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没SS投下スレ

12蘇るM/信頼 ◆v8zfG6NkJs:2011/04/14(木) 20:11:33 ID:BJ7qx07U

「まぁ、どっちが死んでも可笑しくなかったしな、それよりデッキはどうした」

そう淡々と答えるその男にフィリップは思わず身構える。
同伴者が死んだと知らされたのにここまで冷静にいられるというのは一種危ない人なのかとも思ってしまう。
しかしその時騒ぎを聞きつけてきたであろう草加さんがそこに立っていた。

「デッキっていうのはこれのことかなぁ?」

そう言う彼の手の内に収められているのは恐らく数枚のカードが入ったカードデッキ。

「それだ、早く返せ」
「駄目だ、君が信用に足る人物だと分かるまではこれは返せない、それとも俺たちと戦うかい?」

そう言いながら草加は挑戦的な眼差しで『彼』、秋山蓮を見ていた。
秋山からしても確かに自分がその立場ならそうしただろう。
デッキがない今、秋山はほぼ無力な人間だ。
無理に急いで返り討ちにあうのは目に見えていた。
故に彼がとった行動は。

「無理に戦う気はない」

状況は不利の為、戦う気は起きなかった。
しかし、全く持って戦う気がないわけはない、何としても自分の世界を優勝に導くため、今は演技を続ける。
隙を見出し、デッキを取り返せば、自分にも勝機がある。
そのためにも今は我慢だ。
この考えが今自分のデッキを持っている草加雅人と同じものとは彼はまだ知らない。

「そう、それはよかった、それより君の名前は何なのか聞いてもいいかな?」
「秋山…蓮」
「そうですか、それじゃ秋山さん向こうに僕の仲間がいるのでそちらに移動しましょうか」

言いながらフィリップはドアを開き移動した。
その背中を見ながら草加はデイパックの中の自分の支給品を確認する。
カイザドライバーについているのはブレイガンとカイザショット、中にカイザの武器の一つであるカイザポインターが入っていなかったが恐らく大ショッカーが仕組んだのだろうと考え別段気にしていない。
だが今はそれを特筆するべきではない。
彼が気にしているのはカイザドライバーとは違う白いドライバー。
白、といっても彼の知っているデルタドライバーではない。

(これは何だ?スマートブレイン製のベルトは三つしかなかったんじゃ?)

彼の知らない『555の世界』で彼、草加雅人を葬ったサイガのベルト、それが彼に支給されたものだった。
しかし、そんなことこの草加雅人は知らない。
だが、己の力になるならば細かいことは考えずその力を利用させてもらうだけ、『555の世界』を、真理を救うために。

(待っていてくれ真理、今に君を救うから)

歪んだ考えのまま、草加雅人は行く。
他世界の人間を殺すための演技を続けるために。


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