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【分野】おすすめの本を書くスレ【不問】

132よしはら ◆7lqX359TUk:2011/07/22(金) 20:29:30
イ、憲法上の人権を具体化する立法裁量の尊重
次に、選挙制度のように、憲法上の人権を具体化する立法裁量についても、やはり裁判所には、立法府に対する敬譲が求められることを述べます。
本論文は、藤田意見や近時の最高裁多数意見が、考慮要素審査において、憲法上の人権を他と並立する考慮要素の一つと位置づけ、また時宜適合判断審査において、国会が努力する姿勢さえ見せればよいかのような審査を行っていることに対して、批判的です。
つまり本論文は、藤田意見や近時の最高裁多数意見が、憲法上の人権の価値を、不当に軽視するものであることを、批判しています。
しかし、これらの意見の態度を、単に人権価値を軽視するものであって不当である、と言い切ることはできません。
すなわち、憲法上の人権を具体化する制度立法にせよ、その他の立法にせよ、立法府は、裁判所に先んじて、立法の合憲性審査を行っています。
違憲立法審査権は、裁判所だけではなく、立法府も有するという議論です。
裁判所が、国会の立法裁量に対して敬譲的であるということは、国会が人権を具体化する制度立法をするに際して行った合憲性審査を、裁判所が尊重するということをも、含意します。
前述のように、裁判所は、民主的正統性を強固に備える国会の判断を、まずは尊重することが求められます。
人権を具体化する制度立法の場合、国会は、類型的には、通常の立法の場合以上に、当該人権に関し、より多くの(時間をかけた・多数の法律条項にのぼる)合憲性審査を行っているはずです。
裁判所が、国会の立法裁量を尊重することは、裁判所が、国会による人権尊重に対して敬譲的であるということをも意味します。
単純に、裁判所が人権価値を軽視している、と言い切るわけにはいかないのです。
これに対し、行政府は違憲審査権を有しませんから、裁判所は、人権に関連する行政裁量を尊重する必要性は、高くありません。
以上のような点から、藤田意見や近時の最高裁多数意見が、選挙制度について立法裁量を尊重する姿勢を見せているのは、理由のあることといえます。

4、おわりに
あれこれとうるさい注文もつけましたが、本論文は、先述のとおり非常に精密な分析を行っており、大変大きな価値があります。
山本君の研究のさらなる進展を、心待ちにしています。


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