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オリロワ2014 part3

89THE END -Relation Hope- ◆H3bky6/SCY:2018/11/11(日) 22:22:44 ID:9FwNdzk60
「『攻撃』は『跳ね返る』」
「くっ…………!」

だが、一手遅い。
風よりも早く再び世界は改変され、飛来した魔法は術者へと跳ね返り僅かにその身を切り裂く。
糸で繋がった傷口から赤い血液が漏れ出す。

世界改変と言う規格外の能力を除けばこのワールドオーダーのスペックはそれほど突出したモノではない。
身体能力、反応速度、どれをとっても戦士としては物足りない平凡の域。
最強たるオデットを上回るパラメータなど存在しない。

だが、この男は常に一手先を行く。
それはオデットの体が蓄積されたダメージから重かったと言う理由も確かにあるだろう。
だがそれ以上に、いつどのように世界が改変されるのか。
それを知らないオデットたちと、それを操るモノとでは動き出しに大きな差がある。
このアドバンテージはどうしようもなく埋めがたい物であった。

「…………これは」

だが、戸惑いの声を上げたのはワールドオーダーだった。
周囲に舞う砂塵。
先ほど放たれた突風が崩れ落ちた天空の破片を巻き上げたのだ。

「…………砂塵。目晦ましか」

式神『天空』は霧や黄砂を呼ぶとされる土神である。
その特性を考えるに、こうして砂塵となるところまで計算の内か。

ワールドオーダーの視界から砂埃に紛れた二人の姿が見失われる。
これが逃げの手だったなら巧い手だと褒め称える所なのだが、首輪爆破の制限時間がある以上は彼らに逃亡という選択肢はない。
かと言ってせっかっくの目晦ましを無駄にするはずもないだろう。
この機に乗じて何か仕掛けてくるはずだ。

どう対応するか。
世界をどう変えるのか。
待ち構えながらワールドオーダーは僅かに思案する。

実のところ、オデットだけを殺すのであれば、ワールドオーダーは簡単に実行できる。
この世界を『魔族』が『死ぬ』世界にすればいい。
条件に当てはまるモノを即死させる、無敵ともいえる世界の革命。
ワールドオーダーと同じ人間である勇二はともかく、属性が異なるオデットの場合それで終わりだ。

しかし、ワールドオーダーはそうはしなかった。
それは慈悲や手加減などという理由ではもちろんない。
最終的に倒されることが目的だったとしても、彼は勝負に関して一切の加減をすることはない。

八百長では意味がないのだ。出来レースではたどり着けない。
双方が全てを尽くして、その上で世界の悪であるワールドオーダーを打ち倒せる者こそが相応しい。
それこそが彼の求める者。
故に彼は敵を滅ぼすべく全力を尽くす。

では何故即死させようとしないのか。
その理由は、亦紅との交戦経験に依るものだった。
今のオデットは純粋な魔族ではなく邪神を喰らいその属性を得た混じり物だ。
半人間として生き残った亦紅のように、混じり物の彼女も生き残る可能性がある。

世界の法則は絶対だが、それ以外に対しては無防備となるという弱点もあった。
能力以外が平凡の域を出ない彼だからこそ、対処には慎重が必要となる。
殺しきることが出来なければ殺されるのはワールドオーダーの方だ。
不用意に世界を決定することはできない。

ワールドオーダーの周囲を漂う粉塵が僅かに揺らいだ。
何かが来るという攻撃の予兆に他ならない。

砂塵の暗幕から氷槍が現れる。
ワールドオーダーは目の前に迫るそれを見送り、不動のまま攻撃へと身を晒した。

ワールドオーダーは世界を変えないことを選択した。
今の世界は『攻撃』は『跳ね返る』世界だ。
何が来るか不明な状況では今の世界が一番無難で確実な選択である。

氷槍がその身に直撃する。
瞬間、跳ね返る前に砕け散った。
氷が無数の粒となって散弾のようにワールドオーダーへと襲い掛かる。
だが、その全てはワールドオーダーに触れた瞬間に跳ね返った。
多少の工夫は凝らしているが、ただのその程度など世界の法則の前には意味がない。

この程度で攻略できるなど勇二もオデットも思っているはずがない。
この攻撃は本命ではないだろう。
恐らく気を逸らすための囮だ。


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