インカ皇帝マンコ・カパックって10回言って!』ってお願いされた、兄Cたちに」
千早「ち、地理や歴史の勉強に熱心なファンが多くて良かったわね、二人とも・・・
(社長、こういうのを何とかするのが、あなたの仕事なんですよ?)」

春香「どーせリン・レンがもっとド直球なセリフを言わされまくってるだろうし、へーきへーき(適当)
・・・で、イダルコ神父が処刑された後はメスティーソのモレーロス神父が後継者となって、
反乱は独立と自由と人種の平等を目標とした民族革命へと成長し、臨時政府や議会まで樹立しつつも、
メキシコシティーの国王派政府を打倒できないまま10年以上の泥沼に・・・
そんな中、1820年にスペイン本国で自由主義革命が勃発、植民地政府内部でも王党派と議会派で揉め始める中、事態が急展開!」
亜美「ていうか、全然皇帝が出てきそうにないんだけど→」
春香「ここで登場するんだな〜これが。
反乱鎮圧の主力軍を率いていた司令官イトゥルビデ大佐が、指導部の混乱を見てまさかの寝返りを敢行
モレーロスの後継者ゲレーロと握手してメキシコシティーに入城、一躍独立革命のリーダーになっちゃいます」
千早「ああ、なんとなく先が予想できるんだけど・・・」
春香「うん、自由主義革命よりマシだろう思った王党派や保守派の支持を得たイトゥルビデは、
独立の翌年1822年に、メキシコ皇帝アウグスティン1世として即位しちゃうんだな」

(※アウグスティン1世→
http://mexdesc.impresionesaerea.netdna-cdn.com/images/editorial/agustin_de_iturbide.jpg


6 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/01/11(日) 22:39:59 cftI7VmY
悲劇のメキシコ皇帝マクシミリアン一世やってオチはノートン一世かな?


7 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/01/11(日) 22:40:13 NKzRZiE2
千早「あっ、メキシコとブラジルの皇帝は、同じ年に即位してるのね・・・」
亜美「アカン、アニメだと確実に自滅する流れや・・・」
春香「うん、単に運が良かっただけなのに、急に調子に乗り始めたアウグスティン1世は、
除け者にされたメスティーソやインディオは勿論、味方の王党派にすら見捨てられ、翌1823年に失脚、亡命。メキシコ帝国の存続期間、わずか8ヶ月。
そして再起を図って翌年にメキシコに密入国したイトゥルビデは、速攻で発見され、その場で銃殺されてしまいましたとさ」
千早「ブラジル人が優しいのか、メキシコ人が容赦なさ過ぎるのか・・・」
真美「ていうか、このオッチャン、モミアゲ長いけどヒゲないじゃん」

春香「さて、ロケットのように突き抜けたメキシコ皇帝だけど、粋な置き土産を残していきました
なんと独立の際に、スペイン政府と条約で、国王政府の作った巨額の借款の継承と、
スペインの財産の持ち出し自由を認めちゃっていたと」
亜美「たった8ヶ月でそこまでやるとは・・・さすが天才・・・」
春香「金無い、産業無い、インフラ絶無、農業ガタガタ、おまけに列強諸国への巨額の借金まであるのに、
保守派と自由派・人種間闘争の泥沼が延々と続くというメキシコの地獄は、実はまだ始まったばかりなのでした。
借金取りたてに来た列強の軍隊にボコられたり、アメリカ合衆国からの移民が勝手に独立と合衆国への編入を宣言したテキサスに
正規軍鎮圧に送ったら民間義勇軍に撃退されたり、その後合衆国とも全面戦争になってメキシコ全土を占領された挙句に、
カリフォルニアやニューメキシコ奪われたり、しかも直後にそこからメキシコ財政を救えたかもしれないほどの金鉱が見つかったり・・・」
真美「もうそれ、呪われてるんじゃないの?」


8 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/01/11(日) 22:40:47 NKzRZiE2
春香「そんなメキシコに再び皇帝が登場するのが1864年、そしてキッカケはまたしても皇帝ナポレオン!
1848年2月の歴史的な自由主義革命の波の末にフランス人民の皇帝になったボナパルト家の男、ナポレオン3世!」
真美「ヘーゲルは、全ての歴史的偉業と歴史的偉人は二度現れる、と言った。
彼はこう付け加えるべきだった、一度は偉大な悲劇として、二度目はみじめな喜劇として、と」
春香「んでもメキシコの二人目は結構頑張ってはいるんだよ、報われなかったけど
メキシコを自国のシマと見なしているアメリカ合衆国が南北戦争に突入して介入してくる余裕がないと見たナポレオン3世は、
1862年に借金取立てを口実にメキシコに侵攻、全土を征服して都合のいい傀儡君主国を作る野望を実行に移します」
千早「ナポレオン1世みたいにお兄さんでも皇帝にしたの?」
春香「それが白羽の矢が立ったのは、オーストリア皇帝の弟マクシミリアン大公!
フランスの独善じゃないよ、自由派政権の(教会視点では)圧政からカトリックを救う国際的な君主国連合だよアピールだね
まあ、マクシミリアンさんは自由主義的で開明的な人物だっただけに、不幸な人選だった訳だけど」

(※皇帝マクシミリアン1世→
http://4.bp.blogspot.com/-woIznzco7Ew/UCWdMzb0nMI/AAAAAAAAAAk/3Q0jkOAbzDY/s1600/Maximiliano.jpg


9 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/01/11(日) 22:41:13 NKzRZiE2
千早「マクシミリアンさんが立候補した訳じゃないの?」
春香「いや、本人は固辞したんだけど、『すでにフランス軍がメキシコ全土を制圧した(誇張)』
『選挙では圧倒的多数で皇帝即位が支持された(大嘘)』とかフランスが強引に説き伏せて承諾させたらしい
海軍の近代化の実現とか実績のある人で、当人は自由で開明的な立憲君主国家を作るつもりでメキシコ入りしたらしいんだけど・・・」
真美「ヒゲの色は似てるかなぁ・・・でもこんな長くなかったような・・・」
亜美「で、帝位の最短記録は更新されましたか・・・?(小声)」
春香「されませんでした、ってかぶっちゃけ3年は持ったんだよ、3年は!
でも、状況を甘く見て少数しか兵力投入されなかったフランス軍は苦戦、しかも残忍冷酷な保守派と皇帝は事あるごとに対立
そのうちに火遊びしてる余裕がなくなり始めたフランスが67年2月に皇帝を見捨てて撤退しちゃう」
千早「うわぁ・・・」
春香「まあ、いちおう亡命の勧めをフランスもしてはいるんだけどね
最後までメキシコに残る決断をした皇帝は、6月に自由派政府軍に捕らえられ、侵略者として銃殺される」
真美「一度目はみじめな喜劇として、二度目は偉大な悲劇として、だね・・・」
亜美「どうでもいいけど、このオッチャンも亜美たちの言ってる人と違うよ→」

(※マクシミリアンの処刑→
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/a8/Photography_of_Execution_of_Maximilian_I_of_Mexico,_Miram%C3%B3n_and_Mej%C3%ADa_%E2%80%94_1867.jpg


10 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/01/11(日) 22:42:07 .zq6rX1I
イピランガの叫びとかいう独立宣言すき

というかラテンアメリカ諸国って独立の時に叫びすぎじゃないですかね


11 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/01/11(日) 22:43:09 NKzRZiE2
書いてて長くなったので、後編はまた明日です

>>6
ですよね〜、だいたい正解です
違うオチを考えねば・・・


12 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/01/11(日) 22:45:14 xc/Sx/a6
06ワールドカップのとき亜美真美は4,5歳だろ!

いろいろ本は読んだけどマクシミリアンのメヒコ愛は伝わったけどどうして肯定を降りることを拒んだのかはんにゃぴ、よくわかんなかったです
ベニト・フアレスはほとんどUSAの傀儡政権みたいなもんやし(暴言)
リンカンが生きてたらレコンストラクションももっと変わってマクシミリアンの運命も変わっていたかもですね


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