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Fate/clockwork atheism 針音仮想都市〈東京〉Part3

770天体のメソッド ◆0pIloi6gg.:2025/08/31(日) 21:27:28 ID:GKRVG56.0

「アンジェさん?」
「――ごめん、ちょっと考え事してた」

 天梨に呼びかけられて、自分が黙りこくっていたことに気付く。
 これじゃさっきまでとあべこべだ。取り繕いながら、シャワーで泡を流してやる。
 やはり手は痛むのか、バスタブの方に避難させていた。

「ていうかあんたさ、とんでもないのに懐かれちゃったね。 
 知ってると思うけど六人(あいつら)、揃いも揃ってドの付く異常者だよ。
 わたしもあいつの昔馴染にえらい目に遭わされたんだから」
「あはは……、でも、ほむっちはいい子だよ」
「いい子ぉ? あの根暗が? 
 天使様の眼はどうなってんだか――そういえばあいつ、私が会った時より大きくなってる気がするんだけど……もしかして何か知ってたり」
「あ、えっとね。詳しく話すと長くなるんだけど……私の魔術って、他の人を強くすることができるらしくて」

 その影響だって言ってたよ、と事もなく言う天梨に、アンジェリカは一瞬固まった。

(……他者強化? それも、生き物を強制的に成長させられるレベルの?)

 これをさらりと打ち明けられてしまう時点で、輪堂天梨が魔術に関して素人なことはよく分かる。
 他人へ施す強化魔術はその道の最高技術だ。"できる"と知られた瞬間、冗談抜きに周りの見る目が変わるレベルである。
 もちろんアンジェリカもできない。ましてホムンクルスとはいえ、人間規格の生物を即座に成長させるほどの術なんて聞いたこともない。
 魔術界は広い。探せば可能な者はいるかもしれないが、今回それをやったのは魔術師の何たるかも知らないような市井の少女なのだ。

「――そっか。だからアレの眼鏡に適ったわけね」

 天梨に聞こえないよう、水勢を強めながら独りごちるアンジェリカ。
 共通項を見つけた瞬間、パズルのピースが独りでに填まっていく。

 最初は半信半疑だったが――思えば、似ているところは多い。
 美しい見た目、非凡な才能、魔術のルールを逸脱した"超能力"。
 そして、ヒトの社会から拒まれていること。
 本人に悪意がなくとも、存在するだけで誰かの心を揺らしてしまう地上の星。

 継代のハサンの忠告の意味がわかった。
 確かに彼の言う通り、輪堂天梨は神寂祓葉の同類だ。
 実際に会って言葉を交わしたアンジェリカにはそれがわかる。


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