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リリカルなのはクロス作品バトルロワイアル13
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「わたしもね、この空は好き。強くなろうって思えるから」
空に向かって、右手を伸ばす。
こうして掌を突き出せば、星空にも届きそうな気がして。
そんなヴィヴィオを見たノーヴェが、ふっ、と微笑んだ。
「お前の母さんみたく、か?」
「うんっ!」
満面の笑みで首肯する。
今でも大好きな、固い絆で結ばれた母。
きっと一生変わる事の無い、一番大好きな人。
彼女の存在自体が。そして、彼女の娘で居られる事自体が、ヴィヴィオにとっての誇りなのだ。
母の様に強くなると言う目標を持てる事も、いつかは母を越えるという野心を持てる事も。
そのどれもが、今のヴィヴィオをヴィヴィオたらしめる誇りと自信たり得るのだ。
だから、これだけは胸を張って言える。
「わたしは、なのはママの娘なんだ」
例えもう二度と会う事叶わなくとも。
例え幾星霜の月日が流れて、母の年齢を越えたとしても。
「わたしが大人になっても、それだけは絶対に変わらないから」
だからこそ、ヴィヴィオの胸中には一つの決心がある。
未来という時間は、これから自分の手でいくらでも変えてゆく事が出来る。
だけど、記憶という時間は……掛け替えの無い想い出は、絶対に変わらない。
なればこそ、大好きななのはママとの想い出を。
心の中で響き続ける、誰よりも優しかったママの声を。
覚えてるままずっと、未来の果てまで連れて行くのだ、と。
「なのはママの娘だって事、えへんと胸を張れる様に……強くなるんだ、これからも」
「んー……その心掛けは立派だが、ちょーっと生意気だな?」
「にゃっ!?」
こつん、と額に小さな痛みを感じた。
犯人は言うまでもなく、いつの間にか起き上がって居たノーヴェだ。
年下の妹をからかう様な笑みで、右の拳で作った拳骨を見せる。
先程の練習試合では相当な力を感じた拳が、今はこんなにもか弱く見えるのが不思議だった。
ようやく動く様になった―まだ痛む―身体を起こして、ノーヴェを見上げる。
「もう、いきなり何するのー!?」
「ったく、強くなりたいからって初めての練習試合でここまでやる奴があるかってんだ」
「それはそうだけどー……うぅ、せっかくいい事言ったと思ったのにぃ〜……!」
「まずは自分の体力やペース配分を把握しろ。いい事言うのはそれからだ」
「にゃぅぅ、ごめんなさーい……」
確かにノーヴェの言う通りだった。
強くなりたいのはいい事だが、だからと言って無理をしては本末転倒。
本当の強者は、自分の体調や体力を常に把握して戦うものだ。
しゅんとして俯くヴィヴィオの頭に、ぽふっ、とノーヴェの手が乗せられた。
「わかればよろしい。そんじゃ、帰るか」
にかっと微笑むノーヴェ。
ヴィヴィオもまた、柔らかな笑みを浮かべて大きく首肯する。
そういえば、家を出る時にもフェイトママと約束したのだ。
練習するのはいいが、あまり遅くならない様に、と。
付き添いの保護者たるノーヴェの顔に泥を塗らない為にも、約束は守らねばならない。
人との約束は守る。大好きななのはママの娘で居続けたいなら、それを無下にする訳にも行かない。
そんな思いを胸に帰路に着いたヴィヴィオを、相棒たるうさぎはそっと見守るのだった。
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