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刑法総論

517名無しの関学生:2019/06/29(土) 05:33:36
6月28日(金)の授業で承継的共同正犯の出題が示唆されたので、ご参考までに

(1)問題の所在
ア. 問題となる事実関係
 後行者●は、先行者▲の犯罪に途中から共謀加担 している。
イ. 問題提起
そこで、後行者●は、共謀加担前に先行者▲が行った行為・結果を含めた犯罪全体について共同正犯が成立するか問題となる。
(2)判断枠組み
ア. 判断枠組み
この点につき、共同正犯を含む共犯の処罰根拠は結果に対する因果性にあるので、①(結果に対する)因果性の認められない共謀加担前の(先行者が行った)行為・結果について共同正犯は成立しないが、②(結果に対する)因果性の認められる共謀加担後の行為・結果については共同正犯が成立し得る。
イ. 他説(中間説①)の批判
 したがって、後行者が共謀加担する前の先行者の行為・結果を積極的に利用したとしても、結果に対する因果性が認められないので、共同正犯は成立しない。
(3)本件の検討
㋐ 傷害罪の場合
 後行者●の共謀加担前に、先行者▲の暴行のみによって生じた傷害結果については、結果に対する因果性が認められないので、傷害罪の共同正犯は成立しない(①)。
 そして、後行者●の共謀加担後の暴行によって生じた傷害結果については、結果に対する因果性が認められるので、傷害罪の共同正犯が成立する(②)。

㋑ 強盗罪の場合
ア. 強盗罪の「結果」の定義
 では、・・・という本件結果は、強盗罪の結果といえるかが更に問題となる。
 この点につき、強盗罪の結果は「強取」、つまり、暴行・脅迫により生じた反抗抑圧状態という効果を利用して財物の占有を移転させることである。
 とすると、先行者▲の暴行・脅迫による被害者■の反抗抑圧状態という効果を利用して財物○の占有を●に移転したという本件結果は、「強取」に該当する。
イ. 「強取」に対する因果性の認定
 したがって、財物の占有移転のみに関与した後行者●も「強取」という結果に対して因果性を有するので、強盗罪の共同正犯が成立する。

㋒ 強盗致死傷罪の場合
ア. 致死傷結果に対する因果性の有無
 後行者●の共謀加担前に、先行者▲の暴行のみによって生じた致死傷結果については、結果に対する因果性が認められないので、強盗致死傷罪の共同正犯は成立しない(①)。
イ. 強盗罪の「結果」の定義
 では、強盗罪の共同正犯は成立するか。・・・という本件結果が、強盗罪の結果といえるかが問題となる。
この点につき、強盗罪の結果は「強取」、つまり、暴行・脅迫により生じた反抗抑圧状態という効果を利用して財物の占有を移転させることである。
 とすると、先行者▲の暴行・脅迫による被害者■の反抗抑圧状態という効果を利用して財物○の占有を●に移転したという本件結果は、「強取」に該当する。
ウ. 「強取」に対する因果性の有無
 したがって、財物の占有移転のみに関与した後行者●も「強取」という結果に対して因果性を有するので、強盗罪の共同正犯が成立する。

㋓ 詐欺罪の場合
ア. 詐欺罪の「結果」の定義
 では、・・・という本件結果は、詐欺罪の結果といえるかが更に問題となる。
 この点につき、詐欺罪の結果は「詐取」、つまり、欺罔行為により生じた被害者の錯誤という効果を利用して財物の交付を受けることである。
 とすると、先行者▲の欺罔行為による被害者■の錯誤という効果を利用して財物の交付を受けたという本件結果は、「詐取」に該当する。
イ. 「詐取」に対する因果性の有無
したがって、財物の交付のみに関与した後行者●も「詐取」という結果に対して因果性を有するので、詐欺罪の共同正犯が成立する。

㋔ 恐喝罪の場合
ア. 恐喝罪の「結果」の定義
 では、・・・という本件結果は、恐喝罪の結果といえるかが更に問題となる。
 この点につき、恐喝罪の結果は「喝取」、つまり、恐喝行為により生じた被害者の畏怖状態という効果を利用して財物の交付を受けることである。
 とすると、先行者▲の恐喝行為による被害者■の畏怖状態という効果を利用して財物の交付を受けたという本件結果は、「喝取」に該当する。
イ. 「詐取」に対する因果性の有無
したがって、財物の交付のみに関与した後行者●も「喝取」という結果に対して因果性を有するので、恐喝罪の共同正犯が成立する。


より詳しくは、法学教室2018年10月号p126-127の記事を見てみて下さいね


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