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黒い鳥居

1十一:2015/01/13(火) 22:13:09 ID:KdHe5ePY0
知り合った人とかから不思議な話・怖い話を聞くのが好きで、中でもかなりインパクトあった話

某建設会社の偉い人(仮にAさん)と飲んでる時に聞かせていただいた。
「気持ちのわりぃやぁ〜な話だよ?」

話を整理する為ちょっと物語調にしてあります

少し長くなりますがよろしければ…

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Aさんは小学生の頃、結構な田舎に住んでいたと言う(場所は教えていただけなかった)
山に囲まれた小さな集落だったが、その中で「やま」と呼ばれる小さい山(○○さんちの裏山みたいな感じ)があった。
どこかの家の土地だったらしいがすでに持ち主はおらず手入れもされず草ぼうぼう、木が生い茂っていた。

ゲームとかで遊ぶ時代では無かったため、Aさん達の遊び場になっていた。友達と探検ごっこみたいな感じでよく入っていたそうだ。
学校から帰って「遊び行って来まーす」と母親に言うと「変なとこ行くなよー」と口だけの注意をされていたらしい。

夏休みのある日、いつもの遊び仲間のガキ大将ヒロシ(仮)と、同じ小学校に通う友達数人と一緒にAさんは「やま」に入った。

つづく

2十一:2015/01/13(火) 22:15:59 ID:KdHe5ePY0
つづき

夏、朝からカンカン照りで昼を過ぎ、とても暑かったが「やま」はほとんどが木陰なので涼しく、Aさん達はいつものように探検していた。
虫刺されにはドクダミを潰して塗ったり、木の枝とクモの巣で虫捕り網を作ったり、歌を歌って行進したり、楽しかったそうだ。

で、ガキ大将ヒロシが仲間内だと一番年長でムードメイカーで、自作の下品な歌や奇妙な行動で周りを笑わせる人だったらしい。
そのヒロシがだいたい探検の道順を決めてみんなでぞろぞろ進んでくんだが、ヒロシが「あっ?」て声を上げた。

そこが今までの探検範囲じゃなかったからだろうが、みんなが座れるくらいのでかくて白い岩を見つけたそうだ。
しかもけっこう平らになっていて座り心地も良さそう。座ってみるとひんやりと冷たく、みんなで休憩することにした。

いろいろ話をしたり水筒の水を飲んだりして一服すると、それぞれモヨウしてくる。
みんなが木陰で用を足すとヒロシが岩から少し離れたところに何かを見つけて興奮していた。
「おーい!なんだコリャ!!」

つづく

3十一:2015/01/13(火) 22:17:42 ID:KdHe5ePY0
つづき

ヒロシは藪の奥でみんなを呼んでいた。何かと思い駆けつけると

そこには鳥居が立っていた。

しかし妙な鳥居だったそうで、色と形がAさんの中の鳥居と異なっていた。
黒かった。全体に墨汁を塗りつけたように真っ黒だったという。
そして形が三本足だったそうだ。通常両側に立つ支えの柱部分と、真ん中に一本。


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 ■ ■ ■   こんな形だった。

それが藪の中、何本もの木に遮られて立っていた。

つづく

4十一:2015/01/13(火) 22:18:47 ID:KdHe5ePY0
つづき

Aさんの頭の中は「なんじゃこりゃ?」だった。他の仲間たちもそうだっただろうみんなポカンとしていた。
そばに参道も、神様を祀るような何かがあるわけでもなく、ただ木々の間に立っていた。変な空間だった。

みんなが???となっていると、突然ヒロシが鳥居に向かって勢いよく小便を始めた。
みんなが!?!?!?となると、ヒロシはスッキリした顔で「そろそろ行こうや!」と歩き始めた。
もちろんその場で「バチ当たる!」や「馬鹿ヒロシww」などと言われたが、すぐに探検の続きが始まった。
普段から墓場のお供え物を頂戴するくらいのバチ当たり悪ガキだったので「まあヒロシだから」でその場は収まったのだ。

「やま」を歩き回って小腹も空いて帰る途中、ヒロシが「はらへった」とそのへんの葉っぱをちぎって口に入れた。
また変なことしてると笑う仲間たち。ヒロシにやにや。もう一枚葉っぱを食べて「うまい!」と一声。Aさんも笑った。
地面に生えてる草を引っこ抜いてむしゃむしゃ頬張るヒロシ。「うん!うまい!」しつこかった。
「腹壊すぞー」と誰かが言った。ツッコミに笑う仲間たち。

そこでヒロシがしゃがみこんだので、Aさんは気持ち悪くて吐くんだろうと思った。ネタに体張りすぎだと。

ヒロシは地面を手で掘り、土を口に詰め込んでいた。咀嚼して、飲み込み、仲間たちを振り返って
「うまい!うまい!うまーーーーい!」と満面の笑顔で言ったという。

つづく

5十一:2015/01/13(火) 22:19:25 ID:KdHe5ePY0
つづき

「おい!やめれや!」「ヒロシ!馬鹿か!何してん!!」
仲間たちの声も聞こえないふうで更に土を掘るヒロシ。Aさんも仲間とヒロシを無理やり抑えたがすごい力だったらしい。
Aさんと仲間の一人が大人たちに異変を伝えるために走った。とにかく森から出て人を探さなければいけなかった。

「やま」から出ると入ったところとかなり離れた場所に出たが、たまたま近くの畑にいたおっさんに声を掛けることができた。

二人は村の集会所に連れて行かれ、そこで事情を説明した。
すぐに村の大人たちが集まってきて何人かの男衆が「やま」に入って行き、二人はヒロシたちの帰りを待った。
色々質問されたが混乱していて泣きながら「友達が変になった」くらいしか伝えられなかった。
どれくらいたったかわからないが

あはははははは あはははははは

遠くから喧騒と、調子の外れた笑い声が近づいてきた。

外に出て「やま」の方を見ていると、集会所に向かって歩いてくる大人たちと泣いている仲間たち、
そして男衆に担がれて笑いながら手足をばたつかせるヒロシが見えたそうだ。

つづく

6十一:2015/01/13(火) 22:19:58 ID:KdHe5ePY0
つづき

集会所には集落の大人たち、仲間たちの親が集まり話し合いが始まった。
Aさんと仲間たちは建物の隅に小さくなって固まっていた。
ヒロシは反対側の隅に布団を敷いて寝かされていたが、くねくねと妙な動きをしたりへらへらと笑っていた。

「てら!てら!」突然集会所の戸が空き、小さい婆さんが入ってきて叫んだ。
どかどかとヒロシのもとへ駆け寄り、様子を見ると大人たちの方へ向き直りもう一度「てらぁ!!」と叫んだ。
Aさんは婆さんが何を言っているのか分からなかったが、大人たちが「寺か!」と言ったところでようやく理解したという。

ヒロシは布団でぐるぐる巻きにされ手押し車に乗せられた。
年少の遊び仲間は帰宅したが、Aさんたちは「やま」で何があったのかを説明するのに寺に同行させられた。

寺は集落の隅にあり、着いた頃にはあたりは薄暗くなっていた。

出てきた坊さんは思ったより若い人だったそうだ。とても落ち着いていたらしい。
大人たちと何か話していたが、全員が本堂へ通された。
そこで「やま」に関する話が始まった。

つづく

7十一:2015/01/13(火) 22:20:37 ID:KdHe5ePY0
つづき

「やま」の話は簡単にするとこうだった

「やま」には何かの神様(?)が居られ、土地の所有者が祀っていたが家が絶えた。
その家が途絶える前に寺に申し送りを受けた。(何代か前の住職が祝詞だか経文みたいなのを受け取った)
荒ぶる神とかではなく、そっとしておくのが一番。ほっといても問題ない。
ただし「やま」の中であまりにもなおこないをすると、祟るというか障る。変なことになる。
そういう時にはちょっと儀式(祝詞とか使って)やって赦してもらう。
僧職とか神職の人が手順を守ってやってくれれば祓える。
数十年前にも同様のことがあり、先代の住職がお祓いしたことがある。(婆さんはこの事を言ってた?)

そんな感じだったらしい。

そこから近所の人が酒持ってきたり、魚焼いたりとか準備をし、お祓いが始まった。

ヒロシは本堂の端っこに簀巻きのまま寝転されていて、フンガーとか言ってたけど疲れてるっぽかった。
ヒロシの両親が魚と酒を近くの用水路に流してきて、坊さんが経文を唱えた。それほど長くはなかったらしい。
坊さんがロウソクを持ってヒロシの近くで何かやってたが分からなかったという。

最後にヒロシの顔面に坊さんが湯呑み半分くらいの水をかけて布団の縄を解いた。
「おわりました」

つづく

8十一:2015/01/13(火) 22:21:33 ID:KdHe5ePY0
つづき

みんながヒロシを囲んで様子を見ていると「手順に間違いは無いと思いますわ」坊さんが言った。
緊張が解け、まわりからため息が聞こえた。

ヒロシはくねくね動くこともなく、奇声をあげもせず、目を閉じて眠っているようだったらしい。
Aさんや仲間たち、両親が「ヒロシ!大丈夫か!」「ヒロシ!起きれ!」と声をかけた。
すると「…ん…」と、ヒロシが目をこすりゆっくりと上体を起こした。

「おお〜っ」とどよめきが起き、ヒロシの両親がヒロシに抱きついて喜んだ。
Aさんも体の力が全部抜けたような感じだったという。

当のヒロシは何が起きたのか分からないという感じでぽかんと周りを見回して


「ぁぁぁぁぁあああああああははははははははははははははははああああああああああああああああああああ」

と、タガの外れた笑い声をあげた。

周りから悲鳴があがった。

つづく

9十一:2015/01/13(火) 22:22:05 ID:KdHe5ePY0
つづき

「どういうことだ!!なんだこれは!!」坊さんが怒鳴った。
Aさんは何も考えられなかった。村の大人たちは顔をしかめ、ため息をついた。
ヒロシは歪んだ表情で笑い続け、両親は息子の変貌に呆然としていた。

その後すぐにヒロシは町の病院に連れて行かれた。

翌日Aさんたちはもっと詳しく「やま」で何をしたかを聞かれた。
その際に「黒い鳥居」のことを話すと、坊さんの顔色が変わったという。

「そんなもの申し送りを受けておらん」

一応「やま」のどこに何がある、みたいなのはある程度知っていたがそれは「特別な木」とか「白い岩」くらいで
それから村の衆総出で「やま」に入り「黒い鳥居」を探したが、白い岩のそばにあったはずのそれは見つけることが出来なかったらしい。

つづく(次で最後です)

10十一:2015/01/13(火) 22:22:45 ID:KdHe5ePY0
つづき(最後)

結局その日を最後にヒロシは村に戻らず、家族も病院のある街へと越していった。
Aさんが小学校を卒業する頃から周りの山々、集落と土地開発が始まった。中学卒業でAさんは他県に移った。
山は切り崩され、数年後にAさんの住んでいた集落は近隣の街と合併、大きな街の一部になった。

それから年月が過ぎ、就職、転職、結婚…

たまたま仕事の関係で10年以上ぶりに「やま」の近くを通ることになった。

「街に入った時ちょっと思い出してさ、ヒロシ。まだこの街にいんのかな、てね。なんか暗くなった。
 そんでいろいろ考えてるうちに、あー、「やま」がそろそろ見えてくるかなーとか、嫌だよね。
 まあ「やま(跡地)」だろうなと思って車運転してたんだけどさ、見覚えあるのが近づいてきたんだよ。
 すげえ嫌ぁな感じでさ…そのまま残ってるどころか、前より暗い感じなんだ。休耕畑挟んで遠目に見たんだけど、
 ずーっと鉄条網で囲われてんだね。周り。その向こうはワサーッて、鬱蒼ってああいうの言うんだね。入れないわ。」

それからさらに10年以上経つがAさんはその街に近寄ることは無いという。

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 ■ ■ ■
 ■ ■ ■
 ■ ■ ■ おわり

11十一:2015/01/13(火) 22:27:52 ID:KdHe5ePY0
なんか鳥居の図がいがんでますねすみません

12:2015/04/03(金) 20:15:27 ID:8lupNrWUO
面白かったです


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