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おもらし千夜一夜4

40事例6「紅瀬 椛」と夏祭り。-後編-⑤:2014/06/01(日) 00:30:54
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「あぁ! もう!」『トイレにも行きたいし!』

射的屋に到着してもう15分くらい経っただろうか?
山寺さんと弥生ちゃんが残してくれた型抜き菓子を射的券に交換したが券はあっという間になくなり
現金を二千円を使い果たしたところ。
ちなみに全部目当ての物には当たっているけど落ちないだけ。
周りにも5〜6人の見物客が集まる始末。

『どうしよう……トイレ……こんなに見物客が居る中でどうやって抜け出せば……』

そして、再度5発分の弾を貰い撃ち始める。

『んっ……じっとしてなきゃ…我慢してるの周りにバレちゃう……』

そんな『声』を出しながらも、今度もすべて命中。でも落ちない。
当たり所だって悪くない。同時に撃つなりしないと物理的に厳しいのかもしれない。

……この状況凄く悪い。流石に見かねて助け舟というか、本音も込めて私は口を開いた。

「……もういいよ、諦めよ? 流石にそんなにお金出してもらうの悪いし……」

少し前に私がお金を出そうとしたら、「先輩を立てるべき」などと言って断られたが流石にこれ以上は……。
椛さんは、私の言葉を聞いて不満そうな顔で答えた。

「じゃあ、下駄どうするの?」

私は言葉に詰まる。確かに下駄は欲しい……。
そんな私を見て、椛さんはさらにお金を店主に払う。

「……もう、待って……私も撃つから」

本当はこんな見物客が居るのに目立つようなことしたくないって言うのが本音だけど。
私も銃を持ち椛さんの弾を一つ貰う。

――ああ、視線が痛い。

唯でさえ銀髪に黒の浴衣とか目立つ格好なのに……。

「それじゃ行くよ!」

別にカウントダウンを始めるわけでもなく、椛さんは銃を構える。
私も同じように構え、椛さんの微妙な身体の弛緩に注意を配り、引き金を引いた。

<パシュッ>

コルク弾が発射される時に聞こえる独特の乾いた音が同時に二つ聞こえた。
直後、周囲からちょっとした歓声が上がる……なんで射的だけでこんな目立つのか……。

一応上手く行ったことに私は安堵する。
隣にいる椛さんは大きく嘆息して、私以上に安堵しているみたいだ。

『よかった……これ以上我慢し続けるのは辛かったし、財布も……』

店主が持ってきた戦利品の下駄に早速履き替える。
……凄い派手。


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