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テスト投下スレ

189なかまはずれ ◆PJfYA6p9PE:2010/09/12(日) 21:02:33 ID:Yzb87MqE

「この子、泣いてたよ。
 泣きながら言ってたよ。『殺すしかないんだ』って。
 でも、私たちはそうじゃないことを知ってる。
 『みんなで協力すればきっと帰れる』って信じてる」

「それは」

「じゃあ、何でそれを言ってあげられなかったのかなあ?
 『大丈夫だよ。殺さなくても帰れるよ』って……
 そう言ってあげれば、この子と私たちは友達になれたかもしれないのに」

「友達って……」

「でも、レックス君は代わりに雷を落とした。
 雷に打たれて、この子はこんな風になっちゃった。
 何で? ねえ、何で? 何でこんなことになったの?」



「でもッ!!!」



ついに、ヤミヤミが叫んだ。

「そいつは……そいつはアルルゥさんを殺したんだ!!!」

凄まじい激情が胸の中で沸騰していた。
さくらが何でそんなことを言うのか分からなかった。
いや、本当のことを言おう。
その瞬間、ヤミヤミは確かにさくらのことを憎悪していた。

「それがどうしたの?」

しかし、さくらは冷静だった。
ある意味では。

「私だって人を殺したよ。
 レックス君だって、アルルゥちゃんだって殺したって言ってた。
 ヤミヤミちゃんだってそうなんじゃないの?
 この子と少し前までの私たちと何が違うの?
 私だって、アルルゥちゃんが死んだことは悲しい……すごく悲しいよ!!
 でも、だから……だからこそ、もうこれ以上、人を殺しちゃいけないんだよ!!」

そして、さくらはとうとう、決定的な一言に至った。


「私たちが帰るためなら、敵を殺していいって言うんだったら……
 それはこの子のやってたことと何も変わらない。
 私も、ヤミヤミちゃんも、アルルゥちゃんも、レックス君も……
 私たち、ただの人殺し仲間になっちゃうよ!!!」


刹那、意識が激情に白く塗り潰された。
理性の検閲を経ることなく、ヤミヤミは地を蹴ってさくらに飛び掛っていた。
もう、不快な言葉を一秒でも聞いていたくなかった。


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