最初は誰が何といっても「昼下がりの情事」である。恋愛映画を初めて観たせいか(そ
れまでは活劇ものしか観たことがなかった)オードリー・ヘップバーンに一目惚れしたせ
いか、とにかく、その衝撃は大きかった。おふくろなんぞ今でも、元明が一浪したしたの
はあの映画のせいだと言っているし、姉や妹も、あの頃深夜になると、決まって「魅惑の
ワルツ」(映画の主題歌)をうなり出すので気持ちが悪かった、と言っている位だ。
ヘップバーン熱は、そのあと続いて観た「ローマの休日」でピークに達し、遂には“
戦友”久富文雄君の勧めでファンレターを出すまでになった。確か出だしは“Dear Audry,
I am your fan”であったと記憶する。