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中国語諸方言・日本語・朝鮮語・ベトナム語の漢字音比較スレ

1名無しさん:2011/01/18(火) 00:04:18
中国語諸方言、日本語、朝鮮語、ベトナム語など、東アジアの各言語の漢字音を比較するスレです。

中国語方言字音データベース
http://homepage2.nifty.com/Gat_Tin/fangyin.htm
韓国語漢字音データベース
http://www10.tok2.com/home/madang/sh_note/25181.html

69名無しさん:2011/02/16(水) 11:23:30
「戊」は藤堂漢和大辞典(学研)でmugと推定してる。
「戊」の反切下字が「莫𠋫」とか「莫後」で軟口蓋音なのは
韻尾が-gなのと関係あるのかどうか。

-gが有声軟口蓋摩擦音とすると、ちゃんと摩擦音が発音できる民族が最初に中原に居て
その後摩擦音が発音できない民族が征服して発音を真似しようとしても出来ないので
喉の奥で発音してた-gが消えてしまうということは有り得るのでは。

70名無しさん:2011/02/16(水) 17:36:58
「番」が多音字だね。
附袁切、符袁切,音煩。
孚袁切、孚艱切,音翻。
蒲波切、蒲禾切,音婆。
番,音婆。又音蒲。亦音盤。
又《廣韻》薄官切《集韻》蒲官切,音槃。

71名無しさん:2011/02/16(水) 18:11:43
「解」の《韻會》による反切が「舉嶰」で藤堂の推定上古音がkeg
「嶰」は《廣韻》胡買切《集韻》下買切,音蟹。呉音ゲ、漢音カイ

72名無しさん:2011/02/17(木) 02:42:01
-gはそんなに頻出するのに-dや-bがほとんどないって不自然じゃないか?
それに中国語の-k、-t、-pは内破音なのに、無声と有声の区別が付けられるのか?

73名無しさん:2011/02/17(木) 03:07:48
>>67

いろいろな問題がつまっているので、ちょっと分けます。

> どのような場合にkak(gak)になって、どのような場合にlakになったか

これはいろいろ議論されているのですが、決定的な理論はまだないと思います。

まず、中古音に gak は存在しません(g は i の前にしかこないので)。じゃあ
「glak は無条件に lak になった」と考えていいのか、というと、上古 g- は
中古で γ- (匣母)になったと考えられているので、そうもいきません。

李方桂は kl- khl- はそれぞれ中古で k- kh- になったけれど、gl- は「原則
として」l- になったと考えて、 gl- から γ- になったものは少ないので(原
因は不明だが) 例外として扱うとしています。

これについては「本当に例外とできるほど字が少ないのか」という反論がある
ようです(「各」に関する字としては「貉」が例外になる)。

74名無しさん:2011/02/17(木) 04:05:03
>>67 つづき。

> 上古音では「二」がgnisだった

これはチベット語の gnyis ではないかと思います。「二」の上古音が g- では
じめるとしているものは(あるかもしれませんが)ちょっと見あたりませんでした。

「二」の上古音は李方桂が njidh, Baxter が njijs, 鄭張尚芳が njis となって
います。

-s について。去声が入声とおなじく何らかの子音で終わっていた、というのは
昔からある説なのですが、それが -s だったかどうかはあまり確実には言えな
いと思います。もとは Haudricourt がベトナム語の声調の発生に関して -s の
消失がひとつの声調発生原因になっているという仮説を立て(こちらは一般的に
認められているようです)、中国語の去声にも同じことが起きたと考えたのです
が、あくまで理論的な存在で、証拠らしい証拠はなかったのです。

鄭張尚芳の本から -s があった証拠とされるものをあげると(順序は変えた)、

1. チベット・ビルマ語族に -s がある

2. 去声にしかない韻(泰・夬・祭・廃)は六朝期に -t 入声と押韻していた
これは事実のようですが、じゃあ -s じゃなくて -t みたいな音だったんじゃ
ないかとか、ほかの韻はどうだったのかとか、いろいろ考えることがありそう
です。

3. 外国語を漢字で写した古い例に -s に去声をあてたと見られるものがある
これは Pullyblank の説で、タラス川(Talas) を「都頼」と書いたりしている
というものですが、どの程度原音を忠実に表記しようとしたのか不明なので、
たんに -s を無視したとも考えることができると思います。

4. 朝鮮語・日本語の漢語に由来すると思われる語に -s を含むものがある
これは例がかなりこじつけくさい。日本語の例ではナシ(梨)が「柰」に由来
するとか。

というわけで、根拠がかなり怪しいです。

75名無しさん:2011/02/17(木) 04:22:01
>>67 さらにつづき。

> 上古音はBaxterのものと王力のものの大きく二つの流儀があるようだけど、
> 今はどういう説が定説に近いとみなされてるんだろう。

王力は中国(大陸)で権威があったために持ちあげられていましたが、今と
なってはかなり問題があります。

Baxter のは伝統的な上古の韻部をさらに細かく分けたところに特徴があり、
この点は優れていると思います。声母についてはそうとう異論があるでしょう。

> -rとか-gが大量に出てきて開音節がほとんどない

王力も Baxter も -g や -d を認めていません。最近はあまりはやらないよう
です。

76名無しさん:2011/02/17(木) 04:46:39
>>69

反切下字の声母をどうやって選んだかというのは興味深い問題ですが、-n で終
わる字でも「蛮(莫還)」とか「眠(莫賢)」とかいくらでも軟口蓋音ではじまる
下字をもつ例がありますから、それはないだろうと思います。

>>72
いや、-d も多くあります。-b は「内」と「納」のような例がありますが、詩
経の押韻からは -p が入声以外と押韻する傾向が見られないので、かつては存
在したが、詩経の時代にはなくなっていたのだろうと言われています。

> 中国語の-k、-t、-pは内破音なのに、無声と有声の区別が付けられるのか?

英語でも bat と bad の区別が(破裂しなくても)つけられますから、物理的に
区別が不可能とは言えないのですが、周辺民族の言語まで見わたしても実際に
区別している言語や方言が存在しないのが難点です。上にも書きましたが、王
力や最近の多くの説では -g/-d を認めていません。

7774:2011/02/17(木) 05:33:30
>>74
Haudricourt について訂正。ベトナム語の場合は -s じゃなくて -h のような
音が考えられているようです。

78名無しさん:2011/02/17(木) 10:24:51
上古音に詳しい人色々とありがとう。
詩経で閉音節と開音節が押韻する場合、入声と去声が押韻することが多いようだけど、このような関係が生じることを-g説などはうまく説明できるんだろうか?

ちょっとスレタイに戻ると、少なくとも現代の諸方言・諸言語の漢字音では、-g、-d、-b、-rみたいなものは見当たらないよね?
結局、現代の漢字音の祖語にあたるもの(祖音韻体系?)はせいぜい中古音の前後の時代であって、それ以上は遡れないということでいいんだろうか。
現代ロマンス諸語の祖形がせいぜい紀元後数世紀の俗ラテン語にまでしか遡れなくて、紀元前数世紀の古典ラテン語にも遡れないような感じで。

チベット・ビルマ語派まで見れば上古音より前の時代に分岐してるんだろうけど、もはや漢字音という範疇からは外れてくるし。
そもそもシナ語派とチベット・ビルマ語派の系統関係って疑いようもなく証明されてるんだっけ?

79名無しさん:2011/02/17(木) 17:57:11
歴史的な文字情報が示唆する祖語の音韻について、現存する方言についての比較方言学・比較言語学が、
どんなに足掻いてもそのレベルにまで遡れない(現存方言には一切の証拠がない)という例は、
文字言語の歴史の長い言語には、珍しいことではないんだよね。
別に中国語に限った話ではなくて、日本語の「上代特殊仮名遣い」などというのもこれに属すると言って良い。
琉球方言に残滓が若干見られるという説もあるが、これとて牽強付会にもみえるし、
今のすべての日本語方言からどんなに祖語音韻を組み立てても、奈良時代万葉仮名の示唆する8母音または7母音体系は、全く導けない。
(このことから逆に「8(7)母音などは無かった。日本語母音は萬古不易で絶対に5つ」という説すらある。俺はトンデモだと思うけれど)

80名無しさん:2011/02/18(金) 03:05:37
>>78 >入声と去声が押韻することが多い

入声のない北京語話者に入声を説明するときにしばしば去声を例に上げることがある。
入声と去声の共通点は短く発音すること。
音節の長短に重きをおいてリズムを作る場合は他の差異には目をつむることがあったかもしれない。
和歌はリズムを重視し押韻がない。

81名無しさん:2011/02/18(金) 11:21:31
>>80
押韻(ライム)ではなく、詩脚(メーター)ではないのかなあ。
平仄というものが、本来は西洋詩学でいうメトロン(メーター)に近いものだったらしいことには同意する。
「古事記」から「サラダ記念日」に到るまで、日本語の韻文にはメトロンの概念がどこにも全く存在しないので、
(日本語でも卑俗のわらべ歌やポップソングの一部には存在するんだが、「高尚なる和歌の伝統」が下品として忌み嫌うようだ。)
平仄が(日本を除く)ユーラシアの詩歌に共通するメトロンの問題の一環らしいことは、どうも忘れられている節がある。
だが、現代北京語の去声の概念を持ち込んでしまうのは、適切ではないと思う。
北京語の四声は、有為転変を重ねすぎていて、昔の漢語音とは明らかに別物になってしまっている。

82名無しさん:2011/02/19(土) 03:00:53
>>80
> 入声のない北京語話者に入声を説明するときにしばしば去声を例に上げる

これは知らなかった。どういうふうにやるの?
(北京語話者が北京語話者に説明するのか、それとも他の言語・方言の話者が
するのか)

83名無しさん:2011/02/19(土) 03:49:26
>>78
> 入声と去声が押韻

まあそのへんを説明するために -g が立てられたわけですが、入声と押韻して
ないものや、平声や上声のものまで子音で終わることにしたために、かえって
問題が出たわけです。

詩経では去声と入声は押韻しないことのほうが多いです。Baxter によると、国
風・魯頌・商頌ではとくにまれなので(冒頭の関雎に出てきますが)、おそらく
入声 -t と押韻する去声は、もと -ts みたいな形をしていて、ほかの方言では
-ts > -js > -j のような変化をたどったが、西部方言では -ts > -t になった
のかもしれないとのこと。

> 中古音以前に遡れない

個々の音としては中古音で説明できないものもあります。有名どころでは北京
語の「鼻」bi2 で、これは入声に由来するとしか考えられません(平声なら
pi2 になるはず)が、中古音では去声です。上古の去声が有声子音で終わって
いたと考える説であれば、これを *bid のような音のなごりと考えることが可
能です。
ただ、こういう例は体系をなしていないので、漢字音の体系としてみると、比
較によっては中古音にさえ届かないでしょう。

古典ラテン語が俗ラテン語と別に発展した人工言語であることと、中古音が実
は「正しい漢字の読み方」にすぎず、かならずしも実際の言語を反映していな
い可能性が高いこととは、よく似ていると思います。

> シナ語派とチベット・ビルマ語派の系統関係

あまり詳しくありませんが、Coblin のリストを見たかぎりでは、基礎的な語彙
が共通していて、音韻もかなり対応しているようでした。

84名無しさん:2011/02/19(土) 04:11:10
>>81

現代北京語で考えるのは確かに問題があると思いますが、6世紀までは梵語の短
母音に仄声の漢字を、長母音に平声をあてているという水谷真成氏の研究があり、
去声が声調として独立したころは短い音だった可能性が高いようです。
(7世紀以降は短母音に上声、長母音に去声をあてるようになる由)

85名無しさん:2011/02/19(土) 04:52:55
>>79

たとえばアイヌ語諸方言は 5 母音で、古い文献もありませんが、Vovin のアイ
ヌ祖語は比較によって e と o を 2つに分け、さらに内的再構によって 5つの
母音を加えて 12母音のシステムにしています。

日本語の場合、万葉時代の音韻をそのまま再構するのは不可能でしょうが、現
代語しかなくても e が他の母音よりずっと少なく、かつ出てくる場所に特徴が
あることはわかります。そこからアメ/アマのような例を手がかりに e ← ai
のような変化を考えることができ、同様に u/i, o/i の交替例をもつ i をそれ
以外の i から分けるところまではいけるでしょうね。

> 日本語母音は萬古不易で絶対に5つ

これは知りませんが、万葉時代の母音を 5 つとした松本克己氏の講義なら聴い
たことがあります。
トンデモというのは結論に到る過程が言語学的にみてダメなものをいうと思い
ますが、松本説は(結論が正しいかどうかは別として)その意味ではきわめて
まっとうな説でした。手元にノートがあるので紹介できます。

86名無しさん:2011/02/19(土) 04:55:24
>>85
後半の松本克己の話を聞きたいので上代特殊仮名遣のスレで頼む。

87名無しさん:2011/02/19(土) 13:02:29
日本語、朝鮮語、ベトナム語における漢字音の需要はいつ頃どのように行われたんだ?
単発の語彙ならともかく、数千もある漢字音を体系的に導入するのにはかなりの努力がいるだろう。
中国語話者以外が習得して持ち帰ったのか、中国語話者が直接広めたのか、実態はどうだったんだ?

どちらにしろ中国語話者の発音に直接接することができるのは限られた人数だったはずだが、
それ以外の人はどうやって漢字音を習得したんだ?特にそれぞれの言語本来の音韻体系からはみ出す音。

例えば日本語の場合、語頭の濁音とラ行、閉音節の-k、-t、-p、-m、-n、-ng、ai、au、ouなどの二重母音、
開拗音CjVと合拗音CwVなど、本来の日本語の音韻体系に無かった音が大量に入っているが、
このような音が、文字も知らない庶民に至るまでどうやって遍く受け入れられるに至ったんだろう?

88名無しさん:2011/02/19(土) 23:51:05

>>82
次のHPで入声の説明をしている。
http://tieba.baidu.com/f?kz=118321545
>“入声短促急收藏!” 这是最关键的.
「短促」は妊婦に対する指導でよく使われる語。「短促呼吸」とは、「ハッハッハッハッ」という短めの呼吸法。
「急收藏」は急いで(息、音を)収める、止めること。

>一般来说,普通话中,凡是声母为b、d、g、j、zh、z,声调为阳平的字,都是入声字。
普通話で頭子音がB、D、G、J、Z、ZHで第2声だったらすべて入声字だ。

>声母为d、t、n、l、z、c、s,韵母为e
頭子音がd、t、n、l、z、c、sで韻母がeならすべて入声字だ。

>声母为k、zh、ch、sh、r,韵母为uo 
頭子音がk、zh、ch、sh、rで韻母がuoならすべて入声字だ。(例外は「庫」)

>b、p、m、d、t、n、l,韵母为ie
頭子音がb、p、m、d、t、n、lで韻母がieならすべて入声字だ(例外は「爹」)。

>韵母为ue(u读迂)的字都是入声字
韻母がue(uは迂[y]と読む)ならすべて入声字だ(例外は「嗟」、「瘸」、「靴」)。

89名無しさん:2011/02/20(日) 21:11:53
上古音の時代の押韻は母音や子音、声調によるものではなく長さによるもので、
入声と去声が押韻してるからって無理に去声に閉音節を想定する必要はないということ?

90名無しさん:2011/02/21(月) 13:42:44
>>87
二重母音は[j]や[w]の半母音をデリミタ ー【delimiter】として用いて
音節、モーラの区切りとしていた。
「十」を表わす「とお」の古い形は「とを」でそれが訛ったものが
3モーラの「とうお」として関西弁に残っている。
「女王様」を「じょうおうさま」と発音するときの1番目の「う」は
デリミターの[w]の名残りだろう。

「場合」を「ばわい」「ばやい」とも発音する方言がある。
標準語というのはそういうデリミターの[w]や[j]を無視しようとする
引力のような物に支配されているようだ。
例:キヨスク→キオスク、ギリシャ→ギリシア

91名無しさん:2011/02/22(火) 04:32:54
>>87

一般の人が大量の漢語に接したのは、日本では(たぶんベトナムも)
仏教関係だと思う。ただ日本語化した漢語には「せうそこ」みたいに
漢音とも呉音ともかけはなれたものがけっこうあって、それがだんだん
ならされていったようだ。

日本漢字音には -k, -p, -ng はそのままの形では存在していないし、
-t -m -n は音便の形で和語にも存在したはず(奈良時代にあったか
どうかはよくわからないが)
拗音はたしかに新しい音で、今でいうと「ファ」みたいなものだったろう。

朝鮮やベトナム漢字音には、漢語にしかない音というのはあるだろうか?

92名無しさん:2011/02/23(水) 10:43:16
>漢語には「せうそこ」みたいに

昔は「う段音」だったけど今は「お段音」あるいはその逆だという語はけっこうある。
 ゴーグル⇔グーグル
 ヤッホー⇔ヤフー
これは西日本方言の「う」の円唇性が強く東日本方言の「う」と音色が違うので
東日本の人が西日本方言の「う」を「お」で真似したということがあるかもしれない。

93名無しさん:2011/02/23(水) 11:24:30
>>92
いや、これは「博士」をハカセというのと同じ原理で、
前の母音をくりかえしているもの。

94名無しさん:2011/02/23(水) 17:32:31
>>92
さすがにふざけすぎだろw

95名無しさん:2011/02/23(水) 20:11:58
高校漢文に史記の項羽と劉邦の戦いの話が出てくるが
項羽は范増を「亜父」と呼んでいる。

この「亜父」の読みだがドシロウトは「あふ」と読む。
教育TV「新 漢詩紀行」に金曜日に登場する
石川忠久先生は四十年余り昔TV高校講座の時間に
「あほ」と読めと仰せられた。

96名無しさん:2011/02/24(木) 05:08:18
>>95

読み癖だからしょうがないけれど、本来「父」の二つの音は清濁の違いに
過ぎないので、理屈の上ではどっちも「フ」でいいはずなんだよね。

たぶん注釈に「父音甫」と書いてあるせいで、ホと読むようになったん
だろうが、いつごろからこういう読み方が発生したのか疑問。

そもそも「甫」をホと読むのは異例で、こういう例は「甫・輔・簠」のように
「甫」を声符としたものにしか存在せず、おそらくは「浦・補・捕・舗」
などの類推だろう。

朝鮮語でも「父」は bu と bo (= 甫) を区別するらしい。日本語と同じ
ことが起きたんだろう。

97名無しさん:2011/02/24(木) 05:16:03
あと、「漁父辞」がギョホなのに「田父野叟」がデンプなのは
理屈に合わないと思う。漢文の教科書に出るような有名な語でだけ
ホと読むんじゃないだろうか。

98名無しさん:2011/03/09(水) 19:34:42
>>91
日本でも、平安時代頃までは-k、-t、-p、-m、-n、-ngなどの
閉音節がそのままの形で取り入れられていたようだな。

しかし院政時代から鎌倉時代にかけて、
-k、-p、-tなどは母音が付いた形が一般化していき、
日本語の中に取り込まれていった。

その中でも、-tはかなり遅くまで残っていた。
1604年の『日本大文典』には、butmet(仏滅)だとか、
bat(罰)などの形がある。bachiに同じともあるので、併存していたのだろう。
これが日本語の促音が「っ」で表される理由でもある。

-m、-n、-ngなども当初は区別されていたようだが、
-ngは-i、-uの鼻母音を経て母音化した。
また-mと-nも鎌倉時代までに区別が失われ、-Nとなった。

99名無しさん:2011/03/09(水) 19:42:19
butmetとかbatとか、一体何モーラでどんなアクセントが付いていたんだろう?

100名無しさん:2011/03/10(木) 12:11:29
>>98

-t や -n (-m も?)を閉音節として受けいれたことはそうだろうけれど、
それ以外の -k -p -ng については証拠がある?

101名無しさん:2011/03/10(木) 21:27:48
>>100
少なくともPについては、現代語の「合併」「合唱」で例証としては十分なんじゃないの?
これは「ガフ」という音が存在したことを明らかに示すもので、
熟語が促音になっているということからも、
gaΦu>gau(語中Φの消滅は西暦1000年頃)ではなくgapであったことが推測される。
「十個」を「じゅっこ」と発音することは今でも俚言扱いする人がいる。字音語としては訛りだからだ。

102名無しさん:2011/03/11(金) 02:57:45
>>101

いや、gap だったらガウには変化しないでしょ。
最初から -u があったと考えないと。

103名無しさん:2011/03/11(金) 10:59:37
>>102
最初は母音が無かったけど、日本語に馴染んでいくにつれて母音付きの形が出てきたということでしょう。

104名無しさん:2011/03/12(土) 03:34:33
いちおう手元に沼本克明「平安鎌倉時代に於ける日本漢字音に就ての研究」
(1982)があるので、これによると

A. 橋本進吉(「古代国語の音韻」ほか)は -p が直接促音になったとする

B. 小林芳規・小松英雄・奥村三雄ら最近の説では -φu の u が無声化して
   促音になったとする

の二説があり、どっちとも言えない。両方あったかもしれないが、すくなく
とも B があったことは否定できない。

とのこと。したがって「促音化があるから -p と読んでいた」とはならないみ
たいです。


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