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:
最強証明 後編
◆CC0Zm79P5c
:2007/05/07(月) 12:40:26 ID:6AH3Zsjo
◇◇◇
「真上から来たか」
火乃香の努力によって突貫工事で造り上げた舞台。その中心に根付いている切り株の上でヘイズは待ち構えていた。
<I−ブレイン。動作効率を100%に再設定>
抵効率で直前までひたすら演算させていたI−ブレインを一気に引き上げる。
初撃は自分が担う。失敗すれば全滅だ。
それは許されない。だからこうして周到なまでの用意を行った。
夜の静寂は空気分子の運動予測演算を容易くさせた。
舞台を整えれば、木の枝や葉がぶつかり合うことで空気分子の運動を不規則にさせることもない。
パイフウがいなければ、こんな大がかりな仕掛けは用意出来なかった。
だから失敗は許されない。支払ったものを無駄には出来ない。
ヘイズは上空を睨みやる。
木を切り倒したのは、演算の補助ともうひとつ理由があった。視界の確保。
こちらが相手を確認でき、さらには相手からもこちらを確認してくれなければならない。
双方がお互いを認識していると確認することで、奇襲という可能性は消える。
(そうすると、互いのアドバンテージは待ち伏せの罠と、突貫の勢い)
こちらの罠が相手を打ち破るか。それとも相手の圧倒的戦力がこちらを打ち破るか。
――決まっている。
(俺たちが、勝つ)
敵は炎の翼で姿勢を制御しながら降下してくる。
降りてくるのは小娘ふたりだが、その脅威は隕石が降ってくるのと然したる違いはない。
未だ、翼の光は豆粒のように遠い。だから錯覚だろうが、ヘイズには彼女たちの顔が見えるような気がした。
白い眼球を、こちらに向けた姿が。
(視線か)
巨人の瞬間移動の謎は、僅かに情報が足りずに解けなかった。
だが、オーフェンが洩らした単語。眼という単語。それがヒントになった。
銀の巨人は、常に少女の目の前にいた。目の前にしかいなかった。
これならば全ての仮定に説明が付く。少女が自分を見ないかぎり、自分が攻撃の対象になることはない。
おそらくは眼球が向いている方向にしかあの巨人は顕現も出来ないし、進むことも出来ないのだろう。
恐ろしいほどの偶然が、最後の一押しとなった。
『俺の先生曰く、起こっちまった偶然を否定するのは愚か者だってな』
そういえば全ての事情を話したとき、あの黒魔術士はそんなことを言っていたか。
(……腑に落ちないが、確かに疑ってもしょうがない)
この反撃は全てが笑ってしまうほどの偶然によって成り立っていた。
頭上の点が大きくなる。重力に引かれ加速しながら、破壊の使徒達が舞い降りてくる。
だが、ヘイズはその降下を完全に予測演算していた。
速度、炎の翼による空気の揺らぎ、そして取るであろう最適戦術。
ありとあらゆる要因を予測し尽し、仮定の未来を見ることは容易い。
なぜならば、彼はヴァーミリオン・CD・ヘイズであるからだ。
(お前達の判断は正しい。あの時点での急襲は、本来俺たちにとってチェックメイトだった。
ただ、誰も予測できないクソみたいな偶然が全てを変えた)
――彼らは知る由もないが、それは偶然ではなく必然だった。
この島の『偶然』は全てアマワの物だ。契約者たるアマワ。契約はあらゆる偶然をもってして存続される。
アマワが誰かに味方することはない。ただ、解答を提示できそうな者を存続させるだけ。
いまならば、それはシャナとフリウだった。全て破壊し殺戮の限りを尽し、それでも残るものが在ればそれは心だ。
故に、本来ならばヘイズ達を偶然は助けず、逆に破滅させる。
ヘイズ達はオーフェンと偶然にすれ違っただろうし、あるいは偶然に最強の戦闘狂と再会する可能性もあった。
だが、アマワはその時余裕がなかった。
ただひとり――最強を自ら証明する者が居たために。実在する心があったために。
シャナとフリウが近づく。水晶眼の最大射程。それはヘイズの射程より、僅かに長い。
コミクロンの魔術ならば迎撃も出来ただろうが、怪物となったシャナに防がれるのは自明の理だ。
故に、コミクロンは動かない。ただ、ヘイズだけが一直線に敵を見据えている。
「此に更なる魔力を与えよ!」
「――開門よ、成れ!」
破滅が宣告される。
音もなく、完全な破壊精霊ウルトプライドがヘイズの傍らに現れる。
破壊精霊は最寄りの物質から破壊する。この場合は、平地の中心に『ひとり』佇むヘイズから。
だが、誰も動じない。
ウルトプライドが拳を振り上げる。それでも誰も叫ばない。
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