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SWW仕様銀色贔屓キャラvs原作キャラのSS保存スレ

1名無しさん:2009/07/20(月) 13:42:34
原作どおりの能力で、SWW仕様銀色贔屓キャラと噛ませキャラを戦わせてみたい、という
方が差し替えSS、もしくは地下闘技場での対戦SSを保管するスレ。
まずttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12778/1247665543/l50で書いて、その後
このスレに保存するというシステムになっています。

2スカイライダーvs山本檸檬(SWW仕様)の差し替え:2009/07/20(月) 14:31:50
 檸檬はスカイライダー達を前に、余裕の感じられる笑みを見せつけていたが、油断はない。
 相手を甘く見て油断するようでは、真の強者には決してなれない。
 それに、彼女は超一流の魔術師でもある。
 一筋縄でいくような相手ではないのだ。
 スカイライダーがそんなことを考えていると、檸檬は杖を取り出し、相変わらず笑みを浮かべたまま言った。
「ふふふ、私の新しいこの力。あんた達を相手に使ってあげるんだから、光栄に思ってね」
 挑発的な口調だ。
 油断こそしていないが、スカイライダー達を自分より格下だと思っている。
 そのことを、彼女は隠そうともしていないのだ。 
 今までそんな敵は大勢いたので、スカイライダーは特に憤慨することもなく、冷静に檸檬の動きを見ている。
 だが、がんがんじいは檸檬の挑発を受け流せなかった。
「何や、その態度! ワイらを甘く見るのも大概にせい!」
 がんがんじいは怒りながら叫んだ。
 このままでは、勢いで檸檬に突進しかねない。
 だから、スカイライダーは片手でがんがんじいを押さえつつ、言った。
「がんがんじいの言う通りだ。何を仕掛けるつもりか知らないが、余裕を見せていると痛い目を見るぞ」
「ふふん、それはこっちのセリフだよ♪ これを見てからもそんなこと、言えるかな?」
 言うなり、檸檬は杖の頭を自分の正面に向け、懐からカードケースを取り出した。
 ケースに描かれている紋様は、鳳凰。
 それも普通の鳳凰ではなく、悪魔的な印象も受ける紋様だ。
「さあ、これが私のカードデッキ! 『ミラージュ』の契約モンスターよ!」
 叫びつつ、檸檬がアドベントカードを杖の頭に収納した瞬間。
『アドベント』
 彼女の隣に、漆黒の怪物が出現した。
 ガルドサンダー達と変わらない外見だが、一つだけ違う点がある。
 色だ。
 その漆黒の体は異様なほど禍々しく、悪魔のような雰囲気をまとっている。
「フフ・・・これが私の契約モンスター、その名も『シャドウブリッツ』! ユイ姉が魔界から召喚した悪魔に、鳳凰系のモンスター全種を融合させることで生み出した新生モンスターさ! ユイ姉ほどじゃないけど、おかげで私のデッキにも鳳凰系モンスターのコントロール能力は備わったしね。さあ、こいつの力を見せてあげるよ!」
 自信満々で説明しつつ、カードを取り出す檸檬。
 それを見ながら、スカイライダーは左右の拳を構えた。
 僅かな隙も、檸檬の前では命取りになるだろう。
 気に入らない少女だが、油断ならない敵だ。
 強敵には変わりない。
 今は、ただ全力で目前の敵を倒すのみ。
「行くよ、スカイライダー!」
「おお!」

3スカイライダーvs山本檸檬(SWW仕様)の差し替え:2009/07/20(月) 14:32:21
 檸檬はスカイライダーを警戒しつつ、素早くカードを杖に収納した。
『シュートベント』
 空中に漆黒のライフルが出現する。
 通常よりも少し長く、グリップに鳳凰の紋様が描かれていることを除けば、特に奇妙な部分は見当たらない。
 デザインも普通だ。
 ただのライフルならば弾丸が命中しても、改造人間の体は傷一つつかない。
(だが……普通のライフルであるはずがない)
 決して油断することなく、スカイライダーは檸檬の動きを見定める。
 彼女はライフルのグリップを握り、無駄のない動作で銃口をスカイライダーに向けると、引き金に指を掛けた。
 そして、引き金を引いた直後。
 漆黒の銃口から青白いビームが放たれ、流麗な軌跡を描きつつ、スカイライダーめがけて飛んだ。
 速い。
 かなりの高速だが、回避できないほどではない。
 ビームが放たれた瞬間に、スカイライダーは隣のがんがんじいを抱え、右に十五メートルほど走った。
 下手に跳躍すれば、空中で狙い撃ちにされるため、彼は走って回避したのだ。
 スカイライダーに回避されても、ビームは曲がることなく一直線に飛び続け、地面に命中。
 すると命中地点で、直径六メートルほどの爆発が発生した。
 轟音が鳴り響き、土砂が飛び散り、爆煙が撒き散らされていく。
 がんがんじいを地面に降ろして庇いつつ、スカイライダーは檸檬を警戒した。
 この爆煙に紛れて襲ってくるかもしれない、と思ったからだ。
 ところがスカイライダーの予想に反して、檸檬は攻撃してこない。
 やがて爆発が収まり、爆煙も消えてきた。
 いつの間にか、檸檬が十数メートル上空に浮かんでいる。
 地面に巨大な穴が開いているのも見えた。
 穴は異様に大きく、成人男性が五人は入れそうなほど深い。
 今のビームがどれほどの威力だったかを、物語っている。
(大した威力だ。直撃を受けていれば命はなかった……)
 そう思いつつ、がんがんじいを後方に下がらせるスカイライダー。
 がんがんじいはスカイライダーの目を見て頷き、下がった。
 戦いを見守ることにしたのだ。
 それを見ると、檸檬はビームライフルを消し、降下して地面に着地しながら言った。
「ふっ、それで良いさ。そいつに興味はない。私が倒したいのは、あんただから」
「俺か」
「ああ。仮面ライダーの相手をすることなんて、滅多にないからね」
 言うなり、檸檬は一瞬で姿を消し、スカイライダーの後方に出現した。
 スカイライダーは後方に気配を感じ、振り向きつつ腕を振り、攻撃を仕掛ける。
 直撃する寸前に檸檬は再び姿を消し、腕は空振りしてしまう。
「空間転移。私にとっては簡単な魔術さ」
 その言葉と共に、十数メートル上空に出現する檸檬。
 スカイライダーは構えながら宙に舞い上がり、彼女から少し離れた位置に浮かんだ。

4スカイライダーvs山本檸檬(SWW仕様)の差し替え:2009/07/20(月) 14:32:44
 二人の間にある距離は、約二十メートル。
 魔術師と戦う際は呪文を唱える隙を与えることなく、速攻で倒すのが最善だが、不用意に接近するのも危険。
 先ほど檸檬が一瞬で空間転移したように、魔術の中には呪文の詠唱が不要なものも多いからだ。
「カードだけに頼るつもりはないんでね。やっぱり魔術師としては、魔術で相手を仕留めたいのさ」
 そう言って檸檬が杖を振ると、彼女の前方の空間から、氷塊が飛び出した。
 氷塊は螺旋状に激しく回転しながら、銃撃に匹敵する速度でスカイライダーに向かう。
 常人には驚異的な速度だが、改造人間の動体視力なら簡単に捉えられる。
 スカイライダーは左に数メートル移動して、回避した。
 そのまま氷塊は一直線に飛んでいくが、途中で弧を描いて曲がると、スカイライダーの背中に向かった。
「それだけじゃないよ」
 言い終えると同時に、檸檬は杖に魔力を込めて振り、前方の空間から再び氷塊を放った。
 銃弾並の速度で飛ぶ氷塊が、前後からスカイライダーに襲いかかるが、問題はない。
 スカイライダーは二つの氷塊が直撃する寸前に、今より高空へ飛び上がる。
 次の瞬間、二つの氷塊は互いに真正面から衝突して砕け、無数の破片が飛び散った。
「スカイキィーーーーーック!」
 スカイライダーは一層高空へ飛び上がり、檸檬めがけて凄まじい速度で蹴りを繰り出す。
 しかし檸檬は瞬時に姿を消してしまい、スカイキックは空振りした。
 先ほどと同じように、空間転移で回避したのだ。
 スカイライダーが地面に着地して周囲を見渡すと、檸檬はシャドウブリッツの隣に出現していた。
「行け、シャドウブリッツ!」
 シャドウブリッツは檸檬の言葉に頷くと、地面を蹴って一気に間合いを詰め、右の拳を突き出した。
 残像を伴いながら恐ろしい速度で突き出される拳を、スカイライダーは左手で受け流し、右手でシャドウブリッツを攻撃する。
 それをシャドウブリッツは左手で受け止め、鞭で床を叩いたような音が周囲に響く。
 すかさず、スカイライダーは左の拳で突きを繰り出した。
 同時に、シャドウブリッツも拳で応戦。
 音速の領域を突破した拳が激突して、衝撃波と轟音を発生させる。
 衝撃波で足元の地面が吹き飛び、土砂が飛び散り、土煙が舞い上がる。
 スカイライダーとシャドウブリッツも衝撃波で大きく弾き飛ばされ、地面に転がった。
 どちらも、無傷では済まなかった。
 スカイライダーは右の拳から激しく出血して機械部分も露出し、全身に細かい傷が幾つもついている。
 シャドウブリッツも同じ状態だ。
 激痛に耐えながら上体を起こし、立ち上がろうとする両者。
 残った拳を構えたのは、一瞬だけスカイライダーの方が速い。
 すぐに間合いを詰めようとしたが、不意にスカイライダーの動きが止まった。
「何っ……!?」
 必死に動こうとするが、手足が少しも反応しない。
 手足だけでなく、頭や指先も動かせない。
 全身が動かなくなっているのだ。
 唯一自由に動く眼球で周囲を見渡すと、檸檬がスカイライダーに向かって、左手を突き出していた。
 どうやら、彼女の魔術で動きを封じられたようだ。
 普段のスカイライダーなら、こんな魔術をまともに受けることはないが、今はシャドウブリッツに気をとられて隙ができたのだ。
「今だ、シャドウブリッツ!」
 檸檬の命令に応じ、シャドウブリッツがよろけながらも立ち上がり、スカイライダーめがけて突進した。

5スカイライダーvs山本檸檬(SWW仕様)の差し替え:2009/07/20(月) 14:33:12
 ところが、次の瞬間。
 空気を切り裂く鋭い音と共に、何かが凄まじい速度でシャドウブリッツに激突した。
 スカイライダーの愛車、スカイターボだ。
 このバイクには、スカイライダーからの通信で自由自在に動くという機能がある。
 その機能を利用して遠くから呼び寄せ、特攻させたのだ。
 シャドウブリッツの体は大きく弾き飛ばされ、二十メートルほど後方の地面に衝突。
 そのまま地面を深く削りながら滑り続け、数秒後にようやく停止した。
 シャドウブリッツは呻きながら立ち上がるが、胸部装甲と腹部装甲に無数の亀裂が入っており、そこから激しく出血している。
 今にも倒れ込みそうな足取りで、シャドウブリッツはスカイライダーに歩み寄ってくる。
 しかし、もはや戦闘能力を失っていることは誰が見ても分かることだ。
 スカイターボの突撃『ライダーブレイク』とは、前輪とカウルに仕込まれた超振動発生装置による破砕攻撃。
 どれほど頑丈な改造人間であろうと、無傷では済まない。
 おまけにシャドウブリッツの場合、ライダーブレイクを受ける直前にスカイライダーと戦い、体力を消耗していた。
 まだ歩けるほどの力が残っているだけでも、大したものなのだ。
「ちっ……戻れ、シャドウブリッツ!」
 檸檬が舌打ちし、左手を突き出したまま大声で叫んだ瞬間。
 シャドウブリッツは小さく頷き、スカイライダーを警戒しつつ、すり足で後退していく。
 シャドウブリッツが自分の隣まで後退してくると、檸檬は左手を下ろし、魔術を解除した。
 どうやら、長時間使用できるような魔術ではないらしい。
 手足が動くようになると、スカイライダーは左右の拳を構え、言った。
「もう……シャドウブリッツは戦えないだろう。次は、君が相手になるのか?」
 問いかけというより、確認に近い口調だ。
 その言葉に頷くと、檸檬は杖を構え、カードを取り出して言った。
「そうだね……」
 言うなり、檸檬は杖を前方に突き出し、先端に魔力を集中させた。
「死ね!」
 彼女の叫びと共に、杖の先端から太い炎の束が飛び出した。
 炎は周囲の空気を赤熱させ、軌道上の地面を焼き焦がし、火の粉を撒き散らしながら向かってくる。
 よく見ると、炎からかなり離れた位置に立つ樹木が、激しく燃え上がっていた。
 あれほど離れていても自然発火するとは、恐ろしい熱量だ。
 まともに受ければ、改造人間であろうと確実に焼け死ぬだろう。
 幸い、その熱量に反して速度は大したものでもないため、回避は簡単だ。
(だが回避すれば、がんがんじいだけ焼け死ぬ……!)
 そう考えた瞬間。
 スカイライダーは全身を超高速で回転させ、即席の竜巻を発生させる。
 猛烈な強風で炎の束は瞬時に四散し、火の粉や熱波も吹き払われ、消滅した。
 念力返しライダースピン、と呼ばれる技だ。
「なっ……」
 流石の檸檬も、これには一瞬驚愕するが、即座に次の魔術を使用した。
 今度は杖の先端から、水の槍が飛ぶ。
 長さは三メートルほどで、太さは十五センチほどもあり、螺旋状に回転しながら飛んでくる。
 炎の束と異なり、飛んでくる速度が速い。
 直撃すれば、軽々とスカイライダーの腹部に大穴を開けることだろう。
 しかし水の槍は直撃することなく、竜巻に飲み込まれて四散し、消滅する。
 それと同時に、スカイライダーは回転を止め、真っ直ぐに彼女を見据えて問いかけた。
「一つだけ聞きたい。君は、何のために戦うんだ?」
 単純な問い。
 しかし、その問いかけの意味は凄絶。
 この問いに対する答えで、戦場に立つ意味と覚悟が明白になるからだ。
「私は……」
 その問いに、檸檬が答えようとした瞬間。
 二人のどちらも予想していなかった『乱入者』が出現し、勝負は水入りとなった。

6シャドームーンvs相沢祐一(SWW仕様)の差し替え:2009/08/01(土) 22:18:04
「開始めいッッッ!!!」
 開始の合図と共に祐一は駆け出し、間合いを詰め、シャドームーンの顔面めがけて右ストレートを放った。
 恐ろしく速い打撃だ。
 並の戦士では見切れないだろう。
 だが、シャドームーンは並ではない。
 右ストレートは命中することなく、シャドームーンの残像を貫いた。
「!?」
「遅い」
 祐一が声に反応し、右に視線を向けると同時に、拳が襲ってきた。
 回避する時間などない。
 拳が腹部にめり込み、猛烈な衝撃が背中まで達し、枝が折れるような音が祐一の体内で鳴った。
 シャドームーンの一撃で、肋骨が折れたのだ。
 とてつもない痛みが祐一の全身を襲い、一瞬だけ動きを止めてしまうが、すぐに構え直した。
 シャドームーンは悠然とした佇まいで立ち、祐一を見ている。
(……どっちがチャンピオンなんだか)
 内心苦笑しながら、祐一はシャドームーンを見る。
 今のわずかな攻防だけでも、彼の強さを感じ取るには十分だ。
 あまりにも速い。
 そして、強い。
 シャドームーンの攻撃は速く、重すぎる。
 さらに、体格差もある。
 シャドームーンの身長は百九十七.四センチで、体重は九十キロ。
 身長で二十センチほど、体重は三十キロ近くも祐一を上回っているのだ。
 打撃は体重を乗せて放つ。
 故に体重も、空手やボクシングなどの格闘技では重要だ。
 しかもシャドームーンは体重があるだけでなく、動きも速い。
 これが『世紀王』なのだ。
「これで終わりではないだろう?」
 シャドームーンは悠然と構えたまま、静かに問いかけた。
 その口調に嘲笑の色は少しもない。
 祐一は左右の拳を構えつつ、答えた。
「当然だ」

7シャドームーンvs相沢祐一(SWW仕様)の差し替え:2009/08/01(土) 22:19:08
「では、勝負を続けよう」
 そう言うと、今度はシャドームーンの方から攻撃してきた。
 高速の踏み込みで一気に間合いを詰め、右の中段回し蹴りを繰り出すシャドームーン。
 恐ろしい速さだが、見切れないほどではない。
 狙いは脇腹だと予測し、祐一は素早く腕を上げて防御する。
 だが圧倒的な衝撃で腕が軋み、打撃音が響き、祐一は五メートルほど真横に押し出された。
 両足の靴で砂地を削りながら押され、試合場の壁に激突する祐一。
 体勢を立て直す時間もないまま、シャドームーンが猛烈な勢いで駆け寄り、右の拳を突き出してきた。
 祐一は咄嗟に左へ跳び、何とか回避する。
 直後、シャドームーンの拳は試合場の壁に直撃。
 壁は轟音と共に砕け散り、無数の破片が砂上に散乱し、観客達が驚愕の声を上げる。
 一瞬の間も置くことなく、シャドームーンは祐一を追いかけ、再び右の拳を突き出した。
 拳は祐一の左胸、心臓の位置を狙っている。
(まずい……!)
 あの打撃を心臓に受ければ、いかに祐一でも命が危ない。
 今度は十字受けを駆使して防御するが、両腕全体に電撃を浴びたような衝撃が走り、祐一は思わず呻く。
 彼が呻いて両腕を下げた瞬間、シャドームーンは左の拳を腹部に打ち込み、祐一を殴り飛ばした。
 三メートルも殴り飛ばされ、地面に転がり、吐血する祐一。
 今の一撃で内臓に大きな痛手を受けたのだ。
 よろめきながら立ち上がった祐一めがけて、再びシャドームーンの拳が襲いかかる。
 何とか受け止めるが、反対から飛んできた拳が祐一のこめかみを打つ。
 祐一は懸命に踏ん張ると、左右の拳を構えて攻撃に転じる。
 右ストレートを繰り出すと見せかけ、左ストレートを放った。
 それはシャドームーンの胸部に直撃し、金属音や打撃音が周囲に響き渡る。
 少しだけよろめくシャドームーンに反撃の時間を与えず、素早く踏み込み、拳で彼の顔面を殴った。
 完全に決まったはずだが、シャドームーンはダメージを受けた様子もなく踏みとどまる。
 そして祐一を殴り飛ばすと、彼は素早く両手を前方に突き出し、全ての指先から稲妻状に光線を放った。
 シャドービームと呼ばれる光線であり、キングストーンの力を照射したもの。
 彼はキングストーンを使いこなしているため、このような攻撃も可能なのだ。
 ビームは祐一の周囲に命中し、小規模の爆発を立て続けに発生させた。
 周囲に爆発音が連続で響き渡り、爆煙と爆炎が撒き散らされ、空中に大量の砂が巻き上がる。
 かろうじて、祐一は爆発をまともに浴びることはなかったが、爆風で吹き飛ばされてしまう。
 砂地を転がり、一瞬で立ち上がりつつ、祐一は思った。
(これが世紀王の力か……これほど強いとは思わなかったぜ……)
 祐一は世紀王シャドームーンの強さを、今更ながらに実感した。
 今まで強大な敵と戦ったことは何度もある。
 苦戦したことも、一度や二度ではない。
 しかし今回のように、まるで歯が立たなかったことなど一度もない。
 間違いなく、シャドームーンは今まで戦った中でも最強の敵だ。
(どうする……どうしたらいい……)
 必死に考えていると、シャドームーンが再びシャドービームを放った。
 砂地で次々と爆発が発生し、爆発音が連続で響き、試合場のほぼ全体が火の海と化す。
 だが祐一は多少のダメージは覚悟の上で動き、爆風を浴びながら火の海を駆け抜け、シャドームーンに接近した。

8シャドームーンvs相沢祐一(SWW仕様)の差し替え:2009/08/01(土) 22:20:00
 祐一は火の海を駆け抜け、接近戦を試みた。
 離れたままでは、シャドービームの直撃を受ける可能性が高いからだ。
 あの光線を何度も浴びれば、頑丈な祐一でも危ない。
 接近戦ならば、先ほどのように打撃を浴びせることも可能だ。
 間合いを計りつつ、左ストレートを顔面めがけて小さく放つ祐一。
 常人には残像しか見えないほど速いが、シャドームーンには通用しない。
 祐一の左ストレートを、シャドームーンは頭部を少し傾けるだけで回避した。
 続けて右のアッパーカットを放ち、顎を砕こうとする。
 だが、シャドームーンは素早く上半身を仰け反らせ、簡単に回避。
「ちっ……!」
 舌打ちしながら、祐一はボディブローとフックを連続で繰り出し、衝撃波と轟音を発生させた。
 左右の拳に振り分け、音速の領域を超えるほどの速さで放ったのだ。
 熟練の戦士でも、到底回避できないはず。
 しかし、シャドームーンは軽やかなステッピングで、超音速の連続打撃を回避した。
(かわしやがった……!)
 驚愕して距離を取りつつ、祐一は手技だけで世紀王に対抗するのは無理かもしれないと、思った。
 そんな気持ちで構え直すと祐一は跳躍し、蹴りを繰り出した。
「クルダ流交殺法、影門最源流死殺技! 神音(カノン)!!!」
 音速を遥かに超える蹴りによってエネルギーが生じ、超振動を発生させる。
 そして、次の瞬間。
 振動波を伴った一撃がシャドームーンを蹴り飛ばし、試合場の壁に激突させた。
 壁は凄まじい破砕音と共に砕け散り、観客席から悲鳴が上がる。
 その悲鳴を聞きながら、祐一は自分の勝利を確信していた。
 だからこそ、破片の中からシャドームーンが平然と出現した時には戦慄が走った。
「嘘だろ……」
 無論、シャドームーンも無傷と言うわけではない。
 全身に無数の傷が刻まれているし、足取りも先ほどよりは遅いことから、受けたダメージは決して軽くないだろう。
 だが、致命傷には程遠い。
 祐一が愕然としていると、シャドームーンは相変わらず悠然と立ったまま言った。
「良い技だ。今度は……俺の技を見せてやろう」
 言うなり、シャドームーンは高く跳躍し、レッグトリガーの破壊力と振動波を両足に揃えて蹴りを放った。
 シャドームーンの必殺技、シャドーキックだ。
 レッグトリガーの力と両足の力を揃えて放つ技で、ライダーキックと同等か、それ以上の破壊力を誇る。
 速度も尋常ではなく、反撃する余裕などなかった。
 祐一は咄嗟に跳躍して回避するが、猛烈な風圧で木の葉のように吹き飛ばされ、観客席に激突してしまう。
 再び観客席から悲鳴が上がり、祐一は激突の衝撃で全身が麻痺し、動けなくなった。
 風圧だけで、この威力だ。
 まともに受けていれば、命はなかっただろう。
「……」 
 砂地に着地し、静かにこちらを見るシャドームーン。
 シャドームーンの勝利を告げるアナウンスを聞きながら、祐一は思った。
(これが、シャドームーンか……)
 
「祐一が負けるところ……初めて見た」
 医務室で治療を受ける祐一を見て、舞が言った。
 それを聞くと、祐一は苦笑しながら呟く。
「まだまだってことだな」
 初の敗北となったが、落胆しているわけではない。
 悔しい気持ちならあるが、なるべくしてなった結果だと思っている。
 むしろ、鍛え直す気持ちにさせてくれたシャドームーンに、感謝している。
(次は、こうはいかないぜ、シャドームーン)

9グランザイラスvs相沢祐一(SWW仕様):2009/08/06(木) 08:17:42
 祐一がシャドームーンに勝利してから一ヶ月後が経過した頃。
 橋の下で、一体の邪龍の如き蒼い怪人が祐一を圧倒していた。
 その怪人こそ、グランザイラス。
 クライシス帝国最強の怪人であり、その戦闘力は十人ライダー全員分を凌ぐほど高い。
「この程度か、相沢 祐一よ」
 グランザイラスは痛めつけられた祐一に向かって言い放つ
 祐一は立ち上がって超高速の右ストレートを繰り出すが、祐一の拳は鋭い金属音と共に弾き返される。
「っ!?」
 流石に唖然とする祐一。
 グランザイラスは不快そうな表情をわずかに見せただけで、少しも傷を負っていない。
 尋常では考えられないほど頑丈な装甲に覆われているため、祐一の拳でも傷一つつけることができないのだ。
「ちっ!」
 祐一は舌打ちすると、再度拳を繰り出す。
 しかし、それもグランザイラスの装甲の前に虚しく弾き返された。
 最も柔らかいと思われる顔面を狙ったにも関わらず、である。
「だったら……!」
 祐一はスライディング気味にグランザイラスの懐に飛び込み、蹴りを繰り出した。
「神音(カノン)!!!!」
 想像を絶する速度の蹴りによって生じたエネルギーが超振動を起こす。
 その振動波は蹴りと共に打ち出され、グランザイラスの体に命中する。
 爆炎が起こり、煙の中にグランザイラスが消えた。
 それを見て、祐一は勝利を確信する。
 シャドームーンすら倒した神音の直撃を受けたのだ。
 しかも今度はシャドームーンの時と違い、両足で繰り出したのだから無事でいられるはずがない。
 ───そう思っていたからこそ、煙の中からグランザイラスの咆哮が聞こえてきた時は戦慄が走った。
 煙の中から現れたグランザイラスは、無傷で立っている。
 グランザイラスは何事もなかったかのように胸を張り、祐一に歩み寄っていく。
 まるで、いかなる攻撃も通用しないという事実を祐一に突きつけているかのようだ。
 その様に、祐一は背筋を凍らせるがすぐに気を取り直して足に力を込める。

10グランザイラスvs相沢祐一(SWW仕様):2009/08/06(木) 08:19:36
「神移(カムイ)!!!」
祐一の姿が消える。
神移とは姿も音も気配すらなく目、耳、心ですらも捉えられない速度を生み出す神技である。
しかしグランザイラスは驚きもせずに、静かな口調で言った。
「この俺様をやれるものならやってみるがいい」
グランザイラスが挑発した直後、彼の真後ろから真空の巨大な刃が発生する。
「刀拳(ハーケン)!」
ズギャッ!
「滅刺(メイス)!」
バキャッ!
更にグランザイラスの上空から生じた衝撃が彼の脳天に直撃する。
「こいつを食らっても立っていられるかい?」
祐一の声がする。
「重爪(チェンソー)!!」
ゴキャァッ!!
次々と攻撃が命中するが、いずれも致命傷を与えるには至らない。
いや、致命傷どころか少しも傷を負わせられずにいる。
リボルゲインや十一人ライダーの総攻撃で全く傷が付かないのだから、祐一の技程度では蚊に刺されたようなものであろう。
グランザイラスは嘲るように祐一を笑った。
「つまらん。お前の攻撃は破壊力が無さ過ぎる。もう少し遊びたかったが、これで終わりにしよう」
そう言った直後に、グランザイラスの右手から地獄の炎が噴射される。
紅蓮の炎が生物の如く不気味な唸り声をあげて襲い掛かるが、それを祐一は真上に跳んで避ける。
しかし、続いてグランザイラスが目から発射したレーザーが直撃。
しゃがみ、息切れしている祐一を突進で吹き飛ばす。
「ぐわ!!!」 
橋の柱に直撃し、祐一は意識を失いかけていた。
グランザイラスは笑いをこらえ、祐一を挑発した。
「全く弱い。話にもならぬわ。お前が倒したシャドームーンとは偽者だったのじゃないのか?」
これに祐一は怒り突進したが、これが文字通り命取りになった。
近づいた祐一を左手で押さえ、右手を祐一に向けた。
しかしグランザイラスは考え直し、祐一を前に投げ飛ばした。
「せっかくだ。貴様には惨たらしい死に方をしてもらわねばならん。そうしないと観客の皆様が不満だ」
祐一が橋を見ると見るもおぞましい光景が広がっていた。
祐一が倒してきた者たちの怨念が祐一を見ていた。
その中にはシャドームーン、いやサンショウオ獣人もいた。
グランザイラスは祐一を見下しながら笑いにも取れる声で叫んだ。
「今日はお前の命日だ。いやお前の親しいものも死ぬ。俺に殺されてな」
もはや祐一は喋れないぐらいに痛めつけられ気絶しかけていたが、このグランザイラスが自分の大切なものを
消そうと言う事をしようとしているとは分かった。
しかし、もう手遅れだった。
火の玉形態に変化したグランザイラスが空高く飛翔し、爆音と共に突進してきた。
もはや祐一に認識できぬほどのスピードで突撃したグランザイラスは、祐一の胸板を砕いて十数メートルは吹き飛ばした。
アスファルトを砕いて地面を滑り、全身に地獄の炎を引火させて祐一は倒れ伏した。
グランザイラスは倒れ伏した祐一に再度突進を見舞い、祐一は見るも無残なほどバラバラになり肉片が辺りに飛び散った。
通常形態に戻ると、グランザイラスは邪龍の如き顔をにやけさせ、言った。
「そこの女。次はお前の番だ。」
グランザイラスの目は祐一を殺され恐れながらもグランザイラスの背後に来た舞に言っていた。
そしてグランザイラスは右手を舞に向け、言った。
「奴と同じ場所へ送ってやろう」

11柏木耕一vs佐藤純(SWW仕様)の差し替え:2009/10/14(水) 22:19:50
「「開始めい!!」」
 試合開始の合図と同時に、耕一は『鬼』へと変貌した。
 先ほどまでと違い、周囲に舞い上がる砂の一粒一粒が、はっきりと見える。
 骨の軋む音や筋肉の収縮音なども、自然と耳に入ってくる。
 五感や身体能力が、通常を遥かに上回るものになったのだ。
 そのことを確認すると、耕一は素早く踏み込んで間合いを詰め、純の腹部に拳を叩き込んだ。
 鍛え抜かれた肉体の内部にまで、パンチの衝撃が浸透したことが分かる。
 純が少し呻いている隙に、耕一は一瞬で腕を引き、再び拳を突き出す。
 しかし呻きながらも純は反応し、片手で耕一の拳を受け止めた。
 乾いた打撃音が闘技場に響き渡り、耕一も純も動きを止め、お互いを見据える。
「流石だな。ここまで強烈なパンチを受けたのは、久しぶりだ」
 言うなり、純は掴んだ耕一の拳を自分の方に引き寄せる。
 そして自分の拳を、耕一の顔面に叩き込んだ。
 凄まじい衝撃で頭の中が真っ白になり、耕一の足がよろめくが、何とか踏みとどまった。
 首の骨が外れてしまうかと思うほど、強烈な一撃だ。
 これほど重いパンチは受けたことがない。
「くっ……!」
 反射的に手を振りほどこうとするが、指が食い込んでいて外せない。
 そんなことをしている間に、二発目が腹部に叩き込まれた。
 猛烈な衝撃が背中まで突き抜け、全身が浮き上がりそうになるが、気力で踏みとどまる。
「ウォォォォォゥ!!」
 耕一は吠え、嵐のように唸りを上げる拳で純を殴り飛ばした。
 純は地面で何度も跳ねて土煙を巻き上げ、闘技場の壁に激突してようやく止まる。
 顔の前で拳を握ったまま、耕一は息を吐き、呼吸を整えた。
 素早く視線を戻すと、もう純は立ち上がっていた。
 口の端から鮮血を流し、呼吸が乱れていることから、受けたダメージは軽くないのだろう。
 当然だ。
 エルクゥの全力のパンチを受けて、無傷でいられるとしたら、もはやそれは生物の範疇にない存在だ。
 だが呼吸を乱しつつも、純は不敵な笑みを浮かべた。
「やっぱり強いな、あんた」
 言いつつ、純は左右の拳を構えた。

12柏木耕一vs佐藤純(SWW仕様)の差し替え:2009/10/14(水) 22:20:27
「はっ!」
 純が踏み込み、気合を入れて拳を突き出した。
 速い。
 耕一は鮮やかなサイドステップで回避するが、純は立て続けに攻撃してくる。
 素人目には、絶対に見切れないほどの速度だ。
 観客の目では全く追いつかない。
 貫手と掌打を主体にした純の高速連撃を叩き込まれ、耕一が大きくよろめいた。
 衝撃が胸筋や腹筋を突き抜け、背中まで達する。
 内臓が破裂してもおかしくないほどの衝撃だ。
 さらに回し蹴りを脇腹に打ち込まれ、耕一は膝をつきかける。
 しかし何とか踏みとどまり、追撃しようと接近してきた純を、耕一は下から蹴り上げた。
 顎に強烈な蹴りを受け、呻きながらよろめく純だが、即座に体勢を立て直して拳を放つ。
 ──お互いに決定打はなかった。
 いや、ある意味では全てが決定打だ。
 二人の攻撃は、全てが一撃必殺の破壊力を秘めている。
 ただ、二人の意志が倒れることを拒絶しているだけだ。
 どちらの頭の中にも、倒れることや敗北することなど、可能性としてすら存在していないのだろう。
「……」
「……」
 やがて二人は無言で数メートルの距離を置き、動きを止めて対峙する。
 どちらも激しく呼吸を乱し、両肩を上下させていた。
 超一流同士の戦いは、体力や気力の消耗が激しいのだ。
「中々やるじゃないか」
 途中から千切れ、ぶら下がっている制服の右腕部分を、隙のない動作で捨てながら純が言った。
 それを聞くと、耕一は折れた歯を鮮血ごと吐き出し、口を開く。
「君もな」
 言いつつ、構える耕一。
 既に自分を支えているのは気力だけ、という自覚はある。
 お互いに、ギブアップという選択肢はない。
 最後まで戦うしかないのだ。
(次で決まる、な)

13柏木耕一vs佐藤純(SWW仕様)の差し替え:2009/10/14(水) 22:21:08
 次の瞬間、二人の両腕がぶつかり、力比べが始まった。
「ぐぅぅ……!」
「おおぉ……!」
 どちらも引かない。
 純の力は凄まじいが、力なら耕一も負けてはいない。
 鬼の力と鬼の力が真正面から激突しているのだ。
 二人の両腕が震え、骨がきしみ、筋肉が怪力に耐えられず出血し始める。
 体内から生暖かい鮮血が溢れ、口の端から流れ出す。
「…!」
「…!」
 お互いに言葉を発する余裕はない。
 両者は共に、持てる力の全てを出し合っている。
 二人は一歩も引かない。
 互いを睨みつつ、鬼の力をぶつけ合う。
「くっ……!」
 先に力が緩んだのは、純だ。
 一瞬だけ膝が緩み、そこで姿勢を崩してしまう。
 その一瞬が、命取りとなった。
「ウォォォォォゥ!!」
 耕一は叫び、手を離し、渾身の力を込めて拳を突き出した。
 それは反射的に防ごうとした純の左手をぶち抜き、彼の胸部に直撃する。
 胸部が拳の形に陥没し、胸骨の折れる音が鳴り、純は激しく吐血した。
 そのままパンチの衝撃で彼は吹き飛ばされ、激しく地面に叩き付けられる。
 何度も地面でバウンドし、壁に激突として遂に止まった。
「ぐっ……あ……」
 彼は呻き声を上げつつ、立ち上がった。
 しかし、もはや戦う力が残っていないのは明白だ。
 純は不敵に笑って言った。
「俺の負けだ……見事な一撃だった」
「ありがとう。君も強かった」
 耕一が言葉を返すと、純は満足気に微笑み、倒れ込んだ。
 それと同時に、耕一の勝利を告げるアナウンスが闘技場内に響き渡った。

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