レス数が1スレッドの最大レス数(1000件)を超えています。残念ながら投稿することができません。
やらない夫は約束を守るようです53
-
┏━━━━━━━━━━┓
┃ ご注意・ご留意事項 ..┃━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━──────
┗━━━━━━━━━━┛ ・この物語はGURPS、ソード・ワールドなどのTRPGやロマサガその他のコンシュー
マーRPGに代表される剣と魔法のファンタジーをちゃんぽんにして食べたい作者の
／￣￣＼ 妄想です。
／ ノ ヽ /＼'ｰ､ ,, ..,､
| （ ●）（ / .＼` ､ . ／／ / ・登場人物は殆ど原作設定に準拠せず、他の設定や改変が加わっており、原作
. | （__人/ ＼ヽ､,.／／ ../ スキーの方には合わない可能性があります。
| ｀ / ｀`７７ / （特に口調、一人称、二人称などは時と場合により差が大きい場合があります）
. ヽ / 53 / / /
ヽ.. / ｆヽ、/ / , -,./ ・地の文多めです。閲覧中に動悸、息切れ、めまい、原作アレルギーなどに襲われた
/./ r-､ ヽ ∨,ノ / 方は早めにスレをお閉じください。
|. ＼ 〈＼.＼,〉 ｀, ｆ
| . ＼ (ヽ ヽ ｀.. | ・雑談、合いの手などは次スレの時期(990以降）以外ご自由にどうぞ。
| .＼ ＼ ﾉ
「それでも良い」って方には是非楽しんでいただきたいだろ、常識的に考えて。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
《〉 《〉 《〉 《〉 《〉 《〉 《〉 《〉 《〉 《〉 《〉 《〉 《〉 《〉 《〉 《〉 《〉 《〉 《〉 《〉 《〉 《〉 《〉 《〉 《〉 《〉 《〉 《〉 《〉 《〉 《〉 《〉 《〉 《〉 《〉 《〉 《〉 《〉 《〉
￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
【前スレ】
やらない夫は約束を守るようです52
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/14429/1455444637/
纏めサイト様および時系列まとめは>>2
過去ログ一覧は>>3以降
──────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
-
まぁなんだな
オンリーさんやＪＰさんとか、今までがありがたかったんだよ。
黒沢のゆっくり休め だよな。
-
今までが贅沢過ぎたんだからね。感謝せんといけんね（＾ω＾）
-
>>340 http://yaranaioblog.blog14.fc2.com/blog-entry-4805.html 最後４コマ
-
まとめが無くても面白いからここで正座して待ってる
-
オンリーさんが再び立ち上がった！
-
やはり一章が王道にして最高だ
定期的に読み返してしまう
-
ところでリメイク版の投下は別スレを立てるとかじゃなく
ここでいいですかね？(´･ω･`)
-
ここでいいと思いますよー
-
OKだとおもいます。
-
裸待機しときますね
-
じゃあここでやりましょうね(´･ω･`)
【現在の進捗】
次回本編 ＡＡ化準備中
本編予告 リメイク済
できる夫は苦悩する勇者の用です リメイク９８％
-
(´･ω･)
(･ω･`)
(´･ω･`)リメイクだしゲリラでいいよね
(´･ω･)っ【でき勇者リメイク版 ＆ 本編予告リメイク版 本日２２時〜 投下予定】
-
全裸待機！
-
ヒュー！
-
ｶﾞﾀｯ
-
１．
, -=＝=-
／／: : : : : : : ヾヽ､
,'//: : : : : : : : }ir:､ﾏﾍ,
i,'/: : : : : : :／｀{i : : V}!
rfﾕ: /.: .: :／ ⌒‘，: :ｧ))
{＾i｡}厶ィ､__, ､__, トN {i＾}
ﾓ〃::从 , 〃: λﾁ. ………私の師匠が英雄を追う者であったように、
´'ﾍ､少s､｀_´.ｨ厶イノ. 私も勇者と呼ばれる冒険者の足跡を追いました。
_ _＿,[ .:}}={{ .:]､___
,´ {i{ .: ≦ ≧ .: :}i} ｀ヽ 人の良い彼は、他人のためにと旅を続けるうちに
| {ｉﾚ.: .: }i}v{i{ .: :.}i} i 勇者の称号を得、それを誇りに思い、
／⌒>､ Yｚ= 「y⌒ヾｭ=ｭY ｜. 人々の期待に応えようとますます励んだ結果、
（,>．" '＾>〈ヽ {/ ＾》 .:ﾉ .: .:} | やがて称号に振り回されるようになってしまったのです。
＼> ． _j≦.:ゞ= :∠.,__,.ｨ |
⊂ﾆ 込ヾ==彳》二 | |. このお話は、そのようにすり減っていた彼と、
| '´{i`ﾐ辷辷〉l ｝:ｉ}｀ヽ |. 英雄の道筋とが交差した刹那の物語―――
ヽ _ラ´`く辷ｿｦく __ﾉ
/へ _＿_｀く>_＿》:、
,. : ´＼{{ ・[Ε}} ・ }}ノ｀: .、
／ .: .: ,イ／｀¨¨¨¨¨¨´ 包 .: .:＼
_／ .: .: ,ｲ∨.: .: .: .: .: .: .: .: .:ﾏﾑ .: .: .＼ __
ヾiﾍ .:＼ハﾏ .: .: .: .: .: .: .: .: .: .',ﾏﾑ .:／／iﾌ
┌─────────────────────────────────────┐
└─────────────────────────────────────┘
┌───────────────┐
└───────────────┘
┌───┐
└───┘
-
２．
―――――――――――――――――――――――――
冒険者の集まる酒場。
昼食の時間も終わりが近いと言うのに
客足がまったく途絶えようとしないのは、
この所暴れていた海賊団が壊滅したと言う知らせが
二日前に入ってきたからだった。
―――――――――――――――――――――――――
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
|＿＿|＿＿＿| |＿＿|＿＿＿|
⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒|＿＿＿＿|＿|⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒|＿|＿＿___＿|
| | .|＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿|＿|＿＿__|＿|
| ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣| ||＿＿|
| おい聞いたか！ .| 聞いた聞いた！ |＿|＿|
| 北の海の海賊団が壊滅した | 騎士団も手をこまねいてたのに|＿|＿|
| んだってよ！ | いったい誰がやったんだ？ ......|＿|＿|
| | ...|＿|＿|
|＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ ＿＿＿| | ,/;:;;ヽ
|. ∨| |￣|/￣￣￣￣￣￣￣￣￣.|￣￣|￣￣/;;;:;::;ヽ
∧＿∧ ＿＿∧∧_＿ ∧∧＿∧＿∧＿＿ ∧＿∧＿＿＿ /,;;;;;;;;;;;ヽ
∥￣￣￣￣￣￣￣￣∥´） ∥ ( ﾟДﾟ,) (ﾟДﾟ,,) ∥∥ ）＿_ （・∀・ ） ∥ l!ﾘl
∥ ∥ ⊃. i三i日と と i三i 日0 l ∥∥ ⊃/ヽヽ￣ヽと） . ∥iiiiiiiiiiii］
∥ ￣￣l＝＝＝＝＝＝＝＝| ￣ ∥ .￣￣l ＝＝＝＝＝|￣￣∥:::::::::::l
∥＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_|＿＿__∪∪＿_∪∪|＿＿∥＿＿__|＿_しし_＿＿|＿＿∥:::::::::::l
-
３．
f´￣￣￣￣￣ ｀ヽ
「もしかしてアレか、 | はぁ…… ＞
とうとうこの国にも勇者様だか英雄様だかが 乂＿＿＿＿＿_ ノ
来ちゃったんじゃね！？」
「バカねぇ、そんな都合の良い話あるわけないでしょ」
_____
＿. , -―-ﾐ. ／三三三L _______
／////＼. }＞f７.:::::::::::::::::く⌒ /三三三三ハ} ___.//////ﾊ
////////,ハ r匕{从rｔｧﾊ}八ミ }三r-u--u┐...＿ ／ /| //////|
斗=＝＝＝=气 7::八(＇ - ﾉ)) [[]].....≧＝ﾆ二.. ／ ｀ヽ ／ ／..ﾞ|////// | __
it{{ ﾟ ij ﾟ }j {::{厂＞r===く⌒Y:{ { L-＝=ニ../ ／ ／ L_________」 〈:0:〉
. 八乂 ＝ .人 イ {/ fK )__j7∧ /二二 ﾉ八((u ハハ ' ／.... i j{ | .|I|
／￣ヽー=ｾ ｀ヽ. {{ {{ {{_ﾘV_______{ __〉 }. }二二二..ﾞ/ }り i '. 人 ^ 人......|I|
{＿＿__j ヽ }iー ､...└r-┤7rfrfrfr{「::{ ./ ﾉ二二二....＾iア ,ﾊ从. 〈 r====cメア(__)
/ ∧ } / ! ＼. ｛二二二二....｀rー＝斗 } !/////}ﾊ |I|
L__________} } {｜ } 气x/ ＼. / |/////{八ノ|I|
f ジV {.{_ }i
／彳. : :v } {ﾘ
「でもよぉ、懸賞金がついたら
俺達だってやってみようかって話してたじゃん？
そいつら、ただ働き覚悟でやったってことだろ？」
-
４．
. r'ア＞‐…‐ミ､
rく/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼ f´￣￣￣￣￣ ｀ヽ
. ﾊﾊ.:.:.:-=.:.:.:.彡'''ﾞﾞ ㍉ミ、 | ふぅ…… ＞
. V.:.:V.:.:.:.:.ﾐ'´ Vﾊ 乂＿＿＿＿＿_ ノ
〈:.､.:.:＼ﾐ'^ -‐ -}.:..}
｀乂⌒{{ rぅ iｯ乂(. 「やっぱり財宝とか
` -､ } 狙ってやったんじゃないかしら！？
_ﾉ : .... ｰ= ｲ {＼
. _ -{ﾆｱ {＞ (＼> ＼ ほらぁ、海賊王のお宝が
. _-=ﾆニ乂 ‐- _＼ヘ r‐‐` '，. この辺りに隠されてるって噂が
. {＼-=ﾆﾆﾊ __ ＼＼_￣{ ハ. 昔っからあったじゃない！
. }-=ﾆニﾆﾆ「⌒⌒〈∧⌒⌒〈ﾆ}`r ´ニ}＼
. iﾆニニﾆ=-}: . Vﾊ Vﾊ}___ /-=ﾆV 海賊がその情報とか、
. {-=ﾆニﾆﾆﾊ: . }/} . : }/7ニニニ=-V もってたんじゃない！？」
_,ｨ
__ ノ7ノ: :ﾉ
／. . ／: :／=- _
{: :{.:/: :／⌒: : . 、 ＼
V从彡ミ､‐ミ､: : ＼: :}
}:. __ ㍉: :＼: . .V
乂〉^tッ }i:Y^Y:ミ/
「海賊王の財宝はともかく、 r' __ 彡_ノ.:./
やつら商船やらなんやらから 从从从〉 .:'' Vヘ
かき集めていただろうからな。. 「ミﾐ､,,, ｲ __ノｲﾆ{
_ -=ﾆﾉ从彡ﾞﾞ<ﾆニニニ=-ﾍ
ぜんぶ討伐者のものになるとか... └‐へ-=ﾆﾆ}: }ﾆ=- -=ﾆニ>､
羨ましい話だなぁおい」 Vﾆノ ／-=ﾆニニ／ﾆニ=-_
／rﾍ/: :／)ﾆニﾆ=-／ﾆニニニ=-＼
/-=ﾆ> >< <-=ﾆニニニニニニ=-／⌒V/
/ﾆ/ﾆ(／/ﾆヽ)-=ﾆニニニニニ=-/ﾆニ=-v/
-=ﾉ-=ﾆ}/-=ﾆニニニニニニニﾆｲニニﾆ=-V/
{ﾆﾊ-=ﾆニニニ/ニニニニニ=-/ニニニニ=-
―――――――――――――――――――――――
景気がいい話は久しぶりと相まって、
ほとんどの客が海賊団を壊滅させた者の正体を
まことしやかに詮索し、好き勝手いい合う中、
場違いなため息が喧噪にかき消されている。
―――――――――――――――――――――――
-
５．
―――――――――――――――――――――――――――――
ここに座ってから、いったい幾度目になるのだろうか。
水の入ったカップを眺めるため息の主はぼんやりと考えたが、
三桁を超えたところで数えるのを止めたことを思い出して
また憂鬱さに拍車をかけてしまう。
―――――――――――――――――――――――――――――
f´￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ
| はぁ……… .|
乂＿＿＿＿＿＿_ ノ
, - ―― - 、
!ゝ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ノiー.、
| ￣￣￣ .|'⌒i}
__.! |/／
,i'´ .ゝ ＿___＿_ .ノ'´ ｀ヽ
ゝ ＿＿￣￣￣＿＿ ノ
｀ ￣￣￣￣￣￣￣ ´
-
６．
――――――――――――――――――――――――――
やや上目遣いに確認すれば
向かいの仲間達が変わらずこちらを見つめていたので、
視線を受け止められない彼は俯きに戻ったのだが。
そのわずかな動作を見逃さなかった神官の男、
クラフトがまた、答えの見つからない問いをぶつけてくる。
――――――――――――――――――――――――――
-‐ ―- 、
／ ‐￢ ｀ 、
/. l .i
.,' .! .i !
.,' ﾄ,､! ',
И i. l !. l､ !`
l ! !,ｨ. /l ﾄ､!. '-‐Ｎ.ﾘ
ﾚﾘ'ﾍ､ !/'仁ﾘｨ ､￣ !、
／´Ｌ.'lゞ､ヽ.∩、 , -‐'‐.つ:.｀:.:....、
.／:.:.:./l: :ﾚ'ﾘWN ヽ,＞'´ -‐フ'!:.:.:.:.:.:.:.｀:.:..、
／:.:.:.:.:./:.:l´: : : ', ! ' ／ﾉ-!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ 「どうするんだ？
／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l: : :／ﾍl ' 'ｲ､: :!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.!.. このままじゃ干上がるのを
γ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l': ´: : /ゝ､ イ :＿; 」:.:.:.:.:.:.:..:.:.:.:.l. 待つばかりだぞ」
.!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:､:.:.:.:.',; ｒ-</ ./.7'ｧ_イ´ 「:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.〉
l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼:.:.V:.:.:.:ヽ'_/././ 〉 .ｊ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:-<
＼:.:.i:.:.:.:.:._:.:.-‐＞'､;;ヽ:.:.:.:.:.￣',. ! ／l＿:.:.:-‐:/「:.´:.:.:.:.:l
ヽ!:.:／:.:.:.:.:.:.:/:.:.:｀´:.<｀;;‐ｙ':::ヽﾚ:::::l:.:.:.:.:.:.:.:.1:.:.:.:.:.:.:.:.:.l
〈/:.:.:.:.:.:.:._/:.:.:.:＼:.:.:.:￣:7:::::::十:::::!:.:.:.:.:.:.:.:.l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ゝ
',:.:.:.:.:.:.:7:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/::::::::::::l:::::⊥:.:.:.:.:.,､:ゝ＜｀丶:.:.:/
!:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:ｒ=ニ二二ニ=.､'孑｀丶‐-_､:.ヽ:.:.:.:.:.:＼
＿ _ゝ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l ├- ヽ-‐',:.:l:.:.:.:.:.:.:.ト---- ＿
-‐ ￣ ＼:.:.:.:.:.:.:.:.:.λ .ト - ./ニ/:.:!:.:.:.:.:.:/ ￣ ‐-
＞:､:.:.:.:.;ハ l` ＿,/＿/:.:/':.:-‐ '
l .l｀´.¨ ´ ￣´
l l
.ト- ＿ -‐.l
`‐- ― -‐´
-
７．
＿_
′ ｀ ' ､
／ ＼
. / / / | ∧ ＼ ヽ
/ / :|:| :| :| |.:.:. ;l_ｌ__.: |: |l
| | .:从7ナ'ヘヽ;.:}ﾚ从/ノﾘ
| .:| .:.|ィ孑テ' ｀ |ﾉｲｿ}:.|
| .:.:| :ヽ, ゞｰ' 、｀´ | |
ノ.:|.:.:ヽ .::ゝ _ ／| ヽ. 「私たちはどうでもいいのよ？
／.:.:.ﾉ:.:.:.:} :.:.:.}｀ ､_ イ .:.:|:.:、＼ リーダーはあなたなのだし………」
／/.:.:./.:.:.:./ｌ .:.:.:.〉_,_,_｣-┤ .:ヽ.:ヽ, ヽ
./ {.:.:./ rｰく/ .:.:.:/ /∧ ∧ .:.:＼〉
_＿_＿
／::::: ＼
／::::::::: ＼
｜::::::: ｜
（ルイズにまで気を遣わせてしまって、 ｜:::::::::::::: /
私は何をしているのでしょう………）.. ＼＿::::::: ＼
/::::: |
|:::::::::::: |
――――――――――――――――――――――――――
もう一人の仲間、
魔法使いの娘は気遣うように言ってくれたのだが、
いまの彼にとってはその思いやりも重荷でしかなかった。
――――――――――――――――――――――――――
-
８．
┏┓ ┏┓
-‐- 、 ┗╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋┛
／ ｀ 、 ┏╋───────────────────────╋┓
／, / .＼. ┃｜ 〜できる夫は苦悩する勇者のようです Remake〜 .｜┃
/ .／ ィ / / ｨ /7. ┗╋───────────────────────╋┛
/ｨ ´7i'.l, ,l l,⊂_ ‐-' ＜. ┏╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋┓
ｨ彡 弋'l /´ﾘ‐- ﾘλ ヽ ┗┛ ┗┛
,ﾍﾑ_ｨ イﾘ7.' ´´l.ﾘ｀ヽ ', ,. '´. ＿＿＿
..... __,/ ｀ ＜ヽ __ , '´ .ｒ'-‐￢ ,. '´. ´ ｀ ヽ ＿
.....／---‐――--.､ゝ＼i.jｲ 」-‐＞ヽ ,. '´...... ／ ､ (＿ ヽ
.....:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／⌒ヽ. ´ / ´ l ,. '´.... ／ ､＿ ｀ヽ＿,,} ヽ ｀ヽ
ﾞ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／ ／´ ｀ヽ ヽ. , , .!... ,. '´.... / ｀ﾞｔｯ≧､´ ハ /＼
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／ ／ ヽ l｀ / / /!... ,. '´. ｌ ｀ー--' ｀化ヽ / ヽ
ﾞ:.:.:.:.:.:.:.／ ./ ＿ __ヽ-､ !/. ,' l..ﾞ,. '´. i u 、 ヽ ∨ ﾊ
:.:.:.:.:.:.:.:l ＿十''''''''"" ＼ ＜.... ,. '´. ｌ ＿ ' ｊ ハ
:.:.:.:.:.:.:.:.', l ￣ ￣ ￣...,. '´..ﾞ゛'' ..,, ', ´ ｀ー――-､ ｌ
_:.:.:.:.:.:.:.:ヽ.',―ー==―--- ,. '´ ゛'' ..,, ヾ ｀ ー-､ ﾉ ｌ
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`-‐':.:´:.:.7 ‐- ＿ﾞ,. '´ : : : : : |: : |: : : : : | ､: :..゛'' ..,,... ｀ ヽ ｀ー- ､ ー ' ヽ／ ｊ
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.://, ,.. ,. '´ : :ﾊ,: {: : : : ,: :|: : : : : |ハ: : }!: :i:.|:..゛'' ..,,... ＼ ﾊ ｒ―､ イｌヽ /
.ﾞ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.://./,..,. '´...|:|: : | {: ､: : : :ヽ}: : : : :ﾘ __|:_/-､: ;|: : : :.|: :. ゛'' ..,, / } ｊ ヘ 〉 ∨ /
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./!...,. '´..:.:|: :T{:ト-:､∨_ヽ: : : : :､__,.ィ /_ｲ }:/ |: : : :.|: : | ゛'' ..,,. { ｊ ／
,. '´..ﾞ: : : :|ヽ:{ ヽゝ ＼. ヽ: : : : :./ｨrfィ斥ミ､_ ': : : :.:|: : | ゛'' ..,, ／
,. '´ ∨:.|: : {:.,.ィ≦斥笊ら ∨: : / {r､_,刈 ;: : : : : |: : { ゛'' ..,,／
,. '´ ﾏ{＼ﾑr､r､ 込こソ }:／ ｀ ￣´ /: : : : : ;: : : : ゛'' ..,,
/: :.∨/ }! } ´, /: : : : : /: : : : : ゛'' ..,,
／: : :/ / 〈! i /: : : : : ∧: : : : : : : : ゛'' ..,,
／: : : : ∧ ', }! }__ _ /: : : : : : {: :ヽ: : : : : : : :
. /: : : : : : :ヽヽ} ｀ ー ､ ｀ イ,': : : : : : : |イミ、: : : : : : : : :
{: : : : : ,.ィ三≧､_ ヽ.. '_´,ｨ/: : : : : : : :.|三三＼: : : : : : : :
､:,.ィ三三三ﾆ}: : :＞- ､__ , } ∧ / : : : : : : : : |三三三三ヽ､: : : :}
{三三三三ﾆ|: : : : : : :∨}_／￣￣}.∨: : : : : : : : :.:.|三三三三三}: : :/
-
９．
―――――――――――――――――――――――――――――――
再び頭を抱えた少年の名はできる夫と言った。
大陸東部から北部のいくつかの国では名の知られた冒険者であり、
まだ二十歳前だと言うのに偉大な『勇者』の称号を受けている。
―――――――――――――――――――――――――――――――
＿＿＿_
／ ＼
／ ＼ ／ ＼
／ ●） （●） ＼
| ´ |
＼ ⌒ ／
.／ｰ-.l`‐-‐＜￣の） ＼ __
（ /⌒⌒￣￣r:| !ﾍ / ＼
ノ` / ,. |＿ / / ＼
|／/ | / ＼/ / ＼
／ （＿_____＿＿;＿＿/ ＼ / /
／ Ｙ/ ゞヽ ,ﾉ ﾍ| / ＼/
／ ,〈______;;λイ＼ ,| / /＼__/
／／∨ ;;;;;;;ｿi⌒ ゝ‐".| / / /
／／ └r,;;;イ'""> 〉;|/ / ／
ヽ´ _,,ゝ-ゝへ〈,,,,,,,,,,｝;; ＼∠_／
,,,,;;;;;;;;;;;;;（::::::;;;;:::::;;;;;」;;;;;;;;;(;;___ ___）;;;;
"""""""'''''''':::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;''''''"
-
１０．
――――――――――――――――――――――――――――――――
実績ならそれなりにあった。
いくつもの冒険をこなし、多くの人達を助け、
とある国では貴族の悪逆を暴いたりしているし、
ふさわしい冒険者になろうと過去の偉人達をはじめ、
最近この大陸を賑わせている英雄を目標に努力だって怠っていない。
――――――――――――――――――――――――――――――――
,
,＿＿＿ ／/
／ ＼ ／／
／ ＼ ／ ＼ ／／
／ （●） （●） ＼ ／／
| __´___ | ／／ 「ソ＝レナーリ山賊団に警告します！！
＼ |il!|!il| ／.／／. すみやかに武器を捨てて投降し、村から奪った食料を返却しなさい！
. /⌒〜"￣,￣￣〆⌒,）／
| ,＿_＿ﾞ＿__､rヾｲｿゝ 従わぬ場合は大陸法第五条に則りあなた達を排除します！！」
| ｀l￣
,.. -‐=＝=‐- .､
／ ＼
/ ﾊ
,' lヽ. ',
l{¨¨ ー‐‐------‐‐ｙ"¨¨}|
_ ! 〉ｙ '´¨'' ,, ,,. ''¨｀ ､〈｜_
ﾊ'|.{ {.＿ 八 ＿.} } |'ﾊ
《(い モ-ﾟ＞←→rくｰﾟ‐彳1|)》
ヽ| | |,,,, ,,,|､. | |ノ
「ナンだァ………？ ! | {..l j..} ! |!
やんのか小僧！」 ﾍ!. _,,‘ｰr-r‐',,,,,_ ,. /|
| ﾍ''"＜三三三＞ﾞ''// ↑＿
r:::Ｆ| ＼ ＞----＜ ／ |::::!｀
'´ﾍ:ﾍ. `ー―― '´ /::/
-
１１．
/ / / / / / / /ヽ
/⌒ 'ｰ‐┴┴ ＜/ハ
厶_ﾍ , へ /::＼_!
l〈ｏ ﾍ ／ｨ⌒o} ヾ::::::|
rll「「「/ ( `「「「｢ }::::/
/ ! (r;__､ﾊ じ⌒l
人人人人人人人人人人人人人人人人人人人. ヽ| r─､ヽ , 刀}
＜ ＞. ､ ｢￣ | i 广_ン
＜ 相手はたった三人だ、やっちまえ！！！ ＞. ヽ. |∠´| | /´{{}_
＜ ＞ _ヽ{ﾆﾆン ／ _}: :ﾄ､.,_
Ｙ`Ｙ`Ｙ`Ｙ`Ｙ`Ｙ`Ｙ`Ｙ`Ｙ`Ｙ`Ｙ`Ｙ`Ｙ`Ｙ`Ｙ`Ｙ`Ｙ`Ｙ`. , r‐'''"´::::ハ二´_／ ／: : : l::::::::｀'' ｰ- ､.,_
＼ ／:::|::::::::::／: :∧ /: : : : : :l:::::::::::::::::::／':::ヽ
＼ ヽ::::|:::::∠:_:_: : : } /: :_:_:_:_:_:_l::::::::::::／':::::::::::::i
＼ >､ ｌ:::|::::|:::::::::::｀ﾄ､:!。 ｡ﾚ'´: :/::::::::::::::::／':::::::::::::::::/
＼／:::/￣ >､-､ l:|:::::!:::::::::::::|: :| ﾟﾟ’ |: : /:::::::::::::／':::::::::::::::::::|/
＼/ ／ ／ く ヾ::::l:::::::::::::|: :| /: /:::::::::／'::::::::::::::::::::::::::l
/ ' ／´l, -───-k￢─- 〈: :| /: :/::::::::/:::/:::::::::::::::::::::::::::l
`┐ ／ |: :.|::::::::::::::＼/: :./::::::::/:::/:::::::::::::::::::::::::::::!
――――――――――――――――――――――――ｚ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
i /
...ﾞ= ｳﾞﾝｯ
＼
ヾ＼
t:V ､__
/t Y i
. 八-' ,-',
7／ ヽ
j |
{ | ＼人_从人__从_从人__从人_人从ﾉ／
. i ', .| ＿__ ＞ ＜
.. ', ', ! ／⌒ ￣｀ : ､ ＞ エクスプロージョン！！ ＜
i ', |/ ー'. ＞ ＜
. | ',//!,' / 7 ',ヽ__, ﾍ. ／Y⌒YW⌒Y⌒WW⌒⌒YW⌒WY＼
,j //7.{ ﾊ {i{ i ﾍ T ﾍヽY ,. ---､
,〃:| ///.{ i《7心ヽ、Y ﾉﾘ } i }! ／ ﾍ
__ イ////////i.ﾍゞ ' '´ｨ心7 ／ﾘ ／ ∠--y ﾉ
. _,.. ／//////// ', ∧, -､ ゞ' ムイ ー‐' ／ノ ／
ﾞ_／///////////.} }: :.ﾉ ｲ ', ﾍ ー- ＜T´ ＿ニニニニt- _
.. ｀ ＜///////ﾉ ﾉr r ≦Yヽ ヽ ＿ ￣￣￣ ＿＿ ￣ ｀`ヽ､Y ＞＝=､
＜ ￣￣ ／/i|☆)}////:T ー----==ﾆ￣ ─-＜ てy､ }i ＞-､ ＼
_//≧ｘ ＿ z≦///〈`￢ヽ{-t//} ｀ ＜ ＿ ｀ヽ､｀ヽ､ j ﾄ-' __ノ ヽ (_ﾉ} }
..ﾞ////////＼///Ｔ:::::ﾍ .}::::i//┐ ー- ￣￣￣｀ヽ､ ﾍ ー'／ ／イ
ﾞ///////////ヽ i::::::::7 ___k::::i//八＿‐- __ `ー- ､ ト､ ￣
...///////////∧ i:::::fヽ _,.├'//////７７７７７７７７ﾊ Y＞'//７ _,. --
//////////// 〈=-ゞ' | /.{_///////////// ＼二彡'//// 7＿,..z≦//////
////////////:「- = ' {i j.| 入/////////////////////////////////////
-
１２．
|l|ｌｉｌ|l |ｌ|川ｌ|ｌY|l|l|l|l{
|l| ｌ| |ｌ| ｌ|| ｌ|
|l| ｌ| |ｌ| ｌ|| ｌ|
|l||ｌ|川ﾘ |l川|l|l|l|l|l|l|l ｌ|| ｌ|
|l| |l| l|| ｌ| || || ||
|l| ｌ|l|l|l|l|l|l|l|l|川 |l|ｌ|ｌ|川|l|l|lｌ|ｌ| || ..|| ||
|l|川ﾘ ﾘ l|| || .|| .||
＿＿...|l| l| l||..￣￣￣￣....|l|l|l|l. ￣￣￣￣￣￣￣―――|| ||＿＿
＿――￣￣ .|| ||. |l l|| |l |l| || ||￣￣――＿
＿￣ .|| || j| l|| |ｌ|ｌ|ｌ|ｌ|ｌ| ||l|l川|{ |l|l|l|l{|l|l|l|{. || || ￣
―＿ .|| || jl| jﾘ |ｌ| ｌ| |l ｌ| ｌ| }|ｌ|ｌ|ｌ|ｌ|....|| || ＿―￣
―|||| jll jｌ| 川ｌ|ｌ} |l| ｌ|ｌ|川 ｌ| l| ｌ| |l |l|..... |||―
. |||. ｌ||ｌ|ｌ| jﾘ |ll| ｌ| ﾘ川l|ﾘ川l| j{ jﾘ |||
||| jﾘ l|l l| ｌ| jﾘ jﾂ |||
|||. |＼ /＼ / | ／/ / {l|ｌ|ｌ|ｌ| j川{. |||
||||...＿| ＼/＼/ ＼／＼/ |∧／ /／/ 、 " . , ′ . ´ , 、 |||
... |||.....＼ / i 、. .｀ ゛. i , . ． " .､. |||
... ||| ,.ﾞ∠ ギャーーーーッ！！！ ＞.... ．゛.. ii||.. i i ､ ´ ii .. " .li .|||
||| . ／＿ ＿ ＼... iｌｌ|!!i l ...|ｌｌ iii i i l|l. |li li||li |il||||
||il..￣ / ／∨| /Ｗ＼ /＼|＼ .| ￣lli || ..iiｌ|||lll.|ll ｌｌｌｌ||iｌｌｌi iiil|iii|||l|i |l|ｌ!liil||lll.|l||
||!|i||ill/／ |/ ＼/ ＼|..ｌｌ||ill|ll ｌｌｌ|||lll||!!lillliiｌ.ｌ| |lll||!!lillliiｌｌ| !!||ｌｌｌ|||lll||!!lilllli||||!lll||
|||ｌｌ|||ill|i||ll||lll!!ｌｌｌｌ||iｌｌｌｌ||||||ｌｌｌ||||ｌｌｌｌ|iill|||||ｌｌｌｌ|ｌ|ｌ|lll!!ｌｌｌｌ||iｌｌｌｌ||||||ｌｌｌ||||ｌll||!!lillliiｌillliiｌｌ||!!!||ｌｌ||!!ｌｌｌｌ||iｌｌｌ||
||ｌ||ｌｌｌ|||i||ｌｌｌ||!!!!llll!!|||ｌｌ!!!!!|ｌｌ!!ｌｌ||||!!ll||!!!ｌｌ||!!|||ｌｌｌ||!!!!llll!!|||ｌｌ!!!!!|ｌｌ!!ｌｌ||||i||ｌｌｌ||!|ｌｌ!!ｌｌ||||!!ll||!!!ｌ||!||
:::::::::::::::::::............. ｀ ..........:::::::::::::::::::::
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::::::::::::::..................... ............................:::::::::::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
――――――――――――――――――――――――――――
だがそれらも、なにかしらの二つ名で呼ばれる様になったり
一流と認められるには足りるとしても
称号を得るにはまだ不足と言わざるをえず、
おそらく人々はある『理由』のために
彼を『勇者』と呼び始めたのだろう。
――――――――――――――――――――――――――――
-
１３．
―――――――――――――――――――――――――――――――――
クラフトなどはその『理由』が一般的に定着されるとこまる同業者が
別物とするために流した噂に尾ひれがつき、
どんどん大きくなってしまったのではと予想していたりするのだが―――
―――――――――――――――――――――――――――――――――
r―-､＿_r―-､
|―‐z＿＿,r:､__）
| | / /＿__r-､
>―-､＿＿ノr―‐┴'′
,. -‐'''"￣￣`―〇ﾆニニヽ
. ／ ＼ `〇
| 残金 ヽ
| 銀貨 ２枚 |
ヽ .銅貨 ３４枚 /
＼＿＿＿＿＿＿_／
――――――――――――――――――――――――
とにかく彼らはその『理由』ゆえに、苦しんでいる。
――――――――――――――――――――――――
-
１４．
―――――――――――――――――――――――――――――――
先日から、ほとんど気持ちの問題で
二人の提案をはね除けていたできる夫は
どうしても譲れない部分があるのです、と自分の考えを繰り返した。
―――――――――――――――――――――――――――――――
＿＿__
／ ＼
. ／ ノ ' ヽ＼
. ／ ／）（ー） （ー） ＼
| ／ .ｲ ' | 「私達からお金を求めることはできません。
∨,'才.ﾐ). -‐‐- ／
. | ≧ｼ' ＼ 皆、心からお礼を言ってくれているのです、
／＼ ヽ ヽ. それが何よりの報酬ですし………」
＿ｒ'´ ￣ ￣｀`‐- 、
/ l ＼
/ /! l ヽ
/ｨ /,' /ﾚ」/! / l ',
/ィ〈./' ' `l'.ﾚ/. l l , ',
´ ／ ､""´ /ｨ /ﾙ /ﾚl / l`
「わかっている。 < ´ .ｲ'//ﾘ_ハ! ヽ
お前が本当にそう思っているのは. ` l/ｒ＜ /ﾚ'｀ `
俺も、ルイズも、十分に分かっている。 ヽ￣｀ ./ l ./
,'i i i , , __,ノ, .'ﾚ､ /
だがな、たとえ勇者でも ゝ-=＝´ ,-'‐――'‐'┐
金がなけりゃなんにもできないんだ」 ／'／」 ,. .､-‐┬ヽ、
∠_ >ﾆ／ヽ: : :ヽ_: '-‐<
／／￣:ヽ;／´￣:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
／／`丶／´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:',
/./＿: :／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l
/./: : :／:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l
-
１５．
,. - '::´￣￣:｀::ｰ-､
／ ,.: : : : : : : : : : : : : : ＼
/: : /: : ,: : : : : : : : _ : : ＼: .＼
|: : ｉ : : {:./: : : : : :、: ヽ : : ヽ: : ｉ
|: : ﾄ、ハ|.: : : ヽ: : ヽ: :|: : : :|: : |
|ﾊ:.ｉ !＼:.ヽ.: : : :|: ﾊ|: :.|.: : : |: : |
从弋ﾄ､:.!: :!_｣斗ヤT: : : :|: : |
|:.| ﾋﾘ |ノ 弋たト/: : : 八: :|
／|人::: ､ ::`ｰ' /: : : /: : ヽ! 「クラフトのへそくりも底をついたし仕事もないわ。
(:._ノ: : ＼ r ､ /: : :.∧: : : : ＼. 宿代だって今日までしか払えないのよ？
／ : : : : : _}＞､ _, ィ: : : /: :ヽ: : : : : ＼
(.: : : : : ／:/:.:.:.:ﾑr:/: : : /＼: : ＼: : : : : ＼.. ついでに言うと、
ヽ : : 〈:.:.:.:|:.:.:/A.Y : : : {:.:.:.:.＼＿: : : : : : : ）. 昨日からご飯も食べてないわね」
） : : ＼_:ｉ:.:.|.X/{: : : : :＼――┴┐: : : /
弋二¨´.: : : : : 人V|／::{＿_: : : : ＼:.:.:.:.:.:.:{: : :/
人＿ノ: : : : ／:.:,:ｨ介ｰ―‐‐）: : : : : }:.:.:.:.:.:.〉:（
{＿＿＿:.／:.:／::/ｉ!.|:.:.:.:.／: : : : : :ノ:.:.:.:.:./: : :＼
厶イ／＞く ﾉｉ ＼:{: : : : : : : (___:.:.:.:.:|: : : : : :＼
|::／|_/ ＼__rく∨: : : : : : _厶:__:.:.|: : :＼: : : ＼
|/ | ＼_}J＼: : : _＿＿／:.:|: : : : :): : : : ）
|＼ ＼ ＼ ＼_＞:.:.:.:.:.:.:.:.|: : : /: : : ／
|: : :`ｰr-､＞､ ／|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|: : /: : :/
―――――――――――――――――――――――――――――――――
もとはとある国の上級貴族で、金銭面では不自由のない暮らしが
約束されていたはずのルイズだが、
冒険者にしても質素すぎる生活に心から文句を言ったことはなかった。
本心を隠すような嫌みは絶えないとしても。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
-
１６．
┌──────────────────────────────────┐
│ 荷物や手紙運び → 初心者向けで受けられない .....│
│ 商人や貴族の護衛 → 受けられなくはないが、依頼が出ていない .│
│ 怪物退治、素材入手 → 受けられなくはないが、町の外にでるための .│
│ 食料、消耗品の準備すらできない │
│ 賞金首 → どこにいるかの情報を得るために盗賊ギルドに払う金がない ....│
│ 野盗・山賊退治 → 近所にめぼしいのがいない │
│ 怪しい依頼 → 勇者が受けるわけにはいかない |
└──────────────────────────────────┘
f´￣￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ
| どうするんだ？ ＞
＿＿＿_ 乂＿＿＿＿＿＿＿_ ノ
／ ∪ ＼
γ⌒) ノ三三三ゞ(⌒ヽ f´￣￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ
／ _ノ （＞）三（＜） ＼ `､ | どうするのよ？ ＞
（ <:::∪:::: __',__::::∪| ） 乂＿＿＿＿＿＿＿_ ノ
＼ ヽ ::∪:: `ー'´∪::／／ 「ううう………」
―――――――――――――――――――――――――
彼らの言うことはもっともであるし、
できる夫も自分のわがままなのは十分承知している。
それでも勇者の名に恥じない依頼が見つからない今、
どうすればこの財政難を乗り切れるのかが分からない。
―――――――――――――――――――――――――
-
１７．
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ちなみに、この世界に勇者という技能職や契約職は存在しない。
単純な実力で得られる「剣匠」などの称号とは異なり、
受け継がれる血脈、時代が求める宿命、
または何かの偶然や人の世の都合により選ばれた者は
その生き方を現した称号を受ける。
優れた才知や実力を持ち、理想の道を歩み続けて非凡なことを成し遂げた者なら「英雄」と。
多くの強大な理力魔法を身につけ、
それらを世のため人の為に役立てた者なら「魔法王」や「大魔法使い」と呼ばれ、
司祭職にあり、大いなる者を支えたり、自らも慈愛をもって
人々を癒した清らかな女性ならば「聖女」と呼ばれたりする。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
,;:.:.;:;:.,,.
.:;:.:.:;:.:.:.:.;:.:.:;:
:.:.:; .:;:.:
＿＿＿ :.:.:.. .:;:;：:.:. .:.;:.::
＞ ´ ｀ ＜ ::.:.: :;；:., :.:::.::
／ ＼ :.:.:.:... .:.::.::
/ ＼_ ／ V .::.;´/¨|:.:;｀:.;;:
/ （● .) (ー ） V ..| .|
| ヽ | .| .|
∧. ＿ ｀ｰ ─ / | .|
_ -‐‐- 、.|i i| ___ イ ,-‐イ￣ヽ､
＞ ´ |i i| ヽ T､ { / { ﾑ i
／{ i i...|i i|__ .＼ {ニつｰ ' }
＿,.＿＿＿{ { { .| | .|i i| |￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
{ i|气气气i i | | | :|i i| |￣￣￣￣￣￣￣ ￣￣￣￣ ￣￣￣￣￣ ￣￣
｀ｰ'¨¨¨¨¨¨ヽ ヽ _ゝ＿i.. ＿ ,'|::|i i|_..|───────────────────
7 .｀|i i|¨´ ヽ / i
ー--─‐ヾー'...|i i| i .｀ｙ’ .i
∧ |i i| i / i
∧ ￣ i、 /
∧ i ＼ /
∧ i .＞ /
ヽ i ｀ ´
} i
/ i
/ i
――――――――――――――――――――――――――
「勇者」もそのように生き方を現した称号の一つであり、
できる夫も正確には魔法騎士という
戦士と魔法使いの複合職に就いているのだ。
――――――――――――――――――――――――――
-
１８．
―――――――――――――――――――――――――――――――――
同じぐらいの実績をもつ他の冒険者であれば成功者として引退したのち、
大商人や貴族の血縁と結婚して裕福な暮らしを手に入れたり、
どこかの国と繋がりを持ってさらなる高みを目指していてもおかしくない。
少なくともドアに鍵が掛からない、すきま風だらけの宿屋で
水で空きっ腹をごまかしているようなことなどないはずだ。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
． ─―─‐ 、
, " ＼
/ ＼
. / ＿／::::::＼_ヽ
| :::::::::::::: :..
| u （ ー):::::::::( ー)
. ＼ ´ / （どうして……
,＼ ` ｰ‐‐／ こうなってしまったのでしょう……）
／ ` ｰ─ ＼
――――――――――――――――――――――――――――――――――
腹筋に力を入れて腹の虫が鳴かないようにした彼は
どこかで間違ってしまったのでしょうか、原因はなんだったのでしょうか、と
自分が辿ってきた道のりを思い返さずにはいられなかった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
- - -- ── ────────────────── ── -- - -
- - -- ── ──────────── ── -- - -
- - -- ─ ── ─ -- - -
- - - - -
-
１９．
――――――――――――――――――――――――――――――
十五の時だった。
故郷の宿屋にやってくる吟遊詩人たちの謳う英雄譚に魅了され、
もともと生来の気質で大勢の役に立ちたいと考えていた彼は
若さゆえの行動力で家を飛び出し、念願の冒険者になった。
――――――――――――――――――――――――――――――
＿＿＿
／ ＼
／ ＼ ノ＼
／ （ ●） （●）＼
| ´ |
ヽ、 ⌒ ／ 「お父さん。
ノ ＼. 私は家を出て冒険者になります！」
||
＞-||-＜
, .|:::::::::::::::|..,_
／ﾞ .|:::::::::::::::| ` ､
〃 ..|:::::::::::::::| ヽ
/ .|:::::::::::::::| .ﾍ
,-‐7 `¨,ﾉ i,¨´ .',y~ヽ
i i , -'"´ ｀`ヽ､ .i .7
', i ● ● i ./
「できる夫は爺さんに似ちゃったんだなぁ。 ﾍ .i ''''' ＿＿＿＿＿ '''' j 7
決意は固いみたいだね」 'ﾊ ｬ'"¨:::::::::::::::::::::::::::::::`ヽ, 7 i
, ｨ::7 ', ﾍ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::7 7 i-､
∠:::::::7 ﾊ ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::ノ / .j:::::＞､
／:::::::::::::ﾊ､__ノヽ､ ゝ､ ＿＿,,-'" ｲ､__ノ:::::::::::::::＞､
／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＞-------＜:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
＿＿＿_
／ 〜〜〜＼
／ 〜〜〜 ＼
／ -（◎）―（◎） ＼
| （ （ （__人__））） |
/ ∩ノ ⊃ ／ 「ワシも若いころはあちこちでブイブイ言わせたもんじゃ。
( ＼ ／ ＿ノ | |
.＼ “ ／＿＿| | できる夫よ、男が一度決めたからには必ずやり遂げるんじゃぞ！」
. ＼ ／＿＿＿ ／
-
２０．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
実際、そのようにして生まれ育った場所から飛びだしていく少年は多い。
だがその多くは、厳しい現実を目の当たりにして
志し半ばで倒れたり、家に逃げ帰って退屈だが平穏な生活を繰り返すものだ。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
┌───────────────┐
│ 協力 │
│ やる夫＝ニューソクデさん ....│
└───────────────┘
＿∩
/ 〉〉〉
{ ⊂〉 ＿＿＿_
| | ／⌒ ⌒ ＼
| | ／(●) (● ) ＼
| |／:::⌒(__人__.)⌒::: ＼ 「やるおも冒険者になって
ヽ | |,┬‐ | | お姫様とイチャイチャするお！」
＼.＼ ｀ー ´ ／
＼ ＿＿ ヽ
ヽ (＿＿＿_/
┌─────────┐
│ ↓三日後↓ ...│
└─────────┘
／￣￣￣＼
／ ─ ─ ＼
／ （●） （●） ＼ 「冒険者？無理に決まってるおそんなの。
| ＼ （__人__） ／ | 剣とか持ち上げるだけで筋肉痛になるし、
＼＿ | ｀ ⌒´ | ＿／ 野宿とか超怖いし野グソだし、
／ | 隣の町まで歩いて三日とかどんな罰ゲーム？
（＿)| ・ ・ |｜
ｌ⌒ヽΞ Ξ/| | 地元で『ようこそ○○村へ！』って言う仕事で十分だお……」
| |＼＿(;;U;;;)＿￣）)
（＿） ／／
（ ＿）
-
２１．
／￣￣￣＼
／─ ─ ＼
/ （●） （●） ヽ
|:::⌒ __´__ _⌒:: |`ヽ
,ｨＴl'ヽ＼ `ー´ ／｀ヽｰ;、 「まずは見聞を広げるために
kﾋﾋど, (( (({⌒Yｨ ､ ｿ お使いをこなしましょう」
｀´￣ヽ ﾊヽ/｀^ｰ′
ヽ ｀ / '}
> /ごノ
__,∠ /
〈、 ／ ｷｭﾑｷｭﾑ
＼､__ノ
＿
〃 ｀ヽ
ｲﾊ〈ｨ,ﾉﾞﾒﾘ,ゝ
"ﾒ(!!,,ﾟ,,ｰﾟﾉﾞ
fﾞjﾓ|￥ﾓ!ﾞi 「なんか危なっかしい小僧が
. (ｭｲzzzzEj_) 輸送依頼を受けてるなぁ」
}＝{={
(ニﾌこ)
――――――――――――――――――――――――――――――
しかし、運も実力のうちと言うべきか。
まさしく運と、それが引き寄せた信頼できる仲間との出会い―――
――――――――――――――――――――――――――――――
-
２２．
′ ｀ ' ､
／ ＼
. / / / | ∧ ＼ ヽ
/ / :|:| :| :| |.:.:. ;l_ｌ__.: |: |l
| | .:从7ナ'ヘヽ;.:}ﾚ从/ノﾘ
| .:| .:.|ィ孑テ' ｀ |ﾉｲｿ}:.|
| .:.:| :ヽ, ゞｰ' 、｀´ | |
ノ.:|.:.:ヽ .::ゝ _ ／| ヽ 「あら？あなた魔力あるのね？
／.:.:.ﾉ:.:.:.:} :.:.:.}｀ ､_ イ .:.:|:.:、＼ 魔法は何か覚えてる？」
／/.:.:./.:.:.:./ｌ .:.:.:.〉_,_,_｣-┤ .:ヽ.:ヽ, ヽ
./ {.:.:./ rｰく/ .:.:.:/ /∧ ∧ .:.:＼〉 }
ヽ ｌ .:ﾚ':::::::/ .:.:.:.:∧' ⌒∨:::::＼ .:.ヽ ﾉ
＼! :l:::::::::ｌ :.:.:./、:ヽ､／:::::-ｰ:} .:.:.:.Y
}/::::::::::| ..:.:{:::＼_::_／::::::::::::| .:.:.:/
／l::::::::::::::＼ :ヽ:::ﾉ:||:＼:::::::／ .:.:.:.∧ヽ
./ |:::::::::::::::::::〉 .:.＼:||::::::ヽ/ .:.:.:/:::::| ＼
＿＿＿
／ ⌒ ⌒＼
／ （⌒） （⌒）＼
／ /// __´__ /// ＼
| |r┬ | | 「自分に魔力があるなんて初めて知りました！
＼ ﾞー' ,／. よろしければ私に魔法を教えてくれませんか！？」
/⌒ヽ ｨヽ
/ rｰ'ゝ 〆ヽ
/,ﾉヾ ,> ヾ_ノ,|
| ヽ〆 |´ |
―――――――――――――――――――――――――――――――
―――そして、ほんのちょっとの実力で彼と仲間たちは成功し、
いつの間にか世間で勇者と呼ばれる立場になってしまったのである。
―――――――――――――――――――――――――――――――
-
２３．
┌────────┐
│ 取材協力 ...│
│ ルイズさん .│
└────────┘
【Ｑ．あなたから見た、勇者できる夫はどんな人物ですか？】
＿_
′ ｀ ' ､
／ ＼
. / / / | ∧ ＼ ヽ
/ / :|:| :| :| |.:.:. ;l_ｌ__.: |: |
| | .:从7ナ'ヘヽ;.:}ﾚ从/ノﾘ
| .:| .:.|ィ孑テ' ｀ |ﾉｲｿ}:.|
| .:.:| :ヽ, ゞｰ' 、｀´ | |. 「間違いなく善人ね。
ノ.:|.:.:ヽ .::ゝ _ ／| ヽ お人好しで疑うことを知らないし
／.:.:.ﾉ:.:.:.:} :.:.:.}｀ ､_ イ .:.:|:.:、＼.. バカが山盛りでつくぐらい正直で真面目よ。
／/.:.:./.:.:.:./ｌ .:.:.:.〉_,_,_｣-┤ .:ヽ.:ヽ, ヽ
./ {.:.:./ rｰく/ .:.:.:/ /∧ ∧ .:.:＼〉 }.... そういう不器用なところも含めて嫌いじゃないわ」
／ ＼
／ ｀ヽ 丶
/ .:ﾉ ', ヽ
/ / / .:.:/ :ヽ:. ヽ:ヽ V l
l.:.| :/ .:./.;ｲ :ヽ:...:.:ｌ.:.: .:|:..:l l: !
|.:.| .:l .: ＼!/ l:.:{ .:.:.|ヽ:.:}ヽ .:j .:.! |:. |
ヽﾊ:l:.| !:.:.:jV＼{:八 .:.::.l }:/_,j;ィト:.l .:l:.: |
. 「きき、嫌いじゃないって言っても ヽ从:.: iｲfﾁ心ハ ､从ｨ厶斗＜V .:.jl:.: |
. 別に好きって訳でもないんだからね！？. ＼ﾄ小._V;zｿ ﾉ／ V;;_z1 '/ .:.:.:ﾊ:.:. 八
ﾘ :} .:::::: , :::::::.. / .:.:.:/.:.ヽ:.:.: ヽ
. あの、その……… _..ノ/八 / .:.:.:/.:.:.:.:.＼:.:. ＼
. 危ないところを助けてもらった恩もあるし！」 , -‐´ :／ .:.:＞,.、 ´ ヽ ｨ′ .:.:.: ﾊ;.__ .:.:.:.:＼:.:.: ￣｀丶、
〃 .:.:／ .:.:.:.:.: ﾉ'¨ ヽ､_ , ｨ≦７ :.:.:./'´ ヽ.:.:.:.:.｀ ー- ､:. ヽ
l .:.／ .:.:.:.:. ;.'ｲ＼ ノ} /｀∨ :.:.:.:{ ゝｰ､.:.:.:.:.:.:.:ヽ:.: }
{.:/ .:.:.:.:.:／ } Vx1_/ ｛ :.:.:.:ヽ ∧.:.:.:.:.:.:.:}:.:. ,′
〃 :.:.:.:.／ j／ ￣￣ ヽ入 :.:.:.:.:.＼ ヽ.:.:.:.:./:.:/
{ :.:.:.:.｛ | ／ ＼ :.:.:.:.:.＼ ）:.:/:.;ｲ
-
２４．
┌─────────────┐
│ 取材協力 ....│
│ クラフト＝ロレンスさん │
└─────────────┘
【Ｑ．あなたから見た、勇者できる夫はどんな人物ですか？】
/ , , /、
. / / / ィ/ ／/ ｲ ＼
/ ／/ｨ / /x!,ｨ/,イ / /ﾍ {
,ｲ / ハイ' | j| /l/ ' ,ﾚ≧ｘ;ｨ ｲ / / il
厶‐ｧ ´ i"(ミxﾘ! / | ,:′ ヾﾃヌゞﾚ'l/ /ィ i !
/ ,ｲ ヾ 辷 |,′l/ ゞ'’ :' ,ｨｆﾅ ｨヾ!
. /'′| i ゝ-､" ´ {;ﾘｿ〃ﾘ
jＮ i ! ヾ /′
ﾚ{ , ,ｨj li! 、 イ 「いまどき珍しいぐらいまっすぐな奴さ。
_＿_j_ﾑﾁ ヾ＼ ｀￣ ヽ /′
j ￣ ｀丶 、 ＼;///,ｨ.,;._｀ / 不器用で頑固だがそれが良いって奴もいる、
___ / 1ヽ `ｰ:､≧{ ｀ヾ:､. 俺みたいにな。
／:::::::`:.ｧ:､._＿_ ! ＼ }/´｀ー- ､ ヽ
／: : : : ／: : : :`丶ミ≧:､ L_＿_ゞ( ;ｬｧ'´￣ ｀ヽ 勇者＝慈善事業、みたいな世の中だから
:-: : :／: : : : : : : : : :_≧ｭﾐ:､ };＞' __ ‘，. 狡っ辛いのが付いている必要があるだろ？」
`:､｀ｰ-:､: : : : : : :／: : : : :＼､ 才{__ .ィ´ ヽ
.:.:.:.:｀ヽ、＼: :.／: : : : : : : : : ＼ﾉ;ｨ{ ､___, 丶
.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ. ＼: : : : : : : : : : : : :Z､ ≧一’{`ｰ Yヽ
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:≧ ヾ: : : : : : : : : ／: ≦ ゞ: : : ゝ |⌒Ｖ
――――――――――――――――――――――――――
困っている人を見ると黙っていられない質のできる夫は
勇者向きと言えなくもないが、
依頼でもないのに働いてしまうことが多々あり、
――――――――――――――――――――――――――
-
２５．
――――――――――――――――――――――――――
このあいだも村を襲っていた山賊団を自主的に退治して
奪われた品をすべて取り返してやったはいいが、
被害に遭っていた村人達は礼を言うだけで
謝礼は銅貨一枚だってよこさなかった。
――――――――――――――――――――――――――
.「おい、噂のご奉仕勇者が来てるぜ！
困ってることはありませんかだってよ！
「まじかよ！？
宿屋に出してた依頼、取り下げてくる！」
- =＝! ' -― ー､
,ｲ:::.. :..:.: ..:ヽ ／ ﾊ
i::::::::::::::::::::::::::::::i //, ／/ｌ i
ｌ::::::::､ｲ::ｒ;:::::_:::::j !ｲ/／／ｲ/ |l | |l
!{ヽ:ｲ/メ ｊｌ |'ｌ:::/ 川ｒ＜/ /ィ´! ｌト､! ｊ
ヾ ﾘ ｀ｰ' ﾊT´ｿ ﾘｲ ﾟ｀} /ﾟ´ Y ﾘ ｊ /
ヾﾄ ｰ ' /' ｀|ｊ / | j|ｲ/
_＿,, -≦ﾊ ヽ イ-､＿ !ﾊ｀ｒ ｧ ﾉｲ/
/////////≧=≦////77ヽ ﾘ ヽ _, イ {
////////////////////ﾊ ,, -rィ / / ）ヽ
////////////////////ハ ,ィ´ ￣ / |l ' // ｊ ｀ー ､__
////////////////////// j / |ｌ｀ー'ﾟ ／/ / , ｀ヽ
///////////////////// l | i ／／ / ﾊ
//////////////////// | ヾ'／ / ハ
―――――――――――――――――――――――――――――――
本来、野盗の類を討伐したのなら、そいつらの所持品や生殺与奪は
討伐者の自由にして構わないとされるのに、である。
―――――――――――――――――――――――――――――――
-
２６．
――――――――――――――――――――――――――――――――――
彼自身はそれで満足しているが、
世の中理想だけで立ち行かないのが現実で。
ときおり貰えるお情け程度の謝礼と、倒した怪物の素材を売った収入では
質素な生活を強いられてしまい、
消耗品の補給や戦力の拡充はおろか、
実家から持ち出した武具を補修したり更新する余裕すらない有り様だった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
,′ :.: ｉ .:.j{.:.:.:.ﾊ.:.{..:jノ ヽ:＼ ＼ ヽ
. ｉ |.:.: |.:-八.:.‐{七ｊ´:{.:.:.. `ﾄ､!.:.:.:j } |
. | |.:.: | /ｧz≧=.kハ.:ヽ:.: .:j.:.j＼ﾊ.:.: .:.:/:.':j
. | |.:.: l'彳 {iﾍ j|ヾ ∨}.:.: .:.,仟≦k |j:.:.:.://∨
j !:|.:.: │` r'::ﾁﾘ j.:.／ {iﾍｲﾊ}从／ｲ
,′l ﾊ.:.:. | V_少 r' ﾘ /.:.:.｢ |
. / :/.:ハ.:.:. ｌ ::::::::: ､ ヾ'' ,'.:.: │:!.... 「私、新しい魔法書が欲しい！
. ／.:.:./ .:.:.:.ヽ : ! :::::::::: i.:.: |八
. ／.:.:.:.:/.:.:__,r-ﾍ .:.. ', ｢ ﾏ ｲ.:.: |:. ヽ.... そろそろ招雷とか〜、
／.:.:.:.:.: /／ ::::::::::: i.:.:.:. ヽ丶､ ゝ ／ イ.:.:!.:.: {. :.:. ｀ー- 劫火球とか〜、覚えられると思うの！」
.'.:.:.:.:.:..:.: / ::::::::::::::::::::|.:.:.:.:.: ＼ ＞ ‐-／⌒＼│.:.:.:.:.:. ヽ__:.:.:.:.: ｀ヽ
.:.:.:.:.:.:.:.:/::::::::::::::::::::::::j.:.:.:.:.:.. ＼￣／ ／⌒ ＼ .:.:.:.:.: ＼｀ヽ:.:.:.:.:. i
.:.:.:.:.:.／＼:::::::::::::::::::/.:.:.:.:.:.:.: ∨ ′ ／⌒_ヽ_ :.:.: :. ＼}:.:.:.:.:.: j
┌─────────────────────┐..... ヽ:.:.:. /
│ 魔法使いが新しい魔法を覚えるには │ ｝:.:.:／
│ 魔法学院で教えてもらう（有料）か、 .│
│ 魔法書（有料）から独学で学ぶ必要がある ....│
└─────────────────────┘
, -―- ､
∠ _r ､rヽ
/ / ＞ヽヽ ﾍt
ｉ ｉ i iﾚ｀iヽ !
ﾚ W巡!厶 _jΔ ｣__
{ﾚ' ‐- -- ヽ∧ >'⌒ヽ
ヾ | / ∨::::::::::::::｀::..、... 「そんな金はない。
}＼ ‐‐ ｲ ＼:::::::::::::::::::＼... 自分の小遣いを貯めて買うか
_ r 个 弋. イ 卜ｰ--‐ヽ::::::::::::::::::::::＼. 新しく編み出してくれ」
_....:::::´├―ﾄ､ `∨' ├ﾍ::::::::::::::::::::::::::::::::::／
／::::::::::::: ├─ l `｀才´├.弋 :::::::::::::::::::::: ／
i::::::::::::::::::::├―‐.| | ├─ﾍ:::::::::::::::::／
|:::::::::::::::::::└―‐┤ .| ﾚ―‐┘:::::: ／
!:::::::::::::ｉ:::ｉ:::::::::::::::卜、│ ,,|:::::::::::::::::::Y
/::::::::::::::::l ┌────────┐:::|
ﾍ :::::::::::::::...│ 共用財布管理係 |ﾞ:: |
}:::::::::::::::::.└────────┘...|
-
２７．
, -‐ ´ ｀ ｰ､
／ ｀ー-､
,‐´ 、 ｀ヽ、
ｆ‐ | ヽ ヽ ヽ
/ ー､ ヽ＿ / ヽ ヽ ヽ＼ ヽ
/ } ＿ l ヽ ヽ/! ヽ i ヽ i
l ／ / ヽ l、 ヽ l ﾊ/ｆ-ｆ、 }l ｌ、 |ﾘ
l l ｌ_l_ｌｒ- {_ゝヽ ヽ |//ｆｃ ﾘ /! /ﾘ
l |.:. } l ﾊ､=ゞ＝=ﾘ / ﾑｿ /ｲ 〈
ノ l.:. ｌ ｲ /´七C､ﾑ／:::::::.. lゝ､ヽ､
｀ー－´ _-‐!.:. ヾ l 弋ソ ..:::::::::::.. }l ￣
ー----- ｆ´:::::::ヽ.:.: ヽ、 ,_＿ -= ／ヽ、 「バカ言わないで！
:.:.:.: _-―‐´、:::::::ヽ.:.:. ヽ、 / ￣ﾉ／! ヽ、 新しい魔法を編み出すことなんて
:.:.:.:ヽ::::::::::::::ヽ、:::::＼:.:.:. ヽ､＿ー‐ﾆ‐´:::::!.:. ヽ、... 簡単じゃないのはクラフトだって知ってるでしょ！」
.:.:.:.:.ヽ､ヽ:::::::::::ヽ､_::::ヽ､! ヽﾌニｲ:::/::::::/ヽ:.:. ヽ
:.:.:.／ヽ､ヽ:::::::::::::::::｀ｰ-ヽ.:. ヽl ｌl::::ｌ:::::::/::::ヽ、.:. ヽ
.:.:.:i::::::::::ヽ::＼::::::::::::::::::::::}.:. } ｌ 7::|:::::/:::::::::::}.:.:. }
:.:.:l::::::::::::::::＼::｀ヽ、::::::::/.:.:.:. ,'ヽTl:/:／::::::::::／.:. /
:.:.:.l:::::::::::::::::::::＼::::＼／.:.:.:. /｀ヽ､／::::::::::／.:.:. ／
:.:./:::::::::::::::::::::::::::ヽ／.:.:.:. ／:::::::/:l|:::::::::::/.:.:. ,-‐´
_＿＿＿
／ノ ヽ､.＼
／（●) （●） ＼
／ __'___ u ＼
| ｀ー` |
(⌒(⌒(⌒ﾞｉ＼ (⌒(⌒(⌒ﾞｉ ／
「け、喧嘩はやめましょう？... ﾞｉ ﾞｉ ﾞｉ ﾞｉ (⌒) ﾞｉ ﾞｉ ﾞｉ | !､
ねっ？」 ﾞｉ::::::::::: ゝ (⌒)::::::::::: | ﾞｉ
ﾞｉ （ ﾞｉ !､ | ｌ |
＼ ｉ ﾞｉ ,r'_,／ /
＼ ｉ ＼ ＿＿ ／
┌─────────────────────────────────────┐
└─────────────────────────────────────┘
┌───────────────┐
└───────────────┘
┌───┐
└───┘
-
２８．
〃:: : : : : : : : : : : : : : : : : : :｀ヽ
. /´:: : : : : : :/ : : : : : : : : : : : : : : ハ
/: /:: :: :l:: :: :l: :: : : : :ヽ: : : : : : ',: :: :∧
. /: / : : : :|:: ::/i: : : : : : : ',: : : ヽ: :∨ : : !
{: /: : : :从 : ハ: : : : : : :人: : :从: :}: : : :|
|: ｉ:: ::斗-‐廾‐-､: : : : 斗-‐廾ト､::!: : : :|
|:ﾉﾙ': :{z≠=ｚ､ 7: ::ノ ,xz=≠､ }: : : !::|
|: : : : 从 fゞ､,ィ` ﾉ'´ 爪ゞ､ｨ 从: : :ﾊ::!
. 八: : :∧. ∨匕!, 匕::::ﾘ / : : /:: :ﾊ
/: : : ',: ハ ´ , ./:: : : i: : : :ヽ
/: : : : :i: : : ', 、_＿, 八 : : ハ:: : : :＼. 「私たち、三人とも魔術師(※１）なのだし、
／: : : : : :|:: : : :ト ｲ: : : : :i : ',: : : : : :＼. いざと言う時のために魔石（※２）を買っておかない？」
, : ´:/: : : : : : !: : : :ﾊ : : ト _ イ: : ,': : : : : !: : ヽ:: :: : : : :ヽ
./: : :/: : : : : : :ﾉ : : : : }く ＝=､ ,-=＝┐: : : : : :{: : : :｀ヽ: : : : : ',
: : : /: : : :,∠ /: : : : : :|∧ / ∨ヽ ∧ : : : : : ',ヽ:: : : :丶:: : :ハ
､: : i: : :爪/// : : : : : ﾉ/∧r ⌒ ヽУ/∧: : : : : ヽ∧ : : : }: :: : :ﾉ
※１魔法使い、司祭、精霊使いなど魔法と呼ばれる技能を使える者の総称
※２術者の精神力の代わりに消費される乳白色の石（ややお高い）
/＞l 「 ｀ ＜
ｒ.､ヽ. ',l '、 / ｀ ＜、
γ､ ヾ､ ヽ /ｨ 7
弋 ヽ ヽ ヽ. ' ,' /丶
∧ ＼ ヽl l. , /l /l / / /
/イ.ヽ, -‐''' ‐- ',/! !l 仁メﾘL/l./ l
＿.」/--‐―､ ヽﾉ .ﾘ ﾚV沙､.'` 」 N
/ ヽ. ヽ ‐ /ｙ! /ﾘ
,' l｀丶/ V ﾚ
／'´ l l , ｲ
／ ./ ｀` ､.,ｲ
／ ハ , , , ,ｲ 「そんな金はない、
＿,／ ／ /､ >､//ｲ. 修行して精神力を高めてくれ。
／ ／ 孑'´ /-‐ヾ ヽ´ ﾄﾗﾝｽﾌｧｰ･ﾒﾝﾀﾙﾊﾟﾜｰ
/ ／-‐' ´ / ＼ ﾚ￣. いざと言う時は精神力譲渡の奇跡で
ｒ.‐'' ´ / ヽ`＼＞.､. 分けてやるから」
/ ./:l -―- ､ V l＼
! / ./:.:.:.', ヽ ',:.:.:`＜、
! / /l:.:.:.:.:.:ヽ l !:.:.:.:.:.:.i＜
l //./:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼ ! !:.:.:.:.:.:.! ＼
-
２９．
: : .―-∧-: 、 : : |＼: : : ヽ : : : : : : /＼ : : -ヽ:─:| : : : :
: :{.: : :/ ＼: ＼: :| ＼: : : : : : : :.:/ ／ヽ: : : }.: :│: : : :
{ハ: : | ＼:_:`ト､ ＼}: : : : :/／＿ ＼∧:/:| : : : :
: :.个┝┯┯┯┯━＼/∨ : :､／ ┯┯┯┯━∨: : : : :
: : ﾍ 弋_辷'_ノ ∠: :_／ 弋_辷'_ノ / : : : : :
: : : :'、 ,′: : : : :
: : : : :'. /:／:/:／ /:／:/:／ : : : : : : :
: : : : : '. u ! : : : : : ; 「瞑想、苦手なのよね………」
: : : : : :i | : : : : :,′
: : : : : :|、 〜〜‐- ｨ|: : : : : !
／￣￣￣＼
／ ＼
/ ＼ ／ ヽ
| （＿） （＿） |.. 「道具に頼るより、研鑽を積んだ方が良いですよ。
＼ __',__ __,／
／ `ー'´ ＼ 結果として魔法の威力にも反映される、と
教えてくれたのはルイズでしょう？」
- - - - -
- - -- ─ ── ─ -- - -
- - -- ── ──────────── ── -- - -
- - -- ── ────────────────── ── -- - -
-
３０．
―――――――――――――――――――――――
できる夫、という声で回想から立ち返った彼は、
もう一度仲間たちを見回しておずおずと言った。
―――――――――――――――――――――――
＿＿＿_
／ ＼
／ ＼
／ ＼ ／ ＼
| （●） （●） |
＼ ´ u ／ 「み、身分を隠して仕事を探すというのは……
／ ⌒ ＼ どうでしょうか」
／ ' / ｉ、 :. } ! ::. i !:. ::. ｉ::::.:.:.}
,′ // |ヘ、 ::i://:ﾄ､::.::.:.i::.!::. i:::. |:::::.:ﾊ
iﾊ / .:! :ｉ ｜ ヽ::/厶:|:L::ﾄ:::|::ｊ:::. ﾄ､:::.|:::/
| ', :.:::l :.ﾄ､|_ ﾊ:r ァﾄ芯ｱ }∧ﾊ::::|⌒Y::{
}∧.:lﾊｆ卞心 丶、ゞ-' ',::{ﾉ /.:{
′ ',ﾄ､{ ｀ﾌ i__.ィ.::Ｎ
ヽ ､〈 ｊハ{::::!
＼ _＿ ,. ／ jﾊﾙ､
「俺は構わないぞ」. ヽ ー' ／/ ／ : : :{::`丶、
Ｖｊ爪､ ／ /／ . : : :ﾉｰ- :::.丶、
ゞ斗''く ／ . : : ／.:.: : : :｀ヽ:::
／ / ｣i〕 /｀ヽ . : /ー- ､: : : : : : :
―――――――――――――――――――――――――――――――――
ヒュウッ、と口笛を吹いたのは名を呼んだクラフトである。
昨日までは詐称は重罪だと言い張っていた少年が、とうとう折れたのだ。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
-
３１．
ゝ ＿_ ／／: : : : : : : : : /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
＼ : : ／: /: : : : : :,′:/ : : : /: : : : : : : : : : : : :',: : : ハ
ン: : :/: : : : : :/ : : i: : : : { : : : : : ヽ: : : : : : :i: : : : : ',
ﾊ : : /: : : : : : {: : : :|: : : : ',: : : : : : :}: :丶 : : :|:: :: :: : ｉ
. /: : : / : : : : l: : l : : ,'ｉ : : : : ∨: : : : ﾉ: : : 从: :|: : : : : :!
{ : : : i: : l: : : 从人: :八: ｉ: : : : : : : :∧: ／｀ヽ :}: : : : : :|
|:八: 从 |: : : {￣ ト ､ __｀ヽ: ' : : ノ ／ｊ丿 ﾊ:: : : : : : |
ﾉ' ',:ﾉﾙ'i : :圦｀ヽ:ｌ ￣´ｊﾊ:ﾉｹ´ 丿仆: : :/ : |... 「私もそれでいいわ。
入: 从: : ≠==‐-z-‐ ﾉ'´ ≠==‐-≠ ,' : : : i: : :|.. 日銭を稼ぐだけなら初心者向けの仕事でもいいし、
/ : : : : : : ﾄ´ ￣´ , ｀￣ ´ﾉｉ: : : ﾊ: : } 中級の依頼までなら危なげなくこなせるでしょ。
. /: : : :ｉ: : : ∧ ｰ=彡 : : : }: ',:λ
/: : : : :|: : : : ∧ /: : : : /: :ﾊ :',... 私たち、見栄えさえ良ければ掲示板に乗らないような
/: : : : : :| : : : : 个: ⌒ ィ: : : : : :i: : : :ヽi. 仕事を紹介されても不思議じゃないのよ？」
, :′: : : : /i: : : : : :| : : : : ト イ: : :/: : : : : :从 : : : ＼
/: : : : : :／::|: : : : : :!:: :: ﾞﾊ} - .|┐/ : : : : : :} : ＼ : : : ＼
. ／ : : : : ／: ,イ!: : : : : :|￣/ ＼,_ _ ／ ∨ : : : : : : |ミ､_: ヽ: : : : ＼
´ﾞ: : : : ／:／/// : : : : : |// r‐Ｙ-‐､ 冫: : : : : : |///＼ ＼: : : : ＼
: : : : r': 爪////: : : : : : :|/｀ヽ / ', /∧: : : : :八////∧: ｀ヽ: : : : ＼
: : : /: r'/////: : : : : : : :|_//∧/ , - ､ ∨//{: : : : : : :∨////}: : : 丶: : : : }
――――――――――――――――――――――――――――
そもそも、他人が勇者を騙ったら詐称になるが、
勇者が一般人のふりをしたところで罪に問われるはずもない。
ルイズの言葉にも嘘はなく、彼女たち三人は実力面でも
それなりのものは備えているのである。
――――――――――――――――――――――――――――
-
３２．
／
∠. ／
, ´￣￣￣￣￣｀ ､ ／ /. ／
／ ＼ ／ ／ ／
′ ＼ ／ ／ ／,..＜
/ ヽ ／ ／ ,...＜::::::::::＞
/ ヽ､ ,∠_ '. ／ ／ ,...＜:::::::::::＞´
′ , =-≧ﾐ､ ｨ爪 ヽ l _ ／｀Lｲ＜::::::::::ﾞ
i （{ 弋り} {弋り ﾉ | ／ ヽ'＜//.::::::＞ ´..ﾞ
'. ｀ー ''´ 、 ｀ー ''´ ／￣｀ヽ ＼７＞´
>､＿ ＿ ／ ＿ ＼ ＼....┌────────────────┐
／ ｀ー ､ '´ ＿__｀ -‐'７ '. } }.ﾞ│ できる夫＝パーソクデ │
/ ／￣ ／ ー-､ ｉ / /､ﾞ│ 種族：人間 .│
i ＿_ | V--‐' {ﾞ│ 契約職：なし ...│
| ,ｨ気;ミ;} | .／ ／,-‐ . │ 技能職１：魔法騎士 .....│
｀､ ,ｨ気:ミ／ ／´ {. ゝ､.....│ 技能職２：なし ...│
i ＞── ､ ／-;ミ;／ー‐'´ / ', r‐=ﾐ. │ 装備：通常装備のみ（破損有） ....│
', ｀ー-‐‐,イ=､ ／ ト､ { ｀ヽ... │ .│
ヽ {⌒', ／ | ＼ ｀ │ 腕力：中の上 .│
', ｀ー´ | ヽ.. │ 知力：中 .│
ヽ | ｀ ＿ │ 敏捷：中 .│
i |. │ 運：笑っちゃうほど幸運 .│
└────────────────┘
―――――――――――――――――――――――――――――――――
依頼者との調整など、足下を見るようなやり取りがまったくできず―――
むしろ調整しようとするクラフトの邪魔をしてしまう―――に
運の良さばかりが目立つできる夫とて
並の戦士、魔法使いと比べても実力があるし、
先に触れた英雄とてまだ二十歳程度のはずなのだから
若さを引け目に思う必要はない。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
-
３３．
―――――――――――――――――――――――
できる夫の考えが変わる前に話を進めたい、と
掲示板の張り紙に目をやったクラフトが言った。
―――――――――――――――――――――――
／ l , ヽ
/ ! l,､,! ﾄ 、
l !、 !, i 厂l / ,'￣
,' l AAﾄトl､. N .A !
. /1 i N､孑云.ヽ! /ｒｧ! l ﾄ,l
ﾚ l./l ﾘ `ゞｼ'ィ ヽ'ｲl' ﾘ
l l'´ﾐﾘ､ l ´ ヽ'
l , ヾ.､ｺヽ.! ｲ
' ﾚ'l `ﾍ. ` -―‐ /
ﾚ､ l＞ ￣ .,'
! ｨ ,ゝ ｀ 、i i i i j' 「手っ取り早く金になる依頼が良い。
ﾚ' ∨ヾ､ -‐｀￣ 7、 ―――が、この宿は駄目だな」
／´.',λ! ／´/ ﾉ_: :＼
／ l / -‐┘ ／ : ￣: :ヽ、
￣_二ヽ ﾚ'´ -‐'ﾌ--―- ､ /:.:.:.｀‐-. 、
,. :'７:￣ :7<-‐ ￣-‐/ : : : ＿: : /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:￣:`‐- 、
-‐':´ : /: :＿ ├ζ二-‐/-‐ ´ : : : ∨.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
,. :'´:.:.:.:.:.:.:.:/' ´: : : :,' ./ ./: : : : ＿ : : /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l
＿＿__
／ ＼
. ／ ノ ' ヽ＼
. ／ ／）（ー） （ー） ＼
| ／ .ｲ ' |
∨,'才.ﾐ). -‐‐- ／ 「よそへ行ってみましょう。
. | ≧ｼ' ＼. 偽名を使うかは分かりませんが」
／＼ ヽ ヽ
――――――――――――――――――――――――――――
すでにこの宿では彼らの実力や正体が知られているため
初心者向けの仕事は回して貰えないし、
残るはできる夫が嫌がるような怪しい依頼ばかり。
犯罪行為に直結するかは分からないが、
勇者とあろうものが金銭目当てに怪しい依頼を受けたり、
町中の日雇いをしている姿を見られたら
いままで築き上げてきた名声は一晩で地に落ちることだろう。
――――――――――――――――――――――――――――
-
３４．
,. -─── ､
／／ ／ ｀ヽ
／.:./ / / .:. / ＼
/ .:.:./ / ,斗-- ､:{:. .:. ヽ ヽ
/ /: ｲ´l .:|l.:.:∧:|.:.:.: .:斗ｰ ',
l ..:.:|:.:. | ィチ才ﾐヾヽ.:.:.:/厶.: / .: 〉
l.:.:.:.!:.: ∨ }:ﾍ.ﾘ ﾉ／仟ﾃk';.:./ｨ/
ﾉ.:.::人:. ヽ ゝ-' ﾄ;'ｿ/／!
／.:.／.:.:.ヽ:. ﾍ ｀ ｀ |:.: |
／.:.／.:.:.:.::.ﾉ.:}:. ', __ ,:. |
／.:.／.:.:.:.:.:.:/.:.｜.:.:. ｌ ´ ´ ／.: |
.:.:./.:.:.:.:.:.:.:./＿ィ.:.:.:. 小 イ/:.:.:.:. ｌ 「そうね。
.:.〈.:.:.:.:.:.／ ./.:. }_,工,.´ｰ=〈:.:.:.:.. ヽ. 依頼の話を聞くぐらいただでしょうし」
:ﾉ.:.:／ /.:.:.:.: /.､ ∧￣入ヽ:.:.:.:. ＼
_ノ
. . -‐: :＝: : : : ー-ミ
. ／. : : : : : : : : : : : : : : : : ｀: ..
′. : : : : : : : : : :.､ー-ミ : : : : ｀ヽ
乂. : : : : , : : : ｫvi. : :＼: : : : : : : ハゞ
.才: :: :: :::/.: ::::// : :i : : :ヾ : : : : : :.∧
. ′:::: :::/ : : : :.′ 乂:{ : : :ハ: ハ: : : {:!
/才{:i|!/抖竿ミ､ }八≧≠ミ::!: : 从
イ }:i :N{才＞-=ﾐ｀ﾞ ノ 斗r-=ミNﾘ Y:;
从(ハ{《八:うjﾉハ ゞ:りｲ 》 }ｱ}}′
八 从 :i .i 八
＼'. ' ,／
∧ ｀ ゛ ハ
＼ ｀ー -－ "´ .ｨ:､ 「依頼の内容は宿の質に比例するからな。
fi≫ ､/从ﾊ, ／／ { どうせなら一番良い宿に行ってみようや」
／} ｀ :＜ー-＜イ {＼
／.:.:_{ .L _ヽ /_ノ .Vハ
. ｲ.:.:.:.:.:.{ V _ -‐ }}.:.:.＼
＞.:´.:.:.}:_:_:__∧ ー- }! ′_:_:_:}｀:.＜
.:.:.:.:.:.:.:.}:.:.:.:.:.:.∧ :i /.:.:.:.:.:.:.:.}.:.:.:.:.:.:.:.｀
――――――――――――――――――――――――――――――
頷き合った三人は揃って椅子を立ち、
カウンター向こうの主人に少し出てくると告げて酒場を後にする。
――――――――――――――――――――――――――――――
-
３５．
／￣￣￣＼
／ ノ ヽ ＼
／ （●） （●） ＼
| __´ _ |
＼ ￣ ／ 「一番の宿ですか。
／ ゝ ィ'ヽ 良いですとも、行こうじゃないですか」
／ ＼
/ ｨ r ＼
| `|| |ヽ ヽ
/⌒ヾ| | |, |
ヾ___,ｿl │（､__,ﾉ
| |
l Y´ /
ヽ, （ ,/
ヾ | |
≒;| |
(.（"＿｀ﾞ_）
／ ヽ
/ ／ / l ',
,' /l ,ｲ l ヽ !
l | ｣斗|ﾔ |､ l ,l ｌ |
l l､{ｨ|ﾒ､＼ j｀`トx.',' l |
|// l ﾋﾉ )ﾉ,圷ミ/ l l
/ ::ｌ:::: ' └ｲ ,/ ,' ハ
/ i ,＼ ､ ::::/ / l | ﾊ:: ヽ （少しで良いから自分の為に
|. ヽ ::::`ｰｪr イ,' / ｌ | l/:: ) 強運が働けばいいのに………）
/ ヽ l__／/ _,/ /l｀ヽ､,| ＼イヽ、
〈 | ::l / /l､ノ| ゝ、ヽ ヽ、 ＼:::..＼
ヽ l ::l ﾚ' ,|_／|/ 〉 l , ‐ﾍ::.. ＼::.. )
ノ / ::l （戈） ,/ ::|ｲ /:::: ∨
/´ ::＼::ヽ、| l ,/::／ ,/::::::: }
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
試みは無謀かも知れないが、
ここで唸っているよりはましだろう。
この芳しくない状況で、それでも胸を張って歩くできる夫の背中を見つめたルイズは
長時間かたい椅子に座って痛くなった尻をさすりながら、
彼が良い依頼に巡り会えるようそっと祈ったのだった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━…
-
３６．
━━━━━━━━━━━…
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
――――――――――――――――――――――
活気のある市場の脇を通り、
昼下がりの大通りを歩いて繁華街へと向かう。
――――――――――――――――――――――
.─────────────────── ───────────────────
||: : : : : 王王王王王王王王王王王王王王:.: : : :||: : : :.:王王王王王王王王王王王王王王 : : : : :||
||: : : :.＞==========＜ ＞==========＜: : : :||: : : :＞==========＜ ＞==========＜.: : : :||
||: : : :|＼ .／| |＼ ／|: .:.:.||.:.:. :|＼ ／| |＼. ／|: : : :||
||: : : :|. .|.￣￣￣￣.| | | |￣￣￣￣ | |: .:.:.||.:.:. :| | ￣￣￣￣| | | |.￣￣￣￣.|. .|: : : :||
||: : : :|. .| l .:| | l | |: .:.:.||.:.:. :| | l | |:. l |. .|: : : :||
||: : : :|. .| l .:| | l | |: .:.:.||.:.:. :| | l | |:. l |. .|: : : :||
||: : : :|. .| l .:| | l | |: .:.:.||.:.:. :| | l | |:. l |. .|: : : :||
||: : : :|. .| l .:| | l | |: .:.:.||.:.:. :| | l | |:. l |. .|: : : :||
||: : : :|. .| l .:| | l | |: .:.:.||.:.:. :| | l | |:. l |. .|: : : :||
||: : : :|. .|＿＿＿＿_| .:| | |＿＿＿＿_| |: .:.:.||.:.:. :| |_＿＿＿＿| | |:. |_＿＿＿＿|. .|: : : :||
||: : : :|／ .＼| |／ ＼|: .:.:.||.:.:. :|／ ＼| |／. ＼|: : : :||
||: : : :|＞==========＜ ＞==========＜ 人 || 人 ＞==========＜ ＞==========＜|: : : :||
||: : : ::::::::王王王王王:::: 只 :王王王王王王: |◇||||◇| :王王王王王王:: 只 :::王王王王王:::::::: : : :||
||: : : :|＞==========＜ ＞==========＜ У || У ＞==========＜ ＞==========＜|: : : :||
||: : : :|＼ .／| |＼ ／|: .:.:.||.:.:. :|＼ ／| |＼. ／|: : : :||
||: : : :|. .|.￣￣￣￣.| | | |￣￣￣￣ | |: .:.:.||.:.:. :| | ￣￣￣￣| | | |.￣￣￣￣.|. .|: : : :||
||: : : :|. .| l .:| | l | |: .:.:.||.:.:. :| | l | |:. l |. .|: : : :||
||: : : :|. .| l .:| | l | |: .:.:.||.:.:. :| | l | |:. l |. .|: : : :||
||: : : :|. .| l .:| | l | |: .:.:.||.:.:. :| | l | |:. l |. .|: : : :||
||: : : :|. .| l .:| | l | |: .:.:.||.:.:. :| | l | |:. l |. .|: : : :||
||: : : :|. .| l .:| | l | |: .:.:.||.:.:. :| | l | |:. l |. .|: : : :||
||: : : :|. .|＿＿＿＿_| .:| | |＿＿＿＿_| |: .:.:.||.:.:. :| |_＿＿＿＿| | |:. |_＿＿＿＿|. .|: : : :||
-
||: : : :|／ .＼| |／ ＼|: .:.:.||.:.:. :|／ ＼| |／. ＼|: : : :||
||: : : :|＞ー──── ≦ ≧─────＜|: .:.:.||.:.:. :|＞─────≦ ≧ ────ー＜|: : : :||
||: : : : : 王王王王王王王王王王王王王王:.: : : :||: : : :.:王王王王王王王王王王王王王王 : : : : :||
￣ ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
――――――――――――――――――――――――――
門番に会釈して庭を通り過ぎた彼らをまず出迎えたのは、
相応しくないものの来訪を拒むような重厚な扉だった。
さすがはこの国の首都であるこの町で
もっとも高級な宿、といったところだろう。
――――――――――――――――――――――――――
-
３７．
――――――――――――――――――――――――――
ごくり、と唾を飲み込んで扉を押し開けたできる夫が
半歩踏み込むなりのことだ。
ドアベルの音に振り返った大勢から
値踏みするような視線を向けられて足がすくんでしまう、
まるで見えない壁が入店を拒んでいるかのようだ。
――――――――――――――――――――――――――
, ― 、
/ / } ｌ),_＿__
{i { ／´,z ー＝== 、
ゝ´ .／ ヽ
,' / / ヽ '，
{ , { l l } }
l ,.{ l l l ﾘ
. '{ ﾑ ヽ从人jﾊ乂ｲ /
ヽj} j }l/
/´ﾄ、 ー－／ 「……………」
r }_ ＞ イ ﾌｯ
r-'ヽ｀ ミニﾆl7ー-ｧ- 、
/≧s。＼ｭ.,___j_ノﾆ/ ﾑ
{二二}ヽ_,j - ― ー- ../ﾆ!
. }二二ﾆ} Ⅶi
l二二ﾆ} Ⅵ
ヽ二ニ} /ﾏ
ヽ二ﾆ'.ヽ/ {ﾆ!
ヽﾆﾆ∨_ / .ﾉﾆ!
_ z＝ー- l二ﾆヽ￣￣｀lﾆﾆl
{ , z≦ﾏ二ﾆﾑ｀￣´jﾆﾆト 、
ヽz≦ , ﾏ二ﾆﾑ {ﾆﾆ}＼ ＼
＞ ´ ／ ﾏ二ﾆﾑ !ﾆﾆ! ! 、 ＼
＞´. , / ﾏ二ﾆ.} |ﾆﾆl. l '.
／ / ' ﾏ二ﾆ! .lﾆﾆl._ '. ＼
＿＿＿_
／ ＼
／ ＼
／ ＼ ／ ＼
| （●） （●） |
＼ ´ u ／
／ ⌒ ＼
-
３８．
-=ー ‐=- ､
.／ "::´ :::::::::::::ヽ
' , .::::::::::::::::::::Y
! .. ;:::::::::::::::
! .. ::; ::::::: ;::::::::|
.ﾊ::::; ::::::::::::::::::γ´):::::}
.}:::: ::::::::::::::::::::/しｲ:ノ{
rー=＝＝＝=- ､::_{ /
.＿＿/| ＼/ 「なんだ、あいつ。
////／＼＿＿＿＿＿＿＿}＿_ ﾎﾞｿｯ 迷子か？」
//／ ＼_
, ' ＼
/ ＼
{ ＼
j ヽ
l |
:! |
＼ |
} |
＿＿＿
／ ＼
／ノ ＼ u. ＼
／ （●） （●） ＼
| __´___ u. |
＼ u. `ー'´ ／
ノ ＼
―――――――――――――――――――――――――――――――――
当然といえば当然だった。
ここは位の高い貴族や超一流の冒険者、
大商人にお忍びの王族が利用するような宿である。
酒場の利用は宿泊客だけに限らないとは言え
身なりの良くない、はっきり言えば薄汚れている彼らが場違いなのであり、
門番がえらい人に呼び出された下っ端と勘違いしていなかったら
文字通り門前払いされていた可能性もあったはず。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
-
３９．
＜´￣￣ ‐-
／ ｀i ¨＞ 、
/ :i ! ヽ ヽ
/ / / :| / ヽ ヽ ',
/ / :/ i / i ', i i
/ ,' ｰ-/､ ／j: | ∧ | l: l
,' i /ン｀ﾞｰ V | 7''ｰl‐l'" l l
/ | ./示≧ﾐ／ ヽ,!/,,.ﾑｒ i /l l
/ .|/ ヾﾆｼ frｼ/ / /: ﾘ
/ ﾍ ｀t-ﾍ ::::::: ､ ::::u /_|/ /:ﾊ
,' ＼ ＼ ＼, -､-‐ _ ィ / ∧ ﾍ 「べ、別の宿にしない？」
| } ヽ ',/ <ヽ_i｀i´| ＼/ / ', ＼
乂 ,xf＜ヽ/ ｧ-､ﾞi::::/つ: :/ ,'＞ｰ､_ ヽ
） f;.;.;;: : :/ﾄヽヽ,.-' ｲ V::.（ （:.:.::.:.:.:.:｀ﾍ )
/ i:.:.:.:.V｀ヽ、｀´,イ 'ﾍ/::.:.:ヽ ヽ:.:.:.:.:.:.:＞｀-､/
/ ,' j:.:.,ｨ': : : : : :∧） . /:/ /:.:', ', r'" ＼
/ / /V ｀ヽ=-i / /: { / / ） ）Y ＼
,' //i } (.l {: : i ,' /.:.／ ／l l .ゝ、 |
＿＿＿_
／ ｕ ＼
：／ ＼ ／ ＼：
：／ Ｕ （＠） （＠） ＼
| ｕ __´,_ Ｕ |： 「な、何を言っているのですかルイズ。
：＼ｕ ./__/ ／：. 私達はお客ですよ、お客。
. ノ / ）ヽ ＼
( ＼ ／__ノi ） ). お客なのですから大丈夫です」
. ＼ ﾞ ／ ヽ ヽ / /
＼_／ ＼＿ ﾉ
―――――――――――――――――――――――――――
一瞬前まではあったはずの、会話すら止まった雰囲気に
怖じ気づいたルイズが作戦の変更を提案したが、
粘液のようにまとわりつく空気をかき分けたできる夫が
カウンター席に座ってしまったので、
―――――――――――――――――――――――――――
-
４０．
――――――――――――――――――――――――
戸口に残された二人も覚悟を決めるしかなかった。
――――――――――――――――――――――――
＿ｒ'´ ￣ ￣｀`‐- 、
. / l ＼
. / /! l ヽ
/ｨ /,' /ﾚ」/! / l ',
/ィ〈./' ' `l'.ﾚ/. l l , ',
. ´ ／ ､""´ /ｨ /ﾙ /ﾚl / l`
. < ´ .ｲ'//ﾘ_ハ! ヽ
` l/ｒ＜ /ﾚ'｀ `
ヽ￣｀ ./ l ./
,'i i i , , __,ノ, .'ﾚ､ /
. ゝ-=＝´ ,-'‐――'‐'┐ 「覚悟を決めよう。
／'／」 ,. .､-‐┬ヽ、 一流の空気にびびる奴には良い仕事なんか
∠_ >ﾆ／ヽ: : :ヽ_: '-‐< 紹介しようと思わないだろう？」
／／￣:ヽ;／´￣:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
／／`丶／´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:',
/./＿: :／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l
/./: : :／:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l
... ゝﾌ`:'´:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.l
.... /.//:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l
..... /://:.:.:.:.:.:.:.::./／:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::l
＿_ . -―-､＿＿__
ア ｀ヽ_
/／ / （／＾ ＼
. | | / ／| ヽ ＼ 丶ヽ
. ﾚ|l ∧＼_l∧ , |ヽ _│ l l
∧ :|{/迄rﾄハ ､j斗泛ﾄ/| ｌ |
ノ :|ヽ| 戈ソ ﾉノ 弋ソ_ 彳 │ |
. ／ ﾘ j／/／ ' ／/／/ / / 八. 「わ、分かったわよ。
. ／ ／/ { r〜‐ '⌒ヽ u/ ∧ ヽ､ ＿.. 座ればいいんでしょ、座れば」
／ ./ / ＼. `ー─ ---' / / ヽ ＼
（＿ ヽ〈 ∨＞,､_ -r＜' / ヾ ｝
） ハ ﾏ{ xヘ／￣/ {＼__ ｝ /
／ ん-ﾍ ヽ/／⌒ヽ,/ ∨:::::} ノ ／
／ {::::::::: 〉 ∧ /{. ＼:::＼ ｛
／ }:::::／ /:::::＼-／:::ヽ ＼〈 ￣ ｀ヽ、
. {／ /::::=-:::Y::::-=ﾆﾍ ＼ ヽ
／ ／::::::::::::::∧ ::::::::::::::＼ ヽ ｝
-
４１．
―――――――――――――――――――――――――――
できる夫を挟む形で二人が座り、
酒場の視線が散ってから十秒。
グラス磨きの手を休めようともしないバーテンダーは
手元に視線を向けたまま、儀礼的な挨拶のみを口にする。
―――――――――――――――――――――――――――
.. -=ー-ミ
/.:.:.:.:.:.:.:-=＝ミ:ﾒ､
:.:.:.:.:.:.:.:.:.'.:.:≠才"ヾ
Y´i:.:.:.:.:.:.:./／才ｧ _｀｜
≠ミ乂〉x:.:.: ｲ.／ｆf´ ､_〉ﾉ
/ｲ.:／.:ﾊ}=才" i{{､ ｀ﾊ'
. {从.:.i.:ノ.人＿ } fr く {
. ｲ从ハ_ ＼'. 了´ 「いらっしゃいませ」
／ﾆﾆﾆﾆ=ﾐ､ 〉___{
_／ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆｰ-∨_
//ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ＞≠ミ
'/ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ/ , ￣ ヾ､
i {:ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ./ {
| |ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ-. / }
' {ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ-{ :i .ﾊ
Ⅵﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ∧| / ﾉ{
――――――――――――――――――――――――――――
ただ、その動作の一つ一つがあまりに洗練されて優雅だった。
棚に戻されたグラスにはちり一つ残っておらず、
淡いランプの明かりを反射して燭台のようにきらめいており、
――――――――――――――――――――――――――――
-
４２．
――――――――――――――――――――――――
ここに来た理由を忘れて見入っているできる夫を、
眉間にしわを寄せたクラフトが肘でつっついた。
――――――――――――――――――――――――
＿
, -‐ ' ´￣ ` 、
／ ―--.ｧ
.／ , .ハ、
/ / / ./ ﾄヽ
/ / l !,ｨ /l ヽ ｀
ム' / . i ﾚ ｨAﾄ＜N. l !ﾘ｀
/ｨ .ﾚﾒ',i , ∧! '､''￢` .,''`'
ﾚ､ !爿ﾍ l' ￣ '´ ヽ、
ヽ. ＼ゝ､l /
ヽ, ,八 , -―, ' （あの野郎、俺達をなめてやがる）
＿/: ヾ'´ !｀＞ 、 , i i j
＿／:.:/-―仆､ ﾌ/iニ´､‐---― ―- ､
. -‐':.´:.:.:.:.:.:./: : : : l L ヽ. ／ 」 l: : :｀:',:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
／:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:/'´￣:`! ､￣V´￣ィ !-‐: ､',:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
./:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./: : : : : :! ゝ`l ／ .l : : : : ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./´:￣: ｀:! l /!'´; ￣`ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`-､
!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:〈/: : : : : :!､ l /;;l: : : : ＿ﾉ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i
,-':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`:‐-､ : l;ヽ l /;;;;;;レ'´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／:.:.:.:.:.:.:.:＼
:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`ヽ;;ヽ l ./;;;;;;;;;l:i.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:l:.:.:.:／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼
／.:￣￣￣￣￣＼
／: : : ＼
／: : : ＿ ＿ ＼
／: : : : ´ , ｀ ´ ｀ ＼
: : : : :／´ ｀ヽ r´ ｀ヽ. ＼
: : : ::（ f;;;;j l, l f;;;;j ） l
: : : : ヽ_ ｀ _ノ ヽ_ ´_ ノ;;::: |
: : : : : : ´"''" ' "''"´ l
: : : : : : . . ` ／
＼: : : : : : :. ー -- - - ／ 「っ！」
／ヽ: : : : : : : : : : : イ＼
: : : : : : : : : :.｀`ｰ- -‐'"´ ＼
: : : : . : : . : : . ＼
-
４３．
ｘ≦ﾆﾆﾆ=‐
ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ=‐
／ﾆｘ≦ﾆﾆﾆﾆﾆ=-ヽ
Ｖ,〃”⌒''*､ﾆﾆﾆﾆ=-ｖ
. ＾´ ≧ｘﾆﾆ=‐Ｖ
乂ﾆﾆ=-Ｖ
Ⅵﾆ=‐}
_,,.， _,.斗*=- :..:Ⅵ/＼
,ｘ*'' ´ ,,,__ : :.:.} /ヽ}
xく f≫''”⌒＾_.＼} } .ﾊ ヽ
. Ｖ{ｊ/_,,ｘvﾊｱ.′八ヽ ′∨ }
ﾄ､ く〃´⌒ヽ´ } :rく/ .}
}ｒ=ミ{{ // } ﾉ .;_/{___,ノ_,,.ノ
j{. 乂 /_,.ノ% ′ {＼ﾆﾆﾆミ*､ 「次は何になさいますか？」
ｊ{ ｊｒ- ..,,_.%i { }＾ヽﾆﾆﾊ,乂
. ＼,__／ ､｀}% ′}% }ﾉ八}
{ ､_. _,.，-‐┘} % ./ /.% _}⌒~""''' ‐- ．..,,__
､__,,.. ,' .%ｲ _/ % ,′ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ=‐
＼ ＇ ,. ゛% ./ %′ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ=‐
:.､ _,/ ,%'′ % .}ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ
: : : ` ‐≦ ./ ℃ｃ‰ ,′ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ
{ : : : : : :},_,／ ＇ ′ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ
. ｊ{ : : : :〃__ﾊ / /ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ
. ｊ{ : : : ,′ : : ', {ｒｃ /ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ
ｊ{ : :..,′ : :.... ヽ V /ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ
. 乂,∧ : : : : :.:.∧___/ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ
. ∧_______/ /ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ
＿＿__
／/／,,､-''￣三＼
rく !、{ ﾚ'／二三_ ミ＼
}ﾐｆ""`ー''"う! |ヽヽヽ ',
lﾐ! _二 _,,.､-- ト ＼ヽ i
lﾘ ,,,,,、 rｪｪｪｪｪ､ ＼､ ヽ.ｿ
Y zﾃ} E丕‐- ﾚ⌒iﾐ|
| ´ j ヽ r ﾞ りﾉﾘ
! ,ﾑ__,,.へ ' _,ﾝﾞiｿ
',ヽ ＿ i, ,! | ∨
', ｀二￣ ′′ﾉ/ | 「レオポルド・グルメルの４５を貰おうか」
_,,.､-ﾄ、 ／ /＿_,ｌ､_
r'"´. : : : : :'ｰr─''´＿i´: : : : : : |
', : : : : :/´工｢､￣!－|: : : : : : : |
}: : : :::l l{⌒!} l二!: : : : : : : :!、
,､-'′ : : l iト=ｲ i l ,! : : : : : : : : ｀''ｰ- ､,,＿
_,.､-''"´. : : : : : : :! ! i ｜l i V. : : : : : : : : : : : : : : : :
. . . : : : : : : : : : :,' l｜ | l ｜ |: : : : : : : : : : : : : : : : : :
―――――――――――――――――――――――――――――――――
囁かれて気がついた。
バーテンダーは他の客の飲み物が空いたら次を問いかける気配りをもち、
給仕からの注文にてきぱきと答えていると言うのに
カウンターの三人を「居ないもの」として
視線を向けようともしないではないか。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
-
４４．
――――――――――――――――――――――――――――――――――
注文も取らなければ天気や景気の話題すら振ろうとしない。
装飾された額縁までついている掲示板には
何枚かの依頼書が張られていると言うのに紹介するそぶりすら見せない、
『帰れ』という明確な意志を感じてできる夫は拳を震わせる。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
＿＿＿_
／::: ＼
／:::::::::: ＼
／:::::::::: ＼
|::::::::::::::: |
／⌒::::::::: ⌒ヽ／
；/:::::::::::: ＼；
；/:::::::::::::: ＼ ヽ；
_ ＿＿
／´ ｀ヽ_
, -‐ ' ｀ヽ
／ ＼
/ ／ ヽ: l
/ ,′/.:/ .〃:. :.丶:丶:.:.ヽ :l l l
l | l .:.l .:.ト､/:.:. { :.:.:.ヽ.:＼:.j:.!: │ l
lﾊ ｌ.:.:|.::..!.:.{＼八:.:.:.ヽ:,__匕厶｝ │ l
ヽ∧:.:!:.:从7tｰゝヽ:.:イﾍ ::::ノ│ l ヽ､
jハ＞ﾊ `‐' j:/ ￣ / ﾘ: ｀ヽ､ （地元だったら絶対にこんな態度取らせないのに！）
| :} ´ ､ ／ /:.:. ＼
＿ ノ : ゝ , ｀マZ三)′ 厶;._ }
／ ｀ヽ┐:.:.:.:.: /＞'´ ／:::::::::::ヽ :.: /
/ ） {_, }.:.:.:.:／ ／:::::::::::_:::::-ﾍ:. :.:.:.:.∨
｛ ┐r /.:.:.〃 ／_:::::-‐ ´:::::::::::::ヽ:.:.:.:/
入 /￣￣｀Ｖ ／:::::::::::::::::::::::l::::::::::::::|:.:.:.:ﾄ､
/ :.:.Y /￣￣ヽ :.:.:.:.:./::::::::::::::::::::::::::::l:::::::::::::l:.:.:.:.:.:.:.＼
ヽ :.:.ﾚ' l-‐､__｛::::::::::::::::::::::::::::::l::::::::::::{:.:.:.:.:.:.::.:.:.:＼
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
自分を、仲間を、なによりもできる夫をここまで軽く見られて黙っていられるほど
ルイズは人間ができていなかった。
この爺をどうにかしてギャフンと言わせられないかと思ったそのとき―――
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
-
４５．
―――――――――――――――――――――――――
カロロン、とドアベルが鳴ったのと同時に風を感じて
入り口を振り返り、そして目を奪われた。
―――――――――――――――――――――――――
｀ ｰ=≠: : : : : : : : : : : : : : ,. -‐: : : : : : : : : : : : : ｀ヽ
／／ : : : ／: : : : : : ／ : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
/／ : : /: :/: : : : : : : /: :／: : : : : : : : : : : : : : : : : : ∧
イ ,′ /:: : ': ＿_ /: : ｉ: / : : : : : /: : : : ヽ: : : : : : : : : : ',
{: : ': : λハ: : ヽ: : |/: : : : : : : : : : : : : ',: : : : : : : : : λ
人/:l::丿≦ﾐヽ|: : : : : : : : : : 人: : : : : : : !: : : : : : : : : : }
／:八:｜ 〃癶', {: : : : : : _,.-''" 丿 : : : : : : : : : : : ',: : : : : !
／: : : : ヽj {しヾ ',: : : ,／￣｀ヽ : : : : : : : : : : : : : :|: : : : ′
／:: : : : : : /:.:.::.ゞ乂 ヽ: ｉ ﾉ'´ ＼ ハ, : : ﾉ : : :: :: |: : : : ヽ
/:: : : : : : : :ｉ _,. ﾉ' ≠=ｚz､ |/ ヽ:: : : : : : : : : :/: : : : : !
/: : : : :: ／ ' 〃 ヾﾐｘﾉ'´ : : : : : : : : /: : : : : /
/: : : : ／ .∧ 、 卜-uy仆: /::: : : : : : : : : : : : : /
/: : : ::,' /: : ', ｀ :.:.::.ゞ弋ｔソ 从丿:: : : : : ／: !: : : : /
ｉ: : : : | ,':: : : ｉ __,,厶ｲ: : : : : イ::: : :|: : : / 「―――っ！」
|: : : : | ｉ: : : 弋,. -‐=＝ﾆ二三￣: : : : : : : : :, ´ ﾉ′:: |: : /＼
_⊥ -‐=＝ﾆ二三: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ／: : : : : : : |: /: : : ＼
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : , - ､: : : : : : : : ／ : : : : : : : : ﾉ': : : : : : : ヽ
: : : : : : : : : : : : ＿＿＿ ／ ＼-‐-__イ: : : : : : : : : : : ＼ : : : : : : : ',
: : : : x≦三￣',: : : : : : / ∨ ', : : : : : : : : : : : : ｀ヽ: : : : : : !
-
４６．
＿＿＿_
∠＿＿＿＿＼
/:::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,;| ／勹
( ●) ( ● ) .l .／ヾ／
( ＿ 人 ＿_ ) .l .／ヾ／
( ` ⌒ ´ ! x,_ ,／ヾ／
ヽ ヽ l Λ 弋､~.○／
,__ .{ l //Λ ／｀ .弋ll
|ミヽヽ rｰ―‐|三二ﾆ=―‐- δ .／ `弋l､
∨//〈:::::_ヽ､ _ _ィ!:::::::::/:::／／￣￣ヽ＼ ""
,.-‐ゞ//Λ:::::} ｲ }:::::://::/ ,/ ｀ｰ＞ .,
_,ノ | ｀ヽ/}::::ﾉ __,／_:_://::::l / ＞ .,
r'´ヽ ヽ 八Λ:ヽ {::/r―‐''ィ´:| | ＞ .,__
| ＼ / ゝﾐ}rメ´‐''"´ : :::::| | ＿_ ／／＼
}ー=ミ ヽー ､ィ´ ー-=ﾆ二ノ .::::| ヽ > ＞ ＿＿＿＿＿_／／ ＞ .,
/｀ｰ―ヽ＿,∠ノ'"´ ｰ=彡'"´ ＞ ､＼〈 ／r―――――‐' ＞ .,
. / / /{二ﾆ=-ﾐ＿＿＿＿＿＿＿ノ:＼ ￣ ／＼ ヽ
/ / l :l // / /ｒ=ﾆ二／／ { {;//＞ィ/＞‐｀ー- ＿＿＿ ＼
. / / :| :| | | | ://ー―/ / ∨∨＼//////二二二二＞f二二ニニニニニﾆﾆ=-'
| | :| :|::::::...| | |// :/ / ∨∨Λ＞'´ Λ＿＿＿,／| ＼ ｀ｰ ､
| | :| :|::::::...| l /:/＿ :/ / ＼＼Λ＿／ ／＼ | ＼ ＼
/ /:} :| :| | /―‐ ､ 〈_/＿ ｀7Λﾏ__,／ /三三三} ＼ ＼
. / /:.:.| :|:.|........{/ //――r二ﾆ=ミ :// Vﾏ o |―――‐| ヽ ヽ
/ /:.:.: | :|:.| r:.:|;二ﾆ=//ー―{ { ｀ｰミヽ/∨三|￣ ,＿＿_| ヽ ヽ
. | |:.:.:.: | :|:.| |ノ ;／/,,... :| l / :/ |__r‐ヽ__／:::::::::::从
. | |: : : .} :| |.（＿_／ / // :/ :/ }ﾊﾊハ从从ノ }
. | |: : : .| :| | ;/ ／} // } / ｝ ﾉ /.l
. / /ニﾆ/ :{ {/ O / / { { | / / , ' / ',
| |⌒'´{＿__|_| /＿l―――'''ﾐ＿ / { l :: |
| / ,| :| |二ﾆ=-‐r―f´￣￣￣|￣l｀ｰミ｝ l ::: ｌ
| l {―‐／∠￣ / 〉 Ｏ :l | l 〉 ', ＿＿＿＿::::::|
. / / ｛ ＼ ＼＿__＼＿|r―――'ﾐ_,|_|＿,{ ',＿＿＿＿ ヽ}
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
扉が閉まる瞬間にふたたび鳴いたドアベルが、今度は完全なる沈黙を呼んでいる。
戸口に立つ青年はべつに殺気を放っているわけでもないのに、
できる夫以外の全員がそちらを向かされていたのだ。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
-
４７．
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
蒼銀の鎧は魔法金属のものに違いなく、
背中の両手剣にいたっては人が打ったものとは思えないほどの存在感を放っており、
素人目にもどこかの国の親衛騎士か
名のある冒険者以外の選択肢は考えられないほどで。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
, ― 、
/ / } ｌ),_＿__
{i { ／´,z ー＝== 、
ゝ´ .／ ヽ
,' / / ヽ '，
{ , { l l } }
l ,.{ l l l ﾘ
'{ ﾑ ヽ从人jﾊ乂ｲ /
ヽj} j }l/
/´ﾄ、 （ フ ／ 「い、いらっしゃいませ。
r }_ ＞ イ お客様はお一人様でしょうか？」
r-'ヽ｀ ミニﾆl7ー-ｧ- 、
/≧s。＼ｭ.,___j_ノﾆ/ ﾑ
{二二}ヽ_,j - ― ー- ../ﾆ!
}二二ﾆ} Ⅶi
l二二ﾆ} Ⅵ
ヽ二ニ} /ﾏ
ヽ二ﾆ'.ヽ/ {ﾆ!
ヽﾆﾆ∨_ / .ﾉﾆ!
_ z＝ー- l二ﾆヽ￣￣｀lﾆﾆl
{ , z≦ﾏ二ﾆﾑ｀￣´jﾆﾆト 、
ヽz≦ , ﾏ二ﾆﾑ {ﾆﾆ}＼ ＼
＞ ´ ／ ﾏ二ﾆﾑ !ﾆﾆ! ! 、 ＼
＞´. , / ﾏ二ﾆ.} |ﾆﾆl. l '
／ / ' ﾏ二ﾆ! .lﾆﾆl._ '. ＼
＿＿
_／_,,.......,,,,..ヽ_
,,i_:_:_:_:_:_:_:_:_:_:_:ヽ
/;;| （●）（●）|
|;/| （＿人_）│
| ｀ ⌒´ |
| | 「ええ、一人です」
ヽ /
/ lヽ /
＿／ﾞヾヽﾉ_ヽ ￣ﾉ ,r‐;= f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ
,r‐＜￣´､ⅴヽ、 ｀ﾄ-＝==＝ﾊ| ,`v-, ､__. | お好きな席へどうぞ。 |
/ ｀ ｰ-｀､ｰ_`､ ,!'｀`'┴┴ヘ,|／.-'_´.-' ｀ヽ 乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ
l r-ｨヽ.}ヽ､__ _,.-ﾍ´‐'r-ｨ |
ﾉ 、 ヽ_ｿ≠====:三===キヲ_ノ |
〉､ 丶､ _ __,. ゝシ｀`ー---ll--‐‐ﾍゞ‐′ ,. ヽ、
!、 `丶--'丶､＿_,ノ <＾＾> || ヽ,--､ -‐',. イ´
. }､`_ー_'二フ７'､_}ヽｭ__,.., Ⅴ ´￣｀丶､_,ｯ}:::ゝ-二._,.ｲ
. 〉､_ 二 -ｨ′八ヽ ﾞ´Y }ﾘ::::::::{'ｰ--〈
/ｰ--‐''´::::::/;;;;;ヽヽ､_>､ ,. -─‐- ､ノﾚi:::::::::ゝ､ーｲ
. l::::::::::::::::::::::/;;;;;;;;;;;;〉｝ Ｙ´ ｌ |;;|::::::::::::::￣l
ゝ:::::::::::::::ノ;;;;;;;;;;;;く ﾉ } { l;;|::::::::::::::::丿
,〉:::::::::::::::/;;;;;;;;;;;;;/ ｀ヾ丶ゝ、 ゝ'〈;ヽ､::::::::::`ヽ､
{:::::::::::::::::く;;;;;;;;;;;;r'､ ,.､`丶` =--=''´'´ ,..ヽ､|::::::::::::::::::|
――――――――――――――――――――――――――――
泰然とその場を支配していた青年は
自分や装備に注目が集まっていることに気づいて剣をおろし、
そこでやっと、自分の役割を思い出した給仕が
普段よりやや高くなった声を出した。
――――――――――――――――――――――――――――
-
４８．
――――――――――――――――――――――――――――――――
深々と頭を下げる娘に頷いた彼が
コツッと一歩を踏みだした音で酒場内は時間を取り戻し、
青いマントを翻しながら靴音を二十三回鳴らしてルイズの隣に立つと
ゆっくりとした、けれど隙のない動作でカウンター席に腰を下ろす。
――――――――――――――――――――――――――――――――
／ ￣￣ ＼
_ノ､ ＼_ ＼
( ●）（ ●） l
（__人__） |
(｀⌒ ´ |
{ |
{ .:.:.ト.
..ヘ ﾉ" } ヽ.──────────┐ 、
, ,. '′ ､ヽ、 _ ／.: .′:.:.:.l:.:.`:.:.....///////////////}||ｌｌ＼
,.． '´ ＼ ヽ/,ﾊ::.:..:. / :.:.:.: l .:.:.:.:.:.:.:.:｀ ｰ- ､///////:}||ｌｌ|ｌｌ|}
/ ノﾄ_,ﾉ┘.∧ /､:.:.:.:.:.:.:l.:.:.:..:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.ヽ///// }||ｌｌ|ｌｌ|}
/￣￣ヽイ:l: :ｲ!ﾊ/// ヽ./:.: ＼:.:／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.,':.:.:.:.:.:.:.:. '/////}||ｌｌ|ｌｌ|}
/￣￣｀ヽ/:.:.／:.:.:i:l//i: /: : :.:.:.:.＼.:.:.:.:.:.:.:.:.:.,':.:.:.:.:.:.:.:.: :.:'////:}||ｌｌ|ｌｌ|}
/.:.:.:.:.:.: : : /iく.:.:.:.:.:.:!l//! /:.:.:.:.:.:.:.:／.:.:.:.:.:.:.:.:.:,':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ///}||ｌｌ|ｌｌ|}
/:.:.:.:.:.:.:.: : /::!.:.:ヽ.:.:.:.ll//!: /:.:.:.:.:.:／:.r──ｭ:.:.:.:',::...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.V//}||ｌｌ|ｌｌ|{
/:.:.:.:.:.:.: : : :'::::i.:.:.:.:.ヽ:.:l!//! /.:.:.:.:／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:∧ : :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:∨/||ｌｌ|ｌｌ|{
/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ' ..:.:{.:.:.:.:.:.:ヽl//!/.:.:／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.ﾍ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∨||ｌｌ|lｌ|{
,.:′:.:.:.:.:.:.:.:.:;:.:.:..:.':...:.:.:.:.:.:.:.li//／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／.:.:.:.:∧:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: 'l||ｌｌ|lｌ|{
:′:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.j:..:..:/ !:.:.:.:.:.:.:.:.〈:O : .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.//∧.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. :l|ｌ|ｌｌ|{
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.;'.:.:; ′}.:.:.:.:.:.:.:.:.:｝.:.:.:.:.:＼.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : ':.://///ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: 'l||ｌl|{
‘.:.:.:.:.:.:..:..:.:/／ }.:.:.:.:.:.:.:.:'.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.'´..:.://///// ﾍ:.:.:__ : :.:.:.:'ｌ|ｌ|{
} ..:.:.:.:∠ .....-─} .:.:.:.:.:.i:O.:.:.:.:.:.:.:.:.:}.:.:.:.:.:.:.:.:.: : ／//////,.． ´ ｀ヽ : :.:'l|l{
,.. . _ r─… `ｰ‐匕. ..-─,.:.:.:.:.:.:.:.:}:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::_;厶 -‐:.''"´: : :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:'l{
／.:.:.:.:.:.:.:.｀:.':.:.. . .L._::{f¨￣三三三三三三,′:.:.:.:.:.:.:!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.:./ ｀ヽヽ :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:j
/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:` ＜こ三三三三ﾝ:.:.:.:.:.:.:.:./:O.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : , ′ .}ﾉﾉ...-──…… ' 二二|
./.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀:.:. . .､／:.:.:.:.:.:.:.: ,:.′:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ／ / / /￣￣三三三三三三
-
４９．
＿＿
,イヽⅦ iミ ､
/ﾆミ､}i}i} }i ﾉ∧
{ i /｀｀`＂´ ヽ∧ ﾄ､
{iY Y} Ⅵi}i:} }
{i{ﾆ=-- .____ i}}__}/i:/..,ｲ 「お暑い中ようこそいらっしゃいました。
rⅵzｘ｀ｰ=彡⌒` }ﾊi:i:i:ii:i:i:i:i:ミ､ わたくし、当店のバーテンダーを務める
{ i.汽tヵ _Y⌒ヽ }ｧ}i:i:i:iⅥii:i:i:i:i:＼. ウォルター＝Ｃ＝ドルネーズと申します。
,ｨ-く ＼{`ｰ if' ゝ. .ｲ,.|./}＼i:i:Ⅵi:}八} }
,.． ./: : : : :∧ r-く ｿ ｲ} } }:i: : ＞i:i:i:i:i:i} }. メニューにないものもお作りしますので
, {: : : : : : ∧ `ｰ`zｘ'ノ /／ﾉ: : : : : ::::刈､ ご注文が決まりましたらお呼びください」
{ {: : : : : : { .＼｀冖 ..,ｲ }: : : : : : : /⌒ ､
| .{: : : : : :/ c ／`ｰ 彡 /: : : : : : :/ ＼
| /: : : ::::/{ ／{i:i:i:i:i:i /: : : : : : :/ ヽ
. | ./: : : ::::/ .′ ト､／＼ /: : : : : : :/ }
. （ {: : : : :/ ./i:/ ./: : : : : ::::/ ／ ./
/.＼ |: : : : {i ／i:i:{ . /: : : : : : : :{ ／ {
} {: : : :::{i ／i:i:i:i:/ .／: : : : : : : : :{ .／ ヽ
――――――――――――――――――――――――――――――
と。
間髪入れずに戸棚の前から離れたバーテンダーが
おしぼりと総革張りのメニューを差し出しながら恭しく言ったので、
――――――――――――――――――――――――――――――
-
５０．
――――――――――――――――――――――――
これには固まっていたできる夫のみならず、
青年の登場で状況を一瞬忘れていた
クラフトとルイズもはっ、と身体を強ばらせてしまう。
――――――――――――――――――――――――
＿＿＿
／::::::::::::::::::＼
／::::－::::::::::::－:::＼
／ （ ○ ）:::::（ ○ ） ＼
| :::::::__´___::::::: |
＼ :::::::::::::::::::: ／ 「！」
/ ::::::::::::::::::::::::::::::: ＼
...|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |
＿
, -‐ ' ´￣ ` 、
／ ―--.ｧ
.／ , .ハ、
/ / / ./ ﾄヽ
/ / l !,ｨ /l ヽ ｀
ム' / . i ﾚ ｨAﾄ＜N. l !ﾘ｀
/ｨ .ﾚﾒ',i , ∧! '､''￢` .,''`'
ﾚ､ !爿ﾍ l' ￣ '´ ヽ、
ヽ. ＼ゝ､l /
ヽ, ,八 , -―, ' 「チッ」
＿/: ヾ'´ !｀＞ 、 , i i j
＿／:.:/-―仆､ ﾌ/iニ´､‐---― ―- ､
. -‐':.´:.:.:.:.:.:./: : : : l L ヽ. ／ 」 l: : :｀:',:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
／:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:/'´￣:`! ､￣V´￣ィ !-‐: ､',:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
./:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./: : : : : :! ゝ`l ／ .l : : : : ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
／ ＼
／ ｀ヽ 丶
/ .:ﾉ ', ヽ
/ / / .:.:/ :ヽ:. ヽ:ヽ V l
l.:.| :/ .:./.;ｲ :ヽ:...:.:ｌ.:.: .:|:..:l l: !
|.:.| .:l .: ＼!/ l:.:{ .:.:.|ヽ:.:}ヽ .:j .:.! |:. |
ヽﾊ:l:.| !:.:.:jV＼{:八 .:.::.l }:/_,j;ィト:.l .:l:.: |
ヽ从:.: iｲfﾁ心ハ ､从ｨ厶斗＜V .:.jl:.: |
＼ﾄ小._V;zｿ ﾉ／ V;;_z1 '/ .:.:.:ﾊ:.:. 八
ﾘ :} .:::::: , :::::::.. / .:.:.:/.:.ヽ:.:.: ヽ 「むーっ」
_..ノ/八 / .:.:.:/.:.:.:.:.＼:.:. ＼
, -‐´ :／ .:.:＞,.、 ´ ヽ ｨ′ .:.:.: ﾊ;.__ .:.:.:.:＼:.:.: ￣｀丶、
〃 .:.:／ .:.:.:.:.: ﾉ'¨ ヽ､_ , ｨ≦７ :.:.:./'´ ヽ.:.:.:.:.｀ ー- ､:. ヽ
l .:.／ .:.:.:.:. ;.'ｲ＼ ノ} /｀∨ :.:.:.:{ ゝｰ､.:.:.:.:.:.:.:ヽ:.: }
{.:/ .:.:.:.:.:／ } Vx1_/ ｛ :.:.:.:ヽ ∧.:.:.:.:.:.:.:}:.:. ,′
〃 :.:.:.:.／ j／ ￣￣ ヽ入 :.:.:.:.:.＼ ヽ.:.:.:.:./:.:/
{ :.:.:.:.｛ | ／ ＼ :.:.:.:.:.＼ ）:.:/:.;ｲ
-
５１．
―――――――――――――――――――――――――――――
こういう、金のありそうな御仁の注文に興味があったクラフトが
二人越しに耳をそばだてていると、
差し出されたメニューに手を伸ばさない青年は静かに言った。
―――――――――――――――――――――――――――――
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.∧
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ::∧
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ﾊ
:////, : : : : : : : : : : : : : : : : : :.'
://// : : : : : : : : : : ,才: : : }: ::∧
: : : : : : : : : : : :/ ／ :}}八从:/ﾚ人
:i: : : : ::i: : : : : :{/_彡ｲ才}: N
:|:!: : : ::|: : : ::／ (N〈 } ﾚ
从ハ}八(ｲ彳 ／
/｀ ＜ :!ﾍｨｲ才" （こういう御仁はいったいなにを飲むんだ？
ゝ厶/ T⌒ヽ￣. 高級ウイスキーか？それともワインか？）
.:.:.:.:.:.｀ヾ: : i: :ﾍ
.::::::::::::::::::＼: : {ﾍ
::::::::::::::::::::::ー≠-ミ __,,、
::::::::::::;::::::::／.:::::::::::::ヽ __,,,,,.､--―'''''"ﾞﾞﾞ゛
:::::::::/／.::′:::::::::::::::::::ﾊ __,,,,,.､--―'''''"ﾞﾞﾞ゛
::::::::{'.::::::::::::::::::::::::::::::::::::! __,,,,,.､--―'''''"ﾞﾞﾞ゛
::::::::{::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!.. _,,,,,,,､--―''''''"ﾞﾞ＾
::::::::{::::::::::_,,,,,,,..---ｰ''''''"ﾞﾞ｀
ーｰ''''"ﾞﾞ｀
／￣￣＼
／ _ノ´ ヽ、
. ｜ ( ●) (●)
｜ （___人__）
| _.ﾉ 「そちらの三人が先客ですよね」
| _/__ﾞヽ_
j､_ (〈_ｒ- ヽ ヽ、
√::::::...｀ミｭ､r'､〈｀ヽ､ |
／.::7￣￣. : : .:.:.ヽ_ヽ ﾄ､
/ .:::/.:::::::::::::::::::::::::::::..＼Yｰ‐ソ,
,' .::::/.::::::::::::::::::::／ ⌒ 、ヽ,:::::::::|
i .:::::::::::::::::::::::. ::::::::::::::..ヽ::.',::::::::|
i ::::::::::::::::::::::/ .:::::::::::::.::::: }::::;::::::::|
i ::::::::::::::::::::::l .::::::::::::::::::::: ,.:: i::::::::|
', :::::::::::::::::::::;i .::::ヽ::::::::::::::l_:::|:::::::|
-
５２．
ｘ≦ﾆﾆﾆ=‐
ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ=‐
／ﾆｘ≦ﾆﾆﾆﾆﾆ=-ヽ
Ｖ,〃”⌒''*､ﾆﾆﾆﾆ=-ｖ
. ＾´ ≧ｘﾆﾆ=‐Ｖ
乂ﾆﾆ=-Ｖ
Ⅵﾆ=‐}
_,,.， _,.斗*=- :..:Ⅵ/＼
,ｘ*'' ´ ,,,__ : :.:.} /ヽ}
xく f≫''”⌒＾_.＼} } .ﾊ ヽ
. Ｖ{ｊ/_,,ｘvﾊｱ.′八ヽ ′∨ }
ﾄ､ く〃´⌒ヽ´ } :rく/ .}
}ｒ=ミ{{ // } ﾉ .;_/{___,ノ_,,.ノ
j{. 乂 /_,.ノ% ′ {＼ﾆﾆﾆミ*､
ｊ{ ｊｒ- ..,,_.%i { }＾ヽﾆﾆﾊ,乂 「………これは、大変な失礼を」
. ＼,__／ ､｀}% ′}% }ﾉ八}
{ ､_. _,.，-‐┘} % ./ /.% _}⌒~""''' ‐- ．..,,__
､__,,.. ,' .%ｲ _/ % ,′ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ=‐
＼ ＇ ,. ゛% ./ %′ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ=‐
:.､ _,/ ,%'′ % .}ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ
: : : ` ‐≦ ./ ℃ｃ‰ ,′ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ
{ : : : : : :},_,／ ＇ ′ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ
. ｊ{ : : : :〃__ﾊ / /ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ
. ｊ{ : : : ,′ : : ', {ｒｃ /ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ
ｊ{ : :..,′ : :.... ヽ V /ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ
. 乂,∧ : : : : :.:.∧___/ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ
. ∧_______/ /ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ
―――――――――――――――――――――――――――――
注文したてで目の前に何も並んでいない可能性を
完全に排除したはっきりした声と、
穏やかではあるが含まれる意味を感じ取ったバーテンダーは
巧みに動揺を押し隠し、
―――――――――――――――――――――――――――――
-
５３．
―――――――――――――――――――――――――――――
気を抜くと冷や汗が伝いそうな手で
三つのおしぼりと持っていたメニューをできる夫に差し出した。
―――――――――――――――――――――――――――――
_ ＿＿__ _
. ／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼
／才/⌒^"'゛´⌒ヾヾハ .ｲ
':// . ′ i ﾏ:' }Nﾉ:|
:.:{_ i | }从:.:.:ﾉ才ノ
}=:{ ! !二ﾐ:.:{.:.:.:.:.:.:≦
ﾊ:才-=＝ミ ー=彡 ﾉｨ=ﾐ从:.:.:.:.:.:.:.才
′i/_,.ｨ=≠ﾐx､￣ .ｨ≠_＿ i:ハ.:.:.:.:イ
{ :{ xだｧ才 ﾉ /弋辷アﾊ./.:.:.:.:.:彡
∨ﾊ､ー .イ {{ }}.:.:.:.:.:.:く
ヾ:,ﾊ. iゞ≠乂＿___才ハﾊ弌斗
i: ! .ｲ :|:::.. i |＼
. ／' |.fr⌒ヽ j:/ハ ; i.:.:.:.:.:.＜
.＞'".:.:.:..＼ 廴＿.二._,.ｨ :} 八:.:.:.:.:.:.:.:. 「お客様、
.:.:.:.:.:.:.:.:.:{iハ ｀ー=‐彡 ｲi:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ご注文をどうぞ」
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:}＼ﾍ ´￣｀ .//,:}:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
:.:.:.:.:.:.:.:..: }∧＼＞ -=彡.ｲｲ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
:.:.:.:.:.:.:.:. ∧{{ ＼＞ '" {{ |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧ゞ≠⌒⌒ヾ=ｲ:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ∧ ｲ:.:.:.:ハ 宀. |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
:_,.＞'⌒＼:. ∧ ∨.:.:.:.ﾉ _,.｜:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
_＿ -=ミ. ＼:ﾊ }＝ﾘ＿__,｜:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
}ﾊ､ ヾﾍ:.:.:.:.＼ ;:.:.:.:.:.:.:.:.:.:._三
ー-= }才 ∨≠ｭｰ--ﾍ _才⌒ヽ
､:.. } {｀ヽ◯ ＼ ｀ヾ
￣ ﾉ:. i| ∧ } ヽ
／￣￣￣＼
／ ＿,ﾉ ⌒ ＼
／ （●） （●） ＼
| ､ ´ |
＼ ￣￣ ／／|
／ /⌒ﾉ￣￣ | （ ）
| ＼ ／ / | .|
＼ “ ／ｌ | .|
￣￣￣￣￣＼ ／￣|＿＿___|.／￣￣￣
―――――――――――――――――――――――――――――
入店の瞬間以来の視線を向けられ、お客様と呼ばれてやっと、
できる夫はやるせなさと不快感を腹に押し込めることができた。
少し震える手でメニューを受け取り、開いた瞬間、
―――――――――――――――――――――――――――――
-
５４．
――――――――――――――――――――――
こんどは逆側のルイズから突っつかれてしまう。
――――――――――――――――――――――
/ / ヽ
. / / ' ,' :! ､ ', ', ' ∧
7 / ,' | l ', , i } , i ', ハ
: ′ ' | | ',｜ l ﾊ |', |､ , i
| .| i {', |V ﾉ :| j〜├j-| ﾘ:| ; ! | .|
| .| | ＿{_Ⅵzﾆ´ ｜ ,'ﾚ ,. --z/ | } ,'i ﾘ
.! | ', | ﾊ ﾄ､', ヽ{ ＼}｜ ./ ,x,r‐￣＼ヽﾘ , /／
:', !. ', ∨! ヽ{ﾁ ,ﾆﾆミx ﾉｲ / {rチ:ﾊ }/ .ｲY
. 〉 ! ,. ',ﾚ〃 {以:沁 ﾑｲ 乂z:ソ 厶イ | ',
/ ! i :',.i jﾊ{ 乂仡ﾘ ､ ￣￣ ! | ヽ
i .i ｀', ー '’. ::::::: l |＼-
:} ∨ ∧ :::::::::: ; .|ﾆﾆ}
〃ニ∨ ∧ _ - ュ 人 |ﾆ７
:'/二ﾆﾆ∨ ∧､ ｒ ﾆ￣ ￣ ／:,' .|f/=.... （ちょっと！
,'二二ニﾆﾏ ∧＞. ／ ! / ;/二 なに注文しようとしてるのよ！？）
二二ニニﾆﾏ ＼ 弋=- __,／/ j/ ,二ﾆ
二二二二二ﾍ ＼ ＞ _ ／ / /二ニ
二二二ニニニヽ. ＼ ,rVヽ / , ‐-＜ニニ
∨ニニニニニニ＼. ＼ ′;| V / , -‐--＼_／
ﾆ＼二二二二二二＼ _. -r┐∨r={ ,' ,.- .,_ V
ﾆﾆ=＼二二二二二二｀／ _,. ' ､!__{ ゝ､ { / ＿_ ',
∨ニニ＼二二二二二i{ ´ _,.}|< ∨ ハヽL / ｜
ﾆV二ニニ≧=-ﾆ.,_二ﾆ| ／ j-､.∨ ,Y､ ゝ-'’- j
ニ∨二二二二二二ﾆﾆi ／ ﾊ. ∨ ! ＼_ .ノ
二ﾆ}二二二二二二二,入 / }_ﾆ{ ＼ ／
二二二ﾆﾆ＞'´二二/ { ＼＿__ ,.ｲ .i ｀ ー '
二ﾆﾆ＞'´二二二ﾆ,' i ', `ー ´ ∧ ',
――――――――――――――――――――――――――――――――――
そうしてやっと、いつもと違うと気がついた。
流れの冒険者や荒くれ者の傭兵が主な客層の店では、
そういった風体の者がカウンターに座れば
勝手に水が置かれて仕事探しかと尋ねられる。
仕事を求める者はカウンターで店員相手に情報収集に努め、
仕事を求めていない者はテーブルに着いてゆっくりするのが基本だからだ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
-
５５．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
しかし、このような店では流儀が根本から異なっていることに気がついたクラフトは
今さらながらに選択が誤っていたと後悔するしかない。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ｒ'´ ＼
ｒイ´ ヾ 、
! l ＼ 、 ヽ
l. ', ヽ. l', l ヽ!ヽ ﾄ、 ヽ､ ＼',
l ｨ , .!､ lヽ l ', ﾄ､ λ!ヽ ',ヽ. l
/'1 l l. ',ゝ斗ﾘ「 ',!.ヽ. ,ｨ ｋ ,ヘ', .!ﾘ
（失敗したな。 ゝA ヽ ヾ云ア ヽ! ﾘ､ l 'ノ/´ ` l
. これなら最初から勇者と名乗って / ｀ ｌ ./ﾘl '孑' ' ヽ/ ｒｲ, Ｎ
. 信頼を得るべきだった）. ＞' ´/ .ル'l. l ｀` ' .l. ヽ !
, ' ´ / Ｎ、 j , l .ｨ , .!
, ' /ヽ_ __,, ／ ! ﾘ.ゝﾚ-‐ァ
／ -‐イ ゝ- ／ ＞' ´ ',
／ -‐'''イ´ ',i i i ,／ .／l ゝ､
/ ／´ イ´ , ‐- 、 フ´ ヽ/ 」 -‐':.:´:.:.:.:.ヽ
-‐' ／ｒ'ヽィ丶／ ＜＿ ./／´ ＞孑'´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼
／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
. ゞ=≦: : : : /: : /: : :|: : :､: : :､: : :∨: : :‘，
. /: / : : : /: : /: : : :|.: : : ; : : :V:: :∨: : :∧
/: ｲ: : : :/: : /: : / : l: : : :|; i: :i: Y|: |:､: / : '
. }//: :/: /: : /: /:.{ : : : |: : l: |: :|: :!|: |: : : : : :|
. / .′/ : { : /}:/: : |: |: : |: : |: l: :|: :!|: | : ∨:.八
{: :{/}: |ﾚ'_.|'_.斗! :l: : ､:_:八!:_|:/}ハ: : :|: : : :
ﾊ: |:ハ|ﾊ{ｘ､{/._ Ⅵ: |: :/_}/}/二/.: : : :!: : : : : :
/: :ヾ : : ハ 込ｿ V:／Tｽ芯 〃 : : : 八: : : : :
/: : : : /: } :‘ , .}' ｀¨¨ /: : : : /: : : : : : :
. {: : :／ : ﾉ: 込 /: : : : :.{: : : : : : :( （私達はお目に適わず、か）
_ノ: : : : ／: : :/: :＞ . - ､ 人: : : : 人: : : : : : :ヽ
. ／: : : : :／: : : :/: : :rf//.＞ . -=≦_ノヽ: : : : :＼: : : : : ::
.ﾞ／: : : : :／: : : :／: : rﾉ///// { ／´ }: : : : : :ﾉ＼: : : : :
ﾞ: : : : :／ : : : : /: : ／//////フ⌒ヽ＾} .／ : : : ／////ヽ: : :
.: : : :人: : : : : :{:.／///////{ ／///: : : :／///////〈
ﾞ: : : : : l＼: : : :ヾ////////∧ .／////: : :／/////////∧
...: : : : ﾉ／Y: : : : :＼///////K./////: : ://///////////∧
―――――――――――――――――――――――――――
おそらく虚勢を張って身なりだけを整えても無駄だったろう。
一流の店が客を視る目も確かなのは
入ってきた時の違いではっきりしたし、
隣に座った青年を見てしまったからこそ分かる。
一流には一流の風格がある。
いや、実績と実力があろうとも
風格がそなわらなければ一流ではないのだ。
―――――――――――――――――――――――――――
-
５６．
―――――――――――――――――――――――――
水だけで情報を得ようと考えていたできる夫も
追い詰められたことを知って全身に汗を感じていた。
砂漠地帯ならともかく、この町の他の店ならば
何倍おかわりしても無料なはずの水が、
銀貨五枚と書かれているではないか。
―――――――――――――――――――――――――
::::::::::::::::
::::::::::::::::￣￣￣￣~γ´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣|
:::::::::::::::::: │ ||
:::::::::::::::::: │ お飲み物 ||
:::::::::::::::::: │ 水 5S ||
:::::::::::::::::: │ 果汁各種 10S ||
:::::::::::::::::: │ 炭酸水. 8S ||
:::::::::::::::::: │ ……… ||
:::::::::::::::::: │ ……… ||
:::::::::::::::::: │ ……… ||
:::::::::::::::::: │ ||
:::::::::::::::::: │. f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ
:::::::::::::::::: │. | 銀貨五枚―――！？ |
:::::::::::::::::: │. | 水が！？ただの水が五枚！？ ...|
:::::::::::::::::: │. 乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ
:::::::::::::::::: │ ○ ||
:::::::::::::::::: │ o. ||
:::::::::::::::::: │ ｡ ||
:::::::::::::::::: │ ||
:::::::::::::::::: │ ||
:::::::::::::::::: │ ||
:::::::::::::::::: │ ||
::::::::::::::::::＿＿＿＿│.＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿..||
::::::::::::::::::────へ──────────────────´
-
５７．
――――――――――――――――――――――――――――――――
あまりの場違いさと、空気を感じ取れていなかった自分が恥ずかしい。
内心の忸怩たる思いが涙となってこぼれそうになる。
メニューを持つ手が震え、
今すぐに席を立って逃げだそうかと思ったそのときだ。
――――――――――――――――――――――――――――――――
＿＿＿_
／ ＼
／ _ノ ヽ､_ ＼
／ oﾟ⌒ ⌒ﾟo ＼
| __´___ |
＼ ｀ ⌒´ ／|
／ /⌒ﾉ￣￣ | （ ）
| ＼ ／ / | .|
＼ “ ／ｌ | .|
￣￣￣￣￣＼ ／￣|＿＿___|.／￣￣￣
_ __＿__
_-ﾆ二-‐＝ｰ-ミ､
／三二/ ヾ
/三二才ｰ- -‐ﾊ
}三ニ{ ⌒ー- =彡⌒ {
}三ﾆ≠云ミx 〉´￣｀Y
}三./ﾆf´r，} }zz杙ぅｧ i|
ハ三三弍"ノ/|! 乂__彡i
∨Vﾆｰ- __/-|i ∨ i
. }∧三二ﾆ=＜＝ﾊﾐ:､ ﾉ
ﾄ. ＼ﾄ f´rｰ=ﾆ￣ ' .ｨｲ'
}Nﾆ＼.∧ﾆ-_｀ー=ﾆﾆ=-彡{i. f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ
∨＼ﾆ{ V=-_ ｀￣宀≦ 八. | 三人と俺に、柑橘の炭酸割りをお願いします。 ＞
乂三二＞v=-_ ;/i 乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ
≧三二=_＼=_ /i| ﾄ
辷三二ﾆ=＝-＞=--＜.:ﾘ | }
￣7三二ﾆ=---=ミ/ {／〈＼
_ _-‐=二三_＼=- /ハfﾊ ∨{＼
_/三三三三三二ニ=＼ //三_}∧ .ⅵ }ｰ- _
{{三三三三三三三二ﾆ∨.ｲ三二ﾆ{＞斗＼/{
―――――――――――――――――――
まだお前達にこの酒場は早すぎる、と
眉を動かしていた店員に向けて
注文が告げられた。
―――――――――――――――――――
-
５８．
――――――――――――――――――――――
なるほど。
この三人組に先を譲ったのは、
割り込むほど作法を知らぬわけでもなければ
優遇されて喜ぶ人種だからでもなく、
助け船を出すつもりがあってのことか。
――――――――――――――――――――――
_ ＿＿__ _
. ／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼
／才/⌒^"'゛´⌒ヾヾハ .ｲ
':// . ′ i ﾏ:' }Nﾉ:|
:.:{_ i | }从:.:.:ﾉ才ノ
}=:{ ! !二ﾐ:.:{.:.:.:.:.:.:≦
ﾊ:才-=＝ミ ー=彡 ﾉｨ=ﾐ从:.:.:.:.:.:.:.才
′i/_,.ｨ=≠ﾐx､￣ .ｨ≠_＿ i:ハ.:.:.:.:イ
{ :{ xだｧ才 ﾉ /弋辷アﾊ./.:.:.:.:.:彡
∨ﾊ､ー .イ {{ }}.:.:.:.:.:.:く
ヾ:,ﾊ. iゞ≠乂＿___才ハﾊ弌斗
i: ! .ｲ :|:::.. i |＼
. ／' |.fr⌒ヽ j:/ハ ; i.:.:.:.:.:.＜
.＞'".:.:.:..＼ 廴＿.二._,.ｨ :} 八:.:.:.:.:.:.:.:. 「かしこまりました」
.:.:.:.:.:.:.:.:.:{iハ ｀ー=‐彡 ｲi:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:}＼ﾍ ´￣｀ .//,:}:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
:.:.:.:.:.:.:.:..: }∧＼＞ -=彡.ｲｲ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
:.:.:.:.:.:.:.:. ∧{{ ＼＞ '" {{ |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧ゞ≠⌒⌒ヾ=ｲ:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ∧ ｲ:.:.:.:ハ 宀. |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
:_,.＞'⌒＼:. ∧ ∨.:.:.:.ﾉ _,.｜:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
_＿ -=ミ. ＼:ﾊ }＝ﾘ＿__,｜:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
}ﾊ､ ヾﾍ:.:.:.:.＼ ;:.:.:.:.:.:.:.:.:.:._三
ー-= }才 ∨≠ｭｰ--ﾍ _才⌒ヽ
､:.. } {｀ヽ◯ ＼ ｀ヾ
￣ ﾉ:. i| ∧ } ヽ
／.:￣￣￣￣￣＼
／: : : ＼
／: : : ＼
／: : : : -一' ﾞー- ＼
: : : : :／´ ｀ヽ r´ ｀ヽ ヽ
: : : :（ f;;;;j l, ｌ f;;;;j } l
: : : : ヽ_ ｀ _ノ ヽ_ ´_ ノ;;:: |
: : : : : : ´"''" ' "''"´ l
: : : : : : . . ＿＿ ／
＼: : : : : : :. V_＿＿ヽ ／ 「―――！？」
／ヽ: : : : : : : : : : イ＼
: : : : : : : : : : ＼
――――――――――――――――――――――――――――――――――
決して、高級な酒場の洗礼を受けるのはこの組だけではない。
むしろ初見は戸惑うのがほとんどだ。
だが、袖すり合うも多生の縁、
先輩冒険者として手をさしのべるつもりらしい男に畏敬の念を感じた老人は
静かに答えると果物の置いてある籠に向かい、
それと同時にできる夫の手からぱたり、とメニューが落ちる。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
-
５９．
. / |ヾ!厶!:: ヽ
/ : : : : | |:: : : ',
,′ :ﾊ:∧: / {: : : :| !: /: : :.} : : ',
| : : : : : .|_l/,.ｨ/∀＼.: !‐′ :!､/.|: : :ﾊ: : : ＼
| : : : :|: : : : :| ／ﾞ二＼.ﾊ:| |/`_ヒメ/､: : : ﾄ､_＞
. 厶: : : :ﾄ､: : : ﾄ､:| 《 ヒ::ﾘ ｨﾞ.二ﾞ＼ﾘ:.::. ﾄ､|
}: : ﾊ|..}: : : | :} ￣ / i ､ ヒ::ﾘ 》.:.ﾊ:..|
|: : { 入: :.:| : { `￣ 厶､{ ヽ|
ﾚﾍ,.ヽ ヽ＼! : 〉 ﾊ!
|: :＼__ / //
|: : : : :ﾊ /'′
ﾚﾍ: : :}∧ , -‐ ￣｀ヽ /
}: : | ＼. ￣￣￣ /
|ﾊ::| ヽ ＼ ￣ ／ （どういう事だ？
ﾘ ', ＼l:l:l:l:|:|:|:|:l:l:l.／| ルイズの知り合いか？）
ｒ┴───ヽ `ｰ──‐ﾞ/ :|＼
／¨|: : : : : : :/ ＼ :/ ／ ＼
／／´＼: : : : 厶＿＿＞､ /＿＿＿＞
＿＿,ｨ⌒／::::::::::::::＼: : : : : : : : : : : ＼／ |::ｰ- ､＼
/////￣::::::::::::::::::::::::ﾊヽ: : : : : : : : : : ::} .／＼:::::::::::::＼ｰ､
-‐…・・・…‐-ミ
〃: : : : : : : : : : : : : : : : ｀ヽ
. : ´: :,: : : : /: : : : /: : : ハ丶 : : ＼
. : : : : ::/: : : :/: :从: :i: :〃: : ｝ } : : :丶ヽ
/: : : : : / : : : 斗七爪弋ﾄ､ : : |/: ∧: :ハ: : .
/: : : : : ,': : : : {〃´γヾﾐ八 ｌ ､ : :廾ト､: :∧: :i
{: : : : : : !: :: :: :从 圦ソ ` )イ≠､从: : : , !
!: : : : : : ! : : : : ト ｰ‐ 卜ｨ ﾘ ｝: }八}
,′ : : : : {: : : : : | 、こ /: :ﾉ ﾉ'
. / : : : : : : i!: : : : : ! U ﾉﾙ'
, : ´: : : : : : : 人:: : : : | ｎ r―ｧ .八!
／ : : : : : : : : 〃Ｖヽ: : : :', r'丿 ￣ イ: : | （実家の関係者―――
／ : : : : : : : : r‐'/爪: : : : : :/ { r‐ ､＿_ . .イ: : ﾉ: :: :{ とは思えないんだけど。
: :/: : : : : : : ://///∧ : : : ,′´／⌒つ : : :! : : : : : :{
〃: :: : :x≦///////∧: :: :ヽ ／ 二) : 八 : : : : 八 北部には知り合いもいないし）
｛ : : : : }/,/////////∧: : :∧ ヽﾒ//个､:ヽ: : : : : :.
ﾊ : : : く,///////////∧ : :┌―‐‐┐///∧:: : : : : : :.
: ｝: : : : i ////////////｝: :/ .|/////ﾊ : : : : : : :.
丿: : : :/ //////////／: :く' λ////ノ : : : : : : : :.
: : : : : {///////////: : : :/ ｀ヽ,////: : : : : : : : :ノ
――――――――――――――――――――――――――――――――
こういう場合、支払いは言い出した側が責任を持つものなので
無銭飲食で衛兵に突き出されるようなことにはならないはずなのだが。
――――――――――――――――――――――――――――――――
-
６０．
―――――――――――――――――――――
奢ってもらう理由の見あたらなかった二人は
できる夫を挟んでさわさわと囁き合うも、
納得できるこたえは見つかりそうにない。
―――――――――――――――――――――
＿
, -‐ ' ´￣ ` 、
／ ―--.ｧ
／ , .ハ、
/ / / ./ ﾄヽ
/ / l !,ｨ /l ヽ ｀
ム' / . i ﾚ ｨAﾄ＜N. l !ﾘ｀
/ｨ .ﾚﾒ',i , ∧! '､''￢` .,''`'
ﾚ､ !爿ﾍ l' ￣ '´ ヽ、.. （薄汚れちゃいるが
ヽ. ＼ゝ､l /. ルイズは美少女の範疇だし………
ヽ, ,八 , -―, '. 良いとこ見せたい、とかか？）
＿/: ヾ'´ !｀＞ 、 , i i j
＿／:.:/-―仆､ ﾌ/iニ´､‐---― ―- ､
. -‐':.´:.:.:.:.:.:./: : : : l L ヽ. ／ 」 l: : :｀:',:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
／:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:/'´￣:`! ､￣V´￣ィ !-‐: ､',:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
. /:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./: : : : : :! ゝ`l ／ .l : : : : ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./´:￣: ｀:! l /!'´; ￣`ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`-､
!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:〈/: : : : : :!､ l /;;l: : : : ＿ﾉ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i
,-':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`:‐-､ : l;ヽ l /;;;;;;レ'´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／:.:.:.:.:.:.:.:＼
:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`ヽ;;ヽ l ./;;;;;;;;;l:i.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:l:.:.:.:／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼
/: : /: : ,: : : : : : : : _ : : ＼: .＼
|: : ｉ : : {:./: : : : : :、: ヽ : : ヽ: : ｉ
|: : ﾄ、ハ|.: : : ヽ: : ヽ: :|: : : :|: : |
|ﾊ:.ｉ !＼:.ヽ.: : : :|: ﾊ|: :.|.: : : |: : |
从弋ﾄ､:.!: :!_｣斗ヤT: : : :|: : |
|:.| ﾋﾘ |ノ 弋たト/: : : 八: :|
／|人::: ､ ::`ｰ' /: : : /: : ヽ!.. （そう言う貴族を地元で何人も見たけれど。
(:._ノ: : ＼ r ､ /: : :.∧: : : : ＼ きっと違うわ、色目のイの字も使われてないし）
／ : : : : : _}＞､ _, ィ: : : /: :ヽ: : : : : ＼
(.: : : : : ／:/:.:.:.:ﾑr:/: : : /＼: : ＼: : : : : ＼
ヽ : : 〈:.:.:.:|:.:.:/A.Y : : : {:.:.:.:.＼＿: : : : : : : ）
） : : ＼_:ｉ:.:.|.X/{: : : : :＼――┴┐: : : /
弋二¨´.: : : : : 人V|／::{＿_: : : : ＼:.:.:.:.:.:.:{: : :/
人＿ノ: : : : ／:.:,:ｨ介ｰ―‐‐）: : : : : }:.:.:.:.:.:.〉:（
{＿＿＿:.／:.:／::/ｉ!.|:.:.:.:.／: : : : : :ノ:.:.:.:.:./: : :＼
厶イ／＞く ﾉｉ ＼:{: : : : : : : (___:.:.:.:.:|: : : : : :＼
|::／|_/ ＼__rく∨: : : : : : _厶:__:.:.|: : :＼: : : ＼
|/ | ＼_}J＼: : : _＿＿／:.:|: : : : :): : : : ）
-
６１．
/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.＼
'´: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ､: : : : : : ヽ
/: : : : : /: : : : : :.,: : : : : : : : ､: : : : : ＼: ＼: : : :
/: : : : :.:/: : : : : :./: : : : : : : : : :＼: : : : : ヽ: :ヽ:､: }
| : : : : : |: : : : : :/: : : : : : : : :{:.{: : :ヽ: : , : :∨:ﾊ:､ﾘ
}: : : : : :.|: : : : :.': :.,: : ./: : : : :＼_､: :}／: : : :∨:|: ＼
': : : : : : :|: : : : :|: : :_:_ﾊ: {: : ､: : : : ,ｨﾊヽ: :.|: :i|: }｀¨¨｀
': : : : : :.:.:|: : : : :|: :ﾊ: {｀_ｰ-､ﾊv':}: :{刈 |: : }:./}/
': : : : :./: : |: : : : :Ⅳイチ斥¨ヽ }:/: /ﾏｿ }: /ｲ /
/: : : :／: : : |: : : : :| 弋こｿ /イ イ: :
／: : ／,.-- ､:.:|: : : : :| ｀ 八: :
／: : ／: ////ヽ/|: : : : ﾑ ､ ,.--v ／ ､: : :.. （実はできる夫の事を知ってて、
,.:': : : :/: :イ//////∧: : : : :} ＞ {___ノ ／: :.|/ ﾊ: :.:. 飲み物で恩を着せてから
/: : : :./: :{/////////∧: : : :|￣＼ ｀≧=- '{: : : :.|//∧: : :. 何かさせようって魂胆とか？）
. {: : : :./: :/＼/////////}: : :.:| ¨/ Y＼!/|: : : :.∨/ ∧: : '，
|: : : :{: ////＼///////|: : :.:ﾄ､ / ,. - ﾑ∧: : : : :＼/∧: : ヽ
|: : :.ﾉ///////＞､////j!: :.:.:|/＞､'__ {<{¨}//ム: : : : : :.ヽ/{.: : : :＼
/: : :.////////////￣/: : : ///ー - //∨///∧: : : : : : }/ﾑ: : : : :.＼
:´: : :.///////////////: : : /////////// ＼///}: : : : : : |///＼: : : : :ヽ
-‐ ―- 、
／ ‐￢ ｀ 、
/. l .i
,' .! .i !
,' ﾄ,､! ',
И i. l !. l､ !`... （俺達を引っかけて浮かせられるのは金だけだ。
l ! !,ｨ. /l ﾄ､!. '-‐Ｎ.ﾘ. この人の装備からして、そんなことをする
ﾚﾘ'ﾍ､ !/'仁ﾘｨ ､￣ !、. 必要があるとは思えないな）
／´Ｌ.'lゞ､ヽ.∩、 , -‐'‐.つ:.｀:.:....、
／:.:.:./l: :ﾚ'ﾘWN ヽ,＞'´ -‐フ'!:.:.:.:.:.:.:.｀:.:..、
／:.:.:.:.:./:.:l´: : : ', ! ' ／ﾉ-!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l: : :／ﾍl ' 'ｲ､: :!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.!
γ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l': ´: : /ゝ､ イ :＿; 」:.:.:.:.:.:.:..:.:.:.:.l
. !:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:､:.:.:.:.',; ｒ-</ ./.7'ｧ_イ´ 「:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.〉
l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼:.:.V:.:.:.:ヽ'_/././ 〉 .ｊ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:-<
＼:.:.i:.:.:.:.:._:.:.-‐＞'､;;ヽ:.:.:.:.:.￣',. ! ／l＿:.:.:-‐:/「:.´:.:.:.:.:l
ヽ!:.:／:.:.:.:.:.:.:/:.:.:｀´:.<｀;;‐ｙ':::ヽﾚ:::::l:.:.:.:.:.:.:.:.1:.:.:.:.:.:.:.:.:.l
〈/:.:.:.:.:.:.:._/:.:.:.:＼:.:.:.:￣:7:::::::十:::::!:.:.:.:.:.:.:.:.l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ゝ
',:.:.:.:.:.:.:7:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/::::::::::::l:::::⊥:.:.:.:.:.,､:ゝ＜｀丶:.:.:/
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
そうしている間に氷室から氷―――魔法学院の見習いが配って回る―――を
取り出したバーテンダーは大きめの塊をグラスに入れると
オレンジを割って果汁を搾り出していた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
-
６２．
―――――――――――――――――――――――――――――
棚の瓶を取り出し炭酸水を緩やかに注ぐと
気泡が壊れないように、しかし手早く混ぜる。
―――ほどなしくて、四つのグラスが四人の前に並んだのだが。
―――――――――――――――――――――――――――――
f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ
| お待たせいたしました。 |
| オレンジ果汁の炭酸割りでございます。 .|
乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ
ｸ
／ｲ
ｸ. ,r;ﾗ ／ｲ
／ｲ 〃｡{ //
,r;ﾗ ／ｲ {:いｨ . _//
〃｡{ // ィ´ Vﾞｸ..//ヽ
{:いｨ . _// i!ゝ.／ｲﾞ､ﾍ ;} ｸ
. ィ´ Vﾘ //ヽ.. ,r;ﾗ ／ｲ.ﾞ￣ ...::::::i! ／ｲ
i!ゝ＜〉-､ﾍ ;} 〃｡{ //ﾞ:::::::::::::::::::::::i!. ,r;ﾗ ／ｲ
i!:::::::...￣ ...::::::i!..... {:いｨ . _// :::::::::::::::::::::::::i!. 〃｡{ //
i!::::::::::::::::::::::::::i!.ﾞィ´ Vﾘ //ヽﾞ::::::::::::::::::::::/. {:いｨ . _//
i!::::::::::::::::::::::::::i!ﾞi!ゝ＜〉-､ﾍ ;}.＼ ／ ィ´ Vﾘ //ヽ
. ∧::::::::::::::::::::::/...i!:::::::...￣ ...::::::i!... ヽγ. i!ゝ＜〉-､ﾍ ;}
. ＼ ／......i!::::::::::::::::::::::::::i!.. | | i!:::::::...￣ ...::::::i!
ヽγ. i!::::::::::::::::::::::::::i!..... j i!. i!::::::::::::::::::::::::::i!
. | |. ∧::::::::::::::::::::::/. ｿ ｖ. i!::::::::::::::::::::::::::i!
j i!. ＼ ／...... ｀ｰ‐ ´ ∧::::::::::::::::::::::/
ｿ ｖ. ヽγ ＼ ／
｀ｰ‐ ´ | | ヽγ
j i! | |
ｿ ｖ j i!
｀ｰ‐ ´ ｿ ｖ
｀ｰ‐ ´
-
６３．
: : .―-∧-: 、 : : |＼: : : ヽ : : : : : : /＼ : : -ヽ:─:| : : : :
: :{.: : :/ ＼: ＼: :| ＼: : : : : : : :.:/ ／ヽ: : : }.: :│: : : :
{ハ: : | ＼:_:`ト､ ＼}: : : : :/／＿ ＼∧:/:| : : : :
: :.个┝┯┯┯┯━＼/∨ : :､／ ┯┯┯┯━∨: : : : :
: : ﾍ 弋_辷'_ノ ∠: :_／ 弋_辷'_ノ / : : : : :
: : : :'、 ,′: : : : :
: : : : :'. /:／:/:／ /:／:/:／ : : : : : : :
: : : : : '. u ! : : : : : ;
: : : : : :i | : : : : :,′ （いただいてしまってもいいのかしら？）
: : : : : :|、 〜〜‐- ｨ|: : : : : !
＿ｒ'´ ￣ ￣｀`‐- 、
/ l ＼
/ /! l ヽ
/ｨ /,' /ﾚ」/! / l ',
/ィ〈./' ' `l'.ﾚ/. l l , ',
´ ／ ､""´ /ｨ /ﾙ /ﾚl / l`
< ´ .ｲ'//ﾘ_ハ! ヽ
` l/ｒ＜ /ﾚ'｀ `
（大丈夫だとは思うが……… ヽ￣｀ ./ l ./
できる夫の反応を待つか） ,'i i i , , __,ノ, .'ﾚ､ /
ゝ-=＝´ ,-'‐――'‐'┐
／'／」 ,. .､-‐┬ヽ、
∠_ >ﾆ／ヽ: : :ヽ_: '-‐<
／／￣:ヽ;／´￣:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
／／`丶／´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:',
/./＿: :／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l
/./: : :／:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l
ゝﾌ`:'´:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.l
/.//:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l
/://:.:.:.:.:.:.:.::./／:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::l
――――――――――――――――――――――――――
相手の魂胆が分からないまま手を付ける気にもなれない
ルイズとクラフトができる夫の出方を待っていると、
――――――――――――――――――――――――――
-
６４．
―――――――――――――――――――――――――――――――
青年は置かれていたかわら版を読みながら
飲み物に口を付けていたが、
三人が硬直している事に気づいて遠慮はいらないと声をかけてくる。
―――――――――――――――――――――――――――――――
――- ､
′
i ＿,ﾉヽ＿, i
「ただのお節介なので. i(● ) (● )｜
遠慮はいらないさ。 r‐┴―人＿.) /
冷たいうちに飲んでくれ」 | |´ ｀ /{_
i廴｡_,ﾉ|＿_.ノﾊ ヽ
＞≧γﾍ／|_,: ―┴＜ハ/.:.V
,ｲ.:.:.:,ｲ:..:..:,ｲ/.i>ー-ー ｀>i:.:.:.:i!iヽｰ:.､
,ｲ...:...:iV.:::Y.:/..<_＿,ｲ¨ ﾍ:.:.;j:...:.:..:..f>
,ｲ≦､....:ﾍ.:/.:/:--<_ソｰ-< ヽ､:....::.:.:/:.:. .ヽ
/ｯ.:.:..:..ﾍ::::/:,/.:./.:._i: : :i!:.:.:.ヽ >､:./.:.:.,ｲ-=v
Уナ:.;;:､.:.::;,;レﾚｲ.:./(二二):.:).:..ゝ､ _ノ. : ヽ¨ー=ミヽ
/,.／ー<三ﾌV.::/::.;;ノ.:.:.:.:.＞i7∧.:.:.:..ヾ..: : :i:...:...:...:..V:､
r/.:....:.:.:.:.:..:.:.:.::ﾉノ´:.:.:.:＞//////,∧.:.:.:..:.iヽ: : ﾍ.:.:.:.:.:...ﾍ.:.!＞,
／.:.:.:.:.:.:...:.:.:.:.::/¨.:.:.:.:＞//////////∧.:.:.:..∨ヽ,_.ﾉ.:.:.:.:.:.:..:.V.V´
,ｲ.:....:.:,;,;,;,;,.ヾ.:.:.:/.:.:.＞///////////////';.:.:.:.:.:.ゝ＜.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.V/
ﾉ..........:.:.＜///ｼ¨／///////r--ｒ,///////ﾊ:.:.:.:.:.:.:.｀ヽ､:_:.::::::::::::::;}´
/.:..:.:.:.:.:.:.:.:.:..:.:f////////////∧￣7///////∧.:.:.:.:..:.:.:.:.:`ー--f¨´
／￣￣￣＼
／ ＼
／ _ノ ヽ､_ ＼.
| oﾟ⌒ ⌒ﾟo |
＼:::: __´___ :::: ／ 「お―――お心遣い、感謝します！」
／ ｀ ⌒´ ＼
| ）
. | | / /
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
瞬間、呪縛から解けたように身体を回転させたできる夫は
椅子から立ち深々と頭を下げていた。
この青年はおそらく、自分と同い年か一、二歳程度年上なだけだろう。
だが順番の件といい、バーテンダーから蔑みの視線を投げかけられていた
自分たちの分まで注文してくれたことと言い、できた人間だと感じられたのだ。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
-
６５．
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
すると、年長者のクラフトではなく、できる夫の方がリーダーだと見抜いていた相手は
自分の厚意を素直に受け止めた少年に微笑み、
故に―――自らも仲間を持つ者としての―――助言を与えてくれる。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
／￣￣ ＼
⌒´ ヽ､,＿ ＼
（●).（● ) |
（__人___） .|
. 「見ず知らずに頭を下げるなんて '､ |
. なかなかできることじゃない。 | |
,. -ｰ._i-､_ /l、
. だけどリーダーが簡単に頭を下げたら. ／...::::::{. i_ {_γ､__ ∠ノ::.}- 、＿
. 仲間も低く見られてしまうかも知れないぞ」 /:::::r/::::{. i_ l_ i_ {::::::::::::／::::::::::::::::..＼
/.:::::::::::::::} .i _i l_ {:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..ヽ
/.:::::::::ﾉ::::::r "~'ヽj_ {:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::. ',
/.:::::::::::>ｰ、j.‐- / {::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: }
/.::::::::::::::トヽ、⌒ γ i::::::::::::::::::::::::,':::::::::::::::::::: i
/.::::::::::::::::::l::::::::ゝ､ { ｿヽ、:::::::::::::::} :::::::::::::::::: i
/.::::::::::::::::::::::l:::::::::::::｀ト、__／::/:::.＼::::::::::::i :::::::::::::::::: i
/｀-::::::::::::::::::/l::::::::::::::::::｀,ー::::::::::::::::::::..ヽ::::::i ::::::::::::::::: i
/ .::::::::::::::::::::/ l::::::::::::::::::::::ヽ:::::::::::::::::::::::::::..、::::::::::::::::::::: i
＿＿＿_
／ ＼
／ _ノ ヽ､_ ＼
／ oﾟ(（●）) (（●）)ﾟo ＼
| __´___ |
＼ ｀ ⌒´ ／ 「で、ですが………」
-
６６．
／￣￣＼
⌒´ ヽ､,＿ ＼
（●)（●.) |
（_人___） |
'､ │
「とにかく頭をあげてくれないか。. } {
困ったときはお互い様さ」 !､______ .ィ-ｰﾄ、
V／:::::::::::::::::ヽ
{::::::::::::::::::::::::::::::.、
／ｰ-:::::::::::::::::::::::::::::::,
「r'、 ／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,
} r'、 ﾍ､ /.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: i
i/ ム､} .{ i:::::::::::::::::::::::::V:::::::::::::::::::::: |
{ い､{ Ｙ::::::::::::::::＼::::V:::::::::::::::::::: |
＼ ヽ {|V.::::::::::::::: ＼V:::::::::::::::::: |
＼ ノ|:.V.::::::::::::::::::::::〉.:::::::::::::::::|
／: : : ,. :': : : : _: : : : : : : : : : : : : : : : ､._,.ィ
,.:': : : ／: : : : ／: : : : : : : : : : : : : : :＼:ヽ- '
/: : : :/: : : : : /: : : : :, : : : : : : : |: : : : : :ヽ: :ヽ､＿ ,.
,' / . . . . ././: : : /: : :/: . . . | } i ヽ:_:ノ
/: : : :.;: : : : :./:/!: : :/ |: :/: : : : : : }: /: : : : : : : :{
;': : : :.:.|: : : : :|:/_|:_:_:|__{: :|: : : : :.:.:/ｲ: : : : :.|: :{ : ゝ
}: : : : :.|: : : : :|:{ 从{ 芹ｰ'':{: : : : |: : : : : |: : : : : .
/: : : : : |: : : : :|,ィ斥笊ミ､从: : |{: : :｀|ﾏヽ､: :{: : : :､: :＼
, ': : : : : : |: : : : :| {! {ん_,.ィ}ヽ ヽ:{ ＼: _,.z､:!､｀:∨､_:＞｀ ￣
／: : : : : : : :|: : : : :{ 弋こソ ｲ斥 }! /: トゝ
／: : : : : ,: : /:.:|: : : : :| ｀ ー {zン /: :/
／: : : : : ／: :/: :.:|: : : : :| :.:.:.:. ' ｀¨ : :./{
／: : : : : : /: : :/: : :∧: : : : :. :.:.:. 八:|: |
. /: : : : : : : /: ,ィ三ミ三 }: : : : : '，､ rv ｨ: : :{: :. （さらっとこういう事ができる人って
{: : : : : : : /: /三三三＼,: : : : : : :. ｀ .. .... ィ: : : : : :|: : : . 格好いいなぁ………）
ヽ: : : : : : ／三三三､三 '，: : : : : :. ､ /｀¨´三ﾆ{: : : : :.:.:|: : : :ヽ
ヽ: : : :{三三三三三ヽﾆ'，: : : : :∨} /｀!三三|: : : : :.:.:|: : : : : :＼
}: : : |三三三三三三 ム: : : : : :＼⌒ヽ三ﾆ,: : : : : :.{: : : : : : : : ヽ
/: : : :!三三三三三三三 '，: : : : : : ヽ＞!三 }: : : : : :|: : : : : : : : : :}
―――――――――――――――――――――――――
思わず、できる夫と青年を見比べたルイズが
ほうっ、と熱い吐息をついてしまったのも当然だった。
常にそうしていると言わんばかりの立ち振る舞いこそ
いつかはできる夫にも身につけて欲しいと思っている、
真に見返りを求めない者の余裕だったのだ。
―――――――――――――――――――――――――
-
６７．
,. '´ _＿＿__
,. '´ _,-‐－'´..:.:.:.:.:.:.:.｀‐-､_
＿＿＿＿ ,. '´..ﾞ__,-－'´ ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
/ ⌒ ⌒ ＼ ,. ,. '´ :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
. /( ―） （ ●） ＼ ,. '´. 【号外】 ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
/:: __',__ ::::: | ,. '´. l 海賊団壊滅のお知らせ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
| `ー'´ .| ﾁﾗｯ. ,. '´ l ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
＼ ／ ﾁﾗｯ. ,. '´. l ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
,. '´. l ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
,. '´ l ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
,. '´ l ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
,. '´ l ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
,. '´ l ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
,. '´ ＿, ..-l ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
,. '´ ,r'´￣ .l , - ､ ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
,. '´ / ､ _l .........／ヽ、 ,ﾘ ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:._＿ヽ
,. '´ / ヽ .l..::::_,,イ、 V/ ..:._＿,-‐－'´￣ ￣
,. '´ / ＿,,,ノ-' '" ヽヽ .／.:: ＿,-‐'´￣
,. '´ / ／.:::::: _,-‐'´
/ ,ｲ.:::::: _,-‐'´
/ ,ｲ.::::::: _,-‐'
/ /l.:::: _,-‐'
/,ｒ."~
／
／
／
――――――――――――――――――――――――
また、やっと頭を上げて椅子に戻ったできる夫も
真っ赤な顔で青年を見つめているルイズの影から
ちらちらと彼を観察し始めていた。
――――――――――――――――――――――――
-
６８．
￣ ､_
´ __....--‐'''"´: :＼
_/_....-一'''".／ : : : : : : : : ／ヽ
,.ｘ‐て/: : : : : : : ／ : : : : : : : : ／: : : :ヽ
/::,;:/そ|_:_:_:_:_:_／_:_:_:_:_:_:_:_:_／_:_:_:_:_:_:_|
./:/V l ,‐-,.._ ゞ
.V. l l 弋心 l
. l 冫.ー く
. l l ﾉ!
. l ｀ー‐ f ｒ'
l ﾉ'
! /
,' /
￣ ｀ー - /
｀ ､ /
:.:.:.:.:.:... ､ ／
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.. .:.:ヽ _ ´
ー- :.:.:.:.:.:.:.:.. ..:.:.:.:.:.:ヽ
｀ ､:.:.:.:.:.:.:...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼
..:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
..:.:.:.:.:.:.:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
グラスを片手にバーテンダーの仕事ぶりを眺めている青年は
落ち着いてどっしりした雰囲気を持っている。
目鼻立ちがはっきりしている精悍な顔立ちは色男と言うより特徴的、の方がしっくりくるし、
あまり見かけることのない漆黒の瞳は黒曜石のように澄み切っていて
すべてを見透かす力すら備えているかのようだ。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
-
６９．
―――――――――――――――――――――――――――――――
と。
さすが、金勘定や交渉ごとを一手に引き受けているクラフトだけは
視界の端で観察したり気配を読んだりしていたと言うのに、
年少の二人があからさまに見つめていたので
気を利かせた青年の方から声をかけてきてくれて。
―――――――――――――――――――――――――――――――
／￣￣＼
／ _,ノ ｀⌒
｜ .（ ⌒）（⌒）
. ｜ （___人__）
| ﾉ
. | | 「どうした、
人､ |. なにか聞きたいことでもあるのか？」
,ｲ:. ﾄ､ヽ、 __ ,_ ノ
,. -ｰｰ -‐ ´:::::::::::::::::::::::::::::7
／..::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ﾒ、
｛ :::::::::::::::::::::.ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::.. ､_
| ::::::::::::::::::::::..｀、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::..｀ヽ
'| ::::::::::::::::::::::::::::i_::::::::::::::::::::::::::::::::::::.ヽ::ゝ
ﾄ､:::/ ／￣｀` ﾊ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!:::::::.ヽ
`,ﾍ ´:::::::::::::::::. ﾊ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|:::_,rｰ'､
}:,∨ :::::::::::::::::: ﾄ､:::::::::::::::::::::::::＞＜￣＼::..＼
. }:::∨::::::::::::::::､-''ﾞ~￣￣￣￣:::::::::...＼ ム:::::ヽ
l::::∨ :::: ／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,.､／...:::::::::ヽ}
{::::::＼,::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／"￣:::::::::::::::::::::::::ﾉ
／￣￣￣＼
／ ノ ＼ ＼
／u （●） （●） ＼
| __´__ u |
「い、いえ、その」. ＼ .L:::::ﾉ ／
／ u ＼
-
７０．
＿_ . -―-､＿＿__
ア ｀ヽ_
/／ / （／＾ ＼
| | / ／| ヽ ＼ 丶ヽ
ﾚ|l ∧＼_l∧ , |ヽ _│ l l
∧ :|{/迄rﾄハ ､j斗泛ﾄ/| ｌ |
ノ :|ヽ| 戈ソ ﾉノ 弋ソ_ 彳 │ |
／ ﾘ j／/／ ' ／/／/ / / 八
／ ／/ { r〜‐ '⌒ヽ u/ ∧ ヽ､ ＿
「ももも申し訳ございません、 ／ ./ / ＼. `ー─ ---' / / ヽ ＼
ぶしつけな真似を！」 （＿ ヽ〈 ∨＞,､_ -r＜' / ヾ ｝
） ハ ﾏ{ xヘ／￣/ {＼__ ｝ /
／ ん-ﾍ ヽ/／⌒ヽ,/ ∨:::::} ノ ／
／ {::::::::: 〉 ∧ /{. ＼:::＼ ｛
／ }:::::／ /:::::＼-／:::ヽ ＼〈 ￣ ｀ヽ、
{／ /::::=-:::Y::::-=ﾆﾍ ＼ ヽ
／￣￣＼
／ ⌒ ´ ⌒
. ｜ ( ●) (●）
｜ （___人__）
.| ﾉ 「そうか？
j | でも俺が話したいから
..ノヽ、 | テーブル席に移らないか」
_,／(:::::ヽ､ __ ,_ ノ
_, ､ -一 ''"::::::::::＼ ::::::::::::::::::7、___ _______________
/::::::::::::ﾞ:':､::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::...／´ ヽ､,,,_____ノ
;;;::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／ ヽ､ .}￣）
｛;;;::::::::::::::::::::...v::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ノ' ､ ヽ_ﾉ ￣
ト:::ノ..:::::::::::::...:ヽ;;;;;:::::::::＼::::::::::／( r_ノ
ヽ;;;;;;::::::::::::::::::....ヽ;;;;;;::::::::／⌒ヽ::::ヽ､y-ィ´|;;;;|
ヽ;;;;;;;;::::::::::::::::丿ヽ;;;;／....:::::::;;;;;;;;;;::）;;;:::::::|;;;;|
―――――――――――――――――――――――――――――――――
赤くなって俯いたできる夫と、思わず地がでたルイズを見て微笑んだ彼は
向こうに移ろう、と酒場の奧を指さしたのだった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
┌─────────────────────────────────────┐
└─────────────────────────────────────┘
┌───────────────┐
└───────────────┘
┌───┐
└───┘
-
７１．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
給仕にグラスやコースターを移動してもらい、
新しいおしぼりを受け取った後。
信じられないぐらい柔らかい、ベルベッドのソファに身体を預けた四人のうち、
気まずいような、照れくさいようなできる夫たちが言葉を探していると
三人を順番に見つめた青年が切り出した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
, ノ ､ヽ
. l（● ●）l
「三人とも冒険者だよな？」 | （_人_） |
. ヽ ノ!
（,⌒￣￣￣ ￣￣￣,⌒）
|￣￣￣￣￣￣￣￣￣/ / ￣￣￣￣￣￣￣|￣￣￣|
|: : : : : : : : : : : : : : : : : / /:::: : : : : : : : : : : : : : : |:::::::::::::::::|
|: : : : : : : : : : : :-――' /:::: : : : : : : : : : : : : : : : |::::::::::::::::::|
|: : : : : : : :／ ./⌒ヽ/:::::::: : : : : : : : : : : : : : : :|:::::::::::::::::::|
／￣￣￣￣./ /￣￣ ./ /:￣￣￣￣￣￣￣￣￣／:::::::::::::::::::|
./:::::::::::::::::::::::::/ /:::::::::::::/ /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::|
〈:::::::::::::::::::::::::/ /:::::::::::::/ /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〈::::::::::::::::::::::::::::|
＿＿＿_
／ ＼
／ ＼ ／ ＼
／ （●） （●） ＼
| __´___ | 「は、はい。
＼ 'ー一` ／ あなたも？」
／ ＼
-
７２．
／￣￣＼
⌒´ ヽ､,＿ ＼
（●)（●.) |
（_人___） |
「ああ、冒険者だ。 '､ │
} {
そんなに緊張しないでくれ、. !､______ .ィ-ｰﾄ、
取って食おうなんて考えてないから. V／:::::::::::::::::ヽ
のんびりしてくれて良いんだ」 {::::::::::::::::::::::::::::::.、
／ｰ-:::::::::::::::::::::::::::::::,
「r'、 ／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,
} r'、 ﾍ､ /.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: i
i/ ム､} .{ i:::::::::::::::::::::::::V:::::::::::::::::::::: |
{ い､{ Ｙ::::::::::::::::＼::::V:::::::::::::::::::: |
＼ ヽ {|V.::::::::::::::: ＼V:::::::::::::::::: |
＼ ノ|:.V.::::::::::::::::::::::〉.:::::::::::::::::|
-‐ ―- 、
／ ‐￢ ｀ 、
/. l .i
,' .! .i !
,' ﾄ,､! ',
И i. l !. l､ !`
l ! !,ｨ. /l ﾄ､!. '-‐Ｎ.ﾘ
ﾚﾘ'ﾍ､ !/'仁ﾘｨ ､￣ !、
／´Ｌ.'lゞ､ヽ.∩、 , -‐'‐.つ:.｀:.:....、.. 「………どうして、俺たちの分まで注文を？」
／:.:.:./l: :ﾚ'ﾘWN ヽ,＞'´ -‐フ'!:.:.:.:.:.:.:.｀:.:..、
／:.:.:.:.:./:.:l´: : : ', ! ' ／ﾉ-!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l: : :／ﾍl ' 'ｲ､: :!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.!
γ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l': ´: : /ゝ､ イ :＿; 」:.:.:.:.:.:.:..:.:.:.:.l
. !:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:､:.:.:.:.',; ｒ-</ ./.7'ｧ_イ´ 「:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.〉
l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼:.:.V:.:.:.:ヽ'_/././ 〉 .ｊ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:-<
＼:.:.i:.:.:.:.:._:.:.-‐＞'､;;ヽ:.:.:.:.:.￣',. ! ／l＿:.:.:-‐:/「:.´:.:.:.:.:l
ヽ!:.:／:.:.:.:.:.:.:/:.:.:｀´:.<｀;;‐ｙ':::ヽﾚ:::::l:.:.:.:.:.:.:.:.1:.:.:.:.:.:.:.:.:.l
〈/:.:.:.:.:.:.:._/:.:.:.:＼:.:.:.:￣:7:::::::十:::::!:.:.:.:.:.:.:.:.l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ゝ
',:.:.:.:.:.:.:7:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/::::::::::::l:::::⊥:.:.:.:.:.,､:ゝ＜｀丶:.:.:/
-
７３．
／￣￣ ＼
⌒´ ヽ､,＿ ＼
（●).（● ) |
「仕事狙いで高い酒場に入ったはいいけど、. （__人___） .|
. まず注文を聞かれるとは '､｀ ⌒´ |
. 思っていなかったって顔をしていたから。. -ｰー| ﾄ､______
/ .::::::、::| /:::ﾉ:::::::::.｀' ｰ-
. 自信がついてこういう場所に行くようになると l :::::::::::::::::ヽ__､____,. "／::::::::::::::::::::::::.. ヽ
. 最初はみんな驚くんだ、 」 ::::::::l:::: ::::::「､:::::::::::::／ ::::::::::::::::::::::::::::::::.. '､
. 今までとまったく勝手が異なるから」. l ::::::::::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::. '､
/ .::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l::::::::::::::::::::::::|
/ .::::::ｰ-ミﾊ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| :::::::::::::::::::::|
/ .::::::::::::::::::::/ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| :::::::::::／ ||
/ .::::::::::::::::::::/ ＼:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| :::::::::::::::: |:|
/ .:::::::::::::::::::/' `‐-､::::::::::::::::::::::::::::| :::::::::::::::: |:|
/::::::-‐…‐､/ i `ｰ-,:::::::::::::::::| :::::::::::::::: |::|
l::::::::::::::::::::.. ＼ ヽ::::::::::::::::::::::::::| :::::::::::::::: |:::|
,. -‐=＝‐‐‐- ､__
,. : "´ _ ｀丶
｀ ｰ=≠ ヽ.
／／ , ' ／ ＼ ,ハ
. /／ / / ; ヽ ',
イ / ' ∧ || 、/_}_ ', ` ,
{ ' ! 斗七メ 八 ∧ハ ｀ﾒ､! ', ｌ
人/l ｜ 八z≠ﾐｘ ', ﾉ斗≠ﾐｘ_| | ,
八 ｜;j〃 fゞ_刈` )イ iﾄ､,厶刈 ,' 八
ヽＮﾊゝ ∨匕! └弌/ | ｉ ' ,
ﾉ ! 丶 ´ ' 厶 人 丶 「まさしくその通りです………」
. ／ ', 八 __ _ u. / / ', ヽ
. ／ 〃! ト . , ' / 丶 ',
／ ﾉ´ } 八ヘ ト _ イ〆 八 ' , ﾉ
／ 」 ∨',| r‐‐‐／ /:::::ゞ ＼ /
/ ／丿 ',‐∨‐_／ 厶-‐=＝l ∨
｛ 爪/ 丿又／ /::::::::::::::::::::＼ ',
. ＼ /／ ／|/::八 /::::::::::::::::::::::::::/ /
ヾ 〃 ／::::::::::::::::::', ｉ::::::::::::::::::::::::::く 人
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
相手の洞察力に感嘆するよりも、自分達の状況を思い返したルイズがうなだれると、
自分の予想通りだったことを確認した青年は
まるでやっと本題に入れる、と言わんばかりに続ける。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
-
７４．
／￣￣ ＼
_ノ ｀⌒ ＼
（●).（● )
（__人___） |
「だが、水も頼めないというのは初めて聞いた。 , =二ニﾆヽ､ |
. 身ぐるみを剥がされたわけでもなさそうなのに、 / 二 ヽ､V ﾄ､_____
. 冒険者が一文無しなんてただ事じゃない。. / -､ }、j´ /:::ﾉ::::::::.｀' ｰ- 、
/ /{_/_､____,. "／::::::::::::::::::::::.. ヽ
. ………いったい、どうしたんだ？」 _/＿__ ノ:::::「､::::::::::／ :::::::::::::::::::::::::::::::::.. '､
_/ ::::::::::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::. '
l :::::::::::::ヽ〈:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i :::::::::::::::::::|
,' .::::::::::::::::::}::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| :::::::::::::::::::|
,' .::::::::::::::::::ハ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| :::::::::::／ ||
,' .:::::::::::::::::/::/ ＼:::::::::::::::::::::::::::::::::::::| :::::::::::::::: |:|
/ .::::::::::::::::/:::/ `‐-､:::::::::::::::::::::::::| :::::::::::::::: |:|
,. -‐=＝=- ､
,. -‐' ´: : : : : : : : : : : : ｀ ヽ
, ' : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ＼
/: : : : : : : : : : : : : : /: : : : : ヽ: : : : : ＼
/´: : : : : : : : : : /:: : : ｉ: : : : : : : ',: : : : : : :ヽ
,': : : : /: : : : ,':: :{: : : :∧: : : : : : : } : : : ､: : ハ
l: : : : : i: : : ∨:: : : : : / ',: : : : : : ,': : : :: }: : : :ｉ
!:: :: : : |: : : : !: : /l : / ヽ: : : : : !, 一' ﾘ: : : :|
,′′ : |:: : : 丁`廾卜、_ 从: : 〆ﾉ }: ﾉ':: : i丿
r´:: :: : :|: : : : ゝ,＿＿__、￣/: ノ,＿__ﾉ'ｉ: ﾉ: ｊﾉ
／:: : : : : ﾊ: : : : ',弋 ﾄ孑ﾘ´ ﾉ'´ 7孑ｪﾊ`: :ｌ
./ : : : : : ノ::∧:: : ::∧ `￣ ｀￣ ハ从
: : : : : : /: : : : ',: : : : ', ｀ ,': : :i :＼
: : : : :, ′: : : : ｌ : : : : 丶 イ: : : :ヽ: : ヽ
: : : :/: : : : : : : | : : : : : : ﾄ _ ⌒ ィ: : : ',: : : : ハ : : :` ､ 「実は―――」
: : ::,' : : : : : : 〃:: : : : :: ハ≧= ｌ`ｰ､: : : ∧: : : : : ＼ : : : , f´￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ
: : ::l: : : : : : : 八 : : : : : : : ト ∧ /ヽ: : : :}: : : : : : : ',: : : ｉ | ルイズ！！ ＞
: : ::|: : : : : : : : / : : : : : : : :} ＼r ⌒ヽ : : :`: : : : : : ヽ: ｿ 乂＿＿＿＿＿＿_ ノ
: : :ﾉ: : : : : : : : i : : : : : : : 丿 ＼ }: :: : |: : : : : : ﾉ
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
わざわざ恥を晒す必要はありません、とのできる夫の鋭い制止に首を振った彼女は、
つぶさに把握していた―――たぶん自分達が想像もつかないぐらい経験豊富な―――この人なら、
相談できるのかもしれないと口を開いたのだった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
┌─────────────────────────────────────┐
└─────────────────────────────────────┘
┌───────────────┐
└───────────────┘
┌───┐
└───┘
-
７５．
―――――――――――――――――――――――――――――――――
それなりに長い説明を一度も真剣な表情を崩さずに聞いていた青年は
以上です、というしめの言葉にうんうんと頷いて顎に手をやった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
／￣￣ ＼
／_,ノ ｀ヽ､_＼
| ( ●) （● ） |
| (___人___） .|
「なるほど。 | ｀ ⌒ ´ |
それで金がない、と」. | ,. -'-､
', ｊ_ r＝、`.、
__ jﾊ. __ 、__ﾉ__,. -､ ｀ {
_,. -= '''' ´ ..::ヽ:::::::::::::: ﾉ,. - ﾄｰ- ､ _
ノ´ ...::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i ｬ '!,:::::::::::..＼
/ ...::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::'ヽ_〉 i,::::::::::::::::::..ヽ
/ .::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::八 ／｀x--、:::::::: l
/ .::::::::::::::::./::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〉::::/:::::::::::::::＼:::: l
/: : : /: : : :/: : : : :|: : /{: : : : : : : :.l: : : : : : : '.
′: : :{: : : :.|: :入 /{: : { |: : : : : :!:|: |: : : : : : : :}
|: : : : :|: : : :.N: rﾁ≧ｭx_,|: :ﾄ : : :}ﾉ≦: : ﾊ: }: :/
|: : : : :|: : : : |ｲ ﾄ､__,小Vﾉ|: : : ｨﾃヾ}: /: }/ﾚ
|: : : : :|: : : :.:| V:zソ ﾉ／ Kｲ ﾚ'};ノ
ﾉ : : : /!: : : : :! xxx ､ ゞ’ !l:.|
／: : : :./: |: : : : :| xxx 从{
／: : : : :./: : :!: : : : :ヽ r ｧ 人: | 「あなたも冒険者だそうですが………
／: : : : : :./: : :.∧: : : : : ＼ イ : : V:､ その、お一人なのですか？」
／ : : : : : : /: : : /:.∧: : : : :.∧＞ - イ:l : |: : : :ヽ:ヽ
/: : : : : : : :/{:_:_,ィ三三}: : : : : :∧＞､ﾑﾊ|┴ミx: : : : :＼＼
. /: : : : : : : :/ｲ三三≧ミ7: : : : : : : }／〉女 }三ﾏﾑ: : : : : :ﾊ: :ヽ
{: : : : : : :.:/三三三三三}: : : : : : : トくイ ﾍﾉ三三}: : : : : : :|: : :ﾊ
ヽ; : : : : /三三三三三７: : : : : : :/三ﾐx‐/三ｲ歹ﾊ: : : : : :}: : : :.}
}: : : :{≦三三ミ≧iⅣ: : : : : : /三三ﾏ三7少三i}}: : : : /|: : : /
): : ;ｲ三三三三三/: : : : : : :/ｉ三三三≦三三ｉ7: : : : {/: :イ
／: ;_ﾀ三三三三三7: : : : : : :/三三三ﾌ介≦三/: : : : : ∨:.∧
./: ／三三三三三三{: : : : : :.:/三三≦彡ｲ|ミx≪{: : : : : : : V: : ヽ
-
７６．
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
もし一人なら仲間に誘いたいな、というルイズの希望はものの一秒で打ち砕かれ、
二日酔いなどできる夫と旅をするようになってから片手で数える程度しか記憶にないクラフトは
内心彼の仲間をうらやんでしまう。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
／￣￣＼ｰ-､ ＿ｒ‐- ､
__ノ ヽ､,_ ＼. 7;:::::::::＼__
（●）（● ） | 〃:::::::::::::::::::｀ ''‐-､_
（__人___） |‐≦ｲ::.::::::::::::::::::::::::::::::::::丶、
「いや、昨日一仕事終わったんで騒いでね、 |｀ ⌒´ | └‐-､__::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
仲間はみんな二日酔いで寝てるんだ」 | | ｀ヽ.::::::::::::::::::::::::::}
ヽ .ｲ __,. -＜丶､.:::::::::::::::::/
__「ヽｰ'ーｰ"／7一＾V::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ｒ´
_, ､ -― ''":::＼:::￣￣:::::/::::::::::::.､::::::::::::::::::::::::::::::::::／
/;;::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ::::::::::::::::::::::::.／
丿;;;:::::::::i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i:::::::::::::::::_ｒ'´
i ;;;;;:::::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i::::::_､-'ﾞ´
/;;;;;::::::::::::::::!::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!／
-‐- 、
／ ｀ 、
／, / .＼
/ .／ ィ / / ｨ /7
/ｨ ´7i'.l, ,l l,⊂_ ‐-' ＜
ｨ彡 弋'l /´ﾘ‐- ﾘλ ヽ
,ﾍﾑ_ｨ イﾘ7.' ´´l.ﾘ｀ヽ ',
__,/ ｀ ＜ヽ __ , '´ .ｒ'-‐￢ 「むぅ………」
／---‐――--.､ゝ＼i.jｲ 」-‐＞ヽ
／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／⌒ヽ. ´ / ´ l
／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／ ／´ ｀ヽ ヽ. , , .! （二日酔いか。
／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／ ／ ヽ l｀ / / /! ダンセニアを出た日以来ご無沙汰だな………）
/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／ ./ ＿ __ヽ-､ !/. ,' l !
/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l ＿十''''''''"" ＼ ＜ ' l
/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.', l ￣ ￣ ￣ヾ＼ !
,':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ.',―ー==―--- ヾ j
――――――――――――――――――――――――――
だが、誰も彼を責められないに違いない。
もともと結構な酒好きであるのに
パーティの財布を預かる身として率先して節制しており、
ほんの僅かな自分の取り分から行っていたへそくりが
今日までの生命線だったといっても過言では無いのだ。
――――――――――――――――――――――――――
-
７７．
／￣￣ ＼,-、_
_,ノ ヽ､__ ／ / ,〉、
（●）（ｰ-/ ´／ /),
（__人＿,{ / ' ´ﾐ､
'、`⌒ ´V __ <､
| 〈´／::::::Λ
「しかし、勇者というのも大変だな。. | ﾔ::::::::::::::Λ
自分から首を突っ込んだのならまだしも、. `ｭ`ｰ─ｰV::::::::::::::Λ
依頼まで報酬が要求できないとは」 /ﾑ _ , ｰ ' V::::::::::::::Λ、
_,. -／::::::::::::::::::::::::i::::::::::::::::::::Vﾍ
／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ｉ::::::::::::::::::::.∨}
j :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ｉ::::::::::::::::::::::ﾚ;
i :::r ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〉､:::::::::::::::::::ﾉ
ｉ :::| ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`:::-==:::イ
| :::| :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
＿＿＿_
／ ＼
／ ＼ ／ ＼
／ （●） （●） ＼ 「私に対する報酬は、
| ´ | 人々の感謝の言葉と笑顔ですから！」
＼ ⌒ ／
／￣￣ヽ ＼
（｢ ｀rﾉ ＼
ヽ ノ ＼
| | ｢＼ ＼
-
７８．
―――――――――――――――――――――――――――
他人のために働いても金は要らないと断言するできる夫を、
しかし、青年は笑わなかった。
―――――――――――――――――――――――――――
／￣￣＼
⌒´ ヽ､,＿ ＼
（●)（●.) |
（_人___） |
「そう言う考えは大好きだ。 '､ │
} {
ただ自分はそれでいい、 !､______ .ィ-ｰﾄ、
満足できるだろうが……… V／:::::::::::::::::ヽ
仲間達はどうだろう？」 {::::::::::::::::::::::::::::::.、
／ｰ-:::::::::::::::::::::::::::::::,
「r'、 ／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,
} r'、 ﾍ､ /.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: i
i/ ム､} .{ i:::::::::::::::::::::::::V:::::::::::::::::::::: |
{ い､{ Ｙ::::::::::::::::＼::::V:::::::::::::::::::: |
＼ ヽ {|V.::::::::::::::: ＼V:::::::::::::::::: |
＼ ノ|:.V.::::::::::::::::::::::〉.:::::::::::::::::|
＿＿＿_
／ ＼
／ ＼ ／ ＼
／ （●） （●） ＼
| __´___ | 「もちろん、クラフトとルイズも
＼ `ー'´ ／ 分かってくれています」
-
７９．
／￣￣ ＼
_ノ ｀⌒ ＼
（●).（● )
「分かっていなかったら （__人___） |
ついてきてはくれないだろうな。 , =二ニﾆヽ､ |
/ 二 ヽ､V ﾄ､_____
よほどの物好きでもない限り / -､ }、j´ /:::ﾉ::::::::.｀' ｰ- 、
食べるのにも困る / /{_/_､____,. "／::::::::::::::::::::::.. ヽ
貧乏生活は望まないだろう」 _/＿__ ノ:::::「､::::::::::／ :::::::::::::::::::::::::::::::::.. '､
_/ ::::::::::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::. '
l :::::::::::::ヽ〈:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i :::::::::::::::::::|
,' .::::::::::::::::::}::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| :::::::::::::::::::|
,' .::::::::::::::::::ハ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| :::::::::::／ ||
,' .:::::::::::::::::/::/ ＼:::::::::::::::::::::::::::::::::::::| :::::::::::::::: |:|
＿＿＿_
／ ＼
／ _,ﾉ ＼ ＼
／ （●） （●） ＼ 「それは―――そうなのですが。
| ' | お金を求めて
＼ ⌒ ／ 見苦しいまねはしたくないのです」
―――――――――――――――――――――
今度は、ちょっと弱気が感じられる声だった。
俯いたできる夫の代わりに青年が見れば、
二人は黙ったまま会話に聞き入っている。
―――――――――――――――――――――
-
８０．
／￣￣ ＼
／_,ノ ｀⌒ ＼
. 「確かに、金に目の色を変えるのは -、 | (● ). (● ) |
見苦しいかもしれない。 ﾔ ', | .(___人___） |
i. l ,.-､ | ｀ ⌒ ´ |
じゃあ、今の状況はどうだろう？. ', j / / .| |
勇者の称号か、自分の理念か、 ノ＿..ヽ-､′,' ', ,/'|、
その両方かにがんじがらめになってしまい、 l .＿＿_ ヽﾉ __ .j '.、__ , ___ ｨ／::L＿
食うにも困って身分を隠すはめになった. Ｙ ）ﾊ.‐ ' ´ ..::ヽ::::::::::::::::::::::::::／:::::::...｀' ｰ- ､ _
今は見苦しくないのだろうか？」 ﾄ. ￣￣ 〕y::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: _ ,,... -‐ '' "´ﾞ
ハヽ 一ﾆｲ:::::::::::: _ ,,... -‐ '' "´ﾞ
/ . _ ,,... -‐ '' "
_ ,,... -‐ '' "´
._ ,,... -‐ '' "´丶: : : : : : : : : :＼
_ ,,... -‐ '' "´ﾞ/: :/: : ｛: : : : : : ハ: :: :∧: :: : : : : :
. /: : :/ : : : 斗七ト､:人 : : : : : : 从 斗匕: : : : : : :
{: : : i : : : : : !/z≠ﾐｘ､一': :: :: :／}八 ﾉ : : : : }: : }
. : : :: :|: :: : : :〃 .r‐ ヾ ｿ ﾉ: :〃≠ﾐｘ､}: :: :: :ﾉ: ｉ |
i : : : | : : : : :从 圦,ィ `ﾉ'´｝::ノ 圦,ｨ 从: : : :ﾉﾙ'ﾚ
| : : : |: : : : : { ∨ソ ノイ 匕ﾘ 丿: : 丿}ﾉ
| : : : !: : : : ハヽ 丶 厶イ:: :ヽ＼ （言っちゃった！！！）
,': : : :{: : : : : : :! |: : : : :ﾍ: :＼ヽ __
/: :/ : |: : : : : :ハ U ,. -‐ ‐-〜 ﾉ : : : : : ト､: :ヽ: : : : : ハ
. : :ノ:: :∧: :: :: : : :ﾄ イ: / : : : : ﾉ//仆.: : : : : : : :
〃: :: : :／ヽ: : : : : :｝ ＞ イ//ﾉノ: :: :: : :八////≧=－trf千}
／: : : ／: : :∧: : : : : Ｖ〈 ヽ t≧= ´///У: : : : : ／////////∠⌒ゝ‐-
/: : : :／: : : :: :斗: : : : : :｝∧У∨////／ : : : : ／////////／＿＿ ノ
./: :: :〃 : : : : 爪/｝: : : : : :｝ヽ☆ノ///／: : : : :／////////イ￣
′: :/ : : : : ,仆//ﾉ: : : : : :ﾉ//`¨//／ : : : : ／j/////x≦´ ﾒ
: : : :i: : : : ://///r‐‐⌒ヽ,//////｛: : : : : :/´￣￣￣￣￣ ｀ `ｰ ― 一'
: : : :|: : : ://⊂二二二 ＼ ｀ヽ//从: : : :∠ヽ=ミ
: : :jﾉ: : ://⊂二二二二 ､ ｀ヽ 一λ ＼
: :ノ : : /// `ｰ―――- ､ ', ｝ ∧ ＿＿＿ ,. -‐=＝'
）: :爪/γ: : : : : : :乂ﾞ`ｰ ┐ ヽ _＿」 :i x≦三///////
: :////｛: : : : : : : : : :|////≧=－rf/∧ | .入 , ィ升///////////
-
８１．
―――――――――――――――――――――――――――――
その言葉に、はっと顔を上げたできる夫は両側の仲間を見た。
―――――――――――――――――――――――――――――
,. -―- 、
／ ＼
／ -‐ ‐- ＼
i ::（◯）ililili（◯）::: ヽ
{ ｀ } 「ク……クラフト？？」
ゝ `‐‐-- ノ
＞ー ゝ､
/´ ヽ
l i l i
. l l .l .i
l l l .i
＿ｒ'´ ￣ ￣｀`‐- 、
/ l ＼
/ /! l ヽ
/ｨ /,' /ﾚ」/! / l ',
/ィ〈./' ' `l'.ﾚ/. l l , ',
´ ／ ､""´ /ｨ /ﾙ /ﾚl / l`
< ´ .ｲ'//ﾘ_ハ! ヽ
` l/ｒ＜ /ﾚ'｀ `
「………すまん。 ヽ￣｀ ./ l ./
本来なら俺が言うべきだった」.... ,'i i i , , __,ノ, .'ﾚ､ /
ゝ-=＝´ ,-'‐――'‐'┐
／'／」 ,. .､-‐┬ヽ、
∠_ >ﾆ／ヽ: : :ヽ_: '-‐<
／／￣:ヽ;／´￣:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
／／`丶／´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:',
/./＿: :／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l
/./: : :／:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l
ゝﾌ`:'´:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.l
-
８２．
――――――――――――――――――――――――――――――
己の不甲斐なさから、
うつろな視線をまともに見返せないクラフトは顔を背けたまま頷き、
縋るような表情に胸が痛むルイズもいまは正直に答える。
――――――――――――――――――――――――――――――
,.．¨￣￣¨丶
/ ＼
/ ー ::::::::: ヽ,
/（ ○）::::::::::::`ー
i ::::: （ ○） |
＼ ´ /
「ルイズ？」. ＼ ー ＿_／
/ ＼
＜´￣￣ ‐-
／ ｀i ¨＞ 、
/ :i ! ヽ ヽ
/ / / :| / ヽ ヽ ',
/ / :/ i / i ', i i
/ ,' ｰ-/､ ／j: | ∧ | l: l
,' i /ン｀ﾞｰ V | 7''ｰl‐l'" l l
/ | ./示≧ﾐ／ ヽ,!/,,.ﾑｒ i /l l 「その、言いづらいけれど………
/ .|/ ヾﾆｼ frｼ/ / /: ﾘ
/ ﾍ ｀t-ﾍ ::::::: ､ ::::u /_|/ /:ﾊ. ご飯も満足に食べられない人が
,' ＼ ＼ ＼, -､-‐ _ ィ / ∧ ﾍ 他人を助けたいって言っても、
| } ヽ ',/ <ヽ_i｀i´| ＼/ / ', ＼.. まず自分を助けてあげてって思われるんじゃないかしら」
乂 ,xf＜ヽ/ ｧ-､ﾞi::::/つ: :/ ,'＞ｰ､_ ヽ
） f;.;.;;: : :/ﾄヽヽ,.-' ｲ V::.（ （:.:.::.:.:.:.:｀ﾍ )
/ i:.:.:.:.V｀ヽ、｀´,イ 'ﾍ/::.:.:ヽ ヽ:.:.:.:.:.:.:＞｀-､/
/ ,' j:.:.,ｨ': : : : : :∧） . /:/ /:.:', ', r'" ＼
/ / /V ｀ヽ=-i / /: { / / ） ）Y ＼
-
８３．
＿＿＿_
／ ∪ ＼
γ⌒) ノ三三三ゞ(⌒ヽ
／ _ノ （＞）三（＜） ＼ `､.... 「た…確かに見苦しいのかも知れません………
（ <:::∪:::: __',__::::∪| ）. いえ、見苦しい、の…でしょう……
＼ ヽ ::∪:: `ー'´∪::／／
ですが…どうすれば良いのか、
私には、分からないのです………」
,. : : : ￣ : : : : .
,. : ´: : : : : : : : : : : : ｀_: .､
／: : : : : : : : : : : : : : : : : :＼＼
.: : : : : : : : : : : :|: : : :､: : : : ヽ: :ヽ:ヽ
.':/: : /,: : /: /: 八:{: : : V: : : |:V: : V:.
|:l{: : :|:|: /: /:,.ｲ: : ＼: : |: }､: ,: |: : :.|: :
{八 : |:{: |ｰ|/-从: : : : /}/-l/‐:|: : :.|: |
从{人{ｲ雫ぅ ヽ: ノ,ｨぅ雫ﾐ､|: : :.|: {
ﾊ : ､ Vり ´ Vり V: : : |: : ､
｛: |: : . ' /: : : :.|: : : ＼ 「できる夫………」
/ : |: :人 _ ,: : : : : |: : : : : :ヽ
／: : :.| : : 个: . イ: : : : : :|: ＼: : : : :.
／: : : : /: : : :八r ┴ ｀´-┴ , : : : : : :|: : : ヽ: : : :}
/: : : : : :/: : : :/// / Y＼ 人: : : : : {､: : : :|: : : ,
{: : : :,.ｨ/: : : ://∧／/⌒V}／/∧: : : : ∨＼: : : :/
|: : ://,: : : : :{/// ＼{==／/////}: : : : : ∨∧: : {
}: : {/∧ : : : ∨////∨'///////|: : : : : : }/ ∧: :＼
/: : :|//∧: : : :∨////////////ﾉ: : : : : :,ﾊ//∧ : : ＼
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
できる夫には、なぜ青年がこうも自分の心を刺激するのかが分からなかった。
もしも逆の立場だったとしても、
自分達の状況をここまで的確に、正確に読み取れるとは思えない。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
-
８４．
／￣￣ ＼
_,ノ ヽ､,__ ＼
（●)（● ） |
（_人___） .|
「たとえ勇者だとしても、 '､ │
冒険者という前提がある以上、 、 ｲ
依頼に対する正当な報酬を望むことは ﾞ､ ＿__,. イ i
間違いではないのでは？ ,r... __＞ｰﾒ.┴ｭ
_,. ,i´::::::::::::::::::::::_::::::＞、__
勇者だって人間だ、 ,.＜::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＞-.､､
食べなきゃ生きていけないんだし 「::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／:::::::::::::.`、
正当な金額なら相手も文句は言わないだろう」. /.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.}
/ y::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::}
/:::::.i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾉ/:::.:::::::::::::::::::::j
ﾉ.::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ｨ
＿＿＿_
／ ＼
／ _,ﾉ ＼ ＼
／ （●） （●） ＼ 「し、しかし。
| u __'__ | 勇者は報酬を望まないと言うのが
＼ L::::ﾉ ／ 通説になってしまって……」
―――――――――――――――――――――――――
それは彼の行いによるものか。
あるいは、人の良い彼を利用しようとする者の思惑か。
ただできる夫に言えるのは、
自分は間違っていなかったと言う信念のみだ。
―――――――――――――――――――――――――
-
８５．
／￣￣ ＼
⌒ ｀⌒ ＼ v-,
( ●) ( ●) | | r
「お金だって君の力の一つなんだ。 （__人___） | | |
. 得たお金を有効活用すれば、 '､ | | |,.-、
. さらに多くの人を助けられるようになるかも知れない。...... ,,. -ｰ| |ヽ__／￣ヽ｀ r´
/ .::::::、::| /ｨ::::〔￣￣ ｀' ト-、
. 勇者に助けられた人は l :::::::::::::::::ヽ__､____,. ":::/::::〔￣ l:::. ヽ
. 報酬を支払っているのではない、 」 ::::::::l:::: ::::::「二二::::／ :::::::ヽ y l::::::. ',
. 次に助けが必要な人達のために l :::::::::::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l l:::::::: i
. 投資しているんだ、と言う考え方はどうだろう」 / ::::::ｰ-ミ､:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ＿／:: L::::|
/ :::::::::::::::::ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::く::::::::::::::::::|::|
/ ::::::::::::::::::::/ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::「 ::::::::::::::::::||
/ :::::::::::::::::::/ ＼:::::::::::::::::::::::::::::::::::::V ::::::::::::::: |
／ ｀ﾞ'''ー-,
／ /,_
／ l .|
／ l !
__, ''´_ / , l .l
ﾞ￣￣/ , , /! i､ .i ,' ,|
/ ｨ , ! l ,ト!l-! /ﾘ!.,' .,'ﾘ
l/ l , /l. l ﾊ /_,l云 .「/lハ/
l ,ｲ ∧И ,' .∨ `.|h!ヾ.',
!／l ／Ｖｲ､ヽ, !, ｨ/ ¨- '、
... ′ l .ヽ ｀ !l, /′ ヽ
!,,ィ , /‐-､ ｀', .! ／
... ＿,/｀'‐-＜!_ /ヽ〈 , ! ヾ. /- 、
／:／｀丶 、 ｀丶ヾ､ ,代 -‐_,'.、 ヽ, （そう、金も力なんだよ、できる夫。
_":／ : : : :／: :｀丶,、 ＼ ｀ 、 Ｔ､,斗―='‐､. 剣や魔法と同じで使い方しだいなんだ。
....二_: :／: : : : : ／: :｀丶 ＼ .＞'''"´￣￣´ ＿,ノ
ﾞ:.:.:.:.:.:.｀－-､: :/ : : : : : : ＼ ﾄ､-' , -‐''"/ 俺は、その為についてきたはずだったのに―――）
ﾞ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.｀ｰ- ､: : : : /: ＼', ゝ ´ _,ノ
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀‐-〈: : : : :`-<| , '"
. :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.｀ｰ-'､ : : >、 , .'´
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀´＼`ｰ┤
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..:.:.:.:ヾ､|
-
８６．
: : : : : : : : :: :::: :: :: : :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
: : : :: : : :: : ::: :: : :::: :: ::: ::: ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
. : : :: :: ::: :::::: :::::::::::: : :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
＿＿＿ . . .: : : ::: : :: ::::::::: :::::::::::::::::::::::
/ ＼ . . .: : : ::: : :: ::::::::: :::::::::::::::::::
/ ,⊆ニ_ヽ、 ヽ . . .: : : :::::: ::::::::::::::::::::::::::
|／ r─--⊃、 ｌー､ 「ですが勇者は………」
ｲ _｀二ﾆﾆう Ｖ │. .:: :.: ::: . :::::::::::::::::::::::
/ / ヽ │ . :. :. .:: : :: :: :::::::: : :::
│ / 丶 │ . :. :. .:: : :: :: :::::::: : :::
￣￣￣ｌ_,ノ ￣￣￣￣￣ヽ､_ノ￣￣￣
／￣￣ ＼
_,ノ ヽ､,__ ＼
（●)（● ） |
（_人___） .|
'､ │
「……………」 、 ｲ
ﾞ､ ＿__,. イ i
,r... __＞ｰﾒ.┴ｭ
_,. ,i´::::::::::::::::::::::_::::::＞、__
,.＜::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＞-.､､
「::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／:::::::::::::.`、
/.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.}
/ y::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::}
/:::::.i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾉ/:::.:::::::::::::::::::::j
ﾉ.::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ｨ
-
８７．
／￣￣ ＼
⌒´ ヽ､,＿ ＼
（●).（● ) |
（__人___） .|
'､｀ ⌒´ |
「できる夫、だったか。 -ｰー| ﾄ､______
君は勇者の称号がそんなに大切か？... / .::::::、::| /:::ﾉ:::::::::.｀' ｰ-
l :::::::::::::::::ヽ__､____,. "／::::::::::::::::::::::::.. ヽ
その称号を得るために 」 ::::::::l:::: ::::::「､:::::::::::::／ ::::::::::::::::::::::::::::::::.. '､
冒険者になったのか？」. l ::::::::::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::. '､
/ .::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l::::::::::::::::::::::::|
/ .::::::ｰ-ミﾊ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| :::::::::::::::::::::|
/ .::::::::::::::::::::/ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| :::::::::::／ ||
/ .::::::::::::::::::::/ ＼:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| :::::::::::::::: |:|
/ .:::::::::::::::::::/' `‐-､::::::::::::::::::::::::::::| :::::::::::::::: |:|
/::::::-‐…‐､/ i `ｰ-,:::::::::::::::::| :::::::::::::::: |::|
l::::::::::::::::::::.. ＼ ヽ::::::::::::::::::::::::::| :::::::::::::::: |:::|
＿＿＿_
／ ＼
／ ― ― ＼
／ （○） （○） ＼
| ' | 「え………えっ？」
＼ 冖 ／
―――――――――――――――――――――――――――――
思いもよらない問いかけに、できる夫は戸惑い硬直した。
冒険者であれば称号を得るということがどれだけ名誉なことで、
どれほど多くの者が望んでいるかを知っているはずなのだ。
クラフトとルイズもまた、想像だにしなかった質問と
即答しなかったできる夫に、驚きの視線を向けている。
―――――――――――――――――――――――――――――
-
８８．
／￣￣ ＼
／_,ノ ｀ヽ､_＼
| ( ●) （● ） |
| (___人___） .|
| ｀ ⌒ ´ |
「あくまで俺個人の意見だが、 | ,. -'-､
君は二つ大きな勘違いをしていると思う」.. ', ｊ_ r＝、`.、
__ jﾊ. __ 、__ﾉ__,. -､ ｀ {
_,. -= '''' ´ ..::ヽ:::::::::::::: ﾉ,. - ﾄｰ- ､ _
ノ´ ...::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i ｬ '!,:::::::::::..＼
/ ...::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::'ヽ_〉 i,::::::::::::::::::..ヽ
/ .::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::八 ／｀x--、:::::::: l
/ .::::::::::::::::./::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〉::::/:::::::::::::::＼:::: l
＿＿＿_
／ ＼
／ ＼ ／ ＼
／ （○） （○） ＼
| __´___ | 「是非！！
＼ |il!|!il| ／ 是非聞かせてください！！！」
／ ￣￣ ＼
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
普段、よほどの事がない限り仲間の意見ですら
なかなか受け入れられないできる夫が、心から助言を求めた。
青年が何者なのかは分からないが、
人となりからこれからの自分を形作る何かが学べると直感したのか。
あるいは、彼らにしか分からない不思議な共感―――共鳴があったのかも知れない。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
-
８９．
／￣￣ ＼
／_,ノ ｀⌒ ＼
. 「まず一つ。 -、 | (● ). (● ) |
. 君は仲間と自分を同じと考えている。 ﾔ ', | .(___人___） |
i. l ,.-､ | ｀ ⌒ ´ |
. それは正しくもあり、間違いでもある」 ', j / / .| |
ノ＿..ヽ-､′,' ', ,/'|、
l .＿＿_ ヽﾉ __ .j '.、__ , ___ ｨ／::L＿
Ｙ ）ﾊ.‐ ' ´ ..::ヽ::::::::::::::::::::::::::／:::::::...｀' ｰ- ､ _
ﾄ. ￣￣ 〕y::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..＼
ハヽ 一ﾆｲ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: r;;;;;:::::::: ',
/...::::::;;;;;;;;;;; /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾉ;;;;;::::::::::::::〉
＿＿＿_
／ ＼
／ ＼
／ ＼ ／ ＼
| （●） （●） |
＼ ´ ／ 「………それは？」
／ ￣￣ ＼
-
９０．
／￣￣ ＼
_,ノ ヽ､,__ ＼
. 「君たちが単純な利害関係ではないのなら。 （●)（● ） |
君に共感するところがあったから、 （_人___） .|
君に何かを見つけることができたから '､ │
二人はついてきてくれるんだ。 、 ｲ
ﾞ､ ＿__,. イ i
けれど仲間は決して自分ではない。 ,r... __＞ｰﾒ.┴ｭ
価値観だって異なれば信じるものだって違うかも知れない、...._,. ,i´::::::::::::::::::::::_::::::＞、__
時には意見が食い違うことだってあるだろう。 ,.＜::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＞-.､､
「::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／:::::::::::::.`、
必ずしも、君と同じ目的で共に歩んでくれているとは /.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.}
思わないことだ」 / y::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::}
/:::::.i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾉ/:::.:::::::::::::::::::::j
ﾉ.::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ｨ
＿＿＿_
／ ＼
／ _,ﾉ ＼ ＼
／ （●） （●） ＼
| ' | 「どういう、事でしょうか」
＼ ⌒ ／
-
９１．
――――――――――――――――――――――――――――――――
短絡的に答えを得ようとするできる夫を手で制し、青年は続け―――
――――――――――――――――――――――――――――――――
／￣￣ ＼
⌒´ ヽ､,＿ ＼
（●).（● ) |
（__人___） .|
「君は困っている人を助けたいと思って. '､ |
旅をしているんだったな。 | |
,. -ｰ._i-､_ /l、
ならば、一番身近にいて困っている人を. ／...::::::{. i_ {_γ､__ ∠ノ::.}- 、＿
なぜ助けないんだ？」 /:::::r/::::{. i_ l_ i_ {::::::::::::／::::::::::::::::..＼
/.:::::::::::::::} .i _i l_ {:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..ヽ
/.:::::::::ﾉ::::::r "~'ヽj_ {:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::. ',
/.:::::::::::>ｰ、j.‐- / {::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: }
/.::::::::::::::トヽ、⌒ γ i::::::::::::::::::::::::,':::::::::::::::::::: i
/.::::::::::::::::::l::::::::ゝ､ { ｿヽ、:::::::::::::::} :::::::::::::::::: i
/.::::::::::::::::::::::l:::::::::::::｀ト、__／::/:::.＼::::::::::::i :::::::::::::::::: i
/｀-::::::::::::::::::/l::::::::::::::::::｀,ー::::::::::::::::::::..ヽ::::::i ::::::::::::::::: i
/ .::::::::::::::::::::/ l::::::::::::::::::::::ヽ:::::::::::::::::::::::::::..、::::::::::::::::::::: i
＿＿＿_ l＿
／ ｕ ＼ ／
／ ＼ ／＼ ＞
／ Ｕ （○） （○） ＼ ＼
| ｕ __´,_ Ｕ |
＼ｕ /__/ ／ 「ッ！？」
―――――――――――――――――――――
その言葉が、ただ前だけを見続けて
隣や後ろを顧みなかった少年に突き刺さる。
―――――――――――――――――――――
-
９２．
／￣￣ ＼
⌒´ ヽ､,＿ ＼
（●).（● ) |
（__人___） .|
'､｀ ⌒´ |
「気心の知れた仲間をぞんざいに扱う者が、. -ｰー| ﾄ､______
. 赤の他人を助けることができるのだろうか？」 / .::::::、::| /:::ﾉ:::::::::.｀' ｰ-
l :::::::::::::::::ヽ__､____,. "／::::::::::::::::::::::::.. ヽ
」 ::::::::l:::: ::::::「､:::::::::::::／ ::::::::::::::::::::::::::::::::.. '､
l ::::::::::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::. '､
/ .::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l::::::::::::::::::::::::|
/ .::::::ｰ-ミﾊ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| :::::::::::::::::::::|
/ .::::::::::::::::::::/ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| :::::::::::／ ||
/ .::::::::::::::::::::/ ＼:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| :::::::::::::::: |:|
/ .:::::::::::::::::::/' `‐-､::::::::::::::::::::::::::::| :::::::::::::::: |:|
/::::::-‐…‐､/ i `ｰ-,:::::::::::::::::| :::::::::::::::: |::|
l::::::::::::::::::::.. ＼ ヽ::::::::::::::::::::::::::| :::::::::::::::: |:::|
＿＿＿_
／ ＼
／ _,ﾉ ＼ ＼
／ （●） （●） ＼
| u __'__ | 「助けてきた、
＼ L::::ﾉ ／ そう思い―――ます」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
そう思いたいです、とこぼれそうになったできる夫は何とか言い直していた。
助けてきた人達の笑顔、自分達のこれからの安全を祈ってくれた人達の気持ちに
偽りはなかったと信じているから。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
-
９３．
＿＿＿＿
´ ー――一 ｀
/ ﾍ
|.....................................|. f´￣￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ
{:::::::::::::::::::::::::::::::::::::}. | ……………。 .|
八:::::::::::::::::::::::::::::::::/ 乂＿＿＿＿＿＿＿_ ノ
' ;:::::::::::::::::::::::::; ′
ヽ::::::::::::::::／
/⌒ヽ}{厂｝
｀゛¨ '' ‐- ...,, _ 厂＼ ｝ ﾉ
｀゛¨ '' ‐- ...,, _. ＿厂ヽ し´|! !
／: : : : : : : : : : : :...｀゛¨ '' ‐- ...,, _ r- | 八 }
. : : : : : : : : : : : :|: : : :､: : : : ヽ: :ヽ:ヽ.. ｀゛¨ '' ‐- ...,, _
. ':/: : /,: : /: /: 八:{: : : V: : : |:V: : V: ｀゛¨ '' ‐- ...,, _
|:l{: : :|:|: /: /:,.ｲ: : ＼: : |: }､: ,: |: : :.|: : ｀゛¨ '' ‐- ...,, _
{八 : |:{: |ｰ|/-从: : : : /}/-l/‐:|: : :.|: |
从{人{ｲ雫ぅ ヽ: ノ,ｨぅ雫ﾐ､|: : :.|: {
ﾊ : ､ Vり ´ Vり V: : : |: : ､
｛: |: : . ' /: : : :.|: : : ＼ 「？」
/ : |: :人 _ ,: : : : : |: : : : : :ヽ
／: : :.| : : 个: . イ: : : : : :|: ＼: : : : :
／: : : : /: : : :八r ┴ ｀´-┴ , : : : : : :|: : : ヽ: : : :}
/: : : : : :/: : : :/// / Y＼ 人: : : : : {､: : : :|: : : ,
{: : : :,.ｨ/: : : ://∧／/⌒V}／/∧: : : : ∨＼: : : :/
|: : ://,: : : : :{/// ＼{==／/////}: : : : : ∨∧: : {
}: : {/∧ : : : ∨////∨'///////|: : : : : : }/ ∧: :＼
/: : :|//∧: : : :∨////////////ﾉ: : : : : :,ﾊ//∧ : : ＼
―――――――――――――――――――――――――
彼の隣の、ルイズをちらりと見た青年は
幸運だったな、という言葉を飲み物で胃に流し込む。
―――――――――――――――――――――――――
-
９４．
／￣￣＼
/ ＼
|ノ ヽ､_ .|
（●）（● ） . |
|(_人__） .|
「今まではどうにかなってきたんだろう。 | ⌒ ´ |
ヽ ./ﾚ、
だが、もっと大きな壁にぶつかった時。. >__､____, "/::::） ､＿_
このままでは君たちを繋ぐ絆が. ,. -ｰー「二二二 :::::／:::ノ:::::::::..ヽ
切れてしまうかも知れない」 /::_,,. -‐､ .::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.∧
r'／,. -‐ ＼ :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.∧
!/ ノ -‐ V::::::::::::::::::::::::,′:::::::::::::::: j
i!ノI_ﾉく__ヽ ｀7ヽ::::::::::::::::l:::::::::::::::::::: /
|:::::::::l::::::::::::へ___／::::/::::ヽ､/:::::::::::::::::: /
/::::::::::l::::::::::::::::ヽー:::::::::::::::::::ヽ::::::::::::::: /
/:::::::::::::l:::::::::::::::::::ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::: /
． ─―─‐ 、
, " ＼
/ ＼
. / ＿／::::::＼_ヽ
| :::::::::::::: :..
| u （ ー):::::::::( ー)
. ＼ ´ / 「言葉も、ありません……」
,＼ ` ｰ‐‐／
／ ` ｰ─ ＼
――――――――――――――――――――――――――――――
グラスをテーブルに置いた青年の視線と、声に感じられる重み。
そのことを経験しているからこそ伝わってくる真実味に
できる夫はそう答えるしかなかった。
基本脳天気で空気の読めない彼にも、
自分の知らない悲しみや苦しみ、傷ににた何かが見てとれたのだ。
――――――――――――――――――――――――――――――
-
９５．
／￣￣＼
, __ノ ヽ､,_ ＼
／（一）（ー ) .|
.. 「遠くの他人よりも、 / (__人___） |
まず近くの仲間を見つめるんだ。 /｀ヽ、 _|｀ ⌒´ ｜
本当に大切なものを見失わないために。.. /:::::::::::＼r´| |
/::::::::::::::::::::> ヽ ｲ
自分の届く範囲を護れるようになってから、.... /::::::::::::::::／-__「ヽｰ'ーｰ"／7一 -..､
少しずつ手を広げていけば十分だろう」. /::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.､::ヽ
/:::::::::::::::::l:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ヽ:::::、
/:::::::::::::::::::iヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i:::::|
':::::::::::::::::::::l:::::::、::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i:::::|
＼::::::::::::::/::::_,,-ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!::: |
ヽ∠-''" ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|:::::|
｀:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |:::::!
!:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|:::::!
-‐ ―- 、
／ ‐￢ ｀ 、
/. l .i
,' .! .i !
. ,' ﾄ,､! ',
И i. l !. l､ !`
l ! !,ｨ. /l ﾄ､!. '-‐Ｎ.ﾘ
ﾚﾘ'ﾍ､ !/'仁ﾘｨ ､￣ !、 （これはできる夫に
／´Ｌ.'lゞ､ヽ.∩、 , -‐'‐.つ:.｀:.:....、. 言い聞かせている、と言うより―――
. ／:.:.:./l: :ﾚ'ﾘWN ヽ,＞'´ -‐フ'!:.:.:.:.:.:.:.｀:.:..、
／:.:.:.:.:./:.:l´: : : ', ! ' ／ﾉ-!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ... 自分を戒めている、のか？）
... ／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l: : :／ﾍl ' 'ｲ､: :!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.!
... γ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l': ´: : /ゝ､ イ :＿; 」:.:.:.:.:.:.:..:.:.:.:.l
.... !:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:､:.:.:.:.',; ｒ-</ ./.7'ｧ_イ´ 「:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.〉
... l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼:.:.V:.:.:.:ヽ'_/././ 〉 .ｊ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:-<
... ＼:.:.i:.:.:.:.:._:.:.-‐＞'､;;ヽ:.:.:.:.:.￣',. ! ／l＿:.:.:-‐:/「:.´:.:.:.:.:l
..... ヽ!:.:／:.:.:.:.:.:.:/:.:.:｀´:.<｀;;‐ｙ':::ヽﾚ:::::l:.:.:.:.:.:.:.:.1:.:.:.:.:.:.:.:.:.l
... 〈/:.:.:.:.:.:.:._/:.:.:.:＼:.:.:.:￣:7:::::::十:::::!:.:.:.:.:.:.:.:.l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ゝ
',:.:.:.:.:.:.:7:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/::::::::::::l:::::⊥:.:.:.:.:.,､:ゝ＜｀丶:.:.:/
-
９６．
／ ￣￣＼
_ノ ヽ､_ ＼
（⌒）（⌒ ） |
（__人___） │
「それからもう一つ。 '､'ーｰ´ 'J |
| |
勇者と讃えられるのは ヽ 、 ｲ
そんなに気分がいいものか？」. ｨヽ-ー ≦ノ7
_, ､- ― '´ﾍ:::::::::::::::::::::::::ﾄ、__
／..::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.... ､
丿;;;:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..ヽ､
/ ;;;;;::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::'､:::: !
/;;;;;:::::::::::::: !::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: i:::::: |
/ ;;;;;:::::::::::::: /;;;;:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |:::::: |
＿＿__
／ ＼
. ／ ノ ' ヽ＼
. ／ ／）（ー） （ー） ＼
| ／ .ｲ ' |
∨,'才.ﾐ). -‐‐- ／ 「……………」
. | ≧ｼ' ＼
／＼ ヽ ヽ
――――――――――――――――――――
三人は夢にも思わなかったが、
『英雄』の称号を得ている青年の問いに
できる夫は最後まで答えられなかった。
――――――――――――――――――――
-
９７．
／￣￣ ＼
_ノ ｀⌒ ＼
（●).（● )
. 「名声や称号があるからこそ （__人___） |
信頼を得やすかったり , =二ニﾆヽ､ |
できることがある、それは否定しない。 / 二 ヽ､V ﾄ､_____
/ -､ }、j´ /:::ﾉ::::::::.｀' ｰ- 、
期待に応えようとすることは悪くない、 / /{_/_､____,. "／::::::::::::::::::::::.. ヽ
けれどそれを失うことを恐れてばかりいると _/＿__ ノ:::::「､::::::::::／ :::::::::::::::::::::::::::::::::.. '､
なにかあった時に身動きが _/ ::::::::::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::. '
取りづらくないか？ l :::::::::::::ヽ〈:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i :::::::::::::::::::|
,' .::::::::::::::::::}::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| :::::::::::::::::::|
立場に縛られることで ,' .::::::::::::::::::ハ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| :::::::::::／ ||
逆にできることが少なくなっていないだろうか」......,' .:::::::::::::::::/::/ ＼:::::::::::::::::::::::::::::::::::::| :::::::::::::::: |:|
/ .::::::::::::::::/:::/ `‐-､:::::::::::::::::::::::::| :::::::::::::::: |:|
{ :::::::::::::::::::/::/ i `ｰ-,::::::::::::::::| :::::::::::::::: |::|
l ::::::::::::::::::.. ∧_ ヽ:::::::::::::::::::::::::| :::::::::::::::: |:::i
〉､:::::::::::::／ ＼_`‐- ､___l :::::::::::::::::::::::::| :／:::::::: ∧::}
＿＿＿_
／ ＼
／ ⌒ ⌒ ＼
／ u （＝） （＝） ＼
| __´___ | （今、まさに状況………）
＼ `ー'´ ／
-
９８．
／￣￣＼
⌒´ ヽ､,＿ ＼
（●)（●.) |
（_人___） |
'､ │
「たとえ勇者と讃えられなくても、. } {
自分のやりたい事は !､______ .ィ-ｰﾄ、
自分で決めれば良いじゃないか」. V／:::::::::::::::::ヽ
{::::::::::::::::::::::::::::::.、
／ｰ-:::::::::::::::::::::::::::::::,
「r'、 ／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,
} r'、 ﾍ､ /.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: i
i/ ム､} .{ i:::::::::::::::::::::::::V:::::::::::::::::::::: |
{ い､{ Ｙ::::::::::::::::＼::::V:::::::::::::::::::: |
＼ ヽ {|V.::::::::::::::: ＼V:::::::::::::::::: |
＼ ノ|:.V.::::::::::::::::::::::〉.:::::::::::::::::|
＿＿＿_
／ ＼
／ ＿,ﾉ ⌒ ＼
. ／ （一） （ー） ＼
. | ´ ij |
＼ ⊂つ ／ 「しかし、称号のない私に何が………」
／ ＼
-
９９．
――――――――――――――――――――
視線をテーブルに落としたままの、
絞り出すような声に青年は眉を動かして。
――――――――――――――――――――
／￣￣ ＼,-、_
_,ノ ヽ､__ ／ / ,〉、
（●）（ｰ-/ ´／ /),
（__人＿,{ / ' ´ﾐ､
'、`⌒ ´V __ <､
「君は、自分に自信がないんだな」.. | 〈´／::::::Λ
| ﾔ::::::::::::::Λ
`ｭ`ｰ─ｰV::::::::::::::Λ
/ﾑ _ , ｰ ' V::::::::::::::Λ、
_,. -／::::::::::::::::::::::::i::::::::::::::::::::Vﾍ
／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ｉ::::::::::::::::::::.∨}
j :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ｉ::::::::::::::::::::::ﾚ;
i :::r ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〉､:::::::::::::::::::ﾉ
ｉ :::| ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`:::-==:::イ
| :::| :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
／￣￣￣＼
／ ＼
/ --‐ ‐-- ヽ
| （◯） （◯） | 「ありません………
＼ ' __,／ このような体たらくで
／ ＼... 自信が持てるはずありませんよ………」
-
１００．
／ ＼
／ ｀ヽ 丶
/ .:ﾉ ', ヽ
/ / / .:.:/ :ヽ:. ヽ:ヽ V l
l.:.| :/ .:./.;ｲ :ヽ:...:.:ｌ.:.: .:|:..:l l: !
|.:.| .:l .: ＼!/ l:.:{ .:.:.|ヽ:.:}ヽ .:j .:.! |:. |
ヽﾊ:l:.| !:.:.:jV＼{:八 .:.::.l }:/_,j;ィト:.l .:l:.: |
ヽ从:.: iｲfﾁ心ハ ､从ｨ厶斗＜V .:.jl:.: |
＼ﾄ小._V;zｿ ﾉ／ V;;_z1 '/ .:.:.:ﾊ:.:. 八
ﾘ :} .:::::: , :::::::.. / .:.:.:/.:.ヽ:.:.: ヽ
. （言い過ぎじゃないかしら………）. _..ノ/八 / .:.:.:/.:.:.:.:.＼:.:. ＼
, -‐´ :／ .:.:＞,.、 ´ ヽ ｨ′ .:.:.: ﾊ;.__ .:.:.:.:＼:.:.: ￣｀丶、
~゛'' ‐- ..,,_ 〃 .:.:／ .:.:.:.:.: ﾉ'¨ ヽ､_ , ｨ≦７ :.:.:./'´ ヽ.:.:.:.:.｀ ー- ､:. ヽ
~゛'' ‐- ..,,_ l .:.／ .:.:.:.:. ;.'ｲ＼ ノ} /｀∨ :.:.:.:{ ゝｰ､.:.:.:.:.:.:.:ヽ:.: }
＿ｒ'´ ￣ ￣...~゛'' ‐- ..,,_ {.:/ .:.:.:.:.:／ } Vx1_/ ｛ :.:.:.:ヽ ∧.:.:.:.:.:.:.:}:.:. ,′
. / l ＼ ~゛'' ‐- ..,,_......j／ ￣￣ ヽ入 :.:.:.:.:.＼ ヽ.:.:.:.:./:.:/
. / /! l ヽ ~゛'' ‐- ..,,_ ＼ :.:.:.:.:.＼ ）:.:/:.;ｲ
/ｨ /,' /ﾚ」/! / l ', ~゛'' ‐- ..,,_
/ィ〈./' ' `l'.ﾚ/. l l , ', ~゛'' ‐- ..,,_
... ´ ／ ､""´ /ｨ /ﾙ /ﾚl / l` ~゛''
. < ´ .ｲ'//ﾘ_ハ! ヽ
` l/ｒ＜ /ﾚ'｀ `
ヽ￣｀ ./ l ./
,'i i i , , __,ノ, .'ﾚ､ / （だが、俺達が言えなかったことだぞ。
. ゝ-=＝´ ,-'‐――'‐'┐ 代弁してくれているだけだ）
／'／」 ,. .､-‐┬ヽ、
∠_ >ﾆ／ヽ: : :ヽ_: '-‐<
／／￣:ヽ;／´￣:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
／／`丶／´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:',
/./＿: :／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l
/./: : :／:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l
..... ゝﾌ`:'´:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.l
...... /.//:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l
......./://:.:.:.:.:.:.:.::./／:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::l
―――――――――――――――――――――――
クラフトには何となく分かった。
何もかも見抜いているような青年が
かつてできる夫と同じように壁に突き当たって、
それを乗り越えてきたのだと。
―――――――――――――――――――――――
-
１０１．
／￣￣ ＼
_,ノ ヽ､,__ ＼
（●)（● ） |
「いいか？ （_人___） .|
. 自分を信じられないってことはな、 '､ │
. 君を信じてついてきてくれた 、 ｲ
. 二人の信頼を否定することになるんだぞ。 ﾞ､ ＿__,. イ i
,r... __＞ｰﾒ.┴ｭ
. 君は勇者と呼ばれる前はどうしていた？ _,. ,i´::::::::::::::::::::::_::::::＞、__
. 二人はそこに惹かれたんじゃないのか？」... ,.＜::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＞-.､､
「::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／:::::::::::::.`、
/.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.}
/ y::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::}
/:::::.i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾉ/:::.:::::::::::::::::::::j
ﾉ.::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ｨ
／.:￣￣￣￣￣＼
／: : : ＼
／: : : ＿ ＿ ＼
／: : : : ´ , ｀ ´ ｀ ＼ __
: : : : :／´ ｀ヽ r´ ｀ヽ. ＼ / /
: : : ::（ f;;;;j l, l f;;;;j ） l / /
: : : : ヽ_ ｀ _ノ ヽ_ ´_ ノ;;::: | L/
: : : : : : ´"''" ' "''"´ l ∠ﾌ
: : : : : : . . ` ／
＼: : : : : : :. ー -- - - ／
／ヽ: : : : : : : : : : : イ＼
: : : : : : : : : :.｀`ｰ- -‐'"´ ＼
: : : : . : : . : : . ＼
-
１０２．
／￣￣ ＼
／_,ノ ｀⌒ ＼
-、 | (● ). (● ) |
ﾔ ', | .(___人___） |
「それとも二人は、. i. l ,.-､ | ｀ ⌒ ´ |
できる夫が勇者だから. ', j / / .| |
一緒にいるのか？」. ノ＿..ヽ-､′,' ', ,/'|、
l .＿＿_ ヽﾉ __ .j '.、__ , ___ ｨ／::L＿
Ｙ ）ﾊ.‐ ' ´ ..::ヽ::::::::::::::::::::::::::／:::::::...｀' ｰ- ､ _
ﾄ. ￣￣ 〕y::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..＼
ハヽ 一ﾆｲ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: r;;;;;:::::::: ',
/...::::::;;;;;;;;;;; /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾉ;;;;;::::::::::::::〉
_ノ
. . -‐: :＝: : : : ー-ミ
. ／. : : : : : : : : : : : : : : : : ｀: ..
′. : : : : : : : : : :.､ー-ミ : : : : ｀ヽ
乂. : : : : , : : : ｫvi. : :＼: : : : : : : ハゞ
.才: :: :: :::/.: ::::// : :i : : :ヾ : : : : : :.∧
. ′:::: :::/ : : : :.′ 乂:{ : : :ハ: ハ: : : {:!
/才{:i|!/抖竿ミ､ }八≧≠ミ::!: : 从
イ }:i :N{才＞-=ﾐ｀ﾞ ノ 斗r-=ミNﾘ Y:;
从(ハ{《八:うjﾉハ ゞ:りｲ 》 }ｱ}}′
八 从 :i .i 八
＼'. ' ,／
∧ ｀ ゛ ハ 「そんな事はないさ。
＼ ｀ー -－ "´ .ｨ:､
fi≫ ､/从ﾊ, ／／ { ただ、彼の純粋さはとても危なっかしくてな。
／} ｀ :＜ー-＜イ {＼. 金勘定については俺が見ててやらんとと思ったわけだ」
／.:.:_{ .L _ヽ /_ノ .Vハ
. ｲ.:.:.:.:.:.{ V _ -‐ }}.:.:.＼
＞.:´.:.:.}:_:_:__∧ ー- }! ′_:_:_:}｀:.＜
.:.:.:.:.:.:.:.}:.:.:.:.:.:.∧ :i /.:.:.:.:.:.:.:.}.:.:.:.:.:.:.:.｀
―――――――――――――――――――――――
石像の様に動かなくなってしまったできる夫から
左右の二人に視線を動かした青年は、
リーダーが集団の目的を明確するのと同時に
仲間の方もそれについて何ができるかを
はっきりさせるべきなのだと問いかけ―――
―――――――――――――――――――――――
-
１０３．
―――――――――――――――――――――――――――――――
しかし、真っ赤になっているルイズには深く突っ込もうとしなかった。
―――――――――――――――――――――――――――――――
／ ￣￣＼
_ノ ヽ､_ ＼
（⌒）（⌒ ） |
（__人___） │
'､'ーｰ´ 'J |
「君は――― | |
ああいや、言わなくても何となく分かる」 ヽ 、 ｲ
ｨヽ-ー ≦ノ7
_, ､- ― '´ﾍ:::::::::::::::::::::::::ﾄ、__
／..::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.... ､
丿;;;:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..ヽ､
/ ;;;;;::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::'､:::: !
/;;;;;:::::::::::::: !::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: i:::::: |
/ ;;;;;:::::::::::::: /;;;;:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |:::::: |
＿_ . -―-､＿＿__
ア ｀ヽ_
/／ / （／＾ ＼
. | | / ／| ヽ ＼ 丶ヽ
. ﾚ|l ∧＼_l∧ , |ヽ _│ l l
∧ :|{/迄rﾄハ ､j斗泛ﾄ/| ｌ |
ノ :|ヽ| 戈ソ ﾉノ 弋ソ_ 彳 │ | 「エ！？
／ ﾘ j／/／ ' ／/／/ / / 八 なななななんでですか！？
. ／ ／/ { r〜‐ '⌒ヽ u/ ∧ ヽ､ ＿.. なにがわかるんですか！？？」
／ ./ / ＼. `ー─ ---' / / ヽ ＼
（＿ ヽ〈 ∨＞,､_ -r＜' / ヾ ｝
） ハ ﾏ{ xヘ／￣/ {＼__ ｝ /
／ ん-ﾍ ヽ/／⌒ヽ,/ ∨:::::} ノ ／
／ {::::::::: 〉 ∧ /{. ＼:::＼ ｛
／ }:::::／ /:::::＼-／:::ヽ ＼〈 ￣ ｀ヽ、
. {／ /::::=-:::Y::::-=ﾆﾍ ＼ ヽ
／ ／::::::::::::::∧ ::::::::::::::＼ ヽ ｝
-
１０４．
f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ
| ハハハ、ルイズは分かりやすいからな。 .|
乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ
ヽ人_从人__从_从人__从人_人_从人__从人ﾉ
＜ ＞
＜ あんたまでなに言ってんの！？ ＞
＜ 私はできる夫のことが好きだなんて ＞
＜ 一言も言ってないんだからね！？ ＞
＜ ＞
Y⌒YW⌒Y⌒WW⌒⌒YW⌒Y⌒WY⌒WY
＿＿＿＿＿
／ ＼
. ／ ＼
. ／ ＼
. ／ ＼
／ ´￣` 、 , ´￣ ヽ
| |. （―――そうでした。
| （ ＿_ ） （ ＿_ ） |. 私は困っている人の力になりたいと。
| |. それだけを考えていたはずでした。
. ＼ ´ ／
. ＼ - ─‐‐- ／ 体裁とか評価などどうでもいい、
／ヽ イ＼ ただその人が助けられればと―――！）
／ ＼
――――――――――――――――――――――――
周囲の声も耳に入らない。
ただ己の内へと。
ただ心の底へあるものを探りに行っていた少年の
両拳がぐっ、と握りこまれる。
――――――――――――――――――――――――
-
１０５．
／￣￣ ＼
_,ノ ヽ､,__ ＼
（●)（● ） |
（_人___） .|
「二人が信じてくれた、. '､ │
一番大切なことは. 、 ｲ
思い出せたかな」. ﾞ､ ＿__,. イ i
,r... __＞ｰﾒ.┴ｭ
_,. ,i´::::::::::::::::::::::_::::::＞、__
,.＜::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＞-.､､
「::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／:::::::::::::.`、
/.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.}
/ y::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::}
/:::::.i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾉ/:::.:::::::::::::::::::::j
ﾉ.::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ｨ
＿＿＿＿＿
／ ＼
. ／ ＼
. ／ ＼
. ／ ＼
／ ヽ
| ￣｀丶 ' ´ ￣ |
| ‐ｭ::::ｪ‐ ‐ｪ::::ｪ‐ |
| |
. ＼ ´ ／ 「―――はい。
. ＼ - ――- ／ 幸い、まだ私の中に残っていたようです」
／ヽ イ＼
／ ＼
――――――――――――――――――――――――――――――――――
できる夫はどうして忘れていたのだろう、と自分を恥じたが
往々にして人は道に迷い、他者に惑わされ、思いを風化させてしまうものだ。
だからそれを知る者はときどき立ち止まって自分を見つめ直したり、
仲間として思い返させたりする。
そのことを知っただけでも少年は一つ大人になったと言えるだろう。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
-
１０６．
／￣￣＼
⌒´ ヽ､,＿ ＼
（●)（●.) |
「勇者なんて君のことを何も知らない人が （_人___） |
. 騒いでいるだけさ。 '､ │
} {
. 名声や称号なんて利用する程度がちょうど良い、 !､______ .ィ-ｰﾄ、
. 芯がぶれなければ V／:::::::::::::::::ヽ
. 何を選んで行くべきかは自ずと分かるだろう」 {::::::::::::::::::::::::::::::.、
／ｰ-:::::::::::::::::::::::::::::::,
「r'、 ／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,
} r'、 ﾍ､ /.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: i
i/ ム､} .{ i:::::::::::::::::::::::::V:::::::::::::::::::::: |
{ い､{ Ｙ::::::::::::::::＼::::V:::::::::::::::::::: |
＼ ヽ {|V.::::::::::::::: ＼V:::::::::::::::::: |
＼ ノ|:.V.::::::::::::::::::::::〉.:::::::::::::::::|
＿＿＿_
／ ＼
／ ─ ─ ＼
／ （ー） （ー） ＼
| ___'___ | 「他の冒険者が聞いたら
＼ `ー'´ u ,／ 変人扱いされますよ、それ」
/⌒ヽ ー‐ ｨヽ
/ ,⊆ニ_ヽ、 |
/ ／ r─--⊃、 |
| ヽ,.ｲ ｀二ﾆﾆうヽ. |
――――――――――――――――――――――――――――――
名声や称号など求めるものではなく、
自分がやりたい事の道具の一つとしてしまえばいいという青年に
思わず吹き出してしまうところだった。
冒険者が求める到達点の一つを道具扱いするやり方など、
これまで聞いたことがない。
――――――――――――――――――――――――――――――
-
１０７．
＿＿＿
／:::::::::::::::::ヽ ＿＿＿＿
／ :::::::::.／￣￣ ＼____ ,. --ｰ.....:::::::::::::::::::.. ＼
/ :::::::::: ⌒´ ヽ､,＿ ＼:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: i
i :::::::::::（●).（● ) |::::::::::::::::::γ::::::::::::::::::::: ﾉ
| ::::::::::::（__人___） |:::::::,. -ーy::::::::::::::::::::: /
| :::::::::::/::'､ |￣ _/::::::::::::::::::::: /
.. 「装備や消耗品もこだわった方がいいと思う。. | :::::::/::::: | | ／...::::::::::::::::::::: /
| :::::::::::::／| /ﾚ-,.ｲ:::::/::::::::::::::::: /
.... 何より自分や仲間を守るものだし、 i:／:::::::::::: ヽ__､____,. "/／::ﾉ.:::::/:::::::::::::::: j
.... 見栄えが良いといろいろやりやすい」 r:::::::::::::::::::「二二二 ::::::::::／::::::ノ::: ､:::: ／/
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／:::r
／ ＼
／ ヽ
. / ﾊ
/ ､ !
l /∨.l !
,' , !'｀´`! , , !
/ｲ i , .l. .!l !,ｲ. , ､.!'
. ′| | !.,､.ﾄ､ .M. !l ｨﾑlｨ/! l ' . ｒ‐ 、
l / ﾚ1 ﾊ|メ‐ヽ厂!ヽ|` 'ﾆ ,'/ ,､l. l .l
' И{.､', i ﾘ ' ‐-‐ﾆ, iヽ￣ ,' .l. ' l .l
l,ﾍ_ヾY ´ ! .ﾊ/' .l .l
l ｀ｰ; / / .l !.. 「そうそう。
!ﾊ l.ヽ __ /、 . ｒ‐ 、 _,_ l |
. ／'l. ﾘ､ヽ＼ `''ﾆ´- ./ヽ｀丶、...', ヽ / ｀‐-'､ いつも言っているだろう、
,-'"_____', ＼ ` 、, i i i i,/／`ヽ:.:.:. .l ｿ ＿_,, ヽ. 先行投資は大切だと」
,..:.'´1l; ; ; ; ; ;', ｀丶､ ｀ｰｧ‐ﾍ: : : :ヽヽ:.:.l .〈 / .}
-
１０８．
. / /.: / .:./ .:./..:/ `、 ＼
.. ,′ :.: ｉ .:.j{.:.:.:.ﾊ.:.{..:jノ ヽ:＼ ＼ ヽ
.....ｉ |.:.: |.:-八.:.‐{七ｊ´:{.:.:.. `ﾄ､!.:.:.:j } |
.....| |.:.: | /ｧz≧=.kハ.:ヽ:.: .:j.:.j＼ﾊ.:.: .:.:/:.':j
.....| |.:.: l'彳 {iﾍ j|ヾ ∨}.:.: .:.,仟≦k |j:.:.:.://∨ 「そうなのよ！
...ﾞj !:|.:.: │` r'::ﾁﾘ j.:.／ {iﾍｲﾊ}从／ｲ さっさと私が大魔導師になった方が
.ﾞ,′l ﾊ.:.:. | V_少 r' ﾘ /.:.:.｢ |. 不要な戦いが減らせるかも知れないし
......:/.:ハ.:.:. ｌ ::::::::: ､ ヾ'' ,'.:.: │:!. 箔もつくわ！
. :./ .:.:.:.ヽ : ! :::::::::: i.:.: |八
.:/.:.:__,r-ﾍ .:.. ', ｢ ﾏ ｲ.:.: |:. ヽ. だから魔法書買いましょ！ねっ！？」
..／ ::::::::::: i.:.:.:. ヽ丶､ ゝ ／ イ.:.:!.:.: {. :.:. ｀ー- _
_::::::::::::::::::::|.:.:.:.:.: ＼ ＞ ‐-／⌒＼│.:.:.:.:.:. ヽ__:.:.:.:.: ｀ヽ
ﾞ::::::::::::::::::::j.:.:.:.:.:.. ＼￣／ ／⌒ ＼ .:.:.:.:.: ＼｀ヽ:.:.:.:.:. i
ﾞ::::::::::::::::::/.:.:.:.:.:.:.: ∨ ′ ／⌒_ヽ_ :.:.: :. ＼}:.:.:.:.:.: j
......::::::::: /:.:.:.:.:.:.:.:. l| ／ __ﾉ.:.:.:.:.:.. ヽ:.:.:. /
ﾞ:::::＼: / .:.:.:.:.:.:.:. l| ／ ヽ:.:.:.:.:.:.:. ｝:.:.:／
ﾞ:::::::: ７:.:.:.:.:.:.:.: ﾊ {⌒( } :.:.:.:.:.:.: ∧.:（ ＿
ﾞ:::: ／:.:.:.:.:.: ／:厶 Y /:.:.:.:.:.:.:.:.: /::∧:.:.:.:.:.:.｀ヽ
ﾞ:::（:.:.:.:.:.: ／:::::::::::ﾍ. | /:.:.:.:.:.:.:.:.: /::::::::::＼:.:.:.:.:.:.:）
＿＿＿_
／ ＼
／ ⌒ ⌒::::＼
「ふ、二人ともここぞとばかりに ／ （●）}ili{（●）::::::＼
言わないでください。 | __´___ :::::::|
＼ `ー'´ ...:::::／
気持ちは分かりましたが
私達にはお金がないのですよ？」
――――――――――――――――――――――――――――――――
どうやら我らがリーダーの頑迷さが少し和らいだらしい、と見て取った
仲間達は今こそとたたみかけ、
――――――――――――――――――――――――――――――――
-
１０９．
――――――――――――――――――――――――――――――――
きっといつもの調子に戻りつつあるのだろう、と微笑んだ青年は
温くなっていた飲み物を一気にあおると
いつのまにかがらんとしていた酒場の向こう、
相変わらずグラスを磨いているバーテンダーに支払いの合図を飛ばす。
――――――――――――――――――――――――――――――――
. ＼
＼
＼
＼ ／ ⌒＼ ＿
＼ r‐' ／＼ 丶 ｀丶 ））
＼. 〉‐く / ﾉ ＼
＼ ∧ ﾉ ＼ ﾉ _〕 ヽ
＼ しﾍ ｀¨¨` |
＼.....（（ ＼ |
│ / ＼ ヽ -‐ |＿
ｘ≦ﾆﾆﾆ=‐ ′／ ＼ ＼ ／ ＼
ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ=‐ ＼. 丶 / /￣￣｀
／ﾆｘ≦ﾆﾆﾆﾆﾆ=-ヽ ＼. ￣〕 ,' ／￣
Ｖ,〃”⌒''*､ﾆﾆﾆﾆ=-ｖ ＼ ＼| /
. ＾´ ≧ｘﾆﾆ=‐Ｖ ＼
乂ﾆﾆ=-Ｖ ＼
Ⅵﾆ=‐} ＼
_,,.， _,.斗*=- :..:Ⅵ/＼ ＼
,ｘ*'' ´ ,,,__ : :.:.} /ヽ} ＼
xく f≫''”⌒＾_.＼} } .ﾊ ヽ ＼
. Ｖ{ｊ/_,,ｘvﾊｱ.′八ヽ ′∨ } ＼
ﾄ､ く〃´⌒ヽ´ } :rく/ .} ＼
}ｒ=ミ{{ // } ﾉ .;_/{___,ノ_,,.ノ
j{. 乂 /_,.ノ% ′ {＼ﾆﾆﾆミ*､
ｊ{ ｊｒ- ..,,_.%i { }＾ヽﾆﾆﾊ,乂
. ＼,__／ ､｀}% ′}% }ﾉ八}
{ ､_. _,.，-‐┘} % ./ /.% _}⌒~""''' ‐- ．..,,__
､__,,.. ,' .%ｲ _/ % ,′ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ=‐
＼ ＇ ,. ゛% ./ %′ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ=‐
:.､ _,/ ,%'′ % .}ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ
: : : ` ‐≦ ./ ℃ｃ‰ ,′ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ
{ : : : : : :},_,／ ＇ ′ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ
. ｊ{ : : : :〃__ﾊ / /ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ
. ｊ{ : : : ,′ : : ', {ｒｃ /ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ
ｊ{ : :..,′ : :.... ヽ V /ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ
. 乂,∧ : : : : :.:.∧___/ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ
. ∧_______/ /ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ
-
１１０．
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
そして、やいのやいの言い合う三人の前で
給仕がすっと差し出した伝票に目をやると
ご馳走様でした、お釣りは結構ですと金貨を手渡してから剣を持ち椅子を立った。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
__
/´/ }｀ )
ゝ-――- 、
. ／´￣´ ￣ ｀＼
/ 、 } ヽ ヽ
. , / l , }. }
l , / } l l ハ
|. { { / ｲ j}ﾉｲ.
lﾊ lﾊト 乂ｲ' {ゅ'
. ﾉ ﾏl丶 ' ﾒ
{｀ ヽ _ ー ' ｲ 「ありがとうございました。
rj ｀ ´ iﾄ. またのご来店をお待ちしております」
{￣ヽー‐' ｀ーi´ ゝｭ.＿
∧ }ﾆ＞x . __j__ . イ二／´＼
}ﾆﾑ _.j二＞=＝=＜ニ／ ,ｲﾉ
―
／ ＼
/＿＿＿＿＿ノ::｝
|:::::::::::::::::::::::::::::≦|
｛＞-----≧´ｨ句|. 「明日には俺達もこの町を出る、
∧ ー ´ ¨ i. またどこかで会おう」
く:::ハ _冫＿
レ' ∧ ` ´ .|:::￣〉｝,.〜:､
-‐, 〜//::＞ ＿ ｲ:厂八/::::::::广
／ 〈::::::∧∨ / /／:::::／ ＼
/ ﾊ8{ ＼`ー― ／ , く:8::イ ' ,
く Ｙ ＞ｖ ＜ Ｙ:{ 〉
く `ー ､ / V＼ 八
く__ `ー ∨ ノイ i!::::!＞ ― - ｲ:::::＼
/＿／:::::::::∧く_メ≧ 八:::＼`ー --〈|:::::::::ハ
/_／:::::::::／:::∧ー―＜￣＞―― イ /〉::::::＼＿＿_/::::::::::::::｝
｛:::::::::::::::::::イ ﾄ､ Ｙ ノ _ﾉ::::::::::::::::::::::ｲ :::::::::::::::ﾉ
-
１１１．
｀ .、 ＿＿＿_
｀ .、 ／ノ ヽ､_＼ r ⌒j
｀ .、 ／（ ○）}liil{（○）＼ / /
｀ .、. ／ ＿'＿_ ヽ/ / ／ ）
｀ .、 | |i|||||||i| / / ／ ／
｀ .、 ＼ |ｪｪｪｪ| / '` ´ ／ 「あ、あのっ！！」
｀ .、 r´ (⌒'ー―- イ′ ´廴
｀ .、 / ＞ 、 ヽ _ ￣￣￣)
｀ .、..../ -､ } ( ￣¨´
｀ .、 ヽ._ __ ＼
l /. ｀ .、 ｀ --‐'´ ｀ﾞ' 、_.)
＿＿＿ ′／. ｀ .、
∠,,,,,,,, ,,,,,,,ヽ ｀ .、
|:::::::::::,＠,:::::::::| ｀ .、
|~~~~'|人|'~~~| 「ん？」 ｀ .、
. （○. | | ｀ .、
. ＼＼ ,,... │ |,-'i,,_,,、. ｀ .、
＼＼／／..__、ヽ /j .ｌ,,ゞヽ＼ .＿_ ｀ .、
／ .@"...、|r‐ﾋ‐ｸii,,_、 ┤! / ｌ .ヽ.ｌ, '､ /ｌ. ｀ .、
< ／ﾞ〈llｨ'´＼＼ ＼ .''q￣.´.,ﾉ'/ ｌ 〔 .ｌ .ｌ ＼ ! ｀ .、
i′｀-ﾞ＼ヽo.＼ `ぐ㍉;;'ﾞ_/ l |、 ｌ.ｌ ﾞ;/ ｀ .、
│., ＼ヽ ﾍ .＼ ! l． l.′ |
. ,i ＼ヽムヽ ヽ ! ..ｌ. l /
,yハ、 ;;;; ＼ヾ i ＼ .ヽ, | .ｌ ﾘ
,,i' ヽ, .´`ー.､.;;;;/, ＼ヽスヽ、、 ｀ ! !､ .!
|、 ｀'､ .;;;;┤ ＼ヽ)｀ヽ.ﾞ､ ｌ .ｌ
l｀-.、 ﾞﾆ;;;;;;;;ﾉ ＼ ソヽ､ !､ ヽ
ヽ、 .""ｰ ;;;;;;l′. .＼'くゝヽ'､、 ヽ
》ゝ─‐ ｲ;;;:;;./;; . ＼マ ､ヽ、 ヽ
―――――――――――――――――――――――――
唐突な終わりに戸惑ったできる夫は
そのまま去っていこうとする青年を何とか呼び止め、
振り返らないまま彼は立ち止まる。
―――――――――――――――――――――――――
-
１１２．
／￣￣￣＼
／ ノ ＼ ＼
／u （●） （●） ＼
| __´__ u |
「あなたの、お名前は………」 ＼ .L:::::ﾉ ／
／ u ＼
, -─‐ ､
／ ＼
/ !
/ /
/ /
i / 「口幅ったいことを言って恐縮してるんだ、
∨ __＿＿r／. 名乗るのは勘弁してくれ」
,｢:::::::::::::::::::::::::ヽ;,､_
__,,.／":::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾊ,、
／ ..::ヽ..:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
/ .::::::::::::: ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: i::::::.`
l ;ノ:::::::::::: l::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: !::::::::::i
く:::::::::::::::::: !::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ｲ::::::: {
l:::::::::::::ヽ;;|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |:::::::::
l :::::::::::::::::.〉:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |:::::::: i
l|::::::::::::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |::::::::: |
ｌ::::::::::::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |:::::::::: i
――――――――――――――――――――――――――――――
それだけを答え、ふたたび出口に向かう背中を見つめた三人は、
もう一度名を問うても答えてもらえないのだと悟るしかなかった。
――――――――――――――――――――――――――――――
-
１１３．
||: : : i::i: : : | |::|: : : |
||: : : i::i: : : | ,,-‐'' "ﾞﾞ ﾞ"''ｰ,,、 |::|: : : |
||: : : i::i: : : | ／ `ヽ. |::|: : : |
||: : : i::i: : : |;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾞ＿＿_ﾞ;;;;;;;;;;;; /. ....:::.;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::|: : : |
||: : : i::i: : : |;;;;:;:;;;;;:;;;;:;;ﾞ|＿_:|_|::;::;;:;:;: |. |;;;;;;;;;;;;;;;:;:;;;;;:;;;;:;; |::|: : : |
||: : : i::i: : : | ﾆﾆﾆﾆﾆﾆ| | |ﾆﾆﾆ∧ﾞ::.............. ...;::;::;:::;::;:;::;::;::;:::;::.. |::|: : : |
||: : : i::i: : : |..ﾞ＿＿____.|＿_ﾚ＿__/ ∧ /. |::|: : : |
||: : : i::i: : : |......＿＿＿＿＿＿_/ ∧ ／ |::|: : : |
||: : : i::i: : : |......＿＿＿＿＿＿/ ＿ ∧ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ／＾＼ﾆﾆﾆﾆﾆﾆl |::|: : : |
||: : : i::i: : : |......＿＿＿＿＿__/ |_|_| ∧＿＿＿＿／ ＿ ＼＿＿__＼. |::|: : : |
||: : : i::i: : : |......＿＿＿＿＿_/ |_|_| ゝ＿＿＿＿_|＿|_|_|＿|＿＿＿＿. |::|: : : |
||: : : i::i: : : |......＿＿＿＿_／ ￣ ＼＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿. |::|: : : |
||: : : i::i: : : |...＿＿ :::||| ＿ |￣ |::|: : : |
||: : : i::i: : : |ﾞ::|:|_|_|:|エ :エ||| |_|_| ｪｪ| ＿＿＿_ ＿＿＿_. |::|: : : |
||: : : i::i: : : |..ﾞ|:|_|_|:| エ ||| |_|_| | ||_|_|||_|_|| ||_|_|||_|_||. |::|: : : |
||: : : i::i: : : | ￣￣ ::|||ｪｪ ￣ | ||_|_|||_|_|| ||_|_|||_|_||. |::|: : : |
||: : : i::i: : : |. エエエ||| ＿ ＿＿.-::|: ￣￣￣ ＿_＿. ￣￣￣. |::|: : : |
||: : : i::i: : : |...＿＿ :||| |_|_|:| i⌒i||l| |＿＿＿＿|::[]|[]::|＿＿＿＿＿....|::|: : : |
||: : : i::i: : : |. |:|_|_|:| ||| |_|_|ﾞ◇ :|:- | . :::::::::::::::::|: o|o :|::::::::::::::::::::::::::::: |::|: : : |
||: : : i::i: : : |. |:|_|_|:| エ エ|||:.... ／＼...| |＿＿＿＿|＿|＿|＿＿＿＿＿....|::|: : : |
ｰ､_||: : : i::i: : : |. ￣￣ ::エ |||:.. / /...|＿| )ﾆ)ﾆ)ﾆ)ﾆ)ﾆ)ﾆ)ﾆ.ﾞ|::|: : : |
:ｰ-､.|: : : i::i: : : |......＿＿＿＿|||＿ﾞ＼／. ￣ ＜)'´ |::|: : : |
: : : : : : : :i::i: : : | ／＼ ＜)＞'´ |::|: : : |
: :, --､: ::.i::i: __:.|....)二)二)二)....／ ＼.ﾞ二)＞'´ |::|: : : |
:/-､ }-､!:i:|iiｉ|:| / / |::|: : : |
:{ ..:} l__ﾉ::i:|iiｉ|:| / / |::|: : : |
｀゛¨ '' ‐- ...,, _iｉ|:| ＼ ／ |::|: : : |
｀゛¨ '' ‐- ...,, _.. ＼／ |::|: : : |
/ /／／／..ﾞ｀゛¨ '' ‐- ...,, _ |::|: : : |
／ イ └'´／ ｀゛¨ '' ‐- ...,, _
. / .＼_.ンニﾆス_ ｀゛¨ '' ‐- ...,, _
/ ._＿...二つ:::::::::＼ ｀゛¨ '' ‐- ...,, _
（ /:::::::::::::::::::::::::::::::::＼
ヽ .ヽ、:::::::: __´,_ | 「うわっ、まぶしい！」
＼ ヽ:::::::: /
. | ｀ ｰ ＼
――――――――――――――――――
ドアベルを鳴らして開かれたドアから
茜色の逆光が溢れかえり、
――――――――――――――――――
-
１１４．
――――――――――――――――――――――――――――――――
光の洪水に眼を細めるできる夫達からその表情は見てとれなかったが、
のちに三人は口を揃えて断言する。
彼は優しく微笑んでいたに違いない、と。
――――――――――――――――――――――――――――――――
＿
;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::::. ／:::::::::::＼ ,, ....:,:.. .:::::::;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;:::. ／:::::::::::::::::::::::ヽ ,:;;;;;,...::::::::::::ﾞ「………ああ、そうだ。
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::. |::::::::::::::::::::::::::::::| ;;;;;;;: ..::::::
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::. | （__人 ;;;;:;;:::::::::::::::;;;ﾞ割の良い仕事が欲しいのなら
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::. |::::::::::::::::::::::::::::ﾉﾞ;;::,: .:::::::::::::;;;; 神殿前の立て札を見てみると良い、
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;: ヽ:::::::::::::::::::::ノ;;;;;;;;; ::::::::::;;;;;;; 捕らえられた海賊を北の港町から
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;: /.:.:::::::::::::::/ ;;;:;;;;;;; ::::::::;;;;;;;;;;ﾞ護送する依頼が出ていたはずだ。
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:... r'ﾞ.:.:::::::::::::.:.:.＼ ;;;;;;;; . ::::;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;．-‐'´.:.::::::::::::::::::::::::::::.:..`ヽ､: :;;;;;;;;;;;;;;;;;;報酬は金貨四千、諸経費食事、
;;;;;;;;;;;;;;;ﾞ/.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.:.＼ ;;;;;;;;;;;;;;::宿代も依頼者持ちだったと思う」
;;;;;;;;;;;;;;ﾞl.:.:.:.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.:.:.ヽ;;;;;:::::::::::: . . .,,:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::
;;;;;;;;;;;;;;/.:.:.:.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾞ::::. .,,,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::
;;;;;;;;;;/.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| ,,,:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:: ....::
;;;;;;;;/.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.:.L. ,,:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::: .....::::::::
. 「￣| ＼
. / l ＼
. / ! l ＼
/ｲ l/l / ! ＼ ヽ`-
.... ' .,'/l './ ! ./l /l l i ﾄ ､ヽ
. ' .l , l 〉/´l/ﾆﾚ'l/ .ﾄ, .i.ｨ.ﾄ, ! ､ l `ヽ 「護送で四千！？
. ﾚ'ﾘｙ ､ゞレ'/ｲﾘ ',!,ｨ /_ﾘヽＮ Ｎ ﾘ 必要経費向こう持ちで！？
. / ｀ /' l /イ／ /ﾘ
. ヽ ＿_ /斤<、 ./ﾘ＿ -‐:.:.'ヽ-‐.. 今朝見て回った時は
. ヽ ヾ,ーﾍ ' ヽヽ,､ .ハ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.',.. そんな依頼出てなかったが―――」
. ヽ ゞ＝ｲ ＜ ', ! ヽ､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
',i i i , ィ＜´ ', l ゝヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
｀￣´ l.＼ ', ﾚ'´ l ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.: . f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ
/:', ｀ ‐＜,--､ ヽ ! ヽ:.:.:.:.:.:.: | 出たのが昼過ぎだからな。 |
/:.:.:ヽ, -＜´ ＞ﾚイ1/ ',:.:.:.:.:.: . | |
. ／:.:.:.:.:.:.＼丶ﾆ‐-ニ二.｀Ｌ.l' !:.:.:.:.: . | お手軽なのに良い金になる。 |
. /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼ ＞- ヽ ',:.:.:.:.: | 急がないと誰かに先を越されるぞ？ .|
. /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼ ヽ l:.:.:.:. 乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ
. /´＼:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`:.:＜ ＼ l:.:.:.:
――――――――――――――――――――――――――――――
それだけの収入があれば、今の状況をなんとかしてお釣りがくる。
海賊の護送ならできる夫が不満を漏らすこともないし、
勇者の名声に傷がつくこともないだろう。
――――――――――――――――――――――――――――――
-
１１５．
_＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
|:::::::::::::::::::::::::::::::: ||:::::::::::::::::::::::::::::::: |
|:::::l￣￣￣￣|:::::||:::::l￣￣￣￣|:::::|
|:::::|:::::::::::::::::::::|:::::||:::::|:::::::::::::::::::::|:::::| ﾊﾞﾀﾝ
゛'' ..,, |:::::!:::::::::::::::::::::!:::::||:::::!:::::::::::::::::::::!:::::|
゛'' ..,, |:::::|:::::::::::::::::::::|:::::||:::::|:::::::::::::::::::::|:::::|
゛'' ..,, |:::::|:::::::::::::::::::::|:::::||:::::|:::::::::::::::::::::|:::::|
゛'' ..,, |:::::|:::::::::::::::::::::|::[||||]::|:::::::::::::::::::::|:::::|
＿＿＿_. ゛'' ..,,..:::::::::::::::::::::|:::::||:::::|:::::::::::::::::::::|:::::|
／ ＼. ゛'' ..,,ﾞ:::::::|:::::||:::::|:::::::::::::::::::::|:::::|
／ ＼ ／ ＼ ゛'' ..,,||:::::!:::::::::::::::::::::!:::::|
／ （○） （○） ＼ ゛'' ..,,.....＿___|:::::|
| __´___ | ﾞ゛'' ..,,ﾞ:::: |
＼ |il!|!il| ／ 「あっ！ ゛'' ..,,
／ ￣￣ ＼ ま、待ってください！！」 ゛'' ..,,
/ / ＼ ヽ ヽ ヽ
// / ∧ :. ＼＼ :.',:.. ',
// : { /:.ﾊ :l:. ﾄ;.: |l_ﾊ_:| :.:l:.:. l
ｌ ﾊ 从丁≧ｭ､}:.: 厶斗矛廾 :.|:.:. ｌ
ﾚ' ヽ:|:.:} ,仟:r'} j／ 之:ﾝﾞ | .:.|:.:. ｌ
ﾄ-ゝ ゞ'´ ' ＿_ | .:.|:.: ',
/ | ∧ f'ー ヽ ! .:.ﾄ､ ＼
/ .| ヽ ヽ _,ﾉ イ .:.|:.}: 「早く出ましょう！
／ | :.:＞ 、_,. ＜ |/ .:.|:.:',:.: 今なら追いつけるはずよ！！」
／ .:.:.:ノ ,z=＝|テ廾ァ､／ .:.:.:/＼＼:.:.:.:
／.:.:.:.:.／ 〃.:.:／{＝／／＼.:.:.:.:／:::::::｀ヽ＼:
/ .:.:.:.:／ //{／!::::::レ'／ .:.:.:＼/::::::::､:::::::::}:.:
―――――――――――――――――――――
扉の縛る音で我に返った彼らは、
グラスの飲み物をきっちり飲み干してから
我先に夕日の中へと飛び出すが、
―――――――――――――――――――――
-
１１６．
――――――――――――――――――――――――――
残念ながら混み合う街路に青いマントと
バスタード・ソードの背中を見つける事はできなかった。
――――――――――――――――――――――――――
゛゛''l ｉ!=====┓ ' |l |__l l__l l::::::::| n ..＼ / ./!γ, l___ｉ ｉ! ｉ .l l γ ⌒｀ヽ
:::::::l l..∨ .l |i l::::::::|.ｉ,! !,ｉ.l .,'', l‐‐‐‐/ ｉ ｉ l .ｉ! ｉ-┼―-.l ,' ヽ
:::::::l l..∧. f´￣￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ.. l::::::::| ｌ／^＼' ', l ﾛ /!ｉ l ｉ__l ｉ! ｉ .l l ,' ',
:::::::l ＼_......| あの人は！？ |.ﾞi l::::::::| n n l. ﾛ ﾛ ﾛ＼',.l !.ｉ l /l', ｉ! ｉ .l l | |
:::::::l ｉ:::::ﾞ乂＿＿＿＿＿＿＿_ ノ _l l::::::::| ｉ,!ｉ,! l ／.'.l ﾛ l.ｉ .l ./ | .', ｉ! ｉ .l l | |
:::::::l ｉ:::::::::::ll ｉ!:::::::ｉ! ｉ:::::l|i ,'ﾞﾞ', .l::::::: f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ... ﾞﾞﾞ'',',',',',/ .| |
:::::::l ｉ:::::::::::ll ｉ!:::::::ｉ! ' .|i l .l .l::::::: | ………だめ、見あたらない。 | | |
:::::::l ｉ:::::::::::ll ''''''^ﾞ .|i l .l .l::::::: 乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ | |
:::::::l ｉ:::::::::::ll.. ﾊﾊ.|i ! !,,,,,.l____| |,l,,,,l-‐''"゛ ' iヽl.nｉ l ｌ l ｉ! l ┏! |
:::::::l ｉ:::::::::::ll _,,.. (nﾟﾛﾟ).ﾞ゛゛.∧∧.‐''"゛ i ｀ヽ l l l ｉ! | ┃ |
:::::::l ｉ:::::::::::ll._ '''"゛ l L｣l〉.- .(｀ .) i ｀ヽ .l . .l ｉ! | ┗! ..|
:::::::l ｉ::::-"´ 〈＿:｣ .〈 〉 ', ｀ヽl... ｉ! . | |
:::::::l._. .-'"´ _,,,ｰ'''"゛ .し .∧＿∧ __ゝ .', '-..、 .| |
-‐''"゛ .（ ´∀｀） ._） ', ｀''-､, | |
, '''.＿_ （ ） .∧,,∧ .＼ ｀''ｰ ..,, | .|
ｰ'''"゛ . ヽ|＿_ノ) ﾓｫ （（ 人 Ｙ ﾉﾘﾉﾘﾊﾚ ＼ ｀ﾞ'ｰ .._ |
. (‘-‘ ﾊ _)_, ―‐ 、し（＿） ∧,,∧ ﾊﾟーﾟ,ﾉﾘﾊ ｀''ｰ| .._
/(Ｙ (ヽ＿ /・ ヽ ￣ヽ 彡・ー・ﾐ ﾘ( †ﾘとﾘﾊ
ﾉ＿__ゝ ｀ ^ヽ ﾉ.::::::__( ノヽ と ＠つ ﾊ/ '' ヽﾊﾘ
f ｀ヽ /ヽ￣￣/ヽ | ,O ﾘ<ﾉ､ﾉ_,i_,ゝﾊ
-
この時点でのやらない夫の仲間が誰なのかが気になるよなぁ
-
１１７．
＿＿＿_
／ ＼
／ ＿,ﾉ ⌒ ＼
. ／ （一） （ー） ＼
. | ´ ij |
＼ ⊂つ ／ 「満足にお礼すら言えないとは………
／ ＼ 情けない」
-‐ - ､
／ ＼
/ 〃 | ヽ
. ｛ { | | ハ
ゝ 从.| | 丶 .｝
`l ﾘ | 八 :| 「きっと、分かってくれてるわよ」
. !ﾉ' | ＼ ＼
. ｿ | ハ ｀ヽ. ＼
八 从. ＼ ハ ｝
∧ ヽ冫rf千≧=､ ﾉ /
. 爪∧ ＼///////} ; f
｛//刈. ∨/////| i 八
∨/ノ ﾉt/////| ヽ ＼
}彡 /从,//////| ｝ ）
‐=ミ-‐ ｊハ }///////| ′ ／
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.∧
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ::∧
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ﾊ
:////, : : : : : : : : : : : : : : : : : :.'
://// : : : : : : : : : : ,才: : : }: ::∧
: : : : : : : : : : : :/ ／ :}}八从:/ﾚ人
:i: : : : ::i: : : : : :{/_彡ｲ才}: N
:|:!: : : ::|: : : ::／ (N〈 } ﾚ
从ハ}八(ｲ彳 ／
/｀ ＜ :!ﾍｨｲ才" 「しかし、何者だろうなありゃ」
ゝ厶/ T⌒ヽ￣
.:.:.:.:.:.｀ヾ: : i: :ﾍ
.::::::::::::::::::＼: : {ﾍ
::::::::::::::::::::::ー≠-ミ
::::::::::::;::::::::／.:::::::::::::ヽ
:::::::::/／.::′:::::::::::::::::::ﾊ
::::::::{'.::::::::::::::::::::::::::::::::::::!
::::::::{::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!
::::::::{::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!
::::::::{::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!
――――――――――――――――――
彼らが気づくのはもう少し先になる。
この時出会った相手こそが、
今もっとも有名な英雄だったのだと。
――――――――――――――――――
-
１１８．
＿＿＿＿＿
／ ＼
. ／ ＼
. ／ ＼
. ／ ＼
／ ´￣` 、 , ´￣ ヽ
| |
| （ ＿_ ） （ ＿_ ） | 「何者―――
| |. いえ、あの人が何者でも良いのです。
. ＼ ´ ／
. ＼ - ─‐‐- ／. 大切なことをたくさん教わった、
／ヽ イ＼ 大切なことを思い出させてくれた。
／ ＼
そのことには………変わりがないのですから」
―――――――――――――――――――――――――
夕暮れの街路で、深々と頭を下げたできる夫はもはや
進むべき道を見失った迷子などではなかった。
迷宮に迷い込んでいた勇者は、
英雄の導きによって出口の輝きを見いだしたのだ。
―――――――――――――――――――――――――
-
１１９．
,. -‐=＝= ､
: ´: : : : : : : : : : : : ｀ヽ
. ,. ': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
. ハ: : : :/ : : : : : : : : : : : : : :ヽ: :､: :∧
/イ : : : { ,′: :/ : : : : :､: :: : :ハ: :',: : :i
......〃, : : : : ﾉ' l: :从:: : : : : :仆:ヽ : : } :ﾊ : :!
...ﾞﾉ'´{: /: : : : :从, - ､: : : : :斗‐廾ﾄ ､: : ､: :',
. 八:i: : : 七爪: :{ ｀,: : :: ::从 丶∨ﾘ : :,: :｀､
...... _冫 : : /z≧≠ﾐｘ､ヽ :ノxz≠ﾆﾐｘ}: : :|: : : : ｀ヽ ､ 「お礼も良いけどせっかくの情報よ！
.ﾞ, ': :〃 : : : 从 圦､ｨ ﾉ' 仆-ﾘ 从: : ﾊ: : : : : : : :＼... はやく神殿前に行きましょう！！」
/: : : : : : ﾉﾙハ ゞ'¨´ , `¨¨´ /: : /: : : : ｀ヽ : : : ハ
... ､: : : :ノ }ﾞ ∧ , - ､ ｲ:: ::人_:_:_: : : ﾉ: : : : :ｿ
....._从 r一'ﾉ : : : ト. ヽ::::ノ イ/:: :: ::}///∧､ : : : : ／
ﾞ: : : : :爪: : : : : 丿∧ - /: : : : :|/////: : : : : (
: : : ／ : : : : ／///∧ ／Yヽ ∧: : : : 丶////＼: : : : `ｰ ､
: : / : : : : : ///////∧ ☆ ／,/＼: : : : ｀ヽ///∧: : : : : : : : : : :｀ヽ
: 厶_:_:_:_: : : : : : ﾉ ///,＼／///// ＼: : : : : }////=┐: : : : : : : : : :ハ
ﾞ://///ﾉ : : : : ///////∧////// ／: : : : :∧,////∧: : : : ヽ : : : : : }
//＿／: : : : ノ//////丿||＼/// /:: : : : : ://///////＼_:_:_ﾉ_: : : : :八
_: : : ,. -‐一'//////／ 〃 ,＼ / : : : : : : ゞ=ミ､//////////∧: : /
.ﾉﾙ'//////////／ ,j| || ヽ: : : : : : : : : : ノ////////////ヽ´
_ノ
-‐: :＝: : : : ー-ミ
. ／. : : : : : : : : : : : : : : : : ｀:
′. : : : : : : : : : :.､ー-ミ : : : : ｀ヽ
乂. : : : : , : : : ｫvi. : :＼: : : : : : : ハゞ
. 才: :: :: :::/.: ::::// : :i : : :ヾ : : : : : :.∧
. ′:::: :::/ : : : :.′ 乂:{ : : :ハ: ハ: : : {:!
/才{:i|!/抖竿ミ､ }八≧≠ミ::!: : 从
イ }:i :N{才＞-=ﾐ｀ﾞ ノ 斗r-=ミNﾘ Y:;
从(ハ{《八:うjﾉハ ゞ:りｲ 》 }ｱ}}′
八 从 :i .i 八
＼'. ' ,／
∧ ｀ ゛ ハ 「同感だ。
＼ ｀ー -－ "´ .ｨ:､ のんびりしてて他の奴らに取られたら
fi≫ ､/从ﾊ, ／／ {. あの人に顔向けできないし、
／} ｀ :＜ー-＜イ {＼ ツキが落ちてしまうかも知れん」
／.:.:_{ .L _ヽ /_ノ .Vハ
. ｲ.:.:.:.:.:.{ V _ -‐ }}.:.:.＼
＞.:´.:.:.}:_:_:__∧ ー- }! ′_:_:_:}｀:.＜
. :.:.:.:.:.:.:.}:.:.:.:.:.:.∧ :i /.:.:.:.:.:.:.:.}.:.:.:.:.:.:.:.｀
―――――――――――――――――――――――――――
大きく頷いて空を見上げた彼は
今日ここであの青年に出会えた幸運に感謝し、そして、
情けない自分についてきてくれる仲間達に聞こえないよう
小さくありがとうございます、と呟いた。
―――いま、面と向かって言うのは恥ずかしかったから。
―――――――――――――――――――――――――――
-
１２０．
――――――――――――――――――――――――――――
いつか。
心の迷いを取り払ってくれた恩人にもう一度出会ったときに、
立派になったと認めてもらえたなら。
そのときにしっかりえたいと思う。
――――――――――――――――――――――――――――
／）
／／／）
／,.=ﾞ''"／
／ i f ,.r='"-‐'つ＿＿＿_
/ / _,.-‐'~／⌒ ⌒＼
／ ,i ,二ﾆ⊃（ ●）. （●）＼
/ ﾉ ilﾞフ::::::⌒ ___´___ ⌒::::＼
,ｲ｢ﾄ､ ,!,!| |r┬-| |. 「ええ、そうですね！
/ iﾄヾヽ_/ｨ"＼ `ー'´ ／ 駆け足で行きましょう！！」
-‐―‐- ､
イ ＼
／ / ／ ＼
. 〃 ,ｲ 从 〃/ l ハ ヽ
. {八{ { ＼ﾙ'! | _!_.}＿l ｝ ｌ i
. {｛. ｀ .! ≧ﾐｘヽ l ,}z≠=ﾐｘ｀寸 | |
. ヽ 从 r､, )イﾉ r､ , ヾ ﾉ :| |
ﾉ i｀ 比! 比;! .从 :| |
イ | ｀￣ `¨ ´ / 从′ 「え！？
｛. 八 ＿＿＿＿＿ u / / :| お腹ぺこぺこなのに走るの！？」
. 入＿ ＿ 乂 ＿＿＿_ノ ノ / |
〃 ////≧､n nー― 〃 ′ .ハ
, ´ ／ ／/////∩ゝﾌ `┐へ八 / ′ ヽ
｛ /////// └ ┐ ヽ ｝ ヽ ｛. ＼
｛. ′ //////////// ｀ヽ＿｝く ゞ＼ ＼
八 ｛ /////////////r‐′‐┤/＼ ＼ ｝
〃 ゝ/////////////｛￣￣ヽ｝/ｨノ 人 /
/' 〈////////////ノ /八 ／ 从 〃
―――――――――――――――――――――――――――――――
号令をかけて走り出した少年は
数歩先を行った二人を追い越し、
元気になったのならまあいいか、とため息混じりに頷きあった二人も
できる夫を追いかける。
―――――――――――――――――――――――――――――――
-
１２１．
―――――――――――――――――――――――――――――――
抜きつ、抜かれつ走りながら、久しぶりに心から笑った勇者の心は、
雲一つ無い夕焼けの空のように晴れ渡っていた―――
―――――――――――――――――――――――――――――――
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;;;;:;;;:;;:;::;:::;::::;::::: ::::: ::: :: ::
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::;:::;::::;:;::;::::: ::::: ::: :: ....::::::::::;;;;;;;;:::::::::::::;;;;;;;;:::::::::::::::
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;;;;:;;;:;;:;::;:::;::::;::::: ::::: ::: :: .......::::::::::::::;;;; '''' '''''' ;;;;:::
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;;;;:;;;:;;:;::;:::;::::;::::: ::::: ::: :: .......:::::::::;;;;;''''
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;;;;:;;;:;;:;::;:::;::::;::::: ::::: ::: :: ,,;;⌒Y⌒ ..........:::::::;;;'''
;;;;;;;;;;;;:;;;;:;;;:;;:;::;:::;::::;::::: ::::: ::: ::: ,,,,;;;; ,;; ,; .....::::::::;;;''' ⌒Ｙ⌒
;;;:;;:;::;:::;::::;::::: ::::: ::: :: ..:::::::;;''
;::::;::::: ::::: ::: :: ::::::;''
::::: ::: ::. f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ ＿＿＿＿＿＿＿＿＿
_＿ | やれやれ。 |.....冒─A ./:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
／ﾆ=ﾆﾞ| さっきまで泣きそうだったってのに現金な。 | / ∨:::∧:::::∧:::::∧:::::∧:::::∧
三二三乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ＼─ｲ i!i!.|￣|「l￣|「l￣|「l￣|「l￣|「l
￣￣￣￣￣ , 'ﾞ ＼ |;:;／;'.;'.;'.;'.;'.;'.;'.;'.;'.;'.;'.;ﾞf´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ.ﾞ|「l
[日 ｢lｨ==ｭ'" `/.;'.;'.;'.;'.;'.;'.;'.;'.;'.;'.;'.;',:',:' | いやあ、それにしても幸運でしたね！ .|.ﾞ__
, '".ﾄ- ｲ /.;'.;'.;'.;'.;'.;'.;'.;'.;'.;'.;'.;',:',:',:'ﾞ乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ.ﾞ'.'
'" l::: | ,:/.;'.;'.;'.;'.;'.;'.;'.;'.;'.;'.;'.;',:',:',:',:',:',:'/.'.'.'.'.'.'.'.'.'.'.'.'.':':':':':':':ﾞ| .:.:::::::::.:. |.'.'.'.':':':':':':':':':':'.'.'.'
＼_人＿人∧从＿人_∧_人_人_人_人_从_/／. '.'.'.'.':':':':':':':':ﾞ:| .:.:::::::::.:. |.'.':':':':':':':':':':':':':':'.'
＿＿__.. ) ＞ﾞ'.'.'.'.'.'.':':':':':':':ﾞ:'ﾞ| .:.:::::::::.:. |.'.':':':':':':':':':':':':':':'.'
',:',:',:',:',:'＜ ちょっと、待ちなさいってば！！ ＞ﾞ'.'.'.'.':':':':':':':':':':'| .:.:::::::::.:. |.'.'.'.':':':':':':':':':'.'.'.'.'
',:',:',:',:',:',: < (.'.'.'.':':':':':':':':':':':':':':ﾞ| .:.:::::::::.:. |.'.'.'.':':'':':':':':':'.'.'.'.'
,:',:',:',:',:',:' ／＾Y￣∨￣∨^Y^⌒Y^YY^^Y^Y^Y^^Y^.ﾞ'.':':':':':':':':':':':':':':':':| .:.:::::::::.:. |.'.'.':':':'':':':':':':'.'.'.'.'
-
１２２．
─────━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
〜できる夫は苦悩する勇者のようです Remake〜
END
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────
.
-
１１時１０分からリメイク版本編予告を投下します
(´･ω･`)ちょっと休憩
-
いったんおつー
-
旦乙ー
-
予１．
:::::::::::::::::::.:.:.:.:.:.:. .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: . . . . . . . . . . . . . . . . .
::::::::::::.:.:.:.:.:. .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: . . . . . . . . . . . . . . .
:::::::::.:.:.:.:. .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: . . . . . . . . . . . . .
::::::.:.:.:. .: .: .: .: .: .: .: . . . . . . . . . . . .
::::.:.:. .: .: .: .: .: . . . . . . . . .
:::.:. .: .: .: . . . . . . .
:;.:. .: .: . . . . .
:.:, .: . . . . . ―――そことは異なる時―――
:.:, .:, . . . .
. . . . . .: .:,:
. . . . . .: .: .:.::
. . . . . . . .: .: .: .:.:::
. . . . . . . . . . .: .: .: .: .: .:.:.::::
. . . . . . . . . . . . . .: .: .: .: .: .: .: .:.:.:.::::::
. . . . . . . . . . . . . . .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .:.:.:.:.:::::::::
. . . . . . . . . . . . . . . .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .:.:.:.:.:.::::::::::::
. . . . . . . . . . . . . . . . . .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: :.:.:.:.:.:.:.:::::::::::::::::::
-
予２．
――――――――――――――
そことは異なる場所に。
――――――――――――――
:::::::::::::::::::::::::::+:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＋:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::+::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::o:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::十:::
::::::::。:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::・::::::::::::::::::::::::::::::::::::::。::::::::::::::::::::::
:::○:::::::::::::::::::::::::::::::::o::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::・::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
￣~"'''‐-,.､:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:.:.:＼､.:.:.:.:.:.:.:~"'‐-､::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::"'''''＼"''--､.:.:.ﾞ''‐.､:::::::::::::::::::::::::::::::::::+::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
ｌ:::::__,....-‐'''" ''.:.:.:::ﾞ'ヽ、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::。:::::::::::
"‐--‐‐, ''.:.:.:. ＼::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::/" .:.:.:. ﾞ‐、:・::::::::::::::::::::::::::::::::::::o:::::::::::::::::::::
:::::::／ .:ﾞ‐､::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::。::::::::
／~ :`､:::::::::::::::::::::::::o::::::::::::::::::::::::::::::
ﾞ､:::::::::::::::＋::::::::::::::::::::::::::::::::::
ﾞ、::::::::::::::::::+:::::::::::::::::::::::::::::
ﾞ;::::::::::::::::::::::::::::::::::+::::::::::::::
） __ ﾞ;::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
(:::::::/ :,:::::::::::::::::::::::::::::::::o:::::::::::
ﾉ::::/ ;:::::+::::。:::::::::::::::::::::::::::::::
|::::| i::::::::::::::::::::::::::::::::::::・:::::::
-
予３．
―――――――――――――――――――――――
人が、大地の支配者ではない世界がありました。
―――――――――――――――――――――――
∧,..,. ∧,..,. ,..,.∧
, ,(iliﾟ -ﾟ) ∧∧ (ﾟ-;:ﾟ*) (ﾟ- ﾟ*)/|
i:iＵ;:とﾉi (ﾟ-;:ﾟ；) ∧∧ ｏ:;ｏ:;) | と )|
〜ﾉ,,,ﾉヽヽ ,ﾍ;:とヽ (ﾟｏ ﾟ；) (:;(:;_;:つ ∧∧ | ,, ヽ|
し'｀Ｊ Ｕ (;:,.つ Ｕ:;:;;;Ｕ (ﾟ- ﾟ；) し'｀Ｊ
|;:;: ﾒ:;）〜 ＜＞)))━━Ｏ━と )━
∧∧ し'｀Ｊ | :;ﾒ;:）〜
(ﾟp ﾟ;:.) ∀ ∀ l､ し'｀Ｊ
/^;,/i::;)つ| /;:)/:;) /'l/'l | /~
（,.:;/:;;:;|､ ▽ 〜;:;; / (:; :; ﾟ;)つ;:-､
,;:::;;:;:､ ∧∧,.,.,.,.,） ,.,.,.,.,
,,,.,.,. ∧∧∩ (:;p:;::#):;:; :; :;つ ＜＜:;;:*;:)∞､,.,.,
/:;: ﾒ:;つ (｡:;:;｡:;):;' ヽつ|と:;ﾉ"" ＠（:;,.:;:,つ
し'´ Α ｕ'｀ｕ
∠ﾆi=
:;;/l:;:; (ﾟp ﾟ;:.) ∀ ∀
――――――――――――――――――――――――
ここでは人々はさまざまな驚異に曝されています。
――――――――――――――――――――――――
-
予４．
――――――――――――――――――
さまざまな驚異。
それはときに厳しい災害であったり、
人以外の種族との摩擦であったり、
人同士の諍いであったりします。
――――――――――――――――――
人___／丶人_
/::::::::::::::::::::::
∧ 人_ノ:::::::::::::::::
_^-| ,ﾍ _ ＿ ＿＿ ┃┃ /:::::::::::::::人_人
／ /＾ ＼∧ﾍ ﾍ ﾍ ／,－ 二／ ━┓ ノ::::::::::ノ
/ /＾ _ .|￣ﾆ､￣ //￣ ┃━━━━━━ ノ::::::::::丿
/| /^ ＼＼|ﾆ| |ニニノ ━┛ 人_ノ:::: ／
/ |＼ _ , ﾍ ＼ ＼| | /:: 丿 ∧＿;;;::::
/ /| （ヽ ﾍ } ,＿ゝ >_ 丿:: ／ （・Д・ ;;:::::
／ < } ＼ヽ＿_､―-（_. -ﾟ´＾゜´-― ⌒) ノ:::: ノ （ つ ;;:::
￣＼｢/ >―-｀―-）／ , ｀-ヘ_-―vv-w´ ＿＿＝二:::: .ノ. ;;:: ヽ;::
/ / ヽ／ ￣＼＼z⌒ヽ,､ 二二 （__;;:::_＿;::::
／ ＼ ／ ＼＼z~ ｙ ￣￣＝二
￣＼|￣ ￣＼| ヽ 二/ ヽ,,,,,,,....--ヽ 人_人 人从人_人人_
＼ :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
―――――――――――――――――――――――
比較的友好か中立を保つ亜人間のほかは
敵対的とも言える怪物、妖魔、
そして闇より生まれし者どもばかりのこの大地で、
―――――――――――――――――――――――
-
予５．
――――――――――――――――――――――――――
人は各種の『魔法』と呼ばれる超自然的な力や、
才能ある者が鍛錬の末に習得できる
『戦技』と呼ばれる技能を主な対抗手段としていました。
――――――――――――――――――――――――――
/ / ＼ ヽ ヽ ヽ
// / ∧ :. ＼＼ :.',:.. ',
// : { /:.ﾊ :l:. ﾄ;.: |l_ﾊ_:| :.:l:.:. l
ｌ ﾊ 从丁≧ｭ､}:.: 厶斗矛廾 :.|:.:. ｌ
ﾚ' ヽ:|:.:} ,仟:r'} j／ 之:ﾝﾞ | .:.|:.:. ｌ
ﾄ-ゝ ゞ'´ ' ＿_ | .:.|:.: ',
/ | ∧ f'ー ヽ ! .:.ﾄ､ ＼
/ .| ヽ ヽ _,ﾉ イ .:.|:.}:. ＼ ,. ' ´
／ | :.:＞ 、_,. ＜ |/ .:.|:.:',:.:. ＼. ,. ' ´
／ .:.:.:ノ ,z=＝|テ廾ァ､／ .:.:.:/＼＼:.:.:.:.:. ｀￣｀.,. ' ´.＿＿＿＿＿＿＿＿
＼人_从人__从_从人__从人_人从人ﾉ／......／＼.:.:.:.:／:::::::｀ヽ＼:.:.:.:.:.,. ' ´.ﾞ─────────＜＼
＞ ＜.'／ .:.:.:＼/::::::::､:::::::::}:.,. '.ﾞ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
＞ 万能なるマナよ！ ＜ :.:.:.:./＼:::::::: ,. 'ﾞﾉ ／ ￣￣￣＼
＞ 光弾となり敵を撃て！！ ＜ ヽ :.:.＼:,. '. ／ ／ ヽ､_ ,ノ＼
＞ ＜ :::::＼ . ,. ' ´..... < ／ （ ○） （○）＼
／Y⌒YW⌒Y⌒WW⌒⌒YW⌒W⌒W＼:: ,. '.. ヽ ＼| ___´___ |
／ {二}ｿ.:.:.: , ＼ ＼ |il!|!il| ／ ,,,､||__＿＿＿＿＿
,. ' ´ ＼ ｀⌒´ ￣￣'￣￣￣ヾイと)」1‐─────
,. ' ´ ﾞｉ ,__＿＿､_＿＿__,イソﾉﾉ ｲ|￣￣￣￣￣
,. ' ´ ｝ /
,. ' ´.. ＼_人＿人∧从＿人_∧_人__/／. ／ ／
,. ' ´. ) ＞. ／ _,,, ‐'
,. ' ´. ＜ オーラ・ブレード！！ ＞. ,r < _＿＿ｯ--ｰ''''''"´
,. ' ´. <.. ＞---z＿＿＿ｯ--------―'''''''^ﾞﾞﾞﾞ￣´゛
／＾Y￣∨￣∨^Y^⌒Y^YY^Y^....／ヘ───-- ｝ 仁¨¨
／ ／ノ ソ＿＿＿＿／ 仁二＿＿
／ ／ ゞ___ノ て￣￣¨¨¨￢―二ニﾆ＝=
＿＿＿＿ ＜ﾆ'''￢――--z＿ ｀''-､, ＿r--‐=＝ﾆ
¨¨¨￣ ￣￣'''ｰz_ｯ-‐'''''¨￣￣ ｀￣￣￣￣‐=≦―――''''"￣
!､__ ＿）
-
予６．
――――――――――――――――――――――――――――――――
その様な力を身につけた者の中には
厄介ごとを引き受けて報酬を受け取ることを生業する者がおりました。
彼らは冒険者と呼ばれ、
町に根付いたり仕事を求めて各地を流れていたりします。
――――――――――――――――――――――――――――――――
＿＿＿
／ ＼
／ ､_,ノ ヽ
／ （● ） 丶
／ （⌒ l
/ ￣l__） ＿_
r‐ ‐-- ､ ノ | ￣`》
上: : : : : :＞‐-.､__ ／ 〉二〈
レ＜＞㍉､: : : : : : : : :＞ ／ ｜ﾆﾆ|
／: : : : : : : : :ヽﾐ､: : : :/＞ヾ,＿_ン |三ﾆ|
/;. -‐- ､: : : : : :=ド､ヽ// j `.-､ /ﾍニ７⌒)
//_／￣ヽヽ |: : ニ||: }}: ≫≪=: : :＿≫ / ｨﾆにン-､
｜|｀|`i⌒j ｜|｜二//: :}}: 二//: ／ / ノ ／ _／-､
/∧ ゝ二 ノ ﾉ: !二ノ＿ }}: =//: :＼ | (__,イ＿,. -<
| ヽ｀ ｰ--イ : =∀ﾆ|r‐㍉､｣｣､}: : : ≫ （`ｰ‐┴ｰ┴‐ー┴---'‐'")
|: : :｀:ー┬': : =/二 ＼: : :=}}ﾆVX´ ￣,《｢￣￣￣￣｢￣￣
": : : :|=: |=: : =|ﾆ: : : : ＼ノ=三|:､＼ ri´: : |￣￣￣￣|
: : : : :|二|二二|ﾆ : : : : }}}=〉ﾆ=ト:二ユ__ ／: i!: :_ｘ≦'"￣￣＼
: : : : :ヽ=|二／ﾆ: : : : : }}}=|ニ=|ﾆ: : : : 〃´: : ;ｘ＜: :: :: ≧ ＼ |
: : : : : ヽ＼/|二＿: : : :}}}ﾆ|ﾆ=/＜: : //: : :／:: : :: :://: :＼＿__ ﾊ
: : : : : :､:＼=〉‐-- 二_ー‐'ニ/二二|: |／/:: :: _:: ::l=/:: ::=_:ヽ=､::￣:＼＿_
: : : : :､ ヽニ〉｜|｜|｜ト]トrへ二ﾆﾆ/:=:: ::_::=:: :: l=|: =:: :: ≧＼三≧ｘ:: ::ヽ
: : : : : : ､ ∨￣`'┴-t⊥jj[] ＞/::/:: :: l=/:= : 川:: ::=:: :: ::`:: :＼三=Vﾍ｣
､: : :=: : :＼＼:: ::|:: :: :|::三r' ／_/:: :: :: :: :l/:: :／三!:: :: `≧､_: :: :ノ三三}
`: : : : ニ＼Y´|:: :: :: :: :: :: V/::=/:: :: :: :: ::/::／三三|:: :: :: :: ＼三三三三}
: : : : : :＼ニ＞}＿-＿―三V={:: ::≦三/三三三三ﾄ､:ヽ≧､＝ﾆ三三三ﾍ、
: : : : :/二＞＜!三三:: :: :: :: ｀`＝ﾆ三/三三三三ﾆ!:!≧､:＼三≧≦三三=〉
――――――――――――――――――――――――――――
これからお聞かせするのは、そんな一人の冒険者の物語。
名は―――
いえ、それはおいおい語られて行くでしょう。
――――――――――――――――――――――――――――
-
予７．
――――――――――――――――――――――――――――――――
ですが、この世界の主人公は決してその冒険者一人ではありません。
――――――――――――――――――――――――――――――――
|::ヽ／::::::〈 へ、 ／
/7､ ブ ,-┘:::::::::::::::::::::::::::｀＞ .く ＿
〈〈::ヽ彡 ブ ∠::::::/::::::::::::::::〉ヽ::::::::＼ 〉 ―､
ヽヾ:;ヽ ン /::〈:::|＾＾|:::::/＼ﾄ､ヽ::::::> / __ノ
＼ 彡ヽヾ::ヽ彡 ／::::::ﾊ|＿l/l/.＿_-ヽ|:::」 //） ‐┼‐
＼＼彡 彡ヽヾ::ヽ彡 .￣7/.|＿_|─|＿_|- lj/彡///{ r‐lｧ‐､
＼＼ 彡ヽヾ::ヽ ﾍ. __;_＿、u/ﾐ /// 〉 {ノl ノ
彡＼＼彡 ヽヾ::ヽ ﾌヽ辷フイ{ヾ ///彡l ‐┼‐
彡＼＼彡 彡ヽヾ::ヽ彡 ／::::〈｀l7:´::::::ヽ /// < r‐lｧ‐､ ,. ''"
彡＼＼彡 彡ヽヾ:ヽ ﾉ::::::::::::V::/:::::::::::〉//彡 / {ノl ノ ,. ''"
彡＼＼彡 ブ 彡ヽヾ /:::::::::::7::ﾄ/:::::::::::/ / 〈 ‐┼‐ ,. ''"
彡＼＼彡ン ／::::::::::/:::::/:::::::::// ／／ヽ. r‐lｧ‐、 ,. ''"
`丶､.彡 ＼＼ ／::::::::::／l ／:::::::::/::l ／／彡 〉 {ノl ノ ,. ''"
`丶､`丶､ 彡 ∠二フ ／:::::::::::::/ ／:::::::::／::::! ／ / ‐┼‐ ,. ''"
彡`丶､`丶彡 ヽ,'~つﾆ〉ヾ::::::::/／::::::::::／::::::::j _,. - ' ´く r‐lｧ‐、 ,. ''"
彡`丶､`丶彡 ﾞへノ7 ヽノ<::::::::::／ヾー--￢_,- ' ´ 〉 {ノlﾞ,. ''"
彡`丶､`丶､彡くヲ｀` ヽ＜／^ヾフ=／{ /..... ,. ''"
┌──────────────┐:::::::::::ヽ,.. ,. ''"
│騎士見習：ジュン＝サクラダ │::::::::::: ,. ''"
└──────────────┘,. ''"
l:::::::::::::::r -- ' ´... ,. ''"
/::::::::::::::l.. ,. ''"
,. ''"
,. ''" ＿＿＿
,. ''" ／ ＼ 「やる夫は小心者だからつねに最悪を想定してるんだお！
.. ,. ''" ／ ＼ , , ／＼ そうすれば何があっても『なんだ、その程度か』って
／ （〇） （〇） ＼ 冷静にいられるから！
| （__人__） |
＼ ` ⌒ ´ ,／ ,;:''"ﾞﾞ'':., だからもう一度言ってやるお！
/⌒〜"￣,￣￣〆⌒,ﾆつ :;. お前の企みは『予想通り』なんだお！」
| ,＿_＿ﾞ＿__､rヾｲｿ⊃:､,. ..,::'､‐- _
| ｀l￣ ￣ ‐
| |
┌────────────────┐
│ 魔法使い：やる夫＝ニューソクデ |
└────────────────┘
――――――――――――――――――
彼と出逢った者、共に歩んだ者も、
それぞれの物語の主人公なのです。
――――――――――――――――――
-
予８．
, ￣ 、
ｒ、________ヽ
i: : : . . :そ: :ｌ
ｌ｀￣￣ ｿヾｌ.,-'i,,_,,、
__、 ゝ j .ｌ,,ゞヽ＼ .＿_
..ｭ、|r‐ﾋ‐ｸii,,_、 ┤! / ｌ: .ヽ.ｌ, '､ /ｌ
,..イ〈llｨ'´＼＼ ＼ .''q￣.´.,ﾉ'/ ｌ:: 〔 .ｌ .ｌ ＼ !
r ｀-ﾞ＼ヽo.＼ `ぐ㍉;;'ﾞ_/ l:: |、 ｌ.ｌ ﾞ;/
│., ＼ヽ ﾍ .＼ !:: l． l.′ |
.,i ＼ヽムヽ ヽ !:: ..ｌ. l /
,yハ、 ;;;; ＼ヾ i ＼ .ヽ, |:: .ｌ ｌ
,,i' ヽ, .´`ー.､.;;;;/, ＼ヽスヽ、、 ｀ !:: !､ .|
|、 ｀'､ .;;;;┤ ＼ヽ)｀ヽ.ﾞ､ ｌ:: .ｌ
l｀-.、 ﾞﾆ;;;;;;;;ﾉ ＼ ソヽ､ !､: ｌ
ヽ、 .""ｰ ;;;;;;l′. .＼'くゝヽ'､、l ＼
》ゝ─‐ ｲ;;;:;;./;; . ＼マ ､ヽ、ヽ ヽ
.lﾞ ,! .__人_;;{;;; ＼＼ヽゝ.. ＼
.|.. |.ｒ'" ｀Y´ |;;;: ＼マ.llヽ ＼
.|,,.ｲ| |.ﾞ'l;;; ＼'く. ＼ ＼
ヽｌ .i"ﾐｰ;;./ ~l丶 ヽ;; ＼丶l＼ ヽ
ﾞ‐''､|;;;;;;;;;;;l";; ｌ;; ＼ﾞく心、 |
ﾞl;;;;;;;;;;;;ｌ; .、 i;; ヽ;; ＼ .{大 、 |
丶-ヾlﾞ !;; ヽ;; ヽ;; . ＼くりゝ |
│ !;; ｌ;; ｀､;; ＼丶､＼
/ .!;; ヽ;; ヽ;; ＼ﾞく_ ＼
/ !;; ! ゝ;. ＼;; /＼＿ﾉ
/ .,i;; .!;; .|;; ｌ;; ヽ;;－ /
,i′ l;; .!;; ﾞ､;.l;; ｌ;; `|
,/ |;; l;; ヽ;ｌ;; 1;; |
l、 |;; /;; , |;; ﾞ､;; 'i;; ヽ_./
.! ,"; .lﾞ;; !;; ヽ;.ヽ,;.ヽ;; .. /
.│ ./;;; ,!;; .'L;; ..ｌ;; .` .＼.; _,, ノ
l/゛;;; ./;; t;; ヽ;; ﾞヽ ._,;
/;;;!、 i´;; ｌ;; .ﾞ!,; . ﾞ'{lll!llllllllllll!!
_,,iiiiiii|:::::::::‐,,, /;; ． ' ． _,,illllllllliiii,,,_.
.illllllllllllliiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiヽ,,,,,l____＿,,,,,,,,,,,,、 ._,,,iiiiiillllllllllllllllllllll!′
ﾞﾞ!!!!!!!!llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll!!!!ﾞﾞ´
￣￣ﾞ”ﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞ￣゛
―――――――――――――――――――――――――――――――
ただ、私は彼を追い続けた者として彼のことを謳いたいと思います。
他の主人公たちの物語は別の謳い手に任せるとしましょう。
―――――――――――――――――――――――――――――――
-
予９．
―――――――――――――――――――――――――
………私？
私はまだ、名乗るほどの者ではありません。
長い長い、彼の物語を最後まで謳うことができたなら、
そのとき名乗りたいと思います。
―――――――――――――――――――――――――
＿＿
／´;;;;;＼＼;;;＼
／;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヾヽ;;;;;ヽ
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;_ヽ_､;;;;;ヽ
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,イ´::::::::ﾄ､;;;;ヽ
｛;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;／::::::::::（○）ﾍｌ;;;;;〉
ヽ;;;;;;;;;;;|;;;;/::ｪｪｪｪｪｪｪｪｲ）｝;;/
λ＿ゞ＼ゝェｪｪｪェ／_,/У. 「チッ。
ｲ;;;;;;;;＼;;;;;;|;;§ﾐ三;;;§;;;|;;;;ゝ 相変わらず世の中クソだぜェ」
/;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;;;|;;§;;Ц;;;§;;;|;;;;;;;ヽ
┌───────────┐ﾞ∧;;;;;;;;;＼
│ 戦士：キル夫＝ヤマト │;∨;;;;;;;;;;;;;;;＼
└───────────┘ ;;;;ﾍ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;＼
＿＿,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,.､､､.---------―一―￢'
.,,,,,,,,,,,,.､､､---------―――ｰ'''''''''''''''''''''''"ﾞﾞﾞﾞ"ﾞﾞﾞﾞ￣￣
,. ‐,ニﾆ丶、
／／´ ｀ヾ:
j.:/
{:{ _,.,
,. -:`: :":￣:ﾞﾞ: :'':‐- :'": :|
／: : /: : : : : : : : : : : ; : : : :｢￣二: :_‐.､
, ': : : :/:.／: : : : :,: : :.ｨ::!: : : : j: : : :｀ヽ、｀`丶、
,': : : :./, ':::; : : : :./: :, ':|::!: : : : ;{: : . . ､ ｀ 、
i: : .:: :,!':::::/: : : ;/: ; '::::::!l: : ; : :ハ: : : : :､: : .ヽ
!: : :::/::::::/: : :7ﾌア'‐::::::l!: /: :.,'_;;;j: l: : : ヾ::､: :ﾞ:
. |: ; /::::::;,': : :/_l/＿__::::::j.:/ : /::::::::i:.|: : :i: l`ヾ: :l
. ,!',/:;:イ,': :./!{Ｔ示干':::::;!/: :/ｨ夫ｫｷ|: : :l: :! ヾ}
/ｲj/:/_|:!: /::|::.!_ l｜::::/ｲ:./::l_ l | lﾊ{: : :{: :|
/ !: :ﾞ ' ||;/::ｌ:|:::ヽ-' .::::::::::!/:::::iｰ' :::!:l'|: : ﾊ:｜
. !: :: ﾞl'||:::: ｉ:|:: ￣ '′ ￣ ・l::l !: ,' ﾞ:,!
j: : : l::l :::: :i:ﾄ,､ ,， _,..ィ:.|. |/
/: : :/::;ｌ ::: : iﾍ::...｀ ー､-‐ｧ:'/ l::::: :| 「エル。
/: : ;!:.:.:l: :: : :i |.;. iー､/_ |:: : :| 次はどこに行くの？」
┌─────────┐..ヽ::::ヽ ヽ|: : :.|
│ 盗賊：コナタ ...│ i:::::::i i|: ::.|
└─────────┘
-
予１０．
―――――――――――――――――――
また、始める前にひとつ誓います。
私はただ事実のみをなぞらえると。
決して誇張でも冗談でもない、
本当にあったことだけをお伝えする、と。
―――――――――――――――――――
. /＼＿＿_／ヽ
. ／ ''''' ＼
| ､（ ●） ....::::::::::::::::|
､_, )ヽ､,, ....::::::.::::.|. 「見せてもらいましょう。
|＝‐､' ........:::::::::.|. 英雄の力というものを」
. ＼:,..-''ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ.V
,,....--'''':::.. .. ﾞ-､
::::: ::. i ヽ i
::::: |:::: |:::. i |
::::: |:::::. .(::::: :|｜
┌────────────┐
│ 盗賊：ダディ＝クール .│
└────────────┘
＿＿,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,.､､､.---------―一―￢'
. ,,,,,,,,,,,,.､､､---------―――ｰ'''''''''''''''''''''''"ﾞﾞﾞﾞ"ﾞﾞﾞﾞ￣￣
＿＿_
, 〆;;;;;;;;;;;;;;;;;;;｀;;,,,、
／/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;＼
/ :/;;;;; 〆~＾~＾~＾~＾~＾ ' ヾ､
/ :/;;;〆 ; l!'
/ :/;;;/ l ! l! l l ', l!
,' ｲN;! !_l! |! i l! l! l |!l
,. 从ﾚ |!_l! l!l !: /,/__/ l! l !
, ﾙﾘ lヽ. ﾄソ`i l! ! / /__//l ｲ!
:l! 《_l!__! ヽ ゝ , ﾍソ/./ /l!
| ／; ; ;:;:| ﾄ.ゝ _ .ｲ/ //|l!
. ／; ; ; ; ; ;ﾍ ﾍ＞ ._ ＜=./ // l!! 「お爺さま。
/; ; ; ;;: ; ; ; ;:;ヽ∨弋 乂1;:;/ノ/ヽ.j:| 馬鹿な夢だと笑われるかも知れませんが、
/; ; ; ;:;:; ; ;:;: ; ; そﾍ 辷1 .》;:;:;:/;:; ;1:| 私は騎手になりたいのです」
〈; ;:;:; :;:;i;: ; ;:;:;: ; ; 弋,､,､,,ソ; ;ヽ;:/; /!.|
ヽ;:;:;:;:;f=-,..､;:;:;: ; ノ; ; ;丱; ; ;.;l!; /;:l |
下从ﾞ┌───────────────┐
| |く...│ 騎手志望：水銀燈＝Ｇ＝アカギ......|
└───────────────┘
-
予１１．
―――――――――――――――――――――――――――――――――
歪めた表現も大げさな言葉もいりません。
それは彼らに失礼なことですし―――なにより、その必要がないのです。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
/| .Ｎ ' ,_≦＜⌒
| ∨ ＃ ,､ ,､ ､ヾ-ﾍ> ､-ミヽ
／｀ ,.ｨ , / ﾊ !ヾ|ﾊ.V, ,ﾄ,ﾊ-ヽイ
/'ﾌ／/∧,ｨ ./.|/ ,､ﾘ小|,ﾄ,:|:ﾘ､:ヽ|:＜
И .ﾚ ' .|//ﾉ /jｨ::ﾊ::!:::ﾘ;ﾒ「ﾊ:}'ヾ､Y
弋ｰ__,､ | ,//|'/|/:ﾑ!/‐|l::::|ﾘｨｔﾁ''Vﾘ
ヽ-≧:::Ⅵ.代!ﾊ:|;::/,ﾑｔﾁ Ⅳヾ￣ .ﾄヾ 「悪いがこんなトコでくたばってらんねーのよ。
. ｀Ｔ:|;::::ﾊ|:_'ヽ､Ⅳ￣´ _,〉 .|
. ヽﾄ､ｌ:::「:トヾ､` ┃ __,, .iｧﾌ. ガキの頃の口約束なんぞ信じて、
厶イゞｲ≧ヽ # ' ﾆ´ /./:!. 俺の帰りを待っているヤツがいっからよ」
'´ ﾚﾍ;ｰヘ ,,_＿＿__,,//:::::ゝ _ -､
ハ|;V: : : : : : : /./:::::／7才 ヽ,,_ _
／ｲ:::ﾚ:ﾍ : : : : 'ーｧﾌ::::/ｲ ／｀ー-ミ、
/ /_::::::::::::ﾊ j |:::;ｲ , ′ ｀丶、
ム-- ミ丶::::「' :. //:/ , ′ ヽ
‐- ..,,_ ﾉ:::ヽV|__,,,､ ｨ7.┌─────────────┐
. ~゛'' ‐- ..,,_::::::ﾊ.'| ｀ / │ サムライ：銀時＝坂田 ......│
::::: ~゛'' ‐- ..,,_ﾞ└─────────────┘
~゛'' ‐- ..,,_.. ,::::| ＃ .ﾊ
＿ _... .._. ~゛'' ‐- ..,,_ ﾊ
／ .ヽ__ ｀ヽ ,. _ ~゛'' ‐- ..,,_
, ' / ,イ//,! ;' .'",.イ⌒`
/ ! .／///// ! ｀ｰ- ｧ
,ィ/ l /////ｨ∧ｰ.! / ./ / ､-‐ '"
／-/ l ┌──────────┐
/l .l . │ ？？？：？？？ ....│
'"l .ｌi/.└──────────┘
| .!! .ｌ'/＝==-､.!_, ､ ｲ .／
| l.| ﾘ二二ニﾆ/.イ,／
| .l | |ニニﾆﾆ='ﾑ 「イエス、マスター」
| .l | |二ニｲ二二ﾑ
| .l | |ニﾆ'ニニニﾆｉ:、
| .l | |ニ,'二二二ニ{: :,
| .l | |ﾆ,ニニニニニ',: :,
| .l | |=!二二二ニ,ｲﾘ: :}
| .l | |_l二二二／ﾆ/; :ﾉ
――――――――――――――――――――
―――さて、準備はよろしいでしょうか。
―――――――――――――――――――――
-
予１２．
始めるとしましょう。
永遠に伝えられるべき、「彼」の物語を―――
┏┓ ┏┓
┗╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋┛
┏╋──────────────────────╋┓
┃｜ 〜 やらない夫は約束を守るようです 〜. ｜┃
┗╋──────────────────────╋┛
┏╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋┓
┗┛ ┗┛
.
-
以上で本日のリメイクこねこねタイム終了です
閲覧合いの手ありがとうございました(´･ω･`)
次回本編は制作進行中です。
-
乙乙
前の話も素敵だったけど、リメイクもいいなー
-
おつ
本編が待ち遠しい
-
乙ー
やる夫が魔法使いだったのが意外ｗ
-
乙でした
懐かしいやり取りだったなー
-
>>478
ここの そのときにしっかりえたいと思う。 は
得たいなのか、応えたいの脱字なのか判断つかないなぁ
-
乙
服着よう
-
>>501
(´･ω･`)！？
>>478
「そのときにしっかり伝えたいと思う」ですね
大事なとこで脱字とかしょぼーん
-
伝えたい でしたか読解力ないな
-
乙です
本編も楽しみ
>>344で紹介されてるルイズとの出会いで、ルイズが追われている理由とか、
その後ルイズが仲間になるまでの話は描かれたないのかな
-
とにかく本編優先ですからね
復興記がもう少しで終わるので
その後ちょこちょこと何かを挟むかも知れないし
挟まないかも知れません(´･ω･`)
-
復興期も楽しみ！
本編も楽しみ！
リメイクも楽しみ！
はー、どれが来ても不満が無いって良いことだな・・・！
-
マスターと言ってるのは剣の人格かな？
-
乙―
-
面白かったぁ
セイバーもいつか出るのかな
-
乙
-
乙
本編も期待
-
乙
勇者も大変だな
-
おつでした
＞周囲の声も耳に入らない。
ルイズかわいそう…いやかわいそうでもないのかもしれないけど
入ってた方がよかったようなよくなかったような
-
ラノベラブコメ主人公補正の一つ、都合よく聞こえなくなる突発性難聴
-
今までちらちらとでてきた銀時とか、未登場のダディとかのコマで、ちょっと鳥肌がたった。
ワクワク感が倍増しますな。
-
乙です
>>433のロレンスが思ったことを口に出してたらどうなったろう
-
乙乙
-
乙でした
-
乙
予告は色々人物増えててワクワクすっぞ！
リメイクはルイズかわいい！この一言に全てが集約されるぜ
-
乙でした。
>>360はグラブルのモブかな？こんなものまでAAがあるとは
-
>>510
セイバーが出るような情報あったか？
ちょっと記憶にないのだが・・・
-
乙でした
新旧見比べると本当に丁寧に作られてるんだなーってよくわかるわ
見やすいしテンポも変わってる感じ？
このクオリティでエピ1がリメイクされるのかと思うとふるえてくる
>>522
旧予告で剣聖の称号うんたらででてるだけ
顔見せしたら登場するならダイとWAのロディも候補になるわけで
-
へー、剣聖ってラオウにボコられたヤツ以外にもいたのか
-
復興記終わってしまうんか
寂しくなるなぁ
-
まあ大体の障害乗り越えて軌道に乗れば後は平穏惰性になるしな（ならないと亡村の危機）
かと言ってぽっぽにいつまでもしぶとく狙われるのもアレだし
-
作業ペースがまったり進行だし本編だけに注力できるのはいいことかもね
-
元作者からすれば就職してたり結婚してたらまったり進行もすげぇきついはず
-
村から都市そして国になるとかそんな話でもないからね。
-
発展編があるかもしれんよね
-
いっ、いつのまにぃ！？んああああああつづきがよみたいよぉぉぉ！！！
-
乙
誰より強くて、物を知っているやらない夫が大切なものを失ってばかりというのが何とも皮肉だ
できる夫との縁とかそれ以上に得たものも多いんだろうけど
僕が一番欲しかったもの。って言う歌を思い出すな
-
バルベニー美味しいなあ
酒飲みの国いいなあ
-
なんだかんだでやる夫の登場が楽しみ
どっちが主役の話にしてもやるやらのコンビは一番落ち着く
-
まったく出てないのはやる夫と？？？ぐらいかな
-
フェイトは結局どうなるんだろう？
-
今日はカネマラ呑んできた
アイリッシュも良い物だ
出てこないかなぁ
-
カネマラはｱｲﾘｯｼｭなのになんでﾋﾟｰﾃｨなのか
-
あけおめー、ことよろー
-
今年も楽しみにしてるっす！
-
あけましておはようございます
帰省戻りから即仕事は絶望スケジュール(´･ω･`)
-
ショボンさん…強く生きて下さい
-
あけましておめでたくなさそう
それただのイジメじゃないか
-
長期にやすんでから出社したときの1日目は大体死ねるよな。
-
大体の人はそうだし頑張ろ…
押し付けられた大量の豆餅がなんかしょっぱいぜ…
-
ｺｿ. |ω・`）
-
！
-
！！
-
！！！
-
！！！！
-
！！！！！
-
！！！！！？
-
なんだ、スレ主ではないようだ、紛らわしい・・・
-
酉も付いとらんのだから一目瞭然だと思ふのだが
-
>>554
悔しい、それでも期待しちゃった、ビクンビクン
-
ショボさん用事がないとこないタイプみたいですし
-
ようやくオンリーとかまとめ系も追いついたみたい
-
最盛期の作者もまとめ管もいい年齢になってしまって
余暇不足によるスローダウンが著しい
-
リアル事情やらで大多数はエタってく中でこれだけ長く続けてるだけですごいと思うわ
俺もアラサーと呼ばれる年齢になってしまった
-
金銭の発生するプロと呼ばれる物書きでも普通にあるからねえ。
打ち切りとか投げて放置とかさ。
-
ほんとだよなー、年食っても楽しみにできて楽しく読めるのがほんとうれしい
-
>>560
田中芳樹とか斉藤大輔の事かあ〜？
-
>>562
双方ともにやる夫スレにかかせない名きゃらを輩出してるよね
-
グインサーガ・・・(:_;)ﾌﾞﾜ
-
>>562
斉藤大輔？
誰？
-
>>564
向こうに行っての楽しみにしようぜ
-
>>565
佐藤大輔だよな
>>564
残念だよなあ
-
漫画版皇国の守護者は許さんぞ。小説版は許そう
-
エロゲデブが漫画版皇国の出来に嫉妬して潰させたってマジ？
-
>>568
小説版って確かエタってるよね
-
漫画版は佐藤がネームを出さないから勝手に進めたらキレた。漫画版が余りにもウケたから嫉妬してネームを出さなかった説など色々ある。
小説はエターしたけどきりがいい
あとは新城が近衛総軍率いて帝国と講和するだけだし
-
ショボンさんみたいに続き投下してくれる作者さんは貴重だな。
-
嫁に隠れて書きためとか怖い
-
冨樫>よい作品を描けば、読者はいつまでも待ってくれるぞ
-
HUNTER×HUNTERとベルセルクの続きまだかなぁ
-
sage忘れた… すまんな
-
ＨＵＮＴＥＲＶＳベルセルク と読み間違えたw
-
ＨＵＮＴＥＲＶＳベルセルク
と読み間違えたw
-
ごめん 寝ぼけて連続投稿した。
-
オンリーさんがまとめ再開してたから読み直してきたけどやっぱ面白いぜ
最終的なやらない夫一行の面子がどうなるのかが凄い楽しみ
-
>>580
四人なら、すえぞう・流石兄弟・マサキをリクエストw
-
最終的にやる夫系列のメンバーだけになりそうな悪寒が…
-
できる夫もそうだしみんな別のストーリーあるだろう
-
実力的にもキャスターは入るんじゃないかなぁ
-
やる夫の出番まだかなぁ
予告には出てて魔法使いっぽいけど
-
やる夫は次章の登場やで
-
そんなこと言ってたっけ？
-
フェイトさんが私の出番まだかなあとか言って
やる夫さんがやる夫と同じ五章だおとか答えてた
-
やる夫は魔王ポジ
-
やる夫は月とかラオウと同じ位の超越者の可能性が…？
そういえばできない子もかなり強そうだったな〜
-
やる夫はジュンぐらいのレベルぐらいがええなぁ
-
ジュンのレベルでも相当な強者だけどねえ
あまり目立たないが何気にない夫の仲間は平均的に強い人多い
-
一応ジュンは短期間で近衛になるレベルだからな。
またやらない夫はキル夫パーティーで旅してほしいわ
-
パーティーじゃなくてもキル夫回は読んでて楽しいから好き
-
そういやダディさん４話４章で町人たちがない夫さんたちの護衛候補として名前だけ出されてたけど
予告的には職業盗賊なのかぁ
４話の序章の詩人さんの語りの中にはいなかった気がするけど、４話で絡んでくるんだろうか
-
ドラクエ4じゃないけど縁のある今までのエピソードのメンツでＰＴ組んでほしいのは確かだ。
でも英雄といられるのは英雄だけらしいから東西南北中央英雄のドリームチームだろう。
ああ敵対した側にはナイトメアだな。
普段はロードス島戦記ぐらいのクエストをロードス島伝説の六英雄でクリアするみたいな世にも珍しい過剰戦力（プレイヤーサイド）で旅してるんじゃないかな。
-
寝て起きて仕事してご飯食べて寝てをやってると
あっという間に一月二月が過ぎていく今日この頃皆様いかがお過ごしでしょうか
(´･ω･`)
-
三か月くらいはあっとゆーまですよね
-
そして１世紀２世紀もあっという間に
-
ショボンさんだ！
あっという間に3月ですが体には気をつけてね
-
岩の中に引きこもってたら、いつの間にか外がすごいことになっていた（神並感
-
>>601
＊いわのなかにいる＊
-
FGOのイベントやってとうらぶのイベントやって
艦これのイベントやってモンストのイベントやってたら
３ヵ月があっというまでしたまる
-
下げ忘れましたごめんなさい
-
ageたあとにsageをしても無意味
-
謝る事は大事だし意味あるよ
-
まぁベッキーの不倫が最近の事のように思えるし
-
5年以内は最近
-
4月だなぁ
-
俺たちの4月はまだ始まったばかりだ！
・
・
・
とりあえず、最初から読み直して今3章にはいる所
-
あたたたくなってきたなぁ
-
ショボンさんもそろそろ冬眠から眼を醒ますやろか？
-
ショボンさんは仕事大魔王と闘ってるんだよきっと
-
あれ？仕事大魔王ってさっきまで俺と戦ってた気がするんだが？
-
つまりこれが無限月読！？
-
それは幸せな幻想では無いのですが？
-
忘却こそがただひとつの救い
-
彼だけにはそれが許される
-
すべてのしがらみを忘れて捨て去り新たな天地に立つことができるならどれほど楽だろうか
-
最近は、アニメの原作見ると小説が多くて、その小説もウェブサイトからってのも多いんだよな・・・
もっとも作者の引き出しが多くなきゃだろうけど。
-
〆(･ω･`)ｶﾘｶﾘ
次回書きため 3/20
-
無理せずに〜
お待ちしてますね
-
(´･ω･`)おほー
-
次の瞬間《倍速》が発動する
ゆっくり待ってるよん！
-
ヒャッハー！！ショボンさんだー!!
-
わーい！
-
おおっ
-
おほー!!!!
-
>>620
なろう小説のランキング読んだけど、おんなじパターンばっかりだった。
栗本薫や佐藤大輔みたいなオリジナリティ溢れるもんがみたいなあ
-
……なんか前こんな流れ見たような……
書き留め率からGW投下かと思いきやGW前投下とか
-
〆(･ω･`)ｶﾘｶﾘ
書きため 10/20
-
ふぁ！？
-
これは今月中に投下くるぞ！ みんな衝撃に備えるんだ！
-
くるの！？ きちゃうの！？ 書き溜め５０％！！！
全裸正座待機始めなきゃ
-
加速しとる
-
ショボさんは書き溜めのペースが一定じゃなくて
一度始まったら加速するからなあ
-
土曜日が休出なので今月中は厳しそうですね(´･ω･`)
GW中のどこかじゃないでしょうか・・・
-
だからショボさん、あなた一体何者ですかww
-
GWはソロキャンプ予定なんでテントの中でゆったり読めるの楽しみにしてます
-
GWがさらに楽しみに!!
ありがとうございます!!
-
キャンプいいですね
どんどんアウトドア系の趣味の時間もなくなっていく(´･ω･`)
年末は車に乗らなさすぎてバッテリーが上がるという始末でした
-
もうショボさんが定年退職するのを待つ所存です
問題は寿命が＠３０年持つかなんだよなぁ
-
（それまでやる夫系スレは生きているのだろうか・・・）
-
ブラックすぎるよぉ…
-
大学生のときからもう5年以上もファンです。
いつまでも待ちます！体に気をつけてください！
-
さて今のうちに読み返してくるかね
8度目位になるけどw
-
ＧＷの楽しみが増えた！？
-
sageの場所まちがっとるで
-
〆(･ω･`)ｶｷｶｷ
進捗：18/21
疲れたので今日はもう終わり(´･ω･`)
-
ショボさぁん！
-
お疲れ様です
そろそろ裸待機するか…
-
相変わらず早ァい！
-
今夜ゲリラされても驚かないスピードだぜ
-
お疲れ様です！
-
明日からボランティアで熊本へ
作業の休憩がてら更新を待ってますぞ
-
明日と金曜も仕事なので早くて土曜、遅くて日曜投下ですかね(´･ω･`)
-
よし脱いだ
-
気長に、しかし楽しみに待ってます
-
GWだぞ休めよ！
-
(´･ω･)っ【次回 4-4-2(枚数不明） 5/5（金） 20：00〜 投下予定】
ﾍﾟﾀﾘｺ
(´･ω･`)仕事の帰りが遅かったら開始が後ろにずれます
-
明日働いてるだと・・・・乙です。
-
(´･ω･`)おっほおおおおおおおお！
-
なろうの痛い文章ばかり読んでいるとショボンさんの単語選択に惚れ惚れするよ
-
>>663
そういう他のを貶める発言ってやめたほうがいいよ
-
>>663
じゃあ俺のはどうかな？
ってやつも出てきそうだしw
とにかく流石兄弟の活躍に期待しようじゃないか！
-
>>663
他者を貶めての比較には何の意味もないどころか
褒めたつもりが貶めてるだけにもなるんだぜ？
-
なろう作者顔真っ赤やん
-
やらない夫になろう（英雄になってモテモテだぞ（棒）
-
なろう作者がやる夫スレに来ることもあるし対立軸を作るのは意味ないんだよなあ
-
俺も明日仕事だけど、帰宅後の楽しみができたわ
期待してます！
-
もうしょぼさんの代わりに働いてあげたくなるわ・・・
無理だけはすんなよ！でも楽しみにしてるよ！
-
わーい！！
-
120枚弱ですかね
多分推敲も終わると思います(´･ω･`)
明日の投下時間にお会いしましょう
-
ｨﾔｯﾎｫｫｩ！
-
楽しみです
-
クロスアウッ！！！
-
わーい
-
M E D I A I N S T A L L
投下準備中です。
スレを開きつつそのままお待ちください。
δ (`･ω･´)―(`･ω･´)―(`･ω･´)―(´･ω･`)―(´･ω･`)―(´･ω･`)―(´･ω･`) δ
残り時間 60分
♪
∧,,∧ ノ
( ´・ω･),.,,.
/つ-o ,;'"'ﾞ';,
￣￣￣ヽ、 ノ￣＼
┴
ＮＯＷ ＬＯＡＤＩＮＧ…
○中止
【本日の予定】
Episode.IV 四章その２（119枚） 20：00〜22：00前後
【連投予報】
たぶんなし
-
！！
-
ええな
-
そわそわ
-
たぶんなしｗ
-
全裸待機だー
-
ネクタイは忘れんなよ！
-
よっしゃ待機だ
-
よし来た
-
楽しみだー！
-
わくわく
-
おｋ、脱いだ
-
M E D I A I N S T A L L
投下準備が完了しました。
δ (`･ω･´)―(`･ω･´)―(`･ω･´)―(`･ω･´)―(`･ω･´)―(`･ω･´)―(`･ω･´) δ
：∧,,∧：
：(／ﾖﾐヽ)：
─ （,ﾉ─ヽﾉ￣＼
―o ヽ、,.フ
┴
→CONTINUE
【本日の予定】
Episode.IV 四章その２（119枚） 20：00〜22：00前後
【連投予報】
たぶんなし
-
８８．
━━━━━━━━━━━…
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
――――――――――――――――――――――――――――――――
シモン、と名乗った工房の使いに導かれて街路を行くと。
噂が噂を呼び、数分もしない間に
世にも珍しい闇天馬を見ようとする見物人で人垣ができあがっていた。
――――――――――――――――――――――――――――――――
f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ
| ………お母さん見て！！ |
| あのお馬さん、翼が生えてるよ！！？ .＞
乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ
f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ
| あらほんと。 |
| きっと噂のペガサスさんね。 |
乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ
/ﾊr‐ ､ ／/}
|{;,/`ャ=く#/ﾉ
/:/从ﾑﾆ=ﾐ:く
|/从/:.:.:.:.:::::.:.:乂
从:{/:.:.:.:..:.:.:.:.:ﾒ.:.:.〉
|{|片rぅ､:.:.:.:..:.:.:.::.:{
从:.:ﾄ{:.:.:.:.:.:.:.:.:.`､:.:|
/} }:.刈:.:.―ヽ.:.:.:.ぃ.:
. Ⅵﾄﾐ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.}j:.:.:.､
V込_ﾒ.:.:.:.::::;:.:.:.:.:.:.:i
∧:.:Y⌒辷={{_::::}〉:.|〉
八}:.:.ゝ-く:.:入:.:.:.:_从 {………騒がしいな、ここは}
/ ∧:{ j〉|::::::个ｰ=く ＼
. / / ∧Y:.| |:.:.:.:.::::::::::::} ＼
-
ｷﾀｰ
一気に食べるのｲｸﾅｲ
-
８９．
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
注目の的になっているのはやはりメイメイであったが
その騎手である水銀燈も興味の対象となっており、
比率はメイメイが六、水銀燈が三、やらない夫とクリムゾンで一と言ったところ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ
| うおおぉぉ…かっけぇぇぇ…！ |
| 赤目の漆黒とか最高だろ、最高すぎるだろ！？ ＞
乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ
f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ. f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ
＜ 乳でけぇ！はさみてぇ！！ .|. | また連れてる女がいい女だなぁ、おい？ ＞
乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ 乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ
f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ
＜ むしろ挟まれたい！！ ｜
乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ
/
/ヾ/
／.:.:.:.:::::::::::::::弋辷ソ::::.｀`ヽ. /ヾ/
,.ｲ.:::::::, ． "´ ￣￣ ￣｀`ヽ::.＼ ／
//:.:::,r'´ `ヽ＼ /ヾ／ヾ／
,. イハ:〈 , ', ｀`＼
く ./l1 |::|:i .i l:. l .:.:.::::.:.ヽ
V .:l1 |::|:|l:. .::|i .:.:l.::i .:l .::i.:::!:::| |:|
/. lレ'ノ.:|l.:. .:|| .:.:|:::|:.:. .:.::!.:.:.:ｲ.:::!::::!:::l |:|
. /.::! !1 i |l.:.:.:::l:| .:.:l.::|::.:.:. .:.::/.:.:/.:!.:::!.:::!:::l l::!
/.:.:.:| |::| i ﾄ､_.:_|:ﾄ､.:ﾄ､ﾄ､::.:.:.::::/l::./_/:.:/:::/::/ ﾘ
. / .:.:..:| |::| i | ＼仁lﾆ=心ﾊ.:.::/ｨイ l/｀/.::/.:/ ′
/ .:.:.:| |::| i | 弋_辷'フ` ';/ ィﾁ斗l/.::/イ
. / .:.:.:.::! |_| i | ￣ ￣ !:／ .l
. :.:.:.::! | l l , ,:::| i
. :.:.:.:.! | l |＼ _ .._′ /.l::| i
li.:.:.:.:.! | l l::::.:.ヽ､ ´ ..イ.::::l::| | （煩いわねぇ………！）
li.:.:.:.:.! | l l::::::厂 ￣|ー- ＜::::::l::::.:l::| |
li.:.:.:.:.! | l l::ノ.:.:::::::ノ.:Ⅹ:＼|::::::l:::.:.l::| |
＿ノ￣l .:.:| l l.::::::::／.::::::八:::::::|::::::!::::::!:| |
-
９０．
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
野次馬が不用意に近づいてきたりはしないため、黙ってついてきてはいるものの、
これほど大勢を見たり注目を集めたことのないメイメイはやはり落ち着かない様子で、
耳をせわしなく動かしてはいつでも飛び上がれるように翼を緊張させている。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ
| あっちの背の高いのは護衛か。 ＞
乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ
f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ
| なにあれ。 |
| 装備やべぇんですけど？ ＞
乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ
＿＿＿
∠,,,,,,,, ,,,,,,,ヽ
|:::::::::::,＠,:::::::::| /ﾍ:r=､:ヾ､ ♪
|~~~~'|人|'~~~|... /////iｭﾉﾊ
. （○. | |. /r//ゝ,!ヾ//∧
. ＼＼ ,,... │ |,- ///ﾍ!´=､}///∧
＼＼／／..__、ヽ /jﾞ/ｲ//ゝ ! }ｿ/´ ヾゝ
／ .@"...、|r‐ﾋ‐ｸii,,_、 ┤! / ｌ....../ / ｀ヾ=,
< ／ﾞ〈llｨ'´＼＼ ＼ .''q￣.´.,ﾉ'/ ｌ... ! !..ｌ ＼ ! ﾋﾟｼｯ
i′｀-ﾞ＼ヽo.＼ `ぐ㍉;;'ﾞ_/ l |.."...ｌ ﾞ;/ ﾋﾟｼｯ
│., ＼ヽ ﾍ .＼ ! l． l.′ |
. ,i ＼ヽムヽ ヽ ! ..ｌ. l /
,yハ、 ;;;; ＼ヾ i ＼ .ヽ, | .ｌ ﾘ
,,i' ヽ, .´`ー.､.;;;;/, ＼ヽスヽ、、 ｀ ! !､ .!
|、 ｀'､ .;;;;┤ ＼ヽ)｀ヽ.ﾞ､ ｌ .ｌ
l｀-.、 ﾞﾆ;;;;;;;;ﾉ ＼ ソヽ､ !､ ヽ
ヽ、 .""ｰ ;;;;;;l′. .＼'くゝヽ'､、 ヽ
》ゝ─‐ ｲ;;;:;;./;; . ＼マ ､ヽ、 ヽ
―――――――――――――――――――――――――
対照的に、やらない夫の肩のクリムゾンは
物珍しそうにあちこちを眺めては
尻尾を振り回してピシピシと金属音を響かせていた。
―――――――――――――――――――――――――
-
９１．
_ -─ ─- ,- ､
rメ´── ､::::::::::::::｀ヽ ＼
〆 ／ ｀ヽ;:::::::::::＼ ヽ
// / / / ＼::::::::::ｌ ',
,イｲ | メ、 ｌ ,イ l }＿::_} !
_, -ｰ' /ﾙ| ｌ ｧ=ﾐ､! // | /! //｀ｌ|ヾ》 i
/／￣ {| | l ﾄ､ﾋｿ | /二Zナ | ヾﾆｿﾍヽ ! 「なんの音かと思ったら、
､__}ﾊヽゝ , ｀´ r'::ﾝヽ}／ }| | ヾ＼ i 肩当てに尻尾が当たった音なのね」
｀ヽ:::| ∧ ､ _ ｀´ ／ /| | ｀ヽﾆゝ
＜￣:::| |＼｀__ ,ィ// ハ| | l ',
-=ﾆ´::::::| ｌ^｀}ノ}ハﾞ7/ /!_ﾉ}/l__ ,ィヽ ヽ
／ｨ／:ｌ |::/､/ｌ| ∨ /￣｀ヽ::::::∠ __＼＼
/::::::::ｌ !{／ .ト=/ /::::::::::::::::l:::::::::::＜__ヽ ヽ
ヽ:::::::| ハｰr'ﾞY/／:::::::::::::::::::}:::::::::::::::::＜ ! ＼
ノ 〉:::| /::::￣｀／:::::／:::::::::::::/::::::::::::::::::::::::＼ ヽ
/ /::::::{ﾊ::::::::::/::::／::::::::/::::::::{::::::::::: ト､:::::､ｰ-ゝ ',
/ /:::::::::::∧:::::::ヽ/_/:::／::::::::::::〉､::ﾄ､! | ＼::〉 ｌ
/ r'::::-::､:/ {:::::::/´::::｀ヽ:／￣:｢､ ﾚ' ! ハ ! !
,'＿ﾉ_::::__::/ ノ:／::::::::::／::::::::::::::| }/| ,' / ｌ | ｌ
ｌゞ/／＼〈／／:::､__:／:::::::::::::::::::ﾉ | /! / l ﾊ /
／￣￣ ＼
／ __,ノ ｀⌒
| ( ●) (●）
| （___人__）
|. ` ⌒´ﾉ
| | 「クリムゾンも町は初めてだからな。
iヽ | 物珍しいんだろう」
}:::.`＞ ｰ-´-くヽ- 、___、
_/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ７¨:.ヽ
__／.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/.::::::::::＼
,.-<:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::∧
r´.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/.:::ヽ
}:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/.:::::::::::::::::::＼
f:::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i: /.::::::::::::::::::::::::::::ヽ
/.:::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::V::::::::::::::::::::::::::::::::::::.＼
/.:::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::rヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
―――――――――――――――――――――――――――――――――
いまもなお人は増え続けており
この人数が遠巻きに眺めてざわつく様子はあまり見られるものではなく、
これで声援があったら英雄の凱旋か
王族の御料馬車が通りがかったかと勘違いするものも出ただろう。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
-
そりゃ見に行くよなｗ
-
９２．
―――――――――――――――――――――――
―――なのに、やらない夫が注目を受けることに
慣れているかのように平然としているのも
水銀燈にとっては意外だった。
―――――――――――――――――――――――
f´￣￣￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ
| すっげーーー！！ |
乂＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ
f´￣￣￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ
| かっけぇぇぇぇ！！ |
乂＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ
／￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
＜ 普通の馬より二回りはでかいな………
＼＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
／＞－'⌒ー'⌒ー'⌒ー'⌒ｰ-､＼
／ ｘ‐^=^=^＝＾＝＾＝^＝^=^ｰｘ ＼
〆 ＼ハ
| | | | l ヽ 、ﾊ
| |｜ | | | | ｌ l
l | l｜ ﾉｲ | | | ﾄ､二丶
| | l｜ |ｌ |ｌ ﾊ | | |＼｝ |
| 斗－┼ ､ |l 斗－/ } | ; |｜ヽ＼
＼l_,x≦三メ、 |l /厶≧xj_ﾉ / |└‐' _丿
代¨丁 ｌ ヽ＼ ｊl ／イ ｌ 厂}｢ｲ |`TＴ´
｜ `ｰ‐' ヽ／ `ー' / /| | |
＼ l / ／ ｌ | | 「地元じゃ団長達以外、
l＼ ' ／/´ / , ! ^ これほどじゃないのだけど………」
ｌ ｌ、 _,..、,,.. ｲ 〃 厶 -―＜
ｌ｜ ト イ ′〃 /.::.::.::.::.::.::.::..｀ ､
::l l | |::.::.::＞ ＿ ＜::.::.:|┤〃 /.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.: .＼
::.:l l |ｰﾍ ::.::.::.::／〔_〕二 ヽ | ″/＼::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.:: .＼
::.::l |》 ＼／イ ハヽ_ノ丿! /l::.::...＼::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.:.ヽ
::.::.ハ |》 〈 〈ノ /| ｀TＴ | /《|::.::.::.::..＼::.::.::.::.::.::.::.::.::./.::.::.:〉
.::/.:: }ﾉ》 ー ｲ | |弋 l/ 《|::.::.::.::.::.:..＼::.::.::.::.::.::./.::.::.:/
/.::.::.::.:|》 ＿∠.ノ⌒Y⌒ヽr―‐v'ﾞ´￣〉.::.::.::.ヽー― '.::.::.:/
::.::.::.::く￣`〈 ヽ | l| ｜ /.::.::.::.::.::.:.ﾞ, ::.::.::.::.::厶
::.::.::.::.ﾄ ヽ ___ ′ 〈::.::.::.::.::.::.::.:ｌ::.::.::.::./小＼
::.::.::.::.| ｊイ仁ミ┐ |::.::.::.::.::.::.::.ト-::.::.:{ { |ヽノ
::.::.::.::..＼ <{弋ヾｲﾉ> 〉::.::.::.::.::.::.:|::.::.::.::.ﾄ-ハ l
―――――――――――――――――――――――――――――
ともあれ、今はその疑念よりも
メイメイの緊張を解す方が先、と首もとを撫でてやった彼女は
きゃっきゃと騒ぎながらついてくる子供達や
こちらを指さしては囁き合っている冒険者風の集団を見回して
やれやれと息をつく。
―――――――――――――――――――――――――――――
-
９３．
. ／: : : :／ ﾉ ヽ ＼: : : : ヽ
/: : : :／ ／ ,-―‐-、 ＼ ＼: : : :',
/: : : /（ ／ ,イ : : : : : : ヽ、｀ヽ､＿ﾊ: : : ::',
／: : : :/ 二二_ィ´/: ;ｨ : : : : : : /｀ｰ┬---､ゝ: : :',
∠: : : :／レ: : : ::／￣l／/: : ／j::/￣￣|: : : : ::ヽ: : ::',
/::／: :/: : : : :/ ,--- /::／ ,リ ,--- j∧: : : : :l: : : ',
" |: : /: : : : :/ ,/ /イ / ヽ ',:: :: ::|: : ﾄヽ
. |: : l: :／ヽ| { O j l ０ } }: /ヽl: ::j ゛
l: : l: l ´てｌ ヽ、＿_ノ ヽ ＿_ ノ ,!/く ｝:/
|: ∧{ ヽ l { /ノ ﾉ/ 「姉ちゃん達はグレイランドから来たって言うけど、
ﾚ' V＼. ', ､＿＿＿＿, / ／/. 父ちゃんと知り合いなのかい？」
Vﾊ＼ ノ＜＿＿/７
／ ヽ ＼ ／/V / /
ﾍ V ｀iヽ、＿＿ イヽ | / /
ﾍ | ｜ / /
＼ ﾉ | / /
＿＿_
, 〆;;;;;;;;;;;;;;;;;;;｀;;,,,、
／/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;＼
/ :/;;;;; 〆~＾~＾~＾~＾~＾ ' ヾ､
/ :/;;;〆 ; l!'
/ :/;;;/ l ! l! l l ', l!
,' ｲN;! !_l! |! i l! l! l |!l
,. 从ﾚ |!_l! l!l !: /,/__/ l! l !
, ﾙﾘ lヽ. ﾄソ`i l! ! / /__//l ｲ!
:l! 《_l!__! ヽ ゝ , ﾍソ/./ /l!
| ／; ; ;:;:| ﾄ.ゝ _ .ｲ/ //|l!
.／; ; ; ; ; ;ﾍ ﾍ＞ ._ ＜=./ // l!! 「私はまだ正規じゃないから実際に会ったことはないけれど、
/; ; ; ;;: ; ; ; ;:;ヽ∨弋 乂1;:;/ノ/ヽ.j:| 騎手騎士団専属装具師のジョーさんは聞いたことがあるわ。
/; ; ; ;:;:; ; ;:;: ; ; そﾍ 辷1 .》;:;:;:/;:; ;1:|
〈; ;:;:; :;:;i;: ; ;:;:;: ; ; 弋,､,､,,ソ; ;ヽ;:/; /!.| 先代のダヤッカさんはお元気？」
ヽ;:;:;:;:;f=-,..､;:;:;: ; ノ; ; ;丱; ; ;.;l!; /;:l |
下从丱;:;:;:ヽノ; ; ; く;ﾙ ; ;:; l;:/;ノl.ﾄ､
| |くﾙ; ; ; ﾍ; ; ; ; ; ハ;:; ; ;.|;:;| z弋
――――――――――――――――――――――――――――――――
声をかけるのを見計らっていたシモンが
両親と面識があるのなら元気にしているか聞きたいと尋ねてきたので、
まだ見習いだから、と首を振った水銀燈は
逆に先代の様子が気になったので尋ね返してみた。
――――――――――――――――――――――――――――――――
-
９４．
―――――――――――――――――――――――――
すると、やっぱり知らないんだ、と頬をかいた少年が
名工と呼ばれた祖父がすでに亡い事を告げるので、
鞍を作りに来たのは失敗だったかと目を丸くしてしまう。
―――――――――――――――――――――――――
／ ＼ヽ. ＿＿＿＿ ノ .:.:.:.ﾊ
/ ヽ､＿＿＿＿＿___.:.:.ﾊ
/ ﾑ {ヽ `:.､:＼
| |弋ﾊ__＼ :.:.:.:.:
| /∨ | ｲvﾊ-x 丶 :.:.:.:.:
'V ∨ ハﾊ│ヽ{ ヽ ＼ j :.:.:.:.:
＼{ }ヽ ',0 ', ヽ{ヽ ハ:.:.／
_lノ ヽ } ∨ j/:.:.:
く .:.:.:.:.:.. ｀ ｰ―彡 .:.:.:.:.:
ヽ , ' ￣￣
{__ u ／
「………実はさぁ、 （｀こ⌒) ／ ／.:
半年前に死んじゃったんだよね」.... ∧( ) ' ⌒ヽ ´ ／ .:./.:.:.:.:
{ （ ） .:.:.:', ／ .:.:./:.:.／:
ヽ_____ .:.xー┴'ー‐ .:.:.ｲ,.:.'.:.:.:
|>┬< | | | | l | ｜/| l| l| | ＼>┬<|
//|:||:ﾄヽ | |l /| | 八 /|/｜/ | /| | //|:||:ﾄ＼
|:|_|:||:|_ﾉ:| | 斗 {┼ ト廴ヽ ／/ 」厶 }/ｰ|､/| |:Ｌｌ:||:|_ﾉﾉ
7TTトイ l＼| ≫云ミ ≫云ミｋ ﾚ'亅 ｀7TTT
|::| |:| |ヽ l 《 ﾋﾘ ﾋﾘ 》 / / | |:| |:
|::| |:| | ＼ ＼ ー= =一 / / ｜|:| |:|
Ｌ| |」 ｌ ＼ ＼ ｉ / ／ |〈::| |::〉
く l |ト-ヽ ∠ イ l
ア 二二ｌ |:＼ r=====、 ／| ｌニー＜ 「ええええっ！？」
. / /.::.::.::.::.::l |::.::.|}>､ `ー―‐' イ 〈{| l::.::.::.::.＼＼
/ /.::.:::.:::.:::.:::ｌ |::.::.|}〉 ト ＜| 〈{| l::.:::.:::.:::.::.:.＼＼
. 7 /.::.:::.:::.:::.:::.:::.l |::.::.|}〉 |::.:/＞＜ｌ::.::.::./ 〈{| ｌ::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.ヽ
/ └- ＿ :::.:::.:::.ｌ |::.::.|}〉 ＼|:| |:|::.／ 〈{| ｌ::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::. 〉 ∨
r―――｀::.::|ｌ::.::ｌ |::.::.|}〉 rへｲ:|＿r|:|-、 〈{| ｌ::.::.::.::/|::.-=ニ二、 〉
|:::.:::.:::.:::.:::.::: |l::.::.:l|::.::〈├| ||::|｜|j::| ├厂ト/>{|/.:::.:::.::/ {:::.:::.:::.:::.／／
-
９５．
―――――――――――――――――――――――――――――
慌てたシモンは大丈夫だからと両手を振って訴えたものの、
上客になるはずの女性の気持ちを上向かせるにはいたらない。
―――――――――――――――――――――――――――――
/.:::/ ／ }:::::::::::::::::::::::::::::,、:＼ ＼:::::::::::::::::::::::::::::
,'.:::::|｀''´ ,ｨｒ´ﾍ:::::::|ヽ、:::::::| ＼::.Y'"'ヽヽ,:::::::::::::::::::::::
,'.::::::| ,ｨ''"´.:::| ＼::|,.､ ＼::::},∠..ヽ ..、 l:::::::::::::::::::::::
,'.:::::::|/.::::::::::::::ト､_＿_>! }ヽ',｀ヾi´ ヽ、!λ::::ﾊ:::ﾄ::::
,'./|::::::::::::::::::ｌ:::::|／´￣ヽ | O } '´ ∨ ｀' ﾍ
{' |::::::::::::::::::|ヽ:| Ｏ ', ｀、 / ヽ ,'
',:..ヽ:::::::::| { l ｀ ´ /.:
「でも大丈夫！ ',:::..＼:::ト、ヽ､ .r' _＿__ Ｊ r-イ. :
',::::lヽヾ ﾍ ｀ ,.. '´ ,イ ｀ヽ､ /／.: : :
今はアニキが工房長だから！ ',::| ヽ:::::{ ,∠ - '''´ } ／. : : : : :
じっちゃんからいろいろ教わってたから. 'l ＼ヽ i,イ ,...ﾉ／. : : : : : : :
天馬の鞍だってちゃんと作れるよ！」 ｀'｀ゝ､.__ゝ ー---─ '"´イ. : : : : : : : : :
ｉ:/ i:ｨ::ヽ | l i ! | ｉ i ｉ ! l ､ ヽ
l:l_/!:レ'::〉 / | .li l ! | | l | ! | | ﾊ
./:/ｉ ﾄｒ‐i´ .!‐トl､! l ! | | / | ! | | | |
::/ .ｌ |:| ! .l≡＞≧l＼ ｌ .// ﾚ// ./ .ﾊ.!
| |:| ヽ |ﾔ''{ fﾝ}ヾﾐ ∨/ム一〈/ / / l|
| |:| |ヾ､ `'~ ィtfｿ7／,}／ " ,ｨ
| ヾ | `~ / ／ｨ| ／/
.! i＼ __ ´ <"ｲ l」 ／.:::/. 「そうだと良いけどぉ………」
! .ﾄ､.,へ ‘‐ ´ イ i ／/／.::.::./,─ｧ
.l l::::::::二_＞ -､.＜ ,| !: : : : -- ―<＿
ニﾆiハ |::／／７只ﾄ､＼ ／:l .ﾄ､: : : : : : : : :‐-
:::::::::ヾ∧ |::＼｀´,ｲ |:L/厶ー:| .!:::＼ : : : : : : : :
:::::::::::::＼ﾍ/ ¨ i:! ￣ .}:::::::::| .!:::::::::ヽ : : : : : :
―――――――――――――――――――――――――――――――――
だってそうだろう。
きちんと手入れをすればこのさき何年も使う高いものを作るのだから、
経験豊富な名工に最高のものを頼みたいに決まっている。
アニキとやらの技量は分からないが
名工の孫とは言え経験不足は否めなさそうだな、と口を尖らせていると
振り返ったやらない夫がとりあえずは行ってみようと先を促してきた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
-
９６．
／￣￣ ＼
「他に選択肢は無さそうだし、とりあえず行ってみよう。. ／_,ノ ｀⌒ ＼
シモンはお兄さんと二人兄弟なのか？」. -、 | (● ). (● ) |
ﾔ ', | .(___人___） |
i. l ,.-､ | ｀ ⌒ ´ |
', j / / .| |
ノ＿..ヽ-､′,' ', ,/'|、
l .＿＿_ ヽﾉ __ .j '.、__ , ___ ｨ／::L＿
Ｙ ）ﾊ.‐ ' ´ ..::ヽ::::::::::::::::::::::::::／:::::::...｀' ｰ- ､ _
ﾄ. ￣￣ 〕y::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..＼
ハヽ 一ﾆｲ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: r;;;;;:::::::: ',
/...::::::;;;;;;;;;;; /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾉ;;;;;::::::::::::::〉
⌒＞: : : : : : : : : : :｀＞: .､
. ＞'´: : : : : : : : :＞彡=＝=‐-ミ丶､
': : : : : : : : :＞' / ヽ ｀＜:＼
/: : : : : : :／ { } ヽ: ＼
. /: : : : : :／＿＿＿. ヽ ﾉ ｢ヽ: : ヽ､___,
ｲ: : : : : : : : : : : : : : : ＞ ミ辷ﾆ彡イ⌒ヽ ', ' , t- イ
/: : : : : : : : : : : : : ＞'´/: : : : : : : : : : : : 从 l.:',
. /: 弋7: : : : : /: :／-─/イ､: : : : : : : : : : : :弋ヽﾉ: :',
/: : : ムイｨヽ/／ ___/: :.＞＜}: : : : : : : : : ＼ |: ﾊ
.... ｲｨ: : : :/r Y ／ /イミ､ /: : : :从: ;ｲ: : : :ｿ: : :}
. }: : : { { （ l O } / : :／ }∠/: : : : : :.:ﾊ:|
. |ｲ: : :ヽ ｀Y ヽ //彡' /⌒ｿイ: : : : :/ ﾘ
... |: _: x＜￣ヽ 丶 ___/ /0 //: : : : /
.... _, ＜ ＞∧ 弋 ノ彡イ: :/
. r＜ ∧ ＼ _ ﾉ / ﾊ/
∨ ＞ﾍ | } ヽ､ ´ /
..∨ ', ', | ㍉. ｀ ー ∠ 「ううん、アニキとオイラの間に
....∨ ', ヽ |＼ ' ヽ, アネキがいるよ。
......∨ 〉 / | ＞ ､ __ , ＜ /
ﾆ--- て. （ 从 / ／ 同じ通りの服飾工房で働いてる」
..../ヽ￣￣￣ ｀ヽ ＼ ／
ﾞ/ ｀ヽ Y く弋
{ イ |
-
９７．
, - ' ´孑ヌ -｀ : ､
／j⌒__{ 辷杉'r'￣ヽ-ヽ
. ,:'イ ,:: r--t____, ､ t::.. ﾍ
/i , _r'￣ ゝ'´Y `Y
. _,.--}〃/ ' /!' }| !廴ヾ｝
Y::>'´ィ:::}| | { i / }|.| ., /}| /ｲ } }:ヽ
.... _ zV/:/:::/.{ i ===x. j |/ｲ.x===/ ﾘ::::ﾊ
...ﾞr≦´＜.／`/:::/ 八 Vi {ﾟ::ﾘヽ '´{ﾟ:::ﾘ〃 .／::_:::/
.ﾞ彳 ／ /´ ! | ＼ﾍ ｀¨ , ｀¨厶イ/{:{ヾ.',
, ' ≠/ { {', ヽ , 、 / { i:| |:| , 「職人一族なのねぇ。
.. / ／' ハ ヾ､ {:＞ . . ＜:{∧{ i | | ∧
. / ／／ / ∧ V＼ V:ﾉヽ 孑 'ﾊ_,､!:::ﾍ-:| | ',､ }', お兄さんが工房を継いで、
/ ／／ / 〈 ヽ ∨ ＼ ／ j}､ヽi}⌒ｲ :り!∧V} ', お姉さんは別の工房に出て。
.. ／ ,:' ./ {_, : ´ ＼ Y{ ヾ:/>＜ﾆﾆﾆ≦ } ',}.ﾄ, ', シモンはどうするの？」
... ィ' ./ ／ r ∨{r===t_j⌒ー'´ヽ＞ﾘ Vﾊ
... / /./ 〈 , -- ､_:. ::{ ７､ ヽ 〈薔〉 }｛ﾍ! }
..../ /./ ヽ r==x i Y__,.､ V 7 /_ノﾘ }7
ﾞ/ / ,′ , ｲ ／ﾌY T ー─-vィ ／ ／∧
,' { ,:'./ , '〈:/ }::', |ﾍ -:::::::::::::' r≦::::ヽ: } i .∧
....' ｜ ' / / ﾉ／}/ ! j:ヽ ヾ≠i∨',::i | }
ﾞ′ .!/ i / r彳 //! |//Y r/ };i ',:ヾ:/! .'
| j / ヾ' ! | {_j ヽ// /
―――――――――――――――――――――――――
少年はみたところ、幼年学級を卒業済みだろう。
上の学級に進むなり働くなりしていてもおかしくない、
工房の使いとして呼びに来たことを考えると
やっぱり革職人になるのかも、と尋ねてみると、
―――――――――――――――――――――――――
-
９８．
―――――――――――――――――――
眩しそうにやらない夫を見たシモンは
はにかみながら言った。
―――――――――――――――――――
／:.:.:.:.:/ ／:.:.:.:.:.:.:,ｨ:.:.:.:.／ /:.;ｨ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ﾊ ヽ:.:.:､:＼
':.:.:.:.:.:.:/ .／:.:.:.:.:.:.: /斗-≠＝ﾑ< !:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ﾊ }:.:.ﾊ ` ヽ
':.:.:.:.:.:.:./ /:.:.:.:.:.:.:.:.:./ |／ ` !:.:.:.:.:.:.:.:.:ﾊ:.:.| .}:.:.:ﾊ
/イ:.:.:.:.:../ /:.:.:.:.:.:.:.:.:./ l:.:.:.／l∠. l:ハ/:.:.:.:.ﾊ
i:.:.::.:.:.:.l ム:.:.:.:.:.:ﾊ:.:l _＿＿ ヽ l:／ `､1:.ヽ:.:.:.:.:.:',
. l:.:.:.:.:.／r､ ヽ:.:.:/ Ｖ 彡三三三ミ . ,':.:.:.ヽ:.:.:.:.:.i
l:.:.:.:.:ﾉ ,ヒ ヽ Ｖ ｨ≡ｮ､.,':.:.:,ﾍ:i:.:ﾊ:.:.l
. l:.:.:.:〈 （ ｀( ＿ ``` i ,',':.:.:/:.:.:l/ ヽ:|
l∧:.:.:.ヽ､`ｰ ,, - '' ¨: : | 〉` '.ﾊ:.∧:.:/
∨_:. -`ｰ '': : : : : : : : :l ```! V |/
, ィ´: : : : : :_.. -‐ ''' ¨￣l 「￣７ ﾉ
. f: : :_ ィ: : : :l ./. ー '′ ／ 「オイラ実はさ、冒険者になりたいんだ。
. l／ l: : : :l i , ' 親やアネキには反対されてるけど」
! l: : : l l ､...__..､-
ゝ ';.:.:.:', l / `ー―――‐‐―ｧ
ノ, --‐二:.:.:__ヽ l / ／
_ ＿
／::::{{匆ﾘ::::::::::::::::::::::ヾ､ﾞ ､
/::_:x〜〜＾`〜〜､:::::::::::::))__＼
,仟厂i / ! ^Y〜>|廴__))､
/ |! | / | | ! | (/_}ﾄ､＼ヾ､
/ |! { / }/ / |i 气ｸ＼ヽ＼>＼
i | |ﾊ ﾄノ |! //|_,ｨ升/| / | ヽ ＼
| | ﾄ､ヽﾑﾍ/ﾚ'/ ｫr'i::ｿ''/ / |＼〉
V､/ﾞ小弋iｿ ´ ｀/／| / ＼＼
「そりゃあ、ご家族は ヽ入 ＼ 丶 ノ Ⅳ / ＼＼,ｨ
職人になってほしいでしょうねぇ」 ＿__〈/ |｀ｰﾄ､ ‐_‐ .ｨ＿|i /＼ ／:::::
＿≧=､:＼Ⅵ |ﾉ｀7ｰｪイ／:.:.:/ , ′ ＼／:::::_:_:
ﾆ二二:::::::::::::::::::::ヽl |､,/_/久}:.:.:.:.:/ 人＿__／‐'´:.:.:.:.:.
__...ン:::::::::::::::::::::::::::丶 |::::://八|:.:.:.:/ツ-'' 勹:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
::::::::::::::::::::::::::::／⌒ーV|又/ｹ_r|ﾄﾐ=､ ,勹:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
／:::::::::::::::::／:.:.:.:.:.}:.:.从_ノ薔}! ||/⌒/⌒勹:.: /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
::／:::rー‐':.:.:.:.:.:.:./:.:,ﾀ 〈/ゞ='' ﾘ ､ ,勹:ノ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::
――――――――――――――――――――――――――――――――
子には安定して安全な仕事について欲しい。
何を好んで危険な生き方を、と思うのが多くの親心だろう。
けれどその通りに生きられない者がいるのも事実なのだ。
たとえば、貴族の一人娘に生まれながら騎手をめざす自分のように。
――――――――――――――――――――――――――――――――
-
９９．
――――――――――――――――――――――――――――
―――ただ、わかり合う努力はした方が良いのではないか。
祖父の手前、黙っているだけの両親を思い出した水銀燈は
少年に言いながらも、自分を省みずにはいられなかった。
――――――――――――――――――――――――――――
／ ′ | ', ﾄ､ ＼ ヾヽ
/ | | ｌ ｌ| '. ヽ ｌ:::ﾄ､
. / | ｌ| | , | | ﾘ ｌ｜ ｌ |:::ﾄ ＼
/ / | |l | | ﾞ 、 /jﾉ | _厶-┼ﾊ | |:::| l＼＼
′/ ｜ | |｜ ヽ ＼ ′斗≦/__,,.. ﾚﾞ l ｌ |:::| l ヽ:ヽ
l ｌ| ｌ |_｣ Ｌ,,..≧ ＼ { 才ﾍヽ 〕／ﾉl ' |:::| ｜ ',::',
| ハ | '､ イ´ヽ＞ ､弋 ヽ ￣"''´ ｲ / |:::| l }:::|
|{::∧| ＼ ｌ＜⊥ゝ '" / ／｜ |:::| ｌ ﾉノ
/.::/ | ＼丶 "´ ヽ ／ ｒ1 ｀´ ｌ
. /.::/ ∧ l | ﾄ ＞ 厶| | | 「………うまく説得できるといいわね」
＼{::::{ / ヽ Ⅵ |￢ ＿_ ' | | | ／
: . ＼∨ﾄ､ ＼ ＼ト--＼ l＿_ヽ ／ ｌ | ／/ ／
: : : . ＼|: .＼ |｀ ‐- ＼ /｀ ┌‐-､ ィ ｌ ｜ |/. :/ ／. : :
: : : : : : : : : . ヽｌ | .′r┤ ,＼__＿_,､＜__|__ ｌ ｜ |: :/／. : : : : :
ー- _ : : : : : :| | ｌ |｜ | ／⌒ヽ::.::`￢ || | l ／. : : : : : : :
:::::::::::::::::＞_''ニ| | ｌ ∨ ノ´ ／￣ ヽニ ヽ|l l .'´_ -一 ￣
:::::::::::／／. .::.::.| ト.⊥__〈 ´ ／ ⌒ヽヾ＼ ｌ ,′:::::::::::::::::::::::::::
:::::／／. .::.::.::.::.:l |::.::.::|}〉 , ィ{ |::.::.}::} l 厶ィニ､ヽ::::::::::::::::
::/ /.::.::.::.::.::.::.::.::l ｌ::.::.:|}〉 l 丨八_ﾉ二:ノ ' /.::.::.::.::. .＼＼::::::::::
.' /.::.::.::.::.::.::.::.::.::.'、 '::.::.|}〉｜ | ＼::.::.|}〉/ /.::.::.::.::.::.::.::. .＼＼::::
./.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.:.＼ ヽ┴‐┴- 、 | ＼|}/ ∧::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.ヽ ヽ
. ／: : : :／ ﾉ ヽ ＼: : : : ヽ
/: : : :／ ／ ,-―‐-、 ＼ ＼: : : :',
/: : : /（ ／ ,イ : : : : : : ヽ、｀ヽ､＿ﾊ: : : ::',
／: : : :/ 二二_ィ´/: ;ｨ : : : : : : /｀ｰ┬---､ゝ: : :',
∠: : : :／レ: : : ::／￣l／/: : ／j::/￣￣|: : : : ::ヽ: : ::',
/::／: :/: : : : :/ ,--- /::／ ,リ ,--- j∧: : : : :l: : : ',
" |: : /: : : : :/ ,/ /イ / ヽ ',:: :: ::|: : ﾄヽ
. |: : l: :／ヽ| { O j l ０ } }: /ヽl: ::j ゛
l: : l: l ´てｌ ヽ、＿_ノ ヽ ＿_ ノ ,!/く ｝:/
|: ∧{ ヽ l { /ノ ﾉ/
ﾚ' V＼. ', ､＿＿＿＿, / ／/
Vﾊ＼ ノ＜＿＿/７ 「うん！」
／ ヽ ＼ ／/V / /
ﾍ V ｀iヽ、＿＿ イヽ | / /
ﾍ | ｜ / /
＼ ﾉ | / /
-
１００．
／:.:.:.:.:/ ／:.:.:.:.:.:.:,ｨ:.:.:.:.／ /:.;ｨ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ﾊ ヽ:.:.:､:＼
':.:.:.:.:.:.:/ .／:.:.:.:.:.:.: /斗-≠＝ﾑ< !:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ﾊ }:.:.ﾊ ` ヽ
':.:.:.:.:.:.:./ /:.:.:.:.:.:.:.:.:./ l∠-- ､、 ` !:.:.:.:.:.:.:.:.:ﾊ:.:.| .}:.:.:ﾊ
/イ:.:.:.:.:../ /:.:.:.:.:.:.:.:.:./ ／ ヾ l:.:.:.／l∠. l:ハ/:.:.:.:.ﾊ
i:.:.::.:.:.:.l ム:.:.:.:.:.:ﾊ:.:l. { ０ l l:／ ,-､ `､1:.ヽ:.:.:.:.:.:',
.l:.:.:.:.:.／r､ ヽ:.:.:/ Ｖ ! / / ヾ. ,':.:.:.ヽ:.:.:.:.:.i
l:.:.:.:.:ﾉ ,ヒ ヽ Ｖ ―-- ' ,'0 l ,':.:.:,ﾍ:i:.:ﾊ:.:.l
.l:.:.:.:〈 （ ｀( ＿ ``` ! ,',':.:.:/:.:.:l/ ヽ:|
l∧:.:.:.ヽ､`ｰ ,, - '' ¨: : | 〉` '.ﾊ:.∧:.:/
∨_:. -`ｰ '': : : : : : : : :l ```! V |/
, ィ´: : : : : :_.. -‐ ''' ¨￣l , -､ .ﾉ
. f: : :_ ィ: : : :l ./ ￣ ／ 「兄ちゃん雇われの護衛ってことは、
. l／ l: : : :l i , ' 普段は冒険者なんだよね？
! l: : : l l ､...__..､-
ゝ ';.:.:.:', l / `ー―――‐‐―ｧ 最初はどうやって冒険者に―――兄ちゃん？」
ノ, --‐二:.:.:__ヽ l / ／
／￣￣ ＼
／ ヽ､. _ノ
| ( ●) (●）
| （___人__）
|. ` ⌒´ﾉ 「……………」
| |
iヽ |
}:::.`＞ ｰ-´-くヽ- 、___、
_/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ７¨:.ヽ
__／.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/.::::::::::＼
,.-<:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::∧
r´.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/.:::ヽ
}:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/.:::::::::::::::::::＼
f:::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i: /.::::::::::::::::::::::::::::ヽ
/.:::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::V::::::::::::::::::::::::::::::::::::.＼
/.:::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::rヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
―――――――――――――――――――――――――――――――
参考にしたいと問いかけた青年の視線があらぬ方を向いているので
シモンも追いかけてみたが、背の高さもだいぶ違うせいか
物珍しそうにこちらを見ている人垣しか見あたらない。
―――――――――――――――――――――――――――――――
-
１０１．
,. -ｭ,ﾆニ弌垳ト､
／r'^ _rﾍ-ﾍ/＾ヽr宀､
/!７ト､7′ 〃 ｌ ヽ ヽ
、 / l//L｣| ∧ｌ | ! |l ｜ ! ヽ
|:l / 〃 ||丁l トH､lV| |l /l } l |
ヾヽ / 〃 |l | ｌ抔卞｀ヽ{ /-ト/ //ﾘ
＼ ヽ:∨ |」 /ｌ| ｌﾄヽ￣ ﾚ'戎ｼ' ／ ′
⌒ヽ!ヽ._j＼＼ / 八 |ヽ __ ' ∠r1=彳 「どうしたの？」
::..::..::..::..::..｀::..::ヽ/ ﾊ ヽ‐ >､ ,. イ| }::..｀ヽ、
::..::..::..::. ／⌒ヽ､ヽjノヽ.∨r 芥､/:./ /::..::..::.､＼
::..::..::.::./:.:.:.:.:.:.:.:.:ヾ⌒Tlヽ｝l,ハ/-/ 〈::..::..::.｀ヾ＼ヽ
::..::..／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:∨_ || ヽ:ﾚ':.:ヽ::..::..::.くヽ.j
::.r'´.:.:.:..::.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∨_ ||ｰrﾍ.:.:、:.:.＼ヽヽ:〉
仆､ :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ∨_l〉 ri心:.:',:.:.:.:.:ヽ｝
′ ＼_.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ∨_ ゞ=仆ヽ.:.:_ノ
, 〉个､:.:.:.:./.:.:.:.:.:.:.:.:.∨_ ｌ }〉:.}'´
| く_/^ﾄ､>:.∧:.:.:.:.:.:.:.:.:. ∨_ﾘ 〈|:.ハ
| //:.:.:||:.:./ ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∨┐r':.:{ ､ヽ
!| //:.:.:.:||:./ ｝:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:∨.:.:.:.| l |
＿＿
／ ヽ
/ __,.ノ 、
| （ ●)(
| （＿_ﾉ｀,
| ﾝ′
_ﾉ ｀､ 7 「いや、目つきの悪いのがこっちを見ていたからさ」
,ｲ:. ヽ､＜ヽ,、___ ﾉ
,. -ｰｰ -‐ ´:::::::::::::::::::::::::::::7
／..:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: く'、
. ｛ :::::::::::::::::::::.ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::.. ､_
'| ::::::::::::::::::::::..｀、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::..｀ヽ
'| ::::::::::::::::::::::::::::i_::::::::::::::::::::::::::::::::::::.ヽ::ゝ
ﾄ､:::/ ／￣｀` ﾊ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!:::::::.ヽ
`,ﾍ ´:::::::::::::::::. ﾊ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|:::_,rｰ'､
}:,∨ :::::::::::::::::: ﾄ､:::::::::::::::::::::::::＞＜￣＼::..＼
. }:::∨::::::::::::::::､-''ﾞ~￣￣￣￣:::::::::...＼ ム:::::ヽ
l::::∨ :::: ／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,.､／...:::::::::ヽ}
{::::::＼,::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／"￣:::::::::::::::::::::::::ﾉ
――――――――――――――――――――――――――――――――――
物陰からうかがっている男がいたので
気がついているぞと視線を合わせると、
俯いた相手はすぐ路地裏に消えた。
町だしいろいろいるだろうから気にしないように言ったやらない夫はしかし、
嫌な予感がしたので宿経由で出した護衛依頼について
追加条件や報酬の増額を想定しておくことにする。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
-
１０２．
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
―――身内への危険が生まれたり、可能性を察知した場合、
それを排するためになら自分の安全や評価や資産はおろか、
他者をなるべく傷つけない、よほどの邪悪でない限り
更正することを期待して命は極力奪わないといった
理念ですらなげ捨てることを厭わないという在りかたは、
二つの守れなかった約束を経てより確固たるものへと変わりつつあるのだろう。
もちろん長い間一緒に居たわけでもないし
彼がなにも語らないので内面の想いなど分からない水銀燈であったが、
その敏感さには驚いていた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
, - ' ´孑ヌ -｀ : ､
／j⌒__{ 辷杉'r'￣ヽ-ヽ
. ,:'イ ,:: r--t____, ､ t::.. ﾍ
/i , _r'￣ ゝ'´Y `Y
. _,.--}〃/ ' /!' }| !廴ヾ｝
Y::>'´ィ:::}| | { i / }|.| ., /}| /ｲ } }:ヽ
.... _ zV/:/:::/.{ i ===x. j |/ｲ.x===/ ﾘ::::ﾊ
...ﾞr≦´＜.／`/:::/ 八 Vi {ﾟ::ﾘヽ '´{ﾟ:::ﾘ〃 .／::_:::/
.ﾞ彳 ／ /´ ! | ＼ﾍ ｀¨ , ｀¨厶イ/{:{ヾ.',
, ' ≠/ { {', ヽ , 、 / { i:| |:| , 「私は分からなかったけれど………」
.. / ／' ハ ヾ､ {:＞ . . ＜:{∧{ i | | ∧
. / ／／ / ∧ V＼ V:ﾉヽ 孑 'ﾊ_,､!:::ﾍ-:| | ',､ }',
/ ／／ / 〈 ヽ ∨ ＼ ／ j}､ヽi}⌒ｲ :り!∧V} ',
.. ／ ,:' ./ {_, : ´ ＼ Y{ ヾ:/>＜ﾆﾆﾆ≦ } ',}.ﾄ, ',
... ィ' ./ ／ r ∨{r===t_j⌒ー'´ヽ＞ﾘ Vﾊ
... / /./ 〈 , -- ､_:. ::{ ７､ ヽ 〈薔〉 }｛ﾍ! }
..../ /./ ヽ r==x i Y__,.､ V 7 /_ノﾘ }7
ﾞ/ / ,′ , ｲ ／ﾌY T ー─-vィ ／ ／∧
,' { ,:'./ , '〈:/ }::', |ﾍ -:::::::::::::' r≦::::ヽ: } i .∧
....' ｜ ' / / ﾉ／}/ ! j:ヽ ヾ≠i∨',::i | }
／￣￣＼
／ _,ノ ｀⌒
｜ .（ ⌒）（⌒）
. ｜ （___人__）
| ﾉ
.| | 「そこはそれ、護衛だからさ」
人､ |
,ｲ:. ﾄ､ヽ、 __ ,_ ノ
,. -ｰｰ -‐ ´:::::::::::::::::::::::::::::7
／..::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ﾒ、
｛ :::::::::::::::::::::.ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::.. ､_
| ::::::::::::::::::::::..｀、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::..｀ヽ
'| ::::::::::::::::::::::::::::i_::::::::::::::::::::::::::::::::::::.ヽ::ゝ
ﾄ､:::/ ／￣｀` ﾊ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!:::::::.ヽ
`,ﾍ ´:::::::::::::::::. ﾊ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|:::_,rｰ'､
}:,∨ :::::::::::::::::: ﾄ､:::::::::::::::::::::::::＞＜￣＼::..＼
. }:::∨::::::::::::::::､-''ﾞ~￣￣￣￣:::::::::...＼ ム:::::ヽ
l::::∨ :::: ／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,.､／...:::::::::ヽ}
{::::::＼,::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／"￣:::::::::::::::::::::::::ﾉ
――――――――――――――――――――――――――――――
住民から浴びせられる視線を無視するには、
そういったものを遮断して自分や身内だけの世界に入り込むのが
一番手っ取り早いはず。
そういうことをせずに堂々としていられるのは
人の上に立つ者など普段から視線慣れしている者であり、
無数の視線の中から悪意を感じ取ることができるのは
周囲に気を配ることのできる熟練者以外にあり得ない。
では、その二つを併せ持つ者とはいったいなんなのか。
――――――――――――――――――――――――――――――
-
１０３．
――――――――――――――――――――――――――
いいものを見つけた、と浮かれるエネル団の下っ端も
その違和感に気がつくべきだったのだ。
――――――――――――――――――――――――――
. . . . . . . . . . . . . /へ＼＼ :|/ /| | ', . . . . ‘，
. . . . . . . . . . . . /´￣￣ ｀ヾ' | | ',. . . . . ‘，
. . . . . . . . . . . / | | ',. . . . . .‘，:
. . . . . . . . . . / | | ：. . . . . .‘，
. .＿＿. . . . ; | | ／ l! . . . . . .｜
. . . . . . . ￣｀丶、 | l／ l|. . . . . . . |
. . . . . . . . . | ＼ |/ ,ｨ:行! ﾊ . . . . . . |
. . . . . . r======ミｘ＼ / j〃J:| j| ' :|. . . . . . .|
. . . . . . .V{:| l:しﾊ｀ヾ ,:! |::lj:| |:.:|. . . . . . .|
. . . . . . . Ⅵ |:::lj::| / ヾ-' ｜:|. . . . . . .|
. . . . . . . .∧ _弋／´／ / ｛._ |:.:|. . . . . . .|
. . . . . . . .| / ::/ ! :|. . . . . .|.|
. . . . . . . .| / |:.:| . . . . / |
. . . . . . . .| ＿,ノ /: :!. . . . '.. .|
,. . . . . . . | ーｔ ''ﾆ´￣ ／ / : :|. . . / . /
ﾍ. . . . . .｜ ￣ 二¨´ ／: : :.:|. . /. . ,' 「エネル様に報告だ」
:∧ . . . . .|＞ ／: ∧: :/|. /＼/´
: rﾊ. . . . .| ＞ ._ ／.: : :/ ∨ j/
/l ∧. . . .| {三〔 ＼/ ⌒＼
r〈 ‘，. .! ￣￣￣￣￣´ /ｰ=ﾆ´ ヽ ＼
|八 ヽ | / | |
――――――――――――――――――
そうすればもう少しだけ長く、
我が世の春を謳歌できたことだろう。
――――――――――――――――――
┌─────────────────────────────────────┐
└─────────────────────────────────────┘
┌───────────────┐
└───────────────┘
┌───┐
└───┘
-
１０４．
――――――――――――――――――――――――
ラセン工房前に到着するなりのことである。
待ち構えていたのだろうか、
扉から飛び出してきた青年が
値踏みをするようにメイメイのまわりを三周すると
不敵な笑みを浮かべて大声を出した。
――――――――――――――――――――――――
:::::::::::::::::／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::; ｲ::::::::::::::::::::::::| ７:::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::/::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ .|::::::::::::::::::::::::| ＼::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::/:::::::::／!:::::::::::::::::::::::::::::/::::::/ l::::::::::::::::::::::::| |:::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::/::::::／___|::::::::::::::::::::::::::::;:::::::/ ',::::::::::::::::::::::| ＿＿ |:::::::::::; -､::::／￣
:::::/:::／::/ ,,､|::::::::::::::::::::::::::/!::::/. ',::::::::::::::::::::| ／ ￣ |::::::::/／ !/
::/／:::::/∠_,,|:::::::::::::::::::::::/‐|::/ ＼ ',::::::::::::::::::| ／ ＿ |::::://__ |
:::::::::::::::＼ /|::::::::::::::::::::/￣|/≧zx＼ ＼::::::::::::| ／xz≦ｷﾁ￣ 7 .!::/ l /
::::::::::::::::::::〉ヽ|:::::::::::::::::/＼ 弋二0ラ＼＿ﾉ＼:::::キイﾁ弋0二ｿ ﾒ |/ j /￣￣＼
::::::::::::::／ ＼.!::::::::::::::/ ´＼_ ￣ -‐'... 二＼::', `ｰ- ￣ _／ / ﾞ／／ ＼
:::::::::::/ |:::::::::::/ ..:::::::::: ::| ＼ ′'／
::::::::/ |::::::::/ ヽ | ::. r /
:::::/ |:::::/＼__', | :::::. /´
::/ |::/ ', __,イ /
,′ |/ ＼ ｀ ´ __ -‐_'´／/ / 「こいつが闇天馬ってヤツか！
|＼ `ｰ─── ´_￣ -‐ ´__ ／ﾞ.／| 悪くねぇ！！」
| ＼ `ｰ ﾆ二 ＿ -‐ ／ |
| ＼ ／ |
| ＼ :::::::::::::: ／ |
, - ' ´孑ヌ -｀ : ､
／j⌒__{ 辷杉'r'￣ヽ-ヽ
. ,:'イ ,:: r--t____, ､ t::.. ﾍ
/i , _r'￣ ゝ'´Y `Y
. _,.--}〃/ ' /!' }| !廴ヾ｝
Y::>'´ィ:::}| | { i / }|.| ., /}| /ｲ } }:ヽ
.... _ zV/:/:::/.{ i ===x. j |/ｲ.x===/ ﾘ::::ﾊ
...ﾞr≦´＜.／`/:::/ 八 Vi {ﾟ::ﾘヽ '´{ﾟ:::ﾘ〃 .／::_:::/
.ﾞ彳 ／ /´ ! | ＼ﾍ ｀¨ , ｀¨厶イ/{:{ヾ.',
, ' ≠/ { {', ヽ , 、 / { i:| |:| , 「はじめまして。
.. / ／' ハ ヾ､ {:＞ . . ＜:{∧{ i | | ∧ 私はグレイランド騎手騎士団見習いの水銀燈よ。
. / ／／ / ∧ V＼ V:ﾉヽ 孑 'ﾊ_,､!:::ﾍ-:| | ',､ }',
/ ／／ / 〈 ヽ ∨ ＼ ／ j}､ヽi}⌒ｲ :り!∧V} ', こちらは護衛のやらない夫」
.. ／ ,:' ./ {_, : ´ ＼ Y{ ヾ:/>＜ﾆﾆﾆ≦ } ',}.ﾄ, ',
... ィ' ./ ／ r ∨{r===t_j⌒ー'´ヽ＞ﾘ Vﾊ
... / /./ 〈 , -- ､_:. ::{ ７､ ヽ 〈薔〉 }｛ﾍ! }
..../ /./ ヽ r==x i Y__,.､ V 7 /_ノﾘ }7
ﾞ/ / ,′ , ｲ ／ﾌY T ー─-vィ ／ ／∧
,' { ,:'./ , '〈:/ }::', |ﾍ -:::::::::::::' r≦::::ヽ: } i .∧
....' ｜ ' / / ﾉ／}/ ! j:ヽ ヾ≠i∨',::i | }
ﾞ′ .!/ i / r彳 //! |//Y r/ };i ',:ヾ:/! .'
| j / ヾ' ! | {_j ヽ// /
-
１０５．
／::::::::::;;::::／:::::::::::::::::/:::::::／ ｀ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::l
／-''"´ .／::::::::::::::::::::/:::ヽ/ ∨::::::::::::::::::::::::::｀::'::':フ
,ｨ:::::::::::::/:::::::::/´ ヽ:::::::::r ､:::::::::::::::イ7
/:::::::::::::::j::::::::::j ／ ∨//ヽヽ:::::::::／
/:::::::::::::::::l:::::::::/ ／ _,,==- ﾘ lヽ }::::::/
/:::::::::::::::::;::l::::::::/ / l f''{r':::ﾉ, r ﾉl:::::/
/::::::::::::才’/:!:::::/::! ｀ ' l-' .!::/
/::::::才 .j:::l:::/:::::ﾍ フrﾊ ! .l:j
/:／ j::::l::jﾊ::::::::ﾊ ｀¨ l l l
/ｲ l::/l:/ !::::/ハ / ./ .l
l/ .l !:/ ﾍ , イ￣ ｀ｊ / .|
「オレはカミナだ。 l' へ. -'､-〈 .ﾉ / / l
ヽ ヽ--'" ／ / !
わざわざグレイランドからご苦労なこったが、. ヽ , ｲ ./ l
爺さんは半年前におっちんじまってな」 ﾍ _, ｲ j
￣! /
＿＿_
, 〆;;;;;;;;;;;;;;;;;;;｀;;,,,、
／/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;＼
/ :/;;;;; 〆~＾~＾~＾~＾~＾ ' ヾ､
/ :/;;;〆 ; l!'
/ :/;;;/ l ! l! l l ', l!
,' ｲN;! !_l! |! i l! l! l |!l
,. 从ﾚ |!_l! l!l !: /,/__/ l! l !
, ﾙﾘ lヽ. ﾄソ`i l! ! / /__//l ｲ!
:l! 《_l!__! ヽ ゝ , ﾍソ/./ /l!
| ／; ; ;:;:| ﾄ.ゝ _ .ｲ/ //|l!
.／; ; ; ; ; ;ﾍ ﾍ＞ ._ ＜=./ // l!! 「シモンから聞いたわ。
/; ; ; ;;: ; ; ; ;:;ヽ∨弋 乂1;:;/ノ/ヽ.j:| 馬装一式を作ってもらおうと思って来たのだけれど………」
/; ; ; ;:;:; ; ;:;: ; ; そﾍ 辷1 .》;:;:;:/;:; ;1:|
〈; ;:;:; :;:;i;: ; ;:;:;: ; ; 弋,､,､,,ソ; ;ヽ;:/; /!.|
ヽ;:;:;:;:;f=-,..､;:;:;: ; ノ; ; ;丱; ; ;.;l!; /;:l |
下从丱;:;:;:ヽノ; ; ; く;ﾙ ; ;:; l;:/;ノl.ﾄ､
| |くﾙ; ; ; ﾍ; ; ; ; ; ハ;:; ; ;.|;:;| z弋
―――――――――――――――――――――――――――
なんだかガラが悪そうねぇ、と
第一印象は余り良くない水銀燈が出方をうかがっていると、
―――――――――――――――――――――――――――
-
１０６．
――――――――――――――――――――――――
工房を指さしたカミナがにぃっと口角をつり上げた。
――――――――――――――――――――――――
､
＿＿_＼`ー‐. ..､i＼
＞: : : : :_＼: : : : }: : iVi
￣￣ﾌ´: : : : : : : : : : : : : :-:､
/: : : : : : |: : : :{VZ=-: : : .
〃: : l: : i: ∧ : : { __㍉≧=ミ__
／ /: : : :i: : i/-､': : :|´ ｀ }≧=ミ{
/ｲ: :i:八 : !<_fﾂ＼{ ￣｀ Y^Y⌒
/ j:ノi: {｀ヽ{ ､, i /
/ 八ﾊ小, __ -‐__7 ,小 「こんなところで立ち話も目立ってしょうがあんめぇ。
ﾙﾍ ﾏ_r'￣_ノ / iﾊ!
.＼｀¨¨ / {_ とりあえず入ってくれや！」
＿ ＿∧ `ー一彳 i| ｀ヽ
／: : : : : /｀く: / ‘， } i | ` ｰ――,―. . ､
/: : : :_:彡' ヽ _}_ ＿__ __ﾉ: :}|::| {: : : : : :ヽ
_厶-- ｀ヽ _ .く:_:_:彡' |::| ‘: : : : : : :
／---､__ ノ} ﾉ } 乂 ＼ : : : :|
/:_:_:_: : : : : :く ／ ／￣_二i ヽヽ `ー‐:.
／ ＿＿__}:_:_:_:_i/ _ -‐' --- ＿〉 ＼ `ー==＝ヽ
/ ´ }: : :} }￣}￣￣}￣} -- ､ } ＼ ／: :＼
|: : :| | | | | ＿_ Yﾘ ノ{ ／: : : : : :
|: : :| | | i_,ノ---､__∠二ン ／: :.! ／: : : : :／
|: : :i＿,ﾉ--'￣￣ ○ ／: : :}:∧: : : : ／
┌─────────────────────────────────────┐
└─────────────────────────────────────┘
┌───────────────┐
└───────────────┘
┌───┐
└───┘
-
１０７．
―――――――――――――――――――――――――――――――――
モルティナ王国の職人招へい初期から続く老舗工房というだけあって
建物の規模は大きく、横の搬入口からメイメイも中に入ることができた。
水銀燈などは薄暗くほこりっぽい作業場を想像していたのだが
中は手元が明るくなるようにと明かり取りも多く、
窓が大きく開け放たれていて風通しも良い。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
||二|二|二|二|二|| ||二|二|二|二|二|| |
||二|二|二|二|二|| ||二|二|二|二|二|| | | !
||二||￣￣￣||二|| ||二||￣￣￣||二|| | | |
||二|| ／ ||二|| ||二|| ／ ||二|| l | |
||二||／／ ||二|| ||二||／／ ||二|| ｜ | l
||二||＿＿＿||二|| ,,,, ,,,||二||＿＿＿||二|| l l
||二|二|二|二|二|| ,,, ,,,, ||二|二|二|二|二|| |o | |
||二|二|二|二|二|| ,,, ,,,,||二|二|二|二|二|| l ! |
||￣￣￣￣￣￣||,,,, ,,, ||￣￣￣￣￣￣|| | | l
||＿＿＿＿＿＿|| ||＿＿＿＿＿＿|| | |
|二二二二二二|
三三三三三三三|二二二二二二|三三三三三三三三三三三
＿＿＿
／￣￣/| |＼
／ / / ＼:＼
／ /:/ /￣￣￣＼ ＼:＼
／ / / / ＼ ＼:＼
.／ /: / / ＼ ＼:＼
-
１０８．
―――――――――――――――――――――――――――――
ただ、作業台や台車、制作中の革製品などが雑多に並んでいて
お世辞にも整理されているとは言いづらいのと、
革を貼り合わせるためのヤニかニカワの強い刺激臭が
鼻孔を刺激してしかたがない。
―――――――――――――――――――――――――――――
l :l :| :| :| :| :| :| :| :| :| :| :| :| :| :| :| :| :| :| :| :| :| :| :| :| ﾞ| :| :| :|
l :l :| :| :| :| :| :| :| :| :| :| :| :| :| :| :| :| :| [三三三三三三三] :| :| :| :|
￣￣￣ ＼::::| :| :| :| :| :| :| :| :| :| :| :| :| :| :| |ﾐ| ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|ﾐ| |＼￣￣￣
二二二二 | :| :| :| :| :| :| :| :| :| :| :| :| :| :| :| |ﾐ| ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|ﾐ| | :|二二二
lillillillllillillli| | :| :| :| :| :| :| :| :| :| :| :| :| :| :| :| |ﾐ| ;;;;;;;;;;;;;;;;|ﾐ| | :| |lllililililil
lillllillillillillil| | :| :| :|｡Oo｡二二] | :| :| :| :| :| :| :| |ﾐ| ;;;;;;;;;;;|ﾐ| | :| |lllliilliliii
lillillilillllillill| | :| :| :|ﾟｉﾟYﾟ ┴┴┐ :| :| :| :| :| :| :| :| |ﾐ| ;;;;;;;|ﾐ| | :| |iillilililili
llillllillilllillill| | :| |＼ [ﾞﾞﾞ]. ──┘￣￣￣￣￣￣￣￣￣＼ 三≡三 ;;;|ﾐ| | :| |illlilililili
＼ illllillillll| | :| :|＼[￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣"］ 三＝二 |ﾐ| | :| |iilllilillili
￣|=====|_l￣"'|. 「|￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣「| ￣￣￣￣￣￣￣＼|_|=====
i i | ＼ l_!＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿|」
i i |
l l |
l l | ,＿､＿＿､ ､＿＿､_
── ､ | ＼ヽ★★ 丶◇◇ ＼ ､＿＿＿＿＿＿＿＿_
////∧＼ | ＼ ､――､..､──＼ | ＼ 鹵鹵 ＼罟罟 ヽ
＜＜田＞＼. ＼. ＼ヽ○○ 丶△△ ＼ | ＼ 鹵鹵 ＼罟罟
/::／＼:::V
ft'´ｲ|!}! ヾ》
jﾘjﾘｲ从 ｲ!
,'//ｲ/j|ﾘ ∥ 「……っくしゅん！」
Z//// /ｲﾉ'/そ
≧'７///／イノ::::::Σ
彡彡イ彳《-､::≦ミﾐ､.
-
１０９．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
町を歩いていた時よりもピシピシが多いクリムゾンは
最初メイメイに注目していたものの、やがて自分の作業に戻っていった職人たちが
槌をふるったり大きな鋏で裁断する様子を眺めていたのだが、
もっと近くで見ようと飛び上がって梁の上に行ってしまう。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
. , ,
㌻7 __,,
. ノ笊_) )ノ爪＼
｀^^^ｈ ｎ'^^^^´
r__“jﾉ” ﾊﾟﾀﾀﾀﾀ
｀￣´
／￣￣ ＼
／ __,ノ ｀⌒
| ( ●) (●）
| （___人__）
|. ` ⌒´ﾉ
| | 「皆さんの邪魔にならないようにな」
iヽ |
}:::.`＞ ｰ-´-くヽ- 、___、
_/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ７¨:.ヽ
__／.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/.::::::::::＼
,.-<:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::∧
r´.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/.:::ヽ
}:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/.:::::::::::::::::::＼
f:::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i: /.::::::::::::::::::::::::::::ヽ
/.:::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::V::::::::::::::::::::::::::::::::::::.＼
/.:::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::rヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
-
１１０．
―――――――――――――――――――――――――
そして、バンと作業台に手をついた工房長が
来客および魔獣を見回して挑戦的な態度で言った。
―――――――――――――――――――――――――
＿ i⌒ヽ /⌒Y
. / ７,_┌-| |......l、. / , 人
.. / /| || ||__|......| V ｉ i て
... / / .| ||__| ＼ ! ! ; i. /⌒i...... 〈 ／
Ｌ_/ | | <＼. | 乂 ﾉ l / , ／
| | ＼>. ｉ ′ /. ／
. ￣ ＿＿＿＿_. ; , ／
. |＿＿＿＿|.ﾞ/ 乂 ／
/7/7 ￣）.... ／..... ヾヽ /:::::::::／l:::::::::::::::::::::::::::::::::::,ｨW:::::::::::/
.. i´￣￣¨.... L,L//７ r ´.....／....＝云ﾐ､ヾ, /:::::／ j:::::::::::::::::::::::::::::／ /:::::::::::j
人. / / i... ／. ,'::::廴)ヾｿ/:／ /::::::::::::::::::::::::／ ./:::::::::::j
.. ｀ └┘ ／.. ´｀,､. ';::::::::::ﾉ }/ｽ ./::::::::::::::::::::／ /::::::::::::i
＿. 、 ／ ¨¨ ｲ ヽ /::::::::::;;-‐'''´ /:::::::::::::{
＼. ` ／ /::::::／＿,,,,,ｨ-‐ｰﾍ /:::::::::::::::ヽ､
＜ ｀ _. ／/ 〆ｽ /:／rｲ´.::℃ﾐ､ Y::::::::::::::::::::::::::::::::ｱ
∠ ＼ ／ / |::i ヽ / l.:::::::::::ﾘ ／::::::::f-一''¨¨´
∟ ヽ..／.... / i;;f､ ＼ | ゝ '''´ノ 彡'｀ヽ::jﾍ:､_
∨ ／.... / ﾄ ｀y 丶､ r j ｀｀ / ﾚ
／.... / ヽ ｀ゝ'､ ｀ﾍ､ ／ /
／. ∧ ヽ､ ﾒ､ ヽ /
／ /::::ヽ ｀ヽ､ ヽ ,z´
／ /::::::::::ヽ ､,, ｀`ｰ---k:7､__ _, ' ´
／ / ::::ヽ ¨`'' ／
／ / ﾞ::ヽ ∠ 「名工と呼ばれた爺さんはもういねえ、
／ 〈 ﾞﾞ', ／. 今はオレが工房の代表だ！
＼ ヽ､ ／
＼ ｰ-----一'. 騎獣の装具作成とくりゃ
職人にとっちゃ名誉な話だが
選ぶのはお前だ！
若造がイヤなら
グレイランドに戻って親父に頼め！」
-
１１１．
,. -ｰ' 二二二 ｰ- ､
／／:￣__::::::::::::::::￣｀:::ヽ
／〃'::::::/´ﾉ〉):_ノ_ﾉ::::::::::::::::::＼
//´::::::__,ｨ:ゝ-':__,:::-──- ､::::::::::ヽ
/ﾞ::::::::::／￣￣＼ ヽ＼ ヽ ＼::::::::ﾊ__
!:::::::／ヽ ヽ ', ヽ ＼ ヽ>,仁》
＿ |::::ハ ', ｌ } ! ! ',<ノ||＼
《ﾆﾊ_ゞ、 ＼ ＼ ! || | |__ || l | ＼>
ｿ|| ＼＼ ＼ ＼ | .从,ｨ匕Lィ|| | | 〈´ 「そもそも、あなたに作れるの？」
. | ', ＼＼,.＞一ゝ, |/ /,ｨﾁzノﾉ | | ｌ |ヾ
ハ ＼ ＼ｨﾁ乏ﾗﾐヾ' ｀￣ / // ｌ ',） , --─'::´
￣:::｀ヽ、 〈/|:} ヽ,＼ ＼￣ 、 / // / ｌ ヽ ／::::／:::￣
／:::;:ｨ:::::＼ //| |＼＼ ｀ゝ -= ' ／!// / ! ∨:::::::::':──-:::､
:::／:::::ハ::::∨ﾑ'〉 ｢｀::ゝ,＼_个 ｰtヽ_ ／─ﾍ,ィ' l |l /::::__::::＼:::￣｀ヽ
:::::::／／__;／:::::| |::::::::::ﾍ !:::::｜ |::::ﾊ;:::::_::_:::ヽｌ ｌ| 〈::::::::::＼:::::＼::::ヽ
:／;::/／/::::::::::: ! / :::::::::::::} |:::::::l! !/ ∨ } /::::/ / ﾊ｀ゞ ､::::＼＼:::::ヾ
∨／!:::::::::::::::| /:::::::::::::::::| |::::ノ| ト-ｰく 〈_｣:::/ / /::::ヽ:::ヽ＼:::ヽ ＼
／／|:::::::::::::::ﾚ ::::::::::::::::::| |::_〉 } ─ｰ､ヾ才／} /:::::::::::＼:＼＼〉＼
／／／ﾍ::::::::::::::::::::::::::::::::::::! /:::〉ﾍ! ￣＼ヽ)=::､/ /::::::::::::::::::::::::::＼
／;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;ヽ
／.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;/.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;|
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;∧;､;;_xv.;.;.;.;.;.;.;.|
. /;;;;;;;;;彡´{ ｿ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ｨ ;;;;; ;;;;;;;;;;;;/ ｀}.;.;.;.;.;.|
/ｨ´ {./;;;;;;;;;;;;;;;;ｨ;;;;;;;;;;;／/;;;;ｨ ;;;;;;;;;;/ }.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;ﾔ´
/;;;;;;;;;;;／l;;;;;;;;;;;/ /;／i ;;;;;;/ }.;.;.;.;.;＜,,＿
/;;;;;;;／ﾒ）.j;;;;;;;/ ｀ﾒ､ j ;;;/ ,ｨ､ /;;;;;;jｰ--ｰ'´
. /;;;／{. i ﾏ. j;;;;/ﾓ ｷf;;;;;ｼ､i ;;/ _,,／ ﾍ /;;／
/ｨ´ {. ヽ ｿj' ｀ｰﾞﾞﾞﾞ' j;;/ r'´zｵ;;ｯ､ /）
} ｀ﾒi ﾉ' i ｀¨ｰ ' /,'
{ / i ,ｨ. | j
ﾚ .ヽ ヽ､｀ ､ ノ j'
{ '. ｀ ､ ｀ ､ ／
ヽ '. ､｀ ｰ ､｀_ﾌ ／
ヽ '. ｀ﾞﾞ ／ 「当然よ。
i ' , / 設計図があるからな」
｀i､ ｀ rｰ一'ヽ
i ヽ､ | ヽ､ f´￣￣￣￣￣ ｀ヽ
| なるほど。 |
乂＿＿＿＿＿_ ノ
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
木型や体格ごとの人形から型紙を起こすような大量生産品と異なり、
滅多に作られない魔獣や幻獣の装具の設計図があるというのは大きいだろう。
普通の馬の鞍だって重量種や軽量種など
大きさはさまざまなのだから、
縮尺を変える技術もあるに違いない。
あとは長年の経験に勝る感性があるかどうかなのだが―――
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
-
１１２．
―――――――――――――――――――――――――――
ぐるり、と周囲を眺めた水銀燈は気になるものを見つけて
作業中の前にいってみた。
―――――――――――――――――――――――――――
＿＿_
, 〆;;;;;;;;;;;;;;;;;;;｀;;,,,、
／/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;＼
/ :/;;;;; 〆~＾~＾~＾~＾~＾ ' ヾ､
/ :/;;;〆 ; l!'
/ :/;;;/ l ! l! l l ', l!
,' ｲN;! !_l! |! i l! l! l |!l
,. 从ﾚ |!_l! l!l !: /,/__/ l! l !
, ﾙﾘ lヽ. ﾄソ`i l! ! / /__//l ｲ!
:l! 《_l!__! ヽ ゝ , ﾍソ/./ /l!
| ／; ; ;:;:| ﾄ.ゝ _ .ｲ/ //|l!
. ／; ; ; ; ; ;ﾍ ﾍ＞ ._ ＜=./ // l!! 「ふむ…」
/; ; ; ;;: ; ; ; ;:;ヽ∨弋 乂1;:;/ノ/ヽ.j:| _ ,,... -‐ '' "´
/; ; ; ;:;:; ; ;:;: ; ; そﾍ 辷1 .》;:;:;:/;:; ;1:| _ ,,... -‐ '' "´
〈; ;:;:; :;:;i;: ; ;:;:;: ; ; 弋,､,､,,ソ; ;ヽ;:/; /!.| _ ,,... -‐ '' "´
ヽ;:;:;:;:;f=-,..､;:;:;: ; ノ; ; ;丱; ; ;ﾞ_ ,,... -‐ '' "´
下从丱;ﾞ_ ,,... -‐ '' "´ﾞ
_ ,,... -‐ '' "´
__
(0|/)
。 。。 X´
,|-/x' r'⌒＞ ､ //l|
（,,'',,'',,''）Ⅲ￣￣ー＜（()）￣￣￣￣￣￣)V. lj￣￣￣＼
二二二二二二二二二二二ヽ ￣ /二二二二二二l
|:::::::::::::::｛{=―=}｝:::::::::::::::| |::| ＿ ノ―=}｝:::::::::::::| |
|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: | |::し'´::::::::::::::::::::::::::::::::::: | |
―――――――――――――――――――――――――――――――
並んでいる道具は裁ちばさみ一つとっても
普通の鋼鉄ではなくミスリル銀で作られていて、
握りの色が変わるほど使い込まれているにもかかわらず
刃の部分はぴかぴかに磨き込まれて大切にされているのが分かる。
―――――――――――――――――――――――――――――――
-
１１３．
,, .:x=＝＝=-x:.. 、
／/~::::::::::::::::::::::::::::ヽ ヽ、
r" /:::::::x－― -- 、:::ﾊ ヽ
. /＼_./ /_／ `:..', ﾊ／ヾヽ
{{ ／/ { } .ﾊ￣￣|:!
// ｲ ! i i ! .ﾊ＼_ﾉﾉ
. __{{,,// | ._i!__ ! ! _/}__}i | lヽヽ
. /" イ//} i |ﾄ {ヽ | | ./ l ,'} ｌ i |::|ヾヽ
... /::// ,' l i!ﾊ ヽ-＼从乂-}./ } .! ! | i::| ヾヽ
.... /;;// i | .{ {ｲ示芯 イﾃ芯ﾒﾉ,ﾉ .l .!" ~´
.. // .| | .i＼ゝゞ-'' ゞ-''=彡 .} ! ',
.... ,',' .,' .! .! ﾍ ' .ｲ // . | .',
...... ,',' .,' i! :;.ヽ ゝ、 ‐‐ .イ //i .ﾄ、 ヽ, 「ミスリルの工具………」
.. {{ .ﾉ ﾊ ', ＼ .｀＞ - ＜i // .! .! ヽ ヽ,
...... ',', / ﾉ .ヽ ', ヽ!￣｀X´￣! // l ,' ヽ ヽ,
.... ゞ' ,' / i | ヽ .',‐-イ::《二ｘ二》:ノ"、 ｒ} /ｒ‐‐..､ヽ ヽ
／￣￣＼
／ _,ノ ｀⌒
｜ .（ ●）（●）
. ｜ （___人__）
| ﾉ
.| | 「ヒドラ革なんかは鉄の鋏じゃ負けてしまうからな。
人､ | ただ、道具があれば誰でも加工できるってものでもないはずだ」
,ｲ:. ﾄ､ヽ、 __ ,_ ノ
,. -ｰｰ -‐ ´:::::::::::::::::::::::::::::7
／..:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: く'、
. ｛ :::::::::::::::::::::.ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::.. ､_
'| ::::::::::::::::::::::..｀、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::..｀ヽ
'| ::::::::::::::::::::::::::::i_::::::::::::::::::::::::::::::::::::.ヽ::ゝ
ﾄ､:::/ ／￣｀` ﾊ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!:::::::.ヽ
`,ﾍ ´:::::::::::::::::. ﾊ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|:::_,rｰ'､
}:,∨ :::::::::::::::::: ﾄ､:::::::::::::::::::::::::＞＜￣＼::..＼
. }:::∨::::::::::::::::､-''ﾞ~￣￣￣￣:::::::::...＼ ム:::::ヽ
l::::∨ :::: ／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,.､／...:::::::::ヽ}
{::::::＼,::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／"￣:::::::::::::::::::::::::ﾉ
――――――――――――――――――――――――――
隣にやってきたやらない夫は
職人が三人がかりで裁断機を動かしている様子を見て
あれなんか鎧アルマジロの外殻じゃないか、と言った。
――――――――――――――――――――――――――
-
１１４．
, - ' ´孑ヌ -｀ : ､
／j⌒__{ 辷杉'r'￣ヽ-ヽ
. ,:'イ ,:: r--t____, ､ t::.. ﾍ
/i , _r'￣ ゝ'´Y `Y
. _,.--}〃/ ' /!' }| !廴ヾ｝
Y::>'´ィ:::}| | { i / }|.| ., /}| /ｲ } }:ヽ
.... _ zV/:/:::/.{ i ===x. j |/ｲ.x===/ ﾘ::::ﾊ
...ﾞr≦´＜.／`/:::/ 八 Vi {ﾟ::ﾘヽ '´{ﾟ:::ﾘ〃 .／::_:::/
.ﾞ彳 ／ /´ ! | ＼ﾍ ｀¨ , ｀¨厶イ/{:{ヾ.',
, ' ≠/ { {', ヽ , 、 / { i:| |:| , 「………そうね。
.. / ／' ハ ヾ､ {:＞ . . ＜:{∧{ i | | ∧ 受けてくれるのなら、あなたに依頼したいわ」
. / ／／ / ∧ V＼ V:ﾉヽ 孑 'ﾊ_,､!:::ﾍ-:| | ',､ }',
/ ／／ / 〈 ヽ ∨ ＼ ／ j}､ヽi}⌒ｲ :り!∧V} ',
.. ／ ,:' ./ {_, : ´ ＼ Y{ ヾ:/>＜ﾆﾆﾆ≦ } ',}.ﾄ, ',
... ィ' ./ ／ r ∨{r===t_j⌒ー'´ヽ＞ﾘ Vﾊ
... / /./ 〈 , -- ､_:. ::{ ７､ ヽ 〈薔〉 }｛ﾍ! }
..../ /./ ヽ r==x i Y__,.､ V 7 /_ノﾘ }7
ﾞ/ / ,′ , ｲ ／ﾌY T ー─-vィ ／ ／∧
,' { ,:'./ , '〈:/ }::', |ﾍ -:::::::::::::' r≦::::ヽ: } i .∧
....' ｜ ' / / ﾉ／}/ ! j:ヽ ヾ≠i∨',::i | }
ﾞ′ .!/ i / r彳 //! |//Y r/ };i ',:ヾ:/! .'
| j / ヾ' ! | {_j ヽ// /
／.:.:.:.:.:.:.:.／:.:.:.:.:|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
／.:.:.:／.:.／.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:∠;;;;;;,;:.:.:.:.:.:|
-‐''７:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.／!:.:.:.:./ ≦:.:.:.:.:.:!
/.:.:.//.:.:.:.:.:.／ .|:.:.:./ , -‐＼:.:.:.:.:|
. /:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:./.＼ |:.:./_／‐- 〈:.:.:.:.:.Ζ
/:.:.;ｲ:.:.:|.:.:.:./弋ラ>|.:/"､弋ラ`, |r´｀l:.:.:.>
／ |:.:.:.|:.:./ ー ´ |/ ｀ー > |／
|:.:.:.∨:| 〈 ､ / ／ 「おぉ？
|:.:/|:.:./l /ィ
|/ |/ ヽ ´￣ ` ／ | オレが作ったもんとか見なくていいのかよ？」
＼ ／ ＼
,,... --‐''''"´＼＿_／ / ＼
-‐''"シ 〃 /l/ ＼ / ヽ
二彡'''" |l/‐-､ ヽ / ノ三|l､
-
１１５．
――――――――――――――――――――――――――――――――――
意外そうなカミナの前に戻った水銀燈は
先ほどとは異なる、敬意を払うべき一流を相手にする態度ではっきりと頷く。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
, '〆.:.:.:.:.〆 ｀ ､
／｛f7.:.:.:.:〆 ＼
/ -∠.:.:.∠ / l ＼ ＼
≪_ﾊハ.:V､＼ | | | l ヽ
/ヾｲ ｲﾊノ／ | |ヽ |＼ ' ! l ',
./ /:/／!l l:l∠ |庁ﾞﾄ､|､ ｀ , |! ! l |l |
,'l::l/. !| l:l ＼ | 仆｛!ﾝヽヾ { | ／ K/ /
, ' |::| ｌ| |:|＼ ＼ ｀￣¨｀ ﾚrﾃ/ //／
l::ｌ ｌ| |:| ｌ＼ ＼ 、｀¨/ ｲﾚ´
l/ ｌ| | 丶- / /
ﾊ ｌ、 ｀￣ ｨ / 「道具を見れば使い手の人となりは分かるもの。
／ハ l:＼:＞､ ／l |／| メイメイの手綱や鞍など、装具一式をお願いできるかしら？」
／ ∧ l:::/:.:7爪::.:丁 l | /
￣｀ー_＜:::ヽ Ⅴ::/ 小ヽ::| l | /
::::::.ヽ⌒マ}:::::ﾄ、Ⅴ/::||::L::.ﾄ､l //
:::::::::::::::::::::マ}::::ﾄ､Ⅴ:::l|::ﾍ｀ｰ| /'ﾍ
:::::::::::::::::::::::::::マ}:::::|<Y⌒Y>:| /::::::ﾍ
:::::::::::::::::::::::::::::::マ}::{ﾍ薔ﾑ}:::l/:::::::::::ﾍ
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : i i:l ヽ l: : : /
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :li: : l i:l l: : /
／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :lﾍ: :l i:l / ＼ l::/ヽ
i: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : k: : : : ::l ヽ:l ;l / l/ } 「ほう」
l: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : l ∨: : ::l ヾ / _,ｨ l /_
.: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ::l ∨: ::l ／__ 彡ｲ l / ヽ;;,,,,,,
l: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :i ;il ￣ ∨::l ￣ i/ ヾ;;;
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : ::l _il==-y∨:i i i;;;;;;
',: : : ::∧: : : l ヽ,: : : : : : ::i 弋_汐 /ﾍ::l :. il l;;;;;;
.: : / V: :l - i: : : : : : :ﾄ -- ' :::. i;;;;;;;
: :. ',::l V: : : : :: ::l l ﾙ l;;;;;;;
∨ ／ﾊﾄ - _V: : :ﾄ: :l / i;;;;;
/;;;/ ヾ:7 V: :l=-i ` ´ _ ｨ l;;;;;;
,;;;;;;;;;l i: :l ＼ _,,. -‐''"´ ｲ / i;;;;;;
_,,. ';;;;;;;;;;;;;;; ::.. l/ 、￣--_,, ' ´, / i;;;;
ヾ;;;;;;;;;;;;;;;;, :::.. ` ￣ - l;;;;;
ヾ;;;;;;;;;;;;;;;, :::.. ＞ イ i;;;;
-
１１６．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
騎獣向けの装具は怪物の革を使う特別製になり技術料も合わせてけっして安くない。
頼む相手を間違えれば不満の出る―――場合によっては命にかかわる―――にもかかわらず、
あっさりと決めた女性の眼力と決断力にカミナはますます口角をつり上げていた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
.:.:.:.:.:.:. r ､j/ｲ ∠
.:.:.:.:.:.:. ├‐ ￣ =
.:.:.:.:.:.:. |
.:.:.:.:.:.:. | ｆ´￣
.:.:.:.:.:.:.:. | || - ,ｨ
_.:.:.:.:.:.:.:. |∨ .ﾊ ||' ,ｨ仭Ⅳ
ｲ:.:.:.:.:.:.:.:. |.:.∨ ﾊ ||／ｰ ' ｽ
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. |:.:.::∨ ﾊ _ノｲ - '
;/l.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. |:.:.:.:.:∨ﾊ :.:. ﾄ
|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. |ｰ弌ｚ,Vﾊ ｊﾊ
|.:.:.:.:.:／⌒丶.:.,ｲ―― ､ヽ{.:. , ｲ |
|.:.:／.:.:.:.:. ＼.:. ＿＿}:.:.:.:.:. ／／｡│ 「名工と呼ばれた爺さんじゃなくていいのか」
ｨ':}ｲ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ヽｆ.:.:.:.≧:..､.:.:.:.:._／イ ／
.:.{.:.:.:.' ￣￣￣ ヽノ:＼.:..＼.:.:.＞:.､` =xー´
:/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. }￣ヽ＼.:.ヽ.:.:.:.:.:.:.≧､
,. -ｰ' 二二二 ｰ- ､
／／:￣__::::::::::::::::￣｀:::ヽ
／〃'::::::/´ﾉ〉):_ノ_ﾉ::::::::::::::::::＼
//´::::::__,ｨ:ゝ-':__,:::-──- ､::::::::::ヽ
/ﾞ::::::::::／￣￣＼ ヽ＼ ヽ ＼::::::::ﾊ__
!:::::::／ヽ ヽ ', ヽ ＼ ヽ>,仁》
＿ |::::ハ ', ｌ } ! ! ',<ノ||＼
《ﾆﾊ_ゞ、 ＼ ＼ ! || | |__ || l | ＼>
|| ＼＼ ＼ ＼ | .从,ｨ匕Lィ|| | | 〈´ 「それは謙遜、と言うより
. | ', ＼＼,.＞一ゝ, |/ /,ｨﾁzノﾉ | | ｌ |ヾ 自信があって私を試しているだけでしょう。
ハ ＼ ＼ｨﾁ乏ﾗﾐヾ' ｀￣ / // ｌ ',）
. 〈/|:} ヽ,＼ ＼￣ 、 / // / ｌ ヽ. たとえ天馬の鞍作りとは言え、
//| |＼＼ ｀ゝ -= ' ／!// / ! ∨. あなたの態度に惑わされて過剰に腕を疑ったり
. ∨ﾑ'〉 ｢｀::ゝ,＼_个 ｰtヽ_ ／─ﾍ,ィ' l |l /.. 気に入らない相手だったら断るぐらいの
／:::::| |::::::::::ﾍ !:::::｜ |::::ﾊ;:::::_::_:::ヽｌ ｌ| 〈: 気概がありそうだもの」
. /::::::::::: ! / :::::::::::::} |:::::::l! !/ ∨ } /::::/ / ﾊ｀ゞ
!:::::::::::::::| /:::::::::::::::::| |::::ノ| ト-ｰく 〈_｣:::/ / /::::ヽ:::ヽ
|:::::::::::::::ﾚ ::::::::::::::::::| |::_〉 } ─ｰ､ヾ才／} /:::::::::::＼:＼
ﾍ::::::::::::::::::::::::::::::::::::! /:::〉ﾍ! ￣＼ヽ)=::､/ /::::::::::::::::::::::::::＼
... 人::::::::::::::::::::::::::::::::|/::{ ｀入_ ゝ}_ソ/｀´}/::::::::::::::::::::::::::::::::::}
. ::::::::::::::::::::::::::::::::::::（＼__ ￣Z_r､_｢| ノ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾄ
ヽ;__::::::::::／:::::::::::::::〔 ゝ,＞､ _,ィ'７´}::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::! ゝ
斗､:::::::::::::::＼r ､ Y 厶ﾉ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::ノ ）
-
１１７．
――――――――――――――――――――――――――
きっぱりと言い切られた工房長の口がへの字に結ばれ、
作業中だった職人達の手も止まる。
――――――――――――――――――――――――――
/::/:/::::::::::::::|::::/::::::::::/ ＼ |::::::::::::/ ＼::::::::::|
／::/:/:::::::::::::::::!:/::::::::::/-==≡ﾐ!::::::::/} _ヽ::::::|
￣/:/:::::::::::::::::::!:::::::::::/ 行示ﾘ ﾘ:::::/´ _i＿＿__ !:::､>::|
. /:/:::::/⌒Y:::/!::::::::/｀¨｀￣´¨ |:::/ ／ r==､ ＼ |:::::::::ﾘ
/:/:::::/(丶/∨ !:::::/ |/ ! !ｲ示＼ } /:::::i::/
:/:::::/ /V^ |:::/ i ヽﾘ } //::::::::!:!
:::／|{｛ ＼ |:/ ' ヽ ' /::::::::::|:|
´ |::>､＼ } ' /::::::::::∧!
. i/ ヽ_i| r 二二二 丶 //}:::/i/
{ ､ ＼ヽ ｲ/´¨
| ＼ i/ ／／
| ＼ /-'
, -‐━‐- 、
／ 丶
／ ＼
/ ヽ
i .| i
| ＼＼ | | / ／ |
|＼ ＼＼＼| | / ／ |
| ＼ ＼＼ヽ .|. /.／ │
i ---≧ｘ＼＼人/／x≦--- |
./｀ , 弋艾ヲミ从从弋艾ヲ´ i⌒iヽ
{（〉､: ￣彡:介 .个ミ ￣ / .:ﾚ‐i ﾉ
j / (::: 彡' （ i .| ミヾ￣ .,::i //
. ＼ヽiﾐ､ ;/ (､' |;)、. ヽ ｨ斧ﾘ
｀i.|圭,ノx笏≡=.ヽ'=≡笊ミ圭込、 （あの娘、やりおるッ…）
,ｨ斧圭圭' ,-───-､ ﾞミ圭圭込、
ミ笏爪圭圭圭ﾘ /¨T¨ヽ、.::::};圭圭圭≧=‐'
笏圭圭圭ﾐ､..::::. };{,,, .:::ﾉ／ iﾞﾞ｀｀
| ＼ﾐ尨圭ミ=彡′ |
,ﾉ| ', ＼圭尨ｼ' .i. iヽ、
／ i. ', ﾞヾ" / i ＼
__／ .i ヽ / i ＼
/ i ヽ / i ＼
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
代替わりをしてからというものの、工房の評判や戻ってきた祖父の名声だけで
受注生産を頼みにくる貴族や冒険者に腕を疑われ、
腹を立てて追い返すことの多かったカミナであるが、
幼年学級に入る前から工房に入りびたり端切れでまねごとをしていただけあって
決して実力は不足していない。
眼力をもって見破ったのか、
入念な下調べで実は知っていたのか分からないが、
どちらにせよただものではないと職人達が感服していると、
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
-
１１８．
――――――――――――――――――――――――
注目が集まっていることに気づいた彼女は
急に恥ずかしくなって手を振ると、
隠れるようにやらない夫の裏に回り込んでしまう。
――――――――――――――――――――――――
-r=y=y=y､､
／z〆..::::::::::{f勾::::::..ヽ
／x<..:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
/.f７.:::::刈ｰ'^ｰ'^ｰ'^ｰ'ﾍｰマ}:::ヽ
. / xﾘ::xFﾉ l l .l .ｌ. l ﾏﾍ
/ ｛{l::/ﾉ .ｉ .| ll | l| |! | ! | l| ﾊ
. / ｛{:/ﾉ ｌ .l l ｌ l || |ｌ | | | ｌ| ! llﾊ
/ ｨﾘ{ l| 十 t .⊥ｌ l| ハ.} , ｨ 千 l l| .|
. /, .//|:}ﾄヽｌﾍlr=tzぅﾐヽﾘ ﾘj 斗 T７/ハ l､
. 、 .// 〈〈_}小ﾉハ ヾ弋ン` ゞ ' 〃ｲ ﾘﾍヽ 「ほ、ほら！
l:ﾄ:. // 〈.{ /ﾊ､}.〉＼__ ' u ｲ / l .l::|// 職人さんって頑固な人が多いって言うし！」
、 ﾍ!:V./ ゞｲ 1トム‐ｲ ＼ ､-.. _, ／/ / l.l:}.1 .＿
i;＼ヽ;i〉./ _〃∠ﾉ1 / }| ﾉ1 ヽ － イ / / /千1!|Yﾁi;i;i;i卞z,,_
i;i;i;i;Y// //⊥ｰ |｜|_ﾉ´ } ﾍ.:::::´:y:::ム/ / /ム!|:!||;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i≪_ ＼_人＿人∧从＿人_∧_人_从_/／
i;i;i;i;i;{/ 〈〃::::::ヽゝン⌒ ,､ Y｀ｰt:::/イ〃/::::＼ﾄi;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;≪, ) ＞
i;i;i;i;i/ ノ:::::::::::::::≧ x _, -､く ＼ヽ }|´__ //:::::::::::::＼i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i; ＜ ……ハッハッハッハ！ ＞
i;i;i;/ /::::::::::::::::::::::::〈 ＼ ｢ ヽ _ く. l ||:::::::::::::::::::::::::l;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i; < (
i;i/＿ ､|＿_::::::::::::::::::::::ヽ__,. -＜ ヽｰ"' ||:::::::::::::::::::::::/;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i; ／＾Y￣∨￣∨^Y^⌒Y^YY^^Y^
l:t- 水ｰ::l:}::::::::::::::::::::ヽ ＼ ｀ ＿>--ﾊ才1::::::::::::::/i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;
|:|／ｨ|ﾄヽ:l:l::::::::::::::::::::::::＼ へ__> ヽ |::::::::::::/;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;
-
１１９．
――――――――――――――――――――――――――
節穴の貴族共とはひと味違うようだな、と
大笑いした青年はふたたび作業台にバン、と手をつくと
前のめりになって宣言した。
――――――――――――――――――――――――――
／;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.; ﾉ＞ｰ--- ､＿＿
／;.;;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;x─'''''´
／;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;ヽ
／.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;/.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;|
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;∧;､;;_xv.;.;.;.;.;.;.;.|
./;;;;;;;;;彡´{ ｿ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ｨ ;;;;; ;;;;;;;;;;;;/ ｀}.;.;.;.;.;.|
/ｨ´ {./;;;;;;;;;;;;;;;;ｨ;;;;;;;;;;;／/;;;;ｨ ;;;;;;;;;;/ }.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;ﾔ´
/;;;;;;;;;;;／l;;;;;;;;;;;/ /;／i ;;;;;;/ }.;.;.;.;.;＜,,＿
/;;;;;;;／ﾒ）.j;;;;;;;/ ｀ﾒ､ j ;;;/ ,ｨ､ /;;;;;;jｰ--ｰ'´
. /;;;／{. i ﾏ. j;;;;/ﾓ ｷf;;;;;ｼ､i ;;/ _,,／ ﾍ /;;／
/ｨ´ {. ヽ ｿj' ｀ｰﾞﾞﾞﾞ' j;;/ r'´zｵ;;ｯ､ /）
} ｀ﾒi ﾉ' i ｀¨ｰ ' /,'
{ / i ,ｨ. | j
ﾚ .ヽ ヽ､｀ ､ ノ j'
{ '. ｀ ､ ｀ ､ ／
ヽ '. ､｀ ｰ ､｀_ﾌ ／ 「アンタ、気に入ったぜ！
ヽ '. ｀ﾞﾞ ／ この仕事、引き受けてやらぁ！！」
i ' , /
｀i､ ｀ rｰ一'ヽ
i ヽ､ | ヽ､
, __-,=＝=＝=〔{〈回ﾍ
／_f〆::::::::::::::::::::::弋之ｿ::::＼
/ ｊf７::::::::／￣￣￣￣￣ ＼:::::＼
/ {i7:::::／ i ＼:::::ヽ
;′ {|::::/ l i | ヽ:::::
,′ {|:/ ｌ | |｜ | | | | Ｙ|
.｜ {|| | |｜l十￢ | /｜ | |
. | ﾞ| | 斤==ミハ || /ﾄ､ｊ | ||
| | | | tしｿ ﾘ| ／癶〈| | ハ
| ｜ | ヽ ＼￣ '(ﾚﾘﾙ | ,∧｜
| ｜｜ ＼ ＼ , ｀ /! |〃ハ_i
| ｌ | ￣ __ _ /｜/″
. / 厂￣＼ ｌ ｌ＼ イ｜l/ーく 「ありがとう。
. / /::.::.＼ ＼ l l:::::::::r‐＜ﾍ ｌ 〈::.::.::ヽ＼
. | ｌ::.::.::.::.::.＼__ ヽ ｌ ｌ::::::::ﾄ＼__∧ Ｙ::.::.:ｌ ＼ ………それで、
. | ｌ::.::／::.::.::.::.::＼|::ｌ ｌ:::::/￣ ＞ﾍ ｌ::.::.j＿ お値段のことなんだけどぉ………」
ｊ ｊ／::.::.::.::.〈￣￣}ﾚﾍ ∨ ﾍ ｌ::.l::.::.::〉 〉
〔 Ｌ::.::.::.::.::.::.ｊ＿__ﾉ::::::ﾍ ',＿___ ＿jﾍ V::.::./ /
｀ ト ／::.:: ヘ :::::::∧ ∨ｰ┴;ヱ、::', ';:.:/ /
| i く::.:／::.::.::.＼/:::::', ｉ 匸{〈回}くl| |〈 〈
| i ＼ヽ .::.::.::.::＼:::| |―-ゞｰﾍ/〉| |ヽ:i ,
――――――――――――――――――――――――
裏から出てきた水銀燈は感謝しつつも、
少し言いづらそうに値段交渉に入ろうとしたのだが、
――――――――――――――――――――――――
-
水銀燈成長したなぁ
-
１２０．
――――――――――――――――――――――――――――
まだ金の話じゃねぇ、と手のひらを突き出されて首を傾げた。
――――――――――――――――――――――――――――
. /: : : :／/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :/: : : : : : : :/l/＿_: : : : : : :l
/: : ／ / : : : : : : : /: : : : : : : : : : : ;ｨ: : : : : : : : /´ `ーｧ : : : l
: ／ ./ : : : : : : : ,': : : : : : : : : :／ /: : : : : : /:/ ,ｲ : : : : L ＿
´ /: : : : : : : : ,' : : : : : : : ／ /: : : : : 〃:/ 〈ミ: : : : : ＜＿
/: : : : : : : : :,': : : : : : : /＼ i: : : :／/／ ／｀ヽ !ヽ. ＼---‐´
. /: : : : : ／! : i: : : : : : :/ｧ云≧!: : / ´ z=≦.._ l_ : ヽr-`
/: :〃 ／ .l: : !: : : : :.:/､弋タ_ l : / ´ ´{rﾈﾊヽ, ハ／
./／/／ l: /l : : : : / "￣ l:./l / `｀ﾆ"- ゛ ,'ｲ !
" ´ ,, l/-l: : : :,ｲ. l/ .l ,' ,'〉 !ﾉ 「まぁ待ちな。
,, '' l: : ∧_! l ,'/,ィ`丶、 カネの前にいくつか決めなきゃならんことがある」
,, '' l: / .l ` - ,'_/ ｀丶 、
'' l/ i､ ､＿＿＿＿＿_,、 ,' ＼
!ヽ、 、 , ,ｲ ＼
`丶､ l ヽ ￣￣ ／ l ＼
｀ヽ, / l ', ヽ ／ l .l , - ... _ ＼
_ .. -' ,' ／!. ', ヽ､＿＿__／ / ﾄ､! ／ ¨ ‐ -
＿＿_
, 〆;;;;;;;;;;;;;;;;;;;｀;;,,,、
／/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;＼
/ :/;;;;; 〆~＾~＾~＾~＾~＾ ' ヾ､
/ :/;;;〆 ; l!'
/ :/;;;/ l ! l! l l ', l!
,' ｲN;! !_l! |! i l! l! l |!l
,. 从ﾚ |!_l! l!l !: /,/__/ l! l !
, ﾙﾘ lヽ. ﾄソ`i l! ! / /__//l ｲ!
:l! 《_l!__! ヽ ゝ , ﾍソ/./ /l!
| ／; ; ;:;:| ﾄ.ゝ _ .ｲ/ //|l!
.／; ; ; ; ; ;ﾍ ﾍ＞ ._ ＜=./ // l!! 「なにかしら？」
/; ; ; ;;: ; ; ; ;:;ヽ∨弋 乂1;:;/ノ/ヽ.j:|
/; ; ; ;:;:; ; ;:;: ; ; そﾍ 辷1 .》;:;:;:/;:; ;1:|
〈; ;:;:; :;:;i;: ; ;:;:;: ; ; 弋,､,､,,ソ; ;ヽ;:/; /!.|
ヽ;:;:;:;:;f=-,..､;:;:;: ; ノ; ; ;丱; ; ;.;l!; /;:l |
下从丱;:;:;:ヽノ; ; ; く;ﾙ ; ;:; l;:/;ノl.ﾄ､
| |くﾙ; ; ; ﾍ; ; ; ; ; ハ;:; ; ;.|;:;| z弋
-
まあこの子も貴族なんですけどね
-
１２１．
／::::::::::;;::::／:::::::::::::::::/:::::::／ ｀ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::l
／-''"´ .／::::::::::::::::::::/:::ヽ/ ∨::::::::::::::::::::::::::｀::'::':フ
,ｨ:::::::::::::/:::::::::/´ ヽ:::::::::r ､:::::::::::::::イ7
/:::::::::::::::j::::::::::j ／ ∨//ヽヽ:::::::::／
/:::::::::::::::::l:::::::::/ ／ _,,==- ﾘ lヽ }::::::/
/:::::::::::::::::;::l::::::::/ / l f''{r':::ﾉ, r ﾉl:::::/
/::::::::::::才’/:!:::::/::! ｀ ' l-' .!::/
/::::::才 .j:::l:::/:::::ﾍ フrﾊ ! .l:j
/:／ j::::l::jﾊ::::::::ﾊ ｀¨ l l l
/ｲ l::/l:/ !::::/ハ / ./ .l
l/ .l !:/ ﾍ , イ￣ ｀ｊ / .|
「素材だ。 l' へ. -'､-〈 .ﾉ / / l
ヽ ヽ--'" ／ / !
同じ型紙から作るにしても. ヽ , ｲ ./ l
なんの革を使うかで ﾍ _, ｲ j
できあがりはガラっと変わる」. ￣! /
〆 ＼ハ
| | | | l ヽ 、ﾊ
| |｜ | | | | ｌ l
l | l｜ ﾉｲ | | | ﾄ､二丶
| | l｜ |ｌ |ｌ ﾊ | | |＼｝ |
| 斗－┼ ､ |l 斗－/ } | ; |｜ヽ＼
＼l_,x≦三メ、 |l /厶≧xj_ﾉ / |└‐' _丿
代¨丁 ｌ ヽ＼ ｊl ／イ ｌ 厂}｢ｲ |`TＴ´
｜ `ｰ‐' ヽ／ `ー' / /| | |
＼ l / ／ ｌ | |
l＼ ' ／/´ / , ! ^ 「う〜ん？
ｌ ｌ、 _,..、,,.. ｲ 〃 厶 -―＜ 私はそのあたり、分からないのだけど………」
ｌ｜ ト イ ′〃 /.::.::.::.::.::.::.::..｀ ､
::l l | |::.::.::＞ ＿ ＜::.::.:|┤〃 /.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.: .＼
::.:l l |ｰﾍ ::.::.::.::／〔_〕二 ヽ | ″/＼::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.:: .＼
::.::l |》 ＼／イ ハヽ_ノ丿! /l::.::...＼::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.:.ヽ
::.::.ハ |》 〈 〈ノ /| ｀TＴ | /《|::.::.::.::..＼::.::.::.::.::.::.::.::.::./.::.::.:〉
.::/.:: }ﾉ》 ー ｲ | |弋 l/ 《|::.::.::.::.::.:..＼::.::.::.::.::.::./.::.::.:/
/.::.::.::.:|》 ＿∠.ノ⌒Y⌒ヽr―‐v'ﾞ´￣〉.::.::.::.ヽー― '.::.::.:/
――――――――――――――――――――――――――
そう言った知識はまるでなかったので、
困った彼女はずっと黙っていた同行者に視線を向ける。
なんでも知っていそうなこの人なら、
貸してくれる予算のことも含めて
適切な助言をしてくれるのではという期待を込めて。
――――――――――――――――――――――――――
-
１２２．
―――――――――――――――――――――――
察したやらない夫自身鞍を作ったことはないが、
冒険者の活動や職種に合わせた革鎧を
素材持ち込みで作るようなものだろうと言った。
―――――――――――――――――――――――
／￣￣ ＼
-｀ ⌒ ヽ､_ ＼
「おそらく騎獣ごとに ´ ●）(● ） |
. 適したものがあるはずだ。 （_人＿) ｜
'､ ｜
. 飛行種ならなるべく軽いとか | |
. 竜や飛竜のように鱗をもつものは | ､ .ｨﾊ､_
. 負けない程度に固いものとか。 ≧ｭ─ｰ ´:::::::::.......ヽ
／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::...＞、
. その中で魔術特性……… ,.＜..::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..ヽ、
. つまり魔法防御が高いとか /.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::∧
. 耐火をもつとかを選ぶ感じじゃないのか」. j ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/..::::::::::::::Λ
i :::、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i:::::::::::::::::::::::::}
ｉ :::Λ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::V..::::::::::::::::::::ｲ',
| :::::Λ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::V..:::::::::::::::::::::ﾊ:i
, '〆.:.:.:.:.〆 ｀ ､
／｛f7.:.:.:.:〆 ＼
/ -∠.:.:.∠ / l ＼ ＼
≪_ﾊハ.:V､＼ | | | l ヽ
/ヾｲ ｲﾊノ／ | |ヽ |＼ ' ! l ',
./ /:/／!l l:l∠ |庁ﾞﾄ､|､ ｀ , |! ! l |l |
,'l::l/. !| l:l ＼ | 仆｛!ﾝヽヾ { | ／ K/ /
, ' |::| ｌ| |:|＼ ＼ ｀￣¨｀ ﾚrﾃ/ //／
l::ｌ ｌ| |:| ｌ＼ ＼ 、｀¨/ ｲﾚ´
l/ ｌ| |. 丶-ー ___ / /
ﾊ ト、 ‘ ‐'´ ｨ /
／ハ l:＼:＞､ ___ ／|／| 「単純に固くて軽ければいいと
／ ∧ l:::/:.:7爪::.:7 l | / 言うわけでもないのね」
￣｀ー_＜:::ヽ Ⅴ::/ 小ヽ::| l | /
::::::.ヽ⌒マ}:::::ﾄ、Ⅴ/::||::L::.ﾄ､l //
:::::::::::::::::::::マ}::::ﾄ､Ⅴ:::l|::ﾍ｀ｰ| /'ﾍ
:::::::::::::::::::::::::::マ}:::::|<Y⌒Y>:| /::::::ﾍ
:::::::::::::::::::::::::::::::マ}::{ﾍ薔ﾑ}:::l/:::::::::::ﾍ
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
たとえばヴリトラの革などは、なめすと鋼板と見紛うばかりに硬くなるし
魔法防御力もそうとう高いのだが、
もし鎧を作ろうものなら、板金鎧と変わらない作りになるし
そもそも革自体が希少とあって盾や鎧の急所に使われる程度である。
ドラゴンの革に至っては、鱗をはいでなめすと布のように柔らかくしなやかになってしまい、
かつてはマントやグローブ、ブーツなど―――に加工できる職人と施設を今は聞かないが―――
に使われたこともあったそうだ。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
-
１２３．
――――――――――――――――――――――――――――
専門家がいるのだから聞いた方がはやい、と
あちこちに積まれている革を見回したやらない夫は
あまり怪物の革がないな、と思いながらカミナに問いかける。
とうぜん予算に上限などないことも添えて、だ。
――――――――――――――――――――――――――――
／￣￣＼
⌒´ ヽ､,＿ ＼
（●)（●.) |
（_人___） |
'､ │
「予算は別として } {
工房長のおすすめは？」. !､______ .ィ-ｰﾄ、
V／:::::::::::::::::ヽ
{::::::::::::::::::::::::::::::.、
／ｰ-:::::::::::::::::::::::::::::::,
「r'、 ／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,
} r'、 ﾍ､ /.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: i
i/ ム､} .{ i:::::::::::::::::::::::::V:::::::::::::::::::::: |
{ い､{ Ｙ::::::::::::::::＼::::V:::::::::::::::::::: |
＼ ヽ {|V.::::::::::::::: ＼V:::::::::::::::::: |
＼ ノ|:.V.::::::::::::::::::::::〉.:::::::::::::::::|
／.:.:.:.:.:.:.:.／:.:.:.:.:|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
／.:.:.:／.:.／.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:∠;;;;;;,;:.:.:.:.:.:|
-‐''７:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.／!:.:.:.:./ ≦:.:.:.:.:.:!
/.:.:.//.:.:.:.:.:.／ .|:.:.:./ , -‐＼:.:.:.:.:|
. /:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:./.＼ |:.:./_／‐- 〈:.:.:.:.:.Ζ
/:.:.;ｲ:.:.:|.:.:.:./弋ラ>|.:/"､弋ラ`, |r´｀l:.:.:.>
／ |:.:.:.|:.:./ ー ´ |/ ｀ー > |／
|:.:.:.∨:| 〈 ､ / ／ 「天馬なら留め具や下地は
|:.:/|:.:./l /ィ 軽くてしなやかな大鹿が無難だな。
|/ |/ ヽ ´￣ ` ／ |. 鞍本体は大猪で良いだろう。
＼ ／ ＼
,,... --‐''''"´＼＿_／ / ＼ ただ、魔術特性はなにもつかねぇ」
-‐''"シ 〃 /l/ ＼ / ヽ
二彡'''" |l/‐-､ ヽ / ノ三|l､
――――――――――――――――――――――――――――――――
こいつとコイツが見本だ、と棚から引っ張り出された革を触ってみると
確かに見た目よりは軽く、すべすべしていて
メイメイの毛皮とこすれても傷はつかなさそうだが。
――――――――――――――――――――――――――――――――
-
さすが無限の財布
-
１２４．
―――――――――――――――――――――――――――
魔術特性がなにもない、と言うのが気に入らなかった彼は
怪物辞典の記憶を掘り返しながら言った。
―――――――――――――――――――――――――――
／￣￣＼ｰ-､ ＿ｒ‐- ､
__ノ ヽ､,_ ＼. 7;:::::::::＼__
（●）（● ） | 〃:::::::::::::::::::｀ ''‐-､_
（__人___） |‐≦ｲ::.::::::::::::::::::::::::::::::::::丶、
|｀ ⌒´ | └‐-､__::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
「できるだけ魔術特性が多く. | | ｀ヽ.::::::::::::::::::::::::::}
強いものがいいんだが」 ヽ .ｲ __,. -＜丶､.:::::::::::::::::/
__「ヽｰ'ーｰ"／7一＾V::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ｒ´
_, ､ -― ''":::＼:::￣￣:::::/::::::::::::.､::::::::::::::::::::::::::::::::::／
f´￣￣￣￣￣ ｀ヽ /;;::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ::::::::::::::::::::::::.／
＜ あ〜〜… | 丿;;;:::::::::i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i:::::::::::::::::_ｒ'´
乂＿＿＿＿＿_ ノ. i ;;;;;:::::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i::::::_､-'ﾞ´
/;;;;;::::::::::::::::!::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!／
l ;;;;;::::::::::::::::::|;;;;:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l′
-
１２５．
―――――――――――――――――――――――――――
カミナとて、訪問者の装備を見て
ただの革で納得されるとは思っていなかったのだが、
こっちにも事情があんだ、と不機嫌そうに頭をかいている。
―――――――――――――――――――――――――――
＜＿::::::::::::／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
. ￣ 7::::::::::::／::::::::::::::::/::::::::::ﾑ;;:::::::::::::::::::::l
/:::::::::／::/::::::::::;／|:::::::::/ "''ヾ､::::::::::|
. /::::::／:::::/::::::::::/ .|::::::/ ＿ ≧:::::l､
/::::::ム‐::7|:::::::::/＼,,,,|:::/､ ''" ＼ i::::::::::::ﾆ=‐
/::::_ -‐ 7/|::::::/‐弋ラ|/ ､弋ラ丶 ト､::ﾄ､|
. /／ /:::l |::;ｲ ｀ ー ´ ｀ ─ ´<＼|' 「カネもってそうだし
′ |:::::>ﾚ'ﾞ| ﾉ r-'ニ､─i`i. こちらとしても薦めてやりたいのは山々なんだけどよ、
, 'l::|／ ｀| ｀´ ｀‐┐ | | ト..､... 材料が全然ねぇんだわ」
. , -‐'i´| ｌ:::::l ＼ -─‐-､ _／ ' / l|:::::l丶､
/:::/ /:/ l::::::l ＼ , -‐ ´ ／ |:::::| |:::|｀`r..､
. /:::/ /:/ ヽ:::ヽ ＼ ＼_/ ／ /::::/ |:::| l::::ヽ
/:::/ /:/ ヽ:::ヽ l´ -‐─‐r‐ ´ /::::/ |:::| ヽ::::l
...... l／ /:/‐- ゝ:::ヽ＿ | -‐ | ＿ /::::/ ／ ヽ:ヽ ＼|
l ／／ ／::::::::／￣ | ／ ＿ |￣＼｀'::::/ |＼ ＼＼ /
／ ^⌒＾⌒＾⌒⌒^丶､:::.::..＼
/／ / ＼::.::.:.ヽ
/ / ′ 〃 l |＼::.::.l_
/ | | 〃| | | ／ｨ[}ぃ
′ ｌ | ｜ ／ | | | / 〈:{_ﾉ八ﾉﾉ
| | |ヽ | ￤ | |/_」/| ヾｲ|:トrく l
| | |ｌ |⊥ミﾒ､ | /ﾉィ厶斗┤ / | |:| ヾ:､
|lﾉ八 lヾﾍ リ ＼/ ﾍ リ丿.′ ' | |:| }::〉 「在庫切れ？
|:ﾄﾍ ｀ { ￣ ￣ / ／ | |:| く/ | なんだかとことん間が悪いわねぇ」
ﾚ |＼ヽ_ ヽ ∠／| || ﾚ |
| ト __ ／| |l | （私、こんなに運悪かったかしらぁ）
､＿ ＼__ | | ／／ )､_ ＜＿j ﾘ＼ ｜
_ーｚ三≧三≧| |_{ '´ / 〉介ト-､.′ ∧＿＞―＜三三三三三三ご＿
ご三三三三三| |::| /_ﾉ:| |:|｀/ / /.::厶-― ､＼三三三三二ニ
ﾆ二三三三三三／| r‐ﾍ jーｒﾞ| |:|/ / /.::.:|::.::.::.::.::.::..＼＼三三三三≧===ｧ
ｰ=ニ二三三三/.::.::| ノ | Г|ノ厶l/ , /.::.:: |::.::.::.::.::.::.::.::.＞｀ヾ三三三三{￣
￣え三三∧::.:〈￣ト‐┴√| ﾄ､__/ ／｢`7.::.:::/Ｌ. -― __ ――〉三三三三二
＝彡ベ彡ｲ⌒ヽ「＼l / ﾉ.::|/ ／} /.::.::.〈ー―::.::￣::.::.::.:.::／三三三≧一
/ /＾Y⌒ト-ｲ￣厂〉 イ￣ , /.::.::.::.::〉::.::.::.::.::.::.::.::.:／＼￣`ヾミ⌒ヾｰ
/ / ト--rヘ＿r-ｲ/ j| / /ﾆﾆ二/.::.::.::.＞‐[}‐く ＼ ヽ
. / ∧ ｜ | | /|＼＿／..::.::.::.:/ｌ::.::.::〈〈__ﾉ八_〉〉 ｌヽ .
―――――――――――――――――――――――――――――
己の不運を嘆きたくなった水銀燈の隣では
やらない夫が手持ちの確認をしようと手帳をめくりはじめていた。
―――――――――――――――――――――――――――――
-
１２６．
::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l ヾ:::::::／ ',::::::{
::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::/::::::::::::::l ヽ:/ /;;;j ∨l
:::/::::::::::::::::::::::::::::::::/l:::::::::::::::i ＿ /;, il l ＼
:/::::/:::::::::::::::::::::::::/ l:::::::::::::i ／ i;;;;;;;;; l
{::::/l::::::::::::::::::::::::/ l::::::::::: ／ -- ヽ;;;; /
l::/::::;::::::::::::::::::::/ :::::::::i ／z=--─ ｨ /
/::::::::i:::::::::::::::::/ ` 、 l:::::i ヽ ／ {っ ::::ﾊ ﾉ ／
:::::::::::i:::::::::::::::/ - =っ=ﾐi:::l ゝ ゞ--=' lイ i
::::::::::::i::::::::::::/ 丶そ_ｿﾍl l l
::::::::::/',::::::::::'ヽ
:::::::/;;; ,:::::::/;;;;;＼ / l
::::/;;;; l:::/;;;;;;; 「翡翠街道を食い物にしてる野盗団が
:/;;;; l/;;;;;;;;;; ＼ ヽ ´＿ /. 調子コキやがってな、
;;;;;; ;;;;;;;;; _,, - ´ ＼-‐- / ここんとこ流通が死んでんだ。
;;;; ;;;;;;;; -''´ ＼ヽ
;; ;;;;;;; / ＿ -- ＼ i / 冒険者も新しい番号遺跡に夢中で
; ;;;;;;;; / } | 革取りの依頼を出してもからっきしだしよ」
／ ＼ヽ. ＿＿＿＿ ノ .:.:.:.ﾊ
/ ヽ､＿＿＿＿＿___.:.:.ﾊ
/ ﾑ {ヽ `:.､:＼
| |弋ﾊ__＼ :.:.:.:.:
| /∨ | ｲvﾊ-x 丶 :.:.:.:.:
'V ∨ ハﾊ│ヽ{ ヽ ＼ j :.:.:.:.:
＼{ }ヽ ',0 ', ヽ{ヽ ハ:.:.／
_lノ ヽ } ∨ j/:.:.:
く .:.:.:.:.:.. ｀ ｰ―彡 .:.:.:.:.:
ヽ , ' ￣￣
{__ u ／
「討伐隊もやられちゃったしね」 （｀こ⌒) ／ ／.:
∧( ) ' ⌒ヽ ´ ／ .:./.:.:.:.:
{ （ ） .:.:.:', ／ .:.:./:.:.／:
ヽ_____ .:.xー┴'ー‐ .:.:.ｲ,.:.'.:.:.:
-
１２７．
,. -ｭ,ﾆニ弌垳ト､
／r'^ _rﾍ-ﾍ/＾ヽr宀､
/!７ト､7′ 〃 ｌ ヽ ヽ
、 / l//L｣| ∧ｌ | ! |l ｜ ! ヽ
|:l / 〃 ||丁l トH､lV| |l /l } l |
ヾヽ / 〃 |l | ｌ抔卞｀ヽ{ /-ト/ //ﾘ
＼ ヽ:∨ |」 /ｌ| ｌﾄヽ￣ ﾚ'戎ｼ' ／ ′
⌒ヽ!ヽ._j＼＼ / 八 |ヽ __ ' ∠r1=彳 「手配書のあれね？
::..::..::..::..::..｀::..::ヽ/ ﾊ ヽ‐ >､ ,. イ| }::..｀ヽ、
::..::..::..::. ／⌒ヽ､ヽjノヽ.∨r 芥､/:./ /::..::..::.､＼ ヨイチ湖そばの古砦を根城にする野盗団。
::..::..::.::./:.:.:.:.:.:.:.:.:ヾ⌒Tlヽ｝l,ハ/-/ 〈::..::..::.｀ヾ＼ヽ 首領は雷神の二つ名を持つ妖術師エネル、か。
::..::..／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:∨_ || ヽ:ﾚ':.:ヽ::..::..::.くヽ.j
::.r'´.:.:.:..::.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∨_ ||ｰrﾍ.:.:、:.:.＼ヽヽ:〉 ………雷の魔法が得意だから雷神なのかしら」
仆､ :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ∨_l〉 ri心:.:',:.:.:.:.:ヽ｝
′ ＼_.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ∨_ ゞ=仆ヽ.:.:_ノ
, 〉个､:.:.:.:./.:.:.:.:.:.:.:.:.∨_ ｌ }〉:.}'´
| く_/^ﾄ､>:.∧:.:.:.:.:.:.:.:.:. ∨_ﾘ 〈|:.ハ
| //:.:.:||:.:./ ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∨┐r':.:{ ､ヽ
!| //:.:.:.:||:./ ｝:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:∨.:.:.:.| l |
/ ヽ
/´￣ ー- ...,,./ ＼
/ ｀ ヽ. ヽ. ,ｨ _
,.ﾍ´ ￣￣ ~｀゛ﾞ''ー- ..,, ＼ ', / !／
./' ヽ__ ＞ ..,,ﾐ.､r-.､/ ／
/ ,/ ￣ ー- .. ＿ ﾐ ', ヽ ／
./ ,/ ￣~｀ﾞ'ｰ-', ',ヽ..
:./ ,/ （⌒ヽ ヽ ',.i:/
./ ,/ ヽ ＼/ i : !:|
/ ,/ / ＼ ＼ } :|:.', ﾋﾟｸｯ
:/ / ー-- ヽ ヾ : i:.:
:/ / }｀ ﾞ ' :/
/ / ﾉ / /
:/ / / ' /
:/ / i /
/ / ﾊ {
::/ / / ;
-
１２８．
／:::::/{＿ ,. イ ,.イ:::::::::::::::::::::＼ ｀ヽ､ }､:::::∧
/::::::::/ _,.ｘ＜:::::::::::::::::::::::::::::::::::＞ｘ_ ￣ ∨::ﾍ:ヽ
./::::::::7 ／::::::::::::/ |::::::∧::::::::::::::∧::::::|',:::::::::ー:､ V::∧ヾ
7:::::::::::| /:::::::::::::::/ i:::7 ∨:::::: / ∨::! V:::::::::::ハ i::::::::',
i:::::::::::::'´::::::::::::::/ -─:7＝ ∨:::/==- V{ __V::::::::::::::ヾ|:::::::::',
;::::::::::::{:::::::::::::::7 , -─=､ V,′,. --- ､ V:::::::::::::::::::::::::ハ
ｲ::::::::::::::V:::::,'!::7 / ９ ! ７ ９ ヽ∨::::::::::::::::::::::::::}
／ー‐ |::::::::,.}::::,' |:| .{ i { } V ∨,､:::::::::::::::!
|::::::{ Ⅵ, ヾ ､＿__. ' ` ＿__ノ 〃- {::::::::::::7
|::::::| ( ハ i '〃 ' 丁 }::ﾊ::::,'
レハ:､｀ヽ ', , - ' ,ｨ/ V 「そうだって言われてる。
V＞--', ＿__ ,'__,.イ／
／V:::::::ヽ ´──｀ ,ｨ:::::::／､ だったら耐雷で固めていけばいいと思うんだけど」
ｘ＜: : : :Ⅵヽ::::＞ ､ , イ:::/Ⅳ: : :∧
／: : : : : : : : }!: : ＼::::|: :＞ ＜::::|:/}:,': : : : : : :∧
厶-----z__: : : : : : : :ヾ{: : : : : ￣: : : : : : :.|: : : : : : : : : : :∧
,. -ｰ' 二二二 ｰ- ､
／／:￣__::::::::::::::::￣｀:::ヽ
／〃'::::::/´ﾉ〉):_ノ_ﾉ::::::::::::::::::＼
//´::::::__,ｨ:ゝ-':__,:::-──- ､::::::::::ヽ
/ﾞ::::::::::／￣￣＼ ヽ＼ ヽ ＼::::::::ﾊ__
!:::::::／ヽ ヽ ', ヽ ＼ ヽ>,仁》
＿ |::::ハ ', ｌ } ! ! ',<ノ||＼
《ﾆﾊ_ゞ、 ＼ ＼ ! || | |__ || l | ＼>
|| ＼＼ ＼ ＼ | .从,ｨ匕Lィ|| | | 〈´
.| ', ＼＼,.＞一ゝ, |/ /,ｨﾁzノﾉ | | ｌ |ヾ
ハ ＼ ＼ｨﾁ乏ﾗﾐヾ' ｀￣ / // ｌ ',）
. 〈/|:} ヽ,＼ ＼￣ 、 / // / ｌ ヽ 「雷精とか雷獣じゃあるまいし、
//| |＼＼ ｀ゝ -= ' ／!// / !. 人相手に雷が来るという思い込みは危険よぉ？
. ∨ﾑ'〉 ｢｀::ゝ,＼_个 ｰtヽ_ ／─ﾍ,ィ' l |l /
／:::::| |::::::::::ﾍ !:::::｜ |::::ﾊ;:::::_::_:::ヽｌ ｌ| 〈: 雷が得意で二つ名を得た妖術師だとしても、
./::::::::::: ! / :::::::::::::} |:::::::l! !/ ∨ } /::::/ / ﾊ｀ゞ 他の属性が使えないわけではないわ」
!:::::::::::::::| /:::::::::::::::::| |::::ノ| ト-ｰく 〈_｣:::/ / /::::ヽ:::ヽ
|:::::::::::::::ﾚ ::::::::::::::::::| |::_〉 } ─ｰ､ヾ才／} /:::::::::::＼:＼
ﾍ::::::::::::::::::::::::::::::::::::! /:::〉ﾍ! ￣＼ヽ)=::､/ /::::::::::::::::::::::::::＼
...人::::::::::::::::::::::::::::::::|/::{ ｀入_ ゝ}_ソ/｀´}/::::::::::::::::::::::::::::::::::}
. ::::::::::::::::::::::::::::::::::::（＼__ ￣Z_r､_｢| ノ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾄ
ヽ;__::::::::::／:::::::::::::::〔 ゝ,＞､ _,ィ'７´}::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::! ゝ
斗､:::::::::::::::＼r ､ Y 厶ﾉ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::ノ ）
-
１２９．
,:::!::::::::::::::::::::::ヽ¨ ￣ ::::::::::::::::::::::::::‐-..._
'::ｨ:､::::ﾄ､::::::::::::::::､_ ､:::::::::::::::::::::::::::::::
{:' !::i:::::: ,｀ ¨ ｀ y´ ¨ ヽ ｀ ｰ :::::::::::::::::::::
{::::､::::: i : ! ゛ ‐-::::::::::::
ヽ::::､｀ ! ! . _ } i::, ´_
¨ {ﾘ !リ ﾉ !' ／
丿ｰ ｰ─一 ' 〈 ヽ
､ ,, 〃 // 〉 -‐
! , ‐ - _ -‐ ¨
、 丶 - ､ _ ‐- ､ _
「あ、そっか」 i= ､ ＼ ｀¨ ﾆﾆﾆﾆﾆ=ﾆﾆﾆ.; 'ﾆ
!ﾆﾆ≧-‐ﾑ =ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ,' !ﾆ
ﾑﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ=-‐=≦ﾏﾆﾆﾆﾆﾆニ{ iﾆ
iﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ=､ﾆﾆﾆﾆﾆﾆ､ ‐-
ﾏﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆｧ' ﾏﾆﾆﾆ=,≦=､
,':;:;:;:;／"ﾞ~~ ⌒ﾞ~~｀ﾞヽ､;:;>[~] ＿____
__j:;:;:;:;ｻ ｌ ｌ l ヽ '|ﾞゞ=l廴 l-l~ {￣￣￣~''‐‐ｰ、
＿＿,,||文~/| | | | | | | | | |:|ヾ.t ﾖ .__{ { { /_＿＿ |
__,-‐~￣~´ }"//|'´ |'、ﾄ ﾄ | | | ﾄ､|､| |:| 》∑l lゝ{ {{ ゝ-‐:: :: :: /
／~＿_, ヾ } } ｨl:/:::|､ ｜|∧|､|､ | /|/l | l]ｌ | |｀|ヽﾆ'´i_ｌ／:: :: :: :: :／
〈: :: :: : ''‐-_ヾ ! } l::|::|〈'、 ﾄ｀ﾞｒ ｭ ﾄ､ |/ 「lゞ ij,'l /|l,','､| ／:: :: :: :: ::／
＼、:: :: :: :: ｀'ｰ 、.} l:/ |::| ﾞﾍ ﾍﾞiーﾞ |/′ ￣ |/ /| | ／:: :: :: :: ::／
｀＼ : :: :: :: :: :｀' ､_//゛|∧｀''ゝ､ ' ｨ/| / |／:: :: :: :: ::／:/
|｀ｰ 、::: ::: ::: :::ﾞヽ､ｌ ｀ |. |､lヽ_ ｰ - _jｆﾘ/ /ン :: :: :: :: ::／:::/. 「雷がくると思わせる………
|:: :: :｀ヽ､:: :: :: :: :: :｀'''癶 ﾞｌ∥ |l`ｰ‐''´| |/'|/:: :: :: :: :: :／|:: ::/.. 相手の思考を誘導するために
|:: :: :: :/ ｀ヽ､_ : :: :: :: :: ﾍ,l 丿ヽｲ^ト-′:: :: :: :: :: :〆、 |／ あえて二つ名を名乗ったり
|:: :: ::/ / /｀ヽ、:: :: :: ::{l^Ｙ＾Ｙ＾Ｙ＾Y^l}:: :: :: :: ::∧ l ﾞ、. 広めていたら強かだし、
|:: ::./ //'´ ｀ｿ.:: :: ::{l 〜〈{勾}〉〜l} :: :: :: ::/| l ﾞ、 手の内がばれようとも構わないほどに
|:／ // / l:: :: :: ::{l ｀T´ l} :: :: :::/ | | ﾞ､. 特定の戦法が得意だとしたら
// ,' .|:: :: :: ::{l 人 l}:: :: ::/| | | | l | それはそれで厄介な相手ね」
|/| l l、 :: :: :::ヾ＝====＝":: :: :/ | | | | | |、
l丨 ,' ヽ:: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: ::ｲ /| | | | /│|
――――――――――――――――――――――――――――――――
雷神の二つ名を聞いて
『二つ名なんてものは信用するな、逆にその二つ名を利用した戦法を
考えられるだけ考えてから戦え』との教えを思い出したのは
さすが「虚と欺と謀」を重んじる三巴流の剣士と言うべきだろう。
――――――――――――――――――――――――――――――――
-
１３０．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
三巴流の名誉のために言っておくが、
あくまで戦闘時の心構えであってそう言う人間性を求めているわけではない。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
┌──────────────────┐
│ キラキラスキルとも揶揄されがちな .│
│ 三巴流の戦技について ....│
│ 剣匠デコース＝ワイズメル氏の弁 ...│
└──────────────────┘
ﾞ,,ｨ , iﾉ: ﾘ: : : __, -‐"ﾉ ___ ', ﾄ､__＼ ヾ｀
/'"/,ｨ,,,,,,,,,, / ﾉ,ｨ-､,-‐'´ _,-‐'´ ｀ ', ‐-ゝ､ ｀ｰ､_ ﾄ､
.. ﾉ {::} _,ｨ´￣ -‐… ｰ-{‐-､ ＼ ﾞﾁ ミ､__,
.ﾞ/// ,ｲ ﾉ: ﾚ'´: : : : : ‐- ､ ､ ｀､ ¨ヽ､｀Y'´ 辷'´
'/, ' ／ 彡:: : : : : :､ ､＿,ｨ,ｲ从ﾉ::､ ::::::ﾉ ,ｨ⌒ヽ､ﾏ __ノ
....'/ /,ｨ 毛: : : :｀尤'¨￣･￣｀'::i:::::::〉: 〈 ‐{ｨｨｨｧ､ } ミ｀
.ﾞ/,'γ¨ヾ､ ', ミ､:i :" '￣¨¨¨￣´ノ:::: : : : :', } ｀‘ｰ´く 彡´
' {i⌒ヽﾐ ,ｲ ﾄ､ヽ: : : :´￣￣ :::: : : : :' ヽ｀ｰ Yゝ
... ∧､-‐彡 彡 辷::ゝ: : : , ‐ 〉 ﾉミ､
...ﾞ,' ﾍ (彳 ', ﾄ､: : ヽ: : _人 (⌒) r‐ｧ ) / ﾐﾞ､
..ﾞ' ﾉ ﾍノ) ,' ii{:: : : : :i : ___,ｨ´ ｀¨ ｉ(¨ ヽ { ､ ﾄ､ 「技の内容が想像できる技名なんて
.:': :': :彡'彳 j ミヾ､:: : :i ((ww｀ヽ､__ j ヽ､__＼{ﾐ､ ミ､. 見切ってくださいって言ってるようなもんだバーカ！！
. : : : ::,ｲ ,' ｲ; ﾄ､i: : : : :',: ＼ヽ｀V^^ｰ-､二ﾆ二彡ｦ Yヽ ｀ｰ彡
...: : : 彳/ ,' i ﾐ､:{: : : : : : : : ＼ヽ､,､,､,､,､,､,､,､ / }､｀ ､ミヾ､.. あぁん？仲間に対する警告？
,: : :ﾉ:ﾉ,' ,'j,' ､ミ:ゝ､: : : : : : : : ＼｀ｰ――――'つ ﾞﾏ｀ ミ､. この名前はこういう技だって事前に話せば済む話だろう」
..ﾞ::'イノ,'ｨ´ ,ｲi ﾄ､:::::::｀ｰ-=､: : : : : ｀ｰ――――'´ ) ､ミ辷,
..ﾞ/´:/: :'ｲﾉﾘﾊ ﾉ――――‐≧=｡: : : "" ) ／､ )ヾ､ 彡'
..ﾞ: :,': : : {圭艾ﾘ圭圭圭圭圭圭斧≧=｡ ＿＿__｡=≦´( i ﾘヽ ミヾ､
..ﾞ'ﾉ,'/: : }圭圭圭圭圭圭圭r｀寸圭圭ﾐ}}圭ヲ: ヾ: ､: : ヽヽ､ｰ彡'
ﾞ/: ,':/: /圭圭圭圭圭丐=ﾐ廴_ﾉ圭圭ミ}}圭{: ヽ:ヾ､:ヽ､:｀ｰ辷彡 ＿＿
≦三ミ圭圭圭圭圭圭(,､_ﾉr‐-､ｨ圭圭}}圭{: ',: : :ヽ＞―-､∠｡-‐'´圭圭斧ヽ､
圭圭圭＞=､三ミ圭圭圭ミゝ-‐'圭圭ﾐ}}圭{≧＝≦圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭＼
圭圭圭＞'´ o ))圭圭圭圭圭圭圭ミ}}圭ﾉ圭＼{(⌒ヽ､:圭圭圭圭圭圭圭圭圭＼
-
１３１．
＿_＿_
，‘ ｀ヽ､
，‘ ヽ
/ jj_i-┴┴-､j_j Y 「聞いただけでニヤついたり
/ i'´ ｀i | むず痒くなる名でもいい。
/ ji '"⌒ ⌒ﾞ⊂ヽ､_i, -―‐-=､ 困惑させたり吹き出させたら勝ちだ。
f rｲi| t‐rﾃ､ r‐rﾃﾍ,-, , ＼
| ﾏ i|＝=(::::)＝(::::)／, , __ノ､. ＼ 技名一つで見切りにくく、
j ,'::| i|i ､_, f r〈 〈 〈{_j ＼ ｀ヽ､ 相手を脱力させ、
. / ,' ｉ:ｉ i|ﾑ 'ｰ‐=-､ ∪' ゝ=‐' ＼ ＼ 隙が生まれることに
/ ,' :,'.:| i|ii} ゝ､＿__ ／:i ｉ|i i i: |, -―‐- ､ ＼ ＼... なんの問題があるんだ？」
. / ,' .:,'.:.j ｉ|ﾉ { : :,':.:.:::iｉ i|＿／ ｀ｰ‐＼ ＼
/ ,' .::,' :/ .i| j . ': :.:.::ｉ.i i|／ , -‐ ヽ ＼
. ∠ -―‐ / ,'.j :∠::-‐'´|.i i| . . : : . ヽ. ﾍ
. f´ / ,' /､ r'´ , '／ .| i ii . . :__: :､: . . . . : : : . . ﾑ
. ｉ 〈,' ,' .,' i , '／ ｉ ｉ ｉ| . :, : : :.:.:.:.:.＼: : : : : : : : : : : : : : _ノ
j ,' V j〉ｰ' く | ｉ ｉ|. ..,:': : : :.:.:.:.:.:./¨｀ｰ―――――'´
. ／ / V:////∧ | ｉ ij:.,': : : : : : : : /|
.... ／ .i .///////∧ ﾚ'´: ' : : : : : : :.:/i |
【三巴流の技名例（対人など人語を解し知恵のある相手を撹乱する場合）】
三段斬り
→ワンタン斬りと読み替えたり
三段斬りと言いつつ四段斬りを繰り出す
瀑布断ち
→瀑布断ちとスピンスラッシュを戦闘中に読み替える
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
疑り深くなる弊害はあるかも知れないが
人相手には見切られないように技名を言わない、というこれまでの常識に捕らわれず、
同じ語調で別の技名を使ったり、同じ技の名を言い換えたり、
そもそもまったく効果と無関係な、少年達が喜びそうな名をつけたりしており、
西部では五星流分派の新興ながら対人戦ではかなり強いと言われ始めているのだ。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
-
おかしい・・・銀ちゃんがさっきからかっこいいぞ（
-
１３２．
――――――――――――――――――――――――――――――
やがて、目的のページにたどり着きやらない夫の手が止まった。
――――――――――――――――――――――――――――――
f´￣￣￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ
| ﾊﾟｲﾛ=ﾋﾄﾞﾗ | f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ
| 多頭の怪蛇は？ .| . = ﾆア | 軽いがゴワつく。 .|
乂＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ ミヾ``ｰ ､､. | 綿入れを着る鎧ならいいが .|
y' ＿,`′__ミミﾐ. __ `ヽ､ ,=..ﾞ| 鞍にすると尻が痛くなるな。 .|
' ´ ヽ丿厂 `ヽミﾐ､_`ー､_ ヽ,r'´ _乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ
└ '´ ＼ ヽ l r'´ _ -‐'´彡´ヽ､（__r┴､ j
r､ ,､ __rvﾍﾉヽミ七 `Y´ / ヽ= ' `′
r‐ﾍ⌒ ￣`ｰ-v'´,ｲ ヽ,j / ,イrｲﾚｧ<^リﾄ､
, ﾍﾍ l _ _, -‐'´`ｰ､ノ ﾉﾉ , -―､ ヽ l lヽ/√'ﾍ〃, -彡 ヽ
,､_人 l ヾヽ ﾄ- ―-､ ﾉ <ﾄ ､,､（ ヽ l v- ―ァ' 彡三 ' Y
. 冫､ヽ ヾ) `´ミァ `) ヾﾉﾐ､ヽ _ ヽ l／, -―ﾅ<j lｱ ミミミ､/
ヾノミ _ くﾘ ヽ ヽヽ(^-､ヾ ､ヽ／ l r-クr=ミｧ-'
ミゝ､`′ ヽ ヽ_,==＝ﾐヾゝ ヽゞ､j ヽ. ノ ,ﾉ人＿＿
`ｰ､＿ﾉ ／ ＞=二ミ_ ヽ. ノ￣ヽ`^ﾐﾆﾊ､ ノﾆァ-,__
, - ､_ __rく´ ァ彡コﾆミ_ ､,､ ,､） .l´ ト―-､__ 二三ミ>'```ヽ
, ‐ｺ 上- ￣`´ ,イ=彡=工ﾌ-､ `′`' i ﾚ, ~ヽ フ彡三= ､ <ァ､
l_/ ヽj ^r' _-‐---'__,ノヽ彡-―､ i‐ ､__ ヽ､ﾉ` イ ,ﾄr-､＿ '´ `ｰ､ーｧ_ !
`ヽ ` 〃__ -‐ ￣/ / l l ﾉ`┐ ノ ﾉ / ヾヽ `ヽ､ ￣ `′
___,.ノ￣ ／ l ヽヽ.ﾊ ﾌ´, - '´ !ヽ ヾヽ ヽ
,- ' ＿, -- ―､/ ヽ `ｰ′/ lァ￣i ヽヽ ﾉﾉ ヽ
. ,ｲ , -´ / ヽ / j lヽ l `∠ l
l ､ （ / ヽ / ,r（／ ﾉｧ' ﾉ
ヽミ` フ'′.__ノl , - ‐l ,/ ￣ ／´ ノ
`´ ,ｲ´ _ ヽ._ ,／ ヽ､ j ノ ヽ､ ／
┌──────────────────────────────────┐
│【種族名】 ......│
│パイロ＝ヒドラ（多頭蛇系 中位種 多頭の怪蛇） │
│ │
│【怪物辞典より抜粋】 │
│最大で体長二十メートルを超えるヒドラ系の中位種。 ...│
│年を経るごとに増えていく三〜八本の頭は │
│それぞれが独立したそれなりの知能を備えているため死角はないに等しい。 │
│ │
│蛇の怪物のご多分に漏れず体力は凄まじく、 .│
│火を吐くこともできるため、戦闘時は耐火に気を配り │
│氷属性で攻めると良いだろう。 ....│
└──────────────────────────────────
-
１３３．
f´￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ
| ﾄﾞﾄﾞﾌﾞﾗﾝｺﾞ |
| 剣牙猿。 .|. f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ
乂＿＿＿＿＿＿_ ノ | 極端に水に弱い。 |
丿.:.:.:.: ﾞﾍ. | 雨の日には出かけないってワケにゃいかんだろ？ .|
_,ノ'´.:.:.:.:.: ｭ_ 乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ
－､ _/´.:.:.:. ∧、＿__..ﾞﾞ.._ﾍ
____ヽ::`ｰｨ∟ ｌ|::::ゝoゝ::｀´ヘ:ヽ
￣‐二~~￣''''――--......,,,, ´::::ゝ::::│
＿丿 ＾ﾞ''ｰ-..,,_::::::::::::::::::／::::・・::::－ｰ--..,,__
下´ -"''ｰ-_-彡'‐''''''''ｰ ､::::::::::::::::"`ｰｭ
／’ ,..-''"ン'|!'＾１/Wi::::-ｲ一‐'''￣＾'、｀
冫 .:.:.:.: ﾉ _,ノ'´ |! /,,_＿│｛ﾏ 、 ゝ
丿 : : : //'´ | l’ │ | 1ﾞ! ￤
ﾉレ : : : /丿 i| l : | !１::|! :│
丿 : /丿 ; | ﾉ | ﾉ::│! : |
‐ﾔ │l’ ゞ // // :│ : l
丿 !’ _ : / / .:.:亅! １
ﾞ|! : i '、 !│ ム------、
│ 、:::│ 1 丨│ ,, 丿 .:.:.:.:.:: : : ＼,,
ﾞﾞﾞ1 │:::::::! ン'、 ,ノ'''l!_ﾉ! 〈ﾐ’ .:.:.:.: `ｰ 、
丨 ヽ::::│: : : : : 1 .／..-" _ノ‐" │ : : : ヽ＾
_ﾉ ゝ」､:.:.:.:.:.:.:.:´ _/ │ : : : ヽl
／.:.:.:.:.: |! ﾞヽ,,:::::::::::::: _ｨl'´.:.:.: |l： : : : : │ _＿
1.:.:.:.: ! `ｰ-....,ｨ广.:.:.:.: ﾉ!'':::::::::::::::::: !/ ,ー、｀）
丿: : : │ ﾉ’.:.:.:.:.: ﾐj!‐ﾞﾞ:::::::::::-..,,＿_ ヽﾉ ´
l’: : : : l 彳.:.:.:.:.: !:::::___,,..ノ’ ￣ゝ ＼_
ﾉ: : : : : : : / │::::::: |!::::＾ 、 ＼ `ｰ 、
┌───────────────────────────────────────┐
│【種族名】 │
│ドドブランゴ（大猿系 剣牙猿） ..│
│ .│
│【怪物辞典より抜粋】 .│
│長く鋭い牙を持ち、肉食となった大猿。 │
│生息域は大陸南部の森に限られているが、雪原や草原に住むようになった亜種も多い。 │
│動きが素早く、巨人なみの力を持っているとあって近接戦闘は避けた方が無難。 .│
└───────────────────────────────────────┘
-
１３４．
f´￣￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ
| ﾄﾞｽｶﾞﾚｵｽ .|
| 砂 鮫は？ .| f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ
乂＿＿＿＿＿＿＿_ ノ | おいおい、尻をヤスリがけするつもりか？ |
| ってかありゃヒレを食ったり .|
| 歯を矢尻にするもんで |
| 皮は加工にむかねぇよ。 |
,'. 乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ
j{_
j:7ﾊ
＿j7/ハ , =‐‐￢: ￣: ￢‐: ⌒: -=-
__,ィ＝'´ : :j '/ /7 r' : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :＞
_r' :,ｨ :⌒ : ＜j ' / /ｩ:' : : : : : : : : : : : : : : :＞ ' ´
＿ （ :ｨ´: : : : : : : : : :≧ｲ : : : : : : : : :＞ ' ´
, ‐ :.ｬ､: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ィ＜´
ィ´: :o : : : : : :≧o 。_ : : : : : : : : : :_ ＞ : : : : : :ヽ、 ,r':7
,ｨ'´ : ＿＿ : : : : : :__ :＝----‐ ￢ : : : :,;; : : :.i : : : } : : : : : :.〈
￣ ` ､: ; ; ￣: :¨: : :j : : : : : :_ ィ､: : : : : : : : :j : : : j. ﾏ ∨ : :.}
｀ ｰ───── / : : : :> ､ : : : : :.{: : :.7 寸.∨: }
〈 : : : : ﾆｭ ￣ .八 : :.〉 ∨!
ヽ= .1: :, }‐:7 ヽ
j: :.{ }: :′
ﾉ: : ! ,' : :{
┌───────────────────────────────┐
│【種族名】 .│
│ドスガレオス（魚竜種 砂竜） ...│
│ ....│
│【怪物辞典より抜粋】 ..│
│砂海を悠々と泳ぎ回り、渡ろうとする旅人をも ...│
│胃袋に収めようとする貪欲な魚竜で、 ..│
│砂船を縄張りを荒らす敵として襲ってくることもあるという。 .│
│ ....│
│砂海という非常に足場の悪い場所での戦闘となり、 .│
│潜られると魔法や戦技も通りづらくなるため危険な存在に思えるが、 │
│状態変化に弱く、空腹な事が多いため │
│薬を混ぜた餌をまくと簡単に引っかかるだろう。 │
└───────────────────────────────┘
-
１３５．
f´￣￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ
| ﾌﾙﾌﾙ |
| 奇怪飛竜とか。 .| f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ
乂＿＿＿＿＿＿＿_ ノ | 珍しいもん持ってんじゃねえか、 |
| 柔らかくて尻に優しいし強い耐雷がつくぜ！ .|
| |
| ナメしが必要なら腕の良い業者を紹介してやんよ。 .|
乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ
,......__,.
,./;:;:;:;:;: ヽ..,,
.,____.... _../:;:;:;:;:;:; ,. ヽ,,_..__
,.／.:.:.:.: .. .~~~ 、"" ,丿,／ ., ~ヽ,_,＿,.,
.,/,,,,wWｗ, ::.:.:.:. . ヽ /,:: 丿 . .,＿＿,,,........￣￣＞
,|.,W:::;;;;;,::"ヽ:. .W.￣￣"" :~）￣￣￣~"
..|:{::::::,,,::::,,:::ミ） :::::: :::;;;;;ゞ,,;; ../
. ,|{::::::::;;;;;:..,,ﾐﾉ::::::: .,,,／"/ ヾ, .|.
"ヾ,M从w/,,,,;;;;::''''"~~|~:::丿 ,.| ↓
~~~~~ ,ﾉ_;;,,ゝ ..∠_;;,,ゝ
┌────────────────────────────────────────┐
│【種族名】 .....│
│フルフル（飛竜系 希少種 奇怪飛竜） │
│ .│
│【怪物辞典（希少種編）および、飛竜辞典より抜粋】 ..│
│もともと飛竜種は卵を取りまく環境によりさまざまな亜種が生まれやすく、 │
│総歴一九八〇年時点での分類は三十を超える。 ...│
│そのなかでもとびきりの変態を遂げたのがフルフルであり、 ..│
│おそらく光の届かない洞窟の奥深く、しかも雷属性の強い場所で生まれると言われている。 ..│
│ .│
│視力は殆どなく、かわりに嗅覚が鋭い。 │
│また、雷の息を吐くほか、鱗が変質してぶよぶよとした体表は .│
│雷属性をほとんど無効化するようだ。 .│
│ .│
│普段は苔やキノコを食べており │
│縄張りから出てくることもなく活発的ではないのだが、 .│
│戦いとなると非常に凶暴で巨体からは想像もつかないような動きで襲いかかってくる。 ...│
└────────────────────────────────────────┘
-
１３６．
／￣￣＼
／ _,ノ ｀⌒
｜ .（ ●）（●）
. ｜ （___人__）
| ﾉ ﾊﾞｼﾞﾘｽｸ
. | | 「石視の大蜥蜴もあった」
人､ |
,ｲ:. ﾄ､ヽ、 __ ,_ ノ
,. -ｰｰ -‐ ´:::::::::::::::::::::::::::::7
／..:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ト、
.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.. ＼､_
::::::::::.＼::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..... ヽ
:::::::::::::...ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::...ﾍ、
:::::::::::::::::...ヽ::::::､-─────- ､_,. -－──ｰ、
:::::::::::::::::::::::::::://￣￣￣￣￣￣｀ｰ´￣￣￣￣/
:::::::::::::::::::::::::// / / /
:::::::::::::::::＿//＿_ ./ / /l
:.:.:.:.:.:. r ､j/ｲ ∠
:.:.:.:.:.:. ├‐ ￣ =
:.:.:.:.:.:. |
:.:.:.:.:.:. | ｆ´￣
:.:.:.:.:.:.:. | || - ,ｨ
_.:.:.:.:.:.:.:. |∨ .ﾊ ||' ,ｨ仭Ⅳ
ｲ:.:.:.:.:.:.:.:. |.:.∨ ﾊ ||／ｰ ' ｽ
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. |:.:.::∨ ﾊ _ノｲ - '
;/l.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. |:.:.:.:.:∨ﾊ :.:. ﾄ
|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. |ｰ弌ｚ,Vﾊ ｊﾊ
|.:.:.:.:.:／⌒丶.:.,ｲ―― ､ヽ{.:. , ｲ |
「それも悪くねぇ。 |.:.:／.:.:.:.:. ＼.:. ＿＿}:.:.:.:.:. ／／｡│
耐土と状態変化抵抗がつくはずだ」 ｨ':}ｲ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ヽｆ.:.:.:.≧:..､.:.:.:.:._／イ ／
:.{.:.:.:.' ￣￣￣ ヽノ:＼.:..＼.:.:.＞:.､` =xー´
:/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. }￣ヽ＼.:.ヽ.:.:.:.:.:.:.≧､
-
ラインナップがおかしい…
-
１３７．
|>┬< | | | | l | ｜/| l| l| | ＼>┬<|
//|:||:ﾄヽ | |l /| | 八 /|/｜/ | /| | //|:||:ﾄ＼
|:|_|:||:|_ﾉ:| | 斗 {┼ ト廴ヽ ／/ 」厶 }/ｰ|､/| |:Ｌｌ:||:|_ﾉﾉ
7TTトイ l＼| ≫云ミ ≫云ミｋ ﾚ'亅 ｀7TTT
|::| |:| |ヽ l 《 ﾋﾘ ﾋﾘ 》 / / | |:| |:
|::| |:| | ＼ ＼ ー= =一 / / ｜|:| |:|
Ｌ| |」 ｌ ＼ ＼ ｉ / ／ |〈::| |::〉
く l |ト-ヽ ∠ イ l
ア 二二ｌ |:＼ r=====、 ／| ｌニー＜ ぽかーん
. / /.::.::.::.::.::l |::.::.|}>､ `ー―‐' イ 〈{| l::.::.::.::.＼＼
/ /.::.:::.:::.:::.:::ｌ |::.::.|}〉 ト ＜| 〈{| l::.:::.:::.:::.::.:.＼＼
. 7 /.::.:::.:::.:::.:::.:::.l |::.::.|}〉 |::.:/＞＜ｌ::.::.::./ 〈{| ｌ::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.ヽ
/ └- ＿ :::.:::.:::.ｌ |::.::.|}〉 ＼|:| |:|::.／ 〈{| ｌ::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::. 〉 ∨
r―――｀::.::|ｌ::.::ｌ |::.::.|}〉 rへｲ:|＿r|:|-、 〈{| ｌ::.::.::.::/|::.-=ニ二、 〉
|:::.:::.:::.:::.:::.::: |l::.::.:l|::.::〈├| ||::|｜|j::| ├厂ト/>{|/.:::.:::.::/ {:::.:::.:::.:::.／／
／￣￣＼
／ _,ノ ｀⌒
｜ .（ ●）（●）
. ｜ （___人__）
| ﾉ
.| | 「となると、フルフルかバジリスクだな。
人､ | 下地の特性と組み合わせて選びたいところだが………」
,ｲ:. ﾄ､ヽ、 __ ,_ ノ
,. -ｰｰ -‐ ´:::::::::::::::::::::::::::::7
／..:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: く'、
. ｛ :::::::::::::::::::::.ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::.. ､_
'| ::::::::::::::::::::::..｀、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::..｀ヽ
'| ::::::::::::::::::::::::::::i_::::::::::::::::::::::::::::::::::::.ヽ::ゝ
ﾄ､:::/ ／￣｀` ﾊ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!:::::::.ヽ
`,ﾍ ´:::::::::::::::::. ﾊ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|:::_,rｰ'､
}:,∨ :::::::::::::::::: ﾄ､:::::::::::::::::::::::::＞＜￣＼::..＼
. }:::∨::::::::::::::::､-''ﾞ~￣￣￣￣:::::::::...＼ ム:::::ヽ
l::::∨ :::: ／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,.､／...:::::::::ヽ}
{::::::＼,::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／"￣:::::::::::::::::::::::::ﾉ
―――――――――――――――――――――――――――――
皮だけでも余裕で一財産になりそうな―――
すべて、少年時代に事後報告で報酬がもらえる依頼のために
一人で退治した怪物からはぎ取った素材だ―――
やらない夫はしばし考え込んでいたのだが。
―――――――――――――――――――――――――――――
-
１３８．
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
大人二人でも抱えるのに難儀しそうなほど大きい麻袋を台車の上にひょい、と置いて
闇天馬の魔法防御力と合わせれば生半可な魔法じゃ通らなくなるはずだと言った。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
／￣￣＼
／ ⌒ ´ ⌒
｜ ( ●) (●） ｼﾙﾊﾞｰ･ｻｰﾍﾟﾝﾄ
｜ （___人__） 「本体をバジリスクにして、下地は 銀水蛇 にしよう。
| ﾉ 精霊属性全体と状態変化に抵抗が高くなるはずだ、
j | メイメイのもつ魔法防御力も考えれば
. ノヽ、 , ノ _ 並の魔法は通らなくなると思う」
,. ｰ、一一´:::::::::::::≧ーｰ"7 i' Y
. / .::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.｀-、 i l _
/ .:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.. ＞-､ | lﾌ ト､
.::::::::::::::::: !::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.ヽ i／ ,.ｲ 丿
:::::::::::::::::: l::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::. v:: l / i'r ´,.ｨ
:::::::::::::::::: l:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: l::: l j 丿r´,.ｨ
:::::)::::::::: /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |::: 八 ｀ﾁ
／::::::::::;;::::／:::::::::::::::::/:::::::／ ｀ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::l
／-''"´ .／::::::::::::::::::::/:::ヽ/ ∨::::::::::::::::::::::::::｀::'::':フ
,ｨ:::::::::::::/:::::::::/´ ヽ:::::::::r ､:::::::::::::::イ7
/:::::::::::::::j::::::::::j ／ ∨//ヽヽ:::::::::／
/:::::::::::::::::l:::::::::/ ／ _,,==- ﾘ lヽ }::::::/
/:::::::::::::::::;::l::::::::/ / l f''{r':::ﾉ, r ﾉl:::::/
/::::::::::::才’/:!:::::/::! ｀ ' l-' .!::/
/::::::才 .j:::l:::/:::::ﾍ フrﾊ ! .l:j
/:／ j::::l::jﾊ::::::::ﾊ ｀¨ l l l
/ｲ l::/l:/ !::::/ハ / ./ .l
l/ .l !:/ ﾍ , イ￣ ｀ｊ / .|
l' へ. -'､-〈 .ﾉ / / l
「おいおいおい、ずいぶんと贅沢品になるな。 ヽ ヽ--'" ／ / !
王都の親衛騎士も羨ましがる組み合わせだぞ？. ヽ , ｲ ./ l
ﾍ _, ｲ j
てぇ事は銀水蛇の皮も持ってんのか」 ￣! /
―――――――――――――――――――――――――――
いわゆる魔法文明期に作られた魔法の革鎧ではないが、
怪物の革を使った高品質な鎧も
魔術特性がつくとあって前衛職のあこがれなのだ。
超希少種の闇天馬の鞍だからまだ良いが、
これが普通の馬や騎獣の鞍だったら
正気を疑われても不思議ではないだろう。
―――――――――――――――――――――――――――
-
１３９．
／￣￣＼
／ _,.ノ ヽ､_
｜ ( ●) (●）
｜ （___人__）
.| ｀ ⌒´ﾉ 「いや、皮はこれからとってくる。
| | たしかヴィーテ河で討伐依頼が出ていたはずだ」
.|､ |
[::.ヽ､ __ ,_ ノ
_, ､-一 :::"＼ ::::::::::::::::7、___
／ .:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.. ヽ__
/ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::..＼ __
.i :::::::::::::::::、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i::::::::::::::::::.. ＼_
i ::::::::::::::::::: i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.. ｀::...､
l ::::::::::::j:::::: i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i:::::/::／::::::::::::::::::::::.. ｀ヽ
l ::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: i::´::::::::::::::::::::::::::／::::::::: l
l :::::/::::::::::::ｿ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: l＞ｰーｰ-、r-‐:'::::´::::::: l
i :::::::::::::::::::〈:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: l l´:／::::::::::::::: ﾉ
V .:::::::::::::::: lヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: l ﾉ .:::::::::::::::::: ／
l ::::::::ｰ::::::: |:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::. ､ ／..::::::::::::::::::: /
＿＿_
, 〆;;;;;;;;;;;;;;;;;;;｀;;,,,、
／/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;＼
/ :/;;;;; 〆~＾~＾~＾~＾~＾ ' ヾ､
/ :/;;;〆 ; l!'
/ :/;;;/ l ! l! l l ', l!
,' ｲN;! !_l! |! i l! l! l |!l
,. 从ﾚ |!_l! l!l !: /,/__/ l! l !
, ﾙﾘ lヽ. ﾄソ`i l! ! / /__//l ｲ!
:l! 《_l!__! ヽ ゝ , ﾍソ/./ /l!
| ／; ; ;:;:| ﾄ.ゝ _ .ｲ/ //|l!
.／; ; ; ; ; ;ﾍ ﾍ＞ ._ ＜=./ // l!! （簡単に言うわねぇ………）
/; ; ; ;;: ; ; ; ;:;ヽ∨弋 乂1;:;/ノ/ヽ.j:|
/; ; ; ;:;:; ; ;:;: ; ; そﾍ 辷1 .》;:;:;:/;:; ;1:|
〈; ;:;:; :;:;i;: ; ;:;:;: ; ; 弋,､,､,,ソ; ;ヽ;:/; /!.|
ヽ;:;:;:;:;f=-,..､;:;:;: ; ノ; ; ;丱; ; ;.;l!; /;:l |
下从丱;:;:;:ヽノ; ; ; く;ﾙ ; ;:; l;:/;ノl.ﾄ､
| |くﾙ; ; ; ﾍ; ; ; ; ; ハ;:; ; ;.|;:;| z弋
――――――――――――――――――――――――――――――
詳しいことや相場が分からないので任せきりの水銀燈が、
でもクリムゾンが大きくなれば怪物なんて、と考えていたら
あれれ、確かと怪物辞典を開いたシモンが心配そうに聞いてくる。
――――――――――――――――――――――――――――――
-
１４０．
f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ
| 兄ちゃん大丈夫？ |
| 上級者なら退治できるらしいけど、 ..|
| 皮とりとなると簡単じゃないって言うよ？ |
乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ
＿,,,,,, ,,,,,＿_
,, =＝;;''"": : : : : : : : : : : : : ":'' =z ,, ,,,_
,,∠: : : : :.,;;;i: : : ::::::;;;;;;; : : : : : : : : :,: : : ,,: : : : =ｭ ,, _
.／::::;;;;;;;;;::::::::::;i!::::::::::;;;;;;;;;::::::::: : : : : : : ::, _:;;:'': : :;;:;: : '': : : : :'=z,
i!iiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii!iiiiii!:::::::i!iiiiil;;;;;;;;;;: : : : : : :;;;i i! };;;;;;;;;;;;;ir-:::;;:::::::::::::i::::}
_,,ｪ=''":: : : : :"'',iiiiiiiiiiiii!iiiii.,,: i!iiiiil;;;;;#='':"":" :''≡'=''---=z廴,,,_ :::::::;;i 从ﾉ
,,,,ｪ=''"::: ::: :: : : : : : :: :::::;;;;iiiiiii!iiiiii!ii!iii;;;;y'" :-=tzzzz'=tz'=='==-"ｭ｣__;;,,z=="/゛
__＿,,,,,,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::: :: :: : : : : : : : : : ::: :::::::iiiiii!iiiiii!iiiiⅣ,,,:: :: ___,,,,,,,,, ;; -===== =-''"
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::: : : : : : : : ::::::iiiiiiiiiiiiiiiiⅣ___y==-＝''""
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;: : : : :iiiii=''": : /''"
lllllllllllllllllllllllllllllllllllllliiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii=;; ;:::''"; ;;''´ノ´
llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllliiiiiiiiiiiiiii==''":7: : :i!_〃
llllllllllllllllllllllllllllllllllllllliiiiiiiii='''":::::::::Y ; ',,.''””~
lllllllllllllllllllllliiiiｪ='''", ' , "/";; ;_z='''"
llllllllllllllllllllii::::::::: : : ; __,,7='''""´
..”””””””""""´´´
┌──────────────────────────────────────┐
│【種族名】 │
│シルバー・サーペント（水蛇系 高位種 銀水蛇） ....│
│ .│
│【怪物辞典より抜粋】 .│
│河の女王とも呼ばれる白銀の硬鱗を持つ水蛇。 .│
│寿命は三百年ほど、最長で二十五メートルほどにもなるという。 .│
│ .│
│知能は馬程度とされるが、しぶとく強靱な体力、猛毒の牙、下位の精霊魔法も使う上に .│
│全精霊属性にかなり高い抵抗力を持っており、中級以下の冒険者では .│
│逆に水底に沈められてしまうだろう。 .....│
│ .│
│皮は革素材として珍重されるが、肉はかたく臭みがつよいため食べるものはいない。 .....│
│生き血は強壮剤や一部媚薬の材料として募集されることもあるようだ。 .│
│また、約二十年に一度脱皮するらしく、抜け殻は一部霊薬や錬金術の素材になるため │
│生息域の下流に網を張る漁師も少なくない。 │
└──────────────────────────────────────┘
-
１４１．
ｉ:/ i:ｨ::ヽ | l i ! | ｉ i ｉ ! l ､ ヽ
l:l_/!:レ'::〉 / | .li l ! | | l | ! | | ﾊ
./:/ｉ ﾄｒ‐i´ .!‐トl､! l ! | | / | ! | | | |
::/ .ｌ |:| ! .l≡＞≧l＼ ｌ .// ﾚ// ./ .ﾊ.!
| |:| ヽ |ﾔ''{ fﾝ}ヾﾐ ∨/ム一〈/ / / l|
| |:| |ヾ､ `'~ ィtfｿ7／,}／ " ,ｨ
| ヾ | `~ / ／ｨ| ／/
.! i＼ __ ´ <"ｲ l」 ／.:::/. 「そうなの？」
! .ﾄ､.,へ ‘‐ ´ イ i ／/／.::.::./,─ｧ
.l l::::::::二_＞ -､.＜ ,| !: : : : -- ―<＿
ニﾆiハ |::／／７只ﾄ､＼ ／:l .ﾄ､: : : : : : : : :‐-
:::::::::ヾ∧ |::＼｀´,ｲ |:L/厶ー:| .!:::＼ : : : : : : : :
:::::::::::::＼ﾍ/ ¨ i:! ￣ .}:::::::::| .!:::::::::ヽ : : : : : :
::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l ヾ:::::::／ ',::::::{
::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::/::::::::::::::l ヽ:/ /;;;j ∨l
:::/::::::::::::::::::::::::::::::::/l:::::::::::::::i ＿ /;, il l ＼
:/::::/:::::::::::::::::::::::::/ l:::::::::::::i ／ i;;;;;;;;; l
{::::/l::::::::::::::::::::::::/ l::::::::::: ／ -- ヽ;;;; /
l::/::::;::::::::::::::::::::/ :::::::::i ／z=--─ ｨ /
/::::::::i:::::::::::::::::/ ` 、 l:::::i ヽ ／ {っ ::::ﾊ ﾉ ／
:::::::::::i:::::::::::::::/ - =っ=ﾐi:::l ゝ ゞ--=' lイ i
::::::::::::i::::::::::::/ 丶そ_ｿﾍl l l
::::::::::/',::::::::::'ヽ
:::::::/;;; ,:::::::/;;;;;＼ / l
::::/;;;; l:::/;;;;;;;
:/;;;; l/;;;;;;;;;; ＼ ヽ ´＿ / 「直接攻撃をしようにも
;;;;;; ;;;;;;;;; _,, - ´ ＼-‐- / やつらなかなか水から出てこねぇ。
;;;; ;;;;;;;; -''´ ＼ヽ 下手に打撃力のある戦技や
;; ;;;;;;; / ＿ -- ＼ i / 派手な魔法で攻撃しようもんなら
; ;;;;;;;; / } | 使いもんにならなくなる」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
クリムゾンがいたらそもそも野性の怪物などは近づいて来ない、というのは別としても、
実は怪物の素材とり、というのは意外に技術が要求される。
たとえば毛皮を狙うのであれば火属性の魔法など御法度であるし、
骨が欲しいのに強力な戦技で粉砕するわけにもいかない。
皮も刀傷だらけだったり、殴りすぎてグズグズになったりすると
そもそも売り物にならなかったり買い叩かれたりするわけで、
歩留まりを意識した攻撃にならざるを得ないのだ。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
-
肉以外無駄がないがその肉の処理がたいへんそうだ＜銀蛇
-
１４２．
―――――――――――――――――――――――――――――
捕獲よりは易く、討伐よりは難し。
素材の買いとり有無により上下するが
依頼相場もおおむねそのような感じになっており、
一流の工房が求める優良品ともなると
個体の状況もあわせて一匹からとれる量はそれほど多くない。
―――――――――――――――――――――――――――――
. ／ ＼ヽ. ＿＿＿＿ ノ .:.:.:.ﾊ
/ ヽ､＿＿＿＿＿___.:.:.ﾊ
/ ﾑ {ヽ `:.､:＼
| |弋ﾊ__＼ :.:.:.:.:
| /∨ | ｲvﾊ-x 丶 :.:.:.:.:
'V ∨ ハﾊ│ヽ{ ヽ ＼ j :.:.:.:.:
＼{ }ヽ ',0 ', ヽ{ヽ ハ:.:.／
_lノ ヽ } ∨ j/:.:.:
く .:.:.:.:.:.. ｀ ｰ―彡 .:.:.:.:.:
ヽ , ' ￣￣
「魔法抵抗力も高いって言うし {__ u ／
水生怪物のくせに雷系もほとんどきかないって （｀こ⌒) ／ ／.:
意味わかんないよね」 ∧( ) ' ⌒ヽ ´ ／ .:./.:.:.:.:
{ （ ） .:.:.:', ／ .:.:./:.:.／:
ヽ_____ .:.xー┴'ー‐ .:.:.ｲ,.:.'.:.:.:
／￣￣＼
／ _,ノ ｀⌒
｜ .（ ⌒）（⌒）
. ｜ （___人__）
| ﾉ 「その分、鞍にしたときは
.| | 同じだけの効果が見込めるさ」
人､ |
,ｲ:. ﾄ､ヽ、 __ ,_ ノ
,. -ｰｰ -‐ ´:::::::::::::::::::::::::::::7
／..::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ﾒ、
｛ :::::::::::::::::::::.ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::.. ､_
| ::::::::::::::::::::::..｀、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::..｀ヽ
'| ::::::::::::::::::::::::::::i_::::::::::::::::::::::::::::::::::::.ヽ::ゝ
ﾄ､:::/ ／￣｀` ﾊ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!:::::::.ヽ
`,ﾍ ´:::::::::::::::::. ﾊ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|:::_,rｰ'､
}:,∨ :::::::::::::::::: ﾄ､:::::::::::::::::::::::::＞＜￣＼::..＼
. }:::∨::::::::::::::::､-''ﾞ~￣￣￣￣:::::::::...＼ ム:::::ヽ
l::::∨ :::: ／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,.､／...:::::::::ヽ}
{::::::＼,::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／"￣:::::::::::::::::::::::::ﾉ
―――――――――――――――――――――――――――――――
辞典を閉じたシモンはそう言うが、
水生怪物だからといって必ずしも雷属性に弱いわけではなく
冷気や氷に弱いものもいれば火に弱いものもいる。
ただ、魔族や竜でもないのに全体的に精霊耐性があるというのが
珍しい部類にあたるのは確かで、
そう言った皮をふんだんに使った皮鎧や金属鎧の下地は
魔法防御力を高めたい冒険者にとって憧れの逸品となるだろう。
―――――――――――――――――――――――――――――――
-
１４３．
＿＿_
, 〆;;;;;;;;;;;;;;;;;;;｀;;,,,、
／/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;＼
/ :/;;;;; 〆~＾~＾~＾~＾~＾ ' ヾ､
/ :/;;;〆 ; l!'
/ :/;;;/ l ! l! l l ', l!
,' ｲN;! !_l! |! i l! l! l |!l
,. 从ﾚ |!_l! l!l !: /,/__/ l! l !
, ﾙﾘ lヽ. ﾄソ`i l! ! / /__//l ｲ!
:l! 《_l!__! ヽ ゝ , ﾍソ/./ /l!
| ／; ; ;:;:| ﾄ.ゝ _ .ｲ/ //|l! 「いい素材が手に入るのは嬉しいけれど、
.／; ; ; ; ; ;ﾍ ﾍ＞ ._ ＜=./ // l!! 大丈夫なの？」
/; ; ; ;;: ; ; ; ;:;ヽ∨弋 乂1;:;/ノ/ヽ.j:|
/; ; ; ;:;:; ; ;:;: ; ; そﾍ 辷1 .》;:;:;:/;:; ;1:|
〈; ;:;:; :;:;i;: ; ;:;:;: ; ; 弋,､,､,,ソ; ;ヽ;:/; /!.|
ヽ;:;:;:;:;f=-,..､;:;:;: ; ノ; ; ;丱; ; ;.;l!; /;:l |
下从丱;:;:;:ヽノ; ; ; く;ﾙ ; ;:; l;:/;ノl.ﾄ､
| |くﾙ; ; ; ﾍ; ; ; ; ; ハ;:; ; ;.|;:;| z弋
＿＿
／ ヽ
/ __,.ノ 、
| （ ●)(
| （＿_ﾉ｀,
| ﾝ′
_ﾉ ｀､ 7 「何回か狩ったことがある、
,ｲ:. ヽ､＜ヽ,、___ ﾉ ちょっとしたこつを知っていれば簡単な部類だよ」
,. -ｰｰ -‐ ´:::::::::::::::::::::::::::::7
／..:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: く'、
. ｛ :::::::::::::::::::::.ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::.. ､_
'| ::::::::::::::::::::::..｀、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::..｀ヽ
'| ::::::::::::::::::::::::::::i_::::::::::::::::::::::::::::::::::::.ヽ::ゝ
ﾄ､:::/ ／￣｀` ﾊ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!:::::::.ヽ
`,ﾍ ´:::::::::::::::::. ﾊ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|:::_,rｰ'､
}:,∨ :::::::::::::::::: ﾄ､:::::::::::::::::::::::::＞＜￣＼::..＼
. }:::∨::::::::::::::::､-''ﾞ~￣￣￣￣:::::::::...＼ ム:::::ヽ
l::::∨ :::: ／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,.､／...:::::::::ヽ}
{::::::＼,::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／"￣:::::::::::::::::::::::::ﾉ
――――――――――――――――――――――――――――
心配はいらないよ、と頷いたやらない夫が
他の冒険者が聞いたら驚くようなことをあっさり言ったので、
眉を動かしたカミナがヒュウッ、と口笛を吹いた。
――――――――――――――――――――――――――――
-
１４４．
. /: : : :／/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :/: : : : : : : :/l/＿_: : : : : : :l
/: : ／ / : : : : : : : /: : : : : : : : : : : ;ｨ: : : : : : : : /´ `ーｧ : : : l
: ／ ./ : : : : : : : ,': : : : : : : : : :／ /: : : : : : /:/ ,ｲ : : : : L ＿
´ /: : : : : : : : ,' : : : : : : : ／ /: : : : : 〃:/ 〈ミ: : : : : ＜＿
/: : : : : : : : :,': : : : : : : /＼ i: : : :／/／ ／｀ヽ !ヽ. ＼---‐´
. /: : : : : ／! : i: : : : : : :/ｧ云≧!: : / ´ z=≦.._ l_ : ヽr-`
/: :〃 ／ .l: : !: : : : :.:/､弋タ_ l : / ´ ´{rﾈﾊヽ, ハ／
./／/／ l: /l : : : : / "￣ l:./l / `｀ﾆ"- ゛ ,'ｲ !
" ´ ,, l/-l: : : :,ｲ. l/ .l ,' ,'〉 !ﾉ
,, '' l: : ∧_! l ,'/,ィ`丶、 「んじゃ素材は決まりだな。
,, '' l: / .l ` - ,'_/ ｀丶 、 皮の状態やなめし業者とのやり取りもあるからよ、
'' l/ i､ ､＿＿＿＿＿_,、 ,' ＼ 金のことは一通り揃ったところで詰めようや」
!ヽ、 、 , ,ｲ ＼
`丶､ l ヽ ￣￣ ／ l ＼
｀ヽ, / l ', ヽ ／ l .l , - ... _ ＼
_ .. -' ,' ／!. ', ヽ､＿＿__／ / ﾄ､! ／ ¨ ‐ -
,. -ｰ' 二二二 ｰ- ､
／／:￣__::::::::::::::::￣｀:::ヽ
／〃'::::::/´ﾉ〉):_ノ_ﾉ::::::::::::::::::＼
//´::::::__,ｨ:ゝ-':__,:::-──- ､::::::::::ヽ
/ﾞ::::::::::／￣￣＼ ヽ＼ ヽ ＼::::::::ﾊ__
!:::::::／ヽ ヽ ', ヽ ＼ ヽ>,仁》
＿ |::::ハ ', ｌ } ! ! ',<ノ||＼
《ﾆﾊ_ゞ、 ＼ ＼ ! || | |__ || l | ＼>
|| ＼＼ ＼ ＼ | .从,ｨ匕Lィ|| | | 〈´
.| ', ＼＼,.＞一ゝ, |/ /,ｨﾁzノﾉ | | ｌ |ヾ
ハ ＼ ＼ｨﾁ乏ﾗﾐヾ' ｀￣ / // ｌ ',）
. 〈/|:} ヽ,＼ ＼￣ 、 / // / ｌ ヽ
//| |＼＼ ｀ゝ -= ' ／!// / ! ∨
. ∨ﾑ'〉 ｢｀::ゝ,＼_个 ｰtヽ_ ／─ﾍ,ィ' l |l / 「ええ、分かったわ」
／:::::| |::::::::::ﾍ !:::::｜ |::::ﾊ;:::::_::_:::ヽｌ ｌ| 〈:
./::::::::::: ! / :::::::::::::} |:::::::l! !/ ∨ } /::::/ / ﾊ｀ゞ
!:::::::::::::::| /:::::::::::::::::| |::::ノ| ト-ｰく 〈_｣:::/ / /::::ヽ:::ヽ
|:::::::::::::::ﾚ ::::::::::::::::::| |::_〉 } ─ｰ､ヾ才／} /:::::::::::＼:＼
ﾍ::::::::::::::::::::::::::::::::::::! /:::〉ﾍ! ￣＼ヽ)=::､/ /::::::::::::::::::::::::::＼
...人::::::::::::::::::::::::::::::::|/::{ ｀入_ ゝ}_ソ/｀´}/::::::::::::::::::::::::::::::::::}
. ::::::::::::::::::::::::::::::::::::（＼__ ￣Z_r､_｢| ノ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾄ
ヽ;__::::::::::／:::::::::::::::〔 ゝ,＞､ _,ィ'７´}::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::! ゝ
斗､:::::::::::::::＼r ､ Y 厶ﾉ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::ノ ）
-
１４５．
／::::::::::;;::::／:::::::::::::::::/:::::::／ ｀ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::l
／-''"´ .／::::::::::::::::::::/:::ヽ/ ∨::::::::::::::::::::::::::｀::'::':フ
,ｨ:::::::::::::/:::::::::/´ ヽ:::::::::r ､:::::::::::::::イ7
/:::::::::::::::j::::::::::j ／ ∨//ヽヽ:::::::::／
/:::::::::::::::::l:::::::::/ ／ _,,==- ﾘ lヽ }::::::/
/:::::::::::::::::;::l::::::::/ / l f''{r':::ﾉ, r ﾉl:::::/
/::::::::::::才’/:!:::::/::! ｀ ' l-' .!::/
/::::::才 .j:::l:::/:::::ﾍ フrﾊ ! .l:j
/:／ j::::l::jﾊ::::::::ﾊ ｀¨ l l l
/ｲ l::/l:/ !::::/ハ / ./ .l
l/ .l !:/ ﾍ , イ￣ ｀ｊ / .|
l' へ. -'､-〈 .ﾉ / / l
「今日は採寸だけさせてくれればいい。 ヽ ヽ--'" ／ / !
ヽ , ｲ ./ l
おいシモン！ ﾍ _, ｲ j
引き出しから天馬の設計図出してくれ！」 ￣! /
. ／: : : :／ ﾉ ヽ ＼: : : : ヽ
/: : : :／ ／ ,-―‐-、 ＼ ＼: : : :',
/: : : /（ ／ ,イ : : : : : : ヽ、｀ヽ､＿ﾊ: : : ::',
／: : : :/ 二二_ィ´/: ;ｨ : : : : : : /｀ｰ┬---､ゝ: : :',
∠: : : :／レ: : : ::／￣l／/: : ／j::/￣￣|: : : : ::ヽ: : ::',
/::／: :/: : : : :/ ,--- /::／ ,リ ,--- j∧: : : : :l: : : ',
" |: : /: : : : :/ ,/ /イ / ヽ ',:: :: ::|: : ﾄヽ
. |: : l: :／ヽ| { O j l ０ } }: /ヽl: ::j ゛
l: : l: l ´てｌ ヽ、＿_ノ ヽ ＿_ ノ ,!/く ｝:/
|: ∧{ ヽ l { /ノ ﾉ/
ﾚ' V＼. ', ､＿＿＿＿, / ／/
Vﾊ＼ ノ＜＿＿/７ 「あいよっ！」
／ ヽ ＼ ／/V / /
ﾍ V ｀iヽ、＿＿ イヽ | / /
ﾍ | ｜ / /
＼ ﾉ | / /
-
１４６．
f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ
| あんたはあの木馬にまたがってくれ。 |
| |
| 多少の調整はできるようにするが、 .|
| あぶみの高さと手綱の長さを調べておきたい。 .|
乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ
∩∩
／ ・＼
___／ へ､_)
／ ／
／ ）
／ ﾉ〉〉 _,.．-‐'''"~
／ ／ 'Ｊ _,.．-‐'''"~
-=ニ三三ﾆ= ）／ | _,.．-‐'''"~
〉〉ー―'〉〉.ﾞ| |ー-.､ _,.．-‐'''"~. ﾆﾆﾆﾆﾆﾆに.ﾞf´￣￣￣￣￣ ｀ヽ
Ｊ .Ｊ . 〜' ）. _,.．-‐'''"~: : : :/ﾆ乂ﾆﾆﾆﾆ／⌒ヾ=.| よいしょ。 .|
ヾ＝＝＝＝". _,.．-‐'''"~.. ,': : : : : : :/｛ﾆﾆﾆ≧ｒ斧刈ﾆﾆﾆ.ﾞ乂＿＿＿＿＿_ ノ
_,.．-‐'''"~. ,': : : : : : 〈 ´"-'´ 乂竺ﾘ=-イ=ﾆｒ=癶ト、
_,.．-‐'''"~ ｛ ﾉ : : : /ﾆ乂＿,.ィ=!ﾆﾆｒんハ癶ｒJ:::::::Yぃ）
_､‐''゛: : : :/ﾆ/ﾆﾆﾆﾆﾆjﾆに:::::::::::::::::j::::::::::::l＾）)
／: : : : : : :,.ィﾆ/ﾆﾆﾆﾆニソﾄ/::::::::::::::::/!:::::::::::l に｝
､丶`: : : : : : :.／rにん r-＜ィにｒ〈:::::::::::::::/ j::::::::::::| んヽ、
/: : : =‐- -― ''"´ 乂 じ⌒ /ﾆ辷f7ｒｚｒZ l''7rﾍノ｝ｲ: : : ＼
l: : :／￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ /ﾆ/乂,,ィ／ |ﾆVｰイ￣￣￣
l:／ /ﾆ/乂ｨ／ l>.<ニ/
,./ﾆｵィ／ l>.<ﾆ/
(=ヾﾆ､Λｨ l><ﾆ/
〉、 ヾﾆｲ. l><ﾆ{
f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ ﾆ≧=ィ/ ﾊイﾆ′
| ケーッ、護衛の兄さんといいあんたといい .|./ﾆ≧ｲ、 .j ⌒ヽj!
| 足なげぇな。 |..ﾆﾆﾆニ｝ /ﾆﾆニﾊ
| |.乂ﾆニノ ｛ﾆﾆﾆﾆﾉ
| ………よし、測ったぜ。 |
乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ
f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ
| アニキ、ハミの見本おいとくよ。 |
乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ
―――――――――――――――――――――――――――
そうしている間に金属の棒と木の棒を持って来たシモンが
二本を作業台の上に並べた。
―――――――――――――――――――――――――――
-
１４７．
／;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.; ﾉ＞ｰ--- ､＿＿
／;.;;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;x─'''''´
／;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;ヽ
／.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;/.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;|
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;∧;､;;_xv.;.;.;.;.;.;.;.|
./;;;;;;;;;彡´{ ｿ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ｨ ;;;;; ;;;;;;;;;;;;/ ｀}.;.;.;.;.;.|
/ｨ´ {./;;;;;;;;;;;;;;;;ｨ;;;;;;;;;;;／/;;;;ｨ ;;;;;;;;;;/ }.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;ﾔ´
/;;;;;;;;;;;／l;;;;;;;;;;;/ /;／i ;;;;;;/ }.;.;.;.;.;＜,,＿
/;;;;;;;／ﾒ）.j;;;;;;;/ ｀ﾒ､ j ;;;/ ,ｨ､ /;;;;;;jｰ--ｰ'´
. /;;;／{. i ﾏ. j;;;;/ﾓ ｷf;;;;;ｼ､i ;;/ _,,／ ﾍ /;;／
/ｨ´ {. ヽ ｿj' ｀ｰﾞﾞﾞﾞ' j;;/ r'´zｵ;;ｯ､ /）
} ｀ﾒi ﾉ' i ｀¨ｰ ' /,'
{ / i ,ｨ. | j
ﾚ .ヽ ヽ､｀ ､ ノ j'
{ '. ｀ ､ ｀ ､ ／
ヽ '. ､｀ ｰ ､｀_ﾌ ／ 「ハミはどうする。
ヽ '. ｀ﾞﾞ ／ 木工、金工、どっちも腕の良いのがいるが」
i ' , /
｀i､ ｀ rｰ一'ヽ
i ヽ､ | ヽ､
, - ' ´孑ヌ -｀ : ､
／j⌒__{ 辷杉'r'￣ヽ-ヽ
. ,:'イ ,:: r--t____, ､ t::.. ﾍ
/i , _r'￣ ゝ'´Y `Y
. _,.--}〃/ ' /!' }| !廴ヾ｝
Y::>'´ィ:::}| | { i / }|.| ., /}| /ｲ } }:ヽ
.... _ zV/:/:::/.{ i ===x. j |/ｲ.x===/ ﾘ::::ﾊ
...ﾞr≦´＜.／`/:::/ 八 Vi {ﾟ::ﾘヽ '´{ﾟ:::ﾘ〃 .／::_:::/
.ﾞ彳 ／ /´ ! | ＼ﾍ ｀¨ , ｀¨厶イ/{:{ヾ.',
, ' ≠/ { {', ヽ , 、 / { i:| |:| , 「木だなんて、
.. / ／' ハ ヾ､ {:＞ . . ＜:{∧{ i | | ∧ すぐにすり減ったり折れたりしないの？」
. / ／／ / ∧ V＼ V:ﾉヽ 孑 'ﾊ_,､!:::ﾍ-:| | ',､ }',
/ ／／ / 〈 ヽ ∨ ＼ ／ j}､ヽi}⌒ｲ :り!∧V} ',
.. ／ ,:' ./ {_, : ´ ＼ Y{ ヾ:/>＜ﾆﾆﾆ≦ } ',}.ﾄ, ',
... ィ' ./ ／ r ∨{r===t_j⌒ー'´ヽ＞ﾘ Vﾊ
... / /./ 〈 , -- ､_:. ::{ ７､ ヽ 〈薔〉 }｛ﾍ! }
..../ /./ ヽ r==x i Y__,.､ V 7 /_ノﾘ }7
ﾞ/ / ,′ , ｲ ／ﾌY T ー─-vィ ／ ／∧
,' { ,:'./ , '〈:/ }::', |ﾍ -:::::::::::::' r≦::::ヽ: } i .∧
....' ｜ ' / / ﾉ／}/ ! j:ヽ ヾ≠i∨',::i | }
ﾞ′ .!/ i / r彳 //! |//Y r/ };i ',:ヾ:/! .'
| j / ヾ' ! | {_j ヽ// /
――――――――――――――――――――――――――――――――
口にくわえるのだし、と訝しむ水銀燈に笑ったカミナが
それを机にぶつけると、キンッとまるで金属棒で叩いたような音がした。
――――――――――――――――――――――――――――――――
-
１４８．
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : i i:l ヽ l: : : /
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :li: : l i:l l: : /
／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :lﾍ: :l i:l / ＼ l::/ヽ
i: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : k: : : : ::l ヽ:l ;l / l/ } 「こいつはスチールウッドつってな、
l: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : l ∨: : ::l ヾ / _,ｨ l /_ 鋼鉄のように硬く、しかも軽い。
.: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ::l ∨: ::l ／__ 彡ｲ l / ヽ;;,,,,,,
l: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :i ;il ￣ ∨::l ￣ i/ ヾ;;; 弾力性もあるから魔法の槍の柄とか
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : ::l _il==-y∨:i i i;;;;;; 複合弓の部品に使われたりするんだぜ」
',: : : ::∧: : : l ヽ,: : : : : : ::i 弋_汐 /ﾍ::l :. il l;;;;;;
.: : / V: :l - i: : : : : : :ﾄ -- ' :::. i;;;;;;;
: :. ',::l V: : : : :: ::l l ﾙ l;;;;;;;
∨ ／ﾊﾄ - _V: : :ﾄ: :l / i;;;;;
/;;;/ ヾ:7 V: :l=-i ` ´ _ ｨ l;;;;;;
,;;;;;;;;;l i: :l ＼ _,,. -‐''"´ ｲ / i;;;;;;
_,,. ';;;;;;;;;;;;;;; ::.. l/ 、￣--_,, ' ´, / i;;;;
ヾ;;;;;;;;;;;;;;;;, :::.. ` ￣ - l;;;;;
ヾ;;;;;;;;;;;;;;;, :::.. ＞ イ i;;;;
｛ilililililillilil/ﾉ / / ヽ ＼
｛Ⅶilililili/ﾉ il i ヽ ﾊ ',
｛Ⅶil≦ｲ il .il ﾄ､ i V
_,彡ｲ 水￣ﾐヾ=.il .il ハ ﾍ i .il
ｲｲ //ハヽ // il i ﾄ ﾊ il il
ヾ .// Ⅶ_／ il .升 | ﾘﾊ il ﾘ ｲ 丿
.Y / iliｲ. iﾄ ﾊﾄ>K彡' ｝/ ｲ.／/
// 川 .il ヽK' ／ ｨ= / i､ il
.// ﾊi.l 人｝ ィ匕r:j ｀ー,
Ⅵ i i.l .ハﾘ ￣￣ /
illi｝ il il il il _ _ｲ
ilil｝ il Ⅵ/ ﾉ - ' ﾉilﾘ 「へぇ、不思議なものがあるのね。
人 ヾ≧ ' / / 軽いのならそっちが良いのかしら」
ilililゝ, - - ､ ＼＼ r､＿＿＿ /i./
ィ三三三三三ミ､ヽⅦﾐ=､_
三三三三三三三ﾐ､ ＼iミﾐ､
―――――――――――――――――
と、水銀燈が選びかけたところで、
―――――――――――――――――
-
１４９．
――――――――――――――――――――――――――
この町なら加工できる職人がいるだろう、と
ミスリル材を数枚取り出したやらない夫が割り込んでくる。
――――――――――――――――――――――――――
／￣￣＼
／ _,.ノ ヽ､_
｜ ( ●) (●）
｜ （___人__）
.| ｀ ⌒´ﾉ 「いや、ダーク・ペガサスは火を吐くこともあるから
| | スチールウッドは駄目だ。
.|､ _r十､
[::.ヽ､ __rく_} _i .} ミスリルがあるからあぶみを含めて
_, ､-一 :::"＼ :::::::::} _i _l _i .}. 金属部分はこれで頼む」
／ .:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::} _l i_ i. {:.. ヽ__
/ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::} _jノ`~゛ t:::::/:::::..＼ __
.i :::::::::::::::::､.::::::::::::::::::::::::::::} ﾞｉ -‐.i.,-‐､::::::::::::::.. ＼_
i ::::::::::::::::::: i:::::::::::::::::::::::::::i ヽ ⌒,; ‐'::::::::::::::::::::::::.. ｀::...､
l ::::::::::::j:::::: i:::::::::::::::::::::_ノｿ } /:::i:::::/::／::::::::::::::::::::::.. ｀ヽ
l ::::::::/::::::::::::::::::::::::::／.:::ﾞｉ::＼__ rl ´::::: i::´::::::::::::::::::::::::::／::::::::: l
l :::::/::::::::::::ｿ:::::::,／::::::::::::::::::::ー,´:::::::: l＞ｰーｰ-、r-‐:'::::´::::::: l
.:.:.:.:.:.:. r ､j/ｲ ∠
.:.:.:.:.:.:. ├‐ ￣ =
.:.:.:.:.:.:. |
.:.:.:.:.:.:. | ｆ´￣
.:.:.:.:.:.:.:. | || - ,ｨ
_.:.:.:.:.:.:.:. |∨ .ﾊ ||' ,ｨ仭Ⅳ
ｲ:.:.:.:.:.:.:.:. |.:.∨ ﾊ ||／ｰ ' ｽ.
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. |:.:.::∨ ﾊ _ノｲ - '
;/l.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. |:.:.:.:.:∨ﾊ :.:. ﾄ.
|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. |ｰ弌ｚ,Vﾊ ｊﾊ
|.:.:.:.:.:／⌒丶.:.,ｲ―― ､ヽ{.:. , ｲ | 「ッハッハッハ！！
|.:.:／.:.:.:.:. ＼.:. ＿＿}:.:.:.:.:. ／／｡│ こりゃもう全部盛りってヤツだ！」
ｨ':}ｲ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ヽｆ.:.:.:.≧:..､.:.:.:.:._／イ ／
.:.{.:.:.:.' ￣￣￣ ヽノ:＼.:..＼.:.:.＞:.､` =xー´
:/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. }￣ヽ＼.:.ヽ.:.:.:.:.:.:.≧､
-
１５０．
―――――――――――――――――――――――――――――――――
とんとん拍子に話がすすむなか、
カミナにだって正直うさんくさい、詐欺かなにかではないかと
疑う部分は確かにあった。
だがそれ以上に、希少種の装具を手がけるということは
職人にとって名誉なことであるし、
依頼者は気に入った、素材は極上、支払いにも不安はなさそうとなれば
その流れに身を任せてみたいという欲求の方が強かったのだ。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : i i:l ヽ l: : : /
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :li: : l i:l l: : /
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :lﾍ: :l i:l / ＼ l::/ヽ
..: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : k: : : : ::l ヽ:l ;l / l/ }
..: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : l ∨: : ::l ヾ / _,ｨ l /_. （ククッ。
..: : : : : : : : : : : : : : : : : : : ::l ∨: ::l ／__ 彡ｲ l / ヽ;;,,,,,, ガラにもなくワクワクして来やがった）
.: : : : : : : : : : : : : : : : : : :i ;il ￣ ∨::l ￣ i/ ヾ;;;
..: : : : : : : : : : : : : : : : : ::l _il==-y∨:i i i;;;;;;
ﾞ: : ::∧: : : l ヽ,: : : : : : ::i 弋_汐 /ﾍ::l :. il l;;;;;;
ﾞ: : / V: :l - i: : : : : : :ﾄ -- ' :::. i;;;;;;;
...:. ',::l V: : : : :: ::l l ﾙ l;;;;;;;
.. ／ﾊﾄ - _V: : :ﾄ: :l / i;;;;;
.. /;;;/ ヾ:7 V: :l=-i ` ´ _ ｨ l;;;;;;
,;;;;;;;;;l i: :l ＼ _,,. -‐''"´ ｲ / i;;;;;;
ﾞ;;;;;;;;;;;;;; ::.. l/ 、￣--_,, ' ´, / i;;;;
_;;;;;;;;;;;;;;;, :::.. ` ￣ - l;;;;;
...ﾞ;;;;;;;;;;;;;;;, :::.. ＞ イ i;;;;
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
きっと、一生に一度あるかないかの大仕事になるだろう。
そう直感した青年は出し惜しみしてる場合じゃねぇ、と
工房秘蔵であるムーファの腱を―――シニュー糸というやつで、
多くは鹿の腱などを使うのだが、素材によっては麻糸の何十倍もの強度を誇る―――
使うことに決める。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
-
１５１．
／;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.; ﾉ＞ｰ--- ､＿＿
／;.;;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;x─'''''´
／;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;ヽ
／.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;/.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;|
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;∧;､;;_xv.;.;.;.;.;.;.;.|
./;;;;;;;;;彡´{ ｿ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ｨ ;;;;; ;;;;;;;;;;;;/ ｀}.;.;.;.;.;.|
/ｨ´ {./;;;;;;;;;;;;;;;;ｨ;;;;;;;;;;;／/;;;;ｨ ;;;;;;;;;;/ }.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;ﾔ´
/;;;;;;;;;;;／l;;;;;;;;;;;/ /;／i ;;;;;;/ }.;.;.;.;.;＜,,＿
/;;;;;;;／ﾒ）.j;;;;;;;/ ｀ﾒ､ j ;;;/ ,ｨ､ /;;;;;;jｰ--ｰ'´
. /;;;／{. i ﾏ. j;;;;/ﾓ ｷf;;;;;ｼ､i ;;/ _,,／ ﾍ /;;／
/ｨ´ {. ヽ ｿj' ｀ｰﾞﾞﾞﾞ' j;;/ r'´zｵ;;ｯ､ /）
} ｀ﾒi ﾉ' i ｀¨ｰ ' /,'
{ / i ,ｨ. | j
ﾚ .ヽ ヽ､｀ ､ ノ j'
{ '. ｀ ､ ｀ ､ ／
ヽ '. ､｀ ｰ ､｀_ﾌ ／ 「あとは仮縫いまで済ませてからだ。
ヽ '. ｀ﾞﾞ ／ さっさと終わらせちまうからのんびりしててくれや！」
i ' , /
｀i､ ｀ rｰ一'ヽ
i ヽ､ | ヽ､
／:::::/{＿ ,. イ ,.イ:::::::::::::::::::::＼ ｀ヽ､ }､:::::∧
/::::::::/ _,.ｘ＜:::::::::::::::::::::::::::::::::::＞ｘ_ ￣ ∨::ﾍ:ヽ
./::::::::7 ／::::::::::::/ |::::::∧::::::::::::::∧::::::|',:::::::::ー:､ V::∧ヾ
7:::::::::::| /:::::::::::::::/ i:::7 ∨:::::: / ∨::! V:::::::::::ハ i::::::::',
i:::::::::::::'´::::::::::::::/ -─:7＝ ∨:::/==- V{ __V::::::::::::::ヾ|:::::::::',
;::::::::::::{:::::::::::::::7 , -─=､ V,′,. --- ､ V:::::::::::::::::::::::::ハ
ｲ::::::::::::::V:::::,'!::7 / ９ ! ７ ９ ヽ∨::::::::::::::::::::::::::}
／ー‐ |::::::::,.}::::,' |:| .{ i { } V ∨,､:::::::::::::::!
|::::::{ Ⅵ, ヾ ､＿__. ' ` ＿__ノ 〃- {::::::::::::7
|::::::| ( ハ i '〃 ' 丁 }::ﾊ::::,'
レハ:､｀ヽ ', , - ' ,ｨ/ V
V＞--', ＿__ ,'__,.イ／
／V:::::::ヽ ´──｀ ,ｨ:::::::／､
ｘ＜: : : :Ⅵヽ::::＞ ､ , イ:::/Ⅳ: : :∧ 「アニキーー！
／: : : : : : : : }!: : ＼::::|: :＞ ＜::::|:/}:,': : : : : : :∧ そっち持って！」
厶-----z__: : : : : : : :ヾ{: : : : : ￣: : : : : : :.|: : : : : : : : : : :∧
-
１５２．
――――――――――――――――――――――――
兄弟たちがメイメイのあちこちを測って回るあいだ。
ぱたたたた、と戻ってきたクリムゾンが
やらない夫の肩に止まって
自分の分は作ってもらえるのかと小さく囁くが。
――――――――――――――――――――――――
i!
i''i
, /:::i
'i, /':: i
'i'i, /':: 'i,
}::ヽ、 〈〈 _,.､-‐ゝ
ﾉ,.､-‐ヽ |v、 ヽ ､, {
ヽ、 ハ!. N＞'ヽ、}}::.＼,i,. （ねえねえ！
'i/ ヾ、<个 'i!||:::::..ノ ボクのぶんは！？）
. ヽ、 ヾvヽr┬';/::／
｀`ヽ'i,｀ﾞ'`i'r'､/ r,
｀r､_ﾉ }:i::＼ //
{介> ri/.ﾞ'功〉...、 //.
i`ーπY,', `ー-‐‐'´/
`ーi (_`-'､ ,／
/i.（ ￣￣
. ｀^^´
／￣￣＼
／ _,.ノ ⌒
| （ ー）（ー）
| （___人__） （野盗団がいたりで
| ﾉ これ以上目立たない方がよさそうだ。
| |_,-‐、_ -、
人､ 厂丶,丶 v 〉.... 悪いがクリムゾンの分は
_,／::::ヽ､.,ヽ., ___,く_ソ __ノ グレイランドで作ってもらおう）
_, ､ -― ''"...:::::::::＼::::::::::::::::::::( 〔"ﾆ‐-、
/.::::::: ':､:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::r ／⌒ヽ:::::: )
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::V／.....￣ ',::::|
:::::::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〈 :::::::::::::::... ',::i
:::::::::::::::!::::::::::::::::＼:::::::::::::::::::::::::::::::ﾊ ::::::::::::::::::. ',
-
１５３．
ノﾍﾍ、rﾍﾍ
／i,ノi,／i,ノi,
／i;／/:ニ〉＝;;
人 ,,、／;;／,／:::ニ＝;;〉
/ i´ ﾞ／＾ /;;ニ＝〉:ニ＝
i／ ..<／＼/::ニ＝;;ニ＝）
入:::∠>:::;; ≪＼フ;;ニ i
ノ::,,,,,__ノVi ﾄ;;;フニ一 ﾉ
V ）:::ノ从ノ i
（………はぁい） iノノ
r-j _ //＞､
ィニﾆﾐv -ｧ､ 斗斥｝｛ ）ﾊ | |_ゝ i , - ､ ＿
i￣/爪､ ﾄｲヶ）ｽz=- '' ,フノ ｝┴.K< ￣ ｝ｲ
r､ /l 人｛ヶｿミ从=イ/ r''｝ﾉ:::r-´￣｀ ＼ー オ/
i ﾄヽ ＞ｲ≧ Y ﾉ￣ｒ=vソ､::::r- -',' ヽ ＼/./ﾐ､ ＿ ,ｨ
| | ｛ <ｒjﾐﾆゞイ r-ｲ:::｛ ￣ ,' ', .＼＼＿／
ﾉ:ﾉィヾトー川K>=ｲ::r⌒ / i ', ', ヾﾐ､ _
｀ーイi ト>イr≧_ﾉ￣ / ,;' ,' ', i ﾄ,￣
／ｨ;∧,ﾚ/r''ノ // / , / ,' i l l
/// /i:::ilil之ッ ,'/ / / ,' / ,;' i ; i ;, |
ii./ / l::l7/｝ i,': / / i ,' :/ ,' l ; /l ; |
/ / / l::l Vil ',, /ー/- | /､ｨ ,' i /i,L/ _; i ; i
. /i / l::lハ; ', / ／= =i/ﾐ､ﾊ,' /l ;/ﾌﾊ,'＝ｲ; ; |
/ ヽ／ ,;; |::|rｙヾ ', iY家不:::ｿ≦ ﾚ / 行:::旅川; ; ,'
/ ／ / .|::| 及｝ヾ ヽ''┴''´ '┴ ノｲ ｲﾊ,'
,;;' ,/ |::| i ﾄﾐ､' , ヽ ::. /i/ ｲ/j
／ / レi ', 川小＞' ' ｀ ' ／ノ /il /
,;;'/ ／ /彡i ヽﾄ-､＼ > ､ ´￣｀ ／.;/／
./／ミ＝v'｀ヾヽ i:::::::ｹ:::≧::＞ ､ ／/ ,' /
:::廴_､ノilケ ｝ﾊ::i ; ヽ:::::ヾ::::::::::ﾐ>､/￣, ;/ノ / 「あなたは本当に聞き分けのいい
:::/ 廴r=i レ､ヾ:| ;, ｝::::::i;:::::://ｰヾ廴7:i.l / 良い子ねぇ………」
::::｝￣r''´ﾊ r' l ;, ﾊ::::::ﾚ:://｝ iﾐー:::ﾊ :i
:::::ｹ-￣｝入vヾ. | ;, i lﾐ＝//ｼ ヾヽﾌ小｝
::::::::ー- 'ｰｧ ﾉ l , 川 i i i:::ヾｲ从
:::::::::｛_ _ノミ= V.; ,'ﾊ | | l::::l＼ﾄｲ＼
――――――――――――――――――――――
小竜が長い首をうなだれてしまったので
かわいそうになった水銀燈は
なんとか元気づけてやれないかと頭をひねり、
――――――――――――――――――――――
-
１５４．
―――――――――――――――――――
一つ思いついてやらない夫に言った。
―――――――――――――――――――
＿r=ｧ=､ィfZｧ､,、
, ´fフ:´-=_:三ｰ_ｰ^ヘ
／ _r/／'_ｧ'='^ー'｀´｀ ^ｰ＼
/r＝､ｿィｰ'7´ ヽ
ﾊ L／ｲ| ヽヽ ヽ l
, ｿ/ l ﾊﾚ´イ{ { |{. ｜ | ﾊ
//:/ ﾉj ｀´i |｀ヽト ､ |:ヽ. } , ﾘ ｜!
ハ:{／ｲ: { 小7ﾃﾐﾄ､ {ヽ!: / / / l l
ヽ.＿ヽｰ ､ / /／ |:. ヽ. { '赳ハ＼ }:/_ｵメﾘ ｲ/
￣二ﾆヽヽ/ -ﾍ､:.. l:... lト＼｀ /ｨ亙ﾌ'´／/′
ヽ､＿ _-ｧ.:´__::.::.::.:ヽ::＼ j:〉..:.l:... l! ,! ７´ | /
_,._-ﾆ-ｧ‐´ィ二;:-- ､::.::..｀ヽ､..:∧:.. lﾄ_､ ｀ ｰ イ.: j| /{ ﾉ′ 「ね、あとでシモンのお姉さんの
‐ ´/´ ／´￣´／::.::.::.::.::..‐.-_､::＼:.ヽ:.. l::.::＞ー＜l!:..:.|:. ﾘ‐／/ﾚ 服飾工房に行きましょう」
/′ ／-‐ｧ::´::, ｧ::／.::.:￣:.｀ヽﾄ､.V／::}:ﾊ:{ﾄヽ/!:. !:/‐'::/
／´ ／::.:／ノ／..::..::.::.::.::.::.:..:ヽヽヽ=l:| ト='ｲ-!: /::;∠ イ_
／￣￣ ＼
-｀ ⌒ ヽ､_ ＼
´ ●）(● ） |
（_人＿) ｜
'､ ｜
「服を仕立てるのか？」 | |
| ､ .ｨﾊ､_
≧ｭ─ｰ ´:::::::::.......ヽ
／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::...＞、
,.＜..::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..ヽ、
/.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::∧
j ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/..::::::::::::::Λ
i :::、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i:::::::::::::::::::::::::}
ｉ :::Λ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::V..::::::::::::::::::::ｲ',
| :::::Λ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::V..:::::::::::::::::::::ﾊ:i
-
１５５．
―――――――――――――――――――――――――――――
別に構わないと頷く彼に違うわよぉ、と首を振った彼女は
尻尾まで元気なく垂れているクリムゾンを指さして微笑んでいる。
―――――――――――――――――――――――――――――
,. -ｰ' 二二二 ｰ- ､
／／:￣__::::::::::::::::￣｀:::ヽ
／〃'::::::/´ﾉ〉):_ノ_ﾉ::::::::::::::::::＼
//´::::::__,ｨ:ゝ-':__,:::-──- ､::::::::::ヽ
/ﾞ::::::::::／￣￣＼ ヽ＼ ヽ ＼::::::::ﾊ__
!:::::::／ヽ ヽ ', ヽ ＼ ヽ>,仁》
＿ |::::ハ ', ｌ } ! ! ',<ノ||＼
《ﾆﾊ_ゞ、 ＼ ＼ ! || | |__ || l | ＼>
|| ＼＼ ＼ ＼ | .从,ｨ匕Lィ|| | | 〈´
. | ', ＼＼,.＞一ゝ, |/ /,ｨﾁzノﾉ | | ｌ |ヾ. 「私じゃなくてクリムゾンよ。
ハ ＼ ＼ｨﾁ乏ﾗﾐヾ' ｀￣ / // ｌ ',）
. 〈/|:} ヽ,＼ ＼￣ 、 / // / ｌ ヽ. 何もないんじゃかわいそうだし、
//| |＼＼ ｀ゝ -= ' ／!// / ! ∨. 尻尾にリボンとか付けてあげたら
. ∨ﾑ'〉 ｢｀::ゝ,＼_个 ｰtヽ_ ／─ﾍ,ィ' l |l / ますます可愛いと思わない？」
／:::::| |::::::::::ﾍ !:::::｜ |::::ﾊ;:::::_::_:::ヽｌ ｌ| 〈:
. /::::::::::: ! / :::::::::::::} |:::::::l! !/ ∨ } /::::/ / ﾊ｀ゞ
!:::::::::::::::| /:::::::::::::::::| |::::ノ| ト-ｰく 〈_｣:::/ / /::::ヽ:::ヽ
|:::::::::::::::ﾚ ::::::::::::::::::| |::_〉 } ─ｰ､ヾ才／} /:::::::::::＼:＼
ﾍ::::::::::::::::::::::::::::::::::::! /:::〉ﾍ! ￣＼ヽ)=::､/ /::::::::::::::::::::::::::＼
... 人::::::::::::::::::::::::::::::::|/::{ ｀入_ ゝ}_ソ/｀´}/::::::::::::::::::::::::::::::::::}
. ::::::::::::::::::::::::::::::::::::（＼__ ￣Z_r､_｢| ノ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾄ
ヽ;__::::::::::／:::::::::::::::〔 ゝ,＞､ _,ィ'７´}::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::! ゝ
斗､:::::::::::::::＼r ､ Y 厶ﾉ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::ノ ）
i!
i''i
, /:::i
'i, /':: i
'i'i, /':: 'i,
}::ヽ、 〈〈 _,.､-‐ゝ
ﾉ,.､-‐ヽ |v、 ヽ ､, {
ヽ、 ハ!. N＞'ヽ、}}::.＼,i,.
'i/ ヾ、<个 'i!||:::::..ノ 「！」
. ヽ、 ヾvヽr┬';/::／
｀`ヽ'i,｀ﾞ'`i'r'､/ r,
｀r､_ﾉ }:i::＼ //
{介> ri/.ﾞ'功〉...、 //.
i`ーπY,', `ー-‐‐'´/
`ーi (_`-'､ ,／
/i.（ ￣￣
. ｀^^´
-
１５６．
―――――――――――――――――――――――――――
聞くなり首をあげたクリムゾンが
ほしい、ほしいと尻尾を振り回しているので
彼女の気遣いに感謝したやらない夫は
ちょっと少女趣味かもしれないが、と思いつつも同意する。
―――――――――――――――――――――――――――
／￣￣＼
／ _,ノ ｀⌒
｜ .（ ⌒）（⌒）
. ｜ （___人__）
| ﾉ
. | | 「ああ、良いんじゃないか」
人､ |
,ｲ:. ﾄ､ヽ、 __ ,_ ノ
,. -ｰｰ -‐ ´:::::::::::::::::::::::::::::7
／..::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ﾒ、
｛ :::::::::::::::::::::.ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::.. ､_
| ::::::::::::::::::::::..｀、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::..｀ヽ
'| ::::::::::::::::::::::::::::i_::::::::::::::::::::::::::::::::::::.ヽ::ゝ
ﾄ､:::/ ／￣｀` ﾊ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!:::::::.ヽ
`,ﾍ ´:::::::::::::::::. ﾊ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|:::_,rｰ'､
}:,∨ :::::::::::::::::: ﾄ､:::::::::::::::::::::::::＞＜￣＼::..＼
. }:::∨::::::::::::::::､-''ﾞ~￣￣￣￣:::::::::...＼ ム:::::ヽ
l::::∨ :::: ／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,.､／...:::::::::ヽ}
{::::::＼,::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／"￣:::::::::::::::::::::::::ﾉ
＿ ＿―＿‐
. 〈乞｝〉:::::::::::::::::::::....､ ＼
. ／..::＞‐ ￣￣￣ ｀丶::..＼ ＼
. /.::／ ＼::.ヽ ヽ
ｌイ | | lヽ::l＿ l＿ 「ふふふ、何色がいいかしらね？」
|｜ | ｌ | | l | | | 〈匸[}匸)〉
|｜ | |､ ＼ | | |/斗┼ | ﾌｲ|冂| ／三三
|｜ | ｜ ＼ ヽ| イ | ___ l | |レ八｣| ＿＿＿/三三三
| l| l | ＼＼ | 〃￣ ｜| Τ l／..:::::::::::::.｀Ⅵ三三
|八 ｌ へ￣___ |｜ |／..::::::::::::::::::::::: |三三 f´￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ
. /＼ ヽ〝￣.ﾞ|v、. ﾉ｜/ .:::::::::::::::::::::::::::: |三三 | すみません。 ＞
. ヽ_〉＼ ＼...N＞'ヽ、 /.::/.::::::::::::::::::ｌ:::::::::|／￣ 乂＿＿＿＿＿＿_ ノ
. ∠二二、＼. <个 'i!. ／ /.::/／..::::::::::::::j::::::::ﾉ
. ／...:::::::::::::..＼-.....ヽr┬'..ﾞヘノ￣／..:::::::::::::::::/.::／/
......./ .:::::::::::::::::::::::::..＼ﾞ,｀ﾞ'`i'r'､.... ／..:::::::::::::::::::::/／..:/
. | :::::::::::::::::::::::::::::::::: r､_ﾉ }:i::／...::::::::::::::::::::::／..:::::::l
. | ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..＼／..:::::::::::::::::::::::／..::::::::::: |
. | ::::::::::::::::::二＞､:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／..::::::::::::::::::|
. | :::::::::::::::::::::三三＼:::::::::::::::::::::::::::::／..::::::::::ﾉ .::::::: |
... ヽ::::::::::::::::::::::／..:::::::＞―‐┬‐＜:::::::::::::／..:::::::::::::|
... ＼:::::::::::／＼:::::::::::::::::::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: l
... ￣ ｀丶:::::::::::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..＼
―――――――――――――――――――――――――――――――
このまま尻尾を振り回していると肩当てが傷だらけになりそうなので
抱き上げた水銀燈が何色がお似合いかなどと考えていると、
―――――――――――――――――――――――――――――――
-
１５７．
―――――――――――――――――――――
開け放しの入り口から、
工房の中をのぞき込んでいる住民を割って
一人の男性が入り込んできた。
―――――――――――――――――――――
/＼＿＿_／ヽ
／ '''''' '''''' ＼
│:::::::（ー）, ､（ー） l
│/') ,,ﾉ(､_, )ヽ､,,, │
/‐::: ｀-=ﾆ=- ' /
_,,,l ;! |:::＿＿__＿＿/
, -‐'ﾞ゛ i::.. | .ヽ/;ヽj! `‐-､_.... 「どうも初めまして。
l ﾉ::. .:|、 .ヽ,:ヽ| <゛~ヽ、. 私はジーハ亭からお声がけいただいた冒険者です。
,:''`` ''"ﾞ.|;;:‐''ﾞ|.ヽ、 ヽ;::| / .|ﾞl
,: ヽ::il;;! ヽ､ヽ| / | :|..... そちらの闇天馬の護衛を募集されているとか」
／￣￣＼
⌒´ ヽ､,＿ ＼
（●)（●.) |
（_人___） |
「お呼びだてして済みません。 '､ │
} {
ご覧の通り希少種でして、 !､______ .ィ-ｰﾄ、
念のため護衛を雇った方がいいかなと. V／:::::::::::::::::ヽ
思いまして」 {::::::::::::::::::::::::::::::.、
／ｰ-:::::::::::::::::::::::::::::::,
「r'、 ／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,
} r'、 ﾍ､ /.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: i
i/ ム､} .{ i:::::::::::::::::::::::::V:::::::::::::::::::::: |
{ い､{ Ｙ::::::::::::::::＼::::V:::::::::::::::::::: |
＼ ヽ {|V.::::::::::::::: ＼V:::::::::::::::::: |
＼ ノ|:.V.::::::::::::::::::::::〉.:::::::::::::::::|
-
１５８．
＿＿_
r ´二ニ フ__／ヽ
_ / '´,. 二ノ '''''' ＼
＿＿_.-‐'´ `-i/ γ_)⌒）, ､（⌒）|
_,.＜￣￣ : : : : : : : : l r/´.. ,,ﾉ(､_,)ヽ､,,..|. 「ええ、分かりますとも。
＜ : : : : : : : : : : : : :l l__ノ : ｀-=ﾆ=-' |
l,, : : : : : : : : : : : : : : :ﾉﾉ＼ ｀ﾆﾆ´ ／. おっと、自己紹介が遅れました。
l; : : : : : : : : :-─＜二二´ ＼. ＿＿ ／. 私はダディ＝クール、
＼ : : : : :'´ : : : : : l : :l : ＼` - ‐ヽト､＿x- ﾍヽ、 この町を拠点にする冒険者の一人で
＼ : : : : : : : : : : : l : : :＜ : : :∨∧::〈ヽ: :､>＞、 仲間内の窓口調整役をしています」
`‐,_ : : : : : : : :l : : : : :ヽ : : ∨ |:Λ | : :ヽ : : :ト-､
`-, : : : : :l : : : : : : ＼ : :ヽ|:::::| l : : :/ : : : : : ,
＼ : :ノ: : : : : : : : : ＼ : .､:::|,| : / : : : :l.: : {
V: : : : : : : : : : : : : :ヽ: ',::ｌl: / : : : : :l : ∧
... ┌───────────────┐.: : : : : :l : :.∧
... │「トラップマスター」 │
... │ ダディ＝クール（人間：２９歳） .│
... │生き方：冒険者 ..│
... │契約職：なし .....│
... │技能職１：盗賊 ...│
... │技能職２：野伏 ...│
... │技能職３：戦士 ...│
... └───────────────┘
／￣￣ ＼
_,ノ ヽ､,__ ＼
（●)（● ） |
（_人___） .|
「彼女が騎手の水銀燈、 '､ │
あちらの闇天馬が護衛対象のメイメイです。.. 、 ｲ
ﾞ､ ＿__,. イ i
俺は護衛の冒険者で ,r... __＞ｰﾒ.┴ｭ
やらない夫と言います」 _,. ,i´::::::::::::::::::::::_::::::＞、__
,.＜::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＞-.､､
「::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／:::::::::::::.`、
/.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.}
/ y::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::}
/:::::.i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾉ/:::.:::::::::::::::::::::j
ﾉ.::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ｨ
――――――――――――――――――――――――――――――――――
年の頃は三〇前後か。
身につけている革鎧や短剣はどれも魔法の武具であり、
腰のベルトには使い込まれたピッキングツールに油壺、霊薬の小瓶など
遺跡探索に使うような小道具とホールディング・バッグがぶら下がっている。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
-
１５９．
/＼＿＿_／ヽ
／ '''''' '''''' ＼
|:::::: （●）, ､（●）|
|:::: ,,ﾉ(､_, )ヽ､,,..|
|:::: ｀-=ﾆ=-' |
＼ ｀ﾆﾆ´ ／ 「ははは、これは美しいお嬢さんですな。
. __ _＿ ,.〈＼ ＿ ／ しかも結構使われるとお見受けしました」
／: : ＜ : : : : : : ＼ ／ﾞｉ ﾞｉ、
, ' .: : : : : : : : : : :l: : : .∨',:::::ﾄ|ﾞｉ ＼_
. { : : : : : : : :ﾞｉ : : :」 : : ::', Y´ﾞｉ. |: : : : .＼
|: : : : : : : : :＼ : : :＼ : ',|::::::ｉ |: : : : ',: : ｀,
', : : : : : : : : : | : : : : : : :.',:::::ﾞｉ|: : : : . ',: : }
(,:／:／ニ｀ﾝ---r : : : : : ',::::| : : : : : ',: : ',
｀: ´ : : : :V ,r'二ヽ_: : : : :',:|: : : : : : ',_,rｰ'､
{∨ : : :└」_,r' 二 ヽ: : : : ',|.: ＞＜￣＼.: ＼
{: ∨ : : : : :」.ゝ-''ﾞ~￣￣￣￣: : : : ﾞｉ ム: : : ' ,
l: : ∨: : : .／: : : : : : : : : : : : : : : : ､／: : : : : : }
rメ´── ､::::::::::::::｀ヽ ＼
〆 ／ ｀ヽ;:::::::::::＼ ヽ
// / / / ＼::::::::::ｌ ',
,イｲ | メ、 ｌ ,イ l }＿::_} !
_, -ｰ' /ﾙ| ｌ ｧ=ﾐ､! // | /! //｀ｌ|ヾ》 i
/／￣ {| | l ﾄ､ﾋｿ | /二Zナ | ヾﾆｿﾍヽ !
､__}ﾊヽゝ , ｀´ r'::ﾝヽ}／ }| | ヾ＼ i
｀ヽ:::| ∧ ､ _ ｀´ ／ /| | ｀ヽﾆゝ
「とんでもない。 ＜￣:::| |＼｀__ ,ィ// ハ| | l ',
まだまだひよっこです」... -=ﾆ´::::::| ｌ^｀}ノ}ハﾞ7/ /!_ﾉ}/l__ ,ィヽ ヽ
／ｨ／:ｌ |::/､/ｌ| ∨ /￣｀ヽ::::::∠ __＼＼
/::::::::ｌ !{／ .ト=/ /::::::::::::::::l:::::::::::＜__ヽ ヽ
ヽ:::::::| ハｰr'ﾞY/／:::::::::::::::::::}:::::::::::::::::＜ ! ＼
ノ 〉:::| /::::￣｀／:::::／:::::::::::::/::::::::::::::::::::::::＼ ヽ
/ /::::::{ﾊ::::::::::/::::／::::::::/::::::::{::::::::::: ト､:::::､ｰ-ゝ ',
/ /:::::::::::∧:::::::ヽ/_/:::／::::::::::::〉､::ﾄ､! | ＼::〉 ｌ
/ r'::::-::､:/ {:::::::/´::::｀ヽ:／￣:｢､ ﾚ' ! ハ ! !
,'＿ﾉ_::::__::/ ノ:／::::::::::／::::::::::::::| }/| ,' / ｌ | ｌ
ｌゞ/／＼〈／／:::､__:／:::::::::::::::::::ﾉ | /! / l ﾊ /
―――――――――――――――――――――――――――――――――
物腰は穏やかであるが、発している気配はやらない夫と違って
凄腕であることを感じさせる、
おそらく水銀燈が戦ったところで数合も剣を合わせていられないだろう。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
-
１６０．
―――――――――――――――――――――――――――――――――
ジーハ亭主人の話では城にも顔がきくほど
経験と実績を積んだ集団とのことで、
五人中三人が二つ名を持っているのだそうだ。
めぼしい仕事のない間は番号遺跡群を狙うトレジャーハンターもしており、
探索成功率と持ち帰った物品の総額から
国内でも一目置かれているらしい。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
＿/:／l:.| /l | l l| l ヽ ＼
'´￣ｲ:ニ:ｲ l/＿ヽﾄ、l_ lﾍ | l | ヽ
／/ j:| l l ヽ-ヽ｀ヽ卜、 l j｜ ト l
/:l /:l l | ､＿.二 _ 「 ＼l /イ/ｌ l｜ l
.:/ /:/ l | ￣￣ヾﾐ ﾚ_⌒ヽ} l |｜
,' l:::l ヽ l /// { =ﾐ /／| | l
「´ l＼ ', r - ._ / ,,,, /ｲ /ﾚ' （そうよぉ！
/ | l ＼ ! ｀ ７ l/ //. 一流ってのはこうなのよ！
ノ| l ! '、 ／ ／ イ:|
l ! ! ＼ ヽ. _／ ７¨´ | ﾊ::l にじみ出る闘気とか覇気が
,l ! |_, - ≧ ､ ＿ _, ｲ l | L! /|. 感じられるものなのよ！！）
/ ! l | 〃￣ ﾌ水ﾍ＼ | ｌ l / }
ヽ l | ヽ＼// l ヽ_〉:〉 l /! | / ／ ＿_ - '´
￣＼ﾊ l |、 ￣l:| l:ト-ｲl ! / l l／ /／／ ∠
Vﾍ l ＼＿ |:l l:|＼＿/ /＿／￣＼
｝ ＼! |:l l:| ∨ ／ ＼
／￣￣＼
／ _,ノ ｀⌒
｜ .（ ●）（●）
. ｜ （___人__）
| ﾉ
. | |. （………カリラで一、二を争うと
人､ | 言うだけあって隙がない。
,ｲ:. ﾄ､ヽ、 __ ,_ ノ
,. -ｰｰ -‐ ´:::::::::::::::::::::::::::::7 町の中のことを任せても良さそうだ）
／..:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: く'、
. ｛ :::::::::::::::::::::.ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::.. ､_
'| ::::::::::::::::::::::..｀、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::..｀ヽ
'| ::::::::::::::::::::::::::::i_::::::::::::::::::::::::::::::::::::.ヽ::ゝ
ﾄ､:::/ ／￣｀` ﾊ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!:::::::.ヽ
`,ﾍ ´:::::::::::::::::. ﾊ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|:::_,rｰ'､
}:,∨ :::::::::::::::::: ﾄ､:::::::::::::::::::::::::＞＜￣＼::..＼
. }:::∨::::::::::::::::､-''ﾞ~￣￣￣￣:::::::::...＼ ム:::::ヽ
l::::∨ :::: ／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,.､／...:::::::::ヽ}
{::::::＼,::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／"￣:::::::::::::::::::::::::ﾉ
――――――――――――――――――――――――――――――
装備が妙に充実しているのは、
遺跡で見つけたり、不要分を換金して
欲しい物をオークションで落札できることも関係しているのだろう。
だがそれも不相応とは感じられなかったので
正式に護衛依頼を持ちかけてみる事にした。
――――――――――――――――――――――――――――――
┌─────────────────────────────────────┐
└─────────────────────────────────────┘
┌───────────────┐
└───────────────┘
┌───┐
└───┘
-
１６１．
／￣￣＼
／ _,ノ ヽ､_
｜ ( ●) (●）
. ｜ （___人__）
| ｀ ⌒´ﾉ
. | | 「―――以上になりますが、
人､ |. ご不明な部分や確認事項はありますか？」
,ｲ:. ﾄ､ヽ、 __ ,_ ノ
,. -ｰｰ -‐ ´::::::::::::::::::::::::::::::::7
／..::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ト、
.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.. ＼､_
::::::::::.＼:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..... ヽ
:::::::::::::..ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::...ﾍ
:::::::::::::::::::V:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |::
:::::::::::::::::ｲ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: l::
::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |:|
/＼＿＿_／ヽ
／__ノ ｀⌒:::::::::＼
|（●）, ､（●）､.:::|
| ,,ﾉ(､_, ) ヽ､,, .::::|
, =二ニﾆヽ､- ' .:::::::|
「……………」 / 二 ヽ､`,┘´ ::::::／__
/ -､ }、j┘─ｲ// : : : .｀' ｰ- 、
/ /{_/ニニ,´＞/ : : : : : : : : : : :ヽ
（異界産物と思しき剣を始めとした _/＿__ ノ : 「r{::::ﾍ / : : : : : : : : : : : : : : '､
. 私達以上の装備。 / : : : : :ヾﾐ : :.i r:::', y : : : : : : : : : :/ : : : : : :'
: : : : : : : :/ : : ｉ .i:::::i ,i : : : : : : : : : r : : : : : : : :i
. 依頼内容も整然としているし. ,' : : : : : : : / : : : :i i::::::ｉi: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|
. 水銀燈さんの身元も明確ですが―――）......,' : : : : : : : ハ : : : :',i::::::ii : : : : : : : : : :.| : : : : : :／|
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
改めて依頼内容と、相場よりかなり高めの報酬を聞いたダディは
この青年は何者ですかね、とやらない夫と肩のクリムゾンに視線を向けていた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
-
１６２．
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
超希少種とまで言われる闇天馬の実物の噂なんて今日まで聞いたことがないし、
それが西部に名だたるグレイランド騎手団の、見習いの騎獣になっているというのも妙な話だ。
そんなに貴重ならば団長までとは言わないものの、
それなりに立場のある者の騎獣であってもおかしくない。
向こうで採寸されている魔獣にしても野性を捕まえたにしては大人しすぎる、
多少は緊張しているようだが見知らぬ人間があちこちを測っているのに
我慢していられるというのも腑に落ちない。
護衛についても装備の質だけならば超一流、と一目で分かるのだが
お世辞にも青年の腕が釣り合っているとは思えなかった。
―――もしも、自分も見切れぬような相手だとするならば、
これまでに噂ぐらいは聞いた事があるはず。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
┌────────────────────┐
＿＿ │ ―――あるいはこれからの人、ですか。 │
_／_,,.......,,,,..ヽ_.. └────────────────────┘
,,i_:_:_:_:_:_:_:_:_:_:_:ヽ
/;;| （●）（●）| ／勹
|;/| （＿人_）│ ／ヾ／
| ｀ ⌒´ | ／ヾ／
| |,,.._,.,_ ∠ヾ／
ヽ / ﾞ弋llコ~○／
/ lヽ / ／｀弋ll
＿／ﾞヾヽﾉ_ヽ ￣ﾉ ,r‐;=／δ／ `弋l､
,r‐＜￣´､ⅴヽ、 ｀ﾄ-＝==＝ﾊ| ,`v-, ､__ ゜
/ ｀ ｰ-｀､ｰ_`､ ,!'｀`'┴┴ヘ,|／.-'_´.-' ｀ヽ
l r-ｨヽ.}ヽ､__ _,.-ﾍ´‐'r-ｨ |
ﾉ 、 ヽ_ｿ≠====:三===キヲ_ノ |
〉､ 丶､ _ __,. ゝシ｀`ー---ll--‐‐ﾍゞ‐′ ,. ヽ、
!、 `丶--'丶､＿_,ノ <＾＾> || ヽ,--､ -‐',. イ´
. }､`_ー_'二フ７'､_}ヽｭ__,.., Ⅴ ´￣｀丶､_,ｯ}:::ゝ-二._,.ｲ
. 〉､_ 二 -ｨ′八ヽ ﾞ´Y }ﾘ::::::::{'ｰ--〈
/ｰ--‐''´::::::/;;;;;ヽヽ､_>､ ,. -─‐- ､ノﾚi:::::::::ゝ､ーｲ
. l::::::::::::::::::::::/;;;;;;;;;;;;〉｝ Ｙ´ ｌ |;;|::::::::::::::￣l
ゝ:::::::::::::::ノ;;;;;;;;;;;;く ﾉ } { l;;|::::::::::::::::丿
,〉:::::::::::::::/;;;;;;;;;;;;;/ ｀ヾ丶ゝ、 ゝ'〈;ヽ､::::::::::`ヽ､
{:::::::::::::::::く;;;;;;;;;;;;r'､ ,.､`丶` =--=''´'´ ,..ヽ､|::::::::::::::::::|
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
しかしダディは違和感だらけだからといって、短絡的に断ろうとはしなかった。
これだけ目立つと足がつきやすいことは本人達も承知しているだろう、
詐欺などを働かれたり犯罪の片棒を担がされるとは考えにくい。
また、次の探索予定としている十四番遺跡が
とんでもない魔宮で未帰還組が多数でているという噂を考えれば
準備費用はいくらあっても困ることはないだろう。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
-
１６３．
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
理由はまだある。
自分の勘は、彼ら―――と言うより彼―――と
繋がりを持っておくべきだと言っているし、
人づてにじわじわと広がっていくのではなく、
不意に現れて急激に広まっていく噂の始まり方もあると知っていたのである。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
. /＼＿＿_／ヽ
.／ _ノ '''''' ＼
|:::::: （一）, ､（●）|. （なんでしょうね、この感覚。
|:::: ,,ﾉ(､_, )ヽ､,,..| 私は神も運命も信じないのですが………）
|:::: ｀-,.<))／´二⊃
.＼... / ／ '‐､ﾆ⊃
... ＼ ｌ ´ヽ〉 「お話は分かりました。
''"::l:::::::/ __人〉
:::::::::|_/ヽ. /|||||ﾞ!:ﾞ､-､_. 基本的な部分は問題ありませんし
:::::::/´∨/`ｰ'〉ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､. 私どもとしてもお請けしたいのですが、
:::ｙ′.: ',ゝ､_/ヽ.||||i|::::ヽ::::::|:::!.. 一つ、ご相談と言うか―――」
／: :／/: : : :|:::ヽ|||||:::::/::::::::i::|
／￣￣ ＼
_,ノ ヽ､,__ ＼
（●)（● ） |
（_人___） .|
'､ │
「なんでしょう？」 、 ｲ
ﾞ､ ＿__,. イ i
,r... __＞ｰﾒ.┴ｭ
_,. ,i´::::::::::::::::::::::_::::::＞、__
,.＜::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＞-.､､
「::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／:::::::::::::.`、
/.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.}
/ y::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::}
/:::::.i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾉ/:::.:::::::::::::::::::::j
ﾉ.::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ｨ
-
１６４．
/＼_＿＿_／ヽ
／ _ノ´ ヽ、＼
. |::::: . （─）, ､（●）|
. |:::: ,,ﾉ(､_, )ヽ､,,..|
. |::::::: ｀-=ﾆ=-_ | 「エネル団の噂はご存じですか？
＼ ｀ﾆﾆ_/__ﾞヽ_
＼.... (〈_ｒ- ヽ ヽ、 めざとい連中でして、
√::::::...｀ミｭ､r'､〈｀ヽ､ | 天馬さんに手を出そうとするかも知れません」
／.::7￣￣. : : .:.:.ヽ_ヽ ﾄ､
/ .:::/.:::::::::::::::::::::::::::::..＼Yｰ‐ソ,
,' .::::/.::::::::::::::::::::／ ⌒ 、ヽ,:::::::::|
i .:::::::::::::::::::::::. ::::::::::::::..ヽ::.',::::::::|
i ::::::::::::::::::::::/ .:::::::::::::.::::: }::::;::::::::|
i ::::::::::::::::::::::l .::::::::::::::::::::: ,.:: i::::::::|
', :::::::::::::::::::::;i .::::ヽ::::::::::::::l_:::|:::::::|
＿rｘvｘvｘvｘｬ―- 、
,ィｆ＞^厂{爻}勹⌒＾下ミ ｀ヽ、
rfﾌ::.::.::.:_｀ー'＾ー'::.::.::.::.::.::.::ヽ>､ヽ
＿fｦ::.::.rｘtﾀ^⌒＾⌒^X≧z::::.::.::.::.:::圦ﾊ
/r‐ｖ':r彡 |l| l|l| l ｉl ｌi l l| !l| ｌ|ﾄミｋ::.::.::.:Vfハ
{〈 ィ/＾ ,1ｌ ｌ|l !|l| |l|| |l | ｌ | ｌ |l| ! |ヽ>、::.:V! l|
｀７/ // ll| |l| |l!| |l!| ｌ| ｌ | l | |ｌ| ! |//＾ヽ:/⌒》
/丁7 ｌ| l l|l |l| |l!| |l!| |l |l l|ｌ | |l| | |ﾄﾐ=彳|厂´|
ﾚ⌒l| ｌ| | |l| !l| !ｌ| |l | || |l |l| | l|! | |ﾚ⌒ヽ|ﾚ⌒!
/|ｌ |ｌ！ |仆ミ｣ｌ ｌ| ｌ |､｣ 斗 ヒて {{ィ/77ﾊ＼j
//lハﾄ､ヽf予ｔぇﾐ xfぞ牙ァ '/// l |! | |
/// 7∧ヽﾊ ﾞー'′ ﾞー' //ﾊ /! j l | |
「それを含めての 〃 // ハ/小. ､. " ／〈// l｜| | ! |
護衛なんじゃないの？」 ″{ { ,' // |l ヽ、 - ／// ハ | | | ﾄ､ , =彡
⌒ヾﾒ､/,'＿川 |｀丶､ , イ // ,'ｌ lﾙ' l| | ∨∠/三
:―::.::厂:.:.:/// |!| l|l /｀fT!＾ヽ￣} ' / | |l ＼_!｣ / 彡竺三
ー=彳:.:.:.///:｀Yヽﾙﾍ /」ﾄ､／:/ /ﾊ/⌒7:´:.:.:.:｀ヽ三三三
'⌒Ｖ:.:.:.:.{ l {:.:.:.:＼ <ヽ:.:.jj:.:.:.:./ //ノ:.:.:.;':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼三三
-
ダディ有能やな
-
１６５．
/＼＿＿_／ヽ
／ _,.ノ '(ゞ､＼
|:::::: （ー）,.. ヽ ヽ |
|::::U ,,ﾉ(､_, )ヽ＼＼__
|::: ｀-=ﾆ=（⌒_ ＼ 「奴らの偵察はカリラに
____-‐./＼ ｀ﾆﾆ´ し「、 ＼ 入り込んでいるはずです。
,,-=ﾆ_::::::､::l ::::! ＼ ＿ ／......ヽ、..,,____i_
/ ::::::::::: ヽ::::::)::::::| ｀ヽ. ___´ノ ヽ ヽﾞY________l_ 何事もなければおいしい仕事なのですが
i :::::::::::::::::: ヽく::::::::ヽ / ￣ lヽl:::::〉::::Y________l_. 領主が派遣した部隊を返り討ちにするような
l :::::::::::::::::::::: ヽ:::y:::::ヽ/､＿_l !:: /::::| ::::::::::::::: |... 連中とやり合うのは少々骨が折れますなぁ」
! :::::::::::::::::::::::: l::::＼::::ヽ l ヽ.l::: l::::: | ::::::::::::::: |
ヽ :::::::::::::::::::::::: ヽ:::＼::::ヽl l!::: l:::: | ::::::::::::::: |
' f7.::::_j厂 艾::::V{
′ｆ7.::_j{., // / ハ艾:ﾊ
{{二}/_j{ / // / ' /// /, } iハ:}
;ffく{i{〉.:{:{芹ミﾒ､/ /// // /|｜ :}!
/イﾊ{≫ iﾊ.r=ミ心/// /厶斗ﾘ/ !介
/ :{i{ハ从|{杙 {r::ﾘ^ }ｲ云zx才 .从{
「それは……… / :}i} i:八乂 , , , 弋fﾘｲ /ｲ:i:}
そうかもしれないけれど」.. / / | :八 _ ′'' ' 彡ｲ{:ﾘ |乂 . イ
/ / / /, ｜{从＼ ｀ イ ハi :i|{ ': :/
ー-=ミ｀ヾﾒ. 从i:乂 }:≧=-＜(/ /, /‐-ﾐ 八ノ. : : :
才￣. : : : : : :ﾊ __ハ 辷刈り.:::::jｱ.//.:.:.:.:.:.∨. : : : : :
≧=ー. : : : : : : : /.:.:.:.:ア/八{i{.:.:.:乂 /ｲ.:.:.:.:.:.:.. ∨. : : : :
７. : : : : : :-‐. : : }.:.:.:r弌ｘ__ _￣乂{{/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ﾊ: : : : :
⌒7. : :ｨ : : :乂イ.:}:/i fr爻ｨ⌒} .く.:.:.:.:.:_彡.:.:.:.:}乂: : :
/才f. ; 彳( {.:.:.:/.:{ ⌒} , ﾉ }.:ｰ-.:.:.:.:.:._彡' ＼
}/ }//.:.:.:{:.:.乂 _＿__ .才゛.:.:.:.xf斗く ! i {｀
／＞'"´才ーｧｰf.:.:.:＞‐-ミ.:_//{/{iメ ' i:| ハ
/.:.{ {{_ .ノ_厂 {f ＼-く:ハ八/ :从(
―――――――――――――――――――――――――――
たしかに領主が対応に苦慮する野盗団の縄張りとなれば
襲撃の危険度は跳ね上がるだろう。
部隊が返り討ちにされたという最新の情報のせいで
釣り上げられているのが分かった水銀燈は
だけど町の中なら大丈夫でしょうにと納得がいかない様子。
―――――――――――――――――――――――――――
-
１６６．
―――――――――――――――――――――――――――――
対して、ダディの言い分を想定していたやらない夫は
ならば護衛を行う基本契約とは別に
臨機応変にことを持ちかける個別契約を結びましょうと言った。
―――――――――――――――――――――――――――――
／￣￣＼
⌒´ ヽ､,＿ ＼
（●)（●.) |
. 「では、エネル団に関する事項が発生した場合、. （_人___） |
. 内容に応じて追加報酬をお支払いします。. '､ │
} {
. ただし、緊急時に子細を調整している暇はないので !､______ .ィ-ｰﾄ、
. 必要経費こみで最大、週金貨七百枚で V／:::::::::::::::::ヽ
. すべてご協力いただくということでどうでしょうか」 {::::::::::::::::::::::::::::::.、
／ｰ-:::::::::::::::::::::::::::::::,
「r'、 ／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,
} r'、 ﾍ､ /.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: i
i/ ム､} .{ i:::::::::::::::::::::::::V:::::::::::::::::::::: |
{ い､{ Ｙ::::::::::::::::＼::::V:::::::::::::::::::: |
＼ ヽ {|V.::::::::::::::: ＼V:::::::::::::::::: |
-r=y=y=y､､
／z〆..::::::::::{f勾::::::..ヽ
／x<..:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
/.f７.:::::刈ｰ'^ｰ'^ｰ'^ｰ'ﾍｰマ}:::ヽ
. / xﾘ::xFﾉ l l .l .ｌ. l ﾏﾍ
/ ｛{l::/ﾉ .ｉ .| ll | l| |! | ! | l| ﾊ
. / ｛{:/ﾉ ｌ .l l ｌ l || |ｌ | | | ｌ| ! llﾊ
/ ｨﾘ{ l| 十 t .⊥ｌ l| ハ.} , ｨ 千 l l| .|
. /, .//|:}ﾄヽｌﾍlr=tzぅﾐヽﾘ ﾘj 斗 T７/ハ l､.. （………あれ、それって
. 、 .// 〈〈_}小ﾉハ ヾ弋ン` ゞ ' 〃ｲ ﾘﾍヽ. お金は一週間に七百枚まで払うから
l:ﾄ:. // 〈.{ /ﾊ､}.〉＼__ ' u ｲ / l .l::|//. なんでも手伝えってことよね？）
、 ﾍ!:V./ ゞｲ 1トム‐ｲ ＼ ､-.. _, ／/ / l.l:}.1 .＿
i;＼ヽ;i〉./ _〃∠ﾉ1 / }| ﾉ1 ヽ － イ / / /千1!|Yﾁi;i;i;i卞z,,_
i;i;i;i;Y// //⊥ｰ |｜|_ﾉ´ } ﾍ.:::::´:y:::ム/ / /ム!|:!||;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i≪_
i;i;i;i;i;{/ 〈〃::::::ヽゝン⌒ ,､ Y｀ｰt:::/イ〃/::::＼ﾄi;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;≪,
i;i;i;i;i/ ノ:::::::::::::::≧ x _, -､く ＼ヽ }|´__ //:::::::::::::＼i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;
i;i;i;/ /::::::::::::::::::::::::〈 ＼ ｢ ヽ _ く. l ||:::::::::::::::::::::::::l;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;
i;i/＿ ､|＿_::::::::::::::::::::::ヽ__,. -＜ ヽｰ"' ||:::::::::::::::::::::::/;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
隣の水銀燈などはなにをやらされるか分かったものじゃないと空恐ろしくなったのだが、
町中の護衛で一週間に金貨七百枚の依頼など常識的にあり得ないため
金払いは良いから最大限努力してくれ、の意味と捉えたダディは
それで構いませんと頷いている。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
-
１６７．
――――――――――――――――――――――――――
ふっかけたのはこちらであるし、とうぜん打算もあった。
もちろん彼もエネル団に関係することであれば
言いなりにならざるを得ないのは分かっていたが、
どうせそのうち、討伐に失敗した領主が冒険者を加えた
第二次討伐部隊を編制すると予想していたのだ。
――――――――――――――――――――――――――
＿＿_
r ´二ニ フ__／ヽ
_ / '´,. 二ノ '''''' ＼
＿＿_.-‐'´ `-i/ γ_)⌒）, ､（⌒）|
_,.＜￣￣ : : : : : : : : l r/´.. ,,ﾉ(､_,)ヽ､,,..|
＜ : : : : : : : : : : : : :l l__ノ : ｀-=ﾆ=-' | 「いやぁ、懐の広い方で助かります」
l,, : : : : : : : : : : : : : : :ﾉﾉ＼ ｀ﾆﾆ´ ／
l; : : : : : : : : :-─＜二二´ ＼. ＿＿ ／
＼ : : : : :'´ : : : : : l : :l : ＼` - ‐ヽト､＿x- ﾍヽ、
＼ : : : : : : : : : : : l : : :＜ : : :∨∧::〈ヽ: :､>＞、
`‐,_ : : : : : : : :l : : : : :ヽ : : ∨ |:Λ | : :ヽ : : :ト-､
`-, : : : : :l : : : : : : ＼ : :ヽ|:::::| l : : :/ : : : : : ,
＼ : :ノ: : : : : : : : : ＼ : .､:::|,| : / : : : :l.: : {
V: : : : : : : : : : : : : :ヽ: ',::ｌl: / : : : : :l : ∧
V: : : : : : : : : : : : : : :ヽ:V : : : : : : :l : :.∧
―――――――――――――――――――――――――――
ただし領主の性格からして今回の失敗を国王に報告し、
冒険者や傭兵の手を借りるのはしばらく掛かるだろうし、
エネル団が希少種に目を付けたところで
いまは次の防衛準備に注力せざるをえないはず。
つまり、護衛期間中に小さな襲撃はあるかもしれないが、
本格的にぶつかることはないとふんだのである。
―――――――――――――――――――――――――――
-
１６８．
/＼_＿＿_／ヽ
／ _ノ´ ヽ、＼
. |::::: . （●）, ､（●）|
. |:::: ,,ﾉ(､_, )ヽ､,,..|
. |::::::: ｀-=ﾆ=-_ |
＼ ｀ﾆﾆ_/__ﾞヽ_ 「そうなると、期間が気になりますなぁ」
＼.... (〈_ｒ- ヽ ヽ、
√::::::...｀ミｭ､r'､〈｀ヽ､ |
／.::7￣￣. : : .:.:.ヽ_ヽ ﾄ､
/ .:::/.:::::::::::::::::::::::::::::..＼Yｰ‐ソ,
,' .::::/.::::::::::::::::::::／ ⌒ 、ヽ,:::::::::|
i .:::::::::::::::::::::::. ::::::::::::::..ヽ::.',::::::::|
i ::::::::::::::::::::::/ .:::::::::::::.::::: }::::;::::::::|
i ::::::::::::::::::::::l .::::::::::::::::::::: ,.:: i::::::::|
', :::::::::::::::::::::;i .::::ヽ::::::::::::::l_:::|:::::::|
／::::::::::;;::::／:::::::::::::::::/:::::::／ ｀ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::l
／-''"´ .／::::::::::::::::::::/:::ヽ/ ∨::::::::::::::::::::::::::｀::'::':フ
,ｨ:::::::::::::/:::::::::/´ ヽ:::::::::r ､:::::::::::::::イ7
/:::::::::::::::j::::::::::j ／ ∨//ヽヽ:::::::::／
/:::::::::::::::::l:::::::::/ ／ _,,==- ﾘ lヽ }::::::/
/:::::::::::::::::;::l::::::::/ / l f''{r':::ﾉ, r ﾉl:::::/
/::::::::::::才’/:!:::::/::! ｀ ' l-' .!::/
/::::::才 .j:::l:::/:::::ﾍ フrﾊ ! .l:j
/:／ j::::l::jﾊ::::::::ﾊ ｀¨ l l l
/ｲ l::/l:/ !::::/ハ / ./ .l
「いましかかり中のもんは. l/ .l !:/ ﾍ , イ￣ ｀ｊ / .|
皮のなめしまでに余裕で終わる。 l' へ. -'､-〈 .ﾉ / / l
ヽ ヽ--'" ／ / !
兄さんが皮をとってくるまでは別としても ヽ , ｲ ./ l
バジリスクと合わせてなめして、 ﾍ _, ｲ j
裁断のー、仮縫いのー………」 ￣! /
―――――――――――――――――――――――――――――――
一通りのことを計り終えたカミナはメモ書きを作業台に投げ出すと
壁にかけられた暦を見ながらひー、ふー、みーと指折り数えて、
―――――――――――――――――――――――――――――――
-
１６９．
――――――――――――――――――
十週前後は見ておいてくれと言った。
――――――――――――――――――
. /: : : :／/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :/: : : : : : : :/l/＿_: : : : : : :l
/: : ／ / : : : : : : : /: : : : : : : : : : : ;ｨ: : : : : : : : /´ `ーｧ : : : l
: ／ ./ : : : : : : : ,': : : : : : : : : :／ /: : : : : : /:/ ,ｲ : : : : L ＿
´ /: : : : : : : : ,' : : : : : : : ／ /: : : : : 〃:/ 〈ミ: : : : : ＜＿
/: : : : : : : : :,': : : : : : : /＼ i: : : :／/／ ／｀ヽ !ヽ. ＼---‐´
. /: : : : : ／! : i: : : : : : :/ｧ云≧!: : / ´ z=≦.._ l_ : ヽr-`
/: :〃 ／ .l: : !: : : : :.:/､弋タ_ l : / ´ ´{rﾈﾊヽ, ハ／
./／/／ l: /l : : : : / "￣ l:./l / `｀ﾆ"- ゛ ,'ｲ !
" ´ ,, l/-l: : : :,ｲ. l/ .l ,' ,'〉 !ﾉ
,, '' l: : ∧_! l ,'/,ィ`丶、 「ざっと二ヶ月ってとこだな」
,, '' l: / .l ` - ,'_/ ｀丶 、
'' l/ i､ ､＿＿＿＿＿_,、 ,' ＼
!ヽ、 、 , ,ｲ ＼
`丶､ l ヽ ￣￣ ／ l ＼
｀ヽ, / l ', ヽ ／ l .l , - ... _ ＼
_ .. -' ,' ／!. ', ヽ､＿＿__／ / ﾄ､! ／ ¨ ‐ -
-―- _
／r辷}厂:::::::::{弐込ﾘ.
／rア.::::::::::芸云芸=ミx:::.ヽ_
' f7.::::_j厂 艾::::V{
.′ｆ7.::_j{., // / ハ艾:ﾊ
{{二}/_j{ / // / ' /// /, } iハ:}
;ffく{i{〉.:{:{芹ミﾒ､/ /// // /|｜ :}!
/イﾊ{≫ iﾊ.r=ミ心/// /厶斗ﾘ/ !介
. / :{i{ハ从|{杙 {r::ﾘ^ }ｲ云zx才 .从{
/ :}i} i:八乂 , , , 弋fﾘｲ /ｲ:i:} 「結構かかるわねぇ」
. / / | :八 _ ′'' ' 彡ｲ{:ﾘ |乂 . イ
. / / / /, ｜{从＼ ｀ イ ハi :i|{ ': :/才＝ーｧ
ー-=ミ｀ヾﾒ. 从i:乂 }:≧=-＜(/ /, /‐-ﾐ 八ノ. : : : : : : : : :｀ー-ミ
才￣. : : : : : :ﾊ __ハ 辷刈り.:::::jｱ.//.:.:.:.:.:.∨. : : : : : : : : : : : : : ｀ヾ
≧=ー. : : : : : : : /.:.:.:.:ア/八{i{.:.:.:乂 /ｲ.:.:.:.:.:.:.. ∨. : : : : : : : : : : : :｀ヾミ
７. : : : : : :-‐. : : }.:.:.:r弌ｘ__ _￣乂{{/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ﾊ: : : : : : : : : : ｀ヾー-弍
⌒7. : :ｨ : : :乂イ.:}:/i fr爻ｨ⌒} .く.:.:.:.:.:_彡.:.:.:.:}乂: : : : : :＼: : :.乂
. /才f. ; 彳( {.:.:.:/.:{ ⌒} , ﾉ }.:ｰ-.:.:.:.:.:._彡' ＼ : : : : : ＼(
}/ }//.:.:.:{:.:.乂 _＿__ .才゛.:.:.:.xf斗く ! i {｀ ＼(⌒ヾハ
. ／＞'"´才ーｧｰf.:.:.:＞‐-ミ.:_//{/{iメ ' i:| ハ
. /.:.{ {{_ .ノ_厂 {f ＼-く:ハ八/ :从(
八:.∧ _jj {{ ⌒7八 ､｀Y7ﾞｲ}i}./
-
１７０．
／.:.:.:.:.:.:.:.／:.:.:.:.:|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
／.:.:.:／.:.／.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:∠;;;;;;,;:.:.:.:.:.:|
-‐''７:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.／!:.:.:.:./ ≦:.:.:.:.:.:!
/.:.:.//.:.:.:.:.:.／ .|:.:.:./ , -‐＼:.:.:.:.:|
. /:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:./.＼ |:.:./_／‐- 〈:.:.:.:.:.Ζ... 「水漬けもしてない原皮からなめすんだぞ。
/:.:.;ｲ:.:.:|.:.:.:./弋ラ>|.:/"､弋ラ`, |r´｀l:.:.:.>
／ |:.:.:.|:.:./ ー ´ |/ ｀ー > |／ クソ高い薬品つかって最優先でやらせたって
|:.:.:.∨:| 〈 ､ / ／ 今日明日にできるもんじゃねぇよ。
|:.:/|:.:./l /ィ. 制作だってウチのもん総出でやるにしろ時間はかからぁ。
|/ |/ ヽ ´￣ ` ／ |
＼ ／ ＼ どうしてもってんなら組合のツテで
,,... --‐''''"´＼＿_／ / ＼. 職人を借りられるかもしれんが
-‐''"シ 〃 /l/ ＼ / ヽ そのぶんカネはかかるぞ」
二彡'''" |l/‐-､ ヽ / ノ三|l､
＿＿_
, 〆;;;;;;;;;;;;;;;;;;;｀;;,,,、
／/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;＼
/ :/;;;;; 〆~＾~＾~＾~＾~＾ ' ヾ､
/ :/;;;〆 ; l!'
/ :/;;;/ l ! l! l l ', l!
,' ｲN;! !_l! |! i l! l! l |!l
,. 从ﾚ |!_l! l!l !: /,/__/ l! l !
, ﾙﾘ lヽ. ﾄソ`i l! ! / /__//l ｲ!
:l! 《_l!__! ヽ ゝ , ﾍソ/./ /l!
| ／; ; ;:;:| ﾄ.ゝ _ .ｲ/ //|l!
.／; ; ; ; ; ;ﾍ ﾍ＞ ._ ＜=./ // l!! 「むぅ。
/; ; ; ;;: ; ; ; ;:;ヽ∨弋 乂1;:;/ノ/ヽ.j:| 仕方ないか」
/; ; ; ;:;:; ; ;:;: ; ; そﾍ 辷1 .》;:;:;:/;:; ;1:|
〈; ;:;:; :;:;i;: ; ;:;:;: ; ; 弋,､,､,,ソ; ;ヽ;:/; /!.|
ヽ;:;:;:;:;f=-,..､;:;:;: ; ノ; ; ;丱; ; ;.;l!; /;:l |
下从丱;:;:;:ヽノ; ; ; く;ﾙ ; ;:; l;:/;ノl.ﾄ､
| |くﾙ; ; ; ﾍ; ; ; ; ; ハ;:; ; ;.|;:;| z弋
-
１７１．
／￣￣ ＼
⌒ ｀⌒ ＼ v-,
( ●) ( ●) | | r
（__人___） | | |
「だ、そうです。 '､ | | |,.-、
. 毎週中間日に契約を更新して ,,. -ｰ| |ヽ__／￣ヽ｀ r´
. 前金として金貨百四十枚を渡しましょう。.... / .::::::、::| /ｨ::::〔￣￣ ｀' ト-、
. 前週分の残りもそのときに。 l :::::::::::::::::ヽ__､____,. ":::/::::〔￣ l:::. ヽ
」 ::::::::l:::: ::::::「二二::::／ :::::::ヽ y l::::::. ',
. 最後の週は日割りにしなくても結構です」 l :::::::::::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l l:::::::: i
/ ::::::ｰ-ミ､:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ＿／:: L::::|
/ :::::::::::::::::ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::く::::::::::::::::::|::|
/ ::::::::::::::::::::/ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::「 ::::::::::::::::::||
/ :::::::::::::::::::/ ＼:::::::::::::::::::::::::::::::::::::V ::::::::::::::: |
／｀ｰ──一'＼
,ｒ（●）(､_, )､（●）＼
. | '"トﾆニﾆ┤'｀ .:::|
|. | .:::| .::::|
. | ヽ .::::ﾉ .::::::::| 「はははは、工房長には光の日の完成を
＼ ｀ﾆﾆ´ ..::::::／ お願いしたいですな」
,,.....イ.ヽヽ、ﾆ__ーーノﾞ -､
: | '; ＼_____ ノ.| ヽ i
| ＼/ﾞ（__)＼,| i |
＞ ヽ. ハ | |｜
―――――――――――――――――――――――――――――
完成するのは更新の翌日が良い、と半分冗談で言ったダディは
あとで書き起こした書面をお持ちしますと左手で握手を求めて
これで契約成立となった。
―――――――――――――――――――――――――――――
-
１７２．
「なめしに時間がかかるとなると
. 皮は最優先で採ってきた方がいいな。
. 水銀燈、俺は一通りの準備を終えたらすぐに出る、. ／￣￣ ＼
. クリムゾンと一緒にカリラで待っていてくれ」 ／_,ノ ｀⌒ ＼
-、 | (● ). (● ) |
ﾔ ', | .(___人___） |
i. l ,.-､ | ｀ ⌒ ´ |
', j / / .| |
ノ＿..ヽ-､′,' ', ,/'|、
l .＿＿_ ヽﾉ __ .j '.、__ , ___ ｨ／::L＿
Ｙ ）ﾊ.‐ ' ´ ..::ヽ::::::::::::::::::::::::::／:::::::...｀' ｰ- ､ _
ﾄ. ￣￣ 〕y::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..＼
ハヽ 一ﾆｲ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: r;;;;;:::::::: ',
/...::::::;;;;;;;;;;; /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾉ;;;;;::::::::::::::〉
, __-,=＝=＝=〔{〈回ﾍ
／_f〆::::::::::::::::::::::弋之ｿ::::＼
/ ｊf７::::::::／￣￣￣￣￣ ＼:::::＼
/ {i7:::::／ i ＼:::::ヽ
;′ {|::::/ l i | ヽ:::::
,′ {|:/ ｌ | |｜ | | | | Ｙ|
.｜ {|| | |｜l十￢ | /｜ | |
. | ﾞ| | 斤==ミハ || /ﾄ､ｊ | ||
| | | | tしｿ ﾘ| ／癶〈| | ハ
| ｜ | ヽ ＼￣ '(ﾚﾘﾙ | ,∧｜
| ｜｜ ＼ ＼ , ｀ /! |〃ハ_i
| ｌ | ￣ __ _ /｜/″
. / 厂￣＼ ｌ ｌ＼ イ｜l/ーく 「分かったわ」
. / /::.::.＼ ＼ l l:::::::::r‐＜ﾍ ｌ 〈::.::.::ヽ＼
. | ｌ::.::.::.::.::.＼__ ヽ ｌ ｌ::::::::ﾄ＼__∧ Ｙ::.::.:ｌ ＼
. | ｌ::.::／::.::.::.::.::＼|::ｌ ｌ:::::/￣ ＞ﾍ ｌ::.::.j＿
ｊ ｊ／::.::.::.::.〈￣￣}ﾚﾍ ∨ ﾍ ｌ::.l::.::.::〉 〉
〔 Ｌ::.::.::.::.::.::.ｊ＿__ﾉ::::::ﾍ ',＿___ ＿jﾍ V::.::./ /
｀ ト ／::.:: ヘ :::::::∧ ∨ｰ┴;ヱ、::', ';:.:/ /
| i く::.:／::.::.::.＼/:::::', ｉ 匸{〈回}くl| |〈 〈
| i ＼ヽ .::.::.::.::＼:::| |―-ゞｰﾍ/〉| |ヽ:i ,
-
え〜またおるすばんー
-
１７３．
/＼＿＿_／ヽ
／ _ノ 〜 ＼
. |:::::: （─）, ､（●）|
. |:::: ,,ﾉ(､_, )ヽ､,,..|
. |::::::: ｀-=ﾆ=.／;､ | 「シルバー・サーペントは面倒な相手ですが
＼ / ／ '‐､> お一人で行かれるので？」
,ﾉヽ､__ﾉ 二〉
, ／'"|::::_/ヽ. /:::::ﾂﾞ!:ﾞ､-､_
''":::::::::::/´∨/`ｰ'〉 7:..ヽヽ:.:|:::::ﾞ'ｰ､
::::::::::::ｙ′.: ',ゝ､_/::＼:.:.:| |.ｲ:::::::::|:::!
::::::::／: :／/: : : :|::::::::ヽ::|/:i::::::::::::i::|
／￣￣＼
／ __,ノ ヽ､_
｜ (● ) (● )
｜ （___人__）i
| ﾉ
「ええ、こつは知っていますし. | |
道具も揃っていますので」. 人､ |
_,／(:::::ヽ､ __ ,_ ノ
_, ､ -― ''"...:::::::＼ ::::::::::::::::::7、
/.;;;;;::ﾞ:':､::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..-､_
丿;;;;;;;;;;;::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾞ'ｰ､
r ;;;;;;;;;;;;;;;;:::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |:: !
/ ,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: i:: |
/ ,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::|;;;;::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |:: i
/ ,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:'''丿;;;;;::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: l:: !
―――――――――――――――――――――――――
この青年の装備は超級だが、本人の腕はどうだろうと
測りきれずにいたダディも心配しているようだが、
やらない夫は簡単ですからと事も無げである。
―――――――――――――――――――――――――
-
１７４．
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
時折、冒険者の集まる酒場に行っては彼らから話を聞いていた―――そう言う意味では
ダディ達とは面識がある―――シモンは銀水蛇の皮取りがあまくない、と知っていたので
あまりに平然としている彼がいったいどんな方法をとるのかがどうしても気になって
ついていきたいと言い出してしまった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
／:::::/{＿ ,. イ ,.イ:::::::::::::::::::::＼ ｀ヽ､ }､:::::∧
/::::::::/ _,.ｘ＜:::::::::::::::::::::::::::::::::::＞ｘ_ ￣ ∨::ﾍ:ヽ
./::::::::7 ／::::::::::::/ |::::::∧::::::::::::::∧::::::|',:::::::::ー:､ V::∧ヾ
7:::::::::::| /:::::::::::::::/ i:::7 ∨:::::: / ∨::! V:::::::::::ハ i::::::::',
i:::::::::::::'´::::::::::::::/ -─:7＝ ∨:::/==- V{ __V::::::::::::::ヾ|:::::::::',
;::::::::::::{:::::::::::::::7 , -─=､ V,′,. --- ､ V:::::::::::::::::::::::::ハ
ｲ::::::::::::::V:::::,'!::7 / ９ ! ７ ９ ヽ∨::::::::::::::::::::::::::}
／ー‐ |::::::::,.}::::,' |:| .{ i { } V ∨,､:::::::::::::::!
|::::::{ Ⅵ, ヾ ､＿__. ' ` ＿__ノ 〃- {::::::::::::7
|::::::| ( ハ i '〃 ' 丁 }::ﾊ::::,'
レハ:､｀ヽ ', , - ' ,ｨ/ V
V＞--', ＿__ ,'__,.イ／
／V:::::::ヽ ´──｀ ,ｨ:::::::／､ 「ねえアニキ、
ｘ＜: : : :Ⅵヽ::::＞ ､ , イ:::/Ⅳ: : :∧ オイラ見物に行ってもいいかな」
／: : : : : : : : }!: : ＼::::|: :＞ ＜::::|:/}:,': : : : : : :∧
厶-----z__: : : : : : : :ヾ{: : : : : ￣: : : : : : :.|: : : : : : : : : : :∧
／.:.:.:.:.:.:.:.／:.:.:.:.:|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
／.:.:.:／.:.／.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:∠;;;;;;,;:.:.:.:.:.:|
-‐''７:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.／!:.:.:.:./ ≦:.:.:.:.:.:!
/.:.:.//.:.:.:.:.:.／ .|:.:.:./ , -‐＼:.:.:.:.:|
. /:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:./.＼ |:.:./_／‐- 〈:.:.:.:.:.Ζ
/:.:.;ｲ:.:.:|.:.:.:./弋ラ>|.:/"､弋ラ`, |r´｀l:.:.:.>
／ |:.:.:.|:.:./ ー ´ |/ ｀ー > |／
|:.:.:.∨:| 〈 ､ / ／
|:.:/|:.:./l /ィ 「あん？
|/ |/ ヽ ´￣ ` ／ | 邪魔しねぇなら兄さんに聞いてみりゃいい」
＼ ／ ＼
,,... --‐''''"´＼＿_／ / ＼
-‐''"シ 〃 /l/ ＼ / ヽ
二彡'''" |l/‐-､ ヽ / ノ三|l､
-
１７５．
―――――――――――――――――――――――――――
家族の中では唯一、冒険者になりたいことを
反対していない兄が許可してくれたので、
やったと飛び上がった少年は
眉を動かしているやらない夫に向かい深々と頭を下げる。
―――――――――――――――――――――――――――
{:::八::::弋:::::::::::::::ﾊ ヽ::::::::::::::::::::::::::::::
V{:::::ヽﾊ rﾐ￣￣｀/´￣ ｀ヽ ∨::::::::::::::::::::::::
弋::代:::.| '. '. ）イヽ:::::::::::::::
｀ヾﾊ| .| | } |::::>'⌒
| 0j O ﾉ ﾚ'.／＞
ノ｀¨ ,;, ー─=ﾆ 〃 〈⌒ヽ
「兄ちゃん、 弋 ,,, ﾐ ''′ﾞ' )__ノ__
オイラも連れて行ってくれないかな。. 从 r─‐- -一≦三三三ﾐ
ﾄ､ 丶 r‐-､ ├气ミ三三三三三三ﾆﾆ
絶対に危ないことはしないからさ」... | ヽ ＼｀¨´ | ￣￣ |三|
| ｀ー彡＼ ', j三j
j ｀¨¨¨´V {三{
／￣￣＼
／ _,ノ ｀⌒
｜ .（ ●）（●） （素人が見てどこまで伝わるかは分からないが
. ｜ （___人__） 証人にはなる、か）
| ﾉ
. | |. 「………すぐ終わるだろうし、
人､ | 遠くから見ているだけなら構わないよ。
,ｲ:. ﾄ､ヽ、 __ ,_ ノ
,. -ｰｰ -‐ ´:::::::::::::::::::::::::::::7 じゃあ出かける準備をして
／..:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: く'、 ジーハ亭に集合な」
. ｛ :::::::::::::::::::::.ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::.. ､_
'| ::::::::::::::::::::::..｀、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::..｀ヽ ヽ人_从人__从_从人__从人ﾉ
'| ::::::::::::::::::::::::::::i_::::::::::::::::::::::::::::::::::::.ヽ::ゝ ＜ ＞
ﾄ､:::/ ／￣｀` ﾊ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!:::::::.ヽ ＜ ありがとう！ ＞
`,ﾍ ´:::::::::::::::::. ﾊ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|:::_,rｰ'､ ＜ すぐ用意してくる！！ ＞
}:,∨ :::::::::::::::::: ﾄ､:::::::::::::::::::::::::＞＜￣＼::..＼ ＜ ＞
. }:::∨::::::::::::::::､-''ﾞ~￣￣￣￣:::::::::...＼ ム:::::ヽ Y⌒YW⌒Y⌒WW⌒⌒YW
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
いくらなんでも断るでしょう、と言う水銀燈の視線を浴びながら考える事しばし。
やらない夫も本来なら断るところだったが、
万が一に備えてなにかしらで自分がそう言うやつだと言う可能性を
ダディ達ににおわせておく必要があったので
これでいいかと連れて行く事にした。
もちろん未知の敵ではないこと、
現状の実力を踏まえてもシモンの安全が確保できる算段があってのことである。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
-
１７６．
――――――――――――――――――
水銀燈は本気なのかと驚いたが、
そう言う事を一番気にしそうな本人が
うなぎ釣りに行く程度の気軽さなので
口を挟むことができなかった。
――――――――――――――――――
ｉ:/ i:ｨ::ヽ | l i ! | ｉ i ｉ ! l ､ ヽ
l:l_/!:レ'::〉 / | .li l ! | | l | ! | | ﾊ
./:/ｉ ﾄｒ‐i´ .!‐トl､! l ! | | / | ! | | | |
::/ .ｌ |:| ! .l≡＞≧l＼ ｌ .// ﾚ// ./ .ﾊ.!
| |:| ヽ |ﾔ''{ fﾝ}ヾﾐ ∨/ム一〈/ / / l|
| |:| |ヾ､ `'~ ィtfｿ7／,}／ " ,ｨ
| ヾ | `~ / ／ｨ| ／/
. ! i＼ __ ´ <"ｲ l」 ／.:::/. 「………皮取りって、難しいのかしら」
! .ﾄ､.,へ ‘‐ ´ イ i ／/／.::.::./,─ｧ
. l l::::::::二_＞ -､.＜ ,| !: : : : -- ―<＿
ニﾆiハ |::／／７只ﾄ､＼ ／:l .ﾄ､: : : : : : : : :‐-
:::::::::ヾ∧ |::＼｀´,ｲ |:L/厶ー:| .!:::＼ : : : : : : : :
:::::::::::::＼ﾍ/ ¨ i:! ￣ .}:::::::::| .!:::::::::ヽ : : : : : :
「水生種や飛行種は厄介です。
/＼__＿＿_／ヽ
／ __,ノ 'ヽ､_＼ 山や草原、洞窟の敵と違って
|:::::: （●）, ､（●）| 逃げられたら簡単に追えませんし」
|:::: ,,ﾉ(､_, )ヽ､,,..|
|:::: ｀-=ﾆ=-' | , ｧァ┐
＼ ｀ﾆﾆ´ ／. ┌､ ///./ ７
. ＼ ＿ ／ヽ- 、___、 _ | l ／//./' /
_ﾉ >-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７ ﾉ / ヽ_/' /
__／ :}Λ:::√ У: : :/ : : : : : : / /／ ／ 丿
,.-< : : : : :i /::::「 ／ :< : : : : : : : : / : | / ／
r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : ﾍ { ｲ
} : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : :「ﾑ ＿_厶┐
f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : :i : : |｀ ー一一'|
/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : :V : :| : : : : : : : |
/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : :r : :|.: : : : : : : |
――――――――――――――――――――――――――――――――
討伐であれば力押しの短期決戦など手もあるし、
小型であれば罠にかけるなどの手もあるのですが、
銀水蛇の皮になるべく傷をつけないとなると、と言葉を濁したダディも
手軽にやりきる自信がない。
――――――――――――――――――――――――――――――――
-
１７７．
／￣￣ ＼
／ __,ノ ｀⌒
| ( ●) (●）
| （___人__）
|. ` ⌒´ﾉ
| | 「じゃあちょっと行ってくるよ。
iヽ |. 目撃情報があるし、そんなに時間はかからないと思う」
}:::.`＞ ｰ-´-くヽ- 、___、
_/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ７¨:.ヽ
__／.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/.::::::::::＼
,.-<:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::∧
r´.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/.:::ヽ
}:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/.:::::::::::::::::::＼
f:::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i: /.::::::::::::::::::::::::::::ヽ
/.:::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::V::::::::::::::::::::::::::::::::::::.＼
/.:::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::rヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
＿＿_
, 〆;;;;;;;;;;;;;;;;;;;｀;;,,,、
／/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;＼
/ :/;;;;; 〆~＾~＾~＾~＾~＾ ' ヾ､
/ :/;;;〆 ; l!'
/ :/;;;/ l ! l! l l ', l!
,' ｲN;! !_l! |! i l! l! l |!l
,. 从ﾚ |!_l! l!l !: /,/__/ l! l !
, ﾙﾘ lヽ. ﾄソ`i l! ! / /__//l ｲ!
:l! 《_l!__! ヽ ゝ , ﾍソ/./ /l!
| ／; ; ;:;:| ﾄ.ゝ _ .ｲ/ //|l! 「くれぐれも気をつけなさいよ？」
.／; ; ; ; ; ;ﾍ ﾍ＞ ._ ＜=./ // l!!
/; ; ; ;;: ; ; ; ;:;ヽ∨弋 乂1;:;/ノ/ヽ.j:|
/; ; ; ;:;:; ; ;:;: ; ; そﾍ 辷1 .》;:;:;:/;:; ;1:|
〈; ;:;:; :;:;i;: ; ;:;:;: ; ; 弋,､,､,,ソ; ;ヽ;:/; /!.|
ヽ;:;:;:;:;f=-,..､;:;:;: ; ノ; ; ;丱; ; ;.;l!; /;:l |
下从丱;:;:;:ヽノ; ; ; く;ﾙ ; ;:; l;:/;ノl.ﾄ､
| |くﾙ; ; ; ﾍ; ; ; ; ; ハ;:; ; ;.|;:;| z弋
―――――――――――――――――――――――――――――――
そうこうしている間にやらない夫もシモンを追って出ていってしまい、
あとには微妙な面持ちの二人が残される。
―――――――――――――――――――――――――――――――
-
１７８．
..... 「………私たちも結構前に _ /＼＿＿_／ヽ
銀水蛇の皮を狙った事があって、 | ! ／'''''' '''''':::::::::＼
近づいてきたところを ｜ !. |（●）, ､（●）､.:::|
仲間の魔法使いが眠らせてみたんですがね」..... | ! ,.-, | ,,ﾉ(､_, ) ヽ､,, .::::|
_,ﾉ ┴、/ ,/. | ｀-=ﾆ=- ' .:::::::|
r `二ヽ ） i... ＼. ｀ﾆﾆ´ .::::::／
| ー、〉 / _｀,,ー --´...／i＼,,,,_
| r_,j j__,,.. r''''"/::;| ＼`'／ ,'::;;;r;;;;;;;;;;;;:: r ‐-、
| ） ﾉ ::::::::;;;;;;;/::;;;;| ／＼ /::;;; l;;;;;;;;;;:: ::;;;;;;;:: ヽ
ﾉﾆ-､ ,/::;;|:::;;;;;;;;;＞::;;|／(::::ﾉ ＼/::;;;く;;;;;;;;;;;;:: i::;;;;;;;;;;;:: }
√..:::;;; ヽ､〉;:;;|::::;;;;;;;;{ ::;;;;;| "::く /:::;;;;/;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;:. ノ }
/..:::::;;;;;;;;;;;;;;;〉;;;;|::::;;;;;;;;;:{ ::;;;;| |:::::::| /:::;;;:/;;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;;;;;;;;:: }
,. -ｰ' 二二二 ｰ- ､
／／:￣__::::::::::::::::￣｀:::ヽ
／〃'::::::/´ﾉ〉):_ノ_ﾉ::::::::::::::::::＼
//´::::::__,ｨ:ゝ-':__,:::-──- ､::::::::::ヽ
/ﾞ::::::::::／￣￣＼ ヽ＼ ヽ ＼::::::::ﾊ__
!:::::::／ヽ ヽ ', ヽ ＼ ヽ>,仁》
＿ |::::ハ ', ｌ } ! ! ',<ノ||＼
《ﾆﾊ_ゞ、 ＼ ＼ ! || | |__ || l | ＼>
|| ＼＼ ＼ ＼ | .从,ｨ匕Lィ|| | | 〈´
.| ', ＼＼,.＞一ゝ, |/ /,ｨﾁzノﾉ | | ｌ |ヾ
ハ ＼ ＼ｨﾁ乏ﾗﾐヾ' ｀￣ / // ｌ ',） 「あら、いいじゃない？」
. 〈/|:} ヽ,＼ ＼￣ 、 / // / ｌ ヽ
//| |＼＼ ｀ゝ -= ' ／!// / ! ∨
. ∨ﾑ'〉 ｢｀::ゝ,＼_个 ｰtヽ_ ／─ﾍ,ィ' l |l /
／:::::| |::::::::::ﾍ !:::::｜ |::::ﾊ;:::::_::_:::ヽｌ ｌ| 〈:
./::::::::::: ! / :::::::::::::} |:::::::l! !/ ∨ } /::::/ / ﾊ｀ゞ
!:::::::::::::::| /:::::::::::::::::| |::::ノ| ト-ｰく 〈_｣:::/ / /::::ヽ:::ヽ
|:::::::::::::::ﾚ ::::::::::::::::::| |::_〉 } ─ｰ､ヾ才／} /:::::::::::＼:＼
ﾍ::::::::::::::::::::::::::::::::::::! /:::〉ﾍ! ￣＼ヽ)=::､/ /::::::::::::::::::::::::::＼
...人::::::::::::::::::::::::::::::::|/::{ ｀入_ ゝ}_ソ/｀´}/::::::::::::::::::::::::::::::::::}
. ::::::::::::::::::::::::::::::::::::（＼__ ￣Z_r､_｢| ノ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾄ
ヽ;__::::::::::／:::::::::::::::〔 ゝ,＞､ _,ィ'７´}::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::! ゝ
斗､:::::::::::::::＼r ､ Y 厶ﾉ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::ノ ）
-
１７９．
―――――――――――――――――――――――――――――――
どんなに凶暴な怪物だって眠らせてしまえばひとたまりもないだろう。
良い考えだ、と頷く水銀燈に
苦笑いのダディはスヤァ、ドボンですよと肩をすくめた。
―――――――――――――――――――――――――――――――
/＼＿＿_／｀-、_
／_,ノ ヽ､＿/ / ,〉、
|（＝）, （＝/ ´／ /)
| ,ﾉ(､_,)ヽ./ , ' ´,/
| ｀-=ﾆ= 'V __, ＜´
「そのまま沈んでしまいましてね。 ＼ ｀ﾆﾆ´ 〈´／::::Λ
ヽ ー--.ﾔ::::::::::::::Λ
どうやってあの巨体を引き上げるか、と. /ﾑ _ , -.／V:::::::::::::Λ、
困っている間に効果が切れて. _,. -／:/:::ﾊ ,/´..::/i:::::::::::::::::::Vﾍ
逃げられてしまいました」 ／/.／.:::/:::l y .::::::/::::ｉ::::::::::::::::::.∨}
j ::::::::>.:::/:::::l ./ .::::::::::::::::ｉ::::::::::::::::::::ﾚ;
i :::r :〈 ::::i::::::::ﾚ .::::::::::::::::::::〉､:::::::::::::::::ﾉ
ｉ :::| :::::'., :i::::::/.:::::::::::::::::::::::::::`::-==::イ
| :::| ::::::::', :i::/.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
, - ' ´孑ヌ -｀ : ､
／j⌒__{ 辷杉'r'￣ヽ-ヽ
. ,:'イ ,:: r--t____, ､ t::.. ﾍ
/i , _r'￣ ゝ'´Y `Y
. _,.--}〃/ ' /!' }| !廴ヾ｝
Y::>'´ィ:::}| | { i / }|.| ., /}| /ｲ } }:ヽ
.... _ zV/:/:::/.{ i ===x. j |/ｲ.x===/ ﾘ::::ﾊ
...ﾞr≦´＜.／`/:::/ 八 Vi {ﾟ::ﾘヽ '´{ﾟ:::ﾘ〃 .／::_:::/
.ﾞ彳 ／ /´ ! | ＼ﾍ ｀¨ , ｀¨厶イ/{:{ヾ.',
, ' ≠/ { {', ヽ , 、 / { i:| |:| , 「あらまぁ」
.. / ／' ハ ヾ､ {:＞ . . ＜:{∧{ i | | ∧
. / ／／ / ∧ V＼ V:ﾉヽ 孑 'ﾊ_,､!:::ﾍ-:| | ',､ }',
/ ／／ / 〈 ヽ ∨ ＼ ／ j}､ヽi}⌒ｲ :り!∧V} ',
.. ／ ,:' ./ {_, : ´ ＼ Y{ ヾ:/>＜ﾆﾆﾆ≦ } ',}.ﾄ, ',
... ィ' ./ ／ r ∨{r===t_j⌒ー'´ヽ＞ﾘ Vﾊ
... / /./ 〈 , -- ､_:. ::{ ７､ ヽ 〈薔〉 }｛ﾍ! }
..../ /./ ヽ r==x i Y__,.､ V 7 /_ノﾘ }7
ﾞ/ / ,′ , ｲ ／ﾌY T ー─-vィ ／ ／∧
,' { ,:'./ , '〈:/ }::', |ﾍ -:::::::::::::' r≦::::ヽ: } i .∧
....' ｜ ' / / ﾉ／}/ ! j:ヽ ヾ≠i∨',::i | }
ﾞ′ .!/ i / r彳 //! |//Y r/ };i ',:ヾ:/! .'
| j / ヾ' ! | {_j ヽ// /
-
＼ ﾄﾞｯﾜﾊﾊ ／
-
１８０．
/＼＿＿＿_／ヽ
／'''''' '''''' :::::::::＼
|（●）, ､（●）､ .:::|
| ,,ﾉ(､_, ) ヽ､,, .::::|.. 「ともあれ、採寸は終わったようですし
| ｀-=ﾆ=- ' .:::::::|. こちらも行きましょうか。
＼. ｀ﾆﾆ´ .::::::／
_`ｭ ー──--＜´. 途中、私らが拠点にしている宿に寄りましょう、
. _, ､ -ｰ´. : l : .＼ ｲ::::ﾊヽ{`、. うちの連中を紹介しますよ」
. /. : : : : : : : : i : : :.∨´〉::::::V: : ､＞、
. 丿 : : : : : : i : : : :／ :｀､ ',::::::: l : : > : : : -、
r : : : : : : : :| : : :＼ : : :｀､',:::::::| : :.ヽ : : : : ',
/ : : : : : : : : i : : : : :ヽ : : ヽ',:::::| : : /:_:_:_:i;;⊥__
. / : : : : : : : : :丿: : : : : : ヽ : : ヽ::|／´ ヽ､,,____ノ
.... / : : : : : : : : :/: : : : : : : : : :ヽ ::／ ヽ､ }___）
.... ,:': : : : : : : : ヽム二ﾆ - ´¨￣｢ r' ､ ヽ .ﾉ : :|
.... ｉ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : | | r_ノ.: : : |
.... ｉ : : : : : : : : : : : : : : : :_:_:_:_:_:_|_|へ-‐´ : : : :| : :!
...... ゝ:_:_:_:_二ﾆ=-:::´ ¨ : : : : : : : : : : : : : : : : : | : :|
,. ,,,,,-;;{@};;;;-,,､
／;;;,'''- ― - ､;ヽ丶
/,.ri ! ﾄ l ヾ,.ヽ lヽ ヽ
ｉ| !ﾄ､ヽl､| '´!ﾚ;=ﾐ | lY,‐!
|l l ﾚｲ,=ﾐ､ ´ ゞｲl ! !.:i 「ええ、お願いするわ。
ヾヽｌゝゞ' ､ __ |l l rj|. メイメイ、クリムゾン、行きましょう」
!lヽ < j l |ｲ|,|
| i ヽ、__｀´ ,iｨ !_j | ,＿,＿__
| | ｉ!ゝ>,.二=ﾚ' >‐-,. =､-- ‐'":::::::;;ノ＿＿＿
|＿ii ＞-- ､ /::フﾆ--､j ::::::::::::::::::::::::::::::::::〆
_, -― ､ _|,.- ｨ薔7/.: .＼_/.＼_/／!r'⌒丶rﾆ ､__。 :::＞"￣ ~
ｧ:::::::::::::::::丶r' '7.::..::| _j/::. .:::::::::::::::.:.: |ｼj{_ - ┴､--‐'´
´イ:::, -ｬ／:::::|.::::. :「l.::::. :..::::::::､::/ヽl//7´ ヽ､ ｀ｰァ
ﾚ / ＼:::::ヾ:::..ヽヽ::::.. .:::::::.l ::. ::ヽ | ヽ._ l￣
´しｲ:::::::ゝ=oゝ>:::.-- ' :::::::| !:i::.:::::jヽ､_ __ , j
ｨ'::::::::::::::j.:／/:.. .::::::::::::. :::.!j.::::／ ! l l l ! l l |
／- ､::::::::／/ハl::::::... .:. :.:::::::.. ／ ヽj ! !l j | |
「￣二!〈ｨ::::// !l:::::::::::::.:.___:/ 丶'ヽ! ´
-
１８１．
/ﾍ:r=､:ヾ､
//rｨｿヾiｭﾉﾊ
/r屯ゝ,!ヾ//∧ヽ
//ヾﾍ!´=､}///∧ （また移動だって！）
/ｲ=-ゝ!三}ｿ/´ ヾゝ
ｨ ゝ'.... ＾ ＾ ｀ヾ=,
' / ノ iゞ､.ヾ! ヽ
,／ / / ゞ,..ﾉ`ヽ,ﾘ
,. ' ' / / ｲ!rz ﾉ'
ｲ ﾉ' ″ ゝ , !
／ ﾚ'/ | i _j._ l!
. /! l!ﾚ''"/ ハ l {ここは息が詰まる。
. イ /ﾉ!L,ﾉ / ∧| ヽ. ! 早く行くとしよう}
...ﾞ／ ／ / ゞ.._ ヽ ﾞ ､
.. ' ' `rー _._ .i
... ／ / / ヽ..:.:ゞ!､',._ ,.:j
, / ゝ':.´: : : ./
. ヽ / ` ﾆﾆフ
∧
. イ l
... ,, / |
...... ヽ ' |
ヽ / ,.′
／;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.; ﾉ＞ｰ--- ､＿＿
／;.;;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;x─'''''´
／;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;ヽ
／.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;/.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;|
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;∧;､;;_xv.;.;.;.;.;.;.;.|
./;;;;;;;;;彡´{ ｿ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ｨ ;;;;; ;;;;;;;;;;;;/ ｀}.;.;.;.;.;.|
/ｨ´ {./;;;;;;;;;;;;;;;;ｨ;;;;;;;;;;;／/;;;;ｨ ;;;;;;;;;;/ }.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;ﾔ´
/;;;;;;;;;;;／l;;;;;;;;;;;/ /;／i ;;;;;;/ }.;.;.;.;.;＜,,＿
/;;;;;;;／ﾒ）.j;;;;;;;/ ｀ﾒ､ j ;;;/ ,ｨ､ /;;;;;;jｰ--ｰ'´
. /;;;／{. i ﾏ. j;;;;/ﾓ ｷf;;;;;ｼ､i ;;/ _,,／ ﾍ /;;／
/ｨ´ {. ヽ ｿj' ｀ｰﾞﾞﾞﾞ' j;;/ r'´zｵ;;ｯ､ /）
} ｀ﾒi ﾉ' i ｀¨ｰ ' /,'
{ / i ,ｨ. | j
ﾚ .ヽ ヽ､｀ ､ ノ j'
{ '. ｀ ､ ｀ ､ ／
ヽ '. ､｀ ｰ ､｀_ﾌ ／
ヽ '. ｀ﾞﾞ ／ 「うーっし！
i ' , / んじゃオレは仕事に戻るとすんぜ！」
｀i､ ｀ rｰ一'ヽ
i ヽ､ | ヽ､
┌─────────────────────────────────────┐
└─────────────────────────────────────┘
┌───────────────┐
└───────────────┘
┌───┐
└───┘
-
１８２．
,.-、
／;;;;; ＼:、 ,.-、
／;;;;;;;／==＼:、 ／': 、＼
／;;;;;;／.======＼:、 ／': : : :.＼;;;＼
／;;;;;;／r┬┬┬┬-r＼:、 ,-、 ／': :.:┌┬┐＼;;;＼
r≦;;;;;／l≦三三三三≧-__|≧=-､＿＿＿＿／＿_＼＿＿＿＿＿／': : : : :└┴┘: : :＼;;;＼
＼r ┌┐|┌┬┐ | ┌┐:.:| | |＼|=======|┌┬┐|=======r≦/!: : : : : : : : : : : : : : : : ＼;;≧､
──‐| ├┤|├┼┤ | ├┤:.:| | |＼|======ヽ└┴┘|======/;;;;;/:.|: : : : ＿＿＿＿＿: : : : :|／
; 、 | ├┤|├┼┤ | ├┤:.:| | |: :.:￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣|: :.:.|: : : : |=|┼┼┼|=|: : : : :|
;..; .; ､ | └┘|└┴┘ | └┘:.:| | | ┌┬┐ ┌┬┐ ┌┬┐│: :.|: : : : |=|┼┼┼|=|: : : : :|
:.:;.:..;;;;;):.:|: : : | |: : : : : :.| | |:‐┼┼┼┬┼┼┼┬┼┼┼┼: :.|: : : : |=|┷┷┷|=|: : : : :|
;;;;;;;; (: :. |: : : | |: : : : : :.| | |:‐┷┷┷┷┷┷┷┷┷┷┷┷: :.|: : : : ￣￣￣￣￣: : : : :| ｼﾞｬﾗｼﾞｬﾗ
: ;;;;:: :.ヽ┌┐|┌┬┐ | ┌┐:.:| | |≦IIIIIIII≧ｌ≦IIIIIIIIII≧ｌ≦IIIIIIII≧ｌ |: : :＿＿＿_ ＿＿＿_: :.:|,'⌒⌒ヽ
;;; ;;;;;;;..ﾉ├┤|├┼┤ | ├┤:.:| | | |´,-‐-､｀|=|´ ,-‐-､ ｀|=|´,-‐-､｀|:| |: : :|=|__|__|=||=|__|__|=|: : |;;;;; ..;;;,;,;,
;:;:;: ;;:;r' ├┤|├┼┤ | ├┤:.:| | | |/＿＿ﾞ:.|=| |‐┬‐|:.:|=|/＿＿ﾞ:.|:| |: : :|=|__|__|=||=|__|__|=|: : |:.;.;:.;;;;::.;.;
;;⌒（⌒i└┘|└┴┘ | └┘:.:| | |;ヽ,,,|,,,,|,,,,,|=| |‐┬‐|:.:|=| | |..r≦⌒＞〜〜〜〜〜＜⌒⌒⌒⌒≧
┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┐... |‐┼‐|:.:|=|__┌┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬
⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒Y三三三三三三ヽヽ⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒
;; .;.;;...;;;;.;;;;.;;,,;;.;.;..;.....;.;;;;;;.;;;;;,,,,;.;.;.;;;;;;;,;,;,;;;...:;;;;;;;,;;ヽ三三三三三三ヽヽ.;..;.....;.;;;;;;.;;;;;, ;; .;.;;...;;;....,,;;.;.;..;.....;.;;;;;;.:...:;;
―――――――――――――――――――――――――――――
ヘンダーソン通りを町の中心部に向かい、
二度ほど曲がって繁華街を過ぎたところにデカピン亭はあった。
水銀燈たちが泊まっている門前宿とは格が異なる、
南側に面した大きな石造りは確かに
一流の冒険者が拠点にするに相応しいと言えるだろう。
―――――――――――――――――――――――――――――
-
１８３．
＿_／ヽ_∠Ｌ_
／::::::: ''''＼
. |::::::::: （●）, |
|:::::::: ,,イ_,｀)
. |::::::::: ﾉ.-=ﾗ
＼::::::: ｀ﾌ 「ここが私たちの拠点であるデカピン亭です」
,,.....イ.ヽヽ:: ､ -─'--､
: | '; ＼_____ ノ.| ヽ i
| ＼/ﾞ（__)＼,| i |
＞ ヽ. ハ | |｜
＿＿_
, 〆;;;;;;;;;;;;;;;;;;;｀;;,,,、
／/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;＼
/ :/;;;;; 〆~＾~＾~＾~＾~＾ ' ヾ､ ｼﾞｬﾗｼﾞｬﾗ
/ :/;;;〆 ; l!'
/ :/;;;/ l ! l! l l ', l! ﾀﾝｯ
,' ｲN;! !_l! |! i l! l! l |!l
,. 从ﾚ |!_l! l!l !: /,/__/ l! l !
, ﾙﾘ lヽ. ﾄソ`i l! ! / /__//l ｲ!
:l! 《_l!__! ヽ ゝ , ﾍソ/./ /l!
| ／; ; ;:;:| ﾄ.ゝ _ .ｲ/ //|l!
.／; ; ; ; ; ;ﾍ ﾍ＞ ._ ＜=./ // l!! 「………これはなんの音？」
/; ; ; ;;: ; ; ; ;:;ヽ∨弋 乂1;:;/ノ/ヽ.j:|
/; ; ; ;:;:; ; ;:;: ; ; そﾍ 辷1 .》;:;:;:/;:; ;1:|
〈; ;:;:; :;:;i;: ; ;:;:;: ; ; 弋,､,､,,ソ; ;ヽ;:/; /!.|
ヽ;:;:;:;:;f=-,..､;:;:;: ; ノ; ; ;丱; ; ;.;l!; /;:l |
下从丱;:;:;:ヽノ; ; ; く;ﾙ ; ;:; l;:/;ノl.ﾄ､
| |くﾙ; ; ; ﾍ; ; ; ; ; ハ;:; ; ;.|;:;| z弋
――――――――――――――――――――――――――――――
中から砂利がぶつかるような音が聞こえてくるので首を傾げると、
ちらりと窓をのぞき込んだダディがああ、と説明してくれた。
――――――――――――――――――――――――――――――
-
１８４．
/＼＿＿_／ヽ
／ '''''' '''''' ＼
|:::::: （●）, ､（●）|
|:::: ,,ﾉ(､_, )ヽ､,,..|
|:::: ｀-=ﾆ=-' | 「ここは一階の半分が賭場なのです。
＼ ｀ﾆﾆ´ ／
. __ _＿ ,.〈＼ ＿ ／ 遊べるのはカードか麻雀に限られますが」
／: : ＜ : : : : : : ＼ ／ﾞｉ ﾞｉ、
, ' .: : : : : : : : : : :l: : : .∨',:::::ﾄ|ﾞｉ ＼_
. { : : : : : : : :ﾞｉ : : :」 : : ::', Y´ﾞｉ. |: : : : .＼
|: : : : : : : : :＼ : : :＼ : ',|::::::ｉ |: : : : ',: : ｀,
', : : : : : : : : : | : : : : : : :.',:::::ﾞｉ|: : : : . ',: : }
(,:／:／ニ｀ﾝ---r : : : : : ',::::| : : : : : ',: : ',
｀: ´ : : : :V ,r'二ヽ_: : : : :',:|: : : : : : ',_,rｰ'､
{∨ : : :└」_,r' 二 ヽ: : : : ',|.: ＞＜￣＼.: ＼
{: ∨ : : : : :」.ゝ-''ﾞ~￣￣￣￣: : : : ﾞｉ ム: : : ' ,
l: : ∨: : : .／: : : : : : : : : : : : : : : : ､／: : : : : : }
}: : : ＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／゛￣: : : : : : : :, '
ｉ:/ i:ｨ::ヽ | l i ! | ｉ i ｉ ! l ､ ヽ
l:l_/!:レ'::〉 / | .li l ! | | l | ! | | ﾊ
./:/ｉ ﾄｒ‐i´ .!‐トl､! l ! | | / | ! | | | |
::/ .ｌ |:| ! .l≡＞≧l＼ ｌ .// ﾚ// ./ .ﾊ.!
| |:| ヽ |ﾔ''{ fﾝ}ヾﾐ ∨/ム一〈/ / / l|
| |:| |ヾ､ `'~ ィtfｿ7／,}／ " ,ｨ
| ヾ | `~ / ／ｨ| ／/
.! i＼ __ ´ <"ｲ l」 ／.:::/.
! .ﾄ､.,へ ‘‐ ´ イ i ／/／.::.::./,─ｧ 「麻雀？
.l l::::::::二_＞ -､.＜ ,| !: : : : -- ―<＿ ああ、これは牌を混ぜてる音ね」
ニﾆiハ |::／／７只ﾄ､＼ ／:l .ﾄ､: : : : : : : : :‐-
:::::::::ヾ∧ |::＼｀´,ｲ |:L/厶ー:| .!:::＼ : : : : : : : :
:::::::::::::＼ﾍ/ ¨ i:! ￣ .}:::::::::| .!:::::::::ヽ : : : : : :
-
雀荘じゃねえかｗ
-
あれ、そういや銀ちゃんの祖父ってアカギ…
-
１８５．
/＼＿＿_／ヽ
／'''''' '''''':::::::＼
. |（●）, ､（●）､.:|
| ,,ﾉ(､_, )ヽ､,, .::::|
. | ´ﾄｪｪｪｲ｀ .::::::| 「おや、東方の遊技をご存じとは」
＼ ｀ﾆﾆ´ .:::::／
,,.....イ.ヽ｀ー ｀ﾆ´ ―ノﾞ-､
: | '; ＼_____ ノ.| ヽ i
| ＼/ﾞ（__)＼,| i |
＞ ヽ. ハ | |｜
,. -ｰ' 二二二 ｰ- ､
／／:￣__::::::::::::::::￣｀:::ヽ
／〃'::::::/´ﾉ〉):_ノ_ﾉ::::::::::::::::::＼
//´::::::__,ｨ:ゝ-':__,:::-──- ､::::::::::ヽ
/ﾞ::::::::::／￣￣＼ ヽ＼ ヽ ＼::::::::ﾊ__
!:::::::／ヽ ヽ ', ヽ ＼ ヽ>,仁》
＿ |::::ハ ', ｌ } ! ! ',<ノ||＼
《ﾆﾊ_ゞ、 ＼ ＼ ! || | |__ || l | ＼>
|| ＼＼ ＼ ＼ | .从,ｨ匕Lィ|| | | 〈´
. | ', ＼＼,.＞一ゝ, |/ /,ｨﾁzノﾉ | | ｌ |ヾ
ハ ＼ ＼ｨﾁ乏ﾗﾐヾ' ｀￣ / // ｌ ',） 「祖父が好きなのよ。
. 〈/|:} ヽ,＼ ＼￣ 、 / // / ｌ ヽ
//| |＼＼ ｀ゝ -= ' ／!// / ! ∨. 向こうと取引している商人と
. ∨ﾑ'〉 ｢｀::ゝ,＼_个 ｰtヽ_ ／─ﾍ,ィ' l |l / たまにうちで遊んでいるの」
／:::::| |::::::::::ﾍ !:::::｜ |::::ﾊ;:::::_::_:::ヽｌ ｌ| 〈:
. /::::::::::: ! / :::::::::::::} |:::::::l! !/ ∨ } /::::/ / ﾊ｀ゞ
!:::::::::::::::| /:::::::::::::::::| |::::ノ| ト-ｰく 〈_｣:::/ / /::::ヽ:::ヽ
|:::::::::::::::ﾚ ::::::::::::::::::| |::_〉 } ─ｰ､ヾ才／} /:::::::::::＼:＼
ﾍ::::::::::::::::::::::::::::::::::::! /:::〉ﾍ! ￣＼ヽ)=::､/ /::::::::::::::::::::::::::＼
... 人::::::::::::::::::::::::::::::::|/::{ ｀入_ ゝ}_ソ/｀´}/::::::::::::::::::::::::::::::::::}
. ::::::::::::::::::::::::::::::::::::（＼__ ￣Z_r､_｢| ノ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾄ
ヽ;__::::::::::／:::::::::::::::〔 ゝ,＞､ _,ィ'７´}::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::! ゝ
斗､:::::::::::::::＼r ､ Y 厶ﾉ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::ノ ）
-
アカギ・・・麻雀・・・まさかな
-
１８６．
―――――――――――――――――――――――――――――――
そんな宿を拠点にしているからには、と問うと、
ダディは遺跡探索も賭け事みたいなものですしその延長ですよ、と
よく分からない認めかたをする。
―――――――――――――――――――――――――――――――
. ﾚﾆｲ.|,lﾄ､ |､ |!、 | ,/! ,ｨ !|
. /ﾉ ﾊ!十寸ﾆﾏT ＼| /+/-!_j ,ｨ!
//! ! _ﾞ__ヽ--ヽ ! ,／ﾅ'´ ﾚ1 ／/
/ |ヽ ﾍ. 弋歹ヽ j／ 弋歹/´7 ,.、
! |.＼ ヾ￣´ ｀￣ﾗ ｨ! ./ .}
八! i＼_＼ ′ _,∠_,ィ１l ./ ./ 「あなた―――いえ、
- ､|.| ﾚヘゝ、 ー ｧ ／ l !l / ./＿,.--ｰ. あなた達相当に博打好きね？」
:::::::|.| |:::::::＼ﾞ＞ __ ,イ l |,. ‐::/ ,ｲ､::::_::_::_::
:::::: ',! |::::::::::/＾「介､ ! .! ｌ__:::/ノ / ｀ヽ::::::::
､:::::∧ .!:::::::/:::::ﾚ l|:､〉-'＾::| |::::〃 ./､У./＼::
::ヽ:::/＼∨ヽ!::_::| lY:::i}ﾄ､:::! ,/:::У ' Y_/ / ﾉ!
:::::∨:::::i＼ヽﾄ:::/! ヾ､!>‐ｌ| /!::::::| ｰ'ｰﾝ′
:::::::ﾍ:::::ﾚ´ヾ└V! ヽ //! |:::::::} /
/＼＿＿_／ヽ
／'''''' '''''':::::::＼
|（●）, ､（●）､.:|
| ,,ﾉ(､_, )ヽ､,, .::::|
「掛け金が自分の命の | ｀-=ﾆ=- ' .:::::::|
遺跡探索の方がヒリつきますがね。 ＼ ｀ﾆﾆ´ .:::::／
,,.....イ.ヽヽ、ﾆ__ ーーノﾞ-､
勝負勘を養う意味でも. : | '; ＼_____ ノ.| ヽ i
悪くない趣味だと思います」 | ＼/ﾞ（__)＼,| i |
＞ ヽ. ハ | |｜
――――――――――――――――――――――――
だがそれもあらゆる罠を見破り、
解除してみせるとの自負の表れなのだろう。
事実、トラップマスターの二つ名を持つ彼は
修業時代から今日まで、罠の解除に失敗したことも
解除が無理で宝箱を諦めたこともないのだ。
そして入り口に一人と二匹を待たせたダディは
かなりして仲間達を連れてきた、のだが。
――――――――――――――――――――――――
-
ざわ…ざわざわ……
-
１８７．
―――――――――――――――――――――――――
自己紹介とメイメイの見物もそこそこに、
やらない夫が何日で皮を手に入れてくるかの
賭けが一口金貨二十枚で始まってしまったのである。
―――――――――――――――――――――――――
ヽ＿,.斗)≧::x)ヽ:ィ、,..... ＿
-=≦ ,..............ノ::::::::::::::r---≧=-
-=≦::::::::::::::::::::ィ{::ﾊ::::::,、::::::::ヽ.....,,ヾ≧=-
-=::::::::::::::,イ{'^' ヾ ｀｀` )'｀＜:::::::::::::::::く
_,ノ::::::::|ヾ' jﾊ::::::::::::ﾑ、
フ:::::/｀ __ ,斗zzzzz、 ヾ:::::::::(｀
／'::' ,ｨｒ竓竺ミｘ ｨｱ"￣￣｀ヾﾑ }::::::::::}
/ｲ| jア´ ':.、 .: ' ｀ }:::::::::/
} ' ,,zzz、 __ 〃⌒ヾ、 .jァﾐ:::{
,ﾊ 〃 ｀ ''''Y:.ヽ '' :.、 /ｨfr{^
| f! ｆ' r‐く: :.ﾉ {:ゝｊ}
| j:! ' ,、 ゝ-'" __ ,, -- 、 ノr:ﾀﾉ
ヾﾊ ゝー― ' " ＿ ,, ノﾉ !__／
ム ゝ￣＿＿ _ ,, .. ／ ノ{. 「駅馬車つかって往復だけでも三日ぐらいだろ？
＼ 、________ , ／!ﾊ!. 獲物がすぐ見つかるかもわかんねーし
＼ ヾ---'" ／. ..{. 六日ってとこだろ！」
!:.ヽ ＿＿_ ,.イ. . .' !
r⌒ヽ. . . . . . r―――'. ┌───────────────┐
, jﾊ V_, ,___ j ﾊ │ 「ビーストランサー」 .│
/ jﾊ!ﾉ ノ ,:::{ │ ウシオ（人間：１８歳） .│
。s≦' ノ::/ 、 j /:::::.、 │ 生き方：冒険者 ..│
│ 契約職：なし .....│
│ 技能職１：戦士 ...│
└───────────────┘
_r―‐.､ -‐=彡_ ＿
乂￣ ヽ／´::::::::::::::::::::`ヽ⌒＼_
/:::::Y⌒ 〉:::::/::::::::::::::::::::::::∨ Y
′::::ヽ／:::::::′::::}::::::::::::}::::::'ヽ}
}:::::::::::}//〉::::|:::::::ハ:::::::::ﾊ::::::}:::|
|:::::::::::|∨{:::::{_:_/ ｀}::::}:/´}::::∧:
|::::::::::ﾘ人V::: 《巧 ￣ 仭》个:::|
从:::::/ ｀V::} ' .从!:::::::. 「シモンを連れて行ったのなら
/:::::::/ YVﾄ､ ｰ ' イ}:/{:::::::|. かなり自信があるんでしょ。
. ′::::/＞）ー.く≧=-}千イ__/ｨ.|::::从 私は四日ね」
. ′:::// ＞ 〉-}＾Y〈 ＜｀Y::::::
/:::::/.:′ ⌒＞ 〉 ｀ヽ, ⌒Y く ∨从
. /::::::::《__ ｲて {＾ヽ .} }＾ ヽV..┌──────────────┐
/::::／ ｀ く八 {｀ '. .V}ノ}ﾉ } 八..│ ヘスティア（エルフ：？歳） .│
. /:／ ／ ｀¨乂 } ノ_.､ ノ く }:│ 生き方：冒険者 ....│
Y ／ '. ｀¨}￣￣￣｀「7´ ヽ.|ﾞ│ 契約職：なし │
/人 ヽﾄ､ } ! .{{ /..│ 技能職１：精霊使い ..│
└──────────────┘
-
１８８．
,. . . : : :￣￣: : :
／ : : ／⌒: : : : : :_: :｀ヽ､
,:': : : : : |: : : : : : : : : : ＼_: : ＼ ／⌒l
, -- ､ _/￣7_: : : |: : : : :|: : :|: : __｢ ＼__: V/' |
| ､ {_ (_} /:/:∧: |: : |: : :}: :廴_ {_) _,｣:/ |
{ _V: 廴//￣: /-{: |: : {: :/ヽ￣｀廴_｣∨ '
l＜:_:,: ／:/:{: ∧:{ l:从: :V }∧:|: : : :}' '
､ /:--:/: :从 ,ィﾁ雫｀ ＼} イ雫ﾐ､: :,|:/ /
／イ: : :|∧: |:、 Vzｿ Vzｿﾉ:ｲ:|' ∧
／:_,: :/: ∧|ム ' ﾑ: :|＼ ∧ ､. 「去年私たちがやったときは
´／ {:/{:,ｲ: : :l込、 ー ' ｲ: : :|＼＼/__〉_〉 五日かかってボコボコにしたじゃない。
〈/.../ / | : : |:/ : ≧ __ ＜^| : : | ＼｀.....7
∨{ |: {从 {.{/ /｢ｰ--｡'ﾉ//: :.从 , ￣/. 一人でなんてできっこないし、
＼ ∨＼}|.| {-､ r´//イ/} / ／. 採れずに帰ってくるに一票！」
＼ ､/ ､ {∧ |--v-／ 'イ／ ＼ /'ｲ
｀ { /:,､ ＼}:::{{ / ／イ |.... ┌──────────────────┐
| ｛::{ ｀ ＞- ＜ |::|. │ ネプテューヌ（ハーフエルフ：７５歳） │
| |::| r/r v-､ } |::| |... │ 生き方：冒険者 │
| |::| {{ ∨}_ﾉ人 |::| |... │ 契約職：なし .│
| |::| ｀ｰr -く |::| |... │ 技能職１：魔導師 .│
/､_ ｢_} //||:::､..､ ｢ } |... └──────────────────┘
〈＿/￣}//:::||:::::＼ ｢￣|＿＿_｣
′::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::､:::i Ⅵ
i::::i::: ....................::::::::::::::.............:::Ⅵ ﾞ}
|::::l:::::::::::::::::::::::::::::::::::､::::::::::::::::::::::ﾞl ﾉ
l::::::::::::::::､::::::::::::::::::::::::＼::::::::::::::::::l
∨::::::i､ ::|＼:::::i､:: {､:::::::|メ.._＜l /
､::::l「了心ヽl ヽ{'"了斗 !:i/:; '
ヽゝ-----' ,^ゝ-----'j/:/
､l＼ ／ﾊ/ 「その人の情報が足りなさすぎるな。
}＞ .,_¨`_ ィ 〔{ ボクは下りる」
ﾉ`ミ云三彡ﾍ
＿＿＿＿. イ:{ / / l i. /` .,_
/´: : : : : : : : : :/: :∨ / .l/: : : : i: :￣￣￣ヽ
|: : : : : : : : : : /＞''"￣ |: : : : : l: : : : : : : : : . ┌──────────────┐
j: : : : : : : : ;，'" l: : : : : l: : : : : : :/: :...│「魂の導き手」 ...│
}: : : : : : : :<ヽ l￣:了^: : : : : :/ : :..ﾞ│ ケイマ（人間：２１歳） │
ﾉ: : : '， : : : ヽ＼ l: : /: : : : : : :/ : : :...│生き方：冒険者兼神殿補佐 ...│
j: : : : : '，: : : : ⌒ヽ ＿__」: '￣＼: : :/: : : : :.ﾞ│契約職：高司祭（死の神）. ...│
〈: : : : : : :'，: : : : : : : : ー＜ ./: :/ l : ′ : : : :ﾞ│技能職１：学者 .....│
,′ : : : : : '，: : : : : : : : ＼: ∨:／i､ / : i : : : : : :.└──────────────┘
. ′: : : : : : : }: : : : : : : : : : : :／ : : : : ￣: : : : l: : : : : : ∧
. ′: : : : : : : ﾊ: : : : : : : : : : : : :Ｏ: : : : : : : : : : ! : : : : : : : }
. ′: : : : : : : / .!: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :l: : : : : : : : ヽ、
-
ヒモ神さま冒険者かよｗ
-
１８９．
_ /＼＿＿_／ヽ
| ! ／'''''' '''''':::::::::＼
｜ !. |（●）, ､（●）､.:::|
| ! ,.-, | ,,ﾉ(､_, ) ヽ､,, .::::|
「では私は三日に。 _,ﾉ ┴、/ ,/. | ｀-=ﾆ=- ' .:::::::|
. どうですか、水銀燈さんも一口」. r `二ヽ ） i... ＼. ｀ﾆﾆ´ .::::::／
| ー、〉 / _｀,,ー --´...／i＼,,,,_
| r_,j j__,,.. r''''"/::;| ＼`'／ ,'::;;;r;;;;;;;;;;;;:: r ‐-、
| ） ﾉ ::::::::;;;;;;;/::;;;;| ／＼ /::;;; l;;;;;;;;;;:: ::;;;;;;;:: ヽ
ﾉﾆ-､ ,/::;;|:::;;;;;;;;;＞::;;|／(::::ﾉ ＼/::;;;く;;;;;;;;;;;;:: i::;;;;;;;;;;;:: }
√..:::;;; ヽ､〉;:;;|::::;;;;;;;;{ ::;;;;;| "::く /:::;;;;/;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;:. ノ }
/..:::::;;;;;;;;;;;;;;;〉;;;;|::::;;;;;;;;;:{ ::;;;;| |:::::::| /:::;;;:/;;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;;;;;;;;:: }
, '〆.:.:.:.:.〆 ｀ ､
／｛f7.:.:.:.:〆 ＼
/ -∠.:.:.∠ / l ＼ ＼
≪_ﾊハ.:V､＼ | | | l ヽ
/ヾｲ ｲﾊノ／ | |ヽ |＼ ' ! l ',
./ /:/／!l l:l∠ |庁ﾞﾄ､|､ ｀ , |! ! l |l |
,'l::l/. !| l:l ＼ | 仆｛!ﾝヽヾ { | ／ K/ /
, ' |::| ｌ| |:|＼ ＼ ｀￣¨｀ ﾚrﾃ/ //／
l::ｌ ｌ| |:| ｌ＼ ＼ 、｀¨/ ｲﾚ´
l/ ｌ| |. 丶-ー ___ / /
ﾊ ト、 ‘ ‐'´ ｨ / 「私？
／ハ l:＼:＞､ ___ ／|／| 私は遠慮してお―――」
／ ∧ l:::/:.:7爪::.:7 l | /
￣｀ー_＜:::ヽ Ⅴ::/ 小ヽ::| l | /
::::::.ヽ⌒マ}:::::ﾄ、Ⅴ/::||::L::.ﾄ､l //
:::::::::::::::::::::マ}::::ﾄ､Ⅴ:::l|::ﾍ｀ｰ| /'ﾍ
:::::::::::::::::::::::::::マ}:::::|<Y⌒Y>:| /::::::ﾍ
:::::::::::::::::::::::::::::::マ}::{ﾍ薔ﾑ}:::l/:::::::::::ﾍ
――――――――――――――――――――――――――
やや呆れていた水銀燈は
突然のお誘いに遠慮しておく、と言いかけて口を噤み、
――――――――――――――――――――――――――
-
今日中に１口
-
１９０．
―――――――――――――――――――――――――――――
借金まみれの身ではあるが、
一番有利なのはもっともやらない夫を知っている自分であるし、
負けても二十時間走ればいいだけか、と誘いに乗ることにした。
―――――――――――――――――――――――――――――
＞ｾ乞ｱト ニ _
. ／..::.:.ヾごソ.::.::.::.::.::.｀:..､
. ／ ^⌒＾⌒＾⌒⌒^丶､:::.::..＼
/／ / ＼::.::.:.ヽ
/ / ′ 〃 l |＼::.::.l_
. / | | 〃| | | ／ｨ[}ぃ
′ ｌ | ｜ ／ | | | / 〈:{_ﾉ八ﾉﾉ
. | | |ヽ | ￤ | |/_」/| ヾｲ|:トrく l （………勝てば金貨八十枚が手に入って、
. | | |ｌ |⊥ミﾒ､ | /ﾉィ厶斗┤ / | |:| ヾ:､. 負けても二十時間走ればいいだけよねぇ。
. |lﾉ八 lヾﾍ リ ＼/ ﾍ リ丿.′ ' | |:| }::〉
|:ﾄﾍ ｀ { ￣ ￣ / ／ | |:| く/ | じゃあ何日で帰ってくるか、だけど―――）
ﾚ |＼ヽ_ ヽ ∠／| || ﾚ |
| ト __ ／| |l | ／
､＿ ＼__ | | ／／ )､_ ＜＿j ﾘ＼ ｜ ／厶イ{ノ廴_＿,,
.... _ーｚ三≧三≧| |_{ '´ / 〉介ト-､.′ ∧＿＞―＜三三三三三三ご＿
ご三三三三三| |::| /_ﾉ:| |:|｀/ / /.::厶-― ､＼三三三三二ニ
_二三三三三三／| r‐ﾍ jーｒﾞ| |:|/ / /.::.:|::.::.::.::.::.::..＼＼三三三三≧===ｧ
_=ニ二三三三/.::.::| ノ | Г|ノ厶l/ , /.::.:: |::.::.::.::.::.::.::.::.＞｀ヾ三三三三{￣
￣え三三∧::.:〈￣ト‐┴√| ﾄ､__/ ／｢`7.::.:::/Ｌ. -― __ ――〉三三三三二
....＝彡ベ彡ｲ⌒ヽ「＼l / ﾉ.::|/ ／} /.::.::.〈ー―::.::￣::.::.::.:.::／三三三≧一
. / /＾Y⌒ト-ｲ￣厂〉 イ￣ , /.::.::.::.::〉::.::.::.::.::.::.::.::.:／＼￣`ヾミ⌒ヾｰ
/ / ト--rヘ＿r-ｲ/ j| / /ﾆﾆ二/.::.::.::.＞‐[}‐く ＼ ヽ
/ ∧ ｜ | | /|＼＿／..::.::.::.:/ｌ::.::.::〈〈__ﾉ八_〉〉 ｌヽ
―――――――――――――――――――――――――――――――――
確か彼はすぐ戻る、と言っていた。
シモンを連れて行くほど簡単だと考えているようであるし、
護衛を雇ったとは言え自分やメイメイ、クリムゾンから
長い間離れているとも思えない、などあれこれ考えていた彼女はしかし。
そのすべてを振り払うと、かんたんな二択だとダディ達に向き直る。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
-
１９１．
―――――――――――――――――――――――――――――――
自分だけは何日で戻るか、ではなく
本物かどうかを賭ければいいだけなのだ。
偽物だと思っているもののその場合の帰還日が予想できないので、
確実に日付が分かる方に―――分は悪いけどまあいいか、と
自分に言い聞かせながら―――はってみる。
―――――――――――――――――――――――――――――――
,. ,,,,,-;;{@};;;;-,,､
／;;;,'''- ― - ､;ヽ丶
/,.ri ! ﾄ l ヾ,.ヽ lヽ ヽ
ｉ| !ﾄ､ヽl､| '´!ﾚ;=ﾐ | lY,‐!
|l l ﾚｲ,=ﾐ､ ´ ゞｲl ! !.:i 「じゃあ私は明日戻ってくるに賭けるわぁ。
ヾヽｌゝゞ' ､ __ |l l rj|. もちろん、皮も持ってね」
!lヽ < j l |ｲ|,|
| i ヽ、__｀´ ,iｨ !_j | ,＿,＿__
| | ｉ!ゝ>,.二=ﾚ' >‐-,. =､-- ‐'":::::::;;ノ＿＿＿
|＿ii ＞-- ､ /::フﾆ--､j ::::::::::::::::::::::::::::::::::〆
_, -― ､ _|,.- ｨ薔7/.: .＼_/.＼_/／!r'⌒丶rﾆ ､__。 :::＞"￣ ~
ｧ:::::::::::::::::丶r' '7.::..::| _j/::. .:::::::::::::::.:.: |ｼj{_ - ┴､--‐'´
´イ:::, -ｬ／:::::|.::::. :「l.::::. :..::::::::､::/ヽl//7´ ヽ､ ｀ｰァ
ﾚ / ＼:::::ヾ:::..ヽヽ::::.. .:::::::.l ::. ::ヽ | ヽ._ l￣
´しｲ:::::::ゝ=oゝ>:::.-- ' :::::::| !:i::.:::::jヽ､_ __ , j
ｨ'::::::::::::::j.:／/:.. .::::::::::::. :::.!j.::::／ ! l l l ! l l |
／- ､::::::::／/ハl::::::... .:. :.:::::::.. ／ ヽj ! !l j | |
「￣二!〈ｨ::::// !l:::::::::::::.:.___:/ 丶'ヽ! ´
/＼＿＿_／ヽ
／ ,,,,,,,ﾉiヽ,,,,,,:::i|li:＼
|（○）, ､（○）､ :|
| ⌒,,ﾉ(､_, )ヽ⌒ u.:::|
「明日！？」.... |.u (＾・＾> ｡.:::::::|
＼ ﾟ ⌒´ u .::::／
,,.....イ.ヽヽ、ﾆ__ ーーノﾞ-､
: | '; ＼_____ ノ.| ヽ i
| ＼/ﾞ（__)＼,| i |
＞ ヽ. ハ | |｜
――――――――――――――――――――――――――――
やらない夫のことをなにも知らない自分達が
不利な賭けなのは分かりきっている。
同行者である水銀燈が何日にかけるかで
彼の実力を推し量ろうと考えていたダディもこれには面くらい、
――――――――――――――――――――――――――――
-
１９２．
――――――――――――――――――――――
仲間達もずるは認めないと大声を張り上げた。
――――――――――――――――――――――
.... -=≦::::::::::::// i/ |:/|/ !' ' ' ヾ| ＼:!V!V|､:::::!,:::::::::::::≧=-
...... ィ:::::::::::/!/ ' ' ' //__ ヽ ヽ| V{:::::::::::::ヽ
.... /:::::::N -=ミ≧x､_ 、 = ' r-- ,斗ｒ____ V:::::ﾑ｀ヽ
.... ノ７::::::| -=ニニニ( ':, // ,ｘ≦ニニ≧= ):::ﾊ ｀
.. 7::::::! '"⌒"'＜ﾆヽ, ヾ:.、 ,.:/u,ｲﾆﾆ＞'"´￣｀ }:::(｀. 「それはいくらなんでも無理だろ！？
.. 'ム::{ ,ｨ'⌒ﾞ寸ﾆ､ V, j' /ﾆｱ’⌒ヾ:.、 /ﾑ｀
. , ﾍヾ, 〃 ｀寸ﾑ,_､}i/,.ｨﾆｆ' V, '´,ﾍ.}. もともと皮を持ってたとか、
. !(rム', 八 (:) V,ﾀ:人:ゞ'ｊ{. （:） }' /:ｒ' }i{ 途中で買ってきたってんなら
八i /:7', ___ヽ、 ,ﾉ__' ____ヾﾑ、 _ ,ノ彡 'r: }' ﾉ シモンにきけば分かるんだぜ！？」
.. ヽ: ヽ; -=ﾆ=-￣￣ '".: : : :|::＼｀ ￣￣ -=ﾆ' '_ノ/´
.. ≧ｓ。__ヽｰ, -=ﾆ !::::::! ｀ } | '_ノ_,..斗r≦二≧x''メ、
...ﾞニニニニ,'｀', '" - ∠ﾆヽ_ノ し' ,' Vニニニニニニム ヽ
....ニニニニ{ 八 _ ノ ｀￣´ 、 ,人 }ニニニニニニニﾑ V
....ニニニﾆﾑ ＼({ /,_ , -- __ - ､ , -､r―-vV ／ /ニニニニニニニﾆﾊ v
....ニニﾆﾆﾆﾑ (＼ｰ 、 , ----- 、_,⌒’ィﾉ /ニニニニニニニニニ' V
....ニニニﾆﾆ∧ ヽ ＼ ｀￣ ￣￣⌒´ ／ ／ !ニニニニニニニニﾆﾆ}
....ニニニニﾆﾆ} ,斗ミヽヽ、 ／ ｨｒ‐‐、 !ニニニニニニニニﾆﾆ}
....ニニニニﾆｱ ｊニﾆ{ ヽヽ ｀ ￣￣ ´ / /ﾆﾆム !ニニニニニニニニニﾘ
｀~^' ＜ニﾆﾆ{ ノニニ／ Vヽ ,:' / ＼ヽニム .!ニニニニニ斗ｒ‐ '^"´|
/.: .::::::::::::::::::::::::::::. .::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::'､
'.: .: .::: i:,:::::::::::::::.: :::::::::::::::::::::::::::::::::. :::::::::::::,
'.: .: .::..........l::,:::::::::::::::::. .:::::::::::::::::::::::::::::::::. ::::::::::::,
,:.: .:::..:::::::::::::‘,::;::....::::::::::::.. :.::::::::::::::::::::::::.....i ::::::i'.:::i
i:::::::::::::::::i::::::::‘,:;::::::::::::::::::::::.. ::::::::::..................l ::::::l Ⅵ
|:::::::::―-､::::::::‘:;::::::::::::::::::::::::::.. ::::::::::::::::::::::::l:::::::l ﾞ:}
|:::::::i‘.::::|､＼::::::::::::::::::::: i::::::::::::::::..::::::::::::::::::::::::::; j
|∧::| Ⅵﾄ､､:::::::i､:::::::＿|_:::::::::::::::::::i::::::::::::::::::::;'
辷 ﾋ_l ≧一＼ :::::|､￣::T::::::::ト:::::::::::::::/
}::|~ - ノ-i 刋:.Ｔi¨¨ﾂ:::::l＞⌒i:::/
}∧ , ,乂_ └- 」 ./::/ .ﾑ'
、 ￣ --/::/ .／ 「いや。
丶、 _ ./イ イ/. 飛行の魔符が何枚かあれば往復は可能だ。
／^≧ｘ、 }::::ヽ､ ｀ イィﾌ}:::/Ｖ シモンが使えるかはともかく」
-
１９３．
,. : : ―: : :
／:_: :,: : : : : : : ｀ヽr,､_
. :': : _|ﾛ}_: ': : :|: : : V{ﾛ()ﾛ]
/:_,. [ﾛ(_)ﾛ]|: : :| : : : }: :{ﾛ|:＼
,:-:,:／: :{ﾛ_|:∧-∧: |:/|-:|: :＼:.＼
／:＜:＿,.ィ:l : :|,ｨ斧ﾐV/},ｨ斧: :,｢:＼
---／: : : :,|∧: |{ Vり ﾋﾘ}ｲ:|: ｢ ｀
/イ|: ／{|: : ＼ ' } : |､:〉
|ｲ/、|: : :| ､ ´ ｨ|＼〉｀ 「とんだ金満移動だね。
,--､_,. |: : :|,}＿≧=- く : |-､
{ ＼.､从: :V-_--r'_}.} l : |}.} ヽ でも飛行じゃシモンは連れて行けないと思うよ。
＼ ｀ー ＼}､ |.|/:ｲ,./ ﾉ 素人が使える魔符じゃないし、
| ｀ ＿ ＼=TT/ イ イ{ 二人は運べないもん。
| r-､ | r:r- ＼:|{r イ｢| '，
| 乂}}, --r､::| r ⌒r-､|l|＿∧ シモンを連れて行く、と言うからには別の手段なんじゃない？
|- | ||r-く- V-､{｢＞｢＼ヽヽ- r〉. 馬を乗り継いでいくとか」
|==∧ ／¨´￣ ｀} }_ノ｀ヽ|
￣´ ､ , ＜ ´ |
｀ r-＜:::l:::::| |::::￣:::T ´
/::::::::::: |::: | |:::::|:::::::::
,.:::::::::::::::::/7-'-'-く､:::::::::
,.:::::::::::::::／ '::::::::::::::::＼ ､:::::
:: :: ｛:: :|}｝ / ヽ ヽ ヽ＼
:: ::ｌ :）::|}｝ ./ , | | | l l ハ
:: ::|｛:: :|}｝ / ｜ | | | | ｌ | | | | |｜|
:: ::| :｝::|}｝ ｲ | | | | | ﾞ､ | | | | |｜|
:: |:ｌ〔:: :|}｝ | ｌ | | | | ﾄ､ 、＼ | | | | |｜|
:: |:| ::｝:|}｝ | ｌ |_ Ｌ⊥.｣_ l、＼ヽ ＼ | | | | |｜|
:: |:|::〔 :|}｝ | ｌ | | | | ヽ＼ ＼＼斗､十 | | |∥|
{＾ヾ::ｌ｝:| ｨ ニニヽ ＞＝ミXヘ ＼ ＼＼|＼ | | ﾉハ|
＞ﾍ〈〈 |:|ﾍ | しｸ ヽ ィjT7ﾄ 〃ｲ l__||
／⌒7:小＼＿ﾉ八┴‐' ゞノ /／ ∧:||
-―く∧ヾ｀ ーヘ、 / ∧ / V. 「ふふふ。
:: :: :: .＼＼ ＼ー-＼ > / / |∧ ＼. さぁて、どうかしらぁ」
:: :: :: ::. ..＼＼ ＼ 、 __ , ' ｲ l| ヽ ＼＼
:: :: :: :: :: :: ..＼＼ ＼ ￣ ￣ へ :: :| ||-､ ＼ ＼＼
:: :: :: :: :: :: :: :: .＼二二丶 ＜ 、 |:: ﾄ. || ::ﾍ ＼ ＼ヽ
:: :: :: :: :: :: :: :: :: .. ＼:: :: :>＞く:: Ｌノ 〉 |:: ハ|! :: .ﾍ ＼ ＼＼ ＼
:: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: ::〉冖＾ヽ＞ｰ冖-冖>┐: ﾘ :: :: .ヽ ヽ ﾄ ヽ ヽ
:: :: :: :: :: :: :: :: :: :: : / ｌヽ ＼ 、 冫 :: :: :: :: .＼｜ ハ } ﾉ
:: :: :: :: :: :: :: :: :: :: / ー--|:: 〉＿ヽ< く:: ::/ :: :: :: :: : 〉|/ } ／
:: :: :: :: :: :: :: :: :: :〈 ﾉ'´ 〈:: ヽ :: :: :: :: ∧|
:: :: :: .＼: :: :: :: :: ∧ r-=、ﾍ:: ::ｌ :: :: :: / }|
:: :: :: :: :..＼:: :: ::/ /＼ く〈与}〉 | :: | :: ::／〉
:: :: :: :: :: :: .＼:: ::〈 :: :. ＼ ｀''^´ | :: | :: :: :∧
:: :: :: :: :: :: :: . ＼::.ヽ:: :: :. ＼ /. :: | :: :: :: ::|
――――――――――――――――――――――――――――――――
少なくとも移動方法だけは予想がついていた水銀燈は不敵に微笑み、
すこしだけ気味が悪そうに顔を見合わせた護衛達は
とりあえずジーハ亭に向かう事にしたのだった。
――――――――――――――――――――――――――――――――
┌─────────────────────────────────────┐
└─────────────────────────────────────┘
┌───────────────┐
└───────────────┘
┌───┐
└───┘
-
１９４．
―――――――――――――――――――――――
何事もないまま夜が明けた、およそ二十時間後。
どんな魔術を使ったというのか、
二人は翌日の正午前にカリラへ戻ってきていた。
―――――――――――――――――――――――
／￣￣＼
／ _,ノ ヽ､_
｜ ( ●) (●）
. ｜ （___人__）
| ｀ ⌒´ﾉ
.| | 「ただいま。
人､ | 昨晩はなにもなかったようだな」
,ｲ:. ﾄ､ヽ、 __ ,_ ノ
,. -ｰｰ -‐ ´::::::::::::::::::::::::::::::::7
／..::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ト、
.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.. ＼､_
::::::::::.＼:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..... ヽ
:::::::::::::..ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::...ﾍ
:::::::::::::::::::V:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |::
:::::::::::::::::ｲ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: l::
::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |:|
. ／: : : :／ ﾉ ヽ ＼: : : : ヽ
/: : : :／ ／ ,-―‐-、 ＼ ＼: : : :',
/: : : /（ ／ ,イ : : : : : : ヽ、｀ヽ､＿ﾊ: : : ::',
／: : : :/ 二二_ィ´/: ;ｨ : : : : : : /｀ｰ┬---､ゝ: : :',
∠: : : :／レ: : : ::／￣l／/: : ／j::/￣￣|: : : : ::ヽ: : ::',
/::／: :/: : : : :/ ,--- /::／ ,リ ,--- j∧: : : : :l: : : ',
" |: : /: : : : :/ ,/ /イ / ヽ ',:: :: ::|: : ﾄヽ
. |: : l: :／ヽ| { O j l ０ } }: /ヽl: ::j ゛
l: : l: l ´てｌ ヽ、＿_ノ ヽ ＿_ ノ ,!/く ｝:/
|: ∧{ ヽ l { /ノ ﾉ/ 「姉ちゃんよろこんで！
ﾚ' V＼. ', ､＿＿＿＿, / ／/ すっごい上物が手に入ったよ！」
Vﾊ＼ ノ＜＿＿/７
／ ヽ ＼ ／/V / /
ﾍ V ｀iヽ、＿＿ イヽ | / /
ﾍ | ｜ / /
＼ ﾉ | / /
――――――――――――――――――――――――――
―――無論不正などなく、目的の皮も入手して、である。
――――――――――――――――――――――――――
-
まあ、そうなるな
-
１９５．
/＼＿＿_／ヽ
／_ノ ヽ､_::::::::::＼
|（●）, ､（●）､.:::|
| ,,ﾉ(､_, ) ヽ､,, .::::|
| ｀-=ﾆ=- ' U.:::::| 「え〜〜…」
＼. ｀ﾆﾆ´ .::::::／
__,. ＜.ﾑ-ー--´_,／ヽ__
_, ､＜¨ : : : : :l : :.ヽ ∧::〈ヽi :、ヽ、
/ : : : : : : : : : : :|＿ : :∨ |:Λ | : :､ : ＞、
丿 : : : : : :i: : : : : : :／ :.∧__|::∨＼､: : : : :.｀,
i : : : : : : : :| : : : : : :＼／￣ ∨ /;;ヽ : : : :,i
i : : : : : : : :! : : : : : : :/ ´￣ヽ_V /;;/;;;;;ヽ : i∧
/: : : : : : : : :| : : : : : :/ ´￣V /;;/;(￣＼ :|: ﾊ
,. -ｰ' 二二二 ｰ- ､
／／:￣__::::::::::::::::￣｀:::ヽ
／〃'::::::/´ﾉ〉):_ノ_ﾉ::::::::::::::::::＼
//´::::::__,ｨ:ゝ-':__,:::-──- ､::::::::::ヽ
/ﾞ::::::::::／￣￣＼ ヽ＼ ヽ ＼::::::::ﾊ__
!:::::::／ヽ ヽ ', ヽ ＼ ヽ>,仁》
＿ |::::ハ ', ｌ } ! ! ',<ノ||＼
《ﾆﾊ_ゞ、 ＼ ＼ ! || | |__ || l | ＼>
|| ＼＼ ＼ ＼ | .从,ｨ匕Lィ|| | | 〈´
.| ', ＼＼,.＞一ゝ, |/ /,ｨﾁzノﾉ | | ｌ |ヾ
ハ ＼ ＼ｨﾁ乏ﾗﾐヾ' ｀￣ / // ｌ ',）
. 〈/|:} ヽ,＼ ＼￣ 、 / // / ｌ ヽ
//| |＼＼ ｀ゝ -= ' ／!// / ! ∨ 「じゃあ、悪いけど私の総取りね？」
. ∨ﾑ'〉 ｢｀::ゝ,＼_个 ｰtヽ_ ／─ﾍ,ィ' l |l /
／:::::| |::::::::::ﾍ !:::::｜ |::::ﾊ;:::::_::_:::ヽｌ ｌ| 〈:
./::::::::::: ! / :::::::::::::} |:::::::l! !/ ∨ } /::::/ / ﾊ｀ゞ
!:::::::::::::::| /:::::::::::::::::| |::::ノ| ト-ｰく 〈_｣:::/ / /::::ヽ:::ヽ
|:::::::::::::::ﾚ ::::::::::::::::::| |::_〉 } ─ｰ､ヾ才／} /:::::::::::＼:＼
ﾍ::::::::::::::::::::::::::::::::::::! /:::〉ﾍ! ￣＼ヽ)=::､/ /::::::::::::::::::::::::::＼
...人::::::::::::::::::::::::::::::::|/::{ ｀入_ ゝ}_ソ/｀´}/::::::::::::::::::::::::::::::::::}
. ::::::::::::::::::::::::::::::::::::（＼__ ￣Z_r､_｢| ノ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾄ
ヽ;__::::::::::／:::::::::::::::〔 ゝ,＞､ _,ィ'７´}::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::! ゝ
斗､:::::::::::::::＼r ､ Y 厶ﾉ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::ノ ）
―――――――――――――――――――――――――――
ただただ反応に困って硬直する護衛達に
ひとり平然としている水銀燈の腕が伸ばされる。
素直に差し出された四つの革袋を回収した彼女は
抱えていたクリムゾンをやらない夫に返すと
部屋に戻るわ、と言い残して階段を上っていったのだが。
――――――――――――――――――――――――――
-
１９６．
// /, ,
. // // // /, ,
// // // // /.:'
; // // // // // / ,
// // // // // / /' / ,
/;ﾄ､:'/ // // // / /' / / , ;
7/,/＼;// // // / /' / / // 川
/ﾝ_厶ｨ＼;// , ｲ{ / /' / / // /// '
「７::ヾ:、＼/ |!ﾊ/' / / // / ' / ｲ ,
{う}::::＼、＼jl |{ / / // / / /' / .:
ヽ弋こツ ゞｖ/＼}f/, .:′,〃 , / / / '
` - `Ｙ{｀ーｸ ／ ｨ ／/ / ' / ,′
/／ィ／ ハ／ィ/ / ／ / /
ｒ-:zL」＿厶イ彡 ィ /
ィﾁう≧ｧｘ /／ ' / /
‘代こツ /く 爪/／ ,
｀ _」 `ー ,ィ/彡 ／
｀丶、 ／/ ｲ } ／/
、 ｀ イ / / | / '
::＼ _＿__ . ． ´ﾊ{ 〃{ }/ |
≫ｘ:ｰ:7_「￣} 川 爪{/ | l i l// ヾｲ | 「……………」
//ﾌイ/ﾑ､ j/ l !/ |i/ | l i l{ 川 |
才///「｀ヾ:{′| ′L__ ;/| l i l | !{ '
//〈/:∧ }:} _」ｧ7///7ｧLi」_l_ |八 |
厶///小.///////////////ハ | ヾ;:. |
ﾏ「{ﾏ「{ﾏＶヽ//////////////∧i }} |
|:| |:| {'///////////////＼イ |
{:{ ヾ:, }'/////////////////＼ |
―――――――――――――――――――――
金貨八十枚という手持ちができたというのに
その表情は決して明るくない。
むしろ頬はわなわなと震え、
いまにも叫びだしそうなほど苦悶している。
―――――――――――――――――――――
-
１９７．
――――――――――――――――――――――――
崩壊しようとする表情筋をなんとか押さえ込み、
最後は駆け込むような速度で部屋に戻った彼女は
ベッドに飛び込むなり大きく息を吸い込んで
枕に顔を押しつけ、そして爆発した。
――――――――――――――――――――――――
／ ＼
ヽ人_从人__从_从人__从人_人_从人__从人__从人ﾉ
＜ ＞
＜ ―――――！！――――！ ＞
＜ ―――！――――――！！――――！！ ＞
＿_ ／....＜ ＞
＿＿＿ /＼/＼ ／_／:::: . Y⌒YW⌒Y⌒WW⌒⌒YW⌒Y⌒WY⌒⌒Y⌒WY
/ノノノノ /＿__＼/＼ ＿＿_______! }|￣i|┼┼|i￣|{ }|￣i|┼┼|i￣|{::|￣
,/ノノノノ /::ｌ /|{:::＼/＿/＿/___/! }| i|┼┼|i |{ }| i|┼┼|i |{::|
､ /ノノノノ,/:::::ｌ /|{:::::::::::::::}|￣i|i￣|{|::}|＿i|┼┼|i＿|{ }|＿i|┼┼|i＿|{::|
メ⌒ヾノ ,/:::::: |＿_i|{:::::::::::::::}|＿i|i＿|{[ 三三三三三三三三三三三三 ]
ilil;;::,,'＾~)､ 三三三三三三三三三三}|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
iiiｉｉｉｉ..;;_.. ＾）====================|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|
" ⌒) " ）＝= ､､::::::::: ,,ｒ =＝= ､､: |::::: ┌┬┬┐:::::::::: ┌┬┬┐:::::::|
⌒` " ) |/ ,.-ﾞi､:: ｨi'‐､ ﾞ､| /.,-ﾞi､| }|￣i|┼┼|i￣|{ }|￣i|┼┼|i￣|{::|
ｖｊノ/"' ⌒'"）||￣|￣|:: |￣|￣||￣|￣|| }| i|┼┼|i |{ }| i|┼┼|i |{::|
|:l{'" ,､_ノ'ﾞ . || | |:: | | || | || }| i|┼┼|i |{ }| i|┼┼|i |{::|
:ｉ:lｰ'i "|＿|＿||＿|＿|:: |＿|＿||＿|＿|[ 三三三三三三三三三三三三 ]
:|:ﾍ､!:: |＿＿＿＿＿|:: |＿＿＿＿＿||::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
'''''';'''''''';''''''''''''''''''''';'''''''''''''''';'''';'''''''''';;'''''''''''''''''';'''''''''';;'''''''''''''''''''''';''''''''''''''';;'''''''';'''
―――――――――――――――――――――――――
『ちょっとぉ！！
本当に戻って来ちゃったじゃないの！
どうするの、本物なの！？
冗談でしょ！？なにかの間違いよね！？』
―――と言う悲鳴は、枕の中綿に吸い込まれて
階下のやらない夫達に届かない。
けれど、届く届かないにかかわらず
叫んだところで胸中の困惑が消えることはなかった。
―――――――――――――――――――――――――
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━…
-
銀ちゃんは可愛いなあ
-
１９８．
━━━━━━━━━━━…
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┌───────────┐
│ ヨイチ湖畔の古砦 ....│
└───────────┘
f´￣￣￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ
| 希少種の天馬？ .|
ﾉﾄ | fLf LfLf! 乂＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ
彳ﾐ ﾉiﾐ }＝＝＝!
__,,.. ．-‐ '''""~~""''' ‐-彡彡ミ ．彡ミ..,,____. }王Ir_r‐{r‐ur‐ur‐ur ur┐
_,.．-'''" 彡彡ミﾐ 彡;;;ミﾐ ￣ ~~""'}I王|＿＿＿＿＿＿＿__|＼＿_人＿人从＿人＿人从／
ﾞ'''""~ 彡彡ミﾐﾐﾐ彡彡ミﾐﾐ ____,,.. ．...「I王} { ＿） （＿＿
,,____,,.. ．-‐ '''""~''''''''''''''''''''''''~""''' ‐-､_ii|__,,.. ．-‐''""~ |I王.} [I] [I] [I] .|_rﾞ） はい、エネル様！！ （
_; : ;: ;:; ;~'',;' ',;' ..: ; ::; :;~'..... : ;: ;:; ;~'',;'' ;~..: _ f!I王.!＿＿＿＿＿＿＿￣￣） (￣￣
.. ;: ;:; '' ,;'..: ; ''.... : ;: ;:; ..: ; ::; |└‐ 「I王| | ／⌒Y⌒Y⌒⌒Y⌒Y⌒Y⌒＼
_: ;~.... ;.. : ; ::; :;~'. ;~'... ;~'',;'..: ; ::; : ,; __ﾉ| ￣.!I[]I | 「 | 「 | 「 | ! 「 | .!
ﾞ- ．..,;~ : ; ::; :;. ,;'' ,;'..: ; ::; :;. '', 」 f].f|I王I| i__| i__| i__| ! i__| 人!
~ .''' ‐- ．..,,__ ;~'',;'' ;~'',;'..: ; ::; :;~'',;:;;~'',;'' ;~'',;'..: ;....{＿＿_}― |―――――――.|￣￣ 杉.炎､
- ~""''' ‐- ．..,,;~'',;'' ;~''...... ;. :;~''￣ 「＼ .! ! r┐ r┐ r┐| r┐.杉:炎ミ
...ﾞ＝─ ~""''' ‐- ．..,,_;~'',;'' ;~'',;'/ .＼ i| .| i__| i__| i__| .! .i__| Y炎炎
. _-=- - ~.'''- ．. { r''ﾞﾞ＾＾＾ミ=.!￣￣￣￣￣￣￣「￣￣ T}炎炎､
...ﾞ－≡ . -=＿ ＝－ - =fﾞﾞ ミx.} ,,,,,,,,,r==‐{_____ .|炎炎炎x、
＝─ Y彡≧xr―― こYZZr''ﾞ´ ﾞY」炎炎炎x､＼
- _ -=─ =‐r‐‐''＜** ﾞﾞ''*x ﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞ≧ ./
. ―＝- =- － －≡―.... ア''弋__,,x*'´ >､__／ ﾞ''*x Yﾍ
-
１９９．
. j! ￣三二ﾆ=--- {
. j! -‐― ―― i{
. j! -=ﾆ二三￣ ＝=--- i{
. く -=ﾆ二三￣￣￣ ￣三二ﾆ=--- ｛
. rヘt‐…:7¨¨¨¨≧三≦￣￣￣￣￣￣x≦三≧x￣ヽ￣j:/ヽ
. i:|:ﾊⅤ :j ィレ'´￣￣｀＜ゝ ::::::: ィレ'´￣￣｀'^ ' i} :/ji:;
. i八ヽⅥﾘ ^ 〃￣￣｀ ヾ ／ ィ'´￣ ヽ }i:/: .j
. ﾊ }}:ii' ,ー―rｯ――､ノ r‐ｫ く ｰ―rｯ―ァ |/ﾋ ,'
. , うﾊ| 冖￢'^ :|-:{ 冖￢'^ ｉ}{ }},'
. ヽ Ｙi} |-:{ ﾘノ/
. } : |-:{ { ,'
. i }｝ :|-:{ ﾘ::{
. |} ::j｝ :|-:{ ' : 「雷神とは高き天に在り
, /｝ ハ γ _:|-:{ _ ､ /i {. 下界を見下ろすものだ。
' , / :{ ﾍ ヽ, ヽ_ﾚ' ＿ __, /ｉｉ| ﾄ すなわちその天馬はこの俺にこそ相応しい。
. / { ::ﾊ ーﾆニニニニ＝…=- ' / ii| |:‘｡
/ | :{ ::ﾍ ￣￣￣￣ / iiiｉ| | :,＼.. そう思わんか？」
., ／ ｛ :ﾊ ￣￣￣ / iiｉ| | : ＼
' ￣｀／⌒ヽ __
／ ｲ「iノ_ﾊ ヽ. / ｀i
／ , 厶 ｌ| __,ム ∨ l 「はい！エネル様！」
/ｲ / ｲ._{ﾘ | {ﾘ ! l / V
l l / l 「 ´l | / / , '´￣｀',
|／l|/ { V￣｀ヽ l ﾚ' / ＿_／ V
|／| ＼ ー一’ ／ /＿／ ／
l , 丶r==/ ／ _ - '´
∨ﾚ7Zﾚ‐/ ＿ -‐_'´
__ _/´／ ＿＿ ｀￣￣￣￣￣`ヽ
/ --T１ / ／ ｀丶 ＿＿＿＿＿_ ノ
{ 二}.ﾉ . '´ ＼
l ｰｔ.〉 r－- '´ ＿＿_ -- ､＿＿＿_､ ＼
ヽ ﾉ｀{ ／ l l ＼ 丶 __
＼ ＼＿＿ イ | ｜ | 丶 ）
＼＿ノ ／ | !＿! | ｀ ¨¨¨´
丶 __／ lレ-― ￣￣¨ﾏ
-
銀ちゃん、ギャンブラーには向かないな
-
２００．
i ＿ l .ｲ////////
/ -ー ￣ ￣ ､ | / W///////
V _ -―――――- ．. ヽ〉 ./ `'く//>' W
ﾝ . ¨ _＿__ Z `' 、 〉 ' .ｲ
ヽ l ｨzｘ､ 〔 ｨ竓=---=ミｘ `ﾐ､ ＞-､/ ' /,{ ィ777ﾐ､
/抖''¨''ミ'， ./ ＿_＿_ }／ l .i .i/ﾊ ｲ///////
'.从r― ｎｧ / ヽ,_＿__fヌ / /! | V /V////////
i '/ﾊ｀”””/ } ７ ＼ ﾉ ./ .l｜ V/////////
|.W从 /７ .' . イ ｜l `'く////＞"
| V/Λ ./７ ' 仄 .N .l ｀￣ ／ oｒ
ﾞ'く/ﾊ .〈_/ -= ' / Ⅵ/ 廴 .. o _r- '´
/ / i! ` ､r―
､ .`¨¨¨¨¨ ‐-､ ./ / l. ` - _r―
. 「だが護衛、か―――」 ヾｘ i. ＝=-- '/ / . /
`≪| '， ／./ / , /
、 | 〉. _. イ / / 、 . '
＼｜ | ー= 千 ./ / `. f´￣￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ
| ｜＿く￣〉 / /.. | お邪魔するよ☆ ＞
乂＿＿＿＿＿＿＿_ ノ
-
２０１．
, __,
l ＿_ ﾄ､ _,.ｒ'／
{ヽ､＿＿__,._-ニ´ﾆｰ-ミ｀`､￣ヽ、 ///
ヽ､-_-‐＿― ニﾆヽ丶､ヾ ', lﾊヽ-‐ｼ',ﾘ
,ｒ ∠="-－ﾆｰ ｀ ヽ-､ ヽ } | ﾉﾉ,r' ,. く
/- ､__,. -‐'_／'フ￣＿二ﾐ､=ﾐ `ヽN /ノ/,.=＝ﾆ_ヽ'､
＼ ｀ｰ-='‐'_ ／_,...二ミヽ｀ ´ '´'='彡ニ=､｀ヽ
＞≡ﾆ",.-'´ _,.=_‐ ｀‐ミヽ｀ト` 、
／二ﾆ二....-ｧﾐ彡'‐''' "二`ヽ､ ﾐヽ'､}〈 ', }
/'´／´-=、,ノｆｒヽY´ -=ｧ:;;r-、､` ,,..､､､_ ミ=}}レ′,ﾘ
! /'´ ∠._ｒ{ {'＇ _ ,ｨ ｀` ｀ /z,ﾆ､ヽ.ヽ}ﾚｿ ／
l! /´ _ﾆｲ ﾄ、ｨ ｀ｿ::r''' .' `''ﾞ‐ヽ ｲ
,ｒ'ﾆ´ ノノﾊ'､,｣ '´ヽ ! ,! //
{/,. -'ﾆ ノｲ} | | '" ｒ'､ /;! ,'/
/',ﾆﾆ-‐'´/'/,' ! `'''ー‐- ､_ `' /′
'｛ ／ｒ",' ヽ ￣`'' ｀` /
｀ ヽゝ ,' :.:＼ ／ 「じゃあボクは帰るから。
,rｰ―='-､_ :.:.:.:.＼._ ,.イ
,. -'′ ｀`ヽ-､,_ ｀｀¨´::.::| こんどはもっと面白そうな相手の時に
_,,..､､． --―''く、 ｀''‐- ､;;_ﾄ､_ 呼んで欲しいね。
"´ ｀`'‐ ＼ ―――といってももう用済みだろうけどさ★」
//丁ﾉ/ル' 、 ､ｰ-､_ ｀ヽ ||l ; ; ; ＼ ` 、 |
7./ トj//ﾙ′ , ;` ´^>､ｏ ヽ、ヽ!!ﾄ! ＼ ヽ j
;:;:! {く/ノ ; ; ;' ´｀>-‐'_..;;! i ＿ ヽ ,' /
;:/ ;:;:〃 , - ,;;;;;;;; /_〉´￣｀ヾiiバ j /
/ ;;;;/ , ; ´/＼ /７ﾋ ニヽ, ||| |! ﾚ′
;/,. , ; ; /"´ｌ > ､ /７ ヾｏﾞヽﾞ! ﾘ /ソ...... 「ハッハッハッハッハッハ！！！
../!; ; ; ; |;;;,,,,i ｀ヽ、 ,._──くソ ` -'′／／
/;;l; : ; .: ;ヽ:::::ヽ;;;,,,,, ＼ .r;;／ ／／. 聞いたか！
;;;;;;l '､:::::::ゞ;;;;;;;;;,,, ＼ , ｲ"´. この戦闘狂はモルティナの親衛騎士で
;;;;;;;| ヽ::::::::::｀､;;;;;;;,,, ヽ, ／ｼ 物足りないと言ったぞ！！」
＼＿_人＿人从＿人＿人从／
＿） （＿＿
） はい、エネル様！！ （
￣￣） (￣￣
／⌒Y⌒Y⌒⌒Y⌒Y⌒Y⌒＼
-
ポーカーフェイスで隠し通せたんだから、むしろ向いてるかもｗ
-
２０２．
l ＼ ヽ、 /
､ ＼＼ | l、 ヽ ヽ ＼ | }
＼ ＼＼ 、＼ゞ=-| い } ＼ |ｉ | |
＼ ＼ ＼_ ＼`ー -ﾝ ゝ ＼ ヽ | ヽ ｀. |i 乂ﾉ〉
丶 ＼＿＼ ｀ ァ彡'′ ＼｝ } l、 ｝ i| i | i 〃 __
＼ ＼ ,}_｣│{ 〃 ｀ Ｖ ｊ| | ﾉ ｝ｉ{ﾝ'"⌒ヽ
＼ ＼ ､ ヽ／二Ⅵ } ﾘ …‐- ､ ″}| // ｉ|
、＼＼ いV′-气ﾘリ/ ､ー- ＼ 弋i|// ﾘ
‐-ミ `冖x,从 i 癶.|ｊ{/ 弋ﾄ､ ヽ .i|/. ィ′
＼,_＼＼ヽﾙ小 ｉ弋{_ｊ/ ト ィ ヾﾂヽ_}い、 i| ノ
`ｰ=ミメ、刈､i:人 ｛ ∠///>､ `弋ｰ .i|,厶=--
.. ＼ヽ》､i､ｉ个ﾄ ∨￣ _, i|
. 》’i､i､i､i､|i _ 〈ｯﾝ’
／ ､i､i､i､i､|i ＼ ‘《｀
. x<i､ ､i､i､ｉ ｉ､>､ 丶､__、⌒ rｯi'′
k ＼_ ､i､i､ｉ ｉ､i､i､>､ ＼ゝご ﾉ
Vk ＼ ､i､ｉ ｉ､i､i､i､i､i､ ＼ ）´／
. Vk ＼ ､ｉ､i､i､i､i､i､ｉ ､ ／. 「どうせ次からは範囲魔法をばらまいて
Vk ｀ ､ｉ､i､i､i､i､i､i､i､ｉ、 / 一気にカタを付けるつもりだろ？
. Vk `'＜i､i､ ｘ=‐-． _,,ノ
Vk ＼ ＼_i､ ∧ その為にわざわざ人さらいや
. Vk ＼ ｀'く/ﾊ 身代金要求までしてまで
＼ ＼ ＼ ヽﾊ 魔石を買い集めてるんだからさ」
＼ ＼ ｊ}＼
|｀ヽ-､、 ￣￣二-─'''￣ _,､r'､
| ﾄ ', ｀!ヽ､,,_ ─────‐'''＿＿__,,,..､イ´/ｨ! i
l い ! liﾞ _,, -─-`､ー─ '' '' '' ""´_. -─- ､_ ! //ﾉ !
',｀i｀! | `v''´￣｀`ヽ､ヽ､ ,r ',,´‐''´｀`ヽ､/ | i K ,'
い''､! ､ﾆ二､,二ﾆ､`′_ r'ｰ´∠ﾆ､,ニ=, l i ,l! l
', ! l! 冫r─r‐く´〃 L| ゝ ｀>ｰr‐rヾ !f ﾉ/
l l l! |_| |l!//
| ! l | | l i
| l! ├| l! l
| |', __ |-| _ ,! l
| | ヽ ､ ｀ヾ_/´ ,, ,.'l !
| | ヽ `ヾﾆ ─----─ ﾆ''" , ' ! | 「ご推察のとおり足場は固まりつつある。
| | ヽ `'' ￣二二￣ ''" , ' | l
| | ヽ , ′ ! !. 手下の装備や消耗品を確保できれば
| | ＼ ,/ i ! 討伐隊がどれほど来ようとも
| | ｀ｰ-------─'′ | ! 俺の敵ではない」
-
２０３．
i（
___ }i }＼__ノ ヽ
｝ ）ﾉヽ-' ）
__ノi / / / ヽ｛__ノi
{ / { ｉ | ,/{ /（
〉/{ ヽi i |: ! , // ﾉノi 〉
{ i＼ i | iリ_/ﾞ'/／ / （ 「あんまり派手にやると
乂 ヽﾐ、^ "＾ ￣ "'彡' /⌒.. キミの魔法が通用しない相手とか
-='^V ¨¨ヽ ,-'¨ﾟﾞ ﾐｿ }へ 来ちゃうかもね★」
__ -= ¨´i∧ ﾞ'trz、 ,-tｒｧ /ﾉ/ i|｀＞-_
__∠ , ﾊ☆ i| ¨iｊ /イ| i ＞=- 、
／⌒ﾆ=。 / 'iハ __｀___, //// i ,:′ -―=ﾐi
, =-'， ／¨ﾞ_ﾟ＼｀'¨ ／￣ ’:，__ ／i{ i ’．
i i i Υ ,i/／,:'^ ー ' 〉 }_ /{ i ∨
{ ' , / j|_/ {ﾉ_/_／＾¨¨¨¨¨¨^ｰ!イ ノ ﾉi_/ i ﾉ ﾉi
八_ ,＞-ﾆ=ミ<-i ＼＼]¨'ー‐-=ﾐ, 〉〉ﾉ{ i__／ / }、 ＞-― -- 〈.ﾉ
j／二二ﾆ/{ ＼ 二｝'⌒ '， /¨'=イ/｛＿_／／）i／二二二ニ｝
{／i _ イ! ＼ __＿「 / V 〈 ｝＿ _' イ ＼-- ―- -{
|! /／ ノ＼ _＿_ﾉ ∨ '．∧-＜ ＼__ i: 「
∧'′ / 厂i{ ′}i i ヽ ヽ V !: |
: : : : :／ ./ ＿＿
: : :イ .厶-ァ ≡=ミ､ ミ
: :／ / _ ./ ヽ ｡ ァヾ，〕zzzミ､
イ .}/ﾊl! ￣-‐ } / r ､ ヾ
./」 ﾘ l l. `ﾟ-`
/" } 7 ' ト . イH ./
／ .' .,l 廴!/ ＞ ._ / 「ふん！
ｲ .' ハ `''＜￣/ ﾒ /ア/.／
' ' ､ ` ..二¨¨´ ././ 高位竜や高位魔族ならともかく、
. / ' ' 、 ィ i. 人相手に後れをとることなどあるものか」
/ ' .' ‐- イ .ﾉ /
.' i / '
.' | | |
i .| ／ .| |
| .| イ ｜ |
| .| / | |
-
自らフラグを立てていくスタイル
-
２０４．
＿＿__,ノ
／ -‐ 二二ﾆ=‐- ＿__ノ
（_ｊ /／ , -‐ ＜
／｀^ ＜ ￣￣ 二ﾆ＝=‐- ｀ ｰ- . _
／ ｀ヽｰ=ミ ｀ヽ
ﾊ ‐―- 、 ミｰ=ミヽ
_ ノ ｰ- ．_, ミー=ミ 丶、 ー‐=＝ﾆ二
ヽ 、 ,ｨ￣ ミー=ミ丶、 ｰ‐=＝ﾆ二
. 「じゃあ、邪知暴虐のヤガミを 〈_ (:ﾉ ｀Ｙ⌒ヽ ｰ‐=ﾆ.二三_
. 斃したという東の英雄は？. ゝ､`ｰ- んう 厂￣｀丶、 ｀丶 ｀ヽ
/ ｰ イ ー―==ﾐー―‐＼
. どうやったのかは知らないけど. 〈 . イ｀爪{八 ＿ ＜⌒ヽ
. 妖術師と相性悪いんじゃないかな◆」... ｀二ﾆ＝‐=≠ ／ Ｙ´ ｀ヽ ｀ヽ
／￣￣￣｀: .く /
: : : : : : : : : : : : 丶、 /
― - : : :_ : : : : : ＼′
_.. -‐ ￣ ‐- . {
ｨ抖===ミ､ .ィ竓ミｘ､、.」
.イ|>'"¨¨''≪≫ｘ ィ/＞'"⌒'くﾝ ﾄ､〉
./《 . ' ＿＿_,，､__, `ｨ ｎ ｧ .! ､〉
' .ﾊ ヽ ＿ｎ__ノ |-| ｀¨¨¨¨¨´ | 入
`'く! .|-| |' l
. |-| ! .l
. _ .L」_ } .'
､ '. ﾘ /
..ヽ .Λ _.. -――‐- 、 ./ 「っ………」
.〉 . '´ -=＝- ./
/.| i. ｲ .l'，
./ | l ヽ . ' .l | '，
-
２０５．
|| | | | ////／／／／／::::::::::::::::::／／
ヽヽ| | | ///;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::::::::::::::::::::::::::::::::／/
＼ヽ|＿/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::::::::::::::::::::::::
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::::::::::::::::::::::::
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ＿＿＿::,:::::::::::::::
/;;;;;;;;;;;;;;;;;; ／;;;;;;;;;;;;;;;
|::::::::::: ／;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::
/:::::: /;;;;;;;''' ,, ,,,;;;:::::::::::::
/::::: /;''" ｨ'／;;;;;;;;;;;;;:::::::::::::::::
/;;;;; /;' ／／;;;;;;;;;;;;; :::::::
/;;;;;; /; ／ﾉ／;;;;;;;;;;;''"|
＼ （｀／;;;;;;;;;;;''' |
） ,,, ;;;;;;;;'':::: |:|
/:::::::::::::;;;;;''::::::: |::ヽ
/::::::::::::::::::::::::::: |::::::`,
/:::::::::::::::::::::::::: |:::::::::}
／:::::::::::::::::: ::::: ＼:::ﾉ
_ ／::::: :::: ::
i ' "
ヽ､ -‐─ヽ ...... ＿,,､
` ヽ ､ ノ::::::::::::::::::::::／ ＼
）:::: ::､:::::::::::::::::::/ _,／~
／" ,､＿＿/ _, -‐'~
....「ふふ。 く ／ ／ ~
いいさ、もし東の英雄が攻めてきそうだったら ＼_＿＿ ／~ ..:::
ボクを呼んでよ。 / .::::::...::::::
/ .::::::::::::::::
超越者ってやつとやってみたかったんだ☆」 ＼:::::::::::::::::::::::::::::::::::
`ヽ:::::::::::::::::
|:::: :::::
|
-
２０６．
. j! ￣三二ﾆ=--- {
. j! -‐― ―― i{
. j! -=ﾆ二三￣ ＝=--- i{
. く -=ﾆ二三￣￣￣ ￣三二ﾆ=--- ｛
. rヘt‐…:7¨¨¨¨≧三≦￣￣￣￣￣￣x≦三≧x￣ヽ￣j:/ヽ
. i:|:ﾊⅤ :j ィレ'´￣￣｀＜ゝ ::::::: ィレ'´￣￣｀'^ ' i} :/ji:;
. i八ヽⅥﾘ ^ 〃￣￣｀ ヾ ／ ィ'´￣ ヽ }i:/: .j
. ﾊ }}:ii' ,ー―rｯ――､ノ r‐ｫ く ｰ―rｯ―ァ |/ﾋ ,'
. , うﾊ| 冖￢'^ :|-:{ 冖￢'^ ｉ}{ }},'
. ヽ Ｙi} |-:{ ﾘノ/
. } : |-:{ { ,' 「貴様も匠位殺しは伊達ではない、ということか。
. i }｝ :|-:{ ﾘ::{
. |} ::j｝ :|-:{ ' :. いま、カリラには希少種の天馬を連れた
, /｝ ハ γ _:|-:{ _ ､ /i {. グレイランドの騎手見習いが来ているそうだが
...ﾞ, ' , / :{ ﾍ ヽ, ヽ_ﾚ' ＿ __, /ｉｉ| ﾄ 物足りないならデザートにどうだ？」
. / { ::ﾊ ーﾆニニニニ＝…=- ' / ii| |:‘｡
/ | :{ ::ﾍ ￣￣￣￣ / iiiｉ| | :,＼
. , ／ ｛ :ﾊ ￣￣￣ / iiｉ| | : ＼
,. ---_,.ノﾉ∠ﾆ＿ﾉ
,.-‐=≠￣￣三二≦二ﾆミ-‐'"乃
／／ ,.-―フ"冖二二二二＿／∠⊥
/ / ／,∠＝z_,. -―------‐'´∠∠_
{ ヽl/´ `ヽ＿__,,-,ﾆ ､＿／_／爪｀
｀`} ,....... `ヾ' 片ヽ } 彡‐＜
ｉ/´_,.ノ ヽ┤ ﾉ￣／ 彡⌒
｛ﾞ ｆr' ,、 '´ 人‐' //
「見習いに興味はないな。 ﾉ U r'´ ヽ/ﾉ
グレイランドなら剣匠ワイズメルか. / ,.. ,. l l
竜騎手アベ――― ￣∟='"´ ﾉ l l
ﾞi ,. '´ l ,. --､_
いや、ボクは人専門だから | ∠ l ,. '´,. '´_,.へ
やってみたいのは剣匠ぐらいだね◆」. `ー'"´ ＼ ,. '´,. '´,. '´,. '´
r'´,. '´,. '´,. '´
〉´,. '´,. '´
と,. '´
-
エネルが出たなら
例のあの顔は見られるだろうな
-
２０７．
/´l _
,' |.／ / ))
/´', l / /
| ', ｜./ /
ｆ´', ', , j , /
_ { ', , ', {,' /
'､｀丶 , ', ', V !〉 f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ｀ヽ
＼ ', ', 〉 ´/ | ﾋﾗﾋﾗ. | と言うわけでボクは帰る。 .|
丶、ヽ '、／ ,' | |
(( ＼} / | キミが早く大物になって |
| ,/ | 英雄を引きよせてくれるよう願ってるよ★ .|
/ /l 乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ノ
{ / ,'
i＼ ＿,/_/
>'´:::::::::::::｀ヽ
|:::::::::::::::::::::::::',
|::::/＼:::::::::::::::',
〈::/ 丶---ｲ
i| ',
| , -―- ､ ',
レ'´ ',
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━…
-
原作と同じく強者と戦いたい割に縁がないヒソカさん
-
本日の投下は以上になります
閲覧合いの手ありがとうございました。
なんかJaneStyleがエラーはきまくりで大変でした
最新版なのにしたらばと相性悪いのかな(´･ω･`)
-
乙でした
-
乙です
-
乙ー
-
乙でした
-
乙でした
今日は銀ちゃんカッコよかったのに最後にやってしまいましたね
-
乙乙でしたー
-
乙ー
-
乙。
エネルも手ごわそうだけど、ヒソカがいたら厄介だったろうなあ。
これは天が味方したとみるべきか。
-
乙です〜
-
乙
ダディ29歳みたいだけど冒険者としては中堅ぐらいなのかね？
ファンタジーだから高齢者でもバンバン前線に出てそうだけどどうなんだろ
-
乙
原作ヒソカも最近パッとしないからなあ
-
乙
翌日戻ってくるない夫はさすが
-
竜言語魔法でアジトをドーンで
エネルの例の顔
-
乙
-
一本釣りしてても驚かんが・・・・ シモンに悪い影響でないかなーこれｗ
-
投下乙でした！ 今回もおもしろかったです
-
乙でした！
-
乙！
今回も引き込まれたなぁ
-
>850 そのへんは安心と信頼の教育実績のある方ですからwww
-
>>854
ジュン「基礎を父さんから教わっていた僕はこうなった…じゃあ基礎からやらない夫に任せたらどうなっちゃうんだ？」
シオン「毒は舐めれば判別できる！（ｷﾘｯ」
ラオウ「やはり我が教え方は間違っていなかった（ｷﾘｯ」
-
シオンじゃねえシモンだ
そして乙です
-
乙でした。今回も面白かった
>>845
現実のスポーツとはまた違うだろうけど、体力も目に見えるほど落ちてない、経験はしこたま積んでる、って感じかなと
それよりも技能構成を見て、敵にしたら厄介そうな印象が強かった
搦手が得意でまともに勝負してくれなさそうで…
-
乙でした！
ヒソカは強さのランク言及があったなかだとかなり上位だな
よくわからんラ王とデコ抜いたらトップクラスかもね
-
乙でした！
銀ちゃんが有能に見えた回で違和感が
-
銀ちゃんはもう一押しだろw
いい加減認めちまえよ（ﾆﾖﾆﾖ）
-
乙でしたー！
ヒソカの強キャラ感がすごいいい
-
おつだぜ
janeは起動時5回に一回エラー吐く
-
乙でしたーダディといいカミナといい出来るオトナ、って感じでいいですな。
-
乙
銀ちゃん
君の運は今、人生の頂点だよ。
-
乙
-
ヒャッハー新鮮な投下に間に合わなかったー！
でも一気読みできたし大満足！
-
リアタイ逃したー
乙でした。
でも雀荘がでてきたときは、例のイーペーコーが出てくるかと期待していたのだがw
-
乙です
毎回楽しく読ませてもらってま
-
誤送信恥ずかすぃ
毎回楽しく読ませてもらってます！
-
乙でした。
あっという間に読み終わってしまった。
また最初から読み返して続きを待ちますか
-
jane style、ログが多くなるとエラーしやすい模様
自分は2.7GBあったっす(´･ω･`)
乙どぇした！
-
乙
-
おつおっつ！！
ここからはGWを漫喫してください！！
-
乙
ぽんこつな銀ちゃんもいいけど今回のような凛々しい切れ者ムーブも似合ってるよ！
潮が出てきたけどとらもいるんだろうなこれｗ
-
おつでした
-
乙でしたー
-
結局どうやって移動したの？馬乗り継ぎ？
-
全力で走る＆回復薬連打
-
霊薬ってもう効かないでしょ
-
移動に霊薬とか必要ないレベルじゃろ
-
移動に霊薬とか必要ないレベルじゃろ
-
単純に抱えて走ったんでね？シモン位の重さなら負荷にもならんだろうし
-
シモン「アニキ、人間って走るのが速すぎると風圧で息が出来なくなるんだね…」
-
クリムゾン大きくして空で行けば一瞬だろ・・・
-
>>884
つ【>>784】ｽｯ…
-
クリムゾンじゃなくてやらない夫に乗ればいいのさ 中毒限界まで霊薬 そのあと乗ればいい
-
>>766
> 尻尾にリボンとか付けてあげたら
動物すべて 尻尾に何某か付けられる事を異常に嫌がりますよ
足でも嫌がるのが多いです
-
作中でクリムゾンは欲しがってるしいいんじゃないかな
あ、でも知人のドラゴンが実際嫌がってたっていう体験談ならそっちのほうがいいかも
-
そもそもドラゴンを動物扱いしたらあかんし
リアルでも競走馬の蹴癖目印の尻尾リボンとかあるよ
鱗の防御力からすればついてるの感じるか分からないし
根本の上の方にちょんと付けるとかじゃないと尻尾ピシピシでぼろぼろになるべ
-
それよりしっぽになんであんな重いものつけるんだ。
つか、あれマンガだろ。
-
俺の知人のドラゴンはアクセサリー好きだけどなあ
-
ワロタ
-
>>887
動物扱いされたドラゴンがそっちに行ったぞ
-
オイラはトカゲじゃねえ！
-
クリムゾン(cv.釘宮)
-
>>893
まっ 待て！！
動く生物で動物だろ！ 植物じゃないだろ！
話せば 分かるだろ！？ なっ！？
-
>>896
ドラゴンの肉って珍しい上に引っ張りだこで、高値が付いたはず。
うん、話せばわかるよ。だからこっちにおいで……
-
この臭いやり取りまだ続けるの？
-
踊る阿呆に見る阿呆だからね、踊らにゃあかんよ
-
>>898
ここにいない方が良いんじゃない？
-
スレ主でもないのに他人に難癖つけるのはやめような
誰も彼も
-
人気スレだからはよエタれって雰囲気悪くする荒らしまがいの嫉妬マンがでるんよ
-
以下、通常運転↓
-
何そのひねくれた考え方
-
暇なら最初から読み返して来い
-
また、半年後が楽しみです
-
ワロタｗ
-
続きまだ！？
-
次は盆くらいであろう(長い目
-
>>904
残念なことにいなくもないんだよねぇ・・・
-
正直こんな面白いものが書ける才能に嫉妬する気持ちがないとはいえない
でもそれ以上に読ませてもらえてありがたいから表には出さない
-
嫉妬は行動を起こしてから。
俺もＡＡじゃないけど行動は起こしてる。
でも俺は俺。
これはこれ。
楽しめりゃ何でもいいじゃーん。
でもダメっぷりからいきなり成長してる銀ちゃんには嫉妬してる。
ずっとダメっぷり見せてたら、ない夫の腰銀ちゃんって呼ぼうと思ってたのに。
-
行動に起こさなければ何を感じてもただの感想
だけど行動に起こす荒らしに慈悲は無い
-
何の話してんの
-
すげーくだらない話
-
そんなに暇なら一緒にご魔乙やろうぜ
丁度いまローゼンコラボイベやってっから
-
アナザーエデン楽しんでるんで遠慮しときます
-
>>914
悲しい話ですな
-
あぁ無情
-
このストーリーはこうあるべきと作者に強要したり
このキャラは腹立つから氏ねとか言う輩が居なければ
他人が不快にならない分で楽しむには構わないと思うよ
-
それはあなたが言う事じゃない
-
キリッ
-
念のため書いておくけど
900超えてるからね
-
990までは問題ない
-
お？埋まったところで作者の労力は変わらないからいんじゃね？とか議論する？
-
まあほら、時々みんな完璧に忘れてて埋まっちゃうスレとかあるから
-
投下おつでしたー
流石にこのペースで一気に80レス埋まる警戒はなくていいわな……ｗ
-
そうやって無駄に煽りあってると案外簡単に埋まるけどね
ただでさえ管理放棄されてる板なんだし普通なら気を使うに越したことはないはず……なんだけどねぇ
-
埋まって困る理由がここまで一切なし
-
？？困る理由なんて>>1さんが使えなくなる以外あるのか？
-
使えなくなるって別にスレ立てればいいじゃん。
-
２chだった頃の名残ってだけで今は困らんからな
-
だからって無意味に埋めることもないやろ
-
数年後に過去スレを追って読んでる人にとっては、次スレの案内がないうちに埋まるのは迷惑だろうな
-
そんなこと気にする必要があるとは思えん。
-
自分がよければ他人はどうでも良いって人はいつになっても居なくならないな
次スレの案内は無いよりは有った方がいい、ならより良い状態になるよう気がけても良いだろうに
-
投下中でもなきゃあっても無くてもかわらねーよｗｗｗ
-
昔からいるよなとにかく埋めたがる人
ショボンさんが戻って来たのかと期待しちゃうからやめてくれや
-
よりよい状態ってのは一々スレに書きこんで啓蒙するべきことかな？
注意するためにもスレは消費されるぞ。自分だけはいいってのは
今書きこんでる全員じゃないのか？
-
理解してない自己中な阿呆が居る以上、するべき事になっちゃうんだよな
スレ消費に関してはまだ60レス以上残ってる段階で何言ってんの、ってハナシ
残り数が切羽詰ってたら一人二人の阿呆にゃ目を瞑って黙ってるに決まってるだろ
一度言っても解らない相手に繰り返すのも無駄レスなんで
これ以上はお望みどおり黙っておくけど
-
絶対黙らないに一票
-
黙ってろよ
-
そんなことより胸の大きい水銀燈の甲冑姿を想像してだな・・・
-
胸部装甲が弾け飛ぶんですね！
-
それを超える言葉という強者
-
その二人は特に気にも留めないということはない夫の好みはｹﾞﾌﾝｹﾞﾌﾝ
-
そりゃあ、きらきー見ればわかるってなもんよ！
-
黙ってろよ
-
〆(･ω･`)ｶｷｶｷ
次回書きため進捗 12/21
>>871
過去ログ全部消したら安定しました、ありがとうございました(´・ω・｀)
そういえばなろうがどうこうという話が上でちらっと出てましたが、
この作品の固有名詞を二次からオリジナルに差し替えて
ＡＡを削ってごそごそして投降したら形になるのかしら・・・と妄想したことはあります
-
ゆっくり待ってますだおかだ！
-
乙です楽しみに待ってるYO
-
進捗半分越えてる！ 楽しみです。
そんな妄想するに決まってるじゃないですか〜〜ｗｗｗｗ
読んでるだけのこっちでさえ、妄想表紙絵とか妄想声優キャスティングとかしちゃうのにｗｗｗｗ
-
おつおつ！
それは妄想しますわｗ
-
とりあえず脱ぐか
-
たぶん投下は今週日曜の夜・・・と思います
明日以降の進捗次第ではありますが(´･ω･`)
-
おつおつー待ってます
ところで次スレどうしましょう
-
(´･ω･`)次スレについては>>1に有るとおりです
-
誰も指摘しなかったのか・・・
-
だって>>1に書いてあるし…
-
書籍化して毎巻2冊ずつ予約する夢を抱き続けさせてもらいまする
-
支援絵にラノベ風の表紙絵があったな
-
(´･ω･)っ【次回4-4-3（枚数不明） 6/28 20：00〜投下予定】
ﾍﾟﾀﾘｺ
なろうをちょっといじってみたけどみたけど文字だけって楽ですね
ついったーとかやってないしここも管理スレが無くなってしまって
いつ消えるか分からないしで今後の身の振り方を少し考えねばならないかもです(´･ω･`)
-
(´･ω･)っ【次回4-4-3（枚数不明） 6/18 20：00〜投下予定】
ﾍﾟﾀﾘｺ
28日はまちがいです、18日18日
-
ゼンラーマン待機
-
全裸待機も楽な季節になりましたな
-
二週間お預けかと思った
4日後投下予定でよかった
-
その日は夜勤だ ちくしょぉ
-
・・バサッ！(無言の脱衣)
-
ない夫になろう
ってことですね。
だから私はその無限の財布だけを狙う。
甘味の好きな奴に取られてたまるか！
ライオン大好き。
待ってるよ。誰かそれを実現してくれることを。
月見そば大好き。
-
来たか！！
-
えっ？今週あんの？
-
このショボさんの唐突感が最高に好き
-
予告来てたーーー！！
-
ショボさんがそこにいる
こんなに嬉しいことはない・・・
-
早く土曜日終わらねーかなー(仕事)
-
大丈夫、ショボさんも明日夜勤です(´･ω･`)
-
ん？夜勤明けに投下するとおっしゃっている？
お身体大事に
-
待ってます
-
106枚ですかね。
推敲もほぼ終わったので明日予定通り投下出来ると思います(´･ω･`)
それからこの作品の元ネタをなろうで投稿してみることにしました
しれっとやろうと思ってたら利用規約に盗作防止のため重複（なのかは微妙ですが）する両方に
その旨を記載するようにあったので一応ご連絡です
-
やったぜ。
なろうでもハーメルンでもウェルカムウェルカム〜
-
ブクマ登録はちゃんとするけど知らない層から見向きされなくても心折れないでくれー！
やる夫スレからなろうに行ったらそのまま底辺作者やって失踪する奴らおおすぎるからそこだけは怖い
-
ありがとうございます＜ブクマする
流行の設定ではないですし、ふるーいタイプの文体なので
向こうは向こうでひっそりやれればよいかと。
初っぱなからキーワードがぜんぜんかみ合わずにえええってなりましたし(´･ω･`)
ただ、まとまった時間が取りづらいなか、
スマホで下書きや編集できるのがとても大きいと感じて着手しました。
自分の場合、創作は触り続けてないと気持ちや脳味噌がうまく切り替わらなかったりして
ますます間が空いてしまいがちだからです。
-
向こうでも見られるとかこれは楽しみが増えるわ。
ブクマするぜー。
-
おそらくタイトルは違うのだろうから登録されたら向こうのタイトルのヒントを願う次第
-
全力で探すお！
-
次スレのテンプレから普通にリンク張ります(´・ω・｀)＜むこう
979でもお話ししましたが、重複投降の場合、
分かりやすく相互リンクをはるなり明示する必要があるようです
ただ、こちらの場合スレッドが動いて直リンクが難しいため、
あらすじに板名とスレタイトルを記載しております
とはいえタイトルも○○は約束を守るようですだからすぐ分かるかと
-
鼻血出そうだわ。
ブクマするぜー
時間があったら感想も！
-
次スレ立てときました
やらない夫は約束を守るようです54
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/14429/1497701379/
ではそろそろ夜勤に出発 ...(´・ω・)
-
いってらーお気をつけて
-
明日を楽しみに待つわ
なろうも楽しみにしています
-
がんばれー
-
いってらっしゃい
-
やる夫スレをSS化してる人の見たのはこれで二人目だな
-
投下準備中です。
スレを開きつつそのままお待ちください。
エネルギーチャージ率 ４０％
| ■■■■□□□□□□ |
( ;; ;: ） ⌒ヽ （ . ;.; .; :.: ⌒) ..;.;:⌒):.ノ
＿＿_ノ ノ⌒) .;;:.;.) ＿＿＿＿＿,ノ ノ⌒) .;. :.:ノ、
:.｀)＿ _￣ ￣ ＿ ＿ ＿＿_丿 ￣ ￣￣￣￣｀ . .. ;: ;.:.:;;｀ヽ _:;,）
:.;....)´￣￣￣ ＿＿ﾉ⌒ーー'⌒ヽ _ノ .. . .;: .:; .:_,ノ
: .. ＝─ － ￣￣ヽ . :. :;.;;;）;.;;ヽ ￣｀ヽ＿,ノ ⌒￣￣´
ｒ´`; `ｰｰ⌒‐-､__｀ー､__
一⌒) ｀ﾞ´ ￣￣
::.:､::.｀ヽ＿
ー'￣￣
∧ ∧
(´･ω･)
（ っ¶っ¶
,;:,.;⌒⌒⌒⌒ﾞ;,..
,;:,,,,'''' ;;;;'''' ;;;)
,;:,,, ;;;;;; ;;;;; ,,) ○中止
ﾞﾞ〜;;,,,,,,〜;,,,,ノ
【本日の予定】
Epi.IV 第四章その３（１０６枚） ２０：００〜２１：３５過ぎ
【連投予報】
２３９．
-
待ってましたい！
-
やった！久しぶりで凄く嬉しい！！
お風呂行って、晩酌の準備せな！！！
-
中止のマークが有るんですがそれhw
-
なろう投下ｷﾀ━━━━(ﾟ∀ﾟ)━━━━ｯ!!
-
投下準備が完了しました。
エネルギーチャージ率 １００％
| ■■■■■■■■■■ |
( ;; ;: ） ⌒ヽ （ . ;.; .; :.: ⌒) ..;.;:⌒):.ノ
＿＿_ノ ノ⌒) .;;:.;.) ＿＿＿＿＿,ノ ノ⌒) .;. :.:ノ、
:.｀)＿ _￣ ￣ ＿ ＿ ＿＿_丿 ￣ ￣￣￣￣｀ . .. ;: ;.:.:;;｀ヽ _:;,）
:.;....)´￣￣￣ ＿＿ﾉ⌒ーー'⌒ヽ _ノ .. . .;: .:; .:_,ノ
: .. ＝─ － ￣￣ヽ . :. :;.;;;）;.;;ヽ ￣｀ヽ＿,ノ ⌒￣￣´
ｒ´`; `ｰｰ⌒‐-､__｀ー､__
一⌒) ｀ﾞ´ ,.r.'"´
::.:､::.｀ヽ＿ ,.r.'"´
ー'￣￣´ ,.r.'"´
∧ ∧ ,.r.'"´
(`･ω･) ,.r.'"´
（ っ¶っ¶ ,.r.'"´
,;:,.;⌒⌒⌒⌒ﾞ;, ,.r.'"´
,;:,,,,'''' ;;;;''''.ﾞ,:'"ﾞﾞ"＞'"´
,;:,,, ;;;;;; ;;;;;;'..ﾞ,,) 始まります
ﾞﾞ〜;;,,,,,,〜;, '.､:: ;＞､. ,イ,イ
｀／i i:::i.ｌ::i
i:::::i i:::i.ﾚﾞ..ﾞ､
i:::::ﾞ´:レﾞ.. ｀`.-=.､
／:::::::i'ﾞ. ｀`.-=.､
／:／i::::i ﾄ､ i:ヽ. i:ヽ ,へﾞ｀`.-=.､
i／,ｨ .i::::i i::ヽ i:::ﾍ i::ﾍ /:::/
/::i i::::i ヽ::ゝ ヽ::ﾉヽ:ﾉ/:::/
レﾞ レﾞ ¨ ./／
【本日の予定】
Epi.IV 第四章その３（１０６枚） ２０：００〜２１：３５過ぎ
【連投予報】
２３９．
やらない夫は約束を守るようです54
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/14429/1497701379/
-
埋め
|
|
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板
