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悪女の妙薬

1 猫目ニボシ ◆wCLA.R2/g2 :2011/06/16(木) 01:49:32
 心地よい秋風が窓を微かに揺らし、月が翳る秋の夜の一頁に、然る少女の物語は始まる。
「今日からよろしくね、葉月さん」
「私の方こそ、よろしくお願いします」
 神妙な面持ちで、その少女は二十代前後とおぼしき女性に頭を下げた。
 少女の名は大崎葉月《おおさきはづき》と云う。だが、葉月は自身の名を好いていない。いや、あまつさえ毛嫌いしていると云っても過言ではない。
 そんなとりとめのない思索に耽りながら、葉月は眼前の女性からおもむろに視線をそらした。薄い茶髪のボブカットを秋風にたなびかせ、穏和でおとなしそうな目元をひそめる葉月。そんな彼女を、
「どうしたんだ葉月、ぼーっとしたりして、亜季さんに失礼だろう」
 父親とおぼしき男性は、恰幅のいい体躯を揺らし諌めた。
 葉月の眼前に広がる手料理とおぼしきメニュー、秋の味覚秋刀魚の塩焼き、炊きたての白米、そしてマカロニサラダにデザートの杏仁豆腐。どれも一様に手の込んだ料理と云えるだろう。
「気にしないで敬一郎さん。大好きなお父様が、私の様なそこつ者と結婚するんですもの、葉月さんの気持ちも汲んでやってくださらない?」
「亜季さん! 私はそんなつもりじゃ……」
 葉月に亜季《あき》と呼ばれた女性は、彼女の言葉に苦笑する。夜空の様に綺麗な長髪をたなびかせ、亜季は切れ長の目に意味深な笑みを浮かべながら、
「そう、よかった。これから数年間“二人”で暮らすのに、気まずいままじゃ切ないものね」
「亜季さん、そこつ者は、私の方です。本当にごめんなさい!」
「ははっ、仲良くなれそうで安心したよ。僕は正月ぐらいしか日本に帰れないけど、大崎家を頼むよ」
「はい、お父様」
「ええ、敬一郎さん」
 経営する会社の海外事業展開のため、敬一郎はこれから数年間日本を離れることになる。亜季は人目を引く美女だし、何を好き好んで二回り以上歳の離れた敬一郎と結婚するのか、その時の葉月にはついぞ理解出来なかった。
「さぁ、いっぱい食べてね葉月さん。敬一郎さんは朝イチで空港に向かうから、言うなれば今日は最後の晩餐ですもの」
「ははっ、亜季、それじゃ僕が死ぬみたいだろ。まったく、亜季はそそっかしいなぁ」
「ごめんなさい敬一郎さん! 私ったら」
 亜季は敬一郎の言葉にハッとし、海外製とおぼしき椅子から立ち上がり謝罪した。だが、うつむく彼女の口元が嘲笑の様相を呈していたのを、葉月はまだ知るよしもなかった。

2 猫目ニボシ ◆wCLA.R2/g2 :2011/06/16(木) 01:51:45
「はぁはぁ……」
 その晩葉月は、不可思議な明晰夢にうなされた。自身の眼前で喧嘩する両親、家を飛び出す母親、そして目頭を熱くする幼い葉月。夢の中なのに五感は妙に生々しく、母親を追いかけて転んだ膝小僧や肘は、ビリビリと熱を脳の奥底まで伝えているようだった
「うっ、うぅん」
 なおも葉月は悪夢にうなされ続ける。比較的涼しい夜にも関わらず、四肢は微かな痛みを伴い熱を帯びる。
「あっ、はうっ」
 葉月は身体が痛むのか身悶え始める。だが、その度に彼女の四肢は微かに縮んでいき、高校一年生になり艶やかな膨らみになってきた胸元も、心なしか平らになっていた。
「あがっ! アァァー」
 ひときわ甲高い声を響かせる葉月、その瞬間、彼女の身体は一気に縮んでいく。葉月の手足は綿製の水色のパジャマに呑み込まれていき、胸元の膨らみはさながら空気を喪失したかの様に勢いよく縮んだ。
「う〜ん」
 ぶかぶかになったパジャマの袖を揺らし、子供の様に甲高くなった声を上げながら、葉月は再び夢の奥底へと誘われていった。

 *

「はぁ――もう朝かぁ、近ごろめっきり寒くなったなぁ。いやぁれ?」
 冬の足音が落葉樹や路面を包み始め、めっきり寒くなってきた今日この頃。葉月はおもむろに起き上がり、黄緑色のカーテンを開けようとして、ある変化に気がついた。
「何よこれぇ!?」
 ベッドから布団を剥ごうとした葉月の手は、水色のパジャマの肘ぐらいの長さに縮んでおり、脚も完全にパジャマに呑み込まれている。また、口元からこぼれ落ちた声色も、自身の声とは思えぬたどたどしく幼い声で、葉月の胸元には言い様のない焦燥感が去来していく。
「ウソ、これは夢よ! 身体が縮むなんて、そんなわけ――えっ!?」
 パジャマを脱いで肉体の変調を確認しようとした葉月は、奇妙な違和感を感じて下腹部に視線を向け、ひときわ甲高い叫び声を上げた。
「そんな……ウソでしょ。高校生になって“おねしょ”だなんて」
 水色のパジャマの股関部分に広がる淡い染み。薄茶色のその染みからは、微かに鼻につく匂いがし、それが何かは一目瞭然だった。履いているショーツはおろか、パジャマやベッドまでも染める染み。微かにひんやりするその感触に、葉月の目頭は無性に熱くなっていく。
「おはよう、葉月“ちゃん”。昨夜はよく眠れたかな?」
 木製のドアをおもむろに開け、亜季は葉月の部屋に入ってくる。
 気ならしたブランド物のジーンズにTシャツという、寝起きと思われるラフな格好だ。
「亜季さん……その」
 昨夜は160cmの葉月と亜季はさほど変わらない背丈だった。だが今の彼女の目には、亜季は巨人の様に大きく映り、葉月はその差違に戸惑いを隠せない。

3 猫目ニボシ ◆wCLA.R2/g2 :2011/06/16(木) 01:59:48
「あれ? おねしょしちゃったの葉月ちゃん。自律神経まで若返るなんて、やっぱり試作段階の薬品なのね」
「えっ?」
 葉月の粗相を一瞥すると、亜季は意味深な言葉を呟いた。そう、まるで葉月が若返っているのが、さも当たり前のごとく。
「亜季さん、どういうことですか! わたしの身体が縮んだのは、あなたの仕業なんですかぁ?」
「あらあら、舌が上手く回らないのね。クスクス――可愛い」
「いやぁ、おろしてよ」
 亜季は葉月におもむろに近づくと、彼女の後ろに手を回し、軽々と持ち上げた。
「へぇー。軽いのね。見たところ5歳前後ってところかな。気分はどう葉月ちゃん?」
「ちゃん付けはやめてください。わたしは高校生ですよ」
「ふふっ、園児の間違いじゃない?」
「くっ……」
 艶やかに光る黒髪をたなびかせ、亜季は不敵な微笑を浮かべる。無論、葉月も異を唱えるが、亜季に持ち上げられた状態では、細やかな反論さえも口ごもってしまう。
「いい加減、離して!」
「はいはい」
 亜季に抱っこされたせいで脱げ落ちたパジャマを履き直し、葉月は力強い眼差しを向ける。
 視線の先には亜季の腹部が映り、葉月は自身の矮小さを思い知る。単純な身長差だけではない。ところ狭しと“保育”の専門書が並べられた本棚、窓の鍵やドアノブ、そして電球のスイッチも手の届かない位置にある。
 見慣れたはずの自分の部屋なのに、葉月の眼にはまるで別世界に見える。そう、さながら巨人の住居の様だ。
「わっ、わたしの身体に何をしたの!? お父様が帰ってきたら、ただじゃすまないからね」
「無駄よ、敬一郎さんは当分日本に帰ってこないし。この“変声機械”で、貴女のお父様に連絡したから、私のことは心配しないでってね」
「そんな……」
 亜季が携帯端末ほどの小型の機械を口元に当てると、彼女の声色は若返る前の葉月と瓜二つになった。

4 猫目ニボシ ◆wCLA.R2/g2 :2011/06/16(木) 02:10:08
「貴女の声色は子供に退行してるし、電話しても信じてもらえないでしょうね」
「どうやって、わたしの身体を縮めたの?」
「この薬を使ったのよ。これはね、私のお兄様とお父様の製薬会社の試作品で、遺伝子退行プログラムナノマシンの実験作なのよ」
 亜季の手のひらにある緑色の液体は、おそらくナノマシン保持液だろう。
「ナノマシンの老化抑制研究は、西暦2074年現在では禁止されてる筈よ」
「ええ、だからこの薬品は違法研究ってわけ。当然成長プログラムも、私達しか知り得ないわ」
「わたしをどうするつもり?」
「心配しなくても、悪い様にはしないわ」
 亜季は不敵に笑うと、葉月をおもむろに抱きしめた。
「ちょっと!」
 頬に伝わる亜季の柔らかい胸元の感触に、葉月は瞬く間に赤面していく。

5 猫目ニボシ ◆wCLA.R2/g2 :2011/06/16(木) 02:24:26
「でもね葉月ちゃん、貴女が私と暮らすのを拒絶するなら、敬一郎さんが帰ってくるまで“施設”に預けるしかないわね」
「施設……」

6 猫目ニボシ ◆wCLA.R2/g2 :2011/06/16(木) 02:28:13
 肉体が縮み冷静な思考能力を喪失している葉月に、亜季は無常な選択を迫る。
「さぁ、分かったなら、私を“ママ”って呼んで」
「くっ……」
 亜季の膝に乗せられた状態で、葉月は言い様のない想いに捕らわれていた。そして彼女は、
「ママ」
 と口にしてしまう。
 そんな葉月に、亜季は優しげな笑みを浮かべ、
「そう、いい子ね」
 と意味深に呟き、優しく葉月の頭を撫でた。

7 feelfine :2011/06/16(木) 15:24:52
こちらでの復活もお待ちしておりました。
高校生としての自覚を持ちながらも園児並の扱いや能力のため
に葉月を襲うであろう様々な羞恥体験が楽しみです。
やはり猫目さんの美少女・美女が変化する作品が好きです。

8 猫目ニボシ ◆wCLA.R2/g2 :2011/06/17(金) 01:44:52
>>7feelfineさん、感想ありがとうございますm(__)m。
相も変わらずいい加減な駄文で、申し訳ないです。
完結させるまでモチベーションが続く自信がないので、苦肉の策でストーリー性を薄めましたが、要所要所のポイントは押さえて書くので、ご一読頂けたら幸いです。

9 猫目ニボシ ◆wCLA.R2/g2 :2011/06/17(金) 01:46:11
「“子供園”って、ふざけないでください! わたしは高校一年生ですよ。それに戸籍だって16歳だし、そんな所に通える筈ないでしょ!」
 西暦2074年現在、幼稚園と保育園は統合され、子供園に名称を改めていた。だが、葉月は正真正銘の女子高生だ。そんな所に通える道理など、ある筈もない。
「これ、な〜んだ?」
 幼児に話し掛ける様な優しい口調で、亜季は真新しい用紙を指し示す。
 大崎月恵《おおさきつきえ》・性別女性・年齢“5”歳。
 住民票のコピーとおぼしき紙には、その様に記述されていた。
「えっ?」
 葉月は首を天井の方へ向け、さながら巨人の様な亜季の手のひらを見上げた。だが、亜季と葉月の身長差は一目瞭然で、子供の目線からでは用紙の内容を完全に把握出来なかった。
 だが、今の彼女にとっては、それは然したる問題ではない。そう、葉月にとって憂慮すべき疑問は、
『ウソ……何で“漢字”が読めないの!?』
 と云うことだろう。
「その様子だと漢字は読めないみたいね。ふふっ、この用紙は、そんな5歳児月恵ちゃんの住民票よ」
 亜季は不敵な微小を浮かべ、淡々と葉月の状況を分析した。
「ばっ、バカにしないで! わたしは高校一年生です。漢字も読めます」
 ぶかぶかのパジャマの袖を捲り上げ、たどたどしい声色で、葉月は異を唱える。
「へ〜。それじゃあ6+5は幾つか解る? “月恵”ちゃん」
「わかります!」
 葉月改め、“月恵”は、舌っ足らずな口調で必死に反論する。だが、先程から頭は霧が立ち込めた様になり、思考はまとまらない。それでも月恵は高校生としての矜持を胸に、矮小な指先を使い必死に計算していく。
「答えは10よ」
「あらあら、惜しいわね。でも、答えは11よ」
「えっ、えっ? 何でなの?」
 月恵は児童福祉司を目指しており、学業の成績も良好だ。そんな彼女にとって、足し算も満足に答えられないのは、筆舌に尽くしがたい恥辱といっても過言ではない。
 屈辱的なテストで、そんな風に羞恥心を刺激されながらも、尚も月恵は丸く縮んだ指先を使い再計算する。だが、人間の指は両の手を合わせ十指のみ。11以上の計算は指では必然的に出来ないのだ。恐らく亜季は、それを見越してこの問題を提示したのだろう。いやはや、まったく酔狂な女だ。
「うっ、ひっぐ」
 若返りの影響で涙腺が緩くなったのか、月恵は恥も外聞もなく泣き始めた。
「安心して月恵ちゃん。ママと一緒に勉強すれば、すぐに足し算出来る様になるよ。だって月恵ちゃんは、お利口さんだもんね」
「うっ、ママぁー」
 亜季のTシャツにしがみついて、月恵は泣き続けた。
 恐らく、幼い頃に母親が出ていき、長い間父親と二人きりだった彼女は、知らず知らずの内に母親への想いが募っていたのだろう。だが、げに恐ろしきは、それを見越して月恵を赤子返りさせた、亜季に他ならないだろう。

10 猫目ニボシ ◆wCLA.R2/g2 :2011/06/17(金) 01:47:42
 落葉樹が庭を彩り、ゾウやキリンを模した滑り台が悠然とそびえ立つ、都内某所の子供園。ここに月恵は、耐え難い恥辱感と共に足を踏み入れた。
「月恵は甘えん坊で、少し妄想癖がありますが、この娘のことよろしくお願いします」
「お母様、大丈夫ですよ。この年頃のお子様は、“大人”やヒーローに憧れを抱くものですから。ふふっ、今日からよろしくね、“月恵”ちゃん」
「はい……」
 身体が縮んでから、早いもので三日が過ぎていた。亜季の測定によると、月恵の身長は108cmで、体重は18kgだ。
 そんな矮小な月恵の目線に合わせるかのごとく、子供園の保育士は、膝を曲げ彼女の顔を覗き込んでくる。そんな中、月恵は、
『おっ、おっきい。いや、違う。わたしが小さいんだ』
 と思う。
 確かに、月恵は学力を幼児レベルに低下させられているが、その実、言語能力や記憶は保持しているのだ。だから、彼女が目線の差違に戸惑いを隠せないのは、無理からぬことだろう。
「月恵ちゃんは、もう立派なお姉ちゃんね。ママと離れても泣かないなんて」
「うん……」
 母親が子供園を後にしたら、幼児は大抵涙を浮かべるのだろう。だが、水色の園服に身を包み、桃色の名札に『おおさきつきえ』と書かれていても、月恵は16歳の女子高生だ。だから彼女は、
『はっ、恥ずかしい。何で高校一年生になって、こんな子供扱いされなきゃならないの!? でも、亜季さんの機嫌を損ねたら、元に戻れないから我慢しなきゃ』
 と内心思っている。
 だが、若返りの影響で黒髪に戻ったボブカットの髪然り、亜季に無理矢理付けられたキャラクター物の髪止め然り、そして右に同じく無理矢理履かされた子供用ショーツ然り。それら全てが月恵の幼さを強調し、彼女が女子高生だと主張したところで、ただの世迷い言と思われるだろう。
「さぁ、お友だちを紹介するね月恵ちゃん」
「ひゃっ、ちょっと!」
 子供園の保育士とおぼしき女性は、月恵を軽々と持ち上げ瞬く間に抱き上げた。
「せんせ、いや、離してください」
 たどたどしく甲高い声色で、月恵は保育士に物申す。だが、芳紀二十歳前後とおぼしき女性は、意に介すようすもなく歩を進めていく。
 月恵は内心、
『この高さ怖いよ』
 と思っている。
 この様に云うと伝わりにくいが、今の月恵は幼児化しており、目線も高校生の時とは違うのだ。
 彼女にとって大人に抱っこされるのは、久方ぶりの経験で、その目線の変動は、さながら大人がバスケットゴールにぶら下がる感覚なのだ。恐怖を感じるなと云うのは、土台無理な話だろう。

11 猫目ニボシ ◆wCLA.R2/g2 :2011/06/17(金) 01:49:58
「今日からみんなのお友だちになる、おおさきつきえちゃんです。みんな仲良くしてあげてね」
「は〜い」
 アヒル、ウサギ、カエル、ゾウ、ネコ、キリン、数多の動物が描かれたファンシーな部屋の一郭で、月恵はさながら羞恥プレイ同然の目に遭っていた。月恵は、あどけない子供達を見つめ、
『くっ、わたしは子供じゃないのに。本当は漢字だって読めるし、“この子達”とは違うの!』
 と憤慨している。
 だが、今の月恵の能力は能力も幼児化しており、ここに居る園児と何ら変わりないだろう。
「みんな、よろしくね」
 やや俯き加減に、月恵は子供の振りを園児続ける。今だけの辛抱だ! お父様が帰国したら直ぐに元に戻れると、彼女は自分に言い聞かせた。

 *

 子供に共に絵本を読み聞かされ、無理矢理鬼ごっこに参加させられる。そんな顔から火が出そうな時間も過ぎさり、子供園は昼下がりを迎えようとしていた。
「さすが“年長組”ね。みんな一人でお着替え出来るなんて偉いわ」
 黄緑色のエプロンに身を包み、ウェーブがかった茶髪の保育士は、月恵達をそうほめる。だが、他の園児はまだしも、月恵は正真正銘の女子高生だったのだ、そんなこと言われて嬉しい筈がない。
 案の定、月恵は、
『わたしは、本当は16歳なのに。あーあ。星子や灯、元気かなぁ』
 と上の空だ。
 月恵は前述の通り児童福祉司を目指しており、中学生の頃、友人と子供園の交流会に来たことがあったりする。
『わたしが中学一年生だった頃、この子達は、まだ赤ちゃんだったんだよね。そう考えると、やっぱ恥ずかしいな』
 と月恵は思う。
 確かに、現在昼寝用のパジャマに着替えている子供と、月恵は一回り以上歳が離れているのだ。
 だが、保育士にとっては、皆一様に園児に変わりない。
 現に、ネームプレートに『皆川』と書かれた、先ほどの保育士は、
「月恵ちゃん、本当にトイレ行ったの?」
 月恵を子供扱いして、そう訊ねてくる。
「うん、行ったよ」
 月恵は子供の振りをして満面の笑みで答えるが、その実、
『わたしは高校生よ。わざわざトイレ何か行かなくても、おねしょ何かする筈ないでしょ』
 と思っていた。
 どうやら三日前のおねしょは、なかった事にしたいようだ。

 そんな思惑も何のその、月恵は桃色の子供用パジャマに着替え、夢の世界に誘われていった。
 チクタクと動物の描かれたファンシーな時計は、針を進めていく。時刻は既に二時半過ぎ、そんな三時のおやつに近づいた頃、トイレを我慢した月恵に、無常な変化が訪れる。
「う〜ん。お父さまぁ、むにゃむにゃ」
 亜季と三日間を思い出し、月恵はうなされていた。だがその一方で、子供用の布団で眠りにつき、彼女の肉体はリラックスしているのだろう。
 それを裏付けるように、桃色のパジャマの股関部分は、淡い湿り気を帯始めていく。
「う〜ん」
 寝返りをうつ度、幼児化した自律神経は緩んでいく。数分前まで淡い染みだったそこは、みるみる内にお尻まで広がり、子供用の敷き布団まで薄茶色の色合いに染め上げた。
 そんな女子高生――いや、大人の女性としての矜持を打ち砕く出来事は、目前に迫っていた。だが、幼い身体は疲れやすいのか、月恵は一向に目を覚まさない。
「ふぅ〜」
 その間にも染みは拡がり続け、敷き布団に立派な地図を形成し、そこでようやく収まった。だが、時既に遅く。桃色のパジャマの下腹部は、股関部分を中心に、びっしょりと薄茶色に濡れてしまっていた。

12 feelfine :2011/06/17(金) 16:13:54
更新お疲れ様です。
漢字も読めず算数も出来なくなって高校生としての自我はあっても周りの子と同然の能力だからこそのオネショ…"月恵"という女子高生の葉月とは全く別の存在に変えられるのが良いですね。…元クラスメイトとの再会はあるのか高校での葉月の存在はどうなってしまったのかなどまだまだ気になりますね。無理せずお続け頂ければと思います。

13 猫目ニボシ ◆wCLA.R2/g2 :2011/06/18(土) 01:32:08
>>12葉月は、父親と共に海外に行ったことにされています。(亜季の裏工作です)。
一応、葉月の友人を登場させるネタも考えていますが、モチベーションがそこまで持つかどうか分かりません(苦笑)。

14 むめも :2011/06/20(月) 00:40:37
しばらくぶりに投稿させて頂きます
以前からの猫目様のファンで興味深く拝見させて頂いておりました
優秀な女子高生としての自覚がありながらも感じが読めなくなったり算数ができなくなる等の退行現象にとまどい、若返らせた犯人の女性に「ママ」とすがりついてしまう主人公がとってもいいです
フラグ?のようなものが立っていたような気がしますので父親はもう永遠に帰国しないのかなと想像しております
(過剰な若返り薬を投与され赤ん坊から胎児、受精卵になって消えてしまったとか)
これから主人公の幼児化が更に進み、絵本の読み聞かせや鬼ごっこにも抵抗感がなくなって楽しく感じるようになってしまい、葉月としても自覚も消えていって、しかし完全に自覚が消えてしまうと単なる別人になってしまってつまらないのでオチとしては亜季を母と慕う幼女月絵になりながらも、時々「あれ?わたし…?」と思い出す感じだとどうかなあと思ってしまいました。または同時に更に肉体的にも幼児化が進み、ついには今まで年下だと見下していた5歳児からも年下扱いされてしまうなど…(子供園は転園)
色々勝手な事を書いてしまって本当に申し訳御座いません
若返らせる方が若返る方より最初は年下
(この物語の場合ですと若返らせる方が葉月で若返る方が亜季、葉月は天才少女で若返り薬や成長薬の研究も独自で行っていて、亜季を若返らせる前に成長薬で女子高生から若い女性に成長するなど、亜季は保育士か幼稚園教諭として数年のキャリアがある真面目な女性で年下の新米保育士に幼児扱いされるなど)という立場逆転設定も好きです

15 猫目ニボシ ◆wCLA.R2/g2 :2011/06/21(火) 01:22:37
>>14むめもさん、感想ありがとうございます。
いやはや、色々とインスピレーションを刺激されるシチュエーションですね。
一応、話の続きや父親の若返りネタも考えていますが、文章にするモチベーションが枯渇しているのです。(凝り性なので、細部まで無駄に書き込んでしまうのです)。
なので、最近は一回更新する度に燃えつきかけてます。一応、時たま更新するので、気長にお待ち頂ければ幸いです。

16 むめも :2011/06/21(火) 17:28:44
お返事ありがとうございます
どうぞご無理なさらずに

17 とも :2011/06/30(木) 14:48:36
>>猫目ニボシさん
いつも楽しみに読ませてもらっています!
幼児化と共に知能も幼くなって漢字や算数もわからなくなった月恵に萌えました。
自分も幼くなって保育園で幼児扱いされたいものです(笑)
また無理のない程度によろしくお願いしますm(__)m

18 猫目ニボシ ◆wCLA.R2/g2 :2011/07/01(金) 00:46:57
>>17ともさん、感想ありがとうございますm(__)m
小説書くエネルギーを充電したら続きを書くので、気長にお待ち頂けましたら幸いです。

19 とも :2011/07/02(土) 21:05:46
>>猫目ニボシさん
こちらこそいつもありがとうございます☆
無理せず自分のペースでお願いしますねm(__)m


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あさっての方向。 1 (1) (BLADE COMICS) / 山田 J太



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