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おもらし千夜一夜4

531事例12「根元 瑞希」と雨の日。10:2017/09/03(日) 21:04:28
――
 ――

「漏らしてない、雨だし……」

「……じゃ、触って匂いでも確かめてみよ――」
「わぁーやめてやめて! ごめんなさい!」

「……はぁ、なんでこうなる前に言わないかなー?」

「うぅ……綾が近づいてこなかったらバレなかったもん……」

「……そんな問題じゃないし……それに言っとくけど、結構前から我慢してたのバレバレだったんだけどねぇ」

「!!?」

「……むしろバレない要素がなかったけど?」

「だったら……い、言ってよ! ――っていうかなんで近づいてきたのよ! わざとなの!?」

「……あー、ごめん、面白そうだったし、わざとなの」

「ううああぁぁ、面白がんないでぇー」

本当は面白そうではなく、物凄く可愛くて愛おしくて自分が抑えられなくなったんだけど……流石に言えない。
沸騰しそうな頭を抱えて悶え苦しんでいる瑞希に私は声を掛ける。

「……さて、雨止んだけど、そんなんじゃ風邪ひくから、うちでシャワーとか着替えとか用意してあげる」

瑞希はもともと身体が強いほうではないし、流石に放っておけない。

「うぅ……お願いします……」

正直、思ったより後味よく終わって安堵してる。
それに、普通に話せるようになってる気がする……。

「ねぇ、綾……」

「……なに?」

前で自転車を押す私に瑞希が声を掛けてくる。
私は振り向かずに返した。

「やっぱ、綾は綾なんだね……」

「……意味わかんない」

「その、なんていうの? 頼れる存在っ! って感じだよ」

――……それは、買い被り……瑞希のおもらし見てドキドキしてる変態なだけだし……。

「あ、もし、本当に生徒会に入る気があるなら……私、クラス委員長、引き受けてもいいよ……綾が生徒会とかなんか私も誇らしいし」

――……なるほど、我慢中のあれはこれが言いたかったのかな?

「……ありがと、だけどまだ保留だし皐先輩には話さないでほしいかな」

……。
結局朝見さんは生徒会に入るのだろうか。
もし入るのなら――……私も入りたい? ……わからない。

だけど……もし生徒会に入ることになれば、確実にまゆや弥生ちゃんとの時間は減ることになる。
二人と居る時間は減らしたくない……。

――……あ、トイレ……。

ふと忘れかけていた尿意を思い出す。
仕返しが怖いので、瑞希がうちでシャワーを浴び始めるまで我慢。
私は瑞希に聞こえないように小さく嘆息して少し歩幅を広げた。

おわり


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