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バーチャルリアリティバトルロワイアル Log.04
9
:
Secret of Ai
◆k7RtnnRnf2
:2019/06/15(土) 14:44:03 ID:BduzRs3k0
1◆
「戻ってきたか、フォルテ」
オラクルの部屋から知識の蛇に戻った瞬間、オーヴァンが出迎えてくるのが見えた。相変わらずの無表情で、何を考えているのか窺えない。
フォルテがロックマンとの戦いに勝利した頃、どこかで動いていたようだが、既に用事を済ませたのだろう。もっとも、フォルテにはあまり関係のない話だが。
「俺がここに戻った時、フォルテの姿が見えなかった……君も何かを見たのかな?」
「さあな。キサマなどに伝えてやる義理はない」
「なるほどね」
フォルテの拒絶をオーヴァンは軽く流した。
予想通りの反応だが、やはり不快だ。まるで、フォルテがいくら力を得ようと、優位に立っていると言われているように思えてしまう。
だが、ここでオーヴァンに力を振るったところで無意味に消耗するだけ。相討ちになり、キリトたちを一方的に勝者にするなど御免だった。
故に、ここは一つ餌をぶら下げてやろう。
「……だが、このまま待っているのもつまらん。少しだけなら、話してやる」
すると、オーヴァンの瞳が微かに動くのが見えた。
「君が話してくれるとは、どんな風の吹き回しかな?」
「言ったはずだ、これはただの時間潰しだと。それに、俺たちは仮にも仲間だからな……大切なお仲間には、情報提供をしてやるべきだろう?」
ニヤリ、と凶悪な笑みを浮かべながら、一歩前に踏み出した。
もちろん、仲間を思いやろうなんてヘドが出る思考などではない。今はただ、オーヴァンに一泡吹かせてやりたかった。
オーヴァンとて、この程度で絶望するような男ではないのは重々承知。あの榊の言葉を使うなら、ほんの余興とでも言うのがふさわしかった。
「オーヴァン。キサマ、『運命の預言者』に会ったそうじゃないか。どうやら、ヤツはキサマにまた会いたがっていたようだぞ?」
「『運命の預言者』……君の口からその名前が出てくるとは。まさか、オラクルの方からフォルテに接触してきたのかな?」
「ご丁寧に、わざわざ俺を部屋に招き入れたのさ。そして救世主とやらの活躍もペラペラと話した……俺には何の関係もなかったが」
やはり、オラクルとオーヴァンは面識があったようだ。何を話したのかまでは知らないし、微塵も興味が持てない。だが、オーヴァンにとってオラクルは決して無視できる存在ではないようだ。
その証拠に、今度はオーヴァンの方から問いかけてくる。
「……その様子だと、フォルテは彼女から重要な真実を伝えられたようだね。そうでなければ、彼女がわざわざプレイヤーを呼びつけるとは考えられない
そして、オラクルはもう……」
「ああ、俺がヤツの力を取り込んだ。しかも、あの女の望みでもあった……あろうことか、この俺が未来を変える鍵になると言い放った!
何とも笑える話さ! すべてを破壊する俺に、未来を託そうとするなど……実におめでたい女だった!」
オーヴァンに対する答えは、オラクルへの侮蔑だった。
ただの負け惜しみでしかないだろう。理由はどうあれ、フォルテが力を持たない弱者を一方的に屠ったという事実に変わりはない。オラクルの掌の上で踊らされてしまい、フォルテは自らの弱さを肯定してしまった。
せめて、オラクルの願いを笑ってみたが、虚しさしかない。当然ながら、オーヴァンがそんな虚無には目を向けようとしなかった。
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