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SS投稿スレッド(ノーマル版)第二投稿スレッド

28あろーんさん:2009/03/21(土) 01:15:30
コイツの姿を見る限り小奇麗だしホームレスではなさそうだが……あまりにも
突飛な発言と所帯じみている泊まりたい理由のミスマッチで怪しさが深まる
ばかりだ。ここは一つ追い詰めてみよう。
「願いを言う前にもう一ついいか?」
「注文の多い男だな……何だ」
「本当に悪魔なら証明して見せてくれ」
「証明だと……」
「悪魔なら春の雲ひとつ無い晴天の空に雪ぐらいは降らせられるよな?」
「そんな事でいいのか……ホレ」
自称悪魔は事も無げにパチリと指を鳴らす、まさかと思い窓を開けると空から
ひらひらと白い物が宙を舞っている。触ってみると確かに冷たい、
無言で窓を閉めて悪魔の方を見るとニヤニヤとこちらを見ていた。
「これでも不足か?」
「本当に……本物なんだな」
「最初からそう言っているではないか……さあ願いを言え」
さっきと同じように悪魔はマントをはためかせ私に迫る。本物だと思うと
滑稽に見えたその行動も恐怖感を感じてしまう。しかしそれを悟られると
何をされるか分からないので表情や態度を変えないように話しかける。
「どんな事でもいいのか?」
「流石に魂全てを使ってやる訳ではないから無から作り出すとかは無理だ」
「そっか……じゃあ願いを言う前に聞かせてくれ。何故私の家なんだ?」
「ああ、それは前に願いを叶えた奴とその前に叶えた奴の知り合いだからだ。
信じる奴の知り合いなら話も早いからな」
という事は私が願いを言ったら次は別の知り合いがコイツに付きまとわれると
いう事なのだろう。誰かが私を売ったのはムカツクがこれ以上被害を広げない
為に何とかしなければ……。
「確認だけど誰かの性格を変えて欲しいとかそういうのでもいいのか?」
「彼女にしたいとかそういう事か?別にかまわんぞ、何ならソイツを
もっと美人にしてやる事もできるぞ」
「対象は誰でもいいのか?」
「まあ矛盾が起きた場合はお前の願いに合わせて世界が変わるから
有名人でも付き合えるぞ」
何か勘違いしているのかニヤニヤしながら答える悪魔。これで何とかできる
だけの条件はそろったので言葉を選んでから悪魔に言う。
「じゃあ願いを言うから絶対叶えろよ」
「さっきの条件に反しなければ叶えよう」
「それじゃあ言うわ、可愛くて優しくて世話焼きの私に好意を持っている
幼馴染の女が欲しい」
「ほう……彼女じゃなくていいのか?」
「その辺りは努力する」
そう言うと悪魔は可笑しそうに笑っている。
「何だよ」
「いや、冴えない風体の貴様がそんなに自信があるとはな……
では誰をその幼馴染に変えるのだ?家族か、友人か?」
その言葉を待っていた私は悪魔をじっと見据えてながらビシッと悪魔を
指差し言った。
「お前」
完全に予想外だったらしく悪魔はぴしりと固まった。
「何ゆえ我なのだ?ま、まさか貴様にそんなシュミが……」
「違うわっお前に私の所為で友人の寿命や命が減るのはイヤなんだよ」
「そ、そんな……」
願いを叶える魔法が発動したのか悪魔の体が徐々に光に包まれる。
悪魔は半ベソになってこちらを見ている。
「助けろ貴様……」
「よかったなー他人の家に泊まらなくて済んで」
「鬼ィ―――」
悪魔が叫びを聞いた直後、私は体の力が抜けてしまいそのまま意識を手放した。
 寒さに負けて体を起こすともう夕方。部屋を見回しても悪魔は
おろか形跡すら残ってなく窓から外を見ても地面は雪が降ったはずなのに
一切濡れてなかった。
「夢じゃなきゃおかしいもんな……」
そう呟いて私は冷えた体をなんとかするためお茶を飲みに一階に降りたの
だった……。
「おじゃましてるよーヒロ君」
「誰やーーーーー」


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