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没SS投下スレ

86未完成没:2011/11/22(火) 23:38:56 ID:tmT7LJp.
「……まさ、か」

エヴァは気づいた。

「どうせもう私は動けないんだから、さっさとやればいいんだよ」
「やめろ」
「あ、そうやって私に助かるかもって希望を持たせてから叩き落とすつもりなんだね?
 残念でしたー。エヴァが何を言っても私はもう何も期待しないんだから」
「やめろ!」
「エヴァの考えなんて全部お見通しなんだよ。当ててあげようか?」

一拍。

「りかとグレーテル。私で三人だね」

インデックスはそう言って笑った。

「殺し方だって簡単に分かるんだよ。動けない私の首筋に牙を突き立てて、一滴残らず血を啜るんだ。
 そうすれば死に掛けのエヴァでもご褒美が来るまで生き延びることができるからね」

外堀を埋めるように事実を規定していく。
まるで、教え導くように。暗闇に道を示すように。

「ふざけるなっ!」

堪らずにエヴァは吼えた。

「そんな真似できると思っているのか貴様は!?」
「何で? エヴァは悪の魔法使いなんだよね? 何で私一人殺すこともできない"フリ"をするの?」

できるはずがなかった。

「私は、おまえを助けるために――!」

はっ、と息を呑む。
言葉を発したエヴァ自身、信じられないといった表情を浮かべた。
態度にいくら滲み出たとしても、決して晒すまいと自戒していた本音が零れ落ちる。
インデックスはそんなエヴァの顔を静かに見つめ、安心しきった笑みをつくった。

「おかえり、エヴァ。やっと帰ってきてくれたんだよ……」

けれどその笑みはすぐに染められる。
悲哀の色に。
諦観の色に。

「でも、ごめん。せっかく帰ってきてくれたのに、また追い出さないといけないね」
「やめてくれ……」

帰ってきたのではない。
光の外に出てすらいなかっただけだ。


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