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一足先に魔法検定試験会場
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>>996
「……お互い様、だろ」
「結構な重さの骨剣を、人間としての“制限”が機能してないこの体で使ったのに、こうもやられるとは……思っていなかった訳じゃないが、実際にやられると堪えるぞ」
砂煙が弾け飛ぶ、その中で立ち尽くしている男の右半身には、様々な箇所に裂傷やおかしな方向に曲がった箇所が見受けられる。
迎撃をしてトームにダメージを入れることには成功した、が、そちらに力を割かざるを得なかった為に体勢の立て直しが遅れ、地面に無防備にぶつかったのだ。
「まあ、いいさ、脳も心臓も壊れてない、戦闘に支障が無いとは言えないが、まだ戦える」
「お前の期待にも答えてやれる、だから敢えて言う――“覚悟しろ”ってな」
「今までの失態は俺の弱さで片付けられる、悔しいのも恥じるのも俺だけだ、でも、これは違う」
世界が凍る、そんな錯覚を感じるような濃厚な“死”の気配が闘技場を包み込む。
そして、死者であるトームならば牽かれる事は無くとも聞こえはする筈だ。
隷属せよ、焼滅せよ、崩壊せよ。
その魂の燃焼で、刹那の力を生み出せ。
蝋燭が最期に一際明るく燃えるように。
お前達の生の証を此処に刻み込め。
それは、闘技場で朽ちた過去の戦士の亡霊への祈りと命令、新生する為に、新たな輪廻の流れに乗る為に、魂と共に朽ちいくそれを全て吐き出せ。
もう何も出来ないお前達の代わりに、その輝きを俺が形にしてみせる――だからもう楽になれ。
未練の中で命を落とし、その苦痛を知った男故の、慈悲を持った傲慢な呼び掛け。
「……けれど、これは別だ、失敗が俺の失敗で終わらない、そもそも王を継げとすら言わなかったあの男が、そんな小さな事で人を咎めはしないだろうが、俺が俺を赦せなくなる」
「だから、往くぞトーム、加減は一切しない、この俺の――今代の死霊王としての在り方を全力で、叩き込むッ!」
起動する術式、炸裂する魔力の奔流、呼応するように僅かに大地が揺れ骨が地面を割き飛び出す、見慣れた光景だろうが、今回は規模が今までの物とは文字通りに“桁”が違っていた。
一本一本の強度も相応だが、問題はその量だ、術者の足元から波のように無数に突き出した骨を追い、喰らおうとするように、新たな骨が大地を突き破り生える、そしてそれを追うように、と、規模が倍々に膨れ上がっていく。
トームの眼前で僅かな間に、人一人呑み込めるかどうかの大きさだった骨の波は、闘技場を覆うような白骨の津波へと姿を変えるだろう。
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