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リリカルなのはクロス作品バトルロワイアル13

961 ◆gFOqjEuBs6:2011/04/09(土) 15:27:42 ID:D5cW9/Q.0
 
「けど、よ……それじゃ寂しいじゃねーかよ」
「うーん、確かに寂しい事かもしれないけど」

 ノーヴェの表情を見れば、何処か辛そうであった。
 かぶりを振って、ヴィヴィオの代わりに歯噛みする。
 この瞬間、この人は本当に心から優しい人なのだな、と思った。
 ヴィヴィオの為にここまで心配してくれて、ここまで辛そうな表情をしてくれる。
 そんな表情を見ていると、不謹慎だろうか、何処か心が温まる気がして。

「けどね、わたしはなのはママに約束したんだ。
 もう泣かないって、強くなって、自分で決めた自分の道を進むんだって」

 それが何度も誓った、母との約束。
 そして、何よりも、ヴィヴィオ自身が決めた事。

「それにね、もしもわたしがいつまでも泣いていたら、なのはママは安心して眠れなくなっちゃうから」

 ……これは、ヴィヴィオがまだ幼かった頃の話だ。
 母の愛に飢えていたヴィヴィオは、夜泣きばかりしていた。
 皆が寝静まった時間になっても、ヴィヴィオだけは寂しさのあまり泣いていた。
 そんな時、優しいなのはママは、いつだってヴィヴィオに付き添ってくれた。
 ヴィヴィオが安心して眠るまで、ずっと抱きしめて頭を撫でてくれた。
 本当は朝早くから仕事だってあったのに。寝不足で辛かった筈なのに。
 あの人は、自分の睡眠時間を削ってでも、ヴィヴィオの為に尽くしてくれたのだ。
 だから、ヴィヴィオが夜泣きをしていたら、なのはママは眠れなくなる。
 だけど、もうこれ以上、ヴィヴィオがあの人の眠りを妨げる事は無い。
 きっと今頃は、なのはママは安心して眠ってくれている筈だと、思う。
 と、そこまで沈思した所で、気付く。
 隣から聞こえる、啜り泣く声に。

「――って!! なんでノーヴェが泣いてるの!?」
「ば、馬鹿野郎、泣いてなんか……ねぇよ!」
「もう、涙拭いてから言いなよー……」

 可愛らしい小さな鞄からハンカチを取り出して、差し出す。
 ノーヴェはそれをひったくる様にして、自分の涙を拭った。
 そんな姿を見て、ヴィヴィオはつい微笑んでしまうのだった。






 なのはママ、わたしの周りには、こんなにいい人が沢山います。
 みんなみんな、わたしの事を心配してくれて、良くしてくれます。
 だからヴィヴィオは今、とっても幸せです。
 なのはママに貰ったものは、今も全部この胸で生き続けているから。
 それを受け継いで、ヴィヴィオはこれから、自分の力で歩いて行くから。
 だからなのはママは、安心して眠っていていいんだよ。




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