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穂乃果「雪の日だらだら」
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穂むら
穂乃果「はー……」
穂乃果「あー……」
穂乃果「お客さん来ないよー……」
穂乃果「お母さぁん! お客さん来ないよー!」
ほの母「そのうち来るわよー」
穂乃果「遊びに行ってきていいー?」
ほの母「駄目よー。ちゃんと店番してなさい」
穂乃果「もう一時間以上誰も来てないのに……」
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ほの母「そりゃそうでしょ。雪、降り始めてるんだから」
穂乃果「こんな雪の日に本当にお客さん来るのー?」
ほの母「常連さんがたまに買いに来てくれたりするわよ。ほら、雪の中わざわざ来てくれてるんだからだらけた態度を見せない」
穂乃果「今はいないもーん」ダラー
ガラララ
「ごめんください」
穂乃果「っ! はい、いらっしゃいませ!」
「此方はお菓子のお店でしょうか?」
穂乃果「へ? え、ええ。和菓子の店です……」
穂乃果(何だろうこの人……大きな雪だるまのコスプレ? してる)
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「そうですかそうですか、お菓子の店ですか。いやぁ良かった、ようやく見つけられました」
「注文、いいですか?」
穂乃果「えぇと、お決まりでしたらどうぞ」
「ケーキをください」
穂乃果「ケーキ? うちではケーキは取り扱っていないです」
「ケーキが無いんですか?」
穂乃果「和菓子屋なので……」
穂乃果(和菓子屋を知らないのかな? 顔、見えないけど外国の人? それにしては流暢な日本語だけど)
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「ケーキが無いんですか。それは、残念です」
穂乃果「ケーキが欲しいなら、商店街のケーキ屋さんに行くしかないですね。えっと、ご期待に添えずすいません」
「分かりました。ありがとうございます」
ガラララ
ほの母「あら? 何、お客さん何も買わず帰っちゃったの? まさか何か失礼な対応でもしたんじゃ……」
穂乃果「ち、違うよ! ケーキが欲しかったみたいで、商店街のケーキ屋さんを教えてあげただけだよ!」
ほの母「あー……ケーキねぇ。そうなのよね、この時期は皆洋菓子店の方に流れちゃうのよ。うちでもケーキ作るべきかしら」
穂乃果「けど変なお客さんだったよ……雪だるまの気ぐるみなんか着ちゃってさ」
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ほの母「雪だるまの気ぐるみ? 何かの仮装パーティーでもあるんじゃないの?」
穂乃果「この近くで何かやってるのかもね。あーあ、店番よりそっち行きたいよ」
ほの母「我儘言わないの。ほら、店番続けなさい」
穂乃果「ちぇー」
穂乃果「はぁ……海未ちゃんとかことりちゃんとか来ないかなぁ」
穂乃果「こういう雪降る寒い日は、ストーブの付いた部屋で炬燵に潜ってトランプでもしたいのに……」
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穂乃果「あー、でもトランプだと海未ちゃん怒っちゃうかも。海未ちゃん弱いしね、ババ抜きとか」
穂乃果「顔に出やすいタイプなんだよね。私みたいに何が起こってもポーカーフェイスを維持出来なきゃ駄目だよ」
ガラララ
穂乃果「あ、いらっしゃいませー」
「……」
穂乃果「……」
穂乃果(物凄くリアルなトナカイ入ってきたよ……)
「あの、どうかしましたか? 物凄い顔してますが……」
穂乃果「あっ、いえっ! 大丈夫です!」
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穂乃果「え、えーと……その気ぐるみ、すっごくリアルですね! 本物のトナカイが入ってきたかと」
「あ、いえ。本物のトナカイです」
穂乃果「あ、そう……なんですね」
「……」
穂乃果「……」
「ここに、シャンパンは置いてないですか?」
穂乃果「すいません……和菓子屋なので、アルコールは置いてないですね」
穂乃果「商店街の酒屋に行けば、きっとシャンパンが置いてあると思います。そっちにお願いします」
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「分かりました。そちらに行かせていただきます。ありがとうございました」
ガラララ
ほの母「何ー? 今度のお客さんも何も買っていかなかったの?」
穂乃果「お母さん、今日何だか客層おかしいよ。トナカイ来たよ」
ほの母「トナカイの気ぐるみでしょ? 多分雪だるまさんのお仲間よ」
穂乃果「本物のトナカイだって言ってたよ」
ほの母「可哀想に。この時期は浮かれて、頭がハイになってる人がよく出てくるのよ」
ほの母「東京の街にトナカイはいないし、きっとただの変な人よ。気にしちゃ悪いわ」
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穂乃果「お客さんを変な人扱いって……お母さんも結構言うね」
ほの母「だって何も買ってないじゃない。お客さんじゃないわ」
穂乃果「なるほどね」
ほの母「ちゃんと店番しておくのよ。お母さん、忙しいんだから」
穂乃果「はーい」
穂乃果「忙しいって……穂乃果知ってるんだよ。お母さんが居間でみかん食べながらテレビ見てるだけだって」
穂乃果「はぁー……μ'sの皆で何処か行きたいなぁ。仮装じゃなくてもパーティーもしたいし……」
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穂乃果「けどしばらく店番で家あけられないんだよねぇ。せっかくの冬休みなのに、練習以外は店番ばっかなんて人生の損だよっ!」
穂乃果「まぁいいや。こんなに店番変わってるんだし、今年はサンタクロースからのプレゼント良い物ねだっちゃお」
穂乃果「あらかじめ伝えておかないと、お母さんもお父さんも買ってきてくれないしね。早めにこれ欲しいなーって……」
ガラララ
穂乃果「いらっしゃ……」
「ほっほっほっ」
穂乃果「今度はサンタクロース!?」
「えっ」ビクッ
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穂乃果「雪だるまといいトナカイといい、うちの店に来すぎだよ! サンタクロースさんは何をお求めですか?」
「温度差怖い怖い。いきなり商売人の口調になるの辞めて」
「しかし、トナカイと雪だるまも来とったのか。あやつらはこっちに慣れとらんからのぅ」
穂乃果「あぁ……やっぱり外国の人だったんですね、あの二人」
「わしは大丈夫じゃよ。ここにあるものを買いに来たんじゃ」
穂乃果「良かった……ご注文はお決まりですか?」
「うむ、ターキーを」
穂乃果「ありません」
-
「……」
穂乃果「……」
「ターキー」
穂乃果「置いてないんですよ」
「何故じゃ?」
穂乃果「ここが和菓子屋だからです」
「……」
穂乃果「……」
「なるほどのぅ……ターキーは置いていない。なるほど」
穂乃果「ご理解いただけて嬉しいです」
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「分かった、つまりこういうことじゃな?」
穂乃果「はい?」
「チキンを貰おう」
穂乃果「言い回しの問題じゃないよ! ここは和菓子屋だからニワトリは焼かないの!」
「なんと……じゃあ逆に何があるんじゃ」
穂乃果「和菓子屋だから……和菓子?」
「ふむ、それではこの店のオススメをいくつか包んで貰おうかの」
穂乃果「いいんですか? ターキーじゃないですけど」
「雪だるまとトナカイも同じような問答をしたんじゃろ? 迷惑料じゃよ」
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穂乃果「まぁ……そういうことでしたら。ほむまんと、羊羹と、落雁と……鹿の子といちご大福辺りがおすすめです」
「うむ、ではそれを貰おうか」
穂乃果「ありがとうございます! ああ、ターキーでしたら商店街のターキー専門店に行けば色んな種類のターキーがあります。抹茶風味とか」
「なるほどのぅ、商店街。来年からは気を付けるよ。それじゃあ、ありがとう」
ガラララ
ほの母「何、穂乃果? 今度は売れた?」
穂乃果「ばっちりだよ。オススメして、結構買ってもらった」
ほの母「うんうん、いいじゃない。それでこそ私の娘よ。売上もあったことだし店番変わったげるわ、中でのんびりしてなさい」
穂乃果「えっ、いいの!? やったぁ!」
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穂乃果「いやー良かった……あんなとこに長くいたら退屈で死んじゃうよ! 早速テレビ付けよ」
穂乃果「はふぅ……」ダラー
穂乃果(そう言えばあのお客さん達、今からパーティーをするのかな)
穂乃果(ケーキに、シャンパンにターキーかぁ。お揃いのコスプレなんて、仲が良いんだろうなぁ)
穂乃果「海未ちゃんにトナカイのコスプレしてもらおうかな……ふぁ」
穂乃果「ねむ……」ウトウト
穂乃果「……zzz」
「……」
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「……」カキカキ
「……」トン
穂乃果「むにゃ……うへへ……」
穂乃果「食べられない……いや、食べられる」
穂乃果「食べられるかもしれないし、食べられないかもしれない」
「……ほっほっほっ」
「……良い夢を」
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穂乃果「……あふぁ。ん……眠っちゃってたのかな……ってうわっ! 外真っ暗!」
穂乃果「うわー……貴重な冬休みを店番と昼寝で消化しちゃったよ。最悪だぁ……」
カサッ
穂乃果「ん? 何これ、箱と……手紙?」パサパサ
穂乃果「何か入ってるのかな……ってこれ! 前から欲しかったマフラー!?」
穂乃果「えっ、えっ!? 凄い、何で分かったんだろ!? 手紙には何が書いてあるのかな?」
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穂乃果「えっと……」
『一足早いメリー・クリスマス。店番をする良い子には、サンタさんからプレゼントをあげよう』
穂乃果「うわー! やっぱりお母さんとお父さんだ! あれ? まだ続きが……」
『トナカイと雪だるまも、和菓子を喜んでいたよ。特にいちご大福、あれは良かった。また来年、寄らせてもらおう』
穂乃果「……あれ? 私、お母さんに何を売ったか言ったっけ……?」
穂乃果「……」
穂乃果「いやいや、まさかね!」
ほの母「穂乃果ー。そろそろご飯出来るわよー!」
穂乃果「おっ、と。はーい、今行くー!」
完
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第七回定期SS祭りスレ
http://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1512707438/
参加しました
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かわいい
真姫ちゃんのところに行ったに違いない
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いいねこういう話
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ほっこりした
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