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避難所用SS投下スレ11冊目
724
:
ルイズと無重力巫女さん
◆1.UP7LZMOo
:2017/04/30(日) 22:22:04 ID:oww8q7tg
「私は追いかけてって言ったけど、マリサのヤツがアンタに任せようって言って効かなかったのよ」
ルイズがそう言った直後、今度は魔理沙が背負っていたデルフがカチャカチャと金属音を立てながら喋り出す。
『そうそう、しんどい事は全部レイムに任せて美味しいところ取りしようぜ!…ってな事も言ってたな』
「あぁ、お前ら裏切ったなぁ〜!」
ここぞとばかりに黒白の悪行を紅白へ伝えるルイズとデルフに、魔理沙はお約束みたいなセリフを呟く。
明らかな棒読み臭い言葉に霊夢は呆れつつも、何か一言ぐらい言い返してやろうとした直前、背後から物凄い気配を感じた。
そして同時に思い出す、今自分の背後へと杖を無ていた少年の存在を。
「ちょッ―――わぁ!」
慌てて振り返ると同時に、眼前にまで迫ってきていた空気の塊を避ける事が出来たのは、経験が生きたからであろう。
幻想郷での弾幕ごっこに慣れた彼女だからこそ、当たる直前に察知した直後に回避する事が出来た。
汗に濡れたブラウスとスカートがエア・ハンマーに掠り、直前まで彼女がいた場所を空気の槌が通過していく。
本来当たる筈だった目標に避けられた空気の槌は、決して魔法の無駄撃ちという結果には終わらなかった。
ギリギリで避けてみせた霊夢とちょうど重なる位置にいた二人と一本へ、少年の放ったエア・ハンマーが勢いをそのまま向かってきたのである。
「げぇッ!?わわわ、わァ!」
『うひゃあ!コイツはキツイやッ』
自分たちは大丈夫だろうと高を括っていた魔理沙は目を丸くさせて、何とか避けようとは頑張っていた。
しかしルイズとデルフという積荷を乗せた箒は重たく、いつもみたいにスピードを活かした回避が思うように出来ない。
それでも何とか直撃だけは回避できたものの、エア・ハンマーが作り出す強風に煽られ、見事バランスを崩してしまったのである。
箒を操っていた魔理沙は強風で錐揉みしながら墜落していく箒にしがみついたまま、背負ったデルフと一緒にあらぬ方向へと落ちていった。
「ウソッ――――キャッ…アァ!」
「ルイズッ!」
一方のルイズは魔理沙の気づかぬ間に箒から振り落とされ、王都の上空へとその身を投げ出してしまう。
上空と言ってもほんの五、六メイルほどであるが、人間が地面に落ちれば簡単に死ねる高度である。
エア・ハンマーを避けた霊夢が咄嗟に彼女の名を呼び、思わず飛び立とうとするが間に合わない。
しかし始祖ブリミルは彼女に味方したのか、背中を下に落ちていくルイズは運よく通りの端に置かれた藁束の中へと落ちた。
ボスン!という気の抜ける音と共に藁が飛び散った後、上半身を起こした彼女はブルブルと頭を横に振って無言の無事を伝える。
魔理沙はともかく、ルイズがほぼ無傷で済んだことに安堵しつつ霊夢はキッと魔法を放った少年を睨み付ける。
しかし、先ほどまで少年がいた場所にはまるで最初から誰もいなかったのように、彼の姿は消えていた。
一体どこに…慌てて周囲に視線を向ける彼女の目が、再び人ごみの流れに逆らって走る少年の姿を捉える。
先ほどのエア・ハンマーが人に当たったおかげで人々の視線も上空へと向けられており、今ならいけると考えたのだろう。
成程。確かにその企みは上手くいったし、魔理沙にルイズという追っ手も上手い事追い払う事ができている。
自分の視線も彼女たちへ向いてるし、何より助けに行くだろうから逃げるなら今がチャンスだろうと、そう考えているのかもしれない。
「けれど、そうは問屋が卸さないってヤツよ」
必死に逃げる少年の後姿を睨みつけながら一人呟くと、霊夢はバっと少年へ向かって飛んでいく。
今の今までは此方が優位だとばかり思っていたが、どうやら相手の方が一枚上手だったらしい。
こっちが油断していたおかげで魔理沙とルイズは吹っ飛ばされ、挙句の果てにはそのまま逃げようとしている。
ここまで来るともう子供相手だからと舐めて掛かれば、命すら取られかねないだろう。
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