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仮投下スレ

308刃の亀裂 ◆k7QIZZkXNs:2010/12/18(土) 18:48:24 ID:./todxkw
生き返らせる。三度目。

あれをどう解釈するか。
三度目は嫌だというなら、今回は二度目だと考えていいだろう。
そして銀閣は『虚刀流』に敗れたとも言っていた。その敗北が命を落としたという意味なら、ここにいた銀閣は死んだ後に生き返ったということになる。

「死んだ奴を生き返らせる……そんなことが、本当にできるってのか……?」

ガッツ自身ロワという女の言ったことは話半分程度にしか信用していなかったが、実例が目の前にあるとなると話は別だ。
しかし、それはガッツが死者の蘇生を望むということではない。

そんなことができるのなら。
それだけの力があるのなら。

そう――あの忌まわしきゴッド・ハンドにすら、干渉できるのではないか?
剣士を集める。強い剣士を。
この条件に当てはまる剣士を、ガッツは自分以外に二人、知っている。

「グリフィス……キャスカ……!」

あの『触』以前の二人なら、十分に剣士としての資格を備えていたと言える。
ガッツがこうしてこの場に呼び出されたのなら、ガッツと因縁のあるあの二人がいる確率もまた――零ではない。
どうしてこの可能性に思い当らなかったのか。
グリフィスはともかく、キャスカがいなくなったのはこの戦いに呼び出されたからかもしれないというのに!

もちろん可能性の話だ。確証はない。
だがガッツにとっては、その二人が『いるかもしれない』というだけで――

「……休んでる暇なんてねえ!」

走り出す理由には、十分すぎる。
そして、弾丸のようにガッツは城を飛び出した。
頭の片隅に湧いたノイズは、ガッツという男の天秤を激しく揺らしている。
もし誰かに出会っても、今は戦うという選択肢を第一に持ってくることはまずい。そうしている間にキャスカの身に危険が迫るかもしれないからだ。
使徒相手ならともかく、銀閣のように戦わずに済む相手なら見送るのも一つの手。斬るにしても、まずは情報を取得してからだ。



もし、その二人がいたらどうするのか。
答えを出せないままに、ガッツはひたすらに思い人の影を求め、走り続ける。
その姿にはもはや敵をすべて斬り伏せるという鋼鉄の意志はなく。
ガッツという剣に、亀裂が入ったことを意味していた。


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