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平成仮面ライダーバトルロワイアルスレ5

173加速せよ、魂のトルネード ◆JOKER/0r3g:2020/09/06(日) 16:32:53 ID:6c9iHJDY0

「おっといけねぇ。じゃあさっさと片付けるか、お二人さん?」

「うん!」

ダブルの声に従って、彼らは全てを終わらせるため必殺の一撃の準備を開始する。
パーフェクトゼクターを操作するカブトと、13枚のカードを統合するカリス。
二人に負けていられじと、ダブルは懐から4本のメモリを取り出した。

――CYCLONE! HEAT! LUNA! JOKER! MAXIMUM DRIVE!

――MAXIMUM HYPER CYCLONE

――WILD

「ビッカーファイナリュージョン!」

嵐の如くけたたましく鳴り響いた電子音声に負けぬ声量で、ダブルが叫ぶ。
刹那放たれた三つの輝きは、世界を一瞬で白く塗り染めるほどの眩さで以て風のエルの身体を蹂躙する。
少しの後、光が止み景色が元通りの色を取り戻した頃にはもう、彼らの前に敵はなかった。





「ヤァッ!」

ディケイドの掛け声と共に振るわれたライドブッカーが、水のエルの身体を切りつけ火花を散らした。
思わず後退した彼は反撃の手を講じるが、しかしそれを封じるように飛び込んだクウガの拳がその手から長斧を打ち落とす。
息の合ったそのコンビネーションに思わず舌打ちを漏らせば、その隙を逃さずアギトの跳び蹴りが水のエルの身体を大きく吹き飛ばしていた。

「ぐうう……!」

その威力故地面を滑りながらも、しかし水のエルは未だ背を地に着けはしない。
むしろこれから真の戦いだとばかりに、大きく咆哮し三人の頭上へあの紋章を複数発生させる。
空を覆い尽くそうとする圧倒的質量に呻くアギトとクウガ。

だが唯一人この絶望的な状況にもなお希望を絶やさぬ男が一人、彼らの側で切り札を抜いていた。

――FINAL FORM RIDE……A・A・A・AGITO!

「ちょっとくすぐったいぞ」

「え……?」

ディケイドライバーがその名を詠唱するのと同時、狼狽えるアギトを気に留めることもせずディケイドがその背中をなで上げる。
それを受け光を放つアギトの肉体は、刹那最早人型で収まらぬ異次元の変形を遂げていく。
一瞬のうちにアギトトルネイダーへと変身を終えたアギトの姿は、言うなれば宙を浮かぶスライダーの如し。

傍目には異常な光景に水のエルでさえ呆気に取られるその一方で、ディケイドは何の躊躇もなくそのシートの上へ飛び乗っていた。
だが彼はすぐにアギトトルネイダーを発進させることはしない。
察しが悪いなとばかりに溜息一つついて見せて、彼はぶっきらぼうにクウガを振り向いた。

「何突っ立ってる、お前も乗れ」

「……あぁ!」

ディケイドの差し伸べた手を受け取り、アギトトルネイダーへと飛び乗るクウガ。
かつてもディケイドとこうして並んだことはあるが、それでも今見える光景は、あの時と随分違って見えた。

「ハァッ!」

感慨に耽る間もなく、水のエルが次々に紋章を解き放つ。
そのどれもが直撃すれば危ういほどの威力を誇っていたが、逆に言えば当たらなければどうと言うことはない。
スーパーマシンと化した今のアギトを前にしては、その程度の攻撃の嵐を全て潜り抜けることなど、造作も無いことだった。

一瞬で水のエルまで距離を詰めたアギトトルネイダーが反転し、バーニアから放たれた火で敵の身を炙る。
それを受け水の化身たる彼が呻いたその隙に、トルネイダーは空へ向けて一心に加速を開始していた。

――FINAL ATTACK RIDE……A・A・A・AGITO!

ディケイドが装填したカードに秘められた力を、ドライバーが叫ぶ。
それと同時高く太陽を背に飛び上がったディケイドとクウガに並ぶのは、クロスホーンを展開したアギトの姿だった。

「ヤアアアァァァァ!!!」

ディケイドが、クウガが、アギトが雄叫びをあげながらその右足を真っ直ぐに伸ばす。
そして既に万策尽きた水のエルに、この攻撃を前に対処出来るだけの手は存在していなかった。

「ぐわあああああぁぁぁぁぁ!」

三人の仮面ライダーによるトリプルライダーキックの直撃を受けて、水のエルの肉体は無惨にも爆発し消滅する。
地に降り立ち――今度こそ油断なく確実に――敵の消滅を見届け変身を解いた士の視界にふと映ったのは、同じく変身を解除した一条へと駆け寄るユウスケの姿だった。
だが予想に反して、その様相は勝利を分かち合わんとする浮かれたものではない。

まるで悪戯がバレた子供のように、切り出し方を悩んでいるような、そんな所在なさげな仕草だった。
きっとそれは、一条がアギトになったことに責任を感じているからだろう、とディケイドは思う。
彼の先ほどの言葉も、こんな形で消えぬ力を得てしまった事も、全て自分に原因があるのだと彼は感じているのだ。

だがそんな彼の後ろめたさを全て察した上で、士は敢えて何も言わない。
一条とユウスケ、その二人の間にある絆も、きっと自分が思っている以上に強いものに違いないと、そう感じるから。


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