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仮投下スレ

1管理人◆777Wt6LHaA★:2015/04/08(水) 14:21:51 ID:???
作品の仮投下はこちらのスレで。

101 ◆kdN026sJVA:2015/04/17(金) 23:59:21 HOST:KD124211244016.ppp-bb.dion.ne.jp
投下終了です。

102 ◆ur4vKVfv.g:2015/04/18(土) 00:02:25 HOST:ZM012197.ppp.dion.ne.jp
【1】

『生きている人、いますか?』

【2】

『詰まる所、お前たちは異分子である』

タールを流し込んだかのような暗闇に声が響いた。
どこからでも通ってくる抑揚のない男の声は、現在の状況を極端に表している。
一mm先も見通せない、どこまでも広がる闇。

『異分子とは言葉通りにとってくれて構わない。多数のものと違う思想、種類、性質、体質。ジグソーパズルは知ってるか? 一枚の絵をいくつかの欠片に分けて、ばらばらにしたものを再度組み直すゲームだ。

ここでいう一枚の絵とはお前たちの世界であり、欠片とはそこに存在する者たちーーそう、お前たちのことだ。
欠片は欠片でも、意味合いは全く違うがな。

余分な欠片はゴミ箱に。当たり前のことだ、廃棄しないでいたらいつかは溢れちまう。
瞬きする間もなくお前たちは終わっていた。否、終わらされてしまった、の方が正しいか。
だが、人間であれ動物であれ世界に存在している以上、文句の言えない出来事はある。

大気中の空気や来襲する地震に、理不尽だとケチはつけられない。生まれてきたことを後悔することはあっても、在ることは否定してはならない。
いわば今回お前たちに起こった現象は、偶然、たまたま、運悪く、起こってしまった不慮の事故みたいなもんだ。

さて、前置きが長くなったがルールの説明といこう。
お前たちにはこれから、七十二時間ーー三日間の間生き残りを賭けたゲームをしてもらう。
なに、別に難しいことを言ってるんじゃない。社会にも生存競争という言葉があるだろう。生きているということは、それだけで他者を食い命をかけている。

もっとも、この場所に限って言えば少し意味合いが違う。
揚げ足を取るのは好きではないんでな。俺の言葉に言霊なんて便利なものはないが、この地この場所で生き残れれば、無事元の世界へ戻れることを保証しよう。

まぁ、これはただの伝言だがな
俺はゲームを円滑に進める進行役でしかない。謎解きならお前たちだけでやってくれ。
そんなものは俺の役目じゃない。

103 ◆ur4vKVfv.g:2015/04/18(土) 00:04:25 HOST:ZM012197.ppp.dion.ne.jp
参加者にはデイパックが支給されている。
中には、会場の地図に参加者名簿、三日間を過ごすのに最低限必要なものと、その他不明な支給品が入っている。

不明な支給品の類にはもちろん武器などといった物も入っている。
どう使うかはお前たち次第だがな。他者を蹴落とすなり、害ある者から自身を守る正当防衛の道具として使用しても構わん。

会場である場所は時間の経過と共に崩壊していく。
地図にはエリアが振り分けられている。六時間ごとに指定したエリアが消えていく。
眠っていたら放送を聞き逃してエリアごと消失しました、なんて阿呆なことにならないようにな。

ゲームである以上ルールが存在する。
生き残りをかけた、とは言ったが、な。十人でも二十人でも構わん。最悪、いや最高か。誰も死ぬことなく全員生存なんて未来の可能性もゼロではない。

そう、ゼロではない。

三日間だ。始まりから家に篭っていても、ひたすら逃げ続けるのも構わん。
だが、しかし、な。働かざるもの食うべからず、という言葉がある。
停止していても状況は変わらん。生き残るためには行動は必須だ。

十人でも二十人でも、全員生存可能とは言ったがな
それを掴めるのはお前たちが脱出出来たらの話だ
勘違いをしないよう先に言っておくが、この場所から脱出出来るのは一人だけだ

これは変えることのできない絶対のルールだ
馬鹿なことは考えるなよ。生き残れるのは一人だ

世界は崩壊していくぞ
希望なんて観測的なものは消し飛んで行く。奇跡という言葉は砂の城のごとく崩れていく
死にたくないのならただ生き残れ。そう、最後の瞬間までな

自己紹介が遅れたな。俺の名は、提督とでも呼ぶがいい。
随分と昔に捨てた名前だが、お前たちが呼ぶ分にはこれ以上ないだろう。
最後に
俺はただ語るだけだ。物語の結末などに興味は微塵もないが、お前たち自身には関心を持っている。
故に激励の言葉を送ろう。

ーー死ぬ気で足掻けよ』

【3】

男にとって『彼女』たちは家族のような存在であり、同時に羨望の対象でもある。
長い時間を共にし、数々の戦場を駆け回った戦友でもあった。
嬉しいことも、悲しいことも共有してきた。男の人生は決して夢のような人生とは言えなかったが、後ろを向き後悔だけはしなかったことがただ一つの誇りであった。

ーーそんなものは虚像に過ぎなかったわけだが。

「まるで出来の良い人形劇だな。
お茶会を開くにも趣味が悪すぎる。
死者蘇生だと言うは易いが……下らん。
ままごとをしたいのなら、ひとりで遊んでいればいいものを……化物が」

心底嫌そうに顔を歪めながら、男は椅子に大きく腰をかけた。
これは自らを提督と名乗る男の始まりの話。

進行役【提督@?】


※六時間ごとにエリアが消えていきます
※六時間ごとに死者の放送をしていきます
※名簿には五十一人の名前が載っています。残りの十名は六時間ごとにランダムで表示されていきます
※元凶はQBです

104 ◆ur4vKVfv.g:2015/04/18(土) 00:05:20 HOST:ZM012197.ppp.dion.ne.jp
投下終了です

105 ◆/ebAZhNPSM:2015/04/25(土) 02:51:57 ID:rHFmitM.
補完SS書き終わったので投下します

106 ◆/ebAZhNPSM:2015/04/25(土) 02:52:29 ID:rHFmitM.
○月○日

この日、鎮守府に極秘任務が下された。
軍上層部はある島において、何者かによる不穏な実験がされているという情報を掴んだ。
どうやら核を用いた実験をしているらしく核実験を止めさせ、解体して無力化するが我々に与えられた。
メンバーは機械工作に長けた技術者16名、護衛の海軍中隊24名
深海凄艦の出現に備えて長門、陸奥、大井、北上、赤城、睦月の小隊6名
それを指揮する役割として選ばれた提督、合わせて47名が目的の島に向け旅立つことになった。
場所は艦娘の燃料では到底たどり着くことの出来ない場所にあるため
長距離移動用の大型船を用いて移動する。
非常時に備えて水や食料、補給用の燃料や弾薬は多めに用意された。


○月×日

出発してから二週間後、目的地である島に到着した。
報告者の通り、大気は放射能によって汚染されていたので、防護服を装備して上陸した。
艦装を外すことになるが、それでも軍人として勤めを果たすために艦娘の同行も許可された。
島を探索している内に、戦闘が起こったと思われる形跡が至る所に発見する。

民宿を発見した我々は内部への調査を始めた。
そこでも戦闘の傷跡が残されており、窓ガラスがいくつも割れ、一部の壁が破壊されていた。
一室にて白骨死体を発見、胸元に銃創の痕あり。
衣類はぼろきれのように朽ちており、死後から相当の年月が経っていると推測される。
遺体の傍で落ちていたバッグからは何かの名簿と地図が記されていた。
両方とも風化が進んでおり、名簿は読み取れなかったが地図はこの島の物であることが分かった。

民宿での調査を終えた頃、日が沈みかけていたので今日の調査は中断し船に帰還した。
明日から地図の情報を頼りに他の施設の調査を進める。
銃殺された死体を見たせいか、同行者の中に不安の声を出す者もいる。
迅速に調査を終える必要があるだろう。
この島に来てからというもの、なんだか空気が非常に重苦しい。

107 ◆/ebAZhNPSM:2015/04/25(土) 02:53:35 ID:rHFmitM.
○月△日

廃村へ調査を行った所、白骨死体が三つも発見された。
一つはナイフを持った死体、もう一つは拳銃を持った死体、最後は首を吊って自殺した死体。
自殺した死体の近くで放置されていたバッグにはメモ帳が発見された。
『ころすのもころされるのもぼくはいやだ さきにあのよへいってきます みなさんさよなら』と書かれていた。
もしや、この島で人間同士の殺し合いを強要されていたのだろうか?

次々と死体を見たショックで睦月と軍人二人がホームシックにかかった。
睦月はまだ幼く、軍人二人もまだ10代の若い人間である。
凄惨な光景を見て、不安で心が押しつぶされたのだろう。
提督の配慮により、三人は調査が終わるまで船内での休息を命じられた。

島にいくつも点在しているアンテナを調査した所、恐るべき事が分かった。
アンテナには核が仕込まれていた。
もし島に点在するアンテナ全てに核が仕掛けられているとしたらかなりの数である。
我々はいつ爆発するかも分からない核の排除を迅速に進めた。

一つめの核は無事に無力化出来た。
解除した技術者の話では設置した人物の技術不足か、それとも急いで設置したのか。
非常にシンプルな構造であり、それほど時間を労せずして解除が可能だという。

核の解除は技術者と軍人達に任せ、提督と艦娘は島の謎を解き明かすための調査をする事になった。
技術的知識の無い艦娘は未探索エリアの調査に回した方が効率が良いとの提督の考えだ。
その案に隊員達は納得し、二手に分かれて行動することになった。


○月□日

船で待機している三人の容体はまだ安定していない。
本人達は大丈夫だと言って皆を心配させないよう振る舞っているが
ろくに眠っていないのか目の下にくまが出来ており、若干やつれ気味だ。

島の中央にある防災試験センターへの調査を開始した我々は
電子機器が生きており、使用できる事に気が付いた。
この島で何が起きていたか残されているデータを一つ一つ読み上げた。

『第1回バトルロワイアル 参加者72名 優勝者○○○○○ 一族の永遠の繁栄を願いとし帰還する』
『第2回バトルロワイアル 参加者68名 優勝者無し 最後に生き残った一人が隠し持った爆弾を使い主催者を道連れに自爆』
『第3回バトルロワイアル 参加者56名 優勝者○○○○ この技術力を全て自分の物にしたいと願い、次の企画の主催者となる』
『第4回バトルロワイアル―――』

『バトルロワイアル』という単語がデータの中にいくつも浮かび上がった。
このバトルロワイアルによって島の中で殺し合いを続けられていたのだ、それも何度も繰り返されて。
ページを進めていくと、最後に作成された項目に『この島に連れてこられた者たちへ』と書かれたファイルを見つけた。
そのファイルを開くと殺し合いで生き残った人間らしき者のメッセージが記されていた。

108 ◆/ebAZhNPSM:2015/04/25(土) 02:54:17 ID:rHFmitM.
『俺たちはバトルロワイアルという糞ったれな殺し合いゲームに巻き込まれた人間だ。
 みんなで力を合わせて、殺し合いを企てた連中を何とか打倒する事に成功した。
 だけどそれだけではバトルロワイアルは止まらないんだ。よく聞いてほしい』

『この島にはバトルロワイアルを繰り返してきた歴史がある。
 その歴史は運命による力で強制されていたんだ。
 突拍子も無い話で信じられないかもしれない。
 それでもバトルロワイアルを繰り返させようとする力は確実に働いているんだ』

『主催者を殺害してバトルロワイアルは一度終了させた。
 俺たちは10人生き残った。そして脱出するための算段も付いた。その時だ
 この島に眠る超技術を見つけた仲間の一人が突然狂いだして、他の仲間たちを殺しまわった。
 島はバトルロワイアルの破壊を許さなかった。生き残った10人で再び殺し合わせようとした』

『……結局生き残ったのは俺一人だ。
 この異常な技術を使って、逆に殺し合いを妨害してやる。それが俺に出来る運命に対する復讐だ。
 超技術を使い核を作り出した俺は島全土を放射能で覆った。
 参加者同士の殺し合いがお望みなら、参加者以外によって死をもたらされる環境に変えてしまうんだ。
 こんな発想が思いついて実行してしまう時点でもう俺の正気は失っているのかもしれないな』

『いいか?この島に来た人間は一刻も早く立ち去るんだ。
 核が残っている限り、殺し合わせようとする修正力は弱いはずだ。
 殺し合いを望む運命は核の脅威を取り除くために修正が働く。
 体内の免疫が進入した病原菌を除去しようと活動するようにね。
 もし、核の脅威が全て取り除かれたらその時、再びバトルロワイアルは必ず始まる。
 まるで初めから殺し合いを目論んでいたかのように、誰かがバトルロワイアルを運営するだろう。
 そういう運命を背負わされてしまうんだ』

『俺はもう限界だ……。
 沢山の人間の血が見たい。絶望が見たい。死が見たい。
 そんな心の闇が俺の精神を徐々に蝕んでいくのが分かるんだ。
 俺はそんな悪鬼になりたくない。
 人の命を弄びながら生きる怪物になるぐらいなら俺は人間として死を受け入れることにした。
 どうか、こんな悲劇が二度と起こらないよう祈りを込めながら引き金を引こう。
 さよなら愛する者よ。愛する故郷よ。最期にもう一度会いたかった……』

109 ◆/ebAZhNPSM:2015/04/25(土) 02:55:02 ID:rHFmitM.
非常に信じがたい内容であった。
もしや核を解除させないようにと夢物語を並べているのでは?とも思える。
だが妙に信憑性があった。
過去に参加したMI作戦でも歴史通りに繰り返そうとする修正力は確かに感じ取れたからだ。
このバトルロワイアルを繰り返す島の話も本当なのかもしれない。
我々は一通り室内を調べた後、船内にて隊員達にこの情報を伝える事にした。


○月▽日

隊員達を防災試験センターへ集合させた。
実際に彼らにデータを見せることで島の現状をより理解してもらうためだ。
半信半疑だった隊員達も監視カメラによって撮影された過去の殺し合いの映像をモニター越しで目の当たりにして
実際に行われていたことは全員理解できた。
だが歴史の修正力という存在に関しては馬鹿馬鹿しい迷信であると否定する者も少なくなかった。
引き続き核の機能停止を行うべきだと主張する意見と
殺し合いが再び始まる可能性があるから迂闊に解除するべきでないと主張する意見に別れた。

それぞれの意見を聞き入れた提督は、核の無力化を行った後に、回収したデータと共に速やかに本部に帰還する方針を立てた。
軍人として、物理的証拠の無い現状で歴史の修正力を真に受けるわけにはいかない。
仮に歴史の修正力が真実であったとしても素早く撤退すれば、殺し合いが始まるより早く抜け出すことが可能だろう。
きっと提督はそう考えていたのだろう。

倉庫の中にある首輪が発見された。
本来は参加者の首に装着され、中に仕込まれた爆薬で従わない人間を殺害する為に作られていたらしいが
この首輪は爆薬を取り外され、放射能から身を守る力場を発すると説明書に書かれていた。
島に点在するアンテナの一キロ以内にいる限り効力を発揮し、核の機能を解除してもそれは失われないという事が分かった。

これがあれば防護服無しでも活動が可能となり、我々艦娘は艦装を装着する事ができる。
だがもしそれが偽りであった場合、放射能が自らの体を蝕み死が訪れる。
あまりにもリスクが大きい行為であるため、装着を見送ろうとした時
提督は首輪を手に取ると、防護服を外し自らの首へと装着した。
周囲が危険だと静止の声をかけるが、提督は一切迷うことなく地上へと出ていった。
放射能に汚染された大地にその身を晒した提督は大きく深呼吸を数回繰り返す。
軍人達は冷や汗を掻きながら提督の姿を見守った。

数分の時間が流れた、提督の体に一切の変化は見られない。
首輪の効果は真実であった、提督が自ら体を張って真偽を確かめたのだ。
その提督の覚悟に報いるために艦娘達も後に続いて首輪を装着した。
軍人達は最初は拒否を続けたが数十分の時間が流れても
誰一人不調を訴える者がいないと知るや、殆どの人間が首輪を付けての行動を選んだ。
防護服の窮屈さから解放されたのが嬉しいのか、笑顔を取り戻す兵は少なくなかった。
4人ほど警戒を解かず、防護服を徹底して脱ぎたがらない技術者もいたが強要するべきでは無いと彼らの意思を優先させた。

110 ◆/ebAZhNPSM:2015/04/25(土) 02:55:37 ID:rHFmitM.
△月○日

それから二日が経ち、島に設置されたアンテナの核全てを無力化する事に成功した。
艦装が装着可能になったことで水上にあるアンテナも
艦娘達の引率により技術者を効率良く運び出せるようになり短時間で核の解除が可能になった。
その甲斐もあって予定より早く任務を終える事ができた。

あとはこの島から脱出し、得られた情報を本部に報告するだけだ。
島から帰れると知ると、ホームシックにかかった軍人二名と睦月は随分と喜んでいた。
それだけ心細い思いをしていたのだろう。

船が動き出し島から遠ざかり始めたその時、激しい爆発音が起きて船が火の海に包まれた。
弾薬庫に積まれた火薬の数々が爆発を起こしたらしい。
船内の破壊や浸水が激しく、船は1時間足らずで海の底へと沈んだ。
決死の救助を行ったが技術者2名、軍人4名が事故により命を落とした。
提督も人命救助のために単独で燃え盛る通路を突き進んだまま行方不明に。

あの提督が死んだとは思えない。
提督がいつでも戻ってこられるよう最善の行動を取り迎え入れられるように。
生き残った我々は島に再上陸して救難信号を出して、救助を待つことになった。

軍人達の精神状態が非常に不安定になっている。
核を解除したせいで自分たちはこの島に閉じ込められた。
バトルロワイアルが始まろうとしているんだと、嘆く者が後を絶たない。
特に帰りを楽しみにしていた睦月と若い軍人二人は涙を流しながら帰りたいと呟いていた。


△月X日

次の日、一人の技術者が案を持ち出した。
核の解除が原因でバトルロワイアルが始まろうとしているなら
もう一度、装置を起動させれば殺し合いが起こらずに済むのではないだろうか?と。
生き残りたい一心で賛同する者と、迷信のために更に危険を犯すべきでないと否定する者に二分された。
提案した技術者は装置の起動を行うのは自分一人でも構わないと話した。

無力化した核の装置を再起動する案は賛同しかねるが
このままでは隊員達の精神はどんどん悪化するのみだ。
彼らの精神の安定を兼ねて脱出の目途が立つまで、エリア一つ分のみの核を再起動する方針で進められた。

111 ◆/ebAZhNPSM:2015/04/25(土) 02:56:39 ID:rHFmitM.
不慮の事故が起こった場合を想定して、陸地から離れた海上であるМ1の核を再起動する方向へ話が進められた。
起動を行うのは、先ほど案を考えた技術者1名と目的地へと引率するために北上が自ら立候補を挙げた。
大井は北上の動向を強く反対したが、北上本人による真摯な説得を受け渋々と了承した。

我々は海岸にて待機し目的地であるМ1へ向かう二人を見送った。
船内事故で既に6名の命が失われている。
これ以上の犠牲者が出ないようにと神頼みしている兵達もいた。
息の詰まるような緊張状態の中でひたすら二人の返りを待った。
一瞬、思わず目を覆うほどの眩い光が水上から放たれた。
光の後に続いて轟音が響き渡り、押し寄せてくる大波が海岸を飲み込んだ。

М1で設置されたアンテナが消滅している。
核の起動に失敗し爆発が起こったのだ。
死体を確認するまでもなく既に二人の命が失われたのは明白だった。
大井は北上の名を何度も呼びながら、爆心地へ向かおうとした。
М1のアンテナが消滅した今、あそこへ向かえば首輪の効果が発揮されずに放射能をその身に受けることになる。
我々は大井を押さえつけ、冷静さを取り戻すよう説得をした。
大切なパートナーを失ったのは分かるが、だからこそ今は落ち着いて対処しなければならない。
隊員達も落ち着いて考えようと言葉に出して周りをなだめている。
いや、正確には自分自身に言い聞かせているのだろう。
この場にいる全ての人間が恐怖と不安で押しつぶされそうになっているのだ。

船が沈んだ今、寝泊りする場所を失った我々は、廃村へ向かいそこで寝泊りすることになった。
建築物は古いが雨風を凌げる場所はここが一番近く、心身共に疲弊した状態で遠出するべきではないと判断された。
大井は一人にしてほしい。と小さな一軒家に閉じこもった。
一人で落ち着く時間が必要なのだと考え、我々は彼女の意思を尊重した。
現在の死者は8名、これ以上増やすわけにはいかない。
必ず生きて帰らなければ。


△月□日

黎明まで時間が経った時、次々と銃声が鳴り響き、隊員達が目を覚ました。
外へ出ると何者かが銃を乱射して隊員を一人、また一人と命を刈り取っているのを発見した。
暗闇で顔がよく見えない、誰が撃っているのか。
銃口から放たれる一瞬の火が持ち主の顔を僅かに照らし、その謎を明かした。

それは返り血を浴び、狂気の笑みを宿した大井だった。
彼女は対応の遅れた兵士達を次々と射殺し続けた。
凶行を止めるべく威嚇射撃をして説得しようとするが
大井は高笑いを繰り返し、こちらに向けて銃を放った。

陸奥は私を庇い、銃弾をその身に大量に浴びながら艦砲射撃を放ち
大井の胸に風穴を空け、彼女の行動は停止した。
陸奥は致命傷を受けていた、涙を流す私の手を優しく握ると
自分の分まで長く生きてほしいと言い残して、息を引き取った。

多大な犠牲が起こった。
外では大井に射殺された軍人11名、技術者2名と
大井の泊まっていた一軒家に一番近い家の中には
眠っている状態で射殺された軍人8名の死体が発見された。
大井、陸奥を合わせて23名が闇の中で命を失った。

112 ◆/ebAZhNPSM:2015/04/25(土) 02:57:17 ID:rHFmitM.
だがこれで終わりでは無かった。
狂気はまるで流行り病のように伝染していった。
一人の軍人が叫んだ。バトルロワイアルは始まっている。相手を殺さなければ俺たちは殺されると。
銃口を私に向けた。大井の凶行を目の当たりにして、人間よりも力を持った艦娘を恐れたのだ。
赤城は狂乱に満ちた空気を静めるべく説得を始めた。
皆さん運命に負けないで、呪われた歴史を繰り返してはいけない、そう懇願するように叫んだ。

しかし無常にも軍人達の心には届かなかった。
軍人の放った銃弾が赤城の体を撃ち抜いた。
撃たれてもなお赤城は抵抗することなく、説得を続けた。
銃弾が赤城の頭に命中した。脳漿を撒き散らしながら赤城が倒れた。

他の軍人が雄叫びをあげながら赤城を射殺した軍人を撃ち殺した。
それに呼応するように軍人達が次々と銃を構えて無差別な撃ち合いが始まった。
説得が不可能な状態だと察した私は、泣き叫ぶ睦月の腕を掴み逃走しようとすると
一軒家の隅で震えている二人の人間を発見した。
彼らはホームシックにかかった若い軍人達だった。
大井の銃声を聞いてからずっと室内で震えていたのだ。

彼らを見捨てるわけにはいかない。
私が声をかけると最初は警戒していたがなんとか説得に応じて、行動を共にすることが出来た。
二人の若い軍人を連れて廃村から脱出しようとしたところで、背後から銃声が響いた。
廃村で殺し合っていた軍人の一人が私たちを追撃に来たのだ。
このままでは睦月達が危ない。
私が殿として相手を引きつけてる間に、三人は先に逃走するよう指示を出した。
灯台を待ち合わせ場所として伝えた後、威嚇射撃を逃走の合図にして撃ち放った。

威嚇射撃に怯むも軍人は攻撃を止めようとはしなかった。
こちらに戦う意思は無いと伝えるも、全く聞き入れようとしない。
命を奪うしかないのか、決断を迫られた時、軍人が背後からの銃撃で倒れた。
軍人が息絶えるのを確認してから、撃った人物が姿を現した。
彼らは生き残りの技術者だった。
廃村から脱出した技術者の一人が長門を探して追いかけていたのだ。

技術者は、首輪だけでは危険だと言って防護服を渡し着る様に薦められた。
私は技術者の言う通りに艦装を外して防護服を着ると、技術者は伝えたい事があると言って
防災試験センターへと連れてこられた。
睦月達の事も伝えるが技術者が言うには緊急の用事なので最優先して欲しいとのことだった。

113 ◆/ebAZhNPSM:2015/04/25(土) 02:58:16 ID:rHFmitM.
防災試験センターのモニターを覗くと新たな事実が発見された。
地上の大気が時間が経つごとに徐々に浄化されていくのがデータで明らかになっていた。
現段階では首輪や防護服が無ければ、すぐに命が奪われる状況だが
そう遠くない未来で放射能の消えた島になるのは確実であった。

だが良い情報ばかりではなかった。
そんな嬉しいニュースを台無しにして絶望を与えるほどのデータも映し出された。

『第○○回 バトルロワイアル 開始予定 参加者 61名』

今まで無かった項目である。
参加者の欄を覗くとそこには吹雪、金剛、加賀の名前があった。
今までの出来事からして情報は偽りでないと分かる。
この三人が次の殺し合いの参加者に選ばれたのは明白であった。
なんとか止める手立ては無いのか。

核を出来るだけ再起動させよう、と技術者が言い出した。
また爆発を起こすかもしれないが、起きないかもしれない。
どの道、脱出が不可能ならやれるだけのことをやってみたい。
技術者は強い意志で私に言い聞かせた。

私もそれに賛同をした。
途中で諦めていては歴史の流れを止める事など絶対に不可能だ。
私はバトルロワイアルの打破に全力を注ぐ。
このレポートを見ている者は絶対に殺し合いに乗らないでほしい。
そして出来れば、この情報を軍に伝えてほしい。
君たちの無事と勝利を願っている。


「レポートの作成はこれで終わりにしよう。あとは生きて帰れたら続きを……ん?」

新たな情報がモニターに表示された。
そこにはこう書かれていた。

『参加者1名 先行投下開始 世界の意思を阻もうとする者を速やかに排除せよ』

「なんだ……これは……?」

不穏な文章が流れると同時に近くから落下音が響いた。
外へ出た長門が目にした者は巨大な球状の金属の塊であった。

(世界の意思を阻もうとする者、それは私達のことか?ならば、あれは……敵)

防護服を脱いだ長門は艦装を取り付けて戦闘態勢に入り様子を伺う。
すると金属の塊の扉らしき物が開かれ、内部が露わになった。
内部には椅子が有り、それに座っている人物がいる。
その者がゆっくりと起き上がると長門を睨みつけて、憎しみに満ちた唸り声をあげた。

114 ◆/ebAZhNPSM:2015/04/25(土) 02:59:13 ID:rHFmitM.
「――――――■■■■■■■■■■!!!!」
「これは……!?」

全身から邪気に満ちたオーラを放つその者は、黒いフルプレートを全身に着込んでおり
頭部にある視界を確保するスペースからは赤い光を発していた。
明らかに普通の人間ではない。

「■■■■■!!」

言葉にならない唸り声と共に鎧の男は、大地を蹴り一瞬にて長門の眼前にまで迫る。
右腕を使って思いっきりぶん殴る。それは何の技術も込められてない単純な暴力。
ただ圧倒的な身体能力の差によって長門はその攻撃を防ぎきれない。
辛うじて間に合った両腕でのガードすら弾いて腹部へとめり込ませた。

「ガハッ!……くっ、こんなところで私はァ!!」

戦艦級を遥かに凌駕するパワーを持つ存在。
今まで出会ったことの無い強敵だが諦める訳にはいかない。
この負の連鎖を断ち切るまで絶対に倒れない。
砲撃を鎧の男に向けて撃ち放った。

鎧の男は機敏な動きで砲撃を次々と回避した。
相手は力だけではない。
スピードも圧倒的であった。

砲撃を避けながら鎧の男は、球体へと下がっていった。
逃亡を図ろうとするのかと長門は一瞬思った。
それは間違いであるとすぐに気付いた。

「……ッ!?まずい!!」
「――――■■■■!!!!」

鎧の男が球体から取り出したのはМ202ロケットランチャー。
手に取ったそれは、徐々にどす黒く変色していった。
長門は直感で、黒いロケットランチャーは異常であると理解した。
ロケットランチャーが長門に向けられるよりも速く、森の奥へ向かって駆け出した。
木々に囲まれた場所なら、直撃だけは避けられる、そう判断しての行動だった。
間違った判断では無い、普通のロケットランチャーであればの話だが。

放たれたロケット弾は障害物に当たる事無く、慣性を無視した変則的な動きで
木々を躱しながら長門に向かって突き進む。
その弾道は持ち主の意思によって自在に動き回る。
回避しようとも、目標に当たるまで追い続けるのをやめない。
なぜロケットランチャーにそんな超常的な力が備わっているのか。

全ては鎧の男による能力によってもたらされた力であった。
彼は聖杯戦争によってバーサーカーのクラスで召喚されたサーヴァントである。
サーヴァントには宝具と呼ばれる切り札がある。
このバーサーカーが持つ宝具の一つに『騎士は徒手にて死せず(ナイト・オブ・オーナー)』がある
その効果は自らが手にした物を、己の宝具として支配する事で通常の武器ですら常軌を逸した力を与えることが出来る。

115 ◆/ebAZhNPSM:2015/04/25(土) 02:59:58 ID:rHFmitM.
ロケット弾が木々の隙間を縫うような動きで長門の眼前へと迫った。
直撃は避けられない、と長門が心の中でつぶやいた。
その瞬間、弾頭は空中で爆ぜた。
爆風が長門を包み、衝撃に煽られて彼女の体は吹き飛ばされた。
ロケット弾が長門に直撃することなく、爆発した原因は第三者からによる襲撃だった。

「くたばれぇッ!!!!」

廃村から生き延びた軍人が視界に移ったバーサーカーを敵と見なして銃弾を撃ち放ち
鎧に被弾してバーサーカーの集中力を阻害し、ロケット弾の制御力を奪ったのだ。
軍人は長門支援したのではない。
もし先に見かけたのが長門だったら彼女に銃口を向けていたであろう。

「■■■■■■――!!」

軍人の方へと視線を向けたバーサーカーは攻撃対象を変えた。
銃弾を浴びつつも傷一つ付かないバーサーカーは軍人のいる方向へゆっくりと歩く。

「銃が効かねぇ!?く、くるな化け物ォオオ!!!」

懇願に近い叫び声を挙げながら銃弾をバラめくが、弾薬が空となり
バーサーカーの進行を止める手立ては無くなった。
男は背を向けて逃げようとするがバーサーカーの左手が彼の肩を押さえつけ
強制的にうつ伏せにされる。

「おねがいだぁ……命だけは助けてくれ……殺さないでぎ、ぎゃああああああああ!!!!」

バーサーカーの右腕は軍人の頭部を鷲掴みにして。そのまま上に引き上げた。
頭部は脊髄ごと、胴体から引き抜かれて首から大量の血が噴出した。
右腕に持った頭部を道端に投げ捨てると、長門が逃走した方角を見つめたあと立ち去った。
長門の殺害は後回しにされたようだ。


数時間後……


日が沈み、辺りが薄暗くなっていく中でアンテナに設置された核を再起動している人物がいた。
防災試験センターにて長門と別れて行動していた技術者である。
今の所、核の暴発が起こる事なく一人でいくつもの核の起動に成功していた。

116 ◆/ebAZhNPSM:2015/04/25(土) 03:00:37 ID:rHFmitM.
「これで8カ所目か。これでバトルロワイアルを封じる事が出来ればいいが……ん?」
「■■■■■■!!」
「誰だお前は!?来るな……うわああああああああああああ!!!!」

道中で角材を手にしたバーサーカーは技術者の頭部に向かって振り下ろし
頭蓋骨を砕き、肉片を地べたにバラまいた。
バーサーカーは長門よりも核の再起動を進めている技術者の命を優先して狙わせたのだ。
もっともバーサーカー本人からすれば闘争本能に身を任せているだけに過ぎないのだが
この島でバトルロワイアルを繰り返そうとする歴史の修正力が
無意識の内に、バーサーカーを突き動かしていた。

核を暴発させれば汚染の浄化に更に時間を費やす事になり
参加者同士を殺し合わせる時間が長引いてしまう。
それを解決するためのテコ入れとして一足先にバーサーカーをこの島に投入した。
本能で動き回るバーサーカーは、歴史通りに事を進めるのに御しやすく。
不要な行為を働こうとする人間の駆除を優先させた。
自我の無い怪物達が参加者として呼ばれたのも、それが理由となっている。

「■■■■■■」

技術者を殺害したバーサーカーは歩きだす。
残りの邪魔者を始末させようとする歴史の修正力の流れに引きずられて。


その頃、長門は森の中で意識を取り戻した。
ロケット弾の爆発を受けて吹き飛んだ長門は、後頭部を強く打って
数時間ほど眠っていたのだ。

「……くっ、頭が痛い……意識を失っていたのか」

長門が辺りを見渡すと日が沈みかけていた。
周辺には襲撃者の姿は無い。
何とか逃げ切れたのだと理解は出来た。

肉体の負傷状況を確かめる。
中破しているが艦装は正常に働く。
戦闘の続行は可能だ。

「―――!?睦月達が危ない……」

もし、あの襲撃者が灯台に向かえば待機している若い軍人と睦月の命が狙われる。
長門は急ぎ、灯台へと向かった。
無事でいてほしいと心の中で強く願いながら。

117 ◆/ebAZhNPSM:2015/04/25(土) 03:01:12 ID:rHFmitM.
「はぁ……はぁ……よかった………無事か……」

息を切らしながらも灯台へと着いた長門は
灯台で戦闘が行われた形跡が一切無い所を見て安心した。
睦月達がロケットランチャーを持った鎧の男と遭遇せずに済んだのは不幸中の幸いだった。

彼らの無事を直接確かめるべく、長門は灯台へと入った。
ドアを開けても三人の姿は見えない。
どこかへ行ったのか?それとも奥の部屋で待機しているのか?

「心配するな長門だ!お前たち無事か!?」

返事は無い。
一階にはいないようだ。上の階へ向かい探す。
室内の明かりが二階の部屋にある隙間から漏れている。
三人はそこにいるのか?長門はドアをゆっくりと押して部屋の中へ入った。

「―――ッ!?お……お前たちぃ!!」

そこは無残な光景が広がっていた。
若い軍人二人は、全裸になって睦月を犯していた。
一人は睦月の膣内に挿入して、ひたすら腰を振り続け
もう一人は自らの陰茎を睦月の口内に向け喉元まで押し当てていた。
睦月の意識は朦朧としていて、セーラー服はビリビリに引き裂かれており
服としての役目を果たしておらず
体中に擦り傷や痣が見られ
陰部には大量の血と精液が溢れた跡が惨たらしく残っていた。

彼らは嫌がる睦月にひたすら暴行を加えて
抵抗する気力を奪ってから強姦を繰り返していた。
その睦月の変わり果てた姿を見て、長門は怒りに震えた。

「お前たちが何をやったか分かっているのかァ!!!!」

長門は二人の軍人を思いっきり殴りつけた。
戦艦級の拳をまともに受けた二人は意識を失って倒れる。
怒りに飲まれながらもぎりぎりの所で理性を残していた長門は
彼らを殺さずに気絶させるだけに留めた。

118 ◆/ebAZhNPSM:2015/04/25(土) 03:01:46 ID:rHFmitM.
「すまない睦月……私がもっと速く駆けつけていれば……」
「……………………」

睦月は答えない。
光を失った瞳は、彼らが装備していたアサルトライフルを見つめていた。

「……?何をしている睦月!?」

アサルトライフルを拾い上げた睦月は
気絶している軍人二人に銃口を向けると、そのまま引き金を引いた。
放たれた銃弾は軍人達の体に着弾して命を奪った。

「止めるんだ睦月!!……ぐっ」
「…………うごかないでください」

睦月は牽制するように長門に銃を向けた。
長門に銃を向けたままゆっくりと睦月は部屋を出た。
睦月の後を追う長門、睦月の行き先は灯台の屋上だった。
まさか……と不安がよぎる。
長門は屋上への扉を開けた。
足元にはアサルトライフルが捨ててあった。
睦月は屋上の柵を越えて身を乗り出していた。

「死んでは駄目だッ!!睦月!!!!」
「…………ごめんね………吹雪ちゃん…………」

睦月は柵を握っていた手を放して、身を投げ捨てた。



「………さよ…………なら………」



どさりと命を散らす小さな音が、長門の心に深く大きく突き刺さった。

119 ◆/ebAZhNPSM:2015/04/25(土) 03:03:00 ID:rHFmitM.
「うぐっ……うわああああああああああああ!!!!!!!!
 どうして……どうしてこんなことになってしまうんだぁ!!
 私は……私は皆をたすけたかっただけのにぃいいい!!!!」

今まで気丈に振る舞っていた長門だったが、ついに心に限界がきた。
守ろうとしてきた仲間たちが次々と死んでいく地獄のような世界に
長門の精神も崩壊寸前であった。

「たすけて……たすけてください提督………うう……
 ……まだ挫折するわけにはいかない……吹雪たちを助けなければ……」

涙を流し続けたあと、まだ守らなければならない人物がいる事を思い出した長門は
防災試験センターに向かった。



23時30分 バトルロワイアル開始まであと30分


防災試験センターに到着した長門は、新たなメッセージが届いてるのに気づきそれを開いた。

「まさか……これは提督の……」

メッセージの送信者に提督の名があった。
内容は0時00分にバトルロワイアルの参加者がこの島に搬送されてくる。
私は参加者達に指示を与えて、導いてほしいとのこと。
伝える指示は同封されたメッセージの中に記されている。
そのあとは提督が引き続き、私に指令を出すと書かれていた。

「さすが提督だ。我々から離れた所でそこまでの考えを張り巡らしていたとは……」

もうすぐで0時になる。
今度こそ守り抜いて見せる。


0時00分 バトルロワイアル開始

120 ◆/ebAZhNPSM:2015/04/25(土) 03:03:37 ID:rHFmitM.
「……ふう、彼らに通信は届いたのだろうか?いや、提督の指示に間違いはない。必ず上手く行くはずだ」

今の長門にとって唯一の心の支えは提督だった。
提督を信じることで、精神のバランスが保っていられる状況だった。
長門はもう己のみの力を全く信じられなくなっていた。

その時、防災センターのゲートが轟音と共に破壊された。

「なにごとだ!?」
「――――■■■■■■!!!!」

ロケット弾を撃ち、ゲートを破壊したバーサーカーが現れた。
歴史の修正力が長門を抹消させようとしていた。

「貴様ぁあああああああああ!!!!」

バーサーカーの姿を見た長門は憎しみを露わにして艦砲射撃を放った。
宝具と化した角材を使って、バーサーカーは砲撃を受け止めるも直撃と共に粉砕され吹き飛ぶ。

「お前さえいなければッ!!睦月は死なずに済んだぁああああああああ!!」

バーサーカーが起き上がる隙も与えずに次々と砲撃を放ち続けた。
長門はこの島で初めて、本気で相手を殺害しようとしている。
殺意を込めた攻撃がバーサーカーの肉体に傷を増やしていく。
このままおめおめと倒されてくれるバーサーカーでは無かった。
ダメージを受けつつも起き上がると、長門へ向け走り出し
長門の喉元へ向けて手刀を放った。

長門は体を反らす事で首を掠める程度に抑え
カウンターでバーサーカーの頭部を殴りつけて怯ませた。
これが原因となり勝敗が決まった。

「ぐぐっ……ごほっ!!」

長門の敗北である。
バーサーカーの手刀が長門の首輪に掠り、機能を停止させたのだ。
目や鼻や口から血が溢れ、零れ落ちる。

その時、新たなメッセージが届いた。
提督からである。
長門は助けを求めるようにコンソールに向かい、メッセージを開いて目を通した。

『長門よ 任務ご苦労 ゆっくりおやすみ』

「‥‥な、なぜ‥‥」

提督は知っていたのか?
私があいつと戦い、命を落とすのも。
そんなはずは無い、提督は私たちを助けるために奮闘しているはずだ。

「‥‥これも‥‥なにか考えが、あっての‥‥そうか!私がこの役目になったのは‥‥」

まさか提督はこのバトルロワイアルの主催者になったのか?
主催者である提督に捨て駒として切り捨てられて殺されたのか……。

 誰に看取られることもなく、悲しみと絶望で凝り固まった鬼の形相で、その少女は息することをやめた。


 コンソールだけが、目に悪い光で彼女を照らしていた。

121 ◆/ebAZhNPSM:2015/04/25(土) 03:04:16 ID:rHFmitM.
バーサーカーはゆっくりと長門の死体に近づいた。
長門の体を起こすと、指を長門の胸から体内へと差し込み
ある物を掴み取って引き抜いた。
それは長門の心臓だった。
バーサーカーは長門の心臓を食らい、魔力を補充した。
そして艦装を引き剥がすと、自らの武器として持ち出し
防災試験センターから立ち去った。

【G-5/防災試験センター/1日目/深夜】

【バーサーカー@Fate/Zero】
[状態]:魔力消費(小)、ダメージ(小)
[装備]:М202ロケットランチャー2/4 長門の艦装
[道具]:無し
[思考]
1:本能のままに行動する
※歴史の修正力によって無意識の内に動かされています。
核の脅威が完全に消えない限りは本格的な殺し合いは制限されます。
ただしバトルロワイアルの破綻に関わる行為をした参加者は積極的に狙います。

【主催】

【提督@艦隊これくしょん -艦これ-】

※舞台は『歴史の修正力@艦隊これくしょん -艦これ-』によって殺し合いの歴史を繰り返している島です。
※島には超常的な技術力が眠っており、誰もが主催者になりうる可能性をもっています。
※現在は参加者同士を殺し合わせようとする力は働いていませんが、放射能の汚染が浄化され
島のどこかのエリアにある8カ所の核が全て無力化された時、参加者を殺し合わせようとする修正力が働きます。
※前回バトルロワイアルの参加者及び調査に向かった軍人達の死体が島に放置されています。

 技術者16名 死亡
 海軍中隊24名 死亡

【長門@艦隊これくしょん -艦これ- 死亡】
【陸奥@艦隊これくしょん -艦これ- 死亡】
【大井@艦隊これくしょん -艦これ- 死亡】
【北上@艦隊これくしょん -艦これ- 死亡】
【赤城@艦隊これくしょん -艦これ- 死亡】
【睦月@艦隊これくしょん -艦これ- 死亡】

122 ◆/ebAZhNPSM:2015/04/25(土) 03:05:00 ID:rHFmitM.
投下終了です
展開の都合上、見せしめ枠を少し増やしました

123名無しさん:2015/04/25(土) 03:11:27 ID:1rSSqo5Y
投下乙です。
スゲーことになってんゾ〜これ〜(賞賛)

124 ◆777Wt6LHaA:2015/04/25(土) 03:39:26 ID:YEb88iWY
投下乙です

まさか核と放射線がロワを止める救世主だったとは……
核の総数が8個ということは、バトルロワイヤルの本格的な始動は08:00以降か

125名無しさん:2015/04/25(土) 03:44:34 ID:65kfErB.
アンテナの範囲外に出ると首輪が機能しなくなって死ぬので、アンテナがあるエリアを繋げないと移動できずに8時間以内に全滅する事になりますね。

126名無しさん:2015/04/25(土) 07:12:16 ID:kRi9Ctok
こんな濃くて面白いOP(+補完)を見たのは初めてです
すごい

127 ◆qB2O9LoFeA:2015/04/25(土) 10:10:28 ID:69ZfG7ic
投下乙でした

こういう話好きです、そりゃもう
倒しようのない主催というのもドンピシャです

ただ、睦月のPTSD・レイプ・自殺というコンボは企画的にセーフなのかが課題になるかと
ある意味見せしめの一人ですが、ここは議論は必要になるのではないでしょうか

128名無しさん:2015/04/25(土) 10:22:16 ID:kRi9Ctok
>>125
アンテナはたくさんあってそのうち8個だけ核つきってことじゃね?

129名無しさん:2015/04/25(土) 10:24:00 ID:z4JFCKJU
漫画版バトルロワイヤルではレイプ描写あるけど、キャラを「合法的」に
陵辱する連中が続出しそうな気がするから、個人的には修正するのがいいんではないだろうかと思う。

130名無しさん:2015/04/25(土) 16:33:16 ID:kRi9Ctok
児ポ法等で規制が厳しくなるとリアルで予想されるなか最後の砦であるネット創作物にも自主規制の波が!ただただ悲しい。

131 ◆0STfKvIzq6:2015/04/26(日) 10:13:03 ID:I39YXPGs
投下します。

132 ◆0STfKvIzq6:2015/04/26(日) 10:13:47 ID:I39YXPGs
プロデューサー.1
「あの、すいません。ここがどこか知りませんか?」
「……………………………」
「………あの…」
「……………………………」

懐中電灯片手に深夜に少女にしつこく話しかける男性とそれを無視して歩き続ける少女
まるで悪質なスカウトマンかナンパのような光景だが、話しかけているスーツにメガネの男性
通称「プロデューサー」はいたって真面目であった。
記憶では事務所で仕事を片付けていてそろそろ帰ろうとしていた気がする。
その時、うたた寝でもしてしまったのか一瞬意識が暗転してしまったと思ったら、
気が付け見知らぬ丘に飛ばされていた。見える範囲の周囲には建物はない。標高は低く、遠くに海が見える。
まるで冗談のような現象。自分自身でもこれが現実なのか信じられない。自分は夢でも見ているのか。
あの一瞬のうたた寝のように感じたのは実はもっと長い時間でその間ここまで連れてこられたのか?
現実感が湧かず、酔っているわけでも眠いわけでもないのに、足元はふわふわと感じ、
眼は冷めているのに思考は鈍くなっている。

タブレットを見ると様々な情報が映し出された。曰く「正午になると一つ目の核爆弾が爆発」だの
「近くにいると放射性障害で死に至る」だの、現実離れした言葉も頭によく入ってこない。
ただ首につけられた、外し方もわからない「首輪」だけは妙に冷たい感触を伝えてくる。
そしてタブレットに表示された名簿に載っている765プロのアイドルたちと、かつて961プロにいた天ヶ瀬冬馬。
本当にこんな状況にアイドルたちも巻き込まれているのか?だとしたらなんとかして会って安心させなければ。
すぐにポケットに入っていた携帯も使ってみたが…圏外で全くどうにもならない。
出会う方法も分からず、ふらふらと夜の島(なのだろうか。)の道を歩いていると、
最近の青い街夜灯のような光を見つけ、誘われるようにふらふらと引き寄せられていった。
そこにいたのは、真っ白な顔に鬼火のような光を左目に灯した少女だった。

空母ヲ級.1
彼女の最後の記憶は轟音と光、そして直後に訪れる静寂と闇だった。
彼女は沈んだ。艦を憎悪し沈めることが使命の彼女はその役割を果たせることなく沈んた。
ただ沈む瞬間は憎悪も後悔も、達成感も満足感も彼女は感じなかった。
的確に打ち込まれた駆逐艦の魚雷は、苦しみも伝わる間もなく彼女の意識を暗い海の底へと沈めた。
もしかしたら最早何もできずに沈みながら、苦しむ必要も無くなった彼女はある意味救われたのかもしれない。

意識が戻る
昏い静寂から叩き起こされたにも関わらず、頭は事務的に周囲の状況から拾い集めた情報を処理していき、
ここは島らしいことや、放射能というものが蔓延していることを理解する。
おそらく他の深海棲艦達との通信が通じないのもそれが原因だろう。
だが、そのように拾い集めた情報の他に、彼女はある確信を持っている。
「艦むす」はどこかにいる。
なぜ轟沈したはずの自分が修復しているのか分からないが、自分が再び存在している以上、倒すべき艦むすもどこかにいる。
それは根拠も理屈も何もない、盲信とでも言えるようなものだったが、とにかく彼女はその前提を行動に組み込んだ。

海上戦闘に特化した自分の体は陸上では十分な性能を発揮できない
艦むすを沈めるために彼女は海へ向かって進路をとった。
海では艦むすも陸地より性能が向上するので単純に有利になるわけではないのだが、
これは殆ど海に棲むモノの本能による選択だった。そういうものなのだ。
その彼女に接近する何かを発見し、彼女は一瞥だけする。
「あの、すいません。ここがどこか知りませんか?」
発見した時から感じていたがやはり艦むすではない。艦むすに宿る艦艇の魂を感じない。
 人類。おそらく成体。多分オス。艤装・武装の類なし。
 結論―――脅威なし
彼女は気に留めることなく歩き続ける。
海上を制圧し人類社会にとっての脅威である彼女達だが人間自体に特に興味はない。
彼女達が憎悪(興味)を向け沈めようとするのは艦やその魂を持つ艦むす、その基地等のみ。
彼女達はそういう存在だった。

133 ◆0STfKvIzq6:2015/04/26(日) 10:14:26 ID:I39YXPGs
プロデューサー.2
(もしかして俺、勘違いしてる?この子、恰好が変なだけでこの状況とは関係ないのか?)
そう。勘違いである。
例えばデパートや量販店の売り場で、スーツ姿の客を店員と間違えて声をかけてしまった経験はないだろうか。
また、京都で街中を歩いてる舞妓におおはしゃぎして写真を撮ると、実は舞妓体験をしているただの一般人だったりする。
人は服装や外見に惑わされやすい生き物であり、特に馴れない場所でそれっぽい人をその場に関係ある人物として思い込む事がある。
異常な状況に奇抜な格好で現れた少女に対し、何か知っているのではないかと過剰な期待を抱いてしまったのだ。
少女が無口で迷いもなく歩いていることも、ここに慣れた地元住民のようなものだと思っていたのだが…。
(それにしてもすごい格好の子だなこの子。水着みたいなスーツ着て、顔も真っ白で、油の匂いがするし
 めちゃくちゃ大きな帽子被ってて、目のあたりがライトみたいなので光ってて…。何かのコスプレかな。
 というかこの状況、俺すごく不審者っぽいな…夜だし、警察に会ったら捕まるかも…。)
何も返事をせずズンズン進んでいくヲ級に、今まで5分ほど熱心に、時にはたどたどしい英語も使って話しかけ続けていたのだ。
普段なら最初に無視された時点で話しかけるのを諦めただろう。
だがあまりに異常な状況に彼女を唯一見つけた手がかりのように思って必死になってしまったのだ。
冷静に考えれば単に気味悪がられて無視されているのかもしれない。知らない土地で動揺していたとはいえ、恥ずかしくなる。
もし彼女も自分と同じように巻き込まれたのだとしたらなおさらだ。
他の人を探すか、明るくなるまで待つか、どこか街にまで行く方法はないか…と足を止めて距離をとったところで
少女も、ピタリと立ち止まった。

そしてふらり、とよろけると、
そのまま路上に倒れこんだ。

「どうしました!」

少女の帽子が地面に当たると「ゴン!」という硬い音が鳴り響いた。
どうやら帽子だと思っていたものはヘルメットのようなものだったらしい。
慌てて傍にかけより声をかけるが呻き声がするだけで、懐中電灯で照らされた少女は片側しかない表情で
苦しげな表情を浮かべていた。

空母ヲ級.2
海を目指し歩行していると人類のオスがついてきて何か話しかけてきたが、彼女の眼中にはなかった。
こういうことは海上でもよくあることで、背びれのついた哺乳類が並走してきたり音波を飛ばしたりしてきたものだ。
移動を妨げるべく前に立ちはだかるわけでもないので、特に何もせずに放置して思考に没頭する。

彼女は考える。
海に辿り着くにはまだ時間がかかる。
それまでに自分の身を守るために艦載機の製造を始めるべきだと。

空母ヲ級型の深海棲艦は体内の各種資源を原料に、武装を持ったドローンを帽子のような部分で生み出す能力をもつ。
それぞれ自動的に戦闘や索敵をこなす便利な兵器だが、一体一体は非常に弱いため通常の戦闘では何十体も製造する必要がある。
製造した艦載機は頭上に溜めておき、戦闘時には出撃させるのだ。

艦載機の製造を開始して、まず製造速度が遅いことに気づいた。
一度轟沈した影響がまだ残っているのかもしれない。それでもまず一体を生み出す。
続いて二体目の製造を開始。一体目の時より更に製造速度が遅い。
やはり艦載機を生み出す部位になんらかの障害が発生しているのだろうか?
その時、彼女は何かに気づいた。何か、が具体的に何かは分からない。
おそらく身体に異常が発生しているのだろうが、一体どのような異常が発生しているのか全く判断できない
今までに体感したことのない未知の感覚だった。
二体目が、一体目より時間をかけて完成する。
僅かな時間だけ彼女は違和感の原因のわからないまま三体目の製造を始めるか否かについて逡巡する。
原因も不明、体の不調も多数で対応もできない
この感覚の正体を掴もうとする。艦載機が製造や艤装での移動の際に資源や燃料が枯渇した時の感覚に似ている気がするが、
艦載機の原料は20体は製造できるほどあり、艤装はそもそもこの地に来てまだ使っておらず、燃料の消費などない。

彼女は、得体のしれない違和感より、艦載機が足りないという確実に存在するリスクを減らすことを選んだ。
彼女は知らなかった。その初めての感覚が、一体どのような意味を持つのか。
どれほど危険なサインだったのかということを。

三体目の製造を開始
まるで徐々に体が締め付けられ潰れるような感覚と同時に体の内側が空っぽになっていくような、矛盾した不快感が彼女を襲う
二体目より更に時間をかけて三体目の製造が完了したとき、
浮上と轟沈の感覚が混ざったような感覚が加わり
彼女の意識は飛んだ

134 ◆0STfKvIzq6:2015/04/26(日) 10:15:20 ID:I39YXPGs
プロデューサー.3
「もしもし!大丈夫ですか!」
突然倒れた目の前の少女を道の端に寄せ声をかける。
息はしている。動悸もある。だが突然倒れてぐったりとしたままだ。
少女の体調に対応するかのように、左目の位置で輝く光も遭遇した時と比べて弱弱しくなっている。
貧血だろうか。寝かせた方がいいと思い頭の帽子を外そうとしたが、
どうしても外れないので仕方なくそのまま地面に寝かせる。
携帯で救急車を呼ぼうとするが、
「やっぱり圏外か…。」
その時、うっすらと少女が目を開ける。
「大丈夫ですか?今から人を呼びに行きにいくので、ここでじっとしててください。」
こんな夜中に女の子を一人放置していいか少し迷ったが、この少女、服のせいかもしれないがかなり重い。背負ることは無理だし、
自分1人で誰かを呼びに行ったほうがすぐに人と出会えるだろう。

そうして立ち上がろうとしたプロデューサーの腕を、いきなり少女はガシッと掴んだ。
「痛っ!?」
その力は倒れている少女と思えないほど強い。ひょっとしたら大人の男ぐらいあるかもしれない。
道路脇の乏しい街灯以外に光源の無い闇の中、まるで顔の片側が存在しないように見える少女の眼光を直視し
プロデューサーは一瞬その眼差しになぜかゾクッとした悪寒を感じる。
まるでこの世のものではない、幽霊のような存在を見たような。バカバカしいが例えるならそんな感じ。
目を逸らせなくなったプロデューサーと少女はそのまま見つめ合い


 ぐーーーーー

少女の腹の音が盛大に鳴った
先ほどからの気まずい沈黙(気まずさを感じているのはプロデューサーだけなのだが)は依然そのままだが

 ぐーーーーーーーーーーーーーーー

多分気のせいだと思うのだが、少女の無表情の瞳が何かを訴えているように感じるのは全くの気のせいだろうか。
なんとなーく、事務所に帰ったらラーメンがなくて落ち込んでいる貴音を思い出す。

 ぐーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

空母ヲ級.3
なぜその人類の手を掴んだのか
彼女にも論理的な説明は不可能だろう
ただ、もし彼女が言葉を話せたら、こう言っていたかもしれない。

 ハラ…ヘッタ
 ナンカ…クワセロ…

【深夜:L4。なだらかな丘で北、東に海が見える】
【プロデューサー@THE IDOLM@STER】
[状態]:健康。いまいち状況を理解しきれていない。
[服装]:いつものスーツ姿
[装備]:なし
[道具]:支給品一式 ポケットに入ってた携帯(通話機能使用不可。首輪のおかげで故障はしていない)
[思考]
基本:765のアイドル達と合流して元の場所に帰る。
1:倒れた少女(ヲ級)を心配。
2:誰か状況がわかる人に会いたい。
3:アイドル達と元の場所に帰る
[備考]時期はアニメ終了後


【空母ヲ級@艦隊これくしょん -艦これ-】
[状態]:無理やり艦載機を製造し、空腹のあまり倒れる。隻眼、初めて感じる空腹に困惑、制限に困惑
[服装]:なし(杖、艤装は体の一部)
[装備]:杖、艤装(体の一部)、艦載機×3(上に収納)、艤装の燃料満タン、艦載機の材料約20体分
    無理をして艦載機を製造したため、早朝まで製造ができません。
[道具]:支給品一式
[思考]
基本:艦むすを沈める
1:空腹に困惑
2:海に行く(深海棲艦の本能)
3:艦むすを沈める
[備考]時期は吹雪に轟沈させられた後
制限:艦載機の製造は1時間に1つ程度。数は最大で約20まで。
   肉体に制限がかかり、艦載機の製造に大きく体力を消耗し、空腹になる。

爆弾:正午(12:00)にどこかで最初の核爆弾が爆発します。

135名無しさん:2015/04/26(日) 10:17:17 ID:I39YXPGs
投下終了です。
プロデューサーの口調が迷いましたが、女の子でも初対面の人なら普通に敬語だろうと思ってそう書きました。
爆弾を設定しました。

136 ◆dKv6nbYMB.:2015/04/26(日) 11:43:50 ID:2tGByUo2
投下乙です。
プロデューサー、空母の餌食にならなくてよかったね。
投下します。

137 ◆dKv6nbYMB.:2015/04/26(日) 11:47:40 ID:2tGByUo2
「なんでこんな目に遭わなきゃならねえんだよ」
この俺、ホルホースが溜め息と共に発した第一声はこれだった。
『バステト女神』のマライアと『セト神』のアレッシーがジョースター一行に敗北したことをDIOに報告しに行き、奴にいい加減にジョースター一行を殺しに行ってこいと脅され、奴らのもとへと向かうために準備して眠りについたらこの様だ。
暗殺しに出かけようとしたらいつの間にか放射能だらけの島に隔離されていた。
確たる証拠はねえが、こんなこと出来るのはDIOの野郎くらいしか心当たりはねえ。
殺しに行けと命令された奴にこんなことされりゃ、文句の一つは出るさ。
とにもかくにも、どうやら生き残るためにはこの首輪が必要となるわけで。もし24時間誰も救助に来なければ確実にオダブツで。
「いったいぜんたい、どうしろっつーんだよ」
あまりのどうしようもなさに、またも溜め息をついちまった。

いくら愚痴を零しても仕方ないので、配られたデイパックの中身を確認する。
(非常食と水に、メタルマッチに方位磁針、それにホイッスルと...なんだこりゃ、板?)
この薄っぺらい板は何に使うんだ?機械みてえだが
とりあえず適当にイジッてみると、急に板が光りだした。
「うおっ!な、なんだこりゃ?」
なんだかよくわからないので、しばらく触らずに観察していると、やがて明かりは消えてしまった。
「なんだ、ただのライトか。こんな形にするなら、普通の懐中電灯でも配ればいいものを」
光る板は置いておき、もう一度デイパックの中身を探ってみる。
「おっ、こいつは」
デイパックの奥底で見つけたのは、一本の禁煙パイプ。
ラッキー、ちょうど気分的に禁煙してみようかと思っていたんだ。
「...とはならねえよなぁ。せめて、もう少し食糧があればなぁ」
荷物を詰め直し、何度目かの溜め息をつき、この建物を捜索することにした。

138 ◆dKv6nbYMB.:2015/04/26(日) 11:52:46 ID:2tGByUo2
(ちぃ、こうも暗くちゃロクに捜索もできねえぜ)
先の板盤のようなライトを使ってみるが、精々見えるのは手元くらいだ。
ちと勿体ない気もするが、メタルマッチを擦り合わせ、火を起こす。
普段はライター派だからあまり使うことは無いが、一回で無事成功した。
俺の部屋は最上階の三階だったようで、階段は下りしかねえ。
とりあえず片っ端から部屋を探し回っているが、あるのは精々医療器具だけ。その医療器具も放射線のことがあるので、うかつには触れない。
そして、どの部屋も電気が通っていないようで、スイッチを押してもウンともスンともいわない。
そうこうしている内に、俺が辿りついたのは一階の院長室。
そしてこの部屋も探し回るが、やはりなにも無し。
諦めてここから出ようと、火を消そうとしたときだった。



ギシ...ギシ...

床の軋む音が聞こえる。
おいおい、俺以外にも誰かいるってのか?
俺としたことが、考え無しに火を使ったのは迂闊だったか。
反射的に、右手から『皇帝』...拳銃のスタンドの像を出す。
床の軋む音は、院長室の前でピタリと止まった。
考えられるのはふたつ。一つは、俺と同じような被害者。もう一つは、俺をこんなところに連れてきやがった野郎ってことだ。
この際、どっちでも構わねえ。とっ捕まえて情報を手に入れてやる。
扉に向けて『皇帝』を構え、扉が開くのを待つ。
しかし、来訪者は一向に扉を開けない。
気のせいだったのか?いや、そんなはずはないと気を入れなおす。
(なぜ出てこねえ...いいぜ、出てこねえならこっちから向かってやらぁ)
俺が引き金にかけた指に力を込めた時





「あ、あの、誰かいるんですか?私、暁美ほむらって言います。わけがわからないうちにこんなところにきてて、その..」
コンコンと、ドアを叩く音と共に聞こえたのは、可愛らしく幼い声だった。

139 ◆dKv6nbYMB.:2015/04/26(日) 11:55:25 ID:2tGByUo2



「暁美ほむらちゃんね。お互い災難だったな」
長い黒髪で、丸眼鏡をかけたこの女の子は暁美ほむらというそうだ。
ふむ、子供とはいえ、なかなかの別嬪さんじゃあねえか。こりゃ、将来に期待だな。
「はい。わ、わたし、病院で寝てたはずなんですけど、いつのまにかあんな球の中に」
「俺も似たようなもんさ。けどまあ、他にも人がいるってのは安心できるぜ」
「そ、そうですよね。友達も巻き込まれてしまったのは残念ですけど、みんなで力を合わせればなんとかなりますよね」
「おおそうさ。だからなにも心配はいらねえよ」
彼女を安心させるための言葉とは裏腹に、俺はとてつもない不安感に駆られていた。

(他に人間がいるだけでなく、この子には知り合いが巻き込まれていただとぉ?いよいよもって胡散臭くなってきたぜ)
もしも自分一人だけなら、最初の通信の言葉から判断して、なにかの事故であることが、納得はできないが理解はできる。
だが、こうも何人も、それも人によっては知り合いが巻き込まれているとなると、もはやただの事故とは思えなくなる。
おまけに、ご丁寧に俺たちを一人ずつあの球体に押し込めた挙句、食糧やらを配る始末。どう考えても人為的なものだ。
それだけじゃあねえ。この首輪、こいつは確かに俺たちの生命線だが、これがまた厄介なシロモノだ。
この首輪は外せば機能を停止する。24時間ぶんしかエネルギーが無いコイツだが、言い方を変えれば、外しちまえば24時間ぶんのエネルギーを確保できるっつーことだ。
と、なるとだ。もし時間切れが迫っても状況が好転しなかった場合、他にいる人間の首輪を奪っちまえば、残った時間だけ生き延びることができるわけだ。
もちろん、時間ギリギリだといくら首輪を回収しても、一分や二分じゃ焼石に水だ。他の首輪が必要かどうかはなるべく早く決断した方がいい。
この島にいったい何人送り込まれてきたのかは知らねえが、俺のような勘のいいやつはこの事実に気付いているころだろう。
ほんと、とんでもねえことに巻き込まれたもんだぜ。

140 ◆dKv6nbYMB.:2015/04/26(日) 11:58:06 ID:2tGByUo2
ここまで思考重ねていると、ふと、一つの疑問が生じた。
「ところでほむらちゃん。なんで、友達がここにいるってわかったんだ?」
冷静に考えれば当然の疑問だ。俺もお嬢さんも全く別のところで目が覚めた。なら、なぜ友人がこの島にいると言い切れるのだろうか。
「デイパックにタブレットが入っていたので、それでわかりました。ホル・ホースさんのデイパックにはありませんでしたか?」
「タブレット?」
「これです、これ」
ほむらちゃんが取り出したのは、俺のと同じ機械の板。
「ああ、そいつか。あるにはあるんだが、俺のはただのライトらしいんだ。ほら見てくれよこれ」
横のボタンをカチリと押し、光をつける。その行程を何度か見せつけると、ほむらちゃんは理解したかのように、ポンと手をうった。
「ひょっとして、タブレットを知らないんですか?」
「...えっ?」


「これをこうすれば...はい」
俺のタブレットなるものを、彼女は説明を加えながらいとも簡単に使いこなしてみせた。
「すげえな。ほむらちゃん、こういうものには強いのか」
「そういうわけじゃないんですけどね。結構流行ってますし」
彼女の手際には素直に感心したが、同時にまた些細な問題が浮かんできた。
(妙だな...いくら最新の機械とはいえ、俺が知らないはずはないんだがな)
そう、俺はホルホース。世界中にガールフレンドがいるし、殺し屋なんてやってるもんだから、かなりの情報網はあると自負している。
なのに、この少女が知っていて、俺が知らないとはどういうことだろうか。
「えと、この名簿ってファイルにみんなの名前があったんですけど」
「どれどれ」
そんな疑問も、名簿を見た瞬間に見事に吹き飛んでしまった。

141 ◆dKv6nbYMB.:2015/04/26(日) 12:00:08 ID:2tGByUo2
「なんじゃあこりゃああ!?どうなってんだよこいつはよぉ!?」



思わず、そんなことを叫び出してしまったほどのびっくり仰天ニュース。
「ど、どうしたんですか?」
「い、いやあ、慣れない機械だからよ、つい驚いちまって...最近の機械はスゲエんだなぁ〜」
「は、はぁ...」
なんとか誤魔化したが、内心はめちゃくちゃビビッてた。
この名簿を見る限り、俺の知る名前は全部で5人。
空条承太郎とJ.P.ポルナレフ。
まさか、俺が狙うべき敵であるこいつらも巻き込まれていたとは。この二人、特にポルナレフには会いたくねえ。
生きていたとはいえ、目の前でアヴドゥルを撃ったことは忘れてねえだろうし、なんといっても、俺はポルナレフの妹を殺した男の相棒だった。ポルナレフは俺と出会えば、即座に殺す気でかかってくるだろう。
ラバーソウル。
確かこいつは、承太郎に再起不能にされたはずだが、なんでいやがるんだ。
こいつは強さは本物だが、まず信用できねえ。奴も殺し屋の端くれだ。おそらく首輪のことは勘づいているだろう。一時的には協力できるにしても、俺たちの首輪やら食糧やらを奪うために、隙を突いて殺しに来ることはほぼ間違いない。
そして、最もここにいちゃいけねえ奴らがいる。
それは、俺の元相棒J・ガイルの旦那とその母親エンヤ婆だ。
J・ガイルは強姦だの殺人だのを好き放題やる男だ。そんな奴と組んでいたことが知れれば、俺の立場はかなり悪くなる。それに、奴の性格上、助けに行くのが間に合わなかったことを逆恨みして俺を殺しにきても不思議じゃねえ。
エンヤ婆に至っては、俺がJ・ガイルの手助けをしなかったと勘違いしているため、俺を必ず殺そうとする。事実、一度殺されかけたし、疑いを晴らそうにも話が通じねえ。
だが、J・ガイルは既にポルナレフに殺され、エンヤ婆も肉の芽の暴走で死んだはずだ。
それがここにいるってことは...間違いねえ。疑惑は確信に変わった。
なにが目的かは知らねえが、この件に関してDIOは必ず一枚噛んでいる。

142 ◆dKv6nbYMB.:2015/04/26(日) 12:05:32 ID:2tGByUo2
奴は吸血鬼だ。今はほとんどやっていないが、昔は屍生人を作っていたと聞かされたことがある。館にいた"ヌケサク"とかいうあだ名の自称吸血鬼がいるが、おそらくやつがそうだ。
J・ガイルとエンヤ婆がその屍生人ならば、ここにいることも矛盾はない。だが、"ヌケサク"がそうであるように、自我までは完全には無くならないようだ。
結論、俺の知り合いはほぼ全て敵。協力なんてできるわけがねえ!
ほむらちゃんと違って信頼できるお友達がいねえんだよ、俺には!
かといって、奴らと遭遇した時に勝てるか?いや、無理だ。
タイマンならほぼ無敵といっていい承太郎。肉を己の身に纏わりつかせれば物理攻撃に対して実質無敵のラバーソウル。光速で動くスタンドを使うJ・ガイル。実体の捉えられない霧のスタンドを使うエンヤ婆。
どいつもこいつも俺とは相性が最悪だ!かろうじてポルナレフには勝機があるが、奴も奴でかなり手強い。接近されればまず勝てないし、俺のスタンドのタネも見られちまってるしで、少なくとも無傷ですむとは考えにくい。
こういう状況をなんつーんだっけ?ああ、そうだ。昔の言葉でいう、四面楚歌ってやつだ。
...い、いや、まだ希望がないわけじゃあねえ。
こうなれば、俺が生き残る手段はひとつ。どうにか周囲を利用して、目立たず地道に行動し、23時50分を待つしかねえ。放射能さえやりすごせば、あとは正義感の強い奴らを言いくるめればなんとか...
とはいえ、連れが女の子一人じゃ心もとない。なにより、俺は女には誰よりも優しい男。美人だろうがブスだろうが尊敬しているからだ。利用もするし、嘘もつくが、なるべく女は死なせたくはない。
災難に縁も所縁もない砂漠のオアシスなら喜んでエスコートするところだが、生憎この島は猛獣だらけのジャングルでさえ裸足で逃げ出すほどに危険な島だ。女の子を矢面に立たせるのは論外だが、俺が先導するのもマズイ。
どうにか頼れる男を探し出し、俺たち二人のリーダーとしたい。行動しているのはあくまでそいつで、俺たちはついて行っているだけ。そうすりゃ、あまり目立つこともないだろう。
俺は誰かと組んで初めて真価を発揮できる男。№1より№2。それが俺の人生哲学だ。文句あっか!


「あ、あの、ホル・ホースさん」
「なんだ?」
「ここ、病院なんですけど、近くにアンテナがありますよね」
「そうだな」
「一時間ごとに島の端からアンテナが爆発するって書いてあるんですけど、ここが一番最初みたいです」
「...にゃにいいいい!?」


あ、危なかった。タブレットの使い方を教えて貰ってなけりゃ何も知らずにうろついてオダブツの可能性は大だったぜ。
まったく、ツイてるのかツイてねえのか...ああ、どうにか生き延びてえなぁ。



【I-8/病院/一日目/深夜】

【ホル・ホース@ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース】
[状態]健康
[服装]普段のカウボーイスタイル
[装備]禁煙パイプ(支給品)
[道具]支給品一式
[思考]
基本:どうにかして生き延びてこんな島からオサラバしたい。死にたくねえんだよ、俺は!
1.知り合いには遭遇したくない。(特に承太郎、ポルナレフ、エンヤ婆)
2.ほむらと共に、頼れる『相棒』を探す。また、ほむらと行動することによって自分は無害であることを周囲にアピールする
3.余裕があればほむらの知り合いも探す
4.女はなるべく死なせたくない。


※参戦時期は、DIOの能力を見せつけられてから、ジョースター一行を倒しにいくために移動している最中からです。
※この島での出来事は、DIOが一枚噛んでると疑っています。
※J・ガイルとエンヤ婆については二人とも屍生人だと思っています。

143 ◆dKv6nbYMB.:2015/04/26(日) 12:08:17 ID:2tGByUo2
魔女...それは絶望を撒き散らす災厄の使い。そして、絶望に沈んだ魔法少女たちが最後に成り果てる呪われた姿。
かつて私は幾度となく同じ時間を繰り返し、その残酷な運命に抗おうと戦った。
そして最後は
一人の少女の犠牲によって
希望と絶望を巡る残酷な連鎖は断ち切られ
世界は新しい理へと導かれた
...そう、導かれたはず、だったのに...




ど う し て こ う な っ た。


気が付いたら、いつの間にか黒い球体に押し込まれていて、核がどうのとか首輪がどうのとかわけのわからないことになっていた。
消える直前に、まどかがリボンを託してくれたのは憶えている。そしてまた会おうと約束したことも憶えている。
その結果がこの様だ。
とりあえず状況整理をするために、荷物の整理をして、入っていたタブレットを弄ってみれば、上がってきたのは多くの名前。
調べてみると、なんとこの島には61人もの人間が集められていた。
そして、その中には見知った名前が4つ。
美樹さやか、巴マミ、佐倉杏子...そして、鹿目まどか。
まどかがここにいることは、胸が締め付けられる想いだったが、同時に疑問も湧いてきた。

144 ◆dKv6nbYMB.:2015/04/26(日) 12:14:33 ID:2tGByUo2
世界の改変が進む最中、インキュベーターの声は、『まどかは全ての時間軸から消え去り、誰も認識できないし干渉することもできない』と告げた。
つまり、誰もまどかを知るものはいないはずなのだ。
なのに、ここにいるというのはどう考えても矛盾している。
...いや、この『鹿目まどか』が私の知る『鹿目まどか』と同一人物だとは限らない。
魔法少女とも見滝原市ともなんの関係もない『鹿目まどか』という同姓同名の人間かもしれない。むしろ、そちらの方が可能性は高い。


とにかく、いまは情報がほしい。
とりあえず辺りを散策すること約10分。見えてきたのは、年季が入った古病院。
MAPを見返してみると、ここの近くにはアンテナがあるようだ。
一時間ごとに島の端からアンテナは爆発を起こすと書いてあるが、どうやらここが一番最初に爆発するらしい。
とはいえ、この情報を信じれば、爆発までにはまだ時間があり、15分もあれば余裕で爆発圏外に出れるので、今の内に調べれることは調べておくことにした。
だが、病院へと入る前に気付いたのだが、棟内三階がわずかに明るくなった。
どうやら、中にいる何者かが火を使ったようだ。
私は近くの木に身を潜めながら、その灯りの主のあとを目で追うことにした。



灯りの主は、どうやら片っ端から部屋を探し回っているようだ。
と、すると、あの通信の主が生存者を探し回っているのか、それとも他に巻き込まれた被害者の60人の内の一人か...
なんにせよ、接触する価値はありそうだ。灯りの主が一階に下りた頃合いを見て、私も病院へと足を踏み入れる。
とはいえ、今までの時間軸とは一味もふた味も違う。今までの接し方だと、あの優しいまどかにさえ警戒されていた。今までで一番警戒されなかったのは...
その結論に辿りつき、溜め息をつきながらデイパックを探る。
(まさか、またあの頃に戻る必要があるなんてね)
取り出したのは、誰の物かは知らない丸眼鏡。掛けてみると眩暈がした。度が合っていないぶんは、魔力で補おう。
今の私は、無力でなにもできない、大嫌いなあの頃の私だ。
意を決して、院長室のドアを叩く。

「あ、あの、誰かいるんですか?私、暁美ほむらって言います。わけがわからないうちにこんなところにきてて、その..」



【I-8/病院/一日目/深夜】



【暁美ほむら@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:健康
[服装]:見滝原中学の制服
[装備]:ソウルジェム(指輪形態) 寺井洋一の眼鏡@こちら葛飾区亀有公園前派出所
[道具]:支給品一式  その他不明支給品1〜2
[思考]
基本:とにかく情報を集める
1.とりあえずまどかを保護する
2.無力な少女を装い、ホル・ホースを利用してとにかく情報を集める。



※参戦時期は、最終話で概念となったまどかにリボンを託された直後からです。世界が改変しきる前です。
※現在、まどかのリボンは持っていません。会場内のどこかにあるか、他者の支給品に紛れている可能性はあります。
※まどかの存在に疑問を抱いています。シャルロッテに関しては、名前を『お菓子の魔女』と認識しているため、魔女だということに気付いていません。
※使える魔法は時間停止の盾です。制限の為、時間を撒き戻す能力は使えません。また、停止できる時間にも限界があります。

145 ◆dKv6nbYMB.:2015/04/26(日) 12:19:42 ID:2tGByUo2
投下終了です。
タイトルは『ホル・ホースと暁美ほむら』です。
>>142の一部が文字化けしていますが

�・1より�・2→ナンバー1よりナンバー2 です。

最初の起爆場所を設定しました。
誤字・脱字・その他問題があればご指摘お願いします。

146名無しさん:2015/04/26(日) 13:07:13 ID:CwsCJBRU
投下乙です

ヲ級は一体どうなるんだと思ったが艦娘限定マーダーか
最初の爆発は12時からって事だけど「1時間ごとに爆破する」と明言してるOPと矛盾してない?


>ホルホースと暁美ほむら
確かにホルホースはビックリするぐらい四面楚歌だな
でも首輪のエネルギーに頭が回る辺り流石殺し屋と言ったところか

147名無しさん:2015/04/26(日) 13:53:14 ID:Jr4PnYUs
投下乙です

艦むすと遭遇しない限りはヲ級もおとなしくしてるだろうし、プロデューサーはひとまず安全そう
ほむらとホルホースは実はほむらのほうが危ないのか

爆発は一時間に一発と言っているので、では最初の爆発を二つの投下話から【I8病院付近で12時に爆発】としてそこから一時間に一発ずつ爆発していくのはどうでしょう
こうすると参加者に【半日以内に島の中央部に移動する】という目的を持たせられますし

148 ◆0STfKvIzq6:2015/04/26(日) 14:48:37 ID:I39YXPGs
>>146
1時間ごと、というのがいつからなのかわからなかったので12時から1時間ごとに、13時、14時…19時にしました。
参加キャラが状況を理解したり、話し合ったり、または戦ったりする時間があったほうがいいかと思ったので。

149名無しさん:2015/04/26(日) 15:21:46 ID:CwsCJBRU
>>148
なるほど
てっきり1時から爆破だと思い込んでました
となると早速作品同士の矛盾が起こってしまったけどどうしたものか……

150 ◆0STfKvIzq6:2015/04/26(日) 16:17:51 ID:I39YXPGs
まだ仮投下の段階ですので変えるのは可能です
(私の場合1文消すだけですし…)
とりあえずもう1日様子を見たい…
予約していらっしゃる方は爆破にどのくらい触れていらっしゃるのか…
できるだけ全員のつじつまが合うようにしたいところです

151 ◆0STfKvIzq6:2015/04/26(日) 23:48:22 ID:I39YXPGs
爆発時間への言及を削除して投下しました。

152 ◆dKv6nbYMB.:2015/04/27(月) 02:20:12 ID:oePjqcqg
仮投下スレに投下したものに微修正を加えて投下しました。
あってもなくてもいい程度の修正ですので、気にしないでください。
例)ホル・ホースの状態表の思考欄の追加
などです

153 ◆fuYuujilTw:2015/04/27(月) 19:33:52 ID:RG0vsj1k
投下します。

154オリンピックにゃまだ早い ◆fuYuujilTw:2015/04/27(月) 19:35:59 ID:RG0vsj1k
「なんなんだよ……」

日暮熟睡男はこの訳の分からない状況に戸惑いを覚えていた。

目が覚めたら民宿のような建物の中にいて、首には首輪がつけられている。
確か最後の記憶は、火星で眠りについたものだった。
両さんだったら、中川さんの力を借りて自分を起こしにくることは容易いだろう。
とりあえず、今の状況を知ることが先だ。

「……おかしいな」

うまくいかない。
起きたばかりだから、なまっているのだろうか。
気を取り直し、ディパックの中を確認する。

「なんだこれ……」

見覚えのない機械。
透視を試みたところ、非常に複雑な構造をしているようだ。

「よく分かんないや……」

水に食料、メタルマッチ、方位磁石、紙切れ。
まるで遭難したみたいだと思った。

そしてなぜか週刊誌。随分と美人な人が表紙を飾っている。
どうやら歌手のインタビューらしい。
中身を見てみる。
自分が知らない間に政権も交代したらしい。

「!!」

ある箇所に目が止まる。

155オリンピックにゃまだ早い ◆fuYuujilTw:2015/04/27(月) 19:37:52 ID:RG0vsj1k

「……またか……」

怒りがふつふつと涌き起こる。
ここがどこなのか、そんなことはどうでもよくなった。
ただ怒りだけが心を塗りつぶしていくのだった。
オーラが体を包んでいく。
大きな音と共に、日暮のいる部屋が滅茶苦茶になっていった。


つけるだけで治る?新薬認証まであと半年!本当に効くか、と題された記事は
日暮に大きな勘違いを生んだ。
今が2011年であるという勘違いを。

【G-3/民宿内部 /一日目/深夜】

【日暮熟睡男@こちら葛飾区亀有公園前派出所】
[状態]:暴走
[服装]:パジャマ
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、週刊現代の真実@THE IDOLM@STER
[思考]
基本:怒り
1:怒り
2:怒り
3:怒り
[備考]
*参戦時期はアニメ第357話以降。
*火を見ると瞬間移動します。
*ギャグ補正は解除されています。

能力の制限について
・修正力の影響で未来の予知は出来ませんが、
 誰かが近づいてくることを察知する程度の能力はあります。
・テレポーテーションは最大5m程度です。
・念力は本気を出せば人をバラバラにすることの出来る程度の威力です。
・エネルギー光線の射程は10m程度。雷に撃たれる程度の威力があります。
・地面から最大で1m程度浮くことが出来ます。
・首輪を透視することはできません。

作中の年代について
こち亀第357話の年代は2004年となっています。
アイマス第1話では2011年のカレンダーが登場しており、第22話がクリスマスの話であることから、
「週刊現代の真実」が登場した第21話時点ではまだ2011年であることが分かります。

156オリンピックにゃまだ早い ◆fuYuujilTw:2015/04/27(月) 19:38:30 ID:RG0vsj1k
投下を終了します。

157名無しさん:2015/04/27(月) 21:20:52 ID:yPNuVyi.
投下乙です
やっぱりオリンピック前から参戦かー
にしても能力はがチート過ぎて笑うわwwww

158 ◆qB2O9LoFeA:2015/04/29(水) 00:03:47 ID:qTWNeUvc
李小狼、キャスターを投下します

159リトルボーイfat.‥‥ ◆qB2O9LoFeA:2015/04/29(水) 00:08:14 ID:qTWNeUvc



 李小狼は頭を振った。

 気絶していたのか寝過ぎたのか、それはわからないが、微かな衝撃と音を感じて目覚めたとき自分が真っ暗い空間にいることに気づいた。
 立ち上がろうとしてよろける。立ち眩みのような体のダルさと自分がおかれている状況をいぶかしんでいると、今度は扉のようなものが開かれた。

(‥‥なんだ‥‥これ‥‥?)

 意味不明。

 全くわけのわからない状況にとりあえず自分の頬をつねってみる。痛い。

(‥‥夢じゃない、のか、それなら。)
「クロウカード‥‥?」

 とりあえず最初にクロウカードを疑ってみる。意識を集中させれば、幻や結界の類いに近いものは感じる気がする。だがしかし、同時に何かが違うとも感じた。

(周りを調べるか。)

 足下にあったハデなデイパックを掴んでドアから外に出る。オレンジ色のそれはいかにも『非常用』という感じがして、なにか災害にでも巻き込まれたかのような感じがした。

 と、そのときだった。
 足にあたるデイパックの感覚に思わず足を止める。そのまま外側から確かめると、それが一度は触れたことのあるもののように思われた。独特なラッパのような形のそれに、足を止めてしばし考える。頭に思い浮かんだのはある道具だ。もしこれが小狼の想像どうりの物ならば、それはこの状況にうってつけのアイテムと言える。

「開けていい、よな‥‥?」

 しかし小狼は迷った。
 気がつけば見知らぬところにいた自分。その側にあったそれは、あまりにも怪しかった。ハデなオレンジ色もどことなく毒キノコや毒ヘビを連想させる。そもそも自分の物でもないカバンを開けるのはどうかというのもある。

 手に取り考えること一分弱。「非常時だから」と自分を納得させて、意を決して開けた。

「ふぅ‥‥やっぱりこれか。」

 どことなく声に安堵が交じる。予想どうりの形をしたそれ����拡声器を手に取ると、小狼はトリガーを引いた。

160リトルボーイfat.‥‥ ◆qB2O9LoFeA:2015/04/29(水) 00:11:11 ID:qTWNeUvc



 李小狼は頭を振った。

 気絶していたのか寝過ぎたのか、それはわからないが、微かな衝撃と音を感じて目覚めたとき自分が真っ暗い空間にいることに気づいた。
 立ち上がろうとしてよろける。立ち眩みのような体のダルさと自分がおかれている状況をいぶかしんでいると、今度は扉のようなものが開かれた。

(‥‥なんだ‥‥これ‥‥?)

 意味不明。

 全くわけのわからない状況にとりあえず自分の頬をつねってみる。痛い。

(‥‥夢じゃない、のか、それなら。)
「クロウカード‥‥?」

 とりあえず最初にクロウカードを疑ってみる。意識を集中させれば、幻や結界の類いに近いものは感じる気がする。だがしかし、同時に何かが違うとも感じた。

(周りを調べるか。)

 足下にあったハデなデイパックを掴んでドアから外に出る。オレンジ色のそれはいかにも『非常用』という感じがして、なにか災害にでも巻き込まれたかのような感じがした。

 と、そのときだった。
 足にあたるデイパックの感覚に思わず足を止める。そのまま外側から確かめると、それが一度は触れたことのあるもののように思われた。独特なラッパのような形のそれに、足を止めてしばし考える。頭に思い浮かんだのはある道具だ。もしこれが小狼の想像どうりの物ならば、それはこの状況にうってつけのアイテムと言える。

「開けていい、よな‥‥?」

 しかし小狼は迷った。
 気がつけば見知らぬところにいた自分。その側にあったそれは、あまりにも怪しかった。ハデなオレンジ色もどことなく毒キノコや毒ヘビを連想させる。そもそも自分の物でもないカバンを開けるのはどうかというのもある。

 手に取り考えること一分弱。「非常時だから」と自分を納得させて、意を決して開けた。

「ふぅ‥‥やっぱりこれか。」

 どことなく声に安堵が交じる。予想どうりの形をしたそれ━━拡声器を手に取ると、小狼はトリガーを引いた。

161リトルボーイfat.‥‥ ◆qB2O9LoFeA:2015/04/29(水) 00:21:11 ID:qTWNeUvc



(使わなきゃ良かった‥‥)
「少年、怖がらなくていい。私もこのような異常な状況には少し心得がある。今は、あの声の言うとうり島の中央へと向かうのが賢明だろう。」

 廃村で拡声器を使い周囲に呼びかけた小狼。それから数分で一人の男に遭遇した。長身でオールバック、そして目と目が離れすぎている独特な顔。そしてなりより、剣呑で異様な雰囲気の男。

「おお、名乗りを忘れていた‥‥私は、青髭。こちらの名前で呼ばれるほうが多いので、君もこの名で呼んでくれたまえ。」
「‥‥リ‥‥レイ・シウラァン。」
「レイ‥‥いや、東洋なのでシウラァンが名前か‥‥よろしく、シウラァン。」
「よ、よろしく‥‥」

 青髭、ことジル・ド・レィ。第四次聖杯戦争においてキャスターのクラスで召喚され、中盤で脱落しながらも冬木市を混乱に追いやったサーヴァント。
 その男が小狼が、この不可思議な状況で巡りあった人物だった。

(なんなんだコイツ‥‥人間か?)

 思わず小狼は心の中で愚痴を言った。否、それは本人にもわからない嫌悪感の現れだった。男からでる雰囲気、佇まい。その全てが小狼に、最大限の警戒を強いていた。
 突発的に偽名を名乗る━━もっともそれは、単に読み方の違いではあるが━━という、普段ならまずしないような行動。
 それをせずにはいられないほど、全身全霊をかけて男に相対していた。

162名無しさん:2015/04/29(水) 00:23:39 ID:l9x/zq42
いやよく読め、飛ばしてないよ
すげえわかりづらいけど

163名無しさん:2015/04/29(水) 00:34:12 ID:2CeLpKYI
ジル・ド・レェですよ

164リトルボーイfat.‥‥ ◆qB2O9LoFeA:2015/04/29(水) 01:13:21 ID:qTWNeUvc
すぃません最後のレスが投下されていませんでした。キャスターの部分と共に投下します。

165リトルボーイfat.‥‥ ◆qB2O9LoFeA:2015/04/29(水) 01:14:50 ID:qTWNeUvc



(使わなきゃ良かった‥‥)
「少年、怖がらなくていい。私もこのような異常な状況には少し心得がある。今は、あの声の言うとうり島の中央へと向かうのが賢明だろう。」

 廃村で拡声器を使い周囲に呼びかけた小狼。それから数分で一人の男に遭遇した。長身でオールバック、そして目と目が離れすぎている独特な顔。そしてなりより、剣呑で異様な雰囲気の男。

「おお、名乗りを忘れていた‥‥私は、青髭。こちらの名前で呼ばれるほうが多いので、君もこの名で呼んでくれたまえ。」
「‥‥リ‥‥レイ・シウラァン。」
「レイ‥‥いや、東洋なのでシウラァンが名前か‥‥よろしく、シウラァン。」
「よ、よろしく‥‥」

 青髭、ことジル・ド・レェ。第四次聖杯戦争においてキャスターのクラスで召喚され、中盤で脱落しながらも冬木市を混乱に追いやったサーヴァント。
 その男が小狼が、この不可思議な状況で巡りあった人物だった。

(なんなんだコイツ‥‥人間か?)

 思わず小狼は心の中で愚痴を言った。否、それは本人にもわからない嫌悪感の現れだった。男からでる雰囲気、佇まい。その全てが小狼に、最大限の警戒を強いていた。
 突発的に偽名を名乗る━━もっともそれは、単に読み方の違いではあるが━━という、普段ならまずしないような行動。
 それをせずにはいられないほど、全身全霊をかけて男に相対していた。

166リトルボーイfat.‥‥ ◆qB2O9LoFeA:2015/04/29(水) 01:16:25 ID:qTWNeUvc



(こんなに怯えて‥‥まあこのようことになっては無理もないか‥‥)

 一方のキャスターは怯えている理由が自分にあるとは気づかずそんなことを考えていた。
 もちろん、普段の彼ならば自分に向けられるその感情を察しないはずがない。だが、それは小狼に対しては当てはまらなかった。

 理由はいくつかある。

 一つはキャスターから見れば、肉付きから小狼が子供という範疇に入らないと判断されたこと。
 一つはやはりキャスターから見れば、その精神性が子供とは言いがたいものがあるということ。

 ようするにストライクゾーンから微妙に外れているのである。

(しかし、常人なら震えて何もできなくなるのか‥‥?それなら、仮のパートナーとしては、合格か‥‥私の目も曇ってはいないようだ‥‥)
「シウラァン、実は私はまだこの鞄を改めていないのだ。互いに何を持っているかを、ここで確認するというのはどうだろう?」
「(何が狙いだ)!‥‥いや‥‥(断るのは怪しいよな)‥‥わかった。やろう‥‥」
「うむ、それではさっそく。」
(ここは年長者が先導せねばな。)

 小狼が自分を警戒していることに気づかず、キャスターは話を進める。
 小狼もキャスターの言っていること事態はおかしいと言えるようなものはなく、従うしかない。

(落ち着け‥‥怪しいけど、怪しいけどいい人かも‥‥)
(リュウノスケ、あなたも巻き込まれているかもしれませんね‥‥確認する手がないのがつらい‥‥)

 全く心が噛み合わないまま、二人は手近な廃屋に入り支給品を確認し始めた。


 と、その時だ。

 小狼とキャスターはほぼ同時にあるアイテムを手に取った。見覚えのないそれに、思わず互いに顔を見合わせる。

「あの、これって‥‥」
「シウラァン、一ついいかね?」
「「この板はなんだ?」」

 同時に取り出したタブレット。
 それについての疑問が、二人が初めて心を通じさせたものだった。



【I3/廃村/1日/深夜】

【李小狼@カードキャプターさくら】
[状態]:キャスターへの生理的な嫌悪と無自覚な怯え、強いストレス。
[服装]:制服。
[装備]:なし。
[道具]:デイパック一式(内ランダム支給品の一つは拡声器)
[思考]
基本:この男(キャスター)は信用できない‥‥
1:どうしてこんなことに‥‥
2:出来ればキャスターと離れたい。
[備考]
●出展時期は少なくとも四年生の頃よりあとです。
●キャスターとの接触が心理的な悪影響をもたらしています。
●キャスターの名前を『青髭』で認識しています。
●タブレットがなんなのかがわかりません。
●最初の放送を聞き逃しました。

【キャスター@fate/zero】
[状態]:魔力パスなし
[服装]:いつものアレ
[装備]:なし
[道具]:デイパック一式
[思考]
基本:まずは状況確認。
1:これ(タブレット)は一体?
2:リュウノスケが巻き込まれていないといいのですが‥‥
3:とりあえず、島の中央へ行きますか。
4:李小狼はとりあえずの同行者たりえると判断。
[備考]
●李小狼の名前をレイ・シウラァンと発音します。
●タブレットがなんなのかがわかりません。

167 ◆qB2O9LoFeA:2015/04/29(水) 01:19:42 ID:qTWNeUvc
投下終了です
キャスターの真名を間違えたこと、ならびに投下の遅延を発生させてしまい申し訳ありませんでした。

168 ◆kdN026sJVA:2015/05/02(土) 13:52:50 ID:Z.vv4No2
仮投下します

169 ◆kdN026sJVA:2015/05/02(土) 13:53:44 ID:Z.vv4No2
「マミさん!」

少女は沈んでいた顔を一気に明るくしてマミに抱き着いた。
豊満な胸に少女の顔が沈み込む。

「まどかちゃん、よかった…」

マミはまどかの頭を一撫ですると、ほぅっと一息をつく。
とにかくもマミは不安であった。
目が覚めればいきなり森の中。
しかも核爆弾が投下されたことを放送され、放射線から身を守る首輪のバッテリーは残り一日分。
冗談としか思えない、夢だと信じたい。
そんな言いようのない焦燥と恐怖、叫びだしてどこかへ飛んでいきたいとさえ思った矢先の邂逅である。
我儘すぎるが、誰かとこの恐怖を共有したかった。
孤独を紛らわせ、忘れたかった。
そしてそれが叶ったとき。
巴マミは鹿目まどかを絶対に守ると、そう誓った。

「もう絶対にマミさんと離れないから! だから…」

自分の心を見透かされたように、それは自分の台詞じゃないかと思うほどに。
まどかの言葉はマミの心を代弁した。
ただ、まどかの目には恐怖ですがる者とはまた違う感情が込められていたのだが、マミにそれに気づく余裕は無かった。
暖かく、やさしく強く抱きしめあっていた二人であったが、不意にまどかの体がぶるっと震えた。

「…あの、マミさん」

前言を撤回することの恥ずかしさか、生理現象を告げる恥ずかしさか。
マミはなんとなく本意を察してまどかを解放した。

「あぁ、うん、ほっとしたからね」
「あ、はははは…すぐ戻りますから!」

言ってまどかは森の茂みの中へと駆けていった。
夜の森にまた一人取り残されたマミではあったが、先ほどまでとは全く違う安定感を持っていた。
だから多少待たされていても立ち続けられていた。
だからどれだけ時間が経っていたのか分かっていなかった。
やがて茂みが動く。
待ち人来る。
そう思って振り返ったマミが観たのは山のように大きな男の姿であった。

170 ◆kdN026sJVA:2015/05/02(土) 13:55:21 ID:Z.vv4No2
「やぁお嬢さん。 俺の名前はラバーソール。 あなたは?」

茂みから出てきたのは、オールバックのやや残念なハンサム顔の男である。
自信たっぷりに表情豊かに聞いてくるフレンドリーさはナンパでもしてるかのようだ。
異様なのはその身長。 ヒグマかと思うが程のデカさ。 パースが狂ってるとしか言いようがない。

「わたしは巴マミ。 …まどかさんを、女の子を見かけませんでしたか?」

マミは突然、大男がやってきた方向へと駆けて行った少女の消息が急に気になってきた。
いやな予感がする。
安心したからと言って目を離すべきではなかった。
そればかりではなくそっぽを向いて安心感に浸っている場合ではなかった。
焦燥はある意味で裏切られなかった。

「まどかさん? 鹿目まどかさん! 見滝原中学校二年生の14歳! 四人家族の長女で美樹さやかが友人の鹿目まどかさんですね?!」

すらすらと、マミでもあまり知らないパーソナルデータが語られる。

「なぜそれを?!」
「学生手帳ってなこと細かくデータが書かれてるもんだなぁ〜?
 こんなもん詳細に書き込んだところで、誘拐犯に情報を与えるだけだって分からんのかねぇ? んん? 」

そういって取り出したピンク色の手帳をぺらぺらとめくる。

「ほら見ろよ、こんなに写真がたくさん貼られてるぜ〜? 交友関係丸わかりだよなぁ〜? 便利でたまらねぇぜ〜!
 んん〜だけどお前の顔は見当たらんなぁ〜?! あんたお友達じゃなかったのかい?」

もはや取り繕うしぐささえ見せずに男は手帳を読み上げ続ける。
マミの冷静さは脆くも崩れ去った。

「まどかさんをどうしたの?!」
「あぁ〜間抜けにも一人で目の前に現れたからよぉ〜? 食っちまったよ。 頭からな」

銃声が鳴り響いた。 大男の顔に一発。 瞬時の抜き打ちである。
だが男は崩れ落ちない。 悠然と立ち尽くしたまま。
マスケットを構えるマミに驚愕の表情が浮かぶ。

「危ねぇなぁ〜!? 死んだらどうするんだよ、巴先輩よぉ〜!」

顔の下半分を失いながらもマミを見つめる視線は外さない。
いや、ダメージを受けたように見えない。

171 ◆kdN026sJVA:2015/05/02(土) 13:57:10 ID:Z.vv4No2
一発、二発、三発。
ならばと続けざまに発砲。
男の体はその都度波打つが、身体が大きく弾けるが、倒れない。

「効かないんだよ、スカタンがぁ〜! 俺のスタンド、イエローテンパランスはすべての衝撃を無効にする!
 お前の攻撃なんて、赤ん坊の屁のように無力なんだよぉ〜〜! 」
「なら!」

マミの手から放たれたリボンが大男の崩れ去りつつある身体を縛り付ける。

「動きを止めて数を撃つ!」

無数のマスケット銃がマミの周囲に浮かび、その全てが火を噴く!
しかし硝煙の晴れた先に見えたのは、ややスケールが縮んだ男の姿であった。 縮んだと言っても180はある。

「だから効かねぇっていってんだろうが、糞ガキがぁ!」
「それがあなたの本当の体ね?」
「だからどうした! お前の攻撃はすべて受け切った! 今度は…」
「ティロ・フィナーレ」

呟くように宣言したマミの正面に巨大なマスケットが出現する。
口径はマミの頭を超える。
直撃した際の威力に関しては言うまでもない。

「痛っ!」

唐突にか細い悲鳴が上がる。
ラバーソールのものでも、マミのものでもない。
少女の声。


「あーぁ、あんなメクラに打ちまくるもんだから、あたっちまったじゃねぇか…鹿目まどかちゃんによぉ〜?」

ラバーソールがニヤリと笑うと、体を覆う肉の塊、スタンド・イエローテンパランスからもろりと少女の体が抜け出る。
まどかである。

172 ◆kdN026sJVA:2015/05/02(土) 13:58:58 ID:Z.vv4No2
「そのまま撃ってみろ! 鹿目まどかも死ぬことになるぜ? えぇ? 巴先輩?」

まどかを前に押し出し、男のハンサムな顔が凶悪にゆがむ。
躊躇するマミを見たのか、それとも咄嗟に叫んだのか。

「マミさん! 私のことはいいから! わたしのことはいいから撃って!」

その一言がマミを縛り付けた。 
…そんなことは出来ない。

「こんな事言ってるぜぇ? 巴先輩よぉ〜。 なんなら逃げてもいいんだぜ?(そうしたら俺は詰むけどな!)」

そうである。
ラバーソールは防御力こそ堅牢であるものの、スピード、攻撃力においてあまり得意ではない。
全力で逃げられたら追い付けない。
もし承太郎などに泣きつかれたら迎撃されるだろう。
タイマンなら負ける気はしないが、仲間を引き連れられたら確実にとは言えない。
いや、むしろ圧倒的に不利!
ゆえにここで決着をつけたいのだ。
ゆえにここで巴マミを殺しておきたいのだ。
24時間の命の担保である首輪と、食料を奪うためにも。

ラバーソールは金で雇われた男である。
こんなところに連れ出されて命の危険性に立たされて、しかも一銭にもならないとかやってられないのだ。
一刻も早くここから出て行きたい。 しかしそれには時間が必要だ。
その猶予がもたらされる首輪はぜひとも数を抑えておきたい。
なるべく早い段階で、大量に。
だから目の前にまどかが飛び込んできたのは僥倖であった。
捕まえたときに視線がある一点を見つめたのはラッキーだった。
その先に仲間がいると直感できたから。
しかしこんな体力を浪費する相手だったとはアンラッキーだ。
だからここで始末する。
確実にッ!

そして…マミは銃を降ろした。
マミはまどかを犠牲にするなんてできなかった。
一人に戻るなんて耐えられなかった。
得たものを失うなんて考えられなかった。
それが決定的な損失を意味するとしても。
出来なかった。

「マミさん!」

まどかが叫ぶ。 まただ。
また止められない。 また目の前で死んでしまう。

「よく決断できたな、巴マミ。 よく出来ましたと褒めてやるよ」

ズカズカとまどかを抱えながら歩を進める。
そしてゼロ距離。
荒い鼻息をぶつけながら宣告する。

「そして、死ね」

マミの頭からスタンド・イエローテンパランスが襲い掛かる。
マミは観念したかのように目を閉じ。
そしてその顔は身体から失われた。

173 ◆kdN026sJVA:2015/05/02(土) 14:06:55 ID:Z.vv4No2
ラバーソールは高笑いを挙げる。
まどかはマミの名を絶叫する。
駆け寄ろうとするまどかをラバーソールは苦も無く引き止めた。

「おまえにはまだまだ働いてもらわないとなぁ? この美樹さやかっての、お前の友達だろ?」
「さやかちゃんも?!」

ラバーソールの言葉にまどかは振り返る。
それに当然の答えを浴びせようとした、にやにやしたハンサム顔を、ラバーソールは一瞬にして引きつらせる。
ラバーソールの異変にまどかもその視線の先に振り向く。

そこには首を失ったマミの姿。
倒れていない。
立ち上がった姿がそこにあった。
ゆっくりと腕を上げ、ずるずると足を引きずりながら前に。
ラバーソールの居る所へ歩いていく。

「ば、化け物がぁ!」

余裕なんて吹き飛んだ。
ラバーソールは四方八方からスタンドでマミの体を包む。
イエローテンパランスは包み込んだ対象を消化・吸収するっ!
そっくりそのままスタンドに包まれたマミの体くらいならあっという間に消化できるはずである。
だが、出来ない。

黒い光が上がり、イエローテンパランスの消化能力に並ぶ再生能力で、マミの体は復元していく。
いや、完全な復元ではない。
マミの体が復元するたび、異様な肉の塊に変換されていく。
とにかくも再生に全力を傾けているのだ。
ゆえに元の形など形成することなど後回しなのだ。

(まどかちゃんだけは守る!)

そんなマミの意思だけが、マミの体を突き動かしていた。
ソウルジェムの限界などとうに過ぎている。
ただまどかを守りたいがために、少女は限界を超え、人としての姿を捨てた。

174 ◆kdN026sJVA:2015/05/02(土) 14:12:53 ID:Z.vv4No2
ソウルジェムが高速で黒く鈍る。
彼女の体を包む光も、神聖さからは遠く離れたおぞましい瘴気にも見える。
光と同様、彼女の体自体も人間とは遠く離れた姿。
そう、それはもう魔物。
そこまでしても闘い続けるマミの姿に、まどかは叫ぶしかなかった。

「もうやめて、マミさん!もう、やめて…」

止めなくてはいけないのに、またここで死なせるわけにはいかないのに。無力な自分を悔いていたのに。
涙でもう、それ以上言葉を続けることは出来なかった。

一瞬、それをみたマミであったものは優しい表情を浮かべたように見えた。
顔などとうの昔に無くなったのに。
そして最後の抵抗を始める。再生能力はついにラバーソールのそれを超えた。
あとは膨張すれば勝てる。
それはラバーソールにも理解できた。

「糞がぁ!」

なんの意味もない言葉を上げるしか出来ない。
この先の絶望は彼にすら予想できた。

だが、天使が現れた。

175 ◆kdN026sJVA:2015/05/02(土) 14:17:02 ID:Z.vv4No2
光の塊。
そうとしか言えない輝度。
しかしまどかもラバーソールもそれを天使としか見えなかった。
そして、おそらくはマミであったものにしかその本質はつかめぬであろう。
それはまどかであった。

アルティメットまどか。
魔女を救済するもの。

アルティメットまどかはマミの体をやさしく抱きしめる。
もういいんだよ、と。
もう闘わなくてもいいんだよと。

それで、マミは止まれた。
魔女にならずに済んだ。
そのまま命を果てることができた。
少女のままの魂で。

真夜中の森の中に星が現れたかのような光の柱が浮かび。
そして消えた。

176 ◆kdN026sJVA:2015/05/02(土) 14:29:59 ID:Z.vv4No2
光が収まった時、そこにはラバーソールとまどかしかいなかった。
マミであったものもマミもそこにはいない。
まるで存在自体が抹消されたかのように。
いや、確かにそこにいたことも激闘を繰り広げていたことも記憶にある。
マミだけがそっくりそのまま消え去ったのだ。

数瞬、呆気にとられていたラバーソールではあったが、そこに落ちている首輪…おそらくはマミが身に着けていたものであろう…を
同じく呆然としているまどかに放ってよこした。

「おまえのものだ。 とっておけ」
「え…?」

それ以上何も言わず、ラバーソールはへたれこんでいるまどかの腕を取って強引に立たせた。
そのまま歩を進める。
あまりに目立ちすぎたからだ。
光の柱など浮かび上がったのだ。 だれかが襲撃してくる危険性がある。
少なくとも自分なら襲うだろう。
その前に場所を移動しなくてはならない。
首輪を渡したのは…おそらくは毒気を抜かれたためだろう、と彼は思いこんだ。

まどかも、振り返ってマミが居た場所を見つめると「ごめんね」とつぶやくのみで、もう二度と振り返らなかった。


【F6/森/1日/深夜】

【鹿目まどか@まどかマギカ】
[状態]:健康
[服装]:制服。
[装備]:なし。
[道具]:デイパック一式、巴マミの首輪
[思考]
基本:生きる
1:マミの分まで生きる
2:とりあえずはラバーソールの言う事を聞く
[備考]
●四話以降からの参戦

【ラバーソール@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:健康(軽い疲労感)
[服装]:スタンド一丁
[装備]:なし
[道具]:デイパック一式、食料・水二日分
[思考]
基本:脱出
1:美樹さやか等を始末し首輪を回収する
2:まどかはエサなので生かして連れまわし利用する
3:出来れば承太郎を倒したいが優先順位はかなり低い

177 ◆kdN026sJVA:2015/05/02(土) 14:36:07 ID:Z.vv4No2
さて、アルティメットまどかが降臨したということは魔法少女が救済されるという事である。
しかし修正力がそれをさせない。
これ以降の干渉は許さない。
つまりこれ以降、魔法少女がソウルジェムを曇らせても魔女になる事を回避できないという事である。

それはこの一瞬において魔女であった存在が救済されるという事でもある。
この島におけるただ一人の魔女、シャルロッテ。
彼女も救済の対象である。
救済されると魔女になった事実が因果律の根底から開放される。
ゆえに魔女であったものが居たということ自体が消去される。

しかし修正力がそれをさせない。
そうしてシャルロッテの存在はそのままに、しかし救済は実行された。

そう
魔法少女シャルロッテの顕現である。

【??/??/1日/深夜】

【シャルロッテ@まどかマギカ】
[状態]:呆然。 魔法少女形態。
[服装]:
[装備]:不明。首輪も着用している。
[道具]:デイパック一式
[思考]:???

178 ◆kdN026sJVA:2015/05/02(土) 14:37:11 ID:Z.vv4No2
仮投下終了します。

シャルロッテの処遇について、不安になったのもあり
仮投下とさせていただきました

179名無しさん:2015/05/02(土) 14:39:56 ID:mmjdpLb2
投下乙です。
マミさんのまどかの呼び方は「鹿目さん」だったかと。

魔法少女シャルロッテ…ってことは劇場版のなぎさなのかな…?

180名無しさん:2015/05/02(土) 15:39:04 ID:mmjdpLb2
あえて問題になりそうなところを探すと、女神まどかはマミさん浄化されたところをみると初めから法則として存在していたようなので、
シャルロッテはマミさんが浄化された瞬間でなく、ロワに放り込まれた時点で魔法少女に戻ってた、ということにしといたほうがいいのかもしれません。
途中からもう浄化されなくなるのは、修正力さんが数回の干渉により免疫的ができたとかアプデしたとかでなんとなりそう。
契約前のまどか(変身してないし多分契約前だと思う)と契約後のまどかが同時にいることについては、参戦時期だの概念のあるパロロワではよくあることなのであんま問題にするほどではないと思います。

181名無しさん:2015/05/02(土) 16:11:26 ID:mmjdpLb2
あとパロロワのルール的にバトロワ関係者(主催、参加者、ジョーカー、意思持ち支給品、外部勢力など)以外のキャラを気軽に登場させていいのかという問題もあるかも
多次元に存在するまど神なら艦これとよく似た世界のパロロワ世界の魔女も消し去れる可能性もギリギリあるかもしれませんが
バトロワで死んだ太公望@フジリュー封神の魂も封神台に基本飛ばないように普通に死ぬべきなのかも

182名無しさん:2015/05/02(土) 16:16:24 ID:mmjdpLb2
長々書きましたが多数のクロスオーバーではやっぱり矛盾とかいろいろ出てくると思うのでギリギリありえそうならセーフでいいのかもしれません
連レス失礼しました

183 ◆Sumbb1w5Ew:2015/05/03(日) 00:29:49 ID:CIZe.FUI
投下します

184 ◆Sumbb1w5Ew:2015/05/03(日) 00:30:43 ID:CIZe.FUI
怒りと孤独#リベリオンズ


「殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す……。」

静かに呪詛のように繰り返されるその言葉には、殺意と苛立ちが渦巻いている。
平和島静雄は先程まで自身を拘留していた球体の傍らで、
鬼の形相を浮かべながら、タブレットを操作していた。

「訳わかんねえとこ連れてきて、核だ、首輪だ突拍子もねえ事ゴチャゴチャ抜かしやがって!
 しかも俺だけじゃなく、セルティまで巻き込みやがって……。
 どこの阿呆か知らねえが、この落とし前はきっちりとつけてもらうからなぁああーーー!」

獣のような雄叫びを上げて、金属の球体を蹴り飛ばす。
人一人を納めるには十分すぎるほどの容積を持ち、
相応の重量を持つ金属球体ではあったが、
彼にとってはサッカーボールも同然の存在である。
激しい衝突音とともに、蹴り上げられた球体はロケットのように吹き飛び、
ロングシュートは夜空の闇の中へと吸い込まれていく。

- 歩く『暴力』
- 池袋で最も「喧嘩を売ってはいけない男」
- 自動喧嘩人形
- 怪物
- 最強


平和島静雄を揶揄する言葉はどれも破壊的かつ物騒なものばかりであるが、
静雄本人は、周囲からの第一印象とは異なり、
争いとは無縁な平穏な生活を望んでいる。

だからこそ彼は怒っている。
自分が置かれている圧倒的理不尽な状況に対して。
その理不尽な状況に数少ない友人であるセルティが巻き込まれていることに対して。
そして・・・。

「つまりこれはアレだろ?自分が生き残るために、この名簿に載ってる他の参加者の首輪を奪えって事だろう。
 舐めやがって!誰が手前らの思惑通りに動くかよぉ!」

自身への生存への必須アイテムである首輪を奪い合えと、遠回しに示唆する第三者の存在。
その悪意に対して反逆を宣言する。

タブレットの情報によると、現在自分のいるG7エリアは核爆発の対象外ということがわかった。
また、名簿にはセルティの他にも見知った名前が二つあった。

・園原杏里 - 確か新羅のとこにいた眼鏡を掛けた女の子だっけか……?
・折原臨也 - …………とりあえず見つけたら、殺しとくか。

185 ◆Sumbb1w5Ew:2015/05/03(日) 00:31:44 ID:CIZe.FUI
「何にせよ、まずはこのエリアでセルティの奴を探すか。」

とりあえずの行動方針を口にしたその瞬間、

♪♪♪〜♪♪♪〜

軽快な音と共に、自分が手にするタブレットが突然発光した。
目を丸くし、タブレットにタッチすると、
TOP画面に先程までは存在していなかった
新しいアイコンが表示されていた。

「何だこりゃ・・・メールか・・・?」

アイコンをクリックすると、「New」というポップアップとともに
1件のメッセージが表示された。


----------------------------------
Title: No Tilte

突然のメールごめんなさい!

私、高坂穂乃果って言います。
音ノ木坂学院の2年生で、スクールアイドルをやっています。

今私はG-7の学校に一人でいます。
説明書によると、このメッセージは同じエリアにいる人、
皆に届くみたいです。

私の友達がこのメッセージを見ていると期待して、
メッセージを送ります。

海未ちゃん!、絵里ちゃん!、にこちゃん!、希ちゃん!
もしこのメッセージを見ていたら、学校まで来て!
穂乃果は学校にいるよ!

何だかよくわかんないことに巻き込まれちゃったみたいだけど、
皆で、皆で…一緒に帰ろう!

------------------------------------


「学校か……。」

スクールアイドルという単語は聞き慣れないが、
どうやら女子学生が学校に一人でいるらしい。

内容から察するにこのメールは身内に宛てたもののようなので、
赤の他人である自分が学校に行く義理はどこにもない。

しかし、セルティなら…。
世話好きな彼女なら、このメールを受信したら、
発信者を保護しに学校に向かう可能性は大いに考えられる。

それに、首輪の強奪を考えているどこぞの馬鹿がメッセージを見て、
この発信者を襲撃する可能性もある。
そう考えると、放置するにはばつが悪い。

「行ってみるか…。」

バーテンダーは進行方向を学校へと定め、その歩を進める。

【G-7/ 南端 / 1日目/ 深夜】
【平和島静雄@デュラララ!!】
[状態]: 健康、
[服装]: いつものバーテン服、いつものサングラス
[装備]:
[道具]: 支給品一式、不明支給品 X 2
[思考]
基本: この島に拉致してきた犯人を見つけてぶっ殺す!
1: 学校に向かう。
2: セルティを探す。
3: ノミ蟲野郎(臨也)はぶっ殺す!

[備考] 参戦時期はアニメ1期終了後からとなります。

186 ◆Sumbb1w5Ew:2015/05/03(日) 00:32:30 ID:CIZe.FUI
--- 同時刻 G7 学校3階教室 


「これで…送れたのかな?」

薄暗い教室の中、椅子に座りながら高坂穂乃果は発光するタブレットを見つめる。
その机の上には説明書とUSBメモリが置いてある。
このUSBメモリは彼女の支給品の一つである。
USBメモリに同梱されている説明書には以下の内容が記載されていた。

・メール送信ソフト利用方法
- このソフトウェアは同梱のUSBメモリをタブレットの端子に接続することで、
 自動的にインストールされます。
- インストールされた当該ソフトを利用することで、利用者と同じエリア内にいる
 全ての参加者にメッセージを送信することが出来ます。
- メッセージは3時間に1回しか送信できません。

・メール閲覧ソフトについて
- メールの閲覧ソフトに関しては、予めタブレットにインストールされていますが、
 通常はTOP画面でソフトを確認することは出来ません。メッセージを受信することで
 TOP画面に表示される仕様となっております。
- メッセージの受信者は、メールに返信することは出来ません。

「はぁ〜………どうしてこんなことになっちゃったんだろう………。」

大きく溜め息をつき、机にうつ伏せる。


「絵里ちゃん…。
 にこちゃん…。
 希ちゃん…。
 海未ちゃん…。
 誰か来て…淋しいよぉ…。」


【G-7/ 学校3階教室 / 1日目/ 深夜】
【高坂穂乃果@ラブライブ!】
[状態]: 健康
[服装]: 音ノ木坂学院制服
[装備]:
[道具]: 支給品一式、USBメモリ(メール送信ソフト)、不明支給品 X 1(本人確認済み)
[思考]
基本: μ'sのメンバーと合流して島から脱出する。
1: 怖い…淋しい…。
2: 学校でμ'sのメンバーを待つ。
[備考] 参戦時期はアニメ第2期、ラブライブ予選の直前からとなります。

※ 穂乃果のメッセージはG7にいる全ての参加者のタブレットに送信されました。

187 ◆Sumbb1w5Ew:2015/05/03(日) 00:33:10 ID:CIZe.FUI
投下完了です

188 ◆JdI4UF1wGo:2015/05/03(日) 00:55:18 ID:CIZe.FUI
誤ってタイトルとトリを本文に含めてしまったので、トリを変えます。

189 ◆/BLqsN1tl6:2015/05/03(日) 02:55:41 ID:PMn7M0aY
投下します。タイトルは「蘇生率Zero」です。

190 ◆/BLqsN1tl6:2015/05/03(日) 02:56:14 ID:PMn7M0aY
 衛宮切嗣は身近な岩陰に隠れながら情報の分析をしていた。
 己の限界を知り、出来ることと出来ないことを知っていれば戦いの中では強いアドバンテージとなる。

(体に異常はない。疲労もない。筋力も……)
 太い枯れ枝に力を入れる。すると、少ししなった後、音を立てて折れる。
(大丈夫だ。次は魔力)
 体に魔力を巡らせる。

(……やや、巡りが悪い。何かされたか? いや、この環境によるものか)

(原因は何にせよ、魔術に頼った戦いは今は避けるべきだ。武器を手に入れる必要がある)

 戦闘準備は急がねばならない。2350がセンターの入り口が開放される時間。そして2400が首輪のエネルギーが切れる時間。
 その間わずか10分。何かしらの不具合で首輪のエネルギーチャージ量が少なかったり、エネルギーの消費スピードが早まったら、そのわずか10分の振れ幅からこぼれ落ちてしまう。
 そうなると人間はどう考えるか? それは他人の物を奪おうとする。
 極限状態となったとき、1人では使い切ることの出来ない量の食料、武器、弾薬を頑なに得ようとする人間は沢山見てきた。
 
 今回もそんな奴は必ず出現する。
 
 ならば自衛の……時には他者から奪うための武器が必要だ。

 武器、手に入れる可能性はここにある。デイバッグだ。
(良い物が入っていてくれ)
 切嗣はささやかな願いを込めてデイバッグを開けた。

 まず最初に手にとったのは3枚のカードだった。
 サイズ的にはタロットカードに近い。
(っ! 1枚1枚に魔力が込められている。それも生半可な量ではない)

 魔術師の切嗣はすぐにカードの価値を理解する。
 これは並の魔術師では一生を掛けてもつくり上げることの出来ない生きたカードだ。

(キャスターの宝具か? いや、これほどのものを作れる英霊は記憶に無い。誰だ……?)

 数秒悩み、考えを放棄した。どうあれ、このカードの所有権は今、切嗣にある。

(魔力はあまり使いたくないところに魔具か……)

 わがままは言ってられない。切嗣は使い方の把握を行う。
 カードの絵柄を読み精霊召喚魔法とすぐに当たりが付いた。

(「THE WATERY」、水の精霊か)

 島という環境下では海岸にたどり着けばすぐに水を得ることが出来る。活用する場面は多そうだ。

 そこまで確認した時、切嗣の耳に鈍い打撃音が届いた。

(――近い、崖の方だ)
 切嗣はカードを胸の内ポケットにしまうと、音の方へ向かった。

               〆

191 ◆/BLqsN1tl6:2015/05/03(日) 02:57:48 ID:PMn7M0aY
 切嗣が到着したと同時に勢い良く水柱が上がった。

(誰かが落ちたのか?)

 近くの岩肌には大量の血痕が付着している。
 おおよそ人一人が破裂した分の量だった。

(投身自殺か……? いや、待て)

 泡立った海が波で透明度を取り戻す。
 2人の女性の姿が目にはいってきた。

 1人は岩肌の血の持ち主だろう。頭部と腕部、背部が潰れ、大量の血を海に流している。
 だが、もう一人は目立った外傷は見られなかった。ただブクブクと海底へと誘われている。

(転落だ。恐らく1人がもう一人をかばって落ちたんだ)
 異様なまでの損傷の偏りはその証拠だ。

(まだ助かるかもしれない)

「来い、ウォーティ!」

 切嗣は胸の内ポケットからカードを取り出すと魔力を込めてそれを掲げた。
 風が巻き起こり、ウォーティが実体化する。

 青い透明感のある人魚、それがウォーティの姿だった。

「ウォーティ、あの子を引き上げろ」

 ウォーティは頷くと手を前に掲げた。同時に少女の体が海面ごと持ち上がり、海岸へと運ばれた。

 すぐに切嗣は少女の脈を取る。
(――心肺停止。水を多く飲んでいる。呼吸が止まって既に5分は経っているだろう……くそっ!)

192 ◆/BLqsN1tl6:2015/05/03(日) 02:58:29 ID:PMn7M0aY
 呼吸が停止して3分で蘇生率は75%まで減少し、8分経過すると0%へ限りなく近くなる。
 切嗣は心臓マッサージを開始した。

(くそっ! 生き返れ!)

 切嗣の努力も虚しく、時計は吹雪が呼吸を止めてから8分を経過した。

               〆

 切嗣は手を合わせ、精一杯の追悼を行っていた。
 赤の他人であったが、目の前で少女の命が失われる。それが切嗣の大切なところに痛みを走らせる。

(――行こう)

 何が何でも聖杯を手に入れてこのような悲しいことが起こらない世界を作るために……
 最後にもう一度顔を見ておこう。そう思って振り返った時、少女の持っていた四角い箱がわずかに動いたことに気がつく。

(何だ?)

 胸の内ポケットからウォーティのカードを取り出し、身構える。
 箱が内部から小窓が開かれ何やら白いモノがもそもそと出てきた。

(――妖精!?)

 体長わずか10cm足らずの2頭身の人だった。
 妖精は吹雪を悲しげに見つめている。

「お前のご主人は死んでしまった。すまない……」
 切嗣は謝ることしか出来なかった。
 すると妖精は首をブンブンとふった。どうやら許してくれるらしい。
 それどころかお辞儀をした。吹雪を助けようとしてくれたことに感謝しているようだ。

「だが、結果的に僕は彼女を助けることが出来なかった。そして、彼女の体を君たちの家に連れて行くことも出来ない。まだ戦いは続く」

 妖精は頷いた。妖精も現状を理解しているのだろう。

 妖精は覚悟を決めたかのように大きく頷くと、彼女の背後に着けられている装置を外した。
 そして、それを指さして切嗣に目で訴える。

「……それを僕に使えってことかい?」

 妖精は頷いた。

               〆

193 ◆/BLqsN1tl6:2015/05/03(日) 02:59:23 ID:PMn7M0aY

 妖精が入っていた箱をよく見るとこれは戦闘艦が搭載する砲によく似ている。
 足に付けられたヒレみたいなものも船の舵だ。
 太ももに着けられている箱なんて魚雷が見えている。
 間違いない、この子は船を模した兵器を身につけている。
 妖精曰くこれで海を滑ることが出来るらしい。半信半疑だった。

 切嗣は自分の体のサイズに合わせるべく、戦闘艦を模した兵器”艤装”の改造に着手する。
 少女の装備だけでは自分の体に合わせることは難しかったが、少女が持っていたデイバッグに似たようなものがもう一つあった。
 恐らくこの子をかばった女性のものだろう。

 工具はやたらと精巧なドライバーやニッパーが入った工具箱が支給されていたため、それを使った。

 作業は程なくして完了する。
 大型艤装の中の妖精たちが手伝ってくれたおかげだ。

 完成品のボイラーを腰に装着し、ストックと照準器を着けた12.7サンチ連装砲を右手に持つ。
 長い脚の腿の部分には鈍く輝く3連装魚雷があり、革と金属が混在するゴテゴテとした靴をはく。
 1基の2門の35.6サンチ連装砲の砲身が左肩から覗いている。

 これを動かすのは重油(燃料)と魔力のハイブリッドだ。

――魔導戦艦 切嗣。抜錨!

194 ◆/BLqsN1tl6:2015/05/03(日) 03:00:43 ID:PMn7M0aY

【I-2/ 崖下 / 1日目/ 深夜】
【衛宮切嗣@Fate/Zero】
[状態]: 健康、魔力消費(微)
[服装]: 魔導戦艦切嗣
[装備]: 吹雪&金剛近代化改修艤装、クロウカード(ウォーティ)
[道具]: 支給品一式 X3、不明支給品(1〜7)、クロウカード X2
[思考]
基本: 正義の味方
1: 己の力を把握する。
2: 情報収集を行う。

※クロウカード残り2枚は不明です。
※吹雪&金剛の艤装を無理やり改造し、切嗣に合わせました。
 よって本来のスペックを出すのは難しく、魔力で補っています。
 兵装は金剛主砲1基(背部)、吹雪主砲1基[ストック+照準器](右腕)
 3連装魚雷発射管 X2(脚部)です。

195 ◆/BLqsN1tl6:2015/05/03(日) 03:01:18 ID:PMn7M0aY
以上です。

196 ◆/BLqsN1tl6:2015/05/03(日) 03:04:15 ID:PMn7M0aY
忘れていました。
道具に「両津勘吉のプラモ作成工具」を追加します。

197名無しさん:2015/05/03(日) 16:59:15 ID:b8baXV.s
投下乙です
吹雪達が死んだのが黎明だから時間設定が矛盾してますよ

198 ◆YD4qd4xJMs:2015/05/03(日) 18:07:06 ID:t1lAL0eI
仮投下します。タイトルは「魔術師とスクールアイドルの夜」です

199魔術師とスクールアイドルの夜 ◆YD4qd4xJMs:2015/05/03(日) 18:08:36 ID:t1lAL0eI


夜の森が平気な人間は、あまりいないだろう。
あの通信の内容が確かならば、ここは放射能によって生物が全て死に絶えている静寂の森。
時折吹く風によって、葉の擦れる音がするだけで、後は自分が踏みしめる足音だけ。
彼女、園田海未は暗い森の中を一人歩いていた。

(こ、怖すぎます)

自分の記憶が確かならば、いつもと同じようにμ'sの仲間達との練習を終えて帰宅し、
パジャマに着替えて、眠ったはずである。
それが気づけば、狭い球の中に入れられ、放射性物質に汚染されたという島にいるのだ。
おまけに、一定時間ごとに核爆弾が起爆するとのこと。
古典的に海未は頬をつねり、夢かどうか確かめてみたが………痛かった。
首に付けられている首輪の存在もあり、紛れもない現実であることに絶望した。

ゆっくりと足元や周りを探りながら海未は歩いていく。
さて、何故彼女は夜の森を歩いているのか?
彼女は実のところ、日が昇ってから、
通信にあった島の中心にあると言う防災センターに向かうつもりであった。
放送を聞いた限り、24時間で首輪の機能は失われるらしい。
助かるには、センターで放射能から身を守らなくてはならない。そう、海未は考えていた。

(ですが、あそこで火を起こしているのは誰でしょうか?)

つい先ほど、自分のバックの中身を確認し終わり、何気なく森の様子を体操座りで見ていた。
すると、凡そ五百メートルほど先だろうか。
木々の間で火が揺らいでいるような灯りが見えたのだ。
確認した名簿の中には、穂乃果を始めとしたμ'sの仲間達の名前もある。
もし、あそこで灯りをともしている人物が穂乃果達なら………
そんな期待をしつつ、海未は夜の森をゆっくりと歩いて近づいているのだ。

「きゃっ!」

近くの木から何かが飛びだした。
慌てて、その場で海未はしゃがみこむ。
ホゥーホゥーと、鳴きながら灯りの方へと飛んでいく何か…どうやらフクロウのようだ。
安心してから、彼女の目にうっすら涙が浮かぶ。
だが、同時に海未はある違和感に気づく。
なぜ、今のフクロウは放射能の影響を受けて動くことができたのか?
恐る恐る顔を上げてみる。
当然、フクロウは飛びさったあとで、目指していた火の灯りが見えるだけ………では、なかった。

「待っていたよ、君もこの島に連れてこられた内の一人だね?」

いつの間に目の前にいたのだろうか。二メートルほど先に赤い目立つスーツを着た男性が立っている。
ハーフだろうか?両目は碧眼だ。
彼が右手に持っていた松明の明かりで、その風貌を確認することができた。

「多分そうですけれど、あの…あなたは?」

海未は立ちあがり、声をかけた。
知らない男性ではあったが、彼の柔らかな頬笑みによって、
警戒心はあまり抱かなかった。

「私は遠坂家五代目当主の遠坂時臣という。君の名前を伺ってもいいだろうか?」
「あ、私の名前は園田海未といいます。その、音ノ木坂学院という高校の2年生です」

仰々しい肩書が付いていることに少々海未は委縮する。
そんな彼女の様子を気にしないで、遠坂時臣は彼女について考察する。

「ふむ、女子高生とは…どうやら私のような人間以外にも、ここには多種多様な参加者がいるようだ」

新たな発見を得た喜びから、時臣は僅かに抑揚を上げつつ語った。

「参加者とは…いったい何のことでしょうか?」
「知りたいかね?まだ私も全ての現状を理解はできていない。が、調べて分かったこともある」

ミステリアスな雰囲気のする時臣の話し方に、海未は次第に引き込まれてゆく。

「できれば、君と情報交換をしたいのだが構わないだろうか?」

時臣は松明を持っていた右手を後ろに向け、奥に見える火のある場所へと、
彼女の視線を誘導しながら問いかけた。どうやら海未が目指していた灯りは、彼の拠点のようであった。

「えっと…遠坂さん、こちらこそよろしくお願いします」

初めて出会えた同じ境遇の人。
ほっと一息ついた表情で、軽くお辞儀をして彼の誘いを了承した。

「ありがとう。園田嬢」
「…普通に海未と呼んで貰って結構ですよ」

200魔術師とスクールアイドルの夜 ◆YD4qd4xJMs:2015/05/03(日) 18:10:20 ID:t1lAL0eI



***


連れられてきた場所は、森の中でも少し開けた空間だった。その空間の中心には焚き火があり、
このような状況でありながらも、海未はキャンプに来ているかのような場違いなことを思った。
地面に倒れていた倒木に座る海未、焚き火を間に挟み彼女の反対側に立つ時臣。
今更だが、海未は一度落ち着いたことで、かなり年上の男性と一対一で対面している状況に緊張する。

(こんなとき、穂乃果なら自分から話しかけられるのでしょうが………)

自分の友人を思いつつも、海未はなかなか自分から時臣に声を掛けることができず、悶々とする。
すると、彼女から見て背を向けていた時臣が振り向き、語りかける。

「さて、まず君は魔術について、どの程度聞いたことがあるだろうか?」
「ま、まじゅつ。ですか?」

正直戸惑った。もしかして遠坂さんなりの場を和ます冗談………では、ないようだ。目が真剣である。
スクールアイドルとして活動していることを除けば、一般的な女子高生である海未は反応に困った。

「ええっと、漫画やアニメに出てくる想像上の技術のことでしょうか?あ、もしくはオカルト的な…」
「いや、もう結構だ…秘匿が正しく為されているとわかっていても、頭が痛い」

時臣は、こめかみに手を当て嘆かわしいと言わんばかりに顔を歪める。
女子高生に聞いておいてこの態度である。その動作に不満げな表情の海未、
ふうっ。と、一息吐いた時臣は改めて彼女へと視線を合わせた。

「海未。これから話すことを理解する為には、まずは私のことを知ってもらう必要がある」

先ほど、森の中で使っていた松明を再び手に時臣は持つ。すでに火は消されていた。
いったい何をするのか?疑問に思う海未。
時臣は目を閉じ、何か呟いた様子であったが、彼女の耳にはなんと言ったのか、聞き取れなかった。

「えっ!?」

そんな彼女の目の前で、一瞬で松明に火が灯った。
松明の火は次第に強まり、時臣の頭を軽く越す。
そして、まるで意思を持った炎のように、時臣の体を回り始める。
時臣が、松明ごと焚き火の方へと向けると、
釣られるように回っていた炎は勢いよく焚き火の中へと飛び込んで行く。
一瞬、焚き火が激しく燃え上がった。

(今のは…火を操った…?)

海未は目の前でおきたことに驚きを隠せない。

「にわかには信じ難いだろうが、今見せたのが魔術のほんの一端。私は魔術師と呼ばれる人間なのだよ」
「魔術師………」

放心状態の海未に、時臣は松明を置き、魔術の説明を始める。
この島へと着いてから時臣は、魔術で強化した方位磁針を使って周辺の警戒をしていた。
凡そ1キロメートル程度にいる生物に反応するようにしたのだ。
だが、自身が得意とする宝石等の、魔術に使える触媒が無い状態の為、
自分の魔術回路と魔術刻印による魔力の精製で、魔術の行使をしなければならなかった。
時臣は数分おきに発動させることで、魔力の消費を抑えつつ周囲の様子を探っていた。

そして、反応があったのが海未であった。
ただ、この時点では、どういった生物であるのか詳細は分からなかったため、
放射能によって死んだフクロウの遺骸を利用して、これを使い魔として海未の下へと放った。
視覚の共有で監視を行い、海未が自分の方へと向かっていることが分かったので、
途中で人目につかなくする結界を張った上で待ち伏せていたのだ。

「ずっと、見られていたのですか…」
「何か不都合なことでもあったかね?」

いや、監視されていい気分のする女性はいないだろうが、
自分の魔術を語り聞かせることに少々熱くなった時臣には、察すことができなかったようだ。

「何でもありません!遠坂さんが魔術師だということは納得しました」
「うむ、海未は理解が早くて助かるよ」


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