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三千大千世界『『『 クソデカ羅生門 』』』イベント

1【真理超力】:2021/07/29(木) 15:45:37 ID:3cm528R.
貴方の目の前にはクソデカい羅生門がある。
傍らで象くらいある蟋蟀が轟雷なような鳴き声を奏でている。
馬鹿みたい広い門下をくぐり抜けたのなら────。


行き着く先はクソデカ羅生門。
那由他にデカき大千世界。
さあ。インフレの波に溺れましょうや。


絶対則『惑星以上の規模の天体の破壊はできません。』以上!

いつもの戦うスレの様に自由にお過ごし下さい。
前ロールで死んでいても次ロールで普通に復活してて大丈夫です。
必ずしも戦闘しなければならない訳ではありません。

  開催:今から
終了条件:皆様が飽きてしまうorこのスレが埋まる

2【真理超力】イベント用:2021/07/29(木) 18:51:23 ID:3cm528R.
都市空中に逆さま座禅姿で浮遊する少女が一人。
伊達眼鏡。『学園』制服。平坦な。
ふと瞑っていた眼をかっと見開き。

「我は己が限界を超越せし者。
 即ちアンリミテッド・六道ねむであるッス!」

【そのくだり訳一年前に別の人がやってます】

そッスか。ま、いッスよ。
先達の後輩の魔女っ娘の二の轍は踏まないッス。
この六道さんに油断も慢心もねッスから。

【とまあ第四の壁を壊すのはこれくらいにしておいて】
【────其れは飽くまで僕の特権だからね】

「さあさあ掛かって来いッスよ。
 大怪獣バトルでも超能力雑談でも何でも来やがれッス!」

空高くを雑に乱回転しながらシャドーボクシング。


//イベントのノリはこんな感じのお祭り騒ぎでいいですよ、と
//参考用に絡み街投げときます

3【光化彗衝】光の速度で移動する男:2021/07/30(金) 23:03:45 ID:lcDOPD0c
>>2

 さて、その少女が浮遊する街は、その瞬間クソデカい災厄に襲われた。
 何の事はない。ただ一人の能力者がそこを訪れたというだけの事である。
 少なくとも、一般人の中にその災厄を察知して逃げおおせた者は皆無だった。

「ハーッハッハッハッハァッ!」

 鼓膜破壊レベルの高笑いと共にその街へ現れたのは、一人の成人男性だった。
 だが、その声を聞いた者も、姿を見た者もいない。
 何故ならば、その男性の速度がクソヤバかったからである。
 秒速にして約30万km。国際単位系における記号は“c”。
 そう、光の速度である。
 仮に60kgの物体が光速で移動すれば何が起きるか?
 そこに発生する相対論的エネルギー(運動する物体が持つ全エネルギー)は無限大である。
 マジヤバイ。無限大のエネルギーなんて日常で早々出てこない。
 静止エネルギーに換算すればおよそ5.4兆メガジュール。
 マグニチュードに変換すれば9以上。もう大震災レベル。
 TNT爆薬換算なら約1.3ギガトン。核実験に使用されたツァーリボンバの約260倍。
 そんなエネルギーが生み出す破壊は想像を絶するものだろう。
 もしも、それを防ぎ得る者がいなければ、地平線まで綺麗サッパリ消し飛ぶ事になる。
 幸いにしてその街はユーラシア大陸くらいのサイズなので、全滅する事はないだろうが。
 さて、その、光速の質量弾と化した男の暴挙を防ぐ事の出来るクソデカ能力者は存在するだろうか。


// よろしければ!

4【真理超力】:2021/07/30(金) 23:26:26 ID:yshWttTM
>>3

「甘いッスよ。」

通常人間の動体視力で光の速さに対して反応をする事なんて不可能。
しかしながら。限界を超越し極点へと至りしサイコキネシス。
文字通り不可触での空間法則の掌握にも同義である其れは。
力場でユーラシア大陸相当の広さの街全体を覆いつくす様に展開されていた。

異変に気付くやいなや街の外周のシルクロードみたいな平原が。
大気圏を貫く程の高さのマジ分厚い防壁として。
何層にも何層にもミルクレープの生地めいて隆起し、
ともすれば星すら殺す凶星を真っ向から止めるべく立ちはだかる。

「戦いの邪魔なんで街は住人諸共ぽいッス。」

街の基礎ごと岩盤を抉り、
地平の向こうの多分安全圏までソイツをシュー!
安否の方はぶっちゃけ知ったこっちゃないッス。
そこまで面倒見てやる義理などない。

「そこ行くお兄さんは当然。バトル希望ッスよね?」

お洒落で掛けてる伊達眼鏡をクイっと決め。
其処より先は私の手の平の上ッスよ?
とでも言わんばかりにグリーンランドくらいある岩石の塊を馬鹿みたいに宙に浮かせてみせるのだ。



//光速とは言ってもめ○かボックスとか◇猿大将みたいな想定だったので……
//自分は対応できそうなので今回はこのまま行きますが
//他の方とロールする際には殴り合いが成立するくらいには抑えて頂けますと幸いです

//まあ今回はクソデカイベントなので
//問題が発生したらナーフじゃなくて上方修正でバランス取りますけどネ

5【真理超力】:2021/07/30(金) 23:26:58 ID:yshWttTM
ageます

6【光化彗衝】光の速度で移動する男:2021/07/30(金) 23:57:52 ID:lcDOPD0c
>>4

 この接触の僅かな合間に、男は3度驚愕した。
 まず、光速のエネルギーを防いでみせた何らかの力場。
 次に、岩盤ごと放り投げられた街。
 そして最後に、巨大も巨大。純粋な質量兵器とすれば規格外とも言える巨岩。
 もっとも、何よりも驚いたのは街の住民達だろう。
 消し飛ぶよりマシとはいえ、あのような雑な救助では甚大な被害が出ていてもおかしくはない。

「確かにバトル希望っちゃバトル希望だが……。
 ……テメェ、エイジ・オブ・ウルトロン観てねぇのかよ。
 ヒーローならもっとゆっくり助けてやれっての」

 呆れたように肩を竦めてみせた男は、しかし、
 眼前に浮かび上がる巨岩にゆったりと腰を落とし、足を広げる。
 それは、紛うことなき武道の構えであった。
 もはや、この領域の戦いにおいてはさほど役立つとは思えぬ技術。
 だから、それは臨戦態勢に入った精神を示しているのだろう。

「──俺は眼鏡萌えだからな、顔は勘弁してやるよ」

 だが、男はその姿勢とは裏腹に、笑みを浮かべて軽口を吐く。
 そして、かかってこいと言わんばかりに手をクイクイと折るのであった。




// ……よく考えたら光速だからって
// 移動のたびに時間が止まったり、超破壊がおきてもクソデカ過ぎて困るのだ……!
// そういうものすごい破壊はコイン射出に任せて
// 移動は黒○ファントムとかJガ○ルの旦那くらいのノリで扱いたいのだ!
// 最初のは、なんかこう、登場演出的なアレか、
// なんかすごく頑張ったら破壊エネルギー出せちゃったけど再現の仕方分からないよ、くらいの気持ちで良い感じにやっていくのだ……

7【真理超力】:2021/07/31(土) 12:12:34 ID:GI58igOo
>>6

────テメェ、エイジ・オブ・ウルトロン観てねぇのかよ。

「アヴェンジャーズっしたっけ?
 結構前に見たんで詳しい内容は忘れちゃったッス。」

特別悪びれもせずに軽口を返す。

「────それに。私別にヒーローって訳じゃあないッスもん。」

中立・中庸。どっちつかずの六道ねむ。
善行も悪行もその場の気分とノリだけでコロコロ変わる。
絶対の基準は"面白そう"か"そうでない"か。

尤も元居た世界でなら能力にも限界があり。
比較的常識的な範囲の内での振れ幅であったのだが。
此の場所では彼女に一切の思考の枷が存在しない。

「因みにこれ伊達ッスけど。気にしない人ッスか?」

煽り? 多分煽り。眼鏡萌えにも色んな種類がある。
当然、それぞれが抱える地雷の種類も多岐に渡るだろう。

巨岩の砲弾が次々と男目掛けて放たれる。

先刻見た限りでは男は極限まで速度に特化したクソデカ能力者の様だ。
現にさっきも相手の挙動を目で追えたのではなく。
力場の揺らぎから観測できる未来の地点を演算して回り込んで防壁を立てたに過ぎない。

先ずは小手先(世界最大の島)で様子見、観察に徹し。
何が無効で何が有効なのかを調べる。異能を解体するのだ。

8【光化彗衝】光の速度で移動する男:2021/07/31(土) 18:56:39 ID:LtVDj3nU
>>7

 伊達眼鏡の是非は、眼鏡好きの中で138億年前から語られてきた命題ではあるが、
 その男──八栞千秋にとって伊達眼鏡という存在の立ち位置は、ハッキリとしていた。

「……野郎ぶっ殺してやらァ!」

 その男にとって伊達メガネという存在は、絶対悪にも等しいものであった。
 『眼鏡の天使TRPG メガネリオン』なるテーブルゲームを、
 本気で感情移入してプレイする無類の眼鏡好きであるが故に、
 男は少女の煽りにこれ以上なく乗っかった。
 放たれる巨岩は途方もない巨大さで、むしろ少女の方が効率的に地球を破壊しているようにも思える。
 従来の能力であれば、為す術もなく潰されて終わりだろう。
 だが、今ならば天蓋を覆う無数の巨岩すら、素直に放つだけでは男を捉える事は出来ない。
 男の周囲の空間が揺らぎ、僅かに発光──そして、次の瞬間に男の姿は掻き消える。
 残される光の軌跡だけが男の移動先を示しており、それは地平線の遥か彼方まで一直線に伸びていた。
 巨岩が押し潰す圧倒的範囲は、男にとって一瞬で駆け抜けられる距離だ。
 故に──。

「ぶっ飛べ伊達眼鏡ェッ!」

 ──迫る時も一瞬だ。
 光速で移動している男から発せられる音が正常に“声”として少女に届く事はないだろう。
 人間の知覚外の速度の疾走は、巨岩によって粉砕される地面を物ともせず、
 舞い上がる粉塵を消し飛ばしながら少女へと肉薄する。
 遥か彼方の地平線から、降り注ぐ巨岩の隙間を縫うように少女の下方から迫る一条の光。
 空間の歪みを察知出来たならば、光の速度の飛び蹴りが、下から顎を蹴り上げるように迫る事が分かるだろう。

9【真理超力】:2021/07/31(土) 19:31:40 ID:GI58igOo
>>8

────野郎ぶっ殺してやらァ!

「それ、ぶっ殺される側の人のセr……」

巨岩の連弾。其れ等が巻き起こす大規模な粉塵も物ともせず。
光速の蹴撃は一瞬にして顎を狙い打つ。

スピード系は攻撃力が低い。一昔前そんな認識が広がっていたのは何故だろう。
速さ。それ即ち力。高速で繰り出される一撃が軽い筈などないのに。
其処にあるのは"抵抗"の概念。

凄まじいスピード、其れは間違いのない破壊力。
しかし其れは同時に移動しているものにも等しく降り注ぐ。
詰り超高速戦闘を可能とする為には、
其れに耐えきれるだけの硬さも必須となる。

この男には其れが出来た。

「へぇ。やるッスね。バリア越しでも結構キたッスよ?」

其れを顎部に受けて平然と受け答えを出来るという驚異。
考えてもみれば当然。
あれ程の規模の質量を同時に平行的に操れる念動力。
自身の周囲への干渉を何十何千倍にでも重ねて。
文字通りのバリアとして展開するなんて事も出来て何ら可笑しくはない。

「お兄さんのその速さ。
 どういう状況でも対応できるのか。検証するッス。」

直後、少女があらぬ方向へ吹っ飛んだ。
違う。"少女も含め"天地の全てがミキサーに掛けられたみたいに滅茶苦茶に。
上下左右の感覚さえも狂う程の超規模で以て。
360°あらゆる方向から普く掻き混ぜる様に乱回転させられている。

バリアの守りをいい事に自分諸本巻き添えにして、
広大な巨石の嵐の中へと引きずり込もうと言うのだ。

10【光化彗衝】光の速度で移動する男:2021/07/31(土) 20:04:04 ID:LtVDj3nU
>>9

 己の能力も中々にクソデカだと思ったが、
 どうやら目の前の少女の能力もクソデカ極まりないらしい。
 やっている事は、恐らく、単純な念動力。
 障壁のようなものの展開と、物体の操作が確認できた。
 だが、そのやっている事の規模が桁外れだ。
 まして、光速の蹴りを受けて平然としている。
 さて、この強固な障壁を突破する為には何が必要か。
 その強固さをも超える桁外れの火力である。
 そして、男にその手段は存在するのだ。
 光の速度も失せ、自由落下を始める中でポケットから一枚のコインを取り出す。
 着地と同時に己の最大の一撃を食らわせるべく、意識を集中。
 そして、地面へと降り立つその瞬間、“天地が裏返った”。

「なんっ……だ……!?」

 上に、下に、右に、左に、縦横無尽に視界の全てが乱れ舞う。
 己の身体も、巨岩も、少女さえもが飛び交う嵐の中。
 男が自分の置かれた状況を把握した時には、天災と呼ぶことすら生温い地獄が顕現していた。
 迫る巨岩に慌てて移動すれば、目の前を別の岩が塞ぐ。
 回り込もうとすれば、そこをすり潰すように岩同士が衝突する。
 もしも、規則的な動きであれば何とかなったのだろう。
 しかし、光速移動の最中にランダムに飛び交う物を避けきる事は出来ない。
 光の帯が伸びては、岩に激突を繰り返す。
 そのままならなさに、男は怒りを露わにした。

「ウッ、ザッ、テェんだよォォォォォォ!」

 男の周囲の空気が輝き、一条が伸びる。岩に衝突して、光が霧散し男が姿を表す。
 衝突した岩を蹴りつけ、男は再び光の一条となって移動。再び岩に衝突して停止。
 このプロセス。この一連の行動を、男は繰り返した。
 その光線に混じり始める、赤。正面衝突ならば、男が傷を負う事はない。
 だが、その移動はもはや、男の制御下とは言い難い軌道を描いている。
 岩に掠めては肉が削がれ、こめかみや四肢の先から血が舞い始めた。
 それでも男は止まらない。
 光速移動、停止、光速移動、停止、光速移動、光速移動、光速移動、光速移動、光速移動、光速移動。
 次第にその移動の密度は上がり、ロスは短くなり、全てを破壊する嵐の中に光の残像が満ち始め──、

「見つけたァッッッ!!!」

 その光の乱反射の中で、男の視界が少女を捉える。
 傷から溢れる血すらをも置き去りに、男は少女の真正面から、
 そのまま光速の弾丸となって体当たりを行うだろう。
 そして、その中で、男の左手は少女の身体を掴まんと伸ばされている。

11【真理超力】:2021/07/31(土) 20:17:26 ID:GI58igOo
>>10
乱舞する岩の嵐の地獄界。最中に満ちるは光の軌跡。
しかしその中に次第に飛び散る赤が混じり始めて。

(なるほどこう言うのは有効だったみたいッスね。)

それでも光速での体当たりを何度も何度も繰り返し、
とうとう此方の姿を捉える事が出来た様で。

ズタボロになりながらも男の腕が少女の左腕を掴むに至る。
当然両者の間には須臾の隙間に何層にも折り重なった力場の壁があり。
その気になれば今この場でもそれを押し広げて弾き返す事も叶っただろう。

しかし。それじゃあ"つまらない"。

「こーゆーの世間一般じゃ痴漢って言うんスよ?」

事もあろうに今この瞬間は其れを煽るためにと費やした。

12【光化彗衝】光の速度で移動する男:2021/07/31(土) 20:37:38 ID:LtVDj3nU
>>11

 動きが停止すれば、ドクドクと全身の傷から溢れ出す血液。
 切り裂かれたこめかみからは止めどなく血が流れ、
 深い裂傷を負った左肩からは、少女の腕を掴む左手へと血が伝う。
 全身を苛む痛みは並大抵のものではないが、しかし、それでも男は笑みを浮かべた。

「ハッ、そういうのは男を誘える身体になってから言うんだな、貧乳」

 煽り返しながら、ずっと右手に握りしめていたコインを親指で上に弾く。
 その瞬間、もはや何の力を持たずとも感じ取れるほどに、男の周囲の空間が歪み始める。
 耳鳴りのような高音が響き渡り、打ち上げられたコインが細かく震えていた。
 そして、そのコインが徐々に光を帯び始め、落下を始める。
 男は右手を大きく振りかぶり、少女を掴み左手に力を込めた。
 静止状態でのみ行える、男の最大火力の一撃。
 念力で浮かぶ少女という存在そのものを足場に見立て、身体を固定する。

「“生きて”みせろよ、クソガキ」

 ──そして、落下してくるコインに合わせて、男は右腕を振り抜いた。
 殴りつけるような形で振るわれた右手は、少女の胸へ目掛けてコインを叩きつける。
 その動作は、先程の光速移動と比べればあまりにも緩慢。
 しかし、右腕の延長線上へ目掛けて弾き飛ばされるそのコインの速度は、光そのものだった。
 数百gの小さなコインの破壊力が如何ほどか? という問いに、正確に答えられる者はいない。
 何故なら、光の速度で放たれるそれは、無限大の相対質量を得て天文学的な破壊力を宿すからだ。
 少女に直撃したか否かに関わらず、周囲を飛行する巨岩をも容易く消し飛ばすであろう一撃は、
 着弾地点に絶大な、人知を超えた被害を齎すだろう。

13【真理超力】:2021/07/31(土) 20:55:54 ID:GI58igOo
>>12
煽ったら貧乳とか何とか煽り返された気がするが。
今はそんな事どうだっていい。

────“生きて”みせろよ、クソガキ。

男がコインを弾き上げてから最大級の極大悪寒が全身を駆け巡った。
圧倒的な筈のバリア越しにでも伝わる"死"への恐怖。
あれが直撃するのだけはマズい!

瞬間カニやタコがそうする様に自らの左腕を引きちぎり離して。
全身全霊を防御に回しながら回避を試みる。

直後解き放たれたのは無限大の破壊力を秘めた星を穿つ極光。
このクソデカ世界でなかったなら今いる惑星ごと吹き飛んでいたであろう。
あらゆる条理を超越する究極の破壊。

「……っ、ぁああ"ああ"あ"あ"!!!!」

直撃はしなかった。放たれた光がほんの微かに掠めただけだった。
それをバリア毎巻き込んで左肩口までを消し飛ばし。
更にはその衝撃で遥か先の地表へと自身も吹き飛ばされる。

バリアはまだ健在。肩口の止血に思考リソースを集中。
地面を鞠の様に何度か跳ねた後、両足で立ち上がり再起。

痛みだとか恐れだとかに脂汗を垂らしながらも。
目は死んでいない。これ以上ない程の"面白いこと"を前ににやりと笑ってみせていた。

もう一発でもアレを喰らえば死ぬ。
でも"今はまだ"死んでない。まだまだ私は生きている!

14【光化彗衝】光の速度で移動する男:2021/07/31(土) 21:23:57 ID:LtVDj3nU
>>13

 ──笑った。
 極光に吹き飛ばされ、地表を削り穿つ破壊を目の当たりにして、あの少女は笑ってみせたのだ。
 最も愛すべき人種。どんな運命、どんな世界だろうとも懸命に“生きる”者だ。
 だから、男は狂気する。

「この状況で笑えるたァ、良い女じゃねェか伊達眼鏡ェ!
 最高の“イベント”ばかりだぜ、この巷はよォ!」

 手加減も、中途半端も、すべては無粋とばかりに男は覚悟を決める。
 切り札をもう一枚切るに値する相手だと。

「瞬きすんなよ……俺の、全力だ……!」

 ポケットからコインを一枚取り出し、親指で弾きあげる。
 先と同じこと。工夫も、小細工も無用だった。
 これこそが至高の一撃であり、これこそが最強の一撃。
 遥か彼方に映る少女を捉え、コインが光へと変換される。
 空間が歪み、まるで道筋のように歪みが少女へと続いていく。
 そして、にやりと笑って、男は右腕を振り抜いた。
 もう一度、少女目掛けて放たれる破壊の光線。
 予兆は十分、察知は十分に可能。しかし、障壁も距離も無に帰す一撃だ。
 その、大いなる念動力者は対処可能だろうか。

15【真理超力】:2021/07/31(土) 21:37:31 ID:GI58igOo
>>14
在れなるは小細工も何もかもを捩子伏せる力の極点。
────"だからこそ"こっちは小細工の極点で迎え撃つッスよ。

状態を静止し、コインを弾く。それがあの一撃の条件なのだろう。

「……ちょっと前にこう言うの漫画で読んだッスよ。」

男がコインを弾くほんの刹那に。
自身と男の中間の一点のクソデカ重力線を持てる全てのリソースを裂いて収束させる。
鼻血がだくだくと流れ落ち、肩口からの出血も噴出する。
其処まで費やして作り出すのは極小サイズのブラックホール。
この世の理にあって光の軌道すら歪める天体現象の再現。

これでコインの光閃を消し去る? 否。

弧を描くカタチでその軌跡を巻き取り、歪め、放り返すのだ。
其の最強の一撃を解き放った射手その者へと!

正直これを交わされたのなら後はない。
出血量が多すぎて戦闘の続行は出来ないだろう。
仕留め切れたならどうにか出血を止めて、それから、それから────。

でもまあ。

(これで負けたのなら悔いは無いッスかね。)

16【光化彗衝】光の速度で移動する男:2021/07/31(土) 21:58:28 ID:LtVDj3nU
>>15

 この世、人が認識し得る世界で最強の力とはなにか?
 男はこう答えるだろう。それは、光の力だと。
 光速で放たれる相対質量無限大と化したコインは、あらゆる物を破壊する。
 少女の念動力も、それは大したものだ。
 核エネルギーなど鼻で笑えるほどの力なのだろう。
 その気になれば“空間を押し潰す”などの手段で、早々に八栞千秋を撃破せしめたのかもしれない。
 小手調べですら、あの規模の攻撃だったのだから、それを冗談で片付ける事は出来ないだろう。
 だから、今、ここで殺すのだ。
 その殺意を込めた極光の一撃が、視界に瞬いた瞬間、八栞千秋は、“不思議なもの”を見た。

「──ぁ」

 極小規模のブラックホールは、その絶大な重力によって光を捻じ曲げる。
 極光の幾つかが、ブラックホールの中に生まれた“事象の地平面”に呑み込まれ、
 そして、削り取られか細く残った閃光は、男の頭部を貫いた。

(何が、起きt)

 芽生えた疑問すら溶け始め、急速に消え失せる意識。
 脳幹を貫かれなかったとはいえ、明確な致命傷だった。
 遥か彼方で、それを為し得た偉大なる念動力者。
 彼女を見据えて、男は小さく呟いた。



 ──嗚呼、楽しかった。



 それは、声にならずに虚空へと消え、男はゆっくりと、その場に倒れ込む。
 もはや医者でなくとも判別できる。明確な、死であった。





// 決着ゥーーーーッ!
// ありがとうございました、楽しかったです!

17【真理超力】:2021/07/31(土) 22:08:45 ID:GI58igOo
>>16
破滅の光そのものと化したコインの軌跡が。
ぐるりと歪み射手の男の頭部を貫くのを目視で確認して。

何時だったかな。人死には"まだ"面白い事とは思えないなんて言ったのは。

どうやら"こんな"に成れ果ててでも其れは変わらなかったみたいで。

「悪いッスね。お兄さん。」

即座に肩口の止血に意識を回しながらもどさりとその場へ倒れ伏せた。
死なない。"死ねない"。
ここまでやって掴んだ勝利ならむざむざ死んでは無礼にあたろう。

【たとえこの世界の理で】
【次には互いに無傷の状態で別の可能性を歩めるとしても】

だから死んでなんかやらない。


//こちらこそありがとうございました!!
//あのアレの再現みたいなのが出来て感激でございます!

18【燼臓丙儺】:2021/08/09(月) 20:25:38 ID:fmk0t7aA
ある日の超暮方(ほぼ夜)のことである。
ひとりの大男が世界最大の都市のド真ん中で、光の速さで閃いた。

「あ、こりゃ祭り始まったわ」

次の瞬間、この狂った男はありえないほどめちゃくちゃ暴れ始めた。
マリアナ海溝のように引くほど深すぎる理由があったわけじゃなく、やることもなさすぎて死ぬほど退屈だから、手始めにこの街の何もかも微粒子レベルに至るまでぶち壊しまくってやろうと思ったのである。
砂漠の砂粒みたいに細かい理屈を成層圏の彼方までカッ飛ばして馬鹿みたいに暴れまくる最強男から六兆人くらいの激・住民が逃げまくっている様子は一種の超災害だった。

ヤバいくらい治安がいいことで知られるこの大都市も平和を護る世界最強の警備兵が六万人くらいかけつけたがゴミみたいに蹴散らされていく。
音波でガラスが割れるくらい大爆笑しまくっている大魔王男が世界一高いタワーをえいやっと引っこ抜いてアホみたいにブン回しているのである。
そのままクソ高いタワーをヤバいパワーで振り回して化物みたいに美しい街並みをドン引きするくらい廃虚に変えていく魔神男はマジでぜんぜん停まる気配がなかった。

19【真理超力】:2021/08/10(火) 20:04:33 ID:z8bfr3/s
>>18
夜闇迫る黄昏時。逃げ惑う群衆と警備兵の無線とが飛び交う。
何もかもがクソデカいギガスケールを常とするこの世界に在って。
尚も異能。"異常"であると評される者達。異能力者。
それぞれが個にして大災害と匹敵する6体のバケモノ。
奴らに付けられた二つ名。

[コメットストライク][ギガントマキナ][ブラストボーン][ハザードシグナル]

そして、現在交戦中の────。

「こちら第37564班。市街地にて [アースシェイカー] から市民を非難誘導中!
 交戦部隊、そっちはどうなってる!?」

「駄目です! 野郎、███36号タワーを棒切れみたいに振り回してっ……
 うぐあああああ!! (破砕音)」

「███! ███! どうした!? クソっ!」

警備兵の男が同僚の死に悲嘆を吐き捨てると同刻。
彼の目前で巨大な鉄塔三本が宙を漂う"異常現象"を確認した。

「今すぐ市民の避難ルートを変更しろ!
 新たに [フロウディザスター] の出現を確認した! 二体の衝突が予想される!」

大陸規模の極大破壊を齎す双つの災厄を前に、
只人は過ぎ去る事を祈る事しか叶わない────。

────────────────────────────────────────────────


何やら街中でドンパチ始まったので、
世界一高いタワー(同率タイ)を三本引き抜いてふわふわと見物に参った六道さん。

「あっ! グラオザームさんじゃないッスか!
 お久しぶりッス!!」

ぶんぶんと莫迦デカタワーを振り回して挨拶する。

「見た感じそっちもバトル志望ッスね。
 私にいい考えがあるッスけど。どうッスか?」


【説明しよう!】
【クソデカ能力者となった者は自己スケールが巨大化しすぎてしまうため】
【この世界の人々を同じ"人間"であると認識する機能が著しく低下するのだ!】

20【燼臓丙儺】:2021/08/10(火) 21:45:16 ID:ahT5u8TI
>>19

一分も経たないうちに男の周囲数キロメートルが放射状に瓦礫の山へと変わっていた。
発生した火災やら何やらごと振り回すタワーの爆風で掻き消して吹き飛ばして平等に無機物に変えた。
逃げ遅れた者も当然、いまや無機物に変わっている。それに関して何も思うところはない。
これは元からそういう人間だからどうしようもないのだが、内面の感じ方に変化が起きていた。

元の彼ならちゃんと人間であると理解した上で殺すし潰すしその上で頓着しない。
だが今はそもそも同じ人間だと感じ難くなっていた。まるで肉で出来た人形を壊しただけのような、奇妙な非現実感にすり替わっている。
勘のいいゲアハルトはそれに気付いていたし、なんだか妙な気分になってもいたのだが……。

「六道の嬢ちゃんか久しぶりだな! 元気してたかよ!」

クソデカ能力者はそんな細かいことをいちいち気にしない。
これまた元からそういう性格だが、おそらくそれに拍車がかかっているのだろう。面倒なことは秒で捨てた。

「おおともこちとら退屈だから暴れてたのさ! 面白ェ考えがあるなら是非とも乗らせていただきたいね!」

頭にあるのは享楽、享楽、それただ一色。
楽しければそれでいい。それさえあればどうでもいい。
元来の彼を象徴する刹那主義という言葉がその他諸々を完全制圧していた。もはや人間の思考とも言い難い。

21【真理超力】:2021/08/10(火) 22:26:27 ID:z8bfr3/s
>>20

「憶えててくれてたようで嬉しッスよ。
 ご覧の通り元気全開に、"お礼参り"に来たッス。」

豪華カジノで非日常を味わわせて貰った"お礼"と、
それはそれとしてヤの字の抗争に巻き込まれ掛けた"お礼"。

「思うに、グラオザームさんってば何時もGM(まきこむ)側で。
 PL(まきこまれる)側になる事って少ないと思うんスよ。」

伊達眼鏡をクイっと決めて不敵に笑む。
そして指を鳴らすと同時に街が、大地が競り上がる。
無機質な荒野、連なる摩天楼、火花散らす送電線。
彼の目の前の"全て"を巻き込みながら一つの巨影が形作られる。

竜の骸ならぬ。残"骸"の竜。
形状的にはドラゴンというよりゴ〇ラ寄り。
街の一角を丸々巻き込んで生み出された傀儡の怪獣。

「中に核融合炉三基を動力源に組み込んで半自立制御に仕立ててあるッス。
 全部潰すか。術者を倒すか。どっちでもOKッスよ?」

瓦落多の口腔から放射性の光煙を漂わせながら。
巨怪な竜の似姿と其の主の少女は貴方を見下ろしている。

≪ 偽骸竜、災厄を騙る-バーゲストテイル- ≫

「どうッス。やってみるッスか?」

22【燼臓丙儺】:2021/08/11(水) 20:08:54 ID:AHeeCp9.
>>21

浮かぶ少女の言葉を聞くにつれて、亀裂のような笑みが深まっていく。
形成された勇壮な巨大怪獣を前にしたらもう、ワクワクとウズウズが止められなかった。

どうするかって、聞かれるまでもなくそりゃもちろん──。

「──上等ォッ!!」

はいとかいいえとか、答えを返す前に光煙漂う口腔目掛けて手に持ったタワーを神速でブン投げた。
“俺の答えはこれだ”と言わんばかりに躊躇も容赦も一切なく全力投擲された鉄の塔の直接的威力はきっとミサイルよりもデカい。
そのまま周囲を走りまわりつつ、小手調べとばかりに周りにあるものをやたらめったら投げまくる。

「ああ確かに言うとおり、俺はいっつも巻き込む側だよなァ!
 だが俺個人の嗜好としちゃあ既に起きてる祭りに飛び込んで何の気兼ねもなく暴れ回るほうが好きなんだぜ、知ってたかい!?」
 
瓦礫。鉄骨。電柱。
車。重機。半壊した建物を地盤ごと引っこ抜いて怪獣へ少女へ手当たり次第に近い方へ当たれ当たれと無闇矢鱈。
擦れ違ったものすべてをひっつかんで投げ飛ばしていく様子はあらゆるものを天の彼方へ巻き上げる台風のようだった。

「でも面白可笑しい祭りなんざめったに起きねェからよォ! 仕方ないから俺がやるしかないんだよなァ!
 だから嬉しいぜ六道の嬢ちゃん! 存分に楽しませてくれや、それがホストの役目だぜ──!」
 
そして……パワー系が遅いなど、いったい誰が言ったのか。
力が強いということは脚力も強いということであり、脚力が強いということはすなわち爆速に至るということ。
むろん筋量などから増加した体重を鑑みれば結果的に遅くなるということもなくはないのだろうが、今回ゲアハルトに搭載されたパワーはそういう小難しい計算を彼方へ置き去りにしていた。

踏み込む度に発生する振動。
あまりに強い力が接触の度に地面へクレーターを作っていた。
当然そこから生み出される速度の桁は言うまでもなく……。
スピード系クソデカ能力者たるコメットストライクには及ぶべくもないものの、トップクラスの能力者すら凌駕するのではないかと思えるほどの超スピードを実現していた。

23【真理超力】:2021/08/11(水) 20:42:31 ID:jq3lYto.
>>22
骸竜の口腔目掛けて投擲されたミサイルの如き鉄塔が答えだった。

「これも。言ってみたかったんスよね。 ────薙ぎ払えっ!」

竜の背から枝を伸ばす様に、翼を開く様に。
放射状の排熱肢が展開される。
本来ならば核反応だとか熱移動だとか。
現象・概念的な操作には相応の集中力を必要とし、
その分の隙が今のこの能力のウィークポイントである筈だった。
しかしながらロール外で虎視眈々と拵えた、
この竜型核熱融合放射兵装を以てすれば────。

竜の吐火にも階級がある。
例えば龍頭の破落戸が放った其れもドラゴンブレスである事に違いなく。
この世の焔の概念の遥けき上澄みの一端だったのは事実。
しかしながら、世界の軛から解き放たれた龍種の火焔。
古き龍(エルダードラゴン)の吐息は大災害そのものであると言え。
其れを再現すべく造られたこのクソデカ兵装も極めて同質の破滅を内蔵していた。

枝。鰭。翼。それに似た肢。其れ等を赫々と灼熱に染め上げて。
龍の口砲より放たれる放射熱線。
巨大な鉄塔を一瞬で蒸発せしめ、掠めた大地を硝子細工へと変貌させる超超大規模破壊兵器。
排熱肢からは雲と紛う程の凄まじい蒸気が立ち昇っている。
あれが冷め切るまでは次弾はないと考えて良いだろう。

「さあ始めるッス! お祭りの時間じゃあああ!」

術師の少女も自身の周囲に浮かべた三つの巨大鉄塔を棒術の棍の様に振り回し、
男の投げた構造物の弾丸も、超速度で接近する男自身も弾き返さんと構えるだろう。

竜を堕とすか。術者を堕とすか。
それらはPL(選び取る者)に委ねられている。

24【真理超力】:2021/08/11(水) 20:52:33 ID:jq3lYto.
>>23
大陸規模の骸竜には生半可なサイズの飛礫など、
余程の重要部位にでも当たらぬ限りはかすり傷以下だとでも言いたげに。
無数の弾丸を受けて尚堂々たる佇まいを見せていた。

//この描写も追加でお願いします

25【燼臓丙儺】:2021/08/11(水) 21:33:25 ID:AHeeCp9.
>>23

もはや炎ですらなかった。
極限まで収束した極大炎熱は極太の光線と化し、直撃した大地と人の手になる都市を舐めつくす。
地表を硝子化させるほどの熱は一瞬でこの地を煉獄へと変えた。もはやここで生存することすら偉業であろう。

だが熱線の影響を外れていたはずの遠方で、聳え立つ摩天楼が横腹を殴りつけられたかのような衝撃と共に突如として崩壊した。

「おいおいなんだよそりゃあ、ロマンの塊じゃねェか欲しいぜくれよ俺にもひとつ──!」

その原因が何であるかは、歓喜の叫びを上げつつ流星のように飛んでくる男を見れば一瞬で理解できる。
すんでのところで急速退避した彼は熱線攻撃が終わると見るや手近なビルの中ほどまで、跳んで蹴って再接近を敢行したのだ。
結果として足場にされた建造物は崩れるより他になかったが、まあ気にする必要もないだろう。

「だったら力づくでもぎ取るのが男の道ってやつかねェ! それとも紳士的に話し合いってかァ!?
 もう一昔前の言葉だが草食系ってやつが俺はどうにも好きになれなくてなァ、そこらへんどう思うよ! 男の好みを聞かせてくれやクヒハハハァ──ッ」
 
武器は持たない。男は素手だ。
迫りくる三つの鉄塔に対抗する手段がない──わけはない。

対処は一つ、殴る。
遅いかかるタワーにパンチ! パンチ!! パンチ!!! パーフェクト!!!!
幾重にも編まれた鋼鉄の骨組をぐちゃぐちゃにひしゃげさせながら弾き飛ばす威力は誰がどう見ても兵器のそれだが実態は単なる拳ひとつ。
馬鹿と冗談が二人三脚みたいな光景だが、是非もなかろう。これがクソデカ能力者だ。
生ける災害、人間核爆弾……ひとたび奴らが暴れ出せば同じクソデカ能力者以外は誰にも止められぬが道理であった。

26【真理超力】:2021/08/11(水) 22:10:43 ID:jq3lYto.
>>25

「残念ながらコイツは私の念動力で、
 姿勢・動力制御、修復etc...してあげないと。
 即、爆熱を吐き出すだけの瓦礫の山になってしまうので。
 グラオザームさんに譲渡は出来ないッスねぇ。」

一応この莫迦げた規模の災害兵器の弱点らしきものも開示。

「こないだも寝言は男誘える様な体になってから言え貧乳とか。
 誰かに言われた様な気がしないでもないッスけど。
 まあ。別に肉食系でも草食系でもどっちでも良いッス。
 "面白い"かどうかだけが重要ッスからね。」

元の世界なら兎も角。同規模クソデカスケールになった今。
六堂ねむとゲアハルト・グラオザームの性質は殆ど同一のものとなったとも言える。
即ち"享楽優先主義"。楽しければそれでいいのだ。

熱線回避から爆速復帰。
且つ多方向から迫る巨大鉄塊を殴打一撃のもとに、
ひしゃげた鉄屑へと変える相手も紛う事の無い大厄災(クソデカパワー)。

「私は一旦上へ退くッス。
 力(パワー)には質量(パワー)で! ッスから。」

サイコパワーで足場も無しに上空へ緊急離脱。
そしてその後地上の一切合切を一掃する様に。
竜の莫大。長大。重厚。堅牢な尾の薙ぎ払いが。一回転。

今や地平の上に破壊されていない場所の方が少なくなってきた程の極大悪夢。
これこそがクソデカ能力者達の戦いなのだ。

【 正に蟻んこの上で象がタップダンスしているようなものである。】

27【燼臓丙儺】:2021/08/11(水) 22:57:40 ID:AHeeCp9.
>>26

「クヒヒハハハハまったくその通りッ! 面白けりゃァそれでオールオッケーだよなぁ!」

勢いのまま空中浮遊する術者を狙う、が。
直後により高みへと垂直上昇、猛進する腕力の権化の牙から逃れた。
眼下では怪獣が地表の建造物を薙ぎ払っていた。すなわちそれは飛ばせる建造物(たま)が手近に無くなったということ。

むろんひとっ走りフィールドを変えればまた新たな物を投げて飛ばすことはできるだろうが……。
しかし投擲の効果はさきほど知れていた。すなわちほとんど効かないということ。数百や数千、いいやどれだけ投げたところで結果は同じだろう。
彼自身に遠距離攻撃の手段はない。ならばやはり、狙うは怪獣か。

もはや荒野と成り果てた地上に男が降り立つ。

「だったら、こういうのはどうだい?」

にやりと笑い、高く上げた脚を勢いよく振り下ろした。
瞬間、地が揺れる。蹴りつけた衝撃によるたった一度のものではない。
陥没した大地から地下深くへ杭が打ち込まれたかのように、男の踏みしめ(ストンプ)を合図として地震が発生したのだ。
確実に震度五ほどの地震が発生している。大地の震えは人々の営みを脅かし、その生命すら奪う正真正銘の災害だったが……。

「まだだ! まだだ! まだまだ、まだまだ、まだまだまだまだまだまだまだまだァッ──」

それが一度や二度では終わらなかった。
怪獣の周囲を高速で移動しながら次から次へと踏む。踏む。
その度に地へと伝わる恐るべきパワーが岩盤をずらして地震が起きていく。
数十から数百メートルの超局所に無数の震源地が生まれるという、自然界ではまずあり得ない異常事態が発生する。

その結果、何が起きるかというと……。

「貴様が偉大なるモノを名乗るなら証を立てろよ、残骸竜!
 あの大いなる空へと飛び立って魅せろ、それができぬというならば単なる蜥蜴と心得るがいい──!」
 
大地が裂ける。足場が沈む。
無数の地割れ──伴って発生した急激な地盤沈下が辺り一帯を呑み込んだ。
上空にいる少女には些かの影響も及ぼすまいが、あくまで大地を踏みしめる怪獣はそうはいくまい。
このままいけば地の底へと誘われ、やがて辿り着くマグマ溜まりにて灰すら残らず焼却されるだろう。

28【真理超力】:2021/08/12(木) 18:07:03 ID:bPRbg862
>>27
地を踏み鳴らせば地震を起こす。
何度も、何度も、何度でも。
群発する異常震源に大地が耐え兼ね、地が裂け地盤が崩落を起こす。
体躯に見合わぬ矮小な翼。正確には排熱肢しか持たぬ鈍重な竜はそのまま裂け目に堕ちていく。

「一人だけ安全圏で高みの見物ってのも趣味悪いッスからね。」

律儀にも攻撃可能な高度まで降りて来る術師の少女。

「怪獣が空を飛ぶのはクライマックスで、って相場が決まってるッス。
 それに────。溶岩沈没(そーゆーの)って"強化フラグ"ッスよ?」

轟音。大地の裂け目から紅蓮の溶岩弾が噴出し幾重にも降り注ぐ。
そして崩れ揺さぶれる大地を真紅に染まった爪先が鷲掴む。
機械の駆動音。瓦礫の擦れる音。火焔が渦巻く音。
其れ等が重なり不気味な咆哮として一帯の空気を奮い立たせる。

残骸の竜は、灼熱の溶岩さえも其の身に巻き込み。取り込み。
脚部、尾部、腕部先端を熔光の赫に彩り。
灼き焦がす火焔の雨と共に地上に這い上って来た。

其は空統べる王者には非ず。
而して其の威容、地を這う蜥蜴と呼び棄てるには。
些かに度を越えた破滅の化生に在れば。

29【燼臓丙儺】:2021/08/12(木) 20:43:26 ID:9o2xaXPQ
>>28

「クハッ、クヒヒハハハハハおいおいなんだよそりゃあ、まるっきり映画じゃねェか気に入ったァッ!」

呆気なく地の底へと呑み込まれた姿への失望から一転、災厄の胎動を響かせながらの復活劇に呵々大笑。
敵手が更なる躍進を遂げて舞い戻った、それは決して歓迎すべからざる事態だというのに男は心の底から歓喜していた。
そうでなくては、それでこそ、あれしきでやられたのでは甲斐がないと手を叩いて喜んでいる。

深淵より這い上がり、炎を巻き上げながら咆哮する残骸炎竜を愉悦に濡れた瞳で見据えた。

「さて、じゃあどうするかねェ……つっても決まってるか。
 物を投げつけても駄目、溶岩に叩き落としても駄目となれば、そりゃ残ってるのはこれしかねェよなァ」
 
拳を鳴らして一歩前へと歩み出る。
だが次なる一手へ行動を移すその直前、上空から降りてきた少女が目に入った。
そちらを向いた男の視線は……残骸炎竜に対するそれとは違い、非常にフラットなものであった。

「ああ悪いな嬢ちゃん、今んとこお前さんは“別にいい”わ。遠慮なく高みの見物決め込んでくれて構わんぜ。
 何しろコイツがよォ、さっきからロマン魅せつけっぱなしでなァ! 男心がくすぐられて仕方ねェのさ!」
 
でかい、硬い、強い。眼前で咆える存在は三拍子そろった男のロマンの権化である。
ゲアハルトは少年の心を解する男。そんなものと我が身一つで相対し、思う存分ドンパチかませると思うと楽しくてしょうがない。
巨大怪獣との大バトルに比べれば、見た目少女の六道ねむは“ひとまず置いといて”という程度の優先度だった。
もちろん彼女もクソデカ能力者、なによりこの大怪獣を造って動かしている張本人だ。戦えばそれはそれは強いに違いないと承知はしているのだが……。

彼本人の嗜好として。
分かりやすい強さを持った相手のほうが好みだったのだ。

「構ってやれなくてすまねェな、だがお前さんが悪いんだぜこんなモン造っちまうんだからよォ!
 悔しかったらせいぜい俺の気を引いてくれや──いくぜエエェェェェッ!!」
 
言うが早いか突撃──攻撃範囲に降りてきた少女をまるきり無視して狙うは大いなるもの、残骸炎竜。
未だ大地震の止まらぬフィールドへと躊躇なく足を踏み入れ、地を揺らす震脚によって更なる地震を引き起こし足止めを狙いつつ殴りに行く。

再び深淵に呑み込まれずとも地割れに巻き込まれれば動きはとうぜん阻害されるだろう。
赤熱した部位に接触すれば自身も手ひどいダメージを負うだろうからなるべく避けて殴りたいが、仮に接触したとしても属性耐性がある。一瞬で溶解、蒸発ということはないはず。
むろん地震による行動阻害のリスクは自分にも適用されることだが、それがどうしたとばかりに吶喊。まるで躊躇の気配がなかった。

30【真理超力】:2021/08/12(木) 21:26:03 ID:bPRbg862
>>29
『お前さんは"別にいい"』と、引っ込んでてくれと言われ。

「了解ッス!
 其処まで言って貰えるならこの子を造った甲斐があるってもんス。
 それじゃあ私は何の憂いも無しに裏方作業に専念させて貰うッスよ。」

そう言って噴煙立ち昇る上空へと再びすっ飛んでいった。

残骸炎竜は揺れ崩れ落ち行く足場を、
溶岩を引き伸ばし溶接・凝固させながら依然と佇む。

絶えず大地を揺るがし、渾身の殴打を見舞わんと吶喊する男に。
避けるでも身構えるでもなく在るがままに其の一撃を受ける。

パンチの命中箇所は丁度竜の身体の脇腹の辺りだろうか。
数百メートル越えの巨大鉄塔をただの一撃でスクラップに変える超破壊力。
その膂力は確実に竜体の一部を削ぎ吹き飛ばすに足る威力を持っていた。

だが悲しきかな。今回は"はずれ"。
勝利条件である核融合炉(しんぞう)を貫くには至らなかった。
更にはたった今、隕石のクレーターサイズの風穴を開けた部位すらも。
他の部位からの瓦礫の山が雪崩れ込む様にして直ぐに塞がる。

詰り此れは途方も無く莫迦デカい竜の身体の中から。
三つの"当たり"を探し出し渾身の殴打で以て叩き潰せ、と。
そう云う趣旨の戦い(ゲーム)なのだと備に語っていた。

【冷却率50%。吐火(ブレス)不完全起動。】

マグマを纏った事で排熱効率が大きく下がったらしく。
先に見せた完全なる竜焔を再現する為には時間が掛かる様子。

其処での残骸竜の答えはこう。
放射熱線ならぬ。核熱放射。
大地を硝子化させ得るまでの過剰な熱量こそないものの。
一帯のコンクリートやら鉄塊やらを融解させるレベルの広範囲焦熱攻撃。
其れを己の足元を起点に一帯丸ごと焼き払わんと吹き付けた。

当然。ぐずぐずに脆くなっていた足場も崩落の危険を増した筈なのだが。
融熔した構造物塊が地表に流れ着くやいなや。
海中に注がれた溶岩の様にすぐ様に岩塊へと凝固する。
要するに此れが"裏方"の仕事。仕業なのだろう。
最低限の殴り合いが成立する為の"戦場"そのものを維持するという所作。

31【燼臓丙儺】:2021/08/12(木) 22:10:50 ID:9o2xaXPQ
>>30

地にある男に遥か上方から超絶熱源が降り注ぐ。
防ぐ術などあるはずがない。これほどの熱量を前には属性耐性も意味はなかろう。四分の一になったところで消し飛ぶだけだ。
嗤う獣を赤い光が照らしだす。そのまま人体は焦熱の海に呑み込まれる……前に、地面が爆発。

「ハッハー危ねえ危ねえ、いくらなんでもそりゃ貰えねえなァ!」

爆発の正体はゲアハルトの踏み込みだった。土煙が晴れたときには男の姿はもうそこにはない。
破壊と超熱による壊滅を辛うじて逃れたビルの屋上、そこに立っていた。
あともう少しで瓦礫の仲間入りというきわどい境界線とはいえ、残骸炎竜からこのビルは相当に離れている。
だが一度の踏み込みでまさしくひとっ跳びを果たした、そのクソデカ脚力は計測不能の領域にあるだろう。

「一撃じゃ無理だったか! そりゃそうだろうなァ、だったら何度もやるまでだ──!」

次の瞬間、彼の立っていたビルが頭頂部から崩壊した。
先ほど見せたものとまったく同じ。あまりにも激烈すぎる踏み込みに建造物は耐え切れなかった。
そうして捻出した戦闘機じみた推進力をすべて拳か足に乗せて巨大怪獣にお見舞いする。

だが攻撃を当てた直後、男は直前と同じ行動を起こした。
すなわち地面に落下する前に残骸炎竜の巨体を足場に見立てて踏み込み、付近(数十〜数百メートル先)の建造物に跳び移ったのだ。
そして休む間もなくリトライ。暴力的なヒットアンドアウェイを基盤としたトライアンドエラーを開始する。
怪獣を中心として、周りの建造物が次から次へと崩壊していく。まるで爆撃でも受けているかのようだった。

(さァて次はいつだ?)

被害を抑える気などまったく抱かず攻撃を続けている当の本人は、しかし何かを狙っていた。
それはある意味大博打。常識的に考えれば自分すら消し飛びかねない危険すぎる行為であることは間違いない。
だがその光景を見たいと思ってしまったからもう止まらない。超絶速度で飛びまわり攻撃し続けながら、その瞬間を今か今かと待っていた。

32【真理超力】:2021/08/12(木) 22:40:23 ID:bPRbg862
>>31
残骸炎竜の巨躯からしてみれば。
一撃、一撃で己が身体の一部を確実に抉りつつも、
凄まじい速度で射程外へと逃げ回る敵対者ゲアハルトは雀蜂。
サイズで言うならば蚊にも似た何とも煩わしい手合いである。

当たり所が悪ければ心臓一つを持っていかれる。
だが、此方とて只の一撃でも攻撃を当てられるなら其れで勝負が付く。
竜にとってはそう云う戦いであった。

吐火放射に伴い赤熱軟化した尾を鞭の様に振るい上げ。
一帯の彼方此方目掛けて熔鉄の弾丸を撒き散らして牽制。

だが尚もヒット&アウェイを繰り返し、着々と体躯を削ってくる敵手。
それは宛らシネマ怪獣の砲撃網。竜とて遅れは取らぬ。
表皮を抉る拳の弾丸を浴びながらも依然堂々と暴れまわる暴虐の災厄。

相手の攻撃パターンも予測が可能となってきた。
爆撃の如くにビルが崩壊した方角からあの弾丸は迫りくる。

一進一退の連撃を受けながらも排熱肢からの炉心冷却は着々と進行する。

【相手の狙いなど定かではないが】

右斜めやや前方より建造物の爆散を検知。
どれ程強靭。どれ程破壊的なクソデカパワーを以てしても。
空中回避などという芸当は生半可に出来るものではない。
相手がどんな細工を仕掛けていても関係などない。
己が誕生意義。龍種の災厄の模倣再現。
主にして創造主たる少女が与えた機構を以て迎え撃とう。
口腔が青白い核熱を纏い開かれる。
初めに見せたものと同等。完全なるドラゴンブレスが放たれんとする。

33【燼臓丙儺】:2021/08/12(木) 23:21:52 ID:9o2xaXPQ
>>32

連続する拳の砲撃は着実に残骸炎竜の総体を削ってはいるのだろう。
だがしかし、未だ“当たり”は出てこない。無理もないことだ、なにせ攻撃範囲に対して的がデカすぎる。
更には削った端から塞がっていくとなれば消去法で炉心の位置を割り出すことも容易ではなかった。

だがピンボールのように跳ね回る男の形相に焦りはなく、ただ凶悪な笑みだけがある。
いいやそもそも、こいつに戦略的な思考などあるのだろうか? ただ愉快な玩具で全力全開遊んでいるだけと言われれば納得してしまいそうなほど稚気に満ちている。

その答えがいま明らかに。

敵手が辿り着いたように、今現在敢行しているヒットアンドアウェイは崩壊する建造物の方向によって予測が可能だ。
一時の方向のビルが爆散すれば一時の方向から。八時の方向のビルが粉砕すれば八時の方向から、崩壊を予兆として弾丸のように一直線に突っ込んでくる。
“あまりに速く小さな身体ゆえ実際に殴りつけて動きが停止するまで姿は見えないが今までずっとそうだった”からきっとそれが続くのだろうと予想できるのだ。

「そいつを──」

では実際にそういう一直線の動きしかできないのだろうか?
答えは否である。たとえ足場が平面でも端から角度をつけて跳べば上下左右は自在だし、そもそも今のゲアハルトならば屋上に一時着地する必要すらない。
残骸炎竜の肉体から跳ぶ先の建造物を適切に選択して、壁面を足場に再び肉体を射出することすら可能。そのときに好きな方角へ跳べばいいだけだ。

今まで、意図的にそうしていなかっただけの話である。

「──待っていたァッ!!」

再び跳んだ──遠いビルから、“下方”へと。
超高速で発射された肉体が向かう先は残骸炎竜の周辺、その地面。
高速移動の勢いを殺すことなく跳躍。躍動する暴虐の化身は──空へ!

「昇ォォォォ竜ゥゥゥゥゥゥゥ拳ェェェェェェェェェェェェェェンッッッッッッッ!!!!!!!!!!」

それは、伝説と呼ばれた漢の拳。
暗黒カラテ奥義、昇竜拳。術理や理念などまったく備えぬガワだけ真似た技なれど、そこに宿る破壊力の桁は本家を遥かに凌駕していた。

34【燼臓丙儺】:2021/08/12(木) 23:24:47 ID:9o2xaXPQ
>>33
/解き放たれた超絶暴力は今まさにドラゴンブレスを放たんとする竜の顎を的確に打ち抜き、どうなるかは分からないがとにかく何か起きろと曖昧に唸りを上げていた。
/を、最後に付けたさせてください

35【真理超力】:2021/08/13(金) 19:14:07 ID:3h/yYtLU
>>33
龍の吐火を迎え撃つは、奇しくも同じ"竜"の名を冠す必殺の型。
下から打ち上げる様に顎部を爆殴する超暴力は、
残骸竜の頭部丸ごとを真上の空へと吹っ飛ばす。

直後。未だ噴煙が覆い隠す空を巨大な爆発が。
命中を祝う花火めいて全ての灰雲を消し飛ばす。
気付けばどうやらもう完全に夜になっていたようで。
真暗な星空に馬鹿みたいに明るい上弦の三日月が笑
頭部を失い膨大な瓦礫の山と崩れ落ちる残骸竜。
我楽多の山に埋もれていたスピーカーから少女の声が響く。

『大当たりッス! ここで少々休憩時間(ブレイクタイム)を。
 まあ。本当に壊れ(ブレイクし)ちゃってるっスけど。
 長くは待たせないッス。動作テスト良し。排熱処理良し。
 第二フェーズに以降するッスよ!』

────災厄を騙る。果たしてこの竜の紛い物は何を騙り、偽っていたのか。
流動する瓦礫の山の防殻は言わば繭や蛹の様な代物で。
その裡では核熱の移動操作の挙動演算を繰り返しながら、
一つの貌(すがた)が組み上げられていた。



//ngでるのでてすと

36【真理超力】:2021/08/13(金) 19:14:46 ID:3h/yYtLU
>>33
龍の吐火を迎え撃つは、奇しくも同じ"竜"の名を冠す必殺の型。
下から打ち上げる様に顎部を爆殴する超暴力は、
残骸竜の頭部丸ごとを真上の空へと吹っ飛ばす。

直後。未だ噴煙が覆い隠す空を巨大な爆発が。
命中を祝う花火めいて全ての灰雲を消し飛ばす。
気付けばどうやらもう完全に夜になっていたようで。
真暗な星空に馬鹿みたいに明るい上弦の三日月が笑う様に浮かんでいた。

頭部を失い膨大な瓦礫の山と崩れ落ちる残骸竜。
我楽多の山に埋もれていたスピーカーから少女の声が響く。

『大当たりッス! ここで少々休憩時間(ブレイクタイム)を。
 まあ。本当に壊れ(ブレイクし)ちゃってるんスけど。
 長くは待たせないッス。動作テスト良し。排熱処理良し。
 第二フェーズに以降するッス!』

────災厄を騙る。果たしてこの竜の紛い物は何を騙って、偽っていたのか。
流動する瓦礫の山の防殻は言わば繭や蛹の様な代物で。
その裡では核熱の移動操作の挙動演算を繰り返しながら、
一つの貌(すがた)が組み上げられていた。

"排熱肢"として利用されていた部位が瓦礫の山の頂上から伸び上がる様に突き出す。
それはまるで蜻蛉の羽化の様相を呈して。
硬質な金属質の装甲に象られた、
残骸竜と比べれば遥かに小さな"龍"が再誕を果たす。

核熱のドラゴンブレスと排熱機構を推進力へと転化して。
ジェット推進のロケットよろしく上空の大きな月の真下へと一瞬に飛び立つ。

────怪獣が空を飛ぶのはクライマックス。

鈍重さ。堅牢さ。一撃の破壊力。
そういうものではどうやら絶望的に勝ち目が無いようなので。
今この場で"進化"してみせた。
赫翼の銀蜻蜓。神速の龍蟲。
偽りの殻を脱ぎ捨て守りを速度へと変換した第二形態。

飛礫でもクリーンヒットさせれば痛痒するだろうが。
先程までの男の爆速度を更に超える超スピード。
出力量は落ちても威力は変わらぬドラゴンレーザー。

【戦闘、再開。】

37【燼臓丙儺】:2021/08/13(金) 20:33:09 ID:Nkyrl4Pk
>>36

確かな手ごたえ、拳が竜の頭部をかち上げ打ち抜き爆散させた。
残骸から生まれた竜が再び残骸に還る。これで終わりかと残念に思ったのも束の間……。
第二フェーズという、それは愉快な単語が聞こえたから待ってみれば。

「クハッ、カハハハハハいいねえいいねえそいつがお前の本体かい!?
 それともわざわざこの俺を倒すために進化したのかァ!? どっちでもいいさ最高だ!」
 
黒ずんだ巨躯とは正反対の、輝く美しいフォルム。
銀に煌めき闇を裂き、月の元へと駆けあがるその姿はまるで芸術品のようだった。
それでいてただ綺麗なだけではない、鋭く研ぎ澄まされた刃にも似た殺傷力が無数の槍衾のような圧力を具えて搭載されている。

美しく、かつ格好いい。
残骸竜とはまた別ベクトルのロマンを前に、この男のテンションがブチ上がらないわけもなかった。

大地を踏む足に力がこもる。

「さて、第二ラウンドといこうか──。
 ──まずは性能チェックの時間だ、そらついてきてみろやァ!」
 
突進──ただし後方へ。
爆速で向かう先は未だ人工物が残り、街の様相を保っているエリア。
赫翼竜の速度はゲアハルトを超えたとしても、男の速度が下がったわけではない。
不意を突いて一瞬のうちに離脱を果たし、都市部へ逃げ込む。世界最大のクソデカシティは怪物と怪物みたいな人間が暴れ回っても一朝一夕では壊しきれないくらいの面積を誇るであろう。

だが一直線に逃げたのではすぐさま追いつかれるに違いない。単純速度は今や赫翼竜が上回っている。
ならばと男は人型が備える両脚によって実現できる自由自在さを活かして北東へ跳ねる。南西へ跳ねる。
上下に、左右に、天へ地へ……三次元軌道によるトリッキーな逃げ脚を発揮するたびに足場にされたビルが壊れる。地が揺れる。
飛散する大小の瓦礫が、吹っ飛んだ車が家が障害物となって進路を塞ぎ、ただでさえ捉え難い男の動きを更に捕捉困難にさせていた。

38【真理超力】:2021/08/13(金) 21:18:50 ID:3h/yYtLU
>>37
爆速で後退し、未だ構造物(ショウガイブツ)が残るエリアを目指す敵手。
立体的な機動で幾つもの建物を爆散させ、瓦礫の弾幕を築く。

赫翼竜は其れを上空から俯瞰し。
一点に狙いを定めて隼の如くに急行落下。
砕け降り注ぐ瓦礫の山へ一筋のか細く、しかし破滅的な輝きを秘めた閃光が一閃。
斬り口から遅れて爆裂を起こす様に其れ等の障害を吹き飛ばす。

だが、それだけでは依然前方を飛礫が埋め尽くす現状を変えるに至らない。

而して龍が心臓とする核融合炉の通常の使い道とは何か。
膨大な電力を得る為の発電機関である。

"元"排熱肢。現在は幾重に枝分かれた先端から超高温の圧縮蒸気を放射する事で、
推進力と姿勢制御を行っている枝翼脚。
その分岐の起点となる翼の先端。翼爪部位から電磁バリアを展開。
此れは絶対的な防御を誇る盾と言うよりは。
流線型の胴部の表層を流れ逸らし受け流す様に衝突物を誘導する為の防膜。

真正面から物体を掻き分ける分には痛痒を負わない為の装置だ。

其処から更に周囲を何度かレーザーで焼き切った後。
枝翼脚の末端の方向を大きく可変させて変態的な機動制御を実行。
男が潜伏すると見られる一帯に攻撃を与えてから上空への離脱。

先程まで自らがされていた苛立ちを相手にも味わわせるかの如くヒット&アウェイ。
そして鷹の目の前には幾ら月夜の闇に隠れようとも。

【更に正確に言えば術師自身は空間そのものの揺らぎを介して一帯情報を得ている為】

銀翼の機首に輝く紅き眼光(サーチアイ)は真直ぐに貴方を睨み付けている。

39【燼臓丙儺】:2021/08/14(土) 16:36:43 ID:4mstaZWQ
>>38

「ヒュウ、いやー大したモンだなありゃあ」

瓦礫を電磁バリアで受け流し、周辺一帯をレーザーで焼き払い、再び天へと舞い上がっていった赫翼竜。
銀色の躯体をビルの陰に隠れつつ見上げながら男はその性能に感嘆していた。
範囲殲滅能力では残骸竜に譲るものの、強襲・単体抹殺能力においてはあれなる巨体の比ではあるまい。

(しかしどうしたもんかね。あんなにビュンビュン飛び回られたんじゃ当てられる気がしねェぞ)

一連の流れで赫翼竜のスピードが完全に自分を上回っていることが判明した。
追って追い付ける相手じゃない。かと言って待ち構えたとしてもレーザーで焼き払われて終わりだろう。

瓦礫をバリアで防御したということは、すなわち防御する必要があるということ。
ならば装甲はそう厚くはないのだろうが、当たらなければ関係ない。
おそらく自分のパワーならば一撃当てさえできれば戦闘不能、でなくともかなりの損傷を負わせられると見たが……それを実現するには圧倒的にリーチが足りていない。

あれが自分を仕留めに接近してきたとき、逃がす前に迎撃できる武器があれば……。
それも最初に振り回したタワーでは駄目だ。スカスカの骨組では隙間から逃げられかねない。
広範囲を隙間なく攻撃できて、かつ充分に攻撃力を生み出せる武器……そういうものが必要だ。
だがそんなものがいったいどこに。ぐるりと見回した男の視線が、ある一点で止まった。

「あったわ」


「クヒハハハ鬼さんこちら、手の鳴る方へ──!」

再び始まったのは性懲りもなく三次元軌道逃げ。
先ほどと変わりなく周辺の建物を犠牲に瓦礫を撒き散らしながら赫翼竜から距離を取るように動いている。
何かを狙っているのか。たとえ何を狙っているにせよ、超高速の強襲と離脱の戦法を徹底する限り、ヒトの肉体にすぎないゲアハルトに赫翼竜へ攻撃を命中させる手段は皆無のはず。

ゆえにと、再び接近したのなら……鷹の目は、男が何をしているのかを、一瞬理解できるだろうか。
天を衝く摩天楼、億ションだか大企業本社だか分からないが、とにかくクソデカいビルに、男が抱きついている。
突然気が狂ったのかと思うも束の間……一人の人間が全身に気合と力を漲らせた。
すると地上何百メートル、総重量何千トンの超高層ビルが──。

「カッ」

引っこ抜けた。

「────飛べエエエェェェェェェェェェェェッッッッッッッッ!!!!!!!!!」

気合一閃、そのまま身体全体を使ってクソデカビルをバットみたいにめちゃくちゃ振り抜いた。
そう……あろうことかこいつは赫翼竜をボールに見立てて、宇宙までホームランをキメてやろうと思い付いたのだ。
さすがに重量が違いすぎるため、最初のタワーほど軽快に振れてはいないが……高速飛行する赫翼竜にも充分に当て得る、その程度にはスピードが出ていた。

40【真理超力】:2021/08/14(土) 19:21:30 ID:3p73hPQo
>>39

────クヒハハハ鬼さんこちら、

明らかに此方を誘い出している。
何かしらの策を弄していると考えて間違いない。
だが、例えそうだとしても。
"その策"ごと己が機能(スピード)で覆し、葬り去るまで。

此方もまた先刻と同じように超速度での急行襲撃を実行する。
邪魔な瓦礫をレーザーとバリアで払いのけ、
相手の姿を捉えれば。成るほど。
確かにその大質量での攻撃ならば間違いなく此方を屠る事が出来るだろう。
"当てられたなら"の話であるが。

赫翼竜は常識外れの機体制動でクソデカビルの一薙ぎを。
男が野球を引き合いに出したのならこう言うべきだろう。
変化球。否、"魔球"と呼ぶべき尋常ならぬ軌道で躱し切り。
其の上で空振りした"バッター"の真上から。

詰りは反撃に合わせて確実なる一撃を見舞おうとしていたのは。
此方とて同じだったのだ。

最早逃がすものかと口を開き。
巨大な三日月の弩を背景(バック)に。
龍の閃光という名の破滅を射かけんと構えていた。

41【燼臓丙儺】:2021/08/14(土) 20:48:56 ID:4mstaZWQ
>>40

勝算はあったのだろう。
ゲアハルトは赫翼竜の常識外れの機体制動を確かに目にしていた。
その上で、超高層ビルの範囲ならば。そして今の自分の力ならば、あれなる銀の翼竜を打ち返せる“かもしれない”と考えていた。

言ってみれば一世一代の大博打みたいなものだったのだ。
生きるか死ぬか、己の末路を対価にしたギャンブルに、男は笑いながら身を投じた。
それは今回に限ったことではなく一連の戦闘すべて、いいやある時期を境にした彼の人生そのものが博打じみた凶行だったと言える。
その場の思いつきで行動を起こし、意味不明さゆえに勝ち続け、あらゆるものを巻き込んでは滅ぼし、次の場所へ。
辿り着いた新たな場所で再び気ままに、思うがままに……そんな、一度負ければすべてが破局しかねない博打の連続に。

「──────」

男は今宵、とうとう負けた。
ゆえに賭けた命(もの)を今、取り立てられようとしている。

避けるか? ──否、間に合わない。
手放したビルを蹴りつけて軌道を変え命中させるか? ──否、間に合わない。
ならばビルの一部を毟って礫にするか? ──否、間に合わない。

反撃、回避、あらゆる行動がもはや手遅れだった。
どれだけ防御を固めようが竜の息吹は我が身を焼き尽くすだろう。ならばもはや、すべての状況が詰みを指していて。

──まだだ。
ここで負けたら次がない。この世の楽しみが終わるではないか。
それは嫌だ、御免被る。自分はもっと楽しみたいのだ。ここで死ぬなど断固拒否。

ただ只管に享楽のみを求める獣の性根は健在。
存在のスケールがクソデカ化しても悟りの境地とは程遠かった。男は今も、快楽のみを求めて猛っている。

だが、ふと──。
男の脳裏に、天啓のように、ある閃きが舞い降りた。

すなわち“この後”──死後の世界というやつは、はていったいどのようなところなのだろうかと。
思い至り、そこへ興味を抱いてしまったからこそ、彼の死が確定した。

そうとも自分はこの世の楽しみをまだまだ味わい尽くしてはいない。
いないがしかし、あの世の楽しみというやつは一つとして知らないではないか。
きっとすべてが新鮮で、この世の誰も知らないものに満ちているに違いない。ならば未練などあるものか。

……これは、存在のスケールが巨大化したことによる影響なのだろうか。
等身大の彼ならば……ありのままに生きていた享楽の獣ならばこんな思考に辿り着くことなく、何としてもと覚醒を起こしていたのだろうか?
それはわからない。ひょっとすると元から、このような破滅的な考えを抱く可能性があったのかもしれない。

今となってはすべてが不明だが……ともかく彼という男の真実はたったひとつ。
享楽、それだけが現世を生きる理由だったから。

「ああ、」

──あの世はどんな楽しみがあるんだろうな、と。

言葉を紡ぎ終わることはなく……自身の命すらコンテンツのひとつとして消費したゲアハルト・グラオザームという男は。
最期まであるかどうかも分からない“次”に手を伸ばしたまま、閃光に呑まれて灰も残さず消え去った。


/終了ォーーーッ!
/ありがとうございましたー!思う存分暴れ回れて楽しかったです!!

42【真理超力】:2021/08/14(土) 21:50:49 ID:3p73hPQo
>>41
銀の龍の閃光が男を灼き貫く姿を遥か高みから確認して。

「────GM。失格ッスかね。」

世界なんてものは賽子の出目次第で本当に。本当にあっけなく終わってしまうものだ。
気紛れな享楽の魔獣、ことゲアハルトの思考もまた然り。
何処かであの場面からでもきっと反撃し(こたえ)てくれると思っていたのだ。

龍が閃光を放つ刹那。彼の瞳からこの世への興味が失せるのを感じた。
全霊の兵装で以て全力を尽くして勝ったと云うのに。
なんで、負けるよりもっと悔しいのだろうか?

閃光に飲まれ男が蒸発した後、銀の龍も己が熱量に耐え兼ね爆発四散した。
とっくに限界は来ていたのだ。龍の? 否。"術者"の方が。

苦々し気に笑いながら目やら口やらからぼたぼたと鮮血を垂れ流し。

「本当。後一手だったんスよ? もう。」

今までの溶岩の噴出から始まり、兵装の運用・変形etc...
様々な事象を同時並行で演算し続けてきていたのだ。
少女もまた燃え尽きた灰の様に超高度から地上へ垂直落下していく。

(せめて楽しんで貰えてたなら良かったんスけど。)

何処までも何処までも広がるだだっ広い地平に。
ほんの小さな小さな紅い染みが一つ。

【其れが此度の邂逅の閉幕】


//此方も色々メチャクチャできて楽しかったです!
//ファンブルだったら仕方ねぇっ・・・

43GM:2024/01/19(金) 20:23:23 ID:8aZYzI92
戦闘を挑むことが可能なエネミーシンボルを追加いたします。

◆【雷轟ノ大魔女】の討伐
魔女の躯。電子の極光。神威の雷。叢雲束ね、天楼は宙を舞う。

◆【金華獄浄】【白華繚乱】の同時討伐
金襴の劫火。白銀の氷獄。番の鬼神。幻影夢想。泡沫の比翼連理。

詳細は後日@wikiに表記します。


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