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幻想郷縁起小咄 前編
1
:
砕氷@無限念仏
◆xC8BXxNJJo
:2014/07/27(日) 08:21:30 ID:8d5V9R3o
ss1作目前編。要はそんなに面白くないかも。
元ネタに基づき、多少のアレンジを加えた二次創作物です。
見るときは覚悟の上で。
2
:
砕氷@無限念仏
◆xC8BXxNJJo
:2014/07/27(日) 08:38:55 ID:OFymkUpE
(1) 鈴奈庵店主の急用ー小鈴目線
鈴奈庵店主の本居小鈴は、朝からバタバタしていた。
小鈴「なんでこんな日の昼から宴会があるのよ…!暑いじゃない!」
何を隠そう今は夏。暑いのも当然である。
そして今日は阿求に誘われ、博麗神社の宴会へ行くのである。
早いとこ店を閉めて宴会へ行こうーその矢先、客が来た。
小鈴「いらっしゃいませー!」
男「こんにちは。早速この本を売ってほしいのだが。」
この男は常連さんの一人で、ベレー帽を被り、黒ぶちの眼鏡をかけた痩せ形という特徴を持つ。
そして毎日麦酒が並々と入ったジョッキ片手にやって来るのである。
最初は戸惑っていたが、今はすっかり打ち解け、たまに団子を驕ってくれる。
但し、ロリコンではないらしい。
小鈴「東方求聞史紀なんて妖怪図鑑じみたものなのに何に使われるんですか?」
男「まぁ趣味と言えば良いのかな?
じゃあ代金払っとくよ。」
そう言って男は去っていった。
小鈴「ふぅ…。一休みするか…。」
そう言いながら時計を見る。
辰の四の刻。確か宴会は巳の三の刻から…。
小鈴「うわっもうこんな時間!?急がなきゃ!」
そう言って私は猛ダッシュで博麗神社へ駆けて行った。
3
:
大天使ミカエル
:2014/07/27(日) 12:25:12 ID:Dih7JTQk
期待だぜ
掲示板紹介に載せといた方がいいかね?
4
:
砕氷@無限念仏
◆xC8BXxNJJo
:2014/07/27(日) 13:07:59 ID:???
どっちでも良いですよ?
5
:
砕氷@無限念仏
◆xC8BXxNJJo
:2014/07/27(日) 13:54:45 ID:???
(2) 博麗神社に集う妖怪たちー小鈴目線
巳の二の刻。
本居小鈴は漸く博麗神社に到着した。
阿求「あ、漸く来たわね。」
小鈴「ごめん…。遅れちゃった?」
阿求「いいや、そんなに遅れてもいないわよ。」
小鈴「そういえば何で宴会なんかに私を誘ったの?」
阿求「宴会なんかって…。」
阿求は苦い顔をしながら続けた。
阿求「今日は異変起こしたりした妖怪たちを一堂に集めて、昔話をして貰うのよ。」
小鈴「で、それをあんたが本にするって訳ね。営業を縮めてまでここに来たんだから…」
阿求「大丈夫。出来上がった本はあんたの所でしっかりと売ってあげるわ。」
小鈴「へぇ。で、そろそろ始めるの?」
阿求「後は永夜異変の時の月の民2人が揃えば始められるのだけど…。」
その時だ。
霊夢がいきなり私の方に掛け寄って来た。
霊夢「あ、小鈴も来たのね。それじゃぁ参加料でも払って貰うわよ!」
唐突な支払い請求に困り顔の小鈴。
小鈴「え!?そんなの聞いて無いですよ‼」
霊夢「あっれー?阿求にその事も伝えて置いてって言った筈なのになぁ…。」
霊夢の視線に目を逸らす阿求。
霊夢「伝えてなかったみたいね…。なら小鈴の分まで払って貰うわよ!」
阿求「え?私伝えた筈なのに…!」
私はそんな事一声も聞いて無い。
だけど霊夢の矛先は運悪く私に飛んで来てしまった。
霊夢「なら小鈴、忘れたとは言わせないよ?」
小鈴「あんまりだぁ…。」
おのれ阿求…!
その時、扉を開く音がした。
阿求「ようやく2人共来たのかな?」
だが、来たのは全く違う妖怪だった。
6
:
砕氷@無限念仏
◆xC8BXxNJJo
:2014/07/27(日) 20:36:22 ID:8x2Es0jE
(3) 逆襲は一日にしてならずー阿求視点
突然扉を開けて入ってきたのはー。
正邪「負けた恨みに今度こそ逆襲してやる!」
紫「…どうする?」
妖怪の賢者である八雲紫はお茶を飲みながらこの正邪鬼に呆れ顔をした。
藍「まぁこんな所に1人で乱入する馬鹿が悪いですよね。」
幽々子「まぁ突然の来客だけど宴会に入れてあげても良いんじゃない?」
妖夢「ちょっと幽々子様ぁ!それはあんまりでは…!」
やはり冥界の者は賑やかである。
そんな賑やかさとは反面、正邪鬼は不屈な顔をした。
正邪「そんなのは冥界に行っても嫌だね!!
だがもう勝つ準備は出来ているのさ!!」
衣玖「ナ、ナンダッテー!」
流石は空気を読む竜宮の使い。それにしても棒読みである。
さとり「…1ボスから3ボス迄のキャラを強くして今度こそ、ですって。」
やはり地霊殿の主。さとりだけあって、的確に心を読んでくる。
正邪「…ネタバレすんなぁ!それよりっ!
小槌の力でこの幻想郷を支配してやる!」
その直後。
境内は驚きの白さに包まれた。
そしてその中を蝶が飛び交っている。
??「私の事を忘れてもらっちゃ困るねぇ…!」
正邪「…お前は誰だ!?」
とぼけ顔の正邪鬼。だが次の瞬間。
彼女の顔に拳が叩き込まれるっ!
7
:
砕氷@祇園精舎の鐘の音
◆xC8BXxNJJo
:2014/07/28(月) 00:14:36 ID:???
(5) 超絶リンチー阿求視点
顔を途轍もないスピードで殴られた天邪鬼。
そしてその立ち上がりを防ぐかの様に今度は頭突きが入る!
正邪「4・5・6・Exボスは弱くなっている筈…!それなのに何故!?」
勇儀「あー?簡単だ。私が3ボスだからだよ。」
慧音「私も3ボスだし、お前のせいで生徒たちを危険に晒す事は出来ん!」
そういえばこの2人、3ボスらしからぬ強さを元から持ってたなぁ…。
正邪「くそ…!こうなったら!逆符「イビルインザミラー」!」
スペル開始宣言が言い終わった頃には空間がひん曲がり出し、やがては左右対称になっていた。
慧音「…お?中々やるようだな…。国体「三種の神器 郷」!」
勇儀「こう強そうなスぺカを見ると血がウズウズしてくるねぇ…!
四天王奥義「三歩必殺」!」
今度はアリエールの中から赤いクナイ弾が飛び出して来た。
またもや驚くべき白さである。
ものの見事に天邪鬼はぶっとばされ、妖怪の山の方面へ飛んで行った。
魔理沙「おー?綺麗に神奈子の神社の辺りまで飛んでったじゃないか。やれやれだぜ。」
神奈子「まぁあっちには白狼天狗の部隊が幾つもあるし、諏訪子が留守番してる。
まぁ何とかなるだろうな。」
早苗「諏訪子様、お腹大丈夫かなぁ…。ご飯作っておいたけど…。」
あれ?さっき間欠泉の近くで諏訪子を見かけた気がする…気のせいか。
その時。また扉を叩く音がする。
また天邪鬼だったら嫌だな…。と思いつつも戸を開ける。
するとそこには輝夜を引き摺った永琳の姿が。
小鈴「これは…一体?」
永琳「姫様がずっとモンハンやっておられましたから引っ張って来ただけですけど?」
成程良く解らない。そもそもモンハンとは一体何なのだろうか。
その時後ろから声がした。
妹紅「あんな輝夜初めて見た…。これで全員揃った訳だろ?
天狗、司会進行宜しくな。」
文「解りました。はたて、カメラのセットアップは完了した?」
はたて「面倒だったからカメラより高画質の携帯で撮る事にしたよ。」
こんな面倒くさがり屋の天狗、私の歴史の中でも見たことが無い。
恐らく引き籠りなのだろう…。
そんな事を考えている内に司会はどんどん進み、最後に開会のスピーチとなった。
文「それでは紫さん、外の世界から大物を連れて来るって言ってましたのでお願いします!」
紫「ええ、分かったわ。」
そう言って妖怪の賢者はスキマに手を伸ばし…。
8
:
砕氷@祇園精舎の鐘の音
◆xC8BXxNJJo
:2014/07/28(月) 23:28:43 ID:CkJcBQNE
(5) 昔話の始まりを告げー阿求目線
そしてスキマから出てきたのは…。
しがない男性。いかにも残念な顔である。
そんな事を思っていたらもうスピーチは始まろうとしていた。
私は筆に手を延ばす。
すると、今までに聞いたことの無いようなしゃくり声のスピーチが始まった。
??「誰がデー!ダデニ投票シデモ!オンナジャオンナジャオモテー!!」
その瞬間。私は筆を持っていた手を耳に当て、思考を停止させようとした。
レミリア「な、何なの…これ…。」
紅魔館の主も迷惑顔で聞き流そうと必死である。
だがそんな気持ちとは裏腹、スピーチは続く。
??「このにほんンフンフンッハァァァァァァ↑↑↑アァン↑!!!」
だんだん泣きながらのすすり声になって来ている。
ぬえ「こうなったらこいつの声に種を…!」
鵺の手から種が2,3粒程投げられー男の口に付着した。
??「アゥッアゥオゥウア゙ァァァァァァーアァン!!」
あれ?何だか別人の声になってきたみたいだ。
輝姫「こんなイケボ声、聞いてるだけで呆れるわね…。」
…こんな声の事をイケボ声と言うのか。やはり月の民は訳が解らない。
その時、漸く妖怪の賢者は異変に気付いたらしい。
紫「あれ?そういえばスピーチはこんな奴に依頼した記憶は無いのに…。」
そう言いつつ、男はスキマへ送られて行った。
紫「本当は論破の専門家の…誰だっけ。にお願いしたのにね…。」
霊夢「取り敢えずさ、もう開会式は終わった事だし。
酒でも呑みながら昔話を語って貰うわよ!」
聖「あ、私は遠慮しときます。お酒。」
布都「大伴旅人は…」
聖「あなたもあの方と同じ事を申されるのですか…。」
星「まぁ私は毘沙門様から戴いたお酒でも…。」
屠自古「それは良いのか!?」
何やら酒の事で参政者たちは盛り上がっている。不飲儒戒は無いのか…?
会話の些細なことでも書こうかと筆を手に取った矢先、手が上がった。
神奈子「なら私が一番古そうだし一番手は貰っておくよ。」
てんやわんやしている内に話は纏まった様だ。皆は山の神の昔話に耳を傾ける。
神奈子「あれは国作りの直後だったかな…
9
:
砕氷@祇園精舎の鐘の音
◆xC8BXxNJJo
:2014/07/29(火) 10:49:02 ID:???
(6) 諏訪の神の古き叙詩ー神奈子目線
あれは今からどれくらい昔だろうか。
その頃には伊弉諾神と伊弉冉神は既に子を持ち、
名をば天照大御神、月読尊、素戔嗚尊と言った。
その素戔嗚尊の国譲りの少し前だったか、大国主様に仕えていた私は、一人の月読尊の使者に出会った。
その使者は月読尊の親戚なる人物で、その使者の持っていた手紙は私宛の物だった。
使者は手紙を渡すと続けて言った。
「あなたには月の裏側へ移住する神としての権利があります。」
私はその言葉に恐れをなした。一介の神であった私にそんな神々しい事ができっこない、と思ったからだ。
私は神だが神々しい事に慣れていなく、元々は戦いの神だったからである。
使者はさらに続ける。
「あなたには月において、穢れと戦う役目があります。
このいつかは穢れる地に留まるか、それとも穢れに飲み込まれずに優雅に神徳を持つか。
それを今決めて下さい。」
今や天邇岐志国邇岐志天津日高日子番能邇邇芸命のせいでこの地も穢れに飲み込まれそうである。
だが私には覚悟があった。
「私は敢えて地上に残り、穢れと戦いながら神としての最善を尽くす。それだけだ。」
「そうですか。残念です。では御機嫌よう。」
そう言って月読尊の使者は帰って行った。
そして国譲りなどの出来事が終わり、神代遠征も過ぎた頃。
私は幽雅な湖を湛えた土地へ向かっていた。
10
:
砕氷@祇園精舎の鐘の音
◆xC8BXxNJJo
:2014/07/30(水) 11:07:30 ID:???
(7) 神と神の頂上決戦ー神奈子目線
もうその時には私は大和の神々の一人になっていた。
私たち大和の神々は小国を纏めて日の本という国を創ろうと従わない国を征服していた。
その征服の為に今、諏訪の国に来たのだ。挑戦状は送り付けた。
湖の畔に来た時、私を呼び止める声がした。
「お前が大和の八坂神奈子か。私に挑戦状を送り付けた。」
「ああ、そうだ。お前の国を征服するために。」
「お前、字、汚いな。」
「いきなり何だその口応え!名前を名乗らんかい!」
「私は洩矢諏訪子。この諏訪の土着神さ。」
「私は…まぁ挑戦状に書いておいた通り。さぁ、この国を賭けて私と戦え!」
「解ったよ。いいよ。油断しないからね!」
そして、私は諏訪子と戦った。
奇祭「目処梃子乱舞」、土着神「七つの石と七つの木」。
神秘「ヤマトトーラス」、源符「厭い川の翡翠」。
天竜「雨の源泉」、土着神「手長足長さま」。
2人は日が暮れても戦った。
そして3日3晩過ぎ、最後の力を振り絞り、2人は最後のスぺカを詠唱した。
「神符『杉で結ぶ古き縁』!」
「鉄輪『ミシカルリング』!」
彼女が何故あのミジャグチ神を仕わなかったのかは解らない。
彼女は当時の最先端の鉄の輪を力一杯投げた。
私は背中の御柱から杉の葉を出し、受け止めー彼女の鉄の輪は錆び、使い物にならなくなった。
その時、私は勝利を確信した。
11
:
砕氷@祇園精舎の鐘の音
◆xC8BXxNJJo
:2014/07/31(木) 23:29:31 ID:HLTTbgEs
(8) とどのつまりの征服ー神奈子目線
私は戦いが明けた朝、諏訪子と休戦条約を結んだ。
確かに諏訪子の帝国は私が征服した事になっていた。
けれども私は影で大和以外への信仰を許していた。
何故なら私はミシャクジ神の存在を知ったからだ。
許容範囲は狭いが土地の豊作不毛を自在に操れる、そんな土着神の従えた一つの災禍。
諏訪の国の民はその神を恐れながらも信仰していた。その莫大な力に私ですら目を瞑るしかなかった。
その条約を結ぶ時、諏訪子に言われた事が印象に残っている。
「土地の支配は任せたよ。私は表から手を引くけど信仰は私とあんたで分けるもんだからね。
なんたって私達は今日から良きパートナーなんだから。」と。
そう区切って私は話の幕を終えた。
御阿礼の子は内容を真剣に聞いて移していた。
神奈子「まぁ私の昔話はこの位だね。
他の事は大体異変の時に話したからそこは区切っておくよ。」
霊夢「あんたも以外とやる時はやるのね。感服だわ。」
咲夜「それにしても…。文中に出てきた月読命の使者って誰の事かしら。」
私がそれを話そうとした時、本人が口を開いた。
永琳「それ、私の事よ。随分永い時が経ったのに覚えてらしたのなんてね。」
魔理沙「ちょっと待ってくれ。とどのつまり、お前らは旧友って所か?」
…でもそんなに関わりがあったわけでもない。現に二言三言会話しただけだ。
でも私はこの雰囲気に便乗し、酒に手を付けた。
もし八意永琳その人が居なかったらと考えながら。
12
:
砕氷@祇園精舎の鐘の音
◆xC8BXxNJJo
:2014/08/04(月) 11:26:24 ID:???
(9) 幕間の宴会part1−阿求目線
魔理沙「そういえば次の話は永琳のか?」
霊夢「確かに時系列順で言えばそうなるわね。」
永琳「でも話す内容は大体神奈子さんに持ってかれちゃいましたけど。」
輝夜「だったら月に居た時の事を教えてよ〜。
綿月姉妹の事とかさ。」
その時紅魔の主人が酒を吹いた。
そういえば霊夢さんに聞いたが月であの吸血鬼は綿月なんちゃらって人にボロ負けしたらしい。
トラウマでも想起したのだろうか。地霊殿の主も心を読んだのか苦い顔をしていた。
まだ会話は続く。
永琳「でも、この昔話は時系列順にやるって私の所には伝わっておりますけど?」
そういえばそうだった。すっかり忘れてた。
魔理沙「おい阿求、そうなのか?」
小鈴「まぁそうなんだったら良いじゃないですか…。」
ぬえ「兎も角次は誰なんだ?私や聖は平安初期だから多分違うはずだけど。」
妹紅「私は奈良後期だから多分飛鳥時代の奴がそうじゃないか?」
慧音「まぁ縄文弥生を聞くバカは流石におらんだろ。」
藍「飛鳥時代というと…あぁ、あの宗教戦争でバカやってましたね。」
私にはさっぱり見当が付かないけどこの場の成り行きを見守る事にした。
布都「次は一体誰なのじゃ?」
屠自古「お前だろ布都ぉ!」
布都「我が話せる時代はお前のと被っておるからお前が話せば良かろうぞ!」
屠自古「結局私ですかい。反論在りますか?」
シーン
皆異論もないようで、蘇我の末裔は語りだした。
屠自古「あれは物部守屋氏が額を弓で撃ち抜かれて1か月程後の事だったかな…。」
13
:
砕氷@咎人の外さぬ枷【勇儀】
◆xC8BXxNJJo
:2014/09/13(土) 10:39:17 ID:???
(10) 剣と玉と壺と-屠自古目線
物部守屋は布都の父親だった。
彼は廃仏派で、事あるごとに私の父-蘇我馬子と対立していた。
そしてあくる日、対立していた両氏が戦を始めた。
その頃私は布都とは親の対立下、親元を抜け出してよく月を見ながら話していた。
そして戦があった日も護衛の目を盗んで毎日話していたものだ。
戦から何日か経った頃、布都が突然来なくなった。
私は渋々家に帰り、次の日もその場所に行った。
だがその日も来なかった。
次の日の朝、今日こそは会えると信じて目を覚ました。
その時私の父親が家に帰って来た。戦況は?と尋ねた所、父は言った。
物部に勝ったと。布都の父の額を部下が弓で射って倒したこと。
私はその時即座に理解した。布都は悲しくてあの場所に来なかったのだと。
私は決心した。敵だったが親友の父であった物部守屋氏を弔わねば、と。
そして、仏教は父を間違えさせていたとも感じた。
その晩、私は夜中、戦のあった場所へ行くために家を抜け出した。
そこなら彼女-布都に会えると信じて。
14
:
砕氷@入鹿の雷
◆xC8BXxNJJo
:2014/12/21(日) 14:53:59 ID:???
(11) 政略冠婚の名の元に志は立ちて-屠自古目線
戦のあった場所。そこには矢を手に持った人が一人、ぽつりと佇んでいた。
その時、まだ私は知らなかったのだが、その人は時の戦で武功を挙げた、後の太子様であった。
私は彼(当時は男であった)に聞いた。そこで何をされていたのかと。
そしたら、彼は少し間を置いてから、「ここで死んだ者の魂を弔っていたのです。」と言った。
だが、私はその時、疑問を抱いた。彼が持っていた弓には、蘇我方の印が付いていたのだ。
そして彼が四天王像の様な物を置いたのは物部方の戦士の遺体の傍ら。
敵を弔っているのは何故か、と私はまた彼に問いた。すると、彼はまた少し間を置き、また口を開いた。
「私は仏の名を借りて、敵も味方も関係なく弔っているのです。ですが…。」
その続きを彼が言おうとした時、足音が聞こえた。
その足音の主は…布都であった。
そして彼女は男(後の太子様であるが、その時はまだ知らない)を見た。
その後すぐ私の顔を見るや腹を抱えて笑い始めた。
どうしたのかと私は問うと、彼女は言った。
「お主の父親の馬子殿が我を養子にしてだな、しかもお主は間もなく嫁に出される…。」
「だから何よ?早く言いなさいよ…。」
「…しかもその相手、ここに居らっしゃるそのお方、豊聡耳神子殿なのだよ!」
「ナ、ナンダッテー!」
久々の投稿ですね。自分の妄想も混じっているので悪しからずと言った所でしょうか。
15
:
砕氷@雲を泳ぐ大蛇
◆xC8BXxNJJo
:2014/12/22(月) 14:20:59 ID:???
(12) 夜晩の会話-屠自古目線
そして馴初めも過ぎた10年後、私は祝詞を挙げた。
何故10年も過ぎたかと言うと、太子様の政職的にも時間が取れなかったのだ。
だが、それでもその10年の間に2人の仲は深まっていた。
参列した方々は皆喜んでいたが、隣に居た太子様は小声で私の耳元でその理由を教えてくれた。
どうやらこの婚姻で、蘇我家の親族の立場が上がったから嬉しいとの事。
私はその話を聞いてピンときた。そして悲しんだ。実の父が私を利用したのだから。
それでも太子様と一緒になれた事だけは嬉しかった。
そしてその晩、私は太子様と今後を話し合った。途中で布都も乱入したが、その話は中々興味深い物だった。
それは…仏教よりも道教の方が政治に都合がよく、民も救える。
そして、仙人になる事によって不老不死になれるとも…。
何と言うか今回は凄く短いです。
16
:
砕氷@雲を泳ぐ大蛇
◆xC8BXxNJJo
:2015/01/03(土) 12:34:52 ID:???
(13) 時は延々と巡りて今を為す-屠自古目線
3人で話した次の日。私は太子様に一人の仙を紹介された。
名は霍青娥。隋からの船に乗り込んで密入国してきたのだとか。
そして私と布都は矢継ぎ早に質問をした。
仙人になった理由。道教とはどういう物なのか。
そして…不老不死になる為の方法を。
彼女は全てにおいて的確な答えを突いて来た。
そして彼女は、私達の道教に対する姿勢に感心したのか、に面白い物を見せてくれた。
それは壁抜けの術。鑿を壁に刺すと、そこに人が入れるような穴が開くのだ。
そんな事を見せて貰った為か、私達は更に道教の道を深めていく事になる。
それから数年が経った。
私は布都や太子様と道教の道を深め、青娥殿とも個人的親交を深めていた。
それと同時に、布都や太子様も青娥殿と個人的親交を深めていた。
そんな中、私は布都と太子様と一緒に、青娥殿からある小包を貰った。
私は貰った時に精神安定剤と言われていた。
だが、それが不老不死になる為の準備と知るのは更に何年か先である。
新年明けましておめでとう御座います。今年も宜しくお願いしますね。
豊聡耳神子…当時で言う聖徳太子の行った色んな事は語らせる必要ないので飛ばしてます()
17
:
砕氷@雲を泳ぐ大蛇
:2015/01/14(水) 16:01:21 ID:???
(14) 夢のまた夢に見るー屠自古目線
家に戻り、精神安定剤(という名目で渡された物)をじっと眺める。
眺め続けると目が痛くなった。当たり前だが。
そこで私は休憩し、天井を見る。
太子様との馴れ初め、道教への導き…色々な物が込み上げた。
私はそれをただ、辿る様に丁寧に思い出す。
だが、不思議だった。
まるで走馬灯を見ているかの気分。
…段々気分が悪くなってしまうかの様。
私は貰った精神安定剤を口に押し込む。
口の中で甘味が広がる…というのを想像していたが、現実はそう甘くない。
口の中に激痛が走る。そして辛さで喉が水を求む。
私は辛さでその場を飛び退き、扉を開け、水を求め走り出した。
そして…外に出た瞬間に、誰かとぶつかる。
それは布都だった。
痛そうに頭を押さえる布都。(私が当たったのは胸だが嫌らしい想像をするな)
私は慌てて手を差し延べる。布都もそれを受け取った瞬間ー
床を踏み外して布都の足が床に嵌まる。
滑稽なと思うが、その感情を出さず、慌てて助けを求…
もうと思った時には、目の前で太子様が布都を引っ張り出していた。
「か…辱い…。」
布都がそう言うのに対して、太子様は笑いを押し殺しながら、
「何処へ向かわれていたのですか?」
と聞かれた。すると布都はたじろぎながら
「少し青娥殿の所へ抗議をと…。」
と答える。その返答は以外な物だった。
何と太子様も同じ用件だった用で、そのまま3人で青娥殿の屋敷へ足を運んだ。
はい、毎度お馴染み一発書き。こんだけ長けりゃどっかには必ず誤字あるだろうよ。
18
:
砕氷@余命幾許も無し【小町】
:2015/03/07(土) 10:15:14 ID:???
(15) 真実
青娥殿の屋敷は、一言で言えば異質だった。
そこだけ別次元から引っ張って来た様な空間、そこに青娥殿は住んでいた。
門の前に着き、太子様が軽く戸を叩く。青娥殿は家の中に居た様で、すぐに戸を開けてくれた。
「あら、太子様と愉快なお仲間さん、お久しぶりね。」と、戸を開けた青娥殿は言った。
お仲間と言われても私は腐っても太子様の妻である。私は気を悪くした。
それを見越したかの様に青娥殿はクスッと笑う。
阿呆の布都もそれにつられて笑う。意味も分かっていないのだろうが仕方ない。
やがて太子様がその場を抑えるように中に入れて欲しい旨を青娥殿に伝えると、青娥殿はまたクスッと笑って私達を家の中に招く。
そして入った青娥殿の部屋は、外の異質な雰囲気とは裏腹に、普通だった。
薬が入って居るのだろうか、薬草臭い棚に覆われた部屋というのが第一印象。
だが布都は違った。あちこちで燥ぎ回っている。
馬鹿馬鹿しい空気になって嫌気が差していると、太子様がその口を開く。
「青娥殿、あの精神安定剤は一体何なんですか、気分が悪い時に飲んだらまた気分が悪くなったのですが。」
場の空気がさっきまでの騒がしさから一気に重くなる。
青娥殿は少し不敵な笑み…今や邪仙と言われる原因を作った笑みを浮かべ、話し始める。
「道教の最終目的は不老不死という事は…御三方も知っていらっしゃいますよね?」
私達はこくりと頷く。
「最初に述べると…あれが精神安定剤なんて言うのは真っ赤なウソ。本当は…」
場の空気は更に重くなる。さっきまでの騒々しさが嘘だったかのように。
そして青娥殿は言うのを躊躇う様な素振りを見せてからそれを伏せるように続ける。
「あれは本当は…毒、不老不死の為の毒。」
はぁ…。久々の更新です。テスト2日前なのにネタが思いついてしまって…。
神奈子の話が2話半で終わったのに屠自古の話が6話も続いて未だ終わらないのは私が屠自古好きなせいです。
すいません()
19
:
砕氷@デリブルスーヴニール【さとり】
:2015/03/28(土) 11:22:30 ID:???
(16)支度の始まり
青娥殿は真実を告白した後、淡々と事を話し始めた。
道教の教えを広める聖職者を探して海を渡って来た事。
道教の最終目的である不老不死を素早く身に着けて貰わなければ聖職者として不十分なのではないかと考えた事。
そして…私達のこの躰の余命も後僅かという事も…。
太子様は偉く不憫な顔をしていたが、一つ間を開けて口を開いた。
「この躰…という事はどう言った事ですか?」
間を置いて青娥殿もまた口を開く。
「私はこの術を使う時に箒を使いました。そしてその箒を…」
と方法を言おうとした所で突然口が止まる。すると単調で大きく、不謹慎な音が辺り一面に響いた。
その音ー鼾の主は布都だった。
「話がそんなに眠くなる様な物だったかしら?」
と私が言うと、太子様は首を縦に振り、布都は大きな鼻提灯を作った。
「仕方が無いので私が木簡に書いて従者に届けさせて貰います。それでも良いですか?」
青娥殿がそう言うと、太子様はきっぱりと
「構いません。布都は私が引っ張って帰りますので、後の事はよろしく頼みます。行きましょう、屠自古。」
そう言われるがままに私も青娥殿の屋敷を後にする。
だが毒のせいか気分のせいか帰りの足取りはおぼつかず、しばらくして転んでしまう。
そして差し出された太子様の手。私はそれに捕まり、立ち上がる。
そして私は太子様と良い感じになっていたのだが…。
「屠自古も太子様も夫婦のようじゃのう…ムニャムニャ」
変なところで横槍が入る。布都、お前本当は起きてるんじゃないのか?
そう思いつつ、再び帰路に付いた。
疲れた…。早くワンドロで屠自古来ないかな…。
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