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おもらし千夜一夜4

65追憶3「霜澤 鞠亜」と公園戦争。@鞠亜⑥:2014/06/04(水) 23:36:37
――
 ――

「――亜……鞠…! 鞠亜!」

――ん……綾?

肩を両手で持ってボクを揺さぶる綾が目に映る。
でも直ぐにボクの身体は綾の方に引き寄せられて、空が見えた。

「よかった! ……大丈夫?」

「え? あ、……うん?」

――えっと? なんでボク綾に抱きしめられてるんだっけ?

しばらくすると綾が抱きしめるのをやめて、両手を地面に付きながら心底安心したように口を開いた。

「はぁ〜…急に気を失うから吃驚した……」

気を失った?

……。

――っ!

ボクは視線を自身のスカートに向ける。
濡れてる……のは当たり前だけど、この匂いは……。

顔に血が上っていくのが判る……ボクはおもらし……しちゃったんだ……。
綾の前で、気を失いながら……。

目の前が歪む。
それは涙のせいなのだと直ぐにわかった。

「ぐす……」

――綾は……こんなボクを抱きしめてくれたんだ……。

複雑な涙。
凄く恥ずかしい失敗をしてしまって悔しかった。でも綾の優しさが嬉しかった。

「鞠亜、立って、もうちょっとこっち来て」

綾がボクの手を引く。
ボクは力なく立ち上がり、よく判らないまま少しだけ動く。

「そんじゃいくよ! “るなてぃっく凄い奴!”」<バシャバシャー>

冷たい。
蛇口を上に向けてボクたち二人に水が掛かる。
恥ずかしい失敗も、涙も流してくれる。
虹が見える中、綾は笑いながら言った。


「……今度めーちゃんに会ったとき、謝ろうよ! そのときは私も一緒に付き添うからさ」


おわり


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