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剣心「拙者の十字傷がなくなったでござる!」

1 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/29(月) 22:47:43 8MKrX.5g
神谷道場──

早朝、桶に入った水で顔を洗おうとする剣心。

剣心「ふぅ……」チャプ…

剣心「──ん?」

剣心「!」

剣心(な、ない……!)

剣心(十字傷がなくなっている……!?)


"
"
2 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/29(月) 22:50:49 8MKrX.5g
剣心(ない! たしかにない!)

剣心(清里殿……巴……。拙者があの二人を斬殺した時についた傷が……なくなった……)

剣心(二人とも……かたじけない……!)

剣心「おっと、こうしてはおられぬ」スクッ

剣心「拙者の十字傷は、もはや拙者だけの問題ではなかったのだからな」

剣心「さっそく薫殿や弥彦にも、このことを伝えねば……!」


3 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/29(月) 22:53:20 8MKrX.5g
まもなく薫が起きてきた。

剣心「薫殿!」

薫「?」

剣心「拙者の頬を見て欲しい!」

剣心「ほら、十字傷が消えたでござるよ!」

薫「…………?」

剣心「……どうしたでござるか?」

薫「あなた……誰?」


4 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/29(月) 22:56:39 8MKrX.5g
剣心「なにいってるでござるか? 拙者は緋村剣心でござるよ」

薫「そっちこそなにいってるのよ!」

薫「剣心はそんな顔してないわ!」

薫「さてはあなた、剣心の名を騙るニセモノね!? ──覚悟っ!」ブンッ

剣心「おろっ!?」

竹刀を振り回す薫に、剣心はなすすべなく逃げ出した。


5 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/29(月) 23:00:27 8MKrX.5g
剣心「──ふぅ、ひどい目にあった」

剣心「薫殿は、どうやらまだ寝ぼけていたようでござるな」

剣心(……お、あそこにいるのは弥彦)

剣心(こんな朝早くから稽古とは、感心感心……)

剣心「おぉい、弥彦」

弥彦「ん?」


"
"
6 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/29(月) 23:05:03 8MKrX.5g
剣心「こんな朝早くから稽古とは、はりきっているでござるな」

弥彦「!」

弥彦「誰だてめぇ!」サッ

竹刀を構える弥彦。

剣心「!?」

弥彦「物盗りか……!?」

剣心「弥彦、拙者は緋村剣心──」

弥彦「ウソつくんじゃねえ!」ブンッ

剣心「おろろっ!?」


7 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/29(月) 23:08:12 8MKrX.5g
道場の門まで逃げてきた剣心。

剣心「やれやれ、弥彦まで寝ぼけているとは──ん」

剣心(おお、あれは左之)

剣心(さては朝食をたかりに来たでござるな)

剣心「おはようでござる、左之」

左之助「ん? だれだ、おめぇ」

剣心「!?」


8 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/29(月) 23:11:20 8MKrX.5g
剣心「拙者でござるよ! 緋村剣心でござる!」

左之助「なにいってやがる。顔が全然違うじゃねぇかよ」

左之助「よりによってあの緋村剣心の名を騙るたぁ、ふてぇ野郎だ」

左之助「俺の拳でちったぁ反省しやがれ!」ブンッ

剣心「うわっと!」ババッ

左之助「やるな……。身のこなしだけは本人みてぇじゃねえか」

剣心「だから本人でござる!」

左之助「まだいうか! この野郎!」

剣心(ダメだ……話が通じない! ここは退散するしかないでござるな!)スタタタッ

左之助「あっ、待ちやがれ!」


9 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/29(月) 23:16:40 8MKrX.5g
町──

剣心「……どうやらもう追ってこないようでござるな」

剣心「それにしても、みんなどうしてしまったのか」

剣心「皆で示し合わせてふざけている、というわけでもなさそうだし」

剣心「なにかおかしな薬でも盛られたとしか……」

剣心(──まさか! 縁のように拙者に恨みを持つ者が)

剣心(神谷道場の井戸に……たとえば他人を認識できなくなる薬を混ぜた!?)

剣心(突飛な発想ではあるが、絶対にありえないとはいえない……)

剣心(薬といえば、やはり恵殿でござるな)

剣心(恵殿のところに行ってみよう!)


10 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/29(月) 23:19:44 8MKrX.5g
小国診療所──

剣心「恵殿、おはようでござる」

恵「おはようございます」

恵「ところで、本日はどうされましたか?」

剣心(この反応! ま、まさか……!?)

剣心「恵殿! 拙者が分からないでござるか!?」

恵「え、ええ……だってあなたとお会いするのは初めて──」

剣心(こ、こんな! こんなっ……! 恵殿まで……!)

剣心「し、失礼するでござる!」スタタッ


11 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/29(月) 23:22:36 8MKrX.5g
自分の置かれている状況が、想像以上に深刻だと悟った剣心。

剣心(恵殿も、拙者が分からなかった……!)

剣心(いったいなにがどうなっているでござるか……!?)

剣心(あと……この町で拙者がよく訪れるところといえば……赤べこと警察署)

剣心(まずは、赤べこに行ってみよう……!)


12 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/29(月) 23:26:49 8MKrX.5g
赤べこ──

妙「拙者が誰に見えるか……って、申し訳ありません」

妙「お客さんとは今日初めてお会いしますし……」

燕「す、すみません……。分かりません……」

剣心「いや……こちらこそ妙な質問をしてしまってすまぬでござる」

剣心(予想はできていたが、やはり……)

剣心(二人とも、拙者のことが緋村剣心に見えていない!)

剣心(となると、あとは斎藤ぐらいだが……きっとダメでござろうな)


13 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/29(月) 23:29:54 8MKrX.5g
警察署──

たまたま外にいた斎藤に、こっそりと近づく剣心。

剣心「さ、斎藤……」

斎藤「?」

斎藤「…………」ジッ…

斎藤「なんだ、抜刀斎か。なんの用だ」

剣心「おろ!?」


14 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/29(月) 23:32:23 8MKrX.5g
剣心「斎藤! 拙者が緋村剣心だと分かるのか!?」

斎藤(一瞬戸惑ったがな……)

剣心「さすが、拙者の宿敵でござる! 新撰組三番隊組長でござる!」

斎藤「……なにかあったのか?」

剣心「じ、実は──」

剣心は朝から今までに起こったことを全て打ち明けた。


15 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/29(月) 23:37:09 8MKrX.5g
斎藤「フン……なるほどな」

斎藤「神谷の娘をはじめ、皆がお前をお前と認識できなくなったわけか」

剣心「なぜこうなってしまったか、思い当たる節はないか?」

斎藤「答えは一つしかあるまい」

剣心「なんでござるか?」

斎藤「ずばり、お前の十字傷がなくなったからだ」

斎藤「お前の最大の特徴といえる十字傷がなくなったことで」

斎藤「お前を知る人間はお前が“緋村剣心”だと分からなくなってしまったんだ」

剣心「ええっ!?」


16 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/29(月) 23:42:18 8MKrX.5g
剣心「そんな……それだけのことで!?」

斎藤「人間なんてもんは、意外と一部の特徴だけで他人を見分けているからな」

斎藤「その特徴が消えてしまえば、分からなくなることも十分ありえる」

斎藤「俺は池田屋事件の時、まだ一本傷だった頃のお前を見ていたから」

斎藤「かろうじてお前のことを見抜けたがな」

剣心(斎藤でもかろうじて、か……)

剣心(であれば、皆が分からなくなってしまうのも無理はないかもしれぬ……)


17 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/29(月) 23:46:29 8MKrX.5g
剣心「斎藤、拙者はどうすればいいでござるか?」

斎藤「さぁな」

斎藤「なんだったら、もう一度十字傷をつけてみたらどうだ」

剣心「なら……宿敵のよしみで十字傷をつけてはくれぬか」

斎藤「なにが宿敵のよしみだ。阿呆が。自分でやれ」

剣心「しかし、自分でやるのはなかなか難し──」

斎藤「知るか」

結局、警察署を追い出されてしまった。


18 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/29(月) 23:50:18 8MKrX.5g
剣心(このままではまずい)

剣心(とにかくもう一度神谷道場に戻って──)

剣心「!」

剣心「あの大男はたしか……かつて神谷道場を乗っ取ろうとした……比留間伍兵衛!」



伍兵衛(ちくしょう、こないだの用心棒をしくじって)

伍兵衛(顔面に十字傷がついちまった……)

伍兵衛(俺はなんてついてねぇんだ!)

比留間伍兵衛は左之助の故郷から東京に戻り、相変わらず用心棒稼業を続けていた。


19 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/29(月) 23:55:42 8MKrX.5g
神谷道場──

薫「あら、剣心じゃない!」

弥彦「どこ行ってたんだよ。朝から姿が見えないから心配したぜ!」

伍兵衛「え?」

薫「どうしたの? 早く入りなさいよ!」グイッ

弥彦「俺に稽古をつけてくれよ!」グイッ

伍兵衛「え? え? え?」

半ば拉致されるように、神谷道場に連れていかれる伍兵衛。



剣心(そ、そんな……! 十字傷があるというだけで……!?)

剣心(かつてニセ抜刀斎を演じていたあの男が、本当に拙者になってしまった……!)

剣心(これでもう、拙者に帰る場所はなくなった……)ガクッ


20 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/29(月) 23:59:01 8MKrX.5g
落人群──

剣心(気がついたら、ここに来てしまっていた……)

剣心(かつて、拙者はここで拙者が犯した人斬りの罪に対する答えを見出したが)

剣心(これは……また答えを見出せ、ということなのだろうか……)

剣心(あるいは今度こそ、もう元には戻れぬ、ということなのだろうか……)

剣心「…………」キョロキョロ

剣心(白梅香を持っていたあのご老人は……もういないようでござるな)

剣心「!」ハッ

ここで剣心は驚くべき人物を発見した。


21 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/30(火) 00:03:41 .vt7rrzU
剣心「え、縁!?」

縁「?」

縁「…………」ジッ…

縁「抜刀斎か……」

剣心(縁も十字傷でない頃の拙者を知っているから、見抜けるのか……)

剣心「なぜおぬしがこんなところに……!?」

縁「貴様との戦いの後──俺は京都をさまよっていた」

縁「そして、やっと……姉さんの笑顔を取り戻すことができた」

縁「それからというもの……ずっと当てもなく放浪を続けている……」

縁「もはや、俺に“人誅”の意志はない……」

剣心「!」

剣心「そうでござるか……」

縁「…………」


22 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/30(火) 00:07:00 .vt7rrzU
縁が突如声を荒げる。

縁「なぜこんなところに、はこちらのセリフだ!」

剣心「!」

縁「貴様は剣と心を賭して、戦いの人生を完遂するんじゃなかったのか!?」

縁「なのになぜ、こんなところで独り無様にうずくまっている!?」

縁「あの誓いは破棄したということなのか!?」

剣心「い、いやちがう! ちがうでござる!」

縁「じゃあなぜこんなところにいる!? 答えろ!」

剣心「は、話せば長くなるが──」

剣心は全てを打ち明けた。


23 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/30(火) 00:09:49 .vt7rrzU
縁「そういうことか……」

縁(俺が一瞬、抜刀斎のことが分からなかったのはそういうことだったのか……)

剣心「頼む! 拙者の頬に十字傷をつけて欲しいでござる!」

縁「…………」

縁「いいだろう」

剣心「おおっ!」

縁「ただし、おそらく俺では勢い余って貴様を殺してしまうだろう」

縁「まだ完全に貴様を許したわけではないからな」

縁「だから……ここは姉さんに頼むしかあるまい」

剣心「え?」


24 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/30(火) 00:13:35 .vt7rrzU
剣心「巴に頼むというのは、いったいどういうことでござるか?」

縁「俺は姉さんと対話をするうち、この世とあの世を繋ぐ理(ことわり)を理解した」

剣心「え……?」

縁「そしてついに、この世とあの世の狭間で、死者と干渉し合う術を編み出した」

剣心「ええ……?」

剣心(なんだかとんでもないことに……)

縁「その術で、俺から姉さんに頼み、貴様の新しい十字傷をつけてもらうことにする」

剣心「わ、分かったでござる」

縁「…………」

目をつぶり、念じる縁。


25 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/30(火) 00:16:49 .vt7rrzU
……

……

縁「……姉さん」

巴『あら、どうしたの?』

縁「実は抜刀斎の十字傷が消えてしまったんだ」

巴『まぁ、それはよかった……。わざわざ報告しに来てくれたの? ありがとう』

縁「だが、そのせいで最大の外見的特徴がなくなってしまい」

縁「周囲の人間が抜刀斎を抜刀斎と認識できなくなったらしいんだ」

巴『あら……』

縁「というわけで、もう一度十字傷をつけてあげてくれないか」

巴『分かったわ』


26 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/30(火) 00:19:22 .vt7rrzU
巴『だけど、あの十字傷は私一人でつけたわけじゃないの』

縁「そうか! 姉さんの婚約者!」

巴『ええ、だから呼んでくるわね』

縁「ありがとう、姉さん」



剣心(さっきから縁が必死になにやら念じているが……)

剣心(本当に対話をしているのだろうか……?)


27 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/30(火) 00:22:02 .vt7rrzU
清里『君は巴の弟の……ずいぶん大きくなったね』

縁「死んでからも働いてもらうことになってしまって悪いが」

縁「アンタに協力して欲しいことがある」

清里『ぼくにできることなら、喜んで協力するよ』

……

……


28 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/30(火) 00:25:44 .vt7rrzU
縁「よし、二人に協力してもらうことに成功した」

縁「今度は貴様が、あの二人のいる場所に行け」

剣心「それはまさか……死ねということでござるか!?」

縁「そうではない」

縁「貴様もここで生き地獄を味わっていた時、見えたはずだ」

縁「この世とあの世の狭間をな。二人はそこで貴様を待っている」

剣心(そういえば……志々雄が迎えに来たことがあった……)

縁「あの時の感覚を思い出せば、二人のもとにたどり着くことができるはずだ」

剣心「ずいぶん“あばうと”な説明でござるが、承知した!」


29 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/30(火) 00:28:05 r8ULtWjg
あれ面白いぞこれ


30 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/30(火) 00:29:15 .vt7rrzU
剣心(えぇ〜と、薫殿が死んだと思い込んだ時のあの気持ちを思い出すでござる!)

剣心「…………」グッ…

……

……

……

やがて、剣心は彼岸花が生い茂る場所に到着した。

剣心「ここは……」

剣心(志々雄が迎えに来た時とは全然ちがう……。穏やかな場所でござる……)

巴『お久しぶりです、あなた』

剣心「巴……!」


31 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/30(火) 00:34:13 .vt7rrzU
清里『こんにちは』

剣心「あなたは……清里殿!?」

剣心「せ、拙者はこれから幸せになろうとしていたあなたを──」

清里『よしましょう、緋村さん』スッ…

清里『あなたに全く恨みがないとはいいませんが』

清里『我々はともにあの狂に満ちた“幕末”を戦った仲──』

清里『今さら、あなたになにかをいうつもりはありません』

清里『どうか、あなたはあなたの人生を歩んで下さい』

剣心「かたじけない……」

巴『ところで、十字傷を再びつければいいんでしたよね?』

剣心「あっ、そうでござる! ぜひお願いする!」


32 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/30(火) 00:37:19 .vt7rrzU
刀を構える清里。

清里『じゃあまずぼくから……せいっ!』ブンッ

ザシュッ!

剣心「ぐおおっ!?」

清里『すっ、すみません! あの時、緋村さんと戦った時の必死さがよみがえって……!』

剣心「い、いや……これぐらい深い方がいいでござる」ボタボタ…


33 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/30(火) 00:40:05 .vt7rrzU
巴『次は私ですね』

巴『では……』

ドシュッ!

剣心「ぐああっ!」

剣心(刃物に慣れてないせいか、清里殿より斬り方が雑でござる!)ボタボタ…

巴『あっ、ごめんなさい……』

清里『だ、大丈夫ですか!?』

剣心「いや……これでいい……。これでいいのでござる」


34 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/30(火) 00:44:04 .vt7rrzU
巴『あっ……』スゥ…

巴『そろそろ……時間のようです……』スゥゥ…

清里『さようなら……』スゥゥ…

剣心「二人も……どうか……」

……

……

……

剣心「!」ハッ

縁「戻ったか」


35 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/30(火) 00:48:08 .vt7rrzU
この世とあの世の狭間から戻った、剣心の左頬には──

縁「十字傷ができている……どうやら成功したようだな」

縁「これでもう、貴様の知人が貴様のことを分からなくなるということはあるまい」

剣心「ありがとう……縁」

縁「貴様に礼をいわれる筋合いはない」

剣心「……そうでござるな」

剣心「達者でな、縁。もし気が向いたら、神谷道場に遊びに来て欲しい」

縁「ふん……」

縁に別れを告げると、剣心は落人群をあとにした。


36 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/30(火) 00:53:29 .vt7rrzU
神谷道場──

弥彦「薫、こいつ本当に剣心かよ? 腕力だけで、技のキレは全然へっぽこだぜ!」

薫「そうよねぇ。だけど……十字傷あるし……」

弥彦「だよな……。こいつが剣心だよなぁ……」

伍兵衛(最悪だ……!)

伍兵衛(メシはマズイし、この弥彦ってガキはずいぶん腕を上げてるし……)

伍兵衛(もうこんなところにいたくない……! 誰か助けて……!)


37 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/30(火) 00:57:21 .vt7rrzU
伍兵衛に疑いの目を持ち始めた二人のもとに、左之助がやってきた。

左之助「おい、剣心が帰ってきたぜ!」

左之助「赤髪で背が低い……なにより十字傷がある! ありゃまちがいなく剣心だ!」

弥彦「マジかよ!?」

薫「ってことは、この人は……!?」

伍兵衛(よく分からねぇが、逃げる好機!)ダダダダダッ

薫「あっ、逃げた!」

弥彦「どうやらあいつはニセ剣心だったみてぇだな」


38 : ◆LlMKd/JEiM :2014/12/30(火) 01:01:45 .vt7rrzU
道場の門で、剣心を出迎える薫たち。

薫「剣心!」

弥彦「今度は本物の剣心だ! よ〜し、稽古つけてくれよ!」

左之助「ったく、どこ行ってやがったんでぇ」

左之助「ま、オメーもたまには一人になりたい時ぐらいあるだろうけどな」ニッ

薫「お帰りなさい、剣心」



剣心「…………」ニコッ

剣心「ただいまでござる」







〜 完 〜


39 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/30(火) 01:10:21 On7BwpBk



40 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/30(火) 01:16:53 cUsZbsgg
許された証拠より認知されなくなった方が重要なのか


41 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/30(火) 02:33:54 1wPyEi/g

雰囲気が出ててよかった


42 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/30(火) 09:07:41 czHnMhIc
面白かったでござるよ


43 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/12/30(火) 10:08:18 Z41LQOvE
ホンマ巴さんは天使やでぇ


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