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投下用SS一時置き場4th
160
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エンドロールは流れない -混沌と英雄達の輪舞曲-8
:2017/11/16(木) 13:52:45 ID:XoqtS/Ro0
そんな仄暗い思考を遮るかのように、ティアの視界に人影が映り込む。周囲への警戒が薄れていた事に我に返り、
一瞬身構えかけたが、その人影がカイルであったことに安堵の溜息を微かに洩らす。一先ずカイルが飛びだして行かなかった事に
ティアは一安心し、次いで余り身勝手な行動は取らないでと窘めかけたその時、カイルの表情の変化に気付いた。
「カイル、如何したの?何か見つけたの?」
「あ、えっと…」
『カイルさんが東の方角の雪原で誰かを発見したみたいなんです』
「東?」
『はい、最初はミトスさんが飛び去った方角を見ていたのですが…』
カイルが質問に答える前に、何時の間にか傍に来ていたプレセアが代わりに答える。
短い時間の中で、とりあえずプレセアの状態は簡単に説明は受けているが…それでもアストラル体というのは
不思議なものである。視認出来る幽霊、と言ってしまえば簡単だが、恐らくそんな単純な話ではあるまい。
もう少し事情を聞いておきたい所だが、先ずは話に集中すべきだとプレセアの言葉に耳を傾ける。
曰く、暫し惨状に茫然としたカイルだったが、すぐ我に返り何が起きたか見渡そうとしたが、少し離れた場所に
瓦礫の山に出来たばかりの巨大な破壊痕を見つけ、ミトスに何か起きた可能性をすぐさま察知したらしい。
必死にその周辺を高所より見渡していたのだが、ミトスやミクトランは勿論、他の参加者も見当たらなかった。
プレセア自身もミトスと交信を試みたのだが、一向に繋がらなかった為、一先ず戻ろうとしたのだが、
その時に偶然東の方角に小さな人影を見かけたとの事らしい。
「うん、多分2人…遠過ぎて男なのか女なのかも分からないけど、1人は間違いなく倒れてるみたいで…」
そこでカイルは言葉を濁したが、その先は容易に想像できる。倒れていると言う事は、間違い無く怪我人か病人――。
最悪の場合は重症、死亡してる恐れもあるということだ。ミトスの安否も、ミクトランの行方も気掛かりだが、
確かにそのような人影を発見してしまえば気になるのも頷ける。先程までのティアの思考通り、
もしその2人の内の1人がリアラであれば…カイルの今の表情にも頷ける話である。だが相手が誰か分からないまま
迂闊に近づき、それが万が一殺し合いに乗った参加者達だった場合を考えると、迂闊に近づく事を勧める事が出来ない。
それに先程の閃光と轟音にミトスが巻き込まれたのでは無く、ミトスがミクトランを仕留めた結果という事もあるのだ。
もし迂闊に動いて行き違いになれば、今度は自分がルークと再会出来る可能性が失われる事にもなりかねない。
尤も、そんな此方の思考などお構いなしに、カイルが一人突っ走る危険性も未だに高いのだが…。
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