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オリロワ2014 part3

110THE END -Somebody To Love- ◆H3bky6/SCY:2019/02/17(日) 23:27:44 ID:yyQSrX5o0

【 田外勇二 さんからプレゼントが届いています! (1) 】

戸惑いを含んだ目で九十九はその名を眺める。
田外勇二。
九十九はその名を知っている。

黄金の聖剣を持った少年。
輝幸を殺し、九十九を襲い、敵対したまま別れてしまった少年。

そんな彼から、どういう訳か九十九に対してプレゼントが送られてきたらしい。
それにどういう意味があるのか。
九十九は計りきれないでいた。

「……………………」

その意図を汲み取ろうと必死に思考を巡らす九十九の後ろで、それ以上に真剣な視線を画面に送るのは女子高生探偵である亜理子だった。
彼女が注目しているのは九十九と別のところ、送り主ではなく送られてきた代物がなんであるかである。

「九十九さん、画面、操作してもらっていいかしら」
「え? あ、すいません」

亜理子に促され九十九が画面をタッチする。
メッセージが送られ、画面からポンとアイテムが実体化して飛び出した。

「おっ!? とと」

それを地面に落ちる前に慌てて手に取った。
手に収まるドーナツ状の冷たい鉄の感触。
それがなんであるのか九十九も知っている。
それは全ての参加者を繋ぐ鎖として付けられる『首輪』だった。

「見せてもらっていいかしら?」
「え、ええ。構いませんけど」

灯りを片手に、手渡された首輪を全方向から舐めまわすように観察する。
各々の首輪に特徴などの差異はないだろう。
だが、傷や汚れと言った後からついた印は残る。

先ほどの受け取り画面に表示されていたアイテム名は【 ワールドオーダーの首輪 】だった。
亜理子は一度直接ワールドオーダーに接触してその首輪を見ている。
ワールドオーダーは亜理子と接触したあの時点で、遠山春奈らとの戦闘を経ていた。
それなりに特徴的な汚れがあった、そしてそれはこの首輪にも見て取れる。
先ほどの表示名に違わず、これはワールドオーダーの首輪とみて間違いないだろう。

「これ、解体しましょう。いいかしら?」

確認作業を終えた亜理子が、すぐさまそう提案する。
それは問いかけていると言うより有無を言わせぬ決定事項を告げている声であった。

「何故ですか?」

強引に話を進めようとする亜理子に流される事なく九十九が真正面から問い返した。

「この首輪には重要な何かが含まれているからよ」

他でもない主催者の現身が付けていた首輪である。
間違いなく特別性であり、それどころか最重要な機能が含まれている可能性が高い。
亜理子からすれば解体は必須だ。

「何かってなんです?」
「それを確かめるためにやるのよ」
「そんな曖昧な理由では、納得できないです」

真意こそわからぬものの、わざわざ自分を名指しして勇二から託された代物だ。
首輪なんて物は九十九からすれば無用の長物だが、無下に扱っていいものでもない。
託された希望の使い道は慎重にならなければならない。
そう言いたげな九十九の視線に、亜理子は呆れた様に一つ溜息をもらすと、睨む様な鋭い視線を向けた。

「いい? あなたにこれを託した誰かはこれを後生大事にして欲しくてこれを託したとでも思うのかしら?
 違うでしょう? これをあなたに託すことが希望を繋ぐことになると思ったからそうしたんじゃなくて?
 託された物を有効活用しなくちゃそれこそ無意味になる。そして私なら、これを最大限有効活用できるわ」
「それは…………」

そう言われてしまえば九十九に反論の余地はない。
首輪の有効活用方法など九十九には逆立ちしても思いつきそうもないのだから。
反論の言葉を失った九十九に変わってユキが問う。

「首輪を解体すると言っても、どうやってです?」
「今ある道具で何とかして、よ。もちろん失敗すればボンだけどね」

そう言い爆破を示すように指を開く。
冗談めかしているが設備もない、専門家もいないという状況での解体行為のリスクは高い。
亜理子もそれは重々承知している。
だが、リスクがあろうともやるしかないのだ。


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