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テスト投下スレ

188なかまはずれ ◆PJfYA6p9PE:2010/09/12(日) 21:01:36 ID:Yzb87MqE

「ヤミヤミちゃんは全然、考えなかった?
 みんなのところに帰るために殺し合いをしようって、本当に、少しも考えなかった?」

そんなことを言われても、分からない。
想像することすらできない。
何せ、彼女にはここ数時間より前の記憶が全くないのだから。
ヤミヤミにとっての『みんな』とはここにいる人達のことなのだから。

「私は考えたよ。
 でも、すぐにやめようって思った。
 殺し合いなんて嫌だったから。
 死ぬのも嫌だけど、殺す方がもっと嫌。
 他の人を殺してまで、生き延びたくないもん。
 だから、私は殺し合いなんてしないぞって決めたの」
「…………」
「……でも、この子はきっと違ったんだね。
 他の人を傷つけて、殺してでも、元の場所に帰りたかった。
 もしかしたら、この子にも、優しいお父さんや、ちょっといじわるだけど頼りになるお兄ちゃんや
 大切な友達や……好きな人……がいたかもしれないね。
 この子は、何をしても、そこへ帰りたかったんだよ。
 私との違いは、多分そこだけ」
「……あなたは何が言いたいんですか?」

言ってから気づく。
自分の言葉に刺々しいものが混じっていることに。
この話の行きつく先は分からないが、
どうやらあまり愉快なところではなさそうなことを、薄々悟りつつあった。

「アルルゥちゃんは言ってたよ。
 『みんなで協力すればきっと帰れる』って。
 レックス君もベルカナさんもその意見に反対したりしなかった。 
 もちろん、私も賛成だよ。
 ヤミヤミちゃんはどう?」
「反対するわけない……です」
「そうだよね。なら」

さくらは一呼吸置いて、言った。




「何でこの子を仲間に入れてあげなかったの?」




聞いた途端、頭がカッと熱くなる。
ヤミヤミから相手の感情を推し量る余裕が急速に失われていく。


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