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おもらし千夜一夜4

73事例2.1「篠坂 弥生」と七夕。@弥生①:2014/07/07(月) 23:30:52
七月七日、七夕。
私は短冊に願いを書く。

“お手洗いの失敗なんて事、もう絶対にしませんように。弥生”

――だめだ。名前はダメだよ…。

私は名前の部分をマジックで塗りつぶす。

此処は多くの人が短冊を吊るしにくるところ。
もし学校の人が弥生なんて名前見たら……そう思うと名前なんて書けるわけがない。

自分で書いた短冊を顔を赤くしながら間違いがないか確認して再度吊るす。

手を伸ばした時、横の短冊が揺れて内容が目に入る。

“あーちゃんとまた仲良くなれますように。くーちゃん”

……なんだろ、子供っぽい内容なのに子供の割には凄く字が綺麗。

それを見ていると直ぐ隣にある短冊も目に付いた。

“← くーちゃんが素直になって、過去に振り回されませんように! めーちゃん”

これも字が綺麗の割に……。

――いやいや! 他人の見るとかよくないよね! わ、私のも見られたくないしっ!

……なんだか私の願い事が余りに酷い気がしてきた。
私は短冊を破いて書き直す。

“雛さんとついでに真弓ちゃんとも、ずっと仲良しで居られますように。弥生”

今度は堂々と名前を書いて吊るす。

やっぱりこういうことを書くべきだ。
私は笑顔で駅前にある笹飾りを後にし、帰りの電車が来るホームへ向かう。


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