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おもらし千夜一夜4

524事例12「根元 瑞希」と雨の日。3:2017/09/03(日) 20:55:51
――
 ――

――わ、ちょ、降ってきたよ……。

細かい雨が顔に触れ、不快感を与える。
そしてそれは直ぐに大きな音を上げ、地面に当たる飛沫で視界を悪くするほどの大雨に変わり、私は一時避難の選択を余儀なくされる。

――っ……公園っ、あそこのベンチには屋根があったはず……。

もうすぐ見えてくる公園が一番近い避難場所。
避難先が近くにあることに安心して、また濡れてしまったためか軽い尿意が湧きあがる。
思い返せばお昼に済ませたのが最後であり、3時間くらいは済ませていない計算。
昼食時の取った水分が形を変えて下腹部に溜まって来ている。
とはいえ、この程度の尿意ならまだまだ余裕ではある。
それよりも残念なのは、雨に遭わなかったら駅付近で誰かの『声』に出会えていたかもしれないということ……勿体ない。
こんな雨の中じゃ誰も――

――……ん、あ、うちの生徒?

自転車でないが同じ高校の生徒が目の前の公園へ慌てて入っていくのが見える。
相席……ではないか。ベンチは二つありその両方が屋根の下にあったはず。

私は自転車ごと公園に入りベンチがある屋根まで進みペダルから足を下ろした。
さっきの人はベンチで腰かけてこちらを―― 

「……っ」

私は慌てて視線を逸らす。
ベンチに座る彼女はクラスメイトの根元 瑞希(ねもと みずき)だった。

「あ、えっと……奇遇だね、綾……」

「……うん…まぁ……」

声を掛けられ改めて彼女の方へ視線を向けるが、目は合わせられない。
根元さん……瑞希は同じ中学出身で、一時期は仲が良かった人。今は……。

「凄い雨だね、結構濡れちゃったわー」

……。
気を使わせてる……何か返さないと。

「……あ、ぇっと……」

だけど、口を開けたが何を言えばいいのかわからず直ぐに口を閉じてしまう。
そんな情けない私に瑞希は曖昧な表情で微笑む。
それを見て私はまた視線を逸らしベンチに座る。


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