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おひさしぶりに。
1
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2013/05/12(日) 13:38:11
久し振りに書いてみようと思った。
ということで、今回も完結しなさそうな新作投稿。
2
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2013/05/12(日) 13:38:26
「あ、あのっ!」
逢沢みゆ、高校二年女子。
自分で言っちゃアレだけど――
「逢沢さんが好きです!付き合ってくださいっ」
結構モテる。
わりと細いほうだし、
身長もそんな高すぎないし、低すぎないし、
茶色の髪の毛はさらさらのロングストレートで、
目もパッチリしてるし睫毛も長い。
こんな可愛い女の子いたら、周りが放っておくはずないよね。
性格だって、馬鹿みたいにぶりっ子してるわけじゃないし。
サバサバしてちょっとナルシで、それでもモテるのがあたし。
でも、あたしにはきちんと好きな人がいるんだ。
だから、
「んー、気持ちはうれしいけど、ごめんなさい!」
ぺこりとお辞儀をして謝った。
あたしってね、案外一途なんだよね。
好きな人いながら他の人と付き合うとか、したくないし。
告白とか、もう数え切れないほどされてきたけど。
誰とも付き合ってないんだ。
「逢沢さんって、ほんっと一途だよね」
「だって好きって気持ちなかなか冷めないんだもん」
「うん、逢沢さんのそういうとこ、すごい好き」
一途に好かれるのって、こんな気持ちなんだ。
答えてあげたいのに、答えられなくて胸が苦しくなる。
でも、好きって気持ちがなかなか冷めない。
きっとあの人も、こんな気持ちなのかな――
3
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2013/05/12(日) 13:58:49
「逢沢さんも、片思いなんだよね」
「うん!もう片思い歴4年だー」
「長っ、4年……てことは中1の頃から?」
「そうそう、4年も好きとかあたし馬鹿だよねー」
中1の後半、かなあ。
入学してから仲良くなって、そんくらいの時期に恋してるって気づいたんだ。
ちなみに好きな人の名前は安藤健。
ケンじゃなくタケルね。
みんなからタケって呼ばれて慕われている人だ。
いっしょにいて楽しいし、良い人なんだけど……
さり気なく女の子扱いしてくれて優しいところとか、
とにかくこのあたしに4年も恋させるくらいかっこいい人。
顔がかっこいいとか、
ルックスが良いとかもあるけど、何よりかっこいいのは性格だ。
中2も中3も、奇跡的にあたしとタケは同じクラスだった。
この高校に入ったのも、タケと同じ高校がよかったから。
他校になって浮気されちゃ困るもんね。
とか、そもそもあたしと付き合ってないけど。
あたしに告白してきた子が一途に恋してるように、
あたしが一途に恋してるように、
タケも、一途に一途に恋してる。
でも、告白してきた子やあたしと違うのは、タケは両思いだということ。
タケは中2の時に他校の子と付き合い始めて、
今でも順調に続いている。
他校の子とは、部活の大会で知り合ったんだって。
ちなみにタケはサッカー部で、彼女さんはマネージャーとして付き添いで来てただけらしいけど。
「……疲れたり、しないの?」
心配そうに聞かれた。
んん、と唸って答える。
「疲れてない、って言ったら嘘になるけど……でも、好きなんだもん。仕方ないよね」
ふは、と笑う相手。
「ほんと一途。まあ、俺に勝目はないってことか」
「うん、そういうことー!」
「んじゃ、一旦降参しとくわ!また来るから、覚悟してて」
「了解っ、また滅多打ちにして返してやるわ!……てか君、名前は?」
不意打ちで名前を聞くと、相手は笑いながら言った。
「俺は夏目だよ、」
「夏目……ん、夏くんね!また今度会おうねっ」
ぶんぶんと手を振って、あたしはその場を去った。
4
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2013/05/16(木) 20:54:53
夏くんに告白されていたのは、放課後の教室だった。
もう学校にあまり人がいなくて、
あたしも夕日を見つめながら校庭に出る。
とぼとぼと一人で帰ろうとしていると、
あたしの大好きな人の姿が見えた。
「タケ!」
「おー、逢沢じゃん」
「今部活終わったのー?」
「ん!今日も疲れ果てたー」
笑いながら話すタケ。
この笑顔も、
この仕草も、
この声も、
ぜんぶぜーんぶ大好き。
「逢沢は?今帰りなの?」
「うんっ、ちょっといろいろあってねー」
「……また告白?」
ちょっと気まずそうに、ちらっとあたしを見て聞くタケ。
「うん、そうだよ」
あたしは俯いて、それでも笑顔で言った。
タケが、さみしそうに聞く。
「……振ったの?」
タケは、あたしの気持ちを知ってる。
あたしが中三のとき告白したから。
「…当たり前じゃん、あたし、タケが好きだもん…」
タケの悲しそうな目が、辛そうな視線が。
どうしようもなく苦しくなって、泣きたくなって。
あたしは、空回りするように好きと伝えた。
「……俺以外のやつに恋したっていいのに、」
「それでもあたしはタケが好きなんだもん」
「俺、彼女いるよ」
「知ってる。でも好き」
しつこく好きと伝えたって、
好きという感情が虚しく積もるだけだし
苦しさが増すだけだ。
わかってる。
けど、
「あたしはずっと待ってるよ」
こんなに大好きな人、人生で一人しかいないもん。
そんな気がするの。
だからあたし、タケを諦めきれないの。
「もしタケが諦めろって思うなら、どうにかしてでもあたしに嫌われろ馬鹿」
タケは優しいから、そんなことできないでしょ?
自分でも残酷で卑怯なことを言っていると思った。
それでも、どうしても諦めたくなくて。
だから、
タケの一言に吃驚した。
「じゃあ…今から最低なことするね」
そう言って、タケは悲しそうにあたしに向き直って、
とてもとても悲しそうに
キスをした。
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