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農業総合スレ

1394とはずがたり:2013/06/20(木) 19:10:59

岡田によれば、穀物の売買価格そのものは、“ガラス張り”だが、穀物の輸送などにかかる運賃などのロジスティックスは、“見えない”世界だという。そして、丸紅が行き着いた答えが、“用船ビジネス”への参入、つまり貨物用の船舶を時間で賃借する、タイムチャータービジネスの仕組みを構築することだった。

仕組みは、クルマに例えるとわかりやすい。単純にA地点からB地点への移動なら、タクシーを使えばいい。これは、日本の商社が行ってきたやり方である。ヘッジが完了していない……。岡田以下、穀物部の課員は24時間態勢で働いた。

英国ロンドンにあるFFA(海上運賃先物契約)市場。岡田たちは、海運会社などが船舶に運賃の変動をヘッジするためにできた、投機市場の複雑怪奇なビジネスの構造も学んでいく。日本の商社が二の足を踏んでいた時代に、岡田たちはいち早くこの世界に足を踏み入れた。

メード・イン・グレンコアの人間を送る

08年、丸紅の穀物部は転機を迎える。

用船ビジネスにも慣れてきた頃、次の課題は「物量」に関するものに変わり、“世界の胃袋”である中国市場に進出するか否かの判断を迫られていた。

世界的にも、アジア市場の伸びは、年々著しい。中国、韓国、台湾、インドネシア、ベトナム、ミャンマーなど、大豆だけでも、アジアにおける取引量は、1億2000万〜1億3000万トンが見込まれる。この取引量は、世界のそれの半分近くを占める莫大な量だ。

日本のアドバンテージは、大豆の産地である米国やブラジルから大豆を船で出荷した際に、日本に船を向ければ、自然に同じ方向に中国をはじめとするアジアの巨大市場があることだ。

タイムチャーターが最大限の力を発揮するのは、ある程度一定規模の物量を持ち、複数の供給先を持つときだ。それで初めて、様々な組み合わせが可能となり、効率のよい穀物の供給が実現できる。

思えば、02年のタイムチャーターへの進出から、中国への進出、物量の拡大と、穀物部の「創造的な破壊」は、ガビロン買収に通じる助走だった。むろん、社内に“リスク”に対する反対の声もあったが、岡田大介だけでなく、当時の経営陣はリスクを取った。

岡田は、丸紅穀物部隊を次のステージに導くために、“穀物マフィア”を1人外部から招き入れていた。この岡田が、“三顧の礼”をもって迎え入れた人物は、当時、ライバル会社の東食にいた若林哲。かつて穀物の世界を動かす25人にも選ばれた世界的なトレーダーだ。丸紅に転身して5年、若林は岡田の後を受け、執行役員食糧部門長の要職に就いている。

02年頃、進むべき道を模索していた岡田に、若林はライバルとして忠告した。

「日本だけに(穀物を)集中投資する時代ではないし、今のやり方はいずれ陳腐化する。タイムチャーターをやるべきだ」

丸紅に転職後、丸紅のビジネスモデルは想像以上に変わったと、若林は言う。

若林は、世界最大の商品取引会社、「グレンコア」の幹部との会食の際に交わされた会話が、忘れられない。

「グレンコアでは、買収後の企業のマネジメントはどのように行っているのか」

と聞いた若林に対して、グレンコアの幹部は、間髪いれずこう答えたという。

「メード・イン・グレンコアの人間を送る」

ガビロン買収を決めたが、丸紅の穀物部隊にグレンコアと同じようなことができるかと問われれば、若林は、今の丸紅にはそこまでの人材の厚みはないと言う。人材に厚みをどうつけるかが、若林に課せられたミッションの1つでもある。


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