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ヤング・ロワイアル

36警死庁24時 ◆4hdo0SZJPA:2024/04/16(火) 22:02:37 ID:cVRBP/Eo0

「なッ、なんだよ。オッサン!」

山吹がバツの悪そうに詰め寄る。
当然、後ろ手には銃を隠したままだ。

「フンっ、オレに近寄るのなら気をつけろよ。お前らはこの世でもっとも汚く、そして蔑まれる存在……警察官なんだからなあっ」

何をトチ狂ったか、急にこの眉なしの男は刑事である二人の前で警察批判をブチ上げ始めた。
これまでの話を少しでも聞いていたのなら、数的有利、武器の有無、公権力の介入の可能性等からも挑発は避けたほうが良さそうだが……?

山吹はプッと吹き出し、男のコートの胸ぐらを掴む。

「オイ、オッサン。オレらの気が変わらねェ内に消えな。オレらは狙ってるヤツらがいるんだ。
 そいつらをブッ殺すまでオッサンは殺さないでおいてやるから――――」

しかし、山吹は最後まで話すことは叶わなかった。
コートの男――宮沢鬼龍が目にも止まらぬスピードで山吹の顎の骨を外したのだ。

ちなみにこれは灘神影流の技ではない。
ただ物凄いスピードで手を動かし、相手の顎関節を正確に狙って少し揺らしただけである。

「ふがッ……!」

驚き、尻もちをつく山吹。

「オレに近寄るなら命を賭けろと言ったよなあっ? ……お前ら、"悪"になら何をしてもいいってか。オレも悪だよ。悪は悪でも……"悪魔"だがなあっ」

「い、いや、命を賭けろとは言ってな――――」

山吹はそう言いかけ、顎が外れていて発声ができないことに気づいた。
そして男の、宮沢鬼龍の姿が明らかに膨張していく。

「ハアーっ! 気が漲る! 滾るわっ!」

完全に弱者を蹂躙するモードの鬼龍になっていた。
こうなったらもうお終いである。

「ひっ、ひいいいいいっ!!」

山吹と時雨は腰から銃を抜き、鬼龍に突きつけた。
さしもの鬼龍もこれで大人しくなるか、はたまた驚き、許しを請うだろうか……?

答えはNOだ。

灘神影流・弾丸滑り。
命中した弾丸を全て体表から滑らせ、逸らしてしまうという反則技が鬼龍をさらに凶悪な存在へ押し上げていた。
いくら銃弾を撃っても、それら全てが一瞬の内に逸らされていく。

「はあっ」

鬼龍は一瞬で山吹の首の骨を折る。

「かぺっ」

山吹は阿呆みたいな最期の台詞を吐いて事切れた。
刑事・山吹千晴、殉職である。


【山吹千晴@ジャンケットバンク 死亡】
残り 42/46


「ひ、ひいいいいいいいいいいいっ! やめてくださいっ!」

時雨は小便を撒き散らし、地に頭を擦り付けて命乞いをする。

「面白いことを言うなあ、この蛆虫は。お前らは虫のいうことに耳を貸すのか?」

鬼龍の態度は全く変わらなかった。

そして――――


【時雨賢人@ジャンケットバンク 死亡】
残り 41/46


現実は時に残酷なものである。

時雨が鬼龍に負わされた責め苦は、これまでに彼が他者に与えてきた苦しみに見合うだろうか。
いや、それは時雨賢人本人を除いて誰にもわからない。願わくば彼の魂に安らぎが訪れんことを……。

そして、鬼龍はひたすら己の道を闊歩する。
それは究極のエゴイズムと呼んでも差し支えないほどの強烈な自己肯定感が生んだ怪物を越えた怪物のみが持つ力である。
そんな彼に対抗するためには、怪物となる他ないのか。はたまた、元から怪物であれば彼と闘いうるのか――

深淵を覗き込んでいるのは、誰だ。


【D-5/住宅街/1日目・午前】
【宮沢鬼龍@TOUGH外伝 龍を継ぐ男】
[状態]:気の昂ぶり
[装備]:コート
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×2
[思考・状況]
基本行動方針:皆殺し?
1:はあーっ


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